でこぽん さんの感想・評価
4.4
ドジな主人公と複雑な人間関係、そして心が丁寧に描かれた物語
これはフランスのアニメです。ですがフランスだけでなく、韓国、アメリカ、スイス、ブラジル、ドイツ、日本、ウクライナなどで放送されています。
3DCGが奇麗ですが、それだけでなく各登場人物の心が丁寧に描かれています。
主人公のマリネットは、ドジで失敗ばかりしますが、そこが親しみを感じます。決して美人ではないけど性格がとても美しく、秀才ではないけど多くの友達がいます。
そしてこの物語では、フランスのパリを守る正義のヒーロー レディバグとシャノワールの活躍を描いています。二人はホーク・モスが悪魔化した者から人々を守ります。
女子高生のマリネットがレディバグに変身し、男子高生のアドリアンがシャノワールに変身します。
二人は正義のために共に戦いますが、お互いの正体を知りません。
そのために奇妙な恋愛の四角関係が生じています。
マリネットは同級生のアドリアンに恋しています。それに対してアドリアンはマリネットを良き友達と思っていますが恋愛感情は抱いていません。
しかし、変身後のレディバグはシャノワールを良き友達と思っていますが恋愛感情は抱いておらず、逆にシャノワールはレディバグに恋しています。
マリネット (変身)→ レディバグ
(恋) (友達)
↓ ↑ ↑ ↓
(友達) (恋)
アドリアン (変身)→ シャノワール
さらに複雑なのが、女子高生のクロエです。{netabare}
クロエはアドリアンに恋しており、恋敵のマリネットに意地悪ばかりします。
しかし、クロエはレディバグの大ファンであり、シャノワールを毛嫌いしているのです。{/netabare}
もっともっと複雑なのが、アドリアンの父です。{netabare}
アドリアンの父は、アドリアンを誰よりも愛していますが、パリ中を恐怖に陥れる悪の人物ホーク・モス。
彼は、悩みや憎しみを持った人を悪魔化し、思い通りに操ります。
当然シャノワールとは敵対関係にあります。しかしお互いの正体がわからないので、お互いに親子だと気づいていません。{/netabare}
人間は誰でも心が弱くなる時があります。悩みに押しつぶされたり、人を憎んだりするときがあります。そんな弱い心につけこんで、ホーク・モスはその人を悪魔化します。{netabare}
このような説明をするとホーク・モスが極悪人のように思えますが、普段の彼は善良です。そして彼にはたった一つの望みしかありません。それは1年前に亡くなった最愛の妻を蘇らせること。
そのためならば彼は何でもします。正義も悪も関係ありません。
このことから、彼がいかに妻を愛していたのかを、うかがい知ることができます。
もし彼の妻が生きていれば、彼はきっとその力を、皆の幸せのために使ったことでしょう。{/netabare}
そして常にホーク・モスのサポートをする女性ナタリーの悲しすぎる愛。{netabare}
彼女はホーク・モスを愛しています。しかし、それを言葉に出すことはしません。そしてホーク・モスの目的も彼女は理解しています。
ホーク・モスの目的が遂げられたらホーク・モスが彼女を振り向くことなど決して無いと分かっていながら、彼女は協力を惜しみません。
彼女は、無償の愛をホーク・モスにささげているのです。{/netabare}
物語は基本的に一話完結ですので、途中からでも気軽に見ることができます。
このアニメはそのうち世界中で配信されるようになるでしょう。
どこの国がつくったものであれ、心が丁寧に描かれているアニメは見入ってしまいます。