ufotableおすすめアニメランキング 33

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのufotable成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年09月09日の時点で一番のufotableおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.3 1 ufotableアニメランキング1位
Fate/Zero - フェイトゼロ(TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (6198)
28516人が棚に入れました
これは始まり「ゼロ」に至る物語――― 奇跡を叶える『聖杯』の力を追い求め、七人の 魔術師(マスター)が七人の英霊(サーヴァント)を召喚し、最後の一人になるまで戦いを繰り広げる究極の決闘劇……聖杯戦争。 三度(みたび)、決着を先送りにされたその闘争に、今また4度目の火蓋が切って落とされる。それぞれに勝利への悲願を託し、冬木と呼ばれる戦場へと馳せ参じる魔術師たち。だがその中でただ独り、己の戦いに意味を見出せない男がいた。彼の名は――言峰綺礼。 運命の導きを解せぬまま、綺礼は迷い、問い続ける。なぜ令呪がこの自分に授けられたのか、と。だが戦いの運命は、やがて綺礼を一人の宿敵と巡り合わせることになる。それが――衛宮切嗣。誰よりも苛烈に、誰よりも容赦なく、奇跡の聖杯を求め欲する男だった。 大人気ゲーム『Fate/stay night』では断片的に語られるのみだった、10年前に起こった「第四次聖杯戦争」の真実。士郎の養父が、凛の父が、そして若き日の言峰綺礼が繰り広げた戦いの真相が、いま明らかになる!

声優・キャラクター
小山力也、川澄綾子、大原さやか、速水奨、関智一、中田譲治、阿部彬名、山崎たくみ、緑川光、浪川大輔、大塚明夫、石田彰、鶴岡聡、新垣樽助、置鮎龍太郎
ネタバレ

ポル さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

タイトルなし

『Fate/stay night』を本編とするスピンオフ作品で、本編では10年前のできごととして断片的に語られていた「第四次聖杯戦争」の詳細を、本編の登場人物たちの1世代前の人々を中心に描く前日譚となる。

かなり見ごたえありました。分割2クール。

第4次聖杯戦争各クラスごとの陣営の感想
{netabare}

セイバー陣営
{netabare}
マスター(衛宮 切嗣)
{netabare}
「固有時制御(タイムアルター)」「起源弾」もともとはセイバーの所持品の「全て遠き理想郷(アヴァロン)」持ちと、戦闘力はちょっとしたサーヴァントなのではと思えるほどw銃や爆薬といった近代兵器を駆使し敵マスターを効率よく葬る姿はまさに暗殺者。戦闘シーンはかっこよかったです。

終盤、聖杯の中のアンリマユと対話することになりますが、切嗣の願いはこの聖杯では叶えられないと知ると、即座に2つの令呪を使用してセイバーに聖杯を破壊させたのですが、その余波というか災厄が撒き散らされ大火災に。過去と同様に初恋の女の子を亡くし、実の父を殺し、育ての親を殺し、聖杯戦争で妻を亡くし、やってきたことがすべて無駄な犠牲と悟ってしまって人格が壊れかけ、かわいそうな人でした。生存者のシロウを見つけて救われたというのも納得。娘のイリヤに会えずに終わったのもアインツベルン家に聖杯取得に失敗したので捨てられたんでしょうね。
{/netabare}
切嗣のサポート(久宇 舞弥)
{netabare}
戦闘のパートナー+愛人だったんでしょうか?アイリという妻がいながらw
ほとんどセイバーを使わずにマヤさんと戦ってましたね。切嗣のサーヴァントポジションはこの人に取られてましたセイバーさん(´;ω;`)
{/netabare}
囮りマスター(アイリスフィール・フォン・アインツベルン)
{netabare}
アイリさん可愛かったですね。1児の母とは思えない。セイバーをないがしろにする切嗣のフォロー担当でした。2度も言峰綺礼に殺されるとは・・
{/netabare}
セイバー(古代ブリタニアの王アルトリア・ペンドラゴン)
宝具:「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」
   「風王結界(インビジブル・エア)」
{netabare}
最強クラスの強さがありながら切嗣にほとんど使われることなく無視され続け、ライダーやアーチャーに問答でいじめられ、キャスターにはストーキングされ、セイバーさん(´;ω;`)
{/netabare}
{/netabare}
アーチャー陣営
{netabare}
マスター(遠坂 時臣)
{netabare}
魔術師としての戦闘力は間桐 雁夜を炎の魔術で軽く一蹴してるところからかなりのものと思うのですが、ギルガメッシュには嫌われ、最後には言峰綺礼に刺殺されいいところなかったですね。それでも凛にとってはいい父でした。
{/netabare}
アーチャー(ギルガメッシュ)
宝具:「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」
   「乖離剣エア」
   「天の鎖(エルキドゥ)」
{netabare}
セイバーをも超える最強のサーヴァントですがどーもギャグ担当にしか見えなかったw個人的に。
キャスター戦のとき、セイバーとランサーとライダーが真面目に戦闘中、見物に来てたと思ったら、バーサーカーと空中で遊んでるしw
ライダーの呼びかけでの聖杯問答ではゲートオブバビロンから酒出てくるしwドラえもんみたいなやつだなと思ったしw
誘いウケの王w言峰綺礼を口説く姿は面白かったです。ようこそ愉悦の世界へ。言峰綺礼「愉悦部に入りたいです!(`・ω・´)キリ」
{/netabare}
{/netabare}
アサシン陣営
{netabare}
マスター(言峰 綺礼)
{netabare}
誘いウケの王に誘われた部員wギルガメッシュに口説かれなかったら善人ぶって神父をやってたんだろうか?愉悦を覚えてしまったあとは、葬式のとき凛に父を殺した武器をプレゼントしてほくそ笑むとかゲスに成り果てましたな。ギルガメッシュ「愉悦部初級から上級へ昇格とする、ワインでかんぱ~い」ギル(^∀^)ノ☆カチン☆ヽ(^∀^)言峰
{/netabare}
アサシン(ハサン・サッバーハ)
宝具:「妄想幻像(ザバーニーヤ)」
{netabare}
100人の実態を持った英霊とか反則級だとは思いましたが、最後まで言峰綺礼の道具として使い捨てられ不遇な扱いでしたね。
ライダーの宝具の王の軍勢を見たときの諦めた無抵抗な描写がなんともかわいそうでした。
{/netabare}
{/netabare}
ライダー陣営
{netabare}
マスター(ウェイバー・ベルベット)
{netabare}
ケイネス先生に怯えたり、戦闘のたびにびびり、気絶したり情けない感じでしたが、精神的に徐々に成長、イスカンダル色に徐々に染まっていくウェイバーちゃんは可愛いかったですね。
{/netabare}
ライダー(征服王イスカンダル)
宝具:「神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)」
   「王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)」
{netabare}
初登場時、ただのムサいマッチョおっさんと思ってましたが、破格の宝具を持っており、豪胆さと男っぷり、かっこいいです。聖杯問答を呼びかけたり、敵サーヴァントを部下にしたいなど交渉したりといいおっさんでした。
ギルガメッシュに負けますが相性の問題だと思います。ほかのサーヴァントには負けないと思いますし、イスカンダルファン倶楽部に入りたいくらい好きなキャラでした。
{/netabare}
{/netabare}
ランサー陣営
{netabare}
マスター(ケイネス・エルメロイ・アーチボルト)
{netabare}
魔力の込められた水銀を変幻自在の武器として扱う「月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)」で戦う。魔術師としての戦闘力は全マスターの中で1番強そうに見えるのだが切嗣の「起源弾」によってあっさりと負けてしまい衛宮切嗣を引き立てるだけの存在となってしまっている。
ウェイバーに先生としての立場でプレッシャーをかけたり、ディルムッドに寝取られるのではと嫉妬し、妻には令呪を脅し取られ、教会の監察官から令呪を貰い受けるとほかのマスターに入手させないために監察官殺害と、色々やってくれてびっくりする。
最後は切嗣の罠にハマリ、アーチボルト家の滅亡という凄惨な結末。かわいそうでした。
{/netabare}

サポート役(ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ)
{netabare}
気高くわがままな面が目立つが、冷めた性格でケイネスのことも相手にしていない。わざとランサーのチャームにかかることで彼に恋し、ランサーのマスターとなって忠誠を得るべく、戦闘不能に陥ったケイネスから令呪を脅しとり、聖杯によるケイネスの治療を方便にランサーにマスター権の委譲を納得させたりと酷い女という印象。
右手を切り落とされた際にも、3つの令呪全てを費やしてでも「ランサーに愛させる」命令を出来ない絶望の方が、右手を失った痛みや出血よりも上回っていたというなんとも罪な女だなと思いました。
{/netabare}
ランサー(ディルムッド・オディナ)
宝具:「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」
   「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」
{netabare}
ケイネス先生に騎士道の戦いを邪魔され、あげくにはソラウに執着(恋という名のストーキング行為)され、切嗣の罠にハマリ令呪によって自害させられと(´・ω・)カワイソス
マスターが他の人だったらまだ変わってたのかもしれませんね。
{/netabare}

{/netabare}
バーサーカー陣営
{netabare}
マスター(間桐 雁夜)
{netabare}
遠坂 葵(遠坂時臣の妻)に恋する間桐臓硯の次男。桜を助けることが目的で聖杯戦争に参加。
綺礼の「愉悦組活動」によって時臣殺害の犯人に仕立て上げられ、葵に痛罵されて錯乱し、葵の首を絞めてしまった。その後は完全に綺礼の手駒となり、彼に教唆されバーサーカーをセイバーにけしかけ、暴走するバーサーカーとセイバーの対戦で魔力を失って力尽き、最後の執念で間桐家の桜の下まで辿り着くが、桜を救出して葵と凛のもとに迎えられる幻想を抱きながら横死した。
彼の遺体は桜の目の前で蟲に貪り喰われるが、桜の眼には「臓硯に逆らった馬鹿な人」の末路にしか映らなかった。なんとも悲惨(´・ω・)カワイソス
{/netabare}
バーサーカー(円卓の騎士サー・ランスロット)
宝具:「無窮の武練」
   「己が栄光のためでなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)」
   「騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)」
{netabare}
宝具をただ投げつける最強の英霊ギルガメッシュには武器を奪って投げつけることで善戦し、キャスター戦では自衛隊の戦闘機を乗っ取って華麗な空中戦をみせるなど、マスターに恵まれていれば一番強かったサーヴァントではないだろうか?戦闘シーンはどれもかっこよく見ごたえありました。
マスターの魔力供給を食い潰して自滅というあっけない幕切れ。
消滅の間際、生前セイバーの手によって裁かれることを望んでいた本心を告げたが、それが皮肉にもセイバーにとっての呪いとなってしまう。
セイバーさん「やはり私が王にならなければこんなことにはならなかったはず。」思い込みがさらに強くなってしまった頑固な王(娘)の誕生である。

バーサーカーの戦闘シーンはすごかった。
{/netabare}
{/netabare}
キャスター陣営
{netabare}
マスター(雨生 龍之介)
{netabare}
美を追求して殺人を繰り返すひどいやつ。キャスターを殺人の師と仰ぎ意気投合する。口癖「COOL」最後まで気持ち悪いやつだった。

{/netabare}
キャスター(英仏百年戦争のフランス軍の元帥、ジル・ド・レェ)
宝具:「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)」
{netabare}
執拗にセイバーをジャンヌ・ダルクだと思い込みストーキング行為を繰り返す。まさかラスボス級の化物とかして暴れるとはびっくりです。
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 11
ネタバレ

cabinmild さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

バトルロワイヤル群像劇、「聖杯」に一縷の望みをかけて

群像劇形式のバトルロワイヤルもの。本作単体で楽しめる作品です。
「なんでも願いを叶えてくれる聖杯が自動的に魔術師の中から7人の候補者を指名するが、実際に手にできるのは1人だけ。聖杯をつかむためには、それぞれの候補者は武力としてサーヴァントと呼ばれる使い魔を召喚し、他の候補者を皆殺しにしなければならない。」
様々な思惑の交錯する中で必死の決意で運命に立ち向かう登場人物たちを、映画クオリティとも評される卓越した作画による戦闘シーンと、息をつかせぬ緊迫した展開で描きます。

メインの主人公は「衛宮切嗣」という男。 {netabare} どんな非情な手段も厭わない殺し屋ですが、なんとその願いは「争いをなくし、世界を平和にすること」。無論それが現実には叶わないと彼は知っており、苦悩の末自身に課したルールが「全て命は等価値であり、数によってのみ判断する」こと。十のためなら一を殺す、それがたとえどんなに愛する一であっても。しかし、それを実行するたびに行動と心が乖離していき、壊れる寸前まで追い詰められます。
そんなとき、彼に聖杯戦争への参加の声がかかります。 {/netabare}
夢物語じみた自身の理想を実現する唯一の手段「聖杯」に一縷の望みをかけて、悲壮な戦いの幕が開けます。

Fateシリーズはいっぱいありすぎてよくわからないとの声はよく聞かれるので、簡単な解説をば。
始まりは衛宮士郎を主人公としたPCノベルゲーム「Fate/stay night」。ゲーム内にはヒロインごとに3つのルートが存在します。それらをアニメ化したものがそれぞれ、無印、「Unlimited Blade Works(UBW)」、「Heaven’s Feel(HF)」です。無印がメインルートとされ、これを指す場合は単に「stay night(SN)」とも。ただし、stay nightという言葉はどのルートでも頭につくので、各ルートのヒロインの名前をとって、セイバールート、凛ルート、桜ルートという呼び方をされることもあります。
「Fate/Zero」は、このゲーム内ストーリーの10年前に起こった出来事、つまり前日譚をアニメ化したもの。衛宮士郎の義父である衛宮切嗣がメインの主人公となります。
よって、先の3作と違い、ゲーム内ストーリーをそのままアニメ化したものではありません。「こういうことがあったんだよね」という設定自体は存在したものの、それを新たに脚本に起こして制作された作品です。

比較でいえばstay nightシリーズがあくまで主人公目線で描かれるのに対し、本作は群像劇形式。少年・少女が中心である前者に対し、本作は大人たちの繰り広げる物語。毛色の違いはわりとハッキリしており、好みは別れるかもしれません。個人的には、stay nightでは主人公の青臭さに共感できない部分もあり、本作のほうが好みでした。主人公目線の物語では、一度共感できなくなると苦しいものがありますが、本作は群像劇形式ゆえ、切嗣以外のキャラクターに共感を覚えて入り込むことも可能かと思われます。

さて、唯一気がかりなのは、本作のキーワード「聖杯戦争」の仕組みが複雑、この世界の魔術師の常識に今イチついていけない、本作に登場する様々な専門用語が気になって仕方ない、というところだと思います。本稿の最後に、私なりにかみ砕いた解説を載せておきます。面白い作品ですので、視聴の手助けになれば幸いです。

総括。群像劇形式の作品は古いものに名作が多い気がしますが、今の感覚で見ると冗長に感じたり、映像のクオリティに不満を覚えることもしばしば。一方本作では、スリリングなテンポの良い展開で迫力ある戦闘シーンが見られます。他作品で言えば「バジリスク~甲賀忍法帖」が近いです。
「キャラクターが魅力的で、インパクトのあるバトルものが見たい!」そんな方にオススメの一作です。


※「聖杯戦争」とは
気を付けてはいますが、一部ネタバレともとれる箇所がありますので、「世界観の理解で頭を使わず、本筋に集中するためある程度の設定は頭に入れておきたい」という方はご覧ください。(わかりやすくするために難解すぎる専門知識なものは一部呼称を変更・省略してあります)
{netabare}
世界の真理(アカシックレコード/根源)を見るために、数多の魔術師が世間の裏側で独自の研究を続けている世界。
西暦1800年頃、魔術の大家であるアインツベルン家・遠坂家・間桐家の3家は、ある方法を思いつく(これが「始まりの御三家」)。その手順とは、
・まず、神話・伝説に登場する「聖杯」を現世に召喚する。
・続いてその聖杯の力で、巨大な魂を持つ7騎の「英雄の霊(英霊/サーヴァント)」を順次召喚。
・召喚したサーヴァントを殺すと再びあの世に戻ろうとするが、聖杯の力で呼び出されたので、必ず聖杯を通ろうとする。
・その際、殺したサーヴァントの魂は聖杯に留める
・7騎全員殺し終えると、聖杯にサーヴァントの巨大な魂が集中するため、その際に世界に「孔(穴)」が開く。
・その穴から真理を観測する(根源に至る)
というもの。
もちろんサーヴァントに「この世で殺すのが目的なんですけど、降りてきてもらえませんか?」と言っても聞いてくれるわけがないので、「聖杯は万能の願望機で、殺し合いの末手に入れられれば、願いを何でも叶えてくれるんだぜ!」という表向きの建前も用意。後にこの建前が独り歩きし、御三家以外の人間に伝わっていくことになります。
そして3家は共同研究の末、ついに聖杯を召喚するシステム(儀式)を完成させました。このシステムを作動させるためには、魔力の漲る”しかるべき土地”で、聖杯が顕現するための”しかるべき依代”を用意しなければなりません。これが舞台となる日本の冬木市であり、依代のほうは担当のアインツベルン家が用意。ちなみに、このとき冬木市にある円蔵山という山の中に土地の魔力をイイ感じに整えるための魔法陣を敷きましたが、これを「大聖杯」、依代を「小聖杯」と呼んで区別します。
「準備できた! よっしゃ聖杯召喚するぞ!!」
ところが、いざシステムを作動させてみると、聖杯を手にできるものは1人しかいないことが発覚。そこで3家の間で争いが勃発。これが「第一次聖杯戦争」。予想外の事態が連発で、3家で殺し合っている最中、召喚したサーヴァントも暴走しだしたりと散々なことに。結局システムが勝手にシャットダウンしてしまい、聖杯の召喚は失敗に終わります。
一度聖杯を召喚するシステムを作動させると、土地の魔力を大量に使ってしまうため、次の起動はまた土地に魔力が満ちるまで待たなければなりません。その間なんと60年。たいぶ間が空いてしまったので、仕方なく3家は「次は誰かがきちんと聖杯を手にできるようにしようぜ」と協議し、戦争のルール作りが行なわれます。結果採用されたのが、“マスターとして一人一騎のサーヴァントを召喚、自分の使い魔にし、戦わせて勝者を決めよう”という案。
「元々召喚して殺すのが目的なんだから、一石二鳥だよね!」
「これなら戦闘に不向きな魔術師にも公平だよね!」
ただし、中には生意気なサーヴァントもいるし、一次のときの反省もあって、サーヴァントに3回強制的に命令できる「令呪」という仕組みも実装。
そして1860年、満を持して迎えた第二次聖杯戦争。システムの起動はたいへんなので、このときには外部の魔術師も招集。ところが悲劇は繰り返す。凄絶な戦いの末、結局勝者が決まることなく全員死んでしまい、またもや失敗。
「まだルール整理いるな」ということで、レフェリーを導入する案を採用。これ以降「聖堂教会」という組織からレフェリーが派遣される制度を導入。
1930年頃、第3次聖杯戦争。しかし時は第二次世界大戦前夜。このころには既に「なんでも願いを叶えてくれる聖杯を取り合うゲームを日本でやってるらしいぜ」という表向きの建前は関係者内に広まっており、噂を聞きつけた大日本帝国軍やナチスドイツ軍の介入もあって、混乱の様相に。なおこの際、何が何でも勝ちたかったアインツベルン家が、およそ英霊などではない「悪いもの」を召喚。この影響でシステムにバグが発生し、本来ただのシステムに過ぎなかった聖杯は「邪悪な意思」を持つことに。そんなこんなで聖杯戦争中に依代(小聖杯)が破壊されるというアクシデントも起き、失敗。
1994年、これがやっと迎える「Fate/Zero」の舞台、「第4次聖杯戦争」。
無論、御三家とレフェリー以外は本来の聖杯召喚の理由を知りません。ただし御三家含め、誰も3次の際に聖杯にバグが生じてしまっていることは知らない模様。悲劇を迎えるしかない空虚で凄惨な戦いが幕を開けます。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

「Zero」1st シーズン忘れないようにしないと(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

■Fate/Zeroと出逢った日の日記((φ(-ω-)カキカキ
前評判の高かったZeroの第1話、しっかり観ましたよ♪しかも2回も・・・1回目は寝落ちしちゃって・・・
m(o・ω・o)mごめんちゃいw
1時間じっくりたっぷり聖杯戦争の事やマスターの紹介と英霊召喚まで細かく説明してくれました♪
1話を1時間使って放送した事は大正解だったと思いますが、原作未読でしかも1期「Fate/stay night」を未視聴だとちょっと理解するのは難しいと思うのでまずは予習してからの視聴をお薦めしますよ!
個人的には第三次聖杯戦争で聖杯が汚染された辺りの説明も入れて欲しかったなぁって思います。
 
ともあれ、1期とは全くの別物といえるくらいクオリティの高い作画には驚かされました♪
作画が良くなったので間桐家の蟲を使った魔術の鍛錬の描写なんてリアルすぎて気持ち悪すぎですw
それと今回は殆どのマスターが成人の為、落ち着いた雰囲気が漂っていて、それぞれ胸に秘める何かを持っていそうな表情が印象的でした!
ライダーとバーサーカーイメージが逆転してしまいましたけど、かっこ良いバーサーカーに期待したいですね♪
 
とは言ってもまだプロローグの段階ですので戦闘シーンはお預けでしたけど、これから本格的にFate/Zeroの世界観に浸らせてもらって楽しませてくれることを期待してます♪
 
 
■分割するのは良いけれど・・・ヾ(゚Д゚ )ォィォィ
とんでもなく中途半端な所で分割しちゃいましたねw
あの終わり方は1週間後のお楽しみって感じのノリですよ・・・それなのに4月までお預けって(^_^;)
なので、今ここで「Fate/Zero」の作品全体の評価するのは時期尚早って感じですね♪
とりあえず、ここまで観て思った事を忘れないように記しておこうと思います(^▽^)/


■「Fate」の世界についてφ( ̄∇ ̄o)
一つの聖杯を追い求める「Fate」の設定はけっして真新しいものではない気がしました♪
「聖杯伝説」の影響を多大に受けた作品でもあるんですよね(^▽^)/
そもそも、「聖杯伝説」自体も謎が多い中世西ヨーロッパの伝説らしいのですけど、聖杯はイエスキリストの最後の晩餐で使われた杯とも、処刑された際の血を受け止めた杯とも言われていて、様々な奇跡を起こす神聖な物とされているのです(゚0゚*)ホ--ッッ!!!
古くはアーサー王伝説から最近ではインディージョーンズ最後の聖戦まで数々の伝説の題材になってきたんですね♪
「Fate」もそれらの作品に影響を受けているのですけど、影響範囲はあくまでも大まかな設定までで、中身はかなり自由な発想で作り上げている印象でした(ヽ'ω`)
それは「stay night」と「Zero」ではセイバー以外のキャラがシャッフルされているのと、英霊の名前は同じでもモチーフとなる人物がアサシン以外変更しているところからも分かりますし、「聖杯伝説」自体は中世ですけど、アーチャーの真名「ギルガメッシュ」やライダーの真名「イスカンダル」は紀元前、ランサーの真名「ディルムッド・オディナ」は古代、というように聖杯が登場する前の英霊達も「聖杯伝説」を模しているこの世界観に登場してきているのです(#^^#)

そんな自由な作風に唯一関係性を持たせた設定が、セイバーの真名「アーサー王」とバーサーカーの真名「ランスロット」なんです!
アーサー王伝説で「王」と「騎士」という関係なんですけど、円卓の騎士って呼ばれる位の盟友だったみたいですね♪
「円卓の騎士」って国際会議とかで使われる円形の机で、「上座下座」がないのが特徴なんですよ☆ミ
1期までの内容までは、セイバーとバーサーカーの絡みは殆ど無かったでしたね(ノ´∀`*)
2期ではそんな設定を生かしたストーリーが楽しめれたりするのかなぁって期待したいところですね♪

「聖杯伝説」に囚われない自由な発想と、「現代伝奇物」という現代社会を舞台にしつつ現実とは異なった世界を描く奈須きのこさんの世界観と、自身の悩みから立ち直るきっかけとなったという虚淵玄さん執筆の本作品がどんな結末を用意しているのか
楽しみですね♪


■キャラについて・・・φ(*´∀`*)
「stay night」では高校生が舞台の中心でしたけど、「Zero」ではマスター達の年齢が大幅にアップしているので、聖杯戦争に挑む覚悟が違って見えまた♪
「stay night」とは違って群像劇の要素を取り入れつつ、戦略的に聖杯戦争を描いているので展開は遅めですけどそのぶんストーリーに厚みを持たせられている印象をうけました♪
ただ、前作「stay night」以上に英霊達が自己主張しているのですけど、キャラ設定にテコ入れしていないセイバーの印象だけがちょっと薄いかなぁって感じたりもしちゃいました(^_^;)

もう一つ言葉の使い方にも注目ですね♪
アーチャーやライダーは古の英雄らしく、日常使わないような言葉を使ってきます♪

例えば・・・「愉悦」「埒外」「脚絆」「矮躯」「芥子粒」「受肉」思いついただけでもこれだけありますw

このような言葉をすべてのキャラで使用しているのであれば、それはただの「衒学的表現」といって知識のひけらかしでしかなくなってしまうのです♪
「Zero」のようにキャラによって単語を使い分けているので、キャラが生きてきた時代背景や人格を演出する方法としてはとっても有効的だと思います♪
ただ、視聴者の中には晦渋な文章と思ってしまう人も多いのではないでしょうか!
「晦渋な文章」とは、言葉や文章がむずかしくて、意味や論旨がわかりにくいって事で、視聴者が聴いてすぐに理解できる人ばかりではないので、雰囲気だけかっこいいだけで物語の内容が伝わりにくいものになってしまうと思うのです♪
「Zero」もちょっとだけ使いっぱなしの投げっぱなしって印象を受けました!

今回わざと「衒学的表現」「晦渋な文章」って言葉を使って表現しましたけど、説明しながら使うとだいぶ受ける印象は違ってくるのんじゃないかなって思います(b´∀`)ネッ!
もちろん物語のリズムや雰囲気を壊さないようにさりげなく使わないといけないので難しいところではないかと思うのですけどそういった心遣いが欲しかったなぁって個人的には思いました♪


■まとめ
聖杯戦争という戦いの中に見る、それぞれの想いと思惑が今後どう転んでいくのか楽しみですね♪
もちろんバトルシーンもCGやエフェクトを駆使した迫力あるシーンが見れましたし、後半はもっとバトルシーンが増えるんじゃないかなぁって期待もしてます!
とにかく2012年4月までながーいインターバルとなりますけど、第四次聖杯戦争の結末までの軌跡をしっかり見せて頂きたいと思ってます☆(ゝω・)v


■MUSIC♫
OP曲『oath sign』
 【歌】LiSA
 アニメ「Angel Beats!」の劇中歌を歌っていたLiSAの1stシングルです♪
 タイアップ曲らしくFate/Zeroの世界観を表現したキャッチーなメロディーとなってますね!
 力強さと艶っぽさを持ち合わせたLiSAさんの歌声がまた聴けて良かったです♫

ED曲『MEMORIA』
 【歌】藍井エイル
 デビュー曲でありながらオリコンでTOP10入り! ""ハ(^▽^*) パチパチ♪
 高音声域がとっても伸びやかで透明感のある歌声がとっても素敵ですね♪
 今後の彼女の活躍に期待が持てますね(#^^#)


2011.10.03・第一の手記
2012.01.07・第二の手記(追記:■分割するのは良いけれど、■「Fate」の世界について、■キャラについて、■まとめ)
2012.01.14・第三の手記(追記:■MUSIC)

投稿 : 2024/09/07
♥ : 93

91.5 2 ufotableアニメランキング2位
Fate/Zero 2ndシーズン(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★★ 4.3 (3239)
17789人が棚に入れました
これは始まり「ゼロ」に至る物語――― 奇跡を叶える『聖杯』の力を追い求め、七人の 魔術師(マスター)が七人の英霊(サーヴァント)を召喚し、最後の一人になるまで戦いを繰り広げる究極の決闘劇……聖杯戦争。三度(みたび)、決着を先送りにされたその闘争に、今また4度目の火蓋が切って落とされる。それぞれに勝利への悲願を託し、冬木と呼ばれる戦場へと馳せ参じる魔術師たち。Fate/Zero 第一期で語りきれなかった残りすべてが、今ここで明らかになる。

声優・キャラクター
小山力也、川澄綾子、大原さやか、速水奨、関智一、中田譲治、阿部彬名、山崎たくみ、緑川光、浪川大輔、大塚明夫、石田彰、鶴岡聡、新垣樽助、置鮎龍太郎
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

王様と私

お休みはさむだけだってCG、画はすげえのな。
綺麗なのはわかるが、お金がかかってるだけで、動画、作画は相変わらず、光と色でうまいことごまかしてはいるが。
アニメ製作じゃなくて、なんかCG屋さんて感じなんだよな。ハリウッド映画の真似事はうまい。アニメーションとしては・・・大塚さんつながりで言うなら『まだ、未熟!!』
ゴンゾ臭がするというか・・。

{netabare}
ライダー戦で力尽きたのか、なんだこの締め方は・・・
船の話、人類補完計画もどき、エクスカリバーまでで気になったが、やっぱり、というか・・カタストロフィを描くにはまったくの力不足?金不足?尺不足?
序盤(1シーズン)はしっかりデキてたのに、終盤で構成完全に失敗してるよね。視聴者へ期待の煽り、主役の絶望感、廃人になる過程が伝わらない。結局綺礼さんの話になったし。


そもそもSN(初代)を知らない人には、いったい何が起こったのか、誰の話なのかわかりづらすぎ。
個人的にはそれ以前、キリツグさんのおかげで腰砕け。
セイバーはもっとアクションしながらボコボコにされるべきだった気もする。
マスター同士の最終決戦がなんともかっこ悪い。マトリックスもどき。かをるネタ臭。
そんなことよりも説明セリフが多すぎ。
開戦するまでの流れも大事だと思うんだが・・なんとなく、いつの間にか、はじめたよね。
セイバーのバーサーカー戦、アーチャー戦もびみょ。
主人公コンビはどのバトルがメインディッシュなんだと。

山場が完全にライダーVSアーチャーになっちゃってる。
これ作ってるほうも心折れてるだろw。
幼女の話で1話つかうんじゃなかった?いやいやあれはいいところで1stシーズン止めるための尺合わせかと。
過去話とか中途半端な心理描写などなど削るれるところがいっぱいあった。
製品版で終盤修正入れられるからいいか・・なのかな。

23話だかのライダー回だけは凄くいいんすけどね。
もうあれだけ別作品です。臭いしベタだけどそれがいいし、それでいい。
ギル様まで別キャラ化して何故かかっこいいw勝負とかよりも3人のやり取りがいいんす。あそこで満足しました。私もいっしょにオケアノスにたどり着いちゃった。たぶんスタッフもw最終回2回とどっちやりたいっていったら明らかにこっちだろう。
なんとしてでもライダー組は超絶かっこよく描きたいってのがヒシヒシと・・w


こんな駆け足、中途半端なら、エピローグでスタッフロール終わったらセイバーさん降臨とかあのセリフで締めてあげてもよかったんじゃね・・。
なんかキリツグがある意味救済されてるっていいたいのはわかったから、セイバーさん、リベンジはこれからすんだよって救ってあげようよ。

いいとこなしだったんだから名言いただきました!胸アツ!!ってして・・原作ゲームやらせよう。18禁だけど。オトナの汚い考えかしら。
製作会社が違うから繋げるのはまずいとか・・。
それともSNをアニメでもっかいやるんけ?



作品全体としての感想、前期でキャラ紹介が終わり、基本3人の王とそのマスターのお話に。


征服王イスカンダル&ウェイバー

キャラが明らかに愛されてる。セリフや書き込みもコイツら設定がいっぱいあるんだろうな・・ってのが伺える。
ウェイバー視点でよかったんじゃねえの?ってくらい最初から最後まで完全に作品をもっていってしまった。
そのお声からジャンレノ→ドラえもん→ウェイバー君はのび太という図式が勝手に出来上がってしまった。ジャイアンもコイツなのか?まぁ真のジャイアニストは赤さんだけどさ。
スネオはモノホンがいる。

龍之介コンビもかなりいいセンいってたが・・あいつら好きっだった。
こちらはもう・・
その分かりやすいキャラ、突出した魅力から物語としてはとんでもない癌であり、作品、コンテンツとしては最大の武器。
最後でウェイバーが臣下になってしまったのが是か非かってとこだが、征服王が彼を生存させるための策略だったんだろうから、オッサンに口説き落とされちゃって涙する、そんな情けないヒーローがいたっていいじゃないかとも思う。朋友にはかわらないのだから。
なぜ主人公にしなかったのか・・。SNと同じ話になるってことなのか?別によくね。エロなしSNでいいじゃん。
聖杯の行方、戦争の顛末は、エピローグってことで。


英雄王ギルガメッシュ&言峰 綺礼

ギル様、SNキャラなのでイジりようがない・・
ドルアーガの鎧、FFからもらった能力。
はいいが相変わらずダサい。小物臭・・。
逆手にとって終始ネタキャラとして扱われてますが。
でもなぜかライダー戦だけは漢らしい別キャラにw
厨二キャラ、伝承のギルと違うのは受肉で頭狂ったって設定じゃなかったっけ。

綺礼さんは、かなり良かったんですが戦闘シーンがやはり・・。
某各ゲーヒロインに『あなたにはクンフーが足らない』って言われるレベル。
んで心理描写。愉悦はいいけどあんなに邪悪に笑うのとか、最後までとっておくべきだったと思うの。
ちょっと戸惑いがはいった、笑いのままずっといけばよかったのに。
なんでおじさんの話の前あたりであんなに笑わせちゃったのかなぁ・・。声優さんの演技では笑ってないのにさ。
でもウェイバー抜きならコイツが主人公のほうが面白いよ・・
切嗣にムカつくのわかるし、なんなら聖杯なんかどうでもいいってスタンスも素敵。
悪役誕生の物語として、
スターウォーズでもよかったじゃないかしら。


騎士王アーサー&衛宮切嗣

セイバーさんは前日譚なのでデカイ変化は付けられないから仕方ない。
メンタルはランスさんにボコボコに、肉体はギル様にギリギリまでリョウジョクされるのかと期待してたのに、両方あんまだったな・・。

切嗣さんが大問題、弟子っぽい人がラマンだったりw
序盤はかっこいいwwだったのに・・。

発覚する聖杯への願い、『世界から争いをなくす』って・・・なにそれ?厨二コジらしたの?あんたアラサーだろwどんだけアホなんだよ。そんなのはTBS日曜夕方枠に任せとけ!
全人類をハッピーな麻薬漬けにでもする気ですか?心が満たされたらパシャパシャさせるとか。だったらいいんだけど。
てっきり悪意で満たされてる聖杯の破壊とかそういうのだと思ってた。

嫁まで巻き込んだ綺礼を釣るための虚言で『うっそんww聖杯破壊が最初から狙いでしたw』ってのを期待してた・・。そこまでの鬼畜であってほしかった。
セイバーさんのSAN値もゼロにしようや・・。

せめて『世界征服』とか『どの政府にも属さない独立した組織の設立』『審判者(巨神兵)作成』とかw。

もう、神父さんと一緒に絶望しちゃったよ・・。なんだこのクソメインストーリーってw
神父さんもけっこうな厨二だけど、自分で言ってるし、異常者ってことなんだと納得できる。
切嗣さんはもうブッチギリでヤバいやつ。
あそこに至る過程をあんなに尺使って語られても理解不能。
で本心は嫁と娘ラヴ?wwだめじゃん・・。

オヤジ主人公の願いが本当にこんなことだったってのがある意味山場だわ。
このお話はSNの頃から設定があったのだろか?
すごい胸糞わるいw。

逆に明らかに観る側が神父さんに感情移入できるようにしてあるような・・どっかの誰かさんに盛大にバカにされてるでしょこれ。綺礼のために存在するキャラにされてる。

SNの『正義の味方になりたかった』って言葉から製作者がなぜこんな願いが思いつくのよ。
必殺仕事人でも十分正義の味方だと思うが・・。

残飯にキャビアかけても残飯という至言があるが、厨二にハードボイルドまぜても厨二、じゃすまなくて、それ以下の何かになったみたいな気分。

綺礼がんばれ!!って気持ちにさせるための原作のイヤラシイ演出かもしれないけどね。
他人のフンドシで相撲を取ることへの遠慮なのか、相手を立ててなおかつ自分のメッセージを突っ込みたかったのか。
なんかアホなこと描いてるけど真面目な人なのかなって・・・。

蛇足だけどガンマニア・・なのかしら。チョイスがマニアック。
バイクなんかも原作か型月の人が好きなんだろうか・・
ZZRとかじゃないってのが・・、ビジュアルなのか。
確かにマキシマムパワーだけならVMAX。
チョチョイで150psは余裕で超えてくれる平行モノだなきっと。
だから排気音直してね・・。












覚え書
___________________________

ギル様の御座船のダサさはどうにかならんのかね・・。
リグ・ヴェーダのあれってラピュタじゃないのw冗談はおいといて、むこうじゃ飛行機のこと今でもいうらしいけど・・普通に飛行機(英語)っていってたなw
なんでもいいけどせっかくの見せ場なのにデザインがダサいのといつまでも座ってるのがシュールすぎて笑えた。

VMAXきた!!かっこいいねぇ・・ほしいねぇ・・・・
変形なんかさせないでいいよ・・ノーマルで三国無双ゴッコしてほしいなぁ・・。
てかさ!!!音違うだろ?ハーレーのあててないか?
DOHC、V4であんな音にならん。回ると高い音になっぞ!なおしとけ。

キリツグの願いを知ったら一気に萎えたwがんばれ神父さんwてか神父さんの扱い方がなんかヘタクソじゃない?笑ったらそこでお話がおわる気がするんだけど。最終決戦までは露骨に笑わせるべきではない。

ギル様狂言回しのくせにダサいが、23にしてやっと見せ場が・・ダッサイよろい着るのここからでよかったな。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 20
ネタバレ

にゃーん。@のんびり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

今のところ1番好きな作品です♪(あにこれ登録約1年)

2期まとめての感想になります。

とても好きな作品なので、
想いが溢れて感想が長くなっておりますm(o・ω・o)mゴメンナサイ。

【好きな陣営】

{netabare}ライダー陣営とキャスター陣営。
(次点で綺礼・アーチャー陣営)

やっぱり仲の良い陣営は良いですね(ღˇ◡ˇ))
殺伐としたシリアスストーリーの中、
貴重な癒しだった陣営です。

この2陣営はベクトルが全く違いますが、
どちらも見ていて微笑ましかったです*⑅〃*❛ᴗ❛ *♪{/netabare}

【好きなキャラクター】

{netabare}●ウェイバー君
…シリアスなストーリーの中、キャンキャン騒ぐ姿に癒されました。
 女の子少ないし、ある意味ヒロインポジションでしたね(笑)

 ライダーとの出会いを通して成長していく姿が微笑ましかったです。
 「貴方こそ僕の王だ」には感動しました[っ_・o]

●ライダー
…『然り! 然り! 然り!』
 王とはこうあるべきだ論に感服いたしました。

 とてもかっこいいキャラだと思います!
 ああ、こんな王ならついていきたいと思うのも分かる気がしました。

●雨生龍之介
…ただの殺人者ではなく神を信じていたりして何かと憎めないキャラ。
 神様はいるんだよ!の笑顔が眩しかったです。

 キャスターとの相性ばっちりでしたね!
 cv石田彰さん。好きな声優さんなので嬉しかったですo(^-^)o

●アーチャー
…武装して戦うシーンより、綺礼の側でゴロゴロしながら
 ワイン飲んで綺礼に愉悦とはとか説くシーンが好きでした。

 セイバーに我が妻となれ!とか言うのも好きです*⑅〃*❛ᴗ❛ *♪
 マイペースっぷりがいいですね。
 ほかのシリーズにも出ていますがZEROのギルガメッシュが
 1番かっこいいかも^(╹ω╹)^

●雁夜おじさん
…不憫なおじさん。
 聖杯そっちのけで時臣だけを狙うのが面白かったです。

 桜ちゃんのために頑張る姿が健気でした。
 たとえ桜ちゃんから認めてもらえなくても…(涙)

●セイバー&ランサー
…この2人は2人でいるシーンが好きでした♡
 騎士道精神あふれる姿が眩しかったです!
 「セイバー。俺は、お前に出会えて良かった」には感動。

 お互い、マスターには恵まれませんでしたね(>_<。){/netabare}

【好きなシーン・印象深いシーン】

{netabare}ほぼ全話好きなのですが、抜粋で(n╹ω╹)η ♥

●第5話 「凶獣咆吼」より
…セイバーとランサーの初めての戦闘に
 ライダーが馬で乗り込んでくる回。

 ウェイバー君が「ラーイダーァ」って叫んでOPに入るシーン好きです^^

 ライダーの呼びかけにホイホイされてくる英雄王のシーンも好き♪

 バーサーカーも揃って、英霊が一斉に揃うシーンにとてもワクワクしました!
 ここまで割とおとなしめの展開だったストーリーが、
 一気に華やかになりましたね。

●第11話「聖杯問答」より
…セイバー・ライダー・アーチャーで王とはどうあるべきか。を議論する回。

 ライダーの「王とは誰よりも誰よりも鮮烈に生き…(以下略)」に感銘。
 『然り! 然り! 然り!』もとても印象に残った回。

 ライダーかっこいい…!配下に入りたくなっちゃいますね((✿❛◡❛)

 そんな中アーチャーがマイペースにセイバーに好意を向け始めるのも好きです^ω^
 3人の全く違う個性が光る回でした。

●第13話「禁断の狂宴」より
…龍之介の「これが人間のやる事かよぉぉぉぉ!」に「お前が言うな」回(笑)

 キャスターに独自の神の愛を説く龍之介のシーン好きです。
 言っていることもあながち間違いとも言い切れなくてすごいです。

 キャスター陣営は、やっていることは最悪ですが、
 お互いのことをどんどん分かりあえていった幸せな陣営でしたね(ღˇ◡ˇ))

●第14話「未遠川血戦」~第十五話「黄金の輝き」より
…前半戦のメイン。全陣営が揃っての戦闘は大迫力でした!!

 共闘はいいですね(๑˃̵ᴗ˂̵)و
 セイバー・ライダー・ランサーが協力し合うのはもちろん良かったし、
 さりげなく英雄王がセイバーを助けているシーン好きです。
 
 そしてセイバーのエクス・・・カリバーァァ!!最高でした!
 BGMもかっこいいし、ここだけヒーローもののアニメを見ているかのようでした。

 ここからは皆どんどんいなくなっていきますしね…゜-Å) ホロリ

●第22話「この世全ての悪(アンリマユ)」より
…ウェイバー君が全ての令呪を使って、
 ライダーに勝ち抜けと命じるシーン。

 こんなかっこいい令呪の使い方、FateシリーズでもNo1だと思います。

 そしてもう令呪に縛られなくなったライダーが
 最後まで見届けよというシーン。もうただただ感動です。
 号泣するウェイバー君に私までもらい泣きしそう。

 サーヴァントの扱いがひどいマスターも多い中、
 この2人の絆の強さには本当に感動しました(。>﹏<。)

●第23話「最果ての海」より
…アーチャーvsライダーの戦闘回。

 相変わらずの勧誘に爆笑するギルガメッシュ良かったですね(๑˃̵ᴗ˂̵)و
 宝具対決は大迫力!まさに聖杯戦争の大一番でした!

 別れの前にライダーとウェイバー君が臣下の約束をするシーン。
 こちらもとても感動でした。なんて綺麗な涙…。
 
 そしてライダーが倒れた後、近づいてくるギルガメッシュに
 ウェイバー君が真っ直ぐな瞳でマスターではなく臣下だと返答。
 その姿をギルガメッシュは賞賛。

 基本他者を認めないアーチャーがライダー、そしてウェイバー君を
 認めたシーンとても良かったです。
 
 ライダー陣営の戦いがここで終わってしまいましたが、
 とても素晴らしいラストだったと思います[っ_・o]

●第24話「最後の令呪」より
…切嗣と綺礼の直接対決。
 ずっと因縁のあった2人のバトルも熱かったですね!

 作画が素晴らしかったし、
 2人とも他の回よりかっこよく見える回でした(ღˇ◡ˇ))

 そして最後の令呪で聖杯を破壊せよと命じられるセイバー。
 ハッピーエンドにならないのは最初から分かっていましたが、
 やっぱり可哀そうでした…。

●最終話「Fate/Zero」
…惨劇の始まり。「Fate/stay night」に繋がる物語。
 ハッピーエンドは「Fate/stay night」までお預けですね。

 士郎の眩しい笑顔に救いを感じました[っ_・o]

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!!{/netabare} 

【好きな音楽】
{netabare}
ZEROは音楽も素晴らしかったです。
特に2期のOP・EDは今も時々聴いたり歌ったりする大好きな曲です♪

●to the beginning(Kalafina)
 …神秘的な始まり方と透明な歌声。聴き入ってしまいます♪

●空は高く風は歌う(春奈るな)
 …衛宮夫婦にぴったりの切ない1曲でした[っ_・o]
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 25
ネタバレ

司狼神威 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

1期と2期分まとめて書いたからな・・・。

原作は小説。
元はサブシナリオ予定だったらしいw

1期13話
2期12話
の合わせて全25話。
ん・・・OVAがあったような・・・。
ま、いいかw
1期から見るのがめんどくさい人は確か2部編成の総集編があったはずですのでそちらをどじょw


とても魅力的な仕上がりになっていますd(*'-'*)b
まぁ、ぶっちゃげ・・・あまりウチ好みの仕上がりではなかったですw

こゆのが好きな人にはとても素晴らしい満足できる仕上がりだったでしょうwwwwww



ちょっと精神的にアブノーマルというか・・・特殊な人材ばかりですw
キャラ一人、一人に魅力溢れる作品ですねw


個性・感性・思考・愉悦・屈折・歪み・苦痛・幸福・願望・欲望・秩序・理性・本能・破壊・狂気・混沌・・
色んな入り乱れた感情や状況がすごくシビアに交差していきますw


多分、10人いたら10人違う感覚で楽しめる作品です。
思うところも、感じるものもきっと見る人によって違うでしょう。


そこがこのアニメのまた良いところです。
自分の価値観、信念、善、悪、背徳、美徳、愉悦w

人によっては共感できたり、出来なかったりw
キャラによって異なるかもしれませんねw


結構褒めていますが、ウチの好みではありませんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


ウチが最後までコレを見れたのはギル様のおかげであります!!!!

これより先はちょっとネタバレなので伏せておきますw
主にギル様の名言をまとめてみましたwww

{netabare}・天に仰ぎ見るべき我を同じ大地に立たせるというのか! その不敬、万死に値する!!

・ヒトの領分を超えた悲願に手を伸ばす愚か者……その破滅を愛してやれるのは天上天下にただ一人、このギルガメッシュをおいて他にない。
儚くも眩しき者よ。我が腕に抱かれるがいい。それが我の決定だ

・つくづく愉快な奴よな。道化でもない奴の痴れ言でここまで笑ったのは久方ぶりだ
生憎だがな。我は二人目の友など要らぬ。我が盟友は後にも先にもただ一人のみ。――そして王たる者もまた二人は必要ない
良い。存分に己を示せよ征服王。お前は我が審判するに値する賊だ

・また幾度なりとも挑むが良いぞ。征服王
時空の果てまで、この世界は余さず我の庭だ。故に我が保証する。世界は決して、そなたを飽きさせることはない

・おまえとて不本意だろうが、なに、これも先達としての務めよ。真実を識るものとして、一つ教授してやるがいい……!
黄泉路を開く。存分に謳え亡者ども。
なに、退屈はさせん。我とてこのような気紛れは一生に一度あるかないかでな。財の出し惜しみはせぬ、夜明けまで命を賭して持ちこたえよ……!
―――よい開幕だ。死に物狂いで謳え雑念―――!

・侮るな。あの程度の呪い、飲み干せなくて何が英雄か。
この世全ての悪? は、我を染めたければその三倍は持ってこいというのだ。
よいかセイバー。英雄とはな、己が視界に入る全ての人間を背負うもの。
―――この世の全てなぞ、とうの昔に背負っている


はふうううううううううううううううううううううw
たまりませぬううううううううううううううw
ギル様ああああああああああああああああw


Fate/stay night&Fate/hollow ataraxiaからも名言集めてますw
アニメで聞けないセリフもあるかとwww

でも言うセリフもあるのでぜひこれから見る方はギル様を思う存分に堪能してくださいませええええええええええw


{/netabare}



【あらすじ】
日本の地方都市・冬木市では、七組の魔術師(マスター)と使い魔(サーヴァント)による「聖杯戦争」が繰り返されている。1990年代の初秋、四度目の聖杯戦争がはじまる。主人公・衛宮切嗣は、名家アインツベルンの委嘱を受け、セイバーのサーヴァントを召喚し聖杯戦争に身を投じる。彼の目的は聖杯による世界平和の実現であった。

英国からは二人の魔術師ケイネス・アーチボルトとウェイバー・ベルベットがランサーとライダーを、冬木からは遠坂時臣とその弟子・言峰綺礼がアーチャーとアサシンを、間桐雁夜がバーサーカーを、それぞれ召喚して参戦する。最後のサーヴァントであるキャスターは一般人・雨生龍之介によって召喚される。

切嗣はセイバーを陽動として扱い、銃火器を用いた隠密戦による他のマスターの抹殺を目論む。互いに不信感を募らせながらも、切嗣とセイバーはキャスター、ランサー、バーサーカーを倒す。

一方、遠坂の陣営では裏切りが発生する。アサシンを失った綺礼がアーチャーの教唆によって時臣を殺害し、アーチャーとの再契約を果たすのである。綺礼とアーチャーは強敵ライダーを退ける。

残ったマスター同士の対決において切嗣は綺礼を倒し、聖杯を手にする資格を得るが、土壇場で考えを改め、セイバーに強いて聖杯を破壊させる。聖杯から溢れ出した力が冬木市街の一部を破壊して大火災を引き起こす。

全てを失った切嗣は、火災から救出した少年・士郎を養子に迎え隠棲しひっそりと衰弱していく。一方、綺礼とアーチャーは聖杯によって蘇り、聖杯を逃したアインツベルン・遠坂・間桐の三家は次の機会を切望することとなる。禍根と因縁は残り、第五次聖杯戦争における結実を待つ。

参照ですがw




興味のある方は5話まで見てみてw



【声優紹介】

衛宮 切嗣/小山力也 / 入野自由(子供時代)

Irisviel von Einzbern/大原さやか

Saber/川澄綾子

久宇 舞弥/恒松あゆみ

遠坂 時臣/速水奨

Archer/関智一

遠坂 葵/伊藤葉純

言峰 綺礼/中田譲治

Assassin/阿部彬名(女性) / 徳本英一郎 / 高間陽一      郎 / 図師晃佑 / 島﨑信長 / 村上裕哉 / 松本     忍 / 佐々木啓夫 / 山本格 / 野坂尚也 / 佐々     木義人 / 桑畑裕輔 / 野間田一勝

Waver Velvet/浪川大輔

Rider/大塚明夫

Kayneth El-Melloi Archibald/山崎たくみ

Lancer/緑川光

Sola-Ui Nuaba-Re Sophia-Ri/豊口めぐみ

間桐 雁夜/新垣樽助

Berserker/置鮎龍太郎

間桐 臓硯/津嘉山正種

雨生 龍之介/石田彰

Caster/鶴岡聡


【主題歌】

『1期』
OP
「oath sign」(第2話 - 第10話、第12話 - 第13話、Remix I、Remix II)
作詞・作曲 - 渡辺翔 / 編曲 - とく / 歌 - LiSA
ED
「MEMORIA」(第2話 - 第13話、Remix I)
詞 - Eir,Fumio Yasuda / 作曲 - Fumio Yasuda / 編曲 - 下川佳代 / 歌 - 藍井エイル


『2期』

OP
「to the beginning」(第14話 - 第17話、第20話 - 第23話)
作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - Kalafina

ED
「空は高く風は歌う」(第14話 - 第17話、第20話 - 第24話)
作詞・作曲 - 梶浦由記 / 編曲 - 森空青 / 歌 - 春奈るな

「満天」(第18話、第19話)
作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - Kalafina



貴様らの好みに合うというのであれば、見てみるがよい。
この物語の結末を。

とギル様風で締めくくってみましたw


でわでわ(●´ω`●)ゞ

投稿 : 2024/09/07
♥ : 5

74.7 3 ufotableアニメランキング3位
空の境界 第三章 痛覚残留[ツウカクザンリュウ](アニメ映画)

2008年2月9日
★★★★★ 4.1 (734)
4255人が棚に入れました
1998年7月、複数の捻じ切られたような変死体が見つかるという、人間の仕業とは思えない猟奇殺人事件が発生する。そんな中、“伽藍の堂”の所長である蒼崎橙子に一件の依頼が飛び込んできた。依頼内容は事件の犯人の保護、あるいは殺害。犯人の名前は浅上藤乃。殺された被害者たちに陵辱されていた少女だった。式は藤乃の暴走を止めるために行動を始める。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、能登麻美子
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

自身と似て非なる能力者に式は何を思うのか

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第三章「痛覚残留」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第三章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち3番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章での伏線を回収し、第二章のその後を展開する。本章に登場する浅上藤乃は、巫条霧絵や両儀式と同じ能力者であり、彼女も悩みを抱えて生きてきた。彼女の思いや、彼女と両儀式の接触により生じる式の心情の変化、式の信条について知ることが出来る。
第一章俯瞰風景の直前の話であるので、式と幹也の関係を一章と比較してみるのも良い。
本章は一章・二章と比較して話が理解し易く、初めての視聴でも面白く感じられると思う。
本章のメインは浅上藤乃である。彼女の変化に細心の注意を払って観て欲しい。
副題の ever cry never life は直訳すると「いつも叫ぶ、決して命でない」となるが、この場合、「いつも叫んでいる、一度も生きたことは無い」といった訳だろうか。

考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:3/8
1998年7月
両儀式:18歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:小
原作との尺の比 155P:57min=1:0.53(1分当たり2.72P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「無痛症」について
「無痛症」という病気は実際は無く、「先天的無汗症」という病気が之に該当する。
痛み・熱さ・冷たさなどを始めとした触覚全般に関する感覚が存在せず、体温調節が非常に困難である。
「痛覚」の定義として皮膚・粘膜・骨膜・内臓などに生じる感覚とあり、痛覚が無いということは五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の内、触覚が無いに等しい。
般若心経に「無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法」という文言がある。即ち「目・耳・鼻・舌・体・心といった感覚器官は無く、其々の器官に対応する対象[色(=物体)・音・香り・味・触覚・観念]も無い」という意味で、般若心経中では、龍樹(ナーガールジュナ)により完成させられた「空」の思想の説明に用いられている。(般若経自体は龍樹以前から存在する)
注目したいのは、「体が無ければ触覚も無い」という表現である。之即ち「触覚が無ければ体を感じることが出来ない」ということである。
浅上藤乃の場合はデビック症という延髄炎の一種で、感覚の麻痺を起こす病気で、失明の虞さえある。
藤乃は加えて鎮痛剤の一種「インドメタシン」の大量投与により、痛覚を人工的に失った。
彼女は常に自身の体を感じることが出来ず、虚ろな日々を過ごしていた。これは痛覚が「生の実感」を得るのに必要不可欠な要素であり、五感中で最高に重要な感覚であることを証明している。彼女は国語の読解力に欠け、他人の気持ちを「理解」することは出来ても、「実感」することが出来なかった。これも痛覚が無い為である。


・「殺人」と「殺戮」について
「殺人」とは、相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまったとき、それが極端になるとき人を殺してしまうこと。人が互いの尊厳と過去を秤にかけて、どちらかを消去した場合のみ、それは殺人となる。人を殺したという意味も罪も背負う。そして、人を殺すということは自分自身も殺すということである。
また、殺人は殺す側が「人」として相手を殺すことが必要で、死体が肉塊であったり、消し去られてしまったりする場合は、人としての尊厳が無く、「殺人」とは呼べない。
「殺戮」とは、殺された側は人だが、殺した方は人としての尊厳も意味もない。後の意味も罪も無い。自然災害に例えられる。殺戮は殺す相手を特定せず、殺される意味を持たない。
すなわち大義名分の無い殺人と言える。式は彼女の置かれた境遇から人一倍「殺人」に対する意識が強く、殺戮を酷く嫌う。藤乃の五人目以降の殺人は「殺戮」と定義されている。


・「浅上藤乃」について
{netabare}浅上藤乃の起源は「虚無」。荒耶宗蓮は両儀式と相反する能力者をつくる為、彼女の痛覚を復活させ、「死に接触して快楽する存在不適合者」にさせたのだ。
浅神家は混血の大敵である四家系「浅神」「巫浄」「両儀」「七夜」の一つであり、
浅上藤乃は浅神家の没落から母と共に浅上家に引き取られた。
彼女は、両儀式、巫条霧絵と同様に起源に「虚無」を持ち、特別な家系故に、特別な力を発現した。視界内の任意の場所に螺旋を作り、対象の強度に関係なく曲げる(捻る)能力、その名も「歪曲」(要するにサイコキネシス)。
浅神家は両儀家と異なり能力者の発現を忌み嫌う。浅上藤乃は幼少期に能力を発現し、能力の元である「歪曲の魔眼」を封じる為、父親によって強制的に感覚を奪われ、人為的に感覚を喪失してしまう(人工的無痛症)。
彼女は幼い頃「痛覚」を持っており、薬物の過剰投与によって「無痛症」になってしまった。
『第二章殺人考察(前)の考察「式と織」について』で述べた見解として、式は「抑圧」の感情を、織は「解放」の感情を受け持つと記述したが、浅上藤乃の場合は、
「抑圧」の感情により傷を耐え忍び、「解放」することを恐れた。
中学時代に幹也に「傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ」と言われていたが、これを実行出来ていたら、彼女はここまで苦しまずに済んだだろう。能力を取り戻した彼女は「痛み」(ストレス)の「解放」の手段として能力を発動し、他人の痛みを自身の痛みの代償とした。
腹部の虫垂炎が原因で「痛み」が止まず、痛みの発散の為に殺人を繰り替えす。
後に他人を殺すことに快楽を覚え、必要以上の能力の発動を行い、殺戮を始める。精神的苦痛から自身を陵辱した不良に対する復讐を行っていたが、いつの間にか無関係な他人を殺害するようになった。式は彼女が無関係な殺害を始めた時点で、彼女の殺害を決意した。
式に「おまえは血の味を知ったケダモノだ。人殺しを愉しんでいる」と指摘され、
「それは貴女でしょう。わたしは、愉しんでなんか、いない」という言葉は、痛みで思考が麻痺しながらも「まとも」でない自分を認めたくないという心情の表れである。

「太極図」で式が一つの肉体に二つの人格を持つ二重存在者なのに対し、彼女は万物の移り変わりを現す螺旋の方向性を視認出来る存在不適合者である。
荒耶宗蓮による恢復によって、バットで殴られた際の脊髄の炎症は治療され、不定期に痛覚が復活するようになった。
幼少期に封印されていた能力が復活したことに依り、その能力の威力は凄まじく、式を凌駕するものだった。更に後には透視能力(千里眼)をも発動出来るようになった。
彼女も巫条霧絵と同様に荒耶宗蓮の「根源の渦」、『 』への到達という最終目標の為に両儀式と接触する駒となった。
一章では述べなかったが、この似て非なる式・霧絵・藤乃の三者の共通点として、
「虚無」を起源とし、「根源の渦」、『 』への到達の鍵であること。三者とも「生」の実感が得られず、「今」を生きることに全力を注ぎ、快楽への傾倒が何時起きても可笑しくない不安定な存在であること。黒桐幹也という存在に、三者とも一種の憧れを抱いており、自分を受け入れてくれる唯一無二の存在として、彼を欲していることなどが挙げられる。この点に関しては五章矛盾螺旋や終章空の境界で改めて記述する。{/netabare}


・ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」について
{netabare}第六章「黒桐幹也」についてで述べるが、彼は「どこまでも普通で、誰よりも人を傷つけない」という起源を持っている。中立かつ博愛である彼は誰かを特別視することが出来ない。自分の親類と赤の他人とを同等に扱わなければならない。式が幹也に人殺しについての一般論を期待した(というか幹也には一般論しか言えないのを分かっていた為、自分を否定して欲しかったのである。)のは、この起源に起因する彼の性格によるものである。
社会的に罪を背負うことがなくとも、自責の念だけは残り、それは償うことの出来ない罪の意識として、当人を苦しめることになる。式が罪の意識は常識によるものだから、常識のない自分を野放しにしてよいのかと幹也に問うたとき、彼は「式の罪は、僕が代わりに背負ってやるよ」と回答した。
式の「かわりに一つだけ分かった。自分の生き方、自分が欲しいものが。とてもあやふやで危なっかしい物だけど、今はそれにすがっていくしかない。そのすがっていくものが、自分が思っているほど酷いものじゃなかったんだ。それが少しだけ嬉しい」という台詞は、式が生の実感を得る上で必要不可欠な殺人衝動が、浅上藤乃との戦闘で式の殺人衝動が思ったほど酷くなく、浅上藤乃を許せるものであったことから、一般論を期待していたけれど、人間味のあることを言ってくれた幹也に向けて、幹也の期待に応えられる殺人衝動という意味で言ったものである。式は織の消滅によって空いた伽藍洞の心を幹也で埋めることを決意し、織の幹也と幸せに生きるという夢を叶えるため、幹也と共に生きることを決意し、自分の生の実感を得る手段としての殺人衝動を幹也に認めてもらえるようなものにすることを決意した。因みにこの会話は第三章の最重要場面である。ここでの約束が七章で果たされることになる。
{/netabare}
・「傷跡」について
浅上藤乃をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。中学時代に浅上藤乃は黒桐幹也と出会い、今回再び助けられた。
「ねえ、生きていると分かるほど抱きしめて」という歌詞や他の歌詞から、彼女の「生の実感」への渇望と、憧れの混じった恋について上手く纏められている。



・「痛覚残留」という作品について
幼い頃に「歪曲」という能力を発現し、封印されてしまった浅上藤乃。彼女は能力の封印の代償として「痛覚」を失ってしまう。痛覚を失うことで外部からの刺激・自らの身体の感覚を失い、「生の実感」をも失ってしまう。彼女は痛みを知らず、感情の抑揚も乏しく、鮮花に「誰にも憎まれない娘」と評されるほど温和で穏やかな性格となった。
無痛症の為、自身の身体の異常が検地出来ず、外出に厳しい礼園女学院生ながら、主治医に定期的に診て貰う為に外出をしていたところを不良に絡まれ、半年間に亙って性的暴行を受けたが、感覚が無く、感情に乏しい為ほとんど抵抗はしなかった。
しかし、金属バットで背中を強打されたことで脊髄に損傷を受け、不定期に感覚を取り戻すようになる。ある日感覚を取り戻している時間に不良のリーダーに腹部を刺され、自己を防衛する為に「歪曲」により湊啓太以外の4名を殺害してしまう。
実際には腹部を刺されるよりも能力の発動の方が早く、彼女は刺されていなかった。
彼女は腹部に虫垂炎(後に腹膜炎)を患い、その痛みは腹部の傷として彼女に認識される。
彼女は陵辱されたという精神的苦痛から、不良への復讐を行い、湊啓太を捜索する。他人の痛む様子を見ることで「生の実感」を得ることを覚え、他人の痛みで自身の痛みを補完しようとした。しかし、手段と目的が入れ替わり、殺人に快楽を覚えるようになり、殺すことで「生の実感」を得る為、殺戮を始めた。痛むが為に人を傷つけるのではなく、人を傷つける為に痛む傷。傷は人を殺す理由の為に永遠に消えない。
式は能力を発現している時の彼女を酷く嫌い、之を殺すことで排除しようとした。藤乃の能力「歪曲」により左腕を失うが、「直死の魔眼」の力により、「歪曲」の描く螺旋を殺すことに成功し、藤乃に勝った。
しかし、彼女が無痛症に戻ってしまったので式は殺害を止め、彼女に巣食う盲腸を殺すことで幕を閉じた。


・名言(原作より抜粋)

藤乃「――はい。とても・・・・・・とても痛いです。わたし、泣いてしまいそうで――泣いて、いいですか」

藤乃(お腹が痛い。見えない手に、私の中身が鷲摑みにされる不快感が。吐き気がする――いつもはそんなものはしない。めまいがする。――いつもは唐突に意識が落ちる。腕がしびれる。――いつもは目で見て確認する。 とても、痛い。――ああ、生きている。)

藤乃「・・・凶れ」

橙子「黒桐は間に合わなかったか。さて。嵐が来るのが先か、嵐が起こるのが先か。式ひとりでは返り討ちにあうかもしれないぞ。両儀」

幹也「馬鹿だな、君は。いいかい、傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ、藤乃ちゃん」

式「万物には全て綻びがある。人間は言うにおよばず、大気にも意志にも、時間にだってだ。始まりがあるのなら終わりがあるもの当然。オレの目はね、モノの死が視えるんだ。おまえと同じ特別製でさ。だから――生きているのなら、神様だって殺してみせる」

藤乃(やっと手に入れた痛覚なのに、今はこんなにも憎い。でも――ほんとうだ。痛いから――とても痛いから、死にたくないと渇望する。このまま消えるのはイヤ。もっと、生きて何かをしなくちゃいけないんだ。)

藤乃(もっと生きて、いたい。もっと話して、いたい。もっと思って、いたい。 もっと ここに いたい。)

式「痛かったら、痛いっていえばよかったんだ、おまえは」

幹也「・・・罰っていうのは、その人が勝手に背負うものなんだと思うんだ。その人が犯した罪に応じて、その人の価値観が自らに負わせる重荷。それが罰だ。
良識があればあるほど自身にかける罰は重くなる。常識の中に生きれば生きるほど、その罰は重くなる。浅上藤乃の罰はね、彼女が幸福に生きれば生きるほど重くて辛いものになる」

幹也「そっか。じゃあ仕方ない。式の罰は、僕が代わりに背負ってやるよ」

式「もうひとつ白状するとさ。・・・・・・オレも、今回ので罪を背負ったと思う。けど、かわりに一つだけ分かった。自分の生き方、自分が欲しいものが。とてもあやふやで危なっかしい物だけど、今はそれにすがっていくしかない。そのすがっていくものが、自分が思っているほど酷いものじゃなかったんだ。それが少しだけ嬉しい。ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」
{/netabare}

感想

本作は一章,二章と比較して分かり易い作品で、世界観がだんだんと理解出来てきた中で、式と似た境遇の人間・浅上藤乃と式を絡ませ、両者の違いや、式の信条などを視聴者に刻銘に印象付けさせ、五章矛盾螺旋への繋ぎとしての役割が十分に果たせている。
一章に比肩する式の戦闘シーンや空の境界随一のグロテスクな描写の多さが特徴的だった。
本章は幹也から式への想いの表現が多かったが、式から幹也への想いの表現が少なく、式が何を想っているのか想像することが出来た。もしかしたら藤乃の幹也への想いに嫉妬していたのかもしれない。
「努力してみる」などツンデレ気味の発言も含まれている。
ほんの少し――ほんの少しだけ、おまえよりの殺人衝動――」と言った式の覚醒後初めての笑顔は大変可愛い。
{netabare}
「凶れ(まがれ)」という言葉が式に向けて何度も発せられたが、あれは殺戮が彼女に「生の実感」を与える唯一の痛みへと変貌してしまったことを示しているのと同時に、自分の存在を否定するものの排除という「殺人考察(前)」における式に似た心情であると考える。
藤乃は可哀想な人生を歩んできたが、その中での幹也への恋と、「普通でありたい」と思う心が彼女の心の糧となったと思う。最期に式によって殺されなかったことは、彼女にとっても、式にとっても良いことだった。無痛症は治らないだろうが、盲腸が治って良かった。
最初と最後に出てきた「とても・・・とても痛いです。わたし泣いてしまいそうで――泣いて、いいですか」という言葉が藤乃の本音だろう。
最後に痛覚がある状態で盲腸の痛みを実感し、「痛い」から「死にたくない」と「渇望」する。という強い思いが湧き出てきた。
もっと生きて、いたい。
もっと話して、いたい。
もっと思って、いたい。
もっと ここに いたい。
という「痛い」=「居たい」という強い意志が「痛覚」があることで具現した。
同時に自分が愉しんでいたモノの正体に対する痛み、自分が犯した罪、自分が流した血の意味を「実感」した。
藤乃「痛みは耐えるものじゃなくて。誰かに愛してと訴えるものなんだって、あのひとは教えてくれたんだ」
とあり、「痛み」の正体を知るに至った。
式が言った「痛かったら、痛いっていえばよかったんだ、おまえは」という言葉のとおり、もっとはやく「痛い」と言えていればと思う。
{/netabare}

この三章は、一章,二章を視聴した上で「両儀式」という人物について考えさせる作品だった。
浅上藤乃という式に似た殺人鬼の登場。彼女も特別な家系の生まれで、それ故に不幸な人生を歩んでしまう。本章は藤乃への同情を誘うとともに、式の心の揺らぎが見られる。
一章と二章を繋ぐ三章。そして二章と三章を繋ぐ四章へと話は進んでゆく。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 48
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

強制された抑圧と、境界を越えた解放

原作未読。
全8章からなる物語の3章目。約60分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

1章より前、2章より後の話。
ストーリーは比較的独立しており、この話だけ観てもわかりやすい構成になっています。

この回では少し笑いの要素が入ってきます。
また、黒桐幹也の妹、黒桐鮮花の出番があります。
彼女は清涼剤みたいな存在で、話に柔らかみをもたせてくれています。

ただし、残虐性にも拍車がかかっています。
人間の負の面を強く表現している印象です。
残酷な話と軽いテンポの会話、その組み合わせで、他の章との重みのバランスを取っているのでしょう。

映像面の見所は、嵐の中での戦い。
水を切るように動く表現は、実にスタイリッシュです。

EDテーマは「傷跡」。


【3章「痛覚残留」の考察】
{netabare}
過去に、黒桐幹也と浅神藤乃は出会っています。

幹也「いいかい?傷は耐えるものじゃない。痛みは訴えるものなんだよ」

これは、私たちの日常生活にも繋がってくる発言です。
「抑圧」=「傷を耐える」という行為は、周りに危害を加えないと同時に、自分の中にストレスどんどんため込んでしまいます。
そして、たまりにたまったストレスは、ふとしたきっかけで爆発してしまう。
それを防ぐためには、ストレスを定期的に「解放」=「痛みを訴えることを」してやらなければならない。

浅神藤乃は、精神的にはごく普通の人間です。
しかし、痛みを訴える方法が「能力の発動」という特殊なケースだったため、「人工的に感覚を抑える」という方法で、強制的に抑圧され続けてきたわけです。


そして、金属バット殴られた衝撃で、一時的に復活した痛み。
むりやりイスに縛り付けられ、勉強させられ続けてきた人のロープが、ふいにほどけたと考えると分かりやすいと思います。

自分のやりたいようにできない、つまり「生」を実感できない「空っぽの」状態から解放される。
やっとストレスの発散が可能になりました。
ただし藤乃は、痛みを感じている間はストレスの解放が終わっていない、つまり、痛みを訴え続けなければならないと解釈しています。
だから、殺しに対して「私は楽しんでなんかいません!」と藤乃は言ったんでしょう。

しかし、抑圧が解放されることに、徐々に喜びを覚え始めた藤乃。
必要最小限の解放ではなく、必要以上の解放へと、その「境界」をまたいでしまった。
それが、「殺人」という行為を超え、無関係な人々を巻き込む「殺戮」へと移行し、式の怒りを買ってしまうことになったわけですね。

しかも、実際はナイフで刺された痛みではなく、もともと持っていた病気による痛みだった。
そのため、永遠にストレスの発散が終わることがないわけです。

さんざんたまっていた「ストレス」が一気に解放されたわけですから、藤乃はあれだけの力を発揮しました。
そして同時に、余命いくばくもない藤乃。

この状況を打開する方法が、式にしかできない「病気を殺す」という行為だったのでしょう。

この浅神藤乃が、2章のラストで語られた「死に接触して快楽する存在不適合者」に相当します。


【全て見終わった人へ】
{netabare}
4章で分かりますが、痛覚が戻ったのは、バットで殴られたのがきっかけではないんですね。
荒耶宗蓮の仕業だった。


7章でも触れられていますが、

殺人=相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまったとき、それが極端になるとき人を殺す。人が互いの尊厳と過去を秤にかけて、どちらかを消去した場合のみ、それは殺人となる。人を殺したという意味も罪も背負う。そして、人を殺すということは自分自身も殺すということ。
殺戮=殺された側は人だが、殺した方は人としての尊厳も意味もない。自然災害に例えられる。

と区別されています。
この違いを強調しているため、藤乃に危害を及ぼした人以外への殺害行為を「殺戮」と呼んで、式は嫌っていたわけですね。


なお、劇中で橙子が式に渡したカードキーの名義は「荒耶宗蓮」となっています。
橙子「名義は古い知人のものを拝借したがね」
ここで、初めて名前が出てきています。

また、カードキーの色は、蒼、橙、ピンクの3色。
「式、織、両儀式」の着ている3種類の着物の色と被ります。
また、
橙子「式一人では返り討ちに遭うかもしれんぞ、両儀」
すでに橙子は、式の2種類の人格に加え、3つ目の人格に気付いていたんですね。

{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 34
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

おススメできないです。

第三章です。

今回は一章と同じく不可思議な事件を解きます。

痛みを知らない少女、浅上藤乃のお話。

演出や音楽は相変わらずに良かったですのが
とってもとっても嫌な気分になる映画でした。
浅上藤乃は痛みを知らない少女。
また性格も流れに身を任せるような女の子でして
そんな彼女を面白がってひどいことをする不良達がいるわけです。
まあいわば凌辱ですよ。
そのひどい描写があってのストーリー構成なのでしょうが
あれはもう最悪です。本当に観てて嫌だった。
だから二度と観たくないです。
一章から順に二章、さあこれから三章だという人で
こういう描写が苦手なら控えた方がいいかもしれません。
別にこの回を観なくても話は十分に理解できるので大丈夫です。

まあそんなとこかな。



{netabare}

浅上藤乃が意志とは無関係であっても殺戮を好んでしまい
父親から勘当され、1人孤独に痛み苦しむ。
そして、逃れようのなく、無意味な戦いを式と交える。

こうみるととても面白かったように思えます。
戦いが決まって橋で相まみえるまですごくドキドキしました。

式は浅上を生かしましたね。
僕は殺すものだと思っていました。
もう手遅れなはずなのに。
確かに死んでしまってはあまりに救いがないですね。
あのあと浅上はどうなるんだろう。気になります。








以下は非常に個人的なお話です。



けれどあのかわいそうな描写は本当に嫌でした。
弱いものへの暴力は最低です。
一般的にみても、特に男性から女性への力の行使は
どういう場面であれいいものとしては映りませんね。
でも僕はこれに対し賛成の立場でありながら
この先僕は女性に対し絶対に暴力を振るわないと
果たして言い切れるのかということを随分前から自問自答しています。
というよりもし自分が怒りと憎しみから
「ああ、僕はこいつを殴らなければならない」
と向かいあう相手に思わなければならなくなることが怖いです。
きっかけは村上春樹さんがネットで募集した質問に対して
答えるというものでその中に
「彼氏から暴力を振るわれて大変。
 けどもうしないって約束してくれました。信用できますか?」
みたいななんとも欠陥の多い質問だったのですが
それに対し村上さんは
「男性が女性に対して暴力を振るうことは決していけない。
 けれど次振るわれたときには別れなさいと。
 もう彼は今後約束守ることはないでしょう。」
みたいなことを答えていました。
その時に僕もうんうんと思ったのですが
それについて真剣に考えてみると、
もし自分の許容を超えた裏切りやなにかをされたときに、
男としてまた1人の人間として本当に踏みとどまることができるだろうかと。
極端な例ですが朝起きたときに
「あら、おはよう。今日はいい天気よ。
 そうそう、あなたが寝ている間にあなたの右目と左腕売ってしまったの。
 大丈夫、心配しないで。
 あなたはいままで通りに目が見えて、耳が聞こえて、
 その他の五感も正常よ。
 言葉も話せるし、抽象的な思考もできる。
 物も五本の指で掴めるし、足は二本とも残しておいたから
 直立二足歩行の動物としてとても健全だわ。」
なんてことになったら(笑)
でもなんにしても男性が女性に対して
むきになってる姿ほど醜いものはありませんよね。
これは本当にそう思います。


僕は浅上藤乃への暴力的な描写には断固反対です。
これを流してはいけないよ。



{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 9

78.0 4 ufotableアニメランキング4位
鬼滅の刃 刀鍛冶の里編(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (382)
1278人が棚に入れました
家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰󠄀豆子を人間に戻すため、《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、2019年4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』の放送を開始、2020年10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開、2021年から2022年にかけて、『テレビアニメ「鬼滅の刃」 無限列車編』『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』を放送・配信した。2023年2月からは世界95の国と地域で『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を公開、そして、4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』の放送が決定。物語は新たなる地へ――――
炭治郎が向かう先は「刀鍛冶の里」。鬼殺隊最強の剣士《柱》である、霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との再会、忍びよる鬼の影。炭治郎たちの新たな戦いが始まる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

霞をつかむバトルアニメーション

引き続き原作未読で視聴。

【物語 4.0点】
1クールですぐに結果を求めるトレンドには目もくれず、今回も着実に積み上げた感じ。
上弦の鬼は相変わらずしつこく戦闘は長期化。
ただ、その中でも人の業を思い知らされる重たい回想も挟んでくるため、
視聴後ゲップが出る程度には、シナリオはぶ厚目。

当然、テンポアップを求める声も出るでしょうが、
私は、この作品に関しては、当初から呼吸レベルから地道に修行を重ねて少しずつ強くなる。
昨今では珍しい丹念なスローペースを好感して観続けているので、安心して楽しめました。


鬼殺隊の土台を支える“刀鍛冶の里”を舞台にした一戦。
長きに亘る鬼との戦いのため、武器についても代々技術を継承し続けて今がある。
{netabare} からくり人形“緑壱零式(よりいちぜろしき)”から刀が出てきた{/netabare} 時には先人たちの想いを特に感じました。


初回SPに炭治郎の夢などで、竈門家の血筋と炭治郎の痣(あざ)の由来を示唆するヒントが。
最終回SPでは{netabare} 太陽克服{/netabare} の悲願に執念を燃やす無惨様の野望の一端が明らかにされ、
今後に向けた手応えも十分。

その上で無惨様のパワハラ問題。
パワハラは部下への愛の鞭だと言い訳され発生する事例が多いのですが、
{netabare} 太陽克服{/netabare} したら同類の鬼など不要と確信している無惨様のパワハラには、
愛の欠片もなかったのですねw鬼さんたち早く転職しましょうw

今回、青い彼岸花など忘れた頃に回収された要素があったのも、手応えが手応えで終わらない信頼感があります。
私の場合、ラストは(※核心的ネタバレ){netabare} 太陽克服した禰豆子自身よりも、
炭治郎が鬼の血のサンプルを提供し続けてきた珠世(たまよ)さんが久々に登場して、禰豆子を人間に戻すための研究進捗を語った{/netabare} 件に感動しました。

『鬼滅』に関しては以前から鬼と言えば古代のイメージなのに何で大正?という疑問もありましたが、
やはり鬼と人の戦いが平安から続く因縁であること。
日本が医学・細菌学で世界的な成果も出す大正時代が特異点となり得ること。

刀鍛冶の里と合わせて少しずつ受け継がれて進歩していく人の営みの力強さを感じるエピソードでした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ufotable

音、風、重力など、人間が鍛えてもかわしようがない攻撃が多かった本作の上弦の鬼。
そもそも表現することさえも難しい要素をバトルアニメで再現できているだけで非凡。

助太刀する霞柱・時透無一郎の攻撃も雲をつかむようなエフェクト。
恋柱・甘露寺蜜璃の刀も動きがクネクネで変態的だしw

トリッキーな動きを補佐するようにCGは玉壺が発射する大量の毒針など物量もカバー。
ただ、玉壺が使役する大群の巨大金魚のCG。テカテカして気持ち悪かったですw


【キャラ 4.0点】
上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)
{netabare} 半殺しの刀鍛冶たちをオブジェに仕立てて断末魔を愉しむ{/netabare} 残虐非道を芸術と強弁する。
ヘイトを煽る悪役らしい悪役。

上弦の肆・半天狗
外面は怯えた声で弱々しい感じの悪役らしくない悪役。
ですが私がより憎たらしいと思ったのは玉壺よりも半天狗でした。
不祥事から逃げる責任者が俄に情に訴えて責任回避を正当化する。
この鬼の本性には心当りがあり過ぎて虫酸が走りましたw


霞柱・時透無一郎。
高慢な玉壺の挑発を、口数少なめで淡々と煙に巻く無一郎。
煽ってる玉壺の方がだんだんイライラしていく様が可笑しかったですw

玉壺は{netabare} 自分を無視して刀を研ぎ続ける鋼鐵塚蛍 (はがねづかほたる){/netabare} にもカリカリしちゃって。
ストレスで壺に穴開けないようにねw

人間の強い信念を前に鬼の煽りなど無力。
無一郎の「無」の真意には胸を打たれました。


恋柱・甘露寺蜜璃
絶望的な窮地でも彼女が現れるとパッと明るくなる巨乳剣士。
明るいのは良いのですが、ちょっと顔面の圧力が強すぎると思うこともw
それにしても、ピンク&緑の髪色が{netabare} 桜餅の食べ過ぎによるもの{/netabare} との説には絶句しましたw


炭治郎の鬼殺隊同期・不死(しなず)川玄弥が活躍したのが予想外でした。
ハラスメント含みで昇進を焦る同期にも事情があったのですね。

一方で伊之助&善逸は、ほとんど見せ場なし。
しまいには次回予告にて登場がない窮状を訴える始末w
これは鬼滅版“MOREDEBAN”村建設の予兆なのでしょうかw


【声優 4.0点】
霞柱・時透無一郎役の河西 健吾さん。
無口な現在の無一郎だけでなく、饒舌だった幼少期の無一郎、
さらには{netabare} 人格形成の礎となった兄・有一郎まで兼任。{/netabare}
状況に応じたセリフ量と一言当りの心情密度の匙加減。
繊細さを感じる好演でした。

恋柱・甘露寺蜜璃役の花澤 香菜さん。
こちらは騒々しく場を照らす豪快な演技。
ただここも回想では、傷つきやすい乙女心を丁寧に表現。

上弦の肆・半天狗。“分裂鬼”の異名もあり。
本体のCV.古川 登志夫さん以下、喜怒哀楽、
各々の感情を司る分身ごとに高ランク声優を当てる。
挙げ句、{netabare} 憎珀天には山寺 宏一さん{/netabare} まで起用。
半天狗の声優たちだけで並のアニメ作品のギャラ払えるんじゃないか?ってくらい豪華ですね。
この鬼、銭喰い鬼なので成敗に情けは無用ですw


上弦の伍・玉壺役には鳥海 浩輔さん。
私の中で鳥海さんと言えばゲーム『テイルズオブヴェスペリア』主人公・ユーリ役など、
少しダークだけど熱い正義漢のイメージが強くて。
それだけにこの真っ黒なナルシストボイスで残虐なゲージツを語る怪演。
こんな壺に成り果てちゃってって感じで笑撃的でしたw

因みに鳥海さんは壺から飛び出した気色悪い金魚共の声もカバー。
半天狗の声優陣から1人くらいヘルプさせれば良いのにw


【音楽 4.5点】
劇伴は椎名 豪氏&梶浦 由記氏のタッグが継続。
今回は両氏の適材適所がより鮮明になった印象。
特に梶浦氏は恋柱の華の演出に重用。
月に照らされた恋柱を彩る“梶浦語”の女性コーラス。風流でした♪

OP主題歌・MAN WITH A MISSION✕milet「絆ノ奇跡」
ED主題歌・milet✕MAN WITH A MISSION「コイコガレ」

EDが梶浦氏の作詞作曲による恋柱ソングだったので、
OPはコラボの“攻守”を入れ替えた霞柱ソングなのだろうと構えていましたが、
終わってみればOPは本編を総括した歌詞世界。
ラストで曲タイトルも回収された感が得られ納得。

あとは本日配信リリースの挿入歌{netabare} 「竈門禰豆子のうた」{/netabare} で奇跡の余韻に浸りたいと思います。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 30

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

よかった・・・・・・ね。

今となってはアニメに携わる人が「欲しい」と願っているもののほとんどを手にしているアニメではないでしょうかね。

人気(これは上下するからどうかなぁ)、知名度、実績、これらを持つことから得られる制作環境、資金繰りなんかもそうかもしれませんね。
原作の力ももちろんあるでしょうが、いろいろな社会の環境、時世、時流にも恵まれたとはいえ、一時は超一流の評価を受けた作品です。

そりゃあ、観る目が厳しくなるのも当然、期待されるのはやむを得ません。
落ちぶれれば叩かれますし、出来が悪くても悪く言われてしまいます。
なかなか厳しいですが、世の中そんなもんという事実は変えられないでしょうから仕方ないですかね。


それでは、遅ればせながら観ていきましょうかねw。

ところで、相変わらずで私のレビューは物語の流れは言わない方針なので、主に私の「思った」「感じた」が中心のボヤんとしたものになりますのでw悪しからず。

第1話:ほー、しょっぱなかから映画のようなクオリティですね。
思わず、何でもないシーンなのに何かを探すように見てしまいました。
そして鬼舞辻無惨のいわゆるパワハラ会議w。
登場する上弦の鬼たちからでさえ伝わってくる緊張感、こえーーわ。
ふつーに会社勤めしている身とすれば、無惨がこえー以上に、その緊張感の中にぶち込まれている自分を想像するだけで、トラウマが蘇りそうwww(何のだよ?)。

そして、諸々合って、刀鍛冶の里では甘露寺蜜璃が登場します。
正直、個人の感想としては、柱シリーズの皆さんは、初見~ですと、なんだかなぁと思う事が多いのですが、個別に登場してきてフィーチャーされるエピソードになると、その魅力に気づかされることが多いです。
これは、なかなかにすごい事ではないかと個人的には思っています。
それだけのキャラを生み出せたという吾峠さんには敬意を表したいと思います。

まだ、何も始まっていないのに、しっかりと目と興味を奪われてしまいました。
キビシイレビューも拝見しましたが、個人的には問題なし。
今後に期待です。


と、各話感想を書いてみようと思った時期がありました・・・私にもw。


が、一気に見てしまった・・・。
しかも、振り返りというか、ちょっと考えながらという事も薄く、流れに任せてスムーズに物語を楽しんでしまいましたので、総評的に。


いやー、面白かったですねぇ。
確かに話数があと2、3話あってもゴージャスでよかったかもしれんせんが、第1話が長めですし、仕上がってきた作品の密度も濃い。
ここをとやかく言うのは少し酷かもしれません。

確かに「物語」としての立ち位置としては、他のレビュワーが仰っておられるように、いわゆる「ツナギ」に位置するエピソードなのかもしれませんが、個人的には楽しんで視聴するのに全然問題のないレベルでした。
ちなみに、前にも申し上げましたが、私は「原作未読派閥」ですので、アニメ作品のみで追っているという事になります。
そして、この追い方をエンジョイ中なので、とても満足しています。
実際、他作品の視聴などもしておりますので、空いた間隔も特に不自由はないですしおすし。
(追い方・・・、老い方かもしれんなぁ・・・実際w)

まー、某SWシリーズでも、公開された当初は、地味だの、つまらんだの、ツナギだの言われたエピソード5「帝国の逆襲」が長い時を経て、スルメだの、意外とイイだの、あれがあっての~的な再評価をされたこともありましたしね。
この刀鍛冶の里編もシリーズ全体のボリュームが見えてきた際に色々と評価が変わるやもしれません。



そんな中で、もしも気になったところを挙げよ、と言われたら・・・、物語中でのSDの茶番パートですかねぇ。
個人的にはあってもいいけど、もう少し工夫というか、何ならもう少し少なめに・・・なんてね。
特に、物語序盤でのものが何だか気になってしまって。
後は、炭治郎の語りが、少しウザ(クド)く感じた瞬間がありましたが、これも好みの問題かもしれません。

・・・いや実際、これくらいしかケチつけるところが無くって・・・、このケチつけも、このカロリーで仕事をこなし、作品を仕上げてこられた皆様には申し訳なく思いながら、あえて挙げてみた程度の事です。


やっている事は、いわゆる「鬼退治」なので、中枠でテンプレ化しているって言うのは受け止めざるを得ないポイントですし、本当に隙が無いつくりをされていたと思います。
構成だって、コンパクトにスピード感を維持するように、練られていたのを感じました。
盛り上がりの起伏も計算しつくされていた感を感じました。


作品が今までに得てきた評価、プラス面を好循環として取り込んで、きちんと次の作品の反映してきていると思いました。
繰り返しになりますが、そういう作品に育つことができて「よかった・・・ね」って感じです。


今回も視聴してみた後に思った事は、やはり「人の思い」の繋がりに重きを置いている作品であるという事を強く感じましたね。

人と人の横のつながり、縦のつながり、時間、世代を超えたつながり。
他人の期待に応えるとは、自分の思いとは、人に敬意を払うとはどういうことか、人の仕事に敬意を払うとはどういうことか、人に純粋に期待をし、承認し、評価し、感謝し、それを伝える。
見えているモノ、話しているモノが本当(本心)とは限らない。

・・・説教臭いですか、そーですか。

でもね、こういった事に「気づける人」って案外世の中に多くないんです。
私もコーチングやコミュニケーションスキルのトレーニングを受けたりして、再確認、「気づく」までは蔑ろにしてきていたと思いますし。
ああ、偉そうに言いましたが、いろいろと出来ているとは言っていません。

「知っている事」と「行動(実行)出来ている」は全く別物であるという事も、このお勉強の中で学んだ、最も重要な事の一つでしたね・・・(遠い目)。


それにしても、禰豆子はよかったですねぇ。(何がw?)



はてさて、次にアニメ作品を視聴できるのはいつ頃になるのかなぁ。

と、楽しみに待ちたいと思います。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

迫る悪鬼に、刃を振るえ

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ第1期~第2期と劇場版は視聴済です。
とは言え、家族が原作を購入したので家にはあるんですけどね。
新鮮な気持ちでアニメを視聴したいので、原作は見るのをずっと我慢しています^^;

言わずと知れた名作です。
言わずと知れた名作なので、本来なら1強の独壇場となったも少しもおかしくない作品ですが、2023年春アニメの層がとんでもなく厚いからでしょう。
決して独り勝ちという感じでは無かったように思います。
私は春アニメどころか、冬アニメの視聴も終わっていないので、最終的な感想はもう少し先になりそうですけれど…


集英社ジャンプ コミックス1巻~23巻で累計発行部数1億5000万部を突破した
吾峠呼世晴による漫画作品が原作。アニメーション制作はufotable。

家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰󠄀豆子を人間に戻すため、
《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、
2019年4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』の放送を開始、
2020年10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を公開、
2021年から2022年にかけて、『テレビアニメ「鬼滅の刃」 無限列車編』『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』を放送・配信した。

2023年2月からは世界95の国と地域で『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』を公開、
そして、4月より『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』の放送が決定。

物語は新たなる地へ――――
炭治郎が向かう先は「刀鍛冶の里」。
鬼殺隊最強の剣士《柱》である、霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との再会、忍びよる鬼の影。

炭治郎たちの新たな戦いが始まる。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

いやぁ、掛け値無しに堪能させて貰いました。
出現する鬼は下弦から上弦へと益々強さを増してきました。

そして「無限列車編」を視聴してからというもの、どうしても残酷な結末が脳裏から離れてくれません。
確かに炭治郎はどんどん強くなっているし、禰豆子だって炭治郎のサポートに余念がありません。
それに鬼殺隊の柱の皆さんの強さだって半端無いのは分かっています。

分かってはいるものの、一抹の不安が拭えません。
だって、煉󠄁獄 杏寿郎だって相当の剣の使い手だったのに…
それに、今回は香菜ちゃん演じる甘露寺 蜜璃が出てくるのは分かっていました。
万が一、蜜璃ちゃんに煉󠄁獄さんの後を追うような事態になってしまったら、きっと一部の熱烈なファンの方たちから抗議の嵐が矢の様に降ってくるのは火を見るより明らか…
加えて時透 無一郎も比類無き強さを持つ剣士です。

だから彼らに限って…
という気持ちを持ちながら視聴していました。
きっと、この気持ちはこの先、この作品を見続けていく上で決して無くならないことでしょう。

そして、今回登場した上弦の鬼の強さは想像の遥か斜め上でした。
作者の吾峠呼世晴先生も、よくこの様な設定を思いつくと感心するばかり…

ですが、今回のMVPは禰豆子で決まりでしょう。
誰もが選択することのない唯一無二の一手を繰り出したのですから。
身を挺して庇ってくれている最愛の人が心の中の葛藤で苦しんでいる…
普段の彼なら決して迷うことは無く、目標に向かって一直線に突き進んでいく…
自分が貫くべき正義の邪魔をしている…?

いやいや、代償はそんなに軽いものではありません。
誰もが躊躇し縮こまって怯える…
迫り来るのは命の危険を伴って余りある脅威…

そしてそんな覚悟に一手に堪えないほど薄情ではありません。
だからこそ、最終回に見た朝日とみんなの笑顔があんなにも眩しかったんですね。
もう、感動もひとしおでした。

どっぷりこの世界に浸かって視聴することをお勧めできる作品です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、MAN WITH A MISSION × miletさんによる「絆ノ奇跡」
エンディングテーマは、milet × MAN WITH A MISSIONさんによる「コイコガレ」
そして最終回の挿入歌も…
椎名豪 featuring 中川奈美さんによる「竈門禰󠄀豆子のうた」

1クール全11話の物語でした。
文句なしに絶賛できる作品だったと思います。
そして、続編となる「柱稽古編」の制作が発表されました。
こちらの続報も楽しみで仕方ありません。
放送を心待ちにしています。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 21

85.9 5 ufotableアニメランキング5位
Fate/stay night [Unlimited Blade Works](TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (2254)
12362人が棚に入れました
日本のとある地方都市「冬木市」に数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」。7人の魔術師(マスター)は7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、聖杯を巡る戦争に臨む。聖杯を手にできるのはただ一組、ゆえに彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。魔術を習うもその才能を見いだせず、半人前の魔術師として生きていた主人公・衛宮士郎。彼は偶然にもサーヴァントの一人・セイバーと契約したことから、聖杯戦争に巻き込まれてゆく……。

声優・キャラクター
杉山紀彰、植田佳奈、川澄綾子、諏訪部順一、下屋則子、門脇舞以、てらそままさき、神奈延年、田中敦子、三木眞一郎、浅川悠、伊藤美紀、神谷浩史、真殿光昭、中田譲治、小山力也、関智一
ネタバレ

Key’s さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

戦闘が超絶カッコいい♪

あらすじ


日本のとある地方都市「冬木市」に
数十年に一度現れるとされる、
持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」。

7人の魔術師(マスター)は
7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、
聖杯を巡る抗争「聖杯戦争」に臨む。
聖杯を手にできるのはただ一組、
故に彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。

十年前に起きた冬木大災害の生き残りにして、
半人前の魔術師として暮らしてきた
少年・衛宮士郎は偶然にも
サーヴァントの1人・セイバーと契約したことから、
聖杯戦争に巻き込まれる。

亡き養父・衛宮切嗣のような
「正義の味方」になりたいと願う士郎は、
無関係な一般人の犠牲者を増やさないために
聖杯戦争に参加することを決意する。



感想


(0話~1話)


僕は一応原作も
DEEN版のFate/SNも
Fate/Zeroも
大好きで全部見たので
これももちろん期待していたのですが
想像以上の出来でした♪


作画や演出が
凄い出来ですね
特に戦闘シーンの作画が
凄すぎます!

ランサーとアーチャーや
アーチャーとセイバーの戦い
どちらもコマが多く
どれだけ拘っているのか分かります

演出も素晴らしく
ランサーとセイバーの戦いでの
ランサーの宝具である
「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク/ゲイ・ボルグ)」
の因果の逆転の表現が良かったです
でも少し初見の人には
わかりずらいかも知れないです


OPやED、
BGMの音楽も良かったです
流石相変わらず
カッコいい曲が多いですね


伏線なんかも
結構細かいところまで
原作どおりやっていてくれて
非常に丁寧な作りになっていますね
これなら原作ファンも満足のいく
出来なんじゃないでしょうか


キャラも相変わらず
可愛いキャラとカッコいいキャラが
沢山でてきて良いですね
アーチャーカッコいいです♪

モブというか一般人も
キャラが立っている子が多いですね
可愛い子がいっぱいです♪
もちろん凛やセイバーも可愛いですがW


ここまででも
結構楽しめましたが
ここからが戦いもストーリーも
いよいよ本番なんで楽しみです

今からアーチャーや士郎、
凛やセイバーの活躍が楽しみです♪
他のサーバントやマスターも
早く見てみたいですね





ここからは原作知らない人の為の
解説と説明を
書いておきます!

ネタバレも入っているので
隠しておきますから
アニメ本編を見ても
理解出来なかった人など
必要な人だけ読んでください



{netabare} ~

聖杯とは


「万能の釜」や「願望機」とも呼ばれる
手にする者の望みを実現させる力を持った存在。
これを手に入れるための争いを聖杯戦争という。


冬木の聖杯は聖堂教会に観測された
第七百二十六個目の聖杯候補であり、
表向きは真贋の判断が付いていないことになっている。
しかし、実は失われた第三魔法魂の物質化、
天の杯(ヘブンズフィール)を再現するために
作られた贋作であると判定できている。

聖杯自体は実体を持たず、魔術回路を持つ存在を「器」として、
サーヴァントの魂が溜まった「器」に降霊することで現われる
(これは、後述する「大聖杯」に対し「小聖杯」と呼ぶこともある)。

ただし、器は願いを(広義的に見て)叶える
「願望機」としての役割も確かに持っており、
儀式の完成(サーヴァント5体以上の死亡)によって
もたらされる膨大な魔力を用いれば
大抵の願いは叶えることが可能なので、
実質的には真作の聖杯を手にしたのと変わらない。

そのため、実際は贋作と分かっていてなお、
魔術協会が主催を務め、聖堂教会が監督役を派遣して
「聖杯戦争」を見守っている。

しかし、第三次聖杯戦争においてルールを破って
召喚されたあるサーヴァントが原因で、
聖杯が溜め込む「無色の力」は汚染されて
「人を殺す」という方向性を持った
呪いの魔力の渦と化すようになり、
それ以降、冬木の聖杯は全ての願いを
「人を殺す」と言う結末に拡大解釈する欠陥品になってしまっている
(「大金を願えば、金持ちを殺しつくしその富を奪う」など)。

こうして聖杯の中に淀み始めた黒い泥は、
触れたものの魂を汚染してしまい、
サーヴァントさえも性格を悪しき方向へと
反転させ暴走状態にしてしまう。
これを黒化と呼ぶ。



聖杯戦争


広義においては聖杯と呼ばれるもの(真贋は問わない)
を手に入れるための行為全般を指す。
冬木の地の聖杯戦争は、
聖杯によって選ばれた七人のマスターが、
サーヴァントと呼ばれる聖杯戦争のための
特殊な使い魔を使役して戦いあう形をとる。

冬木の地の聖杯戦争は、その聖杯と同様に、
失われた第三魔法の再現のための儀式である。
一連の儀式は200年前、
アインツベルン・遠坂・マキリの三家が
それぞれの思惑から協力したことで始まった。

儀式の成功にマスターが戦い合う必要はなく、
召喚された七騎のサーヴァントの魂を全て
「器」に注いでしまえばそれでよい。

しかし、最初にその方法をとった時は、
儀式を始めた者たちの間で完成した聖杯の権利を
独占するために殺し合いが始まってしまい失敗。
二回目の儀式から、円滑に儀式が進むよう
権利争奪を兼ねた「聖杯戦争」の形となった。

聖杯戦争の実施にあたっては、
柳洞寺のある円蔵山地下に隠された
大聖杯と呼ばれる巨大な魔法陣により、
冬木の土地の霊脈が枯渇しない程度に
少しずつ魔力を吸い上げて儀式に必要な量を溜める必要がある。

そのインターバルは通常60年を要するところだが、
前回の聖杯戦争では呼び出された聖杯が
結局使われないままに終わり(Fate/Zeroのこと)
今作の舞台である第五次聖杯戦争の開催が早まる原因となった。

アニメ版では、聖杯戦争出場者以外の無関係者や
一般人に見られた場合は、掟により速やかに
口を封じ抹殺しなければならない。

また、本編の10年前に衛宮切嗣により洞窟内に瘤を発生させ、
そこに堆積したマナが30年から40年の間に
破裂し大聖杯を龍洞に崩落させるという細工が為されていたが、
第五次聖杯戦争が早まったために不発。

しかし聖杯が出現した際にそれは発動し洞窟を崩壊させた。
そして本編の10年後に遠坂凛とロード=エルメロイII世によって
冬木の大聖杯が完全に解体され、冬木の聖杯戦争は幕を閉じる。



マスター


サーヴァントと契約して聖杯戦争に参加する者。
聖杯が選別したマスター候補者が、召喚されたサーヴァントと
契約することでその資格を得る。

サーヴァントとの間に見えないつながりがあり、
現界のための依り代と魔力供給の役割を持つ。
召喚者には、サーヴァントを支配・制御するための令呪が与えられ、
マスターには人それぞれの形で
サーヴァントのパラメータを認識する能力と、
英雄に関する知識が与えられる。

また、つながっているために
お互いの過去を夢などで見ることもある。
召喚者以外の者がマスターとなる場合もあり、
その際は脱落者の未使用の令呪が与えられる。

ただし、聖杯が認めるマスターの最低限の条件は
魔術回路があること(正しくは、自身が魔力を生成できること)で、
その他の方法でマスターになった者を聖杯はマスターと認めず、
令呪を与えない。



サーヴァント


聖杯の助けによりマスターに召喚され、
彼らに使役されることになった英霊。
攻撃能力はおよそ戦闘機一機分
(破壊力は近代兵器の方が強力なものが多いが、
 霊体であるため通常兵器・通常攻撃が効かないという点で優位。
 機関銃(通常攻撃)とミサイル(宝具)を備え、
 魔力の補給が必要という意味でも戦闘機で例えている)。 

本来、英霊として召喚される彼らは
意思を持たない純粋な「力」として行使されるが、
冬木の聖杯戦争においては、
一度の聖杯戦争につきあらかじめ通常7つの器(クラス)、

セイバー(剣の騎士)・アーチャー(弓の騎士)・
ランサー(槍の騎士)・ライダー(騎乗兵)・
キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・
アサシン(暗殺者)が用意され
(「アヴェンジャー(復讐者)」のように、
上記以外のエキストラクラスが用いられた時もある)

そのクラスに該当する属性を持った英霊を召喚、
クラスの役割に一騎ずつ憑依させることで
人としてのカタチと人格を再現する仕組みになっている。

セイバー・アーチャー・ランサーは三騎士と呼ばれ、
総じて強力なクラスとされる。
三騎士は確実に聖杯に用意されるが、
他のクラスは度々イレギュラークラスに変わる。

このクラスシステムによって英霊の能力をそぎ落とすことで、
魔法使いにも不可能な英霊の召喚を容易にしている。


ただし、クラス制限により、
例えばランサー(槍兵)のサーヴァントとなった者が
セイバー(剣兵)であれば持っていたはずの
剣の宝具を失うということがあり得る。

だが単純に武装でクラスが決まるのではなく、
クラスの特性である。

例として、アーチャー(弓兵)は
自身の低ステータスを補う優れた宝具を所有する特性があり、
飛び道具が存在しないか主体でない者でもなる者もいる。

また、バーサーカー(狂戦士)など属性の強いクラスの場合、
英霊の一部の面を強調することで
他のクラスと異なる姿で現れる場合がある。

ちなみに、バーサーカーとアサシンは
召喚の詠唱に二小節を加えることによって、
任意で召喚できる。


また、サーヴァントの真名を知られるということは、
同時に弱点を晒すということにつながるため、
真名がマスター以外の者に知られないよう
普通はクラス名で呼ばれる。

ちなみに、英霊の肉体の年齢は逸話や呪いなどがない限り、
全盛期の肉体で召喚される。

英雄である彼らは基本的に
人間がまともに戦って敵うような相手ではなく、
彼らの半身ともいえる「宝具」をはじめとして
現代の人間より遙かに強い力を持った存在であり、
さらに本来の力に加えて
伝説の知名度や信仰による恩恵を得て力を振るうことができる
(知名度は聖杯戦争の舞台が対象であり、
 つまり日本における知名度となる)。

これに加え、戦争が開催される土地が
地元の文化圏に近いほど劣化
(ステータスの低下、装備スキル宝具の喪失)
をさけられる。


また、器(クラス)に収まることで、
クラスに応じた固有の技能
(剣・弓・槍の三騎士の「対魔力」、
 狂戦士の「狂化」など)や、
その時代や地域、聖杯戦争の
システムに対する知識が与えられている。

それと別でマスターの性質により能力に補正がかかる。
また、上述のとおり架空の英霊の召喚は可能だが、
それは本人ではなくその英霊の特徴や
神話などに該当する人物が呼び出される。

ただし、聖杯の概念がない者、
つまり東洋の英霊はそれらの時代には
概念がまだ浸透していないため召喚できない
(例外こそあるが、それは本来のサーヴァントのシステムから
 逸脱した召喚だからこそである)。


彼らは使役する立場である
マスターより遥かに強力な存在だが、
「現界のための絶対条件」として
マスターからの絶対命令権である
令呪の縛りが課せられていて、
マスターはサーヴァントに
3度だけ絶対に従わせる命令を下せる。

さらにサーヴァントらは
現世に留まるために現代の依り代を必要とし、
現界のための魔力もほぼ自給できないため、
マスターとの協力関係を余儀なくされる。

彼らの本質は霊体であるため、
たとえ彼らが実体化している時でも、
神秘の存在しない攻撃は効果がない。
逆に神秘さえあれば、
ペーパーナイフでも傷つけられる。


魔力供給を断たれると霊体に戻り、
マナの薄い無機物を通り抜けることができる。

その状態でもマスターと意思を通わせることは可能。
霊体のままだと通常干渉を受け付けないが、
現実への干渉力が落ちる。


通常、召喚されたサーヴァントは敗北した後、
英霊本体のいる「英霊の座」に記録だけをフィードバックし、
通常の時間軸から消え去るのだが、
それを押し留めて一時的に「小聖杯」たる器に蓄え、
力が満ちてから英霊が“座”に戻る力を利用して
一気に「根源の渦」への穴を穿つ、
というのが冬木の聖杯戦争に隠された儀式の真の姿である。


これを行う場合、
穴を開くためにはサーヴァント全員の魂が必要なので、
自身のサーヴァントも殺す必要がある。

令呪の一画を残すことがセオリーとされるのはそのためであり、
サーヴァント自身はそのことを知らない。

黒化したサーヴァントは聖杯の力で受肉するため、
物理的な干渉力は増大するが霊体化はできなくなる。
また魔力の制限がなくなり、戦闘力が大幅に強化される。



セイバー(Saber)
声 - 川澄綾子
身長:154cm / 体重:42kg / スリーサイズ:B73 (B)/W53/H76
誕生日:不明 / 血液型:不明 / イメージカラー:青 / 属性:秩序・善

パラメータ(士郎): 筋力:B / 耐久:C / 敏捷:C / 魔力:B / 幸運:B / 宝具:C
パラメータ(凛):筋力:A / 耐久:B / 敏捷:B / 魔力:A / 幸運:A+ / 宝具:A++
スキル:対魔力:A / 騎乗:B / 直感:A / 魔力放出 / A / カリスマ:B


本作のメインヒロインの1人。士郎と契約した剣士の英霊。
外見は美しく華奢な少女だが、
サーヴァント中最も安定して優秀と謳われるクラス
「セイバー」に召喚されたほどの英雄。

ただし、未熟なマスターである士郎との契約が原因で
魔力の供給が十分ではなく、思うままに力を振るえずにいる。
性格は良く言えば実直で生真面目だが、
悪く言えば融通の利かない頑固、そして負けず嫌い。
凛とした表情を滅多に崩さないが、怒ると怖い。
その一方で時折、年相応の少女らしさを見せることもある。



アーチャー(Archer)
声 - 諏訪部順一
身長:187cm / 体重:78kg / イメージカラー:赤 / 属性:中立・中庸

パラメータ: 筋力:D / 耐久:C / 敏捷:C / 魔力:B / 幸運:E / 宝具:??
スキル:対魔力:D / 単独行動:B / 千里眼:C / 魔術:C- / 心眼(真):B


凛と契約した弓兵の英霊。
キザで皮肉屋で現実主義者だが、根底の部分ではお人好し。
弓兵のクラスでありながら弓よりも
2本1対の陰陽の夫婦剣「干将・莫耶(かんしょう・ばくや)」
による白兵戦を好む。
ステータス自体は平均的な能力だが、
それでも剣戟は音速を超える模様。

弓兵として弓を取ることもあり、
「偽・螺旋剣(カラドボルグII)」
(アーチャーがある宝具を改造した物で
 偽やIIが指すとおりケルト神話に登場する
 カラドボルグとは別物)などを扱う。

更には、ギリシャ神話のトロイア戦争にて
アイアスが使用した盾で、
投擲に対しては無敵とされる
「熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)」
なども使用する。

凛による乱暴な召喚のせいで記憶が混乱し
自分が何者か分からないと言い張り、
マスターである凛もその真名を知らない。
士郎を個人的に敵視しているようだが、
その一方で彼に対して的確な助言を送ることもある。
男性キャラの中では最高人気を誇る。



ランサー(Lancer)
声 - 神奈延年
身長:185cm / 体重:70kg / イメージカラー:青 / 属性:秩序・中庸

パラメータ: 筋力:B / 耐久:C / 敏捷:A / 魔力:C / 幸運:E / 宝具:B
スキル:対魔力:C / 戦闘続行:A / 仕切り直し:C / ルーン:B / 矢除けの加護:B / 神性:B


槍兵の英霊。
高い瞬発力と白兵戦の能力を備え、紅い魔槍を持つ。
マスターから偵察任務を命じられており、主に単独で行動する。
根は実直で、口は悪いが己の信念と忠義を重んじる
英霊らしい英霊と言える。

物語の始まりにおいて、
戦いを目撃した一般人として
聖杯戦争の掟に基づき士郎を殺そうとした。

正体は{netabare}~ケルト神話における大英雄で、
アイルランドの光の皇子・クー・フーリン。
死力を尽くした戦いを求めて召喚に応じた。
{/netabare}

宝具は、必中必殺の呪いの槍を使用して因果を逆転し、
「敵の心臓に命中している」という事実(結果)を
作った後に攻撃(原因)を放つ
対人宝具「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク/ゲイ・ボルグ)」と、
この槍の呪いの力を最大解放し助走から高々と飛びながら投擲し、
炸裂弾のごとく使用する
対軍宝具「突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク/ゲイ・ボルグ)」。


前者(通称・刺しボルク)は
魔力消費も少ない上に避けるには高い幸運が必要という、
一対一の決闘で非常に効率が良い宝具。

本編曰く防ぐには純粋に
槍の魔力を上回る防壁を用意するしかない。
発動後の回避は不可能であり、
アーチャーであろうと、
発動されないよう間合いから
「必死に下がるしかない」という。

また、セイバーに使用した際は
令呪とセイバーの直感スキルや
再生能力もあり致命傷とならなかったが、
本来なら受けた傷を癒やすことすら許さない呪いも与える。


心臓に命中した場合、
呪いの棘が全身の血管と内臓を破壊し
「槍+相手の最大HPダメージ」を与えて
確実に死亡させる。

これらの効果から、
不死と言われる吸血鬼の真祖であろうと、
「約束された勝利の剣」を耐える相手
であろうと殺すことが可能である。


後者(通称・投げボルク)は
破壊力重視で本来の使用方法。

マッハ2の速度で放たれ無数に鏃を撒き散らし
標的の周辺を吹き飛ばす威力で、
概念的に作用しないが因果を歪む呪いは
健在で何度かわされようと標的を捕捉し続ける。

その射程は40kmで、
一度ロックオンすると地球の裏側まで追い続ける。

本編では、
アーチャーの「熾天覆う七つの円環」を完全に破壊し、
アーチャーの片腕を負傷させた。
アーチャー曰くオリジナルであるグングニルを超えているとのこと。


魔術にも秀で、18の原初のルーンを習得しているが、
直接的な戦闘を好むため、使用することは稀。
作中では火、探索のルーンのみを使用した。

コメントによると
石化の魔眼を無効化やパラメータの上昇、
全ルーンを使用することで
上級宝具すら防ぐことが可能となるなど
多様な能力を持ち、
その腕前はキャスターとして召喚可能なほど。


なお、日本では知名度がないために
恩恵は少ないが本来なら
セイバー、バーサーカーにも並び立つ存在らしく、
地元なら城と戦車(チャリオット)の宝具と
不眠の加護などのスキルが追加され、
イングランドやアイルランドでは
セイバーを上回る強さを発揮できるとされる。


また、戦闘続行スキルの恩恵により、
勝つよりも生き残ることに特化した
サーヴァントとも称され、
本人曰く「セイバーとアーチャーの二人が相手でも、
勝ちにいかなければ長時間は持ち堪えられる」とのこと。

更にFateルートでは
ギルガメッシュ相手に半日にも及ぶ戦いを繰り広げ、
それ相応のダメージを与えている。

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 34
ネタバレ

にゃーの爪 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【ファン】中・上級者向け【歓喜】

原作はPCゲームでジャンルは『伝奇活劇ビジュアルノベル』
いわゆるライトノベルが一般化される前の作品である

原作でのシナリオは
「セイバールート:Fate」「遠坂凛ルート:UBW」「間桐桜ルート:HF」
の3つがあり

本作品では「遠坂凛ルート:UBW」を扱っている
メインヒロインは「遠坂凛」

【物語の導入】
0話:凛視点 1話:士郎視点
※特に1話の契約時の一枚絵は伝説のカットなので刮目せよ!


【凛の台詞(文字数)(25話はカット)※若干の誤差はあります】
{netabare}
話数//全部//対アーチャー//対士郎
-0---4498----2350--------71
-1-----39-------0--------39
-2---2022------72------1671
-3---1055-----249-------456
-4----577-----313-------264
-5---1997-------0------1997
-6----434-------0-------434
-7------0-------0---------0
-8---1355-------0-------947
-9---1345-----312------1033
10---1273-----366-------422
11---1636-------0------1280
12---2620-----852------1385
13---1682-----529-------674
14----865-------0-------833
15----124-------0-------124
16---1633-------0------1102
17----712-----109-------183
18---1328-----440---------0
19----361-------0---------0
20----486-------0---------0
21----117------30---------8
22---2287-------0------1808
23----820-------0-------473
24----558-----159---------2

合計-29824----5781-----15206
※凛の台詞をひらがなに直してから文字数を集計

【あくまでアニメ版の感想です】
作品を視聴していくなかで、思い出に残るコンビキャラはその作品にぬくもりを与えてくれる。
私の場合、Fate/Zeroでいうなら『ライダー×ウェイバー』がそれにあたる。
残酷な描写が多いなか、それでも最後まで楽しんで視聴できたのはこの温かいコンビのおかげでもある。

ではUBWの場合はどうであろうか。
原作通りこれは『凛ルート』である。
となると凛の相方は誰なのかが重要となってくる。士郎?アーチャー?それとも両方?

そもそもこんな集計を思い立ったのは、凛とアーチャーのラストシーンに違和感を覚えたからだ。
『凛とアーチャーって確かに仲がいいんだろうけど・・別に士郎がいるからよくね?』
というのがざっくりとした初見の感想であった。
でも『凛×アーチャー』を最後にもってくるんだから、凛にとってアーチャーの存在は大きいはずだ…

そこで、作中の凛の発言数をカウントし、凛がアーチャーと士郎それぞれに話しかけた内容を文字数におこしたものが上記のデータである。
少しばかり説明くさくなるが内訳は以下の通り、

・凛の台詞のみを取り扱っている(0~24話)
・凛の台詞は全て平仮名に直してから文字数カウントしている
・『全部』は、凛が話した全ての文字数
・『対アーチャー』は、凛がアーチャーに話しかけた文字数
・『対士郎』は、凛が士郎に話しかけた文字数
・ここでは、【文字数が多いほどより親密】だという見方をとっている

データを集計すると、士郎に比べてアーチャーに対する文字数が極端に少いことが浮き彫りになった。
ちなみに文字数をパーセンテージで表すと、
「アーチャー:19%」「士郎:51%」である。
また、話数の観点から見ても、0~24話までの凛と士郎とのからみが21話分なのに対して、アーチャーとの関わりは12話分しかないことが分かった。
これでは士郎の存在が大きくなりすぎて、凛とアーチャーの関係にモヤがかかってしまうのだ。
おそらく、ラストシーンの違和感はこのせいであろう。

作中では、凛によるアーチャーの心象語りを入れて、会話不足分を補う試みもされているが、
それで納得しているのはあくまで『作中の凛』であり
視聴者の立場としては、キャラ同士が言葉を交え積み重ねていく過程に心を打たれるものであると思う。

さて、ラストシーンを眺めてみよう
凛はアーチャーを通して士郎を見ており、アーチャーとの今生の別れは士郎を失うに等しく耐え難いことである。
したがって、凛のパートナーはアーチャーであり士郎でもあるといえる。
あるいはUBWの世界で凛を導いた彼の存在は士郎以上なのかもしれない。
凛は士郎を立派に育ててやるとアーチャーに約束していることからも、その存在感の大きさが分かる。
だからこそ、もう少し凛とアーチャーの関わりの場面を描いてほしかったというのが本音である。

しかしながら、今回の試みを経て凛のアーチャーに対する想いを少しは理解できたと実感したのも事実である。
この作品は一見なんでもないシーンにもメッセージが込められており、繰り返し接することでそのよさが分かるようになっていると感じた。
新規者が読み解くには厳しいところもあるが、Fate世界を知る上でふらりと立ち寄ってみたい、まぎれもない良作であると最後に付け加えておく。
{/netabare}

【とあるシーンのメモ帳】
{netabare}
【凛の発言数カウントの合間に、印象に残ったシーンをメモ代わりに残してみました^^】

【0話】
凛「追ってアーチャー!私もすぐに追いつくからっ」(そう言って先に駆け出す凛)
※マスターとサーヴァントの身体能力差をよく表していて面白い

【1話】
セイバー「…では、このままでのぞみます」(士郎が傷の治療ができないと知って、即時に敵を追うセイバー)
※”衛宮”に呼ばれたことによる緊張感からか、セイバーちゃんピリピリしてますね^^

【2話】
士郎「あれ…握手はダメか?」(握手を求める士郎に対して呆けるセイバー)
※前回(Zero)ではありえないシチュエーション 騎士王が反応できないなんてよほどのことだ
そして両者は固い握手を交わす。セイバーが今一度誓うあたりは、本当に嬉しかったんだろな
欲をいえばこのときのセイバーの頬をやや紅潮させてほしかった。
となると語気にも力がこもるわけで、「今一度」に重みが増すことになるから

【3話】
セイバー「うおおおぉぉぉぉオオオオッ!!!」(風を解いた黄金の剣でバーサーカーに渾身の一撃)
※風状態を90とすれば、解除した黄金状態の一撃の威力は1000だそうです^^
(焼き芋3つでセイバーさんから聞きました)

【4話】
桜「あの人、セイバーさんって言うんですかっ?」(テクテクテク クイッ!)
※桜のコミカルな動きがよかったです^^

【5話】
士郎「よろしくな、遠坂」(握手を求める士郎に対してフンデレ凛)
※まあ可愛いんだけどね^^
でも多用すると聖杯戦争が部活動のノリになってしまう諸刃の剣
少し注文をつけると、クールさのなかに恥じらいを覗かせる程度にすべき

【6話】
セイバー「入ってもよろしいでしょうか?」(魔術の気配に誘われて~土蔵)
※土蔵でのやり取りはよかった。セイバーの律儀さをうまく表現できていたと思います^^

【7話】
小次郎「秘剣…燕返し!」(剣技を加減するセイバーに小次郎の秘技が炸裂)
※ランサー戦のときもそうだが、必殺のヤバさがよく描かれていて最高ですね
それを凌ぐセイバーもさるものよ

【8話】
慎二「次にあいつに狙われるのはオマエたちなんだからなぁぁ」(慎ちゃん意外に素早い?捨て台詞)
※下手人は誰なのか?どのような方法で殺害(頭部の捻じ曲げ)したのか?何も聞きだせず羽虫に逃げられる凛…
(おそらくキャスターだろうと思考停止していたからあっさり逃がした?)
凛自身少し混乱しているとはいえ、彼女が魔術師を名乗るならこれくらいの役目は果たしてほしい
・香車を打つべきところに桂馬を指してしまうくらいのもどかしさ

【9話】
セイバー「なぜ正義の味方なのですか?」(藤村が明かす士郎の素顔 そして士郎に問いかけるセイバー)
※なにこのセイバーの腑抜けた顔は???
セイバー、かつてのあなたは鬼気迫る様相で切嗣に投げかけましたよね?
『切嗣、若き日の本当のあなたは正義の味方になりたかったはずだ』(Zero 16話)
あのシーンを回顧させて、士郎に問いただす演出がほしかった

【10話】
凛「それじゃあセイバー、作戦なんだけど」(士郎をハブって作戦会議)
※ちょっ凛!セイバーは士郎のサーヴァントっ 後ろで退屈を受け入れる士郎!?セイバー真面目に聞いてるし…
三人の性格をよく表している面白いカット

【11話】
凛「似てる似てるって思ってたけど、まさかここまで一緒とは思わなかった…」(士郎をある人物に重ねて)
※え?そうなん?とゆーか誰が?ってのが初見の感想
0~11話までの凛と士郎とのからみは11話分。対してアーチャーとの関わりは6話分しかない
会話文字数にするともっとひどいことになっている(別欄参照)
両者の情報量に差がありすぎてヒントとするには難易度高し。新規の多くはついていけないのであった
そもそも『推理しよう!』という発想自体起こらないかもしれない。そうなると完全に死に台詞である

【12話】
セイバー「そのような眼で見られると、困ります…」(いたずらを咎められる子犬のように)
※何やったかわかってんねんな?わかってんねんな?
ここでのアホ毛は犬のシッポの役割ですね。しおれたアフォ毛にほっこり^^
両人から責められる際、アホ毛をフリフリさせるのは悪乗りがすぎるか(脳内補完ってことで)
セイバー食いすぎっ 今回の日常パートはとても気に入っています^^
反対に残念な点を挙げると、
この後、戦闘パートを終えて凛は士郎との決別を宣言し、いい緊張感を持たせたまま2期へ続くことになるのだが、
2期予告で凛と士郎の共闘シーンを流すのはやめてもらいたかった。
なぜなら、凛の決別宣言が茶番になりかねない際どさを感じたからです。

【13話】
士郎「だから、気が付けば何も考えずに飛び降りてただけだ」(満天の星空の下~それぞれの想い)
※以下脳内補正
~両者しばしの沈黙~
士郎「ああ、星が綺麗だ…」
凛「プッ あっはっはは!」
士郎「…遠坂?」(怪訝そうに凛の方に振り返る)
凛「ごめんごめん まったくあんたって人は」(凛は背を向けたまま表情はわからない)
士郎「俺、本当に遠坂のこと好きだぞ」(少しすねながら星空の方に向き直る)
―満天の星空―
~士郎の後姿を愛おしげに見つめ その背に顔をうずめる凛~
凛「助けてくれてありがとう…その、すっごく助かった」
~画面引き エンド~
もちろんオリジナルは素晴らしい出来です +αとして各人の想いを乗せて楽しむべし^^

【14話】
ギル「そう怯えるな、その畏怖をもって不敬への免罪とする」(自らの死期を察知するリーゼリットとセラに対して)
※圧倒的存在感 畏れ敬う者には寛容なギルさん でも増えすぎると間引かれます^^

【15話】
イリヤ「うん、ちょっと…さむい…ね…」(儚き少女の最期の言葉)
※バーサーカー陣営全滅。対空結界に乏しく城内に侵入された時点で詰んでた
せめて城内に完璧な工房を構築していれば…
『結界24層、魔力炉3基、猟犬がわりの悪霊・魍魎数十体、
無数のトラップに廊下の一部は異界化させている空間だったらワンチャンあった』(by K)

【16話】
士郎「いっとくけど、遠坂はやらないからな」(ランサーとの協定にあたって)
※士郎くん調子に乗りすぎです^^『気安く遠坂には近寄るな』までならカッコよかった
凛は悶えすぎ このコンビいよいよブレーキが壊れてきたか
まあよい、ランサーの出番が増えたことをもって失態への免罪とする

【17話】
葛木「勝機を逃したな 四度打ち込んで殺せなかったお前の未熟だ」(キャスターを倒し損ねた凛に向かって)
※『それは違うぜ葛木 四度打ち込めたから間に合った(ドォォーン!)』←アーチャーの台詞から考察
やはり凛はヤンチャが似合う 役割に徹した士郎も有能 キャスター戦決着ぅぅぅ
先のランサー×アーチャー戦に引けをとらない熱いバトルでした

【18話】
凛『この丘があいつの世界…(中略)唯一信じた理想にさえ裏切られた』(凛によるアーチャーの心象語り)
※原稿用紙にして2枚分…ながいわ^^
今まで凛がアーチャーと会話していなかったツケを回してきたな、という感じ
反対に凛と士郎との会話はメチャ多い(別欄参照)
これでは、士郎との会話を削ってでもアーチャーに使うべきだったと言わざるを得ない
心象語りの後、凛は涙しているので凛的には会話不足を補完したんだろうけど
視聴者的にはキャラ同士が言葉を交わし積み重ねてこそ心に響くってもんですからね(特に新規は)
それでも、涙ぐむ凛が愛おしく感じるのは作画の力だなぁ ほんといい仕事してますわ

【19話】
セイバー「私はこの戦いを見守らなければ…」(聖杯の力に依らない新たなる光を探して)
※Zeroの聖杯問答(11話)の続きともいえるシーン
セイバーさん、見守るどころか士郎の代わりにメッチャしゃべってます^^
果たして答えは見つかるのかセイバー

【20話】
士郎「俺も死力を尽くして、お前という自分を打ち負かす!」(鞘に込められた想いは願い…士郎覚醒)
体は剣で出来ている そして魂は願いで出来ている
その人生が偽善で満ちたものだとしても 俺は正義の味方を張り続ける

【21話】
ギル「そう…この時代の人間の一掃だ」(聖杯殺戮兵器論を展開するギル)
※『凡百の雑種が生を謳歌するなど王に対する冒涜である』
なんか怖いこと言ってますが、聖杯の奪取から精製まで幅広く手がける小まめな王です^^
話は変わるが、士郎×アーチャー最終局面でBGM「エミヤ」が流れたのは激アツだった
けどアーチャーが「消えろ!」といったタイミングでBGMを掛け直したように聞こえるのが残念
・100M走でロケットダッシュを決めたのに小石につまずいたような感覚

【22話】
セイバー「ずっと憶えていられるように、心に焼き付けておきたかった」(最終決戦を前に中庭に佇むセイバー)
※答えを得て満足気なセイバー そのまま昇天してしまわないかと心配です^^
彼女の10年間に渡る聖杯戦争は終わりを迎えようとしていた

【23話】
ギル「だが…俺の前から去ることを誰が許した」(賞賛から一転して殺意へ)
※士郎はギルの『気』の変化を瞬時に察知し、魔の剣戟から凛を守った。
右手に干将莫耶、左肩に凛からもらった魔術刻印が発動しており、それが刹那であることを強調している。
おそらく旧型士郎だったなら対応できなかったであろう
そういった意味でも、士郎と凛がふたりで邪悪を退けたといえる見ごたえのあるシーンだ

【24話】
凛「アーチャーー!」(朝焼けに映るアーチャーを見つけて追いすがる凛)
※懇願の叫び。この台詞には最大級の魂がこもっていました^^(ヘッドフォン推奨)
凛はアーチャーを通して士郎を見ているわけで、アーチャーとの今生の別れは士郎を失うに等しく耐え難いことなのだ
あるいは凛を導いたアーチャーの存在はそれ以上なのかもしれない
だからこそ、もう少し凛とアーチャーの関わりの場面を描いてほしかったというのが本音です
まあ個人の意見はともかく、感動のシーンですBGMにも注目^^

【25話】
ルヴィア「シェロォォォ!」(凛をサラリとかわし士郎に挨拶するルヴィア)
※凛が増えた^^
士郎に対するパーソナルスペースは限りなくゼロに近い
そんなルヴィアの積極性に凛は苛立つことも
凛「決着をつけましょう…久しぶりに…キレちまったわ…」
ルヴィア「あーらぁん あらあらあらぁぁん♪」
{/netabare}

日常・バトルシーンともに完成度が高い
シナリオ的に中だるみがあるが、よく仕上げたと思います

ちなみに、本編のチョイ役である凛のクラスメートの女生徒3人組は
『Fate/hollow ataraxia』PC版 PS Vita版
で詳しく語られているので気になる方はプレイするべし

全作視聴した経験から言わせてもらうと
「セイバールート:Fate」→ Fate/Zero →「遠坂凛ルート:UBW」
の順番で視聴すると理解が深まると思う
※ZeroとUBWの制作会社が同じで、整合性を意識して製作していると感じたため
2話例:綺礼の拳握り 士郎とセイバーの握手シーン

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7
ネタバレ

猿の尻尾 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

別に、感想を書いてしまってもかまわんのだろう?

2004年:ゲームブランドTYPE-MOONよりFate/staynight発売
2006年:セイバールートを軸として他ルートの解釈を交えスタジオDEENによりアニメ化
同年:staynightの前日譚となる小説Fate/zeroがニトロプラスの虚淵玄により刊行開始
2010年:凛ルートをDEENが映画化(尺の問題により超ダイジェスト)
2011年:Fate/zeroがufotableによりアニメ化

そして2014年。zeroを製作したufotableにより、以前映画化された凛ルートをもう1度映像化。
それがこのFate/staynight[Unlimited Blade Works]となります。

間に派生作品が発売されますが、それは割愛ということで
因みに2005年にファンディスクであり正当な続編でもあるFate/hollow ataraxiaが発売されました。
こちらをやりたい方は、これからフルボイスでPSvitaに移植されますので、もしやりたかったらどうぞ!(宣伝)


さて、いよいよ来ましたよこの時が!
発売当初から絶大な人気を誇り、そして10年たった今でも人気の続く化け物コンテンツFate。そのルートの中でも高い人気を誇るUBWがufotableによってアニメ化される時が!!

以前の映画では20時間超のシナリオを2時間に落とし込んだ為に総集編のようになっていました。
それを綺麗で細かくてアクション作画最高のufoさんが、分割ですが2クールでやってくれるというのですから期待しないわけにはいきません。
しかも原作でのプロローグである凛視点でのプロローグを0話とし、本編の始まりである士郎視点での冒頭を1話とし、それぞれ1時間で2週連続1時間放送なんてやってくれちゃってます。
自分、涙いいっすか?

七人の魔術師と七人のサーヴァントによる、万能の願望器[聖杯]をめぐる殺し合い。
熱くて燃える戦闘と、士郎の歪な生き様。そして可愛い凛ちゃんをどうぞご堪能下さい。
以下毎話感想。

0話感想
{netabare}おい、これは本当にTVアニメなのか?映画じゃないのか?と言いたくなるほどの超絶作画と背景美。
そして張り巡らされた細かい伏線とファンサービス。
文句の付けようのない仕事に思わず正座をしながら視聴してしまいました。
最強のクラスであるセイバーを召喚する筈がうっかりで失敗する凛ちゃん可愛い。
素直じゃないアーチャーさん可愛いし、超人戦闘を繰り広げるアーチャーさんと兄貴かっこよすぎ。
士郎と桜マジモブ。セイバーかっこよすぎ。
三人娘とか一成とかまで描写が丁寧で感激。
もう本当に素晴らしすぎて、来週までに何回だって見直してやりますよ。
とりあえずまだプロローグなので、来週は士郎視点でセイバーがアーチャーを切りつけるまでやると思いますが、
0話でも断片的な説明はされていますが、いろいろ詳しい説明入って、概要を掴めてくるのはもう少し先になります。
だから今は待とう。この作画があれば十分だろう?
ということで、期待以上の0話でした。来週が楽しみすぎますね!
来週にも期待!!!{/netabare}

1話感想
{netabare}前回は凛視点でしたが、同じ時間軸を今度は主人公である士郎の視点で描いてくれました。
何気ない日常もFateにおいては大事な要素。藤ねぇも桜も可愛すぎた。
そしてイリヤきちゃあああ!! 序盤に見せ場があるのでとりあえずそこに期待してるぜ!!
そして今回も出張ってきた三人娘w この三人が主役の漫画があるらしい!
ワカメは相変わらずウザイのなんの! 取り巻きが原作よりも若干柔らかくなってたのでまだ我慢できましたねw
そして理不尽なお願いも聞いてあげちゃう士郎君マジ歪! 一成他にも言われてましたが、士郎君の異様さが少し感じられます。
この歪さがUBWの大事な要素というかFateの味にもなってきます。
兄貴は本当にかっこいい。兄貴の一挙手一投足にいちいち痺れちゃいますね!
ゲイ・ボルクの演出が半端じゃない! 原因と結果を裏返す因果逆転の呪いの槍。心臓に当たったことを確定させてから振ることによる文字通り必殺の宝具です。
まぁこの時の兄貴は諸事情で本気で戦うことが出来ず、またセイバーの幸運の高さと未来予知にも匹敵する直感によって必殺の槍はかわされてしまいますが。
セイバーのポテンシャルの高さに震えます! 兄貴は槍をかわされ激おこです。自身のシンボルとも言える攻撃をかわされては、そりゃ頭にきますよね。
だけど激おこ兄貴かっこいい……。
そして、先週の最後と繋がり、凛組と士郎組が相対して引きでした。
何度も言いますがクオリティが度を超えてます。スタッフありがとう!
来週は聖杯戦争の説明回かな? 例の神父ご登場ですなw
きっと再来週辺りにあの戦いが見れるだろうことに今からワクワクが止まりません!!
今週も最高でした!!
来週にも期待!!!{/netabare}

2話感想
{netabare}今回は説明回。
聖杯戦争の概要をエセ神父が説明してくれました。
まぁこれでも少しカットしてありますが、尺的に仕方ないし、説明回なのに動いてましたねw
ぐるぐるは説明時のお約束なの?
そして最後にイリヤたんとバーサーカー登場で引き。
バサカの威圧感ったらないね!死の匂いがぷんぷんするね!
もう来週の戦闘が楽しみすぎる!!
やっちゃえ!バーサーカー!!
来週も期待!{/netabare}

3話感想
{netabare}ついに序盤最高峰のバトル、バーサーカー戦が見れました。
バーサーカーの化け物っぷりが遺憾なく発揮され、またセイバーとアーチャーのかっこよさも見ることが出来ました。
少々原作からの変更点も御座いましたが、個人的には気になりませんでした。
特にイリヤ対凛なんか最っ高でした。
凛は魔術師全体で見ても、かなり優秀な部類に入るのですが、まさかイリヤたんがあんなに強いとは予想外。
諸事情による魔力チートなだけで戦闘には向いてないと思っていたらあんな戦い方があろうとは、これは良いファンサービスだったと思います。
あとは大きなオリジナルと言えば金髪の青年()とエセ神父の会話シーンですが、ちらほら不満は聞こえてきますが、まぁ大丈夫。いつかのボンテ(ryに比べれば全然よ全然。
とにかく迫力凄まじい戦闘シーンに大満足な4話でした!!
来週はちょっと落ち着くかな? でも再来週の5話はスタッフ曰く、『最高の出来』らしいので、もうめちゃくちゃ期待です!
きっとあの2人の追いかけっこでしょうか。楽しみです!!
来週にも期待!!!!!{/netabare}

4話感想
{netabare}今回はアニオリでイリヤたんのお風呂がありましたね!!
お風呂とは言っても会話の内容は大真面目でしたが、それでも素晴らしいものがあった。
そして可愛い凛と可愛いセイバー、特にセイバーが今回は可愛すぎた。
で、この回で重要なのは士郎と美綴さんの会話でしょう。
「衛宮、笑わないじゃん」からの士郎の表情、彼の異常性が垣間見える大事な大事な一コマです。
そしてヒロイン2人と美人教師が衛宮家に泊まるだと?エロゲか!!
からの凛ちゃんさんの殺すわ、で引き、と。
いや今回も楽しめました!特に美綴の言葉を受けた士郎の表情とその雰囲気は秀逸でした。大満足です。
次も、期待!!!{/netabare}

5話感想
{netabare} 冒頭の月の下の誓いで少ししんみりしてしまいました。
他作者の後発スピンオフだとは分かっていても、ついついZeroを思い出してしまいます。
美綴さんが行方不明ということで驚く士郎。くそ誰だ、誰の仕業なんだ…。
凛ちゃんと士郎の追いかけ(ry、殺し合いも原作の雰囲気を上手く表現していて感謝です。
「遠坂、危ない」のセリフ、あそこは原作では冷静に静かに言い放っていました。これも士郎の異常性を感じさせる描写なのですが、そこは映像的な表現として、叫ぶ感じに変わってました。
その代わり、「痛い、とんでもなく痛い」
と呟く士郎の表情が素晴らしかったです。あれは遠坂の顔にこんなものを投げやがったのかという、怒りの表情です。
痛いのは自分なのに、士郎は遠坂を狙ったことに対して激オコなんですね。
そしてライダーさんキタッーーーーーーー!!!!
ドエロいなあんた!!
そんなライダーさん。もちろん本気ではありませんが、それでも打ち合っちゃう士郎君凄い。
にしてもエロい。とにかくエロい。特に胸がエロい。
遠坂家へお呼ばれした士郎との会話。
魔術師としてはありえない切継の言葉に流石に凛ちゃん怒ります。
そうですねぇ。名門の教えを受けた生粋の魔術師の凛にとって、魔術は隠すべきではない。いつやめてもいい。なんて言葉は見過ごせないでしょうね。
「あなたの父親は魔術師である前に、親であることを選んだのよ」
このセリフは本当に胸にきます。
引きもバッチリでした。
EDの1カット1カットが改めて響いてきますね。
さて来週はついにあの2人が登場。
楽しみです!!来週も期待!!!!!{/netabare}

6話感想
{netabare}アーチャーは聖杯に託す望みがないといいます。
自分は生前に望みを果たしたと…。
アーチャー……あぁ早くあのシーンが見たいなぁ。
凛は明日にでも結界の犯人は動くと言っていましたがあら残念
なんとその日のうちにひょっこり現れちゃいましたw
ワカメ君早漏すぎぃぃ。
土蔵を覗くセイバーが可愛すぎた。
でも待てよ、士郎君セイバーに赤面してばっかなのが引っかかりますね。
モノローグが無いぶん士郎の想いが分かりづらいですが凛の方にそういった感情があるわけで、そこはこれから描写していくんでしょうけど、ううむ文章作品を映像化するのはやはり大変なのですね…頑張れufo!
そしてキャス子&アサ次郎キターー!!
一瞬キャス子の生前っぽい描写がありましたねぇ。
詳しくは原作になるのかアニメでもやるのか分かりませんが、出来ればノー改変でお願いしたいところ、あの過去を知っていることであのシーンで何とも言えない感情になれるのですから。
おいおいアサ次郎かっこよすぎだろ抱いてくれないかな。
来週はあの秘剣が見れるかな?楽しみです。
そしてアーチャーが助けに来て引きですね。
ここまで小さな不満点あるものの素晴らしいクオリティです。
ありがとうufo!!{/netabare}

7話感想
{netabare}開幕からアサシン対セイバー!!
もう本当にアサ次郎かっこよすぎる。5次において白兵戦最強とまで言われる彼の実力ったらもう…抱いてくれねぇかな…。
このアサ次郎、正規のサーヴァントではないんですよね。
キャスターが無理矢理召喚したんですよ。
キャス子さん無茶やりすぎですけど、聖杯戦争においてキャスターは白兵戦最弱なのでこれくらい許してね?
最弱と言ったな?あれは(この境内の中では)嘘だ。
型月世界では詳しいことは省きますが、魔術と魔法は明確な違いがあります。キャス子さんは町の人の生気を集めることで境内限定で魔法みたいなことが出来てしまうわけですね。
しかも詠唱をする必要がないのでそりゃもう大容量の魔術を底なしでバンバン使えます。きゃあ怖い。
でもアーチャーさん強すぎぃ。こいつこれで殺す気ないんだぜ?強がりじゃないんだぜ?
真名開放カラドボルグⅡは相変わらずかっこいいです。
これわざとズラして撃ってるんですよね……。
そしてキター秘剣燕返し!!
全く同時に3回刀を振るうという離れ技。
TSUBAMEを切る為だけに会得したというw
暇を持て余したNOUMIN怖すぎる。
若干原作との展開変更がありましたが、まぁこれはきのこも関ってるし心配してません。
士郎とアーチャーの問答での切継回想はずるいだろう。
「理想を抱いて溺死しろ」いただきました。
ここらへんの、アーチャー何がしたいの感はおいおい分かってきます(そのはず)だから疑問に思ったまま待ちましょう。
そしてここのアーチャー対アサシンは素晴らしいアクションでした。
思わず息を飲みましたねぇ。凄すぎる。
Cパートの士郎可愛すぎる。
あのアーチャーの剣戟に見惚れた士郎の稽古、楽しみです。
個人的に今回は神回でした。
本当毎回毎回30分が一瞬ですぎてしまいます。
来週も楽しみ!!{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8

82.5 6 ufotableアニメランキング6位
Fate/stay night[フェイト/ステイナイト][Unlimited Blade Works] 2ndシーズン(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★★ 4.2 (1514)
9141人が棚に入れました
冬木の地で行われた聖杯戦争から10年……再び、『聖杯』の力を追い求める、七人の魔術師と七人の英霊の争いが始まろうとしていた。代々続く、魔術師の家系に育った遠坂凛もまた、父・遠坂時臣が参加した争いに、身を投じようとしていた。最強の英霊、セイバーの召喚を試みる凛だったが、彼女の眼の前に現れたのは、自らの名も知らぬ英霊だった。

声優・キャラクター
杉山紀彰、植田佳奈、川澄綾子、諏訪部順一、下屋則子、門脇舞以、てらそままさき、神奈延年、田中敦子、三木眞一郎、浅川悠、伊藤美紀、神谷浩史、真殿光昭、中田譲治、小山力也、関智一
ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

見せたいものが分からない

【最終話まで見て を追加】
ゲーム 未プレイ
DEEN版SN 見たけどあんまり覚えてない
DEEN版UBW劇場版 見てない
zero BOX購入
そんな人の前期含めた感想。

【21話まで見て 作り手が見せたいものは何?】
{netabare}面白い面白くない、の2択なら面白くない。
楽しめている楽しめてない、の2択なら楽しめている。

・面白くない
演出や構成に難があり、全体的に
「コレを見せよう!」
って主題がボケてしまっているように感じる。
見せ場を作れていない、というべきか。
見せたいものは
ストーリーなの?
戦闘なの?
士郎と凛のおとぼけカップルぷりなの?
その他なの?
掴めない。
だから、ドキドキやワクワクも無ければ、ゾクッとされられるようなシーンも無い。
覚えてる中で、一度だけゾクッとさせられたシーンは
1期ラストのLiSAの歌うdisillusionが流れたシーン
くらい。
「ここでこの曲がくるかっ!」
と。
でもね、このシーンですら、凛の口パク台詞を、直後に普通に流すとかやって、変にクドいだけの?演出だったんだが。

戦闘シーンもダルい。非常に単調で緩急の幅が浅く、軽い打ち合いをカッキンカッキン、いきなりビームをビュー、とやってるようにしか見れない。
戦闘演出としては古くなってるのかもしれないが、あのマトリックスっぽいzeroの戦闘シーンのほうが緩急の幅が深く、迫力があって良かった。
高速戦闘は別に良いんだが、もうちょいタメが欲しいのだ。
変な喩えだが、ナウシカの巨神兵が、口からビームにょ、ってやるシーン。
ビームを横に薙ぎ払った後、一瞬、間をおいてから大爆発。
この、一瞬、の間が欲しい。

シナリオ的にも、基本線となるセイバールートがあるおかげで、UBWの凛ルートはひねくれ加減が半端ない。もう、誰が誰のマスターでサーヴァントなんだか。
そこにきて「見せ場じゃないの?」と思った凛とセイバーの契約が極アッサリ。
「ここで凛がセイバーと契約しちゃうのかよっ!」
みたいな驚きを感じさせてくれない。

19話から21話も、士郎vsエミヤを2話にまとめて、エミヤがギル様に串刺しにされるシーンで次回、のほうが見やすかったような。

・楽しめている
ここはこうだったのか、って気付きや発見がある。

「zeroの元ネタってコレだったのね」
というのがチョロチョロと。
ランサー自害とか、士郎と英霊エミヤの会話聞いてて
「英雄問答だなぁ」
とか。

後は士郎とセイバーとエミヤの関係性とか。
自らの過去を後悔し打ち消したいと願う英霊エミヤとセイバー。
どんな結末だろうと後悔は絶対にしないと未来を見つめる士郎。
他人の理想を自分の願望に置き換えてる士郎とセイバー。
こんなややこしげな関係を持った中での、固有結界内の士郎と英霊エミヤの会話が楽しい。
「てめーの望みは切嗣の受け売りにしか過ぎねーんだよ。てめー自信の望みじゃねぇ!」
「うっせー、それでも俺は正義の味方になるんだよっ!」
「そんな願いしか抱けない奴は紛い物だ!」
士郎は切嗣の抱いた「正義の味方」。
セイバーは民衆の抱く「王の姿」。
他人の願いを自らの理想に置き換えたコンビ。
傍らで聞いてるセイバーさんの小さな胸にグサグサと突き刺さりまくるこの会話。
zeroで散々
「お前は王じゃない。自身の大望を以って王の何たるやと示せぬお前はただの小娘だ。」
とか罵られたのに、10年後に、自分のマスターの成れの果てから間接的にブスブスと刺される始末。
しかも、そのマスターの育ての親はあの切嗣。
あぁ、セイバーさん、可哀想可愛い。

後3話くらい?
対ギルガメッシュ戦か。
楽しませてくれると、良いんだが・・・{/netabare}

【最終話まで見て 楽しめなかった】
{netabare}原作やってないけど、fate/snのアニメ化って難しいんだろうな、と感じながら。

まず、登場人物。
起伏や葛藤がない。
狂気の実直バカ、士郎が迷ったらfateにならない。
かわりに色々葛藤してくれるセイバーがUBWでは脇役。
凛も魔術師の家系を継ぐものとしての本分があるから迷わない。
他人物も感情の起伏に乏しい。
見ててひたすら平坦。

じゃあ、戦闘シーン。
21話まで感想にも書いたが、非常に単調で緩急の幅が浅く、軽い打ち合いをカッキンカッキン。
いきなりビームをビュー、とやってるようにしか見れない。
最後の決戦でも、一方向しか来ないファンネル攻撃をファンネル攻撃で相殺しながら斬りかかるだけ。
無限の宝物庫から宝具を飛ばしてる感も無ければ、無限の剣製で剣を投げてる感もない。

じゃあ、物語。
君たち、本気で聖杯をとりにいってるの?
「まぁ良い。今回はここで見逃してやる」
なんだそりゃ。
死んだと思ったら、生きてましたー
死んだと思ったら、生きてましたー

じゃあ、他の見せ場。
・・・何がある?
凛とのラブコメ?
慎二のヘタレっぷり?
画や演出?

あのエピローグも、30分1本のアニメとしてやる意味が分からない。
Bパートだけじゃダメだったの?
わざわざあれをやったってことは、全体通して見せたかったのは士郎と凛の関係性なの?
結局何も変わりませんって士郎のブレさな(あんなのは決意とは言わない)なの?

なにか一つでも抜けて良いものや、
これはっ!っていうようなこだわりでもあれば良いんだが、
全てにおいて小さく小さくまとまっちゃった印象。
zero見て期待しちゃった分、大きな肩透かしだったかな。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 13
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もっとラブラブしてほしいと期待して見てしまったのはやらかしだった

{netabare}バーサーカーがギルガメッシュに負けるせいで{/netabare}イリヤの扱いが可哀想だった。辛い。
{netabare}士郎が最終的にギルガメッシュに勝つわけだけど、{/netabare}ギルガメッシュは相手の実力に合わせてしか戦えないのねえ。悲しい定め。{netabare}アーチャーは未来の士郎が英霊になったらしいし、そういった話があったけど、言いたいのはでかくなりすぎだろと。背を分けてほしいと見ながらずっと思ってた。{/netabare}
エピローグで凛と士郎がもっといちゃつくかと期待してたけど、さらっと終わったのが少し残念だった。

OP
Brave Shine Aimer
独特の歌声が良い。
ED
ring your bell Kalafina
Kalafinaのハーモニーを凄く楽しめた一曲。お気に入り。


#13 決別の刻
キャスターによりセイバーを奪われた士郎は、自分の想う正義を信じて再び戦う決意をする。一方、凛は教会で聖杯を探すキャスターに正面から戦いを挑むが、思わぬ展開により窮地に陥ってしまう。

#14 コルキスの王女
セイバーが操られる前に、キャスターを倒すべく作戦を練る士郎と凛。その頃キャスターは、かつて自分を召喚したマスターとの記憶を辿っていた。魔女と蔑まれ、裏切られたキャスターは自ら契約を切り、マスターを殺害することで彼の元を逃れたのだった。

#15 神話の対決
アインツベルン城を訪れた士郎と凛だったが、そこでは既に、バーサーカーとギルガメッシュによる戦いが繰り広げられていた。イリヤを庇いながら戦うバーサーカーは、ギルガメッシュの圧倒的な宝具の前に、劣勢を強いられていく。

#16 冬の日、願いの形
怒りに身を任せ凛の制止を振り切り飛び出した士郎。ギルガメッシュは士郎を殺そうとするが、凛を見てその場を立ち去る。士郎の自己犠牲的な生き方を否定した凛だったが、改めてその想いを聞き受け入れる。

#17 暗剣、牙を剥く
激突するアーチャーとランサー。拮抗する戦いの中、必殺の宝具を放つランサーに、アーチャーは自身の持ちうる最強の盾で応戦する。一方、士郎と凛はキャスターとの決着をつけるべく再び戦いを挑む。埋まらぬ実力差で窮地に陥るが、凛はとある奇策を隠していた。

#18 その縁は始まりに
キャスターが斃れ契約が無効となったアーチャーだったが、再び士郎を殺さんと彼に襲いかかる。アーチャーの真意をはかろうと間に入るセイバーだが、マスターとの契約を結んでいない状態では本来の力を発揮できない。セイバーと士郎の窮地を救おうと、凛は契約の詠唱を紡ぐ……

#19 理想の末路(こたえ)
遂に明かされるアーチャーの正体。英霊は現在と過去、そしてまだ見ぬ未来―あらゆる時代から呼び出される。衛宮士郎は己の理想の果て、その想いを信じ貫き通した答えである「正義の味方」と相対する。

#20 Unlimited Blade Works.
聖杯の器として凛を利用しようとする綺礼と、自らのものとしたい慎二が凛に迫る。一方で、士郎はアーチャーの攻撃に守勢に回っていた。しかし、それでも諦めない士郎は、アーチャーが辿り着いた世界を目の当たりにする。それは彼の魔術師たる所以―一面の荒野に無数の剣が突き刺さった固有結界だった。

#21 answer
絶望を消し去る為に戦うアーチャー。信念を貫く為に戦う士郎。幾度の剣戟を重ねる中、士郎の敵はアーチャーではなく、己自身になっていた。自分よりも他人が大切という事が偽善とわかっていても、それが決して間違いなどではないと信じて―。

#22 冬の日、遠い家路
ギルガメッシュが語った、聖杯戦争の真の目的を知った士郎たちは、今回の祭壇である柳洞寺での戦いに向けて策を練る。ギルガメッシュの宝具がセイバーとは相性が良くないと話す士郎に対し、凛が導き出した対抗手段とは――

#23 顕現
顕現した聖杯のもとへ辿り着いた士郎と凛の前に立ちはだかるギルガメッシュ。時を同じくして、セイバーは、山門で待ち構えていたアサシンと対峙する。七人の魔術師と七人の英霊それぞれの思いを呑み込み、聖杯戦争は終結を迎えようとしていた――

#24 無限の剣製
士郎のことを「偽者」と否定するギルガメッシュ。しかし、自身が「偽者」であることも、想いが「偽善」であることもとうに受け入れていた。理想を張り続ける意志は固まり、その心を形にする言葉を紡ぐ。それは悔恨ではなく、覚悟の詠唱だった―。聖杯を巡る物語がここに決着する。

#25 エピローグ
聖杯戦争は、幕を降ろした。―そして紡がれるエピローグ。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

圧倒的なクオリティ・・・他の追随を許さない作画は終始半端ありませんでした^^

この作品は、Fate/stay night [Unlimited Blade Works]の分割2クールの後半に当たります。
前半を未視聴の方は、そちらかの視聴をお薦めします・・・

前半クールから圧倒的な作画のクオリティで12話が放送されて、この後半の放送を楽しみにしていた方も多いと思います(私もその中の一人です)。

この作品は、伝奇活劇ビジュアルノベルというジャンルに相当するゲームにおける「凛ルート」をアニメ化したものです。この凛ルートは、同じ作品名で2010年にスタジオディーンさんが制作した劇場版が上映されています。前半の1クールは同じルートなので劇場版と被る部分がありましたが、後半に入りお互いが完全に独自の道を歩み始めている・・・といってもおかしくないくらい物語が新鮮だったと思いますし、劇場版より尺がしっかり取れる分だけ一つ一つ丁寧に描かれていたと思います。

前半の1クールで少し気になったのが「凛ルート」なのに、キャストのテロップでは士郎やセイバーの次だった・・・という事です。
これは後半に入っても変わらず、凛が一番上に来ることは無かったと記憶しています。

最初は違和感がありました・・・が、完走して振り返ってみると何となく分かる気がします。
物語の主人公は士郎・・・でも、士郎を客観的に捉えることで士郎の背負ってきた荷物と、彼の願い続けた事に対する顛末が良く見えたのではないでしょうか・・・
彼の傍には凛がいる・・・だから凛ルートとなった、のではないかと勝手に考えています^^;

元々お互いの利害一致の関係から同盟を結んだ士郎と凛・・・
前半クールでは、同盟関係である事を匂わせる言動が凛からいくつか発せられましたが、後半クールに入ると、二人の間にはより強い絆が感じられるようになっています・・・

満身創痍・・・マスターもサーバントもボロボロです・・・
特にマスターとサーバントの関係においては、これまで想像すらできなかった事態が発生します。
これまでの聖杯戦争において、マスターはサーバントの後ろで影を潜めていれば良く、傷付く役目はサーバントに一人しておけば良い・・・などというマスターがゼロではありませんでしたが、この後半クールを視聴すると、例えサーバントがどんなに強くてもそんな甘い考えではあっという間に敗北してしまう・・・という事をまざまざと見せつけられます。

こういった展開からも士郎と凛の関係は成るべくして深くなった・・・と思いますが、その根底には、自分より他人を優先する士郎の正義と、口は悪いけれど根は優しく冷静に物事を判断し、勝負の時期と方法を見誤らない凛・・・お互いのピースが上手く噛み合ったから、なんだと思います。
もちろん、それだけではありません・・・
この作品のシリーズでは耳にする事のなかったような台詞も飛び出します。
個人的には、これまで見たことの無い凛の様々な表情を見る事が出来て大満足でしたけれど^^;

聖杯戦争の価値・・・聖杯に掛ける願いは人それぞれですが、本来願いとはどうあるべきなのか・・・という事を壮大なストーリーから受け取る事ができます。
そして劇場版という限られた尺では放送しきれなかった部分がしっかり深掘りされていて、物語の内容を含め十分堪能させて貰った作品となりました。
壮大なストーリーを下支えする作画やSE・・・作画に関しては繰り返しになりますが、全でのクオリティが高い作品・・・と言っても過言では無いと思いました。

オープニングテーマは、Aimerさんの「Brave Shine」
エンディングテーマは、Kalafinaさんの「ring your bell」
エンディングは前半に続きKalafinaさん…抜群の安定があります。
個人的には、オープニングの「Brave Shine」が印象に残りました。

分割2クールの後半は全13話でしたが、各話とも見応え十分な納得の仕上がりだったと思います。
後半…特にラストの方は士郎が羨ましく思えるほど凛は魅力的でした^^
この作品のシリーズで、「桜ルート」の劇場版が今後上映されるとの事です。
この作品とどのような関係になるのか、色々と楽しみです^^

投稿 : 2024/09/07
♥ : 33

94.6 7 ufotableアニメランキング7位
鬼滅の刃(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1671)
6967人が棚に入れました
血風剣戟冒険譚、開幕。舞台は、大正日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変した。 唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子を元に戻す為、また家族を殺した鬼を討つ為、2人は旅立つ。鬼才が贈る、血風剣戟冒険譚!

声優・キャラクター
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、櫻井孝宏、大塚芳忠、梶裕貴、加隈亜衣、岡本信彦、森川智之、悠木碧、井澤詩織、浪川大輔、山崎たくみ、緑川光、子安武人、坂本真綾、山下大輝、早見沙織、千葉繁、上田麗奈、日野聡、小西克幸、花澤香菜、河西健吾、杉田智和、鈴村健一、関智一、関俊彦、木村良平、福山潤、小松未可子、諏訪部順一、内山昂輝、小清水亜美、森久保祥太郎、白石涼子、稲田徹

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

流行にのってみた

流行にのって視聴。見終えてだいぶ時間が経過して今更のレビュー。

鬼に家族を殺され、妹を鬼にされた竈門炭治郎が妹を人間に戻して敵討ちをするために奮闘する物語。

設定は割とシンプルで見やすいとは思う。
話の分かりやすさと日常的に使いやすい全集中とか~柱(そんなに使いやすくもない?)とかも人気が出た要因の一つかなと思った。
あとはみんな大好き必殺技というか技の名前。
少年マンガにつきものの主人公の成長もあって、やっぱり成長見るの好き。

素直に面白いと思った。流行しただけはあるのでは?
見ていた人多かったから、初対面の人と話すときの話題に困ったときにもしかしたら使えるかもしれない。

何も考えずにボーっと見るのにも良い。

キャラクター達も個性的な設定にしてある。
上半身裸で猪の顔を被った伊之助なんか衝撃的。ご本人の顔とのギャップ。


OP
紅蓮華 LiSA
ED
from the edge FictionJunction feat. LiSA
挿入歌
竈門炭治郎のうた 椎名豪 featuring 中川奈美
紅蓮華やっぱし良いですね。紅白に出るだけのことはある。ずっと聴いていたい。そして、EDの溢れる梶浦由記感。
竈門炭治郎のうたも注目すべき楽曲のようだ。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の襧豆子は鬼に変貌してしまった。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる--!

1. 第一話 残酷
時は大正。竈門炭治郎は、家族とともに山でつつましくも幸せな日々をおくっていた。ある日、町で炭を売りに出かけた炭治郎が山に戻ると、家族は鬼に襲われ血だまりの中で絶命していた。唯一、一命をとりとめていた妹・襧豆子を救うべく、降りしきる雪の中背中に背負い必死に雪山を下りる炭治郎。その途中、襧豆子は突然唸り声を上げ、炭治郎に襲いかかる。

2. 第二話 育手・鱗滝左近次
炭治郎は冨岡義勇の導きにより、鬼になってしまった妹・禰豆子とともに狭霧山を目指す。夜の道中、炭治郎はお堂から血の匂いを嗅ぎつける。誰かが怪我をしているのかもしれないと駆け寄ると、なんとそこにいたのは、人を喰らう鬼。突如、鬼に襲われた炭治郎は、斧でなんとか応戦するが、鬼の圧倒的な力に、たちまち鬼に組み伏せられてしまう。鬼がとどめを刺そうとしたとき、助けに入ったのは--。

3. 第三話 錆兎と真菰
鬼殺隊--古より存在し、鬼を狩る組織。入隊のための試験「最終選別」に向けて、鱗滝左近次による炭治郎の訓練が始まった。様々な罠が張り巡らされた山下り、刀の素振り、滝修行、そして呼吸法……。狭霧山に来て一年、鱗滝は「もう教えることはない」と炭治郎へ言い放ち、巨大な岩の前で、最終選別へ行くための条件を突きつける-。

4. 第四話 最終選別
最終選別の合格条件は、鬼殺の剣士が捕らえた鬼たちが閉じ込められている藤襲山で七日間生き延びるということ。若き剣士と鬼の生き残りをかけた戦いが始まる。炭治郎は、鱗滝左近次のもとで身につけた呼吸法と型で着実に鬼を斬っていく。二年にわたる鍛錬は無駄ではなかった。しかし、そんな炭治郎の前に、藤襲山にはいるはずのない異形の鬼が現れる-。

5. 第五話 己の鋼
朝日が昇り、七日間の戦いの果てに生き残った剣士たちはたったの四名だった。生き抜いた炭治郎たちを出迎えた案内役からは、鬼殺隊についての説明が行われる。それぞれに鬼殺隊の隊服、伝令役となる鎹鴉が支給され、最後に、自身の日輪刀を造る玉鋼を選んだ。そして、鱗滝の家へと帰宅した炭治郎を待っていたのは-。

6. 第六話 鬼を連れた剣士
鬼殺隊の隊服に身を包んだ炭治郎。腰に日輪刀を携え、禰豆子が入った鱗滝特製の木箱を背負い、鬼殺隊の初任務として毎夜少女が失踪しているという北西の町に向かう。そこで炭治郎は、恋人をさらわれ、憔悴しきっている和巳と出会う。たしかに、近くに鬼の匂いを感じるが、鬼の姿はどこにも見えない。不穏な事件に鬼の影を疑う炭治郎は-。

7. 第七話 鬼舞辻無慘
三人に分裂した鬼が炭治郎を追い詰める。そのとき禰豆子が鬼に襲い掛かった。鬼になってしまった妹は守らなければいけないほど弱い存在ではない--。意を決した炭治郎は、分裂した鬼のひとりを追い、地面に広がる沼へ飛び込む。沼の中で待ち受けていたものは。

8. 第八話 幻惑の血の香り
次なる任務の舞台は東京・浅草の町。大正の華やかな都会の街並みに戸惑う炭治郎だったが、そこで鬼の匂いを嗅ぎつける。匂いを追った先で出逢ったのは鬼舞辻無惨だった。鬼舞辻を斬ろうとする炭治郎。だが、鬼舞辻は行きかう人間を鬼に変え、町を混乱に陥れる。必死に事態を収拾しようとする炭治郎の前に、 とある人物が姿を現す-。

9. 第九話 手毬鬼と矢印鬼
炭治郎を助けた者は、珠世と愈史郎という鬼だった。珠世は炭治郎たちを、”目隠し”の術を施した屋敷へといざなう。そこで炭治郎は、珠世との会話から、鬼を人に戻す方法についての活路を見出すのだった。そのとき--炭治郎を追うふたりの鬼が屋敷の場所をつきとめ、猛烈な攻撃を繰り出す-。

10. 第十話 ずっと一緒にいる
炭治郎の苦境は続く。矢琶羽が最期に繰り出した血鬼術”紅潔の矢”を、炭治郎は水の呼吸の型を駆使し、なんとかしのいでいた。一方で禰豆子と朱紗丸の戦いは続いており、状況を危惧した珠世は、自身の血鬼術を使い-。

11. 第十一話 鼓の屋敷
鎹鴉から告げられた次なる鬼退治の地は南南東--。その途上で炭治郎は、最終選別で生き残った同期の剣士・我妻善逸と出会う。炭治郎は、善逸の消極的な態度に手を焼きつつも山の奥地へ向かうと、屋敷の前で兄を連れ去られたふたりの子どもたちに出会う。そこで、善逸はどこからか鳴り響く鼓の音を聴くのだった……。

12. 第十二話 猪は牙を剥き 善逸は眠る
鼓を打つ度に、部屋が回転する不思議な屋敷の中で、炭治郎は善逸と離ればなれになってしまう。炭治郎と別れてしまった善逸は正一を連れ、恐怖に絶望していた。その頃、炭治郎は、屋敷の主である鼓を打つ鬼と、猪の頭をかぶった奇妙な姿の男に出会う。

13. 第十三話 命より大事なもの
屋敷の主・響凱が鼓を打つたびに部屋が回転し、炭治郎は苦戦を強いられる。前の戦いで骨折している炭治郎は弱気になる自身を鼓舞して、必死に立ち向かう。響凱が使う血鬼術による攻撃にも圧倒される炭治郎。果たして、無事に響凱の頸を討ち取ることができるのかー。

14. 第十四話 藤の花の家紋の家
死闘の末、響凱との戦いに勝った炭治郎。屋敷の外へ出ると、先に脱出していた善逸と出会う。だが、禰豆子の入った木箱を抱えボロボロになった善逸、そして二刃の日輪刀を抜いた猪頭を被った男が立ちはだかる異様な状況を目の前にする-。

15. 第十五話 那田蜘蛛山
次なる目的地は北北東。炭治郎と禰豆子は、善逸や伊之助とともに那田蜘蛛山へ向かう。その山は蜘蛛の巣が張りめぐらされ、無数の蜘蛛が蠢く山だった--。怯える善逸を残し、山に入った炭治郎と伊之助は、蜘蛛の糸に絡み取られた鬼殺隊員に遭遇する。

16. 第十六話 自分ではない誰かを前へ
蜘蛛の糸に囚われた鬼殺隊員と戦う炭治郎と伊之助。糸を斬り、蜘蛛の巣を破り、ふたりは山の奥へ。森を進むにつれ、蜘蛛の糸がだんだん太くなり、操られている者たちも人間には不可能な動きをしはじめる。操られた隊士たちを、傷つけずに動きを止める方法も困難になる中、炭治郎がとった行動とは--。

17. 第十七話 ひとつのことを極め抜け
ここには鬼舞辻無惨直属の配下・十二鬼月がいる--。那田蜘蛛山の母鬼を倒した炭治郎は、妹の禰豆子を人間に戻す手掛かりになる鬼が、この森にいることを知る。傷だらけの伊之助とともに、ふたりはさらに森の奥へ。一方、ひとり寂しく森を進む善逸の前に、人面蜘蛛が現れる。

18. 第十八話 偽物の絆
那田蜘蛛山の父鬼と対峙する炭治郎と伊之助。応戦する炭治郎だったが、父鬼の怪力に吹き飛ばされてしまう。川の近くに落下した炭治郎は、姉鬼を痛めつける鬼の少年・累と出会う。恐怖と憎悪で結ばれた関係を「家族の絆」と呼ぶ累に、炭治郎は激怒する。累と炭治郎の戦いが始まる。

19. 第十九話 ヒノカミ
鬼殺隊最強の剣士である柱が那田蜘蛛山に到着した。父鬼を一太刀で切り伏せる水柱・冨岡義勇。 その太刀筋を見た伊之助は己との格の違いに興奮し、戦いを申し込む。一方、全身に毒が回り、瀕死に陥っていた善逸の前にも、蟲柱・胡蝶しのぶの姿が--。

20. 第二十話 寄せ集めの家族
累より放たれた血鬼術により死を覚悟した炭治郎。走馬燈の中で亡き父が舞っていた神楽を思い出し、水の呼吸とは異なる新たな技を放つ。”ヒノカミ神楽・円舞”--、相打ち覚悟で繰り出したその技で、ついに累の頸を斬り落とす。満身創痍の中、傷つき倒れる禰豆子のもとに向かおうとする炭治郎の前に現れたのは--。

21. 第二十一話 隊律違反
倒れながらも禰豆子を庇おうとする炭治郎を見て、累の中で過去の記憶がよみがえる。かつて病弱だった彼は、鬼舞辻無惨に出会い、血を分けてもらうことで鬼になった。だが、鬼になった自分を、父と母は殺そうとする。そのときから彼は家族を探し続けてきた。どうしても手に入らない絆を求めて--。

22. 第二十二話 お館様
戦いを終えた炭治郎は、禰豆子とともに鬼殺隊本部へ連行される。そこでは鬼殺隊の当主・産屋敷と最強の剣士・柱たちによる「柱合会議」が行われることになっていた。鬼を庇うという鬼殺隊にあるまじき隊律違反をした炭治郎を、柱たちは糾弾する。そして風柱・不死川実弥は、禰豆子に刀を向けた--。

23. 第二十三話 柱合会議
鬼殺隊の当主・産屋敷が、ついに炭治郎の前に現れた。彼は、炭治郎と禰豆子の入隊を容認するという。だが、柱たちはその判断をすぐには飲み込めなかった。風柱の不死川実弥は自らの腕を傷つけ、禰豆子の前に血を晒して、鬼の本性を引き出そうとする。

24. 第二十四話 機能回復訓練
傷ついた炭治郎と善逸、伊之助は蟲柱・胡蝶しのぶの屋敷で治療を受けることになった。二週間後--炭治郎と伊之助は機能回復訓練を始める。だが、その訓練は過酷であり、炭治郎たちの心はへし折られてしまう。その厳しさも知らず、遅れて訓練に参加した善逸は、女の子を前にしてひと際やる気を見せるが--。

25. 第二十五話 継子・栗花落カナヲ
蝶屋敷で機能回復訓練中の炭治郎は、全集中の呼吸を一日中続けられるように修行に励む。最初は全く敵わなかった同期の剣士・カナヲとの訓練も少しずつ効果を上げるようになってきた。毎日修行を休まぬ炭治郎を見て、善逸と伊之助も訓練に復帰するが…

26. 第二十六話 新たなる任務
炭治郎たちが機能回復訓練に勤しむその裏で、鬼の絶対的支配者・鬼舞辻無惨により、十二鬼月の下弦が集められ、鬼側もあらたに動き出そうとしていた。訓練も終盤をむかえ、カナヲとの訓練も互角の勝負ができるようにまで成長した炭治郎のもとに、鎹鴉より新たな任務が伝えられるのだった。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 20
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ヒット作を語らう時の心の姿勢

2020.04.12 追記

思うところがあっての大幅加筆。
視聴後に書いた作品レビューは後段に残しときます。
 ※ごく一部のアニヲタ批判も含んでるので気分害されちゃったらごめんね


作品の良し悪しについて各々語るのがレビューサイトの目的の一つですが、この作品は久々に普段アニメを観ない層を巻き込んで社会現象を起こしたということもあって、その観点で一言申し上げたく候。基本雑談です。


{netabare}とあるコーヒー屋にて見かけた風景。
「こんないいものなのになかなか理解されない」

自身が愛好しているものを理解してほしい。誤解を解きたい。なんなら広めたい。趣味人なら自然と沸き上がりそうな感覚です。少なくとも目の前で熱弁をふるってるこの人はそんなタイプの人。そしてその対象はアニメでした。
一緒にいる相手はそれほど興味のない層。よくありそうなシチュエーションです。
時は2016年。大ヒット中の映画『君の名は。』を映画館に出向き鑑賞し感動したと伝える非ヲタさん。話を合わせただけかもしれませんが、そんな会話のきっかけを全力で折りにいくアニヲタさんがいました。曰く、

「あーあれ話の辻褄全然合ってないんだよね」
「話が頭に入ってこないから全く泣けなかったわー」
「それよりも新海監督の前作がなんちゃらかんちゃら…」
「それよりも同時期の『聾の○』『この世界の何某に』のほうが凄かったけどね」
等々

前段でなかなか理解されないというやりとりを耳にしてたからなおさらかもしれません。

 「そりゃあんた理解しろというのが無理だわ」

単に巻き込みに失敗しただけでなく、むしろ遠ざける逆の効果を発揮するコミュニケーションでした。あほらし…
別にあにこれで同種のレビューを投稿するのは一向にかまわないと思います。同じヲタ同士で一定の土台を共有してますし、節度を保って思うところぶちまけてもらったほうがよいしそういう場です。
そのため「『君の名は。』つまんねーのにそう言っちゃだめなのかよ!」とか「思ってもいないこと(面白くないのに面白いと)言うほうが不誠実だと思うが?」という話では全くないので悪しからず。

せっかく興味のなかった人が興味を示してくれたのに。当のヲタさんだって仲間になりたそうにこちらを見ているのに。…全力でへし折りにいってませんか?です。

 「どこらへん面白かったの?」
 「アニメってどんなの想像してた?」

せめてこれくらいのワンクッション置いてから持論を展開してほしかったところ。
非ヲタさんはアニメを観にいちいち映画館に足を運ぶなんて滅多にないでしょうに。ここらへんの想像力がこのコーヒー屋で出会ったアニヲタさんには決定的に欠けてます。
もうなんというかオタクどうこうよりも単なるコミュニケーション下手かどうかの話のような気もしますが、やらかしがちなので自戒も含めて気を付けましょう。


というわけで何を言いたいかはもうお分かりですね。
4年ぶりに似たような局面がきてるわけですよ。クリスマスや誕生日のプレゼントに単行本をせがまれてみたり、芸能人がファンであることを公言して、なかには椿鬼奴さんみたいに番組内でネタにしてたりもする。LiSAさんが紅白に出場してたりもしましたね。

とはいっても、制作会社「ufotable」。声優「花江夏樹」「鬼頭明里」。一般人はまず知らない単語です。紅白出場したからといってアーティスト「LiSA」さん知らない人だって多いでしょう。今回で興味を持って動画を漁ったとしても客席サイリウムが乱舞してる光景を見たらそっ閉じしたくなるのが人情です。
余計なお世話でしょうが、同好の士を増やしたい私としましては非ヲタさんとのやりとりは「お手柔らかに」と願うところであります。

『鬼滅の刃』気に入ったのならこんなのもあるよ(^^)
そんな展開を夢見て以下、


■映像凄かったっす

作画に触れて制作会社「ufotable」を話の枕に『fate』『空の境界』をご紹介。劇伴も同じ梶浦由記さんだったりします。


■声優さん繋がりも

ベテラン・若手・中堅問わず実力のあるCVさんが多く起用されていた本作です。要は年間通して登板回数の多い人たち。
竈門家だけでも父:三木眞一郎、母:桑島法子、子供たち:大地葉、本渡楓、古賀葵、小原好美とかいう水準です。

 「その○○役やってた人だったら、今ちょうど△△ってアニメに出ているよ」

リアタイものだと「じゃあ明後日チェックしてみよう」と敷居が下がったりするものです。

それに各々代表作を持ってそうですから、そちらへの誘導もありですね。
花江夏樹さんなら『四月は君の嘘』。早見沙織さんなら『あのはな』。あたりは非ヲタ向け鉄板でしょう。「いやそれより『俺ガイル』が鉄板だ!」そのへんはどうぞご自由に(笑)

我妻善逸(CV下野紘)からの『ACCA』ジーン・オータス役。
嘴平伊之助(CV松岡禎丞)からの『SAO』キリト役。
本作での役どころとは違う顔を見せている作品も驚きがあっていいですよね。


自分もそうでしたが、声優さん、制作会社、劇伴担当、キャラデザインあたりの繋がりから広がっていったと思います。

まあそんな感じの世迷い言です。お付き合いいただきありがとうございました。
ちなみに私はこの作品を手放しで褒めておりません。{/netabare}




↓以前投稿した作品についての感想
--------------------------------------------------------------
2019.10.04記
旧件名:良いほうの『少年JUMP』

{netabare}
艶やかな街の灯り
静謐な山間の雪景色

とにかく綺麗な作品です。
色使いが独特といいますか鮮やかな色の組み合わせが印象に残ります。
主人公炭治郎の羽織(緑と黒)はサムネでも確認できる組み合わせ。

その一方で、毎話冒頭サブタイトルコールの墨色を用いた水彩風の演出にも味わいがある。全体の色味が和風なんですよね。

そしてこれがぐねぐね動くのを目の当たりにすることになります。
バトルシーン。抜刀時の緊張感。連続した体動作の流麗な運び。対立する“鬼対人”の果てなき抗争の物語のためバトルシーンは多くあり、手を替え品を替えての演出に都度唸ることでしょう。


制作会社『ufotable』は、『劇場版 空の境界』でアニメビギナーだった私の心が鷲掴みにされたこともあって、本作『鬼滅の刃』は事前から楽しみにしていた作品でした。

『空の境界』は、和装のヒロインの殺陣がとにかく流れるようだったのとそれを活かすコマ割りで、これまでバトルを“迫力”という概念でしか見れてなかった自分に”美しさ”というものを教えてくれた忘れられない作品です。



さて『鬼滅の刃』に戻ります。
冒頭作画に触れたのは、この一点だけでも「買い」だと思ったから。なお原作は未読です。
週刊少年ジャンプは『ONE PIECE』が連載される前に卒業した私ですが、いかにもジャンプらしい作品と言えるのではないでしょうか。たしか

 “ 努力 友情 勝利 ”

でしたっけ?
その王道を行くかのような竈門炭治郎(CV花江夏樹)が主役の物語。鬼に親兄弟を惨殺され唯一生き残った妹も鬼と化してしまう。その妹竈門禰豆子(CV鬼頭明里)を人間に戻す手段を探るべく、人外なる鬼を討伐する組織へと身を投じていく流れとなってます。

良いですね。
炭治郎が素直で努力家で妹思いで諦めない強い意志を感じさせるいい奴なんです。私としてはこの主人公と冒頭述べた作画の2点推しです。
・・・以上なんですけど一応5項目整理しておきます。


▼物語

あらすじ読むと暗そうな話ですが、実際展開されたのはシビアな場面とギャグパートとのほどよい緩急。すっと肩の力を抜けるポイントが用意されてそこそこ笑えます。
それにインフレし過ぎない敵キャラ。鬼舞辻無惨(CV 関俊彦)を最終目標と定めてのブレない展開も好感。
炭治郎の鍛錬シーンに尺を取り強くなっていく過程を丁寧に描いたことは戦闘の重みや背負うものの大きさなどに説得力を持たせる効果がありました。また、鬼を一方的な悪として描かないこともお家芸とはいえ好きな設定。


▼声優

弱っちいけど芯のある人物を演じるには花江さんの選択は良かったかと。2018年初頭『グランクレスト戦記』『ラーメン大好き小泉さん』でその名を認知したのち、視聴作品が被ってなかった鬼頭明里さんのフルボイスを久々聞けたのは個人的に◎。
敵方の “ 十二鬼月 ” そして鬼殺隊エリートの “ 柱 ” 両陣営にも豪華声優陣を配置。 一部しか登場してないので今後の発展性の面でも楽しみが残ります。

{netabare}禰豆子を人間に戻すためのキーマン珠世を坂本真綾さんが演じられているのも耳に心地よい。もっと珠世を出しておくれ!{/netabare}


▼キャラ

我妻善逸(CV下野紘) 嘴平伊之助(CV 松岡禎丞)の位置づけが絶妙でした。
濃いっすね。途中からお笑い担当みたいになってましたが…
{netabare}協力プレイで敵を撃破!という印象がないのです。
意図したものなのか、兄と妹の絆に焦点あてていて友情プレイは控えめでした。今後の伸びしろを感じるところです。{/netabare}


▼作画

既述。
追加で、室内戦闘の描写もすさまじかったですね。
{netabare}ジャミロクワイの名曲『Virtual Insanity』のPVイメージで、そこの灯りを暗くして動きをめちゃくちゃ激しくしたような響凱(CV諏訪部順一)との戦闘も目を奪われました。鼓を打つ鬼とのバトルですね。{/netabare}


▼音楽

安定の梶浦案件。
地味に評価したいのが2クールの前後半通してOPEDが変更されなかったことでしょうか。昨今のお作法からみても異例な気もしますが不自然さは感じません。
{netabare}後半で曲を一新して、最終話クライマックスで前半OPどーん!演出って分かっていてもアガるんです。でもそれをしない勇気といいますか、作品の一貫性考えると変えないほうがいい気がします。{/netabare}




整理してみると、個別項目でのマイナスはあまりなかったです。
続きは劇場版でということでしょうが、まだ開けてない引き出しも豊富なので不安はないでしょう。

ただし、2クール後半でやたらキャラ増やしてお披露目パートみたいになってたのをどう見るか?
ちょっとイマイチでした。単に私が消化しきれなかっただけで、これも続きありきということなら仕方のないことなのかもしれません。

それに少年漫画らしいシンプルな面白さを追求した感があって、エンタメとして申し分ないわけですが、天井をぶち抜くような破壊力まではありませんでした。あくまで感覚的なものです。

きっと作画表現に度肝を抜かれたこともあって同等かそれ以上のレベル感で「深み(絶望)のある物語」を期待してしまったのではないかと思われます。


いや充分面白いんですよ。今期(2019年9月終了もの)TOP3に入るのは間違いありません。全方位でおすすめです。{/netabare}



視聴時期:2019年4月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.10.04 初稿
2020.04.12 追記
2021.08.11 修正

投稿 : 2024/09/07
♥ : 105
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

♪強くなれる理由を知った♪~観終わった後の充実感ヤバです!

あらすじはあにこれを参照ください。

放送時間:2019年4月~

◎物語
冒頭から救いのない展開です

大正時代を舞台に家族を鬼に殺され 
唯一の生き残りの妹(禰豆子)も鬼にされ絶望の"炭治郎"が
"冨岡義勇"という剣士に出会い 物語は始まります。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇鬼殺隊入隊 1話~5話{netabare}
家族が殺され途方に暮れている"炭治郎"に対して"富岡義勇"が放つ一言

”生殺与奪の権を他人に握らせるな!

みじめったらしく蹲るのはやめろ 
そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!

奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す?
仇を見つける?笑止千万!!

弱者には何の権利も選択肢もない 
ことごとく力で強者にねじ伏せられるのみ”

厳しいですが真っ直ぐな正論 しかし心の中では

”泣くな 絶望するな そんなのは今することじゃない

怒れ! 許せないという強く純粋な怒りは
手足を動かすための、揺るぎない原動力になる

脆弱な覚悟では 妹を守ることも治すことも
家族の仇を討つことも、出来ない!”

厳しいけど心に沁みるセリフです○o。. 

彼の人柄が見えると同時に 
厳しい世界観を考えさせられる場面でした。 

そして”判断がおそい”
厳しさの中に優しさや思いやりがある
"鱗滝さん"のもとで修業が始まるのですが渋くて格好良いです。

選別試験で現れた手鬼
"錆兎"と"真菰"たちを殺した憎い鬼も最初は人だったんですよね
少し複雑な思いです。

”よく生きて戻った”
"鱗滝さん"が二人を抱きしめるシーンは胸が熱くなりました。
{/netabare}
☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆☆.。.:*・゚☆

〇鬼舞辻との邂逅 6話~10話{netabare}
”鬼舞辻無惨”の近い鬼から血を採取する!
医者の”珠世さんと”珠世さんラブが深すぎる"愈史郎"の登場で
”禰豆子”を治す方向性が明確になります。

最初に現れたのは 
16歳以上の女は醜いと食べてしまうアホな”沼鬼” 
しかも3体に分身するし歯ぎしりがすごい耳障りでウザ過ぎでした。

さっさと処理して次の目的地東京浅草へ 
薄々感じていましたが
やはり世間では鬼は認知されていなかったんですね

平和な日常を守るため 鬼を狩る鬼殺隊 まるで歴史の闇のようです

そして本来は蹴鞠が好きな小さい子供だったのに
呪いで死んだ"朱紗丸" 残酷だなって思うと同時に 

その人の意思関係なく勝手に鬼にして
蜜をやり操っていると思っていたら
都合が悪くなると殺してしまう ”鬼舞辻”ヤバすぎ許せないよ!

最後に"珠世さん"と"愈史郎"を人と思い守った”禰豆子”に
涙する"珠世さん"に思わず感動 心に響きました。{/netabare}

☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆☆.。.:*・゚☆

〇仲間との出会い 11話~14話{netabare}
同じ鬼殺隊の”我妻善逸”と”嘴平伊之助”との出会い
そして元十二鬼月の”響凱”との戦いを描いています。

頼りなくて剣士らしくない”善逸”と
猪突猛進でナイスにデレるチョロ男子”伊之助”

10話まで結構シリアスだったからお笑い回かなって思っていたら
良い意味で裏切られました。

”善逸”の気を失ってからの本気! 度肝を抜かれました。
( 剣士らしくないとかいってごめんなさい )

そして骨折してる”炭治郎”が心の中で
”折れてる”炭治郎”もすごいんだというのを見せてやる!”
根性は凄いと認めますが 最近心の声が多くなってませんか?

14話 お笑い回ですね 和みました○o。.。{/netabare}

☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆☆.。.:*・゚☆

那多蜘蛛山に住む鬼の一家の討伐 15話~21話{netabare}
"炭治郎"と"善逸"そして"伊之助"が向かった先には十二鬼月がいた。
鬼殺隊の柱 "冨岡義勇"と"胡蝶しのぶ"も交えての乱戦が始まる。

そしてついに”累”と対峙する"炭治郎"と”禰豆子”
爆血からヒノカミ神楽への流れの場面から挿入歌エンディングの流れ
すごい!すごい!すごい! ここ何度も観返しました○o。.

その後"冨岡義勇"の凪 
ヒノカミ神楽が動とすればこちらは靜のようです 

美しい!と同時に美味しいところ全部持っていきましたね
嫌でも好感度上がるやつじゃん!

もう一人の柱”しのぶ”登場
黒目大きくて口調も軽やかで可愛いのに
”正しく罰を受けて生まれ変わるのです”
聖女の様な会話がいつのまにか気付けば他人を煽っている
やっぱり柱 一筋縄じゃないようです○o。.。{/netabare}

☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆☆.。.:*・゚☆

〇柱合裁判 22話~23話{netabare}
"冨岡”や”しのぶ”を観ていて何となく感じてました
彼等人の話あんまり聞かないですよね・・・

期待したほかの柱も自由過ぎでしょ
この中だと”富岡”や”しのぶ”がまともに見えるから不思議
{/netabare}

☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆☆.。.:*・゚☆

〇蝶屋敷の機能回復訓練 23話~26話{netabare}
弱くてゴメンね あの元気な"伊之助"が弱って
女子との訓練にこわれる"善逸"(平常運転?)

選別試験以来同期の”カナヲ”や”玄弥”との再会 

"胡蝶しのぶ"と”カナヲ”の過去 
過去を知るまでは何か達観してるような感じにみえた
"胡蝶"と”カナヲ”でしたが 今は180度考え変わりました

最初嫌な奴かなって思わせて 実は・・・
鬼滅の刃ってこのパターン多くないですか?
毎回騙されてる気がする○o。.。
{/netabare}

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇キャラ
暗い内容に主人公たちの重い過去
それでも暗くならないのは個性的な彼らのおかげでしょう

幼いのになぜかお父さん目線の炭治郎や
女子大好きな善逸 そして単純な伊之助

そして普段のふわふわしてる態度からは想像できない戦いの顔
このギャップにやられます♪

◎作画
時代背景は大正時代
人物が太く描かれていてかつ背景が落ち着いた配色
凄く丁寧で特に自然現象の表現は綺麗って感じる作画です。

あと この作品で一番好きなのは
夜の闇の背景に華やかで色彩豊かな戦闘シーン!
まるで夜空に浮かぶ花火の様な迫力がある描写はとても優雅です♪

これまでもこういう関係の評価の高かった制作会社ufo
今作は表現に加えて人物の表情が豊かになって凄いと感じました。

〇音楽
OP曲 紅蓮華
ED曲 from the edge 共に歌うのはLiSA安定してますよね
”強くなれる 理由を知った”思わず口ずさみたくなるフレーズです。
{netabare}
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
強くなれる理由を知った 僕を連れて進め

泥だらけの走馬灯に酔う こわばる心
震える手は掴みたいものがある それだけさ
夜の匂いに空睨んでも
変わっていけるのは自分自身だけ それだけさ

強くなれる理由を知った 僕を連れて進め

どうしたって!
消せない夢も 止まれない今も
誰かのために強くなれるなら
ありがとう 悲しみよ
世界に打ちのめされて負ける意味を知った
紅蓮の華よ咲き誇れ! 運命を照らして

イナビカリの雑音が耳を刺す 戸惑う心
優しいだけじゃ守れないものがある? わかってるけど
水面下で絡まる善悪 透けて見える偽善に天罰
逸材の花より 挑み続け咲いた一輪が美しい

乱暴に敷き詰められた トゲだらけの道も
本気の僕だけに現れるから 乗り越えてみせるよ
簡単に片付けられた 守れなかった夢も
紅蓮の心臓に根を生やし この血に宿ってる

人知れず儚い 散りゆく結末
無情に破れた 悲鳴の風吹く
誰かの笑う影 誰かの泣き声
誰もが幸せを願ってる

どうしたって!
消せない夢も 止まれない今も
誰かのために強くなれるなら
ありがとう 悲しみよ
世界に打ちのめされて負ける意味を知った
紅蓮の華よ咲き誇れ! 運命を照らして
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
{/netabare}
挿入歌は中川奈美が歌う”竈門炭治郎のうた”
思わず鳥肌立ちました 何度も見直す場面です。
しかし題名のインパクト凄いですよね 何歌ってるか気になりますよね
{netabare}
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
我に課す 一択を
運命と覚悟する
泥を舐め 足掻いても
目に見えぬ細い糸

泣きたくなるような優しい音
どんなに悔しくても
前へ 前へ 向かえ
絶望を断ち

傷ついても 傷ついても
立ち上がるしかない
どんなに打ちのめされても
守るものがある
守るものがある
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
{/netabare}
映像ばかりに気を取られていたのですが
うん 結構男の子らしい歌詞なんですね○o。.。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇観終わって
”禰豆子”を元に戻すために鬼殺隊に入隊し鬼と戦う!
物語の目的しては非常にシンプルで◎

そして鬼との戦いも頭脳戦とか基本無く
力と技のせめぎ合いでこちらもシンプルでわたしは嬉しい。

映像も綺麗ですし流れるような表現の数々には思わず見入ちゃいました
その中でも お勧めしたいのは鬼との戦闘シーン○o。.

鬼殺隊の武器の刀を使った
様々な”呼吸法”による技の表現はまばたき忘れるくらい綺麗!

激しくて荒々しいのもあれば 華やかな中に清々しさがあったりして
背景の黒(鬼は夜しか活動しないので)に広がる鮮やかな色彩は最高!

そして戦闘シーンと日常風景のギャップ

戦いで鬼と対峙して必死に戦ってる彼らも
なんだかんだ言ってもまだ少年 
彼らの会話の掛け合いとても和みます○o。.

まだまだ書きたいことはありますが

映像以外でも声や音などアニメの特色を生かした演出
これらを上手に化学反応させたすばらしい作品だと感じます
どんな変化なのかはその目でお確かめください♪○o。.

原作がマンガで斬新さはあまり無いですが 
それよりも非常に丁寧な作りで観終わった後のこの充実感ヤバです!


そして続きは劇場版 今から楽しみに待っています♪

以上 最後までお読み下さりありがとうございます。












  











 





 






 



 

投稿 : 2024/09/07
♥ : 34

76.6 8 ufotableアニメランキング8位
空の境界 第一章 俯瞰風景[フカンフウケイ](アニメ映画)

2007年12月1日
★★★★★ 4.1 (1104)
6349人が棚に入れました
落下する少女の夢、俯瞰を断つ直死の眼 連続する少女たちの飛び降り自殺。現場はすべて、かつては街のシンボルタワー、今では廃墟と化した巫条ビル。屋上には浮遊する「霧絵」がいた…。\nそして事件が5件を数えた頃、万物の生の綻びと死線を視る能力「直死の魔眼」を持つ両儀式が謎に挑む。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、田中理恵
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界の序章 空の境界の作風を実感! 俯瞰の視界、浮遊と飛行とは・・・

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第一章「俯瞰風景」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。

劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第一章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち4番目にあたる作品だ。本作の視聴だけでは、物語の全体像はおろか基本設定すら見えてこない。なぜならこの第一章は、奈須作品を視聴する視聴者の「ふるい」としての機能を有しているからである。その為、独特の世界観・台詞回し・時間軸を十二分に表現した作品に仕上がっている。よって一章を視聴して視聴を断念する方もいることだろう。しかし、私は五章の矛盾螺旋が一番好きなので、一章で断念されるのは残念。
副題のThanatosについて、Thanatoは精神医学用語で死亡恐怖症という意味。

考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:4/8
1998年9月
両儀式:18歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:中(原作の補填による尺の増量が主)
原作との尺の比 73P:50min=1:1(1分当たり1.46P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)

・「俯瞰」について
私達の認識出来る世界は肌で感じ取れる程度のものでしかなく、人間は自身の周りにあるものでしか安心出来ない。地図で自分の位置を知っていても、それは単なる知識に過ぎない。
高所から世界を俯瞰したとき、自身は狭い世界しか認識できないが、実際は狭い世界は、俯瞰の視界から展望出来る広い世界の一部である。
この時に、認識の内に、世界の隔たりが出来、ズレが生じて、「遠い」という衝動(突然襲い掛かる暴力のような認識)を得る。
自分が体感できる狭い世界より、自分が見ている広い世界のほうを「住んでいる世界」と認識することが出来ず、知識としての理性と経験としての実感が摩擦し、意識の混乱が起こる。しかしそれは一時的なもので、まともな認識のプロテクト(理性や知識)があれば、無意識下で制御出来て、地上に戻れば正常に戻る。だが不安定な状態にあるとき、意識の混乱から逃げ出したいという気持ち(或いは世界の同一性を実感する為に落ちてみたいという気持ち)へ向かってしまうのだ。(谷に行って底を覗きたくなる感じにも共通する意識かもしれない)

橙子「視界とは眼球が捉える映像でなく、脳が理解する映像だ。私達の視界は私達の常識によって守られているから・・・」
という台詞は、カントの認識論を彷彿させた。
認識は感性(受動的な知覚を担う)と悟性(感性と共同して認識を行う。概念把握)のア・プリオリ(経験的認識に先立つ先天的、自明的な認識や概念)により成り立つ、という哲学である。
眼球が捉えた映像は、私達の脳内で、常識に合致した「モノ」として認識される(常識に合致しないモノは、お化けや幽霊などの怪奇現象として処理されたりする)。

「俯瞰」については情報化社会のメタファーと認識すると分かり易い。
私は震度6強の地震を経験し、被災者として日々を送ったことがある。自身の周りも被災し、認識出来る世界で災害が起こった。しかし、2011年の東日本大震災での津波の映像を見たとき、私はそれが現実に起こっているんだと知識ではわかっているものの、それを実感することは不可能であった。
「遠い」東北の地で起こったことを自分の住む世界と同じ世界であると認識することは困難だ。そこで無意識下で自身の住む世界と被災地を別の世界と認識してしまうのだ。

・「浮遊と飛行」について
自身と世界、理想と現実のズレを認識した人間は、その乖離に苦悩し、生きる目的を失ったときに、それから逃れようとする。これが「逃走」だ。
浮遊と飛行は「逃走」するための手段である。
目的のない逃走を浮遊、目的のある逃走を飛行と呼ぶ。
「浮遊」(例え:羽ばたかない蝶)は、自己の現在置かれた不遇の状態を甘んじて受け入れ、受動的であることである。
今回の霧絵の場合は、理想と現実の乖離に耐え、生きる目的も無いままに、受動的に死を受け入れることである(詰まるところ、自然死、病死)。
此れには、生きる目的が無いにも関わらず、死ぬまで生きるという無意味さを受け入れる勇気、死ぬまでの毎日を生き抜き、刻一刻と迫る死を待つ勇気が必要だ。
「飛行」(例え:羽ばたく蝶)は、自己の現在置かれた不遇の状態を打破する、或いは暫定的に打ち消す(紛らわせる)、或いは解放される為に、”能動的”であることである。
今回の霧絵の場合は、その乖離に耐えず、生きる目的が無いから、能動的に死を受け入れる。(詰まるところ、自殺(しかも他人に自己の死を強調))
人間は、無意識下で、日々のストレスから逃れる為に、夢を介して、この飛行を行っている場合があるらしい(夢とは欲求の捌け口である為)。

「飛行」による自殺について、幹也曰く「極論だけど甘えなんだと思う。当事者にはどうしようもなく逃げたい時もあるだろう。それは否定できないし、反論もできない。だって僕も弱い人間だから」。


・なぜ彼女ら8人の自殺が「事故」と表現出来るのかについて
巫条霧絵は手に入れた霊体で、自分と同じように逃避行動をしている仲間を見つけて、友達になろうとした。「生きる目的」や「生の実感」がきちんと有るものの、夢の中で「飛行」(前項参照)をしていた少女は、霊体の巫条霧絵に介入され、夢の中の無意識下の飛行を、霧絵の能力である強い「暗示」に依って意識するに至った。
彼女達は夢の中だからこそ、飛行出来て、尚且つ、無意識下の為、自身が飛行出来たことには気付かない。しかし、一端意識してしまうと、理性が利かなくなるほどの強い衝動を得てしまうのだ。自分は現実に飛行出来たのだから、当然次も飛行出来る筈だと。
ここでの飛行には、逃避行動に於ける「飛行」と、俯瞰の視界から展望する世界を自己の居住する世界と同一視する為の飛行という二つの意味が含まれているのではないか。
そして、彼女達は、霧絵と同質の存在(つまり霊体)となった。
巫条ビルは時空が捻れており、本来死んでいない少女の幽霊も確認出来た。これは巫条ビルの上空は、巫条霧絵の現出した俯瞰風景の内部だからだろう。少女達は霧絵の暗示により精神に異常を来たし(具体的には、現実に人間単体での飛行(=能動的な現実逃避)が可能であるという脅迫のような逃れられない衝動)少女達は自己の意思とは表現出来ない自殺をすることになった。
よって、彼女達は夢の下での「飛行」中に精神に干渉され、「ボディジャック」状態で自殺したことになる。よってこれは彼女達の意志による故意の自殺に該当しない。より事故と表現出来る。


・黒桐幹也が寝ていた理由について
幹也は独自に一連の自殺を調査しており、結果として霧絵にたどり着いた。しかし、霧絵の幹也を死ぬまでの付き添いとしたい、「浮遊」から逃れる手段として、彼が欲しいという強い想い(暗示)から、昏睡状態に陥ってしまう。式が固定電話に録音された幹也のメッセージを恋しがっていたことや、ふいに巫条ビルに赴き、落下してきた少女に「幹也!」と叫んだのも、幹也が霧絵に魅入られた少女の様に「飛行」、つまり霧絵の下で自殺したものと勘違いした為である。橙子の延命努力により数週間昏睡していながら、リハビリもせずに復活した。


・式が巫条ビルに駆けて行って自殺した少女に「黒桐」と叫んだ理由について
前項での説明通り、幹也は霧絵による昏睡状態に陥っていた。自殺した少女は霧絵の暗示によって意識下での飛行が可能であるとの強迫観念より跳んでおり、また、これは霧絵の人恋しさによるものである為、黒桐も同様に跳ぶ可能性があった。式は電話で幹也の声を聴き、胸騒ぎがして巫条ビルに赴いた為、少女を黒桐と勘違いした。


・式の義手について
式の義手については第三章痛覚残留で明らかになり、何故式が巫条ビルの幽霊に操られた義手を止められたのかは、第四章伽藍の洞で分かる。式がビルからの跳躍の後に、片手で着地出来たのもこの義手のお陰であり、式の義手は霊体を掴むことが出来るので、巫条ビルの幽霊の首を掴むことが出来た。


・巫条霧絵の俯瞰風景について
巫条霧絵は{netabare}荒耶宗蓮によって{/netabare}、病院の外が見晴らせる階の窓のある病室で、家族も居らず、一人で何年間も、不治の病によって不自由な生活を強いられていた。彼女は病室から展望出来る外の世界をずっと憎んでいた。自分は不自由なのと対照的に外の世界の住人は自由だからだ。彼女は外をずっと眺めている内に、外界への憎悪と羨望による呪詛から、病室周辺の風景を脳内に取り込み、同時に盲いることに依って、強力な能力を得た。
彼女の視界は空中にあり、彼女の精神・肉体が存在する器とは別に、彼女の視界の存在する場所に、荒耶宗蓮によって二つ目の器・巫条ビルの幽霊を与えられた。

空を飛ぶという行為は、空の果てを目指す行為である。空の果てには、自分が逃避しなくて住むような世界(=生の実感や生きる目的のある世界、或いは死への恐怖が無い世界)があるのかもしれない。霧絵は黒桐の首尾一貫とした揺るぎ無い人間性に憧れ、また、「生の実感」を他者に供給する人物として、空の果てに自分を導いてくれることを望んだ。
(この空自体も隠喩と解釈することも十二分に可能だ)

霧絵「わたしは生に執着していて、生きたまま飛びたかったの。彼とならそれが出来たはずだから」

霧絵「あの人、子供なのよ。いつでも空をみてる。いつでもまっすぐにしている。だからその気になれば、どこへだって飛んでいけるんだわ。そう――わたしは、彼に連れて行ってほしかった」

巫条ビルの幽霊は、巫条霧絵の二つ目の身体だったので、彼女は一度死を経験しながらも、生きながらえるに至った。病室の霧絵を見限って出来た、巫条ビルの幽霊と病室の巫条霧絵との間の境界は空(ソラ)の境界とも呼べるかもしれない。


・巫条霧絵について
{netabare}巫条霧絵の起源は「虚無」。荒耶宗蓮は両儀式と相反する能力者をつくる為、彼女に長年の夢と悪夢を同時に与え続け、「死に依存して浮遊する二重身体者」にさせたのだ。
前述の通り、式の入院していた病院に霧絵も入院していたのだが、式が橙子に会う前、橙子の前任医師は荒耶宗蓮だった。霧絵の病室の病室代や管理費は荒耶が払っており、身寄りの無くなった彼女をずっと保護していた。{/netabare}
巫条家は混血の大敵である四家系「浅神」「巫浄」「両儀」「七夜」の一つである「巫浄」の傍系であり、盲いることにより特別な力(呪詛)を手にいれる。巫浄家の人間は強力な暗示能力も持っており、暗示によって相手を支配することが出来る。式の右手が勝手に動いたのも、「堕ちろ」という暗示も、これで説明出来る。
{netabare}彼女は、両儀式、浅上藤乃と同様に起源に「虚無」を持ち、特別な家系故に、特別な力を発現した。
「陰陽太極図」で式が一つの肉体に二つの人格を持つ二重存在者なのに対し、彼女は二つの肉体に一つの人格を持つ二重身体者である。
彼女も浅上藤乃と同様に荒耶宗蓮の「根源の渦」である「 」への到達という最終目標の為に両儀式と接触する駒となった。{/netabare}
幹也(そして、僕はさっきまでの夢を思い出した。蝶は最後には墜落してしまった。彼女は、僕についてこようとしなければ、もっと優雅に飛べたのではないか。そう、浮遊するようにはばたくのなら、もっと長く飛べていたはずだ。けれど飛ぶという事をしっていた蝶は、浮遊する自身の軽さに耐えられなかった。だから飛んだ。浮くのをやめて)

黒桐が霧絵に眠らされている間に見た「ゆっくりと浮遊する蝶が一羽あり、そこに蜻蛉が現れ、蝶は蜻蛉に追いつく為に羽ばたいたが、遂には堕ちた」という夢は、身体中に腫瘍があり、余命幾ばくも無い霧絵(=蝶)が「浮遊」している所に、生きる望みである幹也(=蜻蛉)が現れて、霧絵は幹也に「気付いて欲しい」と、後を追うも、結局気付いてもらえず、「飛行」してしまったという隠喩であろう。
{netabare}尚、四章伽藍の洞で両儀式が入院していた病院に巫条霧絵も入院しており、霧絵は、式の元に何年も通い詰めていた幹也を目撃していた。{/netabare}彼女は恋人という生きる目的、死ぬまで付き添ってくれる人が居ないことを悔やみ、同時に幹也を、自分を救ってくれる人物として望むようになる。式に「落ちろ」と暗示として連呼したのは、彼女が幹也という依り所を持っていて、羨望していたからだろう。彼女は式に殺された時に感じた「生の実感」を、もう一度味わう為に、「飛行」という逃避行動を一度採ってしまったことによる開放感をもう一度味わう為に、自分が死に至らしめてしまった少女達への自責の念から逃れる為に、巫条ビルからの転落死を選択した。


・「oblivious」について
obliviousは英語で「~を忘れて」「(没頭して)~に気付かないで」という意味の形容詞。名詞はoblivionで忘却という意味。巫条霧絵をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。4章を視聴すると分かるが{netabare}巫条霧絵は両儀式の入院する病院に入院していた経験があり、そこに小まめに見舞いに来ていた黒桐幹也と出会うのである。{/netabare}「本当は空を飛べると知っていたから 羽ばたくときが怖くて風を忘れた」という歌詞も、本作を視聴すれば意味がわかるだろう。巫条霧絵の静かな恋について上手く纏められている。


・「俯瞰風景」という作品について
巫条霧絵は祈祷(本性は呪詛)を生業とした古い家系の末裔で、重い病気に掛かり何年も病室から地上を俯瞰し、空を見上げていた。彼女は意識が途絶えるくらいまで外を見つめ、外を憎み、恐れた。彼女は継続して世界を「俯瞰」することにより、周辺の風景を脳内に取り込み、二つ目の器である巫条ビルの幽霊を手に入れた。{netabare}与えたのは荒耶宗蓮。{/netabare}巫条ビルの幽霊、巫条霧絵の意識体は、夢の中で「飛行」を行っていた少女達に近づき、「飛行」が可能なことを意識させた。そして彼女達は飛び、当然の如く落ちたのだ。巫条霧絵は、黒桐幹也を拠り所とし、生きたまま「飛行」することを望んだ。しかし、黒桐幹也を拠り所として必要としていた両義式により巫条ビルの幽霊は殺されてしまう。彼女は、罪の無い少女達を殺してしまった自責の念と、幽霊である自身(二つ目の器)の心臓を貫かれた時に感じた圧倒的なまでの死への奔流と生への鼓動をもう一度味わう為に、
あらんかぎりの死をぶつけて生の喜びを感じる為に、巫条ビルの俯瞰から転落死するのだった。
巫条霧絵は「浮遊」することが出来ていたのだが、黒桐幹也に追いつこうとすることで「飛行」という手段を選んでしまったのだ。しかし飛行を選んだ彼女は死んだ後も雲の上を目指し空に落ちるように飛行するはめになる。


・名言(原作より抜粋)

橙子「君の俯瞰風景がどちらであるかは、君自身が決めることだ。だがもし君が罪の意識でどちらかを選ぶのなら、それは間違いだぞ。我々は背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道で罪を背負うべきだからだ」

幹也(いくら正しくて立派でも、死を選ぶのは愚かなんだ。僕らは、たぶん、どんなに無様で間違っていても、その過ちを正す為に生き抜かないといけない。生き抜いて自分の行いの結末を受け入れなくてはいけない。)

式「幹也、今日は泊まれ」

橙子「自殺に理由はない。たんに、今日は飛べなかったんだろう」
{/netabare}

感想

最後の式の「幹也、今日は泊まれ」は良かった。式のクーデレっぷりが最高である。また、私も昔、高いところから高速で落下する夢をよく見た。あれは無意識下の飛行だったのだろうか・・・



この一章は、視聴者に世界観を何と無く掴ませながら、しっかり今後の伏線を十分に張って終わっている。原作の長々とした文を簡潔に短く纏め、視聴者に分かり易く(全部観た後二回目観ると分かる)展開している。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 55
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

圧倒的なクオリティの映像と音楽で描くポエム

原作未読。
全8章からなる物語の1章目。約50分。

まずは「空の境界(からのきょうかい)」シリーズに共通することを紹介します。

圧倒的な映像美と、ダイナミックな動き。
映画的なカメラワークが使われ、画面全体に立体感が溢れています。

その中に隠れる、独特な色使い。
蒼に対する橙、赤に対する緑。
色で言うと正反対、補色関係にある光の使い方が特徴。

この表現は「相反する二つのもの」というメッセージを表しています。
これに加えて「生と死」「殺人」という非日常なテーマを扱っている作品です。

そして、バトルシーンもありますが、どれも圧巻。
作画・演出を担当しているのは、Fate/Zeroを作ったufotable。
その会社が、映画用に力の入ったクオリティで描いています。

また、梶浦由記が作曲し、Kalafinaが歌うエンディングテーマはどれも素晴らしく、内容にも深くリンクしています。
まったくハズレがないと言ってもいいほどです。

キャラクターたちも魅力的です。
メインキャラクターは以下。

・両儀式(りょうぎしき)
・黒桐幹也(こくとうみきや)
・黒桐鮮花(こくとうあざか)
・蒼崎橙子(あおざきとうこ)

この名前にも実は意味があるのですが、それは内容を追っていくと分かってきます。


なお、「空の境界」は、時系列が特殊です。

正しい時系列では、
2章→4章→3章→1章→5章→6章→7章→8章

詳しくは、
{netabare}
2章(1995年9月)
4章(1998年6月)
3章(1998年7月)
1章(1998年9月)
5章(1998年11月)
6章(1999年1月)
7章(1999年2月)
8章(1999年3月)
{/netabare}

そのため、1章だけを観ても状況が掴めません。
それに加えて、難解で抽象的なストーリーや台詞。
同じ言葉をさまざまな別の言葉で言い換えていたり、辞書に載っている意味とは違う意味で用いたりしています。
一つ一つ紐解いていく必要がある、「言葉のあやとり」のような会話です。

また、その映像美がある意味「壁」を作っています。
「死」や「殺人」を扱っているため、死体や血しぶきの表現がリアルで、グロテスクです。
苦手な人には辛いかもしれません。

この1章が、このシリーズ全体を観られるかどうかの「境界線」になっていると思います。
その境界線をまたぐことができたなら、終章まで楽しめると思います。


ここからは考察です。

俯瞰風景 → ココ
殺人考察(前) → http://www.anikore.jp/review/450923/
痛覚残留 → http://www.anikore.jp/review/452086/
伽藍の洞 → http://www.anikore.jp/review/452849/
矛盾螺旋 → http://www.anikore.jp/review/456943/
忘却録音 → http://www.anikore.jp/review/466298/
殺人考察(後) → http://www.anikore.jp/review/491929/
空の境界 → http://www.anikore.jp/review/491992/


【1章「俯瞰風景」の考察】
{netabare}
1998年9月の話。

EDテーマは「oblivious」
「~に気付かないで」という意味。


「狭い空間」とは「現実」を表しており、「広い空間」とは「理想」を表しています。

「俯瞰」、つまり、客観的な視点で見たときに、理想と現実の間の距離を感じてしまう。
それが「遠い」という感情を呼び起こし、「逃げ出したい」という気持ちに繋がっていきます。

ビルから投身自殺した少女たち。
橙子「彼女たちは、本当は死ぬつもりはなかった」
「逃走」していた彼女たち。
「浮遊」していたが、暗示をかけられ「境界」を乗り越えて、「飛行」という手段を選んでしまった。

では、「逃走」「浮遊」「飛行」とは何か?

式「地に足が付いていない。飛んでいるのか?浮いているのか?」
橙子「逃走には2種類ある」
幹也「トンボを追いかける蝶々の夢を見た」

この3つのセリフにヒントが隠されています。
「逃走」は2つに分けられます。

1つは「浮遊」
・目的のない逃走
・永久に続けなければいけない勇気

浮遊するように羽ばたく蝶々に例えられています。
目の前の辛い現実から目を背けず、現状に耐え続けること。


もう1つは「飛行」
・目的のある逃走
・一時の勇気

トンボを一生懸命に追いかける蝶々に例えられています。
自分の弱さに耐えきれなくなったとき、人は「飛行」を選ぶ。
つまり「死」という、幹也に言わせれば「極論だけど甘え。けれど、否定できないし、反論もできない」選択肢です。
トンボを追いかけた蝶々がやがて力尽き、地上に墜落してしまうように。

これには、
トンボ=黒桐幹也
蝶々=巫条霧絵
という現実の関係を表す、もう1つの意味も含まれています。

橙子「我々は、背負った罪によって道を選ぶのではなく、選んだ道によって罪を背負うべきだ」
橙子はそう言いましたが、巫条霧絵は、自らの罪に耐えきれず、また、1度経験した「死」に魅了されたこともあり、ビルからの飛び降り自殺という「飛行」を選びました。

空(そら)に浮かぶ、空(そら)を飛ぶ、その2つの境界線。
それを上から眺めた俯瞰風景を知ってしまったがゆえの行動。

「飛行」という方法に気付かなければ、選ばなかったはずなのに……。


なぜこのようなことになったのかは、後の章で分かってきます。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 56

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ひたぎさんより怖い女、”両儀 式” あんた怖すぎだよ・・・。

(内容について)
本作品は面白い作品ですが、人を選ぶかも知れませんね。

第一章 俯瞰風景
第二章 殺人考察(前)
第三章痛覚残留
第四章 伽藍の洞
第五章 矛盾螺旋
第六章 忘却録音
第七章 殺人考察(後)
「空の境界」は全7作品で構成されます。BD-BOXだと、他に「終章」(後述)と「Remix -Gate of seventh heaven-」、「全七章の軌跡」が収録されています。
本レビューでは、全七作品についてまとめてコメントさせていただきますね。


本作は死をテーマにした作品です。殺人という行為を通して生・死についての意味を表現しているのかな。
作品中、殺人シーンや戦闘シーンでは血しぶきドピュドピュ、手や足があっちゃこっちゃ状態で、そういうのが弱い人は余り見ない方が良いカモです(でもR指定は無いので、一応規制範囲内の描写みたいですね)。


原作は長編小説で、原作をご存じ無い方だと本作品は少しとっつきづらく感じてしまうかも知れません。理由は作品を一章から見ても設定や背景について説明されない為、人によっては置いてきぼり感を感じてしまう可能性があります。でも二章、三章・・・と観つづけていくと、時系列こそ前後してしまう時はありますが、ちゃんと設定・背景について説明があります。なのでそこまで見続けるモチベーションを維持出来るのであれば、この作品の物語としての完成度にきっと驚いてしまう事と思いますよ。


キャラクタの作画についてですが、ちょっと賛否両論あるかも知れません。メインヒロインの両儀 式さんですが、設定上中性的な顔立ちとされている為、好みによっては男性からも女性からも好かれない可能性があります。正直私的にもあんまり好きな顔では無いです。


さて両儀 式さん。ちまたでは化物語主人公の”ひたぎ”さんが危ない女としてあげられていますが、両儀 式さんの危なさはそれ以上!ともかくヤバイ、マズイ、怖ひ・・・。
まぁでもこのお方、とっても強いんです。剣術も達人級ですし、体術も相当なもの。この方が怒ると、目がピカーって光って襲い来る敵をバッタバッタとなぎ倒す。う~んカッコよす。
そんな訳で、本作品の見所はなんと言っても派手な戦闘シーンでしょう。戦闘が始まると、タイミングドンピシャ(あ、当たり前ですね)でメチャクチャカッコ良い音楽が掛かって場を盛り上げます。特にカッコ良いのが四章の病室でのシーン、それと五章の最終決戦シーン。これはも~鳥肌ものですよ、本当に! ここだけでも良いから(オイ)絶対観てね!


前述しました通り、最初は物語の設定や背景が解らずに戸惑うかも知れません。また難解な定義説明シーンがちょっと多いかな。でもそれで観るのを止めてしまうのはもったいない作品ですので、先ずは最初の1回は純粋に戦闘シーンのカッコ良さを満喫して下さい。次にもう1回観れる機会があるなら、今度はじっくりと物語の構成を楽しんで下さい。とても良く出来たお話で有るという事を解っていただけると思います。(作品冒頭からちゃんと伏線が張られている事などに気がつくと、きっと関心しちゃいますよ)


あ、そうそうBD-BOXに収録されている「終章」ですが、全編対話シーンだけで構成されます。観ると物語の終わりを締めくくるに相応しい内容が語られますが、観なければ観ないで支障の無い内容です。なのでストリーミング配信等の手段で観られる方は、無理をしてまで観る内容では無いかと思います。


(BD-BOXの事を少しだけ)
Blu-ray Disc Box版にて鑑賞しました。どうでも良いことですが、これ箱がでかすぎ。本棚に収まらない・・・。あんまり萌えるキャラでは無いので、”ビジュアルブックとかはいらないから小さくしてね”と個人的には思いました。画質は相当綺麗ですね、細かい点まで描写されていて文句なし。サウンドも5.1chサラウンド対応していますので大きな音で聴けば迫力満点です。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 20

78.0 9 ufotableアニメランキング9位
空の境界 第五章 矛盾螺旋[ムジュンラセン](アニメ映画)

2008年8月16日
★★★★★ 4.2 (850)
4881人が棚に入れました
1998年10月、両儀式はふとした事から臙条巴という自称人殺しの家出少年と知り合う。式は巴の隠れ家に自室を提供し共同生活を送り始めるが、しばらくして巴は自分の親殺しの罪を告白する。奇しくも蒼崎橙子から似たような事件の詳細を聞いていた式は、巴とともに臙条家のある小川マンションへ向かう。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、東地宏樹、中田譲治
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界中、最難関にして最上の作品。困難を乗り越えて理解して欲しい本作の神髄

か「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第五章「矛盾螺旋」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第五章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち5番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章から第四章までの殆どの伏線を回収し、荒耶宗蓮の物語は終結する。
本章は「空の境界」という作品の肝であり、本作を荒耶宗蓮の野望を主題とするならば、
第六、七章は本章の残滓と言っても過言では無い。なぜならば、一章から四章の伏線や、
これまでの両儀式に纏わる物語は全て彼の計画の完遂の為に周到に準備されたものだからだ
(しかし、荒耶が手薬煉を引く前に式や橙子に見つかったので、計画を前倒しにしているきらいもある)。
内容は非常に理解に面倒で、予備知識が必須である。また、時系列のシャッフルが本章では作品内で構成されている為、一度の視聴での理解は不可能である。
是非、二・三度視聴して、理解を深めて欲しい。
本章は原作と比較して描写が大幅にカットされており、半ば継ぎはぎ感を感じざるを得ない。しかし、完成度としては至極満足である。私が考えるに原作による補完は必須である。
(原作を読む上での注意:
1.言葉をそのままの意味で理解せず、状況から推測する。(例:二律背反)
2.作者の造語が理解の範疇を凌駕した場合は、採り合えず調べる。(例:死街)
3.作者の日本語が明らかに文法上誤りである箇所が多々見受けられるが、脳内補完する。
(修飾の該当箇所が明らかにおかしい。
例: その一連の映像は、古びた頁に挟まれ、書に取り込まれて平面となった押し花を幻想させた。
   ←その一連の映像は、古びた本の頁に挟まれ、平面(のように潰れた形)となった押し花を
   連想(或いは髣髴)させた。[()は無くても良い。]
  八月になった最初の夜←八月になって最初の日の夜)
4.本来の日本語に無い使用法が見受けられる。(例:幾多もの←幾多の/迫ったほど←迫る/迫った)
上記の例は全て一章俯瞰風景に依った。)
副題のParadox Paradigmは其のまま矛盾螺旋である。


考察←観る前に見ない様に。
{netabare}
時系列:5/8
1998年10月
両儀式:18歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:大(時系列のシャッフルや1度目の橙子VSアルバ戦のカットが目立つ)
原作との尺の比 417P:114min=1:0.40(1分当たり3.66P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)

・「矛盾と螺旋」について
矛盾・・・contradictionの訳語。一方を立てようとすれば、他の一方が立たないという、くいちがった関係におかれる概念、または判断が対立して統一できない場合。
<韓非子>より楚の故事に由来。
螺旋・・・巻貝のようにぐるぐるまわっていること。

「空の境界」におけるこれら二つの言葉の意味

矛盾・・・人は宗教・哲学などから見て取れるように、絶対の理、永遠不滅の真理を求めようとする知的好奇心旺盛な生き物である。ソクラテスは無知の知を自覚し、真の知を求めることを重視した。仏教でも般若波羅密を知ることを求め、一切皆苦の厭世感から真理を追究した。哲学でも様々な興味深い分類が試みられている。
他方、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教浄土系宗派など真理の追究を諦め、絶対的なものに縋ることにより救済されるという、知の探求を事実上放擲している宗教も存在する。また煩悩具足であることを寧ろ良い事と考え厭世感を持たない考えも蔓延っている。これは無知であることを否定し、無知である自己や世界を否定し、自己乃至世界を救うべく真理の探究をする姿勢と明らかに矛盾する。人間は真の叡智を求める一方、真の叡智を求めることを放擲或いは拒絶しているのだ。
共通する認識は、世界或いは自己が滅びることを絶対的に拒み、之を救わんが為に行動していることである。

螺旋・・・人の性である煩悩は祖先から子孫まで相違は無く、永遠に螺旋を描いてゆく。
繰り返される日常や人生は人間の進化進歩しない煩悩の螺旋であり、二重螺旋構造を持つ遺伝子の匣として定められた過程を営む。


・「荒耶宗蓮」について
荒耶宗蓮は、元は台密の僧(台密とは天台密教の略称)で、起源である「静止」を覚醒させている。此の起源により200年以上生きながらえおり不老不死である(肉体は人形)。前項の人類の矛盾を克服出来ないことを悔やみ、人間では解決出来ないことから「起源」を追求し人の存在意義を探求するに至った、現在の彼は、もはや『 』へ至る為の概念と化している。
『 』へ至った暁に彼は、人類の死を等しく肯定する為に人類を滅ぼし、新たな世界、死を等しく肯定出来る世界の構築を望んだ。
彼は人の存在意義を「生」ではなく「死」に見出し、どのような死を迎えるかを重要視する。魔術協会で同期の橙子が人形、つまり肉体を重視したことに対して、彼は魂、つまり精神を重要視した。「根源」追求の為に死の蒐集をしており、人の死を記録する実験を重ねている。
結界を構築する能力にも長け、橙子曰く魔法(後述)の域に達しているらしい。
また武術の達人でもあり、左手に埋め込まれた仏舎利により、他人から自分の死線を認識されることを防いでいる。橙子程ではないが人形師として相当の腕も持つ。
他にも他人の「起源」を認知し、覚醒させることも可能である。
「不倶」「金剛」「蛇蝎」「戴天」「頂経」「王顕」という六道境界を自身の周りに張巡らす。
境界にはサンスクリット文字が出てくる。


・「相克する螺旋で待つ」の意味について
二章殺人考察で述べた五行思想のもので、五芒星の外接円として、各頂点に接する円を描くと、五つの頂点が其々木火土金水となり、円の流れが「相生」、五芒星の線上の頂点を一つ飛ばした流れを「相克」と云う。
相克
1.対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。
2. 五行(ごぎょう)説で、木は土に、土は水に、水は火に、火は金に、金は木にそれぞれ剋(か)つとされること。五行相克。相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。
という二つの意味がある。
因り相克する螺旋とは、先ほどの円が螺旋しており、バネの様にグルグルと廻っていて、さらにその円を相克の関係で崩れた五芒星を描きながら進む線分のことである。
ここでの相克は後述のアラヤと荒耶、小川マンションや、巫条霧絵、浅上藤乃{netabare}、白純里緒{/netabare}などに言えることだろう。


・「荒耶宗蓮の計画」について
前項の「根源」『 』へ至る為には荒耶自身の真理の追究(つまり魔術師の研究と同義)では達成出来ない。それは荒耶の真理の追究の目的が他の魔術師と異なり、人類を滅ぼすことに繋がる事案である為、「抑止力」(後述)による制約を受けてしまうからである。
よって、肉体が既に根源に繋がる可能性を持っている両儀式に接触し、彼女を根源に近づけ、最終的に彼女と一体化することにより根源に至ろうとした。
巫条霧絵、浅上藤乃という式と同じ「虚無」を起源にもち、しかし殺戮を無自覚の内に愉しんでいるという刺客を送り込むことにより、彼女を精神的に追い詰め根源に近づけた。
彼の計画は彼が予期していたよりもずっと早く最終段階に以降する。それは黒桐幹也と白純里緒の存在が影響している。式が追い詰められた原因は七章で、式が何故根源に繋がるのかは後述する。


・「小川マンション」について
小川マンションは荒耶宗蓮とコルネリウス=アルバの合作である(設計には橙子も参加)。
アルバが生きた人間の脳髄を摘出し、之の生命を維持させ、荒耶が制作した人形を本人と寸分違わぬ生命体として存在させた(この人形は血が出ず、歯車で動く様だ)。
また荒耶は結界によってマンションを外界から隔絶された異界とした。
アルバの「ようこそ、私のゲヘナに」という台詞は、「ようこそ、私の地獄に」という意味。
小川マンションは荒耶にとっては人の死の探求、アルバにとっては橙子の殺害が目的だ。
小川マンションでの実験は、荒耶宗蓮による実験であるが、之は式と一体化し根源に至る計画とは別件である。しかし、式の肉体が思いのほか早熟し、丁度罠に掛かったので、急遽予定を繰り上げて根源へ至る準備に取り掛かった。

荒耶は、精神的に不安定な不和を抱えた人間を選りすぐってマンションに入居させ、その嗜好を凝らした建築様式で更に住人の精神を不安定にさせ、死に至らしめた。
マンションは完全なシンメトリーになっており、西側と東側はマンション内から見る外観も似通っており、判別不可能な構造となっている(この構造は太極の具現である)。
東西棟は円柱の中央のエレベーターと其れに纏わりつく螺旋階段のみで接続されている。
入居者は始めは西棟に住み、死亡後は脳髄を摘出され、荒耶が制作した人形を通して東棟で生活する。エレベーター及び螺旋階段はロケット鉛筆というより、螺旋を描いているドリルの芯や、床屋でくるくる廻っているサインポールを想像すると理解し易い。
下から芯を捻り上げて出口をずらす事により東西を入れ替え、住人に気付かれることなく部屋の移動を完了させたのだ。
そして東棟の人形住人は朝に起き、夜に死ぬという生死の螺旋を繰り返し「命日」を毎日繰り返す。対して西棟では本人の死体をそのまま放置しておく。こうして一方は死骸、一方は朝蘇り夕べに死ぬ生きた人形という同時刻に同じ人間を二人用意し、同じ死を矛盾した状態で毎日螺旋させることで、その死にどのような差異が生じるかを実験した。
小川マンションは荒耶の体内に等しく、彼の思うままに操ることが出来る。
燕條巴は実験の成果と言える。


・「蒼崎橙子」について
蒼崎橙子は魔術師(後述)の六世に生まれた。14歳で魔術協会に留学し、衰退したルーン魔術を専攻して之を復興させた。荒耶、コルネリウスとは同期である。その後礼園女学院に入学。持って生まれた才能から次期当主として有望視されていたが、妹の青子に敗れた。魔眼を持っており、普段は魔眼殺しの眼鏡を掛けている。妹の青子とは相当仲が悪く、殺しあうほどである。かつての使い魔が青子に敗れたため、両儀式を新たな使い魔の代わりとして用いている。
魔術協会はトップランクの魔術師である橙子に「赤」の称号を贈ったが、本来望んでいた「青」とは真逆の「赤」を得たということで、橙子はこの称号を不服に思っている。そのことを指摘されること、とりわけ「傷んだ赤色(スカー・レッド)」と呼ばれることはことさら嫌っており、そう呼んだ者は全員殺している。例外は殺し損ねた妹のみ。
また、当代屈指の人形師で、人形という雛形で根源への到達を目指していたが、もう興味は無いらしい。
その魔術が根源に近づいた為、魔術協会から封印指定(後述)を受け出奔中である。
彼女は「魔術師当人が最強である必要はなく、最強のものを作り出せばよい」という持論から、使い魔を鞄に入れ、之を使役することで戦闘する。
また、アイデンティティの確保が出来れば肉体はさほど重要ではないとの考えらしく、
自身の脳が損傷した場合は即時に用意しておいた予備の人形が起動し、以前の記憶を継承して再び生活を送る。よって橙子を殺すには、脳髄が損傷しないように半殺し状態にし、
永遠に延命治療を施さなければならない。荒耶が「私が蒼崎を仕留めたのは詮方なき事だ」と言ったのは、荒耶は魔術師として橙子に敬意を払っていてそれを悔やんでいるのと同時に、
橙子を殺すことは彼女の復活を意味する為に、仕留めたという表現を使っているのだ。
首となった橙子は五感を有しており、コルネリウスが「傷んだ赤色」と言ったことも聞いていた為に、荒耶は「――たわけ。口にしてはならないことを口にしたな、コルネリウス」と言ったのだ。橙子は、コルネリウスが橙子の頭を粉砕したことで、彼女の予備を起動せさられたので、小川マンションに駆けつけられたのである。


・「燕條巴」について
彼はかつて走ることが大好きで、中学では名の知れた陸上競技の選手だった。
しかし、父親が失業し高校入学の資金は自らアルバイトをして稼ぐこととなった。
生活苦の為働きながらも陸上だけは続けていたが、父親が交通事故で人を轢き、賠償は母親の親戚が何とかしたものの風評被害で陸上は止める事になった。これにより生き甲斐を失って高校を中退。父親は飲んだ暮れであり、彼はアルバイトで、母親はパートで生活費を稼ぐという無気力な生活が続いていたところを荒耶に目を付けられて、一家で小川マンションに越す。ある日、帰宅後に母親によって殺害され、前項の荒耶の計画から、脳髄を摘出され、人形として(本人に人形だという自覚は無い)朝生まれ夕べに死ぬという螺旋を繰り返す。ある日、自身の死を予期して母親を殺害し逃亡、自身を支配する「ニセモノ」であるという認識を恐れ、圧倒的な強さを見せる式に見蕩れて彼女のアパートに転がり込んだ。
実際に彼が抱く自身が「ニセモノ」であるとする自覚は、荒耶とコルネリウスが制作した人形である為だが、彼は陸上を諦めたことを理由と合理化し納得した。
いつしか式を愛するようになり、彼女が荒耶に捕らえられて困惑するが、幹也に幼少期を過ごした家屋に連れて行かれて家族への思いを思い出し、自身が「ニセモノ」であるとする認識、家族への想い、式への想いに決着を付ける為、幹也とともに小川マンションへ向かう。元から極悪な人間など居らず、置かれた境遇が人間を形成する(因って私は性悪説を支持)。巴の家族も昔は平凡ながら幸せを享受していて、彼はそれを思い出すことで、家族への苛立ちや、真実を直視することの恐怖から解き放たれたのではないか。彼の式への恋慕は荒耶が仕組んだ人為的な感情だったが、彼はそれを越えて彼女を愛していたことを本物だと認識し、式の為でなく自身の為に荒耶と対峙した。
彼の起源は「無価値」であるが、彼が荒耶を足止めしたことで、式が復活する為の時間が稼げて、結果的に荒耶は倒されたので、彼は起源を凌駕したことになる。
また、彼の家族愛の象徴である「家の鍵」は、普段家に鍵を掛ける習慣の無かった式に、鍵を掛けさせるという意味を残した。
彼は幹也に「俺はさ、両義に同じ物を見て安心していただけだったんだから。俺とかあいつみたいな人間にはさ、あんたみたいに呆れるほど害のないヤツの方がいいんだよ――」と言っている。幹也がなぜ異常者に対して他の常人と同等に普遍的に接するのかについては、六章忘却録音で述べる。
因みにFateの衛宮士郎は彼がモデル。


・「抑止力」について
カウンターガーディアンとも言い、集合的無意識によって形成される世界の安全装置である。抑止力とは発生しないように止める力のことで、一般に軍事で使用される言葉だ。
春秋戦国時代の縦横家の張儀の連衡策や核抑止論が有名である。相手が動作する際に、その動作に関わるリスクと得られる利益を天秤に掛け、リスクの方を高いと思わせる力を主に指す。TYPE-MOONの世界観では地球で発生する事象の内、地球或いは人類の生存に差し障る脅威を排除する力と考えるのが妥当だ。
抑止力には二種類有り、人類の持つ破滅回避の祈りである「アラヤ」と、星自身が思う生命延長の祈りである「ガイア」がある。
またこの抑止力は、「歴史的人物は世界史的な個人であり、したがって絶対者は個々人の情熱やはたらきを利用して自己を実現する」というヘーゲルの絶対精神と似通ったところがある。地球或いは人類の生存を脅かす事象を森羅万象すべてが拒み阻止しようとする。
荒耶が憎んでいたのは、前者のアラヤであったために、彼の螺旋の探求は、彼が探求を始めた時点から矛盾していたと言える。

仏教の阿頼耶識は四章伽藍の洞で触れた唯識(あらゆる諸存在が個人的に構想された識でしかないのならば、諸存在は主観的な存在であり客観的な存在ではなく、唯、人の感覚でしかなく、実態は空)の思想で、五感(眼・耳・鼻・舌・身=五根)が含まれる般若心経の六識(眼・耳・鼻・舌・身・意)に未那識、阿頼耶識を加えた八識の最終である。六識については痛覚残留で述べたので割愛する。
阿頼耶識は人間存在の根本にある識で、未那識とともに無意識に該当する。
心の内にある種子(しゅうじ:色々の現象を起こさせる可能性、可能力で、ある現象が影響して自らに習慣的な刺激によって植えつけた印象のこと(唯物史観に少々似ているかもしれない))から、世界の諸現象を生じる。生じた現象はその人の阿頼耶識に印象(熏習)を与えて種子を形成し、刹那に生滅を繰り返し、之を持続する。
諸法の種子を内臓「一切種子識」
過去の業の果報(異熟)から生成「異熟識」
他の識の根本「根本識」
身心の器官を維持「阿頼耶識(我持識・執我識)」
などの働きがある。
未那識(まなしき)は、意識と阿頼耶識の中間にある無意識を担当する識で、阿頼耶識の見分から我・法などを思量し六識に作用する。
八識はみな思量の作用があるが、末那識は特に恒(間断なく常に作用する)と審(明瞭に思惟する)との二義を兼ね有して他の七識に勝っているから末那(意)という。
睡眠中でも深層に於いて作用し阿頼耶識を対象とし、それを自分であると執着する。
未来福音の両儀未那はこれに因む。


・「魔術と魔法、魔術師と魔法使い」について
魔術とは魔力を用いて人為的に神秘・奇跡を再現する術の総称である。
常識で可能なことを非常識で可能にしているに過ぎない。
現在、魔術の殆どは文明の利器により現実可能であり、指に火を灯すか、ライターで火を灯すかくらいの違いしかない。魔術を使うものを魔術師といい、その殆どは魔術協会に加入している。
魔術協会は魔術師を監視し、魔術の漏洩や魔術師が一般人に危害を加えることを防ぐ。
魔術師は魔術協会で勉強し、その膨大な資料を自身の研究の為に使用する。
蒼崎橙子やコルネリウス=アルバ、荒耶宗蓮はこの魔術師に該当する。
魔法とは人間には到達出来ていない、或いは到達し得ない「奇跡」を具現させる術である。
この魔法を使うものを魔法使いといい、世界に五人しか居ない(生きているのは四人)。
判明しているのは、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグと蒼崎青子の二人。
人類の科学が進歩していなかった頃は、魔法使いのハードルは現在よりも低く、多くの魔法使いが実在したが、現在それらは文明の発展に伴い殆どが魔術へと格下げされてしまった。
また、魔法は魔術師達が目指す最終到達地点である「根源の渦」から引き出された力の発現である。
魔術師の家系は生涯を賭けて学んだ神秘を魔術刻印という遺産にし、子孫に伝える。
そして研究成果の最終目標である「根源の渦」『 』への到達を目指す。
魔術協会は、学問的に習得不可能レベルの魔術を身につけた魔術師(「根源の渦」への到達が近い者)に対し、魔術協会がサンプルとして保護する旨の令状「封印指定」を出す。魔術師としては栄誉であるが、軟禁生活を強いられるため、たいてい逃亡する。橙子はこの封印指定を受けているため、伽藍の堂に結界を張って隠遁している。


・「肉体と精神」について
「われ思う、ゆえにわれあり(コギト=エルゴ=スム)」で有名なデカルトの説いた物心二元論では、物体と精神とは実体として存在し明確に分離され、物体は精神に依存せずに因果関係によって運動するという機械論的自然観を確立した。物体は「高邁の精神」によるコントロールを受ける。現在此の説を支持するものは殆ど無く、機械論的自然観を形成したことで、寧ろ批判されている。肉体と精神は切っても切り離せない関係にあり、自我の形成には肉体が多大な影響を与えている。くわしくは終章空の境界で述べる。


・「根源」について
根源とは全ての原因。あらゆる現象が流れ出したもとである。『 』はこの根源に近いが、
根源をも含む森羅万象の原因であると解釈される。
有り体に言うと「真理」「究極の知識」ということになる。全ての原因であるがゆえに、全ての結果を導き出せるもの。この一端の機能を指してアカシックレコードと呼んだりもする。
有と無、生と死の狭間の世界であり、仏教的に言えば「空」に近いと言える。
魔術師は根源に到達することで、先祖代々の目的である永遠の真理に到達する。
この根源とは、ギリシア哲学で言えば、「イデア界」、仏教で言えば、「般若波羅密」の実践により得られる真理(即ち一切皆空と悟る涅槃寂静の境地)と言える。
一種のエロース(イデア界への羨望・回帰欲求)があるのかもしれない。
前項で述べた抑止力の説明にヘーゲルの絶対精神を用いたが、こちらの方が絶対精神に近い側面を持つ。アイデンティティを持ったまま、根源に到達したものは自らの願いを叶えることが出来るらしく世界を改変する力を持つ。Fateの聖杯もこの考えによって理解出来る。ヘーゲルが言うには絶対精神は神(唯一神・人格神)と同義らしい。
アカシックレコードについては六章忘却録音で述べる。


・「太極図」について
太極とは即ち根源の事で、道家や陰陽家で重視された。陰陽魚太極図が有名である。こちらも二元論的な側面が強く、全てを陰と陽に分ける。例えば陽には、明・男・積極的・攻撃・前・上・左・天・奇数・味方・夏などの意味があり、陰には、暗・女・消極的・防御・後・下・右・地・偶数・敵・冬などの意味がある。太極を二つに分けたものを両儀、四つに分けたものを四象、八つに分けたものを八卦という。大韓民国の国旗を太極旗といい、真ん中の赤と青により描かれている巴を太極、四方に有る三本の棒の集合を八卦という(韓国の国旗はこの八卦の内の四つ。因みに八卦は16パターン存在し、「易経」の八卦を後天図、宋学の朱熹の八卦を先天図と云う。ここでの八卦は先天図)。――と--を爻(コウ)、爻により構成されるものを卦(ケ)と云う。
爻が一本な卦(二つ在る)を両儀、爻が二本な卦(四つ在る)を四象、爻が三本な卦(十六在るが、内、八つ)を八卦という。
両儀は太極を二つ、つまり陰と陽に分離したものであり、式が男性人格と女性人格を持ち、一方は欲望の抑圧や拒絶、一方は欲望の解放や受諾を担っていたのもこの為。式のことを太極というのも此の為。根源から分離した小川マンションは太極図の具現である。


・時系列の整理
1.本物の燕條巴が母親により殺害され、荒耶の実験が始まる。
2.黒桐幹也が免許取得の為に、長野の自動車学校へ通うことにより、観布子を留守にする。
3.偽物の燕條巴(以下巴)が予知夢(実際は現実)を恐れ、母親を殺害、逃亡中に式に出会う。
4.空き巣が燕條家に侵入し、死体を発見(突発的な犯行←抑止力に依る)
5.巴、式の部屋に転がり込み居候する。親殺しや偽物感から苦悩する。
6.巴、式のために部屋の鍵を造る。
7.式は殺人衝動を満たす為に巴を殺そうとするが断念。
8.巴、コルネリウスを目撃、式に報告するが一蹴される。此の頃から式へ好意を持つ。
9.幹也、免許取得後、伽藍の堂にて橙子に小川マンションについての調査を依頼される。
10.鮮花が伽藍の堂に来る。黒桐、橙子から両儀や魔術についての享受を得る。
11.秋隆が刀を式のマンションに届けに来るが留守で幹也に預ける。
12.巴、母親を殺した筈なのに、生きている母親を目撃する。
13.幹也、橙子に小川マンションについての調査結果を報告。刀を式に渡す。
14.何日か経過し、巴は不審に思い式と共に小川マンションに赴き、もう一人の自分と最後の一日を直視する。式の部屋に鍵を掛ける。
15.式、荒耶と戦闘するも彼に捕らえられる。巴、真実を知り、式を救うべく逃走。
16.同日、橙子と幹也が小川マンションに調査に入る。
17.翌日、コルネリウスが橙子の人形館に挨拶に来る。
18.橙子、小川マンションでコルネリウスと対峙、之を倒すも荒耶に敗れる。
19.荒耶、橙子の頭をコルネリウスにプレゼント。
20.幹也、式の部屋で巴と会い、彼を幼少期過ごした家へと連れて行く。
21.幹也、巴に式の部屋の鍵を貰う。
22.幹也、小川マンションに向かい、コルネリウスに苛められる。
23.巴、地下の工房で自身の脳髄を発見し、荒耶の元へ赴くが返り討ちにあい消滅。
24.コルネリウス、橙子の頭を粉砕、二人目の橙子が現れて彼を殺害し幹也を救助。
25.式、荒耶の造った結界を破壊(結界の死線を切断)し、具現、荒耶を消滅させる。
26.式、巴の影響で部屋に鍵を掛ける様になる。

幹也が式の部屋のインターホンを鳴らした順番
①上記11.の時のチャイム。
②上記14.の時のチャイム。
③上記20.の時のチャイム。


・「sprinter」について
燕條巴をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。
他の曲に比べて歌詞が明快で、曲調もテンポが速く、「競争」しているかのように次々と繰り出される歌詞が特徴的だ。巴が式を想っていた事、肉体はニセモノであるが、精神はホンモノであること等が、歌詞に刻まれている。空の境界の主題歌の中では私が一番好きな曲だ。


・「矛盾螺旋」という作品について
黒桐幹也は自動車運転免許取得のための教習のため、長野に1ケ月間滞在し、留守にしていた。燕條巴は陸上の選手だったが、父親の失業によりアルバイトを始め学費を自分で稼いで高校へ入学したが、父が交通事故を起こしそれが元で、高校を中退。一家で小川マンションに越し、そこで母親に殺害された。魔術師荒耶宗蓮は人の螺旋し、留まることの無い性に失望し、世界を改変する為に『 』への到達を目論み、「抑止力」に左右されない、両儀式と一体化するという方法を模索し、霧絵・藤乃を差し向け、式を精神的に根源へと近づけた。今回はコルネリウスと別件で人の「死」に対する実験を小川マンションで行っており、巴はその実験に利用され、死後も人間の精神を持った人形としての生活を送っていた。
巴は荒耶の実験の成功例であり、死の螺旋から脱出したが、親殺しや自らがニセモノであるという感情に苦悩していた。荒耶の細工により式に近づき好意を覚え、彼女を愛し始めた。巴は何日か経過し殺したはずの母親を目撃し、小川マンションへ行き確認することを考え始めた。丁度その頃、橙子は免許を取得し帰還した幹也に、小川マンションの調査を依頼した。幹也は式の部屋に向かうが留守で、そこで秋隆から名刀を預かり翌日式に渡した。幹也はマンションの調査を一晩で終わらせ、その調査結果を見た式は、巴と共に小川マンションへ向かい、この建造物の真実を知るが、荒耶に敗北し捕らえられる。その後、橙子と幹也は小川マンションを調査し、この建造物の真実を知る。翌日、橙子の人形館にコルネリウスが登場し、式を捕らえた旨を橙子に伝える。橙子は戦闘の支度をし、小川マンションへ向かってコルネリウスを破るが、荒耶に敗北し、首だけとなった。待ちきれなくなった幹也は、式の部屋で巴と出会い、彼を旧家に案内した後、共に小川マンションへ行く。此の時、巴に式の部屋の鍵を貰う。巴は荒耶に返り討ちに遇い消滅した。幹也はコルネリウスに目の前で橙子の頭を粉砕され、彼に苛められるが、二人目の橙子が登場し、彼は死亡した。巴が荒耶との問答で時間を稼いでいる間に式は、覚醒し荒耶の結界を破り、名刀によって彼を消滅させ、彼の野望は脆く崩れた。


・名言(原作より抜粋)

式「だっておかしいじゃないか。人間が見れるのは外見だけだろ。それを見てくれたおまえはいらなくて、心なんて見えもしないモノを見てくれなきゃイヤだ、なんて普通じゃない。普通じゃないって事は異常ってこと。ほら、おかしい話じゃないか。そいつもさ、心を見てほしかったら紙に書けばよかったのにね。臙条。おまえ、そいつと別れて正解だよ」

式「お断りだ。おまえの命なんて、いらない」

荒耶「荒耶宗蓮。式を殺す者だ」

荒耶「無こそがおまえの混沌衝動、起源である。――その闇を見ろ。そして己が名を思い出せ」



幹也「ろけっとぺんしるって、何ですか?」

橙子「黒桐。魔術師という輩はね、弟子や身内には親身になるんだ。自分の分身みたいなものだから、必死になって守りもする。・・・・・・まあそんなわけだから、きみは安心して待っていろ。今夜には式を連れて帰ってくる」

コルネリウス「Repeat!」

巴(―風は止んだし、合図も鳴った。さあ―そろそろ本気で走りはじめなくちゃ―)

コルネリウス「危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな、危ないな」

橙子「おまえは死んだはずだ、なんてお決まりの台詞だけはよしてくれよコルネリウス。器が知れるぞ。あまり、私を失望させないでくれ」

コルネリウス「お前は――本物か?」

橙子「学院時代からの決まりでね。私を痛んだ赤色と呼んだ者は、例外なくブチ殺している」

荒耶「語るまでもない。私が幾度となく争ってきた想念、荒耶が敵とみなすモノは、救いきれぬ人間の性である」

橙子「認めろ荒耶。私達は誰よりも弱いから、魔術師なんていう超越者である事を選んだんだ」

巴「わりぃな、両儀。俺は、おまえのために死んでやれねぇわ。俺はさ――俺のために、この命を懸けなくちゃいけねえみてえだ」

巴「ああ。――それでも、この心は本物なんだよ」

巴「――そりゃあ、うちの家族はろくな連中じゃなかった。でも、こんなふうに殺されるほど、悪いヤツラじゃなかった。こんなふうに死んじまうほど、罪深くはなかったんだ・・・・・・!」

荒耶「戯け」

荒耶「最後に教えよう。おまえは何も成し得ない。なぜなら――おまえの起源は”無価値”だからだ」

荒耶「語るまでもない。私が幾度となく争ってきた観念、荒耶が敵とみなすモノとは、救いきれぬ人間の性である」


橙子と荒耶
「アラヤ、何を求める」
「――真の叡智を」
「アラヤ、何処に求める」
「――ただ、己がうちにのみ」
「アラヤ、何処を目指す」
――知れた事。この矛盾した螺旋(せかい)の果てを

式「オレ、おまえの部屋のカギ持ってない。不公平だろ、そういうのって」


感想

本作は空の境界中、理解するのに最難関な作品であり、頁数も一番多いことから、考察にも多大な時間と労力を費やし、レヴューも他の追随を許さぬほどに冗長になってしまった。
このレヴューによって一人でも多くの人の「矛盾螺旋」という作品の理解の参考になれば幸いである。
感想としては、まず原作と比較してあまりに尺が短く(自己調査の結果、尺比1:0.40)、映画の視聴だけで本作を理解するのは繰り返すが不可能である。また、本作は只でさえ理解に難いのに、あまつさえ時系列のシャッフルが行われて一層理解が困難になっている。
しかし、映画を全章観終え、原作を読破し、考察を完了した上で本章を視聴すると、以前との理解の程度が甚だしく、歓喜を覚えるほどであり、感無量である。この感覚が味わえるのならば、この時系列シャッフルも悪くないと最近想い始めた。是非この感覚を体験していただきたい。橙子が小川マンションの前で降車するシーンは素晴らしい。
本作は、原作との良い意味での違いが多く浮き彫りになっている。その最たる例は、巴と荒耶の対峙の場面である。原作では、エレベーター降車後、巴と荒耶が対峙し、会話があって、巴が荒耶に襲い掛かって、起源が「無価値」であることを宣告され消滅する。
本作では、地下の脳髄壜の前で、荒耶に真相を暴露され、後にエレベーター降車後、巴が荒耶に襲い掛かり、「無価値」宣告を受ける。ここで巴が「ここに居たんだ」と云って消えて行く。この場面が大変良い。因みに原作では襲い掛かる際に「ここに――居たから――!」と云っている。
尚、巴は荒耶に起源が「無価値」であることを宣告され、消える際にエレベーターの中に居る両儀式を目撃している(1:30:54)。しかし、荒耶には見えていなかった。巴は死ぬ際に、式の再誕を予知したのだろうか。
作品に対しては、荒耶宗蓮という人物の野望や両儀式の本質、燕條巴の人生という様々なテーマによって構成されており、大変見堪えがある。一件落着した後の式のデレには強烈な破壊力があり、何時もの蠱惑的な魅力とは一風変わった愛らしい魅力に溢れていた。{/netabare}


この五章は、一から四章を視聴した上で「両儀式」という人物について改めて考えさせる作品だった。また、荒耶宗蓮、コルネリウス=アルバという魔術師の登場と、彼らによる計画が、空の境界という作品の世界観をより一層具現化させた作品でもある。
また、三章、一章、本章と式が幹也へ寄せる想いが深くなっていることが随所で伺える。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 52
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

複雑難解なストーリー構成。それぞれの螺旋の果てにあるものは?

制作はufotableで原作は奈須きのこ氏の小説です。
ジャンルは伝記ファンタジーです。
全8巻あるうちの五巻目が「矛盾螺旋」になります。
グロ描写とともに精神衛生上良くない場面もあります。
時系列では五番目になります。
この物語の集大成といえる完成度だったと思います。(終わってないですが)

作画について戦闘シーンは第一章並みの迫力でした。
とにかく式が動きまくっています。
黒幕との戦いは本当にしびれました。
BGMも素晴らしい。(やたら長い曲がありましたね)

他の章も難解な世界観を放り投げて視聴者に見せているためわけわからないことが多々ありましたが、それに加えてこの「矛盾螺旋」は時系列をずらし、場面を不意に切り替えるため中盤までストーリーが全く見えません。
ひょっとすると最後までわけわからないかもしれません。
「これを映画でやったら、オンタイムで見た人で理解できる人いるの?」と思わざるを得ない感じです。

ちなみに私は最初は普通に鑑賞し、わけわからないながらも映像・音楽・演出の素晴らしさで見入ってしまいました。
けれども何が凄かったのかは全く分からない。
3回見て、やっと話が自分の中で見えたのでレビューを書いています。

今回の章は臙条 巴(えんじょう ともえ)という男が母親を殺すところから始まる。
彼は家から逃げ出し、路上で襲われていたところを式に助けられる。
行き場のない巴は式の家でかくまってもらうことになる。


以下考察。
{netabare}この話の大本は二つの螺旋構造でできていると私は思います。
一つは「臙条 巴」の螺旋、もう一つは「荒耶 宗蓮」の螺旋です。
前者はミクロ的な視点で、後者はマクロ的な視点で描かれており対比がなされています。
この二つの螺旋が絡み合うことでストーリーが組まれています。


まず「臙条 巴」の螺旋について。
巴は話の半年前に死んでいます。
彼の脳髄だけが保管され、何度も繰り返される殺人実験に使われていました。
これが彼にとっての「矛盾螺旋」、「矛盾した連なる日常」です。

しかし、彼はその「矛盾螺旋」を、母親を殺すことで知らず知らずに破ってしまいます。
殺した理由は「自分が何度も殺されるところを見ていた」から。
繰り返されることに対する伏線はドアを開けるシーン、時計台、アナウンサーなどでも示されます。
彼は自分が一体何のために生きるのかわからなくなります。
それを解くカギになるのは式です。
彼女との生活で彼女への愛を感じ、彼女が生きる意味の一つとなります。
また幹也の導きで家族への愛を取り戻し、平凡な日常を取り戻すため、そして愛する人を助けるために式のもとへ向かいます。

彼にとっての「真の螺旋」は「家族がいて、愛する人がいる、平凡な日常」です。
なんてことはなく、そして最も尊いものを彼は求めていました。
荒耶に歯が立たず存在を消されますが、その時間稼ぎで形成が逆転します。

「この螺旋が、矛盾していなければよかったのに」
この言葉は、「矛盾螺旋」の必然として出会った式と、違う形で出会いたかったという思いから出たものでしょう。


次に「荒耶 宗蓮」の螺旋について。
荒耶は200年もの間、人間の愚かな行為を見て、また無意味に思われる死も見てきました。(戦争など)
なぜかその行いは止むことはないです。
これが彼にとっての「矛盾螺旋」、「矛盾した人類の歩み」です。

彼は根源の渦、アカシックレコードにたどり着いて、すべての原因・真理・過去・現在・未来を知り、死んでいった者たちの無意味な死を意味ある死に変えようとします。
それを解くカギになるのも式です。
彼女の持つ「直視の魔眼」は物体の真理を知ることにつながっており、つまりそれは彼女自身が根源の渦につながっていることにほかなりません。
その体をのっとり、根源を開こうとします。

彼にとっての「真の螺旋」は「叡智を持った人間による世界の創造」です。
醜い人間を消し、愚かな行為をやめさせたい。
それが無理であることは分かっているので、根源を開くことで死に意味を持たせ、そしてすべてを終わらせようとしたわけです。
彼の壮大な野望が、矮小でしかない巴の望みによって破られたのは皮肉ですね。

まだまだ指摘したい点はありますが、私の文章力ですと収拾がつかなくなりそうなのでこの辺で。{/netabare}


総括して、あにこれやってよかったと思いました。
多分普通に過ごしてたらこの作品を知らなかったし、見なかったと思うので。
ここら辺がこのサイトの良さなのでしょうね。
何度も楽しめるスルメな作品だと思います。
むしろ何度も見ないとわけわからない。
これほど作品の面白さを伝えたいと思ったのは初めてかもしれません。

どうでもいいですが、ラストシーンの式のデレが凄くかわいかったですw


[全て視聴し終わって]
{netabare}荒耶は白純という面倒くさい置き土産をしましたねw
彼の存在が式と幹也の愛の物語を引き立てます。
終わっていないけど集大成と書きましたが、これは普通に集大成だったようです。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

現在と過去、真実と虚構の境界線

原作未読。
全8章からなる物語の5章目。約114分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

すべての黒幕の登場。
そして、決着に至る物語。

1~4章までの事件は、いったい何が目的だったのか、それが明かされます。

この章の主人公でもある「嚥条巴(えんじょうともえ)」。
Fate/staynightの主人公「衛宮士郎(えみやしろう)」のモデルにもなった人物です。

この章の見所であり、見る側を混乱させる要素でもあるのが「時系列のシャッフル」。
同時並行で複数の話が進み、同じ時間帯に起こった出来事が別の場面で流れる。
その演出も面白い。
扉を開けたら別の時間だったり、時間軸が場面変更することなく変化します。

見てる側にとっては、いつどこで何があったのか、わかりにくい構成になっています。
そんなねじれた時間軸が、タイトルの「矛盾螺旋」とよくマッチしている作品だと思います。

そして、今までの集大成と言わんばかりの圧倒的な戦闘描写も特徴です。

EDテーマは「sprinter」。
英語で「競走者」を表します。
巴の事を歌った曲なのですが、シンクロっぷりがすごいので、ぜひ歌詞を最後まで聞いてみて下さい。


【5章「矛盾螺旋」の考察】
{netabare}
非常に考察しがいのある話です。
完全に解説しようと思えば何万文字になるかわかったもんじゃありません(笑)
……というか、私自身、よく理解できていません。5回は見たのにw
原作に当たらねば!!


さて、時系列や場面移動が複雑なこの章ですが、途中で入る白黒のカットインで区切りが付きます。

「矛盾螺旋」
前半。
ほぼ時系列どおりに話が進みます。

繰り返す「死」の1日。
巴がマンションを脱出し、式と出会う。
そして、式が荒耶宗蓮に捉えられるまで。
丁度この頃、黒桐幹也は自動車教習所で免許を取り、その後、巫条霧絵に眠らされていました。


「螺旋矛盾」
中盤。
「カチャン」という時計の音が流れる度に、時系列が飛びます。

橙子と幹也がマンションのことを調べ上げ、荒耶宗蓮にたどり着くまで。
丁度この頃、式の部屋には巴がいて、カギをかけていました。
そのため、幹也は式の部屋に入ることができませんでした。


「矛盾螺旋と螺旋矛盾が混じり合うとき」
後半。
何の脈絡もなく時系列や場面が飛びます。

たとえば、幹也と巴がマンションにたどり着いたとき、車が3台あります。
しかし、次の瞬間には2台、そしてまた3台に戻っている。

時系列を追えば、
①一人目の橙子が来る
②幹也と巴が来る
③二人目の橙子が来る
という、単純な話なのですが、
①橙子が車を止めるシーン
③橙子が車から降りるシーン
②幹也と巴が来る
と、順序を入れ替えることで、橙子が2人いることに気付かせないようにしています。


さて、黒桐幹也と、荒耶宗蓮から逃げてきた嚥条巴が出会います。
そして、巴の本当の家へ向かう2人。

……家族が崩壊していく過程が、見ていて苦しかったです。
しかし「死」を永遠に繰り返されるほどの罪など犯していない。
過去の出来事を知り、家族の「本当の愛情」に触れ、巴は、真実の体と偽物の体の境界線を乗り越え、式を助けに行く決心をします。
EDテーマの「sprinter」=競争者。元陸上部。走り出す巴。


アルバ「お、お前は本物か!?」
橙子「お前さぁ……私に対してその質問に何の意味があるんだい?」
橙子「実を言うとね、お前の憎しみも悪くなかった。それは蒼崎燈子という私がいる証だから」


荒耶「お前には何一つ本物であるものはない」
巴「分かってる、俺が偽物だってことくらい。だけどよ、俺には過去はないけど、強い思いがある!俺は両儀が好きだった!偽物だろうと、この心は本物なんだ!!」


2人とも「誰かの存在」によって本物と偽物の境界を乗り越えているんですね。
処刑モードの橙子、全力で荒耶宗蓮に立ち向かう巴、2人ともかっこよすぎる!!

アルバが倒され、巴が時間稼ぎをしたことで、式は結界から脱出することに成功しました。
巴が消えたことを悟った式は、「殺人衝動」を超えた「怒り」で荒耶宗蓮に立ち向かいます。
そして敗れる荒屋宗蓮。
しかし、彼にも悲しい過去があったんですね。
ただ、それは無関係の人々を巻き込む「実験」でもあり、単純に許されるものではない。

結局、巴は消えてしまいましたが、巴「ここに居たんだ」のセリフ。
そして、幹也に対して「俺、お前の部屋の鍵もってない。不公平だろ、そういうのって」とすねた式。
「鍵」という愛情の証を通して、式の中に巴が残りました。
切ないながらも、救いのある終わり方で良かったです。

【全て見終わった人へ】
{netabare}
シナリオを考えれば、この章が事実上の最終回ですね。
最終回の名に恥じない、最高の演出と最難関のストーリーでした。

次回は、待ちに待った鮮花の出番。
次回予告の「えへっ★」にやられたのは私だけではないはず!!
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 41

75.8 10 ufotableアニメランキング10位
空の境界 第七章 殺人考察(後)(アニメ映画)

2009年8月8日
★★★★★ 4.1 (726)
4347人が棚に入れました
1999年2月。両儀式が黒桐幹也の前から姿を消した。そして、それに合わせる様に再発する連続殺人事件。3年前、自らを人殺しと称した式。信じ続けると誓った幹也。幹也は式の無実を証明するため、殺人事件の捜査を始める。そんな中、幹也はある麻薬事件をきっかけに高校時代の先輩・白純里緒と再会する。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、中田譲治、保志総一朗
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界の集大成。式と織の夢の行方は如何に

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第七章「殺人考察(後)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。


「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。

劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

===============================================

第七章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち7番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章から第六章までの展開や伏線について、九分九厘解明され、当然ながら本作の集大成といえる章である。第二章は殺人考察(前)ということもあって、本章の前日譚であり話の関連性が多く見られる。しかし、二章の他にも本章への伏線は張巡らされているので、注意深く視聴して欲しい。二章から本章まで七章作品があるが、五章で述べた通り、荒耶の野望としての側面は五章までで、六章・七章は彼の残滓・置き土産との戦いである。
本章は置き土産2号との戦い(笑)
そして空の境界の式と幹也のラヴストーリー性が最大に際立っているのが本章である。
式、幹也が各々の方法で4年前からの事件に決着を付けるべく行動する。彼らの葛藤とその意味、事件の真相と結果が見所。
また、本章視聴後、是非、終章空の境界も見て欲しい。こちらを見る事によりより深く、作品を理解することができると思う。
副題の not nothing heartは「空虚な心でない」といった訳だろうか。二章と対照的。
考察←観る前に見ない様に。

{netabare}
時系列:7/8
1999年2月
両儀式:19歳 職業:高校生
黒桐幹也:19歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:小
原作との尺の比 210P:120min=1:0.83(1分当たり1.75P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)

・「白純里緒」について
黒桐幹也の高校時代の先輩であり生徒会に属していた目立たない生徒だった。幹也は六章で述べた通り、誰にでも普遍的に接し、交際範囲が広く、彼は一人の先輩としての位置づけだが、彼は幹也に常軌を逸した親愛の情を寄せる。
両儀式に惚れて告白するも、「弱い人は嫌いです」と振られてしまう。彼は潔癖症で人間嫌いだったが、式に惚れた理由は、式が男性と女性の要素を兼ね備えていたからだろう。彼は天性の女性的嗜好家で、式よりも織に惚れていたきらいがある。月刊コンプティークのインタビューで、奈須氏は「里緒は性同一性障害であり、織に惹かれ、幹也に惹かれた」と答えている。
強い自分になるべくゲームセンターで幅を利かせていた不良を挑発し、木材で遭えなく殺害してしまう。死体処理に困った揚句に死体を摂食して処理することを思い付き、之を食らう。処理中に荒耶宗蓮に認められ「食べる」という起源(後述)を覚醒する。
彼には自身の行為の異常性の認識があったものの、荒耶に「君はすでに常識に不在している」と言われ、道徳に縛られない、常識という世界において異常者は罪に囚われない(罪に問われないわけではではない)という観念に没頭する。
起源覚醒時に荒耶に「りお――おしいな、一字違えば君は獅子だったのに」と言われ、獅子を模す為に金髪に染めている。(レオ=Leoとはラテン語で獅子、ライオンを意味する。性質と名前の関連で言えば両儀式は完璧と言える。性質と名前の一致は重要と思われる。)
二年前の殺人事件でも式に模した格好で殺人を連続して挙行しており、彼女の殺人衝動を刺激して、彼女も自分と同じ殺人鬼にすることで、自らの欲望を満たそうとした。
(防衛機制に於ける式と自身の同一視という見方も出来る。)
他にも、薬屋の息子だったこともあり、自分と同じ起源覚醒者を製造する為に、荒耶から貰った大麻を安価で頒布し、見込みのあるものには、自分の血液を混入したブラッド・チップというドラッグを頒布した。
荒耶宗蓮の所有するアパートに居住し、部屋には両儀式コレクションがある。薬の製造も此処で行われた。
式が殺人に踏み切れない理由を「普通」や常識に囚われていること、それらと式を繋いでいる対象を幹也だと看破し、式を自分と同じ異常者に誘う為に彼を殺害しようとした。
彼は、式に振られてから犯した殺人を堺に、自分は異常だから、狂っているから異常な行為をするのは当然と、自己を正当化する為に狂った振りをして、言い訳をして、自分から、現実から逃げていた。
「・・・・・・生まれた時から理由もなく殺人を嗜好してしまう式と、自分を守る為に殺人を嗜好していると思い込んだ白純里緒」という幹也の台詞は簡潔で正鵠を射ている。
「空の境界という伝奇作品」のラスボスが荒耶宗蓮ならば、「式と幹也の恋愛物語」のラスボスは彼だろう。

・「壊れていない人間が殺人後に採る行動」について
白純里緒は前章の境界式で荒耶に「そうか。それは、君が特別だという事だ。殺人という極限状態において選ばれた選択には余分なモノがない。おおかたの人格はその時点で自らの罪から逃亡する。だが君は、君にしかできない方法でそれに立ち向かった。たとえそれが常識という範疇から”壊れている”方法だとしても、それを非に思う事はない」と言われ、自らの特別性を認識する。

奈須きのこが神様(月姫読本Plus Period 漢話月姫第七回より)だという京極夏彦の説を引用すると、
(魍魎の匣p.88より)
動機は後から、便宜上他人がつけるようなもので、犯罪を犯罪たらしめるために、社会通念上動機という理由が必要である。
動機は皆持っており、特殊なことではない。犯罪者と一般人を分かつものはそれが可能な状況や環境が訪れるか否かの一点にかかっている。
正常異常で分けるのなら、精神状態が一番異常になるのは犯行の後である。些細な衝動、殺した後に物凄い非日常的な状態に気が付く。
この状況を脱する、日常に戻る為の方法は二つ
 一つは後悔、反省、自首などの矯正をする。
 一つは社会に見逃して貰えば良いと、犯行を隠蔽する。バラバラはこの工程で合理的判断から行われるが、良心の呵責から、結局は警察に露見してしまう。

蛇足だが、監察医里村の意見だとバラバラは殆ど頭・胴体・両腕・両足の6つに分解されるが、そこまでする時間があるのならば、もっと細かく、肉は細切れにして、骨を砕いて、飼料にでも混ぜて畑に撒けば絶対に分からない。
絶対に捕まりたくないと思えばここまでやるだろうが、深層心理の何処かに捕まりたいという思い或いは遺しておきたいという思いがあるのかもしれない。

この考えでいけば白純が異常だったのは死体を摂食しようと思ったこと一点であり、荒耶の罪は重いと言えるだろう。


・「起源」について
起源とは生命体が生命の根底にもつ衝動で、始まりの因で発生した方向性であり絶対命令である。生命の存在意義であり、人格の形成に影響を与える。人格よりも肉体に対する支配力は強いが通常は自覚することが無い為、強い作用には至らない。起源を覚醒した人間は徐々に起源に飲み込まれ人格は消滅するが、強大な力を得る。荒耶宗蓮は螺旋した人の性を覆す為の人間のルーツの探求中に、起源覚醒の術を得た。覚醒には、荒耶と起源覚醒者の双方の同意が必要。


・「四年前の事件の真相」について
前半は省略。詳しくは、二章殺人考察(前)を参照

式は黒桐幹也を求める心と壊してしまいたいと思う心(ambivalent)に苛まれながら幹也を刺殺すようとするも、愛情と夢を叶えたいという想いから躊躇し、殺すことしか出来ない彼女は、自らの命を絶とうと自刃しようとする(一章の逃避行動の内の飛行)。しかし、五章矛盾螺旋で述べた通り、式の肉体の成熟を見守っていた荒耶に妨害される。幹也の傍を離れるべく逃走し幹也に追われるも、結局は自動車に跳ねられる。ここからは詳しくは四章伽藍の洞を参照して頂きたいが、昏睡から目覚める際に六章忘却録音で述べた通り、織は織と幹也の思い出、事件当夜の記憶を目覚めた後の式の理性によって解釈を改編されぬように(これは一種の防衛機制における抑圧とも解釈出来る)永遠の忘却の彼方に送った。そして織には叶えられぬ「普通に生きる」という夢を式に託し、消滅した。

・「殺人と殺戮」について
式の祖父は彼女と同じ二重存在者で、自らを痛めつけ、潰しあい、否定して、自己が曖昧になってしまった人物で、二十年近く座敷牢に幽閉され、何十年と正気でなかったが、式が六歳になり道具さえあれば何かを殺してしまえる体になったころ、今際の際に式に遺言を残した。
「人は一生に一人分の死しか背負えない」

祖父「人は、一生に必ず一度は人を殺す」
式「そう、なの?」
祖父「そうだよ。自分自身を最後に死なせるために、私たちには一度だけ、その権利があるんだ」
式「じぶんの、ため?」
祖父「そうとも。人はね、一人分しか人生の価値を受け持てないんだ。だからみんな、最後まで辿り着けなかった人生を許してあげられるように、死を尊ぶんだ。命はみんな等価値だからね。自分の命だからって、自分の物ではないんだよ」
式「じゃあ、おじいちゃんは?」
祖父「おじいちゃんはだめかな。もう何人も殺してしまった。殺してしまった彼らの死を受け持っているから、自分の死は受け持てない。おじいちゃんの死は、誰にも受け持ってもらえないまま、空っぽのところへ行く。それは淋しい事だ」
式「いちどしか、だめなの?」
祖父「ああ。人を殺せるのは一度だけだ。そこから先はもう意味のない事になる。たった一度きりの死は、大切なものなんだ。誰かを殺してそれを使い切った者は、永遠に、自分を殺してあげることができない。人間として、死ねないんだ」
式「・・・・・・おじいちゃん、苦しそうだよ?」
祖父「うん、これでおわかれだ。さよなら、シキ。せめてキミが、穏やかな死を迎えられればいいんだが」

人は一生に1人分の死を背負うことができる。つまり、自分が死ぬ際に、自分の死を受け入れるためのある種の一人一票的権利と形容できよう。人を殺した場合、その次の死を受け入れることはできない。処女は二回目は処女でないように、死を自分の体験として処理する際に慣れが生じる。最初の死は、処女喪失に等しい壮絶な体験であり、二回目に同等のものを得ることはできない。
式は殺人の痛みを誰よりも知っている。自分が殺人を嗜好していても、殺人を耐えずっと我慢してきた。

殺人・・・相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまった時、恋愛であれ憎悪であれ、その感情が自己の器から溢れてしまったとき、感情は苦痛に変化し、相手の存在に耐えられなくなる。それを何らかの手段で自分の中から遠ざけなければならず、対策として忘却したり、離れたりするが、手段が極端になると殺人となる。自分を守る為に道徳は消え、仮初の正当性をも手に入れる。殺害後は人を殺した、という意味も罪も背負う。

殺戮・・・殺人と違い殺す相手を特定しない。よって殺害される対象に特別性は無い(通り魔の対象が不特定多数であるように)。殺された側は人間だが、殺した側は人としての尊厳がない。あとの意味も罪もない。事故の様な物である。


・「一連の連続殺人事件の真相」について
四年前の事件(二章殺人考察(前)参照)では六人の殺害で式が昏睡状態に陥った為、白純里緒の無差別通り魔殺人事件は両儀式への見せしめ、誇示、示威が目的だったことから幕を閉じた。しかし、式が目覚めたという情報を察知した彼は、荒耶宗蓮が居なくなった秋から、再び連続通り魔殺人を挙行する(荒耶には白純は失敗作扱いされていた為、式を陥れる駒という役割を与えられなかった)。前回とは違い今回は、式に発見してもらう為に、「着物を着た人物」の目撃者を作るという証拠を残した。前回は織が夜に、誰かと殺しあいたいという願望を持って徘徊し、死体を発見し恍惚としていたが、今回は式が自身の殺人嗜好から殺人鬼と殺しあいたいという願望、四年前の事件に決着を付ける為に犯人を捜した。幹也は式が犯人でない事を証明し、安堵する為に捜査を行い、白純里緒が犯人だと断定した。白純は彼女を縛る対象を幹也と断定し、だんだんと起源と本能に埋没していく。
式は白純と戦闘するも、幹也との約束を守り、彼の左腕を殺しつつも、人殺しだけは行わなかった。しかし、白純に幹也が殺された旨を聞かされ、彼を殺してしまう。幹也は命からがら式の元に辿り着き、式が生きていることを嬉しく思い、傷心している彼女に、三章での「式の罰は、僕が代わりに背負ってやるよ」の言葉の通り、「・・・・・・でもかまわない。言ったろ、君のかわりに背負ってやるって」と彼女を慰めた。


・「seventh heaven」について
両儀式が黒桐幹也により変化していく様子イメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。「君が光に変えて行く」の続編である。
Seventhは英語で7番目、heavenは英語で天国という意味の名詞。
Seventh heavenつまり第七天国はアブラハムの宗教(ユダヤ・キリスト教、イスラーム)における天国の階層の七番目。第一天ヴィロン、第二天ラキア、第三天シェハキム、第四天ゼブル、第五天マオン、第六天マコン、第七天アラボトがある。第七天国は天国の中心らしいseventh heavenは「至福」を意味するらしく、式と幹也の至福を祝っているのだろうか。

本作は第二章「殺人考察(前)」から続く式と幹也のラヴストーリー色の最高潮の作品で、二章の「君が光に変えて行く」の「こんなに哀しい景色を 君が光に変えて行く」という歌詞続きとして「こんなに明るい世界へ君が私を連れてきた」という歌詞からも分かるとおり、式が幹也によってだんだんと解放されてきていることを歌っている。
「もう一人じゃない ずっと 二人で行く まほろば」(「まほろば」は日本の古語で素晴らしい場所や住みよい場所を表す)

・「殺人考察(後)」という作品について
四年前、白純里緒は両儀式が好きだった。性同一性障害を秘めていた彼は男女両方に見られる彼女に惚れていたが、「弱い人は嫌いです」と振られてしまい、強くなるべく、喧嘩をしようとしたら、相手を殺してしまった。「自分は異常だ、特別だ」と思い込むことにより自我を保ち、荒耶に認められて起源を覚醒する。夜に徘徊する織の近くで殺人を繰り返し彼女を外から壊していったが、彼女が事故から昏睡してしまい、荒耶に失敗作の烙印を押されてしまう。荒耶の消滅後、式が目覚めたことを知り彼女に分かるように殺人を挙行した。式は四年前の事件に決着を付けるべく殺人鬼を追い、幹也も式が犯人でないことの証拠を掴む為に調査を開始する。白純は殺人鬼というネーミングに酔いしれながら、だんだんと起源に飲み込まれていった。式は彼が犯人だと突き止め、殺人衝動を押し殺して彼の挑発を受け流した。幹也もドラッグ方面の調査から白純が犯人であることを突き止め、説得を試みるも失敗。式に傷付いて欲しくない思いから式は幹也に戒められたが、式は幹也を殺されたと思い込んで白純を殺してしまう。幹也は式の罪を背負うことを伝え、彼女を生涯放さないことを決意した。



・名言(原作より抜粋)

荒耶―たわけ、そのような崩壊を望んだ訳ではない

荒耶―まだアレを破壊するのは早い。相克する螺旋こそが、アレに相応しい終焉だ。

式「おまえを消せないのなら――わたしが、消えるしかない」

白純「・・・・・・ダメだ。ボクは特別だから」

幹也「先輩を殺したら、僕は一生君を許さないからな」

幹也「・・・・・・君は誰も殺さないよ。たまたま誰も殺していないだけだって?笑わせるな、そんな偶然が今まで続いているもんか。君は自分の意志で、いつだって耐えていたんだ。人間の嗜好はそれぞれだろ。式はたんに、それが人殺しだっただけじゃないか。でも、ずっと我慢してきた。ならこれからも我慢できる。絶対だ」

式「・・・・・・おまえは変わらないね。コクトー。言っただろ。式はさ、おまえのそうゆう所が大嫌いだったって」

織―ありがとう。君を殺すことなんて、できない。

橙子「そうか。なら止めるのは少し野暮だね。――行ってらっしゃい黒桐。縁が続けば、また明日」

式「――そっか。殺人鬼が本当にいるのなら、私は、殺人鬼じゃないんだもの」

式―あいつがいないと、わたしは、生きてさえいけないんだ――。

幹也「・・・・・・殺人鬼なんて呼び名は間違っていたんだ。式が抱く苦しみを、あなたは持っていない。捨てたくても捨てられない感情、その隔たりがあなたにはないから」
幹也「だから――あなたは式と同じなんかじゃない。まったく正反対の人間だ。人を殺して、その罪を自分のものと認められない。ただ逃げて、殺人者にも殺人鬼にもなりきれない逃亡者。――それがあなたの正体です、先輩」

式「・・・・・・ああ。死んだのか、おまえ」

式―たとえば雨。霧のように降りしきる放課後、きみの口笛を聴いていた。
式―たとえば夕暮れ。燃えるような景色の教室で、きみとボクは語り合った。
式―きみがいて、わらっているだけで、幸せだった。
式―きみがいて、あるいているだけで、嬉しかった。
式―ほんのひととき。木漏れ日が暖かそうで、立ち止まっただけ
式―いつか、同じ場所に居られるよときみは笑った。
式―その言葉を、ずっと、誰かに言ってほしかった。
式―それはほんとうに。夢のような、日々でした。
式 ありがとう。でもごめんなさい。

幹也 君が、人を殺す事だけは許せない。
幹也 他の誰かが誰かを殺しても、かまわない。僕はただ、式にだけは人を殺してほしくないんだ。
幹也 君が好きだから。
幹也 君を好きでいたいから。
幹也 君に、幸せになってほしいから。
幹也 これ以上、傷ついてほしくなかっただけ。

幹也「・・・・・・でもかまわない。言ったろ、君のかわりに背負ってやるって」

幹也―僕が、君を殺そう。

幹也「式。君を―――一生、許(はさ)さない」

式「だからね、幹也。今の式は、そういうの嫌いじゃないって言ったんだよ」


感想

式が異常者として生涯に幕を閉じることがなかったことは、偏に幹也の功績である。式に異常者であることを強く認識させ、「普通」の代名詞たる自分との乖離を無意識の内に強調する事により、結果的に両儀式の人格破綻を招き、織を殺してしまった。しかし、彼の真っ直ぐな主義主張と愛情は首尾一貫して式の拠り所となり、織の式が普通に生きるという夢を最終的に叶えることと成った。式と幹也の純愛物語として、一章から七章の波乱万丈の物語も見ごたえがあって、見終わった後の感慨深さも一入である。式の消えてしまった織を忘れて欲しくないが為の男性口調や、反動形成、時たま幹也にだけ見せる女性らしさが愛おしい。式の胸に空いた伽藍洞にはしっかり幹也が納まっている。
式の言う「弱い人」とは五章で述べた通り、自我を保つ為に他人と違うことを強く望み、自分が特別であることを強調する人だろう。だから正反対の幹也に惹かれたのかもしれない。
両儀式は特別を持たない青年、黒桐幹也の特別となった。空の境界の一側面は幹也による両儀式の救済物語である。彼女の空っぽの心は、彼の愛に満たされたのだから。{/netabare}
===============================================

この七章は、「空の境界」の集大成である。是非、一章からの物語を反芻して、本作の神髄を味わって欲しい。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

夢の終わり

原作未読。
全8章からなる物語の7章目。約120分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

時系列で言うと第6章の後。
4年前に引き続き、新たな連続殺人事件が発生する……。

第1章~第6章に対する解答編になっています。

今までの殺人事件は、式の仕業だったのか? それとも別の誰かなのか?
……だとしたら、その目的は?
そして、黒桐幹也はそれをどう捉えていたのか?

今までの伏線が回収され、4年前から始まる事件の真相が明かされます。
幹也の葛藤、式の葛藤、そしてたどり着く結末。

もちろん、いつものごとく、綺麗な作画、スタイリッシュなバトル。
そして、BGM、EDテーマ「seventh heaven」のクオリティも健在です。



【7章「殺人考察(後)」の考察】
{netabare}

すべての章に繋がっているストーリー展開です。

冒頭で明かされる4年前(2章)の真相。

織は幹也を愛していました。
幹也と幸せに生きることが彼の夢。

織「お前を殺したい」

殺人という感情でしか他者と関われない織にとって、これは「愛情表現」です。

しかし、幹也を殺してしまうとその対象が消えてしまう。
「夢」を破壊することを選べなかった織は、「自らを殺す」という選択肢を選んで、車にはねられました。
これは、浮遊ではなく飛行という行動に当たります(1章)。

その事故で生死の境をさまよった両儀式。
自分にはできない「夢」を叶える可能性を持つ「式」を守るため、「織」は消滅します。
そこで、式は、織の代わりに男性人格を演じることで、織の叶えられなかった「夢」を守ろうと決意します(4章)。

同時に、式は当時の記憶を失ってしまいます。

したがって、式は、自分が殺人を犯したかどうかを覚えていません。
しかし、「忘却録音」により、式の中に記憶が残っている可能性があります(6章)。

自分は本当に殺人を犯したのか? それは殺人衝動による殺戮なのか?
もしそうだとすれば、もう幹也に許されることはなくなってしまいます(3章)。
それを確認するために、殺人鬼のところへ向かう式。


式は、殺人鬼を殺すことができませんでした。
幹也のことに触れられて、傷つけることはしましたが、殺すことはしなかった。
ここで、式は自分が「他の人間を殺したことがない」ことがないことを悟ります。

まだ、夢は壊れていなかった。

しかし、式は里緒に対して直視の魔眼を使っていることに気づき、自分の中に「殺人衝動」が眠っていることも再認識します。
式が「殺人衝動」を抑え、境界を越えず、「殺人」に走らないようにつなぎ止めている「カギ」が幹也。

それに気付いた、式と白済里緒。


白済里緒は、両儀式に対する強い愛情を持っています。
好きな人が自分と同類であることを確認したいという気持ちは分かります。
同じ趣味を持っていれば嬉しいのは当然。

幹也「橙子さん、人間が人間を殺す理由は何ですか?」
橙子「相手に抱く感情が、自己の容量を超えてしまったときだろう。恋愛であれ、憎悪であれ……」

それが極端になってしまったのが、白済里緒という人間です。

式が「殺人」に焦がれていることを知った里緒は、殺人を犯してしまうわけです。
そこを荒耶宗蓮に見られ、自らの意志で起源を覚醒し、力を得ました(5章)。


そして、最終局面、幹也が里緒に殺されたと勘違いした式。
式は、自分自身も幹也を愛していることを認めます。
織に託された「夢」がいつしか自分のものになっていました。

そして、すべてを失うのが分かっていながら……もう自分の夢が叶わないと知りながら、里緒を殺してしまいます。


ただ、幹也が「先輩を殺したら許さない」と言っていたのは、式に傷ついて欲しくなかったからなんですね。
式を認める認めないの話ではなく、好きな人を守りたい、ただその一心から出た言葉だったわけです。

だから、式が生きている、ただそれだけで良かった。
幹也「代わりに背負ってやるって約束したろ」

そうして式と織の夢は叶います……というより、すでに叶っていました。

幹也「もう何年も前から僕は君が好きだった。今も」
式「今の式は、そういうの嫌いじゃない」

すごく優しい笑顔でした。

式「私が欲しかったものはナイフでも何でもなくて、そのてのひらだったんだ」
一人称が「私」になっています。

これで「式」の物語はおしまいです。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 36
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

普通と特別 理性と衝動の境界線

1999年2月。時系列的に7番目の第7章。
黒桐幹也の前から式が姿を消したのとほぼ同時期、
4年前と似たような連続猟奇殺人事件が起きる。
式を信じ続けたい幹也は彼女の無実を証明するため、独自に捜査を始めるが
そんな中、高校時代の先輩・白純里緒と再会して・・というお話。

なにげない点と点がやがて、ひとつの線でつながっていくこの第7章、
劇場版としては最終章となり、いろんな意味で結論が出され、
しっかりと区切りがつくように作られていた。
そしてこの章のタイトル「殺人考察(後)」からもわかるように
第2章「殺人考察(前)」での伏線がどんどん回収されていく。
ともすると聞き漏らしてしまっていたかもしれないような誰かのセリフが
実はとても重要だったりして、綿密に計画されたシナリオの深さに
あらためて驚かされたし、音楽、映像、演出すべてにおいて
この章の完成度が一番高かったのではないだろうか。

ヘンデルの「サラバンド」をアレンジしたようなOP、
ネガフィルムをモチーフに記憶というテーマを揶揄した映像も、すごく好み。

4年前、式が遭った事故の真相と殺人鬼の真相。
そして式が失っている2年間の記憶とは。
幹也が信じてきた式という1人の人間像。
式が見てきた幹也という1人の人間との出会いと軌跡。そして絆。
ドラッグを通してその人物の人間性や性格を表現していたのもなかなか良かった。
{netabare}
さらには、式を縛り付けていた、「人は一生のうちに1人しか殺せない」
「人は人間1人分の死しか背負えない」という亡き祖父の言葉の本当の意味が、
この作品の一番底にあることに気づかされ、多少の矛盾は感じつつも、納得できた。

観終えて思えば、白純里緒みたいな人こそが本来の意味での中二病な人だよね。
特別でありたいと憧れ、異常なことをしていくうちにエスカレート。
正当化するためにさまざまな行為に理屈をつけては繰り返す異常行動が
犯罪と気づいていても引き返せない精神的な弱さ。
さらには自分だけで背負うことができなくなり、同じ仲間を増やそうとする。
悲しく、とても哀れな里緒だったが、荒耶 宗蓮のような魔術師も似たようなもの。

対照的に、幹也のブレない一途さがすごく光っていて。
ブレないどころかもう執念としか言いようがないほどだったけれど。
式にとっては、幹也の真っ直ぐな愛情が彼女の中の男性人格・織を消して(殺して)
しまったのだとしても、この作品は式と幹也の傷だらけの純愛物語でもあるのだなと
思うと、織が消失して良かったし、そうしないと前に進まない物語だった。
それに、消えてしまった織を補うかのように男性口調でいようとする式の気持ちも
ものすごく共感できるし、幹也の前でだけは時々ながらも
女性らしさをちらっと出すところなんか、ほんと・・わかるなぁと(笑)
そんな部分でも、個人的にこの作品への愛着が強かったりする自分だ。

とにかく、殺戮シーンのグロさとは裏腹に、静かな雪の風景はとても美しく。
スピード感のあるバトルシーンとのメリハリも効いていて、
里緒はとことん気持ち悪く、幹也はとことん純粋で、そして式は強かった。
特に、里緒との戦いのあと、十字架のように仰向けになっている式が印象的。
精根使い果たした後に背負うものの重さを感じさせる、良いシーンだったと思う。
また、幹也の本音が叫ばれるシーンは必見だけれど、
自分的にはエンドロール後の、桜並木での式のセリフに熱い涙がこぼれてしまった。
{/netabare}
上映時間120分。時間だけでなく内容的にもとても見応えがあり、
この第7章に一番、登場人物たちの本音が出ていたと思う。
しかし、このあと「終章」が控えている。
まだこの作品を語るに、終われないものがあるのだよね。
終章の感想はまた後日。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 44

72.1 11 ufotableアニメランキング11位
空の境界 第二章 殺人考察(前)(アニメ映画)

2007年12月29日
★★★★☆ 4.0 (721)
4110人が棚に入れました
1995年3月、黒桐幹也は街で一人の少女と出会った。透徹した、不思議な眼差しを持った少女に幹也は一目で心を奪われてしまう。その年の4月、観上高等学園の入学式で幹也はその少女と再会する。少女は両儀式と名乗り、人を寄せ付けない性格であったが、幹也には少しずつ心を開いて行く。ある日、幹也は式のもう一つの人格である「織」と面識を持つ事になる。自分は殺人者だと言う「織」に戸惑う幹也。そんな中、観布子市内では連続猟奇殺人事件が発生し、街は重苦しい雰囲気に包まれていた。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、中田譲治
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

両儀式の心を乱す幹也。彼らの物語は此処から始まった。

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第二章「殺人考察(前)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。


「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第二章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち1番目にあたる作品だ。本作の視聴で第一章では分からなかった「あの夜」までの展開が繰り広げられる。黒桐幹也と両儀式という二人の人物の過去とその関係を知ることが出来る。注目して欲しいのは「両儀式」の心理描写である。黒桐幹也が彼女に与える影響や、それによって変わる二人の仲をしっかり押さえておきたい。第一章「俯瞰風景」での伏線も回収している。前作に比べて穏やかなストーリーの運びだが、彼女の心の激しい流動には細心の注意を払って観て欲しい。
副題の and nothing heartは「そして空虚な心」といった訳だろうか。
考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:1/8
1995年9月~2月
両儀式:16歳 職業:高校生
黒桐幹也:16歳 職業:高校生

原作との相違:小
原作との尺の比 87P:60min=1:1(1分当たり1.45P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「両儀式」について
両儀家は人為的に二重人格者を生み出す家系であり、持って生まれた多人格を認められ、多人格を持たなかった兄を差し置いて両儀家の跡取りとなった。
生まれたときから、自らのなかに他人を抱えて生きてきた式は、自分以外の人間の感情を知って育ってきて、自然と人間嫌いになってしまった。
式のときは女性口調で、織のときは男性口調。
そんな式に「普通に生きる」という幻想を持たせてしまう少年が現れた。
異常者であると言う自分を、異常者だと認識させてしまう、少年、黒桐幹也。
式は生まれてはじめて、織以外の他人として「幹也」を強く意識し、心のどこかで人並みの幸福を夢見ていた。

幹也の「いつから僕らは正体不明の存在が、ただの見知らぬ他人なのだと知ってしまったのだろうか。」という思索は、「式の人間嫌い」について考えたものだ。
子供の頃は疑うことを知らず、無条件で周りを好いて、周りからも当然好かれていると"思い込んで"いたが、それは単なる無知故の幻想であるということに、何時気がついたのだろう、という意味だ。式の場合は織がいた為に、幼少期にその事実を直視してしまった。


・「黒桐幹也」について
「普通」「一般」を形にしたような人で、温和で面倒見がよく、大抵の人に好かれる好人物。一方恋愛に関してはかなりの鈍感で、式が好きであるため周りが見えないという点もあるが、当の式からの好意も感じ取れていなかったりする。また、馬鹿正直で「常識」という範疇から外れたことも冷静に処理することが出来る。
式に「両手両足だけ?それだけで人間は死ぬの?」という問いに、
「そりゃあ血がなくなれば酸素欠乏で生命活動が停止するでしょう。でもこの場合はショック死のほうが先だったろうね」と答えている。
基本的に、式からは「黒桐くん」、織からは「コクトー」と呼ばれている。


・「孤独と孤立」について
誰もいない街を歩くのは、自分が一人になりたいからだと思う。それとも逆に一人なのだと思いたいからだろうか。

両儀式は二つの人格「式」と「織」を持ち、集団から孤立することはあっても、人格として孤独を感じることはなかった。式の隣には必ず織が居た。式は織を外に出そうとするものを殺す、つまり彼を殺し続けた。


・「天候と服装の変化」について
初めて会った時の天候は「雪」(この時幹也が会ったのは『両儀式』)で、そこから式が初めて「黒桐幹也」を認識した雨宿りの天候、「雨」へと変化。
そこで再び式は拒絶の意志を示す為、織に幹也との面会を許可する。この辺りから両儀式の服装が「黄色」(警告色)に。式がその後話しかけてきた幹也に「なぜ話しかけてきたの?」と訊いていることと、「このままだと、きっと私はあなたを殺すわ」という台詞から、なんとか幹也に引いて欲しかったのだろう。
殺人現場に居合わせた織を目撃しながらも、沈黙を守り「自分自身に自信が持てるようになったら、式の話を聞けるようになると思う」と答える幹也に、式は彼を完全に無視することにした。幹也はその後も張り込みを続ける。この辺りで天候に「雪」の日が一日ある。
放課後の教室で、式の「おまえは私の何を信じられるんだ」という質問に対する、「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」という答えに、式は彼に叶わない夢を見せ付けられ、絶望的な願いは彼への憎悪を呼んだ。その夜の天候は「雨」。式は「赤」(危険色)の着物で登場し、張り込み中の幹也を襲う。
そして彼女の「愛情」の代わりに持つ感情「殺人」により、幹也への想いをぶつけることになる。
作中を通して「雪」(緊張)から「雨」(緊張緩和)へと傾倒する雪解けの変化、これは式の幹也への心情の変化を表すのではないか。


服装の変化に関して、式の服の色が青→黄→赤と変化していることについて、普通であれば先述の危険色と判断出来るが、五行思想の「相剋」の観点から、木(青)→土(黄)と相克している、そして次が火(赤)であるので、水(黒)が入れば、完全な相克関係 木→土→水→火が完成するのだ。この黒はやはり「黒」が名字に入り、尚且つ全身黒ずくめの黒桐幹也を入れるのが適当だろう。
普段の式(青)→織(黄)→毎晩両儀家前で張り込んだ幹也(黒)→幹也を襲った両儀式(赤)
という完全な相克が完成するのだ!
(因みに相克とは五行思想において相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係)


・「式と織」について
式は「肯定的な肯定」であろうと「否定的な肯定」であろうと、「抑圧」の感情を示す。女性人格で両儀式の肉体の主導権を持つ。
革ジャンの着こなしについて、一章「俯瞰風景」ではファスナーを開けているが、二章では閉じられている。これは二章の式が心を閉ざしていることを暗示している。
織は「肯定的な否定」であろうと「否定的な否定」であろうと衝動と逃避からの「解放」の感情を示す。男性人格で彼の生きる実感は殺人である。親父との稽古は織の担当の様で、男性口調だった。(真剣で勝負とは、二人ともよほど上手いのだろう)。夜に散歩をしていたのは織である。
最後の式の台詞が「オレは犯(ころ)したい」ではなく、「私は犯したい」であるのは、式が衝動を解放したことを示す。
(これはアニメでは分からない違いであるが(笑)。)

式と織の関係を例えるなら、『両儀式』という乗用車(肉体)に両儀式と両儀織という二人の人間(人格)が乗っているようなものである。
お互いに相手を認知しており、普段は式が運転席に、織が助手席に座っていて、交代することもある。乗用車(肉体)の所有者は式である・・・といった具合である。

式と織については第四章伽藍の洞と終章空の境界でも考察する。


・「――黒桐くん!」という式の叫びについて
幹也が秋隆の迎えを待つ式に傘を差出、唐突に鼻歌でsinging in the rainを歌った場面で、式が放った一言であるが、これは式がこのままでは織が出てくると直感で感じ、黒桐幹也という人間を周囲の自分を構う有象無象と一線を画す人物として初めて認識したことを表している。彼は式の異常性を露程も意識していないかのように彼女に感じさせ、自分の言動が無視されることよりも、それを式の思惑により曲解されることに怒った。式は幹也の人の好さに対して反感を覚えずにいられなくなるが、発端はこの時点からである。


・「連続通り魔殺人」について←七章を観てからどうぞ
{netabare}
この連続殺人の犯人は白純里緒であり、事件現場に必ず式が登場することと、彼が彼女に会ったときの「四回はやり過ぎだろう」(←実は殺人自慢)という台詞から、ミスリードを誘った。彼はこの時、荒谷宗蓮により「食べる」という起源を覚醒させられていて(だから喰い残しと呼ばれていた)、式を自分と同じ殺人鬼にすることを望んでいた。そこで、式の嫌う殺戮を繰り返し、彼女を誘い出そうとした。四人目の死体に陰陽太極図(両儀)が刻まれていたのも、彼女へのメッセージだろう。
本章は連続通り魔殺人の犯人を式であるかのようなミスリードをしつつ、殺人の描写は描かず、ただ現場に居た描写だけで、あたかも式が殺人を犯したかのように印象付けてしまう。
前述した幹也への質問から殺人の経験が無いことを示唆しているし、式が「残念ね。私人殺しよ」と言った理由も、今までずっと織を殺してきたという事であり、白純里緒を殺すまで、式は人間に対する殺人はしていない。(巫条ビルの幽霊や、生きた死体、荒谷宗蓮は殺したが、あれらは人間ではない。浅上藤乃のことは殺そうとしたが、結局殺さずに彼女に巣食う病気だけ殺した)
{/netabare}


・最後の幹也の逃走場面について
赤い着物で雨の中佇む式に対し、幹也は駆け寄って彼女に腕を差し出した。それと同時に式は彼の腕を切る。逃げる幹也を追いかけナイフの切っ先を彼の喉元に向ける。
「コクトー、何か言ってよ」と式は言う。
「僕は・・・・・・死に・・・・・たく、ない――」と幹也は襲いかかる死に対し言った。
「私は、おまえを犯(ころ)したい」と式は言った。

この一連の動作について
両儀式は式と織と言う二つの人格で事足りていて、他者の醜さを知っていたが故に、世界を拒絶することで、自己の平安を保っていた。
式は外界を拒絶するが故に外界からも拒絶されていたが、初めて彼女を受け入れてくれる人物、黒桐幹也と出会う。
彼は異常である彼女に「普通に生きる」という叶えられぬ夢を見せ付け、彼女の保っていた世界は外の世界を望むが故に壊れ始めた。式は望んだ夢の「遠さ」、自身の「異常」を強く自覚してしまい、黒桐幹也を求める心と壊してしまいたいと思う心(ambivalent)に苛まれ、その衝動は彼女を「殺人」という手段を行使することへ向かわせてしまう。
壊すことが目的なので「殺」でなく「犯」である訳である。
織の夢は、幸せに生きることであり、幹也はその象徴であり、織が幹也を殺すことはない。夜中に徘徊をしていたのは織であり、式は連続殺人の犯人が織か、第三者かは知らない。式はこれ以上、自分が壊れることを恐れ、織の殺人衝動の発現を防ぐために幹也を殺そうとする。本来なら否定は織の役目であるが、幹也への感情が許容量を超えたため、式が直接、幹也に向かった。この章ではこの事件の末路は描かれていないが、一章で式、幹也が生きていることや、式が常に男性口調であること、直死の魔眼についてなどの伏線と繋がっていく。この事件の後日談は第四章伽藍の洞で分かる。


・「君が光に変えて行く」について
両儀式が黒桐幹也により変化していく様子イメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。
本作は第七章「殺人考察(後)」に次いで式と幹也のラヴストーリー色の強い作品で、「こんなに哀しい景色を 君が光に変えて行く」という歌詞からも式が幹也に影響されていく様が見受けられる。この曲の歌詞を理解して初めて本作を理解したと言えるだろう。



・「殺人考察(前)」という作品について
式と織という二つの人格を持つ二重存在者、自己の中に他者を持ち、他人の感情を幼い時分から知っていた両儀式は「愛情」というものを知らないで育った。自らを異常者と自覚している彼女は、自分に近づく人間を拒絶し、人間嫌いになっていた。織は式の禁忌を受け持つ人格であり、織という闇を殺し続け、自らを破壊衝動と位置付ける。式は織を目覚めさせる人間を拒絶し、織は式の拒絶する人間を殺そうとする。
黒桐幹也は「普通」を形にしたような少年だが、変わった嗜好を持っていた。徐々に式に惹かれ、彼女と親しくしていた。式はそんな自分に馴れ馴れしく接触してくる黒桐に戸惑いながらも、彼との時間に幸せを感じていた。しかし同時に、「普通に生きる」ということは自分には叶わない幻想だと、激しく認識させられ、自分が変わっていくことを恐れ、彼を拒絶することを選択した。織によるデートでの式と織という人格の説明や、放課後に人間嫌いだという説明をされても、式に近づく彼の態度に、式は苛立ちを隠せずにいた。幹也はどうしようもなく式のことが好きになっていた。
八月に連続猟奇殺人事件が発生していて、織は毎夜の散歩の中、殺人現場に足を運んでいた。二月に幹也は大輔から連続猟奇殺人事件の犯人の情報を得、式が犯人ではないかという疑問を持ち彼女の家に足を運ぶ。そして其処で血が吹き出る死体の傍らに居る式を目撃してしまった。しかし、彼は警察にそのことを伝えず、彼女の家の前で毎晩張り込みを行い、事件の犯人が式でないことを信じ続けた。式は今度こそ、事件のことを問い詰めてくるだろうと踏んだが、幹也に「信じる」と言われ織が幹也を殺そうとしたことから、未体験の苦しみを味わい、彼を無視することにした。二週間ほど経って式は幹也と放課後に話しをする。毎晩張り込みを続ける幹也に無視が出来なくなった式は、自分は人殺しだと告げるが、幹也に憮然と「君にあんな事はできない絶対だ」「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」と言われ、式は小さな幸福と、防ぎようのない破壊に苛まれた。その晩、式は幹也を襲い、自分に叶わぬ夢を見させつづけた彼に対する感情を殺人という手段で伝えることにした。

・名言(原作より抜粋)

式(夜が深くなれば、闇もまた濃くなっていく。誰もいない街を歩くのは、自分が一人になりたいからだと思う。それとも逆に一人なのだと思いたいからだろうか。)

里緒「そう?それは違うな、君は分かってない。だから苛立っているんだ。あんまり、そういうのを他人にぶつけちゃ駄目だよ。他人を責めるのは楽だから、クセになる。あはは、四回はやりすぎだろう」

式(たとえ織が人殺しを愉しむ殺人鬼であろうとも、私は織を消す事はできない。自らの内に"シキ"を飼う私は、やはり彼と同じシキに過ぎないのだから。)

織「じゃあな。オレはおまえの事が気に入ったから、近いうちにまた会うよ」

幹也「とっくにいかれちまってたんだ、俺」

幹也「式はただあそこにいただけだろ。少なくとも、僕はそれしか見ていないんだ。だから信じることにしたんだよ」

式(幹也といると、なんだか落ち着く。幹也といると、彼と一緒なのだと錯覚する。幹也といると、そちら側に行けるのだと幻想してしまう。)

幹也「根拠はないんだ。けど、僕は式を信じ続けるんじゃないかな。・・・うん、君が好きだから、信じ続けていたいんだ」

式「――おまえは、莫迦だ」

幹也「僕は・・・死に・・・たく、ない――」

式「私は、おまえを犯したい」
{/netabare}



この二章は、「両儀式」という人物に注目し、黒桐幹也が彼女に与える影響を「表情」、「色」、「天候」、「仕草」などを巧みに活用して、視聴者に伝えている。原作の心理描写を上手く伝えられていると思う。式と言えば青い着物に真っ赤な革ジャンがトレードマークだが、この式の革ジャンは、幹也に「冬でもその恰好なのか」と言われて購入した革製のブルゾンである。作中では、まだ冬になっていないのに真っ赤な革ジャンを纏う式が可愛くて堪らない。しかし、幹也は全く気付いておらず、1章では薔薇には棘があるから式にはバラ科のストロベリーが似合うという説明の中で、式のトレードマークである革ジャンを指しているが、それが自分の発言に起因したものであることに未だに気づいていない。式がハーゲンダッツを「食べない」と言って若干拗ねたのも棘があること言われたことに加えて、この点もあったと思う。結局、幹也を思って食べるのだが(笑)


本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 47
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

すべての章に繋がる「起源」の章

原作未読。
全8章からなる物語の2章目。約60分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

すべての始まり。
時は第1章から過去に戻り……両儀式と黒桐幹也の出会いの話。
この章を見たからこそ他の章が引き立つ、重要な回です。
第1章よりは、わかりやすい話になっていますが……。

伏線をばらまく過程がお見事。
本当に大事なメッセージは、意外なところに隠れているものです。
「木を隠すなら森の中へ」を地でいっています。

登場人物の言葉を引用すると、
秋巳大輔「わかりやすすぎるってのも作為的なんだが」。

すべての章を見終わってからこの章を見なおすと、その伏線の配置やミスリードの仕方に、ただただ感心するばかりです。


【2章「殺人考察(前)」の考察】
{netabare}
この章だけで考察するのは難しいですね。
特に重要な情報は以下の通り。

・黒桐幹也が序盤に出会った両儀式、そして、2回目に出会ったときに言った、式の「あなた……誰?」のセリフ
・式「両手両足だけ?それだけで人間は死ぬの?」
・式が廊下で出会って「いらつくのはわかるけど、4回はやりすぎだろ」と言った男
・生徒会室で白済里緒先輩のお別れ会をやっていた。幹也「やりたいことが見つかったからって、いきなりやめちゃうんだもんなぁ」
・女性人格の式と男性人格の織
・殺人現場に校章が落ちていた。校内で校章を付けているのは?
・式は産まれたときから他人を知ってた。自分の中の他人を。
・幹也「いつから僕らは、正体不明の存在が、ただの見知らぬ他人だと知ってしまったのだろうか」という心の声。その時に幹也は何をしていたか?
・幹也「だって、僕は見ていない。式はあそこにいただけだし、僕はそれしか見てないんだ。だから、信じることにしたんだよ」
・幹也「彼女は誰も殺さない。それだけは断言できる。だって、式は殺人の痛みを知っている。被害者でもあり、加害者でもある君は、だれよりもそれが悲しいことを知っている」
・EDテーマ「君が光に変えて行く」の歌詞
・ED後のセリフ、「用意された駒は3つ。死に依存して浮遊する二重身体者。死に接触して開発する存在不適合者。死に逃避して自我する起源覚醒者。互いに絡み合いながら相克する、螺旋で待つ」


剣の稽古のシーン、そしてクライマックスで幹也を襲うシーンは迫力満点。
そこにカメラマンがいるかのようにピントがぼやけたり、水を被ったり、映像美を堪能できました。

……それにしても死体がいやらしいほどリアルですw


【全て見終わった人へ】
{netabare}
お見事でした。

明らかに式が殺人をしているように見せつけながら、ただの一度も、式が人を殺しているシーンがありません。
式は常に、死体の前にたたずんでいるだけ。
「両手両足?それだけで人間は死ぬの?」というセリフも、今までさんざん殺人を行ってきたように見せかけて、実は単に殺人経験がないことを表しています。
また、「殺人の痛みを知っている」とは、男性人格の織を殺してしまったことを表現していますが、明らかに殺人を犯してきたようにしか聞こえません。

「いらつくのはわかるけど、4回はやりすぎだろ」という言葉は、白済里緒が式の殺人行為を指して言ったのではなく、真犯人である白済里緒が、自分自信に対して言ったと……。

式と織という二つの人格、死体の前にたたずむ式、クライマックスでの織の殺人衝動のインパクト。
その中でこっそりと出てくる真犯人。

スタッフロールにはしっかり名前が書かれていたのに、完全に騙されました。


冒頭の「両儀式」との出会いのシーンは本当に綺麗でした。
雪の降るオレンジ色の空、優しそうな「両儀式」の顔。

そして、幹也と織のデートシーンを見直すと、悲しくなりますね。
あんなに楽しそうにしていたのに……。
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 32
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

自分の中に眠るもう1つの自分との境界線

2作目であるこの第2章は、時系列からいくと一番最初のエピソード。

主人公・両儀 式(りょうぎ しき)と黒桐 幹也(こくとう みきや)が出会い
人を寄せ付けなかった式の心を幹也がいかにしてほぐし、そして苛立たせ
式のもう1つの人格と対面することになっていくかを描いている。

まず、冒頭の雪の中でのシーンが美しい。
作画は相変わらずとても綺麗だし、音楽もいい。

やがて季節は春、高校の入学式で幹也は両儀と同じクラスであることを知る。
私服と制服が混合の学校で式は和服姿というのがもう、かなり違和感あるわけで。
しかも無口で儚げ、群れずに独りでいることが多い、となればそれだけでも、
幹也の興味を惹き寄せてしまったのかもしれない。

一方、式の方では入学以来馴れ馴れしくつきまとうようになった幹也に対し
どう向き合えば良いのか、心の奥底にあるものを抱えながら戸惑い、
不安定になっていくのが見て取れた。
しとやかに儚げに、小声で丁寧に話す式は段々と幹也に心を開くのだが
それと比例して、ある衝動を抑えきれなくなっていく。
その衝動とは、またその心の奥に眠る想いとは・・という物語。

また時を同じくしてあちこちで起きる猟奇的殺人事件も、
ダークな雰囲気と謎を残し、観ていてどんどん惹き込まれる。
{netabare}
幹也のお人良しな性格に触れ、自分が変わっていくことへの恐れと焦り、不安感。
繊細なタイプの女の子が、初めて異性からの好意を知るときも
似たような葛藤がありそうだが、式の場合はそういうことじゃなく
もっと別な事情があるわけで・・・

自分のことを「オレ」と呼ぶ男口調のもう1人の「織」(しき)という人格との
想いのズレ、殺人したいと言う気持ちの本当の意味は、
セリフとして言葉に出しているものの、
まだこの2章を初見しただけの人では、理解しにくいと思う。

おそらくそれがハッキリ何であるかわかるのは、第4章からになるだろう。
{/netabare}

彼女は幹也という人間と出逢い、確実に変化しつつある。
でも決して順調な道のりではない。
苦しむ自分を傷つけ、微笑む彼を傷つけ、その先に求めているものは何なのか。
今にも壊れそうなほどの狂気の中、ためらいながら手を伸ばす想い。

そこで彼らは何をみつけるのだろう。
痛々しいほどのその想いは、ものすごく共感できるものがあり、せつなかった。
この物語は中二世界の異能バトルものなんかじゃない。
さまざまなものを抱え、乗り越えながら必死に向き合おうとした2人の
過去と現在を描いていく物語なのだと確信した第2章だった。

それを踏まえた上で、今後の展開への伏線もかなりなものなので
隅々まで漏れなく観て頂きたい回ではある。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35

72.1 12 ufotableアニメランキング12位
空の境界 第四章 伽藍の洞[ガランノドウ](アニメ映画)

2008年5月24日
★★★★☆ 4.0 (685)
4048人が棚に入れました
1998年6月、約2年の昏睡から両儀式は奇跡的に回復する。しかし、目を開けてすぐに見えたのは「死の線」。それが何なのかを理解してしまった式は、自らの目を潰そうとしてしまう。そんな中、一人の女性が式を訪ねてくる。その女性、蒼崎橙子に式のもう一つの異常、式の別人格である「織」が居なくなっている事を気付かされる。生の実感を喪失した式は抜け殻のように日々を送るが、その式の病室に毎夜彷徨ってくるモノがあった。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界を理解する上で、欠かせない章である。両儀式の伽藍の洞に這入るのは誰か

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第二章「殺人考察(前)」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。



第四章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち4番目にあたる作品だ。本作の視聴により、一から四章までの時系列シャッフルは完了し、五章矛盾螺旋からは時系列通りに物語が進行する。世界観の認知と登場人物の把握を十分に行い、「空の境界」の作品中最難関であり、且つ最も面白い五章の視聴に堪えるだけの認識を会得して欲しい。
本章で今まで謎だった式の特殊能力の真相、事故以前と以後を結ぶ境界、式・幹也と橙子の邂逅が明かされる。一章・二章の難解さに比較すれば、この四章は三章程度のハードルであり、一章・二章が理解出来ていれば、理解に難くない。
逆に、一章・二章が理解できなかった場合は、本章の視聴により補完出来ると考える。
副題の garan-no-douは日本語表記で主題「伽藍の洞」と同一である。
重複しているからには「伽藍の洞」には深い意味があると考えられる。
また、橙子の事務所の名称が「伽藍の堂」であるので、こちらを指しているのかもしれない。

考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:3/8
1998年6月
両儀式:18歳 職業:高校生(休学・入院中)
黒桐幹也:18歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務


原作との相違:中
原作との尺の比 78P:45min=1:0.84(1分当たり1.73P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「伽藍」について
「伽藍」は仏教建築物で僧侶が集まり修行する清浄な場所で、
「伽藍堂」は大きな伽藍に何も無いことから、空虚さを現す名詞となった。
橙子の事務所の「伽藍堂」は外界と隔絶された場所という意味が適当だろう。

・「黒桐幹也」について

黒桐幹也は同級生の両儀式のことを好きになってしまった高校1年生だったが、あの夜の一件以来、式は昏睡状態に陥り、定期的に病院に見舞いに行く毎日を過ごし(看護婦に子犬君と呼ばれていた)、高校を卒業して、大学生になっていた。1章の伏線の通り、とある個展で蒼崎橙子の人形に魅了され、独力で彼女の事務所を探し出し、「伽藍の堂」の正社員となった。
(因みに「伽藍の堂」は橙子の結界によって外部の人間には存在が意図的に認識出来ない様になっている。その為、幹也の人形に対する想いが相当強かったことが伺える。)
大学中退の折に父親に勘当されている。
1章俯瞰風景でも記述したが、巫条霧絵はこの式の見舞いに来る幹也をずっと眺めていた。
16:19~16:27の間に、車椅子に座った髪の長い霧絵と思しき女性の後姿が映っている。
詳しくは六章忘却録音にて述べる。

・「蒼崎橙子」について

荒耶宗蓮の後継として、式のカウンセラーとなった。建築デザイン事務所「伽藍の堂」の社長をしており、その正体は、魔術協会から封印指定を受け、出奔・隠遁中の魔術師である。
戦闘時は橙子本人でなく使い魔を使役する。黒桐幹也の妹・鮮花は彼女の弟子。
本章で、式を、失った式神の代わりとして「伽藍の堂」で働かせることとした。(式は社員(幹也)の友人扱いである。)
詳しくは、五章矛盾螺旋にて述べる。

・「直死の魔眼」について
式は「根源の渦」、『 』で死に長時間接触したことにより「死線」(死点を含む)を視認出来るようになった。
「死線」を切ると、そのモノの意味が死に至り、そのモノは機能しなくなる。(死点の場合は切断ではなく衝くのみ)
元々「両儀」(五章で述べる)である彼女にはその素質があったようで、才能が開花したという表現が適切である。魔眼は自己の眼球になんらかの霊的手術を施した結果、発動したモノを指すらしいが、式は根源の渦と接触したことにより自然に脳が理解出来るようになったので厳密には魔眼ではない(よって直死の眼とも云う)。直死の魔眼は脳髄とリンクしており、脳髄が本体である。また眼球を潰しても視えるらしい。魔眼所有者が死を理解出来ないものは殺せない。
橙子「万物には全てに綻びがある。完璧な物体などないから、みんな壊れて一から作り直されたいという願望がある。おまえの目はね、その綻びが視えるんだ。顕微鏡みたいなものさ。霊的な視力が強すぎる。我々では視認できない線が視えて、かつ、死に長く触れていたおまえには、それが何であるか理解できてしまう。結果、脳が死を視てしまっている。そればかりか触れることもできる筈だ。生物の死線というのは、生きているかぎり絶えずその位置を変える。それを確実に視てしまえる能力は、睨むだけで生命を死に至らしめる魔眼と大差ない。(以下割愛)」

自説「直死の魔眼」について~~~~~~~~~~~~~~~
(以下は自説故、作品には直接関係は無いので飛ばしても差し支えなし)
{netabare}
直死の魔眼と「空(クウ)」の思想
仏教には空の思想があり、この空の思想と直死の関連について考察した。
空(クウ)とは、因縁により構成される色と対照的な、「有る」「無い」といった概念の境界で、個体的存在が無いことを意味する。

[事象Ⅰ]物体は全て元素から構成されている。私達の視認出来る物体、例えば木材は、炭素と酸素の集まりである。視認出来ない物体、例えば空気は、窒素と酸素の集まりである。
質量保存の法則から地球上の質量はほぼ変化しない。しかし、燃やせば視認出来た木材は忽ち視認出来なくなってしまう。

[事象Ⅱ]直死の魔眼で椅子の死線を切ると、その椅子はバラバラになる。此れは耐久消費財としての椅子の寿命を断つ行為であり、机の存在意義を消し去る行為である。
(真月譚月姫のシーンより)

Ⅰ直死が色(シキ)を空とする説
ナーガルジュナの一切皆空より

仏教に色という言葉があり五蘊の最初であり「物体」を指す。
この物体とは実際に存在する物から意味・認識など広範囲の存在物を範疇とする言葉だ。
般若心経に「色不異空空不異色色即是空空即是色」という文言がある。
即ち「色は空に異ならず空も色に異ならない。即ち空は色であり色は空である」という意味だ。
色は因縁により存在しているのであり、実際は「空」なのである。
「死線」を切ることは、物体を直ちに因果の結果へと導くことだ。結果に辿り着くとその物体の因果における存在意義は無くなり「空」に還ると私は考える。
[事象Ⅰ]の場合、木材は厳密には炭素と酸素で構成されており、燃やしたところでその事実は変わらない。つまり、我々が見ている物体は実際には空の集まりである。
[事象Ⅱ]の場合も、椅子という色は実際には木材の集まり、厳密には炭素と酸素の集まりである。しかし、木片となった椅子は椅子としての物体の存在意義・役割を喪失していると言える。

故に、役割を担う物質は、その役割の喪失。生命体は、その生命の喪失。現在進行形の現象(例えば病気や心霊現象)は、その現象の喪失。人間の認識や形而上学上の概念は、その思想の打破を行っているのではないか。

Ⅱ直死が識(シキ)を空にするとする説
アサンガ、ヴァスバンドゥの唯識より

仏教に識という言葉があり五蘊の最後であり「認識作用」を指す。
この認識とは実際に存在する物から意味・認識など広範囲の存在物(つまり色)を実際のモノ、コトとして人間が認識・再認することである。
前述の般若心経「色不異空~(割愛)~空即是色」の次に「受想行識亦復如是」という文言がある。
即ち「受想行識(色以外の五蘊)もまた同じである」という意味だ。
これを詳細にすると、「受不異空空不異受~(割愛)~識即是空空即是識」となる。
識は因縁により存在しているのであり、実際は「空」なのである。
「死線」を切ることは、物体に対する人間の認識を直ちに因果の結果へと導くことだ。結果に辿り着くとその認識の因果における存在意義は無くなり「空」に還ると私は考える。
[事象Ⅰ]の場合、木材は厳密には炭素と酸素で構成されており、燃やしたところでその事実は変わらない。つまり、我々が見ている物体は実際には空の集まりである。
[事象Ⅱ]の場合も、椅子を椅子と認識しているのは人間の認識に依るもので、実際には木材の集まり、厳密には炭素と酸素の集まりである。従って木片となった椅子は人間に椅子としての認識を与える能力を喪失していると言える。

故に、役割を担う物質に対する認識は、その認識の喪失。生命体は、その生命に対する認識の喪失。現在進行形の現象(例えば病気や心霊現象)は、その現象に対する認識の喪失。人間の認識や形而上学上の概念は、その思想に対する認識の打破を行っているのではないか。
{/netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「死線」の視認は物体(元素により構成される物質を問わず、概念・形而上学上の物を含む)の寿命、存在限界を読み取っている。そして「死線」を切ることにより寿命を断ち、そのモノを殺す。すなわち死に至る過程を消し去るのである。
物体の一部分だけ殺すことも可能で、その死は自然死と同一である。

「死線」の認識は魔眼保持者の直感であり、切断は直死の魔眼保持者にのみ可能であり、また死線に触れないかぎり意味を殺すことは出来ない。式は魔眼を手に入れる以前から肉体的技術の修練度が非常に高く、戦闘による死線の切断も容易に行っている。
式の魔眼は制御の調節が意識的に出来るらしく、劇場版空の境界では魔眼発動時には、瞳が青くなっている。
月姫に於いて、遠野志貴は魔眼の制御が出来ず、橙子の妹の青子に貰った魔眼殺しの眼鏡を愛用している。


・「式と織」について
根源の渦・果ての無い「 」を彷徨う式と織、彼女はそこで二年間死に接触した。橙色の人格・式が上昇する中、落下する蒼色の人格・織。結果、「両儀式」の中から織は消えてしまうが、式は二年間の昏睡から目覚めた。
二章「殺人考察(前)」の「両儀式」について、「孤独」と「孤立」について、「式と織」について
で述べた通り、両儀式は二つの人格「式」と「織」を持ち、孤立することはあっても孤独を感じることは無かった。二重存在という常に他人が傍らにいる式は、アイデンティティ(自己同一性)の観点から、一貫した自己を認識出来はしなかったが、二つの人格により相互補完を行っていた。
それは、二章で式が織の行動を把握していなかったことから結論付けられる。
二年前の事故で本来死ぬはずだったのは「織」では無く「式」の方だった。死を「肯定」する式と死を「拒絶」する織では、織の方が生存するはずだった。
しかし、織は自らの命を捧げ、式を守った。それは夕焼けの教室で見た彼の笑顔、「普通に生きる=幸福に生きる」という織のユメを式に叶えて欲しかったからである。
式は織が居なくなった事で、アイデンティティが断絶し自己を認識出来なくなり、生の実感を失った。
両儀式という伽藍に空いた洞―彼女は生まれて初めて「孤独」を実感した。
普通の人間は誰しも孤独を感じている。その孤独(伽藍の洞)は家族や恋人など、他人と共有することに依って埋めていくものだ。式は孤独という空虚感を埋める術を知らず、肯定しか出来ない式は、孤独を受容することしか本来出来ないのである。
蒼崎橙子との邂逅により覚醒した式は、本来、織の担当であった武術(戦闘)を行い、男性口調を採ることで、居なくなった織を補完し、「死」に抗うという織が行うはずの「拒絶」を示すことにより両儀式という人間を再現したのだ。
式が「黒桐」を「こくとう」と読めず、黒桐幹也という人間の存在を想起できても名前が浮かばなかったのは、幹也が式では無く、織に強く認識されていたことに影響されている。
織は幹也にユメを感じ、両儀式という人間を満たしてくれる存在として、いつしか好きになっていた。「肯定」と「拒絶」という本来、一人の人間が持つ感情を行使出来るようになった式は、孤独を拒絶することを選択する。織が好きになり、二年間只管自分を待ち続けた黒桐幹也ならば、伽藍洞の彼女の隙間を或いは埋めることが可能であろうかと考えたのだ。
式は「両儀」(陰陽太極図)であるが為に、織の喪失によって空いた伽藍洞を埋めることは出来ない。終盤で式は織の残した記憶により黒桐幹也に関する記憶を手に入れる。


・「ARIA」について
ARIAは英語で旋律という意味の名詞亦は、イタリア語で空気を表す名詞。
両儀式をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。
式は織を失い、孤独を感じながらも生きてゆく。「今君を失くした未来は始まったばかり」という歌詞や他の歌詞から、式が織を失くしたことを憂いながらも、彼の死に報いる為に生きていこうという意志がひしひしと伝わってくる。
「ユメのカケラ」は前述した織のユメを指している。


・「伽藍の洞」という作品について
黒桐幹也は、あの夜の一件以来、毎週欠かさず式の見舞いをしていたが、何時しか二年の歳月が経過しており、大学生となった。そんな折、個展で見た人形に魅せられ、蒼崎橙子の事務所「伽藍の堂」の正社員となった。式は織が代わりに死ぬことによって一命を取りとめ、二年間の昏睡から目覚めるも、二年間、根源「 」に触れていたことで、直死の魔眼を得、自分の視界に耐え切れず、目を潰そうとしてしまう(実際は二年間寝ていて力が入らず未遂。身体を動かすにはリハビリが必要)。彼女は同時に、生まれてから傍らに居た織が居なくなったことで始めて孤独を味わい、生の実感を失った。そんな折、荒耶宗蓮の後任として式のカウンセラーに橙子が現れる。式は彼女と話すことによって、二年間見せ付けられてきた死を拒絶し、病院に巣食う亡霊に、両儀式を渡すことを拒むようになり、魔眼を使用して生きた死体を見事に殺した。そして織の不在を認識する。
式は織の居た心の隙間・伽藍の洞を埋めるものとして幹也に期待を寄せた。

・名言(原作より抜粋)

なにもかもを受け入れるのなら傷はつかない。
自分に合わない事も。
自分が嫌いな事も。
自分が認められない事も。
反発せずに受け入れてしまえば
傷はつかない。
なにもかもをはねのけるのなら
傷つくしかない。
自分に合っている事も。
自分が好きな事も。
自分が認められる事も。
同意せずにはねのけてしまえば
傷つくしかない。
ふたつの心はガランドウ。
肯定と否定の両端しかないもの。
その中に、なにもないもの。
その中に、私がいるもの。

橙子「あはは、確かにそうね。あなたの胸の穴はマジシャンじゃ埋められない。埋められるのは普通の人だけだもの」

式(赤くて炎えるような夕暮れどきの教室。式を壊してしまった、あのクラスメイト。シキが殺したかった、ひとりの少年。シキが守りたかった、ひとつの理想。それを、ずっと昔から知っている気がするのに、長い眠りから目を覚ました私は、彼の名前だけが、まだ思い出せないでいた。)

橙子「式神の式、か。それで名字が両儀ときた。出来すぎだよ、それ」

橙子「万物には全てに綻びがある。完璧な物体などないから、みんな壊れて一から作り直されたいという願望がある。おまえの目はね、その綻びが視えるんだ。顕微鏡みたいなものさ。霊的な視力が強すぎる。我々では視認できない線が視えて、かつ、死に長く触れていたおまえには、それが何であるか理解できてしまう。結果、脳が死を視てしまっている。そればかりか触れることもできる筈だ。生物の死線というのは、生きているかぎり絶えずその位置を変える。それを確実に視てしまえる能力は、睨むだけで生命を死に至らしめる魔眼と大差ない」

橙子「だが、それはただ、欠けただけの話なんだ。なのにおまえは、生きる意志がまったくないくせに死ぬのは御免だという。生きる理由がまったくないくせに死ぬのだけは恐いという。生と死のどちらも選べずに境界の上で綱渡りだ。心がガランドウにもなるさ」

式「私は、あそこに堕ちるのだけは嫌だ――!」

式「――迷うな」

式「死んでいようがなんだろうが、アレは”生きてる”死体だろう。なら――なんであろうと、殺してみせる」

式「私は、弱い私を殺す。おまえなんかに――両儀式は渡さない」

橙子「目的がない、か。それも悲惨だがね、おまえはまだ間違えたままだ」

式「・・・ああ、無くならないものも、あるのか」

感想

本作の視聴で、やっと空の境界の最盛作品である五章矛盾螺旋への準備が完全に整った訳である。本章は式の昏睡からの復活、織の死、式と幹也と橙子の邂逅など大変重要な点を押さえている重要な章である。特に直死の魔眼に対する説明は非常に重要だ。
式が橙子と話し、両儀式を諦めることをしなかったシーンはとても格好良く、戦闘シーンも空の境界随一の迫力である。


「迷うな」という式の台詞は、生と死との境界に彷徨していた自身に、生を選択することを厭うなという意味で言い放ったものである。

式が橙子に直死の使い方を教わる代わりに自分を好きに使うように言った。
式「それ、人は殺せる――?」
式「ならやる。好きに使え。どうせ、それ以外に目的がないんだ」
橙子「目的がない、か。それも悲惨だがね、おまえはまだ間違えたままだ」
この橙子の台詞は、「伽藍の洞」を埋めるという目的を忘れた式に対する忠言である。
また、一章で考察した「逃避」行動として、「浮遊」と「飛行」のうち、式は飛行(能動的逃避)を選択したことになる。
織を失い、魔眼を手に入れた自分と過去の自分との齟齬に苦しみ、殺人衝動を満たすという「飛行」による逃避を指す。
その後に
橙子「伽藍洞だという事はいくらでも詰め込めるという事だろう。この幸せものめ、それ以上の未来が一体どこにあるというんだ」
といったのは式が目的を失って飛行したからである。
しかし、式も伽藍洞を埋めることを無意識に選択しているようで、
式「黒桐幹也。フランスの詩人みたいだ」
幹也「今日が晴れてよかった。退院にはもってこいだ」
式「・・・ああ、無くならないものも、あるのか」
という一連のシーンは、無くなったもの=織 と、無くならないもの=幹也 を対比させ、
幹也による心の隙間の埋め合わせを示唆する言葉を残している。
これは彼女が織の願いを叶えるとともに、織の願いを自身の願いとした瞬間である。
{/netabare}



この四章は、一から三章までの時系列シャッフルの総括、五章矛盾螺旋への纏めという重大な役割を担う章だ。式・幹也の学生時代の話である二章と、一章を基準とした「現在」により近い三章を繋ぐ作品である。また、式の事故以前と以後の違いの理由、一章,三章で不明だった式の「直死の魔眼」の説明や式・幹也と蒼崎橙子の邂逅が描かれている。
本作は「両儀式」にスポットを当て、彼女が「死」とどう向き合うか、今後どう生きていくかを主に描く。五章矛盾螺旋への準備は全て整った。「空の境界」という作品は、五章で取り敢えず一段落するので、五章が最終話と見ても、差し支えない。


本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 33
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生と死の境界線

原作未読。
全8章からなる物語の4章目。約45分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

2章の直後から、1章に繋がるまでの話。

2年の間だ意識を失っていた両儀式。
「伽藍の堂」に訪れた黒桐幹也と蒼崎橙子の出会い。
そして、蒼崎橙子と両儀式の出会い。

どのようにして式の力が目覚めたかが描かれています。

病院のシーンはリアリティがありますね。
しっかりとした取材のあとがみられます。

映像面での見所は、
・「死」を描いた抽象的な世界での光の使い方やエフェクト
・式の目から見た世界の描写
・式と橙子、二人のバトル描写

特にバトル描写は至る展開は鳥肌モノです。

髪の長い式が見られるのもこの回だけ。
長髪すっごく似合いますね、惚れますよ!

EDテーマは「ARIA」。
ARIAはイタリア語で「空気」を表します。


【4章「伽藍の洞」の考察】
{netabare}
死の淵をさまよい続ける式。
果てのない世界で、光のある方へ手を伸ばそうとするものの、光は消え、反対側に飛ばされてしまう。
「これが……死」
「光」=「生」を掴みきれない、つまり、目を覚ますことができないという描写が良いですね。

やがて、両儀式は、蒼と橙の2つの色に分かれてしまう。
橙の人格は、蒼の人格を抱き寄せようとするものの、蒼い人格は消滅。
そして、橙の人格は黒い海=死に触れる。
後の橙子との会話で「織くん」が消えたことに言及しているため、蒼い人格は織だと判断できます。

つまり、
・蒼の人格=男性人格=織
・橙の人格=女性人格=式
を表しています。


式は、目覚めて一言「黒……?」と発言。
カレンダーに貼られたメモをよく見ると、
『今日から梅雨入り でも夏も近いよ! ガンバレ!式 黒桐幹也』
と書かれています。

式には「黒桐」という字が読めなかったんでしょう。
黒桐のイメージは頭に浮かぶものの、どうしても「こくとうみきや」の名前を思い出すことができない。
おそらく黒桐幹也に対する想いは、「式」より「織」の方が強かったのではないでしょうか。
そのため、後遺症として黒桐の記憶が欠落してしまったと……。

それにしても直視の魔眼の世界は怖いですね。
すべてのほころびが線として見えるだけではなく、その後、バラバラになってしまうところまで見える。
あんな風景が日常的に見えていたら、そりゃ目をつぶしたくなるのもわかります。


さて、自分の中の織という人格が消えてしまい、体の中に「空(から)」が生まれてしまった。
橙子「"生"と"死"のどちらも選べずに、"境界"の上で綱渡りだ。心が伽藍胴(がらんどう)にもなるさ」

しかし、一度「死」に触れたことで「死」だけは避けたいと思う式。
怨霊に襲われたとき自分に「迷うな!!」と呼びかけ、生と死の境界線上から生の方へ移動します。


この後の戦闘シーンは鳥肌モノでした。

式の「なら、お前がなんとかしろ」
橙子の「承知!!」
式「あれは、"生きている死体"だろ……なら、なんであろうと殺してみせる!!」
式「私は弱い私を殺す、お前なんかに、『両儀式』は渡さない!!」

いちいちかっこいいです……。

そして、戦闘が終わったあと、式の一人称が「私」から「俺」に変化します。
失われてしまった男性人格を埋め合わせるかのような行動。

その後のセリフ、
式「なら好きに使え。どうせ、それ以外に目的はないんだ」
目的がない、1章で言った「浮遊」という「逃避」行動です。

だから橙子は「お前はまだ間違えたままだ」と言ったのだと考えられます。

橙子「伽藍胴ということは、いくらでも詰め込めるということだろ、この幸せものめ」

織は式に夢を託し消えました。
その代わりに残された孤独感。
そんな伽藍の洞窟を吹き抜けるような「ARIA=空気」がEDテーマです。

しかし、眠りの中で聞こえた「俺はお前が気にいったから近いうちにまた会うよ、コクトー」。
織の残した意識が式に記憶を取り戻してくれました。

織が使っていた「コクトー」という呼び名。
フランスの詩人とは、ジャン・コクトーを表しているそうです。


【全て見終わった人へ】
{netabare}
蒼崎橙子が病院に訪れた際、看護婦が「荒耶先生の後任の先生よね」と言っています。
つまり、蒼崎橙子が来る前に、荒耶宗蓮が式の元にも訪れているんですね。
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 38
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

喪失と獲得 絶望感と覚醒の境界線

1998年6月、前回の第3章の1ヶ月前であり第2章の直後にあたる、
時系列的には2番目のエピソード。

事故で救急車に運ばれ、一命を取り留めたものの昏睡状態が続き
そのまま2年の月日が経っていた・・というところからスタート。
目を覚まさない式のもとに、黒桐幹也は花束を持って見舞い続けていた。
そんなある日、2年ぶりに目を覚ました式だったが、
彼女はあるものを獲得し、あるものを喪失していた。
その絶望感と、獲得したものと喪失したものについて。
そして、黒桐が働く人形工房「伽藍の堂」の社長で人形師であり
魔術師でもある蒼崎燈子との出逢いを描いたこの第4章、登場人物も動きも少なく
地味ではあるが、この『空の境界』の世界観を物語る上で重要な回になる。

{netabare}
手に入れたのは、直視の魔眼。
生きている物にはすべて、ほころびがある・・という考えをベースのもと
ものの死にやすい「死の線」が見えてしまうという能力。

失ったものは、両儀式の中にある「織」(しき)というもう1つの人格。
式はその姿、肉体からして本来は女性だが、これまで織の人格が表に出てきた時は
男性口調で立ち居振る舞いも変化していた。
が、それだけでなく、織こそが生の実感を与えてくれていたので絶望感は大きい。

なぜなら、外見は女性でありながら男性人格を内包している彼女にとって
織という人間は普段、押し殺されているわけで、そのことを式は自覚しており
ゆえに生まれつき他人を知り、他人を殺してきた、と考えてきた。
なので、織としては生まれつき傷つけられ押し込められているので
その防衛本能が生の実感ということのようだ。
傷つくこと、痛みを知ることで生きている実感を持つというのは
当たり前のようでいて、その実とても痛々しい部分ではある。
がしかし式の場合、無差別にというわけではなく一応のポリシーは持っている模様。
なお、通常の多重人格の場合、他の人格が現れている時、その他の人格は
自覚がないとされるが、式の場合は特殊な例として「複合個別人格」と
蒼崎が説明しているシーンがある。

式の中にあった織という存在の大きさ。
失ってますますその重みは増したと思う。
が、彼女はやはり強かった。
喪失感からくる絶望の中、式の肉体を器にしたがる死霊との戦いによって
獲得したばかりの魔眼を使いつつ、彼女は新たな、生への執着に目覚めていく。
{/netabare}

式の中の織を失って抜け殻のようになった彼女の伽藍の堂。
そして蒼崎燈子の経営する工房である「伽藍の堂」
何もない器、空間というものは、孤独感を増幅させる。
でもそこには、いろんなものを詰め込める。
これからどんどん埋めていけばいい。
そう思えば気が晴れていく。

だけど、なぜ織が消えなければならなかったのか、なぜ消えたのか。
式が消えて織が残る可能性もあったということなのか。
事故だけが原因だとしたら、脳の損傷によるものと考えるのが妥当だろうか。
そのあたりは詳しく描かれていなかったのが少々残念ではあるものの、
この作品の主旨としては、そこまで描くほど重要な部分ではない気がする。
というより、織が消えたからこそ成り立つ物語『空の境界』なのだものね。

死霊との戦いで式が覚醒していくシーンは感動的。
織は失っても、身体能力と剣術に優れた式の肉体はそのままだし
彼女の口調からすると織は完全に消えたというより、
式に吸収されたと考えたほうがわかりやすい。
蒼崎燈子の魔術師としての本領発揮なシーンも存在感たっぷりで
なかなかカッコよかった。
そして忘れてならないのが、幹也の純愛とも言うべき式への愛情。
彼と彼のこの気持ちがなくならない限り、大丈夫な気がする。
そんな安堵感をもたらしてくれる第4章だった。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35

72.0 13 ufotableアニメランキング13位
空の境界 第六章 忘却録音[ボウキャクロクオン](アニメ映画)

2008年12月20日
★★★★☆ 4.0 (653)
3975人が棚に入れました
1999年1月、魔術師見習いである黒桐鮮花は、師である蒼崎橙子にある事件の調査を命じられる。それは鮮花の母校である礼園女学院で、生徒の記憶が妖精に奪われているというものだった。妖精を視る事ができる両儀式を連れて学院に戻った鮮花は調査を開始する。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、藤村歩、水樹奈々、置鮎龍太郎
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

スピンオフや箸休めとは思わないで欲しい。考察に意外に骨が折れた物語

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第六章「忘却録音」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。
略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。


劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

===============================================

第六章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち6番目にあたる作品だ。本作の視聴により、前々から登場していた黒桐鮮花について、黒桐幹也の本質について知ることが出来る。作品群全体から見れば、箸休め的印象を受けるかもしれないが、2年前の1996年の冬に起こった事件についての記憶を式が詳細に思い出すという意味で重要な章である。
また、本章は原作との乖離が甚だしく、これは尋常ではない。原作の頁と比較した映画の上映時間が全七章+終章中最も短く、カットが多い。これでは話の骨子も瓦解しているのではないかと疑うほどだが、なんとか体裁は保てている。しかし、やはり本章に限っては、原作乃至、傲慢ながらこのレビューのような考察・纏めを読んで補完することが必須である。
映画では主に鮮花の活躍に焦点が当てられているが、原作では他にも、幹也の起源、玄霧皐月の生涯と目的など、多角的にストーリーが構成されている。

副題のfairy taleは妖精の物語という意味。

考察←観る前に見ない様に。

{netabare}
時系列:6/8
1999年1月
両儀式:18歳 職業:高校生
黒桐幹也:19歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:大
原作との尺の比 274P:59min=1:0.31(1分当たり4.64P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「礼園女学院」について
礼園女学院は全寮制女学校であり、ミッション系(キリスト教の伝道局によって設立されたキリスト教主義、中高大一貫教育、自由な校風、外国語教育、礼拝堂附設などが特徴的な私立学校)のお嬢様学校である。小中高一貫校であり、イギリスの神学校(現在は廃校)の姉妹校であり(カトリックか国教会かは分からない)、学長はマザー=リーズバイフェ。
高等部には黒桐鮮花、浅上藤乃がおり、蒼崎橙子はイギリス留学から帰国後に卒業したOGである。今回の事件もマザーが橙子に依頼した。
月姫に登場する中高大一貫教育の全寮制学校の「浅上女学院」は当校をモデルに藤乃の父親が経営している。礼園女学院の寄付金の3割は彼が負担している。


・「黒桐幹也」について
彼は「どこまでも普通で、誰よりも人を傷つけない」という起源を持っている。
所謂「普通の人間」は存在しない。何故ならば、彼らは特別を目指し、特別に成り損ねた人間であり、「普通の人間」とは、彼らの平均でしかない。しかし、黒桐は最初から「普通」であろうとする。それは例えるならば、テストで80点を取る積もりで勉強して、平均点きっかりの62点を取るのと、最初から平均点を取る積もりで勉強して、62点を取るくらいの違いがある。
彼は「普通」を目指すあまり、誰に対しても「特別」な行動を採ったり、感情を抱いたりする事を避ける。それは誰かの「特別」になることを拒否する姿勢である。誰にでも普遍的に接し、差別をしない。3章で式に一般論を期待されたのもこの為である。

―それは誰とでも解りあえるかわりに得た、誰にも気付いてもらえない空っぽの孤独。

しかし、「普通」の権化となることは「普通でない=異常である」ということであり、鮮花の特別な人となった。また、彼は特別になることしか出来なかった人(例えば式や霧絵や藤乃や橙子や鮮花や巴)から羨望されることが多く、「傍に置いておきたい」「拠り所としたい」という執着を知らず知らずの内に周りに持たせてしまう。


・「黒桐鮮花」について
幼少期にある理由から兄の幹也を恋愛対象として好きになった。小学校中学年の頃から才色兼備で精神年齢が他人より高かった所為か、打算で身体が弱いと偽って、田舎の叔父の下に引っ越した。それは兄・幹也の下から遠ざかり、妹としてではなく、女性として彼に、惚れさせる為である。しかし、自身が幹也の元を離れている間に、両儀式が登場。正月に久々に再開すると、兄は同級生の両儀式を家に連れ込んでいた。その後の式の事故による昏睡に安堵していたが、彼女の再起を確認すると、直ぐに都心で名門の礼園女学院へ編入した。
(空の境界の舞台である観布子市が東京都にある為に、上京を前倒しにした。時々伽藍の堂などに出入りしている(矛盾螺旋の中盤など))
叔父の家で橙子が事件を解決したことをきっかけに彼女に弟子入りし、魔術使い見習いとなった。魔術回路は無いものの、先天的な属性として発火現象を持っていたため、発動・抑制の為の火付けの魔術を習っている。未熟なので戦闘時には橙子にもらった火蜥蜴の皮手袋をはめる。式に対抗する為の魔術なので汎用性が無いことや魔術回路が無いことは気にしていない。
起源は「禁忌」で、実の兄を慕うのも此処に起因する。また、本人は隠している積もりだが、式や橙子には、幹也に恋愛感情を抱いていることは筒抜けである。(式は、織が鮮花に初めて会った時に気付いた記憶を引き継いでいる。) しかし、当の幹也は鈍感で、全く気付いていない。
鮮花が月姫の遠野秋葉やFateの遠坂凛に似ているのは、全員モデルが蒼崎青子であるからである(起源も皆一緒の「禁忌」である)。

彼女は幼い頃から特別なものになりたかった。手に入れた知識で周りの人間を遠ざけて、孤独でいることを好んだ。いつも損得無しに彼女を迎えに来る兄・幹也を、孤独な時間を邪魔し、更に年相応の少年らしさが無いことから、内心軽蔑していた。
ある日、隣の温かくて優しかったが、痴呆が進んでおり、幹也が親身にしていた老人が亡くなった。臨終を迎えた老人を発見したのは幹也だったが、彼は―泣きたくても、泣けないんだ。それは特別なことだからね―と、他人へ特別な感情を抱くことをしない。
―人一倍誰かに同情して、人一倍泣いてしまいそうなのに、絶対に泣けない―という事は、
博愛主義である為に、特定の個人を愛する(儒教の別愛(by墨家))ことが出来なくなってしまったのだ。だから彼は誰の特別にもならない。彼女はこの幹也の態度に恋の発端があったことを脳裏に蘇らせた。


・「アカシックレコード」について
アカシックレコードは別名、アカシャ年代記とも呼ばれる人類の魂の活動の記録の概念である。誰が何時何処で何をするのかの記録、輪廻の記録が全て銘記されており、宇宙、人類の運命のデータバンクでありシナリオである。此れは、アーカーシャ(インドの五大の一つで、虚空(天を除いて、地と対を成し、世界を二分する領域))に映る業(カルマ)の投影とされる。
これにアクセスすることが出来れば、自身や人類や地球の運命も手に取るように分かる(しかし、具体的な細かい事象は分からず、曖昧な回答しか得られないという説が趨勢)。
「空の境界」の世界では、根源の渦『 』の一部として紹介されていて、
空の境界の世界観での根源は、五章矛盾螺旋で述べた通り、易の太極である。
支那民族信仰に於ける万物の根源が太極であるなら、印度民族信仰に於ける万物の根源がアーカーシャなのだろう。アーカーシャは虚空蔵と呼ばれ、仏教では虚空蔵菩薩という、無限の智恵と慈悲を持った菩薩になっている(因みに虚空蔵菩薩は大日如来の一部に過ぎないので、本当の意味での万物の根源を司っている者(と云うか万物)は大日如来である)。
よって「根源」を表す上では、両者は似通っていると言えよう。


・「妖精」について
妖精は悪魔などと違って、モノの想念が集まってカタチをなした実像幻想ではなく、れっきとした生物の系統樹に連なるもので、他愛無い悪戯を好んでする。妖精の悪戯に損得勘定は無く、目的意識も存在しない。よって幻想的な妖精(例えば少女に翅の生えた小動物)は魔術師が作り出した使い魔と考えるのが妥当。
使い魔には、魔術師が自らの肉体の一部を提供してつくりあげた分身としてのものと、ほかの生物を前身にして作りかえる、手足としての使い魔の二種存在する。
西欧での妖精は子供のすり替えなどを行った。妖精の正体は村落社会に馴染めなかった部外者であるとされている。彼らは村の中心に住むことができずに、山や森に居住し、収穫期に村に下りて仕事を手伝い、親睦を深めた。当時は良い家柄の子供程、神に祝福されたもの達という考えがあり、貧しい家の者は、祝福された子供欲しさに自分の子供とすり替えを行ったらしい。


・「玄霧皐月」について
礼園女学院で英語を教えている英国人の教諭で、独逸語と仏蘭西語の教員免許も持っている。
他にも多数の言語をマスターしていることから、生徒から言語オタクと陰で呼ばれているらしい。ウェールズの片田舎に生まれ、幼少期は神童と呼ばれていたが、十歳頃、妖精によって攫われて、その際に無意識の内に妖精を皆殺しにして、統一言語を習得する。目で見た映像を再認出来ず、一時は白痴レベルの障害児となった。
彼は両親に気味悪がられて養子に出され、日本人に引き取られて玄霧姓となり、同時に名前も皐月に改名。
養子に出されてからは、自身の記憶が喪失したのではなく破損したことに気付き、記憶方法を替えて神童として復活し、14歳にして大学に入学。言語学の博士号まで取得してイギリスの学校を転々とする。

彼の世界は映像では無く言葉による情報に置き換えられ、記憶の再認も、目で見た対象の特徴と記録した情報を見比べて、より合致するものを、記憶していた対象と認識するという手法を採っている。
記憶には「知識記憶」と「経験記憶」がある。前者は例えば数学の公式や漢字、英単語など学校の授業で習うような記憶だ。後者は例えば「今朝の朝食はパンにバターを塗って食べて、それは上手かった」だの、「昨日誰と麻雀して会話が弾んで楽しかった」だの、自身の経験に基づく記憶だ。
彼の場合は経験記憶が全て言葉による情報に置き換えられる。「知識記憶」も「経験記憶」も、全て「知識記憶」になってしまい、あまつさえ記憶を視覚から直接確認することが出来ないのだ。(視認→特徴を言語化→言語化した特徴に合致する情報(記憶)を調査→言語化した特徴に最も当て嵌まる情報(記憶)を決定→視認した対象と、最も当て嵌まる記憶を同一と認定)

皐月とはMayのことで、メイデーを意味する。メイデーはハロウィーンと夏至祭の夜に並ぶ妖精に出会いやすい日であり、彼はそこで停止している。
統一言語という神代に全てのモノが共通して話していた言語が話せる唯一の人物で、現存する全ての人種・部族の言語の生まれた背景、信仰、原理から思想の全てを理解している。
統一言語師(マスター・オブ・バベル)、偽神の書(ゴドーワード)、ゴドーワード・メイデイと呼ばれており、統一言語を解することは「 」へ至る門であるから、根源に至ることが可能であるが、彼には魔術師として根源に至るという目的は無かった。彼はアカシックレコードを通して、世界が記録する自身の記憶を探したが、観測者は自身を観測することが出来ないから、他人の記憶の中にある自身の断片を採集して、記憶を取り戻そうとするようになった。何時しか、根源に沈殿した他人の記憶を採集して本人に還すことを生業とするようになり、他人の記憶を採集し、他人の無意識の記憶想起欲求に答える形で記憶を返還するようになった。
彼は、脳内情報保持を、
記憶・・・主観的な情報保持。観測者の印象(理性)に左右される不安定な方法。永遠でなく不変でない。
記録・・・客観的な情報保持。観測者の印象(理性)に左右されない安定な方法。永遠で不変。
という二つの記憶方法に分け、後者を永遠と呼び尊んだ。自己が重ねてきた歴史だけが自己を示す証であるなら、それは不変。観測者そのものが観測される対象になるならば、観測するモノも不変、観測される対象も不変。
彼が外界を理解するには、他人の記録を採集するのが、一番効率の良い方法である。彼は過去しか見えず、永遠の過去に囚われている。
しかし、後に、彼は自身の記憶喪失は忘却による喪失ではなく、破壊による喪失であることに、つまり認識出来なくなってしまったものだったことに気付く。記憶が出来ないということは、記憶に基づく自身の感情を発露することが出来ないということである。記録として言語化された情報からは感情は生まれず、必然的に受動的な人間になってしまう。
思い出が無い彼は自己を形成し得ない。彼にとって過去の記録は外界に対応するための単なる情報に過ぎず、それは自身のものとして吸収されることは永遠にないのである。
人間が人間であるために一番重要な自我・自己は意思に起因する。記憶が出来ない人間は悲観的になり、感情性に乏しく、意志を形成出来辛い。よって他を受け入れる受動的行為は出来ても、自己を主張する能動的行為は上手く出来ないのだ。これは浅上藤乃とは別の意味で「生の実感」を得ることが難しい状態と言える。
彼は「自身の記憶取り戻す」という目的が無くなった後も意志を、自己を失くすこと、人間で無くなることを恐れて、自己の意思を示す為に、他人の忘却した記憶を録音することを趣味とした。また、自分の記憶法としての言葉を絶対視している。
彼の統一言語は精神に直接訴えるものなのだが、劇場版ではどうも作用が異なるようで、片耳にイヤフォンを装着するだけで、回避可能となっている。
荒耶宗蓮に式を殺害する為に用意された駒の最後の一人である。

永遠について言及すると、「何時何処で何が発生したか」という事実の情報は永遠である。
それが永遠でないと感じるのは、事実の解釈が変わるからに過ぎない。また、忘却された記憶も理性による解釈改悪の手から逃れることにより永遠と定義することも出来る。
自己が無い玄霧はそれに気付いたか否かは分からないが、それを認めず言葉による永遠を欲したのだろう。式は「言葉にできる永遠なんて、それこそ何の価値もないっていうのに」と評価している。永遠とはカタチを持つ必要はなかったのだ。忘却した記憶を録音することが永遠であって、写真やビデオや書物による記録は劣化するから永遠ではないというのは詭弁である。色褪せた記憶を再生することで、私たちの印象が同一のものであるとは限らない。バークリーは「存在するとは知覚されること」と言ったが、永遠であるモノが知覚されるのではなく、モノが永遠であることが知覚されれば、何処にでも永遠は存在するのだ。詰まるところ、唯識の思想染みているが、人間は主観的な見方しか出来ず、客観は主観が客観に漸近したものに過ぎないということだ。
また、鮮花は幹也と彼が似ているように見えて、全然似ていないという結論に至ったが、それは、幹也は誰に対しても「無害」であることに対し、玄霧は「無害」ではなく、存在意義の無い者であることに気付いたからである。
劇場版では本章の本質である彼の独白などは殆ど割愛(省略かもしれない)されている。


・「黄路美沙夜」について
黄路美沙夜は黄路家の次女(養子)であり、礼園で生徒会長として権勢を振っていた。正義感があり、校則を破る生徒に容赦がないが、規則を守っている生徒には面倒見の良い先輩だ。
要領が悪く損な役回りを演じてばかりいたが信仰に厚い橘佳織を、妹のように可愛がっており、彼女を自殺に追いやった(キリスト教では自殺すると地獄に落ちる)葉山と1年4組の生徒全員に復讐する為に、玄霧に魔術を習い、妖精を使役して他人の記憶を蒐集していた。
彼女が使役する妖精は前述の使い魔の内の後者で、葉山英雄等は使い魔として彼女に使役されていた。
玄霧のことを実の兄と認識しながら、恋愛対象として見ており、鮮花を同類と看做していた(劇場版ではこの設定は出てこない)。これには近親愛における鮮花との対比が見られる。
鮮花の愛が幹也への畏敬や憧れに似たものであり、実の兄弟であることに対し、美沙夜の愛は玄霧への恋慕の気持ちから独占欲が生まれ、彼の妹だと思い込むことに依って満足しているというものだった。彼女達の愛し方には、決してカタチにしてはいけないという共通点がある。

1年4組の事件で葉山を問い詰めた彼女は、彼に暴力を振るわれて、押しのけた際に殺してしまった。父にも学長にも相談出来なかった彼女は兼ねてから慕っていた玄霧に相談し、全ての苦悩から一時的に解放された。


・一連の事件について(劇場版)
葉山英雄は理事長の出来の悪い弟で、多額の借金から、兄弟のよしみで教諭として礼園で働かせてもらい、1年4組の担任をしていた。橘佳織は葉山が麻薬を扱っている所を目撃し口封じに薬漬けにされてしまう。クラスメイトは葉山に目を付けられないように、薬漬けに苦悩していた彼女を避けた。彼女は、葉山が1年4組の学生寮に放火した後に逃げずに留まり、苦悩から解放される為に自殺を図った。黄路美沙夜は、葉山に事情を問い詰める際に誤って殺害してしまい、玄霧の助言により魔術を獲得し、彼を妖精として使役した。
妹のように慕っていた後輩を自殺に追い込んでおきながら、のうのうと生活する1年4組の生徒に復讐を誓い、殺しては確実に地獄に落とすことが出来ないので、妖精を使役して生徒の記憶を略奪し、互いに疑心暗鬼にさせて、1年4組の生徒を全員自殺に追い込むことにした。事件の早期解決を阻止する為に、妖精を使って鮮花の記憶を掠奪して懐柔しようとするが、失敗して彼女と対決するものの、妖精が暴走し意識を失う。鮮花は妖精を退治して、事件は解決した。橘佳織は自殺未遂の後、救助され事件後意識を取り戻した。


・一連の事件について(原作)
葉山英雄は理事長の出来の悪い弟で、多額の借金から、兄弟のよしみで教諭として礼園で働かせてもらい、1年4組の担任をしていた。1年4組は殆どが高校から編入してきた生徒で問題児が多く、全寮制で外出がままならない生活に痺れを切らしていた。葉山はそんな生徒の憂鬱に漬け込み、彼女達を学外に連れ出し、援助交際をさせていた。橘佳織は最後まで抵抗したが、最後には葉山に連れ出され、望まない性行為を強要され、妊娠してしまう。十六歳の少女が強姦の上妊娠をする等、最大の自身の穢れであるが、堕胎することは良心の呵責と信仰上の理由から出来なかった。
クラスの秘密が露見することを恐れた葉山とクラスメイトによって彼女は迫害され、葉山が1年4組の学生寮に放火した後も逃げずに留まり、一人地獄に落ちることでクラスメイトの罪を購う為に自殺した。黄路美沙夜は、妹のように慕っていた後輩の死を悼み、彼女の死後ものうのうと生活する1年4組の生徒に復讐を誓った。妖精を使役して生徒の記憶を略奪し、互いに疑心暗鬼にさせて、1年4組の生徒を全員自殺に追い込むことにした。事件の早期解決を阻止する為に、妖精を使って鮮花の記憶を掠奪して懐柔しようとするが、失敗し彼女と対決し敗北する(戦闘よりも問答の方が多い)。


・両儀式が再起した記憶について
式は玄霧皐月と戦うことにより失われた記憶を取り戻す。
それは織と幹也の掛け替えの無い過去と、事件当夜の記憶である。
前述の永遠の記述の通り、理性の手から逃れることにより記憶は永遠となる。織は幹也と過ごした大切な記憶を永遠にする為にこの記憶を眠らせたのだ。

・原作との相違点
1.本章のメインヒロインは無論、黒桐鮮花であるが、タイトルが「忘却録音」である通り、玄霧皐月の物語としての側面もある(矛盾螺旋の巴と荒耶の関係に似通っている)。
しかし、本編での彼の独白や黄路美沙夜に刺殺されるという重要な終末が殆どカットされ、鮮花中心の物語となっている。
2.橘佳織の自殺原因とその後の生死が原作と非常に異なる。
3.黄路美沙夜が玄霧を兄だと認識している設定が無くなっている。鮮花との対比が消滅。
4.玄霧の統一言語能力が原作と異なり、イヤフォンを片耳に刺すだけで回避可能となっている。
5.鮮花がエンディング後に幹也と食事に行くのだが、原作では「夕食は豪華な和食となりました」とあり、七章で式がそれに対して幹也に文句を言うのだが、本章では坂の下のレストランで済まされており、矛盾している。


・「Fairytale」について
Fairyは英語で妖精taleは英語で物語という意味の名詞
原作小説の忘却録音の序文を引用し、奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。歌詞から玄霧が妖精に攫われた事を題材にしていると考えられる。


・「忘却録音」という作品について
黒桐鮮花は幼い頃にとある理由から兄の幹也に対して恋愛感情を抱いていた。兄に好かれる為に叔父の家に引っ越したのだが、留守の間に両儀式が最愛の兄に接近し危機感を覚え、蒼崎橙子を師として式に対抗する為に魔術を勉強し、また上京して礼園女学院に入学した。
礼園の1年4組で2人の幼なじみの女生徒の双方に、本人すら忘れている子供の頃の秘密が書かれた手紙が送られてきて、それが元で口論になり共にカッターで切りつけるという傷害事件が発生し、それが妖精の仕業であるとしてマザーからOGである橙子に相談があった。彼女はこの事件を弟子の鮮花に担当させ、妖精を見る目として両儀式を派遣した。
鮮花と式は玄霧や1年4組の生徒に聞き込みをしたり、校舎の妖精を探索したりしたが、鮮花はそこで妖精に記憶を採られてしまう。鮮花は黄路美沙夜が事件の首謀者であることを突き止める。懐柔しようとする彼女を跳ね返し戦うが、返り討ちにあってしまった。
黄路は後輩の橘佳織を自殺に追いやった1年4組の生徒を地獄に落とすべく、校舎に火を放とうとするが、鮮花と戦い、暴走する巨大な妖精を操れなくなり気絶してしまい敗北した。美沙夜に魔術を教えたのは玄霧であり、彼女の望みを叶えたのは彼だった。記憶に障害があり、統一言語者であることから、他人の失われた記憶を本人の望み通りに返却することを趣味とし、それによって自我を保っていた。
式と戦闘し破れるも、彼女に4年前の失われた記憶を返却する。


・名言(原作より抜粋)

式「ひどいな。今回の犠牲者は間違いなくオレだぜ、きっと」

黄路「貴女――とても良くてよ」

玄霧「永遠は還さないといけない。その嘆きを再生する。たとえ君が忘れ却ろうとも、記憶は、たしかに君に録音されているのだから」

式「この、ヘンタイ」
鮮花「なによ、異常者」

玄霧「さあ――君の嘆きを再生しよう。安心したまえ。たとえ君が忘れ却ろうとも、記録は、たしかに君に録音されているのだから」

玄霧「つまるところ、自分さえ生まれなければ、世界(ワタシ)はこんなにも平和だった」

荒耶「そうだ。君はすでに常識に不在している。常識という世界において、異常者は罪には囚われない。異常者が異常を行うのは当然であり、そこに常識で言う善悪の秤はないからだ」

荒耶「魔術師――荒耶宗蓮」

荒耶「りお――おしいな。一文字違えば、君は獅子だったのに」


感想
原作との相違は不満足ながら、本作の魅力の七割方は表現出来たと思う。「忘却」や「永遠」など、複雑なテーマであったが、原作の購読と考察によってなんとか自分なりに纏めることができた。本作は鮮花の学校での事件ということもあって、彼女が大活躍する。ツンデレな彼女には妹萌えが堪能出来た。また、式の修道服姿も素晴らしい。
{/netabare}
===============================================

この六章は、五章矛盾螺旋と七章殺人考察(後)という本作の要である章を繋ぐ重大な役割を担う章だ。鮮花をメインに荒耶の置き土産1号と式・鮮花の戦いを描く。

本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 34
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

失われた記憶から呼び覚まされる感情

原作未読。
全8章からなる物語の6章目。約59分。

「空の境界」全章に共通する項目は、第1章のレビューをご覧ください。
→ http://www.anikore.jp/review/450724/

時系列でいくと5章の後です。

見所は、メンバー唯一の良心……ではないですが、たぶん癒しキャラの黒桐鮮花(こくとうあざか)の活躍!
「妖精」が出てくる話でもあるので、他の章に比べずいぶん楽しげな回です。
「えへっ☆」に胸キュンです。

……といっても、空の境界。
どこか歪んでいますし、死人も出ます。

戦闘シーンは、相変わらずスタイリッシュ!
今回は、鮮花が修道女のような格好で激しく動き回ります、はしたない(*ノノ)

EDテーマは「fairy tale」。
これはそのまま「妖精物語」ですね。
しかし、空の境界は、本当にハズレ曲がないですね。
内容に深くリンクした歌詞と、切ないメロディーの曲です。

【6章「忘却録音」の考察】
{netabare}
「記憶」を奪う「妖精」の話。

鮮花は、実の兄である幹也に恋をしています。
しかし、好きになった「きっかけである記憶」を奪われてしまいました。
それなのに好きという気持ちは消えない。

また、両儀式は鮮花の恋心に気付いていましたが、それは「織」のほう。
「織」は消滅したはずなのに、「式」はそのことをなぜか知っている。

……ところが、黄路美沙夜(おうじみさや)先輩の場合は違います。
記憶が残っていればそこにあったはずなのは、佳織を救えなかったという「自責の念」。
しかし、記憶を失うことで、本来なら生まれなかったはずの「復讐心」が発生しています。

この違いはどこから生まれるのか。
ヒントは玄霧皐月(くろぎりさつき)先生の言葉にあると思います。

玄霧「たとえ忘れようと、記憶は確かに君に録音されているのだから」
玄霧は言葉で人の「認識」を操る魔術師です。

ここで「きっかけの記憶」をスピーカーに例えてみます。

スピーカーから、ある音が発生します。
これが、ある感情の「きっかけである記憶」です。
ここでスピーカーを取り除いても、一度発生した「音」は「音波」として広がっていきます。
もしその「音波」を1箇所に「かき集める」ことができたなら、元のスピーカーという音源がなくなっても、情報は失われません。

では、どうやってかき集めるのか?

鮮花も式も、「きっかけの記憶」を失いながらも、その後に幹也に会って「認識」しています。
しかし、黄路先輩は「きっかけの記憶」を失った後、認めたくない感情から目をそらし、生徒たちの噂だけを頼りに「記憶を見たつもりになっている」だけで、葉山秀男にも立花佳織にも会っておらず「認識」をしていません。
その結果、ありもしない「復讐心」という感情が生まれています。
つまり、「認識」という「感情を認める行為」が「かき集める」ことに相当するのだと思われます。

「認識」という形で、音のように広がった「記憶」をかき集め「夢」という形で「再生」される。
これが「忘却録音」の正体だと思われます。

なお、
玄霧「君の忘却はその類だ」
とも言っています。
かき集めることができるかそうではないかは、記憶の種類によるのでしょう。

「恋心」は忘却録音が可能なわけですね。


【全て見終わった人へ】
{netabare}
さて、最後にエグイシーンが出てきますが、「弱い人は嫌いです」の声は、両儀式の声です。
そして、荒耶宗蓮が出てきますが、「おしいな。一文字違えば、君は獅子だったのに」の言葉。

スタッフロールをよく見ると、白純里緒(しらずみりお)と名前が出ています。
「リオ」が一文字違えば、百獣の王「レオ=獅子」だったのにという意味ですね。

白純里緒の起源をたどっていけば、肉食獣が多く出てきます。
しかし、白純里緒を使っても根源へとはたどり着けず、不完全に終わってしまいます。
「おしいな」というのはそのことも意味していたのでしょうが、結局はダジャレ。

荒耶宗蓮もかわいいことを言いますねw
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 36
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

確かな感情と不完全な記憶。他章と違った独特のメルヘン感

制作はufotableで原作は奈須きのこ氏の小説です。
ジャンルは伝記ファンタジーです。
全8巻あるうち六巻目が「忘却録音」になります。
今回はグロシーンがなかったです。
箸休め的な感じでしょうか。
内容も派手さはあまりなく、結構落ち着いたものです。
今までと比べて多少肩の力を抜いて見れるかと。
時系列では六番目になります。

作画については文句なし。
細かいところまで手が行き届いています。
音楽は今までに比べると内容と同じくメルヘンで軽快なBGMが多かったです。
戦闘シーンは別の話ですがね。
今回の戦闘シーンは鮮花が中心でしたが、やはりド迫力に変わりはなかったです。

この章では黒桐幹也の妹である鮮花を中心に描かれる。
忍び込んだ式と一緒に学園内のトラブルシューティングをしていくことになる。


以下考察。
{netabare}黒桐鮮花は兄である幹也のことを愛しています。
しかしそのきっかけとなる出来事について忘れてしまっている。
彼女は本編ラストでそれを思い出している。

黄路美沙夜は妹のように慕っていた橘佳織が汚名を着せられたまま自殺したことをほかのものから消すため、妖精を使役し記憶を消し、最後に生徒自身も消そうとします。
彼女の行動原理は佳織のためですが、彼女の言動はいろいろと矛盾している。
彼女の復讐は体のいい空想であったわけです。

「その嘆きを再生する。たとえ忘れ去ろうとも、記憶は確かに君に録音されているのだから。」
玄霧先生の言葉です。
すなわち「あったことはあった、なかったことはなかった」ということ。
事実を歪曲して忘却した美沙夜は、復讐に縛られた鬼になってしまったのです。

そういえば、再生された式の記憶とはいったいなんだったのか。
次章にお預けですかね。

また幹也についても描写されていました。
「どこまでも普通で、誰よりも人を傷つけない、誰とでも分かり合えるのに、誰にも気づいてもらえない、空っぽの孤独。」
誰にとっても無害であるがゆえに誰にとっても特別な存在になりえない。
そんな彼を、鮮花は特別な存在と認識したわけです。{/netabare}


今回の話は第7章につながっていくストーリーだったのでしょう。
第7章は「殺人考察(後)」ということで、前編の伏線を回収してくれるはずです。
もう一度第2章を見てから第7章を視聴してみようと思います。
2時間なので骨が折れそうです。

どうでもいいですが、鮮花はフリスクみたいでいいですねw


[全て視聴し終わって]
{netabare}この章は第7章の式の記憶に直結しています。
この章を経て、4年前の事件が重みを増してきます。{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 29

69.7 14 ufotableアニメランキング14位
空の境界 終章 空の境界(アニメ映画)

2011年2月2日
★★★★☆ 3.9 (584)
3597人が棚に入れました
「生きているなら、神様だって殺してみせる」――これは、独りの少女の可憐で壮絶な物語。2年間の昏睡状態から目覚めたとき、両儀式(りょうぎしき)は記憶を失っていた。記憶と引き替えに手に入れたのは、万物の死を視る力“直死の魔眼”。望まぬ力を手に入れ、望まぬままに数多の怪異に遭遇し、望まぬままにその存在を絶つ。黒桐幹也(こくとうみきや)は、静かに見守りつつも、日常の世界に式を繋ぎ止めようともがく。やがて日常と非日常の狭間に棲む怪異を追うことが、式の唯一の生きる糧となる・・・見守る眼差しがあることを知りながらも。

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

空の境界とは

「空の境界」は奈須きのこによる、同人誌に掲載された長編伝奇小説である。全7章で構成され、本作は第一章「俯瞰風景」が映像化された。「そらのきょうかい」でも「くうのきょうかい」でもなく、「からのきょうかい」なのでお間違えの無い様に。略称は「らっきょ」。

「空の境界」は奈須きのこの小説だが、奈須きのこと武内崇の所属する同人サークル(現在は有限会社Noteのブランド)「TYPE MOON」の作品に「月姫」、「Fateシリーズ」などがあり、「空の境界」と世界観を共有している。奈須氏によると「微妙にズレた平行世界」とのこと。

劇場版「空の境界」は圧倒的な映像美、迫力満点の戦闘シーンと、難解且つ素晴らしい世界観を、原作小説を忠実に再現し映像化したufotableの力作である。
本作のメインテーマは「境界」である。相反する二つのものに関するメッセージが緻密に組み込まれている。
その各々に対する矛盾もまたテーマの一つだ。
奈須氏の命の重さ、禁忌を主題とした本作の完成度には脱帽するばかりである。
「生」と「死」、「殺人」と「殺戮」などについて考察するわけだが、テーマがこれであるから必然的にグロテスクな描写がある(しかも美しかったり)。
また、難解な言葉(辞書的意味では用いない)や、時系列のシャッフルにより、物語の理解はやや困難である。
しかし、この時系列シャッフルこそが「ミステリ」における叙述トッリクとして作用しているのである。
決して時系列の通りに見てはいけない(2度目からはご自由に)他にも、原作にはなかった「色分け」が行われている点も魅力的だ。式の服の色や、月の色なども見てみると楽しい。
全7章に渡って展開される両義式と黒桐幹也の関係も素晴らしい。
設定はここで説明するとつまらないので、作品を視聴することをお勧めしたい(丸投げであるが(笑))
副題のThe Garden of sinnersは直訳すると「罪人の庭」と言う意味。sinには(宗教・道徳上の)罪という意味があり、guiltの(法律上の)罪とは区別される。
Theの次のGardenが大文字であることから、これはギリシアの人生の目的を心の平静(アタラクシア)に見出した精神快楽主義のエピクロス学派を意味する。よってThe Garden of sinnersは快楽主義に溺れた道徳的罪人という意訳が適切ではないか。

===============================================

終章の本作は「空の境界」の時系列で、全7章のうち7番目の七章の次の8番目にあたる作品だ。本作は一週間の期間限定で上映された。


考察←観る前に見ない様に。
{netabare}

時系列:8/8
1999年3月
両儀式:19歳 職業:高校生(サボりがち)
黒桐幹也:19歳 職業:大学中退 伽藍の堂に勤務

原作との相違:小
原作との尺の比 32P:33min=1:1.03(1分当たり1.00P)
(一番原作との尺の長さの比が合致していると判断される2章の比を基準:1とする)
(原作の頁数は講談社文庫を用いる)


・「両儀」と「式」について
両儀とは五章でも述べた通り易経に於ける根源・太極から分離した二つの爻を指す。一方は陰、一方は陽を表す。これは対象な二つの物、男と女、光と影、表と裏などを指す。
二章、四章の式と織の説明などからも容易に理解出来る事柄だろう。
「両儀式」は五章で述べたとおり根源に繋がっており、空の境界に於ける両儀は、
「正反対の二つの性質を兼ね備えた根源に繋がっている存在」と定義出来る。
式とは入学式、卒業式、結婚式、葬式などの式典などの人生に於ける区切れを意味する言葉だ。これは今までの関係をリセット・更新する意味を持ち、陰と陽のスイッチの意味だ。
また数式などは答えを導く為の道具である。三角形の面積を求める際に、1/2(底辺)×(高さ)でも、辺A×辺B×sin∠AOBでも、1/2√(|a|^2|b|^2-(a・b)^2)でも√{s(s-a)(s-b)(s-c)}※a+b+c=sでもたった一つの正解が導き出せるように。そして数学に於ける足す引くという行為は、一種の呪術である。500人から400人を引くと100人という式と答えがある。しかし500人の人間は同一人物でなく、全員別人である。これは別々の人間を「人」という記号に置き換えて、概念化しているのである。また、この式に人格を与えると、陰陽道での「式神」となる。
よって空の境界に於ける式は、
「二つの人格をリセットし、根源という答えに辿り着く方法」と定義出来る。
両儀式とは「無数の人格を持ち、道徳観念も常識も人格ごとに書き換えられるカラの人形」なのである。


・「両儀式」について
肯定と否定という両極で混じり合う事の無い式と織という二つのシキという人格は、一つの土台の両端に位置するもの。そしてその間(境界)には何もない。そしてその境界が第三人格『両儀式』である。※位置関係 ○式==(『両儀式』)==織○
二章の例えを使うならば、『両儀式』という乗用車に式と織が乗っており、式が運転手で織は助手席に座っている。二人は運転を交代することもあり、互いに意思の疎通が出来る。乗用車の所有者は式である。

多重人格・・・何らかの障碍によって自我の同一性が失われること
通常の二重人格は
1.継時性 第一人格と第二人格は互いに認識し得ない
2.同時性 第一人格が主となり、第二人格が芽生えたことを自覚する。多くは自我の能動性が失われ、第二人格の傀儡となる。
の2パターンある。
式の場合はこの二重人格の症例に合致しない為、橙子の言うところの二重存在となる。

この第三人格は、両儀式が二重存在者を生み出す両儀家という特殊な環境に生まれたことにより発現した。彼女は二つの人格を超越する両儀式の本質である。肉体に過ぎない彼女は知性がないから、未熟児として朽ちる定めにあった。『 』である彼女は『 』であるが故に知性も意味も有り得ないからである。
彼女は空である為に『 』に繋がっており、『 』へ至る路である為『 』の一部であり、『 』であるとも言える。
しかし両儀家の家人は両儀式を超人にするために、空の器である彼女に知性を与えた。その後に、全ての地盤になるものとして、彼女は式と織を作った。五章や前項で述べたとおり、両儀つまり陰陽は全てのモノの原点である。
根源から両儀へ、両儀から四象へ、四象から八卦へ、と2の累乗で万物は構成されている。
よって両儀(陰陽)さえあれば、万物を構成出来る完璧な存在となれる。本来ならば抑止力によって死亡する筈だった両儀式という少女は、画して三つの人格を持つ超人として誕生したのだ。『両儀式』は根源であるが故に全知であり、その後は式に任せて眠りについた。
人間は三つの事柄で構成される。精神、魂、肉体である。精神は脳に、魂は肉体に属する。
彼女は肉体(=ハード)の人格の為、脳(=ソフト)の人格、つまり式が居ないと存在出来ない。
式が昏睡後に直死の魔眼を発現したのは、昏睡中に外界に触れず、式という人格を保ったまま、肉体、つまり『 』(根源の渦)を彷徨し、万物の根源、つまり生の源・死に内包されていたからである。彼女の根源が「虚無」であるから、万物を虚無化する道具として魔眼が発現したのだ。式の殺人衝動は万物の虚無化、つまり生命体の生の喪失と根源への回帰を目的とした衝動なのだ。

幹也が中学3年の冬に目撃した白い着物を着た両儀式は彼女であり、式が入学式の時に幹也を覚えていなかったのは此れが理由である。また、『両儀式』は超越者として、式と織の下僕として、彼女の命令であれば、その超人的な力を行使することが出来る。
三章で橙子が「式ひとりでは返り討ちにあうかもしれないぞ。両儀」と言っていたのは、これの伏線である。他にも、五章でエレベーターから出て刀で荒耶を切った式は、刀を持つことにより”たが”が外れ、『両儀式』の超人的な機能が行使されている。

『両儀式』が幹也に式と呼んでもらえて嬉しいと言ったのは、根源の一部としての両儀式(完全な意味を持つ名前であり、その名によって根源たる存在)という両儀式の存在の性格以外に、人格を持った一個人として、また、式と織と同じ幹也の想い人たる女性として意識されて嬉しいという意味だろう。
「待ってた意味がでてくるもの」の意味はおそらく、幹也が式に対して愛情を持っていることが分かったこと、つまり、自分のソフトとしての人格を理解できる人が現れたことを喜んだとする見方、前述のように、根源の一部としての『両儀式』という名称ではなく、一個の人格としてのシキとして認識してもらえることを喜んだとする見方、他にも様々な見解があるだろう。

式が幹也の事が好きであり、『両儀式』は式のものだから、『両儀式』は幹也の願いを何でも叶えられると言うが、幹也は「普通」の体現者であり、式の思い人である彼らしく、無欲である訳でもないが、彼女の誘いを断った。
左目、左脚ともに、白純里緒の苦悩の人生、罪を背負うという意味での、両儀式への愛情の結晶としての傷であり、それを消し去ることは、過去を否定することに繋がりかねないことも、誘いを辞去した理由であろう。
『両儀式』が出てきたのは幹也が中学3年生の時の95年の冬と、今回の99年の冬の2回のみである。

『両儀式』は根源の一部であり、根源そのものであるから、世界を自由に変革することが可能である。物理的に不可能である幹也の左目や左脚を即座に快癒させることが出来るのはもとより、あらゆる実現可能な願望を叶えることが出来る。Fateで言わば、人格を持った聖杯であると言える。世界中の至るところに瞬時に移動出来、好きな形態で存在することが出来る。矛盾螺旋において、小川マンションは荒耶の体内に等しく、荒耶は小川マンションの内部に潜み、小川マンションの至る所に瞬時に移動できたが、『両儀式』はこれを世界単位で行うことが可能であるのである。幹也との会話が終わった後、瞬時に風となり消滅し、幹也の傘を空の彼方へと吹き飛ばしたのは、『両儀式』が世界に潜み、風となって浮遊したことに他ならない。冒頭と最後の幹也の左脚に注目すると、原作にはないが、幹也の脚が快癒していることが分かる。式からのサービスだろう。

『両儀式』は根源の一部であり、根源そのものである。万物は第四章で述べたとおり、破壊され再構築されたいという欲求を持っている。根源には、現在の世界に存在する万物と、現在世界に存在しない虚無の部分の二つにより構成されていて、万物は一端虚無へ回帰した後に、新たな存在として世界に出現する。根源には万物の虚無への回帰欲求を叶える必要性があり、根源の一部たる『両儀式』にも、根源の要請による万物の虚無への回帰欲求への応答が性質として付与されることとなる。よって、両儀式は万物の破壊を命題とする殺人衝動が発現するに至った。両儀式の殺人衝動は、両儀式の起源である虚無、及び『両儀式』の根源たる性格、根源の万物の回帰欲求への応答、万物の再構築欲求による虚無への回帰願望の4要件により必然的に発現したものであり、両儀式に殺人嗜好があるわけではなかったのだ。

この『両儀式』、式、織の関係は、フロイトの超自我、自我(エゴ)、エス(イド)の関係に似ているとも思った。超自我はエスの抑圧、自我は超自我とエスの調停、エスは欲望(リビドー)の解放を行う。『両儀式』は殺人衝動の根源であり、沈黙する。織は殺人衝動の解放者であり、リビドーを放出する。式は織を抑圧し、調停・調節する。

・なぜ黒桐幹也は両儀式に惚れたのか
マザーテレサが「好きの反対は嫌いではなく無関心である(The opposite of love is not hate, but indifference.)」と言ったように、好きも嫌いも相手に関心を持つという意味で愛である。
つまり、相手を思うことが愛であるという意味である。愛とは仏教で渇愛。関心とは仏教で執着である。前章の殺人の説明に用いたように、愛と憎は対義語であり類義語である。愛と憎は表裏一体。
六章での考察の通り、黒桐幹也は起源の関係から、博愛にならざるを得ない。博愛とは差別をしない、つまり特定の誰かを愛してはいけない。黒桐は誰にでも平等に接する代わりに、誰も愛せない。しかし、彼は式を愛してしまった。それは二章の冒頭で『両儀式』に会ったからである。彼は無意識の内に根源へと繋がる彼女に惹かれ、いつしかその感情は強烈な愛へと変貌していた。彼が式に執着したのは、友人として彼女を守りたかった訳ではなかったのだ。


・なぜ両儀式は黒桐幹也に惚れたのか
「普通」の権化である幹也は誰に対しても普遍的に接しようとする。また、前項で述べたとおり、幹也は式に強い執着を持っている。それは彼女が異常であることを強く意識するほどで、彼女は「普通」が魅力的であることに気付いてしまった。また、黒桐は彼を殺そうとした式を彼女が昏睡してからもずっと想い続け、首尾一貫して彼女の味方で居続けた。
幹也は特別になることしか出来なかった人から羨望されることが多く、拠り所としてはこの上ない存在である。自身の異常性に気付き、自分を壊して織を失った式は、殺そうとしても未だ愛してくれて、ずっと自分の味方で居てくれる彼に対して、異常な自分を正常な日常に留めてくれる存在として、いつしか彼の気持ちに答えるようになったのだ。


・人間の人格形成における肉体と精神について
人間は脳だけでは人間に成れない。脳に電線を繋いで刺激を与えても、それは人間としての精神を持つ事はないだろう。脳は知性を持っており、肉体は脳が支配する脳の下僕であり、肉体がなくても、知性の源である脳さえあれば人間足りうるという考えは誤りだ。
知性は精神が形作る。その精神は肉体が形作るのである。空の境界に於ける浅上藤乃の例の通り、五感無くして、健全な精神は生まれない。人間は生まれた時から五感があり、その五感により外界を認識し、知識を”経験”として得る。この知識は「経験記憶」として脳に記憶され、外界から受ける感情を主とした環境を体験することにより「自我」は形成される。
そして、自我が認識する「常識」(幼い子供の時分は両親の言葉が常識となる)に合致するものを知性として吸収し、「知識記憶」として脳に記憶される。この知識記憶の内容が論理的に解釈出来るようになるのは、生まれてから大分たってからである。
以上のことから、人格とは、肉体を通して形成されるものであり、また精神は肉体を通じて保つものである。肉体無くして精神=自我は成立しない。


・境界とは何かについて
①正常と異常の境界
大多数の人間の理性が常識だと定義するものが正常で、非常識だと定義するものが異常である。よって大多数の人間の理性の動向しだいで正常の概念は変容する。江戸時代に武士の帯刀は常識だったが、現在、武士の末裔が帯刀すれば、軽犯罪法で逮捕されるように。
②日常と非日常の境界
自分が経験したことのある状態が続くことが日常で、体験したことのない状態が訪れると非日常となる。非日常も長く続けば日常となるが、その非日常が、理性で受け入れられない事象、状態が現在進行していたり、近い将来訪れることが予想されたりする時に、人はその非日常から日常への復帰を熱望する。
③大人と子供の境界
レヴィンは思春期の男女を「境界人(マージナル・マン)」と定義した。大人の集団と子供の集団の両方に属し、両方に属さない青少年。身体の成熟と精神の成熟の過渡期、そしてそれらのズレなどから思惟する。エリクソンは思春期をモラトリアムと呼んだ。これは社会的責任の猶予期間の事である。青少年は思春期にアイデンティティの確立を行うが、その過程は非常に不安定であり、刺激的な非日常的な事が起こることも多い。高校時代が人生で一番楽しいと思える人が多いものこの為だろう。
④過去と未来の境界
現在とは過去と未来の境界である。過去は変わらないが、過去の解釈を変える事は出来る。未来の為に現在を生きることはとても大切な事である。
⑤生と死の境界
人間は生きている限り必ず死を迎える。しかし、悲観してはいけない。死ぬまでの人生をどれだけ充実したものとして過ごせるかに、人間の本質があるのである。
また、死後観を持つことも大切だ。宗教はそれぞれ求める人に死後観を与える。
「死後の世界観」は、その人々にとって「死後」を迎えるための「生」のあり方に必要なものである。自らの思い描く「死後の世界観」で、自分が善い目をみれるように現在を生きる事はとても重要だ。
⑥殺人と殺戮の境界
割愛する。七章参照。
⑦人と怪異の境界
殺人鬼とは「人を殺める鬼」である。では鬼とは何なのか。鬼とは「隠(オン)」が訛った物で、
普段は隠れているものだ。平安期に伝わった陰陽道で都(中央の豊富な知識人)から視た異人、土人、山人などのまつろわぬ民なども皆鬼扱いされたように、鬼は妖怪ではない。
妖怪は匹と数えるが、鬼は人と数える。これは鬼が人である証拠だ。そして般若の面などからも分かる通り、鬼とは前章の殺人の概念で述べた情念が自己のキャパシティを越えた際に起こる負の能動的な感情に包まれた人間を指すのだ。そして「鬼」は感染する。
子供の有名な遊び「鬼ごっこ」からも分かるとおり、鬼に襲われた人間は鬼になってしまう。例えば色恋沙汰の縺れで男が女を殺す。この時鬼は男だが、今度、女の父親が男を殺す。このとき鬼は女の父親となる。そして今度、男の子供が・・・といった連鎖を生む虞があるのだ。しかし「鬼」とは「人間が実行出来るのに中々出来ないことをする人」という解釈も出来る。「心を鬼にする」という言葉は良い例で、この場合は善い結果の為に一見悪いことをする。鬼の本質は掴めないが、鬼が行う行為が平気で出来る人間は鬼と言える。だから殺人鬼は鬼なのだ。そして鬼とは人間と怪異の境界である。鬼は人を喰う。白純里緒などは将に鬼である。
⑧生と再生の境界
通過儀礼とは、前項での説明のとおり、人生に於いての区切れの為に行う「式」である。そして、代表的なもので成人式(元服)では、擬似的な死が要求される。モラトリアムは、現在もその長さを着々と伸ばしている訳だが、之が形成されたのは近代であり、昔は、子供と大人の境界は「成人式(元服)」であった。現在でも、バンジージャンプに代表されるような通過儀礼を行う習俗が続いている地域もある。この通過儀礼で死ぬことも当然ある。「死」に接触するという行為は通過儀礼において大変重要な要素である。


・「空の境界」の意味について
1.当初の題名が「空の境界 式」というところから、織を失うまでの式の二重存在、つまり肯定しかしない式と、否定しかしない織、普通の人間にはあるが、人格が二つ極端に特化している為、両者の境界に有る筈の妥協は無く、境界が無い、つまり空(カラ)である、という意味。
2.前述した様々な境界について、これらの定義は詰まるところ曖昧で、何時覆されても可笑しくない。つまり、これらの対立概念はそもそも厳格に定義し得ない、つまり境界は曖昧で空(カラ)である。
3.前述の式と織という人格の形成によって出現した肉体の(つまり精神の殻)の人格『両儀式』は式と織という極端に正反対の人格の間にある人格、つまり空(カラ)の境界上にある。また、第三人格は普段は隠れており、その存在は認知されない。つまり空(カラ)である。
4.両儀式という器に式と織という人格(内容物)が納まっており、その人格は殻の中で確りと、対立概念としての明確な境界がある。つまり、肉体という空(殻)に境界がある。
5.社会が設定した恣意的な常識と非常識の境界は空である。通じ得ない人と人の心の境界を空にすること、つまり無くすことが大切である。
6.私たちの心にも伽藍はあり、それの半分は自分であるが、もう半分は他人である。自分の意志と他人の意志の心の中での境界を空にし、両者とも理解し合う事が理想である。
7.『両儀式』とは肉体の人格、つまり魂であり、魂は我々一般人にも存在する。我々の肉体にも「空の境界」は存在するのかもしれない。


・「snow falling」について
snowは英語で雪を表す名詞。fallは降るを表す動詞である。
『両儀式』幹也の邂逅をイメージして奈須きのこ監修の下、梶浦由記によって作詞・作曲された。


・各作品の意味の推察について
「俯瞰風景」・・・巫条霧絵の視た俯瞰の視界からの風景―巫条ビルの幽霊も表すかも
「殺人考察(前)」・・・幹也、視聴者による95年に起きた殺人事件、また「殺人」の考察
「痛覚残留」・・・浅上藤乃の腹部に残留した痛覚
「伽藍の洞」・・・昏睡から目覚めた式の精神の片割れに空いた穴―以前は織が居た
「矛盾螺旋」・・・燕條巴(偽物)の日常、小川マンションの実験・階段、荒耶の悲願
「忘却録音」・・・玄霧皐月によって根源より採取された、忘却された記憶の録音
「殺人考察(後)」・・・幹也、視聴者による99年と95年に起きた殺人事件、また「殺人」の考察
「空の境界」・・・空の境界とは何なのか


・「空の境界」(終章)という作品について
式は『両儀式』という『 』に通じる存在を土台とし、万物の根源たる両儀、肯定と否定、男と女、表と裏などの対立する人格、式と織を生まれた際に持った。『両儀式』は根源である為に外界に触れず、長い眠りに着いた。『両儀式』は肉体の人格であり、ハードウェアである。精神の人格である式・織はソフトウェアであり、彼女等には服従する。
『両儀式』は再び目覚め、式の恋人である幹也の願いを叶えられるからと望みを要求するが、幹也はこれを拒み、彼女は再び眠りについた。


・名言(原作より抜粋)

『両儀式』「――さあ、あなたは何を望むの?」

幹也「うん、式は壊すのが専門だからね。無理をしてよけい酷いめにあったら、こわいよ」

『両儀式』「あたりまえのように生きて、あたりまえのように死ぬのね」

『両儀式』「なんて、孤独――」

『両儀式』(さようなら、黒桐くん。――ばかね。また明日会えるのに。)


感想
我々が非日常や空想の物語に魅了されるのは、劇的な冒険や体験をする主人公に自己を投影する疑似体験だからだ。人は誰しも、もう一つの世界、イデアなどの現象界を超越した真の世界、この世を形作る不変の真理の存在を渇望するものである。
私たちは日常に於いて常に「真の私」を探し続けている。ソクラテスが人間のアレテー(徳)は「よく生きること(知識を活用すること)」と言ったように、人生とは真理の探究の旅とも言えるかもしれない。


・読者へ
一章から本章まで、私の考察をお読み下さった方、冗長な駄文にお付き合い頂き申し訳なく思うと共に感謝する。簡潔に書こうとは思いつつも上手く行かなかったが、なんとか終章まで漕ぎ着けることが出来た。私の考察は原作・劇場版での正規の設定と、私の説、主観による感情で構成されており、玉石混合では無いけれども、僭越ながら鵜呑みにしてはいけない。詰まるところ、私のレビューは作品の考察の覚書である。視聴者には是非、自分なりに考察して欲しい。私の拙いレビューが少しでも本作の理解の助けになれば幸いである。
・雑学
1.空の境界という作品は1998年10月から「空の境界式」という題名で1~5章がwebサイト「竹箒」に掲載されたのが初出。
2.2001年12月31日のコミックマーケット61に於いて全7章の同人誌を2冊に分割し発売した。
3. 2002年8月9日に同人作品として一章のドラマCDが発売された。
4.伝奇に分類される本作であるが、ドラマCD「アーネンエルベの一日」に於いて式に「オレ、『空の境界』を伝奇だなんて思ったこと無いぞ。あれはポエムだ。人生のある時期にしか許されないポエムだだ漏れテキストだよ」と評されている。
5.劇場版「空の境界」には日本橋、聖蹟桜ヶ丘、吉祥寺、レインボーブリッジなど東京の名所をモデルとした風景が登場する。
6.黒桐幹也が通っていた大学は明治大学和泉キャンパス、黒桐鮮花が通っている礼園女学院は神戸女学院大学が各々モデル。
7.ufotebleが徳島市にスタジオを開設したことに関連し、2009年から徳島市阿波踊りの告知ポスターに空の境界のキャラクターが登場。浴衣姿が描かれる。毎年窃盗事件が多発。
8.2013年秋、空の境界の画集が発売される。
9.空の境界の著作権はTYPE-MOONではなく奈須きのこ名義である。
10.「らっきょ」という略称は、奈須きのこが茄と茸なので農産物関連からラッキョウになった(月姫から続いていない)。
11.空の境界限定愛蔵版空の境界用語集で「大タイトルである空の境界は、荒耶宗蓮という人物の物語でもある。その為、HP上では矛盾螺旋の段階で一応の幕とした。空の境界という物語は矛盾螺旋で終わっている」と述べられている。
12.忘却録音で1年D組と1年4組が混在しているが、正式には1年D組。著者の奈須氏の学校ではABCだと階級別に感じられるということで、通称123と呼称していたようで、これが一般的な考えだと発表時まで考えていたことに起因する。
13.そもそも本作は原作小説ファン向けの作品であり、テアトル新宿での単館上映という極めて小規模の企画だったので、元来新規視聴者を意識した作品ではない。
14.2013年7月より1~4章と7章が、43127(章)の順で、TOKYO MIX、BS11、ニコニコ生放送、バンダイチャンネルにて全13話で放送された。しかし、「式と幹也の純愛物語」という側面から肝心の5章を放送せず(1クールだから仕方ないが)、余計に理解が困難となっている。9月にAT-XでRemixを含め、全7章と終章が一挙放送される。
15.kalafinaは劇場版空の境界の為に梶浦由記によって結成されたグループである。kalafinaは造語で「空雛」つまり中身のない人形という意味である。中身の無い3人の人形が、音楽と3人合致の歌によって意味のあるものへと昇華されるという意味である。


・オマケ
陰陽五行思想における五行の相生相克と空の境界の人物関係図の考察
黒点(=●)が頂点となる

               ●木(青)=正常な式



   ●水(黒)=黒桐               ●火(赤)=異常な式





        ●金(白)=白純     ●土(黄)=織

{/netabare}
===============================================

この終章は、「空の境界」というタイトルの意味や、「普通」であることを目指した幹也が何故式に特別な感情を抱いたのか、両儀式という人間の本質などが短い時間に凝縮されている。是非、境界が空であること(The borders are empty)を思惟して欲しい。


本作は考察のし甲斐があり、非常に面白い。また現代人への処方箋のような役割を果たし、私達にカタルシスを与える。

私は全章視聴後原作を購読したが、読み応えがあって大変面白い。アニメを観た人は補足の為にも、お勧めしたい。
未視聴の方は、是非挑戦していただきたい作品である。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35

buon さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

全てを包み込む

罪人の庭

なぜ人がただ生きるだけで罪を背負うのだろう。
なぜ人はただ生まれたときに業を背負うのだろう。

空っぽなのは何もないのだろうか。
そのままでいることは何もないのだろうか。

ただ生きる。
ただ死ぬ。

それは空っぽなのだろうか。



最終章

あまり長くはなかった。

おもしろいか、たのしいか、
そういう言葉だけでは虚しい。

ここまで来れたのではない。
ここまで来たんだ。

そういうこと。



第一章 http://www.anikore.jp/review/1013001/
第二章 http://www.anikore.jp/review/1013003/
第三章 http://www.anikore.jp/review/1013683/
第四章 http://www.anikore.jp/review/1013686/
第五章 http://www.anikore.jp/review/1013689/
第六章 http://www.anikore.jp/review/1014944/
第七章 http://www.anikore.jp/review/1014946/

{netabare}
この作品は色と音、瞼が特徴的な作品だった。

視覚と聴覚は他の感覚と比較にならない情報量と瞬発力がある。
色と音、一瞬で感情を揺さぶる。

目は口ほどにものを言う。
と言ったもんだが眼はどの登場人物もほぼ同じで変わりがない。
黒目がやたらと大きいとか、
色が奇抜とか、
潤んだりだとか、
そういうのが記憶に残っていないということは特徴がなかったのだろう。

その代わりなのか、目の開き方で感情を語る。
開く、閉じる、細める、瞑る、
つまり瞼の動きが特徴的だった。

瞳孔が開く、泳ぐ、彷徨う、揺らぐ、などもないわけではない。


色を交えて登場人物に勝手な概念と解釈を押しつけてみようと思います。
{netabare}

両儀 式
白、四季、黒髪で青い着物に赤いブルゾン、白は全ての光。
両儀は二極、四季は時間では明確でありながら隣り合う曖昧な分かれ目。

黒桐 幹也
黒、黒髪に黒ずくめ、黒は全ての色。黒は悪の色。

蒼崎 橙子
赤、青と橙、赤い髪、大体は多分赤。青と赤は両局の色で、色の三原色の二つ。

巫条 霧絵
青、青白い、幽霊や冷たさ、生が薄い色。

浅上 藤乃
紫、藤の概念的な色。性の色。

臙条 巴
緑、えにし、巴、両儀と巴の紋様。

玄霧 皐月


黄路 美沙夜
黄、紫

白純 里緒
白、純白、無垢の色、何もない色。

※勝手な概念と解釈、
 両儀と三つ巴の紋様に関連性があるかは知りません。





{netabare}
ふいぃ~~~~~

空の境界、雰囲気感想シリーズはここまで、ここからはいつも通りw
今日も長いよ~ww

・・・の前に、一から最終章までの感想を見てくれた君、あざーっす☆



さて、まず面白かったかどうか。
おもしろかったよ♪ 意味があるのかないのか分からんエログロ以外は好きだよ☆
あと、さっきも言ったけど「おもしろい」「楽しい」って不適切だけどね。
何か言葉を選ぶなら、
「好奇心がそそられた」とか。

この作品って戦闘がやたら気合入ってて、その魅力もかなり大きいものなのかも知れないけど、
あれ、完全におまけというか、作品の体をなすための特徴付けだよね。
グロとか血とかエロとか。

一番伝えたいことって闘い以外のところにあるでしょ。
ただ、それだけだと本当に何にもない作品になってしまう。
あるいはラノベ的なノリでもともとバトルや血、
客引きのエロがいつも通りあっただけなのか、単純に好きなのかな?

あれが大きく貢献した点って、しきの強さと眼の特徴ぐらいかな。
眼の意味、それと強さ。しき自体が強いのか、眼を持っているから強いのかは知らんが。

何が好きだったのかな。
グロとか好きだけど、一番は「何故」と「終わり」が気になったのかな。

何で、どうして、こうなる。
基本的に捨てキャラ以外は救いのある話だったと思う。

あらやが登場した時点で死ぬキャラだった。
どんなヤツかと思えば「きげん」に迫るだとか、死者の救いだとか、
完全に「オレは正しい」って勘違い独裁者、英雄とかマッドサイエンティストキャラだね。
「目的のためには手段を択ばない」思考は嫌いじゃないけど、目的も目標とするものもアホだよね。
そんなもんのために犠牲になるものが可哀そうでならない。
良かったね、夢の途中で終われて。なむ~。

飛行少女も盲腸も、ストーカーも、何だかんだで1つはイイことあったし。



一番驚いたのは、しきが一人も人間を殺していなかったこと。
いやいや、人間の定義がおかしいよ。
まあ、ギリそうなのかな。

っていうか、描写が卑怯だよ!
どんな状況なら返り血まみれになれるんだよ!!
血まみれになるような状況で犯人分かんないんだよ!!!

んで、一番の殺戮犯罪者が超小物w
何だよ、ただの変態じゃんwwwww
オレの「きょとん」をどうしてくれるんだよ~
めっちゃ感情のやり場に困ったわ~

しきに惚れた→アタック4回→4回あしらわれる→むきー

ってことだろ?ストーカーって怖っ、程度にしか思わなかった。
「おまえのせいだ」
「おまえのために」
「おまえが必要だ」
「おまえには必要だ」
「本当のおまえ」
・・・おまわりさん、大変が変態です、さっさと捕まえてください。

まあ一番え~、まじで~、って思ったのは「しきが犯人じゃない」ってこと。
ああ、こくとう君マジかっけー。

この作品、しきの作品と思いきや、完全にこくとう君の作品だったな。

「ゆるさない」
という言葉をそういう風に使えるか!????
マジかっけー。

「○○ちゃん、マジ天使」とか意味不明な言葉があるけど、オレがもし初めて使うとすれば、
「こくとう君、マジ天使」だな。

無力キャラ、非戦闘要員の主人公(男)って大抵は虫酸が走るようなShitキャラなんだけど、
こくとう君、マジかっけー。

信じる、支える、守る、
この上っ面しかない大バーゲンセールの言葉を、
ちゃんと実行できたのはこの漢だけだよ。
だって、大抵の主人公(男)って大抵「信じる」の時点で揺らいでるもん。

こくとう君もそういう描写がないわけではないけど、
この作品の卑怯なところ、それっぽい描写があるだけで、
こくとう君は一度も揺らいでない。

仕方ない、君にしきを任せるよ。
妹はいらん。

とうこさんは魅力的だが怖い、ふじのはこくとう君の側室、他にいたっけ?


なんか複雑っぽい話だったけど、
単純にしきと英雄こくとう君の恋物語だったな。
けっ。

非暴力を貫いて戦いつづけるってのはすごいな。

・・・結局、起源うんぬんかんぬんって何だよ?
前世や輪廻転生の話かな。
そんな昔の話はいいから今の話しようぜ。

ちらっと「考察アニメ」って単語を耳にしたけど、
悩むことはあっても考えることはあんまりなかったな~w
だって「殺人考察」って考察じゃなくて、イメージ映像と種明かしだけじゃん。
何を考えて察すれば良かったのか。
・・・あ、しきとこくとう君が最初からラブラブだったことかwwwww


ということで、
こくとう君があまりにも魅力的なキャラだったので、
しきがこくとう君にデレても仕方ないと早めに潔く諦めてほんわかするラブラブな話でした。





お・ま・け♪ 空の境界、雰囲気感想シリーズの題について{netabare}
の前にシリーズで楽しんだ章ランキング☆

おもしろかった ④③①⑦②⑤

仕方がないので観た ⑥

枠外 ⑧

言葉って難しいな。内容自体、一番好きなのは⑦だと思う。
何か、空の境界、このシリーズとは別にアニメでもう1作品あった気がする。
けど観ないな。
時系列順にもう一回このシリーズを観るかも。

言葉って難しいな。
この作品は難しい言葉をそこそこ使うけど、知っている言葉ですら難しかった。
こんな風に文字にすると余計意図されていたものと理解したものは離れているだろう。
それをおまけに体験してください。





①とりあえず → 俯瞰との関連(※間違っている可能性あり)
②衝動の具現 → 盲目的な恋の映像化
③刷り込み  → こくとう君の言葉、ふじのの痛みと恋
④どちらが外 → サクラ大戦3のロベリアのセリフ
⑤栄枯盛衰  → あらやがやろうとした事、そういうことをしようとする人
⑥却下うふふ → 「きゃっきゃうふふ」なし
⑦描写仕掛け → 叙述トリックのひねり
⑧全てを包み込む → 色、白と黒


この「→」の先に考えていたことと合致した人はもう手遅れです。
男は早く病院で監禁してもらってください。
大抵の女性は手遅れでも幸せになってください。
35歳以下で何らかの計算上太ってはいない女性は私の嫁です。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

両儀式という人間について

1999年3月。物語の総まとめ、終章であり種明かし的な30分。
雪の降る中、4年前と同じあの高台の坂道で幹也は両儀式と再会。
幹也は相槌を打つかほんの少しの返事を返すだけで
彼女だけがほぼ一方的に語るだけの、ほとんど動きのない映像な上
ゆっくりな雪の速度、彼女の静かな口調、雪の湿度で街の明かりが反射しているような
赤みがかった夜の景色、途切れ途切れに響くピアノの音色、
それらがまるで催眠術のようだった。

でも、語られる内容はとても重要なことで、この作品の要とも言えるので
ちょと見逃せない章だったりする。

何を語ったかここで書いてしまうと、観る意味がなくなってしまうので
ほとんどもう「観てください」としか言いようがないのだが

簡単に言うと、
{netabare}女性人格である式と男性人格の織を統括しながらも
式、織からは認識されていなかったもうひとつの、
「器」「肉体」そのものの人格、本質との再会だった。

さらに彼女が言うには、殺人鬼であり、幹也を殺したがっていた人格なのだという。
人間が精神、魂、肉体の3つで構成されているとして、
精神は生まれた後に加えられる知性、魂は肉体から生じるもので
人格は知性と魂から生まれるもの、と説く彼女。
そこにある肯定や否定、善と悪、陰と陽など、
その真ん中にいる「わたし」という人物が彼女なのだとしたら
なぜ殺意を抱かねばならなかったのか?少々疑問が残る。
魂レベルで幹也に殺意を抱くのだとしたら、彼らの前世の前世、
そのまた前世の起源に何か関係があるということなのかも?

両儀式の起源が「空(からっぽ)」だとしたら、幹也は何だろうか?
式の虚無感からくる起源が殺意を抱くのだとしたら、何が駆り立てているのだろう。

人間、誰しも1人1人が違うし、特別じゃない人なんていないという前提で
式や織のことが語られているのかと思っていたら、実は
何も望まない、何の特別もなく普通であり続けている幹也がいかに特別で孤独かを
物語っている章のように思えてならなかった。

それが正論だろうか、ほんとうに? そう疑問を持って何度も観直しては
半分睡魔に襲われてうやむやになってしまうという(苦笑)

いろんな意味で、よくできた演出とシナリオだとは思う。
悔しいので、気が向いたときにまた挑戦してみるつもりだ。

それにしても、雪の降る寒そうな夜に羽織も着ず30分近く語り続ける彼女の横で
大きくて黒い傘を1人だけで差している幹也に「傘に入れてやれよ」と
やきもきしたのは僕だけだろうか?
それともあれは幻影だったのか?
作画の美しさについ見惚れてしまってたけれど、最後のシーン
{netabare}幹也が傘を持ってないのだよ。あれはどういう意味?{/netabare}
ちょっとした謎を残しているので、これもまた確認したいし観た人に聞いてみたい。

さて、この「空の境界」のサイドストーリーや後日談が収録されている
「空の境界 未来福音」のアニメ化が決定になったようで。
今からとても楽しみだ。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 37

72.9 15 ufotableアニメランキング15位
空の境界 未来福音(アニメ映画)

2013年9月28日
★★★★★ 4.1 (484)
3513人が棚に入れました
未来視の少女・瀬尾静音と出会った黒桐幹也と、同じく未来視の連続爆弾魔・倉密メルカと出会った両儀式。
ふたつの“未来”が重なり合う結末の行方は――!?
これぞ未来と過去を繋ぐ空白(ボーナストラック)にして未来への福音(原点回帰)!

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、井口裕香、石田彰、金元寿子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

~今も僕の青春には“らっきょ”という作品が共にあること、そしてこれからも続いていくこと~

何度かぼやいたことがあるんですが『らっきょ』というシリーズは今のオイラのアニヲタ人生の中でも中核をなしているとても思い出深い作品です


それこそ当時、長編小説のアニメ化という難題に対して1本1時間前後の作品を全七章連続で制作し、1年以上の時間を掛けて連続公開
なにより単館あるいは小規模劇場でのみの配給展開というフォーマット
これは今日まで続くアニプレ系映画、及びアニメ業界全体に影響を与えた一つの歴史だと思ってます


そして、今でこそブルーレイ媒体等で誰しもが気軽に全七章を制覇することが可能になりましたが公開当時の“興奮”は完全にオイラの人生の一部となってクッキリと足跡を残しています


新しい章の公開に胸ときめかせた期待
公開延期の知らせが流れるたび感じた不安
次章公開の合間に謎を語り合った仲間との時間
狭くて古びれたテアトルの椅子が深夜に満席になっていた熱気
エンドロールとKalafina歌声に合わせて押し寄せる高揚感
そして「次章予告」にまた心躍らせる日々が始まる・・・


そんな『らっきょ』の新作が七章の公開から数えて4年が経つ今日に再降臨しました
原作は発表からの10年を機に再登場した未来福音という同人誌
今作はシリーズの「ミッシングリンク」を埋めるカタチとなる小説を本編に据え、同時に漫画として発表された3つの短編を同時上映の『未来福音 extra chorus』にまとめることで群像劇風の作風に仕上がっております
時系列を組み立て直す楽しみはこのシリーズ独特のものなので、あえて作中のどの章の間なのかは秘密にしておきますね


本編では未来を視ることが出来る「未来視」を持った二人の能力者
職業的爆弾魔の「倉密メルカ」と礼園女学院の生徒「瀬尾静音」を軸に進行していきます


サブタイトルにもある通り、キーワードになるのは「未来」、そして「福音」
これまでのシリーズには無い、物語全体を包む「ハッピーエンドへ向おうとする強い力」に支えられた不思議な魅力の作品でして
旧作のサスペンス性やスペクタクル性とはまた少し違った味わいがある作品だと思います


そしてこの倉密メルカ、そして終盤に登場する「マナ」と呼ばれる少女
この二人の登場によって物語は壮大な結末『未来福音・序 Möbius link』へと繋がっていきます
これは『空の境界』というシリーズが“未来永劫に不滅である”ということを意味するエピローグとなっておりまして、これにはもう力一杯の拍手を送りたいです
また思い出のページが増えてしまいそうですね(笑)
もはやこれ無しではらっきょ語れません

投稿 : 2024/09/07
♥ : 25

フェイルン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

タイトルなし

映画の公開初日2013年9月28日にテアトル新宿に朝から並んで観に行ったのだが、書くタイミングを逃し3年以上も経った今、Blu-rayを観ながら思い出しつつ書いている。

まずこの作品へ至る流れについて。

空の境界という同人誌が元となり、その後講談社から同名の書籍で発売された。その後、劇場アニメ化プロジェクトとして7章形式で公開され。更に終章を含め8章を公開。これで話は完結するのだが、その後日談や補完を含めた話である未来福音が同人誌で頒布。同人サークル「竹箒」が2008年8月16日にコミックマーケット74で頒布した同人誌だ。星海社文庫からも、2011年11月11日に発売。
2012年7月7日、「TYPE-MOON Fes.」にて「映画化」が発表され、現実のものとなった。実際に自分は「TYPE-MOON Fes.」に参加していたのだが、発表された際の盛り上がりは半端では無かった。

……とまぁ、前置きが少し長くなったが、話自体はTYPE-MOONの空の境界の世界で1998年8月頃とその未来の話だ。

物語★★★★★
先に書いたとおり、既存の8章がベースになった話なので、基本的にそれらを読むなり観るなりなどの予備知識が無いと十二分には楽しめない。ファンであれば楽しめるし、そうで無ければ十二分に楽しめないだろう。ファン作品的な位置付けで一件蛇足的な話ではあるがきちんとした内容で、より空の境界の世界観を重厚にしつつ補完している。
そもそもこの作品が出来たのはファンの熱い要望あっての事であり、TYPE-MOONや空の境界のファンならばこの作品が出来るまでの経緯だけでも過剰評価してしまうほどに感慨深いものだ。

作画★★★★★
制作会社のufotableはこの作品で大幅にクオリティかつ知名度が上がった。
空の境界やFate/Zeroと共に大幅に成長し、本作へ至りました。

声優★★★★★
両儀式役の坂本真綾さんと黒桐幹也役の鈴村健一さんもご結婚されて、運命的なものを感じます。

音楽★★★★★
梶浦由記さんの音楽やKalafinaの曲がとてもマッチしています。
ミステリアスだったり伝奇っぽい雰囲気だったりと、各場面に合った曲でより雰囲気を作り出しています。

キャラ★★★★★
この作品のみというよりは、今までの劇場版空の境界の総評になります。空の境界各章を通して、両儀式や黒桐幹也といったレギュラーメンバーは深みを増し、作中での月日も流れ、成長もしました。
サブキャラに関しても、各々の個性が良く出ていてます。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 3

シン風 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

空の境界は本当に凄いんだ!見てみれば分かるって……自分の想像してたものが空になるから

見ていなければ見ることをオススメしたい作品の一つ……
映画ならではの凄さもあるんだけど……
やっぱり映画館の方が良かったねこれは……
あっ…すいません…自分の世界に入ってしまいました…あうち

ごほん、話を返して…
空の境界の良さは物語の奥行きに、画像の良さですね…本当に画像に関しては綺麗にできている。
また、曲の素晴らしさは文句の付けようがない…
大抵この曲を歌っているグループのアニメは最強クラスだけど…
やっぱりその中でもこの空の境界の歌は特に好きです。
きっと落ち込むあなたを慰めてくれますよ。

そしてストーリー性ですが、これに関しては素晴らしいの一言です。
ちゃんと辻褄を合わせていて内容は複雑ですけど、奥は深い…
主人公の式を通して良く出来てますね。
人の感性、思惑に、表裏に……凄く複雑だ。

まあ、騙されたと思って見てみればいい経験になるかもしれないよ。
私が考えるアニメが影響を与える内の、価値観が変わるのに当たる作品の一つですからね。
貴重ですよこの作品は…

私はアニメには幾つか種類があると思っています。
まあ、ここでも色々言うと日がくれるので、一つだけ説明します。
それはこの作品の通り、見ることで価値観が変わるもの……私はこれを修羅と呼ぶことにしました。
修羅は人間の負の部分…隠の感情である苦しみとか、悲しみとか…そういう次元じゃなくて、人を刺した時とか、嘘を初めて付いたとか……初めてした時に静電気がバリバリって来るみたいに感じるあれ……それを感じる事で今までの自分に何かしらの変化が出てくるものですね。
まあ、こんなのどうでもいいし、宗教じみたものみたいに聞こえるので辞めます…
私は洗脳が仕事でもないし、したくもないですからね。
自由が一番^_^
この話はこれぐらいにしておきます。
この先の事が聞きたいと思って、私にメッセージしてもしませんのでご了承を…

最後に一言

生きる意味に死ぬ意味…
そして世界の理に世界の秩序
この世界は様々なものを通して
成り立っている
そしてこの少年も少女もまた
それに巻き込まれまた巻き込んでいく
そういう空の境界になるのだった

投稿 : 2024/09/07
♥ : 6

83.3 16 ufotableアニメランキング16位
劇場版『Fate/stay night Heaven’s Feel』 第一章(アニメ映画)

2017年10月14日
★★★★★ 4.2 (566)
3301人が棚に入れました
「もしわたしが悪い人になったら許せませんか?」

少年は少女を守りたい。そう、思った。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉が、あらゆる願いをかなえる願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」が起きて10年、冬木市で再び戦争が始まった。
前回の「聖杯戦争」の参加者である衛宮切嗣の養子・衛宮士郎は遺志を継ぎ、戦うことを決意する。

士郎のそばには、彼を慕う少女――間桐桜がいた。
彼女は毎朝、毎晩士郎の家に通うと朝食と夕食を作り、天涯孤独だった士郎と優しい日々を過ごしていた。
だが「聖杯戦争」が始まると、冬木の町に流れる空気が変わった。
あちこちで殺人事件が起き、不穏な空気が流れ始める。
士郎は桜を自宅に泊めることを決意した。

士郎は召喚したサーヴァント・セイバーとともに、魔術師の遠坂凛と同盟を結び「聖杯戦争」に臨む。

だが、その戦いは暗躍する者たちによって大きくきしみ、歪み始めていた。

声優・キャラクター
杉山紀彰、下屋則子、神谷浩史、川澄綾子、植田佳奈、伊藤美紀、中田譲治、津嘉山正種、水沢史絵、真殿光昭、小山力也、神奈延年、関智一、浅川悠、三木眞一郎、田中敦子、諏訪部順一、てらそままさき、門脇舞以

コンス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

我々は10年待った(意訳)

 今やFGOでご新規をどんどん沼に落とし込んでいる我らが型月が、今から約10年前に商業デビューした作品がこのFate/stay nightである。

 当時、同人界隈のオリジナル系の大手は3つあった。東方、ひぐらし、そしてTYPEMOON。月姫で同人界隈ではそれなりの評価を受けた大手サークルが、商業展開をすると聞いた時なんとも言えないむずがゆさというか微妙な反発を覚えたことを記憶している。

 ただ月姫の時のようなメインストーリーはどこまでもシリアスに、そして脇道では出来るだけジョークを忘れない彼らの姿勢が変わらないでいてくれたことに安心し、以来長い間その作品群を追いかけてきていた。

 Fate/stay nightのアニメ化が2005年だったかに発表されたとき、月姫で痛い目にあっていた分、期待よりも不安が大きかった。型月の軽妙さと暗い重さと優しさを理解し表現してくれる制作会社があるのだろうかと。

 幸いなことにセイバールートのアニメ化は成功し、私の不安は杞憂に終わった。凛ルートっぽさ、桜ルートっぽさもなんとか無理くり入れつつ「まぁこんな感じでいいよね」みたいな感想であった。充分泣けたし、最終話の出来は良かったと今でも思う。

 ここから以下はセイバールートや凛ルートを至高とされている方々には不快な表現が続きますので、先に進まれないことをお勧めいたします。

 原作においてセイバールートは物語へのただの導入部にすぎない。そもそもきのこのFateプロトタイプを男女逆転しているのだから矛盾というよりも、根本の微妙なずれが枝葉の演出の足を引っ張っていていまいち感情移入しにくいのがセイバールートである。

 アニメ化は原作のセイバールートの微妙さを、凛ルートや桜ルートから使えそうなところを上手に肉付けして厚みを出した結果、最終話でセイバー、士郎のそれぞれの覚悟と思いに感情移入しやすくなって涙腺を刺激した。

 レアルタやhollowまで原作を網羅して初めてセイバーの魅力が理解できると言っても過言ではない。そもそもPC版Fate/stay nightにおけるセイバーに対する言葉足らずをそれらで補っていったのが経緯としての事実である。

 凛ルートは、主人公である士郎の内面を掘り下げる為にアーチャーや凛といった観察者や当事者を動かすことで客観的に士郎の異常性を表現しようとしたと言える。どちらかと言えば凛とアーチャーの関係性と物語にスポットが当たり過ぎた結果、独立したエピソードとして見れば秀逸だがこの作品の中での連続性で捉えようとするとやや浮いてる感がある。

 さて満を持しての桜ルートであるが、このルートの評価は当時惨憺たるものであった。そもそもPC版は18禁でもあったため、一部の属性信者からは極度の拒否感をもって応対されることとなる。月姫の琥珀ルートで慣れていた面々だけではなかったのだ。

 ただ純粋にストーリーの展開と伏線回収といった点で見た場合、重層的な世界観を見事に表現し、正転と反転のギャップの巧みな使い方、作品のメインテーマの一つである「正義とは何か」が、狭小化されしまったように見えつつも実際はその狭小化こそが大切なのではないかといった問いかけ等、よくまとまって作られている。

 また後々様々な作品で言及されていくテーマである「女とはなにか」に対するきのこの観点は、ヒロインである桜を濃厚に表現することで、醜くも美しく愛しく狂わしく成立していると言える。

 月姫から続く、最終ルートはダークにホラーにシリアスに、がそのまま引き継がれている桜ルートこそが長い間虐げられてきたサクラスキーにとってはまさに聖典でありもっとも愛すべきエピソードなのである。

 Fate zeroとの絡みとかFate/extra CCCとか書き始めたら現時点の文章量の数倍以上必要になるので割愛するが、この桜ルートこそが根幹にあって成立しているのであると強く主張したい。

 表題に戻ろう。我々は10年待った。月姫リメイクはもっと待っているが置いておく。何を待ったのか、桜の狂気と愛らしさと醜さと女を表現できるスタッフをである。

 今回の作品の監督である須藤監督は界隈でもサクラスキーとして認知されいる。我々の期待を裏切らないことを切に願ってやまない。

 三部作の第一部であるこの作品ではまだ、桜の持つ陰の部分の表現には至っていない。が、そこを描ききらなければ桜ルートは薄っぺらく終わってしまう危険性をはらんでいる。

 リアルの女子と変わらないのである。天使のようなほほ笑みで小悪魔のように誘惑するのだ。ただ間桐桜は女神のように振舞い、魔女のように陥れる。そしてその自らのギャップに少女のように慄きつつも、娼婦のように自らの汚れを受け入れていく打算をも持ち合わせている。

 ここまできたらもはや懇願するほかない。我々は10年待ったのだ。三部作が四部作になっても一向にかまわない。(らっきょのこともあるしw)一年に一部づつになってもかまわない。

 間桐桜という女を存分に描き切って頂きたい。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もし私が悪い人になったら、叱ってくれると約束したから…

たくさんあるFateシリーズ。

その中心ストーリーにあたる
『Fate/stay night』シリーズの1つ。

原作の『Fate/stay night』には
3つのルートがあり、

これまでアニメ化されてきた
“セイバールート”“凜(りん)ルート”に続く、

最後の“桜(さくら)ルート”。
劇場版で全三章が予定されています。

Fateシリーズを見たことがない人が
いきなりこの『Fate/stay night [Heaven's Feel]』から見るのは、
ちょっと厳しいと思います。

設定に関しては、
ほとんど説明がされないので…。

これからFateシリーズを見る方は、
・『Fate/stay night』(2006年)…セイバールート
・『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』(2014年)…凜ルート
・『Fate/Zero』…10年前を描くスピンオフ

を見てから視聴することをおすすめします。

見る順番の決まりはありません。
原作のゲームは、アニメと同じ流れでストーリーが解放されるようです。

私も制作年順で見ましたが、
Zero→凜ルート→セイバールートの順に見るのもありです。

この順で見るとネタバレが少なく、
絵もきれいなので、抵抗なく見やすいというメリットがあります。

前置きが長くなりました。
おもしろいからFateシリーズ、おすすめですよ^^

120分ほどの作品です。


● ストーリー
衛宮士郎(えみや しろう)は幼い頃、
大災害に遭った唯一の生き残りである。

士郎と同級生の慎二(しんじ)の妹・間桐桜(まとう さくら)は、
士郎の家に来て家事の手伝いをしていた。

高校2年生の秋。
士郎は7人の魔術師“マスター”の一人となり、
“聖杯戦争(せいはいせんそう)”に巻き込まれたことを知る。

マスターと、マスターが契約する英霊“サーヴァント”が
何でも願いが叶うという“聖杯(せいはい)”をかけて争う戦いだった。


聖杯戦争など、基本的な設定は、
これまでのFateシリーズを見ている人には十分わかっていることとして、
さらっと流されています。

セイバールートと凜ルートでは、
士郎たちvs他のマスター&サーヴァントがメインでしたが、

今回は少し毛色が違います。

サーヴァントたちを次々とやっつけてしまう、
動き回る第三の存在。

これまでのシリーズを見ているからわかる、
手ごわいサーヴァントたちをやっつけてしまう恐ろしい敵。

第一章はまだまだ物語の序盤で、
謎が多く残っています。

だけど、面白い!
面白いから、あっという間に時間が経ちました。

緩急の付け方もうまくて、
家の中でゆっくり話をするシーンもあれば、
激しく戦うシーンもある。

そんな緩急の付け方やバランスの上手さもまた、
長時間でも全く飽きなかったポイントかもしれません。


≪ これまでの物語を知っているから、より楽しめる ≫

この作品のすごいところは、
同じキャラクター、同じ設定でも、

人物の立ち回り方ひとつで全然違った物語が生まれ、
新たな楽しみ方ができること。

今回もそうです。

「10年前の出来事を今回は話すのか…。」
「今回のあのキャラは敵なのか?味方なのか?」
などなど、

これまでの物語を知っているからこそ感じられる、
おもしろさがたくさんあります。

また、これまでのルートでは謎とされ、
徐々に明かされてきたサーヴァントの秘密やマスターの正体。

それもこれまでのシリーズを見てきたなら知っていることなので、
踏み台のような扱いで、さくっと次の展開に進みます。

さらに、サーヴァントの能力や個性も
これまでのシリーズですでに知っていることなので、

早々に戦いや必殺技を見せるなど、
ファンにとってはたまらない展開の連続です。

キャラをよく知っていることをうまく活かしたキャラの見せ方と、
さらなる深淵に導かれていく物語。

こんなの、どんどんおもしろくなってしまいますやん…(戸惑い)


Zeroや凜ルートを制作したufotableによる作画は、
相変わらずきれいです^^

特にバトルシーンはよく動く!
カメラワークもよく動く!迫力がある!


● 音楽
【 主題歌「花の唄」/ Aimer 】

今回の劇伴を担当している梶浦由記さんが作詞作曲した歌なので、
雰囲気ばっちりです。

胸が痛く、きゅっとした気持ちになります。


● まとめ
これまでと似たお話もありながら、
異なるルートを進んでいく。

これは続きが気になります!

全章公開してから一気に見たほうがよかったかな^^;

第二章は、2019年1月公開予定です。
待ちきれません…!

投稿 : 2024/09/07
♥ : 31

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「もしわたしが悪い人になったら許せませんか?」

Fate/stay nightのファンが歓喜した2014年の「Fate Project最新情報発表会」で制作が発表された「桜ルート」
私は会場にはいきませんでしたが、TVの特番でその時の会場の雰囲気を目の当たりにしました。
あれ、会場にいたら堪らなかったでしょうね…

しかも、アニメーション制作はufotableさん…
TVアニメ第2作目「凜ルート」である「Unlimited Blade Works」でそのクオリティの高さは証明済。
視聴に向けて楽しみな要素しか無かったこの作品…
ようやく視聴することができました。

劇場版全3章で上映される「桜ルート」ですが、これまでTVで放送されてきた「セイバールート」「凜ルート」とは明らかに一線を画すような構成も、この作品の魅力の一つになるのではないかと思っています。
これまでの作品と明らかな違い…それは、全2作はどちらもヒロインが聖杯戦争に参加していますが、桜と聖杯戦争との繋がりって、正直これまではかなり希薄でした。

そんな桜がヒロインとして、この作品とどの様に繋がっていくのか…
これまでの桜は、可憐で儚げな少女というイメージですが、どことなく少し影のあるような存在だったと思います。
間桐家に生まれたこと…兄の慎二の存在が、彼女の影の原因であることは言うまでもありません。
そんな劣悪な環境の中でも、自分自身を決して見失わない彼女は立派だと思いますし素敵な部分だと思います。
だから、そんな彼女を下支えしている淡い気持ち…
その気持ちが今後どの様に物語に絡んでくるのか…これも見どころの一つだと思っています。

そう、全3章のうち、最初の1章が公開されただけ…
だから物語の全容は未だ闇の中…
でも第1章を見て思ったのは、サーバントには懐かしさを多分に感じる点と、序盤からの展開がかなり早め…という点です。

第1章からいきなり聖杯戦争は熾烈を極めます…
だから息をつく時間もなく、一気にトップスピートまで昇りつめて怒涛のスピードで物語が展開されていくので、片時も画面から目を離すことはできません。

そう考えると、「士郎を守りたい」というヒロインの気持ちは一緒でも、アプローチは全て違うんですね。
士郎をマスターとして聖杯戦争を戦ったセイバー、士郎と同じサーバントのマスターという立場で聖杯戦争を戦ってきた凜…
それに引き換え、桜の物語は聖杯戦争とは無縁の状態から始まりますから…

桜だって間桐家の一員なので聖杯戦争の事を知らない訳がありません。
魔術師の家系は代々その血筋を大切にし、少しでも優秀な遺伝子を後世に残そうとしています。
そんな思想は凜にだって垣間見ることができました。
でも、桜は家系や聖杯戦争より大切なモノがあるから彼女なりに頑張れるんだと思いますし、自分の大切を何より優先できるんです。
だから桜から感じるのは、士郎を全て包み込もうとする優しさと温かさ…そして思いに対する直向きさなんです。
そんな桜の気持ちの何と心地良いことか…

個人的には、桜にはこのまま聖杯戦争には関わって欲しくないのが本音です。
桜と聖杯戦争って、全然イメージが結び付きませんから…
でも…それじゃきっと彼女の物語が膠着しちゃうんでしょうね。
翼あるモノに飛ぶな、という要求は所詮無理なこと…
だからこの作品のヒロインとして登場するということは、それなりの覚悟を持って視聴する必要があるってことですよね。

物語の中での士郎と桜…相手の事を思いやる気持ちを感じながら会話が進んでいくのですが、その中でもこのレビューのタイトルにしたやり取りは特に印象的でした。
今後益々熾烈さを増していく聖杯戦争に対する桜なりの覚悟…のようなモノを感じた気がします。

いずれにしても全てはこれからです…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

第一章の主題歌は、Aimerさんの「花の唄」
梶浦さんとの初の組み合わせだったのではないでしょうか。
この曲の歌詞…桜の心情を絶妙に表現していて、最初に歌詞を見た時には思わず目頭が熱くなってしまいました。
この作品ならではの楽曲だったのではないでしょうか。

しっかり作品を堪能させて頂きました。
引き続き第2章も楽しみにしています。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 13

63.6 17 ufotableアニメランキング17位
GOD EATER(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (431)
2733人が棚に入れました
2071年、極東-此処は荒ぶる神々の領域。
2050年代初頭、突如出現した未知の生命体「オラクル細胞」は、
地球上のあらゆる対象を「捕喰」し始めた。
全てを喰らい、凶暴な生命体として多様に分化を遂げるその存在を、
いつしか人は、畏怖を持って「アラガミ」と呼んだ。
既存の兵器はアラガミの前に一切効果が無く、
都市文明は崩壊し、人類は徐々に生息圏を奪われていった。

そんな人類に一筋の光明がさす。
オラクル細胞を埋め込んだ生体兵器「神機」が開発され、
それを操る特殊部隊、通称「ゴッドイーター」が編成された。
荒ぶる神々に虐げられた世界で、「神を喰らうモノ」の明日なき戦いの幕があがる―。

声優・キャラクター
木島隆一、平田広明、中井和哉、大原さやか、阪口大助、坂本真綾

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「神喰らい・・・」今後の物語の方向性が楽しみです。

2015年の夏アニメとして放送されたこの作品・・・原作はゲームのようですが、PVを見て今回人類が対峙する「荒神(アラガミ)」の迫力をとことん追求している作画に圧倒され、視聴を楽しみにしていた作品です。
アニメーション制作は、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」を手掛けられたufotableさん・・・
半端ない作画クオリティでサーバント同士の激しい戦いを描き切っていたあの作品は今でも強く印象に残っています。
もう、これは期待するしかない・・・という状態で視聴に臨みました^^;

いざ視聴を始めると・・・作画のクオリティは圧巻の一言でした。
アラガミという謎の生物・・・手も足もたくさん生えているのに・・・よくもまぁ、こんなにヌルヌル動かせるよね^^
でも・・・TVアニメ版でこのクオリティを意地し続けるのが困難だったからなのか、その他大人の事情のせい・・・かは分かりませんが、TV放送は度重なる総集編に加え9話終了時点で「COMING THIS WINTER」というテロップを残しブッツリ切れちゃったんですよね^^;

そのためこの作品のレビューは13話まで放送終了後に書けば良いのかな・・・と思っていましたが、10話以降は「メテオライト編」として新たに作品が登録されているのを知りました。
従って今回のレビューは1〜9話までとなります。

地球上に突如現れた謎の生命体であるアラガミ・・・生身の人間がどれだけ束なって挑んでも瞬殺されてしまうくらい、元々のスペックがまるで異なる生命体なんです。
アラガミを前に人間はなす術もなく殺され、捕食され続いている・・・そんな世界観です。

人類がアラガミに抵抗できる唯一の手段は、適正試験をクリアした一部のモノだけが使用することのできる「GOD EATER」という武器なのですが、適合者不足と質と数で攻めてくるアラガミの前に辛うじて防衛拠点だけは維持できている・・・という状況です。そして、主人公である空木レンカがGOD EATERの適正試験に合格し物語が動いていくのですが、今回改めて一気見して分かったのがストーリーは短いながらもしっかりと作り込まれている・・・良い意味での常識的な観点が主眼になっているのが個人的には高ポイントでした。。

空木レンカがGOD EATERになって最初に取り組むこと・・・それは徹底した訓練です。
大きな剣だけ渡されて「じゃ、あと戦場で頑張って」と言われてもきっと何も出来ないと思いますし、自分の身体の数倍の大きさの敵が一斉に押し寄せてきたらきっそ足が竦んで動けないと思います。
敵の特性把握、戦場での身のこなし・・・瞬間的な判断・・・どのスキルが一つ欠けても即生命を落としかねません。
何しろGOD EATERには生きて帰って貰わなきゃいけないんですから・・・

アラガミに傷つけられた痛みに苦しむ他のGOD EATERを横目に新人に訓練を強い続けること・・・
訓練を指示する側もされる側も特に辛い時があると思いますが、毅然とその姿勢を貫き通そうとする上司の判断は激しく納得です・・・演出的にはきっと一番地味なんでしょうけれど^^;

そして主人公特例も無く徹底的にルールを遵守する・・・これも好印象でした。
優しくて正義感の強い主人公・・・苦しんで困っている人を見逃したりなんかできません。
でも所詮それは一時の感情で、それを受け入れる事は何を意味するのか・・・そしてその先まで責任が取れるのか・・・
一番やっちゃいけないのが中途半端・・・見方によっては残酷に見えるかもしれない・・・非情に映るかもしれない・・・そんな一見理不尽に思える事を正当化し物事を俯瞰して見る機会をくれるのがルールなんじゃないでしょうか^^;?

物事の事態を変えたいなら仲間を信じ、自らしんがりを努め率先垂範の姿勢を示す・・・
言葉にすると一見簡単そうですが、実際の行動に移すのが難しい事だと思います。
いきなり知らない人から助けを求められる・・・その行動は自分の身を危険に晒す・・・そういうハイリスクに対して求められた人は即決できるか・・・というと絶対できないと思います。

アラガミに対し人間は無力である事を刷り込まれている人の賛同を得るにはどうすれば良いか・・・
一番大変なところを自分で引き受け、残りをそれぞれのスキルに応じて適材適所に配置し合意を得る・・・
いくつかある解決方法の一つだと思いますが、こういう何気ない部分がこの作品の熱さの背景にあるんじゃないかな・・・と思いました。

今回改めて視聴して・・・正直作品へのイメージが変わりました。個人的には一気見して良かったと思っています(途中の総集編で気持ちが途切れる事もありませんし・・・^^;)。
引き続きメテオライト編を視聴します。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 21

朝霧麻衣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

作画気合入ってるけど本編9話+特別編3話の構成...

原作のゲームは未プレイですが、評判を良く耳にしていたのでPVだけはアップされていた動画で見ていました。ゲーム的にはモンハンに近いのでしょうけどこのゲームを構成する世界観にとても魅力を感じました。

それからこのアニメはまだ完結していません。続編を製作中とのことです。

【あらすじ】
突然出現した「アラガミ」と呼ばれる生物によって人類は激減、唯一の対抗手段として「神機」と呼ばれる武器を手に数少ない人類の拠点を守っている。そんな神機使いの新入りとして一人の少年が入隊する。

【ストーリー】
新入りメンバーを主軸にして、ゲーム未プレイの人にもこの世界の仕組みについて分かりやすく解説してくれるので分かりやすかったです。本編よりも何年前の話かは分かりませんが、アラガミの誕生にまつわるエピソードも各所に織り交ぜられていて、このような世界になってしまった原因について少しずつ解明されていくようなシナリオに引き込まれました。

【作画】
とにかく、戦闘シーンはもちろん登場キャラの表情から基地の内装に至るまでとてもきれいでした。絵については素人なんで上手く言えませんが、今までのアニメに比べると影が多方向から当たるような描写なので、絵から得られる情報量が多く感じられます。加えて作画がとてつもなくキレイなので、要所要所で使われる止め絵から伝わってくる登場キャラの表情が印象的でした。こちらに訴えかけてくるように感じます。他にも、時間の経過を表現する上で、町を一望して昼夜と天気が変化していく実写映画で用いられるような表現も用いられていました。これら全ての表現を用いるために相当な時間と労力をかけたのだろうなと思いました。

【特別編について】
放送中に何度か差し込まれた総集編+作品に関する補足が成されています。これはこれで作品を楽しむ上で見ておいて損は無いと思います。ただ放送中に4回も入るとストーリー展開がテンポよくてもそう感じられない部分がありました(-_-;)

【キャラ】
神機を扱う「ゴッドイーター」と呼ばれる人達は個性的な方ばかりでした。それぞれに抱えてる過去についても少しずつ明かされていきます。詳しく分からない部分についてはこれから続編で出てくるのだと思います。(ゲームでプレイして確認してくださいだけは勘弁して欲しいw)

【まとめ】
このアニメを視聴してゴッドイーターの世界観にとても引き込まれました。詳しい部分が謎に包まれてばかりですが、そこが気になる所でもあります。続編に期待したいと思います(*^_^*)

投稿 : 2024/09/07
♥ : 13

うっきー星人 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

作画だけは頑張った作品、だが時間稼ぎ的特番のせいですべて台無し

特番飛ばして一気に観た感じ、過去の評価より面白かったので評価上方修正しました

==========
「特徴」人類滅亡サバイバル系
未知の細胞から生まれたバケモノに地上を支配され、何としてでも生き残ってやるぞ!的な作品
進撃の巨人みたいに壁の中で選別された人だけが生活しています


途中切りかけたがなんとか完走

まず良い点、「作画」は神がかってる、次世代の作画。他アニメも見習ってほしいです

ストーリーは物足りなさもあったけれど設定は良く練られていて、
なかなかに絶望感も出ていてそれなりに良いサバイバル中二作品という感じ
ただ、結局設定をしっかり回収できておらず、俺たちの戦いはこれからだ!状態でシラけた
一応バケモノからすべての人類を守る防空壕的なシェルターを作ろうという設定は出てきているのですが、
何も始まらない内に本編も終了、何やそれw

でも「人が神になるか、神が人になるか」というラストは綺麗だったので2期きてくれたら視聴はします
つか2期がないと何だったの?この作品?というような、ただの普通なゲームの宣伝作品で終わると思う

ゲーム知らんけど、結局中ボス的なの覚醒して倒すだけみたいなよくある感じになっちゃってる
生き残りをかけたサバイバルな世紀末+バケモノという設定は個人的に好きなんだが、これではそこまで記憶に残らないかな

作画:素直に褒めます、頑張ってますね~

声優:ゾロ×サンジ!? やったね!腐女子

キャラ:全員中二病、どっかで見た感半端ない。
ただヒロインの下乳だけ気になってしょうがないペロペロ


「問題点」はやはり特番、計画性の無さにあったと思います
原作好きは嬉しいのか知らんがこれが勢いを完全に殺してる
この手のやり方は必ず視聴者の反感を買います、作画にチカラ入れ込み過ぎて仕事間に合ってないのかな?
原作全く知らないせいか興味湧くまえに冷え冷えになってた
2周目で特番飛ばして一気見してはじめてそこそこ面白いかな、という感じになった

こんなザマなら次のシーズンに放送すべきだったと思いますよ、素材は良かったので勿体無い
うまくやればもっと成功していたであろうに、結局ややクソアニメになりかけな残念な子という印象

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7

83.5 18 ufotableアニメランキング18位
劇場版『Fate/stay night Heaven’s Feel』 第二章(アニメ映画)

2019年1月12日
★★★★★ 4.2 (409)
2236人が棚に入れました
「俺の戦うべき相手は――まだこの街にいる」

少年は選んだ、自分の信念を。そして、少女を守ることを。
魔術師<マスター>と英霊<サーヴァント> が願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。
10年ぶりに冬木市で始まった戦争は、「聖杯戦争」の御三家と言われた間桐家の当主・間桐臓硯の参戦により、歪み、捻じれ、拗れる。
臓硯はサーヴァントとして真アサシンを召喚。
正体不明の影が町を蠢き、次々とマスターとサーヴァントが倒れていった。
マスターとして戦いに加わっていた衛宮士郎もまた傷つき、サーヴァントのセイバーを失ってしまう。
だが、士郎は間桐 桜を守るため、戦いから降りようとしなかった。
そんな士郎の身を案じる桜だが、彼女もまた、魔術師の宿命に捕らわれていく……。
「約束する。俺は――」
裏切らないと決めた、彼女だけは。
少年と少女の切なる願いは、黒い影に塗りつぶされる。

声優・キャラクター
杉山紀彰、下屋則子、神谷浩史、川澄綾子、植田佳奈、伊藤美紀、中田譲治、津嘉山正種、水沢史絵、真殿光昭、小山力也、関智一、浅川悠、諏訪部順一、門脇舞以、七緒はるひ、宮川美保、稲田徹

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

少女の願いは静かに、爛れ、散りゆく…

このレビューは第1章の視聴が終わっていることを前提として書いています。
第1章を未視聴の方は、まずそちらの本編からの視聴をお勧めします。

ずっと視聴したいと思っていた本作品…ようやく視聴に漕ぎ付けることができました。
一番不安だったのが、いきなり第2章を見て問題無いか…ということでした。
というのも第1章を視聴したのが結構前なので、内容を忘れていることが多分に考えられたからです。

だから視聴するならもう一度第1章から…と決めていたのですが、2本の視聴で約4時間もの時間を要すると思い躊躇していた面は否定できません。
そしてようやく本日、無事完走することができました。


「俺の戦うべき相手は…まだこの街にいる」

少年は選んだ、自分の信念を。そして、少女を守ることを。
魔術師<マスター>と英霊<サーヴァント>が
願望機「聖杯」をめぐり戦う…「聖杯戦争」。

10年ぶりに冬木市で始まった戦争は、「聖杯戦争」の御三家と言われた
間桐家の当主・間桐臓硯の参戦により、歪み、捻じれ、拗れる。

臓硯はサーヴァントとして真アサシンを召喚。
正体不明の影が町を蠢き、次々とマスターとサーヴァントが倒れていった。

マスターとして戦いに加わっていた衛宮士郎もまた傷付き、
サーヴァントのセイバーを失ってしまう。

だが士郎は間桐 桜を守るため、戦いから降りようとしなかった。
そんな士郎の身を案じる桜だが、彼女もまた、魔術師の宿命に捕われていく…。

「約束する。俺は…」
裏切らないと決めた、かのじょだけは。
少年と少女の切なる願いは、黒い影に塗りつぶされる。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

完走したばかりなので、まだ身体中の熱が全然治まっていません。
そういう状況で公式HPのSTORYを拝見させて貰った訳ですが、見た人の気持ちを煽る文字と構成…これは滾ります。

そう、これまでセイバールート、凛ルートと視聴してきた訳ですが、今回の聖杯戦争がこれまでの中で最も「いびつ」だと思います。
聖杯戦争の体を成していない…という表現が正解かもしれません。
でも、これが間桐家の当主・間桐臓硯の本気なのでしょう。

しかし、聖杯戦争の見どころの一つで、且つこの作品の「売り」でもあるのがサーヴァントらによる圧巻のバトルシーンだと思います。
激しくぶつかり合い、せめぎ合うサーヴァントの戦いは、自らの願望のため彼らの意志で武器を手にしていることを否が応でも認識させられます。

ですが、これまでキーパーソンだったサーヴァントが早々に脱落していくんです。
中にはこんな序盤で貴方のそんな姿を見たくなかった、或いは、見惚れるほどの技を楽しみにしていたにも関わらず、何もすることなく消えていったり…
みんな己の本分を全うすることに誇りを持っていた英霊たちばかり…
しかもセイバーまでもが消えてしまうなんて、物語が破綻するんじゃないかと思いましたよ。

でも、味方を変えると「そうでもしなきゃ、"Heaven's Feel"の物語が完結しない」ということと同義なんだと思います。
これまでの中で最も残酷なルートだと思います。

その思いの根幹にあるのは、やっぱり間桐 桜の存在にほかならないでしょう。
穏やかで優しくて可憐で…桜みたいな女の子が妹だったら、きっと私の人生も変わっていたかもしれません。

第2章は、そんな桜の色々を知る物語でした。
何となく気付いていたこと…
初めて知ってビックリしたこと…
悔しくて下唇を噛むことしかできなかったこと…

どうして「間桐 桜」だったんでしょう。
どうして慎二の妹だったんでしょう。
決して誰かを身代わりに…なんて事は思いません。
でも、何も桜じゃなくたっていいじゃありませんか…

確かに桜は魔術師としての高い適正があるのかもしれません。
たった一つのそれを除くと、大好きな人と一緒に静かに暮らしたいと願うただの女子高生なのに…

桜に聖杯戦争は似合わない…
だけど魔術師としての血の呪いが、桜を聖杯戦争に引きずり込むんです。
完走してwikiをチラ見して知ったこと…
それは桜は、もともと髪の毛や瞳は凜のような色だったんだそうです。
今の色になったのは体質が変化したから…いえ、変化させられたからです。
なんて惨いことを…

そして…物語は転がり始めました。
目の前で次々と起こるのは、凡そ最悪と呼ばれる範疇の出来事ばかりです。
そしてその慣性に抗えない桜もまた堕ちて…

一体この物語はどこに向かおうとしているのか…
サーヴァントを失ったマスターは、この状況にどう立ち向かうのか…
最強最悪の敵にとどめを刺す勇気と覚悟はあるのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、第1章から引き続きAimerさんの「I beg you」
梶浦さんとのタッグ再来です。

上映時間117分の物語でした。
もう、私の中では一時だって目が離せない物語に昇華しています。
最終章となる第3章は、2020年の春に上映が予定されています。
続きが視聴できるのを楽しみにしています。
最後に桜に救いの手があらんことを…

投稿 : 2024/09/07
♥ : 20

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

己の夢か、それとも、愛する者か。禍々しい運命への扉が開く――。

全三章構成の「Fate/stay night [Heaven's Feel]」の第二章。

第一章の公開が2017年、
第二章の公開が2019年、
そして第三章が2020年8月に公開されています。

第一章を見てから時間が経っていたため、
第一章を見直してからこの二章を見ました。

これまでのFateシリーズから展開が頭の中でごっちゃになっている部分もあったので、見直してから二章を見て正解でした。
冒頭は、振り返りやあらすじ説明等は一切ありません。

ちなみに、Fateシリーズはたくさん種類があって、
ざっくりと紹介をすると、

・『Fate/stay night』(2006年)…セイバールート
・『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』(2014年)…凜ルート
・『Fate/Zero』…10年前を描くスピンオフ

となっています。

今回の「Fate/stay night [Heaven's Feel]」は桜ルートと呼ばれていて、
上の3つのシリーズを見てから見ることをおすすめします。

細かな設定の説明や、これまでの話は知っているものとして大幅にカットされているので、Fateの初見さんには全く優しくないです。笑

反対に、これまでのシリーズを見てきた人にとっては、詳しいことは語られなくても事情や背景が理解できるという憎い構成です。

第二章は120分ほどの作品です。
PG12指定が付いています。


● ストーリー
衛宮士郎(えみや しろう)は幼い頃、
大災害に遭った唯一の生き残りである。

士郎と同級生の慎二(しんじ)の妹・間桐桜(まとう さくら)は、
士郎の家に来て家事の手伝いをしていた。

高校2年生の秋。
士郎は7人の魔術師“マスター”の一人となり、
“聖杯戦争(せいはいせんそう)”に巻き込まれたことを知る。

マスターと、マスターが契約する英霊“サーヴァント”が
何でも願いが叶うという“聖杯(せいはい)”をかけて争う戦いだった。


これまでのFateシリーズは、聖杯をかけてサーヴァントやマスター同士が戦う話でしたが、この桜ルートは少し毛色が違います。

これまでのFateシリーズを見てきたから知っている、手ごわい相手たち。強くてかっこいいキャラクター。

そんな相手たちが、正体不明の敵に次々とやられてしまう。
第一章は、そんな恐ろしすぎる謎の敵の存在で終わりました。

第二章では、本格的に桜ルートに突入すると同時に、恐ろしい敵が何者なのか、その正体がわかります。

あんなに強いやつらが一瞬でやられてしまうのに、
一般人に近い存在の士郎に太刀打ちできるはずがない。

そんな絶望に染まりまくりです。

これまで義父・切嗣(きりつぐ)を慕い、
正義のヒーローになりたいと夢見てきた士郎。

しかし、迫られるのは残酷な選択。

己の夢か、それとも、愛する者か。


≪ 間桐桜 ≫

桜ルートと銘打たれていることもあり、
今回士郎と想いが通じ合うのは、間桐桜(まとう さくら)です。

士郎と同級生の、間桐慎二(まとう しんじ)の妹。

桜の「先輩」と呼ぶ声は、なぜああ色っぽいのか、
第一章から(*´Д`)ハァハァしてました(*´Д`)

年下なのに色気あるなあと思ってたけど、
今回はその色気の根源が見えました。

桜もかわいいから好きだけど、
個人的に、士郎には凛を推しています。

冷徹に振る舞おうとするけれど、
結局すぐ情に流されてしまう優しい凛が好きなのです(*´ω`*)


● キャラクター
強いサーヴァントたちはかっこいい。

これまでのシリーズでもたくさん、
強さとかっこよさを見てきました。

それなのに、あんなに強いサーヴァント達でも全く歯が立たない相手。

その絶望感の中でも、
サーヴァントたちは必死に戦います。

主のために。己の願いのために。

相手が強すぎるとは言っても、
ちゃんと戦いの中でかっこいいところを見せてくれるのは嬉しい。

作画はさすがですし^^
きれいだし、迫力あるし、カメラワークがよく動く♪


● 音楽
【 主題歌「I beg you」/ Aimer 】

第一章の主題歌は、悲しさが感じられる曲でした。

今回の主題歌は、敵の底知れぬ強さと不気味さが感じられる、
妖しい曲調。

作品の余韻を主題歌が助長しています。

この主題歌聞いたら、
すぐに第三章へGOしたくなる!

第一章に引き続き、梶浦由記さんの作る曲は、
作品の雰囲気にぴったりすぎます。


● まとめ
これまでFateシリーズはたくさん見てきて、
基本の設定はどれも同じなのに、

スポットライトの当たる人物が違うと、
こうも別の物語が生まれていくのがすごいなあ。

第一章は見えない敵を探りながらの戦い、
第二章はとうとう倒すべき相手を見つけた。

第三相は、その相手とぶつかる戦いになるのかな。

しかし現状の士郎には頼りにできる戦力もないし、体もボロボロ…。

万全な状態でも勝てるはずのない相手に、
どう立ち向かい、この危機的状況を乗り越えるのか。

ここまで来たら、
第三章は絶対に見逃せません。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 17
ネタバレ

アンデルエレーラ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

気づくな…

Fate/stay night Heaven’s Feel(桜ルート)の第2章

ー2019.1.15ー

第1章が素晴らしかったため、第2章を長く待っていました!

原作未プレイの私は、
なるべく事前情報を耳に入れずに見に行きましたが…

息が詰まる、苦しい展開とはまさにこのことで、
見終わるとちょっぴり疲れました。(←褒めてます)

{netabare}セイバールート、凛ルートと違い、
桜ルートは鬱展開になると少し耳に挟んでいて、

私自身もいつもと違うダークな展開を望んではいたのですが…
想像を超えてきましたね(笑)

影の正体は、聖杯の器である桜が制御できなくなった「聖杯の中身」であり、
今までの冬木の殺人事件は、桜が魔力を欲したことの裏返しだったのか…

このことに気づいた士郎が、蔵硯に促されても、
桜を殺すことができなかったのは、見てて心が苦しかったです。

印象的だった雨のシーンで、桜を守ると決意したことを思い返し、
包丁を持って泣く士郎の姿は、特に感情移入できた場面でした。

シリーズを通して、正義の在り方を問う中、
衛宮士郎の従来の理想は、「すべて」の人間を救うこと。

桜の殺人を否定して「みんなの」正義の味方となるのか、
大切な桜を最後まで守る「桜だけの」正義の味方となるのか、
2章ではこの葛藤が丁寧に表現されていたと思います。


ラストシーンは…衝撃的すぎる。
慎二があそこまで最低な人物とは思いませんでした。

慎二を殺し、闇に飲まれてしまった桜を、
士郎は救うことができるのか…

2章を見る前はダークな展開を望んでいましたが、
今では最終章で士郎が桜と約束した花見ができるような、
明るいエンディングを期待してしまっています。{/netabare}

主題歌の「I beg you」は重みがあって良かったです。
予告編で聞いた時、1章の「花の唄」とはまた曲風が違うなと思っていましたが、
桜の心情がまさにそのまま歌詞となっていて、
ラストシーンからのエンディングに圧倒されました!
1章に引き続きAimerさん、さすがです。

本当に早く最終章を見たいのですが…
2020年春か~ 待ち遠しい!


ちなみに2章で一番ゾワっとしたシーンは…
{netabare}桜が人を殺して魔力を食べるシーンを、
ディズニーの城のようなポップな表現にした所です(笑)

初めは桜の夢で笑わせに来たのかと思いましたが、
人形を割って中から出たアメを食べるシーンで何の比喩か察しました。 {/netabare}


ー2019.11.9追記ー
1章に引き続き、2章もDVDを買いました。
以下気になった点、をまとめます。

原作未プレイの私が勝手に楽しんで書いているだけですので、
そこは暖かい目で見てください(笑)

{netabare}初めに、マスターとサーヴァントの状況について。
士郎/セイバー(消滅?)
凛/アーチャー(消滅)
桜/ライダー
イリヤ/バーサーカー(消滅?)
蔵硯/真アサシン
葛木先生(死亡)/キャスター(消滅)
綺礼/ランサー(消滅)&ギルガメッシュ(生死不明)
影/セイバーオルタ

・まず気になるのはギルガメッシュ。
 片足を食べられたところまでは分かっているけど、
 その後の描写がありません。 まだ生きているのでしょうか…

・綺礼の言動も意味深。
 桜を助けるために、自らの魔術回路を使い切りましたが、
 そんなに良い人だっけ…
 綺礼は他人が苦しむ様子に愉悦を感じるはずだから(笑)、
 今後の桜と士郎の行く末を楽しむため?
 「生まれつつあるもう1つの聖杯」との発言は、
 聖杯=イリヤで、もう1つの聖杯=桜という解釈でOK?

・「だってあの人、私には勝てないもの」
 桜が綺礼に対し、ここまで自信があるのはなぜ?


まだ分からないことが多いです(笑)
原作には2つのENDがあるそうなのですが、どうなるのでしょう…
希望の持てる結末を望んでいますが、「Heaven」’s Feelですもんね…
今は早く最終章を観たいけど、終わってしまうのが寂しい気持ちもあります。 {/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 18

67.9 19 ufotableアニメランキング19位
テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (354)
1640人が棚に入れました
人の目には見えない霊的な存在「天族(てんぞく)」に囲まれて育った人間の青年・スレイ。
「かつて、人間の誰もが天族の姿を見ることができた」という伝承を信じる彼は、
古代の謎を解明し、人と天族がともに生きる世界を実現したいという夢を抱いていた。

ある日、生まれて初めて訪れた人間の都で妙な事件に巻き込まれたスレイは、
なりゆきから石に突き刺さる聖剣を引き抜き、世界の災厄を払う「導師」となる。
重き使命を刻み込む胸の中、人と天族の共存という夢はより熱さを増し——

仲間とともに、「導師」は大冒険の旅路への一歩を、今、踏み出す。

声優・キャラクター
木村良平、逢坂良太、茅野愛衣、小松未可子、下屋則子、福圓美里、小野大輔、津田健次郎
ネタバレ

カボチャはんたー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

世界が闇に覆われるとき…世界を救う導師現る

テイルズシリーズ始めてみます!!
とにかくこの作品は絵が奇麗で期待大です!!

0話{netabare}
中世ヨーロッパ風な建物ってなんでテンション上がるんだろう(/・ω・)/

若い王女は利用される立場なのかもな…
政治はいろんな思惑があってやだな~
黒い霧はよからぬことの前触れなのかもしれない

最近の姫様はか弱いだけじゃやっていけないみたいね
姫を襲ったのは妖怪?魔物?

偵察に出した近衛の騎士を捜索するために…
姫たちは追いかけてきたのね…
あの黒い霧は気づいたらあそこにあったらしい
街の様子も住民もどこかおかしい?

黒い霧はすべてを飲み込む…
学者のおっさん下にいたからまだ無事のようだが…
黒い霧はアリーシャ姫をめがけて追いかける?街もこのままだと飲み込まれてしまう

地脈の均衡が崩れかけているらしい

謎の少女の正体は?姫たちには見えていないみたいだけど
混沌の扉を開く?
夢のような現実…黒い霧はすべてをのみこむ…
そこに希望は一つも残らない…後に残るのは絶望のみ

プロローグ的なお話ですかね?(/・ω・)/
{/netabare}

1話{netabare}
お姫ちゃん悪運は強いよな~
あの黒い霧に2回襲われてるのに生き残ってるんだから
たどり着いたのは遺跡…来るときに盛り上がってた場所かな?

姫の近くにいるポンポン何?魔法使えてるけどw
おっと今度は蟲に襲われる姫様…姫様遺跡の奥へ…
遺跡の奥はお花畑?導師の紋章がある?動いたしw光ったしw
さらに入り口が何たるゲーム的展開www

天空の断崖絶壁を駆けまわるとか少年すごいな
スレイにミクリオか
スレイは普通の人間らしいが…ミクリオは?
遺跡探検はじーじに封印されてる
探検も調査も禁じられる…って言われると行きたくなっちゃうよな

人間と天族の話を綴った天位見聞録
ミクリオは優等生っぽいけど結構やんちゃなのねw

姫は暗闇の中をただ進む…先の見えない闇の中…ここはどこ?
そりゃ叫びたくなる気持ちも…

スレイ身軽だなぁ~
スレイとミクリオが壁画のところにいたら雷が…
さらに姫も…そこにいるのかな?

じじさまも大変だのう
この姫昨日から死線超えすぎだよねwもう何回死にかけてるのか
魔法使いだったのねミクリオ

人間とのかかわりも禁じられてるのね
おっとスレイたちと姫様の出会いはここから
スレイのイケメンっぷりなw惚れるわw
透明な橋とかかっこいいな

導師とは?
{/netabare}

スレイ
外界から隔絶された天族の杜イズチに暮らす、天族に育てられた人間の青年。高い霊応力を備え、天族を知覚できる。子どもの頃、導師伝承と古代遺跡について記録された「天遺見聞録(てんいけんぶんろく)」を偶然手にし、それ以来、古代遺跡に興味を持つようになる。大陸中の伝承や歴史に詳しく、古代語を読むこともできる。純粋で心優しく、困った人を見ると放っておけない

2話{netabare}
スレイはただの人間です٩( ‘’ω’’ )و
ここは天の都と呼ばれている神殿…
もはや世界は救えない?

スレイ以外は見えていないみたい…
超常存在を畏敬の念を込めて「天族」と呼ぶ
イヅチの村…姫様必死だなぁ…

天族の助けを求めここにきたのかな?
まぁ村人からしたら…災いを運ぶ存在になるよな…人間
普通の人間には天族と意思疎通を運ぶことは難しいのね

ハイランドの都レディーレイク
聖剣の伝承が残る街の出身の姫様
スレイとミクリオはいいコンビなんだろうな
スレイのまっすぐさは心配なんだろうね…
天族は…

姫様の髪おろした姿も奇麗だな(/・ω・)/むしろ好み☆彡
でも縛ってるのも好き…
目の前で仲間が死ぬ姿はトラウマものですな…
伝承は結局おとぎ話なのかなー

そりゃ足もすくむわなw
導師の紋章が入った手袋…
下界が闇に覆われようとしているのなら…導師は必ず現れる

スレイのような人が伝承にあるような導師なのかもしれない…か
おっと…天族の村に侵入者…姫様を追いかけてあいつもきたのか
憑魔強いやんw走り方がコメディで好きだわw
スレイやるやんwww

憑魔のメインディッシュ=アリーシャ
スレイはいい人だからなぁw黙って村を出るの巻…と思ったらミクリオもw
アリーシャを探す旅にw
スレイ×ミクリオで本が描けそうw
結局村のじーじツンデレよなw
ここから世界を冒険する物語が始まる(●´ω`●)」
{/netabare}

ミクリオ
赤ん坊の頃からスレイと共に成長してきた天族の青年。スレイのことを、兄弟同然にして無二の親友であり、さらにライバルであるとも思っているため、スレイと言い争いになることもしばしば。スレイの言動に冷静な指摘を加えたり苦言を呈したりする役回りを自認している。スレイの影響で古代遺跡に興味を持つようになった。水属性の天響術(てんきょうじゅつ)を操る。

3話{netabare}
スレイとミクリオ…湖の乙女の街に到着

スレイのお上りさん具合
商人はフリーパスで入れるのね
セキレイの羽(/・ω・)/
人間にはお金が必要…この商人の女の子は只者ではないんだろうけど
レディーレイク聖剣祭で大盛り上がり

レディーレイクは穢れで満ちているらしい
天族のミクリオにはきついらしい
さらに憑魔もこの街に…
スレイの命がけの感じすごいなw

憑魔はアリーシャを標的にすることはないが…
姫殿下の暗殺は実行されてる最中
姫は戦争をする気はないが…他の人たちはそれを由としない
先取防衛のため姫の暗殺が…

聖剣の近くに可愛い女の子
彼女も天族(/・ω・)/湖の乙女の剣を抜けるものはいず…そして穢れはさらに充満

アリーシャ姫が聖剣祭を開いた理由は…
おっと姫様がしゃべるたびに穢れが…負の感情から…
穢れの充満が実体化?憑魔出現

普通の人には見えてないみたいね
憑魔を浄化できるは導師だけ…
さらにこの状況に転じてアリーシャの暗殺が…

スレイこの場の打開を任される
湖の乙女の名前はライラ
人と天族が一緒に幸せに暮らせる世界が夢だから…
スレイ、聖剣を抜くことは…とてつもない戦い…果てしない宿命を背負い
導師になる…スレイ
導師になったスレイ髪伸びたな(笑)
そこではないよな(笑)
フォレスメイヤー

スレイ力を使いまくったからな…倒れる

次回予告のライラかわいいな
秘密です♡ (笑)
{/netabare}

ライラ
「引き抜いた者は導師になる」とされる伝説の聖剣に宿っている天族の女性。長い間導師の資質を持つ人間を待ち続けている。優しさと落ち着きを兼ね備えた大人の女性だが、少々天然なところもある。穢れの影響で人や生物が変化した魔物「憑魔(ひょうま)」に関して豊富な知識を持つ。火属性の天響術を操る。

4話{netabare}
スレイようやく目覚めたらしい…3日間高熱にうなされてたらしい
アリーシャが助けてくれたのか(/・ω・)/
アリーシャから感謝の気持ちを込めて服が送られる☆彡
やっとOPと同じ服装になったな

馬子にも衣裳…(笑)
ミクリオにライラ…アリーシャには見えない
スレイをつなげば天族の声を聴くことができる?
ライラの声が聞こえないのは…
スレイの集中力が足りないせいらしいw

まだまだ導師として力をつければもっといい方法が
アリーシャは才能があるから声を交わすことができたのかもしれない

スレイ街へ
導師の出現は民たちにも伝播し…
スレイ調子が悪いみたい…街に出てから
これが穢れの影響…別の穢れ?

遺跡が穢れているのは?
評議会は導師を狙ってるみたいだな…
遺跡探検はお手の物

ハイランド王家の紋章による封印の扉のその先に…
何が待ち構えているのかな?

ドラゴンは厄災の化身らしい
この遺跡の中に憑魔?蝙蝠?
憑魔化した蝙蝠の大群きりがない
ライラの炎威力すごいな(/・ω・)/

契約したことでスレイの負担はあがっているらしい
ライラ…スレイの中に入れるのねw
天族との契約は力を得れるが代償もある

この遺跡の穢れはこれで終わりではない…さらに奥に…遺跡の真実が…
権力に立ち向かい葬られていったものたちの遺骨が…
それが王家との…
ライラはこれを見せたかったのね
源泉…災禍のけんしゅ…それを鎮めることが導師の使命
スレイの答えを導き出してほしい

レディーレイクの穢れの浸食はもう…すぐそこまで…
遺跡の外も大時化…いや黒い霧なのか
廉潔なアリーシャ

評議会の目的はアリーシャを王政から外すこと…か
災厄はそこまで迫っている…
{/netabare}

アリーシャ・ディフダ
グリンウッド大陸の北東部を治めるハイランド王国の、王位継承権の末席に位置する王女。母親の身分が低く王族内での地位も低いなか、権力の腐敗を見逃せない生真面目な一面が大臣たちからは煙たがられている。この災厄の時代に、希望と指導力、諦めぬ強さを示すことが自らの役目だと考える信念の人。自身を姫ではなく国に尽くす騎士と捉え、堅苦しい言葉遣いをするが、本来は明るく女性らしい人柄。

5話{netabare}
1回ゼスティリアのお話はお休みで…ベルセリアのお話をやるみたいですねん

深い闇の底にいるのは…ベルベット
アルトリウス?退魔師?

ベルベットの戦闘力はたいしたものらしい
業魔から没収したものを…
世界に何が起こっているのか?退魔師とかどうでもいいらしい
ベルベットの狙いはアルトリウスのみ

アルトリウスが行った儀式により世界は変わったらしい
精霊シアリーズがベルベットに手を貸す理由とは…?
そしてベルベットのもとに新たにもう一人…なかなかできるやつみたい
こいつは「刀」を探してたのな

業魔を収容した監獄島からの脱出
それが最初の目的だが外には退魔師が待ち構えているのは必然みたいだな
即席パーティーとか悪くない

脱獄をするには囚人を解き放ち混乱を作り…船を出す隙を作らない
敵の削減と分散も
脱獄したのはいいけど出た先は巨大な塔の天辺…

あの高さから落ちて軽傷で済むなんてw
いや骨は折れてるかwww
制約…は呪いと紙一重

一等退魔師の船が監獄島に…

EDがテイルズオブゼスティリアのたぶんゲーム映像のやつだ~(/・ω・)/☆彡
{/netabare}

ベルベット・クラウ
かつては、飾り気のない気さくな性格だった女性。3年前にある事件に巻き込まれ、それ以来笑顔を見せることはほとんどなくなり、つねに怒りと憎しみを抱くようになった。事件の日に謎の力に飲み込まれた結果、左手が人外のものへと変貌。普段は包帯でそれを隠している。

6話{netabare}
脱獄者は結構多いみたいね٩( ‘’ω’’ )و
シアリーズとオスカー
ベルベットVSオスカー
一級退魔師…どれほどのものなのか

オスカーさんの構えかっこいいなw
喰魔ね…業魔を食い続けるもの
オスカーさんはアルトリウス信者だな
弟は生贄にされたのね…ベルベッドそりゃ世界にもアルトリウスも恨むわな
おっと…どこかで見たことあるドラゴンが!!

ドラゴンは喰魔に呼び寄せられたのか?それとも…
あーあドラゴンに船をつぶされてしまって
シアリーズは自分の道を生きるつもりらしい

おっとwなんかコメディ調の魔女が(笑)
極楽から地獄~(笑)キャラ濃いなぁ(笑)
自称大魔法使い相手されてないw
ドラゴンは抑えてられるような代物ではないみたいね
オスカーさんも満身創痍

ベルベッドでもドラゴンには…
シアリーズさん命を賭けて…
っていうかドラゴンの破壊力なw

魔女っ子にロクロウさん来てくれたw
マギルゥさんねwww
シアリーズさんベルベッドを守るために…

前に進むために自分を喰らえか…
聖隷シアリーズを喰らいベルベッドパワーアップ?
さすがのドラゴンは骨が折れる相手みたいだな

ベルベットクラウ業魔も聖隷も退魔師も食らい尽くす災厄の喰魔
ドラゴンも倒してきっちり船を奪ってるのな~(笑)

ちょっとゲームしたくなってきたなw
っていうか絵奇麗すぎだろwww
王都を目指す一行…
こちらの物語も始まる
{/netabare}

ロクロウ・ランゲツ
明朗快活で自由奔放な業魔の青年。監獄島に収監されていたが、ベルベットと脱獄の際に知り合い、愛刀の「號嵐(ごうらん)」を見つけてくれた借りを返すためとして行動を共にすることになる

マギルゥ
自ら「大魔法使い」と名乗る正体不明の女性。「マジギギカ・ミルディン・ド・ディン・ノルルン・ドゥ」と名乗っている。

7話{netabare}
話は戻ってテイルズオブゼスティリアの方へ…

黒い霧は王宮へ…アリーシャさん狙われてるなぁw
スレイは止めるつもり…手はないけど止めるしかないよな~
竜巻の中にドラゴン?破滅と死をもたらす象徴ドラゴン…

バルドロ卿…食事に誘うとかw絶対何かあるだろ~w
街の被害は…レディーレイクが穢れに満たされるのも時間の問題みたい
アリーシャを遠ざけようと…

スレイはドラゴンを追うつもり
アリーシャはマ―リンドへ行くことに…
ミクリオとライラ…スレイは導師となって運命を背負っている
遠い存在になってしまったのか?

スレイとミクリオ今の関係ではいられないみたいだと思っているみたい
ミクリオがスレイにしてあげられること…それは…
ミクリオは一人でどこに…

スレイの実直さと信頼感な
ミクリオはガラハドの遺跡の聖遺物を取りに行ったみたいだね
スレイのために…

伝説の手がかり
霊峰レイフォルクそこを目指すことにスレイ
トレンジロングス…うねうね~

ミクリオを襲う憑魔は…
アリーシャは天族の声聞けると嬉しそうだな
トレンジロングスの憑魔うねうね~
スレイに少しずつ箔がついてきたな

マ―リンドは疫病に…この国で2番目に大きな町だった
スレイの出自も気になるな~
天族にも得意不得意がある

人間がなぜ天族を知覚できなくなってしまったのか…
災厄は人の心が生んでしまったのかな?
それぞれが目指すところへ

月が奇麗だこと
おっとミクリオが目指した遺跡は近くにあったみたいね
{/netabare}

8話{netabare}
水の遺跡とはまたミクリオにふさわしい
霊峰も穢れに満ちているみたいね…傘と女の子が直線状にw
ライラの知り合いの…女の子?ってことはエドナって子も?
憑魔どこにでもいるのな~

オーガの憑魔かな?
スレイの攻撃は通じてないわけではないが…
おっと一撃で葬るその力…なんかもう一体ザビーダってやつ出てきた
憑魔を殺すことが流儀のザビーダと殺さずに救えた道があるというスレイ

エドナとザビーダ、何かあるのね
領域?穢れの?
ザビーダの狙いは黒き龍かな?
この龍はエドナの兄アイゼンって天族らしい

実体化したドラゴンは浄化できない…ずっとこのまま…
だから死ぬことで楽になるやつもいるってことか
どうすることもできないっぽいな~
下界にも天族いっぱいいるのな

ミクリオが発見したのは弓?
浄化の力がないと憑魔には対抗できない?
おっと弓には浄化の力があるっぽい

レディーレイクに現れたのはまた別のドラゴンらしい
スレイの実直さはバカともいえる
人間とかかわりすぎたから…ドラゴンに?
ドラゴンを浄化する方法はどこにもない…
本当は殺してほしくはないけど…どうしようもない

ザビーダとアイゼンはやりあってるみたいだな
ドラゴンの浄化に挑むつもりなのねスレイ
なんとかしないと…やらなくちゃいけない

最後の最後で理性を少し取り戻したのかな?
とどめを刺さなかったけど…
ザビーダもエドナもドラゴンを元に戻せる術を探していたが…
だが世界にはまだ希望はあるかもしれないね

陪審契約?エドナと
兄を救う方法を探す旅に
感情の抑揚がない子だけどこういう子好きよ♪エドナ
{/netabare}

エドナ
地属性の天響術を操る天族の少女。基本的に他人を信用せず、無機質で大人びた態度を取ることが多く、容易に本心を掴ませない。かなりの毒舌家でもあり、人をイジって翻弄し、戸惑う姿を見ることを好む。性格は極めて冷静だが、唯一の家族である兄のことになると、感情的になる一面も。お気に入りの傘には、謎の「ノルミン」というマスコットをぶら下げている。

9話{netabare}
マ―リンドへ向かう橋は嵐で落ちてしまい…
川の迂回路を目指すアリーシャ
ミクリオは無事聖遺物を手にできたみたいですねん(/・ω・)/

次はローレンスを目指すみたい
聖遺見聞録はスレイにとってのバイブル
浄化とはどういうことなのか…?

穢れを自らが理解する…それに対しての導師としての答え…
まだまだ導師としては半人前
スレイの資質はたしかなものだが純然たる理由のため…壊れやすいw

ノルミン天族っていうんだ!あのぷにぷに
見かけによらず強い力を持ってるのな
しかも関西弁wwww
ノルミン天族のアタックか
この子性別的にはメスっぽいけどw

アリーシャを助けるためにスレイは…
あの嵐は黒い霧によるもの?
おっと水も穢れ始めている?
またもや憑魔の黒き龍?今度は蛇?ウロボロス

エドナの力を借りてウロボロスに挑むスレイ
おっと怪獣大戦になってきたな
ドラゴンパピーあれで…
でもパピーなら浄化は可能みたいだけど…

マルトラン
マーランドはドラゴンパピーが飛び去った…
エドナの力を遣えばなんとか…

アタックもライラとは知り合い?わけあり?らしい
こいつオスか(笑)
スレイとミクリオが再開するのは近いかもしれないね

マ―リンドの穢れはドラゴンの領域レベル…
疫病の原因はパピー…

アリーシャは無事みたいですね
アリーシャ声が聞こえるみたい
スレイの霊能力が高まったみたい

運んできた薬も効かなく…アリーシャも負の感情に…
聖なる大樹を巣くうつもりのパピー…
パピー…ドラゴンになる寸前らしい

アタックとミクリオの前にも憑魔の群れが…
ミクリオがいれば…弓の神器で撃ち落とせるのに…
ミクリオが来るまで…時間を…

こんな急いでの陪審契約w以下省略w
スレイにミクリオの力も加わりいざ対峙
ドラゴンパピーを穿つ水の矢見事なり

さすがスレイとミクリオって感じだな(●^o^●)
{/netabare}

アタック
いつも兜をかぶっているノルマン天族。ライラとはなにか関係があるみたいだが…?

10話{netabare}
無事再会を果たしたスレイとミクリオ
ライラとエドナはお留守番、まずは水の浄化を始めるみたいね
3日も潜り続けてるのねw

スレイがずいぶん導師っぽくなってきた?
ただ民衆からは導師として尊敬の念を向けられてるみたいね
エドナに坊や扱いされてるミクリオw

おっさんがドラゴンパピーになってたのか…
マ―リンドがなぜこういうことになったかは覚えてないみたい
最初は些細なことからだったみたいだけど…

ノルミン天族は調整役らしい
昔は仲間がいっぱいいたみたいだが…散り散りになってしまったみたい
穢れをきちんと浄化するには1年以上かかるらしい

アリーシャはいい人だなぁ
スレイを心配するライラ…壁が立ちはだかったときがね…
おっと見たことあるセキレイの羽の商人たち

ロゼさんの商人魂は本物っぽいけど…
バルトロ卿が兵を動かしたみたいね…開戦
物資を相手から奪うことで補給するとか…
アリーシャとスレイで止めに行くつもりだったがライラは反対

人が真の意味で穢れる…その意味を知らないスレイを戦場へ連れてくのはね…
おっと街にまだ穢れの気配?人から生まれた憑魔の穢れ…

憑魔の人間としての姿も見えるが…
攻撃するたびに憑魔の穢れがスレイの中に…
憑魔になった人を浄化するのは穢れを代わりに受け入れるということ…
導師は孤独そういうことか…

アリーシャは戦争を止めに行くつもり
マルトラン先生もご同行

ミクリオ坊や略して「ミボ」

アリーシャにまた暗殺者が差し向けられる
憎しみの募りが穢れの元か

戦場に行って戦争を止める…揺るがない意志だね
戦争を止める…先取防衛…
アリーシャの信念揺るがないな~

暗殺者をも仲間に迎え入れるとはなw
アリーシャ姫だなぁ
ロゼさんもやっと登場

戦場へ
{/netabare}

ロゼ
商人ギルド「セキレイの羽」の主要メンバーで、大陸中を旅している。商売をしながら旅を続けてきたためか、二刀短剣を使った戦いは護身の域を遥かに超えている。屈託がなく前向きでマイペースな性格。人付き合いがいいが、自分の意見をしっかり持っており、信念に従って行動する

11話{netabare}
いざ戦場へ
アタックさんは街に残るみたいね
エドナに意地悪されたいだけの後生だった

グレイブガント盆地へ
兵力差は15倍か…ことによっては自国の兵と剣を交えるかもしれない
スレイとはちがう実直さだよなアリーシャ
軽口をたたけるうちはまだいいよな~٩( ‘’ω’’ )و

導師は噂とは違うみたいw
ドラゴンを平らげたことになってるスレイさんw
導師のご利益って( ´艸`)

予想より少し多い兵力
ロゼは行く末を見守るつもりみたい
でも大馬鹿は嫌いじゃないって感じよな

戦争がはじまる前なら手伝えるが
開戦していたら手助けはできない…これが導師としての…
ミクリオは感傷的にw
あれやこれやと事態が動きすぎて…

戦争を無事止めることができたら遺跡探検へ
導師として越えなければならない壁だと…戦争を避けたかったものだが…
敵も味方も狸ばっかりだな

戦争は始まってしまっているみたいだな…戦の仲裁は難しい
アリーシャは将軍の元へ
スレイは自分のやれることを…これが初めて目の当たりにする戦場

負の感情のオンパレードだな
いたるところで憑魔が生まれている…
アリーシャはランドン師団長の元へ…

停戦協定を命令するが…聞けない
アリーシャとロゼだけだけどまぁ大丈夫だろう

スレイが感じる憑魔の穢れは甚大じゃないんだろうな
姫とロゼ二人相手にあの様ですかい
だけどじり貧だよな~

戦争を必死で止めるスレイ
アリーシャも報われないよな~
アローレインかっこいい~٩( ‘’ω’’ )و
浄化しきったと思ったが…戦場は甚大なもの
さらに巨大な領域を持つ穢れが…しかも人間の憑魔
人間の姿見えないとはな…あれが災禍の顕主

アリーシャとロゼの近くにいる天族
畳みかけてきたなぁw
{/netabare}

マルトラン
「蒼き戦乙女(ヴァルキリー)」の異名を持つハイランド王国の女性騎士。アリーシャの師匠であり目標とする人物でもある。

12話{netabare}
姫様とロゼを守るのは…
アリーシャ姫…刺されて…
ロゼも本気だな~…停戦命令~

巨大な穢れ…これほどまでの邪悪な領域を持つのは災禍の顕主
スレイをここで死なせるわけにはいかないな…
これはまだスレイが相手するには早いだろうに

災禍の顕主のゴリラ具合wライオンかw
導師スレイ、災禍の顕主に挑むが…
3人の力をもってしても災禍の顕主には傷一つつかないとはな

災禍の顕主は穢れを引き寄せる…集まった穢れをスレイに…
人間の穢れ…強さか…人と天族が共に暮らす世界はとても遠いな~
アリーシャの血が止まらない…これは…

こんな時でも戦いを止めることだけに…こだわって…聖人だな
ロゼは導師を探しに、姫を助けるために
どこにでもいるのなルナールの憑魔さん

人間の業に果てはない…とりあえずは見逃してくれるみたいだけど
このままじゃスレイたちじり貧だろうな~
ロゼと帽子の天族しゃべれるのな

なんとか生き残ったスレイさすがだな٩( ‘’ω’’ )و
アリーシャの血に染まった天遺見聞録
なんとか生き残ってほしいよなアリーシャさん

あー目覚めてよかった
まだ死なないでね…( ;∀;)
アリーシャはレディーレイクに戻り政治の世界で戦うらしい

アリーシャとスレイ従士の契り
笑顔のアリーシャ(・∀・)イイネ!!
これで天族も見えることに٩( ‘’ω’’ )و
たまにはハッピーな感じも(・∀・)イイネ!!

ランドン穢れ落ちしてるしwww
スレイも怒りに身を任せるなんてことあるのね…
そのまま攻撃したら…
最後の最後で導師として٩( ‘’ω’’ )و

ロゼからの頼み事?
ローランスでの取引に導師を使うというwさすがw
ミクリオとエドナのジト目な~(笑)
あいつとの絡みは2期ってことで~
{/netabare}

今までテイルズシリーズを食わず嫌いしていましたが
ちょっとゲームをやってみたくなりました٩( ''ω'' )و
2期にも期待大☆彡

投稿 : 2024/09/07
♥ : 7
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

最大の魅力はキャラクターの関係性。第2期が今から楽しみ

2016年夏期放送のテレビアニメ。第1期13話。
ゲームが原作です。

ゲームゼスティリアは未プレイですが、内容の賛否については一通り調べました。
キャラクターに関する批判点はほぼ改善されていますが、短縮や改変が多いので再現されていないエピソードも少なからずあり、1クールで進んだのは本筋の序盤あたりまで。

世界観や設定の説明を最低限にして、ストーリー展開と味方キャラクターの関係性を重視した作りで一貫しています。
説明不足で進む所もあるので、直感的に「こういうものなんだろうな」くらいで見られないとストレスがたまるかも知れません。
ベルセリア編とても好きなのですが、ゼスティリア本編の詰め込み具合を見るに、特番とかで別にやってくれたほうが嬉しかったかも。今後ちゃんとクロスすると良いなあ。

ストーリーは王道でしっかり考えて構成されています。
再度一周したら必要な描写を入れ込むためにかなり余裕のない展開をしているのがわかりましたが、毎週見ている時にはそう感じなかったのが凄い。
王道過ぎて淡白に感じる人もいるようですが私は逆で、一つのシーンから想像をめぐらせ繋がりを見つけていくのがとても楽しかったです。

キャラクターデザインは、複数人のキャラクター原案を上手く調整して違和感のない絵柄に落とし込んでいて、とても魅力的だと感じました。
映像面ではたまに手描きが浮いてしまうことはあるものの、繊細なCGの背景と手描きのキャラクターを上手く馴染ませていてとても綺麗。特にドラゴンの造形・動きの懲りようと重量感は一見の価値ありです。

【キャラクターについて】
{netabare}
パーティーメンバーの入れ替わりなどあるので大雑把ですが、スレイが主人公・アリーシャが準主人公で二人の関係性はストーリー的にも柱のひとつで、それぞれに同性で年齢の近いサポート役(戦友)にミクリオとロゼがおり、見守る年長者ライラとエドナの存在があります。
皆がフォローしあっていてとても印象が良い。そして第2期でスレイとロゼの関係がどう描かれるかも注目所でしょうね。

スレイは意思の強い心優しい青年で、怒りをあらわにするのがいつも誰かの為であったり、戦闘の際ためらいなく仲間を庇ったりと誰からも愛される主人公像です。そして純粋で世の中を知らない故に脆く、穢れかねない危うさを持つという点が魅力を増します。憑魔化したランドンを浄化した後剣を収めるスレイの少し苦い表情は印象的で、これで乗り越えられたのかも気になるところ。

ミクリオとスレイはお互いへのライバル心や少年らしい意地が見ていて楽しい。
ミクリオはライラやエドナとのやりとりも少し背伸びしてる印象で微笑ましいです。初めてアリーシャがライラやミクリオの声を聴いた時の「君の感謝はちゃんと伝わっているよ」の言葉に和んだので、もう少しアリーシャとの交流があってもいいなあ。

アリーシャは自分の無力に苦しむことはありますが、騎士として様々なものを見てきているため実は芯の強い王女でした。穢れとは何か、感覚的に理解しているのかも知れないとさえ感じます。
スレイや天族との交流が前半では主に描かれるため、ロゼとの対峙までアリーシャの強さに気がつきにくいのですが、狙った構成だとしたらとても面白い。

ライラはスレイの決断を尊重する懐の深さや、他者への思いやりを印象付ける描き方になっています。導師の導き手としてスレイに隠していることもまだあるのでしょうが、スレイの心身を案じているからこそ話せないでいると感じられる所もあり、胸の裡を吐露する相手としてエドナがいるのもとても良いですね。
個人的にはライラはある意味最も重要な立ち位置だと思うので、とても良い方向に変わっていて嬉しいです。

エドナの斜に構えた態度もアイゼンの一件を丁寧に描写したことで納得できましたし、人間嫌いに見える部分も、実際には人間を理解した上で諦め半分悲しさ半分という見せ方になっていて好印象。
友人を救うために手にかけようとするザビーダの複雑な心境もとても良かったです。

ロゼはバルトロ卿の依頼を受けた理由が説明不足に感じられるのが残念ですが、自身を必要悪と割り切っているのかな。普段の姿は現実主義的ながらさっぱりした女の子として嫌味なく描写されています。深刻さを増すであろう第2期を少しでも明るい雰囲気にしてくれることを期待しています。
デゼルの掘り下げは第2期までお預け。

災禍の顕主とサイモンについてはこれからに期待ですが、あんなに普通の悪役になるとは思わなかったなあw
{/netabare}

【演出について】
{netabare}
全体的に演出も好きでした。
王家の紋章の短剣や街中にはためく導師の紋章の旗など、紋章の使い方が印象的です。
アリーシャがスレイに弱音を吐くシーンが二度ほどありますが、その際騎士の紋章をあしらった上衣を脱いでいたり、スレイの導師の衣もそうですが、誇りであると同時に背負うものとして、背中を大写しにする演出を意図的に使っています。

あと最終話はとても良い。
初見ではドキドキしていて気づかなかったのですが、アリーシャは腰の後ろに天異見聞録を差して常に持ち歩いていて、それが盾になって命を取り留めているんですね。スレイとアリーシャにとってバイブルとも言える天異見聞録っていうのがイイ!
ベタベタではありますが、第0話で伏線が張ってあったことには気がつきませんでしたw

アリーシャが死んでしまったのか助かったのかわかるまでのシーンは、初見では大丈夫だと思いながらもひやひやしながら見ていましたが、二度目の視聴時には、アリーシャが目覚めるのを待つ間スレイも同じようにアリーシャと出会ってからのことを思い返しているように感じられました。何度か丁寧に視聴すると違う感動があります。
{/netabare}

【第2期に期待すること】
{netabare}
スレイは導師として穢れを払い、アリーシャは王族として穢れの原因を少しでも取り除くという方向性が描かれたので、この先はお互いに役割を補完しあい状況が好転する過程が見たいですね。

穢れは人が生きる上でどうしても産み出してしまうもの。憎しみや怨みのみならず恐怖や悲しみも穢れの元ですから、人間が居る限りこの世界は「詰み」の状態なのですよね。
世界全て浄化することは出来ない以上、第2期でどう結末を迎えるか、ゲームと同じなのか、変わるのかも含めて注目しています。
{/netabare}2016.9.29

投稿 : 2024/09/07
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

キャッチフレーズは「伝承はいつしか「希望」になる」

この作品の原作ゲームは未プレイですが、PVを見た時から視聴を決めていた作品です。
アニメーション制作がufotableさんなので、クオリティの高さは折り紙付である認識は持っていました。でもPVの中には思わず息を呑んでしまう程の美しい世界が広がっていたのです。
当時未視聴だったテイルズシリーズ前作の視聴に熱が入ったのも、全てはこのPVを見たから…といっても過言ではありません。
こうして満を持して視聴に臨みました。

この物語の主人公は、幼いころ天族たちの住むイズチに引き取られ天族と一緒に生活を続けてきた人間のスレイ…
彼の趣味は、幼馴染であるミクリオと一緒に遺跡探検をすることでしたが、ある日いつもと同じように探検していたところ、人間の女の娘が倒れているのを見つけるのです。
彼女の名前はアリーシャ・ディフダ…アリーシャは地上で起こっている厄災や異変を治めるべく、「導師」の存在を信じ探していました。
「導師」とは、天族と言葉を交わし、この世の厄災を祓う力を持った存在…
でもそんな稀有な存在は一向に現れず、いつしか人々からはおとぎ話の中の存在の様に扱われるようになっていました。

そんな彼女との出会いをきっかけにスレイとミクリオは人間の住む下界に降りる決心をするのですが、地上についた彼らの前に広がっていたのは、お祭りによる人々の活気と穢れによる瘴気でした。

ちょうどそのころ、湖上の街レディレイクでは「導師しか手に出来ない聖剣」を引き抜く聖剣祭が開催されていました。我こそは…と思う人が次々と剣に手をかけますが、誰も引き抜く事はできません。
それもそのはず…その聖剣は「湖の乙女」として祀られていた天族の女性そのもので、人間は遥か昔に天族と対話や視認する術を失っていたのですから…
だから彼女が見えないばかりか、彼女の問いかけにも人間は答えられないのです。

聖剣祭の最中…突如憑魔が出現し周囲を瘴気で満たしていきます…
そんな中、スレイが聖剣の前に立つと、「湖の乙女」である天族のライラが剣を引き抜く意味をスレイに伝えます。
「剣を抜く」という事は導師になる事を選択する事…導師としての力を得る事ができるが、そしてその道は決して平たんではない事を…
それでも「人と天族が幸せに暮らせる世界を作る」事が目標だったスレイは聖剣を引き抜き…導師として生きていく事を選択して物語が大きく動いていきます。

これからスレイの導師としての活躍を漫喫できる…と思っていた矢先、全くこれまでとは異なる展開…まるで全く異なる物語が始まったかのような状況に少しビックリしてしまいました。
調べてみると、この作品と関連のある「テイルズ オブ ベルセリア」の登場人物の物語だったようです。このゼステリアと今後どの様に物語が絡んでくるのかが楽しみです。
ベルセリアの主人公であるベルベット・クラウは同じ主人公でもスレイとは対極に位置するキャラみたいでしたから…

この作品の作画の素晴らしさについては先に触れましたが、登場するキャラも魅力的です。
イチオシは、かやのん演じるアリーシャ・ディフダ…ハイランド王国の王女で、騎士としての凛とした雰囲気と言動が堪らなく恰好良いのです。
有言実行するアリーシャ…それは彼女が命の危機に晒されても決して揺らぐ事は無く初志を貫徹させる…
そんな彼女の言動に強く惹かれながら視聴していました。
これからスレイの導師としての長く険しい旅が始まっていく訳ですが、王女である彼女は導師と共に歩む道より国や民を優先させると思うんです。
ホントはスレイと共に歩む彼女の勇姿を見続けたい…が本音なのですが、少し難しいかもと思っています。

小松未可子さん演じる商人ギルドのロゼも外せません。
理不尽を決して許さない彼女の片鱗…1期ではほんの少ししか見ることができませんでした。
アリーシャから真意を引き出し、彼女の覚悟を見届けるために同行して…十分過ぎるくらい気持ちを受け取って…それでも止まらないアリーシャを本気で心配する彼女…
これからの活躍が楽しみな一人です。

ミクリオ、ライラ、エドナら天族の動向も見逃せません。
特にライラ…ゲーム版のCVは松来さんだったんですね(wikiより)…
天に召されてもうすぐ一年…振り返ってみると時間の流れの速さを感じずにはいられません。

オープニングテーマは、FLOWさんの「風ノ唄」
エンディングテーマは、fhánaさんの「calling」
どちらも大好きな曲でカラオケでもチャレンジ済です。
少しきーは高いですが、歌っていて気持ちの良い歌だと思います。

1クール13話の物語でした。嬉しいのは既に続編の放送が2017年に決まっている事です。
1期はきっと導入部という位置付けなのだと思います。
これからの導師の旅…そして抱き続けている目標の顛末に注目したいと思っています。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 27

64.5 20 ufotableアニメランキング20位
がくえんゆーとぴあ まなびストレート!(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (274)
1466人が棚に入れました
価値観の多様化がさらに進んだ2035年、高校へ行くことがあたりまえでなくなった時代・・・。 少子化が進み、生徒数の減少から廃校の危機に立たされる学校も多くなっていた。そんな活気を無くした学校のひとつ「私立聖桜学園」に、一人の転校生が現れる。転校生の名は天宮学美(通称:まなび)。元気少女のまなびは、転校初日で聖桜学園の生徒会長に立候補する。稲森光香、上原むつき、衛藤芽生、小鳥桃葉たちクラスメイトを巻き込んでどんな「まなび旋風」を巻き起こすのか!?\n

声優・キャラクター
堀江由衣、野中藍、井上麻里奈、平野綾、藤田咲、さとうあい、うすいたかやす、立花慎之介、黒河奈美

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ナチュラルハイ<改稿>

[がくえんゆーとぴあ まなびストレート!]

学校を立て直すサクセスストーリーです。初見は日常系なのかな~なんて勘違いしていましたが1、2話あたりは突然転校してくる【まなび】の特徴が分かるように笑い要素が多かった印象。まなびは決め台詞「まっすぐGO!」を絵に書いたようなキャラクターで思った事を曲げない子。学校の活気の無さに突如ハイテンションな子が転校してきてハルヒみたいな(あくまでもみたいな)感じで色々と変えてゆく。生徒会長になっちゃうんだけど最初はその勢いに引き気味だった生徒を巻き込んでいきます。本作のテーマでもある学校に通う事が当たり前じゃないのに何となく通ってる生徒。そこに価値を見出していくのですが、まあそんな重くなく青春って事なんですけど、この青春具合がストレートに熱く演出されているなと。

生徒会は二人から徐々に増えるのですが、ここら辺のシナリオ運びが感心しちゃう。まなびが徐々に活躍し始めてもしっかり挫折を味あわせてるし、挫折と成功を上手く混じ合わせてる。伏線と感じたのは主に生徒会メンバー。序盤から籍は置いてない人が生徒会にちょくちょく手伝いに来るんですが、そこに理由があってなる程と言うかこの作風でこうしてくるかと思ったものです。そもそもまなびは転校生なのにいきなり生徒会長になって変わった子だな~なんて見ていたのですが、彼女は転校を繰り返していて友達は出来るのだけれどすぐ離れてしまっていて、そんなエピがあったり、芽生って子も小学生時代、学級委員だった頃がありその頃がトラウマになっていて生徒会所属に協力的では無かったのですが、ここも理由があって回収される。とか見ていたら5人全員がそんなこんなで回収されてゆくのでこれは~良いと思ったり、OP映像までも伏線だったのかと感心しましたね。

文化祭や署名、学校統合の際、デモのような学生運動みたいにヘルメット被って抗議するのですが、クリスマスにはイブがあったり、文化祭には前夜祭があるもんで、当日よりも盛り上がったりする時もありますよね。学生運動なんて全然世代じゃないから分からないし、デモ活動も同じなんですけど、憧れがあるんです。権力に対しての反骨みたいな。文化祭準備もそうですが夜通しが続くとナチュラルハイみたいなテンションになってくる。そこら辺が伝わってくるし、文化祭等々だけでは無く全体通してひたすら夜通しして作業する姿は、憧れだったり、懐かしさだったり、なんだか自分までナチュラルハイなテンションで祭りやオール明けの朝みたいなものに身を投じてみたい気分にさせられた作品でした。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 25

とってなむ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

まっすぐGO~♪

これは隠れた名作!なのかも
物語のテンポは早いですが、
急ぎすぎというわけでもなく、毎話楽しく観れました


~あらすじ的なもの~
時は2035年(けっこうハイテクになってます)
高校に進学せずに働くことがイケてるとされる時代に
生徒数が激減し廃校の危機に立つ高校の1つ、
聖桜学園が本作の主な舞台です

その聖桜学園に転校してきた天宮学美(通称まなび)が
転校初日に生徒会長になって活気の失った学園を盛り上げようと、
仲間たちと共に奮闘する青春ストーリーです


彼女たちの頑張る姿は観てて微笑ましいものでした
この作品のテーマは『友情』『仲間』『努力』ですかね


本作の魅力は↑のテーマに沿った物語の展開ですが、
それと同時にもう1つの魅力があります

それはなんといってもキャラの可愛さ
キャラデザは可愛らしく、それでいてみんなとてもいい子たちです
お互いの仲の良さ、信頼度がこちらまで伝わってくるようで観てて気持ちよかったですね

ちなみにお気に入りなのは、放送部&報道部のももちゃん
みなみけの内田みたいな娘でした(見た目やポジ的に)
彼女の行動はいちいち面白くて可愛かった…
一番の『萌え』を提供してくれましたね


OP「A Happy Life」 歌ー林原めぐみ
ED「Lucky & Happy」 歌ー林原めぐみ

OP曲はこの作品を観る前から大好きでしたが、
映像付きで観てもっと好きになりました
すごく良い曲なので、曲単体でもおすすめです

それと、挿入歌で「桜舞うこの約束の地で」という曲があるのですが、
これもまた良い曲でお気に入りです
歌っているのは安心安定の茅原実里さん
この曲が流れた場面はかなり良かったなぁ…
この曲を聴くと嫌でも気分が晴れます
良かったらOPとセットで聴いてみてください



観終わってまず思うのは、
もっと評価されてもいいのでは。ということです

登場人物たちの何事にも諦めずにトライする様は心に響くものがありました
ちょっと感動してみたり、涙してみたりしちゃいましたね
萌え要素も強いので、普通の日常系アニメとして観ても楽しめると思います

個人的に大当たりの作品でした


ちなみに。
たまに見かけるDVD/BDの売上値の基準である
『まなびライン』というワードはこの作品から生まれたものです
(理由は長くなるので、気になった方は調べてみてくだし)
全巻平均で約2300枚がこのラインだそうです

意味のある基準なのかは微妙なところですが、
売れそうで売れなかったアニメ作品と考えるのが一番いいのかもしれません
ライン名の由来なのでもちろんですが、残念ながら本作も。。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 35

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

あんまり萌えない。だが、そこがイイ

ロリっぽいキャラデザインと1話のドタバタなノリで、萌え系のコメディだと勘違いされる方も多いと思いますが、ジャンルとしては「学園青春アニメ」と言った方がしっくりきます。
テーマとしてはありきたりですが、
「学校は、だた勉強するだけの所ではない」
というメッセージを、それはもう、作品タイトルどうり、ストレートに投げかけてきます。
熱い友情、若者の苦悩、仲間との絆、権力への反骨、学校の在り方への疑問、と、内容はアツくるしいぐらいの青春成分が満載です。
頭身の低いムチッとした可愛いキャラですが、あえて、その柔らかなイメージと作風を一致させていないギャップが特徴的。
ほのぼのとしている部分は少なく、あまり萌えるところが見当たらない。


舞台は、高校へ通うのが常識ではなくなった近未来。
多様化する価値観のなか、ただなんとなく高校に行っている生徒が多い淀んだ雰囲気の学園が、学校大好き!の熱血っ子の転校生に引っ張られて、学校生活の楽しみを充実させていくお話です。
崩壊しかけていた生徒会を立て直し、学園をまとめ上げていくサクセスストーリー。
何度も壁にぶつかりながら苦悩し、それでもメゲずに目標に突き進む、生徒会役員達の深い友情を中心に描いた爽快な学園物語です。

演出にも独特の味があります。
定点カメラからの映像のような構図や記録映像のような画面の動き、スナップ写真のようなショットを多用しています。
製作者がどういう意図なのかは存じませんが、勝手に解釈すると、本作は「生徒会活動記録」なのだろうな、と思えます。第3者が彼女達5人を取材してフィルム編集したような映像の作り方は印象に残るものでした。
この演出は好みの別れるところでしょう。無機質な感じが嫌だという方も多いと思います。
個人的には気に入りましたが・・・・


萌えるのではなく、燃えるキャラクター達。
キャラの見た目と裏腹に、すごくカッコいいアツさのある作品。
「まっすぐゴー!」のポーズを決めて、無言で意思を通わせる彼女達は、凛々しく素敵です。

ほんと、いい意味で意外な作風でした。
埋もれていますが、ベタでアツい青春を味わいたい方にはオススメの一作です。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 23

63.3 21 ufotableアニメランキング21位
フタコイ オルタナティブ(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (152)
1036人が棚に入れました
都心から電車で15分の小都市=二子魂川市。そこで小さな探偵事務所を営む『双葉恋太郎』と、その押しかけ助手である『白鐘姉妹』。とある秋の季節、彼らが送った平凡で、そして平凡だからこそほんのりとしあわせだった毎日。
双葉恋太郎は桜月組に拉致されていた。組長の大切なインコをあずかっていた恋太郎はインコをネコに食べられてしまうという失態を犯してしまったからだ。その頃、双樹は夕飯の買出しをし、沙羅は助けを求めて事務所にやって来た金を連れてマフィアから逃げ回っていた。責任を取るべく賭けボクシングの試合に無理やり出場させられてしまう恋太郎だが、予想を裏切り相手をノックアウトしてしまう。怒った桜月親分は、恋太郎拳銃で撃とうとするが・・・

声優・キャラクター
水橋かおり、門脇舞以、関智一、堀江由衣、小清水亜美、伊月ゆい、綱掛裕美、長谷川静香、長谷優里奈、吉住梢、桑谷夏子、たかはし智秋、三五美奈子
ネタバレ

lEFUg59761 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『読書家』にお勧めしたい、愛のある哲学作品

原作は双子のヒロインばかりがでてくるギャルゲー「双恋」。
主人公が学校生活を送る中、双子のヒロイン達と出会い愛を深めると言う、いかにもな作品です。
そんな単なるギャルゲーが何を思ったのか、ヒロインの「容姿と声」だけをそのままに設定を一新したのが、この「フタコイ オルタナティブ」です。
主人公はオリジナル、ヒロイン達の性格は崩壊、というか設定そのものが別物、
物語の舞台も、ただの駄洒落で決めたであろう「二子玉川("ふたこ"たまがわ)」。
発表された当時はバッシングの嵐だったのを良く覚えています。
放送終了後もぶっとんだ脚本に批判が集中し、あまり良作扱いをされておりません。
ですが、個人的には名だたる作品にも引けを取らない、不朽の名作であると思います。
以下、その理由を項目ごとに解説していきます。

■物語……5.0
この作品が「駄作」と言われている最大の理由、それが物語の脚本がぶっとんでいる、という点です。
ネタバレをしないよう何かに例えるならば、
「ドラえもんの世界に突然プレデターが出現し、それを静香ちゃんの応援によって超常的な力に覚醒したのび太が、ワンパンマンのごとく一撃で打ち倒す」
というストーリーです。意味が分からないですね。
ですが、実はこの荒唐無稽なストーリーからは深いテーマが読みとれ、それに気付けるかどうかが肝になってきます。
先ほどの例えで言うならば、プレデターは「のび太のコンプレックス」を、静香ちゃんの応援は「価値観を共にしてくれる存在」を、超常的な力は「社会からの解放」を意味しています。
{netabare}
見終わった方向けに説明すると、こんな感じです。
突然現れたイカ=一般社会の常識や価値観の象徴
2人を選んだ結末=エロス(性愛)を超える真の愛
巨大なイカ=社会から外れる者を修正する最後の砦である世間の目
アクロバット=世間から解放された身軽さ
探偵キック=自己の価値観を肯定する強い力
{/netabare}
つまりは、「自己を開放して価値観を共有することの大切さ」を描いたストーリーと言えるのです。
大事なのは、それを制作側が意図しているかどうかではありません。
その思考に至れるだけの素材であるということが、大切なのです。
深読みであることは百も承知ですが、哲学するに値する脚本であることは確かであり、それは間違いなく名作の物であると言えるでしょう。

■作画……4.0
作画を担当しているのは、今やFateシリーズでお馴染みのufotable。
当時はまだテイルズ作品等でしか見かけない名前で、無名のスタジオでした。
しかし、この時からその美麗さはすでに存在しており、止め絵も崩し絵も視聴意欲をグングン煽ってくれます。
ufotableとしては初めてシナリオから携わった半オリジナル作品とも言え、当時のスタッフがかける情熱が直接伝わってくる作画です。

■声優……4.5
コミカルなシーンが多い本作ですが実力派の声優さんが揃っており、テンポ感を一切損ねない演技は素晴らしいです。
特に、主演の関智一さんの演技は、それはもう尋常ではありません。
陽気でお調子者でコンプレックス持ちの面倒くさい青年を、見事に快演しています。
特に、主人公が困難の末に出した結論をモノクロで独白するシーンは、スッと心の中に入ってくるかのようなネイティブさがあります。
私は、この作品の『双葉恋太郎』というキャラクターは、数多くのキャラを演じている関智一さんの中でも、最高峰の演技が見られるキャラクターだと思います。

■音楽……4.5
テーマ音楽が本当に秀逸です。
暖かく、幸せで、どこか切ないメロディー。
それはこの作品全体の雰囲気を大きく作り出す重要な要素で、様々な場面でいい仕事をしてくれます。
他にも、音楽の演出がテレビ的というよりは映画的な使われ方をしているのも珍しい部分でしょう。
演出家や作曲者のこだわりが見られる、いいサウンドトラックだと思います。

■キャラ……3.5
元々がギャルゲーなので、味付けは濃い部類です。つまりは萌え萌えしてます。
そこが受け入れられるかどうかで、評価も変わってくるでしょう。
キャラクター像自体はありふれたものですが、分かりやすいのはいい事です。
ただし、主役級である3人だけが、難解で奥深いキャラ設定をなされており、その温度差が理解しにくい一面を作ってしまっているのは否めません。
バランスの難しい作品であることが、キャラクターからも伺えます。

台詞回しや動作の間、音響効果の使い方や明暗の切り替わりまで、至る所に細工が施されている本作。
基本はノスタルジックに、時にコミカル、時にシリアス、色々な一面を見せてくれるこの作品は、見ていて飽きを感じさせません。
個人的には、様々な作品の価値観やテーマを知っている『読書家』タイプの人なら、凝り固まらずに受け止められるのではと思います。
表面だけを見るのではなく、そこをかき分けて中身をじっくりと観察する。
その大切さを教えてくれるアニメです。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 3

とってなむ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

三人でいたいーー。

双恋の第二作目にあたる作品。
キャラは前作を引き継ぐ形となっていますが、
その立ち位置やその他の大部分の設定が一新されており、全くの別物とみて間違いないでしょう。
制作会社もテレコム・アニメーションフィルムからFateシリーズでおなじみのufotableに変わり、
なぜユーフォなのか納得できる内容になっていたと思います。


さて、ではその内容についてです。
この作品を観る前の前提条件として、
私は前作をあまり楽しめなかったことがあります。
すなわち期待値はかなり下降してました。
しかし、いざ蓋を開けてみればあらびっくり。

面白ェェェ!うっうっ。。

ブッ飛んだ世界観が心を踊らせる・・
脈絡のなさそうな展開や荒唐無稽で意味不明にみえる敵など、
普通ではゲンナリしそうな内容ですが、
この作品はそれを勢いと熱さと可愛さとそれだけでは語れない何かで、魅力的に仕上がっていました。
笑いあり涙ありの心に響く作品です。
(※評価点よりお気に入り。)



物語はとある経緯から探偵事務所の2代目となった主人公と一組の双子をメインに進みます。

その双子とは、前作においてサブ的な立ち位置だった白鐘姉妹(双樹&沙羅)。
この双子を主役に据えたこと。
その他の双子の出演が抑えられたこと。
これが個人的には評価したいポイントです。
白鐘姉妹にスポットが集中してるおかげでより魅力的な個性を覗くことが出来ました。
これですよこれ!私の求めていたものは。
双子の良さを上手く引き出してくれてます。
二人ともかぁいいよぉ~お持ち帰りィ~!


それと、前作より表情が豊かになりました。
顔も体もよく動く。
ここはユーフォの力ですかね?
ピョコピョコ動く双樹ちゃんたちを輝かせるロングスカートな制服も可愛らしい。

双樹ちゃんも沙羅ちゃんも主人公くんも面白可愛かった。
三人の日常会話が笑える萌えるで最高。
一見の価値アリです。
そうそう、主人公くんはけっこういいキャラしてて好きですね。


他の双子ちゃんもちょいキャラとしておまけ程度の登場でしたが、
彼女らも双樹ちゃんたちと比べて短い出演のなか、
存在感を示ししっかりと爪痕を残してくれました。
面白かったです。



OP「New World」 歌-ベ・ユミ
ED「ぼくらの時間」 歌-eufonius

OPの疾走感の凄さよ。
映像もよく動くしブッ飛んでるしw
これで心を掴まれたといっても過言ではない出来映え。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



白鐘姉妹の声優強くね?
双樹ちゃん役を務めるのはイリヤなどで知られる門脇さん、そして沙羅ちゃん役がマミさんで有名な水橋さん。
元々、門脇さんは大好きなのですが水橋さんの演技が沙羅ちゃんにハマりすぎててヤバいです。
ほんと二人とも可愛い。


それと、舞台となる二子魂川は二子玉川がモデルのようですが、
二子玉川にはたまに行くのでここも何となく嬉しいポイントです。


物語の中身についてはほとんど触れずにごめんなさい。
でもこれは知らずに観たほうが良いのでは?と思ったためであり、
怠惰が招いた結果ではないことをご理解くださいましヽ(´ー` )ノ(ドキドキ・・)

投稿 : 2024/09/07
♥ : 18

奈悠 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

設定演出がむちゃくちゃだよ?!だがそれがいい!!

全13話。最初からなんだこれは!?ってのが最初の印象。

しかし、しっかりとしたストーリーがその過剰な設定などでも十分生きてます。
何も考えずに本編楽しめばいいよ。いや本気で。

中盤あたりでどうしてこんな生活を送っているか回想シーン含め見応えあります。
沙羅&双樹との出会いのきっかけ。「私達を探してください」

終盤も本気だったのかこの設定って・・・。
だがそれがいい!!って本気で言えるような内容でした。

演出は細かな心理描写も含めかなり見応えがあります。
男らしく成長していく恋太郎もいいですね。

ドタバタラブコメっぽい始まりだったけど、ちょっと変わった3人のお話。
愛の物語を感じてください。

私的に“もっと評価されるべき”と思える作品です。


こんなお話
“――3人でいたい――”

原作はメディアワークス電撃G's magazineにて連載中の双恋。
双恋のプロジェクトとして同じ原作を2つの制作会社が全く違ったアプローチで作るとどうなるか?
という「双恋」ならではの企画で進んでいた作品です。2004年10月よりテレビ東京系にてO.Aしていた老舗の制作会社テレコム・アニメーションフィルムの「双恋」に対し、「フタコイ オルタナティブ」は新進気鋭の制作会社ユーフォーテーブル(ufotable)が担当!
「主人公と双子の3人が一緒にいることが、主人公視点による“嬉しい”じゃなく、視聴者視点で、それが彼等3人にとっていちばんの幸せであるように観てもらうためにはどうすればいいのか?と、ひたすら考え抜いて作っています。」
銭湯へ行ったとか、帰り道に肩を並べて歩いたとか。本当に日常の些細な幸せ・・・
フタコイが描くのはそんな幸せです。
(公式より引用)


OP「New World」 ベ・ユミ(1st Single)
ED「ぼくらの時間」 eufonius(上記Singleのc/w)

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8

69.7 22 ufotableアニメランキング22位
テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス(第2期)(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (190)
882人が棚に入れました
ロゼたち「セキレイの羽」の一行と共に新たな地、ローランスへと向かっていたスレイたち。道中でハーブの取り引きをした際、盗品を売りつけられそうになり、犯人から脅しをかけられるものの、難なく相手を返り討ちにするロゼ。スレイは商人としての仕事をきっちりとこなすロゼに感心しつつ、夜になると穢れのありようを自分なりに認識し、受け止めることができるようになるためライラたちと鍛錬を続けていた。穢れの塊であり、強大な力を持つ「災禍の顕主」に立ち向かう力を得るために――。そしてスレイたちは商業都市ラストンベルに辿り着き、そこで“語り部”メーヴィンと出会う。

声優・キャラクター
木村良平、逢坂良太、茅野愛衣、小松未可子、下屋則子、福圓美里、小野大輔、津田健次郎
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

細かい所を気にせず見られる人にお勧めしたい

2017年冬アニメ。分割2クールの後半、全13話。
ゲームはゼスティリアではなくベルセリアをプレイ済みです。

細かいツッコミ所はあったものの、最後まで一貫したテーマを描ききっていてとても良い作品だと思います。
原作ゲームのラストとは似て非なるものになっていて、アニメ独自のテーマに沿った素晴らしい改変でした。

西洋の中世風のビジュアルではあるのですが、この世界観は日本人的な感覚で考えたほうが理解しやすいと思います。白黒付けられないこの世界観がすごく気になって本作に興味を持った身としては、とても納得のいくラストでした。

何よりも世界観とテーマを大切にしていますが、そのぶん設定説明を省くところが多く、ストーリー面でも謎が残ってしまったのは勿体無かったですね。
作画は1期に比べ安定感を欠いてはいますが高水準は維持していた印象。個人的にはコンテ・演出で練り込みが足りないかなあ、と。
音楽は楽曲自体は良いのにFLOWの曲を使い過ぎで、かえって冷めてしまうこともあり残念でした。

全体的な作りがアニメ慣れしていない印象で、解りにくいところもある反面面白いとも感じました。

【テーマ】
本作で最も評価すべき点ですね。テーマのみ星評価できるなら10くらい付けたいw{netabare}

スレイが穢れに対する答えを導き出すためには人間を知る必要があり、それをアリーシャ・ロゼの掘り下げと、彼女達との交流によって描いたのはとても良かったと思います。
スレイの答えは本作のテーマを浮き彫りにし、さらには交流するゲストキャラクターやサブキャラクターに影響していきました。
導師一人ではできることに限りがあり、スレイが独りではないこと、仲間が支えてくれることが最も大切なことで、人の絆をより強く印象付けるために「人を浄化するには導師は穢れを引き受けなければならない」「受け止めた穢れを従士に振り分けられる」という設定の変更があり、本当によく考えられていました。
ヘルダルフとアイゼンという「殺すことが救いとなる存在」をそれぞれ別の形で救ったのも上手いですね。{/netabare}

【キャラクター】
全体的には良かったのですが、描写不足や最後にどうなったのかわからないキャラクターがいたのは勿体無かったですね。
{netabare}
1期に比べミクリオにはスレイ以外のキャラクターとのやりとりが増え、ミクリオの思いやりや少年らしさが描かれたのがとても良かったです。
ミクリオはゲーム版では出生が明かされますが、アニメでは語られなかったので人によっては「いるだけ」に感じたかも知れません。
ですが、「スレイは一人ではないからここまで来られた。スレイはどんな時も独りではない」という描写を一貫した本作では、常に素顔で接することが出来るミクリオがスレイと一緒に旅すること自体がとても大切だったと思います。
人と天族の共存というテーマから考えても、種族間の壁が最初から全くない、「特別ではないからこそ特別な友人」という、存在そのものに意味のあるキャラクターでした。

ロゼはスレイやアリーシャの理想・理念に対してひとつのアンチテーゼの役割を果たし、二人と衝突・和解することが非常に大きな意味を持ったキャラクターとなりました。それぞれの理念が両立するにはこの世界観でなければ無理だろうなあ。
ロゼ本人に関しては、自分のしてきたことが間違っていたと自分で認識しながらも、心折れずに別のやり方を見つけ出し、自分自身を変えたことは特に素晴らしいと感じました。
小松さんも多面性の強いロゼをしっかりと演じきっていて、まさしく本領発揮という印象で見事でした。
ロゼ編長かったですが、その分説得力も生まれてとても良かったです。
デゼルはロゼを語る上で欠かせない存在。詳しくは各話レビューに書いています。

…エギーユは怖い人って印象が消えてません;;

ルナールの良心を誰にも見せない在り方は色々考えられて面白いですね。
ルナールは元々ロゼの部下で暗殺者でしたから、世直しを夢見ていながら暗殺業に疑問を持ったがために穢れたのではないかというのがプレイヤーの間で多い考察のようです。アニメでは第1話(#0)で風の骨の一員としてルナールがアリーシャの目の前で憑魔になっているので、設定は継承していますね。
憑魔は人間なら誰でもなってしまう可能性があり、それが人間の一つの側面でもあると考えるとルナールは良いキャラクターだったなと。

サイモンについては情報が少なすぎィ!w
{/netabare}(2017.5.4)

【以下各話レビュー】
{netabare}
急に思い立ち、今期かなり楽しんでいる本作で。
3話目までは見直して書きましたのでよろしくです。

・第14話(#13)「穢れなき世界」{netabare}
先代の導師ミケルが雪原に立つ後ろ姿の孤独なイメージが印象的でした。足跡の先に立つライラは見守ることしか出来ないという感じで何とも淋しい演出です。
ロゼの商人と暗殺者の姿のギャップ、必要悪として行動する姿、中間管理職らしいセルゲイの苦労、先代導師ミケルの苦悩の言葉が繋がっていると感じます。
風の骨の行動原理は何となくわかりますが、語られる言葉がかなり曖昧なのは問題点かも。1期から感じてましたが、理論的な部分が苦手らしいのは本作の特に勿体無いところですね。 {/netabare}


・OPについて {netabare}
2期OPの哀愁漂う感じがかなり好きです。
雪原で背中を向けて立つ姿は孤独を象徴するイメージ映像と思われますが、OPでもう一人、災禍の顕主ヘルダルフが吹雪の中で孤立しているのは原作の設定を反映しているのかな?
OPラストでは仲間の中心にスレイが立ちますが、彼らには導師の苦痛を肩代わりすることも分かち合うことも出来ない。それでも支えられている。
そんな風に感じました。 {/netabare}


・第15話(#14)「風の天族デゼル」 {netabare}
ボーイッシュなロゼをいかに女性らしく可愛く描くかに腐心している感じがするなあw地味可愛いの好きですよ!
ロゼの暗殺業にスレイがどこまで気づいているのかが気になるところ。
マーリンドよりも今回の地下水浄化のほうが短時間で済んでいる様子だったり、鍛練シーンを入れたり、スレイの成長も描いていて好印象です。
アニメオリジナルキャラクターだというグルードマンは、比較的理解の早かったセルゲイの対となる人物なのでしょうが、敵になるのかどうかが気になるところ。セルゲイにより語られたローランスの内情も貴重な情報でした。
ロゼの矜持が揺らいでいるのは、殺すべきでない人間であるアリーシャを殺そうとしてしまったためでしょうか?自分の目に映ることだけが全てではないとスレイとの交流で認識したのもあるかも。{/netabare}


・第16話(#15)「それぞれの哲学」 {netabare}
アニメではロゼとデゼルは親子に近い関係と判明しましたが、まだ語られていない部分もあるようです。
グルードマンの目的がまだはっきりしませんが、武装した兵士を連れての交渉は脅迫に近いですね。スレイがセルゲイを解放するように言い、エドナの足止めがグルードマンへの脅迫みたいになっていました。面白いけどスレイたち浮世離れしすぎててハラハラするw

スレイの「もし争いのない世界にしようと思ったら…」という言葉の先には、ロゼと同じような結論があるかも知れません。これってベルセリアにも繋がる事ですね。ロゼの暗殺に気づいているのかどうかで、この言葉の意味は大分変わってくるかも。
一方でロゼも天族を認識したことで、自分の考え一つでデゼルが暴走する可能性があると自覚せざるを得ない。共に行動したことで、スレイとロゼはお互いの信じてきたものを揺らがせているのではないかと思います。

メーヴィンの言葉のとおり、スレイは自分に正直に進むしかないのでしょうね。ここでライラがアリーシャの名を出したことで、理想を共有する人物の存在が悩めるスレイの気持ちを軽くしたと感じられました。
そしてアリーシャもまたスレイの言葉を支えに困難を突破しようとしています。

この回、スレイとアリーシャ、スレイとロゼの互いへの影響を明示している印象でした。(2017.1.28) {/netabare}


・第17話(#16)「復讐」 {netabare}
今回でロゼの背景がほぼ示されたと思って良さそうです。
ロゼがアリーシャ暗殺の依頼を受けたのは、実現困難な理想を掲げる為政者に対する反発があったためなのかも…。
デゼルもエギーユも任務と語っていますが、明らかに私怨による復讐ですよね。確かにコナン王子は許されない行いをしていますが、それを自分達の正当性に結びつけるのはどうかと思う…
ロゼにもコナン王子を恨む気持ちはあるでしょうけど、もしも殺すことそのものに迷い悩んでいたとしても、周囲からの期待はロゼに「殺さない」という選択を許してくれない。コナン王子を襲撃するシーンでロゼが仮面を外したのは、私怨による行動であることの証明に見えます。

これまでロゼは世直ししているという誇りと信念があったから、殺人を犯しても穢れずにいられたのかもしれません。でも自分で決断したと言えるのかが曖昧な今回の復讐を完遂したとして、それでも穢れずにいられるか、私には微妙に思えます。

スレイはロゼの様子がおかしいことに気づいていましたし、人を浄化するために他者の穢れを引き受けてきたスレイにとってロゼの暗殺を止めるのは当たり前のこと。でもそれ以上に、スレイは友人に人を殺して欲しいとは思わないでしょう。
メーヴィンの「大切なのは自分に正直に生きること」という言葉が、今回のロゼとスレイにも繋がっているように感じます。

天族たち(エドナ、デゼル、ミクリオ)の問答のシーンでは、彼らの年齢差が感じられて面白かったですね。(補足・エドナは1000歳超え、ミクリオは見た目どおり17歳、デゼルは天族としては若いようですがミクリオよりは年上とのこと)
ミクリオはデゼルの言葉に反論することはありませんでしたが、エドナは一刀両断。現段階では殺す以外にどうしようもない兄アイゼンのことがあるからこそ、エドナの言葉は非常に重く、説得力がありました。

グルードマンは話のわからない相手ではありませんが、スレイとのやり取りを見ると和解するか決裂するか微妙な距離感があり、今後の展開が楽しみです。得体の知れない力を持つ導師と馬車の中で丸腰で話し合うあたり、相当肝が座ってるなあw 私どうもグルードマンさん好きみたいですw(2017.2.1) {/netabare}


・第18話(♯17)「届かない理想より目の前の正義」{netabare}
今回も面白かったけど、尺が心配になってくるなあw
初めてロゼを完全にヒロインとして描いた回でもあるかな?本当に可愛かったw

今回はロゼの正義が崩れる話でしたね。
ラストのロゼの涙は、ブラドの正義ではどうにもならない現実を知った絶望なのかな…。「世の中には殺されなきゃいけない奴がいっぱいいる。綺麗事じゃすまない」というロゼの台詞には強い義務感が感じられてやるせなかったです。

今回のスレイの言葉はどれも良かったです。「どんな人の中にも穢れはある。誰だって穢れを戒めながら生きている」という言葉にはアリーシャのことで穢れかけた自分のことも含まれていると思うと重い。その上でロゼが穢れと向き合ってきたことをいたわり、スレイ自身の意見とロゼに対する優しさ、世界の現状まで含めてロゼの知らない世界を語る。これは導師ですわw
スレイは先代導師の言葉に対して、人間の業も受け入れた上で一つの誠実な回答を示したとも感じます。

ライラやミクリオだけでなく、人間嫌いであるはずのエドナが、ロゼを利用してきた(と思われる)デゼルに対して批判的なのが良いなあ。デゼルの「ロゼは傀儡だ」という言葉の真意は何でしょうね?個人的にはデゼルがロゼを大切に思っているのは本心だと思うので、腹も立っているけどちょっと様子見かな。デゼルもですがエギーユに関しても、まだ評価は保留すべきのようです。(2017.2.7){/netabare}


・第19話(♯18)「商談」{netabare}
スレイはローランス皇帝ドランの屋敷に招かれ千年前(ベルセリア)の出来事を伝承として知るのですが、大分間違った伝わり方ですねw
ベルセリアゲーム内ではベルベットは世界中に支持されたアルトリウスに反逆した人物です。1期の頃から本作では闇に葬られた人達を描いてきましたが、ベルベットはまさにそちら側なので、捻じ曲がって伝わっているのは仕方無い。
アルトリウスが実現したとされる「感情のない世界」についてスレイはどう思ったのか?ベルベットが導いたのが災厄の時代であったとしても、人の感情を否定したくないスレイはベルベットをどう思ったのか?という点が気になります。

従士契約の描き方がアリーシャとロゼで今回も対比的でした。
アリーシャの場合はスレイや天族との絆の証であり、最初に見たのはずっと見たいと願っていた世界。
ロゼは自分の正義のためにスレイにギブアンドテイクを持ちかけていて、最初に目にしたのは立ち向かうべき世界。
その前提として二人ともスレイとの信頼関係がきちんと描かれ、命を賭ける覚悟があるのは良いですね。

あとライラ、従士契約のデメリットについてスレイに教えてないのはズルい。スレイは怒って良いよw
ライラはアリーシャとロゼに対して誠実でしたが、スレイを守るためにはそういうやり方もする。ライラにとって一番大切なのはスレイが人間に絶望したり穢れたりしないように導くことで、それは1期からずっと描かれてきたと感じています。スレイは導師として天族とばかり人間関係を作っていては駄目で、ライラにとっても人間に頼るべき時があるんですよね。(2017.2.15){/netabare}


・第20話(♯19)「レディレイク」 {netabare}
今回はアリーシャが妾腹の王女であることが明かされ、個人的には結構気になっていた事だったのですっきりしました。
重要な遺跡の鍵(紋章つきの短剣)を与えられてる立場だからそのくらいの血統ではあるはずですよね。

近隣の村でアリーシャたちを襲ったのは穢れまじりの土石流なのかな?目に見える天災が竜巻だけではなくなってきているのか…。
ザビーダは再登場しましたが、あっさり分かれてしまったなあ…。人間のトラブルに天族や導師は関わらせないのがアリーシャの考えだからでしょうね。

ザビーダの「あんたたち人間は何をやってる?」という問いは人間全体に対する厳しい問いかけであり、反対にルナールの、あんな奴らには報いを受けさせてやればいい、という主張は人間の弱い心からくる誘惑でもあります。
アリーシャもまた自身の中の穢れを戒めているという印象で面白いシーンでした。

竜巻が天の裁きなら導師にすがるしかないけれども、穢れによる天変地異だからこそ人間である自分が行動する意味もあり、妾腹とはいえ王女であるアリーシャには人の上に立つ者としての責任もあります。マルトランを救出に向かうかどうかの決断や、シレルから「どんな状況でなら殺しを認めるのか」という判断を求められたこともその一つ。特に不殺を貫くか否かはアリーシャというキャラクターにとって重要です。

竜巻とドラゴンの謎も気になるし、次回も楽しみです。(2017.2.20) {/netabare}


・第21話(♯20)「浄化」{netabare}
都市部に潜入した時点でバルトロ兵に気付かれるって早いwと思っていたけど、広場に向かうと思わせるためにわざと気付かれるようにしたのかな?

国王が穢れを背負っていたのは長年王としての責任を果たしてきたから?自分の穢れを戒めるだけではなく、国内の不平不満(他者の穢れ)とも向き合う必要があったということかな。それでもアリーシャを守ったのは一人の人間として感情を捨てずに生きてきた証なんだと思います。
…それはともかくアリーシャ医者くらい呼んであげて~;;

バルトロの結末はちょっと説明不足でしたね。
アリーシャの理念を否定するために命まで捨てたバルトロは公人としては失格です。同じような事態を起こさないことが、今後アリーシャが政治に関わる中で乗り越えるべき大きな課題のように思います。
アリーシャを理解し信じているから穢れないマルトラン師匠が対照的なのも良いですね。ルナールは狂言回し的な役割になってるなあw

そして念願のドラゴン浄化に成功!
これまで何人、どんな導師と従士が存在したのかはわかりませんが、その中でスレイ、アリーシャ、ロゼという三人が揃ったというのは奇跡に近いのだと思います。
三人が穢れを恐れていたらこんなことできないと思うんですけど、1期でライラがスレイに答えを導き出して欲しいと言ったことや、アリーシャロゼの掘り下げをがっつりやったことがきちんと繋がっているのが素晴らしいです。

今回色々勿体無かったのがコンテ演出で、アリーシャとバルトロのシーンや浄化シーンはもう少しわかりやすく、盛り上がりを作れたと思うので残念。

…あれ?アリーシャ…「どういう状況で殺しを認めるのか」の結論は?;;
(追記・後から思ったけど「誰も死ぬ事は許さない」と言ってたからやっぱり殺すなということでいいのかな?)
(2017.3.1){/netabare}


・バルトロ卿について{netabare}
全体的な描写から考えるにアリーシャがいなくなることで地位が磐石になる立場なんでしょうけど、凄くわかりにくいですねw
でも一番はアリーシャの理念に対する反発かな。むしろ憎んでさえいるように見えました。その理由も描いてくれたらさらに良かったけど、本作はそういうのが苦手っぽいんですよね。

1期ラストの戦争ではローランスを獲るのと同時に、アリーシャが止めに入るのを見越して、どさくさに紛れて殺すつもりだったのかも?ランドン師団長はバルトロの意向を理解していたから、王女に部下が深手を負わせても「よくやった」なんて言えたのではないかと思います。
さらには国家反逆罪を被せて追い討ちをかけたものの殺すことも捕えることも出来ず、師匠を囮に誘きだそうとするも、裏をかかれ国王の前に来られてしまった。自身が国王を刺してしまったのは計算外だったでしょうけど、アリーシャに罪を擦り付けられれば逆転の目はある。バルトロも他に方法がなかったでしょう。

自身の責任を果たす事によって穢れの発生を少しでも食い止めたいアリーシャに対して、バルトロの自殺は彼女の理念に汚点を付けたという意味で「負けなかった」と言えるのかも知れない。
ただ、アリーシャは政治ばかりではなく世界の仕組みという大局を見ていて、バルトロはもっと個人的なものを見ているのだから、そもそも同じ土俵にいないのですよね。これでは出し抜かれても仕方ない。

今となっては、スレイの殺害がバルトロにとって目的達成の一番の近道だったのかも、なんて思います。
会食に招きながらもスレイを殺さなかったのは、バルトロ自身の言葉の通り、政治的にアリーシャに加担しなければ眼中に無かったから。結果的にはスレイのおかげでアリーシャは命も理念も失わずに済んだのだから、詰めが甘かったですね。まあライラとミクリオがいたから殺せなかっただろうけど。(2017.3.1){/netabare}


・第22話(♯21)「いつか夢見た世界」 {netabare}
前回国王が亡くなったのは触れなくて良いんだろうか…。あとアリーシャ以外次期国王候補居ないの?
レディレイクを襲ったドラゴンは中身の天族はどうなったんだろう。それとも感情を伴う穢れが集って実体化した場合もドラゴンになるとか?
ゲームの設定と違う部分もあるので、調べて知ってても混乱する時がwもう少し説明してくれてもいいのよ?w

ハイランド国内が一丸となったり、人間と天族が実質的に共闘する形になったり、ハイランドとローランスの両国の兵も協力関係を築いたりと、スレイとアリーシャが夢見る光景の縮図が描かれた回でしたね。皆可愛いし和むし久しぶりに明るいシーンが多くて良かったです。
兄より世界が先だと言えたり、従士と共倒れになる可能性も知りながら神依に名乗りをあげたり、エドナの中身大人な所をしっかり見せてくれたのも個人的に凄く好き。ザビーダが加入してパーティ全体が落ち着いた雰囲気になったのもイイですね。

…ところで導師一行を陰から見守りながら情報提供とかサイモンちゃん何してんですかw
彼女も腹に一物抱えてるようで、しかも描写からして導師一行を勝たせたいようなので先が気になる。

ベルセリアとのクロスに関して、アニメでは千年前の出来事で伝承や口伝で伝わってきてるので間違っている部分もあって、メタ的にもネタバレにならないようになってるのがちょっと面白いかも。(2017.3.7) {/netabare}


・第23話(♯22)「北の大地」 {netabare}
今回は従士二人の神依、デゼルやサイモン、ルナールなど色々詰め込んだ豪華な回でした。今の段階ではサイモン、ルナールの顛末は説明不足(ルナールに関しては全体的な描写から心境を想像はできる)ですが次回フォローあるかな?
…サイモンちゃん寂しがってるというか、主にかまって欲しいようにしか見えないのは私だけですかねw

地脈の話がまともに出てきたのは第1話(♯0)以来ですね。OPの雪山はラストバトルの舞台だったのか。
神依するうえでロゼは行使する力(武器)が扱い難い、アリーシャは神依の素地そのものが出来ていないという違いがあるような描写も面白いと思いました。

そしてロゼを利用してきた事を後悔し始めているデゼル。ブラドの復讐はデゼル自身の無念を押し付けていた部分は間違いなくあったと思うし、デゼルの一方的な憑依によってロゼの運命は良くも悪くも変わったわけで。
主体性の強いロゼとは遠からず子離れ(?)のような時期が来るだろうとは思っていたので本編中で描かれて嬉しいですね。
デゼルがロゼに憑依してきたという関係とその変化、デゼルの心理がサイモンとのやりとりと連動してスムーズに描写できている印象。
…で、次回予告が不穏な空気なわけですが…;;

サイモンドラゴン化でしっかり盛り上がりを作った引きで次回も楽しみです。(2017.3.13) {/netabare}


・第24話(♯23)「風になる」 {netabare}
原作プレイヤーに気を揉ませていたデゼルの結末が今回のハイライト。
残念ながら生存とはなりませんでしたが、2期前半のロゼメインの一連のエピソードで同時にデゼルの掘り下げも出来ており、しっかりと繋がっているのはとても良かったです。
ブラドの目指したものとデゼルの願望をある意味では背負わされてやってきたロゼは、これからは一人で決断し責任を背負っていかなければなりません。ですがデゼルが思っていた以上にロゼは成長していて、何の心配も要らないと感じられたから最期に笑えたのかなと思います。
泣いてもいいだろ?って言いながら笑って終わるとか反則ですわ…;;

ベルセリア作中で重要な意味を持つ「緋の夜(月が赤く輝く夜)」を迎え、その影響なのかベルベットとスレイが夢の中で邂逅。こう来たかー(歓喜)!!
かつて災禍の顕主と呼ばれたベルベットも導師であるスレイも、大切な誰かや自分の願いのために戦う(戦った)という点では変わらないのですよね。ベルベットの言葉はスレイ自身がどうしたいのかを問いかけているようでした。

ベルベットに復讐心を抱かせたことがアルトリウスの最大の間違いだったとも言えますが、だからといってハイランド・ローランス間の戦争をその身で経験したスレイには、世界のために一人を切り捨てたアルトリウスのやり方が間違っていると断言する事も出来ない。
ですがデゼルがロゼに言い残した「導師が誰かを犠牲にすることを肯定したら悲劇が繰り返される」という言葉は、デゼルがスレイのやり方を心から認めている証拠で、物語の上でもアルトリウスとスレイの差異を明確にしていました。

負の感情の蓄積が天変地異すら起こす本作で、人間や穢れが根本的に抱える矛盾をも受け入れて世界を良い方向に導くというのがどれだけ無理難題なのかを再認識してしまうわw(2017.3.23) {/netabare}


・第25話(♯24)「導き出した答え」{netabare}
マオテラスさん登場でとても嬉しいですw ベルセリアとのクロス要素ではありますが、五大神(最高位の天族)の一柱だと分かれば支障ない描き方でしたね。穢れながらも自我を保ち自身の意志で抗っている状態はなんとも健気。

災禍の顕主は先代導師にかけられた「永遠の孤独の呪い」のせいで、時には自由な意志疎通すら出来ないことが判明。きっつい呪いですね…;
首吊りしてたのはヘルダルフの親しい人たち?自分も自殺しようとしても出来ないような描写もちらっと入ってて辛い;サイモンの呼び掛けに応えなかったのも呪いの影響なんだろうか。
サイモンの「主は導師に自分を殺す可能性を見出した」という言葉は殺害がヘルダルフへの救いになることの暗示でしょうね。

災禍の顕主が出した答えは「力により矛盾を打ち破る」こと。お互い自分の思いを通したければ相手を倒すしかないという理屈なんだろうなあ。
それに対し、スレイは「人としてお前を浄化する」という言葉を返しましたが、ヘルダルフと人間として話したい、繋がりを持ちたいという意味かな、と。スレイ自身が常に誰かに支えられてここまで来たからこそ言える言葉なのだと思います。(2017.3.27){/netabare}


・ミケルとヘルダルフについて{netabare}
カムランにおける先代導師とヘルダルフの因縁は、歪な人間関係がきっかけであるように私は感じました。

立場も状況も人柄も違うので単純に比較は出来ないですが、スレイとグルードマンの関係性は少し似ている部分があったように思います。
スレイは脅迫じみた行為にも屈しない意志の強さと導師としての力を示し、実直ながら強硬派らしかったグルードマンも一筋縄では行かないと認識したから、ペンドラゴへの道中で対等に話し合うことができたわけです。最終的にはグルードマンは導師に協力することになりました。皇帝ドランの命令もあったとは思いますが。

一方でミケルは何の力も持たず、ヘルダルフはマオテラスの姿を目にしても軍人としての立場を曲げなかった。
ミケルはヘルダルフに騙されたのは確かなのですが、その純朴さゆえ、自分を対等と認めさせることが出来なかったために良いように利用された印象です。ヘルダルフが「力の伴わぬ馴れ合い」を否定しているのは、人間の頃からの性格なのかも。
とはいえミケルがヘルダルフにかけた呪いも正直やりすぎで、後世に大きな負の遺産を残してしまっています。ミケルが引退した理由が語られていないので何とも言えないのですが、導師としてよほど辛い思いや挫折を経験してカムランに辿り着き、村が心の支えだったのかな、と…
ミケルとヘルダルフ、二人とも加害者であり被害者でもあるという描き方は良いですね。(2017.3.27){/netabare}


・第26話(♯25)「伝承」{netabare}
1ヵ月は長かった…でもその分楽しめました!

「死こそが救い」である災禍の顕主の怒りを鎮め孤独を癒すというスレイの結論は本当に良かったです。ヘルダルフとスレイのやりとりをもっときちんと描いてほしかった気持ちはありますが、呪いと穢れに飲み込まれたヘルダルフを救い上げ、穢れと矛盾を抱える人間として再びやっていけると考えられるまでに繋がりを持てたことは素晴らしい結末だと思います。
「永遠の孤独の呪い」を解くということは、ミケルのやり場の無い感情も一緒に浄化するということなのかもしれませんね。
ドラゴンの姿のまま自我を取り戻しつつあるアイゼンも、アニメのテーマに沿った描写だったと思います。

スレイが願った「人と天族が一緒に暮らせる世界」はお互いを見て語り合う世界ではなく、人間も天族も独力で生きているのではないことを認識し、積極的に繋がりを保ちながら共存していく世界として実現しつつあります。
第24話のスレイの「皆と旅をしたことで人間と天族が共存できると信じられた」という言葉がきちんと形になりましたね。

アリーシャが天族に対して様付けを止めないのは何故かとずっと思っていたのですが、それは天族とどんな関係性を築くかは人それぞれだからだと感じるようになりました。
為政者であるアリーシャは天族に支えられて国を維持していることを知っており、スレイやロゼにとっては家族や身近な友人。普通の人々にとっては見守ってくれる土地の神様です。
崇高な存在だったり友人や家族だったり、色々な関係があるのですね。(2017.5.1){/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

キャッチフレーズは「伝承はいつしか「希望」になる」其の2です。

この作品はテイルズ オブ ゼスティリアの2期に位置する作品です。
物語の内容に繋がりがあるので、1期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

この作品のPVを初めて見た時、あまりの作画の綺麗さに鳥肌がたったのを覚えています。
これまでも作画の綺麗な作品はたくさん見てきました。
でも、この作品の作画レベルは「思わず息を吞む」ほど高いと思いました。
レベルが高いのは作画だけではなく、SEについても同様…
つまり、アニメの根底部分のクオリティが半端なく高い作品…という事なんだと思います。

ここまでレベルが高いと次に気になるのは途中からの失速になるのですが、この作品については全くの杞憂でした。
しかもゲーム原作にも関わらず、分割2クール作品として描き切ってくれる…
視聴者冥利に尽きるとはこの事だと思います。

こうして2期の放送が始まった訳ですが…2期も期待を裏切らないクオリティだったと思います。
「人と天族が共に暮らせる世界を作ること」を目指して始めた導師スレイの旅も未だ道半ば…
そしてその旅路は決して平坦ではありませんでした。

導師の穢れを浄化する能力は確かに凄いです…
けれど、導師と言えど一人でできる事には限界があります。
そのためにライラやミクリオなどの天属と行動を共にしてきた訳ですが…
時には剣…そして時には盾にその姿を変え導師と共にあろうとする天属の皆さんですが、穢れは中心への接近に伴って強さを増していくので、これまで通りの戦い方では通用しなくなっていくんです。

そしてアリーシャとロゼ…どうやら二人とも大層な荷物を背負ってここまで生き抜いてきたようです。
アリーシャは一国の姫君で王位継承権を持っている立場…隙あらば、と邪な考えを持つ者が決して少なくありません。
でもそんな事に現を抜かしている時間はアリーシャには1秒だってありません。
だってその1秒があったらその分、国や民にできる事を考えたい…

争いが嫌いな平和主義者…「敵がこちらに攻撃するまで我々は攻撃してはならない」
自分の発言に真摯に向き合い率先垂範する彼女は、やっぱりどこからどうみても魅力的です。

そしてロゼ…彼女の心の中の闇はどれだけ暗く深いのだろう…
物語の展開を見ていれば、彼女の中に闇が渦巻くのも激しく理解できます。
だって、今自分がここで生きているのは誰のおかげ…?
そんなの改めて問う必要なんてない…

誰かがやらなくちゃいけないから自分がやるんだ…
教えて貰った「届かない理想より目の前の正義」の信念はとても大切…
でも本当にそれだけ…?
自分にはそれしかできないの…?
この自問自答は彼女に自分自身を俯瞰させるきっかけとなりました。

そしてアリーシャとロゼは、これまでの自分と決着を付け更なる高みを目指す事を決めます。
それはこれまで以上に険しい道である事は行く前から明白…
自分の手で掴み取れるのは、ほんのちっぽけかもしれない…
けれど、これは自分達にしかできない事…
だから自分の全部で絶対支えてみせる…自分達も支え合いながら…

でも一番おいしいところを持っていったのはお約束通り導師でしたね。
その前の展開から何となく予感はしていましたけれど…
だって、きっとこれ以外の着地方法を模索したら絶対に尺が足りなかったと思いますし…
今でもミクリオの叫び声が頭から離れてくれません…

ここまで視聴してきてふと思った事があります。
導師って、何人いるんでしょう…?
私は世界に一人きりだと思っていました。
導師が導師として機能しなくなった時、世界のどこかに導師が息吹くのだと…
でもどうやらそれは間違いだったみたいです。
私の勘違いかもしれませんが…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

私のイチオシはやっぱりアリーシャでした。
CVがかやのん、というのが大きいですけれど…
あの花のめんまや、さくら荘のましろの様なふんわりした感じも好きですが、アリーシャや、このすばのダクネスの様に一本筋の通った感じも堪らなく大好きです。
かやのんが声優さんで本当に良かったと思っています。

オープニングテーマは、Minamiさんの「illuminate」
エンディングテーマは、FLOWさんの「INNOSENSE」
どちらもカラオケ挑戦済です。
どちらも良曲ですが敢えて1曲を選ぶならオープニングに軍配です。

1クール13話、全部で2クール26話の作品でした。
もう何もう事はありません。
最終回の放送まで少し空いた時間が待ち遠しかった事くらいで、最高の作品を視聴させて貰ったと感じています。
「Tales of 20th Anniversary Animation」の冠に恥じない作品だったのではないでしょうか。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 15
ネタバレ

いしゆう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

”自分の信じる道を進め!”

あらすじはあにこれを参照ください。
放送時期:2017年1月~4月

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇物語
Ⅰ期の続きです
天族と共に世の中の穢れを清める旅をする
導師スレイと仲間たちの冒険ファンタジー。

〇音楽
OP曲はMinamiが歌うilluminate
25話のOP曲はFLOWが歌う風ノ唄
ED曲はFLOWが歌うINNOSENSE
21話のED曲はfhánaが歌うcalling

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

〇専門用語
・セキレイの羽{netabare}
ロゼが頭領として率いる商隊ギルド。{/netabare}

・風の骨{netabare}
セキレイの羽の裏の顔でありロゼを頭領として動いている
グリンウッド大陸一の暗殺ギルド。{/netabare}

・従士{netabare}
導師の配下としてその活動を補佐する人間。{/netabare}

・神威{netabare}
人族と天族との融合技{/netabare}

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

〇作画
制作はufotable
天族が風や水そして火などを利用して攻撃するのですが
その表現がとても綺麗で迫力あって引き込まれました。

戦いも終盤になっていくにつれスレイの瞳が怖く感じました
しょうがないですが天真爛漫で穏やかな瞳の方が好きです○o。.。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〇観終わって
スレイ ロゼ アリーシャ それぞれの視点で展開する物語も
佳境に入って俄然面白くなりました。
{netabare}
これまで自らの心と組織の決断は復讐としてきたロゼ
そんな彼女が自身の理性に委ねスレイの従者になることになった
この選択 ロゼらしいですよね

捕らわれた師匠マルトランを救うため苦悩するアリーシャ
内乱を企てたバルトロ卿に親を殺されても信念を曲げないのは凄い!

Ⅰ期に出てきた5話と6話の物語 1000年前のおはなしだった
この世界 あんまり文明とか発展しないのかなぁ○o。.

穢れの無い世界とは感情の無い世界
だからベルベット・クラウは業魔として

穢れで包まれる世界とは災厄が溢れる世界
だからスレイは導師として

歪んだ世界を正す こういうお話と勝手に理解しましたが合ってます?

最終決戦の前 夢に出てきたベルベット・クラウのセリフ

”鳥はただ自分が空を飛びたいから飛ぶんだ”
”自分の信じる道を進め!”良いセリフですね心に響きました○o。.

最後 浄化を終えてやっと自由!

イズチを出て試練のくり返しで
ちょっとは遊んでもいいんじゃない?って思っていたから
ホッとしちゃった○o。.。{/netabare}

最後 ED曲流れてもおはなしは続くから見逃さないように♪。 

以上 最後までお読み下さりありがとうございます。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 11

64.8 23 ufotableアニメランキング23位
ニニンがシノブ伝(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (176)
815人が棚に入れました
『ニニンがシノブ伝』(ににんがしのぶでん)は、古賀亮一による漫画作品及びそれを元にしたTVアニメ。
試験勉強に勤しむ「楓(かえで)」の部屋に突如として見習い苦の一「忍(しのぶ)」が現れる。なんと忍は自分の試験の課題として楓の下着を狙っていたのだった。
忍者学部くのいち学科で忍法を学ぶシノブが、音速丸、サスケ、妹の雅とドタバタギャグを繰り広げる。


声優・キャラクター
水樹奈々、川澄綾子、釘宮理恵、若本規夫、関智一

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ギャグの鬼

ユーフォーテーブル制作のギャグにとにかく振り切った作品。

ボーボボと同じ系統で兎に角おふざけがすぎる
ギャグが止まらない
あと思春期中学生男子のごとくエロい妄想垂れ流し

音速丸どうかしてるで。若本規夫さんの声がたまらん。
サスケも安定してる。というか他の忍者と区別がつかんわ。
忍も天然ゆえに乗っかるからカオス。

くだらないと思いつつも体がしょうもないギャグを求めるのよ。
消費者の目が厳しいのか最近こういった作品に出会うことがない気がする。
定期的に見返すの良いかもなんて。


OP
シノブ参上! 歌 くまのきよみ
ED
くるくるりん 歌 kaoru
挿入歌
シノブ音頭 歌 忍(水樹奈々)
OPの若本規夫ボイスと水樹奈々さんの合いの手が素敵
EDの合いの手と人形動く映像もなんか味がある


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
忍(シノブ)は、忍者学校に通う見習いくのいち。エッチな頭領・音速丸の指令「女子高生のパンティを奪取せよ」を成し遂げるため、普通の女子高生 楓(かえで)の部屋に侵入したのだが…。忍の妹 雅(ミヤビ)、そのほかサスケをはじめとする忍者たちを巻き込み、修行したり遊んだりワニに食われたり(!?)のドタバタハイテンションアニメ!


第一回 見習い忍者、忍見参の巻/頭領、現るの巻
『見習い忍者、忍見参の巻』試験勉強に勤しむ「楓(かえで)」の部屋に突如として見習い苦の一「忍(しのぶ)」が現れる。なんと忍は自分の試験の課題として楓の下着を狙っていたのだ! 『頭領、現るの巻』楓の御陰で試験に高得点をおさめた忍。御礼に忍術学校に招待しようとするが、やっぱり前途は多難なわけで・・・。

第二回 忍者、花見で浮かれるの巻/忍、楓とデートするの巻
花見に行こうと浮かれる忍者達だが、外は土砂降りで花見どころではない。諦めかけた時、忍の出したお弁当が伝説の忍術に変身する。/楓と一緒に街へデートに出かける事になった忍。浮かれる忍だが、それを音速丸とサスケが見逃す筈がなかった。

第三回 音速丸、怒るの巻/忍、家を出るの巻
『音速丸、怒るの巻』雅(みやび)が気にくわない音速丸。しかし他の面々はすっかり友達関係で、更に気にくわない。「もう許さねえ!」と息巻く音速丸が出した妥当雅の戦法とは! 『忍、家を出るの巻』その日はいつになく重要な定例会議。「忍には出て行って貰おう」偶然耳にしてしまった忍は楓の元へ・・・。

第四回 忍者、暑がるの巻/雅、恋をするの巻
あまりの暑さに忍達は庭にビニィルプールを作るが、音速丸が穴を開けてしまう。一同は川に場所を変えて行水を楽しむことに。/輝かしい夏の為に惚れ薬(ほれぐすり)を開発する音速丸とサスケ。そこに忍達が現れて相変わらずの散々なことに・・・。

第五回 音速丸、地獄に落ちるの巻/忍者、夏祭りを行うの巻
日頃の行いの報いか、音速丸が死んでしまう。矢張り悪行たたって地獄に堕ちた音速丸が見た光景とは。/音速丸の発案により、忍者の里で盆踊りが行われることに。やきもろこし、金魚すくい、射的など、無駄のない遊び方をする夏祭りのプロ、音速丸。

第六回 台風が来たの巻/忍者、きのこ狩るの巻
台風の直撃に遭って仕舞った忍術学園。あの手この手で台風に打ち勝とうとするが、果たして音速丸は乗り切れるのか?/茸、それは漢のロマン。キノコに魅せられた忍者は次々と魅惑のマッシュルームの餌食となる・・・。

第七回 音速丸、くっつくの巻/忍、プレイボーるの巻
音速丸が雅の服にくっついてしまった!あの手この手で音速丸を剥がそうとする雅だが・・・?/男女対抗野球大会をやることになった忍達。音速丸率いる男チームに数で劣る忍の前に、頼もしい助っ人達が現れる。

第八回 忍、化けるの巻/怪植物、暴れるの巻
文化祭でお化け屋敷を出す楓の手伝いをする事になった忍。凄いお化けになるために、あんな格好やこんな格好をすることに。/忍者は跳躍力を高める為に、すぐ成長する植物を毎日飛び越える修行をするが、忍の植えた植物は、他の忍者のものと一寸違っていた・・・。

第九回 女の子、あったまるの巻/楓、風邪を引くの巻
風呂釜が壊れてしまい、音速丸達は露天風呂に行くことに。露天風呂といえば混浴。混浴といえばアレな訳で。/風邪を引いてしまった楓に早く治って貰おうと、忍達は懸命に(?)看護するが、よりによって音速丸に風邪がうつってしまう。

第十回 忍者、クリスマスるの巻/忍者、呪われるの巻
クリスマスの過ごし方を知らない忍者達の為に、楓が現代日本的聖誕祭のススメを伝授する。/謎の隠し通路を見つけた音速丸達。その中から出てきたのは強力な呪いのかかったアイテムだった。

第十一回 サスケ伝、始まるの巻/忍者、恩返しするの巻
主人公サスケは学級委員である。彼を教育した音速丸は、世界(のポロリ)制覇を企む悪の頭領である。サスケは学園の平和の為に戦うのだ。/劇をやることになった忍達。御題となったのは名作「鶴の恩返し」。でも恩を仇で返すのが音速丸達な訳で・・・。

第十二回 音速丸の秘密の巻/さらばニニンがシノブ伝の巻
最終回、それは複雑に絡み合った伏線という名の糸が全て解ける最後の瞬間。ギャグアニメの中に張られた伏線に、君はどれだけ気付いただろうか!?/いざ尋常に。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 4
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

音速の若本規夫劇場♪

ド天然ヘッポコ巨乳見習いくノ一・忍(しのぶ)と自称・鷹の音速丸らが繰り広げる、
ドタバタ忍者コメディ漫画(未読)の1クール連続アニメ化作品。

【物語 3.0点】
内容はないw

なんなら各回2本立てエピソード。
例えば「忍者、花火で浮かれるの巻」とか「怪植物、暴れるの巻」とか{netabare}「音速丸、地獄に落ちるの巻」{/netabare}とかw
タイトル名見ればあらすじは大体分かりますw

あとは、今の時代なら、否、当時でもハラスメントでスリーアウトな音速丸らが、
煩悩の赴くままに、エロ方面、オタク方面、特定世代以下はキャッチ困難な時事ネタなど、
方々に脱線を繰り返しグダグダになる無礼講w

隠れ身の術すら満足に決まらない本作に、本格忍者物への期待などもっての他。
視聴者の皆さんも低俗ギャグに身を委ねて笑撃の地獄に落ちましょう♪


【作画 4.0点】
アニメーション制作・ufotable

15年以上前のギャグアニメ作画に、この評点は自分でも高すぎだろうと狼狽しますがw
ネタが何処まで逸脱しても追従する多彩な映像表現は見ていて飽きませんし、
時折、ギャグの片手間に見せる忍者アクション動画などは、目を見張る物がある。
シリーズディレクター・外崎 春雄氏など、
後に『鬼滅の刃』などで最高峰のアクションアニメーションを構築するスタッフ等の、
才能の片鱗を存分に感じるので、評価せざるを得ませんw

ええぃ!音速丸をヌルヌル動かすな!気持ちワリィ(笑)


【キャラ 4.0点】
ドジっ娘属性のくノ一・忍(しのぶ)。
基本黄色球形のUMA・音速丸は彼女の里の頭領であるはずだが、
何故か彼女は音速丸を鷹と思い込んで事実を把握できていない。
などという人物相関からして既に頭痛がしますw

彼女が忍び込み損なった部屋のJK・楓。
{netabare}試験課題のJKのパンツ目当て{/netabare}という
残念過ぎる出会いにも関わらず、二人はやがて微百合関係の様相を呈するw

が、そんなグダグダを完封する勢いで作品を制圧するのが音速丸。
音速丸が時に羽を生やし、脳筋マッチョに変形し、
パンツや巨乳等に囚われ、独演し始めたら最後。
サスケ率いるコピペ忍者部隊も交えて狂宴がいつ果てること無く続く。
余りの傍若無人ぶりに、{netabare}一度、地獄に落ちるが、地獄ですら音速丸を扱いきれず現世に送り返される体たらく。{/netabare}
クレイジーだぜw


【声優 4.0点】
一応の主人公くノ一・忍(しのぶ)役の水樹 奈々さん。
奈々さんに関しては、時折、叫ぶ演技を巡って、声が張れてないとのヤジが飛ぶのを見かけます。
ですが、声を大にして訴えたいのは、菜々さんは、普段おしとやかな役が回って来ることが多く、
控えめな絶叫でキャラクターを表現しているのであって、
忍みたいにナチュラルに弾けた役が回ってくれば、
元・演歌歌手志望の声量を以って、何処までも弾け飛ぶことができるということ。
てか、何が「気分はいつもぐるぐる~」だよ(笑)

音速丸役の若本 規夫さん。
粘性を最大化したクセ声で、すすーっと不謹慎領域への侵犯を繰り返し、
気色悪い奇声、擬音までカバーして、尺を荒稼ぎするMVP級の活躍。

CV.奈々さんとただならぬ仲になる楓役の川澄 綾子さん。
“ツンデレの女王様”就任前の釘宮 理恵さん演じる生意気な妹・雅(みやび)と音速丸のマッチアップ。
サスケ役の関 智一さん。彼が率いるモブ忍者軍団の一員にCV.小野 大輔さんが紛れ込むなど、
脇に至るまでタレントが敷き詰められる豪華絢爛(才能の無駄遣い?)w


【音楽 3.5点】
劇伴担当・山本 はるきち氏。
和風テイストも付加した明快な打ち込みサウンドで音速丸たちのボケとツッコミをサポート♪

OP主題歌は森 由里子さんの「シノブ参上!」
シリアスさなど微塵も感じないポップで明るいサウンド。
OPアニメーションは効果音に加え、茶々を入れる忍&音速丸たちのやかましいセリフ付きw
「この物語はスーパーハンサムボーイ音速丸と、
彼を取り巻く美女たちの愛と肉欲とポロリ……が満載のアニメであ~る」

ED主題歌はkaoru「くるくるりん」
本編の悪酔いの勢いでシュータタ♪シュータタ♪と倒れ込める和風宴ソング♪
当時のufotableのこだわりなのかEDアニメーションはクレイアニメ。
粘土になっても音速丸はパンツ被ってますw

夏祭り話の挿入歌では水樹 奈々さんがこぶしをきかせる。


【余談】
昨今の色々なコンテンツが忘れた頃にリバイバルするドサクサに?
『ニニンがシノブ伝ぷらす』が続編コミックとして展開中。
あの音速丸を現代に蘇らせるなど正気の沙汰じゃありませんw
令和の混迷は深まるばかりですw

投稿 : 2024/09/07
♥ : 16

moaimoai さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ことの発端は杉田智和の音速丸モノマネ

■杉田智和さんも大好き!?「音速丸」

以前観た、ニコ生で暴走する杉田智和さんが、音速丸(というより若本さんw)のモノマネをした動画がいつまでも記憶に残っていました。笑

当時、「アナゴさんwww」とツボっていたら違うキャラだった…笑

番組上で杉田さんは今でもBlu-raybox化を待望!!とのことで

杉田さんのラジオやらイベントやらでの小ネタがツボな私は、千反田ばりに気になって気になってついに観てしまいましたw


■ 【若本規夫World】

OPから若本さん飛ばしまくりwww

小ネタ(自虐含め)の多さ(ネタが懐かしいものばかりw)

蛇足シーンに力入れる作画www

テンポの荒さなど笑としては、さすがに古いのですが
声優さんの力が素晴らしく、スッと耳に入ってきて尚且つ連打攻勢w

〆に若本さんにエグい一撃入れられKO(吹いてまうw)

※余談ですが、中村悠一さんが杉田さんとのラジオで
以前、若本さんと共演した際のエピソードを語っていました。

若本さんの突拍子もない無秩序なアドリブは
実はその場の思いつきではなく、事前に考えて台本に書き込んでいる(もんの凄い量)そうです。

時には外国語でセクハラ?下ネタもw

勿論、前提として"遊びの部分があるキャラ"の時はアドリブを入れる。と中村さんはサラッと説明してましたが、長年このスタンスを貫く重みがあります…

同時に、素人が目に止まらないような"プロフェッショナルの姿勢"を自然に語った中村さん
若本さんに対してのリスペクトが感じられました。。と勝手に感慨深くなりました。笑

あの、R指定エレクトリカルパレードかの如き下ネタ乱舞も
「真面目に不真面目の結晶」
プロですね。。

ちなみに
この話を聞いた杉田さんは、自分の台本はすっごいまっさらでした…
と自虐www(本当はどうなのか気になるところでもある。笑)


■豪華声優陣

忍 水樹奈々さん

音速丸 若本規夫さん

かえで 川澄綾子さん

みやび 釘宮理恵さん

サスケ 関 智一さん


他に小野大輔さん、高橋美佳子さん、 生天目仁美さん、斎藤千和さんなど

当時若手だった方もいますが豪華です。笑


あと、作画が思っていた以上に安定してるなと思ったら制作会社がユーフォーテーブルだったとは…


■ ラジオみたいな見方?

今作は一話完結型で、一話内も大半がA・Bパートと実質二話構成でした。

正直、何話も連続でみるような作品ではなかった(1話で腹八分目感。笑)けれども

"なんとなーく観て、ププっと笑ってリフレッシュ"

そんな、何かの片手間や空いた時間にフラッと聴くラジオ感がありました

但し、深夜ラジオ枠ですが…笑


あと、根谷美智子さんが演じる「ろ組」頭領の泉さんも登場回数が多くないわりに魅力的でしたね

これは2014年話題になった?騒ついた?作品「クロスアンジュ」で
同じく根谷美智子さんが演じたゾーラ姉様と通じるところがありますw


らき☆すたやらキルミーベイベーやら日常やらなどと同様、

中毒性高いぜこれ…笑


見終わってまず思ったことは「やっぱ杉田智和いいセンスしてるぜ!」でした。笑

投稿 : 2024/09/07
♥ : 3

65.1 24 ufotableアニメランキング24位
魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(アニメ映画)

2013年12月28日
★★★★☆ 3.8 (116)
739人が棚に入れました
その時代その国には、魔法や呪いをかけたり解いたりすることを生業とする 人々がいました。その時代の魔の国。樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を日々解決していました。そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています。それは、22 人が住む魔の国にはないはずの、現代的な高層マンションだったのです!さっそく調査にあたるヨヨさん。建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、不思議な光に包まれて……。ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、自宅へ逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは……何と“化物”になってしまった両親の姿でした!目の前の出来事が信じられない孝洋たち。そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。「これは……呪い!!」異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!!かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの不思議な冒険が始まるのです!!!!

声優・キャラクター
諸星すみれ、加隈亜衣、沢城みゆき、櫻井孝宏、佐々木りお、子安武人、中川翔子、長克巳、本田貴子、氷上恭子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ほいっ!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいの子供向けの魔女っこファンタジー。
 生と死を軸として信じる心を問う作品、ってところですかね。あまり有名ではない作品のような気がしますが、もっと評価されていい作品だと思います。大人でも感動できる秀作に仕上がっていました。


もう少し子供への配慮を:{netabare}
 魔法の触媒の影響で魔の国に異変が起こる、というオープニングテーマ直後のシーンなんですけど、こんな感じで描かれていました。「触媒をまじまじと見る」→「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」→「会話」→「異変が起きる」
 この流れがちょっと不親切に感じました。触媒が光ったことが原因で異変が起きるんですけど、会話の当事者の誰もが触媒の光に気付かないんです。会話に気を取られたとはいえ、目の前に置いた触媒は露骨に光りますからね。何で誰も気付かないの?と違和感を感じてしまいました。

 普通こういうシーンでは、触媒を少し離れたところに置くとか全員が触媒から目をそらすカットを入れるとか、「登場人物は触媒を見ていないから、その光に気付いていませんよ」っていう説明をきっちり入れると思います。これによって「登場人物は知らないけど、視聴者は手掛かりを持ってるよ」という両者の情報ギャップが生まれます。

 この情報ギャップって、この作品に限らずかなり大事なものだと思います。視聴者は物語の概観が分かりませんから、どこを手掛かりにストーリーを追えばいいのかも分かりません。そこで、視聴者と登場人物の間に情報ギャップを生じさせることで、視聴者に「登場人物がいつそれに気付くのか?」という指針を与え、ストーリーの展開を予測させるのです。
 第一話が見終わっても、この作品は何をしたいの?なんて疑問が生まれてしまう作品は往々にしてありますが、その多くはこの「視聴者に予測させる」って視点が欠けているからなんだと思います。

 こういう情報ギャップって、ごく普通に使われているためにほとんど意識することはないと思います。例えば、名探偵コナンなら「犯人側の動きを見せる」だし、エヴァなら「ゼーレの会話を入れる」だし、戦争ものなら「敵国の動きを見せる」って感じですね。たったこれだけで「主人公たちは知らないけど、私たちは知っている」情報が生まれます。私たちが知っている情報に対して主人公がどう向かっていくのか、すなわち、どのように情報ギャップが埋まるのかっていうのがストーリーの理解に役立っているってことですね。

 で、この作品では出来てないって話ではありません。仕事の依頼人の顔が視聴者にはしばらく分からないんですけど、これも情報ギャップとして機能しています。「登場人物たちは知っているけど、私たちは知らない」っていう前掲の逆パターンで、「私たちがいつ知ることが出来るのか?」をフラグとして機能させるものです。つまり、私が言いたいのは「出来てない」ではなくて、「子供向けとしては不親切だ」って話です。
 触媒が光った後に会話のシーンがあるので、会話に気を取られて触媒を見ていなかったんだな、という理解は可能なんですけど、理解に労力を使ってしまうせいで予測が不十分になってしまいます。もちろん大人は理解した上で予測も出来ると思いますが、子供には理解するのが精いっぱいかも知れないな、とも感じました。子供に順序良く説明するって姿勢がやや欠けている気がしたってことです。子供向けの映画を作るのなら「大人が分かる」レベルではなくて、「子供にも分かりやすく」って意識の方が重要だと思います。
 これは単なる一例に過ぎませんが、信じる心が大事っていうメインテーマもちょっと分かりづらかった気がしました。
{/netabare}

話の進め方はかなり上手い:{netabare}
 上記の話っていうのは、正直言っていちゃもんレベルです。平たく言うと「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」の間にある「目をそらす」っていうのをもっと子供に分かりやすくしろってだけの話ですからね。大人向けの作品ならあの描き方で十分ですし、あのシーンのみをもって作品の質がどうこうって話でもありません。
 ただ、平尾隆之監督の作品を見るのはこれが初めてでしたので、こちらとしてはどんな監督なのか探ろうと細部まで目を凝らしますし、子供向け作品に必要な子供への配慮のところは優先的な確認事項になりますからね。


 じゃあ、この監督の話の作り方がヘタなのかって言うと、そんなことはありません。大きな流れも小さな流れも、話の進め方自体は非常に上手い監督だなと思いました。

 魔の国からこっちの世界に飛んで来て、「違う世界に来ちゃった!」と気付くシーンがあります。
 多くの作品では、飛んで来た直後にパノラマで別世界の景色を見せて「違う!」とやってしまう気がします。飛んで来たタイミングと気付くタイミングを一致させるのです。

 この作品ではちょっと凝ってて、「子供たちを追ってこっちの世界にやってくる」→「消火器を魔法のホウキ代わりにして追いかける」→「追いついた後に家の中で会話する」→「消火器に掛けてた魔法が解けて、部屋中に煙が充満する」→「『窓開けろ!』から外の景色を見て『違う世界に来てる!』」てな感じになっています。
 ここでの「子供たち」っていうのが主人公ではない主要人物なんですけど、主人公と主要人物の出会いのシーンと異世界に来たことに気付くシーンが、ぶつ切りにされずに綺麗につなげられています。オープニングではこれでもかとホウキで空を飛ぶシーンが描かれていますし、そこからもつながりを感じられます。
 また、このシーンからは、主人公の性格も分かりますよね。状況確認を優先する冷静沈着型ではなくて、考えるよりまず行動するタイプだったのが伝わってきます。話をスムーズにつなぐだけでなく性格付けまでしているわけですから、素直に話を作るのが上手い監督だなぁと思えました。

 小さな話の流れだけじゃなくて、大きな話の流れも上手かったですね。魔の国の死生観とこっちの世界の死生観が違うっていうのが、テーマ的にもストーリー的にも重要な要素になっているんですけど、ここも段階を踏んで綺麗に作られていました。
 主人公のヨヨが交通事故から小さな子を助けた後に、そのお母さんから感謝されるシーンがあって、このときヨヨは「なんで感謝されるのか分からない」と言っていました。こっちとしては感謝して当然の場面ですから、そんな感想を持ってしまうヨヨの方が分からない、というしこりが残ります。
 この後の魔の国のシーンで、いとも簡単に死者蘇生がなされます。そのため、「魔の国では死が重たくないんだ」という解答を得ることができて、件のしこりが解消されることになります。この後の展開は、こっちの世界での死に触れて、生に触れて、そして…って感じに流れますが、ネタバレが過ぎるのでここまでにしておきます。
 まず疑問を持たせて、次にそれを解消して、疑問が溶けているのに「この後どうなっていくの?」と感じさせるこの展開の仕方はお見事でした。
{/netabare}

山場がちょっと弱い:{netabare}
 これ100分くらいの作品なんですけど、最終局面に入ってからが40分くらいあります。感動を作るスローテンポな部分も含まれていて、それ自体は非常に良いんですけど、全体としては冗長な感じを受けました。
 子供向け作品には終盤のアクション要素って大事だと思います。子供の集中力ってそんなに長くは続かないですから、子供に気を引かせるための派手なアクションは欠かせません。大人ですら冗長な感じを受けたのなら、子供には尚のこと退屈だったかもしれません。

 で、この作品のアクションは序盤から空を飛びまくっているのもあって、結構派手で楽しいです。でも、ずっと同じ派手さではメリハリが無くなって息切れしてしまうっていうのもありますよね。しかも、終盤のアクションはビルをよじ登るっていう地味なシーンに尺が取られていますし、感動シーンはスローテンポだっていうのもあってかなり失速してしまったような気がします。

 個人的には、あのロボットにもっと活躍してもらうか、歌のシーンを入れて欲しかったです。
 ロボットの活躍はちょっと地味でしたよね。もっと街を破壊してもいいのではないでしょうか。子供向け作品とはいっても遠慮はいらないと思います。ポケモンでもドラえもんでも、人的被害の無い破壊シーンは結構派手にやってますからね。
 それか歌ですね。序盤の歌のシーンは、かわいくて楽しくてすごく良かったです。魔女っこもので序盤に歌を入れたのなら、最後の締めも歌で盛り上げちゃえばいいんじゃないの?と思いました。あれだけ楽しませられるのに序盤だけってのももったいないですからね。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 平尾隆之監督って本作が監督デビューではなくて、「空の境界 矛盾螺旋」っていう作品を撮っているみたいですね。私は見ていないので分かりませんが、タイトルから察するに子供向け作品ではないと思います。平尾隆之監督が今後も子供向け作品を続けるかどうかは分かりませんが、小学生以下の子供をターゲットにした作品を撮るつもりなら、もっと分かりやすさを意識して欲しいかなぁなんて思います。

 なんか文句ばっかり書いているように思われるかもしれませんけど、決して文句が言いたいわけではありません。冒頭でも述べましたが、作品全体は良いものに仕上がっていますし、私は結構楽しめました。子供向け作品にはそれなりの気の使い方をすべきだっていう私の個人的な思いを述べているだけですからね。大人向け作品は相当良いものが作れそうだな、と思ったのは事実なので、次は続き物じゃない大人向け映画を見せて欲しいかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高!最高!!最高!!!老若男女問わずして、この映画の魔法にかかって存分に癒されて下さい!\(^ω^)/ホイ!(^人^)

原作はイラストレーターの「ひらりん」がCOMICリュウに連載していた漫画『のろい屋しまい』
漫画自体は割りと殺伐とした絵柄と内容なのですが、この『のろい屋シリーズ』は連載終了後も派生作品が作り続けられ、【絵本や児童文学】といった非常に多岐に渡る展開を見せており、コアな漫画ファンのみぞが知るところならぬ多くの世代から支持される作品なのです










この物語の主人公は幼い姿をしながらも絵本級大魔法使いと謳われ、底なしの魔力を持ち、33歳で世界を征服するであろうといわれる“ヨヨさん”
そしてヨヨさんが好きで好きで堪らない努力家の最優秀お手本級魔法使いの“ネネちゃん”
二人は姉妹で「かけます ときます のろい屋」をキャッチコピーに魔法や呪いが現実に存在する『魔の国』で『のろい屋』と呼ばれる職業を営んでいます


ある日のこと、魔の国に突如として高層マンションを抱え込んだ大木が姿を現し、それを調査していたヨヨさんはエレベーターに閉じ込められ、そのまま現代社会の日本、横浜へと転移させられてしまいます
ヨヨさんが現代社会で最初に出会った少年“孝洋”と幼い女の子“亜紀”の家族に起こった呪いと思われる不思議な事件を解決すべく、ヨヨさんはのろい屋として仕事を引き受けます
一方のネネちゃんはなぜ魔の国に現代社会の建造物が現れたのか?ヨヨさんが元の世界に戻る方法はあるのか?、を魔の国の側から調べていきます
二つの世界に裂かれた姉妹の絆、やがて明かされていく事件の真相のスケール感
老若男女ヒトを選ばない魅力は“いま最もジブリに近い作品”と言えるでしょう
前半は笑いが、後半は涙が止まらない、そして最後は癒される、一大エンターティメント作となっています^^b










まず魅力的な原作をあえてスルーし、本当の意味で子供も大人も関係なく楽しめるように練りこまれたオリジナルストーリーが素晴らしい
特にサムネイルを拝見していただくとわかるよう、異世界に渡ってしまったヨヨさんの体を彼女の精神年齢を具現化したような中学生ぐらいに設定したことはナイスです


また、始めは異世界の出来事に興味を示さなかったヨヨさんの心境変化の描き方
クライマックスで絶体絶命の危機に立ち向かうヨヨさんのひた向きな姿勢もアツいみどころです


ヨヨさんを心配するネネちゃんとの姉妹の絆は涙を誘う場面でありますが、この辺りは原作を読んでいるとネネちゃんがヨヨさんを溺愛するワケなんかも解って感動倍増しますよ



監督には『矛盾螺旋』『ギョ。』『桜の温度』の平尾隆之
これまでの監督の作品は画面のほとんどが一色の色で統一されていました
矛盾螺旋では小川マンションの電灯の色で“オレンジ”
桜の温度では廃屋に振る月明かりで“ブルー”といった具合です
対して今作では森林の木々一つとってもピンクやライトブルーを豊かに織り交ぜた色彩で魔の国の姿を描いているのが興味深いところ
尚且つこれが“温かみのある色”で目にドぎつい感じにはなっていないのがイイ!


音楽には『ゴッドイーター』の以降の平尾作品の常連、椎名豪
今作では電子音、クルマのエンジン音、時計の音など効果音を楽曲の中に組み込む実験的な挑戦をしつつ
ディズニーよろしくミュージカル風に歌い出すヨヨさんが楽しげに歌う挿入歌から
そして物語後半を盛り上げる厚みのあるオーケストラやスピリチュアル風のコーラスまで
いや、盛り上げるというよりかヨヨさんの悲しみや憤りのスケール感を演出するのに一役買ってるんですよね、凄いんですよ
よく聞けば挿入歌こそが今作のメインテーマであり、BGMのほぼ全てのメロディラインが挿入歌に集約されてることに気付きます


キャストの熱演も素晴らしく、みゆきち、しょこたん、本田貴子さんは言うに及ばず、特にヨヨさん役の諸星すみれちゃんが目(耳)を引きます
この近年成長が著しい“天才”の起用は実にナイスセンスでしたb
2013年はシュガーラッシュといいコレといい、個人的にはすみれちゃんイヤーでしたわぁ・・・


兎にも角にもこの作品の全部を諸手を挙げて絶賛したいんです!\(^ω^)/
監督も大人向けに作ったつもりは無かったというものの、“アニメの面白さ”や“魔法への憧れ”といった原初的体験を思い起こさせる今作は、それらを忘れてしまったオトナの心にも響くんだと感じましたよ!
2013年における【ベスト映画】でした!間違いねー!

投稿 : 2024/09/07
♥ : 40

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

かけます! ときます! のろい屋しまい!

この作品の原作は未読ですが、完全オリジナルストーリーだったみたいですね。
すみれちゃん、くまちゃん、みゆきちが出演されているのを知り、視聴が楽しみになった作品です。


その時代その国には…
魔法や呪いをかけたり解いたりすることを
生業とする人々がいました。

その時代の魔の国。
樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。

のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、
魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を
日々解決していました。

そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。
よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています…
それは、2人が住む魔の国にはないはずの、
現代的な高層マンションだったのです!

早速調査にあたるヨヨさん。
建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、
今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、
不思議な光に包まれて…。

ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。
そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。
孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、
自宅に逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは…
何と"化物"になってしまった両親の姿でした。
目の前の出来事が信じられない孝洋たち。
そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。
「これは……呪い!?」

異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、
まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。
一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で
起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。
魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!?
かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの
不思議な冒険が始まるのです!!


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

少しボリュームのあるSTORYですが、この作品のポイントを的確にとらえていると思います。
主人公のネネちゃんは、元気いっぱいの女の子…すみれちゃんの声質も生き生きとしたキャラに彩りを与えています。。
何でも絵本級の大魔法使いなんだとか…

くまちゃん演じる妹のネネちゃんは、最優秀お手本級魔法使い…
姉のヨヨは無尽蔵な魔力の持ち主ですが、ネネちゃんは生まれつき魔力は多くありませんでした。
でも、努力家で魔法中学校を首席で卒業する頑張り屋さんなんです。

ネネとヨヨはとっても仲良しで、お互い思い合っているのが手に取るように分かるところも心地よかったですし高評価です。

ヨヨが飛ばされた異世界は、現代の日本みたいな感じ…
だから魔の国とは見た目からして大きく違うのですが、違いは見た目だけじゃなかったんです。
それは魔法使いの根幹にも関わる禁則事項…

全年齢対象の骨太ファンタジーなので、勧善懲悪的な展開は微塵もありません。
そう、最初は良かれと思って…それが人の役に立つから…幸せをおすそ分けしたいから…
きっとこれ以上の純粋な気持ちなんて無いくらいの場所がスタート地点なんです。
だけど、際限無い人間強欲が純粋な気持ちを汚していくんです。
そしてそれは気持ちから形へと姿を変え、きっちり本人に還元される…
所謂、この世の理というヤツでしょうか。
でもそれを不条理だと感じる人間を守るため全力で抗うのがヨヨさん…なんですよね。

一方、ヨヨだって万能ではありません。
それが在り方から異なる異世界ならなおのこと…
だからヨヨにとって今回の冒険は、貴重な体験になったことと思います。
命の尊さ…温かな心遣い…自分より他人を優先する心…
どれも魔の国じゃ体験できなかったことなのではないでしょうか。

アニメーション制作はufotableさん…
作画もしっかりうごいていましたし、本作品でも良い仕事してくれていますよ。

上映時間約100分程度の物語でした。
掛け値なしに面白い作品だと思います。
あにこれでの人気は決して高くはありませんが、もう少し評価されても良い作品なんじゃないかと思いました。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 14

65.0 25 ufotableアニメランキング25位
活撃 刀剣乱舞(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (148)
636人が棚に入れました
審神者により宿された付喪神――刀剣男士。
和泉守兼定は、歴史を改変すべく現れる時間遡行軍からとある積荷を奪取するため、初陣の堀川国広とともに幕末の世に出陣する。
辛くも任務を成し遂げた二振りに下されたのは、新たな指令。『文久三年のとある城下町に、新たな時間遡行軍現る』と。
わずかな情報を頼りに、現れる遡行軍を迎え撃つ和泉守と堀川。しかし数で勝る遡行軍には二振りだけでは太刀打ちできず、窮地に陥ってしまう。そんな二振りの前に現れたのは、彼らの主“審神者”だった。

声優・キャラクター
木村良平、濱健人、榎木淳弥、山下誠一郎、櫻井トオル、斉藤壮馬、皆川純子、永塚拓馬
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

もう、映画じゃん!

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
活劇(立ち回りなど動きの激しい場面を中心とした映画・演劇。アクションドラマ)と銘打つだけあり、内容的には、前作(花丸)の日常系からガラッと作風を変え、シリアス&バトルになりました。

内容(ストーリー)も悪くないですが、とにかく素晴らしい作画を観るだけでも価値があるアニメだと思います。特にバトルと背景は、ホントに綺麗です。

原作未プレイ&花丸(前作)視聴済み


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
刀(物)としての矜持や責任感と、人(刀剣男子)としての自由や、やりがいの中での葛藤。今の主(歴史を守る任務)と前の主と(坂本龍馬や土方歳三などを歴史をねじ曲げてでも救いたいと思う)の狭間で悩む葛藤を描くのが本筋の物語だと思います。

また、前作(花丸)との違いは、「前の主(歴史上の持ち主)」の性質や関係性を大きく持ち込んでいることですね(花丸でも多少はあったけど)。例えば、「和泉守兼定(土方歳三)」と「陸奥守吉行(坂本龍馬)」の対立なんか分かりやすいです。刀剣男子自身ではなく、「前の主(新選組)」をバカにされたことで激怒する兼定など、熱かったです。

前作は日常系ゆえに登場人物を増やし、ファンサービス&販促を狙った感じでしたが、本作はストーリー重視のために、かなりキャラを搾っていましたね。基本ですが大事なことです。

歴史的な解説も、かなり詳しくなりました。坂本龍馬の逃げる経路や細かいエピソードなど(歴史に疎いので、史実かは知りませんが)、楽しく観られました。

あと、Wikipedia程度の情報ですが、土方歳三が死の間際、少年兵に渡したのは写真と毛髪であり、刀(兼定)という情報はないみたいですね。現存する兼定も、土方が持っていた物とは長さが違うらしく、その出所は謎なのだとか。だから、土方歳三の最後を、国広だけが見ていて兼定は見ていないというのは(かなり重要なエピソードだけど)、アニメスタッフの創作になるのかな? 私は歴史に疎いので良くも分かりませんが、きっと歴史好きな方なら、こういう僅かな違いとかも楽しめるんでしょうね♪

これは不満というほどのことではないのですが、最大公約数的には人気があるので、幕末や戦国時代をメインに据えるのは理解できるのですが、やはり見飽きた感はあるので、どうせなら南北朝時代とか、あまりアニメで扱われないあたりを観たいな~と思ったり。

さて、この作品、なんか一部の人にスッゴい批評されてますね。原作レイプ? と言われても、私は原作をやってないし、特段、本シリーズに深い思い入れがあるわけではないから分かりません。

でもまあ確かに、(勿論許可はとっているだろうけど)ずっと謎だった「主」を1話目からサラッと出したのはやりすぎだったかな? とは思いました。「主」は、いわばプレイヤー自身だと解釈していますが、それを具現化されると怒る人もいるのでしょう。私も基本は「RPGの主人公は喋らない」方が好きですし(自分を投影できるから)。

原作好きな方が怒るのであれば、原作付きアニメとしては、確かに良くはないですよね。

とはいえ、やっぱり高クオリティのアニメであることは否定できないと思います。少なくとも作画は。

個人的に不満があるのはOPかな。折角、シリアスで格好良い作風なんだから、ああいうアイドルソング的な感じではなく、もっと和風だったり、格好良い感じの曲の方が良かったな~と思いました。
{/netabare}

【余談1 ~剣道部的、刀の用法について~】
{netabare}
バトルの作画は前作に比べて格段に良くなったが、刀の用法としては、少し雑だった印象。例えば、刀を刀で(キン、キンって)払うとか、実際はほとんどやらないしね。折れるし、刃こぼれするし。

例えば、剣道の段審査で行う「日本剣道形」は、各古武術の流派(つまり日本刀古来の使い方)からきているが、七種類あるうち、刀と刀が接触するのは、三本目(突き返し突き)、四本目(突き返し面)、五本目(面擦り上げ面)、六本目(小手擦り上げ面)の四種類。その中に刀を刀で払う動作、例えば切り落としや応じ返しという動作は一切含まれない。四種類全て、「鎬(しのぎ)」という、刀の上部(峰と腹の間)で刀を擦るようにして、相手の刀の軌道を変える(そらす、受け流す)動作になる。残りの三種類は抜き技なので、相手の攻撃をかわして攻撃する動作だ。

ここからも分かるように、刀は基本的に、相手の攻撃を弾いたり受け止めたりしするようには作られていない。そういう「打ち合う」動作は、竹刀が開発され、剣道という競技になってから生まれている。

真剣での勝負の防御は、基本的に「避ける」か「そらす」。刀を大切にしているアニメだけに、そこまでリアルに作画出来れば、剣道部的には更に満足だった。まあ、それやると迫力には欠けるけど。

というのは、難癖ですよw 本当は書かなくて良かったんだけど、剣道部、という名前を使っている以上、キャラ付けの為にもなんか書かなければと思い、無理矢理、重箱の隅をつついてみました(笑)
{/netabare}

【余談2 ~ 作品の成分に個人的には違和感が ~】
{netabare}
……にしてもアニメ成分に作為的なものを感じるのは、私だけでしょうか……。マイナス要因が多すぎるし、それぞれの成分にほぼ同数の票が入っている不自然さ。(&少しでもポジティブな成分入れると、即座に-連打されて消されるって……)。

てか、原作改悪はまあ(本人の捉え方だし、主観の要素が強いから)あっても良いとして、「作画悪い」って、この作品で作画が悪いと言われたら、世の中の大半のアニメはクソ作画ということになるとは思うけど……。

作品に対しての賛否は自由。絶賛も酷評も好きにやって良いと思ってます。本作が気にくわないなら、ガンガン叩いても良いと思います。

でも、「一人一票」ってのは大切だと思うんだよな……。

(勿論、これが完全に私の邪推で、本当に多くの方が批判しているのなら、何の問題もなく、正当な行為だと思います。何が正しい(真実)かなんて分からないから、結局は各々の判断ですかね)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
まず、作画がヤバイ。劇場版やん。前作(花丸)とはガラッと作風を変えてきたね。人助けするなと言って人助けする兼定が良いね。え~! 「主」出して良いのかな? 蜻蛉切り、メジャーどこが来たね~。

2話目
持ち主やら由来やら、丁寧に説明するのは、華丸になかった特徴ですね。

3話目
ピンチからの増援。ワルくはない。実に王道だ。

4話目
なんなもう、映画だな、完全に。蜻蛉切り、折れはしないだろうけど、かなりシリアスな展開。

5話目
シリアス継続。いよいよ本丸に。

6話目
へ~、2205年の設定なんだ。全体を守れても、個の犠牲を悩む、良いシーンでしたね。

7話目
三日月、強いな~。第一部隊、一軍って扱いなん?

8話目
ちょっと良い話。なんか、前作(花丸)みたいでしたね♪

9話目
前の主のことを嬉しそうに語る刀剣男子、良いね♪ ちょっと腐のかほりはするけどw

10話目
いや、煙の描写とか凄いだろ、これTVアニメだぞw 幕末は盛り上がりますな~。蜻蛉切りがあれだけ苦戦した大太刀を、わりとアッサリ。

11話目
背景からキャラが浮いている感じは、ある意味ゲームっぽいので、これはこれでアリかな。なるほど、土方歳三以上に、土方歳三を本当は助けたい兼定の為に動くのか。

12話目
いや、本当に良いのか? 微妙に歴史変わらないか? 1000って、ムリゲーじゃね?

13話目
背景は、本当にキレイだな。人の動きはちょい変だけど、それは贅沢言い過ぎか。ラストのバトルは単純に熱かった。にしても、やっぱり千体は無理だったんじゃ? 100で良かったんじゃないかとw
{/netabare}

投稿 : 2024/09/07
♥ : 13

瀬名 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

刀剣乱舞が好きな人には良い

花丸のほんわか日常系とは違い、戦闘&シリアスな展開をメインにしたバージョンですね。

一応書いておきますが、登場人物の背景はこんな感じ。

和泉守兼定→土方歳三の愛刀
堀川国広 →同じく土方歳三の愛刀。和泉守兼定の相棒的立ち位置。
陸奥守吉行→坂本龍馬の愛刀
蜻蛉切  →本多忠勝の槍。天下三名槍の一振り
薬研藤四郎→織田信長の短刀(でもこの設定は出てこない)
鶴丸国永 →平安時代からある太刀。伊達家との縁が深め

ちょっと出てくる登場人物

三日月宗近→平安時代に作られた太刀。天下五剣の一つでもっとも美しいとされる
大典太光世→同じく天下五剣の一つ。
髭切   →源氏の重宝。
膝丸   →同じく源氏の重宝。
骨喰藤四郎→足利尊氏に献上されたり、豊臣へ献上されたりした刀。元は大薙刀の脇差。

こういった刀が出てくるので、歴史上の人物に興味があるなら試し見して観るのは良いかと思います。

ゲームの刀剣乱舞自体では、刀剣たちの物語に関する掘り下げはほぼないので、というかボイス自体が少ないので、ファンにとっては格好良い殺陣が見られて喋ってくれるだけで喜ばしいかと思います。

作画はufotable。fate/zeroなどを製作したところなので、作画に対する期待値は高かったかと思います。
実際、良かったです。
序盤なんて映画っぽく観えるほど手が込んでいた気がする。
戦闘時の躍動感も格好良かったし。
爆撃とか海とか、なんかリアルすぎて、アニメ作画の人物が浮くほどでした。
そこはなんか、バランス面でもっとアニメっぽくして良かったのではとは思うけれど。

肝心の物語ですが、まぁ基本はゲーム刀剣乱舞をプレイした人が観ること前提なのでしょうね。
初見にとっては、まず設定についていくのが大変かと。
正直、ゲームをやっていても理解しきれない設定とかはあるので、初見はさらに「?」という部分があるかと思います。

アニメなどでは、基本的に敵側には黒幕やらボスやらの存在が背景にあるのがお決まりですが、これに関しては時間遡行軍ってなんぞや?って感じですしね。
黒幕とかそもそもいないし。
妖っぽい、どんな思想や理念を持っているかもよくわからない時間遡行軍という名の敵が絶え間なく淡々と出続けるのみ。

そういった曖昧な設定が根本なので、わかりやすい敵設定がないんですよね。
なので、他の作品らとは根本的な物語背景が異なり、わかりにくさや感情移入のしずらさはあると思います。
もう、そういうものなんだと割り切るしかないw

ただ、今回のメイン出演キャラが新撰組や坂本龍馬の刀だったということもあり、物語的には初見でも入り込めるように工夫されていた感はあります。

刀の擬人化の話で、主と刀の関係性を見せてくる場面は感動しました。
坂本龍馬を思う陸奥守吉行のストーリーはとても良かった。
この話が一番初見でもわかりやすかったのではと思います。

それ以降はずっと新撰組ターンでしたね。
堀川国広が不穏な動きをする流れは、正直観ているのがしんどかったです。
ゲームをプレイしているファンからすれば、裏切り行為を働きそう…という不穏なキャラが出てくること自体、嫌なんですよ…。

でも、そこを自分の為にではなく、相棒の和泉守兼定のためだったという理由だったというところで救われます。

なので、刀剣乱舞を知っている視聴者としては、十分に楽しめる内容ではありました。
ただ、OPとかで本能寺の火の中にいる薬研とか出てきていたのに、本編では少しも触れず、織田信長が元主だったということさえ伏せられていたので、謎でした。
なら普通の戦闘シーンを挟んでおけば良かったのでは?と。

映画化が決まっているそうなので、その辺で触れるのでしょうか?
うーん、謎w

今回は第一部隊と第二部隊の12人しかほとんど出てこず、キャストを絞りに絞ったのは良い選択だったと思います。


音楽の部分では、何だかすごいufotable〜って感じが個人的にしましたw
でも良かったです。


と、個人的な評価は高い活撃刀剣乱舞。
ただ、初見の人がどう思うかは本当にわかりません。
刀が好きであれば、結構楽しめるのかもしれないし、擬人化と世界観の設定についていけずに意味不明で終わるのかもしれない。

そして、2話〜5話くらいまでの印象が正直とても薄い。
初見を引き込める内容を意識したのだろうか?と思うほど、初見バイバイな気がしました。

序盤こそもっと見応えのある内容にした方が良かったような気がしますね。
坂本龍馬が関わってくる話が良かっただけにもったいない。

よくわからないうちに物語はトントン進んでいき、置いてけぼりを食うような感覚。
刀剣乱舞を知っている人ならばついていけますが、初見はまずこの辺りで観るのをやめるのではないでしょうか。

なので、こんなダラダラと書きましたが、初見向きではなく、刀剣乱舞ファンならば観ると楽しいアニメだと思います。

イケメンがたくさん出てきて声優も豪華というビジュアル面で言えば、初見でも楽しめるのかも。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 1

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ufotableが贈る剣劇活劇譚、開幕。

この作品の原作ゲームは未プレイですが、2016年の秋アニメで放送された「刀剣乱舞-花丸-」は視聴済です。
でもこの作品は前作との物語上の繋がりは無いので、この作品から視聴しても十分に堪能できると思います。

ですがこのシリーズは刀剣を擬人化した作品…刀剣は常に主の懐にその身を置き、主の危機から身を挺して守り抜く存在…
だから戦闘時における激しい主の息遣いも、時には目を覆いたくなるような惨状ですら受け入れざるを得なかった…
そんな自らの忠義を尽くす存在が最も身近で、常日頃からその温もりを感じているが故に背負ってしまう悲しくも儚い刀剣の運命をしっかり堪能したい方は、是非前期の視聴もお勧めします。

戦国の世を渡り歩いてきた刀剣たちの今度の敵は、時間を遡り歴史に介入して史実の改変を試みる時間遡行軍…
そして今回時間遡行軍の歴史改変のターゲットは、徳川15代の歴史が激しく揺れ動いた幕末…

刀剣たちに課せられた使命は「歴史を守る事」
そんな時間遡行軍から歴史の改変を阻止するために派遣された刀剣部隊は、新撰組の土方歳三の愛刀とされる和泉守兼定と堀川国広
坂本龍馬の愛刀として知られる陸奥守吉行
「切れ味は抜群だが主人の腹は切らない」言い伝えが残る薬研藤四郎
本多忠勝が愛用した事で知られる天下三名槍である蜻蛉切
平安時代の刀工、五条国永の作である鶴丸国永の6振りからなる混成部隊…

物語が始まって直ぐに感じられるのは、主に対する刀剣たちの思いです。
楽しい思い出…ばかりじゃありません。
むしろ辛く悲しい…無念の思いの方が強かったのではないでしょうか。
それでもどれだけ時を重ねても主への忠義は薄れるどころか増すばかり…

私たちは刀剣ではありません。
ですが、大切な人への思いを貫く気持ちを持ち合わせているのはお互い様…
だから主に対する思いは嫌というほど伝わってくるのです。

何故物語の時代は幕末なんだろう…
でもその答えは痛みと涙に直結している事が直ぐに分かりました。

おかしいじゃありませんか…
そもそも土方歳三と坂本龍馬の愛刀がどうして同じ舞台に配属されているのか…
土方歳三は攘夷派で、坂本龍馬は開国派で思想が真逆なんです。
永遠に交われない人同士が一緒にいても、きっと報われないと思います。
そしてそれは当人だけではありません…当人を慕う人もまた然りなんです。

だから思います。
幕末から明治にかけて多くの血が流れました。
本当に私たちの先輩の辿り着いた答えはその一つしか無かったのでしょうか…?
若しくはどうしてもう少し欠けたピースを集める事ができなかったのか…?
例えば白虎隊…本当に会津の城が炎上していたのか、確認できなかったのでしょうか。
もし手前の城下町が炎上していただけ、と知る事ができたなら、飯盛山で19人もの若い命の華を散らす必要も無かったのに…

史実に忠実であり続けること…
時にはそれが残酷なほど厳しく、身を焦がすほど苦しいこと…
和泉守兼定率いる第2部隊が何を見て何を感じたのか…
そして第2部隊に課せられた天命や如何に…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

ufotableさんらしさである躍動感が半端ない作画に後押しされたこの作品…
視聴するまではただの女子向け作品だとばかり思っていましたが、それは大きな勘違いでした。
男性が視聴しても十分に感動できる作品だと思います。

オープニングテーマは、斉藤壮馬さんの「ヒカリ断ツ雨」
エンディングテーマは、Kalafinaさんの「百火撩乱」
Kalafinaさんの曲…相変わらず素晴らし過ぎです。

1クール13話の物語でした。
幕末での第2部隊の役目はひと段落しましたが、直ぐに次の任務が言い渡されていました。
そう…第2部隊のこれからの活躍は劇場版で見る事ができるそうです。
今後の続報が楽しみです。

投稿 : 2024/09/07
♥ : 5
12
ページの先頭へ