ツンデレで恋愛なアニメ映画ランキング 11

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のツンデレで恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のツンデレで恋愛なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.1 1 ツンデレで恋愛なアニメランキング1位
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(アニメ映画)

2019年6月15日
★★★★★ 4.1 (570)
2978人が棚に入れました
空と海が輝く街“藤沢"に暮らす梓川咲太は高校二年生。先輩で恋人の桜島麻衣と過ごす心躍る日常は、初恋の相手、牧ノ原翔子の出現により一変する。何故か翔子は「中学生」と「大人」がふたり存在しているのだ。やむなく翔子と一緒に住むことになった咲太は「大人翔子」に翻弄され、麻衣との関係がぎくしゃくしてしまう。そんな中、「中学生翔子」が重い病気を患っていることが判明し、咲太の傷跡が疼き始める――。

声優・キャラクター
石川界人、瀬戸麻沙美、水瀬いのり、東山奈央、種﨑敦美、内田真礼、久保ユリカ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この映画無くして『青ブタ』は語れない_眠れない_トロイメライ_今作に携わった全ての人達に「ありがとう」「がんばったね」「大好き」を伝えたくて(おまけ追記)

まだ記憶にも新しい2018年秋期に全13話のテレビシリーズが放送された『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(以下、『青ブタ』)
テレビシリーズの中では紐解かれなかった主人公、梓川咲太の胸の傷の謎と咲太の初恋の相手、牧之原翔子の秘密を軸に描かれるシリーズの完結篇となる89分の劇場作品
「思春期症候群」と呼ばれる不可思議現象を発端に描かれるSF青春ドラマです
基本的にテレビシリーズ全話で張られていた全伏線の全回収でありつつ、尺の都合であらすじ等も全てカットした上で矢継ぎ早に展開が進んでいくのでテレビシリーズを最初から最後まで把握していないとさっぱり着いていけないと思います


3年前、小学4年生の牧之原翔子ちゃんは将来のスケジュールという学校の課題を書けずに思い悩んでいた…
実は翔子ちゃんは心臓移植を受けないと治らない病に侵されており、中学の卒業を待たずしてこの世を去る運命にあるのだという
3年後の12月8日、花楓の人格と記憶が元に戻る騒動が落ち着いた梓川家に来訪者が現れる
それは梓川咲太の初恋の人であり、咲太に心の支えが必要なここぞという時に現れる大人の姿をした牧之原翔子さんだった
無理矢理に梓川家に居候する翔子さんと、それを良しとしない現・彼女の桜島麻衣さんの間で火花が散る
そんな修羅場も落ち着かないまま、咲太は病院で中学生の姿の牧之原翔子ちゃんと出くわす
翔子ちゃんから幼い頃から入退院を繰り返している事や心臓移植に関する話を打ち明けてもらった咲太は、翔子ちゃんと翔子さんが同時に存在するのは翔子ちゃんの未来への不安が起こした「思春期症候群」の一種だとして解決策を模索する
やがて翔子さんは移植手術を成功させた未来からやってきた事、そしてその心臓は咲太の心臓である事が明かされていく
翔子ちゃんを救う為、咲太は自分の命を捧げるべきなのか困惑する…


テレビシリーズのレビュでも書きましたが、このシリーズは【ゼロ年代ヲタク文学の総決算】です
○○の“パクリ”と見下すことは簡単なのですが、その一言では片付けられない高尚な、ヲタク文学への愛とリスペクト、そしてSFへの昇華が込められてる作品だと思うのです
その上で今作では2010年前後に隆盛を極めた作品の要素も補完する方向にシフトしています
具体的にオイラが思い浮かべたのは『Angel Beats!』『CLANNAD』『STEINS;GATE』『アスラクライン』辺りです


また、主題に“生命の選択”や“人は何の為に生きていくのか”という普遍的な内容を孕んでいる為、今後新たに世に出てくるであろう無数の作品達と今作を比較してみるのも面白いと感じました
つい昨日も『響けユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』(「がんばったね」のくだりについて)や『ミュウツーの逆襲』や『トイストーリー4』や『ニノ国』(生命の選択や自己犠牲を美化するか否か)に絡めて『青ブタ』の方が上手く纏められてるのでは?とか、そんな話ばっかをぽ~か~さん達と話してましたw
アニメだと自己犠牲って美談として描かれがちですが、冷静に考えて17歳の少年が自分の命を捧げる、なんて事が良い話なわけがない
クライマックスまで観ていただければお解りの通り、今作は自己犠牲を否定する作品なんです


もちろん本編の全体の出来栄えがとにかく素晴らしい
ざっくり言って“お涙頂戴モノ”ですのでハッキリと苦手な人の方が多い内容だとは思います
でも面白くなかったらオイラだって計11回も劇場に足を運びませんからねw
人生で一番多くリピートした映画になりましたよ
テレビシリーズから順当に考えると今作は“翔子のお当番回”と考えたくなりますが、これまでもヒロイン達を救う為に必死になってきた咲太が、遂には翔子の為に自らの命を捧げなければいけない、とまでに追い詰められます
そしてこの絶体絶命の咲太の助けとなるのがテレビシリーズで咲太に助けられたヒロイン1人1人だというのがアツい
この辺のくだりは涙を誘う展開と熱量を感じる展開が交互に繰り返されて非常に滾るものがあります
そして広い意味で今作をもってしてシリーズ全体の“咲太の物語”に一区切りが着くことに気付くと思います
咲太を演じた石川界人さんは今作を持ってして完結とするのが一番幕引きに相応しいのでは?と、今後続篇があるとは思っていないようです


それにしてもこれほどの内容を89分に纏め上げた横谷さんの脚本力、それをテレビシリーズ終了から僅か5ヶ月弱で実現した増井監督率いるスタッフの手腕、そしてキャストによる渾身の演技、どれも大変素晴らしいです
先日、スタッフトークショーに参加してきましたが89分という尺は予算の都合上の絶対条件だったそうです、本当にお疲れ様でした
逆に濃密に内容が詰まったテンポ感こそ『青ブタ』だと思うのでこの選択は結果的に正解だと思いますb
最近、アニメ映画にタレントキャストは必要なのか?という話題を度々目にしますが、逆に考えればプロ声優の底力を感じる映画こそがこの『青ブタ』なんだとも思いますね
それにテレビシリーズからこんなにも早期に映画化の企画が為されたにも関わらず、キチンとした作品を完成させたことは本当に賞賛されるべきことだと感じます
完成が遅れて延期に次ぐ延期とか、そもそも企画された枠の中に納まらずお蔵入りとか、完成したものが極端に低クオリティ…とかいう作品も蔓延っているのが現代のアニメ業界の現実ですからね


唯一失敗と言える事を強いて挙げるのであれば、テレビシリーズ放送前から映画化が決まってたので作品人気の度合いが計り知れず、ファーストランの上映館が経ったの31館しか稼げなかった事でしょうか
おかげで連日満員、入場特典はおろかパンフすら瞬殺
あんなバズり方をするアニメ映画は至極久々です


ところで『青ブタ』の場合、テレビシリーズから一貫していた内容を短い尺に詰め込むことや、音を減らしてセリフを聴かせる、といった演出類が“映画だから”と奇をてらわずに実行されてるのが褒め称えたい
特にエンドロールでいつも通りのエンディングテーマ『不可思議のカルテ』で締め括るというのが感無量


オイラの一番お気に入りのシーケンスは12月31日の晩、ICUの前で寝てしまう咲太がこれまでの全ての出来事が走馬灯のように振り返えられていくフラッシュバックで時間が巻き戻る様を表現したカットですね
あの場面に合わせて作った、というfox capture planのBGMのピアノリバースがバッチリとハマっているのが気持ち良いです


正直いまは何の映画やアニメを観ても『青ブタ』との対比になってしまうwという我ながらメンドクサイ状態に陥っていますw
それほど今作を心の底から好きになれているのです
とにかくいま言いたいことを要約すると、今作に携わった全ての人達に
「ありがとう」
「がんばったね」
「大好き」
を伝えたい
これに尽きると思います


はなまる頂けましたかな?w


【おまけで追記】
双葉の髪型がポニーテールとナチュラルロングが日によって変わっていることに気付いた方もいると思います
何か法則があるのかと思い、テレビシリーズ含め"双葉の髪型のみ"を注視して鑑賞した結果を報告します
ずばり日付の末尾が奇数か偶数かで交代してることに気付きました!
…なんだそれだけかって?
基本的に日付の末尾が奇数だとナチュラルロング、偶数だとポニーテールになってました
これはテレビシリーズ8話で2人の双葉が融合した後の9月1日以降、両方の双葉がお互いを尊重し合っている、というメタファーなのでは?と受け取ってます
もちろん髪型以外の性格描写には変化は見受けられません
ちなみに映画劇中で咲太が「大人の梅ソーダ」を呑んだ際に一度リセットされ、奇数日がポニーテール、偶数日がナチュラルロングになってます
その後の大晦日から年明けに掛けて再リセットが起こり、ラストシークエンスの1月6日、つまり偶数日にはポニーテールに戻っています
何が言いたいのかって?
どっちも可愛いので両方交互に出て来てお得感凄い!制作スタッフGJ!って話がしたいだけですよw


【備忘録】
新宿バルト9で5回、川崎チネチッタLIVE ZOUNDで1回、川崎チネチッタ5番スクリーンで1回、ユナイテッドシネマアクアシティお台場で2回、EJアニメシアター新宿で2回、下北沢トリウッドで1回、立川シネマシティ シネマツーcスタ極上音響上映で1回
合計13回劇場で観て名実共に最も映画館でリピートしてる映画です
スタッフトークショーの増井監督、キャラデの田村さん、木田Pのサイン色紙持ってます

投稿 : 2024/12/21
♥ : 31

E=mc² さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

「ありがとう」 「頑張ったね」 「大好き」 を大切にして生きていく

期待しかない!!

めちゃくちゃ楽しみにしてた作品、やっと見ることができました。
真っ先に出てきた言葉は「原作読んでてよかった…」
尺とストーリー上仕方ないのかもしれないが、ざっと小説2巻分を1時間半に収めているので兎にも角にも時系列を追うのが大変すぎる。
その中でも上手くまとめられてはいたと思うが、鑑賞前でも後でも良いので原作を読むことを強くお勧めします。
後作画が放送時に比べてちょっとお粗末な感じで、若干声優さんが声を忘れてる?(今までとは空気が違うので仕方がない?)といった感じです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

初日舞台挨拶にも行ってきました

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶に行ってきました~・~・~・~・~

第一希望の上映後舞台挨拶は落ちて
上映前舞台挨拶に行ってきました

上映前ということはつまり
これから見る人に向けたメッセージですから
原則ネタバレ無しということです

本当はネタバレありで面白い裏話をたくさん聞ける
上映後舞台挨拶の方が好きなのですが
まだ観ていない大多数の方にも
ネタバレなしでトークの内容をお伝えできる点は
いいかもしれませんね

原作は現在読んでいる途中で
まだ劇場版相当部分に辿り着いていませんが
映画の内容は原作の6巻と7巻にあたるようです
TVシリーズは
1巻バニーガール先輩
2巻プチデビル後輩
3巻ロジカルウィッチ
4巻シスコンアイドル
5巻おるすばん妹
までを中心に
最終話で6のエピソードを少し添える形で
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
という題名で放送していましたが

今回の劇場版は
6巻ゆめみる少女
7巻ハツコイ少女
の二つを
青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
というタイトルでアニメ化しています

1~5巻がそれぞれ
麻衣、朋絵、理央、のどか、かえでの話なので
舞台挨拶に行くまではゆめみる少女という題名から
翔子がメインの話だと思っていました
しかし舞台挨拶でこれから見る人たちに向けて監督から出た言葉は
「TVシリーズはそれぞれの女の子達の話でしたが
劇場版は咲太の話です」
というもの
そして実際翔子が重要な役割を担って入るものの
咲太が自身に起きている思春期症候群を解決するため奔走する話であり
TVシリーズで少しずつ蒔いてきた伏線を
がっつり回収する構成になっています

したがってTV版見てないよ!という方は
これを観る前にTV版を見てくるか
原作小説を5巻まで読む必要があります

逆にTV版を観たのであれば
ぜひ劇場版もセットで見るべきだと思います
TV版とは独立したエピソードというよりは
TV版の完結編とでも言うべき作品なので
(原作はそこで完結せずにそのまま続いていますが)
これを見ることでTV版の評価も変わるんじゃないかと思います

一般公開前ということもあり
内容に関してのより突っ込んだ話は控えることにして
一般公開後に原作読了状態で
再び劇場に足を運ぶ予定なので
そのあとでまたレビューしようと思います

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ無し)

{netabare}監督:増井壮一

4日前まで今日が何曜日かもわからないような
忙しい生活を続けていた
ふらふらと入ったコンビニで
ちょうど青ブタコラボをやっていて
コラボ商品をぼんやり眺めながら思ったのは
「へぇ・・・青ブタ映画やるんだなぁ」

あんたがボロボロ二なりながら作ってるやつだよ!

梓川咲太役:石川界人

作品の見どころを聞かれて

「人間の限界を越えようと頑張ったけど
実際には全然できてなかった
あれは山寺宏一さんにしかできないやつだと思う」

簡単に説明するとテンションの違う二人の掛け合いを
一人芝居でこなさなきゃいけないシーンがあるんですね
実際には無理だったということなので
おそらく2度に分けて録ったのだと思います

彼は山ちゃんにしか無理と言っていましたが
君嘘フィナーレにおける朗読劇では花江夏樹が
公生と黒猫の一人芝居を見事に生で演じきっていましたよ?(・x・;

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

水瀬「アフレコがだいたい・・・2月くらいだったと思うんですけど」
瀬戸「あれ?3月じゃなかった」
石川「いや4月だったような気も・・・」
瀬戸「それはないよ!4月じゃ昨日じゃん!」

いや・・・昨日ではないと思うよ?
というかそこはそんなに掘り下げ必要かなw?

牧之原翔子役:水瀬いのり

事前情報の無いサプライズ登壇でした
水瀬「この後でみんながツィッターとかにあげて
私のファンが悔しがるやつですよ(にやにや)」
石川「でも、絶対欠かせない役だし、水瀬さんのイベントスケジュール確認して、サプライズ目当てでここにきてるファンもいるかもしれませんよ?」
水瀬「・・・」
司会「今日水瀬さんが来るのを予想してここに来た人っていますか?」
ぱらぱらと手が上がったのを見て、心の底から嫌そうに
水瀬「怖っ!!」

ファンにそういう態度とってるとまた換金所のババァって言われちゃうよw

思春期症候群の話になって
それぞれどんな思春期を送っていたかという質問になりました

監督:増井壮一

「高校の時は勉強とか全然してなかった
数学の二階建ての公式が覚えられなくて
こんなもの覚えて俺の将来に何の役に立つのか?
と先生に訊いたけど
『とにかく覚えろ!』しか言わないから
それ以来勉強するのをやめた」

まぁ勉強なんかしなくてもほかの手段で食べていけるなら
それはそれでいいと思いますねw

梓川咲太役:石川界人

石川「高校生くらいの頃は・・・周りに誰もいませんでしたね」
司会「それはぼっちというやつでは?」
石川「人の傷をえぐらないでください(悲)」
石川「まぁ・・・人間が嫌いでしたからね・・・」

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

瀬戸「高校に入って知り合いが全然いない環境になったのをきっかけに
いわゆる高校デビューってやつで
クールな一匹狼キャラになろうと思った
そういうのがカッコいいと思ってた
でも入ってすぐにクラスの子に話しかけられて
すぐ仲良くなって部活とかにも入って
全然そういう感じにならなかったw」
石川「( ゚д゚)<・・・」

一匹狼がカッコいいとか言い出した時は
石川君のフォローしてあげるのかな?
とか思ったんですが最終的には
石川君のぼっちぶりが際立つ方向にw

牧之原翔子役:水瀬いのり

水瀬「高校生くらいの頃は
大人のどこがえらいのか?
ちょっと30㎝くらい大きいだけで
なんでそんなに偉そうなのか?
オーデションに行っても
お前ら私を評価するとか何様のつもりだよ!?
って思ってました」
瀬戸「評価してもらうために自分からオーディションにきて
評価されたくないって矛盾してますねw」
水瀬「ほんとその通りですよね
まぁそれでたくさん炎上したりもしました・・・」
瀬戸「自分からほじくり返さないでいいからw」

どうやら炎上の件を多少は気にしている模様w
{/netabare}

~・~・~・~・~公開記念舞台挨拶にも行ってきました~・~・~・~・~

原作をしっかり読んだうえで初日舞台挨拶に行き
その翌日に3回目をあにこれメンバーといってきました

これでもかというくらいぎゅうぎゅうに詰め込んだ作品なので
原作からはいろいろ削られてる部分があったり
地の分の説明が無くなってわかりにくくなっているところがあったり
原作で補完してから見た方がより引き込まれる作品でした

実際初見のときより原作読んでから見た2回目の方が
一人一人の細かい心情まではっきりとわかって倍くらい泣けた
というか上映時間の半分くらい泣いてた気がします(つдT)

おまけ:舞台挨拶雑感(ネタバレ込み)

{netabare}司会(天津向)

どうも!司会のムカイオサムでーす

へー・・・天津の向って下の名前おさむだったんだね
とか思ってたら

梓川咲太役:石川界人

石川「どうも梓川咲太役の向井理です」
向「それさっきダダ滑りだったから!
  傷口に塩塗り込まないで!
  大体やったらバカウケだよって煽ったの君らでしょ!」
石川「いやー・・・面白かったですよね?」

観客に同意を求めるもまばらな拍手

向「義理の拍手すら最低限じゃん!」
瀬戸「そろそろ挨拶してもいいかしら?」
向・石川「…」

初日の映画のヒットの話になって

石川「僕いつもエゴサしてるんですけど・・・」
周りがみんなかわいそうな目で見るのを受けて
石川「エゴサ位したっていいだろぉぉぉ」
周り「・・・」
石川「エゴサして全部のツイート読むようにしてるんですけど
  #青ブタがトレンド入りして
  読んでも読んでも読み切れなくなってる
  嬉しい悲鳴」
水瀬「皆さんこれ終わった後タグ付けてつぶやけば
  もれなく石川さんに読んでもらえますよ!」

たぶん客層的にいのすけに読んでほしいオタクの方が多いと思うんだw

桜島麻衣役:瀬戸麻沙美

「初日舞台挨拶ももう4回目
朝から初日舞台挨拶してきましたが
ようやく初日なんだなぁって実感がわいてきました!」

いやもう夕方だよ!
これ最後の舞台挨拶だよ!
初日の上映終わっちゃうよ!

牧之原翔子役:水瀬いのり

「最初にタイトルを聞いたときに受けたイメージとは全然違ってすごく素敵な話だった
みんなが自分を犠牲にしてでも誰かを救いたいっていう
すごく優しい世界だった」

青ブタは本当にタイトルで損してる作品だと思う・・・

古賀 朋絵役:東山奈央

「キグルミの咲太はどういうつもりで飛び込んだのかすごく気になってます
結果的にはとってもいい結末を迎えたわけだけど
ああいう風になるって事前にはわからなかったわけじゃないですか
私の考えでは咲太はあの時代の咲太を助けて死んで
自分の心臓を翔子ちゃんにあげて
麻衣さん含めた全員を助けるつもりだったんじゃないか?
って思ってます」

なるほど・・・確かにあの結末は結果論で
最悪はねられた方の咲太に収束して
何一つ解決しない可能性もあったわけだなぁ

さすがインテリ声優目の付け所が違う!

双葉理央役:種﨑敦美

(見どころを聞かれて)
「全部が見どころ
見どころが思いつかないんじゃなくて
見どころしかないんです
私もう3回見てるんですけど
見るたびにどんどん序盤の何でもないようなシーンが好きになっていって
後半のいろんなシーンも含めて
全部が見どころだと思ってます」
・・・というようなことを
たどたどしく断片的に
あの独特の話し方でしゃべっていました
しかしそれだけ引っ張っても最後には
「踏切で最後に理央が小声で感情を吐き出すところ」
と無理やり見どころを吐かされていましたw{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 30

75.0 2 ツンデレで恋愛なアニメランキング2位
劇場版 マクロスF[フロンティア] 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~(アニメ映画)

2009年11月21日
★★★★★ 4.1 (747)
4457人が棚に入れました
西暦2059年、パイロットを目指す少年、早乙女アルトが、新天地に向かって進む銀河移民船団のマクロス・フロンティアにいた。ある日、銀河頂点の歌姫、シェリル・ノームのコンサートツアーが船団へやって来ることになり、アルトは彼女にあこがれるランカ・リーとともに会場に行くが、突如、重機甲生命体バジュラの奇襲を受ける。

声優・キャラクター
中村悠一、遠藤綾、中島愛、小西克幸、神谷浩史、福山潤、豊口めぐみ、保志総一朗、三宅健太、小林沙苗、井上喜久子、杉田智和

だんちょー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

私の歌を聞けぇ~!

劇場版2部作の1作目。

TV版とは大幅に設定が異なり、ただの再編集ではないためTV版を見た方でも楽しめます。

ただし序盤のほうは概ねTV版と同じような流れで進んでいくのでTV版を見た方はちょっと我慢して見て欲しい。

タイトルの『虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~』の意味を考えながら見てみるといいかも。

この1作目はシェリルメインなのでしょうか。劇場版での新曲もかなりいいので是非聴いてみていただきたい^^

2作目『サヨナラノツバサ』のBD&DVDも発売されたので一気に見るなら今?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

マクロスFの濃縮版(前編)

マクロスフロンティアの劇場版です。
ストーリーはテレビ版とは異質。
愛・おぼえていますかと同様、マクロス正史ではないかも。

劇場版だけあって、圧倒的な映像美と歌。
シェリルの迫力ある歌唱力が群を抜いていました。
戦闘と歌が並走する長シーンは圧巻です。
鳥肌が立ちました。

ストーリーは直情的。
伏線をバラマキまくりです。
サヨナラノツバサで謎解きかな。

シェリルかランカかと問われれば、私はやっぱりシェリルですね。
自由奔放、ややツンデレ入りなんて、超私好みです。
彼女、歌にかける情熱がほとばしっています。
プロフェッショナルですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 30

kaz-zun さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

拉致

極度のロボット嫌いの為、
テレビアニメも7話目くらいで挫折したマクロスF。
当然この劇場版も見に行く気は全くなかった・・・


が、友人に半ば拉致気味に強引に連れていかれて見たのがこのイツワリノウタヒメ。
(オゴリだったから全然いいけどw)


うわっw
おもしれ~!!
相変わらず菅野よう子の歌は神掛ってるし。
背景や迫力の戦闘シーンも物凄く丁寧に描かれている。


あっと言う間に120分見終えてひたすら満足気な私。
その横で不満爆発な友人www


『TV版と変わらん』とグチってました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

75.7 3 ツンデレで恋愛なアニメランキング3位
空の境界 第七章 殺人考察(後)(アニメ映画)

2009年8月8日
★★★★★ 4.1 (728)
4354人が棚に入れました
1999年2月。両儀式が黒桐幹也の前から姿を消した。そして、それに合わせる様に再発する連続殺人事件。3年前、自らを人殺しと称した式。信じ続けると誓った幹也。幹也は式の無実を証明するため、殺人事件の捜査を始める。そんな中、幹也はある麻薬事件をきっかけに高校時代の先輩・白純里緒と再会する。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、中田譲治、保志総一朗
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

普通と特別 理性と衝動の境界線

1999年2月。時系列的に7番目の第7章。
黒桐幹也の前から式が姿を消したのとほぼ同時期、
4年前と似たような連続猟奇殺人事件が起きる。
式を信じ続けたい幹也は彼女の無実を証明するため、独自に捜査を始めるが
そんな中、高校時代の先輩・白純里緒と再会して・・というお話。

なにげない点と点がやがて、ひとつの線でつながっていくこの第7章、
劇場版としては最終章となり、いろんな意味で結論が出され、
しっかりと区切りがつくように作られていた。
そしてこの章のタイトル「殺人考察(後)」からもわかるように
第2章「殺人考察(前)」での伏線がどんどん回収されていく。
ともすると聞き漏らしてしまっていたかもしれないような誰かのセリフが
実はとても重要だったりして、綿密に計画されたシナリオの深さに
あらためて驚かされたし、音楽、映像、演出すべてにおいて
この章の完成度が一番高かったのではないだろうか。

ヘンデルの「サラバンド」をアレンジしたようなOP、
ネガフィルムをモチーフに記憶というテーマを揶揄した映像も、すごく好み。

4年前、式が遭った事故の真相と殺人鬼の真相。
そして式が失っている2年間の記憶とは。
幹也が信じてきた式という1人の人間像。
式が見てきた幹也という1人の人間との出会いと軌跡。そして絆。
ドラッグを通してその人物の人間性や性格を表現していたのもなかなか良かった。
{netabare}
さらには、式を縛り付けていた、「人は一生のうちに1人しか殺せない」
「人は人間1人分の死しか背負えない」という亡き祖父の言葉の本当の意味が、
この作品の一番底にあることに気づかされ、多少の矛盾は感じつつも、納得できた。

観終えて思えば、白純里緒みたいな人こそが本来の意味での中二病な人だよね。
特別でありたいと憧れ、異常なことをしていくうちにエスカレート。
正当化するためにさまざまな行為に理屈をつけては繰り返す異常行動が
犯罪と気づいていても引き返せない精神的な弱さ。
さらには自分だけで背負うことができなくなり、同じ仲間を増やそうとする。
悲しく、とても哀れな里緒だったが、荒耶 宗蓮のような魔術師も似たようなもの。

対照的に、幹也のブレない一途さがすごく光っていて。
ブレないどころかもう執念としか言いようがないほどだったけれど。
式にとっては、幹也の真っ直ぐな愛情が彼女の中の男性人格・織を消して(殺して)
しまったのだとしても、この作品は式と幹也の傷だらけの純愛物語でもあるのだなと
思うと、織が消失して良かったし、そうしないと前に進まない物語だった。
それに、消えてしまった織を補うかのように男性口調でいようとする式の気持ちも
ものすごく共感できるし、幹也の前でだけは時々ながらも
女性らしさをちらっと出すところなんか、ほんと・・わかるなぁと(笑)
そんな部分でも、個人的にこの作品への愛着が強かったりする自分だ。

とにかく、殺戮シーンのグロさとは裏腹に、静かな雪の風景はとても美しく。
スピード感のあるバトルシーンとのメリハリも効いていて、
里緒はとことん気持ち悪く、幹也はとことん純粋で、そして式は強かった。
特に、里緒との戦いのあと、十字架のように仰向けになっている式が印象的。
精根使い果たした後に背負うものの重さを感じさせる、良いシーンだったと思う。
また、幹也の本音が叫ばれるシーンは必見だけれど、
自分的にはエンドロール後の、桜並木での式のセリフに熱い涙がこぼれてしまった。
{/netabare}
上映時間120分。時間だけでなく内容的にもとても見応えがあり、
この第7章に一番、登場人物たちの本音が出ていたと思う。
しかし、このあと「終章」が控えている。
まだこの作品を語るに、終われないものがあるのだよね。
終章の感想はまた後日。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 44
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界の集大成。式と織の夢の行方は如何に

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第七章「殺人考察(後)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。


「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。

劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

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第七章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち7番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章から第六章までの展開や伏線について、九分九厘解明され、当然ながら本作の集大成といえる章である。第二章は殺人考察(前)ということもあって、本章の前日譚であり話の関連性が多く見られる。しかし、二章の他にも本章への伏線は張巡らされているので、注意深く視聴して欲しい。二章から本章まで七章作品があるが、五章で述べた通り、荒耶の野望としての側面は五章までで、六章・七章は彼の残滓・置き土産との戦いである。
本章は置き土産2号との戦い(笑)
そして空の境界の式と幹也のラヴストーリー性が最大に際立っているのが本章である。
式、幹也が各々の方法で4年前からの事件に決着を付けるべく行動する。彼らの葛藤とその意味、事件の真相と結果が見所。
また、本章視聴後、是非、終章空の境界も見て欲しい。こちらを見る事によりより深く、作品を理解することができると思う。
副題の not nothing heartは「空虚な心でない」といった訳だろうか。二章と対照的。
考察←観る前に見ない様に。

{netabare}
時系列:7/8
1999年2月
両儀式:19歳 職業:高校生
黒桐幹也:19歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:小
原作との尺の比 210P:120min=1:0.83(1分当たり1.75P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)

・「白純里緒」について
黒桐幹也の高校時代の先輩であり生徒会に属していた目立たない生徒だった。幹也は六章で述べた通り、誰にでも普遍的に接し、交際範囲が広く、彼は一人の先輩としての位置づけだが、彼は幹也に常軌を逸した親愛の情を寄せる。
両儀式に惚れて告白するも、「弱い人は嫌いです」と振られてしまう。彼は潔癖症で人間嫌いだったが、式に惚れた理由は、式が男性と女性の要素を兼ね備えていたからだろう。彼は天性の女性的嗜好家で、式よりも織に惚れていたきらいがある。月刊コンプティークのインタビューで、奈須氏は「里緒は性同一性障害であり、織に惹かれ、幹也に惹かれた」と答えている。
強い自分になるべくゲームセンターで幅を利かせていた不良を挑発し、木材で遭えなく殺害してしまう。死体処理に困った揚句に死体を摂食して処理することを思い付き、之を食らう。処理中に荒耶宗蓮に認められ「食べる」という起源(後述)を覚醒する。
彼には自身の行為の異常性の認識があったものの、荒耶に「君はすでに常識に不在している」と言われ、道徳に縛られない、常識という世界において異常者は罪に囚われない(罪に問われないわけではではない)という観念に没頭する。
起源覚醒時に荒耶に「りお――おしいな、一字違えば君は獅子だったのに」と言われ、獅子を模す為に金髪に染めている。(レオ=Leoとはラテン語で獅子、ライオンを意味する。性質と名前の関連で言えば両儀式は完璧と言える。性質と名前の一致は重要と思われる。)
二年前の殺人事件でも式に模した格好で殺人を連続して挙行しており、彼女の殺人衝動を刺激して、彼女も自分と同じ殺人鬼にすることで、自らの欲望を満たそうとした。
(防衛機制に於ける式と自身の同一視という見方も出来る。)
他にも、薬屋の息子だったこともあり、自分と同じ起源覚醒者を製造する為に、荒耶から貰った大麻を安価で頒布し、見込みのあるものには、自分の血液を混入したブラッド・チップというドラッグを頒布した。
荒耶宗蓮の所有するアパートに居住し、部屋には両儀式コレクションがある。薬の製造も此処で行われた。
式が殺人に踏み切れない理由を「普通」や常識に囚われていること、それらと式を繋いでいる対象を幹也だと看破し、式を自分と同じ異常者に誘う為に彼を殺害しようとした。
彼は、式に振られてから犯した殺人を堺に、自分は異常だから、狂っているから異常な行為をするのは当然と、自己を正当化する為に狂った振りをして、言い訳をして、自分から、現実から逃げていた。
「・・・・・・生まれた時から理由もなく殺人を嗜好してしまう式と、自分を守る為に殺人を嗜好していると思い込んだ白純里緒」という幹也の台詞は簡潔で正鵠を射ている。
「空の境界という伝奇作品」のラスボスが荒耶宗蓮ならば、「式と幹也の恋愛物語」のラスボスは彼だろう。

・「壊れていない人間が殺人後に採る行動」について
白純里緒は前章の境界式で荒耶に「そうか。それは、君が特別だという事だ。殺人という極限状態において選ばれた選択には余分なモノがない。おおかたの人格はその時点で自らの罪から逃亡する。だが君は、君にしかできない方法でそれに立ち向かった。たとえそれが常識という範疇から”壊れている”方法だとしても、それを非に思う事はない」と言われ、自らの特別性を認識する。

奈須きのこが神様(月姫読本Plus Period 漢話月姫第七回より)だという京極夏彦の説を引用すると、
(魍魎の匣p.88より)
動機は後から、便宜上他人がつけるようなもので、犯罪を犯罪たらしめるために、社会通念上動機という理由が必要である。
動機は皆持っており、特殊なことではない。犯罪者と一般人を分かつものはそれが可能な状況や環境が訪れるか否かの一点にかかっている。
正常異常で分けるのなら、精神状態が一番異常になるのは犯行の後である。些細な衝動、殺した後に物凄い非日常的な状態に気が付く。
この状況を脱する、日常に戻る為の方法は二つ
 一つは後悔、反省、自首などの矯正をする。
 一つは社会に見逃して貰えば良いと、犯行を隠蔽する。バラバラはこの工程で合理的判断から行われるが、良心の呵責から、結局は警察に露見してしまう。

蛇足だが、監察医里村の意見だとバラバラは殆ど頭・胴体・両腕・両足の6つに分解されるが、そこまでする時間があるのならば、もっと細かく、肉は細切れにして、骨を砕いて、飼料にでも混ぜて畑に撒けば絶対に分からない。
絶対に捕まりたくないと思えばここまでやるだろうが、深層心理の何処かに捕まりたいという思い或いは遺しておきたいという思いがあるのかもしれない。

この考えでいけば白純が異常だったのは死体を摂食しようと思ったこと一点であり、荒耶の罪は重いと言えるだろう。


・「起源」について
起源とは生命体が生命の根底にもつ衝動で、始まりの因で発生した方向性であり絶対命令である。生命の存在意義であり、人格の形成に影響を与える。人格よりも肉体に対する支配力は強いが通常は自覚することが無い為、強い作用には至らない。起源を覚醒した人間は徐々に起源に飲み込まれ人格は消滅するが、強大な力を得る。荒耶宗蓮は螺旋した人の性を覆す為の人間のルーツの探求中に、起源覚醒の術を得た。覚醒には、荒耶と起源覚醒者の双方の同意が必要。


・「四年前の事件の真相」について
前半は省略。詳しくは、二章殺人考察(前)を参照

式は黒桐幹也を求める心と壊してしまいたいと思う心(ambivalent)に苛まれながら幹也を刺殺すようとするも、愛情と夢を叶えたいという想いから躊躇し、殺すことしか出来ない彼女は、自らの命を絶とうと自刃しようとする(一章の逃避行動の内の飛行)。しかし、五章矛盾螺旋で述べた通り、式の肉体の成熟を見守っていた荒耶に妨害される。幹也の傍を離れるべく逃走し幹也に追われるも、結局は自動車に跳ねられる。ここからは詳しくは四章伽藍の洞を参照して頂きたいが、昏睡から目覚める際に六章忘却録音で述べた通り、織は織と幹也の思い出、事件当夜の記憶を目覚めた後の式の理性によって解釈を改編されぬように(これは一種の防衛機制における抑圧とも解釈出来る)永遠の忘却の彼方に送った。そして織には叶えられぬ「普通に生きる」という夢を式に託し、消滅した。

・「殺人と殺戮」について
式の祖父は彼女と同じ二重存在者で、自らを痛めつけ、潰しあい、否定して、自己が曖昧になってしまった人物で、二十年近く座敷牢に幽閉され、何十年と正気でなかったが、式が六歳になり道具さえあれば何かを殺してしまえる体になったころ、今際の際に式に遺言を残した。
「人は一生に一人分の死しか背負えない」

祖父「人は、一生に必ず一度は人を殺す」
式「そう、なの?」
祖父「そうだよ。自分自身を最後に死なせるために、私たちには一度だけ、その権利があるんだ」
式「じぶんの、ため?」
祖父「そうとも。人はね、一人分しか人生の価値を受け持てないんだ。だからみんな、最後まで辿り着けなかった人生を許してあげられるように、死を尊ぶんだ。命はみんな等価値だからね。自分の命だからって、自分の物ではないんだよ」
式「じゃあ、おじいちゃんは?」
祖父「おじいちゃんはだめかな。もう何人も殺してしまった。殺してしまった彼らの死を受け持っているから、自分の死は受け持てない。おじいちゃんの死は、誰にも受け持ってもらえないまま、空っぽのところへ行く。それは淋しい事だ」
式「いちどしか、だめなの?」
祖父「ああ。人を殺せるのは一度だけだ。そこから先はもう意味のない事になる。たった一度きりの死は、大切なものなんだ。誰かを殺してそれを使い切った者は、永遠に、自分を殺してあげることができない。人間として、死ねないんだ」
式「・・・・・・おじいちゃん、苦しそうだよ?」
祖父「うん、これでおわかれだ。さよなら、シキ。せめてキミが、穏やかな死を迎えられればいいんだが」

人は一生に1人分の死を背負うことができる。つまり、自分が死ぬ際に、自分の死を受け入れるためのある種の一人一票的権利と形容できよう。人を殺した場合、その次の死を受け入れることはできない。処女は二回目は処女でないように、死を自分の体験として処理する際に慣れが生じる。最初の死は、処女喪失に等しい壮絶な体験であり、二回目に同等のものを得ることはできない。
式は殺人の痛みを誰よりも知っている。自分が殺人を嗜好していても、殺人を耐えずっと我慢してきた。

殺人・・・相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまった時、恋愛であれ憎悪であれ、その感情が自己の器から溢れてしまったとき、感情は苦痛に変化し、相手の存在に耐えられなくなる。それを何らかの手段で自分の中から遠ざけなければならず、対策として忘却したり、離れたりするが、手段が極端になると殺人となる。自分を守る為に道徳は消え、仮初の正当性をも手に入れる。殺害後は人を殺した、という意味も罪も背負う。

殺戮・・・殺人と違い殺す相手を特定しない。よって殺害される対象に特別性は無い(通り魔の対象が不特定多数であるように)。殺された側は人間だが、殺した側は人としての尊厳がない。あとの意味も罪もない。事故の様な物である。


・「一連の連続殺人事件の真相」について
四年前の事件(二章殺人考察(前)参照)では六人の殺害で式が昏睡状態に陥った為、白純里緒の無差別通り魔殺人事件は両儀式への見せしめ、誇示、示威が目的だったことから幕を閉じた。しかし、式が目覚めたという情報を察知した彼は、荒耶宗蓮が居なくなった秋から、再び連続通り魔殺人を挙行する(荒耶には白純は失敗作扱いされていた為、式を陥れる駒という役割を与えられなかった)。前回とは違い今回は、式に発見してもらう為に、「着物を着た人物」の目撃者を作るという証拠を残した。前回は織が夜に、誰かと殺しあいたいという願望を持って徘徊し、死体を発見し恍惚としていたが、今回は式が自身の殺人嗜好から殺人鬼と殺しあいたいという願望、四年前の事件に決着を付ける為に犯人を捜した。幹也は式が犯人でない事を証明し、安堵する為に捜査を行い、白純里緒が犯人だと断定した。白純は彼女を縛る対象を幹也と断定し、だんだんと起源と本能に埋没していく。
式は白純と戦闘するも、幹也との約束を守り、彼の左腕を殺しつつも、人殺しだけは行わなかった。しかし、白純に幹也が殺された旨を聞かされ、彼を殺してしまう。幹也は命からがら式の元に辿り着き、式が生きていることを嬉しく思い、傷心している彼女に、三章での「式の罰は、僕が代わりに背負ってやるよ」の言葉の通り、「・・・・・・でもかまわない。言ったろ、君のかわりに背負ってやるって」と彼女を慰めた。


・「seventh heaven」について
両儀式が黒桐幹也により変化していく様子イメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。「君が光に変えて行く」の続編である。
Seventhは英語で7番目、heavenは英語で天国という意味の名詞。
Seventh heavenつまり第七天国はアブラハムの宗教(ユダヤ・キリスト教、イスラーム)における天国の階層の七番目。第一天ヴィロン、第二天ラキア、第三天シェハキム、第四天ゼブル、第五天マオン、第六天マコン、第七天アラボトがある。第七天国は天国の中心らしいseventh heavenは「至福」を意味するらしく、式と幹也の至福を祝っているのだろうか。

本作は第二章「殺人考察(前)」から続く式と幹也のラヴストーリー色の最高潮の作品で、二章の「君が光に変えて行く」の「こんなに哀しい景色を 君が光に変えて行く」という歌詞続きとして「こんなに明るい世界へ君が私を連れてきた」という歌詞からも分かるとおり、式が幹也によってだんだんと解放されてきていることを歌っている。
「もう一人じゃない ずっと 二人で行く まほろば」(「まほろば」は日本の古語で素晴らしい場所や住みよい場所を表す)

・「殺人考察(後)」という作品について
四年前、白純里緒は両儀式が好きだった。性同一性障害を秘めていた彼は男女両方に見られる彼女に惚れていたが、「弱い人は嫌いです」と振られてしまい、強くなるべく、喧嘩をしようとしたら、相手を殺してしまった。「自分は異常だ、特別だ」と思い込むことにより自我を保ち、荒耶に認められて起源を覚醒する。夜に徘徊する織の近くで殺人を繰り返し彼女を外から壊していったが、彼女が事故から昏睡してしまい、荒耶に失敗作の烙印を押されてしまう。荒耶の消滅後、式が目覚めたことを知り彼女に分かるように殺人を挙行した。式は四年前の事件に決着を付けるべく殺人鬼を追い、幹也も式が犯人でないことの証拠を掴む為に調査を開始する。白純は殺人鬼というネーミングに酔いしれながら、だんだんと起源に飲み込まれていった。式は彼が犯人だと突き止め、殺人衝動を押し殺して彼の挑発を受け流した。幹也もドラッグ方面の調査から白純が犯人であることを突き止め、説得を試みるも失敗。式に傷付いて欲しくない思いから式は幹也に戒められたが、式は幹也を殺されたと思い込んで白純を殺してしまう。幹也は式の罪を背負うことを伝え、彼女を生涯放さないことを決意した。



・名言(原作より抜粋)

荒耶―たわけ、そのような崩壊を望んだ訳ではない

荒耶―まだアレを破壊するのは早い。相克する螺旋こそが、アレに相応しい終焉だ。

式「おまえを消せないのなら――わたしが、消えるしかない」

白純「・・・・・・ダメだ。ボクは特別だから」

幹也「先輩を殺したら、僕は一生君を許さないからな」

幹也「・・・・・・君は誰も殺さないよ。たまたま誰も殺していないだけだって?笑わせるな、そんな偶然が今まで続いているもんか。君は自分の意志で、いつだって耐えていたんだ。人間の嗜好はそれぞれだろ。式はたんに、それが人殺しだっただけじゃないか。でも、ずっと我慢してきた。ならこれからも我慢できる。絶対だ」

式「・・・・・・おまえは変わらないね。コクトー。言っただろ。式はさ、おまえのそうゆう所が大嫌いだったって」

織―ありがとう。君を殺すことなんて、できない。

橙子「そうか。なら止めるのは少し野暮だね。――行ってらっしゃい黒桐。縁が続けば、また明日」

式「――そっか。殺人鬼が本当にいるのなら、私は、殺人鬼じゃないんだもの」

式―あいつがいないと、わたしは、生きてさえいけないんだ――。

幹也「・・・・・・殺人鬼なんて呼び名は間違っていたんだ。式が抱く苦しみを、あなたは持っていない。捨てたくても捨てられない感情、その隔たりがあなたにはないから」
幹也「だから――あなたは式と同じなんかじゃない。まったく正反対の人間だ。人を殺して、その罪を自分のものと認められない。ただ逃げて、殺人者にも殺人鬼にもなりきれない逃亡者。――それがあなたの正体です、先輩」

式「・・・・・・ああ。死んだのか、おまえ」

式―たとえば雨。霧のように降りしきる放課後、きみの口笛を聴いていた。
式―たとえば夕暮れ。燃えるような景色の教室で、きみとボクは語り合った。
式―きみがいて、わらっているだけで、幸せだった。
式―きみがいて、あるいているだけで、嬉しかった。
式―ほんのひととき。木漏れ日が暖かそうで、立ち止まっただけ
式―いつか、同じ場所に居られるよときみは笑った。
式―その言葉を、ずっと、誰かに言ってほしかった。
式―それはほんとうに。夢のような、日々でした。
式 ありがとう。でもごめんなさい。

幹也 君が、人を殺す事だけは許せない。
幹也 他の誰かが誰かを殺しても、かまわない。僕はただ、式にだけは人を殺してほしくないんだ。
幹也 君が好きだから。
幹也 君を好きでいたいから。
幹也 君に、幸せになってほしいから。
幹也 これ以上、傷ついてほしくなかっただけ。

幹也「・・・・・・でもかまわない。言ったろ、君のかわりに背負ってやるって」

幹也―僕が、君を殺そう。

幹也「式。君を―――一生、許(はさ)さない」

式「だからね、幹也。今の式は、そういうの嫌いじゃないって言ったんだよ」


感想

式が異常者として生涯に幕を閉じることがなかったことは、偏に幹也の功績である。式に異常者であることを強く認識させ、「普通」の代名詞たる自分との乖離を無意識の内に強調する事により、結果的に両儀式の人格破綻を招き、織を殺してしまった。しかし、彼の真っ直ぐな主義主張と愛情は首尾一貫して式の拠り所となり、織の式が普通に生きるという夢を最終的に叶えることと成った。式と幹也の純愛物語として、一章から七章の波乱万丈の物語も見ごたえがあって、見終わった後の感慨深さも一入である。式の消えてしまった織を忘れて欲しくないが為の男性口調や、反動形成、時たま幹也にだけ見せる女性らしさが愛おしい。式の胸に空いた伽藍洞にはしっかり幹也が納まっている。
式の言う「弱い人」とは五章で述べた通り、自我を保つ為に他人と違うことを強く望み、自分が特別であることを強調する人だろう。だから正反対の幹也に惹かれたのかもしれない。
両儀式は特別を持たない青年、黒桐幹也の特別となった。空の境界の一側面は幹也による両儀式の救済物語である。彼女の空っぽの心は、彼の愛に満たされたのだから。{/netabare}
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この七章は、「空の境界」の集大成である。是非、一章からの物語を反芻して、本作の神髄を味わって欲しい。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 35

レイ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

貫き通された意志!!

(ここに一章から全ての総評みたいな感じで書く事になると思いますが、あらかじめご了承下さい。)

さて、何と言っても空の境界は世界観が作り込まれている。
ジャンルで言えば伝奇なのかな?
魔術や超能力、宗教的な考えから精神的な世界までもが物語の設定として緻密に作り込まれている。
まぁ、TYPE-MOONの作品での共通世界観があり、悪く言ってしまえば「使い回し」なんですが(汗)
それはそれで面白い試みだから良いと思います!

小説原作ですが、TVで無く劇場版と言うことで…TVではできない表現、演出で飽きる事なく楽しめる作品です。
原作を知らず一章を見ると「何だコレ?」と良く分からない事がありますが章が進むにつれ、パズルのピースが組み合わさっていくかのように物語が分かっていきます。

キャラは個人的にも気に入ったものが多く、まぁ…「ブリーチの一護?」とか「チャーリーとチョコレート工場のチャーリー?」とか他作品のキャラを彷彿させる者も出てきて、可笑しかったですが(笑)
特に、橙子さんは攻殻機動隊の素子(少佐)に雰囲気似ててかっこよかったです♪
声優も好きな声優さんが何人も出てて、カッコイイキャラ達をより一層引き立ててくれていたと思います。
式が坂本真綾さんだったので、マジ惚れでした(笑)

あとどうでもいいネタですが黒桐の名前が度々、「フランスの詩人みたい」といじられるのは…ジャン・コクトーを皆知っているのかと関心しました(笑)

戦闘シーンは、魔術戦か刃物を用いた銃器無しの白兵戦ばかりですが…独特な鋭いカメラワークは抜群に良く、テンポも比較的早いテンポで非常にかっこよく鳥肌物でした。

恋愛的なとこを言えば、式が後の方の章になって俗に言う「デレる」事がたまーにあり、それは可愛かったです。
関係的なものを言えば黒桐が鈍すぎて式と進展しないと言うパターンで、しかも妹まで出てきて三角関係…ありがちですがなかなか面白かったですよ♪

音楽も個人的には文句無し!
主題歌は全て『Kalafina』が歌っていて、章ごとの雰囲気に合わせて曲も作られていたのでとても良かったです。

最後に…七章の終盤は泣きました!!!

この作品は陰惨な描写なども多々あり…不愉快に感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはとてもメッセージ性の強いものだと思うので多くの人にも見てもらいたいものの一つです。
時間軸的に言えば章の順通りだと激しく前後してるので、見るときは一気見する事をオススメします♪

投稿 : 2024/12/21
♥ : 8

72.0 4 ツンデレで恋愛なアニメランキング4位
空の境界 第六章 忘却録音[ボウキャクロクオン](アニメ映画)

2008年12月20日
★★★★☆ 4.0 (655)
3983人が棚に入れました
1999年1月、魔術師見習いである黒桐鮮花は、師である蒼崎橙子にある事件の調査を命じられる。それは鮮花の母校である礼園女学院で、生徒の記憶が妖精に奪われているというものだった。妖精を視る事ができる両儀式を連れて学院に戻った鮮花は調査を開始する。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、水樹奈々、置鮎龍太郎
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

スピンオフや箸休めとは思わないで欲しい。考察に意外に骨が折れた物語

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第六章「忘却録音」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

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第六章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち6番目にあたる作品だ。本作の視聴により、前々から登場していた黒桐鮮花について、黒桐幹也の本質について知ることが出来る。作品群全体から見れば、箸休め的印象を受けるかもしれないが、2年前の1996年の冬に起こった事件についての記憶を式が詳細に思い出すという意味で重要な章である。
また、本章は原作との乖離が甚だしく、これは尋常ではない。原作の頁と比較した映画の上映時間が全七章+終章中最も短く、カットが多い。これでは話の骨子も瓦解しているのではないかと疑うほどだが、なんとか体裁は保てている。しかし、やはり本章に限っては、原作乃至、傲慢ながらこのレビューのような考察・纏めを読んで補完することが必須である。
映画では主に鮮花の活躍に焦点が当てられているが、原作では他にも、幹也の起源、玄霧皐月の生涯と目的など、多角的にストーリーが構成されている。

副題のfairy taleは妖精の物語という意味。

考察←観る前に見ない様に。

{netabare}
時系列:6/8
1999年1月
両儀式:18歳 職業:高校生
黒桐幹也:19歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:大
原作との尺の比 274P:59min=1:0.31(1分当たり4.64P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「礼園女学院」について
礼園女学院は全寮制女学校であり、ミッション系(キリスト教の伝道局によって設立されたキリスト教主義、中高大一貫教育、自由な校風、外国語教育、礼拝堂附設などが特徴的な私立学校)のお嬢様学校である。小中高一貫校であり、イギリスの神学校(現在は廃校)の姉妹校であり(カトリックか国教会かは分からない)、学長はマザー=リーズバイフェ。
高等部には黒桐鮮花、浅上藤乃がおり、蒼崎橙子はイギリス留学から帰国後に卒業したOGである。今回の事件もマザーが橙子に依頼した。
月姫に登場する中高大一貫教育の全寮制学校の「浅上女学院」は当校をモデルに藤乃の父親が経営している。礼園女学院の寄付金の3割は彼が負担している。


・「黒桐幹也」について
彼は「どこまでも普通で、誰よりも人を傷つけない」という起源を持っている。
所謂「普通の人間」は存在しない。何故ならば、彼らは特別を目指し、特別に成り損ねた人間であり、「普通の人間」とは、彼らの平均でしかない。しかし、黒桐は最初から「普通」であろうとする。それは例えるならば、テストで80点を取る積もりで勉強して、平均点きっかりの62点を取るのと、最初から平均点を取る積もりで勉強して、62点を取るくらいの違いがある。
彼は「普通」を目指すあまり、誰に対しても「特別」な行動を採ったり、感情を抱いたりする事を避ける。それは誰かの「特別」になることを拒否する姿勢である。誰にでも普遍的に接し、差別をしない。3章で式に一般論を期待されたのもこの為である。

―それは誰とでも解りあえるかわりに得た、誰にも気付いてもらえない空っぽの孤独。

しかし、「普通」の権化となることは「普通でない=異常である」ということであり、鮮花の特別な人となった。また、彼は特別になることしか出来なかった人(例えば式や霧絵や藤乃や橙子や鮮花や巴)から羨望されることが多く、「傍に置いておきたい」「拠り所としたい」という執着を知らず知らずの内に周りに持たせてしまう。


・「黒桐鮮花」について
幼少期にある理由から兄の幹也を恋愛対象として好きになった。小学校中学年の頃から才色兼備で精神年齢が他人より高かった所為か、打算で身体が弱いと偽って、田舎の叔父の下に引っ越した。それは兄・幹也の下から遠ざかり、妹としてではなく、女性として彼に、惚れさせる為である。しかし、自身が幹也の元を離れている間に、両儀式が登場。正月に久々に再開すると、兄は同級生の両儀式を家に連れ込んでいた。その後の式の事故による昏睡に安堵していたが、彼女の再起を確認すると、直ぐに都心で名門の礼園女学院へ編入した。
(空の境界の舞台である観布子市が東京都にある為に、上京を前倒しにした。時々伽藍の堂などに出入りしている(矛盾螺旋の中盤など))
叔父の家で橙子が事件を解決したことをきっかけに彼女に弟子入りし、魔術使い見習いとなった。魔術回路は無いものの、先天的な属性として発火現象を持っていたため、発動・抑制の為の火付けの魔術を習っている。未熟なので戦闘時には橙子にもらった火蜥蜴の皮手袋をはめる。式に対抗する為の魔術なので汎用性が無いことや魔術回路が無いことは気にしていない。
起源は「禁忌」で、実の兄を慕うのも此処に起因する。また、本人は隠している積もりだが、式や橙子には、幹也に恋愛感情を抱いていることは筒抜けである。(式は、織が鮮花に初めて会った時に気付いた記憶を引き継いでいる。) しかし、当の幹也は鈍感で、全く気付いていない。
鮮花が月姫の遠野秋葉やFateの遠坂凛に似ているのは、全員モデルが蒼崎青子であるからである(起源も皆一緒の「禁忌」である)。

彼女は幼い頃から特別なものになりたかった。手に入れた知識で周りの人間を遠ざけて、孤独でいることを好んだ。いつも損得無しに彼女を迎えに来る兄・幹也を、孤独な時間を邪魔し、更に年相応の少年らしさが無いことから、内心軽蔑していた。
ある日、隣の温かくて優しかったが、痴呆が進んでおり、幹也が親身にしていた老人が亡くなった。臨終を迎えた老人を発見したのは幹也だったが、彼は―泣きたくても、泣けないんだ。それは特別なことだからね―と、他人へ特別な感情を抱くことをしない。
―人一倍誰かに同情して、人一倍泣いてしまいそうなのに、絶対に泣けない―という事は、
博愛主義である為に、特定の個人を愛する(儒教の別愛(by墨家))ことが出来なくなってしまったのだ。だから彼は誰の特別にもならない。彼女はこの幹也の態度に恋の発端があったことを脳裏に蘇らせた。


・「アカシックレコード」について
アカシックレコードは別名、アカシャ年代記とも呼ばれる人類の魂の活動の記録の概念である。誰が何時何処で何をするのかの記録、輪廻の記録が全て銘記されており、宇宙、人類の運命のデータバンクでありシナリオである。此れは、アーカーシャ(インドの五大の一つで、虚空(天を除いて、地と対を成し、世界を二分する領域))に映る業(カルマ)の投影とされる。
これにアクセスすることが出来れば、自身や人類や地球の運命も手に取るように分かる(しかし、具体的な細かい事象は分からず、曖昧な回答しか得られないという説が趨勢)。
「空の境界」の世界では、根源の渦『 』の一部として紹介されていて、
空の境界の世界観での根源は、五章矛盾螺旋で述べた通り、易の太極である。
支那民族信仰に於ける万物の根源が太極であるなら、印度民族信仰に於ける万物の根源がアーカーシャなのだろう。アーカーシャは虚空蔵と呼ばれ、仏教では虚空蔵菩薩という、無限の智恵と慈悲を持った菩薩になっている(因みに虚空蔵菩薩は大日如来の一部に過ぎないので、本当の意味での万物の根源を司っている者(と云うか万物)は大日如来である)。
よって「根源」を表す上では、両者は似通っていると言えよう。


・「妖精」について
妖精は悪魔などと違って、モノの想念が集まってカタチをなした実像幻想ではなく、れっきとした生物の系統樹に連なるもので、他愛無い悪戯を好んでする。妖精の悪戯に損得勘定は無く、目的意識も存在しない。よって幻想的な妖精(例えば少女に翅の生えた小動物)は魔術師が作り出した使い魔と考えるのが妥当。
使い魔には、魔術師が自らの肉体の一部を提供してつくりあげた分身としてのものと、ほかの生物を前身にして作りかえる、手足としての使い魔の二種存在する。
西欧での妖精は子供のすり替えなどを行った。妖精の正体は村落社会に馴染めなかった部外者であるとされている。彼らは村の中心に住むことができずに、山や森に居住し、収穫期に村に下りて仕事を手伝い、親睦を深めた。当時は良い家柄の子供程、神に祝福されたもの達という考えがあり、貧しい家の者は、祝福された子供欲しさに自分の子供とすり替えを行ったらしい。


・「玄霧皐月」について
礼園女学院で英語を教えている英国人の教諭で、独逸語と仏蘭西語の教員免許も持っている。
他にも多数の言語をマスターしていることから、生徒から言語オタクと陰で呼ばれているらしい。ウェールズの片田舎に生まれ、幼少期は神童と呼ばれていたが、十歳頃、妖精によって攫われて、その際に無意識の内に妖精を皆殺しにして、統一言語を習得する。目で見た映像を再認出来ず、一時は白痴レベルの障害児となった。
彼は両親に気味悪がられて養子に出され、日本人に引き取られて玄霧姓となり、同時に名前も皐月に改名。
養子に出されてからは、自身の記憶が喪失したのではなく破損したことに気付き、記憶方法を替えて神童として復活し、14歳にして大学に入学。言語学の博士号まで取得してイギリスの学校を転々とする。

彼の世界は映像では無く言葉による情報に置き換えられ、記憶の再認も、目で見た対象の特徴と記録した情報を見比べて、より合致するものを、記憶していた対象と認識するという手法を採っている。
記憶には「知識記憶」と「経験記憶」がある。前者は例えば数学の公式や漢字、英単語など学校の授業で習うような記憶だ。後者は例えば「今朝の朝食はパンにバターを塗って食べて、それは上手かった」だの、「昨日誰と麻雀して会話が弾んで楽しかった」だの、自身の経験に基づく記憶だ。
彼の場合は経験記憶が全て言葉による情報に置き換えられる。「知識記憶」も「経験記憶」も、全て「知識記憶」になってしまい、あまつさえ記憶を視覚から直接確認することが出来ないのだ。(視認→特徴を言語化→言語化した特徴に合致する情報(記憶)を調査→言語化した特徴に最も当て嵌まる情報(記憶)を決定→視認した対象と、最も当て嵌まる記憶を同一と認定)

皐月とはMayのことで、メイデーを意味する。メイデーはハロウィーンと夏至祭の夜に並ぶ妖精に出会いやすい日であり、彼はそこで停止している。
統一言語という神代に全てのモノが共通して話していた言語が話せる唯一の人物で、現存する全ての人種・部族の言語の生まれた背景、信仰、原理から思想の全てを理解している。
統一言語師(マスター・オブ・バベル)、偽神の書(ゴドーワード)、ゴドーワード・メイデイと呼ばれており、統一言語を解することは「 」へ至る門であるから、根源に至ることが可能であるが、彼には魔術師として根源に至るという目的は無かった。彼はアカシックレコードを通して、世界が記録する自身の記憶を探したが、観測者は自身を観測することが出来ないから、他人の記憶の中にある自身の断片を採集して、記憶を取り戻そうとするようになった。何時しか、根源に沈殿した他人の記憶を採集して本人に還すことを生業とするようになり、他人の記憶を採集し、他人の無意識の記憶想起欲求に答える形で記憶を返還するようになった。
彼は、脳内情報保持を、
記憶・・・主観的な情報保持。観測者の印象(理性)に左右される不安定な方法。永遠でなく不変でない。
記録・・・客観的な情報保持。観測者の印象(理性)に左右されない安定な方法。永遠で不変。
という二つの記憶方法に分け、後者を永遠と呼び尊んだ。自己が重ねてきた歴史だけが自己を示す証であるなら、それは不変。観測者そのものが観測される対象になるならば、観測するモノも不変、観測される対象も不変。
彼が外界を理解するには、他人の記録を採集するのが、一番効率の良い方法である。彼は過去しか見えず、永遠の過去に囚われている。
しかし、後に、彼は自身の記憶喪失は忘却による喪失ではなく、破壊による喪失であることに、つまり認識出来なくなってしまったものだったことに気付く。記憶が出来ないということは、記憶に基づく自身の感情を発露することが出来ないということである。記録として言語化された情報からは感情は生まれず、必然的に受動的な人間になってしまう。
思い出が無い彼は自己を形成し得ない。彼にとって過去の記録は外界に対応するための単なる情報に過ぎず、それは自身のものとして吸収されることは永遠にないのである。
人間が人間であるために一番重要な自我・自己は意思に起因する。記憶が出来ない人間は悲観的になり、感情性に乏しく、意志を形成出来辛い。よって他を受け入れる受動的行為は出来ても、自己を主張する能動的行為は上手く出来ないのだ。これは浅上藤乃とは別の意味で「生の実感」を得ることが難しい状態と言える。
彼は「自身の記憶取り戻す」という目的が無くなった後も意志を、自己を失くすこと、人間で無くなることを恐れて、自己の意思を示す為に、他人の忘却した記憶を録音することを趣味とした。また、自分の記憶法としての言葉を絶対視している。
彼の統一言語は精神に直接訴えるものなのだが、劇場版ではどうも作用が異なるようで、片耳にイヤフォンを装着するだけで、回避可能となっている。
荒耶宗蓮に式を殺害する為に用意された駒の最後の一人である。

永遠について言及すると、「何時何処で何が発生したか」という事実の情報は永遠である。
それが永遠でないと感じるのは、事実の解釈が変わるからに過ぎない。また、忘却された記憶も理性による解釈改悪の手から逃れることにより永遠と定義することも出来る。
自己が無い玄霧はそれに気付いたか否かは分からないが、それを認めず言葉による永遠を欲したのだろう。式は「言葉にできる永遠なんて、それこそ何の価値もないっていうのに」と評価している。永遠とはカタチを持つ必要はなかったのだ。忘却した記憶を録音することが永遠であって、写真やビデオや書物による記録は劣化するから永遠ではないというのは詭弁である。色褪せた記憶を再生することで、私たちの印象が同一のものであるとは限らない。バークリーは「存在するとは知覚されること」と言ったが、永遠であるモノが知覚されるのではなく、モノが永遠であることが知覚されれば、何処にでも永遠は存在するのだ。詰まるところ、唯識の思想染みているが、人間は主観的な見方しか出来ず、客観は主観が客観に漸近したものに過ぎないということだ。
また、鮮花は幹也と彼が似ているように見えて、全然似ていないという結論に至ったが、それは、幹也は誰に対しても「無害」であることに対し、玄霧は「無害」ではなく、存在意義の無い者であることに気付いたからである。
劇場版では本章の本質である彼の独白などは殆ど割愛(省略かもしれない)されている。


・「黄路美沙夜」について
黄路美沙夜は黄路家の次女(養子)であり、礼園で生徒会長として権勢を振っていた。正義感があり、校則を破る生徒に容赦がないが、規則を守っている生徒には面倒見の良い先輩だ。
要領が悪く損な役回りを演じてばかりいたが信仰に厚い橘佳織を、妹のように可愛がっており、彼女を自殺に追いやった(キリスト教では自殺すると地獄に落ちる)葉山と1年4組の生徒全員に復讐する為に、玄霧に魔術を習い、妖精を使役して他人の記憶を蒐集していた。
彼女が使役する妖精は前述の使い魔の内の後者で、葉山英雄等は使い魔として彼女に使役されていた。
玄霧のことを実の兄と認識しながら、恋愛対象として見ており、鮮花を同類と看做していた(劇場版ではこの設定は出てこない)。これには近親愛における鮮花との対比が見られる。
鮮花の愛が幹也への畏敬や憧れに似たものであり、実の兄弟であることに対し、美沙夜の愛は玄霧への恋慕の気持ちから独占欲が生まれ、彼の妹だと思い込むことに依って満足しているというものだった。彼女達の愛し方には、決してカタチにしてはいけないという共通点がある。

1年4組の事件で葉山を問い詰めた彼女は、彼に暴力を振るわれて、押しのけた際に殺してしまった。父にも学長にも相談出来なかった彼女は兼ねてから慕っていた玄霧に相談し、全ての苦悩から一時的に解放された。


・一連の事件について(劇場版)
葉山英雄は理事長の出来の悪い弟で、多額の借金から、兄弟のよしみで教諭として礼園で働かせてもらい、1年4組の担任をしていた。橘佳織は葉山が麻薬を扱っている所を目撃し口封じに薬漬けにされてしまう。クラスメイトは葉山に目を付けられないように、薬漬けに苦悩していた彼女を避けた。彼女は、葉山が1年4組の学生寮に放火した後に逃げずに留まり、苦悩から解放される為に自殺を図った。黄路美沙夜は、葉山に事情を問い詰める際に誤って殺害してしまい、玄霧の助言により魔術を獲得し、彼を妖精として使役した。
妹のように慕っていた後輩を自殺に追い込んでおきながら、のうのうと生活する1年4組の生徒に復讐を誓い、殺しては確実に地獄に落とすことが出来ないので、妖精を使役して生徒の記憶を略奪し、互いに疑心暗鬼にさせて、1年4組の生徒を全員自殺に追い込むことにした。事件の早期解決を阻止する為に、妖精を使って鮮花の記憶を掠奪して懐柔しようとするが、失敗して彼女と対決するものの、妖精が暴走し意識を失う。鮮花は妖精を退治して、事件は解決した。橘佳織は自殺未遂の後、救助され事件後意識を取り戻した。


・一連の事件について(原作)
葉山英雄は理事長の出来の悪い弟で、多額の借金から、兄弟のよしみで教諭として礼園で働かせてもらい、1年4組の担任をしていた。1年4組は殆どが高校から編入してきた生徒で問題児が多く、全寮制で外出がままならない生活に痺れを切らしていた。葉山はそんな生徒の憂鬱に漬け込み、彼女達を学外に連れ出し、援助交際をさせていた。橘佳織は最後まで抵抗したが、最後には葉山に連れ出され、望まない性行為を強要され、妊娠してしまう。十六歳の少女が強姦の上妊娠をする等、最大の自身の穢れであるが、堕胎することは良心の呵責と信仰上の理由から出来なかった。
クラスの秘密が露見することを恐れた葉山とクラスメイトによって彼女は迫害され、葉山が1年4組の学生寮に放火した後も逃げずに留まり、一人地獄に落ちることでクラスメイトの罪を購う為に自殺した。黄路美沙夜は、妹のように慕っていた後輩の死を悼み、彼女の死後ものうのうと生活する1年4組の生徒に復讐を誓った。妖精を使役して生徒の記憶を略奪し、互いに疑心暗鬼にさせて、1年4組の生徒を全員自殺に追い込むことにした。事件の早期解決を阻止する為に、妖精を使って鮮花の記憶を掠奪して懐柔しようとするが、失敗し彼女と対決し敗北する(戦闘よりも問答の方が多い)。


・両儀式が再起した記憶について
式は玄霧皐月と戦うことにより失われた記憶を取り戻す。
それは織と幹也の掛け替えの無い過去と、事件当夜の記憶である。
前述の永遠の記述の通り、理性の手から逃れることにより記憶は永遠となる。織は幹也と過ごした大切な記憶を永遠にする為にこの記憶を眠らせたのだ。

・原作との相違点
1.本章のメインヒロインは無論、黒桐鮮花であるが、タイトルが「忘却録音」である通り、玄霧皐月の物語としての側面もある(矛盾螺旋の巴と荒耶の関係に似通っている)。
しかし、本編での彼の独白や黄路美沙夜に刺殺されるという重要な終末が殆どカットされ、鮮花中心の物語となっている。
2.橘佳織の自殺原因とその後の生死が原作と非常に異なる。
3.黄路美沙夜が玄霧を兄だと認識している設定が無くなっている。鮮花との対比が消滅。
4.玄霧の統一言語能力が原作と異なり、イヤフォンを片耳に刺すだけで回避可能となっている。
5.鮮花がエンディング後に幹也と食事に行くのだが、原作では「夕食は豪華な和食となりました」とあり、七章で式がそれに対して幹也に文句を言うのだが、本章では坂の下のレストランで済まされており、矛盾している。


・「Fairytale」について
Fairyは英語で妖精taleは英語で物語という意味の名詞
原作小説の忘却録音の序文を引用し、奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。歌詞から玄霧が妖精に攫われた事を題材にしていると考えられる。


・「忘却録音」という作品について
黒桐鮮花は幼い頃にとある理由から兄の幹也に対して恋愛感情を抱いていた。兄に好かれる為に叔父の家に引っ越したのだが、留守の間に両儀式が最愛の兄に接近し危機感を覚え、蒼崎橙子を師として式に対抗する為に魔術を勉強し、また上京して礼園女学院に入学した。
礼園の1年4組で2人の幼なじみの女生徒の双方に、本人すら忘れている子供の頃の秘密が書かれた手紙が送られてきて、それが元で口論になり共にカッターで切りつけるという傷害事件が発生し、それが妖精の仕業であるとしてマザーからOGである橙子に相談があった。彼女はこの事件を弟子の鮮花に担当させ、妖精を見る目として両儀式を派遣した。
鮮花と式は玄霧や1年4組の生徒に聞き込みをしたり、校舎の妖精を探索したりしたが、鮮花はそこで妖精に記憶を採られてしまう。鮮花は黄路美沙夜が事件の首謀者であることを突き止める。懐柔しようとする彼女を跳ね返し戦うが、返り討ちにあってしまった。
黄路は後輩の橘佳織を自殺に追いやった1年4組の生徒を地獄に落とすべく、校舎に火を放とうとするが、鮮花と戦い、暴走する巨大な妖精を操れなくなり気絶してしまい敗北した。美沙夜に魔術を教えたのは玄霧であり、彼女の望みを叶えたのは彼だった。記憶に障害があり、統一言語者であることから、他人の失われた記憶を本人の望み通りに返却することを趣味とし、それによって自我を保っていた。
式と戦闘し破れるも、彼女に4年前の失われた記憶を返却する。


・名言(原作より抜粋)

式「ひどいな。今回の犠牲者は間違いなくオレだぜ、きっと」

黄路「貴女――とても良くてよ」

玄霧「永遠は還さないといけない。その嘆きを再生する。たとえ君が忘れ却ろうとも、記憶は、たしかに君に録音されているのだから」

式「この、ヘンタイ」
鮮花「なによ、異常者」

玄霧「さあ――君の嘆きを再生しよう。安心したまえ。たとえ君が忘れ却ろうとも、記録は、たしかに君に録音されているのだから」

玄霧「つまるところ、自分さえ生まれなければ、世界(ワタシ)はこんなにも平和だった」

荒耶「そうだ。君はすでに常識に不在している。常識という世界において、異常者は罪には囚われない。異常者が異常を行うのは当然であり、そこに常識で言う善悪の秤はないからだ」

荒耶「魔術師――荒耶宗蓮」

荒耶「りお――おしいな。一文字違えば、君は獅子だったのに」


感想
原作との相違は不満足ながら、本作の魅力の七割方は表現出来たと思う。「忘却」や「永遠」など、複雑なテーマであったが、原作の購読と考察によってなんとか自分なりに纏めることができた。本作は鮮花の学校での事件ということもあって、彼女が大活躍する。ツンデレな彼女には妹萌えが堪能出来た。また、式の修道服姿も素晴らしい。
{/netabare}
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この六章は、五章矛盾螺旋と七章殺人考察(後)という本作の要である章を繋ぐ重大な役割を担う章だ。鮮花をメインに荒耶の置き土産1号と式・鮮花の戦いを描く。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 34
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

失われた記憶から呼び覚まされる感情

原作未読。
全8章からなる物語の6章目。約59分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

時系列でいくと5章の後です。

見所は、メンバー唯一の良心……ではないですが、たぶん癒しキャラの黒桐鮮花(こくとうあざか)の活躍!
「妖精」が出てくる話でもあるので、他の章に比べずいぶん楽しげな回です。
「えへっ☆」に胸キュンです。

……といっても、空の境界。
どこか歪んでいますし、死人も出ます。

戦闘シーンは、相変わらずスタイリッシュ!
今回は、鮮花が修道女のような格好で激しく動き回ります、はしたない(*ノノ)

EDテーマは「fairy tale」。
これはそのまま「妖精物語」ですね。
しかし、空の境界は、本当にハズレ曲がないですね。
内容に深くリンクした歌詞と、切ないメロディーの曲です。

【6章「忘却録音」の考察】
{netabare}
「記憶」を奪う「妖精」の話。

鮮花は、実の兄である幹也に恋をしています。
しかし、好きになった「きっかけである記憶」を奪われてしまいました。
それなのに好きという気持ちは消えない。

また、両儀式は鮮花の恋心に気付いていましたが、それは「織」のほう。
「織」は消滅したはずなのに、「式」はそのことをなぜか知っている。

……ところが、黄路美沙夜(おうじみさや)先輩の場合は違います。
記憶が残っていればそこにあったはずなのは、佳織を救えなかったという「自責の念」。
しかし、記憶を失うことで、本来なら生まれなかったはずの「復讐心」が発生しています。

この違いはどこから生まれるのか。
ヒントは玄霧皐月(くろぎりさつき)先生の言葉にあると思います。

玄霧「たとえ忘れようと、記憶は確かに君に録音されているのだから」
玄霧は言葉で人の「認識」を操る魔術師です。

ここで「きっかけの記憶」をスピーカーに例えてみます。

スピーカーから、ある音が発生します。
これが、ある感情の「きっかけである記憶」です。
ここでスピーカーを取り除いても、一度発生した「音」は「音波」として広がっていきます。
もしその「音波」を1箇所に「かき集める」ことができたなら、元のスピーカーという音源がなくなっても、情報は失われません。

では、どうやってかき集めるのか?

鮮花も式も、「きっかけの記憶」を失いながらも、その後に幹也に会って「認識」しています。
しかし、黄路先輩は「きっかけの記憶」を失った後、認めたくない感情から目をそらし、生徒たちの噂だけを頼りに「記憶を見たつもりになっている」だけで、葉山秀男にも立花佳織にも会っておらず「認識」をしていません。
その結果、ありもしない「復讐心」という感情が生まれています。
つまり、「認識」という「感情を認める行為」が「かき集める」ことに相当するのだと思われます。

「認識」という形で、音のように広がった「記憶」をかき集め「夢」という形で「再生」される。
これが「忘却録音」の正体だと思われます。

なお、
玄霧「君の忘却はその類だ」
とも言っています。
かき集めることができるかそうではないかは、記憶の種類によるのでしょう。

「恋心」は忘却録音が可能なわけですね。


【全て見終わった人へ】
{netabare}
さて、最後にエグイシーンが出てきますが、「弱い人は嫌いです」の声は、両儀式の声です。
そして、荒耶宗蓮が出てきますが、「おしいな。一文字違えば、君は獅子だったのに」の言葉。

スタッフロールをよく見ると、白純里緒(しらずみりお)と名前が出ています。
「リオ」が一文字違えば、百獣の王「レオ=獅子」だったのにという意味ですね。

白純里緒の起源をたどっていけば、肉食獣が多く出てきます。
しかし、白純里緒を使っても根源へとはたどり着けず、不完全に終わってしまいます。
「おしいな」というのはそのことも意味していたのでしょうが、結局はダジャレ。

荒耶宗蓮もかわいいことを言いますねw
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

幻想と慕情 記憶と現実の境界線

1999年1月。時系列的にも6番目のこの第6章。
ゲストヒロイン的な位置に黒桐幹也の妹で、魔術師・蒼崎燈子の弟子でもある
鮮花(あざか)が登場。彼女の通うミッション系の学園で起きた謎の事件を
式と解明するとともに、そのブラコンぶりも描くスピンオフ的な章。

妖精をテーマにしているので、女学院の雰囲気にもぴったり。

クレマチスの咲く庭の星空が美しいオープニング。
相変わらず繊細な作画には圧倒される。
ちなみにクレマチスの花言葉は、「高潔」「たくらみ」「美しい心」「精神的な美しさ」
本来1月に咲く花ではないので、意味を持たせたかったのかな?
花言葉からするとちょっと納得してみたり。

アクションも少なめで、緊迫感はあまりなく落ち着いた雰囲気。
とにかく女学院の建物がすごくリアルで印象に強く残ったのだが
エンドロールに 「協力 神戸女学院」の文字をみつけて、あぁやっぱり!と。
ヨーロッパの修道院風の建築や、中庭がとても美しかった。

で、物語としては大きな変化がなかったものの、失われた式の記憶についてや
次章 第7章に繋がる重大な手がかりを残すことにもなるので、
この第6章も飛ばせないし、個人的には和服姿の多い式が女学院の制服姿を
ぎこちなく着ている姿が見れたのが美味しかった(笑)
でも、普段和服を着慣れて足を揃える動作は身についているはずなのに
制服着てて膝を離して椅子に座るっていうのは、あまり納得できなかった。

ちなみにED「fairytale」はいつもながらkalafinaの歌なのだが、
雰囲気にとても合っていて良かった。
というか、どの章のEDも「空の境界」のために作られているし
作詞には原作者の奈須きのこ氏も名を連ねているので
合っていて当然といえば当然なのだけど。

そういう意味で、EDの歌詞も含めてひとつの作品として成り立っているから
ほんと、隅々まで見逃せないし、聞き逃せない。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 38

68.1 5 ツンデレで恋愛なアニメランキング5位
劇場版 図書館戦争 革命のつばさ(アニメ映画)

2012年6月16日
★★★★☆ 3.8 (467)
2438人が棚に入れました
日本を揺るがすテロ事件が勃発する中、デートの最中だった笠原郁と堂上篤に緊急招集がかかった。新たな任務は、小説家・当麻蔵人の身辺警護。テロの手口に小説の内容が酷似しているとして、メディア良化委員会は作家狩りを始めたのだ。法廷闘争が始まる中、郁たち図書特殊部隊は判決まで当麻を守りきらなければならない。図書隊と良化隊の衝突が激化する中、重傷を負ってしまう堂上。動揺する郁に、堂上は任務の遂行を託す。郁は、当麻を守り、表現の自由を守ることが出来るのか!? ――そして郁と堂上とのもどかしい恋の結末は!?

声優・キャラクター
井上麻里奈、前野智昭、イッセー尾形、石田彰、鈴木達央、沢城みゆき、鈴森勘司、潘めぐみ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

“今度こそ”スタートラインに立てた図書館戦争

前作のテレビシリーズは2008年の春アニメとしてノイタミナ枠で放送されましたが、肝心の『メディア良化法』と呼ばれる架空の法律から表現の自由を訴えかけるという内容もソコソコに、ラブコメ要素がメインのトレンディドラマ風味の作品になってしまっていました;


仕舞いには原作でも重要視される【中澤毬江にまつわるエピソード】が放送局の自主規制によりオミットされるという自体に陥り、【表現の自由を問う作品が表現規制された】ということに原作者は肩を落とし、多くの原作ファンが憤慨するという賛否両論を巻き起こした問題作になったわけです
(上記のエピソードはちゃんとアニメ化され、セル版DVD3巻、もしくはBD-BOXには収録されております)


今作を鑑賞した劇場で今年のアニメ映画の中では初めての出来事だったのですが、来場者の年齢層がかなり高いことに驚き
有川作品ファンの幅広さとアニメ版図書館戦争の知名度を思い知ることとなりました











さて、今作ではやっとこさ肝心要の『メディア良化法』に対して図書隊が踏み込んでいき、表現の自由を訴えかけるという待望の展開が描かれます!


早速冒頭からテロリストがヘリで原発に自爆テロを図って建屋に穴を開ける・・・
という衝撃ニュースが飛び交い“見慣れたあの光景”がテレビから映し出されるというショッキングな幕開け


そしてこのテロ組織の犯行の手口が、原発テロを題材にしたエンターティメント小説の内容に酷似しているものとみなし、図書隊の宿敵であるメディア良化委員会は小説の著者である当麻蔵人を拘束しようとする


これを許しておけば事態を皮切りに良化委員会は『作家狩り』をはじめるであろう、と判断した図書隊の面々
すぐさま当麻蔵人を保護し、法廷で正々堂々と良化委員会、延いてはメディア良化法の在り方そのものに踏み込んで戦うことを決意し、彼の身辺警護を始める


初めのうちは事件に巻き込まれたことを他人事のように疎ましく思っていた当麻蔵人
良化隊が行う『検閲』にも、上手く逃れながら作家業を続けることがプロの仕事であると考えていた彼を通して、これまで読み手側の都合がメインに描かれていたメディア良化法が、初めて書き手側の目線で語られます


彼もまた稲嶺元司令の過去(通称:日野の悪夢)を語り聞かされ、これまで自分が無視し続けてきた検閲の非道極まりない実態を知ります
さらに図書隊の面々と触れ合っていくうち、自分の本を命懸けで守る若者たちがいた、という事実にもやがて心を動かしていくのでした・・・











当初から破天荒な世界観が物議を醸し出していた作品ではありますが、今作はやたらロケハンに凝っていて、、、
JR立川駅前
都営新宿線市ヶ谷駅
中央道諏訪湖SA
大阪御堂筋
大阪北区
そして新宿三丁目の紀伊国屋書店(新宿本店がそのまま紀伊国屋として登場)
とまあ、この辺の背景描写があまりにも丁寧すぎて映画を観終わって劇場を後にすると、ソコにはさっきまで映画の中に広がっていた景色がある・・・という強烈なデジャヴを感じました(´q`)
最近流行の【ご当地アニメ】もこういった架空の設定が前提の作品ではちょっと考えものですよね・・・


あとアニメ版で柴崎と手塚ってあんなに仲良かったっけ・・・?
いつの間に進展してたの?w
(これについては記憶違いかもしれませんので観直して来ます^^;ようつべで公式にオンエア版全話が配信中ですよー)


あとこれはこまけぇことかもしれませんが、夕食を食べてる当麻蔵人先生
どう見ても小食っぽいインドアタイプなのにご飯を「おかわり」発言ェ・・・
だって“おかずの揚物に手が付いてないよ・・・”
ご飯だけめっさを早く食べたのか?wまさかのおかず2週目なのか?w
真相は闇の中へwww


天ぷら屋でキスが揚がってくる「キスでございます」のくだりもまさかのダジャレかよ!とw
一瞬凍りつくかと思ったぜwww


音楽はテレビシリーズに引き続きオイラの大好きな菅野祐悟さんだったのですが唯一に一点だけ!どうしても気に食わないのがOPアニメーションで流れてくるかなりキャッチーで激しいロック調のインストナンバーが図書館戦争の雰囲気とまるで合っていない・・・;
そこは高橋瞳を連れてくるトコだろぉがーっ!


作画の面はとにかく笠原に注目したいですね(笑)
喜怒哀楽の激しい彼女のコミカルな表情
そして後半では、もはや一介の成人女子とは思えないジャッキー・チェンばりのアクションを繰り広げてくれますw
ホント、名実共に笠原から目が離せない作品となってますよ^q^
オイラの勝手な憶測ですけど、たぶん『わすれなぐも』でロトスコをやってた新人さんが、もしかして来てる???


いやはや、それはさておき
実弾が飛び交う世界なのに相変わらずな【絶対に死人が出なさそうな中途半端な緊張感】がこのシリーズのイチバン残念なところ;
予告編からして『堂上教官がまるで死にそうにない』のが薫り伝ってくるのは流石に問題視すべきw
あと露骨なラブコメ路線から多少シリアスな路線に回帰したことで、ラブコメとの両立が上手くいってないのも解るのがちょっとぉ・・・











んでもまあ日野の悪夢、笠原と堂上の出会いといったテレビシリーズのダイジェスト的な組み込みを説明臭くなく自然に潜り込ませたのには拍手
極めつけは劇中で一瞬ではありますが中澤毬江ちゃんが映るかつてのスタッフの罪滅ぼし的なシークエンスもあるんで多少大目にみてこのぐらいが妥当な評価
何より大事なことは、この作品を観たアナタが【表現の自由】とはどうあるべきなのか?をこの物語から汲み取って、少しでも考えるキッカケになってくれることであるはず・・・なのでは?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 29

ちびもす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

表現の自由を考えさせられる作品。

2008年に放送されたTVシリーズの続編である本作。
原作は「阪急電車」、「フリーター、家を買う」で有名な有川浩先生の小説、図書館シリーズの「図書館革命」にあたるお話です。
ストーリーとしましては、あまり派手な演出は多くなく、終盤までは静かな話運びとなります。ですが、クライマックスではしっかりとタスクフォースらしい働きを存分に発揮してくれますのでご安心を。
今回、重要人物の一人の声優として、俳優のイッセー尾形さんを起用されていましたが、正直違和感がなかったとはいえない出来でした。イッセー尾形さんの演技は素晴らしいものだったと思いますが、演技の雰囲気が合わなかったのか、映画のほうが合わなかったのか…その点が少し残念に感じました。ともあれ、原作ファンの私自身としては満足な出来だったと思います。ただ、TVシリーズも原作も知らない方には少し入りにくいかもしれませんね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

朝霧麻衣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

表現の自由が守られる日が来るのか

【ストーリー】
あらすじはアニメ本編で書いたので省略します。
この作品ではアニメ本編から続いている表現の自由に関する抗争に進展をもたらす事件が起きます。原発テロを起こしたテロリストの犯行手口が、ある作家が出版した小説の内容に酷似していたのです。これをきっかけに「メディア良化委員会は」書籍の検閲を超え、執筆者の弾圧にまで踏み込むこととなります。遂に「メディア良化委員会」と「図書隊」法廷の場で全面的に対決することなります。そんな中で主人公である「笠原郁」を中心とした図書隊の面々はどのような行動をとっていくのか。

【みどころ】
アニメ本編から続いている教官との関係は進展するのか、日本における表現の自由はどうなっていくのか、そんな所が見所です。

【所感】
アニメ本編のレビューでも書きましたが、非常に政治色の強い作品となっています。権威ある立場にいる者による不当な表現の弾圧、メディアの偏向的報道などが題材となっています。古来より歴史は勝者によって作られるといいますが、時が経過してもずっと残り続ける書物は人類にとって貴重な資料です。今でも昔の書物が見つかることで歴史の教科書などは大きく内容が変化していくほどです。そんな重要な書籍の数々を権力者の都合で弾圧することは決してあってはならないことだと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16

62.9 6 ツンデレで恋愛なアニメランキング6位
劇場版 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい(アニメ映画)

2009年4月25日
★★★★☆ 3.5 (468)
2234人が棚に入れました
これはもうひとつの、レントンとエウレカの物語。
突如、南太平洋に出現した、謎の生命体『イマージュ』と、人類との間に戦争が始まって、約半世紀もの月日が流れていた。
西暦2054年、人民解放軍第303独立愚連隊の戦闘母艦・月光号に配属された少年兵、レントンの夢はただひとつ、人民解放軍によって8年前に連れ去られた幼馴染の少女、エウレカを助け出し、約束の場所である故郷ワルサワに帰ること。その夢を実現させる為、幼い頃より共に育ったLFO、ニルヴァーシュに搭乗し戦場に赴く。

声優・キャラクター
三瓶由布子、名塚佳織、藤原啓治、根谷美智子、山崎樹範、小清水亜美

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

もし見るのならこちらを先にするべきww B+

テレビ版を見る前にこちらの劇場版を視聴しました。
そのため、何の違和感もなく見ることができました←当たり前かww
その後、本作の評判が芳しくないことを知り、テレビ版も視聴してみることにしました。
そしてようやく・・・何だったんだあの映画は!と思うに至りました。

余り感想もないのですが、アネモネだけは劇場版の方が印象が良かったですね。

テレビ版を既にご覧になっている方は視聴をお勧めしません。
映画から見ようと思っている方は(殆どいないでしょうが)、まあ見ても良いんじゃないでしょうかww

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

本編と別展開だが、世界観は共通

世界観:7
ストーリー:5
リアリティ:6
キャラクター:6
情感:5
合計:29

宇宙より飛来した謎の生命体イマージュと人類の戦いは、既に半世紀に及ぼうとしていた。
これは、レントンとエウレカの、もうひとつの物語。
(公式サイトより)

TV版(以下、本編)が楽しめたので、忘れないうちに劇場版を手に取りました。事前に何も調べていなかったので、序盤は本編とは違う設定や人間関係であることに混乱しました。パラレルワールドらしいですが、ドミニクが先生というところから始まるので、生まれる時間等も含めた幅広い意味での別次元となっています。

それだけに、原作のファンからすると受け入れられないかもしれないと視聴しながら思いましたが、私は本編において特定キャラに思い入れがなかったことから(それが、個人的にこの作品の惜しいところでしたが)、別の役回りを与えられていても自然に入ってきました。

{netabare}本編視聴時から、エウレカを素敵に描いてほしい(萌えが欲しい)と思っていたので、日光に当たって緑色の肌になるシーンが、ゼリーっぽくなく綺麗めに表現されていたのは良かったです。羽も生やさなかったのは、作り手の配慮でしょうか。羽がないから偽物だ、といった展開がありましたけれど、このあたりを含めて本編を視聴しているから違いがわかって面白いシーンも多かったように思います。

残念だったのは、最後にエウレカが人間になってこの世界に戻ってきたものの、言葉も喋れない(記憶喪失?)状態だったこと。それならいっそのこと完全な人間化ハッピーエンドで良かったのでは。本編では裏表なく人間を表現し、エウレカの顔の筋すらずっと残していた作品ですので、そこを真っさらにするのは違和感ありました。{/netabare}

本編とは異なるストーリーですが、本編の鬱々としたエピソードがなく、レントンとエウレカが最初から心を通じており、本編以上のストレートな感情表現が見られ、終盤の情感はなかなかの作品。本編で世界観を気に入った方なら楽しめると思いますが、キャラクターへの思い入れがある方は微妙かも。

(2016.4視聴、2017.5、2019.1調整)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14
ネタバレ

kooodain さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

TV版の同人的立ち位置で色々な事を求められる作品

私の言いたいことはこの方のブログの最後に全て書いてあります。

【ネタバレ/解説・考察】「交響詩篇エウレカセブン:ポケットが虹でいっぱい」:今だから考えてみたい真の意味

リンクではなく記事のタイトルだけ置いておきます。

まず大前提としてこの作品はエウレカセブンの続編ではないということ。
全く別の次元で別の世界のパラレルワールド的な立ち位置であるということです。
その事を念頭に置き大まかな世界観だけを踏襲した作品だと思うと最大限楽しめます。
決してアニメシリーズと同じ様な関係や世界を期待してはいけません。
「別の作品」であることをしっかりと頭に入れてください。

この作品でしか楽しめないエウレカセブンと言うものがあります。
・TVシリーズより深く考えないと理解できない難しさ
・レントンとエウレカの別の可能性
・レントンとエウレカの幼少期からの愛
・ドミニクの格好良さ
・エウレカセブンの別の可能性(この作品とも別の)
大まかにここら辺でしょう。

酷評の多くはTVシリーズと大きく違う点だと思います。
キャラクターに思い入れがありすぎると設定が大きく異なり失望します。
また設定が違いすぎて理解が出来ず置いてけぼりもしくは思考停止します。
ですがよく考えながら見るとかなり楽しいです。
また大まかな設定は同じなのでキャラの性格は全く同じです。
ですので完全にエウレカセブンの別の可能性を見れた気になれます。
商業レベルに良く出来た同人映画とでも呼べばいいでしょう。

またTVシリーズでの映像の使いまわしも結構あります。
使う箇所がそれなりに上手いので相違は感じません。
ですが使い回しに敏感過ぎる人には向いていません。
色々な点で寛容さを求められる作品かもしれませんw

最後に大事な事なので何度も言います。
TVシリーズを見てその期待を持って来て見る事は辞めてください。
大まかな外殻もしくは根幹だけ踏襲した別作品です。
映画を見ながら都合よくTVシリーズの設定を持ってこれないと死にます。
この設定は持ってきて良くてこれはダメと言った取捨選択能力が求められますw

何はともあれ何年も経って再評価するブログがあったりと面白い作品であることは間違いないです。
エウレカセブンの記憶が薄れてきた今存分に楽しめました。
エウレカセブンを楽しんだあの日そのまま見ていたらがっかりしていたでしょう…。

{netabare}惑星の賛美歌エウレカセブン
良い夢を、おやすみ、若い恋人たち{/netabare}

▼物語の評価
設定がキャラも含めて大きく異なるので賛否両論でしょう。
ですが都合よく解釈や設定のピックアップが出来るとかなり楽しめます。
本編ほどの友情や愛、関係性の深さはありません。
シナリオも尺の問題か深く掘り下げられない点がありかなり難しくなっています。
大まかな説明すら無いので考えながら見れない人には不向きです。
ただ個人的には軽く繰り返し見れるエウレカセブンと言った立ち位置に感じました。
TV版程の重さや深さ、エグさがないので結構気楽に見れます。
▼作画の評価
使い回しが少々多めなのが気になる所です。
おそらく映画用に配色等がリマスターされてはいますが…。
オリジナルの絵はとても良いです。
動きも申し分なかったです。
▼声優の評価
声優の演技はアニメ版と全く同じで同じ演技力です。
何年後の作品かは確認していませんが再現度がかなり高いです。
▼音楽の評価
音楽はTV版をそのまま流用だったと感じています。
細かくは確認していません。
前編オケなのでとても曲は素晴らしいです。
またラストに多分ですがsupercarの挿入歌が来るのでちょっと嬉しくなります。
{netabare}(story writerではありません){/netabare}
▼キャラの評価
キャラの設定が大きく変わるので賛否両論になる所です。
個人的にはこちらの方が落ち着いた雰囲気の設定と感じました。
逆にアニメ版の様な深さやエグさは無くなっています。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

64.5 7 ツンデレで恋愛なアニメランキング7位
劇場版 灼眼のシャナ(アニメ映画)

2007年4月21日
★★★★☆ 3.7 (295)
1961人が棚に入れました
平凡な高校生・坂井悠二の日常は、ある日突然消滅した。異界から渡り来た、人の“存在”を灯りに変えて喰らう化け物“紅世の徒(ぐぜのともがら)”が悠二を襲う。逃げることも忘れ呆然と立ちすくむ彼を救ったのは、紅蓮の髪と瞳をもつ謎の少女だった。そして──その少女は、悠二にこう告げた。
「おまえはもう【存在】していないのよ」と。「存在亡き者(トーチ)」であった悠二と、彼に“シャナ”と名付けられた少女は、悠二の中に宿る宝具を監視するため御崎市に留まることに。そして二人は、彼をトーチに変えた元凶、この街に潜む紅世の王“狩人”フリアグネと対峙する……。

声優・キャラクター
釘宮理恵、日野聡、江原正士、川澄綾子、櫻井智、生天目仁美、岩田光央、諏訪部順一、こやまきみこ、野島裕史

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

コンパクトシャナ!劇場版を観れば「灼眼のシャナ」を理解できます。

「灼眼のシャナ」を齧るにはもってこいの劇場版。
シャナの何たるかがわかります。

紅世のともがら、フレームフェーズ、封絶、自在法、トーチ、ミステス、メロンパン、うるさいうるさいうるさい。
これくらいわかれば、灼眼のシャナの60%は理解できます。

内容はといえば、1期序盤の総集編的な作品。
と思ったら大間違い、TV版とストーリーが微妙に変わります。
おいしいとこどりのうまい編成。
ラストもお見事。
結構、見ごたえがあります。

フリオイグレシ・・・じゃなかった、フリアグネとのシビアな戦い。
シャナと悠二の心の距離が徐々に縮まります。
マージョリーさんも大活躍。
一方のカルメルさんは・・・、観てのお楽しみです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 29

niko。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

劇場版 灼眼のシャナ

灼眼のシャナの劇場版ということで視聴です。

1期の狩人・フリアグネまでの戦いを再編成したものです。
簡単にまとめると釘宮病S型の劇場版です。

個人的にこの作品のテーマを5つ挙げるならば
「ツンデレ」「くぎゅう」「学園」「恋愛」「劇場版」

シャナの劇場版ということで気になり見てみましたが
1期とは違う少し違うストーリーを楽しめました。
1期よりこっちの方が良いんではないかと思う点もありました。
しかし詰め込みすぎでテンポがかなり早く感じたり、
若干話が飛ぶ様に感じることもありました。
世界観がちょっと難しく、用語も多いので
シャナの作品を初めて見る人にとっては
理解するのがかなり困難になるかと思います。
なので個人的に初見離れを防ぐ為に何か工夫が欲しかったです。

シャナの可愛さは相変わらずです。可愛過ぎです。
でも何だか本来の可愛さと何かが違うような感じがしました。
気のせいでしょうか。多分、わかる人にはわかると思います。
まぁ、可愛いから何でも良いんですけどね。

「灼眼のシャナ」という作品を初めて見る方は
用語が理解し難かったり、若干話が飛ぶ部分がありますが
シャナの作品の大筋を捉えるには良い作品かなと思います。
また1期などを見たよって方はちょっと違うお話を楽しんでみてはどうでしょうか。

・主なキャスト
 シャナ:釘宮 理恵
 坂井 悠二:日野 聡
 アラストール:江原 正士
 吉田 一美:川澄 綾子
 マージョリー・ドー:生天目 仁美
 マルコシアス:岩田 光央
 フリアグネ:諏訪部 順一
 マリアンヌ:こやま きみこ

・主題歌
 「天壌を翔る者たち」I've special unit Love Planet Five
             (KOTOKO、川田まみ、島みやえい子、MELL、詩月カオリ)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4
ネタバレ

ぴの@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

“ミステス”坂井悠二と『炎髪灼眼の討ち手』シャナのはじまりの物語。

2007年4月21日公開。

DVDについているディレクターズカット版のほうを見ました。
アニメ版のほうをみたのがかなり前なので、すごくなつかしく感じましたね。やはりこれが灼眼のシャナ!っていうのをすごく感じさせられるものとなっていました。

内容としては、1期1話~6話までのフリアグネとの戦いにオリジナル部分をたくさん取り入れて作ったかんじの映画でした。
作画にもとても力が入っていてよかったと思います。
{netabare}特に最後のほうのシャナ&マージョリーVSフリアグネとの戦いのところはかなりストーリーも圧巻でつい見とれてしまうものでした。{/netabare}

基本的にはアニメ版を見てれば、話にはついていけると思うのですが、シャナ好きな人にはぜひ見てもらいたい作品だと思いました。
ただ、音楽はアニメ版のほうがいいのでは…?と個人的にそう感じましたね。でも良曲です!

読んでいただき、ありがとうです(●^o^●)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

63.9 8 ツンデレで恋愛なアニメランキング8位
ねらわれた学園(アニメ映画)

2012年11月10日
★★★★☆ 3.7 (299)
1484人が棚に入れました
本作は眉村卓の同名小説を、監督の中村亮介自ら脚本を執筆。(※内藤裕子との共著)
時代を現代の中学校に置き換え、新しい解釈によるアニメ映画化が実現。
制作はサンライズ第8スタジオ(「境界線上のホライゾン」「アクセル・ワールド」)が担当し、思春期の心象風景を淡くも鮮烈に描き出す話題作。
キャストにはナツキ役にAKB48の渡辺麻友が劇場版アニメ映画で初主演声優を務める。ナツキの幼なじみで相手役となる関(せき)ケンジ役を、 『SUPER8』(11)、「エウレカセブンAO」(12)の主役を演じた声優・本城雄太郎。ナツキ・ケンジが通う中学に”転校生“として現れる京極に、 『涼宮ハルヒの憂鬱』の古泉一樹、『黒執事』のセバスチャン・ミカエリスなど数々のアニメで主役を演じる小野大輔。ナツキ・ケンジの同級生のカホリ役に 「海月姫」の倉下月海役や、「こばと。」の花戸小鳩役などで主役を演じ、歌手としても人気の花澤香菜、と人気・実力ともに豪華なキャスティングが実現。
主題歌「サヨナラの橋」はナツキの声を演じる渡辺麻友が担当し、作品に彩りを加え、オープニングテーマ「銀色飛行船」はアニメファンにも定評の高いsupercellが担当。こちらも豪華な顔ぶれで本作を盛り上げる。

声優・キャラクター
渡辺麻友、本城雄太郎、小野大輔、花澤香菜
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ぬるい演技、浮ついた作画、しつこいメタファー・・・でも問題なのは主題歌だろ(´・ω・`)

マジ何回目の映画化ですか?


って最初は飽きれてましたけど、実はアニメ化したのはこれが初めてだそうでw
いやはやw失礼しやすた(*´ω`*)テヘペロ


たぶんプロデューサーが目指したかったのは『時かけ』みたいなコメディタッチ&青春恋愛ドラマ
んでもってそこはかとな~く原作との繋がりをチラ見せさせるような作りの作品
たぶんその考え方は間違っちゃいないっす
実際そーゆー作品に仕上がりました『時かけ』的な何か


監督に起用されたのはマッドハウスの秘蔵っ子で『魍魎の函』や青い文学シリーズ『走れメロス』の若手、中村亮介
これまでの落ち着いた雰囲気の監督作とは一変し、自らも脚本を手掛けて「時かけ風味の四角関係恋愛ドラマ」へのアレンジに挑戦してます


原作と最も違うポイントなのが「ケータイの存在」をテーマにしているところでしょうか
ケータイって結局ただの道具に過ぎないんじゃないのか?本当に無くてはならない物なのか?じゃあテレパシーがケータイに取って代わればそれで皆ハッピーなのか?
そんな感じのお話です


でもイマドキ「ケータイ禁止令」がテーマになるってのもオイラ世代の学生(10年前)ならトモカクとして、このご時勢では現実味ないような気もしましたけどね;


映像面では監督が得意とする背景の美しさ、撮影処理やCGを用いたエフェクトが随所に際立っております
舞台となった湘南海岸付近の街並みや江ノ島の風景をあたかも『クリスチャン・リース・ラッセンの絵画』のような美麗で幻想的なフィルムに仕上げているのはチェックしておきたいところ
(ってかまた江ノ島かよw今年何本目ですかw)


ただ色々と「どーにかならんかったのかw」と笑ってしまうシークエンスがあるんですわ
まずヌルヌル動きまくる作画のクオリティに反して、声優の演技が超ローテンション;
特に前半、ヒロインの一人であるナツキの人間離れした運動神経をやたらオーバーに描写し、ナツキの元気っ子っぷりをアピールしているものの、、、ナツキを演じているまゆゆ自体は妙に落ち着いた喋り
こうなってくるともう作画が過剰なのか、まゆゆが下手なのかワカラナイ
っていうかミスよね、演出的にはw


クライマックスになってくると時空の狭間に浮かんだ“取り残された記憶の世界”がメタファー的にやたら絡んできますが、あそこは普通にアニメ的なサイキックバトルで決着を付けちゃった方が良かったような気がします;
実際、このメタファーがちょっとしつこ過ぎる
率直にイイと感じれたのはケンジとナツキの幼少期のトラウマにまつわる部分だけかなぁ・・・


あとケンジの妹ってキーパーソンとしては使い切れてないし、絶対不要でしょ(可愛いんだけどw)
ケンジの祖父が倒れる描写も不要


一番の問題点はやはりまゆゆが歌う主題歌w
まゆゆにも秋元康にも恨みはないけど、どう考えてもこの作品の雰囲気や村井秀清さんの劇伴にマッチしているのはOPテーマに使われているsupercellの『銀色飛行船』
『銀色飛行船』の出来が素晴らしすぎて、まゆゆの曲がエンドロールで流れることには違和感しかないぜ!w


いや、まあでも生徒会に殴り込みをかけるシークエンスとその直後の4人で海に行くシークエンス
つまりギャグパートw
あの辺は面白かったのでこまけぇところは大目に見たい


声優に関しても超脇役のはずの戸松っちゃんがメチャクチャ上手いとか
なによりも主役のケンジ、本城雄太郎くんはやはり声優界の次代を担う逸材や!と感動と歓心で胸イッパイですよw


画面や音楽のクオリティが高かった一方で、もう少しまとめて欲しかった部分が目立った地に足の着いてない作品だと感じましたね;










{netabare}でもエンドロールが終わった後のエピローグで『銀色飛行船』がもう一回流れたので全て許す!!!(笑){/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋愛物としては大好物でした 

原作 小説

学園 恋愛 SF もの

本編 106分

あらすじはあにこれを参考された方がいいかと・・・

映像はめっちゃ綺麗でした。


ヒロインである涼浦ナツキの声をAKBの渡辺麻友と云う子が(自分、彼女の事は知らないです)やってましたが、以外に全然上手でしたよ!


感想

家が隣同士で幼馴染の 涼浦ナツキ と、関ケンジ
転校生の京極リョウイチ と、春河カホリ
この4人の恋愛模様と、京極リョウイチの目的とが、話のメインですかね。

自分としては、{netabare} 未来の月からやって来た{/netabare}京極の目的となるSFの部分より、恋愛模様を重視して観てました。
だってその方が好きだから・・・^^

ナツキはケンジを想い・・・
ケンジはカホリを想い・・・
カホリは京極を想い・・・
京極は・・・ {netabare} カホリと両想い{/netabare}

{netabare}
ナツキはケンジに対して、直ぐ手が出て暴力的だけど、ホントは繊細で泣き虫な女の子でした。
ケンジの事を一途にずっと好きで、なんだか可愛かったです。
幼い頃、花火の上がってる時にナツキが何度も「大好き」って告白するも、花火の音でケンジは聞こえてないとか・・・
なんだかベタ過ぎるな~

でも、幼馴染っていいよね~ なんだか憧れます。
自分にはそんな幼馴染はいなかったので。

ナツキが、ケンジがカホリの事を好きだと分かってからが、観ていてこっちまで切なかったです。
゜(゜´Д`゜)

海岸でナツキがケンジにキスして、泣きながら気持ちを伝えるシーンはもらい泣きでした。


終盤、カホリと京極が別れるシーンでも、
「好き、大好き、未来に帰るしかないのなら、私が行くから・・・」と言うが、京極は「さよなら」と、手にキス・・・ここも切なかったです。


最後、ケンジが京極を助け、心臓の負担により片道しか行けない月へと送りに行きます。
ケンジと京極が消えてしまうと、カホリとナツキは二人の事を忘れてしまい・・・
そのままEDテロップが流れます

え~
うそ~ん!q(T▽Tq)
バットエンドなの~?

でも、ED後(時が流れて次の春)に、転校生としてケンジが戻って来て、ナツキだけ記憶が戻ります。

おお~w
よかったね~ ナツキ~

でも、カホリがケンジと一緒にいた不思議な動物(使い魔)を見て驚いた表情は、もしかしたら京極の事を思い出したのかな? 

涙と感動のラストでした~ q(T▽Tq)
 

カホリと京極は悲恋で終り、残念でした。
仕方ないですね、京極の生まれた時代が未来だったのだから・・・

結局、京極の目的は果たせなかった訳だが、相手の心が読める力なんて嫌だよね。
ムダに傷つけ、傷てけられるし・・・
「琴浦さん」観てればその理由がよく解るはず。

{/netabare}

SF部分は、自分の理解力不足により、解らない所があって微妙でしたが・・・
その辺、もうちょっと分かりやすくして欲しかったな~っと。
1回観ただけでは難しいですね。^^;

ストーリー的にはまずまず面白かったです。
恋愛物としては、切なくて感動できる作品でした。
とっともよかったです。(@´▽`@)ノ
おすすめです。


主題歌 :「サヨナラの橋」 渡辺麻友

OP: 「銀色飛行船」 supercell


「サヨナラの橋」のサビの部分
「好きでした~♪
あなたが好きでした~♪」
って所がいいですね!^^

「銀色飛行船」も、哀愁感じる良い曲で、流石 supercell

両方ともCD購入です。 ^^

PS:最初、京極リョウイチを見たとき、エヴァの渚カヲルに見えたのは自分だけかな? ^^;

投稿 : 2024/12/21
♥ : 47

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

そんなにねらわれていない学園

SF作家眉村卓氏の名作、初のアニメ化です。
しかし、原作とは別物と考えた方がよいでしょう。
恋愛要素が強く、ねらわれた感が薄い作品です。

第一印象は、作画が美しい。
桜の花びらが秒速5センチメートルで散っています。
また、画面いっぱいにキラキラが弾けるシーンもあります。

物語は、美少年転校生が起点となり、不思議現象が多発。
徐々に核心にせまります。
正直ストーリーは平凡ですが、原作のオマージュには「なるほど」と思いました。

暴力ヒロインの声がまゆゆ。
サブヒロインの花澤さんに引けを取りません。
まゆゆ、声優初心者とは思えません。
AKBに置いておくにはもったいない逸材ですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 49

65.3 9 ツンデレで恋愛なアニメランキング9位
劇場版 世界一初恋 ~横澤隆史の場合~(アニメ映画)

2014年3月15日
★★★★☆ 3.9 (58)
492人が棚に入れました
原作:中村春菊、小説:藤崎都(角川ルビー文庫刊)、監督:今千秋、脚本:今千秋、キャラクターデザイン:菊地洋子/安田京弘、堀内賢雄、蒼月昇、堀江由衣、近藤隆、小西克幸、立花慎之介、中村悠一、岡本信彦、前野智昭、、、

声優・キャラクター
堀内賢雄、蒼月昇、堀江由衣、近藤隆、小西克幸、立花慎之介、中村悠一、岡本信彦、前野智昭

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

謎の新人声優、「蒼月昇」初のBLへ挑戦!?w

出版業界者が思わず“退く”、という出版業界を舞台にした中村春菊原作のBL作品『世界一初恋』シリーズ初の劇場版


シリーズの特徴は一つの出版社を舞台に多方面の視点で描かれる各々の恋物語がマンガ、小説など別々のメディアで展開するところです
群像劇をメディアミックス展開するシリーズってのは昨今珍しくはありませんが、ここまで同時多重に展開するのはBL作品としては唯一無二でしょう


アニメシリーズはバラバラに散った原作の視点を再びひとまとめに再構成、改めて群像劇として展開しています
が、今回の劇場版に関してはこれまで描かれなかったキャラクター、「横溝隆史」のエピソードに注力しています


























学生時代からの友人、高野政宗に片思いをしていた営業部の暴れ熊こと横溝隆史
しかし政宗に振られてしまい、自暴自棄になっているところを少年誌の編集長、桐嶋禅につかまってしまう
酒に酔いつぶれ一夜を共にした横溝は桐嶋に撮られたという“恥ずかしい写真”をネタに桐嶋に迫られる
さらに失恋を引きずったままの横溝は仕事でも大きなミスを犯し、桐嶋に借りを作ってしまったことで一人気まずくなる
しかしシングルファザーの桐嶋にとっての一人娘、日和に気に入られた横溝
自然と彼の家庭に馴染んでいくうち、失恋の傷も癒えていくかに思えた・・・かのように見えたが???


























大人の恋愛をテーマにしたBL作品です
今作に限ってはタイトルにあるような初恋でもなんでもなく“大人の恋愛”であることに集中しており、故に恋愛映画としては上手くまとまっていてシリーズファンならずとも楽しめる様に良く出来ています
主要スタッフはテレビシリーズからほとんど変更はありませんが監督の今千秋が初めて脚本も手掛けているのが気になるところ


キャストは堀内賢雄と蒼月昇の超ベテランコンビの絡みときたもんだから凄い
おおっとw蒼月昇さんは“謎の新人声優”ってことになってたっけか?www


さらに物語の鍵を握る小学生、桐嶋日和ちゃんには堀江由衣
可愛いwこの娘は反則過ぎるw可愛過ぎるw


エンドロールの後にはエピローグを含んだ書き下ろしシナリオの短編『バレンタイン編』が始まります
こちらはテレビシリーズと同じく群像劇風に4組のカップルが織り成す各々のバレンタイン模様が描かれ、原作ファンへ向けたサービスといったところに落ち着いています

投稿 : 2024/12/21
♥ : 8

りおんぱん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「俺を押し倒そうなんて100年早い」

世界一初恋〜小野寺律の場合〜のスピンオフ
律と高野が一緒に出張へ出かけた辺りの時系列です

オトナの「初恋」は、こじらせると――キケン。
ずっと好きだった親友・高野政宗に振られ
やけ酒を呷った出版社・丸川書店営業部の横澤隆史
我に返ると知らないホテルのベッドの上
しかもシャワールームから出てきた男は、
丸川書店の看板少年誌「ジャプン」のカリスマ編集長・桐嶋禅だった


~感想~
原作未読

メイン本編では特に横澤に対しては恋敵!と思うほどで
ちょっと可哀そうな立ち回りに役だったので
今作で吹っ切れるので良かったです
嫌な奴!って思う人も多いけどそこまで嫌いではなかったです


売れていても売れなくてももっと売れと言われる営業職だけど
大柄で人相が悪いとうあくの強さは
「暴れ熊」なんて言われている横澤にあっていると思う
人当たりが良いとは言えないけども。笑


桐嶋はところどころセリフでドSっぷりを発揮させてくれて
子持ちの敏腕編集長だけあって余裕を感じさせる大人のドSかな
横澤にはお似合いな人だと思います

不器用さも手伝って「営業の暴れ熊」とみんなに恐れられる横澤も
桐嶋の手にかかれば子どもみたいにあしらわれて
調子が狂うのも仕方がないのかな?桐嶋の方が1枚も2枚も上手です


逃げずに高野さんへの想いを清算し
友達として精一杯の誠意を見せる場面での
「きっとこいつ以上に気のおけない相手には二度と会えない…」
ってセリフには切なさを感じましたが
またその後に桐嶋に会ってしまうのが
グッドタイミングなのかバッドタイミングなのか…
あまりにもタイムリーに耳の痛い話をされ
ついカッとなって叫んでしまう横澤だけど
桐嶋についてちゃんと考えるきっかけになってよかったと思う


「俺ならお前をまるごと受け止めてやるよ
あいつを好きな気持ちは忘れなくていい
ちゃんと大事にとっておけ。お前は何も変わる必要ないから。」
桐嶋の最後のセリフなんて
経験豊富な器の広い大人の男でないとなかなか言えないセリフです!

心から応援できるカップルでした

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

aroe さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

個人的には満足♪

世界一初恋は、アニメを全部見てて。
原作は未読。
ちなみに腐女子ではないんで、積極的にBLが好きってわけではないのですが。

純情ロマンチカと世界一初恋をテレビで見て、思いの外楽しく見れてしまったので。
ならば!と思い、映画も見に行っちゃいましたw

世界一初恋と純情ロマンチカは、どちらも、一応メインの主人公カップルってのはいるんですが、それ以外の脇役たちもみんな男同士で恋愛してまして(笑)
複数のカップルが出てくる物語なんです。

で、どのカップルが好みかってのが一番重要。

好きなカップルの話だと、やっぱりテンション上がる。
いや、ツボでなくても、まあ見てて普通には楽しめるんですけどね。
ツボだとでかい!

で、今回の映画は、TV版では出てこなかった、新しいカップルの物語。

原作既読の方はちゃんと分かって行くのでしょうが、私は知らないので、多少バクチな気持ちで見に行ったのですが…

良かったです!

好みでした(笑)

私、基本的に、報われなかった子が報われるってエピソードが好きなのですけど。
今回は、まさにそれ。
TV版で主人公にふられちゃったキャラが、新しい恋を見つける話で。

うんうん、良かったね、と。
微笑ましく見れちゃいましたよ。


で、この作品に興味ある方なら誰もが懸念されているであろう…声の件ですが。

ワタシ的には、大丈夫!アリでしたー(笑)

まあ、堀内さんの方はTV版でも聞いてたから慣れてたし。
蒼月さんがね。
もっと高い声かと思ったら、以外にそうでもなくて、演技もナチュラルで…(って、すごい大御所の方に失礼ですね…)

いや、友達の中には、イメージ違ったー!(原作既読者)って言ってる子もいるので。
ダメな方もいるかと思うのですが。
個人的には、むしろちょっと好きだったかも…。

正直古谷さんて、元々はそんなに好みの声質ってわけでもないんですよ。
アムロにしろ、星夜にしろ、タキシード仮面様にしろ。

な・ぜ・か。

ガンダムOOの、リボンズの声がすごい好きで。
で、今回のセカコイのキャラも好きで…

え、あれ?もしかして私、蒼月さんが好きなのかーーー(゚A゚;)!?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

70.7 10 ツンデレで恋愛なアニメランキング10位
きみと、波にのれたら(アニメ映画)

2019年6月21日
★★★★☆ 3.6 (102)
386人が棚に入れました
小さな港町へ越してきたひな子は、サーフィンが大好きで、波の上では怖いものなしだが自分の未来については自信を持てずにいた。ある火事騒動をきっかけに、消防士の港(みなと)と偶然出会い、恋に落ちる。お互いがなくてはならない存在となった二人だが、港は溺れた人を助けようとして、海で命を落としてしまう。大好きな海が見られなくなるほど憔悴するひな子。そんなある日、ひな子が二人の思い出の歌を口ずさむと、水の中に港が現れる。「ずっとひな子のこと助けるって約束したろ?」死んだはずの港と再び会えたことを喜ぶひな子だが…。奇跡がもたらした二人の恋の行方は?そして、港が再び姿を見せた本当の目的とは?

声優・キャラクター
片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ひな子が波に乗れるまで

ターゲットは俺たちではない

だが良い!

オリジナルアニメ劇場版


試しに湯浅監督の他のを観て「あまり相性良くないかも」と感じてた頃にご紹介いただいた一本。
相性悪いと見切る前にいくつか観てはおきたいなと思ってみたり、公開当時の記憶で「そういえばラブストーリーだっけ」と愛を求めてみたりという理由での鑑賞です。

それにしてもですよ…

 {netabare}顔小っさ!!{/netabare}

そして…

 {netabare}井戸田連れてこ―い!!{/netabare}


実写映えしそうな8頭身モデル体型の若い男女が紡ぐとことん甘ーいラブストーリー。
自転車にサーフボードキャリアつけてジモティーのフリしながら女の子に声かけたる!私みたいなゲス野郎とはとことん対極にいる好印象波乗りさんのお話とも言えるでしょう。
この爽やかなお付き合いっぷりに嫉妬混じりの感情を抱かずにはいられません。

小さい頃過ごした海のある町に大学進学とともに戻ってきた女の子。
その町で消防士として生きてる男の子。

主要キャラの演者さんは本職の声優さんではありませんがご愛嬌。絶対嫌だという感じはしません。
サーフィンのシーンはエグいアングルの空撮ありました。ダイナミックで良いです。最新だとドローンでなんとかなりそうだなーと思ってみたり。


甘い甘いミルク&ハニーな96分。胸焼けするような甘さとは少し違う。幸せが溢れてきます。
海辺の街という舞台もポイント高め。夏真っ盛り。終わる夏の夕暮れ。冬の静けさ。全部入りでした。
ひとつ前の劇場版『夜明け告げるルーのうた』とは相性の良さを感じたりもしており、湯浅氏の“水”モノは続けて当たりを引いたような気分です。吉田玲子脚本との組み合わせも自分には合うのかも。


キャラクターもテンプレアニメキャラに寄せてないですね。ターゲットが普段アニメを観てない層なんでしょう。というより明確にカップル狙い。うっかり一人で劇場に向うと爆死しそうです。
実写寄りで甘めのラブストーリーに触れてみたい。そんな気分にはぴったりな佳作だと思います。




※ネタバレ所感

■「Brand New Story」

{netabare}二人で口ずさんでるのが仲睦まじくて良かったですね。
港が亡くなってからが本番のこの作品において、短時間で二人のラブラブで幸福なストーリーを凝縮させて見せる効果があったように思います。{/netabare}


■洋子ちゃんこそ向水

{netabare}向こう見ず。ヒロイン向水さんの比ではありません。さすがに通報せずに突っ込むのは違うと思うよ。{/netabare}



海から上がっての淹れ立てコーヒーは美味い!!
夏の海しか知らないとまずは出てこない発想です。これ作った人、海が好きそうだなと勝手に自分の中で好感度上がってました。



視聴時期:2020年3月

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2020.05.11 初稿
2020.08.10 修正
2020.12.06 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

彼女の素直な気持ちが伝わってきます

実写には表せないSF感はアニメの長所です。
そして、アニメに多い中学生、高校生ではなく、大学生と社会人(消防士)の恋愛にある意味新鮮さを感じてしまいました。
一緒に歌うおのろけソングはとても印象に残るシーンです。私的には羨ましく感じました。

幸せなシーン。悲しいシーンが随所にありますが、アニメとしての表現の仕方、アニメによって悲しいシーンも映像によってちょっとだけ優しい感じに。また逆も然りで表現できるのアニメの良さを充分に用いているように感じました。

結論としてはエンターテインメントとして非常に優れた作品です。
もっと宣伝しても良かったのではないでしょうか。

本日レンタルで久しぶり観ましたが、やはり楽しかったです。
パッケージは完全に夏ですが冬のシーンもあるので12月に観ても問題なしですよ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 41
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋愛とオムライスを食べたくなる良作

別の作品を見に劇場に足を運んだら
そっちが完売していて
仕方なく空いてたこちらを見ました。

結論から言うと見て良かったです!
かなり楽しめました~♪

タイトルからも予測がつくように海が舞台のアニメです。
消防士のヒーローと、もう一人のヒーローが出会い
触れ合って、愛し合って、
そして波に乗って旅立つラブストーリーです。

正直な話、序盤は「もうお前ら爆発しろ!」しか思いませんでしたw
まぁ花火は爆発しまくっててなんていうか
{netabare}こんな輩がいるなら花火なんて無くていい{/netabare}
と思った次第っす…なんていうかウェーイ系にしてもあれは酷い…

ただ、二人は{netabare}花火で出会い、花火で別れる{/netabare}ので
二人には必要だったのかも知れません。

絵柄は凄く優しくてストーリーに良く合ってます。すごく好きです。
波の表現も優しいタッチで、海に行きたくなります。
音楽はテーマ曲がしつこいぐらいに繰り返しですw
ただ二人で歌っている時はすごく幸せそうで、
時折、笑いながら歌う感じがとても自然で
ほんとうに素敵なカップルだなと思いました(早く爆発しろって思いましたw)
ミュージカル的な要素なのかな?港はあまり歌うまくない設定なのかも
声優も凄くよかったです。特にひなこ。
(あと妹も{netabare}引き籠り{/netabare}っぽい感じが良く出てて良かったです。)
歌が紡いでた。ずっと前から二人を紡いでた。すごく良い歌と歌声でした。

とにかくx100 オムライスが食べたくて仕方がなくなりました(え?)
コーヒーも飲みたくなったなぁ…久しぶりに旨いコーヒーでも飲みに行こうかなー

ただ、{netabare}フラグ乱立{/netabare}しすぎたんですよね…
物語は急展開を迎えます。いきなりのファンタジー要素追加ですw
(いきなりすてーきなファンタジー要素)
このファンタジー要素、結構好感もって見れました。
色々な苦悩と、逃避と、お互いの想いと…
だけど最後には立ち止まっているヒーローを波に乗せるためそっと背中を押す。
いきなりだったけど素敵なファンタジー要素です♪

確かに、恋しないなんて馬鹿のする事だなって思ったので
皆さん素敵な恋をしようじゃありませんか!



で、こっからはネタバレ全開なので、まだ見てない人はブラウザバック
{netabare}
まぁ序盤はほんとに爆発しろって思ってたんですけど、
港があんな事になって、「爆発しなくて良いから返して」って思いました。
それは港じゃなくて、ひなこを返してって思いました。
陽気でざっくばらんで天真爛漫で明るくてとても魅力的な女の子
それがあんなになっちゃうなんて…泣きそうでしたっす
だって{netabare}便器に向かって話しかけちゃう{/netabare}ようなのって
自分がはたから見てたら「大丈夫かこの子?」って思っちゃいますよ。

皆ひなこの事を心配していて、友達もバカップルとか言ってたのを謝ってた…
友達の異名が気になる所ですがそこは触れないでおいてあげましょうw

しかし、なんであんなにフラグ乱立するかなー
おいら鈍感な方だけど、あそこまで乱立されたら流石に分かるよ。
{netabare}「あ、これこっから急降下して鬱展開なるやつだ…」{/netabare}って

・自分の苗字になったらどうすんだよ
・ヒーローになった動機の説明
・じゃあ同棲でもする?
・おばあさんになってもずっと守るよ

うん。回避不能なぐらい立てまくったね。このフラグを折るのは難しいw
だけど、そっからファンタジー要素入れて
鬱な展開になりすぎないようにした構成は素晴らしかったです。

オムライスは終始うまそうだった。なんか無性に食いたくなった。皆逃げてー飯テロよー
最初の段ボールの所でずっとヒヤヒヤしてたけど、
結局おっぱいの下敷きになって「そうなると思った」って思いましたw
ライフセーバー合格で結局お祝いはオムライス
そして、妹の渾身の掌返しw セリフが逆になったのは本当に良い演出でした♪
でもまぁ、するのもバカだと思いますよーw 妹も立派なバカップルw

そして1年越しのメッセージ…さすがに泣きそうになったっす
狙ってるんだろうからってのと劇場だから必死に堪えました。
ひなこが歌おうとして、さらに追い打ちかけてくるんだもん。正直危なかったw
願わくばひなこに良い出会いと素敵な恋が待ってますように…
{/netabare}
次はきっといい波が来るはずです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

88.8 11 ツンデレで恋愛なアニメランキング11位
冴えない彼女の育てかた Fine(アニメ映画)

2019年10月26日
★★★★★ 4.3 (494)
2488人が棚に入れました
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing software を結成。やっとのことで一作目を発表した――。英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンド icy tail とともに新作の開発を進めるが……。英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が? はたして blessing software の新作の行方は?

声優・キャラクター
松岡禎丞、安野希世乃、大西沙織、茅野愛衣、矢作紗友里、赤﨑千夏、柿原徹也
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

これが本当のメインヒロイン

原作未読

いやぁー面白かったw

お話のざっくり概要
サークルで冬コミに向けてギャルゲー制作お話
1期2期で陰に潜んでた加藤恵が
その真の最終形態へ変貌!つ…強すぎるヒロイン力
あ~胸がキュンキュンするんじゃ~
だいたいそんな感じ

集大成となっているので1期2期を楽しめた方は
絶対に楽しめる内容になっていると思います。

見せ場の作画も凄い気合が入ってて綺麗だった
松岡さんの演技は相変わらずキモいけどw
なんていうかその分、シリアスな所が際立って
恵の可愛さを引き立てたように思います。

感想
{netabare}
まさかの冒頭からの飯テロ…
そして浮気をバラされるというテロwww
なんてか恵の満面の笑顔は少し怖いよね(苦笑)
うん。
お二人のスタッフロールは大分下になってたww

合鍵…朝食…
つーか、もう既に嫁だよね?

フィーネみてて思ったのは
1期2期と違い恵の表情バリエーションの多さ
それだけ感情を表に出すようになったって事かな
ハッキリ言わないめんどくささがリアリティあって
更に恵を愛おしい存在に押し上げてますね~

しかし、あの高坂茜というおばさん、劇場で
オ〇ニー、オ〇ニー連呼しすぎじゃないですかねw
隣に座ってた女性の方の反応が気になって
妙にソワソワしちゃうでしょw

涙の作画はどれも渾身の出来ですね。
恵のセリフで特に印象的だったのは
「特別じゃないから、いいと思った」
ってのです。めちゃくちゃ恵らしいと思った。

特別じゃないから自然に好きになって
好きになったから倫也に自分の他に特別があるのを
大切にしてあげたい気持ちと
自分を特別に思って欲しいという
両方の感情で揺れてます。切なくて愛おしくて
本当に本当のメインヒロインでした!

しかしスタッフロール後のドッキリには見事に
引っかかりましたw

え!?別れちゃうの??って困惑しました…
…ラブストーリーは突然にが流れるまではw
さらっと自分をメインヒロインに据えようとするw
その後の10秒ぐらいの下りとか
ウタハさん最後まで冴えカノらしさを貫きましたね

最後は笑顔で終われる良い構成でした~
{/netabare}

えーと、もともと恵は凄い可愛いかったですけど
ほんとにフィーネでは完全ヒロインですw
是非、劇場でキュンキュンして下さい♪

投稿 : 2024/12/21
♥ : 43

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ラブコメ

<2019/11/4 追記>
映画館で配布された小冊子(原作者による超短編 第2話)読んで評点引き上げました。
↓の方で「物語はご都合主義でイマイチ」とか書いちゃいましたけど、原作の方はそこら辺もっと掘り下げてるのかも、と思えて。
原作読んでみようかな。

<2019/11/4 初投稿>
あにこれで軒並み高評価なので重い腰あげて観てきました。
映画館で映画見るのはいつ以来だろう?

テレビ版は二期まで視聴済み。
といっても本放送で観ただけなのでかなり忘れており。

始まってすぐ
「あれ?どういう状況なんだっけ?」
「このパワハラ姉さんはどういう人だっけ?」
「あれ?下の名前で呼び合ってるけどそんな関係だっけ?」
とクエスチョンマークだらけに。

それでもなんとか思い出して楽しんできました。

一期のレビューでも書きましたが
「冴えない彼女」という新しいヒロイン像が秀逸ですね。
気がついたら人ん家に居つく「ぬらりひょん」ヒロイン。
その魅力は余すところなく発揮されてたのではないでしょうか。

ところで映画館の帰りのエレベーターで
「加藤って面倒だよね。だから推しにできない」
とか盛り上がってる高校生ぐらいの男の子たちがいました。
彼らを横目に
「ラブコメではその面倒くささが美味しいのにわかってないなー」
と秋刀魚のハラワタの旨みのようなこと思ったり。
そう思ってしまうぐらいラブコメとしては◎でした。

ゲーム制作の物語そのものははっきりご都合主義で今ひとつなんですが、まあ観て欲しいのはそこじゃないんだろうな。
(私がギャルゲとかコミケとかに無縁なせいかもしれませんが)

映像は相変わらず綺麗です。

最後のエンドロール。
使用楽曲に「ラブストーリーは突然に」が入っててあれ?
とか思ってたら・・・ちょっと笑かされました。
使い古されたバラエティのコントのよう 笑。

やはり映画館で映画観ると楽しいですね。
良い一日になりました。。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 37

KANO さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

素晴らしいの一言

先日初見でTVシリーズを観てからの鑑賞

内容は触れませんが、素晴らしいの形容詞だけで充分だと思います。
3人のヒロインキャラ、特に恵ですがそれぞれの良さ、可愛らしさがしっかり描かれており、視聴者のツボも細かい部分も含めて押さえられています。
2期の終わり方に少し物足りなさを感じたので私にとっては尚更良かったです。完結編のお手本だと思います。

TVシリーズの続きという位置付けでしょうが、理解しやすく言えば、劇場版の為のTVシリーズと言っても過言では無い仕上がりだと思います、これだけ満足の行く作品を作られた、制作スタッフの方々に感謝です(^^)

私にとっては今年一番ぐらいの満足感を味合わせて頂きました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21
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