自主制作アニメOVAランキング 9

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの自主制作成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年04月08日の時点で一番の自主制作アニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.0 1 自主制作アニメランキング1位
ほしのこえThe voice of a distant star(OVA)

2002年2月2日
★★★★☆ 3.4 (589)
2984人が棚に入れました
『ほしのこえ -The voices of a distant star-』 は、新海誠 監督 が制作し2002年に公開されたアニメーション映画。
2039年、人類の調査隊は火星のタルシス台地で異文明の遺跡を発見したが、突然現れた異生命体によって全滅させられてしまう。その異生命体はタルシアンと名づけられ、その脅威に対抗すべく国連宇宙軍が組織された。
2046年、中学三年生の長峰美加子は、国連宇宙軍のロボットのパイロットの選抜メンバーとなり、翌年にはタルシアンの追跡調査のため編成されたリシテア艦隊の一員として、同艦隊旗艦〔リシテア〕に乗艦、地球を発つ。ほのかな恋心を抱く友人寺尾昇を残して。調査艦隊がタルシアンの痕跡を追って、地球から離れてゆくにつれ、ミカコとノボルの距離も光年単位で離れ、二人の携帯電話メールのやりとりにかかる時間も次第に長くなってしまう。
ついにはミカコは地球から8.7光年の距離に位置する惑星アガルタに降り立つ。そこでミカコは、地球に届くのに8年もかかるメールを ノボルに送信する。
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

総論大賛成、各論反対

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。25分ほどのショートストーリーです。
 非常に良い作品でした。特に時間と距離と心の関係を表現した部分は素晴らしかったです。エンディングに至るシーンも、情緒があり、リズミカルで素敵でした。風景の描写もきれいでしたね。新海作品の原点みたいなものは確かに感じることが出来ました。
 テーマの描き方を含め、全体的には素晴らしいのですが、細部の描写はオリジナリティに欠けていて、それが作品を毀損しているようにも思えました。総論部分と各論部分に分けてレビューします。

<総論編>

メール:
 メールは、テーマを担った一番大事な象徴物です。{netabare}
 手紙というのは、送り手と受け手の時間的な乖離が内包されているわけです。送り手の「届いたかなぁ」という心情が伴います。手紙が届かないというのは、物理的にも心情的にも届かないことを意味するので、送り手と受け手において「永遠の乖離」が存在しているわけです。
 メールというのは、「届いたかなぁ」という心情も確かにありますが、原則的には届かないことは想定されていないわけです。「届いているはずだ」という心理が手紙よりも強く働いてしまいます。メールが届かないというのは、実際には遅れているだけです。時間的な遅れはあっても「永遠の乖離」ではないわけです。しかし、時間の遅れが拡大化していくと、手紙と同様に物理的にも心情的にも「永遠の乖離」に近づくのだ、と表現されているわけです。
 つまり、「~=0」の物語ではなく、「~≒0」の物語を描いている。でも決してゼロではないので、確かに存在はしている。つまり「ここにいる」わけです。この辺のロジカルさには驚嘆しました。

 この作品は、「世界」の定義から始まっています。そして、つながりの強固な世界から、つながりの薄い世界へとストーリーが進んでいきます。つまり、メールがすぐに届く世界から、メールの遅延が拡大化した世界への展開です。つながりのない世界(手紙が消失してしまった世界)の説明が省かれているのですが、これは省略されているだけです。構造として確実に存在しているものを、あえて隠すことで、作品が抱える厚みを視聴者にゆだねていました。{/netabare}

雨:
 メールを基礎としたメインテーマを、背景の側から支えていたのが雨です。ここでは、雨の表現が意味するところを考えてみます。{netabare}
 最初の雨は、二人でバス停にいるところでした。雨が降っている最中は、高校生活について話していて、雨が上がった後で宇宙に行くことを告げるという展開です。
 次の雨は、ノボル側のエピソードです。女の子との傘のシーンの前から雨が降っていて、雨はバス停でのメールの受信まで続きます。「8年7か月」というミカコのメッセージとともに雨が上がり、晴れた後は「引き裂かれる恋人みたい」と展開していきました。
 最後の雨は、ミカコ側のエピソードです。雨の最中に「ノボル君に会いたい」と言い、「好き」というメールを送った瞬間に雨は上がります。雨が上がった後の最初のセリフは「届いて」でした。実際には願い空しく「好き」の部分は届きませんでした。

 これらの表現からは、雨降りが理想(希望)で雨上がりが現実(乖離)という表現のようです。一般的な作品では、雨は障害や不吉のイメージが強いですから、逆転させているようです。ミカコは、最後の雨のシーンで「雨にあたりたい」と言っていますから、雨自体は肯定的なもので間違いありません。
 また、雨の前後の表現だけでなく、雨が上がるタイミングにもかなり気を使っているのが感じられました。テーマを盛り上げる機能は十二分に発揮していたと思います。雨の使い方によって、作品の切なさを際立たせていました。{/netabare}

過去とロボットの足跡(雨の続き):{netabare}
 雨のシーンで疑問を抱いたのは、最後の雨の中で描かれる「ロボットの足跡が雨によって埋まる」シーンです。このシーンは非常に混乱してしまいました。
 当初私は、この文脈を、「ロボットの足跡」が「雨」によって埋まると解釈しました。足跡というのは過去を象徴するものです。また、この作品における過去は中学時代を言いますから、「正」のものだと捉えました。雨も前述の通り、「正」の表現ですから、「ロボットの足跡」を「雨」によって埋めるというのは、「正」に「正」を被せた演出であり、違和感を抱いてしまったのです。
 この文脈を、「ロボット」の「足跡」が「雨」によって埋まると解釈することも出来ます。ロボット自体は「負」のイメージを持っています。ミカコが選抜されたことが、自薦か他薦(徴兵)かは語られていませんが、作品の雰囲気から察するに、他薦のほうが近いように思えます。もちろんノボルとの乖離の原因でもありますから、「ロボット」が「負」であることは間違いないでしょう。「足跡」が単なる「過去」であるとすると、「ロボット」の「足跡」が「雨」によって埋まるというのは、「負」の「過去」を「正」によって消したい、と読み替えられます。これは論理性を持ちますから、おそらくこちらが正解です。

 私が前者のような誤った解釈をしてしまった原因は明白です。そもそも後者の解釈は、他の作品のように、過去自体に正負を持たせていない場合でのみ成立するものです。この作品で描かれる過去は、美化された中学時代が中心ですから、過去の表現を見ると、自動的に「正」を想像してしまうわけです。それゆえに、前者の解釈に至るということです。
 ここを正しく解釈するためには、この作品の特性を理解していなければなりませんでした。この作品は、メールの項で書いたように、「構造として確実に存在しているものをあえて隠している」のです。つまり、作中では過去が美化されていますが、過去が美しいものだけであるはずがない、という前提を抱えているのだと思われます。過去の象徴物である「足跡」は、「正」なのではなく、単なる過去でいいのです。これによって、後者の解釈が正解になるのです。 
 私は、理解するまでに時間が掛かってしまいましたが、一度理解するとこれ以外にないと言い切れるような素晴らしい演出だと思います。ロボットは終始出てきますが、タイミングとしてもあのシーン以外に考えられませんでした。

 話は変わりますが、全方位モニターというのでしょうか、座席のみになるやつです。あれは孤独を表現するいい手段になっていました。ロボット全景からロボット内部、座席のみという段階的な表現も良かったと思います。{/netabare}


<各論編>
 ここからは、否定的な見解を含みますので、読みたくない方は<総括>まで飛ばしてください。

街並み・小物:{netabare}
 なぜ現代(2002年)と同じなのか全く理解できませんでした。殊更に未来的な表現を使うべきだとは思いませんが、テーマの一つに「年月を経ても変わらぬ思いがある」というのはあったはずです。これは言い換えると、「物は変わってしまったが、思いは変わらない」ということではないのでしょうか。
 作中における8年の経過は、物への描写に表れていませんでした。街並みや携帯・バス停などの小物は、ほぼ一貫して現代(2002年)と同じものが描かれています。なぜ、思いと同じ「変わらない」側の表現だったのでしょうか。「変わらない思い」との対比が成立していません。
 思いの普遍性は、作品の中だけでなく、私たちにとっても同じです。私たちの存在も作品の対比構造の中に入れるべきだったと思います。つまり、2002年と2040数年とその8年後、それぞれ「物は変わってしまったが、思いは変わらない」と言えたはずです。変化を描いていないせいでミカコの言う「20世紀のエアメール」の効果が減退しています。

 確かに、作中のミカコとノボルの関係は、非日常と日常の対比であるのは、間違いないことです。しかし、ノボルの日常を2002年に固定するのは拙速です。非日常と日常の対比に、テーマである時間の経過を織り込むと、ミカコが「不変の非日常」であることに対して、ノボルは「変化の中にある日常」になるはずです。ノボルの周囲を変化させないことが、テーマを殺しているように思えました。
 私たちが近未来のSF物を見るときには、現代との違いを機微に捉えることが出来ています。この作品では、そこを捨て置いてしまっていました。トレースやコピーをしたのではない、新海監督の中にある時間の経過・未来の世界を描いて欲しかったと思いました。{/netabare}

ミカコの制服:{netabare}
 こちらもテーマに沿った演出になってないように思えました。別にパイロットスーツを着ろというわけではありません。8年という時間が経過して社会人になるノボルとの対比をする上でも、ミカコに制服を着せておくというのは必要な表現だと思います。
 ただ、中学時代の制服そのままというのはあり得ません。中学時代の制服は、思い出を想起させる重要なアイテムになるべきものです。中学時代の制服とそれ以外の制服で対比構造を作っておくべきだったのではないでしょうか。回想中だけとか、メールを送るシーンだけとか、過去に絡めたシーンでのみ、中学時代の制服を着用すべきだったはずです。もちろんガラッと服装を変える必要はなく、シーンによってネクタイの色だけ中学時代に戻す、という程度で十分だと思います。
 2040数年の制服が、現代と同じ制服であったことも含めて、やや工夫を放棄していたように見えてしまいました。{/netabare}


<総括>
 メールやロボットの足跡の項で述べたように、あえて省略している表現というのがありました。その部分の読み取りを視聴者にゆだねることで、作品の持つ背景に厚みが加えられていたと思います。誤読を誘発する可能性も孕んでいますが、効果は非常に高かったと思います。25分というショートストーリーだからこそ、大幅に省略した表現が成功したのでしょう。
 一方で、各論で述べた項目は、ここでいう省略には該当しません。描写をあきらめてしまったような印象に映りました。または、ただ書きたかったから書いただけというような印象です。オリジナリティも欠如していました。作品のテーマの描き方に成功している分だけ、この部分のミスマッチが気になってしまいました。個人製作ということですので、時間的な制約があったのかもしれませんが。
 SFの部分であるロボットや戦艦もオリジナリティには欠けていました。ただ、この作品はSFをモチーフにしているだけで、SF作品ではないと思うので、そこまで気にはしていませんでした。もちろんオリジナリティがあるに越したことはないのですけどね。

 この作品自体は、際立った良作です。
 むしろ、この作品の後の新海監督の作品に関して、やや不満を持っています。未視聴の方のために詳細は述べませんが、この作品における描写から逸脱できていないのではないでしょうか。別れや乖離を示す電車の表現は秒速でも使われていましたし、トレースとフレアレンズを多用する風景描写にも変化をあまり感じません。原点と言えば聞こえはいいですが、これ以降の作品で新しいものを生み出していないようにも思えてしまいました。
 ただ、私の個人的な愚痴はともかくとして、この作品における主題部分の完成度は、新海作品に限定せずとも高いものだと思います。他の新海作品よりは、まずこの作品を視聴することをお勧めします。

対象年齢:
 思春期世代でしょう。大人も大丈夫だと思います。あまり細部にこだわりすぎず、メインテーマにどっぷり浸かった方が楽しめると思います。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高のSFそしてラブストーリー。「大人になる痛み」という言葉の味わい。

24年8月多分10回目…いや20回目以上の再視聴です。

 私にとってSFの名作中の名作です。そしてラブストーリーとしても最高です。毎年夏になると見たくなる作品です。過去2回ほどレビューしたので詳しくは書きません。

 2人の感情は距離と時間が離れてしまったからこそ、深く強くなったということでしょう。その思いをメールで送った瞬間にタルシアンが少女の形で接触するのもまた意味が深いです。「大人になる痛み」という言葉が人類の成長という意味と、本当の意味で愛情を知るには相手と会えない時間が必要だという意味の2つに取れます。

 以前にも書きましたが、圧倒的科学力のタルシアンとの闘いでリシテア号のみ助かったかを考えると、ちょっとロマンチックですがミカコが想いを伝えるメールを送ったからでは?と思います。つまりミカコの所属艦だから、助かった。ミカコのように痛みが分かる人間がいるなら、人類は大人になってタルシア人のあとに続けると思ったのだろうということです。

 人類が成長するためには、タルシアンと戦争し科学力を身につけなければいけなかったんだと思います。

 そういう解釈はまあ何十回も妄想しているのでいいんですけど、やっぱり素晴らしいのが一緒にいた時間の貴重さです。恋愛は理由ではないです。そのかけがえのない時間が唯一無二だからこそ、その時間を共有した相手が大事なのでしょう。そして日常だった地球のいつもの風景です。「夜中のコンビニの安心する感じ」とういセリフが毎回グッっときてしまいます。

 この作品年齢を重ねるごとに、感動の深さが増して行く気がします。




以下、23年7月のレビューです。

 本作内の季節は夏だけではありませんが、イメージ的に夏の風景こそが2人が過ごした時間じゃないか、と思いますので、やっぱり夏に見たくなります。23年7月に再視聴しましたので、まとめを追記します。


 本作でリシテア号だけが生き残った意味を考えるとSF的考察をしなくてもミカコが生き残ってノボルと再会することが分かると思います。
 なぜかといえば、タルシアンは人類に銀河ネットワークを残したかった。そのために戦争を仕掛けシリウスまで導きました。全滅させては意味がないので、最終的な場面は見せないですが新聞記事等でリシテア号は助かるというのは読み取れます。

 ミカコはとりあえず助かった。リシテア号もいる。リシテア号は意図的にタルシアンが助けた。
 故にミカコも助かるというのもわかります。ノボルが新型の艦で出かける以上、2人は会えるというのは読み取れる結論です。

 で、ここから先はすみません。妄想ですが、タルシアンはミカコが気持ちをケータイでノボルに伝えているのを知っていた(だから、タルシアンはそのイメージを再現できた)。なのでミカコは距離を越えて気持ちを伝えられる人物だからこそ、タルシアンはミカコの機体は破壊せずに未来を託したくなった、と読み取れる気がします。そもそも未来のミカコは指輪してましたしね。

 つまり、ご都合主義でミカコが選ばれて助かったわけではなく、ケータイでメッセージを送っていたからだ、ということになるのでは?と思います。ここで、銀河を越えたコミュニケーションという2つの主題、異星人との交流と、ミカコとノボルという個人の恋愛が重なってきます。逆に言えば、人類もミカコも助かるということを暗に言っています。

そして、恋愛の部分ですが、2人は会えないけどお互いのことを考えている時間が8年…以上あったわけで。その想いが募るからこそ、2人は他に変わりようがない存在になります。現時点でミカコにとってはまだ時間は経ってませんが、これからミカコは会えない日々に苦しむはずです。
 安易に付き合うことがゴールではなく、この時間と空間の隔たりがあるのが大切なのでしょう。この代替が不可能な状況もまた、本作の最大の特徴でしょう。


 だから、本作はSFとしても、恋愛としても深さを感じる作品だなと思います。

 アニメの中のポエムというのは、野暮というか恥ずかしいというか、そういう作品は多いです。が、地球とノボルと過ごした日々を思うミカコを表現した
本作の詩は本当に素晴らしかった。

 えてして、最高傑作の種というのは、デビュー作にあるものです。稚拙なところもあるでしょうが、表現したいという熱意が伝わってくる作品です。新海誠氏の作品は最近の3作も素晴らしいし完成度は本作とは違いますが、SFと恋愛という2つの側面だけ切り取ると、本作が一番感動します。

 そして、短いからこそ言葉足らずになって、想像を働かせられる優れた効果がでています。これが後の3部作につながる「言葉足らず=想像が必要」というのが新海誠らしさではないか、と思います。




以下 以前のレビューです。上と同じようなことを言ってますが、少し詳細に書いています。


 距離と時間で離れているからこそ深まる気持ちの描写が素晴らしい。

 SF短編の最高傑作ですよね。映像も素人が、ということを抜きにして、非常に感情を揺さぶられる素晴らしいできでした。

 短編なだけに、省略が多くてそれがSF的な深みを出すと同時に、こちらが想像で補う分で深く深く感情移入できます。また、思春期の思い出が一緒にすごした放課後の天気の記憶とかコンビニとか踏切とか…もう最後だけでいつも胸が苦しくなります。

 SFアニメ作品のナンバーワン候補は沢山ありますが、本作はいつも迷います。恋愛ものとしてのクオリティと詩情ですね。これが良すぎて、SFとしての評価ではない気がしたからです。
 いや、言い方が違いますね。距離と時間についてはSFと恋愛の融合としてそこはいいんですけど、タルシアンとミカコのコミュニケーションにちょっとご都合主義を感じていたからです。

 ただ、ケータイについて考えると「あれ、結びつくかも?」と思いました。なぜミカコにタルシアンがコンタクトしようとしたか、ですね。

 初めはトレーサーの乗組員全員に対してと思っていました。が…これミカコが携帯でノボルとコミュニケーションをとっていたから?ミカコも攻撃を受けていたし全力で戦っていたのでなんとも言えませんが…しかし、冥王星で戦っているときにミカコへ攻撃せずに覗き込んでましたね。包み込んで調べようとしたんでしょうか。携帯に興味をもったのか、誰かに気持ちを伝えようというミカコに何かを感じたんでしょうか。

 つまり、ミカコの誰かに想いを伝えたいというタルシアンに伝わったということかなあ、と。だから、ミカコならつながりたいという思い=タルシアンの想い、ネットワークを残す意味合いを理解できる、と。それでリシテア号だけ生き残ったんでしょうか。
 考え過ぎかなあ。ただ、そう解釈するとよりSF,恋愛の両方が深まる気がしました。

 離れているからこそ相手を想う。だから、気持ちが深まる。ノボルは恋愛の機会もあったみたいですが、ミカコが忘れられなかったのもよくわかります。秒速5センチメートルと同じです。
 同じですが「5センチ」と違い本作は新聞記事やタルシアンの言葉が見せた映像や言葉から考察してノボルがミカコに追いつくだろうという考察できます。そこがいいですね。
 ただ、今回再視聴して思ったのが、考察しなくてもそもそもノボルが艦隊勤務を志願して旅立つ描写があるってことは、ハッピーエンドに決まっているじゃんと思います。

 物語は8年前のミカコと現在のノボルのシーンで終わったので、8歳差な気がしますが、メールが届いたときにはミカコ側でも8年歳をとっています。そこにノボルが迎えに行くとなると、ワームホール(巨視的量子トンネル効果って書いてありました)を使えば一瞬です。つまりお互い25、6歳くらいで再会できるということでしょう。

 「ここにいるよ」というメッセージが初めは別離なのかと初め思いましたが、自分が「今後どうなろうとノボルも共有した時間も好きだった自分が確かにここにいた」ということでしょう。

 すずめの戸締りの余韻で再視聴。で、なんか以前見たときよりももっともっと深い作品の気がしました。新海誠監督の中で「すずめ」「君の名は」と本作、どれがナンバー1か迷いますねえ。

 評価上げました。決して安易に5点満点にしたいから、ということではなく女性の声優さんのモノローグに気持ちが乗っかって素晴らしかったし、音楽にも気持ちが揺さぶられました。作画は背景美術の評価です。


 以前のレビューは、ウラシマ効果とワームホールなどの考察でしたが、本作の大切な部分ではないので削除しました。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 11

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

その愛は、時間も距離も、飛び越える……

新海誠作品第1弾『ほしのこえ』

25分のアニメを作るうえで必要な要素である監督・脚本・演出・作画・美術・編集を全て1人で行ったと言う伝説的作品です(オリジナル版なら声優も)

今から14年前に作られたこのアニメ作品はSF要素を組み入れた物でこそありながらも、その本質は人間が持つ「想い」に焦点を当てていました。

誰かが誰かを想う気持ち

心の距離と、身体の距離の対比関係

離れていても、メールが届いた事によって感じる喜び

離れているからこそ、メールが届かない事に感じる寂しさ

次第に遠くなる一方でも、変わらない、いや、次第に近くなっている物も確かにあって、それは普遍に色濃く輝いている…

決して古臭く感じさせない……
現代の私達にでさえ、語りかけて来る物があると自然に感じられた作品でした。
いえ、寧ろ、今の電子機器が跋扈する時代だからこそ感じる物が今作にはあるのかもしれません。
今だったらメールではなく、LINEに取って変えられるんですかね…
既読が付くかつかないかで悩む描写がきっと出ますよ、多分(笑)


しかし、『ほしのこえ』で描かれた落ち着かない感覚、「不安」「じれったさ」と言う感情
これらを「誰しも心の中に持っている!!」と断言する事は私には出来ません。
しかし、少しでも他者と関わった事があるならば、こういった挙措の失いは多くの人が抱いた事のある「想い」です。
一般的に考えれば、殆どの方が持っている代物
彼らのように壮大では無いにしろ、私達の周りにそういった存在は確かにあって、生きている物語のように着実に、知らない所で紡がれていました。

それは、今は昔のボトルメール
海に流して返事を待ち、他者との交流を図ろうとする宛ても無き媒体
無事に陸地に着くか分からない、着いても誰が拾うか分からない、拾っても連絡してくれるか分からない……
「分からない」と言う「不安」ばかりで埋め尽くされた感覚には、しかし、どこか「期待」と言う感情が見え隠れしています。

それは、離れ離れになった人との文通
久しぶりに送る過去への手紙
書きたい事は沢山あるのに何を書けばいいか分からなくなるあの感じ
それはその瞬間だけに訪れる、たった1つの宝物です。

それは、ミカコとノボルのような人達
何かを媒体として育まれる交流は、何らかの関係を無くさないが為の応急処置
互いに違う環境、違う関係、違う人生で進めば、違ってくる未来の路
しかし、どこか必死さをも感じさせる交流には、道のりが違っても維持していこうとするいじらしさを感じて堪らなくなります…

このような物語は知っていても知らなくとも確かにこの世界にあったのです。
同じように、作中で進んでいくストーリーも「ウラシマ効果による弊害」と言ってしまえばそれまででしょう。
しかし、今作の伝えたい事は何もSF的要素、切ない雰囲気だけではありません。
「誰かを想うなら、心は、時間も距離も飛び越えて、その胸の温もりさえも、運んでくれる」
人間の想いが開花する過程を私達に見せつける事で生まれる物
それはノボルが心を硬く、冷たく、強くしたあの時から唯一持ち続けた感情を武器にして生まれた代物
読めないメールを理解した彼が必死に体現しようとした結果が最後には描かれていたのです。

「さよならだけが人生だ」というフレーズを聞いた事があるでしょうか?
人生、出会いと別れの繰り返し…だから、くよくよせずに新しい一歩を、次の出会いを探そうじゃないか!!
中国で生まれた1つの詩をとある文豪が訳した時に生まれた言葉です。
過去は過去と振り切って前に進むのは、想像する余地を脳から排除し、考えないようにすると言う点において確かに楽でしょう(フラッシュバックしない限り)
作中でもノボルは1度、他の人と付き合う事でそれを実行しようとしましたからね…
彼もまた、ミカコのいない事に耐えられなくなってしまった悲しき被害者
しかし、ノボルは結局、被害者のままでいる事を止めました。
元の鞘に収まる事、つまり、ミカコを待ち続ける事、いえ、彼女を追いかける事を選んだ…
心を硬く、冷たく、強くした1人ぼっちの大人になる決意を内に秘めて…
そんな彼らのように遠く宇宙の彼方まで離れても、時間が2人を分かつとも「さよなら」したくない関係と言うのは確かにある。
割り切って前に進む事の出来ない繋がりと言う物が現代でも確かに生き続けている。
願わくば、そんなこってこての「理想」が現実のどこかで存在していてほしい…
視聴後にこんな風な戯言を自然と想像してしまう程、心に沁みた良作でした……

さあ、あなたの周りに私の想う「理想」は果たしてあるのでしょうか?
ノボルとミカコのような「確かな関係」を育んでいる人は果たしているのでしょうか?
自分の辿ってきた人生と合わせて、振り返りたい方は是非ご視聴をお勧めします……

「ここにいるよ。」

PS.
視聴後は漫画家の佐原ミズ氏によるコミカライズ版『ほしのこえ』を読んでおくことをお勧めします。
これを読んで真の意味で『ほしのこえ』は完結です…

投稿 : 2025/04/05
♥ : 11

60.3 2 自主制作アニメランキング2位
フミコの告白(OVA)

2009年11月8日
★★★★☆ 3.5 (177)
585人が棚に入れました
高校生のフミコの同級生、野球に熱心なタカシに告白してその後振られてしまうところから始まる。
その後は長崎県の様な急斜面の町の中を飛んでいってしまう。(kwskは動画を参照してね)
産経新聞も注目している。
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

泣いて逃げて走って飛んで…!

男子に告白して振られてしまったフミコが、泣いて、逃げて、走って、飛んでのお話(笑)

本編2分半くらい。

作画にのみ心血を注いだ感のある短編作品です。

目的と手段が逆転していると言いましょうか、アニメーターの力量をアピールする為に作られた映像と言うのは、1から10まで打算で作られている所為か(レスへの下心も含め)物語や演出に何となくわざとらしさが加わってしまう気がします。

テンプレ的なキャラ台詞や、宮崎駿監督の往年の名作からの(ほぼそのままの)引用も、上の印象を強め、手放しで高評価出来ない原因になりました。
{netabare}
「付き合って下さい!」とか「今は野球に集中したいんだ。」とか、あまりにも捻りが無く、最高級にヘボい台詞回しと感じました。
{/netabare}
直感に訴える作風で、文字通りジェットコースター的なスリルを味わえる作品ではありますが、これを見て心から楽しむには、わたしは大人になり過ぎてしまったのだと思います(汗)フミコみたいに一周回って、童心に戻りさえすれば、あるいは楽しめるかも知れませんけど(笑)

とにかく動きが多くて楽しい映像を所望という方には心からお薦め出来るアニメです。


余談
{netabare}
年末からお正月にかけて俄かに始まった↓軒並み高評価のレビューリレーに参加せず、あえて間を置いてわたしがレビューを上げたのは、上の酷評で盛り上がっている皆さんの熱に水を差してしまう事を避けたかった為なんですが、とあるメセボで容赦無く不参加の意思を表明してしまったので、結果的に色々と台無しにしてしまいました。チャンサン、他大勢の方々、ゴメンナサイ(汗
{/netabare}

投稿 : 2025/04/05
♥ : 24

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

懐かしいなあ… 2009年の年末、話題はこれで持ちきりでした。

自主制作アニメって大喜利みたいなもんですよね。

短く限られた時間で、伝わりやすく簡潔に、自分の実力をみせる。




いや~たいへんっ(^_^;)

そんな中、この「フミコの告白」は数年に一度の出来でした。

特にコンセプトやプロットの、映像への“実現度”が素晴らしい。


タイトルから一発で理解できる内容。
動きの秀逸さ。(どこか大塚康生イズムな動き・・他にも多々入ってますけど)
動きだけでなくオチをちゃんとつける。


パースをきかせる事によっての手前から斜め奥への連続した動き。
流れる背景を技術的に実現する3Dモデリング。などなど・・(他にもいっぱい)

それらを実現可能なレベルでまとめるコンテ。

プロットで箇条書きにして、映像化したら面白いと思うものなんて殆どできないもんですよ。そりゃーハリウッド級のモノ作れるなら作りたいですよね。でも自主制作だと技術的にも時間的にも人もお金も厳しい。

だからメッセージ性の強いものに“逃げる”んです。


それをあえて挑むのがスゴイ。真っ向勝負。

そして学生らしいとも言えますね。俺の作画力見てくれ!って事でしょうw


こちらが“動”のアニメーションなら、卒業制作の「rain town」は“静”のアニメーション。


どちらもアニメーターとしてクリエイターとして、表現にチャレンジする感情の動きが見えるよう。


学生作品は輝いてるなあ・・素敵(*^_^*)

投稿 : 2025/04/05
♥ : 19

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

短編物ではあるが勢いを感じられる自主制作アニメ

この作品は、石田裕康氏が
学生の時に制作した2009年の短編アニメである。
このレビューを書くきっかけになったのは
とある方からの依頼である。

内容を一言で言い表すと、フミコがまるで飛行機にでも
なったかのように空を駆け巡る物語である。以上。

このアニメが良いと思ったところは、滑らかなカメラワーク。
切り替えもスムーズに進むので、身構えることなく
気楽に視聴できるのは大きい。

また、非常にテンポ良く進むためあっという間
に終わったと感じることだろう。

終盤のオチも個人的には好きな部類。見ごたえがある。
この手のノリの作品であれば、トムとジェリーを思い出した。
もしかすると、このアニメはトムとジェリーから影響を受けている
のかもしれない。

疑問に感じる部分もある。
あまりにも、フミコが頑丈すぎるのだ。
どうしてあそこまで、無傷でいられるのか不思議でしょうがない。
冷静に考えれば、足が血まみれになっていないか
骨は折れていないのか、終盤悲惨な光景になっているのではないか
と疑問を抱く方もいただろう。
これは自分の憶測だが、開始時点で人間ではない可能性がある。
何らかの形で、既に人間を辞めたのだろう。(ジョジョかな?)

自主制作物ではあるが、個人的にはとても楽しむことができた。
自主制作アニメの入門としても比較的オススメしやすい。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 12

64.5 3 自主制作アニメランキング3位
堀さんと宮村くん(OVA)

2012年8月24日
★★★★☆ 3.7 (159)
1022人が棚に入れました
片桐高校に通う堀京子は、派手な外見とは裏腹に成績優秀で、家事をこなし弟の面倒も見る家庭的な高校生。
ある日、ケガをした弟、創太を見知らぬピアス男が送り届けに来た。
その正体は同じクラスにいる陰気なはずの男子、宮村伊澄。彼の学校との別人ぶりに驚く反面、家での顔を見られた堀は動揺するが、人見知りする創太が懐いたことがきっかけで、宮村は頻繁に堀家を訪ねるようになる。
ネタバレ

ぽんちぃ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

不器用でギャップだらけの二人のゆる~りほんわかラブコメです

ちょっと不器用でギャップな二人が、ゆ~っくりとお互いを大切に思う気持ちを育てていく過程が丁寧に描かれた、ふんわり優しい空気に包まれたラブコメです。全2話

{netabare}成績優秀で人気ものの堀さんはとっても頑張り屋さんで面倒見の良い優しい子…
一見ネクラで中性的な宮村君は、クラスで影の薄い存在…
でも、目立たないように地味に振舞ってるだけで、
実は中性的な魅力の美形で、なんかちょっと天然なとこもカワイイ
宮村君の不器用で控えめな優しさがきゅんときます。{/netabare}

声優さんたちの演技がとてもうまくて、細やかな感情の機微の表現が絶妙です。
だから続きもぜひ同じ声優陣でアニメで観たいと思いました。

自主制作のOVAなので手作り感たっぷり。
手書き感のあるやわらかい線は味があり、センスは悪くないので割りと好きです。
なんとなく「僕等がいた」を思い出しました。近い雰囲気かも。
原作者のHEROさんが所属するグラフィックデザイン会社の制作らしい。

とても怖いのは、続きはドラマか映画でって方向にならないといいなって思いました。
演技の下手な新人アイドルとかで実写化して台無しにしてほしくないと思ったりします。
アニメ化された後なら許します。嫌なら観なければいいだけなので。
なんて偉そうにいっちゃいましたが(笑)

女子なら絶対この空気感の良さわかると思いますが、
男子にはどこまで感じてもらえるかはわかりません。
でも、となりの怪物くん、一週間フレンズ、君に届け、好きっていいなよ、あたりが好きなら、気に入ってもらえる作品だと思います。

■あらすじ[Wikiより]
{netabare}片桐高校に通う堀京子は、派手な外見とは裏腹に成績優秀で、家事をこなし弟の面倒も見る家庭的な高校生。ある日、ケガをした弟、創太を見知らぬピアス男が送り届けに来た。その正体は同じクラスにいる陰気なはずの男子、宮村伊澄。彼の学校との別人ぶりに驚く反面、家での顔を見られた堀は動揺するが、人見知りする創太が懐いたことがきっかけで、宮村は頻繁に堀家を訪ねるようになる。 {/netabare}

■参考
『堀さんと宮村くん』と『ホリミヤ』はちょっと違うみたい。
『堀さんと宮村くん』はHEROによる日本のウェブコミック。略称は「堀宮(ほりみや)」。
『ホリミヤ』は上記を元にして別の人が書いた漫画らしい。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 15

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

青春は、「甘酸っぱい」・・・だけじゃない、「熱い」・・・だけでもない。「ほろ苦」なカフェラテ味の低体温青春ドラマ(自家製@プロの犯行)

可愛らしいポップな絵柄と相反して、アンニュイでダウナーな雰囲気がそこはかとなく漂うHEROのウェブコミックの純然たるOVA化


内気でトモダチ作りが下手なためか、その反動で学校外ではピアスをして自分を着飾っている中性的な美青年の『宮村くん』こと宮村伊澄
明るい性格と派手な外見とは裏腹に家庭的な一面を持つ女子高生の『堀さん』こと堀京子


お互いに学校とは違う素顔があることを知った二人の男女の秘密の共有と、その微妙な距離感を軸にして平坦で生ヌルイ日常が描かれていくという青春ドラマっす


アニメ化ということで、「音」と「間」が加わった新たな『堀宮』の姿は、原作コミックのコメディ色を薄め、より落ち着きのある雰囲気を強調した少々趣を変えた作品となっていました


友情→恋愛→BL、とまあ多方面に広がっていく人間関係をあえて絞らないことで等身大感のある「ヌルイ青春を過ごす若者」の姿を描写しているのが特徴的
起伏の少ないお話が故に最後のまとまりも弱く、オススメし難い作品ではあります










一方ではインディーズレーベルからの発売&公式通販とアニメイト限定での販売という形態からも見て分かる様に、事実上の自主制作であるにも関わらず、一流のスタッフとキャストが集結した豪華な制作体制が興味深いっす


若手アニメタでも注目の実力者、夏目真悟が初監督
ウェブ系アニメタの筆頭、coosunこと沓名健一がキャラデザ&作監
原画は全てこの二人だけによるもの
キャラデザがまさかのcoosunということもあり、ハイライトや陰影、線の本数などを極端に減らした作画にベタッとした塗りの色彩など、アマチュアイズムを残した画面作りが独特
それでもしっくりと来るものがあるのは、「ヘタウマ」感に味のある原作があるからこそ、といったところでしょうか
(注:coosunは素晴らしいアニメタですよw)


キャスティングにも若手実力派のプロ声優を揃える一貫性が伺えており、“若者が作る若者の話”というコンセプトが見え隠れしているのがよく分かります
特に瀬戸麻沙美、松岡禎丞、細谷佳正のメインキャラクターを演じた御三方には「流石や(´ω`)」の一言


自主制作アニメに興味をお持ちの方ならば観ない手はないはず

投稿 : 2025/04/05
♥ : 18

--RiA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

かなりの良作....!!!!

自主製作の作品です。


しかし。

かなり面白い....!!!!!!見入ってしまいました(*・ω・)


本腰入れて制作されば間違いなく有名作として語られ、大袈裟かもしれませんが1つの名作となれる可能性も秘めてます。

物語はよくある学生の日常系アニメです。

しかし、見ても見なくても一緒だなと思われる作品とは大きく違います


1つの題材として、

学校では地味で暗い大人しい男の子が実はプライベートではキャラが一変して明るい爽やかイケメン不良と変貌します。

そして、この作品の特長としては、

分かりやすく誰でもすぐ入り込め、誰もが感じている感情を巧みに表現出来ていました。
テンポもかなり計算されて作り込まれていると感じられます。


構造論、物語論的に言うのなら、

一人のキャラクターに多くのスポットを当て、多くの視点からその人物を光らせ、尚且つ数多くの共感姓を集め、そして無意識の内に主人公へ見ている人間は主観を持っていかれ、次第に自然と自分と重ね合わせてしまいます。

これが1つの物語のコードであり、感動を生み出す題材として流用されてきたプロセスでもあります。


簡単に言うなら、この作品は数多くの人間が感情移入しやすく、ベースとなる素材を簡略化し、マニア受けする作品では無くて出来るだけ多くの視点から見られる様に作られたのがこの作品だと言うことです。

多くのプロットを作り出した所でその意味を理解出来なければ無駄以外の何物でもないと私は思います。



と、長くなりましたが、この作品についてネタバレを含ませないでの私なりでの説明と評価でした(*・ω・)


超簡単に一言で紹介するなら。


『普通にめっちゃ面白かったよ!!良かったら見てね☆』

投稿 : 2025/04/05
♥ : 9

64.2 4 自主制作アニメランキング4位
彼女と彼女の猫(OVA)

1999年10月1日
★★★★☆ 3.3 (225)
1101人が棚に入れました
都会で一人暮らしをする彼女と、偶然彼女に拾われた一匹の猫の物語。ある日、彼女の留守電に彼からのメッセージが入る。

『彼女と彼女の猫 -Their standing points-』は、新海が日本ファルコムに勤めながら作った作品であり、完全に個人で制作された5分弱のモノクロアニメーション作品である。生活していくことの漠然とした寂しさ・微かな痛み・ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託した作品で、心の琴線に触れるそのプロット構成や、全編モノトーンながらも緻密に描かれた作画やカット割の良い演出などは、従来の自主制作アニメーションのクオリティーを遥かに超え、高く評価されている。また、音楽は天門が手がけており、これが新海のアニメーションの魅力を引き出すことに成功している。これらの画面描写や演出技法、天門との音楽性の一致などは、後の新海作品のまさに原点となっている。編集の違いにより、フルバージョン・3分バージョン・ダイジェスト版の3つのバージョンが存在する。後に制作・販売された『ほしのこえ』のDVD版に映像特典として収録された。
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

新海監督が2000年に自主制作した5分程度の短編アニメ

【あらすじ】
とある猫の独白。

【成分表】
笑い☆☆☆☆☆ ゆる☆☆☆☆☆
恋愛★☆☆☆☆ 感動★☆☆☆☆
頭脳★☆☆☆☆ 深い★★★☆☆

【ジャンル】
短編、5分、純文学的

【こういう人におすすめ】
新海監督をもっと知りたいという人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
63.8点。現在あにこれでぷちブーム(?)5分の自主製作アニメとしては異様な高得点と注目度。

【個人的評価】
マイクと声優が近くて耳がぞわっと。まあでもな~んかイイ感じだよね~。

【他なんか書きたかったこと】
※お知らせ※
剣道部さんのレビューの「新海作品との対比ならヲリノコトリさん」という記述からお越しの方は、さらにいいレビューが上がりましたので『雀犬』さんのレビューへの移動をお願いしております。ご不便、ご迷惑をお掛け致しますが皆さんのご協力をよろしくお願いします。
 ……っていうか本格的にぷちブームに(笑)
{netabare}

 ネコっぽいゆるキャラの落書きしたの誰だ。

 と、ひとボケかましておいてですね。あとは真面目に書きますよ。

 これが処女作ではないみたいで、これより少し前、1999年に制作された「遠い世界 OTHER WORLDS」という短編が新海さんの処女作のようです。1分半の作品。まあ暇だったら探してみてください。

 これを見るとやっぱり、この監督はここから「秒速5センチメートル」に向かって進んでいって一つの完成に至り、さらにその先を私に見せてくれるはずだったと思うんですけどね。
 明らかに「言の葉の庭」→「星を追う子ども」→「君の名は」でどんどん道を逸れてますよね……。5センチで完成を見たのに、世間の評価が思ったほど伸びなくて、「どうせお前らハッピーエンドで魔法とかあったほうがいいんだろ!」みたいな感じになってるのかな?(笑)
 まあ「5センチ」以降どんどん名が売れてるからそれが正解なのか。それともこの作品から「君の名は」まですべての作品に脈々と流れる何かを私が感じ取れないだけなのか。


 さて、この作品の内容について。
 有体に、誰憚らず包み隠さず言ってしまえば、5分のはずが30分くらいの長さに感じてかなりダルかったです。ただガラス玉をなめているような何とも言えない涼やかさはあって……、でもそれガラス玉なんで、栄養も味もない感じでした。迂闊に呑み込んだらキケンな感じでした。
 5センチの要素はめちゃくちゃありました。あの玄関に立てかけられた傘のシーンって5センチにもなかったっけ?ちょっと確認する気ないですけど(おいw)。5センチとの圧倒的な違いはやっぱり作画で、この作品を5センチなみの作画にして1時間くらいの作品に掘り下げたら、たぶん私は5センチと同じように好きになったと思います。

 ラストでこのネコが、恋人の結婚と同時に捨てられ、ボロボロになりながらもアパートに戻ってくると、そこには恋人の影も形もない。そして翌朝、息絶えて独り言すら言えなくなったこのネコを、管理人が溜息と一緒に手際よく、燃えるゴミの袋に……みたいなとこまで描いてくれたら、かなり好きになってましたね。


 「彼は純文学を生み出したかったんだ」「そして純文学は現代のストーリーと比べて未熟なんだ」みたいなレビューを見かけて、その通りだなあと思いました。
 私は文学的な考察(聖書を引用してますとかいう知識系、この部分はこれを暗示してますとかいう比喩系)が苦手なので、このネコっぽいなにかが口元のぺちゃくちゃ音とともに語っていた内容の裏に隠された真実とかは全然わかりませんでした。

 ただ、「こいつはこう思ったんだな」と。

 「拾われた日はぼくも彼女も雨に濡れてたよ。……まあそれだけなんだけどさ」とか「ぼくは子供なガールフレンドに偉そうなことを言ったりしたもんさ……まあそれだけなんだけどね」とか「ぼくも彼女も、結局この世界が好きなんだよね……いやまあ、そう思ったって話だよ。うん」とか。
 
 「あの時に感じた"あれ"を誰かに伝えたかった」という非常に原始的で、子供じみていて、自分勝手で自己満足な承認欲求の解決を、意味深なだけの耳触りのいい言葉で塗りたくって、焦らして賺して私たちの前にぶら下げているだけのことなんですよね。

 と、エセ文学的に言えばこんな感じになりますが、私流の言葉で言うと「こういうセンチメンタルな気分のときあるよね!共感して!」みたいなことかなあ、と思いました。ひとつひとつの言葉は別に大した意味を持っていなくて、張り巡らされた思惑とか全然なくて、ただ「なんかこういうこと言われると変な感じしねえ?」みたいな。
 で、結局純文学ってそういうものなのかな、みたいな。

 で、のちの世の深読みする人が、それを得意げに誰かに押し付ける、と。

 だからこそ、「まあでもな~んかイイ感じだよね~」くらいの感想で私は深追いしないことにします。ただ、なんかこういうの見せられるとなんか心の奥が変な感じしますよねぇ。それだけですけどねぇ。
{/netabare}

投稿 : 2025/04/05
♥ : 26
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

隙間を縫って

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
新海監督の自主制作アニメ。

あにこれでプチブームですし、私も流行に乗っかろうかと。

ただ、ぶっちゃけ、書くことないw

私はすでに「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」の方は観ていて、同じようなもんだろうと思って、たくさんの方のレビューを読んでいました。が、実はほぼ違う作品だと知りました。時すでに遅しw 皆さんがそれぞれに素晴らしい視点でレビューを書いているので、もう書くことないです。

最近書かれたキャッチさんのレビューなら、「小説版との対比ならDknさん」の、「新海作品との対比ならヲリノコトリさん」の、「叙情的で詩的なものなら阿紫カービィさん」の、「主観的で人情味溢れるものならにゃんさん、しおさん」の、「純文学的視点でならKarukozakaさん」の、「人間視点から鋭い指摘があるものならブリキ男さん」の、「猫視点からならあおい ほしさん」の、「作画面ならfumiさん」の、「客観的且つ製作上に触れたものならワドルディ隊員さん」の、を、それぞれ読めば、多角的且つほぼ完璧に作品を理解できそうなので、そちらをオススメします!

ほら、書くことない(笑)

だから私は、ちょっとふざけて書きますw


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
高校生の時に、自転車で通学していたのだが、仲間内で流行っていたクソみたいな遊びがあった。それは、歩いている(主に大人の)女性の後ろ姿から、顔が「可愛い」か「可愛くないか」を予測し、抜き際に皆で後ろを振り返り、答え合わせをするという、失礼極まりない遊びだ。

そんな、ガキの、未熟さや身勝手さ、世間知らずさ、調子のってんじゃねーよ感を思い出すアニメだった。

この作品は、「猫が、猫なのか人の比喩なのか」で、かなり味わいが変わると思う。私は人の比喩である方に1票だが、どちらでもとれるように作られている。作中、1度も彼女の顔は描かれない。彼女の恋愛を示す直接的な表現もない(全て間接的)。だからこそ、色々を想像させる。極端に言えば、「全てがクソガキ男子高校生の夢想」の可能性すらある(もしも俺が猫なら~的な。おぇぇ~w)。

というのは、あまりにも突拍子もないが。

ただ、この作品に出てくる「彼女」も「猫」も「子猫」も、実に身勝手だ。みんながそれぞれに一方通行でしか物事を捉えていないようなチグハグさを感じる。

多分、彼(猫)は本当のバカで、彼女はそんなバカだから一時的に寄りかかれるバカで、子猫ちゃんもバカに誤魔化されているバカなんだ。

まあでも、それで良いんだろう。多分、新海さんが表現したいことも、その手の類いだ。

私自身は、芥川や川端が好きだが、奴らなんて人間的にはだいぶヤバイ。クソみたいと言っても良い。純粋と言っても良い。頭は良いけどバカだ。エゴイスティックだ。そして、眩しく愛しい。最近の道徳の教科書みたいな小説とはちと違う。

この作品と、「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」を比べると、この作品が「剥き出しの新海監督」で、後者は「色々大人になった新海監督」なのかもしれない。どちらが好みかは人それぞれだろう。まあ、「世間一般」は後者を好むわけだろうけど。

久々に自分に酔ったような作品を観て、面白かった反面、高校生の時の勘違いスター野郎(根拠もなく自分を無敵だと思っている自分、の意)に久々に再会したようで、こっ恥ずかしかった。

あの時の女性の皆さん、ごめんなさいm(._.)m 自分のニキビ面を鏡で見てから、人にあーだこーだ言えと、過去の自分を叱っておきますから許して下さい。、、、新海さんは今、自分でこの作品を観て、どんな気持ちになるのかな?
{/netabare}

投稿 : 2025/04/05
♥ : 31

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

レビュアーの方々の賛否を分かつ評価に興味を引かれ、元々好きな新海氏の最初期の作品だし、この際、ちょいと見といてやろうってノリで見たら、これは久々に考察が要るなと思って、

長文になりますが、久々に真面目に考えます。



なるほどこれは、アニメらしいアニメでありながら、
アニメらしいアニメではない。
そういうアンビバレンツな世界観の上に意識的に描かれた世界だ。

自虐と自尊の振幅の中で自己撞着に浸る、太宰が道化てみせたら同級生からしらけた目を向けられて「わざと」の意で「ワザ」と徒名して呼ばれるような、そんなザラリとした感触が、一見綺麗な作画と可愛いキャラで偽装されたその底に潜んでいると見えた。


これは、
「私のことに好感をもってくれてもいいけど、
ホントの自分は汚れきっているんです」
とひけらかして、
「それでも世界が美しいと思いますか?」
と意地悪を泣きながら言っている、閉ざされた子供の声だ。

太宰が自らの血を絞るようにしてものした私小説群は、
まさしく反感と嫌悪のための増幅装置として機能していた。

文学の底の深さは、そういう、アニメがまだ追いつけないところに根を下ろしていること。

アニメは意図的にグロとか鬱とかで作劇しないと、
視聴者にとっては共感と快楽のための消費物でしかない。
その限界点を突破しようとする数多の試みはまだ成功したとは言い切れないが、
焦ることはない、というのが個人的な意見。
近代文学が大江という果実を手にするまで120年かかったことを考慮すれば、
表現芸術として意識的になったのがせいぜい30年前のことで、
まだまだ時間はあるのだから。

今回視聴に及んで、
背景に特化した美術家だと思っていた新海氏の、
意外なほどに強い作家性、もしくは、ありていに言ってしまえば
「作家への憧憬」に素手で触れてしまった感覚が面白かった。

彼は、「彼女の猫」に仮託して、自らを語ろうとしている。
もちろん、アニメという表現スタイルをとる以上、
そこまで読む必要はまったくないし、
作り手もそこを表出したい訳ではないし、
そもそもそんな見方自体、私の見当はずれかも知れない。

だが、猫の不自然性を考察していくと、
そこに潜在するのは作家=新海本人であり、
ただ「可愛い」と見られたくもあり、
そうではないところ=自分の別れた女を、
一人称で描くことは叶わないまでも、
なんとかそれに近いかたちで表現したかったのに、
どうしてもできなかった分を、
猫と、その猫の恋に託して描くことで、
物語の多義性を獲得したかったのだろうと考えられる。



つまり視聴してすぐに感じたのが、
これは純文学を志向してあがいた結果の作品なのだということ。
本来的には一人称の世界。

アニメでは、セカイ系というカテゴライズが以前に流行ったが、
今改めて考えなおしてみると、
純文では、福永や大江のごとき巨人を引き合いに出すまでもなく、
そもそもの成立過程から「私小説」という形で
セカイ系と合一の地平に連なる表現思想は現出しているのだ。

多分思春期の終わりごろから純文に毒されて来た当方には、
こういう世界観での解釈が大好物なのではあるが、
昨今のアニメの、多彩で整合性が高く、成熟した表現に馴染んだ方には、
生理的に合わないかも知れない。

ごくごく簡単に端折って言ってしまうと、
太宰ストとか春樹ストには容易に直感的に理解できる世界であり、
逆に純文読みでも、
谷崎や三島のような骨太な作家性に親和する読者には容認できないものだと思われる。



今まで、漠然と新海作品を見てきたが、
この作品を見てよくわかったのが、
この人は、本来、私小説作家なんだということ。
この人の作品では、いつも美術に目を奪われて、
作家性の本質に思い至るチャンスがなかった。

この人の知性の底の、剥き出しのエゴを見ることが出来て、
非常に面白かった。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 30

49.8 5 自主制作アニメランキング5位
へんたい!(Webアニメ)

2014年7月1日
★★★☆☆ 2.7 (26)
118人が棚に入れました
2014/7/14(月)から隔週で1クール全6話配信予定。
ネタバレ

watawata さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6

女子高生の卑猥な日常会話を楽しむ作品である。 (注意、作品内容がアレですので、レビュー内容も最低です。18禁内容も含まれますので、免疫が無い方はご覧にならないで下さい。)

ニコニコ動画にて平成26年7月より隔週で配信されている6分間のwebアニメ・・・全6話。4人の女子高生が毎回1つのテーマについて、わいわいと猥談するお話。

以下、各回のタイトルです。
(一部専門用語がありますので注釈を付けておきますね。)
{netabare}
第1話 すかとろだっていいじゃん‼︎ →スカトロ (糞便・尿・排泄行為関連)
第2話 ていもうだっていいじゃん‼︎ →剃毛 (下腹部の陰毛を剃ること)
第3話 にんしんだっていいじゃん‼︎ → 妊娠
第4話 れんあいだっていいじゃん‼︎ →恋愛
第5話 おこさまだっていいじゃん‼︎ →お子様
第6話 不明
{/netabare}
と、一瞬目を疑いたくなります。これって配信して大丈夫なの?と、
でもwebアニメですので、BPOの管理外になり倫理規定云々は除外され、思いっきり暴れ回っている訳です。ハイ。
まあ、そう言う事であるのならば、見る側も頭を、切り替え割り切って視聴してあげるのが礼儀だと。・・・・・・・・・・・・・多分。
で、1話の内容を抜粋してみました。
{netabare}
前半パート(糞について)

A:チェココルネの穴ってさぁ、ま◯こに見える?ア◯ルに見える?

B:あんた、そのネタは、いろんな意味でアウトだよ。

C:ア◯ルだったらチョコは確実にウ◯コじゃん。

A:本物もこれくらい甘かったらよいのに。

BCD:えっ(絶句)

後半パート(尿について)
前半パートより酷い内容ですので割愛させて貰います。
{/netabare}
自主規制で伏字にしましたが、本編ではストレートにキャラが放送禁止用語をピー音無しで喋っています。えっと、感想ですがコレ女子高生の会話では無くて、おっさんの飲み屋で出来上がった時の下ネタの程度の低いものですよね。エロトークにするにせよ掘り下げが甘いです。実際のおっさんがトークするのであれば、前半パートのラストのヲチは、味にまで言及する筈です。後半パートで味にまで言及していましたからね、バランスは取らないと。
もう一つダメ出しを、キャラクターが電マを持って話しているのですから、チョココルネと大人のオモチャはしっかりと紐をつなげるのが筋っちゅうもんです。
割り切って見た結果、温いわ‼︎の一言につきます。


作画について、一言、果たしてこれを作画していると言って良いレベルなのか?非常に疑問です。一応フルCGアニメなのですが、3Dでは無くキャラクターに奥行きは一切ありません。1キャラクターに用意されている絵は、基本正面と裏のみ、(紙人形と同じです。)表情も目を開けているか閉じているかの2パターン、合計3パターンで無理矢理成立させてあります。確かに一つの絵としては成立はしていますが、プロの仕事としては全く成立していません。低予算である故の手法であると理解は出来無くも無いのですが、いかんせん、作り手側の愛が全く感じられません。

声優について、一言、無名のおそらくは新人さんを起用しています。

支倉あかね(CV:AKIRA)
柚望くるみ(CV:miu)
笹ノ葉みどり(CV:万木くろ)
藍染純(CV:ナルサカ)

見ての通り自己保身の為にバリバリ芸名を使用しています。これから公の場に旅立つにあたり、間違いなく黒歴史となる事を自覚しての対処なのでしょう。
お金が欲しかったのかな?
少しでもメジャーデビューの取っ掛かりとして、すがりついたのかな?
うん、気持ちは解らなくはありませんが、あなたたち、新人とはいえ、プロでしょ?お金もらってますよね?なんなんでしょう、あの棒読みで明らかに手を抜いた適当な演技は?もう少し気合を入れたらどうですか?こんなクソ作品でも一応は出演したからにゃぁ、全力でぶつかってもらわにゃいけません。
芸名で自己保身するのは理解出来ますが、しっかりと今後のことを見据えてプロとしての自覚を持って貰いたい所です。

音楽(オープニング)について、一言、電波な音楽に併せてCVさん達が無気力に歌っています。勿論コーラスもバラバラ、歌詞の内容も以下最低です。

『へんたいだっていいじゃん』
{netabare}
へんたい
へんたい
へんたい
へんたい
誰もがみんな持ってる いけない事するが、もう、ほら特殊な性癖。
可愛い顔したあの子の 家に一人できりでいる時はあられもない姿になるかも。
(中略)→発音が酷くて聞き取れませんでした。

想像しながらシコシコシコシコシコシコするんでしょう。
変態だっていいじゃん、人間だもの、
(中略)→自主規制です。

人間なんてみんな変態なんだもん、我慢せずに腰を突き上げて、
オ◯ニー
{/netabare}
このオープニングで1分半あり本編の4分の1を占めています。レビュー1本仕上げる為に何度も聞き返し見返したのですが、とても虚しくバカバカしくなって来ました。w

総括です。どこを切っても最低レベル、メインのストーリーで放送禁止用語を女子高生に喋らせるのが売りなのだとは思いますが、エロ面でも踏み込みが浅く物足りない。奇を衒っただけのキワモノクソ作品です。お時間のある方も時間の無駄ですから視聴しないで下さい。

でわでわ

投稿 : 2025/04/05
♥ : 16

くまきっちん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

自主制作アニメです

「地上波」「商売作品」「低予算」

この作品で上記のようなワードを使って評価コメントをしている方がいますがとても大きな勘違いです

こちらの作品は自主制作アニメで、原作はニコニコ静止画、放送はニコニコ動画です

「地上波」ではなくwebアニメでニコ動しか放送してないですし、制作会社なんてついてないですから「商売作品」でもないですし低予算かなんて自主制作だから当たり前でしょう

ニコニコ静止画に原作がありますしニコニコ動画でもまだありますので興味のある方はチェックしてみてください

OPを見ていれば原作と制作のほとんどをおこなったにとぱんさんの名前ばかりです

批判するのであればちゃんとした情報を確認してから評価するべきです



で、この作品の評価ですがひどいですw

「へんたい!」とあるように変態です

変ゼミや生徒会役員共をみて楽しめる方なら楽しめると思います

私は一応原作はアニメ化されるずっと前に見たことあったので耐性はありましたので楽しんで?見れました

10分位のアニメが6話です

下ネタというか放送禁止用語連発のぶっ飛んだ自主制作アニメですので興味のある方だけ見たほうがいいでしょう

投稿 : 2025/04/05
♥ : 2
ネタバレ

なまいきっすゼロ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ま・い・り・ま・し・た(≧Д≦)

現状は追記/修正後です。

最近さぁ~変態ものばっかり観てるんだよねぇ^^;
全6話、それぞれ約5分間~11分間。
露骨過ぎるので、オススメはしません。
★評価はあえてしてません。出来ません。
しばらく、好きな短編ものでも、変態系は控えようか迷い中(^^;) 後記は見なくて結構→{netabare}

へんたいだっていいじゃん♪
~OPのタイトル通りだね。←んな訳無いって。

変態ものでも今回は作画的ソフトだった。
ぼかし無しってっていうか、作画無しでいいのかな。

ピー無し、そのままズバリの言葉が出ちゃいます^^;

チョッと引くところが…越えちゃいました(笑)…アホくさくてくだらなくて観れた。

最終話は、深いんだけど…
女子ばかりでの会話なのが、唯一の救いです^^;

どうせ観たのなら" めいきんぐ THE へんたい! "も観よう。
{/netabare}

投稿 : 2025/04/05
♥ : 3

58.9 6 自主制作アニメランキング6位
眼鏡(OVA)

2009年8月20日
★★★★☆ 3.4 (22)
111人が棚に入れました
メガネっ娘を愛してやまない少年 銀縁めぐむ。ある日彼は、好みのタイプ直撃の少女、千里サツキと出会う。果たして彼は、自然な流れでサツキをメガネっ娘にすることが出来るのか!?ハートフルメガネコメディアクション!

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

眼鏡は顔の一部です B+

眼鏡キャラのベストを作ろうとしていてちょっと調べものをしていたら、偶然あにこれのこの作品のページがヒットしたので、物は試しと視聴してみることにしました。

眼鏡萌えの方にとっては「眼鏡なカノジョ」という作品が有名でしょうが、この作品はそれとは違い萌えではなくコミカルを前面に押し出したお話です。

物語は、
眼鏡っ娘オタクの少年が、眼鏡がとても似合いそうな女の子と出会い、何とか眼鏡をかけさせようとします。
しかし、彼女は眼鏡にトラウマを持っており、激しい抵抗にあってしまいます。
手を変え品を変え眼鏡をかけさせようとする少年の願いはかなうのでしょうか・・・
というものです。

物語は20分程度で、ギャグやパロディを交えて、非常にテンポ良く進んでいきます。
少年の異常なまでの執着が滑稽に描かれており、当初見ていて「そこまでやるか?」と思ったのが、そのうち「頑張れ!」という気持ちに変わってくるのが分かりました。
そして物語の最後はしっかりと落ちています。
ああそうきたか!と手を叩いてしまうこと請け合いです。
気軽な気持ちでサクッと見てみればきっと楽しめると思いますよ。

ただ一つ不満なのは、女の子に勧めていた眼鏡が私の好みのタイプではなかったことでしょうか。
学級委員長の娘が付けてそうな眼鏡の方が・・・いやこの話はもうやめておきましょうww

投稿 : 2025/04/05
♥ : 8

color さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

メガネっ娘好きじゃなくても女の子には試しに一回かけてほしいという気持ちはすごくわかる

メガネっ娘のなにがいいって、そりゃフレームごしの上目づかいでしょ。
メガネをかけてないのならかけさせたいし、すでにかけているのなら外したい。
などというフェチ丸出しのアニメではありませんでした。

メガネっ娘を愛する少年が、同じクラスの少女(メガネっ娘ではない)に一目惚れしてしまい、どうにかメガネをかけさせようと奮闘します。少女にボッコボコにされながらも、同じくクラスメイトの女子から高次元のサポートを受け、真っ向勝負の偏愛を貫きます。

突然メガネをかけようとしてくる男なんて、変態以外の何者でもないんですが、それを容赦なく叩きのめす少女のメガネにまつわるエピソードが意外にしっかりしているので、観ている方もメガネをかけさせたいなと思いながら楽しめました。

本作は自主制作のCGアニメです。超短編形式の物語で、全編通しても約20分というコンパクトさ。パロディありホロリありの密度の高い作品が、ちょっとした時間にサクッと観れちゃうのは得した気分になれていいですね。

制作者サイト
http://www.iro-dori.jp/

ニコニコ動画(公式本編)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7986823

投稿 : 2025/04/05
♥ : 14

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

眼鏡がいくつあっても足りないw

眼鏡そのものへのマニアも多いが、こちらは眼鏡っ子オタクの男の子と、
眼鏡に深いトラウマを持った女の子を主人公にした自主制作映画作品。

3Dで描かれるこの作品の舞台はどうやら京都?
眼鏡っ子なら誰でも良いというわけではなさそうなのだが、
一目惚れしてしまった相手にはしつこいほどつきまとい、
必死で自分の思いを遂げようとするその心理以上に、
アレルギーのごとく強烈な拒否をし続ける女の子のキレっぷりが面白いし、
男の子との大げさなバトルがかなり笑える。

個人的には眼鏡っ子より、眼鏡自体のほうに興味があるし、
彼は彼女のことを好きというより、眼鏡をかけさせたい!
って想いのほうが強いようなので、
彼の熱い想いは計り知れないのだが、
確信した想いをこの目で確認したいって気持ちにはすごく共感できた。

果たして、彼女は眼鏡をかける日がくるのだろうか。
答えは観てのお楽しみw

投稿 : 2025/04/05
♥ : 24

57.9 7 自主制作アニメランキング7位
木の葉化石の夏(Webアニメ)

2014年6月15日
★★★★☆ 3.3 (22)
49人が棚に入れました
ある日倫太郎は、父が大切にしていた木の葉化石を割ってしまう。
それを言い出せないまま、後ろめたい気持ちを抱えていつもの河原で化石を掘っていると見知らぬ少年トシに出会った…
「にしきえ一景」「やまのかみさま」などのアニメ作品を制作しアニメーション制作ユニット「ブラウン管」の代表も務める谷田部透湖が贈る夏の匂いが香るショートアニメーション。

ざんば さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

音楽が自主制作レベルじゃないです

本作は武蔵野美術大学の卒業作品として
谷田部透湖さんが制作したもの。

あらすじはある夏に主人公の倫太郎は化石を掘っていると
1人の少年に出会うと言った感じ。

ストーリーはまあ・・・
倫太郎君、悪いことしたら謝ろうね?ということで。

声優は素人のようですが自主制作なので
そこまで気にするものでもないですね。

しかし、作画はかなり綺麗で
田舎というか、山の自然の雰囲気が伝わってきますね。


でも何より私が気に入ったのは音楽です!!
長谷川千晃さんという方らしいですが、
心の底から好奇心が湧いてくるというか
とても惹かれる楽曲ばかりでした。

特にタイトルがでるあたりの曲と
8分あたりの曲が本当に好きですね。
自主制作レベルじゃないと思うほどでした。


アニメとしては面白いとはいえない作品でしたが
作画、そして特に音楽が素晴らしかったですね。
時間も10分ほどなのでよろしければどうぞ~

投稿 : 2025/04/05
♥ : 23

ぺし さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

寝そうになった…

好きな人すいませんm(__)m
自分は見てて寝そうになりました。

話に面白みはそんなに無いし、声優はたぶん素人?さんなので不自然ですし…

じゃあなんでレビュー書くんだよって思ったかもしれませんけど、川の音とか山の描写とか、岩壁の層によって別れた色だとかは、凄く綺麗に描かれていて、そこに凄く惹かれたからなんです。

というか、それがあったから最後まで見ました。
「ぼくのなつやすみ」というゲームがあるのですが、このゲームに凄く雰囲気というか空気感が似ていて、閉じかけた瞼が一気に開きました(゜ロ゜;

話の中身より、景色の描写に注目して欲しい作品です。
田舎って自然って良いよなって思えると思います(^-^)/

投稿 : 2025/04/05
♥ : 14
ネタバレ

なまいきっすゼロ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

田舎は良いよ~自然は良いよ~

約11分間で、夏休みの子供のオイタを描く。
田舎だねぇ~のほほんとした背景だねぇ~
化石は貴重なものだが、形有るものなんとやら~良いンじゃね(^_-)-☆
観てて、感想タイトル通り~ナゴンダ・なごんだ・和んだ♪♪♪  後記は見なくて結構→{netabare}

倫太郎、やらかしたら、直ぐ謝れヽ(`Д´#)ノ
っていうか、トシってお父さんの気持ちの深層ですか?…いい道案内役の仕事しましたね。
古成層?でいいのかな、なぜ親子で一般の川辺で化石発掘しないでそこに行かないのか?
一個くらい木の葉化石が見つかるでしょ。親子の宝物にしようなって展開に、
なりそうで、最後でも行く気無さそうだし、訳分かりません(^^;)

{/netabare}

投稿 : 2025/04/05
♥ : 2

61.0 8 自主制作アニメランキング8位
ペイル・コクーン(OVA)

2006年1月18日
★★★★☆ 3.5 (187)
840人が棚に入れました
アニメーション監督吉浦康裕の個人制作作品。舞台は遙か未来の地球で、世界は姿を大きく変えていた。どこまでも続く廃墟の世界。海や大地はすでになく、風景は廃墟から発掘される記録の中で見られるだけだった。それら記録を発掘・復元し、過去の世界を分析する""記録発掘局""。そこで働く主人公のウラはあるとき奇妙な映像記録を復元するのだった……。個人制作のレベルを超えたクオリティ、SF的な世界観などよく作り込まれている。膨大な記録をブラウジングするインターフェイスなど、見るべきところはストーリー以外にも豊富。また、背景を手書きと3DCGの混合で行うおもしろい手法から生まれた独特のタッチにも吉浦康裕の味が出ている。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「30分SFアニメ」の弱点を逆手に取った秀逸な展開

【レビューNo.16】(初回登録:2023/1/8)
「イヴの時間」のレビューを書く過程で視聴。忘れないうちにレビュー。
本作は吉浦康裕の「商業アニメ」デビュー作となる、30分アニメです。(2005年の作品)

(ストーリー)
・地球は自然環境の破壊により、人類が地上で住める環境ではなくなってしまった。
 そのため地下に居住空間を建設し、そこで暮らしている。
 その閉塞空間の中で物語が展開していく。
・主人公は「記録発掘局」の職員。この世界は「過去の世界」の記録データが断片的に埋没しており、
 それら記録データを発掘・復元し、過去の世界を分析していくのが本局の仕事。
 彼は記録データの復元業務を担当。

(評 価)
・製作者の溢れるSF愛
 この作品を観て最初の率直な感想は、「吉浦康裕って本当にSFが大好きなんだなあ」。
 単にそれっぽい画を描いてあるからってだけでなく、作品全体から受けるSFの空気感が凄い
 っていうか・・・(ある意味SFオタのこだわり的な?)
 「日ごろからこんなことばっか考えてるんだろうなあ」ってのが滲み出てる感じですかね(笑)。

・視聴者側の補完がかなり必要な作品
 次に感じたのは「30分のSFアニメを作る難しさ」です。
 SFなのでまずはその舞台設定から説明する必要があります。それをしながら本筋の物語を展開して
 いく。全然尺が足りません!!だから視聴者側でいろいろ補完してやる必要があります。
 まさに視聴者がこのアニメから情報を汲み取り解析していくという「記録発掘局員」のような作業を
 していく感覚ですね(笑)。

・上述弱点を逆手に取った秀逸なストーリー展開
 逆にいうと、「この謎の閉塞空間は一体何なのか?」から始まり、いろいろ考えながら少しずつ世界
 が広がっていく面白さがあり、物語に引き込まれていく感覚があります。
 以下特大ネタバレw(できれば読まずに視聴することをオススメ)
 {netabare}
  ・本(紙媒体)の存在を知らない世代って・・・
  ・そもそも「記録発掘局」の目的って何なの
  ・そこに生きる人々の絶望感
  それらの積み重ねを経て、ラストで「閉塞感漂うこの世界からの解放」までの展開は本当に秀逸。{/netabare}

上述の通り視聴者にかなり負担を求めてくるので、好き嫌いがはっきり分かれる作品となるでしょう。
それに娯楽性も乏しく地味だし・・・
しかし「30分のSFアニメってどんなものなの?」と興味をそそられた方は、観ておいて損はない
作品だと思います。
あとwikiで紹介されていた
「この作品の制作中に公開された新海誠の『ほしのこえ』の影響を受け、自分が考えていた以上に商業
 ベースにやらないとダメだと思いに至った」
のエピソードが興味深く、のちの「イヴの時間」に繋がったのかと思うと感慨深いものがありますね。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 5
ネタバレ

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

蒼く美しいテラ  【ねこ's満足度:70pts】

今よりずっとずっと遙か遠い未来。
環境破壊により廃れた世界に生きる人類は、深い地中へとその居場所を移していた。
そんな中、過去の記録を発掘・分析している主人公ウラは、復元データのある奇妙な点に気づく……。

『イブの時間』の吉浦康裕監督による自主制作アニメ。
かなり叙情的なので、どちらかというと雰囲気を楽しむタイプの作品のように感じます。
無機質で退廃的な色使いと、モニターからこぼれる光とのコントラストがとても印象的でした。

メッセージ性はとても強く、それでいてわかりやすいテーマなので受け入れやすかったです。
作り手の言いたいこともすごくよくわかるし、実際色々考えさせられもしました。
ただ、ありふれたテーマだけに、できれば作品としての”その先”を観てみたかった気もします。
それでも、そこに至るまでのストーリー展開や演出には惹きつけられるモノがありました。
{netabare}特に終盤プロモーションVの音楽が流れる中、主人公が地上へと辿り着くシーンはお気に入りです。{/netabare}

ちなみにDVDの特典映像には「もう一つの発掘記録」なるものが。
ほとんど文字ばかりの映像ですが、こちらを観てから本編を見直すとまた違う一面が見えてくるかも?



☆おまけレビュー☆
『水のコトバ』
同監督により2003年に発表されたわずか9分の自主制作アニメ。
本作のDVDに特典として収録されていますが、個人的にはこちらの方が好みでした。

舞台はとある喫茶店。
別々に展開する3組の会話が、実は1つの物語として繋がっている……といった内容です。
演出やBGMが醸し出す空気感がとても心地い作品なのですが、見所はやはり”コトバ”遊び。
そしてそれは、1度めよりも2度目、2度目よりも3度目と、観る度にその味わいを深めていきます。

少なくとも3回は繰り返し視聴することをオススメします。きっと観る度に新たな発見があるはず♪



ペイル・コクーン【ねこ's満足度:65pts】
水のコトバ【ねこ's満足度:75pts】

投稿 : 2025/04/05
♥ : 29

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「イヴの時間」の吉浦監督が手がけた切ないミライ

「イヴの時間」でおなじみの吉浦康裕監督、脚本、制作。
2005年に公開された約23分のアニメーション作品。

歴史という名の記憶が、どこかで途絶えた・・
そんな言葉から始まるこの作品。
舞台は今現在よりずっとずっと遥か未来で。

色合いは限りなくモノクロに近い、極力彩度を抑えたセピア調。
エコノミー症候群になりそうな窮屈さを感じさせる仕事場で、
主人公がみつめているのは、2000年の頃の地球上の風景。
周囲の色彩が沈んでいるせいもあり、その風景の色は眩しく、哀しいほどに鮮やか。

記録発掘局 復元課。
これらの画像から復元するのが彼の仕事。
記録の残骸、過去をさかのぼる唯一の手がかり。
そこにあるのは、太陽光がまださえぎられていない頃の記録。

記憶や記録を探りつつ下層へと行く彼の姿や
最下層には海と呼ばれ多くの人間達がしがみついているエリアが
あるということに、海と人間との因果を感じずにはいられない。

変わらないで欲しいと思うから記録を残すのだとしたら、
変わってしまった今、それはあまりにむなしくて。
たとえそれが遥か太古の風景だったとしても、
写し撮った時の、人の想いは真実そのもの。

緑色の世界があったこと。 青い地球があったこと。
それを壊してしまった人間の愚かさを、これ以上見たくない。

そんなむなしさに、復元課の人間がどんどん減ったという事実。
その事実は、今現在の人間である自分からすると嬉しくもあり、
そんな未来がこの先あるとしたら・・なんて考えると
やはり彼らと同じように虚しくて。

後半で流れる歌 『蒼い繭』(あおいたまご)
とても穏やかで素敵なメロディなのだけれど、
蒼い地球を詠ったその歌詞は、とてもせつなかった。
もし、地球が繭になるようなことがあったら、
ぜひいつかまた、再生して欲しいものだ。

余韻の残るラストも、とても考えさせられ、
きっと何度か繰り返し観ると、さらにいろんなことに気づけそうな作品です

投稿 : 2025/04/05
♥ : 48

58.1 9 自主制作アニメランキング9位
MUNTO ムント(OVA)

2004年2月26日
★★★★☆ 3.3 (27)
190人が棚に入れました
『MUNTO』(ムント)とは日本のアニメ制作会社である京都アニメーションが自主制作したOVA作品。
【ストーリー】ユメミとムントがもたらした力(アクト)により、ふたつの世界は救われた。
しかし、神の力を取り戻した天上の王達は、賢者の知恵を否定し、次々と連合を離脱。それぞれの野心赴くまま、因縁ある国へ戦を仕掛け、天上の秩序は失われる。神々の戦は天と地と震わせ、その影響は時空を越えて現代世界へも及ぶ。世界各地で天変地異が頻発し、現代は未曾有の危機に陥った。
すべての未来が逃れようのない死を目前にした時、ムントは再びユメミの前に立った。魔導国へ襲い来る天上の王達。未来を懸け闘いながら、ユメミ召還を急ぐムント。異空の力を得るため、沈下する異下界の引き上げを敢行するグンタール。局外者としての使命を放棄したガスを襲う、呪われた異変。
理解を超えたユメミの行動に困惑しながらも、共に走る事を決意するイチコとスズメ。はたしてユメミは遥かな時空を渡り、ムントの待つ地へ行くことが出来るのか。
異空世界を巻き込んだ巨大な破滅が迫り、世界の未来は少女達に委ねられた。

Smog さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

京アニの黒歴史。オリジナルが心配されるのがよくわかる作品。【酷評注意】

京都アニメーションのオリジナル作品。
OVA2話+アニメ全9話+劇場版。
OVA1作のみのレビューです。

---
酷評となってしまいましたので、ご承知おきいただいた上で先を読んでいただければと思います。
断るまでもありませんが、あくまで個人の感想です。
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不思議な力を持つ少女と、異世界の王が世界を救うというファンタジー。
京アニ大好きだから見ておかねば!と思い視聴を決意した作品です。

一番の見所は、作画でしょうか。
キャラデザ、カメラワーク、レンズ効果、光の加減など、2003年公開の視聴済他作品と比較して、遜色はなかったと思います。
リアルタイムで見られていればまた違った感想を持ったのかもしれませんが、作画の演出には工夫が見られました。
そこに京アニの原点を見た気がします。
ただし、はっきり言って他に楽しめる点は全くありませんでした。

ストーリーについて、終始抽象的な展開です。
本当に登場させる必要があるのかどうかわからない登場人物や、それにまつわるエピソードなど、非現実的すぎてついていくことができませんでした。
ファンタジーとして、いろいろ文言を並べて解説しているセリフが多くありますが、少しも魅力的ではありませんし、納得できません。
「視聴者に投げる」という演出はよく見られる手法ですが、投げるための材料が少なすぎ、また材料が何かもさっぱりわからないような状態ですので、視聴者が考える余地が全くないと感じました。
唯一感じられた感想としては、「某ジブリ作品っぽい演出を取り入れたかったのだろうか」というものでしょうか。
それすらも明確ではありませんでしたので、結局何を伝えたいのかさっぱりわかりませんでした。
55分弱のアニメですが、終始疑問符が浮かんで回収されないままの作品でした。

音楽について、特筆すべき点はありません。
BGMや効果音の演出に違和感はありませんでした。
音楽も某ジブリ作品っぽい演出を狙った印象がありました。

声優さんについて、OVA1作に限って言えば、ほとんど棒読みです。
京アニは新人を起用することで有名だと思いますが、この頃から京アニの新人発掘精神が培われていたのでしょうか。
そうだとしたらすばらしい文化形成としてとても評価できます。
しかし、単に予算の問題だとしたらとてつもなく残念です。

自分は感情移入しやすいタイプだと思いますし、京アニは大好きな制作会社です。
個人的に酷評するくらいならレビューは書かない方がいいと思っていましたが、今や一定の評価を得ている京アニだからこそ、また本作のレビュー数が少ないようでしたので、酷評気味でも書かせていただきました。
酷評したからこそ、OVA2作、TVシリーズ9話もきちんと完走したいと思います。
ただ、良い方向に軌道修正されない限り、レビューは投稿しませんし、更新もしないつもりです。
さりげなく☆評価のみ投稿されていたらお察しいただければと思います。

「京アニオリジナルは大丈夫なの?」と不安視される理由がよくわかりました。
京アニにもこんな歴史があったということを知りたい方のみ見ていただきたい作品です。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 30

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

何時かきっと♪

京都アニメーションスタッフがオリジナル企画を
立ち上げ、製作・販売までのすべてを自社で行う
「京アニプロジェクト」の第1弾として製作された。
2003年3月18日。

好評?2005年に第2作の「MUNTO 時の壁を越えて」発売。
2009年1月にTV版「空を見上げる少女の瞳に映る世界」
放送開始など、或はヒットした可能性もあった様です。

キャラデザは・・何とも微妙・・作はも微妙・・
10年前ならもっと凄くても良さそう・・と思いつつ・・
1作目だしね・・可也立体感のある造形や背景なども
確り描かれて入るようです。
主人公のデザインが失敗なんじゃないかな・・

如何にもRPGゲーム風の世界観のファンタジーな作風。
地上界(現実の世界)ともうひとつの世界である天上界。

世界観は、盲目の巫女リュエリと弟子トーチェにより、
序盤から説明台詞として提示される。

アクト危機・・天上界は崩壊し、地上に降り注ぐ時・・
地上界も又滅んでしまうという・・その危機を防ぐ為、
重要な鍵となる人物を探し、ムントは地上界を目指す。

天上界は危機に対する対応が違うふたつの勢力によって
戦争状態のような抗争や政治的な描写が世界観を補う。

他の人とは違う空が見えてしまう中学生ユメミのもとに、
天上世界の魔導王を名乗るムントという男が現れるが・・
突如ふたつの世界を救えと言われ・・

序盤はなかなか自覚がないユメミと、時空の壁によって
上手く接触できないムントとの展開とは別に、学園での
友達との交流が描かれている。

構成は普通・・演出はそれなり・・やはり・・キャラが
弱いのかなぁ~・・
それでもユメミの仲の良い友達、涼芽と和也のエピソード
から、天上界・地上界での其々の出来事が並行して急展開。

ユメミの心にも変化が現れるのか・・

その前に破滅の時が来てしまうのか・・



至る所に「惜しい」と感じてしまう部分があった。
まぁそうでなければ次の作品は当然できなかった筈だしw

川を渡る二人がとても解りやすくて良かった♪
だって・・現実が直接変わることではないよね・・それは
二人も解ってることだし・・でも何か欲しかったんだよね。
二人だけでも乗り越えられる何かが・・と感じた。

地上界
日高ユメミ 三間はるな
小野以知子 里井佳代子
今村涼芽 佐々木彩乃
高森和也 松井尚吾
日高望     久里きなこ
日高力     浜田真瑞
日高シゲル   平松広和

天上界
ムント     肥後雅一
ガス     島よしのり
イリータ 佐々木彩乃
リュエリ 沢井則江
トーチェ 浜田真瑞
グンタール 川島宏知
ライカ     かわたそのこ
長老     竹房敦司

投稿 : 2025/04/05
♥ : 2

リーク さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

京アニ初のアニメ作品 木上益治監督とその他の京アニスタッフのご冥福をお祈りします

京アニ初のアニメ作品
監督は昨日の火災で亡くなられた木上益治監督
実は僕はこの作品を見たことがない
約2年前アニオタだった僕は京アニが特に大好きでこの作品をいつか観ようと考えていた。ところが時間が流れて気付いたらアニメに飽き始めてきてこのアニメを見る機会が無くなった。
そして7月18日戦後最悪となる大量殺人が京アニ第一スタジオで起きました。その犠牲者の中にこのアニメの監督の木上益治監督がいた。
このニュースを聞いて僕は今でも悲しさと自分が何もできない無力さと犯人に対する憎しみが心の中でいっぱいです。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
また、怪我をされた方々が回復することを祈ります。
犯人は絶対に許しません
最後にこのサイトではアニメの感想を書くためのサイトなのにこのアニメについて何も書いてなくてすみませんでした。
いつかこのアニメを近いうちに観ようと思います。

投稿 : 2025/04/05
♥ : 9
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