2023年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメ一覧 103

あにこれの全ユーザーが2023年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメを評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月03日の時点で一番の2023年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

×

絞り込み

年代別アニメ一覧

88.8 1 2023年秋(10月~12月)アニメランキング1位
葬送のフリーレン(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (645)
2085人が棚に入れました
勇者ヒンメルたちと共に、10年に及ぶ冒険の末に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした魔法使いフリーレン。 千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。 その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。 その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

鏡蓮華 Ⅱ

この物語の深層には「鏡」のイメージが潜んでいる。
こんな仮説を少し前に提示してみたことがあった(私記Ⅲ章参照)。
ただし、飽くまでも実体を伴わない、記号的な意味作用としてであって、
「メタファー」というような明確なものではないのだが、
この記号が孕む意味の志向性に基づいた「アナロジー(類推)」は可能だと思う。
前回に続き、「鏡蓮華」のエピソードを読み解いていきたい。


{netabare}「鏡」には元々、愛の文学的な修辞として用いられてきた伝統がある。
例えば「鏡なす」という枕詞は、通常「見る」に係るものだと説明されているが、
万葉集などの用例では「鏡なすわが見し妹を」といった具合に、多くの場合、
特に情愛の対象に向けて用いられている。
また、ボードレールの「恋人たちの死」という詩の中の《ces miroirs jumeaux》、
直訳すると「双子の鏡」となるが、これはしばしば「合わせ鏡」と意訳される。
これを「鏡なす」と並べてみれば、「鏡」のニュアンスがほぼ明瞭になる。
そこには「互いの心を映し合う」というイメージが込められているようだ。

この《鏡=心》というアナロジーを本作の読解に適用してみる。その場合、
「鏡」が示唆するものは当然、フリーレンの「心」ということになるだろう。


フリーレンという名前はドイツ語の動詞 frieren に由来するようだが、
「冷える・凍える」という通常の意味のほかに、稀に「凍る」という用例もあるらしい。
こじつけのようだが、そこには「鏡」との類縁性も認められるような気がする。
例えば、彼女の凍りついた心の鏡面には、無機的な現象が投影されるばかりで、
他者の心は映らずにいた、といった想定からまずは出発できそうだ。

物語の序盤では、そんなフリーレンの心に生じる「変化」が描かれていく。
フェルンたちとの関係をきっかけに、かつての仲間たちを理解してゆく旅。
相手のことをただ知識として「知る」のではなく、その心を「理解する」。
これはシンクロとフィードバックが繰り返される、再帰的で相互的なプロセスであり、
その鏡像的な媒介の構造にはどこか「合わせ鏡」を思わせるものがある。


「鏡蓮華」のエピソードも一応はその一環に位置づけられるだろう。
かつてフリーレンがヒンメルから贈られた、鏡蓮華の意匠を施した指輪。
その花言葉は「久遠の愛情」。そしてそれは「恋人に贈るもの」だという。

旅パートの回想シーンは、過去の出来事をフラットに語るものではなく、
フリーレンの心のスクリーンに映し出された記憶の再現である。
したがってそこには見えない形で、彼女の現在の心情が投影されているはずで、
前稿で「共時的な現在」などと呼んだものがそこには現前している。
それを通して私たちは、フリーレンの「内面」に立ち会っているのである。
鏡蓮華の意匠に託されたヒンメルの「心」も、確かにそこに映し出されている。

だがそこにはまた、払拭し得ない悔恨の影が射しかけているのではないか?
「心」を理解できても、それはどこまでも事後的な"気づき"に過ぎない。
アウラが残酷に言い放ったように、「ヒンメルはもういない」のである。・・・
しかし、逆説的だが、二人の関係性の本質はむしろこのタイムラグにあると自分は考える。
一方の不在と理解の遅延。これらは普通ならば致命的なものだ。が、本作の場合は
それを克服する深層のメカニズムが物語に内在しているのである。


以前自分は、こんな推論を試みたことがあった(Ⅳ章参照)。
「彼女の旅の本当の「目的」は、ヒンメルと交わした「約束」を果たすこと、
すなわちヒンメルたちの記憶を未来に連れていくことだった」、というものだ。
「僕たちの記憶は、彼女が未来に連れていってくれる。そうだろう?」
このヒンメルからの委託に応え、フリーレンは在りし日の彼らの記憶をたどる旅をする。
それを踏まえて、旅パートを彼らの「約束の物語」と捉える解釈を提示したのだが、
この理解をもう一歩、推し進めてみたい。


自分の仮定説を端的に言うと、フリーレンのこの「約束」に対置されるような
もう一つの「約束」を、物語の中に読み取ることができるのではないか、
そしてそれこそが、ヒンメルの銅像の「意味」なのではないか、というものである。

基本的にヒンメルの像は、本作における「記憶」のテーマを体現するものと言える。
例えば第3話Aパートのラスト、フリーレンが旅の目的についてこう語っている、
「できる限りはヒンメルたちとの冒険の痕跡をたどっていきたいかな。風化する前にね。」
このセリフに第2話の、メンテナンスを終えた銅像の映像が重ねられることから、
明らかに彼の像は、風化から守るべき「記憶」の象徴であることがわかる。

その一方で彼には、自分の記憶を残すことよりもさらに大切な目的があった。
第7話Aパート。銅像制作にまつわる回想シーンで、フリーレンがヒンメルに
なぜ自分の像を残そうとするのか、と尋ねる。その問いに対してまずは
「みんなに覚えていてほしいと思ってね。」と答えたあと、すぐに続けて彼はこう言った、

「でも一番の理由は、君が未来で一人ぼっちにならないようにするためかな…。」

ヒンメルにとって、記憶されることよりも重要なのはフリーレンのことだった。
自分がいない「未来」に、フリーレンには果てしない孤独の時間が残されている。
その「未来」でも共にあり続けようとする意思が、彼に像を作らせていたのだ。
フリーレンが旅の先々で出会う銅像は、そのヒンメルの"想い"を具現化したものだった。

本稿のⅢ章で自分は、第2クールの内容に絡めた旅パートの解釈として、
「フリーレンの現在の旅はかつての旅の"不完全な複製体"である」という見方を示したが、
あらためてその着想をここで敷衍することができるように思う。
ヒンメルの銅像とはまさしく、失われた「オリジナル」の「複製」に他ならない。
だが、その複製体(銅像)を通してなお、フリーレンへの想いは生き続けている。
そしてフリーレンは、失われた「オリジナル」を求める「複製」の旅の中で、
彼女もまた、複製体(旅)を通してヒンメルの「心」を知ろうと願い続けている。

つまり旅パートの風景の中には、フリーレンとヒンメル、それぞれの相手への想いが
銅像や旅といった具体的な形姿となって可視化されているのである。
銅像に込められたヒンメルの想いは、フリーレン本人の前で言葉にされたとき、
彼女への「約束」となった、と自分は考えている。もしそうだとすれば、そこにはまた
二つの「約束」が「合わせ鏡」のように向かい合う構図が見出されるのである。
この「対称性」こそが、旅パートの本質を表現していると言ってよいのではないか。


先に書いた、物語に内在する「深層のメカニズム」とは、
旅パートの固有の構造(=共時性)と一体となった、主人公二人のこの関係性を指している。
物語の表層に横たわる時間の"断層"はこうして「約束の物語」の中に解消され、
《時間—死》という物質的な限界を超克した、比類のない壮大なロマンスが成立する。

本稿Ⅳ章で取り上げたヒンメルとフォル爺の対話の中には、こんな言葉があった、

「でもきっとその人は、
 あなたが約束を守ってくれていることをうれしく思っているはずだ。」

ヒンメルはフォル爺の亡き妻に自分を重ね合わせて、その気持ちを言葉にしている。
そこではフリーレンが「死者との約束」を守り続ける存在に変換されていて、
したがってこの言葉には「未来」のフリーレンへの感謝が、先取りで表明されているのだ。
だから銅像は決して無言ではなく、旅の途中で再会するたび、彼女に喜びを伝えているのである。

このように、物語の深層において二人の「久遠の愛情」はすでに成就している。
その事実を花言葉と指輪に託しながら、刹那の場景の中に永遠のように結晶させたもの。
それが「鏡蓮華」のストーリーなのだと思う。{/netabare}


以上、やや遠回りしながら「鏡蓮華」を我流に読み解いてみた。
いつもながら深読みが過ぎて、何やら創作ストーリーのようでもあり、
当方の恋愛脳(笑)のせいで、幾分かロマンス成分多めの解釈になってしまったが、
一応はこの作品の複層的な読解を試みたつもりである。ご理解いただければと思う。


 「フリーレン私記」

{netabare}Ⅰ 蒼月草と青い魔法

{netabare}今季覇権の最有力候補とされるだけあって、さすがに充実している。
独特の坦々としたリズムで運ばれていく、ヒューマンな感情が濃厚に織り込まれた物語を
虚心に味わうことのできる、抜群の安定感と完成度である。
原作の世界を過不足なく再現することが基本コンセプトのようだが、
自分がたまたま気づいた、アニメ独自の創意が認められる部分について書こうと思う。

アニメの第2話Bパート。原作では第3話「蒼月草」。
とりわけ色彩の効果には、並々ならぬ力の入れ具合が感じられた。
紅葉した深秋の森と、蒼月草のコバルトブルーの鮮やかな対比が実に印象的だ、
勿論、原作には色はついていないわけで、アニメの強みを生かした
視覚的なインパクトを狙ったというような、単純な理由だけでもなさそうだ。

アニメでは原作にはない魔法が一つ追加されているのである。
足跡を魔法で浮き上がらせるというもので、こちらもサファイアのような青色になる。
そしてこのとき、杖の魔法石(?)がいつもの赤色から青色に変わっている。

ここに気づいたとき、いつもの如く我流の深読みを触発されてしまった。
と言うのも、初回四話をまとめて観た直後に勢いあまって原作の既刊分を一気に通読し、
抽出してみたシェーマに、この演出がぴたりと嵌まっているように感じられたからである。
以下には要旨だけをメモ風に記しておく。


「葬送のフリーレン」。

このタイトルに二重の意味があることを、原作既読の方はすでにご存知だろう。

作品全体を俯瞰したとき、そこに認められる二つのフェーズ、すなわち、「闘争」と「平和」。
これら二つのベクトルの二面性を、このタイトルが表しているものとまずは仮定したい。

今話のエピソードには、このシェーマが分有されていると考えられる。
一方の「平和」は表層に、他方の「闘争」は深層部から、予見的に読み取ることができる。

エピソードの中心となるのはフリーレンの「花畑を出す魔法」である。
その場面。勇者パーティーが佇んでいる場所は、戦いで無残に破壊された聖堂。
フリーレンの魔法によって、荒廃した堂内も周囲も一面に花で覆いつくされ、
歓喜した一同は子供のように無邪気に花々と戯れる。

実はここには、アニメオリジナルの演出がある。
原作では魔法で花畑に変わるのは、何もない荒地のような場所だった。
したがって、ここに一つの創意が加えられていること、
その意図が明らかに「平和」への願望を表現するものであること、
つまり、この演出には一つの解釈が含まれているということ、などが解る。
解釈とはフリーレンの魔法について、さらに具体的には「花畑を出す魔法」についてである。

そもそも今話で語られている蒼月草のエピソードには、
単にヒンメルにまつわる思い出話にとどまらずに、
フリーレンの魔法の本質を示唆する、極めて重要な内容が含まれているのである。

フェルンとの対話を順を追って引用する。

  フリーレン様は本当に魔法がお好きなのですね。
  ほどほどだよ。フェルンと同じで。
  少し違うような気がします。
  同じだよ。

 (蒼月草の花を咲かせる魔法は)ヒンメル様のためですか?
  いや、きっと自分のためだ。

  フリーレンさまは何故、魔法を集めているのですか?
  (・・・・・)
  私の集めた魔法を褒めてくれた馬鹿がいた。それだけだよ。
  くだらない理由ですね。
  そうだね。

この「そうだね」の時に見せたフリーレンの含みのある表情を、アニメではさらに強調していて、
「くだらない」にこめられたアイロニカルなニュアンスを示そうとしている。これも解釈の一環である。
(あまり使われない言葉だが、「韜晦」というのがしっくりくる気がする。)

ここで暗示的にほのめかされた事実がはっきりと明示されるのは、先取りになるが、
原作3巻の21、22話。そしてこの21、22話こそは、物語の核心となる最重要部分である。
そして、フリーレンの魔法が孕む「闘争」の契機を見出せるのはまさしくそこなのだ。

フリーレンの魔法に関わる隠された真実が明らかになる。(原作未読の方は要注意。)

一千年の間、一瞬の休みもなく、彼女は
魔族を欺き殺すのための魔法の修練を行い、「復讐のための魔法」を鍛えつづけている。

それこそが「闘争」の魔法に他ならない。

その常軌を逸した、異常なまでの執念に触れたとき、
われわれははじめて、彼女が生きてきた千年という時間の生々しい手応えを感じとる。
同時に、このキャラクターの実存の深淵を垣間見た思いがするのだ。

"くだらない"魔法への彼女の執着は、この秘密を踏まえてはじめて理解される。
すなわち、"くだらない"魔法とは、「闘争の魔法」の対極にある、「平和の魔法」のことなのだ。

フェルンに語ったように、彼女が魔法を収集する最大の動機が
"くだらない"魔法を褒めてくれた「馬鹿」たちとの思い出だったとしても、同時に、
この極限的な緊張から生じる反動が、それを求めさせているのだろうと考えずにはいられない。
「きっと自分のためだ」という言葉は、そのことを言っているのではないだろうか。

魔法は「ほどほど」に好き、という抑えた表現にも、この外部からは見えない背景に絡んだ、
魔法に対するアンビバレンツな、複雑な心情が滲んでいると見ることができる。

だから、「花畑を出す魔法」とはまさに、求められた「平和の魔法」の精髄なのである。
そして、この解釈を踏まえて演出家は、「平和」のシンボルカラーとしての青色を
このエピソードの全体に散りばめたのだろうと思う。

今話に限ってなら、「平和の魔法」は「青い魔法」とも言い換えられるだろう。
それはフリーレンにとってもフェルンにとっても、純粋に、心から愛すべき魔法のことでもある。
フリーレンの言葉をきっかけにフェルンが思い出す、ハイターとともに見た幻の蝶の飛翔も
やはり透明で幻想的な青色をしていた。

因みに「花畑を出す魔法」は、22話に再び登場する。と言うより、そこでその原点が語られる。
それは本作の「葬送」のモチーフの一変奏であり、その最も美しい結晶でもある。


要するに、第2話Bパートの演出は、色彩を用いたシンボリズムによって
作品の本質を表象しようとしたのではないか、ということを言いたかったのである。

序盤で示された時間、および死をめぐるテーマ性が縦糸であるとすれば、
ここで導入される闘争―平和のシェーマは、ストーリーを織り成していく横糸と言えるかも知れない。
この解釈の当否はさておき、遠からずアニメでもタイトルのもう一つの意味が明らかになり、
そこを転換点として物語は第二の「闘争」のフェーズに突入することになる。{/netabare}


Ⅱ 花畑を出す魔法

{netabare}クール終盤あたりから徐々に興味が減退し、第二クールに入ると視聴も滞りがちになった。
巷では大いに喝采を博したバトルなども、ただただ辟易するばかりだったのだが、
何とか最終話まで完走し、テーマの最終的な帰着点を確認できたのは幸いだった。
前章で抽出した「闘争―平和」のテーマが"回収"される過程として、以下に辿ってみたい。


今回、鍵となるのは最終二話のゼーリエである。
ここでも演出に着目しながら、第27話終盤の場面から繙いてみる。

最終試験の試験官として、フリーレンと対峙するゼーリエ。
この二人の対面シーンは明らかに「対決」の様相を呈したものになっている。
ゼーリエの挑発をフリーレンは淡々と受け流しつづける。
まずはこの対話中に挿入される花のカットを注視していきたい。

六枚の花弁のある白い花。それは明らかにフランメの墓を包む花畑に咲いていた花である。
したがってほぼ確実に、フランメを暗示するメタファーと捉えることができるだろう。
このメタファーがさらに象徴的に深化する過程を、少々細かくなるが跡づけていく。

フェルンがゼーリエの面接を受けている場面を見てみよう。
彼女の魔力の揺らぎを見破ったフェルンにゼーリエは弟子入りを促す。
その場面でほんの一瞬だけ、水に散った白い花びらのカットが挿入される。
勿論、例のフランメの花なのだが、ラストでまた意味ありげに映されている。
同じ演出が回をまたいで、デンケンとの面接にまで引き継がれていることを考え併せると、
おそらくこのイメージは、老い、衰え、散ってゆくいのちの儚さ、
つまりは人間の生の短さを花に託して暗示するもののようである。

人間のいのちの儚さを薄命な花に重ね合わせること。これはまさしく
神話の時代から何千年もの間、使い古されてきた超絶ベタなメタファーであって、
だからこれを指摘しただけでは何も言ったことにはならない。
重要なのはこのイメージがある「心象」を表現していることである。
「心象」とは文字通り、「心」の「象(かたど)り」。具体物に託して表象される心の在り様。

では、それは誰の「心」なのか?・・・言うまでもなく、ゼーリエの心である。

さらに注意を研ぎ澄ませて、ふたたびフェルンとの場面を凝視してみる。
すると、花びらが映る直前、フェルンに向けられたゼーリエの眼差しが一瞬捉えられている。
この流れを自分なりに解釈すると、おそらく彼女が弟子をもつ度に経験してきた死別の哀しみが、
フェルンを見て一瞬、予感のように心をよぎった・・・そんな風に自分には思われた。

つまり、ここでの花びらもゼーリエの内面に抱かれた「心象」であり、
人間の「儚さ」のメタファーであると見て間違いはないと考えられる。さらに言えば、
最終話で彼女は、水面に浮かぶ花びらを足ですくったり、指につまんで吹き飛ばしたりしているが、
この仕草には、常に弟子たちに先立たれる者の虚しさ、やり切れなさが表れているようで、
ややくどいくらいに、演出面でこの心理を強調しようとしている節がある。

ここまでのイメージの読み解きから明示される事実を整理しておく。

あらためて出発点に立ち戻ってみると、本作の基本となるキャラクター設定、すなわち
「千年生きてきたエルフ」という設定は、必然的に物語に二つの視点を導き入れるものだ。
一つは、エルフ視点で見たときの人間の「儚さ」。
そして反対に、人間視点で見たときのエルフの「孤独」。

勿論、物語の冒頭から主人公たるフリーレンがそれを体現しているわけだが、
最終盤でさらに尖鋭に、この両者を同時に我々に示して見せたのが
彼女と対峙したゼーリエの方だったという事実。これは自分にはかなり衝撃的なものだった。
ゼーリエとフリーレンとが実はパラレルな関係にあること、
いわば「葬送のゼーリエ」としてのその像が鮮烈に印象に刻み込まれた結果、
作品全体の基調音となる「葬送」のモチーフが実感的に把握できるようになったのである。


ただ、自分の感覚ではこれはテーマというより、テーマ風のモチーフであって、
作品のパッケージとなる設定、ないしはコンセプトとでも呼ぶ方が適当な気がする。
自分の関心はさらにもう一歩踏み込んだところにテーマを見出すことにある。
このシーンが重要なのは、そのいわば「テーマ回収」が実行されているためであって、
その核心となるのがゼーリエ、そして「花畑を出す魔法」なのである。

最終話でフリーレンがレルネンに語ったところによると、
二人の対話の最終局面にはこんなやり取りがあったらしい。
退出する間際、フリーレンはゼーリエにこう問いかける、

  この花畑、魔法で作られたものだ。・・・
  先生が好きだった魔法だ。くだらない魔法だって言っていなかったっけ?

この皮肉に対して、意外にもゼーリエは自分の想いを率直に語り始めるのだ。

  ・・・フリーレン、なぜかわたしは弟子をとって後悔したことは一度もないんだ。

二人がいる広壮な屋内庭園。そこはフランメが好きだった魔法で作られた花畑だった。
その一隅には彼女の思い出に結びつく例の白い花も咲き混じっている。そしてその場所が、
花々を眺めながら、亡き弟子たち一人一人の在りし日の姿を思い返し、
彼らの短かった生に思いを馳せる、そんな追憶の場所であることが彼女の言葉からは窺える。

これがゼーリエの「葬送」のかたちであったとするなら、
この、本人いわく"くだらない"魔法に対するゼーリエの態度の中に、
「闘争ー平和」のテーマの最終的な決着が示されていると見てよいのではないか。
すなわち「葬送」を媒介にした「闘争ー平和」という対立の構図の止揚である。

Ⅰ章で自分はこんな解釈を提示してみた、

  "くだらない"魔法とは、「闘争の魔法」の対極にある、「平和の魔法」のことなのだ。
 「花畑を出す魔法」とはまさに、求められた「平和の魔法」の精髄なのである。

つまり、「闘争」の権化のようなゼーリエの内部に、平和への希求が潜んでいるという事実。
ここに魔法パートを底流する包括的なテーマが読み取れるのではないだろうか。

この理解によって、魔法パートの物語を"内在的に"俯瞰する視点が確保される。
そしてそれは取りも直さず、本作におけるテーマの内在性を示すものでもある。
シンボルとしての「花畑を出す魔法」を中軸に描き出されるのは、
ゼーリエ、フランメ、フリーレン、フェルンの四代にわたる「師弟の物語」である。

いま、フリーレンの弟子フェルンによって「人間の時代」の扉が開かれようとしている。
それはフランメの願いがフリーレンを介してフェルンに託されたことを意味している。
ひそやかに紡がれる「平和の魔法」の系譜、それこそが魔法パートの物語の核心であり、
平和の希求のテーマは。最終話のゼーリエに至ってその円環を完結させるのである。

単なるストーリーの伏線回収よりもさらに高度で、さらにスケールの大きな
いわば「テーマ回収」のプロセスを経て、この物語ははじめてその全容を現すもののようだ。
すなわち、四人の大魔法使いの群像による、千年に及ぶ壮大な人類魔法史である。


これもやはり対話の中で明らかになるのだが、
「花畑を出す魔法」にはもう一つ、作中における重要な機能がある。
フリーレンがゼーリエに語った、ヒンメルとの出会いにまつわるエピソード。その内容は
ヒンメルがまだ少年だった頃にすでに一度、偶然フリーレンと出会ったことがあり、
そのとき見たこの魔法が、のちにフリーレンを仲間に選んだ理由だった、というもの。

  きっとこれはただの偶然に過ぎないことだけれども、
  ヒンメルたちと出会わせてくれたのは
  先生が教えてくれたくだらない魔法だよ。

・・・ヒンメルとの出会いは彼女にとって運命の分岐点となるものだった。
そしてその直接の契機となったのがこの魔法だったのだ。
さらにそれはまた、魔法パートから旅パートへの分岐点を意味している。


例えばこのエピソードを、第2話の伏線の回収と見なしてみる。
Ⅰ章で指摘したように、第2話の花畑のシーンはテーマ寄りに解釈できるものだが、
この魔法がヒンメルにとって特別なものであった理由が遡って明らかにされることで、
このシーンの彼の心情、特にフリーレンに示した態度に奥行きが加わるのである。
同じようにフリーレンについても、この旅立ちの"前史"を踏まえることによって、
より深くその内面を理解することができるようになるのではないだろうか。

前にも引用したフェルンとの会話、

  フリーレンさまは何故、魔法を集めているのですか?
  私の集めた魔法を褒めてくれた馬鹿がいた。それだけだよ。
  くだらない理由ですね。
  そうだね。

Ⅰ章では「過去」に遡りつつ、彼女にとっての魔法の意味を導き出したのだが、
ここでは視点を「魔法を褒めてくれた馬鹿」、すなわちヒンメルや仲間たちの存在に移すことで、
彼女の「いま」がより鮮明に実感できるようになる。
それは同時に、フリーレンにとっての旅の本質を理解することにつながる。
仲間との旅は彼女を人間へ向かわせるベクトルを内包していた。
人間の時間に踏み入ることで、永遠のような孤独な時間から彼女は解放されたのである。
おそらくそれは、魔王を倒したこと以上に価値のあることだったのではないか。

仲間との出会いによってもたらされたフリーレンの「現在」。
この「いま」を読み解くこと、それが旅パートを理解することなのではないか。

最後に一つ指摘しておきたいのだが、実に興味深いことに、
旅パートを構成する時間の内部に、魔法パートの時間軸を構成する契機が存在している。
・・・そう、フェルンである。フランメの後継者として、やがて人間の時代を到来させるだろう彼女は、
まさしく魔法史の「未来」を具現する存在なのである。
その意味で、はるか後のフェルンとの出会いにつながる、出発の契機としての花畑の魔法は、
作品全体のいわば「原点」であり、旅と魔法を"架橋"する結節点なのである。


以上から、この作品の本質的な構造性が確認できたと思う。

 序盤で示された時間、および死をめぐるテーマ性が縦糸であるとすれば、
 ここで導入される闘争ー平和のシェーマは、
 ストーリーを織り成していく横糸と言えるかも知れない。

序盤の段階で提示したこの仮説はもちろん不完全なものだったが、
着眼点と推論の方向性に関しては、概ね妥当だったと言ってよさそうである。

魔法パートが内包するフリーレンの過去、および魔法の系譜を横の時間軸とすると、
旅パートはこの軸に縦に交差する固有の時間性を有したフェーズであり、
その交差する一点が、ストーリー線上の「現在」なのである。

この「現在」の背後には、数千年にわたる魔法をめぐる闘争史が潜んでいるわけで、
本作をトータルに見るためには、この構造面を複眼的に捉えるアプローチが必要になる。
(あるいは私たち視聴者は暗黙裡にこの複眼的な観方を強いられていて、その結果、
この作品に漠然と「深さ」を感じ取っているのかも知れない…。)

そして、これはそのままこのヒロインの理解についても言えることなのだ。
魔法パートのフリーレンと旅パートのフリーレン。双方の時間が複層的に重なり合う中に、
彼女の生きた軌跡が紡がれ、内面が投影される。
前に試みたような尋常一様の心理的アプローチでは到達し得ない局面である。{/netabare}


Ⅲ 鏡像

{netabare}魔法パートに引き続いて、旅パートの読解を試みようと思う。が、
まずはかなり突飛な着想に即した解釈になっていることを最初にお断りしておく。
尋常のアプローチが行き詰って考えあぐねていたとき、ふと気づいたのが、
「対照(コントラスト)」と「対称(シンメトリー)」というシェーマだった。

Ⅱ章で述べたように、ゼーリエが「葬送のゼーリエ」となることによって、
フリーレンとの対比関係がこれまでの「対照性」から「対称性」に移行する。
表層の「対照」の奥に、より本質的な「対称」が潜む構造が認められるのである。

旅パートはまさしく、この構造に基いている。
過去と現在、フリーレンの二つの旅がパラレルに並行するストーリー。
しかも、同じルートを辿り直すという相似的な対称性をも示している。

この着眼から出発して、対称性を生み出すメカニズムについての推論を試みた。
まずは抽象的なシェーマを具象的なイメージに変換し、
イマジネーションの磁場を形成しつつ物語を主導する「力学」を読み解いてみる。


アニメ第2クールの一級魔法使い試験編。
一次試験を通過した受験者は、二次試験の舞台となった「零落の王墓」で、
自分たちの完璧な複製体に遭遇し、バトルを繰り広げる。
迷宮の最奥に潜み、複製体を創り出して侵入者を排除するこの魔物の名は
「水鏡の悪魔(シュピーゲル)」という。

・・・そう、「鏡」なのである。
鏡とはまさしく、光学的なメカニズムを用いて「対称性」を現出させる装置に他ならない。
「水鏡の悪魔」という魔物の名前から類推すれば、複製体の正体は「鏡像」である。
あたかも迷宮に潜む魔物のように、物語の深層に原型的な「鏡」のイメージが潜在し、
その作用によって「鏡像」が生み出される。それが本作の対称性の本質なのではないか?
自分にはそんな風に思えたのである。

とは言え、"物証"となるような「鏡」の実物は作中には見出されない。
だがむしろ、そのことが逆に事の本質を示唆していると自分は考える。
重要なのは本作の「鏡」が、象徴性をはらんだ"名辞"としてのみ現れることである。
言語学で言うところの「シニフィエ」ではなく「シニフィアン」としての機能であり、
テクスト論の概念を用いれば、要するにそれは「記号」なのだ。

深層のイメージとしての「鏡」は、対称性を生み出す記号的な機能を担いつつ、
物語空間の内部に固有のイメージの連鎖を形成してゆく。具体例としては、
第5話に登場する、親しい死者の生前の姿を模倣して幻惑する「幻影鬼」という魔物。
あるいはリーニエが用いた、過去に記憶した相手の魔力を真似るという「模倣する魔法」。
そして、これらに反復される「模倣・転写」のイメージは、より包括的な「本体―複製」、
すなわち「オリジナル―コピー」という関係式に還元できることに注意したい。

自分が試みたいのは、この着想を旅パートの解釈に応用してみるというものだ。
思い切って次のような仮説を提起してみよう。すなわち、
フリーレンの現在の旅は、かつての旅の「鏡像」であり、「複製体」である。
つまり「オリジナル」に対する「コピー」である、というもの。

二つの旅の目的地は同一であり、ほぼ同じルートを辿り直す旅である。
このシンプルな再現性に加えて、同行する旅仲間にもコピー的な要素がある。
かつてのパーティーの代替要員として、ハイターにはフェルン、
アイゼンにはシュタルクが、オリジナルの空席を埋めるかたちで充当されている。
(この点に関しては、すでにnyaroさんがレビューで指摘されている。)

ここで際立つのがヒンメルの「不在」である。
ヒンメルの「代替」だけが欠落しているという事実が意味するもの、それは、
ヒンメルという存在が代替不可能な、"絶対的な"オリジナルであるということだ。
その意味で、現在の旅は"不完全な"複製体と見なせるのである。

フリーレンの旅の意味とは、ヒンメルという"オリジナル"が失われたあと、
かつての仲間の"コピー"(フェルンとシュタルク)を通じて"オリジナル"へ遡ることである。
クール序盤のフェルンとの旅の情景はそのことをはっきりと示している。
二人の日常にかつての旅の回想が交錯し、そこに新たな気づきが生まれることで、
二人の距離が徐々に縮まり、心を通わせていくといったエピソード群には確かに、
「人間(=ヒンメル)を知る」というプロセスが表現されていたと思う。

「魂の眠る地」に赴いてヒンメルと再会するという旅の目的もまた、
この欠落を補完しようとする、物語の深層の力学に導かれていると言えるだろう。


上記の推論は、次の三点に要約できる。
1 この物語の深層には「鏡」のイメージが潜んでいる。
2 フリーレンの現在の旅は、ヒンメルという"オリジナル"を求める旅である。
3 したがってそれは、かつての旅の"不完全な"複製体である。

以上が旅パートの組成についての我流の理解になる。
ここを踏まえたとき、本作の回想シーンの機能はこんな風に説明できるだろう。
すなわちそれは、オリジナルに関する記憶の管理者であるフリーレンが、
コピーされた旅の中でその記憶を再現し、更新してゆくプロセスである、と。
そこにオリジナルへの渇望と、再会の願いを読み取ることができるのではないだろうか。{/netabare}


Ⅳ 死者との約束

{netabare}以前に何回か書いた事なのだが、自分がアニメ初回でいきなり躓いた話をまた蒸し返す。
物語の出発点となるヒンメルの葬送の場面でのフリーレンの反応が腑に落ちず、
ずっと拘ってきた"不審点"について、ここであらためて考えてみたい。

 「私、この人の事を何も知らない。」
 「なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…。」

このときの彼女の心情に同化することを妨げているのは、おそらく
「知る」ことにこだわる背景が欠落しているために今一つ実感が湧かず、
そこから「私はもっと人間を知ろうと思う」への脈絡にも飛躍が感じられるせいだ。
自分にはどうしても、この内面の描出には不備があるように思われてならなかった。

そもそも「人間を知る」という旅の「目的」がどうも皮相な気がして、
その奥に内面的な「動機」を考えてみたりもしたが、結局うまくいかなかった。
だから今回、その「目的」の背後にある本来の「目的」に気がついたことは、
個人的には "Eureka!"と叫びたくなるような発見だったのである。


第16話の「長寿友達」。フリーレンが旧友のフォル爺を訪ねる。
最初に彼と出会ったのはヒンメルたちとの旅の途中で、その折の情景が回想される。
その中で彼はこんな告白をしている。

 「わしは妻の愛した村を守っているだけだ。」
 「わしは遠い昔に交わした約束を果たしているに過ぎん。」
 「滑稽な話だろう。わしはずっと、死者との約束を守っている。」

フォル爺は数百年間村を守り続け、今ではその理由を知る村人はいない。
たまたま村に立ち寄ったヒンメル一行を相手に、心に保ち続ける想いを打ち明ける。
そんな彼に向けたヒンメルの言葉、

 「でもきっとその人は、
  あなたが約束を守ってくれていることをうれしく思っているはずだ。」

こうしたセリフは、勿論、そのままでも響くものなのだが、
キャラクターの内面にまで踏み込むには幾らかの操作が必要になってくる。
ここでは例のシェーマを応用して掘り下げてみたい。

このエピソードの主要人物の布置を整理すると、
人間と長命種との「対照」を具現する二組のペアが「対称」を示している構図である。
片やフォル爺夫婦、片やフリーレン・ヒンメルペア。 
つまりヒンメルはフォル爺の妻の心を代弁できるポジションにいるわけで、
実際、彼女の気持ちを言葉にしながら、同時にその言葉に重ねるかたちで
自らの心情を表明していると見ることができるのではないか。

次の展開から彼の心情を推測することができる。
ヒンメルの態度に感銘を受けたフォル爺は、勇者ヒンメルの記憶を自分が未来に連れていこう、
そう申し出る。それに対してヒンメルが応える、

 「僕たちの記憶は、彼女が未来に連れていってくれる。そうだろう?」

フリーレンの返事は、

 「別にいいけど…。」

このさりげないやり取りは軽く見過ごされそうだが、実は重要な意味を秘めている。
このとき、二人の間で「約束」が交わされているのである。

フォル爺夫婦のパターンが相似的に反復されていると捉えてみよう。
先立って逝く者が託した願いを、残された者が守り続けていく。
たとえ言葉で交わしたものでなかったとしても、
この両者の間には無言の「約束」が成立していると考えていいのではないか。
だからこの場面で、ヒンメルから託された未来をフリーレンが受諾したことによって、
彼女もまた、フォル爺と同じポジションに立ったのであり、
「死者との約束を守る者」という役割を担ったと考えられるのである。

フォル爺と言葉を交わすあいだ、ヒンメルの心の中にはおそらく、
自分が生を終えたあとの未来が思い描かれていて、
その中には自分という「死者」との約束を守るフリーレンの姿があったのだと思う。


旅の本来の「目的」に気づいたと言ったのは、この「約束」のことなのだ。
初回のシーンでのフリーレンの内面を、仮にこのように想像してみたい。

いま、生涯を終えて眠りについたヒンメルを前にして、彼女がもしも、
かつてヒンメルと交わしたこの「約束」のことを思い出したとしたら、どうだろうか。

ヒンメルが逝き、彼らの「記憶を未来に連れていく」べき時になって、
自分の中に残された記憶があまりにも乏しいことにまずは驚き
(「私、この人の事を何も知らない」)、
もはや知ることが叶わなくなったことへの悔恨がこみ上げる
(「なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…」)。
この心理プロセスから、彼女が流した涙の意味が迫真的に立ちあがってくる。

「私はもっと人間を知ろうと思う」。
この言葉もまた、同じ心理プロセスの延長上に置いて理解するべきだと考える。
今となっては最早、ヒンメルのことを直接知ることは叶わない。が、
それでもなお「死者との約束を守る者」であるためには、たとえ間接的にでも、
「人間」というもの全般への理解をとおして、今からでも彼のことを知りたいと願う、
切実な心の衝迫がこめられているのだと思う。
ヒンメルの死をきっかけに人間への関心が目覚めた、といった理解でも問題はないが、
個人的には月並過ぎて面白くないのである。

彼女の旅の本当の「目的」は、ヒンメルと交わした「約束」を果たすこと、
すなわちヒンメルたちの記憶を未来に連れていくことだったと自分は考えたい。
それは、前章で提示した「ヒンメルという"オリジナル"を求める旅」という文脈に即して
物語を読み替えることであり、そこにもう一つのフェーズが浮かび上がってくる。
フリーレンとヒンメル、この二人を主人公とした、いわば「約束の物語」とでも呼べるものが。

あるいはこんな穿った見方も可能だろう。
本作の旅パート、いや、この作品そのものがメタレベルの「約束の物語」である、と。
回想シーンはヒンメルたちの記憶を「今・ここ」に甦らせ、伝えてゆく回路になっている。
そこに、記憶を未来に連れていくというヒンメルとの約束が実現しているわけである。 
そして、そこには私たち視聴者も立ち会っているのだ。


以上の推論は、コアモチーフである「死者との約束」を介して、
テーマがストーリーに「肉化(incarnation)」される局面を捉える試みだったのだが、
さらに、本作における「記憶」が内包している固有の意味を直接、問題にしてみたい。
そこには「記憶」と「実在」をめぐる独自の思想が含まれているように思えるのだ。

この"思想"は一つのエピソードに端的に集約されている。
第2話、フェルンとハイターとの出会いの場面である。

戦禍によって両親を失った幼いフェルンが、後を追おうと崖の突端に立ちつくしている。
ハイターは無理に制止するでもなく、ただ淡々と亡き友ヒンメルへの想いを語る。
彼から学んだ勇気や意志や友情も、大切な思い出も、すべてが自分の死によって
この世から消え去ってしまう。それが惜しい。・・・などと彼女に説いて聞かせる。

 「あなたの中にも大切な思い出があるとすれば、
  死ぬのはもったいないと思います。」

ハイターの言葉を意訳してみるとこんな感じになるだろうか。
・・・もしも自分が生き続ければ、大切な死者の記憶を未来に連れていくことができる。
そうすることで死者は、親しい生者の内部で第二の生を生きられるのではないか。・・・
つまりそれは「記憶」が「実在」となるという意味ではないだろうか。

 「お伽話じゃない。僕たちはたしかに実在したんだ。」

第7話のヒンメルの言葉はこの思想をはっきりと表明するものだ。
ここに揺るぎない確信として宣言されているのは、
記憶が歳月による風化に抗い、忘却に打ち克って生き続けるものだということ。
そしておそらくは、フリーレンと交わしたあの「約束」のこと。

思うに、死者を「忘れない」ということは、
そのことがすでに彼らとの「約束」を果していることになるのではないだろうか。
「記憶」とは一人の人間が実在した証しであるとともに、
彼らと残された者たちとをつなぐ、決して失われることのない回路なのではないか?

本作の「葬送」の意味は一義的には捉えられない複雑さを帯びているものの、
「死者との約束」に収斂させる理解は少なくとも、核心に近いものだと思える。
先立って逝く者と、あとに残る者とが相互に抱く、絶えることのない愛情と信頼。
そうした人間的な感情の精髄を含意した、一つの「思想」がそこに認めらるのではないか。{/netabare}


Ⅴ 旅と魔法

{netabare}本作は「旅」と「魔法」、二つのパートから成り立っていると自分は考える。
本稿が前提としているこの分割が妥当か否かは、各位に判断していただく他ないが、
この機会に頭の中を整理して揉みほぐすという意味も兼ねて、
これまでの推論を概観しつつ、少しばかり補足説明を付け加えていきたい。


初回の投稿から、すでに自分の関心はテーマの所在に向かっていた(Ⅰ章参照)。
その中で試みたイメージの読み解きから、テーマ(らしきもの)が浮かび上がり、
最終的には物語のクライマックスにおいて回収されていることが確認できた(Ⅱ章参照)。
こうして確定したテーマをめぐる一連のストーリーの流れを一つの総体と見なし、
それを魔法パートと称しているわけである。

旅パートに関しては、本作が旅アニメだという事実だけでも充分だろう。
ただし、本作独特のテイストを言語化するには、かなり複雑な操作が必要になってくる。
自分の試みは、魔法パートの読解で抽出したシェーマをイメージに変換し(Ⅲ章参照)、
それを用いて旅パートの深層部分を読み解こうというものだが、上記のとおり、
本格的な作業を始める地点で立ち止まってしまっている現状である。


・・・とは言え、こんな説明よりもっと端的でわかりやすい証明方法が実はある。
二つのパートが交代する、明らかなフェーズの転換点が具体的に指摘できるのだ。
言うまでもなく、第7話Bパートのことである。

グラナト伯爵領の街に到着したフリーレンは不意に魔族の一団と遭遇する。
咄嗟に杖を構え、彼らを攻撃しようとするが、捕えられ投獄されてしまう。
牢屋を訪れたフェルンたちにフリーレンは、かつての旅で経験した事件を物語る。
魔族の少女が引き起こした惨劇を描くそのエピソードをとおして、
はじめて開示される魔族という存在の本性は極めておぞましく、戦慄すべきものだ。

この回想がアウラ編の導入となり、魔法パートが開始される。
坦々と続いていく旅の中で、心に沁みるエピソードの数々が紡がれてきた、
これまでの穏やかなトーンが唐突に一変し、不穏な空気が漂いはじめる。
この極端な落差には自分のみならず、大多数の視聴者が衝撃を受けたはずだ。
まさしくここが、旅パートから魔法パートへの転換点なのである。

注目したいのは、この転換の起点に回想シーンが置かれていることである。
魔族というもののおぞましさを強烈に印象づけるこのエピソードが呼び水となり、
フリーレンが魔族に抱く憎悪の根源、そしてフランメとの出会いと死別にいたる、
このヒロインのいわば「前史」が語られていくのである。
こうした、物語における回想の機能に着目することによって、
魔法パートと旅パートの相異が明確になり、それぞれの本質が説明しやすくなるのである。


ここで、Ⅲ章の元レビューの中でちょっとだけ言及した
「通時性/共時性」という一対の用語をあらためて持ち出してみたい。
元々はソシュール言語学の基礎概念だが、今では一般にも用いられている。
詳しい説明は煩雑になるので、できれば検索をお願いしたい。

この対概念を、試しに双方に当てはめてみよう。

魔法パートは、歴史的なオーダーに沿って継起する出来事を"物語る"。
つまり「通時的」なのであり、回想シーンは物語の原点および背景を提示するもの、
いわばストーリーの「現在」を説明するために時間を"巻き戻す"ものだ。
そのようにしてフリーレンも含めた人間と魔族との闘争の歴史、
さらには魔法の進化や人間との関係なども絡めた歴史的な「物語」が展開される。

一方の旅パートは、構造そのものがすでに「共時的」と言っていいだろう。
フリーレンの過去の旅と現在の旅が重なり合い、さまざまなドラマを織り成してゆく。
そこでは現在と過去は、一本の時間軸の上で前後する因果関係としてではなく、
それぞれが固有の実質をもった時間として独立し、同時的に並存している。
また、どちらも日常系の、あの反復される無時間的な「現在」を基調としていることで、
旅の時間の流れに伴う変化や進展を、一層ゆるやかに感じさせる相乗効果を生む。
他作品にはない本作の不思議なリアリティーは、ここに起因しているようにも思われる。

そして旅パートの回想シーンは、それら二つの時間を交錯させる「装置」となっている。
そこに成立する「共時的な現在」こそがフリーレンの「今」であり、
このヒロインの内面のリアリティーもまた、ここに求められるのではないだろうか。{/netabare}


Ⅵ 鏡蓮華

{netabare}繰り返しになるが、最初の投稿(Ⅰ章)以来、本稿が前提としているのは、
このアニメの演出が制作者の原作理解をかなり濃厚に反映しているということである。
「鏡蓮華」のエピソードを読み解くにあたり、今回もこの同じアプローチで
まずは構成および演出から、作り手の「解釈」を考えていきたいと思う。

既読の方々はもうご承知の通り、このアニメ第14話は
原作コミックの第29話「理想の大人」と第30話「鏡蓮華」の二話を、
「鏡蓮華」のモチーフを軸にした一つのストーリーに編成したものである。
クライマックスの指輪のシーンの場所が原作では特定されていないことから、
同じ街の出来事に統一するために、アニメでは冒頭に短いパッセージを追加している。
このイントロ部分にまずは着目したい。


街に到着したフリーレン一行が賑わう街路を歩いている。 
ふと、何かが気になった様子のフリーレン。
直後、いきなり場面が転換し、かつての仲間たちが同じ街路を歩いている。
ヒンメルが話しかけ、あとで買物に行こうと誘う。
また現実に戻り、立ち止まって上方に視線を向けているが、
シュタルクに促されてその場を後にする。
彼女がフレームアウトすると、視線の先にあった街の時計塔が画面に残される。
・・・・・・・・・

フリーレンが時計塔を見て何かを思い出そうとする、この前振りによって
「かつて訪れた街を再訪するフリーレン」という設定がまずは提示され、
次いでこのときの回想が最終的にクライマックスの指輪のシーンに繋がることで、
全編が「鏡蓮華」をめぐる「ある思い出の物語」となる仕掛けである。

こうした、飽くまでも原作に準拠しつつ、巧みに創意が発揮された局面が
本作には至る所に認められる。こちらもついそれに触発されて、この構成の意図を
本稿の読み筋に即して深読みしてみたい衝動に駆られてしまうのだ。

まず、このオリジナルのシーンからは、いつもとはかなり異なった印象を受ける。
基本的に本作の回想シーンは、ふとした折にかつての旅の情景が現われ、
それがごく自然に、現在の旅の日常に溶け込んでいることで、
過去と現在とが混然となった、独特の空気感が醸し出されるのだが、
そうした通常のパターンに比べ、このイントロが例外的である点を二つ指摘すると、
①記憶がまさに甦ろうとするその瞬間の様子が描写されていること。
②新旧二つの旅の、同一の地点を通過していく場面が連続して描かれること。
・・・これらの表現意図について、以下のように解釈してみた。


前の投稿(Ⅴ章)で、旅パートの本質を「共時性」という視点で捉えてみたが、
この「共時性」は、実はフリーレンの"存在"そのものに帰すことができる。
過去と現在との二つの旅は、フリーレンの「内面」で並行しているのであって、
言い換えれば物語の表層の奥で、フリーレンはもう一つの旅を続けているのである。
それはストーリーの表層の時間と表裏して流れるもう一つの時間であり、
フリーレンの心が辿りつづける「内面の旅」とも呼べるものだ。

また、こんなことも書いている、
「旅パートの回想シーンは、それら二つの時間を交錯させる「装置」となっている。
そこに成立する「共時的な現在」こそがフリーレンの「今」であり、
このヒロインの内面のリアリティーもまた、ここに求められるのではないだろうか。」
つまり、並行する二つの旅が重なるところにフリーレンの「今」がある。
この「今」に表出される心理こそが、旅パートの本体だと自分は考えている。

要するに、このイントロの回想シーンはその「今」を描出するもので、そこには
回想が物語の中で果たす機能の本質を、可視化しようとする意図が読み取れるのではないか?
・・・かなりな深読みだが、自分はそう理解したい。

そもそもこの導入部には、構成のために追加されたという以上の意味が感じられる。
上記の解釈を踏まえての推測になるが、おそらく作り手(監督)はこのエピソードを
彼女の「内面の旅」の経過の中に位置づけようとしているのではないだろうか?
ヒンメルから指輪を贈られたその瞬間の光景は、二人の外に知る者はいない。
つまりこのエピソードの本質が、フリーレンの心の奥深くに秘められた、
"内なる"ストーリーであるという事実を、このユニークな回想シーンは示唆している、
そんな風に思えるのである。


さて、原作二話を一話に統合したもう一つの理由として考えられるのは、
それらが共通したテーマによって連続しているということだ。

まずAパート。フェルンとシュタルクの(痴話)喧嘩をめぐり、
ザインがフェルンに仲直りのアドバイスをする。その最後に付け加えた言葉は、
「想いってのは言葉にしないと伝わらないんだぜ」というもの。
この、「言葉で想いを伝えること」をAパートのテーマとしたとき、
それに対するBパートのメインモチーフである鏡蓮華の「花言葉」とは、
「(直接)言葉によらずに想いを伝える」よすがだと言える。つまり両者は
「想いを伝える」ための手段の、直接性と間接性という点で対照的なのである。

さらに、最後に双方の「想いが伝わる」結末になることも共通しているが、
二人の若者の場合と、フリーレンたちの場合との対比は痛ましいほどに鮮明なのだ。
一方には、素直に互いの気持ちを伝え合う、初々しい青春の"いま"が描かれる。
そして一方には数十年の歳月と、片方の死という決定的な断絶に隔てられながらも、
偶然の出来事に助けられて、はじめて伝わる想いがある。

このコントラストに着目することで、感動はより深いものになるだろう。
作り手もこの理解を踏まえ、「鏡蓮華」を一編のストーリーに構成したように思える。
何よりも、花言葉というものの奥ゆかしい間接性が、彼らの寡黙なロマンスには
この上もなく似つかわしく、それがまたこのエピソードを忘れがたいものにしている。


自分はこの第14話を、旅パートの心臓部だと考えている。
「想いを伝えること」、これは旅パート全体を貫く包括的なテーマと言えるもので、
本話はこのメインテーマを分有し、縮図のように展開するものだからである。

物語の序盤を振り返ってみると、"魂の眠る地"、オレオールを目指す旅のはじまりは
ヒンメルの死後、当てのない旅を続けていたフリーレンに対するアイゼンの促しだった。

 三十年前のあの日、お前はヒンメルを知っておけば、と口にした。
 あの言葉はヒンメルに直接伝えてやるべきものだ。
 ・・・・・・・・・
 フリーレン、オレオールを探してヒンメルと話すんだ。

こうして彼女を、ヒンメルに「想いを伝える」ための旅に向かわせたのだが、
それはフリーレンの心の奥底にある願望を具体化する、そのきっかけを与えるものだった。
なぜなら、フリーレンの「内面の旅」とは「ヒンメルへの旅」に他ならないからだ。
このことについては、本稿の最終章であらためて詳述する予定なので、
ここでは本稿の読み筋に即したこのエピソードの"意味"を、あらためて確認しておきたい。

前に自分は、フリーレンの旅の目的として掲げられた「人間を知ること」とは、
正確には「ヒンメルを知ること」を意味する、と書いた(Ⅳ章)。
その意味で「鏡蓮華」のストーリーは、彼女が願ったものの"成就"だと言えるのである。
この出来事をとおしてフリーレンは何よりも貴重なことを知ることができた。
ヒンメルの自分に対する想い、である。あるいはその想いを知ったとき、
自分がヒンメルに抱いていた想いもまた、はっきりと知ることができたのではなかろうか。
取り戻した指輪を眺めるフリーレンの満ち足りた表情には、
その喜びが自然に溢れ出ているような気がする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後に一つ、作中の小さなカットに触れておきたい。
本話の冒頭で舞台となる街の全景が映されるが、アニメではラスト近くでもう一度、
ヒンメルとのエピソードの結びに、同じカットが付け加えられている。
夕日に染まる街の遠景。鳴り響く鐘は直前のシーンの二人を祝福するかのようだ。
そこにはまた、旅の始まりのヒンメルへの弔鐘が、かすかに反響しているのかも知れない。
自分にはこれが、フリーレンの「内面の旅」の風景のように思えたのである。{/netabare}{/netabare}


2025. 1. 29

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

(最終)ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華

【レビューNo.114】((最終レビュー)初回登録:2024/3/23)
コミック原作で2023年作品。全28話。
元々娘がコミックを買っていたので原作既読です。コミックは「マンガ大賞
2021」を受賞するなど前評判も高く、後はいつアニメ化されるかって話でした
がついにきましたね。

(ストーリー)
勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンら勇者パー
ティー4人は、10年間もの旅路の果てに魔王を倒して王都に凱旋する。
ヒンメルら人間にとっては10年は感慨深いものがあったが、1000年は軽く生き
る長命種のエルフであるフリーレンにとっては、ほんのひとときであった。
あれから50年、流星群を観るために4人は再会を果たすが、見た目は全く変わら
ないフリーレンに対し、ヒンメルら人間は随分と年を取っていた。
(ドワーフのアイゼンはそれほどでもなかったが)
そして間もなくヒンメルが天寿を全うする。
彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしな
かったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知
るためと魔法収集のために旅に出る。
それから更に20年後、フリーレンは老い先短いハイターを訪ねる。ハイターは
戦災孤児のフェルンを引き取って育てていた。ハイターはフェルンのことを弟
子にするようフリーレンに依頼するのだが・・・
これは人間を知るために、人間と交わり旅をする彼女と新たな仲間達の物語。

(評 価)
・第1-4話:フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
 {netabare}・マッドハウスの本気度を感じさせる精力的な動き
  ・金曜ロードショーで2時間(4話分)を一挙放送
   昔から第1話1時間拡大ってのはありましたが、「推しの子」の90分を凌
   ぐ2時間拡大スペシャルで勝負にきました。しかもまだ他作品が出そろっ
   ていない9月中にぶっ込んでくるなど、かなり精力的な動きが見られます。
  ・連続2クールまで明言
   コロナ以降分割2クールの作品が格段に増えましたが、一気に連続2クー
   ルで放送することも明言!
   初回の作画もかなり力が入っていましたが、これを最後まで維持できる
   力があるのか、視聴者としては嬉しい限りですが、逆にちょっと心配な
   部分もあります。
   とはいえ、賽は投げられました。後はマッドハウス頑張れと。
  ・OPに「YOASOBI」
   OPは「勇者/YOASOBI」と、いやーこの辺も抜かりないですなw

 ・フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
  正直本作は「面白可笑しくテンポよく」という作品ではないので、その辺
  りどうなのかと心配でしたが、本当に原作のもつ「緩やかな空気」や「間」
  といったものをしっかり意識して作っているなという、作品の理解度の高
  さに驚きました。4話分の放送で(コミック1巻+2巻1話の)全8話分を完
  全再現したんじゃないですかね。
  それゆえに初見の方には「テンポが悪い」と映る方もおられそう。
  でもそういう作品じゃないんだよなあ。

 ・何気ないセリフや会話が心に響く
  勇者パーティーにいた頃のフリーレンは(どうせ彼女にとってはひととき
  の出来事に過ぎないとして)他人には無関心でしたが、今振り返るとあの
  時の何気ない言葉たちにいろいろな思いが込められていたことに気付かさ
  れます。
  {netabare}また2話の「ヒンメル像のために蒼月草を見つける」エピソードでは、
  フリーレン「もう少し探したら切り上げるよ。」
  フェルン「もう少しって何年ですか?」
  という2人の時間に対する感覚の違いも巧み表現されるなど、こういう細か
  いセリフ回しとかも実にいい。
  (この花を見つけるエピソード自体も素晴らしい){/netabare}
  そしてアイゼンとの会話
  {netabare}「お前は人の時間を気にするような奴じゃなかった。」
  という下りも、人と交わり他人を気遣うようになったフリーレンを上手く
  表現しており、こういうところも巧みだなっと。{/netabare}

 ・戦闘シーンも丁度よかった
  {netabare}異世界の魔法使いの話ながらも戦闘が話のメインじゃないんですよね。そう
  いう意味でも3話の初めての魔族との戦闘シーンも派手過ぎず、地味過ぎず
  作品の世界観にマッチした、程よいバランスで描かれていたと思います。
  {netabare}(ここでもこの魔族が封印されていた間に80年が経過、その間にこの魔族の
   強力な攻撃魔法を研究し、新たな防御魔法を開発(魔族の「たった80年か」
   に対し、人間の営みを舐めるな!的な)人間と魔族の時間感覚の違いを上
   手く表現している。){/netabare}{/netabare}

 初回2時間スペシャルでしたがそれほど長さも感じさせず、それでいて原作の
 もつ空気感も壊すことなく、上々の滑り出しだったと思います。作画もよかっ
 たですし。懸案事項とすれば、
 ・上述の通り、連続2クールなので作画がこのレベルを維持できるのか。
  (それに落とさず放送できるのか)
 ・(気が早いですが)原作未完なので、どうしてもラストが・・・
  それに2クールなので、原作の大半を消費しそうで、2期があっても数年後に
  になりそう。
 という感じでしょうか。
 まずは制作陣の素晴らしい仕事ぶりに拍手喝采というところですね。{/netabare}

・第5-8話:他の異世界モノと一線を画す練られた世界観 →アニメはアニメで面白い
 {netabare}>フリーレンの世界観がしっかり再現された製作陣の仕事ぶりに◎
 5話では逆に
 「忠実さを意識しすぎて窮屈になっていないか?!」
 という不安もあったのですが、以降はエンジンがかかってきて
 「アニメとしての面白さがきちんと表現されている」
 という印象ですね。

 ・会話劇がちゃんと面白い
  「人間を知る」というのがフリーレンのテーマになっていて、そうなると
  必然的に会話劇がキモとなるわけですが、
  ・原作のセリフの秀逸さを活かしつつ
  ・種﨑敦美さんの名演
  ・それを支える他のキャラとのキャッチボールの上手さ(共演者も◎)
  ・その他アニメ的な細やかな演出
  等でちゃんとアニメとしての面白さが確立してるなと。

 ・他の異世界モノと一線を画す練られた世界観 →時間経過の描写が秀逸
  8話がかなりよかったと思うのですが、
  ・フリーレン VS ドラート
   「今の魔族はダメだね。実戦経験が少なすぎる」
   ・フリーレンの経験の豊富さは普通の作品でも思いつくところで
   ・上述のセリフも、普通なら「まだまだ青いな」位のセリフで済ませそう
    なところですが、これまでの作品の流れからフリーレンというキャラが
    しっかり確立してるから、いかにもフリーレンらしい言い回しがピタリ
    とハマり
   ・同時にこのセリフが、魔族側にも大きな時間が流れ、しかも人間界と同
    じような問題を抱えているという世界観を的確に表現してるという。
  ・リュグナー VS フェルン・シュタルク
   ・「我々魔族は永い寿命の中で一つの魔法の研究に捧げる」
    普通の作品なら魔族は「生まれながらのチート」で済ますところを、魔
    族側も日々研鑽してるという世界観を提示し
    (その集大成ひとつがクヴァールの魔法「ゾルトラーク」だと)
   ・しかし3話で既にその「ゾルトラーク」は一般魔法レベルに陳腐化してお
    り(人間は防御魔法を開発)、フリーレンはそれを対魔族用の「ゾルト
    ラーク」に改良、今回は更に弟子のフェルンに伝授できるレベルにまで
    解析が進んでいるという時間経過を表現。
    その様をアニメならではの戦闘描写でしっかり面白く魅せるという。
   
  このような感じで、魔族という種族も案外人間臭いんだなという独自の世界
  観を提示しながら、フリーレンの長寿命を単なるヒンメルたちとの死別だけ
  で終わらせるのはなく、魔族の未熟さや魔法の進化といった人間界・魔族界
  それぞれの時間経過という作品全体できちんと昇華されている描写が秀逸。

 そしてリュグナーは思い出す。
 → 歴史上もっとも魔族を葬り去った魔法使い――「葬送のフリーレン」       
 タイトルにはもうひとつの意味が込めらていたと!!
 それをアニメとして最高の演出で印象付けるという・・・
 製作陣の原作の理解度の高さおよびそれをアニメとしていかに面白く魅せるかと
 いう次元までしっかり落とし込まれているなっと。
 「鬼滅」や「呪術」に比べ「戦闘シーンは劣るのかな」という懸念はあったので
 すが、同じ土俵では戦わず
 「『葬送のフリーレン』という作品全体像の中でどう魅せていくか」
 という姿勢は賞賛モノですね。
 原作既読でも「アニメはアニメとして面白い」と感じられる仕事ぶりかなっと。

(追 記)
6話でのフェルンのセリフ
「ちっさ」
の反響がかなり大きいらしいですねwww
・シュタルクで検索すると「シュタルク ちっさ」が候補に挙がる
・育ての親ハイターの「巨●ン」説が浮上
・LINE公式スタンプが発売されるetc{/netabare}

・第9話:あの淡泊な原作での戦闘シーンが・・・アニメはこの水準でやってくれるのか!!
 {netabare}>「鬼滅」や「呪術」に比べ「戦闘シーンは劣るのかな」という懸念はあったので
 >すが、同じ土俵では戦わず
 >「『葬送のフリーレン』という作品全体像の中でどう魅せていくか」
 >という姿勢は賞賛モノですね。

 前回こう書きましたが、すいません前言撤回します!!
 ・リュグナー VS フェルンの魔法戦闘
 ・リーニエ VS シュタルクの近接戦闘
 これ、どっちも「鬼滅」や「呪術」に負けてないでしょ!!
 正直原作の戦闘シーンは淡泊な感じなので(それをウリにしていない)あまり
 期待していなかったのですが、これは度肝を抜かれました。
 この制作陣有能すぎるwww
 こんなに動くとか完全に想定外ですわ。
 ・師匠フリーレン →弟子フェルン
 ・師匠アイゼン →弟子シュタルク
 回想シーンを挟み、その教えをよりどころに強大な魔族に立ち向かう弟子たち
 の激アツ展開もいい。
 それに構成も
 ・Aパートにフリ―レン VS 断頭台のアウラの前哨戦でウオーミングアップ
 ・Bパートで上述全開バトルをぶち込み、時間キッチリに両方とも決着とかw
 「鬼滅」や「呪術」が無駄に戦闘シーンが冗長化してきて、食傷気味になって
 きてるのをみると余計その辺が際立つというか・・・
 最後の決めシーンも8話で魅せたフリーレンが月をバックに夜空に浮ぶ構図を
 今度は弟子のフェルンで再現してみせるとか、ホントいい仕事してますわw

 完全にこの制作陣の作画力を侮ってました。すいません__|\○_
 このシーンだけでもアニメ化の意義が十分あったといえる神回だったかなと。{/netabare} 

・第10-12話:ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華
 {netabare}・断頭台のアウラ編
  ・魔族
   ・人間の言葉を操り人間を欺く
   ・魔族は組織を統率するために強さ(魔力量)にて格付けが決まる
    → 魔力の放出を制限するという概念が存在しない
  ・フリーレン
   ・(そこを逆手に取り)魔力の放出を制限して魔族を欺く
  魔法使いにおいては、ある意味魔法を愚弄する卑怯な手段だが、フリーレン
  は「一生を掛けて魔族を欺く」という覚悟を持って挑んでいる。
  「力を隠してのビックリ展開」自体はバトルモノではあるある設定ですが、
  それを細やかな設定や描写で、ひとつのドラマとしてストーリーに落とし込
  んでいる創りは本当に見事。

 ・他のエルフ(クラフト)との出会い
  ・長寿命のエルフゆえに、自分の成してきた正義や偉業を知る者はどんどん
   死んでいく。
  ・だからクラフトは女神を信仰して、死んだら女神に褒めてもらうのだと。
   → 女神を信仰しないフリーレンは、俺が代わり褒めてやる。
  ・回想でハイターにすでに褒められていたことに気付き、遠慮しておくよと。
   → いい友人をもったな
  「長寿命のエルフゆえの寂しさ」というアイデアから
  ・「褒めてやる」という些細なエピソードを細やかに創作し
  ・最後はきちんを勇者パーティーに回帰させ、すでにそんな優しさを受け取っ
   ていたことに改めて気づかされる。
  これも「人を知る」という本作のテーマに沿って、きっちり創り込まれている
  なっと。

 ・剣の里
  ・英雄譚では、ヒンメルがこの地で守られていた「勇者の剣」を見事に引き抜
   き、それを振るい魔王を討伐したとなっているが
  ・実際はヒンメルは「勇者の剣」を引き抜くことが出来なかった。
   それでもヒンメルは魔王を打ち倒し「真の勇者」となった。
   (「真の勇者」が実は「勇者の剣」を引き抜けなかったでは恰好がつかない
    から、そういう英雄譚になった模様w)
  これも「勇者の剣」のネタを逆張り的に創った感がありますが、ここまでのヒ
  ンメルの描写がしっかり出来ているから、
  「あのヒンメルらしいエピソードだな」
  って納得せられてしまうんですよ。物語の全体像がしっかり創り込まれている
  から違和感なく、むしろヒンメルというキャラに積み重ねが生まれるという。

 面白いアイデアや一見いいシーンだな思う作品はあるのですが
 ・アイデアを出したことに満足して、そこで終わってしまっている。
 ・全体像がしっかり練られてないから、いいシーンも「点」にしかならず、むし
  ろ全体像との整合性から違和感すら覚えてしまう。
 というケースが結構多いんですよね。その点本作は
 ・全体像をしっかり練り込んだ上で
 ・ひとつのアイデアをもう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華
 というところがきちんとできているなっと。
 私がレビューでよく使う言葉で
 「きちんと汗をかいている」
 というやつで、だからこそ(「暗殺教室」のレビューでも書きましたが)
 >そこに私たちも心動かされ、 
 >「やっぱりプロのクリエイターは、私たち素人と違って凄い仕事をしてるんだなあ」
 >という制作陣や作品に対するリスペクトが生まれるんだと思うのですよ。
 本作もそれに準ずる作品かなと。
 (逆にその辺をサボり、即効性のある「見映えだけ重視」のシーンに頼り「ドヤ、感動
  的な作品やろ」みたいなのが鼻につく作品には、つい辛口なレビューを書いてしまう
  んだよなw){/netabare}

・第13-14話:新キャラ・僧侶ザインも上手く大局に織り込んでいる
 {netabare}「断頭台のアウラ編」以降地味な展開が続いていますが、あの戦闘シーン
 はある意味「制作陣からの特別ボーナス」って感じで、「人間を知る」と
 いうフリーレンの旅の目的からすると、本来の姿に戻ったって感じですね。

 ・13話からは新キャラ・僧侶ザインが登場。
  「戦士ゴリラ」という冒険に出たまま音信不通となった親友を探すため、
  (兄の親心もあり)暫し同行することになります。
   「酒・たばこ・ギャンブル・女好き」のちょいワルおやじ系ですが
   ・フェルン、シュタルクがまだ「未成熟な子供」なところがあり(で、
    フリーレンは人の心が分からないw)、その関係がギクシャクした
    ところを「大人」としてサポート。
   ・「ハイターとも面識がある」
    こういうフックを持たせることで、フリーレンの回想にスムーズに
    繋げていく一端を担う。
   という感じで、単に目新しさだけでなくしっかり大局に織り込まれて
   いる点はさすがだなっと。

 ・14話も「鏡蓮華の花言葉 → 『久遠の愛』」というアイデアを
  (アクセサリーの装飾モチーフにして)
  ・「フェルン×シュタルク」の誕生日プレゼントという単体のエピソー
   ドだけで終わらせるのではなく
  ・「フリーレン×ヒンメル」の回想 → 指輪のプレゼント
   それまでその指輪に執着がなかったフリーレンが、(アクシデントで)
   扮失した指輪を必死に探すという「人間を知る」というテーマにまで
   落とし込む。
  1話の尺をフルに活用してしっかり創ってきてるなっと。
  それがより際立つように演出なんかも工夫されていて、ちゃんと「アニ
  メとして面白く魅せる」という仕事ぶりでしたし。

 原作既読ながらもその時は見落していた事項を、改めてアニメで観て、こ
 うやってレビューのために言語化してみると、結構新たな発見があるもの
 だなあっとw{/netabare}

・第15-17話:後半「一級魔法使い試験編」に向けての前半の総仕上げ
 {netabare}2クール目に入り、OPが変わったりといよいよ新章に突入かを思わせます
 が、「一級魔法使い試験編」は来週からということで、今回は前半戦の総仕
 上げ。
 
 ・シュタルク回
  オルデン卿の戦死した長男の替え玉を引き受けることになったシュタルク。
  ・オルデン卿のシュタルクや彼を通しての長男への想い
  ・オルデン卿の次男に、優れた兄を持った自分を重ねるシュタルクの想い
  そういったシュタルクを中心にした人物の掘り下げに加え、
  ・社交界でのシュタルク×フェルンの社交ダンスシーン
  アニメ化の意義をしっかり見せつける華やかな作画・演出も良き(^^♪
  
 ・僧侶ザインとの別れ
  元々親友「戦士ゴリラ」を探すために旅立ったザインですので、彼の消息
  の手掛かりを掴んだ彼とはここでお別れです。
  物語的にも「一級魔法使い試験編」までの繋ぎの短編が続く展開の中に、
  新キャラとしてザインを登場させ、彼にしかできない役割を演じさせてい
  たのは上手い構成だったと思います。
  エピソード的にも
  ・親友が「戦士ゴリラ」を名乗り出した理由
   どんな英雄も名前をいつか忘れられてしまう。
   → 忘れられないよう名前のインパクトは大事!
    (ザインは「勇者あごひげ」と命名されたw)
   それが頑固婆さんを介して、ひとつの物語として回収されるという・・・
  ・大人のザインらしい最後の仕事
   フリーレンが苦手とするフェルンとシュタルクの喧嘩の仲裁。
   → そして名言
     「もう付き合っちゃえよ!!」
   へと続くというwww

 ・ヒンメル曰く「僕たちの記憶はフリーレンが未来につれていってくれる」
  ・長寿友達・フォル爺とのやりとりでの一節。
   エルフの長寿命を出オチで終わらせずしっかり活かしてきますねー。
   この辺も死んで名前しか残らない人間、
   ・ヒンメルのように(フルーレンが寂しがらないよう)銅像を残したり
   ・前述「名前のインパクト」勇者ゴリラのエピソード
   と見事にリンクさせ、長寿フリーレンとの対比も綺麗に描写しているな
   っと。
   冒頭のヒンメルのセリフですが、勇者パーティーにいた頃のフリーレン
   には、本当の意味は分からなかったのだろうなと。でも今だから理解で
   きることがある。こういう魅せ方がホント上手いですね。
  ・最後にフェルンが病気になって、フリーレンが手を握るというひとつの
   アイデアから 
   ・実はそれはヒンメル譲りの行為。
    → 前述「僕たちの記憶はフリーレンが未来につれていってくれる」
      がきちんと受け継がれていることを印象付け
   ・でもフェルンは「子供扱いしないで」と拒絶してしまう。
    そしてシュタルクのフォロー。
    → 年頃の娘が若い男の前で子供扱いされるのが恥ずかしかったとい
      う複雑な乙女心を描写し、「人間を知る」という本作のテーマに
      深みを与えている。
   ホントひとつをアイデアをしっかり膨らませているなっと。
   
来週からは「一級魔法使い試験編」が始まりますが、ここまでは(いい意味で
予想外だった)ド肝を抜く戦闘シーンを始め、味わい深い「人間を知る」ハー
トフルなエピソード等、原作のよさを再認識するともに
「アニメはアニメとしてちゃんと面白い」
と思える制作陣の仕事ぶりだったのかなっと。
後半戦も「アニメとして面白い作品」に仕上げにしてもらえればと思います。{/netabare}

・第18-22話:長期連載を明確に意識した流れなのかな
 {netabare}「一級魔法使い試験編」の一次試験を描いていました。
 一部では
 ・「フリーレン」には「バトル展開」は似合わない
 という意見もあるようですが、まあこれだけ原作に人気がでてくるとねえ。
 長期連載を意識すると、いろいろな可能性を模索していく必要があるわけで
 ・今後も使える新キャラを育てていきたい
 ・魔法使いを魅力的にみせるには?
  → 魔法使い同士のバトル展開
 という流れは、ベタながらも一番堅実で王道な展開なのかなっと。
 
 例えば「暗殺教室」のように「中学卒業までの1年間」という明確な終わり
 が定められていれば、そこから逆算してタイムスケジュールに落とし込み
 つつ「一つの色に染め上げていく」というのは可能でしょうが、結局原作
 者も(ラストのイメージは決まっているかのもしれないが)、そこに至る
 までの道は「編集者と手探り」という感じで進めていってる状態だと思う
 ので、どうしても「玉虫色」的になっていくのは避けられないでしょうね。

 それで作品が迷走しだしたら大問題ですが、個人的には
 ・新キャラも魅力的に描かれていた
 ・バトル展開の中にも原作者のこだわりが垣間見れ、世界観は担保されて
  いた
 ということで、よかったのではないかと。
 ただ原作だとバトルシーンが多くなると、漫画に迫力が足りてないのでど
 うしてもトーンダウンしたように感じてしまう部分はあるんですよね。
 しかしアニメでは
 ・原作者の意図は理解しつつ
 ・バトルシーンはきちんと「アニメとしての面白さ」を追求している
 と感じるので、原作越えの面白さがあるのかなっと。
 またアニメ化されたことにより、原作を読んだときには気付かなかった新
 たな発見もあり、原作のよさを再認識したところもありますし。

 ここまでは「アニメ化して大成功」といっていいのでは、と思います。{/netabare}

・第23-26話:原作者の魔法に関する世界観が完璧に確立していることかよく分かる
 {netabare}「一級魔法使い試験編」の二次試験終了いうことで。
 二次試験も
 ・「コピーレン」をはじめとする複製体とのバトルがあちこちで勃発
  → 各キャラを魅力的に描写(幾分冗長感はあったが)
 ・バトル作画ももう何の魔法を使っているのか分からんぐらいに超特盛w
 って感じですが、私が一番印象に残ったのが
 「ユーベルの『だいたい何でも切る魔法』→『レイルザイデン』」
 これを「裁縫」に見立てて解説するシーンですね。

 「分かってることならほぼ言語化できる」
 私の「理解度の尺度」のひとつなんですが、例えば小学生に勉強を教える
 とかなら、分かりやすい例え話等でしっかり言語化して説明できるじゃな
 いですか。
 そういう感覚で、本作では「魔法はイメージ」というセリフがよく出てき
 ますが、それはどういうことなのか
 「原作者の中では魔法に関する世界観が完璧に確立している」
 というのがよく分かるシーンだったなっと。
 このシーン自体は小さなものかもしれませんが、こういうしっかりしたべ
 ースに裏打ちされた描写の積み重ねが、大きな差となって本作独自の世界
 観を創っているのだと思うと、やっぱりプロのクリエイターさんは凄い仕
 事をしているのだとリスペクトしかないですね。
 アニメではこの辺りも上手く魅せていたと思いますし。
 そりゃ面白いはずですわ。

 あとアニメのユーベルさんは、何故か異常にエ●チに見えてしまうんだよなw
 ・たれ目具合や口元などの表情
 ・セリフ回しやネットリした(?)しゃべり方
 ・垣間見えるぶっ飛んだサイコ感(倫理観がとこか壊れているというか)
  (あと謎の脇チラw)
 等なんかアンニュイさがあるというか、妙に色っぽさがあるというか隠し
 きれないエ●チさを感じるんですよね。
 ・胸を盛るとか露出の高さ
 ・喘ぎ声っぽいセリフ
 など、エ●チな作品を創る制作陣はこういう分かりやすいエロさより、ユ
 ーベルさんをしっかり研究するべきだと思いますねw{/netabare}

・第27-28話:最後まで味のある会話劇
 {netabare}・三次試験 →ゼーリエとの面接
 ・試験終了 →別れ、旅立ち
 ということで、会話劇メインでしたが
 ・「フリーレン×ゼーリエ」
  → 2人を介しての「フランメ」という人物像や2人の思想の違いの描写
 ・「フリーレン×ヴィアベル」 
  → 試験では絡むことのなかった2人だが、最後に邂逅
 など各キャラを魅力的に描いていてよかったかなっと。
 今後の再登場も楽しみですし。
 ラストも仰々しく飾り立てする感じではなく、この作品らしい終わり方だ
 ったと思いますし。
 (2期を意識しているというのもありそうですが){/netabare}

(最 終)
原作は結構漫然と読んでたのかな(笑)
アニメ化されたことで原作のよさ
・「人間を知る」というテーマの深さ
・エルフの長寿命を活かした時間経過の描写の妙
・魔法や魔族等に対する独自に確立した概念
などを再発見するところが多かったですね。いやー細部までホントしっかり
考えられているなっと。

そして制作陣の原作の理解度の高さに加え、アニメだからこその表現
・原作では弱かったバトルシーンの特盛
・味のある会話劇
・その他アニメ独自の細やかな描写
など「アニメはアニメとして面白い」をしっかり追求してくれていた仕事ぶ
りだったと思います。
劇中音楽などもよかったと思いますし。
個人的には原作越えでアニメ化大成功という評価ですかね。
いろいろと大変なご時世ですが、いい作品を連続2クールでしっかりみせて
くれるのは本当にありがたいですね。

全体的には
「ひとつのアイデア →もう一歩踏み込んで更に面白くなるレベルまで昇華」
というのがしっかりできている、「きちんと汗をかいている」作品だったか
なっと。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 37
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

放送のフリ-レン

マンガとアニメは日本が世界に誇るブンカだ、
なんて言葉がけっこう前からあっちこっちで言われておりまして、
それはまったくそのとおりだと拙も思うのですが、

  『どんな』マンガとアニメでも日本が世界に誇るブンカだ、

というのはチガウ、とも同時に思うところであります。
エロマンガだのキャラパク同人誌だの、
ああいうものまで『ブンカ』だとはちょっと呼びたくありませぬ。
(桂あいりさんは『すごい』と思いますが)

こっからはアニメ限定のハナシです。

昨今のアニメで胸をはって『ブンカ』なんて大層な呼び方ができるのは、
せいぜい一割ぐらいなんじゃないかと拙は愚考するわけです。
あとは、好きなヒトたち(拙含む)だけがひゃあひゃあ言ってヨロコんでいるだけ、
ひらったい言い方をするなら『フーゾク』に属する、
使いすて御免のゴラク嗜好品みたいなモノだと思うんですよね。

もちろん、フーゾクにはフーゾクなりの良さというものがあります。
ヲタク上等、マイナ-上等、
  好きなものをスキと言ってなにが悪いんじゃい、
というのはリッパな主張でありますし、
いちいち他人にとやかく言われる筋合いのものではありません。

  ただ、それだとやっぱり『広がり』を期待するのはキビしいのかな、と。

ふだんアニメをあんまり見ない方々、
あ~でもたまにテレビでやってるジブリとか新海作品はけっこう好きですよ、
ぐらいの方々にとって、
いまの量産型深夜アニメの多くはハードルが走り高跳びみたいなもの。
準備運動もせずに飛べるような高さじゃないんです。

 えっと……なんでこの男の子モテてるんですか?
      こういうキャンキャンした喋り方ってあざとくないんですか?
      騎士ってこういうモノの考え方するものなんですか?
      なんでいまだにハリポタの劣化版みたいなのが製作されてるんですか?
      この「ふっ」とか笑うの、カッコいいんですか?
      ゲームやって遊んでるキャラを見てるだけのアニメって楽しいんですか?
      こんなアイドルとか曲とか、売れる道理ありませんよね?

  みたいなギモン、ふつうに感じるでしょうし、
  そこにナットクできる答えを返すのは至難のワザでもありまする。


そういうライト層の方々にとって本作『葬送のフリーレン』は、
まさに絶好の入り口、
ヌマへの招待状なのではあるまいかと拙は愚考するわけです。

 ・わかりやすく、感情移入しやすい物語設定
 ・顔半分が目、みたいなこともなく親しみやすいキャラデ
 ・自然で、細部まで配慮が行き届いた作画
 ・YOASOBIさんによる、イマドキ的キャッチーなうえ世界観ドンピなOP
 ・情感たっぷりな描写・劇伴、ド迫力でかっこいいバトル演出
 ・種﨑敦美さん(フリーレン)、市ノ瀬加那さん(フェルン)のナチュラルなお芝居

おそらくライト層の方々は『さよ花』すら名前も知らないだろうし、
『江戸前エルフ』なんかアナザープラネット。
ですから『エルフの長寿性』というギミックそのものが、
斬新で惹きつけられる構成になっているとも思うんですよね。

というわけで、深夜アニメに対する典型的なヘンケン、
  顔半分が目の巨乳っ子やロリっ子が、
  使い回しっぽいセリフをきゃんきゃん声で言いながら、
  よくわかんない敵と戦ったりヲタDTの妄想を叶えたりするもの、
みたいな偏見を抱えている方々にとっては、
けっこうドギモを抜かれる作品に仕上がっているのではあるまいかと思うわけです。

映像は、ジブリや新海作品しか知らない方でもナットク・違和感ないレベル。
そして、種﨑さんや市ノ瀬さんのお芝居は、
そうした劇場版よりも、品質がはっきりと『上』ですしね。

  セイユ-のお芝居は『つくった感じ』がする、
  もっと自然でストレートな声やお芝居が欲しいんだよね、
  というのは、昭和から平成初期の認識かと。

  そういう『つくった』お芝居は『求められているから』やってるだけで、
  いまのトップクラスの役者(声優)さんたちは、
  フラットでナチュラルな演技もテレビ俳優さん以上にこなせます。

  実際、本作をじっくり堪能していただくと、
  宮崎駿氏や岡田斗司夫氏がいかにいいかげんなことを言ってるか、
  わかっていただけるんじゃないかしら。

  ちなみに
  市ノ瀬加那さん、今回の種﨑敦美さんとの共演で『一皮むけた』感じですね。

  基礎声質に『ものすごい』天性をもってる方であり、
  先の『水星の魔女』スレッタ役でもそこそこの好演をされてましたが、
  本作は彼女のベストアクトと称してもいいんじゃないかと思います。
  種﨑さんから盗めるだけ盗んで、
  さらにワンランク上の役者を目指して欲しいものであります。

  あと、すぐ死んじゃったけど、
  リ-ニエ演った石見舞菜香さんもヨカッタです。
  (そう言えばこの方、『さよ花』のマキア演ってましたよね)

  アウラ役の竹達彩奈さんは、典型的な深夜ワクのお芝居かな。
  それが『悪い』とは言わないけれど、
  もうちょい、キャリア相応の奥行きを見せて欲しいかもであります。


制作がマッドハウスということで、
いわゆる『画はいいけれどコテっとしている』アニメになりそうなところは、
あの『ぼざろ』の斎藤圭一郎カントクが見事にカバ-。

  斎藤監督って、まだ監督二作目なのにほんとすごいですよね。
  アニメ-タあがりなのに『映像重視・音響軽視』の悪いクセがまったくなく、
  ト-タルバランスの調整力がハンパないです。

  さらなる魅力として、拙的にはフリーレンとフェルンの
   『いちいちわめかないバトル演出』がお気に入り。
  アニメバトルは叫ぶもの、
  みたいな大時代的お約束って、好きじゃないんです。うるさいし。
  てか、こっちの方がカッコいいじゃん。

  斎藤監督は2015年に大学のアニメ科卒だから、まだ30歳ちょいぐらい。
  たぶん、学生のときから既存アニメの良点・悪点を分析し、
  そのうえで『これからのアニメはどうあるべきか』を真剣に考えて、
  作品に落とし込んでいる方なんでしょうね。
  まさに、本作の製作コンセプトにぴったしの方であります。


さて、製作コンセプト、という言葉の並びから申し上げますと、
本作の製作(『制作』じゃないですよ)の狙いは、ずばり
  『アニメライト層の取り込み』
であります(いやいや、そんなん言わんでもわかるがな)。

そのために日テレさんは、
わざわざプライム枠の『金曜ロードショー』を丸ごと空け、
さらに23時からという、
『NANA』以来、17年ぶりとなる一般層の可視聴ワクを、
アニメ専用に新設したわけです。

じゃあ、テレビアニメがライト層を取り込むことによって、
  テレビ局やアニメ制作会社にどういうメリットがあるのか
が気になるところですよね(気にならないヒト、ごめん)。

ここからちょっと、
テレビ局とアニメのビジネス関係について考察を。
本作とはあまり関係ないので、
まるっとネタバレで隠しておきます。
興味と関心のある方だけ、ど~ぞ(言っとくけど、長いです)。
{netabare}


テレビ局のビジネススキームというのは基本的にシンプルで、
  原価○○円で制作・調達した番組を放送し、
  その際にスポンサー企業から△△円の広告料をとって、
  その差益で儲けるもの。
というのがその構造のベースになっております。

一千万円で制作した番組で二千万の広告収入があれば一千万のもうけ。
番組によっては
板を出したり有料配信したりといった二次利用もしていますが、
それは収益構造のメインストリームではなく、
あくまでもプラスアルファ、副次的なビジネスであります。

で、その『制作費=原価』というのは曜日や時間帯によって違い、
より多くの視聴が見込める(広告料がとれる)ゴ-ルデンやプライム枠と、
誰が見んねん、という深夜枠では雲泥の差があります。

といっても昨今の不況やネット広告の隆盛で広告収入が減少しており、
そのぶん、制作費も引き締めの一途。
番組の尺がバラバラなんですが60分枠として換算すると、
  ゴ-ルデン~プライム枠 →1000~3000万円。
  一般日中枠       → 500万以下が多数。
  深夜枠         → 300万未満。100万を切ることも。
みたいな感じですね(もちろん例外いろいろありますが)。

  サッカーのワ-ルド杯みたく放映権料がワリに合わないほど高額な場合、
  同じスタジオ・出演者で前フリ番組を延々とやるのは、
  なんとかト-タル原価を抑えようというナミダぐましい努力であります。

  金曜ゴ-ルデン劇場みたく他社の作品を流す場合の放映権料は、
    国内作品で1500~3000万(60分あたり 750~1500万)
    海外作品で2000~4000万(60分あたり1000~2000万)
  あたりがいまの相場かと(もちろん例外はいろいろありまする)。

ここまで例示した数字というのは、
ひと昔前と比べると二~三割安ぐらいの感じです。

もちろん、いまだにじゃぶじゃぶオカネ使ってる番組もありますが、
基本的に制作費というのは緊縮の一途かと。
だって、クライアントの広告出稿が右肩下がりなんだもの。

  そもそも、番組視聴率がダダさがり。
  ネットなどにとられて若者のテレビ離れなんかも進んでおり、
  ちょっとしたドラマで20%越えなんてイマはもうムカシ。
  番宣ばんばんうっても一ケタ中盤というケースが珍しくありません。

  視聴者が少ないということは、広告効果が低いということ。

  クライアントとしてはそこにじゃぶじゃぶオカネ使うより、
  Web広告みたく視聴者を選んでタ-ゲットに届ける、
  セグメント型の広告媒体に資本を回すのが自然な流れですよね。

  というか、すでに2019年、
  Web広告費の総額がテレビ広告費を上回っているんです。

セグメント広告が主流の現在、
テレビみたいなマス媒体が広告のメインに返り咲くって期待薄ですから、
ト-ゼンこれからも番組制作費はシブくなります。

  ちなみにテレビアニメの制作費というのは、
  きちんと手を入れて作ると一話(30分枠)で1500万ぐらいかかります。
  一時間枠に換算すると3000万円。

  これ、キー局が視聴率15%以上を狙って勝負をかける、
  ゴ-ルデン枠番組なみのお値段です。
  全日帯とか深夜枠で見かけることはまずありえません。

  巷ではアニメ-タの所得が低い理由として
   「テレビ局がしぶちん」
   「広告代理店が中抜き」
  みたいなことがしれっと言われてますが、
  なんでそんなウソ平気な顔して言っちゃうかなあ。

  テレビマンに言わせてみれば、テレビアニメというのは
    制作費がバカ高くてワリに会わない
  不経済なコンテンツなんです。
  視聴率との対比で考えたら、丸抱えなんてゼッタイできませぬ。


じゃあなんでこんなにテレビアニメがたくさん製作されているのかと言うと、
アニメはほとんどが『製作委員会』方式であり、
製作投資のリクープを、
  放映時の広告収入ではなく二次利用・副次収益に頼っている。
というビジネスモデルになっているからであります。

あるマンガがテレビアニメになると、当然ながら認知度が上がります。
すると、だいたいの場合『後から』ケーザイ効果が生まれます。
  出版社   →原作本やムック本が売れる。
  音楽会社  →OP・EDの楽曲が売れる。
  グッズ会社 →関連グッズが売れる。
  映像会社  →板(マニアさんの言う『円盤』)が売れる。
で、そういう『利益の共通する』方々が、
オカネを持ち寄ってアニメを作るのが『製作委員会』であります。
(実際はもっとフクザツなんですが、簡略化して書いてます)

これ、多くの場合、テレビ局にはぜんぜん『うまみ』がありません。
ただ「オレたちが放送してやったからそんなに売れたんだろ」
みたいに強引マイウェイな理屈で、
二次売上げの数%を『局印税』として徴収する場合がありますが、
積極的にアニメを放送する理由にはなりません。

ですから製作委員会は、その放送枠自体を買い取ります。
  このワクの広告代をゼンブ払うから、このアニメを流してください
というハナシですね。これなら局印税も発生しにくいですし。

  この放送枠買い取り代(通称:波代)って、
  深夜枠であっても全国世帯の七割以上をカバ-しようとすると、
  局やワクの深さ・タイミングにもよりますが、
  1ク-ルで五千万~一億円ぐらいかかっちゃいます。

  ですから、地上波はお茶をにごす程度、
  好きな人はネットで見てねえ、
  みたいな作品が増えてきているのもしゃあないところなんです。


で、本作『葬送のフリ-レン』に話を戻しますと、
日テレさんの狙いは『安価でそこそこ視聴率のとれる作品を確保』することであり、
製作側の旨みは『視聴者の幅が広がり二次収益が増える』ことです。


まずは日テレサイドのソロバン勘定から。

  初回は二時間枠ですから、制作費は6000万円ほど。
  製作委員会に入って二割ほど負担したとすると、
  この回の日テレ負担は1200万円ほどだったことになります。

  これは、60分枠に換算すると、600万円。
  ふつうに映画の放映権を買ってくるよりも、かなりおトクです。

  それ以降の各話も二割負担だったとすると、
  各話の負担金は300万円、60分枠換算はやっぱり600万円。
  これは、23時台としてはやや高めの数字で、
  このまんまほったらかしておくと、
  局のエラいさんは、あまりいい顔をしてくれません(視聴率にもよりますが)。

  ただし、アニメは二次使用でお金が戻ってくるシステムです。

  二次利用の収益(DVDなど)の一定割合は、
  出資額に比例して製作委員会で配当されることになります。
  また、この番組は『枠買い』ではないので、
  二次利用売り上げの数%を『局印税』として徴収できます。

  この、出資に対して戻ってくる比率を『リクープ率』と呼びますが、
  これが50%あれば、実質的な制作費負担は60分換算で300万円。
  これは、23時台の番組としては、なかなか優秀です。

  もしも100%返ってきたら、
  なんと制作費負担が実質『タダ』ということになっちゃいます。
  こうなるとシャチョ-賞も夢ではありません。

    出資から回収まで時間がかかるのが難点っちゃ難点ですが、
    いまの超低金利、そして日テレの資金調達力を考えると、
    そんなもん、モンダイのうちに入らないわけで。

  ただし、いまのアニメでリクープ率が100を超えるのは、
  1ク-ルで一本あるかないかぐらいです。
  いわゆる『覇権アニメ』でも、そうカンタンに100には届きません。

  ですが、その場合でも『局印税』があるからある程度は戻りますし、
  制作元のマッドハウスが日テレの連結子会社ですから、
  資本の内部循環ということで、最低限のいいわけは成り立ちます。 

    むかしからこういうソロバン勘定はあったのですが、
    とにかくテレビ局は『報道』『バラエティ』『ドラマ』班が強く、
    なかなか編成さんが枠を開けてくれませんでした。

    ただ、ネットやゲームなど余暇競合商品の台頭で、
    看板ドラマやバラエティの視聴率が軒並み一ケタに落ち込み、
    そういう垣根がどんどん低くなってきてるんですね。

    安く作れて視聴率が取れるんならアニメでもいいんじゃね?的な。
 
    この流れというのは『キメツ』や新海作品の連続ヒットなど、
    ライト層にもテレビアニメ需要がある、という具体的な判断材料が、
    いろいろ出そろってきたのが大きいかも知れませぬ。
    (『キメツ』、フジにとられちゃいましたしね)

  劇場版ではなくテレビアニメを
  ふだんから見る習慣のある視聴者が増えてくれれば、
  視聴期待対象者(タ-ゲット)の母数が大きくなりますから、
  いろいろなリスクがさらに低減できます。
  そうなると『低コストでそこそこ視聴率がとれる』勝利の方程式の完成です。

  だからこそ初回に金曜ロードショー枠で、
  まずは作品の視聴体験者の母数を稼ごうとしたんですよね。

  ちなみに本作の世帯視聴率は、
    初回(ゴ-ルデン枠)で 6.8%
    その後の通常(23時枠)で 4.4%(9話速報値)
  と、一般番組と遜色ないどころか『そこそこいい』数字です。
    そして、9話(実質6話)まできているのに、
    ワク違いの初回放送と比較して減衰率35%というのがスゴい。
    想定以上なんじゃないかしら。

  同じ23時からやっているテレ東さんの『SPY×FAMILY』は、
    2.6%。(5話速報値)
  これも決してダメな数字とは言えません。テレ東さんだし。
  ただ、日テレさんの戦略、
    金曜ロードショー枠を使って視聴体験者の母数を増やす
  みたいな仕掛けをしておりませんので、
  ただ23時にやってるだけなのがしんどいところです。

  というわけで、
  いまのところ(11月9日時点)では、目論見どおりの推移ですね。
  担当者は「してやったり」とニンマリし、
  ドラマ班やバラエティ班は苦虫かみつぶしていることでしょう。良き。


で、テレビ局から離れて制作サイドのメリットを考えた場合ですが、
こちらもかなり『おいしいスキーム』になっております。
局印税ぐらいヨロコんで払っちゃう。

  ひと昔前は、視聴率なんて極論『どっちでもよかった』んです。
  というのも、
  リクープの大半を板の売り上げに依存する体質であり、
  『一度放送したアニメを二話5~8000円で購入する』層というのは、
  かなり限られていましたからね。

    視聴率4%で板が2000枚しか売れないアニメよりも、
    視聴率1%で板が6000枚売れるアニメの方がダンゼンもうかる、
    というトホホなビジネススキームだったわけです。

    ナニコレ的な一部ヲタク向けアニメがいまでも多いのは、
    そういう背景があるからなんですよね。
    (だから枠買いしないとテレビ局が流してくんないわけで)

  ところが、いまはネット配信がリクープで重要な位置を占めてきました。
  二話でウン千円なんてとても払う気のない方でも、
  ちょっと面白そうじゃん、で気軽に手が出せるようになってきたんです。

  市場ケ-ザイのイロハとして、
  低価格帯商品というのは、認知度と売り上げが準比例いたしますから、
  こうなると、最初にパイを広げた方がダンゼン有利です。
  さらに、ムリしてヲタ受けを『狙わない』方が需要が見込めますから、
    ちっ、またこんなん作るのかよ
  なんて制作や役者さんがグチを言う機会も減ろうかというもの。

  さらに商品化(絵柄のライセンス供与ビジネス)も、
  これだけ作品の知名度があがると、
  限られたアニメ関連商品のグッズ業者だけでなく
  大手メーカーとのタイアップが充分すぎるほど期待できます。
  (あいつら『知名度』に笑っちゃうほど弱いですから)

  また、本作は絵柄・テイスト的に、海外番販にうってつけなんですよね。
  年齢制限はもちろんかかるんですが、
  ナルトやワンピースぐらいしか見ていない海外ライト層にも、
  きっちりささるものと思われます。
  担当者が相当なアホでない限り、かなりの海外収益が見込めるんじゃないかしら。


というわけで、本作に関してはいまのところ、
テレビ局と製作委員会はWinWinな感じになっております。

テレビ局の番組制作費緊縮が加速する昨今、
製作委員会がネギしょってやってくるアニメが注目されているのは確か。
テレ東の『スパファミ』みたく23時台、
ひょっとしたら22時台というプライム枠にさえ、
アニメが登場する可能性が『ない』とは言い切れない状況なんですよね。
{/netabare}


とまあ、かなり『いいことばっか』書きましたが、
こういうビジネススキームを継続的に成立させるためには、
  ライト層にもマニア層にもささる
アニメを供給し続けることが必須条件となってまいります。

テレビは数字が全ての世界ですから、
はっきり言って『視聴率次第』の下剋上。

23時台のワクを開けて視聴率1%台が続いたりしたら、
いかに制作費が安くても、
次の編成でワクそのものが『おとりつぶし』になっちゃったりするんですよね。

  ご参考までに『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(フジ23:15~)は、
  平均して7%超えという驚異的な数字でした。
  局のエラいさんのアタマにはこれがしっかりインプットされており、
    さっさと二匹目のドジョ-をさがさんかい
  みたいな側面がなきにしもあらずかと(経営者はムリ言ってなんぼです)。

まあ、いきなりキメツがムリなのはわかってもらえても、
この時間帯のワクを維持するためには、
少なくともスパファミぐらいの数字(2.6%)は維持しなきゃいけない、
というのがリアルなところなんじゃないかしら、

それって、
昨今のアニメ事情をよくよくご存じの方にとっては、
けっこうキビしいハードルに思えるのではと拙は愚考いたします。

  マニアにもライト層にも安心しておススメできて、
  なおかつ減衰率抑えめでそこそこの視聴率がとれるアニメ

なんて、1ク-ルに数本あるかないかってハナシですしね。
アニメ慣れした視点だと良作はもっとあるんですか、
ライト層がハマりそう、という条件がけっこうキビしいんです。

本作『葬送のフリ-レン』と同じスキームでやって、
同等かそれ以上の結果が出せそうなのって、
今年度だと『リコリコ』か『推しの子』ぐらいしか思いつきません。
(あれ、独立局でやったのもったいなかったですよね)

  やっぱ『ヴィンサガ』とか重いしなあ……
  逆に『スキロ-』みたいのが『のだめ』的にウケるかも……
  あ、『無職転生』ならひょっとしていけるか。
  いやいや、そもそもキメツって、なんでバズったんだ?

  なんて考え始めると、とっちらかって収拾つかなくなってしまいます。

日本人は、決してアニメが『きらい』な民族ではありません。
映画の興行収入歴代ランキングで、
  ベスト20のうち14作品がアニメ(3DCG含む)
なんて国、ほかにないんじゃないかしら。
それなのに、
ライト層に安心しておススメできるテレビアニメが存外少ないんですよね。

彼らは『ふつうのドラマ』と同じ視点で見ますし、
マニア層みたく原作者や制作者に身内カンカクでゲタをはかせ、
曖昧さやいいかげんさを許してくれるといった寛容さはありません。

中国人が有り難がってマツタケ食べるとか騎士が土下座をするとか、
そういう基本的な考証ミスを
  『これは架空の国、ファンタジー世界だからいいんだよっ』
なんてリクツでは許してくれませんし、
モテ要素のない男の子のハ-レム展開なんか、たぶん理解不能です。

テイストはファンタジーでもSFでもラブコメでもなんでもいいんです。
ほんと、面白きゃなんでもいいんですが、
ちゃんとした考証と共感できる人物造形は必須条件。
  「いやなら見んな」
とか言われたら、はいはいそうですかと見るのをやめるだけのハナシです。

  拙自身、個人的には『だいすき』なんだけれど、
  だからといってライト層の方々にはおススメできないなあ、
  なんて作品が、ほんとたくさんあります。

  好きなものをスキというのは何も恥ずかしいことではないのですが、
  布教活動は控えめにするというのが、
  現実社会の荒波をのりこえていく一つのコツではないかと思ってもみたり。
  (あにこれは別よ、もちろん)


とはいえ、本作『葬送のフリ-レン』がライト層にもズバっとささり、
大きな成功を収めるだろうというのは、ほぼ既定路線。
二匹目、三匹目のどぜう狙いは、トーゼン『ある』と予想されます。

キ-局が出資してマスマーケットを狙う作品と、
これまでどおり狭い世界の中で、
ニッチなマ-ケットを狙う作品の二極化が進んでいくんじゃないかしら。

10年後ぐらいにアニメ史をふりかえったとき、
ひょっとしたら本作の放送が
エポックメイキングな出来事として語られているかも知れません。

  そんなことを妄想したりしながら
  次の放送をココロ待ちにしているワタクシなのでした。
  乱文駄文、そして長文、ほんとにほんとにごめんなさいね。



以下、オマケです(本作ほとんどカンケ-ありません)。
ほんと、単なるネタなので、
おヒマな方だけ開いてやってくださいまし。
{netabare}

本作のヒロイン『フリ-レン』の名前って、
拙はかってに英語で”Freelen”だと思い込み、
  自由な欧州水泳連盟ってなんだろ?
とか思ってたら、
ドイツ語で”Frieren(凍っている)”だったんですね。

いや、無知とはほんとおそろしいものであります。
というか、
ナマエの音だけでイミを判断するのって難しいですよね。

  ちなみに日本でよくある名前『雄大(ゆうだい)』は、
  英語圏の方々の耳には
  ”You die(おまえ、死ね)”としか聞こえないそうです。

  良く晴れた秋の日のセントラルパーク、
  やさしそうなお母さんが小さな男の子を追いかけながら、
   「おまえ死ね、おまえ死ね」
  と連呼している光景って、とってもシュールだと思いませんか?

  あと、日本名の『麻生(あそう)』さんは、
  残念ながら”asshole”に聞こえちゃうそうです。

  もしも麻生雄大さんがハイウエイでごついポリスに止められ、
  名前を聞かれて
   ” You die,asshole”
  なんて言っちゃうとタイヘンなことになりますので、
  全国の麻生雄大さん、渡米の際はくれぐれもお気をつけくださいまし。
  (気のつけよう、ないんですけどね)
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 29

80.0 2 2023年秋(10月~12月)アニメランキング2位
薬屋のひとりごと(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (454)
1576人が棚に入れました
大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。 名前は、猫猫(マオマオ)。 花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。 ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。 今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。 美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。 人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。 きれいな薔薇にはとげがある、女の園は毒だらけ、噂と陰謀事欠かず。 壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。 稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

期待した方向では無かったですが、キャラが面白かったです。

 2クールを初めから企画して、構成した作品というのはレベルが高くていいですね。その点は高く評価したいです。

 面白く見られたと思います。その要因はキャラ萌えです。薬と毒大好きという極端なキャラ付けがいい方向にエピソードに落とし込めていました。全体としては猫猫と壬氏のラブコメまで行かないドタバタ劇でした。

 この作品が文章で売れたというのが良くわかりません。猫猫のコミカルな動き、演出、声優さんの演技などがアニメ版の面白さの大きな要素になっているからです。マンガ版ならまだわかりますけど。つまり、動きがあるアニメだからこその猫猫の面白さが良くでていました。

 それとあでやかな宮中や娼館の女性たちと、1話完結のピッコママンガ的なダークサイド部分の描写で、最近はやりの病んだ女性の面白さがでていたかなと思います。軍師を含めて、ヒューマンドラマはキャラにクローズアップした分、エピソードとして面白い話になっていたと思います。

 裏に深い設定があるようで、思ったより…というガッカリ感はありますが、壬氏の素性とか新しい妃の話とかまだまだいろいろありそうなので、EDのコメントの通り、始まったばかりなのかもしれません。

 推理要素もありましたが、異世界中華で考証不可能な世界ですし、それを逆手にとった工夫もないので推理としては成立しておりません。キャラ設定として機能したかなと思います。

 韓流的で設定にこだわらないのと、思ったよりも深くない、感情的な感動が随所にある、という分かりやすさで、女性中心に人気が出るのも分かる気がします。伏線的なものもありカタルシスを用意した点はストーリーとして工夫した部分だと思います。

 エンタメとしては女性向け作品でそれを男も見られるチューニングにした結果、成功したという感じでしょうか。

 作画については、いろいろ評判があったようですが、全体として高めのクオリティだったと思います。初めの3話くらいまで「このレベル?」という勿体なさを感じましたが4話の出来が素晴らしく、見直して以降は気にならなくなりました。

 全体として、面白いのは事実です。が、見返してみるほどか、と言われるとそこまでのモチベーションは現状ではない、という水準かな、と思います。作画とキャラ、声優さんは評価高くていいでしょう。ストーリーは期待外れではありますが、アニメの水準としてはしっかりした脚本で悪くない出来だと思います。音楽はOPEDは毎回聞ける水準で良かったと思います。ユーチューブで曲だけ聴くというレベルではないですけどね。


1クール目総括。キャラは良いですが話全体でみるとどうなんでしょう?

{netabare}  1クール目総括。かなり面白い作品だと思いますが、どうも物足りない作品です。さすがに26話じゃないですよね?話的にも24話の半分で折り返しなのでしょう。毎週日曜日の朝の楽しみにするくらいに出来が良かったと思います。

 キャラとしての猫猫が壬氏込みで面白い話かと思います。推理については実は初めからあまり期待していなかったのでそこは逆にまあまあ雰囲気を作っていたのではないでしょうか?
 残念なのは後宮や花街という場所での政治やヒューマンドラマがもっとドロドロした一貫性のある事件があるのかと思っていたので、そこが物足りなかったです。
 下手をすると学園の派閥ものみたいなちょっと緊張感がないストーリーになっちゃったかも。そこが肩ひじ張らずに楽しめた点でもあるんでしょうけど。

 本作で同じ原作でもスタッフで面白さがこんなに変わるのか、という気付きがありました。脚本なのか絵コンテなのか演出なのか、それが全部なのかわかりませんが。4話が出色の出来で次いで10話です。この2話は本当にアニメとしての出来が良かった。
 逆に11話12話の気が抜けてたかなあ…12話の横顔の作画も安っぽかったし。宴会のシーンと最後の方は良かったですけど。

 中間として評価すると、実は難しいです。キャラはいいと思います。人物の背景が見えてこないので満点はつけ辛いですが4.5。ですが話ですね。
 設定とエピソードは悪くないですが、一貫性があるストーリーが物足りない気がします。その点では4でも過大評価でしょう。3.5でいいですが、エピソードの出来で話は4…かな。ここが迷いどころです。一気に見たときの印象は今より悪い気もします。

 作画は、安定性にかけると言うべきか個性が出たと言うべきか…背景は悪くなかったですが、うーん、分からないので4にしておきます。

 音楽はOPの雰囲気が余りにストーリーに合ってなくてかえって面白かったです。猫猫が花になるのかな?と思ったらそんな気配もないですが、今後どうなるんでしょう?暫定で3.5。声優さんは猫猫良かったですので4。

 これって2クール目レビュー別建てになるのかな?わからないので「今観てる」ままにしておきます。 {/netabare}



以下 1クール目の視聴時レビューです。

3話 なぜこのビッグタイトルの作画がこのレベル?

{netabare} 疑問なのですが、本作のラノベ原作売り上げは1200万部で無職転生やオバロ、リゼロより上です。そして、コミカライズは2種類あって、700万部と500万部でやはり1200万部で、すべての合計2400万部です。

 そのアニメ化なのになぜこの水準のアニメ?3話一挙同時をやるレベルじゃないでしょう。もっとお金かけていいんじゃない?という作画レベルでした。これは本当に残念です。

 また、本作は2つ同時のコミカライズで、両方売れているという珍しい作品です。アニメ版は小説準拠なのかもしれませんが、展開や演出を見る限りスクエアエニックス版のねこクラゲ氏に近い印象です。そして私は興味があって両方ある程度読みましたが、ねこクラゲ氏の方が出来が良く面白いと思いましたので良いと思います。
 ただ、2話の部隊の食事で毒云々はどちらのマンガにも出てません。小説版は未読なのでそちらの話かもしれません。

 内容です。この作品、なんちゃって中華もので時代は判然としませんし、人間関係がフランクすぎて後宮内がちゃんと描かれているとも思えません。「後宮の烏」と同じと考えればいいと思います。

 世界観が判然としない、キャラ・エピソードありきなのは少女マンガ的で原作の日向夏氏の性別はWIKIに載ってませんが女性作家で間違いないと思います。

 ただ、エピソードとキャラありきではありますが、ぼんやりとストーリー性はある感じです。その行く末は気になる作品でです。
 ですが、出来でいえばストーリーよりもキャラで特にヒロインに注目すると面白いと思います。あの、長髪の男とのやり取りが面白いですが、胸キュン的なものはあまり感じない気がします。

 まあ、やはり言いたいのは、なぜこのビッグタイトルの作画がこのレベルなの?という疑問です。本当にアニメ業界の分からないところです。{/netabare}


4話 冒頭の毒見のシーンとか表情の変化とかの作画良かったです。

{netabare} 作画は過小評価だったかもしれません。前半の毒見のシーンの作画は良かったです。毒見ってそういう動きになるのかという説得力がありながらコミカルな感じがよかったです。
 として見ると何かに気が付いた時の表情とか瞬きとかが結構丁寧に作画されていました。食事のシーンを初め手の動きはとても素晴らしかったです。近年見たアニメではトップクラスの食事シーンでした。止め画が減ってよく動いていた気もしました。カメラワークもちょっと不思議なためがあるというか、動きがなんとも言えませんでした。

 ビッグコンテンツなので「無職転生」とか「鬼滅の刃」と並ぶ動きを期待していたのですが、考えてみれば話の内容からいってある程度止め画でも成り立ちます。

 それとヒロインの服の作画の複雑さ(線の数とか陰影)がイマイチ安っぽいなあと思ってましたが、皇帝とか妃はある程度の水準なので、猫猫のクルクルと表情を変えるところとかコミカルな動きのために単純化したのなら、キャラ萌えの作品なので、それはそれでいいかなあと思いました。

 話それ自体にテーマ的な深みはないけど、エピソードとキャラが面白い話です。1話完結のようでいて、つながりがある結構秀逸な作品だと思います。アニメのレベルが4話の水準なら、いい作品になる予感がします。


 なお、気になって作画の人調べたら「もああん」さんと言う方で「着せ替え人形」の8話の人でした。江ノ島の砂浜の独特な作画のシーンの有った回ですよね?なるほどなあ、と思いました。参加作品調べたらすごい作品ばかりでした。
 さすがだなあ、と思います。この人の作画なら納得です。


追記 演出と動きが素晴らしいです。それがシリアスさとコミカルさを両立しています。面白過ぎて何度でも見たくなります。4話だけ3回目見てしまいました。

 毒見のシーンとか食事のシーンも素晴らしいですが、手がちゃんと演技しているところとか、ビンタのシーンの迫力とかとにかく素晴らしい。テンポやカットもいい。これが今風のアニメの最高峰でしょう。

 やっぱりアニメはCGのモデリングではなくて、演出と動きです。それでこそ原作の良さが楽しめるというものです。本当に素晴らしいアニメの出来でした。{/netabare}



5話 アラを含めて広い心で見れば、かなり面白いので視聴継続ですね。

{netabare} 4話の出来が良く、本作全体を感情的に受け入れましたので、もう多少の欠点はOKになりました。となって本作を見ると、レベルは高いほうなのかなあという気がしてきました。背景の凝り方と料理などはいいですね。
 それと作業が多いせいか手の作画は1~5話通して良い気がします。ということで話は面白く見られるようになってきました。

 ついでなので、少々アラを指摘しておきます。まず、シューマイにグリンピースをのっけたのは横浜の崎陽軒が始まりです。それに松茸を喜んで食べる文化は日本以外にありませんし、そもそも大陸の松茸は土瓶蒸しで喜びが感じられるような品質ではないです。土瓶蒸しも日本起原でかなり近代に近づいてからです。多分細かく見て行けばいろいろあるのでしょう。

 ただし、です。これこそが本作は「なんちゃって中華」ものであり、考証をするのが無粋ということでもあるのでしょう。

 言葉がそもそも滅茶苦茶なのはもう完全に開き直っていますよね。本作は、大まかに時代的には明の前半、14世紀のイメージかなと思いますがそこを考えすぎるのはやめています。

 で、更に深読みすると、シューマイとか松茸のアラってワザとやってる?言葉はワザとですよね?それも考証ギャグなのかな?…うーん考えすぎかな?バズるのを狙ってなら、面白いですけどね。有名な食品に関する「あるある」なので…中華のテーブルが回るのもタンタンメンも日本が発祥というのと同じ感じ?

 ということで、視聴継続ということで、4話のようなサプライズが無い限り、レビューはこれくらいにします。
 本作は「アラ」も含めて猫猫のキャラと壬氏とのやり取り、妃のエロ綺麗なのを楽しめばいいのでしょう。


 そうそう猫猫といえば今週の声優さんの演技が前半完全にターニャでしたね。そんな感じでしたっけ?{/netabare}


6話 作画は止め画が多いお休み回ですね。内容も続き物の前半っぽい感じ。クレしん笑いが猫猫のキャラに合っているかも。

{netabare} 今週はアニメ作画的には止め画オンパレードの動かない回でした。良くはないですがシリーズ通じた予算もあるでしょう。続き物の話みたいなので来週力が入ってのことならいいのですが。

 それにしても猫猫の「クレヨンしんちゃん」笑い…いいですね。あれの発明すごいなあ、と思います。目を見せないで笑うという、クレしんの中では厳格に守られているルールです。
 ダーク(というよりブラック?)な感情を表すのにこんなにすごい表現って、ちょっと他に類例がないですよね。そしてこのクレしん笑い、猫猫のキャラに合っているかも。

 6話ということで、中間?でそろそろ分析的なレビューもと思ってさっきググったら2クールものらしいですね。ちょっと本筋的なものが見えないので文句を書こうかと思ったら2クールの構成なら良いと思います。別に尺伸ばしというわけでなくテンポは悪くないですので。

 なお、食物アレルギーの歴史とか、サバやフグの食の歴史も興味が出て調べました。面倒なので書きませんが。{/netabare}


7話 前半と後半で面白さが全然違った気がします。1クールの半分ということでちょっと総括です。

{netabare} まず、この7話ですが前半の説明臭いちょっと退屈な進行に比較して、後半の方が面白いし展開にメリハリがあった気がします。

 それはいいとして、7話ということで中間での総括です。結論から言って面白いです。
 猫猫のキャラと周囲の掛け合いが「コメディ」という点でなかなかのレベルです。そして、シリアスパートの各種陰謀も後宮という場のそれぞれの女性の立場が上手く機能して興味深い話になっていると思います。「毒」という猫猫の特異体質と頭の良さがそれを補完しています。

 で、作品全体をほんのりと貫いている「猫猫とはどういうキャラか」という謎ですね。これが今週動きそうな感じで終わりました。この引きも良かったですね。

 こうしてみると、コメディ、後宮(女性たちの悲喜こもごも)と陰謀、そして猫猫のキャラと謎が上手く絡み合って、見ごたえのある作品世界を作り上げています。
 ただ要素が沢山ある分、若干薄まっている点があるので、今後どこまで深くなって行くか、がポイントでしょう。
 もう未読の部分になっていますので今後が楽しみです。1、2話完結のエピソードでの進行でも面白いとはおもいますが、全体を貫く何かは残しておいてほしいなあ。

 それと、4話の演出と作画。もう1,2本やって貰えませんかね?あれは衝撃でした。そういえば、各話に結構、絵コンテ・演出とか作画のクセがそのままのこってる気がします。それも楽しみになっています。(ヤマノススメの4期はそれが見辛かったのですが、本作は毎話の楽しみになっています) {/netabare}


8話 美少女の入浴シーンなのにエロも色気を感じないのはキャラ造形の妙でしょう。

{netabare} シリアスとコメディの混ざり具合が絶妙なのと、猫猫の俺TUEEE的な博学と後宮のルール的なものに対する無知のギャップに萌える。そこに絡むラブコメ要素という面白さが、上手く出た回でした。
 美少女設定なのに入浴シーンがこれほどエロくもないし色気がない、ということは猫猫のキャラの作り方がかなりレベルが高いということだとも言えます。

 キャラのそれぞれの内面というか言動はやっぱりなろう的なテンプレ感からは逃れてないです。推理も時代考証もガバガバです。

 が、確かに面白いとはっきりと言える作品でしょう。いろんな要素の組み合わせの妙なので、どこが?と問われると困りますが、見て素直に面白いという作品なのは間違いないと思います。{/netabare}


9話 不思議な美術演出とMVの回。10話の予告の映像が良かったです。

{netabare}  面白さで言えば4話がピークかな?全体としてキャラ芸で面白さは保っていますが、冷静に考えると面白い回はあったものの、そう高いレベルのアニメ作品としては評価できないと思います…今のところは。
 猫猫のキャラと生い立ちにどれだけ深さがあるかが気になっているのに、そっちが進みません。

 で、8話に続いて9話も前半は少々退屈でした。で、後半の不思議なMVというか心象風景です。あの赤い小さな実が成っている木のCGは面白いですが、なんでしょうね?流れ的には毒があるんでしょうか。楽しめたかと言えば、アニメとしては変わった映像演出だなという興味くらいです。
 ただ、引っ掛かりはあったので、映像に何か気付きがあれば評価は変わるでしょう。もう1回、2回は見たい回でした。

 合わせて水に沈んでゆく女性は随分丁寧な描写でした。9話は話とか作画と言うより美術とエフェクトに妙に変な力が入った回でした。


 で、今回見るべきは10話の予告ですね。気のせいかもしれませんが作画がなかなか良くて演出も面白そうで、力が入っているのではないでしょうか。
 本作はこれ以降の話で、あと1、2回でも4話並みの演出とかその他面白い回があれば、秀作に入るかもしれません。10話はなんとなくそういう回になるのでは?と楽しみです。{/netabare}


10話 女子が美しい作画でした。演出もいいし面白かった。

{netabare} 予告編で楽しみにしてましたが、やっぱり面白かったです。いい演出なのが大きいと思いますが、作画が良かった。動きないですが、女性の作画滅茶苦茶美人だったと思います。顔の線がシャープでした?手の動きや液体を躊躇なく画面に入れていて、本作のアニメのレベルの高さを味わえました。

 本作のEDですが、キャスト声優の前に「脚本、演出、絵コンテ」の話・演出の主要3人がクレジットされます。たまにありますが、本作は明らかに「違いを楽しんでください」という意図が見て取れます。昔のオタク的な楽しみ方ができる非常に良いコンセプトではないかと思います。加えて、作画・美術も個性を重視している感じがします。

 「ヤマノススメ」4期でも似たようなコンセプトでしたが、キャラの同一性や一定の水準の演出を保ちながらやっている本作のレベルの高さがうかがえます。

 今年は「おにまい」の作画が際立って良かったですが「僕ヤバ」「インソムニア」「グイグイ」などラブコメを中心に作画レベルが急に上がった気がします。
 コロナが終わったからか、CGの使い方がこなれてきたからか、海外のアニメータの習熟度が上がったからかわかりません。が、アニメなので画面が進化するのはとてもいいですね。
 本作は話も面白いですが、演出と作画技術の違いを1話1話見比べると面白いと思います。


 なお、本の虫干しで直射日光に当てるのはいかがなものかと思います。なんちゃって中華であるというのは皆分かっていますので、歴史考証は必要ありませんが、さすがにそこは猫猫も出来るという侍女頭も間抜けに見えるので気を付けてほしいなあ。 {/netabare}


11話 脚本、演出、作画…あんまりよくない回でした。

{netabare}  今週は紙芝居みたいな止め絵ばっかりでした。演出も凡庸だし、面白みに欠ける回でした。それと、結末で「母の様だった」で一瞬里樹妃が?と思いましたが、彼女は先帝の妃だったことを思い出せば「ああ、そうでした」とわかりますけど。ちょっと視聴者に不親切な感じはしました。

 あと9話後半で亡くなった下女ですけど纏足で自分で壁を登れないんじゃなかったでしたっけ?それと壁を登ろうとして爪が云々というのがありました。覚悟の…だったら、そういう前提と合わない気もします。あの大げさなCGの演出はなんだったんでしょう?

 ただ、2クールなんですよね?こういう回もたまにはあるとは思います。が、せっかく人気があるのでがんばってクオリティを上げる方向でお願いします。 {/netabare}


2クール

15話 第2クールになってゴチャゴチャした話が続くなあ

{netabare}  11話で壬氏がどうやら皇帝と阿多妃の子どもではないかという思わせがあり、13話冒頭で皇帝とサシで飲んでいました。また、身体ががっちりしているという表現もあったので壬氏は宦官でないこともわかります。

 また12話ではっきり壬氏の猫猫に対する執着が描かれましたので、第2クールは壬氏にまつわる話と皇帝になって猫猫を妃にする話とかかなと思っていました。また、モノグラスの男が絡んできましたので、その妨害か猫猫の出生の秘密を知っていて、壬氏との間に障害があるとかそういう話かなと思っていました。

 簡単な考察で外れていても驚きませんが、壬氏、猫猫、モノグラスの3人あるいは皇帝と新登場の楼蘭妃と緑青館をめぐる話で、1本筋が通った話になりそうだと思っていました。

 が、なぜか第2クールはとっ散らかった話が3話続きました。うーん、1話1話は面白いからいいんですけどね。特に15話は面白い演出でした。オロオロオロも良かったですし(毒が効かない体質なら、薬も効くはずはないんですけどそこはご都合主義ということで)。しかし、特に15話はゴチャゴチャした話でした。何がしたいのかわからない話でした。

 最後まで見るつもりなのでいいんですけどね。もうちょっと何か幹が欲しいなあ…まあ、あのモノグラスの男が絡むのは間違いなさそうですけど…{/netabare}


16話 見たことがあるトリックですが保留。細かい話が続きますが何かはありそう。

{netabare}「すべてがFになる」のシリーズ作品「封印再度」のトリックにそっくりですねえ。本作はトリックがメインじゃないし誰がオリジナルかわからないので何も言いませんけど。金魚鉢もありきたりだし、兄弟もののが仲良くなる様遺言で工夫するのは沢山ありそうです。推理系の話は既視感だらけで出来は良くなかったです。

 あの3男の手の作画に染みがありましたし、医者を紹介していたので父親と同じく鉛中毒なのはわかります。祭具云々とは何でしょう。モノグラスの男がらみで何かありそうですね。

 まあ細かい話が続くよなという印象は変わりませんが、しかし、何かが動いている感じはあるので様子見ですね。{/netabare}


19話 現状では後出しジャンケンで伏線になっていない。もう1段の深さを期待します。

{netabare}  やけにとっ散らかった話が進むのと、壬氏の素性についての思わせは、薬草畑の女性が伏線だったということですか。悪くない構想だと思います。

 ただ、今見えている話をつなぐだけだと、単なる壬氏暗殺計画です。祭具の関係者だとわかる種まきがその時のエピソードでありましたっけ?キセルの時に何か目撃証言とか。見返してないので、今の印象だと全部が繋がっていたとしても、トリック上の工夫を後出しジャンケンしただけですので、まっとうな推理上の伏線とは呼べません。

 それだけ?という気がしなくものないので、何か深みが欲しいところです。更に言えば、前半1話目からつながる何か1本筋が通った後付けではない仕込みに驚きがあればと期待します。
 後半だけならまあ工夫したね、というレベル止まりでしょうね。モノグラスの男がどう絡むのか、あるいは新しい妃の登場が回収されていないのでそこなのかな?{/netabare}


20話 十戒違反で推理の体裁は放棄?となると最後に残るのは猫猫の狂気?

{netabare} ノックスの十戒という推理小説におけるルールがあります。ただし広く周知されていますが、あくまで個人の意見です。10個のルールがあるわけですが、その4番目に「未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない。」と言うのがあります。
 あと8番目の「探偵は、読者に提示していない手がかりによって解決してはならない。」が2クール目のつながりに関しては感じるところです。見返してみると仕込みがあるかもしれませんが、どうなんでしょう。

 今週の薬もそうですが合金も同様ですね。あの熱で溶ける金属はねーよと思わなくはないですが、未知の金属として伏線で語っていますので、それほどアンフェアな感じはしない気もしますが…
 どうせなら、薬も以前のエピソードで実験の話を入れておけばよかったのにと思います。2クール目で死んだ人たちの祭祀祭具に関わる関連とかつながりがほのめかしでもあれば、ちゃんと推理になったのに…と思わなくはないです。

 それと壬氏の素性は伏線はずっとありました。モノグラムの男、新しい妃などは、それほど驚きはないですよね。話の本筋は宮廷の陰謀なのかもしれませんが、後付けで「実は…」と言われてもおも驚きはないのでどこに着目する作品なのでしょうか?

 キャラ萌えで終わってしまうのでしょうか。ですが、今週でキャラ萌えもちょっと放棄した感じです。最後に残るのは猫猫の狂気?{/netabare}


21話 突然のラブコメ回でした。

{netabare}  紙のところで出てきた妹とか宮廷御用達とかが伏線に回るのか?とちょっと期待していたら、突然のラブコメ回でした。あと数話なのにいいのか?と思わなくはないですが、まあ、いつものクリフハンガーでしたので、一応の何かはあるのだと思って見ています。

 さて、1クール目の途中から原作マンガ未読なので、興味が持続している感じです。裏を返せば次週が楽しみになる水準で面白くできているんでしょう。
 ただ、2回目を見て伏線の出来栄えの確認や考察までやる気が出ないので、そこそこかな、という気がします。もし、原作を読んでいたらそこまで感じたかは微妙かもしれません。

 ということで、今時の2クール目は長く感じますが、少なくとも毎週欠かさず見てこられました。2期はほぼ間違いないと思いますが、制作のOLMのスケジュールが結構詰まっているようですので、10月以降でしょうか?世間は飽きやすいので気を付けてください。{/netabare}


23話 なるほど、わからん

{netabare} なるほど、わからん。何がわからないと言って、何が描きたいんだろうか?あの壬氏と祭具の話はあれでお終いなんでしょうか?それともこの先つながるのかな?

 あるいはお互いの出生がわかった処で動きが?でも、あと1話?またはあっても2話ですよね?

 正直いうと前半に比べて面白さは半減ですね。謎は祭具のところは工夫したと思いますが、科学考証ができないなんちゃって中華ですから、それほど推理や伏線回収としての感動はありません。

 ヒューマンドラマにしてはいきなりあのモノグラムの男の素性がわかって、感動シーンを入れられても…今までの人格とのギャップに説得力が…

 作品の結末というか作品構成として、壬氏の何かがないと収拾が付かない気がするんですけど、何かあるんでしょうか?4話がピークだったかなあ…{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ザツになって

拙は好きに仕事を選べるほどエラくも才能があるわけでもありません。
ほんとたいしたニンゲンじゃないので、
やれと言われたらたいていのことはやるタイプなのですが、それでも
  『宦官』だけはカンベンして欲しい
と心より思うわけです。いやほんと、それだけはやめて、お願い。

後宮華やかなりしときは何万人もいて、
チョン切るのに麻酔すらしなかったというのは有名なハナシ。
それなのに自宮者と呼ばれる『志願してなった』若者も多かったそうですね。
なんと申し上げますか、
書きながらついつい内またになってしまうジブンがおりますです。


さて、本作は日向夏さんの『なろう発』ライトノベルが原作で、
人さらいによって後宮に下女として売られてしまった薬屋の女の子の、
推理ありいのサスペンスありいのといったエンタメ作品です。
(いつものごとく、原作未読)

後宮、といっても、中国が舞台ということではありませぬ。
中国に似た感じがする架空の国のおハナシ。
原作者の日向夏さんが
 「考証であれこれ言われるのがイヤ」
だったから、そういう設定になっているんだそうであります。

で、実際にそこまで考証がおかしいのか、
最近知り合った福建省出身の青年(日本在住)に、
いろいろと尋ねてみました。

 〇 猫猫(まおまお=『猫ちゃん』の意)という名前について
   → ジブンの常識の範囲ではありえないっス。
     ただ、中国は人口が多くていろんな部族・風習があるので、
     ワンチャンあるかも知れないっスね。
     それよりも、
     正一品4夫人の名前の方がありえないっス。

 〇 町並みや文化、服装について
   → 三つぐらいの時代がごちゃまぜになってるっスね。
     建物や室内は中国と日本のちゃんぽんっス。
     いちいち突っこんだら負け、みたいな感じじゃないっスか。

 〇 食文化について
   → マツタケはほとんど市場にないし、
     値段はけっこう高いんスけど、誰もアリガタがらないっスね。
     土瓶蒸しってのは聞いたことないっス。
     あのへんの時代の人がチョコ食ってたとか、
     菓子作りにバター使ってたってのは、笑っちゃうレベルっス。

 〇 中国人として、見ててイラっとしない?
   → いやいや、中国制作のドラマでも、
     考証がめんどくさくて適当な国でっちあげるの、あるんスよ。
     ましてやアニメだしエンタメだし、
     それでも気になる人は気になるんでしょうけど、
     ジブンは大丈夫っス。面白かったらいいんじゃないっスか。


みたいな感じでした。大人っス。

ちなみにwikiによると、
リアル宦官というのは声がほとんど女性、あるいは不自然な裏声みたいだったそうで、
そのへんも、リアリティは追及していないですね。

あと、作品にぜんっぜん関係ないチョイネタなんですが、
宦官になってもリビドーは残るらしく、
大量のヘンなものがちょくちょく押収されていたそうであります。
(だから切っちゃダメなんだってば)



というわけで、あくまでも本作はファンタジー。
舞台が中国風というだけで、
考証という意味ではザツの精緻を極めており、
中国の歴史とか文化とかを伝えるみたいな学術的価値はありもさん。
(そこに突っ込んだらアビス行きかと)

じゃあつまんないんですかと問われると、
面白いんだ、これがまた。
僕個人の主観まるだしランキングでは、
今期の新作アニメでは『フリ-レン』に次ぐ堂々第二位ですね。
(ちなみに三位は『アンダーニンジャ』です、ごめんなさい)

  同じファンタジーでも『パリピ孔明』みたいに原典をまったく理解せず、
  これが三顧の礼ダ-とか言って、
  他国の文化を間違って伝える・ウソを伝えるのはよくないと思うんですわたし。

  だけど『一騎当千』みたく、名前だけ借りて遊ぶのは拙的に全然アリ。

  ましてやこの作品は中国の『雰囲気』を借りてるだけですしね。
  異国情緒たっぷりをウリにしている日本の街で、
  ここんところが異国と違う、なんてアラ探しをするのは詮無きことかと。

  もちろん文化・芸術作品なら『いやでもね』なんですが、
  面白さを追求したエンタメ娯楽作品なんだから、
  そこんところはスルーするのが大人のたしなみかなあと愚考する次第です。


で、この作品のおもろしさはそういう『世界観』ではなく、
猫猫役の悠木碧さんを筆頭にしたお芝居と、
脚本・映像・演出の『バランス』にあると拙は思っております。

そもそも『世界観』なんてのはムカシの中国風というだけで、
OPで猫猫がダサいドレス着て踊ってたりして、
綿密に作り上げられた感というのはぜんぜん、まるっきりありませぬ。
ぶっちゃけ、
でたとこショウブでやってたらこうなりました、みたいな感じかと。

で、物語の舞台というか骨組みは、

  かどわかされ後宮の下女として売り飛ばされた花街の薬屋の女の子が、
  薬に関する知識を買われ『毒見役』に昇進し、
  身の回りで次々と起こるナゾや事件を解き明かしていく。

という、面白くも駄作にもなりそうなものであります。

これで『なろう系』だと聞くとイヤな予感する方いるかもですが、
猫猫は転生ものみたいな『チ-ト知識の保有者』ではないんですよね。
あくまでもその時代の薬屋さん。
ちょっとビョ-テキに薬の実験が好きだったりしますが、
その時代レベルでの毒・薬に関する知識が豊富な女の子にすぎません。

ですから、転生ものみたく、
  この薬はこういう化学反応で人体のココにこう作用してあ~だこ~だ、
みたいなウンチクは出てきません。
現代科学・化学・医学のセカイじゃないんです。
  これ、毒ですからこういう症状がでます。こうしたら治ります。
という、『なぜ』をぶっちぎった結果と対処療法のセカイ。
『おばあちゃんの知恵袋』のおくすり版、みたいな感じなんですよね。

  というわけで、言うことがずるくも鼻につくこともありませんし、
  なによりもわかりやすい。
  そいでもってムダなウンチクがない分、ドラマに尺が割けるんです。よき。


で、そのドラマ部分も、ほとんど1~2話完結。わかりやすくてよき。

中華風後宮ものと言えば
  権力・出世欲・愛憎ごちゃまぜのドロドロ系
のイメージですし、実際、その要素がけっこう含まれてたりいたします。
ただ、見ていて『しんどさ』を感じないんですよね。
猫猫のキャラクターが、そういうのを気持ちよく中和しているんです。

  そもそも猫猫って、かどわかされて後宮に売り飛ばされた身の上なのに、
  ぶつぶつモノローグでグチを言うだけ、
  復讐に心を燃やしたり我が身をアイゴ-と嘆いたりしないんです。

  ここ、花街の薬屋、という設定が利いてるんですよね。

  虚栄と色欲と権力とカネに彩られ、
  一歩裏をあるけば犯罪者や落伍者が闊歩する不条理のセカイ。
  そこで薬屋を営むとは、そういう連中とうまく付き合うということ。
  アルプスの少女みたくふわふわなんかしてられず、
  強く、たくましく、そしてしたたかでなければ生きていけませぬ。

  だもんで猫猫も、
  後宮に売り飛ばされた事態を冷静にうけとめ、
  粛々と仕事をこなし、年季が明けるのをじっと待っております。

  かと言って心が死んで感情をなくしているというわけではありません。
    他の下女を恫喝してみたり、
    コミカルな言動で道化回しに徹してみたり、
    乞われて名探偵役をしてみたり。
  ほんと、いい意味で『実践的にかしこい』女の子なんですよね。

  あと、これはまったくの主観なんですが、
  ぜんぜん媚びることのないボソボソした言動が、
  一周回ってすごくかわいいです。

そして、さすがファンタジー世界だけあって、刑罰がやさしいです。
これがリアル古代中国なら
{netabare}
  毒とわかっているおしろいを隠し持って、
  帝の子まで産んだ上級妃に使い続けていたなんて、ふつうにクビちょんぱ。
  (たぶん、一族みんなそうなります)
  兵士が毒で倒れたら、理由なんか調べず村人みんなクビちょんぱ。
  下女が皇帝の妃にいじわるなんかしたら、やっぱりみんなクビちょんぱ。
{/netabare}
そういうリフジンさがないぶん、
現代にもつうじるニンゲン模様的なドラマが成立してるんですよね。
ふつうのヒューマンサスペンスみたく、楽しく見れちゃうんです。

  それでもシリアス展開が続くときは続きます。
  そういうときはSD映像なんか使ってかわいらしくガス抜き。
  たまにある下ネタも、けっこう攻めててよきです。



拙の個人的なおすすめ度は、Aランク。ほとんどSに近いです。
 ・中国マニアで歴史考証絶対主義
 ・バトル・ロボ・アクションこそアニメの神髄
 ・アニメは美少女がキャンキャン声でなんぼ、きゃぴきゃぴしてなんぼ
という方々にはおすすめいたしかねますが、
(アクションなんか『ない』のもいっしょですし)
その他の方々は、楽しい時間が過ごせるのではと愚考いたします。

なろう系にありがちな
 『推理と呼べない推理みたいなもの』
 『局面によって人格がころころ変わるご都合テンカイ』
 『因果関係がはたんしているプロットつなぎ』
といった『作家のひとりよがり性』は、まったく見受けられません。

コミカルな演出でしっかり尺をつなぎながら、
人間ドラマやサスペンス要素がしっかりと描かれております。
しかも、もう終わった話かと思いきや、
次回や次々回でその断片がピタっとつながるなど綿密なプロット構成がすてき。
ストレスフリーなのにホネのあるエンタテインメントかと。


映像は、作監によるブレも少なく、高いレベルを維持しています。

キャラデや作画がちょっとジュニア寄りかなあとか、
演出がときおりムカシふうだなあとか、
そういうところをを感じなくもないんですが、
それはそれでちゃんと一つの『世界観』になってるんですよね。
ですから、あとは好き嫌いの領域かと。

  SDキャラ演出による枚数・尺稼ぎも、
  きちんとした演出として作品の楽しいアクセントになっており、
  うまいこと作ってると拙の目には映ります。

  けっこうタマシイ入った作画もちょくちょく見受けられ、
  剛柔あわせて『良作』と呼べるレベルなのではあるまいか、と。

  ただまあ、動きが少ないっちゃホントに少ないです。
  いやほんと、言いわけ聞き苦しいぞ、と思われるぐらい少ないんですが、
    止め画の連続をパンとセリフとSEでごまかす
  みたいな感じでない限り、僕、気にならないヒトなんですよね。
  口元を袖で隠す碇ゲンドウ式動画枚数節約も、演出として全然アリです。
  (背中向けてしゃべるカットも多いですね)


キャラとお芝居は、猫猫を演っている悠木碧さんが傑出しています。

この作品って、全国の萌えアニファンには大変申し訳ないのですが、
清楚カレンな美少女声でやったら、
すっごくあざとい物語になっちゃうと思うんですよね。

悠木さんって使える音域めっちゃ広い役者さんなんですが、
役柄を考えてトーンを中低音域に絞り、
リフジンな世の中をしたたかに生き抜く少女像を構築しておられます。

  ちなみに、同じ『したたかな女の子像』のお芝居であっても、
  背景にある社会性を考慮して、
  『サクラダリセット』とはまるっきり方向性を変えてるんですよね。
  あの作品で演じた相麻すみれも悠木さんの名演の一つであり、
  機会がございましたら、ぜひ、聴き比べておくんなまし。

そして本作における悠木さん、
喜怒哀楽それぞれで、お芝居のいや細かいこと細かいこと。
いわゆる「ただテンプレにあてて読んでいるだけ」という芝居が一つも、
ほんとうに一つもありません。
このへん、いわゆる『アイドル声優』さんたちにぜひ見習って欲しいかもです。

あと、けっこうスルーされているんですが、
玉葉(ぎょくよう)妃を『フリ-レン』の種﨑敦美さんが演ってるんですよね。
種﨑さん、こんな天然っぽいミセス声もだせるんだ。すごい。

  ちなみに、同じ役者さんが猫猫やってもサブキャラやっても、
  一話あたりのギャラは同じです。
  ギャラって役の軽重関係なく、ランクによって一枠なんぼなんですよね。

  それにしても
  玉葉妃ってドラマCDでは日笠陽子さんがやってた役なんですよね。
  ところが、アニメ化に際し、
    種﨑さん、収録ワク空いてるならぜひ
  ということで無情のキャラ変え(担当役者の交代)になったのかと。

  拙個人としては、正解のキャスティングだと思っています。
  玉葉妃の天然っぽさが物語をカラっとさせて、
  後宮を『大奥』みたいな生臭さから引き上げてる効果、大きいですもん。
  (申し訳ないけど、日笠さんが演ると女オンナしちゃうんですよね)


音楽は、OPが緑黄色社会さんの『花になって』。
MVはなんかちょっとアレな感じですが、楽曲自体はすっごくいいです。
EDはアイナ・ジ・エンドさんの『アイコトバ』。まあまあ。

  劇伴は、神前暁さん、ケビン・ペンキンさん、桶狭間ありささん。
  特に中国宮廷風とこだわっているわけでもなく、
  中華風の楽曲もあれば、現代風オケ、電子楽器もありもうす。
  (誰がどの曲やってるかはぜんぜんわかりませぬ)

  このへんも、考証ぶっちぎったことが良い目にでてる感じですね。
  特に不自然さ・違和感などはありませんし、
  むしろ、いろいろ変化があって楽しいかと。作品に合ってます。



いろいろ書いてまいりましたが、
まだまだ放送中の作品ですから、最終的な評価はできませぬ。
いやほんとできないんですが、
これまで(9話放送段階)のところ、とってもいい感じで回っています。
よっぽどのことがない限り、このままいくんじゃないかしら。

もうそろそろ作品のセカイ観に慣れてきたかな、と思いきや、
9話の猫猫のセリフで
 「ストイックな性格」とか「ストレスも原因になります」とか、
いやもうそれどの時代のどの国の言葉なん?
みたいな単語も飛び出し、
己の想像力の未熟さを痛感させられたりもしてますし。いや奥が深い。

考証ぶっちぎって自由奔放やりたい放題、天上天下猫猫独尊。
そのくせ人間模様やサスペンス要素はきっちりしっかり。
なんかもう、そのテイストが病みつきになりそうな、ならなさそうな。

  とにもかくにも、エンタメとしては一級品。
  見てソンをする作品ではありませんので、
  後宮テイストが苦手で未視聴の方、一度お試しになってくださいまし。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

毒にも薬にもなる表裏一体性が心地よい中華風宮廷ミステリー

原作小説、コミック2作とも未読。

【物語 4.5点】
架空の中華風な後宮等を舞台に1話~複数話完結の事件を、
毒と薬の知識が豊富で毒味に目が無いw主人公・猫猫(マオマオ)が、
やたら絡んで来るイケメン宦官・壬氏(ジンシ)の依頼に顔をしかめつつもw
謎解きしていく。

各々無関係に思えた事件が、やがて一つの大きな企てに結びつき、
親と子という全体テーマが浮上して来る。


振り返れば、大事なことは、結構、口で説明せず映像で表現する
飲み込み辛い作品でもあったはずです。
勿論、事件の謎解き等は解説しますが、猫猫や壬氏の生い立ちなど、
特に人間ドラマの肝心な部分については、心情はアニメーションで伝えるから、
後は察して下さいといった感じで割とハイレベル。

ですが例えば序盤から子を想う妃の愛など事件の背景に隠し味として仕込んだ要素が、
終盤の猫猫の親子関係という核心への道標となり、
ストレス少なめで難事件の真相と人物の深層へと誘導される。

それを行き当たりばったりではなく、全体構成から緻密に計算してやっている。
視聴後、この地味な凄さに舌を巻き、さらに加点したくなってしまう上質な構成・脚本だったと思います。


毒にもなる薬、生と死、陰と陽。
表裏一体な性質を掘り下げる中華思想がふんだんに活用されていたのも、
中華風ファンタジーとしてやった意義を感じられ良好。

ラスト(※核心的ネタバレ){netabare} 羅漢は、長年、人の顔が駒にしか見えず不幸を撒き散らして来たが、
最後の最後に“鳳仙花”のような想い人の美顔を誤認して幸福をつかむ。{/netabare}
不幸と幸福もまた表裏一体。余韻を感じる素敵な幕引きでした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・TOHO animation STUDIO×OLM

コメディーからシリアス、猫顔までカバーした猫猫(マオマオ)の多彩な顔芸などを花開かせた人物作画。
夕焼けだけで10色のパターンを使い分けて心情表現をアシストしたという背景美術。
作画・背景もまた、視聴者の無意識領域に真相へナビゲートする標識を植え付けるだけのパワーを有する。

特に後半、壬氏とすれ違い様にサブリミナル気味に垣間見せた猫猫の鬼の形相。
前半、警告するように広がった真っ赤な夕暮れ。
ここから先は入るな危険と、口で説明する以上に効果的な警告サインに鳥肌が立ちました。


各話の中で作画が強烈だったのが第4話・もああん氏の作画監督回。
いつもとキャラデザが変わった?との違和感が、
冒頭、毒味の所作描写の細かさで払拭され、これは凄い!と背筋を伸ばされ、
そのまま最後まで魅了されまくった忘れ難い回。

正座のまま追い出されてバウンドする猫猫のコミカル描写バンクwによるリズミカルな演出から、
間違った知識で主を危機に陥れた“馬鹿に折檻する”猫猫の闇深な強面まで、
4話は私が猫猫のキャラクターに一気に引き込まれた回でもありました。

キャラデザの一貫性や安定感が評価されがちな昨今のアニメーション作品では、
あまりお目にかかれない個性的な作監のお仕事。
今後、もああん氏が絡んで来たアニメでは、私も鑑賞ギアを一段上げて挑みたいと思います。


【キャラ 4.0点】
“薬屋”猫猫(マオマオ)と美形宦官・壬氏(ジンシ)
共に周りから過度に担がれたり、警戒されたりしないよう猫やら美男子属性やらを被っている凸凹コンビ同士。
どんな女官をも虜にする壬氏のイケメンパワーが、猫猫には悪寒をもたらすだけで、まるで通じないw
でも毒草には猫化して涎を垂らす猫猫w

単に探偵&助手コンビのテンプレートというだけでなく、
人によって薬になったり毒になったりを、お約束のコミカル描写でも好表現するお二人の掛け合いは見ていて楽しかったです。

花街の出で、しばしば矛盾に満ちた社会の影を覗かせる猫猫に、
想いを巡らせる壬氏。完全に恋する美男子なのではw
国家の縮図としての宮中を体現する二人の一面もスパイスとして効いていました。


そんな強烈な個性二人の間で堅実に役割をこなす高順(ガオシュン)や、
筋肉担当?で花街に入れ込み、宮中と花街を橋渡した武官の李白が、
妃たちの駆け引きも渦巻く中で、ある意味、私にとっての癒し?となった男たちでした。


【声優 5.0点】
全体構成から逆算してテーマへと誘導する監督スタッフ方針により、
単純に事件の状況を表現するだけでなく、
後々明かすことになるテーマも織り込んだ多重的な演技を要求するなど、
繊細なディレクションに対応できる修正能力を有した声優を選りすぐったキャスト陣。

特に主演・猫猫(マオマオ)役の悠木 碧さんは、
毒に狂喜するコミカル演技から、「これは、毒です」のシリアス演技まで、
濁声を駆使して作品を制圧していました。

モノローグのオン、オフの切り替え。今のセリフは説明なのか会話なのか。
この演じ分けが当たり前にできるのもまた地味に凄いこと。(※1)
これができないと、例えば量産型2時間サスペンスにて、クライマックス、崖の上で激情と事件解説をゴチャ混ぜにしてぶつけるが如き茶番劇で、興が冷めてしまうわけで。

説明都合丸出しの演技で視聴者に違和感を覚えさせることもなく、
気持ち良く真相へと惹き付けた声優陣。
プロ中のプロの仕事に経緯を表して、私は声優5.0の満点評価を付けさせて頂きます。


【音楽 4.5点】
『<物語>シリーズ』など多彩なジャンルを横断したミニマル・ミュージックで会話劇を演出する神前 暁(こうさき さとる)氏。

『メイドインアビス』などオーケストラによるスケール感溢れるファンタジー音楽を提供する豪州人・ケビン・ペンキン氏。

『呪術廻戦』1期などでも魅せた和楽器対応で東洋成分アレンジに重宝する桶狭間 ありさ氏。

三者三様の劇伴担当による化学反応への期待が私の本作視聴の決め手に。
中でもノッていたのが神前氏。
次回予告でも使用された「薬屋」などの宮廷BGMだけでなく、
挿入歌も多数提供し、掛け合いが織り成す人間ドラマを盛り上げる。



OP主題歌は前期が緑黄色社会「花になって」、後期がUru「アンビバレント」
ED主題歌は前期がアイナ・ジ・エンド「アイコトバ」、後期がWacci「愛は薬」
いずれも事物の表裏一体性や多面性を追求した作品世界に触発された良曲。

前期OP「花になって」は最初は中華風に随分攻めたアレンジするなwと私は苦笑していましたが、
物語の理解が進むに連れて、奥深い歌詞世界が病み付きに。
1クール目放送で流れていた時より、使われなくなった2クール目、放送終了後と、後になるに連れ、私はドハマリしていきました。

「花になって」はOPアニメーションも出色の出来。
猫猫ってこんなに美女だっけ?との違和感も、
{netabare} むしろソバカス顔の方が花街で搾取される美人顔を隠すための化粧{/netabare}
として伏線回収され唸らされ。
華麗な猫猫の舞の方も、ラスト{netabare} 身請けされた妓女の餞に舞として再び披露され{/netabare}
曲もOPアニメもスッカリお気に入りとなりました。


【余談】
YouTubeにて、日本在住中国人による李姉妹chというのがありまして。
アニメ専門とかではない異文化・言語学発信系のチャンネルなのですが、
TVアニメ版『パリピ孔明』の中国での反響などのネタも貴重なのでしばしば覗いています。

『薬屋のひとりごと』の中国での評判についても、
猫猫(マオマオ)の発音は中国語にはない発音なので、あくまで中華風と割り切って見ているとか興味深い話が発信されています。

因みに華流ドラマ界でも宮廷物は定番で、放送中は『薬屋』が実写ドラマ化されたら、
壬氏役はどのイケメン華流俳優が演じるか勝手に予想して盛り上がっているのだとかw

もし調子に乗って実写化とか企んでいる方々がいるとしたら、
取り敢えず、猫猫に悪寒を走らせるwイケメン俳優起用は実写化の絶対条件だと釘を刺しときますw


【参考文献】(※1)animate Times「アニメ『薬屋のひとりごと』は無意識を刺激する計算された一作/長沼範裕監督インタビュー」

投稿 : 2025/02/01
♥ : 33

75.8 3 2023年秋(10月~12月)アニメランキング3位
ガールズ&パンツァー 最終章 第4話(アニメ映画)

2023年10月6日
★★★★★ 4.2 (43)
203人が棚に入れました
美少女キャラとミリタリー要素を組み合わせたアニメシリーズ最終章の第4話。冬季無限軌道杯準決勝で継続高と対戦した大洗女子は、序盤であんこうチームを失い、かつてないピンチに陥る。一方、黒森峰と聖グローリア女学院の一戦は、息もつかせぬ激戦となる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

あんこう抜きでも鍋は底抜けに旨い【4DX版レビュー】

【物語 3.5点】
冬季無限軌道杯の準決勝2カードを描く。

前半では、大洗女子VS継続高校の視界不良の雪中での森林、山岳戦の決着を。
大洗のエース・西住みほ隊長が乗る“あんこうチーム”が撃破され、
番狂わせの予感が漂う中、臨時で隊長を務めた面々らが奮闘する、
騙し騙されのトリッキーな戦車バトル。

後半では、聖グロリアーナ女学院VS黒森峰女学園の一戦。
こちらは比較的開けた砂漠エリアでのがっぷり四つの戦車バトル。

珍味と王道のフルコースでいっそう濃厚な戦車道を堪能できる。


約60分の尺の大半を占める戦車バトルの中で描かれたのが後輩への継承。
大洗は展開により急遽、聖グロリアーナは育成方針から、
次期隊長候補に指揮を執らせることで、次代の戦車道を印象付けつつ、
この“最終章”がもう6年も卒業間際の大会を描いていることを思い出させてくれますw

戦況を見守る各校生徒が元ネタとなった諸外国要素もアレンジした独特のギャグも絡めつつ、
ワラワラと掛け合いを繰り広げる様に、あーやっぱり『ガルパン』なんだなと、
懐かしさを感じてみたりw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・アクタス

第3話・ジャングル戦より導入され、背景動画で威力を発揮したUnreal Engine(UE)
ゲーム制作現場での水と光の背景グラフィック処理などに定評がある同エンジン。
第4話の白一色の雪原で大人しくなるかと思いきや、
むしろUEをさらに重用して、複雑に形を変える雪の地形効果を再現し、
1000を越えたカット数の大半にCGによる背景動画が組み込まれる。

{netabare} 包囲を突破すべく鍋に穴を開けるが如く雪を削って脱出路を切り開く“あんこう割れ鍋作戦”を敢行してみたり、
砲弾をスキーストック代わりに、急峻を滑走するハイスピード戦車バトルを繰り広げてみたり、
あとは人為的な雪崩発生とか。{/netabare}
自然の力も巻き込んだ大洗VS継続戦はガルパンらしい個性的なバトル映像でした。


【キャラ 4.0点】
相変わらず、おびただしい数の萌えキャラがごった煮になっているので、
ここは波乱を演出した継続高校に絞って。

私は2つの意味で思い入れがあります。

一つは同校が私の出身県・石川県の金沢市の高校だということ。
地方の貧乏高がエース撃破で下剋上を狙う要素も相まって情が移ります。


もう一つは継続戦車道の元ネタがフィンランドだということ。
第3話公開後、4話制作に難航している間に勃発したロシアによるウクライナ侵攻。
第二次大戦中、どさくさにソ連から“帝国主義的”侵略を受けたフィンランド。
冬戦争、継続戦争と呼ばれる抵抗戦を雪中ゲリラで闘い抜いた同国の歴史。

ウクライナ戦争により国際秩序が変容する中、
長年NATOに加盟せず1000キロに及ぶ国境線を接する隣国ロシアとの適距離により安全保障を確立して来た同国が、
地政学上のリスクが高まる中、ついにNATOに正式加盟するという歴史的転換点。

大国相手にどう立ち回り生き残っていくのか?
フィンランドの過去と現在がクローズアップされる中での第4話。


継続高校の戦車部隊は、継続戦争中に秘密協定を結んだナチスから提供されたドイツ製戦車や
鹵獲したソ連製戦車で構成。
作中、元ネタがソ連のプラウダ高校から「鹵獲ルール」により“頂いた”戦車について確執が示唆される件は歴史を反映していて笑いましたw

番狂わせの飛び道具として“スナイパー”ヨウコを活躍させるスタイルも、
冬戦争にて“白い死神”として恐れられた狙撃手シモ・ヘイヘを想起させます。


【声優 4.0点】
こちらも総勢50人に及ぶ女性声優陣が乱舞しているので継続関連に焦点を絞ってw

隊長ミカ役の能登 麻美子さんが落ち着いた指揮で戦況をコントロールする中、
隊長の作戦に応えたのがユリ役の多田 このみさん。

石川県野々市市出身の多田さん。
ガルパンでは既に大洗のウサギさんチーム・阪口 桂利奈役で出演していましたが、
数年前に“地元”継続高校の役でも出演させて下さいと水島監督に直談判し一人二役が実現。
ユリはリーゼントヘアーの番長口調で、また違った役でしたが好対応。
私も石川県人して、この県民魂は買いたいです。

キーキャラクターとなったスナイパー・ヨウコ役には若山 詩音さん。
彼女の冷静で手慣れた狙い撃ちボイスは鉄板です。


【音楽 4.5点】
最終章も後半戦に入って4話よりOPテーマもChouCho「Never Say Goodbye」に変更。
最終話に向け卒業への予感も醸しつつ、爽やかに疾走するアップテンポナンバーでラストスパート(推定あと4年くらい?w)を開始。

音響面では砲撃も然ることながら、車音で敵の距離を測る駆け引きにも対応する繊細な立体音響。
『ガルパン最終章』は4D出るまで劇場鑑賞我慢すると決意している私ですが、
5話以降は先に公開されるDolby Atmos版に浮気してしまうかもしれません。

ミカ隊長が指示を込めて爪弾くカンテレの音色に、アコーディオンで応えるユリ。
継続独特の交信方法もゲリラ戦ムードを盛り上げました。
作戦行動と共に始まるフィンランド民謡の調べ。
こちらもまた継続戦争にてソ連に奪われた都市サッキヤルヴィを想う歌詞を乗せて歌い継がれているそうです。


【4DX】
傾斜による戦車搭乗感が病み付きになる同シリーズの4D。
今回は戦車で{netabare} アルペン大回転滑走{/netabare} などの急勾配もあるので、
当然ですがコーヒー等は持ち込まないようにしましょうw

激戦が続く中でもお風呂シーンは欠かさないのが『ガルパン』w
今回は{netabare} 北欧サウナ{/netabare} で萌えキャラがひしめき合い、
ガルパンおじさんの心はととのいませんw
{netabare} 焼け石に水をかける{/netabare} フィンランドスタイルも座席背部からの熱風により好再現。
その後の{netabare} “天然水風呂”{/netabare} や、雪中バトルの、寒風による4D効果と合わせて、
総じて寒暖差が激しい4DXでした。

あとは4Dで初めて見る雪模様が綺麗でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

セシウス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

やはり映画館で見たかった

 シリーズ最終章の第4弾ですね。ブルーレイ版を視聴した感想です。
 最終章といってもテレビシリーズが2012年で劇場版が2015年ですから、シリーズの歴史の大半が最終章になってしまっていますね。

 今回は戦車道の全国大会の準決勝2試合を描いています。全体の98%くらい戦車戦のシーンだったのでストーリーらしいストーリーはありません。元々日常シーンのセンスがイマイチなシリーズでしたが、今回は更に適当な感じでこの仕上がりならキャラクターに余計なセリフを言わせないほうが良いのでは?と思いました。
 そんなわけで今回も新登場したキャラクターは何人かいましたが、総じて印象が薄く特別な魅力を感じたキャラクターはいませんでした。ただし、付録のOVAに既に敗退しているモブ高校の隊長さんたちがたくさん登場していて結構おもしろいキャラがいましたので今後ももうちょっと何らかの形で掘り下げてくれるといいなと思いました。主人公チームの会話が少なかったせいもあって今となってはベテラン揃いの声優さんたちもあまり見せ場がなかったような印象でした。

 作画は戦車戦シーンがとにかく物凄かったです。初期の頃も戦車のディティールにとことんこだわった作画をしていましたが技術の進歩も相まって今作は飛びぬけたレベルになっていました。異常に長い制作期間はほとんどがこのグラフィック製作のせいだろうな、と思いました。音響も自宅のショボい音響セットですがそれなりに迫力があったので良かったと思います。今回新録されたOPテーマはTVシリーズのOP曲のような青春ソングっぽい感じです。本編が怒涛の戦闘シーンの連続なので若干ミスマッチ感を感じました。

 一瞬のまばたきもできない戦闘シーンと駆け足で登場キャラクターの属性をあらわすだけの日常シーンがシリーズ共通の特徴ですが、今作はより極端になった感じです。最早おもしろいアニメというよりは狂ったような作画と音響を映画館で味わうための作品という感じですね。一定数のファンは確保できているようですし、どうせならこの路線のまま最後まで突っ走っていってほしいシリーズだな、と思いました。



 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

既読です。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

戦車チェイスみたいな?(3回目

3回目鑑賞。

BC自由学園戦はガーデン
知波単戦はジャングル
今回は雪山とグランドキャナル
次回が最後?ですが
50分とかじゃなくて120分で作って欲しい。
サンダースやプラウダも加勢して欲しい。
ゴジラは東京を破壊するからガルパンは
ミホの故郷熊本から海峡渡って大阪から京都
そして東京から最後は大洗を戦場にして欲しい。

2回目鑑賞。
館内は観客まばら。

とにかく画面ばかりが目まぐるしくて
何がどうなってるのか解りづらかったです。
場所も雪山と砂嵐の高原だし。

次回こそ、「物語」に仕上げて欲しいですね。

ガルパンって、大洗町とJKと戦車という
不思議コラボがあって、さらに色んなキャラ
があって面白いストーリーだったのに
最終章が始まって以来2年毎に
ただただ戦車の追いかけっこばかり。
とくに今回は顕著。

ストーリーに面白みが無く
その分映像の迫力を増しただけで
正直つまらなかったです。
吉田玲子さん脚本ですよね?

最近のミッションインポッシブルみたいで
ストーリーが無いから走る・逃げる・追う
ばかりでつまらないのと同じ印象でした。

シリーズでは「ガールズ&パンツァー 劇場版」
が一番面白かったです。

5話は再来年でしょうか?

アリスを盛ってもなあ・・・

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

75.5 4 2023年秋(10月~12月)アニメランキング4位
窓ぎわのトットちゃん(アニメ映画)

2023年12月8日
★★★★★ 4.1 (23)
79人が棚に入れました
好奇心旺盛でお話好きな小学1年生のトットちゃんは、落ち着きがないことを理由に小学校を退学になってしまった。そんなトットちゃんは、新しく通うことになった東京・自由が丘にあるトモエ学園の校長先生に、「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」と優しく語りかけられる。子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもと、トットちゃんはのびのびと成長し、たくさんの初めてを経験していく。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

本当に、いい子。いい映画。脱帽です。

戦前~戦中期。幼少の頃のトットちゃんこと、黒柳 徹子さんの体験を描いた同名の自伝的小説(未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 5.0点】
戦争の時代が舞台だが、メインで描かれるのはトットちゃんの子供目線。
“聖戦”の大局よりも{netabare} 新しく来る電車の“校舎”{/netabare} や級友たちのことの方が大切だった童心が鮮やかに再現されます。

“困った子”として、どの小学校からも拒絶されたトットちゃんをも、
「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」と自由な方針で受け入れたトモエ学園校長の教育者・小林先生の生き様。
小児麻痺(ポリオ)の同級生・泰明ちゃんとの交流。
などもプロットの柱となる。


構成は、前半、空想上の世界も含めたトットちゃんの奔放な言動で、
トモエ学園の春夏秋冬の子供たちの日常を取っ散らかしているだけのようにも見えて。
自伝だから体験を羅列しているだけかな?と油断させておいて、
散りばめられた要素は後半一つ残らず見事に回収される。
無駄なシーンは何一つない。練り上げられたシナリオに驚嘆させられます。


戦場について、直接描くシーンは少ないですが、
女児にママをお母様と呼び直させる戦時の同調圧力など、
軍靴に内心の自由が踏み荒らされる理不尽や、
取り締まる官憲に対して直接衝突を避けつつ、売り渡したくない魂をどう守るか。
この辺りの心の機微や矜持については繊細に描写されており、痛切です。

終わってみれば、戦争、障害、差別、教育と取り扱い困難な骨太なテーマをも消化して、鑑賞者の心に残してくる。
史上でも屈指の伏線芸術点の高さに私は5.0点満点付けざるを得ません。
{netabare} チンドン屋{/netabare} に始まり{netabare} チンドン屋{/netabare} で終わるw
暗いだけじゃない同時代の空気に感化されながら、心で読み解きたい名作です。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・シンエイ動画

ハイレベルな作品公開が続いた本年アニメーション映画の中でも最高峰の作画。
最初、私は、簡素な人物デザインだな?と高をくくっていましたが、
冒頭トットちゃんが自身の頬をこするカットで、表情筋が豊富に詰まった見応えのあるアニメになると、
私も本気モードのスイッチが入りました。

トットちゃんら子供たちの躍動についても、ちょっと目を離すと車に惹かれそうになる。
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』などのテレ朝アニメで、長年危なっかしいお子様の行動を取り扱って来た同スタジオならお手の物です。


戦前、戦中のくらしを再現する小物描写も、ガラスや鏡の傷みなどの面倒くさい部分も含めて手を抜かず再現。
氷で冷やす冷蔵庫、マッチで着火するコンロなど時代考証も上々で、
当時のくらしへの興味と共に、日常シーンが続いても鑑賞集中力が持続します。

戦前日本は電髪(パーマ)、洋服、喫茶店にキャラメルと、
実は欧米文化の流入が極致に達した時期でもあります。
それをいざ開戦となったら「ぜいたくは敵だ」などと俄に拒絶し弾圧する風潮。
背景美術やポスターによる、時代の滑稽さと恐ろしさの表現も良好で没入させられます。


何よりアニメーションであることの利点が最大化されるのが、
少女・トットちゃんの脳内で花開く空想ワールドの数々。
各空想シーンごとに、それぞれ作監を付けて表現する力の入れようで、
{netabare} 土砂降りの水たまりで、トットちゃんと泰明が、
歌うことを禁じられた曲のリズムをリトミックで鳴らした{/netabare} 珠玉の場面も映像化し、
長年、映画化の話を断り続けて来た原作者の高い要求に応える。

聖人ではない、ちゃんと喧嘩もできる障害者の取り扱い、
{netabare} 子供たちが真っ裸で遊ぶプールな{/netabare} ど、
“官憲”気取りのクレーマーに火を付けられるリスクを恐れずに描写した勇気も含めて、
本作の映画化がアニメで良かったとの感謝と共に、ここも5.0点付けさせて頂きます。


【キャラ 4.5点】
どの登場人物も戦前・戦中だから、外れ者だから障害者だからと、
変に偶像化されず人間として描かれており好印象。
ここでは特に小林先生についてだけ。


昔、讀賣新聞・終戦の日企画として、戦争当時の体験についてのアンケートが記載。
そこで私の目を引いたのが、教師への強い不信感。
戦前・戦中と軍国主義的な教育によって散々、戦意や国威発揚を煽って置きながら、
戦後一転、教科書を黒塗りにして反戦・平和を叫ぶ。
いい加減極まる大人たちへの怒りを引きずったコメントの数々を見て、
時代に流された信念なき教育の断層の根深さと、
そこへの反発から怪物の如き知識人、為政者の類が多数跋扈(ばっこ)して、
戦後社会をかき回したのもむべなるかなと凄く納得した記憶が。


だからこそ、本作にて、荒れ狂う時代においても自らの教育方針を曲げなかった、
トキワ学園の小林校長先生という信念の教育者の実在を多くの人々が共有することは意義深いことだと私は感じました。

小林先生は{netabare} トットちゃんが汲み取り便所に落とした財布を探して糞尿を掘り返す{/netabare} などの子どもたちの奇行も基本遮らないし、
どうしても叶えられない願いに対しても、{netabare} トットVS泰明の相撲を腕相撲{/netabare} に切り替える柔軟対応で童心を尊重する。
一方で、{netabare} 尾てい骨{/netabare} に関して生徒の子供心を傷つけてしまった大石先生の失策は厳しく叱責する。

温かさと厳しさのコントラストすら素敵な名教師でした。


【声優 4.0点】
主演・トットちゃん役には子役・大野りりあなさん。
台本は他の登場人物のセリフも含めて全て暗記する。
息遣いにも感情を込める。
出来すぎて心配になるくらい意識の高い演技で作品を牽引。

泰明ちゃん役の松野 晃士さんらクラスメイトのキャスト陣との良好な掛け合いも含めて、
本邦の子役の層の厚さを再認識。


小林先生役には役所 広司さんに八鍬監督自らがディレクション方針などを綴った手紙をしたためてオファー。
渋みのある落ち着いた演技で、仏の教育者に時折のぞく激情なども押さえる好演。


その他、俳優・タレント陣中心で固めた脇のキャストに関しては、
上記2人程ではない標準的な俳優のアフレコ。
良い面もあったけど最適ではない位の印象。

ただナレーションも務めた黒柳さん御自らに、
小栗 旬さんの声はパパと「声の雰囲気が似ている」とか言われたんじゃ、
降参するしかないんですよねw


【音楽 4.0点】
劇伴担当は野見 祐二氏。
基本BGMより雨音、蝉の声など四季のSEによる当時の空気感を重視した構成。
劇伴を挿入する際も、当時になかった楽器はアレンジしない方針で、
再現した時代の雰囲気を壊さないことを重視する。
が、ここぞの場面では、オーケストラの心情曲で盛り上げてくれます。

トットちゃんの父が日本屈指のバイオリニストということでクラシックの起用もあった本作。
{netabare} 自分のバイオリンでは軍歌は演奏したくないと、魂を売り渡さなかった明け方のパパの独奏。印象的でした。{/netabare}


ED主題歌は、あいみょん「あのね」
単体で聴くと変哲もない同歌手らしいラブバラード。
エピソードを踏まえた上だと、雨情の記憶など、相応の化学反応で余韻に浸れる。
まずまずのテーマ曲。


【余談】
原作は世界でもベストセラーになっていて、特に中国では1000万部と日本以上の発行部数を誇る人気ぶり。
最近『すずめの戸締まり』が中国公開の日本映画の興行収入記録を塗り替えましたが、
本映画にも相当な海外興収のポテンシャルがあるのではないか?と睨んでいます。
案外、海外市場での資金回収の算段が、細部までこだわるアニメーション、製作委員会への強気の予算出資を後押ししたのでは?と邪推してみたりw

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

フェイルン さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

黒柳徹子からの遺言か?

団塊ジュニアの自分が子供の頃に夏休みの読書感想文で読んだのが「窓ぎわのトットちゃん」の本。
どんな感想文を書いたかや、実際の本の細かな内容も忘れたが、黒柳徹子もこれを書いている時点で90歳。そろそろその時も来るかもしれないと、黒柳徹子という芸能界のレジェンドの遺言だと理解して観に行った。

そもそもだが、黒柳徹子が今になり自分の過去を公に残したくなったのにも気になった。

黒柳徹子が子供の頃の話で「おもしれー女の子」だったという話。くらいに思って映画館へ観に行ったのだが、結構シンプルで分かりやすいながら作中からメッセージ性を感じる作品だった。


●現代の教育へのメッセージ
トモエ学園へ転入する事になるが、「おもしれー女の子」でも良いとばかりに個性や自主性を尊重して自由に学ばせる奇跡的な運の良さ。
今の教育に対するアンチテーゼとばかりに自伝をアニメ作品として公開しているように思える。
現代の教育は、画一化や競争化が進み、子どもたちの個性が潰されつつある。そんな中、トモエ学園の教育は、子どもたちの個性を尊重し、伸び伸びと成長できる教育の理想にも思えた。

他にもなかなか攻めた作品で、変な性癖をこじらせそうな小学生低学年の素っ裸シーン。今じゃ親だのPTAだのが騒ぎそうだから、すごい時代だよ。そして、いわさきちひろさんをリスペクトしていると思われるショートムービー。

●戦争による不幸の連鎖
作品後半では、第二次世界大戦も近くなり戦争による閉鎖的な感じや、権力による圧力を感じる。昨今の戦争やらでの不幸の連鎖や無意味さを本作を通して伝えたいのかもしれない。


トットちゃん!は当時としては奇跡的かつ金銭的にも立場的にもかなり恵まれた環境で育ったように感じる。
「おしん」「火垂るの墓」あたり観ると、更なる戦争の痛々しさや辛さを感じるし、本作はまだイージーな戦争の痛みに感じる。ただ、本作で伝えたい事が戦争の虚しさばかりでなく、教育や身体障害者他への配慮といった複数のメッセージ性を感じる良作に感じた。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

メガマインド さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

黒柳徹子の自伝が上質なアニメーションに

トットちゃん(のちの黒柳徹子)は君は本当はいい子なんだよ!!

お茶の間で有名な黒柳徹子さんの自伝の映像化です。

90歳(すごい)を超える方で

監督は八鍬新之助

ドラえもんのび太の日本誕生、大魔境のリメイク、月面探査記やドラえもん作品に

携わること多い方

割と良作の部類に入るドラえもん作品を数多く手掛けています。

最近の映画は戦後や戦争中の日本社会を描く作品が多いなと感じました

最近だと

君たちはどう生きるか、ゴジラ-1.0、ゲゲゲの謎

この作品もしかり。

ずいぶん前だとこの世界の片隅にですね。





原作読んだことないのですが感想といたしましては素晴らしい作品でした。


舞台は第二次世界大戦中の日本

いまじゃ狭い教室の中で、決められた科目を勉強するのがあたりまえだけ

ど、

トモエ学園は自由に自分の好きな科目から勉強できる

学校教育についてかんがえさせられる。

差別もなく、身体障碍者にも手を差し伸べるトットちゃんのやさしさ。




平和な日常の中で徐々に見え隠れする戦争、貧困の描写は不穏極まりなかっ

たが子供から先生や大人まで悪い人は一人も出てこない

優しくも儚い。


子役二人の声優の演技が良い



お話だけでなくクレヨンで描いたかのようなアニメーションの表現にも注目

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6

75.2 5 2023年秋(10月~12月)アニメランキング5位
北極百貨店のコンシェルジュさん(アニメ映画)

2023年10月20日
★★★★☆ 4.0 (22)
121人が棚に入れました
新人コンシェルジュとして秋乃が働き始めた「北極百貨店」は、来店されるお客様が全て動物という不思議な百貨店。
一人前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えたお客様が現れます。
お客様の想いに寄り添うために、秋乃は今日も元気に店内を駆け回ります。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

欲望や合理性の追求が人類をも絶滅させるのか

多種多様な動物たちが訪れる“北極百貨店”にて新米コンシェルジュとして奮闘する主人公女子店員の成長などを描いた同名コミック(全2巻・未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 4.0点】
表層は働く人を応援する明るく楽しい雰囲気のお仕事アニメ。
深層には近現代の科学文明と生物の大量絶滅についての重たいテーマも潜む。


接客を取り扱った作品として観ても解像度が高い。
安易な同意がお客様をクレーマーに仕立ててしまう。
おもてなししたお客様は巡り巡って店の難題解決にも助力する縁となる。
機微を捉えるセンサーも精密です。

一方で絶滅動物“V・I・A”のお客様との交流を通じて、
欲望の赴くままに消費活動行い合理性の論理の元、
自然破壊や希少動物の乱獲を重ねて来た人類の罪と罰を示唆する。
すなわち{netabare} 笑顔によるコミュニケーションという人類のみが有する合理性では割り切れない特徴。
その笑顔で、大量消費の極致である百貨店にて、絶滅動物に接客させる若干の懲罰感を含んだ皮肉な構図。{/netabare}

そもそも、おもてなしなど不要だからと、ディスカウントと利便性が求められる昨今。
百貨店そのものが絶滅危惧種であることが、世界観をいっそう皮肉なものにしている感。


私のように捻くれた見方をすれば重たい余韻も残ってしまいますが、
基本的にはコンシェルジュとお客様の心温まる珠玉のエピソードで、
明日の仕事の活力を充電できる良品。
鑑賞前、70分という尺は短すぎでは?とも懸念しましたが、
終わってみれば夢のようなひと時を過ごした充足感が残る適尺でした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・Production I.G

例えばAIに淘汰されつつある人類だの硬派なSFアニメの印象が強い同スタジオがとなると、
どこで人類文明の罪と罰とかをえぐってくるのだろう?と身構えてしまいますがw
総じて明るい画面でおもてなししてくれますのでご安心下さいませ。

新米コンシェルジュの1年を描くということで、北極百貨店内の四季折々を背景美術が再現。
色彩設計に加え、絵コンテの段階から着彩して映像の方向性を打ち出すコンセプトカラーデザインの工程にも注力。
人物や動物たちのデザインは簡素ながら、短尺での満腹感を得られたのは、
緻密で多彩な背景によるところも大きかったです。

長目の手脚に指先まで神経を通わせて接客する人物の動きなどに躍動感を与える。
この辺りの芸当は本作の監督、作監らが過去に参加したTVアニメ版『ボールルームへようこそ』での経験が生かされていると感じます。
動物たちがゆったりと買い物を楽しむ店内で、お客様のご要望に応えるため東奔西走するコンシェルジュさんのスピード感など、
時に緩急も交えたコミカルなアニメーションにもリズムがありました。

比喩による心情表現も、クレーマーにカスハラを受けた主人公のコンシェルジュバッジが曇って見えるカットなど、上々の出来栄え。


【キャラ 4.5点】
主人公の新米コンシェルジュ・秋乃はややお客様への同意が強い傾向にあるドジっ子店員さん。

彼女を見守る神出鬼没のフロアマネージャー・東堂。
({netabare} 真っ赤に茹で上がった顔で鍋{/netabare} から出現した時はビックリしましたw)
“謎のペンギン”エルルは{netabare} 北極百貨店を取り仕切るオオウミガラスとして、{/netabare}
秋乃に明日の百貨店の可能性を見出そうとする。
外商員トキワは合理的な観点から秋乃をコンシェルジュ不適格と監査しようとする。

三者三様の視点で秋乃を捉えることで、主人公を拡張しつつ、
接客の正解について、鑑賞者をも巻き込んで議論を深める巧妙な人物相関。


癖の強い動物のお客様たち。
いずれも誰かを想うが余り、店に難題をもたらす。
他者を思いやる気持ちはプライスレスを感じられる動物キャラは割りとカップル率高目。
実は本作は今年屈指のカップル向け恋愛映画枠ではないかと私は思っていますw
それだけに{netabare} クレーマーに堕ちたカリブモンクアザラシのマダム。
金持ちセレブでも絶滅種の孤独は心を冒す毒となるを体現しているようで痛切です。{/netabare}


【声優 4.5点】
主人公・秋乃役の川井田 夏海さん。
「申~~~し訳ございませ~~~ん!!」って感じで元気ハツラツなコンシェルジュを好演。
本作が劇場アニメでは初主演となる川井田さん。
今後もどんどんメインどころで聞きたい声優さんです。

“謎のペンギン”エルル役の大塚 剛央さん。
『推しの子』アクアのような少年役だけでなく、
こういう渋い役もこなす引き出しもある方なのだと認識。
中堅ベテランになってからも楽しめそうな声優さんです。

入野 自由さん&花澤 香菜さんのニホンオオカミカップルなど、
エピソードのゲストとなるキャストにも実力者が揃い耳も幸せな本作。

意外な所ではクジャクカップル役の花乃 まりあさん&七海 ひろきさんの元宝塚スターコンビ。
きらびやかな演技と羽根による求愛行動は周りのお客様のご迷惑になりますのでご遠慮下さいませw
って感じでフィットしていました。

味わい深かったのはケナガマンモスのガラス造形家・ウーリー役の津田 健次郎さん。
何だかんだ、{netabare} 亡き妻との思い出の品を壊してしまった{/netabare} ネコ役の諸星 すみれさんとの掛け合いが一番泣けるマイベストカットでした。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はtofubeats氏など。
“な~~んで~もそ~ろ~う~ 北極百貨店~~♪”との明快な「北極百貨店のテーマ」をメインフレーズに、
ノスタルジーを刺激しつつ、総じて軽快なBGMで、和やかな店内のムードを好演出。
一方、文明と絶滅動物の深層テーマを掘り下げる場面では重厚なクラシックも起用する。

ED主題歌はMyuk「Gift」
スウェーデン語でやわらかさ、やさしさを意味する“Mjuk”と自身の本名をミックスしてMyuk(みゅーく)と名乗ったシンガーソングライター。
その名の通りの優しい旋律で作品を締めくくる。
秋公開の映画に冬を想起させる歌詞世界はやや時期が早い気もしますが、
シナリオの流れから考えれば的確。


【余談】
秋乃がレストラン研修の際、敢えて呼び出しベルを置かず、
ホールと厨房が呼吸を合わせて、おもてなしを追求する姿を見ていて、
昔、ファミレスで働いていた頃を思い出しました。

ファミレスのベルスターに呼ばれるままマニュアル対応し続けていると、
俺ってまるでロボットみたいだなwと段々心がすり減っていく。
そこで敢えてお客様の顔色を伺って、タイミングをはかってオーダー伺いに行ったりして、
自分がまだ人間であることを確認するという酔狂を試みたりして精神の平衡を保っておりましたw

月日は流れ、今やガストでは注文はタブレット。
近い将来、ホールを躍動するフリフリ衣装のファミレス店員など、
ブルマ女子同様、二次元世界の妄想上の産物になってしまうのでしょうか?
こんな調子で合理性と利便性ばかり求めていたら、
やがて人類自身も絶滅してしまうのではないか?
ガストで配膳してくる猫型ロボットを眺めながら思い耽(ふけ)る私は穿(うが)ち過ぎでしょうかw

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

原作のよさをエンタメ色の強い楽しい映画作品にしっかり昇華できていた

【レビューNo.155】(初回登録:2024/11/27)
コミック原作のアニメ映画で2023年作品。70分程度。
公開時にお付き合いあるレビュアーさんたちがレビューを書かれていたので、
面白そうかもと気になっていたんですよね。
その後図書館にコミックが置いてあったので、読んでみたらなかなかよかった
ので、そのうちアニメも観なきゃということでようやくですね。


(ストーリー)
訪れる客は全て動物という不思議な百貨店・北極百貨店を舞台に、主人公であ
る新人コンシェルジュ・秋乃が、ひと癖もふた癖もある客からの難題に向き合
い、彼らの悩みに寄り添いながら、解決のために奔走するファンタジー作品。
(wikiより)


(評 価)
・起承転結がきれいに描かれていて視聴しやすい
 本作は
 「”接客”は人間、”お客さま”は動物」
 (しかも「V・I・A」という絶滅種動物がメイン)
 という不思議な世界ではありますが、実はここには
 {netabare}「人間の欲望により絶滅させられた絶滅種の動物たちを、大量消費の人間の
  欲望の象徴である百貨店で人間がもてなす(贖罪的な!?)」{/netabare}
 といった重いテーマが込められています。
 そんな苦み成分も含みつつ、全体的にはエンタメ色が強い楽しく視聴できる
 テイストに仕上げているという印象ですね。

 新人コンシェルジュ・秋乃の物語として
 【起】
  ドジな失敗をしながらも初めての成功でコンシェルジュとしての第1歩を
  踏み出すと
 【承】
  お客さまの難題に真摯に向き合い、時にはチームも巻き込みながら最高の
  形でお客さまの期待に応え、中盤を盛り上げるが
 【転】
  モンスタークレーマーによるしくじりや上述テーマをぶち込み作品に変化
  や深みを与えつつ
 【結】
  これまでの集大成・コンシェルジュとしての成長をエンタメ感あふれる
  演出でしっかり盛り上げて大団円で締めくくるという

 流れがホント奇麗でドキドキやワクワク、ハラハラそしてハートウォーミン
 グといったバランスも素晴らしく、巧みに感情を動かしてくる印象ですね。
 またこの流れを百貨店の季節毎のディスプレイに合わせ、彩りよくみせる演
 出も効果的だったと思います。


・キャラやアニメーションも秀逸
 主人公・秋乃のひたむきな姿もさることながら、上司や同僚そしてお客さま
 たちも短い尺の中で端的に個性が描かれていて、皆愛着が持てるキャラ描写
 だったと思います。
 そして主演の川井田夏海さんや彫刻家・ケナガマンモスの津田健次郎さんは
 いい味出していたと思いますし。

 またアニメーションとしても
 ・上品な時間が流れる百貨店の描写とは裏腹に秋乃の奮闘ぶりはディズニー
  作品的な雰囲気があり、コミカルでキレがあり対比が◎
 ・各動物の特徴を取り入れたお客さまの動きも効果的
 ・百貨店の作画も緻密さの中にもどこか絵本めいたファンタジー感もあり、
  この世界観にマッチしていた
 レベルの高い出来映えだったと思います。


最後に上述秋乃の物語から
{netabare}・「人間からの動物への贖罪」という従来の百貨店のコンセプト
  → 彼女が指し示す「両者の共生」という新しい百貨店の形{/netabare}
としっかりテーマに回帰していた点も見事だったと思います。

原作のよさを残しつつも
「アニメ映画としていかに視聴者に楽しんでもらうか」
ということが熟考されていた満足度の高い作品でしたね。
(プロフィールの通り)時間の長い映画作品は苦手なんですが、そんなことも
気にならない程に没入できたオススメの作品ですね。


劇中歌『北極百貨店のテーマソング』
・「なーんでもそろう~北極百貨店~♪」→耳に残るメロディは必聴w
主題歌『Gift/Myuk』
・この作品を締めくくるに相応しい優しさが心地いい良曲

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

不思議でかわいい、でも、考えさせられる、そんな作品

とても良かったです。
例えば、ここはちょっといまいちとか、ここはもう少しこうだったらいいなとか、
そんなネガティブな感情を抱くことはありません。
ただただ、この物語の世界観を堪能することができました。

不思議な百貨店の新人コンセルジュで主人公の「秋乃」さん。
ぱっと見は簡素なキャラデザのように見えます。
しかし、実はとてもシルエットが美しく、動作もチャーミングです。
また、作品全体としてノスタルジーを感じさせるイラストテイストがとてもよいです。
「西村ツチカ」さんが描くマンガの絵の良さをよく引き出しているのでしょう。

物語の内容もいろいろ考えさせられます。
この物語の構図は、絶滅動物がお客さんで、それをもてなすのが人間です。
それが意味するところは?
そんな大きなテーマもあるのですが、実は、それだけにはとどまりません。
主人公の頑張りから、とても小さな気付きもいっぱい得られる、そんなお話です。

■まとめ

人間と動物が織りなす奇想天外な世界観が魅力の作品です。
キャラも昔の百貨店の広告に描かれているイラストのような美しい線のデザインです。
物語自体は、百貨店を舞台にしたドラマとしてはオーソドックスな感じもします。
しかし、それをこの世界観で描くことによって、とても新鮮に感じることができます。
それによって、今までに観たことがない物語に仕上がっている不思議さがあります。
おススメしたい作品です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

74.7 6 2023年秋(10月~12月)アニメランキング6位
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない(アニメ映画)

2023年12月1日
★★★★☆ 4.0 (68)
342人が棚に入れました
卒業式を迎えた高校三年生の恋人、桜島麻衣を待つ梓川咲太の前に、子役時代の麻衣によく似た小学生が現れる。そんな不可思議な体験を思い返していた咲太のもとに父親から電話がかかってくる。咲太の妹、花楓に起きた出来事を受け止めきれず、長期入院していた母親が、花楓に会いたいと話しているという。母との久しぶりの対面に緊張を隠しきれない咲太の体に見慣れない傷跡が現れる。
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「麻衣さんも、古賀も、双葉も、豊浜も、かえでと花楓も、牧之原さんと翔子さんも、みんな自分で乗り越えたんだ」【『青ブタ』は誰も置いていかない、さあ帰ろう、家族の元に】

2018年のテレビシリーズ、2019年の『ゆめみる少女』に引き続き、2023年の『おでかけシスター』と今作を持って『青ブタ』シリーズ高校生編完結です
<思春期症候群>と呼ばれる不可思議現象に揺らぐ少女達の青春模様を描いたSFシリーズ
『ゆめみる少女』までのあらすじやダイジェストは一切無いので公式がようつべに上げた総集編を最低限チェックした上で『おでかけシスター』とセットでお楽しみ下さい
https://youtu.be/6d30vv_N3tg?si=Oa4hmZvi9KadtZa1




2015年3月1日(日)
桜島麻衣(さくらじままい)の高校卒業式の当日、梓川咲太(あずさがわさくた)は七里ヶ浜の浜辺で子役時代の麻衣とよく似た<ランドセルガール>と出会う
ランドセルガールは咲太にしか姿が見えてなかったようだが、麻衣の身に思春期症候群の兆候は見受けられず、むしろ母親との不仲も吹っ切れたという様子すら見せていた

3月2日(月)
咲太の妹、花楓(カエデ)の思春期症候群も改善の兆しが見え、さらに心を煩っていた2人の母親も健康を取り戻しつつあると父からの一報が入る

3月15日(日)
母と再会を果たし、咲太、花楓、両親の4人で和気藹々とした時間を過ごす

3月16日(月)
世界から…僕が消えた…
咲太の姿が周りから一切認識されなくなる
思春期症候群を発症した時の麻衣と同じ様に…




原作第9巻にしてこのシリーズに一区切りを付ける最後の物語ですが、これまで数多のヒロイン達の思春期症候群を解決に導いてきた咲太自身が思春期症候群に取り憑かれてしまうという、盲点を突いた物語となっています
確かに、今まで様々な境遇のヒロイン達が登場してきましたが、飄々と過ごしている咲太自身も十分過ぎるほど波乱万丈な思春期を送って来たわけですし、そのツケを払う順番が回ってきたと捉えることが出来るお話だと思います


そしてキーポイントになるのがランドセルガールと桜島麻衣
ランドセルガールについては原作においてもその正体は明白に語られていないので後ほど僕が個人的に考察した内容を記すとして…大事なのはやはり麻衣さんでしょう


『青ブタ』という作品が『物語シリーズ』や『涼宮ハルヒ』等の類似作品達とは一線を画してる一番のポイントだと僕が思ってるのは【最後は必ず桜島麻衣に帰結する様に作られている】ことだと思ってます
どんなに魅力的なサブヒロインが登場しようとも、そのエピソードの最後には必ず咲太は麻衣さんの元へ帰って彼女との関係値を確かめ合う描写があるんですね
つまりどんなに他のヒロインとイチャつく描写があったとしても咲太に並び立つ女性は麻衣だけなんだと、咲太も麻衣も分かって付き合っているんでしょう


そのことが如実に解るのが『おでかけシスター』での会話
麻衣はセンター試験に行く事を隠して(仕事か?と聞かれた上で)「まあそんな感じ?」と答えています
一方の咲太は麻衣からのデートの誘いをアルバイトだと断っているにも関わらず、実際にはスクールカウンセラーの友部美和子先生に花楓の進路について相談をしに行ってます
そしてその事実が露呈したあとも特に言い争いには発展していないんです
つまりこの2人、お互いがお互いに嘘を吐いたにも関わらずそのことを責めたりはしてないんですね
これっていくら交際してても普通の感覚では考えにくい関係値だと思います


劇中で咲太は「麻衣さんとは一緒に幸せになるから」と前向きな発言をしていますが、この関係値を踏まえた上で言い換えれば<麻衣さんとなら不幸になっても構わない>という姿勢の表れが見え隠れしてるんだと思うのです
そしてそれは麻衣の側も同じなんでしょう
これまでのお話、特に『ゆめみる少女』での一件を見れば麻衣の側も覚悟が決まっているのは明白です


あと細かいところでは麻衣の心情の揺れ動きを咲太と握る手の指の数で表現する描写が個人的に好きですね
『おでかけシスター』で一目を気にして下校する時は何故か小指だけw
https://youtu.be/3rNTznHbB8A?si=62grw3JObaPvWTne&t=103
今作冒頭で桜島母に咲太を紹介する時は緊張しているのか指2本
そして今作のクライマックスでは5本指と…
完璧なヒロインとして立つ桜島麻衣の唯一の心の拠り所である咲太への信頼がさりげなく描写されてる演出なんじゃないでしょうか


ソレとは別に、今作が高校生編の締め括りに相応しい内容であることを示す僕が好きな台詞がレビュータイトルにもした咲太が七里ヶ浜でランドセルガールに決意を示した時の台詞
ここでわざわざ「花楓とかえでも、牧之原さんと翔子さんも」と今はもう劇中世界には存在しないヒロインの名前を挙げてるところですね
誰も置いてきぼりにしない、これが『青ブタ』ですよ(拳を握り締めつつ)


それと映像面ではシリーズ中でも最も精細な作画が手掛けられたのが今作だと感じてます
特に咲太のキャラデザは『おでかけシスター』の制作途中で増井監督の意図を汲み取った田村里美さんによって目が切れ長になる様に修正が掛けられました
ですが全カットの修正は間に合わなかったのか旧キャラデザと新キャラデザがパートによって混在する状態で公開となっており、ブルーレイ版でも特段に追加修正はされませんでした
それが今作では終始一貫して非常に丁寧な修正が掛けられており、もうキャラ作画においては文句の付けようが無い出来栄えと太鼓判を押せます


もっと細かいところでは咲太が【居心地の良い可能性の世界】にやってきた時に梓川母が心を病まなかった為に顔が少しふくよかに描かれてる点も流石ですね
まああそこは担当作監の手癖が出てしまった、と言われてしまえばぐうの音も出ないんですけど;
(2024/8/19追加 Blu-ray版のブックレットの増井壮一監督へのインタビュー記事にて「梓川母を5キロ太らせて欲しい」と監督から田村里美総作監に具体的な指示が出たそうです
俺の主張は正しかったことが証明されましたw)


あと細かい小ネタとかでは理科準備室での昼食中にバイブが鳴る携帯を指差した双葉の手が【フレミングの左手の法則】になってるとか好きですw
とにかく好きな小ネタが多いんです、この映画w


【ランドセルガールの正体についての考察】
{netabare}
麻衣自身には思春期症候群を発症する要素が無いことは冒頭の母親との関係の吹っ切れ具合からも確認出来ますね
ここでまずランドセルガール≠桜島麻衣が確定します


そして咲太自身が思春期症候群を発症してる事が劇中の中頃で発覚します
つまりランドセルガールとは咲太自身が生み出した存在というわけです
ここまでは誰でもわかると思います


では何故ランドセルを背負った幼い麻衣の姿なのか?
咲太にとって、麻衣はかけがえのない恋人であると同時に、牧之原翔子を除けば唯一自分の弱みや甘えを見せることが出来る存在でした
今作クライマックスでも、最後は麻衣さんが自分を見つけてくれる、と信じきってる咲太がいます
つまり「麻衣さんなら自分を救ってくれる」という咲太の願望や甘えが具現化したのがランドセルガールというわけです


でも何故幼い姿である必要があるのか?
咲太にとって現在の麻衣は強いところも弱いとところも全て見てしまっているので、全て知っている現在の麻衣ではなく、咲太がよく知らない、子役時代の【テレビの中の天才子役、桜島麻衣】の方が、より都合の良い存在として具現化し易い、という咲太の深層心理が働きかけた結果じゃないかと思います


要点は咲太の思春期症候群がランドセルガールという形になっただけというところです
ランドセルガールに導かれて物語後半に【居心地の良い可能性の世界】を行き来してる様に見えてますが、実際は咲太自身が望めばどんな可能性の世界へも移動できる状態だったと考えられます
それはかつての牧之原翔子が【今が自分が作り出した仮の未来だったと認識すれば、世界を再びやり直す事が出来る】という状態だった事に近いものだと考えれば成立するでしょう
{/netabare}


【なぜ赤城郁美だけが居心地の良い可能性の世界に加入しているのか】
{netabare}
これは今後アニメ化が確約されている大学生編への伏線であるので僕の考察が間違っているかもしれませんし、細かい言及は避けておきます
ですがあえて言うなら【居心地の良い可能性の世界】に赤城郁美がいるのではなく、他の全ての可能性の世界に赤城郁美は居たのに、現在の世界の咲太の行動だけが赤城郁美を排除してしまった、と考える事はできないでしょうか?


元々、咲太の周辺人物達はいくつかの可能性の世界でも結果的に合流を果たしてます
これは咲太と周辺人物達が多少なりとも量子もつれの関係にあって、なんだかんだで最後には合流する様に仕向けられているからだと思われます


そして赤城郁美もまた、咲太に合流する関係性を秘めていた人物の1人であったにも関わらず、現在の咲太の行動が彼女を峰ヶ原高校から遠ざけてしまった
そこで現在の咲太に赤城郁美が合流する原因となる新たな不確定要素が【霧島透子】というわけなのではないか?
と僕は考えているのです
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

咲太の母性への渇望が思春期症候群の女たちを引き寄せたのだろうか?

【物語 4.0点】
『青ブタ』《高校生編》完結編。

梓川家の家庭の事情に踏み込んだ今年6月公開の前作『おでかけシスター』とあわせて、
ひとつのホームドラマとして捉えた方が良い2作品。

そもそもスタッフ陣はTVアニメ版+劇場3作品とあわせて、
《高校生編》全体を2クール相当のイメージでシリーズを構成したとのこと。

鑑賞者もまた各々が目的意識を持って能動的に“観測”しなければ、
拾え切れない要素が多々あるファン向けの集大成。

今回は咲太自身も認識していない家族に関する心の問題を取り扱うため、
解決も一筋縄では行かず、伏線も繊細で観測の精度も高めて行かねばならないですし、
鑑賞者もまた咲太と一緒に悩み苦しむことにもなるでしょう。

前作『おでかけシスター』では上手に憎まれ口を叩く咲太の軽妙なトークに笑わされるシーンもあって、
今回も相変わらず咲太は軽口を叩いては麻衣さんに足を踏みつけられるわけですがw
本作は自分自身と向き合う咲太の葛藤と濃厚な人間&家族ドラマを、終始、神妙な面持ちで受け止める感じ。

私にとっては、咲太が思春期症候群の少女たちを引き寄せてしまうのは、
ラノベ主人公少年の補正だけじゃない。
むしろ咲太が抱えた思春期症候群が一番根深いと感じていたので、
その解答編ともなる本作は待望の一本かつ濃密な75分でした。

咲太がもつれた心の糸を解きほぐした先に示されたラストシーンには感動しました。


伏線には《高校生編》グランドフィナーレに向けた物と、
シリーズの今後を示唆する物があり。
その仕分けと方向性も示されるエンドロール後まで離席せず見届けましょう。
(※核心的ネタバレ?){netabare} 麻衣さんも怒り出す成長した翔子ちゃんのセクシー水着ショットin沖縄。心待ちにしておりますw{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・CloverWorks

量子力学などに基づいたファンタジー要素を組み込みながら、
日常生活場面も数多く描いて来た本シリーズ。

炊事、洗濯、買い物、ゴミ出し。
咲太はお兄ちゃんとして当たり前に母親の代役をこなして来たわけですが、
これって考えてみれば簡単なことじゃない。
高校生がバイトもしながら家庭と妹も守る。
高校生の頃、しばしば家族に叩き起こされなければ目覚めることもままならなかった私から見ればw咲太は凄く頑張っています。

ともすれば“つまらない邦画”と揶揄されがちな生活感を醸した日常カットを、
近2作品だけじゃなく、シリーズ通じて淡々と積み重ねて来た。
だからこそ一見地味な本作の会話劇が心揺さぶられる物になる。

『青ブタ』は本質的に地に足の付いた人間ドラマだということを、
作画も理解していたのだと感じ入りました。


【キャラ 4.5点】
キャラクタークレジットにおいて、咲太の両親は一貫して咲太の父、咲太の母と表記されます。
作中、特に家庭に入った女性は実名ではなく何々さん家のお母さんと呼ばれる。
全てが子供中心になる現実を指摘されて、
盲点を突かれた私は客席で思わず声を上げそうになる程の衝撃を受けました。

決して面倒だから主要キャラの父母に名前を与えなかったわけじゃない。
楽してると非難されがちな専業主婦だって頑張ってるし様々な葛藤がある。
考え抜かれたキャラ造形に脱帽です。


レビュタイで示した通り、主人公・咲太における母性の欠落に特に注目して鑑賞した私。
絶好の位置から観測した{netabare} 麻衣さん{/netabare} の母性愛。悶絶しました。


あとは{netabare} キスに向けて興奮が高まった咲太&麻衣{/netabare} のとばっちりで風呂上がりにも関わらず電話を取らされれた花楓。
かえでが電話に出るのもままならなかった頃を思うと、
当たり前に電話応対する花楓に、私はラブコメの波動よりも感慨深さを覚えてしまいます。


【声優 5.0点】
咲太の父役の志村 和幸さん。咲太の母役の亀岡 真美さん。
吹き替え等のキャリアも積み重ねて来た二人の人間味のある妙演。
キャスト陣の土台が安定していたことがホームドラマ色の強い今年の2作品を支えていました。

その上で主演・梓川咲太役の石川 界人さんらキャラを掴んだ声優陣たちの熱演。
上記のラストシーン。感動させられたのは演技に寄る所も非常に大きいです。
最後は(※核心的ネタバレ){netabare} 母との関係を取り戻した咲太と母、花楓3人の泣きシーンに。
通常は横で泣いている演者の声と、セリフを入れる演者の声は別録にして、後で調整するのがセオリー。
ですがテストの出来が素晴らしかったので音響監督・岩浪 美和氏の判断で急遽同時収録に切り替えたそうで。{/netabare}
リアリティのある生々しい家族愛まで再現できる最近のアニメ声優の実力。

アニメ映画にて俳優・タレントを起用する監督・スタッフの言い分として、
この俳優のナチュラルな演技が欲しかったんだという主張をよく見かけます。
近年までは私も一理あると感じていましたが、本作みたいな演技を目撃してしまうと今のアニメ声優には役者として俳優の領域まで十分カバーできる可能性があると考え方が改まります。

この演技は俳優じゃないと……と言われるなら、まず本作を観て、最後のシーンを聞いて頂きたい。
それくらいインパクトのある好演だったので、
ここは私も滅多に付けない声優5.0点を付けさせて頂きます。


【音楽 4.0点】
劇伴はfox capture planが《高校生編》シリーズ完投。
会話劇を邪魔しないピアノの心情曲などで作品を下支えして来たBGMですが、
ドラマ成分が強い今回は特に静かに、時に無音のシーンも目立った印象。

ですがクライマックスでは岩浪音響監督のオーダーで、シリーズ最長の劇伴を用意し盛り上がりを好アシストしてくれます。
『ガルパン』砲撃爆音調整の大技だけじゃない、
人間味を引き出す繊細な調整でドラマを演出する小技も冴えるのがこの音響監督の懐の深い所。


ED主題歌は「不可思議のカルテ」でこちらも《高校生編》シリーズ完投。
完投能力のあるテーマソングは早々生み出せる物じゃないので、
今後、制作が決まっている《大学生編》での起用も望みたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

前作より良いですが「劇場版クオリティ」を満たしていない。

 このシリーズはTV1期+夢見る少女が10点満点なら、お出かけシスターが5点、このランドセルガールが7点という感じでしょうか。

 シスターはまあ楓の一つの結論ですが、次のシリーズへのつなぎとキャラ紹介の要素が強いのと、高校入試の結果が不自然で感動が先に立ってしまったこと、何よりひきこもりの楓が総括できていないので評価が低いです。

 本作「ランドセル」はロリ麻衣がいるし、家族問題と思春期症候群の関係性は総括としては悪くないと思いました。咲太自身の性格形成に少し入り込むような感じも読み取れますし。咲太が自分の苦労を自己否定できないのも高校生らしさがでていて悪くないと思います。いじめに端を発した母親の苦悩の日々もわかります。

 わかりますけど、何か説明くさい気がして、今一つだなあという印象でいた。それはやっぱりロリ麻衣の使い方があざとすぎるのと家族の関係性修復は感情的には乗っかれるんですけど、ストーリー的に今一つ乗っかれないなにかを感じたからです。

 特に麻衣ですね。夢見る少女以降、麻衣がヒロインである意味がどんどん希薄になってゆく気がします。本作では活躍したわけですし一見いい話なんですけどロリ麻衣である必然性がストーリー的にも内容的にもかなり弱いと思います。

 そして、シリーズを通じて一番盛り上がらない2作を劇場版にしたことについてと、シリーズを無理に継続させていることに、製作者あるいは制作者側の姿勢に疑念を持ちます。そう「劇場版クオリティ」は満たしてないですよね。そこが本作の最大の欠点かも。

 それと、原作に忠実すぎてちょっと飽きます。その点で1期およびゆめみる少女は原作既読前だったので、評価が高い可能性もありますが、しかし再視聴しても素晴らしいと思いますので、やっぱり作品の質が違うんだと思います。

 作画は悪くないんですけど、テレビシリーズと大して変わらない印象です。TVなら5でも映画なら3.5かなあ。ストーリーとキャラはやっぱり3.5です。
声優はこのシリーズの声優ははまっていると思うので4。音楽は…やっぱり劇場版としては3.5ですね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

74.4 7 2023年秋(10月~12月)アニメランキング7位
陰の実力者になりたくて! 2nd season(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (241)
1006人が棚に入れました
「陰の実力者」に憧れた少年は、道半ばで命を失い、シド・カゲノーとして異世界に転生した。新たな世界で「陰の実力者」設定を楽しむことにしたシドは、陰に潜み、陰を狩る者――シャドウを演じ、付き合いのいい配下の少女たちと闇の教団に対抗する「シャドウガーデン」を組織する。すべては妄想の産物……そのはずだった。ところが世界の闇たる「ディアボロス教団」は実在し、シドの知らぬところで「シャドウガーデン」は教団との抗争を繰り広げていた。次なる舞台は「血の女王」「妖狐」「暴君」の三勢力が統治する無法都市。そこは、ならず者がはびこる弱肉強食の世界だった。吸血鬼たちの支配者「血の女王」の討伐のため、姉のクレアに連行されてきたシドは、またとない「陰の実力者」ムーブの機会に心を躍らせるのだが……。「血の女王」を巡る陰謀が動き出し、無法都市は三つの勢力が入り乱れる。さらに姉のクレアも騒乱に巻き込まれ、シャドウガーデンも独自に行動。混沌を極める中、シドは人知れずシャドウとして暗躍しようとする。赤き月は昇り、覚醒の刻は来た――!
ネタバレ

こま さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

12話最終回視聴。穴に吸い込まれる主人公!そして劇場版制作決定!やったぜ!!

1期視聴済み。マンガは最新刊まで購入済み。2期以降の部分だけ読んでない(あとから読む派)


なんやかんやあって、あんながこんなで、そんながどんなで、これこれこうして、こんな感じがこうなってぇえええ!こうだ!
ワロタw

まあ1期からそこまで経ってないし、ある程度は覚えてるので個人的には問題無いが…2期から観た人は…2期観れるなら1期も観るよねたぶんw
とは言え2期から観ても作品の雰囲気、どんな感じなのかは分かりやすいと思う。
作品紹介も既存キャラ紹介も分かりやすい。

シャドウも7陰も相変わらずで良いなぁ。
ベータも変わらないなぁw

盗られたら盗り返す倍返しだ!
シャドウ、セリフが気に入ったのか同じセリフを繰り返す。壊れたラジオかなw
不穏な空気が漂うもののシャドウはあの感じなのでギャグアニメにしか見えないの笑うw

待ちに待った2期が来た!楽しみ!視聴確定。

2話視聴。
{netabare}〇〇アトミックで終わるw

相変わらずシャドウは壊れたラジオの如く「死にたくなければ逃げろ。暴走が始まる」
「月が赤い…もう時間がない」「死にたくなければ逃げろ。残された時間はあと僅かだ」
人がいるところでひたすら言いまくるwどんだけ気に入ってるのだろうw

今回もシリアス回だが、シャドウが気の抜けた喋り方で登場するのでアレ?シリアス回だよな?とか思ってしまうの笑うw

アレは流石に予想外の出来事だった…。初見で予想出来るわけがないw
登場の仕方を変えたいと言って登場した瞬間終わった()

これから始まる!とか思ってたのにアレはちょっとw
ちなみに3話以降はちゃんとあるよ!やったね!{/netabare}

3話視聴。
{netabare}シャドウ何も考えていなかった事が分かるw
ベータが戦ってるのを見るの初めてかな?
〇〇〇〇がアトミック唱えてるのワロタw
毎回思うが会話が噛み合ってないの笑うw
「ガンバえー」確かに3歳児w
改めて思ったがシャドウってチートだよねコレ…。
そう言えば忘れてたけどこの都市の建物の景観ヤバいなとw
貯金箱とか言ってるぞコイツw

はぁ毎回面白くて良い…。{/netabare}

4話視聴。
{netabare}最初新キャラかと思ったよw
そう言えば地味なあったよなぁ()
話しの内容で察した()
一般女性が盗賊っぽいのに襲われてナイフで服と下着を切ったと思ったら…。

毎回思うけど計画がガバガバなの笑うw
指摘されるもごり押し→深読みした結果驚かれるいつもの展開()
まあ確かに子供なら誰もが考えそうな事だけどもw実行したやつ初めて見たw
そしてデルタ回。いつものように全裸w(下は履いてたか?)
シャドウの上で毎回いろんな体勢でいるのにいつも通りなシャドウ。まあ無いもんねw
「なら1人くらいは良いか」1000は凄いなぁw
コレまた無駄に終わるんだろうなぁ(トオイメ{/netabare}

5話視聴。
{netabare}ガンマの実力が明らかに…ビームサーベルの持ち方が野球のバットの持ち方なの笑ったw
とにかくテキトーに攻撃するが当たらないwただのごり押しである()
そしてひたすら転ぶ…転んだ瞬間終わっていた…。
最後のアレはやりたい事リストの1つなのだろうか?指の動きが無駄にカッコイイの笑うw {/netabare}

6話視聴。
{netabare}匂いで分かるの草wそしてコレ前にも見たなw
そして話しを聞かない噛み合わない同じ話しを繰り返すwうーん、この()
ジョン・スミスの実力が明らかにw
相変わらず糸を使って今度は7陰2人を圧倒。

シャドウ演出を優先するあまり健康を害すw演出<健康とは?
今回は糸を使ってのバトルが凄まじい。相手が強いと戦いが映えるの良いねw
この感じだとこれ以外も使えるのかな?
杉田さんも大概だったけどそれより酷いとかw{/netabare}

7話視聴。
{netabare}まあ簡単に言うとこれの所為で聞こえなかったの草なんだ。
まあ確かに何か聞こえてた気はしてた。
ようつべで確認してああ、なるほど()
なのでようつべで確認するか2度観ることをオススメする。

今回も気の抜けた話し方するのと相手の所為もあってシリアスがシリアスになっていないw
ボイ◯レ◯ーダーで世界が消滅するだと!?血濡れのサン◯ク◯ースとかよく分からん話しになってるよw「アレ?アレ?話しが繋がらないね?繋がらないね!」

今回で2回目だからね仕方がないね!といういつもの展開デスネ。
そして見つかったアレの中身は何だったのか?{/netabare}

8話視聴。{netabare}8話だけ観るのもオススメ!
男の腹筋ピクピクとか乳首なんていらんのよw
モブ2人に関してはいつも通りなので安心して観れると思う(少しだけ見たけど結局…)
相変わらず扱いが酷くてワロタw

とにかく7陰の水着はエロかったw
他にも温泉に裸にウサミミバニーガールにお尻。…に便○薬w
一瞬欲しいとか言ってた気がするが気のせいだろうw
副作用で穴という穴から体液がダダ漏れw〇〇○ピンチ!幼児化wウサミミバニーのお尻w
こんなので良いんだよw回w

前期のOPのアレをここで回収。

そして当然の流れ…2人の戦いはコレからだ!
声すら出ないのは初めてか?{/netabare}

9話視聴。
{netabare}そう知ってる人は知っているドラゴンクエストである!たぶんゾーマな気がする…。
…だけど女の子にこの格好はちょっと…とか思ってたけど、なんか違うからいいか!

最初誰だっけ?とかふつうに思った。名前で呼んでるし親しいよねコレ、学生?先輩?それともそれ以外で誰かいたっけ?と。
そのまま観てると思い出した。暗くてちゃんと見えてなかった気がするけどこの人か!
服着てるとこんな感じなのかー。

そして…女の子が自分の胸を持ち上げていた…ただそれだけ。
たとえどんなにシリアスで女の子が大変な状況でも見てしまうのはしょうがない…しょうがないよね?
久しぶりのシドの弱弱モブプレイ。ボコボコにされお尻が半分とか久々見たなw
「誰だか知らないけど分かってる奴がいるじゃないか!ボクも負けてなられないな!」…うん

「前からやってみたかった囚人生活を堪能しつつ…」!?違うそうじゃないw絶対違うw
スリル&サスペンス!そしてプリズンブレイク!!目立ちつつ目立たないで目立つとは?

欲しい物は殺してでも奪い取る。良いよね?無法都市ルール。ボクは好きだよ?
要するに強い奴が正しい。つまりボクが正義だ!

「社員番号か何かかな?」まあ知らなきゃそんな反応になるよねw
ただ全く何も知らなかったのには驚いたけどw

〇〇…?ローズ先輩が〇〇!?ボクの陰の実力者プレイを捗らせる為には彼女が〇になる事が必要なんだ!待っていろ!ローズオリアナぁぁぁぁあああ!!{/netabare}

10話視聴。
{netabare}テンプレ悪巧みが始まる!と思ったら始まるのかコレ…。

今こそ僕の磨き上げた縮地が輝く時!…まあ飛んでるしね今更だよね。
縮地って聞くと個人的にはネギまかな。あと似たようなのだとBLEACH、ワンピースもかな?

「スライム率99%…重心の移動に合わせて常に微細な魔力操作を繰り返しているカオス理論すら想定した無駄に無駄の無い無駄な努力。〇の努力の賜物かなって。」
ここまで分かるのも凄いがここまでしてるのも大概w

テンプレ悪役w
「モブにすら手を抜かないテンプレ悪役スタイルとは。その生きやよし。」
「みんなの血税の仇は僕が取るよ。」いつものやつw
触手が見えてんの草。
かなり目立ってたけど大丈夫?

メイドさんはスライム率0%!
手を擦って外したのかアレw
年俸制かーw
美女の誘惑を宗教の勧誘てw
確かに落ちかけてはいたような?

足が震えている?少なくとも主人公は震えてない…。てかすごい体制だなw

一言も喋ったことがないのに愛し合ってるとは?
相手の事を全く考えてないとああなるのか(白目 
表情が分からないってスゴイネ!
自分の好きな相手がイケメン王子様に見えるアレかなw

クッキー食べながら真面目な話ししてるんだけどナニコレwそれも喋ってる間中()
シリアスな場面なはずなんだけど…。食べかすも気になってしょうがないw
ただ…「あなたには覇王になって欲しいんだ!」「私の事をそんなに…!」コレである()

またもやお風呂で股パチンする主人公!オシリw
ベータに対するイータのアレは昔からかーwなるほど前回のアレはそう言う事か。

まず中身を確認しようか!
悪者さん色々企んでるんだけど…さて中身はどこに行ったのでしょうか?(トオイメ{/netabare}

11話視聴。
{netabare}握られた手を外そうとするが外れないwそして顔よw
ストーカーは自分がストーカーである事には気付けない!さてストーカーは誰でしょうか?
へのへのもへじ草。
何で裸にネクタイで演奏してるのに皆んな気付いてないんだろうね?

男女2人が部屋に居て男がズボンを履いてるとアレに見える不思議。
黒きバラ…ああ脱獄した後のやつか。リーダーはあの2人w「アレはなんか違ったしなぁ。」
いつもの話しが噛み合ってない花壇のお話し。
地面歩いてると思ったら…。

母親と濃厚なディープキッス!したのは誰でしょう?
ある場面を目撃したが…この顔は初めてかなw
「コレはアカン。異世界ファンタジーじゃなくて○ドラになってる。どうにか夕方6時台に軌道修正しないと。」やってるの草。コレ見せたらあかんやつ()
なるほど一期の黒幕はこの2人か。ああ…うん…なんか…ごめんじゃないw
ここで耳にくるやつ来たー!!

お風呂で体を洗おうとしたら…本物に見えるレベルかー。
相変わらずの比較対象w「よくぞここまで辿り着いた。」
そして一緒にお風呂!まあ見えるわけがないけどね!

やっと気付いたか…おせぇよ!3回同じ事してんのホントw慌て過ぎるのもまあ分かるw
まだ探してるよ()この子はどこにでもいるなぁほんとw

こうなる事を分かっていて託したのか…。分かっていてもああいうの好き。

そして最後!個人的にアレはテンション上がる!こういうの好きな人多いじゃないかな?
…まあでも一言。がんばぇぇぇぇ!{/netabare}

12話最終回視聴。エロいだけじゃなかったメイドさん!
生首二つと体が半分。今回結構グロいかな。

「流石異世界!コウモリもスケールがデカイ」アレをコウモリ呼ばわりw大災害来たー!
やっぱりこのメイドさん有能だったか。

前髪焦げただけで済んでるのホント草。
糸がお気に入りになったシャドウ!観てて楽しいからイイけどね!
モードレットさんアーティファクトフル装備なのに重症!見た感じ体削られてる?
いつもの、みんな死ぬんだからペラペラ喋ろうか回。
イイよね!別世界!神隠しにアトランティス!
オレは逃げるけどお前達は滅ぶのだ!!グシャ()コレもいつもの。

「ラスボス戦みたいで楽しい」「挙げ句エフェクトは使い回しか」
生きてたけどぼろぼろだったので融合!
「典型的な失敗作だな」デルタ以下とか言われるラスボスさんかわいそう…。
そして宇宙…来たーー!!

色々説明してるんだけど途中から分からなくなり何時ものなんやかんや以下略。
「とにかく凄いエネルギーで。まあ原理なんてどうでもいいか」
ここで耳に響く新アトミック!相手は消滅した!
「たまには力押しの脳筋プレイも悪く無いよね?」
アレ?何時ものは脳筋じゃないと?

アトミック放った後に土星?と惑星がいくつか見えた。似た世界なのか?

フラグはいつもの様に立っていた…ので開いた穴に吸い込まれるシャドウ!
ここってもしかして…。でも何か違う?何この終末世界…。
ある人物が救世主扱いなのだが…。酷い目に遭うのは運命なのだろうか?
何とかスレイヤーさんを知ってる人が居るって事は…。

救世主さん見た感じ魔法みたいなの使えてたし魔力があるのかな?
とは言えあっさり捕まってるし、ここはそこまでじゃない?
そうなると最近観た現実世界をも無双する展開になるんだけどいいのかw
さてホントにこの世界にシャドウが必要なのかw
オマケでベータ巻き込まれてて草。

劇場版(続編)制作決定は素直に嬉しい!けど3期も来て欲しい。
まだまだ先になるだろうけど気長に待ちますか。

最初から最後まで楽しく観れるアニメって良いね!終わり。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

3期早く。同時発表しなきゃダメでしょ?追記 やっぱり映画でしたねえ…

 まあ、最後にきてすごい引きでした。世界観の提示とあの方の再登場。途中不満がないわけじゃないですが、上がりの3話が面白かったので、問題ありません。

 そう…物語というのはこうじゃなきゃいけません。伏線とか設定とかエピソードとかそういうのもいいですけど、重要なのは「展開」です。当初は凡百の異世界ワールドかと思っていたら…ですね。1期のOPとかいろいろ仕込んでそうでしたけど。

 本作はテーマ性は薄いですし、シャドウそのものはギャグ・アクション担当です。
 しかし、アルファ、オリアナ、クレア、アレクシア、シェリーなどサブキャラのキャラ造形がとても良くて、そこに感情の部分がはいります。この2重構造が「ワンパンマン」とは違った(いや、似てるか?)究極の俺TUEEEを実現しています。加えて、最終回でこの世界観です。エンタメとはこうでなければ。

 最終回はすごかったですが、オリアナをもう少し描いて欲しかった気がします。

 2期はやっぱり6話のアルファとオメガの対比が一番面白かったかな…単一回の演出というか脚本のうまさでいえばかなり上位に入るくらい良かったです。
 で、スタッフ調べたら、2期は脚本・シリーズ構成が全話加藤還一さん、絵コンテ・監督も全話中西和也さん、総作画監督が1話除いて飯野まことさんという方が担当されたんですね…え、ということは完パケなの?だからクオリティが高かった?

 どうせ人気出るのわかってるなら、同時発表しなきゃダメだろう?と思ってしまいますが…どうでしょう?こういう贅沢な作り方だと3期時間かかるんですかねえ…それとももう準備してるとか…早く発表してほしい。

 続きの発表ないのと、ちょっと面白くない回が2,3話あったので今回はストーリーは満点にしません。4かな。音楽と声優も4。キャラと作画を5とします。
 3期の発表みて、8話を再評価した上でもう1回評価すると思います。え、劇場版かも??考えたくないなあ…


 原作5巻くらいまで読んでて6巻も買ってるんですけど、アニメの方が圧倒的に面白くて途中から寝かしています。もう我慢できないので読みますけどね。



追記 映画かも…といやな予感が走った直後に映画の発表があり、ちょっと落ち込んでます。

 映画…お金はいいんですけど、面倒くさいのと1回だけしかみられないのでコスパと言うより、面白いところを何度もみたいんで…お金取っていいから配信になりませんかねえ…

 それと、テレビだったら見ていた視聴者は離れないんでしょうか?シリーズが下火になって逆効果はないんでしょうか?私は「青ブタ」は面倒になってしまいましたし…せっかく原作ファンだったのに作品そのものから心が離れてしまいます。その辺、マーケティング的な成功失敗は大丈夫なんでしょうか?





1話 話が分からない人は置いて行く潔さが爽快。期待以上です。

{netabare} 2期になってレベルが上がって帰ってきました。この作品を楽しもうと思わない人を置いてけぼりにする展開のスピードが潔くて素晴らしい。登場人物の説明もないです。「死にたくなければ逃げろ」「月が赤い」が気に入って、言いたくなってついでに人助けしている、というのは本作を理解している人に説明は必要ありません。そこが分からない人は1期から見てください、2期なんだから分かる人だけ見ればいいという感じです。
 この作品のクオリティに自信が感じられる無駄を省いたテンポがいい演出が素晴らしい。この制作陣には信頼がおけます。変な課金も独占もないし、風格すら感じられます。

 この超悪乗りでご都合主義の展開が面白く爽快なのは、原作の面白さをちゃんと理解し、マインドをそのままあるいはそれ以上に再現しているからでしょう。
 数多の作品が2期でクオリティを落とす中、大満足の1話となりました。このまま突っ走って欲しいです。{/netabare}


4話 通貨についてかなり面白い話です。
 
{netabare} 信用の本質はやはり感情です。貨幣に疑いが起きればハイパーインフレと取り付け騒ぎになります。そして紙幣の発行は国だけが出来るというのは法律があるからで、その法律が無ければ自治体や私企業でも紙幣は発行できます。その点では本作の今話のやり取りは正しいです。というか、その点を取り上げたのは面白い視点です。複数の紙幣が混在している状況でニセ札による信用のダウンはなかなか物語として理屈が通っています。

 そして、結構鋭い話なのに、相変わらずすっとぼけと真面目が混在して非常に面白かったです。導入の3話のあとで雰囲気が変わらないか見届けました。今期も安定のクオリティですね。{/netabare}


5話 本編が面白いというレビューはもういいでしょう。EDが良いですねえ。癖になります。

{netabare}  5話のEDテトリス花嫁オメガ…よかったですねえ。まあ、そこまでキャラには萌えないのですが、センスといか見せ方というか、とにかくいいです。クセになります。前期のアルファがかなり良かったので、2期はちょっと落ちるかなと思ってましたが、5話で認識を改めました。

 曲ですが、ドラムと管楽器の使い方が面白く、不思議なリズム感がものすごい引っ掛かりがあります。ただ、メロディーを思い出そうと思っても思い出せないという現象で、また聞いてしまうという感じです。
 この難しい歌を平然と…かどうか知りませんが、歌い切る声優さんは本当にすごいですねえ。

 本作はこういうところまでレベルが高いです。原作06巻も届きましたのでしばらくは楽しめそうです。{/netabare}


6話 あれ?信用創造じゃなかったっけ?兌換紙幣なの?俺TUEEEが生み出す歪な構造が、かえって色んな視点の物語を構成している。

{netabare} あれ?換金っていってますが、兌換紙幣だとすると、信用創造の問題じゃない気がするのですが?信用創造の場合は貸付と貸出の規模を裏付けなく「信用」だけで増やすから、取り付け騒ぎが起きるんであって、換金する「金(キンのほう)」があるならその金の範囲でしか、紙幣って発行してないからそもそも取り付けが起きようがない気がするのですが。

(追記 ちょっと調べました。話を追うと金の預かり証としての紙幣の性質と、信用創造をごっちゃにしているみたいですね。信用創造を始めた段階で金本位を止めないと、そりゃあ破綻します。これはニセ札関係ないです。そもそものミツゴシ銀行のやり方が詐欺みたいになってます。金との交換に応じるなら、紙幣と金の量をそろえないと…ドルで言えばそれがアメリカの中央銀行の地下金庫にあったと言われている金の備蓄です。たしか「007ゴールドフィンガー」に出てきた気がします。)

 それはともかく、面白いです。デルタとアルファの戦闘シーンが非常に良かったです。

 そして、俺TUEEEの歪さを逆手にとって立場による違いが非常に興味深い物語の構造になっています。デルタとアルファの知能の差によって、その構造が上手く表現されていました。
 ワンパンマン的ではありますが、本作はアルファ、オリアナそしてシャドウ等々いろんな立場がエピソードで途切れるのではなく、ストーリーの本筋になっているのが秀逸です。6話はそこにデルタが加わったのがいい対比となりました。無条件の信頼の対比ですね。
 1つのストーリーなのに様々な視点から状況を俯瞰するような展開が非常に面白いです。

 アニメの出来も含めやっぱり出色です。6話も非常に満足しました。


追記 デルタとアルファという対極ともいえるけど、もっとも強い2人のキャラとの戦いを1話に入れて、対比を見せるのが工夫したなあと思います。

 そして、その映像化の迫力が凄い。デルタが列車に迫ってくるシーンは鳥肌もので、一方で待ち受けるアルファ。性格が表れています。戦闘シーンも他では見ない丁寧で工夫があるバトル映像でした。

 そしてどちらもシャドウの正体に気が付きますが、その反応の違いがまた良い。
 ストーリーというより演出、画面作り、声優さんの演技も含め、コミカルでもありシリアスでもある見事な映像化でした。{/netabare}


7話 アルファの美しい涙すらギャグにする2重構造が素晴らしい。

{netabare} 本作の面白さが良くでてましたね。シャドウの思惑は矮小で目先の金が欲しい。それ以外のシャドウガーデンや大商会連合は真面目に経済戦争をやります。七陰はシャドウの考えが読めずシャドウの思惑の曲解で一喜一憂している。

 この2重構造が生み出すギャグを端的に見せたような話がこのニセ札編でしょう。
 それはまさにアルファとデルタの対比であり、本編と「かげじつ」の関係でもあります。

 まあ、ちょっと強引ではありますけどね。シャドウというよりはアルファのキャラ性が優れているからこそできる構造でしょう。原作をビジュアル化するときにこの2重性が胆であり、そこを強く意識したんだと思います。それが6話の2つのバトルだったんでしょう。原作にほぼ準拠しているのにアニメの方が各段に見せ方が上手かったです。だから、7話でのアルファの感動の涙がギャグになるということになるんだと思います。 {/netabare}


8話 くだらなすぎて草。逆説じゃなくて本当にくだらなかった。

{netabare} アニオリで期待してたのに…正直あの2人は普段から邪魔だったので、もう出さなくていいです。{/netabare}


9話 少しシャドウの出番を減らして真剣なパートを描いて欲しいかな。

{netabare} オリアナの深刻な想いと、シャドウのいつものフィクサー芸ですね。面白いし、演出はさすがという水準ではあります。

 が、シャドウのコミカル面よりそろそろ女性たちの物語中心に描いていいんじゃないかなと思います。シャドウパートは清涼剤としてコミカル担当で、もうちょっとじっくりオリアナとか他の女性を描いて欲しい。

 まあ、新エピソードのスタート回なのでしょうがないですが、6話のアルファとデルタの対比が素晴らしかっただけに、少し緊張感のある掴みが欲しいですね。{/netabare}


10話 9話よりかなり面白かった。視点なんでしょうか?

{netabare} 9話よりも圧倒的に面白かったです。オリアナ、七陰等の真面目な行動が相対的にギャグになるから、視点をシャドウに合わせない方が面白いということでしょうか?

 そしてギャグと同時にオリアナのシリアスストーリーにも感情移入ができるので、本当に不思議な作品です。 {/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「月が赤い……暴走が始まる……もう時間がない」

引き続き原作未読で視聴継続。

【物語 4.0点】
全体構成は1期の2クールから2期では1クールに。
その中で「無法都市編」「偽札編」「オリアナ王国編」3つのメインエピソードを展開する。

内容は相変わらずシャドウ様が転生異世界にて、
陰の実力者プレイ時々モブムーブを満喫。
シャドウ様が最強過ぎて周りが深読み、翻弄されるループ。
シャドウもレビュタイに拝借させて頂いたお気に入りの決め台詞を何度も繰り返し、
ロールプレイをエンジョイされているようで何よりですw

とは言え、そろそろこのパターンも2期でさらに3ループもすると飽きてくる頃?
と思い始めた矢先の最終回。
(※核心的ネタバレ){netabare} 異空間転移を経て元の世界に戻ってきたシャドウ様。
彼が転生後サイバーパンク気味に崩壊した故郷という{/netabare} 衝撃的なシナリオ転回からの、
続きは劇場版「残響編」で。

これまで私はシャドウの陰の実力者妄想に現実が追い付く物だと思っていましたが、
転生にまで突き抜ける彼のロールプレイ願望そのものが次元レベルの崩壊や新生をもたらす特異点なのでしょうか?
私にとっては近年でもかなりワクワクする続きは劇場版で!の“叡智”の提供を心待ちにしております。

本作は2期1クールというより1クール+劇場版≒2クール相当の企画として捉えた方が良いのかもしれません。


「偽札編」にて信用創造が“陰の叡智”として転生異世界にもたらされ、経済戦争を巻き起こす件。
異世界転生界隈でもこうした経済ネタが提供、消費される素地があると分かったことが収穫でした。

無自覚に世界を振り回す主人公最強同士として『オバロ』のアインズ様とコラボすることが多いシャドウ様。
ここは同じくKADOKAWAが今年4月の新作アニメ放送から再起動を目論む『狼と香辛料』のホロ様との絡みも見てみたいです。
「偽札編」ではケモ耳も多数供給されたことですしw
ジョン・スミスとロレンス中の人同じですし。


【作画 4.0点】
アニメーション制作は引き続きNexus

バンパイアあり、列車上でのワイヤー武器による高速バトルありとバトルアニメーションは変わらずリッチ。

そんな中、作画の力を感じたのは最終回でのデジャヴを狙った対比。
(※核心的ネタバレ){netabare} 崩壊した現実世界にて、1期1話と同アングル、構図を多用して、{/netabare}
1期からの伏線も回収しつつ視聴者にカタルシスを与えたり、{netabare} バール最強{/netabare} のトラウマをほじくり返したりするw絵作りが巧妙でした。
視聴者の記憶を呼び覚ますには、説明都合のセリフや文字情報を長々と垂れ流すよりも、
映像で刺激した方が効果的であることを再認識させられました。


息抜き回となった8話のアニオリ水着回。
巨乳(一部虚乳)揃いのシャドウガーデンの美女たちの水着姿も眼福でしたが、
私が嬉しかったのは1期OPの白スーツの彼女たちの躍動が本編でも見られた事。

あの1期OPは現実世界の高校にヒーローとして身を潜めるシャドウガーデンというネタ映像かと思っていましたが、
2期を完走した上で見返すと、
シャドウが異なる宇宙の自分を観察している感もあって何とも意味深に感じちゃうんですよね。

そんなこんなで2期OPで描かれたシャドウ様の半生振り返り映像風にも、
何かヒントはないかと深読みしてしまう私。
完全に掌の上で踊らされていますw


【キャラ 4.0点】
私が1期で今後一番注目したいと思っていたオリアナ王国の王女ローズ。
「オリアナ王国編」でピックアップされ、おまけにドエム・ケツハットの陰謀も再提供され、
金髪や姫の転落ネタが好物の私は大満足。
シャドウ様はローズに闇の覇王覚醒ルートなどをご所望のようですが、
私は姫にはもう少しピュア路線寄りで救済と幸福をつかんで欲しいと願ってはいます。

もう一人私が1期で、またいつか見てみたいと思っていたヒロインの(※核心的ネタバレ){netabare} 西野アカネ。{/netabare}
意外と早い供給かつ、戦う黒髪美少女という、こちらも好物に再加工され提供され、望外の喜び。
そういう意味でも新作劇場版「残響編」の鑑賞は私にとってマストです。


1期では名前すら把握しきれない内にいつの間にか増殖していた感のあったシャドウガーデンの美女たち。
私は誰が推しかは未だ目移りしたままですが、一緒にいて安心できるのはデルタかなとは思いました。

シャドウに崇高な哲学があると信奉して真剣に迫ってくる絶世の巨乳美女ばかりだと肩が凝りそうでw
それよりはご主人様~♪とペットみたいに懐いて来るデルタ辺りとアホな掛け合いを繰り広げながら、
埋蔵金を発掘したりしている方が楽しいかなとw


【声優 4.0点】
主人公シド・カゲノーことシャドウ役の山下 誠一郎さん。
モブから最強までの振れ幅をカバーする彼の演技をさらに補完するゲストもスパイシーな本シリーズ。

今回は「偽札編」でシャドウが変装したジョン・スミス役に福山 潤さんを起用。
シャドウ様の特徴も捉えつつ、シャドウと既知の中であった狐も騙す変装の説得力も押さえる流石の演技。


“血の女王”エリザベート役に早見 沙織さん、教団第9席モードレッド役に子安 武人さん、強そうだったのにあっという間に退場した{netabare} CV.杉田 智和さんw{/netabare} など、
対峙する勢力の要所に実力者を配しキャスト陣は豪華。
シャドウ様も暗躍しがいがあります。


一方でヒョロ・ガリ役の松岡 茉優さんは、引き続きジャガ・イモ役の松重 慎さんとのタッグで、
アフレコで突如アドリブで{netabare} 「シドくんお金~♪」{/netabare} と高らかに歌い出すwなど、
届かぬ美女ナンパと一攫千金の夢を追い掛けるお約束のモブムーブを磨き上げる。


【音楽 4.0点】
OP主題歌はOxTが「grayscale dominator」で続投。
これまた複雑なピアノ伴奏にテクニカルに裏声を交える、カラオケで歌えなさそうな難曲でして(苦笑)
余人が立ち入れない世界観を構築し、『オバロ』と比肩するOxTの異世界転生アニメシリーズ主題歌提供は続きそうです。

『オバロ』方面からの刺客と言えば偽札編をバラード曲「Everything is Changing」で締めくくった前島 麻由さん。
楽曲提供は作詞・川田 まみさん、作編曲・中沢 伴行さんの夫妻。
まみさん歌手引退後もこうして音楽活動が続いていることを確認できると私も嬉しいです。


ED主題歌は引き続きシャドウガーデンのヒロインズが持ち回りで「Polaris in the Night」を歌唱したり。
最近知って衝撃的だったのが、ED担当順は監督がサイコロ振ったりして適当に決めていたという事実。
一見ランダムに思える順番にもきっと意味があるはず?と考察しかかっていた私w
やはり私はシャドウ様の言動を深読みし過ぎて踊らされるタイプの凡俗のようでw

そんな単純な私が、ラスト、最終話タイトル回収と共に挿入された{netabare} 1期OP「HIGHEST」{/netabare} で舞い上がったのは言う間でもありません。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

74.3 8 2023年秋(10月~12月)アニメランキング8位
駒田蒸留所へようこそ(アニメ映画)

2023年11月10日
★★★★★ 4.1 (52)
246人が棚に入れました
経営難の蒸留所を舞台に、家族の再生と幻のウイスキーの復活を目指す若き女社長の奮闘を描く劇場版オリジナルアニメーション。
先代社長であった亡き父の跡を継ぎ、駒田琉生は駒田蒸留所の若き女社長となった。琉生は経営難の蒸留所の立て直しを図ると共に、バラバラになってしまった家族と、幻のウイスキー“KOMA”を復活させようと、奮闘の日々を送っていた。
そこに、自分の仕事に魅力を見いだせずにいる新米記者の高橋光太郎が取材のためやってくる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

『Komada A Whisky Family』

長野の小規模メーカー「駒田蒸留所」
若くして女社長として跡を継いだ駒田琉生(るい)が、
経営難に直面しながらも家族の酒である幻のウイスキー“KOMA”復活を目指して奮闘する姿などを描いた、オリジナル青春群像映画。

【物語 4.0点】
P.A.WORKS“お仕事シリーズ”の最新作。
だがレビュタイに掲げた本作の英題の通り、後半にかけてより家族の絆の物語へとシナリオが傾斜していく。


前半、主人公視点を蒸留所の女社長・琉生ではなく
ネットニュースサイトのうだつの上がらない記者・高橋光太郎に置き、
取材視点で群像を渡り歩く内に、当初やる気のなかった取材にも熱が入っていって……という展開。

お仕事アニメとしても、ウイスキー作りを下積みから叩き上げてどうとかではなく、
自分のやりたいことが分からずにフラフラしている記者の若者が、
与えられた場所や仕事で本気に取り組むことで、
周囲の様々な人生に触れ、発見や成長をしていく。
好きなことをストレートにやるだけが成功じゃない。
やりたいこととは関係ないと思っていた仕事から思わぬ道が拓けることもあるとの教訓を伝えることに力点が置かれる。

ウイスキー作りについても専門性をマニアックに深掘りするのではなく、
幻のウイスキー“KOMA”を家族の絆を象徴する軸として活用した感じ。


これらのシナリオをプロットはあまりガチガチに詰めずに、
登場人物のブレンドが生み出す化学反応に期待して脚本。

そのため予め目標にしていたクライマックスではない、思わぬ場面がヤマ場になりますし、
人によっては光太郎同様シナリオも方向性が定まらずフラフラしていると感じるかもしれません。

けど私はあまりウイスキーアニメだからなどと決めつけずに、
シナリオの流れに身を委ねたら、終盤、(※核心的ネタバレ){netabare} 琉生の母が復活したKOMAを試飲{/netabare} する場面では感動。
意外と人物や伏線をそう絡めて繋げて来たか、
ウイスキーKOMAの“タイトル回収”と合わせて、
独楽の如くクルクルと上手くシナリオを回して来たなと感心もしました。

熟成まで最低3年かかるウイスキー作り。
序盤仕込んだネタが何処で熟成されるのか。
高々90分の上映時間くらい辛抱強く待ちましょうw
特に冒頭のワンカットには仕込みが多いので感度を上げて挑むことをオススメします。


【作画 4.0点】
人物作画の描き込みは思いのほか簡素。
背景美術も高密度なフォトリアルではなくイラストタッチ。
作風には合っていますが、劇場版クオリティとして評価すると平凡な出来。

一方やはりウイスキー関連については、ウイスキー監修まで招いて、
見慣れない道具のリアリティーにまでこだわって描き込んで来ます。
蒸留施設にあるニューポットの金属のテカり具合とか他の背景とは気合が違います。

私が凄いと思ったのは調合室の描写。
サンプルの原酒一つ一つに色彩を設定しなければならない。
テーブル上や棚に色とりどりの瓶が並ぶ絵は壮観でしたが、作画の面倒臭さを思うと気が遠くなりましたw


【キャラ 4.0点】
一応、前半、青春群像劇の主人公視点を与えられたネットニュース記者・高橋光太郎。
本作の監督が若手にアニメ制作を教える中で、もう少しで開花しそうなのに辞めてしまう人がいるとの悔恨から、
こうした若者たちにエールを送る意図も込めて創造されたキャラクター。

よって序盤、自分探しをこじらせて異様に情けないのも、群像間をフラフラしているのも、狙いとしては正しいのでしょう。
が、中盤、{netabare} 琉生社長に向かって、家業継いで好きなこと仕事に出来る奴はいいよな~とトンチンカンな悪態を付いて往復ビンタを喰らう{/netabare} 件は、シナリオの転換点として機能していたものの、流石にイタ過ぎると私も頭を抱えましたw

普通ならコースアウトしかねないほど危なっかしい光太郎が前に進めたのは、
蒸留所・道具修繕担当のベテラン東海林さん、
ネットニュース会社上司・安元さんの温かいフォローのお陰様でしょう。

あとは光太郎が凹んでいる時には愚痴を聞き、
調子が出てきた時には自慢話を聞く親友の斉藤裕介。
俺もどうせ酒を飲むなら、こういう奴と酔い潰れて放言して、内心ウザがられたいですw


後半、光太郎が本気を出し、取材の進展と共に、
真の主役へと解像度アップする女社長・駒田琉生(るい)

確執を抱えた兄・圭などバラバラだった家族が、
思わぬ視点で、駒田家や琉生のことを互いに見ていた。
家族の酒・KOMAを通じて豊潤になっていくキャラクター相関が味わい深かったです。


【声優 4.5点】
オーディションでキャスティングする中、
駒田 琉生(るい)役だけは早見 沙織さんを指名して起用。
若きリーダーとしての仮面に覆われた前半と、
キャラ深掘りによる本音の暴露と、家族などに関して心境が変化していく後半で振れ幅も大きい役柄。
それでもブレない優しさをナチュラルに持っている早見さんの性格に期待してのキャスティングとのこと。
私もしかと伝わって参りました。

真面目な女社長役なので、はやみん萌えの補給は望めない?と思いきや、
{netabare} テイスティングノートをBL漫画イラストで表現していることが知られた際に赤面{/netabare} する早見さんの演技はなかなか破壊力がありましたw


振れ幅という点では高橋光太郎役の小野 賢章さんも見違えていく若者を好演。
それ以上に、そんな若者の成長を見守り、時にケツも拭いたりする、
上司・安元役の細谷佳正さんの包容力のあるボイスの安定感、安心感が半端ありません。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は加藤 達也氏。
力強いピアノとストリングスによる心情曲、戦闘曲が印象的な作家さん。
本作ではそこにサックスのブレンドを多用しウイスキーのムードを演出。

駒田 琉生(るい)役の早見 沙織さんが歌うED主題歌「Dear my future」も加藤氏が作曲。
そのメインフレーズが劇伴でも軸となる。

このBGM私は正直かなりお気に入りです。
サントラが出たら、やりたくもないタスクに向かう憂鬱な朝とかに是非チョイスしたいですw

因みに主題歌「Dear my future」のフルVer.のDLカードが劇場鑑賞特典。
YouTubeのMVショートVer.じゃ納得できない方は是非劇場に足を運びましょう。



【余談】
本作の舞台は2019年ですが、ウイスキーを巡るエピソードは数年単位のスパンで物語られます。
個人的には、駒田蒸留所と家族の歯車を狂わせた起点として設定された長野県北部地震のことを失念していたことがショックでした。

3.11の翌日未明に発生したこの地震のニュースが流れた時、
どうせマスコミは3.11ばかり取り上げて、この内陸型地震のことなどすぐ忘れ去られるだろうから、私は覚えておこうと思っていたのですが……。

長期的な視点を忘却しない大切さもまた本作から学ぶことができます。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

酷評する楽しみすらない凡作。実写でよくね?

 感想が難しい作品です。いい話、まとまっている話ではあります。が、これは劇場版クオリティなのか?という気はします。
 アニメ作品としてではなく、ウイスキー蒸留所を舞台にしたお仕事もの、というのを強引に解釈すればほめられますが、アニメとしてほめられるか?というと疑問です。

 主役、高橋光太郎の性格造形があまりにひどすぎる気がします。他責にして自分が大物である、チャンスがなかっただけ、などという思考をしてしまうのは、今時のマインドなのかもしれませんが、それなら周囲が何とか仕上げてから取材させないと迷惑だろうという気がします。まあ、それは設定だからいいんですけど、あまりにキャラ造形が薄いというのが気になります。こいつが改心しない結末以外無いでしょう。それはいいの?という気がしました。

 そして、主人公がクズ過ぎてそうなると上司の言葉に説得力がなくなり、ひいてはストーリーそのものの説得力も薄くなる気がします。もうちょっとキャラに厚みを持たせられないの?という気がしました。

 それはヒロイン駒田琉生にも言えます。内面に全然入り込んでいないことです。もちろん、視点が光太郎だからそうなるんだと思います。ただ、彼女視点のパートが少ないため、聖女になってしまっている気がします。それを相対化するためにBL的な趣味を無理のあるシチュエーションを作って見せたのかもしれませんが、光太郎のクズさが際立っただけです。

 でまあ、{netabare} 駒田家の家族の協力で…しかも故人のノートって…それはやっちゃダメじゃないの?という気もします。そもそも火事がなあ{/netabare}…兄との対立構造の中、いったん会社を奪われて、それでも…とか何かなかったのか。母が他人ごと過ぎますし。

 そして、アニメ作品としての見ごたえ、ですね。SFやアクション、スポーツじゃないですし、アイドル、音楽や画像で見せる作品でもないです。萌えキャラでもないですし、アーティーでもないし幻想的なシーンがあるわけでもなく。なぜ、アニメという媒体なのか、という主張がほぼ感じられません。
 これを劇場で見ても…と思いますが、まあ劇場で見た印象とは違うでしょう。けど…最低限のワクワクは欲しいかなあ。

 話として仕事をやり遂げるという達成感はあるかもしれませんけど、挫折が {netabare}火事じゃなあ。例えば兄の火付けとかなら納得感はあるんでけどね。{/netabare}
 これは正直実写でいいじゃん、と思わなくはないです。というか、このストーリーならリアリティという点で実写にすべき作品だったのでは?と思います。

 作画もそれほど動かないです。印象としては最近見たジブリの「海がきこえる」と同じ印象です。いい話、まとまった話ではありますが、身近すぎます。しかも、主人公へのヘイトがたまるだけたまって、{netabare}BLと買収と火事とネットで呼びかけましょう{/netabare}…ですからね。

 ストーリーは平凡すぎて意外性が驚くほどない上に、ご都合主義というより尺を使うために作りましたという感じです。そして完全に現実世界の話なのに、キャラ造形が薄っぺらいので話に起伏がないです。結末が初めからわかっていたような感じです。作画も平凡。テーマもやりたいことと仕事の違い、家族、価値を受けつぐ、価値が分かる人はわかってる…はじめの30分で描けるでしょう。

 ということで、何を描きたくて描いた映画なのかまったくわからない、酷評する楽しみすらない、映画でした。
 作画はそうはいっても普通なので3点…いや劇場版としてはダメか。2.5にします。
 声優さんが悪いわけじゃないですが…まあ調整で3点。ストーリーキャラは1.5ずつにしておきます。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人を選ばない作品

お仕事シリーズ、「花咲くいろは」から数えて "12年ものの銘品"。
私はそう評価してみたいと思います。

シリーズのなかでは、ちょっと抑え気味な演出です。
でも、その分、リアル寄りですし、自然体で寄り添える感覚で視聴できました。

差し込まれるサックスの音色がとても心地良くて、作品の薫りをまろやかに耳に届けてくれます。
私はどちらかというと雰囲気上戸のほうなので、お酒にもBGMにも好き嫌いはありません。

そんな91分でしたので、馥郁とした余韻に任せて向かったのは、馴染みのリカーショップ。
手に取ったのは、地産のウイスキーでした。

小瓶、でしたけど、ね。



主人公は、若くして家業を継いだ駒田琉生(こまだるい)。
声は、早見沙織さんです。
あとの出演者は、申し訳ありませんがあまり印象に残っていないんです。(本当にごめんなさい!)

それだけ、駒田琉生に肩入れしてしまったというか、早見さんの声がはまっていたというか・・・。
彼女らの想い、悩み、頑張り、歓びが、じんわりと胸を包み、ゆたかな共感を呼ぶのです。

その人柄は、今を生きている同世代の方にも、きっとフィーリングがリンクするような気がします。
琥珀の液体に命を吹き込もうとする意志と瞳が、鑑賞する人にも同じように向けられます。

勤労することの "今" に、そして "未来" に「ようこそ!」と。



実は、鑑賞前は、少し戸惑いを感じていました。
というのも、お仕事シリーズのフィクショナルな部分でいくらか違和感を感じていたからです。

作品は観られることが大前提ですから、主人公キャラを盛るのは常套だと思います。
ただ、盛りすぎる手合いはちょっと遠慮したいかなっていう過去シリーズへの受け止めもあります。

もちろん、表現性や受け止め方はそれぞれなので、あくまでも私の中にある限定バイアスなのです。
ただ、そうした縛りが拭えなかったので、同じようなテイストだと外れちゃうかなあって心配があったわけです。

で、どうなったかと言うと、気持ちよくお酒を買ったくらいですから、P.A.WORKSにも、リカーショップにも、そして私にも、ウィンウィンの相乗効果が出たというのが今回の答えです。



蒸留酒には、3年もの、5年もの、10年ものだったり、古酒と呼ばれるものだったりがあります。

そこに飲み手の人生の蘊蓄が加われば、なお味わいは深くなり、彩りが生まれるでしょう。

本作は、そこにブレンダーの手、寝かせた木樽の息遣いを、五感に加えてみるというもの。
クラフトウイスキーの造り手からの新しい提案とも言えそうです。


人と人との距離感が薄れかけている昨今です。
グラスを傾けながら、心を近づけ合う機会は、どんなにステキなことなんだろうって思いました。

人を選ばない作品。

ですが、その薫陶は、どうやらレヴューでは書ききれなかったみたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 15

74.2 9 2023年秋(10月~12月)アニメランキング9位
SPY×FAMILY Season2(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (316)
1162人が棚に入れました
人はみな 誰にも見せぬ自分を 持っている――
西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属である凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作ることに。
だが、彼が出会った娘・アーニャは心を読むことができる超能力者、妻・ヨルは殺し屋だった!
3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。
秘密だらけの家族に、再び世界の命運は託された!?
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

愛する者のため戦うのか?戦わせないのか?

【物語 4.0点】
1期2クール目に引き続き、各回2本立て以上の構成も交えながら、
ショートシナリオでアーニャ以外のサブキャラ育成も図るのが基本線。
中盤からは今回のメインエピソードとして複数話完結の「豪華客船編」も展開。


2期もスパイ要素を絡めたホームコメディに徹するため、
本格スパイ物として期待すると進行度の遅さにじれることも。
アーニャのイーデン校での“星(ステラ)”や“雷(トニト)”の数の変動もなく、
“オペレーション<梟>(ストリクス)”にも停滞感が漂う。


ただ本作のオペレーションの目的が世界と家族の平和と捉えている私にとっては
収穫もあった2期でした。

極論、アーニャが“皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)”に成り上がっても戦争勃発したらこの作品はゲームオーバーですから。
1クール程度でオペレーションをクリアする強硬策も可能でしょうが、
その場合は人類が戦争を無くす方法はこうだ!などと言う、
フィクションでも解決策を提示できたらノーベル平和賞ものの理論を、
拙速に用意せねばならなくなる。

取って付けたような平和思想で、強引に<梟>(ストリクス)を片付けたとしても、
結局、戦争がしたい次の黒幕とオペレーションが立ち上がりグダグダになる気がするんですよねw

よって『スパファミ』の場合は成果が上がらないオペレーション<梟>のための暫定偽装家族という綱渡りコメディをノラリクラリと続ける方が良いのだろうなと私は思っています。


その観点から興味深かったのが「豪華客船編」のヨルさんの“いばら姫”としての矜持と、
最終回・12話ロイドとボンドの散歩エピソードで垣間見えた、
戦いと家族に関する考え方の違い。

{netabare} 私が凡百の戦争映画を観る気すら起きない理由の一つに、
誰かの思惑で始めた戦争が、いつの間にか巻き込まれた個々の家族や愛する人のための戦いという美談にすり替わるという詐欺的プロットがありますが。

ヨルさんは弟の外交官・ユーリと共に、
上の思惑は知らないけれど、命じられたまま家族のために“わるものさん”と戦うという生き方に疑問を抱かないまま育って来た姉弟。
豪華客船での戦いでは、ヨル自身にも生き方についての葛藤がありますが、
結局、フォージャー家を想って身命を賭す生き様を貫き通してしまう。

ここまでならば私も眉をひそめる、いつものいけ好かない美談で評点も物語3.5点でしたが、
4.0点にしたのは最終12話で放火現場からペットを助けるために危険を冒したボンドに、
ロイドが職業犬訓練よりもまずフォージャー家の一員であることを自覚して、
無事に帰ることを第一に考えるよう優しく諭す場面ゆえ。{/netabare}

ロイドとヨルには、西国(ウェスタリス)の諜報員と、東国(オスタニア)
の暗殺者というだけでなく、
戦いに対する価値観に大きな隔たりがあり、今後、火薬庫になり得ることを全体構成で示して締める。
『スパファミ』は毎クール一見静かな幕引きのようで、重た目の課題を私に残していきます。

マジメに戦争と平和について結論を急ぐ戦争映画より、
本作のような、明るいホームコメディの方が、うっかり核心を突いてしまうこともあり得る。
ロイド(偽名)は何故、子どもが泣かない世界のため、戦闘員ではなくスパイを選んだのか?
今後も、ロイドこと“黄昏”の過去などに焦点を合わせつつ、核心を見逃さないようにしたいものです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・WIT STUDIO✕CloverWorks

序盤は日常回が続くため相変わらずアーニャの顔芸が楽しいClover色が、
中盤「豪華客船戦」では緻密に構築、管理された船上バトル空間の中で、
暗殺者同士が躍動するド派手なバトルアニメーションもありWIT色が強めな感。
美しい打ち上げ花火と血しぶきのコントラストに両スタジオのコラボを実感しますw


湯浅 政明氏がコンテ・演出を手掛けたOPアニメーションも印象的。
どうあがいても溢れない紅茶に、
薄氷の上に成り立つ偽装家族が効果的に比喩されていて、私はずっと紅茶を目で追っていましたw

ユージン氏によるEDアニメーションにも温味がありました。
紙人形劇風に、時に人物の裏表をひっくり返す演出も交えて、
アーニャだけが見えている人間の二面性を表現したという深イイED。
サビでダミアンに怪しい視線を送ってほくそ笑むアーニャがツボですw


【キャラ 4.0点】
サブエピソードで周りを掘り下げても結局アーニャが可愛かったに帰結する本シリーズ。
今回は{netabare} 古語{/netabare} が得意なアーニャを通じて出生地に関するヒントが示され、
アーニャもまたボンド同様、戦争を背景とした能力開発被験者である説を思い出させられますが、
深い詮索はなく、今日もせかいはへいわ。

今後もしもアーニャ一強に変化をもたらすとすれば、私はダミアンだと思っています。
そういう意味で2話Bパートの野外学習にて、特殊クレジット演出でダミアントリオをフィーチャーしてくれたのは嬉しかったです。
ただアーニャとの関係については、{netabare} ババ抜き{/netabare} の件といい、
ダミアンは“チョロイン”過ぎて陥落する時は一気にキャラを消費し尽くしそうな懸念もw

終盤には、ロイドを巡るヨルとフィオナの“正妻戦争”にベッキーも乱入しフォージャー家に上がり込む。
ナチュラルに庶民をころすセレブ自慢といい、
ベッキーは可愛くない可愛い親友枠として育成する方針なのでしょうかw


バトルでは“わるもの”役にいちいち通り名が付されていたのもシリアス、コメディ両面で要素補強になっていました。
例えば{netabare} 鎖鎌のバーナビー{/netabare} とかw

私が敢闘賞を送りたいのはヨルの先輩で的確な“お掃除ぶり”が渋い
デッキブラシの部長さん。


【声優 4.5点】
アーニャ役の種崎 敦美さん。
秘密露見等による家族崩壊を回避するためウソを付く場面も増えたアーニャ。
ウソで誤魔化す時は、棒読み風に演じることで、
視聴者にはウソと分かる、ロイドよ何故気づかない(笑)というお馴染みの種崎さんの芸風にも益々磨きがかかる。
豪華客船にて、{netabare} 託児所から脱出するため、お姉さんにボール遊びもうすぐ飽きる~などと{/netabare} とぼけるアーニャがお気に入りですw

『スパファミ』はアニメから楽しもうと7巻で原作購読止めている私にとっては未知のシナリオに入ってきた2期。
キャスト陣は適宜アドリブも入れて演じているとのことですが、
原作未読エピソードだとどこがアドリブだか全然分かりませんねw
各々がキャラをしっかりつかんだ上で自由に演じることができているのだと思います。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は(K)NoW_NAMEが続投。
同グループには中低音でパンチを効かせるAyaka Tachibanaさんがアップテンポナンバーなどを、
キーボード弾き語り&高音ボイスで癒やしを与えるNIKIIEさんがスローバラードなどを歌唱する。
二人の女性ボーカルを駆使しした幅広い表現対応という強みがあります。

ホームコメディ色が強い『スパファミ』ではどうしても有効活用されるのはNIKIIEさんの日常ソングで、
Ayaka Tachibanaさんはこんな場面でバトルソングとは大仰な(笑)という“無駄使い”コメディ要素が強かったのですがw
今回の豪華客船ではAyaka Tachibanaさんも「Until the End」でバトルを彩ってくれました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ショートストーリー中心

2期は話あまり進まず。
家族の日常生活で起こるいざこざとかアクシデントをなんとか解決していくものが多い。それもあってか短編メイン。
ちょくちょくミッションあるけど、本質をついたものでもない印象。
安定して面白いし、ヨルさん可愛いけど、話進んでほしいな。殺し屋たちとのバトルは圧倒的すぎ。


OP
クラクラ Ado
ED
トドメの一撃 feat. Cory Wong Vaundy
挿入歌
Little steps (K)NoW_NAME
Garden (K)NoW_NAME
Until the End (K)NoW_NAME
uneven fruit (K)NoW_NAME


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った"娘"は心を読む超能力者! "妻"は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族に、世界の平和は託された--。

【MISSION:26】ちちとははをびこうせよ
〈ガーデン〉の仕事で負傷したヨルは、痛みをこらえながら帰宅。その様子にロイドは、自分が彼女を不機嫌にさせたと勘違い! 翌日、ロイドはヨルの機嫌を取るためにデートに誘い、ヨルも普通の妻としての行動を学ぶため張り切ってこれを受ける。そしてお留守番のアーニャは、フランキーとともにデート中の二人を尾行するのであった。

【MISSION:27】 ボンドの生存戦略/ダミアンの野外学習
「ボンドの生存戦略」不穏な未来を予知し、ヨルの手作りご飯が原因だと考えたボンド。運命を変えるため、ロイドを探しに家を出る! ロイドを見つけるボンドだが、〈WISE(ワイズ)〉の任務の最中ですぐに帰れそうになく……。/「ダミアンの野外学習」寝坊の罰で寮母を手伝うことになったダミアン。ダミアンを放っておけないエミールとユーインも、わざと罰を受けて合流する。そんな彼らにヘンダーソンは、グリーン先生との野外学習を命じて……!?

【MISSION:28】 任務と家族/華麗なるボンドマン/子ども心/目覚まし
「任務と家族」秘密警察の仕事に精を出すユーリ。この日は東国(オスタニア)を揶揄する記事を西国(ウェスタリス)に売っていると疑わしい元新聞記者を調査することに。調査を続けるユーリは、元新聞記者の胸中や家庭状況を知るが……。/「華麗なるボンドマン」アーニャが大好きなアニメの主人公・ボンドマン。華麗なるスパイの活躍に迫る!!/「子ども心/目覚まし」フォージャー家やイーデン校生たちのゆかいな日常を紹介!!

【MISSION:29】 知恵の甘味/情報屋の恋愛大作戦Ⅱ
「知恵の甘味」イーデン校の学食に幻のスイーツが登場!食べた者は“皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)になれると言われる限定マカロンをめぐり、アーニャたちの熾烈な頭脳戦が開幕!!/「情報屋の恋愛大作戦Ⅱ」カフェの店員に恋をしたフランキーは、彼女のために逃げた飼い猫を探すことに。途中で出会ったヨルの協力も得て捜索を続ける中、フランキー自慢の発明品が威力を発揮する⁉

【MISSION:30】 越境作戦
ヨルは〈いばら姫〉の任務として、豪華客船での市役所の業務を装いながら、裏組織のグレッチャー家の生き残り、オルカとその子どもを国外に逃がすため護衛することに一方、アーニャは福引でクルーズ船の旅行を引き当てる! その船は、奇しくもヨルが任務で乗る船と同じだった。大波乱のバカンスが始まる――!!

【MISSION:31】 戦慄の豪華客船
クルーズ船に乗ったヨルは客室でオルカたちの護衛についていた。一方ヨルの上司・マシューは、オルカたちを狙う殺し屋を船内で発見。捕まえて問い質すと、大量の殺し屋たちが乗り込んでおり、それぞれが独自にオルカたちを狙っているという。その頃、ヨルが控えるオルカの部屋のドアを、何者かがノックして……。

【MISSION:32】 誰がための任務
アーニャの機嫌を取ろうと、「楽しく愉快な父親」を目指してお土産を選ぶロイド。一方その頃、護衛任務中のヨルは、殺し屋の一人・鎖鎌使いのバーナビーと対峙していた。殺し屋たちの襲撃が激しさを増していくなか、ヨルは〈いばら姫〉として戦う理由を自問自答するのであった……。

【MISSION:33】船上の交響曲(シンフォニー)/姉のハーブティー
花火大会を前に賑わうクルーズ船のデッキ。アーニャもロイドと一緒に花火を楽しんでいた。その一方で、ヨルの任務はいよいよ佳境へ。オルカたちを脱出させようとするが、殺し屋たちに囲まれてしまった! 夜空に綺麗な花火が打ち上がる中、ヨルは殺し屋たちとの死闘で鮮血を飛び散らせる!!

【MISSION:34】未来を繋ぐ手
名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者!“妻”は暗殺者で!?互いに正体を隠した仮初め家族に、世界の平和は託された--。

【MISSION:35】リゾートを満喫せよ/休暇自慢
殺し屋の襲撃と爆弾騒動から一夜明け、クルーズ船はリゾート島に到着。ロイドとアーニャはヨルと合流して、家族一緒にバカンスを楽しむ! アスレチック、乗馬、シュノーケリングなど、数々のアクティビティを満喫してアーニャもすっかりご満悦! そんなアーニャの笑顔を見て、ヨルはこの平和を噛みしめるのであった。

【MISSION:36】バーリント・ラブ/〈夜帷〉の日常
恋愛ドラマで盛り上がったベッキーは、写真で一目ぼれしたロイドに会うべくフォージャー家を訪れる! 必死にロイドにアプローチするベッキー。そしてアーニャも裕福になる暮らしを想像して、「なしじゃない」と少しだけベッキーの恋路を応援⁉ そこにヨルがボンドの散歩から帰ってきた。ライバル(?)との直接対決にベッキーの闘志が燃え上がり……!!

【MISSION:37】家族の一員
ロイドと一緒に散歩中のボンドは、道々で未来予知した事故を防ごうとしては騒動を起こし、ロイドに注意されてしまう。そんな中、今度は火事で燃え上がる建物と、その前で泣き叫ぶ女性の姿を予知する。注意されたばかりにも関わらず、現場へ駆け出してしまうボンド! ただならない様子にロイドもボンドを追う。たどり着いた先で見たものはーー。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

(妄想)目指すはルパンか、サザエさんかw

えーと、レビュータイトルは私自身の妄想、想像です。

まず、このようなレビュータイトルをつけた理由から・・・、
100%個人的な印象からです、以上!!

サーセン・・・、その印象についてw。
まずOPですね。
OPのインパクトがでかかったです。

あくまでも私の受ける印象なのですが、お洒落でPOPでカッコいい感じがしました。派手で、華やかで、ノリも良く映像とのマッチングが素晴らしい。
ちょっとイイ感じでした。
センスの良さを感じました、ちょっとスゴイと思いました。

そして、何度かこのOPを見ているうちに・・・。
アレ?この感じ・・・と思ったのです。

ココから主観がさらに暴走するのですが・・・。
ルパン味を感じてしまいました。
それも、ルパン三世シリーズが少しづつ認知されて、大人も見れるアニメとして少しづつ、おしゃれ感や粋な感じを自然にステップアップしていた頃のルパン味です。
「ルパン三世シリーズ」ってこうだよねぇ、こうじゃないとねェなんて意識がまだ確立していなくて、意識も薄かった時代に「自然とカッコよくなった時代」のルパン味デス。

最近のルパンも悪くはないんですけど、イメージが確立されている分だけ
「ルパンはこうじゃないと・・・、こんくらい洒落てないと・・・」と
無理矢理ひねり出している感があります(個人の見解です)。

そうして、このルパン味を感じたついでに、今作視聴後、思いを巡らすと・・・。
あれ、あまり物語としては進んでいないんじゃ・・・?
と思いまして・・・。

東西冷戦がどーしたこーした、も
世界平和がどーしたこーした、も
アーニャのステラの獲得、も

あまり進展はなく・・・。
「家族の絆」「互いの思い」的なところは少し深まったのかなとは思いますが。

あれれ・・・。
これどんだけシーズン重ねたら終わりが見えるの・・・?
と思った時、

もしかして、これキャラの設定だけ活かしたまま、いろいろなエピソード組み込むだけで、ずーっといけるんじゃないの?行くつもりじゃないの?

なーんて思った訳です。(100%個人の妄想、こじつけですw)

で、キャラの設定をずーっと活かしたままで続いているシリーズとして、
ルパンとサザエさんが浮かんだと・・・。

どーでもいい話を長々と申し訳ないw!!




さてと、作品のレビューをしておきましょうw。

作品としては、諸々が固まり、既に安定期と言っても良い状況かもしれません。
キャラクタも頭に入っており、それぞれの個性もサブキャラ含めて把握済みです。
そういう意味では、楽しみやすく、解りやすい環境でした。

安定期と表現したのには、前述したように「大筋の物語」としての進捗が薄く、新鮮味や大胆な動きが少なかったとの印象もあっての事です。

作画は人気作だけあって、破綻もなく、こちらも安定していたと思います。
特段視聴に問題のあるような点もなく、特にいうべきこともないと思いました。

声優さんも、もはや耳馴染んでおり、安心して視聴できるレベルです。

音楽はOPについては、映像とあいまって特筆するべきレベルの出来の良さでは無かったかと思います。
キャラの個性も良く出ていましたし、大胆な構図も面白かったです。
EDもOPとは一味違って、落ち着き感があってよかったです。

キャラについては、どれもキャラ立ちをしっかりしていて、ロイド、アーニャ、ヨルの主役組は言うまでもなく活躍していました。
もじゃもじゃもちゃんと登場して動いていますし、ダミアン組も自身のエピソードもあり、しっかりとしていました。
個人的に、おっかしかったのは11話目のエピソードでのベッキーです。
思わず吹き出してしまいそうになることがありました。
これは、今後の活躍も期待したいです。


以上、妄想も多分に含んだレビューですが、終わらせていただきます。

当然、人気作なので今後の期待もあるかとは思うのですが、
このほぼ固まっているスタイルのまま行くのか、大筋の物語を動かして進んでいくのか、個人的には興味があります。

またの機会、またのシリーズがあれば視聴をしてみたいと考えています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 20

73.9 10 2023年秋(10月~12月)アニメランキング10位
Dr.STONE NEW WORLD(第2クール)(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (172)
665人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。 超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。 文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。 新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。 しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる『武力帝国』が立ちはだかる。 人類の浄化を目指し、強大な武力によって科学の発展を阻止しようとする司。 科学vs武力の戦いは激闘の末、千空たち科学王国が優勢となり、両国は遂に和解する。 仲間の謀反によってコールドスリープ状態になった司、そして、全人類を復活すべく、科学王国は石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す! 世界に飛び出て石化の謎を解き明かす! 石の世界ストーンワールド大航海時代がついに開幕する――‼
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

まるで複雑な立体分子構造を組み上げるようなシナリオ運びが極まっていく

3期分割2クール通じてのレビュー・感想。
引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.5点】
サブタイトル『~NEW WORLD』。機帆船ペルセウスでついに“大航海時代”到来か!?
と思わせておいて“新世界”とは、“宝島”での石化装置争奪戦の先に開けた、
(※核心的ネタバレ){netabare} 黒幕・ホワイマンがいる月面に行くためのロケット製作に向けた世界一周町作り{/netabare} 構想のことだったとのオチ。

1クール目序盤、いざ大航海!と思わせておいて、悠然と石油調達のための道路敷設し始めるしw
2クール目も航海より島での頭脳を交えたバトルメインでしたし。

これを肩透かし、展開が遅いと受け止めるかが評価の分かれ目かと思われますが、
私はこれぞ『ドクスト』でこそ味わえる地道で壮大なシナリオ。
1期で千空が豪語した{netabare} 「宇宙に行く。今すぐ、ソッコーで行く」との{/netabare} 少年の夢が伏線回収されるカタルシスも相まって興奮しました。


3期が終わって、本作はとかく文明や地球を破滅させるとの不信を抱かれがちな科学への信頼を取り戻す。
もっと言えば人間への信頼を取り戻すことがテーマなのだろうなとの着想がいっそう深まりました。

さらに3期からの新キャラ・龍水は、これも人を狂わせると忌避されがちなマネーへの信頼を取り戻すことも狙っているのだと感じました。
「欲しいは正義」言い得て妙です。
例えば、マッド・サイエンティスト・千空と金の亡者・龍水がタッグを組むとか語り始めると、
まんま平成漫画の悪の秘密結社のテンプレですからねw

それだけにラスト示された(※核心的ネタバレ){netabare} 復活した司。すなわち信頼できない大人たちを成敗する平成ヒーロー枠の若者が、
科学者・千空、セレブ・龍水と共に宇宙船で月に向かう{/netabare} とのプランは、
科学と金の汚名返上の観点からも唆(そそ)る構想。

制作発表された4期最終章『~SCIENCE FUTURE』
想像とは違う結末、説教すらも心待ちにしております。


バトルでも、一人の狡猾な悪知恵に対して、仲間を信じて賭けに出て勝ち抜くというパターンの反復により、人間への信頼を繰り返し問うて来ました。
他者との絆に期待して一度{netabare} 石化して{/netabare} 自身の意識を飛ばして後を託すとか中々できることではありません。

が、数千年のスパンで託し託され合う千空親子とその一味なら当たり前に人を信じることができます。
その視点から3期で一番感動したのは1クール折り返し地点。
{netabare} 生涯かけてプラチナ等の希少物質を収拾した父の“お宝”を受け取った千空。{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・トムス・エンタテインメント

特に2クール目、石化装置濫用バトルとなった本作。
毎度思いますが、ほぼ全てのキャラに石化バージョンのデザイン設定をする。
それらの石像を時にバラバラにして組み上げ修復する。
面倒な作業に杠(ゆずりは)ら手芸班も作画も良く付き合っているなと感心します。

終盤、{netabare} キャラたちの再石化からの即復活に伴う人体再生効果により、
顔などに残った経年劣化のヒビ割れが修復してなくなるという件がありました。
傷のないメインキャラは馴染まないから嫌かも?
と思っていたらホワイマン倒すまではと傷口をペイントで再現して元のキャラデザに戻った時は一安心しました。{/netabare}


科学ロードマップ解説で作風を変えてみたりと
知恵熱を伴う解説消化のためのリズム確保も継続。
そんな中『マインクラフト』風のアニメーションなんかも登場し、
『ドクスト』も長期シリーズになって来たなと感慨を覚えました。


その他、龍水の執事・フランソワの手腕により、
たまに飯テロも仕掛けてくるから油断できません。
{netabare} 石窯で焼いた{/netabare} パン文明復興の香りがして唆ります。


【キャラ 4.5点】
意外なキャラの、意外な起用法で窮地を脱していく采配に唸らされます。

そもそも科学の船・ペルセウス号には定員があり、
千空が誰を選ぶか或いは紛れ込むかというのもポイント。
まさかの{netabare} スイカ潜入作戦{/netabare} だったり、石像で温存していた{netabare} 氷月{/netabare} をジョーカーとして繰り出してみたり。
科学知識だけでなく用兵もお見事。千空も作者も頭良いわと脱帽します。

コハク、クロムなど石神村すなわち{netabare} 千空の両親が残した子孫たちの面々{/netabare} が希少素材名というのも、
上記でも触れた継承の観点からエモいキャラ名設定。
宝島出身者で{netabare} 頭首の息子{/netabare} となる新キャラ名がソユーズ宇宙船からというのも
3700年の口伝伝承の底力を感じます。

『ドクスト』のキャラ相関図には有機化合物の化学式を眺めている時みたいなウットリ感があります。


【声優 4.0点】
銀狼(ギンロー)役は、性別の壁をも乗り越える幅広い演技で活躍中の村瀬 歩さんが務めていますが、
{netabare} コハクらと共に敵アジトに美女として変装して潜入する{/netabare} という展開はまさにうってつけ。
3期の銀狼は{netabare} ペルセウス乗船滑り込み{/netabare} だったり、{netabare} 瀕死から石化復活{/netabare} したり、
配下を得て調子コキレベルがインフレしたり。
対応力が問われましたがキャストは柔軟にこなしました。
当初から3期を睨んだ村瀬さん起用だったとすると、スタッフも相当頭良いです。

宝島ボスのモズ役の興津 和幸さん。
舐め回すような粘着ボイスで、若さに任せた単純な力押しではない、オッサンのしつこさを体現。
いつの時代も世代交代は一筋縄では行きませんw


【音楽 4.0点】
劇伴は三者共作が継続。

1期より続くバグパイプ、ホイッスルの民族音楽風に、ラップ曲もおりまぜ原始と科学を再現する作風は変わりませんが、
今回はより普遍的なストリングス、金管が目立った印象。

インフラ、グルメの復活に呼応して曲アレンジも多彩になり、
科学史200万年を一気に駆け上がる千空たちの手応えを音楽でも実感。


主題歌は
1クール目OP・石崎ひゅーいさんの「ワスレガタキ」
ED・OKAMOTO'S「Where Do We Go?」

2クール目OP・清 竜人さんの「遙か」
ED・Anly「好きにしなよ」

一応OPは1期同様、朝のスタート時に適した楽曲で、文明の目覚めに合わせたりもしていますが、
作品をなぞるというよりは、『ドクスト』のスケール感に比するだけの確固たる世界観を持った楽曲を並べている感じ。

世界観という意味では私は「好きにしなよ」が脱力していて好きです。

放送終了時には2クール目OP「遙か」のアニメMVも公開され振り返りには持って来い。
一方で清 竜人公式CHの「遙か」実写MVは、
一人の巫女が朝起床してから仕事に向かう密着ビデオ風になっており、
巫女フェチには断然オススメですw

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる! 前代未聞のクラフト冒険譚、ここに開幕! ぱ~と3

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期~第3期1クールは視聴済です。
第3期の1クールの視聴が何となく遅れてしまったので、今回はリアルタイムで視聴できるまで驀進しました。
まぁ、物語の内容的にも面白かったので、レアルタイムで視聴するのは必然でしたけれど…


全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。
超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。

文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、
千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。
新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。

しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる
『武力帝国』が立ちはだかる。
科学vs武力の戦いは、千空たちが優勢となり和解するが、
司は仲間の裏切りによって深手を負ってしまう。

千空たちはコールドスリープした司を救うべく、
石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す!

神腕船長・龍水を仲間に迎え、大海原へと飛び出した千空たち。
科学船ペルセウスで向かう先は、百物語始まりの地――『宝島』だった!

千空は島に眠る宝を求め、
仲間と共に新たな冒険の地へと突き進む‼


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

そう、今度の冒険は宝島です。
宝島と言うより、物語の根幹に関する展開が待ち受けていました。

宝島といっても金銀財宝がザックザクという訳ではありません。
間違いなくそれ以上の価値を持つお宝が、宝島には存在していたんです。

ですが、得てしてそのような宝物は守られているのが定石です。
当然の如く、今回の宝物も原住民の手の中にあったんです。
交渉して…などという隙の無いまま原住民からの攻撃を受け、千空たちはいきなりピンチに追い込まれ…物語が動いていきます。

千空たちの闘いは決して楽ではありませんでした。
原住民は、いわば現代で例えるなら「パトリオットミサイル」の様なとんでもない武器を持っていましたから…
武器では無いモノを武器の様に使っていたというのが、正しい言い方だと思います。

加えて、相手の警戒心がメッチャ高く、幾重にも予防線を張っていたので、綻びと言える隙間はどこにもありませんでした。
千空たちにが持っているのは現代科学の知恵と、ここまで生き抜いてきた機転だけ…
この機転が幾重にも張られた予防線を強引にこじ開けていくのですから堪りません。
今回も半端無く滾る内容だったと思います。

そして物語は更なる広がりを見せるようです。
現時点で、既に一般の人間の行動範囲を凌駕していると思うんですけどね。
少なくても私の行動範囲より明らかに広いと思います。
どこまで広がるのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、清竜人さんによる「遥か」
エンディングテーマは、Anlyさんによる「好きにしなよ」

1クール全11話の物語でした。
番組の最後に「この物語はフィクションですが、登場する動植物や物質、製造方法などは実在するものに基づいています。個人の判断による採取や製造は大変危険であり、また法律に触れる恐れがありますので、決して安易にマネをしないでください。」という注意書きが毎回表示されていました。
これ、真似する人いるのかな…^^?
続編の制作が発表されました。
次が最終章になるそうです。
千空がどんな科学力で私たちの度肝を抜いてくれるかが楽しみで仕方ありません。
続編を楽しみに待っていますね!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジャンプ作品だ!!

私自身、週刊ジャンプを定期的に読まなくなってから、どれほどの年月が経つだろう・・・。

予断だが、マガジンやサンデー、チャンピオンなどは、いまだに読む作品もあるのだが、何故かジャンプだけは卒業してしまっている。

まぁ、だいぶオジサンなのにマンガなんか読んでいるのかというツッコミはナシにしてくださいな。
幸か不幸か、割と自由に読める環境にいるものでね。

それに、いい年してアニメをガンガン視聴しているっていうとこにもツッコまれそうだけど、そこについては、キッパリと「自身の楽しみとして譲ることはできないし、言われる筋合いはない」と完結しているので、悪しからず。

さて、今作。
あまり多くを語れないほど、ストーリーが徐々にスケールアップしているので、物語について語る事はしないのですが・・・。

相変わらず「理屈としては・・・あり得る、出来る」というところを上手に踏まえた上で「実際はそうはならんやろ」をマスクして説得力を持たせている。
実際そこにツッコミを入れるのは野暮ってものな気さえ想起させてくれる。

ここは、織り込み済み、いや、踏まえた上で、楽しむのが醍醐味、この作品のダイナミクスってとこでしょう。
そして、このポイントを踏まえた上で、爽快に物語を勧めてくれる。
これは、少年誌、ジャンプ作品の真骨頂と言っても過言ではない気がしています(個人の感想ですw)

タレントもだいぶそろっている中で、それぞれの特色を生かした活躍をしてくれます。
そして、互いの信頼関係に基づいたそれぞれの行動が「みんなで勝つ!!」の原動力になっていきます。
ここら辺も実にジャンプらしい。

だいぶメタな発言をしてしまっていますが、いまだ最終盤をめがけて連載をしている「ONE PEACE」(2024.7.6現在)」を除いて、(問題発言かもしれませんが)目立った作品が無い中で、一時期を支えた作品だけの事はあります。
いわゆる黄金時代を知っている世代、かつ、ここ数年のジャンプを読んでいない無知なものの発言です、ご容赦いただければ幸いです。

そして、最終盤をめがけてさらにスケールアップしていく。
実に頼もしく、楽しみです。

理屈を超えて、理屈を忘れて、「友情」・「努力」・「勝利」を感じさせてくれる魅力ある作品だと感じています。

最終章の告知もあったようで、ラストスパートが楽しみです。

ジャンプ界隈には大変申し訳ないのですが、発行部数に関係のないアニメ作品の視聴オンリーというところで楽しませていただいています。

大変無責任な言い方ですが、続く作品を発掘、育てていただけることを期待し続くシーズンを楽しみにさせていただきます。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

73.7 11 2023年秋(10月~12月)アニメランキング11位
PLUTO(Webアニメ)

2023年10月26日
★★★★☆ 4.0 (54)
237人が棚に入れました
憎しみの連鎖は、断ち切れるのか。 人間とロボットが<共生>する時代。 強大なロボットが次々に破壊される事件が起きる。調査を担当したユーロポールの刑事ロボット・ゲジヒトは犯人の標的が大量破壊兵器となりうる、自分を含めた<7人の世界最高水準のロボット>だと確信する。 時を同じくしてロボット法に関わる要人が次々と犠牲となる殺人事件が発生。<ロボットは人間を傷つけることはできない>にも関わらず、殺人現場には人間の痕跡が全く残っていなかった。2つの事件の謎を追うゲジヒトは、標的の1人であり、世界最高の人工知能を持つロボット・アトムのもとを訪れる。 「君を見ていると、人間かロボットか識別システムが誤作動を起こしそうになる。」 まるで本物の人間のように感情を表現するアトムと出会い、ゲジヒトにも変化が起きていく。 そして事件を追う2人は世界を破滅へと導く史上最悪の<憎しみの存在>にたどり着くのだった―――。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ストーリーと作画は抜群に良いが、私には浅く感じる作品です。

 原作既読です。若干のセリフ回しの他はほぼ原作の再現と言っていい作品でした。

 浦沢直樹氏の作品ということでとてつもない完成度の本作を、これまた丁寧にアニメ化したなあという印象です。映像と演出でかなりの水準のアニメに仕上げたと思います。ただ、先に言っておくと途中で集中力は切れました。それは原作既読だからというより、やっぱり奥行がない作品だなあと思うからです。

 さて、鉄腕アトムの「史上最大のロボット」を膨らませ、湾岸戦争におけるパパブッシュのイランの核兵器開発の言いがかりをメインプロットにして再構成したような話です。
 私は原作を読み終えたときからの疑問があります。何か「作者が語りたいテーマ」が見いだせるか?です。

 経験の蓄積によるAIの感情の獲得、完璧なAI問題、ロボットの社会学的なシミュレーション、環境そういうものが散りばめられていますが、さて、どこまで本気で深掘りしていたか?ということです。
 何かそういう世の中にある既存のテーマを拾ってきて、ストーリーやエピソードのギミックにしただけではないか?と思ってしまいます。

 浦沢直樹氏は、相変わらず非常にうまいストーリーテラーであるとは思います。が、特に本作ですが「これってニュースとか過去作品のパーツを拾って来て、奥行きがあるように見せてるだけじゃん」って、思ってしまいます。作家性が感じられないというのでしょうか?
 何かを主張せざるを得ない熱さが生み出す歪さや不自然さが全く感じられません。まあ、それだけ完成度が高いということではありますが。また、完成度が高すぎなのが、かえって面白みを損なっています。先読みできるわけではないですが、展開してほしいように展開するといえばいいでしょうか?思考的な意外性はあるのですが、感情的な意外性がないという感じです。

「羊たちの沈黙」のハンニバルレクターに宮崎駿的なロボット造形、そして「AKIRA」的な地下牢獄のブラウ1589が象徴的ですが、正直、目新しさが全くない既存作品の話の集合体のような作品ではあります。

 ウランの感情についての機能について、AI、人間、人類…そういったものの深掘りとか定義問題に寄与できたでしょうか?
 お茶の水博士がアイボみたいなロボットを修理する場面も、ニュースでアイボのメンテナンスが終了するときに報道された内容がそのまま使われている感じです。
 奥さんの「あの人の記憶」という言葉を弄んで、悲しみを演出しているだけに見えます。記憶問題は需要なファクターであっても、じゃあ記憶ってアイデンティティにとってどういう意味なの?というテーマに結びついて行きません。
 子どもを世話する徴兵を拒否したロボットが平和を望めば、そりゃあいい話にはなるでしょう。じゃあ、そのロボットの平和思想はどこから来ているんでしょう?彼の背景は?

 7体のロボットについては、1つ1つのロボットに人間味を出すためのエピソードの集合体です。ゲジヒトとアトムは別格ですけど、じゃあ、ゲジヒトのロボットとしての使命、感情、人間性、記憶、悲しみ…そういったものはエピソードとしては優れていても、深さを感じません。深さとは言い換えれば新しい視点と考え方で、それがないと言う意味です。要素はいろんな作品の真似なのはいいんです。視点=作家の感性や個性が生み出した物事を考えるきっかけや道筋が感じられないということです。
 ロボットの人間性という意味はなんとなく乗っていた気もしますが、しかし、あれだけ注目しておいて記憶の内容がそのエピソード?と思ってしまいます。

 鉄腕アトムそのものに「勧善懲悪」に対する手塚治虫氏の疑問や、強さとは何か?ロボットがいる未来とは?のようなテーマがあるので、そういう蓄積がある人はかえって深読みしてしまうのでは?と思います。まあ、そこを上手く拾って話にはしている気もしますが、しかし、本作におけるアトムはかえっていい子ちゃんになってしまっています。
(反陽子爆弾はワンダー3のオマージュでしょうね。やっていることは…うーん1978年のスーパーマン?カリフォルニアの断層に核ミサイルを撃ち込む)

 実は、本作「見終った」にしていますが、途中流し見しています。それはやはりアニメの出来としては上質でも、内容が薄いからです。最近の類似作では「AIの遺電子」の方が深みを感じました。

 いろんな蓄積を持っている人が、自分の思想を投影しやすい構造なのでしょう。本作は過去作やニュースからパーツを拾ってつなぎ合わせているし、ストーリーの幹も鉄腕アトムという名作と現実の事件に取材しているので、そこに付随する問題を勝手に解釈するような構造だから一見深い様に見えるし、ある意味それを深みというのもいいかもしれません。が、私の考え方では、それは視聴者・読者に丸投げしているだけで新しい視点を与えてくれるものではないので浅さと判断しています。


追記 ネタバレになるので隠しておきますが…憎しみについてです。

{netabare} この作品、経験値の蓄積によって感情が芽生え、人間性を獲得して行くような出だしがあります。ただ、記憶はいじれるみたいな話がでます。悲しみという喪失の感情をロボットが持つことが描かれます。
 ロボットはどんなに蓄積をしても、一つの方向性がないと決して人間にはなれない、という話があります。それが「憎しみ」です。人間性を獲得すると「嘘」それも「優しい嘘」がつけることが明示されます。

 この様にまとめると「憎しみを乗り越えると人間性が獲得される」そういう「テーマ」なのかなあ、と思えます。ですけど、この人間性の獲得のところで、それぞれの要素、経験と記憶、憎しみや悲しみ、そういったものが深掘りされないで、ただそういう話だと提示されているだけです。

 憎しみがなぜ人間性に必要なのか?肝心のそこが私には理解できませんでした。ゲジヒトの子供を持つ喜びと喪失という誕生と愛情そして別れならまだ理解できなくはないですけど、それにしたって表面をなぞっているだけです。

 なので、ストーリーのフレームはよくできている。それっぽい話です。でも、憎しみとは何かが描かれたでしょうか?悲しみについても喪失のエピソードはいっぱいありますが、それで何を表現していたのか?

 そもそもロボットの人間性の獲得は、進化なのでしょうか?よくわかりませんでした。{/netabare}

 もし、この点で何か納得できる気付きがあれば、評価が変わる可能性はあります。アニメそのものの出来は素晴らしいと思いますので。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人の能力を遥かに超えるロボットに、人の感情という不完全なものを載せる危うさ。

【本作の紹介】
本作は、『YAWARA』や『20世紀少年』などでお馴染みの浦沢直樹が手塚治虫御大の『鉄腕アトム』に含まれる「地上最大のロボット」の回を原作としてリメイクしたもの。1話約100分の全8話という少々変わった構成。

あらすじは、漫画連載当時の時代背景であるアメリカのイラク侵攻をモチーフとして、アメリカ(作中だとトラキア)側として参加した世界最高水準のロボット7体が、その戦争の4年後、PLUTO(死神)に殺されていく。この事件の捜査に当たった、自身も世界最高水準のロボット7体の一体であるロボット刑事ゲジヒトの視点で物語は進んでいく。

テーマとしては、ロボットに心はあるのかや、憎しみの連鎖を断ち切れるのかといったところ。テーマ自体は、普遍的なもの。

原作は手塚作品含めて未読。ただ、人間とロボット・AIの関係については、『AIの遺電子』のレビューで自分なりに考えをまとめていたので、とっつき難さはなかった。『AIの遺電子』は、おそらく本作を意識して作られているため、本作を観るにあたって良いガイドになると思う(理由を含めて後述する。)。

なお、本作が作られるきっかけが「アトム」の作中での誕生日に由来しているらしく、関係者全員、手塚御大のリメイクに関わってしまった以上、全力でやるしかないという背景がある。したがって、アニメーションとしてのクオリティはすこぶる高い。

もっとも、原作リスペクトから、エンタメ性を犠牲にして視聴者を置き去りにしている側面もないとはいえないため、気楽に楽しめる娯楽作とは言い難く、上にあげたテーマに興味関心がないなら、おすすめしない。
また、本作は、手塚作品のリメイクではあるものの、過去の浦沢作品のテイストも色濃く継承しているため、テーマに興味があっても、その辺が物議を醸しているようだ。

他にもネトフリ独占など色々と視聴のハードルが高いので、気楽におすすめできないが、これからロボットやAIを真面目に扱ったアニメは、本作を前提として作ってくるような影響力を持った作品だと思う。


【人間性とは?『AIの遺電子』との比較を含めて。(以下、ネタバレ有りの考察・感想)】
ロボットに人間性が認められるかは、そもそも人間性をどう捉えているかという問題でもある。
もっとも、「人間性」とは、「人間特有の本性。人間として生まれつきそなえている性質。人間らしさ。」(デジタル大辞泉)をいうらしいので、正に禅問答である(笑)。

そこで、具体的に考えてみる。{netabare}本作のアトムやゲジヒトは、見た目が人間とほぼ同じであり、世界最高水準AIの搭載により感情表現も豊かだとされる。しかし、私は、正直、彼らに人間性をそこまで感じない。

なぜなら、彼らは、ロボット法により喜怒哀楽を抑えられ、いついかなる時も冷静沈着に行動するので、人間としては完璧すぎると感じるからだ(ただし、ゲジヒトには秘密がある。)。
人が他人に「人間らしさ」を感じる瞬間は、短気だったり、涙もろかったり、なんでそんな不幸な恋愛してるの?といった、客観的に理解しがたい不合理な感情の発露であったり、行動だったりする。

だから、人間性とは、一般的に人間のダメなところといわれるもの、完璧ではない不完全さと関係していると思うのだ。例えば、『AIの遺電子』に出てくるヒューマノイドのリサは、須藤に対する恋愛感情から、正に不合理な感情の発露や行動をしていて、極めて人間らしい。

したがって、ロボットの喜怒哀楽の感情をいずれかに振り切れば、人間性を獲得するという話は、わからなくはない(ゲジヒトの秘密と関係がある)。

もっとも、ロボットが感情を爆発させることを許すということは、正に「むしゃくしゃしてやった。今は後悔している。」という不合理で感情的な行動、人としての欠陥を抱えることを意味する。

ここで問題となるのは、世界最高水準の遥かに人の能力を超えたロボットに感情を爆発させて暴走することを許すと、大量破壊兵器、すなわち人の脅威になりうるということだ。

比較としてわかりやすいのは、『AIの遺電子』に出てきた知能や身体能力が人と同等であるヒューマノイドの存在との対比だろう。
人と同等のヒューマノイドは、仮に感情を爆発させることがあっても地球を滅亡させるような危険性はなく、機械であっても親近感をもちやすい。
しかし、人と同等の能力を持つロボットの存在自体は、人類の文明の発展に寄与するわけではない。だから、結局のところ、人と同等のヒューマノイドの存在は、人の能力を超えたロボットの存在を人に許容させるための布石と考えられる。


人の能力を遥かに超えるロボットに、人の感情という不完全なものを載せる危うさ。しかし、人は、人の感情を持たないロボットに親近感を持たない(『AIの遺電子』の場合は、超高度AIが人に代わって政治を担っているので、うまい解決を見つけられるかもしれないが、AIに政治を委ねることの危うさは残る。)。

私が生きているうちに解決できるとも思えませんが、人は、このジレンマ状況を解決できるんでしょうか。それとも、超高度AIに委ねてしまうのでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

まにわに さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

どん底のぞこ

この作品に見られるいくつもの谷、昭和と平成、抽象と写実、漫画とマンガ、ロボットと人間、そして手塚と浦沢。
谷とはもちろん不気味の谷のことで、わざとこれら対となるものを混在させ、居心地の悪さのようなものを作品の味にした、というのは考え過ぎだろうか。

浦沢山は、「20世紀少年」は面白かったが、やはり嫌な話作りをしてくる。
手塚山は、父がボロボロのB5版のこの漫画を持ってて、一部分だけだが何度も読んだことがある。
浦沢山には綺麗に舗装された道が続いているが見えていて、できれば眺めるだけにしておきたいところ。
手塚山は頂上が気になるが、これが裏道でしかも獣道。
どちらの山に登るか、まさに、どん底のぞこだぁ~
(奇しくも、美少女ゲームを作る話と同じテーマだったわけだ)


嫌な話とは
{netabare}嵐がやり過ぎと思える段階で、嵐の中で画面をチカチカさせて、何だもくそもない。

これについては、初代ゴジラの手法と納得するとして、だとすると、放射能とか足跡に落ちる代わりに、自己満足とも思える話を長々としていたことになる。

これがゴジラの擬人化だとすると、ゴジラが壊す街や自衛隊も擬人化されることになり、特撮でミニチュアを凝る代わりに、いかに人を殺すかを凝ることになる。

ゲジヒトとハースのやり合いは、ほぼ"バカと言った方がバカ"理論でできている。バカでもわかるゆえに強力な理論だが、手を出したら気まずくなるという欠点がある。

そりゃ嫌な話になる。{/netabare}


良いところと悪いところ
{netabare}99億人分のシュミレートと言うが(これは人格移動の仕掛けでしかなかった)、そのなかに天馬や飛雄も入っているのかというと、入っていないのだと思う。アトムを造る時、その天才性ゆえにコピーとわかるので、その時に造れる最高の人工頭脳に賭けたのではないか。
子供の頃読んだ時にはそこまで考えなかったので、よかった。

また、これこそがアトムの心の闇で、前の4人が姿を見せない敵に精神攻撃か自滅したような死に方をしたので、そういう一貫性で見ようとしたけど、

ゲジヒトは、彼には勝てないと言っていたから、花売りロボからすべてが仕込みだとしたら、状況的に不十分ではあるが、なかなか悪魔的な手口だったのでは。

エプシロンは、戦わない相手に対し殺してくれはいい作戦だったが…
…仮にこれが作戦だったら、戦う前に子供を庇う小芝居をしていたことになる。

この7話自体、徴兵に怯えるうだつの上がらない優男が遊女と心中するような成り行きで、最後にウランで起爆する水素爆弾でゴジラが誕生するみたいなことをしており、つまりはグダグダ、一貫性があったのかなかったのか。

8話もつまらない展開が続いたが、
{netabare}スクラップ場から壊れたロボを拾ってきて、直して自分の子供というのは、ストーリー上のどこにもはまらないと思った。置き場所のないエピソード、それをやるってことは、どうしてもやりたいシーンだからと思うが、どうもそうは見えない。よく考えてみると、これって記憶から消されたシーンだからということになる。隠して話を進めるのでなく、消して進めた話に、消したものが入り込むようであってはいけない。奥さんがアトムを見送る時の嘘がどうとかは蛇足と思ったが、消したというほうが重要だからだったわけだ。{/netabare}{/netabare}


この作品のいいところは、浦沢直樹がやりたいことをやりたいようにやれていることだろうか。リブート(リメイク)作品は、やりたい人がやりたいようにやるのが一番だと思うが、無制限というわけにはいかないのは間違いない。

テーマは、「鉄腕アトム」のロボットを人間キャラのように描いたらどんな話になるか、だろうか。これだけで、同じ場面、同じセリフでも、まったく意味が変わってくる。

一方でアニメ化は、やりたい人がやりたいようにやっているようには見えなかった。


実は私、別に笑うシーンではないのだろうがつい笑ってしまうことが度々あった。集中していないと言えばそれまでだが、ロボットか人間か、手塚か浦沢か、本気か揶揄か、どういうつもりかわからなくしている作風もあるのだと思う。
笑いとは緊張と緩和。緊張感が高まる後半になるほど、緊張感を保てなくて笑ってしまった。
これもまたどん底の底ゆえ。登りたい山を背に、登る気のない山を眺めているのだから、仕方がない。

{netabare}途中で、そういえば自分を人間と思ってるロボットがいないな、いたら話が壊れるなと思ったけど、最後にいた。地球が壊れるどさくさだったけど、ここで使うか?
これは周りが止めてもよかったのでは。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

73.2 12 2023年秋(10月~12月)アニメランキング12位
屋根裏のラジャー(アニメ映画)

2023年12月15日
★★★★☆ 4.0 (11)
38人が棚に入れました
『メアリと魔女の花』のスタジオポノックがイギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション。
少女アマンダ以外の人間には見えない“想像の友だち(イマジナリ)”である少年ラジャー。彼は屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていたが、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという避けられない運命があった。その運命に戸惑いながら、一縷の望みを抱いて歩み始めたラジャーは、人間に忘れ去られた想像たちが身を寄せ合って暮らす“イマジナリの町”にたどり着く。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【鑑賞失敗談】世界観やルールのリアリティに気を取られて折り合えず……

幼少期によく子供が空想するイマジナリーフレンドを主人公に据えた、現実とファンタジーが交錯する世界を舞台にした英国の児童文学『ぼくが消えないうちに』(英題『The Imaginary』、未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 3.0点】
子供たちが想像上の産物であるイマジナリが、大人になって忘れ去られてからも、
実はリアル世界にて大切な役割を果たしていた。
そのことをちょっとだけ思い出してホロリと来たりする。

企画自体は素晴らしい作品。
が、映画脚本として現実感のあるストーリーに仕立てていく際のセンスが私とは合わなかったのか。
私にとっては終始折り合いに苦しんだ108分間でした。

特にイマジナリ世界の独自ルールを受け入れるのに戸惑って、シナリオへの集中力を欠いたのが私の敗因。
イマジナリは空想を卒業した大人たちなどには見えない。
イマジナリは現実世界の扉の開閉などの物理法則には干渉し得ない。
辺りまでなら想定の範囲内でしたが。
{netabare} 忘れられたイマジナリは図書館から出てから1日以内に戻らないと消滅する。
他の子供たちに1日限定で参加したイマジナリも想像主からフレンドと認められると再びイマジナリとして存続できる。
ラスボス役・ミスター・バンティングと黒髪少女のイマジナリは想像の力で超常現象を引き起こすが、その発動条件が曖昧。
指銃で狙撃するチートを見せたかと思えば、配下の黒髪少女がターゲットにしたイマジナリを捕らえる手口は意外と単純な肉弾格闘戦だったり。{/netabare}

どんどん納得し切れないルールが積み重なるのに対応している内に話が進んで、
あぁ、そういう仕組みで解決するのね。ルールよく知らんけどwと呆気に取られている内にラストを迎えた感じ。

スタジオポノック作品はリアリティ気にし過ぎるとダメなのは分かっていたのですが、
映像と音の臨場感に抗えず、考察しがちな深夜アニメ脳で見て失敗した感じ。


よってこれから挑む方は、リアリティより空想重視の児童文学脳や絵本脳で鑑賞する方が得策だと思います。
子供とイマジナリの空想ワールドで尺が費やされる際も、
伏線なさげな意味のないシーンだと苛立たずに一緒に無邪気に戯れる感覚で。

そうすれば中盤アマンダが主人公イマジナリ・ラジャーを想像したエピソード。
ラジャーとアマンダが誓った「消えないこと、守ること、せったいに泣かないこと」の由来。
といったシーンにも素直に心が揺さぶられ、本年屈指の感動まであると思います。

私も、もう一回観れば、マシになると思うのですが、
今回は申し訳ないですが基準点が精一杯です。


【作画 4.5点】
スタジオポノック6年ぶりの長編アニメ映画2作目。

レベルファイブの3DCGゲーム画面みたいな絵面で勘違いしそうになりますが、
本作は2D手描きメインのアニメーション作品。

立体的に見えるのは、フランスの制作会社の最新技術導入による物。
すなわち作画に陰影を与える処理を仕上げ・撮影の過程で行うことで、
作画の際に影やハイライトを入れる工数を削減し、
作画班はイマジナリ集団のワラワラ感や、
背景に作画を入れて、想像で世界が切り替わっていくダイナミックな映像表現に注力することが可能に。

またこの技術により2D手描き作画のキャラでも3DCGのような実在感を醸し出すことで、
イマジナリが確かに存在したという主張も補強。

ただこの実在感は諸刃。
イマジナリが見えてる人間同士の争いは、見えてない人間からすると、
見えない敵と戦うシュールな光景に見えるのですが、
リアルで立体的な映像がシュールさを一層際立たせてしまった感があり、
私がリアリティに引きずられる一因に。

何より手描きなのに手作り感が損なわれた印象を与えてしまっては、
同スタジオの長所をかき消しかねません。

作画自体はハイクオリティですが、
この制作手法のメリットとデメリットの整理、用法用量については課題山積だと感じました。


【キャラ 3.5点】
主人公のイマジナリ・ラジャーを生み出した少女・アマンダ。
映画化に辺り、母・リジーら家族とのエピソードも補強、掘り下げられシナリオの軸に。

一方でヒールとして物語を動かすミスター・バンティングについては謎を残したまま終わる。
{netabare} 大人でありながら“新鮮な”イマジナリを喰らい続けることで、想像する力を保持、増大し続け、現実と想像の世界で生き永らえる。
彼が従える亡霊の如き黒髪のイマジナリ少女は、バンティングの終わらない悪夢に終止符を打つことを願っていて?
などと考察を巡らせることは可能ですが……。
イマジナリを喰いそうで中々喰わない様が低性能なカービィって感じで生々しかったですw{/netabare}


あとは冷蔵庫は食材だけじゃない大切な何かを保存する偉大な存在だということです。


【声優 3.0点】
ナチュラルな演技重視の俳優・タレント中心の布陣。
主人公・ラジャー役に声優初挑戦で、声変わり寸前の子役・寺田 心さんを起用する辺り“天然物”へのこだわりが伺えます。
寺田さんの相手役・アマンダ役の女優・鈴木 梨央さんはアニメ主演歴もあり、掛け合いは比較的安定。

その他、母・リジー役の安藤 サクラさんにせよ、
バンティング役のイッセー尾形さんにせよ、素材の選択自体は良好。
ラジャーを図書館に誘う猫・ジンザン役の山田 孝之さんもジブリの猫出演歴もあって、良い渋みが出ていました。

が、この辺りの中堅、ベテランキャストの演技で特に、
今の、このアフレコでOK出して本当に良かったの?という場面が、しかも割りと重要なカットで多数あり、
折り合いを欠いていた私をさらにつんのめらせる要因に。

“天然物”の演技にこだわって俳優・タレント勢で固めるのは別に良いのですが、
それならせめて普段“加工品”の声が張れるアニメ声優の演技に慣れている層でも、
許容でき、素材の良さが分かるレベルになるまで、
名前に遠慮せずディレクションを詰めて頂きたいですね。
このキャスト陣なら、それができたと私は思いますし、やれている作品はやっています。

そんな中、ささくれた私の癒やしとなったのは、ピンクのカバのイマジナリ・小雪ちゃん役の声優・かぬか 光明さんの安定したおとぼけボイス。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は玉井 健二氏。
優しいピアノサウンドと雄大なオーケストラは特に空想世界で威力を発揮。
ロックなどもアレンジして子供たちの多彩な想像に対応。
ただ現実世界の場面でのオーケストラ起用などは大仰に感じることも。
これはBGM自体より、私と音響監督とのセンスの食い違いでしょうか。

ED主題歌にはグラミー賞デュオのア・グレイト・ビッグ・ワールドと、
エミー賞シンガーソングライターのレイチェル・プラッテンさんに
コラボソング「Nothig's Impossible」をオファーする大勝負。
壮大なバラードで本年でも上位に入る余韻の良さは得られる。


生活音などのSEにも臨場感があり音響は上々。
ですが再三述べている通り、今回の私には足を取られたリアリティの泥濘(ぬかるみ)を深める諸刃に。


【感想】
まとめ切れてないグダグダな鑑賞失敗談を書き連ねてしまいましたがw
今回、私が投稿を急いだのは、本作が歴史的な大コケ映画になりそうな気配だと言うこと。
350館超えの大規模公開だから当分興行するだろうと高をくくっていると、
年始にはほとんど上映終了で見逃すという惨事になりかねないので、
劇場鑑賞意志のある方は早めに足を運びましょう。

以上、公開初週にして早くも私含めて観客2人だった現場からお送り致しました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

作画が良いのが良く無い

公開初日の大爆死の報を見て、いてもたってもいられず、新宿に足を運んできました。
公開週の土日にも関わらず80席ある座席は5割未満の埋まり具合で劇場内は非常に快適。
冒頭の超絶作画で、もしや普通に面白いのでは?と期待を得るものの、繰り返される当たり障りの無い説明によって心は虚無になり、集中力は早々に途切れ、最後まで復活する事はありませんでした。
終わった後の解放感は格別で、これほどの解放感を得たのは5、6年ぶりです。
評判通りの見事な迷作っぷり。
家で見ていたらきっと完走する事は出来なかったでしょう。
映画館で見れて良かった。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

72.4 13 2023年秋(10月~12月)アニメランキング13位
ミギとダリ(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (194)
589人が棚に入れました
1990年2月、神戸市北区オリゴン村。 児童養護施設で過ごしていた双子の少年ミギとダリは、ある日裕福で穏やかな老夫婦、園山夫妻に養子として迎えられる。 しかしそれはふたりの少年「ミギ」と「ダリ」としてではなく、ひとりの少年「園山秘鳥」としてだった。 二人は正体を隠し、園山秘鳥を演じながらオリゴン村に溶け込んでいく。一体何のために二人で一人の人間を演じているのか。そこには大きな秘密と恐るべき目的があった。

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

こんな家族の出来方もありかもね。

これはまた、摩訶不思議な作品が出来たものですね。
マジメとギャグ的要素、サスペンスとコメディ要素、要素をごちゃまぜにして、ミステリ要素というふりかけをかけた様な・・・。

個人的にはひと昔、いやふた昔前に海外作品でも、国内作品でもこういったエッセンスを装ったドラマや映画があったように思いました。

ちょっとクローズドな村や生活エリアで少し挙動のおかしな人や不思議な人が散りばめられていて、お化けエッセンスもあるという・・・。

いくつか作品が思い当たった方もおられるのでは?

などと、昔話も交えつつ、今作です。


物語は、あまり話すと差しさわりがありますので、いつもの私のパターンで多くは語りません。

ただ、今作を楽しむには少し肩の力を抜いて「そうはならんやろ」「そこは無理筋」と言ったところを少し大きく受け止める事が必要だと思います。
また、実際に描かれているシーンの欄外を考えたりすると、やっぱり少しつまらなくなってしまうので、そこもやはり、深掘りしない方が楽しめるかもしれません。

これらを踏まえた上で、キャラの行動と物語、クリエイターとの作品的会話を楽しむのです。
そうすれば、もの凄く楽しめる作品だと思います。

別の言い方をすれば、物語のラインを踏み外さずに集中し、キャラの変な動きやコミカルな部分を物語の本筋とは別の要素として見る事ですw。

私は、キャラは濃いし、キャラデザも好みではないし、動きもきもうぃw。
特に好きなキャラが現れたわけでもなく、なんだこれ?という感想を持ったままの視聴でした。
作品視聴の求心力は主に「結末を見せろ!」でした、正直いますと。

この一念で、何とか視聴を終えることができました。
結論としては、まずまずの作品との評価です。
好みであるかと言えば違います。
もう一回観ますか?と言われると、特には・・・って感じです。
面白かったかと問われれば、そこそこ、と答える程度です。

中途半端な評価で申し訳ないです。

ただ、独特の雰囲気をもっており、特異な作品であるとは思います。
摩訶不思議な引力も持っていたとは思います。


私がこの作品を観て思った事は。。。

老夫婦へ。
きもっち悪い夫婦だと思ってゴメンナサイ。

「親」っていうものはやはりこういった大きな器が必要なんだぁぁ・・・としみじみ思いました。
「親」になりたくて、なりたくてなった人はこうなんだろうなぁ、きっとと。

そして「親」ってやつは、自分の子供をよく見てるもんなんだなぁ・・・と。

一人が二人になってもドンとこいです。

この老夫婦はちゃんと自分の子供を見て、ちゃんと受け止めて、ちゃんと巣立たせていました。

作品の内容にアレやコレや言いましたが、この老夫婦の器のでかさに感服した次第です。
気持ちよく、作品視聴を終えることができました。
そういう意味では、地味かもしれませんが、観ておいても損はない作品との評価です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 シリアスとギャグが中途半端。1話がピークでした。

3話 シリアスとギャグが中途半端。1話がピークでした。

 すみません、集中力が続かなくなってしまったので一旦休止します。もうちょっとサスペンス色が強くてよかったかな?

 ギャグの方も1話の爆発力が無くなってしまいました。シュールギャグですらなく意味がわかるギャグになっちゃったし。

 シリアスもギャグも中途半端な感じでした。ひょっとしたら後から見るかもしれない、というクオリティはありますが、今のところは中断ですね。





1話 面白いがネタありきだと飽きそう。本筋の意外性で勝負でしょう。

「坂本ですが?」とギャグのセンスが似てるなあ、と思ったら同じ原作者でした。

 リアルと不条理と全員ボケの混合した不思議な世界観のギャグです。なんというか楳図かずお氏の作品のホラーの中に潜む緊張の中の可笑しさを、意図的に逆さまにしてギャグをホラー的な演出でやるという感じと言えばいいのでしょうか。チャップリンのような真面目な中の滑稽さも垣間見ることができます。(追記 そうそう真面目な顔をした不条理ボケと言う点では「クロマティ高校」のような感じもあります)

 アニメの演出はやはりホラーで「オーメン」を意識している気がします。主役が美少年であることも共通しています。

 1話は面白いです。ですが、ネタありきで1話と同じことの繰り返しだとすぐに飽きるでしょう。ですのでストーリーを組み込んだのかもしれません。何か本筋があるように感じられます。そこがどれだけ脱力できるのか意外性があるのかが胆でしょうね。
 わざわざ年号を1990年にしている意味は何か?ですね。バブル崩壊とか携帯もスマホもないとか、あらすじによると神戸らしいので震災に関わる可能性とかいろいろ考えられます。

 週刊連載での人気だとすると、面白さの性質がアニメの一気見にあうかどうかはどう考えているのか気になるところです。

 引っ越しやの段ボールがズラしになっていました。日本なのかアメリカなのかわからないような演出ももちろんギャグの要素にしています。

 監督とシリーズ構成の他に、音響監督をまんきゅうという人が一人でやっています。つまり、セリフが命のギャグで、作品を通じてギャグの演出というか表現を統一したいという趣旨なのかもしれません。ジャン・バラーヤとか。
 つまり、作品にこだわりがあるのかなあ、という気がします。


追記 神戸市北区に淡河町と書いて「おりごちょう」という地名がありました。ウェブページでみると神社や寺の町みたいですね。チューリップとか苺を売りにしてました。
 なお21年6月に高校生の集団自殺事件があったみたいです。23年1月にも単独の自死がありましたが…?本作の連載開始が17年ですから関係ないでしょう。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

大重 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

耽美系ホラーに見せてギャグという珍妙な雰囲気が面白すぎる。作者追悼…

内容はめちゃくちゃ面白いですね。
いやそうはならんだろう!
という。

全体の雰囲気としてはホラーっぽくはあるのですよね。
1人だと思いきや双子のトリックを利用して2人が入り込む、という、一見恐怖物でもおかしくない。
そして主人公は耽美な美少年で、耽美系ホラーな雰囲気を持っていながら…。
ギャグでしか無いという。

いやなんですかねこの雰囲気は。
まともなセンスをしていたらこんな作品は作れないですよ。

さすが坂本ですがの作者さんですね。
これはもう目が離せません。

ミギとヒダリ→ヒを取って→ミギとダリ
だからヒトリ君なんですね。
これもおお、とすごいとなりますね。

試聴継続です。

ただ、最初のインパクト重視な面もあるので見慣れたら飽きが来るかもしれませんが…。

しかし作者さんは残念でしたね。もっと多くの作品を残して欲しかったです…。

全話感想
大変良い物語でした。全体的に珍妙な雰囲気を保ちつつ、少しずつ謎が解き明かされていく展開。
最初は区別のつかなかったミギとダリもすぐどちらがどちらか一目でわかるようになっていうくなど、出来自体が非常に良い。

一番感動的だったのはやはり老夫婦の存在ですね。{netabare} 老夫婦はほぼ最初から気づいていて、ただ黙って見守っていた所ですね。打ち明けるか迷っているところまで感じ取ってネタばらしをしたのでしょう。あの二人は本当に良かった。 {/netabare}

真面目に面白いシュールギャグ系の雰囲気は終始続きながらしっかりハラハラさせて感動もさせてくれる…。
このバランス感覚は他に無いですね。
非常に楽しめました。
素晴らしい作品だっただけに、作者さんは本当に残念ですね。
惜しい方を亡くしました…。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6

71.8 14 2023年秋(10月~12月)アニメランキング14位
ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (218)
698人が棚に入れました
「首が…ある!? 幼く…なってる!?」 大国・ティアムーン帝国で“わがまま姫”と蔑まれた20歳の皇女ミーアは、民衆の革命によって断頭台で処刑された。 はずが、目覚めると12歳の頃にタイムリープしていた! どうやらここは、やり直しの世界――彼女の枕元に置かれていたのは、処刑される前に自らが綴った血染めの日記。 第二の人生を歩み始めたミーアは、帝国の立て直しを決意。 帝国の未来のため? 民衆を飢饉から救うため? 内戦により命を落とす多くの兵士のため? じゃない! すべてはギロチンの運命を回避するため!! 「こ、これぐらいわたくしにかかれば簡単ですわ!」 小心者で、保身上等&自己中最強のポンコツ姫が、自分のために大奮闘。わがまま姫様の行動がまさかの奇跡を巻き起こす、歴史改変ファンタジーが始まる。

こま さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

12話最終回視聴。なんか思ってたんと違う()

2023年10月時点でシリーズ累計部数は170万部を記録している大人気作品。

サムネ見る→٩( 'ω' )و→視聴開始→!?((((;゚Д゚)))))))→(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)→ε-(´∀`; )→(´・Д・)」→視聴継続!

分かりにくいがアニメ初見勢はこうなる人もいるだろうw

主人公断頭台で処刑される!
サムネ見る限りでは女の子のキャッキャうふふの物語だと思っていたらコレw

タイムリープか死に戻り作品と思ったら、作中で自分に転生とか言ってるので転生なのか?
転生後はサムネな感じで見やすいとは思ったが、過去の牢獄時代の描写が結構あったので鬱要素もある感じはした。

物語冒頭、正直可哀想だと思ったんだよ…。
観ていくうちに察した()主人公がやらかしていた…。

何をやらかして断頭台で首を斬られるまでに至ったかは分からない。
何となく察しはつくような気がしないでもない。

投獄され3年ほど牢獄で暮らしていた主人公。
獄中での暮らしは兵士2人が持ってきたカビたパンと吐くほどのスープを食べ、飲んでるシーンが(実際はスープを口に無理矢理入れられている)
その他の何かされている描写が無いので安心?して観れるとは思った。
まあ主人公目が死んでるけど…。

主人公は自分が断頭台に送られない為だけに奔走する物語。
国の問題を解決してく感じはあったが元々の性格がアレなのでどうなるかが分からない…。言えるのは3年間の獄中生活の影響はかなり大きい。多分大丈夫だとは思うが果たして。
今後の展開がどうなるかが楽しみな作品ではある。

2話視聴。
展開早いなぁw飛ばしてる感ある。
聖女呼びしたの笑ったw落ちるの早いなぁ(トオイメ
過去回がアレすぎてウルっとした場面あったよ()
やらかしてるんだけど、それでもとにかく過去回が重い…。
それを軽く話してる部分もあるので余計にね。
やはり3年分は重い…。

2話観て思ったのは、やってる事はいつもの異世界転生物なのでなろう嫌いなら無理だろうね。

個人的にコレなら最後まで視聴継続かな。

5話まで視聴。
何を言いたいとかいうと、お弁当作りが天元突破!!ハードル上がっちゃったよw
三人寄れば文殊の知恵!で何とかなるのだろうか?まあ何とかなってしまうのだろうw
あれはもしかしたら恋なのかもしれない…!この子にルートに入ったか?
そしていつも通り自分の事しか頭にない主人公でした()

個人的にこのアニメはOPは曲が好みなので飛ばさず聴いてます。
曲最後の変顔もずっと見てられるの良き…!

7話感想。
実は…主人公の愛馬に送った香水でしたとさw
「あっぶねぇw」ワロタwどこから声が出てるのかw素が出てる気がしたのは気のせいか?

今回は色々やらかしてんなと思ったら…狙ってやってたらしい。全部が全部では無かったがw
何処かでそんな事を聞き見直して見たら、なるほど。とはなったけど個人的には分かりずらかったかな?

最近の話しは王子との恋愛話しが多くてちょっと…とか思ってたけどやっと話しが動いた感じで面白い。次も楽しみ。

8話感想。
主人公を処刑台にやった本当の黒幕が明らかになったでいいのかな?
アレが消えたのは本人が対象から外れ、別の対象に移ったとか?
て事はアレもその人のとこにかなぁ。消滅では無いよねたぶん。

ただ言えるのはあのセリフを見るに一時的にが正しいかな。
難しくなったもんね。今度は外側から崩してくのかな?
…結局戻っては来るんだろうね(トオイメ

謎が謎を呼ぶ展開で期待が高まるね!イイね!

12話最終回感想。アニメの何時ものこの幸せがずっと続くと良いね!エンド!

最終回付近観て思ったのはコレじゃ無い感が強かった。

過去に獄中生活してた鬱回想が結局最初の数話だけだったのが残念。
コレがもうちょっと強かったらなぁと。
たまに思い出す場面はあったけどコメディ色が強かったのがね…。
個人的にこれ目当てだったと言っていい。

最初のインパクトで引き寄せられてみたら最終的に何時ものなろうで微妙でした。
うーんホント惜しい作品だよなぁ…。
ただ、アニメでカットして微妙になったかもだし一応マンガ見てみるかな。

そして最後があの感じだと2期は期待は出来ないかもね。

終わり。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

そりゃあ、長ったらしいタイトルをつける訳だわ・・・w

レビュータイトルは今作についての事ではありませんし、そういった長いタイトルを持つ作品をディスる意図もありませんw。

と、前置きをしたうえで、意図を説明。
転生系の作品のタイトルって長々とウケ狙い的なタイトルのついた作品が多くありますよね。
今となっては、もうそれが当たり前というか、ある種代名詞的なところがあると思うんです。

そして、当然ですが同じように、
いわゆる悪役令嬢転生系の作品、「乙女ゲームの~」「ツンデレ悪役令嬢~」「悪役令嬢なのでラスボス~」など等、この手の作品はキャッチーというか、狙って付けた感のあるタイトルがついているものが数多くあります。
もちろん私も視聴して楽しませてもらったので、悪い印象も無いのですが・・・、慣れって恐ろしいもので、このくらいのごちゃごちゃ感があった方が受け止めやすい、まであるじゃないすかぁw昨今は。

で、この作品も言ってみれば悪役令嬢転生系なのですが・・・。
タイトルが「ティアムーン帝国物語」。
サブタイトルでなんとか「らしく」なっているのですが、どうにも、少し地味な印象なんですよねぇ。
でも、観てみるとかなりまとまり感があって、平均以上の悪役令嬢ストーリーになっているんですよねぇ、個人的には。

これが
「クビちょんぱの悪役令嬢が転生したので、ギロチン回避の逆転ストーリーを目指してみました」

なーんてタイトルだったら、ネタになって、もう少し派手に見えたかなぁなんて・・・・・・、やだなぁ、冗談なんですけどーw。


って、印象を持ったんですよーってお話です。

いやホント、結構しっかりと作ってあったと思うんですよねぇ。
小さな成功と細かいカタルシスがちりばめられていて、物語も骨太とまでは言えないけれど、各エピソードでは、しっかりと「クビちょんぱ」を回避するための人間関係の構築も描かれていて・・・。

また、キャラデザも落ち着いたまとまり感のあるモノになっています。
過度に萌えに振った訳でもなく、キャラクタ的に「そういった役回り」のキャラも登場はしていません。
どのキャラも、物語、エピソードの役者として配置されています。

そして主人公のミーアも時に型崩れしwデフォルメというか崩壊顔をするのですが、この頻度、使い方も過度ではなく、適切なタイミング、頻度だと感じました。

物語の終盤に国同士のイザコザまであるか、という事態に遭遇するのですが、こちらもまぁまぁ説得力のある描かれ方をしていました。

軽いものから、重たいものまでエピソードもバランスよく盛り込まれていたと感じます。

あとは・・・、ナレーションですかねぇ。
フォローアップの説明、解説をしてみたり、含みを持たせるように「これがのちに重要な結果を生む」的なお話があったり、はたまた、別のエピソードを期待させるように「・・・それはまた別のお話・・・」と言ってみたり、
実に多彩に物語を繋いでいました。
これも、いい効果だったと思います。



物語自体は、前述したような悪役令嬢転生系なのですが、総じてバランスがよかった、まとまり感があったとの印象です。

今作で登場したキャラクタも最終盤にはきれいに各々かつながり、今後の展開も気になるレベルまでは達していたと思います。

これも前述したように、あまり派手ではないタイトルで地味な印象を持ってしまうので、アニメ作品としての今後は私にはよくわからないのですが、続きがあったら観たい作品の一つだっと思えるまでにはなりました。


もし・・・もしもですが悪役令嬢転生系の様な作品が好きで、タイトルの印象で違ったイメージを持ってパスしておられる方がいらっしゃるようであれば、ちゃんとした悪役令嬢転生系でしたw出来も良かったと思います。
機会があれば、視聴候補に挙げてみて下さいませ。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 25

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

あの処刑から――“やり直しの人生”が始まった。手がかりはこの日記と記憶だけ ギロチンだけは、絶対回避したい!! 勘違いが、彼女の未来を変えていく!?

この作品の原作は未読です。
PVを視聴した際、ギロチン回避とかネタバレじゃないの…?
と思いましたが、サブタイトルに思いきり書いてあったんですね^^;


「首が…ある!? 幼く…なってる!?」

大国・ティアムーン帝国で“わがまま姫”と蔑まれた20歳の皇女ミーアは
民衆の革命によって断頭台で処刑された。

はずが、目覚めると12歳の頃にタイムリープしていた!

どうやらここは、やり直しの世界――
彼女の枕元に置かれていたのは、処刑される前に自らが綴った血染めの日記。

第二の人生を歩み始めたミーアは、帝国の立て直しを決意。

帝国の未来のため?
民衆を飢饉から救うため?
内戦により命を落とす多くの兵士のため?

じゃない! すべてはギロチンの運命を回避するため!!

「こ、これぐらいわたしにかかれば簡単ですわ!」

小心者で、保身上等&自己中最強のポンコツ姫が、自分のために大奮闘。
わがまま姫様の行動がまさかの奇跡を引き起こす、歴史改変ファンタジーが始まる。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

毎週の視聴が楽しみな作品でした。
ミーアは自分最優先で行動しようとするも、周りの人の有難い勘違いにより、しまいには「帝国の叡智」とまで呼ばれるようになるんですよ。
どれだけ幸運値が高いお姫様なのでしょう。

選択肢は無数にあったと言っても過言ではありません。
時折、受け答えにチグハグな部分もあったと思います。
ですが、結果的に最も望んでいた未来を引き寄せたのですからたいしたお姫様です。

しかし、こうしてみると、ミーアの周りは基本的に良い人ばかりではありませんか。
転生前に、民衆を含めてあそこまで逆鱗に触れるって、一体何をやらかしたのか、それとも何もしなかったのか…
きっと両方なんでしょうけれど^^;
少なくても、身分が高くなればなるほど自分ファーストではいられなくなるという事ですね。
…と思っていたら、公式サイトのキャラ紹介欄に「死に戻り後も自分ファーストな性格はそのままで…」と記載されていました^^;

そっか…
ミーアの能力は「死に戻り」だったんですね。
ということはリゼロのスバルと同じ能力なのでは…!?
となると今後、また死に戻る展開がミーアに待ち受けていると…!?

考えてみたら、スバルの死に戻りだって万全の能力とは言えませんでした。
次死んだら、再び蘇られるのかが分からない五里霧中の中で正解を引き寄せるために挑み続けていたので、それをミーアに背負わせるのはあまりに酷というモノでしょう。

でも自分ファーストと言いつつ、そうではない言動もチラホラ見えていたのが救いだったのかもしれませんね。
すみぺの演技もバッチリで、本当に可愛らしいミーナを愛でることができたと思っています。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、すみぺによる「ハッピーエンドプリンセス」
エンディングテーマは、カノエラナさんによる「Queen of the Night」

1クール全12話の物語でした。
アニメーション制作はSILVER LINK.さんだったようです。
どうりで、安定した作画だったのも納得です。

それはそうと、この作品は舞台化にもなっていたみたいです。
wikiをチラ見した際、初めて知りました。
オリジナルキャラの出演者が多数掲載されていたので、きっと全然ベツモノなんでしょうね。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

71.2 15 2023年秋(10月~12月)アニメランキング15位
シャングリラ・フロンティア(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (238)
762人が棚に入れました
「クソゲー以外をプレイするなんて、いつ以来だろうな」 ディスプレイを使用するゲームが、レトロゲームに分類されるようになった、少しだけ未来の世界。 この世界では、最新のVR技術に内容が追いついていない、いわゆる“クソゲー”と呼ばれる作品が大量にリリースされていた。 そんな数多のクソゲーをクリアすることに情熱を捧げてきた1人の“クソゲーハンター”陽務楽郎。 彼が次に挑んだのはクソゲーの対極、総プレイヤー数3000万人の“神ゲー”『シャングリラ・フロンティア』だった。 集う仲間、広がる世界。そして“宿敵”との出会いが、彼の、全てのプレイヤーの運命を変えていく!! 最強クソゲーマーによる最高のゲーム冒険譚、ここに開幕!!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

致命(ヴォーパル)魂を見せてみろ!

VRクソゲーマニアである男子高校生主人公・サンラクこと陽務 楽郎(ひづとめ らくろう)が、
神ゲーとして名高いVR-MMO「シャングリラ・フロンティア」に挑む、
同名web小説のコミカライズ版(共に未読)の2クール連続アニメ化作品(全25話)


【物語 3.5点】
前置き。バレは無いですが長い思い出話なのでタグに隔離w
{netabare}
視聴していて、その昔、80年代……ファミリーコンピュータでゲーム機・第三世代の覇者となった任天堂について、
世間のニュースや大人たちが“ファミコンブーム”と評した一件を思い出しました。

つまりファミコンなどと言うものは、大人がプログラムを習得するまでの一過性のお遊びであり、熱狂は長続きしない。
要は将来、必要性のない、一時のブームに過ぎないファミコンばっかやってないで勉強しなさいということなのでありますw
(余談ですが『ドラクエ』発売日の行列周辺で起こる軽犯罪等を殺人事件でも起きたかのように大騒ぎする“マスゴミ”。ホント嫌いでした。)

また数年前、株式市場のちょっとしたトレンドとなった“VR(仮想現実)バブル”
そこでもまたゲームは、これまで不必要であまり注目していませんでしたが、
今後はVR構築の一助として、社会の役に立てる。日本ワンチャン。
などとアナリストに言及されたりしました。そう吹かしていた彼らは一体今どこへw{/netabare}


何が言いたいのかというと、ゲームを必要性とか合理性とかで語っている内は、
人々が何故ゲームに熱中し続けるのかを表現するのは難しいということ。

これを踏まえると、サンラクたちのゲームプレイ動画を垂れ流しているだけの、
テーマも中身もない内容スカスカに見える本作も、
ゲームの魅力とは何かを好表現した快作に思えてきます。

さらにどんなクソゲーでも楽しみ方を見出してしまう主人公設定がミソ。
ゲームクリエイターとは、初心者やライトユーザーにも下駄を履かせてクリアして頂くよう配慮する大衆化路線と、
クリエイター自らが、理解あるプレイヤーにだけ魂を伝えるマニア化路線。
その狭間で常に葛藤している存在なのだと思います。

ゲームクリエイターのインタビューなどを拝見すると、
あなたの作品大人気ですねとか、今後のVR社会の礎となりますねとか褒められるよりも、
自分の作ったゲームの本質を理解してくれたマニアがいたとか、
自分でも思ってみなかった遊び方をしてくれたとか、
プレイヤーとのキャッチボールが成立した件について語る時が一番目を輝かせている印象があります。

その観点からクソゲーハンター・サンラクとは、
クリエイターの意図を汲める“コミュ力”最強の主人公であり、
大衆に称賛された“神ゲー”の裏に仕込まれた、
ユニークモンスターをフラグにしたワールドストーリー。
真に「シャングリラ・フロンティア」を理解し、攻略してくれる待望のプレイヤーの出現。
この歓喜こそが本作のテーマと言えばテーマなのだと思います。


構成は毎話ゲームプレイ風景を描いて、程々な所でキリが付いたら切り上げて、
あとはED後のショートストーリー「<シャンフロ劇場>ミニ」(時に2本立てw)で変態方向にキャラを掘り下げる。
これも尺を稼いでいるだけ?と思われても致し方ない構成ですがw

私はそこもゲームへの熱狂一辺倒でガス欠してしまうのを防止する有効な構成だと好意的に捉えました。
アニメ、ゲーム双方で制作キャリアを積んできた窪岡 俊之氏が監督を務めたこと。
何より、やはり私は筆安 一幸氏の、例えばゲームを描くのならばゲームプレイをひたすら描くなどと、
割り切った構成・脚本のリズムが肌に合うのだと思います。

ただ灰汁の強いキャラ沼である<シャンフロ劇場> を観劇した園児たちの将来は、かなり心配ではありますw


【作画 4.0点】
アニメーション制作・C2C

{netabare} ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの呪いと、
ユニークシナリオ開拓者という有名税回避{/netabare} のため、
半裸&鶏頭という異様な出で立ちとなった主人公サンラクのキャラクターデザイン。

主人公ビジュアルの初見時、私は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(Swich/WiiU)』のRTA(リアルタイムアタック)動画にて、
半裸のリンクで最速クリアを目指す異様な光景を思い出し、これが視聴動機に。

『ブレワイ』は目に見える壁は全て登れる、料理も奥が深い。
スローライフも満喫できる圧倒的自由度で神ゲーの名をほしいままにした傑作オープンワールド。
それを30分足らずで、クリティカル技、バグ技を駆使して、
忙しなく半裸でバグってカクつきながらwかすっただけでも失敗する最速チャレンジに挑むプレイヤーたちの酔狂。

本作のサンラク。
パロメーターをクリティカル判定に影響する幸運値と素早さに振る極端なビルドと“紙装備”で、
常に綱渡りプレイを愉しむ彼のスタイルに通じる部分があると感じました。


作画はゲームプレイのクライマックスではカロリーを上げてくる安定感。
{netabare} 墓守のウェザエモン戦{/netabare} などは2クール目終盤かつ長期戦でしたが、
ロボット?からアンデット形態にまで多彩に変化する局面にも、
しっかりと対応して魅せて来る辺り、
このスタジオはスタミナがあるなと好感しました。
(ま、総集編で息継ぎはしてましたがw)

かと思えば、クソゲー“フェアクソ”で{netabare} 理不尽クエスト量産ヒロインに仕返しする悲願達成の?殴打シーン{/netabare} や、
クソゲー“便秘”の、伸び~る腕などのバグ技応酬を“前提”とした格闘バトルシーンなど、
笑いも取ってくる楽しいアニメーションでした。


【キャラ 4.0点】
一応のメインヒロイン・斎賀 玲。
サンラクこと陽務(ひづとめ)君ラブだが、直に告白する勇気はないため、
「シャンフロ」を通じてお近づきになりたいと攻略に励む内、
{netabare} サイガ-0(ゼロ){/netabare} として一流の域に達してしまった。
ゲーマーはそんなにもてないだろうwとツッコむ以前に、
このヒロイン、毛筆の恋文も甲冑装備も重たすぎるw
というクセ強な味付けでマニア世界を演出。

サンラク君に一番お近づきになったのが致命兎(ヴォーパルバニー)のエムル。
このヴォーパル一族の元ネタはダンジョンRPGの古典『Wizardry(ウィザードリィ)』のボーパルバニーから。
あのモンスター、“殺人兎”の由来を知らずにいると一見、可愛らしい出歯ウサギと油断させられる。
で、舐めてかかると、首チョンパの即死攻撃を喰らうw

RPGの世界観は高度なファンタジー世界の再現ではない。
時に外面から来る先入観で、裏をかく、クリエイターからプレイヤーへの挑戦状。
或いは常に一撃クリティカルを狙うサンラクみたいな縛りプレイの勇者の待望。
致命(ヴォーパル)魂こそが本作の真髄を体現しているのだと思います。


個人的にグッと来たのがサンラクのご家族。
超絶虫マニアの母に、超絶釣りマニアの父。
趣味に没頭することを全肯定してくる素敵な一家に、
アニメ沼に入り浸る私も勇気づけられましたw


【声優 4.0点】
主人公サンラク役の内田 雄馬さん。
相棒のヴォーパルバニー・エムル役の日高 里菜さん。
遅ればせながら、ご結婚おめでとうございます♪
リアルでも夫婦やる程のコンビなだけあって、掛け合いのリズムも
{netabare} エムルがサンラクに子守唄を歌うシーン{/netabare} もバッチリ決まっていました。

これは斎賀 玲役の和氣 あず未さんも、中々報われないメインヒロインポジから
お二人の間に割って入るのは骨が折れそうですわ(エムルの口癖が伝染w)
ここは兼務したナレーション役から外堀を埋めていくということで。


【音楽 4.0点】
劇伴はMONACAの面々が担当。
勇壮なストリングスから電子音まで広範なジャンルをカバーして、
上々の“ゲームBGM”を提供。


OP主題歌はFZMZ。
前期「BROKEN GAMES」、後期「Danger Danger」共に、
“まだ足らない”と刺激を渇望し続けるゲームマニアのマッドネスな世界を、
ラップ歌詞も交えて千切ってはぶつけてくる快作。

ED主題歌は前期がCHiCO「エース」、後期ReoNa「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」
激しい戦闘シーンが続く中、女性ボーカルによる爽やかアップテンポナンバーと、しっとりラブバラードで、
ホッと一息付いた所で、Cパートで本番の?<シャンフロ劇場>ですわw


異彩を放ったのが{netabare} ヴォーパルバニーの国「ラビッツ」の長・ヴァイスアッシュ(CV.大塚 明夫さん)の挿入歌「鉄打ち唄」
「神匠」の渋みの効いたボーカルと共に打ち込んだ武器は最強です。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

作り込みは素晴らしい。もっとテンポ良く進めば良作だったかも。

 総括すると前半は素直に面白かったです。設定が目新しいのとほどほどのギャグがあったのが良かったです。ただ、後半になるとちょっと間延び感が出てきましたね。それでも19話までは一つの話の区切りですから集中力が持ちましたが、25話までがちょっと辛かった。

 結末が気になる話ではあります。現実世界の何かとつながっているような、シャングリラフロンティア内で2重構造になっているような、期待させる仕込みはありそうです。ただ、細かいエピソードが多いのとバトルがいちいち長いのが辛いです。

 プロットというか要約というか、シャングリラフロンティア以外のゲームをカットして、半分の長さのダイジェスト版ならものすごい面白い気がします。もっとテンポが良ければ良作認定できたかもしれません。世界観の作り込みは分厚くて、兎の設定とか大したものだと素直に思いまます。

 結論からいうと作画もいいし前半も楽しめたので、悪くない作品だと思います。ですが、もういいかな。結論が出たらあらすじで読ませて、という感じの作品でした。

 と言うことでストーリーは3.5。キャラは4、作画は4.5です。声優、音楽は調整で4と3.5でどうでしょうか。






11話 遅ればせながら現在11話まで視聴。1日でほぼここまで一気見しました。ライト版SAO。面白いが1回楽しめばいいかなという感じです。

{netabare} SAO型のなろう小説原作のフルダイブVRMMO型の話としてはかなり面白いと思います。話もSAOの原作版のプログレッシブから命のやり取りを抜いたライト版という感じです。

 現実世界に戻れる設定ですが、微妙な緊張感があるのが上手いところです。NPCに感情移入できるような作りになっているところや、ユニークモンスターを使って主人公に特別感を出したのが良かったのでしょう。ギャグ要素もあるので、重くなりすぎませんし。ラブコメ?要素もあって、そこも楽しめなくはないです。

 雑誌連載コミックのアニメ化で力が入っているのかアニメの出来もいいです。ただ、前回と同じ場面の使いまわしが多くて、OPと合わせて初めの3、4分尺を使っている感じでそこは何とかすべきでしょう。11話までで1話分くらい削れたのでは?

 で、今のところの評価ですが、面白いことは面白いです…が、どうでしょう?1回でいいや、という面白さです。

 深みがないとかテーマ性がないとかもあるんですけど、例えばSAOの「スターバーストストリーム」とかダンまちのミノタウルス戦とかそういう厨二病的グッとくるものが全くありません。あの場面までの流れをもう1度といって再視聴したくなる何かがありません。「アクセルワールド」みたいな現実のキャラの抱える問題と関連してくるわけでもないですし。

 感情移入できる相手先も不在です。ゲーム好きな変態なだけで彼のモチベーションや感情に乗れません。ゲームが進むことその点でのみ彼とは目的を共有しているだけです。

 ゲーム攻略動画の様だともいえるのかもしれませんが、別に主人公が研究して努力して情報を集めてゲーム攻略するわけでもありません。運の要素とクソゲースキルで…という話ですが、これもSAOのザ・シードのように共通のフォーマットによってMMOが作られているという設定があるわけでもありません。
 そう…設定そのものですが、レベル設定があるので、主人公が無双することに説得力がありません。クソゲースキルが役に立つのは多少でしょう。本作の設定で主人公の活躍はちょっと無理があるでしょう。レベル無しで行けばよかった気もします。

 ということで、結構ご都合主義満載でそれほど深みがある話でも手に汗握る話でもないです。人気はあるかもしれませんが記憶に残る話になるかどうかはこれからでしょう。

 連載漫画として週刊誌で読む。アニメで1回楽しむという分には面白い作品かとは思います。ですが、評価となると…そこまでは…という作品でした。まあ、最後まで見るとは思いますが…一応暫定評価はつけますが、面白い割に点はつけられないかなあ。{/netabare}


14話 話が進まないのがストレス。今のエピドードのイベントは面白いですが。

{netabare} 話が進まない。2クールですよね?ちょっと面白いイベントだなあと思っていたら…

 やっぱりわからないのが、何で他のゲームをやるのが練習なのか?ですよね。これってフルダイブはまだ世の中にはないでしょうけど、MMOだと普通なんでしょうか?

 それとパラメータよりもスキルが優先されるのっていうのも、よくある話なんでしょうか?よく見れば確かにHPとか各種のパラメータはかなり数字が低いので、武器補正とかいろんな工夫でレベル差は縮まるんでしょうけど。

 まあ、ここまで見れば最後まで見ますが、話のスピードなんとかしてほしいなあ。

 ただし、あのセツナですよね。服装と話からいって、2重構造の世界観の気もします。そして、SF的な場所もあるので実は…という話の気もしますが、どうなのでしょう?いずれにせよ長い話になりそうです。{/netabare}



19話 やっとですか。えっと2クールなんですよね?

{netabare} まあ、26話というのは今時ないでしょうから24話とするとあと5話かあ…細かいエピソードと伏線でお終いなんでしょうね。
 とにかく長い。冗長です。バトルが約2話分ですから…今後の展開の仕込みがあるので期待感が無くはないんですけどね。

 2クールでここまで見たし、アニメそのもののクオリティは悪くないので、もちろん最後まで見ます。が、どうでしょう?奥行も展開もかなり初期というか中途半端な感じですねえ。Drストーンみたいに3クール、4クールまでやる感じなんでしょうか?このペースだと心が折れそうだなあ。{/netabare}



 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜

この作品の原作は未読です。
完走後にレビューを書こうとwikiをチラ見してビックリ…
原作は未書籍化ながら、2023年7月現在で881話まで執筆されているそうです。

普段小説を読まないので詳しいことは分かりませんが、1巻10話で換算すると、80巻分くらい発刊されていることになります。
相当なストックを有している作品、と認識して良いのでしょうか!?


数多の作品を生み出してきた小説投稿サイト「小説家になろう」にて、
2017年より連載中の硬梨菜による大人気WEB小説。

小説の書籍化を待たずしてコミカライズ化された本作は、
第47回講談社漫画賞の少年部門を受賞し、
「週刊少年マガジン」の読者アンケートでは史上初の四冠達成!

誰もが持ちうるゲーム体験を通じ、新感覚の冒険を描く本作は、
かつての思い出に浸る大人たちと、テクノロジーの最先端で生きる若者たちに、
新たな冒険の興奮を呼び覚ましている。

1人のクソゲーハンターが、神ゲーに挑む、至高のゲーム×ファンタジー冒険譚、開幕!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

「葬送のフリーレン」や「薬屋のひとりごと」の様な圧倒的強さを誇る連続2クールの作品が放送される中、個人的には本作品も相当頑張った作品だと思っています。

神ゲーム、クソゲームに関わらず、ゲームで遊ぶのは、それなりの金銭の出費を伴うことになります。
本作品の主人公であるサンラクは、これまで数多くのクソゲーをプレイしてきたとのこと…

そのクソゲーにいくら突っ込んだのかは分かりませんが、相当のお金持ちじゃなければそんな潤沢なプレイは出来ないと思います。
これは自分にも思い当たる節が…

最近ハマっているソシャゲのイベントで、ガチャを回すために気が付いたら結構な金額を課金していたんですよね。
カードの明細見て明らかに遊びの域を超えていたのにビックリ( ノД`)シクシク…
相当自分を戒める必要があると思っていたというのに…

まぁ、金銭の出費という下世話な現実は置いといて、サンラクはクソゲーをやり込んでプレイヤースキルを高めてきました。
この作品における「クソゲー」の定義は、どうやらバグがあることの様です。
バグがあるということは、未完成品なのでは…とツッコミたくなりますけれど…
個人的なクソゲーの定義って面白さが基準だったんですけど、ゲームの世界ではどうやら違っているようです。

ですが、サンラクのゲームスタイルは格好良いの一言…
ぺらっぺらの防御でスピードや力に全振りしているのですから。
このゲームの世界では防御は自身の能力で唯一補うことのできるステータスですから、自身を鍛えるのは理にかなっているんですよね。

また、サンラクはなまじゲームをやり込んでいるので、他のプレイヤーと同じルートを辿らないのも彼の魅力の一つだと思います。
まぁ、傍からみたら滅茶苦茶なんでしょうけれど、視聴する側のワクワク感は間違いなく跳ね上がりましたから。

加えて、日笠さん演じるアーサー・ペンシルゴンと、小市さん演じるオイカッツォと3人でユニークモンスターに挑んでいく構成も鳥肌が立つくらい格好良かったと思います。
サンラクは、とてもじゃないけど人間技とは思えない様な動きをしていましたが、人間の反射の限界を超えている様にしか見えませんでした^^;

後は、サイガゼロの想いが届くことを願ってやみませんが、そちらは未だ相当時間かかりそうですね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニンブテーマは、FZMZさんによる「BROKEN GAMES」と、FZMZ feat. icyさんによる「Danger Danger」
エンディングテーマは、CHiCOさんによる「エース」と、ReoNaさんによる「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」
ReoNaさんの楽曲が大好きで通勤中に聴いていました。

2クール全25話の物語でした。
本作品は既に続編の放送が決定しており、2024年10月から2nd seasonが放送されるそうです。
今度も2クールだったら全4クールもの大作になります。
きっとこれまで以上に見どころが満載なんでしょうね。
2nd seasonの放送が楽しみで仕方ありません。
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

71.1 16 2023年秋(10月~12月)アニメランキング16位
大雪海のカイナ ほしのけんじゃ(アニメ映画)

2023年10月13日
★★★★☆ 3.7 (27)
148人が棚に入れました
雪海に沈んでしまった世界で、人々は“軌道樹”という巨木から広がる世界で暮らしている。文字を読むことのできるカイナとアドランドの王女リリハは、水源を求めて“大軌道樹”を目指す。しかし、そこにあったのはビョウザンが君臨する独裁国家、プラナトだった。“建設者”と呼ばれる兵を自由に操るビョウザンは、人類のためと大軌道樹の破壊を目論む。そんななか、カイナとリリハは失われた文字を解読し、衰退する世界の謎に迫ろうとしていた。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

知能より心を選抜する驚異の惑星システム

【物語 3.5点】
今冬放送された1クールTVアニメ版の劇場版完結編。

良く言えば王道。悪く言えば昭和のジブリの焼き直し。

超古代文明の知識や力に陶酔した野心家の凶行に、
ピュアなボーイミーツガールが立ち向かう典型的な構図が継続。

本シリーズならではの個性を見出すとすれば、
この星に“賢者”たちが組み込んだシステムが、大願成就の最大の障害を人間の欲望に設定し、
心の清らかな人間にのみ核心的な権限を与える選抜機能を組み込んだこと。

これにより力なき少年少女が奇跡を起こすお約束を、
シナリオの都合ではなく、先人たちが遺したシステムも後押しした必然として展開可能に。

とは言え、マイペースなカイナでも容易に潜入できる警備甘すぎな敵アジトなど、ツッコミ所はチラホラ。

“大軌道樹”での駆け引きも地階と上階を行ったり来たりする、世界の命運をかけるにはスケールが小さく単調な感じ。
正直、結局最後に2人で{netabare} バルス{/netabare} やりたかっただけでしょうwという私が抱いた邪念を振り払うには、もうワンパンチ足りない印象。
例えば最後は天膜上の宇宙空間でやり合うなど、もう少し多彩なロケーションで没入させて欲しかったなとは思いました。


解答編としては、概ね全ての謎について答えを示唆する材料は提供されました。
予想通りの{netabare} テラフォーミング{/netabare} でしたが、{netabare} 磁場の安定{/netabare} までプランに入っていた。
軌道樹に反応する“コンパス”も伏線だったなど意外な設定も開示されました。

一方で“ひかり”を基軸にした心の良し悪しを選抜するシステムのメカニズムなど不明点も残されました。
ただ、こちらについてはオープンにされないままで良かったとも感じています。

深読みすると、心の選抜システム周りには、知識の制限と文明後退により、人類を無垢の赤子に精神浄化するプログラムも含まれると思われるわけで。
これって一歩間違えばクメール・ルージュにも通じる危険思想を“東亜重工”のAIに持たせるってことですからねw
{netabare} 心が汚いとみなした人間の脳を幻覚も交えてぶっ壊す“亡霊”システム{/netabare} とか背筋が凍ります。

本当は怖い『大雪海のカイナ』よりも(※核心的ネタバレ){netabare} カイナとリリハの結婚{/netabare} という若者の前途を祝した方が後味爽やかですから。


【作画 4.5点】
ポリゴン・ピクチュアズによるCGアニメーション。

惑星全体に組み込まれた賢者のシステムが稼働する描写は圧巻。
巨大ロボ枠の“建設者”も大量動員されバトルを盛り上げる。
SFアニメとして申し分ない劇場版クオリティで魅せる。

ですが私がTVアニメ版に引き続き魅入ったのは人物の表情描写。
アメロテさんの面従腹背の表情は相変わらず含蓄があり読み解きがいがあります。

本シリーズは空から少女が降ってこないで浮上して来るなどの逆転発想の映像が面白い要素ですが、
劇場版でもユニークな映像で、{netabare} “大海溝”{/netabare} ってこっちだったのねwって感じで刺激を与えてくれます。

生物では雪海馬の成獣・大雪海馬が活躍。
馬というよりほぼ首長竜って感じで古生物ファンの私の心をくすぐります。
{netabare} 船に大浮遊棒として使用された大雪海馬の首に反応して寄ってきた
大雪海馬の番(つがい)を眺めて、ロマンとカイナへの好意を感じるリリハ様の赤い顔。
そんな乙女心に気が付かないカイナw{/netabare}
大雪海馬を材料に設定面でも恋愛面でも独特かつ印象的な映像が構築されていました。


【キャラ 3.5点】
劇場版のラスボス・ビョウザン。
大きな犠牲を払う“事業”に勤しむ野心家。
TVアニメ版・ボスのハンダーギル同様、人の心を軽んじて墓穴を掘るパターン。
異なるのは、ビョウザンも昔は“ひかり”が見え、純粋に知識で世界を良くしようと行動していた点。
より情状酌量の余地があるボスキャラで、勧善懲悪な明快さはやや弱い印象。

そう言えばハンダーギルには“建設者”の暴力的なシステムに精神を蝕まれ狂気を深めるといった設定がありましたが、
ハンダーギル以上の東亜重工製品ヘビーユーザーであるビョウザンは案外、自我を保っていた感じ。


リリハは自らの判断により人々が傷つくことを悔やみ、これが弱さだと卑下する。
アメロテは先祖伝来の賢者の鎧の力を受け継ぎながら、祖国を滅ぼした敵に助力してきたことを自嘲する。
2人のリーダーの率直な会話が印象的でした。

決断の結果傷ついた人々の心を無視しないリリハは弱くない。
本作や惑星システムが重視する心の在り方を象徴しています。


恋愛面では、カイナとリリハの関係進展の予感を横目に、
オリノガがアメロテさんの攻略を開始。
乙女なアメロテさんを目撃したい方は劇場に急ぎましょうw


【声優 4.0点】
CGの調整力を生かしたプレスコ収録。

ボスキャラ・ビョウザン役には花江 夏樹さんを起用。
割りとヒーロー役も務めることが多い声優さんですが、
本作では外面が優しいサイコパスを好演。

そんな息子を憂う母親役には桑島 法子さん。
清らかな母に語られると、ますますビョウザンが倒し辛くなりますw

主人公・カイナ役の細谷 佳正さんの飄々としたピュアボイスは健在。
{netabare} 精神を蝕む“亡霊”が出る“関門”{/netabare} という極悪なブラック労働環境に放り込まれる時も淡々としていて、
ある意味、頼もしいような怖いようなw

リリハ様の弟・ヤオナ王子役の村瀬 歩さんにも終盤意外と見せ場あり。
{netabare} 建設者と“シンクロ”して絶叫する熱演が様になっていました。
彼の演じるロボットアニメなんかも是非見てみたいです。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴は長瀬 みさき氏とKOHTA YAMAMOTO氏の楽曲が大多数。
澤野 弘之氏はメインテーマとそのバリエーションを提供するだけという体制が継続。
ですが、そのメインテーマをOP曲にした導入は上々のスケール感。
要所を締める役回りでも結果を出す辺りは流石。

ED主題歌はヨルシカ「月光浴」
一聴しただけでは解釈し切れない詩的なラブバラード。
ただ一つ感じるのはカイナよ、リリハ様の気持ちにようやく気が付いたのかという感慨。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

TV版からの手のひら返し?! 壮大なスケール感は劇場版ならでは

【レビューNo.104】(初回登録:2024/1/21)
オリジナルアニメ映画で2023年作品。100分程度。
(TV版の完結編)

(ストーリー)
地表を覆った大雪原から逃げるように人々は巨樹「軌道樹」の上に「天膜」を
作って生活していた。 天膜に住む少年カイナは、軌道樹の根元から登ってきた
リリハという少女と出会う。
リリハはアトランドの王女で、
・雪海に住む者は水を求め、軌道樹のふもとで暮らしていること
・現在水を巡る争いが起き、アトランドがバルギアと対立していること
・リリハは水を無限に出せるという賢者に助けを求め、天膜に登ってきたこと
が明かされる。
賢者がいないことがわかると、リリハはカイナとともに軌道樹を降り、アトラ
ンドへ戻ろうとする。途中リリハはバルギアにさらわれるも
・カイナはアトランドの人々と協力して、無事リリハを救出。
・バルギアとの戦争にも勝利。
・アトランドの地下にある旗が巨大な軌道樹と水への地図になっていることを
 発見。
 → バルギアの造船技術があればそこへいくことが可能。
劇場版ではアトランドとバルギアが協力して、巨大な軌道樹を目指すところか
ら描かれています。

(評 価)
・TV版からの手のひら返し?! 劇場版は高評価
 ・TV版の方もリアタイで観ていましたが、
  ・はじめは独特の世界観が琴線に触れ、興味深く視聴していたが
  ・次第に間延び感等失速を感じはじめ
  ・最後は「約ネバ2」を彷彿させるような、やっつけ感と「ご都合主義の
   権化」と化して閉口。
  ということで、個人的にはあまりいい印象はなかったので、劇場版も正直
  あまり期待せずって感じでしたが・・・
 ・劇場版はハッキリというと、「ナウシカ」そのものです!!
  まあTV版の頃から「ナウシカ」っぽさがありましたが、劇場版では更にそ
  の傾向が強まり(一部をオマージュしたとかいうレベルではなく)誤解を
  恐れずにいうと、最初から最後まで完全トレースといっていい位のレベル
  だなっとw
  しかし個人的には
  ・その名作をしっかり下敷きにしているからこそ、過不足なく物語が奇麗
   に流れ、一本筋が通った作品に仕上がっている。
  ・それでいて(「ナウシカ」のパ●リを見せられたという感じではなく、)
   ちゃんと「大雪海のカイナ」という作品を観たという満足感が得られる。
  TV版の低評価を手のひら返しするに十分な内容だったかなっと。

・尺の割り振りが丁度よかった
 個人的には(プロフィールにも書いてあるように)劇場版のような長時間の
 作品は苦手なんですが、そんなことも気にする暇がない程、没入することが
 出来たかなっと。その要因の一つが序盤・中盤・終盤がしっかり形成され、
 それぞれに見どころがあり、尺の割り振りも丁度よかったように感じました。
 ~以下重要ネタバレ~
 {netabare}・序盤
  ・アトランドとバルギアが協力体制を築きつつも一枚岩でない不穏な描写
   を挟んでおいて、眼前に現れた「大海溝」に飲まれないようまさに「呉
   越同舟」ともいうべき、両者が手を取ってこの困難に立ち向かっていく。
   そして「大海溝」を乗り切ったと思えば、間髪を入れずに「プラナト」
   という新たな巨大国家の襲撃を受けるという。
   ここまでの展開が大迫力でスピード感もあり、息もつかせぬ勢いで物語
   の中に引き込まれていく仕掛けがホント秀逸。
 ・中盤
  ・「プラナト」を統治する最高指導者は「ビョウザン」。
   彼は世界を作った賢者たちの残した大量の資料を読み解き、世界を救う
   たったひとつの方法に辿りついていた。しかしそれを実現するには、賢
   者の残した古代アイテムが必要なようで・・・
   今回初登場となるビョウザンというキャラや、バルギアとは違う統治シ
   ステムで運用されているプラナトという国に成り立ちや彼らの目的等新
   たな展開を過不足なく、面白く描写していたように思います。
 ・終盤
  ・囚われて「労働者扱い」されていたカイナたちの反撃~ビョウザンとの
   対決、そして賢者たちの残していた世界を救う本当の方法とは・・・
   「壮大なファンタジーここに極まれり!!」
   って感じで、広げた風呂敷を見事に畳んだなっと。
   ラストも物語の締めにふさわしい終わり方だったのでは。{/netabare}

伊達に「劇場版」を語っているわけではなく、純粋に
「これ、劇場で観た方勝ち組やろ!!」
と思える程「劇場映え」する出来だったように感じました。
個人的には
{netabare}・アトランドの親衛隊長:オリノガとバルギアの代表:アメロテのロマンスが
 どうなったのだけが気がかりw{/netabare}
という位で、非の打ちどころがないんじゃないですかね。
メインテーマも「Re:CREATORS」で触れた澤野弘之さんで、こちらも作品を
盛り上げるのに一役買ってたように思いますし。

TV版からの手のひら返しが凄いですが、その位個人的にはよく出来た作品で、
劇場でみせるに相応しい内容だったと思います。
それだけにTV版の失速ぶりが勿体なかったなと。 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12
ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

そういう世界観設定だったのかとすっきりしました。

封切2日めの夕方に鑑賞しました。

お客さんはよくて3割くらいの入りで、人気薄!って感じでした。

TV版は小粒な印象でしたが、それを上書きするアイディアはたっぷり盛り込まれてあったと思います。

ただし、TV版と違って {netabare} 水着回 {/netabare} はありません。

至極真っ当な、正統派ファンタジー作品です。



弐瓶勉氏の原作作品。 実は初見になります。

今回、弐瓶氏は「ファンタジーを描こう」ってことで、その世界観はしっかりと構築されていたように感じました。

劇場で観たのは、やっぱり正解でした。
スケール感はモニターサイズをはるかに凌ぎますし、キャラの演技はさらに微細で、天衣無縫そのものでした。

そして物語は・・・、これは "観た方だけのお楽しみ" ということにしておきます。


あとあと、ひと言だけ。
あの "天膜" のヒミツが、終幕間際になって明かされます。

「え? そうなの?・・そういうことだったの!」と、その大仕掛けにしばらくのあいだ思考が停止してしまいました。

SF的な雰囲気を醸しながらも、しっかりとファンタジー色がちりばめられていたなと感に入りました。



私のお気に入りは、冒頭の映像表現です。

復習のつもりでTV版を観返しておいたのですが、どちらかというと未消化なままの印象が残っています。

それを、のっけから、するどくエッジを打ち込むが如くの映像美術です。

何やら不穏な空気感を打ち出し、やおらに緊張感をブーストする出だしです。

期待値を否応なしにアゲまくる演出。

私はみるみるうちに引き込まれてしまいました。



それにつけても、なにぶんとプンプンするほどにファンタジーしてますので、すべてが理詰めというわけにはいきません。

「うんうん大丈夫。丸のみしちゃうから平気!」って心がまえも必要です。

もちろん、あの作品に似てるとか、説明が足りないっていうのは無粋というもの。

心を広く持って受け止めてくださいね。


滅びかけている世界を、再生へと向かわせる少年と少女の視点。

つまるところ、ボーイミーツガールは "間違いなし" です。

というわけで、カイナ役の細谷佳正氏、リリハ役の高橋李依氏は、この世界観になくてはならない存在感を演じきる難しさがあったのではないかなぁとの思いを馳せました。



TV版の評価は今ひとつでしたが、私は最初から観ると決めていましたので、見届けられたことは十分に満足しています。

ポリゴン・ピクチュアズの3DCG技術は、かなりリアル寄りで好印象。

人物のアクションも、無難にまとまっていて、的を得ていたように感じました。

ただ、デフォルメの面白さという観点では、いささかスポイルされるように見えてしまうのは仕方がありません。

分厚い防寒着だったり、鎧だったりは、もう一つ見栄え性に "華が足りない" ようには感じました。


その分、ストーリーの設定に、そのまま没入することをお勧めします。

とどのつまり、"世界観の余白" を自分なりに咀嚼・解釈すること。

それが弐瓶氏の狙いをキャッチする "確かなキーワード" のように感じました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

70.3 17 2023年秋(10月~12月)アニメランキング17位
転生したらスライムだった件 コリウスの夢(未定)

★★★★☆ 3.6 (101)
398人が棚に入れました
イングラシア王国で子供たちを救い、教師としての残り少ない日々を過ごすリムル。そんなある日、自由組合のグランドマスター、ユウキからある依頼を聞かされる。その内容は、イングラシア王国と神聖法皇国ルベリオスに挟まれた「コリウス王国」で起こっている王位継承争いの内情を探って欲しいというものだった。リムルは〝サトル〟という名でコリウス王国に潜入捜査を開始。だが、事態は一国の王位継承争いに留まらず、悪魔や吸血鬼の思惑も絡み合い、混迷を極めていくーー!

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

消えることなく光を放つ望み

転スラの作者・伏瀬氏が二期ブルーレイの特典ブックレットに描き下ろした小説を映像化したもの。
全3話完結の短編で、転スラの10周年プロジェクトの一つだそうです。10年も経ったの!?

時系列としては1期終盤。
イングラシア王国自由学園で教師をしていたリムルが、そろそろテンペストへ帰ろうかと考えていたあたりの時期と推察されています。
いつも通り、のんびりした日々を過ごしていたリルムのもとに、ユウキから相談を持ちかけられます。
イングラシア王国と神聖法皇国ルベリオスの間あたりにある"コリウス王国"の内情を探ってほしいという内容ですね。
なんでも王位継承争いが起きているらしく、第二王子がギルドから仲間を募り、不穏な動きを見せているとのことで、ギルドマスターであるユウキとしては見過ごせないとのこと。
そこでリムルは偽名を使ってコリウス王国へ潜入するが、単純な王位継承争いではなく、思想が絡まる複雑な事態となってゆきます。

ただ、最強スキルを持ったリルムは特にピンチにもならず解決します。
逼迫した事態に面しているのですが、いつも通りのほわんかした異世界ファンタジーなので、おきらくに見れると思います。
すったもんだの末、黒幕が判明、黄門様よろしくリルムが仲間たちと鉄槌を下して、これにて一件落着といういつものフォーマットでお送りしています。

転スラ好きであればほんわか見れる作品ですが、ぶっちゃけたところ、転スラ初心者だとハードルは高いです。
まず、パケ絵で立っている二人の女性ですが、彼女たちは本編ではほとんど登場せず、本作のメインキャラとは言い難いです。
終盤に少しだけ登場するのですが、"コリウスの夢"がアニメとしては初登場で、何をしに出てきたのか、そもそも黒幕の目的がなんだったのか、原作を読んでいないと見てもわからないと思います。
また、コリウス王国へ行くことについて、序盤に自由学園の同僚教師・ジェフがコリウス王国の貴族へ紹介状を書いてくれましたが、これについてはコミックス特典OADで詳しく語られました。
本作の最後には劇場版の伏線もあり、それら全て知っているという転スラファンであれば問題ないのですが、知らなければ理解が追いつかない可能性があります。
このあたりは3期以降見るうえで必要な前提知識な気がするので、その振り返りとして観るのも良いと思います。
異世界転生した一匹のスライムの物語が、どんどん広がってる感じがする一作でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ルミナスとウルティマのキービジュアルで見てしまった…

 やはり転スラの名前が出ると見てしまうんですよね。特にキービジュアルがルミナスとウルティマだったので。ただ、やっぱりサイドストーリー的な本作もやっぱり面白くはないです…いや、中途半端な面白さという方が正確かな。話は普通にできています。でも、それだけと言う感じです。そもそもキャラの先取りをするくらいならとっとと本編進めろ、という気はします。矛盾も出てくる気がするし。

 それと、原初の悪魔の3人娘とルミナスですねえ…もうちょっと美しくしてほしいなあ。まあ、アニメのテイストがこういう感じなので精いっぱいだとは思いますが、1期始まった2018年ころには異世界転生ものならこれで満足できた作画レベルも「無職転生」とかあるだけに今見るとちょっと物足りないかなあ。

 話の内容は、サイドストーリーで考察とかネタバレしてまで語るような内容ではありません。上にあげた4人の女性キャラが見ものというだけです。とはいえ治療の対象となる女性のキャラはちょっと良かったので、まあまあ面白く見られると思います。

 ポテンシャルがある作品なので、もったいぶらずに大胆に本編進めて欲しい…いや、欲しかった…かなあ。もう見ないでいいかなあ、と思いつつ次が始まれば、また見てしまうんだろうなあ、と思います。

「転生したらスライムだった件」は1期は夢中になって、原作を確かその時点で十数巻一気買いして、読みました。そこまでは面白かったのですが、段々間延びしてくるようになって19巻で心が折れて20巻以降読んでません。数値化とか始まったし。

 2期になってアニメで転スラ日記を1、2クールで挟むやり方とか、原作で強さの数値化が始まったり尺伸ばしとも取れる感じが、メディアミックス全体で行われて心が離れた感じです。

 2期は酷評しましてもう見ないという感情だったんですけど、やっぱり東の帝国との戦争、3人娘とゼギオンの戦いだけは見たいんですよねえ、そこまでもっとスピーディーにアニメ化できませんか?

 なお、私「大賢者」って、風呂に沈めたコンピュータが転生したのだと思ってたら、30歳DTで魔法使いで、40になったら賢者になれるかな、という妄想が大賢者になったみたいですね。初めてWIKIを見て知りました。原作に書いてありましたっけ?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

〇〇○サトルw

原作未読 全3話 Amazon Primeで視聴

転生したらスライムだった件の新作アニメです。レビュアーさんのレビューを読んで、私も一気に観てしまいましたw

閑話的な感じに3話で完結しているので、観やすいと思います。

2期の途中のお話ですね。無理やりw依頼されてある王国の内情を調査することになったリムルが活躍するお話です。

今回はテンペストのキャラも3名ほどしか出てきません。

また、他に本編に絡むキャラたちも出てきていますので、転スラが好きな方は是非観てくださいね。

本編の続きを早く観たいです。

OPは寺島 拓篤さん、EDはリムル役の岡咲 美保さんが歌っています。

最後に、今は配信だけですが、12月に地上波とBSでの放送が決まりました。日本テレビ・中京テレビ・BS11・日本テレビ系列で放送します。詳しくは公式HPでご確認くださいね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

70.1 18 2023年秋(10月~12月)アニメランキング18位
MFゴースト(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (129)
373人が棚に入れました
『頭文字D』より未来、西暦202X年。車の自動運転が普及した日本。そんな時代に、公道の自動車レースが開催されていた。世界中で人気を集めるレースの名はMFG。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなど最速を誇るマシンが次々に参戦していた。一方、イギリスのレーシングスクールを卒業したドライバー、カナタ・リヴィントンは、ある目的を果たすため日本に帰国するのであったー。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

レースアニメではなくて自動車スノビズムアニメが見たかった。

 車が速さを競う時代から快適性、安全性、燃費になり今やEVの時代です。本作は、ある意味ガソリンエンジンに対するノスタルジーです。頭文字Dの時代にはこんな世界が来るとは思ってませんでした。

 ガソリンエンジンの速さの追求ということ自体がもうフィクションですが、その精神を引き継ぎ、富士山の火山活動を上手く設定に取り込んで作品に仕上げたなと言う印象です。

 ですが、作品の質はそれほど高いとは思えません。WHYの部分をもったいぶりすぎです。藤原拓海あるいは高橋涼介の名前に作品を頼りすぎています。
 そしてキャラが絞れていないし、エンゼルちゃんに意味もなく注目しすぎです。頭文字Dの時はそちらはそちらでちゃんとドラマがありましたけど、今作はお尻要員で終わってます。キャラで言えば主人公をハーフで日本語片言にしたので内面が見えないのも大きなマイナスです。

 アニメ化によってレースシーンが素晴らしいものになったので、かなり原作より見やすく面白くなっていると思います。
 が、本作で知りたいのは女子でもないし、他のドライバーでもないし、突き詰めればレースそのものでもないです。車の速さに関するスノビズムつまり「教養をひけらかす俗物根性」のマンガで「知識を得た気分」を堪能したいわけです。それがどれほど正確かはどうでもいいです。「自動車の速さを追及するとは?」をそれらしく見せて欲しかった。その点をDでは親父や高橋涼介をはじめとしたサブキャラが担ってました。本作はサブキャラが「いる」だけです。

 つまり頭文字Dはレースマンガではなく、自動車マンガだったということです。本作は今のところパワーウエイトレシオ云々で始まったのに、レースマンガになってしまっています。そこが面白くなりきれない理由でしょう。

 2期も決まったとの事ですが、展開が今と同じなら途中で飽きるかも。ですが、1期は最後まで毎週ある程度は楽しみに視られたのでそれなりに高い評価をします。レースシーンは良かったです。




以下 視聴時のレビューです。


1話 人気的には車でも描きたいのはJK。苦肉の策という感じ。

{netabare} たしか12、3巻くらいまで既読です。しげの秀一氏は「頭文字D」の最後ほうはモチベーションを失っていたので、その続編というのが不思議な感じです。
 「高嶺の花」「セーラーエース」などを連載しているところを見ると、この人は多分もともとは車、特に86が好きだったんでしょうけど、本当のところは女性を描きたいんだろうなあ、という気がします。「ドッピーカン」というのもありました。

 ただ、です。不幸なことにこの人圧倒的に女性を描くのが下手なんですよね。内面がないというか設定だけというか…頭文字Dの「茂木なつき」も拓海に感情移入したストーリーには乗れるんですけど、なつき本人に奥行がありません。単なる作者のNTR好きというか…軽井沢のコンビなども女かきたいから描いたという感じでキャラ描写は弱いです。

 ですから、女性主人公ものは皆短期で連載が終わっているみたいです。正直ほとんど読んでないです。

 本作はその折り合いをつけたんでしょうね。エンジェル7番ちゃんに視点を置いて、エロい恰好をさせてルッキズムとか絡めて何とかモチベーションにつなげたんでしょう。JKとの恋愛ものが描きたかったんでしょう。
 ただ、残念ながら長期休載をしていますので、その内心はどうなっているんでしょう?正直10巻を越えてくると絵がかなり荒れています。顔の輪郭や線、デフォルメ表情の比率がかなり高くなって、絵描くのも面倒なんでしょう。そしてなんかつまらなくなる感じです。

 過去作の名前借りというのもちょっと描くものに苦労した感じです。あだち充氏のMIXもそうですけど、熱が伝わってこないですよね。

 まあ、テーマとしてはガソリン車へのノスタルジー、あるいは未来のカーレースの在り方なんでしょうけど…頭文字Dでドライバーについてはやり切った感があります。やるとしたらテクノロジーとの融合…でしょうか?いや、この人はそっちにはいかないでしょうねえ。車と女と過去の人気作。晩節を汚さないで綺麗に終わらせられるのでしょうか?

 アニメ版でどうしてくるか。映像というのは強みですから、見守りたいと思います。 {/netabare}


2話 あーやっぱりレースものはアニメの映像がいいですねえ。排気音と音楽。そして尻。

{netabare} 続編だよりだとか、JKだよりだとか、いろんな批判を1話でしましたが、やっぱり排気音とエイベックス的音楽とがあって、レースシーンはアニメで魅せられると格別ですね。

 あの角刈りの男がうるせえとか、高橋涼介ってわかってんだからもったいぶらなくていいとか、いろいろありますけどね。
 そして、性癖を隠さない潔い尻がいいですねえ。レーシングカーに水着女性(正しくはレオタード?死語?)は今やご法度になってしまいましたが、やはりメカに水着美少女は画になります。現実でできないならアニメくらいは、と思ってしまいました。

 なお、グリップウェイトレシオって、今の解説だとパワーウエイトレシオが高い方が上りで有利ということで外車がいいということ?かなあ。マンガよんでるんですけど、そういう解説すっ飛ばして読んでました。
 素人考えですけどブレーキの効きと耐久性、サスペンションの問題、車体の剛性があるのでそれでも軽量化の意味はあると思うのですが…それがドライバーのテクを引きだす?

 ちょっと興味でてきました。アニメだとマンガよりかなり面白く感じます。ドローンのアイデアもいいですし。富士山の噴火も面白いですねえ。レース中のうるさい男だけいなければ最高です。{/netabare}


3話 レースは良いけど結果の理由が欲しい。JKラブポエムが恥ずかしい。

{netabare} レースは面白いし、結果もまあ、それがいいでしょう。長い作品なら負けから這い上がって行くパターンもありますが、天才肌の主人公ですし展開はいいです。
 ただ、なぜそういう結果なのか?の理由とか理屈が欲しいなあ…溝落としとか、グループAのエンジンとか。イニシャルDの時はそういう屁理屈が非常に魅力的でした。決勝までの流れで何か説明があるといいのですが。

 で、その代わりがJKのラブポエムですかあ…うーん。そうあって欲しい気持ちはわからなくはないですけど…まあ、いいでしょう。それが創作物です。かなり恥ずかしいですけど、それがマンガの良いところです。

 ということで、イニシャルDのような名作になる感じはあまりしませんが。テンポと盛り上がりが素晴らしいです。ドローンの最高時速とか押さえるべき設定はちゃんとおさえてました。

 アニメの背景は実写おこしのような感じですが、中にいるのが車という無機物なので調和が取れてます。そこは上手い処理でした。 {/netabare}


4話 技術的な視点と世界観の作り方が上手いんでしょうねえ。

{netabare} トラクションコントロールとかタイヤマネージメントとかそれっぽい話になってきました。やはり前作同様にドライバーの技量こそレースの本質と言う話になるのでしょう。こういうメカ的な解説はやはり男心をくすぐります。

 なぜ「頭文字D」とか本作は面白いのかと考えると、世界観かなあと思います。公道レース…本当にグンマ―のそれぞれの山にチームがいて夜な夜な走り屋たちがバトルを繰り広げているかどうか知りませんが、その世界観がストーリーを支えました。しかも、下りのスペシャリスト、ドリフト最強という発想。

 本作においてもEV化の中で、噴火が起きて無人になったらしい箱根・小田原の行動をレース場に見立て環境上等の大排気量のガソリン車が走る。近未来感がある設定は本当に上手い。ドローンを活用してレースを世界中で楽しむのもいいです。
 首都高でもレース場でもないところが他に類を見ません。そして「トヨタGR86」はやはり「頭文字D」の藤原とうふ店のパンダトレノがあったからこその人気で復活した名車だと思います。それが更に新しいマンガに登場するという実車と創作の相互関係も面白いです。
 今時のうるさいコンプラ警察にも対応した上手い設定だなあと思います。

 メカと半裸美少女ということで、女性からどう見られるかわかりませんが、やはり男心をくすぐります。

 まあ、この後の展開を読んでいるのに覚えていないということは、あまりストーリー性がないのかもしれませんが、しかし、アニメで見るとかなり面白いです。今後に期待できます。

(なお、環境上等と書きましたが、レースによって効率のいいエンジンやタイヤその他の部品は開発されます。環境負荷など考えるとEVよりも効率がいいガソリン車の方が優れている気もします){/netabare}


5話 Gの表現が凄い。面白い要素満載。尻。久しぶりにアニメで手に汗にぎりました。

{netabare} アニメのレース場面で車というのは一見固い塊です。だから、迫力を出すために音楽や効果線、実況をヒートアップさせます。でも大事なのはそれだけではありません。「G」つまり「加重」です。

 5話のレースシーンはそこが本当に素晴らしかった。左右のGだけでなく、ブレーキングや加速の時のサスペンションの動きの表現がとてつもないリアリティを持って迫ってきます。
 宮崎駿の…うーん例えば「カリオストロの城」のカーチェイスの加重も有名ですが、あれはアニメ的な動きとして優れていても、リアリティがありません。本作はその点で、車が生きているように表現されていました。

 マンガは止め画なのでその点でアニメで見る意味が多いにあります。

 また、外国車スーパーカーへの憧れ、非力な人間・車が上位勢に互して戦う。ワクワクする要素です。「判官びいき」は日本の伝統です。

 身バレですね。「一見非力っぽいけど、あ、あの…伝説の…」をやってくれました。このストーリーが非常に上手い。「頭文字D」と同じといえば同じですが、その「伝説」を逆手に取った続編の作りとして、王道ではありますが「実はスゲー奴ですけど何か?」的な異世界転生ものの主人公の設定を丁寧にやったような爽快さとカタルシスがあります。

 レースの他のメンバーの映し方。外の車が単なるモブではなく水準の高さが分かります。その高度なレースの中で主人公が活躍するという部分が自然に描けています。そして「じらし」です。早く主人公の抜くところを見せろ、というのが手に汗につながります。
 それぞれの考え方やスタンス、技量を見せる事でテーマを浮き彫りにしつつ、人間が競い合っているレースを表現していました。
 しかも、兄妹で通信することでいかに主人公が凄いのか、ぎりぎりの世界なのかまで表現していました。

 そして、やはり軽量とテクニックがタイヤマネジメントの問題につながりそうな感じです。トラクションコントロールを切るのと関係があるんでしょうね。
 これが技術的なスノッブ感です。マンガを読んでその分野がわかった様になる。この錯覚が大切です。
 そのアニメ・マンガ・小説が扱っている題材に対して、最近の作品はこの知識的なスノビズムのストーリーへの織り込みが足りないです。つまり、取材・知識不足です。この作品はそこが優れています。

 で、尻ですねえ。まあ、これはいいでしょう。

 5話は面白い要素が満載の上に、車のGの表現で優れたアニメ表現を見せてくれました。久しぶりにTVアニメで手に汗握りました。面白い。最高です。


追記 更に、こういう理屈をこねて頭を使わなくてもストーリーを見ているだけで、感覚的に感情を刺激してくるのが、上手いです。ひょっとしたら原作を過小評価していたかも。


再追記 なお、同時期のレースアニメ「オーバテイク」のレース場面ですが、難しいですよね。フォーミュラカーは性能が良すぎ、形状の関係でGがあまり外見ではわかりません。
 正直実写のF1レース場面でもスピード感が感じられませんし、止まっている様に見えることがあるくらいです。固定カメラで目の前を通り過ぎれば過ごいスピードなんでしょうけど、それだと影しか見せません。
 アニメCGで「優れた描写」をやってしまったから、かえって迫力がないという矛盾がある気がします。実写ではだからこそのオンボードカメラなんでしょう。その辺の表現はアニメならではを出すしかないでしょう。{/netabare}


6話 内容はちょっと小休止回。パンツのズレは生々しすぎてやりすぎかも。

{netabare} ちょっと疑問なんですがヤジキタ兄妹を抜く理由って何かあった?結局ヤジキタ兄妹は最速ラインで走っていて、途中86に抜かれた分のロスは少しはありますよね?
 で、カマボコストレートというところでカナタがスリップストリームに少し入りますが、ストレートは絶望的な86ですからヤジキタ兄妹が引っ張ってもらう意味もなく、一瞬で出てしまいます。

 この流れだと、抜くところからカマボコストレートまで兄妹に自由に走らせていた方が、タイヤにも優しいし良いのでは?というのは見方が間違ってるのかな???

 6話は話も進まず、レースもそう言うわけでポルシェその他の外野のバトルもあまり迫力はなかったですね。

 で、その代わり尻なわけですけど…うーん…うーん…ヒロインだけでいいんじゃね?と思わなくはないです。そっちをそんなに見たいアニメじゃないんで。あとアニメで生々しいパンツのズレとかあんまり見たいわけじゃないです。そっち関連は美しいアニメ表現か、記号化された爽やかなエロか、本格的なアダルトならいいですけど。やっぱり原作者がどうしても女の子描きたいのかなあ? {/netabare}


7話 テンポの悪さ、話の焦点が絞れてないのがここに来てネックになっている気がします。あだち充氏の「MIX」と同じ老いが感じられます。

{netabare} 原作を途中で止めた理由が分かった気がします。レースの駆け引きや車重、タイヤマネジメント、ドライバー、グリップウエイトレシオ等々を説明するために、いろんなドライバーに視線を移し過ぎですね。
 レース前半の盛り上がったところでそれを入れるのは、臨場感という意味では良かったんだと思いますが、しかし、主人公が気になってるのにちょっと焦れますね。

 それとヒロインは初めに尻だけちょっと映せばいいでしょう。途中の娘とのやり取りはいらないかなあ。レース場外は今まで説明のない17歳フェチだけでいいんじゃないかな、と思います。そのシーンも無駄に長いし。

 つまり、話のテンポがここに来て停滞気味なのと、何を見せたいかの絞り方が中途半端な気がします。

 となった時に、あだち充氏の「MIX」との類似性、その見せ方の氏とは思えない展開・テンポの悪さと重なってくるかなあ。大胆な時間的省略、話の取捨選択が持ち味だったのに、冗長になってきています。それは新しい話を産み出せない老いなのかなあ、という気がします。

 6話で停滞感があったのに、7話もこのテンポですからねえ…6,7話をまとめてもいいくらいでした。{/netabare}


8話 こういうのが見たいんだよ、ですね。

{netabare} 6,7話の停滞感が8話のカタルシスの為だったのかなあ、と思わなくはないですが、要するにレースアニメとして8話のようなのが見たかったということですね。

 今週原作を改めて読みましたが、圧倒的にアニメが見やすいし面白いです。原作は6~8話の対象部分は内容はほぼそのままなのですが、肝心の車の絵が荒れていて見てられませんでした。女子ばっかだった理由がわかるきがします。
 要するに7話が女子だらけだったのは、構成とか内容ではなく女子が描きたかっただけかもしれません。

 ということで、このレースの結末はその時知ったので内容については書きませんが、アニメ化が良かった意味は8話のような場面で強く感じました。

 変な言い方ですけど、水着の女子が最高の公道レースをやるマンガを描けばいいのでは?と思わなくはないです。しげの氏は女子のレーサーって負けキャラっぽいのしか描きませんよね?そこだけは男の世界っていうポリシーかな?{/netabare}


9話 レースシーンは素晴らしかったです。ただ、内容で言えば頭文字Dのドラマ性とか能書きとか緊張感とかワクワク感とか女子とかいろいろ落ちると思います。スピンオフという感じかな。

{netabare} 表題の通りです。レースシーンのCGは素晴らしいと思います。女子もそれなり以上に可愛く描けているし。ですが、画面のクオリティ以外では少々ドラマが退屈です。

 最終話まで見ると思いますが、原作も読んでしまったし、レビューはここまで。最終話でちょっとコメントをいれます。

 評価は作画は5でいいでしょう。ストーリーは3でキャラは3.5。音楽は3.5、声優は3.5かな。要するにオール3より少しいい面はありますが、作画以外はまあまあという作品だと思います。{/netabare}



10話 本来は今週のおっさんたちの話みたいのがもっと欲しかった。

 今週のオッサン2人が車の前で話しているようなのを、もっと入れて欲しかった。プラス車が実際に分解されていたりパーツを具体的に見せてくれればもっと良かった。ドライビングテクニックの方の説明が「藤原拓海」の名前に頼っているので、どういう技術が胆になってくるかの説明がそろそろ欲しいです。

 というわけで、1クールだとするともう終盤ですけど、ほとんど導入という雰囲気で終わってしまいましたね。実際は原作の巻数で言えば進んでいるみたいですので、原作が如何にかったるいかがわかると思います。

 アニメ作品としては面白いよりの普通、10段階評価で7か6か迷うかなという内容です。レースの迫力は評価します。

 という感じです。今期でいえば4番目か5番目かくらいの作品です。年間でベスト10は無理だけど20には入るかなあ…完走は余裕ですが、心には残らないし再視聴もしないかなあ…という感じです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

【1クール目レビュー】これが内燃機関エンジン車バトルへの鎮魂歌となるのか?

原作コミックは17巻まで購読中。

【物語 3.5点】
全体構成は原作以上にレース重視。
古風な恋愛要素などが邪魔に感じる方もいるでしょうが、
これでもレースに場面を集約したアニメ化になっています。

コミック1巻分の過半をレースなしで鎌倉散策デートしてましたという巻では、
いくら昭和のハチロクで平成のモンスターマシンを倒す懐古志向の『頭文字(イニシャル)D』の後継作だからって、
恋愛まで懐古じゃなくていいと評価が割れたりしていました。
なので、そのままアニメ化したらテンポ悪いかも?と私は憂慮していましたが杞憂でした。

TVアニメ版『イニD』1期の最初の本格公道レースバトル開始が5話からだったことを考えれば、
初回からMFG予選が始まる『MFゴースト』はかなり真面目にレースで魅せたアニメ化だと思います。


ただ1クール目は第2戦予選が終わるくらいという中途半端なところで終わり、
この春の2nd SEASONに持ち越し。

しげの 秀一先生原作アニメが1クールでキリが付くわけがないと原作勢は分かっていますが、
他でも言及したように、分割放送の構想があるなら事前告知するのが親切かと思います。


【作画 3.5点】
アニメーション制作・FelixFilm

富士山大噴火により無人となったかつてのドライブエリア・箱根、湘南周辺を舞台に、
トヨタ86などの国産車が、外国産スーパーカーに挑んでいく。

シビれる好素材を、現地をトレースした背景美術と、
スピート感を演出する斜線をまとったCGによる車の描写で、
道中大きく崩れることなく無事に再現してみせた。

元請け経験が少ない同スタジオは懸念材料でしたが、
アニメ化に際し、望むハードルはクリアしてくれたので及第点は付けられる出来だと思います。


一方で人物作画は、元々、歪な悪材料だった原作の人物デザインを、
これでもかなり改善していて、私はちょっと感動した位でしたが、
冷静に見れば、やはり不自然さが残ります。

顔のデカさがコケシみたい。パーツが全体的に四角い。
この辺りはまだチューニングの余地があるのだと思います。


【キャラ 3.5点】
“新公道最速伝説”と銘打った本作。
元祖“公道最速伝説”『頭文字D』にて作者は、本当の速さとは何かを見せるとの趣旨の決意を述べました。
が、実際には“藤原ゾーン”などの理解し難い珍妙な曲芸走法で切り抜けたり、
決着が運ゲーだったり。

シナリオは完結した『頭文字D』ですが、公道最速理論というテーマは未完。
『MFゴースト』には公道最速理論の完成という使命を継承して欲しい(ま、どうせ完成しないでしょうがw)
というのが私の願望。

その観点から興味深いキャラがラスボスと目されるミハエル・ベッケンバウアー。
独国ポルシェ育成システムから輩出されたシミュレーター世代であるトップレーサー。

『MFゴースト』の基本設定では電気自動車(EV)普及等によるガソリン車の骨董化がありますが、
私がそれ以上に重要だと思うのが自動運転普及。
極論レースなんて超高性能AIにハイパワーな車を自動運転させれば最強でしょ?
というツマラナイ未来への途上にあるのが、コンピューターシミュレーション訓練が作り上げたベッケンバウアーなのだと思います。

公道最速理論とは、機械化、自動化が進む運転技術の中でも、
人間ならではの感性が入り込む余地がまだあるという主張なのだと私は捉えています。
その感性に長けた主人公カナタ・リヴィントンみたいなドライバーこそが、
一見貧弱に見えるマシンで最速を体現し、
MFGに退屈しつつある最強ベッケンバウアーら新世代を目覚めさせるというのが本作の肝かと。

昨今のEV自動運転化の流れはガソリン車バトルを描くには逆風ですが、
そのプレッシャーにより、作者がリョウ・タカハシが仕込んだレギュレーションなどを通じて描きたい公道最速理論は反論として語りやすくなる。
時代がテーマを浮き彫りにするという点では、EV自動運転化はむしろ追い風なのかもしれません。

数多くのドライバーが登場して覚えきれない本作ですが、
テーマを念頭に置いて整理すると、中々面白い設定が練られていると感じられます。


惚れっぽいからカナタに一目惚れしちゃった感が強いヒロイン・西園寺 恋。
女の子は恋に憧れ恋しちゃうもの。
キャラにも古風な恋愛観がにじむ本作。

ヒロイン以上に懐古なキャラが相葉瞬。
推しのMFGエンジェルスの“7番ちゃん”(恋ちゃんのことですが)のキスゲットを原動力に、GT-Rで発奮する。
男はカッコいい車に乗って女を求めるものという“若者の車離れ”など眼中にない令和の空気を読まないキャラ。

終盤、暗い部屋でひとり7番ちゃんの画像に鼻息を荒くする相葉の生態を、気色悪くて無理と思うか、阿呆で面白いwと思うか。
本シリーズについて行けるか否かの試金石だと思います。


【声優 4.0点】
主人公・カナタ役の内田 雄馬さん。
時折イングリッシュ風の発音も交えながら、英国系イケメンドライバーを構築し、
ヒロイン・恋役の佐倉 綾音さんの一目惚れ胸キュンボイスを引き出し、
ベタベタな恋愛劇を支える。
ファミレスで内田さんみたいなイケボで接客されたら男の私でもちょっと電流が走りますw

期待に応えてくれたのが、ここでもベッケンバウアー役の神谷 浩史さん。
{netabare} 「その走りには加齢臭が漂う」
「どうした踏め石神。そこで踏めないのか?ヨーロッパのレースなら10歳の子どもでもそこでアクセルを踏み抜くぜ」{/netabare}
などと同じポルシェ乗りの元・王者の石神風神(CV.安元 洋貴さん)を毒舌で酷評しながら追い詰めて行く。
今回アニメ化部分で一番決めて欲しかったカットをベテランが見事に表現してくれました。

上記の車内コックピットの独り言や、
86整備担当の緒方役の畠中 祐さんらによる関係者リアクションで盛り上げるのも、
『頭文字D』の峠バトルを想起させられ懐かしくて良き。

加えて熱かったのが、実況・田中 洋二役の光部 樹さん。
実況・解説席からの煽りは、レースショーとして企画されたMFGならでは。
今後、解説には色々と『イニD』縁の人物もゲストとして登場するので、
実況CV.光部さんのおもてなしにも期待したいです。


【音楽 4.0点】
レースバトルを彩ったのはTVアニメ『頭文字D』同様ユーロビートの楽曲の数々。
クラブ音楽界隈もトランス、EDMとトレンドが移り変わる中で、
懐メロ化しつつあるユーロビートですが、
エイベックスにより提供された本作BGMを通じて、ユーロビート魂の継承者が健在であると確認できて嬉しかったです。

個人的に良かったのが「MANIFOLD LOVE」「FACE DOWN」と、
明快な男性ボーカルによる明瞭なフレーズがアガるHOTBLADEの切れ味。


実車から収録したエンジン音も迫力がありました。
「たまんねぇぜレースってのはこうでなくっちゃな。EVのレースなんて眠くなっちまうぜ」
私も完全に同意します。


OP主題歌「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」
北原 望役の芹澤 優さんが『頭文字D』シリーズで主題歌を務めたm.o.v.eのmotsuさんをラッパーに迎えたコラボシングル。
アレンジも往年のm.o.v.eを思わせる構成で、こちらも懐古仕様。
歌詞世界もラブソングをレースに絡めたお馴染みの内容で、
ヒロイン・恋とカナタの恋愛劇を後押し。

ED主題歌「Stereo Sunset (Prod. AmPm)」
Himika Akaneya(茜屋日海夏)さんによる、シンセ和音が心地よいラブバラード。
夕暮れの江の島をバックに疾走する86。本当に絵になります。


以下、放送前のフライング長文。長いので折りたたみ。

{netabare}
『頭文字D』の後継作として連載中の同名コミック(17巻まで購読中)の連続アニメ化作品。

EV自動運転化が実現した近未来。
富士山大噴火により無人となった箱根やその周辺の公道を舞台に開催される
世界唯一となった大排気量の化石燃料車によるモーターレースシリーズ“MFG”

英国からの留学生で『頭文字D』の“秋名のハチロク”のドライバー・藤原拓海に師事していたという、
主人公・片桐 夏向(かなた)ことカナタ・リヴィントンが真紅のトヨタ86で、
MFGにひしめくハイパワーの外国車等に挑んでいく。


原作は往年の人気シリーズの続き、車離れが進んでどうこう以上に著しく懐古な男性向けの内容だと思います。

カーボンニュートラルが国策として叫ばれる昨今、
温暖化ガスを大量に吐き散らす公道レースという基本設定だけでも既に骨董品みたいなもの。
(余談ですが、最近のエピソードでレース解説・須藤京一先生がEVは日本を貶める欧米の政略と大放言する件w
今回はそこまでアニメ化されないでしょうが、いちいち頷く点が多くて笑いますw)

加えて主人公に一目惚れするヒロイン・西園寺 恋。
その名に違わず惚れっぽ過ぎる美少女JKとカナタによる恋愛劇は、
昭和か?ってくらい素朴で古い。

またMFGには“MFGエンジェルス”と呼ばれるレースクイーンの美女たちが登場。
その衣装がブーツや天使の羽根でボディーラインを強調する実にけしからんデザインでしてw
しかもレーサーが表彰台に上がると、ご褒美に任意のエンジェルスの頬キスがプレゼントされるというオマケ付き。
で、ご想像の通り{netabare} ヒロイン恋はカナタがMFGに参加していると気づかぬまま、
MFGエンジェルスのナンバー7としてバイトする人気メンバー。ということは……。{/netabare}

レース放送中、エンジェルスメンバーに恋愛観などの質問をぶつけるコーナーがあって、
視聴者が反応したり、ツッコんだりするパターンがありますが、
時代の変化に戸惑う作者やオヤジたちの心理が投影されているようでくすぐったいですw

この辺りの発想からして、女子アナの水泳大会をゴールデンでTV放送していた旧世紀のノリ。
さらに作者、編集者は悪ノリして、MFGエンジェルスを実際のグラビアグループとして三次元化し、連載誌に写真を掲載w

本作はスーパーカーと美人のねーちゃんのボディーが一覧できる漫画誌を読み耽る
“青少年”のオッサンたちが青春の続きを楽しむ作品なのだと思いますw

アニメも盛り上がっては欲しいのですが、くれぐれもお気持ちで表現規制を叫ぶ一部のラディカル・フェミニストや、グラビアを弾圧する共産党員に目を付けられないようにしないとw


原作者・しげの 秀一氏も年を重ね病気がち。
本アニメ化自体も原作休載を経て予定より遅れての放送となります。

『頭文字D』では、早々に設定が枯渇し、作者と主人公が根性で限界突破して新境地を切り開くという連載漫画ならではの荒々しさもありました。
が、もはや氏にそんなパワーを望めないのか『MFゴースト』では、
舞台を『頭文字D』の数年後に設定することで、実はこの数年にこんな経験があったなどと、
後付けで無理なく主人公補正できる環境を整備。

レース場面についても、対向車を避けて1VS1の夜間の峠バトルがメインだった『頭文字D』から、
上記大災害によりステージを制約する要素を強制排除した上で、
決勝15台のレースバトルにすることで、カナタの展開が膠着したり、
主人公成長が道半ばでも、無理な能力インフレで設定を食い潰すことなく、
他車の状況にカメラを切り替えることで単調化も防止。

また原作のキャラデザが、リアルとデフォルメのバランスがトレンドを掴めていないのか、
多くの人にとって違和感を抱く造形なのがアニメ化に辺り懸念材料でしたが、
PV観る限り『閃光のハサウェイ』等の恩田 尚之氏が上手くデザイン調整している感。

大きな驚きはないけど、ファンならば破綻リスクなく無難に楽しめるアニメになると思われます。


キャストは主人公カナタ役の内田 雄馬さん、ヒロイン恋役の佐倉 綾音さん、
若手ホープ・沢渡 光輝役の逢坂 良太さんと、実力ある中堅どころがメイン。
一方で王者ミハイル・ベッケンバウワー役に神谷 浩史などベテラン起用もあり。

ベテランと言えば、MFGを主催する“リョウ・タカハシ”役の子安 武人さんなど、
『新劇場版 頭文字D』では若手に変更となった旧作のキャスト陣が復帰して出演するのも懐古向け。
因みに大排気量車が断然有利に見えるレギュレーションの裏に見え隠れするタカハシ氏の“公道最速理論”も旧作ファン向けのスパイス。

そして何よりBGMにユーロビートが戻って来る。

私も新鮮さより、あの頃を懐かしんで、
廃れつつある諸要素を鎮魂する心持ちで楽しみたいレースアニメです。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ダウンヒルの残照

*微修正

以前に別作品の感想で、かつてクルマは「自由」=個人の「力」の表象として無条件に好意的に受け入れられていたと記したことがあるが、そうした作品群の代表とも目される『頭文字D』の実質的な続編。

オートバイやクルマのマンガで高い人気を持つ原作マンガの作者だが、一貫して描き出そうとしているのはバトルにまつわる「勝利」ではなく、「青春」という主題のようだ。
オートバイやクルマは、「青春」の迸るエネルギーが「自由」や「力」へ焦点を結ぶ必然の象徴として、特権的な鏡として要請される。

『頭文字D』(以下「前作」と表記)から数十年後の本作でも、やはり青春の主題は変わらず、主人公も世代交代した若者として、新たな物語を駆動する。

前作との連続性を強調するためか、主題歌を含め、中高年のノスタルジーを喚起するような描写の目立つ本作だが、いささか違和感をもたらすのは、本作が正式な「競技」として開催されるモータースポーツを舞台としているところだ。

前作において、若者たちの青春の情熱の焦点であったのは「公道バトル」だったが、いうまでもなく、それは「違法走行会」だった。
主題はあくまで「青春」であって、反社会的反抗ではないので、作中では極力「違法」性が表面化しないように注意深く描写されていたものの、どう考えても公安委員会が推薦図書として青少年に勧められる内容ではなかったのは確かだ。

本作で舞台が「競技」とされたのは、前作の弱点を解消した「進化」と見る向きもあるかもしれない。
が、かつての少年少女が直観したクルマの「力」=「自由」の拡大が「いつでも、どこでも」移動できる能力の獲得であるなら、むしろルール=「制限」を拒絶する違法走行へ向かうことはクルマの本能であり、本質的に既存の枠組みに衝突するエネルギーの爆発である「青春」と共鳴するのは、必然的でもある。

前作において、反社会的傾向はまるで持たないのに、違法走行に情熱を傾ける若者たちが不自然感がないどころか大きく共感を呼んだのは、まさにこうした必然の産物であり、その舞台が「公道」である峠でなければならなかった必然なのだが、クローズドの「コース」で競われる本作の「レース」は、共鳴効果を失って妙に単調な印象しか残さない。

作中で、ハイブリッド車やEVなどとは異なり「牙を抜かれていない」と息まく純ガソリン車だが、中高年の拍手を期待しているかのような威勢のいい「啖呵」とは裏腹に、妙に精彩がないのは、クルマの本能=自由=反ルールとしての「グレー」な違法性を捨て、「純白」の合法性=閉鎖された「コース」に捕われたせいだろうか。

だが、違和感の根本は、「コース」という舞台だけにあるのではない。
もっと広い「舞台」
そう、本作の「世界」そのものに、違和は刻まれている。


前作の登場人物が何人も登場し、「後日談」も語られる本作は、前作から時間的に連続した、同じ時間線上にある連続した世界であると設定されている。

だが、本作の「世界」は、架空の技術と社会制度が実現された、「現実」とは異なる架空の近未来世界だ。
いわば「異世界」と云ってもいい。

前作では「現実」と同一平面上にいた作品世界の登場人物たちが、数十年後に再登場してくる本作の世界は、「現実」とは全く異なる架空世界であり、云ってみれば「異世界転生」のようなものだ。

にもかかわらず、彼らは一つの時間線上を連続して生きている同一人物であり、自身の生きていた「過去」として、本作の「異世界」とは断絶している、かつての日本社会=現実と同一平面上の「前作」での出来事を語る。



架空のレース競技である本作の「MFG」だが、架空の存在は必ず現実と切断した「異世界」でなければ存在できないというわけではない。

かつてのマンガ・アニメでも「物理的に不可能な魔球を投げる投手が実在のプロ野球球団に入団し、実在の球団とリーグ優勝を争う」とか、「世界中から幼児を誘拐し、虐待に等しい訓練を施すプロレス団体から逃げ出した覆面レスラーが、実在のプロレスラーと試合する」といった物語はいくつもあった。

クルマ関係でも、「首都高都心環状線を閉鎖して〈スーパーカー〉でレースする」といった例はあるのだから、現実と同一平面上で「MFG」を設定することは必ずしも不可能ではない。

だとすれば、話は逆なのかもしれない。

現代において前作を継承するために、「MFG」が設定されているのではない。

前作の「世界」=かつての日本社会を仮想的に再現するものとして、「MFG」」を含めた本作のトータルな「異世界」が要請されたのではないか。

前作のエッセンスが深く同時代の現実と結びついていたがために、それと連続した「世界」を創り出すためには仮想の「異世界」とするしかなかったのではないだろうか。

それは必ずしもクルマを取り巻く社会環境の変化だけではないだろう。
もっとトータルな社会そのものの変化。


この20年以上、経済をはじめとする各種の社会的、文化的な統計指標が下降の一途をたどり、もはや先進国の体をなしてはいないことは否定しがたい。

まだかろうじて「豊か」な「先進国」であった日本で語られた前作を引き継ぐものとして、現実の平面上に本作を展開することは落差が大きすぎたのだろう。
二十歳そこそこでガソリンスタンドに勤務する若者が、スポーツカーの維持費と改造費を負担することのできる賃金を得ることができない社会に、前作は接続できない。

それを証明するのが、作中を覆う「日本は美しい国」「日本のモノはすべてが優秀」といった、「日本スゴイ」の洪水だ。
ことあるごとに「日本スゴイ」を語るのが外国人である主人公であることは、ガイジンから「スゴイ」と云ってもらって自己満悦する、各種メディアに氾濫する「日本スゴイ」番組と全く同じ構造に見える。

しかし、かつての「先進国」の「現実」を、空想的な「日本スゴイ」の「異世界」にしか接続することができなかったこと自体が、「日本スゴイ」の架空性と虚しさをあらわにする。



16歳で免許を取って以来、ガソリンエンジンの乗り物に乗り続けてきた身としては、本作のようなバトルは臨場感にあふれ、楽しい。
おそらく同じように楽しむ同年代の男女は多いだろう。

が、本作を若い世代に勧めるとき、これは理想化された「異世界」の物語であって、自身の「過去」とは切断されているのだと自覚しておいたほうがいい。
自分の体験と絡めて本作の「楽しさ」を語ることは、本作が「異世界」である以上、無効だ。



それにしても、坂道を転げ落ちるように没落する現実から目をそらす架空の「日本スゴイ」の異世界の中で、主人公が異能力を発揮する特権的なステージが「ダウンヒル」であることは、暗合というには余りにも皮肉すぎて、涙も出ない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2

70.0 19 2023年秋(10月~12月)アニメランキング19位
アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (42)
161人が棚に入れました
鉱石病——れは人々の体を徐々に結晶化させ、死に至らしめる不治の病。
製薬会社ロドス・アイランドはその治療法を研究し、病が引き起こすあらゆる問題を解決するための取り組みを行っている。
感染者救済を謳うテロ組織"レユニオン・ムーブメント"の暴動を食い止めるべく、
ロドスは炎国の都市である龍門と契約を交わし、活動を続けていた。
スカルシュレッダーとの戦いの後、アーミヤは、ミーシャを救えなかった事実を受け止めきれず、ひとり悲しみに暮れていた。
一方、龍門郊外に廃都市を発見したロドスは偵察隊を向かわせる。
そこで奇妙な現象が起きていることに気づくが——
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

分断の理不尽に向き合う中国スマホゲー原作アニメ

※1期~2期を俯瞰したレビュー・感想。

【あらすじ】
様々な種族が共存する架空の惑星「テラ」

「源石」と呼ばれる鉱石は移動都市など文明の動力源ともなるが、
同時に「鉱石病」と呼ばれる不治の感染病ももたらす。

感染者を管理、迫害する政府組織。
感染者による理想世界の実現を掲げ暴動、ゲリラ活動を行う「レユニオン」
以上の鉱石病による人的、社会的な病巣除去を目的に軍事力を有して活動する企業「ロドス・アイランド製薬(ロドス)」

三陣営の抗争を軸にしたストーリーが展開される。
タワーディフェンス型の同名スマートフォン用ゲームアプリ(未プレイ)の連続アニメ化作品。


【物語 3.5点】
結論:1期の7話~8話までは我慢。


全体構成は1期が1~8話、2期9~16話の計16話。

物語の主体はロドスに置かれ、
一応の主人公もロドスの戦略指揮を担当し、プレイヤー視点を共有する「ドクター」に置かれる。

1期目は、記憶を喪失しているドクター視点で、
世界の基本設定のナビゲートも兼ねて、ロドスの活動に追随するシナリオ展開。
正直、中盤過ぎまでは、私はかなり退屈でした。

淡々と状況をなぞっていくだけと言いましょうか。
セリフも説明のための言葉が多い印象で。
ゲームの幕間イベントならこれでもOKなのでしょうし、
テキスト量が膨大だと言う原作を要約すると、説明調になってしまうのも致し方ないのでしょうが。
映像作品の脚本としては、ちょっと厳しいと感じました。

このまま1期目終了なら、私は2期目見ないつもりでしたが、
1期目のラスト7話~8話が、
(※核心的ネタバレ){netabare} 抗争の最中、ロゴスのリーダー・アーミヤが望まぬまま、保護するミーシャの弟でもあったレユニオンのスカルシュレッダーを殺害してしまい、ミーシャの恨みを買う{/netabare}
という感染者を巡る分断により、意図せず傷つけ合ってしまう。
不条理な社会状況と、理不尽な運命に葛藤する登場人物の痛切にメンタルを削られる、
中々の好シナリオを食らい、その勢いのまま2期目に突入し完走した感じ。


2期目では、より各陣営の組織リーダーの描写に重きを置いた群像劇に。
メインストーリーの軸が見えにくくなる副作用もある構成でしたが、
個人としては傷付けたくなくても、組織人としてはやらねばならないし、二枚舌だって使う。
各陣営のキャラたちの苦悩がより浮き彫りになって、訴えたいテーマがより伝わって来ました。

1期で土台となる設定・世界観の解説を一巡したこともあってか、
セリフにも軽口を叩く余裕が生まれて、
アニメ作品の脚本として及第点以上には達した印象。


本原作が中国でサービス開始したという2019年。
奇しくも、少し後の2019年末からコロナパンデミックがあり、
理不尽極まる、苛烈なゼロコロナ政策やそれに対する反発もあったりして。
私は、同国が抱える葛藤も想起しながらの視聴となりました。


【作画 4.0点】
原作ゲーム開発のYostarが設立した子会社・Yostar Picturesがアニメーション制作。

ビジュアルを眺めて、このディストピアには浸ってみたい。
と思ったのが私の視聴動機。
実際、その欲求を満たすだけの雰囲気は味わえました。

が、正直に言うと、私は、1期目までは凄くお金はかかっているのでしょうが、その割には退屈な映像。
良作画で4.0点というより、この映像ではまだ4.0点止まりと言うのが私の率直な評価でした。

シネスコサイズを活かした面白いアングルや構図がOP&EDアニメや序盤以外はあまり見受けられず。
1期中盤辺りは、大画面の中央に淡々とキャラを映すカットが続く印象で。
これなら通常サイズの方が描く面積減って楽なのでは?との邪念が生じたくらい(苦笑)

が、ここも一般人がメイン構成員であるレユニオンの暴動、ゲリラ鎮圧戦がメインだった1期目から、
“アーツ”を操るプロ同士の戦闘が本格展開される2期に入って、確実に良化。

戦闘ありきのバトルアニメではなく、物語の中で突き動かせれて戦う描写を追求する方針から、
バトルアニメーションも決してド派手エフェクトで魅せるタイプではないのですが。
レユニオン小隊長・フロストノヴァの凍結系アーツに関しては、
凍傷のダメージ描写など迫真の映像美で魅せてくれました。
寒さに耐えて{netabare} フロストリーフ{/netabare} は本当によく頑張りました。

この調子で進化していけば、制作決定している3期では、
4.5点以上に突き抜けた映像体験が望めるかもしれません。

ただシネスコサイズに合わせて、テロップ文字も豆粒化しているので、
そういう意味でも、スマホでの視聴はオススメできませんw


あとは、シリーズ通じて、どアップした瞳を通じた心情表現が、
繊細で怖かったです。


【キャラ 3.5点】
プレイヤー視点の主人公ドクターが、特に群像劇化した2期でますます空気になっていくのは仕方がないことですが。
にしても、戦略色が強いと言う原作ゲームのアニメ化で、
ドクターの軍略の妙を感じられるシーンが少ないのは寂しいです。
今後、喪失した記憶の回復と共に、本領が発揮されることを願います。

実質的な主人公と言えるのが、メインヒロインポジで、弱冠14歳のロゴスのリーダー・アーミヤでしょうか。
全員救済という理想は高潔ですが、清濁併せ呑むことも求められるリーダーとしては純潔すぎる。
彼女の両手の五指に、枷の如くはめられた指輪の真意。
ガラスの心の行方と共に、怖い物見たさが刺激されるヒロインです。

因みに広義のケモナー向けアニメとも言える本作。
ですが“ウサギちゃん”アーミヤのウサ耳にしても、
デフォルメは控え目で、かなりリアル寄りでグロテスクな獣の耳。

こんなディストピアじゃ、ケモ耳萌えしている余裕はないのかと思いきや、
2期に入って脚本に遊ぶ余裕が生まれたのか、
アーミヤもふもふカットも展開されていましたねw


2期で一時ロゴスと共闘した龍門(ろんめん)近衛局のチェン隊長。
チェンを始め、2期に入って敵同士で今度、一緒に飲みに行かないか?などのセリフも目立ちましたが、
ここも個人的にはむしろ腹を割って話してみたいくらいだが、組織の都合で戦わざるを得ない。
葛藤を好表現した良キャラでした。

それだけに、龍門の首魁・ウェイ(CV.山寺 宏一さん)による、
局員や協定相手を駒と割り切り理不尽な命令を下す、
冷徹な政治家ぶりが際立ちます。


総じて、詳細知りたければゲームプレイしてねという群像キャラ相関でしたが、
各々、それなりに視聴者の精神を削ってくるだけエピソードは有していたので、
私はこの痛み嫌いじゃありません。


【声優 4.0点】
原作のウリであると言う“豪華声優陣”がそのままキャスティング。

ロゴスリーダー・アーミヤ役の黒沢 ともよさんは、
低めの気だるげボイスも得意な声優さんですが、
本シリーズでは高めに柔和なボイスをコントロールして、
純粋な少女リーダーを表現。

一方でドーベルマン役の種﨑 敦美さんは、
静かで優しい高音ボイスも印象的な声優さんですが、
ここでは時にアーミヤの甘さも諌める低音スパルタボイスも披露。

キャストの新たな魅力も発見できる、まずまずの“豪華声優陣”


2期からのキャストでゾクゾクしたのがフロストノヴァ役の高垣 彩陽さん。
暴力的な凍結系アーツを発動する際の“挿入歌”も含めて寒々しかったです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は林 ゆうき氏。
十八番の力強いストリングスによるメインテーマで真価を示す一方、
SF要素も絡む中華風の世界観に合わせて、エレクトロ成分や、
二胡のアレンジも仕掛けるなど挑戦的なサウンドも。

心情曲用に静かなバラード系BGMもありましたが、
会話劇に集中させるシーンでは無音が選択されることも多々あり。
ここもぜいたくな使い方だなと。


OP主題歌はMYTH & ROID「ACHE in PULSE」
2期のサブタイ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】。
凍えるようなフロストノヴァのアーツと、シナリオ展開には、
Kihowさんの気が遠くなるようなボーカルがよく馴染みます。

ED主題歌はReoNa「R.I.P.」
ディストピアの狂気を歌ったスウィング曲。
これはこれで良曲なのですが。

私は何と言っても1期で原作ゲームプレイヤーでもあるというReoNaさん自身が、
作詞にも参加したバラード「Alive」が、
過酷な世界でも抗うアーミヤたちの心情が滲み出た傑作でグッと来ます。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

戦いはこれからだ!

 16話(2期8話)まで観ました。2023.11.27

 2期終了!良く分かんない話でした。キャラがいぱ〜い出てきて、何が何やら…。

 冷凍白ウサギを倒して終了ってこと?ラスト近くでキャラが怒涛の語り…。あぁそう…。さっさと死んで良し!

 耳が四つある以外、キャラデザは良いです。聴力のある耳が頭の上にあると、脳の容量が減るじゃ〜んという、中華リアルティなのか!?

 作画も良いですが、話が分かりにくいです。ゲームしてないと意味不明です。

 白ウサギは単体の方が強いらしいのに、なんで仲間連れてた?太鼓持ちが居ないと精神が保たないのかな?

 ゲームファンなら面白いかもです。
………………………………………………………………………

 13話(2期5話)まで観ました。2023.11.06

 サイバーパンクっぽいビジュアルの第三勢力が出てきて更にカオスです。

 なんでコイツら戦ってるの?殺し合いが趣味なのか?メフィストみたいな非人間的な奴に良く従ってるなぁ…。

 ゲームの世界観を壊さないように作っている様ですが、武器もあまり銃器を使わないなど、アニメで観ると何か不自然です。

 現代のインド軍と中国軍みたいに、国境紛争に発展しないように素手か棍棒で敢えて戦っている様な世界なのでしょうか?

 現実でも限定的紛争に留めようとする力が働いている地域はあるのですが、本作品では相手勢力の殲滅目的で戦っているので、そういう世界だよ?と了解しないと、視聴継続は難しそうです。
………………………………………………………………………

 12話(2期4話)まで観ました。1期に引き続き、2期も暗いです。2023.10.28

 ソシャゲ原作で中国資本が入っているらしいですが、1期に引き続き勝利条件の不明な爽快感の無い泥沼の争いを描いています。

 キャラはケモミミでカワイイですが、とにかく陰惨です。ゲーム原作なので仕方無いですが、戦いで勝ってもネームドは死なないし、拘束も出来ません。

 お互いに決定的打撃を敵勢力に与えられず、延々と非戦闘員を巻き込んで泥沼の消耗戦をした日中戦争のオマージュかなんかなのかな?

 OP、EDは格好良いです。一般兵が亡者の群れの様にトボトボ戦場へ歩いていく感じなんて、何とも言えません。

 主人公のウサギことアーミアの影も薄くなり、何が起こっているのかイマイチ不明確ですが、視聴継続です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

1期と違ってSF的ワクワク感が無い。作画以外は凡庸な作品。

 1期は非常にいいテンポで話が進み、SF的なワクワクする世界観が素晴らしいなあと思っていました。
 で、2期は…うん?フロストノヴァの自分語りで8話使っちゃいました?陰謀とかいろいろは裏で動いている雰囲気はあります。が、SF作品としては1期とは全然違う作品に見えてしまいました。
 後でじっくり見ようと寝かしていただけに、がっかり感は大きかったです。

 作画は相変わらず素晴らしいと思います。キャラのCGの使い方が2次元的な仕上がりが大変いいと思います。背景美術もかなりゴージャスですし。その点では高く評価できると思います。

 が、話が個人に集約されるとつまらないです。1期の終わりでパーソナルな話はあったと思います。あらためて彼女ら彼らの過酷な人生を見せられてもなあ、という気はしました。「鬼滅の刃」的に敵の個人の悲惨な過去の話になって行くのでしょうか?ヒューマンドラマも必要でしょうけど話の軸にするのはどうかなあ、と思います。

 ひょっとしたら本作のSF的伏線の種まきはあったのかもしれませんが、ずっとバトル的な展開で集中力が持ちませんでした。読み取れていない可能性はあります。が、第一印象での1次評価は作画以外はかなり低いです。OPEDの音楽もなんかこの雰囲気の作品にはこんな感じだよね?というレベルでした。

 ということで、正直見なければよかったというレベルでした。1期の評価が高かっただけに残念な作品だったと思います。SFなのでもう1回見るかもしれませんけど、気が重いです。

 評価です。上記の理由でストーリー1.5です。期待値からの落差です。キャラは2。作画は5でいいでしょう。音楽・声優は3でいいと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

69.7 20 2023年秋(10月~12月)アニメランキング20位
終末のワルキューレⅡ(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (38)
190人が棚に入れました
「月刊コミックゼノン」で連載中、累計発行部数1,000万部突破の大人気漫画の、アニメ第2期!!!!! 原作は「このマンガがすごい!2019」オトコ編、「全国書店員が選んだおすすめコミック2019」、「第2回マンガ新聞大賞」など、数々の漫画賞に入賞する話題作!!!!! 迫力溢れる世界観をアニメ化するのは、『十二大戦』『HELLO WORLD』アニメーション制作、『無限の住人-IMMORTAL-』『プロメア』『ガールズ&パンツァー』の3DCGなどで、数々の激戦を描いてきたグラフィニカ。 人類の存亡をかけた、全世界の神代表 vs 人類代表の一対一<タイマン>の13番勝負が、再び幕を開ける!!!!! 血湧き肉躍る!互いの信念を貫いた、熱き戦いがここにある──!!!!!

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オリジナル神が出てきたのがちょっと不思議でした

1話感想 3.8 続きなので特に追加コメントは不要かな。
続きなので今更追加コメントは必要ないかなと思います。
今まで見てきたので今回も見ます。

神に滅亡を言い渡された人間が抗うという、絶望的な状況に激しいバトルがなかなか楽しい作品です。

しかし神話とかの勉強にはならないですね。
全面的にオリジナル過ぎて…w
まあ別に良いのですが。

全話感想
今回は零福というオリジナル神が出てきたのが、ちょっと不思議でしたね。
元々神も偉人もオリジナル解釈しか無いのに、なぜオリキャラを入れる必要があるのか。
いや別に入れても良いんですけれど…。

七福神は日本ではおなじみの神様ですし、そんなに扱いを低くする必要も無いと思うのですが。

大黒天の元ネタはシヴァで、もう別に出てきているのはどうするのか、といった問題はありますが。

でもまあ元から神様の解釈もオリジナル満載なんで、だったら最初から神もオリジナルで良いのでは、となるのかもしれませんが…。
でも人類を見守っていた神から見捨てられたという絶望から始まっているので、誰も知らない神を出されても拍子抜けのように思いますね。
それ一つで全否定というわけではないですが、少し良くないと思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

求む!神アニメ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

慣れてきてなお面白い

第1期の1話目の疾走感に比べると、徐々にスピードに慣れてきたという感じ。
決してどちらかに肩入れしていない神vs人類の戦いが引き続き面白い。

バトルアニメにありがちな、劣勢に見えて実は優勢という駆け引きが多い。
ちょいちょい他のアニメに影響されてるのか?と感じるシーンが。
大技x大技、特殊能力x特殊能力のぶつかり合い。
引き続き各々の登場人物が背負う過去や思いといったドラマも楽しませてくれる。

作画の緩急というか、物語の緩急というか、一息付けると思ったらそうさせてくれない、見るのにそこそこ体力が必要なアニメだと思う。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

ミュラー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

続きです

同じタイトルで「終末のワルキューレⅡ」があるので分かりずらいと思うのだが。
こちらが「終末のワルキューレⅡ」の後編ということで。
前編が10話、後編が5話の構成でした。
といってもこの後編は釈迦と七福神の対決のみ。
紆余曲折ありましたが。
もはや伝統芸とも言える、いつもの寄り道しまくりのバトル描写。
それでも面白いと思わせるのはさすがと言うべきか。
いちいち毛筆の特大文字で技の名前を出すのはもう笑うしかない。

調べてみたら、原作もまだ終わっていないようだ。
かなりの人気作のようなので、このままアニメ化も進むんだろうか・・。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

69.5 21 2023年秋(10月~12月)アニメランキング21位
盾の勇者の成り上がり Season3(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (196)
723人が棚に入れました
四聖獣「霊亀」を討伐した盾の勇者・岩谷尚文は、別の異世界で霊亀復活の元凶であるキョウを打ち倒し、メルロマルクへ帰還する。 復活間近の新たな四聖獣「鳳凰」との戦いに備えようとするが、霊亀騒動で失態を演じた三勇者は行方不明、尚文の持つ領地も戦力に不安が残る状況だった。 今後の戦いに備えて、散り散りになった旧ルロロナ村の住民を取り戻そうと考えた尚文は、住民が奴隷として売られたというゼルトブルを訪れ、救出の足がかりとして、ラフタリア、フィーロと共に地下賭博闘技場に参加する。 救いを求める亜人たち、心砕けた三勇者、そして暗躍するヴィッチことマイン。 それぞれの思惑が交錯する中、尚文は自らの信じる道を突き進めるのか――。

ヘンゼル さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

唐突な展開とキャラの登場のオンパレード

白虎族は百歩譲って分かるとして、ラフタリアに近しい関係を持っていたサディナの存在を示唆するセリフ及び、過去回想、一切なし!

ドラゴンゾンビになっていたドラゴンの娘の伏線、一切なし!
それどころか前々からこの展開考えてました感が余計に鼻につきます。
(原作であったらすみません)

そして最終話で一番のゴミ展開、ラフタリアがなんかの国の王族の家系生まれだったという事が明かされます。
そんな重大な伏線あった?確認してみましたが、一切ありませんでしたよ?
せめて舞台となる遥か東の国の情報は出しとけって話ですよ、事前に。

はっきり言います。
クソなろう系作品に片足どころか膝辺りまで浸かってますよ。


と、怒りのあまり書き殴ってしまいました。冷静になります。
整理すると、本作は盾の勇者の成り上がりの第3期という事で、

・奴隷になって囚われた亜人族の子たちの救出
・ドラゴンの卵を孵らせたら大惨事
・他の勇者たちの問題の解決

という3本のお話がメインとして収録されています。

一応三本とも突拍子のない話ではないのですが、重要な情報の出し方がヘタクソなんですよね。


一本目の話で重要なキャラって、白虎族の子というよりは「サディナ」、というシャチのお姉さんキャラであって、ヒロインであるラフタリアにとってとても大事な人で近しい人物である事が語られるんですよ。

でもそのための布石があまりにも何もなさ過ぎて、ぽっと出にしか思えなくなっています。
普通に名前くらい伏線として出してもいいキャラがですよ。


2本目のドラゴンの話も、剣の勇者が倒したドラゴンに娘がいたというのも何の伏線もなく・・・。
せめて、その娘にドラゴン的特徴を示唆するような話を作っていれば、別に第1期のドラゴンゾンビの回にそんな展開を考えていなかろうが、多少マシには出来たはずなんですよ。

だって娘に龍脈?とかいう技が使えるっていう設定をちゃんと考えてあるんですもん。
これが今回のドラゴンの話をやる前に出しておけば、どれほど良かったことでしょうか。


3本目の勇者の話も、はっきり言って駄作も良い所です。

主人公の大技「憤怒の盾」つながりで、他の勇者も闇堕ちした際に七つの大罪の名前を冠する大技が使えるようになってしまう、という設定が出てきます。

私はこの設定を聞いたとき「?」となりました。

なぜなら「憤怒の盾」というのは、主人公が復讐を抱き、ドラゴンの素材を盾に吸収させ、その盾が呪われたために顕現したというロジックがちゃんとあったからです。
七つの大罪つながりがあるとは全く思わなかったです。

というのも、七つの大罪というキーワードもこの話が初で、これまで主人公が「憤怒」という言葉に対して何の言及もしてこなかったのが原因です。
だから設定に唐突感が満載で、「急遽思いついた設定」に見えてしまうんですよね。

そしてラフタリアが王族の末裔だったという急展開。
これはゴミそのものです。
こんな大事な情報を何の伏線もなしに出すのは愚の骨頂です。
これに関しては言い訳の余地もなく、急遽考え付いた設定をそのまま入れ込んだものとしか感じられません。

この時点で、「ああ、自分の好きだった盾の勇者はもうないんだな」と思い知らされました。


総評として、タイトルにある通り、

「唐突な展開とキャラの登場のオンパレード」

で、その原因となっているのが重要な設定の出し方が下手くそである事、それが本作を駄作たらしめている元凶である、という事です。

一昔前、もしくは本作が他ジャンルの作品だったら許せていた所ではあるんですが、「ダークファンタジー」という、設定やキャラをちゃんと作り込まなきゃ作品の魅力を大幅に損なってしまうジャンルの作品ですからね。

2014年ぐらいにやっていた「棺姫のチャイカ」とかも、ダークファンタジーにも関わらずキャラや展開の唐突さ加減が酷くて…。
その時代ならまだ目を瞑っていられたのかもしれませんが、本作はそういった意味でも最近の作品ですので。

1期は凄く良かったのに本当に残念です。
復讐譚だけ見れば、異世界物としてトップに食い込むほどのレベルだと思っていますので。
それだけにショックが大きいです。


とにかく、本作に物語的魅力も何も感じられないため見る価値は無いんじゃないかなと思います。

ですが本作最大の見どころとしては、フィーロのダンスシーンだと思いますので、フィーロ推しの人なら観ても良いかな、という所じゃないでしょうか。

以上です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

冒険はつづく―― 新しい出会いとともに 世界に破滅が迫るとき 勇者が立ち上がる

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期~第2期は視聴済です。

…今期の感想って少し難しいかも^^;
第2期では霊亀打倒という大きな目標があったので、それに邁進してきました。
でも今回は、次の波が押し寄せる前までなので大きなイベントは無いんですよね。


四霊のひとつ「霊亀」を討伐した盾の勇者・岩谷尚文は、
別の異世界で霊亀復活の元凶であるキョウを打ち倒し、メルロマルクへ帰還する。

復活間近の新たな四霊「鳳凰」との戦いに備えようとするが、
霊亀騒動で失態を演じた三勇者は行方不明、
尚文の持つ領地も戦力に不安が残る状況だった。

今後の戦いに備えて、散り散りになった旧ルロロナ村の住民を取り戻そうと考えた尚文は、
住民が奴隷として売られたというゼルトブルを訪れ、
救出の足がかりとして、ラフタリア、フィーロと共に地下賭博闘技場に参加する。

救いを求める亜人たち、
心砕けた三勇者、
そして暗躍するヴィッチことマイン。

それぞれの思惑が交錯する中、
尚文は自らの信じる道を突き進めるのか――。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

そう、三勇者のチグハグさ、マインのやり口の狡猾さは相変わらず…
普通、「あ、この言動間違ってる」って気付くと思うんですよ。
最初の頃ならまだしも、完全にこじらせているではありませんか。

それでも、己自身と向き合おうとしない姿勢には正直ガッカリしましたよ。
正しい道を進んでいると考えたい気持ちは分かります。
だけど、いつも正しい道ばかりを選択できるとは限りません。

横やりが入ったら、人間って簡単に逸れちゃうんですよ…
でも、それでも良いと思います。
だって、間違ったと思ったらそれを認めて、戻って正しい道に乗り換えれば良いんです。
人間にはその失敗を受け入れられる寛容さがありますから…
もちろん、失敗に応じた代償は必要になります。
だからこそ、早めに気付いて修正すれば傷も浅くなるんですよね。

という心境に四聖勇者が達して力を合わせるのは、もう少し先になるんでしょうかね。
個人的にはマインを何とかすべきではと思います。
もう、害悪以外のナニモノでも無いではありませんか。

一方、今期新たに加わった仲間は頼もしく、若しくは将来有望な方たちでした。
ここちゃん演じるアトラ、小清水さん演じるサディナは今後の展開の楽しみなキャラだと思っています。
あとは、ラフタリアに纏わる新たな展開が出てきましたね。

振り返ってみると、ラフタリアって意外性の塊みたいな存在だったのではないでしょうか。
後から様々な属性が付与されていますので…
今後、更なる属性が付与されたら、一体どうなっちゃうんでしょうね^^;
それはそれで楽しみですけれど…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、MADKIDさんによる「SIN」
エンディングテーマは、藤川千愛さんによる「好きになってはいけない理由」
今回気付きましたが、オープニングとエンディングの歌い手さんは固定だったんですね。

1クール全12話の物語でした。
今回もしっかり堪能させて頂きました。
いよいよ波がやってきます。
まさか、ここで打ち切りなんてこと、ありませんよね。
期待値MAXで続報を待っています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

こま さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

12話最終回視聴。ストーカーたくさん降臨!ぐへへ…。オレ達のモノにならないなら一緒にしね!?

2022年2月時点でシリーズ累計部数は1100万部を突破している。
小説家になろう作品。
書籍はWEB小説を元とした物語となっているが、大幅に加筆・修正を加えており、話の流れや展開が大きく変わっている。なるほど。
1期2期ともにアニメは視聴済み。ちなみに2期は絆、3期はセインが好きなキャラかな。

祝え!ロリコン勇者の誕生である!

祝え!全ロリコンの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめすロリコンの王者。
その名もロリコン勇者元康。
ロリコンの力を継承した瞬間である!
かくして、勇者はロリコンの力を得た。
彼の歩む覇道は始まったばかり。
この本によれば、槍の勇者・北村元康。
彼にはロリータコンプレックスにしてロリコンの王者・ロリコン王となる未来が待っていた。

うん!満足w

4話まで視聴。
ただ死ぬ事よりも生きることの方が地獄である。最近ヤバいの見た所為でホントそう思う。

気になったのが村が襲われる可能性はあったはずなのに戦力になる人間を何故1人残さなかったのか?それとも全員で行く必要がある重要な事だったのか。子供が信号弾を使ったから助かった。ただそれだけ。

この作品は最終話まで視聴確定。

12話最終回感想。うん気持ち悪いねこの変態ストーカーども。

この人はこのデザインの服を着てはダメと言っていただけなのか?
主人公に事情説明していれば襲撃は防げたよね?
それとも何か言えない事情でもあったのか?

そしてびっくりしたのがストーカーがずっと(文字通り)いたのか…。たくさん!!
何もしない、ただ見てるだけ…ヒェッ…
着た瞬間に襲ってきたのはずっと見てたから…とか怖いんですがw
気になったのはストーカーの天才的な才能はあったのに真昼間から襲うとかw
それも集まってる時に。
それ才能活かして暗殺でよくね?

よっぽど力に自信があったのかそれとも、オレ達はストーカーの中でも最弱!!的なやつ?
それと色々理由付けて襲う事も出来た筈なのにずっと何もしないって凄いね。
任務に忠実なのは良いけどいくら何でもコレはなぁ(トオイメ

案の定というかコレからも襲われるならって考えるとそうなるよね?と。
怪我した子も家も燃やされたしね。

個人的に良かったのは襲われた時の勇者も1人を除いてまとも?になってたのがやっとかと。
ただ、攻撃が効かなかったのには特別な力の所為なのかな?
コレを早めに解明しないと大変だよねこれから。

毎回思うが勇者が何でこの世界に召喚されてるのか知らないのだろうか?
足の引っ張り合いしてるの笑えるwまあビッチがアレだしね…しょうがないね()

最後に。セインが出なかったのはちょっと残念だった。
でエンディングの最後に3が消えたのには意味があるのだろうか?
前もこんな感じだったっけ?
4期を期待して良いのかな?

終わり。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

69.5 21 2023年秋(10月~12月)アニメランキング21位
ケンガンアシュラ Season2(Webアニメ)

2023年9月21日
★★★★☆ 3.7 (17)
61人が棚に入れました
「拳願仕合」それは巨額の利益を賭け、雇った闘技者の仕合の勝敗でビジネスを決める企業同士の代理戦争。
56歳のしがないサラリーマン・山下一夫は、謎の闘技者・十鬼蛇王馬と出会い、拳願仕合に参加することになってしまう!
金、命、家族…、様々なしがらみを乗り越え、勝利を重ね、絆を深めていく二人。
そんな二人は、日本一の企業と闘技者を決める「拳願絶命トーナメント」に参加することになり―!?

40代後半のおっさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

あーまたいいところで終わりかよ

またいいところでシーズン終了。ネトフリさんよ、予算の都合とかあるかもしれんけど、ここまでやります、とか宣言してくれんかね。タダで観てるわけじゃないんだから。
作品自体は面白いと思います。私が格闘アニメ好きなのが大きな要因ですがw

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

69.2 23 2023年秋(10月~12月)アニメランキング23位
君のことが大大大大大好きな100人の彼女(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (180)
565人が棚に入れました
中学で失恋100回を達成した愛城恋太郎は、高校でこそ彼女を!と願い訪れた神社で、現れた恋の神様から「高校で出会う運命の人は100人いる」と告げられる。 しかし神様いわく、運命の人と出会った人間は、その相手と愛し合って幸せになれなければ死んでしまうという……。 次々に待ち受ける運命の人との出会いーーどうする恋太郎? どうなる100人の彼女!?
ネタバレ

こま さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

3期部分まで読んだけどボーボボ感は無し。マンガ31話以降も読んでみるかな。

2023年7月時点で単行本の累計発行部数が140万部を突破している大人気作品。

どこ見てもボーボボ、「ラブコメはもういいかな」とか言ってるのに対してもコレはラブコメ版ボーボボだから観てみてとコメントが。
ただ、その中に1期じゃボーボボは観れないだろうから2期やって欲しいのコメもいくつかあった。
アニメを観て漫画を読んだがカットはされていない。アニメ1話はマンガ1話分だった。
「ボーボボは2期から」は分からなくはない。
個人的に少なくとも1期ではそれを感じられなかったのは確か。

1話感想。
{netabare}ボーボボに似ているとか言われている作品。
出会った瞬間から好感度MAXはかなり微妙。
毎回言うが徐々にが個人的には良い。

物語前半部分は笑ったw1部微妙なとこはあったけど。

誠実に2人と付き合うって一夫多妻が認められた世界なら良いが、リアルと同じ感じならただの二股。どっちか選んで!とか言ってるとこ見ると…。
コレが最終的に100股になるって言うのもなぁ。
死ぬって事を考えるとしょうがないとは言え、女の子はその事を知らないし言ったところで信じるわけもないので言えないのがまた…。
そして誰か1人もしくはそれ以上と女の子と関係を持ってしまった場合、どこかの誠みたいになるんだが大丈夫かコレ。
果たして男の本能に抗えるのか?
ただ、ボーボボって言われてるくらいだから流石に無いか?

東京グールのくだりもラピュタも分かりずらいんだが…。
あんなんで分かるか!
ラピュタはギリギリ、初めてバルスを見ての100点は見終わってから気付いた。東京グールは何が?まったく分からないんだけど。
ちょっと調べてみた。
とりあえず東京グールのくだりは分かった…。
運命の人→うんめぇ人→美味しい人(肉的な意味で)→グール…。
ちょっと何言ってるのか分からない()

マンガの他作品の似たようなの読んだ事あるけど、1話だけ読んでやめたからこれ系は抵抗ある。
ただボーボボだからなぁ。観てみたいが2話が結構ハードル高そうなのでマンガを読んでみた。マンガなら読み飛ばせるから楽。

マンガ読んだ感想なのでかなりネタバレ含みます。無料分14話までの感想。
追記。マンガ1話分がアニメ1話分なので1クール分くらいの量です。

{netabare}まずボーボボでは無かった。
あの作品は読んだ事がある人なら分かると思うが、かなりカオスなので少なくとも14話まではボーボボ感は無い。
個人的には異世界ハーレムものと大差が無い。
最近ならスマホに似ているが分かりやすいか。

それとマンガ2話以降はクラスメイトに何か言われるとかのシーンが無かったので見やすいとは思った。

4人目でちょっと思った。運命と言っているがアレ見ると、たぶん洗脳に近いと言えなくもない。
強制的に恋愛状態にさせてる感がある。
全員がどんな事されても受け入れるよ!みたいな事になっている。

ギスギス感は最初だけ。
次々と彼女が増えていくが次第に彼女達はしょうがないと諦めはじめる、むしろ好きな人がモテるのは良いとさえ思ってる節が。
新しく入った子もこの人達は何!?とかも無く、すんなり受け入れてるの違和感凄いんだけどね。これも見やすいと言える部分ではある。

付き合っているんだからもちろんこれはある。
キスをする、してくる、体をくっ付ける、胸を触らせる、揉ませる、人工呼吸をしようとするがただのキスになっているなどなど。
キスは主人公からもあったがそれ以外は女の子からしかしてない。

訂正。主人公からのキスも抱きしめるもあったよそう言えば。
とにかくキスが多い。
確かに誠実…うーんコレ誠実か?
いくつかコレ誠実な主人公的にどうなんだろう?的なセリフがあった気がする。
ちなみに男女では無いが舌入れベロチューがある。
個人的にアレはネギまが近いか?

主人公に関して。
主人公の頭というか考え方は大分おかしいw
主人公の頭のネジは外れてる気がする。

個人的に1番気になっていた部分。
14話現在邪魔をしてきたのは1組だけ。
邪魔をしてくるキャラは水着回まで出て来ない上に「二の腕の柔らかさは胸と同じと言われている」とモノローグが入って触ろうとしてくる時点で察した。
主人公に2人がキスしたシーンでもハレンチ女とか捨て台詞を吐いて逃げるが最初のセリフとのギャップが凄い。
そう言えば水着回はエロいのが確定しているのでオススメw

他だとギャグがとにかく分かりにくい。
ああそう言う事か!にちょっと時間がいるのが多過ぎる。
まったく分からないのもあったのがまた…。

他の人の感想みると彼女達は頭のネジが外れているとか言われてた。
彼女になるキャラは頭がおかしいと言えなくもないが、恋愛で頭がおかしくなってるようにも見える。明らかに頭がおかしいのが1人はいるがw {/netabare}

マンガ15話〜30話までの個人的に気になったネタバレ含む感想。
{netabare}個人的にカオスな感じが出てくるのは15話から。
ここからがこの作品のやばい片鱗が見えて来る。コレなんかおかしい…?とか思ったw

この回で母親が正論を言い放つ。「〇股する男に娘はやれない。」それはそうw
家に閉じ込められているヒロインを助ける為に家に侵入するが…。
主人公のヤバさがここで発揮される!
そして彼女が増えた…!?ちなみに30話までにもう2人追加される。

ここから個人的に気になったやつ。
1前々前世回、2薬で赤ちゃん回、3メイドさん開眼回。
1は大体の人が知ってそう。2はそのまま。
3は輪廻眼。メイドさんのは個人的にアニメで観てみたい(多分3期辺り)

30話まで読んだ感じ、確かにカオスではあるんだけどまだボーボボでは無かった。
「20話近く読んだけどボーボボ感は無かった」とコメを書いた事があったが「まだ先だよ?」とか言われた。

そしてこの話数以降でも個人的に水着回と同じく、濡れスケワイシャツ?でアレが透けてるエロいシーンがあったw気になる方はヤンジャンアプリで無料で一気読み出来るのでオススメ。{/netabare}

最後に。
個人的にはこれも何処かで見たようなラブコメにしか見えなかったが、マンガ15話以降はかなり笑えたし、ボーボボと言われてなければ普通にカオスなラブコメとして楽しめる作品だと思った。
少なくとも1期では見れないけど2期があればボーボボ見れるからで良かったと思う。

無料分の最後まで読んだらまた更新します。
果たしてボーボボ回はあるのか?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

振り切ったラブコメ・・・ギャグ・・・かなぁ。

作品レビュー中に他の作品の名前を出すという悪癖をまたもや披露してしまいますが・・・。

最近は、こういったタイプ(新しい・・・と言っていいのだろうか)のラブコメが流行っているんでしょうかw無理くり視点を変えた結果がこうなのでしょうかw。

似て非なる作品に「カノジョも彼女」があると思うのですが・・・。
いや、全体的なシチュエーションは違うのですが、「振り切れ具合は似ている・・・」と言っても過言ではないでしょうw。

あちらは、まだ競争原理が見え隠れするのですが、こちらは何せ神様がからんでいるので、ビビットきたら両想いw。
複数のカノジョたちも主人公の恋太郎を中心に共存、いや共生しているというw。

これまた、合わない人には強烈に拒絶されそうな設定ではありますわな。

まぁ、ビビッしトた瞬間に強力な両想いになっているという事なので、女子'sもライバル?仲間?が増えても「私を嫌いにならないでくれてありがとう」的な落としどころに落ち着いていくというカオスっぷり。

なのでラブに関するジレンマやあれやこれやをコメディというよりは、ほとんどこのシチュエーションの中で起こるドタバタを楽しむギャグ寄りになっているのではないかと思う。

ん-でもやっぱり、拒絶反応が出る人も多いだろうなぁ。
これは、女性からも、男性からも出るポイントはあるんだろうなぁ。


ただ、個人的にはギスギス感がほぼ無いので、「カノジョも~」よりもスッキリ見られたような気が・・・。
作画も割ときれいでしたし、キャラデザも丁寧でカッチリまとまり感があって好きでした。
隙が無いと言うか、雑なところが無いと言うか。

声優さんも特に違和感もなく、賑やかで楽しかったという印象です。


振り返りにHP見に行ったら、最終盤にチラチラ意味ありげにチラ見していたキャラクタ達もキャラ紹介に乗っていますな。
どうやら2025年1月に2期が放送されるとの事。
その時に登場するキャラクタ達なんでしょうかねぇ。

多分、本当に100人までいくことは無く、それからの困難や展開を予想する形で物語は終わるのではないかと推察するのですが、とりあえず、あと4名は増えるんですかねw総勢10名か・・・。
サプライズでまだ追加もありそうだけど、どうなる事やら。

とりあえず、面白みはあったので、2期も見れたら観たいと思うような作品ではありました。

今登場している6名の中では・・・

院田唐音:正統派なツンデレが面白い、あと元気、楽しい。

花園羽香里:唐音と対になる形で、いいツートップだと思う。

花園羽々里:かーちゃんキャラだけど、振り切れっぷりが好み。のぞきに行こうとするバカっぷりも面白い。何歳設定なのかなw。

栄逢凪乃:融通の利かない合理主義なところが少し苦手、もう少し感情面が見れたら面白そう。

薬膳楠莉:ひと癖あるが変身キャラで、多彩。

好本 静:スマホしゃべりがウザくて少し苦手、もう少し能動的に動いてくれたら楽しいかも。

ってなランキングかな。

まぁ、ツートップがやっぱり楽しいんだけどね。


さて、今後このランキングがどう変わる事やら・・・。








・・・どーでも、いいっすなぁwww。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

大大大大大嫌いなシナリオだけど、いいところは多い

ギャグはたまに面白いけど、この作品は嫌い
本当は1点にしたいけど、アニメの出来はいいので・・・
男向けの暴走ハーレムギャグアニメ

嫌いだけど良いところは多い
ギャグがどんどん過激になっていき、振り切れてブレーキの壊れた暴走列車のような狂気と遠慮のないツッコミのキレが鋭く、面白い
ギャグに勢いがあるしテンポが良くて会話のキレがあるのでギャグのセンスが合う人には良さそう

【このアニメが嫌いな理由】 {netabare}
「運命の人」と言いながら強制的に恋太郎のことしか見えない恋愛脳に変えられる、洗脳か呪いのたぐいです
女子高生の人生を何だと思っているんですかね?(女子高生じゃない人も餌食になりますが)
彼女たちは何股されても幸せそうなので、洗脳でも幸せならそれでいいじゃんって思えるならいいのかな? 私はそうは思わないけど

高校生の女子100人、半分くらいは彼氏いるでしょうし、好きな人もいるでしょう
好きな人いるのに勝手に気持ちを改変するのだったら絶対許せないけど
でも今のところヒロイン達に好きな人も彼氏もいなさそうで、そんな都合いいことないでしょ

恋太郎と幸せになれなかった女子は死んでしまうから救いたいっていう主人公の姿勢は、ちゃんと主人公していて素晴らしいと思うけど
恋太郎は中学で100回告白して100回フラれたイケてない男子、人から嫌われる何かがあるとおもう
たった3年で100人好きになって告白するのも軽すぎてふざけてます
そんな男を神様の手違いで「運命の人」にされて、強制的に好きにさせられる人権侵害が酷い

女の子達は可愛いけど運命の人補正で脳が狂っているので恋太郎のハーレムに都合がいい思考に少しずつ変わっていって、恋は盲目を体現したようなキモい女に・・・
元から残念な女だった可能性もあるけど、まるで怪しい宗教みたいに正気を失った女達がすごく気持ち悪い
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

69.2 23 2023年秋(10月~12月)アニメランキング23位
最果てのパラディン 鉄錆の山の王(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (116)
403人が棚に入れました
死者の街を出てから二年が経ち、ウィルは数えで17歳になっていた。領主として「灯火の河港」を発展させ、徐々に「獣の森」には人々の営みと笑顔が戻ってきた。しかし、季節外れの花が咲き乱れ、森の異常が発覚する。この問題を解決するべく森の奥に向かったウィルたちは、森の王から不吉な予言を受ける。「鉄錆の山脈に、“黒き災いの火"が起こる。火は燃え広がり、あるいは、この地の全てを焼きつくすであろう」滅びしドワーフの都である「鉄錆山脈」に眠る災いとは…!? 新たな出会いと共に再びウィルたちの冒険が始まる!
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

邪龍討伐に向かう英雄たちのハイファンタジーなのだが…

柳野かなた(原作)、輪くすさが(イラスト)による原作小説は、『小説家になろう』からオーバーラップ文庫にて書籍化(既刊5巻、原作未読)。
なお、奥橋睦によるコミカライズ版が『コミックガルド』(オーバーラップ)にて連載中(既刊13巻、コミカライズ版は既読)。
アニメは、1期全12話、2期全12話。監督は1期の野信ユウ(『終末のハーレム』など)から岩永彰に交代。制作も1期の『愚かな天使は悪魔と踊る』などのChildren's Playground Entertainmentから、『ダークギャザリング』、『薬屋のひとりごと』などのOLMと『キングスレイド 意志を継ぐものたち』、『境界戦機』などのSUNRISE BEYONDの共同制作に変更。
(2023.12.24投稿、2024.3.27一部内容を修正)

さて、本作は、原作者曰く『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』の影響を受けているようで、主人公のウィルは、前世の引きこもりとして過ごした記憶を保持したまま異世界に転生し、生前英雄であった3人の不死者に育てられる。その後、主人公は、前世の後悔から、流転を司る灯火の女神であるグレイスフィールの聖騎士(パラディン)として「異世界に行ってから本気だす」というお話。

本作は、その2期にあたる。ウィルが育てられた街を出て2年。廃墟を再生させた「最果ての都市」周辺の事実上の領主となった主人公(「最果てのパラディン」)は、その近郊の鉄錆山脈にあったドワーフの街をかつて滅ぼした邪龍ヴァラキアカが活動を再開するとの神託を受けるのだった…

自らハイファンタジーというだけあって、ドラクエやFFの延長線上にあるシステムコマンドが空中にポンと出てくるようなゲーム的なファンタジー世界ではなく、トールキンの『指輪物語』(映画は『ロードオブザリング』)に近い重厚なファンタジー世界の雰囲気を持つ。

また、主人公は、「聖職者」なので、灯火の女神様と純愛していて、{netabare}(姉神から好意を寄せられることはあっても、){/netabare}主人公と人間や亜人種との恋愛はない。今のところ、同性のハーフエルフであるメネルとのバディものっぽい雰囲気。
「吊り橋効果」よろしく危険な冒険と恋愛はセット販売みたいなところがあるので、これを異世界行ってパラディンとして真面目に生きている証だと思うかどうかは、あなた次第。

もっとも、ファンタジー世界としての雰囲気作りには成功していると思うので、ゲーム的ではないファンタジー作品を観たい方にはオススメ。


【アニメ版とコミカライズ版をあえて比較する!】
アニメは、原作小説を直接参照しているので、コミカライズ版に準拠しておらず、アニメ版とコミカライズ版で表現の違いが結構ある。
2期の一番の見せ場と思われる邪龍ヴァラキアカとの戦闘シーンでは、もちろん動画と静止画の違いはあるが、単純に表現者として原作小説をどう具体化するかの差が出たと思う。
ということで、こっからは私がコミカライズ版の方が好きなこともあり、コミカライズ版の方が面白いよ!という宣伝も兼ねて、アニメ版に対する批判をするので嫌な方は回避推奨。


{netabare}まず、邪龍のサイズ感。

コミカライズ版は、ヴァラキアカの登場シーンで、ヴァラキアカが人よりずっと大きいという印象を受けるのだが、ヴァラキアカの輪郭を朧げに描くことで、主人公のイメージとしてすごく大きく見えているという表現にしていた(ただ、実際の戦闘シーンに入ると輪郭をはっきり書かなければならず、アニメ版と同じ現象が起こっていた。)。

これに対して、アニメ版では、ヴァラキアカの輪郭を登場から終始はっきり描いている。そうしてしまったがために、サイズ感がはっきりしてしまい、人間サイズが5人相手したところで剣や槍で致命傷を与えられるような大きさに見えなかった。しかし、おそらく5人で倒せる説得力のある大きさとしては、ゲームの『モンスターハンター』に登場する竜くらいのサイズになると思うのだが、それだと神代の邪龍という雰囲気が出ないので、サイズ感の表現が難しいことは理解できる。
ただ、小説だと想像の範囲なので、大きさがそこまで気にならなくても、画で実際に見せられると途端にサイズ感が気になってくる。
また、アニメを描いている人たちの迷いが作画にも出たのか、邪龍が大きく見えたり小さく見えたりと大きさに統一感がなかった。
この辺は、本作が何でもアリの主人公無双ものではなく設定や雰囲気を大事にする作品なのだから、漫画のように何らかの表現の工夫があっても良かったのではと思った(結果的に主人公無双なのだけれど…)。


次に、戦闘における緊張感の欠如。

邪龍の狡猾さを表すためにも、戦闘中に主人公としゃべってもいいとは思うのだけれど、現実にしゃべっているのではなくて、コミカライズ版のように頭の中でヴァラキアカと会話しているようなやりとりにして欲しかった。

戦闘が始まった後に、攻撃しては止まって会話、攻撃しては止まって会話を繰り返すので、連続性のある動画なのにリアルタイムバトルではなくターン制バトルのゲームを観ているようだった。特に動画でスピード感がないと、途端に緊張感が失われてしまう。

そして、アニメ版は、戦闘中であるはずのヴァラキアカそっちのけで、不死者として蘇ったドワーフ王(彼が「鉄錆の山の王」なので重要なシーンなのだが…)からその場で剣を授かるシーンを始めてしまう。挙句の果てに、それをじっと待ちながら見ていたヴァラキアカに「準備は出来たか」と言わせる始末…(コミカライズ版では、剣の授与がかなり簡略化されてスピード感重視になっていた。相手の準備が出来るまで待つというのが強者の余裕の証だとしても、戦闘中なので、緊張感に配慮して欲しいと思った。)

小説の忠実な再現といえば聞こえはいいのだが、私は表現形態によって適した表現方法があると思う。文字や静止画ではあまり気にならない「間」が動画ではより一層気になってくる。
むしろ、そこは原作のためにも、個人的には、剣のいわれの説明を討伐後に後回しにしたり、精神世界のような別の空間での出来事にするなど大幅に流れを変えた方が良かったのではないかと思った。


最後に、原作小説がストップしていることもあり、コミカライズ版とアニメ版の続編が製作されるか不透明ですが、このままフェードアウトしてしまうのは惜しい作品だと思ってます。
また、個人的に期待している『望まぬ不死の冒険者』がアニメ化されることもあり、オーバーラップには、売上にも直結することですし、ファンタジー作品のアニメ化をもっと頑張って欲しいと思ってます!{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

新興宗教のプロパガンダみたいな1期よりは観やすい!ファンタジー世界における強さの表現の限界による地味さと既視感は仕方無い…。

 最終話(12話)まで観ました。2023.12.26

 邪竜倒してハッピーエンドでした。良かった良かった!に、しても本作品、凄い地味です。

 他のなろうみたいにレベルアップ!ステータスオープン!ギルドが認定するS級冒険者!的なお手軽強さ表現をせずに丁寧に作っているからです。

 この真面目にファンタジーを描こうという姿勢は、悪くは無いんですが、過去作でも散々試みられてきた手法で新しみが無いんですね。

 結局、努力による強さや成長をビジュアルで表現するとキャラが変わってしまうので、本作品では試みていません。

 ウィルがムキムキの狂戦士で血の匂いがしそうな危ないおじさんに変化したら、ファンが逃げます。

 歴戦の猛者はもっと眼が座ってるだろ〜とか、不意討、騙し討、夜襲が得意技とか、遠距離攻撃しかしないとか、リアルな戦闘をすれば面白いファンタジーになるかと言うと疑問です。

 そのため、強い相手に苦戦しそうになると都合の良い神の武器をもらったり、加護を得たりします。  

 どうしても、他力本願的になります。ステータスやレベル概念無しに強さを表現しようとすると、やはりムキムキになるか、有利に戦うための卑怯な戦術をするしかありません。

 実録異世界戦士死闘篇にならない様にファンタジーを展開すると、本作品の様に表現の限界にぶち当たり、地味な話になると言うのを再確認出来たので、ファンタジー好きにはとても参考になったと思います。そのため評価は普通です。

 作者が悩むのも作家としての良心のせいか…。創作とは恐ろしいものですね。

………………………………………………………………………

 11話まで観ました。2023.12.18

 丁寧に制作された英雄譚です。神々の恩寵を受けた英雄の貴種流離譚的な…。ギリシャ神話からの伝統芸です。

 敵の邪竜、バラキアカも神的な存在なので、話が分からん奴でもなく、知恵も回るので、とにかく喋る喋る…。

 戦闘中に仲良くお喋り出来る相手なので、もう痛み分けで良くね?相手も神だし、妥協的決着でもねぇ…。

 そして、灯やらの神々の恩寵を受けて凄い剣をもらったり、味方を回復してもらったり…。

 神レベルの形而上的存在が前に出てくると、茶番というか、馴れ合いというか…。神々の前では人間など道化に過ぎないというか…。

 主人公のウィルさんは控え目なキャラなので、道化度が何か高い気がします。転生させてくれる神にも愛されてるらしいです。

 言葉で説明しにくい嫌な感じを受けつつ次回邪竜との決着の様です。こういうの、好きな人は好きなんかなぁ〜と思いつつ、次回も惰性で観てしまいそうです。

………………………………………………………………………

 5話まで観ました。2023.11.05

 主人公のウィルさん、仲間達と邪竜を倒しに行くようです。しかし…、相変わらず野郎しか出てきません。

 一期は、ゾンビおかんがいたので気になりませんでしたが、二期になっても女性キャラが増えません。

 ビィは女?ですし、メネル(男エルフ)の正妻の座は一期に引き続き安泰の様です。

 ドワーフ達に女性は居ないのかな?女性にも髭が生えていて見分けがつかないのかもしれません。

 ファンタジーで女性を排除している話は珍しいなぁ〜と、最近気がつきました。野郎だらけですが、主人公と相棒がゴールデンカムイみたいに男臭くなく、修道院みたいな感じが、宗教っぽさの原因かもしれません。

………………………………………………………………………

 4話まで観ました。2023.10.29

 暇だから映画でも観るか…。おっ!?ネットのレビューで評判の良い作品を丁度やってるな!

 と、入館したら最近教祖が亡くなった某新興宗教の映画だったりする昨今、アニメであっても宗教系はちょっと…と身構えてしまいます。

 1期はまさにそんなノリで、観ていて辟易しましたが、2期、主人公が領主になってから、宗教臭が少し薄まり、観やすくなりました。

 神々が沢山出てくる作品ですが、その神々が必ずしも人間の敵や味方じゃないという…。アニメとしては丁寧に作られてはいますが、若干、説教臭さがあるので、観る人を選びます。

 2期から観ると、主人公、若造の癖になんでそんなに強い?と、納得いかないので、1期視聴は必須と言うハードルの高さはありますが、気になる作品ではあります。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

丁寧な世界観が心地いいハイファンタジー

[12.28見終わって]
面白かったですよ♪
異世界ファンタジーが溢れてますけど、ファンタジー風味やなんちゃってファンタジーがほとんどで、こういう真面目にファンタジー世界を描いてくれてる作品は貴重なのかなと思いました。
世界観が丁寧でしっかりしてるところは高評価でした。
エルフやドワーフの性格の違いや、精霊を使うエルフの呪文、魔法を唱えるときにちゃんと字幕が出たり・・
キャラが話す言葉も独特の言い回しが多かったりして、字幕があったらいいなと思ったり。。でも雰囲気好きです。
ドワーフの王の末裔ルウの成長物語でもありましたね。最終話ではいい表情してました。
調べてみたら原作の第3部まで今回アニメ化されて、第4部もあるみたいですけど、後日談的なショート集みたいです。
機会があれば読んでみようかな。

[初回感想]
3人の不死者(アンデッド)に育てられたウィルが成長し旅立ち、最果てのパラディンと呼ばれる英雄になるお話。
これは2期になります。

世界観や人物相関の把握・理解のためにできれば1期からの視聴をおすすめしますが、2期から見ても楽しめると思いますので、試しに2期を見て気に入ったら1期を後追いで見てもいいと思います。

原作は小説家になろうで連載され文庫化されたライトノベルになります。
実は主人公は転生したみたいで、俗にいう異世界転生ものではあるんですが、同系統の他の作品よりもファンタジーの世界観がとても丁寧に描かれていて好感が持てます。

一方、世界観にこだわった結果、独特の言い回しがあったり雰囲気が地味だったりするところがあって苦手な人もいるかもしれません。

同時期にやってる葬送のフリーレンもハイファンタジーの良作ですけど、あれも結構落ち着いた雰囲気で好きなんですが、フリーレン好きな人にはぜひこちらも見ていただければなと思ったり。

個人的には良作だと思ってるんですがあまり人気がないみたいなので紹介も兼ねて感想を書こうと思いました。

1話「聖騎士と詩人」
{netabare}ウィルの声が変わりましたね。1期から2年たって声変わりしたそうです。私的にはこっちのほうが好みかな。
ウィルと吟遊詩人のビィのちょっとした冒険いいですね。
ビィの名もなき英雄の話、彼女が吟遊詩人になったきっかけ。いい話でした。ねーのよのしゃべり方もツボりましたw{/netabare}

2話「狂える森」
{netabare}デーモンや森の王のキャラデザいいですね。
相変わらず口が悪いバグリー神殿長wでも実はいい人なんですよね。
ハーフエルフのメネル。ウィルが亡くなった後も墓を守るって話、フリーレンを思い出しました。{/netabare}

3話「最後の王」
{netabare}くろがねの山に住んでいたドワーフたち。
デーモンとドラゴンに追われ、流浪の民となったドワーフの王の末裔ルウと最果てのパラディンの出会い。
ウィルの従者になるルウの決意の言葉とドワーフの老戦士ゲルレイズの若は死んだことと思うとの渋い言葉。
ん~。こういう真面目で渋い感じのファンタジー、いいと思います。{/netabare}

4話「勇気の意味」
{netabare}この作品、渋キャラ多いかも。
ドワーフのゲルレイズさんとか、寡黙な戦士レイストフさんとか。
レイストフさんの言葉も相変わらず渋くてかっこいい。
勇気とは何かと考えているうちはその答えは分からないだろうとか・・渋い。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

69.1 25 2023年秋(10月~12月)アニメランキング25位
ウマ娘 プリティーダービー Season 3(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (206)
570人が棚に入れました
これは別世界から受け継いだ輝かしい名前と魂を持つ“ウマ娘”の物語。 幼い頃にトウカイテイオーの奇跡を目に焼き付け、 自身もそのキラキラした光景に飛び込みたいと願うキタサンブラック。 そんな幼なじみの夢をすぐ傍で応援しながら、 己の使命を果たそうともがくサトノダイヤモンド。 強大なライバル、抗い難い運命などが立ちはだかる中、 信じる仲間の言葉や人々の声援を背に受け、 今、キタサンブラックは夢に向かって走り出す!
ネタバレ

wkr さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

覇権の自信は何処から...

{netabare}
放送前から史実では目立っている馬も多いし1クールじゃ2期より出来は劣るだろうなと不安があったが、自分の不安はまだ甘かったのであった。1期はコミカルなノリとスポ根のバランスが良い雰囲気でライバル達や(スズカ以外の)スピカメンバーのキャラ描写の不足という悪い部分はあったが、夢を追うウマ娘達の努力や友情を爽やかかつコミカルに描き、我々の見ることの出来なかった夢をも描いていた。2期は少し内容が重くなるが、幾度夢を絶たれようと諦めないトウカイテイオーや周りのウマ娘達の栄光を史実とうまく絡めて描いていた。悪い部分は終盤辺りで露骨な感動路線に走った事とラスボス的立ち位置のビワハヤヒデのキャラ描写不足、好みが別れるギャグシーンなど。だが、結果的に出来は良く、特に10話の構成は史実とストーリーのの絡ませ方がとても巧みで素晴らしいものとなっており、1話の出来はトップクラスである。どちらも最終回後にはポジティブで希望感があり、素直に面白かったと思えることができた。3期はストーリー前半は主にキタサンブラックがキャラ達と関わり努力し、後半キタサンが自身の衰えに抗い奮闘する姿が描かれる。主なストーリーは決して悪くはなく、11話からの展開は賛否あるが、個人的には10話のレース結果をうまく理由付けして展開自体もアニメウマ娘では目新しかったのである程度は評価したいと思っている。2話のネイチャが励ますスポ根展開も熱く、6話のサトイモ回は日常描写から掘り下げまで仕上がっており、レース描写も丁寧、1話分で綺麗にまとまっていてこの作品の中では1番面白く感じた回であった。10話前半の学園祭パートはボイスは少ないがアプリ内の様々なキャラを見ることができてウマ娘ファン的には盛り上がった。だが結果は1期と2期の悪い部分の詰め合わせに更に悪い部分を足した形となった。最終回後はまずまずの残念さと違和感が残り、自分なりに改善点を思案することだけであった。

まず良い点
①作画
作画はスタジオ櫂なだけあってクオリティが高く、日常パートは勿論、レースシーンはカメラワークが比較的キレが良く、アニメーター殺しの勝負服をしっかりと綺麗に動かしている。最終回のライブシーンは流石の出来栄えで最終回で唯一の美点であった。

②曲
個人的にはedが好きで、このコンテンツらしい明快で疾走感溢れる曲調とポジティブでポップな歌詞、そして色鮮やかで愉快なシーンとキャラ解像度の高い可愛らしいイラストに目と耳が癒された。


ダメな点

①キャラ描写 ()が多くて申し訳ないです...
→今作はキャラ描写の不足が多く、盛り上がるはずのシーンも盛り上がらなかった。サトノクラウンはほぼサトイモの付け合わせでまともに描かれもせず、サプライズで登場したドゥラメンテは放置気味、シュヴァルグランは姉妹に対するコンプレックスが描かれていおり、別のベクトルで来るかと思っていたら唐突に矛先をキタサンに向け、何故か掘り下げを活かさない。1期2期共にチームや主人公の為に奮闘し、テイオーの怪我を見抜いたりレースを解説したり、様々な活躍をしていたトレーナーも大した見せ場はなく、4話では何故か🍚とブルボンを登場させマネージャー役にしてしまう。解説も的外れ。おまけにスペちゃんはですねbotでサウンズオブアースはモブに成り果てる始末。キタサンと他キャラとの直接的な描写も基本的に乏しいため、発言や行動に違和感が生じることも多々(スペちゃんが分かりやすい例、商店街の人達じゃなくスピカメンバーとの絡みをやっとけばマシになったのでは)。
特にダメだったのは、主人公が好きになれないキャラだという点。失礼な発言(ゴルシに対する発言、誰!?など)やキャラ設定とアニメ内での描写が乖離している(設定: 明朗快活で明るい人情派ウマ娘 困っている人を見れば助け、悩んでいる人には話を聞き、たくさんの人に慕われる
実際:アニメだけでは明朗快活な印象はあまり残らない 発言や行動により人情派か怪しい 商店街の人達を一応助けてはいるが他人に頼る描写が多い 慕われているような描写がない)
こと、最後まで勝つ目的が曖昧、など。アプリストーリーも見ましたが、キャラ設定通りの良い子で少なくともこんな嫌味なキャラでは無いしアプリとアニメがどうにも自分の中では割り切れない、2期の頃のキタちゃんを返して。。
対してライバルのサトノダイヤモンドは勝つ目的がハッキリとしており、キャラ設定通りの魅力的なキャラで製作陣は主人公を選び間違えたのではないかと疑いたい。1期2期RTTT共に作品を楽しむことが出来た要因はメインのキャラに魅力があったことが大きいと気づいた。
↓キャラ設定の引用元
https://anime-umamusume.jp/character?i=satonodiamond

②史実描写
→アニメウマ娘での醍醐味といえば、史実をうまく絡めたストーリーだといえるが、今作は過去作ほどのものは観ることが出来なかった。まともに描いていたのは小ネタ程度でレースは勿論前作に劣り、史実ガン無視のピークアウト設定や天皇賞秋は言わずもがな、個人的にピークアウトはストーリー的には悪くはないと最初は思ったが後々ボロが出てしまう。

③センスを疑うレベルのギャグ
個人的な好みかもしれないが、基本ギャグがつまらない。また、2期でも気に触るようなギャグがあったが今作はそれをも遥かに超えてくるものが5話に。「誰ー!?」は酷すぎて流石にギャグセンを疑う。他にもシュヴァルグランのフォーク(食事シーン)、ネイチャのG1 0勝を無意味に擦るシーン。元ネタの馬に対するリスペクトが足りてないのが残念。

④ストーリー
局所的にスポ根として良い部分はあったが全体的にはスポ根物として昇華出来ておらず(キャラ描写不足含め)尺不足が目立つため史実云々抜きに鑑みても単純にあまり面白くない。史実ベースの部分は仕方ないとは思うが、目的が決まる回は早めにしておいた方が明らかに良かったし、よくアニメ内で話題に挙がっていた凱旋門賞を新聞で流したのは特に残念。最終話で無理に感動路線に入ってしまったのもダメだった(私は2期最終話でも露骨な感動路線に入り少し萎えました。露骨過ぎるのがダメです。この監督さんはもう感動路線をやめた方が良い)。レースシーンは前作ではあったはずのレース解説やレース中の心理描写はほぼないせいで見応えがなく、重要なレースをモブが勝つことがあるのがイマイチ締まらない。また、退学したモブ、ルービックキューブ等の伏線?も放置されている(リハビリ後のドゥラメンテはアプリであるのかな)。{/netabare}

————————————————————————
感想

1話
{netabare}キタちゃんの皐月賞時の反応が気になっただけで他は良いと思いました。最後の反応との対比をつけたかったのかな。それとドゥラメンテが来た!一期のブロワイエみたいにアニオリでもいいけどやっぱり実名で出てくるとテンション上がりますね(*^^*)レース中のカメラワークはキレが良く作画も相まって出来が良かったです。勝負服をしっかり動かしていたり、作画も二期に引き続き高クオリティ。モブの使い方だったりも良くも悪くもこの作品らしいなとも思います。それと小ネタが多いwドゥラメンテ勝利後の奇声は笑いました。ストーリーについて、話が皐月賞から始まるのは意外でした。2期と比較して鑑みるとまずはキタちゃん達メインキャラの日常風景でキャラやキタちゃんの現状を描いてから皐月賞となるはずだと思ったのでキタちゃんやサトイモ以外のキャラでも何かしらするのではないかと予想。皐月賞以前のキタちゃんの経緯は過去回想(あれば)か脳内補完かするしかないですね。日本ダービーでキタちゃんがドゥラメンテに追い抜かれるシーン、憧れているテイオーの様に追い抜かれされたから絶望したというように描かれていて良かったです。
追記 リアルスティールが実名で登場してないのは少し悲しかったです...ちゃんと実力ある競走馬だったし立ち位置も絶妙だと思うのでキャラ達と絡ませて欲しかった...{/netabare}

2話
{netabare}opとed公開しましたね。opは力強くて映像も面白くて、edは曲調が明快で良いですね。特にed映像は色使いがとても良くて好きです。話とリンクした演出も良かった。個人的に一期ed好きなのでその人が担当してるのは嬉しいです。twitterで見ましたがedの黒背景で黄色の星の前に立ってるキタちゃんの絵、史実ネタなの全く分からなかったです。op映像は色々と詰め込まれていて観ていて楽しかったです。新キャラみたいなのもいましたね。姉妹かな?話は変わりまして、内容はキタちゃんの掘り下げとネイチャがキタちゃんを応援する感じの話でした。二期は一期やOVAの内容やキャラ描写がそれほど関わっていなかったので、三期でネイチャが関わってくる展開は意表を突かれました。スポ根らしい展開良かったです。これから三期を見る場合、二期は必修ですね。史実ではキタちゃんは1話(日本ダービー)の後セントライト記念に出ますがカットでした。野暮なことを言うと、キタちゃんが菊花賞に出る前にセントライト記念勝ってるのに落ち込んでるのは個人的にはうーんこのといった感じ。菊花賞の史実ネタ要素はカットが多かった印象ですが尺的に無理なら仕方ないかと。ネイチャがアイキャッチでアプリの衣装着てるサプライズ嬉しかったです。内容にも沿ってるのも粋。{netabare}史実ではドゥラメンテはこの後海外の重賞と宝塚に出て引退してしまいますが、引退の後の展開はどうするかが見所だと思ってます。{/netabare}{/netabare}

3話
{netabare}レビューを書いたのが観てから三日後なのでうろ覚えですが。。3話はサトイモデビューとゴルシ引退の回だったと思います。冒頭、確かサトイモのデビュー&初勝利記念でパーティーしてたと思いますが、シュヴァルグランのキャラが(アプリと)違う!?となりましたw一応アプリはプレイしてますが、弱気なキャラな印象だったので。キタサンもなんだか性格悪い?wゴルシとの会話で生意気だったのが気になりました。二期でもそういうことありましたし、アニメの世界線はアプリのパラレルワールドだと考えれば問題ないでしょう。サトイモの場合はアプリでのトレーナーがいないのでキャラが違うのは必然的だと思ってます。サウンズオブアースはカノープスなのかと思いましたがよく考えなくともG1未勝利なので話に関わってくるとすればカノープスくらいしか思いつきませんね。有馬記念の途中、みなみとますおの隣に来た二人組は誰か全く分かりませんでした。個人的に3話で一番印象に残ってることはやはりオルフェーブルとジェンティルドンナの名前が出てきたことです。まだ3話なのにサプライズが多いですね(歓喜)オルフェーブルは初期設定があまり定まってない頃のPV https://youtube.com/watch?v=HYrVKLBhitE&si=vyt7cQnEGzW4Wk_I ではマスク付けているキャラデザでしたけど、7年ほど経っていると流石に変わりそう。そしてラストシーン、キャラ付けの為に持たせていたルービックキューブに意味を持たせていたのがすごく良かったです。ゴルシの最終直線のシーンが儚げで好きです。{/netabare}

4話
{netabare}修行回。ブルボンとライスが取締役で、2期の内容を活かしてちゃんと修行してたキャラを使うのは良かったけどトレーナーの役割が2期と比べて減っているのが気になるところ。レース前まであの練習続けるのはまずくないか?的なことをコメントでツッコまれてましたwサトイモの皐月賞、マカヒキ登場してなかったですね。許可取れてたら日本ダービーで登場するかなと予想。サトイモの日本ダービーを観ていて下さいの発言は当時、皐月賞よりも日本ダービーの方が本命だと考えられていたようなことから来たんでしょうか。キタちゃんは元気をもらったみたいでしたけど、そのシーンは個人的にあんまりよく分からなかったです。。ライスの朝食はパン派設定やパワートレーニング等アプリからの逆輸入もあり、温泉が馬用だったり史実ネタも健在で結構楽しめました。サトイモはやっぱり睡眠妨害されてるのかw{/netabare}

5話
{netabare}やっとドゥラメンテが喋った!想像通りの声で嬉しい。マカヒキ出ませんでしたね..ドゥラメンテ菊花賞見にきてたのにキタサン知らんのはおかしいやろ。マリアライトも、「誰!?」は流石にないな。登場してないのは尺的に無理があるというのは重々理解はしてますが...リバーライト、声可愛いw現時点でキタサンが宝塚なんで思ったよりもレース消化がスローペースで尺が心配になってました。この後もG1G2ばかりですし、他のキャラも描くとするとどれかのレースが雑になっちゃうかな。個人的には天皇賞春でシュヴァルグランとのライバル関係をしっかり描いて欲しいところ。ドゥラメンテがキタサンを認知してないのも無理があるような気もしますが(キタサンもマリアライトを誰扱いしてましたけど...)、ラストのシーンの土台としては良かったと、キャラとの関係等その辺りの作りはガッツリスポ根で流石だなと思います。欲を言えばサトイモの靴はもう少しボロボロに描いて欲しかったです。スズカさん、4話では少し見せ場あったのに今回そうねしか言ってない。。ここまでスイープトウショウ登場なし、まさか登場しない?
追記 つべで目にした「他ウマ娘を軽んじるキャラにして欲しくなかった」(多分キタサンとドゥラメンテに対して)というコメントがその通りだなと感じました。史実では素晴らしいドラマや輝かしい実績を持つ名馬が数多くいるわけで、その名馬でも尺等の都合上仕方なくモブ扱いにせざるを得ない馬がいるのは理解してはいますが、モブ扱いにした上での描き方も他により良いものがあったのではないかと思ってしまいます。元ネタが実在するからこそもう少し敬意を払って思慮深い描き方をして欲しかったです。{/netabare}

6話
{netabare} 木曜日にインフルにかかってしまったので観るのが遅くなりましたw肺炎になったりもするのでお気をつけて。
サトイモ良かったですね。現時点で1番楽しめた回だったと思います。今回はレースシーンが凄かったです。作画の書き込みも圧巻でモブがサトイモをマークしている所もしっかり描写していて、我々ファンが観たいのは熱いレースシーンなんだなと実感しました。前半はジンクス破りのくだりをコミカルに描いて、後半はサトイモの苦悩を掘り下げる、上手く1話でまとまっていて面白かったです(5話がそこそこ酷かったので尚更)。キタサンだけならまだしも他キャラも掘り下げるとなると本格的に尺が心配になってきました。4,5人ちゃんと掘り下げれるか?{/netabare}

7話
{netabare}ライバル回。2人のライバル描写が不足気味に感じたので次の天皇賞春回で描写作って存分に発揮してもらいたいけど、そうするとシュヴァルグランがどうなるか。。一応少なからず描写されてはいるからどう演出されるかわからないです。大阪杯はサラッと流されると予想。2期はキャラ描写の取捨選択が凄かったんだなあと改めて思いました。{/netabare}

8話
{netabare}キタサン目標決定回。なぜ走るのかという目標が決まったのは良いとして、それを序盤辺りでやれてたらなという感じです。目標も漠然としてながらG1三勝してるのがなんだかなぁ、となってしまうので。尺の心配はいつも通りとして(今回レースして無いんだよなぁ...)、今作は謎のネイチャ推しが目に余りますね。1シーン凄く可愛かったですけど、流石に今回の話はネイチャは必要無いんじゃないかなと思いました。キタサンのキャラもなんだか悪い方向に向かっていってるような...商店街のシーン、泣いてから他キャラを困惑させてから去っていくのがそうじゃ無いんだよなぁ、気の利いたセリフとか言って欲しかったのが本音。少し失礼なやつみたいに描かれてるのが不憫に思えてきます。
8話の話題からはそれますが、3期はEDが特に好きです。1期の方がデザインしてるのもあって色使いが鮮やかで3期の雰囲気に沿った愉快な映像で、キャラが並んでいるシーンもキャラの解像度が高い。スズカさんが少し照れて腕が控えめになっているのが好きです。{/netabare}

9話
{netabare}大阪杯は案の定サラッと流されましたが、今回の内容がすぐ入ってくるので悪くは無い冒頭ですかね。カレンダーに絶対見に行く!って書く商店街のおっちゃんが可愛かったです。前半日常描写、後半レースと綺麗に分かれた構成でしたが、今回キタサンがレコード勝ちするので個人的には前半は練習描写メインの方がしっくりきたと思います。風景は綺麗でしたけどね。キタサンとサトイモの関係が次第に友達→ライバルへと変化していく描写は良いと思いました。レース後に悔しがるシュヴァルグランがキャラ性がよく感じれて良いなと思った描写でした。あと3〜4話しかないですが、シュヴァルグランだけでもどうにか頑張って描いて欲しいものです(ジャパンカップでそろそろ?)。どうでもいいかもしれませんが、レース終わった後すぐ話すのじゃなくて別の場所で話して欲しいです。レース後の高揚感だったりの演出かもですが、2人だけでいる時の方が親密というかしっとり感があって好みです。今回は特殊edで曲がambitious worldでした。好きな曲ではあるので少し嬉しかったですけど、今のedも好きなので複雑ですw{/netabare}

10話
{netabare}学園祭パートではアプリではお馴染みのキャラが多く登場したり、スピカメンバーが執事喫茶してたりと特に楽しめました。アニメで見る別衣装もアプリのクオリティと遜色なく描かれていて満足でしたが、スイープトウショウが出てこなかったのが唯一残念でした。レースに何故負けたかは風邪など体調の乱れのように描かれてましたが、武豊騎手も分からないと言ったりしてたのでその辺りの理由付けは頑張っていたと感じました。次の回でも負けたこと引きずりそうな切り方だったのが気になりました。キタサンが学園祭の実行委員に決まってからすぐに学園祭当日まで描かれたり、いつのまにか風邪になっていたりと今回は少し駆け足だったような印象を受けました。11話で凱旋門賞(サトイモ)はほぼ確定だと思うので12話では天皇賞秋かジャパンカップ(シュヴァルグラン)かな?もし13話あるとしたら何とか収まりそうな感じですかね。制作陣の方々には頑張ってもらいたいです。{/netabare}

11話
{netabare}賛否両論になっているのは知ったうえでの感想としては、10話の展開を納得いかせる為に上手くやってたなという感じです。出遅れで天皇賞を勝った物凄いレースなのにも関わらず落ち込むというのは引っ掛かりますが、最終回の布石にしたいんでしょうね。作画も良かったですし、史実の原因がよく分からない9着をよく落とし込んだなと少し感心しました(忘れっぽくなってるのはやりすぎとも思いますが)。レースはいつものうおおおおでクラウンがここだ!といって内側に入るシーンはどうしてそうなったのかwwアニメだけだと理由が分からないんですよね。ですが作中でも言っていた凱旋門をサラッと流したのは残念でした。完全にキタサン中心で進むつもりなんでしょうね。サトイモ主人公の方が良かったんじゃと思ってますw(最後のレース負けちゃうけどスペちゃんみたいな後日談的な展開にしてとか)。史実ではピークは引退まで来てなかったんじゃないか?という疑問は浮かびましたし批評が出るのも納得ですが。個人的には史実はあくまでもベースであって大体はレース結果と史実ネタを正しく扱えばいいかなと思いました。ですが、1期2期はもっと当時の空気感だったりも忠実に描いていたのでその辺りは残念{/netabare}

12話
{netabare}シュヴァルグラン回、見せ所は思ったよりもスポ根らしくて良かったです。大好きは少しオーバーじゃないかと思いますが、それと勝った後の表情が好きでした。掘り下げも効いてましたが、姉妹に対するコンプレックス描写しかなかったので今回急に対象がキタサンに向いたのが少し気になった所、姉妹描写あんまり必要なかったような...他キャラ(今回はスペとサトノクラウン)の絡みの描写も薄いから泣いていたり引退寂しいと言っていると本当か?と少し思ってしまう。実際には2年くらい経ってはいますが。セリフや行動に至るまでの描写が足りてないんですよね。ピークが過ぎた設定も良くない方向に作用したかな、シュヴァルはキタサンに勝ったのだけどもピーク過ぎたキタサンだからといったようにでそれで良いのか?となるような。スちゃんはロイスアンドロイスということで、ここまで引っ張る意味はあったか謎ですが、声も合ってると思いますし解説?シーンも好きでした。ところで、アニメキタサンのナチュラル畜生描写は狙ってやってるのか?(今回だとバナナの箱のシーンが気になりました。){/netabare}

13話
感想書くのが面倒なので省略しますm(._.)m
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

11月26日
今日のジャパンカップが凄かったのでここにきましたw一着はやっぱりか...でした。しっかり枠内(二着)に食い込んでくるリバティアイランドは流石ですね。パンサラッサの大逃げカッコよかったです、が他が強すぎました。住んでる地域が近かったら現地で観てみたかったです(田舎住み)。レース後にイクイノックスとリバティアイランドの騎手同士が握手し合うのが5話の内容と奇跡的にリンクしていたのも印象的でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

原作者サイゲームスがアニメ製作に口を出した影響?

本作は、国民的演歌歌手北島三郎さん所有(※厳密には大野商事)でGⅠを7勝した史実の競走馬キタサンブラックを「ウマ娘」として擬人化した物語である(2024.1.15、最後にキャストトークのリンクを追加)。
「ウマ娘」シリーズとしては、1期スペシャルウィーク、2期トウカイテイオーに続く3期として制作された。

ウマ娘は、レース後、ウイニングライブと称して勝ったウマ娘たちがステージで歌って踊るのだが、そのネタ元の1つは、キタサンブラックが2015年の菊花賞で初GⅠ制覇したときに、北島さんが「まつり」を歌ったことだろう。
という繋がりもあってか、本作では、北島さんがアニメのシナリオを事前に見ていたり、アニメに対する応援メッセージを送っていたりする。

本作は、このような馬主の全面的なバックアップ、アプリゲームを中心としたライブ・漫画・アニメなどメディアミックス展開されるウマ娘の人気、1、2期がスポ根ものとして好評であったこともあり、アニメ監督曰く今季の覇権を狙いにいった作品であった。

しかし、本作は、お世辞にも覇権アニメとはいえない結果に終わってしまった。もっとも、特にリアル競馬ファンから酷評されているが、様々なアニメを観てきた身としては、1、2期に比べて見劣りするものの、作画や音楽面はむしろよくなっており、名作ではないけれど酷評されるほどでもないと思う。ただ、ストーリーについては、これまでの忠実な史実路線を継承したとは言い難く、掘り下げもあまりないので、高評価にはしていない。

そこで、今一歩となってしまった原因をウマ娘のアプリゲームのユーザーとしての視点も交えつつ、できるだけ客観的に見てみようと思う。


【本作の事情を考察(ネタバレ有り)】
{netabare}【過去作によるハードルの上昇】
1、2期、それに引き続いて作られたナリタトップロード主役の短編『ROAD TO THE TOP』が好評だったこともあり、3期に対する期待が高く、ハードルが上がっていた。

したがって、本作は、期待の裏返しではないが過剰に低く見られている傾向はあると思う。

なお、特に2期は、いわゆる円盤の売り上げが20万枚を超え、『エヴァンゲリヲン』を抜いて歴代1位となっている。もっとも、これは、メディアミックスの強みともいえるが、アプリゲームの課金アイテムのおまけがついていることで、おまけ目当てでの購入が相当数いる点に注意が必要である。


【本体であるアプリゲームの人気の凋落】
3期の制作が決まったのは、メディアミックスの中心であるアプリゲームが「覇権」といわれる絶好調期であり、親会社であるサイバーエージェントの株価が今よりずっと高かった頃の話である。

しかし、現在の状況は、中心となるアプリゲームの人気の凋落が著しい。
例えば、ウマ娘のゲーム攻略動画をあげていたyoutuberが再生数の下降を敏感に感じ呪術廻戦のアプリゲームに鞍替えを始めたり、また、主力ゲームであったウマ娘の売上が大幅に下がる状況を見て2400円弱あった株価が800円前後と最盛期の3分の1まで下落している。

このような状況の急変を読みきれなかったことが、根本的な原因だと思われる。

本作は、過去作と比べて、チームスピカの面々やトレーナーとの絡みが少なくなり、過去作やゲームに出てくるキャラまたは登場予定のキャラの出番を増やしたシナリオ作りになっている。

また、本作では、過去作と違って、アニメとゲームでのキャラの実装を連動させており、ゲームの販促という側面がアニメ制作に大きな影響を与えていたことが予想される(要するに、サイゲームスがアニメとしての内容よりゲームの販促を重視した可能性がある。)。

これは、過去作やゲームの既存ファンにとって嬉しい作りであり、ウマ娘が大人気コンテンツであることを前提とした作りといえる。
しかし、現状は、その人気に陰りが見え、新規ファンの獲得が重要であっただけに、たくさんのゲーム内実装キャラを広く浅く出すことより、少ないキャラを掘り下げて新規に興味を持たせることが必要だったのではないか。

この辺りのズレが、本作が覇権に至らなかった一番の原因だと思われる。


【キャラの掘り下げ】
まず、ゲームに登場するキャラを優先してしまったために、ゲームに実装されるキャラがアニメの内容と関連が薄いのに登場したり(例えば、世代の異なるナイスネイチャ、ロイスアンドロイス)、ゲームに登場しないキャラの扱いが雑になったりしてしまった(例えば、ゲーム内に登場しないキャラがレースで1着になった際にキタサンが「誰!?」と言って物議を醸した。)。

次に、ゲーム内のキタサンブラックの紹介文には、「困っている人を見れば助け、悩んでいる人には話を聞き…たくさんの人に慕われる優しい子」とあるのだが、本作では、商店街限定の人気であって「たくさんの人に慕われる」という描写ではなかった。
史実のキタサンブラックは、必ずしも優良とはいえない血統(買値は350万円、ちなみにサトノダイヤモンドは2.4億円)からの活躍や馬主の影響もあって、まさに国民的な人気があっただけに、この辺りのストーリー構成や掘り下げ不足は、他に時間を割いた弊害ともいえる。

また、これまでキタサンブラックの幼馴染として2期終盤に出てきたにも関わらず、サトノダイヤモンドとの絡みがあまりなかった点も描写不足とされている。

これらも、私は販促を重視して他のストーリーに時間を割いたことによる弊害だと思っている。


【キタサンブラックの引退描写】
上と関連するが、キタサンブラックは、本作のように競走馬としてのピークを迎えて引退したのかという点が物議を醸した。

これには、競走馬特有の引退事情がある。実績のある競走馬は、レースの賞金で稼ぐより種牡馬とした方が安全かつ安定して儲かるため、必ずしも力が衰えたから引退するわけではない(最悪レース中に骨折して死亡する場合がある。)。
例えば、キタサンブラック産駒で先日行われた2023年GⅠジャパンカップを制し引退したイクイノックス。その2024年度の種付料は、2000万円で日本競馬史上最高額となっている。

史実のキタサンブラックは、最後の3レースを1着(天皇賞秋)、3着(ジャパンカップ)、1着(有馬記念)で終わっており、特に秋の天皇賞は、台風が近づき走ると水しぶきが上がるような不良馬場の中、スタートで出遅れての1着という力強い勝ち方であった。
したがって、リアル競馬界では、もう本当に限界だと思われていて、有終の美を飾るかのように有馬記念で1着になったという感じではなかったため、ピークアウトして引退したとするアニメの描写についてリアル競馬ファンからの批判が根強い。

ただ、アニメの描写としてみた場合は、前年に引退した同じチームスピカのゴールドシップと関連付けたかったと思われること(ただ、ゴルシは明らかに衰えを感じる引退レースだったため、関連付けることに賛否がある。)。また、力が衰える前の種牡馬入りをアニメとして表現しにくかったこともあると思われる。

もっとも、ウマ娘の引退に関する設定は、世代の異なる競走馬が一緒に存在している以上、そもそもガバガバにしなければならないという大人の事情もある。

したがって、この辺りの設定が詰められておらず、この設定の曖昧な部分の弊害が出たともいえる。


【レース描写】
最後に、レース描写は、期を重ねるごとに段々進化していると思う。
ただ、ゲーム内で実装されているか否かでキャラの扱いに差を設けてしまったがために、ウマ娘同士の駆け引きが限定的になってしまった。

また、全力を出す描写が声を張り上げる一辺倒で単調に感じたので、もう少しアニメ的な工夫が欲しかった。例えば、ゲーム内の固有スキルの演出で使えるものがあるかも?


【まとめ】
本作は、監督が1期から代わっていないので、ウマ娘の原作者であるサイゲームスがアニメ制作に金を出し口も出した結果、アニメとしての出来に大きな影響がでてしまったと思っています。

確かに、ガンプラを売るためにガンダムのアニメを作ってんだから、同じように販促を優先して何が悪いという意見は当然あるでしょうが、そもそもアニメとして面白いことが大前提だと思うわけです。
ウマ娘には、リアル競馬ファンも多く、今までは彼らを味方につけ、彼らが旧ツイッターなどで頻繁にコメントすることで、アニメがバズる要因にもなってきたのですが、今回はそれができなかった。

ただ、ウマ娘には、オグリキャップを元ネタにして好評を博している漫画『シンデレラグレイ』という最終兵器が残されているので、そのアニメ化で失敗しないためにも今回の経験を活かして欲しいと思っています。{/netabare}


【そこそこぱかライブTV Vol.30 ウマ娘3期のキャストによる振り返りトーク】
https://youtu.be/xFdnNY5QKwQ?si=H6WVVHfikCmXdnvK

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ウマ娘の引き際

【物語 3.5点】
キタサンブラックの競争生活とその周辺を題材に描く。

1期スペシャルウィーク17戦、2期トウカイテイオー12戦、
3期キタサンブラック20戦。
アニメ『ウマ娘』にとって、この3期で大きかったのが、
キタサンのような出走回数の多いウマ娘も1クールで描き切れたこと。

かと思えば、4話構成でナリタトップロードらのクラシック戦線をピックアップしてみたり、
次は今春ジャングルポケットで劇場版ですか。
『ウマ娘』の構成は“脚質”展開自在で感心します。

私の次の関心事は、オグリキャップを描くコミック『~シンデレラグレイ』をいつどうアニメ化するかですが、
どんな構成で来るのか期待して待っています。


ただ構成、展開が違うということは、視聴者の折り合う推奨方法も違うということ。
競走馬キタサンブラックの特徴は雄大な馬格による逃げ先行、勝負根性、無事是名馬。
しぶとく伸びるとも言えるが、悪く言えばズブい。
キレのある脚本による明快な展開もやり辛いし、
怪我による挫折でピンチを演出するのも難しい。

結果、全体構成の中でジワジワと温めるようなシナリオ。
勝ちたい!群像を薪としてくべてジックリと温めキタサンの集大成につなげる。
1話1話ガツンと感動するというより、1クール全体を俯瞰してじんわりとこみ上げて来る作風に。

象徴的だったのが序盤のヤマ回・3話に{netabare} ゴルシの引退回{/netabare} を持って来たこと。
意外と私が一番泣けたのがこの3話で、ここで3期は序盤からの伏線を{netabare} キタサンの衰えと引き際{/netabare} として、じっくり回収する作品なのだなと手応えを掴めたので、満足度は高め。

ですが、これってつまり2ヶ月前に放送された内容を、視聴者側が覚えておいて、こちらから折り合う必要があるということ。
ジリジリしているけどいつ面白くなるの?と受け身で焦れる層を引き込むだけの牽引力はもう一つだった印象。


注文を付けるなら、キタサンの勝負根性を前面に押し出すならば、
萌えより燃え。メンタルよりフィジカル。
もっと露骨にスポ根でも良かったかなと思います。
{netabare} サトノのジンクス破りのために様々な験担ぎを試すダイヤちゃん{/netabare} とか、
{netabare} 本番前のキタサンとダイヤの小旅行{/netabare} もウマ娘間の絆とキャラ萌えを提供する意味ではアリなのでしょう。
が、私はベタなお約束でも4話みたいな秘密の猛特訓を多用して、もっと熱量を上げて欲しかったとの感想も残りました。

何よりこの3期、トレーナーが空気過ぎます。
{netabare} ミホノブルボン先輩{/netabare} に特訓任せている場合じゃありませんw


【作画 4.0点】
アニメーション制作は2期のスタジオKAIが続投。

逃げ粘るキタサンの脚質に合わせて、
レース中の表情描写も必死の形相が目立った3期。
萌えって何ですか?と狼狽える方もいらっしゃるかもしれませんが、
ジャンポケ劇場版予告PVの表情はもっとワイルドですし、
『~シンデレラグレイ』の領域(ゾーン)に入ったウマ娘の顔芸はもっと鬼の形相で凄まじいですw

私がキタサンブラックのレースで一番好きなのが、
{netabare} 5歳秋の天皇賞。
大雨で極悪不良馬場となった府中を2分8秒もかけて、
キタサン鞍上の武豊騎手まで泥まみれになりながら激走しG1を奪取した。{/netabare}
キタサンは泥臭い。だが、それが良いと確信させられた私にとっての伝説のレースなのですが、
表情だけでなく、服装、背景にまで高カロリーの仕事を求められる難レースを、
アニメでどう再現するかが私の3期最大の注目ポイントでした。
そこを見事クリアしてくれただけで、
私の視聴目的は半分以上達成されました。


【キャラ 3.5点】
脇のウマ娘を実名化し切れなかったのが想像以上にダメージがデカかったです。

初回サプライズでウマ娘化が難航している印象の社台系の{netabare} ドゥラメンテ{/netabare} を実名登場させ一矢は報いましたが、
他はオールハイユウ(ゴールドアクター)だのツウカア(マカヒキ)だの実名じゃないモブウマ娘が乱発。
ゲンジツスチールとか、もうリアルスティールで出せばええやんw
って感じで落合博満選手を“おみあい”、原辰徳選手を“はり”でお茶を濁していた初期の『ファミスタ』を思い出しながらツッコんでいましたw

特にサトノダイヤモンドのクラシック戦線に至っては周りのほぼ全員モブウマ娘が相手。
このモブはモデル誰だっけ?と戸惑っている内にレースが進み、私も折り合いを欠きました。

手持ちの実名ウマ娘の中でなんとか盛り上げようと、
世代の違うブロンズコレクター・ナイスネイチャさんを、
勝てないキタサンの励まし役として多用したりと苦心していましたが、
その役回りもペルーサ(当時のJRA最長間隔勝利・5年3ヶ月の記録保持者)とかに担わせてとの私の願望を払拭するには至らず。

解説役の山本昌さんなんて“やまもも”で十分ですからw
今後もウマ娘の実名化は推進して欲しいと願います。

むしろ3期実名版が出たら是非再見したいです。


【声優 4.0点】
主演キタサンブラック役の矢野 妃菜喜さん。
他のキャスト陣もそうなのですが、主役は特に、力の入る直線でとにかく叫びまくっていた印象。
『ニジガク』高咲侑役で、柔和な表情でピアノ弾いてるキャラと同じ中の人とはとても思えません。

終盤は{netabare} ピークアウトした自身の息切れ感、最終回に至っては叫ぶだけでは足りぬと、
「勝ちたい!」の絶叫連呼で{/netabare} さらに熱演。
声優って凄いなと思う一方で、脚本の牽引力がもう一つの中、
キャストが孤立無援に陥っていた印象も。
回想も交えて、皆の勝ちたい!気持ちをキタサンに集約するなど、
もう少し演出のやりようはあったのかなとも感じました。


脇では八百屋の女将役・八百屋 杏さんら“福永商店街”の人々の声援が温かかったです。
キタサンが苦しい時、いつも支えになってくれて。
故に{netabare} 凱旋門賞で海外遠征は諦めるけど、地元の人たちに勇姿を見せるとのキタサンの決断には一定の説得力がありました。{/netabare}

ただ、やはりこれだとトレーナーの出る幕がありませんw


【音楽 4.0点】
OP主題歌はキタサン世代のウマ娘たちによる「ソシテミンナノ」
イントロから「勝ちたい!」を連呼し、サビ前に「負けない」とキタサンがつぶやくド根性ナンバー。

ED主題歌はチームスピカのウマ娘たちによる「アコガレChallenge Dash!!」
ほぼ毎回G1レースで燃える中、
種々のコスプレ衣装等による目の保養も交えて、萌えて一息付ける良質な爽やかナンバー。

ただチームスピカも、特にチーム同士のライバル関係については、
シナリオ上は1期までで役割が一区切り付いているので、
私はこの辺りがチームの引き際かなとも思案しながらED眺めていました。


それにしても初回いきなりバラード曲「ロストシャイン」で締めるというのも、
華より泥が似合うキタサンらしい滑り出しでした。


【余談】
最近の競馬界。キタサン世代活躍が目覚ましいですね。
キタサンも世界最高レーティングを獲得したイクイノックス輩出したり、
ドゥラメンテ産駒もドゥレッツァの菊花賞なんか見てると今後どこまで凄い種牡馬になるのだろうと戦慄します。
この双璧に、サトノ家の子孫たちがどう対抗していくのか。

2期からやや間隔が空いての放送となりましたが、
リアルタイムの競馬からキタサン世代産駒のライバル対決で熱量を補給しながらアニメ視聴できた。
結果的には良いタイミングで視聴完走できました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19
12345
ページの先頭へ