イギリスでミステリーなおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのイギリスでミステリーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月24日の時点で一番のイギリスでミステリーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

77.1 1 イギリスでミステリーなアニメランキング1位
ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (989)
5032人が棚に入れました
世界大戦の火種がくすぶる昭和初期を舞台に、帝国陸軍の“スパイマスター”結城中佐によって設立されたスパイ養成部門「D機関」の活躍が描かれている。

声優・キャラクター
堀内賢雄、下野紘、木村良平、細谷佳正、森川智之、梶裕貴、福山潤、中井和哉、櫻井孝宏、津田健次郎、関智一
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

映像もストーリーもよく練られたスパイもの<原作読了、追記あり>

本作は繊細な描写が魅力で小説や洋画(特に古い名作)のような印象の、スパイを主人公としたミステリー作品。
何回も視聴して想像や考察をしながらじっくり楽しむのが吉です。

アニメよりも実写向きと感じるような作りですし、エピソードごと時系列を入れ替えていたり、メインキャラクターを意図して見分けがつきにくくデザインしているなど、アニメとしては尖ったところもあります。

エンターテイメント的なアニメを好む人や、キャラクターの掘り下げを望む人には向かないかもしれませんが、シリアスなアニメや他の媒体の作品も好む人には逆に入りやすいのではないでしょうか。

【ビジュアル面】
キャラクター原案は三輪士郎さんで、キャラクターデザインの矢萩利幸さんがアニメの方向性に合わせてより地味なイメージに落とし込んでいます。
ことD機関のスパイ8名は全員目立たないモブ顔を設定するという方法を取りました。アニメキャラクターは一目で見分けがつくべき、という考え方からすれば思い切っていますが、機関員8名はスパイとして目立たず活動する作品なのでこれで正解だったと思います。

作画は安定感と美しさでリアリティを追求している点が最大の特長。動きもデフォルメが少なめ、色彩も暗めなので若干泥臭いイメージにもなっていて、そういう部分が好きですね。
安定した作画でキャラクターの仕草や表情が細かく、緊張感やリアルな雰囲気が途切れなかったことが一番素晴らしい点だと思います。

背景もやはりリアルで美しく、地に足の着いた映像作りがされていて、世界観をよく表現していました。


【キャラクターと声優】 {netabare}
大御所がいっぱいでしたw演技に関しては本当に素晴らしかったの一言です。

結城中佐はほんの僅かに人間味を見せることが実は少なくなく、長いスパイ活動を経てもその人間性を捨て去っていない点がかえって恐ろしいと同時に素晴らしいキャラクター。
堀内賢雄さんは感情を見せない語り口、時折見せるかすかな人間性、変装時の演じ分けなど最初から最後まで、本当に素晴らしかったです。個人的に賢雄さんはシリアスキャラがすごく好きなので嬉しかったです。

ゲストキャラクターではヴォルフ大佐と、その声を当てた銀河万丈さんがとても印象深いです。若い頃との演じ分けも好きですし、判断力に優れた面、冷徹な印象や威圧感、結城中佐に対する一種の執着などその人間性がとても感じられました。
{/netabare}


【ストーリー面】 {netabare}
オムニバス形式 で各話独立した物語として展開、八人の機関員にそれぞれスポットが当たる構成です。
あえて時系列を入れ替え最初(1,2話)と最後(12話)にキャラクターの人間性を描くタイプのエピソードを配置。3話がいきなり荒唐無稽なストーリーなのは気になるものの、話数が進むほど視聴者を引き込む作りになっており、おかげで右肩上がりに面白くなったと感じました。

そして最終話がいつも通りに始まりいつも通りに終わる、というのが実に本作らしい。そういう終わり方になるだろうとは思っていましたし、私自身それを期待していました。
スパイたちの人生にも活動にも終わりはなく、視聴者はそのいくつかの出来事を覗き見しただけと思っていましたし、時系列の入れ替えのおかげでそれが自然だと感じられました。

ラストの結城中佐の台詞は第1話最初の台詞と同じで、これが格好良かった!全体のまとまりも感じられて良かったです。
佐久間さんに対しては「これまでの考え方を捨てろ」、小田切さんに対しては「ここでの経験を忘れるな」という意味もありそうですね。
原作からは改変されているそうですが、スタッフが最後までアニメとしてより良い作品を作ろうとしたと思えて、なんとも粋で、正直燃えました。そういうアニメじゃないけどこれw
{/netabare}

【本作の2つの柱】 {netabare}
本作を1クールで展開する上での柱だと私が感じたのは「スパイの生き様」「虚構」の2つです。しかもその2つの要素は密接にリンクして、綺麗に全12話で起承転結にまとめられていました。

まず1、2話で佐久間が初めて機関員(スパイ)の「虚構」を認識します。佐久間は視聴者目線に立つ存在でもあります。
そして機関員は優秀なスパイで、その存在は「虚構」であり、影となって状況をコントロールするという、その仕事ぶりでスパイを語るという構造なのですね。
3話~7話で機関員たちが主役でないのは当然のことです。スパイの生き様は色々ですが、諜報戦から降りざるを得なくなった者だけが「虚構」を捨て去り(あるいは剥がされ)、初めて物語の主役になるわけです。
そういう意味では、軍人であることを捨て去れない風機関の人間はそもそも諜報戦に参加することすらできませんでした。

結城中佐は上に立つ人間ですし身体的ハンデが特徴になるので影にはなれませんが、逆に掴まれている情報を餌に「虚構」を構築することで状況をコントロールし、アーロンを引退に追い込んでいます。結城中佐の過去話かとおもいきや、10話の主役はアーロンさんなんですよね。
11話は三好が真木という「虚構」を被ったまま人生に幕を下ろす物語でもあり、同時に結城中佐の「虚構」が危うく崩れかける物語でもありました。ニアミスしたのがヴォルフ大佐だったら、一切偽装していない結城中佐は実体をつかまれていたでしょう。
そして、最終話では自己を捨てきれない小田切を描くことで、相対的に視聴者に機関員の「虚構」を再認識させているのです。(キャストの役名が「飛崎弘行(小田切)」になってることに今になって気がつきました。細かい!)

もともと虚構であるアニメーションでは、いかにリアリティを持たせるかが大切です。
本作は映像からはリアリティを追求しているように感じますが、実際は「虚構」を描く作品でした。本作中でキャラクターの語る偽情報すら映像が付いていたのは、視聴者を引っ掛けるフェイクだったのでしょう。原作ファンを引っ掛ける改変もあったようで、そう言われると原作がさらに気になりますw

実写ドラマでも面白いかも知れないと最初は思いましたが、人の手でゼロから創り上げられる虚構(アニメ)だからこそ、本作は魅力的なのかも。
{/netabare}


【雑感】 {netabare}
感情移入が出来ないとのめり込めない私が全話面白く見られたのは、一見淡白に見えても、ストーリー(ミステリー)の中に人情噺のような側面を必ず入れていたからだと思います。
ストーリーを引っ張るのは機関員ですが、他のキャラクターはきちんと人物描写されていて、仕草や表情も見逃せなくて毎回画面に釘付けになってました。

それから自分としては意外だったのが、三好の死がめっちゃショックだったこと。
原作ファンの方の書き込みを目にする機会があって、視聴前から知っていたのにズシンと来ました…普通なら嫌いなタイプのキャラクターなのに…
なんというか三好が、というより「人間の死」というもののあっけなさ、迷いも後悔も心の中に一切無いスパイの死に様が重かったですね。ドラマチックな演出が一切ないからこそ辛かったです…

考える頭脳があるのに日本軍人として生きると決意している佐久間、スパイとして秘密を保って死んだ三好、暗い時代に孤独と苦難の道を歩む機関員たち、それとはまた違う厳しい道を選択した小田切、誰にも見せない苦悩を抱えているであろう結城中佐。
キャラに感情移入するアニメじゃないのに私が嵌ったのは、彼らに想像の余地を残してくれているからです。
本作で何を見て何を考えるかは視聴者に委ねられています。そこがとても好きですね。
{/netabare}

本当にスタッフに恵まれた作品でした。
本作を見ているとわからないことも沢山ありましたが、本作の公式サイトには時系列表やコラム等があり、理解の助けになりました。かなり内容が充実していて頭が下がります。

振り返ると無駄な話はひとつもなかったと思いますし、繰り返し視聴するのが楽しい作品です。
こういう新作が定期的に出てくれると個人的にはとても嬉しいですね。(2016,6,27)


本日原作を読了しました。
キャリアのある作家さんだけあって読みやすく情報量も多く、描く要素も一貫していてとても面白かったです。時系列は原作もばらばらで、アニメだけではなかったんですねw
アニメ版が気に入った方には是非読んでみて欲しいです。

原作のひとつの特徴として、小説というビジュアルのない媒体だからこそ出来る登場人物の「無名性」があります。{netabare}登場するスパイ達は偽名しか付けられていませんし、スパイが主役となる物語は最後にその人物の"スパイとしての死"が示唆されることが殆どです。{/netabare}
アニメ版に私が感じた「虚構」は原作から引き継がれた重要な要素だったのですね。

アニメーションではビジュアルが絶対に必要ですから、やり方を間違えると本作の魅力を大きく損なう難しい要素だったんだなと読んでみて思いました。機関員のキャラクターデザインはとても良いバランスだったと思います。

物語としても、キャラクター数や情報量を減らしながらも物語の筋はきちんと通り、そのために原作を分解・再構築することを恐れないよく練られた作品でした。

動画配信サイトが再放送など行ってくれていることもあり、良い評価を受けているようで一ファンとしてとても嬉しく思います。
(2016.7.8追記)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 51

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

趣の異なった『主人公最強系』?

原作未読。

ジャンルはスパイ&ミステリー系かな?
日本が世界大戦に参戦する直前頃、結城中佐の発案で作られたD機関と呼ばれるスパイ養成学校の8人の訓練生たちが活躍する話。

今まであまり見なかったジャンルなので、楽しさ半分、好奇心半分くらいで視聴開始。

まず、作画の綺麗さにビックリ。

OP、ED曲とも作品のイメージにぴったり。

登場人物の姿形に特徴が少ないため、誰が誰だか見分けにくいけど、表情が豊かな部分は高評価。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 59
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ルール無用のスタッドポーカー

時は1939年、第二次世界大戦前夜。日本陸軍に所属する結城中佐によって設立された諜報機関「D機関」。そこで訓練を受けたスパイ達が世界各国へと散り、それぞれに暗躍を始めます。

1、2話の導入を経て、3話以降からスパイ達の本格的な活動が描かれます。基本的に1話毎に一人の主人公および舞台が定められており、それぞれのスパイは訓練によって身に付けた超人的技能を駆使して任務をこなしていきます。導入編に当たる最初の2話で「D機関」設立の理由、スパイ達の基本思考などが紹介され、さらに軍内部における「D機関」の立場、参謀本部との対立やあつれき、駆け引きなども描かれており、世界観の説明をそつなく描いていている印象でした。
{netabare}
3話からはスパイ達の本格的な活動が描かれますが、4話ではスパイ活動そのものよりも※2軍内部の腐敗に焦点が当てられている様でした。続く5話では元のスタンスに戻りましたが、3話と同じ催眠術関連のネタがあったので少しだけ残念でした。英国の諜報機関のスパイ・マスターとされるハワード・マークス中佐も登場して、「D機関」のスパイの命運もあわやと思われましたが、結果は見てのお楽しみ。

おおまかな印象としては、結城中佐の目的は、他国をスパイすると同時に、参謀本部や外務省など自軍の他機関に対するスパイ行為も行い、自らの「D機関」の地位向上を図るとともに、けん制を行い、それらをコントロールしようとしている様に見えました。

8、9話は前後編に分かれており、ドラマに大きな動きがある様です。これまでの回ではD機関に所属するスパイ達が優秀過ぎて、対峙する者たちの知力が常に劣っている様に見え、スリルが足りませんでしたが、D機関の「殺すなそして死ぬな」の信念と真逆な「殺せそして死ね」という信念を持つ風機関(名前が奇抜)の登場で、今後の展開が分からなくなってきました。

定着しかけている図式に変化がもたらされる事を期待しつつ、9話視聴を終えましたが、うーむ、こうなってしまうのか‥。対決の行方は見てのお楽しみ。
10話は結城中佐の過去についてのお話。刷り込み洗脳再び。でもこういう静かな回もたまには良いです。

11話ではアニメ世界ではかくも珍しい無常展開が待っている。それにしても銀河万丈さんの声で拷問シーンとか、やっぱりボトムズのロッチナを意識しているのだろうか? 不謹慎にもちょっとだけ笑ってしまいました。

最終話に於ける結城中佐の男尊女卑的な発言は、彼もまたその時代に生きた一人の人間であった事を思わせました。D機関の首領がそんな事でいいの? とも思いましたが、とかく人というのは自分の持つ思い込みにだけは気が付きづらいものです。それもまた結城中佐の人間的な一面なのでしょう。

他の登場人物に関しても、最期まで徹底してD機関のスパイたちの顔が皆同じ様に、また微妙に違う様に描かれているのは、スパイとして我を殺しているからである様にも見えますが、そうあろうとすればする程、彼等のスパイとしての冷徹さよりも、むしろ人間的な弱さの部分が際立ち、一瞬の閃きの様な精彩を放つ場面も全編を通して少なからずあった様に思います。2期があれば一人一人のスパイとしての姿だけではなく、人間的な部分にももっと焦点を当てて欲しいと思えました。

D機関のライバルとなる存在が最期まで現れなかった点や、ミステリーの部分がかなり古典的なアイディアの寄せ集めで作られている点は、スパイアクションとしての緊張感に欠け、若干物足りないとも感じましたが、"分かっているけど面白い"という様な感情を刺激し概ね楽しめました。来期があればこちらの点にも工夫を凝らして貰えたらなぁと欲張りにも思ってしまうのでした。
{/netabare}
OPムービー及びテーマは今期のアニメの中では突出した完成度の高さだと思いました。静止画を巧みに用いたスマートさと、適度な不敵さが込められた歌詞の痛快さには、中毒症状を覚える人もいるかも知れません。低くのたうつ様なボーカルもドラッギーで危険な感じを振り撒いており、作品の雰囲気を強く匂わせていると感じました。


※1:本作の舞台となる歴史上の同じ時期に、陸軍中野学校という「D機関」のモデルと言っても良い様なスパイ養成機関が実在していた様です。「名誉や地位を求めず、日本の捨石となって朽ち果てること」を信条とし、武道や射撃だけでなく忍術や心理学、毒盛りや金庫破りのテクニックも教えてという‥。ぐぐってびっくり!

※2:現在閲覧可能な当時の文章や映像から、二次大戦前後の軍上層部の無能や腐敗ぶりを確認する事が出来ます。国民の多くが毎日の食事にも困っている状況なのに、お上の連中は終戦直前まで、情報操作による戦況報告で国民を騙したり、贅沢パーティー三昧したり、アメリカの軍事力を軽視したり(理解している人の人数は極僅かだった様です。)、挙句の果てには気合で勝てるとか言ったり、知力の低さが底抜けでした。ガンダムの作者である富野由悠季氏も当時の兵站についての無思慮を指摘していらっしゃいましたので、関心を持たれた方は「富野由悠季 軍上層部」でぐぐってみて下さい。

※:タイトルのスタッドポーカーとは何枚かの伏せカードに追加する形で公開情報である表向きカードを次々と配って勝負するポーカーの一種。ここでは伏せカード1枚から始まるファイブスタッドポーカーをイメージしました。名優スティーブ・マックイーン主演「シンシナティ・キッド」などでも割と有名です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 28

67.9 2 イギリスでミステリーなアニメランキング2位
ダンタリアンの書架(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (717)
3928人が棚に入れました
蒐書狂(ビブリオマニア)である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書を引き継いだヒューイは屋敷の地下で静かに本を読む少女、ダリアンと出会う。彼女は禁断の『幻書』を納める『ダンタリアンの書架』への入り口、悪魔の叡智への扉だった……。

声優・キャラクター
沢城みゆき、小野大輔

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ゴシック―ロマネスク

ミステリー? いや、凝ったトリックも謎解きもないし、
魔法もの? といっても壮大な世界観もバトルもないし、
何やら不思議なアニメではある。
個人的な、ざっくりの印象で強いていうなら、
奇譚風に仕立てられた、正統派ヒューマンドラマといったところか。


幻書、というものをめぐって物語は展開する。
幻書とは、この世界にあってはならない禁断の書物で、
世界の秩序を変えてしまうほどの、恐るべき魔性の力を秘めている。

このアニメが最終的に人間ドラマとなる理由、それは、
各話それぞれの事件がつねに、おのれの歪んだ願望を遂げるために、
幻書のもつ強大な力を利用しようとする、世の人間たちが引きおこすものだからだ。

その結果、幻書を管理する立場にある主人公の二人が、
事件に巻き込まれるたびに、いやでもそこに見ざるを得ないのは、
人間のかなしい業であり、愚かさであり、狂気である。
二人とも、そうした人間模様を、どこか達観して眺めている風があって、
この作品を一貫する静かな、はかなげな雰囲気はどうもそこから来ているようだ。


ゴスロリ幼女に全部持っていかれた感はあるが、
主人公のヒューイはそれなりに魅力的なキャラクターだと思う。
一抹の影を帯びた、若くして老成してしまったような彼の人格の奥には、
確実に戦争の傷跡がある。この事実は11話で明らかにされる。
大空への無垢な憧れが壊されてゆく、この11話が、最も詩的で、美しい。
ラストは、来るべき次の動乱への予感をはらんで、張りつめた終末感を漂わせているようだ。

人間の最大の狂気としての戦争、どうやらこれが本作の隠しテーマであるらしい。
うっかり見過ごしていたが、全編見終えてから1話を見返すと、
過去のプレイバックの中に、しっかりと予示されているではないか!


舞台となる英国の風土を象徴する霧が、冒頭から立ちこめているように、
繊細な情景描写がストーリー以上に雄弁なのも、このアニメの特色だろう。
明暗のコントラストの効果は全編を一貫しているが、
とりわけ印象深いのは、しばしば描かれる月明かりの場面だ。
月は古来、狂気を象徴するものとされている。ここに、
隠しテーマの暗示を推測するのは、うがちすぎる深読みだろうか。


オープニングのソプラノ独唱に代表される、
静謐な作品世界のトーンを際立たせる音楽の素晴らしさも付け加えておきたい。
一方で、そうした雰囲気からは突出した異物のような、
エンディングの不気味な実写映像は何を意図しているのだろうか?

「この世界には知るべきでない事があるのです。」
・・・作中、ダリアンが時折つぶやく言葉だ。

決して見てはならない、知ってはいけない禁忌の領域の一端を垣間見せるために、
あえて実写を用いて、現実そのものに潜む禍々しさを象徴風に表現した、そう解したい。
おどろおどろしくも不思議に懐かしい、寺山修司の世界などに通じるものが感じられる。


最後に総評です。

いぶし銀のような渋さと、深い余韻が味わえる、玄人好みの秀作。
O・ヘンリーの短編などを好まれる文学愛好家には、特にツボかもしれません。
勿論、ダリアンの可愛さを愛でるためだけでも、断然、視聴する価値はありです。
(え? こっちが王道ですか? 失礼しました。)


(初投稿 : 2019/07/07)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 10

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

雰囲気が良いですねo(*^▽^*)o~♪

■「ダンタリアンの書架」ってどんなアニメなの(*゚・゚)ンッ?
ラノベが原作のダーク・ファンタジーなのですけど、ミステリーっぽい内容にもなってますね♪
ミステリーと言い切れない点は、基本1話完結だと思うので、綿密な伏線も張れないでしょうし、絶対に謎解き不可能なシナリオ構成もありますので、本格的なミステリー小説と比較してしまうと、物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか?
そう考えると、やっぱりファンタジー作品なのでしょうね♪
 
日本では、マジックリアリズム的な表現を用いている作品が多くなってきているようですけど、「ダンタリアンの書架」の独特な雰囲気もその部類に入るのでしょうね♪
そう考えると「GOSICK」に似た感じを受けるのも頷けるような気がするのです。
ミステリーとファンタジーの狭間でグレーな部分の位置付けの作品って評価の目線をどこに持ってくるかでだいぶ評価が分かれそうですけど、アタシσ(゚-^*)はこういう作品は大好きです♪
どうせ推理しても解らないので・・・
(´ρ`)ヘー・・・とか( ̄。 ̄)ホーーォとか・・・(^ー'*)bナルホドとか言いながら雰囲気を楽しめれば良いなって思ってます♪
 
 
■注目はやっぱり「ダリアン」と「ヒューイ」ですよね(-ω☆)キラリ
ヒロインのダリアンは小さくって、とっても可愛い女の子なのです♪
そんな小さな体に、90万666冊の幻書を封印している迷宮図書館の入り口と、その錠前を胸元に持っているのです。ちょっとインデックスっぽいですねw
お人形さんのような美貌と、赤ワインのような瞳が魅力的なのですけど、その美貌とは裏腹に、強烈な毒舌の持ち主でもあるので・・・
ポカッ! (._+ )☆ヾ( ̄ヘ ̄; ) ォィォィって思わずしたくなっちゃいますねw
でも可愛いからなんか許されちゃうのかなw
 
「ダンタリアンの書架」の鍵を持つ主人公のヒューイがどのように立ち回っていくかがこの作品の方向性を決めていくような気がします。
迷宮図書館内の子供の頃の回想シーンをどう結び付けていくかも注目ですよね♪
 
 
■前半まで視聴した感想(*^o^*)
まず、沢城みゆきさんの演技がとっても良いです。
ダリアンの魅力を余すことなく出し切っている所はさすがですね♪
まり†ほりの寮長先生とはまた違った毒舌っぷりでした!!(*`◇)<毒毒毒毒ブオォォオ*_*;)
 
舞台は20世紀初頭のイギリスで、その街並みや情景とシリアスな展開が非常にマッチしていて、コントラストの使い方がしつこくなく、重い空気感を演出していてダークな雰囲気をさりげなく演出しているような印象を受けました。
 
残念なのは幻術をつかったバトルシーンには物足りなさを感じちゃいます。
せっかく良い雰囲気を作っているのに、幻書の危険な香りや重みが感じられずに、魔法少女的なきらびやかな演出で綺麗に終わってしまっているのです・・・。
幻術を使わない格闘シーンは悪くはないので、もったいないなーって印象です。
  
 
■総評
各話単体での出来自体はショートストーリーとしてそこそこ面白いのです♪
でも・・・最終話まで通しての印象としては、各話の出来栄えにバラつきがあるので全体を通してのストーリーがぼやけてしまっていましたね。
なんだかドラえもんのポケットを迷宮図書館に例えるなら、ポケットの中のアイテムが幻書ってところでしょうか!
色んな幻書をクローズアップしてショートストーリーを構成するのはもちろん魅力的なのですけど、この物語の根底でもある迷宮図書館や鍵守や読み姫の関係などの説明や描写が不足しているのです♪
「ダンタリアンの書架」の世界観を作るだけ作って放置という状態になっちゃってますね!
雰囲気の作り方が良いだけに、肝心の物語に深みが感じられない要因となってるのが残念だなぁって思っちゃいました><
 
ともあれ、ダリアンちゃんの毒っぷりと可愛らしさは一見の価値はありますね♪
続編みたいですか?と言われたら。。。o(゚^ ゚)ウーンとなりますけど、他の読み姫との絡みも気になりますし2期やるならきっと観ちゃうと思いますけどね(*v.v)
 
 
■MUSIC
OP曲『Cras numquam scire』
 歌:Yucca
 寂しさを感じさせる、しっとりとした歌声で作品の雰囲気作りに一役買っているナンバーですね♪
 
ED曲『yes,prisoner』
 歌:maRIONnetTe
 意味腐なED映像はさておき・・・この曲のタイトルもかなり鬱ですねw(@`▽´@)/ ハイッ囚人!!
 聴くと心が病んでいくようなプログレッシヴ・ロック的?なナンバーですw
 
 
2011.08.28・第一の手記
2011.10.02・第二の手記(追記:■総評、■MUSIC)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 49

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

幻の書を宿す迷宮図書館

三雲岳斗によるラノベが原作で、2011年 TVにて放送された作品。
蒐書狂(ビブリオマニア)である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書を
引き継いだ青年 ヒューイが主人公。

舞台は1920年前後の第一次世界大戦直後、イギリスのロンドン近郊。
祖父亡き後、彼の屋敷を訪ねたヒューイは、地下でダリアンという少女と出会い、
禁断の「幻書」を納める「ダンタリアンの書架」への入り口の扉は
胸についた鍵穴の鍵を開けないと入れないと言われ、行動を共にすることになる。

幻書とは、焚書で焼かれたり、失われた古代図書館の蔵書など、
本来、この世に「在らざるべき」幻の本のことで、
正しい読み手が紐解けば計り知れない恩恵を与えるが、
ふさわしくないものが持つと、幻書は世界の境界を超え、
世界のバランスを崩してしまうという曰くつきの書物。
また「ダンタリアンの書架」とは、世界のバランスを崩すような危険な幻書を
封印するための迷宮図書館であり、その扉を開くための鍵穴をもつ読姫と鍵守が、
この図書館を守っているという設定。

幻書に深い憎しみを抱き、焚書を目的とする焚書官という存在が
ヒューイたちを追っていくことで、物語に緊迫感を与えている。
登場人物はヒューイと黒の読姫であるダリアンのほか、
銀の読姫フランベルジュとこの焚書官、
赤の読姫ラジエルと白衣を身に着けた教授など、
幻書を取り巻くさまざまな人々が登場し、時にはバトルを繰り広げる。

1話ごとにほぼ完結するスタイルなので、観やすく、
しかしながら、途中でいきなりヒューイの過去の回想になったり、
あまり説明や伏線がないまま、焚書官や教授が現れるので
原作を読んでいない人からは、すごくわかりにくい部分があるかも。

でも、呪文のような言葉を唱えながら
胸の中に手を入れて本を取り出すシーンがなかなか美しいので、
ついつい魅入ってしまったりした。
ダリアンのゴスロリファッションやツンデレ風味な部分、
それに似合わず甘いものには目がないというギャップなど、
和む要素も多少あるものの、最終回までを観終えてみると
どこか中途半端で物足りなさを感じてしまうのは否めない。

結局、この作品で一番自分が気に入っているのは、
Yuccaが唄うOPの「Cras numquam scire」と、
嶽本野ばら氏が作詞をしたダークな雰囲気のED「yes,prisoner」かも。
この曲をフルで聴くと、すごくアングラ演劇っぽくてお気に入り。

このあとの話をぜひ観たいものだが、原作さえも大人の事情とやらで
無理やりの完結になってしまっているらしい。
なので2期は見込めなさそう。雰囲気はとても好きだった作品なので残念だ。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 40

68.6 3 イギリスでミステリーなアニメランキング3位
黒執事 Book of Circus(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (490)
2802人が棚に入れました
街を賑わすサーカス団。しかし、彼らの移動とリンクするように街では子どもたちが消えていた。調査のためサーカス団に団員として潜入した、セバスチャンとシエル。そこで思いがけない人物…に遭遇する。サーカス団の隠された目的とは!?

声優・キャラクター
小野大輔、坂本真綾、宮野真守、高垣彩陽、甲斐田裕子、岡本信彦、寺島拓篤、泰勇気、新谷真弓、小柳良寛、三上哲、東地宏樹、梶裕貴、加藤英美里、藤村俊二、杉山紀彰、KENN、福山潤、立花慎之介、安元洋貴、田村ゆかり、遊佐浩二、矢作紗友里、諏訪部順一、菅沼久義、木村良平、前野智昭

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

えっ!? ラストの手袋の早着替えは・・・

枢やなの漫画作品『黒執事』を原作とした作品で

第三期とのことで全10話です。原作未読。


第一期、二期とはストーリーや設定の一部が直接的に繋がって

いないため、シエルやセバスチャンもファントムハイブ家で

暮らしており、女王の番犬として活動している。


第一期、二期は視聴していませんが先に述べているように

一部繋がっていないこともあって、さらに第一話が丁寧に

作られているようだったのですんなりと入り込めて楽しめた

と思います。

最初の数話は前置きといった感じで、シエルやセバスチャンの

存在そのものを説明しているようでした。

これが彼らの世界で彼らがやっていることなのかと最初に思わ

せてくれたのでこれも前の作品、原作を未視聴でもすんなり

入り込めた要因の1つだったように思います。


その後、本題のサーカスの話になっていくのですが

一部死神となんたらかんたらの所は今までの話等がいるのか

よく分からない感じがしました。でもそいつとの絡みは当人たちは

ピリピリしているのだろうけれど、見ているこっちは

ギャグ的に見えて面白かったです。


そこからどんどん重たくなっていく感じがして、グロイ部分も

出てき始め真実に向かって少しずつ近づいていくので

サーカスの後半は固唾を飲んで見てしまいました。

ENDはバットだったりノーマルだったりといろいろ意見の分かれる

感じでしたが、私はこのどう取れるかが分かれてくるという所が

それでいいんだと思いました。

それからあの手袋は・・・


OPはシドさんでしたが、このアーティストも別作品で知って

いたのですが、あんまり他の作品で出会わなくて

うーんバリエーションが増えないなぁと思っていましたが

ここで出会えてこの雰囲気、この感覚がやっぱりいいなぁと

改めて思えた曲でした。


タイトルや妹の評判から女性向けな作品なのかなと思って

いましたが、全然そんなこともなく勝手な先入観をぬぐい去って

いき、楽しめた作品でした。

◆個人的点数評価 78.764点

投稿 : 2024/11/23
♥ : 29

たにぐー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界観がかなり好き!

黒執事は三期から見ましたー。
原作も借りて読んでたからいいかなーって。
でも見てみて思ったけど、けっこー忘れてました自分。
こんなんだっけ?ってなるところがかなりありました。
やっぱり自分で買おっかな全巻。
黒執事チョーおもしろいし。

とりあえず感想、、、短っ!
てっきり2クールやるものだと。
と言っても「サーカス編」だけではそんなには無理ですか。

使用人vsサーカス団は原作でも好きなところ。
1話とは雰囲気の全く違う使用人の戦いっぷりはとても気持ちのいいものでした。

声優さんも豪華だと思いました。
とくにじゅんじゅん面白すぎwwまぁ、少しいらっときたけどww
そういうキャラだからしゃーないかww

ovaの方も楽しみです!が、個人的にはゾンビのところもアニメ化してほしいと思ってます。
なぜなら、俺のエリザベスが活躍するから!
四期期待してます!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 29

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

OPもEDもいい出来でした。

 私が唯一危惧していたのは、
 「Book of Circus」が、
 2期の最終回後のストーリーであるか否か?

 原作の方は知りませんが、
 アニメは2期で完全に完結してしまっているので、
 いったいどうなることかと心配していました。
 が、全くの杞憂でした。

 黒執事という作品の魅力は、
 極論すれば、
 セバスチャンとシエルの関係性、
 「愛」にも似た濃密な主従関係にのみある。
 そして、この主従関係は、
 絶妙なバランスの上に成り立っているのである。

 穢され凌辱されたシエル・ファントムハイヴの魂。
 穢され凌辱されたにもかかわらず誇り高く高貴な魂。
 穢され凌辱されたからこそ黒く輝く高貴なる魂。
 そんな魂の虜となった悪魔。
 そうやって成された悪魔との契約。
 悪魔は、その極上の魂を喰らうために、
 それを口に運ぶその瞬間まで、
 その魂を慈しむように守り続ける・・・

 この前提のもとにストーリーが展開されるのであれば、
 それだけでもう大丈夫。
 19世紀のイングランドっぽい世界で繰り広げられる、
 ちょっと危うい二人の活躍を楽しみましょう。

 追記
 かなり胸糞悪くなる話です。
 心してご視聴されますよう。
 
 
 
 
 

投稿 : 2024/11/23
♥ : 32

75.9 4 イギリスでミステリーなアニメランキング4位
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (409)
1716人が棚に入れました
「Fate/Zero」において、征服王イスカンダルとともに第四次聖杯戦争を駆け抜けた少年ウェイバー・ベルベット。時を経て少年はロード・エルメロイの名を受け継ぎ、「ロード・エルメロイII世」として、魔術師たちの総本山・時計塔で魔術と神秘に満ちた様々な事件に立ち向かう―――。

声優・キャラクター
浪川大輔、上田麗奈、小野大輔、水瀬いのり、松岡禎丞、山下誠一郎、小林裕介、平川大輔、伊藤静

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

Fateシリーズの研究論文

原作も面白いし、アニメ化を望んでいたので、アニメ化は嬉しかったですが、物語についていけるのかという不安もありました。
私自身がFateに疎くて、理解しきれない部分が多くあったためです。
色んな派生作品からキャラをそのまま引っ張ってきているので、そのキャラのバックボーンは別の派生作品を見なければいけなかったり、マジ卍。
しかし蓋を開けてみたら、美しい背景、独特な世界観は分からなくても雰囲気が楽しめるアニメになっていました。

メインスタッフに感謝。

物語はアニメオリジナルと魔眼蒐集列車(レールツェッペリン)の構成でしたが、上手い具合に剥離城アドラと、相貌塔イゼルマが補完されていて原作より理解しやすいです。

解体して再構築。ワイダニット、なぜなのか。はロードエルメロイ二世お得意のものですが、著者自身の解釈でもあります。
無数に散らばるFateの世界線の中で辻褄を合わせて整理、主張、問いかけしたものが、このロードエルメロイ二世の事件簿の本質だと思ったので、アニメの構成も納得がいきます。

著者は本当に考察と応用が上手い。
レンタルマギカが一番ですけど、まほ嫁の番外編 魔術師の青も面白いですよ。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 8

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

やっぱり、スピンオフは予習が必要ですよね(苦笑)

予習無しで第1話を視聴して、冒頭から「???」となってしまったので・・・。

『Fate/stay night』
→『Fate/stay night:Unlimited Blade Works』
→『Fate/Zero』
の順で一気見視聴してから、再度、本作を視聴開始。


第1話冒頭から、感動で胸が熱くなる。
ウェイバーのイスカンダルへの想い。
最終話は涙無しには見られませんでした。
ここが物語の柱の一つになっていきます。
そのため、最低でも『Fate/Zero』は視聴してから、本作を視聴されることをお勧めします。

魔術絡みの事件を解決していく物語。
だけど、いわゆる「推理物」とは異なります。
なぜなら、魔術の何たるかを理解していない我々には、解決の糸口さえも掴めないからです。
そのため、「推理物」を期待していると、確実に裏切られることになると思います。

だけど、この作品に関しては、それでいいんだと思います。
この作品に関しては、楽しむべきポイントが別にあると思うからです。

圧倒的な背景の美しさ。
バトルシーンの美しさ。
豪華声優陣が紡ぐテンポの良い掛け合い。
本編の世界観とマッチしたOP/ED。

これらが作り出す雰囲気が非常に心地良い作品です。
続編を期待して待ちたい作品です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 34
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

贖罪の先に<追記;特別編>

第四次聖杯戦争から10年。
ロンドン時計塔に戻ったウェイバー・ベルベット。
あのイスカンダルの大きな背中を追う日々。
ロード・エルメロイⅡ世に名を変え、難事件を解き明かす。

ジャンルで言うと、ミステリー。
魔術要素が入るので、ホラー的でもある。
全体に暗く、落ち着いた雰囲気に魔術の本場イギリスを感じます。
美しい作画にこなれた会話、主題歌を含めセンスの塊の作品といえるでしょう。

それにしても、あのウェイバーがねぇ。
成長したもんだ。
冷静な推理力で事件を解決。
でも、たまにドジで感情的な所はやっぱり三つ子の魂百までです。

彼に寄り添う影持つ少女グレイ。
目深にかぶったフードに神秘性を感じます。
エルメロイⅡ世を師匠と仰ぎ、絶対服従。
いったい、彼らの身に何があったのか?

グレイの持つ、{netabare}アーサー王の{/netabare}宝具。
グレイの詠唱により、{netabare}サーバントを超える{/netabare}力が。
グレイブ・レイブ・クレイブ・デクレイブ
グレイブミー・グレイブフォーユー

地を這う力強い言葉。
冷徹かつ大胆なアクションは凄まじく恰好いい。
それに反し、常はスーパーシャイに優しい声。
そのギャップに私はメロメロです。

物語の後半は魔眼蒐集列車に収束。
{netabare}イスカンダルに関係するフェイカー?{/netabare}
グレイの出生も含め様々な疑問が。
さらなる続編に期待です。

<追記;特別編>
{netabare}新作特別編はガッツリ2話分。
久し振りに楽しめました。

今回、ロードエルメロイⅡ世は、ほぼウェイバー・ベルベットの姿。
Fate/Zero感をひしひしと感じました。

いじられまくるウェイバー。
額の血管ピキピキ状態です。
それでも、魔術的推理が冴え渡っています。

グレイも十分堪能できました。
詠唱中のグレイのかっこいいこと。
惚れなおしました。

ちょっとだけ悲しい結末。
でもそれは、ある女性のウェイバーとの決別。
ホームでの別れ、爽やかでした。{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 29

62.7 5 イギリスでミステリーなアニメランキング5位
二十面相の娘(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (97)
628人が棚に入れました
義父母に命を狙われる孤独な日々を送っていた美甘(みかも)家の令嬢・千津子(チコ)は、世紀の怪盗・二十面相にいざなわれて、未知の冒険の世界へと旅立つ。初めて触れる自由な空気、新しい仲間に囲まれ、自分の居場所を見つけたチコは、少しずつ変わっていく。
 “二十面相の遺産”と呼ばれる巨大な謎をめぐって起こる、数々の奇怪な事件。それにまつわる人々の哀しい思惑。チコは、それでも前に進まなくてはならなかった。その先に、さらなる数奇な運命が待ち受けていたとしても…。

声優・キャラクター
平野綾、内田夕夜、松風雅也、佐藤利奈、新井里美、浜田賢二、竹田雅則

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

《怪盗二十面相》をめぐる少女の軌跡

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

江戸川乱歩の小説を人物名などに踏襲していて小説を知っているとニヤリと出来る場面や単語もあるが別作品。
次回への引きや伏線の貼り方が上手いので、はやく次の話が観たいと思わせてくれる好感度の高いアニメ。

印象は60年代から80年代あたりのファミリー向け作品を現代風に深夜アニメとして作り上げた、といった所。
作中で明言されませんが、何らかの大戦があった後の時代を描く。単なる怪盗・推理モノでは無い事が特徴で、
時代背景からは考えられない科学力が存在し、歴史上では明るみにされない戦争の遺物として再々登場する。
原作は漫画。コミックフラッパーで連載されていた。本編8巻の他に番外編2巻と後日談1巻をアニメでは、
時系列通りに並び替え再構成している。その為に、作中で何度か変化する雰囲気が視聴者を困惑させる。
しかし、一貫して“二十面相の娘”と呼ばれる主人公、“美甘千津子”_「チコ」が置かれた境遇からの脱出と
一人の女性として成長する過程が描かれ、男性社会における対等な女性像を体現し、時代背景にそぐわない
男女同権が爽快だった。チコだけが異質な事を強調する、女性たちの立場を表す対比は素直に感心した点。
チコは聡明で大人びた少女で、時たま見せる子供らしさのギャップや、男性顔負けのアクションにやられます。
女性の社会的地位は時代特有ですが、本作の女性はみんな強い。そこはかとないフェミニズムを感じる。

惜しむらくは22話の中で骨太なスタッフ陣の安定した構成とバランスの良い演出・作画を見せてくれる反面、
何度も残り時間を計算させられるほど「これで物語を畳むのは惜しい」と感じさせられる遊びのない尺だった。

22話でよくぞここまで濃い時間の流れや出来事をまとめたと感心もするが、長いスパンでやってほしく、
ゴールデンタイムの放送を出来たなら更に良かった。残酷描写もある為にこの時間帯だったのだろう。
主人公以外の人物を深掘りすることで更に面白くなったことは想像に難くないので、「もっと観たかった」のが本心。
ただ、余韻をもたせた幕引きを含めストーリーは綺麗に完結するので誤解の無いように。

ウケが悪いだろう箇所と視聴の際に引っかかるものも入れたが、わかりやすく悪く映る点を書き出すと、

>扱う時代とキャラクターデザインの古さ
>超越した科学を創作だと飲み込めない緩急
>しっかりとした構成だが欲を言えば倍は欲しい尺
>時系列を並べ替え正順にしたことで流れに乗って観られる反面、趣旨・ジャンルを最初に理解させづらい

こんなところだろうか? 私自身は、良い点悪い点すべてを踏まえた上でとても好きな作品であると言えます。

[余談]
リアルタイムでは無く少し後から視聴したのですが、きっかけは本作に参加するアニメーター「田中敦子」さん。
作画ファンなら誰もが知る方で、ルパン三世TV第二シリーズから原画として活躍し、「死の翼アルバトロス」や、
「名探偵ホームズ」「風魔一族の陰謀」や数々の劇場作品、ジブリ作品などに関わり、“大塚康生”氏に
「アニメを描くために生まれてきた」と言わしめた方。本作のアクション等に過去作への既視感を感じたら、
スタッフを見れば一目瞭然だと思います。何話かハズレだなと思う回があり、原因は予想通り脚本家でした。
集団で創り上げるアニメーションにおいて「人」は大事な作品の一部だと感じます。本作を観終わった時に
同じような感想を持った方は、高等技術のアクションシーンと、脚本担当回の答え合わせもしてみて下さい。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 11

黒幕 18 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分で 見て 聞いて 考えること

原作未読

おいおい知名度や人気の割に普通におもしろかったぞ

声優は主人公にハルヒなどで有名な平野綾

ほかのサブ二人は超電磁砲で有名な佐藤利奈&新井里美の二人
そうビリビリと黒子のゴールデンコンビなのだ!!


内容は
結構二転三転するから飽きることはないと思う
そんなに小難しい内容ではないので楽に見れます
テーマがしっかりしているので意外と心に訴えてくるものがあるかもです
あと主人公が可愛くていい子です

雰囲気が秀逸で
戦後まもない頃みたいな雰囲気が所々見られます

個人的には
好き嫌いが少なそうな内容で
作画が荒れていた訳でもなく
OPの雰囲気が秀逸だったのに
なんで人気が無いのか・・・

やっぱり現代は「萌え」がないとだめなのか・・・

投稿 : 2024/11/23
♥ : 9
ネタバレ

ゆうき。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ここじゃないどこかへ Unnamed World

怪人二十面相を読んだことがなくても問題なし。
聡明でかわいらしいヒロイン、チコ11歳。
毎日少しずつ毒を盛られ衰弱していたチコが怪盗としての技術、考え方をまるでまったく小学生は最高だぜよろしく吸収していく。
4話からチコ(12歳)が本当に可愛くなります!
何気ない日常会話を終盤で回収していくのも見所の一つだと思います。

少なくとも7話までは見ることをオススメします。
8話以降はアンダーグラウンドの雰囲気は鳴りを潜め、
1950年代後半のSF日常回になります。


21話の二十面相の名前について
{netabare}このアニメは漫画が原作で、漫画の方でも名前は明らかにされていません。このアニメの制作にあたって、監督がヒロインのCV平野綾に二十面相の名前を好きにつけていいよと発言したそうですが、やはり原作のままにしようと平野綾さんの考えでそのままになったようです。 {/netabare}

ED、Unnamed World は
アニメのために作られたロックミュージック。
平野綾さんの曲の中では、私の一番のお気に入りです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 1

68.5 6 イギリスでミステリーなアニメランキング6位
レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (60)
249人が棚に入れました
「どんなナゾもすべて解明、それが我がレイトン探偵社のモットーです。」
レイトン教授の娘「カトリーエイル・レイトン」は、しゃべる犬「シャーロ」と助手の「ノア」と一緒に「レイトン探偵社」を営み、ロンドンで起こる不思議な事件を日々、解決している。元々は、突如姿を消した父『エルシャール・レイトン』を探すという目的で始めた仕事ではあるが、奇想天外な発想によるナゾトキが徐々に話題となり、いろんな依頼が舞い込んでくるようになる。

声優・キャラクター
花澤香菜、小杉十郎太、池田恭祐、多田野曜平、山村響、今井翼

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

花澤香菜ファンは必見の、子供向け推理アニメ

ロンドンを舞台に、探偵のカトリーエイル・レイトン(カトリー)が様々な事件を解決していく推理アニメ。全50話。
カトリーは、ゲームなどでお馴染みのレイトン教授の娘という設定で、この作品もゲームが原作のようですが、そのあたりは知らなくても特に問題なく楽しめます。
物語は基本的に1話完結で、合間にときどきレイトン教授絡みの長いエピソードを挟んでいく感じ。日曜朝に放送されていた子供向け作品なので、探偵が主人公の推理物といっても、描かれる事件は優しいお話ばかりです。謎解きについても、かなり現実離れしたトリックが多くあるので、真剣に推理をしながら観るというタイプの作品ではありません。
この作品、個人的には話の内容自体も普通に悪くなかったと思いますが、最大の魅力はなんといってもカトリーという主人公でしょう。かわいくて有能なだけでなく、茶目っ気があるので、観ていてとても楽しいキャラでした。声を担当した花澤香菜のノリノリな演技も役柄に最高に嵌っていて、毎回お約束の決め台詞の場面などは、それを観るだけでもちょっとした満足感がありました。
その他、キャラではツッコミ役の犬のシャーロも良かったです。音楽は、OPとEDが全部で4曲あって、どれも良い曲でしたが、特に前半のOP曲と後半のED曲が好みでした。作画は、背景画が綺麗で観やすかったです。
最後まで観終わって、とても安心して楽しめる作品でした。あと、花澤香菜ファンの人は必見ですね。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 2

ちゅ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

良い話がたくさん

カトリーが元気に話すさまが活き活きしていて良いです。
花澤香菜さん自身が楽しんでいるのが伝わってくるようで、つられて口元がゆるんでしまいます。

いかにも子供向けで、むしろ一歩間違えたら幼児向けなのでは?と思いつつ恐る恐る観始めたものの、意外にも落ち着いた内容で、心に響く優しい話が多い。

基本的に単発なので焦って観る必要はなく、絵も声も音楽もずば抜けて安定。
安心して観れるので、ずっと続いてほしいです。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 2

63.2 7 イギリスでミステリーなアニメランキング7位
アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (32)
166人が棚に入れました
舞台は1930年代のイギリス。その首都ロンドンを拠点に活躍する探偵、エルキュール・ポワロ。ベルギー警察で活躍した彼は、引退後、その明晰(めいせき)な頭脳と洞察力を活かし、探偵業をしています。紳士の身だしなみと、自信にあふれたものごしで、難事件を次々と解決します。
もう1人の主人公、ジェーン・マープルは、ロンドン近郊に住む、上品でおしゃべり好きな老婦人。素人探偵ですが、豊富な人生経験と鋭い観察力で、真犯人を突きとめます。名探偵2人をつなぐオリジナルキャラクターの少女、メイベル・ウエスト。ミス・マープルの甥の娘にあたる彼女は、自分の未来を切りひらくため、ペットのアヒル、オリバーと一緒に、ポワロ探偵事務所のドアをたたくのです。

声優・キャラクター
里見浩太朗、八千草薫、折笠富美子、野島裕史、城雅子
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