空色の猫 さんの感想・評価
4.3
変態を正直に取り上げるなら、これしかない。
これはエロ・グロという要素があるのではなく、変態的な性癖そのものをメインテーマに据えている珍しい作品。もちろんラブコメとして、面白く語っているのではあるが、興味本位・面白半分とは一味違っている。
興奮や快楽を感じる対象が特殊でマイノリティなのが変態扱いされるわけだが、単に確率的に少ないだけで排斥対象にしてよいものだろうか、と考えさせられる。
犯罪的な行為で他人に被害を与えるのは論外だけれども、大多数が嫌悪するからというだけで、劣等であるとか、邪悪であるという判断は拙速に過ぎる。
自分は嫌いだから世の中から無くなれというのは、感情としては素直かもしれないが、思想だとすれば危険極まりない。
「なぜ、特定の行為に悦びを感じるのか」というテーマは追究に値すると思う。
そもそも、大多数の正常な人も、自分が何がしかの感情を抱く理由を言語化はできていないだろう。仲間が多いから「自然」だとして思考停止していても許されるだけである。それはどちらかといえば怠惰な態度だし、そこからは目新しく面白い発見は出てこないだろう。
変態を研究しようとすることは、変態になるということとは違うのだから、理解できないからこそ近づいてみる価値はあると言える。
確かにこの作品には想像を巡らせると吐き気を催すような性癖が沢山でてくるので、普通の娯楽とは違うし、嫌がる人間に無理に観賞させる必要もないが、非常に興味深い話ばかりだし、取り上げ方はストレートなので分かりやすくて良いものである。
まあ通常のSEXの知識すら隠蔽しがちで、普通の性教育すらままならないのだから、これが広く受け入れられるはずもない。
しかし、おっぱいとパンツを見せるだけの駄作に比べたら、こちらの方が知育には良いはずなのだけど。