Kuzuryujin さんの感想・評価
4.8
言の葉の力
言葉は本当大切。
それをあらためて教えてもらえる作品。
日本には古来より言霊(ことだま)という考え方があり、
良き言葉には良き霊力が、悪しき言葉には悪しき霊力が宿り
人の運勢にも大いなる影響をもたらすという。
確かに明るく前向きな言葉ばかりの人は運がいいし
周りの人々も明るくしてくれる。
今作の主役、アッコはその典型。
明るく前向き、積極的な言動で、
周りからどんなに馬鹿にされようと、
援軍無き孤独奮闘の状態なろうと
一旦決めたことは決して諦めない。
わがままな自己中、衝動的、押しつけがましいのが玉に傷で
物語の開始当初は、単なる痛いキャラに過ぎなかったのだが
徐々に彼女の魅力が発揮され遅くても15話の時点で、
自分の中では愛すべきキャラとしてすっかり定着してしまった。
彼女に巻き込まれたのは、物語の中の人々だけじゃなく
視聴者の多くもそうかもしれない。
この作品を愛する方のレビューを読むとそう感じる。
素直な感性を忘れない人には必ず届く
何らかのメッセージ性がある作品、
だから大人も子供も楽しめる作品だと思う。
決して幼稚ではないのが魅力。
これなら深夜に放送するより、
多くの子供たちが観れる時間帯に放送したほうがいいと思うが
なんらかの大人の事情でもあったんだうか。
そこはちょっともったいない。
2クールなので人物の掘り下げも丁寧。
個人的には15話でアーシュラ先生が
一番好きなキャラになった。
中の人、日高のり子さんの好演が光る。
日高さんは、最近では、カーナビ音声や
「PSYCHO-PASS」のドミネーターなど
機械系、無感情系の声のイメージが強かったが
今作は、人情味や母性豊かなキャラで新鮮。
演技の幅の広さは、さすがのベテランといったところ。
また、ここまでくるとアッコ役の潘めぐみさんは
すっかり役が染みついて顔までアッコに見える。
<シンプルで解かりやすい、親しみやすい物語>
いい感じに謎も残し、終盤に向けて盛り上げられるようにと、
よく練られたストーリー構成だと思う。
作画も頑張ってて、キャラの表情の豊かさと
動きの中にある説得力が素晴らしい。
コミカルでありながら、キャラの深い内面まで伝わる。
作品世界に確実に引き込む吸引力が半端ない。
スタッフの作品に対する愛情が伝わってくるようだ。
★ 第18話「空中大戦争スタンシップ」
{netabare}
今回、今までで一番笑えて
物語評価4.0→4.5、作画評価4.5→5.0に上げた。
特に今回の後半の演出の勢いは、
「未来少年コナン」の頃の宮崎駿氏を思い出させる。
ネタばれ抜きで何も考えないで観るが吉。
今回は、コンスタンツェとアッコ、
コミュ障無口×お騒がせおしゃべり、
器用な天才×破壊的不器用、
正反対のキャラが繰り広げるドタバタ劇。
二人組むと魔法が掛かってすさまじい化学反応を起こした。
よくできたシナリオに乗った
演出&作画スタッフたちの頑張りで
笑えるだけじゃなくちょっといい話にもなってるという
奇跡のハーモニーを奏でたと思う。
{/netabare}
★ 第19話「キャベンディッシュ」&第20話「知性と感性」
{netabare}
<アッコは妖怪「天然人たらし」>
ここしばらく、アッコの直感的な行動で問題解決、
人間関係の改善&深化の話が続く。
仲間の窮地を救い、人間攻略がなされ、
新たな言の葉ゲットという
目標達成も同時に描かれ一石二鳥。
効率がとても良い。
必要な攻略が完了して
固い絆の仲間たちが出来上がった暁には、
ラスボスと思われる某先生に、
皆で一丸となって立ち向かうという
今作のクライマックスが待っていそうな予感。
今回は、アッコとは、真逆の性格と才能と思われ、
水と油のようで難攻不落と思われたダイアナのターン。
1話分ではとうていそのプロセスを描き切れないと
脚本家は判断したんだろう。
2話掛けることで、無理のない自然な流れが生まれ、
そんなダイアナも遂に落とし信頼関係を築いた。
アンドリューまで登場させ、
その関係性の深化まで描いていることも非常に巧い。
しかもダイアナの慈愛溢れる本質まで判明。
彼女の人間的魅力も倍増した。
敵対するものも憎むべき存在として描いていないのも好印象。
とても後味が良く、微笑ましくホッコリ。
<印象的な19話でのロッテ&スーシィ>
アッコが無鉄砲にもダイアナを追いかけようとしたその時、
決して引き留めず、多くを語らず、必要なものをそっと差し出し、
信用して暖かく送り出す短いシーンがいい。
アッコの実力を認め、すっかり一番の理解者になってる様が微笑ましい。
{/netabare}
★ 第21話「ワガンディア」
{netabare}
<キャストの皆さんの、息も合った感情移入深い演技に魅了された>
今回で声優評価4.0⇒5.0に修正。
シリアスに話は進む。
シャリオとクロワの因縁の一端が明かされ
7つすべての言の葉の復活で得られるものをクロワが欲しているとわかる。
また、シャイニィロッドがアッコを選んだ理由もわかる気がした。
本質的には似た者同士のアッコとシャリオはソウルメイト。
世代を超えて固い絆で結ばれた二人は最終話で
何らかな奇跡を起こしてくれそうな予感がする。
ダイアナたちも大いに活躍しそう。
スーシィの「デレたか」の一言にクスッ。
7つ目、最後の言の葉の復活は過去においてシャリオは達成できなかった。
そのためにシャイニィシャリオであることを辞めて
名前まで変えて地味に目だない存在になってしまったのかもしれない。
そのあたりも今後どう描かれるのか。
シャリオが失敗したのなら、そう簡単にはいかなくて
アッコも相当苦労しそう。
課題、謎が明確なので次回も非常に楽しみだ。
{/netabare}
★ 第22話「シャリオとクロワ」
{netabare}
<アーシュラ先生の正体がばれる>
前回、アーシュラはアッコを庇い、
ワガンディアの花粉を浴びて空を飛べなくなってしまった。
しかし、アッコとアーシュラの試練はこれからが本番。
アーシュラは、本当はちゃんと伝えるつもりが思わぬ形で
シャリオ・デュノールであることがアッコにばれた。
それが結果的にアッコとの間に溝を生む。
<夢見る力を魔力に変える>
今までのアーシュラの正体ひた隠しの理由が明確に。
シャリオへの憧れだけが、
すべての活力の源だったアッコ。
クロワの、シャリオの真実の暴露のおかげで、
アッコの心は絶望に似た奈落の底まで突き落とされる。
当にヒロイン最大のピンチ!
果たして彼女は再び信じる心を取り戻し
言の葉を蘇らせることができるのか。
魔法は皆を喜ばせるために使うもの、
という信念を貫き通すことが出来るのか。
シンプルでベタで王道の展開ながら
キャラの魅力と相まって非常に面白い。
全25話なので残りは3話。
ドラマティックな盛り上がりを期待したいな。
{/netabare}
★ 第23話「Yesterday」
{netabare}
<感情移入させるポイントを絶対に外さない構成と脚本の魅力>
今までのエピソードの積み重ねは、
当初ダメダメで皆から馬鹿にされてたアッコが
皆から愛され、かけがえのない友になった過程そのもの。
ここまでずっと欠かさず観続けた
この作品を愛する視聴者にとっては
ロッテ達と同じようにアッコを心配してしまうだろう。
慈愛と尊敬の言霊でアッコを救ったダイアナ。
そんなダイアナだって19話、20話があればこそ
自分に足りない、素晴らしいものを持ってるアッコに
素直に敬意をはらえるのだと思う。
<若きシャリオの挫折描写も感情移入のポイント高い>
アッコは、若かりしき頃のシャリオと同じ。
私心なく、一途に魔法で人々を幸せにしたいという
純真な価値観だけが行動原理だった。
だから、シャイニィロッドに選ばれたのだろう。
21話ではぼんやりと、今回で明確に伝わった。
アッコの挫折からの立ち直りを1話で済ませたことは好印象。
ラストに向けて無駄なく必要なピースをさくさく埋めていく制作の手腕が見事。
出来上がったパズルは、きっと素晴らしい絵柄となって記憶に刻まれそうだ。
{/netabare}
★ 第24話「アルクトゥルスへの道」
{netabare}
今回は次回の25話とセットで最終話と言ってもいいと思う。
これなら、問題解決後の余韻も存分に味わえるラストが描けよう。
<シャリオ、カッケー!アッコ、まじ天使!>
ここまで一途に慕われるシャリオは幸せ。
シャリオとアッコは、前世からの深い縁に違いない。
師弟関係極まる二人の抱擁に感動でウルっ。
ベタな展開がこんなに心地良いとは!
スタッフたちのアイディアは多岐に渡り、
シャリオ渾身の戦いを彩る。
飛べなくなった設定が存分に活かされ、
長い髪をなびかせ必死にジャンプするシャリオ。
その素晴らしい身体能力は、峰不二子、ナウシカ...
過去に出会ったアニメの複数のヒロインのイメージと被る。
今まで魔法に頼っていたのに
何故あれだけの身体能力があるのかというツッコミは野暮というもの。
ここは素直に話に乗ったもん勝ちだ。
スターウォーズへのリスペクトか。
ライトセーバーっぽい武器が画的にいいアクセントに。
アッコの純真な気持ちは
7つ目の言の葉復活の決め手として
十分な説得力を持っていた。
<クロワの敗北はあっけなく訪れたものの・・・>
昨今の世界情勢の不穏さと絶妙にリンクしてる感。
絵空事でない緊迫感もあってヤバかった。
クロワはテクノロジー依存の人々の象徴か。
クロワは悪人ではないが、人は等しくクロワになり得ると伝わった。
怒り、いらだちの負の感情がもたらした機器の暴走。
クロワもすでに制御不能。
最後の○○○○は非常に生々しい。
今の日本を取り巻く情勢のタイミングでこう来るとは...
制作陣の勇気に感服した。
魔法は人類を救うための神々の恵み足り得るのか?
最大の危機が訪れ最後は如何に?
アニメは、今作の魔法の立場と一緒で
人に夢を与えてくれるもの。
この作品に限ってバッドエンドはあり得ない。
ハッピーエンドは見え見えだがそこがまた好い!
OPや今回登場した地面のシンボルマークに共通する、
三つ巴に組んだ腕は、人と人が信頼し助け合うことで
奇跡を初めて得るということなのだろう。
大勢の学友とシャリオが信頼し、協力してこそ奇跡は生まれ得るのだ。
{/netabare}
★ 第25話「言の葉の樹」
{netabare}
人々の憎悪の感情が集まって生み出された魔獣はミサイルと一体となった。
世界中にさらなる憎しみを拡散させ、完全なる自己破壊を達成するために。
<9人の魔女が一丸となることが現状打開の唯一の方法となる>
世界はミサイル迎撃に万策尽きた。
しかし周りがどんなに絶望感に囚われても我らがアッコは相変わらずだ。
「出来るよ!私たちなら止められる!!」
空気を一瞬で前向きなものに変える言の葉の魔法がアッコの最大の強み。
後は、ジェットコースターのような怒涛の展開。
制作陣の沢山のアイディアが詰まった作画と演出に魅了されるのみ。
アクションは台詞無くて作画だけでも面白い。
<世界中に広がる笑顔...>
ベタだが爽やかで希望溢れるラスト。
最終話で、世界中の子供たちに発信したい作品になった。
仮に日本の売り上げがいまいちでも
海外の売り上げが良ければ、続編も期待できよう。
その時には、シャリオのワガンディアの呪いも解けるに違いない。
ずっと飛べなかったアッコが、力むと全くダメなのに
リラックスして能天気な状態になることで
飛べたというオチがまたアッコらしくて微笑ましい。
多くの、このサイトのレビュアーがこの最終話を絶賛し
本作を名作認定している。
当方も全くの同感だ。
最終話で物語評価は5.0他で、全体評価を4.4を4.8に上げて更新した。
{/netabare}