シス子 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
てさぐれ!ロボもの
原作は未読で視聴
最近の“ロボもの”
個人的にはハズレが多いし
やっぱ難しいんですよね
この作品は番宣ではじめて知ったのですが
映像を見ただけで「おぉ、なんかスゲ~!」って喜びながらも
またいつもの“ロボもの?”
なんて観る前は懐疑的でした
最近
体だるいし
忙しいしな~
(個人的な都合でゴメンナサイ)
やっぱスルーしようかな?
なんて思いながら視聴を開始したのですが
1話目から既に360度方向転換してしまいました
すげ~面白れ~
なんてもんじゃない・・・
初っ端から圧倒されてしまいます
緻密で大迫力のCG映像(テレビのキャッチーみたい^^)
そして
とても高度に練り上げられたさまざまな設定
なのに
私のような「鈍い人」でもお話にホイホイついていける・・・
最近の言い方だと「マジ!?、ヤバい!」みたいな^^
映像の細かさや
作品の基盤となる
設定なんかが
マジでヤバいんです^^;(テキトーに言ってます)
世界観や
シチュエーション
戦闘シーンや
キャラ(メカキャラは置いといて)
正直言うと
どれをとっても
いままで観てきたロボもの
SFもの作品でも
見たことがある感じ?
なのですが
なぜか
とても新鮮な感覚
世界観でいうなら
エイリアンみたいな
シチュエーションでいうなら
マクロスFや
進撃の巨人みたいな
戦闘シーンは
スターウォーズみたいな
キャラは
てさぐれ!部活ものみたいな^^
(CGだから・・・あと「もぶこ」みたいなのがいっぱい^^)
とても斬新で
どうしようもないくらい絶望的で
なんかよくわかんないけどかっこよくて
さっさとまとめて結論を出せやコラ~って言いたくなるくらい
“てさぐれ”てる
映画作品やアニメ作品のオマージュ的要素
もしくは
リスペクトしてるような描写がいたるところに見られるのですが
パロディって言うより
いろんな作品の面白くて“おいしい”部分をチョイスして
うまく融合しているみたいな感じ
そして
そんな高いレベルの設定に
骨子となるお話は
実にシンプルで分かりやすい
「太陽系が奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体によって破壊されてから1000年後の世界。地球脱出に成功した人類の一部は、種の存続を賭けて繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する播種船を建造、奇居子から逃れつつ植民可能な惑星を探していた。」
(面倒なのでWikiよりコピペ)
ちなみに
タイトルの「シドニア」とはここでいう「播種船(はしゅせん)」の名前です
いかにも
よくあるお話ですよね(ないな^^;)
そんなよくある
“てさぐれSFもの”的な展開なのに
1話目からその世界観にグイグイ引き込まれてしまいます
お話について行けなくなるほどの
難しくて遠まわしの内容でもなく
常識から大きくかけ離れているといったような
違和感を感じさせることもない
あくまでも論理的に
ちゃんとした根拠があり
それに基づいた現状があるという
とてもロジカルな内容
見ていたら
「なるほど~」って感心してしまう描写がいくつもあります
たとえば
計器パネルなどの表記や
兵器などの名前にいたるまで
あらゆるものが「日本語」で表現されているところ
これ
視聴者にとっては
非常に分かりやすくてありがたいな~で終わってしまうのですが
よ~く考えたら
シドニアのお話の根幹にも大きく関わってるんですね
ガウナによって太陽系を破壊された人類
人類の存亡を賭け
シドニア以外に何百隻もの「播種船(はしゅせん)」が
地球を脱出したと作中では語られています
まさに民族大移動です
また一方で
シドニア内の一部の才能に優れた人間や
知識や経験が豊富な最上位船員などが
有機転換という方法で
亡くなった下層の人たちの肉体を再利用し
何百年もの間生き永らえている描写があります
地球を脱出し“種”の存続を図る人類にとって
人類の存亡という至上命題もさることながら
民族や文化の永続
さらには積み上げられた知識や経験などを子孫に伝えることが
最重要課題となる
あらゆるものが日本語表記
あるいは
お米が主食だったり
食事ではお箸を使っていたり
浴衣を着てお祭りを楽しんだり(“重力祭り”というわけの分からない内容ですが・・・)
これって
歴史や文化を後世に伝えようという心理を暗に表現しているのでは・・・
な~んて
勝手に都合よく解釈してしまったのですが^^;
さらに
特筆なのは
そんな人類や民族の存亡に対する個々人の考え方の違い
前述したシドニア内の
いわゆるヒエラルキーによる格差
主人公の「谷風長道(たにかぜながて)」くん(♂)の最下層的な“希望”
そして
シドニア艦長の「小林(こばやし)」さん(♀)の最上層的な“野望”
細かいところは見ていただければ分かると思いますが
こんな人物の心理描写からも
閉鎖されながらも脈々と続けられるシドニア内の歴史や
世界観というものが
とても強く印象付けられるハズです
さて
散々意味不明なことばかり書いておいて
なんなのですが・・・
ここまできたら
この作品の見所である
ロボット
さらにはSF要素について
書かないわけにはまいりません
というわけで
ロボ的および
科学的な側面から
わたくしなりに
この「シドニア」の世界観を考察したみました^^
(長いので興味ない方はスルーしてね)
{netabare}○ロボット
{netabare}作中では「衛人(もりと)」と呼ばれる“戦闘機”が出てきます
頭と腕が2本と脚が2本ある「人型の戦闘機」なので
ロボットという認識でいいのでしょう・・・
いつも“ロボもの作品”を観ると考えてしまうのが
そのロボットのお話に対する「存在意義」
基本的に胴体部を中心に頭と腕と脚があって「ロボット」という呼称がついてくる
と思うのですが
いろいろなロボ作品を観ていて
「このお話の中で腕とか脚が必要なシチュってどこにあるの?」って
いつも考えてしまいます
やはり
名作と言われるロボもの作品(勝手に私が名作って言ってます^^)にはロボットを登場させる為のしっかりした理由があるものです
たとえば
「機動戦士ガンダム」だったら「ミノフスキー粒子」の存在からくる
接近戦や白兵戦の重要性だったり
「超時空要塞マクロス」の「バルキリー」だったら「巨大異星人(ゼントラーディ)」の存在や戦闘機の不整地での運用の必要性だったり
いわゆる
「白兵戦」や「二足歩行」をする上においての
「腕」や「脚」の存在が前提になっています
それでは
この作品の場合はどうでしょうか
「腕」については
ガウナに対する唯一の攻撃手段として
「カビザシ」(槍みたいなもの)を使用した接近戦で
腕(手)を使うということで説明がつきます
(狙いをつけるときの微妙な調整が必要らしい)
一方
「脚」についてはどうでしょうか?
正直
戦闘シーンを見る限りでは
脚が戦闘に及ぼすほどの重要性はあまり高く感じられません
たとえば
作中では「衛人」が小惑星で何か採掘するというシーンがあるのですが(詳細は端折ります)
小惑星に“降り立つ”ために脚を使用している描写はあるものの
直後の戦闘シーンでは
ほぼ100%空中戦であり
脚の必要性ころか
むしろ邪魔な感じさえ見受けられます
そもそもが
地球という“戦場”がない設定で
脚を使った戦闘を想定することに無理があるのではと
個人的には思ってしまいます
唯一
脚が脚光を浴びたシーンは
シドニア内での衛人による格闘試合(?)でしょう
スポーツあるいは競技という文化的側面での
ロボット推しといった感じなのでしょうか?
とりあえず
某アニメ作品で議論を醸した
「脚は飾り・・・」云々の名(迷?)セリフみたいな
地雷を踏んでしまうお話が
今後いつ飛び出すのか
楽しみではあります^^{/netabare}
○恒星間航行
{netabare}
シドニアという閉鎖された世界・・・
「衛人」と呼ばれるわけの分からないロボット・・・
そして謎の生物ガウナとの戦い・・・
いろいろ見所満載のこの作品
SF的要素がたくさん詰め込まれながらも
前述したようにとてもシンプルで分かりやすい内容なのですが
そもそもこの作品の
根幹となるお話って
人類が他の惑星に「移住」することなんですよね?
観ていて気になったのは
シドニアのことや
戦闘シーンの設定なんかはやたら凝ってるのに
人類が移住するという
最重要事項についてはあまり説明がされていない・・・ような気がします
後述のような
ガウナとの戦闘でそれどころではない
という理由もあるのでしょうが
星間航行を扱ったSF作品にしては
あまりにも寂しい限り・・・
ということで
私なりに
恒星間航行について検証してみました~
先ずは
目的地について・・・
作品の説明では
目的地となる星は「レム恒星系」となっています(Wiki参照)
ちなみに
「レム恒星系」という語句でググってみたところ
最初から大量の「シドニアの騎士」ばかりヒットしたので
現実には存在しない架空の恒星ということは容易に想定できます
また作中では
レム恒星系までの距離についての説明がない(シドニアからの非武装主義の植民者が星系内の惑星にテラフォーミングのために衛星に前哨基地を設けたが、大シュガフ船に衛星ごと破壊された:Wikiより)ので
この恒星の情報はほぼ参考になりません
というわけで
適当に人類が住めそうな“近場”の惑星をググってみることに・・・
一番目にヒットしたのは
地球から約500光年の距離にある惑星
名前は「ケプラー186f」
発見した探査機の名称「ケプラー」にちなんで名づけられたそうで
発見は2014年3月・・・
まあ
細かい説明はコレくらいにしておいて^^;
候補地は地球から「500光年」の「ケプラー186f」に決定!!
ちなみに1光年は約9460730472580kmなので
500光年だとおよそ4730365236290000kmになりますね
次に
乗り込む宇宙船について・・・
500光年という超長距離旅行ということで
長旅に備えて快適な居住空間を備えた宇宙船が必要となってきますが
とりあえず居住性云々は今はおいといて
どれだけ短時間で500光年という距離を移動できるかについて考えてみましょう
先ず
手っ取り早く思いつく方法としては
「ワープ航法」とか
「フォールド航法」
「ワームホール航法」などの
超反則技なんてものもありますが
そもそも
それではこの「シドニアの騎士」というお話自体が成り立ちません
一瞬のうちに目的地に到着したり
敵と遭遇したらそれで逃げちゃえますからね
というわけで
反則技的航法は却下
あとファンタジックに
魂だけあっちの世界に到着しちゃった・・・
なんてのも論外
もちろん
頭に輪がついてたり
蛇の道を走っていくなんていうのもナシです
そこで
現在考えられる最速の航法でググってみたところ
一番目にヒットしたのが
「核融合ロケットエンジン」
たしか「プラネテス」でも出てきた記憶があります
名前だけだと難しそうですが
調べてみたところ
仕組みは至ってシンプル
ロケットの後ろで核爆弾(のようなもの)を爆発させて
その爆発力で推進するというもの
まあシンプルはシンプルなのですが
爆発力でロケットが破壊されるとか
急激な加速度と衝撃波で
ロケット内部の人間がペシャンコになるかもしれない
という課題があり
実用化はまだまだ先の未来とのこと
が・・・
それでも
将来の有望株ということで
この
核融合ロケットで検証とまいりましょう^^
この核融合ロケット
理論的には
光の速度の12%までの速度を出すことが可能だそうですが
先に書いた
爆発力でロケットが破壊されたり
ロケットの中の人が潰れたりといった問題があるため
核融合反応をコントロールしながら
適度に加速していくことが望ましいとのこと
とはいうものの
ここまで長々と文章を書いてきたこともあり
めんどくさいことこの上ないので
地球を出発した時点で既に最高速度に到達していると仮定しましょう
ついでに
光速の12%などという中途半端な数字はやめて
計算しやすい10%を用いることにします
ちなみに真空中における光の速度は 299792458 m/s
時速に直すと1079252849km/h
10%だと107925285km/hになります
さらに
観測者は地球とケプラー186f双方に置き同時刻にスタート・ストップの計測を可能とする
航行速度は地球との相対速度とする
ハッブルの法則による距離の誤差は考慮しない
特殊相対性理論は考慮しない
ローレンツ変換は考慮しない
の条件を加味します
で・・・
(ここから先は複雑な計算式があるので算数の苦手な方はオススメしません^^)
{netabare}先ほどの目的地までの距離500光年
光の速度で500年掛かる距離を
光の速度の10%で移動するということは
距離÷速度=時間
より
500光年 ÷ 0.1光年/年 = 5000年
という計算式が成り立ちます
(※もしくは4730365236290000km÷107925285km/h÷24h÷365.25d=4999.999994y)
つまり到着まで
約5000年掛かるという結論になるのです
実に簡単ですね^^
(ツッコミや苦情、嫌がらせのメッセージはお控えください^^)
お話だと
シドニアが地球を出発してから約1000年経過しているそうで
案外現実的かも^^
あと僅か4倍の時間を我慢すれば
人が住める惑星に到達できるという希望が・・・
持てるのかな・・・{/netabare}
な~んて
完璧な理論を立てた満足感から
喜びのチューハイを煽りながら
あらためて
本作品のOPテーマを聴いて
口に含んだチューハイを
見事にぶちまけてしまいました
それはOP開始の僅か38秒程のところ
アンジェラの渋くも残酷なほどの歌声に乗せて
聞こえてきた歌詞・・・
「安住は幾億光年先~♪」・・・(^^;
着くの“幾十億年”も先じゃね~か!{/netabare}
○ガウナとの戦い
{netabare}
幾億光年という途方もない距離・・・
幾十億年という途方もない時間・・・
もはや人間と呼べなくなるほどの進化を遂げながらも
やっとの思いで目的の惑星にたどり着いたシドニアの人々
そこには希望と平和に満ちた安寧の生活が待っていた・・・
って
このお話の結末を都合よく想像してしまうのですが
そうは問屋が卸さないのが世の常・・・
そう
ガウナという問題を忘れてもらっては困ります
正体不明
生態不明
出所不明
目的不明
とても不気味な謎の生物です
作中では
人類がヘイグス粒子という新しいエネルギーを発見し
使用を始めると同時に出現し地球を破壊したと説明されています
このヘイグス粒子と
前述したガウナに対する唯一の有効兵器のカビザシ(カビ)に
寄ってくる習性があるとのことで
単純に考えれば
人類がそれらの物質を手放せば済む
ごく単純なお話なのですが
(お話の中では非武装主義者なる人たちが主張している)
困ったことに
なんらかの個人的な恨みなのか
とてつもない高いプライドがあるのか
シドニア艦長のこばやしさん(♀)は
あくまでも
ガウナの殲滅が最終目的であると謳っています
なにもかもが謎だらけ
しかも
唯一対抗できる武器がカビザシのみ
そんなガウナを殲滅するというとんでもない野望
全宇宙をしらみ潰しにガウナ退治するつもりなのか?
そもそも
どのような方法で全部のガウナを殲滅したという確証を得るのか?
いろいろ課題は山積なのですが・・・
というわけで
シドニアを使って全宇宙のガウナを退治するには
いったいどれ位の時間が掛かるのか・・・
検証してみましょう
先ず
考え方としては
シドニアが最高速度でガウナを索敵した場合
その一年間に索敵可能な範囲
つまり索敵空間の“容積”を求めます
次に宇宙全体の容積を求め
その容積を
先に算出したシドニアの年間索敵可能容積で割るという極々単純なものです
検証に当たっての条件は・・・
先の条件に加えて
まあ
こばやしさんが飽きてしまってガウナ退治を途中でやめないことかな^^
早速計算とまいりますが
注意したいのはシドニアの索敵容積
いろいろなシチュを想定し
とりあえずシドニアを中心に
一年間に移動できる距離を半径とした球状の空間で求めることとします
シドニアの速度=107925285km/h
1年=365.25日
として計算すると
1年間にシドニアが移動する距離は
107925285×24×365.25km
この距離を半径とする球の体積を求めると
球の半径をr
円周率をn
体積をV
とすると
V=4/3nr^3
この公式よりシドニアの年間索敵容積は
V=4/3×n×(107925285×24×365.25)^3
V=3.54521*10^36km^3
となります
一方
宇宙の容積ですが
仮定として
宇宙が誕生して現在まで138億年
宇宙誕生より光と同等の速度で“膨張していた”とします
(検証は膨張していない状態を仮定)
宇宙の半径=138億光年
光の速度=3×10^5km/s
1年=365.25日
以上の条件で算出すると
V=4/3×n×(1.38×10^10×24×365.25×60^2×3×10^5)^3
V=9.33644*10^69km^3
この値を先ほどの索敵容積で割ると
9.33644*10^69÷3.54521*10^36=2.63354*10^33年
つまり
2633540000000000000000000000000000年掛かるということになります
ちなみにこの値を数字の単位であらわすと
約26溝(こう)年・・・
兆(ちょう)
京(けい)
垓(がい)
予(じょ)
穣(じょう)の次
明らかに宇宙の年齢をはるかに凌駕してしまってる^^;
宇宙の大きさに比べたら
人間の存在って
なんてちっぽけなものなんでしょう
こばやしさん
悪いことは言わない・・・
諦めましょう^^{/netabare}{/netabare}
というわけで
いろいろ検証して分かったことは
この作品
まだまだ先が長いということ・・・^^
まあ
2期の製作も決まったということで
今後さらに謎が深まることを期待しつつ
眠れぬ夜を過ごすとしましょう