けみかけ さんの感想・評価
4.5
「しらんぷり」なんかさせない
アニメミライというプロジェクトがあります(中略
なんと今作には原作がありまして、小学校を舞台にした「いじめ問題」を取り扱った同名の絵本がそれでございます
今作ではその“絵本の絵柄をそのままアニメ化”しようという大胆な試みがなされたのが最大の特徴です
キャラデザ、作画監督を務めた浅野直之(通称:いま日本で一番ドラえもんが上手いアニメタ)を筆頭に集結した若手アニメタ達は、終始アートアニメ作品のようなクロッキー調の鉛筆画タッチと通常の作画では考えられない極太のアウトラインで原作絵本の絵柄を再現しようとしてます
ただでさえ既存作品とは違うこのチャレンジに加えて、複雑なレイアウトを駆使した作画が臨場感を高めており、作画的な見どころは大きいです
(実際の制作では背景美術や撮影処理など、通常の商業アニメと同じ分業体制を採るため、この手法の場合アートアニメや自主制作アニメよりも難しい作画になってしまう)
肝心のお話は、「いじめ」という問題に真っ向から向き合って解決へ向けての可能性をいくつも示してはいくものの、最終的には答えを出していないのが素晴らしいと思います
結局のところ「いじめ」って完全にはなくならないですし、正解もありゃーせんのです
終始、主人公の少年の独白でお話は進みますが、声優には小嶋一星くんという子役を配して、寂しげな声がいじめ問題の切実さを引き立てています
さらにその周りを固めるのは小清水亜美、矢島晶子、銀河万丈といった超豪華キャストです
お子様はモチロンのこと、こんな作品だからこそ大人には「しらんぷり」して欲しくない
オイラもあなたも
誰かをいじめていないだろうか?
しらんぷりしてないだろうか?
もう一度ちゃんと見つめ直していただきたい