時代劇TVアニメ動画ランキング 47

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の時代劇成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番の時代劇TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.6 1 時代劇アニメランキング1位
サムライチャンプルー(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1650)
8873人が棚に入れました
天涯孤独のフウはだんご屋でバイトをしながらもいつか向日葵の匂いのする侍を探すために旅に出ようと考えていた。
そんな中、フウはムゲンとジンに出会い、だんご屋が燃えてしまったことを契機に、その2人を用心棒に旅立つ決心をする。物語はそんな三人の道中を描いたものである。


声優・キャラクター
中井和哉、川澄綾子、佐藤銀平
ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

アニメ×JAZZY HIPHOPの是非を問う

この作品は観る人がNujabes(ヌジャベス)にどこまで入れ込んでいるかで評価が変わるようだ。彼は00年代で活躍した伝説的な音楽プロデューサーで音楽マニアならその名を知らぬ者はいない、といった感じの超有名人らしい。あのテニスプレイヤーの錦織圭選手が好きな音楽家として彼の名を出したこともある。音楽もスポーツも興味がない私は調べるまで聴いたこともなかったが……(汗
そんな有名人が本作の劇伴に起用されているからか、支持するファン層も通常のアニオタとはちょっと気質が違うようである。ちなみに他にもTsutchie、fat jon、FORCE OF NATUREというユニットが携わっているそうな。

【ココが面白い?:時代劇とヒップホップの超融合!(1)】
さてNujabes──後の瀬葉淳(せば じゅん)──氏が扱ったジャンルは彼自身の音楽活動の中で確立したという「JAZZY HIPHOP(ジャジーヒップホップ)」だ。
これは字面のまま「ジャズ」のようなメロディーを基盤(ベース)に「ヒップホップ」の細かい曲の早回しや巻き戻し(DJがレコードをキュッキュッと動かすアレ。スクラッチとも)等の要素を取り入れたもの。出だしがヒップホップで、そこから徐々にサックスやピアノの音を重ねていく、といったパターンもある。
OP『battlecry』を聴いてみると確かに「ヒップホップなんだけどジャズのようなメロディーもあるなぁ」という小学生並みの感想を抱く。もっとちゃんと踏み込むならば通常のアニソンのような気分を盛り上げるものではなく「適度に下げてリラックスさせる」効果が期待でき、ジャズのそこそこ上品なイメージをヒップホップで打ち消して聴きやすくしたかのような印象を受ける。カラオケには全く向かないが作業用BGMには最適解かも知れない。
そんな画期的でもあり定期的に流行もするジャズラップ(略称)が飽くまでも「時代劇」という体である本作の主題歌やBGMに使われている。故に『サムライチャンプルー』は「時代劇×HIPHOP」と紹介されることが多い。

【ココが面白い?:時代劇とヒップホップの超融合!(2)】
ではこのジャズラップだの“Lo-fi Hip Hop(ローファイ・ヒップホップ)”だのと呼ばれている音楽と本作がどのくらいマッチしているかというと、正直あまり合ってないんじゃないかな、と思ってしまった。
この作品、確かに殺陣などの映像面は素晴らしい。無駄に鍔迫り合いすることはなく、青白い直線が太刀の軌跡だとわかった時には「何かが斬れている」というスピード感、その一閃を目でしっかりと捉えて最小限の動きで躱しては反撃し、互いに攻防を入れ替え続けるという殺陣の細かさが良い。とくに主人公の1人であるムゲンはとても侍とは呼べない戦い方をする。戦う場所が茶屋であれば粗茶をぶちまけたり団子串を刺したりして隙を作り、三角跳びで上空から斬撃や蹴りをお見舞いする。極めつけにはブレイクダンスの回し蹴りの勢いで多対一の状況を切り抜けてしまうなど、まるで現代のダンサーが江戸にタイムスリップしてそのまま十数年を生き抜いたかのような時代劇に染まりきらない戦い方が素直にカッコいいと評せる。
ただ、そんな映像の迫力に対してBGMが“負けている”ようにもまた感じるのだ。
上記にも記したがジャズラップは気分を盛り上げるものではなく適度に下げてリラックスさせるような曲────つまり「落ち着いた」曲調であることが多い。それを戦闘BGMに起用した場合、優れた映像に合う激しい効果音や怒号を入れれば入れるほど基本静かなBGMはかき消えて印象が薄くなってしまうのが自明の理ではないだろうか。
実際に本作のサウンドトラックのレビューには「何故かどの場面の曲なのか思い出せないことが多い」と評している人もいる。これは思い出せないのではなくその場面の曲がその人にも“ちゃんと聴こえていなかった”ということが伺えるのである。

【ココがつまらない:弱すぎるストーリー】
最大の問題はこの作品が時代劇の「ロードムービー」である点だ。
ロードムービーとは主役が旅を行い、その道中で起こる様々な出来事で物語を構成しているジャンル。アニメで類似作品を挙げるなら『狼と香辛料』や『魔女の旅々』、そして『夜ノヤッターマン』といったところか。主だった物語は旅の道中で起こり、 その過程の描写がメインであるこのジャンルはストーリーの発起や結末自体は曖昧な作りになっているものが多い。
本作も一応、話の本筋としてヒロイン・フウの「向日葵の匂いのする侍を探す」ことが目的として挙げられているが、3話・4話・5話と観てもこの侍探しが進展することは全くない。第5話に至っては渡し舟で先に進むために路銀(お金)を稼ぐだけの話である。
まあ、第2話の時点でこれは危惧していた(笑) 何故そう思ったか3人の会話を振り返ってみせよう。
{netabare}フウ「向日葵の匂いのするお侍さんが見つかるまで、斬り合いは禁止です」
ジン「それは何者だ?」
フウ「それは……」
ムゲン「そもそもヒマワリって何だよ?」
ジン「知らんのか」
フウ「花よ花!」
ムゲン「どんな匂いなんだ?」
ジン「他に手がかりはないのか?」
ムゲン「似顔絵とかよ」
ジン「ここに来た根拠は?」
フウ「ああああああもう!!」{/netabare}
────以上である。
いかがだろうか。捲し立てられたとはいえ、人探しにおいて重要かつ尤もな疑問や指摘をヒロインがキレ散らかすことで全て誤魔化し、そのまま話を進めてしまう。手がかりなんて何もない。そんなものはアテのない旅の中で見つければいい。それがいつ見つかるかどうかは今後の脚本次第、という本作のスタイルや制作事情が伺えるのである。
「ヒマワリってどんな匂いなんだ?」という質問も実は良い質問だ。「向日葵の匂い」なんて物も現代ではそういうシャンプーを使っている人でないとピンと来ないのではないだろうか。そういった“嗅覚的”な情報を加えてしまった本作の主目的は視聴者がいまいち共感できないものになっている。見た目に特徴があれば映像で、印象的な音色があれば音響で伝えられるのがアニメないしテレビジョンだが、こと“匂い”をダイレクトに伝えることは現代の技術でも実用化には至っていない。本作の放映年では尚更、不可能だった。

【ココがひどい?:時代情景がデタラメ】
ここからは細かい粗探し。まあ1話冒頭で「ガタガタ言うな。黙って見やがれ」と予防線を張られている以上、『ツッコんだら負け』の類いかも知れないが、構わずやります。
本作は江戸時代の日本を舞台としているものの『サムライチャンプルー』の名前通りか、随所に現代文化がミックスされた独特の世界観が特徴である。外来語や若者言葉を話し金髪やリーゼント、ピアスを付けた侍がいたり、刀にケータイのようなジャラ付けがされているなど毎話、時代情景を軽視した時代劇を展開している。
悪大官は「ここは拷問の“デパート”だ」なんて表現をするし、侍が何故か髷(まげ)をバカにされた時は「こういう“ヘアスタイル”なんだよ!!」と言い返したりする。完全に視聴者のツッコミ待ちだ(笑)
やはりこれは監督の、作品に面白味と新鮮味を出すための演出であり、観る人が寛容であればあるほど本作をより楽しめる一要素として活きてはいる。
ただ、ややそれが過剰だ。刀をマイク代わりにボイス・パーカッションを披露するヒューマンビートボックス侍など、然り気無いものではなくしっかりと尺を奪っている演出もあり、ここがスベってしまうと一気に話がつまらなくなる「諸刃の剣」も持ち合わせてしまっている。

【キャラクター評価】
ムゲン
確実に善人ではないが悪人とも言い切れない、個人的に2番目くらいに感情移入が難しいタイプ。「このキャラを通して『自由のカッコ良さ』を伝えたいのかな?」と思うくらい権力や支配を嫌い、自分から喧嘩を売ることも多い粗暴で好戦的な性格で描かれている。
自由も「いい加減」だと惹かれないんですけどね。「自由だから何?今日の飯にも困ってるじゃん(笑)」みたいな。
CVは中井和哉さんで某三刀流の人と同じだけど、正直彼より、又は彼とは違った魅力が備わっているとは言い難い。

ジン
「仏の顔も────二度までだ!」
知的そうに見えてアホですね(笑) 生真面目で剣術も正道など、ムゲンとは色々と対極な位置づけだけども「斬るしかない能無し」という点で共通してて意気投合も多いのが魅力的に映る部分もあったかな、と。
中の人は本職俳優でアニメ用の声が用意出来なかった模様。まあ無口なキャラなのでさほど気にはならなかったが。

フウ
彼女自身について特に語ることはありませんね。普通のメインヒロイン。勝ち気。大食い。貧乳etc.
ムゲンもジンもこの娘が気に入らなければ斬り捨てるのはやり過ぎでも暴力や威圧で黙らせることは出来る筈なのだが、特に理由もなく彼女の人探しの旅に付き合っているのが不思議────穿った見方をすればきちんと設定されてないな、と思うところ。まさか第1話の不必要な助太刀に恩を感じてたり、最後のコイントスの結果に律儀に従ってるわけじゃあるまいし…………まあ2人とも自由人だから「暇つぶし」が一番しっくり来るかな(笑)

【総評】
「クセの強いアニメだ」と他の人が言うような評価に私もせざるを得ない。
剣戟アクションは20年代の現在で観ても十分素晴らしいものばかりであるし元来、硬派な時代劇に現代文化を取り入れて笑い・ツッコミを誘うというのは実はアニメでは『銀魂』に先駆けて作られた当時の斬新な手法でもあるなど良点は確かに多い。
しかし公式や紹介記事が1・2番に推している音楽の部分でまさか「印象が薄い」「映像に負けている」「洒落た部分が鼻につく」などの不満点を抱いてしまうとは思わなんだ。ここを肯定できるのは「JAZZY HIPHOP(ジャジーヒップホップ)」という音楽が好きで、Nujabesこと故・瀬葉淳氏を尊ぶ、あまりアニメを観ない人に限られるのではないだろうか。後は当人の思い出補正かな。少なくとも「現代アニメとは違った選曲をしているからこの作品は素晴らしい!」という理屈を通すまでには至っていない。そもそも聞こえないことが多かったし(笑)
そしてストーリーが弱過ぎる。単発話の中には良回(ファンの中では神回)と言っていい物もあるが、基本的には食事や旅の資金に困る一行から切り出してそこから一騒動に巻き込むという御決まりかつありきたりな話が大半を占める。
そもそも旅の目的がロードムービーというジャンルから観て浅く、その上で主目的と関係無い話を続けるので「今の話必要あったか?」とずっとずーっと思ってしまうわけで、いかにその疑問・不満・ストレスと切り離して観れるかがムダに2クールもある本作を完走できる秘訣と言えるだろう。
主役が旅をすることで色々な景色を写し、様々な人物との出会いや別れを経験させて、訪れた場所の文化や価値観に触れながら定めた目的に行く中で一行が成長し、掌中の珠を取得していく。それがロードムービーの醍醐味であるのだが、本作にはそれらの条件があまり当てはまらない。
とくに「成長」という観点ではムゲンが最初から自身の生き方────“信念”を確立させているのであまり伸び代がない。「言い訳しながら生きるんじゃねえ」「その刃、人に向けたら殺すか殺されるかそれだけだろうが」と逆に出会った者にお説教をかますくらいである。
なら実は『水戸黄門』のような世直し旅の要素を含んでいるのかな?と思いきや、ムゲンらと関わった者は善人悪人すべからく命を落とすという救いのない話ばかりでもあり……もう少し人情味を入れた展開を増やしてもよかったのではないかとも思う次第である。そういう意味では第11話「堕落天使」や第15話「徹頭徹尾」が良回と言える。
まあ、ストーリー性の薄さは10年代以降のアニオタの感性から見て割と致命的だけれども、奇抜な演出や疾走感溢るる殺陣シーンなど映像面ではとても良くできている作品なので、もし視聴するならばシナリオよりもそちらを重視して評価するといいだろう。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

備忘録と感想

テレビ放送では放送枠の都合上、1~17話まで放送されていたようだ。チャンプルーが示すようにごちゃ混ぜというより、カオスな印象を受けた。ところどころに謎なギャグを入れつつ、シリアスな雰囲気で切る。そして人探し。1~2話で完結するので、適当なところからも見ることができる。伏線とか考察する要素はそんなにないので、気楽に見られる分、面白みに少し欠けるかなと思われる。
ヒップホップな感じのbattlecryは雰囲気に合っていると言えるが、自分の好みとは少し言い難い。EDの四季ノ唄はあんまり好きでないと感じていたが、アニメを見終わるころにはもうちょっと聞いていたいと思う程度になった。フウの幼少期が描かれており、梅干しを食べたときの顔がリアルで印象的。

以下はアマゾンプライムビデオにて掲載されていたあらすじと見終わった感想↓

{netabare}1話 疾風怒濤
茶屋でアルバイトしていたフウは、ムゲン・ジンの2人に会う。2人は茶屋で大暴れした挙句、代官に捕らえられ処刑されようとしていた。フウは助けるかわりに、ある約束を2人にさせる。それは「ひまわりの匂いのする侍」を探しにフウと一緒に旅をするというものだった。

まずは3人の出会いのお話し。見るからにガラの悪そうなムゲン。クールでどこかミステリアスなジン。物語の始まりとしては典型的でこんなものかという感じ。


2話 百鬼夜行
ムゲンに片腕を斬られた竜二郎は、復讐に燃え二人に刺客を送り込む。ジンには小物に見えて実は恐ろしく腕の立つ男を。ムゲンには鬼の形相をした怪力の大男を。フウは竜二郎にさらわれ、ムゲン・ジンはそれぞれ彼らと戦う事になる。

1話で茶屋を燃やした竜二郎登場。怪力の大男は容姿の醜さから虐められてきたが、フウにだけは少し心を許したようで、竜二郎に反抗し、戦いは収束。見ていた自分もフウの心優しさに心動かされた感じ。


3話 以心伝心 其之壱
フウのあまりの口やかましさに嫌気がさしたムゲンとジンは、フウを置き去りにし別々に同じ宿場町にやって来る。そこの町を仕切っている二つの組、永富組、瓦組にムゲン・ジンがそれぞれ用心棒として雇われる事になった。一方、遅れて同じ町にフウもやって来る。

ジンを雇った側の娘がムゲンを雇った側が運営する遊郭に連行され、弟が助けに行く。別々に雇われているムゲンとジンがめちゃくちゃに切りあう。さらに、占いで壺に気を付けろと言われたそばから壺を持った人にぶつかり、代償として遊郭に連れていかれるはめになったのは、笑えるシーンだった。なんでやねん。


4話 以心伝心 其之弐
それぞれが違う立場で再会するムゲン・ジン・フウ。ジンを雇った組の息子、宗介の過ちにより、二つの組の抗争も激化しそれを収める為、丁半博打で勝負をつける事になる。だがそこに現れた壺振りはフウだった。

フウは壺のことだけを何故か思い出し、遊郭に来た客を壺で殴り、逃走。賭場に行こうと道を聞いただけなのに、壺振りと勘違いされる。一方で姉を助けに行った弟君が相手の組の者を刺してしまった責任を取って父である組長が相手の組長と博打するわけだが、ムゲンを雇った側の組長はいかさまをしようとしていたところ、まさかのフウ登場で台無しに。結果として、両方の組長死んじゃってなんとも切ない気持ちに。


5話 馬耳東風
渡し舟の金が払えず立ち往生する三人。渡し賃を稼ぐ為、各自町に散っていく。フウは浮世絵師のナンパ男に誘われ浮世絵師のモデルになり、渡し賃稼ぎに精を出す。だがそのモデルの仕事は罠だった。

結構好きな話。のこぎり万蔵初登場。浮世絵師を追っているようだが、隠れているときに刀の代わりにびよんびよんするダイエット器具を持ってカロリー消費を心掛けるというギャグっぷり。しかも変なタイミングで樽から出てくる。フウが売られそうになっているのに、ジンはなんか将棋指してるだけ。ムゲンは探していたけど。色々あったが、乳を大きめに描いてもらえて嬉しかったというオチ。


6話 赤毛異人
いよいよ舞台は大江戸だ。息巻く3人、江戸に来た。腹がへっては侍探せぬ。大食い大会出る事に。そこで知ったフウの食欲。そこで知り合う変な侍。全く知らない江戸の町。出てくる謎の虚無僧チーム。始まるキケンな江戸観光。

大食い大会で急に蠅が飛び出したなと思ったら、フウがそれを捕ったことでご馳走様をしてしまったと勘違いされ、まさかの優勝逃し。そして、大量に食事したことで風船みたいになってる。優勝した侍はどう見ても怪しい。しかし、刀を返してもらわないといけないから、観光に連れて行く。結構、お偉いさんだったようで、フウが持つひまわりの匂いのお侍さんに関する手掛かりについて知ってるようだった。どうやら長崎にいるらしい。ということで、江戸編終了。


7話 四面楚歌
しぶりの飯にありつこうとしたムゲン達、だが一瞬の隙をつかれスリの新輔に大事な財布を掏られてしまう。町中駆けずり回り新輔を探すムゲン達。だが、ムゲン達以外にもヤクザの小五郎達が、印籠を取り返す為新輔を探していた。町中で出会う新輔・フウ・小五郎達、咄嗟に新輔はフウを人質に取り油問屋の中に逃げ込む。偶然そこに同心達も加わり大騒動になってしまう。フウ達の熱く長い一日が始まろうとしていた。

なんとも切ない話。病気の母を助けたいがためにスリをして金を稼ぐ息子。何か悪いことしてるのではないかと疑いつつも息子を信じる息子。スリをしていくうちにヤクザから非常にヤバい物を盗んでしまう。大騒動の末、殺されてしまうのだが、フウは母親に伝えられない。伝えられないまま、息子の帰りを待つのを想像すると本当に切ない。


8話 唯我独尊
自称・将軍になる男、ばっちり髪型をリーゼントに決めた永光はなぜかメガネをかけた侍ばかり襲う。ある飯屋でフウ達三人に出会う永光。ピンときた永光は、早速フウをナンパ。無理矢理デートに連れ出されてしまう。そこで永光の口から驚くべき事を聞かされるフウ。永光はある男を探しているという、伝説的な剣豪「真理屋円四郎」を卑怯な手を使い殺したとされる男を。その男はメガネをかけた侍で名前を「ジン」というのだった。

手下を従えてジンを探す永光はヒューマンビートボックス?をさせながら、謎のラップを歌いつつ、自己紹介する。大袈裟な紹介の割には弱い。というより、手下の一人のほうが強くて、そっちもジンを探していたようだ。というより、永光、嫁も子供もおったんかーい。何だったんだこの話。


9話 魑魅魍魎
ダフ屋からニセの手形を掴まされ箱根の関所で捕まってしまうムゲン達。このまま3人磔処刑か?と思われたところ、奉行の衣笠から、山を越えて罪人の首を届け日没までにこの関所に戻ってこられたら、命を助けてやると言われる。人質として残されるジンとフウ。首を持ち駆け出していくムゲン。だが、その場所まで行くには天狗が住むと言う魔の山を抜けなければならないのだった。

魔の山にいたのは天狗じゃなくて僧兵で戦国時代の遺物。ムゲンと箱根の関所から付いてきた監視役も捕まってしまうが、なんか変な植物のせいで僧兵も含め、全員ラリッてしまう。そのせいで、ジンとフウは処刑されそうになってしまう。なんだかんだ楽しそうな話。


10話 以毒制毒
ある宿場町で侍ばかりを狙った辻斬り事件が頻繁に起こっていた。その事件の遺体には外傷は無く、体中から血を噴きだして死んでいた。たまたまその町の寺でアルバイトしていたフウ達は、事件の犯人を捕まえた者に賞金が出る事を聞き、アルバイトそっちのけで犯人探しを始める。

自分を最強だと思っている辻斬りを倒す話。特に感想なし。ぼーっと見てた。


11話 堕落天使
雨が止まず、町に立ち往生するフウ達。宿代を稼ぐ為、それぞれアルバイトをする事に。ムゲンは賭場の用心棒。フウは茶屋のホールスタッフ。ジンはうなぎ屋台の売り子に。うなぎに戸惑うジンに一人の女性が、さばき方を教えてくれる。名前を紫乃と言い、明日から遊郭で働くのだという。

旦那に虐げられている紫乃にジンが惚れて逃がすわけだが、ジンの意外な一面が見られた印象的な話だった。


12話 温故知新
久しぶりに宿に泊まる事になった3人。フウが風呂に入っている間にジン・ムゲンの二人は、フウが書き綴った日記を見つけ勝手に盗み見る。その日記には、男・食べ物・旅の事などが、赤裸々に書かれてあった。

言わば、総集編。話の区切りだったこともあり、EDも違う。


13話 暗夜行路 其之壱
山沿いの道を、迷いながらぶらぶら歩いていたムゲン達。ふいに、道が開け、ついに、海まで出てしまう。そこでムゲンは、昔の幼なじみの少女コザと偶然再会する。喜ぶコザに対し、ムゲンの表情は険しい。そこに現れる一人の男。それは昔のムゲンの仲間で、今は海賊のボスとなっていたムクロであった。

不穏な雰囲気の始まり。


14話 暗夜行路 其之弐
ムクロとの賭けに負け、御用船の金を奪う計画に加わるムゲン。フウやコザが心配する中、ついに計画が動き出し、嵐の海に船を漕ぎ出すムゲン。順調に計画は進行していく。だが、その計画と同時に別の計画が動き出している事は、唯1人以外、誰も知る由は無かった。

ムクロは仲間も騙して内通している奴と盗った物を山分けしようとしていたが、その内通者に騙される。内通者はコザとも通じており、2人でどこかに行こうとしていたが、ボロボロのムゲンに切られてしまう。しかし、コザはあえて切らなかった。あえて、無視した感じ。後味悪い終わり方。


15話 徹頭徹尾
山深い森の中、追われている一人の男。追っているのは忍装束に身を包んだ、影の軍団。男、逃げながら胸元から袋を取り出し、近くの池目がけ力一杯ブン投げる、沈んでいく袋。次の日、その池で釣りをしているムゲン一行。そこでジンが一つの奇妙な袋を見つける。それは昨日男が、投げた袋だった。

釣り上げた袋を持って、たくさん飲み食いした後はまた風船みたいになったフウの目を盗んで遊郭に行った2人。遊郭に潜り込んでいる女忍者にいいように使われるムゲン。遊郭でたくさんの微妙な遊女を相手にするジン。なんやかんやで事件解決。男の哀しい性が明らかになってしまう辛いお話し。


16話 酔生夢死 ひと夢
ちょっとした口喧嘩によって、3人別々の道を行くことになったムゲン達。ふいにムゲン目掛けて矢が放たれる。「誰だ!」咄嗟に避け、矢を放った人物を追いかけるムゲン。そして同時時刻ジンは無住真剣道場からの刺客、雪丸を相手に戦っていた。激しく展開する刀と刀の攻防。その頃フウは足を滑らせ川に落ちていたがある男に助けられる。名前をオクルといい、弓矢の達人であった。

導入は物語の結末から。燃えている男の姿。気になる展開ですな。


17話 酔生夢死 ふた夢
勘違いにより男達に襲われるムゲン。男達はオクルと言う名の男を探していた。北のある村を焼き滅ぼしたのだと言う。「あいつは俺が倒す。てめぇらは手をだすな!。」月光の夜、オクルが奏でる楽器の音色が山に響く。その音色に誘われるようにやってくるムゲン。刀を抜くムゲン、弓を引くオクル。満月の月の下、二人だけの闘いが始まろうとしていた。

ジンは雪丸に切られにきている節があって、理由が分からないので、ちょっともやもや。燃やされている男はオクルで、ムゲンは彼が生きていると確信している。哀愁漂う終わり方。まさに、侍を題材にしている作品という感じ。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2
ネタバレ

あんちょび さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

チェケラヽ(・ω・ヽ*)

フウ・ムゲン・ジン
この3人がとあることから一緒に旅に出るお話です。

江戸時代の日本を舞台としていながら
現代文化がミックスされた独特の世界観が演出されているようで
チェケラって感じのラップサウンドとかも途中途中挿入されていて
とてもテンポの良い作品でした。

音響やアクション、工夫された演出、良い所はたくさんありますが
純粋にこの話がとても面白かったです!

面白くていっぱい笑ったシーン
少し甘くてほろ苦いラブシーン
シリアスで感動したシーン

とてもまとまっていながら多くの見所があるオススメ作品です。


特に印象的だった話は11話の『堕落天使』というもの。
ジンがある女性に出会ってからのことが描かれています。
サムライチャンプルーの中でこの話が好きな方も多いのでは…

ムゲンの話やフウの話も見所ですが
全体を通してとても面白かったです!(2回も言ってすみません)


それに EDの『四季ノ唄』
あまりこのようなジャンルは聞かないのですがこの曲はとてもはまってしまいました!
この作品があってこそ出会えた曲だと思います。


1,2話完結型で全26話となっております。
アクションシーンも見所です。
ぜひ観てみてください!


{netabare}メモ…"φ(・ェ・o)

【主な登場人物】

*フウ - CV: 川澄綾子
  天涯孤独の身でありながら性格は明るく好奇心旺盛。
  "向日葵の匂いのするお侍さん"を探してバイトをしている所
  ムゲンとジンに出会い、彼らを用心棒にして旅に出る。
  モモンガのモモさんを飼っている。

*ムゲン - CV:中井和哉
  ボサボサ頭の南国育ち。乱暴者で相手が強いほど燃える好戦的なタイプ。
  幼い頃から頼れる者もおらず、虐待や裏切りを受け続けた過去があり
  自分が実感したことしか信じられないでいる。

*ジン - CV:佐藤銀平
  性格はムゲンとは対照的に、理性的かつ沈着冷静。
  ある事件を機に流浪の身となる。「自由とは何か?」を模索している。


【主題歌】

 オープニングテーマ
  「battlecry」

 エンディングテーマ
   「四季ノ唄」
  「Who's Theme」 (12話)
    「YOU」 (17話)
   「FLY」     (23話)
  「san francisco」 (26話)


【各話タイトル】

 第01話 『疾風怒涛』
 第02話 『百鬼夜行』
 第03話 『以心伝心 其之壱』
 第04話 『以心伝心 其之弐』
 第05話 『馬耳東風』
 第06話 『赤毛異人』
 第07話 『四面楚歌』
 第08話 『唯我独尊』
 第09話 『魑魅魍魎』
 第10話 『以毒制毒』
 第11話 『堕落天使』
 第12話 『温故知新』
 第13話 『暗夜行路 其之壱』
 第14話 『暗夜行路 其之弐』
 第15話 『徹頭徹尾』
 第16話 『酔生夢死 ひと夢』
 第17話 『酔生夢死 ふた夢』
 第18話 『文武両道』
 第19話 『因果応報』
 第20話 『悲歌慷慨 其之壱』
 第21話 『悲歌慷慨 其之弐』
 第22話 『怒髪衝天』
 第23話 『一球入魂』
 第24話 『生死流転 其之壱』
 第25話 『生死流転 其之弐』
 第26話 『生死流転 其之参』



【四字熟語】

『疾風怒濤(しっぷうどとう)』
  "疾風"は強く速い風、"怒涛"はうねり逆巻く大波のことから
  時代や社会の状況が激しく変化することのたとえ。

『百鬼夜行(ひゃっきやこう)』
  たくさんの悪人たちが横暴な態度で好き勝手に行動して、思いのままに悪事を働くこと。

『以心伝心(いしんでんしん)』
  言葉や文字などを使うことなく、心と心で互いの意志や気持ちが通じ合うこと。

『馬耳東風(ばじとうふう)』
  他人からの注意や批評を聞いても全く受け入れることなく、全て聞き流すこと。

『四面楚歌(しめんそか)』
  周りを敵や反対者に囲まれており、味方がいなくて孤立している状態のこと。

『唯我独尊(ゆいがどくそん)』
  この世で自分だけがすぐれていると増長すること。

『魑魅魍魎(ちみもうりょう)』
  人に悪いことをする、さまざまな化け物のこと。
  または、私欲を満たすために悪事を働く者たちのたとえ。

『以毒制毒(いどくせいどく)』
  悪を滅するために、他の悪を使うこと。
  「毒を以て毒を制す」という形で使うことの多い言葉。

『温故知新(おんこちしん)』
  以前に学習したことや昔の事柄を今一度よく考察してそこから新たな道理や知識を得ること。
  「故きを温ねて新しきを知る」とも読む。

『徹頭徹尾(てっとうてつび)』
  始めから終わりまで意志や覚悟を曲げないこと。

『酔生夢死(すいせいむし)』
  何かを成し遂げることもなく、ぼんやりと一生を過ごすこと。

『文武両道(ぶんぶりょうどう)』
  学問と武道のこと。
  または、学問と武道の両方にすぐれた能力があること。

『因果応報(いんがおうほう)』
  よい行いには必ずよい報いがあり、悪い行いには必ず悪い報いがあるということ。

『悲歌慷慨(ひかこうがい)』
  社会の不正や乱れ、自らの不運や道理に反することを、悲しげに歌い、腹立たしくて嘆くこと。

『怒髪衝天(どはつしょうてん)』
  ものすごく怒ること。または、その表情。

『一球入魂(いっきゅうにゅうこん)』
  一球一球の球に全力を注ぐこと。
  「入魂」はものごとに魂を込めること。

『生死流転(しょうじるてん)』
  生まれては死に、死んでは生まれを何度も繰り返すこと。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

82.2 2 時代劇アニメランキング2位
るろうに剣心 明治剣客浪漫譚(TVアニメ動画)

1996年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (885)
5703人が棚に入れました
舞台は明治時代初期の日本。主人公の緋村剣心(ひむら けんしん)はかつて新時代を築く為に活躍した長州派維新志士。戦国時代に端を発する古流剣術「飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)」を振るい、神速の抜刀術に代表される強さ、非情さと冷徹さ、殺戮が因業ゆえ「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」という志士名で恐れられる。
ある日、神谷活心流の師範代を務める神谷薫(かみや かおる)は、活心流の名を騙る辻斬りを追っていた。辻斬りを見つけ、闘いを挑むものの歯が立たない。そこに、自らを“流浪人”と名乗る剣心が現れる・・・。

声優・キャラクター
涼風真世、藤谷美紀、冨永みーな、うえだゆうじ、鈴置洋孝、安原義人、池田秀一、櫻井智、土井美加、白鳥由里、大塚明夫、大林隆介、田中真弓、家中宏、池田政典、日髙のり子、井上純一、笠原弘子、郷田ほづみ、八木光生、岩男潤子、檜山修之、松本保典、横山智佐、子安武人、優希比呂
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

そうだ、剣道でやってみよう(笑)

[文量→中盛り・内容→余談が本論系]

【総括】
ジャンプ黄金期の晩年に登場し、ジャンプ低迷期を孤軍奮闘で支えた漫画が原作。バトルものではあるが、キャラクター同士の気の抜けたやりとり(日常)も面白い。

OP、EDはメガヒットしたものが多い。まあ、アニメの世界観とは大分違うけれど(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
個人的には、相楽左之助の一番好きでしたね。子供の時は、あの「悪一文字」に憧れていました(笑)

ある意味で、剣心以上に少年漫画の主人公らしい性格。でも、剣心のちょっと抜けてて、でも影がある部分と上手く対比になっていたり、逆に類似になっていたり。互いを引き立てる、正に「相棒」だったと思います。

るろ剣は、バトルも面白いけど、何気にキャラの作り方も上手いし、漫画としてちゃんと優秀なんですよね。共に師匠である、「高橋陽一(キャプテン翼)」さんからエンタメ要素を学び、「小畑健(DEATH NOTE)」さんさら、緻密さを学んだのかな? それが上手く融合している気がします。

和月さんの弟子には凄い人が多いのも有名ですよね。「シャーマンキング」の武井宏之さん。「Mr.FULLSWING」の鈴木信也さん。そして、「ONE PIECE」の尾田栄一郎さん。

優秀なお弟子さんが多いということは、やはり漫画家としてのスキルが高いのかな?って思ったりしますね♪
{/netabare}

【余談~ るろ剣の必殺技を実際に剣道でやったらどうなるか(笑) ~】
{netabare}
いや、実際に結構やってましたよ、小中学生の時に(笑) 以下、実際にやったものもあるし、想像もあります。大抵、反則です(笑)

①剣心「龍翔閃」{netabare}(反則w)
峰を右手で支え、下から飛び上がりつつ、刀の腹で斬り上げる。→まず、竹刀の刃部を触れば反則なので(笑) ただ、結構簡単に出来るし、ダメージは大きそう。剣道で脇を下から叩かれると、死ぬほど痛い(笑){/netabare}

②剣心「龍槌閃」{netabare}(反則じゃないw)
足腰のバネを利用して相手の直上にハイジャンプし
上空から強烈な振り下ろしの斬撃を与える技。→てか、実際に試合で使っているバカが知り合いにいました(笑) まあ、空中で1回転とかはしてなかったけどねw ルール上はなんの問題もなく、ただの「面」として、当たれば1本にも認められると思います。まあ、当たらないでしょうが(笑){/netabare}

③剣心「土龍閃」{netabare}(反則じゃないかもw)
強烈な斬撃を地面に叩き込んでその衝撃で発生した石つぶてを対象に衝突させる技。→実際に剣道でも、片手突きの後に余勢で床を叩くクセがある人はいるので、竹刀で床を叩くこと自体はギリギリ反則じゃありませんが、審判によっては、「礼を失する行為」として、反則をとる場合もあるでしょう。まあ、体育館の床を叩いたところで、釘でも引き抜かない限り、何にも飛んでいかなそうですが(笑){/netabare}

④剣心「龍巣閃」{netabare}(反則じゃないw)
全身の急所を攻撃する高速乱撃術。→まあ、防具以外を叩いてしまうことはよくあるし、それが頻発しても「ヘタクソ」というだけでかたはつきますが、意図的だと判断されれば反則ですね。あと、相手に嫌われます(笑){/netabare}

⑤剣心「飛龍閃」{netabare}(反則w)
飛刀術。大きく身体をひねりながら、鞘に納めた刀の鍔を親指で弾いて刀を相手に飛ばす。→まず剣道には鞘がないので再現不能ですが、ただ竹刀の鍔を弾いて飛ばすだけなら簡単でしょう。ただ、なんか縦回転しちゃいそうだから、螺旋状の回転を加える方が真っ直ぐ飛びそうですね。ちなみに、剣道には「竹刀落とし反則」はありますが、「竹刀飛ばし反則」はないので、いったん竹刀を手放しても、床に落ちる前に柄を握れればOKです(笑){/netabare}

⑥剣心「龍鳴閃」{netabare}(反則w)
雪代縁との最終決戦で使用した「納刀術」。逆手に構えた刀を神速の速さで納刀し、その時に発生する高周波で相手の聴覚を狂わせる。→まずこれも鞘がないので再現不可能ですが、竹刀の弦の部分と指で弾くと、ビィ~ンと、いい感じの音がしますよ(笑){/netabare}

⑦比古清十郎「九頭龍閃」{netabare}(伍だけ反則w)
神速を最大に発動させ、剣術の基本である9つの斬撃「壱:唐竹」「弐:袈裟斬り」「参:胴」「肆:右斬上」「伍:逆風」「陸:左斬上」「漆:逆胴」「捌:逆袈裟」「玖:刺突」を同時に繰り出す乱撃術にして突進術の技。→まあ、肆と陸も怪しいけど、斜め下からの切り上げでも、胴に当てさえすれば反則じゃないかな。あとは普通に剣道である技だし。でも、伍は、真下からの切り上げなのでアウト。てか、チ○コ直撃してメッチャ痛いわ(笑){/netabare}

⑧剣心「天翔龍閃」{netabare}(反則じゃないw)
奥義。通常と逆で、左足前の抜刀術。→まあ、鞘はないけど、動きとしてはただの抜き胴。足が逆なのもルール上は問題なし。まあ、真空を発生させられる自身はないけれど(笑){/netabare}

⑨相楽左之助「二重の極み」{netabare}(反則w)
刹那の拍子(75分の1秒)に二度の衝撃を打ち込む拳撃。物質の硬度に関わらず粉々に粉砕することができる。→てか、剣道じゃないし(笑) 試合中に相手を殴ったら、そりゃ反則です(笑) たた、面と胴と小手を付けたスタイルは、ほぼボクシングのスパーリングであり、休み時間によくボクシングして遊ぶのは剣道部あるあるw{/netabare}

⑩明神弥彦「刃止め 刃渡り」{netabare}(反則w)
手を交差させ、手の甲を用いて頭上で白羽取りする刃止め。そのまま前進し、柄を用いて攻撃をする。→相手の竹刀を拳で防ぐのは反則です。てか、普通に小手ありで、相手に1本をとられます(笑){/netabare}

⑪四乃森蒼紫「回天剣舞・六連」{netabare}(反則じゃないw)
御庭番式小太刀二刀流奥義。回天剣舞を両手で使う超高速の六連撃で、蒼紫最大の必殺技。→実は剣道でも二刀流は(大学生から)認められていて、僅かながら使い手もいるので、クルクル回りながら打つだけなら可能だと思います♪{/netabare}

⑫巻町操「貫殺飛苦無」{netabare}(反則w)
一度に複数の苦無を、全身のバネを使い投げつける技。→いや、剣道にクナイとかないし(笑) でも、練習前に、鍔を外して手裏剣みたく投げて遊ぶ遊びはやったな(笑) 鍔止め(ゴム性)なら、対人戦でもいけるしw{/netabare}

⑬齊藤一「牙突」{netabare}(反則じゃないw)
右手を前に突き出し、刀を持つ左手を後ろに引いて刃を地面に水平に構えた状態で猛烈な速度で突進して突きかかる。→まあ、右手を前に出しはしないけど、片手突きは普通にある技です。あのフォームは実は理にかなっていて、右手を引くことで、左手を押し出すスピードを上げているんですよね。現に私も、(対上段戦以外はほぼ使わないけど)片手突き打つ時は、右手を、構えの位置からヘソの下(下丹田)まで引いて打ちますし。これは真似したな~♪{/netabare}

⑭火男「火炎吐息」{netabare}(犯罪w)
腹に仕込んだ油袋で油を通し、火打石と前歯で着火して火炎を吐く。強化版は極大火炎吐息。→勿論論外ですが、剣道の鍔迫り合いは、息がかかるくらいの距離になることも多く、口が臭い人はかなり破壊力があります(笑){/netabare}

⑮鵜堂刃衛「背車刀」{netabare}(反則じゃないw)
刀を背中のほうで持ち替え、相手の意表をつく場所から攻撃する技。→一応、柄しか握ってないから反則じゃないだろうけど、隙だらけだな(笑){/netabare}

⑯鵜堂刃衛「影技・憑鬼の術」{netabare}(反則じゃないw)
心の一方で己に暗示をかけ、全ての潜在能力を解き放つ技。→実は小さいとき、この技に影響され、試合前に自分の竹刀をじっと認めながら集中力を高めるのが、自分のルーティーンでした(今も)w{/netabare}

⑰志々雄真実「焔霊」{netabare}(反則w)
壱の秘剣。刀の切っ先を点火して斬りつける技。→まあ、竹刀だし、燃やせば燃えそうだけれども(笑){/netabare}

⑱雪代縁「虎伏絶刀勢」{netabare}(反則じゃないw)
左手で刀を逆手に持ち、刀身を背中につけるという独特の構えを持つ。地に深く沈み込んで敵の攻撃を避けつつ、刀を半回転させる事で、大地からの反動力を全て乗せたカウンター攻撃となる斬撃を放つ縁最大の必殺技。→ちゃんと胴に当てれば大丈夫でしょう。まあ、横薙ぎには対応できても、縦振りならがっつり面を打たれそうですが(笑){/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

剣心は「殺さず」の誓いを破らず人々を守り切れるのか…。

新作の「るろうに剣心」観ました!!
で,そちらをレビューするつもりなのですが,なんだかこちらと比べて酷評してしまいそうなので,先にこちらをレビューしておこうと思います。
あんまり悪く言うとあにこれのポリシーに反しそうなので,代わりにこちらを褒めることにしようかなと(・ω<)
なので新作の評価はその逆だと思っていただいてもかまわない…というか思ってください(笑)。
新作を観た上でのレビューなので,どうしても比較してしまいますがそこら辺はお許しくださいませ。

それよりまず先に言っておかなきゃなのはこの作品はわたしの中で殿堂入りと言って良いくらいドハマりした作品です。
それくらい好きな作品なのでおいそれとはレビューできず,いつかはしようと思いつつも先延ばしにしてきました。
でも新作をレビューするに当たってとうとうこれ以上先延ばしにできなくなって重い腰をあげたわけです(笑)。
今思えば,わたしが小学生向け少女漫画から素直に中高生向け少女漫画に移行せず少年漫画に走ったのは『るろうに剣心』に出会ってしまったからだったんだなぁと。
わたしはこれをリアルタイムで観ていたわけですが,まだ子どもだったので毎週きちんと観れていたわけではなく,歯抜け状態で観ていました。
特に後半はほとんどリアルタイムでは観れていません。
全話きちんと観たのはいつのことだったのか今となっては覚えていませんが,何度も繰り返し観ている作品です。
原作はもちろん読んではおりますが,読んだのはかなぁり昔のことで,その上北海道編やらその他の細かなところは読めていません。
わたしの中では『剣心華伝』で終わっちゃってるんですよね。

では,好きなところから語らせてください☆
まずは何をおいてもその物語です。
原作がほんっとに素晴らしい,名作中の名作だと思います。
そしてキャラクター!!
剣心はわたしの二次元における初恋の相手と言っても過言ではないと思う。
今思えば―ですが,この『るろうに剣心』にしろ他の少年漫画にしろ,少女漫画的メンタル(きゅんきゅんするため!?!?)で見ていたなぁ(;^ω^)
このアニメに関して言えばキャラデザが凄く好きでした。
これまた昔,OPのアニメーションは今(というかそれを読んだ当時)となっては凄いアニメーターさん達が描いてるというようなカキコミをネットで見たことがあって,「クレジットを,見る人が見ればそういうのが分かるんだなぁ」と感心した記憶があります。
深夜アニメを観る習慣のなかった当時はもちろん今でもわたしはそういうの全く分かりませんが,セーラームーンを描いてたアニメーターさんもいたらしく薫ちゃんがセーラームーンっぽいという指摘もあって「そう言われればそう見えるな。」と思ったのも思い出しました。
作画に関しては後述しますが,そばかすのアニメーションの作画と第1話の作画は今でもとても好きです。
そして,声優さん。
正直言って昔から声優に無頓着なわたしはこのアニメを観て特に良いも悪いも思ったことはありませんでした。
でもね,新作を観てしまったらこちらの声優さんがどれだけキャラクターにハマっていたか思い知らされました。
わたしは原作より先にアニメを観てしまっているのでこの声がオリジナルになってしまっていることは否めません。
でも,それを差し引いてみても(仮に新作の声が先だったとしても)声優さんはメインキャストは全員こちらの方が合っていると感じました。
(まぁそれに関しては詳しくは新作の方にレビューします。
声優さんに関しては酷評する気はないので,新作の方も読んでいただければ幸いです。)
あとは音楽ですね。
OP&EDは全てではありませんが神曲揃いです。
でもやっぱり「そばかす」が1番好きだし,この曲が“『るろうに剣心』の曲”って感じがします。
そして次に好きなのが「the Fourth Avenue Café」です。
あんなことがあったのでこの曲が聴けるのがたった数話なのが惜しいですが,この曲を思い出すだけで当時の感覚が甦ってドキドキしてしまいます。
物語に関してはもっと1つ1つのエピソードについて語りたいのですが,文字数がとんでもないことになるのは必至なので今回はやめておきます(;・∀・)
物語自体は同じなので新作のレビューの方ででもいつか書けたら良いな。
けど,細かなキャラクターのアングルやカメラワークや演出って言うんですかね…原作漫画からの切り取り方はこちらの方が新作アニメより全然うまいなぁと思いました。
例えば,最初薫ちゃんが投げた逆刃刀を落ちてくるままにそのまま鞘に納める剣心。かっこよすぎだけど原作にはないんですよねぇ。
あとは剣心が自分の名前を名乗るとき,戸に寄りかかって顔を薫ちゃんの方に向けてそのままカメラが薫ちゃんの方に移っていく感じ。
原作は扉を両手で後ろ手に閉めていて新作の方が原作に忠実ではあるけど,わたしはこちらの方が好きです。
そして,左之助が出て行ったあと目を開く剣心。
確か横顔のカットだったと思うのよね。
そっちの方が断然かっこいいと思う。
他も細かいところで印象的なシーンになるように,剣心がかっこよく見えるように工夫されているなと思います。

で,まぁ悪いところ,好きじゃないところですね。
殿堂入りのはずのこのアニメの評価を下げている1番の要因は何と言っても作画です!!
最初の方はキャラクターデザインの良さもあってほんとに良かったんですが,もうなんというか“作画崩壊"と言ってわたしが1番に思い浮かべるのがこのアニメなんですよね。。
ほんとに「え。誰??」っていう回が存在します。
あとは作画が崩れているのに入るのか分かりませんがアニメーターさんの癖(タッチ)が出すぎちゃってる感もあるんですよね。
回によってキャラデザが全然違う。
第31幕の剣心と薫ちゃんのお別れのシーンは名シーンだと思うし,作画もとっても綺麗だとは思いますが,それだって1話のキャラデザとは違っちゃってる。
のちに新京都編が作られそして今年の新作…と続いてアニメ化されるわけですが,もう1度安定した作画で作りたくなるのは分かる気がします。
そしてどうしても好きになれないのはアニメ独自のストーリーですね。
まぁ当時は多かったんだよなぁ。
放送当時は原作が完結していなくてアニメが追いついちゃったから余計に仕方ないっちゃない気もしますが,今となっては風水編要らなかったよなぁ。
個人的には風水編よりも1話完結のアニメオンリーのエピソードが好きじゃなかったです。
しかも風水編もぬるっと終わった感がありました。
あんな終わり方にするのなら京都編で終わらせてくれるか一旦休止にして何年後かに人誅編をやってくれた方がよっぽど良かった。
けどそれも深夜アニメのようにクールで区切らず毎週夜の浅い時間に放送するスタイルならターゲットは子ども達だろうし年数空けたくはないよなと思ったら仕方ない気もしますね。

新作の方を観たらこちらの方もまた観返したくなってきました。
サブスクだとこちらの方はもう観れなくなっちゃってるとかいう噂も聞くけどどうなんだろう。
時間があるときにまた観て気付いたことがあれば更新しようと思います★

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

大重 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

アニメに合っていない主題歌No.1

あれ、そばかすについては他のアニメの感想で何度も語っていたのに、本体に感想を書いていなかったか…。
時間がある時には昔見た古いアニメの感想でも書いていこうかな。

ろうろうに剣心自体は良い作品でしたね。
90年代のジャンプはドラゴンボール、スラムダンク、幽遊白書といった大ヒット作が続々終了して暗黒期と言われる時期を迎え、マガジンが絶頂期で順位を逆転されたりとかありました。
その暗黒期のジャンプの支えた一本です。

その後ワンピース、ナルト、ブリーチなどが始まって盛り返すわけですが、まあ売上自体は出版不況とやらで下がる一方なので、1位を奪還したといっても他より下げ止まっていたという状態ですが。

とはいえるろうに剣心のアニメについて語りたいことといえば、やっぱり何と言ってもアニメ界随一の主題歌と内容の不一致ですね。

当時るろうに剣心は楽しく読んでいたので、一応見てみて… いや愕然としましたね。何この歌、と。いやもう、クソあってねぇ!
なんだこりゃ、ふざけんな、と思いましたね。

歌自体単体で考えれば確かに悪くはないですよ。大嫌いだったそばかすをひとなでしてため息をつく物語だったら良いんじゃないですか。

見る番組を間違えたかと思ったし、なにかの間違いだったと信じたくなくて次の回に歌が変わっていないか期待するくらい、本当に全く合っていなかった。

いやるろうに剣心のキャラの誰がそばかすなんだ。
曲調からなにから1ミリたりとも合っていなくて、ブチ切れました。
こんなのだからアニメはクソなんだよ、と思えましたね。
子供心を土足で踏みにじられました。

歌にブチ切れて見なくなったアニメです。

JUDY AND MARYは元はファンだったのですが、これ以降嫌いになりました。

まあこの時代は他のアニメも似たりよったりでしたが、それもあって、この頃は本当にアニメって嫌いでしたね。

昔は、アニメ化なんて何が嬉しいんだ、どうせ何も関係ないクソみたいな歌を付けられて作画もひどくなって、全然うれしくない、と、今で言う実写化くらい嫌でした。

昔は良かったという人って大勢居ますけれど、私は基本的にはそうは思いませんが、ノスタルジーや思い出の都合上そう感じることもゼロではありません。
しかしアニメに関しては本当に全く思わないです。

今のアニメはつくづく、本当に比べ物にならないくらい良くなりました。
作画は言うに及ばず、音楽もちゃんと内容に寄り添って作りますからね。
まあそれができていなかった時代が頭がおかしかっただけだと思いますが。
こんなに作り手から馬鹿にされていたジャンルもないですね。

作り手側が、アニメを心底馬鹿にしていて、それを隠そうともしない。
そんな空気が本当に嫌で、アニメが嫌いだったんですよ。
こんな奴らが作っているものを応援できるか、となっていました。

特に酷かったのが歌を付けている連中ですよ。こういう糞関係ないタイアップだの付けたり、デビュー作がガンダムで恥ずかしいとか言う奴が居たり。
声優やれば糞棒読みで。
芸がないくせに芸能人を名乗るな。

…でもそういう人だけじゃなくて、ちゃんとアニメが好きで頑張って作っていた人も大勢居たのでしょうけれどね。

良くアニメ界はこんな酷い時代を乗り越えて、今の隆盛を掴んだものです。
めげずに応援し続けたファンと、クオリティを上げ続けた作り手達に感謝ですね。

一応このアニメ主題歌、JUDY AND MARYは作り直そうか申し出たが、作者が気に入ってしまい変えられなかった、という話も聞いています。
それが本当なら作者もどうかと思いますが、この話ソースが見つからないので話半分に考えています。
どのみち糞な仕事をしたことに代わりはないので。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

71.7 3 時代劇アニメランキング3位
鬼平(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (248)
921人が棚に入れました
時は江戸後期。暴虐の限りを尽くす盗賊たちが、「鬼」と呼んで畏れる男がいた。「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方・長谷川平蔵その人である。火付盗賊改方とは、一種の特別警察。江戸市中内外の犯罪を取り締まるだけでなく、他国に出て犯罪者を捕らえることもできる機動性の高い組織。しかし平蔵は職務に忠実なだけの固い男ではない。時として罪を犯した者にも情けをかけることがある。平蔵が許さないのは、非道。《盗人三箇条》――殺さず、犯さず、盗まれたら潰れるような店からは盗まない――から外れ、人の道に背く者には一切容赦はしない。

声優・キャラクター
堀内賢雄、朴璐美、浪川大輔、岩男潤子、千本木彩花、岡本信彦、水内清光、浜田賢二、木内秀信、飯塚昭三、細谷佳正、田中秀幸

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

原作力の次元の高さを窺い知れる、極上の大人向きオムニバス作品

☆物語&感想☆

原作&実写ドラマがあまりにも有名な鬼平犯科帳のアニメ版ですが、
自分は原作はおろかドラマも殆ど観たかどうかの記憶がなく、
内容はほぼ知らない状態でアニメを観始めました。
(結果的にこれが本当に幸いでしたね、ドラマのイメージが強いとアニメはアニメ、別ものとして観れないでしょうから)

で、視聴前に時代劇のイメージで思い浮かべていたのが、
昔観た「水戸黄門」「遠山の金さん」「必殺仕事人」なんかの勧善懲悪もの。
ぶっちゃけ言うと、年寄りってなんであんな毎回ワンパターンなものを観て面白いんだろうな、
なんて以前は思ってて殆ど実写ドラマの時代劇なんかは観ずに生きてきましたが、
敢えてこの時代に時代劇をアニメ化する意味あんのかな!?
と懐疑的な目とほんの少しの好奇心で、とりあえず1話だけでも観てるか、と視聴開始してみた結果...

何これ...全然自分が思ってた時代劇のワンパターンで古臭い勧善懲悪ものとちゃうやん。。
1話終了し、由紀さおりのエンディングを聴いてる時点で、もうどっぷりこの作品に惹き込まれていました。
そして、13話終了した現時点で、もう鬼平が観れないと言う喪失感が半端ない状態でこの感想を書いてます。

とにかく1話完結の13話、全く捨て回が無いと言うより、むしろ神回しか無かった。。
正直なところ「1話完結のオムニバス形式」のアニメで、
ここまで深くカタルシスを喚起させる作品は滅多にお目にかかれないんじゃなかろうか。
そりゃ当然、1時間のドラマで描いているものを、20分ちょっとで纏めるんですから、
尺が短く間も充分には取れないし、多少の改変もやむを得ないところでしょうが、
逆に言えば、非常にテンポ良く上手く纏められていると感じましたね。

まぁオムニバス形式で、これだけ外れがないということは、
如何に原作が優れているか、っていうことでしょうが。。
自分みたいにアニメから入って物語に惹き込まれた人は、
後で原作読んだりドラマを観たりするきっかけになると思いますし、
それだけでも充分にアニメ化する意義はあったんではないでしょうか。

どういう話かを簡単に言うと、江戸を舞台に鬼平こと長谷川平蔵
(今で例えるところの特別警察の長官みたいな役職)が主人公の捕物帳、ということになるんですけど...
これだけ単純に書くとやっぱり只の勧善懲悪ワンパターンものじゃないか!と思うかもしれないけど、
実際はそうじゃなく、罪を犯す側が単なる「悪人」と言う扱いじゃなく、しっかりとドラマがあるんですよねぇ。
で、時には平蔵が実に懐の深い一面を見せる。。

各話内容の方は具体的には触れませんが、どのエピソードも秀逸なオチが用意されていて、
毎話エンディング時には深い余韻を味わうことが出来る、まさに大人が愉しめる物語です。
「人間だもの...」この一言が実に良く似合う芳醇で極上な人間ドラマ。
鬼平の名言とも言える台詞が深すぎるんだよなぁ。。

やはり哀しくやるせない人間の生き様や業を描いたエピソードが秀逸で涙を誘いますが、
「谷中・いろは茶屋」や「大川の隠居」「盗法秘伝」のようなユーモア&機知に富んだエピソードもあり、
シリアス一辺倒ではなく、ちゃんとバラエティも考えて選ばれてるのは素晴らしいの一言。

☆声優☆

豪華すぎるやろ!とツッコミを入れたくなるキャスティング笑
オムニバス形式ならではでしょうが、
各話出てくるキャラに重鎮の声優を起用していたり、
アニメではなかなか聞く機会のない声優さんたちの演技はやっぱり巧い。
演技が上手いからこそ、キャラの心情が痛いほど伝わります。

たまにあれ?って感じの人も居るには居ましたけど、
他の人たちが上手すぎるからそう感じるだけでしょうね。

☆キャラ☆

平蔵に関して言うと、正直アニメと言う媒体で、
ここまで人間的な魅力に溢れた主人公って滅多に居ないでしょうね。。
まさに男が惚れる男の中の漢、とはこういう人物ではないでしょうか。
度量の広さ、器の大きさ、知的で機知に富み、逞しさと優しさを兼ね備えているにも関わらず、
時にはやんちゃさえする性格は観ていて惚れ惚れ。
毎話ここぞの決め台詞がまた深くて痺れる...もう最高としか言いようがない。
あれだけ格好良いとため息しか出ません笑

他にも各話登場する、罪を犯す側の人間のドラマも尺や間が短いながら、
声優さんの演技の力も大きいでしょうが、非常に観ていて伝わってくるものがありますね。

☆作画☆

ドラマのイメージを持っている人からすれば、平蔵の「コレジャナイ感」はあるかもしれませんが、
自分はろくに観ていないので、全く先入観なく見れました。
結果的にやや若めのイケメンな平蔵ではあるものの、むしろアニメ的にはこれで良いんじゃないかと思います。

しかしながら、制作費の問題からか原画や動画を殆ど海外に委託している回が多く、
CG含めて全般的なクオリティ面では美麗な作品が多い昨今のものと比べると、少々見劣るかも。。
尺の関係もあって殺陣シーンは少ないながらもアニメならではな印象を持ちましたが、
予算が十分あって、I.Gとか辺りが制作してたらもっと...まぁ贅沢でしょうかね。。

☆音楽☆

まずOPのインパクト、格好良いですね~お洒落で渋い!OPのアニメーションとも相性バッチリ。
OPをインスト曲にしたのは大正解ですね、たぶんどんな人が歌っても合わなさそう。。
また、尺の関係も考慮してでしょうね、通常はOPは大体1分30秒ですが、このOPは1分くらいなんですよね。

で、EDの由紀さおりの歌唱が...心に染みる。。毎話涙腺を刺激されました。
毎話秀逸なオチを付けたあとの、あのしっとりとした艶のある楽曲は最高の選曲でしょう。
歌詞もまた良いんだなぁ。。

また、作中のBGMも実に心地いい。
落ち着いた大人なBGMがスッと入ってきて、シリアスシーンでの聴かせるところはしっかりと聴かせる。
それとは正反対に時代劇でしかなかなか聞けないような軽妙なBGMと効果音にはテンション上がります。
BGMのセンスは非常に良かったと思います。


この作品は視聴候補にも入ってなくてスルーしている人が多いと思われる作品ですが、
ハッキリ言って自分のような時代劇への固定観念を持っている人にこそ観てもらいたい作品ですね。
本作同様に、オムニバス形式で大人向けな作品の「ジョーカー・ゲーム」や「デス・パレード」
「カウボーイ・ビバップ」なんかが好きなら、間違いなく観て損はないと思います。

それにしても、1クールで終わりって勿体無さ過ぎる。。
原作ストックいっぱいあるんだし、つくづく続編を切望する作品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22
ネタバレ

血風連あにこれ支部 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

悪党にも悪党のルールがある。それを踏み外せばただの外道に堕ちるのみよ

視聴終了しました。
基本的には、勧善懲悪の時代劇で、主人公の鬼平は賊を取り締まる側の人間です。
ルパンで言うなら銭形視点で悪党を取り締まっているような話なのですが。
時代背景的に法整備も裁判もそこまで整ってはいませんし、悪党の裁き方は基本、鬼平の裁量に委ねられているようですね。
で、盗人がすべからく悪かと言われるとそうでもない。
当時、裕福でない家は厳しかったでしょうし、生きるためにやむを得ずやったという人にはある程度情状酌量の余地を汲んでいるように思います。
その線引きをどうするかについては、おそらく作中にも出てくる盗人三箇条〈女は犯さず、殺さず、貧しい家庭からは盗まず〉が軸になっているんでしょう。そこが本作の特に面白いと感じた所でした。

そこで、各話の内容を並べてみますが……。
{netabare}1話。昔は盗みの三ヶ条を守っていたが、時間が経つとすっかり人が変わっていた悪党。てめぇのような奴は偽者だ! 同時期に鉄血を見てたので「綺麗なオルガだな」と思いましたw
2話。またしても押し込み強盗。昔は綺麗だった人が、札付きのワル女になっていた。どっちかが告白してたらこんな悲惨な事にならなかったのかな。
3話。剣に生きた凄腕の暗殺者が、今を女と共に生きようとするが返り討ちにされる。不意を付いても正当防衛になるかは、今だと結構微妙な気がする。
4話。盗みで人を殺す輩。女を犯す輩は問答無用で斬り捨てる。
6話。劣悪な輩に捕まった二人を救出する過程で盗みに加担する。役人がこんな事やっていいんかーいw バレたらかなりヤバいのではと思いました。
7話。DV親を殺害。境遇故の仕方ない行動だが、やむなく処罰。
8話。鬼平からキセルを盗む、なんとお咎めなし。
9話。これは回想なのですが、先生と認めるほどの男が盗みを働く境遇だったというのは、時代の辛さ故でしょうか。これは鬼平の人間性に影響を与えた話の一つと言う風に感じました。
10話。息子と育ての親を殺した小津屋の証文を破り捨てて復讐。この時、駆けつけるタイミングをわざと遅らせる。
11話。悪人から誘拐された娘を救出。妻の最初の男らしいが、それがどうした!
12話。同じ境遇だと思った罪人を助ける。罪人は逃亡するが、相棒(殺人犯)を捕えて戻ってくる。その後釈放。
13話。1話と違って人が変わってなかった。兄の理想と弟の現実がぶつかり合うかと思いきや、女を交えた三角関係だったというパティーン。畜生働きはいかんけどこれは弟の言い分もわかる気がするなぁ。{/netabare}
+αはあるんでしょうが。基本は、三箇条を破るか否かが判断基準になっているんでしょうな。
その上で、粋な結論に持って行かせる鬼平の心意気が毎話毎話とても面白かった。
無常観、救いのない話もあるでしょうが、その上で何を支えに生きるか。何を信じるか。当時の時代背景の中、生きる人達の心情を深く掘り下げてあって中々に興味深かったです。

ですが、作画に関しては当初褒めちぎっていたのに手の平返したくはないですが…。途中から落ちてきたなと感じました。
背景美術、キャラデザ、諸々素晴らしいのですがね。
作品の目玉と思われた殺陣作画が4話以降あまり見られなかったのは、ホントに痛いなと思いました。(1話の殺陣はマジに神だった。あのペースは流石に続かないか
脚本はどれも力を抜いているとは思えないですし、今クールではけもフレに並んで素晴らしいと思いました。(これとけもフレの脚本を比べるなんて、我ながらすごくおかしな話だと思いますが)
この手の勧善懲悪時代劇が嫌いじゃないなら迷わずおススメできる作品だと思います。

以下は視聴中の感想。
{netabare}時代劇も漫画も見てるわけじゃないんですが、鬼平犯科帳と言えばさいとうたかを絵のイメージがあったもので(笑
このキャラデザ、見た目はイノタケ(井上雄彦)っぽい感じですね。
いいんじゃないんでしょうかね~。流石に原作準拠のゴルゴ顔だと、アニメ視聴者層には受け入れづらいと思いますし、全然アリな路線かと思います。

江戸後期、主人公の長谷川平蔵を中心とした、盗賊をひっ捕らえる痛快劇。かつ、その中で描かれる人情系ドラマといった感じですか。
軽い気持ちで見たのですが……。これが中々どうして、面白いですね。

4話視聴。
いや~いい!本当にいい!
何がいいって、まあ脚本もですけど殺陣作画の良さですね。
この演出は確かにドラマじゃあ不可能ですね。
「斬られたァ~!」「ギャァ~!」とは言ってみても、あくまで芝居で、人がやってるから斬ってるふりしかできないというのは難しい所です。
しかしこのアニメは! アニメだからこそ表現しきれるところがあるッ! 飛び散る血飛沫ッ! 切られて吹っ飛ぶ腕ッ! 命の獲り合いとしての臨場感は抜群です。
しかもその作画を、自由自在のアングルから魅せられるってんだから堪らない。時代劇マニアじゃないですが、嫌でも魅了されちゃいます。

時代劇はドラマでやってろだの何だの言ってるトンチキは、まずこの殺陣作画を見てから言って欲しいものですね。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「年月は人を変える。まるで別人のようにな。」

いわずと知れた池波正太郎による原作の時代小説『鬼平犯科帳』は、『文春文庫』(文藝春秋)で刊行中(全135話、作者死亡により未完、原作未読)。
アニメは、1話完結のオムニバス形式で全13話(2017年)。監督・キャラクターデザインは、『僕らはみんな河合荘』、『怪獣8号』などの宮繁之。制作は、『PLUTO』などのスタジオM2。放映はテレビ東京系列。
(2024.4.25、上記概要を追加)

あらすじは、時は江戸時代後期頃(老中・松平定信による「寛政の改革」の頃)、実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳である。

本作は、定番の時代劇を良くも悪くも、そのままアニメ化した感じの作りになっている(詳しくは後述)。


物語を貫く魅力の一つは、孔子の教えでもある「罪を憎んで人を憎まず」だろう。

「犯した罪は憎むべきだが、その人が罪を犯すまでには何か事情があったのだろうから、罪を犯した人そのものまで憎んではいけない」(ピクシブ百科事典)。

まっとうに生きていた者が、何かをきっかけとして転がり落ちるように犯罪者となる。

「年月は人を変える。まるで別人のようにな。」(CV.細谷佳正)

現代と比べて、人権などないし、人の命ももっと軽い時代の話である。人の人生を大きく変えてしまうような理不尽な出来事には事欠かない。

人が罪を犯すに至るまでの人情話は、1話完結とはいえ、しっかり描写されているし、とても魅力的だ。むしろテンポよく、飽きることなく観られると思う。


他方で、年月が人を悪人にすることもあれば、昔悪さをしていた者が年月を経て改心することもある。
「鬼平」こと長谷川平蔵もかつては放蕩息子であったが、作中のとある人物との出会いをきっかけに役人の跡取りとしての自覚を持つに至る。

「いいことをしながら悪いことをする。悪いことをしながらいいことをする。」(CV.堀内賢雄)

この単純な善人でないところが、「鬼平」の人としての度量の大きさ・魅力だろう。

また、単純な善悪では語れない、清濁併呑という点では、本作に登場する「人を殺めぬこと、女を手込めにせぬこと、盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと」という盗みの三ヶ条を守る義賊も同じ。


もっとも、鬼平がやっていることを現代的な基準で考えると、「犯罪者をわざと見逃すとはえこ贔屓だ!」、「拷問とは違法捜査だ!」とマスコミに叩かれ、一度くらいの懲戒免職では済まないだろう(笑)。

そんな現代的な事情もあり…、本作は、次第に薄れゆく古き良き日本の時代劇のまっとうなアニメ化作品である。


あと、各話でキーとなる役のゲスト声優が特に豪華(林原めぐみさん、関智一さん、三木眞一郎さん、山寺宏一さんなどなど)である。


【定番時代劇のアニメ化】
本作は、上で書いたように、良くも悪くも定番の時代劇をそのままアニメ化した感じの作りになっている。

これは、池波作品の初アニメ化ということもあり、既存のイメージを崩さないよう、キャラクターデザイン、雰囲気作りが配慮されたのだと思う。

したがって、もともと時代劇が好きな人は、本作も面白いと思う。

もっとも、そうなると気になるのは、テレビ時代劇として定番化している「鬼平犯科帳」を今さらアニメ化する理由である。

アニメ化によって、両腕を切り飛ばすシーンなど殺陣の描写は、よりリアルに描けると思ったし、もしかすると制作費もフルセットを要する映画やドラマよりシーンの制限なく安くつくれるのかもしれない(例えば、でかい鯉の出てくる話などはアニメの方がつくりやすいだろう。)。

ただ、それだけでは、既存の時代劇ドラマのファンがあえてアニメを観る理由としては弱いだろう(想定した視聴対象は一体誰なのだろうか?)。

そこで、本作の監督とキャラデザを担当された宮繁之さんが、本作を「今の若者が抱える悩みや現状をクロスさせたシナリオ」にしたというコメントが気になってくる。
仮に、アニメ化によって海外(ちなみに海外のアニメ視聴者層は若年層が多いとされる。)や日本の若者など新規の視聴者を開拓しようとしたのであれば、彼らに向けたアピールの仕方として、キャラデザや雰囲気が本作のままで良かったのかには、ちょっと疑問が残る。

確かに、「鬼平」は、既存ファンのイメージが既に形成されているし、フィクションだと断っているにも関わらず忠実に史実が再現されていないと騒ぐ「歴史警察」が出てくることからすれば、現代に受け入れられやすいように変えるのは難しいのかもしれない。

しかし、時代劇というジャンル自体が縮小傾向にあって、仮に、その一つの突破口として「鬼平」をアニメ化したのだとすれば、程度の問題はあるにせよ、現代に受け入れられやすくしようとした他の時代劇アニメの工夫が参考になるように感じた。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

81.2 4 時代劇アニメランキング4位
バジリスク~甲賀忍法帖(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1196)
5922人が棚に入れました
甲賀卍谷と伊賀鍔隠れに潜む一族は、ともに服部半蔵に率いられる忍者群同士でありながら、源平の昔より数百年、互いに憎悪を抱く不倶戴天の敵同士でもあった。服部の統制下、両門争闘の禁制によりかろうじて和平を保っていた。そのような中、甲賀組の首領甲賀弾正の孫弦之介と伊賀組の頭目お幻の孫娘朧は恋仲にあり、両家の縁組がすめば長きに亘った甲賀と伊賀の確執も解けるかと思われた。

そんな事情を知ってか知らずか、慶長19年4月末両首領を駿府城に呼び出した徳川家康と半蔵(二代目)が甲賀・伊賀の忍びに与えた使命は実に戦慄すべきものであった。
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

力加減がツボ (ツッコミ目線レビュー)

注意。このレビューはひたすら、笑いどころを探すための物ですので、真面目に作品をご覧になってる方はお読みにならないほうがいいかもしれません。
笑度の高かった(と思えた)回は★つけときました。

木崎って、アニメ影技のスタッフの人だー!もう大好きだったんです…。それで忍者ものって、ひょっとして好きかもしれない、と視聴。

一話 トンビが有能 {netabare}
男と女。敵同士。光と影。
両者見合って時を越えて果たし合い。
くそまじめな雰囲気だなー。そんなに裏表左右対称に世の中ゴリゴリ進んだらね。なかなかそうはいかないですよね。
普通は、気づいた時にはどちらかがいなかったり、連絡先もわからなかったり、変わっていたり。
年老いて最期の時を一緒に行けたのは本望だったでしょうね。
この爺婆は添い遂げられなかったけど、お互い共通の趣味(果たし合い)もあって、連絡もとれて、足腰立ってて、充実の老後だよなー。

相討ちになった後は、息も絶え絶えに、ちゃんと血の赤ペンで巻物チェック、ホイ、し に ま し た よっと、バタッ…。
トンビが巻物、回覧にもってきまーす!ピーヒョロロー

なにそれ。
まじめ…なのに…笑える…この力加減が、影技的…。ツボだわー
{/netabare}

2話 衝撃の鼻毛 ★{netabare}
太っちょ空気袋VSゴムゴムの爺様。
トンビの巻物を巡って打ち合い。「ごっこ」と称しておりますが不穏です…。

一方、伊賀と甲賀の命運が分かたれたことをまだ知らず、
逢引中のオボロたち。
暗闇の森が次第に白んでゆく、朝焼けの描写が涼しげできれいです。
今回はしっとり、まだ笑いどころが無いなァ…

と思ってたら

強 烈 な 鼻 毛 キャラ、キターーーー!!
ブハッ。
アップで出た後、引きの絵ばっかりなので、え?何?今の?もっと見せてよ‼その鼻毛‼勿体ぶらないでさァ、もっと‼
と、クローズアップを求める気持ちが高まる中、大真面目な話が続きます。鼻毛が気になって全然集中できない。

しかし、オボロ様の笑顔がとても可愛いよ。まだ何も知らずに、想い人の前ではにかんでおられる。眼の能力ってなにかしら。
伊賀者達の悪〜い笑顔で情報隠蔽後、イケメンキャラ数名登場で待て次回。
{/netabare}

3話 なびいてる そよいでる{netabare}
今をときめく岡田磨里 脚本。
このアニメは登場人物の描き分けが必要以上にしっかりしているが、名前が難しい!
会話も、声優さんが丁寧に喋ってくれているというのに、私の日本語ヒアリング能力では漢字が…思い浮かばない事が度々あります…。

初登場の手も足もない地蟲十兵衛、五体不満足だからこそ身軽な反撃。スライディングした人力籠からぱかっと登場して、籠の引いたわだちに沿って地潜りし出したんですが、別にそのラインに沿わなくても良かったのでは…一瞬線路かと思った。
小豆蝋斎「なんという速さじゃっ!」
小豆さんはその、七福神の福禄寿みたいな長い頭(『才槌頭』っていうんだって) が重いんじゃないだろうか。中身は何?多分この作品だと、絶対何か仕込んである。

今回も鼻毛の彼 (蓑念鬼) が活躍。
アップで鼻毛が風にそよいでます。
スタッフのチェックとかあったのかな。「ここの鼻毛、もう少し柔らかくなびかせてよ。」とか。
前回より毛が短いような?
…何故私は、こんな小学生レベルのポイントでウケてるんでしょうか。

弦之助との手繋ぎごっこで照れる朧様を見ていた風船男・鵜殿丈助、「わたしらも色々と握り合いましょうぞ、のう、朱絹殿」
大人なセクハラ台詞もありますよ。

蝶を使った蛍火の攻撃シーンが美しかったです。
{/netabare}

4話 セクハラ走馬灯★ {netabare}
朧と弦之助の祝言前のモテナシパーティ開催。
伊賀と甲賀が同席だよっ!
軽快なセクハラトークに興じる、風船男の丈助。
色っぽいくノ一朱絹さんにいちいち話しを振ります。
全然意に返さない丈助のムードメーカーさ、青筋ぶちぶちギッラギラで見守る伊賀衆との、温度差が半端ない。そこまで…ってくらいの描写、おかしいよ。

酔いつぶれて朱絹に座敷牢に連れられるも大声な寝言で
「あけぎぬどのぉ〜」
…彼がいると和みますね…。
このテンポの良いしつこさは観てもらわないと伝わらない〜!

目下のものへの朧様の方言がかわいい!
このままずっと方言で喋って欲しい。

座敷牢から軽く抜け出た丈助。
朱絹との夜這い勝負がご破算になるも、ジンゴロウより伊賀甲賀の約定が破られた旨を口を割らせたところで、返り討ち。
ああー、ムードメーカーが失われた…セクハラトークが走馬灯のように…。
秘密を知ったら消される定めか…。
朧と弦之助のはにかみシーンもあり、テンポよく面白かった回。
でも今回は弦之助を覗いてイケメンが…というか、普通の顔の人がおらず、ちょっと画面が見苦しい。
{/netabare}

5話 変態バトル{netabare}
「甲賀一統、始末してくれるわ!」弦之助に内密に、敵地へ乗り込んだ伊賀6人衆による、バトル回。

例の蓑念鬼が毛髪を伸ばしてワサワサ闘っていましたが、鼻毛はそれ以上伸びないんでしょうか。鼻毛で絞められるの、嫌だねー。よりダメージが来そう。
名前の覚えられない人達の変則技が多くて忙しい。
身体を変態させる技に見慣れ過ぎて、普通の刀を武器にしているとものすごく丸腰に見えてしまう。

初登場のくノ一キャラ・お胡夷ちゃんの大雑把な雰囲気に和んだ回。
{/netabare}

6話 お胡夷サービスショット〜鼻毛責め〜★
{netabare}などと最低な見出しをつけましたが、
この回、絵が才気走っていてとても美しい。話運びも丁寧で、長く感じた。

ピチピチくノ一お胡夷ちゃんが川で水を飲む姿を、葉陰から見守る伊賀6人衆。カットの入りがものっそい怪しいです。極めつけはやっぱり鼻毛の人。何で何度でも笑えるかなあ。

しかもこの人、今まで使ってこなかった鼻毛が…伸びた…⁉使いよった…鼻毛をー‼
鼻毛?飾りですよ、タダの設定です、下らん言い掛かりは辞めて欲しいわい、みたいな顔してたくせに!?、うら若いくノ一相手なら喜び勇んで伸び伸びのばしよったーー‼
しかも倒れたお胡夷ちゃんを見下ろしてそれは満面の笑み。ハイ、変態紳士認定させていただきました。

夜叉丸と蛍火の淡い想い合いが、多くを語られずに美しく見せられて切ない。夜叉丸の最期と死後の描写も丁寧で、人の死が多い話だからこそ、こういうところ大事だな。{/netabare}

7話 お胡夷サービスショット〜爺干物〜
{netabare}アダルティー。お胡夷ちゃんが何故ピチピチなのかが判明する回。いや…爺さんたち、本望なのか…どうなのか。
あまり笑えるポイントはない。アダルティー。
松明の間接照明がムーディーよ。
お胡夷ちゃんは妹キャラなんだね。

コピー夜叉丸が蛍火と再会。蛍火はキレると怖い相手なので、ばれないかハラハラするな。偽りでもいい…このまま、お側に…なんて事にはならないんだろうか。ならなそう。{/netabare}

8話 今際の兄妹 {netabare}
痛い。簑念忌の体毛は針みたいにできるの??
お胡夷ちゃんが変態紳士に揉みしだかれて反撃しようとしたら、串刺しに…。今までで一番痛々しいよ。
しかしその後の、夜叉丸に化けた兄さんとの再会がね。
敵の前だから、顔色ひとつ変えずに、手を握るだけで。
黙って必死に、お胡夷の残留する意識を引き寄せるように、指を触れ合う姿がね。
こういう美しい切ないところがね…。

伊賀甲賀の和平の約定が破られたと聞かされ、自分と同じくらいの年端の娘が、身内によって残忍な最期を遂げているのを見てしまった朧。どう出るのかな…?{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「二人手をたずさえて、両家を縛る宿怨の鎖を断ち切ろう」

この物語の原作は未読ですが、アニメ化されていたのは知っていました。
2018年冬アニメで「バジリスク ~桜花忍法帖~」が放送される事を知り、今回の視聴に踏み切りました。

物語の舞台は慶長19年…大阪城が陥落し、豊臣家が滅亡した年でもあります。
その時、忍びである伊賀と甲賀は400年に渡り戦いを繰り広げてきたのですが、先代服部半蔵との間に交わされた「不戦の約定」と、戦乱の世が平定されたことも後押ししたのでしょう…
お互いの若者同士が婚姻することで、長きに渡った争いに終止符を打とうと話が進んでいたのです。

もちろん、400年もの間いがみ合ってきたのですから、皆が心から賛同している訳ではありません。
それでも甲賀卍谷衆の甲賀弦之介と、伊賀鍔隠れ衆の朧の仲睦まじい様子を見ていたら、時代の変化を感じずにはいられなかったのでしょう…
そうじゃなければ話は前に進まないと思うので…

ちょうどその頃、徳川家康は悩んでいました。
家康の悩みは徳川3代目将軍を誰にするかということ…
そしてその悩みを解決するために家康が選択したのは、正直人としてあるまじき非道…

甲賀を国千代派、伊賀を竹千代として忍法の二大宗家を相争わせ、それぞれの精鋭十人対十人の忍法殺戮合戦の結果、どちらか生き残ったほうにそれを賭けるという厳命を下したのです。
伊賀と甲賀は、まさに手と手を取り合おうとしている真っ最中…
でも、そんな都合を聞き入れて貰えるほど世の中は甘くなく、またそういう宿命を背負っている現実を突きつけられるのです。

そして恋仲でありお互い頭領となった立場の弦之介と朧の知らないところで物事は動き始め、気付いた時には引き返せないところまで事態は悪化していたのでした。
こうして後ろ髪を引かれながら、無益な殺し合いの物語が動いていきます。

視聴を始めて気付いたのは、伊賀も甲賀も己の血を絶やしたくないという気持ちが半端なく強いことと、そのためだったら何だってする覚悟が出来ているということです。

例え宿命でも、それを知っていたとしてもこの争いは胸が痛みました。
精鋭十人の中には、凡そ忍びではなく人としての普通の幸せを全うして欲しいと思える人も交じっているんです。
弦之介と朧は確かに恋仲…

けれど、忍びが人を慕ってはいけないという掟はないんです。
だから特定の人に特別な感情を抱くのはごく普通のこと…

そっと目で背中を追ってみたり…
離れている間にその身を案じたり…

こうしている間にも仲間が一人…そしてまた一人…
この悪循環…本気で早く終わって欲しいと願っていました。
でも負の連鎖は止まるどころか、さらに勢いを増して押し寄せてくるのです。

何でこんなことになってしまったのだろう…
少し前までは息遣いが感じられるほど傍にいられたのに…
こんな世継ぎの決め方は絶対に間違っているというのに…
壮絶な結末が視聴者を待っています。
守りたいという気持ちが強くなるほど、抉られた傷は広がっていくばかり…
でも気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、陰陽座さんの「甲賀忍法帖」
エンディングテーマは、奈々様の「ヒメムラサキ」と「WILD EYES」

2クール全24話の物語でした。
大切な仲間を失うという事は身を切られるくらい辛いということを思い知らされる作品です。
物語のラストも決してハッピーエンドとは言えなかったと思います。
そもそも伊賀と甲賀が争う時点でハッピーエンドは望めなかったのかもしれませんが…
でも完走して一つ分かったのは、「バジリスク ~桜花忍法帖~」はこの作品のファンの方には必須だったということ…
どの様に物語を紡いでいくのか…今度はリアルタイムで視聴しながらこの顛末を見届けたいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

悲劇の源流

原作はマンガという事になっているが、ある年齢以上の視聴者には、マンガの原作である山田風太郎の小説の方が親しみがあるかもしれない。

原作小説の熱烈な愛読者であるというバンドが担当したOP主題歌は、『甲賀忍法帖』というそのまんまのタイトル通り、軽快な楽曲の中に物語の主題まで歌詞として取り入れた、TVアニメ「主題歌」のお手本とも言えそうな傑作で、アニソン・プロパーではないジャンル違いのバンドの製作した楽曲とは信じがたいほどだ。

傑作主題歌を触発したのが原作小説であるように、本作のストーリー上の面白さやキャラクターの性格的魅力のほとんど全ては原作小説に由来するもので、山田風太郎の力による。

忍法合戦をビジュアルで見せる魅力は確かにあるのだが、ビジュアルによって魅力を増しているというよりも、山田風太郎の創出した面白さの「足を引っ張ってはいない」と評する方が妥当に思える。
そうはいっても、映像表現や声優の演技に抜かりがあれば、たちまち興を削がれて面白さが目減りするわけで、「足を引っ張っていない」という評は、決してアニメ製作者を貶めるものではないだろう。
面白さの由来が何であれ、視聴して楽しめることには違いがない。

ただ、ビジュアル効果を最大化しようとする意図の為とは思うが、物語の発端から終幕まで約10日間近く、夜空にかかる月がずっと満月のままなのはいただけない。
見ないふりをするのに少なからず努力が必要だった。

いささか意外だったのは、現代的なビジュアルを与えられたメインキャラが、モブの時代劇的な侍たちの間に混じってもそれほど違和感が生じなかったことで、これは映像化のもう一つの要素、声の芝居の効果であるようだ。
面白いことに、セリフ回しの影響だろうか、声優の演技が現代的ビジュアルにもかかわらず時代劇に寄っているようで、ちょうど顔出しの役者が現代劇と時代劇で芝居を変えるような印象があった。


本作の、殺し合いに至る恋人同士は、原作小説内ではっきりロミオとジュリエットをモチーフとしていると明示されている。
この悲恋物語に異形の忍者同士の絶滅戦を重ねた物語は、世に出てから半世紀以上が過ぎた。
最後に、原作小説がどのような時代を背景として登場したのか、少し記してみたい。


このころ、まだ高度経済成長は訪れてはいない。
が、高度成長を準備するように、社会が高度成長的価値観のもとに再編、再構造化されてゆく途上にあり、再編から取り残された土着的、伝統的、情念的なものは周辺に追いやられ消去されようとしていた。
周辺的なものが再編の中心的価値観へのカウンターとして注目され、対抗するシンボルとして一般化するのは70年代以降のことで、当時は、単に無価値であると打ち捨てられる、高度成長的な価値観にほぼ一元化されていた。

一元的な価値観は一種の踏み絵でもあった。この価値観に同じないという事は社会そのものから排除されることをも意味し、再構造化の歯車として組み込まれることを拒絶することは社会内での生存の不可能と同義だった。
人間を顔見知り同士の共同体から引きはがして経済機構の歯車化することでやがて高度成長は実現されるが、人間の歯車化が人間性の抑圧として、絶対悪として広く常識化されるのは、やはり70年代以降の事だ。
この当時はまだ、「悪い」ことだと問題化する視線は全的な共感を得られてはいない。


権力者の「君命」によって駆動される悲恋と異形の忍者の物語は、このような背景から立ち現われてきた。
これから視聴する人に、なにかの参考になればいいなと思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

72.8 5 時代劇アニメランキング5位
薄桜鬼 碧血録[へっけつろく] 第2期(TVアニメ動画)

2010年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (556)
2902人が棚に入れました
幕末、文久三年から物語は始まる。主人公・雪村千鶴は江戸育ちの蘭学医の娘。父・綱道は京で仕事をしており離れて生活をしていた。ある日、父との連絡が取れなくなり心配になった千鶴は、男装をして京の町を訪れる。そこで千鶴はある衝撃的な場面に遭遇し、新選組と出会い、父の行方を共に捜すこととなる。新選組隊士達の間で起こる出来事、自身の出生、交わる新撰組の隠された秘密。幕末を駆け抜ける男達の生きるための闘いが繰り広げられる。

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

美青年軍団「新選組」~旅立ちと別れ・・そして終焉~

~壱・前置き~
始めに言わせてもらうと、1期は新選組の「栄光」、2期の碧血録は「退廃」といった感じで涙無しでは観られませんでした。
皆様のレビューを拝見させてもらいましたが、「恋愛色」が強くなって萎えた方も多いみたいですね。
でもそればっかりは仕方ないですよ、原点に帰ってみて!
しつこいですが、これはあくまで【乙女ゲーム目線の新選組】です\_(*・ω・)ハイ、ココチューモク!!
ガチの 新選組が観たい方は違う作品を観た方がいいと思います。
なので、と言うのもおかしいかもしれませんが、「乙女の私」は見事にハマっちゃいましたねヾ(*´∀`)ノ
歴史モノは堅苦しくて、ちょっとぉ・・という乙女にも全然観やすい作品だと思います♫
はい、もちろん1期に引き続き連続2周視聴です!(ちなみに1期は12話、碧血録は全10話ですよ)
そして、ずっと泣いてました。
2周目でも号泣してました、MADとか観て号泣してました。゚(PД`q*)゚。 ww
こんなに泣いた作品久しぶりですねー、あ〇花以来ですかねぇ?碧血録は涙無しでは観られませんよ!

~弐・物語~
ストーリーは1期に引き続き史実を忠実に。
鳥羽伏見の戦い後~五稜郭の戦い(らへん)まで描かれてます。
そして、今更ながらですが土方を中心にした「新選組」を描いた事はこういう事だったのかと思いしらされました、まじで今更ですが(。・`Д・´)
近藤中心だったら流山で終了しちゃいますもんね(確か大河ドラマがそうだった)
そこにうまい事千鶴を絡めて恋愛モノで、感動モノにしていったなぁーと思います。
あたかも、歴史上に「雪村千鶴」という人物が居たかのようでしたよ(実際居たら大変なことになりますがね、色々と)
さらーっと調べてみましたが、本当歴史と色々一致するんですよね。すごい細かい言動とか、設定とか。1期にも同じ事が言えますが。
wikiとか読んでると「うは(゚∀゚*)あそこのシーン!」とか興奮しちゃいますw

~参・登場人物とか、声とか、manaの暴走とか~
で、タイトルから読み取ってもらえると思いますが
みなさん、旅立たれます、色々な意味で。
とりあえず、隊士の生き様が凄まじく格好良かった!(顔じゃないよ?まぁ、顔も好きですがw)
声ですが、みなさん30代後半以降の方を起用されてます。
また若手とは違う雰囲気で演技の素晴らしさが際立ってました!

史実通り労咳を患っていた、沖田。碧血録になると寝込む事が多く、出番が極端に減りますが、宿場町を1人で守る そーじはとんでもなく格好良かった!やばいわぁ、仁王様!惚れるわぁ、白髪萌えるわぁ (*´∀`*) w
声は、森久保祥太郎さん。うーん、今まで何気によく聞いた声だったけど、その中でも一番素敵に演じられてました!(NARUTOのシカマルも好きですが)そーじの意地悪な感じがよく出てました♫

こちらは微妙に史実通り?
新選組を離隊し、永倉と共にするのかと思いきや、原田は江戸に残りライバル?不知火と共にとある計画を鎮圧。左之さんは最後まで人を思いやれて、優しくて、素敵過ぎやろ(*´ω`*) すげー包容力を感じた!やばいっ!惚れたっw
声は、遊佐浩二さん!遊佐さんのキャラは好きになる事多いんですよ(*´ω`*)大人の男で、優しい左之さんが遊佐さんなんてなんてmana得ww

こちらは史実通り、会津戦争中勝てる戦ではないと判断し、大鳥圭介と共に仙台に渡る新選組でしたが、会津に残った斎藤。
約束を守り、誠の旗の元 刀を振りかざす斎藤さん、やばいわぁ、男やわぁ(●´ω`●)ニマァ
声は、鳥海浩輔さん。冷静沈着で物静かな斎藤さんにぴったりでした!
鳥海さんが決めた事らしいですが「何故(なにゆえ)」と「副長」しばりで斎藤さんらしさを表現されたそうです。

こちらは史実とは違い、薄桜鬼独自の話。山南と藤堂。
山南さんはよく分からん人やったな。史実通りだったら、脱走して切腹だったけど薄桜鬼の山南さんは色々やらかしたけど、結局最後も頭脳派で良い人やった(/∀\*))キャハ♪"
声は飛田展男さん。山南さんの謎な感じ(いつも何か含みのあるしゃべり方)+落ちついた感じがよく出てました!

藤堂は、史実通りだったら油小路事件で切られてましたが、
薄桜鬼のへーすけは、愛嬌あってやんちゃでちっちゃくて一見manaの好きなタイプやったなw最後まで、何者にも臆さず一番に敵に立ち向かい、笑顔をたやさんへーすけは可愛・・
否、格好良かった(*ゝω・)b
声は吉野裕行さん。いつも明るくて、元気なへーすけにぴったりな子供っぽい声でしたねっ♫拗ねたりする所が特に良かったっす!w

最後、土方。もう何も言えねぇw
「土方ルート」で描かれた作品だけあって、土方さんが素敵過ぎました!
新選組という、とてつもない組織を背負いながら最後まで誠の信念を貫き通していた土方さん。鬼の副長でしたが、優しさも持ち合わせて、結構史実とも重なる部分が多かったのではないでしょうか。
声は三木眞一郎さん。もぉね、この方本当演技うまいっすよね!怒鳴ったり、叫んだりする所がすさまじく威力がありました。土方さんは三木さんにしか出来ないですよ( `・∀・´)b

忘れてはいけない、千鶴。
実際居た人物ではありませんが、本当に強くて、芯が通ってて、一途で。だけど少し抜けてたりして。そして、恋する千鶴は、めっちゃ可愛いかったですよ(*´ω`*)
声は桑島法子さん。千鶴のほわーんとした雰囲気とかがよく出てました。とにかく可愛いかったんです♫

~肆・音楽~
またまたOP・EDが素晴らしく良い!はい、今回も飛ばさず、むしろ今も1期の曲と共にリピートしまくりです♫
OPは、疾走感があるけど、和テイストで薄桜鬼の世界感に合った曲です!
歌い手は、1期に引き続き「吉岡亜衣加さん」この方の歌い方もまた和テイスト♪
EDですがね、こいつが厄介なんですよ!
まぁ、私の涙は半分EDに持ってかれたってのが真実です(´;ω;`)
こちらも1期に引き続き「maoさん」・・え?ドラえもんOPの人だと!ちゃちゃ入れんじゃねぇよww色々と台無しじゃねぇか!っと、とある情報筋からのおふざけは\(・д\)(/д・)/オイトイテ

私が思うに1期のEDは碧血録のEDだった方が良かったんじゃないかなって思いました。歌詞がまるで碧血録の最終回のようで・・脳内変換して観てたら、もう嗚咽モノでしたよ。ゴミ箱に大量のティッシュの山でしたΣ(゚Д゚)
かと言って碧血録のEDも最高に泣かせますから、是非ティッシュは箱ごと用意しましょうね!

~伍・最後に~
今回、和装から洋装にフルモデルチェンジです(*´∀`)
いやぁ、洋装いいっす!髪の毛とか切っちゃうし、美青年に更に磨きがかかりま・・Σ(゚Д゚)
って、ちゃうちゃう(ヾノ・∀・`)新選組と言ったら、浅葱色の羽織やろ!!
う~ん、難しい選択・・・・・・

えっと、切実にすいません、書きたい事が多過ぎて無駄に長くなりました。
が、当初抱いていたイメージはかなりの勢いで覆された事は確かです。
それは私が女子だからかは分かりませんがね。

夏から始まる「黎明録-れいめいろく-」ですが、どうも主人公が変わる模様。しかも男。
まぁ、碧血録で色々と完結しちゃったんでまた新しい世界観になる事でしょう!

夏楽しみ(・∀・)ニヤニヤ・・・・ 

H24.6.4

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17
ネタバレ

ありっさ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

言うほどおもしろいかな?

レビューとかを見ていて、なんだかすごく好評なので見てみましたが、
感想は、かっこいい男性たちが沢山出て来て戦いまくり、
強くないのにやたらと前に出てくるヒロインが危なくなると、
守られまくりの萌え?シチュエーションが多いアニメかなと思いました。
新撰組の話をベースにファンタジー的要素を含ませたフィクションだとは
分かっているのですが、歴史が好きで、新撰組の本を持っている私にとっては
キャラクターがあまりにも元より美化されすぎていて、逆に笑えました。
ヒロインに関してはネタバレでも書いていますが、うじうじ考える割に、最終的には恋愛がからめば他なんて関係ない的な路線なので、出てくる男性キャラが特に好きというわけではなくてもイラっとくるかもしれません。女性キャラはヒロイン+2人くらいしか出てこず、カラミも少ないので、逆にそれが話をつまらなくさせているかなと思います。
全体的な設定に関しては、発想は悪くないものの、全体的に浅い、、とって付けたような感じがします。もう少し掘り下げるべきだったと思います。

{netabare}
内容に関してはヒロインが鬼っていうところまでは悪くなかったけれど、
鬼である必然性が薄く、鬼の存在感も結局”羅刹”止まり。
鬼は何なのか、どんな掟やポリシーがあるのかなどが全然わかりません。
それに加え、ヒロインがひどい。
簡単に実の兄を見捨て見殺しにする、ずっと父を探していたはずなのに、いざ父の事情を知ると「そんなことは間違っている、私は新撰組にいる」という勝手な持論を展開し、父が殺されそうなシーンでは「お父さんは下がっていて」と刀も持たずに敵の前にたち、切り掛かって来た敵を打つ訳でもなく逆にお父さんにかばわれる(お父さんは死亡)、あまりにもお粗末なヒロインで感情移入もできず、一体何がしたいのかと。
まあ、「恋は盲目、恋に落ちたら父だろうと実の兄がどうなろうと知ったこっちゃないわ!」とここまで振り切ってくれれば逆にスカッとするのですが、変に良いちゃんでもやもやーっとした気持ちを拭いきれませんでした。
最終回に近づくに連れて、土方とヒロインがラブラブになってきますが展開が早くて、急にラブラブし始めた感が否めませんでした。
もうちょっと前から予兆みたいなものを描いてほしかったな。

あと土方の最後に関しては、泣かれた方も多いようなのですが、
新撰組を任されて最後武士として新撰組局長として果てる!とかではなく、
因縁のあった鬼と戦い、仲間が待っている戦場そっちのけで死ぬので、
「オイ!!お前の新撰組への想いはどこいった!ってかそこで死ぬのかよ。お前守って死んでった仲間はどうするんだよ、、」と突っ込まずにはいられません。
そしてそこでただ涙を流すヒロイン(ただ土方と鬼の戦闘を見ていただけ)。
こっちは、違う意味で泣きたくなります。
せめて函館の五稜郭で旧幕府軍が敗退した後でやってほしかったな。
あそこで鬼と命がけで戦う理由がまず「???」状態なので。
こんなので、死ぬんだったら近藤局長の最後をもうちょっとしっかりやった方がよかったのではと思いましたが、、まあ萌えアニメだからね、しょうがない、、うん、、とどうにか自分を納得させました。
{/netabare}

色々書きましたが、言うほどおもしろいアニメだとは思いませんでした。
何故こんなに評価が高いのか、理解できません。
特に内容自体は非常に薄く(歴史史実にかなり助けられている)、
戦闘シーンも迫力があるわけでもなく、
ただ単にヒロインがイケメンばかりの新撰組守られて、一緒に激動の時代を歩んで行くという話なだけなので、イケメンのお気に入りのキャラがいるから!ヒロインが好きだから!とかの理由でアニメが見れる人以外は、おすすめはしないですね。
もっとも新撰組のことを全く知らなければ、その世界に浸れるかもしれませんが。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

福島の桃は変わらず美味い

ゲーム原作 2010年の作品


…と1期と変わらず1クール。3か月置いての本編ですから今でいう分割2クールみたいなもん。この後3期4期と続いており各々2012年2016年とやや間を置いての放送だった模様。

Youtubeの期間限定にそのままついていってる感じですが、そもそもOVA発売記念みたいですね。
乙女ゲー原作なのに男も楽しめるイケメンわんさかアニメの第2期です。ゲームのタイトルよく見たら

 薄桜鬼〜新選組奇譚〜

サブタイトルにあるように奇譚なんですよ奇譚。今更ですけど…
さんざん俺TUEEEしてた鬼さんが薩長側なもんですから、その鬼さんとはどうしても敵対せざるを得ない新選組の隊士たち。背後に列強がいてさらに人外さんもつかれた日には幕府軍にとって無理ゲーもいいところなわけでございまして、それでも誠を貫く新選組さんに震える本作。
京都でのいざこざが1期でしたら、いよいよ宮さまが新政府軍につき名実とも賊軍となった旧幕府軍の敗走が2期では描かれます。
ほら鳥羽伏見の戦いから始まる戊辰戦争的なやつ。歴史上薩長(鹿児島と山口)イメージ強めな新政府軍ですけど、会津攻めは土佐藩も出張ってきてましたね。土佐藩士板垣退助が攻め入ってきてましたもん。

歴史で言うなら新選組案件の終着点って{netabare}五稜郭{/netabare}になりますよね。きちんとキリのいいところで2期は終了してました。
戊辰戦争前後の新選組ですから主要キャストがバッタバッタと斃れていくのは既定路線です。それが安っぽくなってなければよい。及第点でした。

そしてここで中締めです。キリのいいところまでやった手前、今後の3期4期へ続く場合のイメージがわきません。北海道に留まり爺さんになるまでアイヌの金塊探しでもするつもりでしょうか。

中締めとしては丁度よく一区切りとなる2期でした。
アフターは気になるは気になるんですけど、前のめりになるほどの代物ではないので悩みます。



※閑話休題

■愛しき日々

会津ががっつり敗れたのがとどめとなり奥州諸藩も白旗をあげた経緯もあって、ひそかに「会津よゴメン」と思わなくもない旧仙台(伊達)藩出身の私。
ついでにうちら東北が賊軍呼ばわりされるのも少し気に障るのよね。禁門の変なんぞ、御所(皇居@京都)に発砲して狼藉働いたのは薩長じゃねーの?と不敬を無問題にしていることに違和感を覚えます。
さておき、体を張って“誠”を示した会津は誇り高き民であり末裔の福島県民にもきっと受け継がれていることと思われ敬意を払いたい方々です。よって、、、がんばれ!福島!

時節柄(2021年夏)、福島が注目されてる国際的なイベントやってますが今度は討ち死にとならないように全面支援したい心持ちだったりします。
有ること無いこと攻撃してくるわかりやすい敵国もあれば、「あなたのため」と言って平気で刺してくる国内一定層の存在も頭痛いところ。150年経っても内憂外患の構図は変わらず。

そんな150年くらいの年月なら人外さんぴんぴんしてるのできっと「こいつら変わんねーな」と往時を思いだして呆れてるかもしれません。
ただし今度の会津は討ち死にしなくてもよさそうですけどね。「桃うまい」と言ってくれたソフトボールの監督さん(米)サンキューです。※2020東京五輪ネタ

{netabare}桜と桃だからって、意見の違う方々に『人間失格』と言うつもりはないのであしからず…{/netabare}



視聴時期:2021年7月 期間限定配信

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2021.08.01 初稿
2021.11.03 タイトル修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

67.5 6 時代劇アニメランキング6位
さらい屋五葉(TVアニメ動画)

2010年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (379)
2000人が棚に入れました
『さらい屋 五葉』(さらいや ごよう)は、オノ・ナツメによる日本の漫画。『月刊IKKI』(小学館)において2006年より連載。

田舎から江戸に出てきた侍である秋津政之助は、ひょんなことから誘拐組織「五葉」の頭目である弥一の用心棒をしてしまう。弥一に剣の腕を見込まれ、自らの意向とは逆に五葉の一味にされてしまう政之助だったが…。


声優・キャラクター
浪川大輔、櫻井孝宏、緒乃冬華、高塚正也、内田夕夜、木下浩之、高梁碧、宝亀克寿
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

揺蕩おうとも水は流るる

原作は作者情報のみ、あとは知らず。
オノナツメ原作の時代物。

大いに楽しみました。ほぼ一気観でした。
じっくりと展開される心情描写と謎解き、あるいは、人情時代物がお好きなら、是非ご覧いただきたい逸品です。


==物語
時代フィクション、捕り物+人情物の雰囲気が濃く現れています。(僕が思う)メジャーなところだと池波作品に似た雰囲気ですが、それよりもさらに落ち着いた、場合によっては陰湿さに似た雰囲気を持ち合わせています。

全12話を余すことなく使い、じっくりと描写される人情、心情の変化とドラマは観応え十二分でした。


==作画
オノナツメの独特なキャラ造形を、ある意味でさらにオノナツメ風に尖らせたキャラクターデザインに感じた。同原作の他作品はACCAしかしらないが、それと比べると、より「オノナツメ風味」が強く感じられるように思う。この、独特なオノナツメ風味のキャラデザインが苦手な方も多いと思うが、(そもそもアニメ全般にいえることですが)そのうち慣れるはず。

キャラクターデザインに関することを除いて、静止画としてもアニメーションとしても上質と思う。とても丁寧という印象。視線、姿勢のちょっとした変化での演技もみられる。月明かり、蝋燭明かりに照らされた人物、特に顔の陰の描写は本当に丁寧に描かれていると感じた。全体的にカメラワーク(視点の置き場所、焦点の置き場所)が独特で、おもしろかった。


==音楽・劇伴
OP・EDは、本編の雰囲気とはまるで違う明るい曲。不思議とこれがよく合う。

OP映像は、後退する視点から映す江戸の町並みや登場人物。影絵のようで、でも立体感を感じる。丁寧だけど、シンプルだなぁ・・・と思って観ていたら、曲の終わりでバチコンと音ハメしてきやがった({netabare}落ちる五葉のスピード変化と曲終わりのコーラス{/netabare})。思わず背筋が痺れた。

劇伴は全体的に良かったとおもう。


以下、ネタバレ込みの雑感

==粋: タイトルコール(サブタイコール){netabare}
各話のサブタイトルは、そのエピソード中のセリフ。
このセリフとサブタイ提示がなかなか格好良い。格好いいというより、小粋というべきか。{/netabare}

==粋:次回予告{netabare}
各話ED後の次回予告は「某国民的日曜午後6時半の海鮮類でございます」のスタイルを踏襲している。次回予告の入り方から、次回予告での語りの内容も。
それ自体すでに面白いのだが、僕が気に入ったのはその次回予告担当の人選。個人的に気に入っている次回予告は、3話予告(2話末)の梅(語りの内容)、4話予告の八木、6話予告の"あねさん"、11話予告の仁(人選も内容も)。その中でも極めつけは、最終話予告(11話末)。まさか、”あれ”が担当するとは。本家では絶対に出来ないことをやっちまったよ。すげー(笑){/netabare}

==粋・・・じゃないやつ{netabare}
主人公・政は絶妙なキャラだったと思う。およそ主人公らしくないこともまた良い。登場人物中、ただひとり「粋」のかけらも持ち合わせていないthe野暮天。だからこそ、必要な情報を視聴者に提供できる「聞き役」「見役」として十分に機能したと思う。

ちょっとね、あまりに頼りなくてね、苛ついたけどね(笑)。{/netabare}

==↓完全なネタバレ
{netabare}==座り直す弥一
最終話前半、八木につきあわされて弥一が酒を飲んでいるシーン。八木が酒のおかわりをもらいに行く間に、弥一が座り直すシーンがある。この描写が凄く印象に残った。

作中、徐々に「過去にとらわれる」ことが強くなる弥一。あねさん曰く、政と会ってから「おかしく」なっていったとされる。そんな弥一が「誠之進」であることを自分自身に認めたのだろうか。具体的なことはわからないが、何かしらの変化、あるいは決断が感じられる良い描写に思った。
{/netabare}


[2020/10/24 v1]
[2020/12/26 配点調整]

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ハグレモノたちの安息の場所。

【本作の紹介】
2010年のノイタミナ枠。原作漫画は『ACCA13区監察課』などのオノ・ナツメ。大きな黒目や左右に大きく開いた口にオリジナリティを感じる特徴的な絵柄。

あらすじは、時は江戸時代、人さらいを稼業(「さらい屋」)とする主人公の浪人・政之助(政)、頭目・弥一(一)、美女・おたけ(たけ)、居酒屋の店主・梅造(梅)、飾り職人で元盗人・松吉(松)の5人組(「五葉」)のお話。
雰囲気は、テレビ時代劇『必殺仕事人』が近いけれど、完全な義賊ではないし、殺陣はほとんどなく人情ドラマが中心。

主人公の政以外は、それぞれ人には大っぴらにいえないような過去をもち、言いだしっぺの頭目一に、何らかの恩義を感じ断ることができず巻き込まれる形で、身代金目的の誘拐稼業の犯罪集団「五葉」を始めることに。

そこに、剣の腕は立つが気が弱くおよそ侍らしくないことを理由に藩から暇を出され、自らを鍛え直すために江戸に来た浪人・政が一によって五葉に巻き込まれるところから話は始まる。
普通の人がその感覚を持ったまま犯罪者になっていくという点は、主人公が同じ声優(浪川大輔)の『ブラックラグーン』のロックと近いかもしれない(ただし、展開は全然違う。)。

全12話で前半は、五葉の仕事内容やメンバーの紹介が中心。7話以降の後半は、「五葉」を作った弥一の過去の秘密に主人公が迫っていく。
前半は、ゆったり、後半は、ラストに向けて加速していく感じのストーリー展開なので、できれば前半で切らないで…。


本作の魅力は、端的にいうなら、「社会のはみ出し者たちの擬似家族」、もう少し言葉を選ぶなら、「ハグレモノたちの安息の場所」でしょうか。説明は、ネタバレを気にせず書きたいので後述。

あと、本作は最後の次回予告まで必見!言ってる内容が物騒だけど同じフジ系列の国民的家族アニメのオマージュで秀逸。

時代劇の人情ものが好きなら、本作もオススメです。


【音楽】
時代劇なのにOP・ED曲が現代風の曲調ではある。もっとも、私は『無限の住人-IMMORTAL-』のOP「SURVIVE OF VISION」(作詞・作曲・歌:清春) が好きだし雰囲気にも合ってると思ったので、これも雰囲気に合ってて有り。


【ネタバレ有りの本作の魅力、感想など】
{netabare}本作の様々な事情から過去に裏社会に堕ちた登場人物たちは、根っからの悪人ではなく、人の情けで表社会に戻っては来れたものの、一度裏社会に身を置いた引け目からか表社会がどうも眩しくて居心地が悪い。そうかといって昔に戻りたくもない。

いつか五葉から足を洗わなければと後暗い気持ちを持ちながら、かといってもう他のメンバーに情が移ってしまって放ってもおけず、なし崩し的にさらい屋稼業を続けている。

そこに、侍らしくないという理由で浪人となった政が五葉に入ってくる。最初はそんな政を侮っていた五葉のメンバーたち。

しかし、自分たちは、上手く嘘をついて世渡りベタで不器用ではないフリをしていたけれど、思ったことをつい言ってしまうような嘘をつけない自然体の政と触れ合う中で、不器用でいい、少なくとも五葉では自然体の自分でいいのだと思い始める。

「過去にとらわれず、目の前の日々を楽しむ」(それを一番出来てない奴が言っちゃいけねぇ。)

最終的に、お互いの過去を詮索せず(それは野暮ってもんよ)、今を前向きに生きるために五葉という犯罪組織を自分たちの居場所として前向きに受け入れることに。


だから、裏稼業の人たちの擬似的な「家族の話」(そういう意味で誰がサザエで誰がカツオかと言われると困るけれど(笑)、『サザエさん』要素もあると思う)かなあと。
もう少しカッコつけていうなら、「さらい屋五葉」とは、「ハグレモノたちの安息の場所」でしょうか。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

時代劇ならではの情緒溢れる作品です^^

この物語は、江戸時代の江戸が舞台の時代劇です。
主人公の通称:政(マサ)は、お侍さんなのですが、酷いあがり症の性格が災いして仕事が上手くいかず、明日食べるものにも困るような生活を送っていました。
そこに、ある日弥一(通称:イチ)という2枚目の男性と知り合い、成り行きからマサはイチの用心棒を引き受けることになります。
当面の生活費が稼げた・・・とマサは思っていましたが、イチは誘拐組織「五葉」の頭目だったのです。

この作品では、実直が性分のマサが五葉の人々に接して揺れ動く気持ちと、マサに触れて変わっていく五葉の仲間を描いたものになっています。

視聴を始めて思ったのが、作画もSEも江戸時代という時代背景が、しっかり練られて描写されている作品だと思いました。

登場するのは殆どが大人・・・それもワケありの・・・^^;
なので、皆さんの口数は極めて少ないです・・・それでも、会話の間、目線やちょっとした指先の仕草などで、ただの「間」ではなく、人情味溢れる「間」が感じられます。
口数が少ないながらも、雰囲気と合わせて会話が楽しめる作品でした。それを思うと、まるで実写のような感覚で視聴でき作品・・・と言えるのではないかと思います。

この作品を見て、江戸時代の階級は「士農工商」と明確に分かれていましたが、「自活する」という現実においては、武士も相当大変だったのだろうなぁ・・・と思います。
学校の授業では習いませんが、マサのように性格上武士としての仕事が苦手な人もいたでようし、病気や怪我で武士として働けない人だっていたかもしれません。そういう中で「士農工商」という枠組みは、時としてプライドを捨てきれず逆に苦労した人も多かったのかもしれません・・・^^;
そう考えると、現在の仕事事情は江戸時代よりもだいぶ恵まれているよなぁ・・・などと考えながら視聴していました^^;

そして、この作品を通して考えさせられるのが「人への干渉の仕方」です。普段はあまり気になりませんが、中には人との接触を苦手とする方もいらっしゃいます。
過度な接触は不要かと思いますが、時には心の奥底で助けを求めている場合もあるかもしれません。そういう信号をちゃんとキャッチできるくらいの日常的な触れ合いは必要だと思うのですが・・・^^;

1クール12話の作品です。終始静かな作品ですが見応えは十分でした^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22

75.4 7 時代劇アニメランキング7位
モノノ怪(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (844)
4368人が棚に入れました
“モノノ怪”を斬ることができる退魔の剣を携えて諸国を巡る薬売りの男がいる。
彼が呼ぶのか、剣が呼ぶのか、薬売りの前には次々と妖異が現れる。
“モノノ怪”を成すのは、人の因果と縁(えにし)。人の情念や怨念があやかしに取りついたとき、“モノノ怪”となる。 こうして彼の行く所、様々な“この世のあはれ”が浮かんで消える……。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、田中理恵、藤田淑子、塩屋浩三、竹本英史、沼田祐介、日比愛子
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

難解!芸術的ホラーアニメ(おすすめ!)

 このアニメは昔一度ぼーっと観ていてこういうの好きだなーくらいに思っていたのですが、最近もう一度見返して、めちゃくちゃハマりました。
 絵が非常に特殊なのと、おおよそアニメが扱う内容ではないので、好き嫌いは大きく分かれると思います。深いストーリーが好きな人にはオススメ。ただし、芸術性が高いかわりに非常に読解力を必要とするアニメですので、心して観てみてください。


 ストーリーは
    1,2話:座敷童子
  3,4,5話:海坊主
    6,7話:のっぺらぼう
    8,9話:鵺
10,11,12話:化猫
 となっていて、それぞれ独立しており、化猫に関しては時代背景すらちがいます。全く別の話とみていいです。


 主人公は奇抜な風体の薬売り。普段は抜けない退魔の剣を持っていて、それが抜ければもう一人の自分となり物の怪を一刀両断する。(←この設定はチープだけど、ストーリーは深いのでご安心をw)

 「形(かたち)、真(まこと)、理(ことわり)の3つが揃わなければ剣は抜けぬ。物の怪の形を成すのは人の因果と縁。真とは事のありさま。理とは心のありさま。」というのがこのアニメのテーマです。
 解説すると、形とは物の怪の「名前」のこと。その物の怪がなんであるかということ。真とはその物の怪が生まれることとなった「原因」。つまり過去にあった真実のこと。理とはその物の怪が何をどうしたいと思っているか、ということ。つまりその物の怪にとっての「行動原理」。それらを解き明かすのがこのアニメの本編。主人公の変身→バトルシーンはそのあとのおまけです。この「理」は、私がanotherのレビューで書いた「この世のものでない理論」と同じです。まさしく私のホラー欲を満たすために作られたようなアニメ!






 このアニメは解釈が難しいので、以下は各話の考察に移ります。
※ネタバレ度MAXなのでこれから観る人は決して開かないように!そして、「モノノ怪」を観た後で絶対この考察を読みたくなるはず!でもすごく長いよ!

1話~座敷童子
 ある宿場に一人の妊婦が駆け込んだ。それは大店の息子の落しだねであり、生まれてはならぬ子。殺し屋が彼女を追っていた。宿屋の女将は「わけあり」の部屋に彼女を通し、妊婦はそこでたくさんの子供たちの足音を聞く……。
{netabare}
形(名称):座敷童子
真(過去の事件):その部屋は昔、客の子を孕んだ遊女を無理やり堕胎させるための部屋であった。
理(行動原理):妊婦の腹に入って、世に生まれ出ること。


総評
 難易度的にも内容的にも第一話に相応しい話。このアニメの「物の怪」に対する姿勢が非常にわかりやすい。最初が「海坊主」だとしたらもっととっつきやすいアニメになっていただろうし、最初が「のっぺらぼう」だったらもっと難解で芸術的なアニメになっていただろうが、私はこれが第一話でよかったとおもう。


事象の記号化がすごい!
 このアニメではダルマは胎児の、帯はへその緒のシンボルです。よって「床に敷かれた赤い帯の両端に、妊婦とダルマが乗っている」という映像がそのまま「妊娠」を暗喩しています。これを意識すると、各所に出てくるダルマや帯の意味深さが分かると思います。

二話中盤からの錯綜はなに?
 回想と、心象風景と、物の怪の見せる幻覚が一緒くたになって混沌としたシーンが続きます。妊婦が台に寝かされて女将に腰を打たれるシーンは、現実の様子ではなく、女将の告白に対して妊婦がイメージした風景だと思われます。簡単に言うと二話中盤はすべてイメージの中の世界で、「実際には妊婦と薬売りが女将の告白を聴いているだけ」と割り切って考えると分かりやすいかもしれません。視聴者的には「真相シーン」と受け取っておけばいいでしょう。

ラスト結局どうなったの?
 まず、妊婦の最初の決断は「物の怪を産み落とす」ということでした。「お札をはがすこと」=「物の怪の侵入を受け入れる」ということ。しかし、その瞬間、「今おなかの中にいる子供が死ぬ」ということを悟ります。割れそうになる黄色いダルマ(彼女の髪の色)が、彼女の本来の子供です。彼女とつながっている黄色いダルマと、彼女の背後に忍び寄る無数のダルマ。彼女は最後は黄色いダルマを抱きしめ、後ろのダルマたちに「ごめん」と告げます。
 やはり彼女は最後、物の怪ではなく自分の本来の子を産むことを決めたのです。その決断に、物の怪側も笑顔で応えます。なぜなら座敷童子は「わが子を見捨てない母」を求めていたのですから。ラストで壁の絵の女の腹を撫でたのは、座敷童子に「ごめんね」を言っている様子です。薬売りさんもやってましたね。「生んであげられなくてごめんね」「退治しちゃってごめんね」「ゆっくりおやすみ」。鎮魂のための、悲しくも暖かいなでなででした。
 そして殺し屋や女将や番頭は……おそらくもう見つかることはないでしょう。 {/netabare}




3話~海坊主
 薬売りが乗り合わせた船は、何者か(乗客のなかの誰か)の意思で進路を変えられ、物の怪の渦巻く「魔の海域」へと入ってしまう。明けない夜、魑魅魍魎が船に襲いかかる。誰が、何のために船の進路を変えたのか……。

{netabare}

形(名称):海坊主
真(過去の事件):僧侶は、人柱の役目を放棄し、妹が代わりに人柱として海に流された。
理(行動原理):僧侶から分かたれた醜い心を覆い隠す。

注「この人が堺の化け猫騒動を沈めたんですよ!」とは?
 「怪~ayakashi~Japanese Classic Horror」というアニメの9話~11話で、「モノノ怪」の別のストーリーが収録されている。というより、「モノノ怪」ははじめ、この「怪」というアニメの一作品として世に出た。その後、「怪」のなかでも格別の出来だった9~11話の「化猫」という話の世界観で1クールのアニメが作られた。それが「モノノ怪」。この幻の作品「化猫」と、モノノ怪の10~12話に収録された「化猫」は全く別の作品。


総評
 モノノ怪の話の中では一番ポップです。つまり俗っぽい。普通のアニメに近い。分かりやすい。見やすい。それでもアニメとしてはかなり難解で芸術的な部類ですが(笑)
 本編とは関係のない物の怪オンパレードで視聴者を飽きさせない。機転を利かせた対処法とか、謎解きっぽい空気を作ったりとか、どんでん返しとか、かなりアニメとしての俗っぽさが出ていますが、まあアニメだから出て当然ですね。おかげで観やすいです。一話がワケ分からなかった人も、この話は楽しめると思います。
 ただし、ラストはかなり難解です。
 あ、でも一番最後の「侍のひとりごと」は絶対深くないです。あれは「続編あったら、こいつで一話作ってやるぞー」っていう関係者から関係者へのアピールですね、たぶん。


船幽霊、海座頭などはなんだったの?
 あれらは「妖の海」だから出てきただけで、ラストとは関係ないです。つまり使い捨て妖怪です。別の話だと見ていいでしょう。そう考えると3~5話は「海坊主」でまとめるよりも、3話「船幽霊」、4話「海座頭」、5話「うつろ船と海坊主」という風にタイトルを分けた方がいいのかも。一番重要なのは言うまでもなく5話です。


ラスト結局なんだったの?
 まず、「うつろ船で流された妹が怨霊となって魔の海域を生み出した」というのはミスリードです。妹さんは好きな人のために死に、何の迷いもなく天に召されました。
 海坊主の正体は僧侶の心。
 しかもそれは「50年間、かつて愛した妹への贖罪のために修行してきた僧侶の心」が生み出したのですらなく、それ以前に僧侶が忘れようとした心。5話中盤での僧侶の告白も、僧侶の心情はほとんど嘘です。僧侶が故意に嘘をついたのではなく、この海に捨てて、海坊主によって隠されていた、僧侶ですら忘れていた本心があったのです。それは、

「出世してえんだよぅ」「坊主になったのも、出世していい生活して」「死ぬためなんかじゃねぇ」「助かったぁ。こいつはバカじゃねえのか?」「なんだ金か?ねえぞそんなもん」

 このセリフが本心です。つまり僧侶と妹は愛し合っていなかった。人柱になるという話も、断れない状況だっただけで、僧侶は最初から嫌々だった。妹が身代りになると言った時も心の底ではただただ喜んだ。
 こう思っていた自分を隠すために、僧侶は海坊主を生み出したのです。ただひとつ真実だったのは、妹が僧侶を愛していたということ。そしてそれが、僧侶を改心させ、しかし反動で海坊主を生み出した。
 薬売りが海坊主を切った時点で、分かたれていた心は僧侶に帰りました。最後僧侶は死んでいません。若返ったのか、それとも醜くなっていたのが戻ったのか分かりませんが、間違いなくハッピーっぽいエンドです。僧侶はこれから、自分の心を捨てるのではなく、向き合って生きていくのでしょう。 {/netabare}




6話~のっぺらぼう(2017/12追記)
 藩主一家惨殺犯、お蝶のいる牢獄に、突如現れた薬売り。仮面の物の怪によって牢獄から救い出された彼女に、薬売りが問いかける。「誰を、殺した?」

{netabare}

形(名称):のっぺらぼう
真(過去の事件):物の怪がお蝶の心を殺し、面の男を操り、お蝶をこの家にしばりつけた。
理(行動原理):母親の歪な愛情を受け止めようとして、お蝶の心は歪み、物の怪が取りついた。

総評
 「モノノ怪」の中でも別格の難解さです。何度考察しなおしたことか。最初にレビューを書いてから一年以上経ってふともう一度見たくなり、自分なりに結論が出たのでできるだけ簡潔に書いておきます。ネタバレを開いていくとどんどん私の長ったるい文章が出てくるので、考察の過程はそちらをどうぞ(無駄に長い)。

 まず、この物語はループものです。
 そのループとは以下の通りです。

「お蝶さん誕生」
  ↓
「お蝶さん厳しい教育を受ける」←←←※
  ↓
「お蝶さん、藩主に嫁ぐ」
  ↓           
「お蝶さん、いじめられる」(←←←※) 
  ↓            
「お蝶さん自殺」→→→※

 これは薬売りが見せた「お蝶の一生」の第1~4幕からわかります。
 現実世界では「お蝶さんが自殺して、その次のお嫁さんがお蝶さん」という具合なので時間的な矛盾は生じていますが、物の怪のチカラなのか誰も気づいていません(この矛盾を減らすため2回目以降はカッコで示した小ループに移行した可能性もあります)。

 薬売りはこのループに気づいているようですが、お蝶さんは別のループだと勘違いしています。それがこれ。

「お蝶さん、いじめられる」←←←※
  ↓            
「お蝶さん、一家惨殺する」  
  ↓             
「お蝶さん、スッキリする」   
  ↓          
「お蝶さん、逮捕される」   
  ↓           
「物の怪が現れて全部なかったことに!」→→→※


 つまり物語の全容を超ザックリまとめるとこうです。

 お蝶さんは藩主の家でいじめられていたが、母親からの期待に応えるために耐えていた。しかしある日、とうとうその一家を惨殺してしまう。すると物の怪が現れて、お蝶さんのやったことをすべてなかったことにしてくれた。
 お蝶さんは藩主の家に戻ったが、またストレスのたまる日々が続き、そしてまた一家惨殺してしまう。そしてそのたびに物の怪が現れて、元の暮らしに戻してくれる。お蝶さんは、自分は救われているのだと感じていた。
 そんなある日、薬売りが現れる。そして実はお蝶さんが殺していたのはお蝶さん自身であり、彼女自身がすでに物の怪なのだと告げる。
 すべてを知ったのち、薬売りによってお蝶さんは成仏する。しかし、自殺のループという真実を知っても、最後までお蝶さんは仮面の男に感謝していた。母のために生きる、それが自分の面を忘れた妖怪「のっぺらぼう」、つまりお蝶さんの望みだったから。
 ラスト。宴会を続ける家の者が、自由になった彼女を呼び続けている。
 しかし、誰も、いない。


 この物語が「モノノ怪」の中でも別格に難解なのは
・心象風景から始まっている(牢獄で薬売りが登場するシーンも心象風景)
・最初の場面で薬売りもお蝶も勘違いをしている
・薬売りが真と理を発見したシーンが省略されている(最初の牢獄シーンより前)
 という3つの「最初のシーンの不親切さ」が原因です。
 そして、ループをつなぐ鍵は「牢獄」。
 最初の牢獄シーンと「お蝶の一生」の第1~4幕すべてを通して、場面は変わりますが、お蝶さんが「心理的牢獄」を抜けだしたことはありません。この「牢獄の中のループ」が現実世界で発生する心理的矛盾を和らげています。
 

2016/06 要素抽出(あらすじほぼ全書き+解釈。長いので注意)
{netabare} ・藩主一家惨殺犯、お蝶は、極刑を言い渡される。「ああ、すっきりした」「謹んでお受けいたします(極刑の宣告に対して)」
・薬売りは客との悶着で牢屋に入れられた。このあたりの薬売りのセリフはやけに「芝居がかっている」
・世間でもお蝶のことは噂になっている
・お蝶ひとりでできる犯行ではないので、共犯がいるはず
・お蝶は「明日死罪を迎えるものが纏う顔ではない」
・「まるで別人だ。普段のお蝶さんとは。」「何を言っているんです、普段の私を知りもしないで」
・「出てはいけない。ここにいれば安全だ。」
・やはりお蝶は取りつかれていた。しかし面の男は物の怪の「形」ではない。
・「ここは安全だ。ここは閉ざされていると思えば牢になり、出たくないと思えば城となる」薬売り。
・「またあの場所(あの台所)に戻る気か?」「構いません。」→お蝶は人間でなく物の怪を信じた。
・面の男は物の怪。「しばらく追手はこない」「あなたを牢獄から救い出すために生まれた」
・「何をやっておるのだ!」このシーンはこの後何度も繰り返される。お蝶が「牢獄」を連想してこのシーンに来た。
・「前の女が首なんかつらなきゃ、誰があんな女を家に上げるものか」
☆面の男はお蝶の心に溜まる毒を抜きたかった。お蝶は何度も助けられてきた。「じゃあ、またあの場所に?」「戻らねばなりません。わが力はその程度。すぐに追手が来ます」
☆「戻りたくない」「このままではあなたは罪人。本当に殺したことになってしまう」
☆「私はあそこにいてもいなくても同じ。捕まって手討ちにされる方がマシ」「あの牢獄の男(薬売り)のせいか」

 ここで一つ綻びが生まれる。この面の男はお蝶を嫁ぎ先という牢獄から、一家惨殺という手段で救い出すために生まれたのではないのか?なのに、台所に戻そう戻そうとしている。そして、セリフから「今はまだ本当に殺したわけではない」ことが分かる。そして面の男は「本当に殺すこと」を阻止しようとしている。つまり、面の男の言う牢獄は、あの拘置所のことであり、薬売りの言う牢獄はあの台所ということか?
 2つの牢獄。これを頭に入れておく。

・面の男、急に結婚を申し込む。おそらく「本当に殺すしかないのであれば、物の怪である私と共に逃げよう」ということ。面の男は道化で稼げば、お蝶を養える→実体がある?
・結婚式。面たちが祝う。「みんなずっとあんたのまわりにいたんだ」「見守っていた」「どれだけたくさんのものと出会い、囲まれているか、人は忘れてしまう」
・「これからは俺が、あんたの生きる証になる」「はい」→ お蝶うれしげ。
・「高砂や~」なにか意味深な歌かと思ったが、古い結婚式では恒例の歌らしい。解読は必要なさげ。
・契は結ばれた。「我らは二人で一人」
・平伏した実母登場。風景がゆがみ、本当に行われた結婚式の風景が混じる。
・「いずれは国取りの家に~」このシーンも何度も出てくる。両者仮面をつけている。
・稽古シーンが終わると、お蝶が号泣している
☆……というのは全て「よい芝居」であった。(どこまで、どこから芝居かが問題)
・鏡の中に台所の風景が映る。
・「崩れていく。やっとつかんだ新しい人生が。」
・「どうして、助けてくれたと思ったのに」「面の男は真実を隠している」
・面を忘れた物の怪。

・面の男の正体はまだ隠されている。「隠す気なら用はないから黙ってろ」
・芝居の続き。

☆お蝶の一生「第一番」
 お蝶が嫁ぎ先でなじられる様子。
 物の怪に、あなたの情念を見せる。物の怪が取りつくには絶好。「この笑いごとのためにあなたは一体何人殺した?」物の怪の力に甘えた結果がこれ。
 空。あなたは見ているだけだった。なぜ逃げなかったのか。「誰を、殺した?」

・空を見て、”微笑む”。それを見ているもうひとりのお蝶「なんで逃げなかったんだろう」
・母親が出てきて、再び洗脳される。「しぶとい」と薬売り。
・「私は母上さまが好きでした」「喋らなくていい!これはまやかし」


☆お蝶の一生「第二番」
 御稽古シーン。面を被っていたりいなかったり。
 怒られて謝る子と、遊びに行ってしまう子に分離。「嘘よ……もうやめて」

☆お蝶の一生「第三番」
 母親が平伏。嫁ぎ先はお蝶を何とも思っていない。武家の家にお蝶を嫁がせるのが母の願い。お蝶は母の願いをかなえるための道具になった。「ちがう!」
 座っている花嫁と、面の男の元に向かう花嫁の2つに分かれる。
 道具だったはずのお蝶が恋をした。「その相手はだれだ?」

☆お蝶の一生「第四番」
 あの台所のシーン。
 面の男があらわれる。包丁を手渡す。「誰を殺した?」「やめて!」
 
・その面は物の怪ではない。物の怪がその面の男を操り、あの家にしばりつけた。
・母親の歪な愛を受け入れようとしてゆがんだ心に、物の怪が取りついた。
・「私はかかさまが好きでした」「わたし頑張ったけど」「嫌だ」「かかさま話を聞いて!」 
・「私、ばっかみたい」
・「お前が殺したのは、だれだ」「わたしを殺したのは」「みんな、わたし」
・「物の怪は、私」
・薬売りはお蝶を斬ろうとしている
・「のっぺらぼうは何故私を助けてくれたのでしょう」「救われたとおもっているのか?」
・「のっぺらぼうはあなたに恋をしたのかもね」「悲しき物の怪だ」
・「ありがとう。もう大丈夫」

・台所のシーン。空を見て、微笑む。徳利の割れた音が、物の怪が去った音だろう。
・鳥が屏風から飛び立つ。
・土間に座る薬売り。宴会は続いている。
・台所には誰もいない。

☆ここから導き出される真実
・物の怪はお蝶自身
・面の男はお蝶をあの家に縛りつけるために生まれた
・お蝶が殺したのはお蝶自身。面の男に助けられ、何度もそれに救われてきた。 {/netabare}


2016/06時点の考察
{netabare}
 細かいことはさておき本質は「自分を殺し続けた女、お蝶」って感じの話で間違いなし。まずラストについて、私の考えを言わせてもらうと、ラストのシーンは確実に「台所には誰もいない」というシーンです。このシーンを「家にはもはや誰もいない」という風に捉えてしまうと「一家惨殺は虚構だけれど、家の人はもういない。つまりこれは何年も前の話だ」という不思議な結論に達してしまいます。ネットではそういう結論に達している考察が多かったですが、私は違うと思う。
 なぜラストのシーンで、宴会場の人は実在することになるのか。
 それは台所の間取りを正確に把握していれば分かります。
 あの台所は格子窓が西にあると仮定した場合、北に竈や瓶や棚があり、南に障子があり、その障子の前に宴会の屏風が建てられている。面の男や幻想の母は格子窓とは逆の東の壁から現れる。という間取りです。
 そしてこのことから、北に外へと通じる裏口の戸があり、南の障子の向こうで宴会が行われていると分かります。つまりラスト、薬売りは宴会場を向いて正座しているのではなく、宴会場に背を向けて、裏口の土間に腰かけているのです。薬を売り歩く行商人としては、違和感のない居座り方です(笑) 裏口が開いた向こう側に、別棟なのか、物置なのか、別の建物の戸が見えるせいで分かりにくいですが。
 そして「しかし、誰も、いない」のあとの台所シーンで見えるのは、宴会場以外の三方向。あのシーンの背中側で宴会が行われています。これは「宴会場にも誰もいない」ことを示すシーンとしてはあまりにお粗末です。この家全体に誰もいないことを示したいなら、選ぶべき三方は、格子窓を中心として、左に宴会の屏風(屏風の中の人がいなくなってたりしたらさらにグッド)、右に開け放たれた裏口、となるべきです。宴会場の方向を「誰もいない」に含めなかったということは、宴会は実際に行われていたということになります。

 つまり私の結論としては、「家の人々はラストでも生きている」ということです。つまり一家惨殺からお蝶の投獄云々までもが「いい芝居」に含まれていたということになります。

 次に、ラストでお蝶は「逃げたのか」「成仏したのか」という点。これが難しいです。というか確定はできません。「お蝶は死んでいる。なぜなら芝居の題名が”お蝶の一生”だったから。お蝶が生きているなら”お蝶の半生”にすべき」という意見をネットで見かけ、なるほどと思いましたが、果たしてそう決めていいものか。

 まず「お蝶死んでる説」を推す場合、私はこのセリフを取り上げたい。
 「前の女が首なんかつらなきゃ、誰があんな女を家に上げるものか」
 これは再三出てくる台所シーンで、宴会場の女性が言っているセリフです。前の女は首を吊った。これはただの「この家怖いよアピール」で済ませていいのでしょうか?前の女は「自分で自分を殺した」わけです。これはもしやお蝶さんのこと?
 となると、お蝶さんの前の嫁がお蝶さんであるということに。つまり物の怪となってもう一度嫁ぎなおしたのでは?みたいな考察ができます。そうなると今いるお蝶さんはまさしく「物の怪」であり、薬売りに斬られて、台所は「誰もいなくなる」。そうなるとのっぺらぼうがやりたかったことは「かか様の言いつけを守って、良家の嫁でいることを助ける。しかしそれを長く続けるとお蝶は一家惨殺してしまうので、定期的にお蝶を自殺させて、再度嫁がせていた」という感じのストーリーになります。まさしく「救われたとでも思っているのか」という感じの恐ろしいストーリーです。
 ふむ。なかなかいいですねこの説。

 次に「お蝶逃げた説」。
 こちらはハッピーエンド。お蝶が殺し続けていたのは「自分の心」であって、いろいろな風景は全て心の中の幻想。心を殺し、仮面をつけて生きていたのは物の怪「のっぺらぼう」に憑かれていたせいであり、それが退治されたので、お蝶は裏口から出ていき自由になった。「のっぺらぼうに助けられた」=「かか様の望む自分でいられた」であり、「救われたと思っているのか」=「のっぺらぼうがいなければもっと早く逃げられたのに」ということです。これもきれいなオチ。”お蝶の一生”という題名の問題は、それが「芝居としての一生」であり、のっぺらぼうがいなくなってからはお蝶は新しい人生を送ることになったという点で、「芝居の人生が終わる」と考えれば、”半生”じゃなくても大丈夫かな、と……ちょっと苦しいかな?


冒頭の一家惨殺→死罪のシーンはなんだったのか。
{netabare}  これもこの話を難しくしている一因です。これ一体なんなんですかね?「一家惨殺は実際には起こっていない」というのがネットでも主流の意見で、わたしもそう思います。なぜならのっぺらぼうは彼女が一家惨殺をしないために存在しているはずだからです。あのシーンはお蝶のなかのイメージのはず。しかしお蝶の望むお蝶は一家惨殺をすべきじゃないわけで……。普段のお蝶さんとは別人……。
 あ、分かった!
 つまり、「一家を惨殺する自分」→「その自分は死罪」というサイクルが重要だったのではないでしょうか。
 一家を惨殺する、というイメージによってお蝶は「すっきり」します。しかし、母の願いを叶えなければならないので、その自分は許されないと思っている。だから、そのすっきりした自分を「死罪」にする。もちろんお蝶自身もその裁きを「謹んでお受け」する。
 これが現実では「心を殺す」ということなのか、「自殺する」ということなのか分かりませんが、このサイクルによって説明が付きます。 {/netabare} 


……全然考察しきれていませんが、とりあえずここらへんで許して(笑)


☆私の中での結論
・冒頭のシーンは「一家を惨殺する自分」→「その自分は死罪」という、「自分を殺すための心象風景」である。
・のっぺらぼうはお蝶自身であり、面の男はお蝶が生み出した「自分を家に繋ぎとめるための装置」。一家惨殺をイメージさせることにより、間接的にお蝶を自殺に導く存在。
・しかし薬売りの登場により、家に戻りたくなくなったお蝶は、その面の男と駈け落ちするという、本末転倒な幻想に逃げようとした。
・もちろんそれは言ってしまえばただの妄想であり、成功するわけもなく、薬売りにも鼻で笑われる。
・お蝶は何度も自殺しており、そのたびにこの家に嫁ぎ直している。これが物の怪だからこその超常現象。(っていう展開に一票。「自分で自分を殺す」をどうとらえるかによると思います。私は、「全部幻想」よりはこっちのほうがグロくて好きかな)
・薬売りは薬を売ろうと入った家で彼女と出会い、物の怪の気配を感じ、それを斬ることにした。しかし薬売りの予想に反して、物の怪に憑かれていたのではなく、彼女自身が物の怪だったため、それを斬った。斬られた彼女は牢獄から解放され、成仏した。
・「のっぺらぼうに助けられた」=「一家惨殺をせず、母の言いつけどおりにずっと、良家の妻でいられた」であり、「助けられたと思っているのか」=「そのために自殺と婚礼を繰り返すというのはあまりに救いがないのでは?」ということである。
・ラストは台所に誰もいなくなったことに気づかずに宴会を続ける人々、という終わり方。 {/netabare}  {/netabare}

 この話に関しては十人十色、千差万別の解釈ができると思うので、私のこれは一例にすぎません。ぜひ他の人の見解も聞いてみたいですね!




8話~鵺
 香道、笛小路流は絶えたとされていたが、美しい女性が密かにその道を引き継いでいた。その女性と笛小路流のために婿に名乗りを上げた4人の男。組香という香り当てで勝敗を決することとなった。しかし男たちの真の目的は、笛小路流に伝わる「東大寺」という天下人になれる香であった……。
{netabare}

形(名称):鵺
真(過去の事件):東大寺のうわさを聞きつけて寄ってきたものを殺し、夜な夜な組香を行わせる。
理(行動原理):東大寺という香として、ただの木切れである物の怪の本体に価値を見出してくれる人が必要だった。


総評
 モノノ怪の中では例外的に、物の怪が感情を捨て、悪霊に徹している作品。海坊主とは違った意味での俗っぽさがありますが、私は一番好きな話かもしれない。ホラーとしての完成度で言えば一番じゃないですか?あと、映像美としても一番好きです。香りを風に舞う花や、色の有無で表現したのとか。反面、謎は単純なので、考察はあまり必要ないと思います。


話の流れ
 結局、物の怪の正体は東大寺(欄奈待)という香木でした。この物の怪は笛小路流が続いているという噂に集められた人々を殺し、自分への「人間の執着」を受け続けようという行動原理でした。つまり薬売り以外の人は既に死んでいる幻影。
 ここから先が考察ですが、薬売り以外の3人と、来るはずだった坊主頭は、最初の犠牲者、というか、笛小路流がまだあった頃に死んだ人たち、つまり最古の犠牲者たちだと思われます。坊主頭を侍が殺した、ピエロが瑠璃姫を殺した、というのは「自分が死んだと知らしめるための錯覚」にしてはあまりに唐突過ぎます。よって事実が混じっているのでしょう。
 つまりこの人たちが死んだのは瑠璃姫が生きていた時代。その後、坊主頭の空いた席に一人ずつ招き入れ、殺していった結果、庭が墓で埋まるほどの人を殺すことになったのでしょう。その対象が今回は薬売りであり、逆に成敗されてしまったと。

 ただの木が、見る人が見れば天下を取れる香木になる。そういう視点の違いで価値が変わる様を、鵺という妖怪に置き換えて考えるというのが面白いですね。 {/netabare}



10話~化猫
 地下鉄の新設式典。発車した列車は先頭車両を残して消えてしまった。先頭車両に集められた男女には、一見なんの共通点も見られなかったが、薬売りが話を聞くうちに、ある事件が浮かび上がる……。
{netabare}

形(名称):化猫
真(過去の事件):新聞記者の女性が不遇な死を遂げた
理(行動原理):恨みを晴らす


総評
 時代背景が他と全然違いますが、モノノ怪の中で最もアニメとしての完成度が高い話。総合点でいえば間違いなく一番。ラストに相応しい。まとめると単純な真と理だが、内容を見ればわかるように根深く多面的です。分かりやすくて奥深い。欠点はちょっと長ったらしいこと(笑)これも2話分でよかったんじゃないかなー。


物語の流れ
 女新聞記者の怨念が猫(これが実在の猫なのか、妖としての化猫なのかは不明)に憑りついて、地下鉄道に復讐のための空間を生み出した。下手人(記者)と首謀者(市長)は殺された。目撃者(少年)は目をかゆがり、でたらめな証言をした女の子は口を掻いていた。言い争う声を聴いていた未亡人は逢引をしていたためそのことを証言せず、耳を掻いていた。杜撰な捜査をした刑事と、居眠り運転をしていた鉄道の運転手も怖い目にあった。しかし、下手人と首謀者以外は命を助けられ、反省してその後の人生を送った。運転手はおそらく居眠り運転で逮捕された。
 薬売りは全員助けようとしていたが、下手人と首謀者に関しては化け猫の方がコンマ数秒はやく、復讐を果たした。

感想
 一見共通点のない男女が集められるが、その証言をあつめると忌まわしい事件が見えてくる、というのはすごく面白いですね。
 途中で全員死んだような描写があるんですが、あれは乗客を怖がらせて真実を語らせようとする物の怪が見せた幻覚のたぐいだと思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 37
ネタバレ

あずにゃん  さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

.゚+。★『人の愚かさ、醜さ、浅はかさ、それに翻弄された人の無念、恨みは、時代が移っても変わらない。』☆.゚+。

数ある作品の中でも異彩を放っていて、映像美を現出した素晴らしい作品です。
そして、本作は退魔の剣の解き放つために「形・真・理」の三つが揃わなければならない
という謎解き要素があり、2・3話で一つの物語が完結するという形式を用いてます。
彩色豊かな映像美、個性的な台詞回しなど
一話一話、圧倒的な表現力で魅せてくれました
ストーリーは5つのエピソードが語られていて、単なる妖怪達の話ではなく
怨念・愛憎・煩悩などといった『人間の醜さ』を描いています。
伏線を言葉だけでなく背景に散りばめたり、非常に手の込んだ作りです。
滑らかに動くアニメーションではなく、画面上の静止が多いんですが、
すごく映像が綺麗ですので、見ているだけでも楽しめます。
そして何より、薬売り(櫻井)さんの声が素敵過ぎて、ぞっこんです♡
謎めいている所も味があっていいと思いますね。
その他のキャラクターも非常に個性的なビジュアルです。


★★★★☆『座敷童子』1・2話
雨の夜の旅籠を舞台とし、宿の女主人と一人の妊婦を取り巻いて、座敷童子が現れるエピソード
{netabare}『選んでくれてありがとう。』{/netabare}
座敷童子は登場するキャラが、外人っぽかったりします。
妊婦さんにはお勧め出来ないかなw
初見さんは度肝を抜かれると思います。

★★★☆☆『海坊主』3・4・5話
あやかしの海に迷う船を舞台とし、海坊主など海のあやかしどもが現れるエピソード
{netabare}『自分は立派な人間ではない、でも自分にもわかることがある。それは愛される喜び。』{/netabare}
日本の怪談らしい話です。薬売りさんの不敵な笑みも観れました。
2話で纏めれたんじゃないかなとは思いますね

★★★★★『のっぺらぼう』6・7話
とある藩士の下に嫁いだ女を取り巻き、のっぺらぼうが現れるエピソード。
{netabare}『私がこの面を、オモテと認めれば、いとも容易く私の顔となるのです。』{/netabare}
一番好きな話です。演出構成、すばらっです。
非常に話が抽象的で難解で、1回観ただけではわかりづらかったです。
繰り返し見て理解出来きました(-_-;
そして、薬売りさんが喋りまくる回でもありました。

★★★☆☆『鵺(ぬえ)』8・9話
深々と雪が降り積もる京の都の公家屋敷を舞台に組香が催されるなか、鵺が現れるエピソード
{netabare}『この五種類のうち、どれが夾竹桃だったか、分からなくなってしまいました。うっかり、うっかり。』{/netabare}
お香を嗅ぎ分けて勝負。という話。
個人的にちょっとイマイチでした。
でも薬売りさんの黒い部分が観れたような気がします。

★★★★★『化猫』10・11・12話
地下鉄の開通式の初走行さなか、化猫が現れるエピソード。
{netabare}『許・さ・な・い』{/netabare}
地下鉄に乗るわけですが・・・
ある時を境に・・主要メンバーが皆、1車両に集められ・・・・という感じです。
全シリーズの中でも一番、息を呑む緊迫感、見応え、があり、体が強ばったまま魅入ってました☆

怪 ~ayakashi~ 
★★☆☆☆■『化猫』9・10・11話
{netabare}「あんたが殺されようが殺されまいがどうでも良い」{/netabare}
このセリフは好きですね。薬売りさんの天秤1個欲しいと思いました。



内容としてはあまり多くを語らない。想像する余地を残してピリオドを打つ。感じですので、
いろいろと考えさせられて、余韻に浸れる作品になってますよ!絶賛オススメです!!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

個性的な映像表現の名作

<2023/3/1 追記>
映画化決定だなんて知らなかったー
クラファンで6千万集めて今夏上映とか
・・・とか喜ぶのも束の間
主役の薬売りの声を務める櫻井孝宏さんが降板の為、延期なのだとか
クラファンで集めたお金も返すかも、だとか
これって下手すりゃ白紙ってことですか?
うわぁ。

既婚を隠して不倫し続けた櫻井孝宏の罪は重いですね。

でも、この作品だけは櫻井孝宏でないと務まらない気もするし

なんかもやもやする
とにかくショックですわ

<2019/12/1 初投稿>
先日「おとめ妖怪ざくろ」のレビュー書いてて、
そう言えば「櫻井孝宏さんと言えばコレ!」という名作のレビューまだ書いてなかったな、と思い出したのでレビューです。

本放送時に観てました。

2007年のノイタミナ枠。
前年に放送された怪談オムニバス作品「怪〜ayakashi〜」で反響を呼んだ9〜11話「化猫」の続編となります。

お話は各エピソードが独立してるのでいきなり「モノノ怪」から観ても良いのですが、「モノノ怪」が面白いかどうかお試し視聴したいという方は「化猫」から入った方が良いかも。

時は江戸時代

主人公は作中「薬売り」と呼ばれる薬箱を担いだ不思議な青年。
口数は酷く少なく、尖った耳と刺青のような紋様が走るその細面からは尋常でないものを感じます。

モノノ怪の「形(かたち)」と「真(まこと)」と「理(ことわり)」を知ることで初めて鞘から抜くことのできる「退魔の剣」

そして、エピソード毎に替わる登場人物たち

彼らは物語の中でモノノ怪たちと遭遇します。
それは苦しみや哀しみ、憎しみや愛情といった人間の中で最も強い感情に溢れたもの。
ある種の怪談ものではありますが、視聴者を無駄に怖がらせようという軽薄な意図は感じられません。

さらに特筆すべきはその映像表現と演出。
少し浮世絵にも似た、個性的ながらも無駄を省いたデザインは普通のアニメとは明らかに異なります。
千代紙のような背景も独特としか言いようがなく。
動きをギリギリまで省くことで「静寂」を感じる視聴者は物語に没入していきます。
そして「動く」シーンでは、「静」と「動」との対比により、より「動き」が際立つ。

声優はもう薬売りの櫻井孝宏さんの魅力というか威力というかが遺憾無く発揮されたのではないでしょうか。
名演。
男の私でもうっかりゾクゾクしてしまいました 笑

音楽は静かで控えめなBGMも優秀なのですが、驚いたのはOP曲。
歌い手はなんとチャーリー・コーセー!
知らない方も多いと思いますが、「ルパン三世」シリーズ第1作EDのあの歌と言えば年配の方は分かるかも。

普通のアニメとは一味どころか百個くらい味の違う、
でも素直に面白いと思える作品。

良くも悪くも個性的なので好みで評価の分かれる作品ですが、私は個性的な映像表現の名作だと思っています。

ところで本作といえば、薬売りをサムネにしていたあにこれ名物レビュアーのあの人。
お元気なんでしょうか

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30

65.3 8 時代劇アニメランキング8位
シグルイ(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (157)
730人が棚に入れました
シグルイ HALF-BOX 虎 【期間限定生産】 寛永6年9月24日、駿河大納言・徳川忠長の一意により、駿府城内で御前試合の十一番勝負が行われた。
通常、御前試合は、無益に剣士の生命を失わせないために、慣例として木剣にて行うこととなっているが、周囲の諌めにも拘らず、今回の御前試合は真剣を用いる事が決定され、二十二名の達人らによる凄惨な殺し合いが幕を開ける。
左腕を缺損している隻腕の剣士・藤木源之助の前に現れた相手は、両目が真横一文字に切り裂かれた盲目・跛足の剣士、伊良子清玄であった。対峙する隻腕と盲目の剣士。両剣士には浅からぬ因縁があった…。

声優・キャラクター
浪川大輔、佐々木望、桑島法子、篠原恵美、加藤精三、堀江美都子、屋良有作、稲葉実、島田敏、小山力也、大林隆介、チョー
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「試合は死に合いに通じる。」

【本作の紹介】
本作は、南條範夫の時代小説『駿河城御前試合』の第一話「無明逆流れ」を原作とする山口貴由の漫画が原作。原作は未読。『無限の住人-IMMORTAL-』の浜崎博嗣監督つながりで視聴を開始。

あらすじは、時の将軍秀忠の弟である徳川忠長の命で、真剣を用いた御前試合が行われることとなった(※これ自体はフィクションだが、忠長は奇行が多く28歳で自刃させられている。)。その第一試合は、かつて「濃尾無双」と謳われた剣豪・岩本虎眼が開いた「虎眼流」で同門であった隻腕の剣士・藤木源之助と盲目・跛足の剣士・伊良子清玄であった。

この試合に至るまでの経緯を2話以降で描いていくわけですが、他のレビュアーさんも指摘する通り、途中で終わってます。
また、エログロ注意です。あと、ストーリーを追いかけるのが大変なくらい、視聴者を置き去りにしてどんどん進んでいきます。

ただ、私は武道をやってたんで、秘剣とかいわれるとワクワクしちゃうんですよね。あと、秘剣「無明逆流れ」は、相手との間(距離)が特に重要な技です。武道において間の取り方が重要なので、間を取れないことを「間抜け」というのですが、本作の間の取り方は好きです。そこは間違いなく見せ場。

そして、なんといっても岩本虎眼、他にも山崎九郎右衛門など、とにかくキャラが濃い。色々な意味で必見です(笑)。

江戸時代初期、まだ剣に纏わる戦国時代の狂気がリアルに感じられた頃、その狂気にとりつかれた者たちのお話でしょうか。


【「試合は死に合いに通じる。」】
試合という互いに切磋琢磨するはずの場で、殺し合いになるような激しい感情や行動を導き出すには、江戸時代初期、時代劇という設定が必要だったと思うのです。

合気道の開祖である植芝盛平(1883~1969)は、「試合は死に合いに通じる」(試合をすると殺し合いになりかねない)として、合気道で試合をすることを禁じています。

私は諸先輩方から事あるごとに、口酸っぱくこの話をされて戒めらたのですが、おそらく現代では、解説しないと伝わらない。

どういうことかというと、真面目に日々鍛錬している者ほど、自分の強さにプライドを持っている。しかし、試合で負けると、そのプライドをへし折られることになる。

そして、プライドが高い者ほど、潔く負けを認めない傾向がある。
「試合にはルールがあったから、あいつはルールに助けられただけだ。ルールなしの実戦なら俺の方が強いにきまっている」とか、「あいつはたまたま運が良かっただけだ」とか…
まだ言い訳ですめばいいのですが、挙句の果てには、自分に勝った相手を恨み始め、試合で勝てないもんだから、陰でいじめたり闇討ちしようとしたりする。

試合をすることで恨みや嫉妬が生じ、高いプライドを持つ人ほど、常軌を逸した感情や行動につながる。

ということが特に昔はよくあったので、気軽に試合をするなと戒めているのだと私は解釈しています。

今もそういった感情や行動がなくなったわけではないですが、江戸時代、特に剣の時代であった戦国時代が終わったばかりの頃の人間の剣術にかける意気込みは、現代人のソレとは大きく異なり、怨念ともいうべき常軌を逸した感情を生み出しても不思議ではない。

本作の岩本虎眼は、{netabare}徳川家剣術指南役であった柳生宗矩と試合をして勝ちを譲った。譲られた宗矩は、一計を案じて虎眼が指南役になる道をふさぎ、虎眼はそのことを終生恨むことになる。そのことが、彼の武芸者として高いプライドによって、怨念ともいうべき常軌を逸した感情を生み出したと思うわけです。

また、藤木源之助と伊良子清玄も、道場破りに来た伊良子が藤木と試合したことから始まり、同じ流派の跡取りとしてのライバル関係があって、体の一部を欠損してまで殺し合いを続けている。それは、彼らの武芸者としての高いプライドが、怨念ともいうべき常軌を逸した行動につながっている。

現代から見れば、その怨念は異常でしょうから、それが説得力を持つ江戸時代初期に時代を設定する必要があったと思うわけです。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

非常に狂気的な作風であるが、最後はあっけない

この作品は、南條範夫氏が手掛けた時代小説
『駿河城御前試合』の第一話「無明逆流れ」を、
漫画家である山口貴由氏が独自のアレンジを加えた漫画
がベースとなっている。
視聴後に、原作の存在を知ったため、原作に
関してのコメントはできない。

内容を一行で言い表すと、隻腕の剣士・藤木源之助と
盲目・跛足の剣士、伊良子清玄による
壮絶な果し合いである。

全体を通した感想だが、想像以上に濃い作品であった。
作品のテンポはごゆるりとしている故に、中だるみ
しているのではと感じる場面はあったものの、ここぞ
という時の見せ場はきちんと用意されているため
最後まで完走することが出来た。

特にグロテスクな描写は群を抜いており、耐性のない人
が見ると確実に吐き気を催すレベル。常に勢いよく飛び出すと
いうよりは、緩急がついているものであるため、一般的な
グロアニメとは少しばかし違う。
他の作品で事前に耐性を付けてからの視聴を推奨。

主人公を含む主要メンバーそれぞれに明確な役割が
与えられており、このキャラは不要だと感じたことは
ほとんどなかったように思う。

中でも私が印象に残っているキャラクターはやはり、岩本虎眼。
主人公藤木源之助が所属する道場「虎眼流」の創始者であり、
作中屈指の強キャラ。

中でも特筆すべき点は、精神が不安定なため正気を
保っている状態と、正気でない「曖昧な」状態の2種類を
行ったり来たりしているという生活様式。

正気の状態でも、厳列な性格が目立つ正に暴君。部下の口
を裂いたり、裏切り者には両目を潰すなど容赦ない。
そんな彼が一度曖昧な状態へと変貌したら手の付けようがない。
目が朦朧としている上に、言葉を碌に話せるような状況ではない為
真意をくみ取るのに一苦労。

虎眼で印象に残っているシーンは主に二つ。
一つ目は自らの娘、三重に高弟達が大勢いる中で男女の契りを
無理やり結ばせようとする回。
その際発した台詞「種~~!!」は嫌でも彼女の耳に残ったに
違いない。色々と悟った美恵が自害しようするのは当然
の結果だと言える。鬼畜ここに極まれりといった所か。

二つ目は、伊良子の策略により、正気でも曖昧でもない
「魔神」と化した回。完全に敵味方の区別がついておらず、
近づいた者を排除する殺人マシーンへと変貌していた。
対峙する伊良子もこれにはゾッとする。私もゾッとした。
そこからしばらくして始まる伊良子と魔神虎眼の死闘は圧巻。
演出の良さも相まって完全に見とれていた。機会があれば
また見てみたいものだ。

一番のネックは、最後が中途半端な所で終わったことだろうか。
あの展開から、どうすれば1話に続いていくのかが明らかに
されていないのは致命的だ。まあ、原作を読むための配慮と考えれば
理解はできるが、納得することはできなかった。
言い換えれば、その部分以外に大きな不満はなかったので
惜しい作品だと感じた。

余りにも強烈な作風であったため、気になってしまい、
色々調べていたのだが、どうやらかなりの脚色が
なされていたようだ。見ていて、癖の強いアニメだなーとは
薄々感じていたのだが、これではっきりした。
駿河城御前試合を読むときは、そういった部分に配慮しなければ。

流石に誰にでも勧められる作品ではないが、こういった作風を
好む方、グロテスクな描写を好む方には一度視聴してみては
いかがだろうか。個人的には良作だと思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

物語の体裁が整っていない事を除けば名作だと思う

面白かっただけに、ラストが残念です。
{netabare}
 正直、ラストは御前試合のシーンへ戻るのかなと予想してたんですよね。
私的には藤木と伊良子の因縁を描き切っての御前試合へ場面が戻るのであるならば、別に御前試合の決着は表現しなくても名作足り得ると思いながら観てたもんで。そういう昔の映画みたいな作りもアリだったとは思うんです。
物語としては似てないけど大菩薩峠なんて1作目そんな感じでしたしね。
 かなり好意的にこの作品観てたもんで、流石に藤木の腕と伊良子の脚が落ちた件が描かれずに終わっちゃうのは流石に物語としては駄目かなと。

 ただそこを除けけば、描き方によっては滑稽にもなりかねない"秘剣"という超人的な技への開眼とかも「おぉ」と思わせるものも有りますし。伊良子のあの首を傾げた珍妙な構えもソレに至った経緯が描かれてましたし。
虎眼という魔神の如き剣客の異常さもミステリアスでとても魅力的。
正直、三重が伊良子に心変わりしたトコは ん? とは一瞬思いましたけど女性にとっての貞操というものの部分に関わる感情は無粋なオッサンの私には判らないですしね。
{/netabare}

個人的には一話から最終話までゾクゾクしっぱなしで、1クールの中身的には私は中弛みは全く感じませんでした。

ただ他のレビュワーの方も描かれている通り、やはりこの終わり方は無いと思う。
直近の作品で言えば"ギャングスタ"の最終話と同じと思って頂いていいかと(汗)
まぁあれは訳アリなんですが・・・

 ですが、この映像美は見て損は無いんじゃないかと。
エロスとグロテスクをR15指定とは言えTVアニメとしてここまで表現してる事は良し悪しは別として価値あるモノと思うし、私は魅せられましたです。
直接的に見せずとも、ある意味AVよりも煽情的だし演出の下手なゴア映画よりはるかに強烈な印象を抱かせるこの作品は日本のアニメの方向性の一つかなと。

 エログロが大丈夫な方は、物語としての完成度は別として観た方がいいと思います。ヌルくは無いので要注意ですが・・・
私的には最終話で物語の一つの終着点が示されていたならば、4.5以上付けたかった作品でした。

/////////////////////////////////////////////////////
最期まで観て精神的に来るテクノライズとはちと違う路線ですが、画面から臭い立つ嫌な感じは同レベルすね。まだ2話までしか観てないですが堪らず書いてしまいました。スイマセン(滝汗)
こんなアニメも有ったんだと言う不思議な感覚です。

お勧めはしませんw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

67.3 9 時代劇アニメランキング9位
へうげもの(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (248)
1228人が棚に入れました
時は戦国乱世。織田信長が今まさに天下を獲らんとするその陰に、茶の湯と物欲に魂を奪われた一人の武将がいた。
のちに数奇者として天下に名を轟かせる「古田左介(織部)」である。
「出世」と「物」、二つの欲の間で葛藤と悶絶を繰り返す日々の中、時代は大きく揺れ動く。やがて左介は「数奇者」としての天下獲りを心に決め、「へうげもの」への道をひた走る。
天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千利休から深遠な精神性を学び、戦国時代を駆け抜けた男/知られざる傑物の物語。

声優・キャラクター
大倉孝二、小山力也、江原正士、田中信夫、田中秀幸、鶴見辰吾

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

この物語は限りなくノンフィクションにて候

① 明智光秀 「敵は本能寺にあり!」

② 織田信長 「・・・是非もなし」

③ 信長、自分の首を明智に取らせないために、部下(大抵の場合、森蘭丸)に、本能寺に火を放つよう命じる

④ 信長、敦盛を舞う "人間五〇年~"

⑤ 信長、炎の中に消えていく、あるいは自害する

・・・というのが、同じNHKの大河ドラマで戦国モノだった場合の「本能寺の変」のお決まりの流れである。
今年の軍士官兵衛でも恐らくそうなるであろう。
要は、この決まりきった流れを、どの役者がどういう演出の元行うか、みたいなのが見所になってしまっている。

本作の序盤の見所も、やはり本能寺の変と「三日天下」と言われた明智のその後になってくるが、上記のようなテンプレ本能寺ではなく、実にオリジナリティーに溢れている。これは原作が良いのであろう。

本能寺の変は、陰謀説・真の黒幕が誰であったのか、など日本の歴史上最大の大事件として、様々な解釈がなされている。
「へうげもの」における、本能寺の変の顛末は実にこの作品らしさが出ていて面白く、その後の展開にも上手く繋がっていくので、実に巧妙である。

さて、この作品の登場人物はごく一部を除き、主人公・古田織部を始めとして殆どが歴史上実在した人物である。さらに、それぞれの人物が成したことや、政治や戦の時期・内容もほぼ史実の通りである。

フィクションとなっている部分の大半は、歴史的にはあまり知られていない主人公・古田織部の人柄や行動の部分であろう。
古田は決して、善人ではない。武人である前に「数奇者(すきしゃ)」(茶道や茶道具に熱心な人)としての己を高めることに飽くなき探究心を燃やし、時に他人の持つ名器をネコババしたり、狡猾な行動を取ることも厭わない。当然だが、イケメンでもない。

しかし、どうにもそんな彼のキャラクターが憎めないのだ。
血なまぐさい戦国の世にあって、武人として生きながらも、美しいものや、茶道のわびさびに傾倒する古田の姿は、一種の救いのようにも感じられる。

しかし、冒頭から最後まで時に古田以上に圧倒的な存在感を放っていた千利休がまた、このアニメに程よい緊張感を与えている。

しいて言うなら、「数奇の戦 in 茶室」と言ったところであろうか。戦国の世の様々な出来事や謀は、茶室から生まれたのではないかと思わせる程に、この作品における利休の怪しさが怖い。

豊臣秀吉がなぜ、一介の茶人でしかなかった千利休に切腹という重い刑を下したのか・・・というのは、理屈では分かっていても、理解し難く思っていた。
しかし、本作ではフィクションとはいえ、そのプロセスが精巧かつ、納得のいくように描かれており、非常に興味深かった。

さて、★に関しては全体的に過大評価と思われるかもしれないので、一応今回は理由を:

① 作画:私自身、茶道は嗜まないものの、陶器収集が趣味の「チョッピリ数奇者」である。その観点から、それぞれの茶道具や名器のもつ色合い、つや感、質感などが実によく再現されていた思う。あとは、ギャグ要素の多いこのアニメらしく、古田を始めとしたキャラクターの見せる変顔もGood!

② 声優:俳優・ナレーター・吹き替え声優・アニメ声優とごった煮状態であるにも関わらず、ほとんど違和感がなかった。主人公・古田を演じた大倉孝二さんも、主に舞台やTVドラマで活躍する役者さんのようだが、この人以外に古田は演じられないのではないかというくらい、ハマっていた。具志堅用高はちょっちゅねー・・・だが、そこも愛嬌に思えてくるほど、どのキャストも役にピッタリ合いすぎている。これが本来のキャスティングというやつなのだと思った次第。

③ 音楽:EDテーマの斉藤由貴が歌う「KIZUNA」は、歌詞から明らかに、登場回数は少ないが古田にとっては重要な人物である妻のおせんの心情を歌った内容だ。一見この曲の歌詞は、おせんのように、男にとっては実に物分かりの良い大和撫子的な女が、愛しい相手を陰から応援しているように表面上は受け取れるが、どうにも私にはその裏に、「私をほったらかしにして、数奇にばかり興じて!コラ!!」という恨み節が見え隠れして仕方がない。このこっそりと皮肉を込める感じが素敵★

本作で利休が投げかけ、それにより古田が迷走するきっかけとなる「創意ある侘び数奇」がこの作品にはある。歴史モノでギャグ満載なのに、どことなくハードボイルド感もあって、カッコいい。

歴史的事実をできる限り踏襲しつつ、創意・・・つまりオリジナリティーある解釈とエピソードを足すことで彩られたこの作品は、39話と長いが、観る価値は十分にあると思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

アジェル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

実は3回目の見直しでしたが、やはり良い作品です☆彡

感想タイトルにある通り、実はこの作品を観るのは3回目に
なります。何回見ても面白さを感じられる作品であり、ご存
知の方はアレですが、私の前の登録キャラ時代のレビューが
多くの方に評価されてましたので、今回は新しくした今の私
のキャラとして、内容は同じですが宣伝の意味を込めてまた
このレビューを書く事に致します(-^〇^-)

まずこの作品は、日本歴史の中でも人気の高い戦国時代をモ
チーフに書かれております。織田信長、豊臣秀吉などの天下
取りに名を馳せた大名や、伊達正宗、徳川家康などの後の世
で拡大してきた大名、はたまた福島正則、加藤清正、前田慶
次、真田幸村などと言った人気的な武将などが・・・
登場してくる!?のですが、主人公ではありません@@;

【古田織部】【千利休】皆様ご存知でしょうか?
利休に関しましてはそれ相応の大茶人としてゲーム、小説、
ドラマに映画と様々なメディアに名前を聞く人物です。
しかし、もう一方の古田左介・・・織部!?
ご存知の方は、なかなかの戦国通ですよ(笑)
そうなんです。その作品の主人公は、【古田左介】こと、
のちの従五位下織部正という官職を持たれた有名な方なの
です。また大茶人である利休の弟子の中でも筆頭とされ、
利休死後はその後を任された人物でもあります。

さて、本作品はこの【古田織部】を主人公として、【数寄】
についてを語る物語でございます。
【数寄】とは簡単に言いますと、本来「好き」の意味であり
特殊な当て字として流布しています。古くは「すきもの」と
は和歌を作ることに執心な人物をいい、桃山時代になってか
ら連歌から茶の湯へと意味を変えています。江戸時代には、
数寄のための家「数寄屋」も茶室の別称としてています。
この数寄者による、天下の裏事情というものが題材にされた
新しいジャンルの物語になっております。

その他にも、豪商、大名、有名武将など、茶の湯を心得た人
物を中心として、天下の形成について分かり合ってきた人物
達の違った方向からのせめぎ合い、または裏事情、交渉事、
実は・・・歴史はこうだったのではないかという通説などを
うまく組みう合わせたフィクションで構成されています。

ここだけの話、ネタバレではありませんが「利休」役の声優
様は「田中信夫」さんです。ご存じの通り「トリビアの泉」
「さんまのスーパーからくりTV」などでお馴染みのナレーシ
ョンをされている名優様です。
聞いていてなんだか説得力があると言いますか、なかなかの
しっくり具合に別の意味での感動を覚えます。

その他にも作画やグラフィック等においては、CG合成的な部
分や書き込み具合、織り込み等に関して、なかなか良い方か
と思われます。古い美術品におけるアニメ的な作画の再現力
やグラフィックとしては、数寄を題材にしているだけあり、
なかなかの魅力ある仕上がりになっている方だと感じます。
また登場キャラに関しても、面白系、コミカル系、おふざけ
的キャラ、本格派などの様々な人物が描かれており、作画も
さることながら、それぞれのセリフや口癖にも注意して観る
となかなか面白く仕上がっております。


今回も簡単なさわり部分のコメントだけに留めさせて頂きま
したが、是非ご覧になってみてください。
この作品は、総合的な評価こそまぁまぁな数値ではあります
が、戦国時代を愛する方や、芸術、文学を愛する方が観ても
悪い気はせず、楽しく見る事が出来る作品かと思われます。

それでは、また次回デビューにて^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

にゃんた さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

感性類似判断のメルクマール

『侘び数奇とは?』

これを、アニメ作品全体で体現している。

作画、声優、BGM、演出、どれもこれも気に入らない部分が少しずつある。
「完璧」とはいえない。
どこか欠落している。

しかし、それが・・・なんとも「面白い」。

他のアニメ作品も素晴らしいのだが、完璧になろうなろうとして、
どこか力み過ぎている。みていて疲れる。
面白いように見えるけれども、なんだか面白くない。

そんな境地に達しているアニメ数寄者には、心地よいアニメになるのではないか。



アニメ数寄者の皆様は、これ以降をお読み頂く必要はございません。
蛇足というべきものにて。





~~以下蛇足~~

このアニメを「面白い」と感じる人とは感性が近いと思う。
その辺の嗜好を判断する良いメルクマールになるだろう。


よく知られている、織田信長らが活躍していた戦国時代。
この時代に、血縁ではなく、軍事力でもなく、経済でもなく、人と人を結びつけ、勢力構造に影響を及ぼしたファクターがあった。

「文化」である。

ここにスポットを当て、
それがどのように人々を結びつけ、成長させ、変化させ、破滅させていったか。
その点について、さすがNHKともいうべき、奥深い人物描写がなされている。

しかし、この作品、それらの表現がどことなく垢抜けない。ちょっとカッコ悪い。
だがそれがいい。

有名な画家の描いた風景画を見てみるとわかると思うが、山にしろ人物にしろ、決して主題となる対象物をキャンバスの中央に描かない。
中央に書かれているように見えるかもしれないが、必ず少しだけ左右にズレて描いている。

キッチリし過ぎは美しくない。
そういうこと。

キッチリした方が美しく見えるって?
気にしないことです。
それもまた「あなた」なのですから。







~~~以下、6話までの感想~~~

主人公は戦国時代に文化人としても生きた実在の武将。作中では使番(敵軍への使者)の任務をこなす。

冠婚葬祭など、ピーンとした緊張感が張り詰めた場所で、俗物的で場違いなことを考えたり、したりすると、無性におかしくなる気持ち、お分かり頂けるだろうか。
この作品、この種の笑いを描いていると思う。
これがハマる人にはハマるだろうし、ダメな人は全くダメだろう。
ただ、この笑いはおそらくメインではない。
茶の湯のシーンや有名武将同士の駆け引きなど、心のやりとりはとても深く、かつ緊迫感があって楽しませてもらった。
このような心理描写がメインだと思われる。

歴史モノは大好物なので、ここは文化面のみならず、その時代の作法、生活、合戦の状況など、細かい設定にまでこだわって描いて欲しい。
初回、丁寧な説明を省いて、いきなりストーリーが開始される。
なので、ある程度戦国史の知識がないと入りづらいと思う(「松永久秀の信貴山城篭城」と聞いて、すぐ把握できる方ならば大丈夫だろう)。

所々気になる部分はあるものの、現段階では、史実に沿ったストーリー展開、描写。
それでも、時代設定を維持したまま、ギリギリのところで笑いを取っている。
今後は、このラインを維持していって欲しい。
全39話が予定されているようだが、同じNHK放送の「十二国記」並みの好物アニメになるかもしれない。期待が高まる。

・・・しかし、秀吉のCVに江原正士さんは、ちょっと違和感がある。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22

80.2 10 時代劇アニメランキング10位
どろろ(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (529)
2180人が棚に入れました
時は戦国時代、武⼠の醍醐景光は、天下を取るという野望をかなえるために、⽣まれて来るわが⼦の体を⻤神に与えてしまう。そうして⽣まれた⼦供は、命以外すべての⾝体を奪われており、川に流され捨てられてしまう。時は流れ、戦の世を旅する少年・百⻤丸。実は彼こそが、魔物に体を奪われた⾚ん坊の、成⻑した姿であった…。

声優・キャラクター
鈴木拡樹、鈴木梨央、佐々木睦、内田直哉、千葉翔也、大塚明夫、中村千絵、麦人
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

何故に今頃リメイクか分からないけど、とにかくホゲホゲタラタラホゲタラポン!(ひょっとして作品登場後、半世紀記念?)

2019.01.23 初見印象◎

東京オリンピックも終わった翌年の1965年(昭和40年)以降、水木しげる御大の「墓場鬼太郎」が「ゲゲゲの鬼太郎」に改題連載され、人に害をなす妖怪を退治する鬼太郎のブームがジワジワ浸透してきた頃、
戦後コミック・アニメの先駆者&神様と言われつつも同業漫画家の才能に何かと嫉妬深い手塚先生。(楳図かずお先生や石ノ森章太郎先生とか、他にも色々の方々に対しても)
「ボクにだってね、コレぐらいの事はやれるんですよ!」と対抗して生み出されたのが『どろろ』ではなかろうかという『噂』も最近では囁かれてます。(あくまで『噂』です)
そして1967年(昭和42年)、少年サンデーにて漫画「どろろ」連載開始。でも暗いストーリーに不評だったらしいです。 ああ、あれから半世紀。(ホント、50年も経ったんだ!)
言わずと知れた手塚先生の異色作で、何かと主人公を逆境に追い込み追い詰め、どん底から這い上がる「生命力の強さ・尊さ・美しさ」を謳(うた)う『手塚テイスト』作品の一つ。(ホント手塚漫画って作品により読んでて何度心が折れそうになったやら)。

・1969年(昭和44年)には白黒アニメ。劇中の男性コーラス(「ん~ん~ん~ん~・・・」っていう暗いコーラスのアレ)も相まって、子供向けTV漫画(アニメ)なのに「物凄く暗い」仕上がりでやや不評。
・2004年(平成16年)のプレステ2では「無限の住人」の沙村広明先生がキャラデザしたゲームが出たり、
・2007年(平成19年)には妻夫木くん主演の実写映画になったり、
・2000年以降から、たま~に舞台演劇にもなったり、
・成長した「どろろ」が「ドロロンえん魔くん」と一緒に「百鬼丸」を探す旅をする永井先生の漫画が出たり、
未だ何かしら『尾を引く』作品。(白黒アニメは一応完結した〆方にしたものの原作漫画や映画は未完で終わっており、何かしらモヤモヤした感じが作品にふれた人それぞれの妄想を掻き立てるのでしょうか?)

そんな「どろろ」が2019年1月から放送。アニメーション制作は「MAPPA」と「手塚プロダクション」。製作は「ツインエンジン」と『質』が高そうです。
リメイクにあたって色々改変(改正)&ディティール設定なんかもあり、原作で不明瞭だったところが付加したストーリーで描かれて見応えありそうですネ。

身体部位を奪った妖怪を倒して取り戻す百鬼丸の物語ですが、勧善懲悪色がやや濃いめの鬼太郎と違い「人の業」の深さを描いているので今回も暗そうです。

三話まで見て、{netabare}
・原作と違い今回の百鬼丸は、序盤「会話に近い意思疎通(テレパス)」が出来ず「魂の色」を感じて敵味方を判別することしかできないので、声も出せずコミュニケーションはかなり不憫。少しづつ『人の心』を創り出すような今後の成長が注目。
・原作ではゲスト扱いだった盲目の琵琶法師で居合いも嗜む琵琶丸が準レギュラー?でもスートリー進行を助けるような役回りは好感。
・原作で百鬼丸が恋した(愛した)戦災孤児の世話をしている未央(みお)。OPやPVで意味ありげに出てるので彼女の登場に見る前から心が痛みます。(若い頃、原作読んだ時に軽いトラウマになったもんです)
・百鬼丸の育ての父・寿海が何故『侍』を辞めて医者になったかというエピソードが熱い!しかもCVは医者だけにブラック・ジャック(大塚明夫)と何か嬉しい。(笑)
・残酷な戦乱描写もさることながら、戦災で手足を無くした子供の描写もあり、今回何故「地上波放送」されないのか納得。(暇な「クレーマー趣味」の輩を煽らない対応策?)
・百鬼丸の両腕の仕込み刀。長さが収まりきらないのか、肘からハミ出ている感じがちょっとリアルで面白い。
などなど。{/netabare}
「ヘタな仕事」はしたくない意気込みが感じられるますし今後も期待出来そうです。

幼少時は子供特有の憧憬で仕込み刀の百鬼丸がカッコよく見えたもんですが、年を経た今では生まれながらに親の業を背負い、身体部位が戻る度に激痛でのたうち回り、そうまでして「人」になろうとする姿を見ていると色んな意味で心苦しいです。

さて、
・PVにも出てた「妖刀・似蛭(ニヒルって・・・)」にとり憑かれ、凶剣鬼となった仁木田之介(にき たのすけ)と百鬼丸との対決。
・「どろろ」は何故{netabare}女の子なのに「男の子(生意気なクソガキ)」のフリ{/netabare}をしなければならなったのか?(大体皆さんご存知でしょう?)
・どろろの両親、盗賊集団の頭だった火袋(ひぶくろ:手塚スターシステムのブーン)とその妻・お自夜(おじや)の末路。
・OPにも出てた盗賊集団の裏切り者・イタチ(手塚スターシステムのハム・エッグ)の策謀(野望)。
・実の兄弟と知らずに邂逅、そして敵対してしまう百鬼丸と弟・多宝丸(たほうまる:蟹頭)の行く末。
・因縁の実父・醍醐景光(だいごかげみつ)と実母・縫の方(ぬいのかた)と百鬼丸の運命は?
・百鬼丸は果たして『人』に成ることが出来るのか?(何か「ダーク・ピノキオ」みたいに思えてきた)

と、色々ドラマイベントはありますが、どんな風に味付け調理した仕上がりになるか今後も楽しみです。



2019.07.15
【感想あにこれ・・・じゃなかった。あれこれ】
現代風解釈と創意工夫を盛り込んで良作の部類であったと思います。自分は満足です。 ただ、キャラたちの「物分かりが良過ぎる」展開がチョット不自然すぎたように思えます。なので予想して身構える程『鬱』な感じはしなかったです。

自分で言っててなんですが「ピノキオ」的ファクターも少しありましたね。
百鬼丸→ピノキオ
どろろ→コオロギの幽霊・ジミニイ(ジェミニ)
寿海→ゼペット爺さん
{netabare}
[百鬼丸]
これまでの百鬼丸と違い、「ニヒルで物憂げで危ないお兄ちゃん」ではなく「本能に生きる無垢なモノ」というようなキャラ設定。当初は声も出せず、声を取り戻しても「言葉」を知らないのでカタコトで少ししか話せないまどろっこしさが「リアル」でイイ。
対人、対物の識別を『魂の色』で感じるというアイデアはよかったですネ。敵意あるモノに対しては視聴者側にも解るように小さな「赤い炎の数」で判るという、まさに『人間ドミネーター(サイコパスガ規定値ヲ超エテイマス。執行対象デス)』(笑) 人体欠損部位も48カ所から12カ所に変更されてるのも何となく納得いく設定(そら、48カ所もなかったら生きてられないって!)。
様々な経験で取り戻していく「体」、育まれていく「心」。本来あるべき「人」になっていく百鬼丸。しかし最後の試練は・・・鬼気的なもので、一歩間違えれば「闇堕ち」でした。
声は2019年の舞台版・百鬼丸と同じ鈴木拡樹さん。セリフ殆ど無いですが悪くはないです。

[どろろ]
もう大体ネタバレされてる様に「女の子」です。父母を死に追いやった「侍社会」を憎み、無鉄砲・啖呵と威勢だけは一人前で天涯孤独。女々しさで生きられるほど世間は甘くなく、男装で悪業(コソ泥稼業)をしてまで生き抜こうとするバイタリティー。原作では「バカなクソガキ」でしたが、今回は小さいながらも百鬼丸を気遣う母性(女性?)的な面や、社会体制(民百姓の暮らしなど)を真剣に想い悩み考える「賢さ」がステキ!
声は鈴木梨央さん。本業は子役からの俳優・タレント業ですが、それほど悪くはなく良かったと思います。「下手クソなのに無理くり入れたアイドル」よりは!「滑舌悪いのに採用されるタレント」よりはっっ!!!(笑)

[寿海・琵琶丸]
かつては武士だった寿海。戦さ(殺傷)に無常を感じ、武士を辞めて大陸(朝鮮か中国?)に渡航して医術を学び、「白」一族からはからくり人形の技術を習得。(ココは嘘です。でも時代的に白銀・金兄弟が西欧目指したのもこの時期かも。)(笑)
帰国後は戦場で「かたわ(身体を切り落とされた)」の遺体に義手義足を取り付け五体満足の「人の姿」にして供養したり。戦傷で無くした手足を義手義足で補う治療医師を行い戦没者に対しての贖罪のような生活・・・う~ん、業が深いような・・・
原作では、この頃の医術って「薬湯」が主流なのに対し、寿海は「外科」をを行う「異端医師」なので、人里離れたところに居を構えてたんだけどね。

気がついたら何故かいる琵琶丸。困った時に現れる琵琶丸。出てくる度に禅問答みたいな「道」を示す名バイプレーヤー。(笑) 全盲なので視界が百鬼丸と「同じ」というのも面白い。

[未央]
「相愛同士は結ばれず、悲運を乗り越えてこそ人間賛歌」という手塚トラウマの一つ。(苦笑) 幼少時、原作読んでび未央が百鬼丸に「汚れた女」という告白の意味が良くわからなかったのですが、大人になって察しがつき、今回気を引き締めてみましたが・・・やはり辛かった~~。(泣)
劇中歌「赤い花白い花」は昭和童謡なので作品(時代的)に合っていたかたというと・・・私個人としては△デス。

醍醐家の人々
[醍醐景光]
原作では野心の強い憎たらしい「外道暴君」でした。今回は領地の君主としてやや人間味ある感じに思えます。作中寡黙なシーンになると、ヤってしまった事(生まれたばかりの息子を鬼神に貢いだ)への後悔やら、贖罪やら、無かった事にしようと払拭する思いやらが、普段の固い表情からジワジワ伝わってきそうでした。毎度作品によってオチが違う景光。今回は・・・コレでもアリかなと思います。

[縫の方]
悲しい程典型的な普通の女(ひと)。身を痛めて産んだ我が子が人の姿をしてなくても慈しみ、しかし家長・景光の命で泣く泣く手放した事への後悔と懺悔。
運命の再開で叫んだセリフ。「百鬼丸!許してください!わたくしは・・・わたくしは!・・・そなたを・・・救えませぬ!」。コレは心底身につまされる思いです。それでもなお、「母」の愛は強かった(?) 終盤は結構立ち回ってくれました。

[多宝丸]
どろろに次いで準々主役。原作では武家社会にふんぞり返った憎らしい若き暴君でしたが、真っ当に次期・醍醐家当主になるべく日々研鑽し、国(領地)と領民を思い、歳の近い戦災孤児・陸奥、兵庫の姉弟を幼少時から従者に付けて人間味ある若様ぶりに成長してきました。が、ただ気になるのは頑張っても母・縫の方が自分を気にかけてくれないこと。その原因となる百鬼丸が現れると・・・兄が居たことに嬉しかったのもつかの間、
・百鬼丸が鬼神を倒して体を取り戻す度に醍醐の土地は疲弊していく。
・母の憂いの原因は実兄・百鬼丸への愛のみにあった。
という事実に、
・領主としての使命感20%
・母の愛を独り占めされてるような嫉妬感80%
ぐらいの比率(笑)で執拗に百鬼丸と対立。いろいろガンバッたんだけど・・・ものすごく不憫で可哀想な役まわりでした。

でも城下町でお団子喰ったら、ちゃんと銭は払おうね。(笑)

[オリジナル・エピソード]
幾話かアニオリがありましたが、
第七話「絡新婦」
女性型人外と若者(男)のなれそめ話ってケッコウ好き!

第十九話「天邪鬼」
終盤間際なのに、イキナリの手塚ギャグ・テイストの投入!ヒョウタンツギにスパイダー(オムカエデゴンス)まで出てくるとは!!(笑)
{/netabare}
厳密にツッコめば甘々なトコロも多少ありますが、リメイク物として設定や時代考証など割と丁寧に作り込んでた部類だったと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

This is Japanimation

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
日本で、近年に制作されたアニメの中で、「外国人にオススメしたいアニメ」と言われたら、本作を勧めます。

それは、「最近のアニメで一番面白い」というのではなく、「外国人が喜びそう」という観点です(やや安易ですが)。

例えば私は、食べ物の中でラーメンが一番好きで、日本のラーメンはもはや日本食と言って良いレベルに昇華されているとは思うものの、やはり、「外国人にいきなりラーメン屋を勧めるか」といえば、その勇気はなく。もっとベーシックな和食(の中で旨い店)を勧めるでしょう。

そないな感じです。

作画は、ディズニーやピクサーのようなポップさや、ジブリのような幻想的な美しさがあるわけではありません。が、日本のアニメ独特の格好良さがありました。世界観など、やはり外国人にウケるものに感じます。

原作漫画は、多分大昔(小学校低学年の時)に1度読んでいるはずですが、内容はほぼ忘れています。薄い記憶頼りですが、多分、アニメ化にあたり、かなり簡略化し、現代風にしているように思います。この辺は、賛否あるでしょうね(私はまた別物として楽しめました)。

もし、視聴のポイントを言うなら、「部屋を暗くして近づいて観てね」ですかねw(画面をいっぱいに感じてほしい)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「人になることは、人として生きることは、不幸なことなのか?」

そんな問題提起を感じました。

百鬼丸が体を取り戻す瞬間に、初めて得た感覚は大抵、「苦痛」であった。感覚が戻れば、切られた痛み。聴覚が戻れば、雨音に啜り泣きの声。嗅覚が戻れば、硫黄の悪臭。両手が戻れば、血に濡れた武器を持つ。

それでも、それでも百鬼丸は、自身の体を取り戻そうとする。それは、利便性や復讐などではなく、もはや、「性(さが)」。本人にも分からない、どうにもコントロールできない、「熱いなにか」が、百鬼丸を突き動かしていた。

それは、生物として根元的な、「生きる」という意志。最後に目(全身)を取り戻した時、見たものは、母の姿に夕景に、どろろ。全て、美しいものだった。わずかな、救い。

そういう意味では、圧倒的なまでの、「生命讃歌」だった。

原作をちゃんと読んでいないので、手塚先生がこの作品に何を込めたかは分からない。でも、アニメを観た限り、そう感じた。

他にも、考えるべき事柄は多過ぎて、1回観た程度ではまとめきれない。

例えば母親。多宝丸の件に関しては、明らかに母親の愛情不足なのだが、もしかして、百鬼丸は「愛した男の子供」であり、多宝丸は「もはや愛していない男の子供」なのかな? だとしたら、母親もだいぶ、業が深い。

例えば、多宝丸。彼はたくさんの「宝」を持っていたが、最も大切な「愛」をもっていなかった。それは不幸ではあるが、百鬼丸からすれば、また一般の庶民からすれば、「金持ちの無いものねだり」にも感じられる。結局、人間とは、どこまでいっても「足りない」ものなのだろうか。だとしたら、業が深い。

他にも、イタチの死に様、というより生き様は、たんなる悪役と切り捨てられ無いだけの印象を残してくれた。善人も悪行を成すし、悪人も善行を成す。そんな人間の矛盾を感じさせてくれた。

みよ姉も、たんなるゲストキャラとは言えないだけの印象を残してくれた。最後まで汚れずに死んだお自夜(どろろの母)も立派だし、汚れながらも生きようとしたみよも立派だった。この辺は、簡単に良し悪しで語れるものではないだろう。

この色々と五月蝿いご時世に、よくこの原作をアニメ化したなと、感心。勿論、身体に障害を抱えた方にとっては、心が痛む内容であり、許せない部分も多分にあるのではないかと心配する。でも、やはり「表現する」という部分において、力がある原作であることは間違いなく、清濁併せ飲む覚悟で、後世に残すべき作品だろうと思った。

まあ、「人として生きる上で追求すべき普遍的なテーマ」ならまだしも、「アニメ」という「娯楽」において、あまりに「尖った主張」をすること自体は、好きじゃないんだけどさ。
{/netabare}

【余談~ 作品における原作者の影響 ~】
{netabare}
以前、私の大好きな小説家が覚醒剤で逮捕された。そして、本屋から彼の本が消えた。

勿論、覚醒剤は悪いことだ。覚醒剤をやった彼も悪い。きちんと罪を償うべきで、いくらファンだからといって、擁護する気は1㎜もない。

でも、彼の生み出してきた作品に罪があるかと言われたら、私は「ない」と思っている。

勿論、「クソみたいな彼が書いた本はクソだから読みたくない」と思うのも、自由。本屋も商売だから、彼の本を置かないのも、自由。

でも、それ言い始めたら、芥川や太宰の本なんか1冊も置けないでしょ。なんで、芥川や太宰は許されて、彼は許されないんだろうか?

それは勿論、「格」が違うから。

芥川や太宰なんかは、なんていうかもう、「絶対的な是」なんだろうね、国民の中で。芥川や太宰は、もう、「芥川龍之介」や「太宰治」という「存在、ジャンル」であり、「人」としての枠組、常識に当てはめる必要もない。

であるならば、同じように、「手塚治虫」もまた、「絶対的な是」と言える格があるだろう。だからこそ、このような「問題作」もスルーされる。

私が何を言いたいかと言うと、「それで良い」ということ。

芥川や太宰の小説も、手塚治虫の漫画も、全てが道徳的というわけではない。中には、差別的なもの、犯罪まがいのものもあるだろう。でも、それを「臭いものに蓋をする」ように、全てを「無かったこと」にするのが正しいとは、どうにも思えない。

小さい子に読んで聞かせる絵本や童話を、全て「良い話」にするより、「恐い話」や「悲しい話」を混ぜた方が、豊かな情操が育まれるとも聞く。保育園の角という角の全てに柔らかいスポンジを取り付ければ、確かに保育園では怪我はしないが、無闇に走ると痛い思いをするという学びは得られなくなる(勿論、それで死んでしまったら最悪だし、幼い内から汚いモノに触れすぎ、他人を平気で傷付けるようになってもいけない。この辺のバランスは難しいところではあるのだが)。

話を初めに戻すと、私は、芥川の作品も太宰の作品も手塚治虫の作品も、もっといえば、過ちを犯したの彼の作品も、生み出されたモノ(作品)は出来る限り後世に残すべき、伝えていくべきだと思っているということ。

あくまで、フィクションはフィクション。それ自体に人を傷付ける力はない。

人を傷付けるとしたら、そういうものに影響された、人だ。常に。

それが毒なのか薬なのか、それは個人が、あるいは後世の人が判断すれば良い。私たちは、正しく取捨選択するだけの価値観や倫理観、知性を磨けば、それで良い。かめはめ波で人は殺せるが、かめはめ波を実際に撃とうと思う、人を殺そうと思うバカを育てなければ、それで良い。

どろろ のアニメ1作目は、「大人の事情」により、ほとんど再放送されないと聞いた。そんな「問題作」を、これほど高いクオリティで再アニメ化した制作陣に、拍手を送りたい。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
スタートからいきなり深いな。仏への疑心が生まれる前に死ねるのが救い、って、もう疑心は生まれているわけね。

戦闘シーンは、よく動くな~。

前期のグリッドマンでも感じたが、やはり、「ガチの熱量」で作るアニメは、面白い。

2話目 ☆3
焼き魚に驚く、つまり、命が見える。魂の色。話の筋としてはよくある話。自らの身体を取り戻す話。

3話目 ☆4
かなりグロいんだけど、なぜだろう、グロさを感じないのは。古典的な話しがきっちりハマってるんだよな。まあ、そもそも古いんだけど。大陸で学んだという設定がな、オーバーテクノロジーだよな。二組の親子の対比。

化け物が人の器官や感覚を欲しがる理由。痛覚戻りは、この段階では不利だろうな。

4話目 ☆4
聴覚を取り戻し、最初に聞いたのが、雨音と啜り泣きか。

5話目 ☆4
みよ姉、川でナニを新って洗っていたか、だよな。身体を売っていても、魂は綺麗なんだな。歌も美しい。みよ姉、死亡フラグだよな~。得るものがあれば、失うものもある。

6話目 ☆5
痣? 性病? 田んぼを持つのが、夢、か。死んでも身体を売らなかったおっ母ちゃんも偉いけど、身体を売ってまでも生きるみよ姉も同じくらい偉い。

足、戻るもんなの?

心は取り戻したの? それとも元からあって、身体を取り戻したことで復活したの?

性善説、性悪説、そんなところかな?

7話目 ☆4
愛を知り、魂が浄化されるアヤカシ。ますます、性悪説だな。最後の蜘蛛といい、一話目の羅生門感といい、このへんは芥川オマージュなのかな?

8話目 ☆3
なんか前向き過ぎるが、サルは、死というものを身近に感じてきてたかな? と思わせての、夜泣き。緩急が上手い。初めて人間の感覚が役に立ったな。ただ、あの高さから落ちたら死ぬよね。初めてかいだ臭いが硫黄、悪臭か。

9話目 ☆4
どろろの過去。母の強さ。餓死、か。厳しいな。なぜか、ラブコメの波動が(笑)

10話目 ☆4
多宝丸、お坊ちゃんだけど、なかなか優秀。

11話目 ☆4
百鬼丸も、赤くなる。生きていくことは、汚れていくこと。

12話目 ☆4
確かに、言い分としては、分かるんだよな。因果だね~。

13話目 ☆3
新OPも格好良いね。EDは一期の方が好き。 背中に地図。ストーリーが動くかな?

14話目 ☆4
金があれば、余裕ができ、未来を考えられる。その通りだな。

15話目 ☆4
平和な村の様子は、コミカルで、どこか浮世離れしている。作り物の世界のよう。妖怪か、神か。背骨が戻ったか。

16話目☆4
イタチのキャラは、なんだか難しいな。基本的に悪役だが、それだけでもなく。正直、というところかな。

17話目 ☆4
狼狽するどろろ。いよいよ、真実に近づく?

18話目 ☆5
イタチの生きざま、死にざま。良し悪しではなく、ひとつの真実。敵キャラとして、かなり記憶に残るキャラとなった。

19話目 ☆4
珍しい、コメディタッチ。オチまで含めて、素敵な話だったな。こんなんも、箸休めには良いな。

20話目☆3
作画力、落ちてきたな~。

21話目☆4
シリアス、シリアス。らしくはなってきた。

22話目☆4
魔神の力に手を出したらね。壮絶な最後。執着。人とはなんだ? おいらが、手足になる、目になる、だから鬼になるな。母親がな、多宝丸に愛情を注がなかったから、こうなる。でも、もしかして百鬼丸は、「愛した男の子供」であり、多宝丸は、「もはや愛していない男の子供」なのかな? だとしたら、母親もだいぶ、業が深い。あってもなくても、足りない。思えば、鬼神も人間になりたかっただけ。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 29
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

成長の在処

*微修正



手塚治虫のマンガ『どろろ』の再アニメ化。

1969年の白黒アニメのリメイクではないが、それでもあの主題歌はどこかで挿入して欲しかった気がする。
「主題」を歌うものとしてのTVアニメ「主題歌」の傑作の一つと思うのだが、動画サイトあたりで試聴できるかもしれないので見かけたら聴いてみてほしい。


末法を思わせる、戦国の地獄のような世界であがく子供と若者の物語。

手塚のマンガには「戦争」や「戦場」が無数に描かれるが、例外なく「人間の人為的な行為」として、「責任者」や「実行者」が設定されている。
「戦争」は、「責任者」が「実行者」に命じて行わせている「行為」であって、降ってわいてくる「現象」ではない。

おそらく自伝マンガでも描かれているように、戦時中の軍需工場の勤労動員の経験から来ているのだろう。
手塚にとって「戦争」そのものである理不尽な「命令」は、眼前にいる顔のある「担当者」が、頂点の「戦争責任者」が組織した機構に沿って順繰りに「人の手によって」手渡されてきた、行動の「連鎖」として捉えられている。
「命令」と、手渡す「実行」を行う行為との合体として。

それは、仏教の末世を思わせる『どろろ』の戦国世界でも変わらない。
これは宗教的な「地獄」ではない。
「サムライ」が引き起こしている「戦」による結果なのだ。
大将が「戦」を決断し、足軽が実行することによって初めて現出する、「人の」世界。

こうした手塚マンガの視点は、69年の初アニメと同様、本作へも引き継がれている。

農民や職工などの「常民」からは理不尽な「地獄」のように見えている「この世」は、戦を望む「サムライ」の意思決定から生じる「人為」であることを、半ば「この世」からはみ出す「怪異に取り付かれた若者」と、棄民として「常民」から排除された「何ものでもない子供」の視線が暴き立ててゆく。

主演の二人は専業の声優ではないようだが、周囲の声優の演技から少し浮いた感じが、「常民」から遊離して「この世」から半分浮上したキャラの距離感とよくマッチしている。


{netabare}しかし、21世紀アニメの本作では、怪異に取りつかれた若者が肉体や感覚を取り戻す過程は、若者が「世界」を「知っていく」過程として描かれ、奪われた「自身」を「取り戻して」いく完成した「大人」として最初から登場した原作や前作とは対照的だ。

確かに現代的な視点ではあるとは思うものの、まるで赤ん坊が「成長」する過程とダブらせるような展開のさせ方は、やがては物語を破綻させるのではないかという不吉な予感を感じさせてもいた。


アニメの視聴に際して、「成長」に対して、つい身構えてしまうような警戒心を抱いてしまうのは、「成長」というタームは無前提に特定の価値観を肯定する場合が多いからだ。

事象は様々に変化するものだが、「成長」は、特定の価値観のフレームを通して見たとき、肯定的=「良い」とされる変化に対して使われる「評価」だ。

咲き誇る花に「価値」を見るフレームからは、花を咲かせるまでが「成長」と呼ばれ、しおれる様は「老化」という事になる。
種子を実らせることに「価値」を見るならば、しおれて枯れ落ちる花弁は「成長」途上になるだろう。

逆に言えば、ある変化の過程を「成長」と呼ぶことは、背後の価値観を「肯定」しているということだ。
ある変化を「成長」=「正しい」変化と受け入れてしまえば、自動的に評価基準であるその「価値観」が正しいと受け入れることになる。

違う言葉で言えば、「成長」という言葉を使えば、背後の価値観の是非を問われることを避けられる。
何処の職場にもいる、二言目には「成長」や「進化」という言葉で説教する上司は、その時々で自分に都合のよいものを「正しい」と押し付けられるから、こうした言葉を振り回し続ける。

現実世界の子供の「成長」のように、ある程度、成長を定義する価値観の共有がなされているならばいい。

が、まったくのフィクション、それも怪異や異能が登場するような架空「世界」で、世界観やストーリーラインの価値観を説得的に構築しないまま「成長」を振りかざすと、異なる文脈上での「成長」=価値観が混乱して、意味不明かご都合主義の印象にしかつながらない。

本作ではどうだろう。
赤ん坊に類比的な、社会の構成員として周囲と調和的に生きるすべを身に着けていく「成長」的価値観と、「奪われた」ものを回復していく「奪還」の価値観には接点がない。
いや、「周囲との調和」と「奪還」は、両立が不可能な対立項とさえいえる。

終幕で、難民化した「常民」たちが、生活を脅かす「怪異」の根本は、青年が鬼神から自らを「奪還」する結果ではないかと推量する場面は、この対立項の「対立」性が、物語の表面上に浮上してきた瞬間でもあるだろう。


ここで現代人である視聴者が誤解、あるいは見落としがちなのは、サムライ=「領主」は領民の「代表」として領地を治める「義務」を果たしているのではない、という点だ。
「領主」はその国における唯一の「主権者」であり、領地も領民も、一切の(政治的)権利を持たない領主の所有物に過ぎない。
形式の上では領主の奥方も子供も「所有物」であって主権者などではない。ましてや「領民」は言うまでもない。

だからこそ、国の為といいながら、犠牲に捧げるのは自分という「主権者」ではなく、子供という「所有物」なのだ。
「領地=所有物」と「子供=所有物」の交換であって、主権者という特権的な位置から見比べて手持ちのモノの価値を計量したに過ぎない。

国を「治める」行為の一切は、いわば所有物の手入れであって、「奉仕」や「施し」のごとく語るのは厚顔無恥の度が過ぎるというものだ。

旧作の白黒アニメの主題歌が使われないかと期待したのは、あの主題歌が、正にこうしたサムライの自讃じみたタテマエが、ただの宣伝文句に過ぎない欺瞞であるとハッキリと歌詞として言語化したものだったからだ。

領民を「保護」=育成することは、「所有」=管理を言い換えただけのことで、「サムライ」の善意でもなければ義務でもない。
サムライに護って「もらって」いるかのような領民の日常感覚は錯誤に過ぎないことを、この場面での主人公の「アジテーション」は暴き立て、生贄=「所有物」である青年を、領民=「所有物」が犠牲にしようとする倒錯と欺瞞を糾弾する。

サムライの所有物として存在する「領民」であることを捨て、自身が自身を支配する新しい「この世」を提示する「アジテーション」は、こうして「成長」と「奪還」の対立による物語の空中分解を阻止するとともに、阻止自体が、そもそも青年の「変化」には「成長」を重ねる「価値観」など含まれていなかったのだと証明するものでもある。

そう、作中に頻繁に登場する手足を失った人間たちは、手足を失ってもなお「人間」だ。
手足を喪失したからと言って、「人間」以外の(以下の)ものになるわけではない。
青年もまた同様に、成長するまでもなく最初から「人間」であるのだ。

琵琶法師が「修羅」と仏道=「慈悲」の間でもがくのが人間かもしれないと呟くように、顔のない仏像に始まり完全な仏像で終わる物語は、人間としての社会的「成長」を限定的に肯定するのではなく、その先の見果てぬ「価値」を追い求めるものとして人間を定義しようとしたのだろうか。
破綻なく「奪還」と調和した物語は、そう語っているように思える。



もしも敢えて「成長」を探すとしたなら、それは主人公の「棄民の子供」が提示した「サムライ」のいない「この世」の可能性=「未来」と、「奪還」を完了してこの世に生まれなおした青年との再会の可能性=「未来」の中にあるのだろう。

まるで早すぎた市民革命のような主人公の構想は、戦国の世を知る視聴者には、虚しい夢のように見えるかもしれない。
が、戦国時代には、一向衆によってサムライの支配を拒絶した社会を創ろうという一向一揆が頻発している。
加賀では、そうした「国」が90年ほども維持された。

歴史の流れの中では一瞬の夢かもしれない。
しかし90年は、平成と昭和の全期間を合わせた時間とほぼ等しい。
昭和の後期に固まった社会機構が、存続するのか潰え去るのか不透明な現代の視聴者が、一瞬の虚しい夢と冷笑することはできないだろう。

だが、現実の市民社会が理想郷ではないように、主人公が構想するサムライのいない「この世」も、理想郷ではありえない。

難民による青年のリンチをかろうじて防いだ主人公の「アジテーション」だが、「自分たちの生活を安定させるために、『生贄』は抵抗せずに黙って犠牲になれ」という難民の主張は、現代のSNSで毎日うんざりするほど凡庸に繰り返される放言と同型的だ。

犠牲を要求する難民の主張は「サムライ」のプロパガンダする欺瞞に捻じ曲げられた誤謬だと指摘する「アジテーション」の論理は、「領民自身の社会」において、「領民自身の意志」として主張されたとき有効性を持たないだろう。

新たな「犠牲の否定」の論理はどのようなものになるのか。
本作の、修羅と慈悲の間でもがく戦国の人間へ投げかけられた問いかけは、SNSに妄言のあふれる現代にも変わらずに問いかけられているようだ。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

60.5 11 時代劇アニメランキング11位
サムライディーパーキョウSAMURAI DEEPER KYO(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (59)
399人が棚に入れました
関ヶ原の合戦から4年が過ぎた。
しかし、太平の世は訪れず、世界に落下した巨大隕石の影響で「剣妖」と呼ばれる怪物達が暴れ回っていた。剣妖との戦いに巻き込まれた記憶喪失の薬売り・壬生狂四郎は、そのショックで自分の中に封印されていた凶暴な侍・鬼眼の狂を目覚めさせてしまう。そして、日本の歴史を影から操ってきた壬生一族と戦いを繰り広げていく…。

じぇりー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

あれ?こんなだったっけ…(困惑

本作品に関しては、珍しく随分昔に途中まで原作を読んだことがあった。
そのコミックが結構面白かった記憶があるので、アニメを見てみようと思うに至ったのだが…

ザ・少年漫画なお約束過ぎる設定と展開に、「え、こんなんだったっけ(汗」と、冒頭から見ていて唖然としてしまった:

・当代の強者同士で行うトーナメント戦(←時代w)
・真田「十」勇士を始めとした、四天王的にやたら「三」や「十二」などの数で括られ、雑魚と中ボス、大ボスクラスの混ぜ合わせで構成されているグループの存在
・敵がどんどん強くなるにつれ、味方のキャラが頼りなくなってくるため、そういうキャラは戦闘の解説員を務めるようになる

アニメオリジナル設定やキャラがいることは構わない。
一応、時代劇だけど、現代風(?)のキャラデザを取り入れることもこの作品の特色の一つなのでまぁいいとしても…

西洋甲冑とか、ナース服まで出てくると、さすがにもうファンタジーアニメじゃないか!

特に、終盤の決戦の地での展開には、話数を割きすぎなように思う。
とにかく退屈で、全26話中23話まで見たところで、挫折しようかとも思った程。

ただラストは、若干強引な部分もありはしたものの、原作を全部網羅できないためオリジナル要素を多分に取り入れたアニメとしては、結構いい感じの終わり方はしていたと思う。超展開すぎて、失笑が漏れた場面もあったけど、まぁご愛嬌かな♪

23話で切らなくてよかったー(笑)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

koaki さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

怪奇時代劇・・・

舞台は関ヶ原の戦いから4年後の日本。
関ヶ原の戦い時に巨大隕石が落下した影響で、
剣妖という化け物が跋扈する世界。

千人斬りの鬼と呼ばれた鬼眼の狂(おにめのきょう)が、
日本の歴史を影から操ってきた壬生一族と戦いを繰り広げていく。

原作未読
原作ファンの人には辛口のレビューが多いようですが
原作知らないので、結構楽しめました。
っていうか好きです。

生や力への執着とか、平和を望みながらも
どこかでもっと戦っていたいと思っている自分とか
仲間とか裏切りとか野望とか・・・
色んな事がテンコ盛りで楽しめました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

マガジンがジャンプ化しだした片翼?

ワンピもどきのアレからはじまり・・。いやいいと思う。ヤンキー雑誌としてのマガジンは時代に乗り遅れ、スクランのような漫画がヒットして、純愛でなくGTOが売れた時点で既存のマガジンはおしまい。一歩だけはジャスティス!!。

当作品、もちろんるろ剣を意識した完全パクリ作品。
しかしその厨二心くすぐる絶妙な雰囲気がコアなお友達の心をつかんだ印象。個人的には・・・・。

アニメは原作未完のためオリジナル、ギャグもエロもない。
こちらがいいという人もいるかもしれない。
予算がないのか作品的にはけっこうおそまつ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

72.1 12 時代劇アニメランキング12位
無限の住人 IMMORTAL(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (138)
600人が棚に入れました
武士というものがまだ存在していた江戸の世——。百人斬りと呼ばれた【不死身】の男がいた。その男の名は「万次」。万次は、父母を殺され復讐を誓う少女「凜」と出会う。凜は万次に、復讐の旅の用心棒になってくれないかと言う。初めは断る万次だが、凜に亡くした妹の面影を見た。一人では危うい凜の姿に、仕方なく手を貸すことに決める。しかし凜の仇は、剣の道を極めんとする集団——逸刀流。それは、不死身の万次すら追いつめる凄絶な死闘の始まりを意味していた。

声優・キャラクター
津田健次郎、佐倉綾音、佐々木望、鈴木達央、花輪英司、咲野俊介、桑島法子、ふくまつ進紗、秋元羊介、小原雅人、中田譲治、林真里花、白熊寛嗣、奈良徹、小林親弘、関智一、真山亜子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

MUGE・ん…異能っぽい

原作未読 Netflixもの

なんですけどなんとなく

 なんかタイトル知ってる~

三池崇史監督でキムタクの実写版が遠くない過去にやってましたね。それでみたいです。マンガそのものは1993年から20年ほど連載し完結。これはきっとブックオフで見かけてますね。実物に触れるのはこのアニメが初です。


 限り無き世界の住まい人


のお話。八百比丘尼より不死を授かったおっさんを主役に据えた時代劇全24話。ちなみに終始物騒なアニメ作品ですよ。痛快さとはほど遠く『カムイ伝(白戸三平)』『どろろ(手塚治虫)』の世界観に寄せたような感じがします。自分は無条件で好きなタイプな作品なので抵抗はなくそのまま完走。おそらく第1話からして雰囲気はばんばん伝わってくることでしょう。

まあけっこう身も蓋もないのがいいんですよね。生命は限りなく重くそして軽い。

 {netabare}『この奥方は好きにしていい。ただし娘の方には構うな』

平気でこんなこと言っちゃってる世界だったりします。{/netabare}

エロ・グロ注意表現がテロップで流れますので推して知るべし。主役のおっさんを津田健次郎さんが演じられてるわけですが、朝ドラでツダケンを知って「あら、アニメもやられてるのね?」とうっかり迷い込んだ奥さまが卒倒するグロレベルではあると思います。
声優さんに触れておくともちろん名の知れた方もいるわけですが、そんなこと以上に、セリフの多い主要どころに無名な声優さんがけっこう配置されてるのが特筆すべき点でしょうか。“代表作無し:主役級無し”な声優さんがわんさかいます。それがいいです。人知れず生まれ人知れず死んでいく儚さをキャストから感じたのは私だけでしょうか。

そして理不尽な理由で生命を落とすなんてことはザラな物語です。それを具現する尸良(CV奈良徹)みたいなキャラもおりますが、その点でなによりウケたのはOP曲by清春ですかね。傍若無人なエピソードに事欠かないアーティストさん。その頃SNSがあったら日々炎上しまくってただろう方のお声を冒頭に聴けるのは幸せでした。あれ!?よくわかんないですか!?僕だけに響いてる感じでしょうか。 くすんだ色調のアニメの中で鮮やかにここだけ色づいてましたね。
なおEDはものすごく好きです。毎度変わるというのも良いのですが、作品世界を見事に表現してるといっていいでしょう。贔屓の引き倒しみたいになってきた(・_・;)


少しだけ具体的なところも。
ヒロインは浅野凜(CV佐倉綾音)。町道場の師範の娘だった彼女は目の前で父を惨殺され、母を凌辱された末に行方不明という憂き目にあう。犯人は勢力拡大中の一門“逸刀流(いっとうりゅう)”で面も割れてるところでヒロインが仇討ちを誓いスタート。道中「用心棒が必要じゃろうて」との婆(八百比丘尼)の助言から、万次(CV津田健次郎)と接触し助けを乞うみたいな導入です。そこに万次の不老不死という設定が絡んでくるわけです。
だいたいこういうのも暗黙の境界線みたいなのがあって、

【仇討ちもの】
 並:仕留めたぞ!ヒャッハー
 上:憎しみを超えたなにか
 下:{netabare}憎しみを超えたなにかに挑戦した似非ヒューマニズム{/netabare}

【不老不死もの】
 並:ゲットしてハッピー
 上:そう良いことばかりではない。むしろ…
 下: …

シンプルに夢見てウヒャウヒャする“並”は場合によっては清々しさが際立つ良作だったりします。そんな物事は単純じゃないのよってのを巧みに見せてくれると“上”。さらに「そうきたか!」と驚きのようなものがあると“特上”になるんだと思います。“下”は書くつもりありませんでしたが、“上”に挑戦したもののツメが甘くてうすら寒い作品の山が横たわってる現状を憂い一応書いときました。本作でもヒロインが正義感溢れる一本気気質だったので一歩間違ったらドン引きする展開が待ってたと思いますよ。でもまあそうはなりませんでした。ちなみに不老不死ものはあまりハズレを引いたことがない気がするので“下”相当は該当なしとしてます。

 ・死ねないことの苦しみ哀しみ
 ・寿命差で生じる死に別れの悲哀

あたりがお約束でしょうか。本作は“上”を狙って“上”を獲得した作品だったといえます。雰囲気や見た目もしっかりと世界観に合わせながら、変化していく仇討ちの意義を見つけようと凛が迷い悩み答えを出していく過程は納得感を得られます。不死である万次の諦観みたいなものには“もののあはれ”すら感じた私です。
難点は少しばかり雰囲気勝負だったところ。けっこうな登場人物数を回しきれたかも微妙なところ。おそらく詰め込んだ部分もあるのだろうと思われます。それでも破綻したとはならないのは、物語のエッセンスをきちんと抽出し省略せずに我々に提示してたからだと思います。しっかりと堪能しました。



※ネタバレ所感

■万次さんのここが良い

強くないところです。万次さんいつも殺されてるのに自信満々なんですよね。それが強がりだとわかってくると深みとコクが増してきます。

{netabare}どこだったかで「こんな(身体)になる前に100人斬ってんだぞ」と言ってたような。不死身の肉体なんて妖(あやかし)ないし化け物扱いです。だから無敵なんだよという目を向けられたのに反して出た万次の一言。人間の頃から強かったんだぞ!と叫んだわけです。
正しくは不死身ではなく死ぬこともある万次さんの肉体に本人はとうに嫌気がさしている。でもどうしようもない。自嘲気味ながら自分の体を呪う手前みたいなスタンスで己に向き合ってたかと思います。そんな諦観めいたある種の達観した境地までいったおっさんのように見えて実はそうでなくて「人間の頃の良かった自分」への憧憬めいた感覚が残っているところが面白い。{/netabare}

{netabare}剣術も最強ではない。おそらく“町(村)レベルで強い!”くらいなもんだったんでしょう。
手練れがわんさか登場する時代劇です。熟練の剣客同士の手に汗握る熱戦を主人公を主語にして展開されればわかりやすかったのかもしれません。
同時に流れるような達人の剣技を作画で魅せてくれれば拍手喝采だったでしょう。

だがそうではありません。最初私はそこが不満でした。気持ちよくない。
しかしながら、そこらへんにいる腕自慢のおっさんがひょんなことから不死を得てしまった悲哀を表わすにはベストな選択だったような気がします。最強剣士が不死になる設定なら不老不死の意義や意味なり目的がわりとはっきり見えやすいとなるはずのところをそうではなくしてるわけです。
死んだと油断させといて不意打ちするみたいなとこあるので、バトルとして見たら消化不良もいいとこですがこれはこれで良し。流麗な剣技は他の人に任せてるところあるのでそっちで満たしましょう。{/netabare}


■日本の風景

欧州を舞台にした作品だと100年前200年前と遡っても街の景色がそう変わらないことは多々あります。橋だったり教会だったり平気で築400年とかあって、この前観たルネサンス期を描いた作品では舞台のフィレンツェの観光名所ともなってる有名な橋がそのまま描かれてたりもしました。

 石造と木造の違い

日本とヨーロッパの違いです。日本は戦争で主要都市が焼け野原になったこともあり、文明開化や大正浪漫はたまた戦時を描いた作品での街の風景は今と異なり当時の建造物はほぼ残ってません。またそのことを特に違和感なく当たり前のことと受け止めてきました。

 切り取った時間軸で風景は変わる

{netabare}それが何話だったかの“白川郷”。江戸を抜けて金沢へ向かう道中ということで道程も合致する。作品で描かれた白川郷がそれこそ観光で訪れた景色そのまんまでいたく感動しました。なにせ時代劇において今現在見てる景色そのまんまという経験がなかったもので。歴史の縦の糸が繋がったかのような稀有な体験でした。{/netabare}


■いっとうりゅう

最終話でサラッと…

{netabare}時が流れてましたね。

「土佐で魚釣ってたらアメリカ船に連れてかれ」
「萩で牢に入れられ」
「京都で久々にいっとうりゅうの名を聞く」

ってそのまんま竜馬さんじゃないですか(笑) 投獄されたかは知らんけど萩行ってますしね。吉田松陰に会ったり新撰組連中と親交があったことを伺わせる最終回です。なんか歴史の影に万次あり!みたいな。これ個人的には微妙でした。歴史の本流にはかすりもしないところで徒花のように生きた人達の物語だと思ってたところがあったのでなんとなく腑に落ちなかったです。
※注)ジョン万次郎説もあるとのご指摘あり{/netabare}



万次と凛の仲の描き方もあれで良かった。
ごちゃごちゃ言わんでも目と目で通じ合うくらいの信頼関係はできてたんだと思います。実写版でキムタクを起用したのはそういうメタファーなんですよ(嘘)。



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

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2020.09.16 初稿
2020.10.30 修正
2021.06.11 修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 40
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

本当の強さってなんだと思いますか?

【リアルな最強(※本作の紹介のつもり)】
本作の主人公である万次は、天下無双の剣の使い手ではないけれど、例え腕や足を切り飛ばされても、不死身の身体(IMMORTAL)で最後にその場に立っている。

そんな「最強」とは、「勝ち続けることではなく、決して負けないこと」という「リアルな最強」をわかりやすく体現したのが本作の主人公。

例えば、ボクシングの世界チャンピオンは、勝ち続けることで最強の称号を手に入れる。しかし、いくら史上最強のチャンピオンであっても、いつかその座を譲る時が来る。チャンピオンを維持するには、勝ち続けなければならない。

他方で、「負けない」というのであれば、勝負から逃げたっていい(※勝ち続けるだと勝負になった時点で逃げられない)。そうやって自分に不利な状況をどうにか凌いでいる間に、相手の油断なり隙なりを待つなり作るなりして、確実に勝てる状況をつくりだす。相手と正面から向き合わず、相手の力をいなす、受け流す、状況に合わせて自分を変化させる。
正々堂々とは程遠いので、決して格好よくはないのだけれど、勝負に対するすごく泥臭い考え。

わかりやすい例でいえば、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島の戦いで、武蔵が大遅刻したことを卑怯と捉えるか、勝負に徹した狡猾な作戦と捉えるか。

本作は、時代劇ということで敵をバッタバッタと切り倒す殺陣を期待しているのなら、期待外れになるかも。しかし、どちらかというと実戦重視の武道をかじったことがある身としては、不死という設定はリアルではありえないものの、勝負に徹する「最強」に対する泥臭い考えには共感できる。

というわけで、本作の主人公は、一般的な格好いいとはちょっと違うかもしれません。


【武術の終焉(※本作のネタバレ有りの感想)】
剣術、柔術といった武「術」は、古来、もっぱら人を殺すための技「術」として発展してきました。

それが戦国時代という戦乱の世から江戸時代という泰平の世を迎え、暗殺術が流布すると治安上危ないという幕府の意向から、華道や茶道といった芸事と同じ「道」を探求する剣道、柔道(まとめて、武「道」)に変わっていったといわれています(先人は、武術のエッセンスを何とか残すため、何でも有りから礼儀作法や形式を重視することで、その危険性が弱まったことをアピールして、やむを得ず変化することを選んだともいえます。)。

最終話で、逸刀流統首天津影久は、{netabare}「逸刀流、何不自由ない泰平の世に武の隆盛と剣の再生を掲げて暴れたその剣によって、ほんのわずかでも何かが変わったのか。それを誰かに見届けて欲しかった。」と言っています。

とにかく相手を倒せばいいのだという逸刀流の剣術は、既に泰平の世である江戸時代において必要とされていなかったし、そのような殺人剣はこれからの世においてもない方がいい。
だから、凛は影久に対して復讐心から個人的な恨みを晴らしたというより、「そのような剣術を影久で終わらせる」(武術の終焉)という意味で彼を刺したのでしょう。
もっとも、影久自身も「ほんのわずか」と言っていることから、自分が分の悪い勝負を挑んでいることに気づいているし、本当に何かを変えられると思っているのなら見届け人も不要なので、敗北することも覚悟していた。
影久は、時代の流れに抗い、剣術の再興を夢見て江戸中の道場破りで一世を風靡するものの、やはり時代の流れには抗いきれず、儚く散っていく運命にあった。

彼とは対照的に、凛は、逸刀流に道場破りされた父親の道場を再建している。彼女は、親の敵である影久を追いかけるうちに、自分と同じように先祖の無念を晴らそうとする影久に自分の姿を見たのか、復讐心に囚われなかった。
時は、敵討ちが周囲から称賛され思考停止でその期待に応えて生きることが求められる時代である。その空気に流されることなく、彼女は、敵討という「生きている自分の人生」を「既にこの世に存在しない者」のために犠牲にすることの虚しさに気づいて立ちどまる強さを持ち合わせていた(現代においても復讐の連鎖はなくなってはいないけれど…)。
結局、生き残った者、最後まで立っていた者が強いを体現した一人。

最後に、幕府の役人である吐鉤群(はばきかぎむら)も、影久と同様に剣術の腕は作中最強格。世が世なら、侍大将として大いに活躍したことでしょう。しかし、残念ながら剣の腕で出世できる時代では既になかった。異常なまでの彼の出世欲は、生まれる時代を間違えたという焦りの裏返しなのでしょう。
もっとも、時代にあわせて変化することをよしとせず、あくまで武士(もののふ)としての生涯を貫き通そうとした鉤群もまた、その家族とともに滅びる運命にあったのではないでしょうか。


まあでも、影久と鉤群は、生まれる時代を間違えた者同士、対立はしていても内心この状況を楽しんでたんじゃないかと思うんですよ。
泰平の世に、殺人剣の使い手なんて、ただの危ない人でしかなく居場所なんかない。しかし、居場所を無理矢理作ろうとすれば、社会から拒絶される(彼らがやったことを見ればわかる)。それをわかっていて、変化するのではなく己を貫き通した。周囲は大迷惑ですけどね(笑)。


さて、影久たちの生き方には、日本人特有の無常観、常なるものはなくあらゆるものは儚く滅びる運命にあるという美学がありますが、これは破滅的な思考と表裏一体です。
確かに、影久や鉤群のように時代の流れに真正面から立ち向かうことも強さでありましょうが、万次や凛のように時代の流れを柳の木のように受け流すこともまた強さといえましょう。
時代が流転するならば、自分もそれに合わせて流転すればいい。

そんなリアル最強の万次が、純粋なゆえに時代にあわせて上手く変われなかった不器用な人たちの最期を見届け、死なない彼が彼らを思い出すことで弔う、そんなお話であったと思うのです。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

滅びゆくものたち

アニメーション制作:ライデンフィルム、
監督:浜崎博嗣、シリーズ構成:深見真
キャラクターデザイン:小木曽伸吾
音楽:石橋英子、原作:沙村広明

単行本が発売されて間もない頃から
20年ほど追いかけてきた。
初めて読んだときは、常識を覆す
大胆なストーリー、仇討ちと剣術に対する
哲学的思考、そして筆を用いたことによる
血なまぐささを感じさせるような
独特なタッチの絵柄に夢中になった。

『波よ聞いてくれ』を観た人なら分かると思うが、
沙村広明の作品は、キャラクターの魅力が秀でている。
主人公の万次はもちろん、天津影久や黒衣鯖人、
凶戴斗、乙橘槇絵、川上新夜、百琳など、
序盤に登場する面子と出会うだけでも気持ちが高ぶる。
カッコ良いし、奥深さを湛えているのだ。
それに加え、尸良や山田浅右衛門吉寛のような
狂気の人物が、読者を心の底から嫌な気持ちにさせる。
それも、また作者の特徴のひとつだ。

作品でいちばん惹かれたのは仇討ちに対して
主人公の浅野凜が何度もその正しさと
どうしようもない恨みの感情によって苦悩するところだった。
映画ファンだった私にとって、
仇討ちは西部劇やカンフーものの影響で常識的な思考。
ところが凜は、その正しさについてずっと自問自答する。
仇討ちを目指すのが万次ではなく、
女性である凛であるからこそ行き着いた
とてもよく分かるストーリー展開だった。
それが明確に表れているのが6幕の川上新夜の話。
敵討ちの連鎖を断ち切るために凜が苦悩するさまは
とても心に残り、普通にはない時代劇を感じさせてくれた。
この頃の物語の繊細さは、藤沢周平が思い浮かぶ。

凜が仇討ちをしようとする相手は逸刀流のメンバー。
彼らにも大義といえる理屈がある。
個人の想いと武術に対する志。
敵も人間であって、自らの信じる道を歩んでいるのだ。

型にこだわらず、本質にのみにこだわる。
それが逸刀流の美学。
武術の重要性が薄れつつある江戸時代において
真の力を追い求める者たちの究極の考え方。
それは人の命よりも重い。
「強さ」以外の理由で後継ぎになれなかった
父を見てきた影久の無念と恨みが滲み出てくる。

信じた道を突き進む天津影久は逸刀流を結成し、
江戸における道場破りを繰り返し、力を誇示していく。
しかし、それによって恨みが連鎖する。
所詮は烏合の衆である者たちゆえに起こる
下衆の行動と蹂躙によって、
被害を受けた者たちは怒りに燃える。
そのひとりが凜なのだが、
自分の追っている逸刀流の危機を目にするたび、
そして党主の天津影久という男を知っていくたび、
凜の心は揺れ動き、自分のやるべきことに
ためらいを感じるのだった。
また凜と話をすることで天津の心にも変化が生じる。

凜に手を貸すのが不死の運命を背負った万次。
旗本の不正を許せなかったことが原因で
100人斬りとして知られるようになった男は、
1000人の悪党を葬ることで罪滅ぼしを目指す。
その思考はとてもシンプルなものだった。

アニメのストーリー展開としては、
{netabare}1~12幕…凜の仇討ち、天津影久との2度目の出会いまで
13~19幕…万次捕縛&不死虐殺実験&救出まで
20~終幕…逸刀流vs. 吐鉤群の六鬼団と
分けることができる。{/netabare}

単行本のことを思い返して、改めてアニメを観た感想としては、
個人的には1~12幕が断然好きだ。
剣士としての矜持や生き様を感じさせてくれる。
しかし、それ以降はただの殺し合いになっていく。
好みの問題なので、そこが好きな人も多いと思うが、
私としては引き延ばしの感があった。

特にいちばんうんざりしたのが、
途中から作者が尸良に思い入れすぎて、
誰のための物語か、焦点がぶれてしまっていること。
また尸良の凄惨な過去がほとんど語られないため、
ただの殺人鬼が好き放題に暴れまわる
展開になっているのが少し残念。
これをやるのなら、尸良の過去をもっと
深く掘り下げ、しっかりと描かなければならない。
また、それは吐鉤群についても同様で、
幕臣である彼が剣士を排して、
平和を求めていたようには感じられない。
何を考えていたのかは、ほとんど見えてこない。

作画については崩れることもあり、
特に瞳阿の絵は安定していなかった印象。
この作品のなかではあまり重視されていなかった。
また最も重要と思われる斬り合いのシーンに
迫力がなかったのもマイナスポイント。
漫画のほうは、かなりこだわっていた部分なので、
そこも物足りなく思えた。
ただ、物語の構成は30巻分もある原作を
2クールでとても上手くまとめていた。
全体のバランス感覚が素晴らしかった。

ほとんどの侍が死滅した世界。
{netabare}万次だけは、江戸時代が終わっても生き永らえている。
滅びゆくものたちを間近で見ていた万次。{/netabare}
その目に映る世界は美しかっただろうか。
(2020年10月24日初投稿)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36

77.0 13 時代劇アニメランキング13位
薄桜鬼(TVアニメ動画)

2010年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (991)
5438人が棚に入れました
京で仕事をしている蘭学医の父と連絡が取れなくなった雪村千鶴は、男装をして京の町を訪れる。そこで千鶴はある衝撃的な場面に遭遇し、新選組と出会い、父の行方を共に捜すこととなる。新選組隊士達の間で起こる出来事、自身の出生、交わる新撰組の隠された秘密。幕末を駆け抜ける男達の生きるための闘いが繰り広げられる。

声優・キャラクター
桑島法子、三木眞一郎、森久保祥太郎、鳥海浩輔、吉野裕行、遊佐浩二、大川透、飛田展男、坪井智浩、小林範雄、鈴木貴征、大羽武士、千々和竜策、佐藤広太、石川綾乃、勝田晶子、津田健次郎、山口りゅう、吉田裕秋、伊藤葉純、齋藤龍吾
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

【萌えよ剣】イケメン新選組に囲まれて小娘がヒャッハー!しちゃう(嘘)【逆ハーレム】良作

2010年に分割2期でTV放送され、その後、2013-14年には劇場版も2作制作・公開された大人気の乙女ゲー原作、怪奇ファンタジー込み幕末時代劇アニメ(※ここでは、TV放送1期・2期の両方を併せてレビューします)。

乙女ゲー原作アニメというと、『緋色の欠片』、『AMNESIA』くらいしか観てなくて(しかも『緋色~』は1期だけ)、そんなに面白かった記憶がないのですが、本作は面白かった!
単に面白かっただけでなく、登場キャラに感情移入までして、かなり燃えて萌えました。
男の自分が“萌える”くらいですから、女性視聴者の方々は、本当に、本当に、本作に感動したのでしょうね・・・きっと。
観て良かったです。


◆新選組キャラ(All Stars)

1.近藤勇(局長) ← 爽やか貫禄イケメン
2.山南敬助(総長) ← クール眼鏡イケメン
3.土方歳三(副長) ← 超々イケメン(メイン・ホスト)
4.伊東甲子太郎(参謀) ← オカマ意地悪イケメン
5.沖田総司(一番組組長) ← 死病もちイケメン
6.永倉新八(二番組組長) ← ガチムチイケメン
7.斎藤一(三番組組長) ← 超イケメン(2番手ホスト)
8.井上源三郎(六番組組長) ← 年長癒し系いい人
9.藤堂平助(八番組組長) ← ちょいガキイケメン
10.原田佐之助(十番組組長) ← むっつり実直イケメン
11.島田魁(諸士調役兼監察) ← ゲンコツ頭ガテン系イケメン
12.山崎蒸(諸士調役兼監察) ← 忍者イケメン

※その他イケメン多数


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得のいかなかった疑問回

================ 薄桜鬼 (2010年4-6月) ===========================

{netabare}第一話 雪華の都 ☆
第二話 動乱の火蓋 ★ 池田屋事件
第三話 宵闇に咲く華 ☆ 続き
第四話 闇より来(きた)る者 ★ 禁門の変(蛤御紋の変)
第五話 相克せし刃(やいば) ★ 伊東甲子太郎入組
第六話 鬼の命脈 ★ 山南さんが・・・(´・ω・`)
第七話 桎梏(しっこく)の運命(さだめ) ☆ 健康診断で上半身裸回(腐女子歓喜!?)
第八話 あさきゆめみし ☆
第九話 修羅の轍(わだち)  ★ 御陵衛士分隊
第十話 絆のゆくえ ★ 油小路の変、平助君が・・・(´・ω・`)
第十一話 零れ落ちるもの ★ 沖田さんが・・・(´・ω・`)
第十二話 剣戟の彼方 ★★ 鳥羽伏見の戦い~大阪城放棄、土方さんが・・・(`・д・´){/netabare}
-------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)7、☆(並回)4、☓(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.3


================ 薄桜鬼 碧血録 (2010年10-12月) ==================

{netabare}第十三話 焔の如く ☆ 甲陽鎮撫隊
第十四話 蹉跌の回廊 ★ 甲州勝沼の戦い
第十五話 遠き面影 × 馨君・・・(-_-;)、永倉&原田離隊
第十六話 誠心は永遠に ★ 流山の陣、近藤さん・・•(´;ω;`)
第十七話 玉響の夢 ☆ 宇都宮城の戦い
第十八話 輝ける暁光 ★ 彰義隊の戦い、原田さん&沖田さん・・•(´;ω;`)
第十九話 天道の刃 ★★ 会津の戦い、斎藤さん・・•(´;ω;`)
第二十話 散ずる桜花 × 仙台(羅刹戦)~蝦夷地へ、山南さん&平助君・・•(´;ω;`)
第二十一話 雪割草の花咲きて ★★ 蝦夷地の戦い(松前城、江差)、宮古湾海戦
第二十二話 夢幻の薄桜 ★★ 続き(二股口、函館)、土方さん・・・・゚・(ノД`;)・゚・{/netabare}
-------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)3、☆(並回)2、☓(疑問回)2 ※個人評価 ★★ 4.5


◆メモ

・なぜ「新撰組」ではなく「新選組」なのか、かなり気になる(作中で回収)。

・土方さん(副長)、沖田さん(一番組組長)イケメン設定は新撰組もの作品の定番ですが、近藤さん(局長)、山南さん(総長)までイケメンとは誰得!?
・総長山南敬助(やまなみ・けいすけ)の名字を有職(ゆうそく)読みして「さんなんさん」と呼ばせるのはちょっと新鮮。

・羅刹隊や鬼の一族の話はかなり陳腐→本当に必要な設定だったのか疑問

・第17話で出てくる和歌「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留めおかまし大和魂」は大河ドラマでも出てきた吉田松陰の辞世


◆総評

新撰組ものはTVドラマでも小説でも漫画でも、史実に基づくストーリー・ラインが強い悲劇性を帯びてドラマチックであるために、成功作となることが多い。
本作も、その感動の大部分は、新撰組ものという筋立てに負っている部分が大だと思うが、しかしアニメ独自の良さもあると思う(新撰組メンバーはじめ登場キャラほぼ全員がイケメン設定、怪奇ものだがグロいシーンは極少、など)。

とにかく、本作は、男の目から見ても、“格好いい”男キャラの戦いがふんだんに鑑賞できる良作なので、もっともっと視聴する方が増えて欲しい作品と思いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30
ネタバレ

lEFUg59761 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

幻想時代劇として純粋に楽しめる作品

乙女ゲーの中でもかなりの人気を誇るゲーム、そのアニメ化作品です。
実在人物にファンタジーを合体させるというアプローチは、『遙かなる時空の中で』が確立したと言えるものですが、そのネオロマンス系列に真っ向から切り込んでいった挑戦的な作品とも言えます。
その為、一般的な乙女ゲーに『ありがち』な雰囲気は極力排除されており、アニメ化の際にはそれがより顕著となっています。
それが功を奏したのか、男性である私が観賞しても十分に良作と言える、重厚な内容を見せてくれました。
以下、碧血録まで含めた詳しいレビューです。

■物語……4.0
史実ものという点を生かして、物語の節目が実際の年表とリンクしています。
例えば、各キャラクターの没年や、事件の年号などです。
そこに({netabare}「鬼が本当に存在する」という{/netabare})ファンタジー要素を入れ、細かくつじつまを合わせて作り出されたシナリオは、思わず感心してしまうほど。
また、素晴らしいのが各キャラクターの台詞です。
本当に今、事件が起こっていると思わせるかのようなリアリティがあり、展開が読めてもハラハラさせてくれたり、展開に引き込まれたりします。
人気作品は続編を匂わせる最後になりがちですが、きっちり風呂敷をたたんだのも好感が持てます。
ファンタジー要素( {netabare} 鬼の存在 {/netabare})に違和感を感じるかどうかが評価の分かれ目になってくると思いますが、そこを受け入れることができたら、いじらしく切ない恋物語と出会えるでしょう。

■作画……4.0
特徴的なのが輪郭線の細さ、つまりは原画のシンプルさと言えます。
最低限の線で構成された人物画や背景は、視聴者に余計な情報を持ってきません。
その為、物語に集中できる環境で、心置きなくキャラクターや背景を見ることができます。
制作の体力が少なかったせいか、中割りの少なさが若干気になりましたが、作画に文句が出る作品ではないでしょう。

■声優……3.0
殆どのギャルゲー、乙女ゲー原作アニメに言える事ですが、台詞に乗っかりすぎなインパクトのない演技が多く、それは本作も例外ではありません。
何故そうなってしまうかというと、声優もキャラクターの要素の一つとみなして、人気を獲得しにいくからと言えるでしょう。
つまりは、キャラと声優を同時に感じさせる演技が求められ、声優さんらしさが出ていればOKテイクになってしまいがちで、演技を突き詰めたシーンがなかなか作られないのです。
声優さんとしては、もっと音響監督と煮詰めたかったのでは?と思わせるシーンが、結構出てきます。
実力は疑うべきもないキャスト陣ですが、演技を目当てに観賞する作品ではないでしょう。

■音楽……3.0
音響効果はかなりよく、日常シーンでおかまいなしにBGMを流すと言う事はされていません。
アニメというよりはドラマ的な演出で、音楽もそれに合わせたものとなっており、他の作品とはそういった面での違いを楽しむことができます。
ただ、ここ一番での盛り上がりで使われる音楽が、少々くどいのは確かです。
重厚なテーマに合わせるのはいいのですが、もう少し抑えめの方が作品の雰囲気に合っているのではと思いました。

■キャラ……5.0
この作品を名作にさせている要素が、このキャラクターです。
男性に受ける要素として主人公の千鶴が挙げられることが多いようですが(私も一番好きなキャラはそりゃ千鶴ですが)、男性キャラクターにもかなりの魅力を感じました。
というのも、恋愛ゲームにありがちな「性別のフォーカス」がされておらず、「性格のフォーカス」が絶妙にされており、同性の敬遠する要素がかなり少なかったからです。
アニメがきっかけでプレイした原作のゲームではちょっとあざとい部分もありましたが、アニメに関してはほぼありませんでした。
それ故に、キャラクターに対しての親近感を短い時間で得ることができ、シリアスなストーリーをより刺激的に楽しむことができました。
特に原田、永倉、土方の描写は素晴らしく、血の通った人間であることをひしひしと感じることができます。
このバランス感覚は見事というしかなく、なぜ薄桜鬼が未だに人気を誇っているのかの答えをここに見た気がしました。

碧血録という二期まで含めた評価をさせていただきました。
男性が見ても十分楽しめた良作で、見ていない方にはぜひともお勧めしたい作品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

“滅べ”の美学はしっかり踏襲

ゲーム原作 2010年の作品


乙女ゲー原作の逆ハーレムと聞くと、嫌忌される向きもあるがそんなことはないと言い切れる作品。
昨今特に男子には不評ないい男わんさかアニメですが、昔はそうでもない!? あくまで一般論と前置き。たぶんここ10年くらいでキャラの所作が様式化されて、男女問わずお約束な萌えシーンが増えてしまい固定客以外はそっぽ向かれるようになったんじゃないかしら。詳しくないので適当です。

Youtubeの期間限定配信に釣られてみました。視聴理由は

1.新選組
2.ヒロイン桑島法子

以上です。池田屋事件から禁門の変がわりとそのまんま出てきて興味を引く一方で、遅れアニヲタな私にとっては物珍しい娘役の桑島さん。蘭学者の娘が新選組と絡むというのもパンチがあってよろしい。薩長(いわゆる官軍)と親和性ありな蘭学者なるお立場の近親者でありながら幕府側(いわゆる賊軍)新選組と行動を共にする面白さ。それを賊軍旧仙台藩ご出身の桑島さんがどう演じられるかが個人的なお楽しみです。幕末仙台藩だと林子平、高野長英、工藤平助、玉蟲左太夫あたりが有名ですが、そのうち一人蘭学者高野長英は桑島さんの隣町のご出身だったりといつもの妄想に歯止めが効きません。

アニメに戻ります。
男だらけなのに安易な腐女子向け仕様でないと感じるのは男対男間でのやりとりに気持ち悪さを一切感じないことが大きい。たいていの男性視聴者はベタついた湿度高めの男同士のやりとりにヒきますからね。安心材料です。
なお幕末舞台で史実もそれなりになぞりながらやることは異能バトルというわけわかめな作品です。
お互い日の本のためという大義がありながら方法論が違うだけといったこの時代特有のやるせなさをうまく作品に取り入れつつ、実際に史実でもぶつかりあってるのをうまいことバトルものにスライドさせた意欲作といえますでしょうか。
タイトルにある“鬼”は心の在り様としての鬼と、読んで字のごとく人外としての鬼を表しております。言い忘れてましたが人外さんのお話です。

1期はお披露目程度なのかこの後続く2期3期に向けて期待感を持たせる終わり方をしてました。
歴史に惹かれ法子さんに惹かれてのあっという間に感じた全12話です。



※閑話休題

現在(2021年8月)あにこれ評価4.0点叩き出してます。2020年代の4.0点台は化物級ばかりなのでそれをイメージして臨むと失敗します。個人的にはそこまで高く評価してません。
それでいてそうは言っても桑島さんはともかく“新選組”強力な釣りワードでイメージする期待値には応えているのが本作高得点の理由かと思われます。どういうことか?

 ハッピー展開期待してないでしょ?

期待値の正体は“滅びの美学”みたいなもの。沖田総司には吐血してほしいし、会津のお城は燃えといてほしいみたいなところあります。そこで輝く一瞬の生命の輝きを感じたい私。
そこにジャパニーズ人外さん。欧米ですとヒトときっちり区切ってモンスター扱いしてくれますが、日本は“お岩さん”みたいに諸般の事情に同情の余地あるのが定番。むしろ準拠してないと日本ではウケないでしょう。言わずもがな『○滅』『呪○』がそうですよね。

どう考えても雲行き怪しい時代に新選組という「あちゃーっ」な素材が持つ良さをそのまま活かし
哀しき人外さんという伝統芸能をこれまたそのまま活かしてるご様子。これがいざやるとなると難しいんですけどね。



視聴時期:2021年7月 期間限定配信

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2021.08.01 初稿
2021.11.03 タイトル修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18

62.8 14 時代劇アニメランキング14位
PEACE MAKER[ピースメーカー] 鐵(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (79)
550人が棚に入れました
時は幕末。京都では名高い新撰組に一人の少年が門を叩く。彼の名は市村鉄之助。
何者かに殺された両親の仇を討つために新撰組へ入隊する。そこで彼を待っていたのは今まで経験した事のない非日常の世界だったが、局長・近藤勇の力強い言葉、一番隊隊長・沖田総司の優しさ、友人である監察方の山崎烝の檄、そして“鬼”と恐れられる副長・土方歳三の導きと兄・辰之助の存在に支えられ、人として隊士として成長していく。
ネタバレ

千秋 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

幕末の史実や人や団体名を借りた完全なるフィクション作品。

設定は、ワンパク少年+幕末+ちょっとコメディ要素+微妙に陰陽師(と言ったら陰陽師に失礼かも)

10話目までが恐ろしく地味!!主人公も絵柄もキャラも展開も。
ちょっとコミカル要素は入ってるのだけど幕末でこの地味さは逆に先が気になった。
少年がどのような展開を迎えていくのかと。
11話目からコメディ色も少し濃くなり面白くなって来たけど、アニメだし改変は別に良いとは思いますが、新撰組の話が主体ではないからその辺りの作りが非常に中途半端で、新撰組じゃないと思うこれ。非常にサラッと史実を準えてるような、、まさにタイトル道理の印象でした。完全なるフィクションだってテロップでも流れてたけど。

新撰組だから豚って…。
マスコットなデザインの子豚がイメージにそぐわなすぎてコミカルバランスが悪かった。
グロについては時代劇なら普通程度。
むしろ、肝心な残酷なところは省かれて描かれている所が多くソフトな表現。

ピースメーカーは平和を作り出す人になれ!って事だったけど、それならもっと坂本龍馬と絡んでく所があるならその辺もアニメにしてほしかった。ピースメーカーにはもう一個理由があるらしいけど謎のまま。原作は続きがあるらしく、そちらでは明かされたり更なる展開もあるのでしょう。

あらすじは…
{netabare} 主人公、市村鉄之助は15歳のわんぱく少年で目の前で父母が殺された事により深いトラウマを抱えている。無念を晴らすため兄と共に新鮮組に入隊し強くなろうとする。
(実際に兄弟で新撰組に入隊していた人物で設定同様、土方の小姓もした。)
幕末頃の15歳と言えばもう少し中身が大人な気がするけど、見た目共に幼くワンパクってだけで他は普通の少年だ。{/netabare}

結局こんな話…
{netabare} 彼の強くなりたかった理由は復讐の為ではなく、守れなかった自分が憎かったと気づく。そして体の成長がとまるほどのトラウマを克服できるまでの少年の物語でした。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

ネロラッシュ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

大目にみてあげよう

原作が女性漫画家なのでイケメンだったり、時代にあっていないキャラもいるし、アニメはアニメでオリジナルストーリーもあり、はぁ?で、池田屋までというのも消化不良気味なんだけど、GONZO贔屓だから大目にみてあげよう。

18、19話のアユ姉は辛いっす号泣っす・・・

ドラマにしろアニメにしろ幕末物をみると、普段眠っている長州憎しがふつふつと・・・
それはどうしようもないな。
俺の先祖の敵っすから(笑)

幕末最強は庄内藩だ!!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

AKIRA さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

途中から鬱なかんじに

途中まではまぁ見れると思います

21,22あたりは結構グロイです

終盤が意味不明なのと暗くなるのが残念なかんじでした

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

71.7 15 時代劇アニメランキング15位
地獄楽(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (261)
858人が棚に入れました
時は江戸時代末期。 抜け忍として囚われ死罪人となった元・石隠れ最強の忍“画眉丸”は、極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となれることを告げられる。 画眉丸は最愛の妻と再会するため、打ち首執行人“山田浅ェ門佐切”とともに仙薬があるという島へ向かうことに。 島に上陸した画眉丸と佐切に立ち塞がったのは、同じく仙薬を求める死罪人たち。そして、島に潜む未知の生物、人工的で不気味な石像、島を統べる仙人たち...... 謎多き島で、果たして画眉丸は仙薬を見つけ出し、生きて帰ることが出来るのか——!?
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自由や人間性と表裏一体の怪物性

“神仙郷”の“不老不死の仙薬”を巡る“執行人”と“死罪人”のペアたちと
島の化け物たちとの戦い等を描いた同名コミック(未読)の連続アニメ化作品の1期目(全13話)


【物語 4.5点】
バトルシーンが続くアニメにストーリー性などない。
この論評、私は必ずしもそうではないと思っていまして。

テーマに根ざしたキャラが、その性をぶつけ合うバトルには、
時にセリフ以上に物語を拡張する効果があると私は思っています。

本作などは物語性があるバトルアニメの最たるもの。


『地獄楽』の作品タイトル、「弱さと強さ」など二項併記する各話タイトルからして、
相反する物を飲み込む度量を感じる本作。

近年、私は、特に欧米から流入してくる自由で多様なら手放して全て良しとするかのような風潮に、無思慮を危惧して警戒してしまいます。

本作の場合も、例えば武士には武士、女には女の生き方がある。
分をわきまえさせる封建社会の息苦しさも描く。
が、一方で、全てがボーダレスな神仙郷の世界観。
動物と植物、男と女、その他様々な宗教観が無秩序に混ざり合い、とっ散らかる異様も描く。

人は何にでもなれるが、何にでもなれちゃう人間って実は怖いよね。
イエ制度で縛って安定させる封建社会にも一理あるかも?
いやそれでも怪物の如き人間の自由意志こそ最高のディナーでしょ?{netabare} 最高の丹(たん)の素材でしょ?{/netabare}

グロで思索のリミッターを外され、キャラやバトルを通じて、
忌憚なく反証を繰り返す心地よさに酔いしれる。

このバトルアニメには哲学があります。
と、同時に、これからは中道や中庸を知る東洋思想の出番だと強く思います。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・MAPPA

極彩色を多様した背景美術で構築された神仙郷のないまぜな生態系。
地獄か?桃源郷か?判然としないまま、
花を咲かせた人間が笑って死ぬ狂気を伝えるのに十二分。

表裏一体のテーマについても、OPアニメーションにて、
雌雄で絡まり合う天仙様の輪郭が歪むカットなどが、気色悪いくらい体現。
相変わらず同スタジオは、キメラじみた門神や竈神(そうしん)、天仙の植物形態?といったグロテスクな物体を躍動させるのが上手いですw

バトルアニメーションについても、特に初回の画眉丸と佐切のファーストコンタクト。
人物配置と、画眉丸の目線の動きの一致から、
やはり、CGによる空間構築と管理においては、信頼できる所だと安心。


ただ、捨てキャラなし、意志のないバトルや背景は許されない、というハードルを乗り越え続けるのは骨が折れたのか、
作画カロリーは初回をピークに徐々に消耗。

心臓破りの8話で息が上がりかけた所で、放送休止を挟んで、
何とか1クール終了のチェックポイントまで辿り着いた感。

初回のクオリティで完走できれば満点まで突き抜けたのですが、高望みでしょうか。


EDで毎回笑ってしまうのが、クレジットの“MAPPA”の字の小ささ。
15年程前にゲームがハイデフ化した頃、テキストが豆粒化し、
32インチ高解像度以上じゃないとプレイが困難になったトラウマを思い出しましたw

これスマホの低解像度モードとかじゃ絶対読めませんよねw
配信で様々な環境、デバイスで視聴するトレンドに反発するかのようなMAPPAの主張?
なるべく大きなモニターで受け止めて差し上げましょう。


【キャラ 4.5点】
氣(タオ)を体得した天仙様が治める神仙郷。
打ち首を家業にしてきた執行人の剣術。凶行を重ねてきた死罪人の技の数々。
盲目の剣士が到達した心で見るという境地は、氣(タオ)の流れをも捉える。

挑戦者は、各々違う道の極め方で、氣(タオ)を扱えるだけの資質を体得済み。
人知を越えると思われた天仙に肉薄する人間の脅威。
この構図もまたキャラ設定を活用したテーマの深化。

制作決定した2期以降では五行説設定も明示されるようなのでそちらも楽しみです。


主人公の忍・画眉丸は“妻帯者”。
“伽藍の画眉丸”と恐れられる程、冷酷無慈悲な強さを極めた男が、
妻に再会するためという目的を持つことで、優しさを知る。
それを画眉丸は弱さだと悩むが、担当執行人の佐切は弱さを知ることも強さだと励ます。

ここまでならノワール物でもよくある暗殺者の葛藤。
ですが本作はさらに、弱さと強さの併存を、
陰陽説を取り込んだ氣(タオ)の理論に結びつける所が非凡。

悟った気になった所で、{netabare} 画眉丸の妻は里長の幻術では?{/netabare} との疑惑。
主人公も作品もまだまだ底を見せず。考察をサボらせてはくれません。


息をするように殺す画眉丸と、打ち首の生業に悩む佐切。
などカップリングによる両論併記も、題材に関する議論を深める好材料に。

サブに至るまで回想劇による掘り下げも深く、基本的にどうでもいいモブキャラはいません。
私は士遠(しおん)と典坐(てんざ)の師弟関係のエピソードが印象的でした。


ただキャラ名は、特に執行人が全員、山田浅ェ門・〇〇なので覚えるのが大変でしたw


【声優 4.0点】
画眉丸役の小林 千晃さんと、山田浅ェ門・佐切役の花守 ゆみりさん。
メイン2人は生真面目な固めのボイス。

そこへ剣豪・巌鉄斎役の稲田 徹さんの大口。
くのいち・杠(ゆずりは)役の高橋 李依さんの奔放な軽口。
ボイスも硬軟織り交ぜて珍道中のバランスを取る感じ。

りえりーの色仕掛けボイスに惑わされて杠の胸の谷間ばかりよそ見してしまう私は、
神仙郷では花を咲かせる間もなく即死でしょうねw


天仙たちは甲斐田 裕子さんと諏訪部 順一さんのダブルキャストで雌雄同体の驚異を表現。
陰陽を司る雌雄がまぐわうことで氣(タオ)を高めてみたり、
両ボイスを合成して怪異感を高めてみたりと素材として重宝。

怪物だらけの島で純朴なロリボイスを提供するのが、
ピンク髪の謎の少女・メイ役の小原 好美さん。
しかしこんな幼気な声色の娘を、
{netabare} 道士が雌雄で氣(タオ)を高める訓練相手{/netabare} にしようと企むなんて。
天仙様は全員打ち首ですな~wまぁ、首切っても死なんけどw


【音楽 4.0点】
劇伴担当は出羽 良彰氏。
謎の島のサバイバル感を演出する太鼓も交えた怪しげな戦闘曲もあり、
心情を美しく彩る綺麗なピアノとストリングスもあり。
清濁併せ呑む覚悟をBGMも後押し。

OP主題歌はmillennium parade×椎名林檎のコラボ曲「W●RK」
蠱毒(こどく)のような世界観に並のアーティストじゃ呑まれてしまう?と懸念しましたが、
初回にこれを聴いて大丈夫だとホッとしましたw
因みに「わーく」と読むが「WORK」ではない。
私みたいに「WORK」と検索して、何で配信されてないの?と右往左往することなどないようw

ED主題歌はUru「紙一重」
惨劇が繰り広げられた末に、ようやく一息付けるラブバラード。
もっともEDアニメは大量出血してますがw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 26
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

1期まではなかなか面白いです。駄作か秀作かは2期で決まりそう。

 生死を表裏から見ているような陰陽とか男女の性とかは面白いテーマだと思います。宗教や仙人思想などとを取り入れた島の設定、画眉丸と佐切というキャラの配置が男女だし公儀と罪人、生きたいという意識と殺していいのかという悩みなどの対比も良かったです。
もちろん地獄と極楽の対比もいいですね。生死観とか正義と悪みたいな組み合わせを象徴しています。花の描き方も不気味さが雰囲気を作っています。

 何より話は前に進んでいます。一応ですけど。

 テンセン様ですか。彼ら?が出てきてやっと物語が進みますが、前半の殺し合いが何だったの?とちょっと思ってしまいます。エンタメですから、キャラの強さとか背景の説明にある程度のバトルを積み重ねるのはいいと思うのですが、ちょっと冗長だった気がします。
 死んだキャラ達が物語に活きているか、と言えばあまりそういう感じもないので。

 で、テーマというか設定です。性的なまぐわいとかが出てくると、愛染明王とかカーマ的な感じです。日本→中国→インドみたいな宗教の源流をさかのぼるような感じになるんでしょうか。あるいは立川流みたいなものも連想します。
 物語全体では、画眉丸の妻との関係や妊娠、メイの設定などとの関係など何か言いたい感じはあります。
 

 そこが真剣に深掘りしてテーマ的に納得感があればいいんですけどね。なんとなく「タオ」設定がいかがわしすぎます。
 タオかあ。丹田とか気功などの感じですが、それが不死の秘密?なんか設定を設定で説明されるような、いかがわしさが急に出てきました。

 とはいえ、一応仙人といえば八仙で、テンセンが7人でメイを加えると8人だし、蓬莱と言う設定などなど考えると初めから一貫した設定に沿っているのかな、という気もします。

 ここまでの部分だとどうとっていいかわからない感じです。宗教や仙術について深掘りしているか、と言われると設定止まりな気がします。陰陽の部分だけ男女の愛情と性、出産と不死みたいなものを描いている感じはありますが。

 話は面白いと思います。話も進んでいるし。ただ、タオという設定だけで不死という設定を説明してしまうのはいただけません。
 そしてちょっと冗長かなあという気もします。もうちょっとペースを上げて欲しい気もします。なんか終わりに近づくにつれて佐切の影がどんどん薄くなって意味が希薄になっていますし。

 ということで、今後でしょうね。この先の展開しだいで駄作にも秀作にもなる感じです。そろそろ、テーマとか展開、設定をまとめに入って欲しいかなあ。余計なエピソードとかキャラはラスボスに関わるもの以外は増やさないで欲しいです。
 せっかくここまで作ったのだから、うまく2期でまとめてくれることを切に願います。

 評価のオール4は結論が見えておらず何とも言えないので、暫定の意味です。ただ、暫定とはいえ1期だけなら評価としては4を切る水準ではないと思います。



以下 8話時点の中間の感想です。

8話 かなり面白い。最大の興味は「妻」です。

{netabare} 死を商売にする2名が、罪人・公儀の表裏で自分の生き方を見直す話のようです。ダブル主人公といっていいかもしれません。

 画眉丸は妻の言葉、佐切は人を殺すことへの拒絶から迷いがある点が対比です。忍者と武家・剣術家という裏にある環境の対比もありました。また、佐切には女としての生き方の問題も含んでいるようです。また、男女のペアの物語が幾つかあるので、生死と愛情の問題にも注目でしょう。

 そして丹、つまり丹薬ですね。これはどうも人間の生命を苗床に育つ植物からできているような印象です。忍者の親玉の不老不死との対比でどんなところに重なってくるのかは楽しみな要素です。

 で、道教思想の架空の島、蓬莱島がモチーフというか神仙島は蓬莱島の別名です。秦の始皇帝で有名なアレですね。徳川将軍の生に対する執着と殺し合いを楽しむところは恐らく始皇帝からでしょう。

 木の化け物と娘のいる場所は、陰陽道的なモチーフもあるし中華的でした。

 島に出てくるクリーチャーが宗教的な要素を含んでいるのは、逆説的な恐怖のためなのかもしれませんし、人間の心に潜む死への恐怖が生み出した存在としての宗教を何か表現しているのかもしれませんが、この辺は今のところ保留です。

 結果として仙人=あの2人の男女が不老不死というだけでは面白くないですね。忍者の頭領とどうかかわってくるのか。
 そして一番気になるのは結局画眉丸の妻がどうなっているか、ですね。生きていても意識がないとか、見るに堪えない姿にされている。子供を産むだけの機械のような表現もあったので、子供を作らされている。そして殺されている。どうなるんでしょうか。

 若干、あの大男がなぜ必要だったかが首を傾げるところですが、佐切覚醒と深掘りするのに必要だったから?

 まあ、まだ話は半分です。かなり面白い部類に入るのではないでしょうか。生死と愛情つまりエロスとタナトスが根底にはあります。
 人生観・生死観などをテーマとして更に深めていってもいいし、エンタメとして舞台の種明かしの意外性やも期待できるし、ヒューマンドラマとして佐切の生き方や妻がどうなってその結果画眉丸がどうなるか見どころが多い作品です。 {/netabare}




 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

色々な要素が混ざり合って一つの味に

賀来ゆうじによる原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)で連載終了(原作未読)。アニメは全13話(2023年)、制作は、『呪術廻戦』、『とんでもスキルで異世界放浪メシ』などのMAPPA。2期の制作が決定。
(2023.3.11、評価修正)

あらすじは、時は江戸時代後期、血も涙もない「がらんどう」の最強忍者として恐れられた画眉丸(CV.小林千晃)は、幕府に囚われ処刑が執行されるものの、人間離れした強靭な肉体を持つため、ことごとく処刑が失敗する。そんな中、打ち首執行人・山田浅ェ門一門の佐切(CV.花守ゆみり)に極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免になるといわれ、画眉丸は「愛する妻にもう一度会うため」、仙薬探しを決意する。もっとも、島での探索は、他の死罪人とそれに監視役として同行する山田一門との競争であり、島には謎の化け物や生物が徘徊するなど危険に満ちていた…

ざっくりとしたイメージは、島という閉鎖空間で謎の巨大生物に怯えるという点で、『進撃の巨人』、グロテスクなダークファンタジーという点で、『ベルセルク』に近い。それらを足して和風にアレンジした感じ。

もっとも、全員ではないが個々のキャラクターの背景描写があって、犯罪者や、打ち首執行人という世間では忌避される役職に就いた様々な事情の一端が垣間見ることができ、人情ものの時代劇要素もある。

また、『キングダム』でお馴染み秦の始皇帝が徐福に探させた「蓬莱」や「不老不死の仙薬」がでてくる。本作が途中までなのでそれらの謎の全ては明かされないが、これらに関する謎解き要素も十分に魅力的。

あと、忍術や本作特有の設定である氣(タオ)を用いた戦闘シーンは、安心のMAPPAクオリティ。

こんな感じで、本作の魅力は、色々な要素が混ざり合って『地獄楽』という一つの味になっているところでしょうか(ラーメン屋にありそう…)。


【「中道」について】
混ざるといえば、本作のタイトルは、「地獄」と「極楽」が混ざっている。

他にも、本作では、氣の設定の「強い」と「弱い」や、強さの境地としての「感情」と「理性」といった「対立または矛盾する両極端の立場を離れ、両極端のどれにも偏らない中正な立場を貫く」(「日本大百科全書」)という意味の仏教用語である「中道」が1つのテーマとなっている。

例えば、怒りなどの「感情」に任せて戦えば、通常発揮できないような力を出すことができるかもしれないが、冷静に相手の弱点を狙ったりはできない。逆に「理性」によって冷静に対処しようとすれば、力を理性によってコントロールしようとするので通常以上の力は発揮できない。

そこで、頭の中だけで考えるのであれば、感情を爆発させた時のような力を発揮しながら、冷静でいられるのが「最強」ということになる(イメージ的には、「スーパーサイヤ人」が近いか…。)。

実際にできるかどうかは置いておくとして(笑)、そういう状態になるには、自分を常に切り替えて流転させると解釈できないこともない。
具体的なイメージとしては、作中にも出てきた陰陽を表す太極図(※道教でよく用いられる。わかりやすいのは韓国の国旗の真ん中にある、赤と青の丸いのを思い出してもらえれば。)。あれは、対立するものが、どっちも同時に存在して全部ということを表しています。

スポーツでも試合中だとワンプレイに一喜一憂せず集中を切らさず切り替えをはやくしろっていわれますよね。

本作に出てくる島も、地獄と極楽が同時に存在していることを表しているのかもしれませんね。


【人のために強くなる覚悟】
本作では、人がどんどん死んでいくし、残虐表現も多い。
それがもたらすグロテスクさは、死を身近に感じさせる。

もっとも、感情をもつ人であれば、人を殺すことに躊躇するのが普通であって、そこに躊躇がない者は「殺人鬼」とか「サイコパス」といわれる。

{netabare}画眉丸は、血も涙もない「がらんどう」といわれ、これまで人をただ命じられるまま無感情に殺してきた。したがって、情を持つことは人を殺めることに不要だと思ってきたが、妻のところに何としても帰ろうとする感情は自らの強さに繋がることに気づく。

一方、佐切は、女であるがゆえに武家の跡取りとして周囲から認められず、反骨心から打ち首執行人になったものの人を斬る覚悟が持てず役目を完全に受け入れられない自分もいた。そのためらいが剣を鈍らせていた。

人を殺める躊躇いを消すため無感情になるのではなく、感情は持ったまま人を殺める覚悟を決めた者の方がより強くなれる。

本作の魅力は、人のために強くなる覚悟を決めた二人の内面の成長物語にもあると思ってます。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

62.1 16 時代劇アニメランキング16位
無限の住人(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (94)
527人が棚に入れました
「剣道とは勝つことへの道」を標榜する剣客集団・逸刀流。彼らに両親を殺された少女・凛は仇討ちを遂げるため、不死の肉体を持つ男・万次に用心棒を依頼する。

声優・キャラクター
関智一、佐藤利奈、野島裕史、中井和哉、江原正士、小西克幸、浪川大輔、能登麻美子、豊口めぐみ、森川智之、三木眞一郎、坂本真綾、菅生隆之、関俊彦
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

そうなんだ。。新作が好きなら観てもいいかも

 
原作は未読。
新作『無限の住人 IMMORTAL』 は視聴済み。

だもんで・・
 ↑
 ちなみにこれって静岡なまりらしいですね・・
 自分は静岡出身じゃないですけど

どうしても比較して観てしまうのは必定・・
ってことで・・

OPがちょいエロw

■エピソード
一話目、万次の妹のエピソードは新作にはなかったですね。
新作で万次が「死んだ妹に似てるよお前」と言っていた背景が初めてわかって良かったです。
~{netabare}
ニ話からは新作と同じようなエピソードでした。
中身のエロさは新作の方がずっとすごいけどw
{/netabare}~

エピソードそのものは、原作が同じなので惹かれる部分はありますね。

■作画や演出
絵のインパクトは、まあ比べるべくもないかな。
演出は映像に頼らずとも心情描写ができていて悪くないような気がします。
まあ古い作品なのでそこは加味しないとですが。

■キャラ/キャスト
ヒロインの燐は声が良かった。
要所でのカットはやはりカワイイ。
これは視聴モチベとしては充分でした。
~{netabare}
万次:関智一
 はじめ細谷さんかと思った。
 関さんは・・
 エヴァンゲリオン(鈴原トウジ)
 フルメタル・パニック(相良宗介)
 Fate/stay night(ギルガメッシュ)
 Fate/Zero(アーチャー)
 PSYCHO-PASS サイコパス(狡噛慎也)
 鬼滅の刃(風柱:不死川実弥)
 呪術廻戦(パンダ)
 めちゃくちゃお世話になってましたw

浅野凜:佐藤利奈
 佐倉さんと声似てる・・
 新作であやねるが選ばれたのは必然かな。
 利奈さんは・・
 ネギま!?(ネギ)
 とある科学の超電磁砲(御坂美琴)
 アマガミSS(棚町薫)
 咲-Saki- 全国編(臼沢塞)
 シドニアの騎士(田寛ヌミ)
 すのはら荘の管理人さん(春原彩花)
 エガオノダイカ(レイラ・エトワール)
 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(リュカ)
 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(産屋敷あまね)
 ARIA The CREPUSCOLO(アテナ)

 え・・ARIAで川上さんを引き継いだ方だったんですね・・
 今こうして知ることになったのも必然かな。

乙橘槇絵:能登麻美子
 頭巾を取ると美しい・・
 能登さんのお色気シーンが貴重。
 ま、最近はゴールデンカムイなんかも
 やってますが、CLANNADやってた頃を
 知るものとしては・・ねw
 ちょいとおさらいしてみましょうかね・・
 CLANNAD(一ノ瀬ことみ)
 大正野球娘。(宗谷雪)
 花咲くいろは(輪島巴)
 地獄少女(閻魔あい)
 宝石の国(ユークレース)
 はたらく細胞(ナレーション)
 ゴールデンカムイ(インカㇻマッ)
 かくしごと(姫の母)
 君に届け(黒沼爽子)
 リゼロ(エルザ)
 うん。

百琳:豊口めぐみ
 今作ではキャラは無事なままでした ^^
 豊口さんは・・
 咲-Saki- 阿知賀編(渋谷尭深)
 転生したらスライムだった件(大賢者)
 エグゼロス(ギタイ蟲)
 魔女の旅々(ローズマリー)
 ふむ。

町:坂本真綾
 万次の妹?
 即死キャラにマーヤさんとは・・
 出演紹介はありすぎて断念w
{/netabare}~

てか、尺があるとはいえ、ソコで終わったら・・
消化不良でしょやw

たしかインタビュー映像で、原作者は再アニメ化の話があった時、前例があって迷ったとか言っていたような。まーこういう作り方、終わり方されたんじゃ分かる気もしますね。

新作、二期としてではなく作り直してくれてありがたいです。

でも自分は、これはこれでなかなか楽しめました。
新作を観たからこそかも知れませんが。

 原作:沙村広明(講談社「アフタヌーン」連載)
 監督:真下耕一
 キャラデザ:山下喜光
 制作:BeeTrain
 制作協力:Production I.G
 放送:2008年8月
   (新作は2019年10月)
 視聴:2020年11月 dアニメストア

実写版はなんか観る気がしないなぁ・・w
 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

刮目せよ! 凶気の宴、ここに開幕!

この作品の原作は未読ですが、2019年の秋アニメで「無限の住人-IMMORTAL-」が放送されることを知り、是非先に視聴しておきたいと思い、この作品を手に取りました。
本当はもう少し早めに見終えたかったのですが、リアタイ作品の視聴に追われ今まで時間を要してしまいました。


「勝つ事こそ剣の道」と断ずる逸刀流統主・天津影久に両親を惨殺された
少女・凜は、身に血仙蟲を埋め込み不死身となった100人斬りの男・卍を
助っ人とし、仇討ちの旅に出る…!

1993年、アフタヌーン誌上に登場するや、その圧倒的な画力・大胆な演出、
斬新な殺陣…等々により「時代劇」というジャンルを一躍エンターテインメントの
主流へと蘇らせた[ネオ時代劇] 遂にアニメ化…!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作が放送されたのが2008年なので今から10年以上前になります。
確かに若干の古さは感じましたが、キャラデザなんかは今でも十分通用するほど綺麗だったと思います。

少し気になったのが放送期間です。
全13話であるにも関わらず、7月から12月までの2クール分を使って放送されていたんです。
これも大人の事情が関連しているのでしょうか。

それと起用されている声優さんは、今でもバリバリ活躍されているベテランの方々です。
主人公の卍が関智一さん、ヒロインの浅野凜がサトリナ、これに能登麻美子さんまで出てくるのですからテンションは上がりまくりです。

そして一番気になったのは何故全13話だったか、ということです。
それは、全13話で物語が完結していないからです。
アニメの放送期間が2008年の7月~12月で、漫画の連載が2012年の12月まで続いたようなので、アニメが連載に追い付いてしまったからでしょうか。
妙なアニオリエンドにしてしまうと作品のイメージを崩しかねないから、途中で終わらせたのかもしれません。
それなら何故続編が制作されなかったのでしょう。

親の仇打ちの旅…
それは仇討ちが決して楽な旅じゃないことを思い知る旅でもありました。
何度も心が折れそうになりました。
確かに凜は無天一流当統主の一人娘です。
ですが、統主の子供が必ず強いという訳ではありませんし、ましてや凜は非力女の子なんです。

そし相手は仮にも統主…力の差は歴然としています。
だから卍の力を借りたんです。
自分の使えるものは全て使って倒す相手が親の仇…
ようやくそう前を向くことができたというのに…
ここで終わってしまったら、ただの販促作品になってしまいます。

だから、10年もの時を経て今回アニメが制作されたのかもしれませんね。
「無限の住人-IMMORTAL-」は未だ視聴していないので、物語がどこからはじまるかが物凄く気になります。
本作の続きでも構いませんし、10年間に進化した技術を駆使して物語の初めからでも良いと思います。
でもせっかくなら個人的には後者であると嬉しいですけど。

そういえば、AパートとBパートのアイキャッチ画像がやたら現代風でした。
本作は時代劇であるにも関わらず、アイキャッチ画像には高層ビル群が描かれていましたから…
両者がどの様な関係があるのか…最後まで視聴しても分からなかったのが少し残念です。

オープニングテーマは、枕草子さんの「赤いウサギ」
エンディングテーマは、GRAPEVINEさんの「wants」

1クール全13話の物語でした。
思いのほか堪能できた作品でした。
そしていよいよ「無限の住人-IMMORTAL-」を視聴したいと思います。
今度は物語が完結するまで描かれることを期待しています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

不死設定が活かせておらず。全体にマイルドな印象です。

 原作の沙村広明氏は、どちらかといえば短編に印象的な作品が多いです。同じくアニメ化された「波よ、聞いてくれ」も5巻しかありませんので、29巻というかなり長い連載ものは異色です。原作既読なはずなんですけど、不思議なほどラストの記憶がないですが、本作の部分まではしっかりと覚えていました。

 なお、2020年にリメークされているのをいまレビューを書こうとして初めて知りましたので、見ようと思います。

 本作原作は、仇討ちが本筋で一貫したストーリではありますが、エピソードエピソードで途切れており、短編のストーリーテラーらしい構成になっています。アニメはほぼ原作通りです。一部構成が違います。

 剣客ものですので基本殺し合いです。江戸ということで女性の人権の扱いはひどく性的な要素もありますが、アニメは原作に比べて表現は抑えているので直接的ではありません。

 ヒロインが仇討ちをしながらも、敵との戦いを通じて、強くなるとは?剣技の流派とは?仇討ちの意味は?などを自問自答しながらエピソードが進んでゆきます。ちょっとツンデレで可愛いところがあるので、悪くはないですがヒロインとしては作りすぎな感じがします。

「八百比丘尼」関連ということで「人魚の森」や「虚構推理」「火の鳥」などでおなじみの不死ものです。本作の不満点は、その不死設定として、死ねないという意味が弱く、そこを期待していた割には期待外れという気がします。単なる俺TUEEE設定と言えなくはないです。

 夜鷹の剣客の話が、一番沙村氏的な雰囲気がありました。剣客である意味の問いかけなどで、なかなか深みがあるキャラ造形ができていました。
 氏はやはり女性性を扱ったほうが、向いている気がしました。それをかなりマイルドに抑えたのは、月刊アフタヌーン連載だからかも。また、同様に考察・哲学・グロ・不条理などの要素を薄めるよう調整したのかもしれません。

 なお、アニメ版の12話の「斜凛」は10話の「變面」の前に置いてしまうと、あの屈辱的な草鞋のシーンの意味が読み取れなくなる気がしました。ヒロインの内面的にかなり重要なシーンなので、この構成は首を傾げました。
 あとは妹の部分をカットして良かったのかなあ?と思います。主人公の動機に関わる部分ですから。ただ、テレビアニメだと厳しいエピソードですね。

 作画は原作と違いスッキリとした作画で見やすいです。ただ、キャラデザとのバランスが悪くなってしまい、あまりアニメ絵としてキャラに魅力が無くなってしまった気がします。
 バトルシーンが少なく物足りない気もしました。演出でなんとかしていましたけど。

 ということで、作品は原作自体が、沙村氏のわりにマイルドな感じがする話です。不死設定も扱いあぐねている感じがあります。アニメは構成が違うもののほぼ原作通りですが、原作通り過ぎです。これだったら原作の方が画を楽しめる分良い気がします。

 ちょっとアニメ作品としては、あまり高い評価が付けられる作品ではないかなあ、という気がします。

 2020年版確認してみます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

68.0 17 時代劇アニメランキング17位
つくもがみ貸します(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (122)
523人が棚に入れました
江戸は深川、仲町にて損料屋・出雲屋を営む、お紅と清次という姉弟がいた。 損料屋というのは、日用品から骨董品、そして美術品とありとあらゆる品をいく らかで客に貸し出す商いのこと。
ただこの出雲屋が取り扱う道具たちが、他の店のものと一味も二味も違うのは、 作られてから百年以上が過ぎ、魂を宿した「つくもがみ」という一種の妖のような ものになってしまっているところ。
お客の元に貸し出されては、色々な話を聞いて来て、噂話を繰り広げる 「つくもがみ」たち。人が良く情け深いお紅と清次は、そんな「つくもがみ」たちの 力を借りながらこの町で起こる大小さまざまな騒動を解決していく。
江戸の町に花開く「つくもがみ」と人間たちとが織り成す悲喜こもごもの人情噺、 骨の髄までとくとご堪能あれ―――。

声優・キャラクター
榎木淳弥、小松未可子、櫻井孝宏、奈良徹、仲野裕、平川大輔、明坂聡美、井口裕香、片岡愛之助
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

浦沢義雄が関わってるってのは前もって覚悟しといたほうがいい

1話感想{netabare}
ふう、“あそびあそばせ”もそうだけど、やっぱりナレーションは落ち着いてる方がいいですね。
悪くない。
悪くないからこそ気になって仕方ないのが一点。

夕暮れ時にアサガオが咲いてる

な、なんだこれ…。
園芸警察する気は無いけど、これだけクオリティある作品でなんでこんなことが…って思うと頭がクラクラしてくる。
釣りシノブでもホオズキでも良かったのになぜアサガオ。
実写作品だったら撮影の時おかしいと気付けたハズだけど、ひょっとして意図的なものなのか?
付喪神が存在する世界なので、こうやって頭クラクラさせて御伽の世界に誘う、みたいな。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
2話は江戸版“おもちゃのちゃちゃちゃ”。
やっぱりがくや姫ってのは男を惑わす魔性の女になるのかw
ツクヨミは使いにくいだけの駄物か?と思わせてからの、実は玄人向けの由緒ある掛け軸だったと判明。
気難しいのはそこら辺からも関係してるのか。
で、暫くはこんな感じでメイン付喪神の紹介が続くのかな?ってことで3話は櫛のうさぎの話。
まぁここまでは良かった…良かったっていうかまだ「あれ?」と感じる違和感が薄くて済んだ。

4話、キセルは出ても紫煙をくゆらすシーンはさすがに無理かー。
自分的にはキセルといったら「も~おこんなに有名よ~」と歌いながらドロンジョがドクロ型の煙吐き出すか、時代劇で親分が囲炉裏にタンタンと打ち付けるイメージなんだけど、どっちも吸ってないと絵にならなくて…NHKではあれが限界だったのかな。
ここまではいい。
あれだけシャイな幸之助が茶屋の娘に好意を寄せてるってバレてスラスラと喋り出したのに違和感。
清次も妙に心が狭くて、これは脚本上の都合(主に尺)か?
5話は朝日新聞のサンゴ事件…はいいとして、相手の気持ちを聞かずに縁談の話を進めるのって自分はどうにもイラっと来る。
でもって6話はわらしべ長者。
交換してくれる相手を探すのが一番大変なワケで、そこを付喪神にやってもらったってのは良いと思う。
もしこれが私腹を肥やす目的だったら付喪神は協力しないんじゃないかな?って思えばその手段で大金持ちになってないことにも合点がいく。
ただ、お紅は「お前なんかアイデア出せ」ってせっつくだけで何もしてないよね?
ってか川に落ちたって聞いても一切心配する素振りも無く朝食が冷めたことにふくれっ面って…。
ってか川に落としたって聞いて「何を?」とその場で聞かないって…。
う、う~ん?
拾ったものを「これはオレのもんだ」って言い張るのは…まぁ江戸だし?ってことでこれはいい。
ただどれだけ治安が今とは違うかの解説は欲しかったかも?
サブタイトルの碧瑠璃って言葉は園芸で有名な植物があるので知ってたつもりだったけど、ああ、本来は水や空の色を指す言葉だったのね、ってのはググって知った。
サブタイは大川を指してるのか。
で、ググった理由は別に碧瑠璃を知りたくてってことではなく、オチが分からん!から。
いやホント全然分からん。
落語や歌舞伎の演目に元ネタあるのかな?と思ったがそうじゃない?
イワシの頭も信心からってこと?(かなり自信無い)
な、なんなんだこれは…誰か解説求む。

じわりじわりと「そうじゃなくね?」って感情が膨れつつあります、この先挽回できるかな?{/netabare}

11話までの感想{netabare}
↑の6話の意味不明さ(弘法のありがたいお話とオチがどう繋がってるのか不明)が8話で再び炸裂、オバケ煙突がオチにどう繋がってるのかサッパリ分からない。
なんだこれー?と思ってたら…スタッフを見て納得。

脚本:浦 沢 義 雄

なぁ~~~~~~~~んだ、そういうことか。
浦沢義雄って素でヤク中起こしてる人で、作品の内容を深く考えることは無意味です、キチの考えることは常人には分かりません。
文句じゃなくてね、アーティストとかよく薬やってんじゃん?あれと一緒、考えるな感じろの作風。
心得てはいたハズなんだけど、これってちゃんと原作あるんでしょ?まさか浦沢節が炸裂してるとは露にも思わなんだ。
いやぁこれは自分が悪かった。

ってことで、この作品をあれこれ考えるのはどーでも良くなりました、文句じゃなくてね。{/netabare}

最終回まで観て{netabare}
普通に終わった。
最後の最後にのっぴきならぬ事情で禁を破る(野鉄がお紅と話す)って王道展開にはやっぱりアツいものがある。
散々人に迷惑かけといて男の意地(面子)優先でお紅の気持ちを考えようともしなかったサタローがフラれたのもザマァって感じで爽快。
…。
けどなー、だからこそなぁ…浦沢義雄の回が邪魔。
↑では言わなかったけど「祈祷師何だったんだよ!」とかね。
wikiってみたら各話スタッフが書かれてたので確認してみると、5・6・8・10話が浦沢義雄脚本回。
確かに5・6話の二連続はちょっとした障壁、4話までに形成された雰囲気がガラっと変わって「あれ、この作品ってこんなノリだったっけ?」と戸惑うことに。
もしこれから観てみようかって方が居たら浦沢義雄回は見ないほうが良いって言いたいトコロだけど…そうすると半助が「なんだこの京本政樹みたいなキャラは」ってことになっちゃうのか、ぐぬぬ。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

江戸の町に花開く「つくもがみ」と人間たちとが織り成す悲喜こもごもの人情噺…

この作品の原作は未読です。
でもキャラデザ…特に女性のキャラデザが好みだったので一目で視聴を決めた作品でした。
みかこし、明坂さん、井口さんの出演も背中を押してくれましたけれど…

物語の舞台は江戸…
江戸の深川で「出雲屋」という損料屋を営む「お紅」と「清次」という姉弟の物語です。

損料屋とは、ありとあらゆるモノを有料で貸し出す商いのこと…
この物語の見どころの一つは、この出雲屋で貸し出される道具たちそのもの…
実は出雲屋で取り扱っている道具の中には、作られてから百年以上経過したモノがあるんです。
長い年月が道具にもたらすモノといえば…?
そう、ここには「つくもがみ」を宿した道具が貸し出されているんです。

面白いのはそれだけではありません。
道具は様々なお客様の元に貸し出されていくのですが、行った先々で聞いてきた色々な話を肴にした噂話談義に毎回花が咲くんです。
でもつくもがみには幾つかルールがあって、つくもがみは人間と直接会話ができないんだそうです。
だから、いつも会話は一方通行ばかり…
でも、その一方通行が功を奏することもあるんです。
お紅と清次は、舞い込んでくる様々なトラブルをつくもがみの力を借りながら解決していく…そんな感じの物語になっています。

とは書きましたが…
トラブルの解決も確かに面白いのですが、一番の見どころは胸に秘めた淡い想いの行方かもしれません。
私がこの作品を毎週待ち望んでいた一番の理由は、みかこし演じるお紅の可愛らしさが半端無かったから…
大きな蝶のような鮮やかな髪留めが、彼女の可愛らしさに彩りを添えています。
でもそれは見た目の話…実際には明るく優しい性格を兼ね備えているんだから堪りません。

そんな可愛い姉と四六時中一緒に居る弟の清次…
淡い想いを抱いても仕方ないと思います。
彼は、そういう想いを懐いて良い間柄でしたから…
でも、お紅は彼女なりの矜持があって清次はそれを知っているから、どんなに慕っていてもその気持ちが言葉になる事はありません。

寧ろ、清次はいつだって彼女の想いを成就させる事を何よりも優先させるんです。
例え、それが姉が自分から遠ざかってしまう結果だと分かっていたとしても…
一生懸命表情を繕おうとしていますが、心が荒れているのが手に取るように分かります。
だって、もし自分が清次の立場だったら…間違いなく心は荒れるでしょうから…

そんな二人を結果的に影から支えているのが「つくもがみ」たちなんです。
彼らの外で見聞きしたネタを肴に他愛の無い世間話を聞いていると心が和みます。
昔は実際に見聞きする以外、情報を得る手段が無かったのだから当然ですけれど…

でも、お紅と清次を取り巻いているのは「つくもがみ」だけじゃないんです。
wikiにも、公式HPのキャラクターにも載っていませんでしたが、お互いに支え合う仲間がちゃんといるんです。
「困ったときはお互い様」
完走して振り返ってみると、この言葉通りの良い関係だったのではないでしょうか。

様々な思いが交錯します。
でも、基本的に優しくて正直な人ばかりなので嫌な気持ちになる事はありません。
こうなると気が気でないのはお紅の言動だったんですが…
優しさには色んな形がありますが、この作品でもまた違った形の優しさを見ることができました。
温かさが溢れていたからでしょうか…
私にとってのストライクな展開だったと思います。

オープニングテーマは、MIYAVI vs シシド・カフカさんの「Get Into My Heart」
エンディングテーマは、倉木麻衣さんの「今宵は夢を見させて」
個人的に好きなのはオープニングでしたが、倉木さんはデビュー当時によく聞いていたので懐かしい感じがしました。

1クール全12話の物語でした。
7月の後半から放送が開始されたこと、物語的にもっと続いてもおかしくなかったことから、てっきり秋アニメでも継続して放送するとばかり思っていましたが、どうやら違った様です。
でもさすがはNHK…しっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 27
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

じわじわくる感じでお勧めは一気見です

<2018/10/15>
最終話見終えました。
素直に良かったです。

一話一話はお話の盛り上がりが感じられず平坦な印象のとこもありましたが、全12話通して観ると全てが最後の盛り上がりに繋がっていて非常に楽しめました。

結局は{netabare} 清次の独り相撲{/netabare} というか、{netabare} 「清次、しっかりしなさい!」{/netabare} というか。

お紅の{netabare} 各話での佐太郎や蘇芳{/netabare} に対するリアクションや表情をよくよく見てると、お話の帰結は最初からわかってたようなもんですが、でも予定調和というものは大事なものです。

お紅が最終話で清次とそこには居ない佐太郎に怒るシーン。
「え?なんでなんで?」となる清次の気持ちがよくわかります。
男って無自覚に{netabare} 好きな女性にはええカッコしたいもの。それが「筋を通す」{/netabare} という行動に現れるわけです。
それにブチ切れるお紅の反応も{netabare} 「あー、そうそう。女性にとって大事なとこはそこじゃないんだよなー」{/netabare} って納得。

これ、アニメで見てるからそう思うけど自分のことの時は全くわかんないんですよ、男は 笑

最終話ではさらにお紅の可愛さが増していきます。
{netabare} 自分のことを「姉さん」と呼び続ける清次にブチ切れるお紅。
「お前、もういい加減にしろや」という積もり積もった、伝わらない好意の裏返しの怒り。{/netabare}
めちゃくちゃ可愛いですね

そして最終話のクライマックス!
{netabare} 心配して駆けつけたお紅が清次に抱きつくシーン。
お紅の可愛さが炸裂した瞬間。{/netabare}

これを見るために全話を用意してるような作品です。

あんなお紅を見れただけで私は満足です。。


<2018/7/23初投稿>
原作は未読です。
まだ1話観ただけなので評価はデフォルトの3

NHKのアニメはちゃいちょい良い作品があり蔑ろにできないのですが、これはノーマークでした。

感想からいくと「これはいい」
妖怪的なものを題材とした落ち着いた雰囲気の作品には好きなもの割と多いのですが、これは自分が大好きなやつでした。

時は江戸時代、損料屋、つまり古道具を貸し出す商いを営む清次とお紅の姉弟が主人公の推理モノです。

二人が貸し出す古道具は人に愛され使い古され「付喪神(つくもがみ)」となったものばかり。
そんな付喪神たちが{netabare} 貸し出されるという態で情報収集に走り・・・{/netabare}

というお話なんですが、まずこの付喪神たちと姉弟の関係性がいいですね。
最初「まさかポケモンみたいに使役するのか?"ゲットなんやぜ"しちゃうのか!」とか思って観てましたが全然そんなじゃなかった。
姉弟との距離感は・・・それは観てのお楽しみということで。
ちなみに付喪神はみな楽しい個性がありキャラが立ってます。

あと謎の方ですが変にテクニカルに走ってないのが良い。
「真実は一つ!」みたいにやられたら興ざめ(いや、それはそれで面白いのか?笑)でしたが全然そんなではなかったです。
一話完結のようですが、謎解きというより問題解決というか、そう。
「神様の御用人」に近い感じでしょうか。

あと清次とお紅は{netabare} 血は繋がってないそうです。
阿良々木暦君なら「義理の姉なんざ・・・萌えるだけだろうがぁっ!」とか名言発射しそうですが、清次さんはもちろんそんなことは言いません。
つか言ったら世界観ぶち壊し。{/netabare}

この二人には他にも謎があるようで、そこら辺も含め今後楽しみです。

というわけで、まだ一話しかみてませんが。
自分の中では「今季一番気になる作品」に躍り出ました。

<2018/8/7追記>
3話までみました。
原作読んでないですが1話は端折った印象が拭えず少し不安あったのですが、2話以降話の進み方も落ち着いてきた感じします。
時代考証もしっかりしてるようでそういう意味でもNHKらしい。
少し淡白にも感じますが今期他に見てるのが濃い味のが多いので助かります。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36

79.3 18 時代劇アニメランキング18位
多田くんは恋をしない(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (618)
2736人が棚に入れました
カメラを手に、満開の桜の写真を撮りにきていた光良は、異国から日本にやってきたばかりだという少女テレサに出会う。日本に着いて早々に、連れとはぐれてしまい、迷子になっていた彼女を助けることになった光良は、祖父が営んでいる多田珈琲店へとテレサを連れていくのだが…。まだ“恋”を知らない少年と少女を中心に繰り広げられるドタバタラブコメディーが幕を開ける。

声優・キャラクター
中村悠一、石見舞菜香、宮野真守、下地紫野、梅原裕一郎、石上静香、下野紘、水瀬いのり、櫻井孝宏、大塚明夫
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

多田くんは劣化少女漫画

2018年春。大ヒットした「月刊少女野崎君」のスタッフを再結集して制作されたオリジナルアニメ。笑って泣けるドタバタ青春ラブコメディー・・・(自称)である。

来 ま し た 今 期 の 酷 評 枠。

久し振りに2点台をつけてしまうくらい出来が悪かった。本当に一切褒めていないので、このアニメが好きな方は以下のレビューを読まずにスルーすることを勧める。評価できるのはオーイシマサヨシのOP曲くらいなのだから仕方ない。

また、タグ内はネタバレに配慮していませんので、未視聴の方には「面白いラブコメは他にいくらでもあるから他の作品にしておいた方がいいですよ」とだけ言っておきます。

☆☆ 多田くんはギャグがつまらない ☆☆
{netabare}
見てすぐ感じるのはギャグのつまらなさだ。ギャグの面白い・面白くないは好みの要素が強いとはいえ、ここまで外しているとつまらない理由を素人が簡単に指摘できてしまう。本作は伊集院の自撮りナルシスキャラだとか、テレサの時代劇かぶれだとかギャグが各人物の持ちネタで完結してしまっていて、掛け合いの中で笑いを生み出せていない。キャラ同士の会話が面白くないので、画面の中では楽しそうにしていても見ている方はまるで盛り上がらない。伊集院のハイテンションキャラが五月蠅いと散々言われたのは誰も彼に適切な突っ込みを入れないので、集団の中で浮いてしまっているからだ。

そもそも持ちネタも面白いとはいえない。「戦慄のニャンコビッグ!」をみたいなしょーもないネタを毎週毎週見せられてもうんざりする。まるで売れないピン芸人を集めたバラエティー番組にように寒々とした作風が多田恋の特徴といえる。

野崎君は少女漫画脳がつくる可笑しさを実際の漫画のコマで見せる手間ひまかけたネタがウリだったが、多田くんには核となるネタがない。あるのは大して面白くないギャグの天丼だけ。第2話では校庭や廊下をドタバタと走り回って「これが本当のドタバタコメディーだ!」という斬新なギャグを披露するが、死ぬほどつまらないしカメラ持って走り回ったら危ないだろという真面目な感想しか持てない。これでは「素直に野崎君2期やっとけば良かったのに」と言われてもやむなしである。
{/netabare}

☆☆ 多田くんは設定を活かせていない ☆☆
{netabare}
本作にはキャラの設定をまるで活かせていないという特徴がある。それも設定が活かせていないからキャラに魅力がないというだけでなく、ストーリー展開に支障をきたすという二重苦になっている。例をあげていこう。

まずはヒロインのテレサ。彼女はヨーロッパのどこかにある国、ラルセンブルクの王の一人娘であり、ゆくゆくは王位を継承し王女として生きていく定めである。子供の頃見たレインボー将軍という時代劇の絵本を見たことがきっかけで憧れを持ち日本に留学する。時代劇かぶれという設定の古臭さもどうかと思うが、それよりも王女であることを土壇場まで隠していることが問題だ。視聴者にはオープンでありながら、親しくしている人たちには明かさない。多田くんだけが、日本にいるうちにテレサが王族だと気付けば特別な関係性を築けたのではないか。旅先で発覚しショックを受けても今更感が半端ないし、多田くんの叔父さんは知っているならもっと早く教えてやれよ、と思う。そして彼らに礼の一言も言わず突然去っていく。その理由も極めて個人的な感情の問題だ。そのくせ多田とラルセンブルクで再会できたとき、「あの素晴らしい経験のおかげで私はとても成長することができました」と言う。どの辺が成長できたのかさっぱり分からない。こんな不誠実なヒロインに好感を持てる人がどれだけいるだろう?これでは「多田くんの妹さえいればいい」と言われてもやむなしである。

次に多田くん。彼は決して悪い男ではない。クールなイケメンで優しくて人当りがよく、後輩からもお客様からも慕われている。祖父が経営する喫茶店で働く真面目な性格。カメラマンになりたいという将来の夢もある。現実では何の問題もない人物に思えるが、恋愛アニメの主人公としてはキャラが薄くて印象に残らないという致命的な欠陥がある。ハイスペック男子なのに影が薄い理由は前半の出番が少ないこともあるが、先ほど挙げたイケメン要素は、山下犬をはじめてとして他のキャラが彼を適当な言葉でヨイショするだけで見ていてまるで実感できないからである。要するに彼のパーソナリティではなくただの設定の羅列になってしまっている。

カメラマンを目指して頑張っている?具体的に何を?カメラ好きという設定は写真部を舞台にしているせいで全然特徴になっていない。プロを目指しているなら他の部員との違いを見せて欲しい。祖父の店を手伝っていて偉い?妹のゆいも店の手伝いをしているから普通に見えてしまう。第12話で床に落ちている大福を拾って落ちていない大福が載っている皿に戻すという最低の演出がある。庶民と王族の身分差を表現する意図があったのかもしれないが、銀座の由緒ある喫茶店で働いているという彼の設定とそこから生まれるイメージを殺したも同然で、僕には全く理解できない演出だった。どの設定も活かされず焦点が定まらないピンボケ写真のようなキャラ。それが多田くんである。

他のキャラも似たようなもので、伊集院はいい友人であることより騒々しさが悪目立ちして不快なキャラになっている。ピン先輩も喫茶店でグラビア雑誌を広げて読むような非常識さが目立った。唯一シャルルだけは気品と気さくさを兼ね備えた好男子であったが、それがライバルキャラでかつ一番不遇な扱いをされるのが悲しい。彼がテレサを愛しているという設定も最終回をハッピーエンドにしたいのであれば余計で、結末に納得いかない人を増やしてしまった。

総じて、キャラを展開ありきで動かしすぎて魅力を損ねるという本末転倒なことをしているように思う。
{/netabare}

☆☆ 多田くんには過程がない ☆☆
{netabare}
多くの方が指摘しているように、多田恋はストーリー構成に難がある。キャラ紹介が終わった後、第3話から第7話まで主役である多田・テレサを差し置いてサブキャラが中心のストーリーが展開される。第3話はなんとニャンコビッグ回。飼っている猫より存在感の無い主人公など前代未聞だろう。

主役の2人についてキャラがよく掴めないまま第8話以降、多田とテレサがいきなり急接近する。当然のように「なんで二人が恋に落ちたのか分からない」という声が出てくる。そして多田テレがお互いを意識し、恋煩いに陥るようになってもその疑問は解消されず、全く感情移入できないという恋愛物では最悪の事態になる。

これに対して「恋愛なんてそんなものだろ、理由は後付けで気付いたら好きになっているものだ」という反論もある。確かに年頃の男女が毎日顔を合わせれば恋に落ちるのは自然な流れなのだが…現実ではそれで良くても恋愛物のフィクションとしては間違いなく駄目だと言い切れる。

アニメのキャラなんてものは最初は見ている人と完全な赤の他人である。画面の中で動く絵でしかない。それが毎週アニメを見て物語の中でキャラの性格や考え方を理解していくうちに一体感が生まれ、感情移入できるようになるものだ。ところが本作は「こりゃ好きになるよ」と思えるようなエピソードが一つもないまま何やらいいムードになり、壮大な音楽が流れ始め、作り物感満載の恋に落ちる演出を見せられる。一応、直前に気の利いた風の台詞を言う場面があるのだがここに至るまでの印象がとにかく薄いため視聴者の心には全く響かないだろう。

というか、ここのスタッフは自分達で作り上げたキャラを視聴者に魅力的な人物だと思ってもらいたくないのだろうか?普通の監督や脚本家はオリジナル作品を作らせてもらえる機会なんて1回あるかないか。恋愛物はクリエイターなら誰もが一度は挑戦してみたいと思うであろうスタンダードなテーマである。それこそ本当に好きな人が出来たときのように、あの手この手をを使って、相手(視聴者)に自分(のアニメのキャラ)を好きになってもらおうとアピールするものではないのか?

キャラデザと声優の配役だけで気に入ってくれる方ももちろんいるだろうが、それだけで勝負するのは「下手な鉄砲数打ちゃ当たる!駄目なら次!」というナンパ師のようなノリでアタックするのと同じだ。そんな軽い気持ちで作った恋愛物など面白いはずがない。恋愛物は過程が大事というが、それを反面教師として実感できる。これでは"クソ脚本"とこき下ろされてもやむなしである。
{/netabare}

☆☆ 多田くんは劣化少女漫画でしかない ☆☆
{netabare}
多田恋は一見女の子向けで少女漫画風のアニメに見えるが、似て非なるものである。少女漫画にあって多田恋にないもの。それは「頑張るあなたを応援する」という精神だ。少女漫画のヒロインはどこにでもいる普通の子でありながら、恋に・・・勉強に・・・スポーツに・・・吹奏楽に・・・カルタに・・・彼女たちは何に対しても一生懸命で、それが生まれ持った素質で勝るライバル達を跳ね返す魅力、そして主人公感を作っている。よくできた少女漫画の主人公は少年漫画のヒロイン以上に可愛く見えるものだ。

一方本作はどうだろうか?テレサは留学で日本に遊びに来ただけ。好きな人ができたらお世話になった人達に礼も言わずに逃げ帰る意気地なし。そして最終回、国をほっぽり出して感情の赴くままに日本に突然現れる姿には王族としての誇りや責任感などまるで感じられない。恵まれた環境に育ったヨーロッパの王女という設定だけでも馴染みにくいのに、努力もせずニコニコしていれば周りからチヤホヤされ、自分の我だけは突き通すテレサに女性視聴者が自分と重ね合わせて見るとは思えない。一般論として思春期の女の子は「特別になりたい」と思うものだが、最初から特別な人間は彼女たちの気持ちと相反し反感を買う存在なのだ。というか、少女漫画なら負け役ライバルのポジションだろこれ。キャラ設定の段階で誰も疑問に思わなかったのだろうか。

多田くんにしてもテレサとそう変わらない。彼のしたことは苦手な飛行機を我慢して乗り、後は友人に背中を押され、恋敵であるシャルルにお膳立てしてもらった上で告白しただけ。「ローマの休日」で新聞記者のジョーは富も地位も投げ捨ててアン王女への愛を体現してみせたが、多田恋はそれをライバル役のシャルルにやらせるという斬新な脚本を見せる。斬新すぎてシャルルだけでなく主人公らしい見せ場を与えられなかった多田くんにも同情してしまう。

このアニメは主人公2人を徹底的に甘やかす。画面内で目立った活躍をしてないにも関わらず「いい奴だ」「頑張っている」「可愛い」など皆して褒めちぎり、彼らの都合の良い方へ都合の良い方へ、周りの人間が忖度して事を運んでくれる。制作者は「最近の男は草食系男子だからww」「ゆとりだからww」などと今の世代に配慮したつもりなのだろうか。そんなの大きなお世話だと思うよ。最終話、レイチェルの「最後はハッピーエンドがいいわね」という台詞からのやっつけ仕事的なCパートの展開も「今の女の子は切ない恋愛物が苦手だし、これなら納得するでしょ」と現役のJCやJKを馬鹿にしているようにしか思えなかった。

多田恋は他のラブコメ作品や少女漫画を表面的になぞっているだけで、古き良き少女漫画の伝統が息づいていない。何より自分たちで作り出したキャラクターへの愛が希薄で、作り手の思いが見ていても伝わってこない。「仏作って魂入れず」とはまさにこのこと。貴重な女性向けオリジナル作品なのにこの出来では、今後女性向けはホモアニメに席巻されてしまうんじゃないかと余計な心配をしてしまう。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

最終話&総評 『ローマの休日』が優れた映画だと再認識させたアニメ

タイトルだけではどんな話かわからないけど、ラブコメみたいなので見ると思う。


第1話 オチがあると思って見ていたら……
{netabare}
面白いけど、平凡だなあという印象。ラストにテレサについてオチがあるんだろうと思って見ていた。アレクが出てきたころに気づいた。

たぶん、テレサは王女様。

テレサの服装が『ローマの休日』の王女様とよく似ている。映画では記者がこっそり王女の写真を撮っていたし。そこからヒントを得て、カメラのシーンから始まったんだと思う。
テレサの秘密を知って、恋をしないってことなのか?
{/netabare}

第2話 サブキャラのほうが……
{netabare}
サブキャラのエピソードで2、3話は稼げそう。映画のようになるなら、多田がテレサに恋するんだろう。だけど、サブキャラのほうが恋している感じ。次回、二人が接近しないなら、違う展開を考えてしまう……。
{/netabare}

第3話 まさかのセガール猫
{netabare}
猫視点の時点で想像していたアニメとは違うんじゃないかと思った。
若手声優さんばかりのとこにセガールがいるアフレコ現場はすごいなあ。意外とキーパーソンならぬ、キーキャットになるかも。

テレサが恋する雰囲気になってきた。
多田がなんらかの理由で恋をしなくなって、テレサが「恋は素敵」とか言うのか? 将軍好きが恋愛を勧めるキャラになるとは思えないんだけど……。
{/netabare}

第4話 先延ばし
{netabare}
タイトルと内容がまだ一致しない。ちょっと遅すぎる気がする。秘密にするほどではないと思う。

アニメにおける秘密や謎は、先延ばしにすると視聴者が期待してしまう。その期待に応えるだけの結果にならず、撃沈したオリジナルアニメは多い。持論だが、秘密はキャラの間だけで、視聴者には明らかにしたほうがいい。

日向子=HINAは、アレクが気づかないほうが面白い。さらに、握手のときに杉本が気づき黙っている展開にすれば、今後この二人のキャラがどう行動するか楽しみになる。アレクに気づかせたのは、ラストシーンでテレサに「恋」について語らせるためだろう。
{/netabare}

第5話 このまま終わればタイトル通り?
{netabare}
ラストに出てきたのは、テレサのフィアンセかな。許嫁でテレサに恋愛感情はない。むしろ、アレクのほうがある。だけど、結婚しないとテレサの国にも影響が出るため、抜き差しならない状態。逃げるようにして日本にやってきて偶然会った多田に本気の恋をしてしまう……こんな感じかな。

次回はパーティーから抜け出して二人でいちゃいちゃする展開なんだろう。テレサが髪を切ったり、第1話で撮影した写真を別れるときに渡すとか、普通にありそう。

だけど、多田は恋する雰囲気がない。最終回まで恋しなければ、タイトル通りのアニメになる。
{/netabare}

第6話 留学では名作にならない
{netabare}
『ローマの休日』は短い期間の恋愛だから映画史に残ったのだ。その点をわからずにこのアニメは作られている。

映画では、パーティのあとびしょ濡れになった二人がキスして別れたと思う。だから、終盤でまた雨の日がありそう。キスシーンくらいはあるかな。

あと、将軍好きを秘密にしたほうが面白かった。
{/netabare}

第7話 オリジナリティがあってよかった
{netabare}
これまでと違ってオリジナリティがあって新鮮だった。いっそのこと、ゆいを主人公に変更したほうがいいかも。ファンも多そうだし。

多田とテレサはいい雰囲気になっている……。テレサは、まあいいとして、多田はいつ恋をしたんだって思う。考察すると面白いかも。
一日デートとかありそう。真実の口に該当する場所はどこだろ。まさか、銀座のライオン像か?
{/netabare}

第8話 さすがにラストまで同じにはしないだろう
{netabare}
テレサのバレリーナ断念は、オードリー・ヘプバーンからの拝借。たぶん、パクリを意図的に見せて、それを楽しんでもらう狙いなのだろう。

名作の力を借りているために、ラストも同じにしないと締まらない。さすがにそこまでやらないだろうし、同じように描いても映画以上のラストシーンにはならない。

テレサに『ローマの休日』のような体験をさせるのが目的だったとすれば、パクリがうまく働くと思う。最初の出会いは偶然だろうけど、多田の家の隣だったのは、何者かの作為を感じないでもない。

あと、アレクとは両想いかなって思ったりした。
{/netabare}

第9話 アニメにありそうなベタな展開
{netabare}
テレサは外国人なのだから、日本のアニメにありそうなベタな展開は似合わない。日本人には理解できない行動とかほしい。寝ている人にキスするのはそれっぽいけど、いまの日本ではセクハラで訴えられるぞ。

涙を流す切ないシーンはよかったけど、涙を流すほど恋をした場面がどこにあったのだろうか。恋とはそういうものかもしれないが、これはアニメなので、絶対恋をしたと視聴者に思わせるインパクトのあるシーンを描かないといけない。

あと、テレサの心理を表すように、音楽にも工夫をしてほしい。
{/netabare}

第10話 そこは青だろ
{netabare}
高い所が苦手とか、飛行機が苦手とか、前フリしすぎだろ。テレサを追って、飛行機に乗る以外の展開が思いつかない。

青いリボン、青いネックレス、青いスカート……テレサが青好きをアピールしているのに、緑を渡す鈍い多田。
青と交換するために、苦手な飛行機に乗り、テレサの国に行く。それを告白の代わりにすれば、いい終わり方だけど、『ローマの休日』と同じになってしまう。

「何色が好きですか」と質問されて、テレサが「虹色……青です」って答えるのかな。二人にしかわからない色があったらよかった。例えば、水色だったら雨をイメージできていい感じになった。
{/netabare}

【考察・予想】多田くんは告白をしない
{netabare}
青を身に着けていたのは、テレサ=青を印象付けるためだと思う。
多田は無意識のうちにテレサの好きな色を持っていたとも解釈できる?(それにしては扱いがぞんざいだけど)

好きな色の質問は出ると思う。だけど、テレサでなく多田に対してだろう。
戴冠式で青いドレスを着たテレサから「虹の色を一つ言ってみて」と言われて、多田が「青」と答える。遠回しの告白に気づいて、「虹の色は虹色だよ」と涙を流しながらテレサが笑ってエンディング。
言葉にせず、好きだと伝える展開にはなると思う。
{/netabare}

第11話 ムコ探しで再来日か?
{netabare}
第1話の冒頭で今回の話を少し入れて、第10話まで回想にすれば、多田が恋する印象が強まった。ちょっと唐突な感じもしたから。

注目したのは、多田の服の色。青は伏線だと思うんだけど、最終回までわからない。

ゆる~いアニメなので、結末もゆるい気がする。
予想はこんな感じ。

多田が告白(好きとは言わない)したあと、多田に感化されて、シャルルがアレクに告白。
前にも書いたけど、シャルルが好きなのはアレクだと思う。
テレサは女王にはなるけどシャルルとは婚約解消。ムコ探しのために再来日して、また隣に住む。

でも、『この恋を、一生忘れない』とは合わなくなるから、やっぱり別れる結末かなあ……。
{/netabare}

第12話 告白シーンは楽しみ
{netabare}
5分で済みそうな内容だった。12話完結にして、戴冠式か結婚式に多田がいきなり現れるほうが面白かった。
そもそも女王になるほどなのに、テレサの情報がまったく伝わらないのはネットの時代では違和感がある。

このままいけば、シリアスな結末になりそう。どういう告白(好きとは言わない)になるのか、楽しみではある。

テレサの服装が青だったのは、これだけアピールすれば、なにかあるとさすがに視聴者も気づくだろうという配慮か? ネットの感想を読む限りでは、気にする人はいないけど……。

手紙の内容は気になるけど、多田が帰国するまでわからない。まさか、告白せずに帰国する展開はないよな。ただ単に多田についてきただけではないんだろ。
{/netabare}

最終話&総評 『ローマの休日』が優れた映画だと再認識させたアニメ
{netabare}
アニメらしいハッピーエンドだったが、テレサを再来日させたら、『この恋を、一生忘れない』と合わない。

色々違いはあるが、『ローマの休日』の告白シーンを変えたにすぎない。映画のif、二人が「好き」と告白したら、というコンセプトで作られたんだと思う。そう考えると、面白い試みだと言える。ただし、映画のいい点を真似できていない。

・長い告白シーン
映画はひと言で告白になり、タイトルにも結びついている。このアニメもそれを狙ったのか、"恋"を出してきたが長くなってしまった。もっとシンプルに「テレサに恋した」でよかった。

・タイトルに"恋"は必要ない
恋愛ものは恋に注目させないほうがいい。『ローマの休日』を見習ってほしかった。


総評としては、日向子、ゆいのオリジナルストーリーはあったが、ネットでいいシーンと言われるのはたいてい映画からの引用だった。「いいアニメだったか?」と訊かれたら、「ローマの休日はいい映画だから」と返答するしかない。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13
ネタバレ

TAMA さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

一度後悔した事は二度と繰り返さない様にすれば良いんじゃないかな?それが後悔した意味なのかも…。だから今回は…絶対に!

2018:8/31の感想。
{netabare}

多田くんは『恋をしない』って事ですね。
恋はしてない、多田くんは『愛した』のだ…とか、恋をしたと気付いた時には愛していた…とか、単純に(貴女以外に)恋をしない…とか色々自分の中で想像しながらこの作品を楽しみました。
ま、『恋』と『愛』は違いますしね。


原作・オリジナルアニメなので無し。
スピンオフ・未読。
ドラマCD・未拝聴。
ラジオ・9回まで拝聴。
アニメ・全話視聴。(全13話。30分アニメ)


ちょっと最初はラジオの話からさせて下さい。
…ラジオ1回目!悪ノリか!男子高校生が内輪でむっちゃ楽しんどるみたいやん!(笑)
特に宮野真守さん!貴方が居るとうるさ…面白い!
中村悠一さん、梅原裕一郎さんと楽しく…ん?後誰かもう一人居たな…誰だっけ?
ま、いっか。
…すみません、オチの下野です(笑)
あ、失礼。下野紘さんです。
とりあえずこの作品を観るもう一つのスパイスや舞台裏の話としてウェブラジオはオススメします。
個人的にオススメ回は1〜3回目。と、(公開録音の)8回目です。
動画サイトとかにもあるので気になる方は是非!
(ラジオは全9回…だが梅原さんが復活したら特別編ラジオをやるかも?という話があると言ってました。)


さて、感想を書きます。

ざっくり書くとラルセンブルクからやってきたお忍びの『テレサ』と『アレク』。日本に来た『テレサ』は『アレク』と逸れてしまってどうしようか迷ってた時に近くにあったお城が気になってフラフラとそちらに…
そこで風景写真などを撮っていた『多田光良』と出会う。写真を撮ってもらったり、雨に濡れてる所を助けてもらったり、引越し先の道に迷ってるとこを助けてもらったり…。
その後『多田光良』が通う学校に海外からの転校生として『テレサ』と『アレク』は通うようになり物語が始まる。
…かなり簡易版ですが。

物語の国の【ラルセンブルク】は現在の【ルクセンブルク】かな。多分。近くにベルギーやフランスとかあるヨーロッパ圏ですね。
…後さ、『れいん坊将軍』。色々理不尽だよね、アレ(笑)

話が逸れました。
他作品、『月○少女野崎くん』のスタッフが集結し作られた作品。私は観た後に知りました。キャッチコピーは『この恋を、一生忘れない』って聞いた時は「え?」とは思いました。だって題名とキャッチコピーがねぇ…。
(…もしや野崎くんが描いた原作かも!?って思ったり。ま、違うんだけど。)


設定は若干無理があるのは承知でしたが中々楽しめました。キャノンやパナソニック等の協力もあり、出てくるカメラもリアルをそのまま。
残念だったのは病気療養の為にCV『梅原裕一郎さん』が途中降板なされたこと。仕方ないですが。
(その後の【杉本一】は『杉田智和さん』に交代。)

内容は王道青春ラブコメですね。
サブキャラのエピソードもあり1クールでよく仕上がってるとは思いますが2クールでも良かったかな?と個人的には思いました。
ニャンコビッグがCV『小澤亜李さん』だけど心の声がCV『大塚明夫さん』だったのは思わずカッコ良さとギャップに笑わせて頂きました。
「8秒目が合えば〜…」って初めて知ったよ、ニャンコビッグ☆

全て面白い回ってのはほぼ不可能なのでこれで丁度良いと思います。ラジオ聴いた方はご存知かもしれませんが、声優さんのアドリブが本編に使われてます。特に宮野さん!
(例・サイフを忘れたシーンの「YOU〜!」の返しの「MEeee??」ってのとか、「へっクション!バロチクショイ!」のクシャミ後の口パク追加されたなど結構あります。)
ただ、宮野さんが演じた『伊集院』。

ぞ、続編がもし出来たらもしかするかもよ!だから頑張って!とても良いキャラなのに…宮野くんの「恋したい」のつぶやきは面白かった。


OPのオーイシマサヨシさんの曲も作品を盛り上げていて、EDを歌う『石見舞菜香さん』も非常に合ってました。凄くキーが高いと感じました。
EDの曲は『サンボマスターさん』のカバーだそうです。11話の『中村悠一さん』の挿入歌も『サンボマスターさん』の曲です。11話の回想+多田くんの心境にとてもピッタリだったと思います。


『多田光良』や『テレサ』の心境の変化や今まで気付かなかった事に気づいてしまった時の描写(8話!)、運動神経はあるのに命中率が悪い『多田光良』、自由奔放で明るく素直な娘の『テレサ』、この2人の恋愛模様を観るのも勿論楽しめたんですがもう一組お気に入りが居ます。
それは『多田ゆい』と『山下研太朗』です。
『ゆい』は『山下』を見てるけど『山下』は…
そして『山下』が言った言葉に『ゆい』の吐露した言葉が凄く切なくなりました。
しかも涙を見せまいとする『ゆい』のあの姿勢は胸を打たれました。
しかしもっと良かったのがその後の『ゆい』の行動ですね。なんか大人になったんだなと微笑ましくなりました。最終話の『ゆい』を観た時は余計にそう思います。
最終話だけを少し語るなら『テレサ』はすっごい行動を起こしたなと思います。相当な覚悟…でしょうね。


王道青春ラブコメがお好きな方には是非オススメしたい作品ですね。多少設定に無理があるところがありますがそこに目を潰れるなら多分大丈夫だと思います。作品自体が綺麗な作りなので学生さんとかにも大丈夫かと。ボーイミーツガール、って感じです。
逆に設定重視やラブコメ嫌いの方、恋愛はこんな綺麗なもんじゃねぇんだよ!って方にはオススメしません。特に設定重視の方には多分気になると思うので。


ラストにウェブラジオネタでも書きます。
ま、私の駄文よりラジオを聴いた方が楽しいと思いますが…読んでくれたら嬉しいです。

もうね、第1回が強力過ぎる!
メインMCがゲストに食われとる…というかどっちがメインMCだよ!ってツッコミたくなりました(笑)
下野くんが喋るとコーヒーを啜るノイズが…。
紹介する前にお菓子広げたり食べたり…本当、下野くん遊ばれてました!良いキャラだ!

ま、でも1番パンチが強かったのは公開録音の第8回。『多田くんは恋をしない』のイベントなのに『デュ○ララ』の『ごめんね、宮野くん(多田恋Ver)』を聴けるとは思わなかった。『中村悠一さん』も言ってたけど歌詞はすっごいクソでした(笑)
お金で解決て。
聖地巡礼の話も途中から『龍○如く』になっとるしカオスですね。
毎回ラジオではコーヒーと銀座にあるお店の軽食が出るんですが、この公開録音の時も出ました。
『千疋屋のフルーツサンド』!!
むっちゃ羨ましい…。
ラジオでは想像するしかないですが、その現場では宮野くんの『勝手にフードファイト』が開催されました。口にパンカスが付かない為に1口でって。
しかも番組締めるとこで残りを全部口に…
あれ?宮野くんって芸人さんだっけ?おかしいな、声優さんだと思ってたのに(笑)
『テレサ』役の『石見さん』、あの公開録音大変だったろうなぁ…。宮野くんがマネージャーになってた。
ここまで語っておいてなんだけどラジオで知れて面白かったのは、OPを歌う『オーイシマサヨシさん』が声優の『櫻井孝宏さん』に似ている…てか、「ほぼ櫻井さんだよね」って『中村悠一さん』が言ってました(笑)
後、声優『小澤亜李さん』の豪快な笑い姿を見たいが為に『宮野くん』がいろんな行動をして周りに2次災害を引き起こした事とか…
た、楽しい職場だな!



ここまでこの作品にハマるとは思いませんでした。10月のイベントに行けたら良いんだけど…行きたいなぁ。
…スピンオフでも良いから『伊集院は恋がしたい!(切実)』とかやってくれないかな。(このネタはラジオ第9回)

伏線や他キャラの事もあるので続きがあったら観たいなと、多田くんとテレサの綺麗なストーリーが観れたと、凄く贅沢な時間を過ごせました。

この長い文を読んで頂き、ありがとうございました。
{/netabare}

-------------------------------------------------------------------------
2018:9/26更新
{netabare}

☆祝☆『杉本一』役、CV梅原さん復帰☆

ブルーレイやDVD等では録り直した『杉本一』が聴けるように!さらに2018:9/20には『多田くんは恋をしない』のラジオ特別版を放送!(動画サイト等にありますので気になる方はどうぞ)
そして2018:10/14のイベントにも参加されるようです。

スタッフさんが舞台となった『ラルセンブルク』の元となる『ルクセンブルク』の大使館にお呼ばれされたみたいです。(2018:9/21に)
そこまでおもてなしされたからには…2期か劇場版期待…したいなぁ。

ラジオでは戻って来た梅原さんと下野さんの軽快なやり取り、打ち上げの時の話等が聴けて作品の良さや演者の仲の良さが聴けてニヤニヤ出来ました。
この作品がお好きな方は楽しめると思います。

…イベントチケット…買えなかった…(泣)
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

60.6 19 時代劇アニメランキング19位
幕末機関説 いろはにほへと(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (114)
762人が棚に入れました
時代の転換期に現れ、世に混沌をもたらすと言われる「覇者の首」。それは古来秦より伝わり、覇権を望む者達に争いの火種を遺して来た。時は巡り激動の幕末。異国色が芽吹きつつある横濱の地に、一人の剣士の姿があった。彼の名は秋月耀次郎。霊剣「月涙刀」を有し、彼の首の封印を天命とする「永遠の刺客」と呼ばれる者である。かつては坂本龍馬の用心棒を務めながらも、彼を救えなかった事を深く悔いる耀次郎は、心に癒えぬ傷を負ったまま一人幕末に蘇った「覇者の首」を追っていた。
ネタバレ

じぇりー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

幕末の虚実交わったラスト・サムライ的な作品

前半各話冒頭に流れるナレーションが、「男が男として生き、その命と信念を一振りの刀に賭けて戦った最後の時代、幕末。」と語る通り、何とも硬派な作品である。

この時代を題材にしたドラマ、ゲーム、アニメは数多くあるが、「幕末の志士」と聞けば、大政奉還前辺りの時期に名を馳せた人物を頭に思い浮かべる人が大半だと思う。
だが、本作はここでのあらすじにもあるように、坂本龍馬が暗殺された後の話となり、物語の本筋に大きく関わってくる歴史上の有名人はあまりいない。
明治維新以降の歴史にも精通している人でない限り、実在の人物が出てきてもピンとは来ないと思う。

とはいえ、主人公を始めとした主要キャラクターは架空の人物なので、歴史再現アニメではないということは理解してほしい。
虚実交えながら、「歴史の裏にこんな『あやかし』が存在した!」という感じのストーリーである。
とはいえ、幕末の歴史を知っていれば、ストーリーに追いつきやすい・楽しみやすいのは事実だろう。

その代り・・・と言わんばかりに、新選組や白虎隊など、「幕末と言えば!」なエピソードを本筋とあまり関係なくても挟んでいたのは、幕末ファンへの気遣いとも取れる。

さて、本作のヒロイン率いる旅一座は、ストーリーに深く関わりつつ、作品に華を添える役割も果たしているが、特にこの芝居のシーンの演出が精巧かつ美麗である。
電気がまだまだ使えないこの時代に、人力でここまで素晴らしい舞台演出が可能であったのだろうか。見ていて非常に興味深かった。

そして、この「芝居」というのが、物語全体のキーにもなっている。立ち合いのシーンなどにもしばしば舞台装置掛かった演出が施されていて、独特の世界観が感じ取れる。

また、作中2回しか流れなかったが、挿入歌が非常にいい。歌が流れるシーンと相まって、運命に逆らえず、本心とは裏腹な道を選ばねばならない人々の悲哀が伝わってきた。

だが最後に不満に残る点を。
物語終盤で{netabare}主人公が対峙した相手の背景・正体が最後まで不明のままであった。一体、何が目的でこのような大芝居を打ったのか・・・それこそがラストの意味に繋がるような気がするのだが・・・{/netabare}

故に、物語評価は★3とせざるを得なかった・・・残念っ!
この点さえなければもっと高評価にできたのに・・・斬りっ!

拙者、確認のために全話観終わった後、一話冒頭を今一度見直してみたが、無駄にござった・・・

切腹うぅっっ!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

蒼66 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

わかりにくい…ところが魅力。漫然と観てればわかるアニメではありません

◆こんな人にはおすすめしません◆

・元気な主人公が好き
 主人公の元気度はばりばりのマイナス値からのスタートです。もとは明るい性質も持っていたかも知れないけれど、ストーリー時点では、完膚なきまでたたきのめされた感。心が折れてる主人公。もう、喋ることすら満足にできてません。
しかし礼儀正しさとか、かわいそうな何かをほっとけない性質だけで、表面的ストーリーがうーむいまいちでも最後まで観ちゃったくらいには、個人的には魅力的でした。

・歴史好き 
 幕末に実在した人物がリアルな感じでたくさん登場するアニメですが、歴史好きにはむしろおすすめしません。史実にリアルな部分が多いために、歴史好きな人が観ると、アニメが本来持ってるべきのファンタジックな部分がとてつもなく許せなくなります。そのくらい、史実部分と人物像がリアルです。

・わかりやすい物語が好き
 主人公が喋らないので、わかりにくいことこの上ない。主人公が心情をわかりやすく誰かにぶつけたりなどが絶対ないので、じっくり表情や仕草を見ないといけない仕様です。しかしそれだけに、とても丁寧に描かれています。しかし、世の中の人間、そうアニメキャラみたいにストレートに感情を表現したり叫んだりしてる人はなかなかいないので、ある意味とってもリアルです。最初に主人公の元気度マイナス、と書きましたが、これですら、気がつかなければ気がつかないことも…どことなくボーッとした、覇気のない主人公だなあ…目立たないし、見るのやめよう、となります。

・覇者の首って何よ
 覇者の首とやらが話の中核にありますが、この首対主人公の戦いを中心に見ると、結局本質を見失ってしまう感じです。覇者の首という存在は、きっと、誰もが持っているしがらみとか、自分ではどうにもできない現実をわかりやすく具現化したものだと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3
ネタバレ

ワッキーワッキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

新約新撰組土方歳三期

ファンタジー要素を含みつつ、歴史の流を再現した今作、
主人公秋月耀次郎(あきづき ようじろう)が覇者の首を封印するという物語ではありますが、幕末の時代の流に沿って、物語が進んでいきます、そして最も関わりが深い人物として、土方歳三が登場しています、新撰組を題材にした作品は多くあるものの、京都での活躍を中心に描かれている事が多く、京都を追われ北上していく姿を描いた作品、とくにアニメとしては珍しいと思われます。
さらに、会津の白虎隊や北海道の五稜郭到達まで描かれているので、歴史に興味がある方や、歴史を勉強している方にはいいかもしれません。

ただし、あくまでファンタジー作品であり、本当の歴史ではないので、幕末の時代の流や登場人物に興味を持つ切っ掛けとしての視聴をオススメします。

私の視聴動機としては、サムライチャンプルーやサムライセブンなどから個人的に時代劇?ブームが到来し興味を持ち始めて視聴しました。

アクションとして殺陣に力を入れた作品であり、本格殺陣指導まで導入しているので、見応えはあったと思います。
また、作画もなかなか綺麗で癖が少なく、あまり抵抗感を感じずに視聴できたと思います。

印象に残ったシーン{netabare}
ラストはかなり超展開となっており、五稜郭が浮上するという奇行まで行った結果、私としては笑いとともに強烈なインパクトを残したシーンとなっています。{/netabare}

今回急にこの作品を思い出したので、レビューを書いてみました。

かなりマイナーな作品となっていますので、あにこれ上位の作品をあらかた観終わってしまって、マイナー作品を探しているという方にはいいかもしれません。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

66.8 20 時代劇アニメランキング20位
REVENGER(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (129)
358人が棚に入れました
むかしむかし、私たちとは異なる歴史を辿った長崎で……。 信じていたものに裏切られ、卑劣な罠にかかり、許婚の父を手にかけてしまった雷蔵。 許されない罪を背負い、自らも絶体絶命の危機に陥ったところを、 町の何でも屋「利便事屋」に救われる。 実は、彼らの正体は力なき人たちの復讐を代行する殺し屋、「REVENGER」だった。 秘めたる信仰に生きる、優雅な蒔絵師・幽烟。 町の人たちに慕われる、元海賊の町医者・徹破。 無邪気さと残酷さを併せ持つ、両性具有の少年・鳰。 酒と博打を愛する、その日暮らしの博打打ち・惣二。 半ば拾われる形で、雷蔵は一癖も二癖もある殺し屋たちの仲間になることに。 生まれも育ちも主義も主張もバラバラな5人の間に、命がけの仕事を通じて奇妙な友情が生まれていく。 やがて、長崎で起きた事件の真相を追う中で、彼らは大きな陰謀に巻き込まれていく——。
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

巨星、乙

最終話の細かい演出などを見る限りは光るものを感じますが、それでも
物語全般について考えてみると、特に設定面等で{netabare}大いにやらかした感があることは否めません。

長崎と言えば坂本龍馬の亀山社中でありまして、この工作員に資金提供し
駒の如く裏で操っていたのはジャージン・マセソン商会のトーマス・グラバーでありました。

天下のニトロプラスの大巨匠がこの歴史的事実を知らずして長崎が舞台の物語を描くとは
到底考えられませんが、しかしながら物語の結末は啞然騒然の結果となりました。

人身売買などの悪行を重ねたイエズス会の輩に対し豊臣秀吉はバテレン追放令を発布し
この鬼畜どもを血祭りにあげたわけですが、イエズス会の蛮行をまるで知らないようにして
本作で島原のリベンジがどうのこうのとかいうのにはどのような意図があるのでしょうか?

「サンタマリアの御前に悔い改めよ!」とか言いつつ、殺してます!
殺したら悔い改めできませんし、「汝殺すなかれ」の戒律に反します。
「悔い改め」の意味も知らずに言葉だけパクるのはやめましょう。

ローマカトリック教会にしてみたらすべては自己正当化のためのご都合主義でいいわけですが
彼らのような独特な宗教思想を持ち合わせてない者からしたら歴史的事実を捻じ曲げてまで
「サンタマリア」とかいう謎のオカルト思想植えつけんな!という話でございます。

坂本龍馬を裏で操る武器商人トーマス・グラバー、その背後にいた国際金融資本の陰の実力者
その名は【ロスチャイルド家】であります。

イギリスの【ロスチャイルド家】は維新軍を軍事支援し、仏蘭西のロスチャイルド家は
幕府軍を軍事支援することにより、相競わせ戦争ビジネスで儲けるというというのが
彼ら得意の手法でありますが、{/netabare}その話についてはまた別の機会に譲ることと致します。


現状での最大懸念事項を挙げると以下のようになります。

{netabare}①例のライフルの入手経路が未だ明かされていない。
②アングリアの武器商人と思しきものが未だ出てこない。
③大聖堂とイエズス会の関係性が未だ示されていない。

「アヘン戦争」まで匂わせておいて諸悪の根源たる【英国東インド会社】を描かないとしたら
かなり残念なフィクションに終わるような気がいたします。

元「海賊」の医者にしても「海賊」を深堀りする気ないなら、{/netabare}かなり残念で中途半端な
設定であるということになるでしょう。

●スナイパーライフルの出所

どっちに転ぶかはまだわかりませんが、{netabare}【英国東インド会社】とあのライフルを
どこで手に入れたかについて描かれるか否かで、本作が真の歴史をなぞっているのか
それともただのフィクションであるのかが決まるように思います。

史実によれば坂本龍馬を背後から支援し、コマのように操っていたのは
「アングリアの武器商人」ということになります。

アヘンや【イエズス会】、そしてアングリアという国名まで出しておいて肝心の武器商人の存在を
描かないとしたらかなり期待外れということになりますが、とりあえず今は
「長崎商人」の{/netabare}背後関係に注目したいところであります。


●「マリ」ちゃんは女の子

長崎に暗躍する「唐人街」の正体とはチャイニーズマフィアのように {netabare} 見えて実は
清国のアヘン取締りを指揮する大臣「林則徐」の密命を受けて動く諜報員
であったようであります。

ということは、アヘン取り締りの諜報員の暗殺を指令する「礼拝堂」とは
アングリア側のエージェントということになり、利便事屋とは外国商人などの犬である
ということで、坂本龍馬や長州薩摩藩の話と見事繋がるわけであります。

礼拝堂には「2本の柱」がありますが、これは「2柱の神」を表しており
その真ん中には「聖母マリア」の像が置かれています。
そして司祭様は「デウス」というラテン語を使っています。

これらのものすべてキリスト教とはほぼ関係が無いものなのですが、
「ローマカトリック教会」ではなぜか重宝される小道具だったりします。

「聖母マリア」と言っても「イエス・キリスト」を生んだだけでありまして
何か奇跡を起こしたとか言うエピソードがあるわけではありません。

「ローマカトリック教会」が「聖母マリア」を神として崇めるのには
ローマ帝国の宗教的都合による曲解が背景にあり、よりまともなキリスト教徒
であるところの「プロテスタント」にしてみたら理解不能なある種のオカルト宗教にしか
見えなかったりもします。

あまりに出鱈目な「ローマカトリック教会」の理屈だと【偶像礼拝】もアヘンの密輸も
人身売買も人殺しもすべてが正当化されるという世にも奇妙な宗教観でありまして
こんな組織がキリスト教を自称しているのは無理があり過ぎるため、プロテスタンが
ぶち切れたというのが宗教戦争のいきさつだったりします。{/netabare}

●率直に気持ち悪いので下方修正…
「リコリコ」の二人の父親や「黄金郷」のヴエコ
「不滅のあなたへ」のカハクなど{netabare}同性愛ゴリゴリの例を挙げたらきりがありませんが
それにしても今回の露骨な表現は惨過ぎでありました。

同性愛の糞坊主と言えば密教の「空海」が有名でありますが、密教においてのは性的な秘儀も
修行の内ということになりますので、場合によっては無神論者の中国共産党にとっては
少なくともその弾圧衝動を正統化する口実にはなり得るのかもしれないと思う次第であります。

キリスト教を「自称する」「ローマカトリック教会」においても同性愛的な不祥事事案が
社会問題化しておりまして、身分がお高い方々による修道士に対する性的暴行事案が
それこそ数えきれないくらいに発生しており、「モーゼの十戒」はどうしたのか?と
問い詰めたいところでありますが、そもそもローマカトリック教会とは最初からキリスト教を
真面目にやる気がなかった似非宗教団体であり、「統一教会」と本質的には何も変わらない
ペテン師集団であるというのが実態であります。

イエズス会がアングリア東インド会社と結託してドラッグを捌いていたのは概ね史実で
ありますが、唐人街=チャイニーズマフィアがドラッグの商いに絡んでいたというのは
坂本龍馬が暗躍する幕末の時代のことではなく、日本が満州国建設した以降の
シナ大陸における事案でございます。

昭和の妖怪と評される元総理大臣の祖父などが絡む「満州人脈」による
ドラッグ商いの話がもしかしたら本作で再現される可能性もないとも言い切れませんが
幕末の長崎におけるチャイニーズマフィアの暗躍は{/netabare}ただのフィクション
ということになるようであります。

●突っ込みどころ
①「サンタマリア」の刺青
②「汝、殺すなかれ」の戒律違反
③「神」とは言わず「デウス」と敢えて【ラテン語】で表現する
④「両性具有」の化け物?
⑤元「海賊」の医者・・・


●隠密同心を統べる者?

謎のフィクサー{netabare} 「漁澤様」が登場しますが、作中では色々と難しい用語が飛び交い
視聴者の理解が追い付いていないような印象を受けます。

いつものラスボス級声優が示す通り「漁澤様」は奉行所の重鎮であり
諜報活動の任務を与えられた与力(与騎)という身分のようであります。

清国でアヘンが蔓延した背景には、英国東インド会社の属する商人たちから役人が賄賂を
受け取り取締りの手を緩めていたようなことがあったのかもしれません。

日本ではアヘンの被害はそれほど深刻ではなかったようですが、証人とつるむ役人が
いるとしたらこれに対処するのが与騎という立場にある者の使命でありますから
利便事屋にその処理を押し付けたということなのでありましょう。

そろそろアヘンの密輸でぼろ儲けした某会社が登場する頃合でしょうか?

●「両性具有」の美少年
彼が身に着けている「かんざし」には【✡】が3つ左右に付いています。
【六芒星】は【6】でありますから「3×6」=【18】=【666】
「18×2」=36 

【666】や「36」(「369」)を「ミロク」と表現したりしますが
「ミロク」と言えば【弥勒菩薩】であります。

【弥勒菩薩】とは【サンタマリア】と同じ存在であると個人的には考えていますが
【サンタマリア】なら【女神】でありますから【8】(=8芒星)を表示すべきところを
【666】にしたのは、弥勒菩薩との {/netabare}関係性を暗示する意図が
あったからであると推測いたします。


一見して「必殺コロ助人」のようにも思えますが、あの虚淵氏が一枚噛んでいる作品だとすると
某作品のオマージュではなく別のところに意図があるように思います。

このようにある種の「フェイク」をかましてくるのが某巨匠の食えないところでありますが
やはり作風はシリアスで暗め、そして結末もあれ、な感じでございます。

「コロ助シーン」などの鮮血も生々しく、この辺も人を選ぶ作風であるといえますが
今期の中では、かなり完成度が高いものになるような気がいたします。

いきなり初回から{netabare}【阿片の密売】案件をしかもそれに薩摩藩が噛んでいたとか言うのは
むしろ史実の暴露でしかなく、しかも【サンタマリア】の刺青とか、【イエズス会】であります・・・

【英国東インド会社】による【阿片の密売】で莫大な富を得た勢力の側についていたのは
【サンタマリア】が示す某組織でありますが、そんな話題をいかに暗示的でも初回から
物故んでくる{/netabare}この巨匠は、ある意味厄介な性格の持ち主と言えるのかもしれません・・・

「謎の商人」の「背中」、つまり{netabare}「背後」には【サンタマリア】の刻印が示す「闇の組織」が
いたという暗示でありまして、例えば「坂本龍馬」という名の工作員が用済みになった後
綺麗さっぱりコロ助されたのも、背後に大いなる {/netabare}存在がいたということを
示唆しているものと推測いたします。

実は「利便事屋」とは「仕事人」ではなく{netabare}「海援隊」{/netabare}を暗示しているのであります。
すべてが繋がる「裏歴史」の暴露でございます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

見た目は『必殺シリーズ』の正統なオマージュ作品

本作は、『魔法少女まどか✩マギカ』、『PSYCHO-PASS』などの原作で知られる虚淵玄がストーリー原案・シリーズ構成をした、ニトロプラスと松竹によるオリジナルアニメ。
アニメは、全12話(2023年)。監督は、『終末のイゼッタ』、『怪物事変』などの藤森雅也。制作は、『かくしごと』、『ゆびさきと恋々』などの亜細亜堂。
(2024.4.27投稿)

【あらすじ】
主人公である薩摩藩士・繰馬雷蔵(くりま らいぞう:CV.笠間淳)は、「アヘン戦争」当時の時代背景をモデルとした架空の長崎で、藩命により許婚の父を殺す。しかし、それはアヘン密売の黒幕による嘘の藩名であり、その口封じのために殺されそうになった雷蔵は、碓水幽烟(うすい ゆうえん:CV.梅原裕一郎)をリーダーとする「恨噛み小判」の依頼を受けて復讐を請け負う「利便事屋」(りべんじや)こと「REVENGER」に救われる。
その後、雷蔵は、利便事屋が行う利便事(りべんじ)に協力するうちに彼らの仲間となり、やがて許嫁の父が追っていた事件でもある長崎でのアヘン密売の真相に迫っていくことに…


【見た目は『必殺シリーズ』の正統なオマージュ作品】
本作は、『必殺シリーズ』の配給元である「松竹」が関与していることもあり、池波正太郎の小説を原作とした『必殺仕掛人』に始まる一連の『必殺シリーズ』の正統なオマージュ作品といっていいと思われます。

BS放送などでは現在も放映されているテレビ時代劇シリーズですが、地上波で観ることはほぼなくなっているため補足すると、『必殺シリーズ』とは、金銭を貰って弱者の晴らせぬ恨みを晴らすために裏の仕事を遂行していく者たちを描いた時代劇。主人公たちの多くは、表向きまともな職業についているが、ひとたび依頼を受けると各々の商売道具を使った裏稼業を行う。シリーズ当初は、暗殺よりも依頼人の復讐を代行することが多かったようです(Wikipwdiaの『必殺シリーズ』参照)。

本作も、あくまで金のために殺しを行い、小判に恨みの証である歯型をつけた「恨噛み小判」を貰って、自らは果たすことのできない復讐を代行する「利便事屋」(リベンジャー)の物語となっています。

そのメンバーは、リーダーで秘めたる信仰(背中に彫られた「サンタマリア」)に生きる蒔絵師・幽烟、町の人たちに慕われる元海賊の町医者・徹破( てっぱ:CV.武内駿輔)、無邪気さと残酷さを併せ持つ両性具有の少年・鳰(にえ:CV.金元寿子)、酒と博打を愛するその日暮らしの博打打ち・惣二(そうじ:CV.葉山翔太)。それと後に加わり普段は絵師として生活することになる示現流の達人・雷蔵の5人。


このように本作は、設定などの見た目は『必殺シリーズ』の正統なオマージュといえる作品になっていると思います。ただ、時代劇好きとしては、その中身がどうなんだろう?と思ったので、これから書こうと思います(以下、批判を含むので嫌な人は回避を推奨します。)。


【キャラクター設定と描き方はこれで良かったのか?】
{netabare}本作は全12話で短いということもあってか、各キャラを掘り下げたエピソードがほとんどなく、その見た目と設定からキャラの背景を察するしかないので、キャラクターに厚みが感じられませんでした。


あと、雷蔵の示現流は、舞台が長崎で薩摩と近く、何かとイギリスとは因縁のある薩摩藩、雷蔵のまっすぐな性格の象徴といった面から採用されたのでしょう。だけど、示現流は「二の太刀要らず」といわれ、達人であればあるほど勝負が一撃で決まり、すぐ終わってしまうので「チャンバラ」に向いてない。
例えば、戦闘が長引いた時点で他の流派だと五分ということになるのですが、示現流は時間がかかるほど弱いということになるので、特に遍路の貞(CV. 諏訪部順一)戦では、最終的に無理やり一撃で倒してましたが、その辺の苦労を感じました。

また、徹破の武器が(元海賊なので弓で発射する「銛」なのでしょうけれど)商売道具と関係ないし、幽烟の金箔を顔面に貼って窒息死させる暗殺術も、商売道具とは関係ありますが、かっこよさとか説得力の面でどうなんでしょう(自分で口のところ破くだろ!というツッコミは、必殺シリーズの「お約束」として、してはいけないのかな…)。

というわけで時代劇好きとしては、少し違和感のあるキャラ設定でした。

ただ、利便事屋のメンバーに明確な女性キャラがおらず、恋愛要素もなく、両性具有とか男色とか、キャラクターのビジュアルがリアル寄りなことなどを考えると(ポリコレに配慮?)、もしかすると本作は海外視聴者をメインに想定して作られていて、時代劇の設定に拘りが少ないと思われる海外だとクールなのかも!?とは思いましたが…{/netabare}


【『必殺シリーズ』の魅力を継承しているといえるのか?】
{netabare}『必殺シリーズ』の魅力は、権力や暴力によって言うに言われぬ庶民の恨みを「仕置人・仕事人」たちが代わりに解消してくれるという爽快感。そして、陰ながら悪を討ち果たし正義を執行してはいるものの、あくまで「金」のために殺人を行っており、普段は普通の人を装って生活していて、そのことを威張っていない「ダークヒーロー的なところ」だと思うわけです。

私が本作の「見た目」は『必殺シリース』の正統オマージュと書いた1番の理由は、こういった魅力をきちんと継承しているのかといわれると、ちょっと疑問だと思ったからです。


まず、話の発端になる恨みを抱く被害者が、特権階級である武家(比良田)、武家の娘(唯)、遊女、男娼(市之丞)、清の役人(劉大人)と一般庶民とはいいがたいところがある。
なので、視聴者が感情移入して、利便事屋が我々の普段のうっぷんを代わりに晴らしてくれるという構図が成立しにくいので、爽快感を持ちにくい。
ただ、この辺は、時代劇が現代において廃れた理由と同じで、江戸時代の庶民の感覚が現代人のそれと共有し難くなってきたという面はあるかもしれないので、一般庶民であってもなくてもそこまで変わらないといえるかもしれません。


次に、設定の話とも重なるのですが、キャラが市井の人として描かれているシーンがほとんどないので、暗殺シーンとのギャップ(それがかっこよかった)がない(本作に似た作品としては、『さらい屋 五葉』があるので、その主人公の政之助と本作の雷蔵を比べると私の言ってることがわかりやすいかもしれません。)。


あと、「礼拝堂」の存在は、黒幕の闇の深さや企ての大きさといったミステリアスな雰囲気を醸し出すことには成功していると思うのです。
しかし、その一方で、「礼拝堂」の存在は、同じ虚淵玄原作の『PSYCHO-PASS』の「シビュラシステム」を思い出させるわけですが、利便事屋が命令に盲目的に従っているだけで自らの意志で悪と戦っているのではないという印象を与える(物語の終盤で、この辺の葛藤が描かれてますが、個人的には、もう少し掘り下げて欲しかった。)。
そうすると、利便事屋の正義には「シビュラシステム」と同じように疑問が生じるわけで、「裏で正義を執行する」という意味でのダークヒーロー的な魅力が弱くなってしまっている。


最後に、これまでの指摘(「側だけ継承して中身は変えた」)をわざとやっている可能性もありそうというお話。
どういうことかというと、時代劇自体が衰退傾向にあるので、時代劇を現代人向けに変えたときに、どうすればいいかを考えた結果として、本作のようになったともいえそうということ。
実際、OPやED曲含めて全体的に現代の若者向けに時代劇を変えているとは思いました(ちなみに、海外のアニメのコア視聴者は若年層らしいです)。

ただ、私を含めた視聴者の反応を見る限り、元となる時代劇が持つ本来の魅力も弱くなっているようにも見えて、その試みが必ずしも成功しているとは言えないとも思いました。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

久々に当たりの虚淵作品

{netabare}
江戸時代末期が舞台の必殺仕事人風アニメ。
最初の方はまあまあぐらいの印象だったけど、後半で上がった印象。。

阿片戦争後、日本にも流入したアヘンを用いた企みを阻止するというのが主なストーリー。
正直アヘンどうこうの話や礼拝堂の話は理解できてないところも多いけど、実際の歴史の出来事と絡めたストーリーは時代劇として面白かった。
大半が個人の恨みの話で埋まっているのでメインの話が動いたのは最後の方だけではあるけれど。
渋めの作風で陰鬱とした感じも出せていて良かった。

アヘンの処理という話がありながらもこの作品の軸となっているのは雷蔵の生き様。
許婚の父を殺した上、ゆいまで自殺に追いやったことへの自責の念を抱えつつの利便事屋への入隊、最後は利便事屋として人殺しを続けていることにも疑問を抱き、絵師への志し、と常に後悔や葛藤を抱えたまま、別の生き方を模索する雷蔵に共感のしやすい話だった。
最後は虚淵作品らしく、主人公の雷蔵が死んでのエンドだったけど、バッドエンドと言う感じはしない。
雷蔵自身ずっと父殺しのことが心残りだったようで、死ぬ時の笑顔を見るに雷蔵にとって悪い死ではなかったのかなと。
ゆいの恨み噛み小判も果たされ、恨みをかったものはいつか報いを受けるという、この作品のコンセプトにも沿っていていい終わり方だった。

物足りなかった点は序盤から中盤の話。
依頼人から依頼を受けてリベンジする...という内容にも関わらず、依頼人の掘り下げが余りない上、ターゲットがどういう悪事をしたかという描写も曖昧でキャラにあまり共感が出来なかった。
軸はバトルアニメではないので、敵が滅茶苦茶強い...というわけでもなく、無力な相手を一方的に蹂躙していくだけで戦闘も特段面白くはなかった。
けど、金箔や花札、雷蔵の厨二衣装とかは個性あって面白かった。

ただ、最初も書いた通り終盤の盛り上がりは良かったので、結果的に見て良かったと思える作品だったことは間違いない。

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆9
物騒な始まり方。まふまふ 騙されて父を殺したってことか?
硬派な方のスパイ教室。1話で親の敵討ちは終わらせるのか。
絶対声が聞こえる。血がバシャバシャ出るのがいい。
ちょいファンタジー? 親の仇ぐらい殺させてやれ。
ちゃんと倒せたしOK リベンジ終了! EDいいな。

2話 ☆7
確かに殺しまくってるな。遊郭編。服脱ぐな。なんか草。
リベンジャーとしての道を選んだのね。金箔使わずに普通に刺せや。
あまり被害者女性にも加害者にもスポットが当てられてない気がする。
被害を説明するんじゃなくて、ちゃんと回想などとして描写して欲しかったな。

3話 ☆6
スラム街? この子供ウザイ。遊郭編。会話ばかりでつまらん。
この吸血鬼みたいな衣装草生える。花札w
アヘンのヤツらへのリベンジ?

4話 ☆6
表ではいい人ぶって裏では人殺しをすることに対する葛藤か。
けど、武士ってそんなもんでは? 坂田の裏にもう一人いたのか。
アズミヤとか坂田に対して印象ないんだよ。
戦闘シーンも一方的に蹂躙してるだけでなぁ。

5話 ☆6
意味わからん。鳰は堂庵出身なの? 戦闘があまり面白くない。
長崎だからカステラ?

6話 ☆7
何者。雷蔵を騙した人らか。唐人街ってほんとに中華系かよ。
金箔から助かったw 肉捨てるな。アヘン隠してなんになる?
まあ本筋は見えてきたな。

7話 ☆6
洗脳? またアヘンか。このBGM雰囲気にあっててめっちゃいいな。
やっとまともな相手出てきたな。2人はハッピーエンドだな。

8話 ☆8
碓心。義父殺しの主人公が絵師としての道に進んでいいのかどうかに葛藤するのがメインの話か。
まあ間接的には殺してることにはなるけれど。
人の時間を奪ってるという意味か。
こっちは小銭さえあればなんでもいいやつか。林則徐?
あっさり撃たれた。

9話 ☆9
アヘン戦争不可避。史実要素。なお処分した模様。
利便事屋としての使命よりも自分の責務を優先するか。こいつが雪梅?
要するに金儲けがしたいのか?

10話 ☆7
会所と劉目的は同じなのか。
要するに恨みさえあればなんでもいいなるようになるって脳死した考えかw

11話 ☆7
小判噛んでそう。恨み相当でかいな。結局身内贔屓でしかないのは確か。
サイコパスかな。

12話 ☆10
金箔を節約するな。そうはならんやろ。†悔い改めて†
碓心になれたか。妻殺しと言う心残りはまだ取れてないのね。
けど、虚淵にしては珍しく誰も死ななかったな。あっ…。
ゆいさんの恨噛み小判も果たされた。
まあ殺しをやってるといつか報いは受けるってことだな。

曲評価(好み)
OP「ダウンタイマー」☆8.5
ED「un_mute」☆8
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

66.5 21 時代劇アニメランキング21位
風まかせ月影蘭(TVアニメ動画)

2000年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (38)
186人が棚に入れました
時は、天下泰平の江戸時代。風の向くままに旅をする女素浪人・月影蘭は、ふとしたことから猫拳法のミャオと知り合い、行く先々で騒動に巻き込まれていくが、凄腕の剣術と拳法で悪党と倒していくのであった。

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

あるは気ままと友の酒

決まってるでしょ、風まかせ


お酒が大好きな女剣士とトラブルメーカーの拳法家の女二人の珍道中を描いたアニメです。
このアニメ、めっちゃ面白いんですよね!
やっぱり旅アニメは良い物です、それも女だけの旅とあれば最高です。
確か本作って2000年入って初めてのクールのアニメですよね、いやはやこんな時代からあったんですよ。
女剣士が主人公のアニメなんて珍しいですよね、近い時期に「十兵衛ちゃん」なんてやってましたが。
女二人の旅という事で蘭姉さんとミャオ姉さんの百合百合しいものを期待したりしちゃったりなんかするんですけど、そういう描写は薄かった気がしますね。
まぁでもご想像にお任せしますってのが個人的にはグッと来るのでそれくらいのが寧ろ情緒的で良いです。
どうやらドラマCDが出ているようですね、うーん、これは聞いてみたいぞ。

監督は大地丙太郎さん、この方は「今、そこにいる僕」から「ギャグマンガ日和」まで幅広く何でも請け負ってますねぇ。
10話の脚本に佐藤竜雄さん、13話に高橋良輔さんもいたり、結構業界内の繋がりも深そうですね。
制作はマッドハウス、非常に安定した作画で崩れもないです。
毎回ある殺陣シーンなんかはかなりの力の入れ込みようで感嘆します。
どうやら大地監督が時代劇好きみたいですね、「十兵衛ちゃん」も大地監督作品ですし。

月影蘭役には安原麗子さん、どちらかといえば女優を専門としている方なのでしょうか?アイドル?
まぁでもその割には素人っぽくないというか、蘭姉さんのキャラには合ってたと思います。
あのボソボソ喋る感じ癖になります。
猫鉄拳のミャオ役には、出ました、岡村明美さん。
「今僕」「レジェンズ」など大地監督お抱え声優みたいなもんですね。
その他声優は使い回しが多いです、黒田さんと名塚さんはほぼ毎回違う役で出てた気がします。

OP「風まかせ」はガチガチの演歌です。
紅白にも出場経験のある演歌歌手・三沢あけみさんが歌っていて良い曲です。
作詞は大地監督がしててまぁ歌詞とリンクしてる部分はあるんですが、"女ひとりの旅"って・・・間違っちゃいないですが・・・
ED「風まかせ2」は蘭姉さん役の安原さんが歌っていて、まぁハミングみたいなもんですが、リズムは心地良いです。
良いですよね、和風アニソンって・・・

蘭姉さんとミャオ姉さんの百合イラストまたはSSをください

く だ さ い (切 実


本作、正直大好きすぎて、人生のフルコースに入ってます(トリコ脳
こんな風にその日暮らしでいいから旅をしてみたいものですよ。
夢が詰まってる作品だと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

酒と肴と頭痛 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

一番好きなアニメ

アニメ好きには全く受けないであろうことは想像に難くないけど、自分はこれが一番好き。蘭姉さんの生き方は、自分にとっては憧れる理想の人生。一見、ダメ人間のようにも思えるんですが、現代的感覚に対するカウンターとでもいうのか、愛でるものがあって、一本筋が通っていればそれで幸せにやっていけると思えてなりません。

酒飲んで、着の身着のまま根無し草。実際には食べるのに困るし、トイレが無きゃ衛生感覚的に生きていけない現代人だし、アスファルトで固められて自動車が行き交う現代では実現困難な生き方だけど、良いなあ。

時代劇で一番好きなのは鬼平犯科長です。このアニメは月影兵庫や花山大吉をベースに作られているとのことですが、彼らよりもむしろ、蘭姉さんは鬼平とすごくダブります。それぞれの主人公は立場が全然違うし、もちろん話も全然違うんですが、鬼平と蘭姉さんの価値観というのかな、美学というとちょっと語弊がありそうですけど、そういう感覚的な部分が人として共通していると思います。

鬼平のセリフの中に「毎日、朝起きて一杯やって、夜は何を肴にしようかなあって考えて生きる、これが一番良いんじゃないのか?」というようなものがあります。蘭姉さんの生き方がまさにセリフの具体例だと感じ、二人の価値観の根源には共通したものがあると感じています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

dokkoi さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

個人的には面白い!大好きになりました。

一話完結もので、時代劇調のアニメの部類の中ではダントツでとっつきやすく面白いアニメでした。
キャラクターの個性もあるし、なにより内容を安心して見れるのは、あまりシリアスなアニメを好まない自分にはピッタリでした。

全体的には好き嫌いは別れるかなぁと。
他の時代ものアニメ、今やっている激しい動きのクオリティアニメを好む人にはあまりオススメできないです。
自分的には観て良かったと思いました。
面白かったのでまた見返そうとおもいます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

58.1 22 時代劇アニメランキング22位
BAKUMATSU(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★☆☆ 2.9 (30)
128人が棚に入れました
時は幕末。日の本の未来を憂い、各々の信念に従い突き進む志士たちが魂を燃やす時代。長州の風雲児・高杉晋作は、相棒の桂小五郎とともに徳川慶喜率いる幕府海軍船に潜り込もうとしていた。目指すは「刻(とき)を操る力」があるという伝説の秘宝、“時辰儀"。他ならぬ幕府がその力を我が物にせんとしていると耳にした高杉は『そんなやり方、つまんねぇ!』と時辰儀の破壊を企てる。一度は時辰儀を手にする高杉らだったが何者かに奪われ、追って向かうは慶喜のいる京の都。だが、そこで目にしたのは異様な姿で君臨する“巨城スサノオ"だった。自分たちが知る様相とは全く異なる町並み、民たちの様子に戸惑う高杉たち。そこは、仮面の将軍・無限斎に支配された、「もう一つの幕末」だった。本当に守りたいものは、刻を超えても変わらない――。熱き心を持った男たちによる全力の“イキザマ"を描く物語が今、幕を開ける!

声優・キャラクター
中村悠一、江口拓也、三木眞一郎、松岡禎丞、佐藤拓也、代永翼、多田啓太、鈴木達央、八代拓、武内駿輔、中島ヨシキ

pooki さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

<40> 歴史改変に並行世界を足したイケメン チャンバラ アクション。

歴史改変に並行世界を足したイケメン チャンバラ アクション。
女子向け、と言ったら女子に失礼な気がする、粗めで慌ただしいアクション。歴史改変してる時点でもう十分パラレルなのに、そこへまたパラレルてどうなん?恋愛とかカレシ要素は見当たらなかった。
視聴終了。B パート視聴中に誤って削除しちゃったんで、中途半端な感想ですみません。事故だから。ほんとだから。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ラストでちょっとびっくりした!

タイムスリップで幕末のある事をやり直す話w

高杉cvゆうきゃん♪目当てで録画してもらってたやつ。ようやく見た。

無限斉…え?そうだったの?なラスト。

みんなの髪のツヤがそれぞれの家紋?で可愛かった^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0

37111 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

全体的にひどい。

1話視聴後感想と今後の期待度
一言コメント:まーた新撰組。まーた並行世界、まーたホモ。げんなーり
期待度:★★★

これってなんかのスピンオフ?続きもの?
作画も内容もまったくだめ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

53.7 23 時代劇アニメランキング23位
幕末義人伝 浪漫(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (131)
539人が棚に入れました
「助け屋」として京の人々の生活を助けている漫次郎には、不当に奪われた大事なものを盗み出して取り返す「還し屋・浪漫」という裏の顔があった。

キャラクター原案は「ルパン三世」のモンキー・パンチ。原作はパチンコ「CR元禄義人伝 浪漫」で、舞台を元禄から幕末に変更して展開される“痛快空想時代劇アニメ”。

声優・キャラクター
中井和哉、喜多村英梨、鈴村健一、内田真礼、松山鷹志、緒方賢一、須藤沙織、二又一成、三浦祥朗、安元洋貴、宮本佳那子、立木文彦、檜山修之、鈴木千尋
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

二面性を楽しんでみよう

舞台は江戸末期幕末の京都。
普段はちょっとドジな助け屋、裏では義賊:ねずみ小僧2世の浪漫が活躍するお話のようです。

頭から離そうとしてもどうしてもルパンのイメージが。
義賊と言っても変身ヒーローや秘密道具(源内さんいるので)の要素もあるようです。
ありがちな要素集めた凡作の可能性もかなり高いんですけどね…。

ストーリーは勧善懲悪パターンで多少は幕末の動きと絡めそうではありますが、
そんなに深い広がりを見せそうもありませんので気楽に楽しめそうです。

幕末と言ってもあまり時代考証しちゃいけない様です。
そういうの気にするとキリがないのでつまらなくなります。
ルパンにはない平民と泥棒の二面性を楽しもうと思います。
※2話感想{netabare}
同心や見廻組が居るなら先週、勘定吟味が出張るのおかしいじゃん
…とか思っちゃ行けないアニメでした。

今回は鈴木孫一さん中心のお話。
時代考証も…しちゃいかんアニメでした。
名前の通り銃が出てきましたね、しかもカラクリ銃です。
2丁拳銃だとレビィ思い浮かんじゃいます。
こちらも何かの暗殺組織が絡んでいる様子で二面性があります。
なかなか骨のある男で浪漫のライバルになりそうです。
少しはストーリー性も楽しめる作品なのかな。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
今度は阿国さんの二面性が露わになりました。
キャッアイみたいでセクシーです。
兄弟関連で世の中に恨みがあるご様子。
勧善懲悪かと思ってたんですがそうでもないみたいです。

異人さんとの戦争も絡んで来ましたしストーリーとしても楽しんでいます。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
サービス回ですね。
ツッコんでもツッコミ切れないので頭を空にして観ました。
お約束の展開で久々に空中泳ぎが観られました。
サルのうんてい力が凄いです。
毎回偉人が出るシステムなのかな。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
浪漫の辛い過去の屈辱と背負っている物を見せてくれた今回。
「義賊」って個人的には正しいとは思っていないんですが、
浪漫は少し応援したくなりますね。

最後に意味深い飾り箸が…この紋所は…。
ひょっとしてこの兄妹、血が繋がっていないのかな…。
この先の兄妹愛展開によっては泣ける話になる予感もして来ました。

コミカルな中にいろいろ盛り込んでくれて楽しめてます。
あと、ハンス先生何言ってるのか良く聞き取れません。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
ハチャメチャでちょっとシュールなコメディ回でした。

孫一と阿国が互いに「コイツやるな」と思う伏線を作った回でした。
ロマンは気付かない感じでしたが、どうなんでしょう?

その他は気にせずロマンのボケっぷりを楽しみました。
幻覚とはいえ、なぜ唐突にシジミ美女だったのか解りませんでしたが、
シュールさに笑ってしまいました。

そしてハンス先生は相変わらず何言ってんのか解りません。
誰か通訳して。(^_^;)
{/netabare}

※7話感想{netabare}
ロマンが過去に救えず後悔していた少女は阿国さんでした。
カツラなのに良くスグ分かりましたね。
手を離したことで彼女は絶望し、世の中を恨むようになってしまったんでしょうか。

伏線回収が始まりいよいよシリアスに突入して参りましたね。
姿を消したロマンは今後どう動くのでしょうか。
楽しめる展開になってきそうです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
ロマンが生きる屍になっていましたが、
あかねと言う少女の優しさで自分を取り戻したようです。
陰気臭いのは似合わないのでまぁ良かった。

回想にも小春は登場していなかったので、やはり兄妹ではない感じです。
犬のサクラの方に秘密が隠されている線もありますが、
どちらにしろ一話で「春桜を守る」とか言ってたのが掛かって来そうです。
奏が事情を知っていそうですが次回を待つとします。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
読み易いけど変に懲りすぎてなくて、なかなか良い話になりそうです。
サクラは忍犬だとは思わなかったですがどうりで利口だったわけだ。
何とも悪そうなペリーでしたので、
まだ心配だけど孫一も阿国も小春の事を気にしていたので
最後には笑顔になれる様な気がします。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
阿国さんの過去も分かりました3話で妹を気にしていた訳も分かりました。
ハッピーエンドに向けてみんなが力を合わせて立ち向かっていきそうです。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
ラストバトルもコメディ感が強いです。
シリアスと入り混ぜる作風は最後までブレないようです。
江戸方面に向けレーザー砲みたいなの発射してしまいましたが、
まさか犠牲者出てないよね?
ハッピーエンドが待ってるとは思いますがちょっと気になっちゃいます。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
色々と犠牲者が出てしまいましたね。
この作風なら一般人の死者出さずともやって行けた気もしますが。

浪漫と小春の兄妹愛で締める形は好感を持っています。
この先もいつものやり取りが長く続くと良いですね。

阿国さんは浪漫を許して仲良くするのかと思えばライバル関係は続くようです。
彼女なりに義賊っぽい事をやり出したのでしょうかね?

無骸の者、死して骸を残さずの通り孫一はコンティを道連れに亡くなったようです。
(他の見解もあるかもしれませんが)
最期に小春の笑顔を思えたのがせめてもの救いでしょうか。
見廻り組のお頭も気の毒ですが悟っていたようにも思えます。

父のねずみ小僧は生きていた様で驚きです。
阿国さんとも会っているし、外套も残していましたが気付かないものですかね?

ハンス先生は相変わらず何言ってるのか解りません。
「それでもひんだらでめでめお」きっと名シーンなんですがね。
「んあ!?」っと聞き返したくなりました。
人形たちが身を挺して上手く砲撃を止めてくれたのは感動的ではありますが、
ここで散るのなら事前にもう少し目立たせるお話があっても良かったかな。
愛着があり気持ちが入っていたらもう少し感動できていたかも。
{/netabare}
単なるパロディ物にとどまらず、
想像以上にしっかりとしたストーリーで楽しむことが出来た作品でした。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人々から奪われた物はどんな手を使ってでも取り返す。それが二代目鼠小僧 浪漫 の指名だ! 

ストーリー

時代が変わる少し前、夜の町にある影が現れました。それはとはなんと裕福な人間からお金盗み盆棒な人々にお金を分け与えるそんな義賊。その存在は二代目鼠小僧の浪漫でした。けれどその存在の本当の姿は誰も知らない。なぜなら普段は 「助け屋漫次郎」という偽名で便利屋稼業しているからです。この物語はそんな二代目鼠小僧とその仲間たちが依頼人から受けた物を取り返す「還し屋」の物語です。

私の感想。

パチンコが原作のアニメだなんて初めてではじめはどうなるか心配でしたが、非常におもしろかったです。

キャラクターデザインが非常に魅力的でした。流石「ルパン三世」などの作品で知られるモンキー・パンチの作画です。かなりかっこいい作画です。この作画のおかげで3~5倍この作品がおもしろくなりました。なんと言うのでしょうか、髪の毛やアクションの描き方がすごく独特なデザインなので、かなり楽しめました。

そして、この作品の世界観も楽しめた理由もひとつです。もちろん過去の日本をメインとしたアニメはたくさん見てきましたら、この時代はあまり見た事は無かったので、新鮮でした。そして、この作品のこの時代は結構イベントが多いいですし、有名な人も多いので、最高に楽しめました。

私がこの作品で一番気に入ったキャラクターはもちろん主人公の浪漫です。あのひげや胸毛が最高です。この時代にもこのような革命を起こしそうな人間がほしいですね。

しかし、この時代にあんな超強い武器や装備があるのかはいまだに謎ですね。けれど、その武器はかなりかっこいいので、ゆるします!(なにをだよww)

Ssoulのワンポイントピックアップ!!
「このコーナーではこの作品のおもしろい所、注目してほしい所などをピックアップし、説明したいという事です。」

何度も言いますが、この作品のキャラクターデザインはかなり個性豊かなので、気に入っています。ですので、是非キャラクターデザインを気に入ってください。

オープニング

「RanTiKi」
かっこいいオープニングです。はじめは博打をメインとしている感じを出していますがその後かなりかっこいいキャラクター紹介が出ていて最高です。ネタバレも少ないですし、そして、オープニングでのストーリー紹介も最高でした。いいですね~

エンディング

「ツァラトゥストラ」
曲もかっこよくていいですし、画像も個性豊かでいいのですが・・ え~と このエンディングってどう発音すれば良いのでしょうか・・・ 良い曲なんですよ!! でも・・ 名前が発音できない。 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

GUN道じゃねぇよ!浪漫さんだよ!豪華キャストにパロディギャグ、そしてセックス&バイオレンス!って良い子は観ちゃダメwオ・ト・ナの為のミッドナイト時代劇!

まずモンキー・パンチ先生とパチンコメーカーが手を組んで作られたCR機が原作と聞いてなんかもうアニメとしてのやる気ないんじゃ?GUN道の二の舞なのか?と、不安を抱いたことを正直に告白しましょうw


幕末という時代設定にも関わらずミニスカ着物の町娘が登場、ロボットやパワードスーツ等クロックパンクを通り過ぎてオーバーテクノロジー過ぎる源内の爺さんの発明品・・・
さらに時折見せる無意味なお色気やらニコニコ動画のパロディやら、ホントなんでもありのカオスティックコメディなのか?
と、思いきや中盤以降の本筋ストーリーはかなり暗くて血生臭いモノ
ベッドシーンや暴力描写もヘボ作画ながら大量に挿入される為、純粋に大人向けな
いわばアダルティックな作品だったことに度肝を抜かされました;


特に弱きを助け強きを挫く「義賊」という裏家業に誇りを持つ主人公、浪漫さんの渋い生き様は中井和哉さんの熱演も相まって観ていて気持ちが良いですね
さらに第5話では浪漫さんの過去に秘められた悲しいエピソードが語られますがこれがまさかの【鬱展開】
人買いにさらわれた幼女を救い出したはずが逆に追い詰められてタコ殴りに遭い、幼女も奪われるっていう悪夢のような過去を経験しとるんですよ(T_T)
この第5話までは最低でも粘っていただく必要があると思います


そして第7~8話以降はもう勢いに身を任せて頂きたい
はいは~い、幼女にトラウマを抱いて廃人化し、今度は幼女に救われるアニメはココですよ~^q^
最終回ではスクライドばりのアツい殴り合いもありますw


癖のある濃いキャラクター達を実力のあるベテラン豪華声優陣がノリノリで演じてくれるのだからきっと最後まで辿り着けるはずです
緒方賢一の源内、安元洋貴のペリーもさることながらハンス先生wなに喋ってんのか解んねぇよ!w
あと内田ちゃんの役からオイシイところを全部かっさらってく葉山いくみさんの上手いこと上手いこと;


後半では本家本元の『ルパン三世』を手掛けたスタッフも合流(といっても近年のルパンですが)
奏さんの「変身」や「乳揺れ」がやたらと拝める11話辺りはギャグとしてもメチャクチャ面白いですし


とにかくエッチシーンはあるわ、人は盛大に死ぬわ、主題歌はカッコイイわ、エンディングの作画はスゲェわ、最後は全部笑い飛ばすわと大忙しな作品
そう、大盤振る舞いってよか大忙しな作品ですよね


それにつけても小春ちゃんの可愛さは異常やでw

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

61.0 24 時代劇アニメランキング24位
BAKUMATSUクライシス(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.1 (19)
90人が棚に入れました
やり直しの利かない運命(アンリセッタブル・クライシス)――。“もう一つの幕末(BAKUMATSU)"を舞台に、原案ゲームとは異なる切り口で12人の志士たちの生き様を描くオリジナルストーリー。

声優・キャラクター
中村悠一、江口拓也、三木眞一郎、松岡禎丞、佐藤拓也、代永翼、染谷俊之、多田啓太、鈴木達央、八代拓、武内駿輔、中島ヨシキ、真堂圭、山下七海、木下浩之、緒乃冬華、羽多野渉

65.7 25 時代劇アニメランキング25位
陽だまりの樹(TVアニメ動画)

2000年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (22)
80人が棚に入れました
19世紀後半、欧米が市場を求めてアジアへ進出した世界状況で、日本の安全保障を確保するには天皇の権威を背景に江戸幕府を中心とする体制再編により国体強化が必要であるとした東湖だが、幕府の内部は慣習に囚われた門閥で占められて倒れかけているとして、これを「陽だまりの樹」と呼ぶ。
閉塞状況を打開するものは青年の行動力以外にないと謳いあげた東湖のアジテーションは憂国世代の心を大きく揺さぶる。関東小藩の藩士であった伊武谷万二郎の胸にも熱い思いが刻まれる。無骨で真面目な万二郎は退屈なお勤めに疑問も抱かず登城のマラソンもいつも一番。平時の武士として見本のような男であった。一方、もう一人の主人公である蘭方医の手塚良庵は医師の家に生まれて大坂適塾で医師の門をくぐったエリートだが、江戸に戻っても放蕩ぶりが父の良仙に厳しく戒められるほどの遊び人。江戸っ子らしく間口は広いが封建的で権力闘争に終始する医学界には批判的であり、また人間らしく生きたいとする夢想家のノンポリとして時代を眺めている。対照的な万二郎と良庵だがなぜかウマが合う。
万二郎はアメリカ総領事タウンゼント・ハリスへ幕府側からの護衛として派遣され、友人となる通訳ヘンリー・ヒュースケンと出会う。一方良庵は幕府の西洋医学への寛容化から提案された種痘所開設に仙庵と共に尽力することになるのだが、西洋医学を嫌う御殿医達に様々な嫌がらせを受ける。やがて軍制改革により農兵隊の隊長となった万二郎は幕府への忠誠だけでなく、自分が本当に守りたいと思う人々との出会いにより銃を取り戊辰戦争の戦場の煙の中へ消えていく。

声優・キャラクター
山寺宏一、宮本充、折笠富美子、永井一郎、松本梨香、納谷六朗、大木民夫、堀越真己、幸田直子、三石琴乃、沢海陽子、根谷美智子、家中宏、関智一

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

祝ドラマ化、手塚治虫原作の本格時代劇

2012年4月からBSで実写ドラマ化もされる手塚治虫原作の本格時代劇。
緻密な時代考証に基づいた幕末ドラマです。
アニメ自体は2000年放送なので少々古いですが、非常に丁寧に作られている印象。

無骨で直情的な武士・伊武谷万二郎、遊び人の蘭方医・手塚良庵
対照的な二人の視点から織りなされるストーリーは起伏に富んでいて実に見応えアリ。
中井貴一のナレーションが好印象で、美しい旋律の音楽も心地良い。

史実に沿った形で物語は進展し、二人の波乱に満ちた生涯を描いています。
天然痘が大流行していた時代、手塚良庵ら蘭方医達は予防及び治療に奔走する。
しかしながら蘭方医の立場は弱く、種痘所の設立にも困難を極める。
一方、伊武谷万二郎は幕府の腐敗しきった内情を憂いつつも、幕府に忠誠を尽くすのだが・・・
時代に翻弄をされつつも己の信念を突き通す二人の姿には、心打たれるものがある。
ちなみに「陽だまりの樹」とは藤田東湖が幕府の内情をシロアリに食い尽くされた木に例えた言葉。

地震やコレラ大流行と色々ありすぎて25話ぎっちり詰め込まれすぎてたかもしれませんが、
一話一話区切りよく進むので、じっくり時間をかけてみればいいかも。
しかし、時代が時代なだけに男性中心に話が進むのは仕方ないが、出てくる女性が皆不憫すぎる。
色々と内容が真面目すぎるのですが、幕末のお勉強にもなる見応えのある良作だと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

彰義隊の成り立ち

手塚治虫のお爺さんモデルにした漫画が原作すね。
opが綺麗で美しい曲で好きでした。
正直年齢的にアニメから離れてた時期ですが、コレは見てました。
俳優の中井貴一がナレーターでしたし、気合入れて作られた作品だった筈ですが意外と人気は無かったようで。

アームストロング砲で幕軍を砲撃し「これからは大砲の時代」と言う大村益次郎を西郷隆盛が「何時の時代も歴史を動かすのは人」と諭し、万次郎が「武士なら刀で勝負しろ」とむなしい叫びと共に突撃するのが被さった最終話は皮肉過ぎて泣けました。いい作品だと思うんですが。

大河ドラマをアニメで見せてるという作品じゃないので、こういうの抵抗ない方は見た方がいいと思うんですけどね。ちと評価低すぎだと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

手塚先生の地味めな長編がアニメ化されていたとは…。

 手塚先生の晩年の方の結構長編だけど地味めな本作、が2000年にマッドハウスでアニメ化してたとは寡聞にして知らなった。山ちゃんを始め声優さんは豪華だし、マッドハウスだけに手堅い仕事(mappaの丸山さんがまだいる)だが、如何せん原作が地味めなのと2クールでは少し駆け足に思えた。


 手塚先生の作品は以外に映像化は難しいけど、現在の1クール体制でも短めなやつこそアニメ化して欲しい。手加減なしな「mw」をNetflixでとか、「アラバスター」なんかも良いなぁ〜。ダークな手塚作品こそ今はやるべきだと思う。それして、山田玲司先生に批評して頂きたい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3
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