二足歩行したくない さんの感想・評価
4.3
本作を見ないとガンダムWは終われないです
TV版ガンダムWの続編作品。全3話、OVA全1巻で完結しています。
ガンダムWは「ガンダム⇒腐」の図式を成り立たせた戦犯的な作品という評価もありますが、TV版にしても本OVAにしても完成度がかなり高く、男性の私から見ても追い続けたくなる作品だと感じます。
ちなみに、TV放送されたアニメの続編がOVAで出るのはよくあることですが、ガンダム作品では本作が初で、その後、本OVAは再編集されて劇場版となり、ガンダムWの映像化作品としてはそれをもって終わりとなりました。
ストーリーは、TV版ラストから1年後。
ガンダムたちの活躍によって訪れた平和は、トレーズ・クシュリナーダの実子を名乗る少女マリーメイア率いるコロニー軍の独立宣言、及び地球への宣戦布告、更には平和の象徴であるリリーナ・ドーリアンの拉致によりもろく崩れ去る。
地球圏の平和維持組織プリベンターに所属していたノイン、レディ、サリィ、そして5人のガンダムパイロットたちによる戦いが再び始まる。
「歴史というものは終わらないワルツのようなものです。戦争・平和・革命という三拍子がいつまでも続く」というマリーメイアのセリフが象徴的でした。
ただ、ふんぞり返ってはいますが大した絶望感も与えられず敗退しているため、あまり強キャラという感じはありませんでした。
同じくらいの尺で「逆襲のシャア」と比較しても戦闘や政治工作については淡白な印象です。
マリーメイア自身モビルスーツに乗らないし、印象的な敵機も出ません。
5体のガンダムは続投ですがデザインが一新されており、ここは賛否両論あるところかと思います。
OVAのため作画はきれいで、リファインされたガンダムもすごくかっこいいのですが、もはやTV放送時のそれとは違うガンダムになっています。
私的には、新デザインのガンダムはTV放送時の愛着のあるものから別に映ってしまったので、元のままのデザインがよかったなと思いました。
本作の見どころは戦闘よりも、TV版では語られなかった5人のガンダムパイロットの過去が見られるというところだと思います。
また本作のラストで過去の清算、完全平和主義に必要なものについての答えが提示されており、単なるガンダムWのアペンドとしてではなく、本作を見ないとガンダムWは終われない内容になっています。
TV版を見たなら見るべき作品です。