「やがて君になる(TVアニメ動画)」

総合得点
82.0
感想・評価
670
棚に入れた
2471
ランキング
371
★★★★☆ 3.8 (670)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

美しい文学作品を読んでいるような・・・、そんな感覚。

オープニングがとてもすばらしい。
曲のタイトルは「君にふれて」と言うこの作品テーマに通じるもの。
学生時代や青春を思い出させるような懐かしい感じがするメロディーライン。
このメロディーにのせて、美しい絵が映し出される。
才能あふれる多感な美術少女が青春の時にしか描けないような美しくも闇がある絵。
まるでそんな絵のキャンバスが並ぶ美術教室に入ってしまったような感覚。
そこはまるで自分の心が作品によって静かに切り裂かれるような不思議な空間。
そんなオープニングである。

この物語は、女の子が女の子を好きになってしまう話。
でも、好きになって何が悪いのってさえ思えてくるほど清純な恋愛に思える。
観ているこちらも百合に対する偏見が浄化されてくるようにも感じる。
とても澄んだ空気感が作品の中に流れている。
特に序盤の踏切のシーン・・・。
なんて表現してよいか言葉が見つからないが、この空気感は特別だと分かる。

この作品は、登場人物の心の内面、気持ちを丁寧に表現している。
また、その結果として目に見える動きの部分もとても丁寧に描いている。
やはり、人の仕草や表情、行動は、気持ちの表れなんだと再認識させられる。

一人称視点やモノローグで、主人公の心情にグッと引き寄せる表現をする。
そうかと思ったら、ちょっと引いてその心情を冷静に見せる表現もする。
「心」と言うものを内からも見せるし、外からも見せる。
主人公に感情移入させるのではない。
視聴者をグッとその「心」に引き寄せ主人公の中にいるもう一人の自分に仕立てる。
そして、一緒になってその「心」を冷静に見つめさせる。
結果として、主人公が抱える課題を一緒に紐解き1つずつ丁寧に整理していく。

この作品は、登場人物の「心」だけではなく、まわりの「空気感」をも描いている。
特に心情描写は、登場人物のセリフや表情、仕草だけにとどまらない。
まわりの背景さえも比喩的に使っている。
木漏れ日、風に舞う木の葉、窓から差し込む光、そのすべてが心情描写の一部だ。
まるで美しい文学作品を読んでいるような・・・、そんな感覚にさえなる。

自分は、この作品がとても好きだ。
それは、「心」と真摯に向き合っているからである。
自分は、この作品を人に勧めたくない。
言い換えれば、自分のものだけにしておきたい。
それだけ人に触れられたくない「心」の内面の繊細さを描いているからである。
OPの歌詞で例えるなら「鍵をかけたガラスの箱に隠しておきたい」作品なのである。

投稿 : 2021/11/08
閲覧 : 453
サンキュー:

30

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