2016年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画一覧 30

あにこれの全ユーザーが2016年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月22日の時点で一番の2016年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

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年代別アニメ一覧

91.2 1 2016年夏(7月~9月)アニメランキング1位
君の名は。(アニメ映画)

2016年8月26日
★★★★★ 4.1 (2514)
11511人が棚に入れました
新海誠監督による長編アニメーション。

千年ぶりとなる彗星の来訪を一ヶ月後に控えた日本。
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。
町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。
小さく狭い街で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会へのあこがれを強くするばかり。

「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」

そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。
見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の町並み。
念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。

一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も奇妙な夢を見た。
言ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。

繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。
二人は気付く。

「私/俺たち、入れ替わってる!?」

いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。
残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく。
しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。
入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。

「まだ会ったことのない君を、これから俺は探しに行く。」

辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。

出会うことのない二人の出逢い。
運命の歯車が、いま動き出す

声優・キャラクター
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島﨑信長、石川界人、成田凌、谷花音
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界はきっと美しい

新海誠監督作品。

希望が持てないとき、漠然と不安なとき、
繰り返し見たくなる前向きで素敵な物語だ。

売上や動員数ばかり話題になりますが、
映像クリエイターからすれば、
思春期というものは創作の大きな源泉です。
初々しくも華やかな青春を、
美麗な風景とともにまとめ上げた手腕は、
評価に値すると思います。
多くの大人達もどこか自分に合わせ、
追体験できたのが大きかったのでしょう。

少年少女は生きる上で、
きっと喜怒哀楽の純度が高い。
強く生きること深く愛すること。
その一瞬をフィルムに収める。
少女の全力疾走はいつだって感動しますね。

糸守町の歴史と組み紐の教え。
宮水神社に伝わる伝統儀礼と御神体。
{netabare}夢の中で入れ替わった2人は、
不思議な体験を通じ心の距離を近づける。{/netabare}
古来より継承されてきたものが引力となる。
素敵な出逢いが訪れますよう願おう。

留めておくのが難しい、
儚くて透明なその美しい一瞬を、
まだ美しいと感じれる自分がいて良かった。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 168
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

夢の儚さを越えて二人は繋がる。

見終わった後、私は夢から覚めて、まどろんだ時ようなな気持ちになりました。

あのシーンの背景が良かったとか、あそこのスピード感が最高だったとか。
でも、その記憶は、強く「覚えていよう」と思い、まるでこれは面白い夢から覚めた時と同じじゃないかと。

でも、人の記憶は曖昧で、全ての良いシーンを覚えておこうと思っても、次第にディテールが失われていきます。
やがて夢の記憶は、「面白い夢をみた」に代わり、そして夢をみた事をも忘れていく。

時間に対して夢の中の記憶はあまりにも儚い。

この作品はそんな弱い繋がりで繋がった瀧君と三葉の物語です。



感想
{netabare}

【演出】
二人の入れ替わり生活が始まるときに曲が入り場面の切り替わりのスピード感は新海監督らしい演出。

二人の入れ替わり生活とは別に強く印象に残っているのは
時間が100倍速になった感じで都会の光や信号が光を放つシーン。
これは時間の経過を示しているのでしょうが
その綺麗さが強烈に印象付けられました。

また、夢の中の出来事という作品の設定のように
幻想的な美しさが視聴者を夢と現実の境界線に引き込んでくれます。

三葉の人生が瀧に見えたときのシーンもグッと来ました。何でだろう?
人の生き死にに涙もろいのかな。
あのシーンは母親との直接的な繋がり(へその緒)や親との別れ、家族の濃い「人と人の繋がり」を感じてしまったからでしょうかね。

【展開】
「瀧君、覚えてない…?」という三葉のシーンは本当に胸が痛くなりました。
3年後の瀧君にとってはずっと前から繋がっていた。三葉にとってはようやく繋がった。
だけど瀧君はこのときはまだ知らない、三葉は不審そうにこちらを警戒する瀧君に思いを伝えられない。
「二人が会えた」「繋がった」という嬉しさと同時に
勇気がでずに思いを伝えられない三葉の姿に自分を重ねてしまいました。



【キャラ考察】
瀧君がクレーターの上で君の名は!と涙ながらに叫んだ気持ちがわかってしまう。
大切な人に会いたいと、思いが募ると、苦しくて、吐き出したいなにかが心のなかにたまってきて、自然と涙が出てくるんですね。

三葉の境遇について
母親を幼い頃に亡くしていて、それをきっかけに父親が神職をやめて離ればなれとなっています。
離れて暮らしながらも、政治というなにかと目立つ仕事をしている父親のせいで
学校で本人の意思とは関係なく少し浮いてしまう三葉。
そんな狭い村社会に嫌気が差してどこかに逃げたい気持ちでいる時に起こる入れ替わり。
三葉にとって入れ替わりは逃避になり得た(まさに夢に逃げる)のですが
突然終わる入れ替わりは、夢の終わりであり、それは自分の逃げ場所がなくなったともいえます。
夢の続きが見たくて。そういう気持ち(逃避)、わかります。
東京にいるはずの瀧君に会いに行き、あの日々の続きがみたい。
でも、せっかく会いに行ったのに瀧君は三葉のことを知らなくて、繋がりの喪失を感じてしまった。
(ですか、ここで過去と未来を繋ぐ糸を渡したシーンの懸命さや、その糸が忘れかけた瀧君と三葉を繋げてくれた意味を持つアイテムであることの重要性が「繋がった!」と嬉しさを感じさせます)

その後の三葉の行為は、瀧君への思いをたちきりたくての髪を切る行為だったのでは。(切るということは思いや繋がりをたちきりたいための行為?)(夢の終わりが夏祭りの近くの日、つまり、一般的には夏の終わり近くです。夏の終わりの儚さと夢の終わりの儚さをかけているのではないでしょうか)

また、三葉が夏祭り前に暗い部屋で涙を流すシーンには、喪失感を感じ、失恋等のなにかを失う出来事を思わせました。


その後の彗星の衝突により、三葉は現実の問題と向き合い乗り越えることができました。
瀧君の残した「すきだ」が現実と向きあう最後の勇気をくれたのかもしれません。

そして、瀧くんにとっては、一生忘れられない体験であり
忘れられない繋がりだったのではないでしょうか。
それが記憶がなくなっても四年後も繋がりを求めていた理由かもしれません。
忘れたくないと思っても忘れてしまう、だけどどこかでおぼえているその繋がりのことを。
だから、これはなくなってほしくないという、繋がりの肯定なのではないかな。
【美術】
新海監督の作品は見たり見なかったりなのですが、背景の綺麗さは今作もすばらしかったです。
田舎のゆったりとした風景にはそこに溶け込めそうな気分にさせてくれました。まるで、その場所が自分の帰る場所のような。

都会の朝の風景はどこか孤独だけどエネルギーを感じます。
夕方の忙しそうな風景には少し寂しさがあって、早く帰りたいな、そんな気持ちにさせてくれます。

季節感も夏に始まり、春に終わるという、季節ごとの綺麗な風景を描いてましたね。

最後に桜さく路地の階段で二人が出会うシーンも、優しさと暖かさをリアルに感じてとてもよかったです。


【記憶が失われる設定について】
多くの人がここについて指摘してきました。
ですが、私はレビューの最初に書きました通り、夢だから、でストンと納得しています。
作中で夢をフォローしているシーンがあるのは覚えていますか?
三葉の祖母が三葉(瀧くん)に「三葉、お前、今夢を見ているな」と言う印象的なシーンです。
また、三葉も「夢の中で見たあの人の名前が思い出せない」と言い、友人を困惑させます。
それはそうでしょう。普通のひとはそんなことを非常時でも平常時でも口に出したりしません。
共通認識として「夢の中の内容は忘れやすい」ということがあるからです。
ですので、スマートフォンの中の日記が消えていくあの表現や、
二人が御神体のクレーターで出会うシーンが、
夢と現実の境界線が曖昧な時間や場所を表現していて
見た人間も、夢と現実の境界線にいるようなそういう作品だと思っています。

【朝、目が覚めるとなぜか泣いている】
印象的な導入のセリフです。
二人の繋がりを失ってしまったことを自分の中のどこかが泣いている。
そして、それにとりつかれているようになってしまっている。
私はそうやってどこかに繋がりを探すような感情を現す言葉は知りませんが
自分のどこかに、よく似た感情があると確信があります。
それが、私の心にズキズキとした胸騒ぎを起こしてくれます。

【総評】
色々書きましたが、瀧君と三葉のような10代の気持ちや考え方を上手く描いています。
君の名は。でとめていますが、これは相手への問ですよね。
相手の名前を知らないからこそ尋ねる(訪ねる)。
そして相手の事を知りたいからこそたずねる。
相手の事を知りたいという感情をエネルギーにして伝えてくる作品でした。

また、人と人の繋がりを感じる、もしくは、心の中のどこかにあるつながりを求める感情を肯定する物語だったとまとめさせていただきます。

【蛇足】
三年前の瀧君と三葉が東京でであったとき、二人の糸はどう繋がったのか、一瞬はまりかけました。
二人の糸は絡みあって大きなわっかを作った。そんな思いです。でも始まりはどこかよりも、今と未来の彼らが気になって(笑)

キービジュアルの瀧と三葉が東京の坂で振り返って見つめる絵って
ラストの5年後の二人を、であった頃の高校生の姿に置き換えているのかも?
これが「出会い」の絵なのか「再会」の絵なのかちょっと気になって面白い。

幻想的で儚さのある二人の奇跡の繋がりと、現実の繋がり。
ラストで二人の繋がりを現実の繋がりにすることで生まれる嬉しさ。
なぜだろうか?多分、二人が求めていたその繋がりは、人間が奇跡を信じたい気持ちの肯定だからでしょうか?

{/netabare}

ストーリー考察?(繋がりを軸にストーリーを考えてみました。)
{netabare}
三葉の祖母が、糸に例えて人と人の繋がりを話しました。繋がって、絡みあって、離れて、近づいて、また繋がっていく。その繋がることを結びという。

瀧と三葉の関係もまたそうでした。夢で繋がって、入れ替わりを繰り返して二人の糸は絡みあう。
入れ替わりは突然になくなる。突然糸が切れたように。
三葉のいる場所は時間を越えて遠く離れた場所だった。
真実を目にした時、三葉との思い出は一瞬で消えていき、崖から突き落とされたようなスピードで二人の距離は離れていく。(二人の距離が明確に離れていくことに儚さや悲しさを感じました)
でも、瀧は「そこにいかなくちゃいけない」という自分でもわからない使命感に押され御神体のある場所へ
三葉のいるかもしれない場所へ近づいて行く。(確信のない行動です。しかし、そこには記憶という曖昧な繋がりよりも、もっと深いところでの繋がりを感じます)

そしてまた入れ替わり、二人はお互いを自分の体で出会う。
今まで顔を合わせて話したかったことをいいあって、笑う。(ようやく、もがいてもがいた結果、出会えたという喜びを感じます)

互いの姿が見えなくなって、名前を忘れた瀧は叫ぶ。
「君の名前は!」忘れちゃいけない大切な人を思い出せない苦しさで一杯になる。(本気で相手の事を求めるシーン、記憶がなくなっても、もっと深いところからの欲求です)

名前は思い出せない。でも誰かが大切なことは覚えてて
誰かが思ってくれていることが「すきだ」という言葉からわかる。だから三葉はやりとおせた。

そして時が流れ、あの時間の記憶もなく、あるのはかすかな心残り。
どこかに大切な繋がりがあるような。

冬が終わり春が来る。
二人はまた近づく、自分の中の心残りの先にある繋がりを探して。
そして出会い、ずっと探し続けてきた繋がりだと信じて問いかける。「君の名前は」。
(最初のシーンと繋がる。どこかに特別な繋がりがあるという不思議な感覚。ラストはなんとなくわかるという感情の肯定が、とても心地いい)
{/netabare}


2018年1月3日 地上波放送を見て。
{netabare}
本当は追記する予定はありませんでした。
でも、見たら、自分の中に生まれた何かを書きたい衝動を抑えられなくて、
書こうと思いました。

今回の再視聴で感じたのは、
繋がりが消えることの悲しさでしょうか。
どこか身近に感じていた、繋がりの断絶。
私が繋がりの断絶を感じたのは、福島なんですが、
レビューを社会派にする気はないので詳細は伏せます。

それは、人間の営みの断絶であったり、人の関係の断絶。
繋がりが消えてしまうことへの悲しさ、つらさ。
そういったものが多分糸守町の消滅、三葉と瀧の入れ替わりの終わり、
そういった作品世界の出来事から、私はいつも感じていたこと、
繋がりの断絶を感じていました。

繋がりの断絶と同時に、繋がりを求める声も同時に感じました。

三葉が瀧に会いに東京に出た時も、瀧が三葉の名前を忘れて叫んだ時も、
繋がりを求めるその行動、その思いが、私には、
無くした繋がりを取り戻したい気持ちを感じて、
どうしようもなく、泣いてしまいました。
(すこし安っぽい表現ですが、実際少し泣いてます。
多分泣いた理由は、登場人物達と同じ理由で、
繋がりを求めたから、でしょうかね。
多分これが、共感何でしょうね。初めて実感出来たかも)

こんな瀧君のセリフがありました。
「今はもうない街の風景に、何故ここまで胸を締め付けられるのだろう」
心のどこかで糸守に繋がりを感じている瀧君。
私も、どこかで知らない街の知らない人の営みに、
繋がりは感じないまでも、営みの中にある繋がりを見て、
親近感を感じたりするのです。
それは人と人の繋がり、人と土地の繋がり、繋がりの中で生まれた営み、
そういったものを、私は求めているのだろうし、
大切にしたいし、失いたくないと思うのです。

だから、この作品を再視聴して、このレビューは、
完全に私の感想であるのですが、
私が求めていた繋がりを描いてくれているし、
私が恐れている繋がりの断絶も描いてくれている。

だから、私は、この作品が好きなんでしょうね。



{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 134

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

作画はきれいだった。もの凄く!だけど・・・、

物語としては、『見終わった後に何も残らない作品』という印象。
個人的には『この世界の片隅に』、『聲の形』の圧勝だな~。やっぱり。

様々なSF要素の詰め合わせは、アニメ初心者には斬新に見えるでしょう。
だけど、私には目新しさよりむしろ、矛盾とご都合主義が気になってしまう。

普段アニメをあまり見ない人たちがこぞって見に行った結果が、空前の大ヒットなんでしょう・・・。
まあ、私のようなアニオタがこぞって見に行ったくらいでは、あそこまでの大ヒットにはならない。
『素人をいかに取り込むか!』
この部分に特化した作品ということなのでしょう。

最後に。
やっぱり声優はプロの声優さんに任せるべきだと思うんですよ!
誰とは言わないけど、ひどい人がいた!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 115

88.4 2 2016年夏(7月~9月)アニメランキング2位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1521)
7489人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

障がい、いじめ、生と死、そして母の愛

原作未読。
劇場でも視聴しましたが、いろいろと考えさせられることの多い作品だったため、繰り返し視聴してからレビューしたいと思い、BD購入後のこのタイミングでレビューします。

【初めに】
この作品は多くの方に見て欲しい作品です。
高校生の恋愛物語なんかじゃありません。
障がい、いじめ、生と死、母の愛・・・。重いテーマを次々と投げかけてくる作品です。
そして、見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

様々な思いの中で、少しずつ成長していく石田将也、西宮硝子、西宮結絃、そして植野直花が見どころです。

【物語】
これだけ重いテーマをよくも2時間の枠に収めたな!と感心するくらい良くできていると思います。
時間の都合上、少々強引な展開もありましたが、それをマイナス要素とするのは酷でしょう。

【作画】
京アニですからね、全く問題無いでしょう!(笑)
特に花火のシーンは鳥肌ものでした。

【声優】
なんといっても早見沙織さんでしょう。
硝子が言葉を発する度に鳥肌が立つほどの怪演。
{netabare}小学生のころ、将也と取っ組み合いの喧嘩をした硝子が発した言葉が、最初に劇場で視聴した時には理解できませんでした。
BDで繰り返し視聴をして、『頑張って!』と聞こえた時には感動しました。{/netabare}

将也の少年時代を演じた松岡茉優さんに賛否があるようですが、私はとても良かったと思いました。

【音楽】
THE WHOの「MY GENERATION」は良かった。
aikoの主題歌は好みが分かれるかも・・・。

【キャラ】
「植野直花」
一見、理に適っているようなことを言ってはいるが、実は一番自分勝手・・・に見えるキャラ。
高校生になった硝子の立場から見れば一番の敵キャラだし、『嫌い』って人が多いだろうな?
実は私もそうだったし・・・。
それだけに、最後の{netabare}手話{/netabare}には感動した。
良かった。ちゃんと成長してるじゃん!

「将也の母」
私の印象は、子供には甘いけど、責任感の強い母親。
{netabare}硝子いじめの謝罪の際、片耳から流血しながら、声も荒げずに「明日からいい子にするんだよ、ね」は衝撃的だった。
硝子の母と植野の喧嘩を止めたシーンも良かった。{/netabare}

「硝子の母」
私の印象は、子供に厳しく、だけど誰よりも子供を愛する母親。
{netabare}重度の聴覚障害のある硝子を普通学級に通わせるとか、小学生には酷なんじゃないかと思った。
しかし、硝子は聴覚に障害があるだけで、知能に障害がある訳ではない。
愛娘の将来の事を考え抜いて出した、苦渋の決断だったんだと思った。

それは、後半のシーンからもうかがえる。
高校生になった将也が硝子を一緒にいるところを見かけると問答用無用にビンタ。
そして、硝子を責める植野にも問答用無用にビンタ。
愛娘を守るためには手段を選ばずに全力で立ち向かっていく母親の姿だと思った。{/netabare}

【最後に】
極力ネタバレ無しでと思っていたんですけど、結局ネタバレだらけになってしまいました。スミマセン。
ネタバレついでに、最後に少しだけ付け加えたいと思います。

{netabare}この作品を視聴して、本当に色々なことを考えさせられました。

【障がいを持つ人とどう接するのが正解なのか?】
本作の硝子のように聴覚障害を持つ人との接し方。
将也や佐原のように手話を覚える?
  それができれば一番いいんだろうけど・・・。
  現実には、手話を知らない人が多いんじゃないかな?
  もちろん私もその一人。
「大きな声でゆっくり話せば分かるんだから」と言った植野。
  これも決して間違いではないと思っている自分がいる。

大事なことは相手の立場に立つことだと思う。
ただ、優しく接すればいいというわけでもないのだと思う。

【これって「いじめ」ですか?】
いじめがダメなんてことは、誰しも理解していることだと思う。
だけど、どうだろう?
『私の職場(学校)ではいじめなんてありません!」
そう断言できる人は少なくないと思う。だけど、
『誰かを無視したり、悪口言ったりとかありません!』 
そう断言できる人がどれだけいるだろう?
悪口・陰口くらいなら、恐らく多くの人が身に覚えがあるのでは?
『悪口・陰口くらい誰でもやってるよね?このくらいなら”いじめ”じゃないよ』

それではなぜ、佐原は不登校になったのだろう?

【母親の愛ってすごい】
将也の母、硝子の母。
タイプは全く違うけど、子供に対する愛情と責任感の強さは計り知れない。
謝罪のためにピアスを引きちぎった将也の母親。
同じく謝罪のために、公衆の面前で土下座をした硝子の母親。
どちらも本当に立派だと思った。

そして、何より、自分の身の回りの人に同じようなことをさせてはならないと思った。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 141
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

美しい人

60年代のロックアンセム、
THE WHOの「MY GENERATION」が、
オープニングを告げる。

小学校時代回想。
退屈な毎日を単なる好奇心や面白半分で、
耳の聞こえない少女を虐める主人公。
あまりにも度がすぎて学級裁判となり、
自分がクラスから断罪され孤立する。
{netabare}保身の為、主人公を売るクラスメイトたち。
罪人の烙印、どこにでもある無自覚な悪意。
正当化される弱さ、悪意の同調圧力。{/netabare}
ヒロイン硝子の心は何度死んだのだろうか。

心を掴まれたシーンがあります。
それは硝子が持つ筆談ノートでの何気ない日常。
{netabare}そのノートに言葉を綴り、必死に周りと、
コミュニケートしようとするその少女の姿に。
拒絶され、からかわれても、
けなげに笑おうとする少女の姿に心が震える。{/netabare}

高校生現在、再会。
償うこと、許すこと。
{netabare}自分のせいでバラバラに、
壊れてしまったものと向き合う硝子。
自己嫌悪と後悔の狭間で揺れ、
他人から目を伏せて生きる主人公。{/netabare}
これは現代の罪と罰なのか。

犯した罪はいつ許されるのでしょうか。
そもそも許されるものなのでしょうか。
どうか幸せになって下さい。

心の美しい人になりたい。

今はただそう願います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 116

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

誰かが感動にむせび泣く涙は冷や汗になって流れ落ちる

聲の形を観るにあたって視点をどこに持っていき多数派が経験しない境遇を掴むかが難しいと思われるのですが、
自身に置き換えるとそれは“コンプレックス”。生きていれば誰にだって“当たり前”にあるものだと思います。
身体的特徴・肉親との関係・性への恐怖心・嗜好・学歴・人種・生まれ・性別、イジメや差別の行く末も然りです。

肉親や他人が“毎日自分のコンプレックスについて熱く口論している”そんな世界を想像してください。
目立つアナタは学校や会社、道行く人々から向けられる奇異の目、励ましや憐憫の言葉に晒されるでしょう。

「西宮は優しいからああしているわけでも、強いから、弱いから、といったわけでもないんです。
彼女は、彼女なりにたくさん考えた結果、ああするしかない、というだけなんだと思います。」

作者がインタビューでこう答えたそうです。これが彼女の当たり前だったのでしょうか。

実際にいろんなハンディキャップを抱える人達や高齢者を介助する人達がいる現場において人間を起こす方法や、
車いすの押し方、様々な器具の用途や正しい使い方など、最低限の知識を身につけるより最優先事項があります。
介護・介助において、まず彼らが学ぶことは相手を「お客様」では無く「利用者」と呼び、客として扱わない事。
他人に体を預ける利用者を不安にさせず寄り添いながら安心感を与えてコミュニケーションを取らなければならず、
マニュアル通りではなく個人個人に対し状況や状態を鑑みて、人としての尊厳を蔑ろにするような態度や行動を
取らないことが大前提であり小児科医や助産婦など、職業柄心構えを身につける方々も同じ雰囲気があります。

当たり前だと思うかもしれませんが、その当たり前が世間に浸透していないのは本作に対して議論が行われたり
特筆すべき事項だと取り上げ、感動できる作品と持ち上げられる現状を考えれば一目瞭然ではないかと思います。


難しい題材に焦点を当て一流の演出と人の心を揺さぶる手法を用いた映像作品は洗練され美しく彩られました。

“本作自体がコンプレックスになる”映画として。

気弱な少年がスパイダーマンに憧れるように、盲目の侠客がバッサバッサと悪を斬る姿を格好いいと思うような、
当事者側の人間が顔を曇らせず笑顔になれる映画ではなく、関係のない人間が感銘と感動を得る為の映画は、
原作を読んでいた時の感覚より数枚フィルターがかかり、メッセージ性や丁寧な音と画で美しく完成しました。
映画として完成度が高く年間で最高評価に近いことも納得です。多くの人が素晴らしいと感じたでしょう。
当事者たちの気持ちを置き去りにして。

聲の形を特筆すべき作品だと受け取られるのが今の現状で世間の認識なのでしょうが、映画の話でなく常識として、
“当たり前”に生きてる人に対し涙を流したり感動することが無いのと同じく、この気持ちは人を傷つけます。
本作は仕方有りません、メッセージ性と感銘を受けるよう作ってあるのだからそれは嘘でも非常識でもない。


他人の感動に水を差したくはないが綺麗な世界に冷や汗しか出なかった。机上の空論を言っても仕方ないけれど、
叶うならいつか本作に感動も感銘も無く、当たり前に捉えられるそんな世の中になればいいと願っています。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 52

77.0 3 2016年夏(7月~9月)アニメランキング3位
傷物語Ⅱ 熱血篇(アニメ映画)

2016年8月19日
★★★★☆ 4.0 (568)
3755人が棚に入れました
高校二年の春休みに、美しき吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・
ハートアンダーブレードと出会った阿良々木暦。四肢を失い、瀕死の状態に
あった彼女を助けた暦は、しかし自らも吸血鬼になってしまう。

人間に戻るためには、奪われたキスショットの四肢を取り戻さなければならない。
怪異の専門家・忍野メメの助言を受けた暦は、過酷な戦いに乗り出していくことになる。


彼の前に待ち受けているのは、
身長2メートルを超える巨漢である吸血鬼を狩る吸血鬼・ドラマツルギーと、
巨大な十字架を自在に操る半吸血鬼(ヴァンパイア・ハーフ)のエピソード。
そして、吸血鬼退治を専門にする、物静かな人間・ギロチンカッター。

はたして暦は、3人の「敵」から、キスショットの四肢を奪い返すことができるのか? 
雨がそぼ降る3月最後の夜、血戦の幕が静かに上がる―。

声優・キャラクター
神谷浩史、坂本真綾、堀江由衣、櫻井孝宏、入野自由、江原正士、大塚芳忠

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

Film noir directed by 尾石達也 美少女との恋、血生臭いバトル、、これぞ映画というべき興奮とコーラの作画

『物語』シリーズにおいて最初期の出来事である『傷物語』を60分強×3部作で映画化したものの第2部
前作のダイジェストが僅かながら挿入されます
監督は『化物語』の尾石達也
(これ凄い重要です、尾石さんは『化』と『傷』以外には関わっていません)
演出は宮本幸裕、まさかの『まりあ†ほりっく』コンビってわけ
前作に引き続き、背景のほぼ全てが3DCGの中に2D作画の人物が佇む、Film noirのテロップが示す通り古典映画を意識してかのセピア調の色彩、という独特の映像です
PG-12


四肢を失って弱体化(幼女化)した吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと主従関係を結ばざるを得なくなったお人好しな高校生の阿良々木暦
彼はキスショットの四肢を奪った3人の吸血鬼ハンターと戦う羽目に
吸血鬼なれど吸血鬼ハンターたるドラマツルギー(江原正士)
ハーフヴァンパイアのエピソード(入野自由)
聖職者のギロチンカッター(大塚芳忠)
キスショットを追い詰めただけあって強敵の3人を相手に、暦は如何に立ち回るのか・・・!?


まずご覧の通り3人のヴァンパイアハンターの声優が豪華すぎるw
(エピソードはテレビシリーズでもいましたが・・・)
んでもってめちゃくちゃ怖い
そして前作に引き続き羽川が可愛いいい!!!
アンダーグラウンドな世界に足を踏み入れてしまう暦は羽川を巻き込ませんと彼女を拒絶するが羽川あえて首を突っ込みたがる
絶望的な状況で暦の救いと希望と癒しとなっていく羽川はまさに王道のヒロイン
これと対比的に小悪魔的な妖艶さを醸し出すロリババア、キスショットもgood
さらにクールな忍野メメの謎賭け的で遠回しな助言が少しずつ暦を育てていく


うーん、映画として出来すぎてるってぐらい上手いですね
そして具体的にバトルシーンが多いので非常に見応えがあります
爽快なものではく、一歩間違えれば死ぬなぁこれ
あ、死んだ!
という緊張感がずぅっと続くんです
バトルアニメというよりアクションスリラーですね
殺すか、殺されるか
この手のジャンルの映画好きな人は実写、アニメ問わず楽しめると思います


そして何より作画ほんと凄いんですわ
前述してる通り、CGの上に作画キャラが立ってるってだけで十分凄いのに今作は戦っちゃうんだから溜まりませんw
でもオイラが一番すげぇと思ったのは【羽川と飲むコーラの作画がネ申掛かっていたこと】ですねw
たぶん阿部厳一郎さんだと思います
瓶のディティール、人の指の動き、揺れる液体、溢れる泡、吹き上げる飛沫、そしてなぜか一連スローモーションw
丁寧すぎる
コーラ飲みたくなっちまった!
あーゆー本来どうでもいいようなシークエンスに力を注ぐ馬鹿さ加減は実に尾石達也作品らしいと思いましたb

投稿 : 2024/11/16
♥ : 11
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

傷物語第2章は、半端に眠たい鉄血篇と、切なくて感傷的な冷血篇をつなぐ、「熱血」の名にふさわしい吸血鬼ハンター達との死闘がつづくのだけど、見どころは美麗な作画に尽きるので、

まあこれ単体で観る人もいないだろうってことで、
第3章への橋渡しよろしく、サクサクと話は進む。
だから、きっと、あまり細かいことは気にしないで
見飛ばして行っちゃうのが正解なんだろう。

暦が、無闇やたらといいオトコなのが違和感があって、
羽川との会話シーンで、コメディ寄りに落とそうとするのだけど中途半端・・・
というか、会話シーンはギャグパートっていうお約束が
完全に崩壊している・・・

見せ場は、羽川については、
第1章からのお決まりでパンモロだったりパンツ頂戴(←!)だったり、
やっぱ、化物語と比べて巨大化し過ぎてておかしいぞ?
の偽乳疑惑だったりしがちだが、
いちばん綺麗なのが、
{netabare}暦とエピソードとの決闘を傍観している最中に、
エピソードの投げたどでかい十字架に横っ腹を抉られて、
血と臓物を思い切りぶちまけつつ身体を回転させながら倒れるシーン!
ここホント綺麗で、陶酔してしまう。{/netabare}

それともうひとつの見せ場が、
キスショットちゃんが、
{netabare}キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード姐さんへと、
不思議なメルモちゃんばりの超速二次成長を
視覚化・微エロサービスしてくれるところ{/netabare}

という作品なんで、
もう完全にマニア向け。
としか言いようがないし、
単体での評価も、しようがない。

この作品を、前後の鉄血篇と冷血篇を見ないで、
これだけ単体で観賞しようという無謀なチャレンジャーが、
もしもいるなら、ぜひ評価をうかがいたい。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 26

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

化物語の前日譚の「第2弾」に該当する本作は阿良々木 暦の決断と決行の物語…

第1弾で阿良々木 暦はキスショットに出会い手を差し延べた…
それは「二人で痛みを分け合った」という言い方の方がしっくりくるような気がします。

そしてその痛みは和らげる事のできる痛み…
但し、その願いを叶えられる可能性は限りなくゼロに近いけれど…
でも踏み出さなければ何も始まらないことを知っている彼が一歩踏み出すところから物語の第2弾が始まります。

阿良々木君…終始鬼懸っていたのではないでしょうか。
確かに彼は目の前の壁を乗り越えなければいけませんでした。
高く…険しい壁です。
一筋縄でなんて乗り越えられる…なんて事は決してありません。
何度も痛みを受けながら、やっとの思いで一歩ずつ歩みを進める…そんな感じです。
だから、立ち向かっている彼は確かに格好良かったと思います。

けれど、終始格好良かったか…と考えると決してそんな事は無かった…が私の感想です。
迎えてくれたのは最大級の笑顔…
木目細かく配慮の行き届いた言動は、彼女が賢いだけでなく彼に対して本気である事を感じさせてくれる。
それなのに彼の放った言葉のナイフの切っ先はあまりに鋭くて…あまりに容赦が無くて…
うつむきながら目線を逸らす彼女の表情なんて絶対見たくなかったのに…
「人間強度」…何それ、美味しいの?
きっと彼だって彼女のそんな表情が見たかった訳じゃないと思います。
他に術を知らなかったからだと思います。

でも、本作を通して彼女の事がこれまで以上に好きになりました。
自分の出来ることは無いと言いながら、まるで無限の引き出しを持っているかのように振る舞うことのできる彼女は、やっぱり賢いだけの存在じゃありません。
「私は自分のやりたい様にやっているだけだし、多分私くらい自分の事しか考えていない人間はいないと思う…私はずるいし、したたかなつもりだよ」
そんな風に自分を卑下する彼女とはまだ出会ったばかりなんですよね…
どうしてそこまで親身にしてくれるのだろう…
なんで巻き込まれることを厭わないんだろう…

世の中100人の人に聞いたら間違いなく全員が「巻き込まれたくない」という選択肢をチョイスする事が分かってる…そんな誰もが反射的に拒否する出来事に巻き込まれているのに何で彼女笑えるんだろう…

だから、彼は彼女に対して本音を曝け出す事が出来たんだと思います。
きっとちょっと考えて、ちょっと勇気を出せば最初から出来ていたこと…
そう考えると二人は随分と回り道をした気がします。
学生だから…春休みだから…その回り道は二人にとって必要な道程だったんだと思います。

「その代わり恩は絶対に返す…必要な時に…例え何が出来なくたって僕は絶対にそこに居る…お前に恩返しをする事が今日から僕の生き甲斐だ」
人間強度が云々言っていた彼にここまでの台詞を言わせるんだから、やっぱり彼女は凄い存在です。

こんな風に思えるのって、心が強くなった何よりの証だと思います。
だから彼は迷わない…
幾つもの分岐に分かれているように見えても彼の目には一本道にしか映っていなかったのでしょう…

彼と彼女が紡ぐ物語…
辛い事、苦しい事、悲しい事も沢山ありましたが、振り返ってみると優しさが溢れていたと思います。
事の顛末の気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
今現在、私の中の最優先事項は「この物語を完結させる事」
引き続き第3弾に相当する「冷血篇」を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

72.7 4 2016年夏(7月~9月)アニメランキング4位
planetarian ~星の人~(アニメ映画)

2016年9月3日
★★★★☆ 3.9 (377)
1904人が棚に入れました
始まりは、どこかの国が放った遺伝子細菌兵器であった。やがて、その報復として核弾頭が使われ終わりのない世界大戦がはじまった。地上では星すら見えなくなり、雨が降り続く世界へと変わっていった。滅びゆく世界の中、空から降り続ける雨は、気が付けば雪へと変わり人々の暮らしは地下へと移っていった。
かつて貴重物資を回収することを生業とし“屑屋”と名乗っていた男は、若いころあることがきっかけで、多くの人々に星の素晴らしさを伝えるようになり、訪れる集落で星の世界を語り継いでいった。いつしか人々は彼のことを“星の人”と呼び、敬うようになった。そんな彼は、ただ一つの“心残り”を持ちながら、世界を旅していたが、志半ばにして行き倒れてしまう。
一方、地下集落に住むレビ、ヨブ、ルツは外の世界に興味津々。大人たちに隠れて、地下の集落から抜け出て外の世界を探索していた。降り積もる雪の世界の中で興奮冷めやらぬ中、三人は埋もれていた一人の老人を発見する。
彼は、三人に助けられて、無事一命をとりとめた。そして、村の長エズラと話をしていく中で、彼が星の人と分かり歓迎されることになる。
「あなたを歓迎します、星の人」

無邪気に話しかけてくる、レビ、ヨブ、ルツ。三人と話していくうちに、若いころ自身が訪れた【封印都市】のことを思いだしていった。そこは、世界大戦初期の遺伝子細菌兵器の影響で、人々から放棄された街。彼は、まだ見ぬお宝を求めて、探索していた最中、追跡していく戦闘機械(メンシェン・イェーガー)から逃れて、デパートのプラネタリウムに迷い込んだのだった。
そんな彼の前に、一人のロボットの少女が現れた―。

「プラネタリウムはいかがでしょう。どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき……。満天の星々がみなさまをお待ちしています」

星すら見えなくなった滅びゆく世界で、彼は何を見たのか。

一人の男が生涯を賭して旅する中で、出会ったものとは ― 。

声優・キャラクター
すずきけいこ、小野大輔、櫛田泰道、滝知史、佐藤利奈、篠塚勝、福沙奈恵、日笠陽子、津田美波、石上静香、桑原由気、竹口安芸子、大木民夫

のび太 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

鉄板の涙腺崩壊アニメw

原作はビジュアルアーツのゲームのようです。

「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」というタイトルで配信されていた
webアニメをベースに映画化した作品です。

世界戦争の末に地上は、有害物質を含む厚い雲に覆われ、昼でも太陽が見えなくなった世界。
屑屋と呼ばれる男が、荒廃した街で残された物資を探していると、辛うじて動いていたプラネタリウムを紹介する少女型ロボットと出会うというストーリー。

この出だしで、もうこれは泣かせるやつだと予想はしてたのですが。
ダメでした(T-T)やられましたw

ヒロインの少女ロボットが、あまり高性能ではなく、それがすごく健気に
感じてしまいます。

その彼女が最後に願った事は…

まさに鉄板の涙腺崩壊アニメでしたねw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 21

イムラ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

星とAIと浜松と

<2018/11/18 初投稿>
原作はゲームらしいですね。

keyのアニメは根本的に自分と合わないようなのですが、本作は完走できました。
珍しい作品です。

keyが苦手な自分がなぜ見始め、なぜ完走できたか

・星やプラネタリウムが好きだから見始めました
・よく知ってる場所が出てきたので見続けられました
・シナリオが落ち着いてて良い感じだったので完走できました

核や細菌兵器かな、などが使用された戦争により荒廃した地球が舞台。

おかげさまで、常に空は分厚い雲で覆われ、
寒冷化が進み、
シェルターの外はマスクなしでは生きられない、
ナウシカの世界より住みにくそうな世界になってます。

当然、星空なんか見えない。
つまりそこに生きる人々は
「星空なんて見たことないから知らない」

そんな世界のお話です。


というわけで気になったポイントを二つほど

まずは「よく知ってる場所」のことからです。
予備知識無しにボーッと見てたら「封印都市」のシーン。

あれ?これ、アクトシティだよね。
これは松菱デパート?
市街戦もこれはどう見ても「浜松市」の駅そばだ!
テンション上がりましたよー。
だって私、浜松出身ですから。

浜松って特筆するようなもんが鰻と餃子くらいしかない地味な街なんで、まさか映像作品に使われるとわっ!

でもよくよく考えたら、枯れて寂れた「封印都市」にぴったりのロケーションかもしれません。
だって全く盛らずに現実のまんまでも十分に枯れて寂れてるし 笑。
人口は60万くらいいるはずなのに豪勢に再開発されたはずの浜松駅周辺の寂れっぷりはなかなかのもんですよ。

評点は浜松補正で少し高めです 笑


もう一つはAI

「自我を持つ一歩前のAI搭載ロボ」という今の時代にマッチしたテーマを扱ってます。

昨今のAIブームの前から様々な映像作品で「自我を獲得したAI」が描かれてます。
ですが、「その一歩手前のAI」を取り上げ上手く物語にした作品は意外と少ない。
そんなところが気に入ってしまいました。

ほしのゆめみというゆるキャラみたいな名前の自立型の案内ロボが出てきます。

お客さんの質問や要望に都度応える学習機能付きの人型チャットボット。
チャットボットとしては今実用化されてるものよりちょっと高性能な感じ。
なので明確な自我はありません。
ロボとしては人間そっくりの外観と挙動で、現在より格段に高いレベルにあります。
これが本作のヒロイン。

封印都市で半ば朽ち果てたプラネタリウムに配置されたままほったらかしにされてました。
何十年も放置されてたせいか壊れかけ。

主人公はこの壊れかけのRadioなゆめみさんと出逢います。

今、AI業界は機械学習の面で大幅な飛躍を遂げました。
データを与えると自分で考える機能のこと。
でも人間のような自我を獲得するにはまだまだ道のりは遠いようです。
そこで自我を持つAIの前に「意味を理解するAI」の開発が必要とか言われてるそうですが、これが猛烈に大変らしい。
10年や20年のスケールじゃ無理なんじゃないのという声もあるそうです。
(つか、「意味を理解できたら自我の獲得と殆ど同義なのでは?」と私なんかは思ってしまうのですが。)

ゆめみさんはまだ「物の意味を理解する」能力までは獲得していないようです。
ですがその一歩手前ぐらいまで行っている感じ。
主人公が求めるものを必死に理解しようとしてるようにも見えます。

そんなゆみめさんと触れ合ううちに主人公はゆめみさんに「自我」のようなものを感じてしまったようです。
チューリングテストのように。

そんな二人のやりとりが物語になっていくわけですが・・・



不満もあります。

正直言えばキャラデザイン苦手ですし。
シナリオも後半はちょっと冗長。
最後の方はしっくりとはきませんでした。

でも、
チャレンジングなテーマで、
上手くまとまっていて、
ちょっと心に残る。

そんな良作だと思います。

<2018/11/18 追記>
主人公の声を大木民夫さんが演じられてたのを思い出しました。
昨年他界された名優です。
それこそ数えきれない数の役を演じらた名バイプレイヤーでしたが、個人的には「灰羽連盟」の「話師(わし)」役が心に残ってます。
本作、大木さんの主役でしかも遺作というだけでも作品の価値が上がってると思います。
なので評価値を引き上げました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 50

ちょっちゅね~ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

アニメ業界の闇商法の様なアニメ

まずは内容について、115分中の70分(60%)がWeb版のダイジェストです。
もしWeb版が未視聴の場合はストレスなく視聴が可能ですが、
Web版視聴済みの人は苦痛としか言いようが無い。


最初は「こいつは酷い…。こんな構成で金を取るな」と思っていましたが、
何処かの記事で新作部分が当初は10~15分程度予定だったと記載されており、
監督が苦労して45分もの新作シーンを確保したと思ったら涙がでますよ…。

総評:Web版は見るな。映画版だけで十分すぎる。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4

71.2 5 2016年夏(7月~9月)アニメランキング5位
ロング・ウェイ・ノース(アニメ映画)

2016年7月28日
★★★★★ 4.2 (19)
78人が棚に入れました
まだ帆船が活躍していた時代、少女サーシャが、祖父の歴史を辿り、サンクトペテルブルグから極北への航海に挑む冒険談です。
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『よりもい』との類似や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』との対比も面白い!ヨーロッパの作画アニメはまだまだ進化を止めないゾ!

2015年にフランスのスタジオ2minutesが中心となり、後にデンマークのスタジオNorlumを加えて完成した81分のフランス映画
『ブレンダンとケルズの秘密』等にも関わったレミ・シャイエ監督の処女作


1882年のロシア、サンクトペテルブルグ
人類初の北極点到達を夢見て砕氷船ダバイ号で冒険の旅に出た祖父オルキンが行方不明になって2年
孫娘のサーシャは祖父の威厳と一族の名誉回復の為、ダバイ号の捜索再開をロシア宮廷に懇願するがオルキンを良く思わない王子の謀略に嵌り、捜索再開への道を閉ざされてしまう
その夜、一大決心をしたサーシャは貴族の子女であるにも関わらずお屋敷を抜け出し、たった1人でダバイ号の手掛かりを追う旅に出る
ロシア北西、白海に沿うアルハンゲリスクの港で船長を名乗る男、ラルソンに騙されて無一文になってしまうのだが、食堂を営む女性、オルガの協力を経て船長を偽ったラルソンの実兄であり本物の船長のルンドを説得する
ロシア帝国の威厳を示す為に特別に作られたダバイ号の発見に懸けられた高額の賞金を受け取る条件で、自身の船であるノルゲ号でダバイ号捜索に出ることを約束する
祖父への憧れから学んだ北極海の知識と、オルガの店に居候をするうちに鍛え抜かれた度胸で、サーシャもノルゲ号への乗船を申し出る
荒くれ者の海の男達と共に、年端も行かぬお嬢様だったサーシャの過酷な北極への本当の冒険が始まった…


あらすじだけ読むと『宇宙よりも遠い場所』に似ていると感じる方も多いと思います
実際は今作の方が先に公開されているわけなのですが、“家族の名誉を守る為に最果ての地へ向かう少女”と、テーマはハッキリ言って酷似しています
なので当初僕も『よりもい』の様な淡い感動作を期待していたのですが、蓋を開けてみると実際はあまりにも過酷な冒険の内容に思わず若干憂鬱な気分にすらなりました
シリアスな本物のアドベンチャー映画を求めてる人にこそオススメする内容です


さて、まずページ上部の作品タイトルにあるサムネイルを観ていただきたい
お洒落で20世紀半ばのアメリカの広告ポスターの様な、
アウトラインの無いキャラデザ、
ベタ塗りで明度が低いのに色合いがハッキリした色彩、
キャラと一体化した背景
実はこの絵、ただの広告絵ではなくれっきとした本編と同じデザインなんです
この絵が81分間動き続ける、そう考えるだけでもワクワクします


全篇はFlash、つまり紙と鉛筆を用いないデジタル作画でアニメートされます
近年の日本のアニメでも部分的にに取り入れられてる技法ではありますが、これで長篇映画を作ろうという試みは世界初じゃないかと思います
一見シンプルに観えるこの画面作りは、行程を極力減らした上で背景や色彩をも総合的に調和させた画面を完成させる為に行われてるのです
劇中で主人公は北極への過酷な冒険に挑むのに対し、スタッフは前代未聞の長編映画を作る、という挑戦をしているわけですね


とても面白いのが日本での公開の同日に、あの京アニ屈指の繊細なキャラデザの作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』が公開されたことです
プロのアニメタですら舌を巻くあのきめ細やかなビロードの様な金髪の作画を、京アニは見事にアニメートしているわけですが、今作のレミ監督は「髪の毛を一本ずつ作画する予算は無い!」と割り切ってこの様なシンプルなキャラデザになったとの事です
つまり『ヴァイオレット』とは全く逆の考え方をしてるわけです
しかもさらに面白いのが、『ヴァイオレット』も『ロング・ウェイ・ノース』も、ラストシーンで風が主人公の金髪を靡かせるのです
あえて『ヴァイオレット』と比較するのは面白いですよ?
2作観ればアニメーションの表現の幅をより感じさせてくれます
アメリカのアニメ映画業界はとっくに3DCGに舵を切っていますが、ヨーロッパの作画アニメは日本のソレとは少し異なる趣でありつつ、日本の影響も上手く取り入れて進化し続けています


日本の影響を受けている、というのは今作も数多のジブリ映画の様に年端も行かぬヒロインが活躍する作品であることに由来します
少女が主役のフランス映画といえば、同じく今年日本公開の『ディリリとパリの時間旅行』もありましたが、あちらは“少女が人種差別や性差別と闘う作品”なので主人公がどうしても少女である必要があった作品なんです
ですからコチラの様に狙って少女を主役にしたのとは少し違う


実は故・高畑勲監督が生前にこの映画のツッコミどころを踏まえた上で絶賛されています
そのツッコミどころというのは
{netabare}
・劇中に出てくるペニシリンが発明されたのは20世紀に入ってからなので本来存在しない
・北極は年中流氷に覆われているが劇中に登場する様な数十メートル級の山塊や山脈は存在しない
{/netabare}
今回は伏せておきますが、嘘のつき方が上手い、最もらしい描写であるとしつつ、そんなことなどどうでも良くなる程に“少女が何かを成し遂げようと奮闘する姿が物語を引っ張っている”評されていて、僕もえらく共感しましたね


音楽はアメリカ映画にありきたりなエピックやロシアが舞台ならロシア伝統音楽だろ、といったところが安直に考えそうなところですが、レミ監督は自身がファンであるフランスのロックバンド、それもサイケロックを得意とするシド・マターズのジョナサン・モラリを連れてきました
まさかのサイケ!w
めちゃくちゃカッコイイんです!
日本で言えばRADWIMPSを連れてきた様なもんです
サントラがあれば即買いなところですが、残念なことに発売されてないそうです;
音楽のセンスは流石ヨーロッパって感じですねー


吹き替えの出来も素晴らしく、字幕と共に1回ずつ観ましたが初見であれば物語がすんなり入ってくる吹き替え版をオススメします

投稿 : 2024/11/16
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

少女は北極へ―――地球とアニメーションのてっぺんを目指す驚異の冒険映画

※声優の評点は字幕版の評価。

フランス・デンマーク合作(2015)

あらすじ……
{netabare} 19世紀後半。ロシア貴族の娘が、北極点を目指して消息を絶った探検家の祖父を探すため、
また祖父の名誉を守るため、厳しい北極圏の旅路を行く、青春冒険映画。{/netabare}

『よりもい』で日本の少女たちが南極を目指した少し前に、
極寒の極北に挑んだロシア人少女をフランス人監督はどう描いたのだろう?

東京アニメアワード2016のコンペティション部門・長編グランプリに本作が輝いた際、
故・高畑勲監督も激賞していた。
もしかしたらフォトリアル表現とは違う、
アニメーションの進むべき道が本作にはあるのではないか?

2019年の日本一般公開が決まる前から私も興味津々だった作品。
とは言え、流石に北陸までは来ないだろう……。
と思っていたら先日、金沢に来たので、待望の鑑賞が実現しました♪


本当に期待以上の傑作でした。

往年の日本の東映動画作品にも影響を受けたと言う、
人物と背景の間に黒い境界線を入れない、
単色ベタ塗りのシンプルな作画構成。

ただこれは決して安易な作画工程の削減だけではない。
伝えたい物をよりストレートに投げかけるための、
表現の取捨選択、洗練であることが観ていてヒシヒシと伝わって来ます。

瞳で心情を語る描写を最大化するためのキャラクターデザインであったり、
リアル以上の白の強調により、さらに驚異度が増す、北極の自然の猛威であったり。

普段リアル志向の作画で描かれてしまう、ボクシンググローブみたいな余計な物が削ぎ落され、
素手の如く剥き出しになった表現で直に殴られ続ける感じで、
鑑賞者もノックアウト必至です。


色んな感情が振り切れる、凄惨な旅が続くにも関わらず、
キャラが涙を流さないのも特徴的。
それでいて、心の痛みやら感激やらは、
表情や目線を通じて、しっかりと胸に響いて来る。
心情表現を極めた繊細な作画に、露骨な泣き顔は必要ないと言うことなのでしょうか?
演出については、終始、驚かされることばかりです。


氷山の軋む音など、実際の環境音も取り込んだ音響、
バンドミュージックも交えた音楽はやや変化球ですが、
こちらも映像との融合度が非常に高く引き込まれます。


舞台は一応19世紀後半のロシア帝国等ですが、
それ程、リアルにこだわって時代設定を詰めて来ているわけでもない印象。
そもそも、{netabare}じっちゃんは北極点に到達したんだ!と少女は信じて旅に出ますが、
史実では人類初の北極点到達は、20世紀のことですし。{/netabare}
ここもあくまでリアルより、少女が困難に立ち向かう姿を描き切ると言う主題優先。

他にも例えば、{netabare} 19世紀にはまだ無かった鎮痛剤・ペニシリンの使用だったり、
現実の北極圏でもあり得ないビッグサイズの氷山だったり。{/netabare}

これらのウソ設定を、高畑勲監督は「このウソのつき方は気持ちがいい」と好評したそうですが、
私も作品で主題を描く際の、リアルの優先度について一考させられる
興味深い設定の組み方でした。


フィクションでやたらリアリティを要求してしまったり、
このアニメの脚本、実写でもやれるじゃんw
と企画の腰を折るような批判が浮かんでしまったり。

自分の中で、相変わらず、アニメの未来の不確実性が増大する、
モヤモヤした感情も抱いてしまう今日この頃でしたが、
本作を観たら、そんな野暮な考えは、
圧巻のアニメーションで襲い掛かって来たブリザードと共に吹き飛びました。

本作が絶対的な答え!と言うわけでもないでのしょうが、
アニメーション表現の未来も感じることができる逸品だったと思います。


オススメです!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 35

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

南極よりも遠い場所

原題:Tout En Haut Du Monde
年度:2016年
製作:フランス・デンマーク
監督:Rémi Chayé(レミ・シャイエ)
時間:1:21:00

TAAF2016・長編コンペティション・グランプリ受賞作

遭難してしまった祖父を探す為、過酷な北極点を目指す孫娘の物語、
荒くれた海の男達の男気と優しさに交しながらの成長譚も良く表現されてます。

人物作画は輪郭線を省く独自の手法、背景はベタ塗りの彩画。
TAAF2019前夜祭上映後トークにてアニメーターの井上俊之氏が貼絵画家:内田正泰氏 [ http://uchidamasayasu.com/ ]の作品を例えされてましたが正に此れ。
この背景美術は目を瞠るものが有り、
行く手に立ち塞がる氷河、崩れ落ちる氷山、弄ばる帆船の動き等々、壮大さに感銘しました。

日本での公開が待ち望まれてましたが、この度配給権を取得した所があるそうで、劇場に掛かって欲しい( …t…x だとPCの小さなモニターで観る事になり迫力も半減してしまう^^;)

ぜひ劇場の大画面で、素朴で力強い描動画を堪能したいですね。

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邦題「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」として

9/6(金)~10/3(木) 東京都写真美術館ホールを皮切りに全国順次公開が決定したそうです。

海外アニメーションのお好きな方はもとより
「よりもい」好きな方も琴線にふれるやもしれません、ぜひご鑑賞を(^^)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 14

69.2 6 2016年夏(7月~9月)アニメランキング6位
ソング・オブ・ザ・シー 海のうた(アニメ映画)

2016年8月20日
★★★★☆ 4.0 (30)
118人が棚に入れました
アザラシと人間の女性の双方の姿を持つ妖精と人間の男の間に生まれた兄弟が主人公。ふたりが遭遇する冒険を描く。

声優・キャラクター
【吹替版】本上まなみ、リリー・フランキー、中納良恵、深田愛衣、喜多川拓郎、水内清光、高宮武郎、花輪英司、磯辺万沙子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

レフ・アタマーノフが60年前に手掛けた『雪の女王』の呪縛を遂に打ち破り!宮崎駿の『崖の上のポニョ』を吹き飛ばすかのような勢いの!!そんな作品が遂に現れました!!!

舞台はアイルランドのとある岬
幸せそうな3人家族が灯台に暮らしていました
母の体の中では新たな命が今まさに産声をあげんとする時でした
しかし突然に母は家を飛び出し、残されたのは父親と息子のベン、そして新たに産まれた妹のシアーシャだけになってしまいました
月日は経ってシアーシャの6歳の誕生日
一行に言葉を話せないシアーシャの時折見せる不可解な行動に苛立ちを隠せない兄のベン
妻を亡くした悲しみを未だ引きずったままの父親
そしてシアーシャの誕生日を祝いに遥々と街からやってきたが、岬での生活には強く反対する頑固な祖母
しとやかに行われた誕生パーティーの夜、母の形見に吸い寄せられるように近付いたシアーシャの身に不思議な事が起こった
それはベンとシアーシャ、幼い兄妹の大冒険への幕開けとなったのです
鍵を握っているのは母が残してくれた子守歌・・・


1957年、旧ソ連のレフ・アタマーノフ監督がアンデルセンの『雪の女王』をアニメ映画化し、それに感銘を受けた宮崎駿に多大な影響を与えたと言われました
しかし『雪の女王』ショックはその後も多くのクリエイターやファンを魅了しつつも、それを超越した作品の登場を許さぬ、いわば呪いの様な傷跡を残してしまったとオイラは考えてます


しかし2014年、遂に『雪の女王』を絶対王者から引き摺り下す作品が現れたのです、それが本作
そんな超傑作が日本からではなく、アメリカでもなく、フランスでも中国でもなく、ましてやロシアでもなく、なんとアイルランドから生まれたのです
正直、アイルランドのアニメ映画なんて聞いたこともありませんでした;
結果的にアイルランドのCartoon Saloon、ルクセンブルグのMelusine Productions、ベルギーのThe Big Farm、フランスのSuperprod、デンマークのNφrlumが各分野を共同で制作することで日米を遥かに凌駕する大作が完成したのです
監督は『ブレンダンと秘密のケルズ』のトム・ムーア


まずこの作品のお話でポイントになるのがケルト神話やアイルランドの伝説に登場するキャラクターが特に説明も無く次々と現れるところです
アザラシの妖精セルキー、おじさん顔の妖精ディナーシー、延々に伸び続ける髪の毛に物語を記憶しているシャナキー、フクロウの魔女マカ、巨人マクリルと二匹の愛犬・・・
どれもオイラ達日本人には聴き慣れないキャラなのですが、物語の中で各々の個性はハッキリと描かれ、すぐにどんな立ち位置を示すキャラなのかは理解出来る様になっているのが素晴らしい
変に説明臭い映画は即駄作ですからね


結論から言って最も大きなポイントになるのがアザラシの妖精セルキーの存在なのですが、これはアイルランドに伝わる‟人魚伝説の変形の1つ”の様で、そういった意味では『崖の上のポニョ』にも似た要素を秘めている作品とも言えます
ラストを締め括るのが家族愛という点でも酷似していますね
幼い兄妹の冒険という点は『となりのトトロ』を意識してると監督は仰ってますが、オイラはむしろこれこそ『雪の女王』だよなぁ、感じました


さて、『雪の女王』越えと言いましたがまずその1つに美し過ぎる映像面があります
絵本のような色彩と構図が全編に渡って絶え間なく続くのです
丸い円が家族を囲むようにして俯瞰で映し出すカットなど、映画では観慣れないレイアウトが多用されますが、これは丸が温かみや優しさを象徴する記号として機能している為で、キャラの造形等にも積極的に取り入れられていて、優しい心を持ったキャラ達は基本丸顔です
同じように四角形は固い、頑固な、退屈などを象徴
三角形は攻撃的、危険を象徴するなど記号を多用したシンプルなデザインや演出が、昨今複雑化している日米の作品のソレとは違ってとても洗練されていてスタイリッシュです
ちなみにアイルランド(というか世界的なアニメスタジオの多く)には作画監督は存在せず、スーパーバイザーの監修の下にアニメタ一人ひとりが責任を持って担当カットを作画するそうです
個々の総合力は日本のアニメタよりも高い集団だと言えますね
(その分、日本のアニメタは個性を尊重されているのですが)


小津安二郎監督の『東京物語』を参考にした、という場面転換の時に用いられるその場所を象徴する一部だけを映すカットも、カメラをやたら動かしたがる昨今のディズニー系作品へのアンチテーゼの様に思います


そしてアイルランドが舞台ということで象徴的な劇伴のほとんどは所謂ケルト音楽を得意とするバンド、KiLAが担当しています
民族音楽というかワールドミュージックの要素を積極的に取り入れたサントラは、神秘的なケルト神話の世界に更なる彩りを加えてます
もちろん日本のアニメと違って映像の完成後に作曲作業をしてますから、その親和性は日本のアニメ映画とは比較になりません
往年のディズニー作品のようなある種の“音楽映画”としても楽しめることを保証します
物語の鍵を握る“子守唄”も耳に残る一曲です


ちなみに日本語吹き替え版ではこの唄の為とも言えるキャスティングとして母親役にEGO-WRAPPIN'の中納良恵を起用しています
素晴らしく完成度の高い吹替でしたので特に拘りが無ければ吹替版をオススメします


そしてキャラの魅力
まずヒロイン、シアーシャがとても可愛い
正直ヨーロッパのアニメ映画に足りないのは魅力的なヒロインだと常々感じてましたが、今作のシアーシャがその悪しきジンクスを打ち砕きましたね
宮崎ヒロイン、ディズニーヒロインに負けじとも劣らぬ可愛らしい女の子です
そして物語を牽引することになる兄のベン
手が妬ける故に周囲の関心を惹く幼い妹シアーシャに対して、彼は嫉妬にも似たお兄ちゃん特有のコンプレックスを抱えています
この気持ちは同じ長男であるオイラには痛いほど分かるのですが、終盤になってくると冒険を経た彼の精神は一回りも二回りも成長しており、妹のピンチを身を挺して救います
彼の心の成長には誰しもが勇気付けられることでしょう


美しい映像、美しい音楽、個性的で愛らしいキャラ、興奮の冒険、愛と感動
往年の宮崎駿作品やディズニー作品にあったものが、この映画には全て詰まっています
全てです!
アイルランド映画というダークホース的な意味でもとても価値のある一作ですが、何より日米に何一つとして見劣りしていないという点は特筆したいですね
なぜこれほどの傑作がアカデミー賞を取れなかったのか不思議でなりません、アメリカ人の嫉妬か!?w
そしてソレが今日の日本で観られる、というのですからこの機会を逃すことは無いでしょう
ジブリが長篇制作から撤退し、ディズニーが2Dを放棄した今、この作品を越えるアニメ映画などこの世に無いのです
是非この映画を観てあなたも、歴史的傑作の誕生を目撃した【生き証人】となって欲しいです

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

心に響く妖精のうた

カートゥーンサルーン制作。

ブレンダンとケルズの秘密では、
アイルランドの風土、風習、伝統を、
文学的に描いてみせたトムムーア監督。
こちらは古くから伝わる神話をモチーフに、
家族の普遍的なあり方を伝える、
珠玉のファンタジー、感動作であります。

海辺の灯台の家で父と母と暮らす幼いベン、
もうすぐ生まれてくる赤ん坊を楽しみにしている。
大好きな母は物知りで不思議な物語を教えてくれる。
伝説の巨人、フクロウの魔女、妖精セルキーのうた。
しかし妹が生まれた夜、母は突然、海へと消えた。
海のうたが聞こえる、貝の笛を残して。
母が残したうたを頼りに幼い兄妹の冒険が始まる。

優しくて心に響く物語です。
{netabare}この世が涙で溢れているのなら、
妖精とも手を取り合って自然と向き合う、
可能性はどこにでもあり、道は開かれている。
科学や物理で証明できない不思議な物語ですが、
先人からの大切なメッセージがここにはある。{/netabare}
ケルト民族特有の円の模様、石の文化、
可愛らしいキャラクターと癒しの音楽、
妹シアーシャと愛犬クーがお気に入りです。

物語や音楽に託し人の想いは語り継がれる。
素敵な時間と感動をいただきました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 38

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

灯台に鳴り響く “妖精のうた” アイルランドが舞台のファンタジー映画

最近のアニメ映画の中でも好きな作品。

アイルランドのアニメーター、映画監督のトム・ムーアが送る珠玉のファンタジー・アニメ。

監督の生まれた地、アイルランドの神話を元にしている。

テクスチャを使い、とにかく2D的に平面で表現する事にこだわっています。
立体的に描写しないのに臨場感があり、計算された緻密な美術設定が目を楽しませてくれる。
3Dが主流の時代によくぞここまでのものを創りあげてくれたなと感動しました。

1カットを切り取るだけでも絵画のような美しさで、溢れる工夫や豊かな映像の妙に惚れ惚れする。

1カット毎に語りたいのですが、観てない方の為に自重しますね。

このアニメを語る上で言っておかなくてはならないのが、映像にこだわる以上にストーリーが素敵なのです。
家族愛など普遍的に扱われる題材は多くの人に響くかもしれませんが、悪く言ってしまえば平坦になりがち。
この『Song of the Sea』は普遍的な題材を扱い独自の世界を創り上げています。

キャラクターも可愛らしい見た目とは違い人間的な魅力に溢れていて、ずっと観ていたいと思わせてくれる。ただ心地良いだけではなく癖もあり、その点でも他作品と一線を画していますね。

――忘れてはいけないのが音楽。

Soundtrackは日本で発売していませんが、ダウンロード販売はしています。
世界観にマッチしていて素晴らしかった。テーマソングは各国の吹き替え声優が歌っています。

多くを語らないでただ観て欲しいと思える作品。絶賛なのです。


“ソング・オブ・ザ・シー ~海のうた~”


海外のアニメを観たいなと思った時は是非。 オススメです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 14

68.5 7 2016年夏(7月~9月)アニメランキング7位
ファインディング・ドリー(アニメ映画)

2016年7月16日
★★★★☆ 3.9 (50)
401人が棚に入れました
ドリーの秘密は、≪人間の世界≫に隠されていた。

忘れん坊のドリーが、ただひとつ忘れなかった<家族の思い出>。
その謎を求めて、ニモとドリーの奇跡の冒険が始まる。

声優・キャラクター
室井滋、木梨憲武

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ピクサーが贈る【リマインドムービー】・・・と見せかけてアドベンチャー?

ディズニー・ピクサーの17本目の長篇映画
2003年の『ファインディング・ニモ』の続編でもあります


前作でニモの捜索に一役買ったナンヨウハギのメス、ドリー
健忘症なドリーだったが実は彼女にも家族と帰るべき故郷があった
ふとしたキッカケで両親との思い出を思い出したドリーはいてもたってもいられず両親探しの旅に出てしまう
故郷への手がかりは「カルフォルニアモロ・ベイの宝石」という言葉だけ・・・
記憶を保てないドリーはニモやマーリン、そして海の仲間達の手助けを得ながらも少しずつ記憶を取り戻しては忘れ、を繰り返す
偶然も重なり遂に「カルフォルニアモロ・ベイの宝石」に辿り着いた
が、そこは海の生き物達を保護する目的で人間によって作られた海洋レジャーセンターだった・・・
果たしてドリーの両親は無事なのか?ドリーとの思い出は残っているのか?


前作『ニモ』のセルフオマージュが溢れているものの、基本的に気にしない方が楽しめると思います
と、いうより今作最大の魅力はやはり“記憶を保てないドリーがあらゆる手段を用いて記憶をサルベージしていく”という『メメント』、『ペイチェック』、『ジェイソン・ボーン』シリーズなどと同じ【リマインドムービー】であることです
この手の映画はどれも傑作ばかりですよね
国産アニメだと『東のエデン』とか『僕だけがいない街』とかですかね


大事な手がかりを思い出してはすぐ忘れ、その度に心優しき仲間たちがフォローしてくれる
基本的に悪いヤツが誰も出てこない映画になっています
ドリーと海の仲間達の絆が染み入る一本と言えるでしょう
ただ偶然に偶然が重なって進展してるシークエンスも多々あり、脚本の練り込み不足も感じました
特に最後の方は・・・;
ですので“冒険モノ”としては評価出来ても“リマインドムービー”としてはB級止まりかな、という感じです
『カウボーイ&エイリアン』を観終えた後の気持ちに似ていました(笑)


ドリーを助けるサブキャラ達はみな個性的かつ憎めない愛らしさをもってるのですが、特に足が七本しかないタコのハンクはニモやマーリンを差し置いて準主役級の活躍をみせます
地上を這いまわれる、という彼の万能ぶりは物語の世界を一気に広げた上に、その滑らかな動きやスピーディーな擬態は映像的にも観どころ
海の中の美しい描写が売りだった『ファインディング・ニモ』に対し、今作の映像美はほぼこのハンクの活躍に集中してると言っても差し支えないですね


キャストには吹替版も含めて極力前作と同じ配役が採用されています
ドリー=室井滋
マーリン=木梨憲武
は、もちろんのことですが
子役のアレクサンダー・グードルを使っていたニモ役に新たにヘイデン・ローレンスが起用されたことを受けて、吹替でも新らたなニモ役が菊地慶に交代してます
ちなみに成長したアレクサンダー・グードル自身は脇役として登場するため、彼が演じる役をこれまた前作のニモの吹替を担当していた宮谷恵多が演じる、というところには強い拘りを感じますねw


それと原語版でシガニー・ウィーバーが本人役で登場する海洋レジャーセンターの館内放送ですが、これは日本語版ではなぜか八代亜紀が起用されています
ドリーが館内放送相手に掛け合いを始めるシークエンスで「ありがとう!八代亜紀さん!」と話す様は実に滑稽ですw
八代亜紀は原語版ではsiaが歌っているソウルフルな主題歌のカバーもしています
これに関しては流石の八代亜紀でした
本家のsiaに全く退けを取っていません
ですのでご安心を
こんなに吹替版のエンドロールが心地よいディズニー映画は至極久しぶりな気がしますね(笑)
気のせいですか、そうですか

投稿 : 2024/11/16
♥ : 6

とってなむ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

タコ無双

WOWOWでやってたので視聴。(吹替版)
2003年に公開された「ファインディング・ニモ」の続編になります。
ニモってそんな前だったのか~!
どうりでハッキリとは覚えてないわけだ。
でも観てるうちに、キャラ設定などは思い出せました。

ニモのキャスト変わってたんですね。
個人的には違和感なかったですが、皆さんはどう感じられているのでしょうか。


【簡単なおはなし内容】
ドリーが小さい頃にはぐれてしまった家族を探しにいく、といったものです。



前作との比較は、先ほど申しました通り記憶が明瞭ではないので控えます。
ただ、前作はだいぶ楽しめた気がします。
そして今作はというと、、

面 白 い ! 美 し い !

キャラが活き活きとしてます。
作画はもちろんのこと、ドリーたちがよく動きよく喋るので楽しいです。
ドリーとハンク(タコ)が水族館にあるキッズコーナーのタッチ水槽に入ってしまったシーンや、最後のシーンがお気に入りです。



それにしてもハンクが有能すぎるw
アクションから擬態までお手のもの。
彼がいなかったらこの作品は成り立ちません。
かっこよかった、、惚れる。。

あとはデスティニー(ジンベエザメ)が可愛かったです。
中村アンの演技が地味に素晴らしかった、と思う。
視力悪くて壁にぶつかりまくる彼女に、なぜか萌えた。
見た目はそこまで可愛くはないんですけどねw


ストーリー展開はピクサーらしい、勢いのある内容。
オイ、それは無理があるだろ!などとニヤニヤしながらツッコむのもよし、水流に流される如く駆け抜けるのもよし。
色々な見方がありそうです。
私は前者のほうで、100分なんてあっというまでした。
背景が綺麗で見入ってしまったのも要因のひとつでしょうけど。



このように、なかなか楽しませて頂きました。
癒しと笑いのある素敵な作品です。
この映画は一見の価値アリ。

是非多くの方にドリー、ニモ、マーリン(ニモの父親)など、様々な目線・角度から、水中の世界を体感してみてもらいたいものです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

みんなとの出会いは、計画通りじゃなかった。最もすてきな事は、偶然に起こるものなのよ。

ファインディング・ニモの続編。

ファインディング・ニモに登場した、
なんでもすぐに忘れちゃうドリーが主人公。

ファインディング・ニモを観てから
この作品を観るのをおすすめします。

ドリーのキャラクターをわかっているほうが、
より世界観を楽しめますので^^

90分ほどの作品です。
同時上映作品は「ひな鳥の冒険」(6分)。


● ストーリー
故郷に帰ってきたニモたち。
壮大な冒険から1年が経った。

幼いころから
なんとなく何かを探している気がしているドリー。

それは“家族”だ!と気付いたドリーは、
マーリンとニモと一緒に、両親を探す旅に出た。

手掛かりは“カリフォルニアモロ・ベイの宝石”だ!


幼いドリーが、
家族とはぐれてしまって一人海をさまよう寂しい過去。

前作では能天気なムードメーカーだったけれど、

本作ではドリーというキャラが
より深く掘り下げられています。

忘れっぽいということは、
自分の過去や生い立ちさえも忘れてしまうということ。

今回はそんなドリーの寂しい一面も
たくさん描かれていました。

様々な困難にもめげずに突っ走るドリーの明るい魅力も
たくさん描かれていましたけれど^^

ドリーと両親は再会できるのか…
その結末は必見です!

当たり前のように涙が(´;ω;`)


● キャラクター
ラストまで息つく暇がない大冒険。

今回も海の生き物たちが
たくさん登場します。

タコのハンク、
ジンベエザメのデスティニー、
シロイルカのベイリーなど…。

生き物たちの個性の使い方がうまい!

このキャラ達に触れれば、
海の生物が大好きになること間違いなし!^^

DVDに収録されている解説は
途中までしか観ませんでしたが、

・キャラクター
・観客が物語の世界に入り込めること
・海の世界を忠実に再現

これらをとても大切にして
製作されたことはわかりました。

ドリーというキャラクターを大切にし、
感情移入しながら楽しんでもらうこと。

それは大成功だと思います♪

物語の世界とキャラクターに
どっぷりと惹きつけられました。


● 作画
作画がとても美しい。

表情だけでキャラクターの心情がとても細かく伝わってくるし、
背景は美しいし。

ニモ達が水面に体を出したときの、
ぬめった表面の描き方もリアル。

それ以上に今回私がうなされたのは、
カメラワークの工夫。

スタッフは魚の気持ちになりすぎです!笑

特に印象に残ったシーンは…

◆◇ タッチプール ◆◇

水族館によくあるタッチプール。

人間にペタペタ触られたり、
持ち上げられたり、

生き物にとってはストレスだろうなあというのは、
人間的な目線。

これを魚目線にすると…

次々水中に襲い掛かって来る無数の手。

それはまるで空から無数の爆弾が降ってくるかのよう。

この迫力…恐ろしい。笑


◆◇ ショックを受ける心情表現 ◆◇

両親に会いたい一心で
数々の冒険を乗り越えてきたドリー。

だけど両親に会うことは不可能…。

そう思ったドリーは
ショックのどん底に叩き落されます。

ここからカメラは
ドリー目線に変わります。

ドリーはただショックを受けてしまって、
何も考えられない。

しかしその間にも周りの状況は
急激に動いていく。

対してドリーの心は、
何も考えることができない。

激しい環境の変化と、
停止してしまったドリーの心。
その2つのギャップの描き方がすごい。

観ている人がまるでドリーになったかのように見せるカメラワークは、
何よりも私たちをドリーの心に近づけてくれます。


作画の美しさも当然評価したいけれど、

あれこれと工夫されたアングルや表現方法に
何よりも称賛を送りたいと思いました。

逃げ回ったり、空を飛んだり、
まるでアトラクションを体験しているかのような、

目まぐるしくてスピード感のある作画も、
こちらのドキドキ感をたくさんくすぐりました!


● まとめ
おもしろかったです♪

時間いっぱいいっぱいのストーリーでした。
パンパン。笑

描きたいエピソードが
たくさんあったのでしょうね。

だから最後まで見ごたえ十分。


何でもすぐに忘れちゃうドリー。
それは大きな短所。

大きな短所を持っていても、
それをマイナスに思って引っ込み思案にならず、
堂々と自分らしく振る舞えばいい。

そうすれば、自分らしい何かが、
いつか誰かを助けることにつながるはず。

そして自分も、
どうしようもできない短所を誰かに助けてもらえばいい。

ドリーの姿は物語の登場人物たちを通り抜けて、
大切なことを教えてくれました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 20

68.1 8 2016年夏(7月~9月)アニメランキング8位
アイカツ! ねらわれた魔法のアイカツ!カード(アニメ映画)

2016年8月13日
★★★★★ 4.1 (12)
63人が棚に入れました
「劇場版アイカツスターズ!」の同時上映作品。「アイカツスターズ!」のシリーズ前作として2016年3月までテレビ放送されていたアニメ「アイカツ!」の短編作品。学園ナンバーワンのアイドル「スターライトクイーン」に輝いたあかりを主人公に、いちごが映画を撮ることになるが……。「アイカツ!」2代目主人公・大空あかりや初代主人公の星宮いちごをはじめ、キャラクターが多数登場し、1枚のアイカツ!カードを巡って繰り広げられるドタバタのストーリーが展開する。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

『アイカツ!』が築き上げた3年半を28分に押し込めた最後で最高に“穏やかじゃない”完結篇!人類よ、これがサンライズの底力だ!

2012年秋~2016年冬に至るまでの3年半続いた女児向けアーケードカードゲーム『アイカツ!』のテレビアニメシリーズ
3本目の劇場版にして『アイカツスターズ!』の同時上映短篇
『アイカツスターズ!』と世界観を共有しているかは現時点で謎である為、実質的に無印としては恐らく最後のアニメ作品になると思います


スターライト学園に所属するアイカツ生達の最高峰である「スターライトクイーン」の座についた大空あかりは中学3年生を迎えていた
あかりの憧れの先輩であるトップアイドル星宮いちごは、自らがメガホンを取りあかりを主演にした映画「ねらわれた魔法のアイカツ!カード」を撮影しようと考えていた
が、いざ撮影が始まると魔法のアイカツ!カードが飛び立ってしまうトラブルが起きる
撮影が続いてるものと思い込んでるあかり、スミレ、ひなきはそのままカードを追いかけ始める
これをチャンスと捉えたいちご、あおい、蘭はそのままあかり達を追いかける・・・


遂に最後の無印『アイカツ!』ということでテレビシリーズのアフターストーリーでありつつ、シリーズの産みの親である木村隆一監督、加藤陽一脚本、やぐちひろこ総作監、宮谷里沙作監といったほぼオールスタースタッフがテレビシリーズからそのままスライドしています


そして何より、『アイカツ!』に登場したほぼ全アイドルが劇中に次々と登場するのが嬉しいファンサービスになっています
オイラ自身としてもドリームアカデミーや服部ユウちゃん辺りが登場するまでは想像付きましたが、美ら海ビートアカデミの波照間みなみちゃんとか、地下の太陽こと三ノ輪ヒカリさんまで出てきたのには感激であります


加藤陽一脚本なので当然
「うんうん、それもまたアイカツだね!」
「穏やかじゃない!」
「これってアイカツか?」
「血を吸うわよ!」
「らぶゆ~なのですぅ」
「世界の中心は~ここね☆」
「ニーナちゃんやで~」
「まぶしっ」
など名台詞が一気に駆け抜けていきます


ハッキリ言って全く『アイカツ!』初心者が観ることを許さない映画と言っていいでしょう(笑)


そんな中でも“みやびとここねの結婚式”はネタにしてもやり過ぎですw
アイカツおじさん大歓喜ですよw
さらに『怪盗キッド』パロディや『スターウォーズ』パロディをやったと思いきや、アイドル達が大宇宙をサーカスエフェクトで駆け回るサンライズクオリティバリバリのアクションを魅せたり、やっぱり最後は“コレ”かwと思わず吹き出したのは【お約束の崖上り】
アイドルが寸劇
アイドルがガチバトル
アイドルが崖上り
それが『アイカツ!』なのです!


おいおい忘れちゃいけないw
ちゃんと最後には名曲「アイドル活動!」を3DCGモデルが制作された全キャラが集結して披露
これはまさに劇場の大画面でこそ栄える圧巻のステージ
それをシリーズ最初を飾った曲で魅せるのだから思わず涙すら出ます
一方のエンドロールではシリーズ最後の曲である「START DASH SENSATION」が締め括る
歴史を感じますねぇ


3年半という昨今のアニメ作品としては膨大な時間を時事に沿って丁寧に展開した『アイカツ!』という作品
まさしく2012年からの3年半そのものを描いた歴史の一部分的な一作になったと思います
それをこの短篇が見事に締め括っているのにも拍手


ああwここまでやっておいてスターライト学園の関係者では無い、という理由からなんでしょうが、星宮一家が一切登場しなかったのは少し残念ですかね?w
特にらいち君には“アイドルの匂い”を嗅ぎ付けてモブでも何でもいいので駆けつけて欲しかったかな?w

投稿 : 2024/11/16
♥ : 3

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

総勢25人による華やかなステージシーン

アイカツ本編の完結後、後継作品であるアイカツスターズの劇場版の同時上映作品として公開された短編映画。アイカツの映画としては、「劇場版アイカツ!」、「アイカツ!ミュージックアワード みんなで賞をもらっちゃいまSHOW!」に続く第3作となりますが、放映時間30分弱の短編ということで、雰囲気はOVA的な番外編といった感じ。内容は、大空あかりの主演映画の撮影中に起きるドタバタストーリーとなっていて、アイカツ本編でいうと、第122話「ヴァンパイアミステリー」や第159話「ギャラクシー☆スターライト」のような、何でもありの劇中劇エピソードのノリに近いです。
この作品、主役は大空あかりですが、いちご世代のキャラも総登場するオールスターキャストになっており、出演人数がとても多いので各キャラ一人ひとりの出番は長くはないものの、それぞれの名台詞や持ちネタなども満載で、アイカツファンなら笑えるシーンがたくさんあります。また、脇を固める織姫学園長やジョニー先生の安定感というか、作品内での使い勝手の良さは抜群で、現在放送中のアイカツスターズでは、先生キャラがいまひとつ個性を確立できていないことを考えると、この映画に限らずアイカツが面白かったのには、前記の2人、とりわけジョニー先生の存在は大きかったなあ、と改めて感じます。
そして、この作品の最大の見どころは、なんといっても総勢25人による華やかなステージシーン。楽曲は、アイカツ全体のテーマソングともいうべき「アイドル活動!」です。個人的にはアイカツ完結前に、最終回では全員参加のステージが観れたらいいなあ、なんてことも夢想していたので、こうして実際に観ることができたのはその願いが叶ったようで本当に嬉しかったです。クオリティのほうも文句なしで、曲やダンスを普通に楽しめるのはもちろんですが、ステージ上での25人の立ち位置や並び順も興味深く、間奏でカメラが数人ずつ順番にアップで映していくときなどは、隣り合うキャラ同士の絡みや、その一瞬の決めポーズなど、ほんの数秒単位の映像の中にも本編での数々の思い出が甦ってきたりして、とても感慨深かったです。
作品全体としては、最新鋭のアイカツシステムという便利すぎる設定を使って、次々と舞台を変えながら壮大で荒唐無稽な展開が繰り広げられるストーリーで、あまりのハチャメチャさに作中でも蘭の「これ、アイカツか?」なんて台詞もありますが、観ている側からすると、「まさにこれこそアイカツです」と言いたくなるような、安心の高品質作品でした。やっぱりアイカツは素晴らしいです。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

66.4 9 2016年夏(7月~9月)アニメランキング9位
KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV(アニメ映画)

2016年7月9日
★★★★☆ 3.8 (40)
255人が棚に入れました
神聖なるクリスタルを擁する魔法国家ルシス。クリスタルを我が物にしようとするニフルハイム帝国。二国はあまりにも長い戦いの歴史を続けていた。ルシス国王レギス直属の特殊部隊「王の剣」。ニックス・ウリックら「王の剣」は魔法の力を駆使し、進行してくるニフルハイム軍を辛くも退けていた。

しかし、圧倒的な戦力の前に、レギスは苦渋の決断を余儀なくされる。王子ノクティスとニフルハイム支配下のテネブラエ王女ルーナとの結婚、そして、首都インソムニア以外の領地の放棄―。それぞれの思惑が交錯する中、ニフルハイムの策略により人知を超えた戦場へと変貌したインソムニアで、ニックスはルシス王国の存亡をかけた戦いに向かう。全ては“未来の王”のために。

声優・キャラクター
綾野剛、忽那汐里、磯部勉、山寺宏一、かぬか光明、関智一、藤村歩、飯塚昭三、銀河万丈、藤原啓治、中村悠一、小松史法、高木渉

アトランティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ルナフレーナの声優がゲームと違っていて残念

FF15の映画作品で
時系列としてはゲームの前半
ノクトたちがインソムニアから出てガス欠を起こして停戦調印式破綻からのインソムニア襲撃のラジオを聴くところですね。

あの時インソムニアでは何が起きていたのかが描かれています。

ゲームより映画のほうが先に出ていたみたいですね。
だからゲームの方でここの展開が一瞬だけの訳のわからない描写になっていたのか…

感想としては
見るタイミングはゲームやってからでも、やる前でも、どちらでも
いいかなって思いました。
ゲームに比べてこちらは2時間程度の内容なので僕の中では
ゲームの補完作品っぽい位置づけです。

アニメでここまで素晴らしい映像の映画はそうそうないですね。。
普通に洋画を見ている感じでした。

ルナフレーナの活躍が光っていたので
ゲームをプレイされた方にはぜひ!
と勧めたいのですが……

この映画のルナフレーナ、
声優がゲームと違っていてこっちの方がちょっと棒っぽい…?

できることならゲームと同じ方でやってほしかったです。

作品としてはキャラクターたちも作品の中で完結した動きを見せていて
ゲームにも上手く繋がっていたので評価は高いです。
ただ、本当にルーナの声優だけが残念でした。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 12

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

世界最高の3DCGアニメを作れるスタジオはどこか?ディズニー?イルミネーション?ソニーピクチャーズ?いいえ、スクエニです!

9月発売予定のRPG『FINAL FANTSY XV』の前日譚となる3DCG映画
ゲームのムービースタッフがゲームと全く同じ手法とクオリティで贈る作品です
外国人役者のフェイシャルキャプチャー&モーションキャプチャーによってもはや実写と見間違うほどに鮮明なモデリングとモーション、そして美しい風景を描き出します
ココまで来るともう実写でいいんじゃないかな?w
そう思うほどの映像は【本当の意味で世界最高クオリティのCG】と断言できます


聖なるクリスタルによる保護壁で平和な都市を築き上げた魔法文明、ルシス王国
機械兵器を用いて他国を侵略することで領土を急速に広げてきた軍事国家、ニフルハイム帝国
二国は凄まじい戦いを繰り広げルシス王国領の一つであったテネブラエ国も戦火に巻き込まれた
ニフルハイムの侵略を受けた地から難民として王都にやってきた者達の中には、国王との契約により魔法の力を授かって国王直属の特殊部隊である「王の剣」と呼ばれる戦士として戦う者もいた
主人公ニックスとその仲間達も王の剣の一員として王都出身の者たちから「難民」と蔑まれつつも日々厳しい戦いや任務に従事していたが、戦いは泥沼化していた
しかし突如としてニフルハイムの皇帝から停戦協定が持ち込まれた
唐突な停戦協定には裏があると踏んだルシス国王は、この混乱の隙にテネブラエの令嬢ルナフレーナとルシスの王子ノクティスの婚約を進めるべく使者を送るのだが・・・


ノクティス王子はゲーム本編の主人公なのですが彼の出番はほぼ無く、王子不在のルシス王国の動乱と王の剣の奮闘を描いた物語となっています


前述の通り美しい映像が最大のポイントです
舞台となる王都インソムニアは、摩天楼を縫うような都市高速道路と一緒に古城が立ち並ぶという独特の情景
そこを疾走するアウディR8や空を滑空する飛行艇などメカとファンタジーが同居する構図が面白いです
ロボット兵などを駆使するニフルハイムに対して剣と魔法と体術で戦うルシスという明白に色分けされた世界観も魅力的


戦闘シーンは剣戟、魔法、「シガイ」と呼ばれる召喚獣など『FF』らしいアクションがスケールたっぷりに繰り広げられます
終盤の「光耀の指輪」と呼ばれる王の力が発動する様もカタルシスに溢れていて興奮しました
ただ火花のエフェクトや金属類の反射などで画面がやたらとチカチカする上に、動きが素早い割りにカットがコロコロ変わったりとあまり観易い戦闘シーンとは言えませんでした
この点はスクエニがアニメ屋ではない、映画というものを作りなれていないことが皮肉にも原因なのかなぁ?と思いました
昨今のCGアニメ映画は見得を張るように顔のアップのカットが多すぎですが、本作は逆に動きが早すぎて目で追い切れませんでした


主人公達を窮地に追い込む鎧の敵将軍、グラウカの謎に包まれた正体が最後まで物語を引っ張るなどミステリーの要素は評価したいポイントでした


現地役者のアフレコによる字幕版もあるらしいですがオイラは吹替版を観ました
磯部勉、銀河万丈、山寺宏一、かぬか光明、飯塚昭三、藤原啓治など燻し銀の魅力を放つ、渋い豪華声優陣の演技は聴きどころ
話題作りとしか思えない綾野剛のニックス役への起用については、「これまで声優の仕事を断っていた」と自ら述べる程、綾野自身もプロ声優との実力差は自覚しているようです
かなり無理に、ではありますが綾野と全く体格の違うニックスというキャラクターを、綾野は懸命に演じようという心意気は強く感じました
決して下手とは違います












ヒロイン、ルナフレーナ役に起用された忽那汐里が悲しくなるぐらいヘタクソなんです!
冒頭からあらすじをナレーションするのですが開始数秒でズコーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!って感じですよ!w
本当に酷い!!
本当に勘弁して欲しい!!!
コイツのせいでルナフレーナが喋るたびに物語に没頭していた集中力が削がれる、という地獄のような2時間を味わいました
そもそも忽那汐里といえば杉井キサブロー版『グスコーブドリ』で発狂するかと思うほどヘタクソな芝居をしてくれましたが、4年経っても彼女の声の演技は【1ミリも進歩してませんでした】
忽那汐里の名前はオイラの中で剛力綾芽と共にワースト声優の2TOPとして永遠に記憶されることでしょう
“もう二度と彼女が声優としてクレジットされる日が来ないことを祈るばかりです”
しかもタチが悪いことに、オイラはゲーム版でも同じキャスティングをしてるんだろうな・・・なら仕方ないなぁ・・・と思っていたのに、どうもゲーム版ではルナフレーナ役は北川里奈だそうじゃないですか・・・


どう考えても北川里奈でいいだろオオオオオオオがああああああああああ馬鹿ヤロおおおお!!!!!!!!!!!
余計に憤りを感じてしまいました;


なのでこの映画、声優陣が豪華なのに反して吹替版がオススメが出来ません;
美しい映像、魅力的な世界観、迫力の戦闘、そしてクソ声優忽那汐里・・・
なんなんでしょうか・・・これw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 3
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これは実写・・・?

アニメと一緒にしてはいけないものでしょうね。
一種の芸術作品。技術者の意地が詰まった作品になっていると思います。
正直日本でこのクオリティの作品が出来るなんて思ってもみなかったです。見くびり過ぎでした、ごめんなさい。
製作期間10年は伊達では無いのですね。

映像のクオリティは映画アバターよりも凄いと思いました。

まあ、中には物語の辻褄合わせに急遽作ったキャラなのかなあと思ったクオリティが若干他のキャラと比べて劣るキャラも出てきましたが、本当一部だけでしたね。
まさかうぶ毛まで作り込んでいるとは!驚きました。

一つだけ改善してほしい部分があるとすれば、見せ方の問題かなあ、
タコと戦っているとき物量が大くて、スピード感のある迫力な画面が出来ていたのですが、登場人物をちょいちょい見失ってしまったので、人だけもう少し目立たせられれば分かりやすかったかなあと思いました。

キャラ・声優に関しては、一部を除いてはホント素晴らしく、綾野剛さんは声優初挑戦とは思えないくらい馴染んでいましたね。

物語・音楽は言うことなし!
終始安定したクオリティでKINGSGLAIVEの世界観に浸ることができました。
{netabare}王宮は都庁っぽいなとか、道路標識・ナンバープレートは日本式だなとか、街並みも随分日本だなとか、その割に日本人は全く出てこなかったな…とかそんな背景に隠されたヒントから示唆する国家問題を推測するのも面白いです。{/netabare}

フォトリアル系のCGが嫌いじゃなければ是非見てみて下さい!
普段観ているアニメとは一味も二味も違った楽しみが生まれると思いますよ!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 13

65.4 10 2016年夏(7月~9月)アニメランキング10位
ペット(アニメ映画)

2016年8月11日
★★★★☆ 3.7 (32)
160人が棚に入れました
大好きな飼い主ケイティと不自由ない生活を送っていたマックスの生活は、ケイティが毛むくじゃらの大型犬デュークを保護して連れて帰って来た瞬間から一変!お互いに自分が優位に立とうと奮闘する中で、ある事件をきっかけに2匹は都会という荒野で迷子になってしまう!果たしてマックスたちは、ケイティが帰宅するまでに家に帰ることができるのか…!?

声優・キャラクター
設楽統、日村勇紀、佐藤栞里、永作博美、沢城みゆき、銀河万丈、山寺宏一、中尾隆聖、宮野真守、梶裕貴

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

『トイ・ストーリー』っぽく始まっておきながら・・・?ペットにまつわる悲喜交々を毒っ気たっぷりで送る傑作コメディ!吹替でどうぞ!!

『怪盗グルー』シリーズのイルミネーション・エンターティメントが手掛けた6作目の3DCG長篇映画


ニューヨークに一人暮らしする女性、ケイティに飼われる小型犬のマックス
マックス達が暮らすアパートにはマックスの他にも大小様々なペット達が生活していたが、ペット達は飼い主達が留守の時、実は好き勝手し放題の野放し状態だった
あるものは主人のご馳走を頬張り、あるものは部屋間を勝手に移動し、またあるものは大音量で音楽を流してパーティーを開く・・・
そんな中、飼い主ケイティを心から愛しているマックスの元にケイティが超大型犬のデュークを引き取ってきてしまう
マックスは餌やお気に入りのベットを奪われ立場を追われる
何とかデュークを追い出そうとマックスは姑息な罠でデュークを嵌めようとするのだが・・・


とまあ、ここまでは『トイ・ストーリー』っぽいなと思う方がほとんどだと思います
マックスとデュークは誤ってニューヨークのど真ん中で迷子になってしまい、帰宅する術を助け合いながら模索するのですが、そんな最中に彼らが出会うのが人間から捨てられた「元ペット軍団」を率いるウサギのスノーボール


このスノーボール、見た目に反して凶暴かつクレイジー
『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』の殺人ウサギを思わせつつも、そもそも“snow bunny”ってのはコカイン常習者を表す隠語だそうで(笑)つまりこのスノーボールもそういうキャラとして描かれています
ウサギなのに自分らを捨てた人間への復讐を誓い、「人間を皆殺しにする」と高らかに宣言する様は狂気染みてるのに滑稽で笑いが止まりませんw
こうしたブラックな暗喩、風刺の効いたギャグがてんこ盛りなのが本作の特徴


極めつけは人間の身勝手で都会に連れ込まれ、あげく捨てられた猛獣がマックス達のせいで死んでしまうという描写があることです
ここは大一番の笑いどころなのですが、あまりに酷い目に遭うのでこれを単に可哀想、不謹慎だ、としてしまう人にはあまりこの映画はオススメ出来ない
よく動物愛護だのと掲げて過剰な抗議行動に出る人がこの映画を観たら怒り狂うことでしょう
ちなみに自身も猫を飼ってるオイラから言わせて貰うが、(フィクションでアニメーションであることを前提に)このシークエンスは本当に爆笑モノでした
え!?殺しちゃうのwwwってな具合


犬を飼っていれば経験あるであろうイタズラの数々、猫を飼っていればあるであろう独特の仕草なども丁寧に描かれているので単にペット好きの方が楽しめる内容ではあります
“動物”ではなく、“ペット”を描いてる点が今作のポイントなのです
近々に公開された似たような映画の『ズートピア』の世界には人間がいないので人間に飼いならされた犬や猫は存在しない設定でしたからね
だからむしろ犬、猫が観どころなんです


あと仲間を引き連れて闊歩するマックスの姿にN-Tranceがカバーした「Stayin' Alive」を流すとか誰がどう観ても『サタデー・ナイト・フィーバー』のパロですよ
劇中では北米ヒットチャートを賑わした名曲が次々と流れたり、数々の映画パロディが映し出されます
メインテーマはTaylor Swift、さらにPitbullが流れたと思いきや、Macklemore&Ryan Lewisの「DOWNTOWN」ときた
この辺りは『ミニオンズ』が往年のロックで固めていたので現代のヒットポップスを中心に揃えたという感じでしょう
ある種の音楽映画としても十分楽しめます
ちなみに日本専用に家入レオが楽曲提供したそうですがあくまでイメージソング扱い、ということで映画には一秒たりとも使われてませんのでご安心を(笑)


さらにマックスの失踪にいち早く気付き、仲間を集めてマックス捜索を開始するポメラニアンのギジェットがめちゃくちゃ可愛い(そして強いw)
濃ゅいキャラ達の中で全く埋もれていない存在感を放つヒロインです


そして今作で最も褒め称えたいのが何といっても【日本語吹替版の完成度の高さです】
主役のマックスとデュークの二匹にはお笑いコンビ、バナナマンこと設楽統と日村勇紀
もともと声優経験豊富な二人ではありますが、今回の二匹は二人の為に用意されたのでは?とカンチガイするほどの嵌り役っぷりで諸手を挙げて絶賛したい
さらに脇を固めるのが超豪華声優ばかりでディズニーやポケモンを突き放す勢いです
ヒロインのギジェットに沢城みゆき、発狂ウサギのスノーボールに中尾隆聖、野良猫のオゾンに山寺宏一、仲間達を導く老犬ポップスは銀河万丈といった様に名前だけで痺れてしまうような名優ばかりです


で、これはネタとしてぶっこまれたんでしょうがw
老いて少々病んでる鷹のタイベリアスに宮野真守が起用されてるのに、何故か芝居はチョーさんのモノマネみたいになっているw
さらにモルモットのノーマンは声が甲高く加工されたキャラなのにまさかの梶裕貴であるw
本人も「これ僕じゃなくてもいいんじゃw」と言ってるし、何故に“犬や猫”の映画に“亜人と巨人”を連れてきたのかは意図不明w
こんなんで釣れる客がいるのか疑問ですが、面白かったのでオイラ的には賞賛するしかない


先にも言った通り、あまりにも毒っ気が強いんだけどド直球で笑えて楽しめる作品になってます
ペットと元ペットの争いを描きつつ、普通なら動物は大自然に返した方が伸び伸び生きてけるよ、というオチをつけた方が定番な気もします
『ルドルフとイッパイアッテナ』がそーゆー映画でしたよね
が、この映画の場合、というか今のニューヨークはペットにとっても暮らし易い街になりつつあるそうです
だから結果的に野生よりむしろペットとして生きた方が幸せなんだよ、なんてオチが付いてしまうんですわ
そこが面白い!


一方劇場では洋画パロディや深刻なテーマ性など解るよしも無い小さな子供達も一緒になって大爆笑してました
一見して子供向け・・・などと切り捨ててしまう人には分からないでしょう
ぜひ洒落の分かる人に強く薦めたい映画です

投稿 : 2024/11/16
♥ : 6

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人間が家を空ける昼間、ペットたちはこんなふうに自由に過ごしているのかも…♪

「ミニオンズ」や「SING」の
イルミネーション・エンターテインメントが制作した映画。

2016年公開。
続編は2018年公開予定。

ユニバーサル・スタジオの子会社なのですね、
よく知らなかった(笑)

だからUSJにミニオンパークができたのかしら?
やっと私の中でつながりましたw

90分ほどの作品です。


● ストーリー
舞台はアメリカのマンハッタン。

捨て犬だった小型犬のマックス(♂)は、
ケイティ(♀)に拾われたことで幸せな生活を送っていた。

ある日、ケイティは保健所から大型犬のデューク(♂)を引き取ってきた。

ケイティを独り占めできず、
互いを疎ましく思うマックスとデューク。

散歩に来ていた公園から離れ、
猫に襲われたり保健所に捕まったりしているうちに
どんどん家から離れてしまう。

2匹は家を目指す中で互いのことを理解していくが、
果たして無事に家に帰れるのか…?


飼い主の前では従順なペットたちも、
飼い主が仕事や学校に出かけると自由な時間を過ごす。

その様子がなんとも楽しい^^

登場するペットの種類も多彩。

犬がメインですが、
猫、鳥、モルモット、ウサギ、などなど。

ストーリーの内容は、
そこまで面白いとは思いませんでした。

確かに大冒険しているんだけど、
動物が人間の街を冒険するというのは、
良くも悪くもありきたりになっていますからね。

“ペット”という立場を活かせている設定やシーンは面白かったですが、
(家を集会所にしたり、捨てられた元ペットたちが人間に恨みを抱いていたり、飼い主の愛を感じられる演出など )

それ以外に目新しさを感じることはできませんでした。


● キャラクター&声優
特別目立ったり、個性が強いキャラもあまりいませんでした。

マックス(cv.設楽統)&デューク(cv.日村勇紀)は、
なんとなくいいコンビ感が伝わってきますが、

主人公としては弱いような…。

バナナマンの2人が主演というのは、
話題になった記憶があります。

悪くはありませんでしたが、
やはり本職の声優さんに比べると浮いている感じがしました。

それに対して脇を固める本職の声優さんはさすが、
キャラの良さをよく引き立たせていました。


≪ 印象に残ったキャラクター ≫

◇ギジェット(cv.沢城みゆき)

マックスに好意を寄せるポメラニアンのギジェット。

いい家育ちで世間知らずなお嬢様ですが、
マックスを助けようとするときに発揮する強さが笑えるww

いや~恋する乙女は最強ですw

普段の可愛らしい姿と凶暴な時の怖さのギャップ。
演じ方がさすがでした♪


◇スノーボール(cv.中尾隆聖)

今回サブメインキャラに位置するのが、
“元ペット団”のボス、ウサギのスノーボール。

見た目はかわいいウサギちゃん、
だけど実際は頭のネジが吹っ飛んでいるボスw

こういう悪役と中尾隆聖さんの声のタッグって、
無条件の安定感がありますw


● まとめ
ペットと飼い主の関係には感動もありましたが、
私はペットを飼っていないからか、そこまで感情移入できず^^;

ペットを家族のように大切にしていると、
死んでしまった時に耐えられない自信があるので嫌なのです…。

ペットを飼ってる人とそうでない人とでは、
見方が変わる作品かもしれませんね。

結局人間がきちんと正しく愛してあげれば、
ペットたちは幸せってことも伝えたかったのかしら。

それは人間だって同じだけれどね。
正しく愛がある家は、それだけで幸せなはず。

続編も製作中だそうですが、
あまり期待はしないで待ちます(笑)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 18
ネタバレ

境界線の観測者 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ペットたちの大冒険!!

3Dアニメーション・コメディ映画。

3Dアニメーションは圧巻の出来栄え。

設定は誰もが考えたことがある様なありきたりなもの。
ストーリー構成もそこまで目新しさもなく面白みもない。

よくも悪くもありきたり。

アクションシーンがぶっ飛んでいて笑うというよりも唖然として呆れてしまう。

飼い主の不在中に「実はペットたちは……」というテーマから
激しく逸脱し一気に創作物とはいえリアリティを欠く。
超えてはならないラインを超えると面白さが薄れていくいい例だろう。

凡作も凡作である。
手にする機会があっても一度考えてみてほしい。

あなたは45点の作品を見たいと思うかどうか。
あたりでもはずれでもない本作品を見る価値を貴方は見いだせるだろうか。



自分用メモ

{netabare}

与えられた「名前」を素直に受け入れているのは
世界観からしてなんだか妙な気がする

小さくて愛らしい動物ほど凶暴 のテンプレは廃れろ

マリオカートかな

3DCGで食べ物が美味しそうに描写できるようになるのはいつになるのか
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 1

65.1 11 2016年夏(7月~9月)アニメランキング11位
ONE PIECE FILM GOLD(アニメ映画)

2016年7月23日
★★★★☆ 3.8 (85)
443人が棚に入れました
新世界で冒険を続ける麦わらの一味が上陸したのは、世界最大のエンターテインメントシティと称される「グラン・テゾーロ」。そこはこの世のものとは思えないほどの華やかな空間で日夜ショーやアトラクションで賑わい、世界中の名立たる海賊、海兵、大富豪が集う世界政府公認の「独立国家」であった。

ルフィたちの前に現れたのは船の主にして世界政府をも動かす権力を持つ“黄金帝”ギルド・テゾーロ。一見豪華絢爛な街の裏ではテゾーロの圧倒的な支配が渦巻いていた。そんな中、世界政府に革命軍をも巻き込むテゾーロの世界を揺るがす野望が動き出し、麦わらの一味にも牙を剥く。


声優・キャラクター
田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、坂本千夏、渡辺菜生子、高木渉、檜山修之、櫻井孝宏

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ルフィにぶつけるに相応しいビックな敵役には観惚れたけどハッキリと『ワンピース』に洋画パロは不要だとわかりました・・・

『ワンピース』の劇場版13作目(中編や3DCG作品を含みます)
尾田栄一郎の制作総指揮の下、新世界篇の完全オリジナルエピソードとして描かれる120分
監督はテレビシリーズ四代目ディレクターの宮元宏彰
脚本はフジテレビ系ドラマの黒岩勉
キャラデザは『ONE PEACE FILM』シリーズ3作全てと『ハピネスチャージプリキュア』の佐藤雅将
音楽は林ゆうき
宮元は劇場版初監督、黒岩はアニメ初執筆という珍しいタッグによる劇場版です
4DX、及びMX4Dでの上映も一部でありましたが今回は通常上映で観ました


世界政府公認(というより黙認)の島ほどの大きさもある超巨大カジノ船、「グラン・テゾーロ」にやってきた麦わら海賊団
名のある彼らは歓迎され、船の中の様々なアトラクションで楽しむ
彼らが派手に立ち回った代償と、賞金首であることも既知の上、支配者ギルド・テゾーロは麦わら海賊団を屈服させようと自ら手を下す
当然、タダではやられまいとするルフィ達だったが、グラン・テゾーロに入った時点で彼らはテゾーロの「ゴルゴルの実」の能力に勝てはしなかった
テゾーロに立ち向かったゾロは身体を金に変えられて人質となってしまい、ルフィ達は撤退を余儀なくされた
船の中の人間達は常に監視され、巨額の借金で首が回らず、永遠に続くテゾーロへの返済の為に全く自由が許されぬ圧政に苦しんでいた
ルフィ達はナミの昔の泥棒仲間で、浅からぬ因縁を持つカリーナの協力を得ながら逆転のチャンスを掴むべくテゾーロのアジトに潜入する・・・


ならず者VSカジノの支配者・・・これ完全に『オーシャンズ11』ですよね
この他にも『チキチキマシン』だか『キャノンボール』だか『デスレース』だかっぽいものが・・・レースのシークエンスは世界観描写としては尺長すぎる、全然メインじゃないのに;
(言われて気付きましたがこのレースシークエンスは完全に4Dの為の仕掛けだった様です;4Dで観た方が良さそうですね・・・)
それとルフィとフランキーのアジト潜入&罠からの脱出は『ミッション:インポッシブル』ですね
監視されてるって説明されてる世界で、ド派手に大立ち回りはどう考えてもオカシイ
ハッキリ言ってオマージュとしてはどれも中途半端であんま面白くなかったです・・・;
それに『ワンピース』ファンは別に洋画パロディとか求めてないと思います


サブキャラも多過ぎ
テゾーロの幹部、テゾーロに支配される市井の人々、ルフィ達と利害が一致して協力してくれるテゾーロに騙された者達・・・
さらにそれとは別にCP-0や革命軍も暗躍する・・・
折角の劇場版なので詰め込みたいしファンへのサービスも忘れたくない、って建前なのはわかるけど全くといって消化仕切れてないです
レイズマックスさんが革命軍の兵士だ、っていう設定パンフ読んではじめて知ったわ
劇中ではそんな描写無いのにね


テゾーロに騙された麦わら海賊団が、テゾーロを一泡吹かす
という終盤の展開は全然頭脳戦でもなんでもなく、最後は力推しじゃねぇかよ
ラストは熱いバトルで締めるってのだけは変わらずやるんですから、変にズル賢いとこ見せました!ってのは本当にいらなかったです
もうハッキリと今回の劇場版の脚本は“最悪”だったのではないのでしょうか?


逆に評価したいのはテゾーロというボスキャラ
もはや麦わら海賊団と対等に渡り合う敵役といえば、七武海とか四皇とかそーゆークラスになっちゃうわけです
前作のゼットがそーゆーキャラでしたよね
けど全くのオリジナルキャラでありつつギア3のルフィとすら互角に渡り合えるテゾーロの実力
そして、彼の若かりし頃がうっすらとルフィと重なることでテゾーロにもルフィのような野心があったことを匂わせる描写
このテゾーロの過去はホント一瞬しかないので変な洋画パロディとか、多すぎるサブキャラの心情とかやるぐらいなら、もっとじっくりやるべきだったと感じましたね
ともかくテゾーロの圧倒的な強さは本作最大の魅力だと言えます


それとテゾーロとカリーナが序盤で魅せる歌と踊りのショウ(レビュウ)は作画とCGが調和していてクオリティ高い
たぶんCGガイドかロトスコですかね


あと本作では通常では考えられないほどのゲスト声優が出演しています
前述の通り、サブキャラが多すぎるのが原因ですが、配役に関しては案外悪くない
山路和弘、浜田岳、菜々緒、ケンドーコバヤシ、北大路欣也、竹中直人、古田新太、コロッケ、三村マサカズ、オカリナ、ナダル、三宅アナ、小栗旬、あとnon-noとかSeventeenとか出身のモデル女優が4人と成田凌
よくもまあここまで集めましたね
でも各々の演技はとても素晴らしいものに仕上がっていたと思います









満島ひかりを除いては、ですけどね
満島ひかりは物語の鍵を握る重要人物、カリーナ役でセリフも多い
ナミの旧友ってことで絡みも多い
ですがこいつの芝居はとても褒められたものでは無かったです;
他の方々が良かっただけにカリーナだけ浮くわ浮くわw
声が出てないどころか真面目な芝居を求められるところで声が笑ってるし、笑いの芝居の部分で声が笑ってない
正直オイラにはフォローが出来るレベルの芝居ではありませんでした;


良い部分が目立ったにも関わらず、お話にしても声優にしても駄目な部分は徹底的に駄目な映画でした
120分という長尺使ってコレなのですから無駄尺だったと言わざるを得ません


ああ、GRIM SPANKYのカッコイイ主題歌はラストを爽やかに締め括ったので観終えた後の気分は案外悪く無かったですけどねw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 5
ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

怒りの矛先が謎

やー、期待がでかかっただけにガッカリだった。前作の「Z」のほうがスケールも大きくて熱かったのは間違いない。
{netabare}
ツッコミ所も結構あった。特に潜入シーンのあたりはひどい。潜入のための服装チェンジとか何の意味があったのか。

デゾーロがルフィたちを襲ってきた理由や、闘う理由にいまいちパンチがないから全体的に締まらない感じになっている。
まず、ルフィたちがカジノに来る理由でもあれば良かったけど、偶然立ち寄って、喧嘩売られたんで返り討ちにしましたってストーリーだからなぁ。
ルフィたちが何に対して怒ってるのかよくわからなかった。
スケールを大きく見せようとして、CP0や革命軍を申し訳程度に登場させてはいるが、なぜ革命軍がいたのかも説明されることはなかった。

デゾーロがあんまりカッコよくないのもダメ。能力も良くわからない。金を扱えるのは分かるけど、ビーム放ったり爆発させたりするのはなんなのか。
前作のゼットさんがすごくかっこよかっただけにデゾーロの小物感が際立ってしまった。

良かったのはナミとカリーナの友情。ナミはかっこいいし、カリーナはかわいかった。
OPの映像も素晴らしかったのだが、むしろアクションはそこがピークだった。

総合するとかなりガッカリさせられた作品だった。こちらも金を払ってプロの仕事を期待して映画館に足を運ぶ訳だから、この程度の脚本でもって安易に国民的アニメを映画化なんてしないで欲しい。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 5

アヤコ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

個人的には金無駄にした感じ。

良かった点

◉初回限定の特典が設定画とトランプとは豪華。ファンなら喉から手が出るくらい欲しいと思う。
◉キャラクターの衣装替えはやはりセンスがあってオシャレ!ロビンのドレスがかっちょセクシーだった。

◉盛り上がるところがわかりやすい。

悪かった点

◉話があまりにも薄っぺらすぎて、時間を無駄にした感じが否めない。子供向けアニメでももっと為になる深い話するよ。

◉つまらない展開につまらない登場人物。
無理やり泣かせにくる悪役の過去。
もう少しヒネれないのかという感じ。
悪役が実はいい奴だった、っていう説明ならするならするで、ちゃんとした説明をしてほしい。

◉映画のくせに大してすげえええ!ってなる作画ではなかった。
話が微妙なせいなのだろうか…。
ごめんねスタッフさん。
正直な感想なんだ。

◉いらない登場人物が多すぎると思う。
声優は別に良いとも思わなかった。
でも、使うなら上手い人を選んでほしい。
声優にあわせてつくっただけのキャラクターなんて視聴者は求めてない。


総評

特典をもらう為にお金を払った感じ。
ゾロがつかまったくだりも、ただの適当につけた動機というのがとても悲しい。
話がうすぺらすぎて、呆れるくらい。
家族で子供がワンピース好きなら一緒に観たら?というしかない。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4

65.1 11 2016年夏(7月~9月)アニメランキング11位
弱虫ペダル SPARE BIKE(アニメ映画)

2016年9月9日
★★★★☆ 3.8 (32)
252人が棚に入れました
弱虫ペダル」の現3年生の過去の物語を描くスピンオフシリーズ「弱虫ペダル SPARE BIKE(スペアバイク)」のアニメ映像化

声優・キャラクター
森久保祥太郎、諏訪部順一、安元洋貴、伊藤健太郎、山下大輝、鳥海浩輔、福島潤、諏訪彩花、柿原徹也、前野智昭、吉野裕行、日野聡、阿部敦、代永翼、阪口大助
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

スペアバイク

予告通り巻島と藤堂の過去メインのお話です。
前回の熊本レースは弱虫ペダルにしては真面目なお祭りアニメでしたが、今回のスペアバイクはいつもの、テレビアニメのノリの、いつもよりも少しだけレアな物語をご覧頂けるでしょう。
劇場の雰囲気も適度に緩くて想像していた以上の満足感が得られました。

ここからネタバレです
{netabare}
本編は全3話とアラキタくんミニストーリー+アラキタくんアイキャッチの構成になっています。
過去の話は3話とも現在の登場人物との日常会話から、過去を振り返るという形をとっております。現在の時にお馴染みのキャラも登場しますが、基本的には過去のキャラメインなので、巻島と藤堂以外の人気キャラの登場は期待しないでください。
ちなみに、ポスターに描かれた謎の人物は登場していません。

1話
巻島が入学後、隠れて特殊なダンシング走行を練習する、本編でも触れられた話を深く突っ込んだ話になります。
ショっ端から巻島節全開の「春ショ〜うららショ〜ショショショショショ♩」で快く静かに笑わせて頂きました。
神崎兄は既に車乗りでしたので、結構早い段階で自転車に乗るのを止めてしまったようですね。

2話
藤堂が自転車レースに出るきっかけとなった中学の出来事になります。
過去の話の中で登場する主な人物は藤堂君と、その友達の糸川君と、当時の箱学の女子マネさんの三人のみ。
糸川君の声(阪口大助さん)が尽八くんと呼ぶ声が、新八と被って不思議な気持ちになりました。
現在パートでは安定の泉田君アブが輝いていました。
結局糸川君は今何をしているのかな?気になりますね。

3話
激しい乗り方で愛車を壊してしまった巻島が立ち直るまでの話です。
隠れて練習して、自分の走りを認めさせた巻島さんですが、最大の壁は以外にも違うところにあったんですね。

それいけアラキタくん
リーゼント時代の荒北くんが猫と触れ合うシリーズです。
なかなか懐かない猫に対し、リーゼントの事を尻尾だ!人間の尻尾は頭についているんだ!と力説する姿が何とも可愛らしいです。


尽八くんと巻島さんの絡みは残念ながらありませんでしたが、いつも通りキャラ出し全開のギャグ+レース展開で凄く面白かったです。{/netabare}
2週間と短い上映期間ですが、弱ペダファン、特に巻島&藤堂が好きな人にはとっておきのストーリーとなっています。おすすめです!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

今日の9月9日から23日まで二週間限定上映。ペダルファンは急げ・・!

弱虫ペダル SPARE BIKE
上映時間が60分と短め。スピンオフです。

巻島裕介先輩の壁の穴の理由とあの独特な”登り”をキメるまでと、
東堂尽八先輩のおしゃれファッションとカチューシャの秘密についての2本立て。
”それいけアラキタくん”の荒北先輩の(なんてことない)日常が拝めます。

昨日、ネットで「最近のアニメのコラボカフェないかな~」と検索したところ、
「カフェ&バー キャラクロ feat.弱虫ペダル」が秋葉原にオープンしていたそうで、説明箇所を見ると横に「SPARE BIKE」と書いてあり、なんだそれは・・と思い、調べるとスピンオフの上映があると知り、
普段OVAや番外編はレンタル待つことが多いですが、あにこれのページを見ると
誰も棚に入れていない、レビューもタグもない状態だったので、これは見たいな~!と、仕事帰りの午後休に行ってきました。

上映時間が60分と短いので、特別料金。
私のよく行く劇場では1800円のところ1500円でした。
客層は女性7;男性3の割合。お友達同士やカップルもそこそこいて、
初日なのか、調べると一回目の上映からほぼ満席。平日の朝から皆何やってるんだ・・(笑)と、思いました。

入場者プレゼントで缶バッチ貰えると知らず、期待せずに早速開けてみると、
なんと中は・・私のお気に入りキャラの・・地味ながら御堂筋くんを支える京伏の石垣くん!!!(推しキャラについて誰も聞いてないって?そんなの良いんだよ・・←)受付のお姉さま、本当にありがとう・・泣\(^^)/

席は女性に挟まれたほぼ真ん中の席で見やすく、映画版だから作画もクリア・・っ
特に石垣くんを大スクリーンで(ほんの一瞬だったけどw)観れて満足です。

内容は、弱虫ペダル第一期と二期観た方は十分楽しめる番外編でした。
作中で少し触れた部分を回想たっぷりに観ることができて、巻島先輩と東堂先輩の魅力がたっぷり伝わりました。
中には思わず吹き出しそうになるシーンもありまして(特に東堂偏)、私の席の両サイドはじめ一列がこらえきれず、ふふっ・・としていました。

まだ未見の方には厳しい内容かもしれません。
劇場まで行くの面倒な方や、惰性で観ていた方はオススメしませんが、
アニメ1期2期共に夢中で観てた方や、巻島、東堂先輩の今に至るまでの昔の話が観たい方にはオススメします。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 19

65.1 11 2016年夏(7月~9月)アニメランキング11位
黒子のバスケ ウインターカップ総集編 ~影と光~(アニメ映画)

2016年9月3日
★★★★☆ 3.7 (20)
130人が棚に入れました
アニメ『黒子のバスケ』劇場版プロジェクトの第1弾。

声優・キャラクター
小野賢章、小野友樹、斎藤千和、細谷佳正、浜田賢二、野島裕史、諏訪部順一、中井和哉、折笠富美子、木村良平、小野大輔、鈴村健一、神谷浩史

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

初めて黒バスを面白いと思えた

これまで黒バスはどこが面白いのか全くわからなかった。
原作は1巻読んで面白いと思わなかったから読むのを辞めたし、アニメも特に見所が無く3話で切った。
スポーツという要素が好きでは無いのと、
キャラが天才バスケットプレイヤーという肩書きを付けただけの普通の人間像で面白みを感じないのがはまらなかった理由だと思う。

人気が出て、各所で話題になり始めても、腐女子が暴走しているだけだろうと思っていたが、影と光を観て考えが変わった。

バスケシーンがかっこいい。これに尽きる。
躍動感、スピード感、迫力、焦り、緊張などスポーツアニメにあって欲しい映像演出がテレビアニメのクオリティでここまで表現できるとは。

ちなみに、IGの人気スポーツアニメの総集編といえば、ハイキューも同じようにを視聴したが、総集編としての物語の繋がりの良さやテンポ感はハイキューより良かった。

テレビアニメ本編が75話とかなりボリュームがあって手を出しにくかったこともあり、名場面を集めた総集編は有り難い。
入り口にするもよし、名場面集とするのもよし。良い企画だと思った。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 5

65.0 14 2016年夏(7月~9月)アニメランキング14位
ソーセージ・パーティー(アニメ映画)

2016年8月12日
★★★★☆ 3.8 (12)
74人が棚に入れました
食材たちは選ばれ、買われることを夢見て毎日陳列されている。きっと外の世界は「楽園」に違いないと。ソーセージのフランクは、パンで恋人のブレンダと結ばれ(合体♥し)ホットドッグになる運命だと信じている。ついに夢が叶う日が! 二人揃ってお客様がカートに! しかしテンションMAXではしゃぐ二人を乗せたカートにアクシデントが発生し、スーパーマーケットに取り残されてしまう。夢に破れ絶望するフランクとブレンダだが、実は命拾いしたことに気付く…なぜなら彼らは“食材”だからだ。「食われてタマるか!」 運命に逆う彼らの闘いがはじまる!

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

おバカアメリカンジョークアニメ

スーパーバッドのセスローゲンが贈る、至極下品で悪趣味としか思えないパロディアニメ映画。

18禁なのもうなずける、完全にアダルトでブラックで大人げないジョークを繰り広げるので、受け取る観客もこのノリに乗れるのか、それとも引いてしまうのかで評価は真っ二つに分かれるであろう。

まるで日本のアダルトアニメやゲームのごとく、理想の世界を汚していく。

元ネタはピクサーのファインディングニモやトイストーリーやカーズといった非人物のファンタジーを下敷きにし、今回は「食料品の擬人化」というノリだが、
ソーセージが男、それを「はさむ」パンを女とあからさまな性的比喩はここでドン引きしてしまう人は見ないほうがいいだろう。

映画ラストではまさかまさかの食料品達による「○○パーティー」まであるのでえげつなさ満載である。

ディズニーやピクサーと違って、なんの教訓も教えもないただただ悪趣味の映画だが、ちょっと皮肉ったアニメが観たい人、いわゆる健全なアニメに飽きた人には結構楽しめる映画だと思う。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 9

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ソーセージ・パーティー←これ

R+15のアメリカ産CGアニメです。
内容は人間による捕食の恐怖に怯える食材たちの壮絶奮闘記というところでしょうか。
スーパーマーケットの外に出て現実を知った食材達は、辛くも人の手を逃げてスーパーマーケットへ戻ります。そして、スーパーマーケットに伝わる外界楽園神話を否定し、食材に自由を与えようと試みますが、スーパーから出たことのない食材たちは、そんな話は嘘だろう、と耳を貸すことをしないのです。

主人公はパンとの合体(ホットドッグ)になることを夢見る、ソーセージ(ウインナー)
そして、太くて短いソーセージ(ウインナー)、主人公と両想いであった美しいパン、パンを狙うドーナッツ、パンの美しさに憧れるサルサ生地等、個性豊かな仲間たちが周りを固めます。

主人公たちは食材の楽園を目指して、人間の世界を冒険します。


――と、このように書くと、しっかりしたストーリーがあるような気がしてきますが、この作品の見所は、どうしようもないくらいの下ネタですから、くだらない下ネタでゲラゲラ笑える人向けの作品ということになります。

食材の捕食、瓶割れのシーン等、一部グロいシーンもありますが、PV以上のグロさは無いので、そちらが耐えられれば視聴前に覚悟をする程ではないかなと思いました。


これほど、ポップコーンバケツを抱えながら、笑えて、満足感のあるアニメもないので、一人じゃなくて大勢で観たいのですが、内容的に、気軽に人を誘えるアニメじゃないところがもどかしいですね。
信頼できるパートナーと話のタネに観るというのがベストかな…

刺激を求めたい方にお勧めしたいアニメでした。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

64.8 15 2016年夏(7月~9月)アニメランキング15位
ポケモン・ザ・ムービー XY&Z ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ(アニメ映画)

2016年7月16日
★★★★☆ 3.7 (20)
98人が棚に入れました
旅をするサトシたちの前に、空から突然大きなポケモンが降ってきた!落下の衝撃で土煙­が舞う中あらわれたのは、幻のポケモン・ボルケニオン。人里離れた「ネーベル高原」で­、人間に傷つけられたポケモンたちと共に暮らすボルケニオンは、実は人間たちのことが­大嫌い。サトシたちをよそに急いで立ち去ろうとするボルケニオンだが、なぜかサトシまで一緒に­引っ張られてしまう。駆け出すボルケニオンと引きずられるサトシ。なんと二人は不思議­な鎖で、いつのまにか繋がってしまっていたのだ! これでは離れたくても離れられない。仕方なくボルケニオンは衝突してばかりのサトシを­引きずりながら「アゾット王国」を目指して走り始めた。一方で、巨大な歯車がまわり続ける超カラクリ都市・アゾット王国の大臣ジャービスは、­長年探し求めていた究極の発明を手に入れていた。それは500年前に王国で生み出され­、行方不明となっていた人造ポケモン・マギアナと、そのマギアナに宿るといわれる「ソ­ウルハート」という未知なる力。ジャービスはその力を利用して、王国を支配しようとた­くらみ、ボルケニオンは、ネーベル高原から連れ去られたマギアナを取り戻そうとしてい­たのだ!「やっぱり人間は許せねえ!」はたして繋がれたままのサトシとボルケニオンは、力を合わせ、マギアナを助け出すこと­ができるのか? そして「ソウルハート」に秘められた、本当の力とは? 今、ポケモン史上最も熱いバトルが始まる!

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

マギアナの可愛さはシリーズ屈指!シナリオの迷走もシリーズ屈指?

アニメ『ポケットモンスター』シリーズ劇場版、『ポケモン・ザ・ムービー』第19作
『XY』シリーズとしては3本目、『XY&Z』としては初作品
同時上映は無し


突然空から降ってきたポケモン、ボルケニオンと鎖で繋がれてしまったサトシ
異常に人間嫌いなボルケニオンに徹底的に痛めつけられつつもめげないサトシは、ボルケニオンに無理矢理に超カラクリ都市アゾット王国へ連れて来られ、そこで魂を宿したカラクリ人形のマギアナと出会う
マギアナにはアゾット王国に隠された超兵器の鍵が隠されており、マギアナの恐ろしい秘密を隠し守り抜こうとしているのがボルケニオンだった
ボルケニオンは人間に捨てられたポケモン達を積極的に受け入れ、ネーベル高原に集めてマギアナと共にひっそりと暮らしたいだけだったのだ
アゾット王国の王子ラケルは王国と断絶してしまったマギアナとの和解を求めていたが、その影にはポケモンを道具としかみなさない冷酷な大臣、ジャービスが糸を操っていた
ラケルを止めるべく実の姉キミアとドサクサに紛れたロケット団も加わり、マギアナをめぐる動乱がネーベル高原を襲う・・・


とにかく今作の観どころはからくりポケモン、マギアナの可愛さにあると言って良いでしょう
ディアンシーの時もそうでしたが、マギアナは明白に【女の子】として描写されます
見た目からしてもそうなのですが、お洒落を楽しんだりサトシとシトロンに「重い」と言われて恥ずかしがったり、と自然に可愛い女の子として描かれてるんです
人語を介すポケモンでは無いのですが寺崎裕香の声色の芝居と相まってとても可愛らしいキャラに仕上がってます
セレナとユリーカが活躍しないこと、後述するキミアの魅力が皆無に等しいことも相まって“ヒロインは完全にマギアナ”ですね
これを必至に守り抜かんとするボルケニオンはまるで“ナイト”です
この二体の尊い関係性は良かったです


アゾット王国はクロックパンク的なカラクリ都市として描かれるので、その対比として北海道の大自然をモチーフにしたネーベル高原が人間と断絶したポケモン達の桃源郷として登場します
ネーベル高原は美しく描かれてますが、逆にカラクリ都市もめっちゃエコ?なんですよ
もっと自然破壊してそうな街として描いたほうが対比になったのでは?と思います
『裂空の訪問者』のラルースシティとかそんな感じでしたよね
「科学の力ってスゲー!」とテレビシリーズのお約束ネタは回収していただけましたが(笑)


中盤ではマギアナの魂を奪う、というシリーズでは希少な“死”の描写があります
ここはニャースの鬼気迫る状況説明のセリフと合わせて素直に泣けたのですが、間髪入れず「魂を戻せば元通り」などと言われてしまうのですぐ白けてしまいましたね


終盤でボルケニオンが皆の危機を救うため自爆を決める、というのも「やる必要無い」って説明してるのに自爆しちゃうんだから矛盾しかない
どうしても自爆させたいんなら説明要らないですよね
マギアナに次いでボルケニオンまで失ってしまったサトシ達は悲しみにくれるも、すぐ復活しちゃうボルケニオンに余韻は台無し・・・;


ボルケニオンという強力なポケモンを主役級に配しておきながら、バトルシークエンスで一番美味しいところを持っていったのがジガルデってのはファンサービスのつもりなんでしょうかね?
普段のテレビシリーズの作画が良いだけあってバトルの迫力は並程度ですかね
(知らん人の為に言っておきますがテレビシリーズ『ポケモン』は矢嶋哲生監督になってから日本一の作画アニメになってます)


トドメは声優
ボルケニオンの市川染五郎、ラケル王子の中川翔子、(ちょい役だけど)オニゴーリのあばれる君、は皆かなりイイ味出してました
でもキミア王女役の松岡茉優がド下手;
しかも設定説明はボルケニオンがしてるのでこのキミアってキャラは本当に必要?って疑問すら残りました
ラケルを改心させる為にキミアを配したのでしょうが、キミアとラケルは和解出来ましたがラケルが本当に和解しなければならないのはマギアナ、或いはボルケニオンのはずなのでは?
あとキミアの側近のフラメルさん可愛すぎでしょw
力を入れるトコロがおかしいw


なんなんでしょうこの映画;
YUKIが歌うエンドロールの曲とか悪くなかったです
これまでも『ポケモン・ザ・ムービー』の中には単調でつまらなかった作品が多々ありました
が、今作は逆に良いところを相殺するように突っ込みどころが多く、結果的にシリーズ屈指の迷作となったと思いますね;

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ツッコむところは多いけど面白かったー

山ちゃんは何故あの谷を狙っていたの?
ボルケニオンは何故人間を嫌っているの?
電磁パルス発生装置でガッチリホールドされているはずのサトシはどうやって着替えているの?

細けえ事は良いのさ

強引に物語を進めた印象はあったものの、全体の雰囲気は良かったですね。

雰囲気ですか?普段のテレビアニメのノリなのですが、ボルケニオンは熊鉄みたいに熱くてガサツで、マギアナとのやり取りが可愛かったです。
映画としては物足りない感じもしますが、気負い過ぎていない感じが逆に良いです。
テーマでさりげなく、厳選トレーナーへの問題提起をしていた所が印象的でした。

まさか、初見では何コレと思っていたマギアナが、あんなに可愛く見えるとは予想外でしたね。
マギアナとボルケニオンさん、末長くお幸せに。
ニャースがヒロインしていたことや、プニちゃんが、ロボになって活躍していた所も面白く、フーパに続いて上映時間の半分をにやにやする現象に苛まれました。

作画は最近のテレビアニメがかなり頑張っている事もあって、アニメと変わらないレベルでしたが、来年は20作目なのできっとすごいものを作ってくれるんでしょうね。
期待しておきましょう。

ユキさんの主題歌、久しぶりにポケモンの主題歌で良いなと思えました。

余談
11月にはマギアナ量産型が手に入るのかー

投稿 : 2024/11/16
♥ : 3

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

タイトルなし

旅をするサトシたちの前に、空から突然大きなポケモンが降ってきた!それは幻のポケモン・ボルケニオン。人間に傷つけられたポケモンたちと暮らすボルケニオンは、人間たちのことが大嫌い。急いで立ち去ろうとするボルケニオンだが、なぜかサトシまでいっしょに引っ張られてしまう。ふたりは不思議な鎖で繋がってしまったのだ! 仕方なくボルケニオンはサトシを引きずりながら、「アゾット王国」を目指して走り始めた。一方、アゾット王国の大臣ジャービスは、人造ポケモン・マギアナと、マギアナに宿るといわれる「ソウルハート」という未知なる力を手に入れていた。ジャービスはその力を利用して、王国を支配しようとたくらみ、ボルケニオンはマギアナを取り戻そうとしていたのだ!はたしてサトシとボルケニオンは、マギアナを助け出すことができるのか? 「ソウルハート」に秘められた、本当の力とは? 今、ポケモン史上最も熱いバトルが始まる!

見ていてボルケニオーーン!!ってなった作品。
あとマギアナがなんか癖になりそうな可愛さ。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 0

64.7 16 2016年夏(7月~9月)アニメランキング16位
魔法使いの嫁 星待つひと 前篇(アニメ映画)

2016年8月13日
★★★★☆ 3.6 (135)
573人が棚に入れました
羽鳥チセ15歳。身寄りも、希望も、生きる術も、何一つ持たぬ彼女を金で買ったのは、悠久の時と寄添うヒト為らざる魔法使いだった――。彼に『弟子』として、そして『花嫁』として招き入れられた時、少女の中で停まっていた針がゆっくりと動き始めてゆく……。

声優・キャラクター
種﨑敦美、竹内良太、内山昂輝、遠藤綾
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

魔法使いの日常

WIT STUDIO制作、本編の前日譚。

どこか暖かい幻想的な光景、
森の中の洋館、そこは不思議な図書館。
人間と人ならざるもの達の交流、
古書の隙間に挟まってる妖精、
部屋の掃除を手伝ってくれる妖精、
こういうさりげない世界観・設定が好きです。
すぐそばに息づいている空想住人の世界。

本編の舞台は英国、
ハリーポッターとアリエッティの世界。

羽鳥智世15歳、
{netabare}幼い頃から人ならざるものが見え、
孤独に虐げられ生きてきた少女。
異形の魔法使いエリアスと出逢い、
魔法使いになる為、目下修行中である。{/netabare}
エリアス家の家事妖精のシルキーがかわいい。

魔法世界の設定が細かく、
昨今の魔法使いものとは一線を画す作品。
どこか格式高い芸術作品のようです。

これは世界の美しさを識る為の物語。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 54
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アニメになる事で完成された世界

8月13日から始まった2週間限定上映を観てきました!

ヒロインのチセちゃんのこれまでを描いたアニメオリジナルストーリーです。
前篇・中篇・後編の前篇。
制作はWITSTUDIO、進撃の巨人やカバネリ、死者の帝国に代表される作品づくりにに対してとても真摯的なところですね。

今迄観てきた作品は、凄いなーと思うものの、グッとくる要素が無かったのですが、今回の魔法使いの嫁は原作を読んでいて、物足りないぞ…(′・ω・`)と思ったところをグッと深みを出してくれたので良かったです。

上映時間は本編と作品制作秘話を足して1時間くらい
映画と言われると1000円統一とはいえちょっと物足りないかなぁ…と思いましたが、OAD付きコミックスを買うより安いし、一か月先に観られたので劇場に足を運んだ甲斐はあったかなあと思いました。

以下ネタバレを含んだ感想
{netabare}
ちなみに、まんがーれに書いた漫画版の感想がこちら
{netabare}黒い犬の使い魔とか、魔法使いの悪魔のような容姿とか、人外紳士×女の子という要素は素晴らしいのですが、なにぶん一コマの絵とセリフで語る要素が多く、読み取る力が達者でないと理解出来ません。{/netabare}

そう、原作の物足りない部分というのは、雰囲気重視で話が入らないところにあったのですよねー

上映された制作エピソードでもWITの社長さんが仰っていましたが、アニメにしやすい!したら絶対面白くなる作品ってやっぱりあるものです。
読んで、絵を見るだけでは分からなかったエリアスとチセの関係は声優さんの演技と音楽で、急に場面が飛んだな?と思ったコマとコマの間はプロフェッショナル達による動画とレイアウトとカットの繋ぎでめっちゃわかりやすくなっています。
{/netabare}
これほどアニメ化が功をそうした作品って今迄巡り合えただろうか。と思うほどに面白かったです。
ああ、連続アニメ化か前篇中篇後篇纏めた映画とかでやって欲しい!
すごく良いところで終わってしまって次がでるまで生き殺しです…話覚えてられるかな…
とにかく続きが気になります!早く観たいです!!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 12

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

イギリスファンタンジーに最大限の愛を込めて~グランドPVと一緒にどうぞ!

マッグガーデンとコミックブレイドが発掘した最後で最大の財産、ヤマザキコレのコミックを原作に、コミックでは描かれていないオリジナルエピソードをOAD化、劇場で先行公開する3部作の第1話
30分の本編と関係者インタビューを中心としたメイキングをセットで上映


普通の人には視えないものが視える珍しい魔法的性質を持つ15歳の少女、チセ
孤児だった彼女はイギリスで闇のオークションに出品される
彼女を弟子に、ゆくゆくは嫁として迎え入れようと、頭が牛の頭骨の魔法使い、エリアスはチセを500万ポンドで買い取る
摩訶不思議な魔法の世界で、チセとエリアスと仲間達の異種族婚礼新生活が始まった・・・


まず本編ではチセとエリアスの馴れ初めや世界観の説明は極力省かれています
今作の世界観を把握する為には素直に原作を読んでいただくか、今作に先駆けて原作をダイジェスト的に映像化した【グランドPV(https://www.youtube.com/watch?v=CoCwUzbkfdk)】をご覧いただきたい


原作はイギリスを舞台にしているだけあって、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリーポッター』で描かれるような西洋魔術の世界を緻密な設定で描写しています
これを全て映像化するのはさぞ大変だったことでしょう
背景や小道具や呪文の一語一句に意味がありますから
この膨大な情報量を纏め上げたWit STUDIOと長沼範裕監督には感服です
グランドPVの時点で分かる通り、アホかとおもうほどのハイクオリティです


本編自体は、チセがエインズワース邸にやってくる前、日本での出来事を描くつまりは“過去篇”になっていて原作では描かれていない未知の部分になっています
まあまだ残り2話控えていて、原作コミックスの発売に並行したアニメ作りなので続きがお目見えするまで半年もあり、「待たされる感」は結構なものです;


ただ本編の中でエインズワース邸の朝食と日本でチセが養子として暮らしていた日本の朝食風景が対比的でめちゃくちゃ面白い
駄食文化圏イギリスらしい【クソ不味そうな】朝食を家族で囲んで和やかに取るエインズワース邸
メニュー自体は美味しそうなのに、肩身狭い思いをするチセの圧迫感でわびしく映ってしまう日本の食卓
この、“イギリス食を必死に美味しそうに描く”スタッフの気苦労は計り知れなかったことでしょう(笑)
実際エインズワース邸の食事はジブリ映画並みに食欲をそそりますw
でもきっと実物を目にしたらむしろ胃が痛くなるんでしょうけどw
(だってパンケーキにベーコンのせて上からシロップぶひゃーっですよ?w)


ちなみにシルキーにはほぼセリフがありませんがw上映前のマナーCMで饒舌(?)なところを披露してくれていますw
ファンサービスに徹してくれてますねw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 5

64.3 17 2016年夏(7月~9月)アニメランキング17位
劇場版アイカツスターズ!(アニメ映画)

2016年8月13日
★★★★☆ 3.7 (14)
76人が棚に入れました
四ツ星学園の生徒たちが南の島に旅立ち、「伝説のドレス」をめぐる物語が展開される。

声優・キャラクター
富田美憂、朝井彩加

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夢は見るものじゃ_な_い_叶える_もの_だよ_輝き_たい_衝_動_に_素直で_い_よ_う

女児向けアーケードカードゲーム『アイカツ!』のテレビアニメ新シリーズで2016年春から始まった『アイカツスターズ!』の最初の劇場版
同時上映付きで本編は59分
『アイカツ!』からは一部を除きほぼ全てのスタッフが交代
世界観を前作と共有しているかは現時点では不明ですが、登場人物は総入れ替え
『プリティーリズムDMF』と『プリティーリズムRL』の関係に似ていると言えます
この劇場版の監督はシリーズとも縁の深い綿田慎也


アイドル界を席巻する国民的アイドルユニット「S4」に憧れる中学1年生、虹野ゆめ
S4が所属するアイドル養成の専門校、四つ星学園にこの春から入学したゆめは、同級生のローラ、小春、あこ、真昼ら共に切磋琢磨のアイドルカツドウ~アイカツする日々
ある夏休みの日、四つ星学園が主催する南国の孤島を3日間まるごと貸しきったリゾートイベント、「アイカツ☆アイランド」が始まり、ゆめら一年生もステージやアトラクションに参加する
オフの時間はビーチやアトラクションを楽しむ傍ら、ゆめの一番の親友にして最大のライバルでもあるローラは、一年生二人組ユニットによるS4との共演を掛けたオーディションにゆめと参加するつもりでいた
しかし諸星学園長は、ローラが辞退すればゆめを憧れの先輩であるS4の白鳥ひめとユニットを組ませると告げ、ゆめとローラがコンビを解消するよう仕向ける
ゆめを想うあまりローラは冷たく当たってしまい、衆目の前で喧嘩になってしまう二人
ローラと喧嘩別れしてしたゆめは、島の中で迷子になってしまうが島の住民でありアイドルに憧れる少女、マオリと偶然出会う
マオリはゆめに祖母を紹介したいと自宅に連れて行ってくれるが、そこで島に言い伝わる「伝説のドレス」の真相を聞かされる・・・


テレビシリーズの地が固まる前に映画化、ということで少しキャラの掘り下げが足りてないようにも思いますが、短い時間の中でよくまとまっている映画になっております
『アイカツスターズ!』はおろか、『アイカツ!』シリーズを知らない人が観ても良いと思います


ポイントは無印『アイカツ!』ではお約束と化していた“ステージ衣装を手に入れる為に奮闘する”というお話を描いている点でしょう
無印では一癖も二癖もあるデザイナーとアイドルが師弟関係のようなものを結び、デザイナーの出す無理難題をアイドルが努力と根性で乗り越えた末にやっとドレスが手に入る
というエピソードが各々のキャラに用意されていたんです


ところが『アイカツスターズ!』の最も大きな新要素が「ドレスメイク」といって自分でドレスを改造出来る様になったことなので、ただでさえセルフプロデュースが鉄則の『アイカツ!』においてドレスすらも自分で用意するようになってしまったんです
なので『アイカツスターズ!』には未だデザイナーと呼べる人物が登場していません


それが今回、新シリーズ冒頭での劇場版ってことであまり変わったことはせず、無印と同じやり口で行こうと思ったのでしょう
ゆめの出自に関しては未だ謎が多い為、ゆめとローラのダブルヒロインにしてお話を広げつつ、その上で結果的に物語の鍵になるのが“ドレスを手に入れるか否か”というところに落ち着いているんです


一見すると単純明快なお話です
しかし今後のテレビシリーズ本編への布石とも言うべき描写も見受けられ、単に番外編というわけでは無いのでテレビシリーズを追いかけている方も観逃して欲しくは無いです
ちなみにS4が4人揃ってライブをするのはこの映画が初ですね
ややぎこちなさの残る初々しい一年生のライブシーンとの対比でS4のライブシーンは圧巻です
テレビシリーズED曲として早くも名曲と名高い「episode solo」を劇場のスクリーンで拝めたのは感無量


クライマックスでS4の一人である夜空と、ゆめの換わりにローラの相方候補に挙がった真昼が姉妹であることを示唆する描写をちゃんと入れたのはgoodでしたねb
てか泣きました;


小春ちゃんとあこちゃんがギャグ要員なのは嬉しいようでもっと他の活躍も観たいな、という複雑な心境でしたよw

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

63.1 18 2016年夏(7月~9月)アニメランキング18位
ルドルフとイッパイアッテナ(アニメ映画)

2016年8月6日
★★★★☆ 3.6 (20)
76人が棚に入れました
飼い主のもとを離れて東京に来た黒猫のルドルフが、街を取り仕切る猫イッパイアッテナとの出会いをきっかけに、野良猫として成長していく冒険物語。

声優・キャラクター
井上真央、鈴木亮平、水樹奈々、八嶋智人、古田新太

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

びっくりするぐらい原作に忠実にアニメ化された名作児童文学 原作愛と敬意あるオマージュには拍手だが3DCG映画の引き出しの少なさを痛感;

1986年に斉藤洋が発表した児童文学をフルCG&3D視聴対応でOLMが長編映画化した作品
監督は湯山邦彦と榊原幹典
OLMが長篇フルCG作品を制作するのは今作が初


飼い主宅から一歩も外に出たことが無い小猫のルドルフ
ひょんなことから外の世界に飛び出すも、長距離トラックに乗っかってしまい見知らぬ土地にやってきてしまった
そこでルドルフを助けたのは野良の虎猫
ルドルフに名を聞かれた虎猫は「俺の名前は、一杯あってなぁ・・・」と返答したところ、虎猫の名前を“イッパイアッテナ”だと誤解する
イッパイアッテナはなんと人間の文字が読み書き出来るという才能を身につけていた
紆余曲折ありつつもイッパイアッテナに面倒を見て貰ううちに、野良猫としての生き様や文字の読み書きを学んでいくルドルフ
やがて故郷の飼い主宅への手がかりを見つけたルドルフは、猫仲間の協力を得ながらも自力で帰郷する計画を練る
そしていよいよ出発の前日
だがイッパイアッテナが猫達から恐れられる猛犬デビルに怪我を負わされたと聞いて、ルドルフは思い留まる・・・


原作はある一定層から下の人にとっては知らぬものは居らぬであろう大ベストセラーです
なんせオイラの小学校時代の国語の教科書に載ってましたからね


そして30年を経ての映画化、びっくりするぐらい原作に忠実というか内容は原作そのまんまなんです
ラストは少しだけ付け足した形にはなってますがね
斎藤先生としては、某ディズニー映画のように服を着た動物が二足歩行したりしなきゃいい、みたいな注文があったそうですが(笑)結果的に原作の雰囲気を全く壊さないお話になっていると思います


制作スタジオのOLMのCG技術と言えば、『ダンボール戦機』や『パックワールド』を観た人ならかなり高いことを知っていると思います
小猫らしい、頭でっかちでふさふさとした毛並みのルドルフの愛らしい造形やてくてく歩く姿は変なデフォルメでなく子猫の魅力そのものを伝えてくれるいい画になってます


ただ3D視聴に対応させたせいなのか;
アクションは基本的に空中に高く飛び上がって滞空スローモーション~そこから画面手前に向かって加速~手前に飛び出す、というお約束のような飛び出す系のアクションレイアウトにはウンザリでした
こーゆーのは今作に限ったことにあらず、白組制作『GAMBA』も似た様なもんでしたので、3D視聴対応CG映画が馬鹿の一つ覚えになりつつあることへの始まりの様な気がしてなりません


劇中で具体的な地名が登場するため、象徴的なロケーションがちょこちょこ映し出されるちょっとしたロードムービーにもなっています
基本的に猫目線なので、人間自体や人間目線のモノはあまり出てきませんが街並みや風景は観客への訴えかけとして頻繁に挿入されますのでお見逃しなく
看板や標識がなぜかやたらとアーティスティックですw


声優はルドルフを井上真央、イッパイアッテナを鈴木亮平、ブッチーを八嶋智人、デビルを古田新太が演じてます
特に変態仮面・・・げふんげふんw鈴木亮平は声優初挑戦とは思えない快演っぷりで、もはやイッパイアッテナの声は彼以外ありえないといったところでしょう
古田新太がデビルってのは絶対顔で選んだろw
脇を固めるのは大塚明夫、水樹奈々、寺崎裕香といったプロ声優
こういったごちゃ混ぜのキャスティングは湯山監督と三間雅文音響監督らしいですね
でもオイラが関心したのは途中にチョイ役で出てくる毒蝮三太夫です
ええ、オイラ世代なら忘れもしません!
毒蝮さんは90年代のNHK教育で原作を朗読するスチールアニメ作品のナレーターだったんですよ
25年前はルドルフもイッパイアッテナもブッチーも全部毒蝮さんが演じてたわけです
それがこのような形で復活するとは、いやはや感激ですね


さて、全体的に言ってみて平凡な作品になったと思います
『GAMBA』もそうでしたが原作を知っていると特になんのサプライズもなく、まあ『GAMBA』のネズミよりか猫は可愛く描けてたんでないかと思う反面、そんな可愛いルドルフの口から井上真央の声が聞こえてくるってのはなんとも釈然としない
グラフィックも、現代の世界水準にこそ達してはいるものの、既視感しかないレイアウトや演出は退屈しか生まない
この映画をキッカケに原作に触れてもらえる人が増えるとはいいと思うのですが、やはり長篇でやるならばもっとインパクトが欲しいと思いました
或いは子どもの純粋な目で観れば違ったのでしょうか?
オトナになるって悲しきかな

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

イッパイアッテナっていい名前だなぁ!です。

 3Dで見てきたです。全体的にCGも良かったと思うです。これの原作自体はもともと知ってるです。

 飼い主のりえちゃん追って家を出たけど、トラブルに会いトラックに乗ってしまいそのまま、東京のとある町に迷い、イッパイアッテナと知り合い一緒に生活していくお話です。ルドルフとイッパイアッテナが、互いを思いやり行動するところも見所です。家族向けでも通用するアニメだと思うです。

 私が学校行ってた頃、NHK教育テレビ(今のEテレ)で、たまたま絵本の紙芝居みたいなのをやっているのを偶然一話から見ることがきっかけで、面白いので全話聴取したです。科学特捜隊、ウルトラ警備隊の元隊員だった人が、ナレーション一人芝居をしていて面白かったのを覚えてるです。
 それをきっかけに私の兄弟も面白くて、本も買って読んだことがあるけど、今はどこへいったのか?です。2時間くらいで、読める子供抜けの本だったと思うです。
 続編の「ルドルフともだちひとりだち」の内容は、このアニメでやや少ない印象で、少し変えられていたです。

 印象に残っていたのは、原作だと「お前の耳をそぎ落としてドラえもんみたいな面にするぞ」だったかのセリフは、このアニメだとドラえもんという言葉を使わず、別のセリフになっていることです。

{netabare} あと紙芝居と本で記憶の違っていたと思うこのアニメでの印象は、ルドルフにとさかのような、白い毛があるです。あとブッチーが痩せすぎて、こんなにもひょうきんなキャラでなかったと思うこと。ミーシャなんて猫?いたかなぁ?です。
 あと、ルドルフの家ってこんな豪華かなぁ?と隣に猫のおばさんは、いなかったなぁです。りえちゃんが地元の方言でしゃべらない所かなぁです。
 イッパイアッテナの飼い主の戻りタイミングが原作とかと違い、このアニメにおいて美味しい所をついて、HAPPY ENDにつなげるところがうまいと思ったです。

 ルドルフがイッパイアッテナに文字を教えてもらえる内に、偶然家に帰る手がかりを見つけ、実行するけどイッパイアッテナがデビルにケガさせられてかたき討ちをしたため、帰る機会を一つ失ったのは、猫の友情を感じたです。
 で、違う方法で帰れたけど、ルドルフにとっていたたまれない事実と直面したです。でも、ルドルフに帰る場所があったことは、最後の場面でルドルフの心を救うことができたんじゃないかと見たです。{/netabare}

 これでいいのだ!です。動物にも文字分かったり書けたりできれば、人間との距離は、けっこ縮まるかもです。

 

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7
ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

薄情な飼い主たち

飼い猫ルドルフが意図せず遠出しもどれなくなってしまい、野良猫イッパイアッテナと出会って、友情を育みながら自身も成長を遂げていく冒険もの。
{netabare}
全体的に悪くはないが、子供に媚びすぎているかな、と思う。完全に小学生までが対象かな、と。
設定や演出も甘い。特に人間の文字を覚えさせるってのはやりすぎな感じがした。せっかく猫や動物の視点で進むのに人間の分化にならっていくのがどうにもかっこ悪く見えた。猫のプライドってものはないのか、と。

後半はそれでも胸熱展開。
ラストはそれまでのゆるゆるストーリーと比べるとなんだか切なく厳しい感じ。

気になったのは、イッパイアッテナの元飼い主は、彼に文字を教えるほど熱心だったのに、アメリカに行く際にイッパイアッテナを野良猫として放っておいたのはなんでなの、という点。それなのに帰ってきてまた何事もなかったかのように飼うってのは虫が良すぎるのではないか。
リエちゃんもひどいし。

ルドルフとイッパイアッテナとの友情にはグッとくるかもしれんが、飼い主との関係は最悪と言っていい。ハートフルにしたいのか、切なくしたいのか良く分からなかった。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

61.7 19 2016年夏(7月~9月)アニメランキング19位
アクセル・ワールド INFINITE∞BURST(アニメ映画)

2016年7月23日
★★★★☆ 3.4 (172)
1079人が棚に入れました
ウェブ上の仮想世界で行われるオンライン型対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》。プレイヤーである《バーストリンカー》たちは、現実の1000倍に《加速》した世界で、戦いを楽しんでいた。私立梅郷中学に通う有田春雪(ハルユキ)もそのひとり。高円寺を拠点とする《ネガ・ネビュラス》に所属する彼は、《軍団》の長である黒雪姫と共に、渋谷エリアでの《領土戦》を戦っていた。そこに訪れた《変遷》と漆黒の巨大な竜巻、そして突然の回線切断。本来、起こるはずのない不可思議な現象は、《加速世界》を徐々に侵食し、竜巻に包まれたエリアでは、《加速》することができなくなってしまっていた。いったい、《加速世界》に何が起こっているのか?原因を突き止めるべく、ハルユキと仲間たちは、黒い竜巻に立ち向かう――!

声優・キャラクター
三澤紗千香、梶裕貴、豊崎愛生、浅沼晋太郎

Ryuvay さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

アニメ版AWに過度な期待はしないほうがいい(酷評)

構成はすでに知られているように、前半TVシリーズ総集編+後半新作OVAです。

後半の新作OVA部分に絞ってレビューしますが、その前に、この酷評であることの経緯を説明すると・・・

──個人的にアクセル・ワールド(以降「AW」)に、この劇場版に期待はしていなかった。──
TVシリーズのAWを観終わったあと、ほぼ同時期に始まったアニメ版ソードアート・オンライン。そのソードアート・オンライン(以降「SAO」)は個人的評価のかなり上位に入る凄いアニメだった。SAOがAWと同じ原作者だと知ると、やっぱりどうしても比較しちゃいますよね。するとAWが凡作を下回る酷いものと感じてしまうようになってしまった。
そんな話を友人にしていると
「あー、あれね。いや、原作読んでみ?凄い良いから。川原礫は『キャラがもつ熱い情熱』をすごくうまく自然に表現する作家だから」
と言われ、読みました。で、めちゃくちゃドハマりました。
その後、当然のようにSAOも2期が始まる前にアニメ版SAOの続きを原作で読み始めることになった。

では、なぜこうも差ができたのか。

──TVアニメ版AWは、そんなに重要ではないものを盛り込んで無駄が多いうえに、重要な台詞回しやエピソードを削ってしまっている──
アニメ版のシナリオライターと監督が、原作がどういう作品で、なぜ人気があり高い評価を得ているのかを理解していないという、よくあるアニメ化失敗の理由。

AWという作品がどういう物語なのかをまとめると
── 自分を蔑み、自分には何もいいところがない、何も持っていないと考えていた主人公ハルユキが、ブレイン・バーストを通じて友情を知り、仲間との絆を感じ、仲間からの信頼を知り、自身も仲間を信頼し、自身の考えを改めてくれた黒雪姫を尊敬し、存在意義も無かった自分がどういう存在であるかを再確認しながら、精神的に弱く腐った心根で、学校ではいじめられる側だったそれまでと違い、立ち塞がる壁をその翼で飛び越え、火傷するほどに熱い情熱とともに成長していく。そんな中、黒雪姫がブレイン・バーストの作者と会い、ブレイン・バーストという世界作った理由を知るという願いをハルユキは叶えるために奮闘し、その結果ブレイン・バーストという世界の成り立ちの秘密を追い求めることになってゆく。
付加要素として、ツンデレヒロインとその想いに気が付かない鈍感主人公というよくある構図があり、その構図には「成長しているとは言え、元々ハルユキの自己評価が低く、そんな自分に尊敬する黒雪姫が恋心を抱いているなどあるはずがない。まだそんな資格は自分にはない」という、確たる理由がある。 ──

たしかに、アニメ版AWには、前述の要素が多少なりとも反映され盛り込まれてはいますが、薄い。とにかく薄い。何が薄いっていうと、AWという作品の骨子のひとつである仲間の情熱、特にハルユキの情熱の表現がとにかく薄く弱い。原作での情熱の熱さは本当に読んでいてとにかくすさまじいものでした。
アニメ版は監督やシナリオライターがそれを勘違いしたか表面的にしかとらえておらず
──キャラのかわいさ表現するためのエピソードや演出を盛り込んで多めにプッシュし、その尺のためにキャラの情熱を表現するための重要な台詞回しやエピソードを削った──
ということに帰結すると思います。
アニメ化されるときは、ある程度端折られるのは当たり前なのは理解してます。が、そこはアニメでしかできない演出や表現を使ってカバーすることで、原作と同等以上の仕上がりになると、自分は思っています。
正直に言うと、沖縄のエピソードはアニメで詳細に描く理由もなく、原作でも閑話扱いで特典OVAなど不要でこれを特典アニメにしてもいい程度のエピソードだった。どうでもよいと言っては語弊がありますが、この沖縄のエピソードは端折ってもよかったのに、削ったらダメでしょっていうセリフやエピソードが端折られてしまった。

その結果、TVアニメ版AWは自分の中でもう取り返しのつかない駄作になった。

そしてそこからのこの「アクセル・ワールド INFINITE∞BURST」です。
期待できるわけがない。
観終わったあとの端的な感想は
「まるで素人同人作家が作ったような、それ以下のクォリティで、かつ盛りすぎて物語の本質を失った作品」
でした。

「TVシリーズの製作から時間がたっている」ということを理由にしては本当はダメでしょうけど、元々勘違い演出だったものがさらに増長し、インパクトと派手さを盛りに盛ってプッシュしまくったうえ、キャストもその殆どがキャラの演技を忘れていて、それに関するディレクションも恐らくは無い。ってか、私みたいな素人がそれに気がつくようじゃ本当にダメでしょ。さらに新キャラのキャスティングも違和感ありまくりで勘違いしてるし、原作ではありえない、タブーとされていることも犯しているという、もう散々たる結果。
間違いなく原作を表面的にとらえて理解せず読み込んでいない証左です。
そんな状況で、原作時系列に存在しているが描かれていないエピソードをOVAとして作ったとしたら、当然の結果でしょう。

「原作者 川原礫の描き下ろしエピソード + 監修」
ということでしたが、物凄く怪しいですし、かなり疑問です。



個人的本音 ──

マジで「A-1 Pictures × 伊藤監督」でリメイクしてくれんかな・・・・。

── この「アクセル・ワールド INFINITE∞BURST」の制作が決まる前から、もうずっとそう切望しています。……ありえないし絶望的ですけどね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

2047年7月27日[土]国立代々木競技場第一体育館は無限への跳躍に向けたprologue…

この作品はTVアニメ版「アクセル・ワールド」の続編に位置する作品です。
上映時間82分のうち、ほぼ半分を使ってTVアニメの再編集版が上映されますが、もともと2クール24話もの大作なので一見さんを相手にした構成にはなっておらず、TVアニメ版を懐かしみつつ劇場版に誘うためのフリ…といった感じです。
なので、TVアニメ版を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

劇場版の構成は大きく二つ…
TVアニメ版を再編集した前半と完全新作の後半…

まず再編集した前半ですが、内容はほぼ頭に入っているので記憶を辿りながらの視聴となりました。
内容は分かっていたとしても、映画館で見る映像と音響の迫力と躍動感は半端ありません。

でもこの前半戦は正直意外でした…
この作品はタイトルの前に「完全新作ストーリー」という枕詞が付与されていたので、TV版の焼き直しが流れるとは思っていなかったからです。

この作品は劇場版…尺に限りがあるんです…
1分1秒だって無駄にできない…と時間が気になったのも事実です。
このモヤモヤは後半で見事に吹っ飛ばされる事となる訳ですが、これは見てのお楽しみ^^;

そしていよいよ完全新作の本編…
物語は2047年7月27日[土]国立代々木競技場第一体育館…
助走開始地点から25m先に立ちはだかる跳馬に向かって走り出す月折リサ…
ポニーテールを白いフワッとしたリボンで結んだ可愛らしい女の子です。
近づいてくるロイター板…
そしてロイター板を踏み込んだ次の瞬間、「アンリミテッド・バースト」
リサは声にならない叫び声を上げ…物語が動いていきます。

この本編…所謂「全部乗せ丼」みたいな感じでした。
TVアニメ版の主要キャラはもちろん、赤の王やハルユキが「翼の事件」の時に「飛ぶ」事の真意を教えてくれたスカイレイカー、低レベルのバーストリンカーを支援していたアクア・カレントも立場を変えて登場してくれるんです。
それに王様だって、そうそうたる顔ぶれがお目見えしてくれます。
このTVアニメ版より全然豪華なキャスティングが加速世界で繰り広げる魅了されるひと時…
もう「極上の時間」としか言い様がありませんでした^^

私は7月24日…2日目に観にいったのですが、振り返ってみるとそのタイミングも良かったと思います。
なぜなら入場者プレゼントが原作者である川原礫先生の描き下ろし短編小説だったのですが、この小説…月折リサが跳馬に向かって走り出すまでを描いた劇場版の前日譚だったんです。

月折リサには夢があった。
とあるルーマニアの体操選手が世界で初めて披露し成功させた技を自ら再現すること―。
この夢の実現に向け、彼女がどの様に体操と…跳馬と向き合ってきたかが記されています。

この小説の内容を知らないと劇場版が楽しめないか…というと決してその様な事はありません。
知っていると「より深く作品を感じられる」という事だと思います。

それとこのレビューを書きながら思ったのは、パンフレットを買って正解だった…という事です。
登場人物の設定については本編で触れられないため、「あれ、この人誰だっけ。」という人を思い返すのに重宝したり…中にはパンフレットを見ないと絶対に設定の分からない人もいらっしゃいましたけれど…^^;

この劇場版を視聴して私の中の株が一気に上昇したのが、ニコことスカーレットレイン「赤の王」です。
CVが日高さん…というのもポイントが高いのですが、何より立ち位置が素晴らしかったです。
それに強化外装群「インビンシブル」も恰好良い上、お茶目な一面もあったり…
しかし日高さんの「おにいちゃん…」は破壊力抜群です。
もし日高さんに兄がいたら、リアルで「おにいちゃん…」を連呼されるんですよね…
これってどんなご褒美なの…^^;?
私もリアル妹に「おにいちゃん」と言われますが、日高さんのとは違うんだよなぁ…^^;

メインテーマは、KOTOKO×ALTIMAさんの「PLASMIC FIRE」
恰好良い曲です…カラオケで歌っても盛り上がる曲だと思います。

82分の上映時間はあっという間でした。
しかし、最近アニメ本編の後に劇場版…というパターンの作品が多いような気がします。
この作品なんかは原作のストックもあるようなので、TVアニメで放送して貰いたいのが本音です。
この作品で弾みを付けて続編が制作される事を期待しています^^

投稿 : 2024/11/16
♥ : 17
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

原作未読組は置いてきぼりってことですか・・・

結論から言うと、私のような原作未読のTVアニメ組は置いてけぼりになってしまうような作品でした。

前半はTVアニメの総集編。
後半の能美のくだりが、ばっさりカットされていた所は高評価。
能美のくだり、あまり好きじゃないんですよ・・・。

後半は新作。ところが原作未読組の私には、初めの所からいきなり『???』。
{netabare}
ネガ・ネビュラスについて。
フウコ(スカイ・レイカー)と一緒にいるのは誰?もしかして見覚えのない人が仲間になっている?
アクア・カレントが一緒にいる?もしかして仲間になっている?

この件については最後まで一切説明なし。

主要な登場人物も見たことのない新技を繰り出す。
最後は訳の分からない天使的な者が現れて、主人公が無双状態に・・・。

で、一件落着って・・・。
{/netabare}
『原作未読組は眼中にない!』って感じの作品でした。
ただまあ、バトルシーンは迫力があって良かったかなぁ、と・・・。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 24

61.5 20 2016年夏(7月~9月)アニメランキング20位
ねむれ思い子 空のしとねに(アニメ映画)

2016年8月6日
★★★★☆ 3.4 (28)
154人が棚に入れました
赤ん坊の時に両親を失った “織音(おりね)”。彼女はある事件で警察に追われる身となり、逃亡の手助けと 引き換えに「組織」の人間、蒼嶋ユリの要求をのみ、ある実験用宇宙ステーションへと連れて行かれる。なぜか織音しか入れないという無人の宇宙ステーションの奥に事故当時のままの20 歳の姿をした母、里美がいたという衝撃の物語が展開される。

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「世界が驚愕した新たなる才能」・・・新人監督を生暖かく応援できる人なら楽しめるでしょう。

2014年頃(?)の劇場用(?)アニメ 50分くらい

監督 栗栖直也

国内のアニメコンペで多くの受賞歴を持つ栗栖直也監督が7年の歳月をかけてほぼ一人で作画を手掛けた3DCGアニメ

自主製作ながら、カナダ、アメリカ、イスラエルなど世界各地の映画祭やイベントで注目を集めた本格SFサスペンスヒューマンドラマ

と言ううたい文句なので自主製作に近い作品でしょうか。
声優は、
井上喜久子、田中敦子が好演しているのですが、
主役の福島おりねという人は声優業で成功せず芸能事務所の社長らしいです。
ここは大人の事情。

3DCGのみで作ったようなアニメで、全体の出来は丁寧ですがアニメとしてはゴミに近いような気がします。
同様に自主製作レベル(制作状況はこれ以下)の新海監督のほしのこえと比べても映像の価値は認められないような気がします。

3DCGなので自動的にSF設定になったような感じが嫌です。
唯一のテーマが母子愛のようなので、すべて妥協の産物のように見えます。

超一流プロと比べてはいけないんでしょうが、
「おおかみこどもの雨と雪」のアマチュア版っぽいです。

内容はすべてが駄目だと言うわけでもなく、CGにしては丁寧な部分もあります。
特にエンドロールはいいです。
我慢して本編を観終わったのなら必ずエンドロールを見てください。
序盤とエンドロール(時系列は逆)だけでもいいような。
本編は3DCGの練習でしょうね。

評価点通りお勧めは出来ないのですが、自主製作の妙なパワーや、
大人になり切れていない素直な表現に興味がある人なら楽しめるでしょう。
実を言うとノンストップで観たので楽しめていたのかもしれません。
過度な期待は禁物というか、頑張ってる若い人の作品を観るつもりなら。

追記
声優としてほとんどガヤしかやらせてもらえず挫折した人が、
社長になって初めての主役を演じるのも一つのロマンかも知れませんね。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 23

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

海外で絶賛されたインディアニメ映画が凱旋帰国!SFサスペンスという戦慄と興奮の中に垣間見られる強いメッセージ性!!明日を担う逸材の誕生か!!!?

Youtubeや映画コンペなどで自主制作3DCGアニメを発表している栗栖直也監督が、7年間たった一人で制作した50分の中篇映画
2014年に完成し、世界各国の映画祭などで高い評価を受けるも当の日本ではほぼ未公開状態に等しかった
そして2016年、急遽ミニシアター系での配給が決定し、あの新海誠監督の『彼女と彼女の猫』がスタートを切った下北沢トリウッドを皮切りに公開されていく予定の作品です


舞台はレーザーディスプレイが普及した近未来
ある事件をきっかけに逃亡生活を余儀なくされていた19歳の孤児、入之波 織音(しおのは おりね)
彼女は急に得体の知れない視線に追われている恐怖を感じ始めていた
そこに現れた蒼嶋ユリと名乗る女性と黒服の男達
蒼嶋は逃亡者である織音の事情を知りつつ、ある作戦への協力を依頼する
衛星軌道上にあった宇宙ステーションで行われていたとある実験で、実験体が暴走しステーションを占拠したのだ
実験体は織音をステーションに連れて来るように要求していた
一方の蒼嶋は織音を使ってステーション奪還を企むのだが、ステーションの中にいたのは、なんと19年前に死んだはずの織音の母親、里見だった・・・


物語はとてもショッキングな幕開けから始まり、さらに織音に忍び寄る蒼嶋達、宇宙ステーションという閉鎖空間で得体の知れない実験体なる者との遭遇
と、とてもスリリングなサスペンス調になっております
画面のクオリティ自体はゼロ年代初頭ほどなのですが、とはいえ戦慄と興奮が物語の中に一気に惹き込んでくれるため、実のところあまり気にならなかったというのが率直な感想です


また、どちらかという昨今のCGアニメよりも二昔前のゲームムービーを彷彿とさせるモデリング、テクスチャなのでそちらに免疫のある方はすぐ好きになれると思います
さらにたった一人で制作したとは思えぬほど場面転換が多用で、宇宙ステーションという見慣れない情景をデザインしたというポイントも含めて、背景のモデリングは目を見張るボリュームになっています
間違っても“手抜き”ではないのがオイラにもよくわかりました


19年間、生と死に断絶されていた母娘関係
突然の再会、埋まらないギャップ、明かせぬ真実、そこから見えてくる強いメッセージ性が今作最大の魅力と言えます
親子とは何なのか?
人間とは何なのか?
目に見えているものが全てなのか?
本当に大切なものとは何なのか?
そして、生きるとは何なのか?
この作品はSFという大舞台が用意されてはいますが、何もSFファンに向けた難解な謎掛け、例えば『攻殻機動隊』のような作品だとは思いません
哲学的でありつつも、とても入り込み易い入門向けSF
『エイリアン4』のオマージュも観受けられました
そう、老若男女問わず万人に観て頂きたいメッセージが詰め込まれてると感じましたね


インパクトのある映像に加えて、親しみ易い確かなメッセージ
各国の映画祭で評価された理由はまさにココあると判りました


さらに音響制作と主役の織音役の声優を兼任した福島央俐音の尽力もあり、井上喜久子、田中敦子、平田広明といった超豪華声優陣が参加しているのも観どころです
名優達の芝居は物語のメッセージ性をより際立たせており、これだけでもチェックしていただくには十分な理由ではないかと思います
織音の母、里見を演じた喜久子お姉ちゃん(母役なのにお姉ちゃんとはコレ如何にw)が久々に痛快で可憐な芝居を観せてくれたのには脱帽モノです


最後に爽やかなテーマソングと共に流れるエンドクレジット中も映像が進んでいき、このED映像の為だけに起こしたモデリングもあったりと一体ドコまで作り込んでんだ・・・;と、監督の今作に掛ける情熱にスッカリとやられてしまいました
デジタルツールの進化と動画サイトの登場によって自主制作アニメ、の発表は新海誠監督の時代以上に容易になったのかもしれません
その反面、劇場公開まで辿り着く作品はほぼ絶滅してしまいました


そんな中、世界中で評価された本作の公開は力いっぱい歓迎すべきところでしょう
気負うことなく、先入観を捨てて、本当に純粋な意味で“イイ映画”に仕上がってました
是非チェックしていただきたい一本です

投稿 : 2024/11/16
♥ : 15
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これはすごい

栗栖直也監督が映像・物語をほぼ一人で作ったという作品。
構想に2年、制作に5年かけたそう。
モチベーションを保ち続けられる強靭な精神はバケモノだと思います。


さて、それでは作品の感想を

物語
始まって10分くらいは、急に変な人が出てきたw設定が厨二病っぽいなーなどと思っていたのですが、主人公織音のお母さんが出てきた辺りからどんどん物語に惹き込まれていきました。
義体とプログラムで動くお母さんの愛情に触れるうち、お母さんを機械とみるか、母とみるかで悩み始める織音の苦悩がドラマチックに描かれていて、織音とその周りの人々はどのようなつながり、どのように生きていくのか最後まで続きの気になる展開になりました。
物語の伝えたいテーマ(母の愛・データに依存する現代人)が明確に伝わってくるのも良いですね。
{netabare}思うところがあるとすれば結局お母さんを大切にした織音もデータに依存していたことになるんじゃないかということです。
そもそも、記憶も感情も電気信号…といったらお母さんに殴られてしまうでしょうか。
私はとても大事にしているデータがあるので、娘を守るためだとしても、お母さんの行動は、やり過ぎじゃないかと思います。価値観は人それぞれだよ!と言いたいです。{/netabare}

予想を裏切る展開もあり、物語の完成度は非常に高いと感じました。

声優
織音の声が時々引っかかるところを除けば完璧でしたね。

キャラ
キャラがとてもいきていました。
最初は最初は共感しづらいなと感じていたが、シリアス設定をいとも簡単に崩したお母さんの存在は偉大です。
その後からは段々とキャラが物語を引っ張っていく存在になっていきました。
このキャラ達で続編も作れそうですね。
特に先生と織音とユリとお母さんと彼氏はもっと観てみたくなりました。

作画
物量があって、細かいところまで作り込まれているのがすごいです。
単なるトゥーンシェーダだともっと影のエッジがはっきり出てしまうと思うので、テクスチャが相当頑張っているんだと思います。
そしてアニメーションとカメラワーク!
しっかり綺麗に動いています。モデルだけじゃなく、アニメーションまでできちゃう、編集も出来ちゃうなんて超人ですか!?
絵柄にしても動きにしても好みのど真ん中の作品でした。

音楽
劇中歌・効果音とても良かったです。子守唄が耳に残りました。良い曲ですね。

最後にED!
びっくりしました、どこまで作り込んでるんだ…

投稿 : 2024/11/16
♥ : 14

57.1 21 2016年夏(7月~9月)アニメランキング21位
レッドタートル(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★☆ 3.1 (31)
117人が棚に入れました
どこから来たのか、どこへ行くのか、いのちは?嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が、九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れた―。
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

その生涯に一遍の悔いないの?

 海に一人遭難して、無人島に漂流した青年の一生を描いているアニメだったです。

 声優さんが存在せず、オペラみたいな何だかわからない雄叫びだか歌と曲が、このアニメを進行させていたです。後半の成長した子供の雄叫びだけが、唯一の声だったです。

{netabare} いかだを作って脱出するにも失敗の繰り返しや、大きな赤い亀が出てきたり、仰向けに死んだと思ったら、人間の女性なって甲羅をまとって倒れたりしたです。生きているようで屋根を作ってあげたり、気が付くといなくなっていて海で泳いでいたりでしたです。

 で、海に潜って何か語っているのか?次になると小さな子供が一緒にいる。幸せな家庭みたいだったです。その子供が成長すると、島が津波に襲われたりなんやかんやです。
 子供が、3匹の亀と共に旅立つ。年を取った青年が、その後一生を終え女性が手を握っていると赤い亀に戻って海に去る。{/netabare}

 これだけの展開を映画に・・・・。小学校の視聴覚室ででも教材として、子供に鑑賞させると良いかもしれないです。何だかの映画賞を受賞と劇場CM見ていたけど、この音楽と青年の一生無人島生活が、芸術的とでもいうのかなぁ?と考えてしまうです。今までのジブリに見えないアニメだったです。う~~~んです

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4
ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

夢見る亀

ジブリ作品と聞いて。

とある無人島に漂着してしまった一人の男の一生と亀との不思議な体験を描く。
{netabare}
アニメーションは良く動き、美術はシンプル。色彩は地味であるものの全体的な美しさを湛えている。
セリフがないのも特徴的で、セリフがないにもかかわらずキャラの感情や状態が読み取りやすかったのはさすがだなと思った。

ストーリーは不思議で、亀の恩返しなのか、罪滅ぼしなのか、はたまたそれ以外の何かなのか、判別はできないが愛の物語であることは確か。妙に切ない。

日本のアニメのような萌え要素等はなく、芸術性を重視している感じで、フランスのことはよく知らんけどもフランスではうけそうな感じはする。

カニが終始かわいかった。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

日本・フランス・ベルギー合作のアニメーション映画作品

「レッドタートル・ある島の物語」
原題:The Red Turtle

監督・脚本・原作:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
脚本:パスカル・フェラン
アーティスティックプロデューサー:高畑勲

音響はあるが台詞無しでの81分作品

2000年に公開されたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督作品「岸辺のふたり」を観て気に入ったジブリのプロデューサーがマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督に接触したのがこのアニメーション作品制作のきっかけの模様

悪い作品ではないと思いますが煮詰め足らない印象、
ちょっと助言をとかじゃなく監督:高畑勲氏にてガッツリ作成してれば…

ゴタゴタした「ニモ」の再来を感じました。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

計測不能 22 2016年夏(7月~9月)アニメランキング22位
ミニオンズ:アルバイト大作戦(アニメ映画)

2016年8月11日
★★★★☆ 4.0 (3)
31人が棚に入れました
映画『ペット』(8月11日公開)と同時上映される『ミニオンズ』の短編アニメーション

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

これぞミニオン!ミニオンの笑いとブサ可愛らしさの魅力を4分に押し込めた短篇!!

『怪盗グルー』シリーズ、『ミニオンズ』のミニオンが主役の短篇で『ペット』の同時上映として公開


通販番組を観ていたところバナナジュースを作る為のミキサーが欲しくなったミニオン達
しかし貯金は皆無
ならば稼げば良い!ということで芝刈り代行業を(勝手に)始めた一同だったのだが・・・


ミニオンが主役らしいハチャメチャ、ドタバタ、そしてお下劣な無言劇です
小ネタとして何気に『ペット』のマックスが本編に先駆けて登場してます
(逆に『ペット』の中にもミニオンが隠れていたりします)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

あのミニオンがバイトに挑戦・・・波乱の予感。

映画「ペット」(8月11日公開)と同時上映
「ミニオンズ」の短編アニメーション

ドタバタギャグなショートアニメです  短いからさらっと観れる

感想
{netabare} ミニオン達の目の付け所は半端じゃない
どんだけミキサー欲しいんですか・・・(笑)
最後、ボタン押すのもめんどくさくなるってどういうこと・・w
怪盗グルーの時から健在の謎の関西弁。
英語を関西弁に略すということは、アメリカ放映版もキャラに訛りや方言があるのか・・私、気になりますっ!{/netabare}

怪盗グルーの月泥棒が途中まで観て断念したことがあったので、
これを機に流行の波に乗って近々最後まで再挑戦したいと思います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 19

計測不能 22 2016年夏(7月~9月)アニメランキング22位
風のように(アニメ映画)

2016年7月9日
★★★★☆ 3.6 (5)
30人が棚に入れました
1969年に読み切りとして週刊少女フレンド(講談社)に掲載された短編作品を原作とする。

養蜂一家に生まれた少年・三平と、旅先で彼が出会った少女・チヨを軸に、人間と自然との共存について描いていく。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

時代の移り変わりとは無関係に後世に残したい一作

ちばてつやが1969年に手掛けた読みきり漫画を、なんと今日にアニメ化したいという企画が持ち上がりました
現・エクラアニマルを代表するクリエーターである本多敏行監督は、2003年頃にちばてつや先生との雑談の中で読みきり作品『風のように』を自身の手でアニメ化したいと申し出ていました
先生自身も忘れかけていた本作は、当時『あしたのジョー』の連載との掛け持ちの中で生まれた知る人ぞ知る一作でした
先生はアニメ化を快諾されたものの、制作は難航
このまま水泡に帰すのかとも一時は思われましたが、近年に水木しげる先生ややなせたかし先生など、ちばてつや世代の漫画家の悲報が相次ぎ、それ受けたちば先生自身から「早くしないと死んじゃうよw」と発破を掛けられた本多監督とエクラアニマルは一念発起
文化庁の援助やクラウドファウンディングなどを駆使し(それでも相当低予算らしいですが)ようやく完成した今作はついに日の目を見ることとなったのです
約40分の劇場用中篇


時代は昭和30年代
トラックに乗って旅をする養蜂家の親子は、不意の事故に見舞われ谷底に転落
荷台の養蜂箱の中からは大量の蜂が飛び立ち、近くの山村へと飛来した
山村の小学校に通う少女、チヨもこの大量の蜂に襲われて山の中に行方をくらましてしまう
チヨを心配する村人たちだったが、翌日チヨは何事もなかったかのように帰ってくる
チヨを助けたのは三平という、風来坊のような少年だったのだ
チヨは恩人である三平を慕うが、素性の分からない三平を村人たちは拒絶し続ける
しかしある日、三平は村人ですら手を焼く殺伐とした荒地を、たった一人で開墾し始める
三平の目的とは一体何なんなのか・・・


幸運にも今回オイラは、今作を手掛けたスタッフに直接お話しを伺うチャンスもらったので少し本作のバックボーンを中心に感想を述べたいと思います


まず今作の価値は徹底的に懐かしい日本の風景を、当時を知る世代である本多監督の手で描くところにあるでしょう
山々に囲まれた集落に、田園や畑で仕事をする大人たち
子供たちは野を駆けまわり、川で魚を捕る
水たまりにはアメンボが、山には蛇が、田んぼにはカエルが当たり前にいる
集落の人々は密接につながっており、助けあって暮らす
二昔前の日本ではどこにいっても当たり前に見られた光景が、現代ではスッカリ珍しいものとなってしまいました
この光景をすんなり描写出来る現役のクリエーターは、もはや本多監督か片渕須直監督だけになったのかもしれません


リアリティを出すために、あえて原作から付け加わったポイントもあります
本作最大の魅力である幼くも力強く健気なヒロイン、チヨ
このチヨは原作も含めなぜか祖母と二人暮らしなのですが、これは戦争で両親が他界したからだ、という事実をアニメでは明示しています
当時はまだ戦争の傷跡がそこかしらに見られたので、「そんな時代があった」ことをどこかしらに挿入したいという本多監督の意向が反映された結果なのでしょう
また結末自体は原作と大きく異なり、非常に余韻の深いものになっています
オイラ自身、アニメの結末の方が好きですね


今作を支えるスタッフには【超】が付くほどのちばてつやファンであり、『あしたのジョー』のパチスロ版権など近年のちばてつや作品のアニメ化に貢献する作画監督、野口征恒が参加
現代では作監の大量投入が常識化しつつあるところ、ちばてつや作品のためならばと野口さんが孤軍奮闘した結果、「ちばてつや絵そのもの」とも言うべきクオリティの画面が完成しております
ちなみに三平がジョーに、チヨが紀ちゃんに、カメ吉がマンモス西に似ているのは意識的にそうしてるそうです
これは当時のちば先生が無意識にやっていたことへのオマージュだそう


また流石の本多監督というところか、原画マンには木村圭市郎、大橋学、増田俊彦、田辺修といった大御所がサラッと参加している上に、第二原画も一切無しというスッキリとした制作体制が取られています
これは現代の製作委員会方式のアニメに向かっての「一昔前まではこれが当たり前」というお叱りの言葉のようにも受け止められ、ただただ感心する想いを隠せません
個人的には蜂、アメンボ、蚕といった昆虫をまじまじと描写するアニメが昨今では激減してるので、それらがとても丁寧に作画されていたところに注目したいですね


背景も全てアナログ
美しい自然描写を鮮やかに彩り、ランプや囲炉裏の明かりを囲む昭和の家屋を暖かに描きます
特にラストシーンではこの背景がとても重要な意味を持つこととなり、美監の門野真理子さんは本作最大の功労者と言っても過言では無いでしょう


お話自体はとてもショッキングなもので、コミカルで素直に吹き出してしまうシークエンスもあれど、全体的にあまり気持ちの良い作品とは違うかもしれません
少し唐突に入るナレーションも、演出的には過多とも見受けられました
それでもシンガーソングライター松本佳奈が手掛けたエンドロールを飾る一曲が、文字通り爽やかな風のように締めくくりを演出し、劇場をあとにする人たちの胸にほんの少しの切なさを残して映画は終わりを迎えます


本多監督の言う通り、戦争を、昭和を、日本の原風景を知らない子供達にこそ観て欲しい一作だと感じます
それに大人世代にも、ちばてつやヒロインが持つ純真さを体現するチヨの魅力にクラりと来てしまうこと間違いないでしょう
言い方は現代風になってしまいスタッフの方々には申し訳ないのですが、オイラにとって今作は【キュン死】出来る内容でした(真顔


貴重な一本に、今日という日に出会えたことを感謝しつつ、オイラの感想を締めたいと思います

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

花は~自分からミツバチを探しに行きますか?探さない、待つの。

40分ほどの中編アニメです。
ジャンルは日常、ボーイミーツガールかな
このページのキャプ画を観て分かるとおり、時代は和服から洋服に変わる転換期のころ、田舎に住む少女の周りで起こった事件を描いています。

原作あしたのジョーのちばてつや先生。月間少女フレンドに掲載された読み切りが原作だそうです。

雰囲気的にこの世界の片隅にを連想していたら、
思ったよりずっと軽くギャグマンガのような印象を持ちました。
戦争の描写は無いです。

あらすじです
{netabare}
蜂(ブーーーーーーーーン)
村人 <あれ?チヨがいない、どこーー?
チヨ <やっほー、蜂に追いかけられてたところを男の子に助けてもたったの―
男の子<三平ッス
三平 <暫くお世話になります。それから畑を耕したいので、ツルハシとバケツを貸してください
村人 <ちよちゃん助けてもらったのは良いけど、三平くんちょっと図々しくない??
チヨ <三平のこと何も知らない癖に悪く言わないで!
~回想~(三平とチヨの出会い)
三平 <畑が出来たら花を植えるんだ。手はかかるが、売ればお金になるよ
チヨ <三平好き!
畑が完成し、花を植える二人
蜂(ブーーーーーーーーン)
蜂を追って消えた三平
大人チヨ<三平はきっと戻ってくるわ。{/netabare}

チヨ、カッコいい感じにして締めているけど、その生き方は身を亡ぼすと思うよ。
多分その男は帰ってこないよ。帰ってきたとしても、ろくでもないやつだよ。

正直、キャラの言動は理解出来無いですね。
当時の田舎の状況なんて知りませんし、ギャグもやり過ぎで怖いです。
ある程度年齢がいっていないと、楽しめないんじゃ無いかなあ…

制作に13年かかったとのことでしたが、よく、企画がとん挫せず作りきったなと、ここは凄いな、と思いました。

余談
この映画を視聴したのは映画クラブ主催のイベント(場所:市民会館)だったのですが、800円でちばてつや先生のトークショー・主題歌の松本佳奈さんの生うた・風のように本編と「河童のクゥと夏休み」が観れる超コスパの良い会でした。
中でも松本佳奈さんの生うたの余韻がまだ残っています。こんなに上手に歌が歌える人を初めて見ました。あまりに表現力が豊かで、歌声もきれいで…情景が目に浮かぶというのを初めて経験しました。
本編では望めなかった涙がこんなに自然に出るとは…
歌手って凄いんですね…

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

今のアニメに少ないような、手作りを感じるです。

 あにこれレビューを見るまで、このアニメの存在自体知らなかったけど、何だか気になって見てきたです。上映劇場は、このレビュー作った時点でたった一か所、狭い町中で劇場があると思えない一角にありこじんまりとしてたです。初めて行った人には、分かりずらいと思う場所だったです。

 で、見ると幼い頃再放送されてたのを見たと思うが、「国松さまのお通りだい」の作画を、あの頃よりかなり洗練され色鮮やかになっていたようだったです。あの頃も手作り作画だったと思うけど、これはあの頃にはできないような、色彩と手作り感の良さを感じたです。

 今時、見たことがない田舎の物語ですねです。田舎の中に悪ガキがいて、女の子がいて、村人がいるといったような少し貧しいながらものんびりとした平和みたいな世界観という感じでしたです。電話もテレビもPCも映画館も風呂屋もない。私だったら、何日持つだろうか?な環境ですねです。

 出てくる声優さん。三平という少年は悟空というより、999の鉄郎という印象です。他のキャラたちは、昭和の後期に演じていたような声の声優さんを思い起こすみたいだったです。業とそれっぽく演じているのかなぁ?です。

 綺麗な風景が出てきて、チヨが黄昏ていてる。その一方で、少年を乗せた車が、崖から落ちて炎上するところから始まるです。このシーンは、後にこのアニメで重要な役割を果たすことになるです。

{netabare} チヨの住んでいる村に、蜂の大軍が襲うのだが、村人なすすべなく隠れるしかない状況。殺虫剤とか、火炎放射とかの設備も考えられない環境だから仕方ないんだろうけど・・・・。
 この騒ぎにチヨが行方不明になって、翌朝、三平と共にチヨが帰ってくるです。
 三平はチヨの家に厄介になり、村人たちから煙たがれるです。三平は何を思うか?荒れ地を耕し始める。この行動、結果は、昔ばなしの「三年寝太郎」の起きた寝太郎の行動を思い起こすものがあったです。

 悪ガキは、三平に再三絡むのだが、耕しに行く途中で待ち伏せに会いこの時の三平の行動は、悪ガキ、村人の理解を与えることになった。その途中で何故か唐突に、三平とチヨの出会いの回想が流れる。何故ここでと思う所があるけど、あまり気にしないほうがいいと思うです。どこか、物心ついたころに見たアニメらしい気がするです。

 三平とチヨが畑仕事をして、村人たちが見守り余計な人が出てくるところで、蜂の大軍の襲撃に会う。そこで、三平が{netabare}忽然と姿を消すという、{/netabare}「妖怪人間ベム」の最終回、ベム、ベラ、ベロを思い起こすような事態になったです。この出来事が、このアニメのタイトルになるとは!

 10年たっても三平を待ち続けるチヨが、健気だったです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/16
♥ : 6

計測不能 22 2016年夏(7月~9月)アニメランキング22位
ひな鳥の冒険(アニメ映画)

2016年7月16日
★★★★☆ 4.0 (9)
28人が棚に入れました
幼いシギのパイパーは、お腹がペコペコ。でも食べ物があるのは
、波打ちぎわの砂の中。パイパーは波が怖くてたまらない……。巣を出たばかりの小さな水鳥が美しいビーチで繰り広げる、初めての冒険のものがたり。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

『ファインディング・ドリー』本編を超える美しい自然描写の同時上映短篇とくとご覧あれ

『ファインディング・ドリー』と同時上映される短篇
監督はピクサー出身のアニメタで今作が初監督となるアラン・バリラーロ


幼いシギのパイパーが親に習って波の打ち寄せる浜辺で餌になる貝を求めるが、パイパーは波が怖くて上手く狩りが出来ない
パイパーは恐怖心に打ち勝つことが出来るのか?


『ドリー』も海が舞台の作品ですが、こちらで描かれる海は『ドリー』とは比べ物にならぬほどリアル
砂ひとつぶずつ、波が立てる白い泡ひとつずつ、幼いパイパーのモフモフした綿毛が水に塗れて重くなる感じ
全てが『ドリー』とは異質の作品ですね
CGの質感としては、あくまで幻想的な世界で“アニメ的な嘘”を描いてる『ドリー』に対して、今作は『アーロと少年』と同じく“実写と見紛うほどの繊細さ”を目指したと言えるでしょう


また、これまで哺乳類や魚類は可愛らしいキャラにデフォルメすることが出来ていたピクサーが、唯一残された課題として“鳥類が怖かった”のを今作のパイパーが解決したと言える愛らしさを持っています


そして、『ドリー』本編ではドリーの両親がドリーをやや過保護気味に育ててるのに対し、パイパーの親鳥はパイパーを積極的に波打ち際に連れて行き狩りを覚えさせようとするのが印象的でもありました


ラストで“鳥は飛ぶもの”という概念を打ち破るオチが付いたのも面白かったです

投稿 : 2024/11/16
♥ : 4

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ファインディング・ドリーと同時上映 \鳥可愛いよー鳥ーーっ 鳥になりたいね/

ドリーを観る前に突然始まった 鳥タイム

ふわふわもこもこの鳥が何とも愛くるしくて
心の中で\鳥可愛いよー鳥ーーっ 鳥になりたいね/と叫んでました。
もう、言葉にしないように必死。それくらい鳥が大好きです。
ちなみに、チキンも大好きです。(チキン・・っ)

鳥が好きすぎて少々(鳥)取り乱しましたが (鳥だけに)
恐怖心克服と未知への挑戦を短く、言葉足らずに映像で伝えてくる作品でした。

とにかく鳥が可愛いです。(ただ、それだけが言いたかったのです)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 18

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ピクサーの中で一番好きな短編アニメ

このアニメは、ファインディング・ドリーと
同時上映されていた短編アニメである。

思い入れが強すぎる上に、支離滅裂なレビュー
になるかもしれないが、暇つぶし程度に
見てもらえるとありがたい。

内容を要約すると、ひな鳥の成長譚である。
詳細は別サイトで見ることを推奨。

ストーリーはすごくシンプルだが、描写や表現
が卓越している。特に、水の描写に関しては
一品級の出来。この表現を越える作品はなかなか
出てこないだろう。

キャラクターの動かし方も、パントマイムのみで
表現されているが、人間が操作している印象を
うけない。さすが、ピクサーだ。

個人的な感想だが、ひたすらひな鳥がかわいい。
健気で癒される。生まれ変わりたいと思った気分だ。
実の所、ヤドカリに嫉妬した。うらやまけしからん。
それまでの、私にとってかわいいキャラランキングでは
カービィとワドルディの2強であったが、そこに
食い込むレベルだった。誠に感服した。

正直なところ、ファインディング・ドリーはおまけで
こっちが本編なのではないかと
疑うほど素晴らしいアニメだった。
機会があれば、また視聴したいと考えている。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 9

計測不能 22 2016年夏(7月~9月)アニメランキング22位
ちえりとチェリー(アニメ映画)

2016年7月30日
★★★★☆ 3.9 (7)
24人が棚に入れました
ちえりは小学6年生の女の子。

幼い頃に父を亡くし、母親と二人暮らし。

母親は仕事に忙しく、ちえりの話し相手をしてくれない。

そんなちえりの唯一の友人が、父の葬儀の時に蔵で見つけたぬいぐるみの「チェリー」だった。

チェリーはちえりの空想の中では父親の代わりにちえりと話し、遊び、助言し、守ってきた。

ある日ちえりは、父親の法事のため、久しぶりに東北に住む祖母の家にやってくる。

そこでちえりを待ち受けるものとは……空想と現実の狭間で、不思議な冒険が始まる!

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

そこにいないから悲しい物語、そこにいるから優しくもある物語、これはあなたの想像力を試す物語

それまでの脚本家としての経歴から心機一転し、2010年に劇場版『チェブラーシカ』を監督したことでコマ撮りアニメ界に新風を巻き起こした中村誠監督が手掛けた完全オリジナル長篇映画
2016年公開の後、この3年の間はスローシネマやミニシアター系のみでの公開でしたが、この度晴れて全国公開とあいなりました
円盤化もいまだ未定ということで長らくスケジュールが空かず観れてなかったのがやっと観ることができました


父親を亡くした少女、ちえり
母親と一緒に父の生家へ墓参りに来たのだが、内気で頑固な性格で親戚や従兄妹達とは打ち解けられない
そんなちえりの唯一の友達は、ボロボロのぬいぐるみのチェリーだけだった
ちえりが話しかければ、チェリーは応えてくれた
ちえりが想像すれば、田舎屋敷の庭は大海原にもなった
ちえりの想像力は何でも生み出せたのだ
屋敷で一人留守番をさせられてしまったちえり
否、チェリーも一緒だ
ちえりは屋敷には大きなねずみが住み着いていて、そこに猫も居ると想像した
想像はねずざえもん、レディ・エメラルドという名前のねずみと猫となって現れた
2匹はちえりに軒下で苦しんでいる出産間近の母犬を助けたいとちえりとチェリーに持ち掛けた
すぐに行動に出たちえりとチェリーだったが、暗闇からちえりが想像の中で生み出した死神、どんどらべっこが襲ってきたのだ…


まずこの映画、なんと【日本映画初の完全オリジナル長篇パペットアニメーション作品】になります
パペットアニメーションは文字通り人形を数ミリ単位で動かしては撮影を繰り返すコマ撮りアニメの一種です
が、人形であるがゆえに表情の芝居の制約が多く、そもそも美術セットにカメラを割り込ませる余地を作らなければならず、ある程度“退きの画”になりがちで舞台芝居然としてどうしてもセルアニメや3DCGアニメのようには作れません
ところが昨今、CGやデジタル撮影の導入で遠景の背景やエフェクトの類を補完させることでかつてよりも自由度の高い画作りが可能となったのです


そんな技術的進歩もあり、これまで誰も挑戦しなかった国産長篇パペットアニメ映画となったのが今作というわけで、これだけでも十分な偉業と言えます


お話の主人公、ちえりとチェリーはいわばイマジナリーフレンドの関係にあります
劇中ではより詳細な種明かしがされるのですが、このチェリーというウサギなのか猫なのかよぉわからんぬいぐるみは、なぜか想像の世界では肩幅の張った男性的なフォルムで顕現し、声も星野源が落ち着いた雰囲気で演じています
つまりチェリーは自ずと、父親を失ったちえりが求めた父親像そのものということになっているわけです


イマジナリーフレンドというのは結局のところ存在しない、と考えるとこのチェリーを頼りにしているちえりの言動は非常に切なくも虚しくも感じてしまうと思います


ですが逆に、ちえりの中の父親像がちえりに道を指し示してくれている、と考えるとクライマックスでチェリーが下した決断というのが、ラストシーンで成長したちえりの姿に説得力が与えられると思います


このちえりという難しい役どころを心抉る芝居で演じた高森奈津美の演技は本当に例えようの無い素晴らしさです
エンドロールを観れば気付いてもらえると思いますが、ちえりは実は結構年齢がいってます
脚本の段階では9歳でしたが、本編では12歳というより繊細な年頃になっており、これがさらに役どころを難しくしているんです
その微妙な年頃の演じ分けというのが高森奈津美の芝居抜きでは成立しなかったとひしひしと感じます


また、端的にこのちえりというキャラクターのデザイン、パペットとしての造形が、非常に可愛いというのも大きな魅力です
可愛い人形が動くのですから、その時点でアニメーションとしてはこの上ない価値のある画になってます
ちなみに『ジュエルペットてぃんくる』の伊部由起子さんのデザインだそうです
チェリーのデザインはロシアオリジナル版『チェブラーシカ』のレオニード・シュワルツマンが担当しました


さて、本編全体を通して「生と死への向き合い方」「イマジネーションの可能性が心を補完する」というものがテーマになっています
これは東日本大震災や監督が制作直前に母親を亡くされたことも深く関わっているようです
とても重いテーマのようですが不思議と観易く作られているのが今作のポイントに感じます
特にちえりのみならず、夫を亡くした喪失感とちえりへの苛立ちを隠せないちえりの母親の視点が時々混じる構成なのが、この重いテーマを一歩退いた目で観させる工夫なのかもしれません


欧米に負けない日本のストップモーションアニメ最前線を是非ご自身の目でお確かめ下さい

投稿 : 2024/11/16
♥ : 3

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

空想と現実の狭間で冒険する物語の人形アニメ―ション

幼い頃に父親を亡くした小学6年の女の子・ちえりとぬいぐるみのチェリーが空想と現実の狭間で冒険する物語。

人形アニメ―ションとしては長編となる54分の作品、
細かい所にも手を抜くこと無く丁寧に作成されてます。 

監督は中村誠氏、
東映版kanon、劇場版AIR、劇場版CLANNAD等の脚本を執筆、近年はチェブラーシカ、ちえりとチェリー等人形アニメーションに携わる。

中村誠氏の作品に一貫すテーマは「喪」、
身近な人の死(もしくは死に近い事象)に直面した人々の内面的葛藤と成長譚を浮き上がらせます。

先日小さい子を集めた神奈川だかの上映会では、物語後半に多数の子供達が泣き出してしまったそうで、
中村監督がツイッターで「怖がらせてしまいすみません」と謝ってました。
私が観た時も上映後近くに座っていた子供達が「怖かったねー」とキャッキャしてましたが、どの場面かは直ぐ思い浮かび実は私もそこはちょっとビビりました^ω^;)

キャラはサムネ画像そのままなので全然怖い映像では無いのですが、それだけ物語に没入していたという事なんでしょう。

大人をも没頭させ感情を起伏させる。
ぜひ親子で観て欲しい至極の人形アニメーションです。
20171002

20181130 追記

2019年2月15日から全国のイオンシネマにて上映が決定したそうです。
お近くにイオンシネマ有りましたらぜひ、日本初の長編オリジナルパペットアニメーションの良さを体験してみて下さい(^ω^)

投稿 : 2024/11/16
♥ : 2
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