Witch さんの感想・評価
4.8
(最終)ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華
【レビューNo.114】((最終レビュー)初回登録:2024/3/23)
コミック原作で2023年作品。全28話。
元々娘がコミックを買っていたので原作既読です。コミックは「マンガ大賞
2021」を受賞するなど前評判も高く、後はいつアニメ化されるかって話でした
がついにきましたね。
(ストーリー)
勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンら勇者パー
ティー4人は、10年間もの旅路の果てに魔王を倒して王都に凱旋する。
ヒンメルら人間にとっては10年は感慨深いものがあったが、1000年は軽く生き
る長命種のエルフであるフリーレンにとっては、ほんのひとときであった。
あれから50年、流星群を観るために4人は再会を果たすが、見た目は全く変わら
ないフリーレンに対し、ヒンメルら人間は随分と年を取っていた。
(ドワーフのアイゼンはそれほどでもなかったが)
そして間もなくヒンメルが天寿を全うする。
彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしな
かったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知
るためと魔法収集のために旅に出る。
それから更に20年後、フリーレンは老い先短いハイターを訪ねる。ハイターは
戦災孤児のフェルンを引き取って育てていた。ハイターはフェルンのことを弟
子にするようフリーレンに依頼するのだが・・・
これは人間を知るために、人間と交わり旅をする彼女と新たな仲間達の物語。
(評 価)
・第1-4話:フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
{netabare}・マッドハウスの本気度を感じさせる精力的な動き
・金曜ロードショーで2時間(4話分)を一挙放送
昔から第1話1時間拡大ってのはありましたが、「推しの子」の90分を凌
ぐ2時間拡大スペシャルで勝負にきました。しかもまだ他作品が出そろっ
ていない9月中にぶっ込んでくるなど、かなり精力的な動きが見られます。
・連続2クールまで明言
コロナ以降分割2クールの作品が格段に増えましたが、一気に連続2クー
ルで放送することも明言!
初回の作画もかなり力が入っていましたが、これを最後まで維持できる
力があるのか、視聴者としては嬉しい限りですが、逆にちょっと心配な
部分もあります。
とはいえ、賽は投げられました。後はマッドハウス頑張れと。
・OPに「YOASOBI」
OPは「勇者/YOASOBI」と、いやーこの辺も抜かりないですなw
・フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
正直本作は「面白可笑しくテンポよく」という作品ではないので、その辺
りどうなのかと心配でしたが、本当に原作のもつ「緩やかな空気」や「間」
といったものをしっかり意識して作っているなという、作品の理解度の高
さに驚きました。4話分の放送で(コミック1巻+2巻1話の)全8話分を完
全再現したんじゃないですかね。
それゆえに初見の方には「テンポが悪い」と映る方もおられそう。
でもそういう作品じゃないんだよなあ。
・何気ないセリフや会話が心に響く
勇者パーティーにいた頃のフリーレンは(どうせ彼女にとってはひととき
の出来事に過ぎないとして)他人には無関心でしたが、今振り返るとあの
時の何気ない言葉たちにいろいろな思いが込められていたことに気付かさ
れます。
{netabare}また2話の「ヒンメル像のために蒼月草を見つける」エピソードでは、
フリーレン「もう少し探したら切り上げるよ。」
フェルン「もう少しって何年ですか?」
という2人の時間に対する感覚の違いも巧み表現されるなど、こういう細か
いセリフ回しとかも実にいい。
(この花を見つけるエピソード自体も素晴らしい){/netabare}
そしてアイゼンとの会話
{netabare}「お前は人の時間を気にするような奴じゃなかった。」
という下りも、人と交わり他人を気遣うようになったフリーレンを上手く
表現しており、こういうところも巧みだなっと。{/netabare}
・戦闘シーンも丁度よかった
{netabare}異世界の魔法使いの話ながらも戦闘が話のメインじゃないんですよね。そう
いう意味でも3話の初めての魔族との戦闘シーンも派手過ぎず、地味過ぎず
作品の世界観にマッチした、程よいバランスで描かれていたと思います。
{netabare}(ここでもこの魔族が封印されていた間に80年が経過、その間にこの魔族の
強力な攻撃魔法を研究し、新たな防御魔法を開発(魔族の「たった80年か」
に対し、人間の営みを舐めるな!的な)人間と魔族の時間感覚の違いを上
手く表現している。){/netabare}{/netabare}
初回2時間スペシャルでしたがそれほど長さも感じさせず、それでいて原作の
もつ空気感も壊すことなく、上々の滑り出しだったと思います。作画もよかっ
たですし。懸案事項とすれば、
・上述の通り、連続2クールなので作画がこのレベルを維持できるのか。
(それに落とさず放送できるのか)
・(気が早いですが)原作未完なので、どうしてもラストが・・・
それに2クールなので、原作の大半を消費しそうで、2期があっても数年後に
になりそう。
という感じでしょうか。
まずは制作陣の素晴らしい仕事ぶりに拍手喝采というところですね。{/netabare}
・第5-8話:他の異世界モノと一線を画す練られた世界観 →アニメはアニメで面白い
{netabare}>フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
5話では逆に
「忠実さを意識しすぎて窮屈になっていないか?!」
という不安もあったのですが、以降はエンジンがかかってきて
「アニメとしての面白さがきちんと表現されている」
という印象ですね。
・会話劇がちゃんと面白い
「人間を知る」というのがフリーレンのテーマになっていて、そうなると
必然的に会話劇がキモとなるわけですが、
・原作のセリフの秀逸さを活かしつつ
・種﨑敦美さんの名演
・それを支える他のキャラとのキャッチボールの上手さ(共演者も◎)
・その他アニメ的な細やかな演出
等でちゃんとアニメとしての面白さが確立してるなと。
・他の異世界モノと一線を画す練られた世界観 →時間経過の描写が秀逸
8話がかなりよかったと思うのですが、
・フリーレン VS ドラート
「今の魔族はダメだね。実戦経験が少なすぎる」
・フリーレンの経験の豊富さは普通の作品でも思いつくところで
・上述のセリフも、普通なら「まだまだ青いな」位のセリフで済ませそう
なところですが、これまでの作品の流れからフリーレンというキャラが
しっかり確立してるから、いかにもフリーレンらしい言い回しがピタリ
とハマり
・同時にこのセリフが、魔族側にも大きな時間が流れ、しかも人間界と同
じような問題を抱えているという世界観を的確に表現してるという。
・リュグナー VS フェルン・シュタルク
・「我々魔族は永い寿命の中で一つの魔法の研究に捧げる」
普通の作品なら魔族は「生まれながらのチート」で済ますところを、魔
族側も日々研鑽してるという世界観を提示し
(その集大成ひとつがクヴァールの魔法「ゾルトラーク」だと)
・しかし3話で既にその「ゾルトラーク」は一般魔法レベルに陳腐化してお
り(人間は防御魔法を開発)、フリーレンはそれを対魔族用の「ゾルト
ラーク」に改良、今回は更に弟子のフェルンに伝授できるレベルにまで
解析が進んでいるという時間経過を表現。
その様をアニメならではの戦闘描写でしっかり面白く魅せるという。
このような感じで、魔族という種族も案外人間臭いんだなという独自の世界
観を提示しながら、フリーレンの長寿命を単なるヒンメルたちとの死別だけ
で終わらせるのはなく、魔族の未熟さや魔法の進化といった人間界・魔族界
それぞれの時間経過という作品全体できちんと昇華されている描写が秀逸。
そしてリュグナーは思い出す。
→ 歴史上もっとも魔族を葬り去った魔法使い――「葬送のフリーレン」
タイトルにはもうひとつの意味が込めらていたと!!
それをアニメとして最高の演出で印象付けるという・・・
製作陣の原作の理解度の高さおよびそれをアニメとしていかに面白く魅せるかと
いう次元までしっかり落とし込まれているなっと。
「鬼滅」や「呪術」に比べ「戦闘シーンは劣るのかな」という懸念はあったので
すが、同じ土俵では戦わず
「『葬送のフリーレン』という作品全体像の中でどう魅せていくか」
という姿勢は賞賛モノですね。
原作既読でも「アニメはアニメとして面白い」と感じられる仕事ぶりかなっと。
(追 記)
6話でのフェルンのセリフ
「ちっさ」
の反響がかなり大きいらしいですねwww
・シュタルクで検索すると「シュタルク ちっさ」が候補に挙がる
・育ての親ハイターの「巨●ン」説が浮上
・LINE公式スタンプが発売されるetc{/netabare}
・第9話:あの淡泊な原作での戦闘シーンが・・・アニメはこの水準でやってくれるのか!!
{netabare}>「鬼滅」や「呪術」に比べ「戦闘シーンは劣るのかな」という懸念はあったので
>すが、同じ土俵では戦わず
>「『葬送のフリーレン』という作品全体像の中でどう魅せていくか」
>という姿勢は賞賛モノですね。
前回こう書きましたが、すいません前言撤回します!!
・リュグナー VS フェルンの魔法戦闘
・リーニエ VS シュタルクの近接戦闘
これ、どっちも「鬼滅」や「呪術」に負けてないでしょ!!
正直原作の戦闘シーンは淡泊な感じなので(それをウリにしていない)あまり
期待していなかったのですが、これは度肝を抜かれました。
この制作陣有能すぎるwww
こんなに動くとか完全に想定外ですわ。
・師匠フリーレン →弟子フェルン
・師匠アイゼン →弟子シュタルク
回想シーンを挟み、その教えをよりどころに強大な魔族に立ち向かう弟子たち
の激アツ展開もいい。
それに構成も
・Aパートにフリ―レン VS 断頭台のアウラの前哨戦でウオーミングアップ
・Bパートで上述全開バトルをぶち込み、時間キッチリに両方とも決着とかw
「鬼滅」や「呪術」が無駄に戦闘シーンが冗長化してきて、食傷気味になって
きてるのをみると余計その辺が際立つというか・・・
最後の決めシーンも8話で魅せたフリーレンが月をバックに夜空に浮ぶ構図を
今度は弟子のフェルンで再現してみせるとか、ホントいい仕事してますわw
完全にこの制作陣の作画力を侮ってました。すいません__|\○_
このシーンだけでもアニメ化の意義が十分あったといえる神回だったかなと。{/netabare}
・第10-12話:ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華
{netabare}・断頭台のアウラ編
・魔族
・人間の言葉を操り人間を欺く
・魔族は組織を統率するために強さ(魔力量)にて格付けが決まる
→ 魔力の放出を制限するという概念が存在しない
・フリーレン
・(そこを逆手に取り)魔力の放出を制限して魔族を欺く
魔法使いにおいては、ある意味魔法を愚弄する卑怯な手段だが、フリーレン
は「一生を掛けて魔族を欺く」という覚悟を持って挑んでいる。
「力を隠してのビックリ展開」自体はバトルモノではあるある設定ですが、
それを細やかな設定や描写で、ひとつのドラマとしてストーリーに落とし込
んでいる創りは本当に見事。
・他のエルフ(クラフト)との出会い
・長寿命のエルフゆえに、自分の成してきた正義や偉業を知る者はどんどん
死んでいく。
・だからクラフトは女神を信仰して、死んだら女神に褒めてもらうのだと。
→ 女神を信仰しないフリーレンは、俺が代わり褒めてやる。
・回想でハイターにすでに褒められていたことに気付き、遠慮しておくよと。
→ いい友人をもったな
「長寿命のエルフゆえの寂しさ」というアイデアから
・「褒めてやる」という些細なエピソードを細やかに創作し
・最後はきちんを勇者パーティーに回帰させ、すでにそんな優しさを受け取っ
ていたことに改めて気づかされる。
これも「人を知る」という本作のテーマに沿って、きっちり創り込まれている
なっと。
・剣の里
・英雄譚では、ヒンメルがこの地で守られていた「勇者の剣」を見事に引き抜
き、それを振るい魔王を討伐したとなっているが
・実際はヒンメルは「勇者の剣」を引き抜くことが出来なかった。
それでもヒンメルは魔王を打ち倒し「真の勇者」となった。
(「真の勇者」が実は「勇者の剣」を引き抜けなかったでは恰好がつかない
から、そういう英雄譚になった模様w)
これも「勇者の剣」のネタを逆張り的に創った感がありますが、ここまでのヒ
ンメルの描写がしっかり出来ているから、
「あのヒンメルらしいエピソードだな」
って納得せられてしまうんですよ。物語の全体像がしっかり創り込まれている
から違和感なく、むしろヒンメルというキャラに積み重ねが生まれるという。
面白いアイデアや一見いいシーンだな思う作品はあるのですが
・アイデアを出したことに満足して、そこで終わってしまっている。
・全体像がしっかり練られてないから、いいシーンも「点」にしかならず、むし
ろ全体像との整合性から違和感すら覚えてしまう。
というケースが結構多いんですよね。その点本作は
・全体像をしっかり練り込んだ上で
・ひとつのアイデアをもう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華
というところがきちんとできているなっと。
私がレビューでよく使う言葉で
「きちんと汗をかいている」
というやつで、だからこそ(「暗殺教室」のレビューでも書きましたが)
>そこに私たちも心動かされ、
>「やっぱりプロのクリエイターは、私たち素人と違って凄い仕事をしてるんだなあ」
>という制作陣や作品に対するリスペクトが生まれるんだと思うのですよ。
本作もそれに準ずる作品かなと。
(逆にその辺をサボり、即効性のある「見映えだけ重視」のシーンに頼り「ドヤ、感動
的な作品やろ」みたいなのが鼻につく作品には、つい辛口なレビューを書いてしまう
んだよなw){/netabare}
・第13-14話:新キャラ・僧侶ザインも上手く大局に織り込んでいる
{netabare}「断頭台のアウラ編」以降地味な展開が続いていますが、あの戦闘シーン
はある意味「制作陣からの特別ボーナス」って感じで、「人間を知る」と
いうフリーレンの旅の目的からすると、本来の姿に戻ったって感じですね。
・13話からは新キャラ・僧侶ザインが登場。
「戦士ゴリラ」という冒険に出たまま音信不通となった親友を探すため、
(兄の親心もあり)暫し同行することになります。
「酒・たばこ・ギャンブル・女好き」のちょいワルおやじ系ですが
・フェルン、シュタルクがまだ「未成熟な子供」なところがあり(で、
フリーレンは人の心が分からないw)、その関係がギクシャクした
ところを「大人」としてサポート。
・「ハイターとも面識がある」
こういうフックを持たせることで、フリーレンの回想にスムーズに
繋げていく一端を担う。
という感じで、単に目新しさだけでなくしっかり大局に織り込まれて
いる点はさすがだなっと。
・14話も「鏡蓮華の花言葉 → 『久遠の愛』」というアイデアを
(アクセサリーの装飾モチーフにして)
・「フェルン×シュタルク」の誕生日プレゼントという単体のエピソー
ドだけで終わらせるのではなく
・「フリーレン×ヒンメル」の回想 → 指輪のプレゼント
それまでその指輪に執着がなかったフリーレンが、(アクシデントで)
扮失した指輪を必死に探すという「人間を知る」というテーマにまで
落とし込む。
1話の尺をフルに活用してしっかり創ってきてるなっと。
それがより際立つように演出なんかも工夫されていて、ちゃんと「アニ
メとして面白く魅せる」という仕事ぶりでしたし。
原作既読ながらもその時は見落していた事項を、改めてアニメで観て、こ
うやってレビューのために言語化してみると、結構新たな発見があるもの
だなあっとw{/netabare}
・第15-17話:後半「一級魔法使い試験編」に向けての前半の総仕上げ
{netabare}2クール目に入り、OPが変わったりといよいよ新章に突入かを思わせます
が、「一級魔法使い試験編」は来週からということで、今回は前半戦の総仕
上げ。
・シュタルク回
オルデン卿の戦死した長男の替え玉を引き受けることになったシュタルク。
・オルデン卿のシュタルクや彼を通しての長男への想い
・オルデン卿の次男に、優れた兄を持った自分を重ねるシュタルクの想い
そういったシュタルクを中心にした人物の掘り下げに加え、
・社交界でのシュタルク×フェルンの社交ダンスシーン
アニメ化の意義をしっかり見せつける華やかな作画・演出も良き(^^♪
・僧侶ザインとの別れ
元々親友「戦士ゴリラ」を探すために旅立ったザインですので、彼の消息
の手掛かりを掴んだ彼とはここでお別れです。
物語的にも「一級魔法使い試験編」までの繋ぎの短編が続く展開の中に、
新キャラとしてザインを登場させ、彼にしかできない役割を演じさせてい
たのは上手い構成だったと思います。
エピソード的にも
・親友が「戦士ゴリラ」を名乗り出した理由
どんな英雄も名前をいつか忘れられてしまう。
→ 忘れられないよう名前のインパクトは大事!
(ザインは「勇者あごひげ」と命名されたw)
それが頑固婆さんを介して、ひとつの物語として回収されるという・・・
・大人のザインらしい最後の仕事
フリーレンが苦手とするフェルンとシュタルクの喧嘩の仲裁。
→ そして名言
「もう付き合っちゃえよ!!」
へと続くというwww
・ヒンメル曰く「僕たちの記憶はフリーレンが未来につれていってくれる」
・長寿友達・フォル爺とのやりとりでの一節。
エルフの長寿命を出オチで終わらせずしっかり活かしてきますねー。
この辺も死んで名前しか残らない人間、
・ヒンメルのように(フルーレンが寂しがらないよう)銅像を残したり
・前述「名前のインパクト」勇者ゴリラのエピソード
と見事にリンクさせ、長寿フリーレンとの対比も綺麗に描写しているな
っと。
冒頭のヒンメルのセリフですが、勇者パーティーにいた頃のフリーレン
には、本当の意味は分からなかったのだろうなと。でも今だから理解で
きることがある。こういう魅せ方がホント上手いですね。
・最後にフェルンが病気になって、フリーレンが手を握るというひとつの
アイデアから
・実はそれはヒンメル譲りの行為。
→ 前述「僕たちの記憶はフリーレンが未来につれていってくれる」
がきちんと受け継がれていることを印象付け
・でもフェルンは「子供扱いしないで」と拒絶してしまう。
そしてシュタルクのフォロー。
→ 年頃の娘が若い男の前で子供扱いされるのが恥ずかしかったとい
う複雑な乙女心を描写し、「人間を知る」という本作のテーマに
深みを与えている。
ホントひとつをアイデアをしっかり膨らませているなっと。
来週からは「一級魔法使い試験編」が始まりますが、ここまでは(いい意味で
予想外だった)ド肝を抜く戦闘シーンを始め、味わい深い「人間を知る」ハー
トフルなエピソード等、原作のよさを再認識するともに
「アニメはアニメとしてちゃんと面白い」
と思える制作陣の仕事ぶりだったのかなっと。
後半戦も「アニメとして面白い作品」に仕上げにしてもらえればと思います。{/netabare}
・第18-22話:長期連載を明確に意識した流れなのかな
{netabare}「一級魔法使い試験編」の一次試験を描いていました。
一部では
・「フリーレン」には「バトル展開」は似合わない
という意見もあるようですが、まあこれだけ原作に人気がでてくるとねえ。
長期連載を意識すると、いろいろな可能性を模索していく必要があるわけで
・今後も使える新キャラを育てていきたい
・魔法使いを魅力的にみせるには?
→ 魔法使い同士のバトル展開
という流れは、ベタながらも一番堅実で王道な展開なのかなっと。
例えば「暗殺教室」のように「中学卒業までの1年間」という明確な終わり
が定められていれば、そこから逆算してタイムスケジュールに落とし込み
つつ「一つの色に染め上げていく」というのは可能でしょうが、結局原作
者も(ラストのイメージは決まっているかのもしれないが)、そこに至る
までの道は「編集者と手探り」という感じで進めていってる状態だと思う
ので、どうしても「玉虫色」的になっていくのは避けられないでしょうね。
それで作品が迷走しだしたら大問題ですが、個人的には
・新キャラも魅力的に描かれていた
・バトル展開の中にも原作者のこだわりが垣間見れ、世界観は担保されて
いた
ということで、よかったのではないかと。
ただ原作だとバトルシーンが多くなると、漫画に迫力が足りてないのでど
うしてもトーンダウンしたように感じてしまう部分はあるんですよね。
しかしアニメでは
・原作者の意図は理解しつつ
・バトルシーンはきちんと「アニメとしての面白さ」を追求している
と感じるので、原作越えの面白さがあるのかなっと。
またアニメ化されたことにより、原作を読んだときには気付かなかった新
たな発見もあり、原作のよさを再認識したところもありますし。
ここまでは「アニメ化して大成功」といっていいのでは、と思います。{/netabare}
・第23-26話:原作者の魔法に関する世界観が完璧に確立していることかよく分かる
{netabare}「一級魔法使い試験編」の二次試験終了いうことで。
二次試験も
・「コピーレン」をはじめとする複製体とのバトルがあちこちで勃発
→ 各キャラを魅力的に描写(幾分冗長感はあったが)
・バトル作画ももう何の魔法を使っているのか分からんぐらいに超特盛w
って感じですが、私が一番印象に残ったのが
「ユーベルの『だいたい何でも切る魔法』→『レイルザイデン』」
これを「裁縫」に見立てて解説するシーンですね。
「分かってることならほぼ言語化できる」
私の「理解度の尺度」のひとつなんですが、例えば小学生に勉強を教える
とかなら、分かりやすい例え話等でしっかり言語化して説明できるじゃな
いですか。
そういう感覚で、本作では「魔法はイメージ」というセリフがよく出てき
ますが、それはどういうことなのか
「原作者の中では魔法に関する世界観が完璧に確立している」
というのがよく分かるシーンだったなっと。
このシーン自体は小さなものかもしれませんが、こういうしっかりしたべ
ースに裏打ちされた描写の積み重ねが、大きな差となって本作独自の世界
観を創っているのだと思うと、やっぱりプロのクリエイターさんは凄い仕
事をしているのだとリスペクトしかないですね。
アニメではこの辺りも上手く魅せていたと思いますし。
そりゃ面白いはずですわ。
あとアニメのユーベルさんは、何故か異常にエ●チに見えてしまうんだよなw
・たれ目具合や口元などの表情
・セリフ回しやネットリした(?)しゃべり方
・垣間見えるぶっ飛んだサイコ感(倫理観がとこか壊れているというか)
(あと謎の脇チラw)
等なんかアンニュイさがあるというか、妙に色っぽさがあるというか隠し
きれないエ●チさを感じるんですよね。
・胸を盛るとか露出の高さ
・喘ぎ声っぽいセリフ
など、エ●チな作品を創る制作陣はこういう分かりやすいエロさより、ユ
ーベルさんをしっかり研究するべきだと思いますねw{/netabare}
・第27-28話:最後まで味のある会話劇
{netabare}・三次試験 →ゼーリエとの面接
・試験終了 →別れ、旅立ち
ということで、会話劇メインでしたが
・「フリーレン×ゼーリエ」
→ 2人を介しての「フランメ」という人物像や2人の思想の違いの描写
・「フリーレン×ヴィアベル」
→ 試験では絡むことのなかった2人だが、最後に邂逅
など各キャラを魅力的に描いていてよかったかなっと。
今後の再登場も楽しみですし。
ラストも仰々しく飾り立てする感じではなく、この作品らしい終わり方だ
ったと思いますし。
(2期を意識しているというのもありそうですが){/netabare}
(最 終)
原作は結構漫然と読んでたのかな(笑)
アニメ化されたことで原作のよさ
・「人間を知る」というテーマの深さ
・エルフの長寿命を活かした時間経過の描写の妙
・魔法や魔族等に対する独自に確立した概念
などを再発見するところが多かったですね。いやー細部までホントしっかり
考えられているなっと。
そして制作陣の原作の理解度の高さに加え、アニメだからこその表現
・原作では弱かったバトルシーンの特盛
・味のある会話劇
・その他アニメ独自の細やかな描写
など「アニメはアニメとして面白い」をしっかり追求してくれていた仕事ぶ
りだったと思います。
劇中音楽などもよかったと思いますし。
個人的には原作越えでアニメ化大成功という評価ですかね。
いろいろと大変なご時世ですが、いい作品を連続2クールでしっかりみせて
くれるのは本当にありがたいですね。
全体的には
「ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華」
というのがしっかりできている、「きちんと汗をかいている」作品だったか
なっと。