2023年度に放送されたおすすめアニメ一覧 369

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74.6 26 2023年度アニメランキング26位
わたしの幸せな結婚(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (271)
860人が棚に入れました
この嫁入りは黄泉への誘いか、奇跡の幸運か―― 名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。 嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞(きよか)。 数多の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。 斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。 初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく――。 これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

【最終】「なろうが『純愛成分』多めで創ったら、こんなんになりました」

【レビューNo.86】((最終レビュー)初回登録:2023/9/26)
小説原作(なろう発の模様)で2023年作品。全12話。
元々新規アニメの中では一番期待していたので、どのタイミングでレビュー書
くかってところでしたが、終わってからだとテンション下がっているかもなの
で、先にポイントを整理しておこうかと。

(ストーリー)
この嫁入りは黄泉への誘いか、奇跡の幸運か―― 名家(斎森家)に生まれた美
世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。 嫁入りを命
じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞(きよか)。 数多
の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。 斬り
捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の
薄い美貌の男。 初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもでき
ず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく――。 これは、少
女があいされて幸せになるまでの物語。
(作品情報より)

(評 価)
・1-2話:ここまでは順調(期待以上)
 {netabare}・レベルの高い作画・所作の描写
  いやービックリする位作画が綺麗ですね。いきなりOPからこのレベルって
  感じだし、桜なんかは「京アニ?!」かと思わせる繊細で趣ある作画でし
  たし。あと美世の手先が水仕事でボロボロになっている辺りも細かいとこ
  ろまでこだわっているなっていう仕事ぶりですね。
  それに時代的(明治大正を思わせる架空の時代らしい)に形式ばった所作
  が多いのですが、そういう動作も本当に綺麗に描いているなっと。
 ・丁度良い斎森家での冷遇具合
  美世は異能の家系にあって「無能」であったこと、また再婚で生まれた異
  母の妹香耶が異能に目覚めたため、斎森家での立場を失い使用人以下の扱
  いで虐げられて育ったのですが、
  ・ここの描写が弱いと物語の説得力がなくなってしまう
  ・さりとて過剰表現すると逆に引いてしまう。
  ということで、その匙加減が難しかったと思いますが、個人的には美世に
  思い入れが出来て嫌悪感もギリ抱かずちょうどいいラインだったかなっと。
  この辺りも脚本がよかったように思います。
 ・ゆり江さん
  嫁入りした久堂家のお手伝いさんで、久堂家は当主の清霞とこのゆり江さ
  んの2人だけのようです。(ゆり江さんは住み込みではなく通い)
  このゆり江さんが早々に美世の味方についたのは、物語的に大きかったと
  思います。清霞がはじめは冷血漢で美世とギクシャクするのがわかってい
  たので、「この展開まだ続くの?!」はちょっとしんどいかなっと。
  ゆり江さんがいることで安心して物語を楽しめるようになりましたね。
  見た目の割に声が若い気もしますが、作品の鬱めいた暗い空気を考えると
  バランス的にこれ位がちょうどいいのかも。
 ・美世
  今までの境遇から仕方のないところですが、自己卑下が過ぎる点がちょっ
  と観ていて辛いですね。ただ2話終わりから好転の兆しがみられたので、少
  しづつでも上向きになってくればいいですね。
  正直現状維持で引っ張られるとちょっと辛い・・・{/netabare}

・今後の見所
 {netabare}シンデレラストーリーということで、コケようがない反面他の作品とどう差
 別化していくのかに注目ですね。
 ・清霞
  冷酷無慈悲の根底には今までの女性不信があるようで・・・
  とはいえ、この辺もテンプレ感がありどう差別化していくのか。
  清霞の心がどういうきっかけでどう動いていくのか、シナリオや演出の魅
  せ方に期待。
 ・異能
  正直「普通のピュアラブストーリー」だと思っていたので、「異能」とい
  う謎要素には驚かされましたね。異能については美世にも隠し玉があるよ
  うで、わざわざ物語にぶっ込んできてる点に注目ですね。
  ・物語を輝かせる最高のスパイスとして機能するのか
  ・ただ奇をてらった不発弾で終わるのか
 ・斎森家
  ・凋落してざまあ展開?!
  ・改心して美世との和解?!
  ある意味2人の結婚については、タイトルで結末がはっきりしているだけに、
  こういうところをどうみせるかが結構重要な気がしますね。
 ・幸次さん
  美世と想いあっていたのに無理やり妹香耶と政略結婚させられるなど、男の
  視聴者からすると放っておけない存在ですね(笑)。
  ・美世の結婚が上手くいくほど、嫉妬等に苛まれて「闇堕ち」するのか
  ・斎森家の凋落(するのか知らんけどw)に巻き込まれてしまうのか
  正直あんまりいいイメージが浮かばないので、救われてほしいのですが。

 事前情報から(始めは)地味で重い話になるだろうというのはあったのです
 が、制作陣が丁寧な仕事をしており、上手く魅せてるなという印象ですね。
 作画のことを考慮すると期待以上の滑り出しですかね。{/netabare}

・3-4話:う~ん、なんか思ってたのと違う
  {netabare}・久堂清霞はもう少し気難しい方で、ギクシャクしながらも2人の距離を縮め
  ていく3,4話かと思いきや・・・
  結局2話の「毒でも盛ったか」以降、距離が縮まるってレベルでなく、完璧
  な「王子様ぶり」ですやんw
  正直この変貌ぶりに何が何だか分からないのですが?!
 ・今までの金や権力目当ての婚約者が酷すぎたのか
  ・「冷酷無慈悲」の評判はなんだったのか?
  ・穿った見方をすれば、今までの婚約者とは違う美世にそんなに逃げられ
   たくないんかいって位の手のひら返し?!
   → 何が清霞の琴線に触れて、美世を愛おしく想ったのかがよく分から
     なかったのだが。
  何か女性作家さんの妄想「『理想の王子様』を描きたかっただけなんかい」
  って臭いがしてきましたね。
 ・結局不幸要素は「虐げられて育った」美世の「自己卑下が過ぎる性格」の
  問題で
  ・そこにつけ込むように、香耶や辰石家が暗躍。
   → 清霞様が「俺tueee」でスカッと展開!
    → 美世「私みたいな女がこんなに大事にされていいの?!」
  的な「結局『なろう』やったんかーい!!」で終わらないか心配になってき
  ましたね。
 ・「俺tueee」といえば、清霞に一方的に攻められ追い込まれていた「斎森家」
  も何なんやと。お前らも一応有力な名家じゃなかったんかい!

 「清霞×美世」の関係性が深まっていく過程(特に清霞が変わっていく心理描
  写)はもっと丁寧にやって欲しかったですね。
 とりあえず美世の「秘めたる異能」と幸次さん(「闇堕ち」展開ないかな?!)
 は気になるので継続視聴しますが、こういうところをしっかり魅せないと、本
 当に、美世のピンチに「俺tueee」を見せつける「清霞様劇場」で終わってしま
 いそうな・・・{/netabare}

・5話:(視聴前)「幸次さんかわいそう」→(5話視聴後)「こいつ単なる無能やん!」
 {netabare}・正直今回、幸次と香耶の評価が変わったかな。
  ・香耶
   後妻で入った香耶の母親が「斎森家」で認められるには、美世よりも自
   分の産んだ香耶が圧倒的に優れていることを証明しなければならない訳
   で、そんな母親の歪んだ欲望を一身に浴びて育ったのが香耶なのかなっ
   と。ある意味彼女も狂った一族の犠牲者の一人なのかも。
   結局彼女も親からの過剰な圧力から、美世を貶めることでしか自分を保
   てない、そんな生き方しか選べなかったという感じですかね。
  ・幸次
   ついにブチ切れて父親に異能バトルを挑むも一蹴、そして父親のセリフ
   「異能者としてロクに訓練もしていない未熟者が!」
   え―――どういうこと?!
   異能の家に生まれて「ロクに訓練していない」って意味がわからんのだ
   が・・・兄がいたから弟の幸次はあんまり期待されていなかったってこ
   となのか。今まで何をしてたんや?!
   これじゃ幸次さんだたのドラ息子じゃん!!!!
   しかもこんな無能を婿にもらう「斎森家」はそれでいいんか?!
   もう辰石家と繋がりができ、「種馬」として跡取りさえ作ってくれれば
   それでいいやって感じなんか?
   チャラい兄に代わり、辰石家ではそれなりに期待されてたのかと思いき
   や、異能も兄の方が随分格上のようだし、結局自分に力がなかったから、
   父親の操り人形になってたんか―い!!って感じですね。

  次回は美世を救い出す「清霞様劇場」でしょうか。
  もう清々しい位に辺り一面を「炎の海」と化してもらいたいものです。
  異能者としての格の違いを見せつけてやれば、幸次さんも美世のことも潔
  く諦めがつくでしょう。{/netabare}

・6話:「なろう」と頭を切り替えた方が楽しめそうだな
 {netabare}>次回は美世を救い出す「清霞様劇場」でしょうか
  さあ、ご期待の「清霞様劇場」の開幕です!
  ・チンタラ斎森家の門を叩いてるだけの幸次さんを下がらせると、問答無
   用で門の建屋ごと吹っ飛ばす。
  ・立ちふさがる「辰石×斎森」親父コンビとの異能バトルを一蹴。
  ・なおも追いすがる辰石親父の炎の攻撃にも微動だにすることなく、雷撃
   で撃沈。しかも「気絶する程度」だと手加減を見せる余裕ぶりです。
  ・そして香耶の戯言に耳を貸すことなく、一喝すると颯爽と美世を助け出
   す王子様演出。
  >もう清々しい位に辺り一面を「炎の海」と化してもらいたいものです。 
   ・(前回の期待通り)辺りは炎の海となりましたが、その原因が清霞様
    ではなく、まさかの辰石親父だったとは・・・
   ・清霞様にも「こんなとこで炎を使うとは、どこまでも愚かな!」と呆
    れられる始末ですが、これってこの機会に
    「どさくさに紛れて斎森家にダメージ与えとけ♡」
    っていう、辰石親父の陰謀論を私は主張したいですねwww

  >「幸次さんかわいそう」→(5話視聴後)「こいつ単なる無能やん!」
   ・で、幸次さんですが、
    ・己の力のなさを自覚し、美世の安全を最優先に(プライドを捨て)、
     清霞様に助けを求めにいったところは株を上げましたが、救出劇では
     力がないため空気感がハンパない。
    ・美世と清霞様が上手くいきそうになると、香耶母娘に「もうお前イラ
     ネー、それより清霞様♡」とあっさり乗り換えられる。
    もう「清霞様への咬ませ犬」っぷりがハンパないですね。ある意味美世
    より扱いが酷いキャラなんじゃないかとw
    そして本人も、香耶の身を案じて助けるのかと思いきや
    「一番は美世。こんなお前でも死んだら美世が傷つく!!」
    って、これも結構酷くないか?!
    それにこの機に及んでまだ「一番は美世」とか?!清霞様相手に勝ち目
    「0」だろうに、幸次さんどうすんのって感じですね。
   ・それと「斎森家親父」も辰石親父と自分の妻娘の暴走に巻き込まれて
    ・訳が分からないまま異能バトルに強制参加させられるw
     (さらに清霞様の心象も悪くなっただろうし。)
    ・挙句の果て、辰石親父の愚策(?)で屋敷が丸焼けにw
    まあ今までの前科や、周りの動きに気づかない監督不行き届き等の問題
    もあるでしょうが、本人のセリフ「何故、こんなことに・・・」はまさ
    に彼の心中そのものなんだろうなっとwww 
   今後新展開が始まる感じもあり、「斎森家ざまぁ展開」はこれで終了でし
   ょうか?それとも更なる追い打ちがあるのか。幸次さんの今後を含め、ち
   ょっと気になるところ。
   (香耶は(前回レビューで書いたように)歪んだ母の育て方でああいう人
    間になったところがあり、それに気付き改心すれば「幸次×香耶」の幸
    せルートもワンチャンありそうですが)

 ・で、今回の騒動には真の黒幕がいたとw
  「辰石の役立たずめ。このままでは薄刃の血は久堂のものではないか!」
  と「陛下」と呼ばれるご仁の描写が・・・
  このシーンを観ると辰石親父は、陛下の命に従って動いただけのようだが、
  それ以上に辰石親父はノリノリだったような?!
  まずは美世を自分の手中に収め、この親父なりに今後の策略があったので
  しょうか?
  「あるべきものをあるべき場所へ」
  ついに陛下の家臣が動きだす模様。

 2話までは「ピュアラブストーリー」を期待していましたが、3話で清霞様が
 突然デレ出してから雲行きが怪しくなり、正直
 「2人の純愛なんて、もうどうでもいいやw」
 って感じになってきましたね。さすが安定の「なろう展開」といったところ
 でしょうか。
 そして作画や演出等無駄にレベルが高いのが、今となってはなんとも・・・
 私の中では「なろう作品」として頭を切り替え、「ゆり江さん」を魅力的に
 描いてくれればそれでいいや感じですかね。
 もうゆり江さんだけが「この作品、最後の良心」って気がしてきました。{/netabare}

・7話:面倒になってきたので、思い付くまま雑記
 {netabare}●斎森家親父
  美世に対しては「名門:斎森家」ぶって強く当たっていましたが、清霞様
  や辰石親父と絡むと途端に小者感がハンパない「超内弁慶」描写が哀愁を
  誘うw
 ●幸次さん
  自分の力のなさを痛感し出直しを誓っていましたが、だから異能の家に生
  まれがらロクに訓練もせず、今まで何をしてたんやと?!
  最後の美世との会話もしっかりトドメを刺されて、もう清霞様の引き立て
  役になるためだけに作られたのではないかと勘繰りたくなるほどの見事な
  咬ませ犬っぷりだったなw
 ●清霞×美世
  ・清霞様:「毒でも盛ったか」の最初だけ
  ・美世:「私みたいな女が」という強い自己卑下だけ
  で、後は周りが2人を引き裂くために騒いでるという、ラブストーリーとし
  てはいろいろお粗末だったかなっと。
  今後も結婚に向けての障害は、異能を巡る「陛下」の介入等外部要因頼みで
  、肝心の2人の間になにかすれ違い等が起こるわけでもないんだろうなっと。
  まあ「デレてる清霞様に萌え~」みたいな原作者の「私の理想の王子様」的
  な作品になりそうですね。
 ●清霞姉・異形(妖)
  ・「美世ちゃん大好き~お持ち帰りしたい♡」の清霞姉
  ・異能者を祀る墓(オクツキ)を荒らすことで現れた新たな異形(妖)
  一段となろう臭が加速しましたね。まあ前回ぐらいから頭を切り替えたので
  「ネタアニメ」として楽しませてくれれば、それでいいんですが。
  あと最近ゆり江さんの出番が少ないので、ちょっと寂しい・・・{/netabare}

・8話:清霞様、森の中で豪快に炎をぶっ放すwww
 {netabare}前回の墓荒らしで解放された「オクツキの異形」の回収率は20%程度で、
 被害者も出ている模様。
 本来は秘密主義の「宮内省(?)」も、泣く泣く「帝国陸軍」に協力を
 依頼してきた模様。
 今回も人物を中心に書いていくことに。
 ●鶴木新
  ・「陛下」と呼ばれる者のそばにいた今回の黒幕と目される人物。
  ・本職は貿易商らしいが、高い交渉能力が買われ「宮内省(?)」と
   「帝国陸軍」との連絡係として、清霞様に接触。
  ・ラストではついに美世との接触も果たす。
  自分で騒動を巻き起こしておいて「マッチポンプやんけ!!」って感
  じですが、順調に計画は進行中の模様。
  {netabare}なんとなく「薄刃家」の関係者(従兄等)の匂いがしますね。もしそ
  うなら美世を使って「薄刃家復興!」といったどんでん返しを画策し
  てる可能性もありそう。{/netabare}
 ●清霞×美世
  ・清霞様は「オクツキの異形」退治で忙しそうです。以前に不満を漏
   らした部下に「いつ如何なる時も備えが必要」と気を引き締めてい
   ましたが、その成果が試される時が来ましたね。
   → で、現れた異形に清霞様が炎を浴びせますが、森の中で豪快に
     炎をぶっ放すとか山火事大丈夫なんか?!
     以前「斎森家」で「辰石親父」が炎をぶっ放した際「どこまで
     も愚かな!」と呆れていましたが、これはセーフでしょうか?
   → それに今回は尺の都合で他の部下達の活躍は不明ですが、ちゃ
     んと部下は役立っているのでしょうか。
     その辺りただの「清霞様劇場」で終わるのか描き方に注目!
  ・一方美世は
   ・昼間は清霞姉・葉月の「淑女教育」。
   ・夜は悪夢にうなされる。
    → 隠れた異能という内的要因か誰かの術等外的要因かは不明。
   ちょっとお疲れの様子。
   「清霞×美世」は次のパーティーか美世に危機が訪れるかしか見せ
   場がない感じ(2人の心の機微といったものは描く気なさそうだし)
   なので暫し一休みという感じでしょうか。
 ●辰石一志(幸次さんの兄)
  ・父親の失脚により新当主となった一志ですが、
   ・(帝の第二皇子)堯人様に清霞様達と共に謁見、上手く立ち回る。
    (TPOをわきまえない服装は相変わらずですがw)
   ・(失敗したが)墓荒らしにかけられたに呪いの解術に呼ばれた。
   等それなりに新当主として頑張っている模様。

 帝都に未曾有の危機が迫っているらしく(あんまりその辺は伝わってこ
 なかったがw)堯人様の天啓によると「清霞×美世」にも新たな試練が
 訪れるようです。
 ラブストーリーとしては観るべきところがなくなった感がありますが、
 異能モノとしては、黒幕「鶴木」が表舞台に出てきたので注目という感
 じでしょうか。
 あと今回もゆり江さんほとんど出番なかったなw
 (すっかり葉月に持っていかれた感じですね){/netabare}

・9-10話:清霞様まさかのNTR展開?!
 {netabare}●清霞×美世
  9話で2人のすれ違い
  ・自分の気持ちを分かってもらえない苛立ち
  ・相手の考えていることが分からないもどかしさ
  っぽい描写があり、おっと思いましたが、本来ラブストーリーを描くなら
  こういうところを3-4話で丁寧にやって欲しかったんだよな。
  それが早々に清霞様が「理想の王子様」になっちゃったんで、「何やねん
  この作品は?!」って話になるわけで・・・
  その後はこの期に及んでも、美世の性格が面倒くさいのがなんとも・・・
  まあ、もうラブストーリーとして観てないんでどうでもいいですがw
 ●鶴木=薄刃家
  >なんとなく「薄刃家」の関係者(従兄等)の匂いがしますね。
  まあこの辺は予想通りでしたね。
  ・しかし、新も「とりあえず清霞様の悪口言わせておけばいいやろ」的なw
   なんというか、この作品のキャラって全体的に
   ・清霞様の凄さや美世の薄幸ぶりを際立たせるための引き立て役
   ・物語を進めるための駒扱い
   って感じで、他のキャラに全く魅力がないのが致命的というか、役割を終
   えたら使い捨てって感じで、そもそもキャラ造形やる気ないやろw
   ゆり江さんですら「葉月が来たからもうお前イラネー」扱いだし。
  ・また美世の「隠れた異能」の凄さも明らかになりましたが、
   「あるべきものをあるべき場所へ」
   ・「陛下」への忠誠
   ・「薄刃家」の野望のための「切り札」
   「薄刃家」の真の狙いは何かはちと注目ですかね。
   しかし美世の性格を考えると、本人には「無用の長物」で、むしろその力
   を求めて有象無象が群がってくることを考えると「迷惑この上ない」って
   感じだなw
  ・あと美世が今まで「無能」だったのは、美世の母・澄美の封印によるもの
   とのこと。
   次回澄美が斎森へ嫁ぎ、封印に至るまでが語られる模様です。
   個人的には封印よりも、実は器が小さく小者ぶりが際立つあの斎森親父の
   元に何故嫁いだかの方が気になりますが・・・
   (強力な異能を隠すための隠れ蓑に都合がよかったとかw)
 ●異能バトル
  いやあ、やっぱり「なろう」らしくこういうのやってくれないとw
  「美世を賭けて」の清霞様VS新の異能バトル勃発www
  ・「『薄刃の異能』は『異形』と戦うためでなく、『異能者』を倒すためのもの」
   っで、分身や美世の幻といった姑息な手段で清霞様を幻惑しますが、肝心
   の攻撃は拳銃って、ただの物理攻撃やんけwww
   いっそのこと、美世の裸とかの幻覚攻撃した方が効果あったんじゃないかw
  ・「勝負に勝って試合に負ける」
   異能では新を圧倒していましたが、姑息な手段にハマり敗北してしまった
   清霞様。だから森を薙ぎ払うような強力な炎を人の家の庭でぶっ放すのは
   やめろやwww
   「オクツキの異形」の方は、個別→群れをなして動き始めたと事態の深刻
   化を憂いていましたが、清霞様の桁外れの異能なら一網打尽にできそうで
   むしろ好都合ではw
  バトルシーン自体は作画もよく見応えがありよかったのでは。

 清霞様まさかのNTR展開?!
 最初の新の「間男ぶり」から始まり「ネタアニメ」としては面白かったかな。
 次回は美世の出生の秘密も語られるようで、そこも楽しみですね。{/netabare}

・11話:「黒」新さん、謎の茶番で「白」新さんに変身www
 {netabare}美世の母・澄美の過去がついに明かされるなど物語も終盤、かなりいろいろ
 ぶっこんできましたね。
 ●澄美×斎森家
  ・鶴木(薄刃)家が商売の失敗で傾いていたため、澄美が「薄刃の血」と
   引き換えに独断で斎森家に援助を取り付けた。(以降自ら連絡も断った)
  ・「薄刃の異能」が期待される中、待望の美世が誕生。でも母はすぐに美
   世に強力な「夢見の異能」があることに気付き、斎森家に悪用されるこ
   とを防ぐため、美世の能力を封印。
  って話なんですが、ん?!この話を聞くと
  ・鶴木(薄刃)家当主がこの援助のおかけで盛りかえすことができたと語
   っていることから、斎森家は約束通り相応の援助を行った。
  ・で、その見返りの「薄刃の異能」はというと
   ・澄美は美世を産むと2人目を作ることなく他界。
   ・残された美世は澄美の封印のため「無能」
  ちょっと待て!!斎森家丸損やんけwww
  そりゃ斎森家親父からすると、美世への当たりも強くなるやろ!!
  何か1話の風景が違ったものに見えてくるのですが・・・
  本来なら母の思い出や美世への深い愛情等に共感したりする場面かもしれ
  ませんが、上述理由により別の感情が芽生えてしまうわw
 
 ●新×美世
  隙あらばNTR、新の執着ぶりが止まらないw
  ・薄刃家に代々伝わる「夢見の巫女」のための特別な服の着用を強要。
   → 清霞様から贈られた桜色の着物を没収。(巫女コスプレ?!)
  ・清霞様に逢いたいという美世を恫喝。
   → 俺が美世をどれだけ待ち望み、幸福を感じているか。
     美世(夢見の巫女)を守ることこそが自分の使命。
     しかも美世の伴侶を兼ねてwww
  新さん略奪する気満々じゃないですか―――――!!
  薄刃の一族は裏の世界に生きるために、親しい友人や恋人を作ることを禁じ
  られている等厳しい掟があるようで、それで欲望が歪んでしまったのかと新
  がヤバイ奴にしか見えないんですが・・・

 ●清霞様
  ・「オクツキの異形」退治は順調でほぼ討伐完了。えっそんなあっさりと?
   「帝都に未曾有の危機が迫っている!!」とは一体何だったのか?!
   ・・・と油断してたら、清霞様が部下を庇い、まさかの異形の毒牙に!!
   異形に襲われたものは、呪いにより前回・辰石一志でも解術できなかった
   深い意識不明状態に陥ることに・・・
  ・その知らせは薄刃家にも届きます。
   当然美世は駆けつけたいと懇願するのですが、ここでも新が立ちはだかり
   ます。
   → 伝家の宝刀「帝との取引」
     ・薄刃家の悲願「夢見の巫女の奪還」に陛下が協力。
     ・その代わりに他の異能者との接触を一切断ち、その存在を秘匿せよ。
      (陛下の狙いは不明の模様)
     命に背けば、関係者にどんな罰が下るのか・・・
   もうなりふり構わずって感じで緊張感が走ります。
  ・しかし薄刃家当主が(文字通り)ケツを叩くと、態度を豹変?!
   とたんに新が協力的になりますw
   で、薄刃家当主
   「全く敵わんな、大事な孫たちを応援するのは祖父の役目だ」
   え―――何やねん!!この茶番は!!!!!!
  ・2人で清霞様の元に駆けつけると、新曰く
   「美世の『夢見の異能』なら彼を覚めさせることができるはずだ」

 ついに美世の「夢見の異能」が発動か?!
 しかし、ここまで美世に執着してた「黒」新さんが、謎の茶番で「白」新さん
 に変身とか・・・3話の清霞様もそうですが、何故唐突に豹変しちゃうのか?!
 原作の問題なのか、アニメ化のカットの都合なのか・・・
 それに斎森家の大恩を仇で返す澄美さんとか、もうツッコミどころ満載でしたね。
 まあ個人的には「ネタアニメ扱い」なので、今回も十分楽しめましたがw{/netabare}

・12話:面倒なので割愛
 なんかもういいやって・・・それより総評頑張ろうかなっと。

(最 終)  
・「ラブストーリー」としては残念な出来
 ストーリーは悪くないです・・・が、元々
 >シンデレラストーリーということで、コケようがない反面他の作品とどう
  差別化していくのかに注目ですね。
 その分、人物描写や地道な積み重ね等作り込みの部分でどれだけ物語に厚み
 を出せるかってところだったのですが、こちらは期待外れだったかなあっと。
 ・人物描写が雑
  → 登場人物が基本物語の進めるための駒扱いになっている。
 ・積み重ね等作り込みも浅い
  → 面白いラブストーリーが10段位の練り上げた階段を作っているとすれ
    ば、本作は3段位でポンポンポンとやっちゃってる感じ。
 例えば人物描写でいうと、あるシーンを描く時
 ・キャラをきちんと育ててる作品なら、「このキャラはどういう人間か」い
  う観点を重視し、キャラの魅力を引き出すことや整合性等といった細やか
  な配慮がなされ
  → そこに積み重ねがあり、キャラへの愛着も生まれる。
 ・本作では(その場の)「このシーンはどの見せ方が一番ウケるか」を優先。
  → それに合わせてキャラを動かしちゃってる「原作者都合」が顕著。
 って感じなので、結局あまり人物が描かれていないんですよね。
 なので、
 ・「見映え重視」なので、たしかにキャッチーさはある。
 ・しかも本作は作画のレベルが高く、上田麗奈さんらの演技も素晴らしい。
 だから「点」で観るといいシーンだなって感じる訳ですが、連続性で物語を
 観ている私にはあまり積み上がったものがなく、むしろ整合性などの面から
 違和感すら覚えてしまうという感じで、あまり面白さが感じられなかったと
 いうのが率直な感想。
 ラブストーリーにおいて人物描写や地道な積み重ねが弱いというのは、かな
 り致命的かなというのが個人的見解ですね。
 (厳しい言い方をすると、汗をかくべき部分をサボって、楽で即効性のある
  「見映えのよさ」に依存しちゃってるという印象)

・「異能モノ」としては意外とよかった
 いうても一番の魅力は作画のレベルの高さですね。
 大半の異能モノが低予算アニメで作られている現状からみると、(飛び抜け
 たアイデアがあるわけでもない)普通の異能バトルですらここまで変わるん
 かと。
 しかもこれは物語のメインでない訳で、そのシーンにこのレベルの出来映え
 とかどんだけ贅沢なんだよっとwww

最初はテンプレ展開ながらもいろいろと丁寧な作りで作画もよく期待大でした
が、3話辺りから違和感が強くなり、5話位からは「ラブストーリー」としては
もう見切りをつけた感じですね。
(この原作者、キャラ造形とか全然練り込みしてねえーなっとw)
そこからは「なろうネタアニメ」という風に頭を切り替えたって感じですね。
最終的には
「なろうが『純愛成分』多めで創ったら、こんなんになりました」
という感じの作品だったかなと。
2期決定とのことですが、そこまで続きが気になるって感じじゃないですね。
(とりあえず惰性で観てそうですがw)

あとOP「貴方の側に。/りりあ。」もあまり好みじゃなかったかな。
歌詞があまりにもそのまんますぎて・・・もうちょっと工夫しようよと。
昔、好きな曲のPVがあまりにも歌詞のまんまの映像すぎて、興ざめしたのを
思い出したw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 24
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

7話 断念します。リターンオブ香耶があるなら見ます。

7話で断念です。結局なろう系のストーリーから脱していなかったと思います。ギルドとかスキルウインドウ、レベルアップや魔物退治が無い分期待値はありました。その点は評価します。

 ですが、婚約破棄追放で王子が惚れて無双して報復するという展開でしかなかったと思います。九条デレが早すぎでラブストーリーを期待していたのに、甘々生活ものになってしまいました。

 キャラとしては香耶が濃すぎて全部持っていかれてしまった感がありました。他のキャラは内面が弱く言動に乗れませんでした。香耶の活躍があるなら見てもいいかなと思っていたらどうも一度退場みたいですね。

 ということで、ここで中止…というよりは断念の判断です。一応サブスクのチェックはして香耶が再登場するなら、見るかもしれません。

 あと作画、美しいかとおもっていましたが、明るい場面だとCG感が強い?それとも1話より落ちたのかな?美世の目がデカすぎることに気が付くと、それが気になってしかたなくなって少し気持ち悪くなってしまいました。それも断念の要因です。背景美術は良かったと思います。

 ストーリー、キャラともに2.5点ですが、香耶ポイントでキャラに+1点。作画は4。声優は美世の演技がちょっと息が詰まる感じで聞き苦しかったです、2.5。音楽は普通で3.




 2話までみました。メガネ忘れる子は諦めたので、こっちに移ろうかと思いましたが…

{netabare} 壮絶ないじめを受けている薄幸の美少女がみんなから性格を誤解されるイケメンの婚約者になる。イケメンは美少女の性格の良さとメシウマに惹かれて…え???昭和40年代の少女マンガ?
 これでもとの家族が没落するのを「助けてあげて」とか美少女がいいだしたら噴飯ものです。
 この美少女が復讐して「オーホッホッホッ、地獄に堕ちなさい」とかやってくれたら最高ですけど。

 いくらなんでもステレオタイプすぎます。見どころは??どんでん返しがあって違う家に嫁いで前よりもっと家族的立場的には不幸になるけど、能力で認められるとか?妖怪に嫁ぐとか?

 作画と美術、視覚効果とか構図はいいですねえ。話が付いて行ってないですけど…

 あ、そうか…異世界転生か…実はここが異世界なんですね???ということは婚約破棄追放ものかあ…あとはスローライフ?{/netabare}


3話 2話まで見て冗談で異世界ものと書きましたが…ガッツリのハイファンタジーで草。女の幸せを考察する作品ではなさそうです。

{netabare} 冗談で異世界とか言ってましたが、本当にガッツリのハイファンタジーでしたね。まさかロイ・マスタング大佐が出てくるとは…家系に絡んだ血の取り合い…まあ、無能力というのも作品のチューニングとヒロインの造形からいって、かなり受容的・抱擁的・癒し等々の能力を隠し持っている気がします。
 実は「魅了」でした、だったら「私の幸せ」という題名が面白い効果になりそうですけど、そうじゃないですよね?

 それと、驚くべきルッキズムというか、女を磨く=化粧と着物か…潔すぎです。そしてプラス料理です。女性の描き方が昭和の価値観なのはビックリです。つまりこういうところはまだまだ本音では需要が高いのでしょう。

 そうは言っても平成~令和の作品ですから、そこを越えて「お役に立ちたい」程度の活躍はあると思いますし、おそらくは「異質な能力」で大逆転か俺TUEEEですよね?
 最後まで無能力を貫けるなら脱帽します。それとも妊娠・出産まで行って子供が能力者なんでしょうか?それなら「幸せな結婚」の伏線は回収できます。

 で、決して大正~昭和初期ではないですよね?婚約者が家に入っているというのは特殊だと思いますが、嫁が主人と一緒に食事ってするものなんでしょうか?明治ではないので既に開明的ということ?それにしても紹介されていない上司の女性の連れの顔を覗き込むとか…
 まあ、そこが異世界感が強いと思う所以です。「後宮の烏」なども考証して云々を越えた面白さがあるので構わないですけど、真面目に「女の幸せとは何か」というのを考察する作品ではなさそうです。 {/netabare}


4話 婚約破棄追放されましたメンヘラお嬢様が、有力貴族に嫁いで立場が逆転しました!

{netabare} なるほど…久堂家関連というか、婚約・恋愛関連は主題ではない…ということですか。大正風異世界追放復讐浪漫異能バトルという感じです。いつものファンタジー世界に舞台を置き換えると、普通の婚約破棄追放で嫁ぎ先が有力貴族という感じで、プロットそれ自体はあまり目新しさは無い気がします。

 しかし舞台を置き換えたことと、虐待で精神を病んでしまったヒロインというのが、目新しいということでしょう。対妹はまさに蛇ににらまれた蛙状態でした。もうあの妹がいる限り心の安寧は無理でしょう。つまり妹がどうなるか見ものです。

 ピンチの時にヒロインに助けられて改心して精神操作されていたとか、ヒロインの性格造形を完璧にしようとして嘘臭くするのはやめていただきたい。きっぱりやって欲しいです。あるいは妹がラスボスでもいいですね。あのゴージャスな感じはやっぱり最後までそうであってほしいです。

 それにしても、改めて映像はすごいですね。アニメ技術は大したものだと思います。OPはもうちょっと動きがあれば劇場版クオリティです。
 それと、桜の描写、技術開発でなにかイノベーションがあったのでしょうか?
 
 で、気になるのはマナーです。元使用人として入り口のところで廊下で頭を下げているのはちゃんとしていると思いましたが、その使用人が上座に座っているのがどうも違和感があります。その割にまだ呼び捨てでしたし。

 ヒロインが朝、婚約者の部屋を訪ねるのに立ったままいきなり話しかけてたり。せっかく廊下で三つ指つくという描写は他ではできているのに…それだけ慌てている描写だということかと思うのですが、そこはヒロインの性格とかリアリティで言えば、やっぱり慌てていても、廊下で三つ指でしょう。
 別に異世界だからマナーが違うのだ、と言われると返す言葉もないですけど、貴族社会のリアリティラインを上げることで、作品の質がグッと上がると思います。

 作画はすごいですけど、結局中身はいつものなろう系です。このままだと、ファンタジー世界を大正に置き換えただけになってしまいます。{/netabare}


5話 バカを配置しないと物語が作れないのがなろう系の最大の弱点かなあ

{netabare} 香耶がバカすぎるでしょう。甘やかされてきたのでという事かもしれまえんけど。他人の不幸がメシウマ、他人の幸せは自分への挑戦という人物像は現実には沢山いるでしょうけど、行動がバカすぎな気がします。現実の人間はそんなもんだと言われると返す言葉もないですが、物語に配置されるとなあという感じです。
 幸次は更に上をいくバカだしなあ…それだけに香耶は闇墜ちして魔王になってほしいなあ。幸次の方が先に壊れそうですけど、幸次じゃ絵になりません。

 結界の中なのに異能の残滓…とか美世関係の進展もありますが、初めの期待から話のレベルが下がってきている気はします。というより、もともと和風の物珍しさと雰囲気だけ、という感じですけどね。{/netabare}


6話 一応恋愛もの…なんですよね?話も内面も薄くてキャラに全くのれません。

{netabare}  香耶がバカすぎなのは伏線回収があるんでしょうか?うれしくなるほどのバカっぷりですね。和装に縄…団鬼六的な淫靡さは誰かの趣味?この作画で団鬼六をぜひアニメ化してほしい。
 これは冗談ではなく香耶以外に楽しみがなくなってしまいました。

 6話です。そろそろ半分なので真面目にレビューすると、この作品恋愛が弱すぎます。2話の後半で飯を食わせてもらった、それだけ?
 一番肝心なことですが、香耶以外のキャラ全般、特に美世も九条も描写が薄すぎて、人物のアウトラインも感情の動きも伝わってこないので感情移入できません。だからラブストーリーとして成立していません。

 なろう系異世界婚約破棄もの追放ものを和風にしただけ、プロットも稚拙過ぎて話にならないし。見え見えの謎の母と能力の伏線とかかもうどうでもいいでしょう。さっさと説明しても大して面白さに変わりはありません。

 作画が凄い分余計、えっ??そんな程度?という感じがするんですけど、ここから逆転あるんでしょうか?恋愛はケリがついてるし、能力もなんかすごいのがありそうなのはわかるし。

 それと陛下って…西洋風の異世界ならいいですけど、異世界とはいえ大正日本っぽい設定で、その尊称を出してしかも悪役っぽいのって、大丈夫なんでしょうか?帳(とばり)は菊ではなく桐と鳳凰らしきデザインなので、一応ご本人ではないということなんでしょうけど、日本における陛下の尊称の対象はかなり狭い範囲の最高の方々です。
 原作はどうか知りませんが、変な事にならないようお気をつけください。

 次の7話で切るかどうか決めます。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

尽くす女と守る男に一周回って新鮮味を感じる和風ファンタジー

原作小説はWeb版、ラノベ版共に未読。

【物語 4.0点】
ヒトは同類の他者に尽くすことで幸せを感じる生き物なのだという。

女は愛する旦那様のために世話を焼くことに喜びを覚え、
男は愛する女のために身命を賭して戦う。

昨今あまり語られなくなった価値観を、
主人公・斎森美世と久堂清霞の婚約者コンビのピュアな有り様から表現される。
ここから私はまず、伝統的な結婚という制度はヒトの幸せを一定程度保証していたものだったのかなとの感想を得ました。

大体「わたしの幸せな結婚」というこのタイトル。
一昔前だったらこんな平凡な作品名で世に何かを出そうなど思いも寄らなかったでしょう。
世の中それだけ価値観の多様化が進んだということでしょうし、
この作品名から一周回ってインパクトを受けた私自身に驚かされます。

結婚が幸せの絶対条件としていない点も、この作品名を含蓄のあるものにしています。
本作は純真な主人公男女の対比として、婚姻や女を血筋と権力獲得のための政略の具とする良家の醜悪さも描く。
架空の近代日本風ファンタジーである本作は、血の宿命を代々継承される“異能”という設定で固着させることで、
自由意志だけでは振り払えない、一筋縄では行かない波乱を演出しています。


あとは、自分のお気持ちで他者の表現を規制できると思っている阿呆が目に余る今日この頃。
作り手が外野の雑音に惑わされずに書きたいことを書くには、
もはや異世界やファンタジー位しかないなのではとも感じました。

例えば本作を現実の歴史ドラマなんかにしようものなら、
左から古い結婚観の押し付けだと、押し付けがましい蹴りが入ったり、
右から{netabare} 帝{/netabare} を醜悪な悪の権化に仕立てるとは何事かと怒鳴り込まれたりしかねません。

脱線しますが、近頃はNHK大河ドラマにすらも多様性やポリコレ配慮と思しきトレンドがありまして。
2年連続で、史実の裏に典型的な男女の夫婦関係とは異なるLGBTが絡んだ事実があったのでは?とのエピソードがねじ込まれていたりします。
昨年の『鎌倉殿の13人』のLGBT回は史料の裏を読んだ脚本が見事でしたが、
今年の『どうする家康』のLGBT回は正直、蛇足だった感が否めず。


愚痴はさておき、本作のファンタジー要素や異能設定に唐突感を覚える方もいるとは思いますが、
私は大河ファンタジーは得意分野なので違和感なく完走することができました。
原作者の小学校時代の愛読書『十二国記』、『彩雲国物語』、『アルスラーン戦記』。
この辺りが好みなら、1クールでは到底終わりが見えない。
制作決定した2期へ続くというスケール感も含めて楽しめるでしょう。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・キネマシトラス

惹き込まれる映像美。

決して作画枚数がMAXという感じではありませんが、
時折見せる心情ともリンクした天候、情景描写は流石は『メイドインアビス』のキネマシトラス。
セピア調のフィルターや、主線をかすれ線にする処理など、
随所にセンスを感じる画面作りで演出してきます。

魅入ってしまうのは色彩の美しさ。
単に色鮮やかにするだけでなく、
美世を幸せにする久堂家は全体的に明るい色調。
美世を苛める斎森家は暗い色調w
と明暗を使い分けた心情表現も上々。

私が毎回楽しみだったのはHALKA氏による着物デザイン。
男が愛する女性を遠慮なく着飾る楽しみ。
これもまた語られなくなりつつある価値観ですが、
このデザインの美しさで、純心から言われたらぐうの音も出ません。


【キャラ 4.0点】
“異能を持たない”ヒロイン斎森美世と凄腕雷異能者の旦那様・久堂清霞は高濃度のピュアカップル。
美世を苛める斎森家の面々や、女を血筋としかみなさない悪役は妬みと執着に塗れる。
キャラの美醜もコントラストがくっきり。


愚かな悪女として良く踊ってシナリオも盛り上げてくれた美世の異母妹・香耶。
{netabare} 没落して奉公に出されるという形で退場してしまいましたが、{/netabare}
こういうキャラの末路や覚醒も私の好物なので、今後アニオリでも良いので出番ないかなと思ってみたり。


辰石幸次や鶴木新といった御仁は人物相関図だけ見れば、美世を取り巻く広義の逆ハーレムキャラということにもなるのでしょうか。
清霞みたいな異能の天才に生まれなかったけど家の宿命やらは背負っている。
恋のライバルとはまた違った形で美世にアプローチしてくる彼らの姿に、
理想と現実の自分との狭間で苦悩する男の渋味を感じました。


【声優 4.0点】
ヒロイン美世役・上田 麗奈さん、旦那・清霞役の石川 界人さん、
美世の幼馴染・辰石幸次役の西山 宏太朗さん。
この辺りのメインどころはアニメ化に先立ち上演された朗読劇からのキャスト継続。

アニメより先にゲームやドラマCDなどが展開された場合、
アニメキャストは変更になることが多いのですが、
本作みたいに初回から勝手を知っているキャスト陣の繊細な演技を聞いていると、
キャストの継続性ってやっぱり重宝するなと思います。

上田 麗奈さんに、どちらかと言えば元気な凛とした声のイメージを抱いていた私。
初回の上田 麗奈さんのオドオドボイスを聞いた時は、
これ終盤キャラ覚醒した時、どんだけ振れ幅大きいんだ?とワクワクさせられました。

実際、最終回見たら、{netabare} 美世は勇ましい巫女?で興奮しました。
美世が旦那様のために力強い声で宣言する相手が、弱かった頃の自分自身というのは意外でしたが。
そこの“一人二役”も含めて好演だったと思います。{/netabare}


一方で私はアニメでキャスト変更になった
斎森香耶役の佐倉 綾音さんの嫉妬ボイスや、
使用人ゆり江役の桑島 法子さんの柔和な声色にも味わいを感じていまして。
声優継続か変更かもまた良作の絶対条件でもないんだなと考え込んでしまいます。


それにしても終盤登場した堯人(たかいひと)役に石田 彰さん。
2期に向けて、良い意味で嫌な予感しかしませんw


【音楽 4.0点】
劇伴担当はエバン・コール氏。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、劇場アニメ『ジョゼと虎と魚たち』
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、劇場アニメ『金の国 水の国』
と私が連続エンカウント中の作曲家。

本作もまた緻密な心情曲だけでなく、
和洋折衷のファンタジー世界観や異能バトルなど幅広い対応力が求められますが、
上記の同氏の経歴なら何が来ても美しく彩ることができます。

同氏は日本語もペラペラですし、日本のコンテンツ産業にとって大きな力となる存在ですね。
秋からのアニメ『葬送のフリーレン』劇伴でも活躍を期待しています。


OP主題歌は、りりあ。「貴方の側に。」
“あなたの隣は私でいいですか?”などとド直球で想いをぶつけるピュアラブソング。
私は劇場アニメ『バブル』ヒロイン役&ED主題歌以来の遭遇でしたが純度は相変わらず。

ED主題歌は伊東歌詞太郎「ヰタ・フィロソフィカ」
私は『デカダンス』ED以来の遭遇でしたが、こちらもEDアニメーションの画力に負けない相変わらずのバラード巧者ぶり。


音楽は総じて私がまたアニメで聞きたいと思っていた作曲家、アーティストが、
存分に力を発揮してくれて嬉しかった感じ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 34

74.4 27 2023年度アニメランキング27位
陰の実力者になりたくて! 2nd season(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (237)
970人が棚に入れました
「陰の実力者」に憧れた少年は、道半ばで命を失い、シド・カゲノーとして異世界に転生した。新たな世界で「陰の実力者」設定を楽しむことにしたシドは、陰に潜み、陰を狩る者――シャドウを演じ、付き合いのいい配下の少女たちと闇の教団に対抗する「シャドウガーデン」を組織する。すべては妄想の産物……そのはずだった。ところが世界の闇たる「ディアボロス教団」は実在し、シドの知らぬところで「シャドウガーデン」は教団との抗争を繰り広げていた。次なる舞台は「血の女王」「妖狐」「暴君」の三勢力が統治する無法都市。そこは、ならず者がはびこる弱肉強食の世界だった。吸血鬼たちの支配者「血の女王」の討伐のため、姉のクレアに連行されてきたシドは、またとない「陰の実力者」ムーブの機会に心を躍らせるのだが……。「血の女王」を巡る陰謀が動き出し、無法都市は三つの勢力が入り乱れる。さらに姉のクレアも騒乱に巻き込まれ、シャドウガーデンも独自に行動。混沌を極める中、シドは人知れずシャドウとして暗躍しようとする。赤き月は昇り、覚醒の刻は来た――!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「月が赤い……暴走が始まる……もう時間がない」

引き続き原作未読で視聴継続。

【物語 4.0点】
全体構成は1期の2クールから2期では1クールに。
その中で「無法都市編」「偽札編」「オリアナ王国編」3つのメインエピソードを展開する。

内容は相変わらずシャドウ様が転生異世界にて、
陰の実力者プレイ時々モブムーブを満喫。
シャドウ様が最強過ぎて周りが深読み、翻弄されるループ。
シャドウもレビュタイに拝借させて頂いたお気に入りの決め台詞を何度も繰り返し、
ロールプレイをエンジョイされているようで何よりですw

とは言え、そろそろこのパターンも2期でさらに3ループもすると飽きてくる頃?
と思い始めた矢先の最終回。
(※核心的ネタバレ){netabare} 異空間転移を経て元の世界に戻ってきたシャドウ様。
彼が転生後サイバーパンク気味に崩壊した故郷という{/netabare} 衝撃的なシナリオ転回からの、
続きは劇場版「残響編」で。

これまで私はシャドウの陰の実力者妄想に現実が追い付く物だと思っていましたが、
転生にまで突き抜ける彼のロールプレイ願望そのものが次元レベルの崩壊や新生をもたらす特異点なのでしょうか?
私にとっては近年でもかなりワクワクする続きは劇場版で!の“叡智”の提供を心待ちにしております。

本作は2期1クールというより1クール+劇場版≒2クール相当の企画として捉えた方が良いのかもしれません。


「偽札編」にて信用創造が“陰の叡智”として転生異世界にもたらされ、経済戦争を巻き起こす件。
異世界転生界隈でもこうした経済ネタが提供、消費される素地があると分かったことが収穫でした。

無自覚に世界を振り回す主人公最強同士として『オバロ』のアインズ様とコラボすることが多いシャドウ様。
ここは同じくKADOKAWAが今年4月の新作アニメ放送から再起動を目論む『狼と香辛料』のホロ様との絡みも見てみたいです。
「偽札編」ではケモ耳も多数供給されたことですしw
ジョン・スミスとロレンス中の人同じですし。


【作画 4.0点】
アニメーション制作は引き続きNexus

バンパイアあり、列車上でのワイヤー武器による高速バトルありとバトルアニメーションは変わらずリッチ。

そんな中、作画の力を感じたのは最終回でのデジャヴを狙った対比。
(※核心的ネタバレ){netabare} 崩壊した現実世界にて、1期1話と同アングル、構図を多用して、{/netabare}
1期からの伏線も回収しつつ視聴者にカタルシスを与えたり、{netabare} バール最強{/netabare} のトラウマをほじくり返したりするw絵作りが巧妙でした。
視聴者の記憶を呼び覚ますには、説明都合のセリフや文字情報を長々と垂れ流すよりも、
映像で刺激した方が効果的であることを再認識させられました。


息抜き回となった8話のアニオリ水着回。
巨乳(一部虚乳)揃いのシャドウガーデンの美女たちの水着姿も眼福でしたが、
私が嬉しかったのは1期OPの白スーツの彼女たちの躍動が本編でも見られた事。

あの1期OPは現実世界の高校にヒーローとして身を潜めるシャドウガーデンというネタ映像かと思っていましたが、
2期を完走した上で見返すと、
シャドウが異なる宇宙の自分を観察している感もあって何とも意味深に感じちゃうんですよね。

そんなこんなで2期OPで描かれたシャドウ様の半生振り返り映像風にも、
何かヒントはないかと深読みしてしまう私。
完全に掌の上で踊らされていますw


【キャラ 4.0点】
私が1期で今後一番注目したいと思っていたオリアナ王国の王女ローズ。
「オリアナ王国編」でピックアップされ、おまけにドエム・ケツハットの陰謀も再提供され、
金髪や姫の転落ネタが好物の私は大満足。
シャドウ様はローズに闇の覇王覚醒ルートなどをご所望のようですが、
私は姫にはもう少しピュア路線寄りで救済と幸福をつかんで欲しいと願ってはいます。

もう一人私が1期で、またいつか見てみたいと思っていたヒロインの(※核心的ネタバレ){netabare} 西野アカネ。{/netabare}
意外と早い供給かつ、戦う黒髪美少女という、こちらも好物に再加工され提供され、望外の喜び。
そういう意味でも新作劇場版「残響編」の鑑賞は私にとってマストです。


1期では名前すら把握しきれない内にいつの間にか増殖していた感のあったシャドウガーデンの美女たち。
私は誰が推しかは未だ目移りしたままですが、一緒にいて安心できるのはデルタかなとは思いました。

シャドウに崇高な哲学があると信奉して真剣に迫ってくる絶世の巨乳美女ばかりだと肩が凝りそうでw
それよりはご主人様~♪とペットみたいに懐いて来るデルタ辺りとアホな掛け合いを繰り広げながら、
埋蔵金を発掘したりしている方が楽しいかなとw


【声優 4.0点】
主人公シド・カゲノーことシャドウ役の山下 誠一郎さん。
モブから最強までの振れ幅をカバーする彼の演技をさらに補完するゲストもスパイシーな本シリーズ。

今回は「偽札編」でシャドウが変装したジョン・スミス役に福山 潤さんを起用。
シャドウ様の特徴も捉えつつ、シャドウと既知の中であった狐も騙す変装の説得力も押さえる流石の演技。


“血の女王”エリザベート役に早見 沙織さん、教団第9席モードレッド役に子安 武人さん、強そうだったのにあっという間に退場した{netabare} CV.杉田 智和さんw{/netabare} など、
対峙する勢力の要所に実力者を配しキャスト陣は豪華。
シャドウ様も暗躍しがいがあります。


一方でヒョロ・ガリ役の松岡 茉優さんは、引き続きジャガ・イモ役の松重 慎さんとのタッグで、
アフレコで突如アドリブで{netabare} 「シドくんお金~♪」{/netabare} と高らかに歌い出すwなど、
届かぬ美女ナンパと一攫千金の夢を追い掛けるお約束のモブムーブを磨き上げる。


【音楽 4.0点】
OP主題歌はOxTが「grayscale dominator」で続投。
これまた複雑なピアノ伴奏にテクニカルに裏声を交える、カラオケで歌えなさそうな難曲でして(苦笑)
余人が立ち入れない世界観を構築し、『オバロ』と比肩するOxTの異世界転生アニメシリーズ主題歌提供は続きそうです。

『オバロ』方面からの刺客と言えば偽札編をバラード曲「Everything is Changing」で締めくくった前島 麻由さん。
楽曲提供は作詞・川田 まみさん、作編曲・中沢 伴行さんの夫妻。
まみさん歌手引退後もこうして音楽活動が続いていることを確認できると私も嬉しいです。


ED主題歌は引き続きシャドウガーデンのヒロインズが持ち回りで「Polaris in the Night」を歌唱したり。
最近知って衝撃的だったのが、ED担当順は監督がサイコロ振ったりして適当に決めていたという事実。
一見ランダムに思える順番にもきっと意味があるはず?と考察しかかっていた私w
やはり私はシャドウ様の言動を深読みし過ぎて踊らされるタイプの凡俗のようでw

そんな単純な私が、ラスト、最終話タイトル回収と共に挿入された{netabare} 1期OP「HIGHEST」{/netabare} で舞い上がったのは言う間でもありません。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 16

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

なるほど!!わからん!www

う~ん、私はこの作品の前シリーズをちゃんと見たんだろうかw。

レビューも書いているし、「タレントも揃ってきている」とか「作画がハイカロリー」とか「今後に期待が持てる作品かなぁ」とまで書いているw。

だから、きっと観たんだろう・・・(棒)


ただ「まだ評しきることが出来ない作品」とも書いている・・・。

さすが!!私!!。
でかした!これで論理的な矛盾は生じない・・・(ハズ)。



などと茶番を書いてしまうのは、正直あんまり解らんかったんですよねぇ。
いや、もちろん今シリーズもちゃんと見たつもりですし、最後まで視聴しましたし、「内容」はもちろん理解をしているのですが・・・。

あんまり、よくわからん感が残ってしまいました。
いったい、どこを目指して物語が進んでいるのか、このそれぞれのエピソードが大筋のどのあたりのイメージかがわからなかったのと、勝手な憶測として(想像としてで)も位置づけが出来なかったです。

うーん、少しわかりやすく言ってみますと・・・。
えーとですね。

自分がマラソンという競技をやっていて、走っているのは解っているのですが、ゴールまでの距離感がわからないって感じですかね。
真剣にゴールを目指しているのはそうなんですが、ゴールどこ?いつまで、どんな感じで走ればいいの?本当にゴールあるの?なんて雑念が渦巻き、
それが、なんで走っているんだっけ?まで到達した感というかwww。

何を見ているのかもわかっているし、関心があってみているんだけど、「これってどうなんの?わくわく」じゃなくて「なんなんコレ?どうなってんの?これ」感が勝ってしまった感じですw。

なので、評価には困ってしまいます。



ついでに、恥をさらすようで本当に恥ずかしいのですが、
タレントが豊富的な事を言っていましたが、まー、おっさんの目と記憶で見ているので、誰が誰だったか・・・忘れちゃったw。
数も多いしねぇ・・・美形さんばっかだしねぇ・・・。
困ってしまいます。


などなど、私自身の勝手なネガティブ評も盛り込みつつ。

物語は、それぞれのエピソードは解っていて楽しめましたが、だからどうなんの?と私の理解が追いつきませんでした。

作画は前作に続き綺麗だったと思います。
女性キャラが豊富で、美形さんが多く、景色もよろしかったです。

声優さんも特に問題はなかったかと思います。(いつもの私節ですw)

音楽も勢いがあってよかったと思います。
好みと言う訳ではありませんが。

キャラは、前述のとおりです。
多すぎて誰が誰やらわからなくなりそうです。
デルタとキツネのおねいさんが印象に残っておりますです。




いろいろ、ありましてアタマに?が生えたのは事実なのですが、これからどうなるの?といった興味関心は生きています。
機会があれば、視聴すると思いますが、(映画化が決まっているそうですが)映画館へ行くまででは無いかもです。

少しドライなレビューになっているかもしれませんが、オジサンの戯言とお許しくださいませ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 13
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

3期早く。同時発表しなきゃダメでしょ?追記 やっぱり映画でしたねえ…

 まあ、最後にきてすごい引きでした。世界観の提示とあの方の再登場。途中不満がないわけじゃないですが、上がりの3話が面白かったので、問題ありません。

 そう…物語というのはこうじゃなきゃいけません。伏線とか設定とかエピソードとかそういうのもいいですけど、重要なのは「展開」です。当初は凡百の異世界ワールドかと思っていたら…ですね。1期のOPとかいろいろ仕込んでそうでしたけど。

 本作はテーマ性は薄いですし、シャドウそのものはギャグ・アクション担当です。
 しかし、アルファ、オリアナ、クレア、アレクシア、シェリーなどサブキャラのキャラ造形がとても良くて、そこに感情の部分がはいります。この2重構造が「ワンパンマン」とは違った(いや、似てるか?)究極の俺TUEEEを実現しています。加えて、最終回でこの世界観です。エンタメとはこうでなければ。

 最終回はすごかったですが、オリアナをもう少し描いて欲しかった気がします。

 2期はやっぱり6話のアルファとオメガの対比が一番面白かったかな…単一回の演出というか脚本のうまさでいえばかなり上位に入るくらい良かったです。
 で、スタッフ調べたら、2期は脚本・シリーズ構成が全話加藤還一さん、絵コンテ・監督も全話中西和也さん、総作画監督が1話除いて飯野まことさんという方が担当されたんですね…え、ということは完パケなの?だからクオリティが高かった?

 どうせ人気出るのわかってるなら、同時発表しなきゃダメだろう?と思ってしまいますが…どうでしょう?こういう贅沢な作り方だと3期時間かかるんですかねえ…それとももう準備してるとか…早く発表してほしい。

 続きの発表ないのと、ちょっと面白くない回が2,3話あったので今回はストーリーは満点にしません。4かな。音楽と声優も4。キャラと作画を5とします。
 3期の発表みて、8話を再評価した上でもう1回評価すると思います。え、劇場版かも??考えたくないなあ…


 原作5巻くらいまで読んでて6巻も買ってるんですけど、アニメの方が圧倒的に面白くて途中から寝かしています。もう我慢できないので読みますけどね。



追記 映画かも…といやな予感が走った直後に映画の発表があり、ちょっと落ち込んでます。

 映画…お金はいいんですけど、面倒くさいのと1回だけしかみられないのでコスパと言うより、面白いところを何度もみたいんで…お金取っていいから配信になりませんかねえ…

 それと、テレビだったら見ていた視聴者は離れないんでしょうか?シリーズが下火になって逆効果はないんでしょうか?私は「青ブタ」は面倒になってしまいましたし…せっかく原作ファンだったのに作品そのものから心が離れてしまいます。その辺、マーケティング的な成功失敗は大丈夫なんでしょうか?





1話 話が分からない人は置いて行く潔さが爽快。期待以上です。

{netabare} 2期になってレベルが上がって帰ってきました。この作品を楽しもうと思わない人を置いてけぼりにする展開のスピードが潔くて素晴らしい。登場人物の説明もないです。「死にたくなければ逃げろ」「月が赤い」が気に入って、言いたくなってついでに人助けしている、というのは本作を理解している人に説明は必要ありません。そこが分からない人は1期から見てください、2期なんだから分かる人だけ見ればいいという感じです。
 この作品のクオリティに自信が感じられる無駄を省いたテンポがいい演出が素晴らしい。この制作陣には信頼がおけます。変な課金も独占もないし、風格すら感じられます。

 この超悪乗りでご都合主義の展開が面白く爽快なのは、原作の面白さをちゃんと理解し、マインドをそのままあるいはそれ以上に再現しているからでしょう。
 数多の作品が2期でクオリティを落とす中、大満足の1話となりました。このまま突っ走って欲しいです。{/netabare}


4話 通貨についてかなり面白い話です。
 
{netabare} 信用の本質はやはり感情です。貨幣に疑いが起きればハイパーインフレと取り付け騒ぎになります。そして紙幣の発行は国だけが出来るというのは法律があるからで、その法律が無ければ自治体や私企業でも紙幣は発行できます。その点では本作の今話のやり取りは正しいです。というか、その点を取り上げたのは面白い視点です。複数の紙幣が混在している状況でニセ札による信用のダウンはなかなか物語として理屈が通っています。

 そして、結構鋭い話なのに、相変わらずすっとぼけと真面目が混在して非常に面白かったです。導入の3話のあとで雰囲気が変わらないか見届けました。今期も安定のクオリティですね。{/netabare}


5話 本編が面白いというレビューはもういいでしょう。EDが良いですねえ。癖になります。

{netabare}  5話のEDテトリス花嫁オメガ…よかったですねえ。まあ、そこまでキャラには萌えないのですが、センスといか見せ方というか、とにかくいいです。クセになります。前期のアルファがかなり良かったので、2期はちょっと落ちるかなと思ってましたが、5話で認識を改めました。

 曲ですが、ドラムと管楽器の使い方が面白く、不思議なリズム感がものすごい引っ掛かりがあります。ただ、メロディーを思い出そうと思っても思い出せないという現象で、また聞いてしまうという感じです。
 この難しい歌を平然と…かどうか知りませんが、歌い切る声優さんは本当にすごいですねえ。

 本作はこういうところまでレベルが高いです。原作06巻も届きましたのでしばらくは楽しめそうです。{/netabare}


6話 あれ?信用創造じゃなかったっけ?兌換紙幣なの?俺TUEEEが生み出す歪な構造が、かえって色んな視点の物語を構成している。

{netabare} あれ?換金っていってますが、兌換紙幣だとすると、信用創造の問題じゃない気がするのですが?信用創造の場合は貸付と貸出の規模を裏付けなく「信用」だけで増やすから、取り付け騒ぎが起きるんであって、換金する「金(キンのほう)」があるならその金の範囲でしか、紙幣って発行してないからそもそも取り付けが起きようがない気がするのですが。

(追記 ちょっと調べました。話を追うと金の預かり証としての紙幣の性質と、信用創造をごっちゃにしているみたいですね。信用創造を始めた段階で金本位を止めないと、そりゃあ破綻します。これはニセ札関係ないです。そもそものミツゴシ銀行のやり方が詐欺みたいになってます。金との交換に応じるなら、紙幣と金の量をそろえないと…ドルで言えばそれがアメリカの中央銀行の地下金庫にあったと言われている金の備蓄です。たしか「007ゴールドフィンガー」に出てきた気がします。)

 それはともかく、面白いです。デルタとアルファの戦闘シーンが非常に良かったです。

 そして、俺TUEEEの歪さを逆手にとって立場による違いが非常に興味深い物語の構造になっています。デルタとアルファの知能の差によって、その構造が上手く表現されていました。
 ワンパンマン的ではありますが、本作はアルファ、オリアナそしてシャドウ等々いろんな立場がエピソードで途切れるのではなく、ストーリーの本筋になっているのが秀逸です。6話はそこにデルタが加わったのがいい対比となりました。無条件の信頼の対比ですね。
 1つのストーリーなのに様々な視点から状況を俯瞰するような展開が非常に面白いです。

 アニメの出来も含めやっぱり出色です。6話も非常に満足しました。


追記 デルタとアルファという対極ともいえるけど、もっとも強い2人のキャラとの戦いを1話に入れて、対比を見せるのが工夫したなあと思います。

 そして、その映像化の迫力が凄い。デルタが列車に迫ってくるシーンは鳥肌もので、一方で待ち受けるアルファ。性格が表れています。戦闘シーンも他では見ない丁寧で工夫があるバトル映像でした。

 そしてどちらもシャドウの正体に気が付きますが、その反応の違いがまた良い。
 ストーリーというより演出、画面作り、声優さんの演技も含め、コミカルでもありシリアスでもある見事な映像化でした。{/netabare}


7話 アルファの美しい涙すらギャグにする2重構造が素晴らしい。

{netabare} 本作の面白さが良くでてましたね。シャドウの思惑は矮小で目先の金が欲しい。それ以外のシャドウガーデンや大商会連合は真面目に経済戦争をやります。七陰はシャドウの考えが読めずシャドウの思惑の曲解で一喜一憂している。

 この2重構造が生み出すギャグを端的に見せたような話がこのニセ札編でしょう。
 それはまさにアルファとデルタの対比であり、本編と「かげじつ」の関係でもあります。

 まあ、ちょっと強引ではありますけどね。シャドウというよりはアルファのキャラ性が優れているからこそできる構造でしょう。原作をビジュアル化するときにこの2重性が胆であり、そこを強く意識したんだと思います。それが6話の2つのバトルだったんでしょう。原作にほぼ準拠しているのにアニメの方が各段に見せ方が上手かったです。だから、7話でのアルファの感動の涙がギャグになるということになるんだと思います。 {/netabare}


8話 くだらなすぎて草。逆説じゃなくて本当にくだらなかった。

{netabare} アニオリで期待してたのに…正直あの2人は普段から邪魔だったので、もう出さなくていいです。{/netabare}


9話 少しシャドウの出番を減らして真剣なパートを描いて欲しいかな。

{netabare} オリアナの深刻な想いと、シャドウのいつものフィクサー芸ですね。面白いし、演出はさすがという水準ではあります。

 が、シャドウのコミカル面よりそろそろ女性たちの物語中心に描いていいんじゃないかなと思います。シャドウパートは清涼剤としてコミカル担当で、もうちょっとじっくりオリアナとか他の女性を描いて欲しい。

 まあ、新エピソードのスタート回なのでしょうがないですが、6話のアルファとデルタの対比が素晴らしかっただけに、少し緊張感のある掴みが欲しいですね。{/netabare}


10話 9話よりかなり面白かった。視点なんでしょうか?

{netabare} 9話よりも圧倒的に面白かったです。オリアナ、七陰等の真面目な行動が相対的にギャグになるから、視点をシャドウに合わせない方が面白いということでしょうか?

 そしてギャグと同時にオリアナのシリアスストーリーにも感情移入ができるので、本当に不思議な作品です。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

74.4 27 2023年度アニメランキング27位
ゴールデンカムイ(第4期) (TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (151)
652人が棚に入れました
杉元とアシ(リ)パの新たな旅が始まる!! アイヌから奪われた金塊を巡る生存競争サバイバル、新章開幕ッッ!!! 極寒の地・樺太で「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女・アシ(リ)パが再会を果たした後、キロランケの死に直面したアシ(リ)パが金塊の謎を解く鍵を思い出し、杉元とアシ(リ)パの間で相棒の契約も更新されるに至った。だが、杉元が第七師団の支配下にある状況に変わりはない。アシ(リ)パ確保の報を受けた鶴見中尉との対峙が迫る中、共に過酷な旅を生き抜いた白石由竹、谷垣源次郎、月島軍曹、鯉登少尉は各々の目的や役目に従ってどのように動くのか? 一方、第七師団と金塊の争奪戦を繰り広げる新撰組「鬼の副長」土方歳三の一味は、引き続き残った刺青人皮の捜索を継続。さらに、杉元らの前から姿を消した尾形百之助の存在も情勢に影響を及ぼす可能性を秘める。北の大地を舞台に再び加熱していく一攫千金サバイバルの行方から目が離せない!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

たおしても たおしても猶(なお) 変人いなくならざり ぢつと手を見るw(※蛇足で実写映画版の感想も付記)

引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.0点】
樺太、ロシアから再び北海道へ。
方方にクセ強な男たちのネタを交えつつ、遠回りしているようで、
極東少数民族の団結による理想郷の建設という
アシリパ父の足跡を視聴者と共有した上で、いよいよ北海道での金塊争奪決勝戦か?
スケールの大きな原作者の構想力に唸らされる上々のフィナーレ前。

マカロニ・ウエスタンばりの盲目のガンマン、蒸気船上のバトル、ジャック・ザ・リッパーなど、
洋画エンタメテイストも一層強まった4期だったと思います。
ただし、味付けは男の肉体美が踊る『金カム』テイストでしたがw

男たちの強欲の坩堝(るつぼ)と化していく“試される大地”北海道をストレートに描いているからこそ、
アシリパさんを少数民族蜂起のヒロインにという構想は行き過ぎた理想という、
締めの問答にも含蓄があるのだと思います。


【作画 3.5点】
アニメーション制作は3期までのジェノスタジオからブレインズ・ベースに変更。

お風呂回すら男の筋肉という作風を引き継ぎ無難に滑り出すも、
道中メインメンバーの急逝により長期中断。
中核となる技術を有した一人が抜けたら止まってしまう?
マンパワー不足とはまた異なる日本アニメの現実を突きつけられた一件でした。


狂気を極めたのが{netabare} 精子探偵(笑){/netabare} の映像化w
しかし局部モザイクは必須なのに、そこから出る物に関してはフリースタイルという、
映像界隈の倫理感には苦笑せざるを得ませんw
本作に至ってはご丁寧に{netabare} 精子の一つひとつに顔まで描い{/netabare} ちゃってw
挙げ句目に入ったとかwええぃ気色悪い(笑)

妙に印象に残っているのが若かりし頃の鶴見中尉&鮎登パパによる
ド ディオン ブートン(仏国製三輪自動車)二人乗りによる騎馬との街中チェイス。
ふと女子高生の原付き二人乗りを描いた某アニメが法令違反だと火を付けられた馬鹿げた一件を思い出しました。
何でも叩かれ炎上する令和日本と違って、解放区たる明治の北海道ならば文句は言わせませんw
何ならイケメン無罪な青年・鶴見のウインクで道行く女子のハートが射抜かれるまでありますw


【キャラ 4.5点】
繭に込めた毒でデスゲームを仕掛ける悪趣味な家畜獣医・関屋という、
闇鍋にさらにアクの濃い変人を投入して開幕した4期。
だが{netabare} 土方{/netabare} の悪運は尽きること無くw

不死身の杉元、第七師団・鶴見少尉、土方歳三。
恐らく決勝を戦うであろう三強に関しては、
新規変人すら戦争帰りの彼らの最凶ぶりを引き立てるスパイスに過ぎませんw
力による恐怖支配だけでない鶴見一派の結束の原点を描いた回想シーンなど、
総じて三陣営のしぶとさを再確認する4期であったとも言えるでしょう。

変人カーニバルに目眩がしていきた終盤登場した北海道で記者していた頃の石川啄木。
外面だけは実直そうな青年を見て、まともな歴史上の人物でやっと一息付けるかと思いきや、
この啄木もまた、遊郭に通う金欲しさに煽りゴシップ記事でも何でもやるクズな“マスゴミ”変人でしたw残念w
失望のあまり?レビュタイは啄木の短歌から捻らせて頂きましたw


【声優 4.5点】
杉元に新たに絡んで来る水陸両用変人・海賊房太郎(ぼうたろう)役の関 智一さん。
日露戦争・奉天会戦で負った重傷から蘇った第七師団の実力者・菊田特務曹長役に堀内 賢雄さんが、
有古一等卒役の水中 雅章さんを引き連れ参戦するなど、
ますます渋味が濃厚なキャスト陣w

私が印象に残ったのは“地獄の郵便配達人”野沢 仁平治役の小山 力也さん。
明治の郵便局員には配達物を守るため発砲が許可されている。
私の守備範囲外だったウンチクの衝撃も相まって、
郵便局員ですら安心できない試される大地の奥深さを思い知らせれましたw


最も狂っていたのはやはり宇佐美上等兵役の松岡 禎丞さん。
{netabare} 精子探偵{/netabare} として時に喘ぎながらCV.三上 哲さんと激しい夜の“銃撃戦”を繰り広げるw
イケメンも狂人も演じ分けられる松岡さんならではの怪演でしたw


【音楽 4.0点】
OP主題歌はALI「NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D」

ドラムの不祥事脱退から再起した同バンド。
放送中断中に本曲も含めた念願の1stfullアルバム『MUSIC WORLD』をリリース。
ジャジーなノリなど強味が存分に発揮された良盤に仕上がっています。

それにしてもサビのOPアニメーションで踊る海賊房太郎ら男たちの肉体美の狂宴。
ボディービルダー大会にしか見えませんw


ED主題歌はTHE SPELLBOUND「すべてがそこにありますように。」

元・BOOM BOOM SATELLITESの中野 雅之氏が結成した同バンド。
2023年にはブンサテ25周年ライブを敢行するなど、本EDもまたブンサテ継承色が強い作風。
が、ブンサテだけでなく、“消えない傷をあげる 口づけの代わりに”など、
愛より強欲に踊る、地獄の特等席予約済の男たちの群像を芯で捉えた歌詞世界が心に染み渡る良質な主題歌でもあります。

EDアニメーションでは明治の新聞記事風に変人キャラたちを総覧。
ここでもやはり白石は下品なネタ担当w


【付記】
先日、話題の?実写版『ゴールデンカムイ』劇場鑑賞に行ってきました♪

内容は凄くお金のかかった俳優コスプレ芸による良く出来た再現映像。
傑作までは行きませんが、少なくともコンテンツを台無しにする痛い実写化ではない。
最終章アニメ化に向けても弾みが付く興行成功例だと思います。

近年は俳優さんも演技だけでなく、原型留めないくらいの特殊メイク施したり、
美人の山田 杏奈さんも“オソマ”に顔をしかめるアシリパさんの変顔芸を披露したり。
アニメキャラものまね芸みたいなこともして大変だな~と。

VFXとCG技術を駆使して再現されたヒグマには一見の価値はありますし、
ちゃんと飯テロでチタタプ、ヒンナヒンナしてましたし、
何より実写で撮られた真冬の北海道は“背景美術”としてチートレベル。
『金カム』愛は確かに感じられる実写映画でした。

アニメでは尾形百之助役を演じる津田 健次郎さんのナレーションで、
TVアニメ1期をネットリと振り返る総集編として復習するには有用な一作だったと思います。

人間を殺したカムイは地獄に落ちる。
だから汚れ役は地獄行き確定の杉元がやり、アシリパさんには手は汚させない。

4期の男たちの狂騒の中で忘れ去りそうになる杉元とアシリパの旅の原点も実写映画で久々に再認識。
アシリパを革命のヒロインとして戦わせるか否かは論点ではない。論外なのだ。


※アシリパのリは小文字表記。



以下、過去投稿分。ネタバレタグに格納。

2023年4月~仕切り直しで初回から放送

{netabare}
制作の根幹を担う人材喪失からの体制再建という特殊な事情の延期ということで心配されましたが、
この春クールに初回から改めて放送という流れになったようです。

ですが、本作の復帰により、春アニメの層の厚さがさらにもの凄いことに。
どの作品の視聴を優先するのか?
試される大地。北海道。
試される2023年・春アニメw{/netabare}



【42話迄の感想】メインスタッフ1名の急逝により長期放送延期……

{netabare}
{netabare}狂気の運試しを仕掛ける毒マニア・関谷。
異常発達した聴覚で追い込んでくる都丹。{/netabare}
など4期になっても相変わらず超ド級のイカれた刺青囚人が続々と新規投入されるも、
メインどころがそれ以上の貫禄で存在感を示す、試される大地・北海道。

シリアスになるほど、敢えて下ネタ含めたギャグを振り切って、
ぶち壊しになるスレスレで、極限のエンタメを成立させる。
作品独特の際どいバランスを再現した映像に酔いが回って来たところ、
上記の通り、長期放送延期という一報が飛び込んで来ました。
(放送情報見る限り年内再開はない模様)
ご冥福をお祈り致します。


逝去されたスタッフについては氏名、ポジション等が公表されていないので、詳細は分かりませんが、
私にとっては2つの意味で衝撃が大きかったです。

1つは、効率化しているであろう今のアニメ制作現場においても尚、
必要不可欠なメンバーが1人抜けたら、制作が成り立たない事態が起こり得るという点。
昨今もコロナ禍で、物理的にマンパワーが不足して放送延期というパターンは多々ありましたが、
今回は、アニメ制作も未だに個人の才能に依拠した芸術、職人の世界なのだろうか?と再考させられる一件でした。

もう1つは、私はハマっているアニメが放送終了、延期した場合は、
同ジャンルの別作品でロスを凌ぎますが、
『金カム』の変わりはないぞ~という意味でショックが大きかったです。


4期は主題歌もお気に入り。担当アーティストの足跡にもドラマを感じます。

OP主題歌「NEVER SAY GOODBYE feat. Mummy-D」を担当したのはALI。
2020年『呪術廻戦』前期ED「LOST IN PARADISE feat. AKLO」で一発当てて、このまま一気にブレイクか?
という矢先、ドラム担当が詐欺事件で逮捕→無期限活動休止→全曲配信停止に。
半年後、活動再開するも、さらに離脱者が出て、グループ半壊状態から再起を期すことに。
身から出た錆とは言え、苦難が続く中、『呪術廻戦』以来、2年ぶりのタイアップでアニソンに戻って来たのが本シングル。

ED主題歌「すべてがそこにありますように。」を担当したのはTHE SPELLBOUND。
同バンドはボーカルの病死を経て活動終了したBOOM BOOM SATELLITESのベース&プログラミングの中野 雅之氏が、
THE NOVEMBERSの小林 裕介氏をボーカルに迎えて結成したロックユニット。
アルバム配信等を経て本作が1stシングルCDとなる。
2人のドラムのサポートも受けたパワフルなサウンドには新味もありますが、
バンド名もブンブンの曲名から取っており、音楽性にも共通点を感じ、戻って来てくれた感の方が強いです。


何が言いたいのかというと、『金カム』スタッフ陣も今は物理的にも精神的にも、
ダメージを負って先が見通せない状況かもしれませんが、
主題歌アーティストのように意志があれば必ず戻って来られるということ。
スタッフさんたちも42話の{netabare}白石ゲ○説教回{/netabare}で中断したままというのは本意ではないでしょうから。

4期になって杉元一行、第七師団、土方一味と、
各々の勢力に“モグラ”、二重スパイが潜り込み化かし合う。
本格スパイ映画並みに人間関係も複雑化しているので、
私も放送中断中、せいぜい人物相関図を眺めて整理しながら、再開を待ち望みたいです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 25

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

魑魅魍魎跋扈

原作未読 全13話

ゴールデンカムイの4期です。関係性から1期から観ることをおススメします。

舞台は再び北海道、金塊の場所が分かる刺青をしている元囚人を追うお話となります。

相変わらず下ネタが多いお話が多いですねw(特に宇佐美は酷かったですねw)

もちろん、シリアスなところも沢山あります。

新たなキャラも出てきて、勢力図が色々と変わりましたね。

今回のお話でも誰が金塊を手にするのか全然分かりません。

でも雰囲気はラストスパートに向いている感じはしました。

OPはALIさん、EDはTHE SPELLBOUNDさんが歌っています。

最後に、5期の制作が発表されました。最終章ということでどうなるのか楽しみですね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 19

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

おはよう世界、今日も狂っているね、実に健全だ。

原作は終了まで追っていた作品。

よもや、第4期~視聴する方、または第4期のみ視聴する方もおるまい。
ここまで、アニメ版を1期~視聴してきた、この作品の内容に耐えうる皆さま、この物語、登場人物に魅かれた仲間の一人としてレビューをさせていただきます。

物語はスケールのでかさ、物語の複雑さを考えれば、そのオリジナリティも含めて稀有なレベルで「特定の」大人向けアニメ枠。
そのスケールのでかさも、やたら宇宙だ、世界だなんていう話ではなく、フィクションとは言え、歴史や地理的な要素も含めて説得力ありあり、視聴者に「ほーん」と思わせるまであると思います。


作画は、狂った人物を多数描きながら、狂っていないw。
そして、破綻なく描き切っていると感じた。
これも、大人の視聴に十分耐えれるレベル。


声優は、くそ!おっさんばっかなのに、なんでこんなにおもしれーんだwってレベル。
登場人物もインフレ気味にもかかわらず、どいつもこいつもキャラ立ちしやがって、力量のある声優の演技を絵ががっつりと受け止め・・・、いや、逆もあるか、濃い絵を声優さんたちががっつりと取り込んで、なのかわからないですが、中の人と絵の相乗効果ってこういう事なのかねぇ、と実感。


音楽は、OPかっけえっすね。
やっと物語のスケール感に追いついてきたのかなって、思いました。
ジャンルは違いますが「進撃の巨人」のスケール感に追いつけ、追い越せで並びかけてきたような印象(ここは完全に個人の印象、感想ですが)。
まさか、まっぱのオッサンがポージングしているシーンを「クソかっけえ!!」と思う日が来るとは意外でした。
これは、総合的にはかっけえOPのランキングに間違いなく入れたくなると思いました。

EDについても、新聞記事スタイルで各キャラが描かれるのですが、歌詞が各キャラクタ、そしてその人間関係、未来への姿までを内包するような歌詞で、鎮魂歌の様にも聞こえ、登場人物のつながりや、思い、しがらみ、などなどを受けとめるようないい歌詞だったと思います。
登場人物の人間関係を総括するようなものに聞こえました(私はねw)。


まぁ、いろいろとらしいことを書いてきたのですが・・・。

なにが、この物語をそこまで面白く感じさせ、惹きつけられるのか。
もちろん、大変興味深い「物語の結末」に魅かれるのはもちろんとして、多分なのですが・・・、以前にもレビューに書いたかもしれませんが、この物語に登場する「狂った登場人物達」、どれも、あり得る人間の姿、いや、既にあった人間の姿なんですよね。
そんなはずないって?いやー興味があれば過去世界であった猟奇的な事件を調べてみて下さい、この物語でみた様な人物がいますようw、ま、おススメはしませんが。

ですから、一歩間違えば、私(自分)だってそういう風になるかもしれない、人間の中にある「何か」が暴走した姿だと思っているのです。
だから、わずかながらでも共感し、興味を持ち、魅力的に見えてしまう、そして、人間誰しもが倫理観やルールをぶっ飛ばして好きにやってみたいという気持ちを千分の一、万分の一、億分の一、もっと少ないかもしれないけれど、必ず持っているはずなのです。

え?私(俺)は違うって?
貴方はウソつきですねw私は貴方とはオトモダチニナレソウハアリマセンw

とにも、かくにも、そういうった人間が持つ本質の一部をあからさまに表現している、そこに魅力を感じているのではないでしょうか。

もちろん、ネガティブな人間の本質ばかりがフィーチャーされているわけでは無いですよ、アシリィパの真っすぐとした人間性が、そして、そのアシリィパの人間性、未来をそのまま守ってやりたいと願う杉本の心、これもまた、希望を信じる「人間の本質」の一端でしょう。
・・・そのために、手段は選らばないようですが・・・w。



ああ、スイマセン。
この機会をいいことにまたいらぬことを書いてしまいました。



さて、キャラクタについて、今少し。

今シリーズでは、意外とアシリィパさんの活躍するシーンは少なかったですよね。最終盤にすこし、いつものアイヌ飯的なシーンがありましたが、その他はちょっとボリューム少なめでした。
あとは貴重な女性キャラのインカラマッも魅力的に描かれていましたっけ。
家永はアレですし、あとはお子様・・・、ソフィアは・・・う~ん。


こう考えると、本当に野郎キャラばかりですなぁ。

特に個人的には~第5話あたりまでの、おっさん、じいさん連中のカッコよさは異常ですね。
久々に、女性キャラ抜きで魅力に溺れそうでしたわw。


そんな中で、今シリーズで私が一番記憶に残った野郎と言えば・・・。


ダララララララララララララララララ・・・・・ジャン!!






門倉です!!


いやぁ、門倉看守部長でしたっけ、このキャラいい味出してました。
少しとぼけた感じと言い、知らず知らずのうちに運で災いをシレっと回避しているのに、そこに気づかずとぼけた感じ。
これは、中の人:安原義人のベテランの力量、味、が最大限発揮されていたと思います。
安原さんは役作りをあまりしないと聴いたことがありますので、きっと、まんまのキャラとしてマッチしたんじゃあないかと個人的には思っています。
キャラのフェイスはだいぶ違いますが「雲のジュウザ」を思い出しました。
とてもうまい演技だったと思います。




この後のシリーズの告知もあったようですが、尺的にどんなものかはわからないのですが、そろそろ終盤戦に突入していくことになろうかと思います。
最後は、鶴見、土方、杉本たちが激しく交錯しさらにカオスな状況になっていったと記憶しています。
エンディングに向けて、今しばし、この狂った世界を共にしようではありませんかwww。




あ、ところで、実写化も決まっているそうですが・・・。
この狂った、そして魅力的な世界を「正しく」描いて欲しいものですね・・・。
悲惨な実写化をたくさん見てきましたのでね・・・余談でした。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

74.3 29 2023年度アニメランキング29位
ウマ娘 プリティーダービー Road to the Top(Webアニメ)

2023年4月16日
★★★★☆ 3.9 (174)
517人が棚に入れました
クラシック三冠レース『皐月賞』『日本ダービー』『菊花賞』一生に一度だけ挑戦できるそのレースで勝つことは、すべてのウマ娘、すべてのトレーナーにとっての夢である。『ナリタトップロード』『アドマイヤベガ』『テイエムオペラオー』三強と呼ばれたウマ娘たちが、絶対に負けられない想いを胸に頂点を目指し競い合う、熱い熱いクラシック戦線。――ウマ娘の新シリーズ配信アニメプロジェクト、いよいよ始動です。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

これでまたナリタトップロードのファンが増えてしまうのか……(いいぞもっとやれ!)

1999年のクラシック戦線を題材にした全4話のOVA作品。
『ウマ娘』YouTubeチャンネル「ぱかチューブ」内で配信済。


【物語 4.5点】
今回『ウマ娘』にとって大きかったのは、題材とする競馬レースに例えばトウカイテイオーの有馬記念クラスの、そのままアニメにしても感動できる伝説級がなくても上々のシナリオが組めたこと。

全4話で描いたナリタトップロード、アドマイヤベガ、テイエムオペラオーの3歳牡馬クラシック路線。
特に上手く脚本してきたなと感心したのがアヤベさん。
{netabare} アドマイヤベガは双子。競馬では双子は互いの能力を奪い合うため、片方は処分される。
アヤベ出生にまつわるエピソードは使って来るとは思ってましたが、
亡き妹への贖罪による闇落ちを、菊花賞の凡走に絡めて行く。
純粋に走りを楽しむトプロと、罪悪感と重圧を背負ったアヤベ。光と闇の対比。
ここまで有効活用してくるとは思いも寄りませんでした。{/netabare}

競馬ファン以外にはあまり知られていないレースでも、丹念にネタを拾い集めて感動作に仕上げる。
安定してこれができるなら、今後、相当マニアックなウマ娘でも行けそうです。


またトプロの現役時代は6歳まで続くわけですが、その一部だけでも作品として成立させられたのも大きいです。

3期キタサンブラックの競争生活も長いので、取捨選択した時どうかな?との懸念もありましたが、
今はどの辺りをピックアップしてくるのか楽しみの方が大きいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CygamesPictures

2期で進化したウマ娘ごとのCGモデルの細分化による個性出し。
加えて本作ではウマ娘の激走に合わせて大胆に崩した腕の主線。
先行ウマ娘を鬼の形相で捕まえに行く顔芸。
など演出、エフェクトの強化によりレースシーンはさらにパワーアップ。

レース中展開するドラマ性の面でも菊花賞にて{netabare} アドマイヤベガが宿命から解放される{/netabare} カットなどは、
星空などをモチーフにした大胆な背景変更。
小宇宙(コスモ)でも燃えているのか?って位コテコテ。
もはや競馬場では何が起きても驚けません。


【キャラ 4.5点】
主人公ウマ娘のナリタトップロード。
この3歳3強世代は馬も熱いが、騎手も熱い。
トプロの渡辺 薫彦騎手、オペラオーの和田 竜二騎手。
両若手騎手がダービー連覇を狙うアヤベ主戦のエース・武 豊騎手に挑んでいく。
所属厩舎のトレーナーもジョッキーを育てるつもりで素質馬の手綱を託す。

走れそうな馬が出てきたら、すぐに外国人ジョッキーに乗せ替える昨今の競馬界ではあまり見られない人情劇。
レース後に号泣するトプロなど、このウマ娘の言動には渡辺騎手のエピソードがかなり反映されています。
トプロも渡辺騎手も生真面目で不器用な委員長タイプなのです。

トプロのトレーナー沖田も渡辺騎手の面倒を見た沖トレーナーに、着用ジャケットまで一致させるレベルで寄せて来ており。
2期までのチームスピカのトレーナーとはまた違った、昔ながらの厩舎の師弟関係を体現。


全ての実在競走馬の権利を網羅できていないという課題を抱える『ウマ娘』
今回は2022年にゲームアプリに実装したアドマイヤベガが登場。

故・近藤 利一氏が築き上げたアドマイヤ軍団の権利初取得は大きな一歩。
この調子で最大派閥の社台グループや、金子真人HD(ディープインパクト、キングカメハメハなど)のウマ娘化実現によるコンテンツ拡大を目指して欲しいです。

一方で残念だったのはラスカルスズカを実名で出せなかったこと。
{netabare} 菊花賞で馬券に絡んだサイレンスズカの半弟なのに、ウイニングライブも描写が飛ばされ、アンコールで3強のステージに取って代わられたのは不遇でした。{/netabare}

あとはトプロの父・サッカーボーイも実名なし。
ただ代わりに登場した?“トプロの父親”は気性難のスピード種牡馬からスタミナ活躍馬が輩出された摩訶不思議を忠実にキャラ表現できていました。
サッカーボーイはオグリキャップを描いたコミック『~シンデレラグレイ』の時代でも活躍する社台系なので是非ウマ娘化して欲しい一頭です。


【声優 4.0点】
テイエムオペラオー役の徳井 青空さん。
常に自分が主役のオペラを演じ続けるかの如く。
ナルシストなノリで「世紀末覇王」を自称。
割りとストイックなトプロとアヤベの間に割って入って空気を変えるボクっ娘を、
「はーっはっはっは!」と明快な高笑いで好表現。

対照的に「はぅぅ~」と自信なさげなロリボイスを響かせるのが、
オペラオーを慕うメイショウドドウ役の和多田 美咲さん。
仮にも後に活躍する{netabare} グランプリホース{/netabare} なんだから同キャストの『ぼざろ』後藤ひとりの妹・ふたり位、ふてぶてしくても良いとは思うのですがw
これはこれで庇護欲をそそられるので良き。


沖田トレーナー役の土田 大さんのしわがれ声。
トプロ役の中村 カンナさんの真っ直ぐな台詞を、優しく包み込む味わい深いボイス。
掛け合いが温かかったです。


【音楽 4.0点】
OP主題歌は3強による「Glorious Moment!」
キーを上げて、ピッチも上げて行く、疾走感溢れる良作。
ウマ娘たちが躍動するOPアニメーションも出色の出来栄え。
5/10(水)リリースのサントラ楽曲集収録のFullver.聴きましたが、
最後まで駆け抜ける構成が素晴らしいですね♪
早速、朝のスタートダッシュ用プレイリストにゲートインしています♪

劇伴は複数作曲家のBGMを使用。
斎木 達彦氏のシンフォニックロック風のレースBGMは末脚爆発って感じでテンション上がります。
一方でEDはOP主題歌のピアノインストで静かに締めくくり、心情もしっかりフォロー。
ま、最終話EDは{netabare} 「うまぴょい伝説」でぶち上がるんですけどね。{/netabare}


【1話感想】長いので折りたたみ
{netabare} アドマイヤベガ、ナリタトップロード、テイエムオペラオー。
3強体制となったクラシック路線。

本作はナリタトップロードを主役に据えて来ました。
トプロの主な戦績{netabare} G1制覇は菊花賞のみ。{/netabare}
決して圧倒的じゃない。
にも関わらずトプロはファンに愛される馬。
足跡をまとめたDVDまでリリースされています。

ライバルのアドマイヤベガは父が米国二冠馬サンデーサイレンス。母の父が凱旋門賞馬トニービン。
生産界の覇者・社台グループ。
アヤベは社台が長年積み重ねて来た血統の総決算。
華奢な馬体にクラシックは獲って当たり前の宿命を。
鞍上にエース武豊騎手を。諸々背負った超良血馬。

もう一強のテイエムオペラオーはセリで1000万円で購買された馬だが、祖父サドラーズウェルズなど重厚な欧州血統を背景に持つ。
後に成り上がり“世紀末覇王”として君臨する名馬。
本格覚醒前のこのクラシックはその序章といった所。

そんな猛者たちに門別の小牧場出身の父内国産馬(※)トプロが、大跳びのズブい脚で、決してトップジョッキーとは言えない渡辺 薫彦騎手の懸命の騎乗に応えて、果敢に挑む姿に、人々は競馬のロマンを感じるのでしょう。
(※当時の生産界はサンデーサイレンスなど依然、外国産種牡馬の優勢が続いており、内国産種牡馬保護のためマル父専用重賞が開催されていた。)


以上を踏まえた本作。初回から期待以上の仕上がりで抜群の手応え。

小回りコーナーで膨らむトプロ。
“あの娘のために”無茶を重ねて走るアヤベ。
オペラオーを慕うまだ条件馬のロリ可愛いメイショウドトウ。

キャラに込められた競馬ネタも豊富でニヤニヤが止まりません。

ただオグリキャップにアドバイスされるオペラオーの元ネタは、私も見た時は分かりませんでした。
{netabare} テイエムオペラオーは出世が急激で、クラシック登録されておらず。
皐月賞には追加登録料払って出走したというエピソードは知っていました。
ですがハードなローテで皐月賞挑戦を決断した裏に、かつてオグリを管理していた瀬戸口 勉調教師の助言があった件は今回元ネタを調べて初めて知りました。{/netabare}
競馬には私が知らない伝説がまだまだたくさんあります。


CygamesPicturesに“乗り替わり”となったアニメーション制作。
コンテンツ成功で羽振りも良いのか、ウマ娘たちのレースシーンの進化には目を瞠(みは)るものがあります。
今回は特に大胆な中割りで疾走感を出す動画が素晴らしいです。

私も、コンテンツのティザーPVにて、棒立ちのウマ娘CGが集団で走るシュールな光景を目撃して、競馬舐めてるのか?と反感を覚えた口。
ですが本話に至っては、春雨の中、激闘を繰り広げるウマ娘たちの姿を見るだけで感動できます。
この作画クオリティで3期以降でキタサンブラック雨中の死闘など是非見てみたいものです。


その上で展開されるウマ娘たちのドラマも上々。

「最も速い馬が勝つ」皐月賞。
「最も運のある馬が勝つ」日本ダービー。
「最も強い馬が勝つ」菊花賞。

牡馬クラシック三冠。競馬界お馴染みの格言も噛み締めながら残り3話見守りたいです。


それにしてもレース解説役にまさかの{netabare} 元中日投手・山本昌氏{/netabare} を起用した件だけは謎ですw{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 29
ネタバレ

Rye さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

無料でこのクオリティ

この作品はウマ娘のYouTubeの公式チャンネルであるぱかちゅーぶにて全4話構成で無料配信かつ、動画間や動画が始まる前の広告がゼロ!のアニメで、無料かつ4話構成で、1期2期のスタッフの方々とほとんど違うので正直どうかなと不安に思っていたのですが、そんな不安を抱いていた自分が馬鹿だったと思い知らされるほど素晴らしい1話でした。
まず、この作品はナリタトップロード、アドマイヤベガ、テイエムオペラオーに焦点が当たっており、皐月賞、日本ダービー、菊花賞のクラシック三冠について描かれています。
1話にて早くも皐月賞について描かれています。

{netabare}
私は、展開を知りたくないためあえて史実を調べずに見ていますが、正直クラシック三冠の一発目の皐月賞は、なんだかんだ言ってトップロードが1位を取るんだろうなと思っていましたが、この1話で1番描かれていなかった?テイエムオペラオーが三冠の1つ目を手にしたことにまず驚きましたし、予想外でした。{/netabare}
あと、4話構成ということで、このウマ娘というコンテンツにはなくてはならない、彼女達のレースに至るまでの努力や、苦悩をどのようにして4話の尺に収めるのか正直そこがとても不安でしたし、努力や苦悩を全部すっ飛ばすとなると、キャラクターへの感情移入もしづらくなるし、一気に作品として薄くなると思い懸念していましたが、そんな不安も感じさせないぐらいしっかり、努力や苦悩であったり、各キャラクターのレースにかける思いが詰め込まれていて、とても上手く構成されていてストーリーとしてもとても良い物になっていると感じました。{netabare}ストーリーでも一泡吹かされたし、{/netabare}作画が本当に無料で放送していいレベルじゃないぐらい良くて何なら2期よりも気合入ってるのでは?と思うほどでした。
具体的に言うと、感情移入するには欠かせない要素である、キャラクター一人一人の心情を表す表情の描き方が本当に心動かされるものになっていたし、表情だけでどんな気持ちを抱いているのか分かる解像度の高い作画は本当に素晴らしいの一言でした。
あと音もとても良いし、OPの楽曲もアニメーションも共に非常にレベルが高いものになっており、本当に無料で見ることに罪悪感を覚えるほどの完成度でしたし、劇場で映画として流しても違和感がないのでは?と思う程の完成度でした。
これから先あと3話分もとっても楽しみだし期待したいと思える1話で滑り出しとしては最高の1話だなと思いました!


【追記】
全話見終わりましたが、作画、音響、構成、シナリオ、演出、キャストの方々の演技全てが圧巻すぎました。
本当に大団円で終われたと思ってます。
{netabare}最後のレースも演出が上手すぎて、菊花賞までアヤべさんがかっさらうのかな?と思ってしまうぐらい、最後までトップロードが勝つ確信が持てなかったです。
本当に演出が上手くて、史実を調べていないが故の楽しみ方と言いますか、本当に誰が勝つか分からないので、尋常じゃないぐらい手に汗握るし、もう何もかもが熱かった!{/netabare}
もう、音響が今期というかおそらくどのアニメ作品と比較しても引け劣らないレベルの音響のこだわりと音響の良さ、あと可愛いもかっこいいも両方凌駕する圧倒的なまでな作画力と、{netabare}ウイニングライブ{/netabare}のアニメーション技術が本当にレベルが高すぎて本当に驚かされましたし、本当に史実に忠実に作られた愛された作品なんだなと心から思いますし、キャラクターたちも皆味があって素敵な子たちばかりです!
もう、正直非の打ち所がないレベルに洗練された素晴らしい作品だったなと本当に心の底から思います!
しかもこれでいて完全無料なのが本当に異次元ですし、もし気になってて見てない方がいらっしゃったら、正直無料公開されてる間に見ないと後悔するレベルの作品だと本気で思っているので、気になっている方は是非これを機にウマ娘というコンテンツに触れてみてもらえると嬉しいですし、初見でも全然楽しめると思います!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

その時、馬は泣いたのか、笑ったのか・・・。

このレビューの土台となっているのは、過去作のウマ娘作品に対する自身のレビューである事を前置きした上で・・・。

「その時」に、リアルの、史実の競走馬は泣いたのか?笑ったのか?


・・・正直判りません。


何故、走ったのか・・・。

走る「生き物」だったからなのか・・・。
走るのが仕事だったのか・・・。
鞭で打たれるのが嫌だったのか・・・。
それとも、楽しかったのか・・・。


やっぱり、わかりません。


その馬たちが走り、結果を残し、史実に名を刻んだ。
その裏で、いろいろなドラマがあり、関係した人たちの思いや、願い、失望、があったことも事実です。

我々も、いろいろな思いを重ねたかもしれません。


でも、お馬さんたちがそんなことを気にしていたかどうか・・・。


わかんないですw。


結局、わかんない事だらけなのですが。

このアニメ作品は、とりあえず、史実などをかみ砕いた上で、それをわかるよように見せてくれます。
何故なら、それぞれのウマ娘が自身の願いを口にし、思いを表し、行動します。
もちろん、これはこの作品をつくった人たちのバイアスがかかっている事でしょう。
それを踏まえた上でも、面白い、何なら、心が震えるまでもある。

もしかしたら、そんなものに乗せられて、心を動かすなんて、ただの勘違いかもしれません。
そんなものに影響される自身はバカなのかもしれません。


おどる阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損・・・。


心が動き、楽しんだり、悲しんだりできるのなら、乗って楽しめばいい。
一つ心が動くエピソードを詰めるだけ、人生が豊かになるw。

そんな気持ちで、楽しんで観ていました。



何ですかね、競走馬を擬人化して、それも全てが美少女。
このいびつさを指摘されることに「ですよねぇ、わかります」と答える自身もいるのですが、
「でも、いいじゃないすかwそれくらい」と言ってしまう自分もいます。

そちら界隈の人たちから見たら「とんでもない人間」なのかもしれませんが、おかしいと思うのなら、あなたたちが「美男子ばかりのもの」をつくればいいじゃないですか、禁止されていませんし、私も認めますよ、と答えます。
これも、ある意味フラットなモノの見方だと思いますw。


ああ、また余計な事を・・・。


今作は、4話で終わりという事で、コンパクトに作られ、スポットはナリタトップロード、テイエムオペラオー、アドマイヤベガの3人に平等に振り分けられていた気がしています。

トップロードはメインヒロインでしたね。
正統派な役回りで、菊花賞ではしっかりとまとめ役として活躍しましたが、少しあっさり目でしたかね。

アヤベさんはダービーを獲得しましたが、少し重めのキャラクターになっていました。
少し、意外でしたが、出生時のエピソードを知っている方なら、うまく物語にしたという評価もできるかもしれません。
でも、個人的には少し重すぎたように思いました。

で、今作で、一番好きだったキャラは実はオペラオーです。
作中でも「へんなキャラ」扱いをされていました。
実際、私自身がトレーナーとしてwウマ娘をプレイした際にも、これは濃いキャラだなぁ・・・と少し苦手意識を持ったものです。
しかしながら、今作中では、自身の目標を公言し、努力も惜しまず、その上でなお、プレッシャーに苛まれる姿も描かれていました。

その姿を見て、私は「世紀末覇王になるのも大変だ・・・」と当たり前の事に気づいたのです。
そりゃそうだ、言っただけで成れるのなら、こんな楽なことは無い、と。

そして、そんな中でもなお、あのキャラを維持しているオペラオーが一気に好きになりました。



あー、一体、何を書いているのかわからなくなってきました。



とにかく、ウマ娘が世に出て、もう何年もたっています。
いずれ、消えていく事にもなるのでしょうけれど・・・。

1期、2期、BNW、RoTと楽しませていただいています。
今作も、十分楽しませていただき、感謝しています。

願わくば、この勢いが今しばし、続いて欲しいと思っている所なのですがw。

さて、3期については、いつごろから視聴開始しようかw。
全部そろってから、観ようかと思ったりもするのですが、昨今は、某youtubeでの同時視聴なんかも楽しいので、どうしたもんかなと考え中です。

まぁ、お気に入りの配信者さんをとっかえひっかえ、何回か視聴するのも楽しそうかな。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 24

74.3 29 2023年度アニメランキング29位
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない(アニメ映画)

2023年6月23日
★★★★☆ 3.9 (92)
486人が棚に入れました
高校二年生の三学期を迎えた梓川咲太。
三年生の先輩であり恋人の桜島麻衣と、峰ヶ原高校で一緒に過ごせる学生生活も残り僅かとなった。
そんななか、長年おうち大好きだった妹の花楓は、誰にも明かしたことのない胸の内を咲太に打ち明ける。
「お兄ちゃんが行ってる高校に行きたい」
それは花楓にとって大きな決意。
極めて難しい選択と知りながらも、咲太は優しく花楓の背中を押すことを決める。
『かえで』から『花楓』へ託された想い。
二人で踏み出す未来への物語。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自己同一性を取り戻すための花楓のお受験

引き続き原作未読で劇場鑑賞。

【物語 4.0点】
ゆったり。

元々60分の短尺予定の所、最終的に73分に。
前作『ゆめみる~』は90分弱に要素を厳選して押し込み、
私など刺さる人にはカタルシスをもたらす傑作に。

一方、本作はジックリと妹・花楓の進路を見守る感じ。
前作みたいに集中力を上げて急展開に付いていこうとイレ込むと、
思わぬスローペースに面喰らうかもしれません。

花楓の“思春期症候群”は{netabare} 2年間入れ替わった別人格のかえでに記憶を取って代わられる。
その背景にはイジメからの不登校という高ストレスがあった。{/netabare}
花楓は未だ他者からの視線に過剰反応する症状を引きずっている。
その上、欠損した過去の記憶の空白とも折り合いを付けようと苦慮している。

そんな花楓が懸命に人生を選択し高校受験に挑んでいる姿を見たら、
私はテンポはゆっくりで良いからとしか言い様がありません。


偏差値や内申点の厳しさを度返ししてでも、兄・咲太や“みんな”と同じ公立高か?
妥協して花楓の学力レベルに合った、内申点評価の少ない私立か?
“普通”の学校での人間関係が花楓にとって苦痛ならば、通信制などの選択肢もある?

特に通信制については“ちゃんとしていない”イメージ払拭のため、
説明会に留まらず、当事者の生の声を聞きに行くという展開を挟むことで、
花楓自身は本当はどうしたいのか?熟慮を深める。
過去の自分とのポジティブな折り合いの付け方について示唆を与えた“取材”には、
普遍的なメッセージ性がありました。


一点“リアリティの無さ”に好感したのが、子供の進路にお金の話を持ち込まなかった事。
親の経済的負担という“ノイズ”を挟まなかったことで、
焦点を、花楓の心の問題に絞れていたと思います。
(不純な私は、あれだけサポート充実した通信制高校は、お値段も中々なんだろうなとの雑念に囚われていましたがw)

兄・咲太もまた冒頭から{netabare} ランドセル背負ったロリ麻衣先輩が見える{/netabare} という症状に見舞われ、
冬公開の次作への伏線に。

咲太の問題には家庭事情も絡んでいると思われますが、
少なくとも妹の学費の心配をおくびにも出さなかったあの親父さんは、
良い父親だと感じたので、咲太の行く末も私はあまり悲観していません。


【作画 4.0点】
アニメーション制作はTVアニメ版以来のCloverWorks。

繊細な表情描写で花楓の心の揺れ動きを捉える。
それ以上に私の脳裏に焼き付いたのは咲太。
特に{netabare} 保健室にて妹を見舞う際に話しかけられた先生に見せた鬼の形相。
それを見た先生の、深入りして刺激しないようにとの神妙な面持ちw{/netabare}

尺に余裕もあったので、物思いに耽るシーンも多々あった本作。
江の島を始め、至る所にたそがれることができる海岸が点在する藤沢市周辺。
パワーありすぎです。

目をみはったのが、のどか所属のアイドルグループ・スイートバレットのライブシーン。
咲太が花楓の視野を広げる話の取っ掛かりに使われたライブですが、
手描き重視で結構力が入っていて、この場面だけは妹の話そっちのけで身を乗り出しそうになりましたw


【キャラ 4.5点】
咲太は相変わらず“絶口調”
年上のお姉さんに対しても減らず口は叩くものの、
ギリギリ怒りを買わずに、君面白いこと言うねという感じで可愛がられる、絶妙な塩梅で毒を入れてくるw
今年、映画館で一番笑いましたw

咲太とヒロインズの掛け合いを眺めていて思ったのは、
やはりユーモアを交えるだけの余裕のある男はモテるなと。

私も大概、ハレーム主人公の爆発やブタ箱行きを願ったりするしょーもない男ですがw
そのクセ、いざ美少女を眼前にして刺激的なトークができるかというと全く自信がありません。
私だったら、古賀ちゃんと同じ職場というだけで平常心を無くしちゃいますしw

因みにMOREDEBAN気味な古賀も含めて各ヒロインズにも、
当初予定から伸びた尺を使って出番は確保されています。

そんな咲太が、妹の窮地となると、余裕も自分もかなぐり捨てて飛んでいく。
次作に向けて咲太のかっこ良さを再認識させられました。


その他、スクールカウンセラーのお姉さんや、通信制に在学する子の母親など、
脇の大人たちも進学について多角的に捉える好材料となる。


【声優 4.5点】
花楓役の久保 ユリカさん。
思えばラブライバーにタスケを求めていた時から、
高音に感情を込めるボイスには光る物がありましたが、
本作ではその特性が遺憾なく発揮されていました。


咲太役の石川 界人さん&麻衣先輩役の瀬戸 麻沙美さん。
麻衣に毒づきつつ、最高に可愛い彼女だと高々と持ち上げる。
怯まず“口撃”する麻衣さん。
スパイシーなのろけトークで余人が立ち入れない聖域(サンクチュアリ)を構築。

お二人の掛け合い演技があまりにも円熟し過ぎていたせいか、
スタッフから「老夫婦みたいになってるからもう少し若さが欲しいな」と注文される笑撃エピソードもw

麻衣は花楓を物心両面で支える絡みも多く、
瀬戸さんの演技からは早くも頼れる“義姉”の風味が醸し出されていました。


今回、出番が多かったのが{netabare} スイートバレットのセンター広川卯月役の雨宮 天さん。
通信制を知る先輩として、花楓に人生経験を伝える重要な役回り。
正直、自称パンツはかないアイドル役に何で天ちゃん?と訝しんでいた私ですが、
本作のための起用なら納得です。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴担当はTV版以来のfox capture plan
前作劇場版からのフィルムスコアリングを継続し心情に寄り添う。
今回は音楽も作品リズムに合わせた穏やかなピアノ曲等が目立った印象。
ですがここぞの場面では、険しい音で揺さぶって来ます。

ED主題歌はお馴染みの「不可思議のカルテ」
歌唱は{netabare} 梓川かえで&梓川花楓のデュエットで未来へ向けてアイデンティティが確立。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 24

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

地味な話。劇場版の意味。麻衣さんの作画。いろいろ残念でした。

 青ブタシリーズは原作は既読×通しで5回くらいです。単発で拾い読みだと時間があれば読んでいた時期がありました。大ファンです。が、正直申し上げて劇場版の「夢見る少女」までの7作(原作だと「ハツコイ少女」まで)とそれ以降を比較すると評価は2ランクくらい違います。

 まあ、そうは言っても1~7作までは突出して面白いので、本作以降も青春ラブコメのラノベとしては高い水準で非常に面白いです。ただ、本作を見てわかる通り次巻(次作)以降の前振りですから盛り上がりも今一つです。最高の見せ場は冒頭のロリ麻衣さんなのは間違いないと思います。

 テーマ的には悪くはないです。失われた時間と自分を取り戻す。自分の意志で進みたい方向を決める。
 ストーリーも兄である咲太や新キャラである卯月がその手助けをする。旧友との仲直り。普通に良い話です。が、良くも悪くもそれだけです。前作までの緊張感というか深刻さのレベルが全く違います。

 で、麻衣さんなんですけど、キャラデザが変わりました?後頭部の形がとんがったというか、メーテルっぽくなったと言うか…髪の色も黒味かかって顔も少し細長くなった気がします。サイドの髪の毛の巻き方が極端になったのかもしれませんが…うーん?見慣れればいいのかなあ…やっぱりテレビシリーズの完成度が高いからなあ…まあ、ちょっと残念です。

 あと私のお気に入りの古賀朋絵のキャラデザはいいんですけど、東山奈央さん、声が少し低くなりました?キャピキャピ感がない声だったのは成長を意識して?作品の雰囲気でワザと抑えた?高音が出なくなった?

 まあ、重要でいい話なのはわかりますが、地味な話だし新しいシリーズのスタートということで、非常に中途半端です。この作品を劇場版にする戦略はどうかなと思います。それはわかっていたので配信まちになったわけです。

 以前は7巻までを1クール+劇場版で納めました。今回もそれが出来たんじゃないの?というメタ的な理由で私としては評価を下げてしまいました。どうせ金儲けするなら、テレビ2期をやって最終巻の発売前に劇場公開すればよかったのに、と思います。

 ということで、私のもっとも好きな作品の一つですが、シリーズ内でもっとも地味なパートだし、麻衣さんのキャラデザ等で不満は残るし、劇場版戦略に納得感もありません。
 また、アニメ作品としての作画のクオリティはテレビシリーズなら評価できますが、テレビだとしても高水準と手放しでほめられません。特にあのアイドルのところの出来からいって、やっぱりテレビクオリティだな、という気はします。

 評価です。ストーリーは3.5、キャラは4とします。作画は3.5、声優は4。音楽は3.5とします。シリーズファンとしては4以上付けたいのはやまやまですが、公平にいってこんなものでしょう。これでも甘いかもしれません。

 私事ですが1000本目のレビューということで気合い入れて見ましたが、想像以上に地味な作品だったと思います。



追記 2回目みてちょっと原作読み直したりしてみました。本作原作って、確か7巻が終わったあと、2年近く発売期間が開いており、やはり後付けなんだろうな、と思います。

 本作はどうも高校編の締めくくりという位置付けみたいですが、7巻までの構成の緻密さ、そして物語の連続性、内容からいってやはり別物に見えます。むしろ大学編の準備号というか、新キャラを不自然にならないよう準備している感じに見えました。

 で、花楓の物語になってきますが、彼女に生じた問題の解決として良い話ではあります。が、良い話過ぎます。どうもいい感じのチューニングで来たそれぞれのキャラが急に作りものめいてきます。特に麻衣さんが本作以降は聖女のポジションになってしまう気がします。

 本シリーズの思春期症候群は各エピソードの女性たちの主体的な選択が解決の糸口になってきました。その意味では本作のその例にもれません。

 高校の選択肢として「主体性」を入れるために結末の作り方が非常に技巧的過ぎなことで、花楓の選択にあまり乗れなかった感じがしました。

 何より私が感情移入したのは以前の花楓であり、こちらの花楓ではないという事です。本作に期待したのは、以前の花楓に何か救済があるのか?という話でした。どうもこちらの花楓には感情移入が出来ないという点がありました。
 少しずつ前に進もうと頑張った方の花楓の救済が物語から抜け落ちていた気がします。

 まあ、ということでこれ以降はお金を出して劇場まではいかないと思います。配信サイトの課金くらいならいいですけどね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

【お兄ちゃん、私“も”頑張るから】本当に描かれなければいけなかった物語の続きを満願の想いを込めて映像化する素晴らしさを紐解きます

2018年秋期に『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』のタイトルで全13話のテレビシリーズが放送され、2019年にはテレビシリーズに張り巡らせられた伏線を回収する映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』が公開された通称『青ブタ』
巷で「思春期症候群」と噂される不可思議現象を発症したヒロイン達との交流や青春模様を描くライトノベル原作の青春SFです
本作はその直接的続編であり、主人公の梓川咲太(あずさがわさくた)の妹である梓川花楓(あずさがわかえで)をヒロインとした物語が描かれる73分の映画



『ゆめみる少女』で最愛の恋人、桜島麻衣(さくらじままい)の事故死や初恋の人、牧之原翔子(まきのはらしょうこ)の病死、さらには自身の事故死といった未来の事象を全て回避する方法として【今見えている現実が全て夢だったと思春期症候群を発祥した翔子に認知させる】事を選んだ咲太
結果的に時間は遡り、初めから翔子には出会わなかったものの、翔子に関する事意外の全ての出会いや事象をもう一度繰り返して麻衣やヒロイン達との関係をやり直し、さらには病気を克服した翔子と再会した際に翔子に関する記憶までもを取り戻した
程なくして受験シーズンが訪れ、いじめによる不登校から立ち直った中学3年生の妹、花楓にも進路選択の期限が迫る
花楓は心の痛みが身体の傷となって具現化する思春期症候群を発症した後、「かえで」というもう1人の人格と入れ替わってしまった過去がある
「かえで」の成長を見届けた咲太だったが「かえで」の人格は思い半ばで消滅し、本来の「花楓」が戻ってきた
「かえで」の消滅に思わず虚しさを隠せなかった咲太だったが「花楓」が戻ってきたことは祝福したい
そんな咲太や麻衣らは「花楓」の受験を応援するのだが彼女の進路は前途多難な道のりである事は明らかだった・・・



テレビシリーズや『ゆめみる』からメインスタッフが続投している点が何よりありがたいですね
昨今、鉄は熱いうちに叩けの理論でスタッフやキャストを変更して続編やリメイクを作るアニメも多いのにです
『ゆめみる』までのClover Worksのプロデューサー、木田和哉氏は2019年12月のアニスタで「これからはファンとして原作の行く末を見届けたい」と発言されてたので、てっきりClover Worksは『青ブタ』から手を引くんだな、と思ってました
ですが、あの発言は木田PがClover Worksを退社されてavexに移籍する、という意味だったみたいですね
そしてスタッフ舞台挨拶で『ゆめみる』の制作中には本作の制作の話が出ていて、その時点で増井壮一監督は本作の監督を快諾してた様です

その一方で増井監督には『天地創造デザイン部』や『アキバ冥途戦争』が、シリーズ構成の横谷昌宏先生には『トロピカル~ジュプリキュア』や『はたらく魔王さま』が控えていた事から察するに、(間にコロナ禍を挟んだ事を踏まえても)メインスタッフの手が空くのをわざわざ待っていたという事が分かります
昨今これほどスタッフやキャストの配置に拘るシリーズは珍しいと思います
ありがたいことです


またエンディング主題歌が5年間変わらずに「不可思議のカルテ」なところにも注目したいです
こんなに1つのエンディング主題歌に拘っている作品は『ガルパン』と『青ブタ』ぐらいなもんですw
そんな「不可思議のカルテ」ですが予告編では「花楓ver.」が流れています
ですが実際の本編を観るとこのver.は一切流れないことに気付くかと思います
そう、つまり嘘予告ですw
予告の主題歌が嘘だったアニメ映画というと同じ角川ラノベのSFアニメ『涼宮ハルヒの消失』を思い出しましたw
嘘予告ではありませんが似た様なパターンでは『呪術廻戦0』の「逆夢」もあります
凄いwこんなことをやるアニメ映画はかなり珍しいんですw


さてトークショー等ではあまり語られていませんが本作では「花楓」が食事を取るシークエンスが2回登場します
実はこの2回とも「花楓」を演じる久保ユリカさんはパク音(いわゆる「モグモグ」と口で言うアドリブ)を出してるんですね
それがどうした?と思う人もいるでしょうが実は『青ブタ』では演出上、「かえで」以外はパク音を禁止しています
コレはテレビシリーズのオーディオコメンタリーで言及されていて、【『青ブタ』はリアリティー重視なのでモグモグと言って食べるヒロインは存在しない、ただ1人初めから虚構の存在である「かえで」を除いては】と岩浪美和音響監督が解説されています
それは『ゆめみる』でも徹底されていました
では何故『おでかけシスター』では突然「花楓」はモグモグと言い出したのでしょうか?

これはつまり「花楓」が「かえで」の日記を読んで「かえで(理想の妹)」に成り代わろうとしていると受け取れます
コレが分かると一見して幸せそうな食事シークエンスも凄く物悲しく見えてくるんですね

『青ブタ』という作品が如何に計算され、真摯に、丁寧に作られているのかよく解る演出の1つだと思います


あと以前のレビュで双葉理央(ふたばりお)の髪型が日付が奇数ならナチュラルロング、偶数ならポニーテールだという法則を発見したと解説しました
本作で双葉が登場するのは1月20日なのでポニーテール、つまり私の発見した法則の通りというわけです


それとまあ、ミトンしか持っていないはずの花楓が入試当日は5本指の手袋をしているのは一体誰が用意してくれたものなのか?といった想像出来る余地も残されているのがニクい
ミトンだと入学願書を鞄から出すのですら苦戦しましたからね;


さて本作は『ゆめみる』という壮大な物語の為に後回しにされてしまった本来描かれるべきだった「花楓」というキャラを改めて描く、とても前向きな物語です
その一方で高校生編の完結作となる次回作『ランドセルガール』への伏線でもあります
いよいよ公開が迫る、『ランドセルガール』を心して待ちたいと思います


【備忘録】
川崎チネチッタ2回、立川シネマシティcスタ極音1回、eスタ1回、jスタ1回、バルト9 6回(7番スクリーンだと左右に画面切れあり)、TOHO新宿1回、109湘南1回(5番スクリーン色温度高過ぎ、真っ青)、池袋シネリーブル1回
計14回鑑賞

投稿 : 2024/11/16
♥ : 11

74.3 29 2023年度アニメランキング29位
金の国 水の国(アニメ映画)

2023年1月27日
★★★★☆ 3.9 (53)
194人が棚に入れました
100年断絶している2つの国。“金の国”の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと“水の国”の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ“偽りの夫婦”を演じることに。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の<やさしい嘘>は、国の未来を変えるのか―。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

数十年先も人生に示唆を与えてくれそうなジンワリ系

【あらすじ】
{netabare} 経済発展は目覚ましいが水資源等は乏しい“金の国”アルハミト。
自然豊かだが貧困に喘ぐ“水の国”バイカリ。
犬猫レベルの名目で戦争と国交断絶を繰り返してきた両国。
“金の国”のおっとり第93王女・サーラ。
“水の国”で持て余している設計技師・ナランバヤル。
二人が“偽りの夫婦”を演じることで両国関係が動き出す。{/netabare}

同名コミック(全1巻・未読)の劇場アニメ化作品(117分)

【物語 4.0点】
両国対立の理由が表面上は短絡的に見えて実は構造的。
そこから展開する物語も意外と長期視点。

よって本作は鮮やかな伏線回収等によるカタルシスでガツン!と来る感動系ではない。
温かい空気の中で、広い視野から家族観や文明観を語り、鑑賞者の人生観に引き出しを与える。
後になってジワジワと価値を噛みしめることができる良作。

恋愛や家族愛など様々な愛の形について。
{netabare} 理想の結婚相手について尋ねられ答える男性アニメ主人公{/netabare} とか中々いないかと。

文明や名声について。
{netabare} 今回の両国の開戦危機は、あと50年で水資源が枯渇し廃墟になってしまう“金の国”の中長期の課題が背景。
加えて“金の国”の開戦派の国王・ラスタバン3世には、“水の国”への弱腰外交で愚王の歴史評価を受けたラスタバン2世から継承した汚名を、戦勝で返上したいとの晩節の焦りがある。

さらにラスタバン3世は外交のため娘たちを砂漠の向こうの国々へ嫁がせた。
第一王女の反戦派・レオポルディーネとは内紛状態。
老父の寂しい親心を優しく包み込んだサーラ。おっとりしているけど凄い娘だと感心しました。{/netabare}

解決策もスケールが大きい。
{netabare} ナランバヤルが提唱した両国和平により水路を引き“金の国”へ水を供給する。
工期見積もりは50年なので即断が求められる。{/netabare}
今、現実世界に、これ程の国家大計を構想、実行できる傑物はいるのでしょうか?


総じて刺激的ではないが、深イイ話だったとの余韻が何時までも続きます。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・マッドハウス

“水の国”の風光明媚。“金の国”の荘厳美麗。
百聞より説得力のある一見を再現するだけの画力は十二分。

終盤、{netabare} かつて両国の親交を深めたラスタバン2世が腰抜け王ではなく、
平和をもたらし民から愛された名君だった。
肖像画の出来栄えがそれを物語っている。
と論述する{/netabare} 件がありますが、これも相応の画力があればこそのシーン。

“水の国”≒中国風。“金の国”≒中東風。
必然チベットやアラブ諸国等が主な参考資料に。
一方、意外な所では、“金の国”の栄華を象徴する“漕がなくても登れる川”の再現に、
富山県のパナマ運河式の「中島閘門(こうもん)」が参照されたこと。
これは思わぬ聖地。“金の国”は富山県にありますw


【キャラ 4.0点】
“水の国”の技師・ナランバヤルが開戦阻止のための盟友として接近した
“金の国”左大臣・サラディーン。
イケメン俳優から政界入り。反戦派の第一王女・レオポルディーネの愛人。
一見、お飾りのプレイボーイ大臣に見えますが、これが中々の曲者。
{netabare} 俳優として“金の国”で名を馳せる前は遊牧民。
水問題含めた“金の国”の隠された危機を、よくある定住国家の栄枯盛衰として、
良くも悪くもドライに捉えている。{/netabare}
世界観にいっそう深みを与える視点を持ったキーキャラクターでした。

こうした戦争阻止のシナリオは得てして勧善懲悪となりがち。
ですが本作は決して愚昧な開戦派を、賢明な反戦派が諭すだけの軽薄な人物相関ではありません。
一見、悪徳な祈祷師に思える“金の国”開戦派筆頭の右大臣・ピリパッパでさえも、
言動には国王を慕う故の理由がある。

複雑な人物像が絡み合うからこそ、ナランバヤル技師が暗殺含みの宮廷政治を綱渡りするのがスリリングですし、
野心と無縁なサーラ王女が彼の癒やしになり得るのです。


そんな伏魔殿を暗躍する正体不明の黒づくめ暗殺部隊・ライララが私のツボ。
キャストの沢城 みゆきさんいわく「1人だけ一筆書きで描けそう……!」
確かにこれなら私でも描けそうw
単純明快なデザインで忍ぶわ煙玉投げるわ。神出鬼没なライララさんオススメですw


【声優 3.5点】
主人公“水の国”ナランバヤル技師役の俳優・賀来 賢人さん。
飄々とした言い回しの中に強い意志を込める。
中々の難役でしたが、左大臣サラディーン役の神谷 浩史さんのアドバイスも良かったのか、まずまずの対応。

ヒロイン“金の国”サーラ王女役。こちらも、おっとりした中に芯もある声が求められる難役。
ナチュラルにフィットする声の選定は難航の末、俳優・浜辺 美波さんに落ち着く。
声はそれなりに合っていましたが、漫画的なリアクションを求められるシーンは正直苦しいかなと感じました。

ここは人工的でもボイスを作れる声優からキャスティングしても良かった気もします。
脇で戸田 恵子さんや、銀河 万丈さん、茶風林さんらベテラン勢が渋い演技を決めていたから余計に。
何なら、みゆきちがライララと王女を兼任しても良かったのですよw


アニメ『ラブライブ!』シリーズでアルパカ、ふくろうと多種多様な動物を全受けして来た動物声優・麦穂 あんなさん。
本作では両国の犬猫のじゃれ合いを一手に引き受け、架け橋となる貫禄を示す。


【音楽 4.0点】
担当はエバン・コール氏。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ。
アニメ映画版『ジョゼと虎と魚たち』
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
そして本作と連続エンカウント中の私。
今回も中華VS中東への対応力も求められましたが、
多彩な世界観を表現してきた氏のオーケストラならお手の物。

今回は琴音さんをボーカルに迎えて劇中歌も提供。
PVでも使用された「Brand New World」辺りは疾走感もある良曲。
ですが、どの歌も2分弱程度の劇中歌サイズというのが勿体ないです。
今後は是非フルサイズの挿入歌まで作曲して頂き、ヘビロテしたいです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 22

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

"オトナを魅せる" 恋のお話。

このマンガがすごい! 2017 オンナ編 第1位(宝島社)。

以前から本屋さんに並んでいるのは知ってはいたんです。
なので、映像化されると耳にしてから、期待ばっかりが膨らんで、矢も楯もたまらず原作を読み耽りました。


読後の印象としては、「うーん、あんまり絵が動いていないなぁ。」という感じでした。
紙芝居といってはなんですが、アニメの「止め絵」的な表現を多用している感覚です。

これってアニメではセリフ重視でお話を進めていくときによく使う手法です。
なので、どんな演出で動きを仕上げていくのかが、わたし的ポイントになりました。


それから、描画がとても繊細で、すごく緻密な線で表現されているんです。
それって、風景全体が均質的に見えてしまって平べったい印象になってしまう弱点にもなるんですね。

ちょっと薄味というか、物足らないかなっていうか、そんなふうに思えるところもありました。
でも、そのぶんキャラクターの造形や所作に心を砕いてる様子がありありと窺えました。
心情の表現性にぐっと配点を寄せている感じです。

もとより共感性の高い作品なのは承知のところ。
だから、映像を早く観たくて仕方なかった、というのが本音です。
そそくさと封切初日に足を運んでしまいました。


~      ~      ~


まず驚いたのは、作画の動きも、風景の遠近も、色彩の豊かさも、全てが私の予想を超えて作り込まれてありました。
でも、もっともっとびっくりしたのは "声のアテ" だったんです。

主人公のナランバヤル役に賀来賢人さん、サーラ役に浜辺美波さん。
お二方の声が私のイメージをはるかに超えていて、それはもうとんでもなく良かったです。

実は、本を読みながら、いろんな声優・俳優さんの声を脳内アテレコしていたんですが、ドンピシャとはこのことか~とストンと腑に落ちました。

なので、漫画の魅力指数が瞬間的にポポーンと跳ね上がりました。
劇場での期待度数も開始数分でドドーンと膨れ上がりました。


~      ~      ~


物語の展開は、原作をきっちりと踏んでいますので安心して観ることができました。
意外だったのは、漫画のような止め絵がいくらもないのに、気持ちがどんどん温まっていくのです。

そのくせ声もいいものですから、主人公の心情を語れば抜群に響いてきますし、いっそう感情が解きほぐされ、やさしく揺さぶられます。

ほかのキャラクターの声も、皆さん十分にはまり役だったと思います。
大きな冒険はありませんが、大きな破綻もありませんでした。

なので、本当に安心して物語に没入できました。


~      ~     ~


"初見の方" へは、オフィシャルのイメージボードの通り、と申し上げておきます。

「国が、動いたー 2人だけの"小さな嘘"から。」

どんないきさつから?
どんなやりとりを?

それは "観てのお愉しみ" です。
私としては "大人の方にこそ観ていただきたい作品" って思います。

女性はもちろん、男性の皆さんのキモチも優しく包んでくれるといいかなって思っています。

だって・・・ボードの2人の笑顔。
ステキだと思いませんか?


~      ~      ~


さらりと書きましたが、色彩映像が本当に美しくて、いつまでも見惚れていたい、何回でも見初められたらと思いました。
(すでに2回、劇場に行ってしまっています・・・。)

特に、クライマックスシーンの色彩の豊かさが、ナランバヤルとサーラに愛らしい息吹を与え、揺るぎない国の未来図を楽し気に予感させています。

金の国 水の国

この物語があなたの心にどのような顛末を見せるのか、ぜひご鑑賞のあとでお確かめになってみてくださいね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 17
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

優しい気持ちになれた素敵な童話

アルハミドとヴァイカリという2つの国がありました。
1000年前につまらないことで争いが起こり、500年前に一度和解しようとするけどまたつまらないことで再び争いになり、いつしか2つの国の間には壁が作られてしまいました。
お互いの国は一番美しい娘と一番賢い男を相手の国の婿・嫁にするという500年前に結ばれた約束をもとに嫁と婿が贈られることになるけど・・で始まる物語。

原作は岩本ナオさんの漫画全1巻でこのマンガがすごいにも選ばれたみたいですが未読です。

絵は綺麗で、細かいところまでよく描かれていて好印象です。
中東っぽい文化の世界なところもいいですね。ヨーロッパ風な感じの作品が多いので。

おっとりして優しそうな感じだけど芯が強いサーラ王女と賢くて機転がきいて優しい建築士のナランバヤルの二人はお似合いだなぁって思いながら見てました。

サーラの姉のレオポルディーネに良い相手を選ぶにはどうしたら良いかと聞かれたナランバヤルの答えがすごくわかるなぁって。

きつそうに見えたレオポルディーネが{netabare}妹のサーラを気にかけていて、ナランバヤルが本当に賢い男でサーラにふさわしいか、わざと時計の部品を隠して試したり、自分の国をとても愛していて戦争に反対だったりといい人だったり、それから軽そうな感じの左大臣のサラディーンが意外としっかりしてたりと映画の短い時間ながらも人物に深みを感じるところもあったりして、{/netabare}そういうところも良かったです。

意外と好きだったのはレオポルディーネの配下のライララ。黒い布で顔を隠していて眼だけ出してるんだけど、ときおり見せる表情とか言葉でいい人なのが分かるし、なによりかっこいい!

ラスト。{netabare}それから10年後くらいの後日談があったのと、EDのスタッフロールの絵も含めてその後の様子が描かれていたのも満足でした。{/netabare}

感想も少ないみたいであまり知られていないみたいですけど、優しい感じの作品が見たい方におすすめします。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 19

74.0 32 2023年度アニメランキング32位
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 深章 厄災篇(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (262)
855人が棚に入れました
悪夢は終わらない。 絶望は破滅を誘い、厄災は惨禍を招く。 ジャガーノートとの闘いのさなか、奈落に消えたベルとリュー。 行き着いた先は、全ての冒険者が恐れるダンジョンの深淵――『深層』。 満身創痍、孤立無援、迫り来る厄災の脅威。 迷宮決死行の渦中、五年前の後悔に苛まれる妖精はかつての仲間を追憶する。 一方、ベル不在のパーティの前に現れたのは、双頭の巨竜アンフィス・バエナ。 破壊の化身が吐き出す凶悪な炎流が全てを呑み込む。 希望も光明も失われた迷宮で、冒険者達が辿る運命は幕切れか、それとも…… これは少年と妖精が押し寄せる死に抗う、過酷に満ちた【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】――。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ダンジョンRPG視点で見て、良い感じでカビ臭くなってきた

引き続き原作ライトノベルは未読。

【物語 4.5点】
これぞ迷宮(ダンジョン)。
展開はハードで、お気軽異世界ファンタジーが量産される昨今のトレンドからは外れており、人は選ぶが、ダンジョンRPG好きには断然オススメ。

2期、3期と、意外と迷宮に潜らなかったので、ヤキモキさせられました。
ですが、一方で、ここまでダンジョンRPGの諸要素を巧く設定・シナリオ化しているとの手応えもあり……。

例えば……
{netabare} ・迷宮を巡るパーティー間競争→ファミリア間の抗争、駆け引き。
・倒されたモンスターが転生しながら無限POPする迷宮の異様→「人造迷宮ークノッソスー」建設者の狂気。
・迷宮内の“友好的なモンスター”への対応を巡る相対的な善と悪→冒険者たちから迫害される「異端児-ゼノス-」を助けることにした【ヘスティア・ファミリア】{/netabare} etc.……

そこにダンジョン愛を感じることができていれば、「迷宮決死行ーデスパレートー」となるこの4期分割2クール目は、迷宮の醍醐味を収穫できる至福のひと時となる。
信じて視聴し続けて本当に良かった。


構成は、満身創痍で「深層」に落ちた主人公ベル・クラネルと“疾風“のエルフ、リュー・リオン。2人の脱出サバイバル。
「下層」にて“英雄”ベルを失いパーティー瓦解の危機を抱えながら、ベル救出か撤退かの狭間で揺れる仲間たち。
かつてリューを襲ったパーティー壊滅の悪夢の回想。
3本柱のプロットで迷宮(ダンジョン)とは何かを徹底的に思い知らされる最悪で最高な{netabare} 四{/netabare} 日間。

中級以上のパーティーにとって一番恐ろしいのは落とし穴(シュート)からの格上モンスターによる数の暴力(また、そういう敵に限って仲間を呼ぶんですよw)

本作の決死行には、次エンカウントしたら絶体絶命。一歩進むのにも手に汗握る。
迷宮の緊張感が見事に再現されており、私も『Wizardry』シリーズ等でやらかした時のトラウマも思い出し悶えながら視聴しましたw


ダンジョンRPGで最も脳汁が出る瞬間と言えば、
パーティー全滅の危機を、普段は気にも留めないアイテムやシステムをフル活用して切り抜けた時。

この観点からグッと来たのが、{netabare} ヴェルフ即席の鍛冶による《魔剣》生成と反抗。{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・J.C.STAFF

率直に『ダンまち』も視聴者の選別も進み、1期に比べたら話題性も収益性も落ちているはず。
それでもアニメ化し続けてくれる同スタジオ。この律儀さが有り難いです。

「深層」“白の迷宮”のムードを演出した、くすんだ色彩選択も印象的。
ここもまたグラフィックの変化と共に緊張感が増す迷宮の魅力を伝えていました。

ドロドロ、ネバネバな迷宮サバイバル食の数々。
大体ダンジョンに飯テロを求めるなんて間違っているんですよ。
{netabare} 腐った死体から漁った傷んだポーションでも、スライムの粘液{/netabare} でも、飲める物は何でも啜(すす)って生き残らなければなりません。
(でも{netabare} リューさん先輩面して、絶叫するベルくんにゲテモノ喰らわせておいて、結局、自分は口付けませんでしたよねw{/netabare} )


そして、ベルくんとリューさん。装備大破して裸同然となった男女の脱出劇。
ある意味、豪奢な大鎧より難しそうなボロを纏ったキャラを粘り強く描写し、サバイバル感を盛り上げる。

それにしても、こんな危機的状況でもラノベ的ラッキースケベに遭遇してしまうベルくんw
第21話。{netabare} 肌を密着して濡れた身体を温め合う2人{/netabare} の描写には不謹慎ながら欲情しそうにw
ただ、あの場面はリューを縛り付けていた恐怖と贖罪意識が淡い恋慕により溶解する重要なカット。
決して安直なサービスシーンではなかったです。


【キャラ 4.0点】
“例の紐”も“ヴァレン某(なにがし)”もまともに登場しない。
メインヒロイン飛車角落ちで大丈夫か?となった4期。

ヒロイン枠のリューも終盤まで謎だらけでヘスティアやアイズには遠く及ばない印象。
ですが「深層」を彷徨い、リューの過去が深掘りされる内に、
ベルくん争奪戦でも強力なヒロインに化ける。

リューが過去に所属した【アストレア・ファミリア】のメンバーたちも、モブではなく確立され、リューの人格に深みを与えていました。
“正義”に関する問答が、上述のダンジョンにおける相対的な善悪とも混じり合って味わい深かったです。


モンスターでは迷宮(ダンジョン)の仕組みを脅かす輩に災厄をもたらすジャガーノートの異端性。
まるで『不思議のダンジョン』の死神みたいな番人ぶり。
期待する目的から外れた冒険者たちの言動は許さない。抵抗する間もなく瞬殺する寒々しさ。
大迷宮を創造した者の強烈な意志と狂気を想起させられる手強い一体でした。


【声優 4.5点】
リュー役の早見 沙織さん。
トラウマが積み重なった人格を好表現。
「深層」より深い人間表現ができる。その上デレると、とびきり可愛い。
清楚ボイスだけじゃない。はやみん流石です。

ベル・クラネル役の松岡 禎丞さんは今回も良く叫びました。
痛恨の一撃に、毒味に、不可抗力的スケベシーン。何でも叫べる。
「貴方は尊敬に値するヒューマンだ」


【音楽 4.0点】
劇伴担当は1期以来の井内 啓二氏。
本格的に迷宮の絶望を掘り下げる深章に合わせて選曲も重厚化。
リューが諦めて贖罪にかこつけた自己犠牲に逃避しようとする度に、
手を差し伸べるベルを奮起させるように鳴り響く「英雄願望」のメインフレーズ。
シビれました。

OP主題歌はリュー役・早見沙織さんの「視紅」
ED主題歌はsajou no hana「切り傷」
いずれもリューの心境を捉えたバラード。

“一緒に帰ろうって決めた 優しい陽だまりへ”

投稿 : 2024/11/16
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

悪夢は絶望へと続く――迫り来る厄災の脅威 妖精の脳裏に蘇る追憶の光景 間違った私に「正義」はもう…… 過酷な「現実」に抗う少年と妖精の決死行

この作品の原作は未読ですが、アニメ版は本編、劇場版、OVAと一通り視聴済…
かと思ったら、第3期のOVAは未視聴でした。

本来なら、OVAは円盤を購入した方への特典なのでしょうけれど、最近は配信サイトでOVAが視聴できるようになっています。
第3期のOVAもdアニメストアで配信されていましたので。

まぁ、棚の目につくところに置いておけば、そのうち気になって視聴するでしょう。
自分のことながら、この安直さに時折辟易することもありますが、きっとこればかりはもう治しようもないと思いますので^^;


悪夢は終わらない。
絶望は破滅を誘い、厄災は惨禍を招く。

ジャガーノートとの闘いのさなか、
奈落に消えたベルとリュー。

行き着いた先は、
全ての冒険者が恐れるダンジョンの深淵

――「深層」。

満身創痍、孤立無援、迫り来る厄災の脅威。
迷宮決死行の渦中、
五年前の後悔に苛まれる妖精は
かつての仲間を追憶する。

一方、ベル不在のパーティーの前に現れたのは、
双頭の巨竜アンフィス・バエナ。

破壊の化身が吐き出す凶悪な炎流が
全てを呑み込む。

希望も光明も失われた迷宮で、
冒険者達が辿る運命は幕切れか、
それとも……

これは少年と妖精が押し寄せる死に抗う、
過酷に満ちた【眷属の物語(ファミリア・ミィス)】


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

振り返ってみると新章・迷宮篇だって相当過酷な展開の連続でした。
でも今回の深章・厄災篇を見てしまうとこの印象は大きく変えられることになります。

満身創痍、孤立無援、迫り来る厄災の脅威。
公式HPのINTRODUCTIONには、少年と妖精の置かれた状況をこの様に表現していました。
ですが、目の前に繰り広げられる惨劇は、こんな言葉に置き換えられるほど
易いモノなんかじゃありませんでした。

時間の経過に伴い、どんどん死に引っ張られているのを身体全部で感じざるを得なくて…
1分1秒…その場に留まる時間が長引くほど恐怖が加速度的に増していく…
きっとこれまで、これほどの身の危険を感じたことは無かったのではないでしょうか。

ですが、こんな人生の最後を迎えるような状況であるにも関わらず、悠長な感傷に浸る暇なんて二人には微塵もありませんでした。

「殺らなければ殺られる…」

そのために存在するのがこの深層なのですから…
だから、例えここで二人の冒険が終わってしまったとしても少しも不自然じゃありませんでした。

主人公は死なない…
そんな暗黙のルールが通用する様な甘い場所じゃありませんでしたので。

だから考えるのは、次の瞬間のその一手…
自らの身を挺して仲間を逃がす…そのためなら何をも厭わない鋼鉄の意志の赴くままに動く…
かつての仲間に自分がして貰ったように、今度は自分がその役目を追う番だとはっきり認識できる。

でも、ダメなんです…
もう一人が二人で一緒に帰るんだの一点張りで、握った手を放してくれないんです。
それに、未だ早いとかつての仲間も認めてくれず門前払いでしたので…
色んな思いや願いが幾重にも繋がって、人間の生へと続いているのを実感します。
だから人は生に執着するのかもしれません。

身体中が痛くて前に進むのが苦しい…
誰でもこういう場面には遭遇すると思います。
ですが、途中で諦めてしまったら、もっと違う痛みと苦しみに苛まれることになるのを、無自覚で無意識ですけれど私たちの本能が知っているのかもしれません。
これだけでも十分に頑張る理由になると思うんですけれど…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、はやみんによる「視紅」
エンディングテーマは、sajou no hanaさんによる「切り傷」
歌い手さんが新章のオープニング・エンディングと入れ替えになっていました。
最近、ちょいちょいはやみんの楽曲を耳にする機会がありますが良きですね~
今度の楽曲も大好きでした。

1クール全11話の物語でした。
視聴には痛みと苦しみを伴いましたが、それ以上に仲間の絆と信頼を感じることができたと思います。
人には変わらない部分と変わる部分が存在していて、その案配は人それぞれで決して否定するモノではないことを実感させて貰いました。

続編…は私が心配することではありませんよね。
必ず制作されると確信していますので^^
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 26
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

シリーズ全体の構成を崩してしまった感じ。最終話は??設定いいの??

ラノベですらしんどくて長く感じたこのパートを2クールですか…

{netabare}  最初に言っておくと、この作品の大ファンです。ラノベは当然ソードオラトリア含めて全部持っていますし、通しで何度か読み返しています。アニメも3期までは大満足で視聴していました。

 で、この4期にあたる部分なんですけど…しんどすぎるでしょう?ラノベで文字で読んでいても本当に辛かった。爽快感がないというか、遊びがないというか。話は想像つくと思います。彼の性格から言ってリューを見捨てるでしょうか?

 ただ、辛い。ひたすら辛くて、痛くて、先が見えなくて、暗くて、しんどい話が延々続きます。アニメ化大丈夫かなあ、という懸念がそのまま表れています。

 この部分、8~9話くらいに縮めて作った方がいいのでは?と思っていた懸念がそのままの形でアニメの出来につながっています。1クールだとそれだけで終わるなあと思っていました。緩い部分も混ぜて欲しいですからね。
 それが2クールです。もちろんこのしんどさを表現するのに2クールかけて作られるのがうれしいファンもいると思います。が、私は原作の時からここは長すぎると思っていました。

 3期の重要で最高に面白い部分をちょっと物足りなさを感じますが、1クール12話でテンポ良くまとめたのになぜ???という感じです。だったら3期目のところを16話とか18話で作って欲しかった。あるいはソードオラトリアの続きでもいいでしょう。あっちも面白いのに出来が…という不満があります。

 この先面白くなるだけに、なんとかならなかったかなあ?5期目大丈夫かなあという不安がでます。

 1回断念します。あとで見るとは思いますが、4期…うーん。ラノベとアニメの媒体の違いを消化できなかった気がします。{/netabare}



 結局最後まで見ました。原作読んで感じていたより2人がボロボロじゃないのはアニメだから?
 原作は胸をかきむしるようなこれでもかというきつい描写でしたが、その辺はマイルドになっていました。 あのコロシアムのところとかもっともっと絶望的だったからこそ、ベルの行動が感動的だった気がします。
 それだからこそ言いたいのは、やっぱり長すぎです。

 このパートはリューの素性とベルへの気持ちを自覚するパートでじっくり描きたいのはわかるのですが、しかしリューそのものが本筋では完全に脇役です。魅力的だし役割は重要なキャラですけど。
 重要キャラのアイズもフレイヤもあんまり出ないしなあ。


 そして、最終話ですけどアレ、原作勢からするとちょっとおかしくないかな?ネタバレになるので言い辛いですけど{netabare} 「豊穣の女主人」のメンバー…〇〇とヘスティア様が同じ場所にいて {/netabare}いいのかなあ???という気がしました。直接顔を合わせた描写ではないですけど、明らかに同じ場所にいましたよね。1期から丁寧にそこは気を付けていたのでは??

 うーん。やっぱりシリーズ全体を通じての構成がいびつになったなあ、このパートを2クールはちょっと飽きるかなあという感想になります。ここで躓かなければいいけどなあ。

 評価は高くつけられません。特にストーリーはアニメとしては爽快感やカタルシスが弱いわりに、最後の描写が温かったです。また2人の絶望からのカタルシスやリューの気持ちなどが伝わってこなかった気がするので2にしています。また、2より下は付けづらいので声優で調整してます。お二人の演技が悪いわけではないです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 15

73.9 33 2023年度アニメランキング33位
SPY×FAMILY Season2(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (309)
1114人が棚に入れました
人はみな 誰にも見せぬ自分を 持っている――
西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属である凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作ることに。
だが、彼が出会った娘・アーニャは心を読むことができる超能力者、妻・ヨルは殺し屋だった!
3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。
秘密だらけの家族に、再び世界の命運は託された!?
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

愛する者のため戦うのか?戦わせないのか?

【物語 4.0点】
1期2クール目に引き続き、各回2本立て以上の構成も交えながら、
ショートシナリオでアーニャ以外のサブキャラ育成も図るのが基本線。
中盤からは今回のメインエピソードとして複数話完結の「豪華客船編」も展開。


2期もスパイ要素を絡めたホームコメディに徹するため、
本格スパイ物として期待すると進行度の遅さにじれることも。
アーニャのイーデン校での“星(ステラ)”や“雷(トニト)”の数の変動もなく、
“オペレーション<梟>(ストリクス)”にも停滞感が漂う。


ただ本作のオペレーションの目的が世界と家族の平和と捉えている私にとっては
収穫もあった2期でした。

極論、アーニャが“皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)”に成り上がっても戦争勃発したらこの作品はゲームオーバーですから。
1クール程度でオペレーションをクリアする強硬策も可能でしょうが、
その場合は人類が戦争を無くす方法はこうだ!などと言う、
フィクションでも解決策を提示できたらノーベル平和賞ものの理論を、
拙速に用意せねばならなくなる。

取って付けたような平和思想で、強引に<梟>(ストリクス)を片付けたとしても、
結局、戦争がしたい次の黒幕とオペレーションが立ち上がりグダグダになる気がするんですよねw

よって『スパファミ』の場合は成果が上がらないオペレーション<梟>のための暫定偽装家族という綱渡りコメディをノラリクラリと続ける方が良いのだろうなと私は思っています。


その観点から興味深かったのが「豪華客船編」のヨルさんの“いばら姫”としての矜持と、
最終回・12話ロイドとボンドの散歩エピソードで垣間見えた、
戦いと家族に関する考え方の違い。

{netabare} 私が凡百の戦争映画を観る気すら起きない理由の一つに、
誰かの思惑で始めた戦争が、いつの間にか巻き込まれた個々の家族や愛する人のための戦いという美談にすり替わるという詐欺的プロットがありますが。

ヨルさんは弟の外交官・ユーリと共に、
上の思惑は知らないけれど、命じられたまま家族のために“わるものさん”と戦うという生き方に疑問を抱かないまま育って来た姉弟。
豪華客船での戦いでは、ヨル自身にも生き方についての葛藤がありますが、
結局、フォージャー家を想って身命を賭す生き様を貫き通してしまう。

ここまでならば私も眉をひそめる、いつものいけ好かない美談で評点も物語3.5点でしたが、
4.0点にしたのは最終12話で放火現場からペットを助けるために危険を冒したボンドに、
ロイドが職業犬訓練よりもまずフォージャー家の一員であることを自覚して、
無事に帰ることを第一に考えるよう優しく諭す場面ゆえ。{/netabare}

ロイドとヨルには、西国(ウェスタリス)の諜報員と、東国(オスタニア)
の暗殺者というだけでなく、
戦いに対する価値観に大きな隔たりがあり、今後、火薬庫になり得ることを全体構成で示して締める。
『スパファミ』は毎クール一見静かな幕引きのようで、重た目の課題を私に残していきます。

マジメに戦争と平和について結論を急ぐ戦争映画より、
本作のような、明るいホームコメディの方が、うっかり核心を突いてしまうこともあり得る。
ロイド(偽名)は何故、子どもが泣かない世界のため、戦闘員ではなくスパイを選んだのか?
今後も、ロイドこと“黄昏”の過去などに焦点を合わせつつ、核心を見逃さないようにしたいものです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・WIT STUDIO✕CloverWorks

序盤は日常回が続くため相変わらずアーニャの顔芸が楽しいClover色が、
中盤「豪華客船戦」では緻密に構築、管理された船上バトル空間の中で、
暗殺者同士が躍動するド派手なバトルアニメーションもありWIT色が強めな感。
美しい打ち上げ花火と血しぶきのコントラストに両スタジオのコラボを実感しますw


湯浅 政明氏がコンテ・演出を手掛けたOPアニメーションも印象的。
どうあがいても溢れない紅茶に、
薄氷の上に成り立つ偽装家族が効果的に比喩されていて、私はずっと紅茶を目で追っていましたw

ユージン氏によるEDアニメーションにも温味がありました。
紙人形劇風に、時に人物の裏表をひっくり返す演出も交えて、
アーニャだけが見えている人間の二面性を表現したという深イイED。
サビでダミアンに怪しい視線を送ってほくそ笑むアーニャがツボですw


【キャラ 4.0点】
サブエピソードで周りを掘り下げても結局アーニャが可愛かったに帰結する本シリーズ。
今回は{netabare} 古語{/netabare} が得意なアーニャを通じて出生地に関するヒントが示され、
アーニャもまたボンド同様、戦争を背景とした能力開発被験者である説を思い出させられますが、
深い詮索はなく、今日もせかいはへいわ。

今後もしもアーニャ一強に変化をもたらすとすれば、私はダミアンだと思っています。
そういう意味で2話Bパートの野外学習にて、特殊クレジット演出でダミアントリオをフィーチャーしてくれたのは嬉しかったです。
ただアーニャとの関係については、{netabare} ババ抜き{/netabare} の件といい、
ダミアンは“チョロイン”過ぎて陥落する時は一気にキャラを消費し尽くしそうな懸念もw

終盤には、ロイドを巡るヨルとフィオナの“正妻戦争”にベッキーも乱入しフォージャー家に上がり込む。
ナチュラルに庶民をころすセレブ自慢といい、
ベッキーは可愛くない可愛い親友枠として育成する方針なのでしょうかw


バトルでは“わるもの”役にいちいち通り名が付されていたのもシリアス、コメディ両面で要素補強になっていました。
例えば{netabare} 鎖鎌のバーナビー{/netabare} とかw

私が敢闘賞を送りたいのはヨルの先輩で的確な“お掃除ぶり”が渋い
デッキブラシの部長さん。


【声優 4.5点】
アーニャ役の種崎 敦美さん。
秘密露見等による家族崩壊を回避するためウソを付く場面も増えたアーニャ。
ウソで誤魔化す時は、棒読み風に演じることで、
視聴者にはウソと分かる、ロイドよ何故気づかない(笑)というお馴染みの種崎さんの芸風にも益々磨きがかかる。
豪華客船にて、{netabare} 託児所から脱出するため、お姉さんにボール遊びもうすぐ飽きる~などと{/netabare} とぼけるアーニャがお気に入りですw

『スパファミ』はアニメから楽しもうと7巻で原作購読止めている私にとっては未知のシナリオに入ってきた2期。
キャスト陣は適宜アドリブも入れて演じているとのことですが、
原作未読エピソードだとどこがアドリブだか全然分かりませんねw
各々がキャラをしっかりつかんだ上で自由に演じることができているのだと思います。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は(K)NoW_NAMEが続投。
同グループには中低音でパンチを効かせるAyaka Tachibanaさんがアップテンポナンバーなどを、
キーボード弾き語り&高音ボイスで癒やしを与えるNIKIIEさんがスローバラードなどを歌唱する。
二人の女性ボーカルを駆使しした幅広い表現対応という強みがあります。

ホームコメディ色が強い『スパファミ』ではどうしても有効活用されるのはNIKIIEさんの日常ソングで、
Ayaka Tachibanaさんはこんな場面でバトルソングとは大仰な(笑)という“無駄使い”コメディ要素が強かったのですがw
今回の豪華客船ではAyaka Tachibanaさんも「Until the End」でバトルを彩ってくれました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 27

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

(妄想)目指すはルパンか、サザエさんかw

えーと、レビュータイトルは私自身の妄想、想像です。

まず、このようなレビュータイトルをつけた理由から・・・、
100%個人的な印象からです、以上!!

サーセン・・・、その印象についてw。
まずOPですね。
OPのインパクトがでかかったです。

あくまでも私の受ける印象なのですが、お洒落でPOPでカッコいい感じがしました。派手で、華やかで、ノリも良く映像とのマッチングが素晴らしい。
ちょっとイイ感じでした。
センスの良さを感じました、ちょっとスゴイと思いました。

そして、何度かこのOPを見ているうちに・・・。
アレ?この感じ・・・と思ったのです。

ココから主観がさらに暴走するのですが・・・。
ルパン味を感じてしまいました。
それも、ルパン三世シリーズが少しづつ認知されて、大人も見れるアニメとして少しづつ、おしゃれ感や粋な感じを自然にステップアップしていた頃のルパン味です。
「ルパン三世シリーズ」ってこうだよねぇ、こうじゃないとねェなんて意識がまだ確立していなくて、意識も薄かった時代に「自然とカッコよくなった時代」のルパン味デス。

最近のルパンも悪くはないんですけど、イメージが確立されている分だけ
「ルパンはこうじゃないと・・・、こんくらい洒落てないと・・・」と
無理矢理ひねり出している感があります(個人の見解です)。

そうして、このルパン味を感じたついでに、今作視聴後、思いを巡らすと・・・。
あれ、あまり物語としては進んでいないんじゃ・・・?
と思いまして・・・。

東西冷戦がどーしたこーした、も
世界平和がどーしたこーした、も
アーニャのステラの獲得、も

あまり進展はなく・・・。
「家族の絆」「互いの思い」的なところは少し深まったのかなとは思いますが。

あれれ・・・。
これどんだけシーズン重ねたら終わりが見えるの・・・?
と思った時、

もしかして、これキャラの設定だけ活かしたまま、いろいろなエピソード組み込むだけで、ずーっといけるんじゃないの?行くつもりじゃないの?

なーんて思った訳です。(100%個人の妄想、こじつけですw)

で、キャラの設定をずーっと活かしたままで続いているシリーズとして、
ルパンとサザエさんが浮かんだと・・・。

どーでもいい話を長々と申し訳ないw!!




さてと、作品のレビューをしておきましょうw。

作品としては、諸々が固まり、既に安定期と言っても良い状況かもしれません。
キャラクタも頭に入っており、それぞれの個性もサブキャラ含めて把握済みです。
そういう意味では、楽しみやすく、解りやすい環境でした。

安定期と表現したのには、前述したように「大筋の物語」としての進捗が薄く、新鮮味や大胆な動きが少なかったとの印象もあっての事です。

作画は人気作だけあって、破綻もなく、こちらも安定していたと思います。
特段視聴に問題のあるような点もなく、特にいうべきこともないと思いました。

声優さんも、もはや耳馴染んでおり、安心して視聴できるレベルです。

音楽はOPについては、映像とあいまって特筆するべきレベルの出来の良さでは無かったかと思います。
キャラの個性も良く出ていましたし、大胆な構図も面白かったです。
EDもOPとは一味違って、落ち着き感があってよかったです。

キャラについては、どれもキャラ立ちをしっかりしていて、ロイド、アーニャ、ヨルの主役組は言うまでもなく活躍していました。
もじゃもじゃもちゃんと登場して動いていますし、ダミアン組も自身のエピソードもあり、しっかりとしていました。
個人的に、おっかしかったのは11話目のエピソードでのベッキーです。
思わず吹き出してしまいそうになることがありました。
これは、今後の活躍も期待したいです。


以上、妄想も多分に含んだレビューですが、終わらせていただきます。

当然、人気作なので今後の期待もあるかとは思うのですが、
このほぼ固まっているスタイルのまま行くのか、大筋の物語を動かして進んでいくのか、個人的には興味があります。

またの機会、またのシリーズがあれば視聴をしてみたいと考えています。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

嫁、大活躍!

原作未読 全12話

SPY×FAMILYの2期(Season2)です。1期から観ることをお勧めします。

今回のメインは、ファミリーの中の嫁役であるヨルさんが大活躍でした。その影で娘役のアーニャもナイスフォローでしたね。

1話完結のお話や1話の中に2〜3つのエピーソードなど、話によって色々を違っていました。

ただ、本来の目的のお話は全然進んでいませんw

ただ、一視聴者としてはコミカルな日常のお話も好きですが、もう少し本来の目的も進展してもいいかなと思っています。

Season3があればまた観たいですね^^

OPはAdoさん、EDはVaundyさんが歌っています。

最後に、名探偵コ○ンみたいに、日常をメインに黒ずくめの組織との対決が進まないのと同じく、本来の目的を果たしたら解散となるかも知れなくなるとこのお話も終わるかもしれません。(コナンの原作者の方が、黒の組織の件が解決したら作品が終わっちゃうので、なかなか進まないとか何処かで聞きました)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 19

73.8 34 2023年度アニメランキング34位
転生王女と天才令嬢の魔法革命(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (367)
1039人が棚に入れました
パレッティア王国王女、アニスフィア・ウィン・パレッティアには前世の記憶がある。 魔法が当たり前に存在する世界に転生し、魔法使いに憧れるアニスフィアが夢見たのは、魔法で空を飛ぶという、破天荒で非常識なことだった。けれど、なぜか魔法が使えないアニスフィアは日夜、キテレツ王女とあだ名されながら、怪しげな研究に明け暮れるはめに。 ある夜、お手製魔女箒で空へ飛び立ったアニスフィア。暴走する箒が飛び込んだのは、貴族学院の夜会。そこでは、魔法の天才と噂される完璧公爵令嬢ユフィリアが、アニスフィアの弟・アルガルド王子から婚約破棄を宣言されているところだった。声もなく流されるユフィリアの涙を見たアニスフィアはそっと手を差し伸べる。 ──この魔法はあなたの笑顔のために。2人の少女が未来を切り開く、「転生×天才」魔法ファンタジー!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

詰め込み過ぎ。百合なのに心情が弱い。魔道具が活かしきれません。

1話 超期待枠です。アニメのクオリティが高い、ヒロインがいい。

{netabare} 異世界ものは他の皆さんのレビューまちで選ぼうと思っていましたが、アベマのサムネが良かったので視聴。
 いや、作画もいいですけど、構図も演出もキャラデザもいいですね。ボカシをつかった遠近法やおありと俯瞰の構図を取り入れるアニメは出来がいい事が多いです。アニメのクオリティに信頼がもてます。1話の引きも悪くないですし。

 「聖女の力は万能です」以来のハイクオリティな異世界です…と思ったら同じ制作会社ですね。なるほどこれは期待枠です。
 そしてヒロインの設定いいですね。可愛いです。空を飛ぶという夢も期待できます。また、対になる娘もいいですね。憂い顔がたまりません。笑顔が見たい。
婚約破棄ものですが、「守るべき節度が…」というセリフから言って原作のクオリティが高いんだろうなあと思います。

 もう原作ぽちっちゃおうかなあ、と思うクオリティでした。2話確認して、良ければ…

 追記 結局文庫をポチってしまいました。5巻品切れです。早く増刷してください。{/netabare}

2話 いいですけど王女語りすぎかな

{netabare} 王女だけでなく登場人物が気持ちをしゃべりすぎかなあと。余韻や表情で読み取れるよう出来る部分もしゃべってしまっているし、その気持ちを演出、ストーリーで見せてくれればもっといいのに、と思います。作品が安っぽくなる気がして勿体ないですし、セリフは整理した方がアニメを見ていて作品世界に入り込めます。
 なろう原作ならスマホ前提で短文でセリフ多いのは仕方ない部分もありますが、アニメのレベル上げるならセリフを整理した方がいいかも。しゃべらせたほうがテンポが良くなるという狙いもあるでしょうけど。

 あとは王女に劣等感が無さすぎなのがキャラに分厚さが出ない気もしますが、これからかもしれませんしそこも含めて転生の設定を明かしていないのが気になります。
 
 まだ、原作は読み始めてませんが、EDの感じから言って、いつか転生の理由とかわかるんですかね?そこを隠しているのがいいですね。王女のキャラ設定はそこにつながるんでしょう。

 あと、1話目よりちょっと映像が安っぽくなった?クオリティは高すぎなくてもいいですけど、アベレージを維持してほしいなあ。{/netabare}



4話 うーん。話はいいけどテンポが遅いかも。1クールでどこまでやるんでしょう?せっかくのいいキャラとポテンシャルがもったいない気がします。

{netabare} キャラも話もいいんですけどね。どうもテンポが遅いというか、しゃべりすぎ、会話劇が多すぎで展開しないというか。「聖女の力は…」の時の軽快な展開に比べてちょっと見劣りするかなあ。小説で6巻らしいので2期目を考えるとぎりぎりですけど、それを考えると間延びする気がします。5巻を1期でやり切るくらいでやらないとラノベ、なろう系は会話が多いですからどうしても薄くなるでしょう。
 種まきはいっぱいしてますよね。竜と王子とあの黒い女性の正体となにより王女は何者が何も描かれず4話ですか…

 うーん。俺たちの戦いはこれからだ、で終わらせる気でしょうか。もったいない。作品のレベルを保てないで間延びさせるのは本当にもったいない気がします。まあ、半分くらい言ったところでもう1度1話から再視聴はしてみますが。

 原作6巻分届いているので先に読んでみることにします。


 で、2話で感じた画面の安っぽい部分ですが、うーん。安っぽいというより遠景の時に気の抜けた作画がある気がします。3DCGの特徴…なんでしょうねえ。引き画の時に線の数が減るせいか、細かい部分が省略されるのか、アップでは気が付かない歪さがでるのか。ベクター処理というかフラクタル化みたいな感じで、3Dモデルで遠景になっても線のクオリティを下げない工夫が必要かもしれませんねえ。{/netabare}

5話 久々にテレビアニメで熱くなりました。ワクワクドキドキで本当に面白いと素直にいえます。

{netabare} テンポがどうとか作画がどうとか前回までいろいろ文句はいいましたが、いいですね。5話。

 魔薬(マヤク)が出てきて「フルでいくのらー」になったときはどうかとも思いましたが、熱いヒロインの熱い戦いがたまりませんでした。

 魔法にかける想いがキャラ付けに活きています。異世界ものもこういう話なら本当に面白くできるんだなあと感動しました。やっぱりジャンルじゃないですね。また、熱血だけでなくて、「魔法科学」と人体の能力、あるいはコンプレックスについてもありそうですね。そこもキャラの奥行になっています。

 いや、本当に面白かったです。{/netabare}


11話 描きたいことと異世界設定の不釣り合いで損をしているかも。

{netabare}  本作はまずギフテッド…生まれつきの才能は努力で覆るということが言えます。また、ノブレスオブリージュ、アイデンティティ、格差社会と分断や既得権益を埋めるのが技術だということ。世襲の否定、職業選択・働く女性の問題等々かなり意識して話に組み込んでいます。百合の部分、つまりLGBTの部分もありました。

 キャラごとの抱えている問題のエピソードへの落とし込みもできると思います。そういう意図については非常に好感がもてます。話の展開もこの1クール分は事前に意図して設定を作ったのでしょう。ちゃんとやりたい事を描くための舞台設定ができていると思います。
 ですが、少し語りたい事、現代的な諸問題が直接的過ぎる気がします。ともすれば非常に説教臭い感じがしなくはないです。

 単純に異世界百合ものを楽しみたい、という層からするとかなり個々のキャラにストレスがかかっています。異世界的なノーストレス展開ではないですよね。本当はそういう話を望む層に対するアンチテーゼでもあるんですけど。
 それと原作もそうですけど、11話からの展開はちょっと急ですね。もう1エピソードあって妖精を深掘りしてユフィの選択があったほうが説得力があります。

 本作はキャラは魅力的だしそれぞれの個々のエピソードもワクワクします。アニメの作画も演出もレベルが高いです。

 類似例として思い出すのが「響け!ユーフォニアム」ですが、話の展開のうまさ、オブラートにつつんでストーリーで魅せる部分では、ユーフォより劣っているかなあという気がします。本作はストレスや内面を全面に押し出して説明しすぎですね。
 込められている意図については、本作のほうがかなりアップデートされています。

 それとユフィというキャラが描き切れていない…というかキャラ設定にブレが感じられるのが惜しいなあという気がしました。そこが11話前後が急展開に感じる要因なのでしょう。

 頭使わないほうが好きな視聴者からは不評でしょうし、真面目に見ている人にとっては面白いですが、少しユフィを含めて周囲のキャラがご都合主義かなあという気がしました。
 こういう批判はレベルが高いアニメだからできるのであって、普通の異世界ものならここまではいいません。

 あと音楽性はなんとかしましょう。レベルが釣り合ってません。{/netabare}



最終話 テーマ性とヒロインのキャラ、設定はいいです。ただ…

 アニメの水準も高いし、尻切れトンボにせず2人の行く末を提示したのは評価できます。テーマ性、ヒロインのキャラ造形、設定や世界観などは非常によかったと思います。
 王女としての役割、役割、やりたい事、家族構成など、生まれと環境と個人の能力・気持ちの部分が交錯してうまいプロットだったと思います。

 ただ、前半のワクワク感と後半のテーマ性を描く部分に入ったときのギャップですね。これはユフィというキャラを扱いきれていない、あるいは設定を上手く活かしきれていない気がしました。
 特にせっかくの百合ものなのに、心情の部分でアニス・ユフィの双方の気持の部分が薄かったですね。ユフィ→アニスはわからなくはないですが、アニス→ユフィに納得感がなかったですね。

 それと魔道具についてのカタルシスがないので、アニスが何を成し遂げたのか、成し遂げるのかも中途半端でしたし、ユフィとアニスの立場の逆転的な部分も妖精設定の弱さから納得感がイマイチでした。アニスの素性についての示唆はちょっとありましたけど、そこの部分が全然描けていないわりに、2期を前提にという雰囲気でもない感じです。

 いろんな要素のレベルが極めて高いですけど、肝心のお話の部分があせりすぎたのか、詰め込み過ぎたのか、人間の行動としての説得力がいまいちでのれませんでした。むしろ前半のアニスのハチャメチャのキャラのほうが面白かったし納得感もありました。

 ということで、低い評価はつけたくないですが、最後の3話が良くなかったですね。ということで画竜点睛に欠くというか、竜頭蛇尾というか、そういう感じでした。

 評価3.9で調整しましたが、ちょっと高すぎかもと悩みどころでした。


追記 感想に変化は有りません。やっぱり相対的に点数高すぎる気がします。作画が良いのはそのまま。キャラが表面的だった分、キャラと調整で使っている声優さんの評価を落とします。3.6なら丁度いい気がします。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

おまえらみんな、真面目かっ!

見た目や言動がストレートにド真面目なマゼンタ公爵家令嬢ユフィリア(ユフィ)はもちろん、一見ふざけた魔道具を作り普段はおちゃらけた言動も目立つパレッティア王国第一王女アニスフィア(アニス)も含めて、彼女たちの親兄弟など主要登場人物のことごとくの根が真面目という、ある意味堅苦しいアニメ作品ですね。

アニスはいわゆる「異世界転生」キャラではあるらしいのですが、具体的な転生描写はなく、転生前の記憶も断片的な物であるようです。いわゆる「現代日本知識で無双する」系のなろう的な異世界転生作品ではありません。

アニメは一応区切りの良いところで1クール終わっていますが、コミカライズはアニメに追い抜かれているため、続きの話を知りたければ現時点だと原作を読まないといけません。

本作のキャッチーな部分はアニスとユフィ、あるいはその他の女性同士のカップリングによるいわゆる「百合」描写が担っているのですが、ストーリーとしては常に「相反するふたつのポリシーの衝突」という軸で作られています。

わかりやすい対立は「既得権益の維持か万人の利便性か」みたいな辺りだとは思うのですが、とにかく衝突する当事者同士は極めて真面目に生きているので、ストーリーにある程度集中しないと置いていかれそうになるアニメですね。

ところで『聖女の魔力は万能です』とかもそうだったんですが、最近のディオメディアってけっこう異世界物を作らせるとイケてませんか?
(そう思ってるのは私だけだろうか…。)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 25
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

異世界転生物のテンプレから何処まで自由に飛べるか肝が試される

原作小説は小説家になろうweb版、富士見ファンタジア文庫ラノベ版共に未読。


【物語 3.5点】
ま~た異世界転生物か?テンプレばっかしでツマラナイ。
こうした批判は声がデカくてよく響きますし、私も言いますがw

その実、いざ、お約束と違うことをされて自由に飛び回られても、
惰性で乗れずに、上空からふるい落とされる。

そんな感想がまず残った物語でした。


中盤までは、旧来の異世界転生物のパターンを踏まえて観ても付いて行ける程度に、適度な距離が確保。
今までにあまりない新鮮な異世界転生物だな。いい百合だった。5話で{netabare} ユフィはアニスに何度、愛の告白をするのかw{/netabare}
といった感じで、前半は、転生アニメ乱造を嘆きつつも、新味を期待して、つい観てしまう層に訴求。

ところが、後半に入ると、さらに捻りを加えつつ、新展開へと飛翔。
アニスもシナリオも暴走?と戸惑う方もいたかもしれません。


後半、折り合いのヒントにしたいのが、原作者・鴉 ぴえろ氏が『魔法少女リリカルなのは』の大ファンだということ。
“十分に発達した科学は魔法と見分けがつかない”を地で行く魔法及び「魔学」の設定、世界観。
何より終盤、{netabare} 泣いてる金髪のあの娘を助けるために全力全開で撃ち倒しに行く件などまんま『なのは』w{/netabare}

結局、異世界転生物のテンプレから自由になって、濃い目の百合で『なのは』みたいな萌え&燃え友情バトル作品がやりたかったのだろう。
というのが私の結論です。


私はアニスがユフィに贈った魔道具「アルカンシェル」を見て、
『なのは』2期の次元航行艦アースラの決戦兵器と同じ名だと嬉しくなる程度には『なのは』厨なのでwこの展開は大歓迎。

ですが理解の拠り所を持たない視聴者のためにも、もう少し伏線、誘導が欲しかったかなとも思います。
例えば終盤の{netabare} アニスの葛藤の裏には転生者ゆえの孤独もあったはず。
そこはテンプレを嫌わずに、折に触れて強調しておけば尚良かったかなと思います。
アニスからユフィだけに伝えた前世の記憶。アニスを娘として受け入れているとの母の涙。
この辺りはもっと感動度が上がったのではと愚考します。{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・ディメディア。

上々。

掛け合いにリズムを生み出すキャラの各種顔芸。

魔力を持たない転生者アニスが憧れるに値するきらびやかな魔法エフェクト。

魔法の有無により固定化された貴族制、身分制下で荒廃と矛盾を抱えた社会。
それでも、あなたがいる世界は美しい。

これらを作画、背景美術から体感できる水準にあるのは大きいです。


何より箒型の魔道具にまたがった金髪王女に自由の大空へと拉致されていく銀髪令嬢は最高に絵になります♪


【キャラ 4.0点】
アニス&ユフィについては【3話までの感想】で触れたので割愛して、ここでは脇について。

アニスに仕える赤髪の侍女・イリア。
主人のオテンバぶりに釘を刺せるのは、主従の信頼関係あってこそ。
世間と摩擦を起こしてばかりのアニスにとっては、
ユーモアの効いた毒舌が数少ない心を許せる場所だったのではないでしょうか。

そういう意味ではダウナーな呪い探究家・ティルティも、
魔学に理解を示す懐の深さで、アニスに毒づいてくれる貴重な友人でした。

イリアは特殊な事情を抱えるレイニの癒やしとなり、
ティルティはアニスとの関係に悩むユフィに助言を与えたりと、
脇が人間関係を動かす潤滑油として機能していました。

イリアの入れる紅茶。私も一杯頂きたいものです。


【声優 4.0点】
アニス役の千本木 彩花さん&ユフィ役の石見 舞菜香さん。
百合沼に落ちると溶解力が凄まじそうなボイスの持ち主。
実際、{netabare} キスまで昇りつめた{/netabare} 二人は尊かったです。
お二人とも自由を抑圧された苦しさと、自由を得た解放感も、落差のある表現で好演。

アニスの弟でアルガルド王太子役の坂田 将吾さん。
序盤はユフィとの婚約を破棄した無思慮な未熟者。
と油断させておいて、後半は、アニスの王位継承権放棄も含む、王国の諸々の歪みを一手に引き受けた故の狂気も体現。


興味を惹かれたのがレイニ役の羊宮 妃那さん。
ユフィからアルガルドを略奪するポジション。
だが悪役令嬢じゃない。
ここもテンプレ打破を狙った風変わりなキャラでしたが器用に対応。
感心の余り、私はこの春、羊宮さんがヒロイン役を務める『僕の心のヤバいやつ』見てます。

作家のみなさん。どんどん凝ったキャラ作って、羊宮さんに無茶振りしちゃいましょうw


【音楽 3.5点】
劇伴担当は日向 萌氏。
優雅なオーケストラにより宮廷や空中戦を演出。
百合が深化する場面では、恋愛作品の音楽提供のキャリアも活かし、
アコースティックギターなども交えムードを盛り上げる。

OP主題歌は花たん「アルカンシェル」
ED主題歌は本編終わってもまだイチャつきたいw
メインヒロイン2人によるデュエット曲「Only for you」

自由な空に飛び立つ歌詞世界が心地よい両曲。
EDは終盤になるにつれ、歌詞の真意と百合の味わいが滲み出る内容。




【3話までの感想】破戒と自由をもたらす異世界転生娘

長いので折りたたみw
{netabare}
相変わらず異世界転生、なろうファンタジーの乱造傾向が続く今期アニメ。
加えて今冬は人間不信に陥った主人公がどうこうという筋書きも目立ちます。
対人関係で負った心の傷と向き合う。
異世界転生物、ファンタジーとして真面目で良いとは思います。
が、揃いも揃ってウジウジされてもちょっと……。
人間を信じられないのは分かったから、もう少しパーッと明るい奴はおらんのか?
そこで本作である。


アニス……魔法の才能はないが、魔法への憧憬から奇妙奇天烈な「魔学」にのめり込む変人金髪王女。御自ら素材集めにものめり込み上級冒険者「狩猟の略奪姫(マローダ・プリンセス)」としても畏怖される超問題児。

ユフィ……魔法の才能にも恵まれたエリート銀髪公爵令嬢。将来の王妃となるべく研鑽に励むが、許嫁の王太子から婚約破棄を通告され途方に暮れていた所、アニスに攫われ、魔学の助手になるよう引きずり込まれる。

プロットは破天荒なアニス王女が、生真面目な令嬢ユフィに、道から外れた人生の楽しみ方を教えていく、定番凸凹お嬢様ストーリーのバリエーション。

本作はアニスの自由奔放な生き様の理由付けに、
異世界転生者としての前世の記憶を設定しアップデートを図る。
これが中々イケてる味付け。

伝統的な封建社会において与えられた役割を外されたユフィのような人間。
先もなければ、先を切り開く発想も文化もない。
もう「何もしなくても良い」と父から言われたら心の芯まで固まる他ない。

そこへユフィにもたらされるアニスというインパクト。
近代的自由が潜在意識にまで染み込んだ異世界転生者はタブーを知らない。
才能に基づいた魔法を根拠とした王国を根底から覆しかねない魔学も、
血縁に基づいた王宮貴族社会を解体しかねない百合の波動も、
好きなことを好きなだけやってしまう近代人アニスはお構いなし。

ハチャメチャで明るい作風の本作ですが、
その光源には人は誰もが自由に空を飛べるはずという人間讃歌が輝いているのです。
3話の{netabare} ユフィの涙{/netabare} には説得力があり共感しました。


魔法エフェクトなど作画水準も良好で、コメディ対応も顔芸を始めとして遊び心があって楽しい。
硬派な世界観に偏りがちな今期アニメの中で、希少なギャグ枠としても依り所にしたい作品。

ただ、アニス王女の奇行に振り回される国王陛下の心労が憂慮されますw{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 29

73.8 34 2023年度アニメランキング34位
Dr.STONE NEW WORLD(第2クール)(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (165)
631人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。 超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚めた。 文明が滅んだ石の世界ストーンワールドを前に、千空は、科学の力で世界を取り戻すことを決意。 新たな仲間を集め『科学王国』を作りあげる。 しかし、そこへ霊長類最強の高校生・獅子王司率いる『武力帝国』が立ちはだかる。 人類の浄化を目指し、強大な武力によって科学の発展を阻止しようとする司。 科学vs武力の戦いは激闘の末、千空たち科学王国が優勢となり、両国は遂に和解する。 仲間の謀反によってコールドスリープ状態になった司、そして、全人類を復活すべく、科学王国は石化光線の発生源、地球の裏側・新世界を目指す! 世界に飛び出て石化の謎を解き明かす! 石の世界ストーンワールド大航海時代がついに開幕する――‼
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

まるで複雑な立体分子構造を組み上げるようなシナリオ運びが極まっていく

3期分割2クール通じてのレビュー・感想。
引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.5点】
サブタイトル『~NEW WORLD』。機帆船ペルセウスでついに“大航海時代”到来か!?
と思わせておいて“新世界”とは、“宝島”での石化装置争奪戦の先に開けた、
(※核心的ネタバレ){netabare} 黒幕・ホワイマンがいる月面に行くためのロケット製作に向けた世界一周町作り{/netabare} 構想のことだったとのオチ。

1クール目序盤、いざ大航海!と思わせておいて、悠然と石油調達のための道路敷設し始めるしw
2クール目も航海より島での頭脳を交えたバトルメインでしたし。

これを肩透かし、展開が遅いと受け止めるかが評価の分かれ目かと思われますが、
私はこれぞ『ドクスト』でこそ味わえる地道で壮大なシナリオ。
1期で千空が豪語した{netabare} 「宇宙に行く。今すぐ、ソッコーで行く」との{/netabare} 少年の夢が伏線回収されるカタルシスも相まって興奮しました。


3期が終わって、本作はとかく文明や地球を破滅させるとの不信を抱かれがちな科学への信頼を取り戻す。
もっと言えば人間への信頼を取り戻すことがテーマなのだろうなとの着想がいっそう深まりました。

さらに3期からの新キャラ・龍水は、これも人を狂わせると忌避されがちなマネーへの信頼を取り戻すことも狙っているのだと感じました。
「欲しいは正義」言い得て妙です。
例えば、マッド・サイエンティスト・千空と金の亡者・龍水がタッグを組むとか語り始めると、
まんま平成漫画の悪の秘密結社のテンプレですからねw

それだけにラスト示された(※核心的ネタバレ){netabare} 復活した司。すなわち信頼できない大人たちを成敗する平成ヒーロー枠の若者が、
科学者・千空、セレブ・龍水と共に宇宙船で月に向かう{/netabare} とのプランは、
科学と金の汚名返上の観点からも唆(そそ)る構想。

制作発表された4期最終章『~SCIENCE FUTURE』
想像とは違う結末、説教すらも心待ちにしております。


バトルでも、一人の狡猾な悪知恵に対して、仲間を信じて賭けに出て勝ち抜くというパターンの反復により、人間への信頼を繰り返し問うて来ました。
他者との絆に期待して一度{netabare} 石化して{/netabare} 自身の意識を飛ばして後を託すとか中々できることではありません。

が、数千年のスパンで託し託され合う千空親子とその一味なら当たり前に人を信じることができます。
その視点から3期で一番感動したのは1クール折り返し地点。
{netabare} 生涯かけてプラチナ等の希少物質を収拾した父の“お宝”を受け取った千空。{/netabare}


【作画 4.0点】
アニメーション制作・トムス・エンタテインメント

特に2クール目、石化装置濫用バトルとなった本作。
毎度思いますが、ほぼ全てのキャラに石化バージョンのデザイン設定をする。
それらの石像を時にバラバラにして組み上げ修復する。
面倒な作業に杠(ゆずりは)ら手芸班も作画も良く付き合っているなと感心します。

終盤、{netabare} キャラたちの再石化からの即復活に伴う人体再生効果により、
顔などに残った経年劣化のヒビ割れが修復してなくなるという件がありました。
傷のないメインキャラは馴染まないから嫌かも?
と思っていたらホワイマン倒すまではと傷口をペイントで再現して元のキャラデザに戻った時は一安心しました。{/netabare}


科学ロードマップ解説で作風を変えてみたりと
知恵熱を伴う解説消化のためのリズム確保も継続。
そんな中『マインクラフト』風のアニメーションなんかも登場し、
『ドクスト』も長期シリーズになって来たなと感慨を覚えました。


その他、龍水の執事・フランソワの手腕により、
たまに飯テロも仕掛けてくるから油断できません。
{netabare} 石窯で焼いた{/netabare} パン文明復興の香りがして唆ります。


【キャラ 4.5点】
意外なキャラの、意外な起用法で窮地を脱していく采配に唸らされます。

そもそも科学の船・ペルセウス号には定員があり、
千空が誰を選ぶか或いは紛れ込むかというのもポイント。
まさかの{netabare} スイカ潜入作戦{/netabare} だったり、石像で温存していた{netabare} 氷月{/netabare} をジョーカーとして繰り出してみたり。
科学知識だけでなく用兵もお見事。千空も作者も頭良いわと脱帽します。

コハク、クロムなど石神村すなわち{netabare} 千空の両親が残した子孫たちの面々{/netabare} が希少素材名というのも、
上記でも触れた継承の観点からエモいキャラ名設定。
宝島出身者で{netabare} 頭首の息子{/netabare} となる新キャラ名がソユーズ宇宙船からというのも
3700年の口伝伝承の底力を感じます。

『ドクスト』のキャラ相関図には有機化合物の化学式を眺めている時みたいなウットリ感があります。


【声優 4.0点】
銀狼(ギンロー)役は、性別の壁をも乗り越える幅広い演技で活躍中の村瀬 歩さんが務めていますが、
{netabare} コハクらと共に敵アジトに美女として変装して潜入する{/netabare} という展開はまさにうってつけ。
3期の銀狼は{netabare} ペルセウス乗船滑り込み{/netabare} だったり、{netabare} 瀕死から石化復活{/netabare} したり、
配下を得て調子コキレベルがインフレしたり。
対応力が問われましたがキャストは柔軟にこなしました。
当初から3期を睨んだ村瀬さん起用だったとすると、スタッフも相当頭良いです。

宝島ボスのモズ役の興津 和幸さん。
舐め回すような粘着ボイスで、若さに任せた単純な力押しではない、オッサンのしつこさを体現。
いつの時代も世代交代は一筋縄では行きませんw


【音楽 4.0点】
劇伴は三者共作が継続。

1期より続くバグパイプ、ホイッスルの民族音楽風に、ラップ曲もおりまぜ原始と科学を再現する作風は変わりませんが、
今回はより普遍的なストリングス、金管が目立った印象。

インフラ、グルメの復活に呼応して曲アレンジも多彩になり、
科学史200万年を一気に駆け上がる千空たちの手応えを音楽でも実感。


主題歌は
1クール目OP・石崎ひゅーいさんの「ワスレガタキ」
ED・OKAMOTO'S「Where Do We Go?」

2クール目OP・清 竜人さんの「遙か」
ED・Anly「好きにしなよ」

一応OPは1期同様、朝のスタート時に適した楽曲で、文明の目覚めに合わせたりもしていますが、
作品をなぞるというよりは、『ドクスト』のスケール感に比するだけの確固たる世界観を持った楽曲を並べている感じ。

世界観という意味では私は「好きにしなよ」が脱力していて好きです。

放送終了時には2クール目OP「遙か」のアニメMVも公開され振り返りには持って来い。
一方で清 竜人公式CHの「遙か」実写MVは、
一人の巫女が朝起床してから仕事に向かう密着ビデオ風になっており、
巫女フェチには断然オススメですw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 24

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジャンプ作品だ!!

私自身、週刊ジャンプを定期的に読まなくなってから、どれほどの年月が経つだろう・・・。

予断だが、マガジンやサンデー、チャンピオンなどは、いまだに読む作品もあるのだが、何故かジャンプだけは卒業してしまっている。

まぁ、だいぶオジサンなのにマンガなんか読んでいるのかというツッコミはナシにしてくださいな。
幸か不幸か、割と自由に読める環境にいるものでね。

それに、いい年してアニメをガンガン視聴しているっていうとこにもツッコまれそうだけど、そこについては、キッパリと「自身の楽しみとして譲ることはできないし、言われる筋合いはない」と完結しているので、悪しからず。

さて、今作。
あまり多くを語れないほど、ストーリーが徐々にスケールアップしているので、物語について語る事はしないのですが・・・。

相変わらず「理屈としては・・・あり得る、出来る」というところを上手に踏まえた上で「実際はそうはならんやろ」をマスクして説得力を持たせている。
実際そこにツッコミを入れるのは野暮ってものな気さえ想起させてくれる。

ここは、織り込み済み、いや、踏まえた上で、楽しむのが醍醐味、この作品のダイナミクスってとこでしょう。
そして、このポイントを踏まえた上で、爽快に物語を勧めてくれる。
これは、少年誌、ジャンプ作品の真骨頂と言っても過言ではない気がしています(個人の感想ですw)

タレントもだいぶそろっている中で、それぞれの特色を生かした活躍をしてくれます。
そして、互いの信頼関係に基づいたそれぞれの行動が「みんなで勝つ!!」の原動力になっていきます。
ここら辺も実にジャンプらしい。

だいぶメタな発言をしてしまっていますが、いまだ最終盤をめがけて連載をしている「ONE PEACE」(2024.7.6現在)」を除いて、(問題発言かもしれませんが)目立った作品が無い中で、一時期を支えた作品だけの事はあります。
いわゆる黄金時代を知っている世代、かつ、ここ数年のジャンプを読んでいない無知なものの発言です、ご容赦いただければ幸いです。

そして、最終盤をめがけてさらにスケールアップしていく。
実に頼もしく、楽しみです。

理屈を超えて、理屈を忘れて、「友情」・「努力」・「勝利」を感じさせてくれる魅力ある作品だと感じています。

最終章の告知もあったようで、ラストスパートが楽しみです。

ジャンプ界隈には大変申し訳ないのですが、発行部数に関係のないアニメ作品の視聴オンリーというところで楽しませていただいています。

大変無責任な言い方ですが、続く作品を発掘、育てていただけることを期待し続くシーズンを楽しみにさせていただきます。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 17

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

強敵との頭脳戦と仲間との絆が熱い。安定の面白さのアニメシリーズ第3期

原作未読。
アニメシリーズ全て視聴済み。

ついにアニメも第3期、大人気作ですが安定の面白さでした。1クール目は大将戦のための準備期間だったため、絵代わりが少なくてマンネリ気味でしたが、後半の2クール目はとても良かった。

今期の最大の敵イバラとのバトルは、今までには無いかなり高いレベルでの頭脳戦が繰り広げられ、味方側も何度も追い詰められる所が目新しく、ハラハラする展開で面白かった。
イバラの二面性のあるキャラクター性が、声優さんの演技と絵柄も相まって中々に怖く、時折くる緊張感が今までのアニメシリーズにはない要素でした。

石化の謎、そして真相へと繋がる大きな進展があったし、仲間達との絆もより深まっていて、19話あたりは胸熱でした。

そしてDr.STONEはやはりキャラクターが良い。それぞれが個性的だけど信念があって生きているのも好きだし、キャラデザがめちゃくちゃオシャレなのも良い。新キャラたちも衣装が凝っていて良いし、既出のキャラもやっぱりデザインがいいから、見てて楽しい。龍水も氷月も見た目が良すぎる。

OP、EDも素晴らしく、世界の壮大さと美しさを感じる曲で好きでした。映像も綺麗。

この作品を見ていると、探求することの楽しさ、未来を思い描く楽しさ、生きることの楽しさと儚さを感じる。
たまにはこういう作品があってもいいよなって思う良さがある。
原作は完結し、アニメは4期の制作が決定したとのことで、今後どのように物語が進み完結するのかとても楽しみです。
引き続き視聴予定です。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

73.8 34 2023年度アニメランキング34位
ヴィンランド・サガ SEASON2(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (224)
518人が棚に入れました
新たな千年紀を迎えたデンマーク・ユトランド半島南部。仇敵・アシェラッド亡き後、生きる目的を失ったトルフィンは、「奴隷」として地主・ケティルに買われ、彼が所有する農場で開墾作業に従事していた。そこで、同じく奴隷の身分へと堕ちた青年・エイナルとの出会いをきっかけに自らが犯した罪と向き合い、生きる意味を見出していく。一方、イングランド王に即位したクヌートは「楽土」の建設に向けて、さらなる版図の拡大を目論んでいた。これは“本当の戦士の物語”プロローグのその先にある“償いと救済の物語”。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

心に刻まれる壮大なサーガ

引き続き原作未読で視聴。

【物語 5.0点】
超スローペースの2クール全24話。
概要など、トルフィンは平和な日常のかけがえの無さを知る。
トルフィンは自らの進む道を決意する。
以上で説明できてしまう程。
だが私の心に爪痕を残すのはこういう作品。

戦場で狂気に囚われた戦士の末路。
帰還兵が抱えた心身の傷と再生。
各々テーマとして語り尽くされ傑出した物語も多数あります。

ですが1シーズン目で前者を、2シーズン目で後者を。
双方の題材を紡ぎ合わせた大作となると希少かつ貴重。

戦いに明け暮れ復讐の虚しさを思い知ったトルフィン。
戦いから逃げ腰だったが戦場を経験する中で、楽土建設を標榜する大王として覚醒していくクヌート。
異なる道へ進んだ両者。交わるはずがないと思われた二人の道がやがて交錯。
様々な価値観を抱えた人生がぶつかり合うことにより、テーマを重層化させる人間ドラマが圧巻。

前シーズンでは、トルフィンの父トールズの言動に、正直、平和主義や反差別主義といったヒューマニズムに過剰なのでは?との違和感も抱えていました。
ですが終わってみれば正気の沙汰じゃないと思っていた{netabare} 羊8頭と瀕死の奴隷の交換{/netabare} などのトールズの酔狂にすら懐古して感じ入ってしまう不思議。

争いの無い土地を目指して“ヴィンランド”に行きたいとか後ろ向きの夢想が物語になり得るのか?
という疑問も、今ではすっかり前向きな進路だと好感できている。

同時に、ここまで語り尽くされないと戦争や奴隷の恐ろしさ理不尽さが理解できない、
私の心の鈍感さに愕然とします。

1シーズン目観ていないと分からない以上に、
1シーズン目を“経験”として血肉とした上で、心を研ぎ澄ませて噛み砕いて行かないと、
2シーズン目では感性が反応できず、描写が淡々とし過ぎて退屈だとなりかねない。
ギャグも{netabare} “熊殺しのドロット”の100発の拳より強烈だった姉御のワンパンw{/netabare} など少な目ですし。
お前ちゃんと定期的に里帰りしとけよと諭されますw

人も条件も選ぶ続編ではありますが、私は満点を付けざるを得ません。


【作画 4.5点】
アニメーション制作はWIT STUDIOからMAPPAにスタジオ変更。
監督、シリーズ構成等スタッフ陣の中核は継承。

ヴァイキング世界の雄大な自然を描き切る背景美術のクオリティも堅持。
天候変化による心情描写の拡張、鳥による自由意志の暗喩など、演出面もハイレベル。

例えば、一見、美人な奴隷のアルネイズさん。掌は手荒れでボロボロ。
肉体に刻み込まれた傷痕で、苦労を重ねた人生の年輪を語る人物作画にもグッと来ます。

トルフィンを責め立てる死者の群れなど悪夢のトラウマ描写も迫力あり。
クヌート王に至っては、{netabare} リアルで見える死んだ父王スヴェンの生首に、お前も孤独な君主の道を進むのだと嗤われる{/netabare} 白昼夢が続く。
これで狂わないなんて、本当にあのひ弱だったクヌート殿下なのか?と戦慄します。
というより、あの顔面、気持ち悪くて夢に出てきそうですw


余談ですが、スタジオがMAPPAに変わっても、放送局がNHKじゃなくなっても、
冒頭バイクツーリング映像でスタジオロゴを打ち出すスタイルは変わらないのですねw
世界観に合わせてヴァイキング船になったりはしないのでしょうかw


【キャラ 4.5点】
トルフィンがケティル農場で同じ奴隷の相棒となる男・エイナル。
情の厚さから復讐心に駆られそうになるエイナルの血気をなだめるトルフィン。
その他、1シーズン目で辿った自身の道を繰り返しそうになる周囲。
農場で出会う人々を通じてトルフィンが何を思うのか?
合わせ鏡を覗くような構図も交えて、トルフィンの経験と成長を噛み締める濃厚な人物相関。

農場主のドラ息子・オルマル。
心身共に貧弱なクセに、俺は農場は継がずに戦士になるんだ!と息巻く分かりやすいグレっぷり。
彼もまた、あの頃トルフィンもそうだったかなと懐古する上でも有用な人物。
終盤には、{netabare} 挑発に乗り、農場接収の口実を与えてしまう失態を演じますが、
最後は、戦うばかりが能じゃないというトルフィンが15年かかった境地に僅かな期間でたどり着く。{/netabare}
男が一皮むけるためには、早目に荒れて、やらかすことも必要なのかもしれません。
にしてもオルマルはやらかし過ぎですがw

オルマル&ケティル親子を始め、弱さ故に女を侍らせ、富と暴力に執着する。
地獄の中世ヨーロッパの底流に男の性ありとの示唆が繰り返されテーマを補強。

ケティルは欲張って土地を広げ過ぎ。やがて争いの火種となる。
先代当主・スヴェルケルのご指摘はごもっとも。
が、ケティルの旺盛な農場経営があったからこそ、
トルフィンらは自由民復帰に挑戦する機会を得たとも言える。

トルフィンとは別の覇道を進むクヌート王らと合わせて、
キャラによる反証が、ヴィンランドへの道を鍛え上げる。


【声優 4.5点】
主人公トルフィン役の上村 祐翔さん。クヌート王役の小野 賢章さん。
壮絶な半生を経た人格の変化、徐々に氷解していく心。
この辺りを演じさせたら、お二人は本当に上手いです。

脇では洋画、海外ドラマ吹替経験も重ねたベテラン勢が起用され、
ヴァイキング世界の洋風ムードを演出。
その中でも特にアルネイズ役の佐古 真弓さんや、大旦那スヴェルケル役の麦人さん辺りは、
人生の年輪が滲み出た、簡単に養成できないような妙演で魅せてくれました。


【音楽 4.0点】
劇伴は、やまだ 豊氏が続投。
感情が極まった人物に心を打たれるのは、一体となった背景美術だけではなく、
繊細なピアノと雄大なストリングスで盛り上げていくBGMとの合わせ技による所が大きいです。


主題歌
前期OP・Anonymous「River」/前期ED・LMYK「Without Love」
後期OP・Survive Said The Prophet「Paradox」/後期ED・haju:harmonics「Ember」

歴史物にサバプロのようなロックを起用すると好みが分かれて、“酷い”の検索候補が必ずついて回りますがw
グチャグチャした葛藤を叫びたいロック魂のような感情は古今東西不変という観点から私は嫌いではありません。

主題歌群で相変わらずなのは英語歌詞の多さ。
TVsizeだと、後期EDのサビでようやく美しい日本語バラードを耳にして里帰りできた感w

続編があれば、思い切って本場“ヴィンランド”のラウドロックやR&Bシンガーを一曲挟んでみても面白いかもしれません。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 27
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

逃走論

アニメーション制作:MAPPA 、
監督:籔田修平、シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン・総作画監督:阿比留隆彦
音楽:やまだ豊、
原作:幸村誠(講談社『アフタヌーン』連載)

どうして幸村誠は、こんな題材を選択したのだろう。
連載が始まったことを知ったとき少し落胆した。
作者の前作『プラネテス』は、連載時と単行本化されてからも
何度も読み返したほどのお気に入り。
『宇宙兄弟』よりも先に発表していた画期的な宇宙漫画。
宇宙という広大な世界を描きつつ、
その憧れの結実として「愛」に収斂させる。
お話としては当然のようでありながら、
行き着くまでの主人公たちの真っ直ぐな想いや苦悩、
導き出された選択を鮮やかに描き出した傑作だった。

作者の次回作をとても期待して待っていたのだが、
ヴァイキングの話と知って手に取るのをやめてしまった。
ゲルマン民族の大移動に端を発し、海へと向かったヴァイキング。
それは、まさに長く長く続く殺戮の歴史。
私にとっては高校の選択科目において、
ほぼ選ぶ者もいなかったのに
ずっと好きで受験科目にまでした世界史。
きっかけがこのゲルマン民族の大移動だった。
そんな話を幸村誠が描くということで興味はあったが、
物語の根底に広がる血みどろの展開を目にしたくないという
気持ちのほうが先に立ってしまったのが、
これまで読まなかった大きな理由だった。

しかし、アニメ化されたことで観ないという選択肢は、
ほぼなかった。制作はWIT STUDIO(2期はMAPPA)で、
シリーズ構成・脚本は瀬古浩司。
いくら血なまぐさくても観るべき布陣だし、
面白くないという可能性はゼロに近いと思ったからだ。

ただ、想定していたとはいえ、物語の序盤から苛酷な話が続く。
シーズン1では、戦士トールズの子供であるトルフィンが
隠れて父親の船に乗ったことで悲劇が起こる。
{netabare}それがきっかけでヴァイキングと行動を共にすることになった
トルフィンだったが、仇であるアシェラッドが命を落とし、
生きる目的を失ってしまった挙句、
奴隷になるところで1期は終わった。{/netabare}
2期は、大農場の奴隷として、気の良い領主であるケティルの元で
同僚のエイナルとともに土地を整備し、畑を耕す仕事に
従事するところから始まる。

ケティルの側仕えをしているアルネイズ、
ケティル農場の用心棒である蛇、
ケティルの長男・トールギルと次男・オルマル。
そこに1期で行動をともにしていた
デンマーク王・クヌートが加わり、物語は大きなうねりを見せる。

キャラクター一人ひとりの心の変遷を深く描いている。
過去の経験からつながる現在の生き方、信条。
大切なものは何なのか。
それぞれが重い十字架を背負っている。
何が正しくて、何が間違っているのか。
ひと言では言い表せないほどの
苦悩や争いが綴られていく。

私はこの作品のクライマックスを観ていて、
浅田彰の著作『逃走論 スキゾキッズの冒険』を思い出した。
今でも、この本のことを鮮明に覚えているというのは、
やはり多くの人と同じように、私も自分の価値観を
ひっくり返させられるほどのショックを受けたからだろう。
「常識」が悉く疑わしく感じられるようになり、
本当の意味で自分自身のアタマで考えるようになった
きっかけの書籍だった。

この著書で浅田彰が意識していたのは、全共闘世代の問題、
そして連合赤軍事件についてだったという。
私は全共闘世代とは年が離れているので、
当時の連合赤軍事件のことはほとんど知らなかったのだが、
よく行く飲み屋の知り合いが、
若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』という
映画の制作に深く関わっていたこともあり、
公開当時の2008年に映画を鑑賞し、
いろいろな資料を読む機会があった。
映画を観て、ひとつ感じたのが集団における空気感と
ある意味の真面目さだった。
最初は思想に深く入り込んでいなかった者たちが
次第に国を変えるという壮大な夢と
集団における規律に囚われて
何も見えなくなってしまう心理。
一線を超えた行動によって引き返せなくなってしまう
様子がとてもリアルに描かれていた。

あまりにも簡単にまとめてしまうと、
浅田彰は、そういうある種の真面目さから
身動きの取れない状況に陥ってしまう人々に向けて、
「逃げろ」と訴えた。
最近の風潮、たとえばいじめの例をひとつとっても、
それは当然のことのように思えるが、
終身雇用制が常識だった時代、さまざまな社会の常識と
されるものによって縛られていた、少なくとも私にとって、
その言葉は深く心に刺さったのだった。
行き先が決まっていなかったとしても
負の連鎖が続いていると感じたなら、
逃げて、逃げまくっても良いのだという提言だった。

そして、ヴィンランド・サガ2のクライマックスである。
トルフィンは、奴隷になった地においても
クヌートと対峙し、殺し合い、奪い合いの連鎖にまきこまれる。
クヌートは、元々、信仰心に篤い男だったが、
戦乱の世の中心に自身の身を置かざるを得なかったことから、
「神は何もしない」ことを悟り、
「神の条理に従っていては楽土を築けない」と考える。
神から捨てられたヴァイキングを救い、
「神と戦う」ことで、楽土建築を目指していた。
一方、トルフィンは盟友・エイナルの生き方にふれ、
アルネイズの絶望を目にし、新たな決意をする。

{netabare}それは「戦わない」という選択。
1期において父トールズが語った「本当の戦士」の意味。
「戦士に剣はいらない」と語った
父の境地にようやく辿り着くことができたのだった。{/netabare}

苛酷な運命を辿った人物から導き出された
新しい思考というのは、人を動かすこともある。
もちろん、史実からはかけ離れているだろうが、
クヌートはトルフィンの決断を聞いて、
自身の統治についての方向性を大転換することになる。

1期からずっと続いてきた陰惨な殺し合いの連鎖。
2期の終わりまで観て、とても納得感のある
作者の目指しているものが伝わってくる物語だった。
主人公の「心の旅」という部分では、
ひと区切りついた形となったが、
作品タイトルからは、ここからが本番。
トルフィンは「逃げ続ける旅」のなかで、
どんな選択をしていくのか。

まだまだ興味の尽きない叙事詩的作品として、
私たちを楽しませてくれそうだ。
(2023年7月2日初投稿)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

比類なき濃厚ドラマ(追記しました)

[2023.6.29追記]
2期見終わった後、クヌートの歴史が知りたくなって調べてみました。
クヌートが{netabare}波を鎮めようとする{/netabare}シーンが23話でありましたが、
あれ、「逸話」としてWikiに書かれててちょっとびっくり。
こういう逸話などもちゃんと調べて盛り込んでるところもすごいなぁと改めて感じました。

[初回感想]
ヴァイキングの子トルフィンが自分の生きる道を見つけていく物語の2期になります。
未見の方は1期からの視聴をおすすめします。ここからでも見れますが1期見てると物語の深さの理解度が違うと思います。
全24話。原作未読ですが先が気になるので読もうかちょっと迷ってます。

見てて感じたのが物語の世界観がとてもしっかりしてるのと、とても細かいところまで描きこまれてる綺麗な絵、そして劇中曲もピアノの曲など見てるこちらの心情に寄り添うような素敵なものが多くてよかったです。

それからすごいって感じたのはキャラの描き方がとても深いこと。
これは1期のアシェラッドを見てても感じたことですが、人の一面だけじゃなくて多面的に描かれているというか。
農場主のケティルや大旦那のスヴェルケル、用心棒リーダーの蛇、アルネイズなど、人物造形がみな深いです。
特に印象的だったキャラはケティルの次男のオルマル。
{netabare} 登場時はやんちゃで世間知らずでわがままな坊ちゃんって感じだったのが、自分の愚かさが原因で大変なことになり、とても後悔し悩んだ末に本当の勇気について学んで、トルフィンの行動に感銘と尊敬の念を抱いて・・
最後、汗をかきながら農作業してる彼の顔は本当に素敵だと思いました。{/netabare}

1期のほうが好きって方が多いみたいですが、私はトルフィンが大きく成長した2期がとても気に入りました。
{netabare}確かにガルザルの下りはちょっとくどいかなって思いましたけど、{/netabare}全体的に丁寧に描かれてるところは好感持ちましたし、物語のクライマックスの21話~23話は感動して何回かリピート視聴しちゃいました。。

トルフィンの理想は現代ではなかなか難しいものがあるかもですが、実はそれを実現した社会が大昔の日本にあったみたいなんです。(作品と関係ないので畳みます)
{netabare}その時代って縄文時代。
私もネットで見た知識なので間違ってるかもですけど、縄文時代って1万年も続いてて、実は定住もしてて栗の木とか採取のために近くに植えたり、日本の他の集落とも交易で繋がってて海外からも物が入ってきたりしてたみたいで。
そんな私たちの想像よりも豊かな暮らしをしてた縄文人だけど、一番驚いたのが狩猟具みたいものは出土するんだけど、人を殺す武具は一切見つかっていないみたいなんです。
先日もドイツで3000年前の剣が見つかったって記事見たけど、同時代の世界の他の地域からは武器が出土してるのに、縄文人の遺跡からは出てこない。これって本当ならすごいことだと思う。
だってトルフィンたちが憧れて目指してる社会がそれよりも何千年も昔にあったんだから。{/netabare}

2期は{netabare}やっと故郷に帰れたところで終わりました。(トルフィンのお姉さんのパンチには笑いました。。){/netabare}
最終話見てから1話を見返したんですが、色々と発見があって1話の「刻め」と23話の「刻め」がつながるところなど凝ってたり。
ここまできたらぜひヴィンランドに行くところまでやってほしいですよね。(原作未読だけど・・)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 23

73.8 34 2023年度アニメランキング34位
PLUTO(Webアニメ)

2023年10月26日
★★★★☆ 4.0 (52)
231人が棚に入れました
憎しみの連鎖は、断ち切れるのか。 人間とロボットが<共生>する時代。 強大なロボットが次々に破壊される事件が起きる。調査を担当したユーロポールの刑事ロボット・ゲジヒトは犯人の標的が大量破壊兵器となりうる、自分を含めた<7人の世界最高水準のロボット>だと確信する。 時を同じくしてロボット法に関わる要人が次々と犠牲となる殺人事件が発生。<ロボットは人間を傷つけることはできない>にも関わらず、殺人現場には人間の痕跡が全く残っていなかった。2つの事件の謎を追うゲジヒトは、標的の1人であり、世界最高の人工知能を持つロボット・アトムのもとを訪れる。 「君を見ていると、人間かロボットか識別システムが誤作動を起こしそうになる。」 まるで本物の人間のように感情を表現するアトムと出会い、ゲジヒトにも変化が起きていく。 そして事件を追う2人は世界を破滅へと導く史上最悪の<憎しみの存在>にたどり着くのだった―――。

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

漫画を「越えられない」

ボクがアニメ会社にいた数年前から作るという企画は聞いていましたが、正直期待はずれな出来だと思います。

原作を「そのまま」アニメ化しただけで、アニメーションとしての出来が凡庸なんですね。盛り上がらないまま最終回まで見ました。

というよりも、強豪のアニメが多いからかもしれませんが、演出がちょっと古くさいと思いますし、なにより今の時代には派手な演出が多いアニメがたくさんあるので見劣りしてしまいます。

かと言って、構成になにか特出した驚きを入れているわけでもないので、浦沢直樹さんの漫画は非常に面白いと思いますが、このような評価になります。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

浦沢直樹って…問題。陰気で暗ければ立派ってのは錯覚だから!by高橋ヨシキさん。

 元々は、軟派なくらいな「ヤワラ」や「パイナップルアーミー」や「マスターキートン」などの職人的な作品で成功していた浦沢さんだが、エヴァ以降の0年代の暗くて謎めかしい雰囲気が流行ってた頃に産まれた「MONSTER」からだいぶ作風が変わって作家!みたいになっちゃったのがやはり良くなかった…というのを改めて認識しました。


 流石に作画は力が入っていて、声優陣もなかなか揃っている(皆口裕子さんがちょい役なのは謎)。Netflixで意欲的な作品が出るのは良いことだけど、正直今回もブレイクスルーにはならず…(「サイバーパンク ランナーズエッジ」は割りとえがったが)。


 やたらサイコスリラーみたいにして謎めかして引っ張った割には…というのが「MONSTER」以降の常套になってしまって、苦労して殻を割ったわりには実は小さいしあんま美味くない…。自分のオリジナルならまだ良いけど、いちお人の作品のリメイクまでそれだとねぇ…。企画ありきでスタートしちゃった感が。それしかないんか!ってなっちゃいますし。これなら「パイナップルアーミー」のアニメ化のが見たい。


 各ロボットの話の割りとベタな人情噺というかシンプルな良い話で、それならまだ良かったんだけで引っ張りと回り道が過ぎる…。アメリカの中東に対する問題とかも時代の要素として入れて見ました…くらいであんまり深掘りされず…。それこそこういう救いのない話を安易な解決におとさないで描いてた旧作たちの方が良かった。浦沢さんも「ビリーバット」がすべってからだいぶヒットがないし、流石に時代が変わった事を認めて頂きたい。元々作画担当の方だったんだし、また職人として良い仕事する浦沢直樹が見たい。それにしても、ヨシキさんは良いこと言う。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 8
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ストーリーと作画は抜群に良いが、私には浅く感じる作品です。

 原作既読です。若干のセリフ回しの他はほぼ原作の再現と言っていい作品でした。

 浦沢直樹氏の作品ということでとてつもない完成度の本作を、これまた丁寧にアニメ化したなあという印象です。映像と演出でかなりの水準のアニメに仕上げたと思います。ただ、先に言っておくと途中で集中力は切れました。それは原作既読だからというより、やっぱり奥行がない作品だなあと思うからです。

 さて、鉄腕アトムの「史上最大のロボット」を膨らませ、湾岸戦争におけるパパブッシュのイランの核兵器開発の言いがかりをメインプロットにして再構成したような話です。
 私は原作を読み終えたときからの疑問があります。何か「作者が語りたいテーマ」が見いだせるか?です。

 経験の蓄積によるAIの感情の獲得、完璧なAI問題、ロボットの社会学的なシミュレーション、環境そういうものが散りばめられていますが、さて、どこまで本気で深掘りしていたか?ということです。
 何かそういう世の中にある既存のテーマを拾ってきて、ストーリーやエピソードのギミックにしただけではないか?と思ってしまいます。

 浦沢直樹氏は、相変わらず非常にうまいストーリーテラーであるとは思います。が、特に本作ですが「これってニュースとか過去作品のパーツを拾って来て、奥行きがあるように見せてるだけじゃん」って、思ってしまいます。作家性が感じられないというのでしょうか?
 何かを主張せざるを得ない熱さが生み出す歪さや不自然さが全く感じられません。まあ、それだけ完成度が高いということではありますが。また、完成度が高すぎなのが、かえって面白みを損なっています。先読みできるわけではないですが、展開してほしいように展開するといえばいいでしょうか?思考的な意外性はあるのですが、感情的な意外性がないという感じです。

「羊たちの沈黙」のハンニバルレクターに宮崎駿的なロボット造形、そして「AKIRA」的な地下牢獄のブラウ1589が象徴的ですが、正直、目新しさが全くない既存作品の話の集合体のような作品ではあります。

 ウランの感情についての機能について、AI、人間、人類…そういったものの深掘りとか定義問題に寄与できたでしょうか?
 お茶の水博士がアイボみたいなロボットを修理する場面も、ニュースでアイボのメンテナンスが終了するときに報道された内容がそのまま使われている感じです。
 奥さんの「あの人の記憶」という言葉を弄んで、悲しみを演出しているだけに見えます。記憶問題は需要なファクターであっても、じゃあ記憶ってアイデンティティにとってどういう意味なの?というテーマに結びついて行きません。
 子どもを世話する徴兵を拒否したロボットが平和を望めば、そりゃあいい話にはなるでしょう。じゃあ、そのロボットの平和思想はどこから来ているんでしょう?彼の背景は?

 7体のロボットについては、1つ1つのロボットに人間味を出すためのエピソードの集合体です。ゲジヒトとアトムは別格ですけど、じゃあ、ゲジヒトのロボットとしての使命、感情、人間性、記憶、悲しみ…そういったものはエピソードとしては優れていても、深さを感じません。深さとは言い換えれば新しい視点と考え方で、それがないと言う意味です。要素はいろんな作品の真似なのはいいんです。視点=作家の感性や個性が生み出した物事を考えるきっかけや道筋が感じられないということです。
 ロボットの人間性という意味はなんとなく乗っていた気もしますが、しかし、あれだけ注目しておいて記憶の内容がそのエピソード?と思ってしまいます。

 鉄腕アトムそのものに「勧善懲悪」に対する手塚治虫氏の疑問や、強さとは何か?ロボットがいる未来とは?のようなテーマがあるので、そういう蓄積がある人はかえって深読みしてしまうのでは?と思います。まあ、そこを上手く拾って話にはしている気もしますが、しかし、本作におけるアトムはかえっていい子ちゃんになってしまっています。
(反陽子爆弾はワンダー3のオマージュでしょうね。やっていることは…うーん1978年のスーパーマン?カリフォルニアの断層に核ミサイルを撃ち込む)

 実は、本作「見終った」にしていますが、途中流し見しています。それはやはりアニメの出来としては上質でも、内容が薄いからです。最近の類似作では「AIの遺電子」の方が深みを感じました。

 いろんな蓄積を持っている人が、自分の思想を投影しやすい構造なのでしょう。本作は過去作やニュースからパーツを拾ってつなぎ合わせているし、ストーリーの幹も鉄腕アトムという名作と現実の事件に取材しているので、そこに付随する問題を勝手に解釈するような構造だから一見深い様に見えるし、ある意味それを深みというのもいいかもしれません。が、私の考え方では、それは視聴者・読者に丸投げしているだけで新しい視点を与えてくれるものではないので浅さと判断しています。


追記 ネタバレになるので隠しておきますが…憎しみについてです。

{netabare} この作品、経験値の蓄積によって感情が芽生え、人間性を獲得して行くような出だしがあります。ただ、記憶はいじれるみたいな話がでます。悲しみという喪失の感情をロボットが持つことが描かれます。
 ロボットはどんなに蓄積をしても、一つの方向性がないと決して人間にはなれない、という話があります。それが「憎しみ」です。人間性を獲得すると「嘘」それも「優しい嘘」がつけることが明示されます。

 この様にまとめると「憎しみを乗り越えると人間性が獲得される」そういう「テーマ」なのかなあ、と思えます。ですけど、この人間性の獲得のところで、それぞれの要素、経験と記憶、憎しみや悲しみ、そういったものが深掘りされないで、ただそういう話だと提示されているだけです。

 憎しみがなぜ人間性に必要なのか?肝心のそこが私には理解できませんでした。ゲジヒトの子供を持つ喜びと喪失という誕生と愛情そして別れならまだ理解できなくはないですけど、それにしたって表面をなぞっているだけです。

 なので、ストーリーのフレームはよくできている。それっぽい話です。でも、憎しみとは何かが描かれたでしょうか?悲しみについても喪失のエピソードはいっぱいありますが、それで何を表現していたのか?

 そもそもロボットの人間性の獲得は、進化なのでしょうか?よくわかりませんでした。{/netabare}

 もし、この点で何か納得できる気付きがあれば、評価が変わる可能性はあります。アニメそのものの出来は素晴らしいと思いますので。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

73.6 38 2023年度アニメランキング38位
北極百貨店のコンシェルジュさん(アニメ映画)

2023年10月20日
★★★★☆ 4.0 (19)
114人が棚に入れました
新人コンシェルジュとして秋乃が働き始めた「北極百貨店」は、来店されるお客様が全て動物という不思議な百貨店。
一人前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに見守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えたお客様が現れます。
お客様の想いに寄り添うために、秋乃は今日も元気に店内を駆け回ります。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

欲望や合理性の追求が人類をも絶滅させるのか

多種多様な動物たちが訪れる“北極百貨店”にて新米コンシェルジュとして奮闘する主人公女子店員の成長などを描いた同名コミック(全2巻・未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 4.0点】
表層は働く人を応援する明るく楽しい雰囲気のお仕事アニメ。
深層には近現代の科学文明と生物の大量絶滅についての重たいテーマも潜む。


接客を取り扱った作品として観ても解像度が高い。
安易な同意がお客様をクレーマーに仕立ててしまう。
おもてなししたお客様は巡り巡って店の難題解決にも助力する縁となる。
機微を捉えるセンサーも精密です。

一方で絶滅動物“V・I・A”のお客様との交流を通じて、
欲望の赴くままに消費活動行い合理性の論理の元、
自然破壊や希少動物の乱獲を重ねて来た人類の罪と罰を示唆する。
すなわち{netabare} 笑顔によるコミュニケーションという人類のみが有する合理性では割り切れない特徴。
その笑顔で、大量消費の極致である百貨店にて、絶滅動物に接客させる若干の懲罰感を含んだ皮肉な構図。{/netabare}

そもそも、おもてなしなど不要だからと、ディスカウントと利便性が求められる昨今。
百貨店そのものが絶滅危惧種であることが、世界観をいっそう皮肉なものにしている感。


私のように捻くれた見方をすれば重たい余韻も残ってしまいますが、
基本的にはコンシェルジュとお客様の心温まる珠玉のエピソードで、
明日の仕事の活力を充電できる良品。
鑑賞前、70分という尺は短すぎでは?とも懸念しましたが、
終わってみれば夢のようなひと時を過ごした充足感が残る適尺でした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・Production I.G

例えばAIに淘汰されつつある人類だの硬派なSFアニメの印象が強い同スタジオがとなると、
どこで人類文明の罪と罰とかをえぐってくるのだろう?と身構えてしまいますがw
総じて明るい画面でおもてなししてくれますのでご安心下さいませ。

新米コンシェルジュの1年を描くということで、北極百貨店内の四季折々を背景美術が再現。
色彩設計に加え、絵コンテの段階から着彩して映像の方向性を打ち出すコンセプトカラーデザインの工程にも注力。
人物や動物たちのデザインは簡素ながら、短尺での満腹感を得られたのは、
緻密で多彩な背景によるところも大きかったです。

長目の手脚に指先まで神経を通わせて接客する人物の動きなどに躍動感を与える。
この辺りの芸当は本作の監督、作監らが過去に参加したTVアニメ版『ボールルームへようこそ』での経験が生かされていると感じます。
動物たちがゆったりと買い物を楽しむ店内で、お客様のご要望に応えるため東奔西走するコンシェルジュさんのスピード感など、
時に緩急も交えたコミカルなアニメーションにもリズムがありました。

比喩による心情表現も、クレーマーにカスハラを受けた主人公のコンシェルジュバッジが曇って見えるカットなど、上々の出来栄え。


【キャラ 4.5点】
主人公の新米コンシェルジュ・秋乃はややお客様への同意が強い傾向にあるドジっ子店員さん。

彼女を見守る神出鬼没のフロアマネージャー・東堂。
({netabare} 真っ赤に茹で上がった顔で鍋{/netabare} から出現した時はビックリしましたw)
“謎のペンギン”エルルは{netabare} 北極百貨店を取り仕切るオオウミガラスとして、{/netabare}
秋乃に明日の百貨店の可能性を見出そうとする。
外商員トキワは合理的な観点から秋乃をコンシェルジュ不適格と監査しようとする。

三者三様の視点で秋乃を捉えることで、主人公を拡張しつつ、
接客の正解について、鑑賞者をも巻き込んで議論を深める巧妙な人物相関。


癖の強い動物のお客様たち。
いずれも誰かを想うが余り、店に難題をもたらす。
他者を思いやる気持ちはプライスレスを感じられる動物キャラは割りとカップル率高目。
実は本作は今年屈指のカップル向け恋愛映画枠ではないかと私は思っていますw
それだけに{netabare} クレーマーに堕ちたカリブモンクアザラシのマダム。
金持ちセレブでも絶滅種の孤独は心を冒す毒となるを体現しているようで痛切です。{/netabare}


【声優 4.5点】
主人公・秋乃役の川井田 夏海さん。
「申~~~し訳ございませ~~~ん!!」って感じで元気ハツラツなコンシェルジュを好演。
本作が劇場アニメでは初主演となる川井田さん。
今後もどんどんメインどころで聞きたい声優さんです。

“謎のペンギン”エルル役の大塚 剛央さん。
『推しの子』アクアのような少年役だけでなく、
こういう渋い役もこなす引き出しもある方なのだと認識。
中堅ベテランになってからも楽しめそうな声優さんです。

入野 自由さん&花澤 香菜さんのニホンオオカミカップルなど、
エピソードのゲストとなるキャストにも実力者が揃い耳も幸せな本作。

意外な所ではクジャクカップル役の花乃 まりあさん&七海 ひろきさんの元宝塚スターコンビ。
きらびやかな演技と羽根による求愛行動は周りのお客様のご迷惑になりますのでご遠慮下さいませw
って感じでフィットしていました。

味わい深かったのはケナガマンモスのガラス造形家・ウーリー役の津田 健次郎さん。
何だかんだ、{netabare} 亡き妻との思い出の品を壊してしまった{/netabare} ネコ役の諸星 すみれさんとの掛け合いが一番泣けるマイベストカットでした。


【音楽 4.0点】
劇伴担当はtofubeats氏など。
“な~~んで~もそ~ろ~う~ 北極百貨店~~♪”との明快な「北極百貨店のテーマ」をメインフレーズに、
ノスタルジーを刺激しつつ、総じて軽快なBGMで、和やかな店内のムードを好演出。
一方、文明と絶滅動物の深層テーマを掘り下げる場面では重厚なクラシックも起用する。

ED主題歌はMyuk「Gift」
スウェーデン語でやわらかさ、やさしさを意味する“Mjuk”と自身の本名をミックスしてMyuk(みゅーく)と名乗ったシンガーソングライター。
その名の通りの優しい旋律で作品を締めくくる。
秋公開の映画に冬を想起させる歌詞世界はやや時期が早い気もしますが、
シナリオの流れから考えれば的確。


【余談】
秋乃がレストラン研修の際、敢えて呼び出しベルを置かず、
ホールと厨房が呼吸を合わせて、おもてなしを追求する姿を見ていて、
昔、ファミレスで働いていた頃を思い出しました。

ファミレスのベルスターに呼ばれるままマニュアル対応し続けていると、
俺ってまるでロボットみたいだなwと段々心がすり減っていく。
そこで敢えてお客様の顔色を伺って、タイミングをはかってオーダー伺いに行ったりして、
自分がまだ人間であることを確認するという酔狂を試みたりして精神の平衡を保っておりましたw

月日は流れ、今やガストでは注文はタブレット。
近い将来、ホールを躍動するフリフリ衣装のファミレス店員など、
ブルマ女子同様、二次元世界の妄想上の産物になってしまうのでしょうか?
こんな調子で合理性と利便性ばかり求めていたら、
やがて人類自身も絶滅してしまうのではないか?
ガストで配膳してくる猫型ロボットを眺めながら思い耽(ふけ)る私は穿(うが)ち過ぎでしょうかw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 16

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

不思議でかわいい、でも、考えさせられる、そんな作品

とても良かったです。
例えば、ここはちょっといまいちとか、ここはもう少しこうだったらいいなとか、
そんなネガティブな感情を抱くことはありません。
ただただ、この物語の世界観を堪能することができました。

不思議な百貨店の新人コンセルジュで主人公の「秋乃」さん。
ぱっと見は簡素なキャラデザのように見えます。
しかし、実はとてもシルエットが美しく、動作もチャーミングです。
また、作品全体としてノスタルジーを感じさせるイラストテイストがとてもよいです。
「西村ツチカ」さんが描くマンガの絵の良さをよく引き出しているのでしょう。

物語の内容もいろいろ考えさせられます。
この物語の構図は、絶滅動物がお客さんで、それをもてなすのが人間です。
それが意味するところは?
そんな大きなテーマもあるのですが、実は、それだけにはとどまりません。
主人公の頑張りから、とても小さな気付きもいっぱい得られる、そんなお話です。

■まとめ

人間と動物が織りなす奇想天外な世界観が魅力の作品です。
キャラも昔の百貨店の広告に描かれているイラストのような美しい線のデザインです。
物語自体は、百貨店を舞台にしたドラマとしてはオーソドックスな感じもします。
しかし、それをこの世界観で描くことによって、とても新鮮に感じることができます。
それによって、今までに観たことがない物語に仕上がっている不思議さがあります。
おススメしたい作品です。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

みゃー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

誰かが嬉しいと私も嬉しい

デデデデと同じくこちらも原作は2022年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品
お客様が全て動物という一風変わった百貨店が舞台のお話

[作品の評価]☆4.0
全体的に心温まるお話で短い上映時間ながら満足度は高かった。

ちなみに日本ではよく「ハートフル」という単語を使いますが英語圏では「ハートウォーミング」の方が一般的らしいですよ。ハートフルという単語自体はあるにはあるけど英語圏では死語同然らしいです。ほぼ同じ発音に「hurtful」(意味は「有害な」とか「心が傷つく」など)という単語もあるようなのでハートウォーミングの方を使うのが無難でしょう。

[キャラの評価]☆4.0

[作画の評価]☆4.0

[声優の評価]☆4.0

[主題歌]☆4.5
なーんでーも揃う〜♪北極百貨店〜♪も良かったけど、MyukさんのGiftが作品の雰囲気にすごく合っていたと思う。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 9

73.2 39 2023年度アニメランキング39位
山田くんとLv999の恋をする(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (287)
1009人が棚に入れました
彼氏がネトゲで知り合った女性と浮気し、そのまま別れを告げられてしまうというサイアクな出来事に直面した女子大生の木之下茜。話を合わせるためにネトゲをはじめていた茜の元に残ったのは、彼氏との愛と共に育んでいたはずのキャラだけだった……。
ストレス発散のため、ネトゲの狩り場で暴れていた茜は、たまたま遭遇した同じギルドの「山田」に失恋の愚痴をこぼすものの、「興味はないすね」と、そっけなく返されてしまう。だが、キレイになって元彼を見返そうと参加したオフラインイベントで、再びその言葉を耳にする。
それが“山田”との、運命的な出会いだった――!

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ゲームから始まる恋愛物語

原作既読 全13話

彼氏に振られた主人公で大学生の木之下 茜(きのした あかね)は、元彼に勧められたオンラインロールプレイングゲームをしながらストレスを解消しようとします。

同じギルドに所属している山田の素っ気ない言葉に逆にストレスを感じてしまいました。

そして、ギルドマスター主催のオフ会で出会い、山田(本物)と茜、茜の友人、そしてギルドに所属いているメンバーたちの交流と恋愛を描いた作品です。

ゲームのシーンは少なく、現実世界の方を多めに描いていますね。

イケメンでゲーム内じゃなくても結構素っ気ない山田くん、逆に表現や感情豊かで誰とでもすぐ友人になれる茜さんは真逆ででしたね。

多少ギスギスしたところもありましたが、みなさんいい人ばかりで波風はあまり立たなかったですね。

ドキドキするシーンは多く描かれていました。

OPはKANA-BOONさん、EDは清竜人さんが歌っています。

最後に、茜さんのアバター可愛かったですね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

猫好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

女子から嫌われるメンヘラ女話。こんな女には関わり合いにならないのが一番

MMORPGは私も昔かなりやったわ。それこそ超大手ゲームのサーバートップ10プレイヤーになったくらいに。それで、男女間に限らず色々な恋愛関係を実際に見てきたけど、上手く行こうと行くまいと周りに本当にいい迷惑なのよね(だって、一時上手く行こうといずれダメになり周りを巻き込む)

そもそも主人公の女の子、かなりめんどくさそう。フラれた元カレから貰った物に拘ってるとか、酔っぱらって高校生に迷惑かけるわ、酔っぱらって夜中押しかけてくるとか、かなりのメンヘラ気味のアブナイ人。現実なら私は絶対に友達になりたくないタイプ

それに彼女、オンラインとリアルの区別が全くついてない。結局、リアル(外見)でしか人を見ていない。オンラインはオンライン。そこにリアルが関係すると勘違いする輩、、、本当にうざい

くわばらくわらば、、、

第二話の合コンシーンもひどいわね
彼女にはまったく魅力が無い

というわけで第二話で断念

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ゲーマー高校生と普通女子大生

やまだそんなに好きじゃなかったけど、最後に不意打ちで持っていかれました
やまだーーー!!!!

少女漫画で女性作者なので女性向けの話になっていますが、ほとんどアカネ目線でわかることしか視聴者にもわからないみたい
私は茜目線で山田はどう思ってるの?って想像しながら見るのが楽しかったけど、みなさんはどうですか?

オフ会ってほとんどはいい人だと思うけど、男から女子へのしつこいメッセとか変な勧誘とか精神が不安定な人とか、そういう変な人も多いので気を付けたほうがいいですよ

5話は怖かったですね
{netabare}
茜が「ここ女子トイレなんですけどー!?」って返事して瑠璃姫って認めちゃったのは見ていて怖かった
女子トイレに侵入するような男にそんな常識は通じないような
襲われるって思わなかったのかな?

茜はルナちゃんを笑って許してたし、メガネの人にも大人な対応してたけど
かなり危険な目にあってるのにこの神対応はちょっとモヤっとした
女子トイレに侵入する男と何を話すの?
問答無用で通報する子のほうが多そう

今回みたいに人があまり来ない公衆トイレってすごく危険だと思う
そういうトイレは個室に卑猥な落書きがされてること多いし
入る前は個室に誰か隠れていてもわからないのが怖いし、個室入って後から人が来ると、だんだん近づいてくる足音が怖い

でも茜はあんまり怖がってなさそうだったので、作者はシリアスにしたくなかったんでしょうね

{/netabare}

ルナちゃんは{netabare} これだけ条件そろっていて山田に恋してるわけじゃないってのはちょっと不思議だった {/netabare}

最終話で {netabare} 桃子が、アカネじゃなくて山田がアカネを狙ってるのがバレバレだったけどねーってコメントしてますが、私は「え?好感は持っていそうだけどどれくらい好きかはわからなくない?」って思った
でもそれは、視聴者はアカネ目線だからわかりづらいだけだったみたいで、なるほどーって思った
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 26

73.2 39 2023年度アニメランキング39位
屋根裏のラジャー(アニメ映画)

2023年12月15日
★★★★☆ 4.0 (11)
36人が棚に入れました
『メアリと魔女の花』のスタジオポノックがイギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション。
少女アマンダ以外の人間には見えない“想像の友だち(イマジナリ)”である少年ラジャー。彼は屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていたが、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという避けられない運命があった。その運命に戸惑いながら、一縷の望みを抱いて歩み始めたラジャーは、人間に忘れ去られた想像たちが身を寄せ合って暮らす“イマジナリの町”にたどり着く。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【鑑賞失敗談】世界観やルールのリアリティに気を取られて折り合えず……

幼少期によく子供が空想するイマジナリーフレンドを主人公に据えた、現実とファンタジーが交錯する世界を舞台にした英国の児童文学『ぼくが消えないうちに』(英題『The Imaginary』、未読)の劇場アニメ化作品。

【物語 3.0点】
子供たちが想像上の産物であるイマジナリが、大人になって忘れ去られてからも、
実はリアル世界にて大切な役割を果たしていた。
そのことをちょっとだけ思い出してホロリと来たりする。

企画自体は素晴らしい作品。
が、映画脚本として現実感のあるストーリーに仕立てていく際のセンスが私とは合わなかったのか。
私にとっては終始折り合いに苦しんだ108分間でした。

特にイマジナリ世界の独自ルールを受け入れるのに戸惑って、シナリオへの集中力を欠いたのが私の敗因。
イマジナリは空想を卒業した大人たちなどには見えない。
イマジナリは現実世界の扉の開閉などの物理法則には干渉し得ない。
辺りまでなら想定の範囲内でしたが。
{netabare} 忘れられたイマジナリは図書館から出てから1日以内に戻らないと消滅する。
他の子供たちに1日限定で参加したイマジナリも想像主からフレンドと認められると再びイマジナリとして存続できる。
ラスボス役・ミスター・バンティングと黒髪少女のイマジナリは想像の力で超常現象を引き起こすが、その発動条件が曖昧。
指銃で狙撃するチートを見せたかと思えば、配下の黒髪少女がターゲットにしたイマジナリを捕らえる手口は意外と単純な肉弾格闘戦だったり。{/netabare}

どんどん納得し切れないルールが積み重なるのに対応している内に話が進んで、
あぁ、そういう仕組みで解決するのね。ルールよく知らんけどwと呆気に取られている内にラストを迎えた感じ。

スタジオポノック作品はリアリティ気にし過ぎるとダメなのは分かっていたのですが、
映像と音の臨場感に抗えず、考察しがちな深夜アニメ脳で見て失敗した感じ。


よってこれから挑む方は、リアリティより空想重視の児童文学脳や絵本脳で鑑賞する方が得策だと思います。
子供とイマジナリの空想ワールドで尺が費やされる際も、
伏線なさげな意味のないシーンだと苛立たずに一緒に無邪気に戯れる感覚で。

そうすれば中盤アマンダが主人公イマジナリ・ラジャーを想像したエピソード。
ラジャーとアマンダが誓った「消えないこと、守ること、せったいに泣かないこと」の由来。
といったシーンにも素直に心が揺さぶられ、本年屈指の感動まであると思います。

私も、もう一回観れば、マシになると思うのですが、
今回は申し訳ないですが基準点が精一杯です。


【作画 4.5点】
スタジオポノック6年ぶりの長編アニメ映画2作目。

レベルファイブの3DCGゲーム画面みたいな絵面で勘違いしそうになりますが、
本作は2D手描きメインのアニメーション作品。

立体的に見えるのは、フランスの制作会社の最新技術導入による物。
すなわち作画に陰影を与える処理を仕上げ・撮影の過程で行うことで、
作画の際に影やハイライトを入れる工数を削減し、
作画班はイマジナリ集団のワラワラ感や、
背景に作画を入れて、想像で世界が切り替わっていくダイナミックな映像表現に注力することが可能に。

またこの技術により2D手描き作画のキャラでも3DCGのような実在感を醸し出すことで、
イマジナリが確かに存在したという主張も補強。

ただこの実在感は諸刃。
イマジナリが見えてる人間同士の争いは、見えてない人間からすると、
見えない敵と戦うシュールな光景に見えるのですが、
リアルで立体的な映像がシュールさを一層際立たせてしまった感があり、
私がリアリティに引きずられる一因に。

何より手描きなのに手作り感が損なわれた印象を与えてしまっては、
同スタジオの長所をかき消しかねません。

作画自体はハイクオリティですが、
この制作手法のメリットとデメリットの整理、用法用量については課題山積だと感じました。


【キャラ 3.5点】
主人公のイマジナリ・ラジャーを生み出した少女・アマンダ。
映画化に辺り、母・リジーら家族とのエピソードも補強、掘り下げられシナリオの軸に。

一方でヒールとして物語を動かすミスター・バンティングについては謎を残したまま終わる。
{netabare} 大人でありながら“新鮮な”イマジナリを喰らい続けることで、想像する力を保持、増大し続け、現実と想像の世界で生き永らえる。
彼が従える亡霊の如き黒髪のイマジナリ少女は、バンティングの終わらない悪夢に終止符を打つことを願っていて?
などと考察を巡らせることは可能ですが……。
イマジナリを喰いそうで中々喰わない様が低性能なカービィって感じで生々しかったですw{/netabare}


あとは冷蔵庫は食材だけじゃない大切な何かを保存する偉大な存在だということです。


【声優 3.0点】
ナチュラルな演技重視の俳優・タレント中心の布陣。
主人公・ラジャー役に声優初挑戦で、声変わり寸前の子役・寺田 心さんを起用する辺り“天然物”へのこだわりが伺えます。
寺田さんの相手役・アマンダ役の女優・鈴木 梨央さんはアニメ主演歴もあり、掛け合いは比較的安定。

その他、母・リジー役の安藤 サクラさんにせよ、
バンティング役のイッセー尾形さんにせよ、素材の選択自体は良好。
ラジャーを図書館に誘う猫・ジンザン役の山田 孝之さんもジブリの猫出演歴もあって、良い渋みが出ていました。

が、この辺りの中堅、ベテランキャストの演技で特に、
今の、このアフレコでOK出して本当に良かったの?という場面が、しかも割りと重要なカットで多数あり、
折り合いを欠いていた私をさらにつんのめらせる要因に。

“天然物”の演技にこだわって俳優・タレント勢で固めるのは別に良いのですが、
それならせめて普段“加工品”の声が張れるアニメ声優の演技に慣れている層でも、
許容でき、素材の良さが分かるレベルになるまで、
名前に遠慮せずディレクションを詰めて頂きたいですね。
このキャスト陣なら、それができたと私は思いますし、やれている作品はやっています。

そんな中、ささくれた私の癒やしとなったのは、ピンクのカバのイマジナリ・小雪ちゃん役の声優・かぬか 光明さんの安定したおとぼけボイス。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は玉井 健二氏。
優しいピアノサウンドと雄大なオーケストラは特に空想世界で威力を発揮。
ロックなどもアレンジして子供たちの多彩な想像に対応。
ただ現実世界の場面でのオーケストラ起用などは大仰に感じることも。
これはBGM自体より、私と音響監督とのセンスの食い違いでしょうか。

ED主題歌にはグラミー賞デュオのア・グレイト・ビッグ・ワールドと、
エミー賞シンガーソングライターのレイチェル・プラッテンさんに
コラボソング「Nothig's Impossible」をオファーする大勝負。
壮大なバラードで本年でも上位に入る余韻の良さは得られる。


生活音などのSEにも臨場感があり音響は上々。
ですが再三述べている通り、今回の私には足を取られたリアリティの泥濘(ぬかるみ)を深める諸刃に。


【感想】
まとめ切れてないグダグダな鑑賞失敗談を書き連ねてしまいましたがw
今回、私が投稿を急いだのは、本作が歴史的な大コケ映画になりそうな気配だと言うこと。
350館超えの大規模公開だから当分興行するだろうと高をくくっていると、
年始にはほとんど上映終了で見逃すという惨事になりかねないので、
劇場鑑賞意志のある方は早めに足を運びましょう。

以上、公開初週にして早くも私含めて観客2人だった現場からお送り致しました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 17

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

作画が良いのが良く無い

公開初日の大爆死の報を見て、いてもたってもいられず、新宿に足を運んできました。
公開週の土日にも関わらず80席ある座席は5割未満の埋まり具合で劇場内は非常に快適。
冒頭の超絶作画で、もしや普通に面白いのでは?と期待を得るものの、繰り返される当たり障りの無い説明によって心は虚無になり、集中力は早々に途切れ、最後まで復活する事はありませんでした。
終わった後の解放感は格別で、これほどの解放感を得たのは5、6年ぶりです。
評判通りの見事な迷作っぷり。
家で見ていたらきっと完走する事は出来なかったでしょう。
映画館で見れて良かった。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4

73.0 41 2023年度アニメランキング41位
かがみの孤城(アニメ映画)

2022年12月23日
★★★★☆ 3.7 (122)
388人が棚に入れました
学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。

ある日突然部屋の鏡が光り出し、

吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。

さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、

「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。

期限は約1年間。

戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。

互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。

そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

果たして鍵は見つかるのか?なぜこの7人が集められたのか?

それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

鏡の国の赤ずきんちゃん

赤ずきん、狼、鏡、絶海の城等々。
至る所にファンタジーミステリー要素を散りばめた青春SF作品です。

主要登場人物は中学生の男女7人。
それぞれに何かしら心に秘めているような。
鏡を通して孤城に集められ、鍵探しにより願いを叶える。
その暁には、記憶を失うという。
一見単純だけど、それぞれの想いが交差して気になるストーリーでした。

{netabare}最大の謎は、何故この7人が集められたか。
ラストに明かされるその答えが、意外性のあるものでした。
それはともかく孤城での集いは楽しいようで、次第に打ち解ける面々。
しかし、各人が抱える問題も根深く、己のことは話したがらないようです。

現実世界と孤城との行き来により、様々な事件が発生します。
そんな中で少しずつ互いの素性が明らかに。
そして、タイムリミット直前の大事件。
それは、偶然を装って置きながら、仕組まれたことのように思えました。

記憶の消える直前の、狼さまの「善処する」
その口元がすべてを物語っているのでしょう。
結局、こころとリオンの物語だったのかな。
後味の良い感動に包まれて心地よかったです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「テーマ」も「謎」とてもいいですが、なぜオオカミ?なぜルール?

 2回目を見られたので少し感想を整理します。以前のものもそのまま残しています。原作は既読です。

 まずこの作品の特徴として、映画館とパソコンで印象がかなり違います。映画館で見たときはかなり物語世界に入り込めました。が、パソコンで見た方がサラリとしたストーリーの印象でした。ですので、映画組とパソコン組だと評価が分かれるかなあ、という気がします。

 それともう1つ。自分が過去、この問題についてどれくらい関心があって、関連書籍を読んでいたか、考えたか、自分・身の回りで類似例があるか、で印象が変わる気がします。

 もちろん、アニメ作品ですからこんな単純な切り分け以外の評価の要素はあるでしょうが、この2点は実生活に近いテーマなだけに視聴環境による集中度合と、視聴サイドの蓄積で変わる映画=万人向けではない気がします。

 ですので、感想や評価が合わない人がいても、それがこの映画の特徴かなという気がしました。なお、2回目みて、1回目よりも理解が少し進んだ気がしたので、ちょっと評価点をあげています。3.9→4.2です。

 
で、内容です。

 いじめ、不登校というテーマをそれこそ真正面から取り扱ったのはとてもいいと思います。この点では、本当に優れていたと思います。

 決して頭がいいとも思われないグループの理屈で教室が支配される。その中心的な少女の教師への媚びと、面倒をさけクラスの自治を、カーストのトップグループに任せてしまう教師の事なかれ主義、エゴ。
 親の学校に行かないのは「おかしい」という思い込み。仮病ではく本当にどこかが痛くなる少年少女の身体と精神の密接な関係。そして、陰湿ないじめの実態。

 その一方で、どうやってその状況と向かい合うか、打破するかと言う提示もありました。特にまず子供の話を聞くということ、学校がすべてではないということ、学校の他のコミュニティーが十分に子どものコミュニケーションの場になること。

 全体としてこういうことが非常に丁寧に取り扱われており、個々の少年少女の状況も、いじめだけでなく、毒親、性的な虐待、仲間外れもリアルでした。



 やはり引っかかるのが、なぜかがみの孤城なのか?おおかみの意味は?その黒幕の思惑は?ルールはなぜ存在する?というところです。

 まあ、牽強付会なところはありますが、ちょっと考えたところです。ネタバレしないと語れないので隠します。

{netabare} 少年少女の救済の物語と、「狼と七ひきの子ヤギ」の内容です。「オオカミ」=「大人」に「騙されて食べられた子ヤギ」=「社会の犠牲になった子供」でしょうか。
「お母さんが帰って来て、狼から助けてくれる」=「カウンセラー、モノが分かっている大人、あるいは直接お母さん」

 ただ、この図式だと救済者はやはり大人だけになってしまいます。やはり自力救済としての、かがみの孤城の意味が必要になるのでしょう。

 そしてひっかかり、理解に苦しむのが、オオカミそれ自体は、本来は敵になる存在です。そしてルールの存在。

 ルールからはみ出した子供たちを、更にルールで縛ることの意味です。オオカミに食べられるという恐怖は必要か?なにより連帯責任だと不登校の子供にマイナスにならないか?そして、このルールと恐怖はかなり物語のおおきなポイントとなります。

 物語としてのルールの意味は病院の規則でそこしか面倒が見れないような意味があったり、学校に行っている時間と合わせている、という意味はありそうです。あるいは弟が日本の中学生と会える時間に設定したとよめなくはないです。

 が、そもそも病気の少女の弟が学校に行ってほしいという願いが、かがみの孤城を作ったとして、少女自身がおおかみに扮する意味がわかりません。まあ、ヒントが自分自身だよ、というオチことかもしれません。

 ですが、やはり、ルール+城主の少女と子供たちの救済の関係がよくわからないし、この童話の意味性が物語上のアイテムになっている気がします。
 まあ、普通ならそこはよく考えた話だね、でいいのかもしれませんが、そういうレベルの内容ではないので、すべてに意味性が付与されるべきだと思います。


 次に、かがみの意味です。鏡というのは、自分を映すもの。外部からの視点なのか、鏡に入る=内面に入るのか、あるいは両方の象徴なのか。

 孤城は子供だけの閉じたコミュニティは逃げ場である、ということでフリースクールとつながってくる感じです。そこに集まる子供たちはなぜ集められたのか、という意味においては納得なんですけど、孤城です。
 物語的な意味は、ある人物の関係者にまつわる話で、それは分かります。ですけど、少年少女の救済の場としての孤城ですね。


 この城内に自分の生活上で一番関心がありそうなことが設置された個室が与えられます。やはり自分自身という感じはします。自分のやりたいことを見付ける…なら、かがみと合わさって意味性はでてきます。

 ゲームにしても、恋愛マニアにしても、皆かなえたい願いを持っているということもあって、も、まあ、キャラ付けにはなっていますし、彼ららしさではあるんですけど…だったら、鏡というのはそれを見付ける話の方がふさわしい気もします。

 かがみ、そして、孤城。こちらは、物語の舞台としての、雰囲気作りはあるでしょうが、社会から孤立した場所で自分と他の同じ苦しみを背負っている人たちと話し合う場=フリースクールの意味なんだろうなあ、と思います。

 逆に言えば、あのフリースクールは「かがみの孤城でした」という事かもしれません。

 子供が自分のやりたい事、コミュニティが学校だけでない事を理解する、場所が「かがみの孤城」、大人は原因でもあり、助けてくれるパートナーでもある。それが「かがみの孤城」+「狼と七匹の子ヤギ」という意味性はおぼろげながら見えてくる気がします。

 映画館で見た第一印象でもそうでしたが、結局城主ヒロインのオオカミの仮面の意味、病気で死ぬという物語。かがみの孤城という場を提供した理由が弟を救う。そして、狼と七ひきの子ヤギのモチーフがが孤城の仕掛けになっている点で、テーマと物語が綺麗にかさなってこないなあ、という印象は残ります。
{/netabare}

 それと大学教授の娘。あの子の使い方はもったいなかった。結局重大なヒントもくれるし、救済にもなりますが、どちらも物語を回すだけの薄い存在になった気がします。


 で、総評ですが、面白いです。ダレもなく本当に面白い。テーマも深い。謎も面白い。キャラ造形も素晴らしい。作画もいいです。

 ただ、やっぱり、なんで城主は狼でルールがあのルール?そして、かがみの孤城の秘密が〇〇と重なるの?という違和感が邪魔をしてしまいます。

 言葉を変えると、この作品でモチーフ・アナロジーになっている童話は、このテーマを描くのに最適だらか?あるいはテーマやキャラ達の物語を深めるための作品だったか?
 このモチーフの童話は正直万人が知っているとも思えません。集められた子供たちの素性とも関係ないです。よって、仕掛けとしての機能の方が強い気がしました。別に邪魔になっているわけでもないんですけど、やはり城主とルールだけはちょっとノイズだった気がします。
 



以下 一回目のレビューです。


 本作は原作の辻村深月さんはミステリ出身ということもあり、内容に謎とき要素はあります。ファンタジー要素もありますが上手く使ってストーリーを構成していますし画面も良かったです。そして、さすが直木賞を取っただけあって文学的な雰囲気もあります。

 この作品がアニメとして作られたことは非常に頼もしいと思います。2016年の「君の名は」「聲の形」は決して文学的ではないですが、しかしこの両作品の存在がアニメでこういう文学的作品が作られる下地を作ったのでしょう。
 「ジョゼと虎と魚たち」「漁港の肉子ちゃん」を初め文学的なアニメ作品の流れで、本作が作成されたのはアニメファンとしては喜ばしい限りです。

 話自体もとても面白く、2時間はあっという間でした。ですが、正直言えば全体的に消化不良というか映画で描きたかったものが曖昧になっている気がします。

 本作で失敗があるとすれば、謎ときのストーリーとテーマ性が上手く融合していなかったことです。

 イジメというか不登校、親、学校の関係がリアルで、ストーリ-への落とこみやキャラ設定は良くできており、テーマ・メッセージとしては優れています。
 イジメというのは不条理で勝手です。そして教師はイジメのトップに立っている子…特に女の子の組織力を使ってクラスの自治をしようとします。いう事聞く子供がいい子だと思い込みます。
 相手の親と話しても無駄です。そのイジメの張本人と同じ考え方だからです。学校に行かなくれもいい。親が子供の言い分をまずは聞いてあげる。そして担任ではなく校長などと話す。最終的に解決しなければ逃げてもいい。好きな事をやっていればいい。学校など3年…あるいはクラスなど1年で終わる。そういう部分はちゃんと描いていました。

 その一方で、推理・謎解きというか仕掛けの部分については、考察しようと思えば半分くらいで謎が大体わかってくるし、フーダニットやホワイダニットの部分がカタルシスにもなります。そこに至る伏線も流れも設定も悪くはないです。

 ただこの2つの優れた要素である「テーマ」と「謎解き」が上手く融合していない気がしました。謎解きがテーマを補完するような関係ならいいのですが、テーマと謎解きのが上手く融合していないような、バラバラ感がありました。
 
 オオカミさんの正体と意味合いですね。肝心なそこの部分について悪く言えば感動ポルノどまりに感じられる気がするからです。要するにオオカミと7人の子どものアナロジーが、謎の設定とか仕掛け止まりになっていて、テーマを補完するものではない感じです。

 お城のルールの意味わからないですよね。特にルール違反の罰則が意味不明です。そのルールを守ることが7人の子供たちの救済の意味として何だったのかが不明です。 {netabare}不登校たちが集まれるようにという配慮はわかりますが、なぜ食べられる?
 あるいは守らないことが前提なんでしょうか?鍵は1人以外が食べられないと見つからない感じに描かれていました。{/netabare}オオカミさんにとってそのルールを設定する意味や大切さって何だったんでしょう?あるいは不登校の子たちにとってルールを守る意味など。要するにテーマである不登校とお城の謎の設定に乖離がある気がします。

 そしてそれに気が付いたきっかけの近所の女の子。彼女は逆にテーマ的な意味はわかりますが、{netabare} その彼女の家に飾ってあった絵が {/netabare}謎に絡んでくる意味です。そこのご都合主義展開が読み取れなくてポカーンとしてしまいます。

 そうなってくると、むしろオオカミさんの謎がノイズになって、不登校やいじめ問題のテーマ部分とどう重ねればいいのかがわからず、ちょっと頭が思考的になってしまい、文学として「考えるな感じろ」が無くなってしまいました。そしてテーマがある社会派の謎解きとしても、テーマと設定の分離があり、全体的に要素がバラバラな気がしました。

 画面はお城の床の反射のエフェクトがかなりすごいので、それは見どころです。逆にそれ以外はあんまり見どころはない感じです。色彩がどんどんカラフルになって行く気がしたのは、何かの演出家もしれません。
演出も良かったです。暗い部屋で食べる鳥そぼろと鮭と炒り卵の三色弁当を出すセンス。自分の気持、親の気持、少し幸せな時間から孤独な時間。いろんな感情が錯綜する感じが素晴らしかったです。

 総評すると、テーマとそのリアルさ、謎解きの面白さ、キャラ造形の水準の高さ、など非常に良くできた部分は沢山あり2時間退屈しませんでした。ただ「テーマ」「謎とき」が上手く絡んでおらず、要するに頭でっかちで「感じる」部分の文学性が不足して、下手をすればラストの方が感動ポルノに見えなくは無いです。特にエンドロールとおまけですね。ただ、キャラには感情的に乗れるのでカタルシスはありますけど。

 途中であまり盛り上がりはないです。作品の性質上それでいいと思いますが、そういうアニメが好きな人はつまらなく感じるかもしれません。

 ということで、もう1度見ようか原作読もうか迷いって、結局映画の帰りに原作買ってしまいました。読んで思うところあれば追記します。




追記 原作読み終わりました。

 映画化は良くできていた、という結論です。途中若干説明の細かさや構成の違いはありましたがほぼ映像化できていると言っていいでしょう。文字と画面の違いを考慮してうまくアニメ化できていたと思います。と言うか話の内容からいって、映像の方が見やすいしキャラが良く描けていたのでどちらかといえば映画がお勧めです。

 やはり初見レビューで上げた謎とテーマ・メッセージが合っていない感覚は、原作でも同じでした。舞台設定というか「鏡」「オオカミさまの正体の謎」「絵本」などのフレームが機能していない気がしました。

以下 映画の内容なので見る予定の方は気を付けてください。
{netabare} やはり色んな部分が「設定」というか「道具建て」でしかない印象でした。本来アナロジーやテーマ性、関連性などで物語を分厚くする部分が機能していないと思います。ということは推理小説の手法が裏目に出た感じが強いです。
「鏡」が何を表していたか?「オオカミと7匹のひつじ」を作品の舞台にした意味合いは?東条萌とミオ=オオカミ様のつながりは?ミオの学校に行きたいという気持ちがなぜイジメで学校にいけない子たちの救済になったのか?ルールを守ると食べられる意味は?

 特にやるべきだった話として、東条萌の考え方「自分は自分」というか「学校なんて大したことない」という考えが「オオカミと7匹のひつじ」の絵本を通してミオと共有されるべきだったと思います。
 また、喜多島=アキがミオという子のどんな気持ちを通じてイジメ・不登校の救済に立ち上がらせたのかが「病気」軸ではなく他の描き方は無かったのか。病気と不登校の意味はまったく違うのに無理にそこを重ねた感じです。
 そして、ルール破りが「記憶をなくす」という作用の為だけになっている気がします。

 つまり、東条萌、喜多島=アキ、ミオ=オオカミさまを大きく関連付けるものが「鏡」「オオカミと7匹のひつじ」というフレームになっている。そしてミオの悲劇が病気ではなくイジメ・不登校を乗り越える何かになっているという描き方ができれば、本当に説得力がある話になったと思います。{/netabare}

 テーマとメッセージの重さは受け取りました。こころちゃんの救済の物語は素晴らしかったです。ただ、重要キャラ3人が肝心なのにうまく機能していなかったと思います。
 若干評価下げます。ただ、映画として見た場合の満足度はまあまああると思います。

 なお、原作は分厚くて2分冊ですが、文字が大きくて文字数がそうでもないのでそんなに時間はかかりませんでした。つまり今回批判した部分は、本が読める小学生、中学生、読書の習慣がない高校生程度でも読める配慮で複雑にしなかった可能性があります。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 16
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつだって皆ガラスのハートで狼と戦ってんだ

【物語 4.0点】
アニメ大好き原作者・辻村 深月氏。悲願のアニメ映画化作品。

原作は学校に関しては訳ありな思春期中学生7人らが織り成すSFファンタジー設定ありのミステリー風味の青春群像劇。

ウリの1つである謎解き要素。
アニメファン。特にアドベンチャーゲームの深夜アニメ化作品などを完走した方や、
セリフや作画に醸し出される違和感を捉え考察できる方なら、
割りと序盤でネタは読めると思います。

これを陳腐と感じるかは気分次第なのでしょうが、
私は原作読んだ時、辻村氏は本当にアニメが好きなんだな~。
この作品は是非、実写化ではなくアニメ化してあげて欲しいと好感したので、私にとっても念願の劇場鑑賞でした。


ヒロインの心の葛藤と成長。
孤城の謎の解明と解決。
青春とファンタジーがリンクするのも典型的ですが精巧なプロットで歯車の噛み合わせは良好。

極論、孤城で最初に7人が出会った時に、心を開いて語り合えば1日(上映時間5分)で終わるお話。
だが、それができれば苦労はない不登校生徒。
設定、シナリオの穴となり得る部分も無理に塞がずに、
この嫌なことは嫌だと本音を言えずにグズグズしている感じ。
これこそが青春さと良い意味で開き直り、人間ドラマに仕立てて、
謎と解答の小出しに都合を付ける所が、原作小説の巧みなところ。
劇場版もこの妙味を上手く引き出せていたと感じます。

文量的に映画1本で全編詳述は不可能。
そこは原 恵一監督らスタッフがヒロイン中心に再構成してまとめ上げる。
ただ、私は、できれば1クールの青春群像劇でアニオリ含めて各キャラを掘り下げた構成も観てみたかったとは思いました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

原作を凝縮した構成上、表情描写で心情を語ることが必須な本作。
キャラクターデザイン・佐々木 啓悟氏(『七つの大罪』など)が設定した瞳も、
相変わらず他者への恐怖などを雄弁に語ります。
不登校生徒らが感じる、押し潰されそうな空気感を好再現し、胸を締め付けて来ます。

この辺りの心の取り扱いは『あの花』などでも勝手知ったる同スタジオ。
ずっと戦ってきたでしょ?とのカウンセラーの励ましが琴線に触れるヒロイン心情への共感も、作画による支援があってこそ。


ファッション、小物にも考察を誘う伏線としての役割が求められますが、そこも上々の仕事ぶり。


【キャラ 4.0点】
ヒロイン・こころ他、孤城の7人は心に触れちゃいけない地雷を抱えたキャラばかり。
その地雷原を惚れっぽいKYも交えて全力で踏み抜く少年がウレシノw彼の言動は物語の起爆剤にも。
起爆剤と言えば、“願いの鍵”は如何にも裏切り者を出しそうな火薬庫設定。
そこも7人の心の扉の開放率から考察すれば、あぁ、やっぱりそうくるのかと納得。
明快と言えば明快だし、ありきたりと言えばありきたり。

主人公・こころにより集約した構成ゆえ、その他のキャラ解像度も彼女の周辺が高めに。
真田は映画でも相当なサイコパスでした。
{netabare}自宅を包囲する真田たち。{/netabare}私の夢にも出てきそうなトラウマです。
あれを軽く考える担任。私もないと憤ります。

こころ不登校のある意味での導火線ともなった友人・東条萌。
友を見捨てて追い込んでしまった側の葛藤も好表現。 
{netabare}東条宅に招いた、こころと和解し、真田グループに愛想を尽かして酷評する。{/netabare}
あの痛快シーンが何気に私のベストシーンだったり。
娑婆に巣食う獣(ケダモノ)共と戦う勇気を貰えます。


【声優 3.5点】
主演のこころ役には俳優・當真 あみさんをオーディションで選出。
7人の中でこころに近いサッカー少年・リオン役には北村 匠海さん。
アフレコ経験ありなし様々ですが、キャストは若手俳優中心の布陣。

“ちゃんとした声優”の濃厚なキャラ提供よりもナチュラルなボイス素材を求める
実写とアニメの中間志向にはよくある音響方針。

ですが、かと思えばウレシノ役には梶 裕貴さん。
ゲーム少年・マサムネ役にはベテラン・高山 みなみさん。
バリバリの声優起用もあり統一感はない気もw
ただキャスティングの方向性がバラバラなのも、
このキャラ設定、シナリオならアリかもしれません。

7人を孤城へ案内するオオカミさま役の芦田 愛菜さん。
この方のアフレコ作品も何本か観てますが、
同世代よりロリ幼女属性の方が圧倒的に上手い。
根っからの子役なのでしょうね。

こころのカウセリング担当の喜多嶋先生役には宮崎あおいさん。
セリフは心の痛みを包み込む繊細な言い回しなのに、
相変わらず淡々とした掴みどころのないボイスw
ただ、このキャラに関しては、あまり掴みどころがあり過ぎてもつまらないので、
これも、アリと言えばアリなのでしょうか。


【音楽 4.0点】
劇伴担当・富貴 晴美氏。
心情描写中心で外面は地味な本作。
繊細なピアノ~大仰な金管による心情曲で感情の起伏を捉えて山場に寄与。

ED主題歌は優里「メリーゴーランド」 
表層は、これアニメ関係あります?って感じの、トレンドを押さえた、すれ違い系ラブバラード。
ただ深層まで咀嚼してみると逢いたくても逢えない部分などから作品要素が滲み出てきて、強ち的外れでもない感じ。

まぁ、どうせこの曲も、世間にこの映画主題歌と認知しない人が多数いたとしても、またヒットするのでしょうねw
至る所で曲でネタバレ流されてもアレだから、作品シンクロ率はこれくらいでも良いのでしょうかw


【付記】
先読み簡単だよ?と吹かしながら未見の方に問題出して遊びたくて仕方がないしょーもない私w
一応レビューにヒントは散りばめたつもりなので、鑑賞後、しょーもないなと思ってみて下さいw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 23

73.0 41 2023年度アニメランキング41位
大奥(Webアニメ)

2023年7月1日
★★★★☆ 3.8 (17)
104人が棚に入れました
若い男子のみが罹る奇病“赤面疱瘡”のまん延により男女が逆転した江戸時代を、3代将軍・家光から大政奉還に至るまで描き切り、累計700万部(紙+電子)の大ヒットとなったよしながふみの傑作「大奥」。この度Netflixシリーズとして、作品初のアニメ化が決定

hidehide さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

中々に凄まじき…

初回 本編1時間20分程ですが、
後は通常作品の25分程×計10話

徳川家光の統治する時代、
若い男ばかりが かかる病『赤面疱瘡』が蔓延する。
通常の疱瘡になった歴があっても赤面疱瘡は別…
そして、何とも感染力、致死性が高い。
若い男性は次々に倒れ死んでいく…
子作りをしても
産まれた男子が15〜16歳を迎えると赤面で倒れ…
そして 女子は増え続け…

このアンバランスを呼ぶ負の連鎖が長年続き、
結果、男性の数が女性の 1/5 にまで減少。
男手が、引いては『子種』が激減の後、
国は滅亡の危機にまで…

時は流れ

物語に最初に登場する女将軍 徳川吉宗 が、
今の世(女将軍、女奉行、女社会)の
仕組み、しきたり、ならわし、慣例等に疑問を持ち、
その『事』の発端を記した記録『没日記』なる記録を
読み解く所から、再び物語は家光の時代へ。
赤面疱瘡の第一派の時代へと戻り、
大きく物語は始まります。

時折入るナレーションが、あの人の声、なので(笑)
本当にあった出来事の様に思えてきてしまいました。

『信長公記』の様に、
それら記録、それらに近しい記録、文献は
あるのでしょうから、大奥、春日局の名を
皆、認知しているわけなのでしょうが…

実際に目にした人は絶対にいない訳で。
誰かが書いた『だけ』の物を信じるしかない訳で。

書き手、書き手の周りの手心、
それを伝える者の意思で、ある意味、どうにでもなる…

…としたら、

こんな事もあったのかもしれない…
…もしかして?…と 思ってしまいました。
だから歴史は謎で、面白いのでしょうね…

大河を見ている感じで見られますし、
作画も美しく、声優さんもとても良かったですね。

2期あるのでしょうかね。楽しみです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 1

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

生まれる時代・環境は本来選べない。

原作未読、ドラマ版未見です。

時代がかったアニメ作品は本来苦手で敬遠してるのですが
本作は宮野さんが出演されているということでPVを視聴し本編視聴を決断。

2話のサムネだったかな?、を見て
なつかしの「一休さん」っぽさもほんのり期待してしまいましたが
ハイ、そんな平和な世界ではなかったですね・・。


1話では、宮野さん全然出てこない~~><。おまけに長いっ。
でも関さんメインだったので、特に減点要素にはなりませんでした。

2話以降が宮野さんの出番でしたね~♪。


「男が○○な世界」

あ、終末のハーレ・・・

・・ゴホンゴホン。

でも基本的な世界観・問題点は共通するものがありますよね。


ただ、時代設定が違いすぎる。

文明が未発達で
なおかつ人々の自由・人権・倫理観もほぼ皆無・・?。
医学もまったく発展していない時代。

もしも自分が、こんな世界に放り込まれてしまったならと想像すると

・・ゾッとします。

感覚的には「異世界転生の逆行」というか・・。


自分は歴史とか苦手だったので
大奥の史実とか、江戸時代の詳細等には全く疎いのですが

今後何かで触れる機会があれば
積極的に触れるきっかけにはなれそうな気がしています。


本作を視聴するにあたって

宮野さんはじめ多くの男性声優陣が

盛大に”男女逆転祭り”を繰り広げてくれるものかとちょっと期待してしまいましたが

さすがにそこまであからさまなものにはなりませんでしたね^^。


宮野さんも、もっとノリノリで、某スタドラの終盤で魅せたような
女性キャラ演技+アドリブも飛び出すかと期待していましたが
さすがにそのあたりは自重されていたのでしょうね(勝手な想像)。

でも、中性的な、男女混在するかのような二面性を感じる演技は
やはりさすがで、そこは本作視聴で得られた収穫でした!。


原作やドラマはもっと続くようなので
アニメ化は、まだ序の口で今後も続編が出てくるのかな?。
 

投稿 : 2024/11/16
♥ : 6

ヤマナ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

大河ドラマのよう。

江戸初期かな、流行病で男がほとんど途絶え女性中心になった日本で女性将軍がたちそれと同時期に設立された男の大奥が舞台のアニメ。

男視聴に寄せたハーレム物でなく女視聴者に寄せた
BL物や逆ハーレム物でもなく歴史アニメって感じ。
へー、こんな時代がって思うくらいリアルで細かくて
人物名や時代背景、制度だったり史実に基づいて作られてて大河ドラマ見ているようだった。

ただリアルだからこそヒーローのような人がいるわけでなくキャラ立ちはしておらず派手さはなかった。

パラレルワールドの歴史アニメって感じで面白かった。
他にないジャンルなので新しいジャンルを求めている方におすすめ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 0

72.9 43 2023年度アニメランキング43位
五等分の花嫁∽(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (110)
487人が棚に入れました
TVスペシャルアニメ「#五等分の花嫁∽」
7/14より全国劇場にて3週間限定上映!
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

風太郎は五等分にできない

Dアニで配信されていたので視聴しました、2期~映画「五等分の花嫁」の間の話ですね
ただの水着回かって思ったけど、五つ子全員の可愛さと見せ場をしっかり見せつつ、2期までと劇場版で上3人に比べてエピソードが薄めの四葉、五月の秘めた想いがこれまでを振り返りながら語られるOVAみたいな作品なのでファンなら是非見ておきたいエピソードです

たぶん最初から劇場版にして稼ぐ計画だったんでしょうけど、そのせいで本編では四葉や五月のエピソードが薄くなり、入り込みづらいストーリーになっていたので、本編に入れた方が良かったんじゃないかな?

映画も含めたネタバレ感想
{netabare}
五等分の花嫁ってタイトルだから一夫多妻制の国に永住して全員を等しく愛する終わりかな?って思ったらそうでもなく一人を選んだ映画の展開は意外でした

四葉は本編では想いがあまり語られず、実はずっと葛藤して苦しかったことが語られて、最後に一番いいところを持って行って報われたから良かったけど、五月は姉妹にずっと気を使って自分の想いを封印しているような感じだったので、大人になってから舞台に上がらなかったことを後悔しないのかな?っていうモヤモヤがありますね
文句言いながらも何かとにのとみくに手を焼く五月でしたが、素直に好き好きアピールできる二人が羨ましかったのかもしれません

でも自分の恋心に気づいてちゃんと気持ちを伝えられる恋ばかりじゃないので、これも一つの恋の形としてアリなのでしょうか?

{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

りょん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

よくまとめたなって感じ

原作視聴済み
原作未消化エピソードを詰め込んだと聞き、ova的になるのかと思っていたが、案外話が通っていて、
1期→2期→今作→映画の流れならとても良いと感じた。
今作と映画の間にももう1作品くらいありそうな予感。

面白要素もふんだんに含まれており、面白かった。

一方、作画はシャフトに変わったからか、顔も1期と原作を足して感じ、どちらかと言うと不満の残る感じになった。背景はとても綺麗に描写しているものの、人間の動きや顔は静止画が動いているような、パラパラ漫画感の強い印象で残念。五月の可愛いシーンは多く良かった。

音楽の評価としては、少し残念という感じは強かった。OPは映画館ならではのステレオがとても良かった。一方、EDは前作の劇中歌ということもあり、明らかに歌うことを想定していないような難しい曲だった。前作ありがとうの花が成功したからといって同じことをして失敗したのは残念だし、二番煎じ感が否めない。映画の音楽の印象も個人的に落ちてしまった。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2
ネタバレ

ゆ~ま さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

とりあえず・・・五月がかわいかったw まさかの、公開初日鑑賞

原作既読。
アニメ1期2期劇場版全て視聴済。

7月公開というのは知っていましたので、
そろそろ予定決めるかな~と考えていました。
実はその日は「おでかけシスター」を目的に
劇場へ足を運んだわけですが。
「何か物販コーナーにめっちゃ行列できてる?」と思ったら
「五等分の花嫁∽」公開初日でした。

ので急遽「おでかけシスター」終了直後の回にて
ハシゴっ鑑賞してきました。
入場者特典色紙は五月でした。

感想・採点など-----

とりあえず・・・とにかく五月がかわいかった。
彼女のラブコメエピソードとしては
この作品の部分は外せないので。

あとは・・・{netabare}グイグイいく三玖の水着姿、
押してだめなら引いてみる二乃、{/netabare}
観ていてニヤニヤが止まりませんでした・・・。

ということで以下は採点部分

アニメ化としては
物語を一通り完結させた後ということなので、
やはりといいますか、時系列的には違和感が無くもなく。
劇場版へのつなぎとしての作品なので、
前回ほどの達成感・読了感みたいなものはありませんでした。
しかし、今回の目的である「未映像化部分のアニメ化」は
キッチリ達成されていたと思います。

前回劇場版までは、
尺の問題などあったのでしょうが・・・
やっぱり夏休みエピソードは必須でしたね。
{netabare}「水着回としての要素」と「ラブコメヒロインとしての五月」{/netabare}
この2つが観られたのが何より良かったです。

パンフレットを購入して読んでみて、
アニメーション制作がシャフトであることに気が付いて、
大変な衝撃を受けました。
(エンドロールで気が付かなかった・・・)
1期11話を観た時、
「シャフト制作でやってくれないかな~」と思っていましたので
それが叶った形にはなりますね。

OP・EDについても、いつも通りといいますか。
OPは「1・2・3・4・5」の姉妹の歌い分け。
EDもシリーズ各曲の流れを汲んだ雰囲気の物。
{netabare}今回もBGM曲が元らしいので、確認予定{/netabare}

声優陣についても、
いつものメンバーにいつものキャラなので、ここも問題無く。
{netabare}社長の娘・きく役、新井さんかな~?と思ったら、
やっぱり新井さんだった。{/netabare}

とりあえず・・・時間と天気が許せば、
もう1回か2回鑑賞しておきたいな~とは思っています。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 5

72.9 43 2023年度アニメランキング43位
アリスとテレスのまぼろし工場(アニメ映画)

2023年9月15日
★★★★☆ 3.9 (73)
213人が棚に入れました
変化を禁じられた町で暮らす少年少女の恋する衝動が世界を壊す様を描いた長編アニメーション。原作となる同名小説を、監督を務める『さよならの朝に約束の花をかざろう』の岡田麿里が書き下ろし、「進撃の巨人」のMAPPAとタッグを組んだ。主人公の正宗を「呪術廻戦」の榎木淳弥、謎めく同級生の睦実を「鬼滅の刃」の上田麗奈、謎の少女、五実を「サマータイムレンダ」の久野美咲が担当する。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ウエルメイドだけど綺麗に作りすぎて、行間が狭い気がします。

 機会があってノベライズ版読みました。多少映画では表現が分かりづらいところが補足される文章になっていました。しかし、残念ながら原作ではなくノベライズですのでほぼ映画の通りです。つまり大して変わりません。だったら、映画で表現しろよと言いたいです。

 映像よりも文章派の私としては、少し想像力を働かせられたかなと思いました。
 ただ、本当にノベライズ=映画です。つまり、映画の脚本で、思いついたことをいっぱいいっぱいに作ってしまっているという証拠でもあると思います。こぼれ落ちたものがないという言い方ができるかもしれません。
 岡田氏のスケール感の無さは、表現したいことが10倍あってそれを泣く泣く削ったように見えないことなんですよね。ウエルメイドではあると思いますが、視聴者の想像力の広がりを喚起しません。

 もしかしたら、いや、映画の脚本の段階でそんな作業はやったということかもしれませんが、だったら、それをノベライズしてほしいです。もっと難解になっても、設定が変わってもいいです。そう、富野由悠季氏くらい本編と乖離して構いません。

 ノベライズは置いておくにしても、映画本編において、もっと完全に好き勝手に作家性を出して、つじつまが合ってなくてもご都合主義でも、行間の方が広いくらいの映画を作ってもらえないかなと思います。岡田監督の映画は批評が無さすぎて、とりあえず褒めるしかない的な作品しかないのが問題です。ウエルメイドで72点から78点くらいの作品ばかりになってしまいそうです。テレビアニメならそれが高い評価に結びついたのでしょうけど、映画だとはっきり物足りないです。「マヨイガ」でできたのだから監督作品ならもっとできるはずです。「あの花」が足かせになって似たような発想しかできなくなっていないでしょうか。

 改めて本作映画をまとめると、変化、痛み、生きている実感が1991年以降希薄になった。その象徴が変化しない町です。つまり、バブル以降の失われた30年問題がベースにあります。

 そして、痛みを知り生きるという実感を得た人間がきえてゆくというのがポイントなのでしょう。ただ、この痛みが想像よりも恋愛重視だったのかなあという気がしなくはないです。五実の失恋とかなんとか、そういう表現とリンクはしてくれます。が、そうなると工場という意味がどんどん希薄になります。
 そして、どうせなら五実と正宗の間の恋心をもっと濃厚に描いても良かったと思います。この作品の演出では庇護者2人に見捨てられた子供の描き方でした。睦美の葛藤も睦美の母親と睦美の親子関係の描写が弱いので、五実との関係性の深さが足りないです。

 外部での睦美、正宗の時間も止まったわけですが、その意味が読みとりづらいです。2人の恋愛が近場で済ませたという意味で、幻側では上手くいって、現実ではサキが戻って別れるとか、割れ目の向こうに見える景色ですでに別れているとかならわかりますけど、ラストシーンでそこは否定されますよね。だとすると、現実世界の2人の苦しみは何の贖罪だったのでしょうか?そこが良くわかりませんでした。

 ラストシーンは読み取れないものがあるかとも思いましたが、想像の通りでした。つまり、視聴者を作品が上回っていない気がします。わかりやすくていいとも取れますけど。

 ノベライズを読んで一番感心したのは「獣臭い甘ったるい臭い」という表現がありました。これが、我々現実の人間の匂いの事だとわかると幻の世界の素性が分かります。それに生きているとはそう言うことだという意味でもいい表現でした。
 このレベルで幻工場にもう少し分厚い裏設定があることを読みとらせてくれれば、深さが増したのかなという気がします。


 いろいろ批判はしましたが、映像の方も改めて見直しましたが、面白い映画ではあると思います。3,4回目なので飽きるかなともおもいましたが、結構初めから面白かったです。なんどもいいますがウエルメイドな作品ではあります。もうちょっと作家性を出してもらえればなあと思います。





以下 2024年1月のレビューです。

変化を望め、人を愛せ、1991年を引きずるな、でしょうか。

 何日かかけて考察しましたが、話の構造としての仕掛けを全部読み解くのは無理だったのでわかったことをメモしておきます。テーマは「すずめの戸締り」と同様に、過ぎ去った時代を早く葬ってあげて変化して行こうよ、という話だったと思います。ただ、個人的な内面から湧き上がる変化したいという衝動を殺さないで、というメッセージは明確にあったと思います。

 そこが「アリストテレス」の意味で、哲学的な話というより「変化」を象徴しているのが「エネルゲイア」ということでしょう。

考察メモですが、ほどほどです。

{netabare} 現実世界では工場は爆発したが、幻の世界だと健在だった(祖父の見解。ボケた老人は真実を語るの法則)。つまり、最後の工場が普通に閉鎖された世界線と五美が帰った世界は違う世界である。

 睦実が最後に痛みを感じたことと、工場にあった絵は正宗が閉じ込められた結果上手くなった絵なので、最後の場面は幻の世界が現実になることが読み取れる。
 ただ、五美が帰った世界と幻の世界が連続つながって、幻の世界の未来が現実の世界になった…という読み取り方はできるが、それは多分設定上無理がある気がする。

 アリストテレスの哲学の内「エネルゲイア」がマンガの必殺ワザとして語られる。資料の形相を実現していないのがディミナスで実現したのがエネルゲイア(作中にでていました)である。形相が「変化を望むことで」資料=モノが本質へと生まれ変わる。
 また、イデア界=理想の世界というのはない、というのがアリストテレスなので、その点も暗示されている。

 ただ、変化を望みいなくなった人間はどうなったのかは不明だが、ひょっとしたら五美が帰ったあとの幻の世界にいるのかもしれないがそこは全くわからない。
 五美のインナースペースだったとするには、2005年から1991年に戻ったことに無理があるかも。神の存在を肯定するのはアリストテレス的ではないがそれを前提としないと、幻世界の存在そのものがよくわからない。

 睦実がなぜ五美を好きになりたくないと思ったかは読み取りずらい。いろいろ解釈できるが確定は出来ない。ただ、睦実の生い立ちが親で苦労したこと、ヤキモチ焼きであることが描かれるので愛情に関しての障害がありそう。わざわざ睦実をそう描いたのは元の世界の睦実が同じ性格だからだとは思います。

 罪が1つ減って五美のところは、考えれば何かあるかもしれませんが今のところ保留します。7つの大罪からの引用だとは思う。

 痛み、匂い、味などの五感はつまり生きている実感であり、現代のアナロジーでもある気がします。

 正宗の親たちの昔話が正宗のアナロジーだとすると、現実世界で何もせずに見伏に残った正宗は睦実と結婚して五美を生む。が、父親同様に心が死んでいる状態になっていたのかもしれない。
 つまり現実の世界では工場が爆発することで工場勤務の人は本来的な意味で死に、街の人の心は死んでいる状態だったという事かもしれません。
{/netabare}

 というような感じでした。

 で、テーマとしては変化しようとするのが人間である。1991年のバブル崩壊で止まってしまった時間を日本人は動かさないといけない、でしょう。消えた人たちがどうなったのかと、神の描かれ方がアリストテレスと矛盾するので、ちょっと読み取れませんでした。
 そして、陰のテーマとして母と子の愛着障害的なものが描かれていると思います。


 映画としての評価は、エンタメ性とテーマの深さがちょっと物足りないかも。ただ、考察は楽しませてもらったのでストーリーは当初2と思いましたが、3.5にします。SFというよりファンタジー的なスタイルなので理論展開云々はいいんですけど、物語としての組み立てが分かりずらい気がします。そのおかげで1回目の視聴では、最後の30分くらいがかなり退屈でした。

 作画は奇麗でしたが、もう見飽きた作画のスタイルなので3.5とします。




追記 なぜ岡田麿里監督の話は面白さに欠けるのか?

「さよならの朝…」「空の青さ…」と本作に共通するのは壮大さが無い事、キャラのバックグラウンドの説明不足な気がします。

 本作に関して壮大さを感じない理由は「工場」が理解できるとっかかりがないことです。一応神が云々などの説明はありますがよくわかりません。別に設定としてどういう理由で発生したとかそういうのが分からなくてもいいんです。何を意図しているのかがまるで分かりません。
 なので畏怖も理解も無くただそこにあるだけです。そういう存在として置いたのかもしれませんが、作品理解、テーマ性において効果を発揮できていない気がします。

 例えば新海誠氏であればの3部作を初め、巨大な塔、宇宙人のようなものは正体はわからなくても意図は分かります。だから、メッセージ性が浮き立ってきます。
「フリクリ」の工場の様な象徴としての工場はありますけど、その割には本作の工場には機能があります。

 一方で、バブル期の少年少女としては随分地味な感じでした。もちろんその後閉じ込められた結果気力を失くしたのだとは思います。計算上は20年近くになるのでしょうか?2005年に五美が来たみたいで、5歳として14歳までそだてば2013年。1991年から2013年で22年間でしょうか。

 で、彼らのバブル期の思惑が語られない、どんなマインドでいたのが閉じ込められてどう変わったかという描写がないので、彼らがまるで現代人の少年少女に見えてしまいます。それを狙ったのかもしれませんが、変化が出来ないのは彼らの責任ではないと思われます。もちろん少年少女が変化を望まなくなったのは、社会の責任だという意味だとは思います。その彼らが20年以上たって、なぜ急に恋愛を始めたのか。そこが五美と正宗の出会いということ?

 そう…キャラのバックボーンや性格が理解できるヒントが少ないので言動に心が動かされないというのもあるかもしれません。特に睦実は最後語ってましたが彼女の何に乗っかればいいのか。
 そもそも正宗が主役だったのに結末の主役がねじれてしまっていました。

 こうやって分解して行くと自分の「勝手な解釈」はできるのですが、これが行間なのか妄想なのかが全く理解できません。つまり映画から伝わってこないので、見ているときにポカーンとなってしまいます。

 なんでしょう。大きなことを描いているようで「パーソナル」な「現在」の問題にしか焦点が当たらないので、仕掛けとストーリーが遊離してしまっている感じです。メッセージを語るための必然性を世界観から感じないと言えばいいでしょうか。そのせいで「裏」「過去」を世界観やキャラから感じないから広がりも深みもないということでしょうか。

「さよならの…」「空の青さ…」本作の共通する不満点がこれですね。例えば「さよならの…」でイオルフの過去や未来に想いを馳せられたでしょうか?あの舞台になった国の歴史が妄想できたでしょうか?本作はそれと同じですね。
 文学というには意味がありすぎますし、その割に語り切れていないのか受け取り切れていないもどかしさを感じます。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 14

シボ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

むき出しの叫び声が心を揺さぶります。

公開二日目に中学生の娘と劇場に足を運びました。

岡田麿里作品ってことで期待高めでの視聴でしたけど、
キャラのむき出しの感情がぶつかる様に圧倒されました。

序盤、この不思議な世界での物語がいまいち理解しづらいって
所はありますけど、なんか抑圧された世界、感情が爆発したように
展開していく中盤以降は心が何度となく揺さぶられました。

やや距離間、生々しさが好き嫌いはあるかと思いますけど
等身大な若者たちは思春期爆発のキャラに感情移入出来るでしょうし
自分のような親世代も色々な方面から迫るものがあると思います。

なんかネタバレしちゃいそうなので、この辺で。

音楽は
EDの中島みゆき「心音」が、この独特な世界観の余韻に
たっぷりと浸らせてくれました。
「未来へ~~ 未来へ~~ 未来へ~~~
君だけで行け~~♪」
聴きごたえありすぎる歌声が頭の中をループしつつ
娘と終わった後しばらく席を立つことなくまったりとした
時間を過ごさせてもらいました。

台本に感銘を受けて丁寧に作り上げられたその楽曲、歌詞に
改めて中島みゆきって凄いんだな~って思いました。

面白かったら買おうと思ってたパンプレット。
・・もちろん買いました!
五実役は久野美咲さんにあて書きされたって話には、あのどうして
良いか分からない全身での叫びが印象的だったので納得でした。
綺麗にまとめられた冊子は
全体的に美しくて芸術的な作画カット満載で満足度高いです。

公開2日目にしては思った以上に劇場は空いてました。
岡田麿里監督(自分もここ数年で知ったニワカです)
とは言っても
ジブリや新海監督のようなメジャーではなく地味目な作品って
位置付けってこともあるのでしょうからしょうがないのかも
しれませんね。
ただ自分的には改めて岡田麿里好きだなって思えたし
満足度の高い作品でした。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

停滞のむきだし

1991年冬。製鉄所の爆発以来、外界から隔絶され、時の流れが止まった見伏(みふせ)市。
何年も中学3年生を繰り返している少年少女らの間で巻き起こる思春期の恋の衝動が、
停止した街の秩序を揺るがしていく劇場アニメ作品。

【物語 3.5点】
監督・脚本・岡田 麿里氏。
同氏の未完の小説『狼少女のアリスとテレス』を本作向けに再編し映像化。

見伏市は時間が停滞していることで安定しているが、最近は空にヒビ割れが多発。
製鉄所の煙から生成される“神機狼”で修復する頻度も高くなって来ている。
ヒビ割れを作り閉鎖世界の崩壊を招くのは人々の心の変化。
町は“自分確認票”などの掟により人々の異変を厳重に監視規制している。


本作もまた斜陽に向かう日本社会の停滞感を描き、次代に未来を託す、
近年トレンドの作品群の中では後発のタイミングでの公開。
が、既視感を上書きする勢いで、岡田麿里氏ならではのオブラートに包まない描写が鮮烈な印象を残す野心作。

大人たちの停滞を押し付ける同調圧力が、子供たちの心を蝕む。
(※核心的ネタバレ){netabare} 見伏の住民はまぼろし故に、{/netabare} 痛みを感じなくなった少年たちは生の実感を得るために危険な遊びに興じる。
時間の止まった町で成長し続ける異端の“狼少女”五実から香る生の匂い。
主人公・菊入 正宗と佐上 睦実、五実との間に吹き荒れる痛切な恋の衝動こそが生の実感を与え、世界を壊す暴力となる。

展開も概ね予想の範ちゅうで、シナリオ自体の衝撃で驚かせると言うより、
エッジの効いた表現で、鑑賞者の心にも傷痕を刻む感じ。

ただその傷痕はトラウマにはならず、むしろ停滞した社会の中でも価値を見出す希望や、
痛みを伴ってでも未来へ進む勇気といった、ポジティブな痛みとなって残る。
事前PVが醸す危険な印象や、作中私が喰らったダメージを思えば、やはりガード必須な岡田麿里作品ですが、
鑑賞後の後遺症は意外と残らない前向きな作品となっています。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・MAPPA

背景美術にも積極的に作画を入れて登場人物の心情を反映する世界の潮流。
この最先端を走る海外アニメ映画などを観ていると、日本アニメはちょっと敵わないのではないか?と悲観してしまいますが、
本作の少年少女の恋心の痛みなどに呼応して裂ける空などを眺めていると、
MAPPAや『さよ朝』チームならばJAPANもまだまだ食らいついていけるのでは?と希望がわいて来ます。

“狼少女”五実の{netabare} おまる洗浄シーン{/netabare} など匂いを意識させる作画もまたオブラートに包まず、
痛覚と並ぶ生の実感を体現。

その他、冬と夏を活用した心情表現。
(※核心的ネタバレ){netabare} ずっと冬が続く見伏市のまぼろしは、裂け目から覗く現実世界の夏の盆祭りに魂を呼ばれるように霧散して行く。{/netabare}
(※核心的ネタバレ){netabare} 正宗と睦実のキスシーンの熱を表すように、裂け目から降り注ぐ夕立が雪を溶かす天候描写がエモ過ぎます。{/netabare}

正宗が描き続けている作中イラストの上達ぶりは、
停滞した町でも、人間は成長できる好例としてテーマ深化のスパイスとなる。


90年代で止まった街ということで、小物デザインも花柄ティノポットなどが当時を再現。
もっとも私は萌えアニメキャラの装備品たるブルマとは異なる、
リアルに存在した女子中学生の生々しいブルマの揺れ動きの再現カットに、
作中の中学生男子共と一緒に鼻の下を伸ばしていたわけですがw


【キャラ 4.0点】
主人公少年・菊入正宗と同級生・佐上睦実。身体は思春期、心を凍りつかせたままで大人になっていく同級生。
二人の間に心は幼気で無邪気なまま身体が成長していく奔放な五実が入っていくことで、
震源のトライアングルが活発化していくメインキャラ相関。
(※核心的ネタバレ){netabare} 外の現実世界では夫婦になる正宗と陸実の娘が五実。{/netabare}
五実は正宗と陸実にとって諦めていた未来を垣間見せる存在でもある。

停滞を強いる大人の同調圧力に対し、イラストを書き、自分確認票提出をサボって抵抗する正宗。
それでも停滞は少年の心を確実に蝕んで行く。
その苛立ちを自分確認票をペンで書き破ってぶつける描写が痛切でした。


心の変化を禁じている見伏市ですが、街を回すためのスキル習得には意外と寛容。
正宗たち中学生も運転免許を取得して老祖父の送迎などに車を活用。
終盤“合法的”な中学生によるカーアクションも実現し盛り上げに一役買う。
(これなら二次元世界でも学生の違法行為の取り締まりを叫ぶ真面目なネット警察諸君も、ぐぅの音も出まいw)
運転スキル習得のキャラ設定もまた停滞していても人間は成長できる一例を示す。


【声優 4.5点】
主人公・正宗役の榎木 淳弥さん。
陽気なボイスが特徴的な声優さんですが、本作では少年の葛藤をぶつける鬱モード。

ヒロイン・陸実役の上田 麗奈さん。
妖艶なボイスで、えのじゅんを挑発し、“謎の同級生”を構築。

そして“狼少女”五実役には、痛みにのたうつロリボイスに定評がある久野 美咲を指名。
“暴力的にピュアにして欲しい”との監督のディレクションに応える。

メインキャスト3人は実際にトライアングルを囲んで収録を行う異例の体制で、
コロナ禍で広がった分散収録の流れに一石を投じる。

この成果が一番出たのがやはり(※核心的ネタバレ){netabare} 正宗と陸実の濃厚キス現場を五実が目撃し心に激痛が走るシーン。{/netabare}
分散収録か否かなど聞いても分からない私ですが、
あのシーンからは同時収録ならではの生々しい三角関係が確かに伝わって来ました。
何より上田 麗奈さんの妙演がたまらなくエロティックでした。


正宗の失踪中の父・昭宗役に瀬戸 康史さん。
残された母・美里を見守ると称して恋心を打ち明けられない叔父・時宗役に林 遣都さん。
中堅俳優に年輪を刻んだ煮え切らない大人のトライアングルを託す。
俳優タレントの劇場アニメ起用への文句も多い私ですが、
このポジションへの俳優キャスティングには納得感がありました。

見伏市の体制側にカルト要素を注入した神官・佐上 衛役の佐藤 せつじさんも、
映画吹替経験も生かした明快な狂人ヒールぶりで機能していました。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は横山 克氏。
音響彫刻シデロイホスの神秘的な金属音によるヒビ割れる空の演出強化。
退廃のバックグラウンドに響く高校生コーラスによる思春期の絶望表現。
未来の希望を象徴する海羽さんの歌声。
私は本作を横山氏が新機軸で、さらにもう一つ殻を突き破った作品としても記憶に留めたいです。

ED主題歌は中島 みゆきさんの「心音」
起用の一報を耳にした時は、歌手の世界観が強烈過ぎるのでは?との懸念もありましたが杞憂でした。
歌詞世界と作品のシンクロ率では本年のアニソンの中でも屈指だと思います。



【余談】長いひとり語りになるので読まなくても結構ですw

見伏市が停止した1991年は奇しくもバブル崩壊による不景気が始まった時期。
私にとって本作は“失われた30年”の日本社会の停滞から若者が受けた影響を否応なしに想起させられる。
作品そのものから感じる痛みより、私の内面に封印していた古傷が疼いてのたうち回った劇場鑑賞でもありました。

この30年変革も多々ありましたが、基本的にバブル後に日本が取った施策は変わらないことによる安定確保。
こうして停滞した社会というのは、極度に変化や異物を恐れる。
過剰なまでの無菌無臭の追求。公園の砂場にまで除菌した砂を敷き詰める狂気。
地毛の茶髪まで黒に染めさせる校則というのは今にして思えば事なかれ主義をこじらせた、とんでもない差別行為でした。

ゼロ年代。ロスジェネの若者たちの間で、布団を日向で干した匂いがするアロマがちょっとしたブームになった事も。
同時期に社会問題になったリストカット。理由は個々人により様々でしょうが、
本作みたいに停滞の中で、生の実感を渇望し痛みを求める少年たちを抽象化された物を直に喰らうと、
停滞は人の心を確実に殺すことを痛感します。


私の中学時代はブルマがハーフパンツに切り替わった時期。
同時に体育での水泳復活も協議されましたが、ここも事なかれの校長の強硬な反対により廃案に。
私にとって中学生のスクール水着女子というのは完全に二次元世界の幻想に過ぎません。

高校時代には修学旅行にて女子生徒たちが共同浴場を使用せず客室シャワーで入浴を済ませるという事案が問題視。
教師が裸の付き合いをする意義を説教したわけですが、
私は、中学時代に水泳など同性同士の着替えやボディーラインを見る機会すら徹底排除しておいて、
何を今更と呆れて聞いていました。

かと思えば恋愛禁止論をぶち上げて受験戦争に立ち向かうよう発破をかける先生方もおられて。


そんなこんなで大人になった我々の世代は、今の若者は草食系などと揶揄されたわけですが、
殺菌消毒された草ばかり食わせておいてそりゃないよ~と恨めしく思ったわけです。


本作は岡田麿里作品の中ではマイルドな部類かもしれませんが、
私の抱えた諸々のイタい思い出がむき出しにされてしまう辺り、やはり劇物に指定される作品なのだと思いますw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 27

72.9 43 2023年度アニメランキング43位
「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(アニメ映画)

2023年2月3日
★★★★☆ 3.9 (23)
196人が棚に入れました
第3期「刀鍛冶の里編」放送を前に、炭治郎や音柱・宇随天たちと上弦の陸・堕姫と妓夫太郎が激闘を繰り広げて話題を集めた「遊郭編」の第10、11話を劇場初上映。さらに、新たな任務地での霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との出会いや、無限城に集められた上弦の鬼の姿を描く「刀鍛冶の里編」第1話が上映される。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

国境や映像メディアを横断する野心的なアニメ化企画が継続中

引き続き原作未読。IMAXで鑑賞。

【物語 3.0点】
「遊郭編」の10話と最終回11話(1時間SP)+「刀鍛冶の里編」初回(1時間SP)

総じて凄く力の入ったTVアニメ上映企画。

TV放送と同じ構成でスクリーンで流す。
クレジット付OP&ED映像も、アイキャッチも、アバンの前回の振り返りもそのまま。
あくまでもファン向けの上映会。

冒頭、数分だけ、炭治郎たちのこれまでの足跡を振り返る映像は流れます。
ですが「遊郭編」10話に至るまでのいきさつは振り返らず、いきなり10話から始まるので、
忘れかけている方は復習しときましょうw


初披露となった「刀鍛冶の里編」第1話。
エピソードの初回というより、鬼舞辻無惨と産屋敷輝哉。
鬼VS鬼殺隊。対立するだけでなく相互に関わりが深い人と鬼もいる?
因縁を、上弦の鬼たちの人物相関や炭治郎の血筋の謎も絡めながら、
春の放送&配信開始に向けて、コンテンツを再加熱する感じの構成。


【作画 4.5点】
映像は上映用に4Kアップコンバート。
Dolby Cinema、IMAX、4Dなど各種規格にも対応し興行を展開。
豪華な映像体験をしたいファンの需要総取りを目指す。

実際、私も「遊郭編」吉原の激戦を極上の環境で再見したいという願望があり、
そこを満たしてくれただけで、上映料金に見合う劇場鑑賞でした。


『鬼滅の刃』“ワールドプレミア”最速上映企画も、
1期の1話~5話に続いて、「刀鍛冶の里」1話が2度目。
世界各国に眠るビジネスチャンスは根こそぎ拾うとの、
アニプレックスの野心を感じる企画です。

前提としてテレビと映画で同水準の作画を納品できるufotableの制作力が必須なのは言うまでもありません。


「刀鍛冶の里編」1話ではCGも交えて再現した鬼の本拠地“無限城”がお披露目。
「遊郭編」で吉原の街並みを再現した美術も手が込んでいましたが、無限城はそれ以上です。
余程その威厳を誇りたいのか、複雑に組まれた城の内装をアングルを変えながら何度も見せつけてきます。
(正直、ちょっと演出がクドいかもw)

あとは{netabare} 鬼殺隊の療養所で出た揚一番みたいな?せんべい{/netabare} がメッチャでかかったですw


【キャラ 4.0点】
“上弦集結本”を初週入場者特典として配布したとあって、
1回の上映で、上弦の鬼が勢ぞろいするレアリティが売り。
上弦揃い踏みは本企画が最後になるのでしょうか?
{netabare} 「遊郭編」で上弦の陸(ろく)もいなくなって、{/netabare}
無惨様も激おこパワハラモードですしw

鬼は感情など人間の要素を残しているほど弱いとの無惨様の論評。
確かに上弦の鬼も上に行くほど壺になったりと人の原型をなくしていく。
けれど最上位の壱や弐は外見上は人間に近いようにも見えます。
異形よりシンプルに見えるボスの方がかえって強いということなのか?
彼らの秘めた鬼の要素に戦慄したいものです。


鬼殺隊では恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)
割りと優しいお姉さんなのかな?と思っていましたが、
{netabare} 鬼殺隊になった動機すら素敵な殿方への恋愛願望{/netabare} という濃いキャラクターを早速、発揮。
柱に常識人を求めるのはもう諦めようw

そんな変人だらけの鬼殺隊の事後処理を担当するのが隠(かくし)
今回は彼らの中から後藤さんが常識が通用しない隊への心境を吐露。
今後もコメディーリリーフとして登板を期待したいです。


【声優 4.0点】
ufotableの作画が強いので、それに押し負けない演技が求められる本シリーズ。
主要キャストが喉が千切れるくらい叫びまくる「遊郭編」決着のシーンでは、
特にこれは声帯を鍛え上げた声優以外には務まらないなと再認識させられます。

「刀鍛冶の里編」で参戦する鬼殺隊の恋柱・甘露寺蜜璃役の花澤 香菜さんも、
霞柱・時透無一郎役の河西 健吾さんも叫べる声優さん。
死力を尽くしたシャウトは飛び出すのか?期待したいです。
(ざーさんは初回から、既にトキメキ方面にシャウトしていますがw)


上弦の鬼では、上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)役の鳥海 浩輔さん。
個人的に、無惨様らに対して情けなく、へりくだった言い回しはあまり印象にない方。しかも壺だしw
上弦の肆・半天狗役の古川 登志夫さんと共に、
ベテランの域に達した演技で、中間管理職の苦味を提供して頂きたいですw


刀鍛冶の里を仕切る長老・鉄地河原鉄珍(てっちかわらてっちん)の関西弁じみた言い回しが独特w
キャスト名はネタバレになるそうなのでヘンテコな天狗の面の下も含めて、
種明かしは春の楽しみにとっておきます。


【音楽 4.0点】
梶浦 由記氏&椎名 豪氏の劇伴を上映用にリミックスし、各種音響規格にも対応。

上述のキャスト陣のシャウトの応酬も劇場で最大化。
グズる須磨も口に石どころか岩石を詰めたくなる程の喧しさw

「刀鍛冶の里編」主題歌はMAN WITH A MISSION✕milet「絆ノ奇跡」
平成以降のデュエット曲は女性ボーカルに男性がキーを合わせる傾向が強く、男に厳しい構成。
狼さんも高音が苦しそうw
なぜデュエット曲なのか?も含めて噛み締めていきたい一曲です。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 18

gafa1234 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

期待を裏切らない第3期!(過小評価しちゃダメ!)

期待通りの解像度の高いアクシャンバトル。
終盤に至るまでのボルテージの上がり方。
文句なしに感動の作品です。

「絵の力任せ」といった揚げ足取りする人いるけど、
最終話のスタッフロールをちゃんと見てください。
絵を描いてる人の人数、作画監督の人数、凄いです。

関わった人たちが、また名作を作ってくれるなら、
謝辞を述べるしかない!
きっとまた他の名作に携わってくれる、
優秀なアニメマンが出てくるはずです。

スタッフさんの汗水と苦労の「量」を想像したら、
間の抜けた完璧主義?批判なんてしちゃいけない!

ある時期の世界屈指とか狭い次元での評価はいけない。
芸術美学の視点においても、歴史に残せるシリーズ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

72.8 46 2023年度アニメランキング46位
機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (294)
988人が棚に入れました
その魔女は、ガンダムを駆る。 A.S.(アド・ステラ)122―― 数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。 モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に、辺境の地・水星から一人の少女が編入してきた。 名は、スレッタ・マーキュリー。 無垢なる胸に鮮紅の光を灯し、少女は一歩ずつ、新たな世界を歩んでいく。

声優・キャラクター
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽・白石晴香
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉
サリウス・ゼネリ:斧アツシ
ヴィム・ジェターク:金尾哲夫
ニューゲン:勝生真沙子
カル:小宮和枝
ネボラ:沢海陽子
ゴルネリ:斉藤貴美子
ラジャン・ザヒ:花輪英司
ラウダ・ニール:大塚剛央
フェルシー・ロロ:高田憂希
ペトラ・イッタ:広瀬ゆうき
セセリア・ドート:山根綺
ロウジ・チャンテ:佐藤元
プロスペラ:能登麻美子
マルタン・アップモント:榎木淳弥
ヌーノ・カルガン:畠中祐
オジェロ・ギャベル:KENN
ティル・ネイス:天﨑滉平
リリッケ・カドカ・リパティ:稲垣好
アリヤ・マフヴァーシュ:島袋美由利
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

女性の男性社会への間違った復讐劇…だから魔女なのか?

 さて、23年を代表するアニメとして、通しで2回目の視聴をしました。リアルタイムで考察していたよりも素直に視られたかなあという気がします。
 その結果、非常に深く面白く感動できる話だということを再認識しました。

 ウテナを彷彿とされる設定から始まった本作ですが、最後はプロスペラマーキュリーの復讐譚となります。夫を失った妻と娘ですね。
 ウテナが女性が裸なって王子様幻想から脱して自立せよ、のような結末でした。一方本作はあえて言葉を飾らずに言うと、ウテナで提言した女性像に対して、女性たちの強くなり方、男社会への復讐のやり方は間違っている、という話に見えます。というのはやはりクワイエットゼロの形状はどう見ても女性器のアナロジーです。クワイエットゼロは個人の復讐であり、間違った復讐です。
 一方でそれを壊すべく発動した、送電器に偽装した兵器は男性器のアナロジーでした。要するに性によっていがみあうことで生じる分断の象徴ですね。

 魔女というのはガンダムを操るものでありガンダムを作るもの。パーメット粒子というものを操れるものです。パーメット粒子は情報の塊ですから、情報を操る女たちの復讐劇、つまりフェミニズムの誤った形の実行かなあと現時点では見えました。ここはまた考察したいところです。今回気が付いた部分なので。

 一方でグエルがなぜあんなに極端な古風なキャラだったのか?ですね。力こそ正義とか分厚い鎧をかぶったような性格、威圧と権威主義は古い男性性の象徴でした。彼のような生き方をしていると、女性=スレッタに婿の地位を奪われるところからスタートしました。

 つまり、彼は間違った男性性の否定をするためのキャラだったのかなと思います。
 親殺しはすなわち男にとっての成長です。彼は裏方というかサポート役に回ったのはなぜか?あのフェンシングの一騎打ちは本当に実力だったのか?

 シャディクはグエルと対照的な、スマートでクールなキャラです。現代的な男性性だと言える気がします。彼は自分の信じる正義を陰謀によって実現しようとします。つまり、目的の為なら手段を択ばないという現代的な生き方の象徴だったと思います。何を考えているかわからない、常に茶化したような態度なども非常に今風です。

 で、ミオリネですが、彼女は最高の地位の後継者であり、トロフィーワイフでもある…ように見えて、実は父親の愛情ともっと視座の高い理念を理解できない優等生少女の象徴でした。命のやり取りや差別による貧困や争いの現実を知り打ちのめされました。
 彼女の髪型の変化にも注目です。大人びた髪型にした後の落ち込み方。部屋に引きこもった後がなんともいえませんでした。

 母親の遺伝子コードにより彼女は目的を達成するわけですが、親の子を思う気持ちの象徴ですね。
 これはほぼすべての主要キャラに言えますが、単純な「大人なんて」という子供の視座の問題意識で、一段上の現実の世界で生きている人たちを馬鹿にする今の子どもたちのアナロジーも感じました。まあ、ユーチューブを見て世の中間違っていると学校で騒いでいる子供たちですね。 その証拠にこの3人の行動が学校で考えていた思惑が全員失敗に終わります。

 彼らはお前は一人で生まれて生きてきたのか?というくらい不遜です。自分の遺伝子がどこから来たのか、そして自分が遺伝子を残す役割を果たさなくていいのか。

 一方で、世界をメチャメチャにしているのも資本主義の理屈であり、その点において大人は間違っているのですが、それは文明の恩恵が得られる原因でもあるので非常に難しいことです。

 スレッタです。母親の目的のために型にはめられた教育を受けた娘。毒親問題ですね。と同時にエアリアルという、スレッタを庇護するものの象徴から、キャリバーンといういう自ら戦うガンダムに乗り換えるということの成長です。庇護されてきた家族を自らの手で暴走を止め守り救済しました。
 学校生活やミオリネなどとの交流や、挫折の果てに成長して行くところなどが丁寧に描かれました。

 他に秀逸なキャラは沢山いて、それぞれの生き方を追うだけで多様な生き方が見えてきて、しかも、どこにも正解の提示がない、というのが本作の特に優れてていたことろだと思います。

 それと終わり方ですけど、やはり資本主義体制というのは簡単に変わるものではないということです。そのために必要なのは何か?それが学校という事だと思います。つまり幾つもの世代を通じないと急に変革など起きない、今学校ですべき事があるんじゃないの?という風にも見えます。

 アーシアン、チュチュやニカとガンダムパイロット2人と比較するのもいいと思います。つまりアーシアン側の2人がなぜ魔女、つまり情報を操るものとして描かれたのか考えると、分断とか親ガチャで騒いで相手を攻撃するよりも、努力して生き方を見つけろと言うようにも見えます。

 ということで、ガンダムというメカや企業とか軍の設定にはほとんど興味がいかないでキャラが何を意味しているのかばかりを見てしまいました。

 まあ、メタ的な意味でガンダムが消えるところを見て、ちょっと思うところはあります。

 OPは1クール目の祝福に比べるとちょっと凡庸でしたね。EDはアニメが良かったです。絵も綺麗だし意味深でした。


 本作は兵器とか戦争のようなテーマとかニュータイプというコミュニケーション論が中心だった過去のガンダムより、現代的なテーマを的確に描けた名作だと思います。
 本作を見た後だと、富野ガンダムが古く見えてきます。もちろん、今でも名作と呼べる作品は沢山ありますが、時代性と言う点で本作は現時点ではテーマ性が既存のガンダムから脱してアップデートされていました。

 アニメも綺麗だし、2クールの中に密度濃く、いろんな視点を入れてかつ面白い話に仕上げたと思います。

 物語の展開に若干ご都合主義があるものの、20年代以降の作品はテーマとエンタメの融合を優先して、展開の不自然さは多少目を瞑ったほうが良いと思います。

 本作のターニングポイントというか視点がはっきりするのは、19話と21話でしょうか。

 評価はオール5に修正します。初回は分割2クールで2クール目は集中できてなかったですね。今回見て話の深さに感動しました。特に主要4人のキャラがとても良かった。
 もう2回くらいあとで見たいですね。本当に深くて面白かったです。


以下 視聴時およびその後の考察レビューです。


{netabare}this is the story concludes the witch from mercury って出た以上、これでお終いということでよろしいのでしょうか。
 やはりシェイクスピアの「テンペスト」オマージュでメインキャラは誰も死にませんでした。何を言っているのかは本編でご確認を。トマトの人は気の毒ですけどね。

 PROLOGUEからのつながりでいえば復讐は何も生まない。という結論であると同時に一つの事件では何も変わらないのか?という感じに見えます。1年戦争のアバオアクーの結論で何かが変わったような気がした初代ガンダムでしたが結局その後も延々と続いたガンダムを連想します.
 が、その変わらなさをあえて連想させる終わり方だった本作の方が、少しずつの変革に向かいだした、という希望につながるような気がします。

 というのは、ガンダムが消えていくシーンです。あれが象徴的でした。まさに消滅して行きました。と同時にガンダムの素材が維持できないということはパーメットリンク消えたのだと思います。つまり、オカルトにも似たニュータイプのようなものは残らないということでしょう。
 ガンダムとニュータイプ=パーメットリンクはもうないよ。つまり、水星の魔女はこれ以上作ると蛇足になるので続編はないよ、ということだと思います。

 エリーが小姑ということは、まあ、そこはハッピーエンドと言えるのでしょう。戦争と医療というテーマがなかなか面白い作品でしたが、思っていたよりもスケールの小さな終わり方でした。

 
 結末については少し咀嚼したいと思いますが、しかし、平穏な終わり方という最も意外なほうに持って行ったのは、ある意味上手い裏切りですよね。なかなかいいと思います。

 ウテナ的な終わり方が見たかったですけどね。それだと今の時代にそぐわないのかも。逃避や急な変革じゃなくて、意識改革こそ新時代には必要な事なのかもしれません。つまり、ガンダムという超兵器=1つの答えで何とかなるような処方箋はないし、単純な力では何も変わらないよ、と。

 なんとなく宇宙世紀もののガンダムを追っている視聴者およびステークホルダーに対する引導に見えなくはないです。これをやられるとシードはまだしも、ハサウェイが色あせてしまう気がするのですが、大丈夫でしょうか。

 前半と後半のバランスが悪い気もしますが、どうしてもトマトの部分。つまり学園の内と外というのを中間に持って来たかったのでしょう。それは我々のような成人ではなく、本来ティーンに見て欲しいという事なのかもしれません。
 音楽は1期の方が圧倒的に良かったです。最終回はズル過ぎ。

 やっぱり構成はちょっと減点したいかなあ…もう2話、26話で出来なかったんでしょうか。まあ、言いがかりですけどね。むしろ説明が足りないからこそ、自分の頭で考える楽しみがありました。
 そう…こんなに楽しんだアニメは久しぶりです。もう1回どこかで見て、総括したいですね。

 ということで、非常に良いガンダム、良いアニメでした。制作陣に感謝を。


追記 学校が舞台だったことをどう読み取ればいいのか。

 ガンダム史上初めて学校が舞台でした。1期終わりの時点ですと、戦いの形だけ教えて、実際人を殺すのに役立たないということで学校の無力さを歌っていたのかなと思っていました。

 ただ、最後ですよね。学校のつながりで仕事をしていました。習った事はあまり役に立たないけど、つながりが仕事になるということでしょうか?

 資本主義社会の矛盾…結局大企業が勝つという雰囲気の中でしたが、しかし、アーシアンやどの企業に属している子供たちも、一緒に働いてましたよね。垣根を超えるのは新しい世代だというのと共に、学校時代に一生懸命やったこととつながりが花になる、という意味かもしれません。

 現状肯定ではなく、現状否定の物語ではあると思いますが、やはりガンダムによる一発逆転はないよ。次世代は若い人たちが学校でしっかり勉強して作っていってね、という事かもしれませんし、結局は親の背中を見ながら子供は育つという風にも見えました。

 また、ガンダムの技術はちゃんと医療に役立っているという感じもありました。戦争の傷跡を見せると同時に科学が肉体を補っていました。あとミオリネが持っていたトランクも同じ技術?



再追記です。

 ウテナ設定ですね。関係ないじゃんとは思いません。なぜかといえば、やはりガンダム・スレッタ・キャリバーンはウテナカーの対比だったからです。
 ウテナは王子様幻想とか闘いに明け暮れる学校という制度から裸で脱却し、女性の生きざまについてもう一度考えろ、という投げかけで終わっていました。

 本作については、逃避だけでなく提案がありました。今の社会の枠組みの中でどう生きるのか?ということです。
 上にも書きましたが、ガンダムでの一発逆転はないし、ニュータイプのような科学技術では分かり合えないということに加え、ウテナのような逃避も何も生み出さない。復讐は虚しいだけ。それよりも自分で目標と居場所を見つけ、少しずつ社会を変えて行こうという風に見えました。

 つまり、脱ガンダムと同時に脱ウテナということでしょう。だから、ウテナとの対比として百合設定が活きてきました。






以下 視聴時のレビューです。


15話 考えながら見ると面白い。新旧世代の橋渡しとなるガンダムの再定義にふさわしい作品。

{netabare}  15話(2クール3話)までで本作については、設定を考察してどうこう言う話ではないことは分かります。というか隠す気が無いくらい結構基本的な設定の構造はヒントを意図的にばら撒いていました。

 学校という牧歌的な舞台を描きつつ、外の不穏な世界を徐々に読み取らせていった1クール目が活きてきています。

 全員が信念に基づいて動いている。そして単純な悪意だけで動いている人はおらず、正義のためにやっているということでしょう。地球と宇宙の分断もそうですし、企業の経営者の考え方もそうです。
 あるいは医療という人を救う技術と兵器という人を殺す技術というテクノロジーの2面性も入っています。核開発時のアナロジーは強く感じます。

 結果としての戦争と対立。それがまるで宿命のように描かれています。これを国家に置き換えればほとんど現代の世界の状況そのものです。

 また、進歩したテクノロジーのブラックボックス、医療の生命倫理などなども読み取れます。親と子の意見の違い、毒親。そういったものがストーリーに組み込まれていて、素晴らしい脚本だと思います。15話のいろんな親子の関係を描いたのは良かったですね。2クールという情報が本当なら、それがいい方に作用しているのでしょう。テンポがいいし飽きさせません。
 また、単話しかでてこないような登場人物にドラマを感じさせる演出は大したものです。

 富野監督の時代とは違う。宇宙時代ではなくテクノロジー時代の新しいガンダムです。「テクノロジー」「多様性」「世代」「経済」「両義性」が生み出す摩擦により生じる人類の混乱。非常にアップデートされたテーマを描いています。
 それがまた無理なく1期の種まきからの続きとして描けているのがいいですね。ちょっと説明しすぎな気もしますが、分かりやすくしないと振り落とされる人もでてくるのでしょう。

 当然人間ドラマが中心になるわけで、既にロボットアニメではなくなっています。
 本作の楽しみ方は、考えることでしょうね。今我々が生きている家庭から世界戦争までを本作を見ながら考えることでしょう。EDのフワフワした捉えどころがないアニメを見ると不穏ですけど、おそらくはそこにヒントを隠しているのでしょう。スレッタの髪と衣装の感じから「女」を強く感じます。そういうテーマもでてくるのでしょうか。

 エンタメとしても緩急があって、複雑だし面白くできています。ガンダムの再定義作品にふさわしい出来だと思います。 {/netabare}


17話 面白過ぎて草。過去のいろんな作品が思い浮かびます。

{netabare}  SF的な問題として、エリクトの精神あるいはゴースト(魂)はどこにあるか、ですね。どうもコピーしたような雰囲気でしたので、この問題をスルーされてしまうと、深さが半減する気がします。
 逆に鉄腕アトム問題にもなりますが、それは本当の家族なのか?人格とは?という問題に肉薄できれば素晴らしいと思います。

 その一方で、グエル、ミオリネ側の親の意思を自分の意思で継ぐ、スレッタ、エレン側の毒親にコントロールされているのか、という対比があります。これは分かりやすいですが、2つ。グエル、ミオリネ側の意思もどうも操られている感があります。それがクワイエットゼロにつながる感じです。
 クワイエット・ゼロ。静寂そして零。そこがコロニー落としになるのか人類補完計画みたいになるのか。一方で、過去の遺物を消し去るために、親世代が自らの滅びか新世代の旅立ちを計画しているのか。

 メタ的に見ると日韓関係やバブル崩壊後の失われた30年のような世代間の責任問題にもつながってきます。分断の責任。これを相手に押し付けるだけでニュータイプというオカルトに救いを求めるだけだった旧ガンダムシリーズの引導としての作品です。

 ここを見ると「すずめの戸締り」の評論が無力だったことを想起します。あれだけ新海誠氏に稼がせてもらったユーチューブのインフルエンサーが何一つ分解できませんでした。まるでなかったことのようになっています。
 当たりまえですね。宮崎駿監督を認めつつ、旧世代はもう捨てようよ。つまり50歳以上の世代は自分たちの体験や知識価値観で、もう現代をネガティブな意見ばっかりで引っ掻きまわさないでよ。過去は悼みつつも新しい世界を覚悟して生きて行くからという話ですから、自己否定を突きつけられました。

 となった時に、本作ですね。過去のガンダムの否定はもちろんですけど新しい世界と価値。SNSもネットワークも当然の価値観に組み込まれた「ユーレイデコ」的な他人の言葉による不自由。自分の欲望は誰の欲望なの?という話、つまり構造の奴隷の中でも主体的に生きて行くのはどういう意味なのか、と言う要素も感じました。
 グエルが地球で体験してきた意味とか、その辺は効いてくるのでしょうか。うーん。と考えるとちょっとミオリネの思想のバックグラウンドが弱い気もしますね。これからかなあ。

 で、その元凶となるプロスペラの思惑は?というところはこれからなのかなあ。単なる復讐劇だと浅い気がしますので、やっぱり逆シャアの思想になるのかなあ。クワイエットゼロは。ただ、そこに過去の世代の責任を後に引きずらないという考えが入ると新しくなりますね。

 ゼロ…ゼロかあ。「日本人を名乗るみなさーん、お願いがあります…」もちょっと思い出しますね。


追記 総集編なので残念。ですが、今回企業グループが地球も宇宙も牛耳ってました。ということは、GAFAMのことのような気がしてきました。今まで宇宙と地球の対立軸で語られて今回も今のところ地球が敵っぽく見えますがどこか敵の正体が見えてきません…というか、何のために何と戦っているストーリーなのかが見えてきません。

 この見えない敵というのがGAFAMのことの気がしました。だからガンダム=ガンドアーム=禁断の技術、技術開発、つまりデファクトスタンダードの奪い合いがメインになっているのかなあ、と思いました。{/netabare}



18話 最高過ぎる。面白い。来週「一番じゃないやり方」ですね。

{netabare} 不穏です。「一番じゃないやり方」もう言葉が不穏です。むしろ、SFの名作「たったひとつの冴えたやり方」の否定ならいいですけど。つまり、ミオリネかグエルの自己犠牲に焦点が当たるんでしょうか。とにかく不穏でドキドキします。主要キャラの死が少ないのが気になってるので、どうなるんでしょう?
 そして、やはり人類補完計画の下地になるような技術に焦点が当たり始めました。最後の最後でミオリネVSプロスペラの予感です。

 まあ、それはいいとして、本当にこの作品いいですね。最高です。毒親かと思ってたプロスペラがそうでるとは…ドローンのような追従するタイプのガンダムのサブ機(Xガンダム的なやつ?)もありましたが、つまり、子供が犠牲になるガンダム、そして、少年の自己拡張としてのガンダムを否定です。

 あなた方の望むガンダムじゃないんだよ。というメタ的な視聴者へのメッセージの意味だとしたら最高です。ガンダムの力ではなく自分の力で立て…きついメッセージですね。

 作画ですけど、今週は発色が綺麗だった気がするのですが…ミオリネ美人でしたし、他のキャラもすごくビビッドでした。特に髪が良かったです。
 それにしてもミオリネ…彼女の内面が早く見たい。そして、その選択は?
 あと婚約者…なんかスレッタだと子供の遊びだったのに生々しいこと。なんか微妙にエロくて良かったです。まあ、そうではなくて2人の思惑がなんかあるのかもしれませんが。

 この作品2クールが前提なんですよね?そのせいでしょうか。いつものガンダムみたいに遊び回もないし、本当に密度が濃くていいです。最高です。 {/netabare}


19話 盛り上がってきました。ここまで来たら一度ガンダムにピリオドを打てばいい。

{netabare}  佳境に入ってきました。どんどん面白くなって行きます。

 母と娘…そして娘たち。そして復讐劇からスレッタを解放したエリ―。分断に直面し無力を露呈するミオリネ。学園から離れて始まる生徒同士の本当の意味での戦い。

 いままでの学園パートで描かれていた、牧歌的な雰囲気が一気に収束してゆきます。が、こうなるのはプロローグあるいは1期の頭数話見ればわかったことだし、それを隠そうともしていません。

 では、その意味するところ、つまりどこに向かうか、です。こうなるとクワイエット・ゼロはつまりモビルスーツを全て破壊する…つまりガンダムの歴史を一回リセットしようという意味に見えます。
(クワイエット…黙れの意味があるので、ファースト厨の老害黙れという気もします)

 そうじゃない、平和利用しようよ、というのがミオリネですね。企業体はガンダムを兵器として利用する。

 そこでスレッタは?という展開になりそうです。スレッタは覚醒の予感です。家族への回帰…新しい家族の形…今回ガンダムの能力の使用方法のさらなる拡張の可能性が見えました。
 やはりガンダムを使った新しい人間のコミュニケーションに帰着するのでしょうか。

 あるいはですけど、皆騙されたと思っている「ウテナ」ですね。やっぱりスレッタ=ガンダムでミオリネと共に全裸で荒野=宇宙へ…だと最高です。
 もうここまで来たら、大河内脚本やらかしてほしい。そしてガンダムにピリオドを。

「一番じゃないやり方」の意味は自己犠牲ではなく、みんなが善かれと思ってやっていることがベストの選択になっていないということで、ゲーム理論の話みたいに見えました。つまり皆の戦略的選択を変更する要因がなく、しかしゲームの結果、つまりナッシュ均衡解がパレート効率、すなわち戦争ということですね。 {/netabare}


21話 髪型はスレッタの髪型はいつ変わるのでしょうか?

{netabare} エンジェルハイロウ+モビルドールシステム?サイコフレームかもしれません。大量破壊兵器としても機能するんでしょうか。ガンダムのラストは大量破壊兵器との戦いです。ソーラーシステム、コロニーレザー、ジェネシス…つまりガンダムマナーはしっかり受け継いでいます。

 プロスペラはエリーとともに復讐は果たすのでしょうが、スレッタをガンダムから下ろした意味を考えれば、当然スレッタのことも愛しているのでしょう。
 結果的にプロスペラは何かと刺し違えて、スレッタ(+ミオリネ)を守るために殉じる気がしますが、これは読みというより本作の意味を考えるとそうあって欲しいということです。

 やはり最後はウテナ的な二人の旅立ちで在って欲しいなあ。水星か他のところでやり直しかなあ。

 この第2クールですが、要するに本作は議会連合とかベネリットグループとグループの数社が学園の子供たちとの対応関係になっているので、設定がややこしいように見えますが、ここで重要なのは各子供たちの親との関係でしょう。エレクトもクローンでしょうがクローンとして生まれてきた意味を問われれます。

 ですので、敵対の図式はプロスペラの復讐と企業・議会の「大人たち」になるでしょう。では子供たちはどういう選択をするのかが、本作第2シーズンの意味です。

 で、第2クールで肝心なのはやはり髪型でしたね。髪型が変わる=大人の世界に入る。その途端実際の戦争と人の生き死に関わるということでした。そしてスレッタの髪型がまだかわってないですねえ。チュチュの髪型は変わって欲しくないですけど。


 今回のガンダムは過去SFのオマージュまではいきませんが、何か過去のSF的発想を感じます。で、マキャフリーという人のSF小説で「歌う船」シリーズというのがあります。
 この「歌う船」を知っていると、エリクトの設定そのものなのであまり悲壮な感じがしていないなあ。特に「旅立つ船」のヒュッパティアが可愛いので、SF好きな方は。{/netabare}


22話 アニメはたった1つのシーンの為だけに存在することもある。

{netabare}  前半話が猛スピードで過ぎて行き、ガンダムあるあるのフェンシング対決など一瞬で終わってしまいました。

 が、いいんです。いろいろ展開とかテーマを考察してきましたけど、要するにスレッタ覚醒、自力でガンダムを操縦する…そして母親と対決。そのシーンこそ私は見たかったということです。

 もちろん半年以上かけて見続けたせいもあるでしょうけど、本当に良かった。最高です。アニメ作りは、たった1つのシーンのために存在するということもあり得るでしょう。今回で私にとっては、1つのカタルシスでした。
 もし、後は自分で考えろと今回で最終回であったとしても、私はいいと思います。いや、嫌ですけどね。それくらいこのシーンを待ち望んでいました。

 スレッタは無茶をするなといわれても無茶はするでしょう。大河内脚本なので悲惨なのも覚悟しています。していますが、ハッピーエンドの一縷の望みをドキドキしながら待ちます。あとは結末を見守るだけです。{/netabare}


23話 もう少し肉親同士の結論をじっくり見せて欲しかったなあ。

{netabare}  データストームを停止するコードをプロスペラが変えたと言っていて、ミオリネの遺伝子に組み込んであった言葉で停止して「お母さん」と言っていたので、プロスペラがミオリネのお母さん???と一瞬混乱しました。良く良く画面を見ていると、停止コードの入力画面と管理者権限のエマージェンシー用の画面を切り替えてたんですね。
 つまり、デリングの妻への愛なのか、夫婦のミオリネへの想いなのか、母の残されたメッセージなのか知りませんが、そういうことなんですね。

 設定とか裏設定とか、そういうのはいくら分かりづらく組み込んでもらってもいいんですけど、ここはもうちょっと入力のインターフェイスを分かりやすくかえるとかしてほしかったです。

 その意味でいうと、戦闘シーンは削っても、もう少しミオリネとプロスペラの舌戦が欲しかったなあ。
 もちろん人間は気持ちが昂るとどんな議論でも相手を受け入れなくなるでしょうからなにかもう一つ、ミオリネ・スレッタ・デリング・エリー・プロスペラおよびミオリネの母親の遺志の関係で、何かエピソードが欲しかったです。

 その点では、グエルの兄弟は後始末としては意外性が何もないので、もっと短くしても良かった気がします。

 ということで、いよいよです。巷では本作はテンペスト(シェイクスピア)のオマージュ云々という話がでています。
 キャリバーン、エアリアル、プロスペラ、データストーム(嵐)ですので、まあ、そういう意図もあるのかもしれませんが、復讐譚で名前だけじゃん、と思ってましたが、ひょっとしたら「関係者が一人も死なない話」という意図もあるかもしれません。
 グエルとデリング等々を見るとそんな気も…と言う事は死んだと思っていた人が…???{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 16

Acacia さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

単純に好みじゃない。

素材は良さそう。
いざ実食すると不味くはないけど好みじゃない
そんな感じ。

好みじゃない点。

①スレッタを女性にする意味が余り感じられない。
キャラクターの造形にナヨっとした男臭さを感じる。成長の過程も。
放送前のPVで振り向くスレッタを観た時は
ミステリアスな雰囲気。女性の持つ冷たさを期待してしまった。

②子供が動かす戦争。
今までのガンダムでは少年達はあくまで戦場でもがく1兵士であり、
世界を動かす程の力を持つのは大人たち。みたいな描写が多かったと思います
てか、それが当たり前です。しかし今作は、まぁ子供が暗躍するする。
会社を興したり、大人の社会に介入する少年少女を描いていましたが、
子供が戦争をコントロールなんて始めたらいよいよラグナロク。

③2クールで終わってしまうのも世界観が狭く、消化不良。
アーシアンはただただ虐げられている存在とて描かれるだけ
彼らの日常、息遣いは余り描かれない。

自分ならこの素材をこうは料理しないと思っただけなので、
単純に好みじゃないんだと思います。
最終回で一番テンションが上がったのは、
ガンダムSEEDフリーダムの予告でした。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

とろろ418 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

遠い宇宙の惑星で

【魅力的に思った点】
・比較的綺麗に終わっている
・ストーリーの大枠は悪くない

【残念に思った点】
・キャラの掘り下げが浅い
・MSに魅力がない
・山場が来たと思ったらすぐ終わるため、盛り上がりに欠ける
・特に意味を感じない部分に尺の大半が使われている

【総評】
・60点
  率直に言えば期待外れでした。
  物語が全体的に主線から外れてますし、盛り上がるかと思ったら一瞬で鎮まっての繰り返しなので見てて単純に面白くなかったです。
  そもそもなんでプロローグの内容を切り離してしまったのかが謎。この物語の核に値する部分なので、絶対本編で語るべき内容だと思うんですよね。前半母親視点で丁寧に描いておけば、あの親子にももっと共感できる物語になっていたはずですから。
  あとは曲がりなりにもガンダムならMSにはもっと力を入れて欲しかったですね。冗談抜きでエアリアルとファラクト以外印象に残ってないので、そういう意味でも地球と水星間ほどの隔たりを感じてしまう作品でした。

【こんな人におすすめ】
・終わり良ければ総て良しと思える人
・プロローグを見て予習ばっちりの人

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

72.7 47 2023年度アニメランキング47位
BLEACH 千年血戦篇ー訣別譚ー (TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (95)
366人が棚に入れました
とある出会いから死神の力を手にし《死神代行》となった黒崎一護は、現世で死した魂魄が集う場所・尸魂界の動乱に巻き込まれ、熾烈な戦いの中、仲間と共に大きく成長を遂げてきた。そんな一護の暮らす空座町 で異変が起こる。新たなる死神と、新たなる敵の出現。そして救いを求める声。一護は再び斬魄刀を取り、戦場へと旅立つ。一方、尸魂界では、現世における突然の虚の連続消失が観測され、この地へ導かれた魂が暮らす流魂街での住民達の失踪が発生、さらには死神たちの住む霊屋・瀞霊廷が賊軍に襲撃される。賊軍の正体は、滅却師の始祖・ユーハバッハが率いる《見えざる帝国》。《見えざる帝国》は、死神たちに宣戦布告する。5日後、尸魂界は“見えざる帝国”により殲滅される千年の長きにわたり死神たちが背負っていた因縁。その宿業と秘められた真実がついに紐解かれる。全ては終焉へ。黒崎一護の、最後の戦いが始まる――。

pikotan さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

満足度の高い作品でした。次クールも期待しています。

バトル系作品の宿命として、倒したと思った敵が実はまだやられていなくて、次の段階では敵が隠していた技を繰り出して今度はこちらが窮地に陥り、でもこちらも再び新技を出して逆転という展開が多いので、戦いが長引くとやや飽きが来ますが、それでも面白いです。

登場人物では零番隊やバンビーズの5人に惹かれました。
ブリーチは昔から主人公の一護よりも、周りのキャラに魅力を感じますね。
零番隊の二枚屋王悦は見た目やラップ調のセリフから、オリラジの藤森君に似ているという声もあるようですが、私は一目見てミュージシャンのmotsuさんに似ていると思いました。

アニメ作品としては総じてかなりの高クオリティで、スタジオぴえろの本気が感じられます。
とてもブラッククローバーと同じ制作会社とは思えません。
今回は優秀なスタッフを揃えられたんですね。
次のシーズンも楽しみです。

ところで私の希望として、昔やっていたコンの死神図鑑を復活して、毎週やって欲しいです。
またはルキアの描いたイラストでのおまけコーナーを作るとか、やってくれないかなあ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

hidehide さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

相変わらずの黒崎一護

みんな、手を出すな
俺に任せろ
俺が全員倒す(救う)
一気に行くぜ
俺が行くまで保たせてくれ

毎度、鳴り物入りで現場に駆け付けるのはいいが、
割りと早々に劣勢になる。そして負ける…

修行なり、鍛錬なり、別空間なり、で
さらなる、何らかの力を得はする…が…。
上記の様なセリフを吐きながら、再び鳴り物入りで現場に。
しかし、やはり、強いのは割りとほんの わずか。

本作、霊王宮にて新たな斬魄刀を手にはした。

尸魂界に戻ったはいい。剣八を救うのもいい。
少数のクインシーを上回るのもいい…が…
圧倒的に強いかと言われると、そこまでではなく、
霊王宮に向かう石田達を追う過程では、
更に増えたクインシーに足止めすらされそうになる始末。

毎度毎度、
『俺最強感』を出し、『俺最強』のセリフを吐くのなら
やはり、それ相応をの最強を見せてほしいと思う。

駆け付け→負け→修行→やや優勢→即劣勢→負けそう
→何かを犠牲→かろうじて勝利

ブリーチ = こんな描き方が定番なのも解りますが。

一護には、最強であってほしいものです。
続編も楽しみにして、の敢えての★とさせて頂きました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 1

72.6 48 2023年度アニメランキング48位
もういっぽん!(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (209)
520人が棚に入れました
『週刊少年チャンピオン』にて大人気連載中! かわいくアツい、柔道ガールズ・ダイアリーがTVアニメ化! 柔道はもう卒業(おしまい)! 高校では彼氏作って甘酸っぱい三年間を送るんだ。 日焼けすると道着が擦れて痛いし、寝技で髪の毛抜けまくるし、寒稽古つらいし、鼻血は出るし、骨折するし失神するし、たいして強くなれなかったから、もうやらないって決めたの。 だから……だから思い出させないでよぉ。 この”一本”の、気持ちよさ。
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

柔らか戦者

●冬アニメトータルバランス№1作品に確定

「覇権アニメ」という言葉にはなんとも言えない歪な響きや妙な思い込みめいたものを
感じ、この言葉に以前よりある種の違和感を覚える人も少なくなかったように思います。

あまりに露骨な点数操作の出現により「あにこれ」における「覇権アニメ」というものには
全く以て意味がなくなったような状況になりました。

単に点数が高い低いだけでは中身が伴っているという証明にはならず、むしろ
点数操作により自己満足なランキングは幾らでも捏造できるというわけであります。

そういう状況を踏まえて改めて言えることは、本文付きレビューにおいて
作品の中身についてどのように評価されているかということになるかと思います。

本作は今期アニメの中でも物語性において優れた素養を持ち合わせており
特に主人公と部活メンバーとの人間関係における心理描写という面では
非常に繊細で、ハートフルな各キャラの思いが巧い事表現されており
よって見事なまでに視聴者を感化するように至らしめるわけであります。

単にキャラデザが可愛いとかではなく、キャラの内面性における心情の表現が饒舌
でありまして、それによってキャラの持ち味が引き出されているという特質から、
ただの萌えアニメとは一線を画すべき存在であり、情緒感溢れる優れた表現力ありきの作品
だからこそ今期の首位に君臨するのでございます。

このような本作に対抗できる作品があるとしたら、今期では「ブルーロック」と
「ヴィンランド・サガ」位であり、この3作品が他を圧倒してると言うべき状況であります。

「ブルーロック」は本作よりもエンタメ性に優れており、スポ根お約束の熱い展開も
ありつつ、見やすい作風でありますからより万人ウケがいいのはこちらと言えますが、
エンタメ性が高いとそれに反比例するようにして心理描写がさっぱりしがちになるため
共感性という点ではやや劣勢と言うことになります。

「ヴィンランド・サガ」は本作に負けず劣らずの高い表現力を持ち合わせていますが、
ダークファンタジー並みに重くて陰鬱な描写が多く、ある種のクセが強いので
幾ら作品の完成度が高いといえども、万人ウケする可能性は低く、あまり人にお奨めできる
ような作品とは言えない類のものになるでしょう。

と言うことでトータルバランスの良さで考えると本作こそが
今期№1作品に確定するわけでございます。


●「物語」絶対主義宣言

作品の好みは当然の如く人それぞれでありますが、大雑把に分類すると
「作画中心主義」と「物語中心主義」の2つ観点があるように思います。

{netabare} 物語中心主義者は作画クオリティの判別に疎く、一方で
作画中心主義者は複雑な設定や心理描写などを見落としがちになる。
そのような一般傾向がもしかしたら?あるのかもしれません。

作画クオリティーの判別にはとことん鈍い当方からしてみますと
作画中心主義の方々とは、まるで代々木の学院に通っているような?そんな偏見めいた印象を
抱いてしまうのは不徳極まりないことで自重せねばなりませんが、
ある種の職人気質があり、職人気質特有の技術論を持つ、専門家の観点から作品を評価している
そのような印象を抱いています。

物語中心主義者は恐らく作品に登場するキャラの中身=人間性を重視する傾向が強く
その関係上今まで生きてきた人生観に基づく尺度でキャラの人間性を測り
物語展開の良し悪し決めているのではないかとそのように推測するわけでありますが、
人間と言うのは長く生きれば生きるほど、例えば「理想の恋人観」なども
見た目よりも性格重視という風に変化する傾向があるような気がいたします。

ということで本作が年寄り向き作品だとは決して申しませんが、
登場キャラの人間性や作品内で描かれる人間関係を重視し
キャラの心情に対して共感性が強い傾向がある視聴層には
本作はかなり破壊力があると言えるように思うわけであります。

「鬼滅の刃」のブレイクによりアニメ視聴者層は厚くなったとも言えますが
「物語中心主義」の視聴層は相対的に希薄化されたような気もいたします。

もしも仮に本作の評価がこれ以上伸びないようなことがあるとしたら?
今のアニメ事情は以前とはまるで異なるものとなったというのが
{/netabare}その背景にあると言えるのかもしれません。


●駄作作品を悉くぶん投げろ!

作画だけしか取り柄が無い異世界似非グルメ作品だとか、百合だけしか取り柄が無い作品
だとかいう類のただのマニア向け路線は本作の敵に非ずであります!

現状性懲りもなく作画だけしか売り要素が無い変態性癖アニメの類がしぶとくランク上位に
しがみついているようでありますが、物語重視の評価で考えたらただのマニア向けアニメが
高評価で終わると言うには無理があり過ぎるように思います。

マニアにはマニアの趣味趣向の自由があるとしても、マニアの意見がすべてのファンの意見を
代弁するとかいう話には無理あり過ぎるため、最終的にすべてのアニメファンの意見を反映
した結果して選ばれるべきは本作でるべきであるとの確信が回を追うごとに強まって参りました。

作画いいとか言う評価は、実は物語の弱さを誤魔化す言い訳でしかないのではないかと
思われても仕方がないくらいに本作に比べて物語性が脆弱な気がするのは、
果たして気のせいでありましょうか?

兎に角マニアが騒いでるだけの駄作作品を悉くぶん投げるのが
本作に課せられた使命であると確信することろであります。


●名作候補筆頭格が動き出す!?

6話で大技炸裂、完全覚醒したかのようにも思えます。

個人的な今期の名作候補と言えば「ヴィンランドサガ」と「大雪海のカイナ」でありますが
前者は色々と重苦し過ぎたり、後者はややマニア向けだったりということで
完成度が高いとしても必ずしも人気が出るとは言い切れない部分があります。

それに比べると本作はキャラの持ち味が視聴者の心に刺さりやすく
感情移入しやすいため、不特定多数の層から支持される潜在能力を持っている
ように考えられるわけであります。

現状ではリアクション薄めでありますが、口コミで本作の評判が徐々に広がれば
上方修正の雨嵐も必然であると予想できるわけでございます。。


●一撃必中!
本作の最大のライバルは王者「ブルーロック」であると個人的に考えています。

単純に見ていて圧倒的に面白いのは「ブルーロック」でありますが
{netabare}その一方で本作にはボディブローの重みのような独特な打撃力を感じます。

随所随所で重みのある一撃を喰らい、蓄積されたダメージが終盤戦にはどのような
結果をもたらすのかは未知数であり、計り知れない結末をもたらすような
そんな漠然とした予感が頭をよぎるのでございます。

主人公が天然と言う意味では「転天」の主人公とキャラが被っている
とも考えられる故に敢えて比較してみますと
「転天」の方は「百合関係」を強調したような物語に対し本作の方は
まさに王道の友情物語を大展開するであろうと目されるわけであります。

ただの百合では済まされな濃厚な人間関係を描く物語がいよいよ動き出し
そしてここから、怒涛の猛追撃が開始されるのであります。{/netabare}

●ライバルをすべてぶん投げる実力は鉄板!?
物語とキャラ性による潜在的シナジー効果を推し量るのならば
本作がトップ3に入るのは造作もないことのように思われます。

1クールという短期ではその能力を十分発揮できない可能性も懸念されますが
相対的に見た限りでは「萌え」を売りにした他作品を物語性において圧倒している
ようでありますので、パフォーマンスに疑いはないように思われます。

とは言えスポ根柔道もの作品のため一般視聴者の食いつきはやや鈍いような印象でありますが
今後の怒涛の巻き返しに大いに期待したいところであります。






スポ根系と言いますと今の時代ではあまり注目されないような気がいたします。

同じジャンルの「ブルーロック」こちらには、少し変化球気味でエンタメ性が強いという
アドヴァンテージがあり、個人的にも「ブルーロック」の方が好みでありますが
本作は主人公が女子高生であることから、視聴者の好感度という点においては
本作の方に分があるように思えます。

天然さっぱり系の主人公の友情物語展開に対する需要は相応に高いものと見込まれる故に
場合によっては人気アニメとして高く評価されることも?
もしかしたらあり得るのかもしれません。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 12

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

じわじわくる良作柔道アニメ

埼玉にある青葉西高校女子柔道部を中心に、柔道を頑張る子たちを描いたお話。原作未読です。

初見ではスポーツものにしては日常多いな、ちょっとテンポ悪い?とか思いながら見てたんですが、中盤あたりから面白く感じてきて、終盤はすごく楽しみな作品のひとつになってました♪

スポーツアニメでよくあるのが主人公か同じチームにすごい人がいて、対戦相手もどんどん強くなっていくみたいな展開が多いイメージがあるんだけど、「もういっぽん!」はちょっと違う感じ。

氷浦という強い子はいるんだけど、それは要素のひとつでこの作品の面白さはそれだけじゃなくて。

勝ち負けもだけど、対戦相手も含めた彼女たちの柔道や試合に対してのそれぞれの想いのぶつかりあいが丁寧に描かれてるところがとても好きでした。負けても清々しいところとかも。

試合に勝てたときの最高に嬉しい気持ち。
負けたときのとても残念で悔しい気持ち。
みんなで励ましあって応援して頑張ったあの雰囲気、あの気持ち・・
部活の合宿は大変だったけど同時にとても楽しかったこととか・・
この作品を見てたらそんなことも思い出したり。

それから、主人公たちの青葉西高校だけじゃなくて、他の高校の選手たちも丁寧に描かれていて、同じように一生懸命頑張って、嬉しくて喜んだり、悔しくて泣いたりして、でも試合後は知り合いになって仲良くなったり・・そんなところもすごく好きでした♡

あと柔道の試合の動きなど、作画もよく動いてたと思うし臨場感あったところも良かったです。

最終話見てから、もう一度ちゃんと見たくて2周目鑑賞してみたんだけど、2周目のほうがこの作品の良さがすごく伝わってくる感じがしました。ほんと、じわじわきますねー。
2周目見ててあらためて感じたのが、この物語って氷浦が実質主人公だなぁって。
おどおどしてた氷浦が柔道と仲間たちと出会って少しずつ変わっていってチームのみんなと心をひとつにして試合を頑張る姿にちょっとうるっときちゃいました。。

もちろん、底抜けに明るいムードメーカーのおかげで彼女に引き寄せられるように柔道部メンバーが揃っていったりと、園田もいいキャラでしたね。

ちょっと残念だったのは1クールで終わったことかな。
すごく面白くなったきたところで終わっちゃって、南雲が試合するところも見たいし、原作も22巻までとストックも十分みたいなので、ぜひぜひ続きやってほしいですね!!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 33
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自分史上最高で十二分に熱い柔道アニメ

蒸し風呂のような夏の暑さに耐え、氷のような畳の上の寒稽古にも耐え、
日焼けした肌が柔道着に擦れる痛みにも耐え、鼻血に骨折も乗り越え……。
稽古を重ねても大して強くなれなかった柔道は中学まででオシマイにして、
高校では彼氏を作って青春するんだ。

一度は競技引退を決意した主人公少女・未知らが、再び柔道に打ち込んでいく。
『少年チャンピオン』連載中の同名コミック(未読)のアニメ化作品。


【物語 4.5点】
世のスポ根物の激しい能力インフレを眺めていると、思考がバグって、
全国制覇、将来プロやオリンピック以外の部活は無価値なのでは?と錯覚してしまいがち。

ですが本作は、もう一度、柔道をやってみたい。
あの娘と一緒に、もういっぽん。
インフレばかりに頼らなくても、自分たちなりに青春すれば部活は十分に熱いことを証明する、
私のような凡俗にも共感性の高い内容。

例えば8話の博多南戦。{netabare} 古豪復活を願い力んで校名を連呼しプレッシャーをかけてくるOBの檄を、
温かい“なっちゃん”コールに変えた五郎丸 冴と未知の一戦。{/netabare}
名門校の伝統継承、規律を叩き込む人間教育以前に、
自己実現の一助となるのが部活動のあるべき姿という一理を感じました。


主人公・未知の柔道もやる、だからと言ってパフェも海も彼氏も諦めないという姿勢も、
この場合は散漫ではなく、青春への貪欲さとして評価できます。
未知の中学時代の先輩たちも彼氏持ちばかりとか、
最近のこの手の女子部活物には珍しい肉食ぶりも一周回って新鮮でした。


構成としては、{netabare} 金鷲旗大会{/netabare} にて、現状の自分史上最高を表現した所で一区切り。
作品の主旨は伝わったので、ここで終わっても良い気もしますが、
私としては{netabare} “大型新人”南雲の試合デビュー{/netabare} は見てみたい気持ちもあります。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・BAKKEN RECORD
タツノコプロが2019年に設立した新興レーベル。

“柔道をちゃんとやる”ことを第一に、試合シーンにソースを集約。
駆け引きの肝になる組手の迫力などの再現性。
回り込みなど多彩なアングルからの撮影による臨場感。
作画の注力が高熱量の柔道描写として結実。

一方で日常シーンはミニキャラの“生首”でしのぐなど、
オンオフの切り替えを統率し、1クールを無事完走。

ただ、率直な感想として、全体的にもう少し枚数があれば尚良かったという欲は残りました。
最後、念願の{netabare} 海水浴{/netabare} にしても止め絵中心で、全力出し切って倒れ込みました~って感じで清々しいような、無念なようなw
今後の戦力充実による底上げに期待したいスタジオです。


【キャラ 4.5点】
主人公の園田 未知。いっぽん“みち”
ワクワク柔道少女ぶりの熱が方々に伝播して、
廃部していた柔道部の復活、強敵(とも)との熱い青春が展開する、
典型的な競技の魅力布教型の部活ヒロイン。

未知と遭遇する仲間や強敵(とも)もまた、各々が柔の道に挑む個人的な事情や信念を抱えており、回想、モノローグでの解像度アップも良好。
その胸の内をキャラ間では、ひけらかさずに、秘めた感情の一端を試合でぶつけ合うのみ。
多くを語り合わぬまま、未知を中心に輪が広がっていく。
この適度な距離感が心地良かったです。

その観点から私は地味に2話の早苗がお気に入り。
{netabare} 未知とまた柔道やりたいと言い出しっぺの早苗が、実は両親と高校では勉学専念を約束。
早苗が悩みを未知に打ち明けぬまま、自力で両親を説得し、柔道部に入部する。
未知はそのいきさつを何も知らないし、詮索してこないけど、いつも通り笑い合って取っ組み合ってくれた。{/netabare}
この安心感、安定感。
私は柔道苦手だけど、このアニメなら行ける!と確信した回でした。

青葉西柔道部メンバーの中では“秘密兵器先輩”こと姫野紬も印象的。
顧問の夏目と二人三脚で培ってきた引き出しをフル活用して猛者に挑むシーンはグッと来ました。

中学時代のわだかまりを晴らすように、闘志をぶつけ合う氷浦永遠と天音恵梨佳。
未知を{netabare} 「パフェ泥棒」{/netabare} と目の敵にして絡んでくる妹尾。
など学校間のライバル関係も上々。

ただついに終盤、王道スポ根キャラが来たか!と思ったら、
{netabare} 強豪・立川学園顧問・犬威のスパルタ指導は外面で、
素は青西の顧問・夏目先輩を慕う乙女だったという、{/netabare}
まさかの百合事案?にはズッコケそうになりましたがw


【声優 4.0点】
技名連呼して指導を食らうw主人公・園田未知役の伊藤 彩沙さん。
身体能力が高い未知を事あるごとに剣道に引きずり込もうとする南雲安奈役の稗田 寧々さん。
ムードメーカーとなる明るいボイスも作品を彩りましたが、
“ちゃんと柔道をやる”意味で貢献したのが、体力勝負を印象付けた各キャストの荒々しい息遣い。

特に滝川早苗役の安齋 由香里さんのゼェゼェ言いながら、寝技で食い下がる演技は泥臭さがありました。


ライバル役には他作で主役級も務めてきた猛者も数多くキャスティング。
一人挙げたいのが錦山高・堂本恵役のファイルーズあいさん。
78キロ超級の重量級太めボイスもいける芸域の広さを再認識しました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は成田 旬氏。
王道のピアノやギターなどで表現する青春のキラキラ感。
特にストリングスのフレーズが美しい「青春の記憶」は純度と高揚感を併せ持ったバランスの良さで重宝され作中多用。

OP主題歌はSubway Daydream「Stand By Me」
ゆるいボーカルで漸次前進していくバンドソングが作風にマッチ。
余談ですが本曲も収録されたアルバム「RIDE」を、マイペースで上げて行きたい時に流したりします。
「ケサランパサラン」とかゆ~るゆるで良い感じです。

ED主題歌は青西柔道部メンバーによる「いっぽんみち」
“みち”で韻を踏む前向き青春ソング。
OPよりは前傾姿勢ですが、やはりここも目標設定や進捗を過度に求めず慌てない感じ。



【1話感想】柔道の気持ち良さをアニメーションで伝えようとする意欲を買いたい

長いので折りたたみ。
{netabare}
主人公・園田 未知(みち)……中学では大した結果は出せなかったが、驚異の柔軟性を持ち、ときおり理解を越えた返し技を繰り出す。

氷浦 永遠(ひうら とわ)……未知の中学最後の対戦相手。組み付いたら引き剥がせない握力の強さなど柔道選手としての能力は十分だが、奥手でメンタルに課題がありそう。

滝川 早苗(さなえ)……おっとり三つ編み眼鏡っ娘。未知と中学時代に2人だけの柔道部をやっていた友人。

南雲 安奈……中高共に剣道部。未知の運動神経を見込んで執拗に剣道に誘い込もうとする。


何かキッカケ一つ、指導一つで開花しそうな才能も秘めたキャラ。
加えて廃部同然からの青春という滑り出しと、キャラも設定も変哲のない部活物との印象。

惹き付けられたのは柔道の描写。
組み手にしても、私はゴチャゴチャと袖を掴み合う地味な駆け引きとの印象でしたが、
選手視点で描き込まれた組み手は、ボクシングかよwと軽く恐怖心を覚えるくらいのスピードと迫力。

この緊張感の中で立ち技や寝技をかけたり、返したりする。
そりゃ、玉のような汗かいて、ゼェゼェと息も上がるわと納得。

未知の柔軟性にしても、永遠の怪力にしても、言葉だけでなく、
回り込んで臨場感を出すカメラワークも含めて、
アニメーションでしっかり魅せて伝えてくる姿勢が好感できます。

未知の、柔道の気持ち良さを思い出させないでよ~との実感が、
視聴者も映像体験で共有できるのは大きいです。


一方で、作画は常に高カロリーというわけではなく、止め絵で凌ぐシーンも。
日常会話パートで、ちびキャラ顔の掛け合いでつなぐ演出はチョット苦手です。

1話にしてこれだと、中盤辺りで作画の息が上がる場面もあるかもしれません。


けれど、動かして題材の魅力を伝えてこそのアニメーションと再認識できた上々の初回。
今期アニメの“もういっぽん”としてオススメしたい作品です。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 34

72.5 49 2023年度アニメランキング49位
ミギとダリ(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (187)
565人が棚に入れました
1990年2月、神戸市北区オリゴン村。 児童養護施設で過ごしていた双子の少年ミギとダリは、ある日裕福で穏やかな老夫婦、園山夫妻に養子として迎えられる。 しかしそれはふたりの少年「ミギ」と「ダリ」としてではなく、ひとりの少年「園山秘鳥」としてだった。 二人は正体を隠し、園山秘鳥を演じながらオリゴン村に溶け込んでいく。一体何のために二人で一人の人間を演じているのか。そこには大きな秘密と恐るべき目的があった。

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

作風の発展<65>

「坂本ですが?」のスタイリッシュシュールポージングのギャグは引き継ぎつつもミステリーのストーリーラインをベースにすることで独自の作風を構築。
このリアリティラインの侵食具合が見事で、みっちゃんが妖精化してもあまり違和感はございませんでした。
惜しむらくは、36歳という若さで作者が逝去されてしまったのでこの先の作風の発展が無くなってしまったこと。
アニメでは、序盤のなんか深刻な背景があるようだけど前作と同じギャグなん?というあたりがサクサクと進んでおり、原作分量があまりぎみでもエピローグに丸1話使う等、独立した作品としてバランスよく構成されていました。
キューブリック風な始まりのOPも映像としての格上げに寄与してた感。

老母は三石琴乃の新境地かなぁ、ウザさがとてもキャラに合っておりました。

スタイリッシュシュールギャグ<53>
1話視聴。
ミステリーな大筋を配置しながらも、スタイリッシュシュールギャグ。
原作は絵の美麗さが寄与する部分が大きかったけどアニメではどうでしょう。
作者は先日逝去されてこれが遺作なのねん。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 3
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

シンメトリー

GEEKTOYS×CompTown制作。

双子の少年ミギとダリは自らの正体を隠し、
園山秘鳥としてオリゴン村で新しい生活を始める。
彼らには成し遂げたい大きな目的があった。

シュールな笑いとホラー要素に溢れ、
この先はサスペンスフルな展開も予想され、
歪な人間関係が暴かれるのでしょうか、
独特な世界観で不思議な印象を残しますが、
魅了されるものもあり序盤は楽しい。

{netabare}公式映像には双子の復讐劇とある。
亡くした母の事件の真相を探るべく、
記憶を頼りに、町の住人の調査を始める。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}双子の母は一条家の家政婦をしていた。
完璧な家庭像に妄執する一条家の妻玲子、
彼女には大きな挫折があり心が歪んでいる。
事件の真相、双子の出生の秘密が語られる。

そして最後は一条家と対比されるように、
楽しくて穏やかな園山家の日常が描かれる。

幸せな家庭の在り方を教わる、
そんな物語なのでしょう。{/netabare}

最後はこれで良かったと思います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 30

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 シリアスとギャグが中途半端。1話がピークでした。

3話 シリアスとギャグが中途半端。1話がピークでした。

 すみません、集中力が続かなくなってしまったので一旦休止します。もうちょっとサスペンス色が強くてよかったかな?

 ギャグの方も1話の爆発力が無くなってしまいました。シュールギャグですらなく意味がわかるギャグになっちゃったし。

 シリアスもギャグも中途半端な感じでした。ひょっとしたら後から見るかもしれない、というクオリティはありますが、今のところは中断ですね。





1話 面白いがネタありきだと飽きそう。本筋の意外性で勝負でしょう。

「坂本ですが?」とギャグのセンスが似てるなあ、と思ったら同じ原作者でした。

 リアルと不条理と全員ボケの混合した不思議な世界観のギャグです。なんというか楳図かずお氏の作品のホラーの中に潜む緊張の中の可笑しさを、意図的に逆さまにしてギャグをホラー的な演出でやるという感じと言えばいいのでしょうか。チャップリンのような真面目な中の滑稽さも垣間見ることができます。(追記 そうそう真面目な顔をした不条理ボケと言う点では「クロマティ高校」のような感じもあります)

 アニメの演出はやはりホラーで「オーメン」を意識している気がします。主役が美少年であることも共通しています。

 1話は面白いです。ですが、ネタありきで1話と同じことの繰り返しだとすぐに飽きるでしょう。ですのでストーリーを組み込んだのかもしれません。何か本筋があるように感じられます。そこがどれだけ脱力できるのか意外性があるのかが胆でしょうね。
 わざわざ年号を1990年にしている意味は何か?ですね。バブル崩壊とか携帯もスマホもないとか、あらすじによると神戸らしいので震災に関わる可能性とかいろいろ考えられます。

 週刊連載での人気だとすると、面白さの性質がアニメの一気見にあうかどうかはどう考えているのか気になるところです。

 引っ越しやの段ボールがズラしになっていました。日本なのかアメリカなのかわからないような演出ももちろんギャグの要素にしています。

 監督とシリーズ構成の他に、音響監督をまんきゅうという人が一人でやっています。つまり、セリフが命のギャグで、作品を通じてギャグの演出というか表現を統一したいという趣旨なのかもしれません。ジャン・バラーヤとか。
 つまり、作品にこだわりがあるのかなあ、という気がします。


追記 神戸市北区に淡河町と書いて「おりごちょう」という地名がありました。ウェブページでみると神社や寺の町みたいですね。チューリップとか苺を売りにしてました。
 なお21年6月に高校生の集団自殺事件があったみたいです。23年1月にも単独の自死がありましたが…?本作の連載開始が17年ですから関係ないでしょう。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 8

72.5 49 2023年度アニメランキング49位
ポケットモンスター めざせポケモンマスター(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (32)
110人が棚に入れました
サトシとピカチュウ、ふたりの物語は最終章へ ―これは、見果てぬ夢「ポケモンマスター」へと続く旅。
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

今までお疲れさまでした

{netabare}
サトシ主人公としては(おそらく)最後のポケモンシリーズ。

自分はアニメはDPまでしか見てない上、ゲームもB2W2までだけど、サトシ降板と聞いて十年ぶりぐらいにポケモンシリーズを見た。
だけど、昔見てた層もターゲットにしているからか、思ったよりも知らないポケモンは出てこなかった。
メインキャラはサトシ、タケシ、カスミで懐かしさがある。
ヒカリやハルカも出番あるそうと思っいたけど、基本的にカスミとタケシだけだったのは少し残念。

最後なのにあまり言いたくはないけど、やはりストーリーはあまり面白くない。子供向けアニメだから、大人が見るとなると当然ではある。
子供が楽しめることが第一で、そこは自分がどうこういうことでもないけれど、もうちょっと懐かしさを感じられるような話が欲しかったなとは思う。
ここまでの集大成作品の割にやっていることが、何の変哲もない普通の話で少し肩透かしを食らった。
敢えて普通の話をやるのがいいという人も居そうだけれど。

最後は上手くまとまっていたと思う。
いったん帰宅してもまだ見ぬポケモンを求めて旅を続ける、それでこそサトシ。感慨深い終わり方で良かった。
最初のシリーズから何年かわからないけれど、主人公としての旅は長年お疲れ様でした。制作陣も長い間お疲れ様でした。

リコとロイ主役の今やってるポケモンシリーズは見ることはないかな。
リコのキャラデザは好みだけど、ポケモンアニメは本当に子供向け作品だなぁ(悪い意味ではない)と今作を見ても思ったので、たぶん自分は見ても楽しめない。

私的評価:44点
私的ベスト回:10話

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆7
ポケモン懐かしい。サトシってこんなに子供っぽかったっけ。
ロケット団は変わらんな。ラティアスじゃん。人質とは卑怯な。
10満ボルト慣れしてて草。ロケット弾二回の敗北。

2話 ☆7
カスミ懐かしい。じゃあカスミのもんだな。ポケモンって食えんの?
ポケモン食えるならロケット団ってそんなに悪ではないよね。
食べたら悪なんか?
誰のものでもないウデッポウ取られそうになったからロケット団撃退するのちょっと酷いなw チャンピオン負けてて草。

3話 ☆6
カスミ連れて行くんかよw タケシ俺が知ってるころと声が違う。
結論ありきの推理だなw サブウェイマスター懐かしすぎて草。
自然な流れでのバトルw ロケット弾の出番は?

4話 ☆7
自然には敵わないポケモンの技。いいツンベアーなのかw 上手い勧誘。
けどコントロールできてない今の方が強いよね。

5話 ☆7
こいつらなんで芝居に付き合ってるしw
業務的に立ち入り禁止言われてるのに入ろうとする不良。

6話 ☆6
ピカチュウ探すのやめて道草食ってて草。フシデキモイ。
謎の以心伝心で草。

7話 ☆6
波にでも流されたか? 釣り上げられるの痛そう。デカすぎて草。
脅迫やん。ピカチュウ性格悪い。ホエルオー痛そう。
賢いモンスターボールの使い方なのに。

8話 ☆7
たけし変わらないなぁw ハート好きなジュペッタとか可愛い。
見た目ジョーイさんっぽさある。
顔変わってないってことは別れたの最近の話かよw
やっぱジョーイさんか。可愛い。

9話 ☆5
マネネマジで会いたいのか? マネネ畜生で草。久々のラティアス。

10話 ☆8
ポケモンハンターって石に変えてくる光線打つやつだっけ。
ハンターさんボロボロで草。効果は抜群だ!
Jよりはかっこよくないけど、今もこう言うキャラいるんだなアニポケ。
機械壊したらむしろ戻らなくなりそうだがw
ラティアスって何キロなんだろう。ハンターさん死んじゃうだろ。
ジュンサーさんどこから来た。

11話 ☆7
まあ最後だからといって見ても良い事あまり無かったな。
シゲルじゃん。ケンジとかおったな。お疲れ様。

曲評価(好み)
OP「めざせポケモンマスター -with my friends-」☆7.5
3話ED「タケシのパラダイス」☆3
9話ED「前向きロケット団」☆7
6話IN「おやすみぼくのピカチュウ(Rest my Pikachu)」☆7
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 1
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