wkr さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
一期だけでは未完成品。二期を強く希望、そして原作を読んで!
視聴後に原作を読みました。
可愛い女の子達が単なるキャッキャウフフするのを見る目的で手をつけましたが予想外なことにとても味のある大傑作でした。
原作読後の感想としては、このアニメは中途半端すぎます。アニメストーリーは原作に忠実で演技や演出は原作を見事にアニメーションにして映像作品として秀逸なクオリティ、アニメだけでもとても素晴らしい作品ではあるもののキャラ達の抱えるしこりが完全に取り除かれておらず不完全燃焼です。
とにかく原作が最高!!!特に一期後の範囲はそれまでの描写が積み重なって描かれる自己確立、それぞれの「好き」、濃厚で多幸感溢れる百合、どれも強いカタルシスを味わえる回ばかりで、ただこなすだけじゃなくそれ以上の哲学的描写を巧みに交えた一本筋の通ったストーリー展開も素晴らしいです。特に38話の佐伯沙弥香回はすこく感動しました。{netabare}沙弥香先輩の持つ「好き」の定義、変化する燈子の「好き」に対する価値観、そして決断。本当に美しい内容だった。1番好きな回です。{/netabare}なんでこれをアニメ化しないのか...年単位でなろうの粗製濫造するくらいならこの作品を数年かけて作り上げてもらいたいです。
ただ一つ文句があるなら{netabare}生徒会劇の脚本があまりにも作為的な点でしょうか。{/netabare}アニメの範囲にも言えることですが、作者側のメタ的な部分が見透けてしまっており、物語的にはとても強引でその手段が作品にとってはノイズになっているように感じました。しかしながらそれ以外は文句なしです。むしろそれ以外に良い部分がとても多く、百合恋愛漫画の金字塔の名に相応しいと思います。あにこれ的評価なら☆4.9〜5.0(出来が良すぎるので5.0でも良いかもですね)。全8巻であまり長くないうえ無駄な引き延ばしなく綺麗にまとまっているのでおすすめ
アニメの範囲での特に面白いところは人物を掘り下げていく内に印象の変わる関係性と、秀逸な心理描写だと思います。キャラを掘り下げていく内に露わになる関係性がうら悲しく絶妙です。そしてキャラ像の掘り下げ方、見せ方がわかりやすく秀逸なため容易に感情移入することができ、キャラ達の内面描写についても感情の機微や感情そのものがとても美しい(劣情がないと言うべきか、とりあえず胸糞な要素がない)。そして文学的でありとても繊細に展開を作り上げていくため、一つ一つの展開の引き締まり方が尋常じゃないです。特に6話は{netabare}好きになった理由の核心を描くシーン、そこから引き出される燈子の複雑な人物像と本当の関係が描かれるという展開は圧巻です。演出も演技もこれまでの流れとしても強烈に印象を残すような{/netabare}神回です。原作読後に気づきましたが、アニメ最終回のアニオリは続編が作れない時のために保険かけてたんだなあと。そのアニオリがうまいこと話をまとめてはいましたが、原作があまりにも完璧すぎてアニメは不完全燃焼だなと思うようになってしまいました。アニメが面白いと感じたなら原作も読んでほしいなというレビューです