2017年度のufotableおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2017年度のufotable成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月02日の時点で一番の2017年度のufotableおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

83.3 1 2017年度のufotableアニメランキング1位
劇場版『Fate/stay night Heaven’s Feel』 第一章(アニメ映画)

2017年10月14日
★★★★★ 4.2 (563)
3292人が棚に入れました
「もしわたしが悪い人になったら許せませんか?」

少年は少女を守りたい。そう、思った。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が、あらゆる願いをかなえる願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」が起きて10年、冬木市で再び戦争が始まった。
前回の「聖杯戦争」の参加者である衛宮切嗣の養子・衛宮士郎は遺志を継ぎ、戦うことを決意する。

士郎のそばには、彼を慕う少女――間桐桜がいた。
彼女は毎朝、毎晩士郎の家に通うと朝食と夕食を作り、天涯孤独だった士郎と優しい日々を過ごしていた。
だが「聖杯戦争」が始まると、冬木の町に流れる空気が変わった。
あちこちで殺人事件が起き、不穏な空気が流れ始める。
士郎は桜を自宅に泊めることを決意した。

士郎は召喚したサーヴァント・セイバーとともに、魔術師の遠坂凛と同盟を結び「聖杯戦争」に臨む。

だが、その戦いは暗躍する者たちによって大きくきしみ、歪み始めていた。

声優・キャラクター
杉山紀彰、下屋則子、神谷浩史、川澄綾子、植田佳奈、伊藤美紀、中田譲治、津嘉山正種、水沢史絵、真殿光昭、小山力也、神奈延年、関智一、浅川悠、三木眞一郎、田中敦子、諏訪部順一、てらそままさき、門脇舞以

コンス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

我々は10年待った(意訳)

 今やFGOでご新規をどんどん沼に落とし込んでいる我らが型月が、今から約10年前に商業デビューした作品がこのFate/stay nightである。

 当時、同人界隈のオリジナル系の大手は3つあった。東方、ひぐらし、そしてTYPEMOON。月姫で同人界隈ではそれなりの評価を受けた大手サークルが、商業展開をすると聞いた時なんとも言えないむずがゆさというか微妙な反発を覚えたことを記憶している。

 ただ月姫の時のようなメインストーリーはどこまでもシリアスに、そして脇道では出来るだけジョークを忘れない彼らの姿勢が変わらないでいてくれたことに安心し、以来長い間その作品群を追いかけてきていた。

 Fate/stay nightのアニメ化が2005年だったかに発表されたとき、月姫で痛い目にあっていた分、期待よりも不安が大きかった。型月の軽妙さと暗い重さと優しさを理解し表現してくれる制作会社があるのだろうかと。

 幸いなことにセイバールートのアニメ化は成功し、私の不安は杞憂に終わった。凛ルートっぽさ、桜ルートっぽさもなんとか無理くり入れつつ「まぁこんな感じでいいよね」みたいな感想であった。充分泣けたし、最終話の出来は良かったと今でも思う。

 ここから以下はセイバールートや凛ルートを至高とされている方々には不快な表現が続きますので、先に進まれないことをお勧めいたします。

 原作においてセイバールートは物語へのただの導入部にすぎない。そもそもきのこのFateプロトタイプを男女逆転しているのだから矛盾というよりも、根本の微妙なずれが枝葉の演出の足を引っ張っていていまいち感情移入しにくいのがセイバールートである。

 アニメ化は原作のセイバールートの微妙さを、凛ルートや桜ルートから使えそうなところを上手に肉付けして厚みを出した結果、最終話でセイバー、士郎のそれぞれの覚悟と思いに感情移入しやすくなって涙腺を刺激した。

 レアルタやhollowまで原作を網羅して初めてセイバーの魅力が理解できると言っても過言ではない。そもそもPC版Fate/stay nightにおけるセイバーに対する言葉足らずをそれらで補っていったのが経緯としての事実である。

 凛ルートは、主人公である士郎の内面を掘り下げる為にアーチャーや凛といった観察者や当事者を動かすことで客観的に士郎の異常性を表現しようとしたと言える。どちらかと言えば凛とアーチャーの関係性と物語にスポットが当たり過ぎた結果、独立したエピソードとして見れば秀逸だがこの作品の中での連続性で捉えようとするとやや浮いてる感がある。

 さて満を持しての桜ルートであるが、このルートの評価は当時惨憺たるものであった。そもそもPC版は18禁でもあったため、一部の属性信者からは極度の拒否感をもって応対されることとなる。月姫の琥珀ルートで慣れていた面々だけではなかったのだ。

 ただ純粋にストーリーの展開と伏線回収といった点で見た場合、重層的な世界観を見事に表現し、正転と反転のギャップの巧みな使い方、作品のメインテーマの一つである「正義とは何か」が、狭小化されしまったように見えつつも実際はその狭小化こそが大切なのではないかといった問いかけ等、よくまとまって作られている。

 また後々様々な作品で言及されていくテーマである「女とはなにか」に対するきのこの観点は、ヒロインである桜を濃厚に表現することで、醜くも美しく愛しく狂わしく成立していると言える。

 月姫から続く、最終ルートはダークにホラーにシリアスに、がそのまま引き継がれている桜ルートこそが長い間虐げられてきたサクラスキーにとってはまさに聖典でありもっとも愛すべきエピソードなのである。

 Fate zeroとの絡みとかFate/extra CCCとか書き始めたら現時点の文章量の数倍以上必要になるので割愛するが、この桜ルートこそが根幹にあって成立しているのであると強く主張したい。

 表題に戻ろう。我々は10年待った。月姫リメイクはもっと待っているが置いておく。何を待ったのか、桜の狂気と愛らしさと醜さと女を表現できるスタッフをである。

 今回の作品の監督である須藤監督は界隈でもサクラスキーとして認知されいる。我々の期待を裏切らないことを切に願ってやまない。

 三部作の第一部であるこの作品ではまだ、桜の持つ陰の部分の表現には至っていない。が、そこを描ききらなければ桜ルートは薄っぺらく終わってしまう危険性をはらんでいる。

 リアルの女子と変わらないのである。天使のようなほほ笑みで小悪魔のように誘惑するのだ。ただ間桐桜は女神のように振舞い、魔女のように陥れる。そしてその自らのギャップに少女のように慄きつつも、娼婦のように自らの汚れを受け入れていく打算をも持ち合わせている。

 ここまできたらもはや懇願するほかない。我々は10年待ったのだ。三部作が四部作になっても一向にかまわない。(らっきょのこともあるしw)一年に一部づつになってもかまわない。

 間桐桜という女を存分に描き切って頂きたい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もし私が悪い人になったら、叱ってくれると約束したから…

たくさんあるFateシリーズ。

その中心ストーリーにあたる
『Fate/stay night』シリーズの1つ。

原作の『Fate/stay night』には
3つのルートがあり、

これまでアニメ化されてきた
“セイバールート”“凜(りん)ルート”に続く、

最後の“桜(さくら)ルート”。
劇場版で全三章が予定されています。

Fateシリーズを見たことがない人が
いきなりこの『Fate/stay night [Heaven's Feel]』から見るのは、
ちょっと厳しいと思います。

設定に関しては、
ほとんど説明がされないので…。

これからFateシリーズを見る方は、
・『Fate/stay night』(2006年)…セイバールート
・『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』(2014年)…凜ルート
・『Fate/Zero』…10年前を描くスピンオフ

を見てから視聴することをおすすめします。

見る順番の決まりはありません。
原作のゲームは、アニメと同じ流れでストーリーが解放されるようです。

私も制作年順で見ましたが、
Zero→凜ルート→セイバールートの順に見るのもありです。

この順で見るとネタバレが少なく、
絵もきれいなので、抵抗なく見やすいというメリットがあります。

前置きが長くなりました。
おもしろいからFateシリーズ、おすすめですよ^^

120分ほどの作品です。


● ストーリー
衛宮士郎(えみや しろう)は幼い頃、
大災害に遭った唯一の生き残りである。

士郎と同級生の慎二(しんじ)の妹・間桐桜(まとう さくら)は、
士郎の家に来て家事の手伝いをしていた。

高校2年生の秋。
士郎は7人の魔術師“マスター”の一人となり、
“聖杯戦争(せいはいせんそう)”に巻き込まれたことを知る。

マスターと、マスターが契約する英霊“サーヴァント”が
何でも願いが叶うという“聖杯(せいはい)”をかけて争う戦いだった。


聖杯戦争など、基本的な設定は、
これまでのFateシリーズを見ている人には十分わかっていることとして、
さらっと流されています。

セイバールートと凜ルートでは、
士郎たちvs他のマスター&サーヴァントがメインでしたが、

今回は少し毛色が違います。

サーヴァントたちを次々とやっつけてしまう、
動き回る第三の存在。

これまでのシリーズを見ているからわかる、
手ごわいサーヴァントたちをやっつけてしまう恐ろしい敵。

第一章はまだまだ物語の序盤で、
謎が多く残っています。

だけど、面白い!
面白いから、あっという間に時間が経ちました。

緩急の付け方もうまくて、
家の中でゆっくり話をするシーンもあれば、
激しく戦うシーンもある。

そんな緩急の付け方やバランスの上手さもまた、
長時間でも全く飽きなかったポイントかもしれません。


≪ これまでの物語を知っているから、より楽しめる ≫

この作品のすごいところは、
同じキャラクター、同じ設定でも、

人物の立ち回り方ひとつで全然違った物語が生まれ、
新たな楽しみ方ができること。

今回もそうです。

「10年前の出来事を今回は話すのか…。」
「今回のあのキャラは敵なのか?味方なのか?」
などなど、

これまでの物語を知っているからこそ感じられる、
おもしろさがたくさんあります。

また、これまでのルートでは謎とされ、
徐々に明かされてきたサーヴァントの秘密やマスターの正体。

それもこれまでのシリーズを見てきたなら知っていることなので、
踏み台のような扱いで、さくっと次の展開に進みます。

さらに、サーヴァントの能力や個性も
これまでのシリーズですでに知っていることなので、

早々に戦いや必殺技を見せるなど、
ファンにとってはたまらない展開の連続です。

キャラをよく知っていることをうまく活かしたキャラの見せ方と、
さらなる深淵に導かれていく物語。

こんなの、どんどんおもしろくなってしまいますやん…(戸惑い)


Zeroや凜ルートを制作したufotableによる作画は、
相変わらずきれいです^^

特にバトルシーンはよく動く!
カメラワークもよく動く!迫力がある!


● 音楽
【 主題歌「花の唄」/ Aimer 】

今回の劇伴を担当している梶浦由記さんが作詞作曲した歌なので、
雰囲気ばっちりです。

胸が痛く、きゅっとした気持ちになります。


● まとめ
これまでと似たお話もありながら、
異なるルートを進んでいく。

これは続きが気になります!

全章公開してから一気に見たほうがよかったかな^^;

第二章は、2019年1月公開予定です。
待ちきれません…!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 31

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「もしわたしが悪い人になったら許せませんか?」

Fate/stay nightのファンが歓喜した2014年の「Fate Project最新情報発表会」で制作が発表された「桜ルート」
私は会場にはいきませんでしたが、TVの特番でその時の会場の雰囲気を目の当たりにしました。
あれ、会場にいたら堪らなかったでしょうね…

しかも、アニメーション制作はufotableさん…
TVアニメ第2作目「凜ルート」である「Unlimited Blade Works」でそのクオリティの高さは証明済。
視聴に向けて楽しみな要素しか無かったこの作品…
ようやく視聴することができました。

劇場版全3章で上映される「桜ルート」ですが、これまでTVで放送されてきた「セイバールート」「凜ルート」とは明らかに一線を画すような構成も、この作品の魅力の一つになるのではないかと思っています。
これまでの作品と明らかな違い…それは、全2作はどちらもヒロインが聖杯戦争に参加していますが、桜と聖杯戦争との繋がりって、正直これまではかなり希薄でした。

そんな桜がヒロインとして、この作品とどの様に繋がっていくのか…
これまでの桜は、可憐で儚げな少女というイメージですが、どことなく少し影のあるような存在だったと思います。
間桐家に生まれたこと…兄の慎二の存在が、彼女の影の原因であることは言うまでもありません。
そんな劣悪な環境の中でも、自分自身を決して見失わない彼女は立派だと思いますし素敵な部分だと思います。
だから、そんな彼女を下支えしている淡い気持ち…
その気持ちが今後どの様に物語に絡んでくるのか…これも見どころの一つだと思っています。

そう、全3章のうち、最初の1章が公開されただけ…
だから物語の全容は未だ闇の中…
でも第1章を見て思ったのは、サーバントには懐かしさを多分に感じる点と、序盤からの展開がかなり早め…という点です。

第1章からいきなり聖杯戦争は熾烈を極めます…
だから息をつく時間もなく、一気にトップスピートまで昇りつめて怒涛のスピードで物語が展開されていくので、片時も画面から目を離すことはできません。

そう考えると、「士郎を守りたい」というヒロインの気持ちは一緒でも、アプローチは全て違うんですね。
士郎をマスターとして聖杯戦争を戦ったセイバー、士郎と同じサーバントのマスターという立場で聖杯戦争を戦ってきた凜…
それに引き換え、桜の物語は聖杯戦争とは無縁の状態から始まりますから…

桜だって間桐家の一員なので聖杯戦争の事を知らない訳がありません。
魔術師の家系は代々その血筋を大切にし、少しでも優秀な遺伝子を後世に残そうとしています。
そんな思想は凜にだって垣間見ることができました。
でも、桜は家系や聖杯戦争より大切なモノがあるから彼女なりに頑張れるんだと思いますし、自分の大切を何より優先できるんです。
だから桜から感じるのは、士郎を全て包み込もうとする優しさと温かさ…そして思いに対する直向きさなんです。
そんな桜の気持ちの何と心地良いことか…

個人的には、桜にはこのまま聖杯戦争には関わって欲しくないのが本音です。
桜と聖杯戦争って、全然イメージが結び付きませんから…
でも…それじゃきっと彼女の物語が膠着しちゃうんでしょうね。
翼あるモノに飛ぶな、という要求は所詮無理なこと…
だからこの作品のヒロインとして登場するということは、それなりの覚悟を持って視聴する必要があるってことですよね。

物語の中での士郎と桜…相手の事を思いやる気持ちを感じながら会話が進んでいくのですが、その中でもこのレビューのタイトルにしたやり取りは特に印象的でした。
今後益々熾烈さを増していく聖杯戦争に対する桜なりの覚悟…のようなモノを感じた気がします。

いずれにしても全てはこれからです…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

第一章の主題歌は、Aimerさんの「花の唄」
梶浦さんとの初の組み合わせだったのではないでしょうか。
この曲の歌詞…桜の心情を絶妙に表現していて、最初に歌詞を見た時には思わず目頭が熱くなってしまいました。
この作品ならではの楽曲だったのではないでしょうか。

しっかり作品を堪能させて頂きました。
引き続き第2章も楽しみにしています。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

69.6 2 2017年度のufotableアニメランキング2位
テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス(第2期)(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (189)
881人が棚に入れました
ロゼたち「セキレイの羽」の一行と共に新たな地、ローランスへと向かっていたスレイたち。道中でハーブの取り引きをした際、盗品を売りつけられそうになり、犯人から脅しをかけられるものの、難なく相手を返り討ちにするロゼ。スレイは商人としての仕事をきっちりとこなすロゼに感心しつつ、夜になると穢れのありようを自分なりに認識し、受け止めることができるようになるためライラたちと鍛錬を続けていた。穢れの塊であり、強大な力を持つ「災禍の顕主」に立ち向かう力を得るために――。そしてスレイたちは商業都市ラストンベルに辿り着き、そこで“語り部”メーヴィンと出会う。

声優・キャラクター
木村良平、逢坂良太、茅野愛衣、小松未可子、下屋則子、福圓美里、小野大輔、津田健次郎
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

細かい所を気にせず見られる人にお勧めしたい

2017年冬アニメ。分割2クールの後半、全13話。
ゲームはゼスティリアではなくベルセリアをプレイ済みです。

細かいツッコミ所はあったものの、最後まで一貫したテーマを描ききっていてとても良い作品だと思います。
原作ゲームのラストとは似て非なるものになっていて、アニメ独自のテーマに沿った素晴らしい改変でした。

西洋の中世風のビジュアルではあるのですが、この世界観は日本人的な感覚で考えたほうが理解しやすいと思います。白黒付けられないこの世界観がすごく気になって本作に興味を持った身としては、とても納得のいくラストでした。

何よりも世界観とテーマを大切にしていますが、そのぶん設定説明を省くところが多く、ストーリー面でも謎が残ってしまったのは勿体無かったですね。
作画は1期に比べ安定感を欠いてはいますが高水準は維持していた印象。個人的にはコンテ・演出で練り込みが足りないかなあ、と。
音楽は楽曲自体は良いのにFLOWの曲を使い過ぎで、かえって冷めてしまうこともあり残念でした。

全体的な作りがアニメ慣れしていない印象で、解りにくいところもある反面面白いとも感じました。

【テーマ】
本作で最も評価すべき点ですね。テーマのみ星評価できるなら10くらい付けたいw{netabare}

スレイが穢れに対する答えを導き出すためには人間を知る必要があり、それをアリーシャ・ロゼの掘り下げと、彼女達との交流によって描いたのはとても良かったと思います。
スレイの答えは本作のテーマを浮き彫りにし、さらには交流するゲストキャラクターやサブキャラクターに影響していきました。
導師一人ではできることに限りがあり、スレイが独りではないこと、仲間が支えてくれることが最も大切なことで、人の絆をより強く印象付けるために「人を浄化するには導師は穢れを引き受けなければならない」「受け止めた穢れを従士に振り分けられる」という設定の変更があり、本当によく考えられていました。
ヘルダルフとアイゼンという「殺すことが救いとなる存在」をそれぞれ別の形で救ったのも上手いですね。{/netabare}

【キャラクター】
全体的には良かったのですが、描写不足や最後にどうなったのかわからないキャラクターがいたのは勿体無かったですね。
{netabare}
1期に比べミクリオにはスレイ以外のキャラクターとのやりとりが増え、ミクリオの思いやりや少年らしさが描かれたのがとても良かったです。
ミクリオはゲーム版では出生が明かされますが、アニメでは語られなかったので人によっては「いるだけ」に感じたかも知れません。
ですが、「スレイは一人ではないからここまで来られた。スレイはどんな時も独りではない」という描写を一貫した本作では、常に素顔で接することが出来るミクリオがスレイと一緒に旅すること自体がとても大切だったと思います。
人と天族の共存というテーマから考えても、種族間の壁が最初から全くない、「特別ではないからこそ特別な友人」という、存在そのものに意味のあるキャラクターでした。

ロゼはスレイやアリーシャの理想・理念に対してひとつのアンチテーゼの役割を果たし、二人と衝突・和解することが非常に大きな意味を持ったキャラクターとなりました。それぞれの理念が両立するにはこの世界観でなければ無理だろうなあ。
ロゼ本人に関しては、自分のしてきたことが間違っていたと自分で認識しながらも、心折れずに別のやり方を見つけ出し、自分自身を変えたことは特に素晴らしいと感じました。
小松さんも多面性の強いロゼをしっかりと演じきっていて、まさしく本領発揮という印象で見事でした。
ロゼ編長かったですが、その分説得力も生まれてとても良かったです。
デゼルはロゼを語る上で欠かせない存在。詳しくは各話レビューに書いています。

…エギーユは怖い人って印象が消えてません;;

ルナールの良心を誰にも見せない在り方は色々考えられて面白いですね。
ルナールは元々ロゼの部下で暗殺者でしたから、世直しを夢見ていながら暗殺業に疑問を持ったがために穢れたのではないかというのがプレイヤーの間で多い考察のようです。アニメでは第1話(#0)で風の骨の一員としてルナールがアリーシャの目の前で憑魔になっているので、設定は継承していますね。
憑魔は人間なら誰でもなってしまう可能性があり、それが人間の一つの側面でもあると考えるとルナールは良いキャラクターだったなと。

サイモンについては情報が少なすぎィ!w
{/netabare}(2017.5.4)

【以下各話レビュー】
{netabare}
急に思い立ち、今期かなり楽しんでいる本作で。
3話目までは見直して書きましたのでよろしくです。

・第14話(#13)「穢れなき世界」{netabare}
先代の導師ミケルが雪原に立つ後ろ姿の孤独なイメージが印象的でした。足跡の先に立つライラは見守ることしか出来ないという感じで何とも淋しい演出です。
ロゼの商人と暗殺者の姿のギャップ、必要悪として行動する姿、中間管理職らしいセルゲイの苦労、先代導師ミケルの苦悩の言葉が繋がっていると感じます。
風の骨の行動原理は何となくわかりますが、語られる言葉がかなり曖昧なのは問題点かも。1期から感じてましたが、理論的な部分が苦手らしいのは本作の特に勿体無いところですね。 {/netabare}


・OPについて {netabare}
2期OPの哀愁漂う感じがかなり好きです。
雪原で背中を向けて立つ姿は孤独を象徴するイメージ映像と思われますが、OPでもう一人、災禍の顕主ヘルダルフが吹雪の中で孤立しているのは原作の設定を反映しているのかな?
OPラストでは仲間の中心にスレイが立ちますが、彼らには導師の苦痛を肩代わりすることも分かち合うことも出来ない。それでも支えられている。
そんな風に感じました。 {/netabare}


・第15話(#14)「風の天族デゼル」 {netabare}
ボーイッシュなロゼをいかに女性らしく可愛く描くかに腐心している感じがするなあw地味可愛いの好きですよ!
ロゼの暗殺業にスレイがどこまで気づいているのかが気になるところ。
マーリンドよりも今回の地下水浄化のほうが短時間で済んでいる様子だったり、鍛練シーンを入れたり、スレイの成長も描いていて好印象です。
アニメオリジナルキャラクターだというグルードマンは、比較的理解の早かったセルゲイの対となる人物なのでしょうが、敵になるのかどうかが気になるところ。セルゲイにより語られたローランスの内情も貴重な情報でした。
ロゼの矜持が揺らいでいるのは、殺すべきでない人間であるアリーシャを殺そうとしてしまったためでしょうか?自分の目に映ることだけが全てではないとスレイとの交流で認識したのもあるかも。{/netabare}


・第16話(#15)「それぞれの哲学」 {netabare}
アニメではロゼとデゼルは親子に近い関係と判明しましたが、まだ語られていない部分もあるようです。
グルードマンの目的がまだはっきりしませんが、武装した兵士を連れての交渉は脅迫に近いですね。スレイがセルゲイを解放するように言い、エドナの足止めがグルードマンへの脅迫みたいになっていました。面白いけどスレイたち浮世離れしすぎててハラハラするw

スレイの「もし争いのない世界にしようと思ったら…」という言葉の先には、ロゼと同じような結論があるかも知れません。これってベルセリアにも繋がる事ですね。ロゼの暗殺に気づいているのかどうかで、この言葉の意味は大分変わってくるかも。
一方でロゼも天族を認識したことで、自分の考え一つでデゼルが暴走する可能性があると自覚せざるを得ない。共に行動したことで、スレイとロゼはお互いの信じてきたものを揺らがせているのではないかと思います。

メーヴィンの言葉のとおり、スレイは自分に正直に進むしかないのでしょうね。ここでライラがアリーシャの名を出したことで、理想を共有する人物の存在が悩めるスレイの気持ちを軽くしたと感じられました。
そしてアリーシャもまたスレイの言葉を支えに困難を突破しようとしています。

この回、スレイとアリーシャ、スレイとロゼの互いへの影響を明示している印象でした。(2017.1.28) {/netabare}


・第17話(#16)「復讐」 {netabare}
今回でロゼの背景がほぼ示されたと思って良さそうです。
ロゼがアリーシャ暗殺の依頼を受けたのは、実現困難な理想を掲げる為政者に対する反発があったためなのかも…。
デゼルもエギーユも任務と語っていますが、明らかに私怨による復讐ですよね。確かにコナン王子は許されない行いをしていますが、それを自分達の正当性に結びつけるのはどうかと思う…
ロゼにもコナン王子を恨む気持ちはあるでしょうけど、もしも殺すことそのものに迷い悩んでいたとしても、周囲からの期待はロゼに「殺さない」という選択を許してくれない。コナン王子を襲撃するシーンでロゼが仮面を外したのは、私怨による行動であることの証明に見えます。

これまでロゼは世直ししているという誇りと信念があったから、殺人を犯しても穢れずにいられたのかもしれません。でも自分で決断したと言えるのかが曖昧な今回の復讐を完遂したとして、それでも穢れずにいられるか、私には微妙に思えます。

スレイはロゼの様子がおかしいことに気づいていましたし、人を浄化するために他者の穢れを引き受けてきたスレイにとってロゼの暗殺を止めるのは当たり前のこと。でもそれ以上に、スレイは友人に人を殺して欲しいとは思わないでしょう。
メーヴィンの「大切なのは自分に正直に生きること」という言葉が、今回のロゼとスレイにも繋がっているように感じます。

天族たち(エドナ、デゼル、ミクリオ)の問答のシーンでは、彼らの年齢差が感じられて面白かったですね。(補足・エドナは1000歳超え、ミクリオは見た目どおり17歳、デゼルは天族としては若いようですがミクリオよりは年上とのこと)
ミクリオはデゼルの言葉に反論することはありませんでしたが、エドナは一刀両断。現段階では殺す以外にどうしようもない兄アイゼンのことがあるからこそ、エドナの言葉は非常に重く、説得力がありました。

グルードマンは話のわからない相手ではありませんが、スレイとのやり取りを見ると和解するか決裂するか微妙な距離感があり、今後の展開が楽しみです。得体の知れない力を持つ導師と馬車の中で丸腰で話し合うあたり、相当肝が座ってるなあw 私どうもグルードマンさん好きみたいですw(2017.2.1) {/netabare}


・第18話(♯17)「届かない理想より目の前の正義」{netabare}
今回も面白かったけど、尺が心配になってくるなあw
初めてロゼを完全にヒロインとして描いた回でもあるかな?本当に可愛かったw

今回はロゼの正義が崩れる話でしたね。
ラストのロゼの涙は、ブラドの正義ではどうにもならない現実を知った絶望なのかな…。「世の中には殺されなきゃいけない奴がいっぱいいる。綺麗事じゃすまない」というロゼの台詞には強い義務感が感じられてやるせなかったです。

今回のスレイの言葉はどれも良かったです。「どんな人の中にも穢れはある。誰だって穢れを戒めながら生きている」という言葉にはアリーシャのことで穢れかけた自分のことも含まれていると思うと重い。その上でロゼが穢れと向き合ってきたことをいたわり、スレイ自身の意見とロゼに対する優しさ、世界の現状まで含めてロゼの知らない世界を語る。これは導師ですわw
スレイは先代導師の言葉に対して、人間の業も受け入れた上で一つの誠実な回答を示したとも感じます。

ライラやミクリオだけでなく、人間嫌いであるはずのエドナが、ロゼを利用してきた(と思われる)デゼルに対して批判的なのが良いなあ。デゼルの「ロゼは傀儡だ」という言葉の真意は何でしょうね?個人的にはデゼルがロゼを大切に思っているのは本心だと思うので、腹も立っているけどちょっと様子見かな。デゼルもですがエギーユに関しても、まだ評価は保留すべきのようです。(2017.2.7){/netabare}


・第19話(♯18)「商談」{netabare}
スレイはローランス皇帝ドランの屋敷に招かれ千年前(ベルセリア)の出来事を伝承として知るのですが、大分間違った伝わり方ですねw
ベルセリアゲーム内ではベルベットは世界中に支持されたアルトリウスに反逆した人物です。1期の頃から本作では闇に葬られた人達を描いてきましたが、ベルベットはまさにそちら側なので、捻じ曲がって伝わっているのは仕方無い。
アルトリウスが実現したとされる「感情のない世界」についてスレイはどう思ったのか?ベルベットが導いたのが災厄の時代であったとしても、人の感情を否定したくないスレイはベルベットをどう思ったのか?という点が気になります。

従士契約の描き方がアリーシャとロゼで今回も対比的でした。
アリーシャの場合はスレイや天族との絆の証であり、最初に見たのはずっと見たいと願っていた世界。
ロゼは自分の正義のためにスレイにギブアンドテイクを持ちかけていて、最初に目にしたのは立ち向かうべき世界。
その前提として二人ともスレイとの信頼関係がきちんと描かれ、命を賭ける覚悟があるのは良いですね。

あとライラ、従士契約のデメリットについてスレイに教えてないのはズルい。スレイは怒って良いよw
ライラはアリーシャとロゼに対して誠実でしたが、スレイを守るためにはそういうやり方もする。ライラにとって一番大切なのはスレイが人間に絶望したり穢れたりしないように導くことで、それは1期からずっと描かれてきたと感じています。スレイは導師として天族とばかり人間関係を作っていては駄目で、ライラにとっても人間に頼るべき時があるんですよね。(2017.2.15){/netabare}


・第20話(♯19)「レディレイク」 {netabare}
今回はアリーシャが妾腹の王女であることが明かされ、個人的には結構気になっていた事だったのですっきりしました。
重要な遺跡の鍵(紋章つきの短剣)を与えられてる立場だからそのくらいの血統ではあるはずですよね。

近隣の村でアリーシャたちを襲ったのは穢れまじりの土石流なのかな?目に見える天災が竜巻だけではなくなってきているのか…。
ザビーダは再登場しましたが、あっさり分かれてしまったなあ…。人間のトラブルに天族や導師は関わらせないのがアリーシャの考えだからでしょうね。

ザビーダの「あんたたち人間は何をやってる?」という問いは人間全体に対する厳しい問いかけであり、反対にルナールの、あんな奴らには報いを受けさせてやればいい、という主張は人間の弱い心からくる誘惑でもあります。
アリーシャもまた自身の中の穢れを戒めているという印象で面白いシーンでした。

竜巻が天の裁きなら導師にすがるしかないけれども、穢れによる天変地異だからこそ人間である自分が行動する意味もあり、妾腹とはいえ王女であるアリーシャには人の上に立つ者としての責任もあります。マルトランを救出に向かうかどうかの決断や、シレルから「どんな状況でなら殺しを認めるのか」という判断を求められたこともその一つ。特に不殺を貫くか否かはアリーシャというキャラクターにとって重要です。

竜巻とドラゴンの謎も気になるし、次回も楽しみです。(2017.2.20) {/netabare}


・第21話(♯20)「浄化」{netabare}
都市部に潜入した時点でバルトロ兵に気付かれるって早いwと思っていたけど、広場に向かうと思わせるためにわざと気付かれるようにしたのかな?

国王が穢れを背負っていたのは長年王としての責任を果たしてきたから?自分の穢れを戒めるだけではなく、国内の不平不満(他者の穢れ)とも向き合う必要があったということかな。それでもアリーシャを守ったのは一人の人間として感情を捨てずに生きてきた証なんだと思います。
…それはともかくアリーシャ医者くらい呼んであげて~;;

バルトロの結末はちょっと説明不足でしたね。
アリーシャの理念を否定するために命まで捨てたバルトロは公人としては失格です。同じような事態を起こさないことが、今後アリーシャが政治に関わる中で乗り越えるべき大きな課題のように思います。
アリーシャを理解し信じているから穢れないマルトラン師匠が対照的なのも良いですね。ルナールは狂言回し的な役割になってるなあw

そして念願のドラゴン浄化に成功!
これまで何人、どんな導師と従士が存在したのかはわかりませんが、その中でスレイ、アリーシャ、ロゼという三人が揃ったというのは奇跡に近いのだと思います。
三人が穢れを恐れていたらこんなことできないと思うんですけど、1期でライラがスレイに答えを導き出して欲しいと言ったことや、アリーシャロゼの掘り下げをがっつりやったことがきちんと繋がっているのが素晴らしいです。

今回色々勿体無かったのがコンテ演出で、アリーシャとバルトロのシーンや浄化シーンはもう少しわかりやすく、盛り上がりを作れたと思うので残念。

…あれ?アリーシャ…「どういう状況で殺しを認めるのか」の結論は?;;
(追記・後から思ったけど「誰も死ぬ事は許さない」と言ってたからやっぱり殺すなということでいいのかな?)
(2017.3.1){/netabare}


・バルトロ卿について{netabare}
全体的な描写から考えるにアリーシャがいなくなることで地位が磐石になる立場なんでしょうけど、凄くわかりにくいですねw
でも一番はアリーシャの理念に対する反発かな。むしろ憎んでさえいるように見えました。その理由も描いてくれたらさらに良かったけど、本作はそういうのが苦手っぽいんですよね。

1期ラストの戦争ではローランスを獲るのと同時に、アリーシャが止めに入るのを見越して、どさくさに紛れて殺すつもりだったのかも?ランドン師団長はバルトロの意向を理解していたから、王女に部下が深手を負わせても「よくやった」なんて言えたのではないかと思います。
さらには国家反逆罪を被せて追い討ちをかけたものの殺すことも捕えることも出来ず、師匠を囮に誘きだそうとするも、裏をかかれ国王の前に来られてしまった。自身が国王を刺してしまったのは計算外だったでしょうけど、アリーシャに罪を擦り付けられれば逆転の目はある。バルトロも他に方法がなかったでしょう。

自身の責任を果たす事によって穢れの発生を少しでも食い止めたいアリーシャに対して、バルトロの自殺は彼女の理念に汚点を付けたという意味で「負けなかった」と言えるのかも知れない。
ただ、アリーシャは政治ばかりではなく世界の仕組みという大局を見ていて、バルトロはもっと個人的なものを見ているのだから、そもそも同じ土俵にいないのですよね。これでは出し抜かれても仕方ない。

今となっては、スレイの殺害がバルトロにとって目的達成の一番の近道だったのかも、なんて思います。
会食に招きながらもスレイを殺さなかったのは、バルトロ自身の言葉の通り、政治的にアリーシャに加担しなければ眼中に無かったから。結果的にはスレイのおかげでアリーシャは命も理念も失わずに済んだのだから、詰めが甘かったですね。まあライラとミクリオがいたから殺せなかっただろうけど。(2017.3.1){/netabare}


・第22話(♯21)「いつか夢見た世界」 {netabare}
前回国王が亡くなったのは触れなくて良いんだろうか…。あとアリーシャ以外次期国王候補居ないの?
レディレイクを襲ったドラゴンは中身の天族はどうなったんだろう。それとも感情を伴う穢れが集って実体化した場合もドラゴンになるとか?
ゲームの設定と違う部分もあるので、調べて知ってても混乱する時がwもう少し説明してくれてもいいのよ?w

ハイランド国内が一丸となったり、人間と天族が実質的に共闘する形になったり、ハイランドとローランスの両国の兵も協力関係を築いたりと、スレイとアリーシャが夢見る光景の縮図が描かれた回でしたね。皆可愛いし和むし久しぶりに明るいシーンが多くて良かったです。
兄より世界が先だと言えたり、従士と共倒れになる可能性も知りながら神依に名乗りをあげたり、エドナの中身大人な所をしっかり見せてくれたのも個人的に凄く好き。ザビーダが加入してパーティ全体が落ち着いた雰囲気になったのもイイですね。

…ところで導師一行を陰から見守りながら情報提供とかサイモンちゃん何してんですかw
彼女も腹に一物抱えてるようで、しかも描写からして導師一行を勝たせたいようなので先が気になる。

ベルセリアとのクロスに関して、アニメでは千年前の出来事で伝承や口伝で伝わってきてるので間違っている部分もあって、メタ的にもネタバレにならないようになってるのがちょっと面白いかも。(2017.3.7) {/netabare}


・第23話(♯22)「北の大地」 {netabare}
今回は従士二人の神依、デゼルやサイモン、ルナールなど色々詰め込んだ豪華な回でした。今の段階ではサイモン、ルナールの顛末は説明不足(ルナールに関しては全体的な描写から心境を想像はできる)ですが次回フォローあるかな?
…サイモンちゃん寂しがってるというか、主にかまって欲しいようにしか見えないのは私だけですかねw

地脈の話がまともに出てきたのは第1話(♯0)以来ですね。OPの雪山はラストバトルの舞台だったのか。
神依するうえでロゼは行使する力(武器)が扱い難い、アリーシャは神依の素地そのものが出来ていないという違いがあるような描写も面白いと思いました。

そしてロゼを利用してきた事を後悔し始めているデゼル。ブラドの復讐はデゼル自身の無念を押し付けていた部分は間違いなくあったと思うし、デゼルの一方的な憑依によってロゼの運命は良くも悪くも変わったわけで。
主体性の強いロゼとは遠からず子離れ(?)のような時期が来るだろうとは思っていたので本編中で描かれて嬉しいですね。
デゼルがロゼに憑依してきたという関係とその変化、デゼルの心理がサイモンとのやりとりと連動してスムーズに描写できている印象。
…で、次回予告が不穏な空気なわけですが…;;

サイモンドラゴン化でしっかり盛り上がりを作った引きで次回も楽しみです。(2017.3.13) {/netabare}


・第24話(♯23)「風になる」 {netabare}
原作プレイヤーに気を揉ませていたデゼルの結末が今回のハイライト。
残念ながら生存とはなりませんでしたが、2期前半のロゼメインの一連のエピソードで同時にデゼルの掘り下げも出来ており、しっかりと繋がっているのはとても良かったです。
ブラドの目指したものとデゼルの願望をある意味では背負わされてやってきたロゼは、これからは一人で決断し責任を背負っていかなければなりません。ですがデゼルが思っていた以上にロゼは成長していて、何の心配も要らないと感じられたから最期に笑えたのかなと思います。
泣いてもいいだろ?って言いながら笑って終わるとか反則ですわ…;;

ベルセリア作中で重要な意味を持つ「緋の夜(月が赤く輝く夜)」を迎え、その影響なのかベルベットとスレイが夢の中で邂逅。こう来たかー(歓喜)!!
かつて災禍の顕主と呼ばれたベルベットも導師であるスレイも、大切な誰かや自分の願いのために戦う(戦った)という点では変わらないのですよね。ベルベットの言葉はスレイ自身がどうしたいのかを問いかけているようでした。

ベルベットに復讐心を抱かせたことがアルトリウスの最大の間違いだったとも言えますが、だからといってハイランド・ローランス間の戦争をその身で経験したスレイには、世界のために一人を切り捨てたアルトリウスのやり方が間違っていると断言する事も出来ない。
ですがデゼルがロゼに言い残した「導師が誰かを犠牲にすることを肯定したら悲劇が繰り返される」という言葉は、デゼルがスレイのやり方を心から認めている証拠で、物語の上でもアルトリウスとスレイの差異を明確にしていました。

負の感情の蓄積が天変地異すら起こす本作で、人間や穢れが根本的に抱える矛盾をも受け入れて世界を良い方向に導くというのがどれだけ無理難題なのかを再認識してしまうわw(2017.3.23) {/netabare}


・第25話(♯24)「導き出した答え」{netabare}
マオテラスさん登場でとても嬉しいですw ベルセリアとのクロス要素ではありますが、五大神(最高位の天族)の一柱だと分かれば支障ない描き方でしたね。穢れながらも自我を保ち自身の意志で抗っている状態はなんとも健気。

災禍の顕主は先代導師にかけられた「永遠の孤独の呪い」のせいで、時には自由な意志疎通すら出来ないことが判明。きっつい呪いですね…;
首吊りしてたのはヘルダルフの親しい人たち?自分も自殺しようとしても出来ないような描写もちらっと入ってて辛い;サイモンの呼び掛けに応えなかったのも呪いの影響なんだろうか。
サイモンの「主は導師に自分を殺す可能性を見出した」という言葉は殺害がヘルダルフへの救いになることの暗示でしょうね。

災禍の顕主が出した答えは「力により矛盾を打ち破る」こと。お互い自分の思いを通したければ相手を倒すしかないという理屈なんだろうなあ。
それに対し、スレイは「人としてお前を浄化する」という言葉を返しましたが、ヘルダルフと人間として話したい、繋がりを持ちたいという意味かな、と。スレイ自身が常に誰かに支えられてここまで来たからこそ言える言葉なのだと思います。(2017.3.27){/netabare}


・ミケルとヘルダルフについて{netabare}
カムランにおける先代導師とヘルダルフの因縁は、歪な人間関係がきっかけであるように私は感じました。

立場も状況も人柄も違うので単純に比較は出来ないですが、スレイとグルードマンの関係性は少し似ている部分があったように思います。
スレイは脅迫じみた行為にも屈しない意志の強さと導師としての力を示し、実直ながら強硬派らしかったグルードマンも一筋縄では行かないと認識したから、ペンドラゴへの道中で対等に話し合うことができたわけです。最終的にはグルードマンは導師に協力することになりました。皇帝ドランの命令もあったとは思いますが。

一方でミケルは何の力も持たず、ヘルダルフはマオテラスの姿を目にしても軍人としての立場を曲げなかった。
ミケルはヘルダルフに騙されたのは確かなのですが、その純朴さゆえ、自分を対等と認めさせることが出来なかったために良いように利用された印象です。ヘルダルフが「力の伴わぬ馴れ合い」を否定しているのは、人間の頃からの性格なのかも。
とはいえミケルがヘルダルフにかけた呪いも正直やりすぎで、後世に大きな負の遺産を残してしまっています。ミケルが引退した理由が語られていないので何とも言えないのですが、導師としてよほど辛い思いや挫折を経験してカムランに辿り着き、村が心の支えだったのかな、と…
ミケルとヘルダルフ、二人とも加害者であり被害者でもあるという描き方は良いですね。(2017.3.27){/netabare}


・第26話(♯25)「伝承」{netabare}
1ヵ月は長かった…でもその分楽しめました!

「死こそが救い」である災禍の顕主の怒りを鎮め孤独を癒すというスレイの結論は本当に良かったです。ヘルダルフとスレイのやりとりをもっときちんと描いてほしかった気持ちはありますが、呪いと穢れに飲み込まれたヘルダルフを救い上げ、穢れと矛盾を抱える人間として再びやっていけると考えられるまでに繋がりを持てたことは素晴らしい結末だと思います。
「永遠の孤独の呪い」を解くということは、ミケルのやり場の無い感情も一緒に浄化するということなのかもしれませんね。
ドラゴンの姿のまま自我を取り戻しつつあるアイゼンも、アニメのテーマに沿った描写だったと思います。

スレイが願った「人と天族が一緒に暮らせる世界」はお互いを見て語り合う世界ではなく、人間も天族も独力で生きているのではないことを認識し、積極的に繋がりを保ちながら共存していく世界として実現しつつあります。
第24話のスレイの「皆と旅をしたことで人間と天族が共存できると信じられた」という言葉がきちんと形になりましたね。

アリーシャが天族に対して様付けを止めないのは何故かとずっと思っていたのですが、それは天族とどんな関係性を築くかは人それぞれだからだと感じるようになりました。
為政者であるアリーシャは天族に支えられて国を維持していることを知っており、スレイやロゼにとっては家族や身近な友人。普通の人々にとっては見守ってくれる土地の神様です。
崇高な存在だったり友人や家族だったり、色々な関係があるのですね。(2017.5.1){/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

キャッチフレーズは「伝承はいつしか「希望」になる」其の2です。

この作品はテイルズ オブ ゼスティリアの2期に位置する作品です。
物語の内容に繋がりがあるので、1期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

この作品のPVを初めて見た時、あまりの作画の綺麗さに鳥肌がたったのを覚えています。
これまでも作画の綺麗な作品はたくさん見てきました。
でも、この作品の作画レベルは「思わず息を吞む」ほど高いと思いました。
レベルが高いのは作画だけではなく、SEについても同様…
つまり、アニメの根底部分のクオリティが半端なく高い作品…という事なんだと思います。

ここまでレベルが高いと次に気になるのは途中からの失速になるのですが、この作品については全くの杞憂でした。
しかもゲーム原作にも関わらず、分割2クール作品として描き切ってくれる…
視聴者冥利に尽きるとはこの事だと思います。

こうして2期の放送が始まった訳ですが…2期も期待を裏切らないクオリティだったと思います。
「人と天族が共に暮らせる世界を作ること」を目指して始めた導師スレイの旅も未だ道半ば…
そしてその旅路は決して平坦ではありませんでした。

導師の穢れを浄化する能力は確かに凄いです…
けれど、導師と言えど一人でできる事には限界があります。
そのためにライラやミクリオなどの天属と行動を共にしてきた訳ですが…
時には剣…そして時には盾にその姿を変え導師と共にあろうとする天属の皆さんですが、穢れは中心への接近に伴って強さを増していくので、これまで通りの戦い方では通用しなくなっていくんです。

そしてアリーシャとロゼ…どうやら二人とも大層な荷物を背負ってここまで生き抜いてきたようです。
アリーシャは一国の姫君で王位継承権を持っている立場…隙あらば、と邪な考えを持つ者が決して少なくありません。
でもそんな事に現を抜かしている時間はアリーシャには1秒だってありません。
だってその1秒があったらその分、国や民にできる事を考えたい…

争いが嫌いな平和主義者…「敵がこちらに攻撃するまで我々は攻撃してはならない」
自分の発言に真摯に向き合い率先垂範する彼女は、やっぱりどこからどうみても魅力的です。

そしてロゼ…彼女の心の中の闇はどれだけ暗く深いのだろう…
物語の展開を見ていれば、彼女の中に闇が渦巻くのも激しく理解できます。
だって、今自分がここで生きているのは誰のおかげ…?
そんなの改めて問う必要なんてない…

誰かがやらなくちゃいけないから自分がやるんだ…
教えて貰った「届かない理想より目の前の正義」の信念はとても大切…
でも本当にそれだけ…?
自分にはそれしかできないの…?
この自問自答は彼女に自分自身を俯瞰させるきっかけとなりました。

そしてアリーシャとロゼは、これまでの自分と決着を付け更なる高みを目指す事を決めます。
それはこれまで以上に険しい道である事は行く前から明白…
自分の手で掴み取れるのは、ほんのちっぽけかもしれない…
けれど、これは自分達にしかできない事…
だから自分の全部で絶対支えてみせる…自分達も支え合いながら…

でも一番おいしいところを持っていったのはお約束通り導師でしたね。
その前の展開から何となく予感はしていましたけれど…
だって、きっとこれ以外の着地方法を模索したら絶対に尺が足りなかったと思いますし…
今でもミクリオの叫び声が頭から離れてくれません…

ここまで視聴してきてふと思った事があります。
導師って、何人いるんでしょう…?
私は世界に一人きりだと思っていました。
導師が導師として機能しなくなった時、世界のどこかに導師が息吹くのだと…
でもどうやらそれは間違いだったみたいです。
私の勘違いかもしれませんが…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

私のイチオシはやっぱりアリーシャでした。
CVがかやのん、というのが大きいですけれど…
あの花のめんまや、さくら荘のましろの様なふんわりした感じも好きですが、アリーシャや、このすばのダクネスの様に一本筋の通った感じも堪らなく大好きです。
かやのんが声優さんで本当に良かったと思っています。

オープニングテーマは、Minamiさんの「illuminate」
エンディングテーマは、FLOWさんの「INNOSENSE」
どちらもカラオケ挑戦済です。
どちらも良曲ですが敢えて1曲を選ぶならオープニングに軍配です。

1クール13話、全部で2クール26話の作品でした。
もう何もう事はありません。
最終回の放送まで少し空いた時間が待ち遠しかった事くらいで、最高の作品を視聴させて貰ったと感じています。
「Tales of 20th Anniversary Animation」の冠に恥じない作品だったのではないでしょうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

”自分の信じる道を進め!”

あらすじはあにこれを参照ください。
放送時期:2017年1月~4月

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇物語
Ⅰ期の続きです
天族と共に世の中の穢れを清める旅をする
導師スレイと仲間たちの冒険ファンタジー。

〇音楽
OP曲はMinamiが歌うilluminate
25話のOP曲はFLOWが歌う風ノ唄
ED曲はFLOWが歌うINNOSENSE
21話のED曲はfhánaが歌うcalling

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

〇専門用語
・セキレイの羽{netabare}
ロゼが頭領として率いる商隊ギルド。{/netabare}

・風の骨{netabare}
セキレイの羽の裏の顔でありロゼを頭領として動いている
グリンウッド大陸一の暗殺ギルド。{/netabare}

・従士{netabare}
導師の配下としてその活動を補佐する人間。{/netabare}

・神威{netabare}
人族と天族との融合技{/netabare}

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

〇作画
制作はufotable
天族が風や水そして火などを利用して攻撃するのですが
その表現がとても綺麗で迫力あって引き込まれました。

戦いも終盤になっていくにつれスレイの瞳が怖く感じました
しょうがないですが天真爛漫で穏やかな瞳の方が好きです○o。.。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇観終わって
スレイ ロゼ アリーシャ それぞれの視点で展開する物語も
佳境に入って俄然面白くなりました。
{netabare}
これまで自らの心と組織の決断は復讐としてきたロゼ
そんな彼女が自身の理性に委ねスレイの従者になることになった
この選択 ロゼらしいですよね

捕らわれた師匠マルトランを救うため苦悩するアリーシャ
内乱を企てたバルトロ卿に親を殺されても信念を曲げないのは凄い!

Ⅰ期に出てきた5話と6話の物語 1000年前のおはなしだった
この世界 あんまり文明とか発展しないのかなぁ○o。.

穢れの無い世界とは感情の無い世界
だからベルベット・クラウは業魔として

穢れで包まれる世界とは災厄が溢れる世界
だからスレイは導師として

歪んだ世界を正す こういうお話と勝手に理解しましたが合ってます?

最終決戦の前 夢に出てきたベルベット・クラウのセリフ

”鳥はただ自分が空を飛びたいから飛ぶんだ”
”自分の信じる道を進め!”良いセリフですね心に響きました○o。.

最後 浄化を終えてやっと自由!

イズチを出て試練のくり返しで
ちょっとは遊んでもいいんじゃない?って思っていたから
ホッとしちゃった○o。.。{/netabare}

最後 ED曲流れてもおはなしは続くから見逃さないように♪。 

以上 最後までお読み下さりありがとうございます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

65.0 3 2017年度のufotableアニメランキング3位
活撃 刀剣乱舞(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (148)
635人が棚に入れました
審神者により宿された付喪神――刀剣男士。
和泉守兼定は、歴史を改変すべく現れる時間遡行軍からとある積荷を奪取するため、初陣の堀川国広とともに幕末の世に出陣する。
辛くも任務を成し遂げた二振りに下されたのは、新たな指令。『文久三年のとある城下町に、新たな時間遡行軍現る』と。
わずかな情報を頼りに、現れる遡行軍を迎え撃つ和泉守と堀川。しかし数で勝る遡行軍には二振りだけでは太刀打ちできず、窮地に陥ってしまう。そんな二振りの前に現れたのは、彼らの主“審神者”だった。

声優・キャラクター
木村良平、濱健人、榎木淳弥、山下誠一郎、櫻井トオル、斉藤壮馬、皆川純子、永塚拓馬
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

もう、映画じゃん!

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
活劇(立ち回りなど動きの激しい場面を中心とした映画・演劇。アクションドラマ)と銘打つだけあり、内容的には、前作(花丸)の日常系からガラッと作風を変え、シリアス&バトルになりました。

内容(ストーリー)も悪くないですが、とにかく素晴らしい作画を観るだけでも価値があるアニメだと思います。特にバトルと背景は、ホントに綺麗です。

原作未プレイ&花丸(前作)視聴済み


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
刀(物)としての矜持や責任感と、人(刀剣男子)としての自由や、やりがいの中での葛藤。今の主(歴史を守る任務)と前の主と(坂本龍馬や土方歳三などを歴史をねじ曲げてでも救いたいと思う)の狭間で悩む葛藤を描くのが本筋の物語だと思います。

また、前作(花丸)との違いは、「前の主(歴史上の持ち主)」の性質や関係性を大きく持ち込んでいることですね(花丸でも多少はあったけど)。例えば、「和泉守兼定(土方歳三)」と「陸奥守吉行(坂本龍馬)」の対立なんか分かりやすいです。刀剣男子自身ではなく、「前の主(新選組)」をバカにされたことで激怒する兼定など、熱かったです。

前作は日常系ゆえに登場人物を増やし、ファンサービス&販促を狙った感じでしたが、本作はストーリー重視のために、かなりキャラを搾っていましたね。基本ですが大事なことです。

歴史的な解説も、かなり詳しくなりました。坂本龍馬の逃げる経路や細かいエピソードなど(歴史に疎いので、史実かは知りませんが)、楽しく観られました。

あと、Wikipedia程度の情報ですが、土方歳三が死の間際、少年兵に渡したのは写真と毛髪であり、刀(兼定)という情報はないみたいですね。現存する兼定も、土方が持っていた物とは長さが違うらしく、その出所は謎なのだとか。だから、土方歳三の最後を、国広だけが見ていて兼定は見ていないというのは(かなり重要なエピソードだけど)、アニメスタッフの創作になるのかな? 私は歴史に疎いので良くも分かりませんが、きっと歴史好きな方なら、こういう僅かな違いとかも楽しめるんでしょうね♪

これは不満というほどのことではないのですが、最大公約数的には人気があるので、幕末や戦国時代をメインに据えるのは理解できるのですが、やはり見飽きた感はあるので、どうせなら南北朝時代とか、あまりアニメで扱われないあたりを観たいな~と思ったり。

さて、この作品、なんか一部の人にスッゴい批評されてますね。原作レイプ? と言われても、私は原作をやってないし、特段、本シリーズに深い思い入れがあるわけではないから分かりません。

でもまあ確かに、(勿論許可はとっているだろうけど)ずっと謎だった「主」を1話目からサラッと出したのはやりすぎだったかな? とは思いました。「主」は、いわばプレイヤー自身だと解釈していますが、それを具現化されると怒る人もいるのでしょう。私も基本は「RPGの主人公は喋らない」方が好きですし(自分を投影できるから)。

原作好きな方が怒るのであれば、原作付きアニメとしては、確かに良くはないですよね。

とはいえ、やっぱり高クオリティのアニメであることは否定できないと思います。少なくとも作画は。

個人的に不満があるのはOPかな。折角、シリアスで格好良い作風なんだから、ああいうアイドルソング的な感じではなく、もっと和風だったり、格好良い感じの曲の方が良かったな~と思いました。
{/netabare}

【余談1 ~剣道部的、刀の用法について~】
{netabare}
バトルの作画は前作に比べて格段に良くなったが、刀の用法としては、少し雑だった印象。例えば、刀を刀で(キン、キンって)払うとか、実際はほとんどやらないしね。折れるし、刃こぼれするし。

例えば、剣道の段審査で行う「日本剣道形」は、各古武術の流派(つまり日本刀古来の使い方)からきているが、七種類あるうち、刀と刀が接触するのは、三本目(突き返し突き)、四本目(突き返し面)、五本目(面擦り上げ面)、六本目(小手擦り上げ面)の四種類。その中に刀を刀で払う動作、例えば切り落としや応じ返しという動作は一切含まれない。四種類全て、「鎬(しのぎ)」という、刀の上部(峰と腹の間)で刀を擦るようにして、相手の刀の軌道を変える(そらす、受け流す)動作になる。残りの三種類は抜き技なので、相手の攻撃をかわして攻撃する動作だ。

ここからも分かるように、刀は基本的に、相手の攻撃を弾いたり受け止めたりしするようには作られていない。そういう「打ち合う」動作は、竹刀が開発され、剣道という競技になってから生まれている。

真剣での勝負の防御は、基本的に「避ける」か「そらす」。刀を大切にしているアニメだけに、そこまでリアルに作画出来れば、剣道部的には更に満足だった。まあ、それやると迫力には欠けるけど。

というのは、難癖ですよw 本当は書かなくて良かったんだけど、剣道部、という名前を使っている以上、キャラ付けの為にもなんか書かなければと思い、無理矢理、重箱の隅をつついてみました(笑)
{/netabare}

【余談2 ~ 作品の成分に個人的には違和感が ~】
{netabare}
……にしてもアニメ成分に作為的なものを感じるのは、私だけでしょうか……。マイナス要因が多すぎるし、それぞれの成分にほぼ同数の票が入っている不自然さ。(&少しでもポジティブな成分入れると、即座に-連打されて消されるって……)。

てか、原作改悪はまあ(本人の捉え方だし、主観の要素が強いから)あっても良いとして、「作画悪い」って、この作品で作画が悪いと言われたら、世の中の大半のアニメはクソ作画ということになるとは思うけど……。

作品に対しての賛否は自由。絶賛も酷評も好きにやって良いと思ってます。本作が気にくわないなら、ガンガン叩いても良いと思います。

でも、「一人一票」ってのは大切だと思うんだよな……。

(勿論、これが完全に私の邪推で、本当に多くの方が批判しているのなら、何の問題もなく、正当な行為だと思います。何が正しい(真実)かなんて分からないから、結局は各々の判断ですかね)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
まず、作画がヤバイ。劇場版やん。前作(花丸)とはガラッと作風を変えてきたね。人助けするなと言って人助けする兼定が良いね。え~! 「主」出して良いのかな? 蜻蛉切り、メジャーどこが来たね~。

2話目
持ち主やら由来やら、丁寧に説明するのは、華丸になかった特徴ですね。

3話目
ピンチからの増援。ワルくはない。実に王道だ。

4話目
なんなもう、映画だな、完全に。蜻蛉切り、折れはしないだろうけど、かなりシリアスな展開。

5話目
シリアス継続。いよいよ本丸に。

6話目
へ~、2205年の設定なんだ。全体を守れても、個の犠牲を悩む、良いシーンでしたね。

7話目
三日月、強いな~。第一部隊、一軍って扱いなん?

8話目
ちょっと良い話。なんか、前作(花丸)みたいでしたね♪

9話目
前の主のことを嬉しそうに語る刀剣男子、良いね♪ ちょっと腐のかほりはするけどw

10話目
いや、煙の描写とか凄いだろ、これTVアニメだぞw 幕末は盛り上がりますな~。蜻蛉切りがあれだけ苦戦した大太刀を、わりとアッサリ。

11話目
背景からキャラが浮いている感じは、ある意味ゲームっぽいので、これはこれでアリかな。なるほど、土方歳三以上に、土方歳三を本当は助けたい兼定の為に動くのか。

12話目
いや、本当に良いのか? 微妙に歴史変わらないか? 1000って、ムリゲーじゃね?

13話目
背景は、本当にキレイだな。人の動きはちょい変だけど、それは贅沢言い過ぎか。ラストのバトルは単純に熱かった。にしても、やっぱり千体は無理だったんじゃ? 100で良かったんじゃないかとw
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

瀬名 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

刀剣乱舞が好きな人には良い

花丸のほんわか日常系とは違い、戦闘&シリアスな展開をメインにしたバージョンですね。

一応書いておきますが、登場人物の背景はこんな感じ。

和泉守兼定→土方歳三の愛刀
堀川国広 →同じく土方歳三の愛刀。和泉守兼定の相棒的立ち位置。
陸奥守吉行→坂本龍馬の愛刀
蜻蛉切  →本多忠勝の槍。天下三名槍の一振り
薬研藤四郎→織田信長の短刀(でもこの設定は出てこない)
鶴丸国永 →平安時代からある太刀。伊達家との縁が深め

ちょっと出てくる登場人物

三日月宗近→平安時代に作られた太刀。天下五剣の一つでもっとも美しいとされる
大典太光世→同じく天下五剣の一つ。
髭切   →源氏の重宝。
膝丸   →同じく源氏の重宝。
骨喰藤四郎→足利尊氏に献上されたり、豊臣へ献上されたりした刀。元は大薙刀の脇差。

こういった刀が出てくるので、歴史上の人物に興味があるなら試し見して観るのは良いかと思います。

ゲームの刀剣乱舞自体では、刀剣たちの物語に関する掘り下げはほぼないので、というかボイス自体が少ないので、ファンにとっては格好良い殺陣が見られて喋ってくれるだけで喜ばしいかと思います。

作画はufotable。fate/zeroなどを製作したところなので、作画に対する期待値は高かったかと思います。
実際、良かったです。
序盤なんて映画っぽく観えるほど手が込んでいた気がする。
戦闘時の躍動感も格好良かったし。
爆撃とか海とか、なんかリアルすぎて、アニメ作画の人物が浮くほどでした。
そこはなんか、バランス面でもっとアニメっぽくして良かったのではとは思うけれど。

肝心の物語ですが、まぁ基本はゲーム刀剣乱舞をプレイした人が観ること前提なのでしょうね。
初見にとっては、まず設定についていくのが大変かと。
正直、ゲームをやっていても理解しきれない設定とかはあるので、初見はさらに「?」という部分があるかと思います。

アニメなどでは、基本的に敵側には黒幕やらボスやらの存在が背景にあるのがお決まりですが、これに関しては時間遡行軍ってなんぞや?って感じですしね。
黒幕とかそもそもいないし。
妖っぽい、どんな思想や理念を持っているかもよくわからない時間遡行軍という名の敵が絶え間なく淡々と出続けるのみ。

そういった曖昧な設定が根本なので、わかりやすい敵設定がないんですよね。
なので、他の作品らとは根本的な物語背景が異なり、わかりにくさや感情移入のしずらさはあると思います。
もう、そういうものなんだと割り切るしかないw

ただ、今回のメイン出演キャラが新撰組や坂本龍馬の刀だったということもあり、物語的には初見でも入り込めるように工夫されていた感はあります。

刀の擬人化の話で、主と刀の関係性を見せてくる場面は感動しました。
坂本龍馬を思う陸奥守吉行のストーリーはとても良かった。
この話が一番初見でもわかりやすかったのではと思います。

それ以降はずっと新撰組ターンでしたね。
堀川国広が不穏な動きをする流れは、正直観ているのがしんどかったです。
ゲームをプレイしているファンからすれば、裏切り行為を働きそう…という不穏なキャラが出てくること自体、嫌なんですよ…。

でも、そこを自分の為にではなく、相棒の和泉守兼定のためだったという理由だったというところで救われます。

なので、刀剣乱舞を知っている視聴者としては、十分に楽しめる内容ではありました。
ただ、OPとかで本能寺の火の中にいる薬研とか出てきていたのに、本編では少しも触れず、織田信長が元主だったということさえ伏せられていたので、謎でした。
なら普通の戦闘シーンを挟んでおけば良かったのでは?と。

映画化が決まっているそうなので、その辺で触れるのでしょうか?
うーん、謎w

今回は第一部隊と第二部隊の12人しかほとんど出てこず、キャストを絞りに絞ったのは良い選択だったと思います。


音楽の部分では、何だかすごいufotable〜って感じが個人的にしましたw
でも良かったです。


と、個人的な評価は高い活撃刀剣乱舞。
ただ、初見の人がどう思うかは本当にわかりません。
刀が好きであれば、結構楽しめるのかもしれないし、擬人化と世界観の設定についていけずに意味不明で終わるのかもしれない。

そして、2話〜5話くらいまでの印象が正直とても薄い。
初見を引き込める内容を意識したのだろうか?と思うほど、初見バイバイな気がしました。

序盤こそもっと見応えのある内容にした方が良かったような気がしますね。
坂本龍馬が関わってくる話が良かっただけにもったいない。

よくわからないうちに物語はトントン進んでいき、置いてけぼりを食うような感覚。
刀剣乱舞を知っている人ならばついていけますが、初見はまずこの辺りで観るのをやめるのではないでしょうか。

なので、こんなダラダラと書きましたが、初見向きではなく、刀剣乱舞ファンならば観ると楽しいアニメだと思います。

イケメンがたくさん出てきて声優も豪華というビジュアル面で言えば、初見でも楽しめるのかも。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ufotableが贈る剣劇活劇譚、開幕。

この作品の原作ゲームは未プレイですが、2016年の秋アニメで放送された「刀剣乱舞-花丸-」は視聴済です。
でもこの作品は前作との物語上の繋がりは無いので、この作品から視聴しても十分に堪能できると思います。

ですがこのシリーズは刀剣を擬人化した作品…刀剣は常に主の懐にその身を置き、主の危機から身を挺して守り抜く存在…
だから戦闘時における激しい主の息遣いも、時には目を覆いたくなるような惨状ですら受け入れざるを得なかった…
そんな自らの忠義を尽くす存在が最も身近で、常日頃からその温もりを感じているが故に背負ってしまう悲しくも儚い刀剣の運命をしっかり堪能したい方は、是非前期の視聴もお勧めします。

戦国の世を渡り歩いてきた刀剣たちの今度の敵は、時間を遡り歴史に介入して史実の改変を試みる時間遡行軍…
そして今回時間遡行軍の歴史改変のターゲットは、徳川15代の歴史が激しく揺れ動いた幕末…

刀剣たちに課せられた使命は「歴史を守る事」
そんな時間遡行軍から歴史の改変を阻止するために派遣された刀剣部隊は、新撰組の土方歳三の愛刀とされる和泉守兼定と堀川国広
坂本龍馬の愛刀として知られる陸奥守吉行
「切れ味は抜群だが主人の腹は切らない」言い伝えが残る薬研藤四郎
本多忠勝が愛用した事で知られる天下三名槍である蜻蛉切
平安時代の刀工、五条国永の作である鶴丸国永の6振りからなる混成部隊…

物語が始まって直ぐに感じられるのは、主に対する刀剣たちの思いです。
楽しい思い出…ばかりじゃありません。
むしろ辛く悲しい…無念の思いの方が強かったのではないでしょうか。
それでもどれだけ時を重ねても主への忠義は薄れるどころか増すばかり…

私たちは刀剣ではありません。
ですが、大切な人への思いを貫く気持ちを持ち合わせているのはお互い様…
だから主に対する思いは嫌というほど伝わってくるのです。

何故物語の時代は幕末なんだろう…
でもその答えは痛みと涙に直結している事が直ぐに分かりました。

おかしいじゃありませんか…
そもそも土方歳三と坂本龍馬の愛刀がどうして同じ舞台に配属されているのか…
土方歳三は攘夷派で、坂本龍馬は開国派で思想が真逆なんです。
永遠に交われない人同士が一緒にいても、きっと報われないと思います。
そしてそれは当人だけではありません…当人を慕う人もまた然りなんです。

だから思います。
幕末から明治にかけて多くの血が流れました。
本当に私たちの先輩の辿り着いた答えはその一つしか無かったのでしょうか…?
若しくはどうしてもう少し欠けたピースを集める事ができなかったのか…?
例えば白虎隊…本当に会津の城が炎上していたのか、確認できなかったのでしょうか。
もし手前の城下町が炎上していただけ、と知る事ができたなら、飯盛山で19人もの若い命の華を散らす必要も無かったのに…

史実に忠実であり続けること…
時にはそれが残酷なほど厳しく、身を焦がすほど苦しいこと…
和泉守兼定率いる第2部隊が何を見て何を感じたのか…
そして第2部隊に課せられた天命や如何に…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

ufotableさんらしさである躍動感が半端ない作画に後押しされたこの作品…
視聴するまではただの女子向け作品だとばかり思っていましたが、それは大きな勘違いでした。
男性が視聴しても十分に感動できる作品だと思います。

オープニングテーマは、斉藤壮馬さんの「ヒカリ断ツ雨」
エンディングテーマは、Kalafinaさんの「百火撩乱」
Kalafinaさんの曲…相変わらず素晴らし過ぎです。

1クール13話の物語でした。
幕末での第2部隊の役目はひと段落しましたが、直ぐに次の任務が言い渡されていました。
そう…第2部隊のこれからの活躍は劇場版で見る事ができるそうです。
今後の続報が楽しみです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5
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