ラ ム ネ さんの感想・評価
3.7
たまには、素朴な作品を。
思い込みは経験によって書き換えられていく。憶測は憶測でしかないのだ。実際にやってみないと、実的には分からない。私たちは表向きの姿に見慣れているが、見慣れたものに実際まぎれてみると、主観世界はまったく違って見え始める。「表姿」という憶測に、「裏姿」という経験の前提ができるのだ。すると、世界を人よりちょっと深いところから見れるようになる。辺りにあふれるサービス、その多くは近代特有のもの、前時代にはなかった。ガソリンスタンドはグローバル化あってのことだし、コンビニは地域性がシステム化によって退廃した象徴のようなものだ。人口がふくれて流動していて、それに伴ってサービスが溢れるようだ。当たり前だと傍観していたけれど、当事者になってみると、みんな頑張ってるなぁと共感できる。…じゃあ、その「深いところ」にあるものって、なんだろう?やっぱりそれは成長だ。
表姿だけを見ていた傍観側は、裏姿を描かれることで、当事者意識に落とし込まれ、人物たちの小さな成長に、ちょっと勇気づけられる。そんな話しだ。
岩井俊二監督作品。実写の方が、演技次第では、伝わり易かっただろうとは思う。公式サイトにて公開されている。2016/4/30