阿紫カービィ さんの感想・評価
5.0
秘かな握手の記憶は 僕の言葉を話す君
皆さんは、『ボーイズラブ』に、どんな感情を持っていますか?
好き?嫌い?どうでもいい?
色々だと思いますが、
なんとなく感じるのは、変な線引きをしている人が多いのでは?ということ。
『BL』には様々なジャンルがあり、どんどん発展しています。
そして、1度はまると、抜け出せない中毒性もあります。
それに触れもせずに否定的なのは、ちょっともったいないかな…
それに
恋愛は「自由で在るべきだ」と、私は思うので。
この作品が、それを語ってくれています。
とことん造り込まれた美しい水彩画風の背景の中で、ゆっくり流れる2人の恋の物語。
一見、チャラそうな、表情豊かなバンドマンの草壁君は、
相手の気持ちを心底大切に想い、素直で優しい男の子。
一方のポーカーフェイスの左条君は、一見おとなしそうに見えるけれど、頑固で、結構怒りっぽい、焼きもちやき。
この2人はいつも光りに照らされています。
朝の光り、昼の光り、夜の月明かり…
そして
好きな人が悲しむと雨が降り、
好きな人が笑うと雨が止む。
これらの演出は、いかにこの2人が美しい恋をしているかを物語っているようです。
季節と共に変化していく2人の距離。
変わらないのは、相手を想う気持ち。
相手に『こうして欲しい、ああして欲しかった』と望むのではなく、
『ただ側に居る、それだけでいい。』
恋とは、愛とはこういうことでしょう?
色彩と共に美しい、押尾コータローさんのギターの音色。
本当に
静かで、優しく美しい、恋の映画です。
『永遠』という言葉はあれど、『永遠』を信じきれないあたしは、
2人の中に永遠を見るのです。
2つの『光』に。
この映画を観て、
誰か一人の心が、開いてくれたら、嬉しいな、と思うのです。
どうか伝わりますように。
本当に、美しいから。