ファンタジーで文化庁メディア芸術祭なアニメ映画ランキング 2

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72.7 1 ファンタジーで文化庁メディア芸術祭なアニメランキング1位
泣きたい私は猫をかぶる(アニメ映画)

2020年6月5日
★★★★☆ 3.7 (140)
662人が棚に入れました
見つけた、君に会える魔法――自由奔放、ちょっと変わった中学2年生、笹木美代(ささき・みよ)。クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、学校でも家でもいつも明るく元気いっぱい。ムゲ熱烈に想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)に毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。大好きな日之出のそばにいられる唯一の方法、それは猫になって会いにいくこと。≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには日之出に近づける日々。猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになっていく。このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――「猫」の世界を通して繰り広げられる、私をみつける青春ファンタジー。

声優・キャラクター
志田未来、花江夏樹、寿美菜子、小野賢章、千葉進歩、川澄綾子、大原さやか、浪川大輔、小木博明、山寺宏一
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

既視感がある猫物語

絵柄が幼いので、あまり期待せずに観ました。
しかし、巧みな物語構成に徐々に夢中に。
それは各キャラの背景が描かれていたからかな。
人猫関係が有機的に結合し、クライマックスへなだれ込む。
見応えがありました。

恋愛ファンタジーストーリー。
破天荒な女の子ムゲはちょっとクールな日之出が好き。
でも、日之出はムゲのアタックをむげに断る。
だから、ムゲは猫に変身し、日之出に会いに行く。
しかし、ムゲはデブ猫の陰謀にハマり・・・という感じの物語。

私のもっとも好きなのは{netabare}エンドロールの映像です。
暖かい余韻に浸れて清々しい。
日之出のお姉ちゃんが可愛そうとか。
ヨリちゃんの照れ顔が可愛いとか。
本筋と関係ないところが楽しいです。{/netabare}

ムゲの声は志田未来さん。
本業ではないけど、役に合っていたと思います。
並みいる声優陣に引けを取りません。
こっちの世界でも十分やっていけるでしょう。

背景は常滑に似ているなあと思ったら本当に常滑でした。
遠い昔に同級生の実家へ遊びに行った街。
狭い路地を上った先は・・・「猫の森?」
谷山浩子好きの同級生のことを思い出しました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見つけた、君に会える魔法…

サトジュンと岡田麿里さんがタッグを組んだオリジナルアニメ…
と聞けば気になりますよね。

ですが、私にとって結果的にラッキーでしたが、劇場での視聴を楽しみにしていた方には残念だったのではないでしょうか。
コロナウィルスの影響により、前売券の発売延期、公開日の延期…
そして劇場公開せずNETFLIXでの配信に変更されたからです。
私はNETFLIXに入会しているので視聴できましたが、多くの方々が入会している訳では無いと思うので…


私はあなたの力になりたい。好きって言われたい…

笹木美代(ささき・みよ)は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。
空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」という
あだ名で呼ばれている。
しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)へ
毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。
めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。

それは、猫の姿になって 大好きな日之出に会いにいくこと。

実はムゲは、ある夏祭りの夜お面屋にいた猫の店主から、「かぶると猫へと姿を変えることができる」という
不思議なお面をもらって以来、猫・太郎として日之出の家に通っていたのだ。
普段はクールに振舞う日之出だが、太郎にだけは素直な気持ちを打ち明けることができ、
いつしか太郎は日之出の支えになっていた。
≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには近づけるふたりの関係。
ムゲもまた、猫でいれば周囲との関係に悩むことない自由さを知り、次第に心地よさを覚えていく。

猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになるムゲ。
ある日、再び現れた猫店主から、猫の“お面”とムゲの“顔”を交換し、
≪人間≫を捨て≪猫≫として生きるよう迫られる・・・

このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――
自分が誰に支えられているのか。大切なものに気がつくとき、二人の世界が変わり始める。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

始まって直ぐ、サトジュンワールドにジブリ感がプラスされた感じがしました。
ネコと摩訶不思議な空間との組み合わせは、まさにARIAそのものです。
それに「千と千尋の神隠し」の世界観が雰囲気を助長してくれている感じ…
もう期待感が右肩上がりです。

気になるあの人は今、何をしているんだろうか…?
誰でも一度は気にしたことのあるシチュエーションだと思います。
勿論、自分では会いに行けないし、仮に会ったとしても教えて貰えないかもしれません。
そもそも、会いに行くための口実がなかったり、嫌われたくないからあと一歩が踏み出せず躊躇してしまう…

青春のど真ん中って感じが羨ましくもありますけれど…

でも、それが「自分とは全く違う何か」でなら、見せて貰えるかもしれない…
見てどうするか…それはきっと実際に見てみなきゃ分からないと思いますが、この作品の根底にはそんな「もしもワールド」が息づいていました。

この作品で秀逸だと思ったのは人との関わり方です。
最初は、ムゲが日之出の力になりたいと思い動き出しますが、人との関係性ってそんな一方的じゃないんですよね。

お互いが支え、支えられている…
何かをしてあげたいという気持ちは交錯する…
そんな心情が巧みに描かれているんです。

そして物語を彩る主題歌 ヨルシカさんの「花に亡霊」も抜群だったと思います。

作画も綺麗、キャラはしっかり動くし背景も繊細且つ緻密で申し分無しでした。
日本のアニメーションの素晴らしさが感じられる作品だったのではないでしょうか。
私はしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

期待通りのものが出てきて大変満足

正直、劇場で観たかったですわ…

Netflixだけで配信とかマジかよと思いつつ登録しましたよ。
まあ、普通に映画館で観るより安いっすけど、最近の映画館は音響や画質凄いっすからね。
IMAXで観てたらきっと泣いてました。

さて、タイトルの件について、
「泣きたい私は猫をかぶる」
オリジナルものならティザーを見て、どんな話だろうと想像するじゃないですか。アニメ映画で猫、それにスタジオコロリドの作品系統で言ったら、「猫の恩返し」のようなものを期待するじゃないですか。
いやー、まさに期待していたものが出てきたという感じで、個人的には大変満足しております。

新宿に麺屋翔という行列のできる大変おいしいラーメン屋があるのですが、そこで初めて塩ラーメンを食べた時のような感動がありました。
見た目はシンプルな塩ラーメンなのですが、一口スープをすすると確かに塩ラーメンの王道にも関わらず、コクがあって箸が止まらなくなるんです。


しかしスタッフリスト的に、もっとマリー感とかサト順感が出るかと思ったのですが、見事に調和がとれて子供から大人まで楽しめるような丸くて柔らかい映画になってましたね。もしかしてこれが柴山智隆監督の色なのでしょうか?
マクドナルドのCMとかも手掛けられてるんですよね…確かにあのような爽やかな感じが作品に漂っています。

背景の色使い素敵でした。
ペンギンハイウェイから洗練されて落ち着いた空気感を持つようになりましたね。
写実的な背景と異世界の混ざり合った感じが面白かったり…

そうそう、主演の志田未来ちゃん、声をあてるの上手かったです。
しんちゃんでゲスト声優してた時は、正直あんまり上手くないなと思っていたので意外でした。
あれ、もしかして、志田未来ちゃんに反応すると年代がバレる?
逆に私はヨルシカって、先月初めて知ったぐらいなんですけど…
え、時代に取り残されてる感が強くて急にもやもやしてきたぞ…

えっと、うん。良い作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 14

68.8 2 ファンタジーで文化庁メディア芸術祭なアニメランキング2位
夜明け告げるルーのうた(アニメ映画)

2017年5月19日
★★★★☆ 3.7 (119)
449人が棚に入れました
寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)に住む中学生の少年・カイは、父親と日傘職人の祖父との3人で暮らしている。もともとは東京に住んでいたが、両親の離婚によって父と母の故郷である日無町に居を移したのだ。父や母に対する複雑な想いを口にできず、鬱屈した気持ちを抱えたまま学校生活にも後ろ向きのカイ。唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすることだった。

ある日、クラスメイトの国男と遊歩に、彼らが組んでいるバンド「セイレーン」に入らないかと誘われる。しぶしぶ練習場所である人魚島に行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。楽しそうに歌い、無邪気に踊るルー。カイは、そんなルーと日々行動を共にすることで、少しずつ自分の気持ちを口に出せるようになっていく。

しかし、古来より日無町では、人魚は災いをもたらす存在。ふとしたことから、ルーと町の住人たちとの間に大きな溝が生まれてしまう。そして訪れる町の危機。カイは心からの叫びで町を救うことができるのだろうか?

声優・キャラクター
谷花音、下田翔大、篠原信一、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子、大悟、ノブ

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

現代によみがえった小さなウッドストック音楽会 ルーのうたはジャニスの祈り

2017年公開の劇場用アニメ 107年

原作監督 湯浅政明 脚本 吉田玲子 湯浅政明 作画監督 伊東信高 
音楽 村松崇継 制作 サイエンスSARU

出演
ルー 谷花音 13歳の子役タレント
カイ 下田翔太 15歳の子役タレント
海老名遊歩 CV寿美菜子
国夫 CV斎藤壮馬

主役二人を子役の俳優が務め、脇を中堅声優で固めました。

人魚伝承のある鄙びた漁村「日無町」を舞台としたミュージカルアニメ。
主要登場人物4人はロックバンド「セイレーン」のメンバーとなる。

「君の好きは僕を変える」

好きはやっぱりLOVEと対応します。
LOVEでありPEACEでもある、60年代に若者を熱狂させた思想です。
ルーを見たらジャニスジョプリンでした。
分かってくれる人も多いと思います。
分からない人はこの機会に知って欲しいです。

このアニメーションを見てウッドストックを思い出す人は多いでしょう。
思い出すためには観ていなくてはいけませんが。

時代の流れからサイケデリックはパラッパラッパーに変わったように見えましたが、
やっぱり根底の音楽性は60年代そのものです。
この作品に限ってはストーリーはあんまり意味が無いような気がします。

LOVEであるPEACEを感じれば良いのだと思います。
古くてもいいのです。
いまどきジャニスを聴く人はほとんど居ないでしょうが、
無理に聞かなくてもいいです。
ジミヘンもザフーもテンイヤーズアフターもサンタナもロック魂になって残っていればいいのですから。

だから、たまにはこんなルーツを現代的に表現した作品が作られ、
なぜかわからないのに心に残る作品になるのです。

この作品は魂だけが表現されたものであって、分かる必要はありません。
感じたら忘れてもいいし、年配の人に教えてもらうのもいいでしょう。
 
ジャニスジョプリンってどんな人?

流し見でも構わないのでぜひ観て欲しい嬉しい作品です。
ラストは主人公になってステージでただ一人ギターを弾きまくってください。
それがPEACEを現す映像なのです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 25

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

唄うことは難しいことじゃない。好きなことを好きだと伝えることも、難しいことじゃないはず。

『四畳半神話大系』『ピンポン』などを手掛けた、
湯浅政明監督による、オリジナル長編アニメーション。

2017年5月に公開、
アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(最高賞)を受賞。

120分ほどの作品です。


● ストーリー
舞台は、太陽を遮る崖・お陰岩(おかげいわ)が湾にそびえる漁港。
人魚の伝承がある日無町(ひなしちょう)。

中学三年生の足元カイ(あしもと かい)は、
何事にも無気力だったが、音楽には関心があった。

動画サイトにアップした打ち込み動画をきっかけに、
同じクラスの遊歩(あゆほ)と国夫(くにお)からバンドに誘われる。

お陰岩を越えたところにある人魚島で練習をしていると、
誰かのものかわからない歌声が聞こえてきた。

この海には、
本当に人魚がいる…?


人魚のルーは音楽が大好きで、
音楽が流れると嬉しくて踊りだしてしまう♪

とてもかわいい人魚ちゃんです^^

人魚の存在によってファンタジー色が強くなっていて、
ポニョに似ているなあと思いました。

表情を表に出さなかったカイが、
ルーと出会うことで心を開いていく様子も、この作品の特徴。

というか、ルーと出会って人格変わりましたねw

ルーの存在によって、やりたいことを見つけて、
本来の明るい性格を取り戻したと言うべきか。

出会った時からルーのこと好きすぎで、
ただのロリコンなのでは?とも思いましたがw

ルーが一筋縄ではいかない存在だからこそ
いろいろなハプニングがあり、内容は盛りだくさん。

後半は駆け足にも感じましたが、
ストーリーはよかったと思います。

でも結局“お陰様のたたり”って何だったの…?^^;


● 作画
湯浅監督らしいなあと思う独特な作画。

色遣いや作画のテイストの使い分けなど、
演出はさすがだと思います。

安定感というよりも、
オリジナリティ感が強いです。

だからこそ
湯浅ワールドとして堪能できるのですが♪

ストーリーもよかったですが、
作画だけでも十分楽しめるクオリティの高さです^^


● 音楽
音楽好きなルーが歌う時の声は、
ボーカロイドが使用されたような声になっています。

機械で神秘を表現するなんて、
真逆な関係のはずなのに、
マッチしているから不思議でした。


【 主題歌「歌うたいのバラッド」/ 斉藤和義 】

この曲が主題歌ということで、
作中でもアレンジされた曲がたくさん使用されています。

実は私はこの曲を今回初めて聴いたのですが、
すごく好きになりました^^

この作品自体も好きですが、
それは、この曲の力がすごく大きいと思っています。


● まとめ
作画と音楽、そしてストーリー。
この3つの力にとても魅せられた作品でした。

この魅力を語るのはちょっと難しいですが、
湯浅監督の演出が好きな人なら、
間違いなく楽しめると思いますよ♪

サイエンスSARUにとって初めての完全オリジナルアニメーションですが、
今後の躍進に十分期待が高まる作品でした^^

投稿 : 2024/11/23
♥ : 30
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

感動しました

{netabare}人魚によって母を失い、人魚を憎んでいたおじいちゃんが、人魚を守るために開いた色とりどりの傘!
綺麗だった

さりげなく序盤から登場していた傘がこのタイミングで登場するのか!と
待ちに待った展開はここで開いてこう結んだのか!と
町の名前はそういう由来だったのか!と
岩と音楽のロックなのか!と{/netabare}

アニメーションでしか表現できない不思議な世界観にまじりあった謎のキーワードは、少し難解だったけれど、クライマックスで全貌を理解し、その時にはもう元には戻れないくらいの変化を経ていて、悲しさや安堵やいとおしさで心がいっぱいになった。
しかも、これ動画は用いず、ラフ原に監督・作監修正を入れたら、flushで動かすの!?私が知っているflushってニコニコとかショートアニメーションで用いられるショボいアニメでよく聞くツールだよ!こんなに躍動感のある動きもつけられるものなんだ!凄い!
なるほど、普段のアニメーションではさらに細かい手順を踏んでリスクを分散させようとするけど、少数先鋭のアニメーターが集まっていること、そして色んな人の手が入って淀んでしまう勢いが保たれるのか。
劇場アニメで制作体制20人ほどって情報を見つけて度肝を抜かされた。
映像としてもシステム開発の視点でも革新的すぎる!

個人的には「君の名は。」「この世界の片隅に」と並ぶ近代の歴史に残る名作アニメ映画になると思っている。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 15
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