SFでGAINAXなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのSFでGAINAXな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月17日の時点で一番のSFでGAINAXなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.5 1 SFでGAINAXなアニメランキング1位
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(アニメ映画)

1998年3月7日
★★★★☆ 3.9 (86)
925人が棚に入れました
一部の若者層に圧倒的な支持を得た話題のTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」。97年春に公開されたその劇場版「シト新生」に続く劇場版の完結編。 アスカが乗った弐号機と量産型エヴァとの戦い、人類補完計画の行方、 そして、シンジの心の旅路の終着地点はいったいどこなのだろうか。全てのファンが待ち望んだ物語の結末が、ついに明かされる。

声優・キャラクター
緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子、石田彰、山口由里子、立木文彦、清川元夢、山寺宏一、関智一、岩永哲哉、優希比呂、長沢美樹、子安武人

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

人と人の繋がりこそが「人間らしさ」を決める。

「平成」が終わって、「令和」になりましたが、「平成」を物語る上ではこれ以上のアニメはないと思うくらい平成の総括的なアニメ映画だと思います。

これはアニメ業界にとってもはや「事件」と言える内容だとも言えます。

その前にも富野喜幸の劇場版「伝説巨人イデオン」の接触篇発動篇や、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」などの「事件」はありますが、ここまで「時代」とシンクロし、当時から今の時代に続く(「進撃の巨人」や「デスノート」などの)社会不安をそのまま映画化できたのは奇跡だと言えるでしょう。

アニメーション表現の限界だとも言える本作は、日本にしかできない独特のエロティシズムや倫理観や人間観が最大の特徴でしょう。

未だに、「日本映画」として凄いことを庵野監督は行ったと思います。

新海誠さんや、細田守さんや湯浅政明さんなども凄いアニメ映画監督だとは思いますが、衝撃的でセンシティブな表現ではないんですよね。

先の監督にはどこか「安全圏」から映画を作っているのです。

しかし、庵野監督や宮崎駿監督にはそれ以上の「本気さ」が見えるのです。
まるで観客とガチンコで喧嘩をしているような真剣さがあるような気がします。

未だにこれを越える衝撃的なアニメ映画には出合っていません。無論、こういったものを作ろうとする映画監督にも会ったことありません。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 6
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

25話26話=まごころを、君に=シンエヴァでしょう。

 意味不明と言われていたエヴァンゲリオンTVシリーズの25話、26話のやり直しのAIRと26話で出た予告編「まごころを、君に」の実現ですね。DEATH2は総集編ですので省きます。

 綾波、アスカ、ミサトがどういう存在だったかを説明するのが目的だった気がします。途中で5人の女性に感謝とクレジットがあります。現実の女性のことなのか、作中の女性なのか。この3人にリツコを加えて、後1人は誰でしょう?母=エヴァ?マヤ?

 以下勝手に私が女性たちについての意味を解釈しました。

{netabare} 綾波は簡単に言うと虚構の恋人=アニオタの嫁としての萌えキャラです。巨大化した綾波に女性器のメタファの割れ目ができるのが露骨ですし、作られた存在=クローンでした。性格も記憶も作られていましたし。同時に母でもあるところが結構いじわるです。
 世界が綾波によってのみ込まれる=内面が萌えキャラの妄想に浸食されるということでしょう。

 アスカは現実の女性です。だから当たりはきついです。首を絞めたくなるほどです。それにせっかく相手から心を通わせようと近づいてきても、性的な目でしか見れないです。自分の邪な心をしっているので距離感がつかめません。余裕もありません。
 だから、冒頭でオカズにしてしまいます。最後、首を絞める=犯すのメタファだと思いますが未遂に終わって泣いてしまいます。そこで「気持ち悪い」ですから、救われません。
(それとも本当に殺したかった?現実の女性など死んでしまえと?そっちでも取れますね。ただ、キモオタシンジが勝てるわけもなく…)

 ミサトはセックスを知っている大人の女性です。普段はバリバリ仕事をこなし、少年の憧れで指導者ですが、性に溺れている姿など見せません。女性の性的な現実を知って少年は落ち込むでしょう。

 この3人の女性は少年から見た性の対象の3形態です。虚構の恋人である綾波レイは消えてなくなります。そして本来男女の関係としての接点など持ちようがないミサトも死んでしまいます。この中で恋愛対象とすべきはアスカだったわけですが、結局シンジはエヴァにすら乗れずアスカを見殺しにしてしまいます。

 最後の実写パート。そして、キモオタたちが映画を見ている姿、エヴァの登場人物のコスプレをした少女を見せつけられます。そろそろ現実に戻りましょうかという意味でしょう。{/netabare}

 リツコは父の愛人ですから、彼女もある意味女性の性の形ですね。ですが、少年の性愛の対象とは対極にいます。
 カヲル君ですが、エア友達でいいんでしょうか。または良心?
 量産型エヴァが綾波に変わりますよね。そしてそこに性的なメタファとして槍がささるわけです。これは2次創作?グロテスクなのは歪んだ性欲を表していた?

 で、感想ですが、非常に面白いです。TVの2526話が比較にならないのはもちろんですが、ストーリーがある分シンエヴァよりも格段に面白いです。アニメ絵としては最高のクオリティで、ストーリーも構図も演出もセリフもテンポも最高でした。

 内容はシンエヴァとほぼ同じですね。かつ、試しに25話26話も見ましたが、これも同じですね。後になるほどどんどんわかりやすくなっています。
 なお、シンエヴァではアスカの立ち位置が微妙に変わっていますね。アスカも萌えサイドに移っていました。だから、アスカは苗字が変わってマリが必要だったのでしょう。あとは現実の女性の象徴は北上というギャル隊員がいましたね。
 
 面白かったですが、また最後のところが寸劇になってしまいました。現実へと視聴者を誘導する手法が思いつかなかったんでしょう。ですが、TV版よりはるかにストーリーになっていたし、理解しやすかったでです。
「まごころを、君に」の読点ですが、「君に」を強調したかったのでしょう。つまり見ている我々にメタ的に言いたい事がある、という言いではないでしょうか。

 
 結局25年もかかって、現実に戻れを繰り返し言っていたわけです。で、SSSSグリッドマンの最後を見てみると感慨深いものがあるかもしれません。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 10

83.9 2 SFでGAINAXなアニメランキング2位
新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に(アニメ映画)

1997年7月19日
★★★★☆ 4.0 (1447)
8428人が棚に入れました
最後の使徒は倒された。しかしながら現実に対処できないシンジは固く心を閉ざしてしまう。そして約束の時が訪れる。ゼーレは自らの手による人類の補完を目指し、戦略自衛隊による攻撃をNERV(ネルフ)本部に仕掛けてきた。戦闘のプロに抗う術もなく血の海に倒れていく職員達。その絶望的状況下でミサトは、シンジは、アスカは、レイは、生き残ることができるのか?そして人類補完計画とは?人類の存亡をかけた最後の戦いが、今始まろうとしている。

声優・キャラクター
緒方恵美、三石琴乃、林原めぐみ、宮村優子、石田彰、山口由里子、立木文彦、清川元夢、山寺宏一、関智一、岩永哲哉、優希比呂、長沢美樹、子安武人
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

悲劇的な、あまりに悲劇的な

感じたままの感想を綴ろう。

あれは蝉が鳴く蒸し暑い夏の午後、
劇場を後にした私は喪失感を抱えていた。
エヴァが衝撃的な痕跡を残し終わったのだ。

碇シンジは偉大である。

90年代に蔓延した時代の閉塞感は、
想像もしない形で反動を受け、未だ閉塞的である。
断絶・孤立の時代から「接続過多」の時代へ。
其処かしこに集団が存在し「感情」は強要される。

最後の使徒は死にゼーレのネルフ侵攻が始まる。
ゼーレは自衛隊を投入し殲滅作戦が遂行される。
{netabare}絶望的な状況下でシンジは咆哮し覚醒する。
人類の新たな進化を私たちは目撃するのだ。{/netabare}

シンジとゲンドウを直線的に結ぶ第壱話、
エヴァは「父と子の物語」から始まっている。
{netabare}やがてその背景には、あまりに悲劇的な、
レイに象徴される「母と子の物語」が顕現始める。{/netabare}
これがエヴァの原動力であり構造そのものである。

シンジは父に認められ母の愛の共有を願い、
エヴァに搭乗しては他人を傷つけそして救う。
強烈な負荷が、肉体にも精神にも及び、
未熟な心では、現実に耐え切れないだろう。
私たちは生きていくための新しい文法を、
未だどこにも見つけられないでいるのだ。

ほんとに、よく頑張った。

彼を大胆にも肯定しようと思う。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 57

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

出口なしな「気持ち悪い」。人生を変える程の痛みと美しき絶望。

 トラウマ映画といえば、私の尊敬する映画評論家である町山智浩さんの造語であるが、本作は多くの人にとってこの名に相応しいだろう。ここまで社会現象になる程の大ヒット作品も、ここまで大きな影響を及ぼした作品も、さらに不快な魅力がある作品は今後出ないかもしえぬ。


 基本的な内容は今更語るまでもないから割愛するが、改めて見直すとその驚異的な作画のレベルに感心せざるをえない。とくにアスカ大暴れの件は、ロボアニメ史上に残る素晴らしさである。


 ストーリーに関しては、とにかく不快、居心地の悪さ、そしてラストに放たれる台詞「気持ち悪い」に集約されている。こんな愚図愚図悩み続けて一歩前に出れない甲虫的人間、中二的人間に対するイラつき、そんな物に大喜びして自分なりの解釈に奔走しているオタク達に対する不快、同時に自分自身もオタクであるという監督のジレンマに近い気持ちがこのような稀有な作品を産ませたのかもしれぬ。こんな事を勝手に書いて悦に入っている自分のような人間を多く産んでしまったかもしれぬ罪深い作品といえるかもしれぬ。


 ただ、その事は一方的に否定されてはならなぬ事であろう。中二を卒業したからといって過去に復讐することはできない。それは受け入れて、乗り越えられるべきものである。作品に気持ち良さ、エンタメだけしか求めない人間には、この作品は全く価値を見出せないだろう。アートの真価は、傷をつけてでも相手を変化させることにある。


 しかし、結局中学生的な人間なんて不快であり気持ち悪い物であるという事実を受け入れ、それを飲み込める度量、人間認識の自由な幅を得た人間ならば、この痛切なアンチクライマックスはかけがえのない思い出になるであろう。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 25

チュウ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

開始1分で度肝を抜かれた…

見て速攻!シンジも速攻!!
私は度肝を抜かれて、彼は何かをヌいたww

そんなこの作品ですが、とにかく難しい!!
まぁ、レビュー書いといて何なんですが正直、私もこの作品を半分も理解できてないんだろうなぁ…。

一応4、5回は見てるんですが、何故??が多い作品です!もちろん、内容の何故?もあるんですが、キャラに対しても何故そうなる?もっとこうしろよ!とか独りで突っ込んでいまいますねw

とにかく、良い作品なのは間違いないですが、
人によって理解の仕方が異なる作品なことも間違いないと思います!!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 18

82.7 3 SFでGAINAXなアニメランキング3位
トップをねらえ!(OVA)

1988年10月7日
★★★★☆ 4.0 (783)
3422人が棚に入れました
人類が宇宙に進出するようになった時代、地球は宇宙生物群(通称・宇宙怪獣 (STMC))による激しい攻撃を受けていた。その脅威に打ち勝つため、地球はマシーン兵器の後継機であるバスターマシン「ガンバスター」を製造。その搭乗員に選ばれたトップ部隊隊員の一人であるタカヤ・ノリコの双肩に人類の未来がかかる。

声優・キャラクター
日髙のり子、佐久間レイ、川村万梨阿、若本規夫、渕崎ゆり子

kororin さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

『イナーシャルキャンセラー全開・・・よーし、やってみる!!』「死ぬ気?!」「うっ!」「やめてぇぇぇ!」  『パパ、スミス・・・私を守って。』

光速を突破したした宇宙船を作り出した人類は星々を食いつくす宇宙怪獣群体と遭遇。地球人類の存亡をかけて「時」を越える戦いが始まった・・・・


発表(発売)当時、1巻2話収録のOVA3巻全6話作品。
今更どうこういうモノでもない高評価作品ですが、「ロボットオタク(スパロボ系)」なら『一度』は見ておかなければならない『聖典』です。(大層かな?)

本作は色々と逸話のある代物。
・発表された時分は「世間」では全然騒がれてなかったけど、オタクの内々では注目株だった「庵野秀明」氏の初監督ということで期待があったということ。(今じゃもう・・・ネェ)
・その仕事ぶりは当時のチープワンパターンな他作品と比べて「どこか一味違う・こだわりが面白い」というもので(オタクの内々では)定評がありました。
・当時の宣伝コピーは「『トッ〇ガン(ト〇・ク〇ーズの出世作)』と『エースをねらえ!』が一つになった!」というふれこみでしたが、
庵野監督は「エースをねらえ!」は見ていても「トッ〇ガン」は一度も見たことがなかったそうで、本作を見て判るように「エースをねらえ!」の特色が濃厚に出ていますね。
・主題歌は「酒井法子(ノリピー)」、主人公は「タカヤ・ノリコ」、中の人は「日高のり子」と、何かと『ノリコ』づくしなアニメ。
・「トップ」を狙うつもりはなかったのに、口コミ定評でOVAビデオ(VHS)の売上(アニメ部門)も「トップ」になったとか、ならなかったとか・・・etc、etc
・キャラ設定は「超時空要塞マクロス」でお馴染み、「目」が特徴的なキャラの「美樹本晴彦」氏。

SF考証も世界観も、古典SFの引用・1960年代の人間が創造したような未来。1988年に発表された当時から見て所謂「レトロフューチャー」な世界。
・宇宙空間も「真空」ではなく「エーテル」で満たされいるという設定。小難しい物理用語が多数出てきますが、これで宇宙物理学や古典SFに興味を持った人も少なからず多かったのでは? 私?私はサラっと流しましたヨ(笑)ウラシマ・エフェクトは多少判りましたが・・・
(後の太陽フレアが原因で発生したプラズマ雲「ゲドゥルトの海」に覆われた宇宙空間を漂流するハメになった少年少女の葛藤物語『無限のリヴァイアス』なんかを思い出します)
・敵対する「宇宙怪獣」も今まで我々が認識する動物の様な形態概念ではなく知性は無い様で生体本能のみで活動する「デッカイ珊瑚」のようなモノ(最小でも数十メートルの多足昆虫型のモノもある)。そんなモノが数えきれない群体で(体当たりで)襲ってきたらもう・・・ヤッパリ怖い!
・対する人類は「マシーン兵器」と呼ばれる「8m程のロボット」で対抗準備。日々特訓の続くノリコ達。しかしこのマシーン兵器(RXシリーズ)、恐ろしく視界が悪い上にアナログな計器類を読み取ってと勘と予測で動かす効率の悪い兵器。最大の立役者「ガンバスター」が出るまでの「かませ犬」みたいな存在でした(笑)

ドラマの方は主人公・ノリコの(戦いと)成長の物語。
憧れの先輩お姉さま「アマノ・カズミ」、トップ部隊に選抜し冷徹な猛特訓を強いるが信頼厚い「(オオタ)コーチ」、ライバル「ユング・フロイト」、地球に残した親友「ヒグチ・キミコ(名前の由来は周知の通り)」、華と散った初恋の相手「スミス・トーレン(ヤぁってやるぜ!)」、
様々な人と出会い、別れ、時間のズレた世界で再会したりして、ノリコは人類の運命を背負う覚悟を決める!
所々に庵野監督が気いった邦画の演出(「パクリ」じゃないよ「引用」だよ)が使われてたり、庵野監督が好きそうなオマージュがあったりと、思わずニヤリとしてしまったらあなたは間違いなく『オタク』です。

初めて見る方はチョット地味目なストーリーが淡々と続いて飽きるかもしれませんが、とにかく4話「発進!! 未完の最終兵器!」迄は我慢して、我慢して、我慢して~~見て欲しいものです。一気に目が覚めると思いますから。
それで本作を見直す(チョイと気に入った)気になれば後は怒涛の第5・6話に引き込まれることでしょう。

特に第5話「お願い!! 愛に時間を!」は・・・緊迫するドラマと早い展開もさることながら、スパロボ好きには鳥肌が起つ演出!今までの地味目な伏線を吹っ飛ばすような勢いです。(テーマ曲が流れる「アノ」シーンの虜になった人は多いハズ!)
そして第6話「果てし無き、流れのはてに…」は・・・スペクタクル大河ドラマの雰囲気を醸し出した構成。ワザと画面を「アレ」にして最後に・・・・もう涙と鼻水無しにはいられない締め方です。

とにかく「面白く見せる(エンターテイメント)」という意味で「伝説」、又は「教典(大袈裟?)」的な作品だと思います。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 15

ちゃぶ台返し さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

80年代OVAの金字塔的作品!!

 当時高校3年生の夏だった。それ以前から『美樹本氏の美少女キャラと妙なデザインのロボットの組み合わせだなぁ~』と存在だけは認知していたが、レンタルで借りた最終巻を見た時は脳天を打ち抜かれる様な衝撃を覚えたものだ。1巻でエロパロ路線が際立った学園モノと思わせといて、2巻でシリアスな流れとなり、3巻であそこまで飛躍したストーリーを創造したスタッフらに畏敬の念を感じた。特に6話で『あの演出』を取り入れたのは並大抵ではないと今でも思う。俺も他の人同様にTVが壊れたかと思った位だw その後ガイナックスはNHKのシリーズアニメ「ふしぎの海のナディア」を作り、数年後「エヴァ」を作った。若い時にこの流れをリアルタイムで感じる事が出来たのは幸せだったかと思う。アニメ業界ではないけれども、今の仕事に就くことに、確かな影響を及ぼした作品ではないかとも思う。ムック本のインタビューの中で庵野監督が語っていた「(同時期に出ていた)OVAパトレイバーより確実に面白いものを作る」という目標は確実に達せられていると万人が認識出来るのではないだろうか。あれから20余年。今見ても面白いと思うよ。皇帝・若本の熱い演技も必聴だ!!

投稿 : 2024/11/16
♥ : 13

ペエ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

いま観ても面白いアニメ史に残る作品

1988年の制作にもかかわらず、いまだに多くの人に支持されていることに驚きます。
監督はエヴァの庵野秀明さんですが、パロディの入れ方やSF的な話のまとめ方からも岡田斗司夫さんの作品という印象があります。
と学会の次はダイエット本がブレイクしたオタキングですが、こんなに面白い作品を作ってくれたことに感謝です。

OPでは当時はトップアイドルののりぴー(酒井法子)が歌う80年代アイドルソングを堪能できます。

後半は主人公を演じる日高のり子さんが技名を絶叫する有名なシーンがありますが、「のどが潰れてもいいように最終日に収録した」というエピソードを知ってから観るといっそう盛り上がります。
しかし、のどが潰れてもって日高のり子ののど潰しちゃ駄目だろw

とにかく作り手が全力で作ったアニメだっていうのが伝わってくるそんな作品です。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 7

71.9 4 SFでGAINAXなアニメランキング4位
王立宇宙軍オネアミスの翼(アニメ映画)

1987年3月14日
★★★★☆ 3.9 (275)
1128人が棚に入れました
所属が10人に満たず「失敗ばかり」「なにもしない軍隊」と揶揄され、世間に落第軍隊として見下されているオネアミス王立宇宙軍の士官・シロツグ=ラーダットは、欲望の場所でしかない歓楽街で献身的に布教活動を行う少女・リイクニ=ノンデライコとの出会いをきっかけにそれまでのその日暮らしの自堕落な生活を捨て、宇宙戦艦という名目の人類初の有人人工衛星打ち上げ計画に参加し宇宙を目指すことになる。

声優・キャラクター
森本レオ、弥生みつき、内田稔、飯塚昭三、村田彩、曽我部和恭、平野正人、鈴置洋孝、伊沢弘、戸谷公司、安原義人、徳光和夫
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

スペースモンキーズ

山賀博之監督作品、作画庵野秀明。
精鋭クリエイターたちが若さと勢いで、
精巧に作り上げたGAINAXの傑作SF。
音楽総指揮は、坂本龍一。

架空の国オネアミス王国が舞台、
役立たずの王立宇宙軍士官シロツグが、
人類初の宇宙飛行計画に志願し挑む様を描く。

物語は公表されているもので全て、
特別何もなく退屈さを感じるほどだ。
しかし理数系の夢、宇宙飛行士の夢、
アマチュア集団の夢、クリエイターの夢を乗せて、
{netabare}大きな花火が、夜空と真空を彩る、
ラスト10分に全てが集約され報われるのである。{/netabare}

猿から人類への歴史は火の歴史である。
そして火によって災いは数多く生まれるが、
我々は火によって生かされてもいるのだ。
歴史を間抜けな猿が始めたことだとしても、
人類の進む先が暗闇ならば灯を消してはいけない。

打ち上げられた猿には、
神様も見逃した小さな矜持がある。
そうだ、その猿は夢を持っていたのである。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 60

edoya さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

私的 最高傑作

何度も見返しているが、リリースから二十年以上経った今でもノスタルジーではなく、全く古いと思わない。

完璧に作り込まれたオリジナルの世界観。
棒状の通貨、敵国の言語などにその徹底したコダワリが見て取れる。
そこで繰り広げられる王立宇宙軍の、庶民と政治の間での葛藤。
ヒロイン、リイクニ・ノンデライコへの主人公の届かぬ思い。
のんびりした中盤の流れを一気に蹴散らす怒涛の終盤。

画の繊細さは今でも充分素晴らしい。
森本レオの抜けた声も前半こそグータラなシロツグ・ラーダットにハマっている。

そしてオリエンタルで時に詞的に、時に荘厳に響く坂本龍一の楽曲。
そのメインテーマはガムランを思わせる導入部のリズムだけで鳥肌が立つ。
更にはサエキケンゾウが作曲した戦闘シーンの楽曲は、中近東音階を駆使した名曲。

これらを当時、原作の実績なしに、一から、アニメーションで作ったと言うのだから、空いた口が塞がらない。

個人的な思い入れがあることは否定しないけれど、この作品は私の傑作アニメーションランキング不動の一位であり続けている。
早く二位に退いて頂きたいのだが、残念ながらその輝きは未だ衰えてくれない。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 8
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

マナの微笑みの意味を考察すると、答えが見つかる気がします。

 月とライカと吸血姫を見て、久しぶりに見たくなって再視聴しました。

 正直申し上げて、面白いかといわれれは面白いですが、エンタメ性はそう高いものではありません。作画の凄さがあるのでアニメ作品として見ると驚きはありますが、それはあくまで中身があってのことです。

 で、中身です。テーマは、ちゃんと物語で語られていると思います。アナロジーというか直接述べていない部分があって、分かりづらいところはありますが、神と人類の罪である火。それをリイクニと宇宙開発で表現した映画と言えるでしょう。


 内容についての解釈です。{netabare} さて、本作の最大のポイントは後半半ばくらいでリイクニの妹、マナがシロツグに向かってニコっと笑う場面ではないかと思っています。

 シロツグは当初は恐らく不純な動機でリイクニに近づき、カッコつけというかいところを見せようとパイロットを目指します。

 リイクニの純粋さだと思いますが、シロツグはリイクニに心を惹かれて行きます。と、同時に宗教に傾倒してゆきます。

 シロツグは宇宙飛行士としてもてはやされると同時に、宇宙計画の意義について問われます。この時、シロツグは教会の天井にある神の姿を模したステンドグラスを見上げます。彼にとっての意義は宇宙に行くことそれ自体だったのでしょう。ですが、問われてみれば、神の教えと自分の行動の矛盾に気が付いたのかもしれません。

 そして宇宙計画には膨大な予算が必要で半分の金額で飢える人を3万人救えると言われます。シロツグは教会の前にたむろしていた貧民にお金を投げつけます。つまり、この段階では彼は自分を肯定しきれていないということでしょう。

 その直後、リイクニとともにビラをまきます。ここが彼の悩みを表現していたのかもしれません。本当に宇宙に行くことが正しいのかという自問自答。あるいは神に許しを乞うていたのか。

 ですが、ここで小さな出来事が起きます。今まで敬虔で穏やかだったリイクニが、雨に濡れてイライラしていたのでしょうか。マナに対して一般の小うるさい母親のように小言を言います。そして、靴からお金がこぼれるという描写がありました。これがシロツグにとって、リイクニもやはり普通の女性であるということが解ったのでしょう。有名なレイプ未遂のシーンになります。



 そして、その後のリイクニの反応は狂気でした。シロツグに対しシロツグは悪くない悪いのは自分だ、と理屈にならない理屈を述べます。恐らくここでシロツグはリイクニの異常性に気が付いたのでしょう。そして狂信的に宗教にのめり込むことについて恐らく疑問をもったのでしょう。

 多分、ここでだったら神というものを確認するために、あるいは人類の罪とは何なのかを確かめるために、宇宙に行く決意を固めたのではないか、と思います。

 マナは別れを告げにきたシロツグに対し微笑みます。それが恐らく答えなのでしょう。リイクニに対して一切笑わなかったマナの微笑みの意味はリイクニの否定、シロツグの肯定と取れます。
 
 最終的にシロツグの宇宙からの問いかけの意義については、まあそれぞれが何を思うかでいいと思います。

 リイクニが最後に言葉を止めて空を見上げたのはなぜでしょうか。シロツグが空にいることを思い出したのか、それとも自分の行いに初めて疑問を持ったのか。{/netabare}

 テーマが深いかといわれると、実はそうでもないです。「2001年宇宙への旅」を初め文明の進化についての映画など腐るほどあります。ただ、SF設定の凄さは持ちろんですが、キャラ造形が良いのと、物語とテーマの関係がすごく自然で脚本のうまさが光っていると思います。

 前半ちょっと飽きる部分はありますが、後半からどんどん面白くなって行きました。ただ、再視聴のハードルは高いですね。前回見たのは10年以上前だと思います。

 アニメそのものの凄さは語りつくされているので、これくらいでいいでしょう。1点だけ下衆な話で申し訳ないですが、リイクニのヌード。すごい美しいスタイルでした。さすがガイナックス、力の入れどころを間違えません。


追記 肝心なところを書き忘れました。初見のとき、リイクニの売春的なものを疑った記憶があります。家を失いおじさんにコートを貰った、良くしてもらっている。そしてお金をばらまきますからね。しかも、シロツグが拗ねていました。シロツグには手をつなぐことにすら拒否したのに…と。その直後にレイプに踏み切った、という動機から考えてもそう採れなくはありません。

 ただ、現在はそうではないと思っています。リイクニは電車に乗っていましたから、文明の恩恵を全否定していないし、お金も使っています。それに彼女の宗教的な純粋性を否定してしまうとテーマがぶれる気がしました。どちらが正解かはわかりませんが、キャラを読み解くとやっていないのが自然な気がします。

投稿 : 2024/11/16
♥ : 15
ページの先頭へ