江戸アニメ映画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の江戸成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月02日の時点で一番の江戸アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

62.3 1 江戸アニメランキング1位
伏 鉄砲娘の捕物帳(アニメ映画)

2012年10月1日
★★★★☆ 3.6 (203)
1081人が棚に入れました
時は江戸時代。伏と呼ばれる若者による凶悪事件が頻発し、その首に幕府は懸賞金をかけた。伏とは──人にして犬、体も心も獣のよう。ひどく残酷な面があり人々から恐れられる一方で、犬の血なのか驚くほど人懐っこいところもあるという。ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師、浜路は浪人の兄に誘われ、伏を狩りに山から江戸へやってきた。獣の臭いに敏感な浜路はすぐさま伏に気づき追いつめる。そんな浜路のまわりをうろつく瓦版の読売、冥土から、浜路は伏にまつわる世にも不思議な物語を聞く。そして冥土に誘われた場所で、一匹の伏をみつけた浜路。追いかけるうちに、伏とともに江戸の秘密の地下道へと落っこちる。真っ暗闇の中で、狩るものと狩られるものによる特別なひとときがおとずれた――。

声優・キャラクター
寿美菜子、宮野真守、宮本佳那子、小西克幸、坂本真綾、野島裕史、神谷浩史、水樹奈々、藤原啓治、阿部敦、浜田賢二、梅津秀行、納谷六朗
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

つながっ・・・

原作知らず。dアニメでたまたま見つけたので観てみた。
劇場公開作品らしい。


山から下り、江戸に出てきた鉄砲打ち・猟師の少女・浜地。
人と犬の血をひき人の魂を喰らって生きる伏[ふせ]と呼ばれる存在、そのひとり信乃。
浜地と信乃を中心に回るファンタジー江戸活劇、といったところ。

鉄砲を撃つとき、猟師と獲物は鉄砲を介して「繋がる」のだという。
作中、キーワードとして「繋がった」「繋がる」のセリフがたびたび聴かれます。震災直後の制作ということも影響しているのかもしれませんね。

物語:つながっ・・・
{netabare}・・・てない。何一つ繋がってないんですよ。最初から最後まで。何から何までぶっつぶつに切れています。

事態の進展も、真なる敵が真なる敵たる理由も、伏と馬琴の関わりも、将軍家と里見家の関わりも、凍鶴・信兵衛の手紙の意味も、なにより、物語のメインとなるであろう浜地と信乃の心情の変化も、、、積み重ねなく、ポッとセリフだけで済ます。しかもかなり速い。理解も共感もしづらかったです。

結局は馬琴がこの世界の根底にまで関わるキーマンなのだが、その描写・説明がうまくいっているとは言いがたい。

どうしてこのような脚本になったのか、不思議でなりません。格好いいシーン、カッコイイセリフだけを切ってつないだ感じです。原作があるらしいので、物語を欲する方はこのアニメ映画でなく原作をお読みになった方が良いと思われます。

雰囲気を重視される方ならば、それなりに楽しめると思います。{/netabare}

作画:
{netabare}静止画として上、特に、背景画は美麗とも、不思議ともいえるような、独特の雰囲気があります。
動画として上から・・・微妙。動画として質が低いとはいいづらい。でも、微妙。なんか今ひとつでした。たとえば、町中を歩くシーンでは、キャラの動きはそれなりにリッチに描かれているし、背景は上述の通り秀逸なのですが、動きが合っていません。キャラの歩行速度、歩幅と背景の移動量の間にずれがあったり、歩幅と体全体の移動量がずれてみえたり。結構目立ってしまっていたように思います。

キャラデザは、かなり独特、ユニーク。でも、統一感はあって良かったと思います。{/netabare}

声優:
{netabare}アニメ映画の演技として微妙です。

メインを張るキャスト陣は、だいたい良かったと思いますが、冥土の演技は今ひとつ嵌まってなかったと思います。声も聞き取りづらかった。

ほぼ開幕と同時に竹中直人さん登場でものすごく期待感を感じたのですが、竹中さんは冒頭で出番終了でした。劇団ひとりさんは、さすがの芸達者なのでしょう。違和感を感じることはありませんでした。

在りし日の歌丸師匠、納屋六郎さん、藤原啓治さんの声が聞けたのはうれしかった。ですが、納屋さん、藤原さん共に二言三言といったところ。師匠は演技として正直しんどいです。子供役の声も浮いてました。輪をかけて厳しかったのがCharaさん。映画の主題歌がCharaさんだからって、無理矢理キャスティングする必要はなかったとおもいます。本当に、ひどかった。{/netabare}

音楽:
{netabare}物語がぶっつぶつに裁断された状態では、劇伴など気にしていられません。評価不可能です。邪魔になることはなかったと思います。

クライマックスの戦闘、一部でBGMをなくし、エコー処理をかけた音声だけで構成するシーンがあるのですが、正直ここも浮いてるように感じました。すぐ後にBGM復活。。。何がしたかったのか。{/netabare}

キャラ:
{netabare}結局のところ、物語を伝えることに失敗しているので、キャラクターも伝わってきませんでした。{/netabare}

[2021/01/19 v1]

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

パンクな江戸末期と逞しい女達の生き様を詰め込みまくった奇妙なロマンス

原作は『GOSICK』の桜庭一樹
監督は『忘年のザムド』の宮地昌幸
音楽は同じく『ザムド』で(本人曰くの)異化効果を演出するBGM、というものの制作に挑戦したという大島ミチル
脚本に『プラネテス』の大河内一楼


原作は「南総里見八犬伝」を新解釈し、伝承は史実にあったものだ、として扱っているのが特徴
江戸末期を舞台にした里見八犬伝の後日譚とも言うべき内容です
そして滝沢馬琴(里見八犬伝の著者、江戸末期に実在)自身とその娘が「里見八犬伝という物語そのもの」や「今作の一連の物語」は自分達が読み物としてまとめあげた“贋作”である
という〆の作品でもあります


映画で描かれるポイントはかなり的を絞っています
人と犬の混血であり、人を喰らう【伏】と呼ばれる男、信乃
田舎から江戸にやってきて偶然に信乃と出会った猟銃使いの少女、浜路
この二人の足跡を追う物語となっています


人と犬
狩る者と狩られる者
男と女
いつかは相対しなければならない二人の、ちょっと切ないラブロマンスがメイン










と、まあその辺りはかなり好印象ではあったのですが・・・
実際は少しサブキャラクター達のエピソードが詰め込みまくられてて路線がややブレ気味っす
伏である身を隠して吉原の遊郭で太夫にまで上り詰めた女、文芸家を目指してかわら版の執筆に打ち込む読売の少女、働き盛りに子供を授かったことで戸惑う若女将、、、
浜路の人生の道標となっていく、多くのサブキャラクター達ですが、江戸末期という女性の社会進出がままならなかった時代を生き抜く女達の姿が、あからさまな女性応援歌っぽく描かれていて、本来のラブロマンス的な方向性から風呂敷を広げ過ぎじゃないかと思います;


また、かのokamaさんも関わっているキャラクターの造形やファッションや江戸の町並み等など・・・
全体的にお洒落でパンキッシュな世界観が目を引きますが、これが絶対に逆効果;(銀魂をイメージしていただけると解り易い?)
クロックパンク、エレクトリックパンク風に史実よりもやや先進的に描かれた今作の江戸時代で、滝沢馬琴や終盤のカギを握る徳川家定といった実在人物の登場は説得力が薄い;
実在人物を扱うのであれば世界観そのものの改変という部分はもっと注意を払ってほしかったと思います;


そしてイチバンの痛手は実は声優さん;


寿美菜子、宮野守をはじめとし豪華声優陣による素晴らしい名演技
またゲスト出演したとしてお茶の間のニュースでも話題になった竹中直人、劇団ひとり、桂歌丸師匠は思いのほか良い仕事をしてくれて文句の付けようが無かったのです


問題なのは宮本佳那子さん、charaさん、その他子役といった“ド素人勢”
恐らくは主役級の配役にも本職声優を扱わないジブリなどでは気にならないポイントのはずが、今作では本職声優に混ざってアテレコしたため実力差が歴然としてしまった感があります;
実際に寿、師匠、宮元、charaの4人で会話する場面があるのですが、寿と師匠だけが上手すぎてほとんど別次元の人間にwww


charaさんは今作とマッチした素晴らしい主題歌を提供してくれているだけあって、逆にガッカリ感がハンパ無いwww









散々に言いたい事言ってみましたが;
原作と違って浜路という女の子が【ちゃんと可愛く描かれている】のが大切な評価ポイント
観終わったときに「浜路可愛いよ浜路」
そう思えていればいいのではないでしょうか?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23

jujube さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

説明不足が散見。

原作読んでないけど、考察するのが面倒になるくらい説明不足感がありすぎた。

伏という化け犬一族の最期の生き残り男と、それを仕留める側の人間でガキの女のラブストーリー…みたいなもの。。。

大筋は分からなくはないけれど、特にサブキャラ達の行動原理が謎過ぎて、一切どの登場人物にも共感できず世界観に入り込めない作品。
もしかして、どっかの映画賞に出品しちゃってる⁈
キャー恥ずかしい‼︎ってなるレベルでした。

キャラデザが酷いのか、作画崩れが度々。
市井の人々が往年の日曜劇場っぽいけど、笑いも微笑ましさもなくて、あーこういう演出ワンパターンであるあるだよね、てところ。
なのに、大江戸異世界ファンタジーの美術設計とか変にギラギラで下品さが滲み出てるというか。脚本的に下品ていうか、PG12レートは課さないとあかんやつ。エログロですな。全編に陰鬱さが漂う。
パプリカてアニメ映画が昔あったけど、ああいう色遣いながら、スタイリッシュさが本作には全く無い。
比較対象として分かりやすく千と千尋でも良いけど(ハードルが上がっちゃう!)、
ああいう異世界ファンタジーの魅力は全く無いねえ。

[各種説明不足の一部]
・冒頭、主役ヒロインが都で見た伏一族の打ち首見せしめにびびってるのが謎。アバンで似たような涙を流す犬を鍋にして食ってたし、あれが人間ぽくて第一の伏かと思ったけど。
さらに兄貴に言われたことを鵜呑みにして、いきなり見た目人間の伏せの女を半殺しにできるメンタリティー…
・伏とは里見八犬伝的な作中の物語で語られるけど、どこまで事実関係が真実なのか分からない。
・ヒロインが初めて仕留めた伏の女が、幼くして離れて暮らす息子の想い出を語るけど、過去回想の無さ、他の仲間との掘り下げの無さのために絶望感薄いーていうか、それゆえ大一番のラストも淡々と見るしかできない。(息子はあれだって分かるけど)生き様が見えないんだよねぇ。
・え?なんでいきなり兄貴と行商女のラブロマンス始まってんの?そこはしれっとラストにできちゃった婚レベルでカットすべきでしょ。いきなりのメロドラマぶっこみに困惑。
・ラストのバトル、あーテンプレ少年漫画か?
なんで長屋のご近所さんまでバトルってんですかねぇ。別にヒロインに何の説明もされてないのに加勢して。あれはねーちゃんの獲物だから邪魔しないでねって、彼らに役人に刃向かうだけの動機付けが無いよね。中高生の万引レベルの厳重注意で済ませられるとでも思ってんのかな?一番分かんないのが、伏に人質にされた因縁チンピラ男の一瞬の掌返しだけど、いきなり話しの分かる善人になって簡単に役人に殺されててポカーン。
・ラスボス将軍の何かに憑かれた感。ここが一番の脚本の大穴!伏とどういう関係か全く分からな過ぎてマッハで置いてけぼりくらったわ。

音楽は良いね、CHARA好きだし。
大小の穴ぼこだらけながら、盛り上がりのところまでは一応段階を踏んでいく最低限の脚本レベルで星1.5。(最近それすらできないのが多すぎる。)まー作画とか音楽のおかげで若干上ブレしてしまったけど、こんな評価かな。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

62.8 2 江戸アニメランキング2位
SHORT PEACE(アニメ映画)

2013年7月20日
★★★★☆ 3.7 (90)
467人が棚に入れました
【火要鎮】18世紀、江戸の町。商家の娘お若と幼馴染の松吉。惹かれあう二人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんな最中、お若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火の中で再びめぐり合う二人。巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル。【九十九】18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。【GAMBO】16世紀末。戦国時代末期。東北地方(最上領)の山中に天空より何かが落下した。直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして寒村に暮らす少女カオは白い熊と出会う。人の言葉を理解するその神秘的な熊にカオは救いを求めた。かくして鬼と白熊との激闘がはじまる。新機軸のバイオレンス作品たるべく、荒く力強い画面を3DCGの技術を活用し描き出す。【武器よさらば】近未来。東京。砂漠の中の廃墟と化した都市を訪れたパワードスーツで武装した5人からなる小隊は一台の戦車型無人兵器と遭遇戦となる。しかし、次第に歯車が狂い始め小隊は窮地に陥っていく。大友克洋の原作による伝説的な戦闘アクション漫画を、再構築し、リアリティと革新性のある描写をめざした。エキサイティングなアクション作品でありながらも、無常観の漂うテイストに仕上げた作品。

声優・キャラクター
春名風花、早見沙織、森田成一、山寺宏一、悠木碧、草尾毅、田村睦心、浪川大輔、二又一成、壇臣幸、牛山茂、大塚明夫、置鮎龍太郎

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

お兄ちゃんコレいっぺん大声で言ってみたかったのでこの際言わせてちょ!「世界よ!!これが日本のアニメーションだーーー!!!」

まずオイラは「ミヤザキハヤオ」「オシイマモル」「シンカイマコト」「ホソダマモル」が通じても「オオトモカツヒロ」が通じないっていう職場の後輩のその偏ったヲタク脳を叩き直してやりたい^^b










大友克洋監督以下、日本が誇るトップクリエイターが一同に集結した短編4本で構成される劇場作品
かつての『MEMORIES』を髣髴とさせるオムニバス形式ではありますが、主にCGと手描きアニメーションの融合を図った先端技術の映像もまた魅力の一つです
ってかもうほとんど作画とCGの境目はワカラン
間違いなくその分野では最先端


ちなみに今作のテーマは4本それぞれがなんらかのカタチで『日本の姿』を描いていること
つってもそれは最初の2本を作った後で決めた完璧なこじつけ(笑)
4本とも“特に深みのある作品ではない”ことを先に謝っておきましょうw
心温まるラストが印象的な【九十九】はともかくとして、他三本は「まあ見事に話の中身の無い作品が揃ったもの」で逆に大したもんですw
なんも考えず、“娯楽作品”としてご堪能頂くのがいいかと思います
アクション、ロマンス、スペクタクル、バイオレンス、SFメカ、女の子、そして笑いも・・・?w
そんなんで面白いかの?
オイラは暫し考えるのヤメたくなりました、モチロン良い意味で、こんなのを「衝撃的な作品」と呼ぶのでしょう


【オープニング】
森本晃司
Minilogue
春名風花


【九十九】
舞台は江戸時代ごろ
強面で大柄な男が一人、雨の降りしきる山中で道に迷ってしまう
男は見つけた小さな祠で雨宿りをすることにするが、祠の中には人々によってポイと捨てられた傘や流行から外れた絹織物に魂が宿りモノノケとなっていた
男を祟るかのように迫ってきたモノノケ達にしかし男は全く動じず、壊れた傘を修理してやったり、廃れた生地を仕立て直してやったり、『モノ達』の供養を淡々してやるのだが・・・

江戸時代の日本という視点と『付喪神』という日本人独自の感性から、エコが叫ばれる現代にも通ずる“リサイクル”というテーマを描く作品
説教臭い内容ではなく、むしろ主役の男の勢いの良さ、そして清々しいまでの潔さが軽快なテンポ感を生んでいます

森田修平
岸啓介
堀内博之
山寺宏一
悠木碧
草尾毅


【火要鎮】
「火事と喧嘩は江戸の花」と謳われた通り、江戸という町において最大のスペクタルといえば火災
商家に生まれながらも火事場に心奪われて親に勘当され、火消しとなった男、松吉
松吉と結ばれぬ恋に堕ちた幼馴染のお嬢様、若菜(お若)
お若の気持ちを無視した縁談の話が持ち上がる最中、悲しみの果てに狂気に駆られたお若はふとしたことで起きたボヤを見つめてある決意をする
やがてボヤの炎は大きくなっていき、二人の家と江戸の町を焼き尽くしていく
そして大火の中で再び運命の二人をめぐり合わせることになる・・・

大友克洋監督の最新作
『スチームボーイ』では“蒸気”を描いた監督でしたが、今作では迫り来る“業火”を描いております
4本の中で唯一ラブロマンスを扱った作品ではありますが、最も中途半端なストーリーテリングがなされている“最高に雑な話”でもありますw
今作のみシネスコサイズの作品なのですが上下の枠は黒帯ではなく、絵巻物をイメージした和柄の装丁になっているのが特徴
ラストシーンではこの装丁にもちょっとだけ目を向けていただきたいところ

大友克洋
小原秀一
久保田麻琴
橋本敬史
早見沙織
森田成一


【GAMBO】
戦国時代の出羽国(現在の山形、秋田に相当)
突如天から降ってきた“何か”から現れた鬼のような姿の怪物が山里の寒村で暴れだし、村の娘達をさらっていく
寒村で最後の娘となった少女、カオは人の言葉を理解する神秘的な白熊、「ガンボ」に鬼を退治してもらうよう祈る
少女の切なる願いを聞き取ったガンボは自ら鬼退治に向かい、鬼との死闘を繰り広げることに
目前に広がる圧倒的な暴力に恐れ慄くカオだったが、一部始終を見届けていた野武士の青年にガンボを差し向けた責任の重さを背負うよう「祈り続けろ」と諭される
そして二匹の戦いの行く末は・・・

この作品はもう単純明快、実に痛快、ようはプロレスがやりたかったらしいですw
極々ありがちな“昔話”のような舞台とあらすじ、しかし画面上に繰り広げられるのは圧倒的な暴力!血しぶき!肉が裂け、骨が砕ける轟音!
それ以外のナニモノでもありませんw
そう、今作のキャッチコピーは“ホントは怖い日本昔話”
コレに尽きるのではないかと?

安藤裕章
石井克人
貞本義行
七瀬光
田村睦心
浪川大輔


【武器よさらば】
富士山噴火と最終戦争で砂漠と化した東京を舞台に、大戦で失われた兵器たちを回収する任務に就く一個小隊
いつも通りに仕事をこなす彼等の前に、自律型歩行戦車「ゴンク」が立ちはだかる・・・

大友克洋の同名漫画に惚れ込んでいたカトキハジメが予ねてから映像化を懇願していたところ「カトキさんがやれば?」と大友から言われたのが出発点だとか
プロテクションスーツに身を包み、ビームライフルに電磁グレネード、UAVで武装した未来の兵士達の姿
数々のSF作品、戦争映画を踏襲した迫力の市街地戦
まさにオトコノコにとっては興奮と圧巻の連続
コレだけのために観に行っても良いのでは?そう感じすらさせてくれるラスト4本目、そしてこのプロジェクトの集大成と呼ぶに相応しいSFミリタリーアクションです!

カトキハジメ
田中達之
山根公利
堀内博之
小倉宏昌
森田修平
片山一良
佐藤順一
二又一成
檀臣幸
牛山茂
大塚明夫
置鮎龍太郎

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

時間有る人にオススメ!映画館でヴァッチグーな作品二回目

ブレイブストーリー、クレシン大人帝国、虹色ほたる、秒速(ry これらから学んだ事があった。DVDではなくスクリーンで観るべきアニメ映画が実在するという事だ。今回の行脚はまさに反省ノートのなせる有意義な実例として今後の人生の糧となる事だと思う。今後はDVDを観る度に、あっ・・・(察し なんてことを考えて人生を損してしまったなんて悔しくて興奮して眠れないなんて考えは生じないと思う。
百分足らずのこのオムニバス形式のショートフィルムはマスベネタを探すpixiv漁りの百分よりニコニコでゆっくり怖い話を聞く百分よりレッチリマイベストメドレーを流すよりも価値の有る時間だった。
賛否両論あるかもしれないけど、こういうオムニバス形式の並びは悪くないと思う。レイトショーで千円だったけど、コレ千円で観ちゃって良かったんスか?レベル。大友のは自分がやりたい事をただやっちゃってるみたいだったけど、他の三作品(+1作品)はエンターテイメントやってんだぜ?凄くね?みたいなノリが感じられてスッゴイこっちが嬉しくなってきてしまうレベル。昼飯ランチに千円使っちゃう人はちょっと節約して行って見よう。損なんてせずに、きっと嬉しくなっちゃうはずだ。っつーかボーナス出てんだからアニメファンはアニメ産業に貢献すべきですよね。(ノーボナサビ残な方こそ千円レイトやで!)
正直言って一回の視聴だけじゃ目まぐるしく変る展開を追うだけでいっぱいいっぱいになっちゃったからもう一回行こうと思う。ラストの大友作品のおかげで(せいで)視聴後は割りと軽い感じで映画館を後にできました。きっと多くの人もこんな印象を持つと思うので、誰にでも、時間の有る人にはオススメできます。

二回目

面白かった。三作目ガンボはまさに日本昔話みたいなノリで始まった瞬間に「本編ktkl」なんて考えました。乗り物に乗ってやってきた鬼のキャラクターデザインを改めてみてみると、手と足に鎖みたいなものがあります。これは宇宙船で輸送される極悪囚人の宇宙人みたいな感じなのかなぁなんて空想してしまいます。単純に宇宙船のパイロットだとは考えられない程、鬼の身体は醜く、描写に知性が感じられないのも根拠の一つです。まぁこれは空想なんだけどね。アクションも良いし、戦闘シーンでは、「頑張れガンボォォオ!」みたいなノリで応援しているのは観客もです。
一作目の九十九、これは映像美という意味で惹かれる作品でもありました。森の描写なんかみてると、ピクシブでトップ絵描きみたいなノリのすっごい良い感じの背景でした。エンドクレジットに個人っぽい人が会社に紛れて映し出されてたけど、個人でやったんでしょうか。良いですね、ラストカットはパソコンの壁紙にしたいレベルでした。
二作目の火要鐘(ひのようじんと呼ばせるらしい)最初のカットシーンで見事に酔いました。覚悟してても酔いました。アイディアは凄いと思うし、実際凄すぎて酔いまくったのだから、インパクト有で、座席シートをいつもより下げての推奨映画に当たります。にしても、江戸時代の、まさにまんま、そのまんまの生活風景やら情景を映して、「嗚呼、なるほどね。良いね」みたいなノリに誰もがなれるはずです。
四作目。これだけは二回目だとヤバカッタ。
一回目観に行った時は前の三作品が凄すぎて息切れ間近、MP0の状態だったので、楽しめなかったとのだと解りました。
ナニコレ、戦闘シーンの熱さがヤバイです。MMOやFPSの対戦シーン、大型ボスモンスター討伐のシーンをまるごとまんま、そのまんま動画にしてあります。しかも大友描写で。こういう熱いガチバトルシーンは洋画でしか観た経験が(スクリーンでは)無かったので、凄まじく新鮮味がありました。エヴァとかではなく、人間のガチ戦闘という意味です。パワードスーツ着てたけど。一回目観た時は「なんでこんな微妙なの大友がわざわざ作ったんだろう。技術と金と才能の無駄なんじゃないか」なんて思ってたけど、このパワードスーツを着けた人間のガチバトルシーンこそが、大友のやりたい事だったのだと感じて納得。さーせんした。やるじゃん、大友。
この映画、二回目でお腹いっぱいになりました。
最後に、オープニングムービーの女の子がコスチュームが変るシーンは何故かしら性欲が沸いてきました。ここまでの情念を呼び起こすとは、やりまする。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

日本を代表する監督4人による、"日本"をテーマとしたクオリティの高い大人向け劇場作品。

2013年劇場公開。短編4話構成。全68分。
日本"を共通テーマに、日本を代表する4人のクリエイターたちがそれぞれのセンスと技術を駆使し、時代は過去から未来まで、ジャンルも時代劇やアクション、SFと、多様な作品を制作している。

オープニングから不思議な空気感漂う作品。目を開けると別世界。未来的だけど原始的不思議な音楽と共に幕を開けます。

森田修平監督作品『九十九』
~あらすじ~
大雨の日に森で迷った旅人は、古びた祠で雨宿りをすることとなった。その祠は使われなくなった"物達"のモノノ怪の祠だった。

起承転結がハッキリしていて、短い中でも伝えたいテーマが分かりやすいし、和傘や着物、寄木細工、丁寧な手仕事、日本語遊び、そしてラストは富士山でしめる映像も"The日本"が詰め込まれていてとても魅力的。
山寺さんの渋い演技も良かったし、「流行り廃りもタンスの肥やし」というセリフも言葉遊びとエッジが効いててとても気に入りました。伝統的な日本を短編で知るならこの作品!って思うくらいに日本の心が詰まっていたと思います。良作でした。

大友克洋監督作品『火要鎮』
~あらすじ~
江戸を舞台とし、一人の女性の悲恋と江戸の町を覆い尽くそうとする大火事を描く。

物語の前半と後半とで雰囲気が変わる、短編の中に静と動がはっきりとある作品でした。1人の女性の内に秘める恋心、そして燃え上がり全てを覆い尽くす大火。
物語を盛り上げていく、迫力のある映像と音楽。切迫する気持ちが伝わってくる演出とセリフの間。短編ながらクオリティの高い作品でした。
江戸の伝統的な火消し文化についても知れるし、巻物のように始まる物語もお洒落で、こちらも伝統的な日本を知るのにぴったりなハイクオリティ作品。良作。

安藤裕章監督作品『GAMBO』
~あらすじ~
戦国時代、ある村に鬼が現れ略奪を繰り返していた。その村に住む少女は森の中で白い熊と出会う。

血みどろの取っ組み合いの戦いが描かれていて、ちょっと痛くて見るの辛かった。鬼のビジュアルも気持ち悪く怖いし、救いがないので苦しい。前半はカットが多くサクサク進み、後半の鬼と熊との戦いに重きを置いているようでした。死闘は迫力があったけど、痛い描写と生理的に受け付けない鬼のビジュアルだったので、もう見たくないです。

カトキハジメ監督作品『武器よさらば』
~あらすじ~
舞台は近未来の東京。武装した5人組の小隊は、ミサイル兵器回収のため、廃墟と化した都市へと潜入する。

他の3作とはガラリと雰囲気が変わり、オープニングから砂漠、そして近未来的な車と装備。登場人物の名前もお酒からとっているようだし、見た目も外国人的。
激しい戦闘を描いていますが、キャラの動きに応じたとても生々しいカメラワークで、揺れるし急に寄るしで、手に汗握る緊迫感がありました。和やかな感じで始まり、緊張感があり、一旦の平穏を用いてからのまたの緊張と、目を離せない構成なのも素晴らしかった。裸一貫で突っ込んでいくラストは、歴史が物語る日本人の戦い方を彷彿とさせられました。その様子からの富士山カットで終幕というのは、どこか哀愁があってある意味日本ぽかった。
他の作品と比べると日本らしさは少なめだったけど、映像にかなりリアルさがありました。しかしリアルな戦闘ものは苦手なので見るの辛かったです。

4作品見て、それぞれ全てクオリティ高く短編でもかなり楽しめました。アニメというよりは、映像芸術作品とでもいうような、リアリティあるレベルの高い作品が味わえます。大人向けなアニメーションが見たい方にはとってもオススメです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

71.2 3 江戸アニメランキング3位
銀魂 THE FINAL(アニメ映画)

2021年1月8日
★★★★☆ 3.8 (51)
342人が棚に入れました
俺の護りたかったもんは魂<ここ>にある――。地球滅亡のカウントダウンが迫る中、かつての盟友である銀時、高杉、桂はそれぞれの想いを胸にひた走る。だが彼らの前に立ちはだかったのは、あまりにも哀しい絆を持つ人物……銀時たちを教え導いた師匠・吉田松陽とは別の人格、虚(うつろ)だった――。銀時たちを援護するため、新八、神楽、真選組、かぶき町の面々、かつてのライバルたちまでもが参戦する! 巨大化してゆく虚の力。己の命をかけて対峙する高杉。ぼろぼろになった銀時が最後に見たものとは…! 銀時は果たして、すべてを取り戻すことができるのか…!


声優・キャラクター
杉田智和、阪口大助、釘宮理恵、石田彰、子安武人、千葉進歩、中井和哉、鈴村健一、山寺宏一

老倉育 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ほんとにほんとにラスト!

長年続いた銀魂の完結編

物語:最初から最後まで銀魂らしく、笑いあり、涙ありで熱く、ラストにふさわしかった。
作画:今までの銀魂で一番綺麗だったと思う(今までも綺麗だったけど)
声優:もう安定で安心。
音楽:銀魂の主題歌を多く務めてきたSPYAIRさんとDOESさんが今回も主題歌。歌詞が泣けます。とにかく泣けます。
「僕らの轍はひとつになって 道草の日々が果てない地図へ 涙していたって苦しくたって 離れていたって忘れないで いつになったってどこにいたって 独りきりじゃない」
「最後の最後のバカ騒ぎ」
この溢れ出るラスト感、、、。終わる終わる詐欺ではなくガチっぽいぞ、、、
他にも歌詞の部分にいろんな言葉が隠れているそうです。(銀、魂とか)
キャラ:やはりメインの万事屋組(銀時、新八、神楽)と松下村塾組(銀時、高杉、桂)が沢山出ているけど、今までのキャラクターほぼ全員出てくるのであなたの推しも出てくるでしょう。

推しの桂さんがとても沢山出ていて満足でした!!かっこよかったし、舞台挨拶で石田さんがおっしゃっていた「しつこさ」がたまらなかったですねぇ

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルなし

シンプルに破天荒だった銀魂が好きだった。小ネタでごちゃごちゃし始めていることに気が付いて一時は離れたものの、見れば純粋に楽しんでしまう作品だった。ふり幅の大きいコメディとアクションとSFを最後までよく両立させたものだ。

納得がいかないのは作画の振れ幅も大きかったこと。
2年経ってるにしても顔違くない?~から、
えっ!ここどうしてこんなに作画いいの?まであった。
最後なんだからもうちょっと頑張って欲しかった。

10年前は作者が亡くなるまで続く気がしていたけど、こち亀も終わったし銀魂も終わってしまった。
制作者への労い、祝いたい気持ち、寂しさなどが混ざり合ったよく分からない気分だ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

風来坊 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

流石にTHE FINAL 飛び乗りは厳しかった……

これまでTV作品くらいしか観た事がなかった銀魂。
といっても全ては観ていないし、キャラクターの大体の立ち位置が分かっている程度の知識。そのくらいの知識でいきなり「THE FINAL」に挑戦したのはあまりに無謀でした。

冒頭はお馴染みの作品のパロディを挟みつつの展開だったので、何とかなるかなと思ったのも束の間、直ぐに追いつけなくなりポカーン(゚Д゚)となってしまいまいた。

いきなり挑戦した自分も悪かったので悪い評価はつけませんが、これを登竜門として銀魂に入るのはオススメできません。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

64.1 4 江戸アニメランキング4位
百日紅 Miss HOKUSAI(アニメ映画)

2015年5月2日
★★★★☆ 3.8 (67)
274人が棚に入れました
舞台は江戸時代――。庶民が好んだ、江戸の風俗を描く〝浮世絵"。それを世に放つ江戸の浮世絵師として生涯、浮世絵を描き続け一世を風靡し、3万点を超える作品を発表し、今もなお世界中を魅了し続けている葛飾北斎と、その制作の裏側で北斎を支え続け、自身も浮世絵師として後に北斎名義で大量の作品群を残したと言われている娘、お栄(のちの葛飾応為)を通して絵を描く人間たち、江戸に生きる町人たちとの交流を描いた原作を原恵一監督が大娯楽群像劇として描き出します。遥か200年の時を越え江戸と東京が、今、ひとすじにつながる、全世界待望の大娯楽長編アニメーション大作です。

声優・キャラクター
杏、松重豊、濱田岳、高良健吾、美保純、清水詩音、筒井道隆、麻生久美子、立川談春、入野自由、矢島晶子、藤原啓治

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【死んだら地獄へ行くよ】江戸の四季、江戸の風俗、江戸の恋、江戸に生きる女を描く傑作【半鐘の音が聞こえると、じっとしていられねぇのさ】

『クレヨンしんちゃん』や『河童のクゥ』でお馴染みの日本を代表する名監督、原恵一の最新作
アニメーションとしては『カラフル』以来5年ぶり
間に挟んだ実写映画『はじまりのみち』からは3年ぶりのご帰還
1年前には『ARISE』にいた筈のProductionI.Gに太いパイプを持つアニメタがこっちにいたりで、原監督には初めての現場なのに色々凄いことになってます


原作は監督自身がファンだと公言している若くしてこの世を去った漫画家、杉浦日向子の代表作
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の三女で葛飾応為こと“お栄”を主人公に彼女の視点から江戸の情緒や北斎を取り巻く人々を描いた時代劇です


主要キャストは本職の声優ではなく、これまた杉浦作品のファンであると言う杏がお栄を演じます
北斎(本名、鉄蔵)には何の因果か杏の父親役を度々演じる松重豊
北斎の弟子の一人で北斎やお栄と同居する若者、善次郎には原監督作品のファンだと言う浜田岳


これら俳優陣の演技は声優初挑戦ながらとても素晴らしく、特に杏はこの『百日紅』という作品をよく知っているだけあって気合の入れ方が凄かったようで、アフレコに着物で来たとか


また、アニヲタ的には矢島晶子と藤原啓二がカメオ出演しているのも面白かったのでぜひ探してみてほしいです


元々いくつかの短編を集めたものとして描かれている原作なので、この映画でも小さなエピソードの連続と共に移り変わっていく江戸の四季や登場人物の心情変化を描写しています
ココが今までの原監督作品と違うところなんです!


北斎とお栄の浮世絵師という仕事は現代で言うところのノンジャンルのイラストレーターに相当するもので様々な依頼に合わせて有象無象、虚実混濁、抽象、風景、人物問わず絵にしていきます


龍の水墨画、妖怪絵巻、地獄絵図、仏画・・・
それらに合わせて描かれる江戸の風景が大変美しい
時代考証に裏打ちされた両国橋や吉原の丁寧な描写は外国人に「これが江戸時代です!」と言い張れる完成度
さらにところところで画面レイアウトが【そのまんま北斎の代表作と同じ】になっているという遊びをそれとなく入れてくるのはニクイ


細かいエピソード毎の区切りが小気味良いテンポとなって原監督特有の「さぁ、泣いてください!」という湿っぽい雰囲気やあざとさを感じさせず、杉浦作品のドライな世界観と調和して高次元でバランスしていると感じました


そしてお栄が最も得意としていた春画(エロ絵)
北斎や江戸の浮世絵師を語る上では欠かせない春画、ですが年頃の娘であるはずのお栄(劇中では23歳)がなぜエロ絵を描き続けたのか
生涯未婚だったという彼女の青春に何があったのかを合わせて描く恋模様エピソードも見逃せない


そして物語全体の軸となるのがお栄の妹、そして北斎が無意識に避けてしまっている四女、お猶とのエピソード
じつはこのエピソード、原作の単行本ではクライマックスなんですが文庫版だと後日談が付け加えられてしまっています
これを原監督は蛇足と考えたのか、あえてこのお猶ちゃんを最後に持ってくることで原監督には十八番の“涙で〆括る”という体裁を取っていて、まあそう来るだろうとは薄々わかっちゃいましたがこれがまた自然な仕上がりですっかり乗せられました
いや、率直に素晴らしかったです


エンドロールには生前の杉浦が好んで聞いていたという椎名林檎が歌う主題歌
ただでさえ男尊女卑の時代を生きたであろうお栄という逞しく地に足着いた女性の姿を通して、作品全体に仄かに漂う女性応援歌の香りがこの曲で裏付けられます


江戸文化の丁寧な描写という面で観ても世界に発信するに相応しい一作でありつつ、流石に吉原とか遊郭が出てくるので小さいお子様連れ向けとまでは言わないが老若男女楽しめるエンターティメントに仕上がっている思います
文字通り傑作ですよ、これは








お猶ちゃんマジ天使、な

投稿 : 2024/06/01
♥ : 24
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

芸術作品

原作未読。映画館で視聴。

この作品は彼女達の生き様を示したいくつかのエピソードを連ねて纏めた物語となっていた。
雰囲気はサブカルとしてのアニメというよりも、伝記的な芸術という表現という感じ。北斎は誰でも名前くらい聞いたところがあるだろうが、娘がどんな人間なのかは知る人も少ないだろう。
ところどころで現れる有名な北斎の絵と、ただの伝記にはさせないファンタジーらしさがスパイスとなって物語をかざっている。
淡白だけれど、見応えのある映画になっていると思った。

病人を遠ざける北斎と、悩みどころの多いお栄と、目は見えないけれどいろんな事を悟っているおたるのやり取りが、人として重なる部分も多くて、突き刺さる部分も多かった。

声優は有名人を多用していたけれど、お栄を除けばとても自然な演技だった。
お栄役の杏さんは抑揚はついた喋り方ではあったが、役になりきるという点でもう一歩かなと思った。まあ、生い立ちをみればこれ以上の適役はいないと思う。

絵については、
制作がプロダクションIGということでどれだけ派手な動きが見られるのだろう!と期待していたのだが、北斎の絵を利用した絵は印象的であるが、ほぼ特別な動きはなくて少しだけ残念だった。
おそらく、日常の動きの再現度は高いのだろう。自然すぎて気付かないということはよくある。

【10/2の番宣を観て補足】
終盤のお栄が走るシーンは背動だそう。
あの物量と滑らかさは当然CGだと思ってたら、まさか、だった。
また、おたると男の子が雪で遊ぶシーンについても、粉雪を手描きで一粒づつ描いているそう。現状のアニメなら、CGで粉を出していることだろう。
やろうと言った原監督と雪のシーンを担当した井上俊之さんの力量は、完全に常軌を逸していると思った(褒め言葉)

劇中歌はロックできめて、かっこいい雰囲気を醸し出している。
主題歌は好き好みの問題だと思うが、個人的には微妙だった。まあ椎名林檎が好きならば良いのではないか

ところで、私にはこの物語に対する疑問が二つばかりある。
{netabare}一つは、おたるが逝ってしまったあと、北斎の作業場に吹いた突風に対して北斎が「一人でこれたじゃねえか」と行った理由。
お栄とのやり取りはまるで北斎がおたるを腫れもののように扱っている様に見えたのに、その言葉で北斎の人柄が分からなくなってしまった。本当はおたるを気にかけていたとでもいうのだろうか。

二つ目は、物語の最後に時が経って東京になったというくだり。日本の歴史を知らない外国人に対する説明だとしても、あまりに唐突で「え、だから何?」と思わずにはいられなかった。
{/netabare}
最後の最後で躓いてしまったが、全体的にみれば満足な内容だった。
一部エロいシーンがあるので小学生以下にはおすすめしないが、絵に少しだけ興味がある人、もしくは本数を見てきたアニメファンにはおすすめできる一本であった。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

かりんとう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

声優が芸能人だけど…

北斎の娘、お栄が主人公の物語です。

まず声優の話ですが、お栄や北斎など芸能人が演じています。
普段アニメ映画などは芸能人を使ってほしくないって思うのですが、今回は別。

非常に上手く、聞いて違和感がなかったです。
お栄は女優の杏さん、北斎は松重豊さんで二人共素晴らしい演技でした。
前々から"声"に特徴がある方々だと自分的に思っていたので、納得しました。



映画は1話完結もので5~6話くらい短い話が始まりは終わりの繰り返しって感じです。
しかも以外と妖怪や幽霊の類いの話が多く感じました。ちなみに自分は最初の龍の話が好きでした。

作画は Production I.G。
もちろん素晴らしい作画で、ストーリーよりもそっちで見いってしまいました(笑)
ずっと見たかった井上俊之さんの作画パートが見れて最高でした…!!(子供二人が雪で遊ぶシーンあたり)

マイナスに思った点は、音楽です。
状況的に悲しいシーンにも関わらずロックな音楽が流れたりするので違和感を感じます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

56.8 5 江戸アニメランキング5位
龍 -RYO-(アニメ映画)

2013年3月2日
★★★★☆ 3.3 (41)
178人が棚に入れました
慶応2年(1866年)尊皇攘夷、倒幕、佐幕さまざまな思想・主義に日本が揺れていた時代。恩人である坂本龍馬と中岡慎太郎を護れなかった事を強く悔やむ少年・RYOは、嵐の蝦夷・江差沖にて座礁した五稜郭政府旗艦・開陽の傾く甲板で土方歳三と対峙する。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「ラスエグ」、「ドルアーガ」ファン必視!?ゴンゾ作品精鋭スタッフが再集結の幕末史アニメは、ショタとシャモが見どころ???

アニメミライ2013年度の1作として一時期は経営不振によって元請作品が全く無くなるという事態に陥ったあのGONZOが復権を込めて渾身の作品制作に挑みました


監督に千明孝一、キャラクターデザインに高岡じゅんいち、音楽に黒石ひとみ
といった具合に近年のGONZOの代表作たる「ラストエグザイル」や「ドルアーガ」のメインスタッフが再集結してます


舞台の始まりは幕末の京都
『坂本龍馬』とその妻『お龍』は京都の寺で藩士を志し武芸に励む孤児の中から『白』と呼ばれる一人の少年を引き抜き、本当の名が無かった彼に『RYO』という名前を授けた
お龍を残した晩年の龍馬が、お龍の代わりに付き添わせたのが実はこのRYOという少年だった・・・という架空の歴史モノです


物語のクライマックスとなるのはズバリ龍馬が暗殺された近衛屋事件の真相
しかしながら、わずか25分間の中に詰め込んだ数年分の史実とエピソードで展開はかなり早足気味
肝心のオチも少し力不足に感じ、物語としての出来栄えは正直ヨロシクナイでしょう


アニメタ育成が名目の企画であるため、もちろん殺陣のシークエンスは見どころではあるものの
作中では龍馬の好物だったという『軍鶏鍋』がキーアイテムとして度々登場し、それがナカナカ美味そうに描かれているのが気になりました^q^


それに高岡さんデザインによるRYOをはじめとするショタ顔キャラのかわいいことくぁわいいことw
RYOを演じるのは少年役はナント初挑戦となる悠木碧ちゃん
これまでの碧ちゃんの演じてきたキャラクターとは全く異なる寂しげでシリアスな演技には注目したいです(ぐへへ


作品全体を見てしまうとハッキリと期待外れ感の強い今作ではありますが、毎年アニメミライにはほぼ必ず1本なにかしら「やらかしてる」作品があり、個々のアニメタにとって良い経験となっているのであればそれでいいんじゃないか
と、個人的には考えていますのでええショタが観れたのでコレはコレでまあよかったんじゃないか(爆)と感じていますw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13
ネタバレ

境界線の観測者 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

エピソード0

アニメミライ2013の一作として公開されたGONZO製作のアニメ映画作品。

幕末を駆け抜けた者たちを描く幕末剣客アニメーション。

当初の企画ではテレビアニメ化を念頭に、
坂本龍馬を暗殺をしたのは誰かという謎に、京都・江戸・会津・函館と
仇を討つ旅をする物語となっていたらしい。

幕末という舞台設定を生かし切れていない。
登場人物も魅力的に描かれているとはいいがたい。

キャラクターの想いや信念、生き様を描く時代物との
相性の悪い短い時間制限の中の作品とはいえとはいえ凡作以下に収まるだろう。

時代物はテーマやキャラクターの信念、結末までもが
焼きまわしになりがちで目新しさが無くなってしまう。
奇抜な作品がいいとは言い方が、それにしても実に地味な作品だった。

アニメーション、作画の質は一定以上を保っている。
ストーリー展開、演出も平凡。
やりたいこと、伝えたいこと、描きたいことを
短い時間に収められなかったという印象を受ける。

機会があれば視聴しておいいかもしれない程度の作品。

自分用メモ

{netabare}

「龍馬」と「拳銃」を魅せるシーンはせめてもう少しひねってほしかった。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

まっこと、日本は小さいぜよ。

アニメミライ2013の作品。
25分の歴史アニメです。

明治維新、坂本龍馬物語。
大河ドラマ的なものを短編とするわけだから、無理があります。
詳細を描き切れていないので、話に入り込めません。

主要人物は、龍馬・おりょう夫妻と少年兵龍の3人。
皆、龍関係だからこのアニメタイトルなのかな?

龍の声が悠木碧さんのため、視聴したようなもの。
やさしい凛々しさがありました。
茅野愛衣さんはおりょう役。
破天荒女性を大胆に演じられています。
龍馬は藤原啓治さん。
のほほんとしたおおらかな語り口がはまっています。

ストーりーは推して知るべし。
演出も今一歩。
作画の美しさだけは評価できます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
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