任務で熱いなアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の任務で熱いな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月08日の時点で一番の任務で熱いなアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.1 1 任務で熱いなアニメランキング1位
劇場版「幼女戦記」(アニメ映画)

2019年2月8日
★★★★★ 4.1 (482)
2535人が棚に入れました
統一暦1926年。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二〇三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。凱旋休暇を期待していた彼らだが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦果を拡大してゆく……時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准尉。父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。

声優・キャラクター
悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章、大塚芳忠、飛田展男、濱野大輝、笠間淳、林大地、小林裕介、土師孝也、小柳良寛、高岡瓶々、森川智之、福島潤、田村睦心、戸松遥、チョー、稲垣隆史
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今さらタイトルで敬遠もなかろうて

原作未読 TV版視聴済み


“存在X”とか説明なしに語られてるためTV版を視聴済みであることはお作法といってよいでしょう。
あいかわらず主人公が幼女である意味がわからない『幼女戦記』の劇場版となります。

たいしたこと書いてないけどミリタリ的見解はTV版のレビューに載せとります。
俺たたENDなTV版の最後覚えてます?※一応隠しときます。

ネタバレレビューを読む

続きが気になる終わり方だったのでおおむね劇場版に期待するのはこんなところ↓
Q
1.答え出るん?
2.戦闘は派手になる? ※そこはホラ、、、映画だし(^^)

ざっくり回答は↓
A
1.出ません。
2.派手になります。市街戦闘ではぬるぬる変態的な動きをしてます。

スタッフや声優を引き継いで制作してるので大外しはありえません。安定して面白かったです。
ついでに、“信仰心と合理性”なのか“感情と理性”なのか?
“存在X”とターニャが対峙しての二項対立のような図式に見えてたけっこう重要な部分。
ターニャの対立軸として、この“信仰心”ないし“感情”を体現する存在が登場したこともファインプレー。もちろんネタバレレビューを読むのことです。

これで見やすくなりました。神VS人間よりも対立する両極端な人間同士のほうが物語が破綻しにくい。
己が正義とのぶつかり合いになって譲れない争いになりますし、元はといえば存在Xという同じ親から生まれた相反する二つの概念であるという深みとコクも出てきます。

【作品テーマ】

 存在Xとの落とし前をどうつけるのか?

⇒これは道半ばです。

【劇場版の面白いとこ】

 ◎ ターニャ VS メアリー・スー
 ○ 市街戦闘

きわめて劇場版らしい。劇場版に期待するところを満たした『劇場版幼女戦記』でありました。



※ネタバレ(もある)雑感

■世界観の意図

既視感のある国・人・軍事パーツを素直に楽しめる一方で、WWⅠとⅡをごっちゃにして~の史実との乖離や魔導部隊なる設定。純歴ヲタだとアレルギー出そうなのもわからなくもない。なんせ空飛ぶ人間が銃剣で戦闘機の翼をたたっ斬ることができちゃう世界ですから。これには一家言あって、


 これ外国でも流すんですよね?


アニメ大好きフランス・イタリアやアメリカ。ドイツも例外ではありません。それらの国を配慮して…なんてアホなことは言いませんよ。

 ネタバレレビューを読む 

それに欧米人が耐えられるか?って無理だからちょっと外した世界観なのだと劇場版観て思いました。

選挙で選び渦中は熱狂した事実に蓋をして全部ナチスに罪を被せて、ニュルンベルク裁判の前と後とで分断を図り逃げ切ったドイツ。
反省したドイツを見倣え!って彼ら反省なんて微塵もしてませんけどね。「我々とは別のナチスなるもの」を作っておっかぶせただけです。もちろん賠償には応じてません。

次にアメリカ。原爆投下を正当化するストーリーは皆さん耳タコでしょう。自らの罪に向き合ってない点ではドイツと一緒。

イデオロギーにしちゃうのはどうぞご自由に!彼らの意見に乗ろうがかまいませんが、少なくとも私は日本国籍を有する者なら「違うだろ」と指摘し続けることがお作法であるとの考えです。

何が言いたいかっていうと、彼らのン百倍は反省している、なんなら反省しなくてもいいことまで、それにおかわりで“俺たちの反省はこれからだ”の勢いで反省している我々からすれば、

 ネタバレレビューを読む

と思っちゃうんですよね。世界広しといえどもドイツ第三帝国を茶化せるくらいの表現の自由が認められてるのは我が国くらいなもんです。
ぶっちゃけ仮想ナ○スが活躍する作品なんてリアルに寄せすぎると×。これくらいのファンタジーっぷりでちょうどよいと思えるのです。そのうえでやや無理筋な作品設定については流れてる哲学が荒唐無稽でなければ無問題と考えます。


其の一:ネタバレレビューを読む


其の二:ネタバレレビューを読む



■ドキッとくる至言

トンデモ設定もあるにはあるけど底流がしゃんとしてると私は思います。
たまにグサリとくる高速ストレートありませんでしたか?

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■(オマケ)主題歌について

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これ2期ないと詐欺ですよ。待ってます!



視聴時期:2020年2月 

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2020.02.26 初稿
2020.09.21 修正

投稿 : 2025/03/08
♥ : 59

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

戦争が無ければ誰からも愛されて皆に愛情を与えていた少女…

この劇場版は、テレビ版の続きです。
そして、この映画では深く考えさせられたことがあります。
それは…


今まではターニャの魔力に匹敵する敵はいませんでした。
そのため、面白みに欠けていましたが、今回は違います。
ついにターニャの力量に匹敵する好敵手(ライバル)が現れます。

その名はメアリー・スー。
彼女は、ターニャが倒したアンソン・スーの娘。
メアリーが父に贈った銃をターニャが持っていることから、ターニャを父の仇と確信します。

メアリーは信仰心が深く家族思いの優しい娘です。
戦争さえなければ、彼女は銃で人を撃つことも拳で相手を殴ることもなかったでしょう。
誰からも愛され、多くの人に愛情を与えていたはずです。

しかし、今の彼女の生きる目的は父の仇を討つこと。そのためならば彼女は何でもします。

市街地でメアリーはターニャを見つけます。するとメアリーはターニャを追いかけ、銃を連射します。
もちろんターニャは銃弾をよけるので、メアリーが放った銃弾は民家に当たり、民家が壊れます。延焼します。

当然のごとくメアリーの銃弾で多くの市民が家を失ったり傷を負ったり亡くなったりしているはずです。
だけどメアリーは気づきません。自分が不幸にしている人がいることを…
今のメアリーには、復讐心しかありませんでした。

メアリーはターニャを追い詰めます。
拳で何度もターニャの頬を殴ります。ひと思いに殺せば良いのに、メアリーはそうしません。
散々殴った後、教会の礼拝堂へターニャを引きずります。
そこで恨みを言って殺すはずだった。

だけど、すぐに殺さなかったその甘さがメアリーの命とりでした。

おそらく、ターニャならば、相手が殺せるときを見つけたら、ためらいなく殺します。なぶり殺しにはしません。だって隙を見せることになるから…
それにターニャならば、そもそも仇を討つという発想すらありえません。

だってこれは戦争だから。国同士が認め合った人と人とが殺し合う戦いだから。
仇という概念を持つと、戦争は果てしなく永遠に続くことをターニャは知っています。
彼女の考えは、いつも合理的です。

家族思いで心の優しいメアリーと合理的で冷血なターニャ。
あなたは、どちらが多くの一般市民を殺傷していると思いますか?

投稿 : 2025/03/08
♥ : 48

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

なんでこーなった!

原作未読 1時間45分

TV版の「幼女戦記」の続きです。先にTV版を観ることをオススメします。

次々と最前線の戦場を駆け巡る(駆け巡らされる)異世界から転生させられた少女ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる帝国軍第二〇三航空魔導大隊のお話。

今回は、TV版で因縁が出来たある少女とのお話がメインとなっています。

TV版と同じく調子に乗ったところもあり、夢の後方勤務とはならず大部分が戦場でのお話でバトルシーン満載でした。

バトルシーンは大画面と音響で映画ならではの大迫力です。

ターニャの禍々しい顔芸も健在ですw 観ていると幼女という感じは全然しなくなりますねw

まだまだ続きがありそうです。次回があるのならばTVに戻ってほしいですね。

EDは、ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐役の悠木碧さんが歌う「Los! Los! Los!」とTV版のOPを歌うMYTH & ROIDさんの新曲でした。

最後に、TV版と同じで自業自得な面が多かったですねw

投稿 : 2025/03/08
♥ : 41

85.2 2 任務で熱いなアニメランキング2位
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(アニメ映画)

2020年10月16日
★★★★★ 4.1 (588)
2538人が棚に入れました
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった。

声優・キャラクター
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔

takato さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

◯西先生「まるで成長していない…」。◯◯◯の目にも涙には爆笑。

 いやあ〜笑わせてもらいました、泣かせ演出がクドいなぁ〜と思ってたらまさかのダメ押しにおもわず吹き出しました!。まぁ、笑わせよう?としてるシーンはテレビの頃と変わらずビタ一笑えませんでしたが…。


 今回はシンプルに本作のレビューになります。そして、時間が経ったら外的要因以外の本作のヒットの要因分析をしたいと思います。まぁ、そちらは当て推量もいいとこですので話半分に読んで頂ければ幸いです。


 結論から申し上げると「上手くない」の一言に尽きると思います。別に高度で複雑なことをやれ!とは言いません。単純にエンタメとして、物語という名のジェットスターに乗せて上や下への大興奮をさせるが下手。


 バトルの作画は確かにスピードはあるし、一コマずつ止めても崩れていないんじゃないかってくらい整っています。しかし、バトルにロジックが薄いし、形勢が二転三転したり、こちらの想像の上をいくという点があまりにない。そもそも整ってる作画が良い作画なのか?。バトル作画はそうではあるまい。そこまで大好きじゃないが、同社のHfの方が凄かったような。


 技もエフェクトが凄くなったりするだけで何をしてるのかそもそも分かりづらいし、この技はこうだから相手の上をいった!とかがないので、ひたすらテンションとエフェクトとスピードだけで押している印象で、結果なんか凄いんだろうけどこちらのテンションは全然上下しませんでした…。


 バトルには、敵役が味方と同じかそれ以上に大切ってことが見落とされてるのもテレビと変わってないように思えました。下弦はサディスト、アカザはバトルマニアという類型的な印象を超えるものが何もない。


 夢を扱うキャラなんだから下弦はもっと人間に対して色んな想いや信条を持つキャラにもできたろうし、アカザもバトルマニアなら敵味方を超えた友情のような何かを煉獄さんとの間に築くキャラにもできたろうに…という感じです。例えば、「ジョジョ」のワムウとか、「ジャイアントロボ」の衝撃のアルベルトとか。


 最後もあれじゃあ…格好つかないし、スッキリしない終わり方ではないでしょうか?。前述の衝撃のアルベルトと戴宋の闘いのように、二人は因縁のライバルだが、最後の最後で煉獄さんが決着よりも炭治郎を守ることを優先して…みたいな展開ならグッときましたが…。初対面なのになんでアカザはそんなに煉獄さんに惚れ込んでるの?って感じですし。


 それ以上に本作で問題なのは、キャラ同士の関係性や感情の変化の過程をスッ飛ばし、やたらエモさと勢いだけでなんとかしようとしているところだと思います(キング・クリムゾンかな?)。キャラがやたらエモければこちらもエモくなるわけじゃないので…。


 キャラクターの感情もストーリーも、盛り上げるにはピラミッドを築くように一段ずつ積み上げていく必要があります。ピラミッド作りには建築学が、ひいては数学の基礎が必要ようなように視聴者の感情を動かそうと思ったら心を打つ物語を作るための技術に基づいた丹念な構築が不可欠です。優れた作画も音楽も築き上げた感情の爆発の助けにはなるけど、それがないんじゃ砂上の楼閣である。



 それが、本作では煉獄さんと炭治郎達の間に、更には敵たちとの間でも関係性を十分に築けているとは到底思えません。煉獄さんと、亥之助や善逸や禰豆子の間にどんな絆が出来たというのか?(善逸に至っては普通に出番少な過ぎ)。顔を少し合わせたぐらいで、禰豆子に至っては本作の中で煉獄さんと絡む瞬間すらなかったような…。


 炭治郎も、背中と背中を合わせて共闘したりして、この人の生き様に覚悟に惚れる!みたいな展開がないからやたらメソメソされてもなんで?という感じでノレない…。


この中の話では、炭治郎にとって強くて優しい先輩くらいにしか煉獄さんのことは思えないような…。熱い絆をこちらも感じられれば、そりゃあこちらも泣きますが、あんたら出会ってそんな経ってないし、そんなに心通わせ合う展開なかったやんけ…という。



 百歩譲って炭治郎が泣くのは良いとしても、亥之助、況してや善逸は泣くほど付き合い欠片もねぇだろ!とツッコミたくなる。炭治郎が泣いてるから泣いてるくらいにし見えないんですよねぇ…。



 別に泣き演出が嫌いなわけではないのです。むしろ私は泣き上戸で、好きな作品見てればもれなく泣く方です。ただ、十分なセットアップなしに、泣け!泣け!ってやられてもシラケるだけなんですよねぇ…。


 煉獄さんも「大いなる力には、大いなる責任が伴う」みたいな、スパイダーマンで何度も見たような話を回想でお母さんに説教されても…という。それは物語の中で煉獄さんの行動や生き様で見せてきてこそ効いてくるもので、あそこで急に出てきても…。


 その部分もただセリフで言うんじゃなくエピソードや具体的な行動で見せた方は良かったと思いますし。そもそもなんでお母さんは、あんな説教を煉獄さんにしたの?という感じが…。


 他にも、「夢」という能力はいくらでももっと面白いバトル展開(インセプション的な)が出来たろうとか、せっかく眠ってる時に強いという善逸の設定…とか、下弦に協力してた乗客たちをもっとドラマに絡めればいいのにとか、言いたいことは山ほどありますが、最後に一言。


 あたしゃあ、この列車には乗れないねぇ…。


 コロナはやはり拡大傾向でえらいことになりそうですし、子供たちが見たがってるからって映画館に連れていくのは鬼よりずっとヤバイと思います。くわばらくわばら。


 宮台真司さんの本作評は実に良かった。煉獄さんの生き方に関するギリシャ的な倫理の在り方は実に興味深い!。ただ、それが上手に表現出来ているとは思わない。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 73
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

列車と流行は乗るものです

長いものには自ら巻かれにいきます。プライドはありません。


全23巻で完結するだろう原作漫画の7巻ぐらいまでを2クール26話でアニメ化。この劇場版は8巻の内容に相当、TV本編からの続編を意味します。

2期やるならゴールデンタイム放送も荒唐無稽な話ではなく。
しっかりバンダイさんが日輪刀を発売してますし、物販で円盤以外の武器があることは強み。原作が完結しているとはいえ暫く商売にはなりそうです。
そしてこの劇場版。老若男女巻き込んで記録的ヒット中なわけですがなんか様子がおかしい。初見の方が楽しんでるのです。「続編だからTV版観といてね」というわけでもなさそう。整理します。

1.原作を読んでいる。読んでない。
2.アニメを観ている。観てない。
3.観た人はリアタイの頃?それとも最近?

一見さんお断りというわけではないのでそれぞれ立ち位置だけ確認。
自分は原作未読でアニメ視聴済み。かつ公開直前の部分一挙放送でおさらい済み。もしも準備したいなら第21話以降最後までをおさえておくとよいかもしれません。
ネタバレレビューを読む


【社会現象】
様々な角度から分析されてるでしょうから細かくやらんけど、もたらされた興収で一服つけた映画館が数多くあったと聞きます。上映作品の弾数少なくスクリーンに空きができたコロナ禍の特殊事情なんてのを数年後に思い返すことでしょうね。流行り病を鬼の仕業とみなす伝承になぞらえ、経済循環の一翼を担うことで現実世界でも鬼退治してるようなもんに思えました。


そして本編。
冒頭の1カット。え!?実写ですか?というところから始まります。TV版の第1話は、え!?劇場版ですか?という入りだったのでなんとなく既視感みたいなのを感じますね。
美術はTV放映での神回と呼ばれる第19話の気合が最初から最後まで続くと思っていただいてよし。
117分の上映時間のうち一部を除いて列車の中での出来事です。殺陣や空間を使った演出など狭い列車空間ではスケールダウンするかもという不安は杞憂となってます。梶浦由記さんの劇伴も物語を盛り上げ、作画/音楽の良さは太鼓判を押せましょう。まさに劇場で鑑賞すべき作品ですね。

ストーリーはいかんせん途上なのでなんとも言えじ。全体でどうこうはひとまず置いといて1エピソードとしてみるなら申し分なしではないでしょうか。家族愛との結びつきで“強くなれる理由”を知った本編なら、その強さを何のために使うのか志(こころざし)の領域、メインキャラ煉獄さんを通して“闘う理由”が劇場版でははっきりしてきます。感動するとしたらここ。個人的にはむしろ家族愛に囚われちゃうと見落としかねないとすら思ってます。

キャラはもちろん炎柱の煉獄さんがごっそり持ってくんですけどTV本編からの進展もある。炭治郎の同期、特に伊之助との絡みにそれは顕著でした。TV本編では兄と妹の絆に焦点あてていて友情プレイは控えめ。「努力」「友情」「勝利」の「友情」部分が希薄だったと言えましょう。そのため「友情」の中核たる善逸や伊之助についてキャラ立ちの良さを認めつつも別角度から見れば三人いることの相乗効果は感じられず、またギャグテイストな二人は一歩間違うとガヤ扱いでうるさい。炭治郎の“やさしさ”で繋ぎとめている関係に見えなくもなく、このへんが子供向けと断じてしまう要因だったように思えます。それが劇場版では幾分緩和されてました。段階が一段上がったとも言えるかも。
そして余力あるか2回目でもいいですけど“煉獄さん”“炭治郎”“善逸”“伊之助”“禰豆子”誰が欠けてもラストステージには届かないという細い糸を手繰り寄せるような作業を各々がしていたことを見逃さないでほしいです。

公開中なら映画館の迫力映像&音響を楽しめるのはもちろんのこと、例え機を逸して自宅鑑賞となったとしても、ストーリーやキャラの関係性がTV本編に上乗せされてるので見応えはあります。
それに事ここに至ってはなんだかんだ鑑賞のきっかけをはかるレビューの意義をあまり感じないのが本音。これだけメディアの露出がある作品ですのでお祭りに参加する感覚でよろしいのでは? 

ちなみに泣こう泣こうと思ってもそうはならないと思います。感動したーのインタビュー映像は一切無視。期待値のコントロールは各自しっかりして、無駄にハードルを上げ過ぎないようにしましょう。





※ネタバレ所感

■これはデカい!共通言語を獲得

「それにしても素人使うのはちょっと…」
劇場版が公開される度につぶやかれてきた常套句ですね。プロモ兼ねて世間認知度の高い俳優さんを起用するいつものアレ。ふとしたことで気づきます。このメガヒット作にその不満が一切ないことを。
このことはアニメファンにとって二重の意味で幸せなことだと思います。一つは文字通り棒演技を我慢することからの開放。二つめは共通言語の獲得。

 普段アニメを観ない人と声優さんの話ができる!ネタバレレビューを読む

「あー○○さんね。鬼滅で△△の役やってた人だよ」というテンプレがこの度誕生した衝撃はもの凄いものがあります。

「あー○○さんね。××で△△の役やってた人だよ」の××の選択肢がほぼジブリ/ディズニー/他夕方ご長寿アニメ独占状態だったところに近年『君の名は。』がやっと追加された今日この頃。
鬼滅はキャストが脇役含めて深夜アニメオールスターと言ってよく、TV本編を視聴してる層も一定数いることも考慮すると△△に入る人たちがめっちゃ多い。
竈門家だけでも父:三木眞一郎、母:桑島法子、子供たち:大地葉、本渡楓、古賀葵、小原好美とかいう水準。皆なにかしら代表作持ってる方々なのに一般の人からみれば誰も知られてない。
それが此度の一件で「鬼滅の煉獄さん役の人が主役はってるオーバーロードってのが…」みたいな発展が容易にできちゃう世界になってしまいました。
応用パターンも。スラダン世代だったら鱗瀧さん役の芳忠さんは仙道やってて、炭治郎が初めて遭遇するお堂の鬼役緑川光さんは流川楓だぜー!みたいなツカミもできるわけです。


実力のある制作会社。本職がもたらす声の演技の凄み。作品に寄り添って製作された主題歌の余韻。
よくよく考えると深夜アニメ王道を行くタイプの作品としてこれだけのメガヒットは史上初では?
訓練されたアニオタには常識でも一般人には未知なるフロンティア。今回初めて“深夜アニメ”に触れた多くの方々が泣いたり笑ったり楽しんでいるこの状況が喜ばしいのです。
あらためて思います。日本のアニメは素晴らしい。


■「家族愛」と言うけれど…

“覚悟”と“責任”のお話ですね。だから人々の琴線に触れるのだと思います。
“家族愛”があまりにもプッシュされてるんですけど少しばかり疑義が有る。行動や考え方の根っこに家族の存在は根付いてるけれども登場人物たちはその想いを大切にしながらそれより先。志を持ち責任を全うする覚悟を携えている。いわば未来を見据えております。むしろ鬼側の諸事情が家族止まりという対比にもなってますね。
愛郷心とでも言うべきでしょうか。家族より広範囲な+αの共同体を守らんとする物語となってます。

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※マジで無駄話…しかも長くてゴメン

■つまりこういうことね

鑑賞済みの方向け。そのわりには全く踏み込んでないただの妄想のため閉じとく。

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視聴時期:2020年10月 劇場にて 

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2020.11.15 追記

別に予言でもなかったのだがさっそくの教訓。

「お前も鬼にならないか?」 ⇒ 「はあいよろこんで~」

を地でいくNEWSが飛び込んできた。炭治郎の耳飾りのデザインを変更して某半島で配給するとのこと。長くなるので止めとく。



2020.11.01 初稿
2020.11.15 追記
2021.08.11 修正

投稿 : 2025/03/08
♥ : 65
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

一つ期待したいのです

<2020/11/3 初投稿>
昨日ようやく観に行けました。
原作未読。
テレビ版全26話は視聴済みです。

凄いですね。
ついこないだまで、今年日本で1番話題になった映像コンテンツは半沢直樹だろうなと思ってたのですが、あっさり上書きする勢い。

興行収入も3週目で既に150億円超え。
千と千尋の神隠しの300億円超えも現実味を帯び、どこまで行くかもうわからん感じです。

なぜこんなに売れたのか?
は自分にはよくわかりませんが良い作品であることは間違いないと思います。

ただ一つ期待したいな、と思ってることがありまして。
それは本作の爆発的なヒットでアニオタと非アニオタの垣根がなくなる、まではいかなくともかなり下がるのでは?という期待。

この20年くらいで、例えば「けいおん」ブームなどを経て垣根はかなり下がってきました。
それでもその垣根はまだまだ高さを保っています。
その証拠が深夜アニメ。
お子様向け作品を除くと今のアニメはほぼ100%ド深夜の放送です。

結局「アニメを好きな層は深夜でも見る視聴欲求が極端に強いマイノリティ」とテレビ局は認識してるのだと思います。

ところが本作の文字通り「空前」の大ブーム!
元々はどちらかというとアニオタ向けの深夜アニメ。
そんな本作が、老若男女小さなお子様/アニオタ・非アニオタ全ての層に受け入れられたという奇蹟。
この世の空気感まで変わってくれると嬉しいのですが。

と、ここまでは前置。
以下、本作鑑賞の感想です。

まず第一印象としては、テレビアニメ版見てるか、そこまでの原作を読んでないと十分楽しめない。
当たり前なことなのですが、人気が出過ぎて「いきなり観に行っても大丈夫じゃね?」と錯覚する人も出てきそうなので。
つまり予習は必要。

そして、映像美。
予想はしてましたが、それを超える美しさと迫力。
始まってすぐ、最初のシーンの映像で一気に飲み込まれてしまいました。
例えば「君の名は。」なども映像が至高レベルなのですが、それは「絵画」「フォト」としての美しさ、つまりそこだけ切り出して成立するような美しさなのではないでしょうか。
本作は「アニメ」としての美しさが際立っている。
それは動きの滑らかさや力強さ、迫力を伴った美しさだったり、背景であってもあくまでアニメの一部として調和した美しさだったり。
特に戦闘シーンは特筆もの・さぶいぼものです。

声優は実力と人気を兼ね備えたプロで固めてます。
特に今回は日野聡さんのよく響くテノールの力強さと突き抜け感が◎。
もちろんレギュラー三人組+禰豆子もさすが良い仕事をされている。
ややサプライズだったのはネタバレレビューを読む やはりこの方はスペシャル・ワンですね。


そしてキャラクターと物語について、ですが
ここからはネタバレなので未視聴の方は開かないでください。

ネタバレレビューを読む
テレビアニメ版のレビューでも書きましたが「王道なストーリーを腕の良いクリエーターがしっかりと肉付け練り上げると素晴らしい作品になる」
それだと思います。


というわけで。
まだまだまだまだ勢いの止まらない本作。
本当に面白いし、未見で本作が気になってる方は、映画館に足を運んでみてはいかがでしょう。
あ、予習してから、ですよ。

投稿 : 2025/03/08
♥ : 61
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