着物おすすめアニメランキング 25

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの着物成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月04日の時点で一番の着物おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.7 1 着物アニメランキング1位
わたしの幸せな結婚(TVアニメ動画)

2023年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (275)
864人が棚に入れました
この嫁入りは黄泉への誘いか、奇跡の幸運か―― 名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。 嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞(きよか)。 数多の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。 斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。 初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく――。 これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

尽くす女と守る男に一周回って新鮮味を感じる和風ファンタジー

原作小説はWeb版、ラノベ版共に未読。

【物語 4.0点】
ヒトは同類の他者に尽くすことで幸せを感じる生き物なのだという。

女は愛する旦那様のために世話を焼くことに喜びを覚え、
男は愛する女のために身命を賭して戦う。

昨今あまり語られなくなった価値観を、
主人公・斎森美世と久堂清霞の婚約者コンビのピュアな有り様から表現される。
ここから私はまず、伝統的な結婚という制度はヒトの幸せを一定程度保証していたものだったのかなとの感想を得ました。

大体「わたしの幸せな結婚」というこのタイトル。
一昔前だったらこんな平凡な作品名で世に何かを出そうなど思いも寄らなかったでしょう。
世の中それだけ価値観の多様化が進んだということでしょうし、
この作品名から一周回ってインパクトを受けた私自身に驚かされます。

結婚が幸せの絶対条件としていない点も、この作品名を含蓄のあるものにしています。
本作は純真な主人公男女の対比として、婚姻や女を血筋と権力獲得のための政略の具とする良家の醜悪さも描く。
架空の近代日本風ファンタジーである本作は、血の宿命を代々継承される“異能”という設定で固着させることで、
自由意志だけでは振り払えない、一筋縄では行かない波乱を演出しています。


あとは、自分のお気持ちで他者の表現を規制できると思っている阿呆が目に余る今日この頃。
作り手が外野の雑音に惑わされずに書きたいことを書くには、
もはや異世界やファンタジー位しかないなのではとも感じました。

例えば本作を現実の歴史ドラマなんかにしようものなら、
左から古い結婚観の押し付けだと、押し付けがましい蹴りが入ったり、
右から{netabare} 帝{/netabare} を醜悪な悪の権化に仕立てるとは何事かと怒鳴り込まれたりしかねません。

脱線しますが、近頃はNHK大河ドラマにすらも多様性やポリコレ配慮と思しきトレンドがありまして。
2年連続で、史実の裏に典型的な男女の夫婦関係とは異なるLGBTが絡んだ事実があったのでは?とのエピソードがねじ込まれていたりします。
昨年の『鎌倉殿の13人』のLGBT回は史料の裏を読んだ脚本が見事でしたが、
今年の『どうする家康』のLGBT回は正直、蛇足だった感が否めず。


愚痴はさておき、本作のファンタジー要素や異能設定に唐突感を覚える方もいるとは思いますが、
私は大河ファンタジーは得意分野なので違和感なく完走することができました。
原作者の小学校時代の愛読書『十二国記』、『彩雲国物語』、『アルスラーン戦記』。
この辺りが好みなら、1クールでは到底終わりが見えない。
制作決定した2期へ続くというスケール感も含めて楽しめるでしょう。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・キネマシトラス

惹き込まれる映像美。

決して作画枚数がMAXという感じではありませんが、
時折見せる心情ともリンクした天候、情景描写は流石は『メイドインアビス』のキネマシトラス。
セピア調のフィルターや、主線をかすれ線にする処理など、
随所にセンスを感じる画面作りで演出してきます。

魅入ってしまうのは色彩の美しさ。
単に色鮮やかにするだけでなく、
美世を幸せにする久堂家は全体的に明るい色調。
美世を苛める斎森家は暗い色調w
と明暗を使い分けた心情表現も上々。

私が毎回楽しみだったのはHALKA氏による着物デザイン。
男が愛する女性を遠慮なく着飾る楽しみ。
これもまた語られなくなりつつある価値観ですが、
このデザインの美しさで、純心から言われたらぐうの音も出ません。


【キャラ 4.0点】
“異能を持たない”ヒロイン斎森美世と凄腕雷異能者の旦那様・久堂清霞は高濃度のピュアカップル。
美世を苛める斎森家の面々や、女を血筋としかみなさない悪役は妬みと執着に塗れる。
キャラの美醜もコントラストがくっきり。


愚かな悪女として良く踊ってシナリオも盛り上げてくれた美世の異母妹・香耶。
{netabare} 没落して奉公に出されるという形で退場してしまいましたが、{/netabare}
こういうキャラの末路や覚醒も私の好物なので、今後アニオリでも良いので出番ないかなと思ってみたり。


辰石幸次や鶴木新といった御仁は人物相関図だけ見れば、美世を取り巻く広義の逆ハーレムキャラということにもなるのでしょうか。
清霞みたいな異能の天才に生まれなかったけど家の宿命やらは背負っている。
恋のライバルとはまた違った形で美世にアプローチしてくる彼らの姿に、
理想と現実の自分との狭間で苦悩する男の渋味を感じました。


【声優 4.0点】
ヒロイン美世役・上田 麗奈さん、旦那・清霞役の石川 界人さん、
美世の幼馴染・辰石幸次役の西山 宏太朗さん。
この辺りのメインどころはアニメ化に先立ち上演された朗読劇からのキャスト継続。

アニメより先にゲームやドラマCDなどが展開された場合、
アニメキャストは変更になることが多いのですが、
本作みたいに初回から勝手を知っているキャスト陣の繊細な演技を聞いていると、
キャストの継続性ってやっぱり重宝するなと思います。

上田 麗奈さんに、どちらかと言えば元気な凛とした声のイメージを抱いていた私。
初回の上田 麗奈さんのオドオドボイスを聞いた時は、
これ終盤キャラ覚醒した時、どんだけ振れ幅大きいんだ?とワクワクさせられました。

実際、最終回見たら、{netabare} 美世は勇ましい巫女?で興奮しました。
美世が旦那様のために力強い声で宣言する相手が、弱かった頃の自分自身というのは意外でしたが。
そこの“一人二役”も含めて好演だったと思います。{/netabare}


一方で私はアニメでキャスト変更になった
斎森香耶役の佐倉 綾音さんの嫉妬ボイスや、
使用人ゆり江役の桑島 法子さんの柔和な声色にも味わいを感じていまして。
声優継続か変更かもまた良作の絶対条件でもないんだなと考え込んでしまいます。


それにしても終盤登場した堯人(たかいひと)役に石田 彰さん。
2期に向けて、良い意味で嫌な予感しかしませんw


【音楽 4.0点】
劇伴担当はエバン・コール氏。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、劇場アニメ『ジョゼと虎と魚たち』
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、劇場アニメ『金の国 水の国』
と私が連続エンカウント中の作曲家。

本作もまた緻密な心情曲だけでなく、
和洋折衷のファンタジー世界観や異能バトルなど幅広い対応力が求められますが、
上記の同氏の経歴なら何が来ても美しく彩ることができます。

同氏は日本語もペラペラですし、日本のコンテンツ産業にとって大きな力となる存在ですね。
秋からのアニメ『葬送のフリーレン』劇伴でも活躍を期待しています。


OP主題歌は、りりあ。「貴方の側に。」
“あなたの隣は私でいいですか?”などとド直球で想いをぶつけるピュアラブソング。
私は劇場アニメ『バブル』ヒロイン役&ED主題歌以来の遭遇でしたが純度は相変わらず。

ED主題歌は伊東歌詞太郎「ヰタ・フィロソフィカ」
私は『デカダンス』ED以来の遭遇でしたが、こちらもEDアニメーションの画力に負けない相変わらずのバラード巧者ぶり。


音楽は総じて私がまたアニメで聞きたいと思っていた作曲家、アーティストが、
存分に力を発揮してくれて嬉しかった感じ。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 34
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

幸せな日々を送りたい送らせたいと願うお話

原作未読 全12話

時代は明治?大正?時代のような感じで、異能の力が重宝される世界。異能の力がないと見られていた主人公の斎森 美世(さいもり みよ)は、父親・義理の母・異母妹から幼い頃より虐げられて使用人より酷い扱いをされてしまいます。{netabare} (美世の母は幼い頃に病死){/netabare}

転機は異能者の家系で最高の名家とされる久堂家の当主・清霞(きよか)の婚約者候補として久堂家へ赴きます。清霞は数々の婚約者候補たちがすぐに逃げ出すほど気難しい性格と言われ、美世が行ったところですぐに追い出されるだろうとのことで斎森家は決めたようです。しかし、清霞は美世を気に入り、大切に思うようになりました。清霞と美世が色々な障害を乗り越え、幸せを掴むまでの物語です。

最初はとても残酷で悲しいお話が続き、自信がないのか細い声の美世はアクの強い斎森家の面々には到底太刀打ち出来ないだろうと観ていました。

でも清霞と出会って世界が変わり、その後も色々な障害がありましたが、幸せな感じで終わっています。

その時代のお話ということではなく、この作品には異能の力が随所にでてきます。ファンタジー要素も色々とありましたね。

作画がとても綺麗でした。(桜の描写など)

第2期の制作が発表されました。まだまだ一波乱二波乱ありそうですね。放送が楽しみです。

OPはりりあ。さん、伊東歌詞太郎さんが歌っています。

最後に、異母妹役は佐倉綾音さん、人の心に反感心を抱かせるいい演技でしたw

投稿 : 2024/11/30
♥ : 27

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ふわふわの綿菓子に混ざりこんだザラメのような違和感。

うわー、意味わからないレビュータイトル。
そもそも綿菓子作っている過程で、ザラメのまま混ざりこむことは無いわけで・・・(溶かして綿状にしているもんなぁ)。

まぁ、言いたかったことは、綿菓子に砂というほど食えない訳では無かったが、食える程度の違和感があったっていう意味です。
あ!?カステラにザラメでもいいかw。



総じて、苦手なタイプの絵柄ではあったのですが、最後まで視聴できたので、物語という意味では、それほど大きな障害では無かったのかもしれませんけどね。

時代背景として、この時代をチョイスしているので、旧来のステレオタイプな男女感、夫婦感、家柄、血縁などなどは、フィクションの一舞台装置として許容しなければならないでしょうね。
頭カチカチのタイプの人がみれば、それでも卒倒もんなんでしょうが。

もっとも、これらは上手に使えば、本当に魅力的な、力のある舞台装置となるはずなのですが、ちょっと力不足だったかもしれませんね。
舞台装置というよりも、舞台設定止まりだったという印象です。

どうちがうんだ?といわれると困ってしまいますが、解像度と言いますか、2次元と3次元的な差といいますか・・・、個人の感想なので深く突っ込まれると困ってしまいますwお許しを。


これも個人の感想なのですが、
あとは、作品タイトルから少し印象をかえてしまったのは「異能」であり「異能バトル」でしょうね。
純然たるシンデレラストーリーのラインと血縁、家柄、異能をめぐる思惑のバランスがあまりよくなかった気がしています。
また、いろいろなキャラクタの思いと発するセリフ、行動が微妙にずれていたような・・・。

例えば、美世の母親が美世の将来をおもんばかって能力を封印するシーン。
美世が面倒な事に巻き込まれるのは不憫だという、美世の身を思ってやっている事だとは思いますし(そうなのは、勿論)わかっているのですが、シーンやセリフを見ていると、あたかも「家」を守る為の様に聞こえてしまうんですよねぇ。

こういったような、「ん!?」「あれっ!?」って言うところがいくつかありまして、それをザラメと表現した次第なのです。

このレビューを書くに際して、Webサイトを拝見したところ、2期の予定が決まっているそうです。

第一所感は「へー、最終話で一つ形になってんのに、これからどうすんの?」

でした。

まだ、結婚自体はしていないので、そこまでにもう一つ二つなにかエピソードがあるとか、ひとまず退場していったヘイトタンクだったキャラ達の関係で溜飲が下がる様なものがあるのか、はたまた、やっぱり異能バトル系で権謀術数に巻き込まれていくのか・・・。
原作を知らないので、どうなるのかは知らないのですが、2期かぁ・・・全然違った方向に進んででいったりしてw。

興味がゼロって訳でもないので、視聴については、その時の私の心の持ちよう、時間の余裕次第かなぁ。


ああ、Webサイトに実写版の情報もありましたね・・・・・・。
ええ、ちゃんと紹介サイトをチラ見してきましたよ、ええ、観ましたとも。
紹介動画も見ましたよ、観ましたとも。

個人の感想ですが・・・学芸会に興味はないんですわ、サーセン。



最後に、この作品で一番楽しかったところが年代を越えての美世、ゆり江、葉月たち(きもの屋の女将含む)の女子会的なトークシーンですかね。
強さ、優しさ、気品、美しさ、楽しさ、いろいろなものが滲み出てくるようなシーンが多かったです。
素晴らしい演技でしたね。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 25

78.1 2 着物アニメランキング2位
空の境界 第五章 矛盾螺旋[ムジュンラセン](アニメ映画)

2008年8月16日
★★★★★ 4.2 (852)
4891人が棚に入れました
1998年10月、両儀式はふとした事から臙条巴という自称人殺しの家出少年と知り合う。式は巴の隠れ家に自室を提供し共同生活を送り始めるが、しばらくして巴は自分の親殺しの罪を告白する。奇しくも蒼崎橙子から似たような事件の詳細を聞いていた式は、巴とともに臙条家のある小川マンションへ向かう。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、東地宏樹、中田譲治
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界中、最難関にして最上の作品。困難を乗り越えて理解して欲しい本作の神髄

か「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第五章「矛盾螺旋」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第五章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち5番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章から第四章までの殆どの伏線を回収し、荒耶宗蓮の物語は終結する。
本章は「空の境界」という作品の肝であり、本作を荒耶宗蓮の野望を主題とするならば、
第六、七章は本章の残滓と言っても過言では無い。なぜならば、一章から四章の伏線や、
これまでの両儀式に纏わる物語は全て彼の計画の完遂の為に周到に準備されたものだからだ
(しかし、荒耶が手薬煉を引く前に式や橙子に見つかったので、計画を前倒しにしているきらいもある)。
内容は非常に理解に面倒で、予備知識が必須である。また、時系列のシャッフルが本章では作品内で構成されている為、一度の視聴での理解は不可能である。
是非、二・三度視聴して、理解を深めて欲しい。
本章は原作と比較して描写が大幅にカットされており、半ば継ぎはぎ感を感じざるを得ない。しかし、完成度としては至極満足である。私が考えるに原作による補完は必須である。
(原作を読む上での注意:
1.言葉をそのままの意味で理解せず、状況から推測する。(例:二律背反)
2.作者の造語が理解の範疇を凌駕した場合は、採り合えず調べる。(例:死街)
3.作者の日本語が明らかに文法上誤りである箇所が多々見受けられるが、脳内補完する。
(修飾の該当箇所が明らかにおかしい。
例: その一連の映像は、古びた頁に挟まれ、書に取り込まれて平面となった押し花を幻想させた。
   ←その一連の映像は、古びた本の頁に挟まれ、平面(のように潰れた形)となった押し花を
   連想(或いは髣髴)させた。[()は無くても良い。]
  八月になった最初の夜←八月になって最初の日の夜)
4.本来の日本語に無い使用法が見受けられる。(例:幾多もの←幾多の/迫ったほど←迫る/迫った)
上記の例は全て一章俯瞰風景に依った。)
副題のParadox Paradigmは其のまま矛盾螺旋である。


考察←観る前に見ない様に。
{netabare}
時系列:5/8
1998年10月
両儀式:18歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:大(時系列のシャッフルや1度目の橙子VSアルバ戦のカットが目立つ)
原作との尺の比 417P:114min=1:0.40(1分当たり3.66P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)

・「矛盾と螺旋」について
矛盾・・・contradictionの訳語。一方を立てようとすれば、他の一方が立たないという、くいちがった関係におかれる概念、または判断が対立して統一できない場合。
<韓非子>より楚の故事に由来。
螺旋・・・巻貝のようにぐるぐるまわっていること。

「空の境界」におけるこれら二つの言葉の意味

矛盾・・・人は宗教・哲学などから見て取れるように、絶対の理、永遠不滅の真理を求めようとする知的好奇心旺盛な生き物である。ソクラテスは無知の知を自覚し、真の知を求めることを重視した。仏教でも般若波羅密を知ることを求め、一切皆苦の厭世感から真理を追究した。哲学でも様々な興味深い分類が試みられている。
他方、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教浄土系宗派など真理の追究を諦め、絶対的なものに縋ることにより救済されるという、知の探求を事実上放擲している宗教も存在する。また煩悩具足であることを寧ろ良い事と考え厭世感を持たない考えも蔓延っている。これは無知であることを否定し、無知である自己や世界を否定し、自己乃至世界を救うべく真理の探究をする姿勢と明らかに矛盾する。人間は真の叡智を求める一方、真の叡智を求めることを放擲或いは拒絶しているのだ。
共通する認識は、世界或いは自己が滅びることを絶対的に拒み、之を救わんが為に行動していることである。

螺旋・・・人の性である煩悩は祖先から子孫まで相違は無く、永遠に螺旋を描いてゆく。
繰り返される日常や人生は人間の進化進歩しない煩悩の螺旋であり、二重螺旋構造を持つ遺伝子の匣として定められた過程を営む。


・「荒耶宗蓮」について
荒耶宗蓮は、元は台密の僧(台密とは天台密教の略称)で、起源である「静止」を覚醒させている。此の起源により200年以上生きながらえおり不老不死である(肉体は人形)。前項の人類の矛盾を克服出来ないことを悔やみ、人間では解決出来ないことから「起源」を追求し人の存在意義を探求するに至った、現在の彼は、もはや『 』へ至る為の概念と化している。
『 』へ至った暁に彼は、人類の死を等しく肯定する為に人類を滅ぼし、新たな世界、死を等しく肯定出来る世界の構築を望んだ。
彼は人の存在意義を「生」ではなく「死」に見出し、どのような死を迎えるかを重要視する。魔術協会で同期の橙子が人形、つまり肉体を重視したことに対して、彼は魂、つまり精神を重要視した。「根源」追求の為に死の蒐集をしており、人の死を記録する実験を重ねている。
結界を構築する能力にも長け、橙子曰く魔法(後述)の域に達しているらしい。
また武術の達人でもあり、左手に埋め込まれた仏舎利により、他人から自分の死線を認識されることを防いでいる。橙子程ではないが人形師として相当の腕も持つ。
他にも他人の「起源」を認知し、覚醒させることも可能である。
「不倶」「金剛」「蛇蝎」「戴天」「頂経」「王顕」という六道境界を自身の周りに張巡らす。
境界にはサンスクリット文字が出てくる。


・「相克する螺旋で待つ」の意味について
二章殺人考察で述べた五行思想のもので、五芒星の外接円として、各頂点に接する円を描くと、五つの頂点が其々木火土金水となり、円の流れが「相生」、五芒星の線上の頂点を一つ飛ばした流れを「相克」と云う。
相克
1.対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。
2. 五行(ごぎょう)説で、木は土に、土は水に、水は火に、火は金に、金は木にそれぞれ剋(か)つとされること。五行相克。相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。
という二つの意味がある。
因り相克する螺旋とは、先ほどの円が螺旋しており、バネの様にグルグルと廻っていて、さらにその円を相克の関係で崩れた五芒星を描きながら進む線分のことである。
ここでの相克は後述のアラヤと荒耶、小川マンションや、巫条霧絵、浅上藤乃{netabare}、白純里緒{/netabare}などに言えることだろう。


・「荒耶宗蓮の計画」について
前項の「根源」『 』へ至る為には荒耶自身の真理の追究(つまり魔術師の研究と同義)では達成出来ない。それは荒耶の真理の追究の目的が他の魔術師と異なり、人類を滅ぼすことに繋がる事案である為、「抑止力」(後述)による制約を受けてしまうからである。
よって、肉体が既に根源に繋がる可能性を持っている両儀式に接触し、彼女を根源に近づけ、最終的に彼女と一体化することにより根源に至ろうとした。
巫条霧絵、浅上藤乃という式と同じ「虚無」を起源にもち、しかし殺戮を無自覚の内に愉しんでいるという刺客を送り込むことにより、彼女を精神的に追い詰め根源に近づけた。
彼の計画は彼が予期していたよりもずっと早く最終段階に以降する。それは黒桐幹也と白純里緒の存在が影響している。式が追い詰められた原因は七章で、式が何故根源に繋がるのかは後述する。


・「小川マンション」について
小川マンションは荒耶宗蓮とコルネリウス=アルバの合作である(設計には橙子も参加)。
アルバが生きた人間の脳髄を摘出し、之の生命を維持させ、荒耶が制作した人形を本人と寸分違わぬ生命体として存在させた(この人形は血が出ず、歯車で動く様だ)。
また荒耶は結界によってマンションを外界から隔絶された異界とした。
アルバの「ようこそ、私のゲヘナに」という台詞は、「ようこそ、私の地獄に」という意味。
小川マンションは荒耶にとっては人の死の探求、アルバにとっては橙子の殺害が目的だ。
小川マンションでの実験は、荒耶宗蓮による実験であるが、之は式と一体化し根源に至る計画とは別件である。しかし、式の肉体が思いのほか早熟し、丁度罠に掛かったので、急遽予定を繰り上げて根源へ至る準備に取り掛かった。

荒耶は、精神的に不安定な不和を抱えた人間を選りすぐってマンションに入居させ、その嗜好を凝らした建築様式で更に住人の精神を不安定にさせ、死に至らしめた。
マンションは完全なシンメトリーになっており、西側と東側はマンション内から見る外観も似通っており、判別不可能な構造となっている(この構造は太極の具現である)。
東西棟は円柱の中央のエレベーターと其れに纏わりつく螺旋階段のみで接続されている。
入居者は始めは西棟に住み、死亡後は脳髄を摘出され、荒耶が制作した人形を通して東棟で生活する。エレベーター及び螺旋階段はロケット鉛筆というより、螺旋を描いているドリルの芯や、床屋でくるくる廻っているサインポールを想像すると理解し易い。
下から芯を捻り上げて出口をずらす事により東西を入れ替え、住人に気付かれることなく部屋の移動を完了させたのだ。
そして東棟の人形住人は朝に起き、夜に死ぬという生死の螺旋を繰り返し「命日」を毎日繰り返す。対して西棟では本人の死体をそのまま放置しておく。こうして一方は死骸、一方は朝蘇り夕べに死ぬ生きた人形という同時刻に同じ人間を二人用意し、同じ死を矛盾した状態で毎日螺旋させることで、その死にどのような差異が生じるかを実験した。
小川マンションは荒耶の体内に等しく、彼の思うままに操ることが出来る。
燕條巴は実験の成果と言える。


・「蒼崎橙子」について
蒼崎橙子は魔術師(後述)の六世に生まれた。14歳で魔術協会に留学し、衰退したルーン魔術を専攻して之を復興させた。荒耶、コルネリウスとは同期である。その後礼園女学院に入学。持って生まれた才能から次期当主として有望視されていたが、妹の青子に敗れた。魔眼を持っており、普段は魔眼殺しの眼鏡を掛けている。妹の青子とは相当仲が悪く、殺しあうほどである。かつての使い魔が青子に敗れたため、両儀式を新たな使い魔の代わりとして用いている。
魔術協会はトップランクの魔術師である橙子に「赤」の称号を贈ったが、本来望んでいた「青」とは真逆の「赤」を得たということで、橙子はこの称号を不服に思っている。そのことを指摘されること、とりわけ「傷んだ赤色(スカー・レッド)」と呼ばれることはことさら嫌っており、そう呼んだ者は全員殺している。例外は殺し損ねた妹のみ。
また、当代屈指の人形師で、人形という雛形で根源への到達を目指していたが、もう興味は無いらしい。
その魔術が根源に近づいた為、魔術協会から封印指定(後述)を受け出奔中である。
彼女は「魔術師当人が最強である必要はなく、最強のものを作り出せばよい」という持論から、使い魔を鞄に入れ、之を使役することで戦闘する。
また、アイデンティティの確保が出来れば肉体はさほど重要ではないとの考えらしく、
自身の脳が損傷した場合は即時に用意しておいた予備の人形が起動し、以前の記憶を継承して再び生活を送る。よって橙子を殺すには、脳髄が損傷しないように半殺し状態にし、
永遠に延命治療を施さなければならない。荒耶が「私が蒼崎を仕留めたのは詮方なき事だ」と言ったのは、荒耶は魔術師として橙子に敬意を払っていてそれを悔やんでいるのと同時に、
橙子を殺すことは彼女の復活を意味する為に、仕留めたという表現を使っているのだ。
首となった橙子は五感を有しており、コルネリウスが「傷んだ赤色」と言ったことも聞いていた為に、荒耶は「――たわけ。口にしてはならないことを口にしたな、コルネリウス」と言ったのだ。橙子は、コルネリウスが橙子の頭を粉砕したことで、彼女の予備を起動せさられたので、小川マンションに駆けつけられたのである。


・「燕條巴」について
彼はかつて走ることが大好きで、中学では名の知れた陸上競技の選手だった。
しかし、父親が失業し高校入学の資金は自らアルバイトをして稼ぐこととなった。
生活苦の為働きながらも陸上だけは続けていたが、父親が交通事故で人を轢き、賠償は母親の親戚が何とかしたものの風評被害で陸上は止める事になった。これにより生き甲斐を失って高校を中退。父親は飲んだ暮れであり、彼はアルバイトで、母親はパートで生活費を稼ぐという無気力な生活が続いていたところを荒耶に目を付けられて、一家で小川マンションに越す。ある日、帰宅後に母親によって殺害され、前項の荒耶の計画から、脳髄を摘出され、人形として(本人に人形だという自覚は無い)朝生まれ夕べに死ぬという螺旋を繰り返す。ある日、自身の死を予期して母親を殺害し逃亡、自身を支配する「ニセモノ」であるという認識を恐れ、圧倒的な強さを見せる式に見蕩れて彼女のアパートに転がり込んだ。
実際に彼が抱く自身が「ニセモノ」であるとする自覚は、荒耶とコルネリウスが制作した人形である為だが、彼は陸上を諦めたことを理由と合理化し納得した。
いつしか式を愛するようになり、彼女が荒耶に捕らえられて困惑するが、幹也に幼少期を過ごした家屋に連れて行かれて家族への思いを思い出し、自身が「ニセモノ」であるとする認識、家族への想い、式への想いに決着を付ける為、幹也とともに小川マンションへ向かう。元から極悪な人間など居らず、置かれた境遇が人間を形成する(因って私は性悪説を支持)。巴の家族も昔は平凡ながら幸せを享受していて、彼はそれを思い出すことで、家族への苛立ちや、真実を直視することの恐怖から解き放たれたのではないか。彼の式への恋慕は荒耶が仕組んだ人為的な感情だったが、彼はそれを越えて彼女を愛していたことを本物だと認識し、式の為でなく自身の為に荒耶と対峙した。
彼の起源は「無価値」であるが、彼が荒耶を足止めしたことで、式が復活する為の時間が稼げて、結果的に荒耶は倒されたので、彼は起源を凌駕したことになる。
また、彼の家族愛の象徴である「家の鍵」は、普段家に鍵を掛ける習慣の無かった式に、鍵を掛けさせるという意味を残した。
彼は幹也に「俺はさ、両義に同じ物を見て安心していただけだったんだから。俺とかあいつみたいな人間にはさ、あんたみたいに呆れるほど害のないヤツの方がいいんだよ――」と言っている。幹也がなぜ異常者に対して他の常人と同等に普遍的に接するのかについては、六章忘却録音で述べる。
因みにFateの衛宮士郎は彼がモデル。


・「抑止力」について
カウンターガーディアンとも言い、集合的無意識によって形成される世界の安全装置である。抑止力とは発生しないように止める力のことで、一般に軍事で使用される言葉だ。
春秋戦国時代の縦横家の張儀の連衡策や核抑止論が有名である。相手が動作する際に、その動作に関わるリスクと得られる利益を天秤に掛け、リスクの方を高いと思わせる力を主に指す。TYPE-MOONの世界観では地球で発生する事象の内、地球或いは人類の生存に差し障る脅威を排除する力と考えるのが妥当だ。
抑止力には二種類有り、人類の持つ破滅回避の祈りである「アラヤ」と、星自身が思う生命延長の祈りである「ガイア」がある。
またこの抑止力は、「歴史的人物は世界史的な個人であり、したがって絶対者は個々人の情熱やはたらきを利用して自己を実現する」というヘーゲルの絶対精神と似通ったところがある。地球或いは人類の生存を脅かす事象を森羅万象すべてが拒み阻止しようとする。
荒耶が憎んでいたのは、前者のアラヤであったために、彼の螺旋の探求は、彼が探求を始めた時点から矛盾していたと言える。

仏教の阿頼耶識は四章伽藍の洞で触れた唯識(あらゆる諸存在が個人的に構想された識でしかないのならば、諸存在は主観的な存在であり客観的な存在ではなく、唯、人の感覚でしかなく、実態は空)の思想で、五感(眼・耳・鼻・舌・身=五根)が含まれる般若心経の六識(眼・耳・鼻・舌・身・意)に未那識、阿頼耶識を加えた八識の最終である。六識については痛覚残留で述べたので割愛する。
阿頼耶識は人間存在の根本にある識で、未那識とともに無意識に該当する。
心の内にある種子(しゅうじ:色々の現象を起こさせる可能性、可能力で、ある現象が影響して自らに習慣的な刺激によって植えつけた印象のこと(唯物史観に少々似ているかもしれない))から、世界の諸現象を生じる。生じた現象はその人の阿頼耶識に印象(熏習)を与えて種子を形成し、刹那に生滅を繰り返し、之を持続する。
諸法の種子を内臓「一切種子識」
過去の業の果報(異熟)から生成「異熟識」
他の識の根本「根本識」
身心の器官を維持「阿頼耶識(我持識・執我識)」
などの働きがある。
未那識(まなしき)は、意識と阿頼耶識の中間にある無意識を担当する識で、阿頼耶識の見分から我・法などを思量し六識に作用する。
八識はみな思量の作用があるが、末那識は特に恒(間断なく常に作用する)と審(明瞭に思惟する)との二義を兼ね有して他の七識に勝っているから末那(意)という。
睡眠中でも深層に於いて作用し阿頼耶識を対象とし、それを自分であると執着する。
未来福音の両儀未那はこれに因む。


・「魔術と魔法、魔術師と魔法使い」について
魔術とは魔力を用いて人為的に神秘・奇跡を再現する術の総称である。
常識で可能なことを非常識で可能にしているに過ぎない。
現在、魔術の殆どは文明の利器により現実可能であり、指に火を灯すか、ライターで火を灯すかくらいの違いしかない。魔術を使うものを魔術師といい、その殆どは魔術協会に加入している。
魔術協会は魔術師を監視し、魔術の漏洩や魔術師が一般人に危害を加えることを防ぐ。
魔術師は魔術協会で勉強し、その膨大な資料を自身の研究の為に使用する。
蒼崎橙子やコルネリウス=アルバ、荒耶宗蓮はこの魔術師に該当する。
魔法とは人間には到達出来ていない、或いは到達し得ない「奇跡」を具現させる術である。
この魔法を使うものを魔法使いといい、世界に五人しか居ない(生きているのは四人)。
判明しているのは、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグと蒼崎青子の二人。
人類の科学が進歩していなかった頃は、魔法使いのハードルは現在よりも低く、多くの魔法使いが実在したが、現在それらは文明の発展に伴い殆どが魔術へと格下げされてしまった。
また、魔法は魔術師達が目指す最終到達地点である「根源の渦」から引き出された力の発現である。
魔術師の家系は生涯を賭けて学んだ神秘を魔術刻印という遺産にし、子孫に伝える。
そして研究成果の最終目標である「根源の渦」『 』への到達を目指す。
魔術協会は、学問的に習得不可能レベルの魔術を身につけた魔術師(「根源の渦」への到達が近い者)に対し、魔術協会がサンプルとして保護する旨の令状「封印指定」を出す。魔術師としては栄誉であるが、軟禁生活を強いられるため、たいてい逃亡する。橙子はこの封印指定を受けているため、伽藍の堂に結界を張って隠遁している。


・「肉体と精神」について
「われ思う、ゆえにわれあり(コギト=エルゴ=スム)」で有名なデカルトの説いた物心二元論では、物体と精神とは実体として存在し明確に分離され、物体は精神に依存せずに因果関係によって運動するという機械論的自然観を確立した。物体は「高邁の精神」によるコントロールを受ける。現在此の説を支持するものは殆ど無く、機械論的自然観を形成したことで、寧ろ批判されている。肉体と精神は切っても切り離せない関係にあり、自我の形成には肉体が多大な影響を与えている。くわしくは終章空の境界で述べる。


・「根源」について
根源とは全ての原因。あらゆる現象が流れ出したもとである。『 』はこの根源に近いが、
根源をも含む森羅万象の原因であると解釈される。
有り体に言うと「真理」「究極の知識」ということになる。全ての原因であるがゆえに、全ての結果を導き出せるもの。この一端の機能を指してアカシックレコードと呼んだりもする。
有と無、生と死の狭間の世界であり、仏教的に言えば「空」に近いと言える。
魔術師は根源に到達することで、先祖代々の目的である永遠の真理に到達する。
この根源とは、ギリシア哲学で言えば、「イデア界」、仏教で言えば、「般若波羅密」の実践により得られる真理(即ち一切皆空と悟る涅槃寂静の境地)と言える。
一種のエロース(イデア界への羨望・回帰欲求)があるのかもしれない。
前項で述べた抑止力の説明にヘーゲルの絶対精神を用いたが、こちらの方が絶対精神に近い側面を持つ。アイデンティティを持ったまま、根源に到達したものは自らの願いを叶えることが出来るらしく世界を改変する力を持つ。Fateの聖杯もこの考えによって理解出来る。ヘーゲルが言うには絶対精神は神(唯一神・人格神)と同義らしい。
アカシックレコードについては六章忘却録音で述べる。


・「太極図」について
太極とは即ち根源の事で、道家や陰陽家で重視された。陰陽魚太極図が有名である。こちらも二元論的な側面が強く、全てを陰と陽に分ける。例えば陽には、明・男・積極的・攻撃・前・上・左・天・奇数・味方・夏などの意味があり、陰には、暗・女・消極的・防御・後・下・右・地・偶数・敵・冬などの意味がある。太極を二つに分けたものを両儀、四つに分けたものを四象、八つに分けたものを八卦という。大韓民国の国旗を太極旗といい、真ん中の赤と青により描かれている巴を太極、四方に有る三本の棒の集合を八卦という(韓国の国旗はこの八卦の内の四つ。因みに八卦は16パターン存在し、「易経」の八卦を後天図、宋学の朱熹の八卦を先天図と云う。ここでの八卦は先天図)。――と--を爻(コウ)、爻により構成されるものを卦(ケ)と云う。
爻が一本な卦(二つ在る)を両儀、爻が二本な卦(四つ在る)を四象、爻が三本な卦(十六在るが、内、八つ)を八卦という。
両儀は太極を二つ、つまり陰と陽に分離したものであり、式が男性人格と女性人格を持ち、一方は欲望の抑圧や拒絶、一方は欲望の解放や受諾を担っていたのもこの為。式のことを太極というのも此の為。根源から分離した小川マンションは太極図の具現である。


・時系列の整理
1.本物の燕條巴が母親により殺害され、荒耶の実験が始まる。
2.黒桐幹也が免許取得の為に、長野の自動車学校へ通うことにより、観布子を留守にする。
3.偽物の燕條巴(以下巴)が予知夢(実際は現実)を恐れ、母親を殺害、逃亡中に式に出会う。
4.空き巣が燕條家に侵入し、死体を発見(突発的な犯行←抑止力に依る)
5.巴、式の部屋に転がり込み居候する。親殺しや偽物感から苦悩する。
6.巴、式のために部屋の鍵を造る。
7.式は殺人衝動を満たす為に巴を殺そうとするが断念。
8.巴、コルネリウスを目撃、式に報告するが一蹴される。此の頃から式へ好意を持つ。
9.幹也、免許取得後、伽藍の堂にて橙子に小川マンションについての調査を依頼される。
10.鮮花が伽藍の堂に来る。黒桐、橙子から両儀や魔術についての享受を得る。
11.秋隆が刀を式のマンションに届けに来るが留守で幹也に預ける。
12.巴、母親を殺した筈なのに、生きている母親を目撃する。
13.幹也、橙子に小川マンションについての調査結果を報告。刀を式に渡す。
14.何日か経過し、巴は不審に思い式と共に小川マンションに赴き、もう一人の自分と最後の一日を直視する。式の部屋に鍵を掛ける。
15.式、荒耶と戦闘するも彼に捕らえられる。巴、真実を知り、式を救うべく逃走。
16.同日、橙子と幹也が小川マンションに調査に入る。
17.翌日、コルネリウスが橙子の人形館に挨拶に来る。
18.橙子、小川マンションでコルネリウスと対峙、之を倒すも荒耶に敗れる。
19.荒耶、橙子の頭をコルネリウスにプレゼント。
20.幹也、式の部屋で巴と会い、彼を幼少期過ごした家へと連れて行く。
21.幹也、巴に式の部屋の鍵を貰う。
22.幹也、小川マンションに向かい、コルネリウスに苛められる。
23.巴、地下の工房で自身の脳髄を発見し、荒耶の元へ赴くが返り討ちにあい消滅。
24.コルネリウス、橙子の頭を粉砕、二人目の橙子が現れて彼を殺害し幹也を救助。
25.式、荒耶の造った結界を破壊(結界の死線を切断)し、具現、荒耶を消滅させる。
26.式、巴の影響で部屋に鍵を掛ける様になる。

幹也が式の部屋のインターホンを鳴らした順番
①上記11.の時のチャイム。
②上記14.の時のチャイム。
③上記20.の時のチャイム。


・「sprinter」について
燕條巴をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。
他の曲に比べて歌詞が明快で、曲調もテンポが速く、「競争」しているかのように次々と繰り出される歌詞が特徴的だ。巴が式を想っていた事、肉体はニセモノであるが、精神はホンモノであること等が、歌詞に刻まれている。空の境界の主題歌の中では私が一番好きな曲だ。


・「矛盾螺旋」という作品について
黒桐幹也は自動車運転免許取得のための教習のため、長野に1ケ月間滞在し、留守にしていた。燕條巴は陸上の選手だったが、父親の失業によりアルバイトを始め学費を自分で稼いで高校へ入学したが、父が交通事故を起こしそれが元で、高校を中退。一家で小川マンションに越し、そこで母親に殺害された。魔術師荒耶宗蓮は人の螺旋し、留まることの無い性に失望し、世界を改変する為に『 』への到達を目論み、「抑止力」に左右されない、両儀式と一体化するという方法を模索し、霧絵・藤乃を差し向け、式を精神的に根源へと近づけた。今回はコルネリウスと別件で人の「死」に対する実験を小川マンションで行っており、巴はその実験に利用され、死後も人間の精神を持った人形としての生活を送っていた。
巴は荒耶の実験の成功例であり、死の螺旋から脱出したが、親殺しや自らがニセモノであるという感情に苦悩していた。荒耶の細工により式に近づき好意を覚え、彼女を愛し始めた。巴は何日か経過し殺したはずの母親を目撃し、小川マンションへ行き確認することを考え始めた。丁度その頃、橙子は免許を取得し帰還した幹也に、小川マンションの調査を依頼した。幹也は式の部屋に向かうが留守で、そこで秋隆から名刀を預かり翌日式に渡した。幹也はマンションの調査を一晩で終わらせ、その調査結果を見た式は、巴と共に小川マンションへ向かい、この建造物の真実を知るが、荒耶に敗北し捕らえられる。その後、橙子と幹也は小川マンションを調査し、この建造物の真実を知る。翌日、橙子の人形館にコルネリウスが登場し、式を捕らえた旨を橙子に伝える。橙子は戦闘の支度をし、小川マンションへ向かってコルネリウスを破るが、荒耶に敗北し、首だけとなった。待ちきれなくなった幹也は、式の部屋で巴と出会い、彼を旧家に案内した後、共に小川マンションへ行く。此の時、巴に式の部屋の鍵を貰う。巴は荒耶に返り討ちに遇い消滅した。幹也はコルネリウスに目の前で橙子の頭を粉砕され、彼に苛められるが、二人目の橙子が登場し、彼は死亡した。巴が荒耶との問答で時間を稼いでいる間に式は、覚醒し荒耶の結界を破り、名刀によって彼を消滅させ、彼の野望は脆く崩れた。


・名言(原作より抜粋)

式「だっておかしいじゃないか。人間が見れるのは外見だけだろ。それを見てくれたおまえはいらなくて、心なんて見えもしないモノを見てくれなきゃイヤだ、なんて普通じゃない。普通じゃないって事は異常ってこと。ほら、おかしい話じゃないか。そいつもさ、心を見てほしかったら紙に書けばよかったのにね。臙条。おまえ、そいつと別れて正解だよ」

式「お断りだ。おまえの命なんて、いらない」

荒耶「荒耶宗蓮。式を殺す者だ」

荒耶「無こそがおまえの混沌衝動、起源である。――その闇を見ろ。そして己が名を思い出せ」



幹也「ろけっとぺんしるって、何ですか?」

橙子「黒桐。魔術師という輩はね、弟子や身内には親身になるんだ。自分の分身みたいなものだから、必死になって守りもする。・・・・・・まあそんなわけだから、きみは安心して待っていろ。今夜には式を連れて帰ってくる」

コルネリウス「Repeat!」

巴(―風は止んだし、合図も鳴った。さあ―そろそろ本気で走りはじめなくちゃ―)

コルネリウス「危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな」

橙子「おまえは死んだはずだ、なんてお決まりの台詞だけはよしてくれよコルネリウス。器が知れるぞ。あまり、私を失望させないでくれ」

コルネリウス「お前は――本物か?」

橙子「学院時代からの決まりでね。私を痛んだ赤色と呼んだ者は、例外なくブチ殺している」

荒耶「語るまでもない。私が幾度となく争ってきた想念、荒耶が敵とみなすモノは、救いきれぬ人間の性である」

橙子「認めろ荒耶。私達は誰よりも弱いから、魔術師なんていう超越者である事を選んだんだ」

巴「わりぃな、両儀。俺は、おまえのために死んでやれねぇわ。俺はさ――俺のために、この命を懸けなくちゃいけねえみてえだ」

巴「ああ。――それでも、この心は本物なんだよ」

巴「――そりゃあ、うちの家族はろくな連中じゃなかった。でも、こんなふうに殺されるほど、悪いヤツラじゃなかった。こんなふうに死んじまうほど、罪深くはなかったんだ・・・・・・!」

荒耶「戯け」

荒耶「最後に教えよう。おまえは何も成し得ない。なぜなら――おまえの起源は”無価値”だからだ」

荒耶「語るまでもない。私が幾度となく争ってきた観念、荒耶が敵とみなすモノとは、救いきれぬ人間の性である」


橙子と荒耶
「アラヤ、何を求める」
「――真の叡智を」
「アラヤ、何処に求める」
「――ただ、己がうちにのみ」
「アラヤ、何処を目指す」
――知れた事。この矛盾した螺旋(せかい)の果てを

式「オレ、おまえの部屋のカギ持ってない。不公平だろ、そういうのって」


感想

本作は空の境界中、理解するのに最難関な作品であり、頁数も一番多いことから、考察にも多大な時間と労力を費やし、レヴューも他の追随を許さぬほどに冗長になってしまった。
このレヴューによって一人でも多くの人の「矛盾螺旋」という作品の理解の参考になれば幸いである。
感想としては、まず原作と比較してあまりに尺が短く(自己調査の結果、尺比1:0.40)、映画の視聴だけで本作を理解するのは繰り返すが不可能である。また、本作は只でさえ理解に難いのに、あまつさえ時系列のシャッフルが行われて一層理解が困難になっている。
しかし、映画を全章観終え、原作を読破し、考察を完了した上で本章を視聴すると、以前との理解の程度が甚だしく、歓喜を覚えるほどであり、感無量である。この感覚が味わえるのならば、この時系列シャッフルも悪くないと最近想い始めた。是非この感覚を体験していただきたい。橙子が小川マンションの前で降車するシーンは素晴らしい。
本作は、原作との良い意味での違いが多く浮き彫りになっている。その最たる例は、巴と荒耶の対峙の場面である。原作では、エレベーター降車後、巴と荒耶が対峙し、会話があって、巴が荒耶に襲い掛かって、起源が「無価値」であることを宣告され消滅する。
本作では、地下の脳髄壜の前で、荒耶に真相を暴露され、後にエレベーター降車後、巴が荒耶に襲い掛かり、「無価値」宣告を受ける。ここで巴が「ここに居たんだ」と云って消えて行く。この場面が大変良い。因みに原作では襲い掛かる際に「ここに――居たから――!」と云っている。
尚、巴は荒耶に起源が「無価値」であることを宣告され、消える際にエレベーターの中に居る両儀式を目撃している(1:30:54)。しかし、荒耶には見えていなかった。巴は死ぬ際に、式の再誕を予知したのだろうか。
作品に対しては、荒耶宗蓮という人物の野望や両儀式の本質、燕條巴の人生という様々なテーマによって構成されており、大変見堪えがある。一件落着した後の式のデレには強烈な破壊力があり、何時もの蠱惑的な魅力とは一風変わった愛らしい魅力に溢れていた。{/netabare}


この五章は、一から四章を視聴した上で「両儀式」という人物について改めて考えさせる作品だった。また、荒耶宗蓮、コルネリウス=アルバという魔術師の登場と、彼らによる計画が、空の境界という作品の世界観をより一層具現化させた作品でもある。
また、三章、一章、本章と式が幹也へ寄せる想いが深くなっていることが随所で伺える。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 52
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

現在と過去、真実と虚構の境界線

原作未読。
全8章からなる物語の5章目。約114分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

すべての黒幕の登場。
そして、決着に至る物語。

1~4章までの事件は、いったい何が目的だったのか、それが明かされます。

この章の主人公でもある「嚥条巴(えんじょうともえ)」。
Fate/staynightの主人公「衛宮士郎(えみやしろう)」のモデルにもなった人物です。

この章の見所であり、見る側を混乱させる要素でもあるのが「時系列のシャッフル」。
同時並行で複数の話が進み、同じ時間帯に起こった出来事が別の場面で流れる。
その演出も面白い。
扉を開けたら別の時間だったり、時間軸が場面変更することなく変化します。

見てる側にとっては、いつどこで何があったのか、わかりにくい構成になっています。
そんなねじれた時間軸が、タイトルの「矛盾螺旋」とよくマッチしている作品だと思います。

そして、今までの集大成と言わんばかりの圧倒的な戦闘描写も特徴です。

EDテーマは「sprinter」。
英語で「競走者」を表します。
巴の事を歌った曲なのですが、シンクロっぷりがすごいので、ぜひ歌詞を最後まで聞いてみて下さい。


【5章「矛盾螺旋」の考察】
{netabare}
非常に考察しがいのある話です。
完全に解説しようと思えば何万文字になるかわかったもんじゃありません(笑)
……というか、私自身、よく理解できていません。5回は見たのにw
原作に当たらねば!!


さて、時系列や場面移動が複雑なこの章ですが、途中で入る白黒のカットインで区切りが付きます。

「矛盾螺旋」
前半。
ほぼ時系列どおりに話が進みます。

繰り返す「死」の1日。
巴がマンションを脱出し、式と出会う。
そして、式が荒耶宗蓮に捉えられるまで。
丁度この頃、黒桐幹也は自動車教習所で免許を取り、その後、巫条霧絵に眠らされていました。


「螺旋矛盾」
中盤。
「カチャン」という時計の音が流れる度に、時系列が飛びます。

橙子と幹也がマンションのことを調べ上げ、荒耶宗蓮にたどり着くまで。
丁度この頃、式の部屋には巴がいて、カギをかけていました。
そのため、幹也は式の部屋に入ることができませんでした。


「矛盾螺旋と螺旋矛盾が混じり合うとき」
後半。
何の脈絡もなく時系列や場面が飛びます。

たとえば、幹也と巴がマンションにたどり着いたとき、車が3台あります。
しかし、次の瞬間には2台、そしてまた3台に戻っている。

時系列を追えば、
①一人目の橙子が来る
②幹也と巴が来る
③二人目の橙子が来る
という、単純な話なのですが、
①橙子が車を止めるシーン
③橙子が車から降りるシーン
②幹也と巴が来る
と、順序を入れ替えることで、橙子が2人いることに気付かせないようにしています。


さて、黒桐幹也と、荒耶宗蓮から逃げてきた嚥条巴が出会います。
そして、巴の本当の家へ向かう2人。

……家族が崩壊していく過程が、見ていて苦しかったです。
しかし「死」を永遠に繰り返されるほどの罪など犯していない。
過去の出来事を知り、家族の「本当の愛情」に触れ、巴は、真実の体と偽物の体の境界線を乗り越え、式を助けに行く決心をします。
EDテーマの「sprinter」=競争者。元陸上部。走り出す巴。


アルバ「お、お前は本物か!?」
橙子「お前さぁ……私に対してその質問に何の意味があるんだい?」
橙子「実を言うとね、お前の憎しみも悪くなかった。それは蒼崎燈子という私がいる証だから」


荒耶「お前には何一つ本物であるものはない」
巴「分かってる、俺が偽物だってことくらい。だけどよ、俺には過去はないけど、強い思いがある!俺は両儀が好きだった!偽物だろうと、この心は本物なんだ!!」


2人とも「誰かの存在」によって本物と偽物の境界を乗り越えているんですね。
処刑モードの橙子、全力で荒耶宗蓮に立ち向かう巴、2人ともかっこよすぎる!!

アルバが倒され、巴が時間稼ぎをしたことで、式は結界から脱出することに成功しました。
巴が消えたことを悟った式は、「殺人衝動」を超えた「怒り」で荒耶宗蓮に立ち向かいます。
そして敗れる荒屋宗蓮。
しかし、彼にも悲しい過去があったんですね。
ただ、それは無関係の人々を巻き込む「実験」でもあり、単純に許されるものではない。

結局、巴は消えてしまいましたが、巴「ここに居たんだ」のセリフ。
そして、幹也に対して「俺、お前の部屋の鍵もってない。不公平だろ、そういうのって」とすねた式。
「鍵」という愛情の証を通して、式の中に巴が残りました。
切ないながらも、救いのある終わり方で良かったです。

【全て見終わった人へ】
{netabare}
シナリオを考えれば、この章が事実上の最終回ですね。
最終回の名に恥じない、最高の演出と最難関のストーリーでした。

次回は、待ちに待った鮮花の出番。
次回予告の「えへっ★」にやられたのは私だけではないはず!!
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 41
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

からのきょうかい 螺旋を登ったその先には……

原作未読 約1時間53分

お話は、フラッシュバックみたいにある記憶が脳裏に蘇る少年 臙条 巴(えんじょう ともえ)は追われていました。追われていた巴が行き着く先へ、式と出会います。そしてここから物語が始まります。

今回は特にメインキャラの両儀 式(りょうぎ しき)、黒桐 幹也(こくとう みきや)、蒼崎 橙子(あおざき とうこ)3人の中でも蒼崎 橙子さんが活躍しますね。セリフもバトルもかっこいお姉さんですw

たくさんの情報が観ているものに次から次へと押し寄せてきます。
情報が多すぎて、最初私は混乱しました。

進んだかと思ったら戻ったりと、フラッシュバックのように何度も何度も繰り返し同じ場面を再生しているような感じがしましたが、よく観ているとその中で少しずつお話が進んでますね。

2転3転どころか5転6転ぐらいする感覚ですw

映像美、カメラワーク、映像の切り替え、バトルシーンどれをとっても凄いとしか言いようがない作品でした。
1〜4章まで観て凄いと思ったものがさらに凄くなるとは、Fate/Zeroにときにも思いましたがufotableさん凄いですね。もう降参しましたw

時間はこれまでの作品の中で一番長いですが、一瞬たりとも目が離せず、中だるみもなく観ているものを釘付けにしてしまいます。長いのにあっという間に終わりましたね。

少々分かりにくい部分がありましたが、戻って観るとなるほど!ここに繋がるのかとおもう場面が何度もありました。(実は2回観てみましたw)

今までの伏線がかなり回収されましたね。{netabare}(まだ殺人考察の内容が分かりません){/netabare}

矛盾螺旋というネーミングにふさわしい内容でした。

空の境界のお話も一息ついた感じですね。

今回の内容は重々しく、他の章に比べても難しい作品でした。それでも{netabare}臙条 巴が救われ、荒耶 宗蓮の一連の魂胆が挫かれたので、{/netabare}最後は爽快な気分でした。

この作品も凄惨な場面がありますので、注意してくださいね。

ED Kalafinaが歌ってます。曲名「sprinter」です。それぞの作品でメインになるキャラの心情を歌ってます。今回はメインである臙条 巴のことですね。

最後に、この作品を観るとハーゲンダッツ食べたくなりますね。特に私もストロベリー好きなので買って食べてしまいました(何故か貢献w)
{netabare}それと橙子さん、ロケットペンシルって言い過ぎですw(ロケットペンシルって名称知りませんでした){/netabare}

それでは、{netabare}式のデレに癒されながらw{/netabare}第6章を観てみたいと思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 40

70.6 3 着物アニメランキング3位
海月姫-くらげひめ-(TVアニメ動画)

2010年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (699)
3316人が棚に入れました
クラゲオタクの月海が住むのは風呂・トイレ共同、男子禁制のアパート・天水館(あまみずかん)。住人は皆腐女子でニート、オシャレ人間は天敵、そんな彼女たちは自分たちを「尼〜ず」と呼ぶ。ある日、死にそうなクラゲを救ってくれた美人でオシャレな女の子と知り合った月海。だがその子は、父親の職業を継ぎたくないがために女装する正真正銘の男だった。

minisaku さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

主人公のクラゲオタって設定良いですねw

内容としては、様々な趣味嗜好のオタク女子が住むアパート「天水館」を中心に、
個性豊かな腐女子たちとその日常を描いたコメディー作品。全11話です。

すごく面白かったです。正直褒めるトコしか思い浮かばないww
久々に大アタリを引いた気分です!!

ストーリーはゆるくて笑えるし、テンポ良く毎回安定感のある面白さなので、
中弛みも感じられずに最後まで楽しんで見れました。
キャラも登場人物が多いわりに、無駄なキャラクターがいないし、
一人一人のキャラが濃いので面白いです。
なにより音楽はOP/ED共に作品の雰囲気にすごく合ってて良かったと思います。
普段は結構飛ばすのですが、毎回飛ばさずに見てしまいましたw

まぁ全体的に良かっただけに、最終話は少しあっさり終わってしまった感じは
ありましたが、あれはあれで良かったのかなっとも思いますw

とりあえず、男女問わず楽しめる作品だと思うので、見てない方にはオススメです!!

投稿 : 2024/11/30
♥ : 47

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

仲間は財産

まず、OPが楽しい。よくある手法ではあるものの、
これまで公開された10作くらいの古い映画をモチーフにされており、
映画好きには嬉しい映像だった。

そして登場する人々のキャラがみんな濃くて、いい味出している。
クラゲオタクの月海(つきみ)、三国志オタクのまやや、
鉄道マニアのばんば、枯れ専のジジ、
人形収集が趣味の着物愛好家 千絵子、
夜行性のため一貫して姿を見せないBL漫画家などなど。
作中は「腐った女の子たち」という表現があるけれど、
あくまでも「自分の趣味に没頭するオタク女性」として描かれている。

彼女たちが住む男子禁制の昭和レトロなアパート 天水館も素敵だし、
近所に住む政治家一族の次男で女装趣味のある大学生・蔵之介のキャラもいい!
天水館の彼女らに多大な影響を与えるだけでなく、
いろんな意味で、彼なしにこの物語はありえない。

彼の腹違いのインテリっぽい兄の修も、見た目とは裏腹な秘密があったり、
蔵之介の家の運転手もベンツマニア、蔵之介の伯父であり総理大臣の根岸も
サブカルチャーをはじめ、いろいろと理解があって。
結局、誰にでも譲れない趣味があるのだよなと気づかされたりする。

それでも、ただ彼女たちの世界をコミカルに描くのではなく、
やんわりとさりげなく、いくつかのメッセージも潜んでおり、
意外に深い作品だったな、と。
オタク、マニア、区別がしっかりあるかどうか
詳しくないけれど、そういうものに没頭、あるいはお金を注ぎ込むと、
別の部分がおろそかになってしまうのは自分でも経験しているし、
それゆえに自分とは別の世界に住む人々や
そういった場所に行くと緊張をするというのは、すごくわかる。

ある意味、コンプレックスでもあるし、
その一方、わかる人にわかってもらえればそれでいい、みたいな感覚。
でも、本音ではそんな自分の一部分を変えたかったりもして。
オタク女子に限らず、どの登場人物にも
そんな部分を見て取れたのが印象的。

原作を未読のため、最終話のその後がすごく気になって仕方なく
2期も期待したいところだったのだけれど、どうやら無理みたい。残念。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 47
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

あなたは爪をどこで切りますか

有名な、マイフェアレディなオタク女子もの。

他人事のようにアハハと笑って観ていたのですが、私、昔、尼ーずだったような覚えが…薄ぼんやりと…

色々痛々しくて身に覚えがあり過ぎて、全く違和感なく天水館に入れたと思います。 {netabare}漫画家のアシスタントもしてました… {/netabare}


計算高く多重な顔をもつキャリアウーマンが悪役として登場してましたが、原作って働く女性も読む感じの女性漫画雑誌の連載だったよなぁ、いいのかなぁ〜と見守っていましたが、やはり最後は可愛いところ見せてましたね。

オタク、ではあるんですが、フワフワただようクラゲのように、夢みたいな美しいものを見ていたいの、という女の子の目線が活かされた作品でした。そんなに甘やかしていいのかなぁ〜ってくらい色々甘くて優しくて愉しくて、これ以上甘かったら見てるの辛いかもしれないというギリギリなところで、自虐ギャグを盛り込むのでした。
自虐なのに誰もを追い詰めない作品ですね。

そもそもウェディングドレスへの憧れがある時点で主人公は乙女として花咲ける可能性大な気がします。

このふたり、なんだかんだジャージでも語らえたりしてて。きっと戦闘時は姫になれても、いつまでもその姿ではきっと疲れるから、素のだささでもお付き合いできるって大切だよね。


でも今のオタクな人って結構ミギレイな人もいるんじゃないのかな。前、同人作家さんのツイートで「伸びすぎてた爪を切りに行ってきたよ☆超かわいくしてもらった、しあわせ」みたいな感じで書いてあって。…爪…?爪切り家に無かった訳?て一瞬理解できませんでした。(ネイルサロンで手入れするっていうオシャレスキルの事だよね?)精神的には今も現役尼かもしれぬ。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 37

79.0 4 着物アニメランキング4位
じょしらく(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (1765)
8279人が棚に入れました
別冊少年マガジン(講談社)2009年10月号(創刊号)から連載中。さよなら絶望先生の久米田康治原作、ヤス作画による別冊少年マガジン連載の女子落語漫画「じょしらく」のTVアニメ化が決定!アニメーション制作をJ.C.STAFF、監督を「Another」の水島努。キャラクターデザインを「あの夏で待ってる」の田中将賀が。


声優・キャラクター
佐倉綾音、山本希望、小岩井ことり、南條愛乃、後藤沙緒里

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

<最終回まで視聴完了> 思い切り笑えて面白かった!

<最終回を観て全体の感想>

もう終わってしまうのか・・というのが正直な気持ち。
観る前までは原作も知らなかったし、まるで期待していなくて、
でも、友人達が揃って「面白い!」と太鼓判を押していたので
観てみたら・・・すぐにすっかりハマってしまった。

時事ネタ満載、ブラックジョークだらけだけど随所に萌え要素もあり
後半に大抵来る街角探訪的なコーナーも興味深く、かつ面白く大好きだった。

それぞれのキャラも観ていくごとに濃くなっていき
物知りで実は一番ボーイッシュだったりするガンちゃんとか
可愛い外見や言動の裏の声が笑わせるキグちゃんとか
毎回の私服が可愛くてキャラとのギャップを感じさせるマリーさんとか
ネガティブ思考に陥りやすいククルちゃんとか、
けっこうツボだった。

2期があったらぜひまた観たい!
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<11話の感想>

11話にしてサービス回?水着から始まった!
がしかし、そこは・・・
やはり相変わらずの面白さ。今回は特に笑い転げる羽目にw

私服で街探訪コーナーと勝手に私が名づけているシークエンスで
今回、彼女達が出かけたのは「武蔵境」
マリーさんのマリンルックがめちゃくちゃかわいかった♪

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<10話までの感想>

相変わらず時期設定が前後したりとごちゃ混ぜだけれど
「こまけーことは気にしない」ことにしましたw
それよりここ数話、めっちゃ面白い。
ギャグの相性が良いってことかもしれないけれど、大いに笑えた。
10話での歌舞伎町がまた懐かしく・・
ゆる~い会話をしながら街をぶらぶらする彼女達を見ながら
ふと、『アド街ック天国』とか『モヤモヤさまぁ~ず』を思い出した。
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<8話の感想>

内容はすごく面白かったし大笑いしたんだけど、
ちょっと待て・・先週、しまい忘れたお雛様のことだったよね?
で、なぜに今週はお正月???なんか時間がちぐはぐすぎて
雑な感じがちょっとな・・と思った。

え?「つまんねーこと気にするなよっ!」ってか

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<7話までの感想>

オリンピックの影響で間延びしてしまったが
7話は久々、ピリっと引き締まった感のある笑いが楽しかった。
特に築地に出かけた彼女たちの面白トーク、魚政編がいい。
また、最初の頃賑やか過ぎてあまり好みじゃなかったOPもEDも
耳慣れるとけっこうテンション上げるのには良かったりして。
ちなみに、個人的にはマリーさんがお気に入り♪
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<5話までの感想>

舞台はどうやら新宿3丁目の末広亭。
長いことあのあたりに行ってなかったけれど
落語家の女の子たちにスポットを当てたのは新鮮。

原作は「5人の女子落語家たち」を主人公にしたギャグ漫画作品。
冒頭や途中で何度も登場する「この漫画は女の子の可愛さをお楽しみ頂くため
邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく漫画です。」
の言葉通り、さもありそうな日常の、女の子たちのおしゃべりを
撮影したかのような演出と内容なのだけど、
これがけっこう国際情勢や古い事件、社会風刺などなど
ブラックジョークを随所に散りばめており、そこが一番笑いのツボだったり。
ただ、原作の時期と今現在にズレがあるせいで、風刺ネタとしては
古いものがあるのも事実。そこはちょっと笑えないかな。

話題の最初はほんとうに、どうでもいいことで。
落語と私どっちが大切なの?とか、
例えば犬派か猫派か、とか、めがねについてとか、他愛もない話のはずが
いつのまにか、まったく別の結論へと流れていったり、
ガールズトークではもう当たり前のような、
コロコロ話題が変わっていく様など案外リアルだなと思った。

落語家なので、ほんの数秒は落語を披露しているが、楽屋でのシーンがほとんど。
時には歳相応の私服で外に出て
原宿などあちこち歩き回ったりしながら
やっぱりどうでもいいおしゃべりをしている
そんな彼女たちがとても面白い。そして興味深い。

4話は古い社会風刺であまり笑えなかったが、
5話はけっこう笑いのツボの相性が良かったのか、面白かった。

5人それぞれのキャラもハッキリ分かれており、どの人の視点に立つかでも
また印象が変わってきそうな気もした。
この5人のひとりひとり、自分の身近にそっくりな性格の人がいて
同じようなセリフを言うものだから、
なおさら内輪ウケのような感覚で笑ってしまっている。

まさか最終回までこの調子だったら、文句のひとつも言いたくなるけれど
きっと要所要所でメリハリをつけた展開と演出になるのかも?と。
むろん、そうであって欲しいのだけどね・・

投稿 : 2024/11/30
♥ : 80
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ちん、とん、ちんとんしゃん♪

若手女子落語家の楽屋での会話劇を中心に東京の場所(観光名所)紹介を全員で行くというお話です。落語の部分はちょっと、ほんのちょっとしかありません。

OPもハイテンションで物語もハイテンション、EDもハイテンションというイメージです。

内容は「海と山どっちが好き?」なんて他愛のない会話から、話を掘り下げていることが中心ですね。

感想は「楽しかったー!」です。

{netabare}
キャラクターでは波浪浮亭木胡桃(はろうきてい きぐるみ)の2面性が好きでした(腹黒いですねw)
{/netabare}

これからテンション上げていこう!と思う時に観るといいかも知れません^^

話題が現在のお話が多いので、観るなら今がタイムリーかと思いますよ^^

レビュー読まさせていただいた方、ありがとうございました。面白い作品でした。

え〜「アニメ」とかけまして「春夏冬」と解きます。
その心は、どちらもあき(飽き・秋)がきません。

お後がよろしいようで〜

投稿 : 2024/11/30
♥ : 49

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

打ち切りじゃないんだからねっ!!

制作はJ.C.STAFFで原作は漫画です。
ジャンルはギャグです。


女子落語家5人の楽屋での話を中心に繰り広げられる会話劇。


原作は内容を「さよなら絶望先生」の久米田氏が、イラストを「とらドラ!」のヤス氏が担当しています。
可愛い女の子5人がひたすら駄弁る物語ですが、「絶望先生」同様に時事ネタの風刺がやたらに多いです。
時事ネタについては結構元ネタがわかりやすいので問題ないです。
パロディネタもありますが超メジャーどころしか出てきません。
鮮度が大事すぎるので今見たら一昔前のネタが多いかもしれません。

結構キャラが立っていて良いです。
毒の強いことをキャラが言いますが、萌え要素は多分にあるのでキャラ萌えも可能です。
個人的にはマリーさんが蒙古斑かわいい。
佐倉さんが最高に嵌っていて、以降彼女の演じるキャラが全部マリーさんに聞こえる不思議w

Bパートでは東京各所にメンバーが出向くというオリジナルのことをやっていますが、これがなかなか。
勉強になりますよ。
けれど東京に住んでいないと全くもってどうでもいいかもしれませんねw

放送時にはよくこんなネタを地上波で流せるなという放送コードに引っかかりそうなネタも散見され、別の意味ではらはらさせられた印象があります。
OP、EDは良曲で雰囲気に合っています。
ももクロの曲で初めてアニメに合っていると思いましたw


総括して、風刺ギャグがお好きならハマるかも。
鮮度が命なので今から見るのは微妙に遅いかもしれませんが、まあ気にしないで見てやってください。
かなり「絶望先生」っぽい作品です。

「結局お前はこの作品を楽しめたのか?」
「つまんねーこと聞くなよ!」

投稿 : 2024/11/30
♥ : 48

70.5 5 着物アニメランキング5位
紅-kurenai-(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (734)
4443人が棚に入れました
世の中は、嘘や矛盾でいっぱいだ。思春期の頃、誰も一度は通るこの言葉を今こそ見直したい。「紅」の魅力の一部はそんなところに秘められている。少年は高校生で揉め事処理屋。暗い生い立ち故に、愛想笑いで身を守り、普通に憧れている。が同時に、そんな自身と葛藤している。信じて埋め込んだ強さの象徴・・・それは本当の力なのか。少女は特異な大財閥の娘。運命を呪うことも、外の世界も知らない少女の瞳は実に真っ直ぐでそれを知らない。素直さ故に表出する彼女なりの正義・・・それは運命への反抗なのか。そして、少年と少女は出会った。
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

登場する大人の女性たちがみんな魅力的

現役高校生であり、駆け出しの揉め事処理屋である主人公・紅真九郎(くれない しんくろう)
彼が住む東京・新宿区大久保にある五月雨荘は、風呂なしトイレ共同の古い木造アパート。
そこへ、恩人であり揉め事処理屋のボスである柔沢紅香(じゅうざわ べにか)が
世界屈指の大財閥の7歳の御令嬢、九鳳院紫(くほういん むらさき)を連れてやってきて
彼女の護衛を依頼。 世間知らずな紫との共同生活にようやく慣れてきた頃、
依頼の裏に隠された彼女の真相を知った真九郎が選んだ行動は?
そして紫の決断は?・・・という物語。

まず、紫の世間離れしたお嬢様っぷりが、大きなギャップのある場所で発揮されるのが面白い。
アパートでの暮らしはもちろんだが、紫が真九郎の通う学校に出かけた時の
野球部員との会話や理科室での慌てぶり、銭湯の番台のおばちゃんとの会話には大いに笑った。
それでも、同じような年頃の女の子同士で遊んでいる時は、子どもならではの無邪気さで、
実家にいるときにはおそらく見せなかったであろう自然な笑顔や明るい笑い声に
ホッとしながら、その裏にある悲劇の欠片を垣間見た気がしていた。

それから五月雨荘の住人・・70年代初めのファッションに身を包むミステリアスな
闇絵(やみえ)の見せる渇いた笑いはなかなかだったし、
いつも水色のジャージを着ている恋多き?女性・環(たまき)は、
自由な恋などできない九鳳院家の女性と対比させる意味で必要なキャラだった。
また、マセラッティを華麗に乗りこなし、エレガントな外見と冷静な物腰ながら、
アクションシーンでは並外れた強さを見せる紅香は最高に魅力的だった。
真九郎の同級生の女の子2人も登場するけれど、彼女たちの姿が霞んでしまうほどに
とにかく大人の女性たちが素敵に描かれていたと思う。

しかし、そんな楽しい日常を描くだけの物語ではなく・・・
九鳳院家に生まれた女性たちが背負う宿命、代々伝わるしきたり、
紫が連れて来られたいきさつが9話あたりで判明すると、一気にシリアスモードへ。
{netabare}頑ななまでに同族にこだわる財閥家の異常な御家事情は、とても不愉快だったが
そういう話を実際、耳にしたこともあるから現実にあるのかもしれない。

広大な敷地に建つ九鳳院家の奥の院の壁に源氏物語絵巻のワンシーンが描かれていたり
紫という名前からも、その宿命からも「源氏物語」に登場する紫の上を連想してしまう。
そして最初と最後に出てくる、紫色のすみれの花の話題。
そのすみれに気づく人と、気づかない人。
見落としてしまいそうな様々なところで、伏線や揶揄が散らばっていた。{/netabare}

でも、真九郎の腕に隠された秘密に関して、強くあるために施したのはわかるものの、
最終手段にしか使ってはいけないのか、どちらかというと能ある爪的な扱いでしかなく、
このアニメ作品の中ではあまり大きな意味を成してなかったように感じた。
でもきっと、原作ではもう少し詳しく描かれているのかもしれない。

何不自由なく育ったはずの不自由。
貧しくても慎ましく楽しく生きる自由。
身の回りのあらゆることを使用人がやってくれることに疑問を持たなかった人の
自分のことは自分でする、できるという喜び。

しあわせって何なのだろう・・と真剣に考えてみる。
家の外を知らなければ、当然のままに受け入れるであろうことが
外を知ってしまったために、たちまち不幸でしかなくなる。という悲劇。
だが見る角度を変えれば、外を知って視野を広げた上で自ら選択できることこそ
しあわせなことなのかもしれない。

互いに母を亡くしている真九郎と紫。
生活ぶりも、言葉遣いも、育った環境も何もかも違う2人が
いろいろと不便なアパートで共に暮らし、影響し合いながら
必要だったものを互いに得ていく様子は微笑ましく。
しかし、現実はそれほど甘いものじゃなく。
ただ、希望の持てる方向で締めくくられていたのはホッとできた。

個人的には珍しく感情移入する場面が少ない作品だったが、
{netabare} 九鳳院家の当主であり紫の実父である九鳳院蓮丈(くほういん れんじょう)が
紫をひざの上で抱きかかえながら、新宿での暮らしを訊ねるシーンで、{/netabare}
彼もまた、実は家のしきたりに一番、がんじがらめにされていたのかもな
と思ったし、父親らしく緩んだその時の表情にちょっと泣けた。

九鳳院の敷地でのアクションはどれも、ハリウッド映画を日本でロケした時みたいな
雰囲気があって面白かったが、銃を容易に使わず、武術で格闘していたのは
真九郎が学んだ崩月流の見せ場にするためだったのだろうね。

それにしても、7歳の少女にあんな大きな決断を迫るというのも酷な話で。
せっかくだから10年後くらいの彼らがどうなってるかも、観てみたかったが
古くて異常なしきたりが、どうか壊滅しているようにと願わずにはいられなかった。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 56
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

独特な会話の掛け合いと、ウザかわいいキャラが魅力的

原作未読。

「もめごと処理屋」の駆け出し高校生、紅真九郎(くれない しんくろう)。
彼が引受けた仕事は、7歳の少女の護衛だった。
少女の名前は九鳳院紫(くほういん むらさき)。
真九郎と紫は身を隠すため、五月雨荘というボロアパートに住むことになる。
五月雨荘の住人やその他の人と関わって成長するふたり。
しかし、その背後では大きな陰謀が……。


プレスコ(先にセリフを録音)方式で描かれたこの作品。
口の動きと、会話のリズムが特徴的です。

普通、会話は1人ずつ交代で行います。
しかし、そんなことはまったく無視。
人がしゃべっている最中に平気で割り込みます。
質問しても即答だったり、まだ話が終わっていないのに反論したり……。
会話のキャッチボールならぬ会話のドッジボール。
そのテンポがなんともクセになります。


また、キャラクターも魅力的。
どこかずれた五月雨荘のメンバー。
やりとりが見ていて楽しいです。
特に女性メンバー3人がそろったときはひどい。
話がかみ合わないことこの上ないです。
「女3人寄れば姦(かしま)しい」とはよく言ったもの。


そして、紫のウザかわいいこと。
きちんと理由はあるのですが、行動も口調も浮世離れしています。
でも褒められたら素直に喜ぶし、人の影響を受けやすい子供らしい面もあり、見ていて飽きません。


ストーリー展開には、その世間知らずな点と、日常会話の楽しさがうまく利用されています。
しかし、楽しい日常はいつまでも続くものではない。
それは世の常ですが……。


バトルシーンもありますが、体術がメインです。
なかなか凝った動きでかっこいいですね。


大筋はシリアスなのに、ギャグが満載。
ミュージカルまでやらかしてくれます。
それに加えて、先の読めない展開で、終盤は画面に食い入ってみていました。
{netabare}
紫「もし最初から自分を待ち受けているものがなんなのかわかっていれば、決して出発したりしない」
{/netabare}
……そう、展開が分からないからこそ面白い。

テーマは「自由」。
なんでもありの日常を表す「自由」と、ストーリーに関わる意味での「自由」、両方兼ね備えています。


プレスコという手法と、個性的なキャラ設定がかみ合い、ストーリーラインが弱いのに、一度見始めたら止まらない。
そんな魅力のある作品です。

なお、内容は全然違うものの「電波的な彼女」とは世界設定が一緒です。
一部の登場人物がつながっています。

電波的な彼女のレビュー→ http://www.anikore.jp/review/411891/

投稿 : 2024/11/30
♥ : 55

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

紅だけど紫に尽きる。

主人公は、よろず屋用心棒、紅真九郎。
一見ひ弱高校生ですが、体術万能です。
ヒロインは、世間知らず令嬢、九鳳院紫。
生意気な7歳ですが、可愛さ全開です。
紫を守る真九郎。
アクションあり、ほのぼのあり、シリアスありです。

この作品のキャラは濃厚ですね。
なかでも、紫はピカイチです。
紫は、好奇心・正義感が強い7歳の幼女。
外の世界を知らないため、まっさらな感じ。
だから、会話時のギャップが瑞々しくて微笑ましいです。

紫を演ずるは、私の大好きな悠木碧さん。
この役は彼女の初主演作。
年齢はなんと16歳。
固い声音ですが、気の強い幼女役を熱演です。
一方、主人公真九郎は、私の好きな沢城みゆきさん。
やや低めバージョンの沢城ボイス。
やさしめ男子高校生役にピッタリでした。

もうひとつ、OP映像のキャラを回転する声優名には、「オッ」と思いました。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 43

73.0 6 着物アニメランキング6位
異国迷路のクロワーゼ The Animation (TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (955)
4414人が棚に入れました
私ハ…このギャルリの家族ニナリタイ・・。
19世紀の仏蘭西、巴里――。 近代化の流れに忘れられた小さな商店街、ロアの歩廊に、 ある日、小さな日本の少女が足を 踏み入れました。彼女の名前は湯音。 長崎から一人、パリへ奉公にやってきたのです。 全く違う異国の文化や慣習に戸惑う毎日。 それでも一生懸命な湯音は、鉄工芸品店「ロアの看板店」で働きながら、店主のクロード、そしてパリの人々との温かな出会いを通じて、一つずつ、文化や言葉の違いを乗り越えていくのでした。優しい日差し差し込む、この時代遅れな商店街に 迷い込んだ日本人形。 いつか、ギャルリの家族になれるよう、少女は今日も奉公に励みます…。
ネタバレ

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

湯音がお人形さんのように可愛いのです

湯音ちゃん、私の家に奉公にきて~!!

◆この作品の概要は・・・
時は19世紀後半、長崎一の看板娘だった小さな女の子の湯音が家のしきたりによりパリへ行き、鉄工芸品店で奉公するというお話。

◆まず主人公の湯音が・・・
と~ても可愛いのです!
黒髪のおかっぱ頭でお人形さんみたいです!
第1話目のピンクの華やかな着物姿や、下駄をコツコツ音を立てて小走りに歩く姿を一目見た時からその可愛らしさに目を奪われました。
人の言いつけを必ず守りしっかり者、でも小さい小柄な容姿から危なっかしくて目が離せない。
また可愛らしい外見とともに、その仕草や豊かな表情がとっても微笑ましいです。
始めて体験する異国の文化や食べ物に戸惑うものの、好奇心旺盛。
微笑んだ顔・悲しそうな顔・驚いた顔・ふてくされた顔・泣いた顔など・・・。
ひとつひとつの表情にとっても癒されます。

◆声優陣は・・・
主人公湯音の声優の「東山奈央」は現在19歳の新人です。
しかし、綺麗な透き通った声でこれから大いに活躍が見込めるような声優さんではないか?と思っています。
そしてメインキャラであるアリス・ブランシュの声優は「ゴシックのヴィクトリカ」を演じた「悠木碧」。
このアニメの舞台が19世紀なのでゴシック感も漂うこのアニメでの「悠木碧」のキャスティングはとてもイキな計らいですね。

◆タイトルが示す通り・・・
日本では長崎一の看板娘でも、風習や文化が違うパリではいろいろ厳しい事が待っていると思います。
異国迷路というように、日本とは文化が全く違うパリで生活するというのは迷路に迷い込んだようなものです。
19世紀ヨーロッパの異国情緒あふれる舞台で、この可愛らしい日本人の小さな女の子がどのように過ごしていくのか非常に楽しみですね。

◆ストーリーは・・・
ストーリーはとてもゆっくりと進みます。
特に中盤あたりでは中だるみ感も感じられるかもしれない。
この作品は全12話(本編11話+TV未放送エピソード1話)。
原作1、2巻の内容を1クールで11話に納めています。
作品にもよるけど、原作がノベルやコミックからくるアニメはだいたい五巻~十数巻の内容を1クールで納めてしまう作品が多いのではないでしょうか?
原作2巻分の内容を1クールで描いているので、とても丁寧にゆっくりとした繊細なストーリーで仕上がっています。

◆なぜあのエピソードを放送しなかったのか・・・
最終話は屋根の上のお話。
原作を読んでいる人には、最終話にこの話を持って行った事に疑問を感じるのではないでしょうか?
パリに来た湯音の一番の見せ場?ともいうべきあのシーンが削られていたのは非常に残念でした。
ストーリー的にもハラハラさせられたシーンなのに・・・。
2期が制作されるのか?OVAに追加シナリオで制作されるのかはわかりませんが、せっかくなので内容を以下に紹介。
知りたくない人は回覧はしないで下さい。
{netabare}
百貨店を毛嫌いしているクロード、しかし百貨店に行きたい湯音の為に2人で行くことになります。
複雑な想いのクロードとは逆に湯音は興味深く周りを見て楽しみますが、2人ははぐれてしまう。
さらに湯音は百貨店の店員に盗人の疑いがかけられます。
そんな中、百貨店は火事に・・・。
お店の中は逃げ惑うお客達でごった返し。
大きな身体の外国人達の群衆にあの小さな身体の湯音が巻き込まれたらひとたまりないと焦るクロード。
そんな時に湯音がとった行動は・・・・。
{/netabare}
このエピソードに私泣けましたよ(゜-Å) ホロリ 。
興味ある人は原作をぜひ^^。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 70

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

湯音ちゃんの笑顔で癒されました(´ー*`)キラーン

■湯音ちゃんと出会ったときの日記(*^-^)
舞台は19世紀ヨーロッパ。フランスの古き良き街並みの雰囲気を丁寧に表現できている作画には圧倒されました♪
 
そんな素敵な背景の中でひときわ輝いていたのが、湯音(yune)でしたね(゚ー゚☆キラッ
艶やかな着物姿が一見ミスマッチと思われる背景に、不思議と溶け込んでいるのですよ♪
そして、湯音が歩くたびに、「こっぽり」「ぽっくり」 と舞妓下駄の奏でる心地よい音☆彡
まるで「こっちだよ」って呼びかけられている様な、素敵な音色がいつまでも耳から離れませんでした♪
 
湯音は小柄で、黒髪で、ショートカットで、献身的で、真っ直ぐな瞳で、環境の違う異国の地で、何を感じ、何を想い、様々な人と出会い、どんな風に日々を過ごして行くのでしょうねo(*^▽^*)o~♪
今後の展開にとっても期待が持てる第一印象だったのです!!
 
 
■最終回を観終わって(・ω・)ノ
(〃´o`)=3はひーって感じで体の隅々まで癒されちゃいました♪
最初から最後まで湯音ちゃんの魅力を存分にひき出す演出は秀逸でした。
フランスの情緒溢れる雰囲気を引き立てるBGMと、スクロールやズームの仕方でゆっくり流れる時間を演出したカメラワーク。
さらに、さりげなく耳に残るドアの開閉の鈴の音や下駄の音などの音響効果や、やわらかい光の差し加減で優しいほんわかした雰囲気作りなど、癒し系の作品のお手本となるようなハイクオリティな作りは作画だけで考えればARIAを超える出来栄えだったと感じました♪
 
そんな雰囲気の中、湯音ちゃんの生き生きした表情や仕草がとっても魅力的で、アリスお嬢様が湯音ちゃんに抱きつきたくなっちゃう気持ちが良くわかります♪
健気でいつも一生懸命な湯音ちゃんだけど、たまに見せる頑固な一面は、今のNOと言えない日本の政治家にも見習って欲しいくらいです( ゚ー゚)( 。_。)ウン♪
 
 
■総評
遠い異国の地、日本から来た湯音ちゃんの魅力が、ギャルリ・ド・ロアやブランシュ家の人達に少しずつ変化をもたらす様子が本作品の一番の見所だったのだと私は思います♪
頑固で不器用なクロードさえも、ちょっとずつ湯音ちゃんのペースに振り回されてだいぶ考え方も変わってきたように見えましたね♪
 
また、湯音ちゃんが失敗したり戸惑ってたりした時に、さりげなく声をかけるオスカーさんも素敵でしたね♪
ときに「魔法」と表現するくらいに湯音ちゃんにとっては、オスカーさんの言葉って心の支えになってるんだなって感じられました(*^-^)
 
ブランシュ家のカミーユ姉さまは地味な役回りでしたけど、妹のアリスちゃんの事を愛し、とっても大事に思っているのが良く伝わってきましたね♪
アリスちゃんに少しでも自由に過ごさせてあげたい気持ちや、クロードとすごしてた幼少の頃の思い出や、貴族としての立場など、複雑な心情をさりげなく描写してましたね♪
 
とにかく、本作品「THE ANIMATION」では湯音ちゃんと街の人達との触れ合いから、次第に第2の故郷となりえる場所となるまでの心温まるストーリーでしたけど、是非2期を見てみたいですね♪
2期では、各キャラ毎の掘り下げたストーリーや、今回は変化がなかったカミーユとクロードの関係を是非見たいなぁって思ってます♪
 
こういう癒し系の作品は、つまらないと言う人もいると思います。
ただ、人生の中でいつかいいなって思える時期が来るのもこういった作品だと思うのです♪
なので、つまらないと思ってもそっと覚えておいて欲しい作品です(o*。_。)o
σ(・・*)アタシみたいに癒し系大好きな人はたくさん観ましょうね♪
 
 
■MUSIC
OP曲『世界は踊るよ、君と。』
 歌:羊毛とおはな
 アコースティックギターの音色が心地よい、温かいサウンドです♪
 
ED曲『ここからはじまる物語』
 歌:湯音(東山奈央)
 湯音ちゃんの声優さんが歌ってくれてるだけで、ほのぼのしちゃいますね(*^-^)
 
ED曲『遠く君へ』
 歌:アンヌ(中島愛)
 4.5話を思い出す曲ですね♪やっぱりランカちゃんだねw
 
ED曲『Tomorrow's Smile』
 歌:A.m.u.
 カミーユお嬢様全快の8話限定のED曲でしたね♪
 優しくしっとり歌ってくれてます♪名場面を思い出させてくれる歌声です(*^o^*)
 
 
2011.07.07・第一の手記
2011.07.08・一部言い回しを修正
2011.09.21・第二の手記(追記:■最終回を観終わって■総評■MUSIC)

投稿 : 2024/11/30
♥ : 62

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とっても癒されるアニメ。L面に墜ちそうになった……

原作未読。


時は19世紀。
湯音(ゆね)という少女が奉公の目的でパリへ渡る。
ギャルリ・ド・ロアという商店街にあるアンセーニュ・ド・ロアという看板店に住み込みで働くことに。
当初は右も左も分からない湯音。
彼女がギャルリ・ド・ロアになじむまでのストーリー。


笑顔になれる癒しアニメです。
日常系ではありません。
ストーリーはしっかり進みます。

主要人物は以下。

・湯音 → 日本からパリに奉公に来た13歳の少女。ロリッ子
・クロード → アンセーニュ・ド・ロアを経営する青年。ツンデレ
・オスカー → 湯音を日本からパリへ連れてきた老人。いい歳をしてプレイボーイ
・アリス → ギャルリ・ド・ロア全体を管理する大富豪の少女。高飛車だけど湯音にぞっこん


湯音の行動は日本人なら大いに納得できるものです。
しかし、パリでは不自然に見えます。
クロードがそれをどう扱うかが、話の軸です。
したがって、湯音よりもクロード目線のストーリーと言ったほうがいいかもしれません。
そして、間を取り持つのがオスカーじいさんの役割です。

オスカー「日本では~」

と、毎回解説してくれます。


また、湯音にとっては異国で右往左往するストーリー。
しかし、それはクロードにとっても同じこと。
異国から来た少女をどう扱っていいか分からず迷走します。
異なる方向に歩いているふたり。
迷路のように、あちらこちらに行ったりしながらも、クロワーゼ(交差点)で出会います。


演出面では、キャラクターの細かいしぐさにこだわりを感じました。
湯音が危ない行動をしたら、おろおろしたり、はらはらしたり。
また、舞台がパリなので、湯音はカタコトでしゃべります。
これがかわいいんだな(*´д`*)
……L面に墜ちそうになりました。


いざこざは起きますが、毎話のようにニコニコできます。
癒しのツボをしっかり押さえていると思います。

「クロワーゼ・レ・ドワ(うまくやれますように)」

十分うまくやれていると思います。
毎回とってもいい気分で見られました。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 53

81.2 7 着物アニメランキング7位
昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (904)
4162人が棚に入れました
昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描いた作品

師匠と交わした約束を 胸にしまって芸を磨き ついに与太郎、真打に。 射止めた名跡は三代目助六。 八雲師匠の為め、助六の血を継ぐ小夏の為め、 焦がれて手にしたはずなのに、 おのれの落語が揺るぎだす――。 八雲と小夏、二人の中の助六を変える為めの 与太郎の落語とは――!?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、山寺宏一、小林ゆう、林原めぐみ、家中宏、牛山茂、山口勝平、加瀬康之、須藤翔、茶風林、遊佐浩二、林家しん平

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

流行に阿らない作品?(NHKで実写ドラマ化、10/12より放送)

同タイトルの漫画が原作らしい。(原作未読)
このレビューは1期目のもので、2期目の制作が決まっているらしい。

本作の登場人物には落語を演じるシーンが必要な人がいるわけだが、それらのキャストのオーディションでの当落基準に「落語を演じられること」というのがあったらしい。

その真偽は確認していないが、それが信じられるくらいにキャストは落語を熱演している。

そして本作品の登場人物のの人間臭さと、噺の中の登場人物の人間臭さとが重ねあわされるようなストーリーにはなかなか重厚感があると思う。

キャラクターデザインはおそらく原作を踏襲しているのだと思うが、いわゆる「アニメ絵」風ではない。だがそれは「キャラクターデザインの問題」であって、作画が悪いということではなくむしろ良い。

演出や美術なども近年の作品にはあまりない感じであまり似ている作品は思い浮かばない。(もしかしたら『御先祖様万々歳!』とかは少し似ているかも? でもあれはもっと「舞台劇風」な画面だしなあ…。)

いかにも老舗のスタジオディーンが制作しているっぽい作品である。

とにかく作品全体から「世の中に愛される『落語』であって欲しい」という願い、危機感みたいなものが随所に感じられることと「落語は人生そのものだ」みたいな娯楽としての落語の意味みたいなものがにじみ出ている。

すごく面白かったが、これがアニメ作品として売れるかどうかは良くわからない。売れたら良いね…。

2018.10.6追記:
10/12よりNHK ドラマ10枠で連続ドラマとして放送されるそうです。さて、どうなることか…?

投稿 : 2024/11/30
♥ : 70
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

実写映画化してもヒットしそうな印象を受けた=シナリオとテーマ性に長けたリアル系のアニメ

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
落語をテーマにした、唯一無二の作品。

声優さんの力を感じる、名作。

アニメ史にキッチリ残すべき作品だと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、ド正面から「落語」に向き合ったアニメってのは珍しいですね。第1話で「出来心」という演目をまるっと見せてしまう(そして、それを楽しんで観られてしまう)驚き! 落語そのものの魅力に自信がある、もしくは伝えたいって気持ちが伝わります。

私は落語には疎いです。実際に落語を観たのも寄席に行ったのも付き合いで数回ってところです。好きな咄家さんもいません。素朴な疑問として、(初見ならまだしも)「ストーリーが分かっている話を何度も聞いて面白いのか?」というものがあります。

それを落語好きな友人に話を聞いてみると、「落語は音楽。歌だって、好きな歌手の好きな歌なら何度でも聞きたいって思うし、ファンなら、年月を重ねるごとの変化、その日の体調や気分によって微妙に変わる歌い(話し)っぷりを楽しめる。それから、同じ曲でも歌い手が変われば、カバー曲みたいで楽しめるよね。客との関係性(即興性)も、例えればジャズだよ」と言われました。

なるほどな~と思うました。私の大学時代の(文学部の)恩師の持論で、「ミステリーは基本的に古典になり得ない」というものがありました。それは、「ミステリーとは基本的にストーリーを楽しむもので、一度読んでオチが分かってしまえば再読しようと思えない。でも、ストーリーが分かっているのに何度も読みたくなる文章というのは確かにある。それは、表現の妙だったり言葉のリズムであったり、そこに日本語の美しさ、心地よさがある文章だからである。そういう作品こそ、再読にも再々読にも耐えられ、読解にも値し、古典になっていける作品である」というものがありました。

アニメでもそうですよね~。例えば私は、「とらドラ」とかストーリー分かっていても何度も観ちゃうけど、あれは「とらドラの空気感に浸りたい」ってのが大きいんですよね。耳に目に、心地いいんですよ。

落語の魅力ってのも、そういう類いのものなのでしょう。「昭和元禄落語心中」にも、そういう「落語の魅力」が詰まっていました。

また、ストーリー的にもそれぞれの登場人物が辛い過去を抱え、その傷を落語を通して乗り越えていこうともがく様子には感動を覚えました。七代目八雲の苦悩、血の繋がりを越えた師弟愛。そして、八代目八雲(菊比古)と助六との友情を越えた絆。月と太陽のような対照的な二人。菊比古が助六に、助六が菊比古に抱く、嫉妬やら憧れやらの混ざりあった複雑な感情。そして、女の怖さ、愛憎劇。偏愛。死。所々、落語の話を元ネタにしたようなストーリーも。(一期の)ラストはちゃんとコメディで占める。なんだか色んなものを詰め込んだのに、それを一本の筋としてまとめきった素晴らしい脚本。それ自体が落語のような物語でした。

最終話でいきなり与太郎が真打ちになってて、? って思ったけど、よくよく考えれば、「前座→二枚目→真打ち」の流れは菊比古編で描いているわけだから、あえてスパッと切ったのは英断ですね。そして与太郎を使い、助六が経験できなかった、真打ちになってからの苦しみや喜びを表現する、と。うん、無駄がない。

さらに、戦争という時代を描いた社会派の物語としても一見の価値あり。戦中戦後に、落語などの日本の伝統的な娯楽産業がどのように落ちぶれていったか、また、その中で落語を残そうともがく人々の様子。終戦後に初めて行われた寄席の緞帳が上がった時の、「何も無ぇ時代だからこそ、舌三寸の落語の腕の見せ所よ」という助六の台詞にはグッときた。昔、ある咄家さんが、「座布団一枚と扇子に着物があれば、どこででも落語は出来る」と言っていたのを思い出し、落語の強さを感じました。

う~ん、このアニメはやっぱり、タイトルで損している気がする。私も、「元禄」「心中」あたりにひっかかってて、視聴を避けてましたし。あ~、観て良かった♪

最後に、やはりこのアニメで光ったのは声優陣の凄さでした。いや、だって、落語になってるしね(汗)どれだけ練習したんでしょう? 凄いね、声優って。

2期決定らしいですね。1話最後に八雲が、「長い夜になりそうだ」と言っていたけど、(2~3話の過去編かと思っていたのに)ここまで長い夜になるとは思わなかった(笑) 2期前提ってことだったのでしょう。2期ではきっと、与太郎の成長が見られるのだろうし、楽しみです!!
{/netabare}

【余談 ~実写化した場合の配役案w~】
→以前書いた文章
多分、いつか実写化するはず。そして、この中の何人かは当たる気もする(笑)

→やっぱり実写化されましたね。実際の配役は、

八代目 有楽亭八雲(菊比古)…岡田将生。
有楽亭与太郎…竜星涼。
小夏…成海璃子。
みよ吉…大政絢。
有楽亭助六(初太郎)…山崎育三郎。
松田さん…篠井英介。

でした。アニメ放送当時に希望した、私の配役案と、どっちが良いですかね?(笑)

{netabare}
与太郎編の配役。 ( )内は第2希望

与太郎→生田斗真(小栗旬)
八雲→堺雅人(佐々木蔵之介)→白髪バージョンは無しの方向でw
小夏→二階堂ふみ(戸田恵梨香)
松田さん→近藤正臣(中原丈雄)
ヤクザ兄貴→やべきょうすけ(千原ジュニアw 落語大好きだし)
ゲスト出演→春風亭昇太(か、林家たい平。笑点メンバーのガチな落語を観たい人は多いはず。落語界にもメリットはある)


菊比古編の配役(妄想)

菊比古→二宮和也(窪田正孝)
初太郎→桐谷健太(山田孝之)
七代目八雲→立川談春(風間杜夫)
みよ吉→菜々緒(仲間由紀恵)

こんな感じでどうでしょう(笑) 全体的に(原作に比べて)年齢層高めになっちゃったのと、与太郎と小夏、菊比子とみよ吉の年齢が逆転しちゃったのが難点ですが、イメージ重視の配役です(だって、10代の演技力無いジャニタレには落語は無理そうだし、そうなると、相対的にアラフォー女優さんになるけど、それで若い人を呼べるか疑問にも思うから)。

さて、レビュータイトルの件ですが、素直にそう思いました。このアニメ、とても良いアニメで久々に(このすば以来の評価5で)夢中になれましたが、このリアリティある作風に重厚なストーリー。冷静に考えればあえてアニメである必要はないとも思いました。むしろ、実写向きでは?

与太郎は、ジャニーズでもイケメン若手俳優でもいけそうだし、小夏も、若手の人気女優(清純派女優の新たな一面を見せるとか)いけそうだし、(8代目)八雲に関しては、堺雅人さんにしか思えない(笑) あとは、リアルガチな大物咄家さんをゲスト出演させれば、話題は作れる。最近は落語ブームで、若い女性も観に行くらしいですし、中年以降の落語ファンにもウケそう。イメージは「ちはやふる(劇場版)」。

ストーリー(八雲と助六の過去編)を短縮(か省略)させて、(おそらく2期で描かれる)与太郎の成長にしぼれば映画の尺でもいけそう! そしてヒットしたら、八雲&助六の過去編をスピンオフで劇場公開(笑) もしくは、先に八雲&助六の過去編を公開。続いて後編として与太郎編を公開(アニメ通りの構成)。うまくいけば、落語ブームという社会現象を起こせるかもよw
{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 61

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

時代の波にのってかえていく者と 抗いかわらぬ者

 原作は未読で、落語はあまり詳しくないのですが、故桂枝雀さんの落語はおもしろかったですね。 それと笑点のTVは大好きという程度です。

 さてアニメの方ですが、1話でグッと引き込まれてしまいました。
 
 作画もキャラ達も良くて 登場人物の声優さん達の声の演技はさすがですね。聞き惚れてしまいやした。艶っぽい声にぞくぞくしたり いきよい良く乗った声にこちらも楽しくなったり OPの音楽は毎回 ワクワクさせてくれました。そして ノスタルジーを誘う 穏やかなEDが流れるいいね。  


 他人の人生を垣間見る。まさに人生いろいろ。 でも自分もそこに居合わせているような感覚を与えてくれるアニメでした。2期が楽しみです。



 初老の菊比古さんシブくて素敵です。^^

投稿 : 2024/11/30
♥ : 50

72.1 8 着物アニメランキング8位
空の境界 第二章 殺人考察(前)(アニメ映画)

2007年12月29日
★★★★☆ 4.0 (723)
4117人が棚に入れました
1995年3月、黒桐幹也は街で一人の少女と出会った。透徹した、不思議な眼差しを持った少女に幹也は一目で心を奪われてしまう。その年の4月、観上高等学園の入学式で幹也はその少女と再会する。少女は両儀式と名乗り、人を寄せ付けない性格であったが、幹也には少しずつ心を開いて行く。ある日、幹也は式のもう一つの人格である「織」と面識を持つ事になる。自分は殺人者だと言う「織」に戸惑う幹也。そんな中、観布子市内では連続猟奇殺人事件が発生し、街は重苦しい雰囲気に包まれていた。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、中田譲治
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

両儀式の心を乱す幹也。彼らの物語は此処から始まった。

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第二章「殺人考察(前)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。


「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第二章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち1番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章では分からなかった「あの夜」までの展開が繰り広げられる。黒桐幹也と両儀式という二人の人物の過去とその関係を知ることが出来る。注目して欲しいのは「両儀式」の心理描写である。黒桐幹也が彼女に与える影響や、それによって変わる二人の仲をしっかり押さえておきたい。第一章「俯瞰風景」での伏線も回収している。前作に比べて穏やかなストーリーの運びだが、彼女の心の激しい流動には細心の注意を払って観て欲しい。
副題の and nothing heartは「そして空虚な心」といった訳だろうか。
考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:1/8
1995年9月~2月
両儀式:16歳 職業:高校生
黒桐幹也:16歳 職業:高校生

原作との相違:小
原作との尺の比 87P:60min=1:1(1分当たり1.45P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「両儀式」について
両儀家は人為的に二重人格者を生み出す家系であり、持って生まれた多人格を認められ、多人格を持たなかった兄を差し置いて両儀家の跡取りとなった。
生まれたときから、自らのなかに他人を抱えて生きてきた式は、自分以外の人間の感情を知って育ってきて、自然と人間嫌いになってしまった。
式のときは女性口調で、織のときは男性口調。
そんな式に「普通に生きる」という幻想を持たせてしまう少年が現れた。
異常者であると言う自分を、異常者だと認識させてしまう、少年、黒桐幹也。
式は生まれてはじめて、織以外の他人として「幹也」を強く意識し、心のどこかで人並みの幸福を夢見ていた。

幹也の「いつから僕らは正体不明の存在が、ただの見知らぬ他人なのだと知ってしまったのだろうか。」という思索は、「式の人間嫌い」について考えたものだ。
子供の頃は疑うことを知らず、無条件で周りを好いて、周りからも当然好かれていると"思い込んで"いたが、それは単なる無知故の幻想であるということに、何時気がついたのだろう、という意味だ。式の場合は織がいた為に、幼少期にその事実を直視してしまった。


・「黒桐幹也」について
「普通」「一般」を形にしたような人で、温和で面倒見がよく、大抵の人に好かれる好人物。一方恋愛に関してはかなりの鈍感で、式が好きであるため周りが見えないという点もあるが、当の式からの好意も感じ取れていなかったりする。また、馬鹿正直で「常識」という範疇から外れたことも冷静に処理することが出来る。
式に「両手両足だけ?それだけで人間は死ぬの?」という問いに、
「そりゃあ血がなくなれば酸素欠乏で生命活動が停止するでしょう。でもこの場合はショック死のほうが先だったろうね」と答えている。
基本的に、式からは「黒桐くん」、織からは「コクトー」と呼ばれている。


・「孤独と孤立」について
誰もいない街を歩くのは、自分が一人になりたいからだと思う。それとも逆に一人なのだと思いたいからだろうか。

両儀式は二つの人格「式」と「織」を持ち、集団から孤立することはあっても、人格として孤独を感じることはなかった。式の隣には必ず織が居た。式は織を外に出そうとするものを殺す、つまり彼を殺し続けた。


・「天候と服装の変化」について
初めて会った時の天候は「雪」(この時幹也が会ったのは『両儀式』)で、そこから式が初めて「黒桐幹也」を認識した雨宿りの天候、「雨」へと変化。
そこで再び式は拒絶の意志を示す為、織に幹也との面会を許可する。この辺りから両儀式の服装が「黄色」(警告色)に。式がその後話しかけてきた幹也に「なぜ話しかけてきたの?」と訊いていることと、「このままだと、きっと私はあなたを殺すわ」という台詞から、なんとか幹也に引いて欲しかったのだろう。
殺人現場に居合わせた織を目撃しながらも、沈黙を守り「自分自身に自信が持てるようになったら、式の話を聞けるようになると思う」と答える幹也に、式は彼を完全に無視することにした。幹也はその後も張り込みを続ける。この辺りで天候に「雪」の日が一日ある。
放課後の教室で、式の「おまえは私の何を信じられるんだ」という質問に対する、「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」という答えに、式は彼に叶わない夢を見せ付けられ、絶望的な願いは彼への憎悪を呼んだ。その夜の天候は「雨」。式は「赤」(危険色)の着物で登場し、張り込み中の幹也を襲う。
そして彼女の「愛情」の代わりに持つ感情「殺人」により、幹也への想いをぶつけることになる。
作中を通して「雪」(緊張)から「雨」(緊張緩和)へと傾倒する雪解けの変化、これは式の幹也への心情の変化を表すのではないか。


服装の変化に関して、式の服の色が青→黄→赤と変化していることについて、普通であれば先述の危険色と判断出来るが、五行思想の「相剋」の観点から、木(青)→土(黄)と相克している、そして次が火(赤)であるので、水(黒)が入れば、完全な相克関係 木→土→水→火が完成するのだ。この黒はやはり「黒」が名字に入り、尚且つ全身黒ずくめの黒桐幹也を入れるのが適当だろう。
普段の式(青)→織(黄)→毎晩両儀家前で張り込んだ幹也(黒)→幹也を襲った両儀式(赤)
という完全な相克が完成するのだ!
(因みに相克とは五行思想において相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係)


・「式と織」について
式は「肯定的な肯定」であろうと「否定的な肯定」であろうと、「抑圧」の感情を示す。女性人格で両儀式の肉体の主導権を持つ。
革ジャンの着こなしについて、一章「俯瞰風景」ではファスナーを開けているが、二章では閉じられている。これは二章の式が心を閉ざしていることを暗示している。
織は「肯定的な否定」であろうと「否定的な否定」であろうと衝動と逃避からの「解放」の感情を示す。男性人格で彼の生きる実感は殺人である。親父との稽古は織の担当の様で、男性口調だった。(真剣で勝負とは、二人ともよほど上手いのだろう)。夜に散歩をしていたのは織である。
最後の式の台詞が「オレは犯(ころ)したい」ではなく、「私は犯したい」であるのは、式が衝動を解放したことを示す。
(これはアニメでは分からない違いであるが(笑)。)

式と織の関係を例えるなら、『両儀式』という乗用車(肉体)に両儀式と両儀織という二人の人間(人格)が乗っているようなものである。
お互いに相手を認知しており、普段は式が運転席に、織が助手席に座っていて、交代することもある。乗用車(肉体)の所有者は式である・・・といった具合である。

式と織については第四章伽藍の洞と終章空の境界でも考察する。


・「――黒桐くん!」という式の叫びについて
幹也が秋隆の迎えを待つ式に傘を差出、唐突に鼻歌でsinging in the rainを歌った場面で、式が放った一言であるが、これは式がこのままでは織が出てくると直感で感じ、黒桐幹也という人間を周囲の自分を構う有象無象と一線を画す人物として初めて認識したことを表している。彼は式の異常性を露程も意識していないかのように彼女に感じさせ、自分の言動が無視されることよりも、それを式の思惑により曲解されることに怒った。式は幹也の人の好さに対して反感を覚えずにいられなくなるが、発端はこの時点からである。


・「連続通り魔殺人」について←七章を観てからどうぞ
{netabare}
この連続殺人の犯人は白純里緒であり、事件現場に必ず式が登場することと、彼が彼女に会ったときの「四回はやり過ぎだろう」(←実は殺人自慢)という台詞から、ミスリードを誘った。彼はこの時、荒谷宗蓮により「食べる」という起源を覚醒させられていて(だから喰い残しと呼ばれていた)、式を自分と同じ殺人鬼にすることを望んでいた。そこで、式の嫌う殺戮を繰り返し、彼女を誘い出そうとした。四人目の死体に陰陽太極図(両儀)が刻まれていたのも、彼女へのメッセージだろう。
本章は連続通り魔殺人の犯人を式であるかのようなミスリードをしつつ、殺人の描写は描かず、ただ現場に居た描写だけで、あたかも式が殺人を犯したかのように印象付けてしまう。
前述した幹也への質問から殺人の経験が無いことを示唆しているし、式が「残念ね。私人殺しよ」と言った理由も、今までずっと織を殺してきたという事であり、白純里緒を殺すまで、式は人間に対する殺人はしていない。(巫条ビルの幽霊や、生きた死体、荒谷宗蓮は殺したが、あれらは人間ではない。浅上藤乃のことは殺そうとしたが、結局殺さずに彼女に巣食う病気だけ殺した)
{/netabare}


・最後の幹也の逃走場面について
赤い着物で雨の中佇む式に対し、幹也は駆け寄って彼女に腕を差し出した。それと同時に式は彼の腕を切る。逃げる幹也を追いかけナイフの切っ先を彼の喉元に向ける。
「コクトー、何か言ってよ」と式は言う。
「僕は・・・・・・死に・・・・・たく、ない――」と幹也は襲いかかる死に対し言った。
「私は、おまえを犯(ころ)したい」と式は言った。

この一連の動作について
両儀式は式と織と言う二つの人格で事足りていて、他者の醜さを知っていたが故に、世界を拒絶することで、自己の平安を保っていた。
式は外界を拒絶するが故に外界からも拒絶されていたが、初めて彼女を受け入れてくれる人物、黒桐幹也と出会う。
彼は異常である彼女に「普通に生きる」という叶えられぬ夢を見せ付け、彼女の保っていた世界は外の世界を望むが故に壊れ始めた。式は望んだ夢の「遠さ」、自身の「異常」を強く自覚してしまい、黒桐幹也を求める心と壊してしまいたいと思う心(ambivalent)に苛まれ、その衝動は彼女を「殺人」という手段を行使することへ向かわせてしまう。
壊すことが目的なので「殺」でなく「犯」である訳である。
織の夢は、幸せに生きることであり、幹也はその象徴であり、織が幹也を殺すことはない。夜中に徘徊をしていたのは織であり、式は連続殺人の犯人が織か、第三者かは知らない。式はこれ以上、自分が壊れることを恐れ、織の殺人衝動の発現を防ぐために幹也を殺そうとする。本来なら否定は織の役目であるが、幹也への感情が許容量を超えたため、式が直接、幹也に向かった。この章ではこの事件の末路は描かれていないが、一章で式、幹也が生きていることや、式が常に男性口調であること、直死の魔眼についてなどの伏線と繋がっていく。この事件の後日談は第四章伽藍の洞で分かる。


・「君が光に変えて行く」について
両儀式が黒桐幹也により変化していく様子イメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。
本作は第七章「殺人考察(後)」に次いで式と幹也のラヴストーリー色の強い作品で、「こんなに哀しい景色を 君が光に変えて行く」という歌詞からも式が幹也に影響されていく様が見受けられる。この曲の歌詞を理解して初めて本作を理解したと言えるだろう。



・「殺人考察(前)」という作品について
式と織という二つの人格を持つ二重存在者、自己の中に他者を持ち、他人の感情を幼い時分から知っていた両儀式は「愛情」というものを知らないで育った。自らを異常者と自覚している彼女は、自分に近づく人間を拒絶し、人間嫌いになっていた。織は式の禁忌を受け持つ人格であり、織という闇を殺し続け、自らを破壊衝動と位置付ける。式は織を目覚めさせる人間を拒絶し、織は式の拒絶する人間を殺そうとする。
黒桐幹也は「普通」を形にしたような少年だが、変わった嗜好を持っていた。徐々に式に惹かれ、彼女と親しくしていた。式はそんな自分に馴れ馴れしく接触してくる黒桐に戸惑いながらも、彼との時間に幸せを感じていた。しかし同時に、「普通に生きる」ということは自分には叶わない幻想だと、激しく認識させられ、自分が変わっていくことを恐れ、彼を拒絶することを選択した。織によるデートでの式と織という人格の説明や、放課後に人間嫌いだという説明をされても、式に近づく彼の態度に、式は苛立ちを隠せずにいた。幹也はどうしようもなく式のことが好きになっていた。
八月に連続猟奇殺人事件が発生していて、織は毎夜の散歩の中、殺人現場に足を運んでいた。二月に幹也は大輔から連続猟奇殺人事件の犯人の情報を得、式が犯人ではないかという疑問を持ち彼女の家に足を運ぶ。そして其処で血が吹き出る死体の傍らに居る式を目撃してしまった。しかし、彼は警察にそのことを伝えず、彼女の家の前で毎晩張り込みを行い、事件の犯人が式でないことを信じ続けた。式は今度こそ、事件のことを問い詰めてくるだろうと踏んだが、幹也に「信じる」と言われ織が幹也を殺そうとしたことから、未体験の苦しみを味わい、彼を無視することにした。二週間ほど経って式は幹也と放課後に話しをする。毎晩張り込みを続ける幹也に無視が出来なくなった式は、自分は人殺しだと告げるが、幹也に憮然と「君にあんな事はできない絶対だ」「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」と言われ、式は小さな幸福と、防ぎようのない破壊に苛まれた。その晩、式は幹也を襲い、自分に叶わぬ夢を見させつづけた彼に対する感情を殺人という手段で伝えることにした。

・名言(原作より抜粋)

式(夜が深くなれば、闇もまた濃くなっていく。誰もいない街を歩くのは、自分が一人になりたいからだと思う。それとも逆に一人なのだと思いたいからだろうか。)

里緒「そう?それは違うな、君は分かってない。だから苛立っているんだ。あんまり、そういうのを他人にぶつけちゃ駄目だよ。他人を責めるのは楽だから、クセになる。あはは、四回はやりすぎだろう」

式(たとえ織が人殺しを愉しむ殺人鬼であろうとも、私は織を消す事はできない。自らの内に"シキ"を飼う私は、やはり彼と同じシキに過ぎないのだから。)

織「じゃあな。オレはおまえの事が気に入ったから、近いうちにまた会うよ」

幹也「とっくにいかれちまってたんだ、俺」

幹也「式はただあそこにいただけだろ。少なくとも、僕はそれしか見ていないんだ。だから信じることにしたんだよ」

式(幹也といると、なんだか落ち着く。幹也といると、彼と一緒なのだと錯覚する。幹也といると、そちら側に行けるのだと幻想してしまう。)

幹也「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」

式「――おまえは、莫迦だ」

幹也「僕は・・・死に・・・たく、ない――」

式「私は、おまえを犯したい」
{/netabare}



この二章は、「両儀式」という人物に注目し、黒桐幹也が彼女に与える影響を「表情」、「色」、「天候」、「仕草」などを巧みに活用して、視聴者に伝えている。原作の心理描写を上手く伝えられていると思う。式と言えば青い着物に真っ赤な革ジャンがトレードマークだが、この式の革ジャンは、幹也に「冬でもその恰好なのか」と言われて購入した革製のブルゾンである。作中では、まだ冬になっていないのに真っ赤な革ジャンを纏う式が可愛くて堪らない。しかし、幹也は全く気付いておらず、1章では薔薇には棘があるから式にはバラ科のストロベリーが似合うという説明の中で、式のトレードマークである革ジャンを指しているが、それが自分の発言に起因したものであることに未だに気づいていない。式がハーゲンダッツを「食べない」と言って若干拗ねたのも棘があること言われたことに加えて、この点もあったと思う。結局、幹也を思って食べるのだが(笑)


本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 47
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

自分の中に眠るもう1つの自分との境界線

2作目であるこの第2章は、時系列からいくと一番最初のエピソード。

主人公・両儀 式(りょうぎ しき)と黒桐 幹也(こくとう みきや)が出会い
人を寄せ付けなかった式の心を幹也がいかにしてほぐし、そして苛立たせ
式のもう1つの人格と対面することになっていくかを描いている。

まず、冒頭の雪の中でのシーンが美しい。
作画は相変わらずとても綺麗だし、音楽もいい。

やがて季節は春、高校の入学式で幹也は両儀と同じクラスであることを知る。
私服と制服が混合の学校で式は和服姿というのがもう、かなり違和感あるわけで。
しかも無口で儚げ、群れずに独りでいることが多い、となればそれだけでも、
幹也の興味を惹き寄せてしまったのかもしれない。

一方、式の方では入学以来馴れ馴れしくつきまとうようになった幹也に対し
どう向き合えば良いのか、心の奥底にあるものを抱えながら戸惑い、
不安定になっていくのが見て取れた。
しとやかに儚げに、小声で丁寧に話す式は段々と幹也に心を開くのだが
それと比例して、ある衝動を抑えきれなくなっていく。
その衝動とは、またその心の奥に眠る想いとは・・という物語。

また時を同じくしてあちこちで起きる猟奇的殺人事件も、
ダークな雰囲気と謎を残し、観ていてどんどん惹き込まれる。
{netabare}
幹也のお人良しな性格に触れ、自分が変わっていくことへの恐れと焦り、不安感。
繊細なタイプの女の子が、初めて異性からの好意を知るときも
似たような葛藤がありそうだが、式の場合はそういうことじゃなく
もっと別な事情があるわけで・・・

自分のことを「オレ」と呼ぶ男口調のもう1人の「織」(しき)という人格との
想いのズレ、殺人したいと言う気持ちの本当の意味は、
セリフとして言葉に出しているものの、
まだこの2章を初見しただけの人では、理解しにくいと思う。

おそらくそれがハッキリ何であるかわかるのは、第4章からになるだろう。
{/netabare}

彼女は幹也という人間と出逢い、確実に変化しつつある。
でも決して順調な道のりではない。
苦しむ自分を傷つけ、微笑む彼を傷つけ、その先に求めているものは何なのか。
今にも壊れそうなほどの狂気の中、ためらいながら手を伸ばす想い。

そこで彼らは何をみつけるのだろう。
痛々しいほどのその想いは、ものすごく共感できるものがあり、せつなかった。
この物語は中二世界の異能バトルものなんかじゃない。
さまざまなものを抱え、乗り越えながら必死に向き合おうとした2人の
過去と現在を描いていく物語なのだと確信した第2章だった。

それを踏まえた上で、今後の展開への伏線もかなりなものなので
隅々まで漏れなく観て頂きたい回ではある。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 35

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

からのきょうかい 式の中にあるものとは……

原作未読 約59分

1章より約3年前、主人公の両儀 式(りょうぎ しき)と黒桐 幹也(こくとう みきや)の出会い、そして2人は連続猟奇殺人事件に関わっていく事になります。

1章も思いましたが、雪が降り落ちる儚い表現、桜が咲き舞い散る華やかな表現、竹林の涼しげなそして重く暗い表現、背景が素晴らしく綺麗です。

前編なのでまだまだ分からないですが、この作品で式の謎が少し分かりました。
観ているうちにどんどん引き込まれますね。

この章でも凄惨な表現がありますので観るときは注意してくださいね。

ED Kalafinaが歌ってます。曲名「君が光に変えて行く」1章とは違う儚い曲です。
過去と現在が順番になっていませんが、意図があってことだと思いますので章通りに観ていきたいと思います。それでは次に第3章を観てみます。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 33

71.4 9 着物アニメランキング9位
文豪ストレイドッグス(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (756)
3871人が棚に入れました
実在する文豪をモチーフとした探偵たちが活躍する異能力バトルアクション。アニメの監督は五十嵐卓哉、脚本は榎戸洋司と「桜蘭高校ホスト部」「STAR DRIVER 輝きのタクト」などでコンビを組んだ2人が担当し、制作はボンズが手がける。

声優・キャラクター
上村祐翔、宮野真守、細谷佳正、神谷浩史、豊永利行、花倉洸幸、嶋村侑、小見川千明、小山力也、小野賢章、谷山紀章、花澤香菜

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

著名な文豪らが繰り広げる異能バトルアクションです

この作品の原作は未読ですが、放送前から気になっていた作品でした。
太宰治、芥川龍之介、江戸川乱歩などの著名な文豪が登場し、なんかドキドキするような事をやってくれる・・・放送前のこの作品に対する情報はこの程度でしたが、「私、気になります」スイッチを入れるには十分過ぎる情報でした。

この物語の主人公は、「山月記」の著者として有名な中島敦・・・
彼は孤児院を追い出され横浜の街を放浪していたところ、成り行きから川で溺れている人を助ける事になるのです。
溺れていたのは「人間失格」や「走れメロス」の著者である太宰治でした。
太宰は、武装探偵社に所属しており行く宛の無かった敦は武装探偵社での仕事を手伝う事となり・・・物語が動いていきます。

登場する文豪は異能力の持ち主なのですが、キャラの設定を含め文豪自身のエピソードや作品が十分に踏まえられています。

例えば主人公である敦の異能力は月下獣・・・具体的な異能力の内容については本編でご確認頂きたいと思いますが、能力そのものは彼の著書である「山月記」に登場する李徴に起きた出来事から引用されています。

そして太宰治については、自殺願望を物語の中で垣間見る事ができますが、史実で太宰治は愛人である山崎富栄と入水自殺を図ってるんです。山崎富栄さんはネットでググると当時の写真が掲載されていますが、とても綺麗な方です。
物語の中で太宰は、半分ふざけた様に「美人の女性と心中したい・・・」と言っています。
なぜその様な言動をするんだろう・・・と思っていましたが、史実を知るとその設定にも納得です。

史実の改変が物語に彩りを添え、結果的に物語の面白味を加速させたのは、泉鏡花の存在だったと思います。
この物語では和服姿の小柄な14歳の美少女・・・という設定ですが実際には男性でした。
少し影がある彼女・・・でもそれは彼女がこれまで歩まざるを得なかった人生そのものが彼女の行く先を照らす太陽に陰りを落としている・・・
彼女の言動には儚さが付き纏っています・・・だからこそ過去を断ち切り、これからの未来を強く願いながら視聴していましたが、彼女が男性だったらきっとこの物語の評価は変わっていたと思います。

この様な著名な文豪が大勢登場するこの物語は、武装探偵社 vs ポートマフィアの抗争が描かれています。
ポートマフィアは巨額の懸賞金がかけられた敦を執拗に狙ってくるのですが、この次の展開はお約束・・・文豪らによる激しい異能力同士のぶつかり合いが待っていてくれるのです。

皆さんの異能力・・・格好良さが半端ないんですけど・・・
でもこの作品は異能力でバチバチするだけではありません・・・

人間臭さ・・・絆や仲間を思う気持ちで溢れているんです。
皆さん、普段はクールで滅多に人間臭さを感じることはありません。
仲間を思う気持ちに武装探偵社やポートマフィアといった組織は関係ありません。
それに・・・組織以前にみんな日本人なんです。

この作品は分割2クールの前半クールです。物語も更なるスケールの拡大を予感させています。
全ては後半クールで明らかになるのでしょう・・・楽しみで仕方ありません。

オープニングテーマは、GRANRODEOさんの「TRASH CANDY」
エンディングテーマは、ラックライフさんの「名前を呼ぶよ」
どちらも格好良い曲なんですが、カラオケで歌うのは難しそうです。

前半1クール全12話の物語でした。
異能力バトルは見応えがありますし、個人的には鏡花ちゃんが物語における華の核をしっかり担ってくれているので、とても好印象です。
続きは2016年の秋アニメで放送される予定です。
文豪による異能力バトルの顛末・・・放送を楽しみに待っています。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 25
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

トラウマの克服

原作未読 全12話(分割2クールの1クール目)

有名な作家(文豪)の名をもっているキャラクターたちの異能力バトル作品です。

横浜を舞台に、異能力者が集まっている武装探偵社とあることで裏社会に属しているこちらも異能力者ばかりのポートマフィアとのバトルを中心に描いています。

異能力の名もそれぞれの文豪の作品名となっていて斬新ですねw

全然文豪たちとは似ても似つかぬ容姿でイケメンばかりです。女性も可愛い方からかっこいい方まで揃っていますね。

奇抜な設定の方に注目されがちですが、ストーリー部分も観応えがありました。
{netabare}
最初はまったく歯がたたなかった中島敦くんと芥川龍之介との最後のバトルはグッときましたね。
{/netabare}
ほどよくコミカルなところもあり、基本1話完結でテンポよく展開して飽きもなくサクサク観れました。

面白かったですね。2クール目が今から楽しみです。もっと過激になりそうですね。

OP GRANRODEOさんが歌っています。
ED ラックライフさんが歌ってます。落ち着いた良い曲です。何度も繰り返し聴きたくなる曲でした。

最後に、与謝野さんには治療はされたくないですね

投稿 : 2024/11/30
♥ : 24
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とある文豪たちの「華麗なる異能力バトル」 ※萌えは第8話まで我慢

本サイトではいまいち評価の高くない作品ですが、第1期(2016年4-6月)の円盤売上が合格ラインの平均5,000を余裕で超え、順調に第2期(2016年10-12月)も制作された2016年の人気アニメの一角・・・ということなので1-2期併せて24話を一気観してみました。

◆総評

・実在した日本や海外の文豪をキャラ立てした異能力者達が派手なバトルを繰り広げる作品、ということで、見始めの数話は作品世界への違和感が結構キツく、ここで断念してしまう人がだいぶ出る気がしました。
・それから、序盤~中盤(第1-7話まで)は日本の有名どころの文豪キャラ(男)ばかり出て来るので、「これ、女性向けアニメなの?」とどうしても思ってしまう人が多いと思います。
・しかし、第8話で、ようやく{netabare}与謝野晶子&泉鏡花という文豪キャラ(女){/netabare}の活躍が始まり、第10話以降、は{netabare}海外の文豪キャラ(男&女){/netabare}が色々登場してきてストーリーも華やいでくるので、第1期の序盤・中盤がいまいちと思った人も、ここまで我慢して見続けると報われるかも知れません。
・総じて、『とある魔術/科学の~』シリーズや『東京レイヴンズ』『オーバーロード』『デュラララ!!』等の異能力バトルものが好きな人なら、文豪キャラに余り関係なく、まずまず楽しめる作品ではないでしょうか。
・なお、文学をちょっと齧ったことのある人の評価は、「ほんと下らねぇ笑笑笑」となるか「文学を馬鹿にするな!怒」となるか、好き/嫌いのどちらかにハッキリ分かれると思います。


◆作品情報

原作        朝霧カフカ・春河35
監督        五十嵐卓哉
シリーズ構成・脚本 榎戸洋司
キャラクターデザイン 新井伸浩
音楽        岩崎琢
アニメーション制作 ボンズ


◆シリーズ別評価

第1期 ★ 4.1
第2期 ★ 4.2
----------------
総合  ★ 4.1


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


========== 文豪ストレイドッグス (第1期) (2016年4-6月) =========

{netabare}第1話 人生万事塞翁が虎 ★ 中島敦、異能集団武装探偵社(太宰、国木田) 
第2話 或る爆弾 ☆ 谷崎、ナオミ、諭吉、春野綺羅子、入社試験合格
第3話 ヨコハマギャングスタアパラダヰス ★ ポートマフィア(芥川、樋口一葉)、人虎生け捕り指令
第4話 運命論者の悲み ★ 与謝野晶子、黒蜥蜴(広津柳浪、立原道造、銀)の襲撃
第5話 Murder on D Street ☆ 乱歩の真相解明能力
第6話 蒼の使徒 ★ 連続失踪事件、佐々城信子、国木田vs.芥川、蒼き王、蒼き使徒の爆破通告
第7話 理想という病を愛す ★ 続き、数字の刻印、蒼の使徒の正体、国木田の理想
第8話 人を殺して死ねよとて ★★ 列車内テロ(梶井基次郎vs.与謝野、泉鏡花vs.敦)
第9話 うつくしき人は寂として石像の如く ★ 暗殺者鏡花と敦のデート、中原中也、敦拉致
第10話 羅生門と虎 ★★ 太宰の狙い、貨物船の戦い(芥川vs.敦)、黒幕(フランシス.F)
第11話 其の一 彼女に向かない職業/其の二 有頂天探偵社 ☆ 樋口&黒蜥蜴回/敦&賢治回
第12話 たえまなく過去へ押し戻されながら ★★ 秘密結社ギルド、アンの部屋、ルーシー.Mvs.敦&谷崎、鴎外&エリス{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)6、☆(並回)3、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「TRASH CANDY」
ED 「名前を呼ぶよ」


========= 文豪ストレイドッグス (第2期) (2016年10-12月) ========

{netabare}第13話 黒の時代 ★ 四年前、ポートマフィア内の事件(太宰・織田作・坂口安吾)、ミミック
第14話 戻れない場所 ★ 続き、組織の裏切り者、織田作の安吾捜索
第15話 いつか海の見える部屋で ★ ポートマフィアvs.ミミック、ジイドvs.芥川、未来予測能力(ジイドvs.織田作)、三重スパイ安吾、織田作慟哭
第16話 文豪ストレイドッグ ★★ 異能特務課(山頭火)・ポートマフィア(鴎外)会見(異能開業許可証)、ミミック本拠襲撃、ジイド&織田作死亡、太宰転職
第17話 三社鼎立 ★ 尾崎紅葉、ジョン.S、ラブクラウト、異能力戦争の火蓋
第18話 The strategy of conflict ★ ナサニエル.H、マーガレット.M
第19話 ウィル・オブ・タイクーン ★ 夢野久作、ルイーザ.M、坂口安吾との再会
第20話 頭は間違うことがあっても ★★ マーク.T、ハーマン.M、横浜焼却作戦 
第21話 双つの黒 ★★ Q奪還作戦、対ラブクラフト戦
第22話 其の一 ポオと乱歩/其の二 天の海をゆく白鯨のありて ☆ ポオ、白鯨落とし笑
第23話 羅生門と虎と最後の大君 ★★ ゼルダ、フィッツジェラルドの望み
第24話 若し今日この荷物を降ろして善いのなら ★ フョードル.D{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)4、★(良回)7、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.2

OP 「Reason Living」
ED 「風が吹く街」


◆視聴メモ

{netabare}・主人公格の太宰治の異能力「人間失格」って、ほぼイマジン・ブレイカー笑。
・準主人公の中島敦の異能力「月下獣」は、つばさタイガーかと思った。
・メインヒロインの泉鏡花は男だって笑(尾崎紅葉も)。
・文豪のチョイスが凄く中二病的で、とくにラスボス(ギルドの長F.フィッツジェラルド)が秀逸。
・但し、武装探偵社社長=福沢諭吉はミスチョイスだと思う(※そもそも諭吉は文豪ではなく、ここは夏目漱石の方が良かった→敵対組織の長が森鴎外なだけに残念)
・第13話のF.フィッツジェラルドの口癖が、「~してくれたまえ。オールド・スポート。」で笑っちゃった(※OLD SPORTは「ねえ君」くらいの意味で、ギャツビーの口癖)。
・「守備範囲は12歳以下」の森鴎外がいつも連れている女の子(エリス)は『舞姫』のヒロインから。
・谷崎潤一郎の妹ナオミは『痴人の愛』のヒロインから。
・国木田独歩と絡む佐々城信子は、独歩の元妻で有島武郎著『或る女』のヒロイン(早月葉子)のモデル。
・第16話中ほどの「一粒の麦、もし地の落ちて・・・」はアンドレ・ジイドの某有名作のエピグラフより。
・「ラスト・タイクン(最後の大君)」はF.フィッツジェラルド最後の小説、ゼルダは同じく彼の愛妻で「華麗なるギャツビー」のヒロイン(デイジー)のモデル。{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 21

68.0 10 着物アニメランキング10位
俗・さよなら絶望先生(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (422)
2681人が棚に入れました
『俗・さよなら絶望先生』はさよなら絶望先生の続編。
漫画版は一話完結式。毎回時事ネタ、自虐ネタ、作者の知識などを使って、特定の言葉や事柄に焦点を当てたギャグを展開する。伏字などを使い、分かる人には分かる時事ネタやパロディ、ギャグが特徴。
これは、前作『かってに改蔵』から続く作風であるが、前作に比べればマニアックなネタや強烈な毒気のあるギャグやパロディは減っている。
このほか、前作と異なり、漫画家や漫画作品に対するパロディなどはほとんどない。さらに前作と異なり少数の強烈なキャラ(名取羽美や坪内地丹)のみで展開させないこともあり、前作に比べると毒気は薄くなっており、内容も若干一般・社会派向けになっている。

声優・キャラクター
神谷浩史、野中藍、井上麻里奈、谷井あすか、真田アサミ、小林ゆう、沢城みゆき、後藤邑子、新谷良子、松来未祐、上田燿司、水島大宙、矢島晶子、後藤沙緒里、杉田智和、寺島拓篤、子安武人

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

今期もやっぱり「絶望」しました。 けれどどこか少しポジティブな糸色先生。

前作と今作のあらすじ

始まりの季節、春。希望に胸を膨らませた「何事もポジティブにしかとれない少女」風浦可符香は、桜の木で首を吊る「何事もネガティブにしかとれない男」糸色望と出会う。出会ってはいけない2人だったが、望は可符香の高校の新しい担任の先生だった。そしてその凸凹な二人がクラスの問題のある生徒の問題を解決する話です。

私の感想

今作は絶望先生があまり自殺をしませんでした。そして、なぜだか絶望先生がポジティブな先生になって来ました。けれどこの作品の面白さはぜんぜん落ちませんでした。

この作品を見ているとかなり面白い世界のネガティブなパートを知れました。なぜなら、毎回糸色先生がネガティブになるきっかけはそういう微妙なネガティブな所です。

オープニング

「空想ルンバ」 (この曲の説明はこのオープニングの完全版です)
始めはまったく意味がわかりませんでした。いきなり漢字で状況を説明し、そしてそのパートが終わった瞬間に、いきなり人間の体の臓器を乾燥した状態を見せられ、驚きました。この作品を見た事が無い人でしたら、ホラーと間違えるくらい暗くてネガティブな曲です。けれど、糸色先生が出てからは他の生徒が出てきたのですごく楽しめました。今回は常月まといがメインヒロインっぽく描かれていました。そして、最後はやっぱり糸色先生の(首吊り)自殺のシーンです。

「リリキュアGOGO!」
まったく意味の分からないパクリネタの曲です。 以外に面白いです。

エンディング

「恋路ロマネスク」
キャラクターのイメージはぜんぜん違うので正直驚きました。けれど全体的には非常に良い曲です。全てのキャラクターが程よく出ています。

「マリオネット」
他のエンディングに比べれば普通です。糸色先生の事を見る生徒たちや、その他のキャラクターをメインにしています。かなり面白くて良い曲です。


「オマモリ」
かなり怖いです。キャラクターが変にリアルな感じでデザインされていて、非常に驚きました。けれど、全キャラクターを知っていればどこか笑えるシーンも多いいです。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 17
ネタバレ

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

絶望度がますます上がったので、神谷さんのいい味が出てるかな・・・

さよなら絶望先生の第二期です。

一期と同様に独特の味の濃い作品だと思います。

新キャラもまだまだいますよって感じで

どんどん出てきて、誰が誰だかわからなく

なりそうでした。

最初から神谷さんの「絶望した。」が

聞けてよかったです。内容がパロディネタが

少し色濃くなってきたような感じがしました。

知ってるネタもあれば知らないネタも

あるといったところでした。

わたし的には
{netabare}
声優が違う役のキャラをやって、毎回名前と

CVが書かれていたところが面白かったです。

一体誰がどのキャラをやっているのかわかるのが

難しいのにいろいろと入れ替わり立ち替わり

となると一体元はどれなんだと思うことが

ありましたが、声を聞いて思い浮かべると

やっぱり違う人だと思えたので楽しかった
{/netabare}
です。

それにOP、EDともに一期と同様に不思議な

雰囲気を持った曲で、特にOPはなぜか頭に

こびりついて離れなくなってしまいました。

独特の雰囲気にやられました。

全体としてシュールなところがさすがに多かった

ですが、それが一期と同様に絵とうまく

あっていて、面白かったです。

続きのOVAや三期も視聴したいと思います。

◆個人的点数評価 76.49点

投稿 : 2024/11/30
♥ : 15

ASKA さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

絶望先生シリーズの2期。ブラックネタもありの学園コメディ。

さよなら絶望先生シリーズの2期目。久米田康治先生のマガジン連載漫画原作。製作はシャフトで、新房監督。
ネガティブな教師・糸色望(いとしきのぞむ:通称絶望先生、タイトルはここから)と個性豊かな彼の受け持つクラスの生徒の面々が毎話いろいろな物事をネタに会話していく会話劇主体の作品です。
ネガティブ教師、糸色望をはじめきっちり真面目な木津千里、DV疑惑ありの小節あびる、腐女子で同人好き藤吉晴美、ストーカー少女常月まとい、普通少女日塔奈美、謎の留学生関内マリア太郎、すぐ訴える木村カエレ、影薄い臼井影郎、ポジティブ少女可符香、など個性的なメンバーたちがブラックなネタを時々振りまくブラック学園コメディです。
1話完結ですが、全話観てほしいとは思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 14

79.7 11 着物アニメランキング11位
このはな綺譚(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (562)
2422人が棚に入れました
あの世とこの世の間にある宿場町に建つ「此花亭」。
ここは神様に仕える狐っ娘たちが働く温泉宿。
期待と緊張で胸をふくらませ「此花亭」へ奉公にやってきた柚。
個性的な先輩たちに迎えられ、仲居修行が始まりました。
ある日、ちょっと頑張り過ぎてしまった柚は、お客様である薬屋さんを転ばせてしまい、
先輩仲居である皐とともに謝罪へと向かうのですが…。

声優・キャラクター
大野柚布子、秦佐和子、諏訪彩花、久保田梨沙、加隈亜衣、沼倉愛美

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

背景の美しさが際立つ、心温まるほのぼの系アニメ

原作未読。最終話まで視聴。

最初は、花咲くいろは+うらら迷路帳的な作品だと思っていた。
『ケモ耳は正義』って人向けの作品かなぁ・・・くらいの印象でした。

その印象は第5話で一掃されました。

前半はお菊ちゃん絡みのコメディ回。お菊ちゃんが面白可愛い。
後半は神作画回。モノトーンの背景に傘の『赤』とアジサイの『青・紫』が、息を飲むほど美しい。

第6話は打って変わって感動回。柚と八百比丘尼の心温まる物語。

『背景の美しさ+コメディ+心温まる物語』のバランスの良さ。
これがこの作品の魅力だと思います。

第8話は物語として完璧すぎる神回。
ラストの展開が見事すぎる・・・。

第10話の紅葉の風景も絶品。

そして感動の最終話。
ラストの所で、少し泣きそうになったじゃないか!(笑)

投稿 : 2024/11/30
♥ : 57

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

キャラの見た目に騙されるけど、意外とちゃんと仕事しています!

==[下記は6話目まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。]==
原作マンガ『此花亭奇譚』および『このはな綺譚』は未読です。これを書いている時点では第6話まで視聴済み。

此花亭の「あの世とこの世の間にある宿場町にある温泉宿」という設定が、わかったようなわからないような……、な本作ですが仲居として働いているのは(女の子の姿をした)狐ということで、ケモノ耳と尻尾がついています。

主人公の柚(ゆず)は狐でありながら人間(?:伝承通りなら不死ですけど…)である八百比丘尼(やおびくに)に育てられたため、人間界には他の狐たちよりも詳しいようですが、新人仲居として働いています。

基本的にはカワイイ仲居の狐たちの様子を観ていて和むという感じの作品ですが、仲居たちの間での恋愛(?:でも最初の連載が「コミック百合姫S」だったらしいですし)的な関係性や、接客などを通しての成長の様子を見守る感じの作品でもあります。

各エピソードは基本的に1話完結ですし、各話の中でもキャラクター間の(いわゆる「カップリング」的な意味での)関係は分かりやすく描かれていますので、途中からの視聴でもそんなに置いてきぼり感はないと思います。

各話毎のストーリーは、大別すると主にお客との関係に重きを置いたいわゆる「いい話」系のものか、従業員のみで進行するコメディ的なもの(「百合」的ラブコメ(笑)含む)に分かれると思います。

後者の展開のときには「あんたら仕事してんの?」と思いますが、前者の展開のときには意外とちゃんとした仕事ぶりですね。

作画も良いようですし、普通に面白いですよ。観てて疲れませんし、深夜アニメに癒しを求める向きにはお勧めできます。

あ、入浴シーンはけっこうあります…。
==[6話目まで視聴時のレビュー、ここまで。]==

2017.12.21追記:
全話観終わって思いましたが、これは原作もさることながらシリーズ構成・脚本がとても良い仕事をしていたと思います。

各話に含まれている複数パートであるパートが別パートの伏線になっていたりで全パート合わせてきちんと「1話」を構成していて、素晴らしい脚本になっていました。

さらに話数が進むにつれてのキャラクター同士の親密度なども、きちんと計算された脚本だった思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 57
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

美しいものを美しいと思う、あなたの心が美しい。 by みつを

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
とても美しい作品でした。

それは、映像だったり、風景だったり、音楽だったり、人の心だったり。

自分が観てきたアニメの中で、(設定はちがいますが)一番近い雰囲気がするのは、「ごちうさ」かな? どこまでもピュアピュアで微百合なところがね。

日常系百合萌えアニメとしては、かなり高いクオリティにあると思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
、、、でも、ピュアピュアハートを直視できない私は、心の汚れた大人です(笑)

別に嫌いじゃあないんだけど、そういえば「日常系百合萌えアニメ」って、どハマりはしないな~と。

「ごちうさ」も、「うらら」も、「ひなこのーと」も「きんモザ」も、嫌いじゃないし楽しめたけど、そこまではハマりませんでした。

どちらかと言えば、「ゆるゆり」とか「ゆゆ式」の方が好きですね。つまり、ややギャグよりの方が好みということです。

とはいえ、自分の好みを度外視すると、やっぱりハイクオリティなアニメだったと思います。お気に入りは、櫻、でしたw 和みましたw

本作の特徴としては、主人公の柚がとにかくピュアだということですね。一点の曇りもない、澄み渡った春の空のような柚の視点で物語が紡がれるため、ドロドロとしたものは描かれません。描かれないというか、ドロドロしたものに、柚のエッセッンスが1滴でも加わると、すっと綺麗な物語に変わるんですよね。他の登場人物達も(ゲストキャラ含め)、柚のピュアピュアハートに触れることで自分の中にある「黒いモノ」が、スッととかされていくようでした。

例えるならば、「油汚れの~J○Y♪」のCMのように(油汚れに1滴垂らすと汚れがパッと散るような感じw)。

多分、柚にはいろんな事が美しく見えている、見ようと努めているのでしょうね。

尤もそれは、柚が生まれつきもっていた資質ではなく、実際、幼いときの柚は、「あの人嫌い」「きっとこういう風に(悪く)考えてるんだ」なんて言っています。でも、八百比丘尼に深く愛され、育ったことで、人を愛せる力を身に付けたのでしょう。実際、子供の時に(親などから)深い愛情を受けて育った人は、大人になってからも、しっかり人を愛せるように育つと言いますしね。

やはり、柚の心が綺麗だから、世界は美しく見えるし、そんな本作を楽しめた皆様は、やっぱり心が綺麗なんだと思いますよ♪ (私と違ってw)

、、、ところで、主人公の柚を、「おおきく振りかぶって」の「三橋 廉」に似ていると思ったのは、私だけでしょうか(笑)? 口の形とか、ピュアピュアでカワイイところとかw
{/netabare}

【余談~ 美しい作品、「美」の語源 ~】
{netabare}
「美」は、やはり「美人」「美声」「美化」など、「外形がりっぱできれい。うつくしい」という意味合いで使われます。

しかし、本来の「美」はもともと、「心の有り様、心の美しさ」を表す言葉でした。

「美」を上下に分解すると「羊」と「大」に分けることができます。大きな羊が美しい? というのは、「大きな羊は皆で分け合って食べることができる。その様が美しい」ということです。

誰かのことを考える優しさ。誰かを救い、共に在ろうとする心。それが本来の「美」であり、「美人」。

そう考えると、やはり柚は「美しい人」なんでしょうね。作風にぴったりの漢字です♪

※勿論、語源には諸説あります。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
萌え&百合系? そこまで好きなジャンルではないかな。絵と音楽はかなり綺麗だね。ロリっぽいキャラデザはあまり好きじゃない。1話で二人のキャラ紹介とか、かなりテンポが早い。主人公の柚は、「おおふり」の「三橋」っぽい(笑)

2話目
例え家が焼けても優雅にw やはり、テンポが早いな~。桜満開から祭の流れは、いくらなんでも早すぎないか? 情緒不安定かw 今のところ、イマイチついていけてない。

3話目
みんな同じことしかできないなら、仲間はいらない。その通り。百合百合してるな~。柚だから気がつかないのもアリだと思ったがw 百合百合してるな~(汗)

4話目
なんかこう、どこまでも素敵なアニメで、逆に、観るのがツラい(苦笑)

5話目
まず、雨粒を機織りするというのがね、なんともこの作品らしいね。

6話目
柚の資質が後天的であることが分かる回だね。

7話目
夏祭り回は鉄板だね~。迷子が逆w ここでこの間の幽霊さんが登場って、素敵♪ 蓮の二面性、深いところのコンプレックスや心の傷は、愛しくなりますね。

8話目
ウソップとカヤみたいだな、ONE PIECEの。ん? なんかこう、人間界の世知辛さと、此花亭の温かさとの対比かな? なるほど~、よく出来た、いや、よく出来すぎた話だな~。劇団ひとりさんの小説、「陰日向に咲く」みたいだな。

9話目
コメディタッチだね。あわなみ? 知らない神様だな。

10話目
柚の成長だね~。ゴシップ好き(笑) お姉ちゃん(笑) なるほど、柊の真実、やっぱり優しい世界だ。

11話目
ハロウィン、ディスってる、イイねw 二人の神様、マツコさんとミッツさんがモデルかな(笑) 人形、女の子の友達ってのは、素敵解釈。お菊、今、初めて遊んでもらってる最中だから、成仏しないんだね。

12話目
自分の為の願いは、自分で叶えるものだから、自分の為以外の願いしか叶えない。なるほど。邪なものの中にある、美しいもの。ウカ様、いなこんw 椿(女将さん)の真実、いいね♪
{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 43

68.4 12 着物アニメランキング12位
藍より青し(TVアニメ動画)

2002年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (375)
2228人が棚に入れました
『藍より青し』は文月晃原作の漫画作品。またこれをもとにした、テレビアニメ、小説、ゲームなども指す。略称は藍青。
【ストーリー】明立大学に籍を置く平凡な大学生・花菱薫は、花菱財閥総裁・花菱優二を父に持つ、花菱財閥次期当主となる人間だった。幼少の頃から花菱家当主になるために、限りなく虐待に近い「帝王教育」を施されるようになったために、薫はそんな花菱を嫌い大学入学を機に花菱との縁を切り花菱家を出て行った。
そんなある日の学校の帰り道、和服の少女・桜庭葵に出会う。彼女は、幼い頃から想い続けている許婚を探しており…。

声優・キャラクター
川澄綾子、保志総一朗、平松晶子、ゆきのさつき、水橋かおり、成田紗矢香、桃井はるこ
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

純愛で古風な恋愛物語

原作未読です。全24話。音楽も和風で和やかでいいですね。

東京の大学生で一人暮らしの主人公 花菱薫が、和服姿のヒロイン 桜庭葵と偶然駅で出会ったことから物語ははじまります。最初は押し掛け女房的な展開ですね。

過去のことも相まって複雑な事情があり、徐々に明らかになってきます。

ヒロイン 葵が純粋で一途でやさしくて丁寧な言葉遣いで可愛いですね。和風がよく似合います。ショートカットのヒロインは新鮮ですね。

その後、なんだかんだとw複数の女性との共同生活になり、新キャラが色々登場してコミカルなハーレムアニメになっていくのですが、その中でも花菱薫の同級生でティナ・フォスターという米国人だけど博多弁を使う底抜けに明るいキャラクターが登場します。ちょっと博多弁を大げさに表現してますが、同郷としては親近感湧きますねw

サービスシーンが多くドタバタしたところもありますが、観終わるとゆっくりとした落ち着いた気分にさせてくれる作品です。
変化の少ないちょっとした出来事がメインなので退屈するかもしれませんが、私にはちょうど合ってました。主人公と葵の2人のシーンは観ていてベタでこちらが恥ずかしくなることがありますが、後で考えると2人にはお似合いですね。
{netabare}
最後の方はちょっと盛り上がり、いい感じで終わってます。
{/netabare}
OP/EDともにいい曲で和みますね。特にEDの曲「名も知れぬ花」は歌声とともに映像が綺麗でとても好きです。

日常系やラブコメの好きな方は是非観てくださいね。
和風ティストの純粋無垢な恋愛物語をお楽しみください^^

それでは2期の「藍より青し 縁(えにし)」を観て見ます。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 43

♪せもぽぬめ♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ラブコメの面白さをくれてありがとうワハハヽ(^▽^)人(^▽^)人(^▽^)ノワハハ

~あらすじ~
桜庭葵(ヒロイン)は花菱薫(主人公)と子どもの時に結婚を約束した。
だか、トラブルがあり2人は離れ離れになる。月日は流れ、葵は薫探しに家を出る。そして、葵は大学生になった薫と再会しここから2人の物語が始まる。

この話は私が1番最初に見たラブコメです。5年前くらいに見た話です。
小学生くらいです。

その時は、もう凄くハマってしまい、めっちゃ感激しました。
ラブコメはこんなに面白いのかと。

この作品は、結構古いのですけど、話としてはとても面白かったです。

結構前に作られた話ですけど、しっかり、話が作られていて、ドキドキ
したり、ワクワクさせてくれる最高の話でした。

葵は天真爛漫でめっちゃいい子ですw

葵はヒロインの鏡と言っても過言ではないくらいのレベルです。

最初見たときは葵が可愛くて、優しくて、最高でした!!

最近のアニメは普通のラブコメはあまりないので、
普通のラブコメが見たいのなら是非オススメです!

是非見てください☆*~゚⌒('-'*)⌒゚~*☆ウフフ♪

投稿 : 2024/11/30
♥ : 41

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純和風ラブコメ

純愛系のさわやかなラブコメ。
純和風の葵の一途な性格が際立った作品です。

薫と葵の奇跡的な再会を発端に、流れるようなストーリーについつい見入ってしまいます。

一見ハーレム風ですが、互いの思いに揺らぎはありません。
やや際どい描写も、さらっと流して自然な感じ。
これもまた良いですね。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 34

66.5 13 着物アニメランキング13位
大正野球娘。(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (456)
1990人が棚に入れました
時は大正14年――。良家の子女が集う東邦星華高等女学院に通う鈴川小梅に、親友の小笠原晶子が声を掛けた。「一緒に野球をしていただきたいの!」
 突然のお願いに、思わず頷いてしまう小梅。
しかし、ルールも使う道具も分からないことだらけ。
はたして、本当に9人集まり、男子と試合が出来るのか!?
可憐な乙女たちの奮闘が、始まる!

声優・キャラクター
伊藤かな恵、中原麻衣、植田佳奈、能登麻美子、甲斐田裕子、喜多村英梨、広橋涼、牧野由依、後藤沙緒里、藤村歩、新井里美

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

すみません、変なテンションでレビューしちゃいました。こんなレビューは金輪際書きません。

さあ、この作品を分析してみよう。

時代は大正。
明治の混沌と昭和の混乱の狭間の比較的穏やかな時代で、自由な庶民文化が華開いた時である。
大正時代設定のアニメとしては、「ハイカラさんが通る」であろう。
ちょっと粋なものをハイカラと呼んだ時代。
このアニメの印象もまさにハイカラ。
時代の最先端を行くお嬢様の奇抜な姿に注目である。

題材は野球。
明治時代にアメリカから伝わったベースボール。
この時代はまだ、物珍しいスポーツである。
とは言え、六大学野球の草創期であるため普及途上と思われる。
野球アニメとしては、超スポコンで有名な「巨人の星」であろう。
80年代になると、恋愛・感動要素を絡めた「タッチ」が有名。
2000年代だと「メジャー」とか「おおきく振りかぶって」だろうか。
このアニメは本格的な野球ではなく、若干のスポコンを伴うほんわかしたものである。

主要登場人物は娘。
この作品の最大の特徴と言えよう。
女の子がアクションを起こす作品は近年大量に制作されている。
萌え文化の浸透であろうか。
「ガルパン」とか「咲」とか「艦コレ」などがそれに当たる。
しかし、この作品は、全然雰囲気が違う。
緩い感じが心地いいのである。

最後に結論。
華やかな時代を生きるお嬢様が、ひょんなことをきっかけに始めた野球に徐々に真剣になる、友情を基本とした微スポコン萌えアニメ。
これがこの作品の本質と考える。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 47

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

大正時代・・・野球に打ち込んだ女学生達の物語です^^

この物語の舞台は、大正時代の女学院・・・ヒロインである鈴川 小梅(すずかわ こうめ)の親友である小笠原 晶子(おがさわら あきこ)が、突然野球を始めたいと言い出します。それは、小笠原の許嫁が言い放ったあからさまな男尊女卑の考えに対し、許嫁が打ち込んでいる野球で考えを改めさせようという、彼女なりの反骨心だったのですが・・・こうして、一緒に野球してくれるメンバーを探す・・・というところから、この物語は始まります。

大正時代・・・女学生・・・野球・・・??
視聴する前はこれら3つの単語が頭の中で上手く結び付かず、どのような物語が始まるのか期待と不安が50%ずつ・・・という状況でした。

・・・結論から言うと視聴して良かったです^^
前記の3つの単語が結びつかなかったのは、私のイメージ不足が原因です。この作品の中でヒロインを始めとする彼女達は、しっかり野球をやっています。
普段の日常は、大正時代を作品のあちこちで感じる事ができますが、野球をやっている時に大正時代を感じたのは、彼女達のユニフォームがモダンで可愛らしかった事と金属バッドが無かった事位です。女学生が野球に打ち込む姿もすぐ馴染んで・・・ところどころでしっかり感動させて貰いました^^;

私は知らなかったのですが、学校の授業が終わると「おジャンでございます。」と言ってみんなが拍手するシーンがあるのですが、その当時の風習なんだそうです。何とも言えない可愛らしさがあったと思います・・・そのキャラのCVが能登さんだったから余計にそう思えたのかもしれませんが・・・(//∇//)

「○○だからできない・・・」と何もせず最初から諦めてしまう事があります。でも、直向きに野球に打ち込む彼女達を見ていると、最初から諦めるのは色々勿体無いことなんだ・・・という事を教えてくれる作品です^^;

彼女達の道のりは決して易しいものではなかったと思います。元々は野球を殆ど知らない即席チーム・・・最初から上手くいくはずがありません^^; 彼女達は何度も下唇を噛む思いを積み重ねてきました。でも、彼女達は決して逃げる事なく悔しい思いを受け止めるんです。自分達の弱点を知り、そこを補っていく・・・補い方は個人の能力を高めたり、チームの総合力でカバーしたりと沢山あるのですが、地に足の付いた練習を積み重ねて、チーム力を上げていきます。

でも、一方で「努力は裏切る」・・・という言葉があります。
それは、結果って運も影響するので、必ずしも努力と結びつかないことがあるから、このような言葉があるのだと思います。だけど、努力による伸び代は、努力した分だけ着実に糧になるのでまた違った形で良い結果を得ることができる・・・その可能性があるから頑張れるんだと思います。そして、この‌作品では、このような前向きな気持ちの描写がしっかり表現されていたと思います。

そして、彼女達の野球がどこまで進化していくのか・・・毎回楽しみにしながら視聴していました^^
真剣に野球に打ち込む彼女達の姿は印象的でしたし、声優さんも豪華だったので視聴して良かったと思える作品でした♪

投稿 : 2024/11/30
♥ : 45

ローズ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

おてんばハイカラさんのスポーツ

主人公は女学校に通う鈴川小梅(すずかわ こうめ)。
ある時、友人の小笠原晶子(おがさわら あきこ)の呼びかけに応じるような形で野球を始める事となる。
まずは野球をするのに必要な人数である9人のチームを作る事から始める事となる。

時代は大正時代、しかも女性の野球となるとチーム自体すら作る事は難しいです。
日本野球の始めの頃は大学野球が盛んで、明治時代には早慶戦などが盛り上がっていました。
ただし、あまりにも応援に熱を入れ過ぎたために試合自体が中止になる事もあったそうです。
このように荒れるスポーツであった野球を淑女が集まってするという事は、かなりハードルが高そうです。
ちなみに明治時代の日本野球については、ハチャハチャで有名なSF作家である横田順彌さんの著書に詳しく書かれているので興味のある人は一読するのもいいかもしれません。

本作品の意図としては男性優位のスポーツでも女性が活躍できる事なのではないでしょうか。
数年前、日本やアメリカの独立リーグで選手だった吉田えり選手の登場も作品を作る上でのヒントになったのかもしれません。
吉田選手のニックネームでもある「ナックル姫」あたりから、本作品の揺れる魔球の構想があったように思います。

野球のプレー自体には疑問を感じます。
バットの芯を外す魔球や揺れる魔球、ダブルプレーなどの連携プレー、スコアブック以外にも映像で相手選手の研究をする事など、本作品の野球は近代野球に近いと思います。
昔のピッチャーで変化球を投げる人はいなかったとは言いませんが、意図して狙ったボールを投げるのは聊か疑問を持ってしまいます。

授業の終了の合図である鐘や「おじゃんでございます。」という挨拶などは、よく調べていると感心します。
(自分が知らなかった事なので勉強になりました^^)
ただし、大正時代という時代性や野球のプレー以外にもツッコミ所がありそうなのですが、そこは本作品の意図するところではないので触れない方がいいですね^^;

あまり懐疑的に本作品を視聴しても面白くないです。
色々とイチャモンのような事を言うのは野暮ってもんです。
(お前が言うなと指摘されそうですがw)

野球に詳しくない人でも、チームプレーの大切さや一生懸命な努力などが伝わればいいのでしょう。
女性でも男性と対等に戦う事ができるスポーツとしてのスポ根作品だと考えれば合点がいきます。

仲間が集まって目標に向かって努力をすることが一番重要であるという、
スポーツ本来の目的を再認識するには良い作品だと思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 43

65.4 14 着物アニメランキング14位
超訳百人一首 うた恋い。(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (371)
1671人が棚に入れました
はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首。 藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 そんな百人一首の深い魅力を、恋の歌を中心に、アニメと超訳でわかりやすく お届けします。

声優・キャラクター
梶裕貴、諏訪部順一、早見沙織、遠藤綾、内田夕夜、千葉進歩、下野紘、大原さやか、遠藤大智、小林沙苗、森久保祥太郎、宝木久美、代永翼、佐藤祐四

Key’s さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

これは昔の人が記した恋の記録の物語

原作は知らないですが少女マンガっぽい雰囲気ですね
まさにダークホースでしたw
期待せずに見てたら意外と面白かったですw

僕が恋の話が好きなのと
国語が好きなのが上手くハマった作品w

もちろんキャラの性格や見た目などは
史実とは違うが
別段気にはならなかった

歌の解釈はいろんな解釈があると思うが
こんな風な軽い感じであっていると思う
良い感じで史実とフィクションが混ざっていて
物語として面白かった

OPがすごく気に入った
作品とも合っていたと思うし

1話完結なので流れとかは
特に気にせず気楽に見れた
途中からでも普通に楽しめると思う

まぁ知っていたがやっぱり
失恋の歌が多いなw
その分やっぱり実らない悲しい恋が多かったな・・・
個人的には2話の陽成院の話が一番好きだった
感動もできた

何気にギャグも好きw
あのいきなり始まったわけが分からない
カードバトルとかw

恋の話や国語の短歌や歴史が
好きな人は絶対気に入ると思う
その分短歌とか嫌いな人は
感情移入しにくいのかな?

僕は楽しめたので
恋の話好きにはおすすめしたい作品ですね♪
何気に二期を希望(無理かなw?)

投稿 : 2024/11/30
♥ : 54
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

<最終回まで視聴完了> 恋する想いはどれほど時代を経ようとも

<最終回の感想>

百人一首の選者であり、全話を通してパーソナリティ役を務めていた定家が
今回の主人公となり、とてもきれいにまとまった最終回だった。

この作品が一番言いたかったこと。
定家自身もそう想って百人一首を選んでいたのではと
思わせてくれるような説得力があった。

また全話通して、当時の身分の差からくるせつなく哀しい想いや男女のルール、
雅やかな衣装と歌の世界を、現代語を交えた斬新なシナリオで見せ
わかりやすかったし、引き込まれたエピソードも多かった。
結局、どれほど時代が変わっても、やはり恋というものはいつの世も
同じ想いに駆られるものなのだということを、時には面白おかしく
時には親心なども交えて幅広い世代に共感を呼んだのではないだろうか。

キャラデザや作画、演出には好みが分かれるかもしれないし
最新の技術を駆使したスピード感あふれるアニメに慣れた人からは
いくらか退屈な部分があったかもしれないけれど、そのあたりは
平安の世を描いていたからこそ、逆にこれで良かったのかもと思うし
個人的には毎回楽しみにできた大好きな作品の1つになった。

残念ながら1クールだったので当然百首には叶わず、恋を詠んだ歌も
まだまだ他にあるのだけれど、仕方ない。
でも最近また、百人一首の解説本を引っ張り出して読んでいたりして、
そんなきっかけを作ってくれた嬉しい作品だった。

今回の最終回で式子が言った言葉・・・
{netabare}
「不自由さの中、歌だけが自由で、歌の中でだけは自由でいられるのです」
{/netabare}

・・・あまりにも深く共感しすぎてなんだか耳から離れない。
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<12話の感想>

せつない話が続いて今回は身分の違いから結ばれぬ運命にある2人の悲恋。
身分など考えなければ、ワイルドな雰囲気の道雅と
無邪気で明るい当子はお似合いのカップル。
しかも出会いは当子が幼い頃で、きっかけはとある約束ときた。
同じエピソードの流れを前半は道雅視点で、後半は当子視点で描き
どこでどうすれ違っていったのか、よくわかったけれど
この演出法を25分間の間で見せるのはいささか、もったいない気がした。

それに、娘とその恋人の仲を引き裂いておきながら、
娘の恋路に理解を示してやれないとかで世を墓なんで出家を
考える父親ってどうなの??
いくら天皇だからとはいえ、出家するくらいならその勢いで
娘の想いをもう少し汲んであげても良かったのでは・・などと
思ってしまうのは、半分以上現代風にアレンジされた作品だから
なのかもしれない。

さて来週は最終回のようで・・どんなお話でまとめられるのか楽しみ。

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<11話の感想>

これまたせつないお話で。
そのせつなさは、あの時代の女性同士だからこその部分もありつつ、
現代にも通じるものがあるなぁと。
「女のクセに」と言われながら才気を発揮していった香子(のちの紫式部)と
「女のクセに」と言われながらお転婆の限り腕力をふるった藤子。

「男になんか負けない」と目標を持ち、笑いあっていた年月も過ぎ、
その先に立ちはだかるそれぞれの壁。

藤子に「あなたが男だったら良かったのに」と言われ
かつて父親からも「男に生まれてくれたら良かった・・」と言われた香子が
唯一の理解者であった親友・藤子を想う気持ちは、
痛いほど伝わってきた。
そして再会を素直に喜べないまま無視してしまった藤子の想いも
わからなくはなかった。

視聴しているこちら側としては、双方の心の揺れも昂ぶりも
しっかり観れているから納得するけれども、
当の本人達は電話もメールもない時代で、心を打ち明けるとしたら
それはもう文しかないわけで。

紫式部の「めぐりあひて 見しやそれともわかぬまに
雲隠れにし 夜半の月かな」というあの歌が
焦がれ親しんだかつての友を想うものだったとは、知らなかった。
とはいえ、これは百合的に描かれたまま観るべきものではなく、
幼馴染で育ったという環境が背景にあって、なおかつ
逆境の中でお互いの才能の唯一の理解者だったということが深い友情を
生んだのだし、そこを履き違えてはいけない気がした。
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<10話の感想>

今回は百人一首の中になぜ、定子様の歌が選ばれなかったのか、そして
「枕草子」に清少納言が託した想いとは・・という2つの話だった。
一方、行成とのその後、実方のその後も描かれ、せつなかった。

また、悲運に見舞われた定子の、死の直前に詠まれた歌は
あまりにも悲しいもので。
でも枕草子には、定子との楽しかった日々のみが書かれており、
それを見た藤原定家が何を感じ取ったかは、すごく共感できた。

楽しかった思い出は前向きに今を頑張るためにある。
という言葉がとても印象に残った。

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<9話の感想>

ともに親が有名な歌人であるがゆえに和歌が苦手と言うことで
意気投合した藤原行成と清少納言のお話。
気が合う部分が多くても、すぐに恋愛に発展するわけではなく
苦手な和歌で無理やり、やりとりをするより、手紙の往復。
その文章にしても、会った時の会話にしても、なかなかスパイシー(笑)
一筋縄ではいかない関係に、周囲も無関心になっていき。。
だからなのか、すごく余裕を感じさせるし、面白かった。
でもあんな皮肉ばかり言ってる会話は、実際疲れそうだし
長い期間そんなことしてると本当に友達のままになってしまうよね(苦笑)
次回はそんな2人のゆくえも描かれるようで、すごく楽しみ。

この作品の今までの話を振り返ってみて、小野小町のエピも良かったけれど、
清少納言にまつわるエピは重なる部分や共感する部分が多いからか、
さらに心を揺さぶられてしまう・・

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<8話の感想>

前半は、後の清少納言となる諾子の兄の、遠距離恋愛の話。
信じるものが何も無い人生は死に等しい・・確かにそうかも。
けれど、信じ続ける、想い続けるのは難しく、人の心は移ろうもの。
前半の話にもけっこう共感できたけれど、少し幼い感じがして、
それゆえにか後半の話がとても大人の恋に思え、感動した。

のちの清少納言となる諾子と藤原実方との恋の行方。
彼女の才能を何よりも愛した彼の決断と、その本音。
自分の出世より彼を愛する想いを優先させたい彼女の気持ち。

記憶と重なるセリフや想いに、観ていて思わず
心揺さぶられてしまった。
そして今回、実方の表情が特に繊細に描かれていて素晴らしかった。
気づいたらボロ泣き。
それに今回、前半と後半の2つの話の組み合わせ方が秀逸。

{netabare}
在原業平と同様、光源氏のモデルとも言われた彼、藤原実方。
意地悪な見方をすれば、プレイボーイらしい別れ方なのかもしれないが、
自分が見込んだ彼女の才能が開花した華々しい姿を見届けるために
あえて一緒にならない道を選ぶことや、予想通り羽ばたいている彼女の
成功をみつめながら冗談を交わすそのひそかな愛情は、とても切なく、
そんな身の焦がし方は大人の恋ならではと感じた。

想うままに自分の傍に引き寄せることばかりが愛じゃなく、
あえて突き放したあと、男女の友情を成り立たせてしまう。
実際はそのほうが長続きする関係も多い。
さすがだわ実方様(笑) 鮮やか過ぎて何も言えへん~
{/netabare}

--------------------------------------

<7話の感想>

リアルタイムで観た時、ちょっと酔っていてうろ覚え。
2回目観て共感しながら後半爆睡。
3回目観ながら和歌を堪能、もう一度確認したくて4回目視聴。
なぜかこの7話だけ4回も観てしまった(笑)

対照的な男性2人だけれど、どちらもなかなか魅力的。
前半の源保光の娘の素直なしとやかさも良かったけれど
後半の高階貴子の結婚に対しての固定観念がなかなかリアルで
興味深かった。
どっちの結婚が幸せかなんて野暮なことは考えないけれど
観終えた後でじわじわ、いろいろ考えてしまう回だった。

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<6話の感想>

いやはや、番組間違えて録画してしまったかと思ったよw
今回は完全なるパロディ回。
G1だったり、徹子の部屋や新婚さんいらっしゃいだったり、
ホストクラブやカジノも登場~で、設定はしっかりしてるのがミソ。
なかなか盛りだくさんな構成でいながら、よくまとまってたし
最初から最後まで笑い通しだったせいもあり、あっという間に終わったw

----------------------------------------
<5話までの感想>

百人一首の中でも、主に恋にちなんだ短歌をテーマにした
コメディ・タッチのストーリー。

平安時代の歌の世界観や人物たちの会話の中、「オタク」や「コスプレ」
「聖地巡礼」や「スルー」などといった流行語や現代語を交えた言葉や
現代訳が登場するので、古典を本格的に楽しみたい方からは賛否両論
あるかもしれないが、間違った解釈はしていないし、現代人にはとても
わかりやすく共感しやすくなっている分、親しみも感じやすい。

OPやEDの音楽も、百人一首の世界を意識した歌詞でありながら、
あえて現代の先端をいくような音楽にしていることに意味があるというか。
短歌という限られた文字数の中に想いを含ませ、恋する気持ちや
自分の本音をしたためた平安時代も、根底に流れている想いは現代と同じ。
時代がどれほど変わっても、恋する想い、愛する気持ちは変わらない
ってことが言いたいのだろう。

恋をすると誰しも、詩人になったりするしね。
また、今の世に名と作品を残している平安時代の歌人もまた、
現代の詩人や作詞家と同じように、歌を自分の居場所とし
形あるものとして残していくことに、自分の存在意義を感じていたのだなと
そんなことを思えると嬉しくなる。

なので史実に基づいた忠実な再現ドラマにするのではなく、
ある程度は資料を基にした関係や事実だとしても、今風に置き換え、
最終的には百人一首を深く理解していれば良いのだと思う。

構成も見やすく、毎話・・その回に登場する詠み人を主人公に
それぞれエピソードを展開ながら想いや交流を描いている。

監督は『ハチミツとクローバー』や『のだめカンタービレ』などで
おなじみのカサヰケンイチ氏
シリーズ構成は『うたプリ』などの金春智子さん。
キャラクターデザインは『君と僕。』『ちはやふる』
『銀河へキックオフ!』のつなきあき氏。
ってことで、スタッフ見ただけでも観る気満々だったが
キャストのほうも、以下の通り豪華な顔ぶれ。
もともと古典は好きだし、もう観ないわけないやんって感じで
今現在、第5話まで視聴済み。

個人的には2話の「貞明と桜子 陽成院」に、ちょっと泣けてしまったり
3話の「宗貞と吉子 僧正遍昭」の、幼馴染であった吉子(小野小町)と宗貞の
兄妹のような関係にせつなくなってしまったり、
5話「東下り 小野小町」での老いてしまった小野小町の想いに
つい共感してしまったりと、毎回飽きることなく楽しめている。

というわけで最終話まで何度か、感想を更新しながら編集していく予定。
なので☆評価はそれまでの間、暫定です。

藤原定家 - 梶裕貴
在原業平 - 諏訪部順一
藤原高子 - 早見沙織
小野小町 - 遠藤綾
良岑宗貞 - 内田夕夜
文屋康秀 - 千葉進歩
宇都宮頼綱 - 下野紘
式子内親王 - 大原さやか
在原行平 - 遠藤大智
弘子 - 小林沙苗
陽成院 - 森久保祥太郎
綏子内親王 - 宝木久美
紀貫之 - 代永翼
喜撰法師 - 佐藤祐四
藤原義孝 - 石田彰
高内侍 - 平田絵里子
藤原道隆 - 楠大典
清少納言 - 茅原実里
藤原実方 - 子安武人
藤原行成 - 寺島拓篤
藤原斉信 - 曽世海司
藤原公任 - 岸尾だいすけ
清原元輔 - 中博史
清原致信 - 豊永利行
末の松山 - 南里侑香
源保光の娘 - 潘めぐみ
中宮定子 - 折笠富美子

投稿 : 2024/11/30
♥ : 47

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

惚れた腫れたは時代を超える

視聴層はおそらく女性向け。
百人一首に名を連ねる歌人達の恋物語を、その歌の内容から想像して創造しているお話です。
歌や文を交わして親交を深める平安貴族の風雅で優美な色恋を綴った素敵な世界。
現実ににそうであったか史実はさておき、メロメロな愛のドラマが盛り沢山な作品となっています。


ストーリーテラーとして、百人一首を編纂した藤原定家が進行を勤めますが、特定の主人公はなく、歌人達の群像劇となっています。
あたりまえですが、各話が百人一首に読まれた歌、またはその詠み人にちなんだお話。
基本的には一話完結形式ですがが、それぞれのキャラクターには繋がりがあって、数話を繋げて1人の歌人の生き様を表現していたりで案外と凝った構成。
小野小町、清少納言、紫式部などなど、誰もが知る有名な歌人、特に女性の扱いが大きいです。

平安の時代、お堅いイメージがありますが、性に関しては結構フリーダムな時代。
加えて貴族ですから、後宮にあがったり寵姫に仕官したりの立場の方が多くて、そっち系にナマナマしいです(〃'▽'〃)
こういうお話は大人の淑女達が好むところですね。
優美で切なさも入り混じった物語となっています。


作画は独特。
線が太く、和柄の貼りつけなどが使用されており、メリハリはありますが、動きはあまりありません。
キャラデザ的にはイケメンや美女をとされるキャラを書いていますが、取り立てて綺麗という事もなくモッサリとした感じ。
嫌悪感はありませんが、決して良質とは言い難い映像です。
歌を詠むシーンなどは気合の作画を見せて欲しかったですが、そういう部分に尽力する作風でもなさそうなので、そこを期待するのも酷な気がします。
アニメというより、動きのある絵巻といった印象でしょうか。

絵で魅せるタイプではないので、キャラの語りと演技が重要。
この点ではベテラン声優さんが頑張っていました。
感情を荒げるような事は少ないですが、恋にまつわる悲喜交々を、気品があって情熱的なキャラとして演じきっているのはさすがです。
雅な雰囲気は決して崩さずに、それでいてコミカルな部分では肩の力が抜けた歌人達。キャラ立ちはどれも良くできていて魅力的です。


ちょっと独特な味を持ったアニメでした。
歴史ものになるので堅苦しいイメージがありましたが、百人一首や登場する歌人は我々に馴染みが深く、とっつきにくさありませんでした。
特に、第一話で詠まれた歌は、古今集より在原業平(ありわらのなりひら)の歌。
↓つまり、これ。

ちはやぶる 
 神代も聞かず竜田川
  たつたがは韓紅に
   水くくるとは

グーゼン?
いや、意識してチョイスしてますよねぇ?^^;

投稿 : 2024/11/30
♥ : 27

65.6 15 着物アニメランキング15位
藍より青し 縁(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (232)
1376人が棚に入れました
『藍より青し ~縁~』は、前作から2年後を舞台にしている。花菱・桜庭の問題は前作のアニメでほぼ解決していたため、原作のような急展開にはならず、後半はティナを中心として描いていた。
【ストーリー】相変わらず賑やかな桜庭館において、それぞれが大人への第一歩を踏み出してゆく…。

声優・キャラクター
川澄綾子、保志総一朗、ゆきのさつき、水橋かおり、平松晶子、成田紗矢香、桃井はるこ、能登麻美子、こやまきみこ
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

この作品は和むけんよかね~だけん心が癒されるたい

タイトルをこの作品のキャラであるティナ風博多弁で表現してみましたw
一応訳は
「この作品は和むのでいいですね~だから心が癒されますね」(やわらかく訳しましたw)
一応私が知っている博多の方言です。正式な博多弁ではないので、そこはご容赦ください^^;

藍より青しの続編、つまり2期で全12話。

前回の1期から2年後のお話で、いつものメンバーで日常のお話ですね。
1期でほとんど問題は解決してますので、こちらではラブコメ中心です。

やたらとサービスシーンも多いです。

1期のレビューではキャラクターの紹介してませんでしたので、簡単な紹介です^^
カッコ内は中の人です。

真面目でやさしく一途な大学院生で舘の離れに住む 主人公 花菱薫(保志総一朗)
同じく真面目でやさしく一途な舘の大家さんでなでしこ ヒロイン 桜庭葵(川澄綾子)
元気で明るく酒好きな舘に住む、薫の大学の後輩 ティナ・フォスター(雪乃五月)
真面目で厳格で怒ると怖い、でも○○○や○○○の前ではデレてしまう舘の管理人 神楽崎雅(平松晶子)
ドジでいつも何かをやらかしている、舘で住み込みメイドのバイトで薫の大学の後輩 水無月妙子(水橋かおり)
お嬢様で主人公が大好きでティナといつも口ケンカしている 美幸繭(成田紗矢香)
元気で明るく気が利く妙子の従姉妹で高校生 水無月ちか(桃井はるこ)
ティナか連れてたペットでフェレット ウズメ(猪口有佳)
{netabare}
特にこのお話では薫と葵2人の将来について語られることが多いですね。
{/netabare}
やっぱり今回も注目は生粋のアメリカ人なのに博多弁で話すティナ・フォスターですw
2期になったので、方言も板についてきましたね~今回は特に目立ってました^^
ちかっぱい~、~ばい、だけん~、~だったい、ばり~、~なか、~けん、と博多弁全開ですw
{netabare}
11話のティナと薫がいる河川敷の夕日のシーンが印象的でした。
この話は良かったですね。この作品で一番好きなお話です^^
{/netabare}
OP/EDともに1期と同じ方が歌ってます。このお話に合ってますね〜

安心して観れる作品です。ただ日常の話がメインであまり起伏がなく、ドキドキワクワクすることがほとんどありません。ちょっと古めのラブコメを観たい方にはピッタリだと思います。もし観られる方は、ぜひ1期から視聴することをオススメします。

縁(えにし)いい言葉です。このお話もそうですが、あにこれで好きなアニメを語れる方々に出会えていい縁になりました。そんなことを思いながら最終話を観ていましたね^^

後で知りましたが、原作者は福岡出身なのですね~どうりでティナの博多弁の使い方がうまいと思って観てました^^

投稿 : 2024/11/30
♥ : 36

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

博多弁アメリカ人ティナが副主人公

あれから2年、静かな時の流れは、二人の愛を確実に育んで行きます。
安定のアフターストーリー、さわやかさ継続中です。

皆、主人公に好意を持っているけど、ドロドロ感なし。
揺るぎない二人の関係にあてられ、納得の癒し展開です。

どの登場人物は好感度がもてます。
中でもティナが一番ですね。
博多弁を操るアメリカ人という一風変わったキャラです。
彼女の、明るくさっぱりした性格は、わたし好み。
というか誰にでも好かれる性格ですね。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 31

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

人が集(つど)って縁(えにし)となって B+

原作未読 前作視聴済

藍より青しの後日談です。
もしよろしければ、前作のレビューをご覧になってからお読みください。
http://www.anikore.jp/review/319402

前作では、ちょい役で出てきた水無月ちかが、サブヒロインの一人として新たに加わります。
ちかは、本作で高校1年生になる、年中日焼け肌の元気娘です。

これで薫は、葵、ティナ、妙、繭、ちか、それに雅と、6人の女性に囲まれることになります。
ちょっとしたどころか大いなるハーレム状態です。

このような状態で理性と保つのは大変かと思いますが(笑)、これも薫と葵の愛のなせる業ということでしょう。
基本的に二人の愛が根底にあった上で、周囲との関係が描かれていますので、ドラマ性という点では前作には及びません。
逆に言うと、あまりブレがなく安心しながら見ることができる作品です。
このドラマ性をどう見るかで評価が分かれるかと思います(ちなみに私は肯定派です)。

本作ではひととおりヒロイン全員に焦点が当たりますが、取り分けティナの扱いが大きいと言う印象です。
元々、博多弁を話す外国人という、まるでダニエル・カールのような面白いキャラであるだけに、この人選は正解だったと思います。
ただ、メインヒロインの葵よりも目立っているかな、っていう感がなきにしもあらずですが、まあそれはご愛嬌ってことで・・・。

本作は過剰な期待はせず、あくまで後日談として見るのが吉だと思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 16

66.4 16 着物アニメランキング16位
NANA ナナ(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (222)
1376人が棚に入れました
東京に住む彼氏と同居するため上京する小松奈々と、ミュージシャンとして成功するため上京する大崎ナナ。2人のNANAは新幹線の中で出会った。その後、ひょんなことから奈々とナナは同居することとなる。さらに、ナナの所属するBLACK STONESとナナの恋人の本城蓮が所属するTRAPNEST、2つのバンドのメンバーたちを交え物語は進んでいく。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

それぞれの なるべくして開かれた道

主人公の考え方に共感や憧れを持てるか否かって視点で言えばこの作品、
観る人の世代や、誰を主人公にして観るかでだいぶ違ってきそうな気がする。

同じ名前を持ち、対照的な性格の2人の女の子 
ナナと奈々のそれぞれの道の歩み方と2人の友情、
バンド活動をもとに、プロのミュージシャンを目指し、
やがてプロとして成功しながらも数々の葛藤や試練が待ち受ける展開は興味深く、
山あり谷ありでメリハリをつけ、面白く描かれていた。

またナナ以外のバンドメンバーをそれぞれの視点から見ると、
けっこうビターな物語で、ある意味リアルだったなと。

ただ、ファーストシーズンだけで4クールあったにもかかわらず、
意外にスローな展開だったので、少々中だるみを感じてしまった。
が、しかし今思えば、人気コミック作品だったせいもあり、
原作を愛するスタッフさんたちは丁寧に忠実に描きたかったんだろうなとも思う。

ちなみに、実写映画版も2本制作されているけれど、
OP、EDなど音楽はアニメ版のほうが個人的には好みだった。

印象的なシーンはいろいろあったけれど、
なぜか花火のシーンだけが、一番心にやきついている。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 51

めじな さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

感想

全47話。恋愛もの。

あらすじ
彼氏の元にむかう小松奈々(ハチ)は、東京行きの列車の中で、
ミュージシャンを目指して上京する大崎ナナと隣り合わせる。
同じ「ナナ」という名前を持つことから意気投合した二人は、
その後の住まい探しの中で偶然再会し、共同生活を送ることに。

まず、主人公二人の正反対の性格が面白い。
無邪気で素直な性格の奈々(ハチ)と、何事にもクールなナナ。
一見正反対に見える性格の二人ですが、時には衝突しつつも、絆を深めていきます。
この絆に相手を想う思いやりの大切さなどが描かれています。
それに明るい雰囲気で育ったハチに憧れるナナ、ハチはナナの才能や夢に憧れる。
この二人の生き方の違いも見所で楽しめました。

登場人物のキャラも個性派揃いで良いですね。観てて飽きない。
また、キャラの見た目のギャップもありました。
いつもはクールで強きなナナは心が弱かったり、
タクミも女癖が悪い遊び人風ですが、実はしっかりとしていたりと。

それにシリアスとギャグのバランスが良い。
シリアスはコメディタッチの軽いノリが魅力で、会話のテンポも良いしギャグも面白い。
メロドラマのような本来なら暗い展開などに、
キャラの顔を笑えるようなギャグ顔にしたりと工夫されています。
ハチの行動も世間知らずというか、観てて楽しませてくれました。

この作品最大の見所は
二人の「ナナ」と、彼女らを取り巻く人々の恋や友情などの絆の強さ、夢の行方でしょうか。
人間関係はとてもリアルに描かれていて、
登場人物の揺れ動く気持ちの心情描写を丁寧に表現されています。
私好みのドロドロとした展開もあって楽しめました。
全体的に山あり谷ありで先が読めなかった。

この作品はバンドも売りにしてますが、音楽を扱っている作品にしてはイマイチですね。
曲は中々良いんですが、扱いが軽かった。

OP、ED曲ともなかなか良い曲ですね。
特に最初に使われていたED曲がかなり良い。聴いているとジーンときます。

ストーリーも中々良くて、
恋愛と友情を人間ドラマ化した、面白く見ごたえがある作品でした。
2期あってほしいけど無さそうですね。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 22
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

少女漫画の金字塔

[文量→小盛り・内容→感想系]

【総括】
第48回(平成14年度)小学館漫画賞受賞、累計発行部数は4300万部突破の少女マンが原作。原作も既読。

というか、矢沢あい さんの漫画はほぼ全て読んでますが(笑)

ベスト10作るついでに、レビュー書こうと思って簡単に。レビューでは、おっさんながら、好きなカップルを(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
個人的には、

ハチにはタクミが、

ナナにはヤスが、

お似合いだな~と思っていました。

まあ、ハチとナナが一番お似合いなのですが(笑)

矢沢あいさん、少しずつ仕事もやられているとか。御体が一番大事ですが、ファンとしては、再開を気長に待ちたいですね♪
{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 16

62.3 17 着物アニメランキング17位
伏 鉄砲娘の捕物帳(アニメ映画)

2012年10月1日
★★★★☆ 3.6 (204)
1084人が棚に入れました
時は江戸時代。伏と呼ばれる若者による凶悪事件が頻発し、その首に幕府は懸賞金をかけた。伏とは──人にして犬、体も心も獣のよう。ひどく残酷な面があり人々から恐れられる一方で、犬の血なのか驚くほど人懐っこいところもあるという。ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師、浜路は浪人の兄に誘われ、伏を狩りに山から江戸へやってきた。獣の臭いに敏感な浜路はすぐさま伏に気づき追いつめる。そんな浜路のまわりをうろつく瓦版の読売、冥土から、浜路は伏にまつわる世にも不思議な物語を聞く。そして冥土に誘われた場所で、一匹の伏をみつけた浜路。追いかけるうちに、伏とともに江戸の秘密の地下道へと落っこちる。真っ暗闇の中で、狩るものと狩られるものによる特別なひとときがおとずれた――。

声優・キャラクター
寿美菜子、宮野真守、宮本佳那子、小西克幸、坂本真綾、野島裕史、神谷浩史、水樹奈々、藤原啓治、阿部敦、浜田賢二、梅津秀行、納谷六朗
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

秘すれば花なり

桜庭一樹×南総里見八犬伝。
文藝春秋創立90周年記念作品。

時は13代将軍徳川家定の治世。
江戸を賑わす事件が続発している。
人の生珠を喰らうという人と犬の眷属「伏」信乃。
祖父の死をきっかけに兄道節を頼り、
江戸を訪れた腕利きの猟銃使い少女浜路。
狩るものと狩られるものの運命の出会い。

人と対峙し争う「伏」信乃。
{netabare}彼は生まれながらにして人を殺し、
生珠を喰らわなければ生きていけないのだ。
異形のものに生まれた罪。
浜路が彼との出会いでどう変わっていくのか、
見所はここにあるのでしょう。{/netabare}
それぞれの決断の物語です。

サイケデリックで色彩豊かな江戸が印象的な、
滝沢馬琴直系の伝奇ファンタジー。
江戸の暮らしや文化を存分に取り込んで、
物語序盤は見所十分で進行するのですが、
後半は理解が追いつけない箇所もあり、
ダイジェストのように駆け足で残念です。
居場所を求めて彷徨う2人の行方は如何に。

世界観を楽しむ作品でしょうか。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 34

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

パンクな江戸末期と逞しい女達の生き様を詰め込みまくった奇妙なロマンス

原作は『GOSICK』の桜庭一樹
監督は『忘年のザムド』の宮地昌幸
音楽は同じく『ザムド』で(本人曰くの)異化効果を演出するBGM、というものの制作に挑戦したという大島ミチル
脚本に『プラネテス』の大河内一楼


原作は「南総里見八犬伝」を新解釈し、伝承は史実にあったものだ、として扱っているのが特徴
江戸末期を舞台にした里見八犬伝の後日譚とも言うべき内容です
そして滝沢馬琴(里見八犬伝の著者、江戸末期に実在)自身とその娘が「里見八犬伝という物語そのもの」や「今作の一連の物語」は自分達が読み物としてまとめあげた“贋作”である
という〆の作品でもあります


映画で描かれるポイントはかなり的を絞っています
人と犬の混血であり、人を喰らう【伏】と呼ばれる男、信乃
田舎から江戸にやってきて偶然に信乃と出会った猟銃使いの少女、浜路
この二人の足跡を追う物語となっています


人と犬
狩る者と狩られる者
男と女
いつかは相対しなければならない二人の、ちょっと切ないラブロマンスがメイン










と、まあその辺りはかなり好印象ではあったのですが・・・
実際は少しサブキャラクター達のエピソードが詰め込みまくられてて路線がややブレ気味っす
伏である身を隠して吉原の遊郭で太夫にまで上り詰めた女、文芸家を目指してかわら版の執筆に打ち込む読売の少女、働き盛りに子供を授かったことで戸惑う若女将、、、
浜路の人生の道標となっていく、多くのサブキャラクター達ですが、江戸末期という女性の社会進出がままならなかった時代を生き抜く女達の姿が、あからさまな女性応援歌っぽく描かれていて、本来のラブロマンス的な方向性から風呂敷を広げ過ぎじゃないかと思います;


また、かのokamaさんも関わっているキャラクターの造形やファッションや江戸の町並み等など・・・
全体的にお洒落でパンキッシュな世界観が目を引きますが、これが絶対に逆効果;(銀魂をイメージしていただけると解り易い?)
クロックパンク、エレクトリックパンク風に史実よりもやや先進的に描かれた今作の江戸時代で、滝沢馬琴や終盤のカギを握る徳川家定といった実在人物の登場は説得力が薄い;
実在人物を扱うのであれば世界観そのものの改変という部分はもっと注意を払ってほしかったと思います;


そしてイチバンの痛手は実は声優さん;


寿美菜子、宮野守をはじめとし豪華声優陣による素晴らしい名演技
またゲスト出演したとしてお茶の間のニュースでも話題になった竹中直人、劇団ひとり、桂歌丸師匠は思いのほか良い仕事をしてくれて文句の付けようが無かったのです


問題なのは宮本佳那子さん、charaさん、その他子役といった“ド素人勢”
恐らくは主役級の配役にも本職声優を扱わないジブリなどでは気にならないポイントのはずが、今作では本職声優に混ざってアテレコしたため実力差が歴然としてしまった感があります;
実際に寿、師匠、宮元、charaの4人で会話する場面があるのですが、寿と師匠だけが上手すぎてほとんど別次元の人間にwww


charaさんは今作とマッチした素晴らしい主題歌を提供してくれているだけあって、逆にガッカリ感がハンパ無いwww









散々に言いたい事言ってみましたが;
原作と違って浜路という女の子が【ちゃんと可愛く描かれている】のが大切な評価ポイント
観終わったときに「浜路可愛いよ浜路」
そう思えていればいいのではないでしょうか?

投稿 : 2024/11/30
♥ : 23

momomax さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

躍動感~切なさにうるっ(ノ_<。)~ハッピーエンド(*^_^*)

面白かったです!!
導入部分の躍動感や配色にワクワクしました。
音楽もいい!
八犬伝要素があるものは心惹かれます。

狩るものと狩られるものが繋がった。
凄く印象的です!

人にして犬であり、人間の魂を食らう性の「伏」が切ないです。
浜路の魂を食らいたくなるのを必死に耐える志乃にうるっときました。

人物は可愛い系の絵ではありませんが、浜路がキュートです。
何故か志乃の面が異様にお気に入りです!!

ハッピーエンドに終わって良かった。(*^_^*)
深く考えずに楽しめました。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 22

65.6 18 着物アニメランキング18位
墓場鬼太郎(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (179)
797人が棚に入れました
時は昭和30年代―。終戦から10年が経ち高度経済成長が急加速で進む中、富む者は富んだが、社会の底辺では泥まみれになりながらも日々を生き抜いている人々が溢れていた。
そんな社会に幽霊族最後の生き残りとして墓の中から生まれてきた鬼太郎。
地獄とは?この世とは?生きる幸福を考察し尽くした水木しげるの哲学に立ち戻り、元祖・鬼太郎が人間を笑い飛ばし、生きる喜びを謳いあげていく。

声優・キャラクター
野沢雅子、田の中勇、大塚周夫、大川透、鈴木れい子、郷里大輔、真山亜子、堀秀行、大友龍三郎、ピエール瀧、中川翔子
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

誕生秘話

祝50周年おめでとうございます。

南方の戦地へ赴いた従軍時代に、
極限の疲労から幻視・幻覚を体験する。
復員後は紙芝居作家から貸本漫画家へ。
好きだった怪奇を描き始める。
高度経済成長で沸く日本から、
失われていく妖怪を救い続けた民俗学の偉人。
水木しげる、ユニークな言動でも、
人々に愛された漫画家でした。

古寺の隣家に住む水木は、
{netabare}怪しい夫婦の死体を発見する。
その遺体を埋葬し供養してあげるわけですが、
墓の中から「赤ん坊」が這い出てくる、
怪奇鬼太郎の誕生秘話が描かれている。{/netabare}
ここにはヒーローとしての鬼太郎はいません。
貧乏極まりなくどうにかして、
人の世を生きていこうと「あの世保険」なる、
詐欺まで始める始末なのだ。

「欲」に縛られない生き方をする。
肉体という着物を脱ぎ棄て自由になる。
水木哲学の原型がここにあるのでしょう。

必死になって草むらでつちのこを探し、
口裂け女との対決をと裏路地へ向う幼少期。
ある時、私が路地で見つけた、
白い光沢のある不思議な生き物が、
新種の発見かと沸いて友人と飼育するも、
…蝙蝠でした(笑)
出たな吸血鬼の手下め!!

あれもこれも水木しげるの遺産なのだろう。

ゲゲゲ。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 59

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

誰が政治しとるのか(10グラム増量)

自分に正直な鬼太郎が周囲の人間を不幸に巻き込みながらもたくましく生きていくお話。

有名なほうの綺麗な鬼太郎が子供向けとすればこちらは完全に大人向け。無論エロスがあるからという理由ではない。
あっても誰が得すると言うのか。

この作品は本当に×3是非見て頂きたい。まさに傑作、奇作、怪作、臭作なのだ。

まず作風だがとにかく全体的に暗く重い。
なによりこの鬼太郎というキャラ自体を受け付けない。嫌悪する人も相当いるんじゃないかと思う。
それほどこっちの鬼太郎の言動は割りと酷いものが多いように感じた。
笑いかたがまた感情を逆なでしてくれる。守りたいその笑顔ならぬ殴りたいその笑顔である。

ネタバレは避けたいんで詳しくは書かないが特に中盤辺りだったと思うがこの鬼太郎がとんでもない行動を取りやがる。
さすがの自分もあれにはドン引きしたのを覚えている。画面の前で一人で立腹していたのを思い出す。
純真な子供に見せたなら脳裏に焼きついて今後綺麗な鬼太郎ですら楽しめなくなるかもしれないから要注意。
だが、だからと言って悪だという感じではなく単純に自分に正直なだけなんだろう。

そして見所だが・・。
味のある絵柄。(賛否別れる)
微妙に各話が繋がってたりする非常に上手い構成。個性溢れる登場人物たち。全11話と手軽に見れる上にテンポも良好。
ざっと上げればこんなとこか。
この鬼太郎や絵柄に抵抗さえ無ければ止められない止まらないかっぱえびせん状態になるだろう。
なにより会話のやり取りが地味に面白い。センスを感じる。
元より万人に受けようなどとは微塵も思ってなさそうなその独特な作風がまた魅かれる。
退かぬ!媚びぬ!省みぬ!を体現して見せたようなその姿には一種の憧れまでは抱かない。

有名な鬼太郎がご存知鬼太郎ファミリー引き連れて人間に害なす妖怪を退治するヒーローものとすればこっちの鬼太郎は戦後日本を汚く腹黒くある意味では真っ直ぐに生き抜いて行く妙に人間臭い鬼太郎の物語。
当然鬼太郎ファミリーなどいるわけもなくいるのは鬼太郎の心の友ねずみ男くらいだ。後は目玉親父ね。
しかしこの鬼太郎が後にあの綺麗な鬼太郎になるとは・・人間いや幽霊族も変われば変わるもんだ。

万人受けは絶対しないだろうから名作と言っていいものかどうか迷うけど自分の中では名作。もっと知られるべき作品。
ちなみにこの鬼太郎。悲しいまでに弱いんで妖怪バトルものを期待したらダメよ。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 45

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

墓場鬼太郎が私にとっての鬼太郎

ゲゲゲの鬼太郎のアニメを見たとき
違う!と思って見れませんでした。
特に最近のは可愛くされてて
全く別ものという認識です。

私が小学校3年生まで奇跡的に貸本屋というのが残っていたのです。
古本屋兼用だったのですが、貸本屋の本は
貸本専門の本で、市販で売ってるような漫画を扱ってるのは
貸本屋でもちょっと違うのです。

主にガロ系の作家さんが多く
貸本漫画を描く専門の方がいらっしゃったのです。
規制というものもなく、グロやアングラ系カルト系が多かったように思います。

墓場鬼太郎にあったのは小学校1年生の時。
むさぼるように読みました。
今のような綺麗な鬼太郎ではなく
どっちかというと腹黒い。

アニメも中々色使いなどもおどろおどろしく作ってありますが
白黒の漫画の強烈なインパクトは水木さんの真骨頂かと。

墓場鬼太郎が出てくるまで、ゲゲゲが苦手でした。
私の中では鬼太郎といえば、墓場鬼太郎なのです。

私の同級生に聞いても、いつの時代の生まれだよwとつっこまれるんですが
近場の小さな公園に紙芝居もきてたのです。
駄菓子を買って紙芝居を見るというシステムですが
水飴を練って白くするのに夢中になり
紙芝居の内容は正直ウロです。
小学校低学年まで、そのおじさんは見かけたのですが
いつの間にやら来なくなられてしまい
今考えると、何と勿体ない事かと。

少女椿も、元々は紙芝居だったのです。
紙芝居の世界もあなどれないのですよ…

投稿 : 2024/11/30
♥ : 43

62.8 19 着物アニメランキング19位
京都寺町三条のホームズ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (203)
739人が棚に入れました
「京都寺町三条のホームズ」は京都の小さな骨董品店でアルバイトを始めた女子高生・真城葵が、その骨董品店のオーナーの孫で、周囲から“寺町三条のホームズ”と呼ばれている青年・家頭清貴と、骨董品にまつわる奇妙な依頼を解決していくライトミステリー。

声優・キャラクター
富田美憂、石川界人、木村良平、遊佐浩二、小林沙苗、小山力也、上田燿司、木下鈴奈、堀江由衣

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

超高校級の鑑定士(笑)

……それは違うよ!

原作はエブリスタ掲載→商業出版ということで、これは『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』と似たようなコースですね。ただし出版レーベルは『櫻子さん~』が角川文庫なのに対して、こちらは双葉文庫です。

原作は読んでないのでわかりませんが、アニメの方は事件が起こっても視聴者に本気で推理させるつもりはほとんどない「なんちゃってミステリー」といった感じの作品です。

とりあえず人は死にません。流血やグロいシーンが苦手な方にも安心です。

埼玉県の大宮から引っ越してきた女子高生の真城葵(ましろ あおい)が、第1話でのいきさつをきっかけに「蔵」という骨董屋で働く家頭清貴(やがしら きよたか: 通称「ホームズ」)知り合いアルバイトとして働くようになり、鑑定士見習いであり名推理を発揮することでも周囲に知られているホームズと一緒に様々な依頼や事件と関わるといった感じのお話です。

そこに葵ちゃんやホームズ絡みの軽めの恋愛っぽいエピソードがついてくる感じですかね。たぶん作品傾向的には女性向け。そのあたりを反映してか、キャラクターデザインもちょっと少女漫画っぽい感じになっていますね。

作中での依頼や事件などのいくつかには、ホームズのライバルポジションっぽい円生(えんしょう)という人物が関わってきて対決っぽいストーリーになることもあります。

具体的に計画は聞いていませんが、作風的には実写ドラマ化などもいけそうな感じのお話ですね。

「超高校級の鑑定士」ですが、葵ちゃんがアニメ終盤でいつのまにか楽焼(らくやき)に関してプロ並みに鑑定できるようになっていたのでふざけてレビュータイトルにしてみました(笑)。

でもただの女子高生がそこまで鑑定できるようになったら、凄いぞ…!

投稿 : 2024/11/30
♥ : 33
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

この作品の醍醐味は何ですか?

原作未読。最終話まで視聴。

この作品の最大の欠点は、最終話まで視聴した結果、心に何も残らないこと。
視聴者に何を伝えたかったのか?
何を見せたかったのか?
全く伝わってこない、不思議な作品。

物語は薄っぺらで、ツッコミどころが満載。

目利きを描きたかったのか?
謎解きを描きたかったのか?
それともラブストーリー?
色々な要素を盛り込み過ぎで、結果、ピントがぼけてしまうという悪循環。

終始、作画が乱れがちなのも残念な点。
背景の美しさに対して人物が浮いてしまっている。

【雰囲気だけの物語。薄っぺらな物語】

第1話は良かった。
「ああ、贋作骨董系謎解きの作品なんだ」と・・・。

第2話以降は、何が何やら・・・。
もはや、骨董品は単なる背景。物語には全く関係なし。

依頼者の不自然な言動と、ホームズの強引な推理だけが鼻につく、ツッコミどころ満載の作品。
{netabare}第2話の佐織と香織。
真犯人を知っていながら、親友に罪を着せようとしたり、生け花の作者を偽ったり・・・。
とんでもない、性悪姉妹じゃないですか。
それなのに、斎王代は辞退しないって・・・。
性悪姉妹、性悪母娘の物語としか受け止められないんですけど?

第3話の犯行動機。
納得できた人、いらっしゃいますか?
名作・名探偵コナンも、犯人の犯行動機が微妙な時がありますが、あちらは、トリックの謎解きが一つの醍醐味。
この作品は、何が醍醐味?
『耳』っていわれても、この作画レベルで『耳を見分けろ』と?

第4話に至っては何の解決にもなっていない。
元カレと親友が、友人たちを連れてやってきて・・・。
葵ちゃんがトラウマを解消する、重要な回だと思うんですけど・・・。
ホームズの解決方法では、根本的に、何の解決になっていない。

第5話は、依頼者の目的がよく分からない。
副住職は犯人に心当たりがあったご様子では?

第6話。
まず、香織の厚顔無恥ぶりに呆れる。
そして、意味不明の謎解きシーン。
「もう一度確かめさせてくれませんか?影山さんの宝を贋作と鑑定したあなた方の目利きが本物なのか!俺とポーカーで勝負して下さい。それであなたが負けた時には、影山さんに謝って貰いたい」
どういう理屈?
壺が贋作か否かの鑑定と、トランプのイカサマが同レベル扱い(笑)
それ以上に、トランプのイカサマと、配られたカードの中身がわかるのは別問題では?
ホームズは透視能力か何かの超特殊能力者なのか!?

第7話。
ホームズと円生さんの知恵比べを描きたかったんだろうけど・・・。
とにかく物語が薄っぺらい。
何やかんやと理屈をつけているが、全く知恵比べになっていない気がする。

第8話。
再び厚顔無恥の香織が登場。
この作品の作者は、よほどホームズを特別な存在にしたいらしい。
上田さんのカフェで女性の人だかり&黄色い歓声・・・。
一方、いつもホームズがいる骨董品店『蔵』の周囲で女性ファンがたむろしている描写無し。
黄色い歓声も、『蔵』では聞いたことが無い・・・。
一貫性が見られない。

橘さんはフラれるオチフラれるだと思ったらそうでもないらしい・・・。
第2話の性悪母娘と同じ展開。

第9話。
円生さん回。
どう見てもホームズの圧勝なのに、円生の嘘がきっかけで、円生の勝ちでホームズの負けみたいな雰囲気に?
なんだ?この話?
名探偵コナンの『コナンVS怪盗キッド』は、お互いに『WIN×WIN』となるように、上手く物語が練られている。
こちらのホームズと円生は、いつもホームズの一方的な勝利なのに、円生のハッタリのせいだけで、いつも勝敗がうやむやになっている気がする。
物語に上手さが感じられない、薄っぺらい印象。

第10話。
おばあさんの人形の話。
これは推理でも何でもない。
単に、ホームズの想像でしかない。
それが、たまたま当たっていただけという、陳腐な話。
エスパー・ホームズ再登場の回。

第11話。
今回も推理でも何でもない。
単なるホームズの当てずっぽう。
推理小説作家の話だったから、今回こそは”推理”を期待していたのに・・・。
う~ん・・・。
もしかして、最後まで”推理”ではなく”当てずっぽう”な展開になってしなうのかな?

第12話。
跡継ぎを目利きで決める???
金持ちの考えることはよく分からない。
それ以上に、こんな話を最終話に持ってくる意味が分からない。
恐らく、葵ちゃんの成長を手っ取り早く描きたかったんだろうけど・・・。

この作者は円生さんをホームズのライバルとして描きたいんだろうけど、結局、最後まで足元にも及ばない・・・。
こうなっちゃうと、円生さんを何度も登場させた意味も良く分からなくなってしまう。
{/netabare}

【背景の美しさが目を引く半面、人物の作画が微妙な作品】

{netabare}第2話の謎解きの場面。
木漏れ日が登場人物に当たっているのを表現したかったんだろうけど・・・。
残念だけど、平面図に光が当たっているようにしか見えない。
アニメだからといって、2次元に光を当ててどうする?
こういう手抜きをするなら、しない方が良いのに・・・。

第4話の浴衣。
人物は動いても、浴衣の柄は動かない・・・。
柄は大きくなったり小さくなったり・・・。

第7話。
斜め方向のカットが多過ぎで、目が回りそうになる。
しかも、背景との縮尺がいちいちおかしいので、余計に混乱する。

第10話。
動かない着物の柄、再来!
大きくなったり、小さくなったり変幻自在の着物の柄、再び!

第11話。
割と早い回からそうだったけど、遠めの人物が笑える。
子供の落書きレベル。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 28
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

いけずな京男による、ぶらり京都骨董旅 ~推理に恋愛がメインだよ~

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
女性向け×推理×京都×骨董 という作品。

ホモホモしさはなく、男でも普通に観られるけれど、作画が良くないのと、様々な要素が中途半端になってしまったのが残念だったかな。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作はまず、ホームズが好きになれるかでしょうね。物腰は柔らかいのですが、本質的には俺様系のS男。ギャップ萌えというやつかな?

骨董の知識と推理が噛み合う回は、本作の特徴が出ていると思いました。そこに、恋愛要素まで上手くからめられれば尚更良かったのでしょうが、恋愛は恋愛で独立して動いていた感じでしょうか。まあ、一応最終回で、恋愛面にケリがついたのは良かったかなと。にしてもホームズ君、自分がイケメンなことを分かっているというか、イケメンでなければ許されないことばかりしていて、嫌な奴でしたね(笑)

円生とのライバル対決が後半の縦軸になっていたけれど、この対決が出ると妙に安っぽくなってしまったイメージ。あんまり魅力のないライバルキャラでしたね。

あと、骨董品をあまり大切に扱っていなかったというか、貴重な掛け軸のすぐそばで、平気でコーヒー飲んでいるのには違和感がありました。

う~ん。観ても観なくてもかまわない作品、って感じかな(汗)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
鑑定がテーマはなかなか面白い。分かる(笑) 名門大学って、意外と院には入りやすいんだよね(笑) コーヒー出してるすぐそばで、凄い掛け軸をばんばん開く違和感。腹黒イケず京男子(笑)

2話目
推理が、論理的なようで、当てずっぽうな感じ。

3話目
絵のメッセージは少し、らしさがあったかな。ただ、絵なんて色んな解釈があるから、決めつけるのは早いとは思います。

4話目
クダラナイが、「下の句を詠まれたらキュンとくる」って、なんかエロいな(笑) ゴメンと言われるのはキツいな。。。つか、自己満だよな。いやいや、このクソ男、茶番が過ぎるな(苦笑)

5話目○
頭良すぎるのもダメだな。つか、サラリとクズ発言に(笑) ライバル登場?

6話目
バトルに移行?

7話目


8話目
いちゃいちゃしてますな~。

9話目
いや~、ホームズ、Sですな~。

10話目
この対決シリーズ、なんか安っぽくなるんだよな~。

11話目
警察にいけば?

12話目
葵は天才かな(苦笑) にしてもホームズの蹴りが(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/30
♥ : 24

62.8 20 着物アニメランキング20位
びんちょうタン(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (154)
712人が棚に入れました
山の中にある古い一軒家で暮らす少女・びんちょうタンのけなげに一生懸命過ごす物語を描いた、江草天人原作のコミックをTVアニメ化した作品。

声優・キャラクター
野中藍、野川さくら、門脇舞以、福圓美里、佐藤利奈、斎藤桃子、井上喜久子

ローズ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

優しい時間

炭を擬人化した びんちょうタン や友人達のほのぼのとした日常を描いた作品。

びんちょうタン以外にも ちくタン、れんタン、くぬぎタン等、色々な炭が擬人化されています。
何故、あろえ が仲間にいるのかが分からないのですが^^;

びんちょうタンが中心となって描かれていますが、その姿が とても健気で応援したくなります。
一生懸命仕事をする姿、鳥のバスによって町まで運んで行ってもらう姿、字を覚えて手紙を出す姿など、観ているだけで癒されます。
びんちょうタンでなければできない炭の特性を使った仕事がありますが、その姿も可愛いです。

密閉させた空間の中で練炭を使用するというアホな輩がいますが、炭のイメージが悪くなります。
れんタンは、少し怖いイメージがあるのですが、自分のお勤めを全うしています。
練炭のイメージが悪い人には、れんタンのお勤めに必要な木魚の代わりに頭を叩いてもらいましょう^^
本作品でイメージを変えて下さい。


OP曲
「いろは」
歌 CooRie

ED曲
「びんちょう音頭」
歌 ちくタン(門脇舞以)

OP曲は優しい曲調で、聴いているだけでも癒されます。
ED曲は夏の盆踊りに使ってもらいたいですね。


約14分で1話が終わるショートアニメの部類に入ります。
全12話で終わってしまうのが、もったいないです。
DVDは3枚なのはショートアニメらしいかな。
懐には優しいのですが、もっと観たい欲求があります。

某国営放送であるN○Kで放送されたとしても おかしくない位 毒気が全く無くて、小さいお子さんと一緒に観ても全然問題ありません。
むしろ、アニメを観る習慣をつけるのには もってこいの内容だと思います。

疲れてヘトヘトな時など、じんわりと癒されたい気分になりたい時に観る事をおススメします。
癒され過ぎて寝落ちに注意しなければいけませんが^^;

投稿 : 2024/11/30
♥ : 30

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

【究極】くぎゅう恐るべし・・・(爆)

■どんなアニメなの?
NHKの子供向け番組のようなほのぼのアニメなのですね♪
ナレーションのおねえタンが優しい声で語り始めるのですよ!
井上喜久子さんが声を担当してるのです♪
08小隊のアイナちゃんや、CLANNADの早苗さん、AIRの裏葉さん、マクロスFのグレイス
などの声を担当されている方ですね♪
 
そんな優しい声のナレーションで物語がはじまるのですが、そこに登場するキャラクターもまた可愛
いのですよ!
2頭身キャラで備長炭を萌え擬人化させたと言う主人公の「びんちょうタン」の何気ない日常を描い
ていくお話なのです♪
人里はなれた山奥の家で、小さい頃一緒に暮らしたうめばあちゃんの事を思い出しながら生活をする
姿には哀愁が漂う雰囲気をかもし出している場面もあるのです。
決して豊かとはいえないのですが、びんちょうタンは一人でも一生懸命働いて精一杯生きているので
すね!そんな健気で働き物でやさしいびんちょうタンの周りに自然と友達が出来てくる様子を温かく
見守っていくような物語となっています♪
 
 
■このアニメの楽しみ方♪
ストーリーは大したことは無いので、日常系が嫌いな人にはちょっときつい内容かなぁと思いますよ。
とにかく、やることなすこと可愛いですw
みればわかりますが、そっと手を差し伸べてあげたくなるような感情を抱きますよ♪
それとびんちょうタン以外のキャラクターもとっても優しい個性的なキャラが登場してきますので、
気に入ったキャラを堪能するのが正しい見方かもしれませんね!
私個人は「れんタン」が大好きです♪
初詣の書初めで「まみむめもくぎょ」って書くくらい木魚好きでちょっとクールビューティーな感じ
がとっても気に入りました(*^.^*)
可愛いキャラクターを眺めるも良し、のんびりした風景の何気ない日常をボーっと見るのも良しで、
癒されてみては如何でしょうか♪
気になったのが・・・プカシューの2部ってあるのでしょうかw
 
 
■究極の楽しみ方発見!?
びんちょうタンってPS2でゲーム化されている事を偶然知ったのですね!
そこでちょっとゲーム内容を調べていくうちに恐るべき動画を発見してしまったのです∑('◇'*)エェッ!?
そこで大暴れしているキャラクターの名前は・・・・「アベマキ」(クヌギたんの従姉妹)みたいですね
なんと声優さんが「釘宮さん」ですよ♪
そして・・・くぎゅうぅぅぅぅ~~といえば・・・ツンデレですよね・・・
なんと、びんちょうタンにツンデレ炸裂させているではないですか(゙ `-´)/ コラッ!!ー
しかも・・・かみ合ってないしwww
本当に衝撃でした!!!久しぶりに大爆笑いたしました♪
このゲーム・・・欲しいです♪
【注意】
釘宮さん演じる「アベマキ」と言うキャラクターはアニメ本編には一切登場してません!!
ゲームの中だけのキャラなのでプレミアムくぎゅううううううなのですよ♪
 
※その衝撃の映像を見てみたい方はこちらです
http://www.nicozon.net/watch/sm425851
 
2011.07.23・第一の手記
2011.07.24・■究極の楽しみ方発見!?に【注意】を追記

投稿 : 2024/11/30
♥ : 26

. さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

隠れた名作発見!これは良いアニメでございます。

~謝辞~
”びんちょうタン”はアニコレ仲間のレビューを拝見して知ったアニメです。とても絵柄が気に入ったので、私の観たいアニメリストの作品を全て押しのけて、夜中なのに朝まで掛かって一気に視聴しました。でも、それは正解でした。まさかこんな素敵な作品に出会えるなんて・・・。作品を教えてくれてありがとう。そして作品を作ってくれた制作者のみなさんありがとう。忘れられない作品になりました。いつまでも余韻に浸っていたい。久しぶりに素敵な作品と出会えたこと、とても感謝をしています。だから、”ありがとう”の気持ちを込めて、本作品に☆5を送ります。

お話は1話が12分程度×12話の短い作品。山の中の美しい風景を中心に、可愛い可愛いびんちょうたんの暮らしぶりを描いています。何か大きな事件が起きる訳でも無く、ドラマチックな展開がある訳でもありません。びんちょうタンを中心としたほのぼのとした日常を淡々と綴ります。でもそれがすごく良い・・・。とっても癒されますし、心が温かくなるのです。

”びんちょうタン”は備長炭を擬人化した”びんちょうタン”が主人公。作品には、クヌギを擬人化した”くぬぎタン”、竹を擬人化した”ちくタン”、”ちくリン”、練炭を擬人化した”れんタン”等、個性的なキャラクタ達が沢山登場します。パッケージ絵を見ても解るとおり、とっても可愛いキャラクタ達。お目々が大きくて小さな体。まるでお人形さんみたいなキャラクタ達が、とても生き生きと動き回ります。

びんちょうタンは山の中の小さなお家で一人暮らし。昔はおばあちゃんと2人で住んでいたみたい。だけどおばあちゃんはどうして居なくなってしまったのかな?詳しい事情は作品では説明されません。お年は解らないけれど、どう見ても未だ小さい子供だよね。とっても優しくて、とってもがんばりやさん。そんな良い子が”びんちょうタン”。

びんちょうタンは一人暮らしでも泣き言一つ言いません。時々”ウバメガ”さんと言う人が郵便で送ってくれる”備長炭”を大事に使い、ご飯は山で山菜等をとっておかずにします。お米や僅かばかりのお金は街へ働きに出てお駄賃として貰います。ボロボロのお茶碗に毎日同じ服、穴の空いてしまった毛布が彼女の全て。贅沢なんてありません。そんな生活でも彼女は負けません。毎日を一生懸命生きて、そして生きる事を精一杯楽しんでいます。(謎の人である”ウバメガ”さんの正体は12話で明かされますのでお楽しみに!)

小さい女の子が山の中で一人暮らしをするなんて、とてもとても想像出来ません。きっと辛くて悲しい事や、寂しくて泣きたい事も有るのでしょうね。決して弱音を吐いたり泣いたりしない彼女。そんな彼女の姿を見ていると、何故だかこちらの方が泣けて来ます。泣かせる演出等は一切無いのだけれど、本当に自然に涙が溢れてきます。彼女が一生懸命働いている姿、傷だらけの小さな手、欲しい物をけなげに我慢する様子・・・。そう言う様子を観ているだけで、いつしか涙があふれ出し、そして止まらなくなってしまうのです。 まいったな・・・。私ってこんなに涙もろかったっけ?
 
でもでも基本は癒されるお話です。一生懸命で優しいびんちょうタンには自然に友達が出来ます。彼女の周りに集まる友達とのお話は楽しい事ばかり。それに登場する人達はみんな良い人。みんながみんな優しいから、周りで起こる出来事も、みんなみんな優しいエピソード。きっと心が癒されて、気持ちが少し温まります。 それにね、クスリと笑えるお話なんかもあったりして、私は心底作品を楽しむ事が出来ました。本当に素敵な作品です。

作中でびんちょうタンはお友達から文字を教わります。そして覚えた文字でお手紙を書きます。まだ覚えたてなので難しい言葉は書けません。ぜ~んぶひらがなで簡単な言葉だけ。でもでもすごく気持ちが伝わる素敵なお手紙でした。
よっし!私もびんちょうタンにお手紙書くね! 読んでくれると嬉しいな^^

びんちょうタンへ
かわいいえがおのびんちょうタン いつもわらっていてほしい ともだちいっぱいできるといいね
わたしもいっしょにいさせてね あなたといっしょにわらっていたい
こころやさしいびんちょうタン つらくてかなしいとき さびしくてなきたいとき どうかどうか 
がまんしないでくださいね わたしでよければとなりにいるね なんにもできないかもだけど
あなたのえがをがもどるまで わたしはとなりにいてあげる            
                                         あなたのふぁん ベルより

投稿 : 2024/11/30
♥ : 26

62.0 21 着物アニメランキング21位
tactics タクティクス(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (100)
691人が棚に入れました
表向きは売れない民俗学者、裏の世界では妖怪退治を営んでいる主人公と伝説の天狗が手を組み、様々な事件を解決していく様を描く。
時代はハイカラと呼ばれる明治後期の日本。幼い頃から妖怪が見える主人公・一ノ宮勘太郎は、表向きは売れない民俗学者、裏の世界では妖怪退治をしており、働き者の妖狐のヨーコにお世話になりながら一緒に暮らしている。
勘太郎は幼い頃からずっと伝説の鬼喰い天狗と友達になりたい、と憧れるも遂に場所を探し当て封印を解く事に成功。鬼喰い天狗の名は「鬼より遥かに強い」という由来から『春華』と名付けられた。
この3人を中心に、妖怪と人間の交流、春華の記憶や鬼喰い天狗本来の能力までもを失ってしまった謎、そしてなぜ勘太郎だけが封印を解けたのか?などを大きな軸に描かれている。

sobako777 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ドラマチックになるまで時間はかかるが、スーッと25話

各エピソードが関連性を帯びながらドラマチックに展開し出すのにちょっと時間がかかり、それまではアッサリとし過ぎている感はあるのだが・・・その分、ダークな雰囲気もなくスーッと25話まで見てしまえる。ま、スーッと忘れてしまったが・・・。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 3
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

最強天狗×妖怪退治屋

和風ファンタジーが好きなのと和風にも関わらず英語でタイトルがつけられているところに惹かれて観ることに…。
和風ファンタジーといっても,妖怪が関わる事件を一つ一つ解決していくというミステリーな雰囲気の作品だと思います。

まず最初に感じたことはやっぱり18,19年も前の作品ということで古さを感じました。
作風もですが,主に作画ですね。
キャラクターデザインが今のものとは少し違うし,作画も安定しません。
なのでどうしても作画の評価は高くできなかったのですが,キャラクターデザインそのものは好きではありました。
なんかこのキャラデザといい作画の不安定さといい既視感があるなと思ったら「るろうに剣心」ですね。
キャラデザが似てる。
「るろうに剣心」の中に「tactics」のキャラが紛れ込んでも(もしくは逆も然り),全く違和感ないと思います(^▽^;)
というか,ヨーコちゃんと燕ちゃんめっちゃ似てると思う。。
(因みに「るろうに剣心」というのは今年放送予定のやつではなく旧い方です。)
和風というところも同じだなと思ったら,こちらも明治時代の話なんですね!!
何の前情報も入れずに観てたので,「これいつの時代の物語なんだろう?」なんて思いながら観ていました。
因みにこの作品のタイトル「tactics」は「るろうに剣心」のエンディングテーマに「tactics」という曲があって同じタイトルなので,そこも連想させる一因でした。
“tactics”というのは戦法とか戦術っていう意味の英語だけど,どういう意図でつけられたタイトルなんだろう??

主人公の勘太郎は白い着物に赤い袴を着ていて巫女さんのようだと思いました。
男性が緋袴を履くってあるのかな(・・?
女袴ではないと思うが…。
彼の見た目は白髪に赤い瞳で,調べてみると単なるキャラデザ(アニメキャラによくあるピンクや水色の髪だったりするやつ)ではなく,ほんとにそういうキャラクターらしいですね。
白子…今でいうところのアルビノっていう設定なのかな??
彼は民俗学者―というのが表向きの職業らしいんだけど,学者といっても大学を出入りしているわけではなさそうで,実情はライターという方が適当かと思いました。
彼がレイコさんにせっつかれて書いているのも民族学研究の本らしいけど,普通の出版物できちんとした論文ではなさそうなんだよな~。
レイコさんは出版社の人で大学の人ではなさそうだから…。
―で,それは表向きであって裏では妖怪退治屋を営むという二足の草鞋。
妖怪を退治するときは九字を切っているのと狩衣を着ているシーンがあるので彼は陰陽師なのかな??

このアニメは長くて,25話もあるのですが,大抵1,2話で完結するので続きが気になるということがあまりなく,観終えるまでにけっこう時間がかかってしまいました。
1つの事件はすぐに解決するものの,上記の,主人公である勘太郎のことがはっきり語られないし,頼光が関わる事件も実態は何だったのかイマイチ掴めないまま終わってしまいました。
なんか頼光はアニメだと復活して強さを取り戻した春華と戦って勝ちたいという少年漫画的メンタルの持ち主みたいになっちゃってたし…(^▽^;)
原作だとちゃんと描かれているのかな??
彼の相棒である春華とのこともよく分からなかった。。
でも,物語を通して勘太郎と春華の友情を描きたいのかなというのは分かりました。
エピソードは色んな話があるのでレビューは控えますが,エロいシーンなんて全然ないのに,そこはかとなく色っぽい雰囲気が漂っています。
なんか色っぽい雰囲気だけはあるっていうのは「吸血姫 美夕」っぽいなと感じました。
1つ1つ妖怪の事件を解決していくところも似ている。
鬼喰い天狗の春華が美男子という設定なので,そういう役回りなのかなと思うんですが,わたしは主人公の勘太郎の方に惹かれました。
彼の白と赤のキャラデザに色気があると思ったし,年齢不詳だし,飄々としていて何を考えているのか分からないです。
それだけに気になって最後まで彼の言動に注目して観ていたんだけど,最後までキャラがはっきり掴めませんでした。
けど明治時代に大学を卒業しているところから,良いとこのお坊ちゃんなのかなと推察しました。
あと最後,小さい頃春華のことを教えてくれたちびっこ妖怪たちと大人になった今でも仲良くしているんだということを知りほっこりしたと同時に彼のことが好きになりました。
すずちゃんはアニメにしか登場しないキャラクターらしいですね。
OPの映像に写真立てに入ったすずちゃんの写真が描かれているので,彼女は実は妖怪だったとか幽霊だったとかそういうオチなのかなとは推察してたんですが,{netabare}物語の中で亡くなっていたとは…。{/netabare}
正直ショックでした。

原作は読んだことないんだけど,調べたところ本編の方は既刊15巻らしく,「全15巻」と表記されていないことから未完なのかなと思ったら,その続きは新説というものがあってそちらの方で描かれているらしく,そちらは完結しているそう。
アニメがよく分からないまま終わったし原作も完結したということで続きを作ってほしいのが本音だけど,このアニメ自体が20年近く前の作品な上にヨーコちゃんの声がもう聞けないというのが悲しいので仕方ないですね。

その流れで声優さんについてですが,勘ちゃんの声は聞いてすぐ「Free!」の愛ちゃんの声だと分かりました。
アニメから入ったこともあり違和感は全然なく合っていたと思います。
けど,この声のせいで勘ちゃんの不思議ちゃんな感じが助長されてる気はする(笑)。
他のキャラ,春華やヨーコちゃんの声も合っていました。
ただ,勘ちゃんの幼い頃は正直女性の声優さんに演じてほしかったかな。
やっぱちょっと違和感ありました。

主題歌はOPが特に好きでした。
メロディは「そう 三千世界の深い杜のその奥で」というところがとても好きです。
映像では,「誰かが叫ぶよ」のところの勘ちゃんがアーティスティックですごく素敵です。

なんだか終始勘ちゃんびいきのレビューになってしまいました。
結末がはっきりすっきり終わった感じじゃなかったので物語の評価微妙ですが,1つ1つのエピソードはけっこう面白かったです。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 2

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

雰囲気は好きなんです

原作未読。
実は何度も挫折しながら何とか観ました。
大正位の日本が舞台で当時の日本の活気を感じれる建物や背景は好きなんですが…。
民俗学者の主人公が依頼されればオカルト現象の調査と解決をしていく作品です。ただ仲間に妖怪がいて人間にばれる事なく普通に日常生活を送っています。
基本1話完結形式なんですが何かワクワク感やドキドキ感が足りないし意味深な終わり方しておいて投げっ放しが気になります。一応最後までみればえっ?という事があります。

私のツボ:むーちゃんの悪顔

投稿 : 2024/11/30
♥ : 2

72.3 22 着物アニメランキング22位
無限の住人 IMMORTAL(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (139)
606人が棚に入れました
武士というものがまだ存在していた江戸の世——。百人斬りと呼ばれた【不死身】の男がいた。その男の名は「万次」。万次は、父母を殺され復讐を誓う少女「凜」と出会う。凜は万次に、復讐の旅の用心棒になってくれないかと言う。初めは断る万次だが、凜に亡くした妹の面影を見た。一人では危うい凜の姿に、仕方なく手を貸すことに決める。しかし凜の仇は、剣の道を極めんとする集団——逸刀流。それは、不死身の万次すら追いつめる凄絶な死闘の始まりを意味していた。

声優・キャラクター
津田健次郎、佐倉綾音、佐々木望、鈴木達央、花輪英司、咲野俊介、桑島法子、ふくまつ進紗、秋元羊介、小原雅人、中田譲治、林真里花、白熊寛嗣、奈良徹、小林親弘、関智一、真山亜子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

MUGE・ん…異能っぽい

原作未読 Netflixもの

なんですけどなんとなく

 なんかタイトル知ってる~

三池崇史監督でキムタクの実写版が遠くない過去にやってましたね。それでみたいです。マンガそのものは1993年から20年ほど連載し完結。これはきっとブックオフで見かけてますね。実物に触れるのはこのアニメが初です。


 限り無き世界の住まい人


のお話。八百比丘尼より不死を授かったおっさんを主役に据えた時代劇全24話。ちなみに終始物騒なアニメ作品ですよ。痛快さとはほど遠く『カムイ伝(白戸三平)』『どろろ(手塚治虫)』の世界観に寄せたような感じがします。自分は無条件で好きなタイプな作品なので抵抗はなくそのまま完走。おそらく第1話からして雰囲気はばんばん伝わってくることでしょう。

まあけっこう身も蓋もないのがいいんですよね。生命は限りなく重くそして軽い。

 {netabare}『この奥方は好きにしていい。ただし娘の方には構うな』

平気でこんなこと言っちゃってる世界だったりします。{/netabare}

エロ・グロ注意表現がテロップで流れますので推して知るべし。主役のおっさんを津田健次郎さんが演じられてるわけですが、朝ドラでツダケンを知って「あら、アニメもやられてるのね?」とうっかり迷い込んだ奥さまが卒倒するグロレベルではあると思います。
声優さんに触れておくともちろん名の知れた方もいるわけですが、そんなこと以上に、セリフの多い主要どころに無名な声優さんがけっこう配置されてるのが特筆すべき点でしょうか。“代表作無し:主役級無し”な声優さんがわんさかいます。それがいいです。人知れず生まれ人知れず死んでいく儚さをキャストから感じたのは私だけでしょうか。

そして理不尽な理由で生命を落とすなんてことはザラな物語です。それを具現する尸良(CV奈良徹)みたいなキャラもおりますが、その点でなによりウケたのはOP曲by清春ですかね。傍若無人なエピソードに事欠かないアーティストさん。その頃SNSがあったら日々炎上しまくってただろう方のお声を冒頭に聴けるのは幸せでした。あれ!?よくわかんないですか!?僕だけに響いてる感じでしょうか。 くすんだ色調のアニメの中で鮮やかにここだけ色づいてましたね。
なおEDはものすごく好きです。毎度変わるというのも良いのですが、作品世界を見事に表現してるといっていいでしょう。贔屓の引き倒しみたいになってきた(・_・;)


少しだけ具体的なところも。
ヒロインは浅野凜(CV佐倉綾音)。町道場の師範の娘だった彼女は目の前で父を惨殺され、母を凌辱された末に行方不明という憂き目にあう。犯人は勢力拡大中の一門“逸刀流(いっとうりゅう)”で面も割れてるところでヒロインが仇討ちを誓いスタート。道中「用心棒が必要じゃろうて」との婆(八百比丘尼)の助言から、万次(CV津田健次郎)と接触し助けを乞うみたいな導入です。そこに万次の不老不死という設定が絡んでくるわけです。
だいたいこういうのも暗黙の境界線みたいなのがあって、

【仇討ちもの】
 並:仕留めたぞ!ヒャッハー
 上:憎しみを超えたなにか
 下:{netabare}憎しみを超えたなにかに挑戦した似非ヒューマニズム{/netabare}

【不老不死もの】
 並:ゲットしてハッピー
 上:そう良いことばかりではない。むしろ…
 下: …

シンプルに夢見てウヒャウヒャする“並”は場合によっては清々しさが際立つ良作だったりします。そんな物事は単純じゃないのよってのを巧みに見せてくれると“上”。さらに「そうきたか!」と驚きのようなものがあると“特上”になるんだと思います。“下”は書くつもりありませんでしたが、“上”に挑戦したもののツメが甘くてうすら寒い作品の山が横たわってる現状を憂い一応書いときました。本作でもヒロインが正義感溢れる一本気気質だったので一歩間違ったらドン引きする展開が待ってたと思いますよ。でもまあそうはなりませんでした。ちなみに不老不死ものはあまりハズレを引いたことがない気がするので“下”相当は該当なしとしてます。

 ・死ねないことの苦しみ哀しみ
 ・寿命差で生じる死に別れの悲哀

あたりがお約束でしょうか。本作は“上”を狙って“上”を獲得した作品だったといえます。雰囲気や見た目もしっかりと世界観に合わせながら、変化していく仇討ちの意義を見つけようと凛が迷い悩み答えを出していく過程は納得感を得られます。不死である万次の諦観みたいなものには“もののあはれ”すら感じた私です。
難点は少しばかり雰囲気勝負だったところ。けっこうな登場人物数を回しきれたかも微妙なところ。おそらく詰め込んだ部分もあるのだろうと思われます。それでも破綻したとはならないのは、物語のエッセンスをきちんと抽出し省略せずに我々に提示してたからだと思います。しっかりと堪能しました。



※ネタバレ所感

■万次さんのここが良い

強くないところです。万次さんいつも殺されてるのに自信満々なんですよね。それが強がりだとわかってくると深みとコクが増してきます。

{netabare}どこだったかで「こんな(身体)になる前に100人斬ってんだぞ」と言ってたような。不死身の肉体なんて妖(あやかし)ないし化け物扱いです。だから無敵なんだよという目を向けられたのに反して出た万次の一言。人間の頃から強かったんだぞ!と叫んだわけです。
正しくは不死身ではなく死ぬこともある万次さんの肉体に本人はとうに嫌気がさしている。でもどうしようもない。自嘲気味ながら自分の体を呪う手前みたいなスタンスで己に向き合ってたかと思います。そんな諦観めいたある種の達観した境地までいったおっさんのように見えて実はそうでなくて「人間の頃の良かった自分」への憧憬めいた感覚が残っているところが面白い。{/netabare}

{netabare}剣術も最強ではない。おそらく“町(村)レベルで強い!”くらいなもんだったんでしょう。
手練れがわんさか登場する時代劇です。熟練の剣客同士の手に汗握る熱戦を主人公を主語にして展開されればわかりやすかったのかもしれません。
同時に流れるような達人の剣技を作画で魅せてくれれば拍手喝采だったでしょう。

だがそうではありません。最初私はそこが不満でした。気持ちよくない。
しかしながら、そこらへんにいる腕自慢のおっさんがひょんなことから不死を得てしまった悲哀を表わすにはベストな選択だったような気がします。最強剣士が不死になる設定なら不老不死の意義や意味なり目的がわりとはっきり見えやすいとなるはずのところをそうではなくしてるわけです。
死んだと油断させといて不意打ちするみたいなとこあるので、バトルとして見たら消化不良もいいとこですがこれはこれで良し。流麗な剣技は他の人に任せてるところあるのでそっちで満たしましょう。{/netabare}


■日本の風景

欧州を舞台にした作品だと100年前200年前と遡っても街の景色がそう変わらないことは多々あります。橋だったり教会だったり平気で築400年とかあって、この前観たルネサンス期を描いた作品では舞台のフィレンツェの観光名所ともなってる有名な橋がそのまま描かれてたりもしました。

 石造と木造の違い

日本とヨーロッパの違いです。日本は戦争で主要都市が焼け野原になったこともあり、文明開化や大正浪漫はたまた戦時を描いた作品での街の風景は今と異なり当時の建造物はほぼ残ってません。またそのことを特に違和感なく当たり前のことと受け止めてきました。

 切り取った時間軸で風景は変わる

{netabare}それが何話だったかの“白川郷”。江戸を抜けて金沢へ向かう道中ということで道程も合致する。作品で描かれた白川郷がそれこそ観光で訪れた景色そのまんまでいたく感動しました。なにせ時代劇において今現在見てる景色そのまんまという経験がなかったもので。歴史の縦の糸が繋がったかのような稀有な体験でした。{/netabare}


■いっとうりゅう

最終話でサラッと…

{netabare}時が流れてましたね。

「土佐で魚釣ってたらアメリカ船に連れてかれ」
「萩で牢に入れられ」
「京都で久々にいっとうりゅうの名を聞く」

ってそのまんま竜馬さんじゃないですか(笑) 投獄されたかは知らんけど萩行ってますしね。吉田松陰に会ったり新撰組連中と親交があったことを伺わせる最終回です。なんか歴史の影に万次あり!みたいな。これ個人的には微妙でした。歴史の本流にはかすりもしないところで徒花のように生きた人達の物語だと思ってたところがあったのでなんとなく腑に落ちなかったです。
※注)ジョン万次郎説もあるとのご指摘あり{/netabare}



万次と凛の仲の描き方もあれで良かった。
ごちゃごちゃ言わんでも目と目で通じ合うくらいの信頼関係はできてたんだと思います。実写版でキムタクを起用したのはそういうメタファーなんですよ(嘘)。



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

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2020.09.16 初稿
2020.10.30 修正
2021.06.11 修正

投稿 : 2024/11/30
♥ : 40
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

忘れ雪ほどろに

ライデンフィルム制作。

己の大義を掲げ全国に覇を轟かす、
影久率いる剣客集団逸刀流の精鋭たち。
彼らに両親を殺害された少女凜は、
不死の肉体を持つ万次に用心棒を依頼する。
復讐を誓う少女と男の旅路を描く時代活劇。

歴史の表には記されない壮絶な記録だ。
剣客たちの息吹までこちらに伝わる。
私の知る沙村広明はここにあって、
彼のサディスティックな画集は、
常軌の際で書かれたものに違いないだろう。

それぞれが悲しい宿命を背負い、
人の業と血脈に縛られ死闘に明け暮れる。
無念への慟哭が刃を研ぎ澄ませる。
華やかな江戸の文化の影で、
こういった怨恨の世界があったに違いない。

素晴らしいのは長期連載に関わらず、
剣客の力量が僅差であることだ。
ゆえに剣技を極めたもの同士の死闘に、
勝敗の行方が分からず緊迫感が生まれる。

{netabare}罪を償うと決めた万次の決心、
すべてを見届ける凜の胸中、
滅びゆく逸刀流と剣の高みを目指した影久、
そして槇絵と百琳、凶戴人、
そうだ、純粋なものから滅びていくのだ。
泣けてくるよ。{/netabare}

時代に取り残されたものたちの宴は、
ほんのわずかでも何かを変えたのだろうか。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 40
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

滅びゆくものたち

アニメーション制作:ライデンフィルム、
監督:浜崎博嗣、シリーズ構成:深見真
キャラクターデザイン:小木曽伸吾
音楽:石橋英子、原作:沙村広明

単行本が発売されて間もない頃から
20年ほど追いかけてきた。
初めて読んだときは、常識を覆す
大胆なストーリー、仇討ちと剣術に対する
哲学的思考、そして筆を用いたことによる
血なまぐささを感じさせるような
独特なタッチの絵柄に夢中になった。

『波よ聞いてくれ』を観た人なら分かると思うが、
沙村広明の作品は、キャラクターの魅力が秀でている。
主人公の万次はもちろん、天津影久や黒衣鯖人、
凶戴斗、乙橘槇絵、川上新夜、百琳など、
序盤に登場する面子と出会うだけでも気持ちが高ぶる。
カッコ良いし、奥深さを湛えているのだ。
それに加え、尸良や山田浅右衛門吉寛のような
狂気の人物が、読者を心の底から嫌な気持ちにさせる。
それも、また作者の特徴のひとつだ。

作品でいちばん惹かれたのは仇討ちに対して
主人公の浅野凜が何度もその正しさと
どうしようもない恨みの感情によって苦悩するところだった。
映画ファンだった私にとって、
仇討ちは西部劇やカンフーものの影響で常識的な思考。
ところが凜は、その正しさについてずっと自問自答する。
仇討ちを目指すのが万次ではなく、
女性である凛であるからこそ行き着いた
とてもよく分かるストーリー展開だった。
それが明確に表れているのが6幕の川上新夜の話。
敵討ちの連鎖を断ち切るために凜が苦悩するさまは
とても心に残り、普通にはない時代劇を感じさせてくれた。
この頃の物語の繊細さは、藤沢周平が思い浮かぶ。

凜が仇討ちをしようとする相手は逸刀流のメンバー。
彼らにも大義といえる理屈がある。
個人の想いと武術に対する志。
敵も人間であって、自らの信じる道を歩んでいるのだ。

型にこだわらず、本質にのみにこだわる。
それが逸刀流の美学。
武術の重要性が薄れつつある江戸時代において
真の力を追い求める者たちの究極の考え方。
それは人の命よりも重い。
「強さ」以外の理由で後継ぎになれなかった
父を見てきた影久の無念と恨みが滲み出てくる。

信じた道を突き進む天津影久は逸刀流を結成し、
江戸における道場破りを繰り返し、力を誇示していく。
しかし、それによって恨みが連鎖する。
所詮は烏合の衆である者たちゆえに起こる
下衆の行動と蹂躙によって、
被害を受けた者たちは怒りに燃える。
そのひとりが凜なのだが、
自分の追っている逸刀流の危機を目にするたび、
そして党主の天津影久という男を知っていくたび、
凜の心は揺れ動き、自分のやるべきことに
ためらいを感じるのだった。
また凜と話をすることで天津の心にも変化が生じる。

凜に手を貸すのが不死の運命を背負った万次。
旗本の不正を許せなかったことが原因で
100人斬りとして知られるようになった男は、
1000人の悪党を葬ることで罪滅ぼしを目指す。
その思考はとてもシンプルなものだった。

アニメのストーリー展開としては、
{netabare}1~12幕…凜の仇討ち、天津影久との2度目の出会いまで
13~19幕…万次捕縛&不死虐殺実験&救出まで
20~終幕…逸刀流vs. 吐鉤群の六鬼団と
分けることができる。{/netabare}

単行本のことを思い返して、改めてアニメを観た感想としては、
個人的には1~12幕が断然好きだ。
剣士としての矜持や生き様を感じさせてくれる。
しかし、それ以降はただの殺し合いになっていく。
好みの問題なので、そこが好きな人も多いと思うが、
私としては引き延ばしの感があった。

特にいちばんうんざりしたのが、
途中から作者が尸良に思い入れすぎて、
誰のための物語か、焦点がぶれてしまっていること。
また尸良の凄惨な過去がほとんど語られないため、
ただの殺人鬼が好き放題に暴れまわる
展開になっているのが少し残念。
これをやるのなら、尸良の過去をもっと
深く掘り下げ、しっかりと描かなければならない。
また、それは吐鉤群についても同様で、
幕臣である彼が剣士を排して、
平和を求めていたようには感じられない。
何を考えていたのかは、ほとんど見えてこない。

作画については崩れることもあり、
特に瞳阿の絵は安定していなかった印象。
この作品のなかではあまり重視されていなかった。
また最も重要と思われる斬り合いのシーンに
迫力がなかったのもマイナスポイント。
漫画のほうは、かなりこだわっていた部分なので、
そこも物足りなく思えた。
ただ、物語の構成は30巻分もある原作を
2クールでとても上手くまとめていた。
全体のバランス感覚が素晴らしかった。

ほとんどの侍が死滅した世界。
{netabare}万次だけは、江戸時代が終わっても生き永らえている。
滅びゆくものたちを間近で見ていた万次。{/netabare}
その目に映る世界は美しかっただろうか。
(2020年10月24日初投稿)

投稿 : 2024/11/30
♥ : 36

60.1 23 着物アニメランキング23位
奇異太郎少年の妖怪絵日記(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (97)
427人が棚に入れました
霊感の強い少年「奇異太郎」のまわりは、いつも妖怪だらけ。
障子に目ありの「目目連」、家を揺らす「家鳴」、風呂桶を嘗める「垢嘗」、そして憎めない同棲相手(?)、座敷童子の「すず」。
奇異太郎少年と怖くない妖怪たちのホラーギャグコメディ!
シュールでくすっと笑ってしまいます!

声優・キャラクター
五十嵐裕美、喜多村英梨、長縄まりあ、大原さやか、仲田ありさ

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

さてさて、鬼太郎の新作が益々盛り上がってきましたが、ここで“奇異太郎”少年のアニメを見てみましょう。

作者がホームページで描いていた『奇異太郎少年の妖怪絵日記』が「マンガごっちゃ」に連載され単行本化します。
セピア色の一枚絵に大きく文字を書き、髪飾りの赤などで差し色を加える特殊な形式での原作漫画が素敵でして、
私が思い出したのは「※児童書」の人気シリーズですね。※絵本と小説の中間になった物など、子供が読み易い本。
携帯電話用の漫画だった為にこの形式で描いていたらしく、おかげで独特な雰囲気がジャンルに合っています。

奇異太郎少年は霊感がつよく、細かい事を気にしない性格や幼い見た目に反して、どこか達観したような少年。
ある時、本宅から400メートルほど先にある“離れ”に住まわされる事になり、おんぼろな和風建築の一軒家を見て
「離れと言えど離れすぎではないか。しかもボロい。児童虐待だろこれ。」と思いながらも一人暮らしできて楽か、
と切り替え、喜びのダンスを踊りだし(?)、開放感で全裸になってしまおうと脱ぎ出す、プラス思考の持ち主。
ズボンに手をかけたところで、離れの縁側からこちらを見る和装をした少女の視線に気づきギリギリで手を止める。

「誰ぞ?」 と、少女が一言。

自分を家の主(あるじ)だと言う少女は「すず」と名乗る座敷童子。彼女や妖怪たちとの共同生活が始まります。

本作は可愛い女の子やエッチなお姉さんとのラブコメも見どころではあるのですが、何よりも本格的な妖怪たちが
数多く出ることや、一話完結で人間と妖怪の垣根を超えた人情、そして、ときどき教訓を教えてくれる作品です。
漫画では番外編として大人になった奇異太郎の日常話があるのですが、奇異太郎よりも長く生きた妖怪たちは、
自分たちよりも寿命の短い奇異太郎を好きになればなるほど、彼との別れを想像して、少し寂しそうな顔をする。

夏は打ち水をし縁側で涼んで、秋は落ち葉を集めて実りを堪能し、冬は炬燵で丸くなって、雪の積もる庭をかけ、
春は満開の桜を眺めながら暖かい風を感じるような、季節と共に感じる妖怪との暮らしは種族の差を埋めてくれます。

原作は今でも更新されているので興味のある方は是非覗いてみてください。

【モルモル亭 奇異太郎Ver.】
http://www.ne.jp/asahi/molmol/sky/index.htm

アニメ化は原作のスタートでは無く徐々に増えるキャラクターたちが揃った所からはじまり、原作の雰囲気は
あまり感じられなく残念ですが、羽佐間道夫の落ち着いたナレーションや、途中で驚くような作画回もあったりと、
原作とは違うアニメならではの魅力もあったので一見の価値アリでしょうか。アニメとしてはよく出来ていた。

ただ、原作が好きな人は口をそろえて言うでしょうが、上記したちょっとエッチなコメディをやりながら、
妖怪たちとの楽しく少しせつない季節を感じるスローライフや、近年珍しい詳細な妖怪辞典としての情報など、
私達が感じていた良さを殺された感覚でした。

アニメファンの私としては唸るところもあったが原作の色を引き出せていない複雑なアニメ化であったと思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 21
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

バトルものではなく、妖怪のいる日常を描くほんわか笑えるギャグアニメ

原作は影山理一さんの同名漫画。ゲゲゲの鬼太郎に出てきそうな妖怪たちと霊感の強い少年奇異太郎の織り成す日常ギャグアニメ。本編は3~4分くらい。

影山理一という名前を聞いて、「夢使い」とか書いている植芝理一先生がペンネーム変えたのかなと思ったら全然別の方でした。

原作は著者サイト「モルモル亭」やWEBマガジンサイト「コミックライド」とかで連載中。無料で全話読む事が出来ます。何とも至れり尽くせりな時代になったものです。

主人公の奇異太郎君は半妖とかじゃなくて、一応人間という設定。故あって本宅を追い出されたいい所のお坊ちゃん。霊感が強いと言うに留まらず、あっさりと妖怪退治しちゃったりもします。若干のふてぶてしい態度とか、女性(の妖怪)に対する淡白な態度とかが面白い少年です。

もう一人の主役、座敷童子のすずは"のじゃ"とか"かや"とかを語尾に付ける例の感じ、年齢不詳の少女の姿の妖怪。漫画版を読む限りでは博識ながら心は乙女、何となくポンコツな印象(笑)ツンデレ気味でかわいいキャラです。

1話
{netabare}
初回から妖怪大戦争って不穏な展開でしたが、何の事は無い夫婦ゲンカの類でした。こちらはアニメオリジナルのエピソード。バトルものではないので素直に原作どおり描いたほうが良かった様な気がしてならない‥。
{/netabare}
2話
{netabare}
原作で言うと1話とあか舐め回に当たります。ショート枠に2話詰め込むのには無理があります。奇異太郎君とすずさんの出会いは1話分くらい割いて欲しいと思いました。面白いのに‥。このアニメだけでは奇異太郎君とすずさんが一緒に暮らす様になった経緯が全然分からない‥。それに演出とか音楽とか色使いとかが派手な感じで、原作の素朴な雰囲気が全く表現出来ていなかった様に感じました。会話が少ないのも残念です‥。
{/netabare}
3話
{netabare}
ぬりかべの話、原作には無いラッキー?スケベとか、わざわざ入れなくてもなくても良かったのではと思います。こういうので視聴者を惹こうという算段なのだろうか? 今後もこんなのがしょっちゅうあるならイヤだなぁ‥。原作の、ズレた感じの奇異太郎無双に引き気味の、すずさんの台詞で締めくくった方が味があって良かったと思います。
{/netabare}
5話まで見終えて、原作の素朴でシュールな雰囲気は好きですが、アニメ版はいつもスケベネタを挟む作風で、マンネリ感強くてちょっとつまらないですね‥。

6話は奇異太郎君のそつない優しさが描かれた良回でした。お約束な感じの展開も追加されなかったし、原作準拠の落ち着いた雰囲気に癒されました。私的にはこの路線でやって欲しい‥。

7話~
{netabare}
7話はカイジ+ジョジョ+遊戯王な奇異太郎君と"手の目"のギャンブルバトル回。パロディ満載でちょっとわらかされました。

8話、すずさんのかわいい仕草がたくさん見れる照魔鏡と雲外鏡のお話。6話から楽しい話が続きなので、レビュータイトルの"ほんわか笑えるギャグアニメ?"から?を取り除きました(笑)
{/netabare}
終幕後のすずさんによる妖怪解説も毎回地味に面白いです。奇異太郎君の反応も微妙にずれてて笑かされるし‥(笑)

原作ではだいたい一話に付き、一体の妖怪が登場し、昔話の「三枚のお札」から、龍玉やら、雛見沢流上級トラップやら、パロディネタがあったり、心温まる日常やちょっと感動出来る話があったりと、お話のバラエティは豊富。1話はバトルものっぽい雰囲気ですが、2からは原作に準じた奇異太郎君とすずさんを中心に据えた日常ものになります。早々に切ってしまうのは勿体無いかも‥

最後まで観終えて、原作にある台詞を削ってまでラッキースケベによるワンパターン展開をしょっちゅう入れるのは無駄に感じました。下ネタを好むかどうかは人の嗜好の問題なのであれこれ言えませんが、そういうのを多用すると笑わせ方もどうしても単調になってしまう上、話の内容も急ぎ足で薄くなってしまうので面白みや工夫が感じられません。繰り返し同じものを見せられている様で辟易させられてしまいます。

構成について、第1話に原作には無いバトルものの様な派手な描写を入れ、結局は最終話に原作1話を持ってくる所とか、4分枠に2話詰め込む回がある所とか、色々と疑問を感じました。

背景やキャラ描写など、作画面は美しい印象を受けましたが、原作の素朴な雰囲気を大事にするなら、もっと荒くても良かったような‥。力の入れどころを色々と間違っている様に思えてしまいました。

全体的に見るとギャグあり、ほのぼのあり、楽しい日常アニメだったと思います。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 15

37111 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あまり妖怪感がないがないがそこがいい。

ショートアニメ。

流し見してたのでストーリー的な部分はあまり記憶にないが、つまらなくもない。
妖怪物としてよくある設定なのですんなり受け入れられるだろう。

特に感想はない。スマヌ。。。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 8

64.2 24 着物アニメランキング24位
百日紅 Miss HOKUSAI(アニメ映画)

2015年5月2日
★★★★☆ 3.8 (68)
275人が棚に入れました
舞台は江戸時代――。庶民が好んだ、江戸の風俗を描く〝浮世絵"。それを世に放つ江戸の浮世絵師として生涯、浮世絵を描き続け一世を風靡し、3万点を超える作品を発表し、今もなお世界中を魅了し続けている葛飾北斎と、その制作の裏側で北斎を支え続け、自身も浮世絵師として後に北斎名義で大量の作品群を残したと言われている娘、お栄(のちの葛飾応為)を通して絵を描く人間たち、江戸に生きる町人たちとの交流を描いた原作を原恵一監督が大娯楽群像劇として描き出します。遥か200年の時を越え江戸と東京が、今、ひとすじにつながる、全世界待望の大娯楽長編アニメーション大作です。

声優・キャラクター
杏、松重豊、濱田岳、高良健吾、美保純、清水詩音、筒井道隆、麻生久美子、立川談春、入野自由、矢島晶子、藤原啓治

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【死んだら地獄へ行くよ】江戸の四季、江戸の風俗、江戸の恋、江戸に生きる女を描く傑作【半鐘の音が聞こえると、じっとしていられねぇのさ】

『クレヨンしんちゃん』や『河童のクゥ』でお馴染みの日本を代表する名監督、原恵一の最新作
アニメーションとしては『カラフル』以来5年ぶり
間に挟んだ実写映画『はじまりのみち』からは3年ぶりのご帰還
1年前には『ARISE』にいた筈のProductionI.Gに太いパイプを持つアニメタがこっちにいたりで、原監督には初めての現場なのに色々凄いことになってます


原作は監督自身がファンだと公言している若くしてこの世を去った漫画家、杉浦日向子の代表作
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の三女で葛飾応為こと“お栄”を主人公に彼女の視点から江戸の情緒や北斎を取り巻く人々を描いた時代劇です


主要キャストは本職の声優ではなく、これまた杉浦作品のファンであると言う杏がお栄を演じます
北斎(本名、鉄蔵)には何の因果か杏の父親役を度々演じる松重豊
北斎の弟子の一人で北斎やお栄と同居する若者、善次郎には原監督作品のファンだと言う浜田岳


これら俳優陣の演技は声優初挑戦ながらとても素晴らしく、特に杏はこの『百日紅』という作品をよく知っているだけあって気合の入れ方が凄かったようで、アフレコに着物で来たとか


また、アニヲタ的には矢島晶子と藤原啓二がカメオ出演しているのも面白かったのでぜひ探してみてほしいです


元々いくつかの短編を集めたものとして描かれている原作なので、この映画でも小さなエピソードの連続と共に移り変わっていく江戸の四季や登場人物の心情変化を描写しています
ココが今までの原監督作品と違うところなんです!


北斎とお栄の浮世絵師という仕事は現代で言うところのノンジャンルのイラストレーターに相当するもので様々な依頼に合わせて有象無象、虚実混濁、抽象、風景、人物問わず絵にしていきます


龍の水墨画、妖怪絵巻、地獄絵図、仏画・・・
それらに合わせて描かれる江戸の風景が大変美しい
時代考証に裏打ちされた両国橋や吉原の丁寧な描写は外国人に「これが江戸時代です!」と言い張れる完成度
さらにところところで画面レイアウトが【そのまんま北斎の代表作と同じ】になっているという遊びをそれとなく入れてくるのはニクイ


細かいエピソード毎の区切りが小気味良いテンポとなって原監督特有の「さぁ、泣いてください!」という湿っぽい雰囲気やあざとさを感じさせず、杉浦作品のドライな世界観と調和して高次元でバランスしていると感じました


そしてお栄が最も得意としていた春画(エロ絵)
北斎や江戸の浮世絵師を語る上では欠かせない春画、ですが年頃の娘であるはずのお栄(劇中では23歳)がなぜエロ絵を描き続けたのか
生涯未婚だったという彼女の青春に何があったのかを合わせて描く恋模様エピソードも見逃せない


そして物語全体の軸となるのがお栄の妹、そして北斎が無意識に避けてしまっている四女、お猶とのエピソード
じつはこのエピソード、原作の単行本ではクライマックスなんですが文庫版だと後日談が付け加えられてしまっています
これを原監督は蛇足と考えたのか、あえてこのお猶ちゃんを最後に持ってくることで原監督には十八番の“涙で〆括る”という体裁を取っていて、まあそう来るだろうとは薄々わかっちゃいましたがこれがまた自然な仕上がりですっかり乗せられました
いや、率直に素晴らしかったです


エンドロールには生前の杉浦が好んで聞いていたという椎名林檎が歌う主題歌
ただでさえ男尊女卑の時代を生きたであろうお栄という逞しく地に足着いた女性の姿を通して、作品全体に仄かに漂う女性応援歌の香りがこの曲で裏付けられます


江戸文化の丁寧な描写という面で観ても世界に発信するに相応しい一作でありつつ、流石に吉原とか遊郭が出てくるので小さいお子様連れ向けとまでは言わないが老若男女楽しめるエンターティメントに仕上がっている思います
文字通り傑作ですよ、これは








お猶ちゃんマジ天使、な

投稿 : 2024/11/30
♥ : 24

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

小味の効いた一品

小味の効いた一品。明確な起承転結も、クライマックスもないけどれど、しみじみとした味わいがある。キャラデザ、色彩、美術、キャラクター全てが派手なさも、気取りもないが、温かさと愛情が感じられるのが実に良い。お江戸版日常系作品といっても過言はないだろう。


最後に一人の死が描かれるが、それもサラリと静かに描かれている。しかし、大仰なポーズはなくてもその死を自分なりに受け入れる主人公の姿は見事。それにしても、江戸の話しを見ていると、稚児さんや男娼の文化についてちゃんと描かれている本でも、物語でも見てみたい。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 13

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

アニメで表現する意味があるかは甚だ疑問ですが。

原恵一監督のアニメの題材はアニメーションで表現する意味があるのかどうかは正直わかりませんが、アニメーションのクオリティは非常に高い良作だと思います。

絵コンテのレベルが高いのでしょう。レイアウトがしっかりしていて昨今のアニメの基板を作っているのはこういった作り込みによるものなので、高い評価を受けるのも頷けます。あとは、結構アダルトな内容なので、そこを挑戦しているという意味でも特異かも。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 8

70.1 25 着物アニメランキング25位
舞妓さんちのまかないさん(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (77)
192人が棚に入れました
青森から舞妓をめざして京都にやってきたキヨとすみれ。ところが、ひょんなことから キヨは屋形(やかた)のまかないさんに。花街(かがい)を舞台に、舞妓たちの毎日の食事を作るまかないさんとなったキヨ、舞妓として『百年にひとりの逸材』と将来を期待されるすみれ、そして一緒に共同生活を送る舞妓たちの日常が、おいしいごはんを通してほっこりと描かれます。

声優・キャラクター
花澤香菜、M・A・O、高山みなみ、松田颯水、片貝薫、小山力也

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

とっても優しい気持ちになるアニメ

とっても優しい気持ちになるアニメです。
舞妓さんちで食事の支度をするキヨと舞妓見習いのすみれを中心に描いています。

二人とも、とても優しそうな顔をしています。
そして、キヨのつくる食事は、いつも温かくて美味しそうです。
こんな食事ならば、毎日食べたいですね。

一話10分なので、ストーリィ自体はそんなに動きがありません。
いたって平凡な内容ですが、その平凡なところに温かみがあります。

また、このアニメを見ると、舞妓さんの知識が知らず知らずのうちにつきますよ。
そして、毎回、最後に食事の説明があるので、少しだけ博学になるかもしれません。

不思議なことに、料理のアニメだから毎回お腹がすきそうだと思われますが、優しさで心が満たされてしまうので、意外とお腹はすきませんでした。

オープニングは、つじあやのさんが歌う『明日きっと』

私はnetで視聴しているのでオープニングはカットすることもできるのですが、不思議と毎回必ず聴いています。
だって、この歌は、私の心をとても癒してくれるのです。
とてもとても優しい歌です。歌詞が温かくて曲も優しい。
さらにオープニングに描かれているキヨとすみれの優しい笑顔がたまりません。


そしてエンディングは、さすが京都と感じるような壮大な音楽でした。
私は、このエンディングテーマをもっと時間をかけて聴きたいですね。
目を閉じれば、歴史情緒ある京都の街並が今にも見えてきそうです。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 32

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

京都の置屋のまかないさんの話?

私がこのアニメを知ったのは「Doki Doki! NHKワールド JAPAN」という、NHKの海外向け放送番組を紹介する番組でした。この番組中で、日本でもNHK Eテレでの放送があることを知り、開始を待っていたという感じです。

ということで、NHK WORLD-JAPAN では先行して2021年2月から英語字幕付きで放送されていたようです。ということで、実は既に全話アーカイブ配信されていたりします。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/maikosan/

しかし、私はEテレでの放送を1話ずつ追うことにしました。ということで第1話の話です。

本作は、1エピソード約10分のショートアニメです。作品タイトルの通り、主人公のキヨは、経緯は不明ですが京都の花街にある屋形(いわゆる置屋さん)でおかあさんや舞妓、芸妓さんたちの食事を作る仕事をしているようです。

第1話では、キヨの同郷のすみれも出てきました。他のメンバーは良くわかりませんが、キヨたちは中卒で京都に出てきているようです。

「いつの昭和だ」という気もしますが、たぶん舞妓さんというのがそもそもそういう職業なんでしょうね。

普通に食べ物が出てきますが、NHK WORLD-JAPAN で放送されたくらいで日本あるいは京都の文化を紹介するような側面もあるみたいです。

土曜日の朝から気楽に楽しく観られるアニメとして、意外とお勧めですね。

2022.1.3追記:
後半は年明け1/8からの再開となりますが、1/3にNHK Eテレでお昼の12時からこれまで放送された13話分の一気見振り返り放送があります。

番組最後の「きょうのまかない」のコーナーに、きよちゃんすーちゃんとともにいつの間にかすっかり定着しているつる駒さん姉さんとの再会も待ち遠しい年明けなのでした。

2022.06.12追記:
36話で、とうとう終わってしまいました。毎週土曜日の朝の楽しみでしたが、これで終わりというのはちょっと残念です。またそのうち、続編が作られるといいなあ。

投稿 : 2024/11/30
♥ : 28

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

爽やかな土曜朝を彩る純和風癒しアニメ

【紹介】
土曜日朝の10分飯テロアニメ
舞妓さんの話で、たぶん嫌なこととか変なしがらみとか色々面倒くさいところあると思うのですが、この作品はそういった暗い部分にはほとんど触れず、舞妓さん達はいつも明るくまったりした雰囲気で飯テロを繰り返してきます
でもお料理は普通のお料理が多くて京料理を期待していると肩透かしにあいます

【感想】
やわらかいタッチのデザインと色使い、優しく温かみのあるキャラクターが多く雰囲気も良くて爽やかで朝の視聴にピッタリな作風
人物は素朴で、和風な京都の家屋の趣、古風なお部屋や京都の街の風情、自然豊かな風景は趣があっていいですね、温かみのある絵との相性が良い

土曜日朝にまったり気軽に見れていい感じに食欲を刺激してくれるとても良い飯テロアニメです、ご飯がとにかくおいしそう!
朝食前に視聴すると朝からカレーとか食べたくなって困るので、朝食食べながら流すのにちょうどいい
お料理の紹介コーナーもとても良かったです、夕飯のメニュー考えるのに何度か参考にしました!
花澤さんの声はじめ、可愛くて落ち着いた声優のかたが揃っていて、爽やかな朝を演出してくれます
OPはとてものんびりまったりした曲で、EDは和!!って感じの曲が作品の雰囲気に合っていてどちらも良いです

【欠点】
真剣に見るタイプのアニメじゃないし、舞妓さんのことを深く知りたいかたにはちょっと物足りないアニメかも
でも土曜朝にそんなヘビーなもの見たくないので、放送時間考えればこのゆるい内容でいいと思います

投稿 : 2024/11/30
♥ : 25
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