戦いで花火なアニメ映画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の戦いで花火な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の戦いで花火なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.1 1 戦いで花火なアニメランキング1位
劇場版 図書館戦争 革命のつばさ(アニメ映画)

2012年6月16日
★★★★☆ 3.8 (467)
2437人が棚に入れました
日本を揺るがすテロ事件が勃発する中、デートの最中だった笠原郁と堂上篤に緊急招集がかかった。新たな任務は、小説家・当麻蔵人の身辺警護。テロの手口に小説の内容が酷似しているとして、メディア良化委員会は作家狩りを始めたのだ。法廷闘争が始まる中、郁たち図書特殊部隊は判決まで当麻を守りきらなければならない。図書隊と良化隊の衝突が激化する中、重傷を負ってしまう堂上。動揺する郁に、堂上は任務の遂行を託す。郁は、当麻を守り、表現の自由を守ることが出来るのか!? ――そして郁と堂上とのもどかしい恋の結末は!?

声優・キャラクター
井上麻里奈、前野智昭、イッセー尾形、石田彰、鈴木達央、沢城みゆき、鈴森勘司、潘めぐみ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

“今度こそ”スタートラインに立てた図書館戦争

前作のテレビシリーズは2008年の春アニメとしてノイタミナ枠で放送されましたが、肝心の『メディア良化法』と呼ばれる架空の法律から表現の自由を訴えかけるという内容もソコソコに、ラブコメ要素がメインのトレンディドラマ風味の作品になってしまっていました;


仕舞いには原作でも重要視される【中澤毬江にまつわるエピソード】が放送局の自主規制によりオミットされるという自体に陥り、【表現の自由を問う作品が表現規制された】ということに原作者は肩を落とし、多くの原作ファンが憤慨するという賛否両論を巻き起こした問題作になったわけです
(上記のエピソードはちゃんとアニメ化され、セル版DVD3巻、もしくはBD-BOXには収録されております)


今作を鑑賞した劇場で今年のアニメ映画の中では初めての出来事だったのですが、来場者の年齢層がかなり高いことに驚き
有川作品ファンの幅広さとアニメ版図書館戦争の知名度を思い知ることとなりました











さて、今作ではやっとこさ肝心要の『メディア良化法』に対して図書隊が踏み込んでいき、表現の自由を訴えかけるという待望の展開が描かれます!


早速冒頭からテロリストがヘリで原発に自爆テロを図って建屋に穴を開ける・・・
という衝撃ニュースが飛び交い“見慣れたあの光景”がテレビから映し出されるというショッキングな幕開け


そしてこのテロ組織の犯行の手口が、原発テロを題材にしたエンターティメント小説の内容に酷似しているものとみなし、図書隊の宿敵であるメディア良化委員会は小説の著者である当麻蔵人を拘束しようとする


これを許しておけば事態を皮切りに良化委員会は『作家狩り』をはじめるであろう、と判断した図書隊の面々
すぐさま当麻蔵人を保護し、法廷で正々堂々と良化委員会、延いてはメディア良化法の在り方そのものに踏み込んで戦うことを決意し、彼の身辺警護を始める


初めのうちは事件に巻き込まれたことを他人事のように疎ましく思っていた当麻蔵人
良化隊が行う『検閲』にも、上手く逃れながら作家業を続けることがプロの仕事であると考えていた彼を通して、これまで読み手側の都合がメインに描かれていたメディア良化法が、初めて書き手側の目線で語られます


彼もまた稲嶺元司令の過去(通称:日野の悪夢)を語り聞かされ、これまで自分が無視し続けてきた検閲の非道極まりない実態を知ります
さらに図書隊の面々と触れ合っていくうち、自分の本を命懸けで守る若者たちがいた、という事実にもやがて心を動かしていくのでした・・・











当初から破天荒な世界観が物議を醸し出していた作品ではありますが、今作はやたらロケハンに凝っていて、、、
JR立川駅前
都営新宿線市ヶ谷駅
中央道諏訪湖SA
大阪御堂筋
大阪北区
そして新宿三丁目の紀伊国屋書店(新宿本店がそのまま紀伊国屋として登場)
とまあ、この辺の背景描写があまりにも丁寧すぎて映画を観終わって劇場を後にすると、ソコにはさっきまで映画の中に広がっていた景色がある・・・という強烈なデジャヴを感じました(´q`)
最近流行の【ご当地アニメ】もこういった架空の設定が前提の作品ではちょっと考えものですよね・・・


あとアニメ版で柴崎と手塚ってあんなに仲良かったっけ・・・?
いつの間に進展してたの?w
(これについては記憶違いかもしれませんので観直して来ます^^;ようつべで公式にオンエア版全話が配信中ですよー)


あとこれはこまけぇことかもしれませんが、夕食を食べてる当麻蔵人先生
どう見ても小食っぽいインドアタイプなのにご飯を「おかわり」発言ェ・・・
だって“おかずの揚物に手が付いてないよ・・・”
ご飯だけめっさを早く食べたのか?wまさかのおかず2週目なのか?w
真相は闇の中へwww


天ぷら屋でキスが揚がってくる「キスでございます」のくだりもまさかのダジャレかよ!とw
一瞬凍りつくかと思ったぜwww


音楽はテレビシリーズに引き続きオイラの大好きな菅野祐悟さんだったのですが唯一に一点だけ!どうしても気に食わないのがOPアニメーションで流れてくるかなりキャッチーで激しいロック調のインストナンバーが図書館戦争の雰囲気とまるで合っていない・・・;
そこは高橋瞳を連れてくるトコだろぉがーっ!


作画の面はとにかく笠原に注目したいですね(笑)
喜怒哀楽の激しい彼女のコミカルな表情
そして後半では、もはや一介の成人女子とは思えないジャッキー・チェンばりのアクションを繰り広げてくれますw
ホント、名実共に笠原から目が離せない作品となってますよ^q^
オイラの勝手な憶測ですけど、たぶん『わすれなぐも』でロトスコをやってた新人さんが、もしかして来てる???


いやはや、それはさておき
実弾が飛び交う世界なのに相変わらずな【絶対に死人が出なさそうな中途半端な緊張感】がこのシリーズのイチバン残念なところ;
予告編からして『堂上教官がまるで死にそうにない』のが薫り伝ってくるのは流石に問題視すべきw
あと露骨なラブコメ路線から多少シリアスな路線に回帰したことで、ラブコメとの両立が上手くいってないのも解るのがちょっとぉ・・・











んでもまあ日野の悪夢、笠原と堂上の出会いといったテレビシリーズのダイジェスト的な組み込みを説明臭くなく自然に潜り込ませたのには拍手
極めつけは劇中で一瞬ではありますが中澤毬江ちゃんが映るかつてのスタッフの罪滅ぼし的なシークエンスもあるんで多少大目にみてこのぐらいが妥当な評価
何より大事なことは、この作品を観たアナタが【表現の自由】とはどうあるべきなのか?をこの物語から汲み取って、少しでも考えるキッカケになってくれることであるはず・・・なのでは?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

ガムンダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

背伸びしないでラブコメ書いてれば良いのに

TVシリーズの続編。
有害図書の検閲とそれに対抗した武装図書館の戦争のお話。

これだけ観ても大体わかりますが、状況設定が荒唐無稽なので先にTVシリーズで馴らしたほうが良いかも知れません。
詳しくはそちらのレビューをご一読願います。

概要を説明すると荒唐無稽の(悪い意味での)バカ設定そのままに映画版らしく活劇要素とラブコメを増量しました。

まずフィクションのIF設定は一つにすべきで、それがセオリーです。
IFにIFを重ねるともはや収集がつかなくなります。
「有害図書」が検閲の対象とされるというIFを設定したらその上でリアルなシミュレーションを構築する事がSFです。
この物語の場合更に「図書館が(合法的に)武装する」と言うIFを乗っけて戦闘を描きますが、まず何処から突っ込んで良いのかもわかりません。
順不同でざっと列挙すると

1.
図書館や書店にした所で、地下で営業するならともかく、斯様な状況で呑々と営業していて検閲隊の突入を許しています。
また検閲隊の側も普段はのんのんと出版を看過し、お日様の下で販売する事を看過すると言う、検閲する側もされる側も馬鹿ばっかりです。

2.
図書隊は行政機関なの?私兵集団なの?
もし私兵集団ならその財源は何なのか。まさか本の売り上げで賄っているわけでもないでしょうに、どこかにパトロンが居る筈ですがその説明も一切なしです。

3.
戦闘の武器が豆鉄砲のみ。
1で述べたようにまず肝要なのは諜報です。
劇中行われる大概の戦闘は間諜によって回避可能ですし決着がつきます。
交戦が開始されたとしてもその後の戦術もバカの極みです。
図書館側もUH60などの軍用ヘリを所有しているようですが、双方ロケット推進弾、対戦車ミサイルやガトリング砲、携行対空ミサイル等で一網打尽にすれば良い物を、ダラダラと撃ち合う事が目的化しています。
それもお役所仕事って事でしょうか。

4.
小説家トウマは狙う価値も守る価値もない雑魚です。
原発テロの模倣元となった小説を書いた小説家を検閲隊が狙い、図書隊が守るのがこの映画の大枠なんですが、トウマは特に反骨心があるわけでもなく、表現の自由に信念を持っているわけでもありません。
もしこんな世の中になっていたらもっと過激な論壇はウジャうじゃ居るはずです。
それともそれらは一通り片付いた後なんでしょうか?
だとしたらもう負け確です。今更トウマをながらえさせても無駄です。


また外国からメディア良化法に非難が出たりしますが、それは内政干渉というものです。
他にも告訴と提訴の違いを理解していなかったり、暗号が暗号のていを成していないのに至って作者は悪意のないただのアレだと確信しましたが。

表現の自由が何故必要なのか。
害があったとしても簡単に規制が出来ないのは何故なのか。
それは権力が自由を規制し民主主義が崩壊する事を防ぐためです。
国家権力の暴走による、より大きな害を恐れるからです。

しかしながらこの物語の世界ではもはやその防衛線は突破されています。
とっくにアノミーを呈し内戦状態となっていますから、事はもはや表現の自由を守ると言う次元の戦いではなくなっています。
全身癌が転移している時に虫歯の心配するようなものです。

原作者は自衛隊賛美小説も書いているようですが、事ほど左様に民主主義の構造と作動原理を理解していない者がそういう物を書く所に戦慄を覚えます。
単純に「表現の自由」と言えば絶対正義で万人の共感を得られると思ったのでしょう。
言葉を覚えた小学校4年生並の発想で小説書いてます。
そんなに銃撃戦が好きなら銃を買ってシリアにでも行けば良い。
「表現の自由」の向こうにある本当の意味を理解するでしょう。
命と引き換えに。


ただラブコメパートは小4では書けないですね。
ご立派なラブコメ作家です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

noira さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

図書館恋愛 革命のつばさ

本映画はテレビ版のその後を描いた作品であり、図書館戦争という物語は本作を含めて視聴することで綺麗に完結する物語です。
本作のみでも視聴に耐えることはできると思われますが、物語を深く理解し、楽しむ為にもテレビ版を先に視聴することを強く勧めます。

物語としては、2つの大きな柱で成り立っています。
とある事件の切っ掛けになったという疑いを掛けられた作家「当麻蔵人」を巡る図書隊と良化隊の争い、そして笠原と堂上の恋愛模様です。
尚、テレビ版とは異なり、恋愛要素よりもメディア良化法を含む思想観に関する争いの方が比重が大きい気がしました。

両隊の争いに関しては、映画ということだけあり随所で派手なアクションが展開され、とても興奮する映像でした。
又、テレビ版では本の読者が検閲の被害者として描かれていましたが、本作では本を作る側である作家を被害者として描いており、テレビ版と異なる視点での考え方や感情、それらの変化等が表現されていた為、視聴していて興味深い内容となっていました。

そして、笠原、堂上の関係についても綺麗に描かれていたと思いました。
{netabare}
笠原のライバル?も新たに登場することで良いスパイスになっていましたし、堂上と何かある度に恥ずかしがる笠原の姿は普通の女の子で、とても可愛く思えました。
笠原から堂上、堂上から笠原へのキスシーンは大変盛り上がりました。

恋愛と言えば、柴崎と手塚のストーリーも良かったです。
柴崎の乙女心、大人の恋愛にドキドキでした。
そして忘れてはいけない「キスでございます」笑
個人的には笠原の恋愛より柴崎の恋愛の方が気になりました。
…ちなみに、最後まで視聴したにも関わらず、柴崎の本心を未だ無駄に勘ぐってしまいます…汗
{/netabare}

総括すると、序盤は静かに話が進むこともあり、盛り上がりに欠けましたが、逆に丁寧に描かれているという印象も持ちました。
中盤から終盤では、視聴していてテンションも大いに上がる展開となっていました。
{netabare}
特に最後に車で突っ込む場面、そして絶対絶命のタイミングで黒塗りの車が現れる場面。
堂上から笠原への返事となるキスをする場面。
メディア弾圧を行っている日本の変化と未来を語る場面。
結婚して堂上姓となった笠原が教官となって新しい隊員達を指導する場面。
思い出すだけでテンションが鰻上りです。
{/netabare}

主要人物である当麻の演技やOP、ED、相変わらずなベタ展開には若干の不満は残ります。
しかし、それを差し引いたとしても、テレビ版を視聴した方には是非オススメしたい作品です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

69.4 2 戦いで花火なアニメランキング2位
グッバイ、ドン・グリーズ!(アニメ映画)

2022年2月18日
★★★★☆ 3.7 (69)
205人が棚に入れました
東京から少し離れた田舎町に暮らす少年・ロウマ。
周囲と上手く馴染むことができないロウマは、
同じように浮いた存在であったトトと二人だけのチーム"ドン・グリーズ"を結成する。
その関係はトトが東京の高校に進学して、離れ離れになっても変わらないはずだった。

「ねえ、世界を見下ろしてみたいと思わない?」

高校1年生の夏休み。それは新たに"ドン・グリーズ"に加わったドロップの何気ない一言から始まった。
ドロップの言葉にのせられた結果、山火事の犯人に仕立て上げられてしまったロウマたちは、
無実の証拠を求めて、空の彼方へと消えていったドローンを探しに行く羽目に。
ひと夏の小さな冒険は、やがて少年たちの“LIFE”生き方を一変させる大冒険へと発展していく。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

2回目。内容が絞り切れないのは、言いたい事が希薄だから。

 初見の翌日、2回目見ました。そうかあ…ドローンと風景を見下ろす、つまり劣等感から脱して、世界を見下ろせ…という意味ですか。
 それと、友人論…15歳の冒険を共にする「真の友人」ですねえ。でも、だったら、やっぱりチボリは余計な気がします。


 ドロップの{netabare} 死別{/netabare}です。「最後の冒険」の意味と関連しますが…うーん…せっかく「15歳の」という成長過程の意味で「思春期の冒険」の意味を入れようとしたのに、{netabare}病死 {/netabare}だと意味性が変わってくる気がします。
 そこは勇気をもって、別離の理由を別に置くべきでは?恋愛をどうしても入れたいなら、チボリとドロップの結婚とかでもいいじゃないですか?やっぱり最近のアニメはこの点が安易です。よほどの理由がない限り、感動ポルノにしかなりません。

 しかも、振り返りの時期ですけど、やっぱり高校時代に振り返るのではまだまだ同じ状況です。もっと年齢が行ってから「15歳の意味」を振り返らないのは良くなかったです。そこもドロップの設定が邪魔をしている気がします。

 クマなあ…クマ。「スタンドバイミー」の「鹿」と対応しているのはわかります。同作では自分だけの経験・発見という意味性があったんだと思いますが、本作のクマは何を象徴しているのでしょう?3人だけの冒険の意味性でしょうか?

 この作品、クマとかチボリとか山火事とか尺が不足なんじゃなくて、テーマが絞りきれていないんだと思います。学校のシーンとチボリ全カットで、劣等感なんてセリフと回想だけでいいじゃないですか。極端なことを言えば3人の冒険中の会話劇だけでもいいくらいです。
 90分という尺を精査して削り切ったでしょうか?尺不足じゃなくて削り足りてないと思います。

 それと作品を精査しましたが、{netabare}国番号違いの電話番号{/netabare}、電話番号があそこにつながる、そこにたまたまドロップがいる、そして、そのドロップが2人と出会う…全部偶然みたいですね。いっそのこと、ならばそこはファンタジーを入れればよかったのに、と思います。それにしてもこの電話ボックスの意味が弱いですねえ…。

 それと星ですねえ。見下ろすがテーマなのに、見上げちゃいましたねえ…星の下では平等的な意味や、人間の小ささなどの意味にもとれますが、どういう意味でしょうか。やはり友情は美しい、なんでしょうか。それとも醜いようでも世界は美しいかもしれません。

 とにかくアナロジーがはっきりしないのは、テーマ性・メッセージ性が絞り切れていません。15歳の最後の冒険が見下ろす…劣等感の克服につながるのか?恋愛が登場した意味は?なぜ {netabare}病気{/netabare}を持ち出したなどなど、やはり完成度が低い映画だなあという印象でした。

 もう、頭が否定的になっているのでこれ以上は書きませんが、やはり私には何も刺さらなかったです。背景美術も私はそれほど魅力的に感じませんでした。



以下、1回目のレビューです。

劣化スタンドバイミー。何を伝えたいのか全くわからないです。

 ほぼ話の骨格は「スタンドバイミー」です。細部や動機は違いますけど、それは問題ではないでしょう。秘密基地と仲間、不条理な環境と疎外感、そして冒険へ。そして成長後に訪れる知らせ。そういったものすべてが「スタンドバイミー」でした。
 
「線路を歩く」というセリフがありましたので、制作者側もそこは意識しているのでしょう。つまり、結末に何も見つからないけど、冒険した意味をかみしめる映画です、という一つの骨格があります。

 まあ、元の話がいいので当然そこはある程度良い話になるに決まっています。そこをどう評価するかですね。「スタンドバイミー」を見たことが無い人にはいいと思いますが、正直比較するのが古今東西の映画でトップクラスの名画なので、どうしても大きな減点要素です。
 最近「リコリスリコイル」で例のオマージュがあったので、見直したばっかりなので余計ですね。

 なにより死の理由ですね。「スタンドバイミー」であの最悪の環境で育った悪ガキだった彼が {netabare}弁護士になって喧嘩の仲裁をして刺されるという意味性と、病気では全然違います。「線路」と「死を探す冒険」は人生そのものです。そういう重要な要素が拾えてないので換骨奪胎になっておらず、意味性がすっぽりと抜け落ちてしまっています。 {/netabare}

 で、まあそこに別の意味性を加えるために、何を重なるかですが、もう一つのストーリー、チボリという女の子への恋心の話です。しかし、ここは弱いですねえ…観客がチボリに恋しないと成立しない気がします。あるいは風景写真に対する情熱のようなものが必要でしょう。「美しい」が何を象徴しているかがはっきりしません。友情…なのかなあ…そうなると、チボリの意味性が希薄になってしまいます。

 国際電話の意味とか、電話ボックスが何を象徴するのかとか、そもそも話の偶然性の要素とかまあ、なんか煙に巻かれたというか、スタンドバイミーにしないために、無理に作ったストーリーというか…
(そういえば、ドロップは相手が誰かをどうやって知ったのでしたっけ?後で確認しますけど、1回目視聴時は拾えてません。偶然だとしたらご都合主義もいいところすぎです。可能性としては、{netabare}ドロップが相手が国番号を間違えたことに気が付いて、チボリと連絡を取って仲良くなって素性を聞いて… {/netabare}うーん、あり得ないですねえ…)

 しかも、平成になって成長が無くなったせいか、ノスタルジーという感情が成立しなくなっています。もちろん、個々人には生まれ育った環境がありますが、わざわざ田舎暮らしを設定しなければ舞台が作れない時点で、この企画・脚本が何を描きたかったのが見えてきません。つまり旧世代の作家の作劇法から脱しきれていない気がします。

 田舎を脱出したいというモチベーションなのか、東京という幻想なのか、更に先にある世界なのか。空港を見せたということは、ある程度、世界への広がりは意識したんだと思いますが、この話で世界に夢を見られるのかは、ちょっと疑問でした。
「空の青さを知る人よ」でも扱いあぐねていましたが、なぜ今の時代になっても田舎をモチーフにするのかは、情報の均一化や東京への憧れの意味性が無くなってきたことから言って、難しい問題だと思います。

 日本を脱出する、というならそこはもっとちゃんと描かないと、国名で言葉遊びをしているだけに見えました…というより、コーラにしても国番号にしてもジャストアイデアであって、そこにメッセージ性が全くありません。

 要するに伝えたいことがまったくないように見えました。だから、キャラが立たないのだと思います。

 総評すると、描きたい何かがあって作ったというより、何か作らなければならないから、スタンドバイミーを下敷きにしたエモい話を無理無理創り出したという感じの作品に見えます。
 ストーリー、キャラともに2点以上はつけられません。作画・音楽もあまり目立った良さはないし。まあ、声優さんがどうこうではないですが、オール2かなあ…満足度からいえば更に低いかも。

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

【辛口コメント】世界や自分の大きさを受け止めて少年は成長していく

【物語 3.0点】
1クールアニメ企画を劇場版に押し込んだような窮屈な構成。


少年期の悩みの大半は、理想とする自分と現実とのギャップから来るのだと思います。
踏み出せないのも、世界の大きさに直面し、自分の矮小さを思い知るのが怖いから。


田舎の男子高校生3人組"ドン・グリーズ”による、夏のある日の冒険を通じて、
共感できる葛藤を掘り起こす。

その他、永遠に思える少年時代とリアルでは有限な時間など、
興味深い青春要素が宝箱の如く詰まってはいるが、整理しきれず。

エピソードをメイン3名から、さらに主人公ロウマ1人の視点に絞って突破を試みるも、
半端に示唆した他キャラの過去等が未消化感を残す。
(トトの東京デビューの現実など、掘り下げ不足と感じる要素は、スピンオフ小説に回る。)

アイルランドだの、アイスランドだの、スケールのデカイ話を勿体ぶりつつ、
近所の裏山よりは遠い場所を徘徊する”冒険”が、
キッカケ程度ならまだしも、メインエピソードとしてダラダラ続くのも微妙。

この何気ない掛け合いの積み重ねこそが青春ということなのでしょうが、
1クールの1話の中でやるならほどよい脱線でも、
1本の映画の中でやられるとストレスが溜まります。
終盤{netabare}アイスランド編やそこに至る過程{/netabare}が短すぎたので余計に。
{netabare}「きらきら星」{/netabare}合唱シーンに尺を費やすくらいだったら、
例えばロウマが資金作りのために牛糞処理に精を出すシーンでも詳述してくれた方が、
私はまだ感動できたと思います。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・MADHOUSE

背景美術はリアル志向。
主要な冒険の舞台となった森林は、夏でも緑の色彩が控えめな本邦のジメジメした雑木林。
田舎って本当に道から数歩外れると原始林に迷い込むので危ないですし、クマも出ます。

この土台の上に終盤、満を持して披露される{netabare}アイスランド・黄金の滝{/netabare}は圧巻。


その他、適宜CGも交えて躍動するチャリンコ、キックボード、安物ドローンなどが、
免許取る前のガキンチョの目一杯を体現。

表情描写も口には出さないけど微妙だと思ってる、ノリ気じゃない。
漏出する本音も捉える上々の作画。


【キャラ 2.5点】
中途半端にサブに残したヒロインが主人公の焦点をぼかす。


理想の自分を大きく持ちすぎて黒歴史を重ねて来たトト。
(例えば{netabare}タイトル回収{/netabare}とか)
自分を卑下しすぎて他人に見えている長所を見逃しがちなロウマ。
(ユグドラシルのお浸し……是非、賞味したいですw)
二人に心のままに生きるよう背中を押すドロップ。

メインの少年キャラ3名はシンプルにまとまり良好。


ノイズに感じたのがロウマとトトの中学時代の同級生・チボリ。
過去のマドンナポジションとしてはありだと思いますが、
広い世界を意識させる存在がドロップと被ってしまうのが難儀。
サブの少女が眩しすぎて、メインのドロップがかすんでる感。

監督・脚本・いしづか あつこ氏によると、
当初、憧れのヒロインを助ける少年3人のプロットを構想したが、
男の子ならではの話を書こうと思い、思い切ってヒロインをメインから外したとのこと。

であれば、さらに思い切ってドロップかチボリ。
“ヒロイン枠”はどちらかに集約して欲しかったです。


【声優 4.0点】
ロウマ役・花江 夏樹さんVSトト役・梶 裕貴さん。
繰り広げられるトークは、傍から見れば森に迷い込んだ少年たちの奇声なのでしょうが、
当人たちは真剣に人生に迷って叫んでいる。
よく通るCVで葛藤を好表現。

転機をもたらすドロップ役の村瀬 歩さん。
女声の如き天使の少年ボイスで二人を導く。

サブに回されたヒロイン・チボリ役には花澤 香菜さん。
先駆けて旅立った世界から、少年と鑑賞者の心を溶かす甘いボイス。

……そうか、結局、俺はこの冒険に女っ気がなくて、
ざーさんボイスの女の子と冒険したくて、文句を垂れているだけなのか?(苦笑)


【音楽 4.0点】
劇伴担当・藤澤 慶昌氏。
これ!と決めた明快なメインフレーズを散りばめて、刷り込んで、
ここぞの場面でガツン!と回収して決めに行く、清々しい構成。

その他、ふんだんに挿入される英語詞のバンド曲群にも、
チャリンコ全力疾走をクライマックスに押し上げる勢いがある。

ED主題歌は[Alexandros]「Rock The World」
サビの歌詞でメインテーマをジャストミートする優秀な主題歌。

ここまでなら4.5点以上ですが、
{netabare}「きらきら星」{/netabare}合唱したのでやっぱり0.5点減点で(←しつこいw)


【感想】
『よりもい』スタッフ陣の作品とのことでしたが、
また違った物を見せてくれた時に『よりもい』引きずって鑑賞して折り合えなかったら嫌だなと、
『よりもい』の記憶はなるべく消しての鑑賞。

が、スタッフが想像以上に『よりもい』意識したと思われる構成で、否応なしに『よりもい』を参照せざるを得ず。
終始ぬかるみに足を取られたような劇場鑑賞でした。

ですが絶景に青春解明の一説と心には残りそうな一本。
観るのであれば、音響共々、劇場じゃなきゃ絶対に後悔するのは間違いないので、
興味のある方は、劇場へ急ぎましょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

Dont Gray!

この話は田舎でクラス高校一年生の話

まぁなんでしょ。正直期待はしてませんでした
主役は花江夏樹さん、梶裕貴さん、村瀬歩さん。
そしてヒロイン役に花澤香菜さん。
超がつくほどの大物を...それもメインキャストに...
まぁメインの男性声優三人は女性ターゲットでしょう。
炭治郎にエレンに日向君、と見事なまでに女性向け。(異論は認めます)

さてそんなこんなで期待値ゼロ(用法間違い)で始まった本作、結論から申し上げますと「雰囲気だけ」
内容としては「よりもい」に近しいものを感じました。同じ監督だから偏見が入ってることには入ってるのでしょうが、ヒューマンドラマというか人間模様を中心に書いている、という点では共通していると思います。
まぁ、あちらは北極に対して、本作は日本。さらにあちらは女子高生4人に対して、本作は男子高生3人です。違うと言えば違うのですけど。

個人的にはあまり好きではありません。
特にキャラ。よりもいは面白かったのですが、本作のキャラの自分勝手が過ぎていて好きになれませんでした。花澤香菜さんだけはまだ良かったのですが、それ以外は正直…
{netabare}村瀬歩さんが一番無理ですね。なんですかあのキャラ。セリフはイタイし、発想はイタイし、考えはイタイ。頭の中お花畑がふさわしい人で心底嫌になります。{/netabare}

{netabare}ロウマとトトが「ドングリーズ」というグループをつくり、逆張り花火大会を例年してたんだけどそこにドロップが参加、ドローンを奮発するも風に流される。同時刻に起きた山火事の犯人はドングリーズだとクラスメートに言われ身の潔白のためにドローン探しの旅に出る。その途中で友情UPそしてドロップの短命を知る。ドローン発見。帰還。ドロップ死。遺品の中に宝の地図。アイスランドに旅立ちドロップが言ってた「黄金の滝と公衆電話ボックス」を探す。見つけた。その電話番号が昔かけた間違い電話の電話番号であることが判明し、とんでもない奇跡の確率を認める

という話。まぁなんでしょ。無実を証明するためにドローンを回収しようするのも意味分かんないですし、律儀に通行禁止を守ったり、なんかいきなりアイスランドに行ったり、もうよくわかんない(泣)

トンデモない確率だとは思います。偶々電話番号を間違えて、しかもその事に偶々気づかずに、それっぽい単語がその時だけ出て、その間違えた先に偶々日本人がいて、偶々その日本人が人生の一番の宝ものを探していてその単語を聞いて、声と電話番号だけで個人を特定し、更に近づいて友達になり、ものすごく良いタイミングで死んだ。奇跡ですね(投げやり)
あとあんだけ珍しい場所なんですからネットかなんかに絶対情報あると思うんですけど…無いんですかね。だとしたら相当すごくないですか?主人公達。確率的に無いことは無いと思うのですが、まぁ無理でしょう。ご都合主義にも程があります。いしづかあつこさんは割と「確率的に少しでもあるなら通る」という節がありますよね。偶々かもしれませんが。
{/netabare}

基本スタッフは「よりもい」の方ですね
監督・脚本はいしづかあつこさん
キャラデザは吉松孝博さん。
劇伴は藤澤慶昌さん。
アニメ制作はMADHOUSEさん。

作画は良く、情景描写が上手く表現されていたと思います。特に自然の描写が最高峰でした。おそらくいしづかさんがこだわったんでしょうが、とても良い結果となったのでそこは感謝したいです。
声優は…まぁ…あまり好きではないです。なんでしょうね。

誰が一番幸せを見つけたか
ということで締めます

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

69.5 3 戦いで花火なアニメランキング3位
名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)(アニメ映画)

2016年4月16日
★★★★☆ 3.9 (192)
1193人が棚に入れました
劇場版「名探偵コナン」20作目にあたる。

物語は動画にも登場したオッドアイの持ち主である謎の女性が、記憶喪失状態でコナンたちと出会うところから動き出す。

声優・キャラクター
高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也
ネタバレ

❣ユリア❣ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

20周年超大作!!黒ずくめ!公安!FBI!豪華ですね~(*´∀`)

☆映画20作品目☆
映画館にて試写です♪

今回はメインとして黒ずくめが出てくる話です☆

~あらすじ(予告参考)
全国各地で起きた連続スパイ暗殺事件
全ての鍵を握るのは、秘められし「記憶」!?

衝突する、探偵vs黒ずくめの組織vs公安vsFBI
聖域の扉の先にあるのは、真実か、偽りかー。


ともかくすごかったところ 感想
{netabare}
今回は安室と赤井も出てきて
特にその二人の戦いのアクションシーンがすごく迫力があり、カッコよかったです!
観覧車の裏?、観覧車の上、でやったり、ともかく黒ずくめに狙われているという危機にさらされながらの戦いがほんとにハラハラしました!!
そして、2人が一緒に出てきたのもレアたったのでとっても良くてお気に入りです!!

また、コナンの観覧車から色々な所に命懸けで乗り移るアクション?もすごかったです!
コナンが棒?に掴めそうで掴めない…落ちそう…!ってときに、赤井が助けたところは本当に
赤井ナイス!!!!カッコいい!!
と思いました☆
それで、よく死ななかったなぁと思いましたww

そして!!!
黒ずくめであったキュラソー!

最後のシーン、観覧車に閉じ込められた少年探偵団や皆を助けるため、海?に落ちて死んでしまった?と思えば、今度は命懸けでクレーン車で観覧車を止めたところ、本当に感動しました!!(命懸け…本当にそれで死んでしまったんですがね‥(泣))

黒ずくめを裏切ってw少年探偵団を守りましたね!
そして手には少年探偵団達からもらった、あのイルカを最後まで大事そうに持ってたなんて…!
とても感動しました…(´;ω;`)

というか、今回は以外と少年探偵団役にたったんですよねw

少年探偵団がいたことによって、キュラソーが黒の組織に戻ることを断念した
それにより、キールとバーボンの正体がばれなかった!!

さらに、観覧車が動いたとき、コナンたちだけでは止められなかったことを命懸けで、クレーン車で止めるのを手伝った
よって、少年探偵団は安室や水梨を救っただけではなく、水族館にいる、何万人?数千人の人たちの命を救ったことになる!!そして蘭たちも救ったことに!
つまり、少年探偵団はは世界を救った!!

ということになります☆


あっ、かと言って

少年探偵団すごいんですよ!私はほんと好きなんです♪お手柄ですよね~♪
って言いたいわけじゃないですよ!!w
少年探偵団を良い風にとらえると、そういうことになるだけなのでw
{/netabare}

~疑問点~
{netabare}
キュラソーの記憶が戻った時、ベルモットに
「あなたの携帯から送られたあのメールはあなた本人なの?」
みたいなことを聞かれました
あれは、コナンが偽装して送ったものでそれがバレたらヤバイ!
見ててハラハラしました!
でも、キュラソーは
「ええ、私よ。何か問題でも?」
と、コナン達をかばってくれました!実際はかばったのかどうかは分かりませんが…
キュラソー…(泣)ありがとう!!!

~疑問点その2~
赤井、よくあれだけ黒ずくめに姿見せといてばれませんでしたよね?あそこでバレたら原作にも影響してくるからなんでしょうけど…
あんなすごい狙撃者は赤井しかいないので黒ずくめにばれるのも時間の問題かなと思いました☆
{/netabare}
という感じで、今回はどちらかというと

アクションメインな感じで、カッコいい!
という場面が多かったかなと思います♪
いつもとは違う感じでしたが
アクション と捉えるととてもよかった作品だと思います♪


~追記、お気に入り♡~
{netabare}コナンが黒ずくめ達がいると思われる、東都水族館に向かうときに灰原が言ったセリフ
「行かないで‥」

ふいにコナンの腕を掴んで言った言葉です!
子供の姿だったのが少し残念でしたがwとてもきゅんとしました♡


~ちょっと笑えたところ~
コナンが工藤新一で、蘭からかかってきた電話に出て、話をしていたとき、東都水族館の音楽が流れて来たところ
コナンは黒ずくめの計画を阻止しようとしていてそんなことは全く気づきませんでしたが蘭に誤解されかねませんでしたねw
{/netabare}
~いつもの定番物の…~
{netabare}
阿賀博士のなぞなぞ!w
今回は以外と簡単だったかなと思いました☆
※興味ない人は飛ばしてくださいm(__)m
{netabare}
Qその色をまじりっけなしに塗り込んでいくと、変身してしまうものは次の4つのど~れじゃ
1赤色
2青色
3茶色
4黒色
A {netabare}茶色{/netabare}
{netabare}言い換えてみて、赤がまっ赤、青がまっ青、茶色がまっ茶、黒色まっ黒
茶色がまっ茶→抹茶になるということです☆
{/netabare}
{/netabare}

そして、何かしらある毛利小五郎の水にドボン!
毎回の定番でしたが…今回はありませんでした☆
というか、コナンや皆が危険な目にあってる時もず~っと車で寝ていました‥今回は何もやっていませんでしたね…(  ̄▽ ̄)
{/netabare}
主題歌はB′zさんで「世界はあなたの色になる」です
5年ぶりの映画主題歌書き下ろしだそうです☆
ぜひ聞いてみてください♪

最後に…
コナンはリアルに考えると死んだのは2回ですかね?
{netabare}観覧車ごと、真っ逆さまに落ちたところ
観覧車から棒?までベルトで伸ばして飛んで、乗り移ったところ
{/netabare}
今回はコナンよりも他の人達(安室、公安の人など)の方がよっぽど危険だったと思いますw


そして来年は平次が登場!
世良、キッド、黒ずくめ!
と来て平次ですかw
どんなのになるかはまだ分かりませんが
来年も楽しみにして見たいなと思います♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【コナン×公安×FBI×黒の組織】の直接対決が初めて描かれる20周年に相応しい一大スペクタクルムービー

劇場版『名探偵コナン』シリーズ第20作目(『ルパンVSコナン』は除きます)
監督は『沈黙の15分』以降お馴染みとなった静野礼文
脚本は『絶海の探偵』と『業火の向日葵』の櫻井武晴
劇場版では初めて安室(公安)と赤井(FBI)が題材にされ、また原作やテレビシリーズに先立って黒の組織のNo.2と目される‟ラム”自身が登場します


警察庁で極秘に管理されていた世界各地のノックリスト(スパイリスト)を盗み出した黒の組織の女性工作員
自身も黒の組織に潜入捜査しているバーボン、こと安室透は逃走する女を追跡しカーチェイスを繰り広げる
そこにFBIの赤井秀一も乱入し大事故の末に女は海に転落する
翌日、記憶喪失になってしまいノックリストの行方や自身が黒の組織の一員であることを忘れてしまった女は偶然にもコナン達に保護される
女の記憶を取り戻してあげようと奮闘する少年探偵団だったが、灰原哀は女が黒の組織の‟ラム”である可能性を示唆し警戒する
一方で公安、FBI、黒の組織は各々に女の行方を追っていたが、ジンは女が送った不完全なノックリストに従ってノックと思しきメンバーの始末を始める
そのリストの中にはバーボン(安室透)とキール(水無怜奈)の名も入っていた・・・


黒の組織が絡む劇場版は大概しょうもないオチがついて終わるものばかりですが、今作は原作の根幹に関わる部分が描かれているとあって黒の組織を廻るキャラが総出演
20周年に相応しい大作に仕上がったと思います


冒頭の首都高11号線(レインボーブリッジ)をモデルにしたカーチェイスは『頭文字D』も真っ青の迫力のCGで描かれ、多重クラッシュや大爆発も相まってコレだけでも劇場に足を運ぶ価値ありますし、中盤までは謎の女の正体が‟ラム”なのか否かが物語を強く引っ張ってくれます


本来なら協力関係を結ぶべき公安とFBIが安室と赤井の私怨のせいで仲違いし、その仲をコナンが取り持つってのには笑ってしまうところですが、二人の対決(素手で殴り合うwガンダムかよw)は作画もめちゃくちゃ良くって大きな観どころの一つです
公安が表立って登場するということで目暮警部はじめ警視庁は蚊帳の外に置かれてしまうのもリアルでしたね


ウォッカやベルモットの静止も聞かず、ノックの始末に躍起になって暴走するジンは本当に怖い
クライマックスでは遂にオスプレイまで担ぎ出しお台場と葛西臨海公園をモデルにした舞台を大破壊する様は圧巻
最後まで全く目が離せず釘付けになりました
コレにイレギュラー的に巻き込まれる蘭や少年探偵団は最早お約束ですが【日本映画においてここまで派手に名所を破壊しまくってるのは『コナン』と『ゴジラ』ぐらい】なもんでしょうw
とにかくドキドキする映画がお好きな方には率直にオススメ出来ます!


しかしバーボンとキールを捕らえ躊躇無く始末すると断言したにも関わらず「待ってやる」と約束を守ってくれるジンは本当は優しいヤツなのかな?とも思ったりw


今作、唯一惜しいなと感じたのが鍵を握る記憶喪失の女を演じるのが天海祐希だということでしょうか
正直違和感というか・・・声優は初めてじゃないはずですし、天海祐希ほどの大女優を持ってしても声の演技とは難しいものなのか・・・と、痛感致しました


今作ラストの手放しでない結末はオイラとして最も評価をしたいポイントです
まあ、あれほど好き勝手やっておいてタダではすまんだろうとは思っていましたが
観終えた後に何色の気持ちになるか?とは今作に添えた青山剛昌先生のコメントですが、オイラは‟良い意味で”ブルーになりました
さあ、あなたは何色に染まりましたかな?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

異能力バトルアニメ!名探偵コナン!!

 毎年私の周りにファンが多いこともあって、4月の風物詩となっているコナン映画ですが、今年も楽しんできました!

 今回は黒の組織メイン回と言うことで、割と期待していきましたが、やはり私の求めているコナン映画とは違っていました…面白いんですけどね
 まあアクション路線になってからも売り上げは伸びてますしね…

 なんというか作画が凄い、歴代でも最高レベルのアクションものです!超人が沢山出てくるスマブラみたいな映画です(適当)
 こいつら防御力高すぎだろ…。

 あと、コナン映画にB'zはやっぱり合いますぜ!

 アムロとシャア的な意味で面白い掛け合いもありました。
 ガンダムファン必見ですね!?

 あと記念すべき20作目ということで、コナン映画なんでも一本無料でみれる熱いやつをもらえます。(私はレクイエムにGOするつもりです。)

以下ネタバレ付き感想(推理映画求めてた人の)
{netabare}
 何が良くないって、推理シーンほぼなかったんですもの…。
 館とかクローズドサークルで次々殺人が起こるとか、ベタな感じのものそろそろ欲しい…。

 チェイサー同様、黒の組織は相変わらず派手な行動をとります。
 「弾丸の雨を…」で笑いました。またかよ!てか内部にスパイ多すぎだろ!全然隠れてないなお前ら!
 
 面白かったのは声優さんで、アムロとシャアが熱い戦いを繰り広げるガンダムファンが熱くなれそうなシーンがありましたね!(ぶっちゃけ何してんだ?こいつらって感じのシーンですが…)

 ゲスト声優が前回より大分いいです!良い声ではありませんが…違和感はさほどありません。(むしろ小五郎にまだ慣れない…)
 
 驚いたのはここにきて映画名物の「ラアアアアアアアアアアアアアン!!」がなかったことです!てかランがヒロインしてなかった映画って今までありましたっけ?
 ランのサイヤ人シーンが無かったのは良かったです。

 視聴後はなんかよくわからない気持ちになりました。あまり気持ちの良い終わり方ではないです。
 感動する人はしそう。個人的には極悪犯罪組織の一員が、この程度で懐柔することに驚きました。黒の組織のマネジメント能力に問題アリですね…。

 あと公安の無能っぷり…なぜ一対一で乗った?てか記憶取り戻すために乗ったならあそこで背を向けて救急車よぶのはおかしいだろ…。むしろ警戒しろよ。

 博士さんが少し不憫なシーン多かったです。「ワシじゃよ新一(ゲス顔)」展開は流石に期待できそうもないですね…。

 一番テンションが上がったのは次回予告!
 「平次きたああああああああああ!」
 これはマジで事件&推理の予感!
{/netabare}
 なんだかんだ毎回楽しんでるツンデレコナン映画好きの感想でした(^^)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

63.7 4 戦いで花火なアニメランキング4位
ぼくらの七日間戦争(アニメ映画)

2019年12月13日
★★★★☆ 3.3 (59)
238人が棚に入れました
いつもひとりで本ばかり読んでいる、鈴原守。話し相手といえば、同じ歴史マニアが集うチャットのメンバー。「青春時代は、人生の解放区よ」。平均年齢還暦越えと思われるその場所で、今日もメンバーの一人が、恋に悩む守にからかい半分のエールをくれた。片思いの相手は、お隣に住む幼馴染の千代野綾。しかし綾は、議員である父親の都合で東京へ引っ越すことを迫られていた。しかも、いきなり一週間後。それは守が密かにプレゼントを用意していた彼女の誕生日の目前だった。「せめて、17歳の誕生日は、この街で迎えたかったな」。やり場のない綾の本音を聞き、守は思い切って告げる。「逃げましょう……っ!」。綾の親友・山咲香織をはじめ、明るく人気者の緒形壮馬、ノリのいい阿久津紗希、秀才の本庄博人までもがこの逃避行に加わり、駆け落ちを夢見ていた守は拍子抜けするが、特別な夏の始まりには違いなかった。もはや観光施設にも使われていない古い石炭工場を秘密基地に、ただ7日間、大人から隠れるだけのバースデー・キャンプ。それは、少年たちの精一杯の反抗だった。立坑櫓たてこうやぐらがそびえ立つ屋上へと登れば、どこまでも高く広がる空が、彼らを迎えた。だが、その夜、工場に潜んでいたタイ人の子供・マレットと出会ったことで、事態は想像もしなかった方向へ向かう。不法滞在で入国管理局に捕らわれかけていた所を間一髪助けると、はぐれた家族を探しているのだと、守たちに打ち明けた――2日目の朝、今度は武装した入国管理局の職員が、マレットを連れ去りにハンマーを振りかぶり工場へ突入してきた。守は、仲間たちの協力のもと、敵の撃退作戦を決行する!

声優・キャラクター
北村匠海、芳根京子、潘めぐみ、鈴木達央、大塚剛央、道井悠、小市眞琴、櫻井孝宏
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

はぁひっど

視聴理由 人気小説

視聴前 宮沢りえさん出るの!?

視聴後 え?

このレビューは視聴後怒りに任せ書きなぐったため、「いやこれは日が経てばきっと違う意見も出るのだろう」と蓄えた結果何も変わらなかったレビューです。批判多めの頭の悪いレビューですが許して

この話はかつて廃墟に7日間立てこもり、解放区に愛をこめた年から30年後の話
ジャンルは学園・恋愛
はぁ最近は罪を犯さないとダメなんですかね
いや、わかりますよ。高校生のあの独特な青春の感覚を表現したかったんでしょうね。ただそれを罪を犯してまでも、っていうのがどうも気に入らない
内容です。一応設定としてはあの立てこもりから30年後らしいです。なのでわざわざ私は友人から本を借りたんですよ。そしたらほとんど要素なしですよ?w最後五分に宮沢りえさんが演じる中山ひとみが出てきて終わり…w
そして素晴らしいのが主人公のうざさですね。これクラスメートにいたら目立たないレベルじゃなくていじめられてますよ(少なくとも私のクラスにいたらいじめられてた)。展開の上で仕方ないのかもしれませんが、主人公がアホにしか見えません。どういうこっちゃ。
私がこの作品を見終わったときに抱いた感情はおそらく、キャラに対する哀れみです。主人公たちは全国の学生が我慢した「大人の理不尽」を「そんなのはおかしい!」と言いながら反抗しています。いや「周りが我慢しているからあなたも我慢しなさい!」という至極アホな意見をしたいのではありません。なんかこの後を考えれるとものすごく可哀想なんですよね。なんか怒りよりそっちのほうが大きいですw
あと中山ひとみが「私の経験則」と言っていましたが、1つ言わせてもらいます。「アナタ7日観戦の時あまり関係なかったでしょ!」(視聴する際友人から「ぼくらの七日間戦争」1冊だけ借りたので続編などで中山ひとみがとんでもないことをするなら別ですが)と。中山ひとみは戦争に協力という形で参加そして大した活躍もせずただただスパイ(外の見回りや保護者会の報告)活動をしていただけ。久美子ちゃんとか勇ましく、優しいにも関わらずなんですかあの女の子。正直あの作品の中で一番嫌いな女の子です。そんな子(しかも関わってたことがバレてない)が事件の風評を受けるはずがない。なんの説得にもなってませんよね

最近のアニメの少年主人公は犯罪を犯さないとダメなんですかね。怖い怖い。書籍(七日間戦争)では警察を出させて終わりですが、今回は{netabare}公務執行妨害(これは微妙)、住居不法侵入、不法滞在etc{/netabare}ひどいね
そして一番のお笑いポイントはあんだけ「中山ひとみ役であの宮沢りえが!」とほざいていたようですが(別に宮沢さんが嫌いではないです)、{netabare}残り5分で3言喋って終わり {/netabare}ってw
しかもそれでエンドロールにて3番目に「特別出演」として名前が出てるんですよ?宮沢さんよりずっとセリフがあったキャラクターがそれ以降って…どうも解せないねw
まぁ良かった点は「ここからがスタートラインだった」というキャッチコピーですね。人はスタートやゴールを自分で設定できます。そのスタートラインはいくつも引いてあっていくつもゴールが存在していることを認めなければなりません。今回主人公たちは新たなスタートラインを引きましたが、決してゴールを設けたのではないのでしょう。今までの自分を背負いながらも未来へ歩き出したのでしょう。その姿勢は素晴らしいし、そのテーマも悪くはありません。
しかし(何回使うんだ)、ラストが正直吐き気がするようなラストでした。{netabare}いじめられっ子が陽キャになってイキってる?別に良くないですか!?正直「いじめられてたんですよ」とかTwitterで言ってる奴の方がヘドが出る。ま、壮馬君に関しては周りがクソです。しかし(はたまた登場)他の被害者キャラはサイテーのクズ(約2名)じゃん。香は救いがない。あんだけ「コッチが嫌になる」とか友達に「私実は我慢してるんですよ。偉いでしょ?」アピールしてる時点でも気持ち悪いが、その理由も自分の父親(家)のために自分から近づくのは本当に吐き気がする。それにあの言い訳「最初はそうだったけど!今は違うの!」誰が信じるんだクズ。最初はそうだったけど、と自白することで自分の非を認めその後の言葉に信憑性を持たしてるつもりなんだろうが、アホすぎる。本当に死ねばいいのに。
さらにあのクソメガネ。自分のことを縛ってる家を憎み、その家から解放させてくれようとする腐れ縁(恐らく幼なじみ)を憎み、は?アナタ何したいの?全てのことにあーだこーだ言って結局何も行動を起こせず、縛られたまま。そして縛られたまま「俺は実はこう思っていたのを我慢してたんだ!」死ね。こういうのマジで一番嫌い。自分を正解だと信じてやまないし、その「正解」とやらを視聴するだけして「間違い」を正そうとしない。本当に嫌い。否定から入る厄介ヲタクでもこんなクソみたいな行動はしないよ。挙句にはなに?本当は嬉しかったんだ?誰が信じるんだよ。もう写真を撮って「コイツウザイ死ねばいいのに」と言ったやつがそんな善意を言えるわけが無いでしょ{/netabare}
更にさらにその後の展開にも苛立ち{netabare}ええ。別に私はLGBTについてとやかく言うつもりもないですし、なんならそれで困っている人がいるなら助けてあげたいです。しかし、今回は話が別です。現在注目されているLGBTについてラストの「友達としてじゃなくて好きなの!」という綾ちゃんの告白を受けて動きなし。はぁ?これで困惑したら炎上ですが、何も関わらず結局有耶無耶になるのはどうしても制作側が「今LGBTについて注目されてるし、関係性を維持するならテキトーに女の子に告っとくか」みたいな安直な愚行をするのは本当に吐き気がする。まぁ正直このシーンだけだったら別にいいんですよ。そのあとの「え!?女の子!?」が来た瞬間にもうね。いやきっと深い意味はないんですよ(だから吐き気がするのだが)。ただ単純にコメディで終わらせたかったんですよ。途中から一人称が変わったのだってきっと制作側に撮っては些細なことなのでしょう。しかし私も差別をあまり好まない人間です。この作品のラストには制作側に対する苛立ちしか覚えませんでした{/netabare}
ともかくラストに関してはキャラにも制作側にも怒りを感じました

ふぅ落ち着こう

監督は村野佑太さん。異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術の監督ですね。( ´ ▽ ` )ナルホド
脚本は大河内一楼さん。コードギアスやカバネリのシリーズ構成を担当した方ですが…なんでこんな大物がクソ脚本を…
キャラデザは清水洋さん。ドラえもん映画のキャラデザを務めたこともあるそう
劇伴は市川淳さん。未確認で進行形の劇伴を担当した方ですね。確かに臨場感があったのは認めます
制作は亜細亜堂さん。異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術を制作したところです。

作画はちょっと手抜きを感じました。キャラデザが安定しなかったり。特に目立ったのが遠くの人物の作画です。遠方に写った主人公やモブ達が酷かったです。しかもカクカク(なめらかではない)でした。もう少し頑張って欲しいと思っちゃいました
主題歌はSano ibukiさんの「決戦前夜」素晴らしい歌なのは間違いないのですが、BUMP OF CHICKENさんに似てるかなぁという感じが
声優さんは普通でしたが宮沢りえさんを3番目が解せないです

総合評価 哀れみと怒りを集めた作品

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

リメイクではなく続編。無意味な結末の意味を感じたい作品です。

 意外なことにリメイクではなく続編でした。作品として、アニメの水準は決して高くありません。そこはあまり評価できませんが、この映画を見たときに重要なのは「気分」だと思います。

「打ち上げ花火…」と似たようなプロットで、ヒロインの親との関係は「君の名は」の設定に近い感じです。16歳という自意識は大人だけど大人のしがらみに翻弄される大人になり切れない年代の話でした。友人関係や恋愛感情なども絡んできます。

 7日間の抵抗の結末は誰でも予想はつきます。結果は変えられないけど、戦った事実が意味になるというテーマだったと思います。その抵抗があったからこそ告白も出来たし、親とのコミュニケーションも取れたということでしょう。

 ヒロイン父の政治家設定とか、警察の動きとか、細かく言えば不自然な部分は沢山あります。ただ、それでこの作品の本当に描きたい事を見失うのはどうかと思います。

「玉すだれ」の名前は最後に明らかになります。{netabare}「菊池ひとみ」みたいですね。実写版も原作も見てないですが、もちろん戦車の写真で引っ掛かります。そうなれば、BGMとあいまって、前作の登場人物に関係あるんだろうなあ、と読み取れます。で、前作の登場人物の名前を調べてみるとどうやら前作のヒロインが結婚して名前が変わっているという事みたいです。 {/netabare}つまり、続編ということです。

 確か原作と映画は中学生の物語。色濃く学生運動の気分が乗っかった話だったみたいです。
 今は高校生の物語。年齢と行動のバランスでは本作のほうがリアリティはある気がしますが、どうでしょう?ただし、学生の造形が2020年の学生ではない気がします。

 タイ人は、それがないとストーリーにならなかったから、というのが正解な気がします。少年としての大儀も生まれないし。

 スクールカーストとか毒親とかそういう感じのゼロ年代前半くらいのイメージに感じました。クリエータのアップデートがそこで止まっている感じはあります。いちおうSNSとか出して今っぽいですけどね。
 あと2年すれば18歳でそうなれば自由に会えるじゃん、という感想も一瞬持ちましたが、しかし、16歳のこの時期の2年はかなり長いですよね。いま、この場でやることが重要だという感覚は忘れたくないものです。

 本作のみんなで叫びながら本音を言い合う部分など、非常に古い学生のイメージです。でも、あの場面がある人生と何も語らないで大人になる人生で、何かが違う気がします。「本音」を言葉にだして伝えることで、大人になれたのでしょう。形式上の結末は変えられませんが、意思は伝わり多分その後に影響するでしょう。


 総評です。確かに作画は安っぽい部分はあるし、ストーリーや設定にも無理がある部分はあります。しかし、そんなことを言えばSFや異世界、ファンタジーだって、みんな無理はあります。そこを外して批判をするには惜しい作品です。ひと夏の冒険の「無意味さ」がもたらす意味を味わいたい作品です。

 なお、原作は宗田理さんですが、この人のぼくらシリーズは正直なところジュブナイルの中でも小学生向けと呼べる文体で、挑戦はしましたが数ページで断念したことがあります。もともとそういう性質の話のリメイクなので、話の不整合・不自然・出来の悪さは、あまり気にならなかったという感じもあります。
 一方で宮沢りえさんを今更引っ張って来て、ぼくらの7日間戦争を冠するのは、ちょっと広告代理店の匂いもするのはよろしく無かったです。

 けなす一方ですが、それでも不思議な面白さはありました。プロットが悪くても脚本とか演出が良かったのかもしれません。

 あまり高い評価はつけられませんが、主観的には悪くない感動がありました。70点くらいはある気がします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

merolin08 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

一夏の青春

 アニメ放題で新着に来てたので、実写映画・小説等未読でストーリーだけなんとなく知ってる、くらいの状態で視聴しました。
 The 青春。クサいくらいの青春が大好物という人はオススメです。映画なので、音楽・作画・演出など凝れるところは惜しみなく凝ってる感じがして、どれもかなり良かったと思います。キャラデザは角が無い感じであまり印象が強いタイプではないですが、建物や自然の作画は迫力もあって、他と比べてもレベルが高いと感じました。主題歌も当時実写映画を見た世代にはたまらないのかな?てか、それ関係なしでもめっちゃいい曲でした。といっても良作というには少しツッコミどころがある作品になっている感は否めないです。
 まずは「テンポ」。序盤がかなりハイテンポでサクサク展開していくので、個人的には各キャラに感情移入できないまま話が本筋へと入っていってしまった印象でした。不法侵入という違法行為にも少し躊躇がなさすぎるかなぁ、もう少し他の案を出してそれらがダメそうだからやむなく…、くらいじゃないと最初「シンプル犯罪!」って思う人も多そう。
 次に「ストーリー」。これは原作からそこまで改変してないからベタになっちゃってるのか、読んでないから分からんのですが。つってもSNSとかは当時はなかっただろうからアニメオリジナルじゃないかと思うんですが、それを含めても展開の目新しさは薄かったですね。良く言えば安心して観られる、悪く言えば退屈といった感じ。ただ安易に {netabare}守と千代野を両想い{/netabare} にしなかったところは良かったポイントだと思います。あと、前でちょろっと触れたように多少ツッコミどころあるシーンがちらほら。
 あとはキャストが悪いみたいな意見が多いっぽいですが、僕はそこまで気になりませんでした。声優さんじゃなさそうだなぁ、とは思いましたが別に「下手くそ!」とかは思いませんでしたね、好き嫌いのレベルじゃないかと思います。
 総評ですが1時間半とくに飽きずに観れて、普通に楽しめました。と言っても、映像の綺麗さと音楽でベタな展開を補っている感じはしましたね。序盤でもう少し各キャラを掘り下げてくれたらもっと楽しめたんじゃないかなぁ、と思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
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