こたろう さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
箱庭群像劇
ヘンなタイトルですね。
”デュラ”、はデュラハン(アイルランドの伝説、死を告げるという首のない妖精)から取っているのかな?
作中にはそういうキャラも居ますが、ホラーやファンタージではなく、どちらかといえばミステリーやバトルいった類の内容。
はっきりとした主人公は存在せず、登場人物一人一人が物語を持っている群像劇となっています。
群像劇といえば、『BACCANO! -バッカーノ!-』。
同じ制作スタッフが多く関わっているとの事で、なるほど納得。
バッカーノほど奇抜な演出方法をとっていないのでわかりやすく、それでいて群像劇の良さは損なわない、いいとこ取りをしてます。
個人的には、バッカーノの懲りまくった時系列演出には辟易したので、こういうところは手放しに嬉しい。
本作も過去の回想演出はありますが、誰がみても理解できる程度だし問題ありません。
物語の舞台となるのは池袋。
この街に暮らす様々な人間が絡み合うのですが、おおよそ”カタギ”と呼べる人物はほとんどでてきません。皆、何らかの秘密や事情を抱える連中で、争ったり仲良くしたり騙したり騙されたり恋愛したり、と、ゴタゴタな事情の事件簿的なお話。
人間じゃない者や人間とは思えない身体能力の者ばっかりいますが、池袋という箱庭で、人間くさく生きているキャラが何とも魅力的です。
犯罪行為や暴力沙汰が多い割には死人が出たりはしないコメディタッチなカラーで、暗さや殺伐としたところが薄まっているのがイイ。
ドキュメンタリーチックなエピソードが主体なのに、不思議で有り得ない事がおきても案外スンナリそれが受け入れられてる感覚は、この作品の世界特有な魅力。ああ、そういうのもアリだよねぇ、って妙に納得してしまいます。
各キャラの過去や生い立ちは結構重いのですが、それを陰鬱に感じさせないスピード感のある展開も良かったです。
群像劇といえど、善悪は明確なので感情移入もしやすい。娯楽性に富んだ良作といってもいいでしょう。
なんていうか表現しづらいんですが・・・スマートでお洒落。
これは本作の特徴であり強味です。
そんなに意外性はないけど、最後まで飽きがこない面白さを味わえます。
ちょっと不思議の入った現代劇、キャラの個性と魅力で引っ張る作品です。
暴力沙汰は苦手だ、という方以外にはオススメです。