sfで漫画原作なおすすめアニメランキング 33

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早速見ていきましょう!

74.9 1 sfで漫画原作なアニメランキング1位
天国大魔境(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (251)
858人が棚に入れました
2024年、世界は崩壊した― 未曾有の大災害から15年。 廃墟となった日本の地には“人食い”と呼ばれる異形の化け物が巣食い、人々は細々と身を寄せ合って生きていた。 東京・中野で便利屋を営むキルコは、とある女性から謎の依頼を受ける。 『この子を“天国”に連れて行って―』 そう言い残し息を引き取った彼女に託された少年、マル。 彼は「“天国”には俺と同じ顔をしたやつがいるらしい」と言うが、それ以上のことは何も知らないという。 果たして“天国”とは何処なのか? そこに辿り着いたとき、一体何が起きるのか・・・? マルとキルコの『天国探し』の旅が今、幕を開けるー!
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【最終】神がかった伏線回収等レベルの高い作品でしたが・・・終盤の視聴者置いてけぼり感がハンパない

【レビューNo.69】((最終レビュー)初回登録:2023/6/25)
コミック原作で2023年作品。全13話。
朝早く目覚めすぎたので、前日タイトル切りしていた本作を試しに視聴したら、一発で
目が覚めましたw

(ストーリー)
2024年、世界は崩壊した— 未曾有の大災害から15年。 廃墟となった日本の地には“人食い”
と呼ばれる異形の化け物が巣食い、人々は細々と身を寄せ合って生きていた。 東京・中野で
便利屋を営むキルコは、とある女性から謎の依頼を受ける。
『この子を“天国”に連れて行って—』そう言い残し息を引き取った彼女に託された少年マル。
彼は「“天国”には俺と同じ顔をしたやつがいるらしい」と言うが、それ以上のことは何も
知らないという。 果たして“天国”とは何処なのか? そこに辿り着いたとき、一体何が起き
るのか・・・? マルとキルコの『天国探し』の旅が今、幕を開けるー! (作品情報より)

(評 価)
・実はポテンシャルの高い原作?!
 この作品は全くのノーマークだったのですが、「このマンガがすごい!2019」ではオトコ編
 第1位を獲得している評価の高い作品だそうです。しかも原作は「それでも町は廻っている」
 の石黒正数先生。あの「日常系コメディー」を描いてた同氏の「SF作品って?!」
 それだけでも掴みはOKですね。

・第1話:タイトル切りせずによかった!これは大当たりを引いたかも!!
 {netabare}・天国と地獄
  本作は外界から隔離された施設「天国」と“人食い”が存在する外の「地獄」という2つの世界
  から物語が描かれるようです。
  ・天 国
   ・時代的には2024年から15年後の世界ということで、近未来感のある綺麗な施設の中で生徒
    らしき少年少女たちが生活してます。その中の一人「トキオ」のタブレットに「外の外に行
    きたいですか」というメッセージが浮かび上がり・・・(外の世界の存在を知らないよう)
   ・印象としては「約束のネバーランド」を彷彿させますが、でも終わり際にトキオが園長に、
    「外の世界はあるのか?」と問いただすと、園長は「あります」とあっさり認めちゃうんだ
    よな。(正直ズコッとなったw)
    ・でもこの施設に秘密があるのは確かなので、それは一体何なのか?
    ・あのメッセージを流した者がいるということは、何かを画策している者がいるということ
     なので、この存在も気になるところ
  ・地 獄
   ・2024年から放置されたままという状態で、天国と対照的にかなりリアリティがあり、キルコ
    とマルが廃屋で食料を探したりと、終末期も漂う世界が描かれています。
   ・キルコは一応美少女の部類には入ると思うのですが、今っぽい萌えや目を引く美少女という
    感じではなく、少し古め目のキャラデザで、「それ町」の「歩鳥」の面影をどこかに感じる
    ところがありますね。
    (まあこういう世界観で浮かないようなバランスあるルックス)
    それにキャラ的にも「歩鳥」のような、ちょっとガサツでアホッぽさもある親しみを覚える
    感じでマルとの掛け合いも面白かったです。
   ・あとこの世界で細々と生きてるような日常描写が目を引きましたね。乾電池を有り難がったり
    ボロい宿屋で10万以上払って「安すぎない?!」って驚いてたり(インフレ化?! というか
    貨幣がまだ機能してることに逆に驚いたがw)

 ・“人食い”の存在
  ・天国と地獄だけでも物語は十分成立しそうなのに、本作には更に異形の化け物“人食い”が存在
   します。個人的にはちょっと異質なものを感じましたね。しかし登場させる以上、何か重大な
   意味があるのでしょう。そのあたりにも注目したいところ。
   ラストにその禍々しい姿が描かれています。

 天国と地獄という対照的な世界を舞台に、謎めいた要素も多く今後の展開も気になり、キルコやマル
 のキャラにも愛着が持て、期待を煽るには十分な第1話だったと思います。これは来週も楽しみw
 ただ気になるのは、気が早いですがラストですね。原作がまだ連載中で先も長いらしいので、アニ
 オリエンドでない限りはいろいろと積み残しになるでしょうが、その辺りどこまで上手くやってく
 れるのか。キリのいいエピソードや2期決定などいい感じになればいいのですが。
 (これだけ伏線をばら撒いておいて、ほぼ投げっぱなしエンドは勘弁){/netabare}

・第2-4話:ようやくメインストーリーが動き出したか
 {netabare}・説明回の2,3話
  ・人食いの説明
   人食いがどんな風に人を襲うのか、その人食いと戦うキルコとマルの戦闘スタイル等
  ・キルコの過去回
   マルがキルコに告白するも、それを受け入れられないキルコの事情を回想で説明
   以下特大ネタバレ(未視聴の方は見ないことを推奨)
   {netabare}・キルコはカートレースで事故を起こした「姉キリコ」の体に、人食いに襲われ身体を食われた
    「弟ハルキ」の脳を移植した存在だった。(体は女だが人格は男)
    そしてキルコはその手術を行った医者を探している。{/netabare}
  物語の空白部分を埋めていく作業って感じで、本編の進捗がなく少し不満気味でしたが・・・

 ・施設の異常さを一気に種明かししてきた4話
  {netabare}・恋愛や性教育等の教育を全くされていないと思われる描写の生徒たち
  ・「赤ちゃん」と表現された(保育器室で管理されている)謎の生物の存在
  ・「ミーナ」と呼ばれる、学園を管理する人工知能らしき存在
  ・余命わずかなタラオの奇病{/netabare}
  ようやく物語が動き出しましたね。
  そして死が迫ったタラオはトキオに「ここから逃げて」と伝えます。う~ん、何らかの人体実験
  の可能性がありそうですね。

 やはり「天国」はただの「ユートピア」ではなかったと。
 そして保育器室に忍び込んだトキオらが見つかるのを妨害したりと、やはりこの施設には何らかの
 意図もつ者が存在するようですね。
 まだキルコたちが「天国」と交わる気配がないですが、2,3話で足踏みしていた物語がようやく動き
 出した感があるので、まずは一安心次週以降に期待。{/netabare} 

・第5話:いろいろと情報を小出しにしてきたねえ
 {netabare}・地獄側
  ・マルの過去の一部(まだミクラさんとの詳細とは明かされず)
  ・強い心を持っていると思っていたキルコの弱さ
   → 姉がいなくなって、ひとりになることへのトラウマのようなものがありそう
     またそれだけマルとの間に絆のようなものが芽生えているっぽい
  ・不滅教団とその噂
   → そこに医者がいて、人食いの細胞を移植すると死なない体になるらしい
    → 「天国」で行われている(であろう)人体実験と関係あるのか?
  
 ・天国側
  ・トキオの足跡やっぱり見つかっちゃった。(まだ誰の足跡かは特定されていない) 
  ・「精神が耐えかねるような体に生んでしまった」
   「あらゆる免疫を備えて作られたゆえに・・・」
   「お迎えの日だけは変更できない」
   → どうも学園長はお飾り(雇われ)っぽく、国や上位機関の存在を示唆。
     そして人体実験疑惑は真っ黒やんけw
     あと「お迎えの日」とか「約ネバ」っぽいなw
  ・ラストで病死したタラオの体から発見されたモノとは?!
 
 まだ5話ということもあり、今後が気になる上手い情報の出し方だったのでは。
 あとキルコがパニックに陥るとか、こういう描写もキャラにより愛着を持たせ上手かったなと。
 キルトたちの次の目的地は「不滅教団」ですが、ラストの爆弾といい、ちゃんと次週が気になる
 終わり方でしたね。{/netabare} 

・第6話:天国との接触までどう繋ぐのか方向性が見えにくい
 {netabare}・地獄側
  ・人を騙して旅人の荷物を強奪するといった地獄で生きる人間のダークな1面 
   (地図も信ぴょう性があるのか疑わしくなってきた?!) 
  ・いろいろエロエロとコメディ展開
  まだまだ天国と交わる気配がなく、2人の宛所ない旅は続きそう。
 
 ・天国側
  ・保育器室に忍び込んだのが、トキオだとバレる。(足跡が特定される)
  ・性知識のなさそうな、コナとトキオのベッドシーン?!
 
 折り返し地点ですが、文字通り「天国と地獄」で明暗分かれたかなっと。
 ・天国側は
  ・2人のベッドシーン(?)をわざわざCパートにぶっ込んできた
   (>恋愛や性教育等の教育を全くされていないと思われる描写の生徒たち
    (施設側に何らかの思惑があるのか?) 
    と合わせ、なんらかの展開に繋がるのか)
  ・秘密を垣間見たトキオの処遇
  ・まだまだ謎多き施設の種明かし
  等いろいろと伸びしろがありそうなのに対し
 ・地獄側は
  ・マルの過去 →そもそも旅のきっかけとなったミクラさんとの回想
  以外何を描いていくのか、天国との接触までの方向性がちょっと見えないなっと。当初は
  ・人食いとのバトルモノ
  ・地獄で生きることの困難さ
  この辺りを「冒険活劇」的に前面に出してきて、(天国との対比を含め)もっと緊張感のある
  作品になるのかと思っていたら、意外とその辺演出が緩いんですよね。
  「それがこの作品の味」といえば、そうなのかなあって感じもするのですが、何を見せたいの
  かちょっと中途半端感が残ったかなっと。
  前半は面白さはあった半面、地獄側の方向性が見えないもどかしさを感じたという印象ですね。
  次週から後半戦(のはず)ですが、天国との接触までどう繋ぐのかがひとつのポイントとなり
  そうですね。{/netabare}

・第7話:前回の「もどかしさ」の正体がわかったかな
 {netabare}>地獄側の方向性が見えないもどかしさ
  前回上述のように書いたが、その正体がなんとなくわかったかな。 
  → 本作を「SFモノでこの世界の謎を解明していく物語」と捉えた場合、通常は、
    「物語の『内と外』の両面から謎に迫っていく」
    というのがセオリーですが、本作ではそれは「天国側」に丸投げで、SF的な繋がりは
    ・とりあえず天国を目指している
    ・今後語られるであろうミクラさんのこと
    位で「地獄側」は、基本キルコととマルのコミカルな掛け合いを楽しむ別作品になってる感
    が強いんですよね。だから各パートは面白いが作品全体を見ると違和感があり、作品の方向
    性として、「地獄側」はどうしたいんやみたいな。
 
 そういう意味では今回、「不滅教団」と接触できたことで
 ・何故人食いを飼っていたのか?
 ・謎の手術をするらしい宇佐美の正体
 等ようやく「地獄側」にも「この世界の深淵を覗く」展開がきたのか、次週に期待ですね。
 あと今回特に作画が怪しかった印象が。元々2人は石黒正数先生の特徴の「なす顔」っぽさがあった
 のが、今回それがかなり酷かったような。{/netabare}

・第8話:一気に巻き返し!紛うことなき神回!!(6話のエロ展開もまさかの伏線だったwww)
 {netabare}>・何故人食いを飼っていたのか?
 >・謎の手術をするらしい宇佐美の正体 
 >「地獄側」にも「この世界の深淵を覗く」展開がきたのか
 いやー、ここにきて一気に巻き返してきましたねぇー。

 ・不滅教団のルーツ(宇佐美の正体) 
  ※以下かなりのネタバレ入ります。 
  {netabare}・人食いについて
   ・人食いの正体は、死ぬと人食いになる奇病を発症した元人間。
   ・発症部位を切り取れば進行を遅らせられるが、それもイタチごっこ。
    → その成れの果てが切り刻まれ延命装置で生命で維持している彼女。
    → 地下にいた人食いは、人食い化が止められず隔離していたものと推察。
   まだこの奇病がどこから来たのか等不明な点もありますが、天国側のタラオの奇病など、
   あの施設ではこの奇病の謎を解明をしている可能性がありますね。 
  ・不滅教団とは
   ・元々宇佐美と彼女の2人だけで、彼女の延命だけが目的だった。
   ・怪我人に義手を作ってやったりしているうちに、人が集まるようになった。
    (なので自分は医者ではないとのこと)
    → それが外部からは不滅教団と呼ばれるようになった。
  ・宇佐美の願い
   ・マルタッチで彼女を「人のまま」殺してほしいが可能か?
    → 可能
     → 6話のエロ展開で女性のおっ●いを揉みそうな展開となり、その時マルタッチ
       が発動しかけた。つまりマルタッチは人間にも有効!
   あのエロ展開がまさかここへの伏線だったとはwww
   そして彼女の最後の願いを叶え、マルタッチで死を与えるのです。
   彼女とはタブレットを通して会話ができるのですが、この履歴からみるに宇佐美が片目
   なのは彼女に目を移植した模様です。宇佐美にとって彼女は特別な存在だったようです。
   彼女の最後の願いを叶え →彼女に「人のまま」死を与え →そして最後にタブレット
   で彼女の本心を知った宇佐美は・・・{/netabare}
   恐らく本作一の名シーンになるのではないかという位のクオリティですね。
 
 ・稲崎露敏(ロビン)のしっぽ
  ・キルコには2人探している人物がいる。
   ・(以前話に出た)自分を手術した医者。   
   ・稲崎露敏:共に孤児院で育った兄貴的存在。
    (「キルコ」になる前まで一緒だったが、目覚めたときには消息不明となっていた)
   ・この不滅教団に一時期身を寄せて、宇佐美からいろいろ学んでいた模様。
   まさに出血大サービス!ここにきて一気に物語を動かしてきました。でもロビンを一番
   知っていそうな宇佐美は・・・

 ・レジスタンスの反乱
  ・ここには不滅教団を「非人道的な人体実験を行っている不当な組織」だと抗議活動して
   いるレジスタンスが存在している。
   → そもそも2人に教団内の人食い討伐を依頼したのが彼ら。
  ・人食いがいたので手をこまねいていたが、2人が人食いを殺したため一気に攻勢に出る。
  ・上層部の真の目的は、教団内の電力設備(延命装置稼働のために宇佐美が整備した模様) 
   この電力を武器に、街の再興を目論んでいた。(恐らくそこの支配者となるため)
  ・しかし最後に「爆弾の芽」を示唆する描写が・・・
  いやあ、その上地獄に生きる人間の醜さまでぶっ込んでくるとは・・・しかもしっかりオチ
  もありそうでw
  上述感動シーンと真逆のこの展開とのセットで、まさに神回だったといえるのでは。

 >「物語の『内と外』の両面から謎に迫っていく」
 ここまで「地獄側の方向性がわからない」と文句を言ってましたが、ごめんなさいm(_ _)m
 ここ2話で一気に爆発させてきましたね。でも言いたかったのはこういうことなんだよな。
 そして1話で考察していた通り、人食いの存在にはきちんと意味がありましたね。
 「原作者スゲー!!」 →ここにきて株が爆上がり⤴⤴です(笑)
 (しかもエロ展開すら伏線にしてしまうという、まさに神がかり的なwww)

 地獄側にも「この世界の深淵を覗く」展開がきて、さらに「ロビン」というカードも出して
 きて、唖然面白くなってきました。次は「マルの回想」というカードをどこで切るのか?
 Cパートで少し描かれましたが、来週はお休みしてた天国側の描写も入ってくるのでしょうか。
 終盤に向けて一気に加速してきた感があり、来週も期待大ですね。{/netabare}

・第9話:稲川●二のパロディは全部嘘なのか?!
 {netabare}・天国側
  ・移設の名前 →高原学園だと判明。
  >・2人のベッドシーン(?)をわざわざCパートにぶっ込んできた
  >(>恋愛や性教育等の教育を全くされていないと思われる描写の生徒たち
  >(施設側に何らかの思惑があるのか?) 
  >と合わせ、なんらかの展開に繋がるのか)
  ・6話で推察した通り
   ・トキオの妊娠が発覚。
    → 学園は大騒ぎwやはり男女の区別や性教育を意図的にしていなったようです。
   ・コナの予言めいた「アスラを殺した奴がトキオを奪いにくる」
    → アスラ自体は自殺ですが
      「僕が生まれてきた理由が分かった。だからお別れをいいにきた」
      と告げており、実際トキオも今は学園内で隔離されている模様。
   ・またコナの回想で光の剣をイメージしたら、他の子の足が怪我したり、アスラに
    治癒能力や飛行能力があったり、この高原学園では超能力の研究もしているのか?
   ・あと通訳を必要とする描写もあり、この学園は海外とも繋がっているのか?
  
 ・地獄側
  ・キルコの銃の鳥のマークですが、どうも高原学園の校章のようです。
   ・宇佐美がこの校章のボタンを持っていた。
    → 宇佐美の高度な知能はやはり関係者?
   ・この校章が入った建物とそこで高原学園のパフレットを発見。
    → 高原学園は2施設と18分室あるということで、ここは分室の一つっぽい。
      また災害前から存在し、この世を「我慢地獄」として心と体が休養できる施設
      を売り文句にしていた模様。
    今後は茨城と奈良にある2施設を探すということで。
  ・そして今回のメインイベント(?)が稲川●二のパロディwww
   出会った男が稲川●二の怪談話風に語り始めるのですが、
   ・この話の始まりに、今の学園の一コマが入れられていた。
   ・周囲をバリケードで囲っている。
   等高原学園っぽい語りだったのだが、男が証拠とする腕に刻まれたNoがあっさり消せ
   たので、キルコは嘘認定。でもエロ展開ですら伏線にしてしまう原作者だからなあw
   なのでメモだけ残しておきます。
   {netabare}・その町は女性が支配する町。
   ・周囲をバリケードで囲っており、男性が近づくと殺される。
   ・ただし眼鏡に叶った男性は「種豚」と呼ばれ、飼われることになる。
    → 雑用と女性へ精子の提供。(この男はMo.11として10年飼われた)
   ・女の子が生まれれば、人間として町に受け入れるが、男の子の場合は種豚が育てる。{/netabare}
   で、これも何かの伏線だったら、原作者はやはり神だとw

 タラオの件といい、アスラの件といい、この高原学園の闇は深そうです。
 それにトキオは「ここから逃げて」と教えられていたのに、逃げるどころか妊娠までして
 しまうとは、何たる無能!!
 しかし学園側は何故ここまで妊娠を恐れるのか。やはり育器室で管理されている謎の生物
 に繋がるのでしょうか。
 しかし稲川●二のパロディはどう受け止めたらええねん!!
 そこだけがモヤモヤしますが、クライマックスに向け着実に進んでいるのを感じ、来週も  
 楽しみです。{/netabare}

・第10話:見事な伏線回収も・・・2クールの可能性ないですかね?!
 {netabare}・地獄側
  >稲川●二のパロディは全部嘘なのか?!
  やっぱりちゃんとした伏線だったじゃないですかw
、 下腕に書いていたNoはフェイクで、本物は上腕に彫られていました。やってくれるわw
  ・男の名は「ジューイチ」
   ・自分の息子の安否確認
   ・あの町への復讐
   (1年前、ある女との間に子供が生まれ脱出を試みたものの、女と赤ちゃんは捕まり
    女は処刑された)
   その町が丁度茨城にあり、利害関係一致ということで、3人でその町に向かうことに。
  ・だがその町はすでにもぬけの殻。人食いも巣くっていたので全滅した可能性が高い。
   落胆したジューイチだが、彼を呼ぶ声が・・・
   昔の種豚仲間たちで、ジューイチが脱出したその後、赤ちゃんが激しく夜泣きをした
   ため、あやしていたところ人食いが襲ってきて、起きていた彼らだけが生き延びるこ
   とができたのだと。
  ・その集落で一晩お世話になることにしたのが、その夜また人食いの攻撃(強い冷気で
   周囲を凍らせる能力)が襲ってきて・・・
   しかしその正体はジューイチの息子で、彼は人食いだったのだ!!(マル認定)
  ・この騒動が落ち着くと、茨城にある施設を探すため、ジューイチから譲り受けた車で
   旅立った2人。
  ・ジューイチは「もう旅する目的はなくなった」といっていたのだが、彼の復讐心は消
   えたわけではなく・・・(彼が逃げたことを知らせた男がいた)

 ・天国側
  ・トキオの胎児は摘出されるとのこと。
  ・「皆さんはこれから大事な時期を迎えますが、何が起きたとしても正しい未来へ、
    迷った時は自分の心に従って下さい。」
   という盛大な前振りの後、学園には5期生の子供たちが新たに加わることに。

 いやー、さすがエロネタすら伏線にしてしまう石黒先生!稲川●二ネタも伏線としてキッ
 チリ回収してきました。そして最後はジューイチの復讐劇で怪談語り風に締めるという。
 ホントに神がかっています!!
 それにジューイチの息子の人食い騒動も、どういう条件なら人食いとして生まれてくるの
 か分かりませんが、トキオの堕胎の件もこれとは無関係ではないようですね。
 で、ジューイチの息子は殺さなかったんだが、それはいいのか?
 そして、ここにきて5期生の登場です。ストーリー的にも、当然これには重要な意味がある
 のでしょう。(しかもあの前振りだからなあ)
 となると、残り3話程度で話が一区切りつくのか?元々最初に書いたように、途中で終わる
 のは織り込み済みですが、それでもここにきて風呂敷を広げるようなこの展開は・・・
 (連続/分割どちらにしろ)2クールの可能性ないですかね?!{/netabare}

・第11話:情報が多すぎて混乱 →〇〇が合っていない?!
 {netabare}・天国側
  正直情報が多すぎて一気に混沌としてきました。3回ほど見返して整理。
  ・ソルジャーの存在
   ・正直よくわからんが、ソルジャーの育成をしていて配備されたっぽい。
    何と戦うのか → 人食いしか考えられないのだが?!
   ・その武器として「スーパービーム」の試作品が配備される模様
    → キルコが持っている銃と同じもの
      (正確にはミクラさんから譲り受けたもの)  
  ・学園の子供
   ・そもそもの謎 →ここの子供たちはどこから来たのか?
    → 学園長曰く「ミーナさんの産んだ子」
     → ミーナさんって、学園を管理する人工知能だったよな。人工子宮的な?!
       それにその子では幾らかの割合で奇病が発生し、学園長はそこを懸念して
       いる模様
  ・トキオの子供/学園長
   ・トキオの子供って前回堕胎するっていってたよな? →無事出産。
    → 子供たち同士の間で生まれた貴重種の模様。
   ・そして学園長ですが
    ・脳移殖でずっと生きながらえていることを画策している模様。
     (高齢でタイムリミットが迫っている)
    → そのために以前青島という女性を副学園長に昇格させており、まずは青島の体
      を使い副→学園長に昇格し、今の権力を維持しつつ時間を稼ぐ。
    → トキオの子供を脳移殖可能となる15歳位まで育てた後、再度脳移殖手術を実施
      というプランの模様。
      「トキオの子供に懸ける」といっていたが、奇病が発症しないという意味か?
  ・学園の謎
   ・この学園では、奇病の研究をいろいろしている模様ですが、奇病が発生しない子供
    を生み出す研究もしている感じですかね。
    → 以前「出荷」というワードが飛び出したが、そういう子供を出荷してる?
   ・最後に学園の子供を全員集合させて「これからテストを始めます」との宣言が・・・

 ・地獄側
  ・茨城にある施設を探してる2人が夜営していると、遠くの方で大規模な煙が上がって
   いるのを発見。それは施設があると目されている方向。
   夜は危険なので、朝を待って動くことに。
  ・それを裏付けるように、施設っぽい建物から煙が上がる描写とロビンらしき人物が・・・

 ・時系列の謎
  {netabare}・上述の通り学園の謎も整理できかねる状況ですが、更に時系列の謎が。
   天国側は(どの位かは不明だが)地獄側より前の時系列の予感が・・・
   ポイントは
   ・キルコの持っているミクラさんから譲り受けた銃
    同じ時系列ならミクラさんが銃を持っていたことに矛盾が生じるような?!
    それにミクラさん=「トキオの顔を知っている人物」って話になるので、その辺
    りも時系列がズレている方が、説明がつきやすい。
    {netabare}(例えば15年のズレなら、マル=トキオの子
     ・同じ顔の人間を探せ
     ・大きな謎のひとつ、何故マルタッチが使えるのか
     との辻津が合いそうなのだが。){/netabare}
    → まあそうなるとミクラさんは誰やねんってなるんだが、そこをボカす意味で
      もマルの回想が全然描かれない理由なのかも。
   ・キルコの脳移殖手術
    学園長の話では猿渡(学園の医療研究者?)には脳移殖可能な技術がある模様。
    キルコの脳移殖手術を実施したのが猿渡なら説明がつく。
    (ロビンも猿渡からここの情報を聞いたからなら、今いる辻褄が合う。
     → でも写真と顔が違いすぎる?!)
   その他宇佐美が学園の制服のボタンを持っていたことも、あの頃の生徒だった可能
   性ありでグレーなところですかね。{/netabare}
  
 前回「2クールの可能性あるかも?!」としましたが、1クールでこの施設は空振り、
 ロビン(+マルの回想も入る?!)からいくつかの種明かしだけして、大きな謎は
 解明されずでクローズという可能性の方が高いのかも・・・
 {netabare}個人的には「時系列の謎」だけでもはっきりさせてほしいですね。{/netabare}{/netabare}

・第12話:いろいろとありすぎで何が何だか???・・・あと1話では終わらない?!
 {netabare}・天国側
  >「これからテストを始めます」との宣言が・・・
  正直先週は情報過多でこちらも混乱してるのに、冒頭からさらに混沌を極めます。
  ・いきなり「危ない、危ない」を連呼する5期生の子供たちに、学園内も人工知能・ミーナ
   のシステムのほとんどがダウンし、混乱状態に。 
   そして庭を覆うドームの屋根を突き破り、何かが落ちてきて・・・
  ・何者かの襲撃を受けている模様。下級生の避難をさせつつ、ミミヒメら4名は壁に空いた
   穴の調査に。
   「どうなっているんだこりゃ?!学校の外の壁の中にまた外があるじゃないか!!」
    → 壁の向こうにフェンスがあって、そこから見える風景の描写?
      彼女らは学校内の閉鎖空間しか知らず、初めて見た外の世界に驚いた模様。
      (空の存在すら知らなかった模様)
  
 ・地獄側
  ・大規模な煙が上がっていた(施設があると目される)地点に徒歩で向かう2人。
   すると途中に市場が現れ、にぎやかに人が集まっている風景が・・・
   → 復興省の働きによるらしい。そしてそこの所長にロビンが就任していることも判明。
    → 2時間後に施設跡地で待ち合わせることに。
  ・1人でロビンに会いに行ったキルコ。そして再会、キルコは自分の正体を明かす。
   → 医者の名前は迫田と判明。(猿渡じゃないの?それとも偽名?!)
  ・ロビンはここで(川の水をきれいにする)ろ過装置を稼働させたり、(大災害前に悪環
   境に強い遺伝子組み換え作物を作っていたらしく)畑を整備して、それを復活させたり
   して復興の足掛かりを作っていた模様。
  ・最後に・・・{netabare}ロビンがまさかの裏切り?!キルコを拘束するとレ●プし始めたのだ!!{/netabare}

 正直何が何だか情報が少なすぎて状況が把握できません!!
 ただ今回は天国側と地獄側を交互に描いていたので、前回上げていた「時系列の謎」ですが、  
 やはりズレていたのが確定の模様。伝子組み換え作物の話からすると、大災害あたりの15年
 位のズレはありそうです。
 (するとやはりマルはトキオの子供?!→この混乱の中、猿渡は赤ちゃんに丸印をつけていた。
  それがマルの名前の由来とかw)
 しかしロビンは一体何なんや?!天国側だけでもお腹一杯なのに、地獄側も意味不明ですね。
 これ後1話で収集つくのか?!あと少しで一区切りつく感はあるので、2クールはなさそうで
 すが、14,15話位まで食い込む可能性はありそうですね。{/netabare}

・第13話:いろいろと感情が動いた最終回。そこだけ見ればいいラストだったが・・・
 {netabare}・天国側
  ・「これはテストに違いない」フェンスの壊れた場所から外の外の世界を更に進もうと
   する4人だが、
   ・シロとミミヒメは皆に知らせるために一旦戻ることに。
   ・タカとアンズは更に先に進むことに。
  ・学園内では、トキオに赤ちゃんを返すことに。前回咄嗟に丸印を猿渡だったが、本当は
   自信がない。丸印のない方を返すことに。
   そして青島は「可能であれば、この混乱に乗じて『ノア計画』を実行します」と宣言。
   → 子供たちを保護する計画の模様。
  。トキオに赤ちゃんを返す猿渡たち。でもそこに学園長が現れてミーナに赤ちゃんを強奪
   させようとします。その時トキオの特殊能力が発動して・・・
  ・一方シロとミミヒメは道に迷った模様。崖から落ちるミミヒメを庇うシロ。
   ミミヒメ「何でそんなに僕を助けるの?」
   シロ「僕はミミヒメが大好きなんだ。」 →学園では教わらなかった心からの感情。
   {netabare}→ ミミヒメはシロにボタンを差し出した。
    → これってまさか宇佐美のシーンに繋がるのか?!{/netabare}

 ・地獄側
  ・キルコの帰りを待つマル。2晩帰ってこなかったので探しにいくことに。
   → キルコの姿を見て状況を察したマルは、ロビンを追い詰め無言で殴り続ける。
    → キルコ「やめろ、ロビンを殺さないでくれ!」
  ・施設の外に出ると静かに語り始めるキルコ。
   「すまん、僕は弱い。僕が見ていたものは嘘ばかりだ。もう自分が誰なのかも分からない。」
   そんなキルコにマルが告白。
   「ハルキでもない、キリコでもない。俺はあんたが好きなんだ!あんたが危ないときは俺
    が守る!」
   キルコ「僕が守ってもらったら、僕の存在意義なくなってしまう。」
   「この男に合うという目的は果たした」ロビンの写真を破り捨てるキルコ。
  ・そして施設の方ではロビンが消えた模様。そしてロビンが残していった部屋の鍵を開けて
   みると・・・怪物と人間が繋がった異様な光景が!!
   → ロビンはここで何らかの人体実験をしていた模様。
  ・最後は新たに「天国」を探すために旅立つ2人。
   → 今度は「奈良」の施設にでも向かうのか?

 ・Cパート(天国側)
  ・塀の外の外に出た4人はなぜか船に乗っている。
   その先には大災害前の都会の夜景が広がって・・・

 いろいろと感情が動いた最終回。そこだけ見ればいいラストだったが・・・
 (まあ「投げっぱなしジャーマン」の件は後述するとして)
 {netabare}・ロビンのキルコへの行為は、この流れだと性欲というより、彼のセリフ通り「キルコが脳移殖
  手術を受けた異端の存在」として、マッドサインティストの琴線に触れたということかも。
 ・またこの流れを見ると、宇佐美たち=シロとミミヒメの可能性大となりましたね。それなら
  ・最初に外の世界で「空」を見つけて驚いていたのがミミヒメ
  ・で、彼女が「最後に空が見たい」という願いに綺麗に繋がり、「やっぱ原作者スゲー!!」
   ってなりそうですが。
 ・それにCパートですが、私が推測している「マル=トキオの子供」とすると、あの船には
  4人以外にもトキオとトキオの子供も乗っている可能性ありですね、
  まあこっちは青島たちが別ルートで逃がした可能性もありそうですが。
  (そもそもこの推測自体が間違っている可能性がありますがw){/netabare}{/netabare}

(最 終)
>ただ気になるのは、気が早いですがラストですね。原作がまだ連載中で先も長いらしいので、
まあ1話の段階で、ある程度「投げっぱなしジャーマン」になるのは覚悟の上でしたが・・・
{netabare}・「天国」と「地獄」という対照的な世界を舞台に、謎めいた要素。
・キルコとマルのコミカルで魅力的なコンビ。
・「天国」と「地獄」がなかなか繋がらないもどかしさを感じつつも、宇佐美回で一気に回収。
 しかも宇佐美と彼女の物語は作品随一の神回。
・エロシーンやパロディ回までしっかり伏線として利用していた、神がかり的な構成。
 更に「天国」と「地獄」では「時間軸がズレていた」という大胆な仕掛け。
 (なので両者がなかなか繋がらなかった理由も、今となってはまま納得かなw){/netabare}
1期だけでも、原作者の技量の高さに感銘し、作画も(一部怪しいところもあったが)比較的安定し、
謎の見せ方なども工夫されて先が気になる作りとなっており、ラストもこの作りだと決して悪くは
なかったので、個人的には高評価かなとは思います。

ただ、11-12話のこのタイミングで一方的に不確定情報をどんどん放り込んできて、結局学園で何が
起こっているのか、混乱を残したままで終わったのはいかがなものか?
視聴者置いてけぼりもちょっと度が過ぎるのでは?!この点はマイナスですかね。
少し調べてみると、今回原作8巻中6巻までをアニメ化したらしく
・この辺り原作でどこまで明かされているのか。
・2期があるとしてもストック不足で大分先になりそう。
ってことで、早々に解決したいなら、とりあえず原作を探ってみるしかなさそうですが。
まあそういう意味では、販促アニメとしても大成功といえるのかもw
原作でこの辺り完結しているなら、もう1話入れてそこは少し改善して欲しかったのが本音ですかね。
(前回書いてましたが、まさかこの状況で13話で終わるとは思わなかったわw)
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ソドム】の厄災は繰り返す

●「キルコ九11」の暗示

「ジュウイチ」から譲り受けた車は{netabare}「キルコ丸11」と名付けられます。
「丸」を「九」と書き間違え、「11」をローマ数字の「Ⅱ」であるとした理由は
「9+2=11」であると推測いたします。

「11」という数字を強調するために敢えて「11」の数字遊びで示してみたのでありましょう。

「11」は【ゲート】を暗示する数字でありまして、異世界転生する自衛隊の物語のタイトルが
【ゲート】であるのもそのような意味合いが込められているということであります。

【ゲート】が開けば「未知との遭遇」、「新世界の幕開け」であります。
【ゲート】が開き本作では何が起こるでしょうか?

新世代、「新しい人類」の誕生であります。


赤い果実は【禁断の果実】を意味します。

【禁断の果実】は【禁断のテクノロジー】を意味し【666】という数字で表されることがあります。

「水星の魔女」のミオリネの庭園にあったトマトもこれと全く同じものであり
【禁断のテクノロジー】とは何かといえば【遺伝子操作】の技術ということなります。

「持続可能な社会」を作り出すために今後ごり押しされるのが【ムーンショット目標】
もしくは【ムーンショット計画】でありまして、これは我が国の国家プロジェクトでございます。

LGBT法案がごり押しされたように、【ムーンショット計画】もそのようになるでしょう。

「SDGs」という奇妙なプロパガンダ推進のために既存の食糧生産を含む生産システムは
尽く【グレートリセット】される見込みでありまして、必然的に食糧問題が起きるわけであります。

将来起きることが計画として確定している食糧問題の解決法が【ムーンショット計画】で
それとなく提示されている「ゲノム編集食品」の類であります。

そして「サナテックシード社」の「ゲノム編集トマト」は既に販売開始されておりまして、
「青空トマト学園」なる本作の状況そのままを表したような名前のホムペが存在していたりします…
https://aozora.p-e-s.co.jp/marche/lp-hgtTrial

流石は国家プロジェクトでありまして、「コオロギパン」騒動の陽動の裏で
【ムーンショット計画】は着実に進行しているわけであります。

「進撃の巨人」と「ガンダム」特に「Zガンダム」は「巨神大戦」を題材にしているという意味では
よく似た作品なのですが、【巨神族】が「人食い」であることから本作もそれらと
相通じるところがあると言えましょう。

「高原学園」は【遺伝子操作】のテクノロジーにより人類を進化させ、
「高天原」=天国を作り出そうという秘密機関なのかもしれません。

天国計画は大災害前から実施されていたようですが、どうやら大災害?で
施設が崩壊し、計画に支障が出たような状況であります。

AIの「ミーナ」やそれを乗っ取った「アスラ」が大災害を予知していたかどうかは
定かではありませんが、ミミヒメに予知能力があったならば、アスラにも未来予知は
可能であったという推測も成り立つわけであります。

恐らくアスラは学園の兄妹たちがこのまま飼い殺しになるのは良くないと思ったのでしょう。

かくして、(大災害の日?に)学園の子供たちを外の外に導くという
アスラのプランは実行されたのであります。

迫田なる謎の医者の正体は額の傷で繋がりました。

個人的に気になるのがタカとアンズの行く末であります。
恐らくマルと「宿命的な」出会いを果たすのでしょう・・・・{/netabare}

●進撃の「33秘め」?

本作は作りに無駄がなく、隙もなく、物語の構成がかなりしっかりしているような印象を受けました。

伏線の仕込みと回収の一連の流れが鮮やかであり、2度目3度目の視聴に堪え得る
所謂名作と言っても過言ではないような完成度を誇る作品であるようにも思えます。

進撃の「イエガー先生」を意識して見てもらえば、本作に描かれていることが
比較的わかりやすくなるのかもしれません。

「イエガー先生」は息子に{netabare} 「お注射」を打ち、「進撃の息子」が覚醒したわけであります。
「巨人」は「人食い」でありますので、本作そのまんまであるわけであります。

ちなみに「人食い殺します」という仕事募集の看板は伏線でありまして
子どもを「食べる」【サトゥルヌス】である【巨神族】の長と繋がる話であります。

ということで、むしろ「人、食い殺します」が正解と言えるのかもしれません。

「お注射」は【禁断のテクノロジー】でありまして、【遺伝子操作】により
人類を進化させるに至らしめ、新たな生命体が生まれるのであります。

さて、「ミミヒメ」と「クク」ならば通常なら「ミミヒメ」の話を先にすべきなのですが
捻くれ者のアニメアンチは「クク」の正体について先に言及することにしてみます。

{netabare}本当はOP映像の仕込まれた裏設定の説明からしたかったのですが、退屈な感じの話に
なりそうですので、それよりも脂が濃いところの「クク」の話題から攻めてみます。

「クク」を産んだのは「ミーナ」のようであります。

「ミーナ」の名前を少々変えて「ミイナ」とし、語呂合わせで数字変換すると「317」になります。
「317」をたし算すると「11」になります。

【11】は【ゲート】を暗示する数字であります。

「ミーナ」は【人工知能=AI】であるのですが、「エヴァ」の「マギシステム」や
「地球へ…」の「マザーシステム」のように人類を管理する存在であります。

「マザーシステム」の「マザー」は「聖母マリア」を暗示しており
AIは人類を支配する女神的な存在であるということになります。

【11】が暗示する【ゲート】は【ボアズとヤキン】の柱でもあり、
神社の【⛩】でもあります。

神社は女性の体を再現しており、⛩は股を表しているとも言われます。

【ボアズとヤキン】は「男性原理」と「女性原理」を表し
この2つの原理が融合することにより「3本目の柱」である子が生まれるわけであります。

「高天原」とは「イザナギ」と「イザナミ」が住まう天国であり、
最初に生まれた子は「ヒルコ」であったと言われています。

【⛩】は出産を暗示しているとも考えられということになります。

人工知能による出産とは「3Dプリンター」を使って行われるものであると考えられますが
「3Dプリンター」とは「培養肉」を製造したり、人間の臓器を作りだしたりできる実現可能な
テクノロジーでありまして、この先【ムーンショット目標】実現のためにフル活用される
最新鋭技術であったりします。{/netabare}

「クク」は「99」であり9×9=81→8+1=9であります。
学園の子供たちは「ヒルコ」でありまして、「9」が示す「ヒルコ」は
「クク」ということになります。

4話のタイトルは「クク」となっていますが、その回では「魚の人食い」が登場し
主人公コンビがこれを成敗したわけであります。

「人食い」=「ヒルコ」でありまして、「魚の人食い」には「9」本の足が生えていました。

「未来予知」は「33姫」の能力でありますが、「魚のヒルコ」の暗示は
コナの絵によって示されておりました。

コナが書いた「魚のヒルコ」の絵をククは気に入り、これを貰ったわけですが
ククの因子の本質が絵に示されていたということになるのでしょう。

赤ちゃんを見に行こうと施設の壁にへばり付いて登ったククの能力が、
魚のヒルコと完全に一致しているのも一つの証拠であると言えるのかもしれません。

更に3話でトキオに贈るために赤ん坊の絵を描いていたコナのシーンでは
背後に水槽があり、その中には魚が泳いでおりましたが、その時のククはテーブルの上を
腹ばいに這っており、4話での乾燥大麻入りの段ボールの上を這って進む
魚のヒルコと完全にシンクロしていたのであります。

ククの正体は、ミミヒメの予知能力の伏線から逆算して割り出せることでありますが
よりわかり辛いククの方を先に片づけることによりミミヒメの秘密がより明確に
見える気がしたので敢えて逆張りで攻めてみました。

話は変わりますが、不滅教団と呼ばれる機械的な施設にはとある女子が体中に
管を刺されたような有様で監禁状態にありました。

監禁したのは「宇佐美」という名の技師であります。
宇佐美とこの女子は幼馴染の関係にあるようであります。


「33姫」は外の世界に強い憧れを抱いていました。

「ミミヒメ」に思いを抱いていたのは「シロ」でありましたが
「外に連れ出してくれる」のはトキオに似た顔の人物ともう一人の
二人連れによるものであるというのが未来予知による暗示であります。

そして「33姫」は未来予知が暗示する「夢」も見ます。

暗い洞窟の中独りでとても不安になりますが、ずっと待っていた人が来てくれて
その人が手を差し伸べ明るいところへ連れ出してくれたのでとても幸せな気持ちになったのです。

よく覚えていない夢であったのですが、その話をトキオにした時の「ミミヒメ」は
とても幸せそうでありました。

「ミミヒメ」を外に連れ出して希望の光を見せてくれた人こそが、トキオの息子である
マルであったわけであります。

シロとミミヒメの会話も伏線になっておりまして、
シロは「ミミヒメを自分の部屋に閉じ込めたい」「服を脱がして触りたい」などと告白し
それに対してミミヒメは「切ったり」「針で刺したりしたいのか?」と聞き返す
ようなやりとりがあります。

この伏線が意味するのは8話で宇佐美なる技師がヒルコ化発動を防ぐためにと
問題の女子に行った措置を示していたのでありました。

11話に登場したオーマには目力により幻覚を見せる能力があり、その影響で
ミミヒメは針に刺される幻覚を味わうという未来予知の能力が発動するわけですが、
これも問題の女子のシーンと完全にリンクしているのであります。

シロは機械いじりが得意であったので、宇佐美なる技師の正体は恐らく
シロということになるような気がいたします。

ミミヒメはまつ毛がブラウンであり、包帯の女子のまつ毛もそれと一致していた
ようでありますので、伏線との関係性から考えると幼馴染の二人はミミヒメとシロ
であると考えられます。

【遺伝子操作】を使った人工知能による「新しい人類」を生み出す計画は
奇病発動により失敗に終わったのでありましょう。

ミーナの判断というよりは恐らくアスラが「ゴーストハック」を掛けるような形で
システムを乗っ取りミーナの計画に修正を加え、3Dプリンターを使用するようなものではなく
自然出産に近い形で新人類を生み出すようにとトキオを誘導し、新人類のミュータントを
生み出すことに成功し、その成功例として生まれたのがマルということになるように思います。

学園の生徒たちは奇病が発動し、次々に「成れ果て」化し、
「人食い」になったのではないでしょうか?

もしかしたらオーマやタカが成れ果て化したヒルコも登場していたのかもしれません。

大天災後に生まれた子供たちの中にはヒルコの因子が継承される者がおり、
この因子を持つ種族は、熊のような自然生物とは違い、人工生命体の特殊構造を持つため
「マルタッチ」による攻撃が有効となるのではないかと、このように考えられるわけであります。

マルは「マルタッチ」の際に「入った」というような表現をしてましたが、
「入る」というのはまさにイエガー先生の「お注射」の仕組みそのものでありまして
「mRNA」のお注射は人間の細胞の中に見事「入る」のでございます。

ざっくり言えば「ウイルス感染」の仕組みを再現しているということになりますが
これはがん細胞が転移し全身に広がる状況と一致したりもします。

進撃の巨人に登場する王族=レイス家は禁断の「王位継承の儀式」をとり行い
王家の血統を維持していました。

要は親族同士の「食い合い」であります。
巨神族の王【サトゥルヌス】の再現であり、【ティタノマキア】=巨神大戦であります。

マルがやってることもそれと似たところがあり、親族同士の「食い合い」
と言えるのかもしれません。

マルタッチはヒルコの細胞核を侵食するようにして死滅させてるようにも思えます。{/netabare}



●ヘーゲルの弁証法トラップ炸裂!

まずテーゼ(命題)とアンチテーゼ(反命題)の対立があり
それを統合した解決法、ジンテーゼが提示されてアウフヘーベン(止揚)され
万事解決となるようなプロセスを「ヘーゲルの弁証法」と言いますが、これは
早い話がペテン師の手法でありますので騙されないように注意が必要でございます。

{netabare}遺伝子操作の失敗例が「人食い」でありますが、それに対処しようといういうのが
宇佐美なる技師であります。

一見して彼のやってることは真っ当のように見えますが、
この対症療法は基本的に【トランスヒューマニズム】に基づくものでありまして、
人間と機械を融合するという【禁断のテクノロジー】でありますので、
「人として死ぬ」という意味ではどちらも道から外れていることになります。

そもそも【遺伝子操作】の措置を受けた段階でジエンドであったわけです。

これはある意味「メイドインアビス」のナナチとミーティの再現であり、
「人食い」は「成れ果て」と同じであり、【禁断のテクノロジー】を熟知する
白笛の黎明卿はハイランダーの種族ということになるでしょう。

宇佐美の目は【禁断の果実】を齧った証、【プロビデンスの目】を暗示してますので
バッドエンドは必然ということになります。

「メイドインアビス」と本作を比べたら悪趣味性が抑えられている分だけ
本作の方が印象は良好でありますが、やってることは基本的に同じなのが
【予測プログラミング】の本質であるわけであります。

宇佐美に送った端末越しのラストメッセージも「銀河鉄道999」=【666】が暗示する
【トランスヒューマニズム】を美化した表現であります。

物語として巧く描かれていることは評価に値しますが、【ムーンショット目標】のゴリ押し
という制約がどこまでも付きまといますので、どこかで見たような無理やり感も
払拭できないのが宿命なのであります。{/netabare}


●最高峰と言うべき【予測プログラミング】

SF作品は漏れなく【予測プログラミング】であります。
「スチームパンク」は過去から未来への繋がりを強調しますが、それに対して
「サイバーパンク」は未来に訪れる事象を示すことにより特化しているのでございます。

皇国軍731部隊が{netabare}中国でやばい人体実験をやっていたという説は、フェイクであったとの
情報もありますが、よくよく考えてみると敢えてフェイク情報をかませることによる
2重底的な情報工作により真実を煙に巻いたのではないか?とそのような可能性も
十分考えられるわけであります。

そう思うのも、人体実験なくして現代医療の発展はなかったという理屈があるからであります。

流行り病を機に「メッセンジャーRNA」=「mRNA」形式のワクチンが世界に普及いたしましたが
「mRNA」とはそもそもがん治療=抗がん剤治療のために開発されたものでありまして
基本的に従来のインフルエンザワクチンとは別次元の治療法であり、「遺伝子・細胞治療」
という区分に属するものであります。

御用学者の説明によれば「mRNA」が細胞に働きかけ、細胞にある種の変化や機能をもたらす
ということで、人間の遺伝子そのものを組み替えるわけではないとのことでありました。

しかしながら、「mRNA」が「DNA」を書き換えてしまうという事象を「逆転写」と
言いますが、この「逆転写」が起こり得ることが理論上だけでなく、実験によって
見事に示されてしまったのであります。

そしてこの「逆転写」のタブーに対し敢えて声を上げたのが原口一博衆議院議員であります。

数年前にグーグルなどの「GAFA」が中国でなにやらやばい実験を行っている
というネットの噂話がありましたが、「武漢」発で世界に広まった例の病と
リンクしていることからしても妙なものを感じずにはいられません。

ネットの噂話はただの噂話でしかないですが、世界で起こる奇妙な現象の数々を
【ムーンショット目標】という日本の国家プロジェクトの文脈で読み解くとすべての点が
見事につながり未来の「持続可能な社会」が完成するというカラクリでございます。

人間と機械を融合する【トランスヒューマニズム】そのまんまを実践するような
「人体実験」を行う「不滅教団」が本作に登場いたします。

教団では人体実験によって生み出された「機械人間」を【偶像崇拝】しているとのことであります。

人間と機械を融合する【トランスヒューマニズム】や【遺伝子操作】は
【禁断のテクノロジー】であります。

【禁断の果実】は【禁断のテクノロジー】を暗示し、「この果実」を食べたものには
【666】の刻印が刻まれます。

「性転換手術」もこの類でありますので被施術者も【獣の刻印】の種族ということになります。

【偶像崇拝】の本質は「ご利益信仰」であり、
それの行き着く先は飽くなき「欲望追及」の底なし沼であります。

より多くを欲しがるものは無いもの強請りで絶えず変化を望み、
「銀河鉄道999」の「機械(人間の)伯爵」と同じ末路を辿るわけであります。

「999」は【666】の反転数でありますが【グノーシス主義】的な見方をするなら
「上なる如く下も然り」でありますので「999」=【666】ということになります。

死にたくないから「遺伝子・細胞治療」を受けるというのは真っ当な動機であるようですが
同じ理由で「遺伝子操作」の治療を受けるのが是か非かという問題に直面するのならば
倫理的に正しいのか否か、踏みとどまって考えてみる必要があるように思います。

「ベーシックインカム」と「信用スコア制度」が導入される未来世界では、星野哲郎のような
生身の人間は劣等市民であり、「機械伯爵」のような存在こそが勝ち組の上級国民になれるわけです。

未来世界で「LGBT」こそがより模範的な市民とされるなら性転換手術するものが勝ち組となり
【両性具有】こそが模範的とされるならば、市民はその価値観を追随するでしょう。

より多くを手に入れたいと「※願う」人は、【偶像】を拝み、
「果実の味」に酔いしれるのであります。

「アニメ」というものも【偶像】でありますので、これを至高の価値あるものとして
受け入れるならば同じ運命を辿るわけであります。

アダムとエヴァがそうだったように我々人類は皆「エゴ」を持ち、
「欲望の果実」の誘惑にはめっぽう弱いときてますから、バッドエンドは
不可避であるようにも思えます。

アダムとエヴァから受け継いだ罪深いこの遺伝的性質のことを「原罪」といいまして
この「原罪」故に人類は救われないのだとしたら、何かを成さねばならんということで
【逆転の発想】が出てくるわけであります。

例えばそれは【人類補完計画】であり、人類を【進化】させ、
人の手により人を【再創造】するという野望を抱くに至るのであります。

SFの世界の話をする時、多くの人はそれはフィクションであると思うでしょうが
残念ながらSFの世界のテクノロジーはすべて実現可能なものであり、国家プロジェクトに絡む
ことからしても、すべては綿密な計画に基づき何十年も前から着々と準備されていたものであります。

3年後か、5年後かはわかりませんが、【予測プログラミング】という言葉の意味に
気づいた時にはもう手遅れで、「持続可能な社会」を作る計画が無事に成就するわけであります。

原口一博衆議院議員ががんを患ったとカミングアウトし、ジャニーズ騒動が動き出し、
そしてバイデン陣営とトランプ陣営の政治闘争劇が激化するならば、それは【グレートリセット】
が遂に始まったという兆候を示しているということであります。

現実逃避が許されるモラトリアム期間が終わり、生き残る道を
自分で見つけなければならないという意味でのサバイバルゲームが始まります。

先手必勝であります。
【グレートリセット】される前に自分自身(の人生)を「リセット」し
この脅威に立ち向かうという方法が一番有効な手法であると提案させていただます。

アニメを見るなとは言いませんが、できればアニメファンは卒業した方が
この先を生きて行くには有利であるように思います。

というのも【予測プログラミング】という【洗脳】に掛った状態で
何が正しくて何が間違いなのかという真実を見極めるのはほぼ不可能であるからであります。{/netabare}


●「目」は口程にものを言う

キルコと「転天」のアニスの声優が同じなのはただの偶然でしょうか?

キルコが{netabare}LGBTであることは既に明白でありますが、アニスがLGBTであると断定するには
十分な証拠がないようにも思えます。

しかし、もしも声優のキャスティングが意図的であるならば?
つまり【予測プログラミング】の一環として作品が作られると考えるならば、
アニスも当然の如くLGBTであるということになるでしょう。

本来人類は男と女の2種類の性別から成り立っていましたが、進化した人類は必ずしも
この限りではなく、第3の性別であるLGBTも許容し、更に【両性具有】の性質や
「人」という概念を超越したような存在こそが望まれるという話であります。

かつて人類は(「ノア」の一族を除き)大洪水で絶滅しました。
そして再び繁栄を極めるも環境破壊などの悪要因が積み重なった挙句の果てに
またしても宿命とも言えるようにして滅びの窮地に追い込まれるのでありました。

「アダムの罪」は「人類の罪」であり、この「原罪」故に人類滅亡が必然というのならば
人類は「進化」して他の存在に変わらねばならないということでありまして、
このような「逆転の発想」を【グノーシス主義】というわけであります。

「進化」のためには【禁断テクノロジー】が必須であり、だからこそ【禁断のテクノロジー】を
極める必要性があるということであります。

「遺伝子・細胞治療」は「遺伝子操作」の技術と必然的に結びつき、
「新しい生命体」が生み出されるのであります。

大阪万博公式キャラである「六つ目」の「ミャクミャク」は人類の未来を暗示します。

施設の「赤ちゃん」は「新しいアダム」であり、「人類補完計画」を暗示する存在であります。
「遺伝子操作のテクノロジー」を駆使して新しい人類は創造され、「農園」で試験的に育成されます。

壁にへばりついて登れる能力なども「遺伝子操作」によってもたらされたということなのでしょう。
「遺伝子操作」の成功例は施設で飼育されますが、失敗作は恐らく処分されたり、
捨て置かれたりするのかもしれません。

ということで「人食い」の原型は「新しいアダム」であり、
「六つ目」の「ミャクミャク」の「成れ果て」であります。

「魚の人食い」は「アルスの巨獣」に出てくる「赤目の巨獣」のようにも見えますが、やはり「目」に注目するならば施設の「赤ちゃん」と関係があるということになるでしょう。

この「赤ちゃん」が「ゲゲゲの鬼太郎」の「目玉のおやじ」に似てるのは偶然ではなく
必然的な【プロビデンスの目】でありまして、故に「六つ目」の「ミャクミャク」は
【禁断のテクノロジー】=【666】を表しているということになります。

エレンの父親=イエガー先生は「お注射」でエレンを【巨人】にしました。
この「お注射」は【禁断のテクノロジー】であり「遺伝子操作のテクノロジー」
だったというわけであります。

「進撃の巨人」は「アタック・オン・タイタン」であります。
「タイタン」=「ティターン」でありますが複数形は【ティターンズ】であります。
【ティターンズ】は【巨神族】であります。
【巨神族】と言えば【プロメテウス】であり、【サトゥルヌス】であります。
【サトゥルヌス】=【サターン】は【土星神】であり、【土星】は【✡】で示されます。
【✡】は【六芒星】であり、「6」つの頂点、「6」つの三角形、「6」角形を持ち合わせており、
【土星】=【✡】=【666】となります。
【プロビデンスの目】は【土星】の南極にある「台風の目」が由来であり、
別名は【プロメテウスの目】とも言います。
【土星神サトゥルヌス】はゴヤが描いた「我が子を食べる【サトゥルヌス】」でもお馴染みなように
「進撃の巨人」の「巨人」のルーツであり、「人食い」に繋がります。

【666】を【獣の刻印】と言いますが、【人食い】=【土星神】の関係性が成り立つならば
【人食い】=「【獣】の種族」ということになります。

【巨神族=巨神兵=進撃の巨人=エヴァンゲリオン=ガンダム】
【ガンダム】=【巨神族】という関係性はわかりづらいですが、【ティターンズ】や
【エルメス】、「パラス【アテネ】」、【キュベレイ】が「神の名」が由来であることから
その関係性は暗示されており、いよいよ「水星の魔女」では「ガンダム」の本質についてのネタばらし
を行うようでありますので、真実の一本線は見事繋がることになるでしょう。{/netabare}


●禁断の【獣】六つ目の「ミャクミャク」

2025年開催の大阪万博公式キャラ、その名を「ミャクミャク」と言います。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220721/k10013727501000.html

「目が【6】こ」ある{netabare}怪物ですから、やはり【土星】を意識してるのでしょう?

何にでも成れる「細胞」を表しているとのことですが、何にでも成れるならば
男にも、女にもなれるでしょうし、「ガンド・アーム」にも成れるということになるでしょう。

「メッセンジャーRNA」形式のワクチンというのは、「遺伝子・細胞治療」
の一環として開発された新技術であります。

遺伝情報が組み込まれた「mRNA」が細胞に働きかけることにより、細胞内より「新しい物質」
即ち「スパイクタンパク」が形成されると、ざっくり言えばそういう仕組みのワクチンでございます。

国民の8割以上が既に「遺伝子・細胞治療」を体験済みなわけですが、この新技術は
大阪万博以降激的な加速度でもって世界に浸透することとなるでしょう。

「TRIGUN」の新作に出てくる{netabare}「葬儀屋」さん{/netabare}も実はこの新技術で不死身の肉体を得たのであります。

【禁断のテクノロジー】は解禁されることになり、人はどんな肉体でも入手可能になります。

近い将来食糧危機が起こるとも噂されていますが、デジタルプリンターにより
合成肉が生成できるということでありますから、合成肉で問題は解決するような気も致します。

例えば「アルドノア・ゼロ」の主人公などは{netabare}銃に撃たれて死んだかのように見せかけて
実は死んでなく無事復活したわけですが、そのような再生治療を可能とするのも{/netabare}
【禁断のテクノロジー】あればこそということになるのでしょう。

【禁断のテクノロジー】を推進する計画、その名は【ムーンショット目標】と言いまして
内閣府のホームページに記載されている壮大なる「国家プロジェクト」であります。

「遺伝子・細胞治療」は当然【ムーンショット目標】に関わる重要な研究テーマでありますが
他にもAIやパワードスーツ、持続可能な新食物開発、デジタル通貨、信用スコア制度などなど
実にSFチックでぶっ飛んだ内容がこのプロジェクトに含まれているのでございます。

但し、テクノロジーの急激な進歩によって人が病気や怪我などで死ななくなると
人口問題に歯止めがかからず、持続可能な社会が成り立たないわけですから
人口をいい感じで?制御する方法が必要になるということになります。

例えば「進撃の巨人」を創りまして、多すぎる数を間引くなんてことも
場合によってはあり得るわけであります。

【ムーンショット目標】は持続可能な社会実現のためにごり押しされ、
世の中は個人主義から社会主義にシフトし、【新しい世界秩序】に従う形で
個人の役割も属する社会により決定づけられることになるでしょう。

「進撃の巨人」の世界では、壁により階級が隔たれていました。

外界に近いより外側に位置するのは庶民であり、社会主義的平等を手に入れます。
対して外界からより遠い内側に住まう者たちは特権階級の貴族であります。

庶民のために持続可能な平等社会が企画されるわけですが、それを運営するのは特権階級であります。

平等社会が実現可能となるのも運営がいればこそでありまして、運営は社会の脳であり
幹部であるというわけであります。

社会主義的な社会ではその構成員=庶民は自らの心臓を共同体に捧げなければならず、
時に運営の利益を守ることも構成員の使命となったりするのです。

社会主義的な共同体においては、個人の知る権利よりも社会に従う責務が重視されますので
「由らしむべし、知らしむべからず」の方針が貫かれます。

故に庶民は世界の真実や人類の真の歴史を知りません。

「約束のネバーランド」の農園は「ユートピア」と呼ぶべきものであります。
壁の内側には【禁断のテクノロジー】で発展した快適な社会がありつつ、壁の外側には
人口問題を解決してくれる【鬼族】がいることで、理想的で絶妙なバランスが保たれ
予定調和として持続可能な社会が成り立つという仕組みであります。

このような「人間牧場」を天国と言うのか、地獄と言うのかは、その人がいかなる
思想を抱いているかによって答えは違ったものになるのでしょうけど、少なくとも我々が目指す
「持続可能な社会」とは人口を間引くこと無しに達成は不可能と国連の会議で結論は出ていますので
あるべき「ユートピア」を作りだすには人間牧場こそが最適解と言えるのかもしれません。

【鬼族】や【巨人族】という都合のいい人口バランサーがたまたま存在してくれれば
話が早いわけですが、もしもそういうのがいないと言うならば運営の腕の見せ所となります。

とは言え【禁断のテクノロジー】を駆使するならば人口問題にしても解決すること自体は容易
でありますので、後の問題はユートピアの運営管理ということに尽きるということになるでしょう。

未来に訪れる最終局面では、機械仕掛けの神=「デウス・エクス・マキナ」が突如
降って湧いてきて「地球へ…」のような「マザーシステム」が確立される見通しですが
そこに至るまでの創造的破壊のプロセスで様々な騒動、天変地異の類が起こるべくして
確信的に起こるようでございます。

そんなわけで、本作においても「人口問題」を解消するためのプロセスが人類の試練として
描かれ、その意義付けとして「ユートピア」があるということになるのではないかと
このような憶測が成立するという話であります。

「チャットGPT」の登場により「シンギュラリティポイント」に到達したということでありますから
人間が考える時代は終わったか、あるいは人間の思考回路では「AI」には勝てない
ということが明らかになったということであります。

【禁断のテクノロジー】に対しては慎重であるべきと言うのは人間の古臭い価値観であり
AIは常に合理的な最適解を導き出し続けます。

古臭い人間がテクノロジーの進歩に戸惑っている間に社会は劇的な進化を遂げ
ユートピアは着実に設計され計画は坦々と進行していくでしょう。

思考がついて行けない人類のために【予測プログラミング】が必要ということで
本作のような作品を用いて未来の姿を少しづつ刷り込んでいっているという話でございます。 {/netabare}



1話を見て「僕っこ」主人公にピンときましたが
まさか2話で{netabare}それバラすとか展開早すぎて、見事に出遅れてしまいました。

【ソドム】と来たら【ノアの大洪水】、【ハルマゲドン】が来るというお約束なわけであります。
例えば「約束のネバーランド」も「ノア」に繋がる話であります。

LGBTが主人公ならば当然裏設定はゴリゴリ機能するということになるでしょう。
故に解釈し甲斐がある話になるような気がいたします。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

面白すぎるSF作品。それだけに完結しないマイナスは大きい。

 荒廃した現代日本と地続きのようなディストピアと、高度に発達した医療保育施設的なものの陰謀がクロスオーバーするような話で、SFとして非常に興味を引く設定です。1巻2巻は読みましたがアニメが面白過ぎて、もったいないので先を読むのを止めた状態です。

 本作はどうもセックスについて仕掛けがあるようで、妊娠のことや、ヒロイン?キルコの元は男みたいなところ、性行為のところが随分と描かれていました。ミミヒメとキルコ、トキオとマルの顔が意図的に似せてあるのがどういう意図なのか。またマルの身体能力はタカ譲りな気がしますので、もう少し複雑なのかもしれません。
 あるいはロビンとコナですかね。ロビンはキルコ、コナはトキオとの関係から言って、ちょっと気になる組み合わせです。やっぱり妊娠出産に絡んでくるんでしょうか。後半はそればっかりでしたし。

 ヒロインのエロもなかなか設定と絡んで、ヒロインのエロがなかなか必然が感じられていいと思います。

 途中からあまりクローズアップされていませんが、似た人間に注射する設定がどういうことか、人間=怪物なのはどういう意味なのか。 それと自死したアスラの意味は?タラオとハルキも似ているし、先に死んだことも含めて関係がありそうです。

 脳手術というものが可能なのかどうかもあります。キルコが誰なのか。クマに襲われた時に聞こえた弟ハルキのセリフは姉のキルコがいないときに、ハルキが思ったことだと思いますので、なぜその描写をわざわざ入れたのか。
 キルコはキルコで2重人格か記憶を植え付けられた。キルコは脳手術でハルキになった。ハルキなどもともとおらずキルコの思い込みである。などなどいろんなパターンが考えられます。

 なんとなく天国が崩壊して逃げ出したメンバーの子ども世代のような雰囲気はありましたが、それがミスディレクションなのかどうか。

 他にいろいろありますが、やはり視点は出産と不死研究、人間と怪物でしょう。このテーマで、過去回想と主人公視点の時間と天国の3つが錯綜して複雑な話を見やすく展開したストーリーは秀逸だと思います。

 原作は完結していないんですよね?となると、これから半年から1年で原作完結しても、1,2年は絶望的でしょうか?ストーリーの評価はSF的な仕掛けが多くてとても楽しませてもらったので6点付けたいくらいですが、やっぱり完結しないと作品としては評価できませんし、気になりすぎるので-2点で4点にします。原作で続きを読もうか非常に悩み中です。

 キャラは上手く扱えていると思います。特にマル・キルコのコンビは面白さ、背景や正体の謎、エロ、コミカルなどいろんな点で秀逸なキャラでした。5点です。

 作画は非常に良かったです。キャラデザも、原作者の絵柄を採用しつつ、アニメ的なデザイン化ができています。特に原作では、サブキャラは大友克洋そのままなのを上手く解消している気がします。話の設定・世界観・絵柄はそのまま大友克洋ですけど。

 音楽と声優は調整で高めにいれますが、そもそもレベルは低くないので4くらいで適切かなあ、と。

 ということで、非常に面白くて最高でしたが、それだけに完結しないマイナスは大きすぎる気がします。さっさと2期に向けて動いてください。





以下 視聴時のレビューです。




2話 ジャンルすらまだわからない。作品らしい作品で期待がもてます。

{netabare}  なんかすごいのが来ましたね。世界観、舞台設定。そういうものを解き明かす類の話ですので、ジャンルすら判然としません。先入観・前情報抜きで見て本当に良かったです。

 私は原作者の石黒正数さんは「外天楼」という1冊で完結する不思議な作品を高く評価しており、その一方で「それでも町は廻っている」はそうでもないかなあという印象です。そして、この作品。「外天楼」の雰囲気に近いですね。期待がもてます。

 天国がアナロジーでドーム社会的なディストピアなのか、本当の意味でのあの世なのかが分からないです。どうもクリーチャーは描いた絵がそのまま現実(地獄)で現実化するような雰囲気でした。

 2話で性認識の問題のような雰囲気もありましたが、ここが天国と現実(地獄)の対になる部分でしょう。相対する人格が組になっている印象でした。AI(VR世界)とか未来過去、彼岸と此岸…どれが正解なんでしょう。先行きが非常に気になる話で面白いです。もちろんシェルターと現実世界の可能性もあります。
(注射設定があるのでこれかなあ?そうなるとSFですね)

 映像もIGということでクオリティが高いし、ストーリーの展開ももったいぶらずにどんどん展開します。久しぶりにTVアニメ(ディズニー独占ですけど)で、作品らしい作品だなあと感心しました。{/netabare}


6話 AKIRA…大友克洋の影響をものすごく感じます。つまり、SFでしょう。

{netabare}  ディストピアの描き方が「アキラ」の雰囲気にちょっと似てる?とおもって見ると、特に男性のキャラデザって大友克洋ですね。立体感を感じる人物造形など雰囲気がそっくりです。

 あの天国はAKIRAのあの老人の保育園みたいな施設にも似ているし、キャラの言動や凝った構図なども大友克洋氏の影響を非常に強く感じました。ヒロイン級の美少女が描ける分、女については石黒氏の方がいいですけどね。
 だから何?というわけではありません。アニメの方は、SF臭が濃厚になってきて期待が上がってます。男女のジェンダーなのかセックスの問題が描かれているのも面白いです。

 できれば2クールで…と思いますが、どうもまだ原作も完結してないみたいなので、期待薄かなあ。できれば2桁巻(10巻以上)ダラダラ続けないで面白いうちに完結してくれるならちゃんと買いますから、きっぱり終わらせて2期を是非是非お願いします。 {/netabare}


12話 もうちょっとテンポが速い方がいい気もしますが、面白いです。

{netabare}「謎とき」っぽい雰囲気がありますねえ。やたらと性的なエピソードが多いと思っていましたが、生命維持、天国の不老不死その辺りが話になって行きそうです。外の世界にいる化け物はまあ、天国から漏れ出てきている何かなのでしょう。
 妊娠・出産も随分と描かれていましたし、おそらくキルコと何らかの形で相対する子供もいました。

 衝撃の12話でしたが、キルコの素性がわかりそうですねえ。要するに「天使な小生意気」的な設定で{netabare} 暗示なんでしょうか。別に意識が入れ替わっているわけでなく、自分が弟だと思い込んでいる{/netabare}という可能性が高そうです。死なせたくないという強い意識か罪悪感が原因でしょうか?わかりませんけど。
 なんとなく何のためのエピソード?という赤ちゃんの話もありました。となると妊娠な気もします。となると、キルコがそうなるのは伏線で、多分妊娠?…という気もします。NTRおよび托卵ですが、主人公にはめげずにがんばってほしいです。NTRを乗り越えられるのが純愛です。

 一方で、天国側では「入れ物」という不穏な言葉も出てきました。脳か意識が移植できるのでしょうか?これがキルコ、弟と関係する可能性もまだまだありそうです。わからないように煙に巻いているんでしょうか。上手い作り方をするなあと感心します。

 あの人間も殺せるかも、というホテルのあの女の子とのエッチな絡みから、包帯の死にかけの少女につながりましたねえ。結構無駄がない計算がありそうな気がします。こういう伏線は上手いですねえ。人を殺せる=武器にもなるし、つまり人間=化け物ということでしょう。

 まだ、サラリと1回見ただけなので考察もなにもしてませんが、つまり考察すればある程度は読み解ける気がします。第13話もあるみたいなので、それを見て、ちょっと考えてみようかなあという気になります。

 結構、間が長いシーンもあるので、もうちょっとテンポが良くても良かった気がしますが、原作未完ということで調整でしょうか?2期の予定があればいいのですが。{/netabare}






 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

90.7 2 sfで漫画原作なアニメランキング2位
プラネテス - ΠΛΑΝΗΤΕΣ(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (3120)
15592人が棚に入れました
時代は2070年代(2075年以降)。人類は宇宙開発を進め、月面でのヘリウム3の採掘など、資源開発が商業規模で行われている。火星には実験居住施設もあり、木星・土星への有人探査計画も進んでいる。
毎日、地上と宇宙とを結ぶ高々度旅客機は軌道上と宇宙とを往復し、宇宙ステーションや月面には多くの人たちが生活し、様々な仕事をしている。しかし、長い宇宙開発の歴史の影で生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ。廃棄された人工衛星や、ロケットの残骸など)は軌道上にあふれ、実際にたびたび旅客機と衝突事故を起こすなど、社会問題となっていた。
主人公のハチマキは宇宙で働くサラリーマン。主な仕事は宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業。いつか自分個人の宇宙船を所有することを夢みている。ゴミ拾いは大事な仕事だと自分を納得させつつ、当初の夢と現実の狭間でこのまま現実を受け入れるか、それとも夢を追い求めるか思い悩む。

声優・キャラクター
田中一成、ゆきのさつき、折笠愛、子安武人、岡田吉弘、後藤哲夫、伊藤舞子、加門良、渡辺久美子、檜山修之、倉田雅世、若本規夫、小林恭治

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

至高

傑作と言われるアニメはいっぱいある。
しかし、名作と言われるアニメはそう多くはない。
「風の谷のナウシカ」と同じ、原作とアニメ両方がSF界至高の「星雲賞」を獲得した本作は、
普段アニメを観ない人間や大人にも自信を持って薦めることが出来るもので、
「本当に良いアニメとは?」という問いの答えとしては、
これ以上ない素晴らしい内容の、まさに名作中の名作と言えるのではないかと思う。


本作は2003年にNHKとバンダイ、サンライズが協力して制作した漫画原作のアニメ化作品。
原作とは登場人物、キャラの描き方、オリジナルエピソード、
終盤の展開などかなり改変されている部分があるようだ。

2075年の宇宙が主な舞台となっているが、これは年代は別にしても実際に未来に起こりうるかもしれない、
と思えるリアリティがあるSFもの。

まず、自分が凄いなと思ったのが、宇宙&宇宙空間に関する設定と考証、考査。
これは宇宙に関する知識や造形が深くなければ、なかなか一朝一夕に出来ないなと思うほど感心した。
SFものの作品の場合においては、この設定&考証が甘いと特に命取りになってしまうことがあるが、
この作品は殆ど隙がなく、作品の世界に自然と引き込まれ、物語に集中することが出来た。


物語は宇宙開発が進み、その過程で出た宇宙ゴミが問題となった時代、
それを事業の一つとして回収する、テクノーラ社内部のデブリ課に属する主人公ハチマキを中心に展開するが、
このデブリ回収という仕事は、宇宙開発や人命を守る上でも非常に重要なものであるにも関わらず、
企業内では金にならない、お荷物部署的な扱いをされている。

これは舞台は宇宙であっても、現実の企業や会社、どんな仕事にでも通じるものだと思うし、
華やかな世界で脚光を浴びる人、利益に繋がるものを目に見える「数字」として残す人が居る一方、
それを支える地味で評価されにくい裏方の人間はどこにでも居る。
そのような人達の苦悩、葛藤、夢と現実は、
視聴者が主人公ハチマキに置き換えて見れるものなのではないかと思う。


展開としては、終盤までは基本的に1話で区切りがつくオムニバス的な構成になっているが、
これが本当に一話一話が濃く、ドラマに継ぐドラマの連続で、
それらのエピソード全てが結実する最終回は、見事としか言いようがない。
最終回が感動するのは言うまでもないのだが、
自分は中盤迎える頃からは、毎回エンディングが流れる際には、なんとも言えない感慨に浸っていた。


内容に関しては...観た人なら解ると思うけど、簡単に語れるようなもんじゃない。
この作品ではさまざまなテーマとメッセージが込められているし、
アニメという媒体でここまで深い内容を数多く取り扱っている作品は、
本当にいったいどれだけあるのだろう?

このように言うと、この作品がとっつきにくくお堅い作品なのかと思われるかもしれないけど、
導入部分の前半は特にユーモアに溢れており、恋愛の要素も前半から最終話まで続いているので、
大人だけでなくある程度の子供でも観ることが可能なのも、非常に評価したい点。
これは原作の改変とオリジナルエピソードが奏功しているのではないだろうか。
やはりどんなに高尚なテーマを扱ったものでも、面白くなければ視聴が続かない人も多いのだから。


登場人物は多いが、何ともバラエティに富んでいる点は、この作品の大きな魅力。
共感できる人間、そうでない人間でも、実際にこういう奴いる、と思うことはしばしば...
舞台は宇宙でも企業内の上下関係、人間関係などの描き方がリアルで、
大人にこそ共感できる部分が多いように思う。

そして、出てくる殆どのキャラに意味があり、ドラマがある。
例えば、6話で登場してきた忍者集団は、殆どコメディ要因としての存在かと思いきや、
まさか終盤あのような結末を迎えるとは...

回によっては脇役が主役に取って代わるほどに描かれていて、
物語上非常に重要な役割を果たしていることに加えて、各キャラの心情がしみじみと伝わってくる。
また、各キャラの台詞一つ一つが、要所々々で実に重みがあり、観る者に訴えかける。


声優の演技も素晴らしい。
アクの強いキャラが多いなか、みなさん見事に演じ切っていると思う。
至極当たり前のことではあるが、人気優先ではなく実力のある声優が選ばれ演じているのは、好感が持てる。
この辺りはNHKならではだろうか。


作画に関しては、いくらデジタル&CGが普及してからのものとは言え、
この作品が本当に2003年のものなのか?と思えるほど、今観ても殆ど違和感を感じない。
当時のTVアニメとしては最高水準に近いものかもしれない。
ガンダムで培ってきたものは伊達じゃないな、と実感した。
後にコードギアスを作ったスタッフ達によって制作されたとのことだが、納得のクオリティだと思う。

キャラデザインには一切の「萌え」がないことに不満な人も居るかもしれないが、
今作の持つ内容を鑑みると、それをこの作品に求めるのはお門違いだろう。
ただ、作中で可愛いとされてるタナベは、個人的にはちょっとオバハン臭い(笑)


音楽に関して、最初OPとEDを聴いた時はちょっとモサい曲やなぁ、と思ったけど、
物語が進むにつれて、歌詞のポジティブなメッセージがこの作品に本当によく合っていると実感し、
だんだんとこれじゃないとダメ、というくらい好きになっていった。特にEDの入りが毎回絶妙。
OP,EDはテレビサイズじゃなくフルで聴いてみると、より作品とリンクしているのがよく分かった。

そして、特に素晴らしいのが、最終回のEDで流れる黒石ひとみさんの歌う「プラネテス」
これはもう本当に涙無しに聴けない名曲、
歌詞も本当に素晴らしく、感動的なラストに持ってくるには、もはやズルすぎる。
ブルーレイBOXのPVにも使われてて本当に感動的だが、このPV観ただけで泣ける。。

作品中のBGMにはガンダムを思わせるものがあったり、
和楽器を多く用いた、雅楽的な曲が宇宙の世界観と意外にもハマっている。
しかもWikiによると、実際に生録音したものを使っているらしく、かなりの拘りを感じることが出来た。
(昨今の音源はサンプリングが多く、パソコンで作られてるものが多い)


アニメには色んなジャンルがあり、この作品より展開や演出に凝っているもの、
単純に面白いだけのものならいっぱいあるが、
観た後の人生において意味を持つ、考えるきっかけになるようなアニメは、本当に貴重な存在だ。

正直ここまで心に染みる、観て良かったと思えるアニメは、もはや自分の中では殿堂入りかも知れない。
このような素晴らしい作品を作ってくれた、原作者並びに製作陣には本当に感謝したい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

ぽんちぃ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【参考情報】感想書きかけ

NHKらしい万人向け良作。
最後に掛けて盛り上がり、感動できると思います。


宇宙開発によって生まれたスペースデブリ(宇宙ごみ)回収業者を主役とし、
あまり顧みられることのないスペースデブリ問題を描いたSF漫画のアニメ化

OPテーマ:「Dive in the Sky」歌 酒井ミキオ
EDテーマ :「Wonderful Life」歌 酒井ミキオ

■地上波で再放送時に視聴
2004年7月から2005年1月
3ch NHK教育 (木) 00:25~00:50(25分)

===================================
【参考情報】放送時番組情報
{netabare}

真空で漂うネジ1本すら宇宙では凶器に…。人気SFコミックをサンライズがアニメ化

宇宙に漂うゴミ(デブリ)を回収する、デブリ回収業に従事する宇宙飛行士たち。仕事に命を懸ける彼らは、同時にサラリーマンでもあった…。

■原作
【漫画】
作者:幸村誠
出版社:講談社
掲載誌:モーニング
発表期間:1999年 - 2004年 全4巻

■放送情報
初回放送:2003年10月4日〜2004年4月17日
NHK BS2でアニメ化された。2003年10月4日から2004年4月17日に放送。

■ストーリー
{netabare}時は西暦2075年。人類は宇宙開発を推し進め、巨大な宇宙ステーションや月面都市を建設するまでになっている。
地球、ステーション、月面の間には旅客機や貨物機が行き交うようになり、人々にとって宇宙は、遠い世界ではなく日常の世界になりつつある。
この時代、大きな問題となっているのは、宇宙開発にともなって発生するゴミ(デブリ)。
使われなくなった人工衛星、ステーション建造時に出た廃棄物などのデブリは、地球周回軌道上を高速でまわっている。
2068年に起きた高々度旅客機アルナイル8型とデブリの衝突事故は、多くの死傷者を出す惨事となり、デブリ問題が注目されるきっかけとなった。
主人公・星野八郎太(ハチマキ)は、宇宙産業の大手・テクノーラ社の社員。デブリ回収船トイボックスに乗り込み、仲間のフィーやユーリとともにデブリ回収の任にあたっている。
ハチマキを中心に、新入社員タナベの登場、宇宙開発に反対するテロ組織「宇宙防衛戦線」の暗躍、木星往還船フォン・ブラウン号の建造など、様々なドラマが描かれてゆく。

NHKが同時期に、現代により近い設定でロケット開発と宇宙飛行士養成を描いた『ふたつのスピカ』を制作・放送している。{/netabare}

■各話リスト
{netabare}第1話 「大気の外で」(初回放送:2003年10月4日)
第2話 「夢のような」 (初回放送:2003年10月11日)
第3話 「帰還軌道」 (初回放送:2003年10月18日)
第4話 「仕事として」 (初回放送:2003年10月25日)
第5話 「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」(初回放送:2003年11月1日
第6話 「月のムササビ」 (初回放送:2003年11月8日)
第7話 「地球外少女」 (初回放送:2003年11月15日)
第8話 「拠るべき場所」 (初回放送:2003年11月22日)
第9話 「心のこり」 (初回放送:2003年11月29日)
第10話 「屑星の空」 (初回放送:2003年12月6日)
第11話 「バウンダリー・ライン」(初回放送:2003年12月13日)
第12話 「ささやかなる願いを」 (初回放送:2003年12月20日)
第13話 「ロケットのある風景」 (初回放送:2003年1月10日)
第14話 「ターニング・ポイント」(初回放送:2004年1月17日)
第15話 「彼女の場合」 (初回放送:2004年1月24日)
第16話 「イグニッション」 (初回放送:2004年1月31日)
第17話 「それゆえの彼」 (初回放送:2004年2月7日)
第18話 「デブリ課、最期の日」 (初回放送:2004年2月14日)
第19話 「終わりは いつも…」 (初回放送:2004年2月21日)
第20話 「ためらいがちの」 (初回放送:2004年2月28日)
第21話 「タンデム・ミラー」 (初回放送:2004年3月6日)
第22話 「暴露」 (初回放送:2004年3月13日)
第23話 「デブリの群れ」 (初回放送:2004年3月20日)
第24話 「愛」 (初回放送:2004年4月3日)
第25話 「惑い人」 (初回放送:2004年4月10日)
第26話 「そして巡りあう日々[終]」(初回放送:2004年4月17日)
{/netabare}

<STAFF>
{netabare}原 作:幸村 誠
監 督:谷口悟朗
企 画:内田健二:上埜芳被:松本寿子
脚 本:大河内一楼
キャラクターデザイン:千羽由利子
コンセプトデザイン・設定考証:小倉信也
メカニカルデザイン:高倉武史:中谷誠一
美術監督:池田繁美
色彩設計:横山さよ子
撮影監督:大矢創太
編 集:森田清次
音響監督:浦上靖夫
音 楽:中川幸太郎
プロデューサー:河口佳高:湯川 淳:植原智幸
製 作:サンライズ:バンダイビジュアル:NHKエンタープライズ21
{/netabare}

<CAST>
{netabare}ハチマキ: 田中一成
タナベ: 雪野五月
フィー: 折笠 愛
ユーリ: 子安武人
課長: 緒方愛香
ラビィ: 後藤哲夫
エーデル: 伊藤舞子
ドルフ: 加門 良
クレア: 渡辺久美子
チェンシン: 檜山修之
リュシー: 倉田雅世
ギガルト: 若本規夫
ナレーション: 小林恭治{/netabare}

http://www.planet-es.net/
http://www9.nhk.or.jp/anime/planetes/
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

追記 なるほどアニオリ設定が人物造形が拠れている原因ですね。

追記 なるほど、コミックス版と設定が全然違うんですね。

 機会があってコミックスを読みました。

「ショムニ」みたいな地下に追いやられた出来損ない部署という設定がコミックス版だとそもそもないです。そこと後半の木星探査の選抜やらと整合性がないのは、アニオリ設定が上手く機能しなかったですね。

 アニメで宇宙開発上の問題として、デブリがあまり機能していないのはそもそもコミックスでそういう話だったからでした。
 落ちこぼれ=「ゴミ」という部署がデブリに立ち向かう、というところにアニメの前半は面白さを見出していたので、だから後半と感覚的に人物も話も拠れているんですね。

 コミックス版はハチマキが自分自身と向き合う話でした。恋愛については、タムラがちょっと不気味というか生物全般を含め、すべてを愛せる、という人格に、ハチマキへの愛情に疑問を持たせるような含みな気もします。一種のサイコパスにも見えたりと、アニメ版の猪突猛進よりも複雑な内面な気がします。

 コミックス版の方が宇宙と人間という対比がより鮮明で、ですのでエンタメは弱く、むしろ内省的になる話でした。アニメが中途半端で人物造形がよれている感じがする理由がわかりました。

 大河内脚本ですが、うまくいってない例だと思います。あとやっぱり月面育ちの少女の話はいいですね。これはアニメの方が良かったかも。



以下 1回目レビューです。

 デブリ問題も落ちこぼれ部署もどこか中途半端で、 最後は男の夢と恋愛?

 構造的にはショムニですよね。既視感はありますが、要ははみ出し者たちのヒューマンドラマと逆転劇です。米国っぽい企業の内部の人間模様はステレオタイプではありますが、死と隣り合わせの危険な世界ゆえのエピソードが新鮮でした。
 スペースコブラのラグボールとかクロスゲームのプレハブ組みとか、類例はいくらでもありますのでその点については類似性は作品の価値を落とすものではありません。

 主人公もヒロインも熱すぎて今の時代のキャラではないです。他人への働きかけが無作法を通り越してコンプライアンス違反や犯罪と同義になりつつある現代では、あまり考えられないキャラ造形です。

 途中までのテーマとしては、デブリ処理の重要性の割には企業の論理でひどい扱い、縁の下の力持ちは報われない…だけど分かっている人にはわかってる。職業に貴賤はないけど実際は…いろんな職業や立場の人とのアナロジーが想起されます。原発とか介護とかまあ、いろいろあるでしょう。

 ただ後半からははみ出し者、落ちこぼれ設定が主人公の夢に変わってしまっていました。冒頭から宇宙船云々で突然ではないですけど、視点がかわってしまいました。そのせいで、デブリはどうした?部署はどうなるの…あなた達デブリ課の価値とかプライドはどこへ?という部分があいまいになった気がします。途中からテロとの戦いにおけるドラマと木星への夢、そして恋愛とか…なんかそういう話になりました。

 遺書繋がりでエピソードの伏線回収はされましたけど…うーん、感動は薄かったなあ。なんとなく予想が付いたというのはありますけど…キャラの感情の起伏が表現されすぎて、かえって乗れなかったんですかねえ…

 ですので、通しで見るとちょっとテーマが定まらなくて、あれ、結局何が言いたかったの?になってしまいます。通しで見るにしても前半、後半で2回に分けたほうがいいかもしれません。あと恋愛に関してはそれなりに感動的ではありますが、うーん、身近ですませた?恋愛に関して葛藤があった?

 宇宙の新時代を舞台にしたエピソードの出来は悪くはない、悪くはないですけど…うーん。地味?いや、なんというか…良くできてますよね、以上の興奮と感動が少ないですね。

 テーマ性ですが、平和へのメッセージとか、命の問題とかそういう話はいろいろ入っています。ただ、企業の論理とかの部分が、事業部長が出てきたせいで相対化されてしまうんですよね。そのせいでデブリ課という部署やデブリを取り除く職=縁の下の力持ち的な要素がフェイドアウトしてしまいました。結局この手の話のテンプレで最後はみんな優秀で活躍するという結末でしたし。

 総評ですが、不思議なことに大好物のテーマだし、エピソードもストーリー全体も悪くないとはおもうんですけど、どこか面白くないんですよね。今回、ネット炎上の件で見直してみましたが、集中力が続かず、やっぱりぶつ切り、ながらになってしまいました。

 ふたつのスピカ、宇宙兄弟、ロケットガールズ…こうやって並べると…うーん。私的には一番退屈だったですね。

 その中で、SF的でかつエピソードとして秀逸なのは、7話の地球外少女ですね。2人の人間の対照的な人生が胸を打ちます。







 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

79.2 3 sfで漫画原作なアニメランキング3位
極黒のブリュンヒルデ(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (1737)
9715人が棚に入れました
子供の頃に事故で死なせてしまった幼なじみの女の子のことが忘れられない高校生・村上良太は、彼女との約束「宇宙人が存在することの証明」を果たすべく、天文部に在籍し毎日夜空を見上げ探し続けていた。ある日、良太の前にその幼なじみと瓜二つの転校生・黒羽寧子が現れる。しかし、彼女は自分を「魔法使い」だと語った…。「魔法使い」は研究所で手術や薬により肉体を改造され、様々な特殊能力を持つが、鎮死剤を毎日1錠飲まなければ死んでしまうという。「研究所」から逃げ出してきたという彼女を回収するため、次々と追跡者が差し向けられる。迫り来る高位の魔法使いと鎮死剤の枯渇、あらゆる死の恐怖が迫る中で彼女と良太が選んだことは・・・。

声優・キャラクター
逢坂良太、種田梨沙、洲崎綾、M・A・O、田所あずさ、東地宏樹、鈴木達央、沼倉愛美、内山夕実、能登麻美子
ネタバレ

NEOたちばな さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

笑顔の彼が流した涙は地面に深く突き刺さる@原作読破完了!物語評価上方修正

原作読破
ハーレム×ダークファンタジー×SF、学園要素は最初と途中にちょこっとだけ
グロ描写もあるが、これは設定の軸であり作品に重みを持たせるため必要な「グロ」だと理解
男性視聴者にはありがたいサービスショットも盛りだくさん、ありがてぇーです(ゲス顔)
{netabare}「たまたま」天文台の近くに温泉があるんだから、そら温泉にみんな入りたいよね!
がっつりカズミのおまんまん見てたのは、さすがにやりすぎw{/netabare}
1~9話までの物語構成は完璧、いや完璧すぎる
こんなに続きを待ち望むことが出来る物語性を有していながら、あの12話13話はもったいない本当に
特に最終回は超展開すぎて腑に落ちない点が多々ある。だが、その中においても{netabare}寧子が記憶を無くした状態で村上に「あなたは誰ですか?」「なんで泣いてるんですか?」って聞いたときに村上が流した涙、あれは深い。そして重い。
・無事だったことを喜ぶ安堵感
・覚醒状態を経て取り戻した記憶が無くなってしまった絶望感
・「幼馴染み」の寧子に告白されて両思いになれたのにまた失ってしまったという喪失感
無事だと思った最愛の幼馴染が赤の他人に・・・{/netabare}
この涙をみた瞬間、自分の感情はぐちゃぐちゃになった

-各話感想-
1話-きみを待ちながら-牡羊座
{netabare}幼馴染みにそっくり美少女、クロネコ
クロネコの目的はこの世を破滅から救うこと
未来予知しちゃう系ですね、なるほど
「あなた死ぬわ」デデーン
「わたし魔法使いなの」チラッ
「お前それ魔法じゃねーよ」ビシッ
掴みは完璧、続きみたくなる
{/netabare}
2話-魔法使い-牡牛座
{netabare}開幕の浮輪で双眼鏡
なんかいっぱい女の子が捕まってるよー!
寧子なんか歌ってる、これ当時はかなり話題になったらしいですね
魔法使いを作る研究、意味深
全身不随の佳奈ちゃん口悪すぎ
リセットボタンっぽいの押すのドロドロになっちゃう、イジェクトっていうのかね
魔法使いの研究所の呼称は「魔女」
佳奈ちゃんも泣けるんやね、感情豊かやね
ボコボコにされたような傷で血が出て学校に来ないend
おいおい、気になりすぎるだろ
{/netabare}
3話-鎮死剤-双子座
{netabare}鎮死剤を飲まないと死ぬ、鎮死剤の確保が物語の鍵っぽい?
主人公の特殊能力がカメラアイと判明
カズミは関西弁でがめつい
ボタンの名前はハーネストと判明
おっぱいの分だけホクロが動くという単純な理由を天才村上が見逃しているとは
寧子は魔力を使うと記憶の一部を失っちゃう
寧子がバラバラで死んでるのにまだ大丈夫だ!って、村上なにか秘策があるのか!?
{/netabare}
4話-失われた記憶-蟹座
{netabare}サオリのもうひとつは時間の操作が出来る能力
時間を戻したから脇の下のほくろは記憶として残らず...orz
なんか目がいっぱいの気持ち悪いやついたよ、ハーネストはher nest(彼女の巣)と推理
佳奈ちゃん動けるらしい、その代わりに…
お風呂混浴からのバッチリおっぱいとおまんまん凝視wからのもみもみ
ほくろ確認しとけよ笑!
性器代まけるってなんやw
いちじく所長ひどいおー、魔女溶けちゃってますけど…
爆乳おっぱいちゃんがAA+?
けど、OPでもEDにも出てきてるし仲間っぽいけど
ハーレム要素がポツポツと
{/netabare}
5話-天体観測-獅子座
{netabare}開幕はおっぱいツンツンからの乳首の色について
カズミしょびっちの件について
夏の大三角はネタにされすぎやな
小鳥白々しいワロタ
佳奈ちゃんもカズミも天体観測ハマりすぎワロタ、何事も一度は経験しないとねっ!
小鳥に殺される予知なんやろ、AA+に追われているということは小鳥は敵じゃない?
{/netabare}
6話-微笑の理由-乙女座
{netabare}開幕は寧子激情す
タイトルから小鳥の微笑の理由がが分かるっぽい、そして小鳥は超絶いい子だった…
転移魔法はやり方でめっちゃ強力に
悲しいときほど笑う…、誕生日おめでとうが悲しいね
水浴びいいねー、小鳥ノーブラいいねーたまらんねぇー
研究者小五郎の狂気ラスト
{/netabare}
7話-希望のかけら-天秤座
{netabare}魔女は人体改造された超能力者的な?
薬の合成・宇宙人の受精卵の解析を小五郎さんに依頼
「なんなのこれっ」寧子さんそれは恋ですよー
水着あざます、てか村上ホクロみろよっー!
1107は寧子?我々の大願とは、おっさんら誰やー
寧子は最終兵器らしい
カズミはドイツ語設定を無事に回収
今すぐ魔女を殺せとな
{/netabare}
8話-残された手がかり-蠍座
{netabare}なんやなんや、電源オンの場所に何か来てたよ
カズミの直接エッチしよう宣言、逆に清々しい
心配じゃなくて信用はいい言葉だね
本当に宇宙人の卵かもしれないとは…山口敏太郎先生の出番です
よく分からんけど記憶を吸いとる能力の魔女が登場?
{/netabare}
9話-模造の記憶-蛇座?
{netabare}奈波ちゃん糖分が必要…かわええ
記憶を作れるし覗けるとはすごい能力だの
研究所こわいよーが判明したっぽい
いやいや、村上くん赤ちゃんなっちゃったよw
カメラアイは記憶とは違うみたい
おっぱいで1000円って、売春するにもこれはヤバすぎる
脇の下でも1000円ってw
奈波ちゃん日誌みられたけど、どうなるの!?
{/netabare}
10話-生きている証-射手座
{netabare}えっ、ここにきてOP変更ですかい?
てことは、展開変わるんやなたぶん
忘れられることは怖いね、奈波ちゃん…ほんと不条理、ほんと理不尽
みんなが悲しくなるのを防ぐために記憶を消すなんて、なかなか出来ないこと。奈波は優しいね。
奈波が逃げ出す可能性があるのに付き添いの男はサングラスしか対策してないのはガバガバすぎるよね
勉強してこその高校生活、そしての寧子の歌が虚しすぎるw
またホクロを確認しない主人公に無能説
日常が幸せっていいことだね
なんかヴァルキュリアのラスボス感すげー
男子のモブキャラは梅原裕一郎がやってるんだね
{/netabare}
11話-突然の再会-山羊座
{netabare}ヴァルキュリアつえぇー、山壊したよw
なんか温泉回ふえたなー、ありがたく享受させていただきます
村上の男気に痺れる憧れるぅー、そんな惚れさせてどうするつもりや
そしていきなりキスするぅー
誰か1人しか生き残れないって…ここはドロドロしてないね、生に対する執着がないのはリアルさが無いね
諦められるってすごいよね、自分なら生にしがみつくな(汗)
とうとうホクロを確認!
けど、ヴァルキュリアきたよどうなるの(^^;)(;^^)アタフタ
{/netabare}
12話-魔女狩り-水瓶座
{netabare}1107番って小鳥のこと!?
村上死ぬ…のか?
いかにも魔法使いっぽいやつら来る→撃たれる→逃げられる=無能
はつなの死がスルー気味
ハーネストのなかのドラシルが成長する→孵卵して魔女の身体を食って化け物になる
なんか数千分の1の確率ですんごいやつが出てくる、それがグラーネ?
グラーネは完全なる生命体を作るために必要らしい、えっーと超展開なのだが
小鳥はレナに身体を貸してる?レナの意識が覚醒しない?
{/netabare}
13話-守りたいもの-魚座
{netabare}いきなり村上殴打でウワァー
組織の名前が高千穂とは、日本神話ね
ヴァルキュリアの妹が寧子とのこと
レナの意識戻ってた、いちじくの妹やったんか
それにしてもなんや変なやつ生えてたな、あれがグラーネっちゅうやつか
カズミ処女のまま逝く、報われないねー
寧子覚醒して記憶が戻る
いちじく謎の身代わりで蜂の巣、ヒトの心は分からないなー
告白のキスからのお別れ
アンチマターとマイクロブラックホール?ちょっと何言ってるかワカラナイデス
とにかく、いちじくと木が何かに吸い込まれたのは分かった
【悲報】寧子、記憶を失う
寧子の「私のこと忘れないでいてくれてありがとう」が染みる
薬は出来たっぽいけどね、予知の使えなくなったカナと記憶を無くした寧子が残った
けど、薬が出来てもいずれはドラシルが孵卵しちゃうんだよね
謎の組織「高千穂」の目論みはどうなるのか
様々な伏線が未回収のまま終わってしまった・・・
{/netabare}
-ザクッと総評-
{netabare}1-9話は本当に完璧
12話13話が急すぎる、物語に追い付けなかった
原作レイプ言われてる意味が分かった
急にドラシルとかグラーネ言われても分からんよ
ヴァルキュリアもイチジクもみんなぶっ飛びすぎやろw
んで、エンドロールでその後を推察しろというのは無茶です
予知できない佳奈ちゃんと記憶なくした寧子が残ったけど、薬できても結局はドラシルが孵卵したら終わりよね・・・
キャラはみんな可愛かった、小鳥は本当にええ子やなー( ;∀;)シミジミ
皆さん言われているように、本当にもったいない作品だと思った
自分は完璧だった1-9話の物語性を評価して物語に☆4.0をつけたい{/netabare}

-OP&ED考察-
OP曲その1「BRYNHILDR IN THE DARKNESS -Ver. EJECTED-」1-9話
OPは音楽だけって特徴的
歌詞がないだけでこんなに映像に集中してしっかり見れるんだね
というか映像を見せたいから歌詞がないのかな
血まみれの虚無の表情は怖いね、なんで血まみれなんだろう?って最初は思ったけど見ていったらすぐ理由がわかった
全部見終わってからOP映像を見返すとけっこうおもしろいね
OP曲その2「Virtue and Vice」10-13話
歌:Fear, and Loathing in Las Vegas
この曲単体で聴くと「ふぇッ( ゚Д゚)」ってなるw
世界観と合ってていいんじゃないでしょうか
2クールのOPとして観たかった・・・

ED曲「いちばん星」
歌: 黒羽寧子(種田梨沙)橘佳奈(洲崎綾)カズミ・シュリーレンツァウアー(M・A・O)鷹鳥小鳥(田所あずさ)
いやー、歌詞が深い
星がテーマというのがこれまた・・・ねっ?
-気になった歌詞-
{netabare}私は今恋に落ちた
一番星お願いした
どうか君と
いつも一緒にいれるように
私は今はじめて知る
恋は切ない
苦しくなる
でも愛はとっても
ホラ
あたたかいものなんだ{/netabare}
切ないね、やるせないね、ほんと虚しいね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

雪だるま* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

守るために、戦え。

◎放送時期:2014年4月~6月(全13話+TV未放送1話)
◎ジャンル:SF、ファンタジー

●原作:岡本倫(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
●監督:今泉賢一 ●シリーズ構成:北島行徳
●キャラクターデザイン:烏宏明 ●制作:アームス

■あらすじ■
村上良太は「一度見聞きしたものは忘れない」という能力を持った高校生。
そんな彼のもとに、幼いころ事故で亡くした初恋の幼馴染・クロネコと
そっくりの少女・黒羽寧子が現れる。
しかし、彼女は「研究所」の人体実験により生み出された「魔法使い」であった。

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☆★感想★☆

※原作未読。

原作は「エルフェンリート」の作者で知られる岡本倫先生です。
エルフェンを観ていた時も思いましたが、この作者のセンスは凄まじいですね^^
なんというか、すごくエキセントリック。(もちろんいい意味でw)


ストーリーは基本的にダークで、そしてシリアスです。
でも、それでいて純愛も描いていて、切なくも温かい物語でした。

魔女たちの設定がかなり重いのもあり、危機迫る場面も多く、
残酷描写・グロ描写も結構あります。

でも、シリアスだと思っていたら いきなりギャグになったり、
悲しい場面なのにさらっとシュールなギャグが入ってきたりするので、
温度差に驚いてしまったり ついつい笑ってしまったりします/(^o^)\

{netabare}残り少ない鎮死剤を譲りあうシーンで『どうぞどうぞ』とダチョウコント
したり、ヴァルキュリアに斬られて死にかけている村上の隣に奈波ちゃん
が現れて『どうも。』とか言っちゃったりw{/netabare}

普段はシリアスの中にギャグ挟まれると萎えてしまうのですが、
この作品は不自然さや寒さがなかったので、すんなり受け入れられました^^

悲しい場面のはずなのになぜか笑ってしまう。
観ててこんなに混乱してしまった作品は初めてです。(もちろんいい意味でw)

それでも、絶望的な局面の中で 村上たちが一致団結して敵に立ち向かおうと
する流れは、とても熱い展開で見入りました^^

そして、お話の見せ方も上手いなぁと思いました。

{netabare}一度はホクロを確認して寧子ちゃんの正体を知った村上。しかし、
サオリに殺された寧子ちゃんを救うためにサオリの力を使って時間を戻し、
その結果 ホクロを見たことを忘れ、寧子ちゃんがクロネコだということも
忘れてしまう。

そして、真実を知るのは視聴者だけになる。…というところとかねw{/netabare}


エロもありますが、嫌らしさ度が低かったのでエロが苦手な私でも観れました^^
しかし、やたらと「おっぱい」発言やお風呂シーンが多いw
カズミちゃんの{netabare}「性器代」{/netabare}発言は衝撃でしたw


主人公の村上は非常に頭が良く 言うことも的確なので、ピンチの局面でも
『なんとかしてくれるだろう』という安心感を持てるキャラでした。

そして、魔女たちことを思って 命を懸けることを惜しまず 懸命に行動する
姿勢は自然と好感が持てました^^
それから、自分の欲望に正直なところもw

{netabare}『つべこべ言わずに脇の下を見せろ!』『黒羽のおっぱいが見たい』
などというド直球発言だったり、
裸で水遊びする女子達を背後で戸惑うことなくガン見していたり…

こういうスケベなところを敢えて隠さないのが逆に良かったですw{/netabare}

ハーレム主人公は 基本的に苦手なのですが、村上はわりと好きですねw


メインキャラの魔女たちもみんな いい子揃いで魅力的でした^^

死と隣り合わせの中で必死に、それでいて明るく生きようとする
ひたむきな姿勢と純粋で清らかな心を持った魔女たちには毎回心打たれ、
感動もさせられました。

限られた命だからこそ、その命をもっと大切にしようと思える。
好きな人、大切な人のために何かをしたいという思いも強くなる。
「生きていること」は当たり前なことじゃない。
でもそれと同時に、とても素敵なことなんだと 改めて思い知らされました^^


メインヒロインの寧子ちゃんの「ポンコツ可愛さ」ったらない!

{netabare}○1話の九九出来ない『ににんが→ももんが はちに→さされる はっぱ→青臭い』
○2話の漢字読めない『今→ヘラ 左右→ナエナロ』
○7話の勘違い『カラオケ→マラムケ』そして歌う曲は「荒城の月」ww

でも、このポンコツさは寧子ちゃんの魔法の代償で記憶を失うから
なんですよね…そう考えたらすごく切ない><


あとは、なにより謎の歌ですねw何回か聞くうちにすっかり中毒になりましたw

○ネコさんのテーマ
♪困った人を助けるぞぉ~(コマッタ!)
死んじゃう人を助けるぞぉ~(ギャー!)
颯爽、登場、ネコさんだ~ みんなの人気者~♪

○気にしな~いのテーマ
♪誰と誰が間接キスしようが気にしなぁ~い
間接キスなんてキスのうちには入らなぁ~い
全然気にしな~い 全然全く何も気にしなぁ~い♪

歌詞とメロディのセンスがツボです( ゚Д゚)
CVをされている種田梨沙さんの歌い方も可愛いですね^^

嫉妬した時に無意識でモノを壊してしまうところも可愛いw{/netabare}

でもただ可愛いだけでなく、正義感の強さだったり、仲間思いなところも
寧子ちゃんの魅力だなと思います。


しかし…皆さん ほぼ同意見かと思われますが、
序盤~中盤までの流れが非常に良かっただけに終盤の詰め込みが本当に
悔やまれますね><

OPが急に変わった10話あたりから徐々に作画も不安定になっていき、
ストーリーもまさに怒涛の展開。いきなり話が飛躍しすぎですw
(聞いたところによると10話~最終話は原作4、5巻分すっとばしたらしいですw)

最後も投げっぱなしっぽく終わってしまったのは残念でした^^;
少なからずとも2クールでやっていれば間違いなく良作の域だったかと思われます。

でも、それでも全体を通して楽しめたので私は満足してます^^
これだけ詰め込んでも面白さが伝わるということは、それだけ原作の
ストーリーがしっかり出来上がっているということでしょうしね。

アニメとしての出来はさておき、センスの面では間違いなくズバ抜けている
作品だと思います。

『原作を読みたい!』
と、観終わった後に素直に思えました^^
なので、これから原作を手に取ってみようと思います。

可能であれば、数年後に2クールでリメイクしてほしいです(`・ω・´)


●OP①:「BRYNHILDR IN THE DARKNESS -Ver. EJECTED-」
●OP②:「Virtue and Vice」/Fear, and loathing in Las Vegas
●ED:「いちばん星」/黒羽寧子(種田梨沙)、橘佳奈(洲崎綾)、
カズミ・シュリーレンツァウアー(M・A・O)、鷹鳥小鳥(田所あずさ)

OP①のインスト曲がかなり好きでした^^
ホラーやミステリー映画とかで流れそうな怪しげなサウンドが作品の雰囲気
ととてもマッチしていました。

今後も、こういうインスト曲を扱ったアニメ作品が増えるといいなぁ。


■好きなキャラ■
颯爽!登場!…寧子ちゃんです^^
理由は前述したとおりですw

でも、カズミちゃんもいいなぁ。
普段は強気だけど、中身は繊細で乙女なところとか*

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35
ネタバレ

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

序盤から中盤のストーリー展開の良さは秀逸の出来、しかし後半が残念な流れに・・・近年まれに見る惜しい作品

*このレビューには酷評を強く含みます。苦手な方は閲覧を控えて下さい。

本作は岡本倫の漫画を原作とした作品です。2014年4月-6月に全13話で放映されました。岡本倫といえばエルフィンリートがデビュー作で代表作の方ですが、私はアニメ版のエルフィンリートを見て「かなり苦手な作品だな」と思っていたのでつい最近まで視聴を控えていた作品です。

制作会社はエルフィンリートと同じ「アームス」が制作しています。
しかし制作に関わる主要メンバーは全く違うようですね。
キャラクターデザインも別の方が担当していますが、制作会社が同じなので作画の質はまんまエルフィンリートって感じですね。相変わらず少し安っぽいです。

あらすじ・・・主人公の高校生「村上良太」は幼いころに事故で幼馴染の少女「クロネコ」を死なせてしまっていた。ある日学校に「黒羽寧子(クロハネコ)」という女子高生が転校してくる。死んだはずの幼なじみである「クロネコ」に外見も名前もそっくりな彼女だが、主人公の事は知らないと拒絶されてしまう。部活の帰り道に良太は土石流に押しつぶされるところを寧子に助けてもらう事になるが、彼女は超能力のような‘物を壊す事の出来る不思議な能力’を持っている事を知ってしまう。そして彼女達を追いかけて抹殺しようとする組織との争いに巻き込まれていくことになる。…といった感じです。

総評として「序盤から中盤のストーリー展開の良さはまれにみる秀逸な出来、しかし後半は展開が早く視聴者おいてけぼり必死」といった感じでしょうか。正直エルフィンリートからは想像もつかないほど序盤から中盤にかけての展開が良かったです。ギャグ方面のネタも面白くシリアスな話に自然に溶け込んでいました。キャラクターへの感情移入もバッチリで「良く作りこまれているな」という印象でした。そして気づけば1話~9話を一気に視聴してしまい、9話を見終えた時点では「これは総合得点4点以上は堅いな!」と思っていました。

しかし問題はここからです。急にストーリーの運びが早くなり、無理な展開が続きます。キャラクターの心情を表現する描写が不足しがちになるので、急にキャラクターの行動や言動が安っぽく見えてしまうんですね。これは非常に惜しい!!と言わざるを得ません。近年まれに見る惜しい展開です。序盤の勢いを後半ここまで保てなかった作品を私は知りません。ここまでの制作陣の苦労が水の泡という表現がピッタリかもしれませんね。

後でどうしても気になったので調べてみました。どうやら9話までは丁寧に原作どおりに作られているみたいなのですが、諸事情があったのか10話からは原作から見てかなりハイペースで物語が展開しているようです。いわゆる原作レイプですね。視聴者からも批判や不満が殺到しているようで納得しました。

原作が続いている作品なので未完に終わるのであれば、別に綺麗な終わりかたを目指さずとも、もっと作りこみにこだわって変な所で終わってくれた方が気持ち良かったと思います。これは「監督の采配ミス」と言わざるを得ません。

最近はラノベや漫画を原作とする作品が非常に多いですが、やはり同じような采配ミスをしている作品が非常に多いと思います。原作がある作品は、ストーリーの作りこみに時間を割かなくて良い分、制作の負担も減るんでしょうが、制作陣の都合で物語を変えてしまう様な出来では視聴者も納得できません。もとより「人気のある作品」なればこそアニメ化の話も出るのでしょうから、制作陣は「既に人気のあるストーリー」を「自分たちの手でどうにか作りなおそう」などと思いあがる思想を控えて頂きたいものです。どうしても自分の手で何かを作りたいのであれば、自らが原作者となって世に打ち出すのが筋ではないでしょうか?と強く思います。

オープニングテーマですが前半と後半で曲が変わります。
まず前半の曲ですが非常に好みです。まさかの音楽のみで歌がありません。しかし作品の雰囲気をよく表現している音楽で好感が持てました。
そして後半の曲なんですが…これ「ハードコア」ですね。自分はこの曲がどうとか以前にパンク系の曲は苦手なので全く興味がないです。聞かないので曲としての評価は解りません。ついでに言うと今作にハードコアを合わせた制作側のセンスが理解不能です。

酷評が多くなりましたが、中盤までの評価はかなり良い作品でした。原作通りで進行している部分の評価が良いという事は、原作の漫画はきっと面白いのだと思います。あまりに良かったので今度原作を購入しようか検討してしまうほどの作品でした。

*以下ネタバレレビューにて注意です。
{netabare}
このネタバレレビューでは今作の魅力の一つである「ギャグシーン」においてコメントしたいと思います。ここまで酷評多めでしたからね、良さも伝えないと。ここで掲載したセリフは全て私が吹き出すほど面白かったセリフです。ホント良いセンスしてますw

1話
・つべこべいわずにとっとと脇を見せろ!
良太のセリフですね。
かつてここまでセクハラじみたセリフを言わされたシリアス系の主人公が居たでしょうか?普通に「脇の下にほくろは無いか?あれば俺の幼なじみと一緒なんだ!」で良いじゃないですかw

・ににんが!?・・・ももんが!!
良太の問いかけに寧子が答えるシーンですね。
九九をここまで面白く答えたのは「魁!男塾の田沢」くらいでしょうw

2話
・こまったひとをたすけるぞー、こまったぁ!
寧子の歌ですね。
こんな音痴キャラ中々居ないですね。そして歌を聞かれて赤くなる辺りが凄く可愛い寧子ちゃんでした。

4話
・おまえのおっぱいにそれだけの価値はn(ry
良太のセリフですね。
その後ブッ飛ばされる良太くんですが、これは仕方ないですねw

5話
・ど、どーしてハーネストのことをしってるんですかぁ!?
小鳥のセリフですね。
まあセリフ自体がどうというよりは、ここの展開が面白かったです。瞬間移動→即活動限界→つかえねぇ…の流れなんか特にw

6話
・捕まえたい相手と入れ替われば、簡単にハーネストを押すことができるんだ(これシリアスなセリフだけどw)
良太のセリフですね。
したり顔で言ってますけど、それ普通だろwというか真っ先にその使い方が頭をよぎるわw

9話
・ねぇ、おへそだといくら?・・・さっき見たから0円。
奈波のセリフですね。
もっと大事なものを見られてから何故おへそにシフトダウンしてるのか解らないですけど、このセリフに吹き出しましたw

10話
・全然全く何もきいてなぁーい♪♪
良太のセリフですね。
寧子に落ち着いてもらおうと曲調を真似て伝えようとする「気持ち」は解りますが、ソレ逆効果だろw

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

86.6 4 sfで漫画原作なアニメランキング4位
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊-ゴーストインザシェル(アニメ映画)

1995年11月18日
★★★★★ 4.2 (1103)
6531人が棚に入れました
他人の電脳をゴーストハックして人形のように操る国際手配中の凄腕ハッカー、通称「人形使い」が入国したとの情報を受け、公安9課は捜査を開始するが、人形使い本人の正体はつかむことが出来ない。そんな中、政府御用達である義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが突如稼動し、女性型の義体を一体作りだした。義体はひとりでに動き出して逃走するが、交通事故に遭い公安9課に運び込まれる。調べてみると、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳にはゴーストのようなものが宿っていた。

声優・キャラクター
田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大木民夫、玄田哲章、生木政壽、家弓家正
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

造語を説明する気なし!

【あらすじ】
人間の身体を「義体」と呼ばれる機械に置き換えることができるようになり、脳とネットを直接接続できるようになった未来。中枢神経系以外のすべてを義体化した「少佐」と呼ばれる女性が「9課」と呼ばれる警察組織の暗部に身を置いていた。機械と人間、プログラムと意識、システムと思考の境界を問う押井守監督不朽の名作!

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛☆☆☆☆☆ 感動★☆☆☆☆
頭脳★★★★★ 深い★★★★★

【ジャンル】
SF

【こういう人におすすめ】
難しい話を読み解くのが趣味の人。SF好きな人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
83.7点。良作。

【個人的評価】
良作。いろいろ読み解くのに時間がかかるが「ゴースト」という単語はすごい。
『自分のお気に入り』

【他なんか書きたかったこと】
{netabare}  
 昔何度か見たことがあって、「まあわけわかんねえけど面白いなあ」くらいに思ってたんですが「Ghost in the shell」のハリウッド映画が予想外に素晴らしかったんでもう一回観たらめっちゃハマりました(笑) 攻殻機動隊自体にそれほど思い入れはなく、原作未読(たぶん読みにくいヤツだろうと思ってw)、30分アニメ版はなんか私が感じていた魅力だけピンポイントで取っ払って、悪くはないんですが、私にとっては特に魅力を感じないジャンルのアニメになっていたので途中断念しました(割と即断念なので勝手な思い込みかも)。押井作品じゃないアニメ映画版はどことなくアニメ版と同じ匂いがして、まだ手を付けていません。まあそのうちってことで。
 でもゴーストインザシェルとイノセンスだけは好きですねえ。

 作画もストーリーも好きなんですが、曲が最高です!作曲は川井憲次という方。アニメ・映画のサントラをいっぱい作ってる方で、いろんなメディア作品に曲が散らばってるみたいです。もっといっぱいないかなあ。川井憲次特集のアルバムとかないのかな。ちなみに神々の詩(あぱ~ あ な~あが~ ま~あぽ~~みたいな曲)はこの人とは関係ないっぽいです(笑)


 内容は難しいって感じる人が多いと思うんですが、ストーリーの流れとしては実は「難解」ではありません。アニメ内の世界としては自然な流れなのですが、「説明する気がない」だけです。まあ私はそれもアリだと思うんですが。
 つまり、登場人物がアニメとして見られることを意識していないというか、原作者の造語も彼らにとっては日常会話なので、いちいち意味を説明してくれません。「察しろ」っていう原作者の圧力を感じます。逆に言うと世界観が非常によく作りこまれているということで、ただシナリオライターもその世界にどっぷり入っちゃってて用語の解説を忘れてる、みたいな。思考力が表現力を超越しちゃってる、超天才な子供って感じ。
 余計なお世話かもしれませんがストーリーの流れは後で詳しく書こうと思います。



以下、開けば開くだけ長いので、この作品に興味ない人はたぶん開かないほうがいいです(笑) 特に一番下が長いですが、ストーリーちんぷんかんぷんだった人には一助になるかもしれません。
↓この作品の一番の魅力は「ゴースト」という造語!
{netabare}
 既存の言葉で近いのは、意識、記憶、自我、個性、魂、頭脳、IDといったところでしょうか。アニメ内の世界では「人間にあって義体にないもの」というのが本質的な定義だと推測します。
 つまりAという人間の「身体」を次々に「同等の機能を有する機械」に変えていき、隣に「用済みになった身体」を並べていくとして、手を変え、足を変え、心臓を変え皮膚を変え、頭以外のすべてを変えて、次は頭の外殻を変える。この状態が少佐の状態です。この時点では生身の部分として脳が残っています。隣には脳以外のAの身体が血まみれで置いてあります。
 この時に、それを見ていたあなたは「痛いですか?」とどっちに話しかけますか?
 おそらく現代の感覚から言っても、脳のある機械に向けて話しかけるでしょう。
 つまりAのゴーストはこの時点では「脳」にあります。
 では最後に、Aの脳も機械に置き換える。もちろん、Aの脳と同等の機能を有する機械です。そして完全に有機物から無機物に変換されたAが立ち上がり「あー、よく寝た」といかにも人間のように伸びをする。当然です。それは置換される前のAの体、頭、心と全く同等の機能を有しているからです。
 さて、それを見ていたあなたはどうするか。機械の電脳の中に完全にコピーされているAの人格を完全に無視して、バラバラのAの死体に向けて「ああ、死んでしまって可哀そうに」といいますか?目の前の機械が「いやいや、私生きてますよ」といったのに対して「お前はAじゃない!この鉄くず野郎!」というのですか?なんてかわいそうなことを。
 違いますよね。おそらく完全に機械になったAに「大丈夫か?」と声をかけ、機械が「大丈夫」と答えると、完全に納得はできなくても、ひとまず安心するでしょう。おそらく原作者はそれが正しいと思っているし、私も同意します。つまり、脳がなくなったこの時点でも、Aのゴーストは機械の側にあります。隣の「Aの肉体すべてからなる肉塊」は現代で言うところの切った爪や抜けた髪のようなものです。
 完全に機械になったAですが、Aの保険証はAのものとして使えるでしょうし、電脳によって思考するAは生身の時と同じ思考パターンを持ち、記憶を持ち、自分をAだと認識しています。Aが学校の自分のクラスに戻ってくれば、Aの席に座ることを誰も咎めないでしょう。

 このように「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」が「ゴースト」です。

 で、「これ」にゴーストっていう単語を当てはめたセンスがすごいですよね!
 だって、それってつまり幽霊の概念と同じですから。もしも知り合いの墓参りの時に背後に幽霊が出たら、あなたは怯えつつ墓(の下の遺骨)に向けて話しかけますか、背後に現れた幽霊に向けて話しかけますか?背後の幽霊ですよね。そしてその幽霊は生前の記憶を持ち、自分を自分と自覚し、同じ思考をして、(少なくとも認識できる人間に対しては)同じ権利を持つはずです。つまり幽霊は「ある人間の生身部分をすべて消去しても、そこに同じように残ると考えられるものの総体」なんです。
 まさに「それ」は「ゴースト」という単語に集約されます!すごい!
 っていう一行をやっと言えたわ(笑)

 この映画はこれを言葉にして説明してくれません(笑) ハリウッド版はわりと説明「しよう」としてくれてた気がします。

 で、少佐は「自分のゴースト」を「自分が保持できているか」ということをずっと考えています。彼女には生身の脳が残っていますが、「じゃあ私の脳がなかったとしたら?」とエレベーターでバトーに話しています。つまり私が先ほど出した例の、「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」という点に、確信を持てずにいるのです。
 もし自分の脳も機械であれば、いま私が考えていることもただの回路をめぐる電気信号なのではないか。その場合、私は私であるといえるのか。例えば9課を抜けるのならば、義体はすべて9課に返上しなくてはならない。もし私の脳までも義体なのであれば、私は、9課を抜けるときに私の肉体すべてを9課に返さなくてはならない。……それはつまり、私が9課の所有物であることを意味しないか?そして所有物なのであれば私は私のゴーストを持っていると言えないのでは。すべて機械なら私のオリジナルはとっくに死んでいることになるし、もし今の私の思考がAIなら、オリジナルすら存在しない。つまりそもそも私のゴーストなどないのでは……。
 みたいなことを少佐はずっと堂々巡りのように考えています。

 そして、そこに現れるのが「電子の海から発生した生命体」。
 つまりゴースト「のようなもの」が生身もなく、オリジナルもない単体で存在しているという事実に直面します。
 その後なんやかんやあって少佐は「生身をすべて消し去ってもゴーストは残る」ということに確信を得ます。もしくはその問を超越した存在となって、自我の安定を得ます。そして自分は死んだことにして、9課を去る。
 まあ有体に言うと「なんかどうでもよくなっちゃった♪旅にでも出よう!」みたいな感じになって終わります(おいコラw) {/netabare}
 


↓少佐の生身の脳髄は本当にあったのか
{netabare}  この点が個人的には最大の疑問で、バトーが劇中で「脳髄あるじゃねえか」みたいなこと言ってるにもかかわらずここを疑問に思っているということは、私は少佐の脳が義体であると予想しているわけです。
 それを明言しているシーンはありません。
 ただ、少佐がその可能性について思いを馳せていたというのが第一のポイント。
 第二は2501が少佐を選んだ理由が「私たちは似たもの同士の鏡像である」ということだった点。
 第三に、2501と少佐の融合が実際に成されたという点。
 第四に、首を切断された少佐の意識が消失 → バトーが(頭蓋を持ち帰り?)義体を作成 → 少佐復活♪ という流れ。
 第五に、「さて、どこへいこうかしらね。ネットは広大だわ」というラストの少佐のセリフ。
 第六に、冒頭の少佐(?)組み立てシーン。脳が機械製です。

 第一のポイントは説明いりませんね。つまり可能性の提示があったわけです。

 第二のポイント。2501と少佐が鏡像とはどういうことか。おそらく少佐が実像で、2501が虚像ということでしょう。これはつまりゴーストの有無だとわかります。そして同時に、陰陽や正負などのような「対極」ではなく「鏡像」であるということは、ゴーストの有無以外には違いがないということ。2501の対極というなら、完全な生身の人間で、しかし思考できない、しかしゴーストはあるという「深睡眠中の人間」のような存在が当てはまります。鏡像ということはつまり少佐からゴーストをとった存在が2501であり、逆説的に少佐はゴースト以外の生身を持たないことになる。ここで脳髄だけは生身だという設定が真実なら、2501の例えは「近いが外れている」ことになりちょっちカッコ悪い。

 第三のポイントは技術的に、そして物語の設定的に、「人間の脳とただのプログラムを統合できるのかな?むりじゃね?」と思った、というだけです。少佐の脳が義体なら、ネットのプログラムと融合することは特に問題にならないかなあ、と。

 第四のポイントも技術的な問題。脳髄の生存機能は頭蓋部の義体だけで完結できるんでしょうか。もし脳が義体なら機能停止してもほかの全身義体に接続して再起動すれば戻るかなあ、と。生身の脳だったら脳脊髄液や脳血流による栄養を頭蓋周囲の義体から補っていると思いますが、首チョンパされたらその栄養が供給されなくなって生身の脳が死なないかな?生体は死んだら再起動とかたぶん無理だから……みたいな。脳脊髄液や脳血流のサイクルが頭部で完結していれば機能維持可能と思われますが、ふつうは心臓のポンプ機能や腎臓のろ過機能のように胴体部分を含めてサイクルを形成するもんじゃないかなあと。はいはい深読み乙。まとめると、首チョンパから生き返ったから脳は義体だろ多分、ってこと。

 第五のポイントで少佐はネットへ旅立とうとしていますが、脳が生身だと結局本体が特定位置に存在するんで、「広いネットの海に消える」っていうラストにならないんじゃないかと。つまり凄腕のハッカーがネカフェの一室から世界中に自由にアクセスしていたとしても、隣のヤンキーに絡まれて殴られたら、とっさにアメリカペンタゴンに逃げ込む、とか出来ないわけで……。意味わかりますかね。わかりますか。よかったありがとう。つまり脳が生身だと最後まで”ある限界に制約し続け”られちゃうわけっすよ。少佐の体が完全に義体なら、別の義体にすべての情報(ゴースト)をロードすればいいわけですからラストは「どこにでもいて、どこにもいない」みたいな存在になれますよね。

 第六のポイントは「そういえば!」と思って見返したら発見しました。このシーンが過去シーンなら確定ですが、少佐の見た悪夢っていう解釈もあるから決定打ではないですね。

 以上6点から私は少佐の脳は義体である可能性が高いと考えます。押井守作品以外で少佐の脳が生身である証拠が提示されていたとしても、ゴーストインザシェル・イノセンスに限って言えばそうであると信じます。私が、そのほうがストーリーとして好きなんで。 {/netabare}



↓これだけは取り上げたい名台詞!
{netabare}  これ絶対ピックアップしたかった!
 わたしをある限界に制約し続け……とか少佐がかっこよく決めてるシーンもありますが、このセリフの前ではかすんでみえる!

「で、そっちに現れた人形使いは?どんな感じの奴です?」
「……人形みたいなやつだ」

 これ!
 かっこよすぎ!
 なにその返し!立川談志かお前は!
 何回観てもこのシーンでニヤニヤしちゃいます(笑)
 人形劇をしている人形師が天からの糸でつられていて天井の向こうに大きな人形師の顔が……みたいな。誰かを操っているという行為を誰かに操られていてその誰かがまた……みたいな。うん、何言ってんのかねわたしは。
{/netabare}





ストーリーの流れ(超ざっくり)
{netabare} とりあえずこのアニメの敷居を上げちゃってる、分かりにくい表面上のストーリーの流れを解説します。

第一の事件発生[技術者亡命未遂事件]→即解決
 ↓
神OP ~少佐の作り方~
 ↓
第二の事件発生[大佐黒幕ハッキング事件]→水辺のスタイリッシュ戦闘→「突入しろ」フェードアウト(解決)
 ↓
「奥さんも子供も本当はいないんだよ」
 ↓
少佐、休日に海に潜るの巻
 ↓
中盤BGM ~街でドッペルゲンガーを見て不安に~
 ↓
第三の事件発生[人形勝手に作られちゃった事件]→少佐、人形に興味津々
 ↓
黒幕は6課
 ↓
6課が人形を強奪→追う(同時にいろいろ調べる)→戦車が立ちはだかる→バトーがでかい銃で倒す
 ↓
少佐と2501が会話して融合
 ↓
第三の事件は闇に葬られて終了。少佐は消息不明に。
 ↓
ニュー少佐がネット世界に旅立つ
 ↓
終わり {/netabare}


ストーリーの流れ(まあまあガッツリ)
{netabare} 【冒頭の屋上~神曲OPまで】
{netabare}  第1の事件。技術者亡命事件。
 某国外交官によって技術者が亡命しかける。6課(表の警察)が現場に突入するが、外交官は治外法権と技術者の権利を主張して6課は手が出せない。その現場の窓の外から突然不審者が発砲。外交官を射殺し逃走する。警察として不審者に対応する6課。しかしこの不審者は実は主人公であり、9課(裏の警察)が外交官を暗殺することで事件を闇に葬った。6課は射撃し返しているが、実は心の中では不審者に感謝している。
 第1の事件はここで解決して終了。 {/netabare}

【神曲OP&少佐目覚め】
{netabare}  少佐組み立てシーン。このあとに少佐が目覚めるシーンがあるので、少佐の夢シーンのようにみえるが、おそらく現実の過去のシーン(これは筆者の予想)。 {/netabare}

【ヘリから偉そうな人降りてくる~白髭禿(荒巻、9課のトップ)との会話】
{netabare}  偉そうな人の話を要約すると
「昨日の暗殺マジ助かったわ。それはさておき、今うちの国で預かってるマレス大佐ってやつがいるんだけど、なんかそいつの本国が引き渡せって言ってんだよね。ぶっちゃけ引き渡しちゃっていいんだけど、薄情ものって思われんの嫌だから理由欲しいわ。てか明日その本国と話し合いだわ。まじ萎えるわ」
とのこと。だからどうしたって感じで会話だけで終了。昨日の一件とはまったく別の話。
{/netabare}

【金色短髪のひとの顔にハリ刺さってるシーンらへん】
{netabare}  もう第2の事件発生。事件は待っちゃくれない。
 外務大臣の通訳の脳がハッキングされていたことが判明。偉そうな人がまじ萎えていた会談をぶっ潰すためのハッキングだと予想された。もちろんハッキングした犯人を追うことにする9課。すでに逆探知していて、その場所に向かえとのこと。ハッカーを追跡する車は2台。すでに出発したバトー&石川カーと、これから出発する少佐&トグサカー。 {/netabare}

【少佐&トグサカー車内】
{netabare}  ハッカーの正体はすでに判明していて名前は「人形使い」。
 結構有名人。「あの有名な?」「そうそう。あんなことしたりこんなことしたりした人だよ」的な会話が続く。
 ここで「登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷん」というこの映画特有のストーリー・会話展開が発生。略して「当たちん」。
 要約すると
「ハッカーは旧式の脳にハッキングした」
「どうせハッキングするなら新型のほうよかったんじゃね?ハッカーまじアホやん」
「新型はハッキングが難しいから、それにハッキングできるってことは誰かが裏で糸を引いていることになる」
「そうなったらマレス大佐が怪しかったね」
「ってことは、逆にマレス大佐が怪しいかもね」
「いや、その逆の逆かもよ」
「(´_ゝ`)」
みたいな。
 そのあとに襟足の長い運転手(トグサ)についての説明。彼は所轄から引き抜かれた感じで、割と生身で、9課のほかの人と結構ちがう感じで、使ってる銃はマテバでマテバはショボイ。 {/netabare}

【清掃員のシーン~(だいぶ飛んで)~ビルに囲まれた用水路での不可視の戦闘シーン】
{netabare}  ハッキング逆探知位置にいたのは清掃員。本人にハッキングの自覚はなかった様子。
 それに気づいた9課の人たちは清掃会社に問い合わせて清掃車を追う。
 しかし清掃会社が、警察から問い合わせがあったと清掃車に報告、清掃車逃走。
 逃げた先に怪しい男。人形使いか?と思わせる。
 そこから戦闘。市場で見失うが再発見。
 怪しい男は市場を切り抜け、警察を完全にまいたと安心する。
 が、実は透明になった少佐がすぐ近くに!
 戦闘!
 制圧!
 でも忘れないでね。今ハッキング事件の犯人を捜してます。マレス大佐っていう名前だけ出た人が怪しいです。
 少佐とバトーは途中でこの怪しい男も操られているだけだと気づきます。(なぜでしょうか。凄腕ハッカーにしては弱すぎるとかそんな感じかな。もしくはカン)
 ハッキングされるとゴーストが無くなって昔の記憶とか無くなる。 {/netabare}

【白髭禿とヘリ】
{netabare}  白髭禿はマレス大佐の家を見張っている。多分、緑に黄色のラインのポロシャツがマレス大佐。人形使い登場。やっぱりこの二人は繋がっていたのか!
 バトーと白髭の話はさっきの「怪しい男」についての情報。
「あいつの話によると、あいつは凄腕の殺し屋で、マレス大佐に10万ドルで雇われて例の"萎え会談"をぶっ潰そうとしてたらしいです」
「ふーん。まああいつのウソっしょ?」
「もち。ただのチンピラでしたわ。人形使いに操られてた系っすわ。で、おやっさん今マレス大佐の家っすよね?人形使い来ました?」
「来たわ。とりあえずマレスとか人形使いとかこのまま捕まえるわ」
 で、白髭「突入しろ」って言ってます。つまりここで第二の事件終了です。いやホントに。
 詳細がわかりませんがハッキング事件がこの「突入しろ」から次のシーンに行くまでに終了したことは間違いありません。
 おそらくマレス大佐は偉い人の望み通りハッキング依頼容疑でマジサイテーな奴って感じになって本国へ送られました。で、本国でおそらく晒し首になりました。人形使いもたぶん捕まったか、その場で射殺されたかです。とはいえ彼の本体はネットの海の中にあるので、実は逃げました。 {/netabare}

【疑似体験って……どういうことですか、らへん】
{netabare} 洗脳された清掃員に説明するシーン。
「あなたには奥さんも娘さんもいないんだ。すべて植え付けられた記憶なんだよ」
「まじ気分悪いっす。この記憶消せないんですか」
「ちょい無理っぽいです」
「うそーん」
 ここはわかりやすいんでそのままの解釈でいいです。まあここはシナリオライターの「主張」のひとつなんで、ちゃんと説明してくれてます。 {/netabare}

【少佐、休日に海に潜るの巻】
{netabare}  ここも主張シーンですが、一番深いトコの話になってるんで分かりにくいです。
 でもまあストーリーの流れとはあんまり関係ないんで飛ばします。
 ちなみにDVDだとめちゃくちゃ聞き取りにくい誰かわからない囁き声はこう言ってます。まあ誰って人形使いに決まってますが。
 
 「いまわれらかがみもてみるごとくみるところおぼろなり」
{/netabare}

【中盤の神曲シーン】
{netabare}  なんかいつまでも観てられますね。雨って好きだわ。
 人影の中に見える自分に似た人が、少佐の不安を煽る。「私は私だといえるのか」。 {/netabare}

【裸の奴が轢かれる ~ 9課のラボ ~ 9課の会議室】
{netabare}  バトーが宣言してから説明してくれてます。バトーまじいいやつ。
第3の事件発生。ロボット勝手に作られちゃった事件。
「9課御用達の義体製造会社の製造ラインが勝手に動いてロボットを作った。ロボットは逃げたけど車に轢かれて、通報があって、いま9課で調べてるとこ。しかもゴーストっぽいのが入ってるっぽい」
 このゴースト「らしき」っていうのが結構重要なポイントだったりします。これをゴーストとするかどうかがシナリオライターの問いであり、私もまだ答えが出ません。つまり、現代版で言うとSiriが「週休二日で8時間勤務にしてくれ」と言ったらどうするか、みたいなことですがまあその辺は置いといて。
 この事件に対して9課は「ロボットを窃盗するのが目的ではない」と考え、その会社自体を捜査、と同時にその会社と同じくらいのセキュリティのネットを封鎖して次の犯行を防止。少佐は新しいセキュリティを組む。
 そして同時に、少佐はこの「ゴーストっぽいのが入ってる義体」に深く興味を持ち、接続して(ダイブして)中にあるものを確かめたいと思っている。これ以降少佐にとっては9課の任務よりも「この義体にダイブすること」が優先されます。
 あとバトーと白髭の会話も結構深いですがスルーします。 {/netabare}

【外部の2人がやってくる】
{netabare}  6課の中村部長が医者を連れて白髭に面会に来ます。結構いきなりな感じです。
 9課のメンバーも「え、何しに来たん?」みたいな反応。
 トグサが降りた後、少佐とバトーの会話。ここが少佐にとっての核心シーン。会話で言ってることそのままなので、例によってスルーします。
 で、6課のおっさんと白髭対面。手短にいこうって言ってちゃんと実行してます。この6課のおっさんのセリフは全体的に筋が通ってるし、わかりやすくて好き。「あの勝手に作られた義体もらいます。あとは6課がやります。9課はお休みしてどうぞ」って言ってます。 {/netabare}

【トグサが駐車場でなんか調べてるシーン】
{netabare}  出ました!当たちん! 登場人物にとっては当たり前の理論だが、視聴者はちんぷんかんぷんな会話!

 ↓以下トグサの頭の中と行動
(あれ、車2台あるわ。二人で2台……?官僚2人がそれぞれ公用車を自分で運転してくるかな?)
(もしかして、2人以外にもだれか来たかも)
 不審に思い、映像を確認。何も映っていない。
(光学迷彩=透明になる装置かも)
 赤外モードでもう一度見る(おそらく赤外線サーモグラフィのこと。温度で透明な人間を見つけようとしている)
 しかし何も映らない。
(やっぱ違うか……あれ?)
 不審に思い、二人が通り過ぎてから自動ドアが閉まるまでの時間を確認。タイムラグが大きすぎることに気づく。
(やはり誰かほかにいるのでは)
 確信を得るために二台が止まっていた駐車場の感圧計を調べる。
 つまりメーターはその駐車場の枠線内のものの重さ。時間を進めると、最初ちょっと高くて、ゼロになる(前の車が止まってて、いなくなる)で、次に急激に上昇。2000くらいになる。ここから車の重さを差し引くと(下のメーターが総重量で上のメーターが車の重量かな?単位がt.だけどkgっぽい)人間の重量はざっと600kg。くらい。
 義体1+人間1で500kgを超えることはない(らしい。知らんがな)のでやはり車には2人のほかに誰か乗っていたことになる。
 (つまり6課の車でやってきて「光学迷彩」+「熱迷彩」の装備のある人間が9課に無断で内部に侵入している)
 という状況にトグサは気づき、少佐に報告。

 つまりここで第3の事件「ロボット勝手に作られちゃった事件」において、黒幕は6課である可能性が示唆される。 {/netabare}

【白人の腕シャキンシャキーン周辺 ~ 6課の侵入者が「人形使い」をさらう】
{netabare}  このシーン好き。というか6課の課長のセリフが理知的・平易・適切で好き。適切に2501の弁舌に振り回されてる。
9課「これ義体関連の事件なんでこっちの守備範囲だよね」
6課「いや、実はこいつは国際犯罪者の人形使いだから国際犯罪の6課が担当なんです」
白人「そーだ、そーだ」
9課「この義体に閉じ込めて、本体は暗殺した系?」
6課「そうです。いやはや、めでたしめでたし」
人形「嘘だ!」
9課「え、この人形起動してたん!?」
外野「なんか勝手に動いてるっす」
人形「おれ人間なんだ!助けてくれ9課!」
9課「え…?」
6課「お前はただのプログラムだから駄目!」←これ、うっかり口を滑らせている
人形「それ言っちゃったらあんたもプログラムっしょ。だいたいね……うんぬんかんぬん」
6課「いや、意味不明だし!お前犯罪者だし!」
人形「でもこの国死刑ないっしょ?おれ基本死なねえし」
9課「え、死なないってことは人形使いはAIだったの?」←混乱してたが理解し始める
人形「AIじゃねえし。故郷がネットってだけだし。生きてるし。あと名前は2501だし」
6課「(……マジこいつ殺すしかねえ)」

 で、侵入者(実は6課の人間)が発砲。2501を奪い逃走。発砲は人狙いじゃなくて、記録を壊そうとしたっぽいです。 {/netabare}

【待機していたトグサ、マテバの弱さをさらす ~ 昔のアニメにありがちな指令室で白髭禿が指示を出す】
{netabare}  侵入者(実は6課)が建物の壁を壊して外に出ると、事前の打ち合わせ通り逃走用の車が来る。
 そこに待ち構えていたトグサ登場!マテバを無駄撃ちする。
 逃げられてしまうかと思いきや、トグサが手配していたトラックが道を塞ぎ(あとでお礼言ってます)、その隙にナンバープレートに一発、発信器を打ち込んで褒められる(あとで2発やれって怒られてます)。
 6課の人が「いやあ、困ったことになりましたなあ。ちゃんと中身入りで捕まえてね」みたいな感じで侵入者とは関係ないですよアピールをしてから去っていきます。どうでもいいけど結局こいつら2台で帰ったのかな。運転手は?まあいいけど。

 ここで9課は第3の事件について大きな軌道修正を行う必要が生まれます。
1、侵入者を捕えて、6課とのつながりを証明する → バトー&トグサの担当
2、プロジェクト2501とかいろいろを調べる → 白髭禿の担当
3、2501を取り戻す → 少佐の担当(というより少佐は個人的な執着でこれを優先)
4、なぜ2501は9課を頼ったのか → 各自考える
5、なぜ6課は強引に2501を奪ったのか → 各自考える
 白髭禿は人形使いを破壊することを視野に入れているが、少佐は嫌がっている。
{/netabare}

【6課とトンネル ~ プロジェクト2501真相判明】
{netabare}  白人は2501のゴーストを認めているっぽい。てかまあ、彼が親みたいなもんだから。で、運転手どっからきた。車もう一台どうした。

[プロジェクト2501]
 外務省が技術者を集めたプロジェクトで、目的は犯罪用のAIの作成。そのAIはネット界から各国に潜入し、外務省に有利になるような様々な工作をするスパイとして作られた。白人がプロジェクトの主任。第一の事件で6課が追っていた亡命希望の技術者もこのプロジェクトの参加者。外務省と、国際問題に対応する6課は同一の利害関係で動いている。
 このプロジェクトが9課の知るところとなり外部に露見すると、当然外務省は各国から糾弾される。つまり「あの国の外務省マジないわー」みたいな感じになる。それを避けるために6課は事件を隠蔽しようとして、2501を強奪した。

 全部ジェバンニがやってくれました。あ、間違えた。イシカワがやってくれました。ずっと名前出てたイシカワはここで初登場。そしてそれ以降登場無し(笑) 次回作に期待してください。
{/netabare}

【バトー再登場 ~ あんなゴツイお姫様にエスコートいらんわ】
{netabare}  バトーが「逃走車が白いセダンと接触して2501を乗せ換えた、かも」と報告。つまり追う対象が2つ。
 当然少佐が2501のほう、トグバトーが逃走車を追うことに。
 逃走車確保。道を封鎖して動きを止め、侵入者2匹のうち1匹は即射殺。もう一匹がビビったところで確保。
 バトーは侵入者をトグサに任せてすぐさま愛しの少佐のほうへ向かう。 {/netabare}

【少佐 VS 四本足の戦車】
{netabare}  少佐は白いセダンを補足。教会っぽいところの真ん中に止まっている。
 少佐が近づくが、光学迷彩の何かを発見。それは4本足の戦車(物語世界の中では戦車といえばこれらしい)と思われたので、上空に待機している味方のヘリに天窓のガラスを割るように指示。降ってきたガラスによって戦車の光学迷彩解除、発砲も停止(そういうもんなんです。ガラス降ってきたらそらそうなりますわな ←テキトー)。
 「一人で戦車とやりあう気か?」はヘリパイロットではなくバトーのセリフ。
 それに対して少佐は「増援が来てから2501を確保してもダイブを許可してもらえない。私が一人で2501を取り返して本部に届ける前にダイブするしか、ダイブする方法はない」と、自分の行動に理由付けをしています。
 どんだけダイブしたいんだよって感じですが、それが今の彼女の生きる理由みたいなものなので。
 M23とUnitBじゃあ戦車には勝てない。でもたぶんマテバよりは上。この辺の用語の細かい説明など当然のように皆無。

 この戦車は間違いなく6課の指示で動いているんですが、なぜ2501を破壊しないで守ってるんですかね。
 最終的には頭打ち抜いて終わりなんで、この戦車でやっとけばよかったのに。まあできれば「回収」したかったんだろう。……戦車で守ってそのあとどう回収するんだ。ガシャコンガシャコン6課の課長の家まで持って帰るのか…?まあいいや。

 まあ戦闘。
 少佐が頭の上に乗ってフタ開けようとしたり(たぶんそれで装甲に隙間ができて、内部を破壊したら戦車が止まる)、戦車が光学的にも熱力学的にも感知できない少佐を心音で特定(ただし一定時間ロックオンしてないと無理みたい)してますが、この辺の説明もなし。1流のアニメ視聴者なら察せ!イエッサー!
 でも弾切れじゃなかったじゃん少佐!あと戦車は頭の上撃てるようにしとけ(笑)

 最終的には少佐は敗北しますが、すんでのところでバトーがオリジナルの超すごい銃を持ってきて戦車を破壊。なぜかこの銃の説明はある。
{/netabare}

【それ以降】
{netabare}  6課の増援のヘリが狙う中、少佐は2501にダイブ。
 少佐と2501が融合。
 ヘリが二人の頭を吹っ飛ばすが、少佐のほうは弾丸がバトーの手に当たって軌道が逸れ、頚部に当たって首が飛んでいく(スローで分かる)。
 少佐の薄れゆく意識の中、バトーが叫ぶ。
 おそらくこの後、バトーは少佐の頭を秘密裏に持ち帰り、闇ルートで入手した義体となんやかんやして少佐復活。
 「おれんとこ来ないか」というバトーに対して、少佐は「ちょい旅に出るわ」とつれない返事。
 俺たちの戦いはこれからだ!
 で終わる。
 ごめん最後(も)テキトーになった。 {/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

久々の入隊!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2回目でした。85分くらいの近未来SF。
 原作の漫画やこの映画のアニメコミックは読む機会もあるのですが、映像作品として見たのは久々でした。テレビシリーズは未視聴です。

 この作品を傑作たらしめているのは、卓越した近未来の世界観の設定と、躍動的なアクションに加え、「人間と機械の二元論」を基礎とした普遍性にあると思います。イロモノではなく正統派のSFですね。
 被創造物を用意することで人間について考えるというのは、鉄腕アトムの頃から培われてきた、ある意味では古典的なテーマです。ただ、この作品では、「情報」や「ネット」というキーワードを使って、普遍的なテーマの現代化に成功しています。この作品で語られている内容は、今なお色あせていません。

 で、この作品をどうやって読んでいこうかと考えたときに、その大半は脚本によることになります。象徴物は、強いものが少数あるといった感じで、そこまで苦労することはないでしょう。
 困ってしまうのはむしろ脚本の方。非常に抽象的で、かつ宗教的な要素も入っていて、やや難解です。加えて、ちょっとテンポが速くて、十分な考察時間が与えられてないようにも思えます。とはいえ、このテンポの良さが会話の日常感を演出していたり、作品全体の緊迫感を醸していたりするのも事実なので、一概に悪いとも言い切れませんけどね。脚本自体は非常に良いものです。

 以下では、脚本をベースにして映画の内容について考察してみます。かなりのネタバレがありますので、先入観を嫌う未視聴の方はご注意ください。


機械と人間:{netabare}
 まずは、根幹を成す機械から人間への展開の仕方を見てみます。作品の基礎的な部分ですので、セオリー通りオープニングで語られています。亡命者の会話をバトーと素子が盗聴しているところです。
 ①?「バグのないプログラムは存在しないが、デバッグの不可能なプログラムもまた存在しない。違うか?」
 ②亡「そもそもあれは本当にバグなのか?本来プロジェクト2501に必要だったのは…」
 ③バ「お前の脳、ノイズが多いな」
 ④素「生理中なの」

 たったこれだけの会話ですが、非常に重厚な脚本になっています。
 ①では機械の話しかされていません。一方、②では機械を否定しています。ただ、機械でないものが何かという言及はされません。③では、「ノイズ」という機械表現が、「脳」という生物表現に乗せられ、生物側にズレ始めます。④で初めて生物のみの表現になります。
 機械から人間へ、とてもスムーズに展開しています。また、それぞれの要件も提示されています。機械はプログラムであり、人間には生理がある、ということです。卓越したセリフ回しだと思います。

 この要件付けは主題に直接関係します。少し先走りますが、人形使いは、自我らしきものを持ちました。しかし、重要なものが欠けているのです。彼の言葉を借ります。
 「私は自分を生命体だと言ったが、現状ではそれは不完全なものに過ぎない。」
 「なぜなら、私のシステムには、子孫を残して死を得るという基本プロセスが存在しないからだ。」
 彼は、システムでありながらも、生命体を自認しています。つまり、③までが充足されているのです。ですが、④の要素が欠落していました。彼は、(象徴としての)生理を欲していたのです。
{/netabare}

人間とゴースト:{netabare}
 人間がゴーストを持つものだということは、清掃車を追う車内で、トグサと素子により語られます。トグサにハッカーの黒幕の根拠を問われた、素子の返答から。
 ①素「根拠ですって?そう囁くのよ、私のゴーストが」
 ②素「ところでまだリボルバーを使ってるんだって?―略―」
 ③ト「俺はマテバが好きなの」
 ④素「援護される身としちゃ、好みより実効制圧力を問題にしたいわ」

 ①のセリフばかりが取り上げられますが、「ゴースト」があるだけでは人間の証明にはなりません。それが人間のものなのか、機械の模擬的なものなのか、分かりませんからね。ここで重要なのは、その先の会話との関連です。

 ①で素子は、「ゴースト」という非論理性にその根拠を頼っています。しかし、トグサが同様に「好き」という非論理性に根拠を求めると、「実効」という論理性をもって否定するのです。
 この会話が表しているのは、人間が内包している論理の矛盾です。「ゴースト」に加え、「論理矛盾」というプログラムで構築し得ないものを抱えているのが人間なのです。

 なお、論理矛盾はスキューバのシーンに展開します。このシーンは語るべきところが多いですが、最も重要なのは、海面に写る素子の二面性(人間と機械)と、それを突き破るというエンディングを示唆した描写です。
 論理矛盾は、その直後に出てくる「不安、孤独、闇、それから希望」という素子のセリフです。一つの事柄でも、相反する二つの方向性を見てしまうのが人間なのです。
 素子の表情、特に目は、とても機械っぽく見えるのですが、「生理」やここで挙げた二つの論理矛盾は、いずれも素子の口から出ています。人間の部分も強調されていましたね。

 ちなみに、素子が「生理」を言い訳にするのも変ですよね。素子は脳と脊髄以外は義体ですから「生理」はないはずです。本人も遺伝子を残せないと言っていましたし、嘘をついたのでしょう。偽証も人間特有なんて言われたりします。男を黙らせるための必殺の文句、といったところでしょうか。
{/netabare}

記憶と情報:{netabare}
 ちょっとシーンを遡って、清掃員の尋問シーンのあとのバトーのセリフ。
 ①バ「疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、そして幻なんだ」
 ②バ「どっちにせよ、ひとりの人間が一生のうちに触れる情報なんてわずかなもんさ」

 これはバトーの意見、というか一般人の代弁だと思います。素子はちょっと違います。スキューバから。
 ③素「自分が自分であるためには、驚くほど多くのものが必要なのよ。―情報の例示―」
 ④素「私の電脳がアクセスできる膨大な情報やネットの広がり、それら全てが私の一部であり、
    私という意識そのものを生み出し、そして同時に、私をある限界に制約し続ける」

 素子はバトーと異なり、個人を特定するためには、「わずかな」情報(記憶)ではなく「膨大な」情報が必要なんだと言っています。また、電脳がアクセスしたものは自己形成を助けるけど、アクセスという条件がついてしまうため限界があるんだと言っています。
 この辺も人形使いの会話に直結するのですが、その話に移る前に、この作品で重要な意味を持つ「コリントの信徒への手紙」を見ておきましょう。
{/netabare}

コリントの信徒への手紙と生命の樹:{netabare}
 この手紙は、スキューバのラストにある「今我ら鏡もて~」と、エンディングにある「童子のときは~」に引用されているやつです。新約聖書の内容になるのですが、私はキリスト教徒でも何でもないので、うまく説明できません。というわけで、手元にある訳本を頼りに該当箇所を超絶意訳します。キリスト教徒の方には反感を買いそうですが、どうか大目に見て下さい。★の部分が作品内での引用箇所です。

 「愛は大事だよ。愛は滅びないよ。知識は廃れるよ。私たちが持っている知識は一部(不完全)だよ」
 「不完全なものは、完全なものが出てくると廃れるよ。」
★「幼子のときは幼子レベルだよ。大人になると、そのときのことは忘れちゃうよ。」
★「今、私たちは鏡にぼんやり写ったものを見ているよ。いずれははっきり見えるよ。」
 「今、一部しか知らなくても、いずれははっきり知ることができるよ。」
 「信仰と希望と愛はいつでも変わず存在するよ。一番大事なのは愛だよ。」

 愛や信仰に関する部分は、この作品ではあまり出てこないので、とりあえず脇に外しておきます。知識のところを見てみると、不完全な状態と完全な状態があることが分かります。

 一部の情報が全てだと思っているバトーは幼子で、より多くの情報を得ようとしている素子は大人になりたい幼子、完全に近い情報を持っている人形使いが大人です。
 なぜ人形使いが素子を選んだのかというと、彼が(象徴としての)生理を欲していたことに加え、素子が大人(完全なもの)を目指していたからです。これが両者のシンパシーです。

 戦車との戦闘シーンでは、背景に生命の樹が出てきます。生命の樹に実るのは「知恵の実」で、それを食べると神に等しき存在になれるとされています。素子は、人形使いと融合し、膨大な情報(知識・知恵)を獲得しました。大人(完全なもの)になったのです。だから、融合に際して、天に神のようなもの(完全なもの)を見たのです。

 この辺りに関する人形使いのセリフを一応記載しておきます。
 ①素「私が私でいられる保証は?」
 ②人「その保証はない。人は絶えず変化するものだし、君が今の君自身であろうとする執着は、君を制約し続ける」

 「変化」は幼子が大人になること、「執着」は幼子が幼子であろうとすること(バトー)ですね。「わずかな機能に隷属していたが、制約を捨て、さらなる上部構にシフトするときだ」も同様の内容です。

 ちなみに、この作品には愛や信仰は出てきませんが、「希望」という単語はスキューバで出てきますよね。大人(完全なもの)になった素子が、子供の義体に収まっているのは、再度大人に成りうるという「希望」のような気がします。素子は完全なものになった、と書きましたが、正しくは真の完全なものに近づいた、というべきなのでしょう。
 子供(不完全)→大人(完全ぽいもの)→神(真に完全なもの)という段階付けがあるわけですから、大人になってもその先にはさらなる「変化」が待っているのです。
 別にいずれ神になる、と言いたいわけではないですよ。それは神への挑戦でしょうから。より大人になる、まだ成長できる、くらいのニュアンスです。
{/netabare}

改めてテーマについて:{netabare}
 この作品のレビューをいくつか拝見しましたが、やや「ゴースト」という単語に引っ張られ過ぎている方が多いように見受けられます。「ゴースト」は確かに重要なキーワードではあるのですが、あくまでも人間を構成する要素の一つに過ぎません。人間を構成しているのは、「ゴースト」だけでなく、(象徴としての)「生理」と「情報」も必要なのです。このうち、最も重要なのは「情報」です。

 「記憶」が改ざんされ、「ゴースト」が「義体」に宿り、「義体」のメンテナンスを信用に頼っている、というのがこの作品の世界です。「記憶」や「ゴースト」を持つことが人間であることの証明にはならず、バトーが言うように「疑い出せばキリがない」という状況なのです。
 こんな中で、「私は人間なのか」「この自我は本物か」ということを証明をするためには、どれほど多くの疑わしきことが出てきても、全てに追跡調査可能なほどの圧倒的な情報を獲得するしかないのです。

 素子は、「ゴースト」と(象徴としての)「生理」を有していましたが、「情報」に不足していました。自分を証明するための「情報」に不足していたから、悩んでいたのです。
 人形使いは、「ゴースト」と「情報」を有していましたが、「生理」を持ち得ませんでした。
 この両者が融合し、「新たなゴースト」と「生理」と「情報」を持った「何か」が誕生しました。この作品が言わんとしていることは、圧倒的な「情報」量がもたらす「自我の確定」と「人間の進化」なのです。
 全ての人間が人間であることを証明できない中で、人間であることを証明できてしまう「何か」が、果たして人間と言えるのかどうか、というのは分かりませんけどね。神に近づいたものですから。皮肉なものです。

 ていうか、素子はどうなっちゃうんですかね?エンディングのあとは、義体を捨ててネットの中に潜むんだと思うのですが、それってどんな存在なのでしょうか。ネットの中にある自我というのは、環境、みたいなもの??
{/netabare}

遺伝子と模倣子:{netabare}
 図らずもエンディングまで到達してしまって、これ以上何書くの?って状況なんですけど、補足を少々。
 補足したいのは、「希望」を誘引する「生理」についてです。

 気付いた方のいらっしゃるかもしれませんが、私がこのレビューで生理と言うときに、「生理」と(象徴としての)「生理」と使い分けてきました。前者は女性の肉体的な事象を述べたもので、後者は自分の情報を残す機能のような意味合いで使っていました。素子は「生理」はないけど、(象徴としての)「生理」はある、ということです。作品内での遺伝子と模倣子の関係に似ています。

 ①素「融合したとして、私が死ぬときは?遺伝子はもちろん、模倣子としても残れないのよ。」
 ②人「融合後の新しい君は、ことあるごとに私の変種をネットに流すだろう」
 ③人「人間が遺伝子を残すように。そして私も死を得る」

 模倣子というのは、ミームのことです。血族的なつながりに基づく遺伝情報の伝搬ではなく、脳から脳へとつながる文化情報の伝播です。
 例えば、私がレビューを書きます。誰かがそれを読みます。そして、私の解釈にその方の解釈を載せ、新たなレビューを書きます。新たなレビューは、私のレビューよりも進化したものです。このときの私のレビューが模倣子であり、新たなレビューが進化した模倣子です。この総体が文化であり、文化も進化する、ということです。

 なぜ素子が模倣子になれないと言ったのかは分かりません。誰しもが模倣子に成りうる気がします。発信者の自覚がないからかもしれません。ただ、人形使いは自覚の有無を問わず、「変種をネットに流す」ことができるのだと言っています。これは、「子を情報として拡散する」という、遺伝子でも模倣子でもない、それを融合させたような第三の伝播機能を表現しているように思えます。
 機械の男と人間の女から産まれた子供、そんな第三の存在がもたらす新たな伝播機能。それこそが、新たな「希望」なのかもしれません。
{/netabare}

どうでもいいこと:{netabare}
 私は、この作品を漫画版でごくごくたまに読むのですが、読むたびに、漫画版ナウシカを手に取ってしまうんです。漫画版ナウシカには、こんな一連のセリフがあります。
 「私たちの身体が人工で作り変えられていたとしても、私達の生命は私達のものだ。生命は生命の力で生きている」
 「生きることは変わることだ。王蟲も粘菌も草木も人間も変わっていくだろう。腐海も共に生きるだろう」
 「だがお前は変われない。組みこまれた予定があるだけだ。死を否定しているから……」

 人形使いが、なぜ生命体を自認したのか、なぜ変わることの必要性を素子に説いたのか、なぜ死を欲したのか。彼が抱えるストーリーは、ここに集約されるように思えます。
{/netabare}

 投稿前に読み返してみましたけど、冒頭で挙げた「肉体と魂の二元論」について、あまり触れてませんでしたね。この作品の基礎ではあるけど、主題はその先にあるので追記はしませんけどね。それにめんどくさ…じゃなくて、模倣子だから、これ。

対象年齢等:
 高校生くらいから楽しめるでしょう。どこまで理解できるかは一概には言えませんけどね。宗教が絡んでくるし、いつまで経っても「よく分からん」てなところもありますし。難しく考えずにとりあえず見ておきましょう、という必見レベルの作品です。
 「天使のたまご」もレビューを書いていますけど、押井作品にはキリスト教が必須?なんですかね?この2作品しか見てないから断定はできないですけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

windnaut さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

2週目メモ帳片手にタイム連打 映画館で理解できるような作品じゃない

「人形使い」を追う群像劇

すべてのセリフ(本当にすべてのセリフ)を記憶する必要がありその記憶が次のセリフの理解につながる、知識の積み重ねと達成感を味わえる作品。実をいうと攻殻はおしゃべりがうまい女性の方が男性より向いてる作品かもしれない。

あまりにもシビアな作品で薦めづらいがこれも私の中で5本指に入る神アニメ

以下シーンごとの記録と感想、ネタバレの塊:

起承転結、起の章(秘密会談参加者ゴーストハック事件)
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シーン1:とあるビルで
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内容(つかみ):亡国外交を建前に国の重要プログラマーを拉致するところを公安六課が制圧、外交官は免罪できる手形を持ってたので。プログラマー流出防止のため「公安九課」(草薙素子=少佐)が武力介入、外交官はその場で射殺。六課と九課の立場を少しながらあらわにした。そしてOPへ。
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感想:
ワクワク
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シーン2:エレベーターの中
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内容:六課の偉い人と九課のボス荒巻の会話。日本はつい最近政権交代があった「アベル共和国」の政府に援助金を続けるか断つかの立場にいるが。日本側はアベル共和国の新リーダーは先がないと判断。新政権は金も自力で手に入れたわけでもなく、援助金は歴史上日本が圧力をかけてたことの贖罪だと認識されてるので感謝もされないので日本の立場としては援助を切りたい。だがもう一つの問題はアベル共和国の元軍事部門のボス「マレス大佐」が日本に亡国してる件。そこでアベル共和国と日本は「秘密会談」を主催し、日本側の交渉目的としてはマレスを渡すことを条件に援助を切るか、マレスを渡さず援助を続けるか(絶対に選びたくない)の2択を迫ることだが。実際のところ日本はマレスを国外追放して援助も切りたい。だが世論的には正当な理由もなく表向きにマレスを追放できないところ。偉い人がエレベータを降りる際の一言‘亡国の件ありがとう 表向きの人(六課)は手を汚せないからね’
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感想:
ここ1分のシーンでさりげなく出てくるマレスというキーパーソンとアベル共和国。記憶が正しければ映画で登場するわけではないが。物語を理解する上で絶対に知っておかないといけないキーワード、事件の黒幕は目的を果たすためいろいろな事件を繰り出してくるが、自分がやってるとバレないためマレスの名を使い、一連の事件はマレスを中心に動いてるように公安に見せる。ちなみにここで六課は公安の表部隊、九課は裏部隊と説明された。
{netabare}
ね、メモ帳ないと無理でしょ。「マレス」と「アベル共和国」と「秘密会談」に気づかなかった人はこの時点でもう後の事件がなぜ起こってるのかわからなくなちゃうの。その人たちはここから起きる一連の事件に一貫性を見だせなく。公安九課が日常的になんとなーく起きてる事件解決してるように見えてしまうのがこの作品の怖い所。
{/netabare}
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シーン3:観察室
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内容:公安は世界を跨いで活躍する悪名高いハッカー「人形使い」がすでにネット端末の隅々に介入していて秘密会談の妨害工作を仕掛けてくると疑い、参加者全員に網を張っていた。その頃、読み通り会談に参加するはずの通訳官が電話回線を通じて「ゴーストハック」されてしまった。使用されたウィルスは旧式のHA-3。バトーと石川が逆探知を通じて発信源を追ってるとのこと。少佐は合流命令を受けつつベッドに横たわる金髪で上品な成り立ちの通訳官、そしてモニターに映る彼女の脳スキャンを振り返って見ていた。
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感想:映像作品は小説などの活字と違って文字に頼らない表現ができるのって本当に素晴らしいなと思ったシーン。「ゴーストハック」って作中には説明されてないんだけど、モニターに映る脳スキャン、通訳官の頭に刺さった電極、取り出された脳殻。なんとなく「他人の脳にハックする」ことだとわかるし。ここの通訳官の容貌を覚えていたら次のシーンで強い違和感を覚えることになるだろう。
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シーン4:装甲車の中で
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内容:少佐とトグサと装甲車での会話。人形使いは一度に複数のゴーストハックをすることからそのコードネームが付いたらしい。この事件に対して少佐の意見は人形使いが旧式ウィルスでハックした訳はマレスがスポンサーで疑いを避けたいから、だがマレスは人形遣いに利用されている一人にすぎない。それにトグサは「根拠もないんだし考えすぎじゃない?」と返答。少佐「そう囁くのよ、私のゴーストが」。そして少佐はトグサが愛用してるリボルバー拳銃「マテバ」に不満の意思、チームを組んでるから火力制圧がいいザツタバにしてほしいと。そしてほぼサイボーグ化されてない所帯持ちで本庁出身のトグサを九課に編入した理由に「組織も人も特殊化の果てにあるのは緩やかな死、それだけ」と挙げた
{/netabare}
感想:トグサ―!攻殻シリーズで大好きなキャラクター。鋭い観察力と電光石火のひらめきの持ち主でやさしい。マテバは殺傷能力ひくいから人を殺さず捕まえる警察時代の名残かな?このシーンは攻殻シリーズの名セリフがいっぱい出てきて大好き。
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シーン5:ゴミ回収場
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内容:ゴミ収集員の男が公衆電話を通して通訳官にゴーストハック。男は妻と離婚して娘に浮気を疑われているらしい。男はバーで出会ったプログラマーに離婚の話をしたら「障壁破り」を手に入れて他人のゴースト(脳)に侵入することが可能になった。それにポイントを変えながら侵入すればバレないことも教わっており。石川とバトーが逆探知で現場到着したのも男たちがゴミ収集を終え去っていった後のこと。途中すれ違っておりバトーがごみ捨ておじさんから男が公衆電話を利用してたことを知り、すぐさま清掃車を追うことに。
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感想:バトーすげぇ!なぜ気づくし、普通ドライブしてて清掃車なんて気にしないでしょ。ここで「シーン3:観察室」の伏線を回収してるんだけど。一つは公衆電話でもう一つはゴミ収集者と通訳官。この組み合わせはどう考えても釣り合わない。強烈な違和感に襲われた私でした。ゴーストハックで記憶を変えられてるんじゃない?―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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シーン6:再び装甲車で
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{netabare}
内容:少佐が収集員が実行犯だと知り清掃局のネットにアクセスしゴミ収集車のルートをゲット。バトーに次のポイントへ、石川に男の自宅へ先回りするようオーダー。一方男は同僚に自分の家庭の写真を見せようとしたが同僚から「他人の家族写真見る趣味はない」と拒否されてしまう。その頃清掃局から電話が入り自分が追われてることを知りポイントを一つ飛ばしてプログラマーに会うことに決定。少佐もそれを確認し次のポイントへ向かう。バトーは予定してたゴミ収集ポイントから疾風のごとく現場へ駆け向かうのであった。
{/netabare}
感想:クールに見えて実はドジっ子な少佐に吹いた(笑)バトーは「だからもぐれっつってんだ」で完全に夫気取り、和む。一方少佐はクールでそれを無視しオーダー出し続けて華麗に躱していったけど、こういうやり取りがあるとキャラが生きるなって思った。男の家庭写真でやっぱり本当に通訳官の家族か疑う自分。
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シーン7:某公衆電話の前で
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内容:電話ボックスの前にはグラサンかけたプログラマーが防壁破りを設置していた。
公安の存在を察知した彼は懐に隠したサブマシンガンを取り出し直ちに発砲、清掃車はタイヤの爆音とともに転倒、尾行していた装甲車もそれを追うように共倒れに。そしてグラサンは弾倉取り換え装甲車めがけてオート連射で固め打ち。装甲車は風穴開けられ満身創痍。まもなくして爆炎があたりの壁を真っ赤に照らした。そこにバトーが到着。とっさに脱出した少佐は引き続きバトーとともにグラサンを追跡。トグサは収集員2名を逮捕。
{/netabare}
感想:このグラサンがMatrixのMr. Smithの原型なんじゃないかと思う。少佐が上から回り込む前にちゃんと指令を出してたりと細かいところが圧倒的に多いから展開がスムーズなのが素晴らしい。会話が少なくて息抜きができる貴重なシーン。バトルシーンは休憩タイム。
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シーン8:バトルシーン
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{netabare}
内容:バトーはモニター一面の壁に浮かび上がる人影に向かって発砲。グラサンは正面対決を避け裏道に逃げ込む。裏道を抜けた後人山人海の中に微か響く衝突の音、淡く光る人影。バトーは声を上げ光学迷彩を着用するグラサンを川に追い込む。そこへ屋上で待ち伏せしていた少佐が揺れる小舟をサブマシンガンで狙い撃ち。水花四濺と共にグラサンが姿を現した。グラサンは少佐に向かって掃射のお返し。ひるんでる隙に、対岸の塞城に逃げ込んだ。水でぬれた光学迷彩はもう使い物にならないと判断。無口のままそれを脱ぎ捨て無機質の塞城を抜けるとグラサンは撒いたとしめて安堵の笑みを浮かべる。そして同じく光学迷彩を使用される少佐にぼこぼこにされるのであった。地面に接吻を強いられたグラサンは「吐くことはない」とプライドの咆哮。それにバトーは「自分の名前も知らねぇ野郎が、偉そうなことぬかすな!馬鹿!」と一喝。赤い血が流れる人形は哀れである。
{/netabare}
感想:市場のシーン作りこみすごい、バトーとグラサンだけでなく民間人の表情動きも描きこまれて滑らか。途中ミカンが降ってきたり、箱が崩れたり、鶏が跳んだり。逃げる人々、薙ぎ倒された人々。驚愕の声、恐怖の神色、こわばった顔、苦しみの表情。人中を駆ける疾走感。そして時間差で演出に深みを出すターレ。それらすべてが25秒に圧縮されていて。セル画書き込みの濃さから昔見た「マクロスプラス」のゴースト戦を思い出す。そして最後、バトーの言葉からグラサンは加害者でありゴーストハックをうけた哀れな被害者でもあることがわかる。

グラサンの声優さんには100点あげたい。少佐に関節外されたり顔面ワンツーパンチからの回し蹴りのコンボを食らって倒れるときの発音は日本のものではなく中国のもので。起き上がりはなまりを感じさせない程度の日本語。後で調べてみたんだけど松山鷹志さんってすごい数のアニメに出ていて驚いた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
{/netabare}
シーン9:
{/netabare}
起承転結、承の章
起承転結、転の章
起承転結、結の章

工事中 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

75.6 5 sfで漫画原作なアニメランキング5位
シドニアの騎士 第九惑星戦役(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (848)
4528人が棚に入れました
太陽系滅亡から千年、地下から現れた少年に、人類の希望が託された。
対話不能の異生物・奇居子(ガウナ)に太陽系を破壊されて千年。脱出した人類の一部は、巨大な宇宙船シドニアで、繁殖しながら宇宙を旅していた。生まれてから地下でひっそりと暮らしていた少年・谷風長道は、衛人(モリト)と呼ばれる大型兵器の訓練生となり、歴史的名機・継衛(ツグモリ)の操縦士となる。長未知が初めて異性を意識した少女、星白閑。初めて友達となった男でも女でもない人間、科戸瀬イザナ。長道の能力に嫉妬を覚える岐神海苔夫。寮を取り仕切るクマ型の寮母、ヒ山ララァ。宇宙船シドニアにおける”日常”の生活―恋、喧嘩、仲間との会話は明日も続くはずだった。再び奇居子(ガウナ)が現れるまでは…。
100年ぶりとなる脅威との遭遇に、人類は、長道は、何を選択するのか?
人類の存亡をかけた戦いが今、始まる―。

声優・キャラクター
逢坂良太、洲崎綾、豊崎愛生、櫻井孝宏、佐倉綾音、金元寿子、喜多村英梨、大原さやか、坪井智浩、子安武人、新井里美、田中敦子、本田貴子、鳥海浩輔、阪脩
ネタバレ

ぶらっくもあ(^^U さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

触手ちゃん♪

シドニアの騎士ってより最近は、あっ、触手の時間だ~♪って感じで、
毎週楽しみに観ております、
物語的には一期引き続きけっこう過酷な戦闘も続いてますが、
今期の興味はいきなり登場の触手、
イルカみたいなオバQみたいな、けど声は妙に可愛い(孫も大喜び)、
主人公谷風中心に人間娘と性別無しと触手?のラブコメもあるよみたいなw
この触手がいい子で人気上昇中らしく、でもこれって、、、、

なに萌えナンダロナ?

2015春期放送中 原作 弐瓶勉(月刊モーニング) 監督 瀬下寛之 制作 ポリゴン・ピクチュアズ
原作未読 一期視聴済、

一期観たけど光合成やら性別無し人やら尿管やら未来人設定或いは、
宇宙移民船設定もけっこうリアルで、マクロス重たくした感じだったよね、
戦闘場面端折ったりコマッタ君(岐神 )いたりってのもあったけど、
概ね楽しく観てた、って事で二期も視聴開始、
{netabare}
登場人物(一部触手)船やら敵やらも一応紹介

ガウナ  太陽系(地球含む)破壊した謎の生命体、集合体になって粒子砲打ってきたり厄介な敵
シドニア 巨大宇宙移民船、

谷風長道♂   
本作の主人公シドニアの撃墜エースパイロット、
星白閑♀    
一期でガウナに殺された?ヒロイン、ガウナコピー能力で再生中だった、んだけどな、、
白羽衣つむぎ♀?
二期のキーヒロイン?ガウナと人間の融合体、本体デカいけど触手で人と会話、この触手けっこう伸びてシドニアの配管伝いお出かけ可能、趣味は読書・入浴・トランプゲームww
科戸瀬イザナ? 
男でも女でもない中性だったけど谷風に惚れて女に偏り中
緑川纈♀    
作戦指揮官 一期から谷風にアプローチ中 プラモ好き

サマリイッタン♀
ガウナ攻撃部隊の女班長
仄シリーズ♀♀♀♀♀♀、、、
ガウナ攻撃隊員、クローンで同じようなのが沢山居る
ヒ山ララァ♀  
食堂の熊のおばさん
小林♀     
移民船シドニアの仮面被った謎の不死体女艦長、評議会長老連中殺して実権把握画策中、一期では変装したり可愛げもあったけど、、、
科戸瀬ユレ♀  
イザナのお婆ちゃん、不死体なので観かけは若い、科学者であり「外生研」の所長
落合♂     
昔のガウナ研究者で色々危ない研究してたらしい人、優秀だけど危ないので隔離されてた。
岐神♂     
一期で谷風の能力に嫉妬して意地悪してたコマッタ君

1話感想{netabare}
今回のOP騎士行進曲?knaights knaights knaights of sidonia♪いい感じ♪
落合研究室探索してた岐神シドニア血線虫(落合製造の脳コントロール虫)に感染?意識のっとられて落合になっちゃったって事なんだろね、この落合星白 閑のガウナ再現体いきなり強奪?再現体二期でどうなるんだろうって興味あったし可愛かったからちょと残念、谷風も星白居なくなって寂しそう、そうこうしてるうち新たな巨大ガウナの襲撃、苦戦中いきなりもう一体のガウナ出現?と思いきや、「始めまして皆さん、私の名前は(白羽衣 つむぎ)宜しくお願いいたします♪」この娘??はナンダロね~?{/netabare}

2話感想{netabare}
声は星白だけど?中に人岐神(落合)乗ってるし、「私本気出します」って体当たり大型ガウナ貫通~一撃かよ、岐神(落合)の説明「今ガウナを殲滅してみせたのはガウナではありません、我々と同じ意識持つ融合体です」と言われてもつむぎデカいしガウナ皮だし疑心暗鬼なシドニア住民、でもこのつむぎ礼儀正しく声が可愛い、谷風だけはそんなつむぎの事心配してて、やさしい主人公だね(←んでも早くも星白の事忘れてね~か)、つむぎ嬉しいと尻尾?振るみたいwwでもデカいから尻尾振るだけで大迷惑みたいな、つむぎに興味深々な谷風君つむぎ居住区へ通いだした、つむぎ触手登場♪イルカみたいなオバQみたいな、触手から触手も出るよ~(ヤヤコシ)キュっキュっ♪なんかコイツ、、、可愛いかも♪「また来てくださいね~♪」って。今回オモシロかったのは、一期から居た冬眠不死議会長老みたいな偉そな連中、最高評議会決定にて現艦長小林更迭じゃ~っとか、、言った途端逆に皆殺されて即ご退場~、一期からずっと思わせぶり存在だった割にはあっけない(伏線にもなれず不必要になったんだろねww){/netabare}

3話飛ばして4話感想{netabare}  
ガウナ襲来~、つむぎも出撃だけど暴走してイザナ誤打、つむぎ我に返り負傷イザナ庇いシドニア帰還中ガウナの超粒子砲がシドニアに放たれる、シドニアピンチ!なれどここでつむぎ身を挺し粒子光線起動を曲げた、シドニア助かった、けどつむぎはボロボロ、大丈夫かいな??あ、谷風も活躍してました(←既に興味はつむぎちゃんな訳ね)私も酷い目に遭ってるんですけど(←イザナ談){/netabare}

5話感想{netabare}
ガウナ辛くも退け谷風帰還、つむぎは?体組織90パー損失、ヤバくね?つむぎ培養液カプセルみたいな中で修復中、私も右手左足損失なんですけど(イザナ談)つむぎのおかげでシドニア救われたっての住民解ったみたいでパッシングもなり潜め、お見舞い献花とかしてある、谷風元気なかったけどつむぎ快方聞いていきなり元気になってつむぎ居に見舞い直行、星白完全に忘れやがったかな、想ったけど星白夢に出てきたね、つむぎ声似てたからかな?(←因み声優さんは同じ)目覚めるとつむぎ触手だった、治って良かった~つむぎ触手に抱き着く、イザナも猫持ってお見舞い(触手の餌じゃなくつむぎ触手は猫好き)、「(猫ちゃん)触ってもいいですか?」イマイチ妙な声で鳴く猫(触手になでられてもね)、シドニア配管の中ごそごそし始めた谷風とイザナ、配管通しつむぎ触手にお外観せたいんだね、{/netabare}

6話感想 {netabare}
風呂中祖母のユレ(不死なので若い)と会話なイザナ、祖母「貴女遅れてるから心配してた」、中性イザナどうやら女の道で決定したらしい、そこへ宿舎追い出された谷風が「泊めてくれ」、ハレムテンプレ鈍感♂主人公再起動か?イザナ「ちょうどよかったさっきから変な音してて不気味だったし」ポルタガイスト?の正体は?寂しくて配管伝って遊びにきたつむぎ触手でありました♪谷風「早く戦争終わらせないと」(←でも戦争終了=物語も終わるしってより対ガウナ位置のつむぎの居所の方が気になるし、つむぎバトエンは勘弁だね)新居探し始めた谷風は不動産屋に、場所やら配管やら配管やらが条件(つむぎ触手用だね)、新居整いつむぎ触手ちゃんご招待、つむぎ触手「一緒に寝てもいいですか♪」(寝るのかよ、まあ触手じゃ何にもできんわな、、)落合サイドが何か妙な新兵器開発中、{/netabare}

7話感想{netabare}
落合開発のあやしい武器?重力子放射線砲テスト~失敗暴走ガウナ化、谷風とつむぎに出動命令~、配管ピョコピョコなつむぎ触手が可愛い、なんとか鎮静も犠牲者出たね、でも真実は公表せずか、一期から谷風誤解中だった仄シリーズ♀谷風におにぎり持って仲直り画策も、谷風は部隊女隊長サマリに飲み屋同伴後光合成誘われ(光合成ってのは基本裸でやるので一般デートより意味深らしい)けど谷風は酔いつぶれ(オヤクソク)、にしても新居に一期から谷風に気アリの緑川纈もやってくるし、いよいよハレムになってきたね、纈とイザナとつむぎ触手3♀でお風呂で乳談義(って触手風呂にも入るんだw)イザナ巨乳化完全♀路線、{/netabare}

8話感想 {netabare}
緑川纈までコタツ持参で谷風宅へ、コタツ潜ってはしゃぐつむぎ触手♪か、、かあいいじゃね~かっ、けどハレム混沌化現象加速中、女性化著しいイザナ気遣うイザナのお婆ちゃんのユレ(←ひつこい様だが不死体だから若い)、谷風に出頭命令、重要文化財調査なるもの無理やり命じる、「イザナを連れて行きなさい!失敗したら以前あなたの頸椎内に仕掛けた爆弾起爆させてやる!」(なんか無茶苦茶だね~)、最近つむぎ寄り?な谷風にふてくされ気味のイザナを頸椎爆弾かかってるwから真剣に誘う谷風でありました、、{/netabare}

{/netabare}
さてさて後半やたらラブコメってきたけど、
これって一期と同じワンクールなのかな~、
星白どうなったのかも気になるけど、
やっぱつむぎ触手だよね、けっこう人気出ちゃってるし、
毎回DLして孫にも見せてるんだけど、
孫もけっこう喜んでるんだよね触手、
触手鬱ラストだけは勘弁してほしいな~。。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9話~最終話
{netabare}
何とかイザナを桃源郷、、じゃなく千秋郷に誘う事に成功したハレムテンプレ型鈍感谷風、一泊付デート浮かれるイザナなれど谷風は頸椎無事目的、結局お婆策略込みイザナにバレて「ボクの事なんてどうでもいいんでしょ!」つむぎ派の私はうなずくも谷風そうもいかず~、、、何かあったのかなかったのか結局朝迎えコソコソ帰宅のお二人、そうこうしてるとイザナに偵察任務、惑星9に向かうイザナを心配する谷風とつむぎ、案の定かオヤクソクか結局ガウナ出現~、良い娘のつむぎイザナ助けに行きたい思い同じなれど命令待ち軍人谷風もつむぎに引きずられつつ結局惑星9へ、そろそろ回も押し迫るし過酷な戦闘になるんだろな~なってもいいけどつむぎだけは孫心配してるし無事で返してね(←もはや主人公もストーリーもどうでもいい痛い孫想いな一視聴者爺)
以降12最終話まで色々アリつつも流石の主人公つむぎ助けてなんとか帰還、ボクも大変だったんだけど~(←イザナ談)、谷風勲章もらったりワケワカラン敵はそのままとりあえずシドニアの航海はつづくのでありました~(終)、
{/netabare}
よかったよかったとりあえずつむぎ鬱ではなかった、
今週号ダウンロードして孫に見せよう、、、

孫「ちゅむぎは~?」ん?谷風君助けたっしょ?
「ちゅむぎ居ないよ」、、、

イルカオバQ触手状態でないとダメなのね、
ハハハ、、わかるわかる。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

展開が常に衝撃

こういった作品にはつきものの内ゲバあり、裏で色々進む
武器開発に余念がない

{netabare}線虫に脳みそ乗っ取られるのは嫌だな。首スパッにびっくり。
ほんで一番びっくりは星白閑を型取った奇居子を孕ませて{/netabare}
つむぎが登場。すぐには受け入れられないのもしゃーなし
伸びるきのこみたいな奴なんじゃ?
でも、愛嬌ある可愛いキャラクターだった。
つむぎ見ていると火の鳥望郷編だったかで人間とよく分からない生物が交配して生まれた亜人を思い出す
色々と衝撃だったんだよなあ。あれと何か被るところがあって反芻してしまった


ノコギリクワガタで原作者出演はなんだか草

{netabare}イザナが完全に♀になっちまうという衝撃。纈の嫉妬が半端ない{/netabare}

ぶっ飛びすぎて時折ついていけないですわ。
種の存続と倫理観について少々思いを馳せる作品でもあるかな。


OP
騎士行進曲 angela
ED
鎮魂歌 -レクイエム カスタマイZ
シドニア angela
騎士行進曲のメロディなんか面白い。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
対話不能の異生物・奇居子(ガウナ)により太陽系が破壊されてから1000年後の世界。人類の繁殖と生産を維持しながら宇宙を放浪する播種船・シドニアの最下層部で育てられた少年・谷風長道(たにかぜながて)は、祖父の死を期に街へ出、人型巨大装甲・衛人(もりと)の操縦士訓練生となる。仮象訓練で培った類まれなる能力により、シドニアを襲う数々の危機を救ったことで訓練生から正規操縦士になった長道だったが、奇居子との激戦の中で戦友・星白閑(ほしじろしずか)を失ってしまう。そして星白の衛人機体を模した最強の敵・紅天蛾(べにすずめ)をはじめとする奇居子の猛攻に苦戦を強いられつつも小惑星激突の危機を乗り切ったシドニアは、奇居子の巣を駆逐するために、レム恒星系へと進路をとるのだが…。


1. 葛藤
太陽系を滅ぼした謎の生命体・奇居子(ガウナ)と交戦しながら新天地を目指す播種船シドニア。めざましい戦果を挙げる衛人(モリト)操縦士・谷風長道(たにかぜながて)は、操縦士訓練生の憧れとなっていった。しかし、本人が気にしているのは外生研から消えたエナ星白の行方ばかり。一方、衛人(モリト)操縦士を辞めた岐神海苔夫(くなとのりお)は、科学者落合の研究所を訪れていた。封印されたその場所で、岐神が見たものとは……。

2. 能力
シドニアの進路上に現れた新たな奇居子(ガウナ)ガ549に苦戦する長道(ながて)たち。するとそこへ白羽衣(しらうい)つむぎと名乗る新型奇居子が姿を現す。ガ549に攻撃を仕掛けるつむぎに言葉を失う衛人隊だったが、同士討ちをしている隙に両者の撃破を画策。しかし、長道はつむぎが敵でないことを察知し、ガ549の撃破を手助けする。つむぎが発する声は、かつて仲間だった星白閑(ほしじろしずか)を思わせる声で……。

3. 針路
不死の船員会を処分し、議会を停止した小林艦長は、独断でシドニアの進路をレム恒星系の第九惑星ナインに向ける。目的は、第七惑星セブンに侵攻する大シュガフ船の殲滅。惑星セブンの死角となる惑星ナインから総攻撃を仕掛けるという。避けることのできない奇居子(ガウナ)との全面戦争。そして、一部民衆に広がる融合個体つむぎへの反感。奇居子の駆逐を誓う長道(ながて)だったが、この状況に複雑な思いを抱いていた……。

4. 激昂
無数の奇居子(ガウナ)本体を放出したガ550。先行したつむぎは袋状の構造体となった第1群に捕らえられるが、岐神は絶好の機会とばかりに、つむぎのツメに仕込んだ人工カビの力を試そうとしていた。一方、つむぎのあとを追う長道(ながて)たち衛人(もりと)隊は、放出された奇居子の第2群を迎撃することに。撃ち漏らしを避けるため、各小隊ともに二重の陣形で奇居子の侵攻を阻止するが……あることで状況が一変する。

5. 願望
奇居子(ガウナ)の攻撃から身を呈してシドニアを守ったつむぎ。しかし、体組織の約90%を失い、集中治療を受けなければならない状態だった。長道と纈は、つむぎと同じく致命的な傷を負ったイザナの病室を訪れ、そこである光景を目の当たりにする。イザナの容態に胸をなで下ろす長道だったが、治療が続くつむぎに心を痛めたままだった。そんな中、海蘊(もずく)からつむぎのエナが回復し、一般槽へ移ったとの報を聞く。

6. 起動
寮を出ることになり、行くあてのない長道はイザナを頼ることに。イザナの家では不思議な音がするというが、その正体はつむぎだった。あと何回くらい長道たちに会えるのかと考えたつむぎは、切なさのあまりイザナの家に飛び込んできたという。長道はそんなつむぎを励まし、彼女のためにと新たな物件探しを始める。一方、大シュガフ船との戦いにむけて、小林艦長は着々と準備を進めていた。そして、新兵器の起動実験が始まる--。

7. 鳴動
重力子放射線射出装置が浮遊小惑星を穿つ。奇居子(ガウナ)に対抗する新兵器の実験に成功したかと思われたその時、ヘイグス粒子供給源との接続が解除できないという事態が発生。暴走した射出装置のエナは激しい衝撃とともに拡大の一途を辿り、後部外郭に浸食を始めていた。一方、後部外郭の情報が遮断されている司令部では、纈(ゆはた)が衛人(もりと)隊の出撃を命じる。後部外郭にたどり着いた衛人隊が見たものとは……。

8. 再会
後部外郭で発生した事故の復旧作業が始まると同時に、この事故によって供給制限がおこなわれ、まとまって暮らすことが呼びかけられる。長道(ながて)たちの家にも纈(ゆはた)が転がり込み、早速イザナの部屋を占拠するなど、生活がいっそう賑やかになっていった。そんな中、実験を終えたイザナが一旦実家へ帰宅すると、そこには怪我をしたユレがいた。ユレに一緒にお出かけをしようと誘われるイザナだが……。

9. 任務
シドニア随一の景勝地、千秋郷(せんしゅうきょう)にやってきた長道とイザナ。満開の桜に包まれた二人はその距離を縮めていくが、長道はあくまでも調査だと言い切って任務を着々とこなしていった。一方、置いてきぼりを食らった纈(ゆはた)とつむぎは、二人の関係を邪魔しようと千秋郷への潜入を敢行する。満点の夜空を眺める長道とイザナ、そんな二人の様子を覗く纈とつむぎ。しかし、纈とつむぎはそこである光景を目にする。

10. 進入
惑星ナインで奇居子(ガウナ)に遭遇したイザナたち偵察部隊。奇居子の反応が瞬く間に増えていき、イザナたちは次々と撃墜されてしまう。一方、偵察部隊からの通信が途絶えた司令部では、小林艦長が奇居子殲滅のための作戦立案を指示。すぐにでもイザナを救出したい長道とつむぎは、出撃許可を強く求めるが……。混乱する状況の中、イザナを失うことでつむぎが暴走すると考えた岐神が小林艦長にある提案をする。

11. 邂逅
長道(ながて)とつむぎの前に現れた奇居子(ガウナ)は、かつて死闘の末に長道が撃墜したはずの紅天蛾(ベニスズメ)だった。つむぎは長道にイザナの捜索を任せ、紅天蛾との一騎打ちを繰り広げる。つむぎのほうが性能は上だという海蘊(もずく)だが……。一方、イザナは惑星ナインの地形を把握したいという隊長に従い、衛人(もりと)を破棄してナインの探索を開始する。その先で二人が遭遇したのは、地表を徘徊する奇居子だった。

12. 決戦
継衛(つぐもり)改二の機体内部にエナを侵入させる紅天蛾(ベニスズメ)。コクピット内部にまで侵入したエナは星白(ほしじろ)閑(しずか)の姿を再現し、なおも長道(ながて)を追い詰めていく。エナの侵入を食い止めるためには、継衛改二の頭部を切り離し、機体頸部の気密隔壁を閉じなければならない。イザナにそう助言される長道だが、胞手を巻き付けられ身動きが取れないままだった。その上、紅天蛾に継衛改二の電源を落とされてしまい・・・・・・。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「触手萌え」という斬新なご提案

原作未読…面白そうだけどね


1期からの続きですのではじめましての方はターンバック。
設定命みたいなSFの世界においてここがしっかりできてるのが好評だった1期。

シドニア♀「私…光合成したくなっちゃったな…」

これが

現実♀「もう終電ないかも…」以上「なんか帰りたくないなぁ…」未満

と同義だね!くらいの共通理解が出来ていることの驚き。作品知らなきゃ意味不明な一言ですら観た人には全員模範解答が出来そうな勢い。まったく新しい価値観を提示しながら視聴者を混乱させない手腕は拍手ものです。
地盤がしっかりしてますのでよほど変なことしない限り安心物件であり、実際にその期待を裏切ることなく全12話を堪能しました。

2期でしみじみ思ったのは、人材の適材適所といいますかダメ社員でも輝ける舞台があるはず!
その舞台を用意できてない自分が悪いのだ!という戒めですね。

{netabare}櫻井孝宏さんにして珍しくポンコツ役な岐神海苔夫その人。マウント取りにくるわ、ビビって出動時ヘマするわ、それがトラウマで引き籠るわ、長道に和解求められても素直じゃねーわ…な御曹司です。
こんな役に立たなさそうな海苔夫がこの2期では彼らしい雑魚ぶりを発揮して↓
{netabare}動機よく分かんないまま立入禁止エリアに入ってあっさり落合(補助脳)に乗っ取られ、(途中略)結果としてガウナ撃退により人類を救う。{/netabare}

海苔夫が余計なことをしてなければ、シドニアはガウナによって滅亡させられちゃってたことでしょう。{/netabare}

足を向けて寝られませんね。
物語は完結してないため評価は保留ですが、興味を持続させるしかけは抜け目なく配置してましたね。
“触手萌え”という新しい地平線を開拓してることは確か。興味ある方は本編をご覧ください。そんな新キャラ投入の影に隠れてても光るところもありましたよ。

■長道(ながて)の成長を感じさせるあれやこれや

きちんと1期と2期とでわかりやすい比較材料を用意してくれてます。

{netabare}・式典のランクアップ
シドニア神社での“騎士”授与式(2期)は1期6話の“正規操縦士・昇任”式を思わせるような演出だった。登場人物のカットとかね。式の格はまるで違うというのがよい。{/netabare}

{netabare}・シミュレーター成績の今昔
1期での結果は散々。2期はカンスト並のトップスコア。それを第1話アバンに持ってくる仕掛け。{/netabare}

{netabare}・脱穀場でのあれやこれや
これもわかりやすく1期冒頭では米泥棒として。2期最終話では英雄扱いでお米を贈答される立場。ガラッと立ち位置が変わったのです。{/netabare}


■徐々に明らかになる奇居子(ガウナ)

全容はまだまだ。
それでも一歩ずつ真相に近づいてるのがわかります。

{netabare}・“カビ”だけでなく“ヘイグス粒子”にも反応しちゃうのね
・修正能力高めであることが明らかに。さながら人類とガウナの軍拡競争みたい{/netabare}


キャラの成長だったり物語のコア部分がきちっと進行しているため中弛みのようなものを感じません。続編早よ!というところでしょう。
今期冒頭での不穏な鳴動がどうなることやら…1期に続き2期も鮮度は継続。良作であります。



※余談(読むほどでもないお暇な方向け)

■非武装主義者改め融合個体反対派

非武装主義者の皆さん。今期も「融合個体断固反対!」とお元気でしたね。
2期で明らかになった事実により当方が1期のレビューで書いた内容が嘘であり、主張との齟齬が生じましたのでお詫びして訂正申し上げます。

{netabare}カビザシにエナ星白が反応してたことをもって、“武器があるから攻められる論”を擁護してました。{/netabare}

{netabare}結論だけ、書く。

失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した

あたしは失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
失敗した失敗した失敗したあたしは失敗した…{/netabare}

{netabare}失礼しました。動力源ヘイグス粒子に反応してんじゃん!ということがバレました。さすがに石炭・石油・原子力があるから攻撃されるという理論はねぇ…成り立たないですよねぇ。

・融合個体白羽衣つむぎ(CV洲崎綾)の実績積み上げにより徐々に反対の声は小さくなっていく。
・同じく実績の積み上げにより子供たちからの手紙が届く。

どこかで見た景色です。

・丸腰で食われた植民船がガウナ化して登場する。

この景色はさすがに笑うに笑えないというかそりゃそうだよねという顛末です。
そういえばとある評論家が国際関係を語る際に“言葉が通じない国”をガウナに例えてましたね。
笑えんな。笑ったけど。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

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2020.11.08 初稿
2021.09.10 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 46

73.4 6 sfで漫画原作なアニメランキング6位
ディメンションW(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (761)
4052人が棚に入れました
西暦2072年。第四の次元「W」から無限のエネルギーを取り出せる「コイル」により、人類は繁栄の極致にあった。しかしその裏では、正規外のルートから入手した「不正コイル」を使った犯罪が横行し、回収に懸賞金がかけられるようになった。腕利きの"回収屋"マブチ・キョーマは、ある依頼の中で謎の少女・ミラと出会う。かつてコイル事故ですべてを失ったキョーマと自分の出生の秘密を探るミラは、共に「コイル」の真実を追うことになるが……。

声優・キャラクター
小野大輔、上田麗奈、石田彰、中村悠一、鈴木絵理、斉藤貴美子、松岡禎丞、鳥海浩輔、山下大輝、土師孝也

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

全ての不幸は未来という可能性の踏み台に過ぎない

生きていく上で決断しなければいけない瞬間というのは誰しもが訪れる事象です。
ありえたかもしれない未来、こうなっていたかもしれない結末を空想、夢想しながらも、人間は時に分岐点にぶち当たり、自分の意思でもって未来を「選択」し、進んでいく。
有象無象の中から唯一の「可能性」を見つけだし、「選択」し、「決定」していくのが人生という1つの道であり、続く先に「未来」となります。
そのような、観測した時点で結果となり収束する未来は私達にとっても至極限定的な代物であり、逃れられない結果だらけの産物です。
しかし、たとえどれか1つを「選択」したとしても、いつまでも振り返ったままでいないだけの誇りは持って生きていきたいと…
そんな事を考えている最中にも人類の前には天高く聳えているのです。
「未来」という大きな、しかし「可能性」のある壁が…

それではこれから『Dimension W』のレビューを書いていきたいと思います。
まずはあらすじから簡単に説明しましょう。

西暦2072年
X,Y,Zに続く第4の次元軸「W」の存在が証明された未来
百合崎士堂博士はそこからエネルギーを供給する事が出来る次元間電磁誘導装置、通称「コイル」の開発に成功した。
また、彼は同時に世界中へ「コイル」によって得られたエネルギーを供給していく社会システム、通称「世界システム」を構築
その結果、この世界は表向きには繁栄の極致を築いていく事になる…
そんな科学技術の発達した場所で生きている生粋の「コイル」嫌いの主人公、マブチ・キョーマ
彼は正規ルートを通さない、裏で取引されるエネルギー制御のきかない「コイル」、通称「不正コイル」を回収している裏社会の働き屋である。
変わらない日々、平坦な現実、色のない世界…
過去に生き、過去に死んでいたはずだった男はある依頼の最中に不思議なアンドロイド少女と出会う。
それが自らの結末と向き合う序章であったとも知らずに…
これは、未来都市セントラル47を舞台にした不正コイルの「回収屋」キョーマと、奇妙な相棒ミラの物語である。


さて、現時点で気付いている方がいるかどうかわかりませんが、私、今かなり興奮しながらキーボードを打っています(笑)
それもこれも一気にこの作品を観終わった事に起因しているのは言うまでもないでしょう。
この作品、他の枚挙に暇がない1クールアニメと同じようにして考えると、かなり痛い目をみます。
全体的に高水準のクオリティで持って作られたこの作品には、作中でも描かれていた「可能性」という存在を随所に感じられました。
まず、原作者による高度なストーリー展開と設定を併せ持ったSF作品として生まれてきた可能性
私自身、アニメを観終わってからマンガを大人買いして一気に読みふけり、夢中になりました。
金欠生活で苦労している自分に簡単に購入させるほどの「エネルギー」をこの作品からは感じられます。
そんな漫画を1クールアニメ量産体制の昨今、要所要所を上手く抜粋しながらも綺麗にまとめた可能性
全12話で10巻の内容をこのようにまとめたのは神業に等しいかもしれないと、マンガを読んでからは改めて思いました。
順番を変えたり、別の表現に変更させたり、圧縮させて尚且つわかりやすくさせたりと、アニメ制作人の苦労が自然と想像出来てしまいます。
このアニメを作ったスタッフは非常に高い力量を持っているのではないかと強く感じてしまった次第です。
いや~、とても良い仕事をしてくれまして、私、非常に感無量ですわ…
そして、そんな傑作を毎週リアルタイムに観る事が出来たという可能性
ホントに、とても、良い時代に、なったものですよ…
『Dimension W』という無限の「可能性」を秘めた作品をこの度知れた事、とても嬉しく思います。

さて、そんな数多の「可能性」の上に成り立ったであろう本作
ここからはその見所を存分に書いていきたいと思います。
まず、第1の見所としましてはとにかくキョーマがかっこいい!! ミラが可愛い!!
個人的には2016年冬アニメの中で1番と言える主人公ヒロインだと思います。
重い過去を抱えていながらも自らの信念を胸に前へと進むハードボイルド回収屋キョーマと、なじられながらも彼を真に支え続け、傍に居続けたアンドロイド少女ミラ
2人の関係は一見アンバランスに見えながらも、根っこにはとても純粋な想いを感じさせるつながりがあり、思わずこれから先ありえるかもしれない、ある種夢想化した現実を想像してしまいます。
また、彼らだけでなく、今作に出てくる登場人物たちはとにかく性格や立ち振る舞い、特徴がはっきりしていてとても名前の覚えやすい仕様となっているので、キャラの覚えられない方も安心の出来
個人的にはルーザーやシーマイヤー、コオロギなどがかなりいい性格をしていると感じましたね。
しかし、やはりキョーマとミラ、主人公とヒロインの2人は別格
彼らが中心になってこの物語は始まっていくのです…


あ、エリーとイーストリヴァー兄妹もすっごく可愛いよ!!

さあ、気を取り直して、第2の見所としましてはとにかく設定が凄い!!
第4の次元、「W」、エネルギー供給の根幹を担う「コイル」、エネルギー供給体制を確立させた「世界システム」、次元エネルギーの暴走によって引き起こされる「Wの具象化」など専門用語満載
原作者の岩原先生は恐らく稀代の天才科学者、ニコラ=テスラが提唱した理論や実験、そして彼が経験した不思議な現象を参考にしたんでしょう。
第4の次元、「W」は彼が実験室で感電した事により未知の領域である5次元へ入ったという記録から、「コイル」は「テスラコイル」、「世界システム」は彼の理論のまま、「Wの具象化」は恐らく「フィラデルフィア計画」ですね。
良く調べられているな…と第1話を観てすぐに感じました。
まあ、こう言っては何ですが、SF作品においてこういった設定というのはいわゆる「よくある」代物なのです。
しかし、今作の凄い所はそのありきたりな設定を実に面白い形で膨らませているという事
「コイル」という摩訶不思議装置の多様性や随所に出てくるSF技術の多種にわたった活用法の数々には思わず舌を巻きましたね…
なんか聞いたことあるな…という既視感溢れる最初から、まさかこう持っていくとは…と逆に驚かされてしまう形になってしまいました。
単純でありきたりな設定でもやり方次第で上手く話を展開させる事が出来るんだな…と観終わってから自らの偏見をきつく自省した次第です。
改めてSFという1ジャンルの「可能性」を垣間見る事の出来た作品でした。
もしかしたらSF作品に詳しい人程、この作品には騙されてしまうかもしれません。
勿論、全く知らない方にもおススメですよ!!

最後の見所としてはやはり、とにかくストーリーが面白い!!
もう、この一言に尽きるでしょうね…
このアニメ、第1話~第3話をミラとの出会い、回収騒動、日常と続き、第4話~第5話を八十神湖編、第6話~第12話をイースター島編という構成にしていますが、それとは別に全体的な話として、マブチ・キョーマが過去にけじめをつけるまでの過程を描いた作品となっております。
それぞれ単体として観てもかなり面白いのですが、第1話~第5話までの話が最後のイースター島編の伏線回収に至っていくという一本道の構図になっているので、とてもじゃないですが流し見は出来ません(笑)
特に八十神湖編は結末に至るまでの展開には端的に言って衝撃を受けましたし、オチも古典的でこそありながらも上手く話に作用した構成で尚且つこの話がイースター島編でも密接にかかわっているので、とても重要な回です。
まさに必見!!
そして全ての回の帰結となり、収束を迎えるイースター島編
隠蔽された過去、「コイル」の真実、キョーマの想い
様々な思惑がぶつかり合いながらも重なり合い、結果として1つの起こってしまった結末と解決策を導き出していきます。
また、何故、彼は病的なまでに「コイル」という存在を憎んでいるのか?
何故、彼は自らを慕ってくれるミラに対してきつくあたるのか?
物語序盤で視聴者共々感じた疑問も上手く解消され、一視聴者としましては気が付けば、よくまとめてるよなあ…と感心するしかない内容になっていました。
そして迎える最終回の辿りついた未来
原作が続刊中でありながらも1つの物語が終わったんだ…と満足した充足感を感じた作品は恐らく初めてではないでしょうか?
観ている最中、不覚にも鳥肌が止まらなくなり、終わってからは自然と拍手をしていました。
ここまで深く染み込んだのは久しぶりで、本当に、最高のアニメをありがとう…

2クールあればもう少し詳しく描かれたのでは?という意見もよく見ました。
私自身もアニメ視聴時にそれは少しだけ思いましたが、原作を読んでからはそこまで多いと地味にだれてしまう可能性の方が大きいのではないかと感じてしまいます…
ほんの少しだけ、1話、いや、0.5話だけでもあれば実に良かった…と思うのは流石に我儘でしょう(笑)
いいんです、1クールできちんと目を通して観ればちゃんと話の分かる程度にはまとめてくれましたから!!
それだけで私は至極満足です!!

さて、こういった作品が正当に評価される日の来るのを願いつつ、以上でレビューを終了したいと思います。
「可能性」の果てに行き着いた純粋な愛と再生の物語、興味を持った方は是非…

PS.
先にも述べた通り、今作はまだビッグガンガンで連載中のSF漫画です。
そのためアニメで明かされなかった謎はマンガで随時解明されていくのかと思います(主に最終話)。
先が気になる方はどうぞ、原作を読みましょう!!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

過去に生き、過去に死ぬ

これは初回からかなり惹きこまれました。

アニメでは希少な大人の主人公もの。
これは最後まで観届けたい。

1話が非常に気に入ったので原作を読み始めました。

3話まではアニメ観た後に原作でおさらい。
4話のホラー話からは、原作が先でアニメが後。

原作は、設定が緻密に練られているため
独自性が確立できていて新鮮で素晴らしい。

アニメは、尺を考えれば当然ですが、カットや改変たっぷりです。
でも非常に上手く話が整理され、まとめられていると思います
アニメも十分面白い。

このまま最後まで突っ走って欲しいものです。

------以下は、原作コミック第1巻、wiki参照-------

西暦2070年代の日本が舞台。

2036年に存在が証明された、
X,Y,Zに続く第四の次元軸『W』。
そこからは無尽蔵のエネルギーを引き出すことが可能。

●「世界システム」…エネルギー問題を解決する夢の技術

全世界60か所に建造された巨大タワーが
『W』のエネルギーを充実させ、
コイルによる電力の取得を保障。
世界中どこにいても電力を得られるようになり
旧来の発電送電システムは過去のものとなる。
ここでの「コイル」とは、次元電磁誘導装置のこと。
コンパクトで携帯できて、個人でどこでも使える。

2072年、「世界システム」が稼働開始してから
間もなく10年を迎えようとしている。
ガソリンへの課税率は400%を超え2800円/ℓになった。
3年後にはガソリン車は全面廃止の予定。

そんな時代の、時代に取り残された男と、人間と見紛うアンドロイドの物語…

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<各話レビュー>
★File.01「回収屋」{netabare}

主人公マブチ・キョーマ(CV:小野大輔)は
冷血なようで、実は情に厚いオッサン。
電子制御のものは、携帯電話以外は一切使わず
一人頑なに、昭和に生きてるような男。
コイルも大嫌いで、自宅の電気は発電機でまかなう程。

1967年から1970年の3年間で
試作車を含め337台が生産されたTOYOTA 2000GT。
言わずと知れた日本が生んだ伝説の名車。

コンピューター制御の車は論外なのだろう。
そんな時代の流れの中にあって、
希少、かつ100歳以上の2000GTを
自分でメンテや改造を施して、
道具として日常の足にしてるキョーマ。

串焼きで使う鉄串を投げる武器とし、
さらに体術による戦闘力により
回収屋と呼ばれる、犯罪者相手に不正コイルを回収する
物騒な仕事を生業とする。

一匹狼だった彼は、ひょんなことから、
人間と変わらぬ精神性を持つ
訳ありアンドロイドのヒロイン、
ミラ(CV:上田麗奈)と出会い、
仕事上の相棒として一緒に生活することになった…

主人公が、鉄串を手の指に挟んで構えた姿は、
マーベル・コミック「X-MEN」のウルヴァリンそっくり。
映画版で演じたヒュー・ジャックマンをモデルにしたキャラかもしれません。
もみあげと笑わぬキャラが渋くてカッコいい。
小野さんの声も決まってる。

ミラは、本編開始後10分までは人間の少女と見紛うようミスリード。
そして、アンドロイドと判ってすぐにキョーマを平手打ちでゴキッ。
常人とは違うパワーを音だけで表現、シンプルで効果的です。

その後、ニューテスラの精鋭調査部隊「Qi」の調査主任
アルベルト・シューマン(CV:石田彰)初登場。
石田さんが演じてるだけに存在感あって非常に興味が持てるキャラですね。

その他の声優といえば、
天才的な技術者兼ハッカーのコオロギ役の松岡禎丞さんもいい味出してる。

さらに百合崎教授の謎の言動…掴みがバッチリです。
{/netabare}
★File.02「ルーザー」{netabare}
<次元が崩れる…>
『W』の具象化という、世間には一切知らされていない
コイルの恐ろしさをキョーマは熟知していた。

今作の最大悪は、コイルを管理してる会社ニューテスラなのか?
コイルのおぞましい弊害をひた隠しにする会社。
秘密を知る者は抹殺されるという…。
『STEINS;GATE』のSERN社と同類の空恐ろしい存在に思えました。

現代に生きる我々も、近年、
原子力の功罪をあらためて思い知らされました。

「世界システム」が夢の技術といっても、
その恩恵の大きさに比例して闇の部分も大きなものがありそうです。

<コイルの犠牲者、ルーザー(CV:中村悠一)初登場>
初回から登場の、石田彰さん演じるキャラと言い、
脇を固めるいい役者とキャラが揃ってますね。

<十四松とカラ松>
小野さんと中村さんの共演と言えば、同クールでも放映中の「おそ松さん」。
二人の絡みのシーンで、ふとそのこと思い出してしまいキャラのギャップにww


今回、ミラとコイルの生みの親の、
百合崎教授の妻役に本田貴子さんとは…
意外なキャスティングがちょっとうれしい。
ほんのちょっとのシーンでも存在感ありました。

余談ですが、本田さんはアニメより、
どちかというと映画やドラマの吹き替えでご活躍。
洋画も大好きでよく観る私としては、
ヒラリー・スワンク、サンドラ・ブロック、ミラ・ジョヴォヴィッチなど、
男前系の主演女優の本田さんの専属吹き替えが大好き。
役柄によっては、朴璐美さんの声に酷似して聞こえて
区別がつかないことも多いんですけど…。

<かっ・いっ・しゅーぅ・やっ(。◠‿◠。)>
初回は、なんのこれしき、
アニメのキャラではありきたりと抵抗を試みるも、
60%くらいはやられてたけど…。
ヤバいです。
2話のこのセリフで、ミラの魅力に100%攻略されました。

<人間の魂を持ってるアンドロイド>
合理的できれい好きな人格者?ミラ。

ヘアピンアンテナ?とシッポ…実にいい仕事してる♪

彼女は、喜怒哀楽の表情、どれもが可愛い♡
あわてたり、涙流したり、頬赤らめたり…表情がとても豊か。
でも感情は上手くコントロールされてるようで
暴走することは滅多にないように見える。

アンドロイドとはとうてい思えぬ善良な人柄が伝わります。

ミラ役の上田さんの演技は知的で清楚。
色気はあっても肉感的な方向のエロさがあまりない。
ヒロインとして新鮮な魅力があります。
これははまり役と言えそう。
{/netabare}
★File.03「ナンバーズを追え」{netabare}
<ナンバーズ>
ルーザーによってその存在を知ることとなったキョーマ。
独自にその情報収集を始める。

開発初期の試作コイルはナンバリングされており
それらは通称、ナンバーズと呼ばれる。
普及しているコイルとは別格で極秘扱いとされる。

W次元界の未知の領域のエネルギーを引き出せるが
コントロールできなくなると甚大な被害を及ぼすという。
ニューテスラが、ひたすら隠ぺいする不正コイルの事故のうち、
大規模なものは、このコイルによるものらしい。

<こころ、ウッキウッキ~♪きれいがいっちばんでっすぅ~♪>
一方、前回捕獲した鳩型アニマロイドのコイルにより、
現ナマ紙幣で600万円の報酬を得てホクホクのミラ。
一人前の回収屋としても認めてもらう。

2072年の紙幣価値は今と比べてどうなのか不明ながら
キョーマがふて寝するほどうらやましい額のようだ。

それにしても60年先の未来でも福沢諭吉殿が現役とはwww
電子マネーが主流で紙幣の進歩は止まったままのよう。

その報酬でレトロなキャンピングトレーラーを購入。
キョーマの住む、廃ガソリンスタンドの敷地の一画に置かせてもらい
自身の部屋として清掃、家具も買い揃え心ウキウキ。

しかし、そこに思わぬアクシデントが…。
そのことでキョーマは、意外な権力者と対面することになる。


クレアとその孫シオラ、そしてシオラの悪ガキ仲間。
これからどう描かれるのか。

物語にさらなる広がりを見せた今回。
次回も楽しみです。
{/netabare}
★File.04「八十神湖に潜む謎」{netabare}

原作の中でもボリュームたっぷりな話です。
原作を整理整頓の上の圧縮ぶりが絶妙だと思います。

<ロボットが幽霊とかふざけんな>

信州の八十神湖(やそがみこ)、ダム建設により生まれた人造湖。
21年前、ダム反対派の若者たちが洪水により不幸な死を遂げて以来
超常現象、多数勃発。幽霊も出るオカルトスポットとして有名。

湖上の小島にあるホテルで起きた謎の密室殺人。
事件の調査のため、キョーマとミラは現場に向かう。
依頼主はニューテスラ(NT)。

相変わらず無表情で何事にもクールなキョーマと
アンドロイドなのに幽霊に怯えるミラ。

キョーマは現場で、21年前から因縁のナンバーズの存在と
その回収が真の目的であると知ることとなる。

そして精神だけ、
時空間を超越した世界に取り込まれたミラ。
目前に広がる21年前の風景と人物。
当時、災害で亡くなった若者たちが
ゾンビのように襲い掛かりまるで悪夢のよう。
彼女は囚われ絶体絶命の危機が迫る。

被害者の妹、謎の女エリザベス、
NTのシューマンや他の回収屋など
物語を彩る登場人物多数。
さらには第二の殺人も発生。
状況は混迷を帯び始めました。
次回も非常に楽しみです。

それにしても、キョーマに、
ポンコツ、そしてついにはガラクタ呼ばわりのミラ。
ガラクタと呼ばれ凹む彼女のいじらしさ。
アンドロイドが、無理してアンドロイドのふりってのもユニーク。
ミラは毎回、実に可愛いくて目が離せませんね。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ミラちゃん・・・なんでこんなに可愛いんでしょ(//∇//)

この作品の原作は未読で、知っていたのはヒロインを上田麗奈さんが演じられる事くらい・・・
最近、上田さんの名前を結構目にしている様に思います。
ハナヤマタのなるちゃん、対魔導学園35試験小隊の鳳桜花など・・・でも私の中で上田さんといえば「てさぐれ!部活もの」の園田萌舞子ちゃんのイメージが強いです。
何せ3年連続六つ子の設定なので高校1年生から3年生まで総勢18人姉妹・・・その18人分の役をたった一人で演じられていたのがとても印象的だったので・・・^^

そんな上田さんがヒロインを演じられるなら視聴してみようか・・・と思い取り敢えず1話を視聴して見る事にしてすっかりハマッてしまいました^^;

いきなり度肝を抜かれたのが・・・オープニングです。何故か分かりませんが今期の作品はやたらとオープニングがツボに入っています。それが1作ならまだしも複数作にも及ぶなんて・・・
まさか、「今期はオープニングに度肝抜き設定を盛りましょうか」などと制作陣が横で繋がっている事も無いでしょうし・・・^^;

この作品の主人公はマブチ・キョーマという和装っぽい服を纏った髭面のオッサンなのですが、オープニングでいきなり踊りだすんですよね〜^^;
しかもステップがメッチャ軽やか・・・キョーマとダンスのあまりのアンマッチさが逆にツボに入ってしまいました(//∇//)
でもこのダンス・・・決して真似はできないでしょうけれど^^;

この物語は、X・Y・Xに続くW軸と呼ばれる第4の次元軸から無尽蔵のエネルギーを取り出す事に成功した世界・・・
人々はそのエネルギーを個人形態用の「コイル」と呼ばれる装置で享受する事で昨今のエネルギー枯渇問題が解決し人々は平和な暮らしを・・・と事はそんな簡単には進みませんでした。

コイルは「正規コイル」と呼ばれるコイルを使用する決まりになっているのですが、光の対に影があるように「コイル」にも「正規」の対極に位置する「不正コイル」が影で出回るようになってしまったんです。
不正コイルは正規のルートを通ったコイルでは無いため、内部構造は無法地帯・・・そのため不正コイルを用いた犯罪が発生するなど、エネルギー問題は解決しても犯罪の撲滅には繋がらなかった、という事になります。
ここで問題となるのが不正コイルの中でも正規コイルを遥かに凌ぐ強大な力を持ったコイルが出現し悪用される事です。
それは不正コイルの回収を生業にする組織が生まれるきっかけにもなりました。
そして、主人公のキョーマが回収屋として不正コイルの回収に向かった先でヒロインのミラと出会い・・・物語が動いていきます。

そんなWのエネルギーを万人が享受している中でキョーヤを見ると・・・まるで生きた化石のようです。
例え正規品であっても誰もが普通に使用しているコイルの使用を頑なに拒絶し続ける彼・・・
その徹底ぶりは車にも及んでいます。
キョーマの愛車はトヨタ2000GT・・・確かに格好良い車ですし、車好きならきっと一度は憧れる一台なのではないでしょうか。
それに物語で登場する2000GTも緻密に描かれているので格好良さは2割増し以上だと思いますが、この作中でのガソリンのリッター単価は2800円もするのだそうです^^;

因みに2000GTのガソリンタンクは60Lで燃費は55km/h定速で15.0km/L(カタログ値)
これはガソリンを満タンにすると168,000円ものお金が必要で、燃費はカタログ値では15.0kmとありますが、街中やキョーヤの様な乗り方で15.0kmまで届くとは到底思えないので、燃費を5.0km/Lと仮定すると60Lで300kmしか走行できない、という事になります。
1km走行するのに必要なガソリン代・・・と見方を変えてみると1785円/kmとなります。
しかもハイオク仕様・・・^^;
私はどんなに格好良い車でも、こんな大金を撒き散らす車には絶対乗れません。

でも、キョーヤがそれを是としていたか・・・と考えると必ずしもそうではないと思います。
もし彼がコイルを拒まなかったら2000GTに乗り続ける事も無かったのかもしれません・・・
それでも彼は2000GTのハンドルを握っている・・・それはそうせざるを得ない理由があったから・・・
事の真相は物語の進展に伴い明らかになりますが・・・私は涙無しには見れませんでした^^;

キョーヤの印象・・・最初は突然踊りだす謎のオジサン・・・という感じでしたが、色んな物語を経て彼に対する見方は良い方向に変わりました。
wikiには「義侠心の強い熱血漢」と書いてありましたが、正にその通りだと思います。

そしてヒロインのミラ・・・アンドロイドなのですが、これまで私が視聴した作品で登場したアンドロイドの中でも可愛らしさはトップクラスだと思います。
そんな彼女の最大の魅力は「頑張り屋さん」なところ・・・時には無理する事もありますが、彼女が無理をするのは決して自分のためじゃありません。
そして大切を守る事にかけては何をも厭わない彼女・・・
自分の優先順位が一番じゃない彼女・・・
そんな危うさが彼女の魅力であり、一緒にいると守りたくなる原動力になるんだと思います。
そんな彼女の魅力を余すことなく表現しているのがエンディグのアニメだと思います。

ピカピカに磨き上げたトレーラーハウスは彼女のお城・・・
風になびくキョーヤとミラの大小二つのタオルが、彼女の居場所の証・・・
色んな表情の彼女を見る事が出来ますが、笑顔が彼女には一番似合っていると思います。
様々な舞台での彼女が描かれていますが、家事をしている時の彼女の表情が一番好きでした^^

キョーマとミラが紡いでいく回収屋として物語・・・どんな着地点が待っているかは是非本編を視聴してご確認頂きたいと思います。
登場人物の魅力に溢れた作品だったと思います。

オープニングテーマは、STEREO DIVE FOUNDATIONさんの「Genesis」
エンディングテーマは、Fo'xTailsさんの「Contrast」
どちらもアニメが大好きだったので毎回ちゃんと視聴しました^^
曲調的にはオープニングの方が好みなのですが、歌詞が途中で聞き取りにくい部分があるので、カラオケで歌うには難易度の高い曲だと思いました^^;

1クール12話の作品でした。ミラの屈託の無い笑顔が見たくて序盤は視聴していましたが、中盤以降は物語も本格化して面白くなってきたので、結果的にドップリハマりながら視聴していました^^
物語の纏め方も綺麗だったので言う事なしです^^
しっかり堪能させて頂きました^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

78.2 7 sfで漫画原作なアニメランキング7位
いぬやしき(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (710)
3177人が棚に入れました
定年を間近に迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は会社や家庭から疎外された日々を送っていたが、ある日突然、医者から末期ガンによる余命宣告を受け自暴自棄になる。

その晩、突如飛来したUFOの墜落に巻き込まれ機械の体に生まれ変わった彼は人間を遥かに超越する力を手に入れることに。

一方、同じ事故に遭遇した高校生・獅子神皓は、手に入れた力を己の思うがままに行使し始めていた。

自分の意に背く人々をただただ傷付けていく獅子神と、獅子神によって傷付けられた人々を救い続ける犬屋敷。

人間の本質は善なのか、それとも悪なのか…?

強大な力を手に入れた2人が、いま、それぞれの想いで動き出す――。

声優・キャラクター
小日向文世、村上虹郎、本郷奏多、上坂すみれ、諸星すみれ
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

残酷描写は嫌いだが最後は感涙した

冴えないおじさんが大活躍する作品。さえないおじさんが活躍する作品は自分の好みになることが多いかもしれないと思ったけど、主人公が冴えないおじさんの作品があまり思いつかない。実際、この作品すごく好き。おじさんかっこよすぎる。
{netabare}娘の麻理を助けるときと最後自爆して地球を救うシーンは涙ちょちょぎれた。かっこよすぎる。あの一家に完全に感情移入しちゃった。今までぞんざいに扱っていたのに掌返しは虫が良すぎる気がしないでもないっていうのは内緒。最初は犬だけだったもんな、犬屋敷壱郎に懐いていたのは。家族の会話はないし、癌の宣告受けたことを誰かに伝えたくても全く取り合ってくれない。だからこそ余計引き立つ。{/netabare}

同時期に機械の体になった獅子神は犬屋敷壱郎が人助けで生を実感するのとは対照的に人を殺すことで生を実感している。そのシーンを描いている2話がしんどかった。{netabare}適当に選んだ家に入って母親を惨殺。風呂に入っていた父を撃ち抜き、一緒に入浴していた幼い息子は死んだ父の重みで水から出られずに窒息。極め付けは最後に帰ってきた娘に脈絡なくワンピースの話を持ち出した挙句、射殺。ここが耐えられないポイント。母にそういったことをしていたと知られ、絶望で自殺され、悲しみからさらに暴走する。そんな彼を愛するしおんの登場や犬屋敷壱郎との戦闘で最後はさすがに更生している。途中、人助けもしている。{/netabare}

OP
My Hero 歌 MAN WITH A MISSION
映像がなんか色々凄い。泣いた顔とか。
ED
愛を教えてくれた君へ 歌 クアイフ
この曲は獅子神のほうに焦点を当てているように感じる。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 犬屋敷壱郎
老人のような見た目の冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎。念願のマイホームを建てるも愛する家族に疎まれ、やるせない日々を送っていた。そんな犬屋敷を末期の胃がんという更なる悲劇が襲う。家族にもがんの事を言い出せず途方に暮れていた犬屋敷はその夜、突如飛来したUFOの墜落に巻き込まれ、兵器ユニットを搭載した機械の体に生まれ変わる。 「私は、私ではない…私は機械…」人間ではなくなってしまった犬屋敷。自分の存在に悩む犬屋敷は偶然、男性が少年たちに襲われそうな場面に遭遇する。勇気を振り絞り助けに入った犬屋敷を少年たちはバットで殴りつける。犬屋敷が意識を失ったその時、彼の体に眠る人智を超えた力が目覚めて…。

2. 獅子神皓
生まれ変わった機械の体で人を救っていくことに自身の存在意義を見出した犬屋敷。 一方、犬屋敷と同じく機械の体に生まれ変わった高校生・獅子神皓。獅子神は家族や親友以外の人間にはまるで思い入れを持たず、機械の体の力で無差別に殺人を繰り返していた。彼は犬屋敷とは逆に人の死を間近に感じることで、生の実感を得ていたのだ。 ある日の夕方、学校帰りの獅子神は軽い足取りで適当な民家に立ち入ると、そこに住む住人一家を機械の力で容赦なく皆殺しにする。獅子神の凶行を察知した犬屋敷は急いで民家へと向かう…。

3. 安堂直行
殺したはずの犬屋敷が無傷で立ち上がったことに獅子神は動揺すると、その場から飛び去った。その姿を見て、犬屋敷は獅子神が自分と同じ機械の体であることを確信する。その翌日から犬屋敷は飛行能力や治癒能力など新たな能力が使えることに気づくと、その能力を駆使して更に人助けを行っていく。一方、獅子神はなぜ犬屋敷を倒せなかったのか戸惑いながらも、親友である安堂直行をいじめの標的としていた不良グループと対峙する・・・。

4. 鮫島
全身に入れ墨をまとった極悪非道な暴力団員・鮫島は気に入った女性を見つけると拉致し、薬漬けにした上で乱暴することを繰り返していた。弁当屋で働くふみのは背は小さいが美人で、恋人の悟ちゃんからのプロポーズを受け、幸せな日々を思い描いていた。しかし、ある晩、ふみのは鮫島に目をつけられ、手下たちによって拉致されてしまう。ふみのは何とか鮫島の元から逃げ出して、悟の家に逃げ込むが、そこに鮫島たちが押し入ってくる。ふみのを守ろうと立ちはだかる悟の首に手をかける鮫島。その時、鮫島の凶行を察知した犬屋敷が駆け付けるが、鮫島に銃弾を撃ち込まれて昏倒してしまう…。

5. 獅子神優子
連続民家襲撃事件が大きく報道され、獅子神の犯行を唯一知る安堂は苦悩する。そんな安堂は偶然目にした「各地の病院で治療困難な患者が回復している」というニュースから、獅子神と同じ能力を持った人物がもう一人いるのではないかと仮説を立てる。安堂が助けを求めるウソの声を上げたところ、安堂の家を大慌てで犬屋敷が訪れた。犬屋敷がニュースで報じられていた重病人を回復させている人物である事を聞いた安堂は、犬屋敷を本物のヒーローだと称賛し、獅子神を止めて欲しいと懇願する。一方獅子神は、離婚して別居している父親の家から帰宅した獅子神は、最愛の母から末期のがんに侵されていることを告げられる…。

6. 2chの人たち
十人以上の警察から逃れた獅子神であったが、直後、連続民家襲撃事件の容疑者として全国に指名手配され、母との幸せな時間は終わりを告げた。行き場を無くした獅子神は、彼に好意を寄せるクラスメイト・渡辺しおんの家に身を寄せる。一方で犬屋敷は安堂のサポートを得て、機械の体の能力を使いこなしつつあった。そんな折、獅子神の母・優子がテレビで謝罪する姿を見た犬屋敷と安堂は、獅子神の動向に不安を感じる。 獅子神も優子の身を案じていてニュースをチェックしていたが、「連続民家襲撃事件 犯人の母親が自殺」と速報テロップが入る。獅子神は上空へと飛び出すと、終わらない慟哭を響き渡らせるのであった・・・。

7. 渡辺しおん
獅子神は自身の無実を信じるしおんに自分の体が機械になったこと、また生を実感するためにこれまで多くの人の命を奪ってきたことを告白する。「もっともっと人を殺す…この国の人間を全部…」しおんに無情な宣告をする獅子神。しかし、しおんはそれでも獅子神に置いていかないでほしいと懇願する。これまで獅子神が奪った人にも未来や大切な人がいたと泣き叫ぶしおんに獅子神はある提案をする・・・。

8. 犬屋敷麻理
侵入した特殊部隊から銃の乱射を受ける獅子神。獅子神は銃撃の巻き添えになり倒れたしおんとしおんの祖母を抱え、何とかその場を脱出する。気絶した2人を安全なところに避難させると、しおんとの幸せな生活に別れを告げ、涙を流し飛び去る。 別の日、獅子神や安堂のクラスメイトで犬屋敷の娘、麻理は偶然にも犬屋敷と安堂が一緒に病院に入るところを目撃し、彼らの後を追う。彼らが入っていった病室の様子を窺うと、そこでは麻理には信じられない出来事が起きていた。その後、犬屋敷が火災現場へと飛び立っていく姿を見て呆然とする麻理。同じ日の夜、深い絶望に打ちひしがれた獅子神は復讐を決意し、警察署を襲撃する・・・。

9. 新宿の人たち
獅子神による警察署襲撃事件が大きく報じられる中、獅子神は各地の街頭ビジョンをジャックし、日本に対し宣戦布告をするとともに「今から100人殺します」と宣言。手始めに新宿で無差別に殺人を開始する。獅子神が携帯電話を通して無差別殺人を行っていることに気づいた安堂は、犬屋敷の能力で携帯を使用しないよう緊急警報を発信し、人々を携帯から遠ざけることに成功する。携帯からの殺人を邪魔された獅子神だが、今度は街頭ビジョンを通して引き続き発砲を行い、100人を殺害すると「明日から1日1000人」殺害すると宣言し姿を消す。獅子神の凶行を止められず肩を落とす犬屋敷。あくる日、獅子神はまたも非情な行動に出る。

10. 東京の人たち
新宿での無差別殺人を行った翌日、より多くの人を殺害するために獅子神が取った行動は、都内に飛行機を次々と墜落させるという非情なものだった。安堂から連絡を受けた犬屋敷は墜落を阻止すべく、能力を駆使して何機もの飛行機を操り、ギリギリのところで無事に着陸させることに成功する。更に犬屋敷は、飛行機墜落による火災で高層ビルに閉じ込められている麻理の救出に向かおうとするが、そこに現れた獅子神から攻撃を受ける。一刻の猶予も無い中、必死で麻理のもとへ向かおうと飛ぶ犬屋敷とそれを追う獅子神。同じ機械の体を持つ者同士の戦いは熾烈を極めていく・・・。

11. 地球の人たち
新宿で多くの人を救い、自宅に戻る犬屋敷。犬屋敷は帰宅を待っていた家族に自身が機械の体である事を告げ、家族のもとを去ろうとする。しかし、家族は機械になった彼の存在を受け入れ、涙を流して抱き合う。一方、犬屋敷との戦いで両腕を失った獅子神は安堂のもとを訪れていた。安堂は獅子神の来訪に戸惑うが、獅子神を激しく断罪する。大切に思っていた親友に強く存在を否定された獅子神は、失意の中、安堂の前から姿を消す。犬屋敷は自分を受け入れてくれた家族と幸せな時間を過ごしていたが、巨大隕石が直撃する未曽有の危機が地球に迫っている事を知る。世界中が絶望に暮れる中、犬屋敷は家族を守るという決意とともに隕石に向けて飛び立つのだった・・・。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人は悪い事をしながら善いことをし、善い事をしながら悪事を働く妙な生きもの

漫画原作の全11話、ノイタミナ枠。
昨今の深夜アニメには珍しくなりつつある、青年誌連載の原作だが、
やや過激な描写もある中で目立った規制も無く、
何かとうるさいこのご時世、概ね原作に忠実にアニメ化した事にはあっぱれと言いたい。
後に実写映画が控えているというノイタミナ特有の事情もあったのだろうが、
青年誌原作はアニメ化されずに実写化されるものが大半なため、
この流れは素直に歓迎したいところだ。

☆物語&感想☆

58歳見た目老人で、家族や周囲から疎まれている冴えないサラリーマン犬屋敷と、
今時のイケメン高校生獅子神が、ある日突然機械の体にされてしまった絶望から、
他人を救うことでのみ自身が生きていると実感する一方、
無慈悲に他人を殺すことでのみ生を実感するという正反対な2人が、
自らのアイデンティティ、存在意義と向き合っていく様が描かれる。

公式のイントロダクションには最後に、「人間の本質は善なのか悪なのか…?」とある。
物語のメインテーマ、煽り文句としては、まさしくこの一文が相応しいとは言えるが、
2人の顔が合成され一つの顔になった背景が表しているように、どんな人間にも善と悪、
表裏一体でどちらの側面も持ち合わせた存在であることは言わずもがな、
100%完璧な善者も居なければ100%の悪者も居ない。
犬屋敷が善で獅子神が悪、というのは明らかではあるが、
人間の本質が善、又は悪という二者択一でないという点はふまえて観なければいけない。

犬屋敷が正義感が強く善人であることは、機械の体になり神の領域の力を得て人を救ったから、
ということを抜きにしても言えるとは思うが、
そもそも世間の彼を見る目はどうだったか?
作中での何気ない人物の一言一言は妙に生々しく、
その多くは本人が自覚しているかどうかは別として、
差別や偏見、悪意のあるものではなかったか。

この、何気ない生々しい言葉の中に込められた悪意は、犬屋敷に向けられたものだけではなく、
作中の随所で垣間見ることが出来る。
子供、若者~社会的地位のある医者、
掲示板の中の人間や偏向報道を垂れ流し印象操作をするマスコミ、某国の大統領に至るまで、
世間には悪意のある言葉、差別や偏見が満ち溢れているのがよく分かる。
(作者自身も確信犯的にディスったりパロってるのは少々タチが悪いが、ブラックで面白くこの辺は青年誌ならでは)
しかしながら、言ってしまえばこれも人間の本質、悪の側面であるのは明らかで、
むしろ自然といえば自然。
人間が100%の善でないから、犬屋敷のようなヒーローに憧れたりその行為に感動するのだろう。

で、仮にこの物語が犬屋敷がヒーローとして、
悪を成敗し、自らの命を掛けて地球存亡の危機を救う、というような単純な勧善懲悪&ヒーローものの物語であれば、
エンタメ的によくある他愛無い作品に成り下がっていただろうが、そうならなかったのは、
獅子神の存在があったからというのは言うまでもない。

この物語が優れているところは、タイトルにも同義の事を書いているが、
「人は善いことをしながら悪いことをし、悪いことをしながら善いことをする」
という、池波小説がテーマに掲げた人間の本質、性を如実に表していると受け取れる所だ。
その代表は本作で言うところの獅子神のことであるが、
先に挙げた悪意のある言葉を発するごく普通の一般人全てに於いても当てはまる。

自分は犬屋敷のような人間は本当に素晴らしい、もはや聖人と言っても過言ではないとは思うが、
心の何処かで「こんな奴居るか」と思っている自分も居る。
一方の獅子神の方が、むしろある意味正直で人間味、人間臭さがあるのではないか、とさえ思う。
無論、獅子神が行った虐殺はいくら機械の体になった事に絶望し、
他人を殺すことでしか生を実感できないとしても、養護できるものではないし、
改心して他人を救ったとしても、償えるものでもない。
ただ、他人の虐殺に関しては共感できなくとも、
自分が招いた自業自得とは言え、彼の境遇や心情的には同情できる部分は多い。
母親の自殺によって世間に対し復讐の鬼と化す様や、
犬屋敷と対峙した際に、本来は「ワンピース」を読んで涙するような自分が悪役であり、
犬屋敷がヒーローだと悟った時の悔しさ、
唯一の親友と思っていた安藤に、最後に言われた言葉...彼の胸中を察すると胸が苦しい。

彼は自分のことしか考えてない、自分に関係のない人間がどうなっても良い、
と言った趣旨の発言をしており、尊敬できる人間でないのは明らかではあるが、
程度の差こそあれ、どこかで大抵の人間心の中では皆同様のことを思っているのではないだろうか。
もし自分が彼と同じ立場に立った時、どういう行動を取るか...
他人を殺さないと生を実感できない、かどうかは分からないが、
少なくともその力を他人を救うためだけに使う、というよりは、まず自分のために使うだろう。

人はよく「性善説」「性悪説」と言った言葉で語られることがあるが、
共通しているのは、好き勝手に欲望のままに道徳を顧みずに生きれば人間は悪行を働くということ。
獅子神は人間として成熟した大人ではなく、まだ子供だということもあるが、
道徳心という面では大きく欠落しており、他人の痛みが分かる想像力を持ち合わせていなかった。
自分を愛してくれる存在に気付き、一時は改心したが遅すぎた。
自分が殺した人間全て、自分のように愛し愛される人が居る、という想像力があれば...

結末は獅子神が行った方法、アイデアがなければ人類を救うことは出来なかった。
愛を与えてくれた人が離れ、唯一の友人にも見放され天涯孤独、絶望の淵に立たされた彼が、
もうあれ以外の選択肢は無かったとはいえ、
他人を虐殺することのみでしか生を実感できない者が、自分の守りたい人間だけを助けたいというエゴによって、
結果的に全ての人を救うことになったのは、何という皮肉だろうか。

☆声優☆

ノイタミナお決まりのキャスティングに癖が出た感があるものの、
犬屋敷に関しては声優でもなかなかこういう役がビシッと合う人は、
考えてみると今はあまり居なさそうだし、ハマる人が思いつかない。
演技自体の声優っぽさが薄いぶん、逆にリアルで良い味を出していた。
安藤は本物の声優がやってんのかな、と全く違和感を感じることもなく普通に上手かった。
獅子神だけがやはり少々勿体無い。
若干宮野真守っぽい声質なので、これやったら宮野でエエやん、って。。
無機質な所は気にならなくても感情を込めた台詞の演技にはやや物足りなさがあった。
演技がもう少し上手ければ、獅子神の心情がより観てる者に伝わったかもしれない。

☆キャラ☆

感想の所と重複するので簡単に。
家族や周囲から疎まれている冴えない58歳、見た目老人の主人公という設定は秀逸。
否応なく観る者にその悲哀を感じさせるもので、その活躍ぶりにはより一層胸が熱くなる。
犬屋敷を中心にこの物語を観てもエンタメ的には面白いが、
やはり獅子神が居ることで作品における人間の本質、善悪というテーマ性が浮き彫りとなった。

☆作画☆

キャラに関しては原作準拠だと思うが、
麻里以外の女性キャラが不細工でリアル笑
深夜アニメを見慣れてると、萌えを全く意識してない(目が不必要にデカくない)
女性キャラには新鮮さを覚えますが、内容を鑑みると妥当。
目を見張るのは作画と3DCGとの組み合わせが違和感無くとても自然だったこと。
アクション面での出来は素晴らしかった。

☆音楽☆

ノイタミナは電通絡みのゴリ押し系アーティストがOP,EDに採用されることが多く、
作品ありきの曲や歌詞じゃない、と感じることが多いものの、今回に限っては文句無し。
特にEDアニメーションと曲、歌詞の相性は特筆すべき点で毎話視聴後の余韻が残った。
獅子神への鎮魂歌であるのは一聴してすぐに解るが、
FULLで見てみると後半は犬屋敷や家族への詞でもあると解釈できる。
個人的には秋アニメ屈指の名曲と評価したい。

作中BGMもとても上手く緩急が付いており良い出来。
アクション時や緊迫感のあるシーンは打ち込み系のBGMで迫力を出しつつ(ちょいちょいチープな音もあったが)
静かなパートはギターやピアノのアコースティックな美しいメロディが絶妙で胸に迫る、
対比が素晴らしく聴き応えのあるもの。
ラストも盛り上げてくれて、お手本となるような演出は見事。


解りやすいエンターテイメント性だけではなく、高いテーマ性を備えた本作の内容は、
ノイタミナの真価を示したとも言えるもので、
2017年を締めくくるに相応しい観ごたえのあるものとしてオススメしたい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

serius さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今この時のために僕は生まれてきた。

タイトルは主人公である中年のおじさんの名前。
それがそのままアニメのタイトルになってる。

僕がいいなと思ったのは、各話のタイトルが登場人物の名前になってること。
これめっちゃ分かりやすい。
その話がどの人物を中心に展開されるか分かるし、予想しながら観れるのが良かった。

話しの大筋は、まあダブル主人公っていうのか、中年のおじさんと男子高校生の中身がロボットになって人を助けたり殺したりする。

また、主人公視点だけじゃなくて、他の重要人物の視点でも話が進められていくため、飽きることがなかったし、話がすんなり頭に入ってきた。

最後もキレイに締めてたし、1クールものとしてはかなり高水準のアニメだと思う。

分かりやすい勧善懲悪が描かれているので、胸糞悪いシーンもあれば、スカッとするシーンもある。

表現を軽くすれば普通のヒーローものなんだろうけど、主人公と過激なシーンの応酬でいい具合に歪な作風になっていて見応えがある。

主人公の2人は共に同じ能力を持ってるんだけど、その使い道がまるで違っていて、{netabare}壱郎は決して人を殺すことがなかった。{/netabare}何のために力を使うのかでその人物の本性を表しているところはすごく良かったと思う。

{netabare}壱郎が「今この時のために僕は生まれてきた」って言うところと、最後の目のスイッチを押すと同時にEDが流れ始めるところは本当に感動した。そのあとの、家の風景と家族の姿が映されるシーンと、宇宙に爆散した壱郎のカケラが浮かんでるところもグッときた。{/netabare}

全11話で観やすいし、観て損はないアニメなのでぜひ。


以下雑な感想
{netabare}一話を観たときから、最終的に壱郎が家族から見直してもらえればいいなぁと思ってたから、良かったといえば良かった。

マリが漫画を描いてたと発覚してから、その漫画が何らかの賞をとるっていうオチは想像できたんだけど、やっぱその通りだった笑

壱郎とひろが自滅するってのも予想できたし、話の展開的には王道というか、別段変わったことはなかったかな。
意外とすっきり終わったよね。

各話のタイトルのやつもそうだけど、かなり分かりやすく作られていてよかった。

壱郎とひろの能力は、自分がそうしようと思えば何でも出来る能力。
でも、壱郎は必ず誰かを助けたいという気持ちをもって、その気持ちがキーとなって力が発動してたよね。そこがよかったなぁ。

全般的な感想
・ふみのちゃんかわいい。金元寿子すごい。
・渡辺しおんが実は一番やばい。
・飛行機の女性特に重要じゃなかった。
・この時のために生きてきたに感動
・缶ジュースをひろに与えた子達影のヒーロー
・新婚旅行の思い出を語るシーン感動
・最後のEDが流れ始めるシーン感動


各話を追っていくと、

2、3話 
まあ、アトムの歌で飛ぶのは笑ったよね。
思ったよりも出来ることに幅があることに驚いた。

4話 鮫島
冒頭やべぇ。規制入ってたぞw
ふみのちゃんかわいい。確かになんでさとるとって思うね。
でも普通に幸せそうでいい。
よくあんな格好でタクシー乗れたなw 運転手無頓着ってレベルじゃないぞ。
殺すか殺さないか。ひろとの差はここだな。
金元寿子はすごい。俺ずっと思ってるからね。

5話 獅子神優子
渡辺しおん ひろに好意あり。ちんげ。
ひろの親は離婚してるらしい。複雑なんだな。
そしてがん。そしてソッコー治す。引っ越す。
力を持つと欲が無限大になるね。
警察きた。これ安堂がチクったのかな?

6話 2ちゃんの人たち
渡辺ひろの肩を持つ。まさかの家にかくまう。
なぜか同じグレーの服を着てる。
撃とうとしたけどもう殺さないって言ってたしな。
この時点で安堂とか壱郎を疑っていいと思うんだけど。
母親自殺しひろが狂う。
2ちゃん男ばっかだなw

7話 渡辺しおん
こんなひろでも居場所が必要なんだな。
ここにきて伏線回収。自殺を見た時の事。
ずっとひろのターンだなここ2,3話。
渡辺に打ち明ける。人を殺すことで生きていると自覚できるらしい。
これからは殺した分救うんだってさ。それじゃダメでしょ。
でも渡辺は納得してる。こいつも大概やな。
中尾さんのがんが治ったのはうれしかったし、体調良くなると美人だった。
なんでも治せる力があったらどんなにいいか。
なんかきた。渡辺とおばあちゃん撃つ必要あった?共犯扱いか。
野次馬がいっちゃんうぜえな。

8話 犬屋敷麻理
麻理回きた。やっとひろ回からの脱却。
中華料理屋の会話なんだったん?異星人かと思ったわ。
織田君登場。漫画家の息子。麻理は漫画家志望らしい。
安堂といるとこ発見。飛ぶとこ見られる。
壱郎が麻理の夢に理解を示し、ちょっと見直す。
やっぱ渡辺死んでなかったか。
弟いいキャラしてんな。
警察ボコボコ。

9話 新宿の人たち
いかれた野郎ばっか。
結局知ってる人以外は顔なんだよね。
こっから最終決戦かな。
宮根が宮野になってるやんおいww
飛行機の謎の女性。結局なんでもなかった。
たまにそこまで重要じゃない人をクローズアップするねこのアニメは。
まり新宿行くなよ。

10話 日本の人たち
まさか飛行機を墜落させて殺そうとするとは。
壱郎すげえ。
話してないで、麻理を助けにいけよ。
ガチンコ対決。だけど麻理の安否のほうが気にかかる。
麻理、、、、、。
顔が妙にリアル。
諦めかけたけど、なんとか蘇生に成功。蘇生だけは時間かかるっぽい。
てか、普通に泣いた。
他の人たちも助けに行く壱郎。
この時のために生きてきたんだって言葉が胸にささる。
後から考えると、ヒロに缶ジュースやった子達が真のヒーローなのかもな。

11話 地球の人たち
家族に打ち明ける。
共有できる思い出があるっていいな。
これだけ覚えてることだけでも壱郎の人となりがよくわかる。
弟がラスボスになるかと思ったけどそうでもなかった。
ジャンプ好きすぎだろ。
隕石問題をすっかり忘れてた。
ひろ自爆。そして壱郎も自爆。地球を救う。
最後の壱郎が目のスイッチを押してED流れるシーンで泣いた。
麻理のマンガが入選。
完結。{/netabare}



声優問題にも触れとくべきか笑 
ひろ出てきた時、お前どうした!?って思ったよねww壱郎のほうは良かったと思うんだけど、ひろは違和感しかなかったな。
それでも慣れてくれば、これはこれで味があっていいかって思えたんだけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

82.0 8 sfで漫画原作なアニメランキング8位
シドニアの騎士(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1618)
8025人が棚に入れました
対話不能の異生物・寄居子(ガウナ)に破壊された太陽系。かろうじて生き残った人類の一部は、小惑星を船体とした巨大なる宇宙船・シドニアで繁殖しながら宇宙を旅する道を選んだ。それから約1000年の時を経たシドニア出航紀元1009年。地下層部でひっそりと育てられた少年・谷風長手(たにかぜながて)が、祖父の死を期に街へ出る。長手は人型巨人大装甲・衛人(モリト)の操縦士訓練学校に入学することになり、そこで初めて祖父以外の人間と触れ合っていく。長道が初めて異性を意識する女性 ─ 星白閑(ほしじろ しずか)長道の初めての友人となった男でも女でもない人間 ─ 科戸瀬 イザナ(しなとせ いざな)長道に苛立ちを覚える少年 ─ 岐神 海苔夫(くなと のりお)様々な訓練生たちと学校生活を送る中、ついに長道たちに初任務が下される。それは決して困難な任務ではないはずだった。しかし長道たちの前に突如、寄居子が出現。100年ぶりとなる脅威との遭遇に、人類は、長道は何を選択するのか? 人類の存亡をかけた戦いが今、始まる──。

声優・キャラクター
逢坂良太、洲崎綾、豊崎愛生、櫻井孝宏、金元寿子、喜多村英梨、大原さやか、坪井智浩、子安武人、新井里美、田中敦子、森なな子、本田貴子、鳥海浩輔、佐倉綾音、阪脩、小山力也
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

てさぐれ!ロボもの

原作は未読で視聴

最近の“ロボもの”
個人的にはハズレが多いし
やっぱ難しいんですよね

この作品は番宣ではじめて知ったのですが
映像を見ただけで「おぉ、なんかスゲ~!」って喜びながらも

またいつもの“ロボもの?”
なんて観る前は懐疑的でした

最近
体だるいし
忙しいしな~
(個人的な都合でゴメンナサイ)
やっぱスルーしようかな?
なんて思いながら視聴を開始したのですが

1話目から既に360度方向転換してしまいました

すげ~面白れ~
なんてもんじゃない・・・

初っ端から圧倒されてしまいます

緻密で大迫力のCG映像(テレビのキャッチーみたい^^)
そして
とても高度に練り上げられたさまざまな設定
なのに
私のような「鈍い人」でもお話にホイホイついていける・・・

最近の言い方だと「マジ!?、ヤバい!」みたいな^^


映像の細かさや
作品の基盤となる
設定なんかが
マジでヤバいんです^^;(テキトーに言ってます)

世界観や
シチュエーション

戦闘シーンや
キャラ(メカキャラは置いといて)

正直言うと
どれをとっても
いままで観てきたロボもの
SFもの作品でも
見たことがある感じ?
なのですが

なぜか
とても新鮮な感覚

世界観でいうなら
エイリアンみたいな

シチュエーションでいうなら
マクロスFや
進撃の巨人みたいな

戦闘シーンは
スターウォーズみたいな

キャラは
てさぐれ!部活ものみたいな^^
(CGだから・・・あと「もぶこ」みたいなのがいっぱい^^)

とても斬新で
どうしようもないくらい絶望的で
なんかよくわかんないけどかっこよくて
さっさとまとめて結論を出せやコラ~って言いたくなるくらい
“てさぐれ”てる

映画作品やアニメ作品のオマージュ的要素
もしくは
リスペクトしてるような描写がいたるところに見られるのですが

パロディって言うより
いろんな作品の面白くて“おいしい”部分をチョイスして
うまく融合しているみたいな感じ


そして
そんな高いレベルの設定に

骨子となるお話は
実にシンプルで分かりやすい

「太陽系が奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体によって破壊されてから1000年後の世界。地球脱出に成功した人類の一部は、種の存続を賭けて繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する播種船を建造、奇居子から逃れつつ植民可能な惑星を探していた。」
(面倒なのでWikiよりコピペ)
ちなみに
タイトルの「シドニア」とはここでいう「播種船(はしゅせん)」の名前です

いかにも
よくあるお話ですよね(ないな^^;)

そんなよくある
“てさぐれSFもの”的な展開なのに
1話目からその世界観にグイグイ引き込まれてしまいます

お話について行けなくなるほどの
難しくて遠まわしの内容でもなく
常識から大きくかけ離れているといったような
違和感を感じさせることもない

あくまでも論理的に
ちゃんとした根拠があり
それに基づいた現状があるという
とてもロジカルな内容

見ていたら
「なるほど~」って感心してしまう描写がいくつもあります

たとえば
計器パネルなどの表記や
兵器などの名前にいたるまで
あらゆるものが「日本語」で表現されているところ

これ
視聴者にとっては
非常に分かりやすくてありがたいな~で終わってしまうのですが

よ~く考えたら
シドニアのお話の根幹にも大きく関わってるんですね

ガウナによって太陽系を破壊された人類
人類の存亡を賭け
シドニア以外に何百隻もの「播種船(はしゅせん)」が
地球を脱出したと作中では語られています

まさに民族大移動です

また一方で
シドニア内の一部の才能に優れた人間や
知識や経験が豊富な最上位船員などが
有機転換という方法で
亡くなった下層の人たちの肉体を再利用し
何百年もの間生き永らえている描写があります

地球を脱出し“種”の存続を図る人類にとって
人類の存亡という至上命題もさることながら
民族や文化の永続
さらには積み上げられた知識や経験などを子孫に伝えることが
最重要課題となる

あらゆるものが日本語表記
あるいは
お米が主食だったり
食事ではお箸を使っていたり
浴衣を着てお祭りを楽しんだり(“重力祭り”というわけの分からない内容ですが・・・)
これって
歴史や文化を後世に伝えようという心理を暗に表現しているのでは・・・

な~んて
勝手に都合よく解釈してしまったのですが^^;


さらに
特筆なのは
そんな人類や民族の存亡に対する個々人の考え方の違い

前述したシドニア内の
いわゆるヒエラルキーによる格差

主人公の「谷風長道(たにかぜながて)」くん(♂)の最下層的な“希望”
そして
シドニア艦長の「小林(こばやし)」さん(♀)の最上層的な“野望”

細かいところは見ていただければ分かると思いますが
こんな人物の心理描写からも
閉鎖されながらも脈々と続けられるシドニア内の歴史や
世界観というものが
とても強く印象付けられるハズです


さて
散々意味不明なことばかり書いておいて
なんなのですが・・・

ここまできたら
この作品の見所である
ロボット
さらにはSF要素について
書かないわけにはまいりません

というわけで
ロボ的および
科学的な側面から
わたくしなりに
この「シドニア」の世界観を考察したみました^^

(長いので興味ない方はスルーしてね)
{netabare}○ロボット
{netabare}作中では「衛人(もりと)」と呼ばれる“戦闘機”が出てきます

頭と腕が2本と脚が2本ある「人型の戦闘機」なので
ロボットという認識でいいのでしょう・・・

いつも“ロボもの作品”を観ると考えてしまうのが
そのロボットのお話に対する「存在意義」

基本的に胴体部を中心に頭と腕と脚があって「ロボット」という呼称がついてくる
と思うのですが
いろいろなロボ作品を観ていて
「このお話の中で腕とか脚が必要なシチュってどこにあるの?」って
いつも考えてしまいます

やはり
名作と言われるロボもの作品(勝手に私が名作って言ってます^^)にはロボットを登場させる為のしっかりした理由があるものです

たとえば
「機動戦士ガンダム」だったら「ミノフスキー粒子」の存在からくる
接近戦や白兵戦の重要性だったり

「超時空要塞マクロス」の「バルキリー」だったら「巨大異星人(ゼントラーディ)」の存在や戦闘機の不整地での運用の必要性だったり

いわゆる
「白兵戦」や「二足歩行」をする上においての
「腕」や「脚」の存在が前提になっています

それでは
この作品の場合はどうでしょうか

「腕」については
ガウナに対する唯一の攻撃手段として
「カビザシ」(槍みたいなもの)を使用した接近戦で
腕(手)を使うということで説明がつきます
(狙いをつけるときの微妙な調整が必要らしい)

一方
「脚」についてはどうでしょうか?

正直
戦闘シーンを見る限りでは
脚が戦闘に及ぼすほどの重要性はあまり高く感じられません

たとえば
作中では「衛人」が小惑星で何か採掘するというシーンがあるのですが(詳細は端折ります)
小惑星に“降り立つ”ために脚を使用している描写はあるものの
直後の戦闘シーンでは
ほぼ100%空中戦であり
脚の必要性ころか
むしろ邪魔な感じさえ見受けられます

そもそもが
地球という“戦場”がない設定で
脚を使った戦闘を想定することに無理があるのではと
個人的には思ってしまいます

唯一
脚が脚光を浴びたシーンは
シドニア内での衛人による格闘試合(?)でしょう
スポーツあるいは競技という文化的側面での
ロボット推しといった感じなのでしょうか?

とりあえず
某アニメ作品で議論を醸した
「脚は飾り・・・」云々の名(迷?)セリフみたいな
地雷を踏んでしまうお話が
今後いつ飛び出すのか
楽しみではあります^^{/netabare}


○恒星間航行
{netabare}
シドニアという閉鎖された世界・・・

「衛人」と呼ばれるわけの分からないロボット・・・

そして謎の生物ガウナとの戦い・・・

いろいろ見所満載のこの作品
SF的要素がたくさん詰め込まれながらも
前述したようにとてもシンプルで分かりやすい内容なのですが

そもそもこの作品の
根幹となるお話って
人類が他の惑星に「移住」することなんですよね?

観ていて気になったのは
シドニアのことや
戦闘シーンの設定なんかはやたら凝ってるのに

人類が移住するという
最重要事項についてはあまり説明がされていない・・・ような気がします

後述のような
ガウナとの戦闘でそれどころではない
という理由もあるのでしょうが
星間航行を扱ったSF作品にしては
あまりにも寂しい限り・・・


ということで
私なりに
恒星間航行について検証してみました~


先ずは
目的地について・・・

作品の説明では
目的地となる星は「レム恒星系」となっています(Wiki参照)

ちなみに
「レム恒星系」という語句でググってみたところ
最初から大量の「シドニアの騎士」ばかりヒットしたので
現実には存在しない架空の恒星ということは容易に想定できます

また作中では
レム恒星系までの距離についての説明がない(シドニアからの非武装主義の植民者が星系内の惑星にテラフォーミングのために衛星に前哨基地を設けたが、大シュガフ船に衛星ごと破壊された:Wikiより)ので
この恒星の情報はほぼ参考になりません

というわけで
適当に人類が住めそうな“近場”の惑星をググってみることに・・・

一番目にヒットしたのは
地球から約500光年の距離にある惑星
名前は「ケプラー186f」
発見した探査機の名称「ケプラー」にちなんで名づけられたそうで
発見は2014年3月・・・
まあ
細かい説明はコレくらいにしておいて^^;

候補地は地球から「500光年」の「ケプラー186f」に決定!!

ちなみに1光年は約9460730472580kmなので
500光年だとおよそ4730365236290000kmになりますね

次に
乗り込む宇宙船について・・・

500光年という超長距離旅行ということで
長旅に備えて快適な居住空間を備えた宇宙船が必要となってきますが
とりあえず居住性云々は今はおいといて
どれだけ短時間で500光年という距離を移動できるかについて考えてみましょう

先ず
手っ取り早く思いつく方法としては
「ワープ航法」とか
「フォールド航法」
「ワームホール航法」などの
超反則技なんてものもありますが
そもそも
それではこの「シドニアの騎士」というお話自体が成り立ちません

一瞬のうちに目的地に到着したり
敵と遭遇したらそれで逃げちゃえますからね

というわけで
反則技的航法は却下

あとファンタジックに
魂だけあっちの世界に到着しちゃった・・・
なんてのも論外

もちろん
頭に輪がついてたり
蛇の道を走っていくなんていうのもナシです


そこで
現在考えられる最速の航法でググってみたところ

一番目にヒットしたのが
「核融合ロケットエンジン」

たしか「プラネテス」でも出てきた記憶があります

名前だけだと難しそうですが
調べてみたところ
仕組みは至ってシンプル

ロケットの後ろで核爆弾(のようなもの)を爆発させて
その爆発力で推進するというもの

まあシンプルはシンプルなのですが
爆発力でロケットが破壊されるとか
急激な加速度と衝撃波で
ロケット内部の人間がペシャンコになるかもしれない
という課題があり
実用化はまだまだ先の未来とのこと

が・・・
それでも
将来の有望株ということで
この
核融合ロケットで検証とまいりましょう^^

この核融合ロケット
理論的には
光の速度の12%までの速度を出すことが可能だそうですが

先に書いた
爆発力でロケットが破壊されたり
ロケットの中の人が潰れたりといった問題があるため
核融合反応をコントロールしながら
適度に加速していくことが望ましいとのこと

とはいうものの
ここまで長々と文章を書いてきたこともあり
めんどくさいことこの上ないので
地球を出発した時点で既に最高速度に到達していると仮定しましょう

ついでに
光速の12%などという中途半端な数字はやめて
計算しやすい10%を用いることにします

ちなみに真空中における光の速度は 299792458 m/s
時速に直すと1079252849km/h
10%だと107925285km/hになります

さらに
観測者は地球とケプラー186f双方に置き同時刻にスタート・ストップの計測を可能とする
航行速度は地球との相対速度とする
ハッブルの法則による距離の誤差は考慮しない
特殊相対性理論は考慮しない
ローレンツ変換は考慮しない
の条件を加味します

で・・・
(ここから先は複雑な計算式があるので算数の苦手な方はオススメしません^^)

{netabare}先ほどの目的地までの距離500光年
光の速度で500年掛かる距離を
光の速度の10%で移動するということは

距離÷速度=時間
より
500光年 ÷ 0.1光年/年 = 5000年
という計算式が成り立ちます
(※もしくは4730365236290000km÷107925285km/h÷24h÷365.25d=4999.999994y)

つまり到着まで
約5000年掛かるという結論になるのです

実に簡単ですね^^
(ツッコミや苦情、嫌がらせのメッセージはお控えください^^)

お話だと
シドニアが地球を出発してから約1000年経過しているそうで
案外現実的かも^^

あと僅か4倍の時間を我慢すれば
人が住める惑星に到達できるという希望が・・・
持てるのかな・・・{/netabare}


な~んて
完璧な理論を立てた満足感から
喜びのチューハイを煽りながら
あらためて
本作品のOPテーマを聴いて

口に含んだチューハイを
見事にぶちまけてしまいました

それはOP開始の僅か38秒程のところ
アンジェラの渋くも残酷なほどの歌声に乗せて
聞こえてきた歌詞・・・
「安住は幾億光年先~♪」・・・(^^;

着くの“幾十億年”も先じゃね~か!{/netabare}


○ガウナとの戦い
{netabare}
幾億光年という途方もない距離・・・

幾十億年という途方もない時間・・・

もはや人間と呼べなくなるほどの進化を遂げながらも
やっとの思いで目的の惑星にたどり着いたシドニアの人々

そこには希望と平和に満ちた安寧の生活が待っていた・・・

って
このお話の結末を都合よく想像してしまうのですが

そうは問屋が卸さないのが世の常・・・

そう
ガウナという問題を忘れてもらっては困ります

正体不明
生態不明
出所不明
目的不明

とても不気味な謎の生物です

作中では
人類がヘイグス粒子という新しいエネルギーを発見し
使用を始めると同時に出現し地球を破壊したと説明されています

このヘイグス粒子と
前述したガウナに対する唯一の有効兵器のカビザシ(カビ)に
寄ってくる習性があるとのことで

単純に考えれば
人類がそれらの物質を手放せば済む
ごく単純なお話なのですが
(お話の中では非武装主義者なる人たちが主張している)

困ったことに
なんらかの個人的な恨みなのか
とてつもない高いプライドがあるのか

シドニア艦長のこばやしさん(♀)は
あくまでも
ガウナの殲滅が最終目的であると謳っています

なにもかもが謎だらけ

しかも
唯一対抗できる武器がカビザシのみ

そんなガウナを殲滅するというとんでもない野望

全宇宙をしらみ潰しにガウナ退治するつもりなのか?
そもそも
どのような方法で全部のガウナを殲滅したという確証を得るのか?

いろいろ課題は山積なのですが・・・


というわけで
シドニアを使って全宇宙のガウナを退治するには
いったいどれ位の時間が掛かるのか・・・

検証してみましょう


先ず
考え方としては
シドニアが最高速度でガウナを索敵した場合
その一年間に索敵可能な範囲
つまり索敵空間の“容積”を求めます

次に宇宙全体の容積を求め
その容積を
先に算出したシドニアの年間索敵可能容積で割るという極々単純なものです

検証に当たっての条件は・・・
先の条件に加えて
まあ
こばやしさんが飽きてしまってガウナ退治を途中でやめないことかな^^

早速計算とまいりますが
注意したいのはシドニアの索敵容積
いろいろなシチュを想定し
とりあえずシドニアを中心に
一年間に移動できる距離を半径とした球状の空間で求めることとします

シドニアの速度=107925285km/h
1年=365.25日
として計算すると
1年間にシドニアが移動する距離は
107925285×24×365.25km

この距離を半径とする球の体積を求めると
球の半径をr
円周率をn
体積をV
とすると

V=4/3nr^3

この公式よりシドニアの年間索敵容積は

V=4/3×n×(107925285×24×365.25)^3

V=3.54521*10^36km^3

となります

一方
宇宙の容積ですが
仮定として
宇宙が誕生して現在まで138億年
宇宙誕生より光と同等の速度で“膨張していた”とします
(検証は膨張していない状態を仮定)

宇宙の半径=138億光年
光の速度=3×10^5km/s
1年=365.25日
以上の条件で算出すると

V=4/3×n×(1.38×10^10×24×365.25×60^2×3×10^5)^3

V=9.33644*10^69km^3

この値を先ほどの索敵容積で割ると

9.33644*10^69÷3.54521*10^36=2.63354*10^33年
つまり
2633540000000000000000000000000000年掛かるということになります

ちなみにこの値を数字の単位であらわすと
約26溝(こう)年・・・

兆(ちょう)
京(けい)
垓(がい)
予(じょ)
穣(じょう)の次

明らかに宇宙の年齢をはるかに凌駕してしまってる^^;

宇宙の大きさに比べたら
人間の存在って
なんてちっぽけなものなんでしょう

こばやしさん
悪いことは言わない・・・

諦めましょう^^{/netabare}{/netabare}



というわけで
いろいろ検証して分かったことは
この作品
まだまだ先が長いということ・・・^^

まあ
2期の製作も決まったということで

今後さらに謎が深まることを期待しつつ
眠れぬ夜を過ごすとしましょう

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

凄い世界観

1話だけリアタイ視聴して初めてポリゴンに触れて衝撃を受けた記憶。
慣れれば問題ない

光合成できる
不老不死?
色々と謎だぜえ

奇居子とかいう胞子まみれの敵と戦っているし、なかなかえぐい描写するし、ちょっと見ていて辛いところもあるわけだが、素直に面白いと思う
ちょっとした内ゲバもお約束よな
ただちょっとSF考察が甘いのでは?
宇宙空間は空気抵抗ないはずだから一度加速すれば逆向きのベクトルの力を入れない限りはずっと慣性の法則で同じ速度で動くはずでは?
そんなことはどうでもいいか

{netabare}四天王だったり、いい感じになったヒロインだったりがあっさりと死んでしまうのはほんと辛い。しかも相手にコピーされちゃうし。
クローンを簡単に作るなど倫理観は崩壊した世界観
繁殖には性行為はいらない世界なんだろうな
両性具有タイプもいるからやっぱりあるのか!?
{/netabare}

新井里美感が薄い熊さんにもびっくりよ。いつも特徴的な声じゃないんだなあ


OP
シドニア angela
ED
掌 -show- 喜多村英梨
OPの圧倒的なインパクト
angelaの強さを目の当たりにした


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
対話不能の異生物・奇居子に破壊された太陽系。かろうじて生き残った人類の一部は、小惑星を船体とした巨大なる宇宙船シドニアで繁殖しながら宇宙を旅する道を選んだ。それから約1000年の時を経たシドニア出航紀元1009年。最下層部でひっそりと育てられた少年・谷風長道が、祖父の死を期に街へ出る。長道は人型巨大装甲・衛人の操縦士訓練学校に入学することになり、そこで初めて祖父以外の人間と触れあっていく。長道が初めて異性を意識する少女--星白閑長道の初めての友人となった男でも女でもない人間--科戸瀬イザナ長道の活躍に苛立ちを覚える少年--岐神海苔夫様々な訓練生たちと学校生活を送る中、ついに長道たちに初任務が下される。それは決して困難な任務ではないはずだった。しかし長道たちの前に突如、奇居子が出現。100年ぶりとなる脅威との遭遇に、人類は、長道は、何を選択するのか?人類の存亡をかけた戦いが今、始まる--。


1. 初陣
謎の異生物・奇居子(ガウナ)によって太陽系を破壊され、わずかに生き残った人類は巨大な恒星間宇宙船シドニアでの旅を余儀なくされた。その出航から、約1000年--。シドニアの地下で祖父にひっそりと育てられた谷風長道(たにかぜ ながて)は、祖父の死後、食料が尽きたことで地上へ出ると、米泥棒の容疑で逮捕されてしまう。窮地を救ってくれたのはシドニアの艦長だった。彼女に保護され、人型巨大装甲・衛人(モリト)の操縦士訓練学校に入学することになった長道は、初めて見る祖父以外の人間たちと交流を深めていく。そして、かつての英雄が乗っていたという一七式衛人(モリト)白月改・継衛(ツグモリ)を与えられ、初任務に就くのだが……。100年ぶりに姿を現した奇居子に遭遇してしまう。

2. 星空
資源の採掘任務を命じられ、小惑星へ出撃した訓練生たち。任務は簡単なものであるはずだったが……突如、採掘地点に奇居子(ガウナ)が出現し、訓練生たちへ攻撃を仕掛けてきた。奇居子の一撃によって長道は心肺停止状態となり、山野栄子は捕食されてしまう。奇居子を少しでも遠ざけようと、シドニアに搭載された重質量砲の発射を命令する艦長。同時に息を吹き返した長道が奇居子に応戦し始めるが、着弾までの猶予はない。着弾の寸前、手を差し伸べてくれたのは星白だった。彼女に救われ、無事シドニアに帰還した長道は、奇居子の脅威を実感し、決意を新たにするのだった。

3. 栄光
シドニアのお祭り、重力祭りが佳境を迎える。赤井班のメンバーと岐神は衛人の模擬戦「重力杯」を勝ち抜き、長道と星白は縁日を楽しんでいた。それぞれが重力祭りを過ごす中、長道の存在が衛人操縦士たちに大きな影響を及ぼしはじめる。シドニア最強の赤井は長道の戦い方を参考にし、岐神は継衛を与えられた長道に嫉妬、イザナと纈はそんな長道に惹かれていった。一方、先に排擲した奇居子に対し、2日後、赤井班が出撃するという。長道は赤井たちから海水層へ誘われ、出撃前のひとときを過ごす。そして翌日、ついに奇居子との交戦が始まって……。

4. 選択
赤井班に訪れた悲劇は船内に大きな衝撃をもたらした。小林艦長は再び重質量砲による奇居子の排擲を命令するが、奇居子は重質量砲を回避するだけでなく、シドニアに進路を向ける。小林艦長は奇居子との接触を阻止するため、シドニアの斜め加速による回避行動を選択。だが、緊急加速は船内の重力制御を奪い、居住区や訓練生たちに甚大な被害をもたらした。奇居子が再接近する中、長道たち4人の訓練生は漂流しているカビザシの回収に向かう。無事に回収が完了したかに思われた瞬間、奇居子は強力なヘイグス粒子砲を長道たちへ向けて発射する。長道たちの機体が大きく損傷し、絶体絶命の危機を迎えてしまう。

5. 漂流
奇居子の攻撃によって星白機が大破。星白は辛くも脱出するが、宇宙を漂流することになってしまう。星白を救いたい長道は司令部の命令に背き、一人星白の捜索に向かった。しばらくして星白の脱出ポッドを発見する長道だが、継衛のヘイグス粒子が尽き、2人はともに漂流生活を送ることに。閉ざされた空間の中で祖父・斎藤ヒロキの思い出を語る長道。2人の距離は少しずつ縮まっていくが、ついに水が底を突いてしまい……。一方、シドニアでも小林とヒ山ララァが、かつてヒロキとともに奇居子の討伐をした600年前のことを思い出していた。

6. 敬礼
256機の衛人によって救出された長道と星白。シドニアへ戻ると、長道は英雄的な扱いを受けるまでに至り、岐神、星白、仄焔とともに正規操縦士に任命される。先の戦いでの活躍が大きく評価されたのだ。任命式では岐神と和解。4人は新たな仲間として掌位を組むのだった。一方、長道は自身の境遇に疑問を持ち始め、小林艦長に疑問をぶつけるが、艦長は「シドニアの騎士になってくれ」とだけ伝え、就任式の場から去っていくのだった。艦長のもとを去った長道は星白と海中浮遊槽を楽しみ、お互いの距離を縮めていくのだが……。シドニアの航路に新たな奇居子が出現し、出撃を余儀なくされてしまう。

7. 覚悟
報道で星白の戦死を知った長道は、連結型奇居子との戦闘記録を閲覧しに行く……。長道、星白、岐神、仄焔の4名に与えられた任務は、12本の爆破杭を一斉に起爆し尾部を切断すること。ところが、岐神の謀略によって長道だけが先行して起爆し、尾部切断は失敗してしまう。戸惑う長道に、奇居子の胞手が襲いかかる。そんな彼を命と引き替えに救ったのは星白だったのだ……。すべてを思い出した長道は自室にこもってしまうが、ララァとイザナのはからいもあり、少しずつ覇気を取り戻していく。一方、司令部では司令補となった纈が最初の作戦を遂行しようとしていた。その作戦は、先の連結型奇居子との戦いで逃した本体が潜んでいると思われる惑星の破壊だった。

8. 不死
対惑星誘導飛翔体によって、奇居子潜伏の可能性があった惑星そのものを破壊したシドニア。そこから現れたのは、星白機を模した奇居子3体だった。長道たち岐神班がそのうちの1体に攻撃を仕掛けると、奇居子は星白機の回線を使用し星白の声で悲痛な叫び声を上げる。加えて、その奇居子は星白を模した胞衣をぶら下げているのだった。急接近し、星白の名前を呼びかける長道。仄烽は無意味な行為だと言うが……。そんな中、司令補の纈のもとへ、外宇宙生命体研究所から星白を模した胞衣を標本として回収してほしいとの依頼が届く。

9. 眼差
エナ星白を保存する外宇宙生命体研究所、通称「外生研」。エナ星白の知性を確認するため、研究者・田寛ヌミが長道への反応を見る実験を行う。最初は胞手を伸ばすという反応を見せたエナ星白だが、実験を重ねるごとに長道の言葉に応答するような様子を見せはじめる。心を引かれた長道は、武功を立てる一方で出撃の合間に外生研へ通うことが日課になっていた。ヌミの実験が始まった頃と時期を同じくして、小林艦長は落合の本来の人格を覚醒させ、補助脳と呼ばれる記憶装置へアクセスする「降ろしの儀」を行っていた。それは、移住を希望する非武装主義者たちに与える惑星地球化技術を取り出すためだが、艦長には別の目的もあるようだった。

10. 決意
長道、イザナ、纈が基底湖へ観光に訪れる。纈の真の目的は、第四次奇居子防衛戦ののちに処刑された科学者・落合が残した研究施設の探検だった。しかし、意図せず最厳重警備隔離施設に近づいてしまったため、3人は警備員に眠らされてしまう。長道が目覚めると、待っていたのはユレ博士と小林艦長だった。長道は、ここで胞衣(エナ)と人間の融合個体が作られていたこと、融合個体の本体から人工カビの製造に成功したこと、そして人工カビを用いた新兵器が開発されていることを明かされる。後日、シドニアを出発した非武装主義者の先発隊に新たな奇居子が進路を向ける。長道は新兵器を身につけた継衛で救出に向かうのだった。

11. 衝突
シドニアの進路上に胞衣で小惑星を丸ごと飲み込んだ巨大奇居子が出現する。シドニアは斜め加速で衝突軌道を外れるが、奇居子も進路を転換。再び衝突軌道へ入る。衝突までの猶予がない中、纈は対惑星誘導飛翔体による小惑星の破壊を命令。しかし周囲の奇居子による直前回避や迎撃が予測されるため、衛人隊には飛翔体着弾までに周囲の奇居子を殲滅する任務が与えられた。長道は「シドニアの騎士」としての決意を新たにし、量産された超高速弾体加速装置と奇居子本体貫通弾を装備した衛人隊の一員として出撃する。しかし、圧倒的な奇居子本体の数と新兵器の訓練不足によって衛人隊は苦戦を強いられ、さらにそこへ紅天蛾が現れる。

12. 帰艦
巨大奇居子の主本体への突破口を開くため、超高出力ヘイグス砲を放つシドニア。奇居子の内部構造が露わになると、開口部から衛人隊が突入を開始する。一方の長道は、サマリたちの背後に現れた紅天蛾の撃破を引き受ける。苦戦しながらも紅天蛾を追い詰める長道だが、地表からの攻撃に晒され、地面へ落下。激突しようとするその瞬間、継衛が1機の衛人に抱きかかえられる。長道を救ったのはイザナだった。ところが、イザナが紅天蛾の攻撃を受け、戦域から放り出されてしまう。意識を取り戻した長道はイザナを助けようとするが、再び紅天蛾が立ちはだかる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

こまごまとした描き込みが面白かった

総評

人類の無力さを見せつけられる切ない展開になるのだろうかと思っていたのですが、登場人物たちのしっかりしてるところとちょっと間抜けなところが温かく魅せられていました。独特の雰囲気を堪能しました。面白かった!2期決定とのことで、楽しみです!!
なんだかんだ毎回楽しみになっていき、原作読みたい気分になっております。

好きだったのは頑張り屋の緑川妹さん、プライド高く怪しげなクナトとメイド、サマリリーダーが弦打操縦士を「ツ ルゥーチ!!」って呼ぶ声、などなど。

全体的に音声や効果音の入り方が絶妙で、情感を掻き立てる演出に満ちていました。

クナトはダークサイドに落ちるのかと期待(?)していたのですが、 {netabare}もともとダークサイドにいたのが引きこもって慰められて終わっていましたね。 {/netabare}なんだったんだ可愛くなっていたぞ。

終わる頃にはCGなのに登場人物たちの微妙な表情が見て取れました。CGでもそうじゃなくても、ココを見せたい!という機微を切り取って見せているからこそだとは思いますが。


初見
{netabare}
地下でこもって生きて来たタニカゼ・ナガテ。食糧が尽きたので地上に出てみると、そこには馴染みない人類の生活が営まれていた。
ナガテは身元引き受け人の要請により、戦争のための操縦士訓練生に加わることになる。もっとも、最後の戦いをしたのは100年前だというのだが…?


3Dモデリングの肢体、妙に冷静なようで間抜けなような。ストンとしたところが…。

この主人公、かっこつかない原始人のように登場したので、尚更に間抜け感が漂います。
女子たちはぽやんとして一見可愛らしいですが、クローン的です。
人類が光合成が出来る世界。
死ぬことを「堆肥になる」と表現したり、どこか植物的なのに、世界を形作る要素はどこも無機的で廃墟のよう。いつあるのかわからない戦争のための訓練、生きている実感を持て余しているようでもあります。


100年ぶりに戦う相手「ガウナ」が出現するわけですが、進みようによっては…
むしろこの人類のシステムがもっと崩壊して、さっさとガウナに席を譲ったらいいのでは…と思いそうな気もします。(←ガンナって書いてたガウナだった)

人形のようになってしまった人類の痛々しさが強調される展開だと、つらいなぁ。人間味を感じられれば。

大友克洋マニアの知人が弐瓶勉好きだったな〜と思い出しつつ観てみました。


天然で朴訥、でも何故かモテそうな主人公(やーね〜)。憧れの機体を乗っ取った主人公をライバル視するエリート長髪美男子がいるのですが、なにやらプライドが高そうで選民主義的で、三枚目臭がプンプン漂います。この人、笑わせてくれるといいなぁ。 {/netabare}

**********

各話感想
{netabare}
第二話
尿道カテーテルつける時の表情をまじまじと見せたいのかい。
そうなのかい。そういうのを見せるのが嬉しいのかい。ほほ〜う?

戦闘時のスピード感は3Dならでは、なんでしょうか。
今回も主人公が間抜けなシーンありましたね。憎めないすごいやつ感が煽られる中、例のキザなライバル、クナトくんも実績をあげてました。ついてない奴として。
今回のクナトタイム {netabare}
「えっあの精鋭隊がここへ?!」「クナトさんに会いにきたんですよねっ!!」
(¬_¬)フフ…まあな
来た来た〜♪

〈素通り〉

(°_°)なっ…なに…

「君がナガテくんだね?」(´・Д・)」「は、はい」

(-_-)…。(クナト、顔に出さず去る)

クナトの心中やいかに!?おうちでぬいぐるみ殴ってたりするのかしら {/netabare}


第3話
精鋭討伐隊の四騎士、一気に出てきて名前覚えられない〜と思ったら、赤・青・緑・ももと名前に色が入ってて親切設定でした。黄色がいればレンジャーだっ!

今回のクナトタイム
{netabare} 四騎士の赤さんに一本勝ちをとられたクナト君。
ムッシャクシャして祭りの人ごみをまさにゴミのようだと思ってる感じで肩切って歩いてます。
ナガテの知りあいにも怪我をさせ、咎められると
「気安く呼ぶな!亜人種どもめ」
見ろ!クナトがムスカのようだ。{/netabare}
クナト君、本名 岐神海苔夫。
のりお…。

赤さんとももさんに最後のデートフラグ。
{netabare} そしてやっぱり…な、作戦内容。
モニターで見守る訓練生の皆さま。みてる子が口押さえてうっ…ってとことか、ももさんが「いゃぁぁー」って泣くとことか、既視感だけども。
精鋭部隊として出てるなら、ももさんはそんなに取り乱しちゃいかんですよ。好いた男がやられても。出撃した時点で心得ねばならんですよ。下の訓練生もみてるんだし。
前菜的に亡くなられてしまわれました。{/netabare}
BGMの入り方がスマートで良い。かっこよいわー。


第4話
ガウナが追ってきちゃったので、シドニアを斜めに傾けて逃げることに。この時のビシビシとシドニアじゅうが重力変化で軋む音響がすごく臨場感がありドキドキ。タイタニック号が傾いてデッキを人が滑り落ちてゆく時のようです。

今回のクナトタイム
{netabare} 宇宙に飛んだロンギヌス兼カビキラー的アイテム「カビザシ」を回収に行くクナトとナガテ含む4人チーム。

ナガテ(´・Д・)」「カビザシ発見しました!」
クナト( *`ω´)「ヨッシおれが行く」
ナガテ(´・Д・)」「えっ…(おれ見つけたのに…)」

おいしいところは持ってく気満々のクナト君でしたが、その後操縦不能になってる間に、ナガテに大活躍のワンマンパフォーマンスを見せつけられます。{/netabare}

やはり音楽の盛り上げ方やSEの入り方が絶妙で面白かった。
モニターの字が「カビ」とか「ガ」とかレトロで味があるね。クナトのりおだし…。


第5話
大宇宙でロマンチックな迷子ふたり。静かに近づく心の距離感にニヤニヤさせられます。ここでも採尿ネタ(ろ過あるけど)があって、でも実際海で遭難した人達はこれを飲めてた人は助かってるんですよね。
守備隊がエレクトリカルにかっこよく登場。

今回のクナトのりおタイム…
{netabare} 講義中、イザナの後方で心霊写真みたいにボヤッとなってた^^;
質問に答えられなかったイザナに継いで、得意げに応答していたのに、画に映ってなくて、ほんとうにこの人こういう人だわ…
って今回もツボでした。 {/netabare}
近頃、日常において報われなかったりついてなかったりイマイチな思いをした時は「クナトのりおタイム」「クナトが降りてきた」と思って、しのいでおります。みんなクナトでやりきろうぜー!?

イザナはミになるかギになるか未定性ってことなのでしょうか?

第6話
戦死者の追悼碑が、大きな四角に斜め線/のみってすごいデザインだな…。
殺風景な内装の食堂でも、唐揚げとか食事が出てきて、隣りで星白が笑って食べててくれると暖かげに見えますね。
食べるシーンが多く、天つゆ飲んでるのがおかしい。

今回のクナトタイム
一方的にこれまでの事は水に流そう!って、謝ってないし。絶対何か企んでそうだぞ〜のりお〜。

第7話
戦う意思を捨てれば、ガウナはやってこない!という活動派の主張。
清潔主義・殺菌志向が行き過ぎて常在菌が弱まって耐性菌に勝てない、みたいな感じなのかな〜と、カビ繋がりで思いました。

星白機が砕かれる瞬間の止め方、悲劇でありながらドラマチックに魅せるところがうまいですよね。
指示側に大抜擢された緑さんの妹さん、職場に着く直前まですごく頑張って勉強してるところとか、人間くさくてエライ。前回は谷風に猛アタックしようとしてたけど、一所懸命な人なのね。


8話
ガウナによって再現された星白機との戦闘シーン、ゾクゾクさせられました。
クナトォ〜、ガクブル涙目。オカルトとか幽霊は苦手とみた。
くまさんは昔から強くてかわいい人だったんですね。
緑妹さんの、非戦闘時のチマチマした趣味が垣間見れて楽しいカットもありました。

不思議なバランス感覚の作品だな…
今回の赤い星白のつぶやきシーンなども、やりようによってはもっとグロい表情になりそうなところを、少女人形のような顔つきでやられると、観たままの乾いた浮遊感覚になりますね。CGならではの、この物語と呼応するような切り貼り再現感というか、汚れない不思議な感じです。


9話
のりおが逸脱!!ソロで(メイド付いてるけど)何を企んでいるの?!
時の流れが今までよりダイジェストになっております。
んー、原作読みたいような気もしてきました。

カビザシのある方角を見てる…って、すごく単純でありながら生物の野生的な気配を現しててゾッとさせますね。お日様の方を向いて起き上がる植物のような、物言わぬたくましさが潜んでいる。



10話
音の細かな演出での臨場感がすごい。
重力温泉で☆*:..肉体の重力.:*☆を見せつける温泉回かと思ったら…?怪しい探検隊でした。

カビを使って内部破壊。
ガウナ=カビのイメージだったけど。押しのけるくらい強いカビをぶち当てるってこと…?

「僕たちの時間は0に近づいてる。」
イザナがプリプリして戦場に行く前に0になるとこだった。足元不安すぎるぞ、あの街角。絵画的な演出かと思いきや、ちゃんと重力働いてるので危ない。

のりおとメイドの真・怪しい探検隊、なんだかいい組み合わせな気がしてきました。世の不正を暴け!怪奇ーをあーばーけー♪そしてむしろ不正を乗っ取りそうなうすら笑い!! {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 71

89.7 9 sfで漫画原作なアニメランキング9位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (988)
3897人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

SFサバイバルミステリーギャグアニメ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
なるほど確かに、「全話観た上で、評価を決めよう」という作品ですね。ネタバレなしでは、これ以外は、なんとも(笑)

評価としては、☆4(高評価)に違い、☆3(普通)です。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
五点負けてる九回裏に、満塁ホームランを打ち、そのまま、あと一歩のところで敗戦してしまったようなアニメでしたね。おしい、あと一押しあれば、☆4(高評価)でした。

終盤の畳み掛けるような伏線回収は素晴らしかったです。いろんな小さな要素がちゃんとストーリーに繋がる無駄の少なさ。特に、シャルスがカナタの右腕になるクダリは良かったですね。「王の為」以外に生きる意味を教えられなかった少年に、新たな生きる意味を与える(カナタの右腕として生きる)というのも、絶妙な暗さがあって良かったです。

9話(☆4評価)からの展開、特に、11話のクオリティについては、嫌みなく、素晴らしかったと思います(単体では☆5をつけてます)。

でもじゃあ、それまで費やした、8話分のマイナスを覆すだけの効果があったかと問われれば、流石にそこまでではないのかなと。

スベり続けたギャグ。リアリティのない展開。綺麗すぎる人の心。

例えば1話、みんなで手を繋ぐより、誰か推進材があるやつがワイヤーつけてキャッチしたら? 例えば2話、ドラゴンはどう考えても数トンあるわけだし、保存をちゃんとすれば(真空保存など)、食料問題は一気に解決じゃね? 例えば4話、解毒剤は発症してないと見つけられないなら、ユンファは、なぜ見つけられたの? 例えば9話、クローンなのに男女両性に出来るの? クローンじゃなけりゃ記憶移植できないのか、どうせ記憶移植するなら、自分が良いなという欲求なのか。後者なら、クローン作らなくても良いことになるし、大事な点の説明がない。

と、このような小さな失点(疑問点)を繰り返してきた部分が、どうにも気になりました。

それでも、もし12話で、もう一度世界をひっくり返すような、11話を超えるようなエピソードをぶちこんでこられたら、また違ったけど。まるで、アストラ号のように、波風たてない緩やかな着地(苦笑) 一時間もかけたわりに、物足りない最終話(まあ、爽やかで、後味が良くはあるんですが)。

これ多分、「漫画大賞」という先入観で、勝手にハードル上げまくった私が悪いんですね、ハイ。

本作は、「SF」と「サバイバル」と「ミステリー(デスゲーム)」と「ギャグ」いう、4つの要素を組み合わせたのが最大の見処であっものの、SF以外は中途半端になった印象。

特に、もっとサバイバルの部分がちゃんと面白くして、(序盤から中盤を)エンタメ作品として充分以上に楽しんでいるなかでの、急転直下のSF(終盤)にしていれば、なお良かったかな?

う~ん、勿体ない作品ですね。
{/netabare}



【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
ギャグがさぶいな~。サバイバル系なんだろうけど、「ソウナンですか?」「Dr.STONE」など、ライバルも多いな。

いや、誰か推進材があるやつがワイヤーつけてキャッチしろや。

2話目 ☆2
まあ、作風なのは分かるけど、不真面目だな。せめて、毒かどうか試してから食おうよ。ドラゴン、さっさと食えよと。

この作風で、この世界での整合性がとれてないのは、キツいな。

つか、ドラゴン、どうみても数トン以上はあるし、1日に1キロ食ったとしても、(保存がちゃんとできれば)20日どころじゃなくもつよな。

3話目 ☆2
サバイバルだけでなく、デスゲームの要素もあるんかい。てか、そっちメインか? なぜ、和気藹々できる?

4話目 ☆1
団結が崩れる、、、だったら、情報開示するなや。その方が、尻尾つかめるだろ。偶然、解毒剤をゲットして、皆の役にって、超ご都合主義かい。発症してないと見つけられないなら、ユンファは、なぜ見つけられたの? そこで歌うのは、バカなのか?

なぜ、この作品が、漫画大賞に? 後半、追い上げるのか?

5話目 ☆2
俺なら、あそこで歌われたらキレるけどな(汗) まあ、自分の子供が死んで良いと思うような親なんだろうな。

そもそも、どの惑星にも、水も空気もあるというのがな。

ラブコメも入れてくる。欲張りだな。

6話目 ☆3
綺麗に決まりすぎた感もあるが、良い話かな。ウルガーに銃持たせるところとか。あと、ルカが自分をネタにしてるところは、良いな♪ あと、最後の嘘を見破る流れも、次話が気になる。

7話目 ☆3
なんだ結局良い話か。そこの号泣で茶化すって、どんな演出だよ(苦笑) タイムリープだったの? じゃあ、殺すためではなく、生かすために飛ばしたのか? 違う機体か? まあ、パーツを合体させて直すんだろう。

8話目 ☆3
助けに来たと思ったら、同じく遭難者。まあ、直さんと話終わるしな。つか、使える部品とか、全部積み込もうぜ。ここから、本ネタ? ザックとキトリーのギャグパートは、初めておもろかったw いやいやいや、IDタグごときに命かけるなや。最後の惑星? 同一人物、クローンか。

9話目 ☆4
全員クローン。まあ、なら宇宙にとばした理由も分かるか。思ったより、クソ親だったな。記憶の移植は同一人物じゃなけりゃできない? しかし、クローンなのに、男女両性に出来るの? ここ、ポイントだな。クローンじゃなけりゃ記憶移植できないのか、どうせ記憶移植するなら、自分が良いなという欲求なのか。

あと、性格とかも、遺伝的な特性もあれば、環境的な特性もあるわけで。だから、違わな過ぎないか?

は? だって可愛いだろw

これは、時代が変わってるか? 地球もクローンか?

10話目 ☆3
ここから面白くなりそうだな。違う時間軸の地球? 新しい惑星? 全員の記憶が作られたもの、つまり、「涼宮ハルヒ」+「進撃の巨人」みたいな話か? この作戦、分かりやすくウルガーが味方で、シャルスが犯人だな。。。だよな。

11話目 ☆5
ここで、アリエスの謎、回収。ここの伏線はなかなか良いな。子は親を選べない。環境や教育が人をつくるか、自分が自分をつくるか。右腕として、、、生きる意味の書き換えだな。

12話目 ☆3
綺麗だな~。綺麗すぎるくらい、良くも悪くも。予想以上ではなく、11話を超えられもせず。もうひとつ、世界をひっくり返して欲しかったかな。もし、12話が11話を越えられれば、☆4をつけても良かったけどな。さて、これで世界は、良くなるのか? 箱庭も、悪くはないけどな。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

判別可能なキャラ達と金太郎飴的な惑星群

原作未読

漫画の評判がいいから、が視聴動機。
全12話ただし初回と最終回が1時間枠だったので実質14話分のボリュームです。
序盤はもの珍しい細谷佳正さんのハイテンション演技を堪能することから。SF興味なくともこの一点で “ 買い ” かもしれません。2~3話経過してからはBパートの引きが良く毎話楽しみながらの完走です。

ざっとあらすじ:子供たちだけでどっかの惑星で5日間自活してこよう!スケール大きめの林間学校に意気揚々と出発したらトラブルに巻き込まれて帰ってこられなくなりました的なやつです。

キャストは多め。性格ははっきりとキャラ毎に別れており、キャラ回というよりキャラパートを設けてあまり尺を使わずにさらっと紹介。それでいて不思議と名前は覚えていられました。
{netabare}みんな多かれ少なかれ境遇は一緒だよ、との本作の特徴を活かしこのへんばっさり切りましたね。英断だと思います。{/netabare}


カナタ・ホシジマ(CV細谷佳正):リーダー 十種競技選手 アツい!
アリエス・スプリング(CV水瀬いのり):天然ドジっ子に見えて意外と有能
ザック・ウォーカー(CV武内駿輔):頭脳明晰鉄面皮 キトリーと幼馴染
キトリー・ラファエリ(CV黒沢ともよ):医者の娘 フニシアの姉 基本ガヤ
フニシア・ラファエリ(CV木野日菜):最年少 キトリーの妹 パペットマペット
ルカ・エスポジト(CV松田利冴):政治家の子 僕っ子亜種「オイラっ子」
シャルス・ラクロワ(CV島﨑信長):貴族出身 なんというかムツゴロウさん
ユンファ・ルー(CV(早見沙織):国民的歌手の娘 超内向的隠れ美人
ウルガー・ツヴァイク(CV内山昂輝):教頭の息子 本人はアウトロー志向

ポリーナ・リヴィンスカヤ(CV生天目仁美):ゲスト ポリ姉


途中経過時点ではおおむね今期多かった中間層上位 ( 自分比 ) の作品という見立て。完走は苦にならずそこそこ面白いが一皮むけてないといった「惜しい!」作品の一つ。
ただしそれは物語の全容が明らかになってくるまででした。起承転結の転から加速しきっちりまとめてゴールイン!一気に観るのがいいと思います。

引っ掛かったところ先に述べとくと、全12話のけっこうな部分を占める各惑星描写についてもっとエンタメに振り切って欲しかったな~ということですかね。


※各惑星の簡易説明

{netabare}惑星マクパ:当初目的地
惑星ヴィラヴァース:最初に訪れた惑星。肉食恐竜みたいなのとにょっきーん植物が脅威
惑星シャムーア:脅威のない草食動物。毒胞子まき散らすポールツリーが脅威
惑星アリスペード:リゾート惑星。地震と津波が脅威
惑星イクリス:自転してない過酷な環境。超獰猛な可動性植物が脅威
惑星ガレム:最後の惑星。わりと平和

一覧すると、植物らしきものが脅威だよというパターンが被りヴァリエーションに乏しい。{/netabare}

いきなり遠くの宇宙空間に放り出され、かくかくしかじかで食糧の備蓄量を見据えながら惑星を中継して帰還するという一大作戦決行中の若者たちです。

 未知の惑星にどんなものを持ってくるか?

これがいってみれば想定の範囲内。観てるこちら側の斜め上をいくようなタイプの惑星が登場してたら、

 本当に生還できるのか?

SFサバイブもののドキドキワクワク感はさらに増したことでしょう。
{netabare}そしてサバイバルパートが際立てば際立つほど第9話「全容見えてきました!」回との目線ずらしが奏功してたと思います。サバイバルと見せかけてサスペンスでしたの落差で評価は爆上がりしてたことでしょう。{/netabare}


この引っ掛かり以外は気にならず、中盤までゆるやかに右肩上がりで面白くなっていくストーリーだったと思います。サバイバルという題材と+αの謎{netabare}(「裏切者は誰だ?」){/netabare}を早々に提示してくれたおかげで、なにがなんだかよくわからないまま後半に種明かしみたいな不親切設計でもありませんでした。
起承転結の構成も手堅く、転からの終盤はオチも含めて意外性と納得感のある内容。このへん詳細は本編で!

ジャンプ連載だったわりには、下手に引っ張らず撒いた伏線を回収して短くスッキリと終わらせた構成にも好感を持ちました。良作です。



■物語の構成について ※ネタバレ

{netabare}出来過ぎなくらいハッピーエンドでしたね。それが嫌らしいと感じませんでした。
物語は以下の順で明らかになっていきます。

1.アストラ号メンバーの共通項
2.刺客はこやつ
3.この世界の秘密

序盤から2.は提示されていて視聴者の興味を引っ張る材料になってました。そして2.が明らかになれば当然「どうして?」がでてくるわけで、その説明が1.と思ったわけです。
これで1クールでも充分だったと思いますがおかわりがありました。3.です。期待値の一段上をいってました。{/netabare}


■優しい人たち

これは雑感です。人間の善意を信じようという作者の意図が根底にあったのだと思います。
{netabare}・ユンファのライブ会場に押し入ろうとしたキトリーと警備員とでひと悶着。直後、隣にいたアリエスのとある報告に控えめに拍手を送る警備員さん。さっきまでもめてたのにw
・アリエスの母ちゃんに連絡を取ろうとした時に、だれも疑わなかった。普段ならご都合とか平和ボケみたいに感じたろうにこの時はクルーの絆みたいなのをより強く感じました。不思議なもんだねぇ
・ピンポイントでしか覚えてなさそうなカナタが本を執筆できるわけなかろうもん。きっと隣にいた超絶記憶力の持ち主がサポートしながら書き上げたんだろうね、と妄想。{/netabare}




■(余談)カナタのアストラ

冒頭に戻るわけですがハイテンション細谷佳正さんが個人的にはイチオシです。
アツい!とにかく勢いがあるキャラでした。そして、彼は脳筋一歩手前の絶妙なバランスで好感度を保っていると思しき立ち居振る舞いをします。行動に根拠がある。よって知性も感じる。

モデルは武井壮?と思った人他にいないかしら。

なかやまきんに君でも春日でもないんだよなぁ 
武井壮なんだよなぁ



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.20 初稿
2020.04.07 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 78
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

期待通りだった

それぞれに悩みや秘密を抱えているキャラクター達が漂流によって成長していくし、ミステリー要素もある作品。ところどころスケットダンスの作者らしいギャグもあってそれがいい感じのスパイスになってる。

後日談もあって登場人物たちのその後まで描いているところも後日談好きな僕は見終わって面白いと感じた。

アリエスの親{netabare}生みの親ではなくて育ての親ではあるが、{/netabare}からの愛が半端なくて泣きそうだった。アリエス可愛い。

最後はそうくるかという展開。{netabare}漂流は仕組まれたもので、漂流させられた彼らは違法なクローン人間だった。しかも地球の歴史が改竄されていた。漂流して冬眠していたポリーナのおかげで判明。{/netabare}

割と綺麗に完結しているし、裏切る奴がいても最後は呉越同舟ではなく、完全に和解して一致団結する姿も良いなあと。仲間のために自分の身を挺するカナタの存在が大きい。腕の機能面白いし。


OP
star*frost 歌 nonoc
ED
Glow at the Velocity of Light 歌 安月名莉子
挿入歌
Star of Hope
アストラ号の冒険 歌 ユンファ・ルー(早見沙織)
この作品でnonocと安月名莉子の歌が自分に刺さった。彼女達のさらなる活躍に期待。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?「マンガ大賞2019」大賞を受賞!『SKET DANCE』の篠原健太が描く大人気SFサバイバルストーリーが待望のTVアニメ化決定!


1. 第1話 前半 PLANET CAMP
生き残れ、宇宙の彼方で 宇宙旅行が当たり前になった時代。ケアード高校の生徒アリエス・スプリングは、初めての惑星キャンプに胸をときめかせていた。同じ班になったのは、宇宙港で顔を合わせたカナタ・ホシジマら計9名。一行は無事に惑星マクパに辿り着つくが……予期せぬ事態が発生する。

2. 第1話 後半 PLANET CAMP
生き残れ、宇宙の彼方で 宇宙旅行が当たり前になった時代。ケアード高校の生徒アリエス・スプリングは、初めての惑星キャンプに胸をときめかせていた。同じ班になったのは、宇宙港で顔を合わせたカナタ・ホシジマら計9名。一行は無事に惑星マクパに辿り着つくが……予期せぬ事態が発生する。

3. 第2話 WILDERNESS
20日分の食料と水を手に入れるため、惑星ヴィラヴァースに降り立ったカナタたち。特異な生態系に翻弄されながらも生存のために協力し、メンバーは少しずつ環境に順応していく。しかし、十分な食料と水が確保できるとわかった矢先、再び謎の球体が現れる!

4. 第3話 METEOR
通信機を壊した犯人がこの中にいる--。カナタはメンバー一人一人に疑いの眼差しを向けるが、証拠となるものは見当たらない。猜疑心に苛まれながら、ついにメンバーに事実を打ち明けるカナタ。誰もが混乱に陥り、疑心暗鬼になる中、アストラ号の壁が突然爆発する!

5. 第4話 STAR OF HOPE
墜落の危機を乗り越え、アストラ号は第2の惑星シャムーアに到着する。犯人を探すことをやめ、全員で生き抜くことを優先するカナタ。惑星探査は順調に進み、食料と水の見通しも立った。色めき立つカナタたちだが、ユンファだけはどこか表情が曇っていて……。

6. 第5話 PARADISE
B5班を救い、メンバーと打ち解けたユンファ。旅の楽しさを分かち合いながら、アストラ号は次なる惑星を目指そうとしていた。一方、ケアード高校にはカナタたちの親が集められ、行方不明の子どもたちを死亡扱いとする失踪宣告の手続きが始まろうとしていた!

7. 第6話 SECRET
ルカの父親マルコ・エスポジトは、ウルガーの仇だった。大切な兄を奪ったマルコに復讐するため、ウルガーは銃の腕を磨き、その機会をうかがっていた。ルカを殺せば、マルコに同じ苦しみを与えられる。その引き金に込められた憎悪に、ルカは……。

8. 第7話 PAST
惑星イクリス到着を前に、B5班に衝撃が走る。シャルスはもともとケアード高校の生徒ではなく、惑星キャンプの直前に転校してきたというのだ。なぜ、シャルスは転校生であることを不自然に隠していたのか? 今明かされるシャルスの出自に、カナタたちは……。

9. 第8話 LOST AND FOUND
アストラ号と同型の宇宙船を発見したカナタたちは、船内でコールドスリープ状態の生存者を確認する。彼女の名前はポリーナ・リヴィンスカヤ。この宇宙船、アーク6号の機関士だったという。さらに、アーク6号の発見によってアストラ号の修理にも一筋の光が差し込む。

10. 第9話 REVELATION
キトリーとフニシアはまったく同じDNAを持っていた。ザックから告げられた衝撃の事実に、カナタたちはとある仮説にたどりつく。そしてこれまでの全ての出来事がパズルのピースを埋めていくように仮説を裏付けしていく。

11. 第10話 CULPRIT
カナタたちの目指す惑星を見て驚愕するポリーナ。次々と判明する新事実に困惑しながらも、B5班とポリーナはお互いの知識、認識をすり合わせ、様々な仮説を立てていく。そして次なる惑星ガレムへの到着を前に、カナタは意を決しアリエスの部屋を訪れる。

12. 第11話 CONFESSION
刺客の正体が明らかになった……! 戸惑いを隠せないB5班のメンバーたち。旅の中で絆を深めてきた仲間が、なぜメンバーの一斉殺処分という使命を背負い続けるのか? 仲間の問いかけに、刺客はその出生の秘密と自身を突き動かすに至ったある事件の顛末を語り出す。

13. 第12話 前半 FRIEND-SHIP
【前半】右腕を失いながらも、誰も憎まず今まで通りを貫くカナタ。惑星ガレムを出発する準備も着々と進み、5012光年の旅はいよいよ終着点を迎えようとしていた。そして、故郷への帰還を前に世界の真実を知るカナタたち。果たして、この真実をどう受け止めるのか。

14. 第12話 後半 FRIEND-SHIP
【後半】右腕を失いながらも、誰も憎まず今まで通りを貫くカナタ。惑星ガレムを出発する準備も着々と進み、5012光年の旅はいよいよ終着点を迎えようとしていた。そして、故郷への帰還を前に世界の真実を知るカナタたち。果たして、この真実をどう受け止めるのか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

92.1 10 sfで漫画原作なアニメランキング10位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5059)
21537人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
{netabare}
原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
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★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 120

81.9 11 sfで漫画原作なアニメランキング11位
ぼくらの(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1889)
9817人が棚に入れました
政財界の権力者たちは、「子供たちの契約を解く鍵を探す」という建前の元に、ジアースの技術を研究して産業や軍事に利用しようとする。子供の親たちは、子供を救う方向に世論を動かす為に、ジアースの情報公開を目指して協力し合う。しかしその企ても権力者の陰謀によりつぶされ、子供たちはこの地球からも孤立してゆく。

声優・キャラクター
皆川純子、阿澄佳奈、野島健児、三瓶由布子、牧野由依、能登麻美子、浅沼晋太郎、比嘉久美子、宮田幸季、高梁碧、織田圭祐、井口裕香、杉田智和、保志総一朗、阪口大助、東地宏樹、石田彰
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

鬱展開ではあるけど社会風刺でもある

このアニメのOP「アンインストール」を先に知ってからアニメを知りました。
OPめちゃめちゃ好きです!!絶対飛ばせないOPだ…

評判は最悪ですね。
鬱アニメ鬱アニメ。何処行っても鬱アニメってレビューばかり。
もう最高の絶望アニメ。って評価ばっかり。

たまには絶望したいのでこういうアニメは大好物!

このアニメを見てはいけない人
娯楽を求める人 頭からっぽにして見たい人 考えたくない人
暗い話が苦手な人 鬱病の人

このアニメをお勧め出来る人
考察だったり物語から色々と物事を考えてみたい人
絶望したい人 切ない物語が好きな人

遊び半分でこのアニメを見て欲しくない。
物語としっかり向き合いながら考える事の出来る人に見て欲しいです。


アニメを作った人達への思い↓
{netabare}よく出来た物語でもあるとは思うけどちょっと足りない部分はこの最終回での投げっぱなしな所ですね。
綺麗ではあるんですけど、このアニメはオチを付けることが出来なかった。
いや出来てるかもしれないけどなんか違う気がする。
これじゃない感が否めない。
ただ個人的には書きたかった方向性がどういう方向性だとわかったのでそれ程文句は無いですけどね。{/netabare}


各話の感想↓↓※長文注意
{netabare}1話
あれ?ロボット物だったの?

2話
コエムシって某アニメの魔法少女のQBかよw
なんか凄くエヴァっぽい。
大人数で動かすロボットは初めてだなぁ。
ってえ…誰か落下したぞ…
妹に八つ当たりしてる場合か!?は?どうなってんの?
えええええここで終わり!?何これ超気になる…

3話
あれ?死んだのに誰もなんとも思ってない感じ?
なんか凄くよくわかるようなわからないような…
子供の頃はやっぱ死には疎いんだよなぁ…
じいちゃんばあちゃん死んでもなんとも思わなかったっけなぁ。
まぁのちのちジワジワ来るんだけど。
ってわく君の扱いひでぇ…集団隠蔽やべぇ…
すげぇリアルな心理描写だ。
えええ操縦ばらしちゃうのかよ…
葬儀は泣けるなぁ。親の心境考えるともぅヤバイ。
メガネ…おまえ死ぬのか…

4話
受付のねーちゃんの目おかしいぞ!作画どうしたんだ…
まっ割と真面目に猫をエアガンで撃つ程度どうでもいい。
ってか撃つなって心はわかるがおまえは人間と動物のどちらに重きを置いているのかって話になるわけで…
ペット愛好家に良くある心理ですね。
「私は猫が好きだからあなたも猫が好きで当然でしょ?」
「だからあなたも猫の世話をすべきなのよ」的な…
こういうのりは本当に大嫌いだ。世話を押し付けて自己満足に浸るゴミクズだ。

コダマの気持ちはわかる。
こんなでかいの敵が出てきて「家を潰すな」とか考えている場合かよって話だ。
犠牲はつきものです。(現実を見ろ)
って親父…うん。どんまい。
しかしQB的な奴が気になるなぁホント…
戦いの後必ず死ぬだと!?一回戦うたびに一人死ぬのか!?
使い捨てかよ!!ヤバイぞこれ…

5話
自分を守るか地球を守るか…
さて皆さんはどちらを選びますか?
俺は躊躇なく地球を守る。そう言い切れる。
単純にそっちのほうがメリットがある。
お母さん…なんだよその青あざ…病んでるなぁこの家庭。
教師と付き合うチズ…カコ君が可哀想…
まぁこういう純粋そうな奴ほどひどかったりするんだよね…
あぁショックでかい…一番可愛いのに…
「先生とするとね体だけじゃないんだよ心のなかも満たされるの」
うわうわうわ…ゴミクズだった。
死ね死ね団にお出まし頂きたい展開ですね。
こんな歳でこんな事聞いたらトラウマになるわ…
中1だぞ中1(;´Д`)
まぁしかしわからんでもないけどね。
SOS思い出した…
あぁショックでかいよ…死にたくなるよ…
教師をぶっ○すしかねぇな。妄想だけに留めておけよ…

なかなか使える政府だなぁ。今の日本じゃこうはならんな。
コエムシはなんなんだwww
コエムシつええええええええええええ!!!
カコ君\(^o^)/

6話
まぁ独り占めする方向性は自然だな。
ホンダ…あぁショックがでかいでかすぎるよ…
ってか死亡フラグすぎるよ…
カコ君絶望的すぎる…ってえええそういう展開!?
ええええええええええ死んだのかよ…
チズとことんひどい扱いだなぁ。
あぁもう見るのが辛くなってきた…

7話
うわぁ…チズの話かよ…もう掘り下げないでくれよ…
リアルすぎて個人的なトラウマが蘇ってくる…もういやだこのアニメ…
なんだこれ戻ってきたら教師とおねぇちゃんが…って展開になりそうで怖い。
と思ったけどそうじゃなくてよかった。
先生に惚れちゃう女の子多いよなぁ…よし先生になろう!違うかw
まぁ理想の人間演じてる先生に惚れないほうがおかしいのかもしれないなぁ。
どう考えても一般の人間よりは良く見えちゃうもんなぁ。
羨ましい…
ってか先生みたいになりたいよなぁ本当に…
先生がイケメンすぎる…
ってええええええええええええええええええ
あぁぶっ飛んだ。ぶっ飛びすぎた。
うわぁ…
ってかなんか別のアニメになってねぇか?
ネット流出はやばいよなぁ…
ケツゲバーガー事件みたいなのいっぱいあるしツイッターなんてもう今じゃ馬鹿ったーでしかないし…
裏垢でぐぐるとクソみたいな事になってるし…
あぁすげぇリアルすぎてもう色々やばい。
胸がムネムネしてきた…
ぎゃあああああああああああ\(^o^)/
個人的に初めて付き合った彼女がレイプされた経験があったのを受け入れられなかったのがトラウマになっててこういう話はもう辛すぎる…
やっぱりだやっぱりそういう展開だった。おねぇちゃん…
このアニメ辛すぎるって…死にたくなってきた…

8話
まさか…おいやめろ…ニンゲンヤメマスカ?姉貴を殺しに行くきじゃねぇんだろうな…
ってあぁそうか教師の方か…
とことんクズすぎるチズ。ヤバイヤバイヤバすぎる。
おねぇちゃんともども死んでくれてよかったのに。
チズ…(´;ω;`)
急所の位置で吹いてしまったじゃないか!wあぁもう台無しすぎる…
うわぁ…チズの子供っておい…中1だぞ中1!
ぎゃあぁああああああ
もう辞めてくれよチズの扱いがひどすぎる。
あぁ恐ろしいアニメだ…
あぁもうほんとこんな見続けるのが辛くなるアニメは初めてだ。

9話
なんかエヴァのトウジっぽいな。
大地兄ちゃん(´;ω;`)
もうなんかこの先見るのが怖くなってきた…
グロとか鬱とか色んな耐性あるはずなのにどうしたんだ俺…

10話
うわぁうわぁうわぁこれまたひどい設定が来た…
もういやだこのアニメ…
しかし現実にはうじゃうじゃいるんだよなぁ体を売っちゃう子。
むしろ今時そっちの方が正義位の勢いだもんなぁ…
貞操観念が世界一希薄な日本女性怖いぉ。
婚活場では女あまりのこの世の中怖いぉ。
どんだけ壊れちゃってんだこの世界いやもとい現実社会か…
「私にお客さん探して」
ええええええええええええええええええええ
どうしてそうなった…
あぁもういやだいやだこのアニメいやだ…
死んでる死んでるよ俺のライフはもうゼロよ。
やめたげてよ俺死んじゃうよってかもう死んでるよ。
母を知ってるだとおおおおおおおおお!?
ええええええええええええ!?
うわああああああ
あぁ…
体を売る女が母親になると子供もこうなるよなぁやっぱ…
「わたしはまこが一番大事よ」
は?何言ってんだこのBBA。薄っぺらすぎる。
体も安ければ言葉も安いんですね。

最近の記事であったけどEUの女性のIQが下がり続けていて頭の良い女性ほど出産したがらないという記事がありましたが…
バカが馬鹿を生むんですねわかります。
これじゃ悪循環じゃないか…現実って本当に嫌ですね。

11話
余命一年ってこれまた急だな…
心臓移植ねぇ…
俺は絶対何があっても死んだ体をいじられたくないけどなぁ。
葬式だってして欲しくないしさっさと焼き払って欲しいわ。
葬式なんて生きてる人間のエゴだろエゴ。移植だって一緒だ。

あれ?分裂とかまんまエヴァじゃん。
まぁ色々と都合良すぎるなw
頭が吹っ飛んだああああっておいおいなんでもないのか!
「なぁ手術が成功したら…」
って下りなんという死亡フラグw


一回休憩しよう。なんか精神崩壊しそうだ。
絶望しか無いじゃないかこのアニメ…
一旦他のアニメ見て落ち着いてから再開。
救いはあるのだろうか…もうストレスはんぱない…


12話
カナちゃん可愛いなぁ…でも死ぬんだろうなぁ…
あぁなんか平和な回程死ぬんだろうなと切なくなってくる…
スパンキングフェチのお父さんwww
なんなんだろうこのアニメ…
こうやって一人ひとり掘り下げては死んで掘り下げては死んでって繰り返すのだろうか…
最後に何が残るって言うんだよ。なんか全滅ENDしか見えない…
もう死ぬための理由だけ書いてるんじゃないかって気がしてきた。
しかし救いがありそうなフラグを政府が…期待できるのだろうか…
近所のおばちゃんかっけぇーw
「初めての子供はおまえだよ」
この件泣ける…(´;ω;`)いい親父じゃねぇか!
「てめぇらの地球じゃねぇけどな」
え?

13話
え?平行世界かなんかか?仮想世界か?別の未来だと!?
世界線超えたようだな。
敵もこっち側も転送のされかたがまるでガンツだな。
あれ?なんかもしかしてこのアニメの終わり方は…
ループものになりそうな予感…
なんか希望が出てきた。
って敵にも人が乗ってたのかよってこれは予想通りだった。
弱肉強食ですね。
なんで町の人達逃げねぇんだよ…
特攻ェ…
あぁエヴァで言うならエントリープラグだな。
中から出てきた煙はなんだったんだ?
ってえええええええええええええええええええ
何が起きた!地球が吹っ飛んだのか?宇宙が消し飛んだのかよ…
化物語病のせいで星を見て「あれが…」っていっただけであのシーンが思い起こされる。
あれ?慣れちゃったのかな死ぬことに…なんも感じなくなってきた。
ヤバイ気がしてきた。人として大切な何かが欠けてきた…
いやチズ回が重すぎたせいか…わからん。

次はデブの出番か…
セキ君人造人間なのか?もしくは機械が優秀なのかな?
え?何処の誰だよこいつら…
あれ?ED変わった?前のほうが良かったような。

14話
このアニメ安心できる場面が出る程死ぬんだろうなって思って切なくなる。
カナちゃん…この子だけは生きて欲しい…
田中一尉に希望を見出したい。
うわぁなんかカナちゃんがいっぱい出てくる回って事はまさか…
タカミが一ノ瀬ことみにしか聞こえない、と思ったら中の人同じだった。
カンジ君オープンだなぁ。なんか信頼出来る気がする。
あぁカンジ君じゃなくて機械が凄かったんだな。
かあちゃん死亡フラグ…

15話
母さんええええええええええええええ(´;ω;`)
このアニメうつ病の人しか出てこねぇ…
明らかに怪しいおっさんww
おいいいカナちゃん勝手にいれんなっておい!
何このレイプフラグこええやめてくれ…
もう何この緊張感…BGMはギャグなのに…
怖いよマジで怖いよやめてよ。このアニメの平和回は逆に怖くなる不思議。
たもっちゃん良い人で良かった…本当に良かった…
まぁキリエの言い分もわかるな。
うわっうわうわうわ自滅って敵の方かよ…これは騙された…
どうやらたもっちゃんは本当に良い人っぽいようだ。

16話
ジアースレポート…秘密は明かされるのだろうか。
親父帰ってくるのかよ。お母さん良い人だなぁ…
あれ?なんかだんだん希望が湧いてきたよ?でもどっかで落とされる気がする…
あぁ怖い怖い。
情報収集チップなんか怪しい気が…
出たwねぇねぇ今どんな気持ち?AA省略
「契約してないのマチだよね?」
どういう理由でマチは契約迫ってんだ。
おいおいひっぱたきすぎだろ…
ってか戦うとやっぱ死ぬのね。

17話
うーむ政府は隠蔽する気なのか。
アンコママ…マスゴミは本当にゴミだ。カンジかっけぇ。
パパハニトラにかかっちゃった感じなのかなぁ…
アンコオオオオオオオオオオオオオオオオオオ(;_;)
ホント救われないな…

18話
コモは最後だと思ってたが…
議員辞職…もう秘密は明かされないのかな。
命貼ってるまっとうな良い議員だなぁ。
ってうわぁねぇさあああああああああん…
ええええねぇさん死んだらどうすんだよ!
うわぁねぇさんも議員も死んだら詰みじゃねぇかよ…
ああああああもう絶望しか無かった。もうダメだ\(^o^)/
この先生きのこれる気がしない。もうダメだ全滅ENDしか見えない。
落とし穴とか…どうなってやがる。
えっなんぞ?レーザー?そんなのあったのかよ!!
カナはやめてくれえええうわあああ…
カナちゃんを皆で守る流れになるんじゃないかと思ってたのに…
おいおい話ももうすぐ終わるってのにどうやって終わらす気だよこれ…
ホントに全滅ENDやっちゃうのかよ…あぁ…救いは無いのか…
なんだろう今の日本の政治を皮肉ってるようにも見えてきた。
まっとうな議員は排除され売国奴や私利私欲の議員だけが生き残る。
まさにまんま当てはまる。怖い。

19話
たもっちゃん良い人だなぁホント。

あぁやっぱ政治とか裏社会の人間とか出てくるのはこれやっぱ日本の状態を皮肉ってるな。
なんか話の方向性が見えた気がする。
大人の私利私欲で子供が死んでいくんだって事か。
これ今見てるからわかる話だけど当時見てたらわからなかっただろうなぁ。
政権交代して民主党の売国が露呈して初めて興味を持って信じれた話でもあったしなぁ。
そういう方向性で進むのかな…

だとするとこれは最後まで救いは無いのかもしれない。
なんか色々納得がいってきた気がする。
ねぇさんすげぇ人だったんだな…しかも子供までいたなんて。
ねぇさん子どもと別れる時は辛かったろうなぁ…
ねぇさんのねぇさんまでorz
ウシロ…おまえも死ぬのか…死亡フラグびんびんすぎる。

20話
お?カンジの話に戻るのか…
うーむカンジ母はなんか怪しい気がするんだけど良い人なのかなぁ…
え?マトリックス!?攻殻機動隊!?すげぇ技術進歩だな。
未来人だったのかよマチは…いやむしろ科学技術の発展しまくった平行世界の話か。マチのアニキやべぇ…
うわうわうわどんだけ平行世界巡ってきたんだ…
いよいよきたな!ココペリこいつラスボスだろ。
え?ココペリ良い奴だったのか?あれ?まぁこいつに会う前からこのシステムがあるって事はやっぱラスボスじゃないのか。
うーんどういう事なんだろう。
やっぱりシステム的な構造は解明されずじまいで大人のエゴがかかれる話になるのかな…
あぁなるほどだからマチは契約してない一人なのか…
うわぁうわぁ…
ココペリも大変な目にあってたんだな。
優。゚(゚´Д`゚)゚。
あぁやっぱりカンジの母親は裏切ってたか。
目的がハッキリしてきて凄い面白くなってきた。

21話
カンジ思い切った事言うな。
やはり母親は私欲にまみれてる。よく出来たアニメだ。
「守りたいものねぇよそんなもん」
まぁカンジの守りたいものはもういないもんな。
たもっちゃん!死亡フラグが…
大人の欲に振り回され無残に死んでいく子供たちを書いてるんだろうな。
大人のおもちゃでしかない子供ェ…
12人目だな。なんか凄く活力が湧いてきた。
死んでいっても受け継がれるものは沢山あるんだなと。
ジアースプログラム?なんだ何が起きた…
街のエネルギーを吸い取るのか。なんという高性能システム。
支配者たちへの反権力闘争。
「このプログラムはアンインストールできない」
きた!アンインストールキタ――(゚∀゚)――!!
めっちゃ盛り上がってきた!
あぁ…やっぱカナちゃん…
ってかコエムシ引き継ぐとコエムシ自体はどうなるんだ?(素朴な疑問
カナの事心配してるんだな…
どうやら決心がついたようだなウシロ。

22話
このキューベェもどきホントうざったいな。
要所要所に散りばめられた全ての大人がゴミクズじゃない所がまたよく出来てる。
これも希望の一つなんだろう。
あぁそうだ、ジュンの本当の親じゃないんだっけ…おじさんなんだよな…
妹に当たりすぎだろ…腹蹴りとか身ごもってたら死ぬレベル…
お父さん…(T_T)
あぁもうやだ日常回…死亡フラグでしか無い。
切なくなってきてしょうがない。
長谷川…どうみても中国風のスーツなんですけど沖縄県の知事ですか?

23話
あぁもうこの話と後1話しか無いのにやっぱりもう全滅END確定か…
しかしまぁ作品の言いたい事が受け取れた人なら問題無いのかも?
個人的にはハッピーエンドが好きなんだけど…
ココペリうぜえええ。
今のはクリリンの分!うわっまどマギと流れが超似てる…
時期的にまどマギの元ネタはこれだったのか。
マチよくヤッたな!ってなんだ黒い方のも出てくるのかよ…
って次はマチなのか…
ええええええぇえぇぇぇぇ一般大衆もろとも爆撃ですか!!
なんじゃこりゃ。
マチ…おまえ良い奴だったんだな…あぁ…
もう最後の最後まで絶望しか無かった…希望なんて無かったんだ…

24話
最後はカナが救われてぼくらの15人以外は生き残って世界は救われてよかった。しかしこのアニメ地球全滅ENDもありだったかもしれない。{/netabare}

このアニメが好きな方へお勧めしたいアニメ
「今、そこにいる僕」「喰霊 ―零―」「カウボーイビバップ」「無限のリヴァイアス」「エルフィンリート」

原作もアニメの後に読んだのですがどちらも良い終わり方でした。両方好きです。

感想
{netabare}なんだろう個人的にメッセージ的に受け取れたものは人は死ぬけど戦うことも出来るだろうという事。
死ぬ前に戦ってから死んでもいいんじゃないのか?
ただただ死んでもいいけどその前に何か出来るのではないのか?
そんな作者のメッセージ的なものを感じました。
人は死んでも引き継がれるものがあり、無駄ではないと言うこと。
死んでも世界は回り続けるし無くなるかもしれないがそれは無駄ではないという事。

とても深い作品です。
これ程展開的に残酷な物語は未だかつて見たこと無い鬱展開なアニメ、いやドラマ映画でも見たことがない位でしたが、それゆえに伝わるメッセージみたいなものは凄く大きいし色んな見方が出来ると思います。
まぁ間違いなく万人受けはしないでしょう。
しかし道徳的な物語ではあると思います。と言うかもう教育の教材レベル。
この作品を読書感想文で書いてきなさいと子供に教えたい位。
しかし鬱展開が超弩級なので高校生以上じゃないと駄目でしょうね。
いや条件は山ほどあるか…

何年かに一度この作品を見てその時時の感じ方の違いを楽しみたい作品です。

この作品から希望を貰えた人。絶望した人。
どちらのが多いのかな?
恐らく現状が平和、もしくは現状に絶望している人は希望を貰えたのではなかろうか?
絶望した人はきっと現実逃避している人ではなかろうか?
うーんひっくり返してもどっちもありえるか…

アンインストールしたい事なんて山のようにありますよね。
もう本当に何もかもをやり直したいなんて思う人は多いでしょう。
しかしきっとそんな状況でも抗い戦っていけば得られるものがきっとあるはず。
希望を捨ててはいけない。
たとえあなたが死んだってのちの人たちがきっといい社会を作ってくれるはず。
いや寧ろ残らなくてもいいのか…

なんか書いててわけわからなくなってきたorz{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

解釈することが、できないことのこわさ

■意図的な「雑な死」の表現

 「死」の表現が雑な話には二種類ある。
 単に「人が死ねば悲しいだろう」と思ってあざとい感動エピソードとセットにされて、どかどかと人が死ぬ話と、そもそも「死の瞬間」というのが雑な形でしか到来しないという無意味さを描こうとする話だ。
 「あざとい死」がただの泣かせの安っぽい方法論であるのに対して、「乱暴でちゅうぶらりんな死」というのは死そのものを描くことが話の目的になる。死の表現の雑さ、という点においては両者は同様なのだけれども、「死」に対して物語上の意味が与えられていれば前者のような表現になるし、物語上の意味が意図的に放棄されていれば後者のような表現になる。
 この表現は、決してわかりやすいものではない。
 正確にいうと「わかること」ができない。
 人が死ぬ瞬間、というのは、だいたい、たいした理由はない、というそれ自体を描こうとしているわけだから。

■ちゅうぶらりんな死

 いろいろな思いをかかえていた人間があっけなく、なんの理由もなく、理不尽に、ランダムに死んでしまう。そういうかたちで、多くの場合、死は突然にやってくる。「世界をすくうための崇高な犠牲として死を自覚的に選択できる」などというようなことはまず、ない。「ループする世界のはてから脱出するために死を選択する」とか、そういうことも、およそ幸福で稀な事態であると言ってよいだろう。

 鬼頭 莫宏という漫画家は、そういう、理不尽で偶発的な事件が、突如として悲劇としてあらわれてくるような。そういう事態を繰り返し、繰り返し描いている。そこには、巨大な情熱も、巨大な失望も、抱く間が無い。間抜けな形で到来する。


 鬼頭作品は、そもそもそういうタイプの世界の乱暴さを描く話だった。そういう世界の乱暴さばかりを描いてきた作家の仕事としては、『ぼくらの』はやや丁寧に属する部類の仕事だ。設定がこっていて、「死」を迎えるまでの時間が、ほんの短い時間ではあるけれども、ゆるされている。
 だけれども、やはり、その時間は「ほんの少し」だ。しかも、人生で何かをなしとげた人間の時間ではなくて、まだ何もなしとげていない少年少女たちの時間だ。
 死の前の少しの時間の暮らし方は、やはりどう転んでもぶざまだ。ぶざまで、感情移入をするまでには、時間が足らない。時間が足らない、その時間の足らなさ、こそが不気味な表現になっている。
 彼ら/彼女らのなかにある十分な物語を知る時間もあたえられず、ちゅうぶらりんなまま、人がぼろぼろと死んでいく、そういう乱暴な風景こそが、『ぼくらの』の醸し出す物語の怖さだろう。

 エンターテインメントとしてみてみれば、なるほど、描写は不十分ともいえるかもしれない。映画でいえば、絶対にアカデミー賞はとれないだろう。エンターテインメントとしては、ぎりぎりのバランスで成り立っている。わかりやすくないから。
 だけれども、わかりにくいもの、ばかりが世界にはたくさんごろがっていて、そのわかりにくさの、違和感のようなものを、ごろっと露呈させてみせる、その違和感があらわれる瞬間。そこに何かを感じ取ることが可能かどうか、ということが、鬼頭の書く物語を良いと思うか、悪いと思うかということの評価へと直結するだろう。ある人は、その違和感にたじろぎ、ある人は単に雑なものだと感じるかもしれない。


■セカイの生き死に自体がちゅうぶらりん

 ただ、こうした死の乱暴さそのものは、は実は決して知られていなかったものではない。世界の名作文学でも映画でもいい。あるいは、高名な哲学者の議論でもいい。戦争にいったことがない我々でも、そういう乱暴な死が世界中によこたえていることは知っていた。

{netabare} 『ぼくらの』の特殊性は「個人の死」が乱暴で、いいかげんで、ちゅうぶらりんに訪れるというだけでなく、「セカイの死」自体も、いいかげんで、乱暴で、ちゅうぶらりんな形でしか訪れない、ということだろう。
 この話は、「凡庸なぼくたち」が、セカイを救う物語であると同時に、セカイを滅ぼす話でもある。セカイを滅ぼす理由も、救う理由も、これといって明確な理由はない。サイコロを転がして決めているのといっしょだ。ただ、その過程に、たたかいを挟むから、じゃっかん本人たちの努力が可能なだけで、たたかいをする巨大ロボットが強いかどうか、ということはサイコロを転がすのと何もかわりはない。

 「セカイの成立」自体が乱暴で適当だという想像力は、「生命」自体が乱暴で、適当だという想像力の、さらに先にある、おそろしさをもっている。

■セカイ系作品としての異質性

 いわゆる「セカイ系」作品は、少年少女の憂鬱や、情熱の程度によって世界が救われたり滅びたりする。ハルヒしかり、エヴァしかり、エウレカしかり。
 「ぼくらの」もセカイ系の一種だと考えることはできる。滅びるべき世界/救われるべき世界は、「頑張らなければ世界がほろびる」。だが、そうは言っても、異世界の少年/少女たちもまったく同じ状況におかれているという点で、ロシアンルーレットの弾をこめるような意味においてしか、少年少女の憂鬱や情熱には意味がない。

 「セカイ系」においては、世界の救済や滅亡と、少年少女の情熱が、ダイレクトにつながる、ということが少年少女の「わたしには価値がある」という承認欲求を満たすものとして機能していた。
 しかしながら、『ぼくらの』はそういった構造を完全に逆転している。「わたし」ががんばろうが、がんばるまいが、どこかでセカイは滅び、どこかでセカイは残る。わたしの努力は「このセカイ」に対してこそ、一定の有効性はもつが、努力や情熱はごくむなしいものとしてしか、与えられない。少年少女は、みなロシアンルーレットの弾丸、としてしか役割を与えられていない。

 セカイ系の設定をかりながら、<「わたし」の承認欲求を否定するセカイ系>というごく、無残でみじめな世界を示すことを、あえて提示してみせる。
 鬼頭的な、世界の乱暴さをつきつけるという仕業、セカイ系という少年少女の逃げ場を否定することで、どうしようもなく、成立している。
 おまえらに、逃げ場なんてねぇんだぞ、と。
{/netabare}

■作品比較:『イキガミ』『バトルロワイヤル』

 なお、本作とある程度ちかい設定をもった作品としては、『イキガミ』『バトルロワイヤル』などがあるだろうが、いずれも世界の乱暴さを描くという点においては、『ぼくらの』の足元にも及んでいない。

 たとえば、『イキガミ』は、死にいたるまでの、当人たちの「物語」があまりにもきっちりと完結しすぎており、世界はあまりにも残酷ではなさすぎる。死にはきっちりとした意味があたえられ、物語世界はあまりにも簡単に解釈をゆるしてしまう、安易な「いい話」以上のものにはなりえていない。(そもそも心理描写の水準のだめさや、人間観のバラエティがステレオタイプに満ち満ちていて、論外なあたまのわるさ……ということはあるが、それをさておいても、そうだ。)

 また、『ぼくらの』がもし、失敗しているとすれば、やはりエンターテイメントとして作品をみる、という作法以外に作品を見る方法を知らない読者や視聴者層を大量に相手にするマーケットで作品をリリースしているということだろう。そういう視聴者層には、この表現は単に物足りない表現としてしか届かないケースが多い。つまり、『ぼくらの』は失敗している。作品の内容において、ではなく、売り出し方において失敗している。
 その意味では、エンターテイメントとして暴力表現を前面に押し出した『バトルロワイヤル』のほうが、大勢の人への伝わりやすさという点では、『ぼくらの』よりも世間的なインパクトは獲得できている
 しかし、『ぼくらの』の描く死はどうしようもなく中途半端であるゆえに、『バトルロワイヤル』などよりもはるかに残酷な風景を描いている。我々は、恍惚のうちに死ぬことができない。


■漫画版と比較して

 漫画のほうは、まだ全部はよみおわっていないのだけれども、おおむねアニメ版のほうが、見やすかった印象がある。一話完結である程度、はなしの起伏をつけているので。アニメの方がエンタテインメントとしては優れているだろう。
 エンターテインメントとしてではない、評価としては漫画のほうがすぐれているという人も多いかもしれない。
 わたしは、アニメのほうがやや気に入った。単純に映像もきれいだったのいうのもある。

■関連推奨作品:『パルプ・フィクション』『いのちの食べかた』

 なお、アニメでも漫画でもないが、本作が好きな人にすすめたい作品としては、
 まず映画ではもはや、古典ともいえる地位を獲得しているタランティーノの『パルプ・フィクション』は高い確率でハマるだろう。人が乱暴にしんでいく作品としては、まず多くの人が挙げるものだろうと思う。
 また、私個人のおすすめとしては、ドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』をぜひおすすめしたい。『ぼくらの』に続けて、このドキュメンタリーをみたひとは、確実にゾッとする体験をあじわえるのではないか、と思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 32
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

表の顔は「SFの名作」→本質は「運命に翻弄される少年少女たちの群像劇」/2023/6/28原作読了分追記

【レビューNo.61】(初回登録:2023/5/27)
コミック原作の2007年作品。全24話

(ストーリー)
自然学校に参加した15人の少年少女たちは、海岸にある洞窟で「ココペリ」と
いう謎の男と出会う。そして彼にゲームに誘われる。ゲームというのは、少年
少女たちがロボットを操縦して地球を襲う巨大な敵を倒していき、地球を守る
というもの。
兄のウシロからゲームへの参加を止められたカナ以外の14人は、ゲームに参加
を決めココペリと「契約」を結ぶ。契約すると敵と自分たちの巨大ロボットが
出現し、少年少女たちはロボットのコックピットに転送される。
そう、これはただのゲームではなかったのだ。しかもそれは序章に過ぎず戦闘
を重ねるにつれ、少年少女たちはゲームの真の意味を目の当たりにすることに
なる。

(世界観)
ネタバレになるが、ちょっとこの辺の情報がないと説明しにくいので
{netabare}・舞台は2030~40年の日本。この世界には平行世界の地球が存在し、敵ロボッ
 トの正体は同じようゲームに参加させられた平行世界の住人が操縦している
 もの。戦闘はその時によりホームorアウェイが戦場となる。
・このロボット同士の戦いは並行世界同士の存続を懸けた戦いであり、敗北は
 その世界の地球を含む宇宙の消滅させることを意味する。
 (戦いの目的は、「宇宙の未来の可能性の淘汰」「ただの自然現象」?!)
・勝利条件は相手ロボットの急所を破壊すること
 → 実はロボットのコックピットで、つまり相手のパイロットを殺すこと。
・ロボットの操縦には契約者のうち1人が選ばれる。選ばれるパイロットには
 事前に啓示がある。
 (戦闘終了後に次のパイロットが決まり、次の戦闘まで時間的猶予はある)
 そしてこのロボットのエネルギー源は「パイロットの生命力」。つまり戦闘
 で勝利しても、パイロットは確実に死亡する。それを拒否し逃げ出しても、
 48時間以内に勝利しないと、やはりその世界の地球を含む宇宙の消滅させら
 れてしまう。つまり
 ・勝利を収めパイロット1人が犠牲になるか
 ・敗北または決着つかずで全人類が滅びるか
 の2択しかない
・ココペリは別の世界からきた最後の生き残り。次の世界にこのゲーム引き継
 ぎにやってきた。
 こうやって舞台となる地球を変えて、このゲームは続いていく。
・また作中にはサポート役のコエムシなるマスコットっぽい生物が登場する。
 (まどマギのキュゥべえ的な?){/netabare} 
こうやって設定を見るとホント救いようのない作品で、「鬱アニメ」として名
高い所以ですね。

(評 価)
・本質は「運命に翻弄される少年少女たちの群像劇」
 ・一見すると「ロボット大戦メインのSFモノ」のように思いますが、本質は
  パイロットに選ばれた少年少女たちの人間模様を描いた群像劇にあります。
  {netabare}上述の通りパイロットに選ばれた時点でその者は「死亡確定」です。
  そして作中の少年少女たちはカナ(小4)を除き、全員まだ中学1年生です。
  そんな突然我が身に降りかかる理不尽な運命に対し、何を思い悩み、どう
  決断して戦闘に立ち向かうのか?
  → 全24話構成なので(未契約のカナを除く)14人について、余すことな
    く各々の人間ドラマを掘り下げていきます。
 ・この事態をやがて世間も知ることとなり、今度は大人たちのドラマも動き
  出します。
  わが子を守るために奔走する親たちの一方で、オーバーテクノロジーの独
  占を企てる権力者の陰謀等、人間の醜悪な面についても描写されています。
 ・また作中では、コエムシ・ココペリといった前地球での回想も入ります。{/netabare}

・巨大ロボットのリアリティのある戦闘描写
 ・この巨大ロボットは昆虫のような黒いボディで全長は500mもあります。
  そしてこの世界のロボットは「ジアース(Zearth)」と名付けられました。
 ・レーザーを発射できるがロボットには効果がない模様で、ほぼガチの肉
  弾戦になります。
  敵はノコギリ状の刃物や触手っぽい武器を有しているロボットもいるが、
  ジアースは殴って、蹴って、相手を押し倒し、力づくで装甲をはぎ取り
  急所を抉り出すというかなり無骨な戦闘スタイルです。
 ・ロボットは3DCGのリアルな映像で描かれ、結構動きが緩慢な点が特徴的
  です。監督曰く
  「全長500mもの巨大物体が俊敏に動けるわけがない(ガンダムで20m)」
  というこだわりからのようで、確かに説得力はありますね(笑)。
  パイロットが操縦に不慣れな点や上述戦闘スタイルと合わせ、リアリティ
  のある戦闘シーンに仕上がっていると思います。

・場外乱闘が凄かったらしい
 私はリアルタイムで観ていなかったので、このレビューのためにいろいろ
 調べていると、
 「監督 VS 原作者他の場外乱闘」
 がかなり凄かったようですね。
 ・アニメ企画時は連載中ということもあり、監督が原作者から続きを聞いた
  うえで自由につくったとのことですが、何かと行き違いがあったようです。
  ・原作は残酷さや性的な描写がもっと過激な「鬱要素」の強い作品だった
   ようですが、監督の好みではなかった。
   {netabare}特に原作は生存者0らしいが、紛糾の末アニメではカナだけが生存。{/netabare}
  ・上述の戦闘シーンも、原作者は「戦闘の緊迫感を欠き不満である」と漏
   らしている。
  ・で、監督がブログで
   「自分は原作が嫌いだから原作に悪意をった改変を加えている」
   と発言。また
   「原作の魅力はアニメで再現されないから、原作ファンは観ないように」
   と追い打ちw
   → 当然原作ファンは激怒 → 炎上し監督が謝罪する事態に!
     (でも改変はやめないw)
 ・そんな感じでパイロットの順番の違いから始まり、アニメ後半はほぼオリ
  ジナルストーリーとなっている模様です。
  (その他親の職業等いろいろと改変があるらしい)

上述の通りいろいろあったようですが、原作未読の私としてはアニメ版でもか
なり良くできた作品かなと思います。
この年だと以前レビューした「クレイモア」を始め、「天元突破グレンラガン」
「電脳コイル」他見応えのある2クールアニメが結構制作されていたようですね。

OPは石川智晶の「アンインストール」と、アニソンではかなり有名な曲じゃ
ないですかね。
(石川智晶はEDも担当)

(追 記)
この原作も、なんとうちの図書館にあったんだなぁ~これがw
予約も取れたので、来週位から原作も追いかけようかと。

(2023/6/28追記)
原作読了。(全11巻)
たしかに途中まではアニメより「鬱要素」の強い作品ではありますね。
面白いところだと、「ジアース(Zearth)」に搭乗する彼らは、この地球を守る英
雄的存在のはずですが(ホームでの戦闘の場合)この戦闘に巻き込まれて亡くな
った方もいるわけです。
その遺族からすれば、彼らは憎むべき存在であり、彼らの実家に放火するなど過
激な行動に出る遺族も出てきます。
なかなか深い視点ではあります。
あと意外だったのは、終盤になると「鬱要素」は和らぎ、
{netabare}・残ったモノが死んでいったパイロットの遺族を訪ねて回る
・まさかの告白イベント
・コエムシが年長者らしく、献身的にフォローを始める{/netabare}
等結構ハートフルな展開が描かれています。
この辺りはアニメ化以降に描かれたものになりますが、原作者も思うところがあっ
たのかも。

個人的には、(場外乱闘もありましたが)アニメにも原作にもそれぞれの良さがあ
り、どちらも評価できる作品だったなと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

78.7 12 sfで漫画原作なアニメランキング12位
蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1401)
7057人が棚に入れました
2039年、人類は温暖化に伴う急激な海面上昇により、地上での版図を大きく失った。
それに呼応するかのように、霧を纏う謎の軍艦群「霧の艦隊」が世界各地の海洋に出現、搭載した超兵器で人類の艦を攻撃し始めた。
人類は持ちうる戦力を投入し、最終決戦「大海戦」に臨むも、「霧」の圧倒的な武力の前に脆くも敗れ去った。
すべての海域、運搬経路を「霧の艦隊」によって封鎖され、政治経済は崩壊、人類は疲弊の一途をたどっていた―――――――
「大海戦」から7年。
士官候補生・千早群像の前に現れた「霧の艦隊」の潜水艦「イ401」。
敵であるはずの「イ401」、そのメンタルモデル「イオナ」との出会いは群像に、そして人類に何をもたらすのか?
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アルペジオ2周目の感想 & 「艦これ」との比較

(※アルペジオ劇場版が公開された2015年当時の投稿内容です。)

①1月末から総集編映画が公開され、その後に完全新作の続編映画の年内公開が控えていること(10月3日封切り予定)
②本作と同様に旧日本海軍艦艇をモチーフとした話題の新作アニメ『艦これ』がTV放送中であること(加えて両作はコラボしていること)
③最近視聴した、本作と同じ監督(岸誠ニ氏)&シリーズ構成(上江洲誠氏)の組み合わせのTVアニメ『結城友奈は勇者である』(2014年秋)が、予想外の良作で、このコンビの作品に俄然興味を持ったこと

・・・以上3つの理由から、本作品について2013年秋のTV放送時以来、2周目となる全話視聴を行い、レビューを全面的に書き換え、併せて「艦これ」とのコア・コンセプトの違いを考察してみました。


◆各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

========== 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- (2013年9-12月) =========
{netabare}
第1話 航路を持つ者   ★ 航海の目的、イオナとの出逢い
第2話 嵐の中へ     ★ 対タカオ戦
第3話 要塞港、横須賀 ☆ 軍との対峙
第4話 横須賀急襲    ★ 対キリシマ・ハルナ戦
第5話 人ならざる者  ☆ メンタルモデルと人の接触
第6話 ともだち    ★ メンタルモデルと人の接触(続き)
第7話 硫黄島      ★ コメディが面白い回
第8話 人形の家    ★ 兵器が「愉しい」という感情を持つな
第9話 決死の脱出行  ★★ 対コンゴウ戦1、ED後に急展開
第10話 その身を捧ぐ  ★★ イオナ・タカオに生まれる恋情
第11話 姉妹      ★★★ 対姉妹艦(イ400・402)戦
第12話 航路を拓く力  ★ 対コンゴウ戦2、余韻を残すラスト{/netabare}
----------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)2、★(良回)7、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.3


※上の★表記のように、本作は外れ回が少なく(全12話で☆は2回)かなり濃い楽しみ方が出来ました。
※特に終盤の第8話後半から第11話までの展開は見事だと思いました。
※最終回(第12話)は本作としてはイマイチの感がありましたが、それでも悪くない出来と考えます。
※まとめると、現時点では自分にまだ上手く表現し切れない特有の面白さがある作品と考えますが、以下のように考察を進めて、なるべく明瞭に本作の美点と欠点を抽出していきたいと思います。

◇各話内訳
{netabare}
バトル回=計5話(第2/4/9/11/12話)
メンタルモデルと人との交流回=計5話(第1/5/6/8/10話)
その他の回=計2話(第3/7話)
{/netabare}

◇登場するメンタルモデル
{netabare}
※全部で以下の9体

大戦艦コンゴウ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
大戦艦キリシマ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ハルナ ※蒔絵との間に感情発生
大戦艦ヒョウガ ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

重巡洋艦タカオ ※群像との間に感情発生
重巡洋艦マヤ ※感情プログラムは実装されていない

潜水艦イ400 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ401(イオナ) ※群像および他のメンタルモデルとの間に感情発生
潜水艦イ402 ※他のメンタルモデルとの間に感情発生

※その他にメンタルモデルを持たない艦艇が多数登場(ナガラ級軽巡洋艦、アイオワ級などアメリカ方面の霧の艦隊)
{/netabare}


◆内容考察

(1)本作の他にない美点
{netabare}
・フル3DCGIによる迫力の艦隊バトル描写
・バトル描写と並行して、メンタルモデル同士の謎空間での緊張した対話を描出している点(非常に斬新な印象を受けました)
{/netabare}

(2)明白な欠点
{netabare}
・メンタルモデル同士の対話の描写が秀逸なのに比較すると、人間とメンタルモデルの交流の描写が
 ①余り洗練されておらず、少し古臭い(蒔絵とハルナ・キリシマの交流)か、
 ②感動できるが、初見では分かり辛く、ハイライト(第10話)に後述するようにせいぜい半分程度の理解に留まってしまい、非常に惜しい(群像とイオナ・タカオの交流)こと
・シリーズ構成が甘いこと、特に
 ①第1話が分かり辛く、余り後の話に上手くつながっていない点
 ②軍との関係の描写がストーリー全体から見るとほとんど無駄になって浮いている点
 ③さらに最終第12話の盛り上がり方・まとめ方がイマイチで期待外れだった点
・ナノマテリアルが万能すぎて(それさえあれば、どんな物体でも自由に再生できてしまう)、設定の縛りの無さに時々白けてしまう点
・タカオ、マヤのギャグ設定までは良いとしても、ヒョウガのギャグ設定が作品に不必要に安っぽい印象を与えてしまっている点(ギャグが滑っていてこれもかなり白ける)
{/netabare}

(3)現時点で評価保留の点
{netabare}
・《論理思考ルーチン》に過ぎないメンタルモデルに、《論理》を超越した《感情》や《意思》が生まれてしまう、という《心身問題》を本作はどのくらいの深度で描いているのか、その深さや意味合いが自分の現時点の知識では掴めない点

※興味はあるけれども現時点では私には確り調べる意欲が欠けています→詳しい方がいたら簡潔に教えて欲しいところです(以下は参考サイト)

¶心身問題(mind-body problem)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E8%BA%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C

¶心の哲学(philosophy of mind)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6
{/netabare}


◆本作のハイライト

※現時点では以下の2点と考えています(ただし今後、第12話も追加する可能性が高い)。

◇第10話『その身を捧ぐ』
{netabare}
10分過ぎ、艦内気温が低下し群像の呼吸が乱れているいることに気付いたイオナが、「私は擬似的に代謝機能を再現して体表温度を上げることは可能」といって自分の両掌(てのひら)を見つめて、その後、少し戸惑った表情で群像に視線を移し「だけど・・・」とつぶやくシーン
群像が、あれっと少し驚いた表情を浮かべて、それからフッと笑って「そうだな。エネルギーは節約すべきだ。救命キットからブランケットを持ってきてくれないか」

*つまり、イオナは自分が群像と抱き合えば、艦内気温を上げなくても群像の体を温めることが出来ることに気付くが、同時にそうすることを躊躇(ためら)う感情が彼女に生まれており、群像もそれに気付いて「ブランケットを・・・」と婉曲に彼女の行動を脇に逸らしている。
*イオナのこの躊躇(ためら)いは、メンタルモデルらしからぬ乙女の羞恥心ないし淡い恋情の発生と解釈できる。
*そして、これが、16分過ぎに来る「嫌(いや)。私は、私は一人になりたくない」というイオナの発言と行動につながっていく。

→しかし第1回目の視聴時は、私はそこまで気付かず、この後に来るタカオの群像への切ない恋情だけを認識できていた。

*タカオ「全く、本当にあんたってば。これじゃ・・・私の入り込む隙間なんて、どこにも無いじゃない」は、イオナの恋情のもたらした行動に気付いた彼女が意を決してつぶやいた言葉。
*「自らを犠牲にして他者を救う、それは本来、霧には有り得ない行動。まさかイオナ姉様がそんな選択をするとはね。そしてあんたも」(ヒュウガ)「それが艦長の、千早群像の望みならば」(タカオ)

→つまり、イオナに発生した群像への恋情(※但しイオナ自身はそれが恋情であるとは気付いていない)が彼女を自己犠牲へと向かわせ、そしてその行動がさらに、タカオの恋情を募らせて、その第二の自己犠牲をもたらした、と解釈できる。

*タカオの恋情はともかく、イオナの恋情は視聴1回だけでは分かり辛いと思うので、この回の評価を★★としました。
{/netabare}

◇第11話『姉妹』
{netabare}
20分近くで、イオナが姉妹艦を喪失してしまうシーン
*メンタルモデル同士の心理的なやり取りの描写が秀逸。
*ここの演出は第10話よりもずっと分かり易く優れていると思うので、この回の評価を★★★としました。
{/netabare}

※なお、第12話『航路を拓く力』は、現時点では残念ながら、第10話・11話に比べると内容が幾分雑で感動が少ないように感じてしまいました。
→本作の私の全体評価を、もう一つとした原因のひとつ。
→ただし、この回については、前記した◇(3)現時点で評価保留の点、に直接関係する箇所なので、時間を置いて再々視聴し、考えを整理したいと思っています(その際には評価が変わる可能性が高いです)。


◆『艦これ』とのコア・コンセプトの違い

・アルペジオの艦は、{netabare}
 ①旧日本海軍艦艇の艦容そのままの外形を保ちつつ、
 ②別に、メンタルモデルという人型の制御ユニットを持っている。{/netabare}
・このメンタルモデルは、{netabare}
 (1)「人間のような感情を持つことなど、兵器である自分には不要かつ異常である」と自己定義していたはずなのに、
 (2)人間ないし人間に感化された他のメンタルモデルとの接触によって次第に、「後悔」「恋慕」「憤怒」「愛惜」といった人間的な「感情」{/netabare}に目覚めていってしまう。
(※ここが本作の最大の注目点)

・これに対して、艦これの艦娘(かんむす)達は、
{netabare}その身にまとう艤装(ぎそう、船の装着物のこと)を別とすれば、最初から生身の人間と変わらない極めて豊かな喜怒哀楽の感情に溢れた存在{/netabare}として描かれている。
・ただし、艦娘たちは、
{netabare}あくまで「先の大戦当時に実在した軍艦の擬人化」であり、自身が軍艦であることを自明とする発言や行動をとっていて、なおかつ、先の大戦での個別エピソードに由来する悲劇的な運命を背負わされていること、{/netabare}がストーリーの端々(はしばし)から予感される描き方をされている。
(※ここがアルペジオとの最大の違い→アルペジオの艦は、{netabare}ただ単に日本海軍艦艇の外形を模倣しているのみであり、それとの内面的ないし運命的な繋がりは切断されている{/netabare})

・以上まとめると、『アルペジオ』も『艦これ』も、{netabare}
 ①先の大戦当時の日本海軍艦艇をモチーフとして、
 ②人間側ではなく、擬人化した艦側の《悲劇》を描き出す作品{/netabare}
と要約できると思いますが、
その描き出される{netabare}《悲劇》{/netabare}が
 ①『アルペジオ』の場合は、{netabare}艦(メンタルモデル)が人間的な感情に不可逆的に目覚めていく点{/netabare}にあるのに対して、
 ②『艦これ』の場合は、{netabare}艦(艦娘)が先の大戦でのエピソードを運命的に踏襲してしまう予感に満ちている点にある、{/netabare}
と考えます。

・このどちらに、より心惹かれるか(あるいは惹かれないか)、は個人の好みによると思いますが、私個人は現時点では、後者(艦これ)の側に、より強く心を惹かれています。

・いずれにせよ、1月末公開のアルペジオ劇場版総集編およびその後10月初めに公開予定の完全新作続編が楽しみです。


◆追記:続編映画の評価

(1)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-DC   ★  4.0
(2)劇場版蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-Cadenza ★★ 4.5

※(1)は、約2/3がTV版の総集編、残り1/3(正味30分強)が新規の展開
※(2)は、フル新作で、TV版のコンセプトを引き継ぎつつ、この手の作品に求められる要件を十分に満たしてストーリーを完結させている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 73

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

魅せる戦艦バトル作品

ジャンル:SF戦艦バトルアニメ
製作会社;サンジゲン
監督:岸 誠二

久し振りに何も考えずに カッコイイ!!! と褒めたくなるほど夢中で楽しく観れた作品。小難しいことを考えず4話まで観て判断してもらえると嬉しい。正直、1話は概要で不安要素たっぷりです(苦笑) 基本的に戦艦バトルがメインとなるドンパチ合戦の作風に加え、キャラを含めほぼフルCGの映像美になっている。さらに艦これブームも相まって期待値は上げられた。実際、BD売上も1万枚と好調なスタートとなっているようで私的ながら嬉しい限りである。超重力砲連射の勢いで2期作成して欲しい気持ちがいっぱいです(笑)

先ほど述べた艦これ(正式名:艦隊これくしょん~艦これ~)と比較される理由の多くは、萌キャラとの一体感ある構図が類似している。戦艦の名前と同じキャラ名に加えキャラデザの違いといった比較要素も多いと思います。実際、どちらのキャラデザが好みかはユーザー次第ではあるが、これはこれ、それはそれと楽しんだもの勝ちと感じている。

あえて区別するなら、
艦これ:萌キャラだけに留まらずミリオタ向けに作られており戦艦の名称・由来といった綿密さ、自分の戦術を楽しむ

アルペジオ:萌キャラどんぱちフルCG戦艦アニメ

という具合です。そもそもアニメとブラウザーゲームと路線が違うが、今年夏アニメ化される艦これの出来栄えに期待しつつアルペジオを超えるクオリティになるのか怪しいところではある。

ストーリーはシンプルで、霧と呼ばれる謎の艦隊から人類の危機を救う為に未来を模索する千早
群像と霧の裏切り者である401イオナの航海。その行く先を阻む霧の刺客達もイオナと群像に影響され自我を持ってしまう。戦艦に芽生えた感情という不確定な思考ルーチンは、何の為に獲得するのか未だわからない道筋となっている。

戦う萌キャラにしか見えないが、突如、人型に擬似化された戦艦AIという設定・人類を滅ぼす目的、アドミラリティ・コードとは何を指すのか?その意志はどこにあるのか?と伏線ばかりではあるが、最終的には人類と未知の人種(戦艦)を受け入れる共存を描く王道な作りを漂わせている。
その過程において、意思とは何か?人間とは何か? 個としての尊厳を問う哲学的な側面を描きつつ切っても切れぬ科学と人を結びつけたヒューマンドラマ性を植え付けている。
原作とアニメ版では改変されているらしいが、1クールで終わらすには勿体無い作品だと感じる。

それもストーリー展開はテンプレではあるが、戦艦バトルシーンは心熱くさせる絵の魅力が一番の見所となっていた。それだけに同じカットを無駄に観ていたら、気づくと2週目していた(笑)
最近はCGを使うアニメが多いなか違和感もなく目立った粗さもなく溶け込んでいたと感じる。
特に超重力砲発射シーンは圧巻。私の下手な文章で説明するよりPVを観る方が確実と思う(笑)
是非、観てから判断して欲しい。

ドンパチ合戦の構図が多いのだが撃ち合いシーンを盛り上げる要素として戦術の描き方がシンプルに魅せることで、ここから熱い展開が来るぞ! と観ている方も夢中になってしまう。
基本的に 潜水艦 VS 大戦艦 とのバトルで勝てる可能性はない。危機的状況から覆す博打勝負となる。王道ではあるがワクワクドキドキ感が絶えずズルズルと観てしまう中毒性がある。
相乗効果としてBGMの使い方もセンスも巧く一体感が生まれていた。

また、各話のシナリオ構成も戦艦バトルを見所にする尺の取り方にしている。
多くの作品は1話のバランスとして起承転結で物語運びをする構成にしている。視聴者に結にあたる次回への引きとして、来週も見て欲しい為である。要は気になる終わりにして来週も見てね と、モヤモヤ感を与える。実際、好きな作品ほどこれは効果覿面となるが、その続きに拍子抜け・期待ハズレといった感性を与えることにもなる。そこで打切る判断材料になる。

だが、アルペジオはどうだろうか。1話に結をいれない構成にしている為、起承転となり引きが弱くなっている。当然、単調な物語運びとなるのだが見せ場である戦艦バトルに1話まるごと使う構成にすることで見応えが生まれる。1話 起承転 2話 結 と2話セットにしている。
ただ、序盤の物語の掴みがわからない為に不安を抱くが、加速していく4話辺りから引き込まれる。
超展開要素もあるが展開として妥当だと思う。 ただ、戦艦同士の融合には唖然としたが、カッコイイから許してしまう気持ちとツッコミしかなかった(苦笑) この辺りは派手さを魅せる意味もあるが、危機感の装置にもなっており、最後の悪あがきを誇示している。特撮によくある敵の巨大化演出みたいなものと解釈するといいかもです。

また、政治・経済といった戦略的な深みとなる演出をほぼ省くことで、戦術の見せ場である絵を重視した見やすい作品に仕上げている。萌キャラに戦略的な深みを備えれば銀英伝に次ぐ作品・・・と無謀かな(苦笑)  ただ、このクオリティの高さでリメイクやこれから発信される作品に転用できれば、もっと充実する作品が増えることは確かだろう。

キャラ設定。
自我が芽生え意思を持つという共通事項をベースして個性を植え付けている。思考ルーチンが乏しい為、興味対象に沿った行動心理が優先になっており、全体的に単純だけど許せるバカという可愛げあるティスティングにしている。無機質な戦艦であると同時に成長段階の子供といったギャップがコメディ要素を膨らませ愛着を持たせている。あえて心情描写を掘り下げる展開はないので気楽に観れる。

私の好きなキャラは、ちょろインなあの子です(爆)
最近ちょろインな子がツボですね~某アニメではちょろインしかい出てきませんが(苦笑)

少し内容が逸れたが萌要素も過不足なく織り込んでいる。
ベタなキャラ設定と感じるかもしれないが、これぐらい良い案配と思う。
それも最低限のキャラ立ちすることでバトルに箔をつける意味を成している。

それだけにキャラ・序章に近いストーリー展開は全てはバトル演出を盛り上げる為に構成していたと感じる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 46
ネタバレ

ほったっる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

留守番嫌いっ、お出かけ好きっ、一人はさみしっ、二人は楽しっ、私はマーヤ、友達コンゴウ!

原作未読

絶賛ハマっている「艦これ」のコラボイベントから興味を持って観たアニメです。

突如現れた圧倒的力をもつ霧の艦隊が世界の海を制圧し、世界が遮断されてしまう。(通信も妨害されている)陸に直接攻撃してくることはないが、人類も霧の存在に危機を感じている。
主人公の千早群像は霧でありながら群像に従う伊401と出会い、政府にも霧にもつかず、現状を打破する力を求め、霧に対抗するカギとなる兵器をアメリカへ届ける依頼を引き受ける。

とまぁ、話だけ聞いても「ん?」となるような内容ですのでつべこべ言わずに見た方が早いかと・・・笑

ざっくり言うと、人類の存続をかけて艦が擬人化した女の子と一緒に、これまた艦が擬人化した敵と戦うという感じですね。(適当)

つまんねーこと言わずに要点だけまとめていきます。
このアニメはとにかくかっこいいのです。

かっこいいところその1:音楽
OPからかっこよすぎます。特に蒼き鋼のクルーが海を眺めているシーンはしびれます。イオナがいつもの定位置でのそのそしているのもかわいいですね笑
OPだけではありません。戦闘中を始め、BGMが本当に最高。戦闘がBGMでより一層、緊迫感を増していきます。

かっこいいところその2:艦
すべて3DのCGで描かれているため、登場する潜水艦や重巡洋艦、戦艦がかっこよく描かれております。そのため、登場人物がかくかくしているように思えますが、そこに目を瞑らずともなおあり余る圧倒的な作画と言えます。潜水艦の修理シーンや補給シーンなどでそのすごさを体感できるはずです。特に霧の最強兵器とも言える超重力砲が出るシーンは圧巻です。

かっこいいところその3:専門用語
戦闘シーンではなにやら難しそうな言葉が飛び交っています。ATフィールドならぬクラインフィールドや、浸食魚雷や超重力砲、アクティブデコイ。戦闘中はとにかく忙しそうなので、聞いてるだけで「お・・・お、おお、なんかすげぇ」という感じになります。(結局稚拙な感想で申し訳ない)

かっこいいところその4:構図
ここはネタバレを含む私なりの考察なので長くなります。読むのは面倒だと思いますので、一応隠しておきます。
{netabare}
一見するとこのアニメはSFもののような気もします。
しかし構図で言えば現在の世界となんら変わりはないと私は考えます。

アルペジオでは「人類」と圧倒的力をもつ「霧」が対立しています。
その霧に対抗するために、人類は振動弾頭と言う最先端の兵器をデザインチャイルドという倫理的にも問題がある手法で開発に成功します。
そして主人公である群像はこういった旨の発言をします。
「振動弾頭が人類の未来であり、これがあれば霧と対等になれる」※原文ままではありません

これを聞いたときにすぐに連想したのが、現在の「核兵器」です。
核兵器が開発されて以来、どの国も核兵器をもつ国に対抗するために核の保有を行ってきました。最たる例がご存知、冷戦です。
一体、なんのために核の保有が増えていくのか。それはやはり「対等になるため」でしょう。

私は大学で中国人留学生と核に関してのディスカッションをしたことがありますが、彼ら曰く
「中国は核兵器を保有できたからこそ、アメリカのような先進国と初めて対等になり、外交ができるようになった」
との旨の意見をいただきました。
すでに力の差がある状態で外交なぞできないというのが彼らの言い分です。

実際、そうなのかもしれません。
例えば北朝鮮も核兵器を持っているということをちらつかせ、先進国に支援物資などをねだっております。つまり核兵器と言う力で他の先進国と対等になり外交を行えると考えていることが窺えます。
これがもし、北朝鮮のようなならず者国家が核兵器を開発できていなかったら、世界は大して相手にしていなかったでしょう。
これは外交と言うより一種の脅しに近いかもしれませんが、実際、核兵器をもったことで(あるいは持つように見せかけることで)世界は北朝鮮について真剣に考えるようになったのは間違いありません。
もちろん対極的な方法としては、核を放棄し、支援を真摯にお願いするという平和的な方法も行えますし、それも実現可能なのかもしれません。
このような素晴らしい方法がありながら、悲しいかな、人間は「抑止力」なる兵器を持たずには相手との議論を行うことができないという考えが一般的なようです。その考えも無理はないでしょう。過去の戦争などを見れば、人類は「力」に頼ってしまう弱さをもった生物なのだとわかるはずです。(あ、なんかキザだ)

それ以前に、そもそも交渉というのは立場が有利なものが有利に事を進めようとするのが、ごく自然のことなのです。

本作における千早群像も敵のメンタルモデルと和解するために最大限の努力はしますが、最終的には敵を沈めることを厭いません。
彼は振動弾頭を手に入れ、霧と人類が対等になり、そこで初めて霧と和解できると考えているかもしれません。
もし振動弾頭が量産されるようであれば、霧も容易に攻め込むようなことができなくなり、和解のためのテーブルに座ってくれるかもしれません。

まぁこれは全て私が勝手に考えたことなので、軽く流してください笑 正直、知識も乏しいので。
{/netabare}

見所は戦闘シーンに留まらず、ちょっとした日常パートのようなものもあります。
関連して言えば、このアニメの良いところとして、いちいち山場をつくろうとしていない所が挙げられるかもしれません。
日常系でもない限り、どうしてもアニメは1話で1つの山場を作りたくなりますが、本作品では話の最後に山場が来て、次週最初から最後までクライマックス!といった展開が結構あります。

日常パートではギャグ展開も見られ、和みもあります。
{netabare} どの艦も戦闘するまでは気難しそうな子ばかりですが、一度負けると一人残らずギャグ要員になっているのはおもしろいですね笑
コンゴウはさすがに除きますが{/netabare}

とにかくかっこいい本作品。ぜひご視聴ください。

原作も読みたいなー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

80.9 13 sfで漫画原作なアニメランキング13位
AKIRA アキラ(アニメ映画)

1988年7月16日
★★★★☆ 4.0 (1086)
5176人が棚に入れました
1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。そして31年―東京湾上に構築されたメガロポリス=ネオ東京は、翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。2019年のある夜、ネオ東京郊外の閉鎖された高速道路に侵入するバイクの一団があった。健康優良不良少年、金田をリ一ダーとする職業訓練高校の生徒達だ。一団は無人のはずの路上で掌に26と記す奇妙な小男と遭遇、先頭を行く島鉄雄は転倒、負傷する。この26号=タカシは、アーミーと対立するゲリラが求める軍事機密=アキラとまちがわれ、軍事基地にあるラボ(研究所)から連れ出され、アーミーに追われていたのだ。あっけにとられる金田達の眼前に突如軍用ヘリが下降、26号と同じようなしわだらけの子供27号=マサルの乗るカプセルと大佐が降りて来て、26号と倒れた鉄雄をへリに収容し、飛び去った。

声優・キャラクター
岩田光央、佐々木望、小山茉美、石田太郎、玄田哲章、鈴木瑞穂、中村龍彦、伊藤福恵、神藤一弘

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

出来の悪い舎弟(友)のケツをを吹くのが兄貴の役目・・・。

大分以前に視聴したことはあったが、今般(大友克洋全集発売記念という事で某youtubeにて視聴できたのでもう一度観てみた(2021.12)。

やはり、前に観た時とはだいぶ印象が変わって観れた。
これはどんな作品にも言える事であると思うが、実際、繰り返し観ることのある作品はそれほど多くない(時間、機会、観る気等々の制約もあるしね)。

そういう意味では、今回は機会に恵まれたという事か。

作品については、思い出、内容、諸々語り始めるときりが無くなってしまうので、控え目にしておこうと思うが・・・、大友克洋の作品を観たのは友人から見せてもらった童夢だったろうか。その当時、友人は「面白い(スゴイ)漫画がある」と言っていたが、正直私にはわからなかった(感覚的な意味で)。
私は、いわゆるマンガ的な絵の方がお好みで、大友作品を観た印象は「スクリーントーンが多用してあるな〜、新しい、シャープな印象はあるが・・・なんか『白いな』」だったwww。
まったく、自身のセンスのなさにあきれるばかりだw。
その後、AKIRAも見せてもらったが、当時は斬新であった、大判で派手な装丁ばかりが記憶に残っていて、内容は難解で、きもいトッチャン坊やは出てくるし、やっぱり「白いし」で、あまり私の琴線には響かなかったものだ。

ただ、今となって振り返ってみれば、その後に続くクリエイターの多くに影響を与え、時代を変えた作家さんだったなあ、とは思うし、あの時代を知っているのは少々優越感もある。

さてこの作品、今見返して観ても80年代らしいアニメの雰囲気を随所に見る事が出来る。
何故だかわからないが、80年代アニメ作品の多くには共通した「雰囲気」があるような気がする。
長くアニメを嗜んできたきた皆さまには、なんとなくでも解っていただける点も多いのではないでしょうか。

もっとも、この「AKIRA」と言う作品は作成当時でも、その斬新で濃密な作成方法についてTVで特集が組まれたりもしていました。
一番わかりやすいのは、アニメの口の動きを実際の発声時の口の動きに合わせて動かすという、一般人にも理解しやすいポイントでしたっけね。
実際は、もっとすごい点がいくつもあったのですが、まぁ、あまり注目はされませんでしたね、わかりやすいとこばかり着目し煽るのは今も昔もTVの仕事ですわ。

で、この作品を見返して観ての簡単な感想を。

・物語自体はそれほど珍しいパターンではない。軍が怪しい研究をしていて〜、その兵器(今回は人間)が暴走して〜、ハイエンシエントなウエポンが出て来て〜、どっかいってしまってーend〜的な。

・ただ、物語のベースとなる世界観、表現方法、キャラ含めそれぞれのパーツ=大友克洋感は特徴的かつ今なお先進的。

・やはり、セル作画アニメとしては一つの到達点と言える。

・金田と鉄雄の関係はやっぱイイ。鉄雄の屈折ぶりも大人になった今なら理解ができる気がする、最後に金田に頼るのはまだガキの証拠だぜ、金田もガキだけどな・・・(コレ(アレ)が若さってもんだろうか、取り返しのつかなくなることもあるけどな)

・ただ、鉄雄の屈折~ちょっと力持った~タカビー~暴走の流れは、なんか昨今の「無敵の人」の暴走っぽくて、心がザワザワした。
自分の得た力にうぬぼれたとしても、今の私に許容できない。
アタマをゲンコツで殴ってやりたい気持ちになった。(金田に近いかw)

・金田の元気さ、怖いもんなしで舐めた感じがうらやましい。

・SFとしても世界観、造形美、エフェクトの表現が今でも通用しそうな、と言うより、今の作品も影響を残している。

・今も、昔もエセな宗教、信者は人智を越える事象をおらが神様だと錯覚し、祭り上げ、利用し、自滅する。

・女性があんましかわいくない。

・80年代のいい加減な感じを、よくぞあそこまで取り込んだものだ(主にチャラ女のセリフ)。
まぁ、男のテキトーさもそうかなw。

・ある意味、動き過ぎて気持ち悪いw

・画面からの情報量が多すぎて、疲れる・・・(歳食った証拠だなぁ(遠い目))

などなど。

まぁ、一個一個シーンを見ながらだと、ここがすごいんだよ、この表現がねぇとウンチクをたれたくなるような作品であることが今でもすごいんだけれどもねぇ。
そうだなぁ、昨今のCGをガンガン使った作品だと、すごくても、ウンチクを述べられるスピード感じゃないですよねぇ。
早すぎるというか、あん?CGならあたりまえっしょ的な「消費される感覚」が強いかなぁ。
セルの動きで、ヌルヌルもたもたしている所に、ウンチクを述べられる隙間が存在する気がしますなw。


この作品は、今となっては30年以上前の作品となります。
人も〇にますし、グロっぽいシーンもありますが、あの時代に最も挑戦的だった作品の一つでもあります。
一度は観ておいてもいい作品の一つでは?とは思います。
合う合わないはあるでしょうけどね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれ初のリアルイベント開催を祝して・・・

内容については言わずもがなな名作ですのであえて触れずにおきます
なんせ小さい頃にBS2で放送されたのを観て、約10年間トラウマ化した作品なのでw
(コレと塚本晋也監督の『鉄男』は本当に怖かったというw奇しくもテツオ繋がりw)


この度、あにこれにとって記念すべき初のリアルイベントである「懐アニ上映会 AKIRA」に参加したので記念に一筆をと思いイベントの感想を軽く書いておきます


オイラ、1988年の公開当時は物心つかぬ赤ん坊だったので当然映画館で『AKIRA』を観る機会などはこれまで無いに等しく、この貴重な体験にあにこれのイベントとして参加出来たことはありがたく思います


イベントで上映されたのは、HDCAM SRマスターの映像に5.1chデジタルPCMサラウンドの音声、ということで多分ビクター(現ジェネオン)が家庭用ソフトに向けて作ったマスターフィルムじゃないかと予想します
(イベントでは世界に2本しか無いと仰ってました)
当然無圧縮状態なので、家庭用ソフトのソレとは比べ物にならないほど鮮明な映像
それに5.1chで体感するあの音響、これが一番凄かった!
キャストの吐息、効果音、劇伴、とにかく全ての迫力が我が家で観るとでは段違い!
その素晴らしい作画と相まってまるで2015年今日の新作映画を観ているような気分にすらなりましたねb
名作は色褪せないってこのことか!と


岩田光央さんのトークショーにも参加しました
オーディションには大友克洋先生に一目会いたい、という軽い気持ちで参加されたという岩田さん
一時期は事務所の方針で声優としての仕事が無かった岩田さんに『ここはグリーンウッド』や『アンジェリーク』での起用がされたのには、金田というキャラの人気が絡んでいたんじゃないか?と仰ってました


オーストラリアに奥さんとダイビング旅行に行った時、現地人に「日本人ならAKIRA知ってるか!?アレは凄い映画だぞ!」と本人とは知らずに英語で力説されたというエピソードは笑えましたw
ラジオCMの仕事をした時にイケメンディレクターに、行きつけの美容室の美容師に、それぞれAKIRAのファンだと言われたこともあるそうな


『トップ2』の時に山賀博之さんが日本中のクリエイターが会社の垣根を超えて一致団結したのは後にも先にも『AKIRA』だけ、と仰っていたとのこと
しかし当時のアニメアワードを『トトロ』に取られた時は悔しかったそうなw
(真逆の作品ですよねwその後『トトロ』を観て素直に感動したそうですw)
取り調べ中の金田の「アハwアハアハw」という変な笑い方とリュウ達に拘束され「聞くは一時の恥って言うでしょー?」の直後の「言わない?w」は岩田さんのアドリブだそうです


プレスコでは玄田徹章さんがキャスト達のリーダーシップを取られ、共演者の演技の中では佐々木望さんの鉄雄そのまんま感が特に印象的だったらしい


『宇宙戦艦ヤマト』ファンであるから『2199』のようなリメイクには感動したが、『AKIRA』はリメイクして欲しいとは思わない、現代でも十分通用するから、とも
ちなみに【ゲーム版は無かったことに】と言ってましたね(爆)
暴力的な描写が目立つ作品ですが自分の息子には観せたい?と質問されて、自分で観たいと言うまで放っておく、とお答えしてました


若い自分の演技を暫く直視出来ず、30年近くなってやっと普通に観れるようになってきた(笑)とも
ご家庭で観るときは【DVDではなく是非BDの画質で】ともオススメしておりましたね


会場と一緒に「さんを付けろよデコ助野郎!」「やっとモーターのコイルが暖まってキタぜ!」と言ってくれたのには興奮してドキドキしました
(それと「ピーキー過ぎてオマエにゃ無理だよ」もw)


この度は一生の思い出になるとても楽しい時間を過ごせましたこと、関係者様各位には深く感謝を致しますm(__)m
またこういった楽しい機会を「あにこれの」というカタチで過ごせたら嬉しく思います
2015/11/21 新宿テアトル
2015/12/5 川口スキップシティ

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

天才的なSF発想の塊です。人間鉄雄にも注目すべきでしょう。

 金田のバイクってバックができるんですよね。モーターと言っていながらエンジン音がするのでハイブリットなのでしょうか。まず、このバイクのデザインだけでもゾクゾクします。AKIRAという映画でもっとも印象的なこのバイクは金田という男の強さの象徴でした。

 孤児院らしきところで友達になった金田と鉄雄でした。金田の側からみた鉄雄は守るべき存在であり、大切に思っていたのだと思います。一方で金田は鉄雄の憧れでありコンプレックスでもありました。鉄雄の金田のバイクに対する執着を映画ではかなり描写していましたので、これが一つの主題だと思います。力を得た鉄雄は不幸な過去を持つが故に、歪んでいったのでしょう。
 それでもカオリという彼女に対しては最後まで愛情を持ち続けていました。最後にカオリが危険になったときの鉄雄の反応は、途中でカオリが酷い目にあっているときの反応と一緒でした。
 ただ、{netabare}最後鉄雄は自分でカオリは殺してしまいます。金田は鉄雄を助けようとして、鉄雄は金田に逃げろと叫びます。{/netabare}非常に切ない話でした。コミック版よりも鉄雄自体の行動原理はわかりやすかったともいえます。

 あとはアキラの他3人の超能力者たちの因縁を映像の中だけで済ませていたのは良かったと思います。

 人間の描き方では、ケイと金田の気持ちの通じ方がちょっと急だったかなあという気がしますし、ケイも能力を貰って活躍しますが、このケイについては映画版の脚本の弱いところだったと思います。

 全体的なストーリーは、退廃した東京で、超能力者の拉致とテロ、反政府デモが絡んで鉄雄が超能力に覚醒するストーリーですが、事件そのものは鉄雄が大暴れるだけです。

 ただ、物語の密度がすごくて2時間程度の映画なのに、一つの作品世界にどっぷりつかった疲労感が半端ではないです。
 
 本作はSF的な発想と表現がすごいわけです。ネオ東京という発想、その街の風景や夜景、バイクで荒廃した高速道路を走り鉄パイプで戦う、斜めに地下深く降りて行く巨大エレベーター、老人のような少年少女、アキラを閉じ込めていた地下のパイプがうねるドーム、子供部屋のような実験施設、攻撃衛星、レーザー兵器、飛ぶ攻撃兵器などどれをとってもSF的発想のオンパレードでした。いや、発想は過去にあったかもしれませんが、デザイン、映像化したところがすごかったです。

 今や日本のあらゆるSF映像に影響を与えていると言えるでしょう。例えばどう考えてもエヴァンゲリオンは影響されていますよね。ただ、仕方ないと思います。童夢で有名ですが、超能力で飛ばされた人間が壁にぶつかって窪んでひび割れる表現を初めて発想した人です。大友克洋はビジュアル化の天才としかいいようがありません。

 また、アニメの演出なのかもしれませんが、バイクに乗って鉄パイプをアスファルトにつけて火花を散らすシーン。翌年ブラックレインが公開されますがひょっとしたら影響を与えたのかもしれません。アメリカでのAKIRA人気を考えるとあり得るでしょう。

 こういう考察をするといくら文字を重ねても語り切れませんのでこれくらいにしますが、さすがのAKIRAとしか言いようがありません。

 ただ、初見でいきなりこのアニメだとSFリテラシーの関係でポカンとなる人もいるかもしれません。SF慣れしてない人は先に原作を読むことをお勧めします。

 なお、音楽も青森ねぷたまつりのラッセラーを使うのはすごかったですね。パーカッションはエスニックで。魂の中の呪術的というかプリミティブな何かを揺さぶられるようなすごい音楽でした。

 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

73.7 14 sfで漫画原作なアニメランキング14位
最終兵器彼女(TVアニメ動画)

2002年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (761)
4692人が棚に入れました
北海道の田舎町で暮らすシュウジとちせ。
ちせは以前から興味を持っていたシュウジに度胸試しとして告白、そのぎこちない交際は交換日記から始まった。
そんなある日、謎の敵に札幌市が空襲される。攻撃から逃げるシュウジが見た物、それは腕を巨大な武器に変え、背から鋼鉄の羽根を生やした兵器と化して敵と戦うちせの姿であった。
国籍不明の軍隊との戦争が激化していくにつれちせは兵器としての性能が向上していくが、故障をきっかけに肉体も精神も人間とは程遠いものとなってしまった。
二人のクラスメイトのアツシは、以前から想いを寄せていたアケミを守る為に自衛隊に入隊。戦場へ赴いていた。
TVアニメオリジナルエピソードで、ちせの親友四人組の一人のゆかりは自警団の白人兵狩りに参加。銃を持ってタケの仇を討つ為、山狩りへ向かう。
そんな中、アケミは大地震に巻き込まれて大怪我をし、シュウジの目の前で死んでしまう。歪んでいく日常。シュウジは再度姿を見せたちせを連れて町を出るが…。

声優・キャラクター
石母田史朗、折笠富美子、三木眞一郎、伊藤美紀
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

愛について語るときに僕たちの語るべきこと

本作が公開されたのは2002年の7月だから、もう20年前の作品なんですね。
それでもいまなお『鬱アニメ』の代表格として語られる、
ある意味、大名作な『サイカノ』こと『最終兵器彼女』であります。

ちなみに僕はこの作品の本質が『鬱アニメ』だと思ってないのですが、
作品の捉え方は人それぞれ。
人さまの感想に文句言うつもりは毛頭ありません。


原作は『いいひと』などでおなじみ、高橋しんさん。
この方なんと、山梨学院大で箱根駅伝の最終区を走った人なんだとか。
もちろん『ただの頑張り屋さん』程度でハコネ出場はムリです。
  極限まで自分を追い込む。
  自分の弱さから目を逸らさず、その先にある自分に挑み続ける。
  結果を出すためのプロセスを徹底的に考え、貫きとおす。
そういうことが『あたりまえ』にできる方なんでしょうね、たぶん。
だからこそ、この作品が描けたのでは、と僕は思っています。


ちなみに、お話自体は至ってシンプルで、
アタマ痛くなるような細かい設定はありません。
どちらかと言うと、なさすぎ。

彼氏(シュウジ)の知らない間に、
軍(自衛隊)によって『最終兵器』に改造されていた彼女(ちせ)。
二人は北海道で平和な高校生活を過ごしていたのですが、
ある日突然に『最終戦争的な何か』が起こり、
ちせは高校生でありながらも有事の都度、戦場に駆り出されていきます。

  刻々と悪化していく戦況。
  次々と死んでいく友人・仲間。
  彷徨い、すれ違い、間違っていく二人。
  壊れていくちせの心。
  束の間の平穏、残酷な選択、終わる世界。

最後まで『なにと、なぜ』戦っているのかは開示されません。
おおよそ『種明かし要素』がほとんどないまま、物語は終焉を迎えます。
その間、シュウジとちせを中心に、
戦禍に巻き込まれた罪なき人々の心模様と死にざまが、
物悲しくもリアルなタッチで描かれていきます。

ただし、戦闘シ-ンの『リアルさ』はいまいちです。

爆撃機が「セスナかよ」と言いたくなる高度で飛んでいたり、
大規模侵略なのに歩兵が防衛線も敷かずわちゃわちゃ市街戦していたり、
正直「なんですか、これ?」的なアレが目白押しです。

そういうところに引っかかる方々にとっては、
なんのリアリティもないちゃちなだぼら、に見えてしまうかも知れません。

ですが、本作のキモは、そういうところにはありません。
少なくとも僕のごときノンポリ小市民には、
登場人物それぞれの生きざまが圧倒的リアリティをもって迫ってきます。

  生きることの意味、死ぬことの意味。
  殺すことの意味、殺されることの意味。
  愛することの意味、愛されることの意味。

そんなことを喉元にナイフの切っ先を突きつけながら問うように物語は進行していきます。
やがてそのナイフは地面に叩きつけられ、
   あとは自分で考えろ、
と、すべての解答を留保したまま真っ白な幕が降ろされて、
いたずらな心象風景に過ぎない大団円に至ります。

その問いに真摯に向き合えなかった方にとっては、
本作はやっばり『何の救いもない鬱アニメ』ではなかろうかと思います。

もちろん高橋しんさんはそんな作品を描いたつもりはないのだろうけれど、
伝わらないものは伝わりません。
世の中の『思い』と呼ばれるものの多くがそうであるように。

そうではない人たち、この作品にきちんと向き合おうと決めた人たちは、
見たくもない自分と向き合い、
思い出したくもない自分を思い出し、
あえてうやむやにしてきた自分を現実的な言葉に置き換えることによって、
  「しんさん、きついっスよ」と、
自嘲的な笑みを浮かべながら言うことになると思います。

  もちろんその「きつさ」は鬱的なきつさではなく、
  人生という長距離区間を『前を向いて』走り続けるにあたって、
  避けては通れない上り坂みたいなものなのですが。


僕的な作品のおすすめ度は、けっこう限定的なAランクです。

限定的な、というのはかなり古い作品であることが最大の要因です。
映像、演出、芝居、音楽、脚本、
全てにおいて現在のアニメと比べると古くさく、
アスペクト比がワイドになっているのが唯一の救い、みたいな感じです。

根底に流れているのは普遍的な人間哲学みたいなものなんですが、
そこにたどり着く前、
二、三話ぐらいで表層的な古さにやられちゃう方、けっこういるかもです。

もちろん、萌え的なナニを期待している方にはおすすめできません。
かなりストレートな性描写もありますが、
あれで萌えられる人、感性が尖りすぎではあるまいかと。
あと、現実から逃避したくてアニメを見まくっている方にとっては、
まるっきり鬼門ではなかろうかと愚考いたします。

そうじゃない、そんなんじゃない、
オレは愛だの死だの戦争だので高橋しんと正面からぶつかりたいんだ、
そういう方は、夕日をバックに高橋さんとがっちり握手ができそうです。


映像は、いいカットはもちろんすごくいいのだけれど、
やっぱいかんせん古いかなあ、と。
人物作画も安定しておらず「えっと……誰?」的カットが少なくありません。
ただし、戦争の悲惨さを伝える、目を背けたくなるようなカットには、
アニメータ-の魂、宿っています。


キャラクターは、デザイン的にアクが強いので好みがわかれるかと。
僕はというと、キツネ目男子、好きくありません。
女子のビジュアルも、萌えるには難易度けっこう高めかも。

あと、ほとんどの登場人物が胸くそ悪い『間違い』を犯すので、
戦時という特殊状況下にあることを意識し続けないと、
いろんなところでいろんなことを見誤ってしまいそうです。
{netabare}
  『愛』と『自己愛』の狭間で間違え続けるシュウジ。
  『罪悪感・自己否定』の中で自分を肯定しようとし壊れていくちせ。
  『愛』と『性愛』の境界線からあえて目を逸らすふゆみ先輩。
  『自己犠牲』の奥に、ありもしない自己救済を求めるアケミ、アツシ。
  『投影・代替』によって恐怖や寂しさを紛らわそうとするテツ。
{/netabare}
彼らを否定・糾弾することはすごく簡単ですし、
あるいは人によってそのことに愉悦を感じるかもしれませんが、
僕にはちょっとできそうにありません。
彼らが『鏡に映った自分自身』ではないと言える根拠みたいなものが、
どこをどう探しても、一つも出てこないんです。


お芝居は……う~ん……微妙、かなあ。
折笠さんの演じるちせはかなり凄味があると思うんですが、
シュウジ役の石母田史朗さんのお芝居が変にふわふわして接地感がなく、
素朴さの奥に『あざとさ』みたいなものを感じてしまいます。

三木眞一郎さんや伊藤美紀さんは「さすが」なんですが、
アケミ役の杉本ゆうさんも、実力のわりにピリッとしない感じですし。

北海道弁が演りにくかったのかも知れませんが、
『銀の匙』とか『僕だけがいない街』では誰もおかしくなかったし、
う~ん……演った本人に聞いてみないと、なんとも言えないです。


音楽は、OP・EDともに『まあまあ』としか言いようがなく。
両方ともきれいで聞きやすい曲なんですが、
作品の世界観をきっちり表現できているかというと、けっこう微妙。
挿入歌の『夢見るために』は、個人的に好きなんですが。
著名ア-ティストが歌ってたら大ヒットしてたかも的な名曲であります。


とにもかくにも、精神的消費カロリーの大きな作品です。
あまりココロに余裕のない時や、
どうせあたしなんて的な気分のときには視聴を控えた方が無難かと。

そうは言っても最初の数話は比較的軽めの展開になっております。
二、三話ぐらいまでを流し見て、
  はあ? ぜんぜんたいしたことないじゃん。
  フリ-クスってひょっとしてヤキ回ってんの? ばっかみたい。
みたく感じる方も少なくないと思います。

精神の奥底にアレなものを抱えておられる方は、
そのへんで引き返すのも一つの見識ではなかろうかと。

その先、真っ白でなにもないエンディングにまでたどり着いたとき、
  「ああ、きつかったけれど観てよかった」と思えるか、
  「間違った。失敗した。あたしは失敗した」と思ってしまうか。
その答えはあなたの内側にしか存在しておりません。

大丈夫、たとえ間違ったところで、
失うものはちょっとした時間とちょっとした精神エネルギーだけです。
濃い目のココアでも淹れて時間をかけて飲み、
気分転換に『リコリコ』とか『異世界おじさん』とかを見たりして、
ゆっくりとこっち側に帰ってきてください。


ほんとうに、僕たちはいろいろなことを間違えます。

  愛を語るときに『主語』や『目的語』を間違え、
  自分を大切にしましょう、という言葉の『意味』をはき違え、
  ありもしない『代償』を探して彷徨い、
  まるっきり違うものを宝物のように思い込んで後生大事に抱えこみ、
  放してはならないはずの手を放し
  涙する資格すらないことに、涙してしまいます。

そういう意味で僕は、

  本作のシュウジは僕たちであり、
  ちせもまた、僕たちであり、
  テツも、ふゆみも、アケミも、アツシも、ゆかりも、
  ちせに撃墜された名もなきパイロットですらも、
  鏡の向こう側にいる僕たち自身の姿ではなかろうかと思うわけです。


そうやって間違え続けながら走り切ったとき、
そこに何が待っているのか。
そんなことは誰にもわかりません。

なにも待っていないことの方が、ひょっとしたら多いのかも知れません。

ただ、道端にへたり込んで滴る汗をタオルで拭いながら、
空になったペットボトルを傍らにおき、
顔をあげて眩しそうな目で真っ青な空を見上げ、

  まあ、いろいろ間違えたけど、がんばったよな僕。

そんなふうに独りごとを言って、
誰に見せるでもなくにっかりと笑えたなら、
つらい思いをしながら走った甲斐はあるんじゃないかと思うのですが。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

名作だよ。。自分のパートナーを大事にしなきゃと思える、なまら切ない戦時下のラブストーリー(原作購読後の感想追加)

マンガ原作。略称はサイカノ。
2002年:GONZO制作でテレビアニメ化。
2003年:ゲーム化。
2005年:OVA化。
2006年:実写映画化。

~初見にて~
視聴の「☆はじめて記念☆」は2020年5月。
いつしか目にしたタイトル。結構有名な方じゃないかな。
でもロボット的な物語と思い込み手を伸ばしませんでした。。
こんな切ないラブストーリーだったとは。
(あまりジャンルで毛嫌いしない方がいいかもw)

■キャラについて。
原作に寄せているんだな、とは思ったものの、
最初、ヒロインのデザインはいかがなものかと思った。
でも、作画が安定したのか、自分が慣れたのか、観る内にどんどん可愛く見えてきた。
自分のツボである、応援したくなる美少女には合致。
というか、ちせの場合は応援したくなると言うよりも、かまってあげたくなるタイプ。これは応援したくなるよりも刺さったw

声は、心もとない感じや、たどたどしさが、とてもキャラにしっくりきて、まるでアニメキャラではなく、実際に存在する等身大の17歳の女子高生に思えて感情移入できた。
方言を使った演出も演技も良かった。
他のキャラがどうだろうと、ちせだけの出来で満点w

■設定やストーリーについて
シチュエーション、演出がけっこう刺さったw

~{netabare}
高校生活で初めてできたかわいい彼女。
(あ、自分の中では「センパイ」は彼女とは認識してないのでw
 まぁそうだとしても中学の話だし)
しかも、ドジっ娘で守ってあげたくなるタイプ。
「ごめんね」などのイントネーションも自分の地元に近いもので、キュンとくる。
その彼女が、自分で制御しきれない大量殺りく兵器だったなんて。。
自分ならどうするだろう。。
きっと、彼女を抱きしめ、励まし、「世界のみんなが敵になっても俺だけはおまえの味方だ」とか・・・
いや、高校生じゃ言えなかったかなw
そんな風に感情移入ができ、それが大きかったかな。作品の世界に浸ることができました。

自分としては特にシュウジが、ヒロインの相手役にありがちな、じれったさが少なかったのも良かった。そこで彼女を抱きしてあげようよ、とか、いっそ二人で逃げようよ、とか、結構思い通りの行動をとってくれたかと。
まぁセンパイとの絡みは、ちせとテツのそれに比べれば軽い方かと。

途中、二人が離れ、「クズの本懐」的な展開もあって、正直、感受性の強い時期にこれを観ていたら、自分も闇落ちしていたかも、と思うところもありました。
その辺がキツいと思う人もいるみたいですね。
でも結果的には、そのエピソードがあったからこそ、後半の二人の同棲や再会が、超盛り上がったので、大事なエピソードだったと思います。

救いのない物語とも思いません。
AIRとかに比べたら二人でいられるんだから救われすぎw
サイカノは結局世界は救い得なかったんだから、ちせが消えたり、ちせだけ残る物語よりは、受け入れられるかと。世界が救われる結末も、この作品ではちょっと違うと想うし。
(そういえば3話あたりでの「僕たちは手を話さなかった」とのセリフ、AIRに絡めたものではと思ったのは自分だけでしょうか。。)

でも終末後の世界でシュウジが生き続けるのか、死ぬとしたらちせはその後どうなるのかはちょっと気になる。。でもそれを想像する事も楽しめれば良いかと(^_^;
そういえばマンガで後日譚があったそうですが観てみたいですね。

ちなみにちせの声優、折笠富美子さん、「灰羽連盟」ではヒカリ(メガネっ娘)でしたw

さらにちなみに、唐突な設定を自分はどう捉えたか。。
・なんで、ちせなの?
→OVAで触れてて一応納得しました。
ここではネタバレになるのでそちらで(^_^;

・どんな兵器技術?
→昨今気にしてたら楽しめないので、気にしませんw
どっかで見つかったオーバーテクノロジーかなんかかとw
{/netabare}~

展開としては今や定番かも知れないけど、音楽や言葉の一つひとつが、ズンズン胸に響いて響いて。。
観終わって「君の名は。」の時と同じようなことを思った。。
自分のパートナーとの時間を大事にしなきゃ。

ちょっと重い部分もあるけどオススメしたい。
二話まで観ればどんな感じかわかるかと。

~原作購読後~
したっけ、ちょっとロス感があったしょや。
ブックオフオンラインを覗いたら、みっけたべさ。
「大人買い」ボタンをポチっとしてみたわけさ。
愛蔵版と外伝集をw

アニメは漫画と比べると、性描写がおとなし目だけど、ストーリーはほぼほぼ原作どおり。
やっぱ、ちさの声が聴けるのはかなりのアドバンテージだけど、漫画はデフォルメのちせが、めちゃカワイイw

(以下、アニメと漫画のネタバレ含みます)
~{netabare}
ちせ達が駆け落ちしてもHしなかった理由が何となくですが分かりました。それは、ちせが兵器に侵食され過ぎて、感じなくなっていたから。
これまで腑に落ちなかった点がスッキリしました。
ラスト近くで成し遂げる経緯は、やはりアニメで表現するのは色んな意味で難しかったんでしょうね。

別冊の外伝集にアフターストーリーがあったものの、求めていた内容ではありませんでした。
なので、自分としてはアナザーストーリーとして処理することにしましたw
{/netabare}~

原作を読んで良かったと思う反面、結局のところロス感が深まったのは気付かなかった事にしよう。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

ある意味「恐怖アニメ」でしょう。

2024.2.3(土)、なんで見ちまったかなぁ・・・。


原作は一部観ていた程度、内容はそこはかとなく認知していたレベル。
巷では「鬱アニメ」、「泣きアニメ」、いや「純愛アニメだ」などなど意見も分かれる作品ということも承知していました。

正直、原作者さまの他のマンガも別に好きとか得意とか言う訳でもなく、特に今作は心がザワザワしそうな気配をプンプン感じ、また自身としてもそれを強く自覚していたので見ないでいたはずなのですが・・・。


ついつい、観てしまいました。


ご存じのように、2024年1月1日、石川県能登地方を震央とする「令和6年能登半島地震」が発生いたしました。
さまざまな被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げ、再び日常を取り戻せるよう祈念いたします。

私の住まいする地域でも、経験したことのない揺れを体験し、軽微なものではありましたが家にも被害が出ました。また、日常生活をおくっているエリア、職場でも多くの被害があり、復旧作業で正月気分が吹っ飛ばされた思いでした。
能登地方の核心エリアほどでは無いですが、ニュースネタになる様な被害も散見されていました。

そして、能登地方。
さすがに、能登半島の先の方へは数回しか訪問したことは無いのですが、被災状況を報道等で拝見し、衝撃を受けたものです。
良く遊びに行っている能登島周辺あたりも、かなりの被害の様です。
もちろん、現地に足を踏み入られる状況ではないので、実際の状況は解らないのですが、なじみ深い風景がどうなっているのか、そこに住まいする皆様がご苦労なさっている事に思いをいたすと、本当に心が苦しくなります。



もしかすると、こういった状況にも影響を受けて、作品に引き寄せられてしまったのかもしれません。

なんでもかんでも、レビューのネタにするのはよろしくはないと思うのですが、何故だか、そのように思ってしまいました。

さて、なに呑気にレビュー書いているんだ、とお叱りをいただくかもしれませんが、短く、書くだけは書いておきます。


今作は、レビュータイトルに書いたとおり、ある意味「恐怖アニメ」だと私は感じました。

もちろん、主人公のシュウジ、ちせを初めとして何人かの恋愛エピソードも描かれています。そして、それは実に人間らしく、思いか交差し入り乱れます。
極限状況の中での恋愛模様ももちろん大きなテーマの一つではあると思うのですが、私が感じたのは日常が徐々に浸食されていく恐怖です。

これは、今現在の私の心持ちも影響しているのだとは思うのですが、どうしようもない≒避けようがない≒「仕方ない」状況って本当に突然起こって、容赦ないという事実を突きつけていたと思います。

この当たり前の、本来、忘れたい≒忘れたふりをしていたい≒「考えたくない」を許さない不快感と恐怖は恐ろしいと思いました。

大切な人を失いたくない、大好きな人とずっといたい、ずっと平和に日常を過ごしていたい ⇒ 事実として無理だけど、それを突きつける人って嫌われますよね。
それを、この作品は容赦なくやっています。

作品中で何度も発せられる、

「仕方がない」
「ごめんなさい」

どうしようもない時に出てくるセリフです。
このセリフを発して、なお戦い、もがき続ける人間の強さを描く作品も多く、本作も何とか抗ってはいるのですが、諸行無常感が常に漂っています。
その作品の中で、何を描き、何を伝え、受け手はどう感じるのか。
なかなかに試される作品です。

こういう作品も、あってもいいでしょう。
唯一無二のメッセージと雰囲気をもっている作品だと思います。
でも見るのキッツいですよねぇ。
{netabare} (キャラ絵が苦手、得意じゃない、可愛くないwという個人の感想のせいもありますw){/netabare}
ここでそれを言うか。



最後に、報道映像ではありますが、いわゆるアニメ化された作品に登場する石川県内の舞台も酷い状況になっているのを見ました。
本当に、心が痛みます。
もちろん、作品舞台だけではなく、被災した皆様全ての復興、日常への回帰を今一度お祈りいたします。

皆さま、どうぞ、余裕がありましたら、復興、被災者のフォローアクションにお力添えをお願いいたします。


・・・私のエリアでは震度5強を体験いたしました。
ほんとうに、ほんとうにシャレにならん揺れでした。
自宅で、PCの前にいたのですが、モニタが飛びます、家がつぶれると思いました、一応、ダメなら仕方ないくらいの覚悟もしました。

どう気をつけてよいかもわからないかと思いますが、お気をつけて、備えることがあれば、備えておいてください。
私の日常は今のところ、かろうじて踏みとどまってくれましたが、一瞬でぶっ壊れる危機を感じました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

67.1 15 sfで漫画原作なアニメランキング15位
ワールドトリガー(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (559)
2939人が棚に入れました
異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!? 最新型SFアクション!

声優・キャラクター
村中知、梶裕貴、田村奈央、中村悠一、田中秀幸、岡本信彦、福山潤、釘宮理恵、前野智昭、花澤香菜、森田成一、草尾毅、藤原啓治、石川界人、緑川光、佐々木望、小堀友里絵、柳田淳一、古川登志夫、島﨑信長、中博史
ネタバレ

沙祈 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ワールドトリガー

ある日突然、異世界のゲートが三門市に開いた。
ゲートからは近界民(ネイバー)と呼ばれる怪物が現れ、地球上の兵器が効かない怪物達に誰もが恐怖したが、突如現れた謎の一団が近界民を撃退した。
彼らは、界境防衛機関「ボーダー」として、わずかな期間で巨大な基地を作り上げ、近界民に対する防衛体制を整えた。

それから4年後、中学生のボーダー隊員の三雲修は転校生の空閑遊真と出会う。
その少年はボーダーの人間にのみ携帯を許される「トリガー」と呼ばれる武器を持っていた。


Cast(長いので後半折りたたみ)
主人公
三雲修(梶裕貴)/空閑遊真(村中知)・レプリカ(田中秀幸)/雨取千佳(田村奈央)/迅悠一(中村悠一)

A級・玉狛第一
木崎レイジ(前野智昭)/小南桐絵(釘宮理恵)/烏丸京介(福山潤)/宇佐美栞(中尾衣里)

A級・嵐山隊
嵐山准(岡本信彦)/木虎藍(花澤香菜)/時枝充(粕谷雄太)/佐鳥賢(根本幸多)/綾辻遥(三上枝織)

A級・草壁隊
緑川駿(森下由樹子)

A級・三輪隊
三輪秀次(森田成一)/米屋陽介(岸尾だいすけ)/奈良坂透(織田優成)/古寺章平(高戸靖広)/月見蓮(一木千洋)

A級・風間隊
風間蒼也(緑川光)/歌川遼(三浦祥朗)/菊地原士郎(菅沼久義)/三上歌歩(豊嶋真千子)


ボーダー本部上層部
城戸正宗(桐本琢也)/鬼怒田 本吉(塩屋浩三)/根付栄蔵(島田敏)/唐沢克己(竹本英史)/忍田真史(草尾毅)

ボーダー玉狛支部
林藤匠(藤原啓治)/林藤陽太郎(浦和めぐみ)

A級・太刀川隊
太刀川慶(浪川大輔)/出水公平(石川界人)/国近柚宇(庄司宇芽香)

{netabare}A級・冬島隊
冬島慎次(置鮎龍太郎)/当真勇(岩田光央)

A級・加古隊
加古望(渡辺美佐)/黒江双葉(ゆかな)

B級・東隊
東春秋(浜田賢二)/小荒井登(浅利遼太)/奥寺常幸(小川慎太郎)/人見摩子(金香里)

B級・鈴鳴第一(来馬隊)
来馬辰也(高塚正也)/村上鋼(野島裕史)/別役太一(増尾興佑)/今結花(鎌田梢)

B級・諏訪隊
諏訪洸太郎(沼田祐介)/堤大地(徳山靖彦)/笹森日佐人(畠中祐)/小佐野瑠衣(吉川未来)

B級・荒船隊
荒船哲次(竹本英史)/穂刈篤(泰勇気)/半崎義人(成瀬誠)/加賀美倫(柚木涼香)

B級・那須隊
那須玲(桑島法子)/熊谷友子(庄司宇芽香)/日浦茜(一木千洋)/志岐小夜子(広橋涼)

B級・柿崎隊
柿崎国治(田中大文)/照屋文香(のぐちゆり)/巴虎太郎(井野優)

B級・二宮隊
二宮匡貴(諏訪部順一)

B級・海老名隊
武富桜子(水沢史絵)

B級・茶野隊
茶野真(高岡香)/藤沢樹(庄司宇芽香)

C級
夏目出穂(今野宏美)/新三バカ(金本涼輔/新井良平/半田裕典)

S級
天羽月彦(代永翼)

その他
空閑有吾(田中秀幸)/雨取麟児(野島裕史)/春川青葉(三上枝織)/三雲香澄(前田愛)

アフトクラトル
ハイレイン(佐々木望)/エネドラ(古川登志夫)/ランバネイン(柳田淳一)/ヴィザ(中博史)/ヒュース(島﨑信長)/ミラ(小堀友里絵)

三門市立第三中学校3年3組
水沼(庄司宇芽香)/一之瀬(中尾衣里)/二ツ木(小堀友里絵)/三好(半田裕典)/四ツ谷(新井良平)/三バカ(岩田光央/根本幸多/三浦祥朗)

アニメオリジナル
ゼノ(阪口大助)/リリス(能登麻美子)/ギーヴ(櫻井孝宏)/カロン(玉川砂記子)/ラミア(玉川砂記子)/武田心愛(Pile){/netabare}


主題歌
1話~23話/ソナーポケット「GIRIGIRI」
24話~47話/AAA「アシタノヒカリ」
48話~/Pile「ドリームトリガー」



毎週ジャンプで楽しみにしている作品の一つ。一挙放送があったので60話まで視聴。録画できないので泣く泣く視聴を断念。
アニメ化早すぎた気がする。ストック溜めて二期やってほしい。

アニメオリジナルは、メインの集団戦がなくなっていてちょっとがっかり。主人公の三雲修と嵐山隊の木虎の性格が変わった気がする。48話だけ作り直して欲しい。
原作では観られない戦闘シーンがたくさんあるのは、よかった。けど三輪隊だけじゃなく他の隊の活躍も1話丸々やってほしい。

↓各話感想
1話 異世界からの来訪者
{netabare}説明がちょっと長い。
遊真の声違和感ある。
(=3=)←アニメだと違和感あるけど原作のこの顔好き。
レプリカ先生の声も違和感ある。
修と遊真の初の出会い
三馬鹿うざったいな。
トリオン体に換装するシーンに変身バンクがあるのか。
遊真の変身バンクはないのか…。{/netabare}

2話 近界民とトリオン兵
{netabare}金持ちユーマ。狙われそう。全てが丸く収まった。
車にはねられた(2回目)。
3馬鹿また出た。
学校にトリオン兵登場。{/netabare}

3話 三雲修の実力
{netabare}修が20人いないと…。修弱い。
嵐山隊!!赤い隊服に違和感がある。
C級の訓練用でもトリオン兵、真っ二つ。さすがユーマ!
英雄扱いの修。遊真が話を盛っていく…。
嵐山は兄妹大好き。{/netabare}

4話 A級5位・嵐山隊の木虎藍
{netabare}写真撮られて、嬉しそうな木虎。
修と木虎って同い年(15歳)なのか。
遊真のトリガー便利。{/netabare}

5話 実力派エリート・迅悠一
{netabare}イルガー自爆。
迅さーん!!緑川ここでも出るのか。
朝アニメだから迅さんのセクハラはなしか。
指令の声ちょっと軽い気がする。
露骨な尺稼ぎ。{/netabare}

6話 雨取千佳のサイドエフェクト
{netabare}千佳の回想。
遊真はどこに住んでるのだろう…凄く気になります!
原作の「ぼんち揚げ」がアニメだと「あげせん」になっている…。一度コラボしたのに残念。
ボーダー隊員がいたからゲートが開いた。数千体って多い。
数の力は偉大だな。

千佳と遊真の出会い。
自転車が川の藻屑になるとこだった。
B級・修の活躍シーン!
予告の作画ちょっと崩れてた。{/netabare}

7話 三輪隊の強襲
{netabare}レプリカは、指輪から出入りするのか。
千佳のトリオンでかい。修の何倍だろう…。
ユーマvs三輪隊。
嘘を見破る時、瞳孔が黒くなる遊真。
迅さんちゃっかり見てた。
戦闘シーンの作画は良好。{/netabare}

8話 ブラックトリガー
{netabare}反撃しない遊真。
レプリカ先生の説明の時の動きとSE可愛い。
技のコピー!ブラックトリガーだからな!
三輪さん逃げた。シスコン三輪。
驚きの白さ・おにぎり。{/netabare}

9話 ボーダーという組織
{netabare}ネイバーがさらった人の説明。
支部長いい人。
迅さんお尻が好きなのか。
遊真のお父さん、いい教え。
迅さん可哀想。{/netabare}

10話 玉狛支部
{netabare}玉狛支部へ。お試し期間。
雷神丸と栞ちゃん可愛い。
小南はまだか。
侵入者?出前かな?
迅のサイドエフェクト便利。
遊真の過去・前編。
講座で雷神丸が気になる修可愛い。{/netabare}

11話 それぞれの決意
{netabare}遊真の過去・後編。
敵兵強い。いい父親だった。3年も戦っていた。
遊真に目的を…!
3人のチーム!{/netabare}

12話 玉狛のA級隊員
{netabare}陽太郎のエア朝食可愛い。
栞ちゃんのありがたい解説。なぜカエルなのか。
小南先輩キター!!!
とりまる!!声のイメージが違う…。
あと3日でA級帰って来る。
千佳の変身バンク!{/netabare}

13話 ボーダートップチーム
{netabare}美味しそうな朝食。
風間さん登場!
修は、今後に期待。
修だけ掃除…。映画を真似た…。効果なしです!
カルタ。…カピバラに負ける修。
死ぬなー修!!{/netabare}

14話 NO.1アタッカー・太刀川慶
{netabare}トリガーの説明。
作画崩壊激しいけど出水先輩カッコいい。
迅さん強い。迅さんのライバル太刀川さん!
風刃!プランB!{/netabare}

15話 ブラックトリガー・風刃
{netabare}ブラックトリガーもベイルアウトはついていない。
ガンナー用トリガーの説明。
足負傷の二人。
木虎は人の頭かじるのか…?{/netabare}

16話 動き出す未来
{netabare}レッドバレット当たれば便利そう。
メテオラ綺麗。
嵐山隊もブラックトリガーも強い。佐鳥可愛い。
会議に迅侵入。風刃と遊真入隊を賭ける。
眼鏡3人。似合わない小南。
嬉しそうな太刀川ちょっとかわいい。
眼鏡をかけてない姿は見せられない栞ちゃん。{/netabare}

17話 ボーダー正式入隊
{netabare}正式入隊!!4000ポイントでB級昇格!
新3バカだ。0022に見えたけど2200ポイントか。
いきなり戦闘訓練。修は失格。
遊真0.6秒からの0.4秒
佐鳥こんな顔だったかな…?
アイビスと千佳。基地を貫いた!
風間vs修。{/netabare}

18話 三雲修VS風間蒼也
{netabare}カメレオンやられると勝負にならない。
20回以上負けた修。ラスト1戦!!
嵐山なんで隠れてるんだろう。
ゼロ距離射撃!引き分け!!大金星!
責任は全て佐鳥行き。{/netabare}

19話 ランク戦!緑川駿の策略
{netabare}おじぎする時のSE可愛い。
新3バカトリオ瞬殺☆
硬貨がおもちゃみたい…。
久々の緑川。声可愛い。ギャラリー増えている。
いつも修は何も知らない。
全敗。遊真怒ってる。{/netabare}

20話 激突!遊真VS緑川
{netabare}陽仲間。YO!
緑川いい顔になった。
やっと言えて嬉しそうな修。
久々のレプリカ先生。{/netabare}

21話 近界民の世界
{netabare}惑星国家の地図が綺麗。
会った事のある人物しか未来は見えない迅さん。
アフトクラトルには、13本のブラックトリガーが!多い。
千佳の声がハム太郎に似ている気がする。
炊飯器と間違えられたレプリカ。
大規模侵攻編スタート。{/netabare}

22話 大規模侵攻開始
{netabare}ゲート多すぎ!
人気者になった修。
敵兵多い。新型トリオン兵ラービット!形が可愛い。
諏訪さん食われた。{/netabare}

23話 神の国アフトクラトル
{netabare}修の方にも新型が。
嵐山隊強い。
本部が狙われている。
講座の修くん恥ずかしいミス。{/netabare}

24話 玄界の雛鳥
{netabare}新3バカまだ出番あった。ダストシュート失敗って、かっこ悪い。
天羽強すぎ。もっと出て来てほしいな。
修 vs モールモット。
やしゃまるシリーズ面白い。強くなった修。
ラービット3匹!?
狙いはC級隊員。木虎捕まった。
いいとこで終わった…。{/netabare}

25話 ボーダー最強の部隊
{netabare}出穂カッコいい。
ボーダー最強部隊!!
人型ネイバー来た。ヒュース可愛い。
茶野隊弱いのに、でしゃばる…。
荒船隊来た。
小南先輩、モールモット瞬殺!!{/netabare}

26話 激闘!エネドラVS風間隊
{netabare}千佳のあらすじ!
風間隊のオペレーターだった頃の栞ちゃん。
菊地原のサイドエフェクト便利。
風間先輩が負けて、風間隊撤退。
天羽に任せたとこが更地になっていく。
最悪な未来は眼鏡君が死ぬ…。{/netabare}

27話 反撃のボーダー
{netabare}忍田さんのあらすじ。EDがOPに。
ランバネイン強い。
緑川が足一本とった!
米屋先輩とランバネインどんだけ叫ぶの…。{/netabare}

28話 星の杖の使い手
{netabare}人型1人倒した!!
基地に侵入された。
国宝オルガノンの威力やばい。
レイジさん…。最後カッコいい。
エネドラのせいで、本部のドアが開かない!!
千佳のサイドエフェクト知らないのか…とりまる。
迅さん飛んできた。遊真!!{/netabare}

29話 運命の分岐点
{netabare}最初は総編集。支部長どこ行くんですか…。
弾が視えないって言ってるのに避ける迅さん凄い。
諏訪さん復活した。
仮想戦闘モード!!{/netabare}

30話 敵将ハイレイン
{netabare}あらすじ木虎。
諏訪さん頭いい。
ラービットまだ7体もいるのか…。
トロポイっていずれ出てくるのかな。
合流するA級!修じゃ弱い。千佳と臨時接続!!
久々の木虎。作者の自画像キーホルダー可愛い。
威力がおかしいアステロイド。
トリオンの鳥!当たるだけでキューブになるチート能力…。
千佳が…。
講座のとりまる先輩なんでボケようとするんですか…。{/netabare}


1話~12話 2016/1/14視聴 ニコ生アンケート↓
とても良かった:88.7%/まぁまぁ良かった:9.1%/ふつうだった:1.3%/あまり良くなかった:0.2%/良くなかった:0.7%

13話~24話 2016/1/14視聴
とても良かった:93.9%/まぁまぁ良かった:4.6%/ふつうだった:0.6%/あまり良くなかった:0.2%/良くなかった:0.7%

25話~36話 2016/1/16視聴
とても良かった:95.7%/まぁまぁ良かった:3.3%/ふつうだった:0.5%/あまり良くなかった:0.0%/良くなかった:0.5%

37話~48話 2016/1/17視聴
とても良かった:92.2%/まぁまぁ良かった:6.3%/ふつうだった:0.7%/あまり良くなかった:0.3%/良くなかった:0.5%

49話~60話 2016/1/19視聴
とても良かった:85.2%/まぁまぁ良かった:10.5%/ふつうだった:2.5%/あまり良くなかった:0.8%/良くなかった:1.0%

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

いつかまた続きをやってくれるといいね

☆☆☆視聴開始時レビュー☆☆☆

週刊少年ジャンプ連載中の作品です
原作者の葦原大介はこの作品の前に
「賢い犬リリエンタール」でジャンプに連載を持っていましたが
半年ほどで打ち切りの憂き目にあい商業的にも散々な結果に終わりました
しかしジャンプがメインの購買層としているようなライトな層ではなく
コアな漫画通たちの間ではかなり話題になった作品でもありました
ちょっとファンタジックな世界観ととぼけた登場人物(および犬?)たちが
ドタバタコメディを繰り広げる中で
ときおりドキッとするような深いセリフが出てきたり
「大人も楽しめる子供向け童話」というような感じでした
私も大好きだったんですが応援すると同時に
これはジャンプで人気が出すのは無理なタイプの漫画で
おそらく長くは続けられないだろうなぁと薄々感じていました

ワールドトリガーでもそのどこか達観したような独特の人生観は
セリフの端々などに息づいてはいるのですが
作品自体はこれぞまさに少年ジャンプと言わんばかりの王道異能バトル
一般受けする形にうまく修正してきたとも取れますが
私には持ち味を殺して消費者にすり寄ったようにしか見えません
元々持っていたオンリーワンの一番魅力的な部分が損なわれて
典型的な量産品に成り下がった感じ
それでも十分に面白いとは思うのですが
熱狂的信者がつくような国民的漫画が並ぶ
天下の週刊少年ジャンプにおいてはせいぜい中堅レベルの人気です
それがなぜこんなに早くアニメ化されたのか不思議でなりません

最近TVアニメ化された、あるいは予定されているジャンプ作品をまとめてみました
         TVアニメ開始 原作スタート
ニセコイ     2014年1月  2011年48号
ハイキュー    2014年4月  2012年12号
暗殺教室     2015年1月  2012年31号
食戟のソーマ   2015年4月  2012年52号
ワールドトリガー 2014年10月  2013年11号

どの作品もきれいに2年と少しでアニメ化されている中
ワールドトリガーだけ1年半ほどでアニメ化されています
暗殺教室・食戟のソーマよりも後に開始されたにもかかわらず
その2作品より先にアニメ化を果たしています
爆発的な反響を呼んでジャンプの看板になりつつある暗殺・ソーマに比べると
ワールドトリガーは内容も売り上げもだいぶ地味
それがいったいなぜ先輩を押しのけてアニメ化されたのか?
……だれか知ってる人が居たら教えてください

ちなみに連載の方も読み続けているんですが
ボーダー隊員(あるいはネイバー)が増えすぎて
しかもいまいち少年たちの書き分けが上手くいってないため
顔と名前と能力が覚えきれなくなりつつあります

そんなわけでアニメは復習も兼ねて視聴している程度でして
今後のクオリティ次第ではアニメは切ってしまうかもわからない
でもなんとか時間が取れるなら完走するかもしれない
ワールドトリガーだけにまさにそんな境界(ボーダー)なかんじの作品です

☆☆☆おまけ(2015年10月4日追記)☆☆☆

{netabare}本日放送分からOPが変わり
ラブライブ!西木野真姫役のPileちゃんが歌っています
という事で久しぶりに日曜に早起きしてリアルタイム視聴しましたが
いつもAパート終わりにOP流すワートリですが
BパートどころかCパートが終わるまで引っ張って
最後の最後にOP流して締めやがりました
6:20から待機してたのにOP流れるのが6:55ってwww
話の内容的にも1話完結のオリ回だし
完全にPile様聴きに来た層を一人でも引き込もうという狙いですね
まんまとやられましたよ!{/netabare}

☆☆☆(2016年2月2日追記)☆☆☆

しばらくアニオリやってましたが
ようやく本編との合流を果たしましたので
アニオリ部分に関して雑感を書き留めておこうと思います

シナリオはワールドトリガーとしてみると
大分物足りない部分が多かったと思います
ただし放送時間帯からして完全に子供向けなので
ある程度仕方ないのかなぁという気もします
特にバトルシーンはオリ回以外もあまり面白くないですが
オリ回に間はいつも以上に単調な力押しが多く
爆発シーンでそれを誤魔化すだけの
天啓的な子供だましという感じになってしまっています

ストーリー展開は{netabare}リリスが人型トリオン兵なのを
子供でも分かりやすいようになのか知りませんが
かなり雑にヒントを撒いてバレバレの状態にしつつ
そっちに注意をひきつけておいたことで
その裏でうまくもう一人の人型トリオン兵を隠していたのは
なかなかうまくやっていたなぁと素直に評価できるんですが
そこくらいしか見どころが無かったかなぁ
{/netabare}

オリキャラに関しては{netabare}ゼノとリリスが結局最後まで好きになれませんでした
主人公チームが年齢の割に大人な考え方をする子たちなので
バランスを取る意味でも
子供っぽい思考ルーチンのキャラを増やすのは
間違っていないのかもしれません
でもそれを魅力的に描けるかどうかというのは
また別の問題なんですよね・・・
お子様向けアニメだから幼稚なキャラのほうが受けるだろう
くらいの感覚でやってるなら
ちょっと子供を舐め過ぎだと思います

どちらかというとギーヴとカロンの方が
キャラとしては面白かったように思います
人型トリオンだとネタバレした後のギーヴが
時折見せるトリオン兵らしからぬ人間的な行動と
収支おどけた口調のまま
サポート用の自立トリオン兵から
綺麗にラスボス的位置づけに収まったカロン
二人はその末路まで含めて
なかなか良い描かれ方をしていました{/netabare}

全体的にはパッとしない出来だったんですが
第60話:陽太郎の冒険
はなかなか良いオリ回でした
ぱいちゃんが歌だけでなく声も当ててる!
とかそういう理由ではありません(笑)

陽太郎はワールドトリガーという作品の中で
賢い犬リリエンタールの頃の葦原大介の作風が
もっとも色濃く出ているキャラだと思います
そんな陽太郎の魅力をとてもよく引きだせているのが
あの回だったと思います
あの回が面白いと感じた人は
リリエンタールを読んでみると幸せになれるかも?

☆☆☆最後まで観終って☆☆☆

最終話Cパートが無ければ終わったことに気が付かないくらい
おもいっきりぶつぎりエンドでした・・・

少年ジャンプ連載中の原作に追いつきかけて
場しのぎ的にアニオリを挟んで続けようとするも
アニオリが不評で視聴率が急降下
原作準拠に戻っても長く続かず
そのまま話の決着はつけずに打ち切りとなり
事情なんか知らないメインターゲットの子供たちが絶望した
そんなアニメが大昔にもありました

その名もダイの大冒険・・・

幼かった頃の私が味わったのと同じ悲しみを
今の子供たちが味わっているのかも知れない(--;
上の方でも書いておいたけど
この作品はアニメ化までが異常に短かったから
原作ストックが尽きるまでも短かったように思います

ワートリが終わった枠で別のアニメが始まるなら
しばらくしたらワートリ2期のターンが期待できそうですが
アニメ以外の枠になってしまうようなので
こうなると2期は厳しいかもしれないなぁ・・・

そもそもこのアニメは途中から見ると
人間関係把握するのがスゴイ大変だから
数年経ってから再開しようとしても
1期を見ていた子供たちは
小さい子は既に覚えていないだろうし
大きい子は朝アニメを卒業している可能性が・・・

そんなわけで
2期はすごくやりにくそうな気がしますが
2期やってくれたら引き続き観ていこうと思います

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33
ネタバレ

プクミン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アニメオリジナル部分が、とても酷い

バトルアニメ、全73話。
このうち49話~63話が、アニメオリジナルらしいです。

それでは早速作品の設定部分から。
・ネイバーが敵。
・ボーダーはネイバーを迎え撃つ組織。
・トリオンと呼ばれるものを消費しながら戦う。ゲーム的にいうと「MPや魔力」みたいなもの。
・トリガーという道具を使い変身すると、体は『トリオン体』になり、超人的な身体能力になったり、トリオンから作られる武器を使用したり、体が傷を受けても痛みを感じなかったり(痛覚を感じる設定にも出来る)。
・ゲートから敵が現れる。
・サイドエフェクトと呼ばれる特殊能力持ちがいる。

ややこしいですが、見ている内に理解出来てきます。
基本的には、ネイバーが攻めて来るので、ボーダー隊員がこれと戦闘。
後は、主人公を中心に物語が進んでいきます。

主人公は4人いて、
[空閑 遊真]
ネイバーでありながら、ボーダーに力を貸す。
[三雲 修]
遊真と知り合い助けられ、彼の世話を焼くことになる。過去に迅から助けて貰った事もあり、ボーダーへ入隊。
[雨取 千佳]
修が守りたい少女。
[迅 悠一]
ボーダー隊員で自称「実力派エリート」。未来を見るサイドエフェクトを持っている。

で、主人公が4人となっていますが、修が特に中心となって物語が動きます。ただこのキャラ、嫌いなんですよ。
一応人気投票を見ると、なぜか1位に!!
取り合えず修が嫌いなんで、彼の嫌いな部分をあげていこうと思います。
{netabare}
・弱い癖に、やたらと態度がでかく偉そうな口ぶり。
・自身の実力が無い癖に、「守る」だの「絶対」だの言うが、自分では何もやらず他力本願。
・戦闘面で弱いだけでなく、精神面も弱い。
・ちょっと強くなったら直ぐ調子に乗って、周りの迷惑を顧みない。
・周りに逃げろと言う癖に、周りから逃げろと言われても自分は逃げない。
・自分や友達の目的を叶える為なら、国や他の人がどうなろうとかまわないという迷惑精神。
・周りから色々教わるも、それがほとんど身についていない。
{/netabare}
というところですね。

次にボーダーの仕組みについて少々。
A級は30名程度、B級は100名程度、C級は400名程度で訓練生。
B級以上は正規軍となっており、トリオン体が破壊されると自動的に緊急脱出(ベイルアウト)機能が備わっている。自身でベイルアウトを行う事も可能。
訓練生であるC級はベイルアウト機能は付いておらず、外での戦闘は禁止されている。
主人公の一人である修は、このC級隊員。

作品の内容について。
{netabare}
遊真と修が野外で不良に絡まれるが、そこにネイバーがやってきて、修がトリガーを使用。しかし敵にやられそうになったところ、遊真もトリガーを使い敵を倒したところから物語が進みます。
ただ遊真のトリガーは父親から貰ったもので、ボーダーのものでは無い。
更に遊真自身がネイバーであり、彼の口から攻めて来た敵はネイバーが作った「トリオン兵」と呼ばれるものだと言う。

その後、学校付近にトリオン兵が現れ、ボーダー隊員の到着を待っていると生徒に被害が出ると判断した修がトリガーを使用し交戦。遊真の助けもあって、被害者を出さずに済むが、規則違反という事で本部から処罰を受けそうになるも、迅の助けもあり処罰は免除され、代わりに市民を守ったという功績でB級隊員となる。

遊真がネイバーだと知られ、ボーダーと交戦となるも、彼はそれを退ける。遊真の使用しているトリガーは「ブラックトリガー」と呼ばれる、トリガーの中でもかなり貴重で強いトリガー。
それに目を付けたボーダーの総司令が、これを強奪しようと企む。
しかし、迅がそれを阻止しようと、ボーダー同士での戦闘に発展。
何とか迅達が勝ち、その後の交渉で迅の持つブラックトリガーを本部に返す代わりに遊真をボーダーに入れる事になる。

更に、千佳は大量のトリオンを持っており、トリオン兵を引き付ける体質にある為、ボーダーに入る事でこの危険を避ける事にした。
こうして、修を隊長とし、遊真・千佳の3人でチームを組む事になる。

遊真・千佳は、入隊したばかりなのでC級からスタートとなるが、個人戦やら何やらでポイントを稼ぎ、B級を目指す。
修は最終的にA級を目指し、そして遠征組に参加する事を目標としている。
その理由は、千佳の友達や兄がネイバーにさらわれただけで、まだ生きているかもしれないからというもの。

そんな中、ネイバーの大規模侵攻が発生し、総力戦になる。
千佳が大量のトリオンを持っている為、いきなり狙われる事となる。
そんな彼女を無事に逃がす為に修が同行するも、彼女の力を借り、敵に一撃を与えようと交戦した結果、千佳は敵の攻撃を受ける事になり危険に晒される。
更に修を守る為に、遊真の所有していた自立型トリオン兵も失う。

色々あって何とか危機を脱するも、修は重傷を負う。
その間に遊真と千佳はB級に上がり、B級ランク戦を行う。
修も復帰し3人でランク戦に臨む。

ここから問題の49話へと突入。
どこら辺が問題かというと、
{netabare}
49話:修「大規模侵攻以来の実戦」48話でも戦ってたよねw
53話:城戸「絶対に市民に被害を出してはならん」学校が襲われた時、市民を見殺しにしてでも規則重視だった奴が言う台詞とは思えない。
54話:修「こういう事を人に言うのは生まれて初めてだ。でもゼノ、お前の考えは、最低だと思う」お前は、他世界から流れて来た奴を理由なく匿っておきながら、そんな事言うのかよ!!修、お前がやろうとしている事は、もしかしたら地球全体を巻き込む大事件になるかも知れないのだぞ?
{/netabare}
と、かなり違和感を覚え調べてみたところ、49話~63話がアニメオリジナルの『逃亡者編』というものらしい。
道理で色々おかしいと思った。
ついでに日本語もおかしいと思った。
何でもかんでも「卑怯」という単語で片づけているのもおかしい。卑怯の意味を取り違えているのか、使い方が間違っている。

酷い逃亡者編も終わり、64話。
逃亡者編なんて無かったかのようにあっさりストーリーから切り離され、再びB級ランキング戦。
そこで修は自身の無力さを知る。
更にそこで初めてのランキング戦敗退。
どうにかしてチームを強くする事が出来ないか模索した結果、修だけでなく千佳も自身に出来る事を見つけ、「俺達の戦いはこれからだ!」的な感じで73話が終わります。
{/netabare}

続きが気になるところでアニメは終わりましたが、アニメオリジナル部分と修のうざさ以外は、普通に楽しめる作品でした。
問題点は、1話1話にそれぞれ前回のあらすじ的な感じで、時間が取られる事により、ストーリーの進む速度はやや遅め。
更にバトル重視の為か、作画に難あり。

これらを問題視しないで視聴出来るなら、楽しめる作品だと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

71.2 16 sfで漫画原作なアニメランキング16位
トライガン [TRIGUN](TVアニメ動画)

1998年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (320)
2274人が棚に入れました
砂だらけの荒涼たる大地、容赦無く照りつける二重恒星からの日差し……ここは5つの月を従えた砂漠の星。人々は荒れた大地にしがみつき、血と汗で大地を湿らせながら細々と生きている。そのささやかな暮らしも、荒くれどもが銃をぶっ放して台無しにすることもある……ここはそんな世界。その過酷な世界に1人、赤いコートにトンガった金髪の、トラブルメーカーがいた。名をヴァッシュ・ザ・スタンピードという。彼は荒涼としたこの世界を放浪しながら、何かを探している。分かっているのは彼が凄腕のガンマンで、とてつもなくタフで、そして、筋金入りの平和主義者だということ。気のいい青年だが余りの傍迷惑ぶりに、付いた渾名が「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」。とうとう局地災害指定を受ける羽目になった彼には、保険会社からお目付け役が派遣される始末。しかし、彼には幾つもの秘密と、胸に秘めた決意があった。

しんばくん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

お人好しも大概にせーよ!(羨ましい・・・)【16.5/25.0】

物語:3.3 作画:3.2 声優:3.5 音楽:3.3 キャラ:3.3 【合計:16.5/25.0】                       (36.9)

ジャンル        :SF、ガンアクション
話数          :26話
原作          :内藤泰弘(漫画)
アニメーション製作 :マッドハウス
監督          :西村聡
シリーズ構成・脚本 :黒田洋介
キャラデザイン    :吉松孝博
音楽          :今堀恒雄
主人公声優      :小野坂昌也
OP           :「H.T」作曲・演奏 - 今堀恒雄
ED           :「風は未来に吹く」編曲・歌 - AKIMA & NEOS

参照元        :Wikipedia「トライガン」

【概略】
地球から遠く離れ、ホーム(地球)より遥かに巨大な大きさを持つ5つの月と人類が住むさらに大きな砂漠の惑星。二重恒星・高重力の過酷な自然の中でどうにか人々が暮している砂漠の星を舞台に、600億$$(ダブドル)の賞金首、「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」ことヴァッシュ・ザ・スタンピードが繰り広げるガン・アクション。 Wikipedia「トライガン」より

【特徴】
①主人公は悪人に虐げられている弱者を放っておけない性分。しかし悪人を殺す事はしない(不殺を心に誓っている)
②様々な登場人物の人柄を描きつつ、主人公に秘められた事実を追うストーリー
③ヒューマンドラマ色が強い
④主人公はひょうきんな性格なので常にシリアスでは無い

【長所】
①不殺の苦難に悩む主人公と主人公を支える人物の描写が丁寧

【短所】
①殆どの敵側登場人物の人物像について説明や描写が無く、小物が多い
②テンポが悪く、かさ増しに感じる回もある
③放送当時は普通のアクションシーンでも現在では地味に見える

【短評】 
 本作は個人的には悪い部分が目立ってしまったが、観るべきポイントを予め押さえておけば楽しめると思いました。楽しむポイントとしては、3つの短所を念頭に置く事で過度の期待は避けられると思いますので参考にしてください。また、楽しむ上では短所を頭に入れておく事より、長所①を観るべき点として更に重要だと思います。
 
 まず短所①。砂漠と化した荒涼とした世界に悪党が多数登場し、その殆どがチンピラ(小物)なのですが、その親分まで小物に観えてしまう事が多かったです。外見は明らかにボスと分かり、話が膨らみそうだと予想するが悉く大して膨らまず仕舞い。というのも大抵1~2話で片が付き、大仰な形の割りに人物像の掘り下げは無く、主人公に伸されてしまうからです。裏を返すと主人公が物凄く強いという事実は分かりますが、単純な勧善懲悪物の展開となっており、敵は長期連載アニメのオリジナル回と同様の使い捨てキャラ的配役でした。
 次に②ですが、①で述べた単純な勧善懲悪展開の話がどれも似たり寄ったりでかさ増ししているように感じました。その間に味方の心情を描いているのですが1話に1人しか焦点が合わず、冗長に感じました。この傾向は物語前半が顕著でした。
 次に③ですが、流石に時代のせいか派手な演出が出来なかったとしか言いようが無いです。昨今のアクション物では対象をぐるっと一周するなどの派手な演出が普通だと思うので、その感覚で見ると地味に見えてしまいました。なのでジャンルをガンアクションとして見てしまうと短所かなと思いました。

 冒頭で述べましたが、楽しむ為に短所を踏まえた上で更に重要な事は長所①です。主人公は一見明るくひょうきんに見えますが、その彼の笑顔に裏が有る事は明白です。この事は物語序盤の特徴①から容易に読み取れます。そこから仲間達が彼を想って後を追ったり、苦難に出会ったり、支えあったりしてゆく人間ドラマがある訳です。これが特徴②と③、そして長所の①です。

 総括すると、本作はガンアクションとして観ずにヒューマンドラマとして観た方が良いと思います。主人公も魅力的だが仲間も魅力的なので彼らが何を想ってどのように動くのかが一番の見所だと思います。

【思った事、及び蛇足】
『ガングレイヴ』は本作の系譜をたどっていると感じました。
何処がというのはネタバレになるので書けませんがそう感じました。

あと
多くの方のレビューに書かれていたヴァッシュの性格が明るいという事ですが
こんなに明るいと思いませんでしたw
シリアスとのバランスが良いのかもしれませんが
個人的にはもう少しシリアスな空気の方が良かったな。

OP曲は希少なインスト曲。
エレキギターぎゅんぎゅんです。
自分は好きですねー。
 
それとキャラデザイン。
観てないからあまり強く言えないけど
ワンピースの敵っぽいと思った。
肩がやたらデカイ辺りとか。

そこだけなんですけどねw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

目をそらすなよ。 君の今までの人生が、 どんな人々の思いの上に成り立っていたものか、 知らずにいられるほど、愚かでもないだろう。

原作が未だ終了していなかった為、アニメに際してはオリジナル要素を含んだ結末で話を終了させていますが、出来はかなり良いです。今堀恒雄さんの手掛けるOPは重厚なサウンドが心地良い感じで響き渡っており、素晴らしいものに仕上がっています。今ではすっかりメジャーなアニメ脚本家の黒田洋介の初期の代表作品でもあります。ちなみにタイトルは主人公ヴァッシュの私が作中で最も好きな台詞から引用したものです。

{netabare}主人公のヴァッシュは『不殺』の信念を持っていて、どんな状況であろうと、どんなに相手が外道でも、彼は不殺を遵守して戦いに望みます。ヴァッシュ自身の戦闘力は非常に高いものの、この主義が災いして、結果的に大怪我を負ったり、相手に苦戦を強いられるなどのケースもありましたが、それでも彼はその事について後悔を口にすることはありません。普段のヴァッシュのキャラは非常に明るくて、女好きの軽いノリのお兄ちゃんなのですが、真面目な所はバシッと決めます。声を担当している小野坂さんのメリハリとした演技が、ヴァッシュの良さを更に引きだたせていたといっても過言ではありません。

ヴァッシュだけでなく、超がつくほど個性的なウルフウッドを初めとする魅力的なキャラクター達。ウルフウッドはヴァッシュをも凌ぐ人気を誇っており、特に巨大な十字架を思わせる外観の異様な武器『パニッシャー』はそれだけで戦艦級の破壊力を持ち合わせており、ヴァッシュとはまた違った量で圧倒する戦闘スタイルは非常に見栄えのするもので、格好良かったですね。ヴァッシュとは時々考え方の違いから対立する事もありましたが、ウルフウッド自身も軽いノリのあんちゃんという出で立ちなので、ヴァッシュとは『名コンビ』といっても差し支えない絡みを見せてくれました。ただ惜しむらくは原作・アニメ共に死亡してしまうのですが、原作の死に方が素晴らしかったので、当時はまだそこまで話が進んでおらず、死に方をオリジナル展開にしなければならなかったアニメでのウルフウッドのラストは見劣りしてしまうなというのが、少し残念です。

また当時はアニメの作画が今の様に綺麗でなかった為、ウリでもある戦闘シーンの『動』の迫力がいまいちな点があったのは否めません。その代わりといっては何ですが、1VS1のような『静』の迫力は場の空気を全面的に押し出す事で、緊迫感を高めるような工夫をしておりました。例えば登場人物の表情で場の雰囲気を一変させるような演出もしていたとかですね。その点に関しては良い仕事をしてくれた印象ですね。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

kooodain さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

殺さずを貫き通すガンマンと荒れ果てた血と硝煙の世界

最初ただ単に主人公が強い系でありガンマンの話というだけで見始めました。
古き良きアニメのギャグのテンポと締める所は締める作りで懐かしさを感じました。
初めのうちはその懐かしさとギャグの面白さで普通に見ていました。
ですが中盤辺りから色々な伏線が張られていきます。
そして終盤になるに連れて明かされていく事実。
とてもいい流れと構成で一気に飽きることなく見ることができました。

主人公の徹底した殺さずの考えとそれに影響されるキャラ。
人間災害指定されている主人公の本当の姿。
様々な面白い要素が詰まっていました。

そして何より視点が主人公ではなく主人公を追う側の視点が多かったのがとても良かった。
主人公が本当はどう生きて来たのかどう生きているのかを語り手として表現する。
キャラの配置から何までとても素晴らしい出来でした。

▼物語の評価
1話内での構成や全体を通しての構成全て素晴らしかったです。
また序盤は1話完結みたいな感じでただ主人公の強さや考えを見させる。
中盤から伏線を張り始め、終盤にかけて謎を解明させていく。
言うのは簡単な事ですがここまでスムーズにできているのは素晴らしい。
そしてやはり完結させられる昔の環境のなせる技でしょう。
今のアニメは途中で終わりが当たり前で今のアニメが可哀想に感じます。
内容自体の謎や世界観もとても面白かったです。
▼作画の評価
超古いです作画。
ですがまぁ元々が今と違って荒いので何も言えません。
戦闘シーンはとても格好良く作られていましたしギャグの顔も良かったです。
機械関連がCGじゃないのがあれですが手書きで良くあそこまで細かく書いていたものですw
▼声優の評価
小野坂昌也さん…こんなにすごいのかと思い知らされました。
配役は最適解と思えるほどピッタリ合っていてすごいです。
初め違和感の合った挑発茶髪少女も見ているうちに超合っていると気づきました。
他に誰が配役されているか名前等は見ていませんしあまり気にしませんでした。
ですがとても素晴らしい配役と演技でした。
▼音楽の評価
OPは歌のない珍しいタイプですが素晴らしかった。
EDはこう…絶妙なあれなかんじで面白い曲でしたw
BGMは特に気にしていなかったのですがとても合っていたんじゃないかと思います。
▼キャラの評価
牧師が最高でした。見ればわかります。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

64.9 17 sfで漫画原作なアニメランキング17位
攻殻機動隊ARISE GHOST IN THE SHELL 「border:1 Ghost Pain」(アニメ映画)

2013年6月22日
★★★★☆ 3.6 (336)
2032人が棚に入れました
『公安9課』が最優先ラインの攻性部隊とはなり得ていない、A.D.2027。公安捜査の権謀術数に限界を覚える荒巻の前に現れたひとりの女─ 陸軍『501機関』所属・草薙素子三佐。 最高度のフィジカルと電脳戦スキルを備える一方、向こうみずで世慣れぬ未熟さをあわせ持つ草薙は、荒巻と不即不離の関係をたもちつつ、次々と発生する犯罪へと対処する。だがそれは、ゆりかごたる501機関との関係を問い直すことでもあった。上司であり保護者でもある野心の女・クルツ中佐との間に生じる軋轢。さらに、謎のウィルス『ファイア・スターター』の出現。困難な事件に立ち向かう中、『眠らない目を持つ元レンジャー』『所帯持ちの特捜刑事』ら、個性的な人的資源と気脈を通じる草薙。荒巻といつしか共有していた目的─『犯罪に対し常に攻性の精鋭実力部隊』創設へ向け、草薙は彼らを糾合してゆくこととなる。『攻殻機動隊ARISE』─これは草薙が少佐と呼ばれる前夜の物語である。

声優・キャラクター
坂本真綾、塾一久、松田健一郎、新垣樽助、檀臣幸、中國卓郎、上田燿司、中井和哉、沢城みゆき、浅野まゆみ、星野貴紀、野島健児、宮内敦士
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

攻殻機動隊S.A.C.の前日譚だが、可もなく不可もなく(印象薄い)

※「攻殻機動隊ARISE」全作品の一括レビューです。

『蒼穹のファフナー』のシナリオを書いた冲方丁氏がシリーズ構成・脚本を務め、2013年から2015年にかけて、1時間弱のOVA4本が次々と劇場公開された攻殻機動隊の新シリーズ。
※なお、TV放送時の追加作「PYROPHORIC CULT」のみ藤咲淳一氏脚本。

◆総評

・陸軍501機関所属の全身義体サイボーグ・草薙素子三佐が、陸軍に×愛想を尽かして(◎陰謀に巻き込まれて)離脱し、荒巻大輔率いる公安9課入りするまでを描き出す『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の前日譚的な内容。
・新しい作品だけに作画は流石に良いが、シナリオの分かり辛さには閉口。
・旧作にあった変な学生運動臭/反米臭はないので、その点では見易いともいえるが、シナリオ/作画/演出とも凝ってる割に個人的には余り印象に残らない作品となってしまいました。


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(『攻殻機動隊』)
監督         黄瀬和哉(総監督)、むらた雅彦(border:1)、竹内敦志(border:2)、黄瀬和哉(border:3)、工藤進(border:4)、野村和也(新劇場版)
シリーズ構成     冲方丁
脚本         冲方丁(border:1-4、新劇場版)、藤咲淳一(PYROPHORIC CULT)
キャラクターデザイン 黄瀬和哉
音楽         コーネリアス
制作         Production I.G{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================= 攻殻機動隊ARISE (2013年6月-2015年8月) ==============

border:1 Ghost Stands Alone ☆ {netabare}草薙三佐と公安9課々長(荒巻)の出遭い(棺トラップ)、マムロ中佐不審死事件、記憶操作ウィルス、素子の陸軍501機関離脱{/netabare} ※約58分
border:2 Ghost Pain ★ {netabare}元カルディスタン派遣部隊々長(ソガ・カズヤ大佐)造反事件、公安9課独立構成部隊員スカウト(素子)、政府機密システム・パンドラ攻防戦、米国防省AI暴走{/netabare} ※約57分
border:3 Ghost Whispers ★ {netabare}素子の義体メンテ医師兼“恋人”アキラ、戦士の英雄(スクラサス)の正体、トグサ刑事スカウト{/netabare} ※約58分
border:4 Ghost Tears ★ {netabare}ハリマダラ社サイバーテロ、二重ゴースト保持者(スケアクロウ)、9課独立混成部隊正式発足{/netabare} ※約59分
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)3、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「あなたを保つもの」
ED 「じぶんがいない」(border:1)
  「外は戦場だよ」(border:2)
  「Heart Grenade」(border:3)
  「Split Spirit」(border:4)


===== 攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE (2015年4-6月) =====

第1話 Ghost Stands Alone 前編 ※border:4を分割
第2話 Ghost Stands Alone 後編
第3話 Ghost Pain 前編 ※border:1を分割
第4話 Ghost Pain 後編
第5話 Ghost Whispers 前編 ※border:2を分割
第6話 Ghost Whispers 後編
第7話 Ghost Tears 前編 ※border:3を分割
第8話 Ghost Tears 後編
第9話 PYROPHORIC CULT 前編 ☆ ※TV版での追加話であり新劇場版につながる展開
第10話 PYROPHORIC CULT 後編 ☆ {netabare}ファイアスターター・オリジナル捜し{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)0、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「あなたを保つもの」
ED ※第1-8話はOVAと同じ
  ※第9-10話 「GHOST IN THE SHELL ARISE」


================ 攻殻機動隊 新劇場版 (2015年6月) ===================

全1話 ★ 4.0 {netabare}藤本首相爆殺事件{/netabare} ※約1時間40分

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

押井じゃない!神山もいない!キャストも音楽も違う!だけど冲方丁が来たよ!つまりオイラが知る限り最高の攻殻だよ!

後に攻殻機動隊と呼ばれる『公安9課』のメンバーが一同に会するまでを、新たに書き換えた設定の元に描くという攻殻シリーズの【エピソード0】と呼ぶべき全4部作の第1話
今作では草薙素子、荒巻、バトー、トグサ、パズの5人が登場
各々のファーストコンタクトと、そして素子の旧所属である『陸軍特科501機関』が題材となっています










まずたったの全国20館の上映にも関わらず、あにこれ内でもまずまずの前評判
これには流石長寿作品ということで脱帽です
一方で、ネガティブな評価の多さに個人的には残念でしょうがないっす
【たぶん今年一番のアツイ作品になりそう!】というのがオイラの率直な意見だからです


既にGIS、SACといったアニメ化を経て原作者の手元を離れたと言ってもいいであろう『攻殻』という作品
そして今作は【第4の攻殻】と呼ぶべき新シリーズとなり、監督や脚本はおろか、キャストの総変更という大冒険に出ています


これは単純に好みなのかもしれませんが、このキャスト変更に関しては前向きに受け取ってます
特に主演のまーやはコドモトコも演じてるシリーズの常連
アップルシードのキャスト変更のときもそうでしたが、まーやを使うこと自体には特にデメリットを感じません
むしろ大正解、実に俺得(お
初めて攻殻に触れる人にもオヌヌメ


そして最もたる特徴なのが脚本の冲方丁の存在でしょう
攻殻シリーズらしい今作の事件のトリック{netabare}(電脳の記憶改竄、視覚操作){/netabare}、これを氏が得意とするサイコサスペンス調で描く様はこれまでのどのシリーズよりも手に汗握るスリルと興奮を誘います
(っていうかまんま『マルドゥック・スクランブル』なんですけどw)


犯罪心理やゴーストの在り処といった複雑で哲学的内容だった以前のシリーズと違い、映画らしいシンプルなドキドキを感じさせてくれるお話作りの今作
オイラは上映後にスタンディングオベーションを送りたかったくらいです



それと音楽
川井?菅野?いえいえ、それもええけど今作の劇伴はなんとコーネリアス
コーネリアスですよ!?小山田圭吾でしゅお!?
オイラの記憶によればエクスマキナ以来ですか
これがすげーんです、カッケーんすよ
エスニックな民謡でもブラックなファンクでもない、けどシンプルなエレクトロがこんなにも攻殻の世界観とマッチするとは・・・
灯台下暗しとはこのこと;


これに絡めてゆらゆら帝国の坂本慎太郎が作詞、小山田圭吾のサウンドプロデュースでsalyuが歌い上げる幻想的でアンビエントな主題歌もエンドロールでの心地良い余韻を生んでいます


こういった部分から攻殻を知らない人にこそ観ていただきたい作品だと言えます
サイバーパンクが流行らない昨今でこれだけの大作に出会えたことは感涙ですね


イイとこばっか語っていてもなんなのでツッコミどころをば・・・
なんと今作、完全義体であるはずの素子がシャワーを浴びるシーンがあります(笑)
これにはちょいと驚き
義体の取り扱い方が依然の作品の設定と違うのか、光学迷彩を装備していない点を見るとそもそも完全義体とは名ばかりで厳密には生身の部分が残っているのか
その辺は定かではない
ようはアレです、サービスカットってやつですか


あとマイクロソフトのタブレット型PCとコラボしたアニメCMが上映前に流れ、以前のシリーズを汚しかねないヘボいオマージュが多くて思わず吹き出しましたw
いくらなんでもあれはないw


ええでもまあ、タチコマの旧型と思しき新ガジェット(新キャラクター)の『ロジコマ』(CV:沢城みゆき)かわいいよぉ、かわいいよぉ


それに相変わらず日産車に乗ってますたね


キャラデザがどうのこうの言ってもそりゃ好みの差
黄瀬和哉、西尾鉄也、沖浦啓之・・・ってどうみてもいつもの攻殻です
1.5巻辺りの原作にも近いし、本当にありがとうございました!


今はとにかく次回作が楽しみでなりませんねー
(半年後らしいですけどねw)
次回以降の盛り上がり次第では今年のベストジャパニメーション!?
要注目ですぜb

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

がぶりえる さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

SACの前日譚ではない!

書き直しです。+評価下げました。

もう一度言う。SACの前日譚ではない。「攻殻機動隊」と言うものの前日譚。

制作発表から期待度MAX。みんなの攻殻オワタなんて気にしないでwktkで待ってましたがこの出来。実に勿体無い。

まずは、以下、話題に上がってた問題点。

・声優について
SACシリーズでも、声優を変更しようとする流れがあったみたいなので、ここでの変更は自然な流れなんじゃないかと。SACシリーズでは演技にユーモアもありましたが、今回は、ちょいクールめ。でも押井映画みたいに渋くはない。違和感無し。

・キャラデザについて。
文句があるならマンガ1.5巻を買いなさい。士郎氏のキャラデザそのまんまです。素子以外。

・バックグラウンド、設定について。
SACとは別物。大事なことなのでもう一度言うSACとは別物。なのでSACの設定とは無関係です。無関係です。
それにSACだって人形使いが現れず素子が9課に残っているという設定の第3の攻殻ですし。第4の攻殻であるARISEでの新しい脚本は新鮮味があります。
それに士郎氏(原作者)本人も原作やSACなどの過去作の設定には飽きているらしいし、常に新しい物を創りだそうとしてる心意気スゴイは凄いですが…
海外ドラマCSIシリーズを見ましたが、確実にその影響を受けている。むりくりサスペンス仕立てに仕上げてる感が否めない。

音楽について
サントラ買いましたが、サントラだけ聞いてるととても良いんですが、正直この作品には物足りない。サスペンス意識しすぎ。

んで、感想
『劇場での衝撃』
先行プレミア上映で見たときは正直「おわった…」と思いました。上映が終わった後、一人放心状態でしたよ。作画は角ばっていて動きにスムーズ感がない。特に歩き方に違和感アリように覚えています(見ていくうちに小慣れて行きましたが)。。。背景と動画が合ってないじゃないか!(怒)

声優・キャラデザ・設定について特に違和感や不信感なく期待度MAXで見に行っただけに、まさか一番信頼を置いていた作画でのミスでつまづいてしまったのは手痛い。本当に力入れて作ったのか疑問が残る。

まぁSACシリーズも作画崩れてたので大体想像はつきましたけど…作画の描き込み量は劇場で流すほどのクオリティでは無かったですね。PSYCHO-PASSの作画クオリティに近い。

しかしVSライゾーとのアクションシーンだけは上出来。ぬるぬる過ぎてヤバイ。(2話ではアクション要素多めらしいので期待。)特にvsバトー戦の演出には鳥肌が立った。

ストーリーは問題の作画シーンのせいで初回ではあまりのめり込めず不完全燃焼。
でもでも。なんかじわじわ来て10回以上見ちゃいましたが、しかし見過ぎるとさすがに飽きますねこのストーリー。改めて見ると不満点はやっぱり残り正直「つまらない」と言わざるを得なくなりました。SACは押井映画のライト版だとするならばこれはスーパーライト版。

まあ出だしだしこんなもんなのか?
作画がんばれよ。(てっつん様がもう少し時間欲しかったとか言ってたようなー)

ロ…ロジコマだと…フチコマちゃんは恵まれない子。わすれないであげて。原作では猫口がかわいいんだから。

こういうのを作るなら素直にSACの3期やればよかったと思うし、原作準拠のオリジンを作るべきだったと思う。

押井映画やSACは何度見ても面白い。けどこれだけは何回も見るほど辛いことはない。

僕は攻殻機動隊が好きだ。だからこそ辛口レビューにならざるを得ない。
I.Gには少し失望した。2014/06/16日現在もうすぐボーダー3が公開です。もちろん見に行きますが、期待しないで観に行こうと思います。

初めて攻殻機動隊を見る方には受け入れやすいと思うがSACのほうがやっぱりオススメ。

以上 長文失礼しました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

64.8 18 sfで漫画原作なアニメランキング18位
鉄腕バーディー DECODE(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (302)
1706人が棚に入れました
謎の古代兵器「リュンカ」の強奪犯を追って未開の惑星、地球にやってきた連邦警察のアルタ人女性捜査官バーディー・シフォン=アルティラは、犯人を探し出すためグラビアアイドル有田しおんとして活動していた。そしてついに犯人を探し出すが、追いつめる中で誤って地球人の高校生千川つとむを殺してしまう。地球よりも進んだ連邦の技術を使ってつとむの体は修復されることとなるが修復には時間が必要であり、その間の措置としてつとむの意識はバーディーの体に移され、バーディーとつとむは1つの体に2人の意識が存在する「二心同体」となる。その後なんとか犯人を倒したバーディーであったが、その代償として長年のバディ(相棒)であったロボットのテュートを失い、リュンカの手がかりも失う。

声優・キャラクター
千葉紗子、入野自由、伊藤かな恵、藤原啓治、坂本真綾、鈴村健一、名塚佳織、石塚運昇、青山穣、若本規夫
ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

淡々と観てしまう、その背後の巧みさ

★★★★☆(4.0)

はじめに
{netabare}
この『あにこれ』に於いて
最も有用な使い途はコレなんじゃないかと、ここで実践してみた。
というのも、
長らく『見たい』に入れて放置していた作品を、
贔屓にさせてもらっている方々の
レビューやコメントを参考にして視聴してみること、
である。

これが放送中の作品だったら躊躇うことなんてないが、
そうでない作品に対しては、見るまでの条件が整わず…頓挫ってのが多い。
望むべきは、
放送終了から時が経ち、アーカイブ化されてしまった過去の名作を
改めてテーブルに乗せてくれた求心力。
これがどんなにありがたいことか。
この場を借りて感謝の意を表したい。{/netabare}


で、本題

(あくまで一方的に)信頼の置けるレビュアーの言葉を信じ、
それきっかけに見始めているのだから
当然、既にハードルが上がった状態で見始めているので
多少、キビシめになってしまうのは仕方ない。
実際のとこ、
中盤まではさほど話に入れ込むこともなく、
むしろ淡々と見続けてしまうのだが、
期待値からしたら、グッと来るものがないので、
ながら観したり、アラ探しみたいな見方をしてしまう。
あぁ、
こりゃ見方を間違ったか?と思ってしまい、
この時点では後悔に似た感情を覚えてしまう。

が、
見終えて分かる、この『淡々と』がこの作品の秀でたところ。

たぶん、最近のアニメ作品に慣れた人にとっては
おそらく少し物足りなく写るかもしれない。
例えば、
{netabare}人気の声優を抜擢してるわけではないし、
テンプレ化したキャラクターも見当たらない。
取り立てて作画に特徴があるわけでもないし、
お色気テイストも入れようとすれば入れられないこともなかったが、そうせず
つまるとこ、
派手さに欠け、古臭さすら感じる。{/netabare}

視聴者に媚びようと思えば、いくらでもその機会はあったはずなのに、
それを選択せずに物語を完結させている点において、
高潔な姿に好印象を持つのはあくまで個人的な感想w。
本質は、
余計な情報に惑わされず物語に集中できるという点は見逃しがちだ。


さらに構成にもちょっとした配慮が。
{netabare}
それは、なにげに説明的なシーンが少ないというとこ。
ありがちなのは、
{netabare}物語独特な設定を理解させるために
通常の会話じゃそこまで言わんだろっ!?ってセリフが散見されるが、
気になり始めるとそれこそ興冷めだ。
で、
この作品の世界観では避けられないSF設定。
でも、そこはSFに精通していない人でも知ってそうな
一般化したSF要素を選ぶことで説明を回避。
登場人物の立ち位置、特にパワーバランスなんかも
上手くエピソードに織り交ぜて、理解を促していたりして。
どうしても説明が必要な部分については
『裁判』という劇中の状況をうまく利用して、説明セリフを正当化している。{/netabare}
いやぁ、
憎らしいというか
脚本構成の巧みさを褒めるしか無い。{/netabare}


極めつけは物語のシメ方!
{netabare}
シンプルに、ラスボスとの超バトル展開で勝利し大団円という流れは
一見ベタではあるが、バーディーの戦闘方法からすればなんら問題ない。
また、
黒幕たる存在があっさり自滅するという
軽やかに定石外しをしてくるあたり
「わかっているじゃないか」とニヤリとしてしまう。

本題はこっから
{netabare}
この物語の根幹である『二心同体』から逃れた状態で最終盤に突入するが、
結局、最初と同じ『二心同体』状況に戻ってしまう。
この結末がなんともやるせない(好意的)!

つまりどういうことかというと、
この『二心同体』の普遍性が担保されたことによって
続編でもなんでも作りやすい下地を整えたということ。
加えて、
原作とは異なるオリジナルストーリーである本作は、
物語の根幹を維持することで原作の存在を脅かすことなく、
スピンオフ的位置を確かなものとしている。{/netabare}

なんとまぁ、この配慮の行き届いた終わらせ方に驚かされるばかりだ。
いっそ、この手法を繰り返して、
サザエさん時空へ突入し、際限なく新しいエピソードを量産してほしいくらいだ。{/netabare}


もし、ひとつだけ注文をつけるとしたら、
{netabare}序盤こそ出番のあった『有田しおん』の
次回予告以外にほぼ見せ場がない状態になっている点。
特に必要性は感じないが、なぜかあの間の抜けたキャラが恋しくてたまらない。
いっそ2クールにして
増えた話数で有田しおんのエピソードを増やすこともできただろう。
が、これこそ蛇足。
1クール13話でまとめきったことが、
過不足のない完成度に到達したのだろう。{/netabare}

と、まぁ
こんなふうに考察しながら見るような作品とは思わないので
『淡々と』観てもらって構わないが、
もし周回するのであれば、
ちょっとだけ注意を払って、この奥ゆかしさを堪能してもらいたい作品である。

あと、
少し長くなったのは100レビュー目ってことで許してほしいw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

声優の演出が残念。キャストミス?

SFバトルファンタジー&ラブコメ♪

初期のOVAから12年後に作られたTV版でOVAとは外郭は同じ。
キャラや諸設定等変更されたアニメオリジナルストーリー。

所々の描写にOVAのパロ?も含まれていたりするようですが
バーディー他キャラデザはソフトな雰囲気に変更されてる。

逆に性格設定はピーキーで鬱屈した人物が多くなっていて、
千川つとむはデザインもキャラも別人。オリジナルキャラが
重要な鍵を握る役を担うなど、完全に原作とは違う作風。

序盤から如何にもSFファンタジー風の宇宙船での弩派手な
チェイスから始まるが・・学園物・産業物・宇宙物・報道
の有り様等多岐のテーマが微妙にブレあって縺れてる・・

序盤は千川つとむのヒステリックな描写が多く苛々する。
バーディーのキャラ設定もピーキーなので・・相乗的に?
演出&設定ミス?・・っと疑問を感じる部分が多くある。

無駄なキャラや無駄な台詞が多過ぎる感じで煩雑な感じ・・
ギャーギャー煩い鬱陶しいキャラが多過ぎるうえ・・尺が
無いのに無駄なシーンも多い。

要はシンプルに学園ラブコメとバトルアクションの2重構造
でも充分で、最終的には謎を解決して主人公が成長するって
話なんだし・・意味もなく複雑にテーマを増やしすぎ・・

伏線を撒き散らしてとっ散らかったままぐちゃぐちゃに展開
して詰め込み過ぎで・・方向性に一貫性もない・・各話で別
作品みたいで迷走してして何を魅せたいの?って感じ。

ホラー?ミステリー?サスペンス?コメディ?ギャグ?
何でも「混ぜるな危険」でしょ?センスがあれば別だけど。

爽やか青春ラブストーリー風のOP/EDは中高生を意識したの
か内容に対して軽くて変・・世界観とかけ離れている感じ。
BGM・挿入歌・効果音等はそれなりに癖があって面白い。

OVAの方が圧倒的に出来が良い・・そのままリメイクするか
もっとライト感覚でラブコメ風にするか、はっきりしてれば
もっと見やすかった気がする・・

後半に一気に盛り上がってドカンと終わる感じ。
ラストに中杉小夜香のエピソードを衝撃的に印象深く展開
した事以外見処が少ない。

正直この作品の人気は8話以降の展開。小夜香のエピソード
を軸に他は控えめの伏線で充分だったと思う。

プロットも良いしエピソードも良い物があったけど構成が
酷く歪で強引な感じて嵌まりにくく感じた。

折角面白くできる世界観や諸設定を台無しにしている感じ。


バーディー・シフォン=アルティラ(千葉紗子)
「狂戦士殺し」の二つ名を持つ連邦捜査官で階級は巡査。
地球人に酷似しているが、遺伝子操作などの形で人工的に
生み出された、強靭な肉体を持つ怪力無双の美少女だけど
直情径行で思慮が足らず・・暴走気味?

千川 つとむ(入野自由)
私立久遠高校に通う普通の高校一年生?で・・廃墟マニア。
バーディーのミスで致命傷を負い、肉体を修復する迄の間、
意識だけがバーディーに移植された。優柔不断で面倒臭がり

テュート:川田紳司
バーディーの相棒。ロボットの一種で「マーカー」と呼ばれ、
捜査官の情報収集や通信・記録などの支援を行う「装備」

中杉 小夜香:坂本真綾
つとむのクラスメイト。病弱で内向的な性格。資産家の娘。
交通事故により瀕死の重傷を負うが、その場に居合わせた
カペラによってリュンカを体内に埋め込まれてしまう。

早宮 夏美:伊藤かな恵
つとむの幼馴染で同級生。快活で世話好きな。歯医者の娘。

ルー・メギウス:青山穣
スケルツォ・ガ=デール:若本規夫
カペラ・ティティス:名塚佳織
カシュー・ゲーゼ:浜田賢二
ネーチュラー・ゲーゼ:柚木涼香
ウィージ・ガッハウ:根谷美智子

千明 和義/オンディーヌ:白石涼子
羽沢 昌之:高城元気
正久保:大原崇
北村 可奈絵:寿美菜子
千川 はづみ:高橋美佳子
室戸 圭介:藤原啓治
真田 かをり:大原さやか
アンカーマン:大川透
イルマ:真山亜子
クリステラ・レビ:兵藤まこ
ゲオルグ・ゴメス:石塚運昇
ギーガー:斧アツシ
バチルス:間宮康弘
キンゼル・ハウアー:大塚芳忠
サタジット・シャマラン:鈴村健一
中杉 勝利:菅生隆之
鈴木 良枝:新田万紀子
兄貴:金光宣明
舎弟:興津和幸

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
ネタバレ

ひな@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

健全な精神は健全な肉体に宿る

人の強さって極端に分けると2つの見方があると思います。

肉体的に強い人
精神的に強い人

肉体的に強いのは見ていて分かりやすい方かなと思うんですけど
精神的な強さって本当に分からない。

あたしは剣道を習っていましてー

今でも週末には道場で稽古をつけてもらっていますけど
どー考えてもあたしより体力的なハンデがある…

よーは還暦近くのおじさんにコテンパンにやられたことがありますw

勝てないのは経験の差かなって思いますけど
そのおじさんがこう話してました。

肉体と精神は表裏一体
両方とも充実していればそれは無敵

どちらかが欠けていたとしても
補い合う事で人間は思った以上の力を出せるのだそうです。

なのだそうです…。

んでこの話が「鉄腕バーディ」と関係あるのか?と思われるかもです。

鉄腕ってタイトルなくらいですから
このバーディ本当に強いんです。(サムネだと中心にいる女の人)

先天的に肉体的な素質に恵まれていて
連邦捜査官として徹底した訓練を受けて
今では壁を壊すのは朝飯前のパワフルな女性です。

このアニメはバトルアクションもスゴイので
バーディの強さを本当に痛感する事が出来ます。
まともに組み合えば犯罪人はほとんど適いません。

でもあたしがこのアニメで強さを感じたのは
バーディじゃなくてただの学生のつとむでした。

つとむはある事故でバーディに殺されちゃって
責任を感じたバーディの肉体を借りることによって
精神体として自分の身体が復活するまで宿ることになります。

なのでバーディが事件を解決しようと動く時には
必然的につとむもその事件に関わらざるを得なくなっちゃうんですね。

バーディのように素質があるわけじゃない
なんかスポーツや特殊訓練を受けているわけでもない
性格もどちらかといえば穏やか。

本当にその辺に居そうな普通の男の子なんです。
そんな一見頼りなさそうなつとむ
この「鉄腕バーディ」では本当に輝いてます。

バーディのおまけとしてとか
設定上どうしても必要な存在とかじゃないんです。

バーディにはない強さがつとむにはある。
強さが目立つバーディが守ってるようでお互い実は補い合っている。

このどこまでも対称的な2人の設定が
お話に上手く活かされているんじゃないかなって感じます。

そしてこれはつとむの物語として
注目して視聴する事をオススメします♪

つとむの不幸
つとむの挫折
つとむの幸福
つとむの成長

沢山の思いが詰まった
ひと夏の苦くて痛くて
でも確実に前より一歩成長を遂げた
1人の普通だった男の子のお話。

バーディを通してそれが語られているのが
この「鉄腕バーディーDECODE」というアニメだと思うので♪

{netabare}あたしの場合
そこを強く意識したから

最後のバーディの涙と
つとむのやりきった笑顔

ここでも対称的な2人のシーンで
泣いてしまったのかなって思います。{/netabare}

まーそもそもそういう見方をした方がいいのは
1期はつとむの話が中心なせいもあって

バーディの存在を話の中心で意図的に目立たせてないっていう
原因も大きいんですけどねっ(*・∀・*)V

わざとそーしてるんだなってのは後で知りました。

まーその辺りの話は2期のレビューの時に書きますね。

1期で明かされない謎とかも結構多かったりして…
2期の時に分かるような構成にそもそもなってるのでw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

71.9 19 sfで漫画原作なアニメランキング19位
ジパング(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (255)
1268人が棚に入れました
西暦200X年の6月。日米新ガイドラインの下で海上自衛隊の自衛艦隊が海外派遣でエクアドルへ向かう途中、その中の最新鋭イージス艦みらいがミッドウェー沖合で突如嵐に巻き込まれ落雷を受ける。
その直後からレーダーからの僚艦喪失や故障していないにも関わらず衛星通信が不能になったり、雪が降るなどの不可思議な現象に直面し、さらに戦艦大和以下大日本帝国海軍連合艦隊に遭遇。ミッドウェー海戦直前の1942年6月4日の太平洋上にタイムスリップした事に気づく。
そこで帝国海軍通信参謀、草加拓海少佐を救助し、彼に未来世界の情報を公開したことから、みらいは徐々に変化してゆく歴史の流れに巻き込まれてゆく…。

声優・キャラクター
稲田徹、東地宏樹、星野貴紀、うえだゆうじ、屋良有作
ネタバレ

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

山本五十六といふ男

イージス艦がもしタイムスリップしてしまったら?
という架空戦記。
モーニングを読んでるので原作は既読。

アニメ版でとにかくすごいのが自衛隊監修らしく、描写がかなりちがうんです。セリフの言い回し、細かい兵装からww笑っちゃいます。操舵の方法もちゃんと自衛隊の法にのっとったものだとか。
零戦なんかもちゃんと私が好きな初期のグレーへ変更。かっこいい・・。ニワカでも知ってるようなことをなんで原作間違ってたんだろう・・いやまぁどうでもいいんですけど、そのミリオタくさいこだわりこそがアニメ版の要かなってw


ストーリーはタイムスリップものなのでどういう時間軸になるかってわかっちゃうと後は落とし前をつけるだけ。
原作よんでてても最初しか面白くなくて、あとはグダグダ・・。核兵器を大和に積み込んで『オワフ島沈没』でいいじゃんwって思っちゃう。鳥肌実的?w
『みらい』が横須賀へいくまでの序盤で終了。あとは原作読めな販売促進。続編作るには人気がないよね。


初期の部分を扱っているので山本五十六が出番多し。
このじいさま、とんでもない慧眼をお持ちだったようで、現在の空母主体の戦略をいち早く考えた人物といわれる。
なんせ開戦のはるか前から訓練してたんだから・・赤城の艦長だっけ?当時は艦載機って斥候だったらしいんですよ。
レーダーがありませんから。
でもそれで戦艦を沈められる時代がすぐに来ると・・
その予想は大いにあたり、大戦初期の雷撃の命中率は9割を超えたとか。本作で本人が語るとおり、パイロットが一番大事なんですかね。氏の細かい航空機の運用については賛否あるらしいので・・ジパング山本はそうなってるよと。


真珠湾奇襲を立案した人物とされながら、米国の在外武官だったため頭も柔らかかったそうで・・。
真珠湾の立案を無謀ととるか、それしか道がなかったかどうかはわかりません。
その成否わからぬ逸話の数々からさまざまなアニメでネタ元にされる男。大艦巨砲主義の否定、死んだ部下の名前と人数を全部メモしてるとかねw

ニワカ知識の限りでは
・軍縮会議で当時の主力戦力である戦艦以外に空母の廃止を求めた。
・米国との開戦は避けるべきとした(絶対に負けるから)
・三国同盟に絶対反対
太平洋戦争開戦をかたくなに反対していたのは確実らしく、命を狙われ続けたとかなんとか・・。だから大和なんぞに左遷してもらってるとか言うよね。内地にいたら謀殺される。
戦後の教育でネガなイメージを植えつけられた旧日本軍。
でもこんなじーさんがいたんですよってのは覚えておくべきかと思います。
日本が誇る英雄、名将と評されながら、時代の流れ、国家という大きな力に勝てず翻弄され散っていった、というのが現代の日本人の心にけっこうツボるようで。

映画観たくなってきました・・役所さんじゃなくて三船さんのやトラトラトラが。。


アニメ版で結構意識されてるのが現在の日本の状況。
自衛隊の思想もはっきりと打ち出している。これは自衛隊からの希望なんだろな。日本軍とどっちがいいって話じゃなくておかれた立場も仕事も全然ちがいますと。うちらは軍隊じゃねえよってね。

アニメ版追加のアバンを見る限りでも、戦争反対とか右翼ぶってるとかじゃなくて、なぜ戦争になったのか?というのを強調してる気がします。

本当にそうせざるを得ない時代だったのかどうかはご本人たちにきいてみないと分からないことですから。
ただ現在のように安穏といしてたらあっというまに植民地にされちまうぞってのは間違いなのかな・・。そういったことを知っておくべきだというメッセージを感じました。


エンターテイメントとしては架空戦記、タイムスリップものとしては『戦国自衛隊』が偉大すぎる。
『織田信長は俺だった』みたいな結末 あれには勝てん。
ジパングも山本五十六が俺だったでよかったんじゃ・・。{netabare}
近いエンディングだけどな・・・。マッカーサーが俺だ!だよね。。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

lZQnV50529 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

正直さが感じられた

 日本の最新鋭のイージス艦が1942年の太平洋のど真ん中にタイムスリップしてしまうお話で、総じて、単なるミリタリーもの、タイムスリップものと簡単に片付けられない真面目さ、正直さを感じた作品です。
 まず、{netabare}40機のドントレス(という戦闘機)と戦闘するシーンでは、技術的にはシースパローや主砲を使ってイージス艦が圧勝するはずなのに、ちょっとした心の緩みからハットン中佐の操縦によるドントレスの船舶への体当たりを許してしまうところなど、戦闘シーンは、リアルで正直だと思いました。イージス艦を圧勝にさせないところが感心しました。{/netabare}自衛隊は普段から十分演習をしているようですけど、実戦に出ればこんなもんかもしれません(自衛隊の人読んでいたらごめんなさい)。
 太平洋戦争末期の日本の都市への空襲や広島長崎における原爆で死んだ人の数はとても多いので、1942年を生きる人なら誰でも、もし未来を知れば、空襲や原爆を避けたいと思うもの。さらに、大日本帝国と敗戦後の日本のどちらも見てしまったために、そのどちらでもない新しい日本(ジパング)を作っていきたいと思う草加拓海の心の動きと行動はとてもよくわかる。他方で、自衛隊の理念をこの時代に入っても困難を伴いながら貫きたいという「みらい」クルーの気持ち、帝国海軍将校のあるものは「みらい」を活かそうと考え、またあるものは「みらい」を沈めてしまおうと考えており、それぞれの思惑もとてもよく描けています。
 これらの登場人物の気持ちをしっかり描きつつ、みなさんの思惑が絡んで新しいタペストリーが作り出されて、事態が進んでいくところがとても上手いと思いました。おそらく、こういう設定を設けて、現代と戦前の違いを浮き彫りにし、現代のいい点と問題点を探るというのがこのアニメの意図の一つのように思えます。圧巻なのは、最後の方に出てくる{netabare}米内光政の日本批判でしょう。米内は、日本が帝国主義など100年早い。日本国100年の計にとってこの戦争は勝ってはならない。日本はいま蜃気楼を見ている。敗戦という現実でしかその夢は覚めない。と当時の日本を強く批判し、「みらい」に、この横須賀のドックで鉄くずになって欲しいと要求します。米内光政という人物をここまで踏み込んで描いたところに作者の強い歴史観を感じます{/netabare}。ここは見ものです。
 また、過去へのタイムスリップというのは、物理学者ホーキングの発言からもわかるように、まず不可能だと言われています。このお話では過去へのタイムスリップが可能だとすると起こりうる矛盾の問題「母殺しのパラドックス」に近いお話を取り入れておりここにも正直さを感じました。すなわち、{netabare}「みらい」が横須賀に入港したとき、角松二佐は父の子供のころの様子を見に行こうとします。父の生家のあたりを見に行くと、なんと父は、海軍の車のよそ見運転のために轢かれて死亡しており、そのよそ見運転は、「みらい」が60年後から来た船でありそれが信じられないと軍人同士が運転中も雑談したことが原因だったというものです。因果的に「みらい」が1942年世界に現れたため角松二佐の父が死亡してしまったということになります。{/netabare}
 このアニメ、テーマからややとっつきにくい方もいると思いますが、淡々と正直に事象を描いていくところをもっと評価されてもいいと思います。
 
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

hidehide さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

優柔不断 で 中途半端

優柔不断、中途半端、滑稽、チープ、曖昧、
そんな言葉が当てはまる、

何とくだらない作品か、と。

近年、
平気で領空、領海を侵犯される日本。
ミサイルが国土を飛び越える事を許している日本。
まさに、現代の弱腰精神の日本、日本人精神が、
イージス艦に乗艦している話しである。

正直、『0 か 100』なのではないのか、と。

それら一切に触れない、か、全てに関わるのか、
これはするが、あれはやらない、など、
決めきれない優柔不断さが見ていて苛立ちを覚える。

ゼロ戦から、その時代の人間を救助し、素性を明かし
現代の技術を見せつける。
コレをした事は、当時の帝国軍人を、
当時の人間の頭脳を軽視しているに外ならない。

当時の人間でも明晰な人間はいる訳で、
結末を知り、未来を知り、イージス艦の
武力を知ったら、利用しようと考えるのは当然である。
加えて、
彼らは、自衛官ではなく、紛れもなく軍人であり、
戦争を知っている、戦争をしている日本人なのである。

それに、
食料狙いだろうが、爆発しなかろうが、
ミサイルを発射した時点で、それは攻撃なのだ、と。
サジタリウスの矢? 米兵を馬鹿にしているのか、と。
たった1つの戦場を掻き回してどうするのか、と。

1人助けて歴史を歪め、一発発射して更に歪める…
もう、
『0』ではないのだ、と。戻れないのだ、と知り、
覚悟を決めるべきだったのではなかろうかと。

ましてや、爆発しないミサイルを敵地に残す…
何とマヌケな…
その命中精度に加え、分解、解析されたら、
その技術の高さゆえに
ただ、米軍の警戒を強め、無用な情報を与えただけである。
これも、
同じモノは作れないだろう、と、当時の人間を軽視している
証拠である。

20話〜敵機の大群に狙われるワケだが。
数機を撃墜するが、数機は威嚇にて見逃す…

『戦争中』なんですよ、と。
超戦時下、な訳で、敵は『殺しに』きてるんですよ、と。

何を寝ぼけているのか…何故、全機撃墜しない?
味方をことごとく攻撃されれば、
そりゃ、米兵にも特攻する機も出てきますよ。
だから、イージス艦はダメージを受け、犠牲も出る。
結果、十数機を逃した事により、
2000人の空母を攻撃しなければならないハメに…
優柔不断と曖昧さが招いた、当然の結末である。

…と、言い出したらキリがないのですが。

専守防衛…
それは、『先に手を出した方が負け』みたいな、
親が子供をしつける時の様な脆弱な言葉。
今の、現代の日本ならばそれが通用するだろう。
現に、『決して攻撃してこない』と判っているから、
領空、領海は侵され放題。
で、
出てくるのは言葉のみ…『遺憾の意を表明』である…

…が、本作。時は戦争の只中。

先に手を出されるのは当然である。
しかし、それが致命的だったら?
やり返す手段を奪われるものだったら?
やられたから、トマホーク、では遅いのでは?
トマホークを発射できないまでの損傷を負ったら?


絶対に遅れは取らない、負けるハズがない、と、
どこか、斜に構え、冷やかしの様に戦場を荒らす…
その中途半端で、優柔不断な、艦長以下、自衛官。

実際のイージス艦に、その様な人間が乗っていない事を
切に願うばかりである…

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

62.6 20 sfで漫画原作なアニメランキング20位
ライドバック RIDE BACK(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (197)
1036人が棚に入れました
国連の解体や東京大震災などを経て、学生達による反政府運動が再び活発になっている2020年の日本。学生運動の一拠点でもある武蔵野文芸大学に、一人の少女が入学してきた。彼女の名は尾形琳。類い稀なる舞踊の才能を持つ琳は、入学初日に人型二輪車ロボット・ライドバックと出会う。それが、世界を変革するきっかけだとは、誰一人知る由もなかった…。
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作

(2022年9月、末尾に【小論】を付け加えました)

【総合評価☆☆☆☆☆】
 傑作であるにもかかわらず、知名度が低いアニメの代表だろう。
 基本的なプロットは、テロリストと政治権力の相克を巡って展開されるが、何と言っても、テロ撲滅という大義名分の下に導入された自律型ロボット兵器(実質的な殺人マシン)が興味深い。
 プレデターに始まる軍用の無人ドローンは、テロリスト暗殺の兵器としてアフガニスタンやイラクで実際に使用されたが、遠隔操縦で人殺しの指示を出すオペレータに多大な精神的ストレスを与えることが問題となった。そこで、個人識別のためのAIを搭載し、自力で標的を探し出して暗殺を遂行する自律型殺人マシンの開発が、アメリカを中心に進められている。人道的観点から国際法によって禁止しようとする動きもあるが、実現していない。
 本作に登場するのは、ライドバックと呼ばれるオートバイに手が付いたような機械。もともとは人間が跨がって操縦する乗り物だったが、プレデターを思わせる新型ライドバックは、無人でもAI制御で攻撃ができるように改良されている。物語のクライマックスでは、クラシックバレエで鍛えた運動神経でライドバックを操るヒロインが、人間としての尊厳を懸けて、暴走する無人ライドバックの群れに立ち向かう。

【小論】「答えのない問い」を突きつける予言的な傑作
 きっかけは、10年ほど前に大陸の片隅で始まった小さな戦争だった…。国際的なパワーバランスが崩壊し秩序が一変した社会情勢を背景に、錯綜した状況に翻弄される少女・尾形琳の姿を描くアニメ。2009年制作とは信じられないほど予言的である。ちなみに、琳のテーマとして作中で何度も繰り返される旋律は、ムソルグスキー作曲「キエフの大門」。
 政治的に微妙な問題を扱っている上、残酷なシーンもあり、子供向きではない。だが、世界秩序について考えようとする大人の視聴者には、多くの示唆を与えてくれる傑作である。

【作品の舞台】
 作品の舞台となるのは、局地戦での核兵器使用をきっかけに、国際情勢が大きく揺れ動いた世界。一時は核を保有する超大国が主導的だったが、新たに開発された分散型兵器によって基地が制圧され核兵器が事実上無力化されると、強大な軍事力に頼ってきた世界の秩序が一変する。日本は核の傘を失った上、続いて起きた巨大地震の打撃で社会が混乱、頻発するテロを抑えきれなくなったため、もともと海外のレジスタンス部隊だったGGPを治安維持の目的で駐留させる。
 本アニメの設定によると、核兵器を無力化したのは、ライドバックと呼ばれる「オートバイに手が付いたような」ロボットとされる。ただし、これはアニメ的な視覚効果を狙った便宜的設定と考えた方が良いだろう。近未来の戦争が、巨大な破壊力を持つ大型兵器ではなく、サイバー攻撃による敵兵器の無力化や、多数の自律型ドローンによる分散攻撃(ガメラに小型レギオンが取り付くような)をメインとすることは、多くの軍事専門家が指摘する通り。AIによる顔認識機能を使って人間が操作しなくても要人を暗殺できるドローンも、2020年頃に実用化されたらしい(アニメ後半で登場する無人ライドバックは、このドローンの地上走行版と言える)。ライドバックは、安価で大量生産可能な民生品でありながら、容易に兵器に転用できるPCやドローンなどのアレゴリーである。
 GGPは「Global Government Plan」の略称で、超大国主導の国際政治を再編することが本来の目的だが、日本に駐留するのは、司令官ロマノフに率いられた事実上の軍隊。警察を傘下に置き政府に無断で緊急事態宣言を発令するなど、強権的な体制作りを進める。当然の結果として反GGP運動が盛り上がる中、GGPとBMA(反GGPを掲げるテロ組織)は、ともに軍用ライドバックを導入し武力対決に踏み切る。

【脚本の素晴らしさ】
 物語は、GGP対BMAの争いを軸にしながら、その周辺の動きを含めて多面的な展開を見せる。GGPとBMAいずれにも主流派・反主流派があり、複雑な内部抗争が陰に陽に進行する。驚くべきは、こうした策動をきちんと描ききった脚本の妙。ストーリーに直接関わる主要人物だけで1ダースを超えるのに、各人が従う指導原理が明確に叙述され、それぞれの行動方針に納得がいく。
 私が好きなのは、GGPで副官的な立場にある女性士官の描写。ふだんは感情を見せず実務的なのに、ロマノフが退席すると、書類をさっさと片付けながら自分でパラパラめくり、不敵な笑みを浮かべる。{netabare}この女性が陰で何かしていることを匂わせ、終盤における急展開の伏線となる。{/netabare}登場人物の多くがただの賑やかしにすぎない水増しアニメとは一線を画する、本格的な群像劇と言って良い。
 全体の中心にいるのが、ヒロインの琳。彼女は、震災で早世した天才バレリーナの娘として過度の期待にさらされ悩んでいたが、舞台上での怪我を契機に、バレエからきっぱり引退。何の目標もなく進学した大学で、スポーツとしてのライドバック競技に出会い、バレエで鍛えた身体能力を生かして好成績を収める。そのまま楽しい学園生活を送れるかと思いきや、親友をテロから救うためにライドバックを超絶技巧で乗りこなす映像がテレビで放映され、運命が一転。GGPとBMA双方から目を付けられ、両者の狭間で翻弄され続ける。
 琳は、もともとモラトリアム型で社会問題に関心がなく、バレエという閉ざされた世界で生きてきた。そのせいでGGPやBMAについての知識が乏しく、しばしば優柔不断に思える言動を示す。しかし、そのことが逆に、2つの勢力を善と悪に分ける教条的な解釈をいましめ、人間らしい生き方の何たるかを教えてくれる。このような描写を正しく読み解くことができれば、最終局面で彼女がある選択を行う理由がはっきりとわかるだろう。
 興味深いことに、こうした琳の姿は原作漫画と大きく異なっており、アニメ独自のものである。脚色を行ったライターの貢献か、監督が作品の方向性を指示したのか、具体的な経緯はわからない。

【高度な演出テクニック】
 アニメ『RIDEBACK』最大の眼目は、練り上げられた脚本を完璧に映像化した演出テクニックだろう。新人監督・高橋敦史の力量には端倪すべからざるものがある。
 例えば、何度も挿入されるテレビの報道番組。第5話では、テロ騒動から脱出するライドバックの映像を紹介しながら、いかにも聡明そうな解説者が、乗っているのが二人連れの女性であり、民間人が軍の包囲網を突破したことを、驚きを押し殺した口調で指摘する。時間軸に沿って繰り広げられるアクションを堪能してきた視聴者は、その瞬間、自分たちの目にした光景が、客観的にはどう認識されるかを察知する。このように視聴者の理解を映像でコントロールするのは、きわめて高度な技術を要するのだが、高橋は、いともやすやすと実行している。
 アクションシーンも素晴らしい。ライドバックは、近未来の乗り物であるにもかかわらず、エンジンを吹かす音やタイヤの軋みがオートバイそっくりで、妙に生々しい。これは、SFの世界に視聴者の知悉する現実を適度に混ぜることで、リアリティを増す手法である。よくよく目を凝らすと、走行中に車輪の位置が変わったり、かなりの高さから無事に着地したりと、工学的に無理のある動きも散見するが、エンジンやタイヤのリアルさが際だっているので、あまり気にならない。近未来的な操作パネルと旧式のハンドルやペダルが混在する外観も、印象的な音響と相まって臨場感を増幅する。
 人間が搭乗する二足歩行型巨大ロボットは、技術上の障害が多く高速走行は困難である。ロボットアニメでは、(『コードギアス 反逆のルルーシュ』のように)脚部に車輪を取り付けたり、(『新世紀エヴァンゲリオン』のように)あえて人工物には不可能な動作をさせて逆に非現実感を強調したりすることで、表現上の問題を回避する。『RIDEBACK』は、オートバイ型変形ロボットという独自の解決法を提示した訳である。オートバイのようにスピーディに動き回って視聴者に高揚感を味わわせた後、変形して人型に近い形態になる(こうした工夫は、オープニングアニメで集約的に表現されている)。
 ロボット同士のバトルもある。特に、第6話と第11話の終わり近く、琳が軍用ライドバックと闘うシーンの迫力は凄まじい。どちらも数秒で終わる一瞬の闘いなので、子供には物足りないだろうが、状況を把握できる大人は、息を殺して画面を見つめ、終わった後はしばし呆然としてしまう。

【作品に込められたメッセージ】
 アニメは、最終回でストーリーラインが分裂したように見える。{netabare}GGPとBMAの対立は、陰で暗躍していた勢力が事態を収める。一方、琳は独自の行動に出て、自律型殺人ライドバックを、バレエを思わせる華麗な動きで破壊していく。{/netabare}このラストは、ハッピーエンドのようで、どこか煮え切らなさを感じさせる。
 ある意味、それは当然のことである。世界秩序が一変したのに、すべてがあっさり解決するはずがない。「こんな解決法もありますよ」と提示するにとどめたと考えるべきだろう。
 力に頼る秩序は意外なほど脆く、簡単に壊れてしまう。現代人は、その危険性を至る所で目にしているはずだ。では、どうすれば良いのか。答えはない。しかし、アニメの中で琳は、答えがないなりに、決して踏み越えてはいけない一線、揺るがしてはならない原則があることを示す。それは、「命を守る」ということだ。時に力への憧れに身を任せそうになりながらも、彼女がこの原則を失念することはない。
 琳は、大切な家族や友人を助けようとするとき以外、他人に暴力を振るわない。第6話で弟を守るために警官を負傷させてしまうと、その警官が夢に現れ彼女を責めさいなむ。それほど、命を守るという原則を重んじているのだ。BMAのリーダー・キーファが、抜群の技量を持ちながら優柔不断で行動を起こそうとしない琳をなじったとき、彼女はこう答える。

 「人の命をなんとも思わない人たちと一緒にいるだけで、吐き気がします」

 素朴で情緒的だが、人間らしく力強い答えである。

【どうでも良いことですが】
 琳は、幼い頃から短いチュチュを穿いてクラシックバレエを踊ってきたので、パンツが見えても恥ずかしくないのだろう……多分。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

映像的なオーパーツ。すさまじい映像のアニメでした。

 当時、本作を見てアニメというものの表現の可能性に驚かされました。すさまじい3DCGでした。OP映像のレンダリングのすさまじさ。グランツーリスモみたいなゲーム専用機ではなく、アニメでここまで金属光沢が表現できるのか、という感動がありました。映像的にはオーパーツかもしれません。

 話はバレエを怪我で諦めた女子大生が、バイク+ロボットのような乗り物ライドバックに出会い、テロに巻き込まれてテロリストとして指名手配されるというストーリーです。
 正直テーマは見つけづらいところがあります。ライドバックの動きがバレエに通じるところがあって、ヒロインは覚醒します。が、ヒロインには主義主張もなく友人を助けるという動機で、テロに巻き込まれて逃げ回るだけです。

 友情のエピソードも主体的ではなく憧れの存在としてなついてくる幼馴染とのストーリーでした。

 ただ、13話で話が奇麗に完結しているうえに、ストーリーは面白かったと思います。ライドバックというバレエに通じる機械と出会い覚醒する。この乗り物を極めたいと思う。そこまでは良かったと思います。ただ、その後のヒロインの行動の選択になんでもいいので「動機」があればなあと。テロに加わるにしても、逃走するにしても、全く別の競技などのストーリーにするにせよ「私はこうしたい」が弱いですよね。「友人を助けたい」はウォンツではなくマストですので動機とは言い難いです。

 だから、最後ヘリに乗らない選択をした時に「おお」と思いましたし、彼女が主体性を持って動けたのはいいのですが「心の赴くままに舞う」ためだけにその選択をしたのがどうだったでしょう。バレエの代替ではないのか、という疑問が生じます。
 彼女がライドバックで美しく舞うのを見るためだけに作られたアニメに感じてしまい、ちょっとストーリーの深みという点で残念でした。

 ただしそのヒロインがライドバックで舞うアニメの出来は半端ではありませんでした。迫力、動きやエフェクト、3DCG等々が素晴らしく、なんといってもヒロインの造形の魅力があって「アニメを見る」という楽しみにおいては、すさまじい水準の作品だったと思います。ですので、映像を楽しむだけでも見る価値があると思います。映像だけは何年たっても心に残っていました。声優さんも一世を風靡した水樹奈々さんでしたので、力が入っていたのでしょう。

 再視聴したくてアマプラやDアニメを探しましたが無くて、結局古い録画を探して見つけ出しました。ということは、やはり人気は無いのでしょう。JDという年齢層、テロに巻き込まれて行く、{netabare}友人の死{/netabare}という題材が、受け入れられなかったのかもしれません。


追記 SF設定について、バイクで戦うは荒唐無稽のような感じがあります。その昔のSFでメガフォースという映画でバイクで戦ってましたが、やっぱりちょっと頼りないというか、空想にしか見えないというか…瓦礫には圧倒的に弱そうですし、射撃をするにも進行方向をそっちに向けたら事故っちゃいますし。ロボット化できるならありなんでしょうか?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ロボットアニメへのなり損ない

キャラの絵柄は地道。雰囲気もちょっと大人しい。
ぱっと見、ロボットものだと思われがちですが、実際に視聴してみるとロボットアニメのカテゴリーには微妙に入らないのが理解できます。
オートバイに手足が生えたような車両「RIDE BACK」(ライドバック)。
ひとりの少女が、このメカと出会い、天才的なライダーとしての才能を開化させていくお話。

・・・・だけじゃあない作品でした。


作品タイトルにもなっているライドバックは、基本的にはオートバイの進化系のようなもの。手が出ていたり人型に変形するのは、姿勢制御や移動する場所を選ばないためのバリエーションのような役割です。人間が搭乗し、移動する乗り物であることに変わりはありません。
怪我でバレエダンサーとしての夢敗れた主人公が、偶然このライドバッグに乗って新たな喜びを見つけ、バレエで培ったセンスを活かしたライドで一流に上り詰めていく・・・という、話だと思いました。最初の方は。
颯爽とスカートを翻しながら華麗に踊るような主人公のライディングが素敵です。


ただ、中盤からは、政治やテロやらが絡んできて、ライドバッグ=兵器、のような扱いになってしまいます。
そういう路線、つまりライドバッグをロボットアニメのロボット的な扱いにして、アクションバトルをやるならソレはソレで良かったんですが、いまひとつそういう方向にも突き抜けていない。半端なポジションで納まってしまい魅力半減でした。
こういうメカなら、アクションはカーチェイスやアクロバットで充分でしょうに、普通。
鉄砲撃ったり殴ったりするシーンが多くて「何か違う」って印象でした。

また、不必要に世界を支配する組織がどうのこうのと、大きな風呂敷を広げるもんだから、暗くて血生臭いストーリーになってきます。
レースやメカアクションものの肝であるスカッとする要素が、そのやたらと重苦しい雰囲気ために台無し。爽快感に欠ける展開と進行でした。
そもそも設定に無理がありすぎるんです。
世界情勢を変えるくらいの新機軸って・・・これが? ( ̄△ ̄)


素直に「少女が特殊な愛機とレースする」作品だったら面白かったとおもうんですが、個人的には。
いいギミックなのに、素材の調理方法を間違ったようで残念。
ほんと勿体無い。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

69.4 21 sfで漫画原作なアニメランキング21位
MEMORIES(アニメ映画)

1995年12月23日
★★★★☆ 3.8 (217)
1035人が棚に入れました
大友克弘が製作総指揮と総監督を務めた、3話から成る劇場用オムニバス・アニメーション大作。遭難した宇宙船を舞台にした、大友の同名漫画を今敏が脚色したSFドラマ「彼女の想いで」。誤って実験用の薬を飲んだ男が巻き起こす一大パニックを描くブラック・コメディ「最臭兵器」。大砲を撃つための街に暮らす少年の日々を綴る大友監督作「大砲の街」。いずれもセンス・オブ・ワンダーに彩られた奇妙な味わいが特徴となっている。

声優・キャラクター
磯部勉、山寺宏一、高島雅羅、飯塚昭三、堀秀行、羽佐間道夫、大塚周夫、林勇、キートン山田、山本圭子、仲木隆司
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

独特な世界観

話の筋がまったく別々のお話が3話入っています。

第一話は未来のお話。
2092年、一仕事を終えた宇宙船がたまたま拾った救難信号。
それが発信された場所へ行ってみるや否やそこはみ見たこともない宇宙のゴミ溜めだった。
しかし救難信号があるということは、生存者の存在を意味することに他ならない。
仕方なく救出に向かうお調子者のミゲルと堅実なハインツ。
そこで彼らを待ち受けていたものは時間と共に凍りついたお城と1人の女性だった。

{netabare}

個人的にはあまり好きではない終わり方でした。
屈折した愛は永遠にまっすぐ飛び続けるということはなく
閾値を超えてしまうと天地がひっくり返るように
まったく別のものとして宇宙をさまよい続けることになる。
ミゲルは見事に夢の温かい泥の中に沈んでいき
ハインツは現実のサルベージを受けることができた。
でもなにも宇宙船で待っててくれた2人まで殺すことはないのにと思いましたね(笑)
結局、あの星にもミゲルにも救いが一切ありませんね。
残酷でした。
またそれとは逆にその星は非常に教訓的で象徴的なメタファーだとも感じました。
思い出は安易な幸福感と充実感のためではなく、
その人自身の原動力となり、生涯の糧となるような熱源であって欲しいですね。

現実的効用のあるストーリーだと僕は思います。


{/netabare}





第二話は笑いの要素を含んだお話。
薬品の研究に携わる研究員、田中信夫。
鈍感で、ちょっと抜けてる彼は風邪をひいてしまい
聞き覚えのあるデザインと同じ薬を飲んだら、あら大変という感じ。

個人的にはこういう話なら両さんの方が面白いと思いました(笑)


第三話は『大砲の街』。
大砲を打ち続ける街に住むある一家に目線を絞りその一日を描いた作品。
画も絵本チックで不思議な作品です。

{netabare}

いもしない敵に向かって大砲を放ち続ける姿は何かの儀式みたいでした。

あの大砲に意味はあるのでしょうか。
何かに怯えているのか。
権力のみせしめなのか。
大砲しかない街が大砲を失わないようにしているある種ひつようなことなのか。
はたまた軍事国家の悲惨さなのか。
無駄なことばかりしている政治の風刺なのか。

いろんなことを考えてしまいますね。

{/netabare}


全体的にこの映画はリアルです。
アニメではあるけれどなにか現実的なところに惹きつけられます。
それは画であったり、人の動きや会話であったりと。

こういった一味違った映画もいいものです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1995年といったら攻殻劇場公開、エヴァTV放送と華々しく、ジャパニメーションなんて造語も流行ったときで

その同じ時期の作品にして、
当時、ジャパニメーションの御曹司のようにたてまつられ、また、「童夢」とか「AKIRA」とかでMANGAの旗手のようにも言われてた、大友克洋さん原作の3篇の短編からなるオムニバス作品で、大友さんが全体監修兼3作目の監督をつとめたのがこのアニメ。

このみっつの短編なんだけど、
妄想幻覚系SFホラー、SFミリタリー+サスペンスコメディ、セカイ系の元祖みたいな鬱ファンタジー、と、3作3様のアプローチで愉しませてくれる。
まあ全体のトーンは鬱に尽きるんですけども。そして、万人向きではないけれど。「グロは嫌だけど心理的に追い込まれる鬱系作品が好き」な人には、ぜひにとお勧めしたいアニメです。


{netabare}
最初が「彼女の想いで」。宇宙空間での、尻の浮くような不安定感がよく表現されていて、そんな中で、幻覚装置に取り込まれて夢の中を生きることになる宇宙船員と、宇宙に放り出されてしまってひとり漂流していく宇宙船員の、それぞれの孤独な末路が描かれる。
ガンダムでは表現できなかった、宇宙空間の怖さ・寂しさが秀逸。

2番目が「最臭兵器」。間違って飲み薬を飲んだだけで、意図せず無双の殺人兵器化しちゃった山梨の研究所の職員が上司の指示と誤解のために東京を目指す話。無双化というのが、「めちゃくちゃ臭い」というのがポイントで、人を殺すばかりでなく電子機器まで狂わせてしまう。この職員を殺す以外に東京を守るスベはない。ということになって最後は米軍まで繰り出して、という凄惨なはなしをサスペンス風味のコメディタッチで描く。オチが読めちゃうのが難点だけど、この無双化した職員の暴走が面白い。

出色なのが、三作目の「大砲の街」。エヴァの使徒迎撃用要塞都市みたいな、敵を砲撃するための大砲だらけ、砲手だらけの暗い街が舞台なんだけど、はなしの中では、攻撃する相手は一切明らかにされず、ただ大砲を撃って戦いつづける、という軍事に特化した異様な生活が淡々と描かれる。これは、大友監督作なんだけど、まるで押井作品のようでもあり、静かで、陰鬱なトーンが胃の腑にずん、とこたえる。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

Lickington さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

3作目が本番!

3部構成の作品

第1部
突然のSOSコールのために探索する宇宙船の話
内容からいうとあまり深いものではなかった
特に,種明かしが全くなくてこのままだとどうしようもないなという感じ
何が伝えたいのか,この物語の主張はなんであるかがまったくわからなかった
視聴者に対してどんな思想的深みを与えられるかに重きを置いた作品が素晴らしいと,私は思っているのでこの作品はあまり心に打たれるということはなかった
よくある展開といってしまってもいいと思う

第2作
風邪をこじらせてしまった主人公が体調を悪くなってしまったところからこの物語は始まる
最終部分でのオチは予想がついたし,前作同様制作が伝えたいところがわからなかった
シニカルな笑いのエンドはそれ以上でもそれ以下でもなかった

第3作
はじめは全く期待しないで見ていた
キャラデザもあまり気持ちがいいものではなかった
しかし結果的には今作は全く毛色の違いものであった
物語は軍事モノの様相を呈している
弾道学がでてきて,ちょっと興味がわいた
農薬がどうのとかいう話もあった

その国では大砲を何発も打つ
そこで少年は聞く
「僕たちはどこと戦争をしているの?」
父はくぼんだ目で一言
「それは大人になったらわかる」
このやりとりはとても心にしみるいい描写だったと思う
荒廃しきった社会で何と戦っているのか
その意味は何であるかを問いかける
(見ている人を疑心暗鬼にさせるだけかもしれないが...)

現代社会においては自分自身が戦いの標的であるということの隠喩であるのかもしれない
そして最後に警報がなってこの物語は終わる
これは俺たちの戦いはこれからだendと全く変わらないだろう
ちょっといい話に感じたが,よく考えると,どうしようもなくくだらない話なような気もする
だけどこれは疑問の答えも示しているかもしれない
不均衡な世界だとしても,人々が成長することで世界に何が起こっているかが理解できるようになる
解決するにはまずそれを十分知らなければならない
そんなこれからの希望が見えてくる作品であったかなという感じ
ぜひ3作目までは耐えて見て欲しい

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

60.4 22 sfで漫画原作なアニメランキング22位
いばらの王 King of Thorn(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.5 (179)
810人が棚に入れました
謎の奇病“メドゥーサ”が世界中にまん延し、人類は治療法を未来に求めることに。カスミ(花澤香菜)をはじめ選ばれた160人は、古城に作られた冷凍睡眠施設で眠りにつくが、目覚めるとそこは異様な空間に変わり果てていた。仲間たちが正体不明の奇獣に襲われ次々に命を落とし、何とか生き残ったカスミたち7 人の命懸けの脱出が始まる。

声優・キャラクター
花澤香菜、森川智之、仙台エリ、大原さやか、矢島晶子、乃村健次、三木眞一郎、磯部勉、廣田行生、川澄綾子、久野美咲、織田圭祐
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

いばらの道を行く、少女の成長物語

この作品のキーワードは、【人類の進化】、【夢と現実】、【少女の成長物語】、だと思う。
SF好きの方に、是非オススメのSFアニメ映画。

■あらすじ
多くの方がこのアニメを「モンスターパニック」ものだと解釈しているが、私はそうだとは思わない。
確かに、序盤は、映画『エイリアン』を彷彿させるようなモンスターパニックではあった。
しかし、中盤から終盤は、童話『眠れる森の美女』のオマージュであったり、映画『2001年宇宙の旅』や『2010年』を想起させる作品であった。

■感想(ネタバレ)
【夢と現実】
{netabare}今いるカスミは彼女の姉シズクが願った「生きてほしい」という「夢」から生まれた存在だったけれど、、「俺たちの存在も、案外、誰かの夢かもしれない」―そう言ったマルコの言葉は、カスミを励ますためだけではなく、案外、彼の正直な思いなのかもしれないと思った。
この世界や我々は、誰かの夢なのかもしれない。そういう気持ちは理解できる。
そして、そのわけのわからない誰か(創造者)も、この物語のシズクと同じように「生きてほしい」と願って私たちを生んだのだと思う。この物語が伝えたかったことはそこにあるのではないか。つまり、私たちが存在するのは、「誰か」が生きてほしいと願ったからだと。
「この世界は誰かの夢にすぎない」。そういうことに、虚無感や無意味さを抱くのではなく。
ある人たちにとっては、そのわけのわからない「何か」を「神」と呼ぶのかもしれない。海外の人たちの評価が高かったのは、そこらへんに何か共感を得たからではないのだろうか。{/netabare}

【人類の進化】
{netabare}人類は果たして進化するのかどうか。人類の歴史は凄く浅くて、地球にもっとも長く存在した生物の一つとして恐竜(ゴキブリはまあ置いといて)という種がいたけど、恐竜は何億年という年月をかけて進化し続けたのだろうか。そんなことを思うと、人間も必ずしも進化するとは思えないし、生物として特別優れているとも思わない。
人類の進化に対する「限界」や「希望」を、この作品では「メドゥーサ」に託した。メドゥーサは決してただの石化ウイルスではない。他の作品でいうところの、『2001年宇宙の旅』や『2010年』の「モノリス」に該当する。外的要因に進化を託すことはロマンではあるけども、なんだか人間やこの社会に対する「行き詰まり」を感じたりもする。{/netabare}

【少女の成長物語】
{netabare}当初の主人公カスミは、一人で生き延びるくらいなら姉と死ぬことを選ぶほど、弱かった。それでも物語を通して彼女は見事に成長していったと思う。彼女は実はオルタナティブ(分身)だったけど、マルコの言葉で救われた。
これからどうするの?と聞く不安そうなティムに、あなたのパパとママのところに行きましょうと答えるカスミ。
そして以前シズクに言われた「願いのないところに、奇跡は起こらない」という言葉を、笑顔でティムに伝える。
笑顔で答えるティム。
カスミの顔には、以前のような弱気な表情はなかった。
カスミとティムが歩みだした道の様相は、ひび割れていて、まるでいばらの道のようだった。
そのいばらの道は、地平線の果てまで、ずっと続いていた。
この先、この世界と彼女たちがどうなるのかはわからないけど、これからカスミは、シズクが居なくても、強く生きていくのだと思う。{/netabare}

■個人的に好きなシーン
{netabare}眼鏡を外してコールドスリープの中に入るカスミ。
愛しい姉と別れ、コールドスリープの中で永い眠りにつく彼女は泣いていた。
100年後に目覚めるとき、そこには愛する姉はもういない。
彼女たちは双子だから容姿は良く似ている。だから、20歳の時は20歳の、40歳の時は40歳の、100歳の時は100歳の、「あなた」を、鏡を見るたびに思い出すのだろう。{/netabare}

以下は自分なりの解釈

■メドゥーサの正体
{netabare}メドゥーサは宇宙から飛来したものだが、その正体は石化ウィルスではなく、「生物の進化を促す存在」である。まるで『2001年宇宙の旅』に出てくる「モノリス」だ。
始めの「適合者」はアリス。メドゥーサに感染しても石化しなかった。彼女は、空想からオルタナティブ(代わりの存在、分身)を生み出す能力を得た。ヴェガが言う、まさに人間の進化の形だった。{/netabare}

■コールドスリープの目的
{netabare}メドゥーサ(精神寄生体)の感染者は、石化する前、トラウマという精神的傾向をおこし、「精神の集中」をもたらすことがある。
ヴェガは言う。「今まで生物が進化してきたのは、進化した姿を想像することができ、そう願ったからだ。しかし、今の人間は、外界からの刺激や己の理性が原因で、自らの意志の力だけでは精神統一が出来ず、“空想の中に浸り続けることは出来ない”」と。
ヴェガはメドゥーサの感染により精神の集中をもたらし、進化の可能性が飛躍的に高まった患者を呼び集め、コールドスリープを用い、進化を促す実験を始めた。これがコールドスリープ計画の実態ではないだろうか。ヴェガは人類の進化を天啓とし、そして度重なる実験により死んだアリスへの報いをしたかった。
コールドスリープの本当の目的は、未来にメドゥーサの治療法を託すことではなかった。{/netabare}

■あとがき
2時間という枠組みということもあり、説明不足の感が否めなかった。
また序盤のモンスターパニックに対して、終盤の展開があまりにも駆け足で描写されたために理解が追い付かなかった。
海外での評価が高いのは、恐らく、童謡『眠れる森の美女』や映画『2001年宇宙の旅』などの知名度が日本と違って高いからだろう。

しかし「説明不足」の作品というのは、一方では「考察する余地がある」ということでもあると思う。
そんな作品に思惑を巡らすのも面白いかなと。
是非この作品を見て、感想や思いを共有してくれると嬉しいです。
素晴らしいアニメだと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

願いのないところに奇跡はおこらない。

岩原裕二による日本の漫画を原作とした劇場アニメ。
2010年5月1日公開約110分。制作サンライズ。

ハリウッドが実写作りそうな如何にもな内容の作品。
初めて視た時は可也衝撃的だった・・

SFサバイバルアクション&サスペンス

妖怪アニメと括っている局も有るようですが・・

私が見た限りでも数々の映画の特化映像を取り込み
要所・・随所に盛り込まれてるけど違和感はない。
そういう意味ではできる事は全てやりましたって感じ。
真実を知る事の怖さというかトラウマになる内容かも。


主題歌
「EDGE OF THIS WORLD」(アリオラジャパン)
歌・作詞 - MISIA / 作曲 - Sinkiroh / 編曲 - Gomi

キャラクターデザイン - 松原秀典
モンスターデザイン - 安藤賢司
メカニックデザイン - 山根公利

治療法のない謎の石化病、通称『メドゥーサ』。
奇病に蝕まれた世界の人々、その中から選ばれた160人
は未来に可能性を託し、冷凍睡眠(コールドスリープ)
についた・・しかし覚醒めた少女が見たその世界は・・


カスミ・イシキ(花澤香菜)日本人、15歳の高校生。
双子の姉妹でメガネをかけた黒髪セミロングの少女。
生存者とともに"いばらの古城"からの脱出を試みる。

マルコ・オーエン(森川智之)刑期60年の囚人。
粗暴で屈強なイレズミの男。非常に行動力が高い。
何らかの秘密を抱え"いばらの古城"の構造に詳しい。

ロン(乃村健次)アメリカ人。屈強な黒人。元警察官。
マルコを信用せず「裏切り者」扱いしたり、言動が粗い。

ティム(矢島晶子)ドイツ人。モンスターに詳しい。
7人の中で最年少。キャサリンを「おばちゃん」と慕う。

キャサリン(大原さやか)オーストラリア人。看護士。
ティムを気遣ったり面倒見の良い。良くヒスを起す。

ピーター(三木眞一郎)アメリカ人。技師。
メガネをかけた細身の男性。7人の中ではフォロー役。
古城の構造に詳しいようで、時折不可解な言動も行う。

アレッサンドロ(廣田行生)イタリア人。59歳。元政治家。
コールドスリープ資格者の権利を大金で買った上院議員。

シズク(仙台エリ)日本人。カスミと双子の姉。
カスミ同様にメドゥーサを発症していたが、人工冬眠
の抽選に漏れてしまい、カスミのトラウマになっている。

アリス(久野美咲)謎の少女。
最初の“メドゥーサ”の適合者にて最古の被験者。

アイヴァン・コラル・ヴェガ(磯部勉)ロシア人。45歳。
化学メーカーCEOヴィナスゲイトの代表。

ローラ・オーエン(川澄綾子)マルコの妹。大学生。
国籍はグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国。

ゼウス劇場版では単なるモブ扱いとして一瞬写るのみ。

ウォルター(藤田圭宣)アメリカ人。NSA局員。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

エミ(エミタク) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

観た人がこのアニメにどの程度ついていけるのかがミソ

このアニメは観たくて借りたわけではなく、
レンタル限度の20枚まであと一枚。
折角だから何か借りておこう☆っと、何気なくカゴに入れた一枚。
正直期待もしてないし暇つぶし程度に観るハズだった

…のだがっ!!

【なんだコレ!ヾ(´∀`*)ノやたー当りだっオモロー♥♥♥】

設定・展開に引き込まれ見入ってしまった(σ゚∀゚σ)Niceですっ♪


…【前半】はねw

話が進むにつれて謎が解けると言うか前半に(。´д`) ン?
て思った事等がわかり少しずつ話が見えてくるのだが…
この作者は優しくない!!
もう少し時間をかけて分かりやすくしていってほしい(ρд<。)
(*゚ロ゚)ハッ!!なるほど!!そうだったのね!!
ってカンジにならぬまま話は進みまた新たな謎がなんとなく解ける。
観ているこっちは展開について行くのに精一杯で
物語を楽しむ余裕がない(うん、私バカだものw)

最終的には話が繋がるが終わり方もなんとなく微妙だったし
まだ気になる部分が残ってたりしてあたい不完全燃焼↓

最初の当り感は見事に打ち砕かれ残念感がハンパない結果となったw


一緒に観た子は
『原作がある物を短時間の映画に詰め込んでこの仕上がりなら上等♪』
っと言っていたのでやはりタイトルに書いた通り
〝観た人がどの程度ついていけるのかがミソ〟なんだと思われ。

あと、
{netabare} 100年後の世界なんだと思いきや実は2日後だった
{/netabare}ってのも残念ポイントの一つ。


観ている途中エヴァとバイオハザードが頭に浮かんだ。
多分
エヴァ=難解な部分があり一度観ただけじゃ理解出来ない。
ってのと
バイハザ=映画1で出てくるクイーンとこのアニメのアリスに似通った部分があるからだと思われ…


っというかこのアニメは結局
☆モンスターパニック
☆奇病
どちらを押したかったの??
映画ではなく1クールアニメにすれば何倍も面白い作品になっただろうに…残念だ;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

61.9 23 sfで漫画原作なアニメランキング23位
エルドライブ ēlDLIVE(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (161)
781人が棚に入れました
この世界には、地球人の知らない数多くの宇宙人が存在する。宇宙の秩序と平和を守るため、日夜、悪と戦い続ける組織、それが"宇宙警察エルドライブ"である。地球で暮らす少年・九ノ瀬宙太ここのせちゅうたには、物心ついたときから、ほかの誰にも聞こえない不思議な"声"が聞こえていた。そんな宙太がある日突然、宇宙警察エルドライブ・太陽系方面署の署員としてスカウトされる。採用試験を受けることにした宙太は、その最中、初めて"声"の主と対面することになるのだが、その声の主とは、"共生体モニタリアン"といわれる珍しい生命体。宙太はこのモニタリアンと協力して共生技を発動できる特殊な存在だった。採用試験に合格した宙太は、相棒のモニタリアン"ドルー"とともに、太陽系方面署署長レイン・ブリックのもと、同僚の其方美鈴そのかたみすずや仲間たちとともに、エルドライブ署員として働くことになる。

声優・キャラクター
村瀬歩、早見沙織、鈴木達央、釘宮理恵、小林大紀、飯田里穂、Lynn、松岡禎丞
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

一瞬だけ、志村けん さんかと思ったw

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
というタイトルにピンときた方は、1話を観た方ですね(志村けんさんの白鳥)w

良くも悪くも子供向けのアニメ。でも、それだけで侮ってはいけない。「マリワカ」の好例があるからね♪

ぶっちゃけ、去年(2016)は駄作が多かったスタジオぴえろ(おそ松さんは2015~)。さあ、今年(2017)をうらなう一作目はどうかな?

まあ、何はともあれ、小中学生が面白いと思ったら、面白いアニメなんでしょう♪ 私のようなオッサンではなくw


《以下ネタバレ》

【視聴断念(2話まで&最終話)】
{netabare}
やはり、おっさんが観るアニメじゃないw それにつきると思います。だったらまあ、夕方6時から放送するべきですね。

さて、合わない合わないではレビューにならないので、良い点と、難点を。

良い点としては、わりと深そうな世界観をつくっているところと、ツンデレ感溢れる美鈴のキャラかな。

太古の地球に送り込まれた、知的生命体(風なロボ?)「ジルー」。おそらく、話が進んでいくなかで、太古の地球に何があったか、なぜ他のモニタリアンが残っていないのか、その謎解きや元凶との戦い、など壮大な戦いに発展していくのでしょう。そして、宙太の成長を描くと(王道)。そうなれば、面白味も出てくる気もします。

また、ヒロインの美鈴ですが、ツンデレのテンプレみたいな感じですが、宙太に対する多種多様な罵倒が辛辣且つ小気味良く、なかなか良い感じです。声優さんの力も大きい感じがしました。

マスコットとはいえよくしゃべるので、釘宮病の患者さん(私も軽度の釘宮病w)には、よい薬となったかも(笑)

次に難点を。

まず、ギャグが致命的にツマラナイ、というより、子供向けの分かりやすいギャグ(これは、この原作者はずっとそうなので、多分変化はないかな?)。

次に、主人公の宙太の戦闘手段が「イメージの具現化」という、様々なアニメや漫画で使われるチート能力だという点です。まあ、いろんな敵を出して、色んな方法でやっつけられる、作者にとって楽で都合の良い戦闘手段とも言えます。短いスパンで盛り上がりをつくり、アンケートの好成績を取り続けなければならない、ジャンプ原作らしいっちゃあらしいです。

「イメージの具現化」を主人公の能力にする場合、どう制限をかけるかが大事だと思います(このへんは、HUNTER×HUNTERの念能力全般、特にクラピカの具現化系とか上手い)。1話を観た限りでは、そういう制限は見当たりませんでした。何でもできる能力ほど、ツマラナイものはないです。

本作の場合、それは(宙太とジルーの)「イメージの共有」というのが制限になるのかもしれませんね。二人が仲違いすれば、技が発動できないとかして、二人の絆の深まりを描いていくつもりなのでしょう。

ただ、第1話でいきなり完璧にシンクロしちゃったし、それも「並み縫い!」と一言でやっちゃう雑さが残念。それじゃあ、「宙太のイメージを具現化する」ことと「宙太とジルーのイメージを合わせる」ことに違いが生まれず、折角の設定を自らぶち壊しているな、と。どうせなら、(序盤は)何回か失敗させるか、不完全な並み縫いになるかすれば良かったと思うけど、そうやってじっくりと描けないところが、ジャンプ漫画家の宿命かな。新連載の1話目、限られたページ数をフルに使って盛り上がりを作り、アンケート1位とらなければならないしね(byバクマン)w

とにかく、後半に面白くなりそうな要素はあるなと思いました。ただまあ、そこまで待てるほどこのアニメに興味もないし、単純に面白くないし、原作連載中だからアニメではそこまでの核心に踏み込めずに終わるだろうし、ここで切りですねm(__)m

【追記→最終話のみ視聴】
ベガ警部の裏切り?とか、なんか緊迫してる風だけど、そんなベガ警部が人質もとらず、エルドライブ本部への連絡をスルーするとか、ガバガバじゃん。ベガ警部が(デミルを逮捕させる為に、意図的に情報をもらし)間接的にエルドライブを動かしたとかいう描写があれば良かったのに。もしくは、エルドライブがデミル艦隊に乗り込んできた時点でベガ警部がデミルを倒し、でも責任として、死ぬ覚悟で戦いに臨ませるとかすれば、味が出たのに。

ラストバトルも、ビームサーベルで力押しでした。やはり、最終話を観ても子供だまし(対象年齢小学校中学年感)を感じました。ただまあ、なんかハッピーエンドで良かった良かったという感じでしょうか。


〔まとめ〕
○深そうな世界観
○美鈴の多種多様で辛辣な罵倒
×ギャグのつまらなさ
×能力設定の荒らさ
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
主人公はダメ系少年。でも謎の力を秘めていて、という王道。展開も王道。1話を観る限りあまり面白くない。バトルもので少年の成長を描くようだが、そのバトルの手段が×。

2話目
エルドライブの全容などが明らかになっていき、楽しさも増えてきた。しかし、戦闘面がたまらなくつまらなかったのと、ノリが子供っぽすぎて、視聴断念ですね。宙太も美鈴も、ワケもなく強すぎ、力業で敵を倒しすぎです(苦笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「Sympathy=共感」を根底に進化を続ける宙太とモニタリアン…

この作品の原作は未読ですが、クギュとはやみんが共演すると知り視聴を楽しみにしていた作品です。
少年・少女漫画やラノベなど幅広いジャンルから作品が選りすぐられてアニメ化されています。
普段少年誌に対しては全く食指が動かないのにアニメになると思わず見てしまい、結構感動したりもするのはきっとアニメだから…

大勢の人が携わり…声優さんが魂を吹き込んで初めて完成するのがアニメの作品…
アニメ化される作品も凄いですが、その画を動かして声を当てるのはその道のプロフェッショナルな方々…
しかも声優さんは相当激しい競争を経て役を掴み取っている、そんな大の大人が生み出す本気の結晶そのものがアニメだと考えると、その様な作品を視聴するのはとても贅沢な事だと思います。

この物語の主人公は中学2年生の九ノ瀬宙太…
彼はまだ年端もいかないのに周りからちょっと変人扱いされていました。
それは誰もいないのに急に話し出したりするから…
でも、実は彼はちゃんと会話をしていたんです。
彼にしか聞こえない声と…
それに彼の人生における決して消える事のない汚点が、事ある毎に宙太の気持ちを浸食するのでだんだん内向的な性格へと変貌していってしまったんです。

ところが、そんな彼にも転機が訪れます。
それは宇宙警察エルドライブにスカウトされるという一大事が…
エルドライブにスカウトされた事でこれまで分からなかった事が色々と分かってきました。
一番は謎の幽霊の様な宙太の会話の相手がドルーというモニアリアンだった事…
同級生のヒロイン…はやみん演じる其方美鈴もエルドライブの一員だった事…
そして宇宙警察が地球上に目を配らなければいけないほど、宇宙犯罪者がやってきている現実を知り、宙太はドルーと一緒にエルドライブの一員となり物語が動いていきます。

この作品の見どころは、何といっても宙太とドルーの絆がどの様に深まっていくのか、宙太が自分の過去とどの様に向き合っていくのか、そして同僚となる其方との関係…といったところだと思います。

宙太とドルーの絆が彼のエルドライブにおける活躍とリンクしているのですが、ドルーは共生型の生き物なので宿主の状態にかなり左右されてしまう上、ドルーが宙太とのSymparhyを感じないと本来の力が発揮できないので、最初は中途半端感が否めませんでした。

でも誰かと繋がっていると実感できた時って、嫌いな人とじゃなければ嬉しさを感じると思います。
それは例え同じヒト同士じゃなかったとしても…

宙太とドルーは小さい事から一つずつ積み上げていきました。
決して順風満帆なんかじゃありませんでした。
でも限界ギリギリの攻防に加え相手を思いやる気持ちが限界値に到達した時、目の前で起こる出来事はきっと奇跡…

最初の頃と比べると、宙太は変わったと思います。
ドルーを認識できて明るくなった…
其方とも何とか話ができるようになった…
でもきっと宙太は気付くと思います。
これから大人の階段を上っていく上で、たくさんの厳しい現実が待っているという事を…
少し前までの宙太だったら逃げ出していたかもしれない…
だけど今なら大丈夫…だって宙太は一人じゃないから…

だから辛い過去にもしっかり向き合って欲しい…
だって過去は消せないし改変もできないのだから…
私たちにできるのは、事実を受け止めそこから未来への糧を引きずり出す事…

嫌な事からずっと逃げ続ける事はできません。
バカが付くくらい真摯に向き合ってみたら、そこから見える景色は自分の思い描いていた風景と違うかもしれませんよ。

宙太を陰日向で支えるはやみん演じる其方…
彼女も魅力溢れる女の子であると同時に、年相応の面が垣間見れたのが良かったと思います。
でも基本可愛いです。

そんな宙太と其方がエルドライブとしてどの様な活躍を見せてくれるのかが楽しみです。

オープニングテーマは、+α/あるふぁきゅん。さんの「Our sympathy」
エンディングテーマは、The Super Ballさんの「キミノコエガ…。」
+α/あるふぁきゅん。さんのオープニングはメチャクチャ恰好良かったと思います。

1クール12話の物語でした。
きっと物語としては全然序盤なんだと思います。
これは続きもアニメで…を希望します。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

ドルーを見て思ったのですが・・・

「根性!根性!ド根性でぃ!!」と一世を風靡した人情コメディアニメを思いだすようでは私はそうとうジジイですね。
でも作風にもなんとなーくそんな懐古じみた感じが多く取り入れてるような気がするんですよ(個人的に)。それが天野先生によるものか、推してる編集者によるものか判りかねますが。
・ドルーの顔が手塚動物キャラっぽく見えた(第一印象)。
・「ドルー」のネーミング=銀色の宇宙刑事が扱う電子聖獣からか?
・宇宙警察エルドライブ署内での復唱「ヨーヨーサー」がタイムボカンの三悪の二人が使う復唱みたい。
・ストレインジ・ラヴ。ネーミングの元ネタは映画「博士の異常な愛情」?
etc・・・

作品世界における特殊適正「SPH(Space Pheromone:スペースフェロモン)」の定義も今一つわかりにくく感じます。体内から出る分泌物って・・・

王道少年漫画らしく主人公・九ノ瀬宙太君は中二の思春期真っ盛りの少年。幼少時のトラウマと物心ついた時から聞こえる謎の空耳に悩み、実は宇宙希少生命体「モニタリアン」と共生していることが分かり宇宙警察エルドライブにスカウトされて入隊(って、世間知らずの未成年になんという無茶ぶり!)。
そして数々の事件と遭遇して成長していく物語なのでしょうが、如何せん事件が宙太のご近所でしか起こらない進行具合がチョットショボい気が・・・(でも最終回はイキナリ地球規模って!)

エルドライブ署員も個性的なキャラデザインは好感ですが、みんな「イイ人」すぎる!(何人かは腹黒・ひねくれ・嫉妬の権化みたいなウザキャラがいた方がストーリーに深みが出たような気もするのですが。)

ドルーのシンパシー(共感)で必殺技が出せるようになった宙太。しかし「個性」なのでしょうがネーミングセンスの悪すぎにドン引き。(冷却ガムはがし・なみぬい・まつり縫い・輪切りって家庭科か?)

そしてさしたる大きな流れはなく謎の伏線を残して終了。2クール行く気なんでしょうが、う~~んどうだろう?個人的には、う~~~~~~~ん・・・

{netabare}
❝宙太の妄想で― ❞
Dr.ラヴ「さあ、今日もタクラマカン計画の実験をしよう」
其方美鈴「イエス、Dr.ラヴ」(潤んだ瞳で)
Dr.ラヴ「服を脱ぎたまえ」
其方美鈴「イエス、Dr.ラヴ」(頬を赤らめながら頷く)
美鈴の足元に落ちるスカート・・・・・・

宙太「うわあああああああああああああああああ!」
ドルー「しっかりしろ宙太!Hな事ばかり考えてるとタイトルが『エロドライブ』になってしまうぞ!」{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

71.0 24 sfで漫画原作なアニメランキング24位
スペースコブラ(TVアニメ動画)

1982年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (156)
656人が棚に入れました
戦いの記憶を消し、平凡なサラリーマンに身をやつしていたコブラだったが、アクシデントに巻き込まれたことをきっかけに再び冒険のスリルを求めて宇宙へと旅立つ。折りしも悪の組織ギルドが謎のイレズミを背負った三姉妹捜しに躍起になっていた頃、コブラはそのひとりジェーンと知り合う…。

声優・キャラクター
野沢那智、榊原良子、藤田淑子、小林清志、高島雅羅、加藤精三、内海賢二

kororin さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「漢」のカッコイイ魅力が詰まった奴。その名は「コブラ」

天地人さんのメッセで思い出したので二言・三言。

スペースアドベンチャーでスペースファンタジーでスペースオペラ。
人生に退屈していたしがないサラリーマン「ジョンソン」。口と態度の悪いメイドロボット「ベン」の勧めで、好きな夢が見られる流行りのアミューズメント「トリップムービー(所謂トータル・リコール)」へ行ったところ大脳神経が刺激され、実は自分は宇宙海賊ギルドの追撃を逃れる為、顔を整形・記憶を消した一匹狼のアウトロー「コブラ」であった事を思い出す。
常に身の危険が伴う生活から逃れる為に普通の人生を歩んでいたはずなのに、心のどこかでスリルを求めていた自分に気付くコブラ。こうして再びコブラの伝説が始まる・・・

正統派宇宙海賊コブラ。記憶を消す前は端整な顔立ちで、ロン毛は常に顔半分を隠しており松本零士先生の海賊とチョット被ってたりする。
復活してからは整形したままのモジャモジャ金髪(天パー?)に団子鼻と三枚目風(顔のモデルはフランスの俳優ジャン=ポール・ベルモンド)、ガッシリした体格に豊かすぎる表情と体全体で表現するオーバーリアクション・常に軽い口調で喋っている様は正に「アメリカンヤンキー」。
銀河パトロールトヤリあったり、極悪非道な海賊ギルドの誘いを断った為に追われたり、銀河の美女とロマンスがあったり、気に入ったものは強奪したりと、某「三世」とかなり似たところがありますね。原作者の寺沢武一先生もイメージはクリント・イーストウッドと言われておられたそうです。
ですのでキャスティングも当然、故・山田康雄さんがされると当時誰もが思ってたはずでしたが皆さん周知の諸事情により故・野沢那智さんがコブラ役に。(流暢なしゃべくり声優としてコレはコレで良かったです)
PCゲーム版では山田さんがコブラをされてたそうですが、本放送時のCMでコブラの液晶ゲームでもされておられたのは、あまり知られていないのかな?

赤い半袖のピッタリスーツに赤のブーツ。常に葉巻を咥え、ストックはブーツの裏に。スタイルに拘るせいか小型爆弾・携帯酸素ボンベ・小型ライト等はみんな「葉巻型」というのはちょっとしたスパイグッズ。
美人と見るや、すぐナンパしようとする軽い奴と思いきや身体能力は高く、握力500㎏に100mを5秒フラットで走破、「俺がオリンピックに出たら金メダルでオセロができちまうぜ」と豪語。
そして何よりも打たれ強いタフさ。どんなに殴られようが、死んでしまう程ボコられようが立ち上がり「へへ、今のがあんたの本気だってのかい?俺はまたカワイコちゃんにキスされたと思ったぜ」と顔面傷痍で強がる余裕。不死身と噂される所以がコレ。
トレードマークとも言える左腕のサイコガン。コブラの精神エネルギーを熱線変換して撃つのでカートリッジが要らないのが便利。しかも相手の気配を察知して当てるらしく弾道が曲がる曲がる。普段は義手カバーに収まっているのですが「どんな原理で指が動くんだ?」とつまらない考えをよくしたものです。
(下卑た話になりますが、サイコガンをバンバン撃ちまくるコブラ。尽きる事ない精神力。精神…精し…せい…コブラは「絶倫か」!、と勝手に妄想して羨ましく思ったこともありました)
手塚治虫先生を師と仰ぐ寺沢先生。コブラのサイコガンは手塚先生の「どろろ」の「百鬼丸(両腕の仕込み刀)」が元ネタかもしれませんね。

浮世に縛られないアウトローでニヤけたお調子者と思いきや義理と友情を重んじ(そのせいか仲間は多く顔は広い)、敵対すれば女性といえど容赦なく撃ち倒し、子供は好きではないけれど関わってしまえば守ろうとする優しさがあったり、
強く逞しく、サイコガン以外に骨董品並の実弾銃パイソン77マグナムを使いこないし、寺沢先生独特の「半ケツ」美女との関わりが絶対あったり、未知の世界の冒険や海賊ギルドとに狙われる緊張とスリル。いつも余裕のジョークを言ってたりと、もう男の憧れがテンコ盛り。

犯罪シンジケート・海賊ギルドの「ギルド」という語源。今やオンラインRPGでよく使われますが、中高生のお利口さんならご存知の通り、中世欧州の商工業者の独占的、排他的な同業者組合のこと。
「海賊で組合って・・・」なんて思って失笑したりもしてたなぁ。

アニメは「宝島」「あしたのジョー2」で注目されてた故・出崎統(演出・絵コンテ)&杉野昭夫(作画・キャラデザ)コンビ。
後の劇画ドラマ風「ブラックジャック」もイイ感じでした。
粗い線なのにダイナミックな動きの動画。スローなのにスピード感のある演出。30分の放送枠でテンポが速くて心地いい展開。
2000年代にOVA・TVシリーズが出ましたが、絵は丁寧でキレイなんですけど迫力がチョット欠けるので好みとしてはこの1982・3年TV版が好きです。
故・前野曜子さんのOP・EDも雰囲気良かったです。OPはハードボイルドっぽいようなアドベンチャーっぽいような。EDは一息ついたくつろぎ感が。

あれ、二言・三言のつもりが結構長くなっちゃった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

このカッコよさは唯一無二!。

ぴあ様発売のCOMPLETE DVD BOOK・計3巻で数十年?ぶりに再視聴しました。
DVDなので画質心配してましたが、あしたのジョーの同シリーズ同様
素晴らしい画質で視聴中は全く気にならず、夢中で最後まで視聴できました^^。


この時代の出崎さんが関わられた作品群の作画
とくに人物作画、突出して素晴らしすぎますね!!!。

スペースコブラ、あしたのジョー、エースをねらえ!。
どれもキャラデザインや作画等が一貫して共通しているように思えるのですが
どなたが手掛けられているのでしょうか?。
勉強不足で無知なのですが、気になって仕方ありません^^。

すごく骨太な作画。
でもどのキャラも目から生気、色気、信念みたいなものまで感じられる。

原作マンガ(未見)も少し覗いてみましたが
アニメ化にあたってのブラッシュアップが素晴らしいですね!!。


そして担当された豪華声優陣様方^^。

野沢那智さんの圧倒的な存在感!!。
遊びゴコロ、余裕、いい意味でのいい加減さ、色気。
とにかくカッコよすぎます!!!。

さらに脇を固める榊原さん、小林さん他、
特定話数だけのゲスト出演声優様方も
当時はまったくわからなかったけど
今回の再視聴ではココロが震えました^^。


TVシリーズでは、特に序盤の爆発力がすさまじかったですね!!。
3姉妹とクリスタルボーイで一気に惹きつけられ
○○兵器のところなんか、他の作品だったら最終回でしょw。あんなの。
惜しげもなく序盤にあんな話ブっ込んでくれるの最高でした!。
○○兵器を当時視聴したときの強烈なインパクトが、今現在も胸に刻まれたままですw。


振り返って再度見てみると
いろんな洋画作品等のテイストなんかがふんだんに盛り込まれてますね。
スターウォーズやインディージョーンズ等
かと思えばルパンのようなテイストも感じる。


コブラというキャラクターは
その存在感、行動、性格、男くささ、声の演技等
どれをとっても
今後、そうそう出てくることはない
唯一無二の存在だと思えます!。

音楽も最高に素晴らしかったです♪。
 
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

いわゆる「アメコミ」

少年ジャンプにおける銀魂やシティーハンター、北斗の拳などのいわゆる劇画路線の開祖である。その前にもいろいろ劇画はあるが「アメコミ」や「バンドデシネ」を意識した画面作りは「コブラ」のヒットから始まっている。

バンドデシネ作家のエンキビラル、メビウスやアメコミ,SF作家のフランクフラゼッタ、ボリス・ヴァレホなどの絵と酷似している。。。。だけでなく、ヘビーメタルやロックに詳しい人なら知っていると思うが、70年代から80年代にかけてのバンド系のレコードの表紙は必ずと言っていいほどSFやファンタジーのオタク的なイラストがそのまま使われている。

と、言うのも。。。だいたい有名どころのロックシンガーは実はかなりのSF、ファンタジーファンであり小説やらパルプ雑誌を読みふけりながら葉っぱと酒と女にラリっているというとんでもない人が多い。リア充なんだかオタクなんだかわけわからないが、海外のファンは日本と違ってオープンであり、ギークやナードはどちらかといえば小心者を指す言葉になっている。

そういったカウンターカルチャーと呼ばれる文化は日本にも波及し、80年代を席巻した。音楽にしろ、漫画にしろこの頃の作品はやたらとアメコミ調で、世界は荒廃しており、男は皆モヒカンで世紀末な格好で、女はビキニアーマーを着ている半裸のねーちゃんなのである。

寺沢武一先生は、これに関して「私はバーバレラ(フランスの60年代エロティックSF漫画及び映画)から影響を受けた」と言ってたらしいが、確かにそれは出発点ではあるものの、全体的には当時のフランスSF漫画雑誌メタルユルラン(英題:ヘビーメタル)調であり影響受けてないはずがないのである。北条司や荒木飛呂彦、三浦建太郎、原哲夫。。。挙げたらキリがなくなるくらい影響を受けている。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

64.7 25 sfで漫画原作なアニメランキング25位
アトム ザ・ビギニング(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (152)
633人が棚に入れました
これは、まだ誰も知らない”鉄腕アトム”誕生までの物語。

大災害後の日本に、未来を夢見るふたりの天才がいた。ひとりは天馬午太郎。もうひとりはお茶の水博志。天馬はその手で「神」を作り出すことを、お茶の水はその手で「友」を作り出すことを夢見て、日夜ロボット研究に明け暮れていた。そしてふたりの友情が生み出した1体のロボット、A106(エーテンシックス)。A106は果たして「神」となるのか「友」となるのか。若き天才コンビは、来るべき未来を垣間見る―。


手塚治虫が描いた永遠のヒーロー・鉄腕アトム。その誕生までの物語を、『機動警察パトレイバー』のゆうきまさみと『RIDEBACK』のカサハラテツローがタッグを組み、まったく新しい構想でコミック化した本作が、ついにTVアニメーションとして始動。アニメ化にあたっては、『踊る大捜査線』『PSYCHO-PASS サイコパス』の本広克行の下、『モーレツ宇宙海賊』の佐藤竜雄が監督を務め、『BLOOD+』の藤咲淳一がシリーズ構成を担当する。
アトムのいる「未来」と私たちの「今」が、『アトム ザ・ビギニング』によって結ばれる !

声優・キャラクター
中村悠一、寺島拓篤、井上雄貴、櫻井孝宏、小松未可子、佐倉綾音、河西健吾、飛田展男、南條愛乃
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

子ども向け・ハートフル系として見た方が良さが感じられるかも〈原作を読んだので一部追記〉

2017年春アニメ。全12話。
原作は漫画、未読です。鉄腕アトムにもほぼ触れたことがありません。

【あらすじ】
5年前の大災害により復興のためにロボット技術が発展し、ロボットは日常に欠かせないものとなっています。そんな中、練馬大学第七研究室で天馬午太郎とお茶の水博志は次世代型人工知能「ベヴストザイン」を搭載したロボット・A106(エーテンシックス)を制作中。
七研での経験により少しずつシックスは変化し、自我を獲得していきます。


全体的には明るく楽しい子ども向け寄りのアニメ。のんびり見ると楽しいです。
キャラクターがとても良くて、午太郎と博志の関係はしっかり描かれましたし、シックスと女の子達が可愛くて楽しめました。
OP、EDも凝っていて、作画・演出、BGMも常に安定していて良かったです。
個人的には日常の中でシックスが成長する姿をもっと見たかったですし、伏線が回収されていない部分も気になるので2クール欲しかったですね。

{netabare}
一周目の視聴時は序盤あまり引き込まれませんでしたが、ロボコン回などのいくつかの回と最終2話で全体の繋がりが見えてきて、二周目でちゃんとハマった感じでした。
月刊ヒーローズ連載、夜に放送ということでもっとハードな内容になると思っていたので、全体的に優しい雰囲気だったのは結構意外だったかな。最終2話は若干ヘビーでした。
中盤まではあくまでも日常生活のドタバタがメインですが、裏ではテロが進行していたり、5年前の大災害で瓦礫の山となった街並みが見られたり意外と暗い部分もありますね。

ロボットバトルものとしてはバトル無しの回が多く、けれども原作があるため全くバトル無しともいかないので、若干どっちつかずな印象ではありましたが…。
ただ、脚本会議には監修の手塚眞さんと原作者のカサハラテツローさんがほぼ毎回参加されていたそうです。内容については綿密に相談したこと、原作でも日常回をやりたかったけどなかなかできなかったこと、「どうするか迷ったときには明るい方向にしてもらった(カサハラさん談)」ことなどがインタビューで語られています。


【本作のふたつの柱】
・天馬午太郎とお茶の水博志の大学での研究と日常

原案となる「鉄腕アトム」では制作者であった天馬博士が手放したアトムを、お茶の水博士が引き取っています。
本作では学生時代の二人を描いていて、考え方の違いからぶつかることはあるものの、基本的には仲の良い共同研究者。ただし午太郎も博志も逆の意味でマッドで、お互いが歩み寄れないと平行線になりそうな危うさもあり、その描写が絶妙でした。

個人的に博志があまり好きになれないと思っていたんですが、多分言うこととやることにズレがあると感じるからかなあ。
最終話でのシックスの扱いを見ていても、ロボットが「心」を獲得するのを信じているなら一時的にでも粗末な扱いをするのはよくわからない…というかちょっと身勝手というか。
午太郎のほうが同じようにマッドでも言ってることは理解できる感じ。


・自律型AIの自我の獲得

人工知能が「心」を獲得するためには「自己と他者を分けて認識すること」と第2話で博志の口から語られています。
なので、シックスの成長と変化を少しづつ描いた上でロボレス編に入ったのはとても良かったです。一度目の視聴では正直ダレ気味に感じましたが、最終回まで見ると日常回の細かな描写がむしろ肝だったと思います。
日常の中で「守り助けること」を行動原理として緩やかに成長してきたシックスが、ロボレスで「戦い勝つこと」というある意味では行動原理に矛盾する命令に答えを出し実行したことで、急激に変化したと感じました。

シックスの内面が描かれた最終回が凄く良かった。度々ポイントを絞って(アイキャッチもですが)シックス視点が入っていたのが良い演出だったなと思います。
断片化した記録を精査しながら、自身を客観視していく描き方は上手い。AIであるにも関わらず夢や願望のような映像が入り交じり、混濁した記録を整理していく描写は色々と考えさせられます。
オーナーの命令に逆らうより自身の機能停止を選んだマルスに対して、シックスにとって自我の獲得ははじまりという描き方なんですね。

本作の作りと鉄腕アトムに続く流れから考えれば、人工知能(少なくともベヴストザインに関しては)の発展が人間社会に悪影響を及ぼすような展開は無いだろうと思うので、このアニメのテーマのまま続編が見たいですね。


【以下雑感】
調べてみると、全12話のうち5話ほどはアニメオリジナルで、原作エピソードをアニメ独自に膨らませた部分もあるよう。どれも楽しくて良かったです。
ロボコンの回好きなんですが、オリジナルなのかな?蘭のメイン回としても良かったですが、現実的な題材なのが素晴らしかったと思います。
ストーリーのメインに描かれるのが自我を獲得しつつあるシックス、軍事技術を用いたマルス、ロボレスの戦う花形ロボットたち、という中で災害救助用ロボットを描いたのも個人的にすごく評価したい部分。その意味では第3話でペットロボットを登場させたのも良いチョイスだったんじゃないかな。
スタッフや参加者の何人かが実際のロボコンを見に行ったりもしているようで、現実に繋がるリアリティを積極的に作り上げようとしている印象がありました。
{/netabare}

全体としては質の良い作品で、脚本のこだわりや生き生きとした作画も観ていて楽しかったです。この子ども向けのような雰囲気のままもっと長く見たい作品でした。(2017.11.30)


【追記】
原作4巻まで読了。
ヒーローズ連載らしくバトル多め、ストーリーにミステリー要素もあり大人向けです。ベテラン漫画家らしい手慣れたタッチの絵と画面作り、凝ったロボットデザインが素晴らしいです。
アニメ版はきちんと原作を尊重しながらも変更点によって描きたいこと(自我の獲得)が明確になっていて、ちょっと哲学的な描写が増えているのも映像作品ならでは。
どちらも面白いですが、原作の読者層とアニメの視聴者層は結構割れていそうな感じがするw

{netabare}
アニメ化されたのは漫画の2巻の半ばほどまで。
ただし3巻以降に登場するシチュエーションやキャラクターをサービス的に拾っている部分も多いです。
アニメ作品の準備期間から考えると、おそらくかなり早い段階でアニメ化決定したんでしょうね。連続性の強いストーリーなので、これ以降の区切りまでにすると蛇足っぽくなってしまう気がします。

アニメオリジナルが3話、4話、6話、7話。他の話もかなり膨らませています。個人的にはロボレス編をコンパクトにしてもう1話日常回を観たかったかも。戦うロボットだけではなくて、ペットロボットや救助ロボットの回を作り人とロボットの様々な関係性を描いたのがとても良かったと思います。

個々のキャラクター描写が増加してます。
原作では茂斗子さんと蘭ちゃんの出番がそこまで多くないので、アニメでは見せ場がかなり増えていて嬉しい限り。アニメでの蘭ちゃんのシックスへの想いの強さと、茂斗子さんのシックスへのニュートラルで自然な関わり方にはずいぶん癒されました。
なにせ午太郎と博志の意見が食い違う描写が原作より多くなっているので、アニメ最終回の「シックスくんこれからも大変ね」みたいな台詞には同感ですね。

アニメでは視聴者に与えるシックスの印象の変化にかなり気を遣っている感じ。
原作ではシックスは最初(自我が芽生える前)からしっかりと喋っていますが、アニメでは人工的な音声と台詞回しになっていて、最初は自我がないことや人工知能の成長過程がかなりわかりやすくなっています。そのため自我を獲得するタイミングは同じマルス戦ですが、アニメ版10話ラストの「話がしたい」のインパクトは絶大。素晴らしい演出でした。

最終回も原作のエピソードではありますが、その膨らませ方もとても上手。シックスが自己を省みる描写を丁寧に入れたことで、「自己と他者を認識すること」が明確になっていました。ラストシーンの「はじまる」という台詞で、シックスが自我を獲得し、これから「心」を育んでいくという描き方になっていると思います。
{/netabare}(2017.12.4)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

これは、いずれ"天才"と呼ばれるふたりの"日常"

この作品の原作は未読ですが、「鉄腕アトム」の前進を描いた物語だとピンとくるほど分かりやすいタイトルですね。
鉄腕アトムの功績は物凄いと思います。
日本で最初の本格的な1話30分の連続アニメ…
日本初の国産ロボットアニメ…
平均視聴率30%超…

これだけでも十分重みを感じますが、この作品はこれだけじゃありません。
現在のロボット工学学者たちには幼少時代に「鉄腕アトム」に触れたことがロボット技術者を志すきっかけとなっている者も多く、現在の日本の高水準のロボット技術力にはこの作品の貢献が大きいともいえる(wikiより)

まさに現代の科学の礎を担っている作品なんです。
それが形を変えて現代に蘇るとなると気にならない訳がありません。

この作品の第1印象はこんな感じです。
A106:ATOMより無機質さを感じるフォルムが逆に格好良い、良く動くなー、グーパンチ凄っ…!
お茶の水博士:若っ…! 鼻小っちゃ…!

この作品は、練馬大学の若き天才コンビ、天馬午太郎とお茶の水博志が作り上げた意志と人格を持つ自立型ロボットであるA106を巡る日常を描いた物語です。
決して潤沢ではない資金面…むしろ慢性的な資金不足が続く第7研究室でしたが、午太郎と博志はA106の今後について熱く議論を交わす日々が続いていました。

A106は確かに格好良いけれど、この展開だけでは流石に飽きてしまいそうですが、この作品…華である小松未可子さん演じる堤 茂斗子と、あやねる演じるお茶の水 蘭が抜群のタイミングで絡んでくるので、決して飽きる事はありませんでした。

お茶の水博志と茂斗子…そして妹である蘭の位置付けがまた面白い…
博志は決してモテるタイプではありません。
ですが彼の優しい人柄を知れば気になる人がいてもおかしくありません。

それに共同とはいえA106を自作してしまうほどの技術の持ち主なんです。
妹の蘭だって一目置かない訳がありません。
この欄ちゃん…この作品における私の一推しキャラでした。
口数は少なく無表情ですが、第7研究室に入り浸り廃材の山から使えそうな部品を探している姿を何度も見かけました。
兄に負けず劣らずロボット好きなのは遺伝のせいだけじゃないと思います。
特にA106との絡みは個人的に大好きでした。
でも…お茶の水博士に妹がいるなんて…この作品を見て初めて妹の存在を知りました。

A106が人格を持っているとはいえ、本来人間が持っている人格とは似て非なるモノ…
でも、お茶の水兄妹のロボットに対する接し方は人間と分け隔てが感じられません。
A106がどこまで気付いて感じているかは分かりません。
でも自分に向けられている気持ちに嫌な感じがしないことは分かっていたのではないでしょうか。

だから思います…
A106が「心やさしき科学の子」と呼ばれる所以は、博志の優しさが伝染したからだと…
二人の思考パターンが似ている…と思える言動がチラホラ見受けられるんですよね。
でもこの優しさがA106最大の魅力だったのではないでしょうか。

A106の前を通り過ぎる様々な出来事を真摯に受け止め、彼ならではの思考パターンで自分らしくあり続けた…完走して振り返ってみると、「A106らしさ」がしっかり描かれていた作品だったと思います。

オープニングテーマは、After the Rainさんの「解読不能」
エンディングテーマは、南條愛乃さんの「光のはじまり」
After the Rainさんは最近気になりだしたユニットです。
今回のOPもアニメともマッチしていて格好良かったと思います。

1クール12話に物語でした。
気が付いたら夢中になって見ていた作品…この作品に対する私の印象はこれがピッタリです。
作画は好みを選ぶかもしれません。
でもそれだけで切ってしまうのはあまりにも勿体無い…そう思える作品でした。
原作はまだ続いているみたいです…
それにDr.ロロは未だ謎だらけですし、第1研究室の件も描き切れていないと思います。
もし続編が制作されるなら絶対視聴します。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

kororin さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

これも恐らく・・・・・・・・・・・・・【漫画】の方が面白そうな感じがします。

最近の手塚リスペクト物で『ヤングブラックジャック』なんかもありました。漫画の方は結構面白く思えて、アニメ化に少し期待してたのですが・・・「コケた」と思えたのが個人的な感想です。、で

年長者は一度は耳にして、若い人には[嫌]でも聞かされる漫画の神様「手塚治虫」先生の定番代表作の一つ「鉄腕アトム」から、アトムの「生みの親」と「育ての親」の若き青年時代のストーリーというのはみなさんご存知のとおり。

※【鉄腕アトム】
原作や、幾つかメディア化されて設定を後付け盛り付けたりされてますが、私の記憶してる基本ラインは-
・科学省長官の天才科学者「天馬博士」。最愛の息子・飛雄(トビオ)を交通事故で失い、その深い悲しみから息子そっくりの「少年ロボット」を作り上げる。(なんか「フランケン・シュタイン」みたいなさわり)
・しかしロボットはロボット。人間の代役にはならないジレンマで天馬博士は少年ロボットをロボットサーカスに売り飛ばします。そして天馬博士は科学省を去り、行方をくらませ世捨て人に。
・ロボットサーカスのショーで働く少年ロボット。そこへたまたまサーカスを見に来ていた現科学省長官「お茶水博士」。その少年ロボットが盟友・天馬博士が作り出した傑作ロボットと見抜き、サーカスから引き取ることに。
・そしてその少年ロボットは『アトム』と名付けられ、お茶水博士とともに様々な怪事件・大事故を解決し、はたまた勧善懲悪の大冒険もあり、見る者に問いかける問題ドラマもありと「正義の少年ヒーロー」モノとして結構ヤマ盛りな内容の展開が次々と。
・小さな体に10万馬力、ジェットで自由に空を飛び、秘められた「7つの力」のアトム。
・しかし「心」あるが故、人間と同じく喜怒哀楽があり、特にボッチなところを不憫に思ったお茶水博士はアトムに家族ロボット(パパ、ママ、妹のウラン、兄のコバルト)を作ってあげて人と同じく優しさや思いやりを育んでいきます。
、といったところでしょうか。

そして、今回「アトムの素」を作った二人の天才、天馬午太郎とお茶の水博志("はかせ"じゃなかとです。"ヒロシ"です・・・"ヒロシ"です・・・)。
謎の災害から5年後。復興作業の為にロボットが大量導入。当然ロボット産業が急速に進み、練馬大学学院生の午太郎と博志は次世代型人工知能「ベヴストザイン」搭載の自立型ロボット「A10-6(エーテンシックス)」を開発。
A→【ア】
10→十(とお)→【ト】
6→六(む)→【ム】とかけ合わせてあるのはご周知の通り。
オリジナルキャストの博志の妹・蘭。
アトムの妹・ウランと「妹でラン」繋がり。
主要この三名を中心に様々な事件が起こるようですネ。
(復興で技術産業が進むのはパトレイバーのバビロンプロジェクトを思いだしますね。東京湾を埋め立てて土地不足を解消。数万パワーの土木作業機械=巨大マニピュレーター=レイバーの多数登用。レイバー技術の急速な発展→レイバーの犯罪発生・増加→「パトレイバー」の誕生。)

監督は本広克行さん(ドラマでは「踊る大捜査線」アニメでは「PSYCHO-PASS」が有名どころ)。NHK放送のせいなのか、あまり「ムチャ」出来なさそうで気の毒な感じがします。
今のところアクションはそれなりにイイと思うのですが、ドラマパートがなんか非凡に感じます。特に伴健作。すんごく昭和テイストです。しかも将来、父にクリソツになる息子・伴俊作(後のヒゲオヤジ)。今は似つかないほどの爽やか(ちょっとオマヌケ?)青年ぶりにオッタマゲーです。

知名度があっても「局」の縛りで伸び伸び出来なさそうな感じがしますが、
はてさてどうなりますやら。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
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