変身で女子中学生なおすすめアニメランキング 7

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68.6 1 変身で女子中学生なアニメランキング1位
フリップフラッパーズ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (295)
1169人が棚に入れました
あなたには、世界はどう見えているんだろう―――。

扉をひらくカギを手にしたふたりのヒロイン、パピカとココナ。

少女と少女は出会い、そして別の時間、異なる空間「ピュアイリュージョン」での冒険が始まる。

願いを叶えてくれるという謎の結晶体"ミミの欠片"を求め、ピュアイリュージョンを巡るふたりの前に 様々な困難が立ちふさがる。

ふたりに危機が迫ったとき“ミミの欠片”が輝き、そして彼女たちは変身するのだった。

声優・キャラクター
M・A・O、高橋未奈美、大橋彩香、津田健次郎、福島潤、日笠陽子、興津和幸、村瀬迪与、大西沙織、久保田民絵、井上沙香、歳納愛梨
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「ざ!クリエイター天国」物語の破綻は気にしないで、とにかく最後まで視聴してみて

監督:押山清高
ストーリーコンセプト:綾奈ゆにこ(代表作[シリーズ構成]【ろこどる】、きんいろモザイク))
第1話脚本:綾奈ゆにこ
アニメ制作:Studio 3Hz
主要キャスト
パピカcvM・A・O
ココナcv 高橋未奈美

アキバ総研の記事から引用

これは、「天体のメソッド」「Dimension W」を手がけたStudio 3Hzによる新作オリジナルアニメ。監督は押山清高さん、キャラクターデザイン・総作画監督は小島崇史さん、コンセプトアートはtanuさん、プロデュースはインフィニットが担当。変身する2人のヒロインを描いたSF冒険活劇で、変身シーンやアクションが見どころだという。
ーーーーーーーーーーーー

だそうです。

正直ノーマークでしたので、オリジナルなんだ〜へー・・と思いつつ第1話を視聴。
「ピュアイリュージョン」という世界観は面白いですね。

【第11話】メモ「ネガティブアーキタイプは自我を支配する」
{netabare}脚本:ハヤシナオキ
絵コンテ:押山清高・五味伸介
演出:篠原啓輔
作画監督:鶴窪久子、長谷川早紀、小島崇史、杉薗朗子、田中志穂
(1)意識下に抑圧されている自律的な意識
人間の無意識は(顕在)意識が認識するより早く感知し(顕在)意識よりも先に重要な決定をしている。
『Science and Technology(無意識からの回答)』(2009 Science and Technology)
上記は無意識が何らか干渉(物理的、内観的)を受けると意識へ影響を与えることを示した実験結果である。
つまり、イロドリ先輩はPI(無意識)をパピカ達に干渉された結果、記憶(意識)が改変され行動が変化した科学的根拠となる。
また、ソルトの父はミミとパピカナにPI(無意識)を干渉され発狂している。
今回のミミはソルト父により自分のPI(無意識)に飛ばされ、人格分裂(解離)として意識に異変を来たす。
ミミがりんごに手をかけてPIが開く描写で、
「りんご」→「禁断の木の実(旧約聖書)」
の隠喩であろう。

人格分裂(多重人格)は様々な学説があるが、PIは無意識空間であるため、ユング説の論文抜粋を下記(2)に提示する。

(2)ミミの人格分裂からユングの元型論(アーキタイプ)における元型の二面性を考察
2―1 元型の二面性
元型にはいろいろなものが考えられる。
この元型は,意識に与える影響から考えると,ポジテイブな面とネガテイブな面を持つ。
例えば,元型太母(great mother)は,包含機能を中心に恐 母としての死の働きと,善母としての生の働きの二面性を持つ。
ユング心理学の見地から見れば, 無意識は地球全体に匹敵するほどの大自然であり,一方意識は,陸地に発展した一つの都市にす ぎないのである。
・・元型には二面性が見られるが,自我にとっては元型のネガテイブな力の大きさに脅威を感じざるを得ない。

2―3 意識―個人的無意識―普遍的無意識の関係
人間の出生,発達を考えると,出生時は全く意識はなく無意識だけが全てである。
ノイマンはこの状態をウロボロスとよんだ。
やがて無意識から意識が生まれる。
意識はその中心に自我 を発達させる。
自我は社会に対して開かれた存在として自己主張し,経験を通して自己拡大をはかる。
この時,自我に都合の悪いものが無意識に抑圧される。
これが個人的無意識である。
従って個人的無意識は意識に最も近い存在と考えることができる。
一方,普遍的無意識は意識を生み出した母体である。
従って起源的には普遍的無意識の方が個人的無意識より古いことになる。
図示すると

無意識(普遍的)→意識→無意識(個人的)

人の生活は自我を中心になされる。
自我にあわないものが無意識に抑圧されることは前に記したとおりである。
この日常生活上の経過をもとに考えると,意識→無意識(個人的→普遍的)と推移するようにみえるが,起源的には上記図示のとおりである。
無意識内のダイナミックな変化を考えるとき,この無意識の発生起源は重要な手がかりとなる。
加藤實『意識と無意識の関係 個人的無意識の肯定的側面について 』岐阜聖徳学園大学教育学部 2003

参考『ユングが述べる普遍的無意識(集合的無意識)』の意味

大地が草木や動物を育むさまを、母親の豊かさと厳しさに重ねる潜在的な感覚。
渦巻きや暗く深い場所を死と関連づけ恐れる潜在的な感覚。
森の暗さや深さを未知の怪物と捉える潜在的な感覚。
月や太陽に神性を思う潜在的な感覚。
動物、または人間が火と赤い布を同一視して怖がる感覚。
人間は上記のような内面の感覚を、直感的に神や悪魔として恐れ敬っている。
人間は神話や民俗学の知識がなくても、直感的に神話や伝承に通じるイメージを抱いている。
人間は日常生活でも、深い部分で前述のような感覚に影響を受けているのではないか。
だとすると、人間は目に見えない、考え方や連想のパターンに支配されているとも言える。

河合隼雄『ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 』(岩波現代文庫) 2009

「2―1 元型の二面性 」では元型のポジテイブな面とネガテイブな面の二つの性質が説明されているが、正常なミミ(ポジテイブ)と闇落ちしたミミ(ネガテイブ)の関係に当たる。
自我(意識)はネガテイブな元型により支配を受けやすい性質を持つ。
ミミは自分で自分のPIを干渉したために普遍的無意識(集合的無意識と同じ)が作用して人格の分裂が生じ、ネガテイブ元型が意識を支配し起きた現象としてシナリオが組まれたと推測できる。
なお、個人的無意識(PI)が干渉されたとしても、必ずしも意識が侵食されるとは限らないようだ。
その基準は不明。
普遍的無意識、個人的無意識、意識の関係は「2―3 意識―個人的無意識―普遍的無意識の関係」の通り。
なお、本レビューでは
普遍的無意識→集合的無意識
個人的無意識→無意識
元型→アーキタイプ
として記述をしているが、同じ意味である。

次に、PIの二重性だが、ココナとパピカは集合的無意識内の冒険をしているが、エピソードの殆どは誰かの個人的無意識だろう。
現在分かっているもの。
6話:イロドリ先輩
7話:ココナ(メモで説明済み)
8話:ヒダカ(メモで説明済み)
9話:ヤヤカ(下記の(5)参照)
11話:ミミ、ソルトの父(ミミは下記、ソルトの父は一目瞭然で説明不要)
※10話はPIの設定無し。
6話の止め石のようにPIには個人的無意識の入口が無数に存在している。
要するにPI空間とは集合的無意識と個人的無意識からなっており、ミミの欠片は個人的無意識に存在する。
個人的無意識の入口を本作では鳥居に似た門でも描写をしており、6話と11話に登場する。

ココナはミミの欠片がある個人的無意識へ100%の確率で誘導されているが、ミミの欠片はココナの母親ミミの一部であるが故にだろう。

ミミのPI(無意識)はクローバーで満ち溢れていた。
アスクレピオスに対しての攻撃もクローバーが使われた。
クローバーの花言葉「復讐」は、ココナを取り上げた、アスクレピオスに対する隠喩だったのかもしれない。

(3)パピカの足環、成長と退行、記憶喪失の謎
7話でパピカの外せない足環が登場したが、これは研究所で装着された逃亡防止装着だった。
11話ではパピカナは大人になり、おっぱいも膨らみも豊かになっているが、パピカのときは少女に退行をしている。
記憶が喪失した謎も明かされてはいない。
体位退行現象については、御都合設定かもしれないが、現時点では不明である。
11話回想で、ミミがココナを抱いて消えようとした時にパピカナはミミを追い、PIに迷い込みそこで記憶を失い、体位に何らかの変化が生じたのかもしれない。
パピカについては、なお、謎が多過ぎる。

(4)アスクレピオスの正体
もう殆どの方は知っているだろうが、ここのメンバーはミミが居た研究施設の連中で、トップは発狂したソルトの父。
ソルトの父がミミの破片を集めるのは世界征服のため。

(5)9話のPIはヤヤカの無意識
割れた鏡に映るヤヤカとココナの楽しい思い出、ベゴニアの花壇の前で笑う幼い頃のヤヤカとココナ、ペゴニアの花言葉は「片想い」「愛の告白」「親切」「幸福な日々」。
ヤヤカはココナと急激に親しくなったパピカにジェラシーを抱いていることから、ココナに対し片想い、パピカ登場までのココナとの幸福な日々、ココナへの親切。
状況証拠だけど間違いないだろう。
無意識が干渉された後にヤヤカの心境変化が生じる。
11話ではソルトに頼まれとはいえ、嫌っているパピカの背中を押し、ココナ救出へと舵を切るまでに心変わりをしている。

(6)最大の謎。
ミミがココナを連れてPIに消えた後、何故ミミは欠片となり、ココナは通常世界に戻ったのか。
ソルトがミミに銃口を向けた意味と関係がありそうだ。

(7)追記予定{/netabare}


【第1話】メモ
{netabare} 2人の主人公、電波キャラのパピカと優等生キャラのココナがそこヘ願いを叶えてくれる「ミミの破片」を集めに行くんですけど、魔物が出てきて、そう簡単には取得できない設定で彼女等に危険が迫ると新ウルトラマンのように勝手に「変身」しますけど変身シーンもあれいつ変身したの?とても番宣がいうような見所はありませんでした。
作画で特に背景は正直Dimension Wを制作したスタジオとは思えないほどチャチ!?
異世界をやるなら背景は特に大切だと思いますけど、さすがにベタ塗り(仕上げのブラシむらもしっかり残して・・)はないでしょう(呆)
キャラデザは「12歳」に似ていてうーんあまり惹かれませんね・・
「12歳」は原作がそういう絵柄なので仕方がありませんけど、この作品はオリのキャラデザだから微妙です。
ぶーちゃん?というヘンテコなロボットもしますけど、ネタか何かでしょうか。

OPとEDは良いだけに、なぜあのクオリティを本パートで出せないのか・・設定やストーリーは斬新で面白いのですけど作画があまりに残念過ぎて、せっかくの見せ場も迫力半減です。
なんだか、低予算だなぁと感じる作品でした。{/netabare}

【第2話】メモ
{netabare}相変わらずよくわからない展開。
電波アニメなのか否かはまだ判断できない。
とにかく不思議な世界観。健常者では想像できない、薬物から生じる幻覚か統失患者に見えているような世界観というか形容するのが難しい。
2話のピュアイリュージョン空間は犬カレー空間よりも更に不可思議さの手が込んでいて侮れないと率直に思った。
今回、分かったことは作画は単純に手抜きとはいえないこと。
あらためてクレジットを読んだら原画が超一流スタッフでこれもびっくり。
いわば、あえて「画風」でやっていると考えるべきなのかな。
しかし、キャラデザへの抵抗感はどうしても拭えない。
背景担当の「スタジオPABLO」は画力で定評があるし、1話の遠近感外しベタ背景も演出だったか。
どっちにしろ並の感覚や想像力では2話のピュアイリュージョン空間は描けない。ここまで行くと一種の芸術だ。{/netabare}
考えるよりも先に雰囲気を感じることを要求される作品かもだが、内容が面白くなければ、ただの雰囲気アニメになりかねないが、今後の展開しだいで超ダークホースの可能性すらある。

【第3話】メモ
え!なんだ、この超展開・・?
いろいろなものがミックスオマージュされているのは気のせいか。
{netabare}ココナとパピカは変身で色が逆転するんだ。{/netabare}
で、二原にアクタスがクレジットされているけどそんな余裕あるのか、おいおい。
動画はP.A.、ライデン、ディオメディアとか元請けクラスのスタジオが下請け参加しているんだ。
クレジット凝視して動画チェックの佐藤さん、この方動画の大家だけど見落としていた。
道理でよく動くはず・・ユーリはクイックモーションが多くてよく動いて見えるけど、1話通しての中割の枚数はフリフラの方がずっと多いだろうね。
脚本の綾奈ゆにこさんがOPでクレジットされないのは、絵コンテに合わせて脚本書いてるとか普通とは逆の順序でやっているからかな。
物語構成はよくわからんし、そもそも構成なんてしているのだろうか。
もう、アニメーターがやりたい放題やっているイメージで、題名まんまのドタバタ展開。
EDはグリム童話っぽくて曲も合わせクセになるぐらいに幻想的だ。
個人的にはZAQのOPよりも中毒性がある。
展開の意味不具合なら、グラスリップを超えた。

【第5話】メモ
久しぶりに凄いモノを観た。
こりゃ本物!神回と言ってもいいし、今までで一番理解しやすい回でもある。
{netabare}古い校舎、無限ループ、いつの間にか迫ってくる「ごきげんよう」三つ編み女学生達の不気味さからホラーとしても格別だ。
異常空間に様々な舞台装置をセットし、完璧なカタルシス感の描写している。
ココナが向きを変えた人形・・時間リセットで元に戻る不気味な暗示。
時計台の崩壊でピュアイリュージョンの終わりのメタファー、静かに目を閉じる人形・・驚愕の演出だ。
合宿の成果で呪文で変身も可能になったな。
ヤヤカがパピカを邪険に扱ったことで、百合三角も明確にしてきた。
時計台内の異様な空間描写、様々なオマージュだと分かっていても、何もかもが出来過ぎているだけではなく尺に上手くまとめている。
2話あたりから従来の杓子では測れない異様な作品だと感づいたが、回を追うごとに作り込みに磨きがかかってきている。{/netabare}
おいおい・・大変な作品を作ったもんだ・・

【作品考察】長いのでたたみます。

{netabare}(1)作品タイトルについて
各話のタイトルはおそらくサウンドエレクトロニクスに関すること。

第1話 ピュア-インプット
第2話 ピュア-コンバータ
第3話 ピュア-XLR(XLRコネクター)
第4話 ピュア-イコライゼーション
第5話 ピュア-エコー
第6話 ピュア-プレイ
第7話 ピュア-コンポーネント
第8話 ピュア-ブレーカー
第9話 ピュア-ミュート
第10話 ピュア-ジッター
第11話 ピュア・ストレージ

ここから推理すると作品タイトル『フラップフラッパーズ』の由来は、サウンドアンプや調整機器に用いられるツイン構造のデジタル回路「flip-flop(回路)」と擬音の「flip-flap」を捩ったものではないかな?
flip-flopはパピカとココナ二人を象徴し、flip-flapはピュアイルージョンを旅する二人の様子の直喩とか、考えすぎかな?

(2)EDの作画
魔女、お菓子の家、かまど、そしてパピカ(服装が男の子)ココナ(服装が女の子)
これは『ヘンゼルとグレーテル』そのもだけどね。

(3)物語構成と演出
上記EDの意味を踏まえながら、物語の基軸はおそらく寓話であろうことは3話辺りから感じていたが、まとまりがなく支離滅裂な各話の展開の考察はこの回まで確信が持てなかった。
私は本作の第一印象で「統○失調症患者か薬物中○患者の脳内世界観でも表現したのだろうか?」と不謹慎にも思ったが、この直感は間違いではなかった。

さて、ほとんどの方々は「電波」や「お花畑」と聞くとスラングと思うだろう。
アニメでは『電波女と青春男』や『電波的な彼女』、『電波教師』などの作品における「電波」は基○外的な様相を比喩しているが、この三作のキャラも脚本構成も電波とは言えないし、真の意味も違う。

真の意味とは、某巨大掲示板に今でも存在するこの「板」の趣旨である

【健常者が異常者の「フリ」をして書き込みそれを楽しむ】

こと。

あくまで「真性」の「フリ」をすることが重要な勘所だ。
電波板、最近は過疎化が激しくて一時期ほどの勢いはないが、予備知識なく覗いた方は板の異様さに驚いたことがあるかもしれない。

人は誰でも複数の人格を有しているが、普段の顔である「ケ」では社会性の強い自我で過ごすが、「ケ」だけではストレスが溜まるのも人間の性で、所謂「ハレとケ」の場の使い分けで我々は精神のバランスを保っている。

「ハレ」では、酒を呑んで誰彼構わず無礼講ヨロシクでくだを巻いたり、ダンスやサイクリングなどの運動、またはゲームやアニメで自己陶酔したりと「ハレ」モードの自我を出すことは「ケ」の自我をリフレッシュさせることでもある。
当然、「ハレ」の自我でのみでは社会生活は営めない。

電波板とはこの「ハレ」に切り替え、別人格の自分で遊ぶ板と換言してもいいだろう。
ただし、電波板に不向きな方が無理に電波を出したりお花を咲かせると、乖離性障害という副作用も生じる可能性もあるので程々にした方が良い。

職業的に別人格の出し入れが上手い(感情移入と演技)が役者(声優も)、作家、芸術家だと思うが、彼等の能力を引き出して物語を作るのが監督や脚本家の役割であるから、制作スタッフに電波な心得があっても不思議なことではない。

ストーリーコンセプトを担当した脚本家の綾奈さんや、監督の押山氏に電波板遊びの心得があるのか否かは不明だけど、私が知っている限り暗喩、直喩をふんだんに散りばめた演出技法や、一見無秩序でデタラメな構成だけど最後は纏まる(であろうと仮定)のであれば、かつて(15年程度前かな)電波板に結構書き込まれていた電波小説の構成と酷似している。

しかし、電波脚本で作品制作となると話しは別だ。
まず、視聴者にどうやって理解させるのかが最大のネックだろう。
電波脚本で大失敗をした『グラスリップ』を想像するとイメージ出来ると思うが、多くの方々に理解不能とされたあの作品が電波アニメの代表作。
逆に、電波板に馴染める感性があれば理解は可能な作品でもあるが、それは一種の特殊能力の要求だ。(電波ソングに魅力を感じるのであれば脈ありだ。)

さて、本作のクリエイティブが卓越しているのは、固定観念では理解不能な電波な世界観を斬新(極めて実験的だが)な演出で視聴者の感性にダイレクトにインプットしていることだ。
『グラスリップ』はドラマの定石どおり左脳で咀嚼させて右脳を反応させる演出構成だが、本作は先に右脳を反応させて左脳にインプットする逆方式の情報流入を目指している。
したがって、言語の含蓄性や設定の論理的な説明など左脳を反応させる脚本や演出は抑制的である。(現在放送中のまほいくとは正反対の演出姿勢)

上記演出手法は万人受けという面では極めてリスキーではあるが、一度感覚が取り込まれると麻薬のような中毒性を発揮する。
回を増すごとに人気が増していることこそが、右脳→左脳にフローさせる演出の効果であろう。

(4)PIと集合的無意識
未編集。

(5)演出技法としてのゲシュタルト崩壊
「(3)物語構成と演出」を再整理する。

(6)ココナのペット「ユクスキュル」と生物記号論
環世界という概念を提唱した生物学者にヤーコプ・F・ユクスキュル(ドイツ)がいるが、ココナのペットはこの学者の名前である事に相違なさそうだ。
そもそも生物学は門外漢でこの世界観は理解しかねるが。
ユクスキュル理論は現代では「生物記号論」に継承されているが、この学問はたいへんマイナーで国内では論文がほとんどない…このために海外文献を読むのもなんだかな…

しかし、ズバリ名前を出しているところをみると、本作の設定に生物記号論が関わっているのは間違いなさそうだ。
この学問、一言で言えば生物学から唯物性を取り除き「記号」に着眼するという事になるが、還元主義に偏重し唯物解釈で生命の謎を解明しようとしている現代科学に対しての批判とも言える。

事実としては、「記号論」のように科学的事象の意味解釈は哲学の分野とも重複する点において、論理学の範疇かよくてフリンジかな。
まぁ確かに、騙し絵や寓話や音響関係の直喩なり「記号」が頻繁に登場する。
本作の「記号」はどういう意味付けか、還世界にこだわらず記号論から突っ込むこともできるかな?検討してみよう。

(7)ED曲の歌詞
『こっそりそっちを覗いたら、そっちもこっちを覗いてた、瞳の奥落ちていく、ここはどこかな』
この部分の出自はニーチェの146節かな。
心理学が確立されるまでは人の心に関する分野は哲学で取り扱っていたが、PI、そしてココナとパピカの関係で、ニーチェの一節がどう関与しているのかを考えるのも面白い。

「(怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。)おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。 」{/netabare}

【第6話】メモ
{netabare}考察の前置きが長くなったが、本作は極めて特殊な構成なので、理解不能な局面も多々ある事から、最低2回は視聴してからレビューを書いているが、今回も多くの暗喩で物語が構成されている。
唐突に美術部先輩「いろは」回であるが、構成のことは「電波小説」で述べている通り。

美術部先輩から「彩いろは」として登場したのは今回が初めてだ。
結論から先に書くと、マニュキュアをする資格がないと言っていた「いろは」だが、最後はマニュキュアをして登場しているが、ここが今回最大のメタファーである。
さて、一体何があったのだろうか。
アバンで脳味噌に電極?みたいなものを刺して弄っている場面から暗喩が開始されているのか。
パピカはなぜマニュキュアの匂いを嫌うのか。
お馴染みとなったピュアイリュージョン、今回も突然移動だがいつもと様子が違う。
「ホール」の発生だ。

鳥居に似た入り口だが「ヤヤカ」の慌てぶりからすると、これはピュアイリュージョンとは違う別の次元の世界の入り口ではないのか。
物語上では相変わらず詳しい説明はないが「ホール」の正体は「いろは」の記憶領域であるようだ。
ピュアイリュージョンの正体とはある種の精神世界(無意識下)なのかもしれない。
それにしても、魔女結界を描いた犬カレー空間に勝るとも劣らないピュアイリュージョンの空間設計には毎度感服させられる。

「ホール」に入り込んだ「いろは」の過去のエピソードをパピカとココナの二人が「いろちゃん」となり、なぞっていく。

「いろちゃん」のココナは父母の不仲が嫌で「おばあちゃん」の家に入り浸り「おばあちゃん」と楽しい思い出を作り、生まれて初めてマニュキュアをおばあちゃんに塗ってもらう。
しかし「おばあちゃん」は認知症を発症しており、最後には「いろちゃん」のことも忘れてしまう。
忘れられた「いろちゃん」はショックで病室を飛び出すが、ここでエンドが「彩いろは」のエピソードで「いろは」はこのおばあちゃんに対するトラウマでマニュキュアをすることが出来なかった。

専らココナが「いろちゃん」としてこのエピソードに関わったようだが、パピカと入れ替わる意味は何か。
ココナが「いろちゃん」のときパピカは意識的存在(内面)となっているみたいだし、逆パターンも同じだろう。
「いろちゃん」に具現化しているときはカラー描写で、意識だけのときはモノトーン描写で使い分ける暗喩は良い演出だ。
また、パピカ単独の「いろちゃん」は3カットだけだがどういう意味があるのかは不明。
そのうちの1カットはマニュキュアを塗って叱られているシーン。
これはマニュキュアのトラウマに対する暗喩描写だが、なぜパピカとするのかこの意図も不明。

あくまで推論の域は出ないが、二人は何らかの血縁関係であるか、または、電波の説明でも触れたが、人の人格とは一つではないことを考えると、ココナから見たパピカ、パピカから見たココナは相互に自己の別人格の投影なのかもしれない。
ここから、シンクロ二シティ(非因果律的共時性モデル)を用いた考察も面白そうだが、オカルト的な香りを全面に押し出すには、SFファンタジーな作品イメージとの乖離も感じる。

もう少しオーソドックスに考えてみると、哲学では物象化という考え方がある。
第三者から見ても二人称の存在であるパピカの存在自体が壮大な暗喩設定とすると、考えられなくもない想定だ。
しかし、これも物理的にはスッキリしないから、まだまだ考察の余地がある。

それに、パピカの過去や生い立ち、家族構成など素性らしきことがはほとんど明かされておらず(まさか土管から生まれた訳ではあるまい)ココナの祖母が物語の重大な鍵を握っているような気もするが、現段階では考察材料が足りないので、この二人の関係の考察はもう少し材料が揃ってからにしよう。

物語の続きだが、ショックでココナの「いろちゃん」が「意識のいろちゃん」パピカに泣きつくと、突然記憶の崩壊を暗喩するような現象が生じ、いろはの記憶(ホール)の外に出る。
ここで、ココナは「おばあちゃん」との約束「忘れたときはいろはが教えてね。」という約束を思い出す。

その刹那、「おばあちゃん」が具現化してモノトーン描写の二人は手を繋ぐとカラー描写、初めて二人の「いろちゃん」が登場するが、二人で「おばあちゃん」に「いろちゃん」と名前を教えて「おばあちゃん」との約束を果たす。

自分達の世界に戻った二人はホールでの記憶を共有していた。
ただ、二人一緒の出現の意味は分からないが、一方(ココナ)がいろはのトラウマ役でもう一方(パピカ)がいろはの希望役だったのであろうか。

パピカ達の行動の結果、最後にマニュキュアをして登場することで「いろは」の伏線は回収されているが、二人の役割が上記の通りだとすると、この暗喩は無意識下に封印された希望が叶い記憶が改変されたと考えるべきが妥当なのかな。

結局、アバンでのヒダカの電極はピュアイリュージョンとは無意識下をリーマン幾何学のように世界観を擬似イメージで模したものか、更に無意識下を物理的に操作し得る可能性を示唆しているのだろうか?
ホールが生じたのはヒダカの怪しげな実験の結果か、謎は残されたままだ。

今回の物語は社会的にも対策が急がれている「認知症」という重い課題に取り組んでいる。
記憶を喪失することで身内や周囲が受けるショックの重みは想像以上だろう。

今回ココナは、ショックと悲しみを伝える大役を見事に演じたと思う。
第6話は社会的になメッセージを込めたシリーズ各話に中でも異色の内容でもあり、身近な親族に「認知症」の現実を抱える私にとっては観賞後、本当に切ない気持ちになった。

(11月13日追記)
精神世界の入口が鳥居に似ていると記述したが、入口が開く前にパピカが触れたのは神社や仏閣で見かける「止石」だろう。
「止石」には「結界」の意味があるが、パピカは結界を解いてしまったのか。
道理で鳥居が出て来る訳だ。
この作品、何気ないところに伏線が隠されているから3回ぐらい観ないと見落とすな・・w

ここで本作のコンセプトが70%ほど見えた気がする。
タイトルのイメージに間違いがないなら、既存アニメの常識をひっくり返す大変な神アニメであり、ベストクリエイティブとはまさに本作に与えられるべき称号だろう。


EDの『FLIP FLAP FLIP FLAP』の配信が開始されて早速DLしたが、フルバージョンはより神秘的で心が酔ってしまいそうだ。{/netabare}

【第7話】メモ
{netabare}スタッフ
脚本・絵コンテ:押山清高
演出:江副仁美
作画監督:りぱ

今回は押山監督が脚本も担当。
コンテも担当だから押山回と言ってもいいかな。
綾奈ゆにこさんのTweetによると、本作のストーリーコンセプトとはシリーズ構成とほぼ同じ意味だね。
通常どの作品でも複数のシナリオライターが関与するし、既にクールの半分は消化していることから、構成が終わっているのならライター変更でも物語の大勢に影響はないだろうし、情報が濃縮されているOPの作画もできなかっただろう。

今回で明確になったことはPI(ピュアイルージョン)は物理的な異世界などではないということだ。

さて、今回は本作では初めてとなる続き回。
内容が濃すぎるので、3回は視聴する必要がありそうだ。
前話で記憶改変をしてから先輩の様子が変だぞ。
先輩が絵を描いていたのは、おばあちゃんに対するトラウマが原因だったのだな。
そのトラウマが消滅した以上、絵から興味が失せたということか。
しかし、この様子を見たココナのショックは想像以上だった。

ヒダカにくってかかりPIの謎を問い質す。
そのとき、二人のやり取りを遮るようにソルトが語る。
「PIも全て世界は滑らかに存在している。しかし、実際にはそうではない。摩擦のないユートピアなど存在しない。摩擦は世界の真理だ。」

結論から述べるが、ココナが落ちた世界は自分自身の無意識。

そして、ヒダカの示唆とソルトの解説、さらに分身パピカでPIの正体は集合的無意識ではなかろうか。

さて、サブタイトル「ユングの世界観」の考察に移る。
以下ではユング心理学を中心に考察をするが、ユング心理学の心得がなければ読むだけで混乱するので予め注意をしておく。
逆にこれ以上の考察はユングへの知見がないと困難かもしれないが、ユングを正確に理解するにはサンスクリット哲学への造詣も必要なのでハードルはかなり高く、バラエティ番組ではユングの表層を浚った如く紹介をされることもあるが、実際のユング心理学はそんな甘ちょろいものではない。

ここで註釈を加えるが、ユング心理学のうち分析心理学は個人の無意識までしか扱わない。
ここまでは医学応用されているので科学だが、集合的無意識は「超心理学」に属する分野である。
「超心理学」に関して我が国では科学としては認めていないだけで、国によってはプロト科学に分類しているケースもあり、また学会も存在する以上一概にオカルト扱いともできない分野である。
つまり、本稿では科学(分析心理学)と科学ではない分野(超心理学)にまたがる考察となる。

ユング心理学では、個人の無意識は人類共通の無意識の集合体(集合的無意識)と繋がっていると仮定している。
そして、集合的無意識は個人の無意識に干渉して人格が形成されるとしている。
また、集合的無意識にも幾つかの階層があることも示唆している。
集合的無意識の詳細はユングの著書を読んでいただきたいが、PIが集合的無意識と仮定をすると、6話のように個人の無意識への干渉も可能となる。

次にアーキタイプから考察する。
ユング心理学を会得している者なら、個人の無意識にはアーキタイプが存在することは承知のことと思う。

PIがユングの世界観であると確信できる点は今回のパピカの役割である。
集合的無意識が個人の無意識に干渉して生じるのがアーキタイプであるが、6話におけるココナとパピカの関係考察を踏まえ、今回のパピカはココナのアーキタイプを演じたと考えればこの推定は可能だ。

また、集合的無意識を経由すれば自己俯瞰(メタ認知)も可能であることから、ココナが見たパピカは全て自己投影(内観手続き)であったとも言える。

人格とはアーキタイプに支配され、ペルソナを被せて表層意識(個性)が形成される。
稀にペルソナの調子が悪くなると、アーキタイプが剥き出しとなった異常心理や精神疾患を伴うが、この点を無意識(深層心理)から解いていく内観手続き(自分自身の内面との対話)が分析心理学でもあり、また、内観を用いた精神疾患の治療として箱庭療法が有名である。
余談だが、無意識と(表層)意識の不一致がもたらすペルソナ系疾患として性同一性障害が有名である。(ただし、精神疾患ではない。)

なお、ユングはマンダラに描かれた世界こそが人間の精神構造を模していると考え、仏教の如来や菩薩が持つ哲学的な意味からアーキタイプ仮説に至っている。

本作では、優しい妹、やんちゃな男の子、ヤンキー、イケメン、もこっちなど様々なパピカ(計8役)の姿が描かれているが、これは全てココナのアーキタイプを表現したと思われる。
したがって、自身のアーキタイプと対話をしているココナが居た今回のPIは、ココナの無意識世界となるだろう。

それにしてもEDクレジットが凄まじことになっているが、演じ分けたMAOさんにはただただ感服した。

本作は数多にあるアニメの中でも特に難解に属する設定だが、ユング心理学については公開講座も開設されており、一通り学び理解をすれば、ユングの世界観で物語を創作することは容易くはないだろうが、けっして不可能でもないだろう。

次にゲシュタルト崩壊に移る。
ゲシュタルト崩壊とは主に認知心理学で用いられ用語だが、全体の形が分解されパーツとして再認識される様を言う。
ジグソーパズルを崩すとピースしか認識できなくなる現象を想像すればよい。

ここで何を述べたいかと言うと、本作の物語はゲシュタルト崩壊から元の形へと復元する方向で構成が組まれているということ。
6話までの考察で「本作の構成と電波小説との類似性」を記述しているが、電波な現象はゲシュタルト崩壊に含まれる。
この考え方は非フロイト学派から発展した経緯があり、後にフロイトを否定したユングにも大きな影響を与えている。

物語の基軸となるPIが集合的無意識であるならば、この物語の構成はゲシュタルト崩壊を意識していると再定義する方が整合がとれるだろう。

ゆえに、各話の表層を浚うだけでは本作の設定は到底理解に至らないだろうし、また、理解するには高いハードルを備えるロジックの存在も浮き彫りとなった。

ユング心理学を用いて以下の会話を分析してみる。

パピナ(小悪魔パピカ)とココナの会話(設定を観測するにあたりこの会話の全てが最も重要だ。)
コ「ここは楽しいけど、でも、帰らなきゃ。」
→知人の精神科医曰く、内観手続き(内面対話)は実際、やっている本人は楽しいとのことだ。
パ「残念、つまんないの…」(パピカ消滅)
→ココナ=パピカのこのPIではどちらもココナの本音となる。
コ「パピカ探さなきゃ。」
→自分探しを意味する直喩。

パ「迷子のココナ発見」
コ「何言ってるの迷子だったのは・・(暗喩)」
→ココナが内観手続きを表層意識で認識した瞬間の暗喩と思われる。

それでもなお解決していない設定の存在かつ、今後、最終回までに明らかになる事実もあることから、以上が7話時点の本作設定の仮説としておく。

なお、理解をしなくても楽しめる所以は、前回考察したように、本作は右脳の刺激を先に行う演出であることから無意識レベルを刺激しているからかもしれない。

7話のネタバレだが、ココナが居た世界は郡山市。
6話の先輩の精神世界(無意識)PIもだが、デフォ世界はメルヘンチックなのに精神世界はなぜか極めて現実的に描写されている。
7話に至ってはモブすら存在していない。

パピノ(妹パピカ)が言った「さすけねえ」について。
goo辞書から引用
>さすけね (福島の方言)
>大丈夫。気にしなくてよい。

ま、考察抜きにすれば、二人の入浴シーンもあり別の楽しみ方もできよう。

ココナのPIからまた別のPI?に来た二人、短いがEDにかかるまでの間の描写はこの物語の核心に触れる意味深いものだろう「ミミ」、そしてクレジットされていないキャラ達・・そこからOPが表す意味か。
トトとユユの正体、ヤヤカの立場も含めて僅か2分ほどで詰め込み過ぎだ。{/netabare}
7話はあまりに濃かったので結局5回も観た罠w
あー疲れた。。。。。

【第8話】メモ
{netabare}
脚本:ハヤシナオキ
絵コンテ・演出:榎戸駿
作画監督:榎戸駿 小島崇史 りぱ 鶴窪久子 田中志

今回の核心はCパート。

その前に、
「お茶でも入れますか?Dr.ヒダカ」
今話も可愛いいオペ子ちゃん!登場回数は限られるけどすっかりオペ子に入れ込んでしまったw
プールの中でブーちゃんがスク水JCを堪能しているのにはワロタ。

おちゃらけはさておき、これは今回のPIトラベルの伏線なのだが、Aパートの最初とBパートの最後でヒダカの機械修理シーンがある。
今回のPIトラベルはこの区間で発生していることと、オペ子の「ガラクタはこの部屋」発言最後に破壊されてがらくたになるPIを直喩しており、それはヒダカの無意識のようだ。

PIでココナが連想した環世界を描いた先輩の絵は何を暗喩しているのか。
鳥はユクスキュルが変身した姿とでも言いたいのかな。

まぁヒダカのような科学オタがロボ好きとしても違和感がないし、Bパート最後のブーちゃんの修理はPIの出来事に対する暗喩だとも思う。
オッチャンはヒダカのアーキタイプと解釈してもいいか。

それと、脳型の星はブーちゃんの脳なのか?パピカ達に破壊されて、現実世界に戻ったブーちゃんは壊れていたとかのオチかな。


アバンからヤヤカのジェラシーが全開だが、欠片を放棄したときユユの「報告するから」には戦慄が走ったな・・ヤヤカは居場所がなくなるのではないか?
ロボシーンではヤヤカの心境変化とパピカとココナと一時的にせよ仲間になった、この辺りがキーポイントかな。

アバンのパピカの足環にも注目。何故取れなくなったのか?この足環とCパートの展開に何か因果関係があるのか。
しかし、今話ではこの謎の解明には至らない。

さて、Cパートを引っ張ってすみません。
これは濃いねー!いやー濃すぎる。。
パピカが持っている欠片とココナが共鳴したぞー、パピカの様子がおかしい・・
パピカが認識齟齬を起こしたのか、ココナ自体がミミに意識転換されたのか。
パピカはココナのアーキタイプの具現化と考えると、集合的無意識がココナに作用したと考える方が自然かな。

毎度思うが、最後の最後のひき方に余韻を含ませる、高等テクニックな演出ばかりだ。
しかし今回のパピカの一言は今までの中で最も重いだろう。

物語は重大な局面を迎えてきた。

この作品、下手したら1カット1カットに伏線が仕組まれていて油断も隙もあったものではない。

蛇足になるが、ロボバトルは特撮スーパー戦隊をアニメ化したものだが、元ネタはフッラッシュキングか懐かしいな。
おじさん達へのサービス回とも言えるが、実際70、80年代のロボアニメを観ているような気分になったし、劇中曲もいいが、この一話の為に作曲したのならなんて贅沢な作品なんだろう。

同じインフィニットプロデュースのロボアニメ『クロムクロ』や『レガリア』に爪の垢を煎じて飲ましてやりたいほど素晴らしい出来だった。
やはり、爆発シーンの2Dは外連味があっていいね。

しかし、冒険活劇の一話が、本格的ロボアニメを凌駕してしまうのも笑える現象だが、アニメーターが楽しんで作り込んでいるのが伝わって来る。

(余談)
ストーリーコンセプト(構成)担当の綾奈ゆにこさんによると、8話はゾンビでPIも違う人物の設定だったらしい。
視聴側としては内部事情に関係なく、あくまで出来上がった作品で評価するまで。{/netabare}

【第10話】メモ「環世界が意味する虚像のパラドックス」(記号と認識)
{netabare}今回でココナの平和な日常が崩壊したのだけれど、ココナの日常そのものが虚像だったということ。
これが「環世界」が暗喩する意味だろう。
タイトルの解説となるが、《【作品考察】(6)参照》「環世界」とは生物目線が認知する場合、どのように意味づけられるのかということだが、例えば猫と私が同じ物体を見ていても捉え方が変わる。
つまり「認知」の結果としての「認識」は猫と私で変化する。
猫が鼠を見れば「捕食」するものと考えて行動するが、私が鼠を見たら「駆除」するべきものとして行動するだろう。
この場合「鼠」が「記号」となり「記号」は観察生物ごとに意味づけが変化する。
「環世界」を簡単に説明をすればこういうことだ。

上記を踏まえ、ココナが見ている現実と、パピカが見ている現実は非対称であるということを暗喩している。
これ、科学では「観察者効果」(量子論)に相当するから置き換えて考えることも可能。
『とある科学の超電磁砲』で「観察者効果」を踏まえ佐天さんが「自分だけの現実」と呟いたが、ロジック手順や目的は違えど「環世界」と同じ意味になる。
おそらくパピカはココナの現実を知っていたから、ココナの問いに答えられなかったのだろう。

パピカはパピカナと二つの人格を有しているが、パピカもパピカナも深層心理(無意識)はミミで共通しており、パピカの時はココナで認識し、パピカナの時はミミで認識する。
7話のココナのPI回ではパピカがココナの無意識内でのパピカ8変化。
イロドリ先輩の方へ目が行っていて、ココナの件が演出で巧みに逸らされたが、ココナの無意識はミミとの共通フィールドであり、パピカ8変化はココナが認識しているパピカの他にパピカナの存在を「表象」した一種の隠喩表現であろう。
ココナの無意識がミミとの共通フィールドであるのは、ココナがミミの母であるならば、それは胎児のときから無意識層に記憶が刻まれるからだ。
これは私達も同様だが、無意識に蓄積された記憶データが顕在意識に呼び込まれ記憶と認識されるのが心理のメカニズムである。
一般に無意識内の記憶の殆どは自律的に認識出来ないと言われている。
しかし、顕在意識では認識出来なくても夢で認識する事は多々ある。
ココナの夢にミミが出現するのは、無意識層の記憶を夢で認識している事に他ならない。
無意識と夢の関係は、PTSDの症状フラッシュバックのメカニズムを調べるといいだろう。

つまり、共通フィールドとはココナとミミの記憶の共有領域である。その中にパピカが入り込みパピカナもパピカも同じ意識体だとココナに伝えているのが、7話の意味であろうし、8変化はパピカから見た場合、ココナ=ミミである事をアレゴリーしたとも解釈出来る。

7話Cパートでのソルト登場がココナの無意識の二重性を象徴している。
よって、ココナには認識が出来ないミミもココナもパピカ(パピカナ)にとっては「記号」であり、それこそが「環世界」観念での観察効果とも言えよう。

10話でココナが見ていた「環世界」が崩壊し11話から新しいココナの「環世界」が始まるのであろうが、その世界がハッピーなのかアンハッピーなのかまでは推測出来ない。
しかし7話でパピカがココナにプレゼントし、10話でもパピカナがミミにプレゼントしたこのクローバーの花冠、同じ描写をしたことは、その花言葉がメタファーだと推測するが、その花言葉には「幸福」の他「復讐」という不吉な意味もあることから必ずしもハッピーエンドで終わるとも限らない。

本日放送の11話先行カットではココナがミミの人格になるような事が記載されているが…
もう一つの切り口で、EDの『ヘンゼルとグレーテル』が本作の基軸であると仮定してみる。魔女のメタファーは何を意味する?

ヤヤカの件も記述したいが、長文になるので11話のメモにでも。

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要点列挙。
・アモルファスを集めるとPIを支配できる。
・PIの正体は集合的無意識だろう。
・ミミはココナの母だった。
・パピカはパピカナの時、ミミのパートナーだった。
・7話のパピカ同様、パピカナはミミにクローバーの花冠をプレゼント。
(クローバーの花言葉は「幸福」「約束」だが、「復讐」の意味もあり、バッドエンドの可能性も捨て切れない。)
・ソルトの父はPIの研究者。
・ココナの父はおそらくソルトだろう。(過去にも暗喩あり。)
・パピカはソルトの少年時代からの知人。
・パピカは全く成長していないが、此処にも秘密があるだろう。
・ココナの足にアモルファスが埋め込まれている。
・パピカはココナと共鳴しないとPIには行けない。
・ココナのアモルファス探知能力は百発百中。
・ココナの祖母はアスクレピオスの監視員でロボット。
・ココナは幼少期のどこかで記憶を操作されていた。
・ヤヤカもアスクレピオスの監視員。
・ユユとトトとココナは血縁関係(クローン含めて)の可能性。
・ニュニュの秘密は11話。ミミを含めて相当詰め込んでくるな。
・トトとユユはアモルファスの力を先天的に宿す。
・ココナが見ている世間は記号(環世界の暗喩)
・(記憶が戻った)パピカはミミとココナを混同したのかも知れない。{/netabare}

初稿(本作品はリアタイ視聴です。)
2016/12/17

校正
2021/3/9

投稿 : 2024/11/09
♥ : 41
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

パピカが連れていってくれるピュア・イリュージョンの世界

セル画時代を思わせる水彩画風の淡い色使いの背景と、よく動くキャラが一際目を引くアニメです。

将来の事、進路に悩む中学二年生のココナの前に、どこからとも無く唐突に、空飛ぶサーフボードに乗って、元気いっぱい、好奇心いっぱいのパピカが現れました。

パピカに誘われ、ピュア・イリュージョンなる異世界で繰り広げられる摩訶不思議な冒険活劇。

ピュア・イリュージョンという世界はその名の通りの幻想世界? あるいは未来世界? それとも夢? ‥不思議そのもの。一面の雪景色とそこに埋もれた見覚えのある文明の遺物、雪が甘かったり(笑)異形の生物が生息していたり、パピカとココナはそこで遊んだり、危険に巻き込まれたり、様々な冒険を繰り広げます。

キャラデザ以外の要素に重なる部分を見出せるのか、雰囲気は何となく映画版ドラえもん。今の所、戦いとか探し物(ココナ?)とか特別な目的がないので、ピュア・イリュージョンは元いた世界の煩わしさから解き放たれて自由に振舞ってもいいという開放感とか、隠れた不気味さとか、そんな空気に満たされている印象があります。

1話
{netabare}
やってきた異世界に戸惑いながらも甘い雪を食べたり、雪だるまを作ったり、割と楽しんでいるココナの姿は鬱屈した日常から解放された子供の行動そのもの。

まだ第一話ですが、色々なものが描かれました。"候補者"なるものを探す人たち、土管でワープ(笑)パピカに"ぶーちゃん"と呼ばれる脳を内蔵したロボット、ピュアイリュージョンという異世界、そこに住む巨大生物、そこで見つけた青く光る石、ココナの変身、そしてロボット兵士。
{/netabare}
2話
{netabare}
今回はパピカとココナがウサギに変身? 心も姿に準じた様で何かをかじりたい衝動にかられていた様子(笑)ピュアイリュージョンでは心のありようでいかようにも世界が変化するという印象。1話では雪景色の確固とした世界が描かれていましたが、今回の2話ではどちらかというと不定形の世界が描かれていた様に感じました。

1話でも登場した謎の組織"フリップフラップ"や青く光る石"ミミの欠片"の正体も徐々に明かされる兆しが見えてきました。謎多き物語というのはやはり楽しいものです。

パピカとココナが仲良くしているのをあまり面白くなく感じている様子のヤヤカ、今後物語にどの様に係わってくるのでしょうか?
{/netabare}
3話
{netabare}
世紀末救世主伝説+DBZなピュアイリュージョン(長いので以下PI)。指先一つでスパーキングなオーバーアクション。ケンシロウVSジャギなのか? 悟空VSフリーザなのか? 他にも魔法少女に変身とかやりたい放題。色々とやらかしてくれちゃうアニメです。

ヤヤカと双子という意外な面々が、意外な組み合わせでPIに登場したり、フリップフラップと対立する組織の一端が描かれたり、物語にも動きがありました。PIでは何でもあり、根底にはシリアスなドラマがある様な印象を残すアニメです。

次回はどんなPIが描かれるのだろう。妙に期待してしまう‥。
{/netabare}
4話
{netabare}
今回の冒険の舞台はピュアイリュージョンの世界では無いけれど、同じくらい不思議な世界が描かれている様に感じました。

パピカの土管ハウスとか、キーウィがいたり、自生しているトマトがあったり、巨大ぜんまいがあったりする森とか‥。キーウィや巨大ぜんまいはまだしも、良く知られているはずの野菜であるトマトについてココナが無知である点に、このアニメで描かれている世界を読み解く鍵がある様に思われました。

‥もしかしてフラクタル構造だったりして‥。

パピカの「むふ~」とか面白かわいい‥(笑)
{/netabare}
5話
{netabare}
今回のPIは寮制の女学校が舞台。三つ編み制服女子とか、深夜のお茶会とか、折り目正しくも怪しい雰囲気は「人類は衰退しました」を思い出します。ストーリーコンセプトに綾奈ゆにこさんが参加しているのでその所為かも知れません‥。

パピカとココナの、宝物を掲げて"フリップフラッピング"の掛け声で変身するという設定は、魔法のアイテムとかで変身するのとは少しだけ違って、PIが仮想現実である事を考えると、一種の自己暗示と捉える事が出来ます。

変身バンクの背景から「変身」の二文字が消えていたのは好印象でした。何となく悪ノリが過ぎる気がしていたので‥。

物語の進捗はとてもゆっくりで、2話以降横ばいの印象。今回も人間関係の変化や大きな事件などは見られないお話でした。

次回「ピュアプレイ」では美術部の先輩がお話に関わってくる模様。動きのある展開に期待したいです。
{/netabare}
6話
{netabare}
幾層にも重なる世界を描いているのか、全ての存在がデータ化された世界が描かれているのか? 謎の深まるお話でした。

こういう不明瞭な世界を見ると洋画「マトリックス」とか、攻殻機動隊の派生作品で、よりヴァーチャルな世界観に踏み込んだ「RD潜脳調査室」とかを思い出します。

先々週のトマトのエピソードから気になっていましたが、主人公であるパピカとココナと言う存在もまた、確固とした存在ではないのでは?と言う印象を受けました。

イロやいろは先輩という存在の正体も否応無く気になってくる第6話でした。物語のターニングポイントとも言える回と言えると思います。次回以降はおばあちゃんのお話もあったりして‥?

一見すると荒唐無稽、摩訶不思議ながら、謎の核心に迫る展開に惹きつけられるアニメです。
{/netabare}
7話
{netabare}
ヒダカの言っていたイデアワールドと言う言葉、またPIが現実と地続きの世界であるという言葉を鵜呑みにするなら、PIはパラレルワールドの様な別世界ではなく、全て単一の世界である可能性が濃厚になりました。万華鏡の様に見る角度によって姿を変容させる、わたしたちのいる現実に近いものなのかも知れません。

そう考えるとパピカとココナがイロという一人の人間の中にある二つの人格あるいは二つの性格面であり、一方から見てもう一方が迷子という見方にも納得出来そうです。今回は様々な姿のパピカが描かれましたが、パピカもまた、自らの持つ視点からココナの百面相(笑)を見てきたのかも‥。終幕後のスタッフロールのM・A・Oさん無双には笑かされました。声優さんってほんとにスゴイ!

公式サイトでミミの欠片という言葉を目にしていたので、ミミとは何なのか気になってはいましたが、今回のお話ではその正体の一端が垣間見える場面もありました。

先週から回答編とも取れる後半に入り、ますます目が離せなくなりました。次回が待ち遠しいです。
{/netabare}
8話
{netabare}
今回はロボバトル回。

熱血、友情、魂のスーパーロボットバトルが繰り広げられます。‥スーパーロボットというよりはむしろスーパー戦隊の合体ロボ‥。この手のロボは大人の都合上、バージョンアップすると、どんどんフォルムが鈍重になってきてダサくなってしまうという痛い欠点があります。今回のお話ではそれを極端なまでに表現していました。究極の姿は巨大ダンボール形態(笑)敵はエヴァン○リオン? 色々と笑かされました。

終幕前、唐突にパピカの口から出たミミという言葉、全編に渡って描かれたヤヤカの心の揺らぎなど、物語の流れに影響を与える要素はそれほど多くありませんでしたが、着実に核心に迫っている気はします。

自らの創造した街を守る使命感に燃える天才科学者?オッチャンさんも良いキャラでした。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
9話
{netabare}
PIでまたしても遭遇したパピカ&ココナとヤヤカ&双子。ココナと双子が天井の高い和洋折衷の趣のだだっぴろい部屋、脱出不能の奇妙な空間に閉じ込められてしまいます。

敵味方がピンチに際して休戦するという展開は古典的ながら、情報交換があったり、歩み寄りがあったりして面白い筈なのですが、ココナと双子の会話が少な過ぎるので不毛な印象‥。双子の名前が男の子の方がトト、女の子の方がユユ、二人には願いが無いという事だけ辛うじて分かったのみ。

後半は回想シーンも交えてヤヤカのココナへの思いの強さが見て取れました。でもヤヤカ、ココナを助け出そうとするパピカへの背中キックは良くないぞ‥。葛藤しながらも二人で協力して助け出す展開の方が自然だったと思いますし、このシーン、演出として不要だった様な‥。パピカ痛そうだったし‥(汗

中休みシーンでヤヤカの食べてた携帯食料がうんまい棒みたいだったのにはちょっと笑かされました‥(ちくわ状になってなかったけど)まどマギとか「がっこうぐらし!」とかでも食べてた人がいたけど人気あるのかな‥わたしも結構好きです(笑)

PIそのもののとミミについての謎は置き去りのままですが、何話も前から仄めかされていた双子のいる組織とヤヤカの離反が決定的になった回でもありました。

次回にも期待したいと思います。
{/netabare}
10話
{netabare}
双子が言葉でココナを疑心暗鬼にさせるシーンは前回にもありましたが、こういうのは見ていて気持ちのよくないものですね‥。あれこれと不信感が積み重なったココナは、拒絶される前に拒絶するという冷静さを失った行動の末、とうとう独りぼっちになってしまいました。さらに追い討ちを掛ける様にある人の正体も明かされます。悲痛な展開でした。

終幕近く廃墟に佇むココナの口?から発せられた「これからはお母さんが守ってあげるからね」というミミの言葉については、そのままの意味で捉えるよりも、ココナそのものがミミの欠片の一つという解釈の方がしっくりする気がします。割れたガラスに映ったココナの像がミミであったことも考え合わせると分断されたミミの欠片(アモルファス=データの一部?)がココナに成長したという解釈も出来そうです。

今回はパロディやおふざけもなく物語は目まぐるしく展開しました。緩急があるのは良いけれど、アクション偏重の回には辟易気味だったので、極めて充実した回という印象でした。

来週も楽しみです。
{/netabare}
11話
{netabare}
ココナに宿ったミミの力によってアスクレピオス(三角帽の組織)はほぼ壊滅。

ミミの暴走を止めようと決死の覚悟で挑むソルト博士の声も届かない。

PIが現実を侵食する? ココナの望んだかたちに世界が書き換えられていく様な描写がありました。

パピカみたいに大好きな人に大っ嫌いって言われても、好きで居続ける事は多分かんたんですが、追っかけて行っちゃったら現実ではうざったがられるだろうし、異性間だったら多分ストーカーさんって言われちゃいますね(汗)

アニメではこの様な選択を度々美化し、むしろすべき事の様に映しますが、それは私たち視聴者が両者の関係を俯瞰出来る立場にいて、その選択の結果をある程度予測出来るからなのだと思います。こういうのは予定調和という言葉で揶揄される事もありますが、やはり興を削ぎ、どうせ~になるんでしょ‥と諦めにも似た心持になってしまいます。そうなる方が良いのは決まりきった事なんですが‥。

ココナの正体やパピカの子供化の謎など、まだまだ不明な所がありますので最後まで気を抜かずに視聴していきたいと思います。
{/netabare}
12話
{netabare}
いつの間にか子離れ出来ない母親と、親離れ出来ない子供の話になってしまっていました。壮大な世界観を提示した割にはテーマがかなりこじんまりしてしまっていてちょっと残念に思いました。

そして最終話1話前にしてとうとうヤヤカも変身。でも何故か変身コスチュームは露出過多。フリップフラッパーズではありがちな傾向ですが、趣味を前面に押し出し過ぎると物語がコメディ寄りに傾いてしまうので自制して欲しい気もします。こういうの喜ぶ男って意外と少数かも知れませんし‥。

次回の最終話でPI、アモルファスなどについて、果たして全ての謎が明らかにされるのか、ちょっとだけ不安はありますが、最後まで期待して視聴して行きたいと思います。

出来れば今回の様にバトルとかガッツとかで何となく解決してしまうという様な安直な展開にはならないで欲しいですね(汗)
{/netabare}
13話
{netabare}
前回から一抹の不安はありましたが、PIにもアモルファスにもパピカの子供化にも明確な説明が与えられる事は無く、残念ながら情報不足‥。SFとしては最後まで不明な点がいくつも残ってしまいました。

それに今回の最終話でも妙な演出が‥これまでの描写だとパピカもココナもヤヤカも自分の気持ちと素直に向き合う事で"フリップフラッピング"出来る様になっていたはずですが、何故にお母さんまで? 理屈が良く分からずいつもの悪ノリとしか受け取れず興醒めしてしまいました。そして最後は大好きパワー(笑)による力技で大勝利。‥なんてこった。


ピュアイリュージョンについて、物語の折り返し点の6話では、パピカとココナがイロという少女の持つ二つの相(人格)として描かれていて、イロの両親の描写はミミとソルト博士とは異なったものでした。同じ回でいろは先輩がおばあさんとして描かれていた事も踏まえると、今回のココナの台詞「前はね、お姉さんだったの‥その前はおばあさんで、その前は赤ちゃん」にはかろうじてPIの正体の一端が含まれていた様にも思えます。

異なる世界で異なる役を演じるそれぞれの人物の魂(の様なもの)の表層(一面)があり、そこから自ら(ココナ)の望むイメージを見出すという世界観が浮かび上がってきました。

これはもうSFというよりはファンタジーや寓話の類で、私はメーテルリンクの「青い鳥」を思い出しました。魔法の帽子に付いているダイヤの徽章をちょこっと回転させると、腰の曲がった魔法使いのおばあさんが美しい王女様に見えたり、火だのパンだの、様々なものに宿る精を見る事が出来たり、もっと回すと過去や未来の風景まで見えたり‥。

ココナの抱える未来への不安や他者に対する疑心暗鬼、その様な目に見えないものに対する恐れが、パピカやヤヤカの友情、自身の成長によって晴れていく。そんな物語でした。
{/netabare}

OPの「Serendipity」を担当されたのはZAQさん。「紅殻のパンドラ」他色々なアニメに楽曲を提供している引っ張りだこの人。EDテーマ「FLIP FLAP FLIP FLAP」は伊藤真澄さんの作曲によるもの。「人類は衰退しました」のEDのちょっと不安気なふわふわとした雰囲気の曲を綴られた方です。絵本みたいに美しい絵と元気に動くディフォルメキャラが同時に描かれるEDムービーは必見の面白さかも‥。

劇中音楽とEDの編曲及び歌の担当は※TO-MAS。日常世界では沈んだ感じのピアノソロ、ピュアイリュージョンやパピカが登場するシーンでは賑やかでワクワク感全開の楽曲が光ります。

脚本は綾奈ゆにこさん。「人類は衰退しました」とか「電波女と青春男」の製作にも参加されている方です。

思い切りのいいアクションとか、柔らかな背景描写は初期のスタジオジブリの作品を髣髴させます。邪推かも知れないけれど、王蟲とかメーヴェとか飛行石っぽいのとか「メガネ、メガネ」(笑)とかやっぱりパロディ? 否、オマージュとして受け止めましょう。

フリップフラッパーズのレビューらしく、どちらも真なりの二通りの"最後まで観終えて"で締め括りたいと思います。

最後まで観終えて その1
{netabare}
夢の中の夢、その夢の中の夢、以前本レビュー内でPIはフラクタル構造の様なものでは?と言及させて頂きましたが、フリップフラッパーズの世界観はそれにちょっと近い印象でした。

ただ、面倒な説明を避けてひとたび"PIでは何でも有り"を押し通してしまうと積み上げてきた謎の価値が暴落してしまいます。ファンタジーにせよSFにせよ、ミステリーにせよバトルにせよ、一定の決め事があってこそ魅力が生まれるわけで、そういった枷を一旦外してしまうと答えの無いなぞなぞ同様、または裏ワザ使ったゲームみたいに、推理の楽しみも得心の喜びも気の抜けたものになってしまうのではないでしょうか?

ココナとパピカ、ヤヤカの友情物語にしても、優しさや思いやり、寂しさなどは伝わってきたものの"好き"を呪文の様に繰り返すだけで"なぜ"が足りない印象でした。

中盤で登場し、最終回ちらっとだけ顔見せがあった"いろは先輩"についても掘り下げが足りず終幕の下りに‥(汗)マニキュアを塗るいろは先輩と塗らないいろは先輩、怖いお母さんと優しいお母さん、どこにも行きたくないココナと冒険したいココナ、いずれも真なれど、それ故に"何を描いてもOK"となってしまいます。

思い返してみると色々とやりたい放題な事をしていただけで、中身はあまり無く「天元突破グレンラガン」みたいに感傷に訴える、勢いで見せるタイプのアニメだったのかも‥。でも※ドラッグムービーとしては振り切りが足りず、楽しさの性質の多くがパロディの域に留まってしまっていた点は残念です。変身"フリップフラッピング"についても最後まであざとい印象を拭い去る事が出来ませんでした(汗)

楽しい場面はあれこれ有りましたが、一貫性とテーマが希薄で、伏線の回収も大雑把、今ひとつ感動には至れない煮え切らなさがあるアニメでした。

※:トリップムービーとも。麻薬などによる幻覚状態を視覚化した映像とされる。ブリキ男は怪しいクスリを使った事は無いのであくまでも想像の話。
{/netabare}
最後まで観終えて その2
{netabare}
世界はただそこに存在し、見る角度によって如何様にも変化する。"失敗するからやりたくない"を"成功を信じてやってみる"にする事も出来るし、周りの人間はみんな悪人と思う事も出来れば、逆に善人と思う事も出来ます。同じ様に、つまらないと思えるものを素晴らしいと思う事だって出来てしまいます。

疑いや恐れは健康な人間の至って当たり前の感情ですが、少しばかりの勇気と素直さ、そしてちょっとしたきっかけで振り払える。ココナはPIでの様々な冒険を通してそんな事を学んだのでは無いでしょうか?

不満な点が多く残るアニメでしたが、前半の謎の提示の仕方は素晴らしく、6話の展開では釘付けになり、最終話までは毎回わくわくしながら視聴していました。

今期観たアニメの中では最も実験的でインパクトのあるアニメだったと思います。
{/netabare}

※:EDの「TO-MAS feat.Chima」という記述が気になって調べました。

TO-MAS feat.=TO-MAS SOUNDSIGHT FLUORESCENT FORESTは伊藤真澄さん、ミトさん、松井洋平さんからなる音楽ユニット名。ただ"TO-MAS"と略記されている事もある様です。Chimaさんは北海道札幌で活動するシンガーソングライターとの事。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 37
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

世界には魅力が詰まっている! ~不確定な未来(世界)への冒険~

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
雰囲気系アニメとしては、かなり高いクオリティ。作り手の遊び心というか、自由度を感じる。ストーリーは一応流れているものの、基本は1話完結なので、(終盤以外は)どこを切り取っても面白い。私は考察しちゃったけど、「考えるな、感じるんだ!」で、翻弄されるように楽しんだ方が、良いかもしれませんね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
これぞアニメーション、っていう作品。

風景は昔のアニメのようで好印象。絵が綺麗、というのとも一味違って、なんか魅力的。現実ではありえない世界観と合わせて、正に「アニメでしか観られない」物語だと思います(同時期の「オカルティックナイン」が「言葉で魅せるSF」なら、「フリップフラッパーズ」は「映像で魅せるSF」といった感じでした)。

何気に好きだったシーンが、第1話でココナがパピカと出会うシーン(路面電車のところ)。踏み切りで待つココナは、ふと空を見上げます。そこに、不思議なボードに乗った少女が空を飛んで現れるのですが、それに気付いたのはココナだけでした。なぜなら、他の生徒はみな、スマホをいじっていたから(背景となっているモブの生かし方が絶妙)。

私事ですが、今の職場からの帰り道、必ずとある高校前のバス停を通ります。時間的にちょうど高校生達がスクールバスを待っています。バス停の前には20人近くの高校生が立っているのですが、皆一様に視線を落とし、スマホをパチパチ。あれは凄く、もの凄く異様な光景です。

すぐ隣にいても、隣には誰もいない集団。普通、隣の人と世間話のひとつでもしませんか? 同じ部活の奴とか、クラスは違うけど同中でそん時しか会えない奴とか、いないの? 懐古主義のおじさんの戯言かもしれないけれど、彼ら彼女らは、何か大切なものを見落としていると思います。

例えば、パピカとの素敵な出会い、とかね(笑)

本作では、ココナとパピカが現実と空想の境目のような不思議な世界(ピュアイリュージョン)を冒険して回ります。まるで、サン=テグジュペリの「星の王子さま」のような世界観(もしくは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」)。「星の王子さま」の有名な一節に、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」「いちばんたいせつなことは、目に見えない」「子どもたちだけが、なにをさがしているのか、わかってるんだね」 などというものがありますが、同じようなメッセージを、この「フリップフラッパーズ」からも感じました。

この作品を貫くテーマは、「不確定な未来(世界)への冒険」だと思います。それを、百合と神作画に乗せて、雰囲気アニメとして表現したのが、「フリップフラッパーズ」という解釈です。

最終回では、母親の比護下から飛び出すココナが描かれていました。例えばお祭りなんか、子供の頃は家族と一緒に行っていましたが、中学生くらいになると、友達だったり付き合っている相手と一緒出掛けるわけで。親としては寂しいし不安だけど、やっぱり子供としては成長なんだと思います。そういう比喩(親離れ、子離れ、冒険、成長)に感じました。

最終回では一度、「現実世界風ピュアイリュージョン」に行きます。全体を通し、灰色の(色の少ない)暗い風景。テレビからは不幸なニュースが流れ、街には機械の音だけが無機質に響く。ユクスキュルはただのウサギになり、セーラー服も地味に(笑) これまで見てきた数多のピュアイリュージョンの中でも一番つまらない世界。

でも、それこそが私達(視聴者)が生活しているリアルな世界なわけです。

これ、1話冒頭のココナが塾で模試を受けている場面(世界観)に似ていました。(もしかしたら、あのテストの最中にココナは初めて能力を発動させ、そのあと過ごした世界はずっとココナのピュアイリュージョンだったのかもしれませんね。)

そんな灰色の世界に再び現れたパピカ。パピカの登場と共に音楽(特殊挿入歌)が鳴り始め、世界は色を取り戻します。そして、ココナとパピカは手を繋ぎ、そんな灰色(リアル)の世界を飛び出します。

(そう考えた時、この「フリップフラッパーズ」という作品自体が、毎週、私達(視聴者)をリアルの世界からピュアイリュージョン(アニメ、空想の世界)に連れていってくれたのかも。ココナにとってのパピカが、私達(視聴者)にとってのフリップフラッパーズ、みたいな感じ。毎週、難解で不思議な話ばかりでたくさん振り回されたけど、なんだかんだ楽しかったな~、というこの作品の感想は、ココナがパピカに抱く印象と同じなのかもしれませんね。)

ラストシーンもまた印象的。まず、ユクスキュルが空を見上げ(多分そこにはパピカとココナがいて)、続いてヤヤカも空を見上げます(この時の表情が実に良いです。眉間にシワが寄り眉毛が下がる困り顔でありながら、口角は上がり、口元は笑顔。苦笑、「アイツらしょーがねぇーなぁ」という声が聞こえてきそうでした)。続いて、歩道橋で遊んでいたトト、ユユ、ニュニュが空を見上げ、絵を描いていた いろは先輩が空を見上げます。私はここに、前述の「1話でのパピカとの出会いのシーンでうつむくモブ達」との対比を感じました(世界の美しさに気付けた人達)。ユクスキュルやパピカと仲良くなった、ヤヤカ。戦い以外の日常系を得た、アモルファスの子供達。空を切り取ったいろは先輩の爪には、しっかりとマニキュアが塗られていて。それぞれのサブキャラもちゃんと「何かを得た」んだな~と、感動しました。

この作品はとにかく難解で、最終回を見終えても、正直半分も謎を解けていないように思います(つか100%理解できてる視聴者っているのかな)。なんだったら、制作自身も明確な答えがない、あるいは求めていないのかもしれません。

「あなたに世界はどう見えていますか?」……

この世界には、見えないだけで、見てないだけで、気づいていないだけで、気づこうとしていないだけで、実は魅力がいっっっぱい詰まっているんだよ!

未来は不確定で、100%こうなるなんて保証はないけれど、だからこそ面白い。さあ、冒険にいこう!

具体的に言えば、考察なんかしきれなくても良いじゃないか、さあ、アニメを楽しもう(笑)!

と、そんなメッセージが込められた作品だと思いましたw

「フリップフラッパーズ」……「flip flap」で、宙返りの意味。確かに、作風に合っています。しかし、「flip」だけなら、「はじく、めくる」。「flapper」だけなら「おてんば娘」。私は、単語を分けた方が好きですね。

「世界をめくるおてんば娘達」

なんか素敵でぴったりなタイトル解釈だと思うのですが。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
我々は、灰色の日常の中にある、素敵なモノを見落としてはいないだろうか?

美しい映像で描かれた素敵で多彩な世界が、「不確定な未来への冒険」を疑似体験させてくれます。

難解ながらも、キッチリと感動を伝えてくれる、良作です。
{/netabare}

【余談 ~パロディーまとめ(気付いたものだけ)~】
{netabare}
スペースダンディに似ている。もしくは、不思議の国のアリス(第2話なんてモロに)。

てか、パロが多すぎ。個人的には、パロなんか入れ込まなくても、素敵な絵と魅力的なキャラ、不思議な世界観だけで充分に良作に成り得たのでは? という立場(パロにはやや否定的)です。

1話→ジブリ(魔女宅&トトロ&ナウシカ&ラピュタ)。2話→アリス。3話→北斗&ドラゴンボール&スケバン刑事&セーラームーン&必殺仕事人。4話→エヴァ&ナディア? 5話→スペースダンディ? 6話→まどマギ? 7話→スタンドバイミー? 8話→超新星フラッシュマン? 10話→エヴァ? 11話→ラピュタ? 12話→ロックマン(笑) 13話→ドラクエ(笑) セーラームーンやらスケバン刑事やら、これまのネタ元のポスターがw

第1話の中には有名な錯視(ルビンの壺、少女と老婆、少女と骸骨)が登場しますが、この3つは全て「ちょっと立ち止まって(光村図書・中1版)」という、国語の教科書に載ってるやつなんで、そこからとったのでしょうね。「私たちが見ている世界だけが世界じゃない」ということでしょうね。

ココナが授業中に読んでいたのは、夏目漱石の「夢十夜」。現在過去未来の不思議な世界を夢でみる小説で、明らかにフリップフラッパーズと被る。

EDは「ヘンゼルとグレーテル」? 幸せは意外と身近にあったとか、そういうノリか。
{/netabare}

【各話感想(レビュー)】
{netabare}
【印象に残った回①】⬅一番好きな回でした。
4話。これといってなにかあった回ではなかった。サービス回? 無人島回? 百合回? まあ、なんでもいいけど、何かは分かんないけど、とにかく面白かったというのが率直な感想。パピカの部屋(土管ホームw)に入った瞬間の明るくカラフルな世界。無人島で迎える、夜の暗い海を照らすわずかな月明かり。対照的なんだけど、どちらにもハッと息を飲むような美しさがある。この作品の作画は、軽く流す所と「見せ所」を意識して力を入れるところの塩梅が実に上手く、的確だと思う(この姿勢を「ろんぐらぁいだぁす」に欲しかった)。エピソード的にも、時間の経過の中で、切るとこ切って見せる所はしっかりじっくり魅せている。なんか、「ステキ」が詰め込まれたような世界、というか、「素敵な写真で埋め尽くされたコルクボードを眺めながら共に思い出を語っているような幸福感」を覚えた良回でした。まっ、今になってもイマイチ意味は分かりませんが、雰囲気アニメの完成形のようにも思います(流石に言い過ぎかなw)

【印象に残った回②】
5話。ループ&ホラー回。がらっと作風を変えてきた回。スペースダンディのカレンダー回に近い感じ。しっかし、怖かったw なんどかマジで鳥肌たった。制作が楽しんで作っているのはわかる。

【印象に残った回③】
6話。なんか毎回になってきた(笑) いろちゃんは美術部の先輩(彩いろは)。 いろはがパピカでパピカがいろは? でも時代背景が? 過去に飛んでいろはの代わりにいろはのトラウマを解消したのかな? とすると、ピュアイリュージョンとは、人々の純粋な記憶の世界、とか?

【印象に残った回④】
7話。とにかくもう、M・A・Oさん凄いっす! こうして聴いてみると、本当に声優さんって技術職なんだと分かる。

【印象に残った回⑤】
8話。いや、ホントにもう毎回凄くて(汗) ダレる回がない。ロボ展開はそのうちあるかもと思ってたけど、まさか挿入歌まで作るとは(笑) Cパートはなんか怖かった……。

【印象に残った回⑥】
10話。やはりお祖母ちゃんは敵だったか。まあ、それは何となく分かっていたけど、ロボだったとは。謎解きが始まり、ラストへの助走となってましたね。

【印象に残った回⑦】
11話~最終話。ここまで、1話完結形式で様々なピュアイリュージョンを巡り、少しずつストーリーを進めてきた本作。11話を境に、伏線を回収しつつ一気にまとめてきましたね。ラストは「友達を救いにいく」「崩壊する世界を救う」という、THE王道の展開。母親の重すぎる深すぎる間違った愛……リアルモンスターペアレンツになっていましたね(笑) 13話は、これまで以上に意味不明な展開。謎解きが謎解きになってないよ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 35

71.0 2 変身で女子中学生なアニメランキング2位
美少女戦士セーラームーン(TVアニメ動画)

1992年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (266)
1567人が棚に入れました
『美少女戦士セーラームーン』は、1992年の放送開始後、爆発的な人気を誇り社会現象にまでなった、武内直子原作によるファンタジーアクションアニメの第1シリーズ。【ストーリー】東京の麻布十番街(作中では東京の十番町、中学名は十番中学校)を舞台に、平凡だった中学2年生(初期シリーズ)の月野うさぎが黒猫ルナと出会い、セーラームーンに変身し、仲間たちと共に街を襲う悪者(妖魔、ダイモーンなど多数)を倒して行く。

声優・キャラクター
三石琴乃、久川綾、富沢美智恵、篠原恵美、深見梨加、潘恵子、高戸靖広、古谷徹、小野坂昌也、柿沼紫乃、真地勇志、高木早苗、川島千代子

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

Cawaii!

以前TVかネットでイタリアの女子達がセラムンのコスが流行っているのを思い出したのでレビュー。

セーラームーンって魔法少女バトルを確立させたと同時に必殺技や、太陽系を属性にし明確なキャラ分けと、意図的なヒロインの複数化した雛形アニメなのでしょうか。

本作は従来男子の土俵だったバトルと、女子の憧れだった魔法美少女を上手く融合させてヒットしたんですかね。ただ、引っかかるのは女子の気持ちは分かりかねますが、戦う女子に憧れを見出す姿とかって男子の妄想でもあったりして、男子も隠れながら観ていた気がします。

もう死語なのかも知れませんがCawaiiは独自の言語として、外国では扱われているし、外国からするとかわいいは女性に対して失礼な言葉を持つ側面もあって、男性に対してかわいいと日本で言う意味と同じような意味合いで解釈される側面も持つ。

セーラームーンの世界の敵は、見るからに大人の女性でしかも半裸wそこにまだ未熟な美少女達が戦う構図がCawaiiを再現している。敵は蛇などの隠喩的エロ要素を持ち、逆にセラムン戦士達の未熟なかわいさを映しているように感じる。またタキシード仮面がピンチで登場するのも一つのかわいさの表れである気もする。やはり男に守ってもらうという構図は、彼女達がいかに強かろうと、その時は脆弱な乙女に戻る。

この脆弱さこそが、儚げでロマンティックで、懐かしくもすぐ手に届くようで届かない。凡庸だからこその親密性と、脆弱だからこその神秘性がCawaiiと勝手に感じております。ただ、そう考えるとかわいいと言われて嫌な気持ちも分からなくはないと思ったりもします。

日本ならではの感覚の言葉で無常を「もののあはれ」と表現したり、「いき」とか「わびさび」とか「うまみ」何て言う抽象的な言葉の一つとして「かわいい」が定着してきたのかもしれません。何でも枕草子が「かわゆし」と表現した言葉が源流のようですし。

ちなみに自分は何故かセーラーウラヌスが好きだったんですよね。ボーイッシュなのに乙女なところがギャップっていうんですかねwよく分からんレビューになってしまいましたが日本に生まれてヒャッハーーー最高だぜprpr

投稿 : 2024/11/09
♥ : 38

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

“セーラー服美少女戦士”という天才的閃き

原作少女漫画は後年、立ち読み程度。

言わずと知れた90年代を代表する変身ヒロインアニメ。

本作に限らず変身ヒロインは顔があまり変らないのに、
何故か正体がバレない不思議な方が多いのですがw

セーラームーンはその最たるもの。
さらに服装など、ミニスカになったセーラー服にアクセサリーが数点付く程度。
うさぎたちが通う中学校の制服から変身した時に至っては、
こんなに微細な変化で、どうして変身元が突き止められないのかw
当時は疑問で仕方ありませんでしたw

でも、今にして思えば、このさじ加減が絶妙でした。

女の子は誰でもメイクアップすれば変身できる!
魔法少女はちょっと無理だけど、セーラー戦士なら
ちょっと背伸びすれば届くかもしれない!?
(うさぎたちも意外とポンコツだしw)

巧みな設定が変身願望を刺激し、アニメは大ヒット。
グッズは飛ぶように売れました。

本作放送時、視聴者だった女児たちは、
後年、中学、高校に上がり、制服のミニスカ化を軸にした、
アレンジファッションに血道を上げることとなりましたが、

これは本作による潜在意識への刷り込みが影響したからに違いない。
と私は勝手に思い込んでいますw


前前前世からの因縁絡みのメインシナリオも作品を強力に牽引。
クライマックスはかなり盛り上がりました。

セーラー戦士だけでなく、突っ込み担当?の猫もコンビ度が高く、
敵幹部の悪役偏差値も優秀。

BGMもロマンス度配合で好印象。
主題歌「ムーンライト伝説」は世界観、物語が歌詞だけでなく、
メロディーやアレンジにも染みこんだ90年代屈指のアニソンだと思います。

こうして書き出したらエンタメ要素満載で楽しいですね~♪
人気になるわけです。


でも何より素晴らしいのは変身バンクのセンス。
自分はあまりCGはダメだの、やっぱり手描きに限るだの言いたくない人ですが、
本作の手描き作画による変身シーンは今見てもドキドキさせられます。
キャラの頭身から、腕や脚の角度までいちいち時めきのツボを突いてきます。

その甘い感覚が忘れられず、私は男でありながら、
亜美ちゃんの変身シーンとか目当てに本作を覗き見してましたw


水でもかぶって反省しま~~すw( ̄ー ̄)ゞ

投稿 : 2024/11/09
♥ : 28

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今みたらまぁきたない画なんすけど・・

当時は演出がかっこよくってみんなハマってましたね。
Rまではおもしろかったかな・・原作も読んでた。
男子は結局誰派かの派閥闘争なわけで。物語では感動もしないし泣きもしない。女子はなぜないてるんだと。。。ただかっこいいと思うだけ。
当時小学生だったわたくし、初代からの生粋の亜美ちゃん派だった。今思うとバカじゃないかと・・マイノリティでしたね。
ガキってだいたいは、うさぎ、レイ後半で美奈子なんだけど。
もちろん大友では亜美ちゃんがぶっちぎりでしたが最初はそうでもなかったすよね。そもそも打ち切りの危険があった作品ですし。そういえば大友て久川さんが名付け親でしたね。いろんな意味で偉大な作品

たまに聞かれたりするが、リメイクしたら儲からない?てかオトナ向けのグッズなくない? 
それは・・・『子供はどうしたらできるの』ってくらい答えづらい質問だよ。。。。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

66.2 3 変身で女子中学生なアニメランキング3位
SHY(TVアニメ動画)

2023年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (131)
372人が棚に入れました
21世紀半ば、地球から戦争が無くなった―― 各国に突如現れた超人的な力を持ち、平和を願う“ヒーロー”によって、世界は大きく変化したのだ。 新たに得られた平和を維持すべく各国のヒーローたちが活躍する世界において、日本の平和を担っていたのは、人前に出るのが超絶苦手な“恥ずかしがり屋”の少女ヒーロー、シャイだった。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

顔から火が出るヒーローが 凍り付いた心に炎を灯す

恥ずかしがり屋の炎の女子中学生ヒーローが、人見知りな性格と、人前に出て誰かを助けたいとの正義感との間で葛藤したりしながら成長していく同名連載コミック(未読)のアニメ化作品(全12話)

【物語 4.0点】
最終話放送直後に2期制作が発表。元々じっくり行く構想だったのか、特に中盤まではスローペース。
主人公ヒーローが{netabare} 習字{/netabare} で殻を破った時はほっこりしつつも、
これお話進むのか?とちょっと不安にw

最近1クール完走後に分割2クールでしたと明かすアニメが増えていますが、
そういう構想があるならば願わくば放送前に宣言して頂けるとありがたいです。


変身ヒロイン枠?として視聴し始めた私ですが、どちらかと言うとアメコミヒーロー志向。
特にフランスなどヨーロッパ地域での海外原作人気を当て込んでのアニメ化そして強気の2期継続ということでしょうか。

21世紀半ばごろ、突如、世界各国に1人ずつ現れた超人的な力を持つヒーローが頑張って“戦争が無くなった”
との趣旨の冒頭基本設定ナレーションは、
ヒーローはなぜ戦争を解決しないのか?だからと言って戦争撲滅編を描き出すと初期の良さが台無しになる。
というアメコミ積年の課題に対する、新世代コミックとしての解答でもあるとのことで(※)

同時に、上記基本設定は、作品の焦点を現代人が抱える“心の戦争”に当てるという宣言でもあります。
ヒーローと対峙することになる敵集団“アマラリルク”も、現実社会との摩擦で心をすり減らした人間の闇に着目し、
童心の純粋さを歪にデフォルメした悪役(ヴィラン)を生成し送り込んで来る。
勧善懲悪とは違う、心について考えさせられるシナリオでした。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・エイトビット

戦闘アニメーションでは、主人公シャイの炎の能力などエフェクトに見応えあり。
自身を顧みず対峙した人間の心の闇に踏み込んで火を灯しに行く。
恥ずかしがり屋なのは人を思いやれる優しい子だから。
シャイの炎には外面的な派手さだけでなく、凝り固まった心を解きほぐすという
テーマに根ざした内面的な美しさがあり、心を揺さぶられました。


原作コミックから流用した斜線を多用したスタイリッシュな『SHY』のロゴ。
シャイの赤面を表現した頬の斜線も想起させられてくすぐったくもなりますw
そのロゴがピンクに“赤面”するフォント変化するアイキャッチも可愛らしくて印象的。


各国ヒーローのコスチュームも光る本作。
エイトビットと言えば、自分の中では未だに『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』の印象が強く、
露出が多い女子が描かれると、恥ずかしながらどうしてもエロ目線になってしまいますw
特に恥ずかしいと言いながらハミ尻するシャイの白短パンにはつい目が行ってしまいますw


【キャラ 4.0点】
序盤、主人公シャイに人命救助に失敗したトラウマを乗り越えさせるために再会させた同級生・小石川惟子(こいしかわいこ)。

中盤、それまで救助が主だったシャイにレジェンドヒーローとして戦う覚悟を問う壁役となったスターダスト。

終盤、ただの酔っ払いロシア人じゃないことが明かされた先輩ヒーロー・スピリッツ。
ツィベタこと(※核心的ネタバレ){netabare} 母・レーニャとの過去と本気の親子喧嘩{/netabare} がエグくて熱い1シーズン目のマイベスト。
お酒は大人だって子供に戻れる魔法の薬。
やめられない酒を正当化する魔法のコトバですw

エピソードごとに骨格となるキャラは確立されており、的は絞れている感。

1クール折り返しの最終話にシャイが惟子との友情を深める心の成長エピソードで静かに締めたのも、
本作らしいテーマを捉えたカップリング。


【声優 4.0点】
主演シャイ役・下地 紫野さんの上ずりがちな高音を、
同級生・惟子役・東山 奈央さんが柔らかく包み込む癒やしの構図が基本線。


敵役(ヴィラン)ではクフフさんを演じた日高 里菜さんがトリッキー。
世界のみんなを笑わせると倫理の壁を無邪気に乗り越えヒーローを苦しめる怪演で、
冷たい大人の世界など忘れ、子供のままでいようと訴えるアマラリルクの狂気を象徴。

ロシアのヒーロー・スピリッツ役の能登 麻美子さん。
個人的に2023年は能登 麻美子さんの年。マイベスト助演女優賞はぶっちぎりでマミさんでした。
『~水星の魔女』にて狂気の母親役の怪演で世を震撼させたかと思えば、
本作では感動的な{netabare} 親子愛{/netabare} を幼少期も含めてカバーし熱演したりする。
二度目の全盛期が来たのでは?と思うほどの能登 麻美子さんの充実ぶりに圧倒された一年。
同じく幼少期~大人まで対応した{netabare} CV.沢城 みゆきさん{/netabare} とのマッチアップが本作のクライマックスでした。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は椿山 日南子氏。
静かなピアノ曲で心情をすくい、バトルシーンでは大火力の金管とストリングスでガツンと来る。
優しさと力強さを併せ持った作曲でシャイのヒーロー像を好アシスト。


OP主題歌はMindaRyn「Shiny Girl」
最近アニメタイアップでも目立つタイ人アーティストが歌うアップテンポナンバー。
斜めに疾走するシャイにスタッフクレジットが並走するOPアニメーションがお気に入りです。

ED主題歌はシャイ / 紅葉山テル&小石川惟子「シリタイキモチ」。
ハードな展開の後でも優しいメロディで締めくくり二人の親睦が深まる。
シャイ、惟子各々がソロ歌唱する特殊ED主題歌もあり。


【参考文献】※コミックナタリー「アニメ「SHY」実樹ぶきみ×安藤正臣 | 女子中学生ヒーローを等身大に描くためのこだわりは?」

投稿 : 2024/11/09
♥ : 19

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

フツーにおも・・・、う~ん。ふつーかなぁ。

確か週刊チャンピオンに連載中の作品のはず(2024.4.26)の作品。
何となく記憶を遡ると、連載開始時に続けて観ていたような記憶があるような・・・。

その後は、確か進行がちょっとスローに感じてしまい、じれったくなってしまったのと、個人的には原作絵に少しクセがあって・・・。
絵柄やデザインが悪いってわけでは無くて、少しごちゃごちゃした感じに見える作風だったんですよねぇ、私の目には。
それでフェードアウトしてほったらかしになって、それ以来って感じだった気がしています。


アニメ(動く絵)になったので、ちょっと見てみようと思っての視聴です。
正直、キャラ絵はほんの少し平成風かもしれませんが、悪くない感じですし、作画もスッキリと見え、色づかいもキライではありませんでした。
見やすかったので、視聴を継続してみました。


内容は、ヒーローをやっている気弱な女の子の成長ストーリー的な・・・。
当人曰く、陰キャではなく、インドア派という事らしいですがw。


まぁ、キャラがハマれば、この手のテンプレがんばろう女子は割と受け入れられることが多い訳で。。。
前述したように、少しバタ臭い、今風ではない雰囲気も醸し出しながらの作風でしたが、それなりに物語を追ってはいけました。


登城する人物のパターンも物語の流れも、そして登場する他のヒーロー、敵方を含めて、まぁまぁ、オーソドックスな装いでした。
それも、味方側の仲間の魅力度が割と高かったことが救いでしたかね。

当初、いろいろありながらも親友的な立ち位置に収まってきた:小石川惟子、先輩ヒーローかつお姉さん的な立ち位置で登場してきたスピリッツ(能登谷さんw)などなど。


物語も、大体の流れを作った後に、スピリッツ関連の過去~現在、親子の物語などを後半のメインに据え、見ごたえはありました。
やっぱり、原作と同じで、ほんの少しスローな印象、もたもたした印象もありましたが、ちょっと、物悲しく、親子の境遇の憐憫を感じさせる物語に仕上がっていました。
割とよく出来ていたんじゃないでしょうか。

それにしても、やはり沢城さん力がある。
うまい、そして「あ、沢城さんだ・・・」と気づいても、こちらの思いが醒めない、物語を止めない。
素晴らしいと思います。


形にはなっていたけれど、続きあるんかなぁ、どうすんのかなぁ、と思ってHPを見たところ、7月に2期を放送予定との事。
へー、最初から決まってたんかなぁ。
で、あれば、少し余裕を持ったつくりもアリなのかなぁ、と感じました。


割とサッパリと観れたので、続く物語も気にはなりますし、多分見るような気がしています。


ああ、OPは割とカラフルな色使いで、曲調も良く割と好きでした。
EDも絵的にも曲的にも好きでした。
なんか、最初の走っている所が意味もなく好きでした。
・・・なんか、他にもこんなようなのが好きだって思った記憶があるなぁ・・・。

・・・なんかの、フェチなのかなぁw。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

2期前に再視聴。初回より理解できました。キャラ造形の秀逸さも良かったです。

 2期が来ているので改めて見ました。1回目より結構理解が進んだ気もするし面白かったです。

 シャイの性格の描写から人を助けることと同時に助けられることが描かれますが、この時に心の闇=指輪の話が出てくるんですよね。とりあえずこの正義と闇の話が直接リンクしていると思ってしまうと、読み取り方を間違える気がします。

 で、スターダストの話がまた唐突ですね。共感の話です。ここがシャイの弱さであると同時に強さのような表現になっています。ここまででシャイの性格造形と今後シャイがどうやって戦っていくのか、強くなっていくか、戦う意思が提示されました。
 小石川が闇落ちキャラとしての機能がないかと思っていましたが、見返すとシャイが具体的に助ける人を得たことで成長し始めた感じでしょうか。

 そして、憎しみのなさと共感力ということで、ここでスティグマと対立構造になっていくんですね。

 5話で萌えキャラの黒十字のピルツさんが出ることで強さの形はいろいろあるとかヒーローの力が戦うだけでないということが描かれます。
 書道のところはちょっとギャグっぽかったですけどね。まあ、イメージ云々ですからとりあえずおまけですね。

 6話のここから少し話の構造が変わって「アマラリルク」が自らを夢みるもの達と定義しての登場ですね。ツィベタは年中寒いということで心の空洞を象徴しているのでしょう。
 これが正義に対応する存在として、彼らとの対立構造で話が進むようになるのでしょう。「ペーシャ」スピリッツとの関係性です。あとは「指輪なし」が何を象徴するかです。

 7話で指輪の正体がわかり、つまりダークサイドの心=力だということがわかりました。指輪をつけた本人のダークサイドとスティグマの心の組み合わせみたいな感じでしょうか。世界平和=人類補完計画というイメージ。成熟を拒む=永遠の子供でもあります。

 ちょっと「シビレボ」のトークショーの意味がわかったようなわからないような感じはありました。子供にとってのヒーロー…でしょうか。

 で、8話以降はスピリッツとツィペタです。子供のころのつらい現実と心の空白。思い通りになる空間は幼児性でしょうか。現実拒否の妄想への逃避のようなイメージ。で、母の愛を思い出すことで過去を受け入れる。スティグマは人の心につけ込むイメージです。

 で、最後はお姉ちゃんがいたエンドですね。


 ということで、拾ってゆくとわかりやすいし、ちょっとはじめは話のつながりが見えないのと、ちょっと新キャラの唐突感、エピソードの断絶感で入り込めない部分がありましたが、今回見直したら、結構面白かったです。
 
 なので、ちょっと評価を上げておきます。特にキャラとエピソードの描き方がうまいので、ストーリーとキャラに+0.5づつしました。作画も動きは乏しいのですが、工夫で見やすいので+0.5します。




以下 初回視聴時のレビューです。


あらゆる点で惜しい、中途半端。製作は初めから2クールにしないと結局損しますよ?

 もったいない、惜しい、今一つ、まあまあ、なかなか…面白い要素はあった、テーマもありそうだった、キャラもいいと思う、だけどアニメ作品としては中途半端な印象です。

 ヒーローとしての強さ、心の弱さや闇とか、貧困、子供たちの世界への復讐、そういうテーマの要素はありはしましたけど、メッセージがこっちに来ない感じです。
 ツィベタとスピリッツのエピソードでの母が子供と酒を…というのは色んな意味とか感情が感じられるいい場面だっただけに、その中途半端観がものすごく残念な感じです。

 と思って検索したら、2期の制作発表か…いや、2クール以上で作りなよ…と言いたい。1クールがここまでだとすると満足度、人気という点でものすごく失敗している気がします。

 エイトビットでこのクオリティということは、おそらくは予算か人員かいろいろ苦しいであろう感じでした。その点でも悪くはないけど良い訳じゃないというのも、半端な感じです。
 まあ、逆に言えば苦労は感じられるます。制作陣は大変なのでしょう。ですが、視聴者側からすると、だったらもっと作り溜めて2クールで初めからやったら?と思わなくはないです。
 そこは制作というよりも製作の側がちゃんとお金を出しましょう。結果的にリターンが多いと思います。

 メッセージやテーマ的なことも含め原作のポテンシャルは感じますが、惜しいとしかいいようがない感じです。正直考察や深掘りしようにも、素材が足りなすぎます。

 評価は…ストーリーは深さの片鱗は感じられたので3ではなく3.5にします。2期への期待も込めて。キャラはいいですが1クールの範囲だと使い切れてないので4。作画は頑張ったで賞で3.5。声優さんは早見・東山という私がすごいと思う数少ない声優さんを起用した点で4.5。音楽は3にします。

 平均3.7は盛っている感じもありますが、期待値を込めて。





1話 ヒーロー版「ぼっちざろっく」?なかな面白そうです。

{netabare}  アレ?ヒーローアカデミアの萌え女子版?という感じでスタートします。ヒロインの少女はもちろんシャイで恥ずかしがり屋です。そして、ヒーロー活動時にアクシデントがという感じです。

 まあ、話を見ていくとヒロアカではないことは分かりますし、ヒロインの成長が楽しみになるし、どれくらいサービスがあるんだろうという期待も無くはないです。
 エンタメに振り切っても面白そうですが、題名がSHYですからもちろん恥ずかしさを使命と向き合い遂行することで克服する話でしょう。私はストレス多い話も大好きなのでそれはそれで面白そうです。

 ヒーロー版「ぼっちざろっく」とも言えます。あの話は全然克服してないですけど。

 結構アニメの出来は丁寧です。止め絵とスクロールが多いので作画がすごいというわけではないですが、なかなかの水準に仕上がっていると思います。

 ということで、面白そうです。期待枠の一つかもしれません。ダークホース?なんでしょうか。原作付みたいなので人気作だったらごめんなさい。{/netabare}


2話 世界系がすっ飛ばした「他人を助ける」「他人に助けられる」意味をどこまで問えるか?

{netabare}  助ける方と助けられる方の心の闇を描いていました。感謝というのも本当なら、もっともっと早く全員助けて欲しかったというのも本音でしょう。少年マンガ的な展開ではありますが、分かりやすく描けていたと思います。

 主人公の性格が暗いしちょっとダークな雰囲気はありますが、勧善懲悪から脱していることと、物事は1つの視点だけでは見られないと言う事が、しっかり入っているのはいいと思います。

 としたときにちょっと思うのが、よく経済的には失われた30年とかいいますが、創作の世界で「世界系」が果たした文脈、エヴァ、まどマギの流れが正しかったのか?という気になります。利他の意味が性愛とかパーソナルな感情、つまり「恋愛(友情)」に限定されてしまって、他人とか世間というものをすっ飛ばしてしまった気がします。

 世界系という便利な概念の上でなんとなく相対化、ポストモダン、脱構築のような雰囲気で、創作物が難解っぽくテーマ性があるっぽく作られていた気がします。昭和的価値観へのアンチテーゼだけ示して、やり逃げという感じだった気がしてきました。
 当時はそれも最先端だったかもしれませんが、今となっては創作、特にアニメ界に対しては安易な物語の創作技術に堕してしまい、マイナス影響が大きかった気がします。

 この作品のいいところは、世界系で助けることの葛藤が「恋愛」という便利なツールになってしまった単純な視点からの脱却がはっきりした形で見られます。少年マンガ的な分かりやすく説明が多い進行ですが、読み取れるものはなかなかいいと思います。
 助けること助けられることの表裏と深浅と角度をどこまで描けるか。利他の意味を問う作品になってくれそうな感じで、ちょっと…いや、かなり楽しみです。

 火事で両親によって命をつなぐ…という話は「天使な小生意気」にも「武装錬金」にもありましたね。両方ともゼロ年前後です。皆こういうのを描きたいと思っていたんだと思います。世界系により失った何かを取り戻せる作品になることを期待します。

 なおSHYの尻肉になかなかフェチズムを感じました。{/netabare}

3話 テーマに興味があるし、それ抜きにしても普通に面白い。

{netabare} 黒い指輪の正体で「心」がテーマなのはわかりました。そもそも「SHY」というタイトルから内面の話であることは想像はできますけど、結構直接的な設定でした。

 話の展開は少年マンガ的なリアリティラインですけど、その分テンポ良く進むのがいいです。最近の流行なのか、孤独や心の強さなどがテーマになっているのもも興味があるので継続視聴すると思います。本作の原作者の意図がどこまで計算しているのかわかりませんが、指輪の設定から言って時代を反映する何かがありそうです。
 それを考えなくても、キャラとアニメの出来がなかなかいいので、エンタメとして見ても普通に面白い感じです。

 スターダストがバトルを挑んだ目的が分かってくると、展開も見えてきそうです。 {/netabare}


4話 ベタでテンプレ展開だけど、キャラにテーマがあって熱い作品なのが良い。

{netabare} よくあるヒーローもの覚醒の感じです。ですが、心というテーマが明確にキャラの内面と行動に込められていて、しかも、成長を描こうとしている熱い展開なので面白いです。

 少年マンガ的展開を醒めたような客観的な距離感でやられると見てられないんですけど、隠しきれない熱さが非常にいいです。
 本当いうと、原作はかなりあるみたいですので、1年4クールを日曜朝とかゴールデンでやって小学生~中学生くらいに見てもらいたいですねえ。

 それは決して大人が見て幼稚という意味ではなく、ストレスと挫折と成長がある話は思春期前には必要だし、それを真面目にやるなら大人が見ても面白いと言う意味です。{/netabare}


5話 実験的なカットインの手法。効果的な場面とそうでない場面がありますね。

{netabare} なんか、家の前で変身ポーズと名乗りをしてしまってますが、あんまり身分を隠すことに執着しない世界観なんでしょうか?そもそも腕輪隠してないし。まあ、それはいいでしょう。今回はまあ普通にいい話でした。そしてレディブラックが可愛い話でした。

 アニメの技術的な話なんですけど、本作は不思議なカットインを多用してます。キングゲイナーをちょっと思い出す、画面の一部を図形で差し込んだようなカットインです。10分50秒くらい(dアニメで)から始まる山登りして障害について告白するシーンですね。
 また、もう1種類。学園生活5話の15分11秒(dアニメで)から始まるカットインの連続があります。

 それが効果的かどうかが、本作の演出で問われるところでしょう。予算あるいは人材不足を補うための技法かもしれません。

 画面の一部を差し込むようなカットインは、クローズアップの効果で話の焦点がその人物にフォーカスする、という効果は確かにあります。しかし、例えば背景の絵がなんとなくつまらないというかカットインが効果的に見えるような画面になっていない感じがあります。これはもうちょっと工夫した方がいいかなと思います。

 連続カットインはコミカルな演出だし作画は動いていないですけど、画面に動きと時間経過があるので、止め画の出来が良ければ見苦しくないしダラダラ話をされるよりも見やすいし今のタイパの世の中だといいかもしれません。

 その他、止め画をなんとか面白く見せようという工夫が見られます。工夫次第で止め画を多用しつつバトルなど動かすべき時に動けばいい、という開き直りで新しい演出が生まれればいいと思います。

 それともう1点、この作品は女子のデザインが魅力的な作品ですが、可愛い子のスタンプ絵ではなく、それぞれに個性があるのがいいですね。 {/netabare}


9話 なんとなくどういうモノを描こうとしているかは分かりますが、直接的なアナロジーの割には視点が錯綜してテーマが分かりづらいかも。

 心の闇問題ですね。それは1話の時点で分かっていましたが、子どもに限定するのかと思っていました。母ということは親子関係なんでしょうか?ただ、まあインナースペースのような表現なので、辛い目にあった人が自分の内部に閉じこもる話?だから外部=記憶の問題が出てくるのかな?

 ヒーローショーにおける自分の考えという話と対比して、アマラリルクという自分たち独自の正義感で世界を救う=ネットの適当なインフルエンサー(ひ○ゆき、ホリ○○ン等)に踊らされる小中学生の様にも見えます。自分の言説を持てない歪んだ正義感…というより「はい論破」的正論のことです。

 トラウマなのか、毒親と子供なのか、外部世界が辛いからインナースペースに閉じこもることなのか、ネット社会なのか、子供を取り巻く環境をいろいろ重ねているのか。子供というより未成熟とも取れます。つまり、ネット社会か引きこもっている未成熟な大人の可能性もあります。

 スティグマが持っている錆びた傘が象徴するもの、ですね。ちょっと壊れたトトロのイメージもあります。一見子供の味方に見えますが、何を考えているのかわからない不気味な存在です。その妖怪が考える平和とは?

 また、名前を付ける、意味です。名前とは、つまりこの世に概念あるいは存在として定着させる行為です。つまりアマラリルクというのは、彼らのそれぞれに「辛さ」が定義されているような気がします。

 で、まあそういう含意を描こうという気持ちは買いますが、ちょっと分かりづらいかなあという気がします。まあ、ペペシャの母のパートすら終わってないので何ともいえませんけど。第2話~5話、7話の話とその他が錯綜していて、ちょっと的が絞れていない感じはします。




 

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

62.8 4 変身で女子中学生なアニメランキング4位
ポッピンQ(アニメ映画)

2016年12月23日
★★★★☆ 3.6 (81)
570人が棚に入れました
通過点でしか無いと思っていた卒業式を目前に控え、中学3年製の伊純は前に進めずにいた。
そんな時、海で、美しく輝く"時のカケラ"を拾った伊純は、不思議な世界"時の谷"へと迷い込む。
そこで、同い年の、蒼、小夏、あさひ、"時の谷"に住み、"世界の時間"運営を司るポッピン族と出会う。
"時の谷"と"世界の時間"が今まさに崩壊の危機に瀕していた。
危機を脱するには、伊純たちの持つ"時のカケラ"を集め、心技体を一致させたダンスを踊るしかないという。
迫り来る危機と、ポッピン族の厳しいダンス指導に戸惑う伊純たち。
そんな中、ダンス経験者の沙紀が現れるが…。
"時のカケラ"に導かれた5人はダンスで世界を救えるのか?
そして、無事に卒業できるのか?

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ、田上真里奈、石原夏織、本渡楓、M・A・O、新井里美、石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

実は卒業後も時を進め生き長らえていた東映アニメ60周年記念映画

あらすじ

{netabare}卒業を間近に控えた中三少女5人。
各々、葛藤を抱え、前向きに時を進められずにいる。

そんな折、異世界「時の谷」に召喚された5人。
時間がつつがなく流れるよう管理する役割を担っていた「ポッピン族」が暮らす「時の谷」は、
時を進めたくない邪悪な意志に脅かされていた。

彼女たちは「時のカケラ」を集め、「ダンス」を踊ることで、
世界と時間の危機を救おうと、ポッピン族のダンスレッスンを受け始めるが……。{/netabare}


【物語 2.5点】
欲張り過ぎ。

映画一本に中三少女5人の青春の一頁を描くだけでも忙しいのに、
本作はさらに異世界トラベル物でもあり、
変身バトルヒロイン物でもあり、美少女ダンスアニメでもあり……。

到底、収まり切るはずもなく、説明不足、掘り下げ不足が多発。

極め付けは、最後、{netabare}この中三編はプロローグに過ぎない!高校生編こそが本編!
と言わんばかりに予告編風の映像で締めくくったこと。
中学卒業で締めくくれば、まだ割と綺麗にまとまったものを……。
俺たちの戦いはこれからだENDも華麗に決まり困惑が拡大。{/netabare}

ただ、5人の中で主人公格であるヒロインについては、
女の子が異世界の旅を経て、青春の時を前に進める勇気を獲得し、
いつの間にか急成長する。
などジュブナイルとして要点は押さえており、筋は通っている。


【作画 4.0点】
キャラクター原案・黒星紅白氏といえば大抵、
可愛い顔して、嘘つきはスパイの始まりとか、
眠たそうな瞳で、無慈悲に狙撃とか、ギャップを狙った起用が印象的。

その点、本作の世界観とそれに合わせた作画構成は
可愛らしい氏のキャラデザにベストマッチ。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


本作監督は劇場版『プリキュア』シリーズ等でCGを担当して来た宮原 直樹氏。
本作のダンスシーンには、東映CG作画の成果が体現。

特にヒロインたちの変身前のダンスレッスン衣装は、
露出もない着ぐるみ同然のフワフワ、モフモフであり、
ダブダブズボンがダンシングして揺らめくCG動画はかなりのハイレベル。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


【キャラ 3.5点】
良質な素材を提供するも、料理は生煮え。

ただ、5人のヒロインは主人公格の陸上短距離走を始め、特技により性格付けがされており、
そのキャラクター性は歴代のプリキュア等と比較しても遜色がなく、可能性は十分。

各ヒロインのエピソードをもっと掘り下げれば、
彼女たちのその後を描けば、『ポッピンQ』は化けるはず。
と願望する鑑賞者も少数ながら獲得。

そのことが後のコンテンツ展開へ繋がっていく。


【声優 4.0点】
豪華。例えばヒロイン役の5人だけ見ても、
瀬戸麻 沙美さん、井澤 詩織さん、種﨑 敦美さん、小澤 亜季さん、黒沢ともよさん。
各々のマスコットポジションのポッピン族の「同位体」役にも、
実力派や若手のホープを起用。

さらに、ラスボス役には{netabare}斎藤千和さん。
時間の法則という世界の理の改変を企むには打って付けの配役。{/netabare}

いきなり感情を振り切る無茶振りも散見された本作だが、
この布陣なら対応した上、見所のあるシーンも演出可能。


【音楽 4.0点】
上記の豪華声優陣が二次元ダンスユニットをやる!
これだけでも注目に値したはずだが、5人のヒロイン役が歌ったのはEDだけ。

ダンスシーンでは他のユニットの歌に合わせて踊るだけ。
どうせならヒロインにも中の人にも歌ってもらって、2.5次元ライブまでやってよ~。
(ここでも需要と供給のミスマッチ要素がw)

楽曲や劇伴自体は良好。EDも{netabare}卒業ソング{/netabare}として優良。


【感想】
もしも、日本で深夜アニメが発展せず、萌えもエログロもなく、
『プリキュア』のような女児向けテイストのアニメが発達して、
ティーン以上の年齢層向けでも主流になったら、
こういう作品が数多く生み出されたのかも?との感想がまず残りました。

そういう点からも、本作は本来、
東映CG作画の『プリキュア』以外での活用模索も含めて、
トレンドからは外れた所で、実験的なことを色々やってみる映画。
理解のある方だけに口コミで語り継がれる類の作品だったのだと思います。


だから、2016年末。『君の名は。』などアニメ作品が映画界を席巻した伝説の年を、
『ポッピンQ』が締めくくる!とばかりに、東映アニメ―ションが60周年記念と銘打って
本作を年末年始興行の目玉に祭り上げ、
ミスマッチな宣伝、大規模上映を繰り広げた挙げ句、大コケした件は、
作品云々以上に、プロデュースの失敗だったのだと思います。

(大体、『ポッピンQ』という作品名の映画が興行収入・ウン億円の大ヒット!とか、
普通は想像すらできませんってw)


年末公開の本作でしたが、作中設定は中学卒業式前とのことで、
私も冬休みシーズンが終わって、卒業ムードも漂い始めた頃に、
骨でも拾いにいってみるか……とか思っていましたが、
近所の映画館では三週間で上映終了したため劇場鑑賞は叶いませんでしたw


そのまま私は本作の存在自体を忘れていたのですが、
昨年暮れ、『ポッピンQ』が続編小説制作のためのクラウドファンディング“project19"
を目標金額の五倍を集めて成功させたというニュースで
『ポッピンQ』未だ健在を知り驚愕し、レンタル鑑賞するに至りました。

次のプロジェクト“project20”では映像作品も含めた計画も検討されているとか……。
内容次第で、私もクラウドファンディング出資してみようかな。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 29
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

興行的には散々みたいだけど思いのほか悪くなかった

新春!開運!ポッピンの集いに行ってきました
2017年初アニメ映画
2017年初声優イベントになりました

黒星紅白原案のキャラをプリキュアチームが動かすと聞いたら
これは見ないわけにはいかないな
という気ではいたのですが
封切り初日舞台挨拶が金曜日だったため見に行けず
今回のイベント付き上映に行く運びとなりました

しかしなんだかずいぶんと興行が芳しくないようで・・・
でも駄作だとかつまらないという話が聞こえてくるわけではない様子
そもそも誰も見に行ってないから口コミが少なく
見た人の感想も絶賛も酷評もしていない感じですね

ストーリー全体としてはそんなに悪くなかったと思うのですが
全体的に詰め込み過ぎて展開が急すぎたり
いろいろ説明が足りなかったり
まるで見たことのない作品の総集編映画を見に来たかのような
はっきり言うと雑な印象を受けました

いろいろな要素をぎゅっと詰め込んで
ジェットコースターのように勢いだけで押し切るのも
映像制作においては一つの手法ではあるのですが
メインテーマが思春期の心理的葛藤なので
急ぎ足の展開とは素材の相性が悪かったように思います

主人公の伊澄だけはある程度尺を取って描写されてたわけですが
他のメンバーに関しては大した描写もなく
いつの間にか問題が解決していたような印象
TVシリーズか何かでもっと丁寧に時間をかけてやった方が
もっと面白くなったように思います

ED後のアニメーションに関しては
まさに予告編といったような感じで
全編通して一番ワクワクする映像でした
続編があるならぜひ見たいと思わされた反面
そこが一番魅力的っていうのは
一本の映画としてどうなんだ?という気もします

映像面は十分に満足のいくものだったと思います
キノの頃からの黒星紅白ファンとしては
郵便屋さんや秘密結社のアニメより
ずっと黒星紅白の魅力を引き出せていたと思いますし
ダンスシーンもなかなかよくできていました
もともとその方面には定評のあるプリキュアチームですから
そこがダメならどこを見るんだ?って感じではありますが

音楽もなかなか悪くなかったです
先週までSHOWBYROCKとコラボしてて
アプリ内でED以外の3つのヴォーカル曲が叩けました
その時は特に思い入れもなかったのですが
映画を見て楽曲に親しみを覚えたときには
もうコラボが終わってて叩けない悲しみ・・・

声優は若手の有望株を中心に
かなりいいチョイスだったと思います
ポコン役の田上真里奈だけは聞いたことがありませんでしたが
チェンクロのイメージソング歌ってたTrefleの一人だったようです
割と聞きやすい少年役だったので
今後要注目かもしれません

さて、この映画はいったいどこに問題があったのでしょうか?
ファミリー向けをベースにして
そこに大友向けの要素をいろいろぶち込んだ結果
どちらの層に対しても訴求力が足りなくなってしまった印象
そしてどんな層に対して発信しているのか
いまいちわかりにくいタイトルやCM等
マーケティング面での失敗が大きいように思います

ハリウッド映画などでは予告編の試写会のようなものを設けて
何通りかの予告編を作ってどういう層にどういう広告が受けるのか
実際にテストして流す広告を決めるそうです
予告編だけでなく本編も試写会の評価を見て
ラストを作り直すことさえあると聞きます

それに対して日本の試写会はただの先行上映会です
様々なメディアが双方向化し
発信者と受信者の境界があいまいになっている現代社会において
旧態依然としたプロデューサーの直感に頼った広告戦略というのは
もはや限界に達しているということに気が付くのはいつなんでしょうか?
作品自体のクオリティはそこまで低くないのに
興行がまったく振るわないのは
作り手ではなく売り手に責任があるように思います

映画館がガラガラみたいな情報ばかりはいってきますが
決して駄作ではないと思いますので
ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います
ED後が本編なんて言われている程に
可能性を感じる予告編だったので
あれが企画倒れになるのだけは阻止したいところです

おまけ(終演後トークイベントでの監督質疑応答)
{netabare}

Q:ポッピン族は楽器とかを使わないの?
  ダンスシーンでかかってる音楽とかはどうなってるの?

A:楽器はちゃんとあって設定とかもあったんですけど・・・
  襲撃されて移動中だから持ってこれなかったんですよ

(プロデューサーから補足があって、時間と予算の関係で入れられなかったそうですw)

Q:ポッピン族には年齢とかあるのですか?

A:年齢のようなものはありますが
  見た目の変化とかはありません

Q:でも長老とかは・・・

A:あれは衣装です
  そういう服に入ってるだけです

Q:レミィには同位体はいないの?

A:もちろんいます

Q:それは作中に出てきていますか?

A:それはまだお答えできません

Q:ED後映像の金髪少女はだれ?新キャラ?

(濁そうとしたところをキャストから質問攻めにあった結果白状)

A:はい・・・レミィです

Q:ED後映像の舞台は原宿ですよね?ロケハンとかいったんですか?
  行列のできる人気店っぽいものが映ってましたが並んだんですか?

A:はい、原宿です
  原宿らしいおしゃれな感じを出そうとして
  某有名店に行きついてたんですが
  自分は行列を遠巻きに眺めるしかできませんでした
  結局、開店前に女性スタッフに撮影してきてもらいました

こういうのをいろいろ聞けるのがトークイベント付き上映の醍醐味ですw{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 26

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

シンクロニシティ

異世界ものですが、最近の異世界ものとは一線を画す作品でした。
古き良き冒険活劇。
ポップなファンタジーアクションRPG風。
伏線らしい伏線が無い最後まで一直線なストーリー。
最後にラスボスがいるベタなファンタジー。
いろいろ絶滅危惧種的なストーリー展開。
なんだか、こういうのは久しぶりに観た感じで、逆に新鮮でした。

この作品の女の子たちは、中学生生活に未練が残る中学三年生です。
そして、卒業式の当日、それはやってきました・・・。

女の子たちが、青春の短さを知り、友情を知り、そして、未練から"卒業"する。
そんな少し大人になる時期に、少し寄り道をする、そんなお話でした。
とても綺麗な終わり方だったと思います。

・・・最後のシーンを観るまでは。
この物語は、最初に伏線が無いと言いました。
実は、唯一、中盤に登場するある人物が謎のままなのです。
それは、ラストにそうきたかと言う終わり方で明かされます。

劇中のダンスは、「シンクロニシティ」と呼ばれていました。
これは、「意味のある偶然の一致」を意味します。
そして、この本当の意味が分かるのも最後のシーンなのです。


女の子たちはとても可愛かったです。
絵もすごくきれいでした。
手抜きが一切なく、とても力が入っている作品だなと感じます。
かなり子供っぽい作品でしたが、意外と楽しめました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

63.1 5 変身で女子中学生なアニメランキング5位
ふたりはプリキュア Splash Star(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (79)
435人が棚に入れました
海原市立夕凪(ゆうなぎ)中学校に通うふたりの女子中学生、日向咲と美翔舞。ふたりは、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピの力により「伝説の戦士プリキュア」に変身し、滅びの力で世界を支配しようとするアクダイカーンやその手下と戦う。

声優・キャラクター
樹元オリエ、榎本温子、山口勝平、松来未祐
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「命」というテーマを描ききった名作(少し修正)

2006年2月から2007年1月放送のTVアニメ。
「ふたりはプリキュア」から、キャラクターも舞台も刷新。
前作は、正反対の二人の女の子の絆の強さが印象的で、なぎさとほのかの関係性が一番のポイントだったと思っています。
対して本作は最初から仲がよく、二人が他の「命」と繋がって行く感じですね。

私はMAXHertからリアルタイムで見ていて、最初は若干の違和感はありました。(すぐにそれもなくなり、今ではすごく気に入っているんですけど)
本作で主人公の入れ替えと言う思い切った選択をしたことが、その後のプリキュアシリーズ化に多大な貢献をしたとも思います。


一貫した「命」というテーマ、地味ながら印象の良いキャラクター達、世界観をあらわす美しい背景、敵幹部の面白さなどが見所。
それらの要素と設定が全てテーマにリンクしているのがとても良いです。

バトルは前作までのアグレッシブな肉弾戦は控えめになり、精霊の力を借りた魔法のような技のぶつかり合いが増えました。
そして「自分たちの大切な日常を守る」という初期コンセプトに沿って、精霊の力をバリアとして用いる、纏った光の粒が衝撃をやわらげるなどはっきりと「守り」を視覚化しています。

全体のまとまりはしっかりしていますが、人によってはダレを感じる部分はあるかもしれません。
ですが単発のエピソードや日常回も、舞台や登場人物を掘り下げる地味ながら良い話が多いです。


【ストーリー】
海原市立夕凪中学校に通う日向咲は、大空の樹で美翔舞と出会い、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピに請われ、二人でプリキュアに変身。滅びの力を振るうダークフォールから泉の郷(精霊の世界)を取り戻し、緑の郷(人間の世界)を守るために戦うことに。


【キャラクター】
{netabare}
地味ですが逆に言うと地に足が着いた印象が強く、大人は落ち着いており、子ども達は純粋に可愛いです。

咲は活発なムードメーカーで妹を可愛がるお姉ちゃん、舞は穏やかですが勘が鋭く意思も強く、二人とも良い子でとても感情移入できます。
日常描写が本当に丁寧で、家族の登場場面、地元の人たちとの交流やクラスメートのエピソードがかなり多く、自分たちの住む町が好き、そこに暮らす人たちが好き、というキャラクターに厚みを出していると思います。

泉の郷からやってくる精霊達も見所ですね。
咲と舞のパートナーであるフラッピとチョッピ、中盤から登場する幼い精霊ムープ、フープは可愛らしくくるくると良く動き回り、そこは女児向けらしいですが、4匹ともプリキュアを助けるために危険に飛び込むような行動もし、心の強さも持っています。ムープとフープは満・薫とも縁があり、人間関係(?)でも役割を持っていたのも良かったです。

泉の郷のフィーリア皇女は最初は力を失っており、プリキュアが奪われた6つの泉を取り戻すにつれ回復して行きます。
戦う力はありませんが咲と舞をできる限り助け、プリキュアへの感謝の心や精霊たちをねぎらう優しさを常に持っている、人の上に立つ者の鑑みたいなキャラクター(一時期、訳あって咲の家の猫・コロネの中にいたりしますがw)。
最高位の精霊なのだろうとは始めから思ってましたが、ラストで明かされる世界樹の精霊というのも設定として良く嵌っており、デザインもシンプルながら上品で美しく、とても好きなキャラクターです。

強烈な個性を持つのはむしろ敵側で、きわどくインパクトのあるキャラクターデザインと声優さんのアドリブもあいまって、アクダイカーン様以外の全員がかなり濃く面白いキャラにw
特にゴーヤーンはもっとも酷薄で、序盤はアクダイカーンの腰巾着のようですが、後半の活躍もあって凄く良いキャラクターになっています。
真の姿のデザインはちょっと世界観違いますけど、器のでかさが恐ろしいというかカッコいいw森川さんの演技、すごく良いです。
{/netabare}


【テーマについて】
{netabare}
本作はテーマが一貫して「命」であり、咲は「全てのものに命は宿る」と両親に教えられていて、この言葉が作中でも度々出てきます。
対してダークフォールは「滅びの力」を使っていて、「殺す」のではなく存在そのものを「消す」ことが目的でした。

「生と死が循環するのが命の正しい在り方」というのが本作の肝。
子ども向けアニメで人や生き物が死ぬシーンを入れずにそれを表現するのは簡単ではありません。

ですが本作では、襲ってくるダークフォールの幹部は自然物の命を歪めた存在で、プリキュアに倒されることで正常な命の循環に還るのです。
満と薫はもともと滅びの力から生まれた存在ですから精霊たちにとってはある意味では異物でした。ですが命の営みは単純な繰り返しではなく、時に異物を受け入れても大きな流れは変わらない複雑な「循環」です。だからこの世界には満と薫が受け入れられる場所があったのだと思っています。

序盤から「絶対に奪われてはならない」と言われていた7つ目の泉“太陽の泉”が実は母なる海であるというのも、初見では驚きましたがテーマにしっかり嵌っています。舞台が海に面した街であったことも良かったと思います。

人との繋がりを大切にする、命を大切にする、自然を美しいと思う、そういう小さな演出が最後までぶれなかったのが本作の凄いところ。その積み重ねがテーマに説得力を生んでいました。
{/netabare}


【満と薫について】
{netabare}
満と薫はダークフォールの幹部として咲と舞を倒すために近づきます。(いわゆる偽友作戦てやつですね)
最初は二人は考えている事はあまり変わらないのですが(容姿は全然違うんですが)、緑の郷での経験が増えるにつれ、二人の言動に少しづつ個性のようなものが見えてくるのも面白いです。
緑の郷を美しいと感じるようになり、咲や舞と友達になった満と薫は、アクダイカーンを父親と慕いながらも命令と自分たちの願いとの板挟みに悩みます。中盤の山場で、自分たちの本心をアクダイカーンにぶつけるシーンは必見。

そして二人を後押しし、助けようとする咲と舞。
命の大切さと世界の美しさを生まれたときから知っている咲・舞と、緑の郷に来て初めてそれを知った満・薫の対比が上手です。
終盤の満と薫のエピソードも重くなりがちでしたが、それを一緒に背負う咲と舞が負担を軽くしてくれました。

ラスボス交代は驚きましたが、満・薫に親殺しをさせたくなかったという理由もあったのではないかと思います。
この辺りは子ども向けとしての配慮でもあるかな。
{/netabare}


【本作の最大の特徴】
{netabare}
私が本作に特に感じるのは「重さ」です。

序盤では咲と舞は敵に「どうしてこんなひどいことをするの?」というような問い掛けを度々しています。話し合いが出来ないか模索するような描写です。
しかしダークフォールが求めるのは無の世界なので、自分たちの大切なものを守るには戦う以外の選択肢はありませんでした。

悪を倒すとかそういう話ではないのは他のプリキュアもそうなんですけど、ここまで和解の可能性が無いのはSSくらいじゃないかと思うのですよね。
歴代プリキュアの中である意味もっともシビアで過酷な設定ではないかと思いますし、行き着くところまで行ってしまった感じもあります。バトルが抑え目にも関わらず本作をかなり「重く」感じる理由はそこなのでしょう。
そしてそれを女児向けらしい明るさと優しいキャラクターで緩和しているのが素晴らしいところ。

プリキュアシリーズは作品が進むにつれ、敵との和解による戦いの終息へと女児向けとしては妥当な路線変更が行われました。
私はどちらも好きですし、今も楽しめています。
{/netabare}

派手さはそこまでありませんが、子ども向けとしての細やかな気遣いが感じられ、明るい雰囲気で深いテーマを描いた素晴らしい作品です。
いろんな年代の人にゆっくり一話ずつ楽しんで欲しいです。(2015.11)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

絶好調ナリ

プリキュア3作目。
全49話。

運動が得意な咲と絵が得意な舞が今回の主役。
基本設定は前作を引き継ぎ、悪の組織と戦う話。

特徴は自然を強調している感じ。
そして、全体的に柔らかい印象。
技も守り(バリアみないな技)が採用されている。
アクションもゆったりした感じになっている。

どうやら女児向けにしては、前作はアクションしすぎとのことからの変更らしい。
そのため大人目線で見てしまうと少々物足りない。
前作がかなり動きまくっていたので、おやっ?て感じだ。

恋模様も採用されてはいるが、前作までに比べればかなり控えめ。
好きな彼の前ではしおらしくなるって感じだ。
良くも悪くも女児向けに起動修正されている印象だ。

全体的に大人目線で観てしまうと、
前作より見劣りしてしまう印象になってしまっている。
ちょいと残念なプリキュアといえる。

それでも、お子さんと観るのであれば
安心して視聴できる作りはさすがというべき。
その辺の気づかいは賞賛に値する。

また、後期ED曲のガンバランスdeダンスは
皆様もどこかで聞いたことがあるのではという曲。
なかなか楽しい曲にしあがっている。

そんなわけで、女の子がいる家庭にはお勧めではないかと思う。


と、まあ色々書いてきたが
何が言いたいかというと

「アコギな真似はお止めなさい!」って台詞は女児向けじゃないだろw

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

花が咲き、鳥は舞う。風が薫り、月は満ちる。

正直全体的にはどうかと思う部分が多い。


戦隊もの的に単に悪いやつを毎週倒すな展開だと単調だし、特に戦闘シーンの作画はヤベーレベルにピンチなことが多い。


ラスボスもネオエクスデス的で、設定上の敵というだけで深味やカリスマに正直欠ける。ドッキリ展開も、展開のための展開な感じ。mhの展開と似てるし。


しかし、満と薫の存在が本作を際立たせている。


主役の咲と舞は良いキャラだけど、葛藤や悩みといった人間的に成長する余地があんまりない。


その点、初の寝返り幹部キャラ(正確には違うともいえるが)で不憫な満と薫は葛藤が実に良い感じ。


みんなに触れ合う内に目覚めた気持ちに悲しいような困ったような笑顔を見せる二人。


ついに、プリキュアと闘う決意をするも、その前に初めて曇りのない笑顔を見せる二人。


解説に烈海皇がいたら「裏返ったぁ~!!(満と薫の気持ちが)」な名シーンである。


そして、クライマックス。


間違いなくプリキュア史上に残る燃える復活シーン


ここも烈海皇がいたら「復活!!、ふたりはプリキュアスプラッシュスター復活!!。」な名シーンである。


そして、4人の名前の意味と、「グレンラガン」のごとき最終回タイトル回収が炸裂。


色々あったけど、こんなもん見せられたら好きになっちゃっうよね。本作は、満と薫が人間になる物語として評価したい。


しかも、二人はプリキュアにはなれなかったから、その後のオールスターとかには出れないし…。


もっと二人の出番が多かったらなぁ~。


あと、本作の大きな力の一つは佐藤さんの音楽だろう。プリキュアは音楽が際立っている時はやはり輝きが違う。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 8

59.7 6 変身で女子中学生なアニメランキング6位
ナースウィッチ小麦ちゃんR(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (75)
396人が棚に入れました
吉田小麦は元気が取り柄でちょっぴりドジな中学二年生。
クラスメイトで親友の西園寺ここなや、男装アイドルの如月ツカサとともにアイドル活動をしているが、人気急上昇中のここなや男装のカリスマのツカサとは違い、小麦のお仕事は地元商店街でのライブなど地味なものばかり。
それでもある「夢」を持ち、楽しくアイドルと女子中学生の両立生活を送っていた。
そんなある日、小麦の前に傷ついた謎の生物・うさPが現れる。
小麦が手当をしてあげると、その優しさを見込んだうさPは小麦にまじかるな力を使える伝説の女の子になってほしいとお願いしてくる。
わけあって渋々伝説の女の子になった小麦は、突然現れた奇妙な怪人と戦うことに! 『まじかるナース』と名乗った小麦は以降、次々と現れる怪人と戦うはめになってしまう。
そんな中、『まじかるメイド』や『まじかるシスター』も現れてみつどもえのバトルに! ? 小麦は『女子中学生』『アイドル』『まじかるナース』の一人三役をこなせるのか。
そしてバトルと「夢」の行く末は……! ?

声優・キャラクター
巴奎依、山崎エリイ、小市眞琴、吉野裕行、浪川大輔、竹内良太、内匠靖明、伊藤静、三宅健太、桃井はるこ、野島健児、樺山ミナミ、前田玲奈、小日向茜、松井恵理子、立花芽恵夢、朝日奈丸佳

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「R」の称号を与えられて帰ってきた小麦ちゃん・・・

ナースウィッチ小麦ちゃんは、もともと「The Soul Taker 〜魂狩〜」のスピンオフ作品です。
ナース姿で奮闘していたシリアスな本編から一変してタツノコプロのパロディネタ満載だった作風が印象的な作品でした。
その小麦ちゃんが「R」の称号を与えられて帰ってくるんです・・・となっては、最早視聴しない訳にはいきません。
もともと「邪道魔法少女作品」というある意味名誉な二つ名で呼ばれていた前作は、その当時人気があったみたいですので、正直やりにくさはあると思います。
でも「小麦ちゃんの2期」として期待していた人は、私だけじゃ無いと思います。

注目の第1話・・・まず小麦ちゃんの設定ですが、同じ小麦ちゃんでも中原小麦ではなく吉田小麦・・・名前は一緒でも全くの別人になっていました。
でも小麦ちゃんのノリは往年の小麦ちゃんそのものでしたけれど・・・^^;
そして小麦ちゃんがおキャンP娘として対峙するのは・・・今回はウィルスではなく、おファンタGから地球に落ちたおファンタG札地球上の物体と接触する事で生まれる怪人が今回の相手です。

そして小麦ちゃんのライバルですが前作は国分寺こより・・・悪の総帥アングラーによってまじかるメイドに変身したこよりが小麦ちゃんを攻め込んできましたが、今回はその様な敵はおらず、小麦ちゃんを含め3人のおキャンP娘で札の枚数を競い合うのです。

そんな3人のおキャンP娘は以下の通りです。
吉田 小麦(CV:巴奎依さん)まじかるナースにおチェンG
西園寺 ここな(CV: 山崎エリイさん)まじかるメイドにおチェンG
如月 ツカサ(CV:小市眞琴さん)まじかるシスターにおチェンG

小麦とここなの関係が前作での小麦とこよりの平常時バージョンそのもの・・・
小麦はドジっ子で、ここなちゃんは成績優秀な人気アイドルなのに努力を怠らない勤勉家。
小麦は良いとしても、ここなちゃんは完全に色んな設定が特盛状態・・・それでも全然嫌味っぽくないのが彼女の持ち味であり長所でもあるのだと思います。
何より何事にも一生懸命頑張る姿が元々の可愛らしさに拍車を掛けていました。
実は今回の一推しキャラがここなちゃんだったので、多種贔屓目かもですが(//∇//)
そこに王子様キャラとして女性に大人気のツカサが乱入した三つ巴の状態で物語が動いていきます。
小麦とここなちゃんのキャラには無い部分をちょうどツカサが埋めたような感じになって、バランスが良くなったと思いました。

高校で勉強に励み、アイドルに全力投入して、おキャンP娘として奮闘する・・・
勉強に仕事に大忙しの3人が見せてくれるモノは案外等身大の彼女達そのもの・・・
相手を思いやって褒めて励ます・・・そしていつか3人の願った夢の実現に向けて頑張る彼女達・・・
前作の様なパロにばかり走るのではなく、仲間とか友情という路線もしっかり見せて貰ったと思っています。

完走して振り返ってみると・・・タイトルにも記載した「R」の称号ですが、結局どの辺が「R」なのかは正直分からず終いでした。
特に自動車の世界では「R」の一文字があると無いとで時に雲泥の差が生じる事があるので、色々期待していましたが、単に「reverse」頭文字だったのかもしれません。
それでも、さすがは老舗のタツノコプロです。登場させる往年のキャラの層の厚さは半端ありませんでした。
3人の頑張りが気になる方は、是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、まじかる☆あ〜るの「Ready Go!!」
エンディングテーマは、乙女新党さんの「雨と涙と乙女とたい焼き」
オープニングで少しだけ流れるキャラ弁のクオリティが半端ありません。
こんなお弁当を持って行った日には・・・間違いなくヒーローになれるでしょう^^;

1クール12話の作品でした。作品自体はノリも良くて楽しませて貰いましたが、唯一残念だったのが、地方テレビで視聴できなかった事です。
私はニコ動で視聴しましたが、PC環境によっては視聴できない人も多くいらっしゃるみたいなので。
もし、続編があるとすると・・・今度は「RR」になるのかな^^;?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 17

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

普通の魔法少女モノに路線変更?

結局、最後まで観てました。
10話が妙にツボにハマりまして。
服着たまま温泉レポートがシュールで好き。
最終話のボコられたうさP達の姿も涙を誘いましたですw

当初期待してた昔の小麦ちゃんとは路線が違うのは残念でしたが、なんか不思議と面白さは有った気はします。
コレ、多分最近の子供向け魔法少女モノ見てると面白いんでしょね。
ブリバラで肉の部位って言われてもプリパラ観てないし、私(汗)

立木文彦さんのナレーションが秀逸です。
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結局8話まで観てます。
なんか慣れてくると、コレに関してはコレでいいんだという妙な得心。
何か目新しい要素とか突出した個性が有る訳では無いとは思うんですが。
昔の小麦ちゃんのイメージで見ては失望するだけなんですが、日曜の朝の寝起きに見ると心地イイです(汗)
お決まり事の繰り返し故の観易さの中の狂気にも似たテキトウさ包括されていて、何故か切ろうとは思わないんですよね。

別にお勧めはしませんがw

それにしても怪人の声、大御所ばかりで謎の金の掛け方すよね。
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 "小麦ちゃん"の名を冠してる以上、一話目からムチャクチャなのやってくれると期待してたんですが(汗)
やはりOVAではなく地上波キー局となると、色々アレなんでしょうか。
直近のおそ松さん第一話の轍は踏まないという事なら、パロディ満載の昔のあの作りはあまり期待出来ないのかも。
青もあの「レッツビギンでございます」とか言って極悪な事するキャラにはならなそうだし・・・
まさかこのまま普通に魔法少女モノやりはしないと思いますが、序盤だからと数話この調子で導入部やってたらヤバい気がします。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 16

37111 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

お、おきゃんぴー娘?w

4話まで
今期2番目に面白いかも。プリキュアをオマージュしすぎww

今期3本の指に入る面白さ。
魔法少女もの数あれど、魔法の世界の住人の設定に沿った行動をしない魔法少女は新鮮。必殺技なんかも小麦ちゃん独自の名前を付ける始末。
そういった破天荒な部分がとっても面白く爽快でよかった。全体を通して暗い部分が一切なく、明るく楽しく見られる。元気がもらえるってこういうことなんだなと。
小麦ちゃんがとってもかわいい。今期ベスト八重歯。

Rってことは無印とかもあったんだと思うけど全く見てない。

ちょこちょこ出てくる昔のアニメのキャラも気になる。
週替わりで出てくる大物声優(怪人役)がマジで豪華で。


総評:何回でも見られる。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 15

68.1 7 変身で女子中学生なアニメランキング7位
ヒーリングっど♥プリキュア (TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (31)
125人が棚に入れました
地球を癒やし“お手当て”してきた
秘密の世界【ヒーリングガーデン】が、
地球をむしばみ 病気にしようとする
【ビョーゲンズ】の襲撃にあって
危機に陥ったため、地球が大ピンチに!

このピンチを救うため、
逃げのびた3人の“地球のお医者さん見習い”である
ヒーリングアニマルたちが、
“ヒーリングガーデンの王女”で
【特別なちから】を持ったラテとともに、
パートナーを探しにやって来た!

3人の普通の女の子が彼らと出会うことで
プリキュアに変身し、ビョーゲンズに立ち向かう!

ビョーゲンズの攻撃を察知して
元気をなくしてしまうラテや、
大切な地球、そしてここに生きる
全ての生命を守りたい気持ちを胸に
プリキュアたちは今、地球のお手当てのために力を合わせる!

さあ、スタート!プリキュアオペレーション!

声優・キャラクター
悠木碧、河野ひより、依田菜津、加隈亜衣、武田華、金田アキ、白石晴香
ネタバレ

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

楽しめたが、いろいろ不運な作品

今の世界情勢が、偶然ながら作品の世界観とリンクしたプリキュアです。

しかし、そのことが話数にも影響を与えてしまったので、消化しきれなかったエピソード
(多分、各プリキュアの"担当回"1回ずつはお蔵入りになっただろう)があるかもしれません。



最初は、そこが作品のクオリティに影響を与えてしまったかもしれないと思っていたのですが、
考えてみたら"それ以前の問題"があった気がしています。



ツッコミどころ①

第1話で{netabare}病弱なキャラとされているのどかが、
大木の下敷きになったラビリンを怪力で救出(力のある成人男性でも厳しそうだが・・・){/netabare}

ツッコミどころ②

キュアアースの変身に、{netabare}ビョーゲンズの影響で体調不良のラテが(全力で)関わらなければいけない{/netabare}

ツッコミどころ③

父が獣医であるにも関わらず、勉強ができない設定になっていた平光ひなた
(家族との関係性を丁寧に描いていることが多いプリキュアシリーズにしては痛恨のミスでは?)
ただ、勉強ができないキャラが一人ぐらいいないとなぁ、という考えもわからないでもない・・・。

あと、ラテの言葉を聞くためには聴診器を当てなければいけないのですが、一人が聴診器を当てると他のプリキュアにも言葉が聞こえるという(これは細かい問題なので責めるのは酷ですが)



もちろん素晴らしかった点もたくさんあります

プリキュアが変身する際、パートナーであるヒーリングアニマルも一緒に口上を言う
(一心同体感が歴代のプリキュアの中でも一番)

顔芸が素晴らしかった!(作画崩壊ギリギリと言えなくもない顔が、何とも絶妙で笑えた)

あとこれは偶然でしょうが、
{netabare}のどかが過去、意図せず体内でビョーゲンズの種を育ててしまっていたことを悩むくだりが、新型コロナウィルスを無自覚で体内に持ったまま感染を広げてしまった人の苦悩とリンクしていた{/netabare}

{netabare}ダルイゼンが「再びのどかの身体に隠れたい」と持ち掛けてきたが、苦悩の末拒絶した際に放ったセリフ「都合のいい時だけ わたしを利用しないで!」が、ウーマン・リブとかにつながる
(女性の身体は女性自身のものであるという当たり前の考え)点{/netabare}は本作のハイライトでしょう。



全45話でも「各キャラクターの掘り下げが足りない」
と感じてしまうのも、プリキュアシリーズゆえでしょう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 5
ネタバレ

郷音 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

手と手でキュン!ハートつないで地球をお手当て!

2020年放送アニメ。

地球をむしばむビョーゲンズに立ち向かうためヒーリングアニマルに選ばれた女子中学生3人が戦う物語。

今作はコロナウイルスによる休止があったことで2か月ほど空いてしまったのが悔やまれるほど、ところどころ消化不良があった印象です

{netabare} 吸収されたシンドイーネのその後とかビョーゲンズ誕生の原因とかね {/netabare}

それでもきれいに終わったと思うし伝えたいメッセージも深かったね

{netabare} 最終回、人間否定派のサルローの声がキングビョーゲンさまと同じ声優ってすげぇ考えさせられるよね
ダルイゼンに向けたのどかの一言やちゆの女将とハイジャンへの思い、ラビリンののどかへの思い。すごい名言が多かったね{/netabare}

人類とウイルスとのたたかいは続くし終わることはない。

それでも生きてるし生きてくんだ。

今だからこそより響く作品だと思います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 2

pop22 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

いつも通りのプリキュア

終盤、嫌なことはNO!と言えたことは良かった。
いくら女児向けとはいえ、嫌なことをYESは駄目だよね。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 1
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