魔女アニメ映画ランキング 14

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の魔女成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月05日の時点で一番の魔女アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.3 1 魔女アニメランキング1位
リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード(アニメ映画)

2015年10月9日
★★★★☆ 3.9 (178)
1037人が棚に入れました
幼い頃に見た魔女・シャイニィシャリオのショーで魔法の魅力を知り、伝統ある魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。
騒動ばかり起こしているアッコと、友人で世話役のロッテ、皮肉屋のスーシィの3人は、罰として魔女狩りの歴史を再現したパレードに参加させられることに!
同じく問題児グループのアマンダたち3人と一緒にパレードを成功させなければ、落第決定。
しかしどうせなら、シャイニィシャリオのショーのように思いっきりハッピーなものにしたい!!
街全体を巻き込んだ、アッコたちの魔法仕掛けのパレードが動き出す──。

声優・キャラクター
潘めぐみ、折笠富美子、村瀬迪与、日笠陽子、志田有彩、村川梨衣、上田麗奈、日髙のり子
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

“THE HAPPYTINE 計画”!魔法が素敵なものだって、みんなに知ってもらいたい♪

2013年に公開された“アニメミライ”の1つ、
「リトルウィッチアカデミア」。

その続編として、
2015年に公開されたのがこの作品です。

DVDには2作同時に収録されているので、
先に前作から観ることをおすすめします。

前作は30分、
本作は1時間ほどの作品です。

ちなみに、2017年のTVシリーズは本作の続編ではなく、
完全新作だそうです。(私はまだ観ていません。)


● ストーリー
魔法学校の生徒であるアッコ、ロッテ、スーシィ。

彼女たちは学校でよく騒ぎを起こしていた。

罰として、ふもとの街で行われるお祭りの、
魔女パレードを成功させるよう命じられる。

魔女パレードは魔女狩りを模したパレードで、
どう見ても楽しそうなものではない。

他の問題児3人が加わり、
パレードの計画を考え始めた。


標準的な映画と比べると短い時間ですが、
中身に関して物足りなく思うことはありませんでした。

テンポよく話が進むので、
むしろこの時間でよかったなと思います。


話のオチからエンドロールへ。

この時の気持ちって映画の感想に大きく影響すると思うのですが、
いやーとても清々しくて満足度の高い終わりでした。


≪ うまい!空気作り ≫

アッコは幼い頃に観た魔法への憧れが強く、
魔法に対して“かっこいい”という明るい印象を持っています。

そんなアッコのキャラが
とても大切にされているような気がします。

様々なハプニングが起こり、
ピンチに立たされることも。

しかし、
ピンチが嫌な緊張感になることは決してない。

なんかむしろ「もっとやれー!」な楽しさw

それはキャラたちが意図的に作った空気なのですが、
それがそのまま作品の空気になっちゃうんですね。

空気がいいから、
この作品に対して悪い印象を抱きにくい。

結構荒いんですけどねえ、脚本w
{netabare}
・街が破壊されているのに演出だと信じてうろたえない市民。
 演出だとしても相当派手に破壊されてますけど…。笑

・すごく難しいと言ってた高等魔法を、 あっさり使えてしまう3人。
 火事場の馬鹿力ってやつ?いやいや無理あるだろ。笑
{/netabare}

魔法っていいな~と純粋な気持ちで憧れちゃいます♪


≪ 物語を動かしていたのは悪ガキたちだった ≫

魔女をバカにしている街の悪ガキたち。

物語が展開するときにまず動くのが、
この悪ガキたちなのです。

メインキャラ以外のキャラが物語の舵を切ることで、
物語に意外性が生まれる。予想しなかった方向へ物語が動く。

この作品の楽しいところの一つに、
そういう“一筋縄でいかないところ”もあると思います^^


● キャラクター
私、どうもアッコが好きになれなくて。

自分がやりたいことしか考えてなくて、
それがすべて正義だと思っていて、
平気で周りを振り回す。

にぎやかで明るいキャラだけど、

周りの人たちの気持ちを何も考えず、
自分がやりたいことだけに一直線な姿には高い好感は持てない…。

夢は思い描く。しかし口だけで自分が努力をすることもない。

何か不都合があれば、
周りのせいにしたり、わかってくれない人を悪く言う。

…ほら、アッコ最低な主人公じゃない?笑


しかし、そんなアッコを私に見捨てさせない存在がありました。
2人の親友、ロッテとスーシィです。

特に終盤のロッテの台詞がすごくて。

アッコ:
「{netabare} ごめんね。いつも自分勝手で、ロッテの気持ち考えないで。 {/netabare}」

ロッテ:
「{netabare} いいの。だからアッコは、私ができないことができるの。前を向いてどんどんやりたい方に進んでいくの。それがアッコだよ。 {/netabare}」

アッコの悪いところを全部わかっていて、
それでも悪いところじゃなくて、よいところを大切にしているんだな~と、

なんて懐が深い人たちなんだと、感激しました。

ロッテのこの台詞が、
アッコというキャラをすべて表している。

「アッコが腹立つんだよね。」なんて思っていた自分は、
なんて歪んでいると思いました。反省。笑


● 音楽
【 主題歌「Magic Parade」/ 大原ゆい子 】

この主題歌好き♪

爽やかでキラキラしていて…
私の好みです^^


● まとめ
私の中では珍しく、
「キャラに好感は持てないが、物語は好き」な作品でした。

手描きのぬくもりが伝わってくる丁寧な作画も好きでした。

アッコの自分押し付けな行動は好きではないけど、
夢を恥じない一直線な姿は見習いたいな。

テレビシリーズも観たいと思います♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「忘れないで、信じる心があなたの魔法よ」

この作品は、2015年10月に劇場公開された作品ですが、実はこの作品には前日譚に位置付けられる作品があるんです。
2013年の「アニメミライ2013」で公開され、2014年の1月からレンタルが開始されている「リトルウィッチアカデミア」という作品です。
収録時間は26分なので普通にアニメ作品1話分に相当する尺となっていますが、作品自体が登録されていないので、合わせてレビューを記載したいと思います。

この物語の主人公は、日本人のアッコ…彼女は幼い頃に魔女シャイニィシャリオの煌びやかな魔法に憧れて、魔法家系でもないのにヨーロッパの魔法学校に入学した女の子です。
でも魔法使いを目指す者の多くは魔女の血筋を持つ者が圧倒的に多く、一般家庭育ちのアッコは言わば落ちこぼれ組…
それでも憧れの魔女に近づくため希望を持ち続ける…そんな女の子です。

「リトルウィッチアカデミア」では地下迷宮探索の実習中に、アッコはシャイニィシャリオの杖…シャイニィロッドを見つけるのです…本来そのロッドは2度と輝きを取り戻せないと言われていましたが、アッコがそのロッドを手にした途端にロッドが輝きだしたんです。
でもその実習では、同時に古のドラゴンの封印が解かれていました。
ドラゴンが地下迷宮から地上に出てきた事で学校は大混乱…
ですが、これまでろくに魔法の使えなかったアッコがシャイニィロッドを手に魔法使いの片鱗を見せてくれる…
こんな物語が描かれています。

一方、本作ではアッコ、ロッテ、スーシィの仲良し3人組は、仲が良すぎる反面、自由気ままな授業態度がそのままみんなの迷惑になっていて、その態度は一向に改善されません。
そんな3人に痺れを切らせた先生は、アッコを含めた問題児6人にこの街の伝統行事である「魔女パレード」への参加を命じるのです。
でもその魔女パレードとは名ばかりで、実質的には昔行使されていた魔女狩りを、学校の生徒を魔女に見立てて再現したお祭りだったんです。

「どうせパレードを見てもらうなら、見に来てくれた人が笑顔になれるようなパレードにしたい」
アッコらはこう考えて物語が動いていきます。

作風は、一目見てTRIGGERさんだと分かるくらい、キャラの勢いや躍動感など表現の特徴がしっかり捉えられています。
「お客様を喜ばせたい」
シャイニィシャリオに憧れるアッコなら当然の発想だと思います。

でも何故、魔女狩りを再現したお祭りが街の伝統行事として今でも続いているのか…
学校の外では魔法使用に限界があり、学校の中の様にうまく魔法を使えない事も後押しして事はそんなに単純には運ばないんです。
結果的に実現不可能な議論を堂々巡りさせた成れの果てで待っているのは亀裂しかありませんでした。

でもアッコは諦めません。
何故なら、ここで自分が諦めたらもう「狩られる」事しか選択できなくなるから…
彼女のありったけの知恵と時間を絞り出した「彼女らしさ」は迫力満点です。

それとこの作品の魅力は豊かな表情を持ち合わせたキャラデザだと思います。
TRIGGERさんのキャラは喜怒哀楽が全身で表現されていますが、それがまた作風にピッタリなんですよね…
それに所狭しとキャラが画面一杯使って動き回るのも見ていて楽しいと思います。
「綺麗」とか「汚い」という尺度で測れないこの作品のキャラも十分魅力的だったと思います。

完走して言える事…それは2017年冬アニメで放送予定の「リトルウィッチアカデミア」には十分期待できる、といったところでしょうか…
「キルラキル」でも同じ事を感じましたが、この作品も躍動感が半端ありません。
90分弱の作品なのですが、タイトルに相応しい内容だったと思います。

もし、現在放送中の作品を見て過去作が気になった方は、視聴をお勧めできる作品だと思いました。
引き続き、2017年冬アニメの放送を視聴します。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【これがTRIGGERの本気!】アッコに勇気付けられ、ロッテに泣かされ、スーシィに爆笑させられる【超豪華スタッフによるネ申作画と新しいアニメの作り方!】

2013年度アニメミライに採用されたTRIGGERの短編作品『リトルウィッチアカデミア』の続編で長篇作品です


舞台は魔女を養成する名門、ルーナノヴァ魔法学校
幼い頃に観た魔法ショーへの憧れが忘れられず魔女を目指す問題児、アッコとその友達たちが巻きこすドタバタファンタジー
街で開かれるお祭りのパレードに参加することになったアッコとその友達たち
しかしパレードは魔女狩りを再現した陰険なもので、ルーナノヴァでは忌み嫌われていて問題児達へのペナルティ的な側面が強すぎた
アッコは魔女の悪いイメージを払拭すべく、ハッピータイム計画なる明るく楽しいパレードを企てるが友達たちとの折り合いが付かず一人空回りしていく・・・


上映前に30分の前作が流れ、その後に60分の本作が流れるので全くの予備知識無しでもオーケーb
魔女っ子ファンタジー、歯に衣着せぬキレたギャグ、ドタバタマジックアクションがお好きな方は是非チェックしていただきたい!
新たに加わった新キャラも魅力的でしたが、折笠富美子さんの歌声が久々に聴けたのには思わずホロっときちゃいましたね


監督は超天才アニメーター、弟成こと吉成曜
前作は新人の育成が主目的でしたが(と、いっても凄い新人さんたちでしたがw)今作では現在のTRIGGERを代表する夢のような作画メンバーが一堂に集結
だから作画クオリティはめちゃくちゃ高いです!
『キルラキル』とか好きな人にもオススメします


実は今作が制作されるまでの経緯が特に面白いんです


アニメミライ2013のプロジェクト終了後、YouTubeで公開され大きな反響を呼んだ前作
すぐさま続編が企画されましたが、続編制作を成立するための資金調達としてクラウドファンディングで15万ドルも集めなくてはいけなかったんです
記憶が確かなら、日本のアニメがクラウドファンディングで制作費を調達するのは初めての試みだったはず
YouTubeでの英語字幕付きの公開も助けになり、特に海外からの熱いエールと応募があって目標を遥かに超す62万5518ドルが集まりました


丸2年の歳月を経て完成した本作の先行上映は、あえてアメリカ最大のアニメファンイベント、AnimeExipo2015で行われ4000人の観衆からスタンディングオベーションが巻き起こったそうです
そんなこんなで満を持しての国内凱旋ってわけ


これは本当に凄いことです
【日本のアニメをお金を払ってでも観たい】という海外の方々が本当に沢山いるんだってことをこの作品が証明してみせたわけですよ
と同時に、一見して無謀なオリジナルアニメ企画にもクラウドファンディングという形でなら直接消費者から制作者へエールを送れる、という可能性を示したのです


ずばりアニメの新しい制作スタイルを確立した歴史的一作と言えるでしょうb

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

67.3 2 魔女アニメランキング2位
メアリと魔女の花(アニメ映画)

2017年7月1日
★★★★☆ 3.5 (149)
666人が棚に入れました
「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の米林宏昌による新作アニメーション映画。

イギリスの女流作家メアリー・スチュアートによる1971年の児童文学「The Little Broomstick」を原作に、11歳の平凡な少女メアリの奇想天外な冒険を描き出す。

声優・キャラクター
杉咲花、神木隆之介、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、佐藤二朗、遠藤憲一、渡辺えり、大竹しのぶ

gazabata さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ポストジブリジブリ

長い間見るのを引き延ばしてきた映画です。引き延ばしていた理由は特にありません。

ストーリー:
ちょっと良くてちょっと残念な内容。
なんとなーく面白いが、何かが足りない。結局は同じようなストーリーをもっと面白く伝えている映画や本を知っているからあまり衝撃や影響を受けることはなかった。

キャラ:
あんまりよくないかな。
キャラの個性が基本的に薄くて声優があまり上手でないのがそれを強調してしまってる。
セリフは結構ジブリっぽいのだが残念ながら声優が本当にへたくそ。特に佐藤二朗がひどい。本当にひどい。これは宮崎駿がいたからできたことで他の監督にはできないのかなと思う。

アニメーション:
部分的にはジブリの過去作品を超えていると思う。色がはっきりしているのも好きだった。オープニングの三分はなかなか素敵だと思った。全体的に素晴らしい。
一つだけちょっと残念だったのが見せ場が少し似通っていたことだった。うにょうにょ液体のアニメーションがたくさんでもう少しバリエーションがあっても良かったかなと思う。

避けては通れないジブリと比べるセクション:
まず全体的にストーリーが多数のジブリ作品に似通っているところから。
この過去作品に似ているのを理由にこの映画がノスタルジアとコマーシャリズムの塊であるという見方をするのは非常に容易いことだが、個人的にそれは、まず第一間違っていると思うし、第二に結構意地悪で悲観的な見方であると思うのでそのようなことはしない。(これはノスタルジアやコマーシャリズムを利用している部分がないと言っているわけではなくこの映画の中心がそれではないという意味)
それではなぜここまで似ているのか。個人的にこれはジブリ及び宮崎駿に対する反抗のような、独立宣言のようなものだと思う。自分のほうが良いものが作れると。(それに成功したかどうかは置いといて)
話が似ているのはジブリ間を出すためではなくその真逆で、ジブリでなくなったジブリがどう違うか見せつけようとしたのではないかと思う。ただここで発生する大きな問題がさっきのノスタルジアとコマーシャリズムだ。これが色々なところにちりばめられているせいでこの映画の意味や目的を勘違いされる。映画のキャッチコピーが「魔女、ふたたび。」だと勘違いされるのも仕方がない。耳をすませばの「やなやつ」に似通ったセリフを入れたり、千と千尋の有名な食事シーンに出てくる食べ物を背景に出したりするとこれはもうあからさまなノスタルジアではないかということになる。このようなものをスタッフが入れたのはノスタルジアが目的ではなくではなく、ジブリに対するリスペクトの証のだったかもしれないがそれは自分たちとジブリの違い(変化や進化)を表すために作った映画に入れるのは大きな間違いだったと思う。

好きだった部分:
思ったよりネガティブなレビューになってしまっているので(結構好きな映画なのに)バランスをとるために好きな部分を書いていく。
とにかく最初の三分は素敵。
動物の反乱シーンはすごく好きだった。多分一番好きなシーン。とても素敵。
クリーチャーデザインがぶっ飛んでいてすごく好き。想像力いっぱいで素敵。最後の化け物はピクミン3のラスボスみたいで楽しかった。
建物のデザインもすごく好き。素敵。
色づかいが凄く好き。

まとめ:
もう少しいじればすごく良い映画が作れたと思う。惜しい。キャラクターは全体的に残念。
最後に言いたいのは、これは宮崎駿がいなくなったジブリ(正式にはジブリではないが)の一作目にしては大健闘だということだ。もう少し頑張って自分らしさを見つければとても良い映画を作る日が来るかもしれない。少なくとも自分はそう願いたい。


点数:7/10

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

GHIBLI NO OWARI

【概要】
 2017年夏公開の劇場長編。イギリスの児童文学が原作の魔法ファンタジー。監督は「思い出のマーニー」「借りぐらしのアリエッティ」などジブリ作品でお馴染みの米林宏昌。制作したスタジオポノックはジブリの元スタッフが多く、本作も「ジブリっぽさ」があちこちに感じられるものになっています。

【感想】
 映画評論家の小野寺さんがRealSoundの記事で「絶望的なまでにつまらない」とケチョンケチョンに貶していたので一体どんだけヤバいんだ・・・と身構えてしまいましたが、案外普通に見れてしまいました。

 いや、確かに宮崎駿作品と比べると厳しいものがありますよ!でも深夜アニメにはこの数段しょうもないものがゴマンとあるし、劇場アニメに限定しても少なくとも僕は「ひるね姫」「打ち上げ花火」「未来のミライ」より楽しめたのでこのくらいの点数は付けておきたいかな。キモかわいいキャラが色々と出てきて、視覚的には面白い。こういうキッチュな感じはわりと好みだったりするのです。本作に関しては金曜ロードショーでタダ見させていただいた身分なので、劇場で見た人よりやや評価が甘くなってしまうのかもしれません。

 ただまぁ、世間の評判が芳しくないように、確かに色々と問題点はあるように思います。細かな欠点を書き出すとキリがないので2点だけ言及しておきますね。

{netabare}
■1つ目はメアリちゃん独り言多すぎ!問題。

 メアリちゃんは独り言がすんごく多い。おまけに動物やら、植物やら、鏡やら、天井やら、人以外のものにやたらと話かけるもんだから、いくら幼いとはいえちょっとイタイ子のように見えてしまう。そもそもこの映画、会話シーンが少なくないですか?あっても一方的に話して終わることが多いように感じました。この作品で一番面白いのは終盤、魔力を使い切って地面に落ちたほうきを拾いあげる場面なんじゃないかと思う。

メアリ「ほうき君、ほうき君!ねぇ返事をして!!」

 ここまで笑いを取ろうとして滑っているシーンが多かったように思うけどさすがにこのシーンでは笑った。おいおい、ほうきはここまで一度もしゃべってねーだろwwwwwwwww

 でもこれは笑い話で片づけられることではなく、脚本の問題であり、いくら子供向けのアニメであっても全てを台詞で説明してしまうのは好ましくないように思います。


■2つ目はジブリのパロディ多すぎ!問題。

 元々題材からして否が応でも「魔女の宅急便」を連想してしまうのだけれども、実際に鑑賞すると・・・

 猫を追いかけていく導入部は「耳すま」とかぶるし、魔女大学の校長とドクターは「千と千尋」のキャラと似たような雰囲気があるし、ヘラジカに乗るシーンは「もののけ姫」チック。

 と、どこかで見たような感覚にたびたび見舞われる。極めつけはクライマックス。なぜか「ラピュタ」のような舞台が用意されていて、例の「バルス」のような展開で話を〆るという節操のなさ。

 これらの演出に関しては意図的だという見方もあります。というのは、本作の一夜限りで魔法を捨てるというプロットは、「ジブリの威光」という魔法を利用して映画を作るのはこれが最初で最後だよというスタジオポノックの表明になっているという解釈です。なるほどそれなら理解でき・・・ません。なぜなら、本作からはこれから先、魔法なしで勝負していくために必要な、監督の個性や作家性を感じることができないからです。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 34
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

【評価辛目】私にはまだまだ……もっと魔法が必要です

原作児童文学は未読。

『アリエッティ』以来の“動”のアニメへの再挑戦となった米林宏昌監督の独立後初長編作品。

『マーニー』のように“静”の繊細な心情表現を得意とする監督が、
動いて楽しいアニメーションを追及、奮闘したことがよく伝わってくる映像構成。
豊富なイマジネーションを詰め込み表現された魔法ファンタジー世界には、
芸術性を感じさせ、劇場鑑賞する価値を有した作画が並んでいたと思います。

ただ、私としては、もう一つ、楽しさが突き抜けなかった印象。
もっとオテンバで飛ばして欲しい所で、今ひとつ無茶しきれてない感じでした。

私がひとつ象徴的だなと思ったのは、
{netabare}メアリが魔法大学へ行く途上、絶壁から一段一段とびとびに突き出した階段を上るシーン。

ここは例えばメアリが派手に足を滑らせて、今の普通、落ちるだろうwというオーバーアクションで、
目もくらむような高さ等の危険を観客と共有したりできる絶好の仕込みどころ。

ところがメアリは恐る恐る登っていくのみ……。{/netabare}

こうしたリアリティから飛翔しても飛び切れていない。
勿体ないと感じる場面がちょくちょく目につきました。

もちろん監督もヒロインに危なっかしさを出す必要性は十分認識していたはず。
それは冒頭メアリのドジっ娘属性?の強調という形で決意表明?もされてはいました。

オーバーアクションのエンタメ性についても理解されていて、
登場キャラの奇妙なステップやドクターの奇抜な移動手段や、
その他、変顔の生物たちによって楽しさの構築が図られています。

けれど、これらの点でも、今一歩、逸脱できてない感じ。
観ていて、その動きオカシイだろう(笑)とか、危ないwとか、
一緒に手に汗握るシーンがもっと欲しかったです。


例えばメアリが {netabare} 万策尽きたピンチシーンで、にわか雨ひとつ落ちてこない。{/netabare}
浅いヘコみ演出から、クライマックスへ一緒にジャンプアップするには、
鑑賞者側に想像力の飛躍が必要になるとも感じました。


その上で渋いテーマを提示されても、
魔法に酔い切れてない私には理解できても、今ひとつ共感はしきれませんでした。

要するに{netabare}メアリに「もう魔法なんか要らない」と一皮むかせる成長物語。
ある種のコンプレックス解消手段として現れる魔法の奇跡や魔法大学の甘言。
それらを乗り越えて、少女が今の環境に向き合う強さを手にするという筋書き。{/netabare}

良い主題だったとは思いますが、私としては受容する前に、魔法でもう一暴れしたかったです。


とは言え、新たなファンタジーにチャレンジした監督の意欲は買いたい一作。
本作が、課題は見えている上で、進化の途上にある作品だったと信じつつ、
引き続き、米林監督とスタジオポノックの今後に注目していきたいと思います♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 26

71.7 3 魔女アニメランキング3位
Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆(アニメ映画)

2019年11月8日
★★★★☆ 3.6 (249)
1314人が棚に入れました
かつて世界を滅ぼしかけ、四百年を過ぎた今なお人々にとっての恐怖の対象であり、忌み嫌われ続ける存在である《嫉妬の魔女》。伝説によれば、彼女は紫紺の瞳を持つ銀髪のハーフエルフであったという。雪と氷に覆われたエリオール大森林に、たった一人で暮らすエミリアは、嫉妬の魔女に瓜二つという理由から、魔女と恐れられていた。誤解され、傷つき、それでも小さな希望を持って、孤独を生きていたエミリアの前に現れたのは、小さな猫の姿をした精霊だった。

声優・キャラクター
高橋李依、内山夕実、小林裕介、水瀬いのり、村川梨衣、子安武人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

そういえばエルフでした

シリーズは異世界アニメランキング堂々の一位だそうです。その劇場公開もしてるOVAが本作。

 しょせん異世界ものなんて! とか
 ヒロイン見た目が萌え萌えしてね? とか

そんな苦手意識を軽く飛び越えてくる作品との評価がわりと一般的でして私もそう思ってる一人。
それはまるで長らくおっさんらが独占していた焼酎。タカラ『缶チューハイ』でも越えられなかった壁を乗り越えたあの金字塔を彷彿とさせます。というわけでサブタイトル↓

 {netabare}『氷結の絆』{/netabare}

…すみません本題に戻ります。

ちょうど1stシリーズの前日談に該当し、森に住まうエミリアとパックとの関係性に焦点をあてた内容。
その後を知ってますのでエミリアが森を出ようと決意するまでの話と聞いても驚きはないでしょう。
観なくても本編視聴に支障はないが、本編を観てないと理解し難いTHEサブストーリーになってます。
また本編の主要キャストはほとんど登場せず、です。


『死に戻り』『レム』のキラーコンテンツがないためわりと地味め。というか多かれ少なかれ『リゼロ』で視聴者が想定しているネタがないので肩透かしはあるでしょう。
ここはもう好き好きで、むしろ劇場版らしい閉鎖空間といいますかエミリアとパックの二人に集中できたかな、と私は好意的に受け取ってます。

たまたまの地上波放送のきっかけがなければ視聴に至ってなかったでしょう。正直ラッキーでした。

 {netabare}“こんな想いで彼女は森を出たのね”{/netabare}

知ってはいたけど肉付けされてました。

 {netabare}“だから仲間たちにはこういう言動をするのね”{/netabare}

むしろこの裏付けがとれたことが自分には収穫でした。


※ネタバレ所感

■エルフという生き物

架空の生物なんですけどイメージってありますよね。自分は以下の通り。皆さんはいかがでしょうか?

 ① 長命(あくまでイメージ)
 ② 森に居住(これまたイメージ)
 ③ 耳長で細身で美形(むしろ願望)
 ⓸ プライド高い(経験則)

出会ってきた作品によって誤差はありましょうがだいたいこんなで合ってます?
エミリアって⓸がない分イメージ像から微妙に外れていて、そのことでうっかり“ハーフエルフ”って設定を忘れがちな私です。
ただ今回は②スタートでとってもエルフらしい。やや悠長に構えてる感じも①が影響してると思われしっくりくるのでした。

{netabare}ただし一点の違和感。森から出る動機についてです。
古くは『ロードス島戦記』ディードリットも近年では『ゴブリンスレイヤー』妖精弓手なんかもそうですが、長命がゆえに感じる停滞感に身を委ねるのを良しとせず、種族にしては珍しく好奇心が勝って飛び出しちゃったみたいな理由。
他だと里を外敵に滅ぼされちゃったのでやむなく出ざるを得なかったケースが一般的です。

 自分の意志→ポジティブな理由でこれから始まる冒険に期待
 意志ではない→ネガティブな理由で明日をも知れぬ運命に翻弄さる

エミリアの場合、ポジティブさの欠片もない理由なんですけど自分の意志で森を出るんですよね。それが違和感の正体。
という事情があるから自分の意志で出た分、自分の選択を肯定したいのと自信がないのとがごっちゃになった場面は本編でもいたるところで出てたんだと思います。
きちんとトラウマが反映されたコミュニケーションの取り方をしてますもんね。{/netabare}


『死に戻り』という設定の妙
『スバル』『レム』という突出したキャラ

作品の魅力となってる主要成分それはそれとして、例えばこんなとこでもエルフをネタに半歩ずらしを加えてきてたりと抜け目ないなぁとも思った劇場版でした。
そもそも森出ないと物語が始まりませんもんね。

エミリアたんが百年の孤独を気取ったりしなくて良かったです。



視聴時期:2021年1月

-----


2021.03.17 初稿
2021.10.26 修正
2022.01.26 修正

投稿 : 2025/02/01
♥ : 44

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

キミのためならボクはなんにだってなれる…。

この物語は、Memory Snowで描かれた後日談を描いた作品です。
話の流れからすると、どうやらスバルはエミリアたんとちゃんとデートできたみたいですね^^


親竜王国ルグニカにあるエリオール大森林。それは人の干渉を拒絶する《氷結の森》。
その溶けない雪と氷に覆われた森の奥に、一人の少女と一体の精霊が暮らしていた。
二人に契約関係はなく、ただ成り行きで共に日常を過ごすだけ。
互いの胸に秘めた罪悪感と使命感に急き立てられながら停滞した時間。
触れ合える距離にありながら、決して寄り添うことのない二人に、
運命は容赦なく、全てを焼き尽くす業火となって襲い来る。

『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』に続く
アニメ完全新作エピソード第2弾となる本作で描かれるのは、エミリアとパックの出会いの物語。
いかにして二人は強い絆で結ばれるに至ったのか――。
TVシリーズ第1期の前日譚にして、
第2期へと繋がる一人の少女と一匹の精霊が紡ぐ《運命の物語》が今、幕を開ける。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。
アニメの1期では、既にパックとエミリアたんは契約関係にありましたが、この物語は二人が契約に至るまでの物語です。

完走して振り返ってみると…
アニメの1期で放たれた伏線は、結局何一つ回収していませんでした。
エミリアについては銀色の長い髪に紫紺の瞳を持つハーフエルフというだけで、後は出生の秘密にかすった程度…
パックについても、未だに何謎の多い精霊としか分かっていません。
それに公式HPのINTRODUCTIONには「互いの胸に秘めた罪悪感と使命感」と記載されていますが、本作で描かれているのは表面だけ…
真相には何一つ触れていないんです。

だからといって本作が面白くない訳では決してありません。
独りぼっちだったエミリア…
ずっと長い時間を独りぼっちで過ごしてきました。
村のみんなはエミリアの顔を見るや否や離れて行ってしまう…
魔獣から村人を救ったって迫害される…

きっと生きているのがとてもつまらなかったと思います。
それでも日々の生活を繰り返すエミリアを見て彼女の芯の強さを見た気がしました。
そしてエミリアの前に不意に現れたパック…

パックと出会ってから、エミリアの日常は激変したと思います。
だってもう独りぼっちではないのだから…
明日の保証の何もない間柄でしたけど、会話できることがエミリにとっての何よりの幸せだったのではないでしょうか。

ですが、こういう時に限って招かれざる客がやってくるのが世の中の常套なんですよね。
そこで目の前に広がる光景は、アニメ1期でエミリアが見てきたどの場面よりも凄惨でした。
エミリアたんはこんなにも酷い世界を見てきていたんですね…

誰も彼女自身を見てくれない…
誰も彼女自身の話を聞いてくれない…
誰も彼女自身として扱ってくれない…
これだけでも立派な暴力であるにも関わらず、状況は更に追い打ちをかけるのですから堪りません。
もう何度エミリアの泣き顔に心を痛めたことか…

だから、エミリアとパックはお互いが契約すべき存在だったんだと思います。
それに、あの場面で契約しなかったら、きっとパックは本気でまずマズかったでしょうから…
それにしてもパックの本音と本気…ヤバいくらい心が震えましたよ。
やっぱり凄い作品だったと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は、nonocさんの「雪の果てに君の名を」
物語のラストからエンディングへの入りが鬼懸かっていたと思います。
歌詞とメロディが心に染み入る曲でした。

上映時間80分弱の作品でした。
INTRODUCTIONにも記載があったように第2期への布石も含まれているようです。
第2期の放送はコロナウイルスの影響で7月に順延となりましたが、これは止むを得ないでしょう。
しっかり堪能させて貰いました。
そして第2期の放送を楽しみに待っています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

本作だけ見て理解することはできない内容です

劇場でも公開されたリゼロOVA2作目。
ナツキ・スバルの転生より以前の、エミリアのとある日々を描いた作品で、エミリアの回想という方式になっています。
スバルやラムレムの登場はスタッフロールの後、少しだけで、本編は終始エミリアにスポットがあたった内容です。
回想なので、物語は時系列にアニメ1期より過去、ただし、アニメ2期に大きく関わる内容で、ややこしいことに回想を行っているのはOVA1作目「Memory Snow」の後ということになっています。
そのため、順番的にはアニメ1期→Memory Snow→氷結の絆→アニメ2期の順で見ることをおすすめします。
展開のわかりやすいアニメ1期とは違い、本作は謎をばらまいて終わるため、本作から視聴しても楽しめるとは思いますが個人的にはおすすめできないです。

極寒のエリオール大森林で一人目で目覚めたエミリアと、気づけば近くにいた精霊のパック。
一人ぼっちで記憶もなく、凍りついた氷像のような人々と、なぜか自分に怯えている近くの小さな村とのほんの僅かな交流を糧にほそぼそと暮らしていたエミリアでしたが、運命はそれを許してくれず、彼女の意思と反して周囲の人を巻き込む騒ぎが起きてしまう。
"運命"なんていう安っぽい言葉に抗って未来を目指すエミリアとパックの絆の物語です。

前作「Memory Snow」は完全にホンワカ展開だったことに反し、本作はがっつり熱いストーリー展開となっています。
パックの顔なんか鬼気迫りすぎて、本気状態のスバルくんを彷彿させる表情になっていたのが逆にシュールでした。
また、会話内容なんかいかにもなろうクサささを感じる部分があり、わざとらしい持って回った言い方は気になる人は気になるかなと思います。
ストーリーも説明を省略した本作だけでは理解できない内容になっています。
結局のところ、パックは何者か、なぜエミリアは何者か、なぜ疎まれるのか、凍りついた人々は何なのかなど説明がなく、そもそもこの映画で描かれている出来事がなぜ起きて、どう集結したのか、本作だけ見て理解することはできない内容となっています。
それらはアニメ1期視聴済みでもわからない部分で、私も後で解説を読んでなるほどと思った感じです。
事前に情報を仕入れておくが、原作ファン向けの内容なのかなと思いました。

なお、内容は終始エミリアなので、エミリアファンはずっと興奮できると思います。
私はみんな大好きレムにバブミを感じるので、そういった点で今ひとつでした。

アニメだけだと全体像を掴むのが難しいリゼロを補足する、あるいは篩にかける内容だったように感じました。
私は本作を見ることで色々知ることができたので、これから始まる2期2部の準備として視聴しておくのはいいと思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

65.0 4 魔女アニメランキング4位
魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(アニメ映画)

2013年12月28日
★★★★☆ 3.8 (117)
742人が棚に入れました
その時代その国には、魔法や呪いをかけたり解いたりすることを生業とする 人々がいました。その時代の魔の国。樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を日々解決していました。そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています。それは、22 人が住む魔の国にはないはずの、現代的な高層マンションだったのです!さっそく調査にあたるヨヨさん。建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、不思議な光に包まれて……。ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、自宅へ逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは……何と“化物”になってしまった両親の姿でした!目の前の出来事が信じられない孝洋たち。そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。「これは……呪い!!」異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!!かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの不思議な冒険が始まるのです!!!!

声優・キャラクター
諸星すみれ、加隈亜衣、沢城みゆき、櫻井孝宏、佐々木りお、子安武人、中川翔子、長克巳、本田貴子、氷上恭子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ほいっ!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいの子供向けの魔女っこファンタジー。
 生と死を軸として信じる心を問う作品、ってところですかね。あまり有名ではない作品のような気がしますが、もっと評価されていい作品だと思います。大人でも感動できる秀作に仕上がっていました。


もう少し子供への配慮を:{netabare}
 魔法の触媒の影響で魔の国に異変が起こる、というオープニングテーマ直後のシーンなんですけど、こんな感じで描かれていました。「触媒をまじまじと見る」→「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」→「会話」→「異変が起きる」
 この流れがちょっと不親切に感じました。触媒が光ったことが原因で異変が起きるんですけど、会話の当事者の誰もが触媒の光に気付かないんです。会話に気を取られたとはいえ、目の前に置いた触媒は露骨に光りますからね。何で誰も気付かないの?と違和感を感じてしまいました。

 普通こういうシーンでは、触媒を少し離れたところに置くとか全員が触媒から目をそらすカットを入れるとか、「登場人物は触媒を見ていないから、その光に気付いていませんよ」っていう説明をきっちり入れると思います。これによって「登場人物は知らないけど、視聴者は手掛かりを持ってるよ」という両者の情報ギャップが生まれます。

 この情報ギャップって、この作品に限らずかなり大事なものだと思います。視聴者は物語の概観が分かりませんから、どこを手掛かりにストーリーを追えばいいのかも分かりません。そこで、視聴者と登場人物の間に情報ギャップを生じさせることで、視聴者に「登場人物がいつそれに気付くのか?」という指針を与え、ストーリーの展開を予測させるのです。
 第一話が見終わっても、この作品は何をしたいの?なんて疑問が生まれてしまう作品は往々にしてありますが、その多くはこの「視聴者に予測させる」って視点が欠けているからなんだと思います。

 こういう情報ギャップって、ごく普通に使われているためにほとんど意識することはないと思います。例えば、名探偵コナンなら「犯人側の動きを見せる」だし、エヴァなら「ゼーレの会話を入れる」だし、戦争ものなら「敵国の動きを見せる」って感じですね。たったこれだけで「主人公たちは知らないけど、私たちは知っている」情報が生まれます。私たちが知っている情報に対して主人公がどう向かっていくのか、すなわち、どのように情報ギャップが埋まるのかっていうのがストーリーの理解に役立っているってことですね。

 で、この作品では出来てないって話ではありません。仕事の依頼人の顔が視聴者にはしばらく分からないんですけど、これも情報ギャップとして機能しています。「登場人物たちは知っているけど、私たちは知らない」っていう前掲の逆パターンで、「私たちがいつ知ることが出来るのか?」をフラグとして機能させるものです。つまり、私が言いたいのは「出来てない」ではなくて、「子供向けとしては不親切だ」って話です。
 触媒が光った後に会話のシーンがあるので、会話に気を取られて触媒を見ていなかったんだな、という理解は可能なんですけど、理解に労力を使ってしまうせいで予測が不十分になってしまいます。もちろん大人は理解した上で予測も出来ると思いますが、子供には理解するのが精いっぱいかも知れないな、とも感じました。子供に順序良く説明するって姿勢がやや欠けている気がしたってことです。子供向けの映画を作るのなら「大人が分かる」レベルではなくて、「子供にも分かりやすく」って意識の方が重要だと思います。
 これは単なる一例に過ぎませんが、信じる心が大事っていうメインテーマもちょっと分かりづらかった気がしました。
{/netabare}

話の進め方はかなり上手い:{netabare}
 上記の話っていうのは、正直言っていちゃもんレベルです。平たく言うと「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」の間にある「目をそらす」っていうのをもっと子供に分かりやすくしろってだけの話ですからね。大人向けの作品ならあの描き方で十分ですし、あのシーンのみをもって作品の質がどうこうって話でもありません。
 ただ、平尾隆之監督の作品を見るのはこれが初めてでしたので、こちらとしてはどんな監督なのか探ろうと細部まで目を凝らしますし、子供向け作品に必要な子供への配慮のところは優先的な確認事項になりますからね。


 じゃあ、この監督の話の作り方がヘタなのかって言うと、そんなことはありません。大きな流れも小さな流れも、話の進め方自体は非常に上手い監督だなと思いました。

 魔の国からこっちの世界に飛んで来て、「違う世界に来ちゃった!」と気付くシーンがあります。
 多くの作品では、飛んで来た直後にパノラマで別世界の景色を見せて「違う!」とやってしまう気がします。飛んで来たタイミングと気付くタイミングを一致させるのです。

 この作品ではちょっと凝ってて、「子供たちを追ってこっちの世界にやってくる」→「消火器を魔法のホウキ代わりにして追いかける」→「追いついた後に家の中で会話する」→「消火器に掛けてた魔法が解けて、部屋中に煙が充満する」→「『窓開けろ!』から外の景色を見て『違う世界に来てる!』」てな感じになっています。
 ここでの「子供たち」っていうのが主人公ではない主要人物なんですけど、主人公と主要人物の出会いのシーンと異世界に来たことに気付くシーンが、ぶつ切りにされずに綺麗につなげられています。オープニングではこれでもかとホウキで空を飛ぶシーンが描かれていますし、そこからもつながりを感じられます。
 また、このシーンからは、主人公の性格も分かりますよね。状況確認を優先する冷静沈着型ではなくて、考えるよりまず行動するタイプだったのが伝わってきます。話をスムーズにつなぐだけでなく性格付けまでしているわけですから、素直に話を作るのが上手い監督だなぁと思えました。

 小さな話の流れだけじゃなくて、大きな話の流れも上手かったですね。魔の国の死生観とこっちの世界の死生観が違うっていうのが、テーマ的にもストーリー的にも重要な要素になっているんですけど、ここも段階を踏んで綺麗に作られていました。
 主人公のヨヨが交通事故から小さな子を助けた後に、そのお母さんから感謝されるシーンがあって、このときヨヨは「なんで感謝されるのか分からない」と言っていました。こっちとしては感謝して当然の場面ですから、そんな感想を持ってしまうヨヨの方が分からない、というしこりが残ります。
 この後の魔の国のシーンで、いとも簡単に死者蘇生がなされます。そのため、「魔の国では死が重たくないんだ」という解答を得ることができて、件のしこりが解消されることになります。この後の展開は、こっちの世界での死に触れて、生に触れて、そして…って感じに流れますが、ネタバレが過ぎるのでここまでにしておきます。
 まず疑問を持たせて、次にそれを解消して、疑問が溶けているのに「この後どうなっていくの?」と感じさせるこの展開の仕方はお見事でした。
{/netabare}

山場がちょっと弱い:{netabare}
 これ100分くらいの作品なんですけど、最終局面に入ってからが40分くらいあります。感動を作るスローテンポな部分も含まれていて、それ自体は非常に良いんですけど、全体としては冗長な感じを受けました。
 子供向け作品には終盤のアクション要素って大事だと思います。子供の集中力ってそんなに長くは続かないですから、子供に気を引かせるための派手なアクションは欠かせません。大人ですら冗長な感じを受けたのなら、子供には尚のこと退屈だったかもしれません。

 で、この作品のアクションは序盤から空を飛びまくっているのもあって、結構派手で楽しいです。でも、ずっと同じ派手さではメリハリが無くなって息切れしてしまうっていうのもありますよね。しかも、終盤のアクションはビルをよじ登るっていう地味なシーンに尺が取られていますし、感動シーンはスローテンポだっていうのもあってかなり失速してしまったような気がします。

 個人的には、あのロボットにもっと活躍してもらうか、歌のシーンを入れて欲しかったです。
 ロボットの活躍はちょっと地味でしたよね。もっと街を破壊してもいいのではないでしょうか。子供向け作品とはいっても遠慮はいらないと思います。ポケモンでもドラえもんでも、人的被害の無い破壊シーンは結構派手にやってますからね。
 それか歌ですね。序盤の歌のシーンは、かわいくて楽しくてすごく良かったです。魔女っこもので序盤に歌を入れたのなら、最後の締めも歌で盛り上げちゃえばいいんじゃないの?と思いました。あれだけ楽しませられるのに序盤だけってのももったいないですからね。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 平尾隆之監督って本作が監督デビューではなくて、「空の境界 矛盾螺旋」っていう作品を撮っているみたいですね。私は見ていないので分かりませんが、タイトルから察するに子供向け作品ではないと思います。平尾隆之監督が今後も子供向け作品を続けるかどうかは分かりませんが、小学生以下の子供をターゲットにした作品を撮るつもりなら、もっと分かりやすさを意識して欲しいかなぁなんて思います。

 なんか文句ばっかり書いているように思われるかもしれませんけど、決して文句が言いたいわけではありません。冒頭でも述べましたが、作品全体は良いものに仕上がっていますし、私は結構楽しめました。子供向け作品にはそれなりの気の使い方をすべきだっていう私の個人的な思いを述べているだけですからね。大人向け作品は相当良いものが作れそうだな、と思ったのは事実なので、次は続き物じゃない大人向け映画を見せて欲しいかな。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高!最高!!最高!!!老若男女問わずして、この映画の魔法にかかって存分に癒されて下さい!\(^ω^)/ホイ!(^人^)

原作はイラストレーターの「ひらりん」がCOMICリュウに連載していた漫画『のろい屋しまい』
漫画自体は割りと殺伐とした絵柄と内容なのですが、この『のろい屋シリーズ』は連載終了後も派生作品が作り続けられ、【絵本や児童文学】といった非常に多岐に渡る展開を見せており、コアな漫画ファンのみぞが知るところならぬ多くの世代から支持される作品なのです










この物語の主人公は幼い姿をしながらも絵本級大魔法使いと謳われ、底なしの魔力を持ち、33歳で世界を征服するであろうといわれる“ヨヨさん”
そしてヨヨさんが好きで好きで堪らない努力家の最優秀お手本級魔法使いの“ネネちゃん”
二人は姉妹で「かけます ときます のろい屋」をキャッチコピーに魔法や呪いが現実に存在する『魔の国』で『のろい屋』と呼ばれる職業を営んでいます


ある日のこと、魔の国に突如として高層マンションを抱え込んだ大木が姿を現し、それを調査していたヨヨさんはエレベーターに閉じ込められ、そのまま現代社会の日本、横浜へと転移させられてしまいます
ヨヨさんが現代社会で最初に出会った少年“孝洋”と幼い女の子“亜紀”の家族に起こった呪いと思われる不思議な事件を解決すべく、ヨヨさんはのろい屋として仕事を引き受けます
一方のネネちゃんはなぜ魔の国に現代社会の建造物が現れたのか?ヨヨさんが元の世界に戻る方法はあるのか?、を魔の国の側から調べていきます
二つの世界に裂かれた姉妹の絆、やがて明かされていく事件の真相のスケール感
老若男女ヒトを選ばない魅力は“いま最もジブリに近い作品”と言えるでしょう
前半は笑いが、後半は涙が止まらない、そして最後は癒される、一大エンターティメント作となっています^^b










まず魅力的な原作をあえてスルーし、本当の意味で子供も大人も関係なく楽しめるように練りこまれたオリジナルストーリーが素晴らしい
特にサムネイルを拝見していただくとわかるよう、異世界に渡ってしまったヨヨさんの体を彼女の精神年齢を具現化したような中学生ぐらいに設定したことはナイスです


また、始めは異世界の出来事に興味を示さなかったヨヨさんの心境変化の描き方
クライマックスで絶体絶命の危機に立ち向かうヨヨさんのひた向きな姿勢もアツいみどころです


ヨヨさんを心配するネネちゃんとの姉妹の絆は涙を誘う場面でありますが、この辺りは原作を読んでいるとネネちゃんがヨヨさんを溺愛するワケなんかも解って感動倍増しますよ



監督には『矛盾螺旋』『ギョ。』『桜の温度』の平尾隆之
これまでの監督の作品は画面のほとんどが一色の色で統一されていました
矛盾螺旋では小川マンションの電灯の色で“オレンジ”
桜の温度では廃屋に振る月明かりで“ブルー”といった具合です
対して今作では森林の木々一つとってもピンクやライトブルーを豊かに織り交ぜた色彩で魔の国の姿を描いているのが興味深いところ
尚且つこれが“温かみのある色”で目にドぎつい感じにはなっていないのがイイ!


音楽には『ゴッドイーター』の以降の平尾作品の常連、椎名豪
今作では電子音、クルマのエンジン音、時計の音など効果音を楽曲の中に組み込む実験的な挑戦をしつつ
ディズニーよろしくミュージカル風に歌い出すヨヨさんが楽しげに歌う挿入歌から
そして物語後半を盛り上げる厚みのあるオーケストラやスピリチュアル風のコーラスまで
いや、盛り上げるというよりかヨヨさんの悲しみや憤りのスケール感を演出するのに一役買ってるんですよね、凄いんですよ
よく聞けば挿入歌こそが今作のメインテーマであり、BGMのほぼ全てのメロディラインが挿入歌に集約されてることに気付きます


キャストの熱演も素晴らしく、みゆきち、しょこたん、本田貴子さんは言うに及ばず、特にヨヨさん役の諸星すみれちゃんが目(耳)を引きます
この近年成長が著しい“天才”の起用は実にナイスセンスでしたb
2013年はシュガーラッシュといいコレといい、個人的にはすみれちゃんイヤーでしたわぁ・・・


兎にも角にもこの作品の全部を諸手を挙げて絶賛したいんです!\(^ω^)/
監督も大人向けに作ったつもりは無かったというものの、“アニメの面白さ”や“魔法への憧れ”といった原初的体験を思い起こさせる今作は、それらを忘れてしまったオトナの心にも響くんだと感じましたよ!
2013年における【ベスト映画】でした!間違いねー!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 41

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

かけます! ときます! のろい屋しまい!

この作品の原作は未読ですが、完全オリジナルストーリーだったみたいですね。
すみれちゃん、くまちゃん、みゆきちが出演されているのを知り、視聴が楽しみになった作品です。


その時代その国には…
魔法や呪いをかけたり解いたりすることを
生業とする人々がいました。

その時代の魔の国。
樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。

のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、
魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を
日々解決していました。

そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。
よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています…
それは、2人が住む魔の国にはないはずの、
現代的な高層マンションだったのです!

早速調査にあたるヨヨさん。
建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、
今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、
不思議な光に包まれて…。

ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。
そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。
孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、
自宅に逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは…
何と"化物"になってしまった両親の姿でした。
目の前の出来事が信じられない孝洋たち。
そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。
「これは……呪い!?」

異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、
まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。
一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で
起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。
魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!?
かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの
不思議な冒険が始まるのです!!


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

少しボリュームのあるSTORYですが、この作品のポイントを的確にとらえていると思います。
主人公のネネちゃんは、元気いっぱいの女の子…すみれちゃんの声質も生き生きとしたキャラに彩りを与えています。。
何でも絵本級の大魔法使いなんだとか…

くまちゃん演じる妹のネネちゃんは、最優秀お手本級魔法使い…
姉のヨヨは無尽蔵な魔力の持ち主ですが、ネネちゃんは生まれつき魔力は多くありませんでした。
でも、努力家で魔法中学校を首席で卒業する頑張り屋さんなんです。

ネネとヨヨはとっても仲良しで、お互い思い合っているのが手に取るように分かるところも心地よかったですし高評価です。

ヨヨが飛ばされた異世界は、現代の日本みたいな感じ…
だから魔の国とは見た目からして大きく違うのですが、違いは見た目だけじゃなかったんです。
それは魔法使いの根幹にも関わる禁則事項…

全年齢対象の骨太ファンタジーなので、勧善懲悪的な展開は微塵もありません。
そう、最初は良かれと思って…それが人の役に立つから…幸せをおすそ分けしたいから…
きっとこれ以上の純粋な気持ちなんて無いくらいの場所がスタート地点なんです。
だけど、際限無い人間強欲が純粋な気持ちを汚していくんです。
そしてそれは気持ちから形へと姿を変え、きっちり本人に還元される…
所謂、この世の理というヤツでしょうか。
でもそれを不条理だと感じる人間を守るため全力で抗うのがヨヨさん…なんですよね。

一方、ヨヨだって万能ではありません。
それが在り方から異なる異世界ならなおのこと…
だからヨヨにとって今回の冒険は、貴重な体験になったことと思います。
命の尊さ…温かな心遣い…自分より他人を優先する心…
どれも魔の国じゃ体験できなかったことなのではないでしょうか。

アニメーション制作はufotableさん…
作画もしっかりうごいていましたし、本作品でも良い仕事してくれていますよ。

上映時間約100分程度の物語でした。
掛け値なしに面白い作品だと思います。
あにこれでの人気は決して高くはありませんが、もう少し評価されても良い作品なんじゃないかと思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

57.6 5 魔女アニメランキング5位
BAYONETTA Bloody Fate(アニメ映画)

2013年11月23日
★★★★☆ 3.4 (63)
311人が棚に入れました
自分が魔女であること以外、記憶を持たない女がいた。彼女の名はベヨネッタ。襲い来る天使を狩る日々を送っていたが、突如舞い込んだ情報により、失われた記憶を求めて、宗教都市ヴィグリッドへと旅立つこととなる。過去の記憶を呼びさます数奇なる出会い。ベヨネッタの過去を仄めかす妖しい女、父の仇と追ってくるジャーナリストの男。そして彼女をマミーと呼び、慕う幼い少女。ベヨネッタの失われた記憶には、一体なにが隠されているのか。その先に待ち受けている、彼女の運命とは・・・?

声優・キャラクター
田中敦子、園崎未恵、浪川大輔、沢城みゆき、玄田哲章、高木渉、若本規夫
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

(ゲーム) - (物語+アクション+ Hype +迫力+爽快感+α) = 本作

つまりは、絞り滓でしょうか。

[概要]
{netabare}
2013年11月公開の劇場アニメ映画作品。PG-12指定。
原作は2009年発売のゲーム(プラチナゲームズ+SEGA)。CERO-D指定。
ゲーム・ベヨネッタはシリーズ化していて「2」まで発売済み、「3」も(頓挫していなければ)開発中とのことですが、本作の下地になっているのは「1」の世界です。僕は「1」のみプレイ済み。{/netabare}

[ゲームについて]
{netabare}
(以下、Xbox360版ベヨネッタ「1」についてのみ。他プラットフォーム版は存じません)
「プレイ済み」なんておとなしく書きましたが、実態はクソハマリ状態でした。最高難易度での全ステージPure Platinum(最高評価)を達成目前(。。嘘だな。先は長い)状態まではプレイしました。

Devil May Cryシリーズで知られる神谷英樹のディレクションによる、"Climax Action Game"。記憶が正しければ、国内ゲームメーカとしては珍しくXbox360ネイティブのゲーム開発作品だった。当時熱心な箱○信徒だった僕は予約までして購入した一作。個人的には今でも楽しめる作品と思う。ゲーム好きが作ったゲーム好きのためのゲームという側面も持っている感じがした。SEGA作品に限定されるが、ゲーム中各所に往年の名作パロディがちりばめられており、それでいてゲーム性を損なわない作りは見事だったと思う。

ゲーム内の登場人物は、すべて海外の声優・俳優が声を当てていて、基本は英語で語る。敵役である「天使」たちの語る言葉はよくわからないけどラテン語っぽい?さしあたり、古代アンブラ語としておきますか(Wii移植版以降、日本語化された模様)。

ゲームの特徴は"Climax Action"の名に恥じぬアクションの爽快感と迫力、(少なくとも当時としては)一段飛び抜けた画面の美麗さ、主人公のぶっ飛んだエロかっこよさ、「天使」を敵役に据え記憶を失った「魔女」を主人公とする世界観、最初は少しわかりにくいものの最終的に見事に収斂していく物語などがあげられる。

アクションとしてはGun-Fuアクションを主軸に、様々な武器に対応したコンボアクションものとなります。加えて、「魔女」ならではの格闘アクションとしてコンボ条件を満たした場合に召喚した魔物の手足も攻撃に加わったり(ウィケッドウィーブと呼ばれる)、少しのあいだ時間を止めてみたりといったものがあります。言語では表現しきれないところもありますね。興味がある方は、ゲームプレイ動画などで是非(結構あります)。「1」の画面でも十分に上に書いたものを感じられると思います。その際、是非とも英語音声版をご覧ください(言語については後述)。{/netabare}


[さて、本作]
{netabare}
ゲーム未プレイ勢が見たら「わけわからん」、ゲームプレイ済勢が見たら「ものたらん」、な作品かと思います。ゲームプレイ済みの一意見としては、ゲーム画面を切り貼りした方が本作よりも上等なものができあがったのではないかとさえ思う。

― 物語
{netabare}ゲームを知っているならぎりぎりついて行ける。が、ゲーム未プレイの方がこれを見たら最初の15分で置いてけぼりを喰らい、そのまま(映画館なら)1800円の仮眠椅子状態なのではないだろうか。

ゲーム内の物語を全体としては踏襲しつつ、構成をかなり変更している。プレイ済勢としては違和感の塊。
90分尺の物語として構成するためにはゲーム内物語の再構成が必要だったという判断なのだろうか。だが、果たしてそうだったか?ゲーム内の物語は、ゲーム内のムービー部分で形作られるのだが、合計すれば丁度映画一本分位なのではないだろうか?つまり、構成をいじることなく物語を作り上げることもできたのではないだろうか。
無論、「アニメ映画」として独立した作品としなければならないというのもわかる。が、そうだとしたらもっとわかりやすい物語構成にしなければならなかったと思う。{/netabare}

― アクション(作画)
{netabare}静止画としての作画は、原作ゲームに負けず劣らず美麗。だが、アニメーションとしての作画は、一言で言って、手抜きのオンパレード。映画作品として、これでは厳しい。また、映像と音楽のはまりも今ひとつと感じます。

元々映画用なのでテレビ(PC)鑑賞用ではないのかもしれないが、それにしてもコマ数削減が目立つ。ゲームは一部処理負荷が高いところを除いて、基本的にフルレートでフレーム更新をしていた(要するに60fps。箱○実測値では低いところで40fps、基本は60fpsとのこと。アクションゲームにおいてフレームレートの確保と維持は必須事項。)が、映画用24fpsからさらに削減となっては、「動き」の面でどうしても見劣りしてしまう。

特に敵役たる「天使」たちの描写で顕著だったのが、静止画拡大縮小+Shakeカメラによる誤魔化しが多すぎる点。せめて羽くらい羽ばたかせようか。完全にゲームに負けてる。

ベヨネッタのアップ顔に顕著だったのが、「口だけで笑う・口だけで話す」表情、顔の描き方。顔の上半分と下半分が別レイヤのように動くのだが。。。3DCG以上に不気味(っていうか、ゲーム内ムービーはちゃんとしてたと思う)。{/netabare}

― Hype + 迫力+爽快感
{netabare}上述の作画面とも関係しますし、これらを要素区分するのは少し難しいのでまとめてしまいますが、僕の中ではこれらの要素は「声優さんと演技」「ゲームシステムの一部削除」「ゲームと映像作品」に集約されるのかなと考えています。

・「声優さんと演技」
{netabare}本作のCV陣ですが、驚くほど豪華です。また、ゲーム・ベヨネッタのWii移植版以降の日本語キャスト陣でもあります。その意味でゲーム準拠ではあるのですが(ちなみに、同じ神谷英樹ゲームのアニメ化:Devil May Cryとも一部かぶる)・・・箱○版から入った僕には主役・ベヨネッタ(田中敦子)と敵役の首魁・バルドル(若本規夫)の二名がどうにも、です。加えて、敵の天使たちも違和感の塊でした。

敵の首魁バルドルは、箱○版では理知・冷静・飄々という感じで最後まで通していて、最後になって狂気が漏れ出てきた感じでした。若本さんは、、、その、いきなり若本さんなんです。この人物がどんな感じの人なのか、初手で決まっちゃう。演出としても、初登場時から若本節丸見え。制御できなかったのだろうか。

ベヨネッタの田中さんは、全体としてはすごく合っていると思います。特に、非戦闘時の会話シーンはゲーム版よりも田中ベヨネッタの方がよかったと思う。ただ、田中ベヨネッタは成熟しきった大人の女性に感じられやすく、英語版における「成熟してはいるが内に熱量を持つ女性」の感じとはかなり違う。田中ベヨネッタ最大の難点は、戦闘の見せ場において感じられます。ベヨネッタは戦いの最高潮=クライマックスにおいて古代アンブラ語で呪文を叫んで魔物を召喚するのですが、この叫びのぶっ飛び感、はっちゃけ感がゲーム内英語版と比べると明らかに見劣りしてしまうのです。

箱○版での天使たちは古代アンブラ語でのみ喋り、不気味な感じを出していました。が、本作での天使たちは日本語で(つまり普通の言葉で)しゃべります。しかも、微妙に棒。ずっこけます。この「微妙に棒」っていうのが難点で、人ならざるものとしての不気味さを狙ったものなのかどうかわからないのですが、微妙に感情が乗ってる感じがしました。単に棒なんです。もっと無機質な完棒だったら、あるいは違った印象になった気がします。{/netabare}

・「ゲームシステムの一部削除」
{netabare}端的には、ウィケッドウィーブのDropです。ゲーム・ベヨネッタのHype要素(かっこよさ要素)の中で、かなりのウェイトを占めているのが上で説明したウィケッドウィーブでした。アクション要素としても、視覚要素としてもかなり上質です。しかし、アニメ・ベヨネッタでは作品中ただの一度もウィケッドウィーブは登場しません。アニメ制作工程上、コスト要因であることは容易に想像がつきますが、それにしてもこれをDropしたうえでアニメ化するという判断に対して、なぜゲーム制作陣がOKを出したのか、疑問です。いずれにせよ、ゲームを知る立場からするとウィケッドウィーブなしのベヨネッタはただのGun-Fuアクションになってしまうわけで、しかもそのアクションがアニメーションとして今ひとつとなれば、いよいよ物足りなくなってしまいます。あ、ウィッチタイム(時間停止)もないか。説明回避のしわ寄せ喰ったかな・・・{/netabare}

・「ゲームと映像作品」:能動と受動
{netabare}そもそも、アクションゲームの映像作品化で成功を収めたものってあるのでしょうか。
本作に限らず、特に近年の3Dアクションゲームの映像化って、出だしから困難だと思っています。

ゲームって、自分がやるものです。すべてにおいて能動的です。ベヨネッタの攻撃も回避もコントローラを握った自分がなすもので、画面内のアクションはすべて自分の行為の帰結です。その結果として画面に示されるHypeも爽快感も、自らの行為の結果として表れるものです。

その一方、映像作品となればそこに能動はなく、提示されるものを一方的に受け取る、つまり受動です。いってみれば、その作品世界に対するのめり込み度が前提から大きく違ってきます。与えられるだけのHypeや爽快感が、能動的な行為の結果もたらされるそれらに打ち勝つか、あるいは同等なものになるためには、相当な力量×熱量でもって映像化にあたる必要があるのではないでしょうか。{/netabare}
{/netabare}

― α:映像制作陣のゲームに対するリスペクトのなさ
{netabare}こう書いてから、プラチナゲームズもSEGAも本当によくこの状態の作品にOKだしたもんだと思います。

映像制作の人は、ゲームを見下しがちという話はちらほら目にしますが、その現れなのでしょうか。少なくとも、主要な映像化スタッフはゲーム・ベヨネッタをちゃんと遊んでないのではないかと思います。また、ゲーム・ベヨネッタの中で見られる「ゲームの歴史・流れ」に対するリスペクトが、アニメ・ベヨネッタからは感じられません。

気がつけた範囲での話ですが、ゲーム・スペースハリアーのBGMの登場がゲームとアニメとで共通しています。が、その使われ方に雲泥の差があります。スペースハリアーを知っている人間なら、かつ、それをリスペクトした使い方をしたベヨネッタの映像化なら、絶対にやっちゃいけない使い方がアニメ内ではなされています。少なくとも「あ、わかってねーなコイツラ」です。{/netabare}

{/netabare}

[総評]
ゲームとしてのベヨネッタを知る方なら、今一度ゲームをプレイしましょう。
ゲーム未プレイの方ならば、ゲーム「ベヨネッタ」(「1」)をご購入ください。今ならSteamで3000円くらいです(PC。ただしグラフィック性能にはご注意ください。)。
PS・箱用ソフトならば、それなりに昔の作品ですのでお安く手に入ると思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5
ネタバレ

アイコン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アニメでもかーまぼーこー!!は健在。

ベヨネッタ。デビルメイクライと同じ製作で
作ったスタイリッシュアクションゲーム。
原作をプレイして、
そのアクションの爽快さと設定とは裏腹な
ギャグチックな展開で、
デビルメイクライよりも
大好きになった作品でした。

まぁ、それがアニメになるということで
正直そんなに期待していませんでした(笑)
明らかにあの映像美よりは劣るだろうと
思っていたし、尺が映画枠な分もあり、
急ピッチで話が進んでいくんだろうな、
と思っていましたが、やはりそうでした(笑)

原作とは違う展開で進んでいく感じは
とても良いと思います。
ファンも飽きずに見れるし、
何より映像も思ったより綺麗で、
アクションシーンも迫力は欠けるものの
よく動いてくれてました。
まぁCGに頼っているところもありましたけど(笑)

ただ、脚本に問題あり。
まず矛盾していたのが、
最初のルカの反応が完全に天使が見えていた
反応だったこと。これは完全にミスってますね。
本当はとある力がないと見えません。

ギャグが完全に抜けきっています。
お前らなんでそんなシリアスなの?(笑)って感じで、
作品の良さでもあったノリの軽さがない。

それと、キャラが微妙に違います。
ベヨネッタはあんなに男を誘いません。
ロダンはあんなに喋りません。
セレッサは原作よりあざとい。
ルカはあんなにかっこよくありません(笑)

でもエンツォとジャンヌはそのままでした。

あと、ジャンヌの声はもっと低くても良かったような。
これは私的なものなので気にせず(笑)

良かったのがダディが原作よりラスボスぽかったところ、
ゲームだと小物臭をぷんぷんさせているので、
まさかあの方が声をやると思ってませんでした(笑)
あの方のおかげもあるかも。

展開も悪くはありません、アクションも多いし。
でもやはりギャグがない。

それでもラストの終わらせ方は原作より好きです。
まさかあの技が最後に来るとは(笑)
{netabare}ジャンヌと協力して戦っていられるのが見られるし、
何よりダディが報われる終わりかた。
小物臭が消えているし何よりママの設定が活かされています。{/netabare}

あと原作の曲が使われているのがなによりいいです!
EDは私的にあまり合ってなかったような感じでしたが(笑)
エノク語も若干のイントネーションの違いがあったものの
ベヨネッタ役の田中敦子さんはよくやってくれてました。
敦子さんのエノク語も好きです。

かーまぼーこー!!(笑)

原作を知っても知らなくても
見られる出来だとは思います。
ひどい出来ではありません。

でもストーリーは単純なものなので、
アクションで見せるのは良かったですが
やはりギャグでも見せてほしかったところ。

でも映画枠の中でよくここまで魅せてくれたなと
思っています。映像はほんとにそれぐらい綺麗です。
娯楽作品として見ればきっとその映像美に絶句します(^^)

なので、何も考えずベヨ姉のアクションを
黙ってみてやってください。
もし興味も出たなら原作をやるというのも。
かなり初見殺しな作品ですがね(笑)

あと最後に個人的に「Let's dance, boys?」は
英語のままでも良かったような気がします。
あとベヨネッタが天使を狩る理由が
その顔がムカつくからよ!!の方が聞きたかった。

それでは、
かーまぼーこー!!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

つまりどゆこと?

視聴理由 特になし

視聴前 どういう系?

視聴後 どゆこと?

この話は自分が魔女だとしか覚えてない人の話
ジャンルは魔女・天使・バトル
まぁ端的にいってよく分からない内容です
ゲーム原作なのでオープニングムービーみたいなの(物語背景説明)から始まり、バトルとかバトルとかバトルとかがあり、最後「これが絆の力だー!」といって終わります
なんか書いてて思ったのですが内容うすいですねw個人的にはもっと踏み込んだ要素が欲しいです。魔女と賢者(悪魔と天使)の対比というかなりいい感じの要素にも関わらず「なんかよくわかんない」という状況になってしまったのはおそらくラストの持っていき方なんでしょうね。肝心なとこで「絆パワー」で解決してしまい、168m(仮)の巨人が出てきてしまった時点でもう...

序盤にシリアスムードを出しつつ中盤で見ごたえのある戦闘。そして終盤には序盤の伏線回収をするかと思いきや、いきなりぶっ飛んだ要素の介入。そしてすべて曖昧なまま「今日もどこかで彼女は..」
つまり...どゆこと?という現象が起こってしまいます。作品の全体としては謎は解決したかもしれませんが、あまりにもケロっと解決されてしまい、逆にわかりにくくなっています。まぁゲーム原作なので実際はもっと重みがある内容だったかもしれません。映画なので急ピッチで展開した結果がコレかもしれませんね
ともかく、あまりおススメはしません。なんども言いますが終盤が全く持って意味が分かりません。しかも映画なので一回視聴を始めてしまえば終わりまで見ないといけません。これがテレビアニメならもうちょい内容を重くして終盤も断念するか、見続けるか判断できるかもしれませんが...

監督・絵コンテ・演出は木崎文智さん。「アフロサムライ:レザレクション」の監督をし、今作で5回目(アニメ映画は2回目)の監督です
脚本は広田光毅さん。「おとぎ銃士赤ずきん」などのシリーズ構成をした方です
キャラクターデザインは横山愛さん。「XーMEN」のキャラデザを担当した方です
音楽 - 和音正人、安部潤
アニメーション制作はGONZOさん。ぼくらのを制作したところですね

作画は良く、戦闘シーンなどは丁寧に描かれてありました。
主題歌は麻衣さんの「Night, I stand」
声優さんは良く、あの呪文(?)も雰囲気があってよかったです

総合評価 おススメはしない

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

58.8 6 魔女アニメランキング6位
ゲド戦記(アニメ映画)

2006年7月29日
★★★★☆ 3.2 (516)
2616人が棚に入れました
多島海世界のアースシーでは、聖なる生物の竜が共食いを始め、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れていくなどさまざまな異変が起こり始めていた。やがて人々が魔法を信じることができなくなったとき、大賢人ゲドは世界のバランスを崩す者の正体を突き止めるための旅に出て、国を捨てた王子アレンと出会う。
(シネマトゥデイより引用)

声優・キャラクター
岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、風吹ジュン、内藤剛志、倍賞美津子、夏川結衣、小林薫、菅原文太
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

退廃的な雰囲気と行先のない描写

父親を殺した1人の少年のお話。
国を治め、民のことを第一に考える理想の王のようだった父親を少年は殺した。
彼が1人になったその瞬間を狙って背後から迫り短剣で一突きお見舞いしてやった。
簡単なことだった。その後すぐに父の腰に差してあった刀を奪いその場を去った。

少年は肉親を殺したことや人の死に触れたこと、罪の意識に囚われることはなかった。
ただひたすら"それ"を恐れた。
道徳観と倫理観は真っ白に燃え尽きた炭のように死に、徹底的にスポイルされた少年の目はどこも見てはいなかった。
やる気も気力も削がれ生きていく意志さえ持てなかった。生きた屍そのものだ。
道中でゲドに逢い、手を引かれる。ゲドは何も聞かず、何も求めなかった。

世界は大きく変わりつつあった。ちょうどその過渡期だった。
スピリチュアルなものの地位は衰退した。魔法もそしてモラルもその価値は失われ、有形物に対する物欲だけが膨らんでいた。
そんな人間の浅ましさはなにを喜ばせることもなく、鬱屈とした空気だけが漂っていた。龍も彼らを見放した。
この世の終末が実際に目の前にあった。

崩壊の最中にある世界で少年はこれからどうするのだろう。
殺人を犯し逃げてきたはいいけれどするべきことも特別なにかしたいことも見つからなかった。

ただ"それ"を恐れた。自分の中に眠る抑えきれない、望むはずのない欲望を。
普段"それ"は目に見えない。暗闇の中でおとなしく死んだように眠っている。
"それ"が目を覚ますのに周期もきっかけも条件もない。
ただ突然、自分の中でバタバタと激しく悶える。絶対不可避の生理現象に近い。
心の闇は、闇の中にある"なにか"は醜い。しかし、惹く。
殺人の動機なんてものは持ち合わせていなかった。ただ殺した。それだけだった。

闇に救いはなかった。導き手もいなかった。そもそもそれがいてどうこうなる問題ではないのだ。
魂の冷たくなった彼は砂嵐を避けながらどこまでも歩き続ける。目に映る景色は色彩を失い、すべてはすべてを失った。
ただ"それ"からは逃げた。それも死にもの狂いで。

他に僕にやるべきことはあるのだろうか。ゆっくりと空を見上げる。―ああ、なにもないのだ。


この映画は殺人を犯した少年が「その後どうするのか」を物語るものである。


「面白くない」と評判の『ゲド戦記』。
僕も初めて観たときは「ホントつまんねーな」と思いました。
でもストーリーが示唆するものを完全には受け切れず、いつまでも腑に落ちないまま頭の片隅でひっかかっていました。
そして2年の時を経てもう一度観てみました。

ストーリーは平易に見えて分かりにくい。演出は平凡。声優はダメと、まああまりパッとしないアニメ映画です。
工夫しようとして苦心した形跡は認められてもそれが良い方向に転ぶことはありませんでした。
たびたびかかる「壮大な」音楽は耳障りで、いかにも「アニメ」的な引きや場面展開、さらに同様のオチには飽き飽きしてしまいます。
あまりにも「普通」なアニメ映画でした。みんながみんなして観るような作品ではありませんでした。
村上春樹がスコット・フィッツ・ジェラルドのいくつかの短編を訳した『マイ・ロスト・シティー』の冒頭に書いたエッセイでこう言っていました。
「トルーマン・カポーティ―について言えば、彼はまさに100%の作家である。その作品は完璧であり、魅惑的であり、そこには読者のつけこむ隙は殆んどない。具体的に言うなら、他の作家にも『無頭の鷹』のような小説を書くことはできるかもしれないが、誰にも『無頭の鷹』を書くことはできない、そういうことだ。」
本作も、もっと言えば他の宮崎駿臭のする作品も同じことで、
宮崎駿監督作品のようなものは作ることができるかもしれないが、宮崎駿監督作品を作ることはできないということ。
真似はできてもそれは必ず本元に準ずるものでほとんど何も成しません。せめて自分のためになったということくらいでしょうか。

題材は、本当はラディカルなものであったけれど、そのほとんどはあまりにも後ろ向きなものを扱ったために、
さらにその結末も未熟で、本質の追及とはほど遠いものとなったために、あまり良い反響は得られませんでした。
それにぽかんとしてしまうストーリーに観る人は驚きを隠せません。なんだったのだろうという悪い感触だけが肌に残ります。

さらに詳しくはタグの中へ→{netabare}

それは人の心に潜む闇でした。
その圧倒的な強さを描く一方で、逃避を計る人の怠惰な面も表出しました。
前者については考えたことのない人にとってとても理解しがたいものであると思いますし、とてもこの映画だけでは分かりません。
本作では伝えるのではなく、描くことだけしかしませんでしたから。
僕は村上春樹の『1Q84』や『海辺のカフカ』でこれに似たものについて触れたことがあるのでなんとなくは分かります。
でも説明しろと言われても正直、その100%を理解してもらうまで上手く説明することはできません。
自分の中にその存在をはっきりと認めることはできても言葉にするの至難の業です。
でも少しならできるかもしれません。やってみましょうw
男性なら中高生のときに何の脈絡もなく「今、目の前のこいつをぶん殴ったらどうなるんだろう」とかものすごく腹立つ奴をこうやって痛めつけてやりたいなんて考えながら体の内側が熱く、血沸く感覚がありませんでしたか?実際にそんなことはしないのだけれど、想像してしまうすごく暴力的な自分。本作で語られたものはこれよりももっと闇の奥にあり、それは無差別でなによりも暴力的な暴力。純粋なそれです。おそらくアレンはストレスの捌け口が見つからなくなってこういう状況に陥ったのではなく、もっと根本的な部分で病んでいて殺人でしか自分を救えなかったのでしょう。僕らは日常生活の中でそれを色んな形で発散させています。それができなくなっていくと次第に心を病み、さらに沈めばアレンのようになる可能性を秘めていることは言わずもがなです。つまり、"それ"は僕たちから遠くにあるように見えてますが、おそろしく近いところで影を潜めている、どんなにもがいても抗えぬ闇です。これは決して他人事ではなく、限りなく自分自身のことについて語られていたように思えます。
 そうは言っても、前者の方はピンと来ずとも、とりあえずそういうものとしてどこかに置いておけばいい話で、どちらかというと後者がこの作品をどう感じるかを大きく左右するのではないかと僕は思います。なぜならその大半が意志を欠き、人として決定的になにかを失ったアレンの姿を中心に描いているから、観る人はその退廃的な空気を上手く自分の中に取り込むことができないと、それはただ本当に退屈なだけだからです。なんとか音楽や「アニメ」的な引きで物語を進めているように見せてはいたけれど多くの人が不満を口にしたことから、その努力はあまり実らなかったように思えます。そのせいもあってかアレンがテヌーによって救われるまでの岡田准一さんのぼそぼそとしゃべる演技には悪態をつきたくなっても不思議ではありません。
 
 ある作品で描かれる負の面というのものは少なからず人の共感を呼ぶのが常です。それが特にアニメーションであれば、全体は喜劇的に描かれ、大方その結末はハッピーエンドで結ばれ、その回復をもって幕を閉じます。そして、それを観た視聴者には感動と、苦難をくぐり抜けた登場人物と共にした仮体験による気持ち良さが後に残ります。
 しかし本作で描かれたアレンの姿はズタズタにモラルを引き裂かれ、行き場のない死体そのものでした。もっと言えば死を求めていた彼にはこの世界は本当に無価値であり、何も存在しない永遠と続く浅瀬だけが広がる海のように映ったはずです。絶望を通り越した完全な喪失でした。その質は明らかに異形なモノで僕らが簡単に触れられるものではありませんし、またコミットするにはあまりに危険を孕んだモノです。それに堕ちるところまで堕ちた彼にどうやって世の中の多くの人がこぞって共感できるというのでしょうか。まず無理な話です。

{/netabare}


これから観るのであればぜひ、
「みんなが嫌うものを観てなんとか1つでも良いところを見つけ出してやろう」くらいの気概を持って観て欲しいです。
僕はいつもこうして観てます。若さゆえの反骨心です。悪く言えば捻くれ者です。
「ジブリ」に感動を委託して、頼ってしまうのではなく、自ら探して欲しいです。残念ながらそうでもしない限り楽しんで観ることは叶いません。
実際には欠点はたくさんあっても、悪いところばかりではないというのが本作です。

僕は、今回の2度目の視聴では本作をほんの少しは楽しめたと思います。
この退廃的な雰囲気は好きだし、主人公に共感できます。
ただやはりところどころ描写が不十分であったり、的外れであったために一作品として成立しているとは言い難いです。
そのため受け取ることができたのも、書くに値しないほど本当にごくわずかでした。
どう観るか、何に注目して観るか、自分のスタンスはどこか、何を許容し、どう解釈するか。
別に作品が伝えたいことを受け取るだけが観ることの意味ではないと思います。また義務でもないと思います。
拾えるところだけ拾って、また拾いたいところだけ拾って「E.T」がガラクタを集めて作った間に合わせの通信機のような、不完全の塊みたいな解釈だけでも自分の中に持てればそれでいいのではないでしょうか。
だから面白くなければそれで良い。わざわざフォローする必要もない。1つの作品なんてそんなもんだと僕は思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

キャラが全く描けておらず、何も読み取れません。

 以前見て、面白い面白くないと言う前に、何が言いたい映画なんだろう?と悩んだことを思い出します。そして、再び見ましたけど、昔より混乱しています。

 一番初めのシーンで嵐を鎮めるのに、名前が思い出せないというモブの魔法師らしき人物のセリフがあるので、名前がテーマなんだろうなあというのは分かります。伏線も無くはないです。

 国がおかしくなっている、つまり人の在り方によって自然が狂いだしているような世界観も現代のアナロジーでしょう。魔法やまじないが金にならない、役に立たなくなってきているという部分は読み取れます。つまり、古き良き人と自然とのあり方が狂ってきた=魔法の衰退と関連があるということでしょう。

 となった時に、王を主人公が刺した意味ですが、現在を肯定して自然破壊を進める政権を、何か魔術とかドラゴンとかと関連ありそうな主人公が打倒する話?に見えなくはないです。
 が、王はどうやら人望は厚いし、善政を行っているようです。過去の物語も蔑ろにしている様子はないく、年寄を頼りにしています。これって結局なんだったんでしたっけ?

 あるいは不死の問題もありましたけど…ここは呪術的なものが力があるんだ?ダークサイド?という感じで話がよれています。

 で、テルーですねえ。彼女は何者?ドラゴン関係者?というか登場人物全員がそうですけど、キャラの背景が見えなさすぎて、ポカーンとなってしまいます。設定や過去全体を見せる必要はありませんが、あまりに裏付けがないキャラになってしまってます。

 名前が重要なのも伏線になっていた感じですけど…うーん。アイデンティティの問題とかどこかでテーマがあったでしょうか?一応光と影に分裂して云々はありますが、肝心のその部分に読み取るべき何かが何もない気がします。

 とまあ、テーマもそうですけど描きたい世界観が読み取れませんでした。

 ではエンタメとして面白いか?どうでしょう?ワクワクとかドキドキがありましたか?コメディや涙はあったでしょうか?ほのぼのした、物悲しい…作品を貫く雰囲気は作れていましたでしょうか?エロは?萌えは?カッコイイクリーチャーやメカは?冒険譚としての世界の広がりは?
 
 そして、結局何が達成できたのでしょう?世界がおかしくなっていたのは防げたのでしょうか?シリーズものにする気だった?それこそジブリの映画ではありえないですよね?

 特に作画が優れている訳でもないし。ジブリだから当たり前ですが、ジブリ演出・ジブリセリフ・ジブリキャラデザ。クロトワを良く恥ずかしげもなくだしましたねえ。宮崎駿アニメ水準なら、それがブランドだろうということで何もいいませんが、全部が宮崎駿の脚本・コンテに劣っているので、逆に期待を裏切られた感覚が強くなります。

 悪い事をあげつらえばキリがないですが、やはり、この映画で最悪なのはキャラが描けていないことでしょう。背景・過去・性格が全然わからないし浮かび上がってきません。なので感情移入もできないし、なぜそう言う言動をするのかが分かりません。わずか2時間の映画です。初めの10分あるいは4分の1が勝負です。そこでどれだけキャラに没入させられるかが、手腕ということになるのでしょう。

 ということで、以前はアニメの見方が分からなくて低評価だったのかなあと思い、再度確認しましたが、以前に増して低い評価かなあ。
 確かNHKのドキュメントで、この映画の試写で宮崎駿が離席するシーンを見たことがありますが、さもありなん、ですね。

 親と比べてというレベルではなく、普通に全く面白くない映画でした。それがジブリブランドなだけに余計際立ちました。

 もちろん監督・脚本を引き受けたからには本人の責任ですけど、親の名前とジブリという怪物にやられた被害者かなあ…と少し思ってしまいます。

 一応点数は残しますが、音楽と作画は評価してない3です。キャラとストーリーが付いてこなければ意味がないので。声優はキャラのひどさの調整で本当は1にしたいくらいですが、さすがに声優さんに罪はないので。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ジブリ史上最高クラスの主題歌(しか記憶に残ってないw) テルーの歌の歌詞のレビューですm(__)m

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
ストーリー1、歌が5で、合わせて3です(笑) 意外と酷評ではないです。だって、ゲド戦記以外の角度からのレビューですもん(笑)

今回は、ゲド戦記のテーマソング「テルーの歌」の詩の解釈をメインにします。

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
結論→テルーの歌は、萩原朔太郎のこころのパクりとは言えないのではないか。というレビューです。

この「テルーの歌」ですが、ネット等でも話題になりましたが、(100年程前に活躍した詩人)萩原朔太郎の「こころ」が元ネタになっています(監督&作詞の宮崎吾朗さんも公式に認めてますね)。

ゲド戦記公開当時は大学生で、たまたまゼミで朔太郎をやっていたので、これでレポート書いた記憶があるので、載せてみます(笑)

※ここからは、テルーの歌を「」で、朔太郎のこころを『』で書きます。

テルーの歌もこころも、ともに3つの連から成る詩です。テルーの歌の第1連の「夕闇迫る雲の上 いつも一羽で飛んでいる鷹」は、雲の上、というのがミソです。つまり、地上の人々からは見えないということ。「音も途絶えた風の中 空を掴んだその翼 休めることはできなくて」……だって、休むと落ちちゃうもんね(笑) この部分は、こころの第2連『こころはまた夕闇の園生のふきあげ』に対応しています。夕方の公園の噴水って、(昼間は子供達に人気だったのに)回りに誰もいなくなって、それでも休むことなく水を吐き出し続けています。吾朗さんは、その噴水の様子を鷹に置き換えた訳ですね。と、いうことで、第1連のテーマは両作とも「孤高」だと思います。

テルーの歌第2連の「雨のそぼ降る岩陰にいつも小さく咲いている花」は、こころの第1連『こころはあぢさゐの花』に、対応しています。朔太郎は、アジサイという、寂しげで多彩な花で、こころの移ろいやすさや儚さを表現しています。が、テルーの歌ではそのような主題は排され、「愛でてくれる手もない」と、やはり「孤高」を表現するにとどめています。

第3連は、詩的には、テルーの歌で一番上手いところだと思ってます。「人影絶えた野の道を 私と共に歩んでる」は、「人影絶えた」「私と共に」と思いっきり矛盾した表現です。この矛盾を解消できる答えは、「私の影」ということになります。

映画ゲド戦記は、小説ゲド戦記シリーズの第3巻を元ネタにしていますが、小説ゲド戦記の第1巻は、「影との戦い」というタイトルです。さらに、テルーの歌では「あなたもきっと寂しかろう」と続けています。「も」ですから、私と私の影は対等の価値をもっていると考えられ、つまり、「影の受容」です。これは、ゲド戦記の大きなテーマですね。

こころの第3連は、『こころはまた二人の旅人』と、はっきり二人と書いてます。そして『されどみちづれの絶えて物言ふことなければ わがこころはいつも かくさびしきなり』から、『出会ったがゆえの別れ』『幸せを知ったからこそ感じる不幸せ』などがテーマになり、テルーの歌とは大分違います。なので、ここの部分は、作詞した宮崎吾朗さんのアレンジの上手さが光っていると言えますね。

総じて、テルーの歌は、こころ→孤高 という主題が強く、朔太郎は、こころ→多彩で感傷的なもの という 主題が強いです。

私は、テルーの歌は、こころのパクりとは言えないと思っています。主題が全く違うので。確かに下敷きにはしているのでしょうが、両方の詩をしっかり読解せず、字面だけ見てパクりというのは、ちょっと、吾朗さん、可哀想^_^; そもそも、ジブリ自体が、完全オリジナルは少ないわけですし。

以上。書きながら、あにこれのレビューか? と、自分でも思いましたm(__)m 吾朗さん、頑張れ♪
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 29

62.6 7 魔女アニメランキング7位
Midnight Crazy Trail(アニメ映画)

2018年3月10日
★★★★☆ 3.3 (11)
46人が棚に入れました
真夜中の“ゴミ捨て屋” 稼業に励むシャウト&クランチのコンビ。そんなある日、魔女として立派な花嫁になるために、人間界で1年間修業すべくロンドンの街に降り立った16 歳の少女マキナがふたりを探しあて、“魔法の書”を捨てさせようと懇願。実は彼女、魔女をやめて普通の女の子になりたがっているのだが、そのためには魔法の媒介となる魔法の書が邪魔なのだ。しかし実際のところ、この本、簡単に捨てられるシロモノではなく……。

ヘーゼル さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

上坂すみれファンなら。

声優演技が引き立つ作風で、声優ファンなら楽しめます。主演は上坂すみれさんです。

大人向けなのか子供向けなのか中途半端なストーリー。CG作画だけど低レベル。

調べると2018年のアニメ制作若手育成の一貫とのことで、完成度には納得。
今後、海外展開したいとありましたが、このレベルでは不安です。

全12話作成予定との記事も拝見。2020年で続編の話題が無いということはあきらめたのでしょうか。

今回、ユーネクストで視聴。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

スラップスティック・アニメ

初公開は「あにめたまご2018」となりましょうか、
https://animetamago.jp/2018/index.php

あにめたまご2018 公式PV
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=kOfmMkxStz0


2018年8.9月頃より幾つかの配信サイトにて配信されてます。

美術的にはちょっとだけ「プリンセス・プリンシパル」を彷彿する、かもしれない(^-^;)
キャラはまた違うポップな感じなのでキャラ絵が気に入ればお勧め。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

71.5 8 魔女アニメランキング8位
BURN THE WITCH(アニメ映画)

2020年10月1日
★★★★☆ 3.7 (128)
640人が棚に入れました
正解には表<フロント>があれば裏<リバース>がある。遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在"が関わっていた。だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側"に拡がるリバース・ロンドンの住人だけ。その中でも、選ばれし人々がウィッチ<魔女>/ウィザード<魔法使い>となり、ドラゴンと直接接触する資格を持つ。主人公は、自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。

声優・キャラクター
田野アサミ、山田唯菜、土屋神葉、平田広明、引坂理絵、麦人、小林親弘、田中美央、清水はる香

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

対照的な二人の女子高生の魔女がクールに、オシャレに、ポップにドラゴンとバトルするお話

この物語は、二人の女子高生が主人公で、しかも、魔女です。
この二人の性格は、とても対照的です。
「ニニー」は、喜怒哀楽がわかりやすく思ったことは態度に出す明朗快活な性格です。
「のえる」は、喜怒哀楽を見せないクールビューティで、ジト目が特徴的です。
観ると分かりますが、こう言うコンビって結構見るよねって感じがします。
それだけ王道のキャラ付けなのですが、そこには変わらない面白さがあります。


■オシャレ

この物語は、二人があーだこーだと言いながら、ドラゴンと戦います。
その時の姿は、学校の制服に赤のシェパードチェック柄のマントをまとっています。
また、小型の乗用ドラゴンにも乗っています。
そして、戦う武器は、なんと「笛」。
でも、その笛裁きとそこから繰り出される魔法がさっそうとしていてあざやかです。
キメるところは、とてもカッコイイです。
それでいて、ギャグも適度にポンポンはいってきます。
これらのバランスの良さが全体的にこの物語をオシャレに見せています。


■劇伴がとてもいい

魔法ファンタジー活劇映画のような感じです。
不安感を伴いながらもテンポ良く進み、時折重厚感がある感じです。
場面によっては、シンセを使ったリズミカルな曲も混ざります。
この物語は、現代のロンドンを舞台にしています。
でも、この劇伴のおかげで現代のゴチャゴチャを遠ざけた舞台を作り上げています。
それが、この作品がもともと持っているクールさにオシャレ感を足しています。


■物語がちゃんとしている

この物語、結構、伏線がありますし、最初から最後まで一本の筋が通っています。

この物語は、主人公の「 おとぎ話なんてクソでしょ」と言うセリフで始まります。
そして、「魔法は途中で解ける」と続けます。

途中のドタバタ劇で、最初のこのセリフを忘れかけてしまいます・・・。
しかし、終わってみると気付くのです。
それは、このセリフを回収するためだけにこの物語があったのだと言うことにです。

途中のステンドグラスの絵や、最後に出てきたドラゴンの名前。
それらは、あるおとぎ話がモチーフとなっています。
それを女性が他人に頼らず、自らの力で未来を切り開いていくと言う主題に昇華させ、
現代的なファンタジーで描いて見せたところは流石だなと思います。

しかも、この物語では、それをこうあるべきだと説教臭く語ることはありません。
さらっと描いて、気付いてくれたらそれでいい、そして、どう考えるかは自由、
そんなノリなんです。
こう言うのをクールって言うんだなと、あらためて気づかされました。


■まとめ

普通に面白かったです。
この「普通に面白い」とは、どう言うことを言うのでしょうか?
私は、あれこれ考えたりせず単純に観ているだけで面白いことを言うのだと思います。
しかし、その面白さの裏にある主題に気が付くと、
その描き方やセリフに対し、なんてクールなんだろうとシビれてきます。
つまり、二度おいしい作品になっています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

魔女、ドラゴン、リバースロンドン 2人の魔女が躍動する…。

この作品の原作は未読です。
Amazon prime videoで視聴しました。
最近は、視聴環境…特に配信面のバリエーションが増えてきたのは個人的には良いことだと思っています。
地域によって視聴できないTV放送が補完できますし、配信のみの作品も出てきたので…


世界には表(フロント)があれば裏(リバース)がある。

遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、
人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在”が関わっていた。

だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。

ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側”に拡がる
リバース・ロンドンの住人だけ。
その中でも、選ばれし人々がウィッチ魔女/ウィザード魔法使いとなり、
ドラゴンと直接接触する資格を持つ。

主人公は、自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である
新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。
彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、
ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

2020年、『BLEACH』の久保帯人が新たな物語を世界に放つ――。
という見出し文句で公式HPのINTRODUCTIONが記載されていましたが、そもそも私は『BLEACH』を視聴していないので、その見出し文句が琴線に触れることはありませんでしたが、躍動感があって見応え抜群の作品だったと思います。

物語の設定は結構複雑なのですが、限られた尺の中で丁寧に説明されているので、置いてけぼり感を感じることはありませんでした。
寧ろ、物語が分かりやすい分、のめり込んで視聴できたと思います。

主人公の魔女は、以下のお二人です。
・ニニー・スパンコール(CV:田野アサミさん)
・新橋 のえる(CV:山田唯菜さん)
田野さんは、フランチェスカ(2014年)とゾンビランドサガ(2018年)などに出演されています。
山田さんは、アニマエール(2018年)などに出演されています。
どちらの声優さんともこれまで接点はあったものの、1~2作程度の接点しか無かったのでお二人の演技がとても新鮮に感じられました。
暫くすると、安定感抜群のはやみんも出てこられるので、ファンの方は要チェックかと…

物語は全3話の中で綺麗に纏まっていますが、きっと未だ序盤戦なんだと思います。
この物語の先で出会うであろうドラゴン…どんな特徴を持っているのか何気に楽しみなのですが、2020年10月時点で原作が既刊1巻までしか刊行されていないので、続きがあるとしても未だだいぶ先なんでしょうね。
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

続くかわからないので、設定やテーマ性がエンタメの阻害要因です。

 普通に面白いです。設定と人間関係がこれだけ過剰ということは、続きを想定している感じです。が、2年前で1時間のアニメで終わっているということは、これで終わりということもありそうです。
 そうなると人間関係も設定も余白がありすぎですが、オープンエンディングだと思えば、そういう感じもします。

 テーマ性です。「魔法が中途半端」というのがテーマだとすると、テーマの回収ができ切れていないので、そこの結論が「他力=シンデレラとメイシーの関係」だけだとすると無理があります。

 原作の久保帯人さんというのがブリーチの人だとすると、原作はもっとあるのでしょうか?ちょっと調べてないのでわかりません。

 ただ、これだけで終わるならテーマを一切織り込まないで登場人物を減らして、最後の解決を2人の魔女にやらせて、もっと痛快なドンパチでもいいと思います。その点では中途半端です。

 魔法少女=ダークの流れの中、これだけ明るく作ったのは良いと思いますので、アニメは続けるつもりがないのなら、久保氏は原案にして、アニメのオリジナルで設定も登場人物も整理して、結末をつけて欲しいかなあ。

 キャラデザはちょっとダリフラっぽい感じでした。作画は独特の輪郭線でしたね。なかなかいい味のアニメだったと思います。

 あと、この原作者なのか作画なのか監督なのか知りませんが、お尻と太もものラインのフェチとしか思えませんでしたね。尻や太ももの凹凸の凸のラインではなく、つなぎの凹になったラインのフェチですよね?
 パンツの伏線としてあのアングルを狙ってたんでしょうけど、それを伏線に見せかけて自分の好きな尻から太もものラインを描かざるを得ない衝動を感じました。箒にのった魔女の構図を逆手にとったフェチなんだと思います。

 ということで面白いし、見て損はないですが、これだけか、という感じのアニメです。設定や人間関係、テーマ性で深みを出すポテンシャルはありますが、今のところそれらの要素が逆に作用してエンタメ性を少し暗くする阻害要因になっていた気がします。

 制作者サイドはアニメを細切れにしいで、続くなら続くって明言しないと価値を下げるだけです。続きがあるなら評価はもうちょっと高いですが、これで終わる前提だと、あまり高くないです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

69.8 9 魔女アニメランキング9位
美女と野獣(アニメ映画)

1992年9月1日
★★★★☆ 3.9 (82)
655人が棚に入れました
第64回アカデミー賞でアニメとしては初の作品賞ノミネートされた、芸術的仕上がりのディズニー・アニメ。有名な、真実の愛によってしか救われない野獣と化した王子の寓話が原作。彼が心優しい少女ベルと知りあって、頑な自閉状態から脱却すると、奇跡は起こって……と言うお話。セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンが唄う主題歌(オスカー受賞)は「アラジン」のそれとどう違うんだ、と作者のA・メンケンに聞きたいが、この映画で素直に泣けない女の子とはつきあえない気がする……という10代の意見も貴重? こちらの関心は自ずと、ギャグ部門担当のポット夫人(声はA・ランズベリー!)とその息子に向かう……。

声優・キャラクター
ペイジ・オハラ、ロビー・ベンソン、レックス・エバーハート、リチャード・ホワイト、デビッド・オグデン・ステイアーズ、ジェリー・オーバック、アンジェラ・ランズベリー、ブラッドレイ・マイケル・ピアース、ジェス・コルティ
ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

もはや見すぎてどれがアニメの話だったかw

フランスの民話“美女と野獣”が元になったアニメーション映画。

1991年制作なのですけど、もっと昔な気もしますね。

最近、実写映画の美女と野獣あったじゃないですか?
あれ凄く良かったんですけど、ひとりで見に来てるのが自分だけでちょっと所在がなかった思い出w

普通は恋人同士で見に来るタイトルですよね。アニオタの自分は場違いだったw

それで、このアニメ自体観たのは数回観ましたけど、最後に観たのは少なくとも20年前くらいなんですよね。なのに内容しっかり覚えてるのは何度も擦られるタイトルだからでしょう。劇団四季ミュージカルの美女と野獣も数回見に行きましたから、もうお腹いっぱいだったのに実写はとても丁寧で世界観を絶妙に表していました。近年のディズニー映画でもかなりの意欲作。

エマ・ワトソンがめちゃめちゃ可愛かった。はまり役ですねえ~♪
ガストンもいい味出してたなー。ルーク・エヴァンズが完璧に演じてたw
{netabare}
異類婚姻譚としての代表作とも言える本作は、個人的には野獣のままでも良いのにーと思ってたんですけど、もしかしたら少数派かもしれない。いや、だって野獣のほうがかっこ良くないですか?どうなんだろ?何度もこのタイトルを観て、毎回ラストであーあーと思ってしまう。駄目なやつです(笑)
{/netabare}

アニメの感想を書いてないな・・。この当時のディズニーアニメらしい良い出来でした(雑w)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

王子には野獣のままでいて欲しかった

「美女と野獣」はディズニー版の電車男だと言っても過言ではなく、コミュニケーション障害の引きこもりとこの野獣がほとんど同じようなタイプの男である。

不器用で無作法でだらしがないのだが、女性に触れると垢抜けたがごとく穏やかで気品を纏い出すという童貞そのものである。

しかし、男というのはそもそも精神的にはいつまでたっても童貞みたいなものである。

バカみたいにデカいものや強いものが好きだし、ロボットやスーパーヒーローには夢中になるしで精神的には子供のままである。

だからこそ野獣は「王子様」になっては欲しくなかった。できればシュレックのように怪物のままで純粋でいてほしいと思ったのは私が男だからかも知れない。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

人間賛歌

全編ミュージカル風ディズニーエンターテイメントアニメ。
音楽がない場面でも、オーバーアクションです。

ツッコんで良いのやら悪いのやら。
猪突猛進的ストーリーには清々しさを感じます。

物語の骨子は美女と野獣の関係。
人の心を見つめることのできる美女。
性格に難点はあるけど素直な野獣。
この二人の結末は・・・自然とそうなるわなあ。

呪いのお城は楽しいお城。
表情豊かに動くおしゃべり静物がコミカル。
こんなお城なら住んでみたい。

あと、ひとつ感心した所。
自動薪割り機は伏線だったんだ。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23

69.9 10 魔女アニメランキング10位
白雪姫(アニメ映画)

1950年9月26日
★★★★☆ 4.0 (40)
354人が棚に入れました
ディズニー初の長篇アニメは、制作後60年を経た今でも繰り返しリバイバルされ、新たな観客をふやしている。93年には大がかりな修復が施されたデジタル・ニュー・バージョンが公開(日本では94年)、全米だけで四千万ドル以上を叩き出す大成功。でも、原版ネガのわずかなキズまで消去したという新作フィルムには、どこか手作りの温もりが失われツルンとした印象。これまで幾度となく怖がらせてくれた魔女が、毒リンゴを作り、老婆に化ける場面のオドロオドロしさがあまり伝わってこなかった。ディズニー映画は音楽が良いので字幕版に限るという人も多いが、吹き替え版の“ハイホー"も捨てがたいですぜ。
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛と美を表現した見事なミュージカル

実は真面目にディズニー作品を見るのはこれが初めてでした(ファイアボールっていうショートアニメは見た事あります)。

それだけにこのミュージカル仕立ての演出を新鮮に見られたと思います。

白雪姫のお話自体は絵本か何かで何度も読んだ記憶があるのでなじみ深いです。


あらすじは要らないような気がしますが一応。
{netabare}
ある城に白雪姫という美しい姫が住んでいた。ある日白雪姫は城の近くで別の国の王子と出会い、恋に落ちる。

姫の美しさを妬んだ継母の女王は、狩人に白雪姫を森に誘い出しその場で殺し、心臓を抉り取ってくるよう命じる。
白雪姫を森で殺そうとした狩人だったが、彼女を哀れに思って逃がす。

白雪姫はより深い森の奥で七人の小人と出会い、王子を想いながら平穏に暮らしていた。
しかし白雪姫が生きていたことを知った女王は、自身の魔法で姿を変え白雪姫に眠りの毒リンゴを食べさせようとする。
{/netabare}


白雪姫はとても純真で幼くて、誰からも愛される人柄と容姿を併せ持った理想の美少女でした。


しかし物語上大事な存在であるはずの王子の影が思った以上に薄かったですね(笑)

序盤と終盤、美味しい所だけ持っていく辺りが流石王子様と言った感じでしょうか。


白雪姫に甲斐甲斐しく接し、最後まで愛し続けてくれた森の動物と小人こそが姫と寄りそうにふさわしいと思ったんですが、姫が選んだのは素敵な王子様だったんですね・・・。

白雪姫が森の奥で悲しみに暮れていた所を森の動物たちが元気付けてくれ、後に親しくなった小人たちも賑やかな共同生活で楽しませてくれました。

白雪姫が女王に命を狙われているとき動物たちが助けようとしたり、白雪姫が眠りについたとき小人たちはその身を守り続けました。


だから王子と白雪姫が結ばれた感動よりも、あれほど尽くして報われなかった小人たちに感情移入してしまい少し悲しい気持ちになってしまいました。多分こんな気分になるのはひねくれ者だけでしょう。


普通に考えれば、一目惚れした王子様のため森でしばしの辛抱をし、無事女王から逃れ王子と結ばれる。これ以上のハッピーエンドはないですね。



その他に、明るくて美しい白雪姫と嫉妬深く恐ろしい女王の対比が非常に巧く表現されていたのが印象的でした。

白雪姫は歌ったり踊ったりするのが大好きで、音楽に合わせて楽しい映像が流れることが多かったです。

逆に女王は不気味な部屋で怪しげな魔術を使い、残忍な性格を剥き出しにする場面が多かったです。

陽気過ぎず、陰気過ぎず、バランスの良い雰囲気の作品になりました。


追記:そう言えば白雪姫の作画は実際の人の動きを模倣して描くロトスコープの手法で作られているそうですね。
この前TVで白雪姫のモデルになった女性がインタビューを受けていたのを思い出し、ああそういうことかと合点が行きました。
お年を召されても少女のようにはつらつとした笑顔を浮かべている姿が印象的でした。
やっぱりあの軽やかでいて気品のある仕草は只者には務まらないのだと実感しました。


作画が素晴らしい、だけに留まらず今も高い評価を受け続けているのは、白雪姫のテーマソングと絶妙にマッチしたミュージカルの完成度なんじゃないでしょうか。

今もディズニーランドではこの映画の挿入歌「いつか王子様が」が用いられてますし、純粋に曲として評価されているということです。

後はそれを用いるタイミング・シチュエーションが巧い。ディズニーのミュージカルはそこも大きく評価されていると聞きます。

アニメで現実を超えるくらいのミュージカルを表現することに成功したことが白雪姫の何より凄い所なんだと思います。


ラブストーリーを期待して見るものではなく、白雪姫の純真さに、その美しい振る舞いと歌声に魅了される作品でした。

字幕で視聴したので白雪姫の美声を存分に堪能できました。もし見るならやっぱり本場のキャストで見た方が良いと思います。



突っ込むのも野暮な話ですが
{netabare}
女王は容姿を醜くする薬をわざわざ変装のために使いましたが、あれをそのまま白雪姫に飲ませてしまえば楽に目的は達成できたんですよね。
バンジョーとカズーイというゲームでは実際そうやって気に入らない娘を老け込ませてしまう魔女が出てきましたし、やっぱり白雪姫がしわしわの老婆になるのはビジュアル的にマズかったんでしょうね(笑)
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

白雪姫

ディズニー初の長編映画であり、世界初の長編アニメーション映画。
1937年にアメリカで公開され日本での公開は1950年。

原作のグリム童話をディズニーらしくロマンティックにアレンジされている
何年、何十年経っても色あせない名作
数々のアニメーターや作品に多大な影響を与えただけあって
俳優の動きを実写で撮影し1枚ごとに動画を起こす「ロトスコープ」を使った
なめらかな動きのある作画と耳に残る名曲の数々に何度も心奪われた。
ディズニー映画の中でも一番多く10回ほどは観た気がします。
{netabare}今月になってから職場でお子様達と3回も観たので思わず感想とともにレビューを残したくなりました。{/netabare}

<東京ディズニーランド版「白雪姫」との違い>
{netabare}
「白雪姫と七人のこびと」のアトラクションはご存知でしょうか?
アトラクション入口に「怖い魔女が登場します。小さなお子様はご注意ください」との謎の看板がある通り
「ホーンテッドマンション」並みに怖いと(一部で)言われてます。
乗っているゲストが白雪姫になったと仮定しているか、
お化け屋敷を想定して作ったのか謎ですが、魔女が主人公です。

襲ってくる木々や毒りんごをつくる魔女。突然現れる魔女の姿(しかも顔が近い 
魔女ファンには堪らない?アトラクションとなっております。
白雪姫はほんの一瞬しか出てこないくて、キスで目覚めるシーンもありません。
魔女が崖の上で大岩を小人たちに向かって落とそうとしているシーンで終わります。後味が悪い約2分30秒がとても長く感じます。
乗り終わった後スグに「ピーターパン」乗りに行って\ヒャッハーッ/してスッキリしたのは内緒です。{/netabare}

<雑談>
{netabare}
白雪姫はディズニープリンセスの中でも最年少の14歳。
そんな彼女を連れ、結婚した王子って凄いよなぁ・・とこの間友達と雑談していました。
友達「毒リンゴ食べて死んじゃった白雪姫にキスするなんて王子も変わってるよね。だって死んでるんだよ?」
私「グリム版はその辺知らないけど、一目ぼれした白雪姫に
せめての別れの挨拶にキスしたんじゃない?」
友達「そっか!でもお持ち帰りされるなんて羨ましい!!」
私「私も!!!」
と、珍しく女子成分多めでそんな感じの会話をしていました。
白雪姫と王子のその後も気になりますが、
「美」に執着していた魔女が一番嫌ってた醜い姿のまま最期を迎えるなんて
とても考えさせられます。まさに因果応報なのでしょうか。{/netabare}

<7人の小人>
{netabare}
・先生 Doc
・くしゃみ Sneezy
・おこりんぼ Grumpy
・おとぼけ Dopey
・ごきげん Happy
・ねぼすけ Sleepy
・てれすけ Bashful
おとぼけが喋らない理由は、自分が「喋ろうと試みたこともないから」となってるけど
実はぴったりの声優がいなかったためらしい。

ところで、皆さんはお気に入りの小人はいるでしょうか?
きっと7人のうちどれかは自分自身に当たるキャラがいると思いますが、
個人的にお気に入りはおこりんぼ。
最初は「女は全員毒を持っている」(まさに名言!w)と言って
白雪姫をよく思ってなかったが、お出かけのちゅーに照れてたり
白雪姫が魔女に捕まったら「白雪姫を助けに行こう!」と一番に駆けつけようとしたりツンデレなところがツボです。{/netabare}

年月も経ちパブリックドメインとして観やすいので
もし観てない方いたらオススメしたいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 38

でんでん虫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

まっさらな白

■あらすじ
王妃「かがみよ鏡、世界で一番美しいのは誰じゃ?」
鏡の中の男「はい王妃様、それは白雪姫です」
王妃「ぐぬぬ」
 
 その後王妃は狩人を呼び出し、白雪姫を始末するよう命じる。狩人は白雪姫を殺せず、森へ逃げさせる。白雪姫は小屋を見つけ、そこで七人の小人達と一緒にお楽しみの夜を過ごす。
 翌朝、小人達が仕事へ向かった隙に老婆に変身した王妃が訪れ、騙された白雪姫は毒りんごを食べて永遠の眠りに落ちてしまう。その後王妃は自爆。
 小人達は白雪姫が死んでしまったと思い込み、美しいままの彼女を埋められず、ガラスの棺に納めて悲しみに明け暮れる。そこへ突然王子が現れて当然のごとく白雪姫に口づけをする。すると白雪姫は目を覚まし、王子と共にお城に向かい幸せに暮らしましたとさ。

 王子はおいしい所全部かっさらって行ったなおい。そして白雪姫も、なに当然のようについて行ってるの。まぁ、つっこみたいのはこれくらい。

■過去回想
 この『白雪姫」はおそらく私が一番最初に見たアニメ作品だと思われる。記憶が曖昧なので、もしかしたらイソップ物語やその他の童話が最初かも。それでも白雪姫だけはある程度のあらすじを覚えていたので、私の中で一二を争う大切な思い出の作品であることには間違いない。
 だが、もう子供の頃これをみて何を思ったのかはもう忘れてしまった。とりあえず現時点で思ったこと記録しておく。

■物語
 もう本当に、どこまでもまっさらな白、全く無駄のない純粋な物語。「夢は願い続ければ叶う」ということを心に、ただただ真っ直ぐ、小細工無しに投げかけてくる。
 ただし、王妃のように醜い心だとそれは叶わない。王妃は自分が一番美しくなりたいがために娘である白雪姫を手にかけようとした。皮肉なことに自らを醜い老婆の姿に変えてしまっている。さらに悲しいことに醜い姿のまま死ぬことになる。墓穴を掘るとは正にこのことだ。あなたはそのままでも十分綺麗だったのに…
 一方、白雪姫は純粋に「王子様が私をお城へ連れて行き、いつまでも幸せに暮せますように」と願い、騙されて毒りんごを食べる。一度倒れてしまうも、結果的にその願いは叶う。不幸を呼ぶはずのりんごは逆に幸運を運んできましたというオチ。同情します王妃さん。「人を呪わば穴二つ」ってやつだが、結局穴に入るのは王妃さんだけでした\(^o^)/

■その他
・作画と音楽は文句のつけようがない。目を塞いでも、耳を塞いでもおそらく十分に楽しめるだろう。どっちも塞いだら、そりゃおとぼけ並みのあほだ。
・笑いと楽しい音楽さえあれば、もうそれだけで十分なんだなと気付かされた。
・何で白雪姫は黒髪なんだ?
・原作は結構エグイ設定のようだ。純粋で綺麗な話だからこそこの作品が好きなので、正直見たくない。
・好きなキャラ…おとぼけ、おこりんぼ

 この作品を見ればきっと純粋な心を思い出せると思います。というより、それは子供の時からずっと持っているものなのかもしれませんね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

65.8 11 魔女アニメランキング11位
塔の上のラプンツェル(アニメ映画)

2011年3月12日
★★★★☆ 3.9 (103)
687人が棚に入れました
ディズニー長編アニメーションの記念すべき50作目となるファンタジー・アドベンチャー。髪長姫の名でも知られるグリム童話の“ラプンツェル"を映画化。魔法の長い髪を持ち、18年間一度も外へ出たことのない少女が、お尋ね者の大泥棒と共に未知なる外の世界へ繰り出すさまを描く。声の出演は「恋とスフレと娘とわたし」のマンディ・ムーア。一方、日本語吹替え版では人気アイドルの中川翔子が担当。監督はこれが劇場長編初メガホンのネイサン・グレノと「ボルト」のバイロン・ハワード。 驚くほど長い魔法の髪を持つ少女ラプンツェル。深い森に囲まれた高い塔の上に住む彼女は、外は“恐ろしい世界"だから絶対に出るな、と言う母親の教えから、18年もの間、一度も外の世界を知ることなく生きてきた。しかし、好奇心旺盛なラプンツェルは、いつか必ず外の世界へ出て、毎年誕生日になると夜空に現われる神秘的な“灯り"の正体を確かめることを夢見ていたのだった。そんな彼女は18歳の誕生日前日、王冠を盗み追っ手を逃れようと塔に迷い込んだ大泥棒フリンと遭遇、その魔法の髪で彼を捕らえる。そして、自分を塔から連れ出し、“灯り"の場所まで案内させることを条件に解放する。こうして、ついに外の世界へ飛び出したラプンツェル。そこは恐ろしい世界ではなく、美しい自然に溢れ、街では人々が楽しそうに暮らしていた。数々の危機を乗り越えながら“灯り"の場所を目指す2人。だがその先には、ラプンツェルの思いもよらぬ運命が待ち受けていた…。

声優・キャラクター
マンディ・ムーア、ザッカリー・レヴィ、ドナ・マーフィ、ブラッド・ギャレット、ジャフリー・タンバー、M.C.ゲイニー、ポール・F・トンプキンス、ロン・パールマン
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

もっと評価されるべき

ディズニープリンセスという敷居の高さと、髪が長さが売りのプリンセスという点でなんとなく避けていた一作でしたが、学校の先生におすすめされたので、視聴してみました。

髪の力を利用する悪い女性に赤ん坊の頃に連れ去られて、その人を母親と思いながら塔に閉じこもって暮らしている。ラプンツェルの髪は18年の時を経て塔の下までつく長さに。

そこまでは宣伝などで散々言われていましたが、実際に観てみると、何故そこを強調して宣伝したのか。と問いたくなりました。
もっと見どころがあるだろう、と。

例えば、

【盗賊×お姫様】を前面に押してみてはいかがでしょう。

{netabare}塔を抜け出す目的で盗賊を利用したラプンツェル。そして、盗品を取り返すために仕方なくラプンツェルに付き合った盗賊。最初は仲が良いとは言えなかった二人だが、行動を共にするうち徐々に惹かれていき、お互いを大切な人と認識するようになる。とか。{/netabare}

少女漫画チックですが、設定だけで萌える展開だと思うんですよね。


声優
ラプンツェルは中川翔子さん、歌小此木麻里さん
フリンは畠中洋さん
吹き替えの声優に関しては、文句なしです。
ラプンツェルの狂喜乱舞するときのハイテンションと、この世の終わりのようなローテンションの切り分けが、全然違和感なかったですし。
というか、いつものしょこたんって感じ。
これ以上の配役は思いつかないかもとさえ思いました。

しかし、ですよ!
CDを探すと桑島法子さんと、諏訪部順一さんの輝く未来があるのですが、こちらがまた素晴らしい!本家を超える勢いにもう興奮が止まらないっ!!ああ、二人の演技も聞きたかったなあ・・・なんてちょっと思ってしまいました。


キャラ
この作品の一番輝いている部分です。
とても濃いキャラ達のおりなす世界がすごく楽しいです。

ラプンツェル
ハイテンションとローテンションの切り替わりが極端で、スイッチのON/OFFを繰り返すように変わる動きが面白かったです。
親しみやすいお姫様像はありそうでなかった。
お姫様にこだわらなくても、結構珍しいタイプのヒロインかもしれませんね。

フリン・ライダー
ナルシストで残念なイケメン盗賊
ああ、良いです!実に素晴らしい。ポケモンのコジロウをナルシストにしたような、タイムボカンシリーズのボヤッキーをイケメンにしたような、ガンダムのシャアを間抜けにしたような
どこか欠けているから愛着も湧きますし、さらにかっこいいという重要な要素を含んだとてもいい相手役になっていると思います。
今までのプリンセスの相手役は主人公が男でない場合、モブ臭漂う王子ばかりでしたので、今回こういった相手役が出てきたことはかなりいい傾向だと思います。

パスカル(カメレオン)
カメレオンとは思えないほど、表情豊か
しゃべらないのにタイミングよく顔が見えるからとても面白いです。

マキシマス(馬)
馬なのに動きはまるで犬。
(馬だけにw)フリンと馬が合わず、よくラプンツェルに仲裁されている
相手役のライバルが馬ってギャグでしかないですw

酒場の荒くれ者たち
見た目はいかついのに、ピアニスト、お菓子作り、裁縫など意外と乙女チックな夢を持っており、以外な一面が良いギャップを生んでいます。

これだけ濃いキャラが揃えばシリーズ化されても全然いけそうなのに、映画と短編だけなのが惜しいです…


作画
流石世界のディズニー映画!最新技術をバンバン投入し、CGアニメーションでも全く落ち度のないどころか、とりあえず、すごい!を付けておけば表現できそう。
さらさらな髪の毛すごい!
水のシーンすごい!
キャラクターアニメーションすごい!
ライティングすごい!
物体の質感すごい!
作画の星評価は5までしかありませんが、この作品は6ですよ6!
規格外のクオリティはこれからも我々の目標となっていて欲しいです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17
ネタバレ

NANA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

お姫様の自立とラブストーリーを楽しめばいいのかも

表情豊かで愛くるしいラプンツェル、美しい映像と心躍らせるメロディー、飽きさせない軽快なストーリー、少々ご都合主義ではあるものの誰もが幸せな気持ちになれるハッピーエンド、これぞエンターテイメントという作品です。いつもながらディズニーアニメのクオリティの高さを思い知らされます。特に、光の演出が綺麗でした。

ストーリーはアリエル同様原作改変ですが、原作はかなりドロドロしているらしいので(恋の相手が王子で、魔女に塔から突き落とされて失明してしまったり、ラプンツェルに子供が出来ていたり(^^;;)、ファミリー向けとしてはこの改変もありかなと。まあ原作とは別物、ディズニー版ラプンツェルとして楽しむのが良し。


さて、ここからは物語に関するレビューです。ディズニーアニメはあまり細かいところを気にせず楽しく見るのが一番だと思うのですが…若干辛口レビューになるかもです。m(._.)m

{netabare}
私個人の話なのですが、アナ雪以降の作品はニュートラルに見れなくなっています。(ラプンツェルはアナ雪より前の作品ですが)新作が出る度にいちいちアナ雪が引き合いに出されるので、その度にハードルが上がってしまいます。(ーー;)仕方ないのですかね。orz

自分が物語で重視するのは人物の心理描写です。物語が何を伝えようとしているか、人物が何を考えどう行動するか、その行動に共感出来るか。小手先のギミックやギャグ、取って付けたような演出は重視してません。

この作品は、鬼母からの自立がテーマのように言われていますが、鬼母であるゴーテルがそこまで悪者に見えないんです。いえ、自分の若さのためにラプンツェルを幽閉し、自分の思い通りにして嫌味さえ言う。十分意地悪に描かれているのはわかりますが、ファミリー向けを意識したのか悪者としての描き方が中途半端で、もしかしたらラプンツェルへの情があるのでは?と疑念を抱いてしまうのです。
いくら鬼母と言え、こんなに大きくなるまで育ててきたのだから、多少なりとも愛情が芽生えているはず…と。でも、ラプンツェルは全てを悟るとゴーテルを心の底から憎しみ、彼女が塔から落ちる時ですら情を向けることはなかった。そんなものなんでしょうかね?実の両親の存在を知ったとたん、ハイさよなら。私が鬼母がどういうものかを知らないから共感出来ないだけかもしれませんが…
ハッピーエンドのシーンもふーん良かったねーって感じで、あまり感情移入出来ませんでした。
まあ、ディズニーですし、突っ込んじゃいけないのでしょう。親子の関係性は適当にスルーしてラブストーリーを楽しめってことなんですね?



余談ですが、親子の関係性についてディズニーの実写映画で取り扱っているものがあったので参考まで。

『マレフィセント』では真実の愛?を描いていましたが、早い話が「生みの親より育ての親」なんですよね。でも、かなり強引に原作改変したせいでツッコミどころだらけの映画になってしまいました。ラプンツェルを題材にした方が真実味が出たのではないかと思いました。

もう一つ、『イントゥ・ザ・ウッズ』というミュージカル映画でメリル・ストリープがラプンツェルの母親を熱演してます。彼女のラプンツェルへの愛情やラプンツェルを失う哀しみは共感出来たんですけどね。(ラプンツェルは薄情でしたが)
ちなみにこの映画、というか元のミュージカルが大人向けのお説教で、ある程度人生経験がないと物語の真意が理解出来ないかもしれません。かなりメッセージ性が高くリアルな人生観が詰まっていて私はすごく感銘を受けたのですが、純粋に物語として見たい人には意味不明な映画にしか見えないと思います。(ヤフーの評価は散々ですね)
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

夢をかなえた特別な夜。そばにいるのは、運命の人。

ディズニー長編作品50作品目。
(前作は「プリンセスと魔法のキス」、
 次作は「くまのプーさん」)

2011年公開で、
ディズニー初の3Dで描かれたプリンセスです。

今のディズニー映画は3Dが当たり前になっているけれど、
原点はこの作品だったのですね。

今から7年前の作品なのか…。
美しい作画でした♪

100分ほどの作品です。


● ストーリー
不思議な力を秘めた金色の髪を持つ少女・ラプンツェル。

幼い頃、髪の力を欲するゴーテルにさらわれ、
18年間塔の中で育てられていた。

外出を禁じられ、
外の世界への憧れは募るばかり。

自分の誕生日になると遠くに現れる無数の光を
今年こそ身近で見たいと思ったラプンツェルは、

たまたま塔に侵入した泥棒フリン・ライダーを案内役として
塔を抜け出すことを決意する。


“ラプンツェル”というと、
塔に閉じ込められた髪の長いお姫様のところに
王子様が通ってきて…な話というイメージがありましたが、

この作品は超アクティブでしたw
大冒険です!

初めて外に出るラプンツェルがいろんなことに戸惑う、というよりも、
フリンを捕まえようとするやつらに巻き込まれる、という感じですね。

アクションシーンはよく動いていてハラハラするし、
コミカルにも描かれていて、楽しくもある♪

長い髪(設定では21メートルあるそうです)は絶対邪魔なはずなのに、
うまく扱われていて、むしろ上手に利用されていますw

人を乗せたり引っ張ったり、あんなに雑に扱われていて、
せっかくのきれいな髪が痛んでしまいそう…と
余計な心配をしてしまいましたw


≪ ミュージカル♪ ≫

ミュージカルのシーンがちょこちょこ挟まります。
聞いたことがある好きな曲もありました♪

歌もいいですが、
音楽のバックでの演出も好きなのですよね♪

アニメーションだけど、
舞台のミュージカルを見ているような豪華な演出。

一曲終わるごとに拍手を送りたくなりました^^
さすがディズニー♪


≪ ロマンス♪ ≫

ディズニープリンセスにはこれが付き物♪

フリンはうさんくさそうで、
初めは信用ならんやつでしたが、

ラプンツェルに心を開いていく姿は好感♪

物語の後日談を語るフリンとラプンツェルのやり取りが
微笑ましくて好きだわ♪きゅんとした(*´ω`)

幸せそうで羨ましい限りです(*´ω`*)


● 音楽
先に書いたように、
ミュージカルな挿入歌が多数あります。

私のお気に入りは、代表曲でもある
「自由への扉」「輝く未来」の2曲ですね♪

どちらもアラン・メンケン作曲。
やっぱりこの人が作る曲は私のツボで、うっとりしちゃいます♪

「自由への扉」はラプンツェルが自分の暮らしについて歌った曲で、
「輝く未来」はラプンツェルとフリンによるデュエット曲です♪

いつかディズニーのデュエット曲を
殿方と歌うのが私の密かな夢だったりw

ラプンツェルを演じているのは中川翔子さんなのですが、
歌う時は小此木まりさんが担当しています。

やはりミュージカルをたくさん経験されている方は、
歌い方が違うなあと思います。

うまく言えないけど、間の取り方とか?
普通の歌い方とは違うなと感じるのです。感覚だけど。笑


● まとめ
いいエンディングで気分がいい♪
爽やかな作品でした^^

夢と愛に溢れた作品。
やっぱりディズニー作品は素敵でした♪

ちなみに私の一番のお気に入りキャラは、
馬のマキシマスです。

彼が一番有能ですよね?笑

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21

65.3 12 魔女アニメランキング12位
メリダとおそろしの森(アニメ映画)

2012年7月21日
★★★★☆ 4.0 (17)
177人が棚に入れました
「トイ・ストーリー」「カールじいさんの空飛ぶ家」のディズニー/ピクサーが贈るファンタジー・アドベンチャー・アニメ。ピクサー史上初の女性主人公となる勝ち気な赤毛の王女メリダが、母親との葛藤を乗り越え、王国と家族を守るために愛と勇気の大冒険を繰り広げるさまを最新の3D映像で描き出す。声の出演は王女メリダ役のケリー・マクドナルドのほか、ビリー・コノリー、エマ・トンプソンらが務める。また日本語吹替版ではメリダ役をAKB48の大島優子が担当。監督は長編デビューとなるマーク・アンドリュース。 森と人間が共存する中世スコットランドのとある王国。王女のメリダは弓矢を手に野山を駆け回るのが大好きな自由気ままなお転婆少女。王女としての心構えや立ち居振る舞いを口うるさく指導する母のエリノア王妃とはいつも衝突してばかり。そんなある日、メリダは森の中で見つけた鬼火に導かれ森の魔女と巡りあう。そして運命を変えられるという魔女に、自由になりたいとお願いしてしまう。しかし森と人間の間には魔法を使ってはならないという掟が存在した。その掟が破られてしまったことで、王国は存亡の危機を迎えてしまうのだったが…。

声優・キャラクター
ケリー・マクドナルド、エマ・トンプソン、ビリー・コノリー、ケヴィン・マクキッド、クレイグ・ファーガソン、ロビー・コルトレーン

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

運命は私達の中にある。ただそれを見つめる勇気を持てばいいだけ。

2012年公開。
ピクサー製作のコンピューターアニメーション映画。

人間も背景も、もはやアニメと呼んでいいのかわからなくなるぐらい、
リアルで細かい動きが再現されています。

もう半実写映画だよね。
まるで人形劇を観ているような感覚です。

90分程度の作品です。


● ストーリー
弓矢を使い、馬で自然の中を駆け回る自由を愛しているメリダ。

しかし彼女はダンブロッホ王国の王女でもあり、
王位継承者としてふさわしい大人になるよう、
母から厳しい指導を受けていた。

礼儀作法、そして結婚…。

自由を抑圧する母とケンカをして
家を飛び出したメリダは、
森の奥で魔女と出会う。

そして願う。
「母親を変える魔法がほしい。」


言うことを聞かないメリダに
頭を抱える母親。

自分の気持ちを聞いてもらえず、
自分の運命に不満を持っているメリダ。

そんな母と娘が、
絆を取り戻すためのお話です。

90分としては妥当なボリュームだと思います。

が、ストーリーは正直微妙…。

先の展開が見えやすいので、
子ども向けの作品かと思いましたが、

内容は全体的に暗い。
子どもが見ても楽しめるかどうか…。

母と娘や、家族の絆には
うるうるきましたし、

和やかだったり緊迫したり、
メリハリの波がしっかりあったのもよかった。

けど、観ていると途中からあくびが出る。笑

ラストにたたみかけて盛り上がる山場もあるけれど、
オチが分かりやすいからか、
私の気持ちは盛り上がらなかったなー。

DVDに収録されている短編「月と少年」(約6分)の方が、
この本編よりもずっとロマンチックでよかった!


● キャラクター
メリダは、そこまで大きな特徴のない女の子でしたね。

王女らしくないところが特徴?
でもそんな王女もよくあるような(笑)

メリダも母も、
互いに大事なことに気付いて
変わっていく姿はよかった。

私のお気に入りはメリダの弟たち。
三つ子たちです!!

やんちゃでいたずら好き、
実際にいたら、めまいがしそうな三つ子。笑

はちゃめちゃだけど、
味方につけたときの半端ない安心感。笑

いやーどんな王子になるのか、
将来が楽しみですww


● まとめ
決してめちゃくちゃな流れではない。
むしろ、よくまとまっていて、隙がないと思います。

ただ単に、
ストーリーが面白くなかった(笑)

ひねくれた考えがあるわけでも、
深い教訓があるわけでもないので、
気楽に観れます。

休日にただぼーっと見るのには
向いている作品かも。笑

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

メリダとおそろしの森

原題;「BRAVE」2012年公開
10世紀頃のスコットランドを舞台とする。ピクサー初の女性主人公

ざっくりしたあらすじ;
お転婆な王女・メリダは弓の名手で、自由を愛する活発な少女だった。
しかし、野性的でおおらかな王とは違い、保守的で育ちの良いメリダの母エリノア王妃は
メリダを立派な王女に育てるため、毎日口うるさく厳しく接していた。
「母親を変えたい」という思いから魔女と取引したが、魔女のかけた魔法により大変なことになる話。

2012年公開当時全然話題にならないし、
いろんなディズニーやピクサー関係のアニメは観てきたが
今回はあまり興味が惹かれず中々視聴しなかったが、
ディズニーチャンネルで放送してくれたので観た。

設定やストーリーが色々突っ込みどころが多い・・
(気になったこと6つとネタバレ込みの感想↓)
{netabare}1:メリダが鬼火に導かれるシーンがあるけれど
「鬼火」という設定が和風・・(笑)
スコットランドの世界観と合ってない。日本語訳が悪いのかなぁ。
原文のウィルオウィスプかプラズマ等で良い気がする。

2;メリダの夫候補が少々野蛮でマッドな気がした
(これはこれで面白いか!w)
ポカホンタスの件やムーランからディズニーは
フェミニスト団体の圧力と影響を受けてる気がした。
だけど、個人的には上の作品両方大好き。

3;製作中、途中で監督が交代したせいか世界観、キャラクター性がバラバラ
メリダの弓矢の名手という設定があまり生かされていないのが残念

4;日本語吹替版で声優にアイドルを使うのは好きじゃないが、
今回は気になるほどじゃなかったのでとりあえずOK

5;映像が綺麗・・!
CGを駆使してメリダの髪の一本一本がとても気合入っていて優雅だった!
王国が自然溢れてて綺麗・・はぁ(美しさにため息・・)

6;くまママ可愛すぎだろ・・
テーマ「家族愛」だが、娘のメリダより
「母親の成長物語」な部分が大きかった。

王国自体、王と娘や国民が野生児すぎてサバイバル能力あるので
メリダを立派なお姫様らしくするママさんの教育法自体間違っていた気がする
実際私もあんな口うるさく毎日言われたらこうなるわ・・とメリダに共感した
くまになっても育ちの良さと気品と脳まで熊になり時々無くなる自我や
キュートなジェスチャーが愛らしい(笑){/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 32
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ピクサーのCEOとしてのスティーブ・ジョブズ

ディズニープリンセスの一人、メリダの物語。

どんな話かというと、
{netabare}舞台はスコットランド。
王妃である母が勝手に3人の婿候補との縁談を取り付けたことがきっかけで大喧嘩になり、メリダは城を飛び出した。
森で鬼火に誘われ、メリダは魔女の家へとたどり着く。
魔女から母の気持ちを変えることができる魔法のケーキを受け取ったメリダは、城へ帰り早速母にそのケーキを食べさせる。
だがその効果は思ったようなものではなく、母を魔法で熊に変えてしまうものだった。
メリダは母を元の姿に戻そうと奮闘するが、王妃が熊に襲われたと勘違いした国王は諸侯と結託して、熊になった王妃を殺そうとする。{/netabare}

シュガーラッシュオンラインでメリダだけ運命の人はいないというニュアンスのセリフがあったのだけど、この物語に登場する3人の婿候補は脇役も良いところ。アナ雪のハンス以下の活躍。
なぜそんなことになってしまったのかというと、{netabare}この作品でメリダの窮地を救う役割を持ったのは熊になったお母さん{/netabare}だったから。

メリダが恐ろしいのは森じゃなくて熊なんだな。
邦題の訳のわからなさよ…

ところで登場する三人の領主の一人マクガフィン卿って、名前安直すぎない?
しかも、三人の領主の一人マッキントッシュ卿と来たもんだ。
アップルかよと思っていたら、エンドロールにスティーブジョブズの名前が出てきて本当にアップルだったらしい。
そういえばピクサーの創設に携わったんだっけ、亡くなってそんなに経つのか…
やたらリンゴをかじるシーンが多かったのも関係あったりしてね。

メリダがコケた理由はいくつか想像できる。
ピクサーで、
ファンタジー要素が薄くて、
画面が暗めで、
それまでのプリンセスにない癖毛で、
運命の人は現れず、
ジョブズ追悼の意が強すぎる。
正統派なプリンセスを期待してたら裏切られた感があるんじゃないだろうか。

でも、私はアナ雪よりも全然好きだな。
リアルなの面白いし、キャラクターアニメーションがアナ雪より良い気がする。
曲も変に主張してないし、話題にならなかったのは残念だよね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

67.9 13 魔女アニメランキング13位
映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!(アニメ映画)

2016年3月19日
★★★★☆ 4.0 (16)
63人が棚に入れました
立派なプリキュアを目指すみらいとリコは、初めて遊びに来た街で、はるかたち先輩プリキュアと出会う。リコがついつい使った魔法を見て、はるかたちは驚く! いきなり魔法つかいだということがバレてしまった…? その時、突然闇がはるかを包み込み、プリンセスプリキュア最大の敵・ディスピアが出現! はるかやみらいたちは、プリキュアに変身して一緒に戦う! しかしどこからか少女の歌声が聞こえた時、ディスピアは消えてしまった…。戸惑うみらいたちの前に現れたのは魔女・ソルシエールと、その手下・トラウーマ。彼女たちはある魔法を完成させてために、そのカギとなる<プリキュアの涙>を狙っていたのだ! ソルシエールの力により、先輩プリキュアたちは次々と捕らえられ、残る魔法つかいプリキュアの二人も「囚われの世界」へと飛ばされてしまう! 離れ離れになったみらいとリコは、お互いを探してさまよう。しかしまだ力が足りない二人に、次々と襲いかかる強大な敵! 絶体絶命のピンチを救ってくれたのは、先輩プリキュアたちだった。みらいとリコは彼女たちと共に戦い、その友情の力を見て決意する。みらいの元へ、リコの元へ、絶対戻る!! 果たしてみらいとリコは再会できるのか! 道しるべのように響き続ける少女の歌声とは? <プリキュアの涙>をめぐる戦いには、一人の魔女の切ない願いが隠されていた――!!

声優・キャラクター
高橋李依、堀江由衣、嶋村侑、浅野真澄、山村響、沢城みゆき、新妻聖子、山本耕史

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

転んでもタダでは起き上がらなかった映画プリキュア!ミュージカルという難題に決着を着けた新しいオールスターズの傑作が誕生!

『映画プリキュア』20作目にして『プリキュアオールスターズ』シリーズ第8作目
2月スタートの新作『魔法つかいプリキュア』をメインにしつつ、歴代ファンからは【新人研修】等と揶揄される歴代シリーズから新シリーズ主人公達への引継ぎが行われる作品群の最新作です


ナシまほう界(現実世界)で偶然に『GOプリ』の面々に出会ったみらい、リコ、モフルン
そこへ人の記憶の中を探り出して復元することが出来る魔女ソルシエールの魔法によって『GOプリ』が最も恐怖する存在である“ディスピア”が復活する
『GOプリ』、『まほプリ』は力を合わせディスピアを退かせることに成功したがソルシエールに協力する妖精トラウーマによって彼等のアジトに閉じ込められてしまった
ソルシエールとトラウーマの目的は歴代プリキュアを監禁し、秘薬の調合に必要な“プリキュアの涙”を奪うことだった
ソルシエールは完成した秘薬を使って仲違いしたまま他界してしまった魔法の師匠に再会するつもりだったのだ・・・
バラバラにされてしまったみらいとリコは復元された歴代ラスボスと戦う歴代プリキュアらに励まされながらも互いにパートナーを探すのですが・・・


『春のカーニバル』以降、歌を絡めた構成が『映画プリキュア』のお約束になってきましたが、前作までがあくまで歌は歌とし、ライブ的な演出を用いていたのに対し、今作は明白に【ミュージカル映画】として作られております
街の人々を交えてフラッシュモブの如く歌いだす『まほプリ』や『GOプリ』の面々
ソルシエールとトラウーマは自分達の目的を歌と踊りにのせて説明
などなど実に8曲もの新曲を入れて楽しげなものから悲しげなものまで網羅
作画的にも、たぶん『プリキュア』シリーズとしては初のロトスコープを用いたダンスで、CGとはまた一味違ったシームレスな画面で魅せてくれます


それにバトルシーンもたっぷりあって、そもそもつい先日苦闘の末に倒したばかりのディスピアが劣化コピーとはいえ冒頭で復活するというのが既にアツい
ジャアクキング、ゴーヤーン、エターナルの館長、メビウス、デューン、ノイズ、ピエーロ、プロトジコチュー、レッドとかもういい意味で無茶苦茶やw
(デスパライア様は自身が戦わなかったせいか未登場でした)
また『まほプリ』にとっての見せ場の一つとしてTVシリーズに1日先駆ける形でサファイアスタイルが登場したのもちょっとしたサービスでしたね


44人のプリキュアって・・・数が合わないなぁ・・・って思ってたら『NS3』以来となる、イレギュラープリキュアの“キュアエコー”も登場
コレ本当に嬉しくて拳握り締めてましたねw『NS』シリーズだけのキャラだと思っていましたから
キャストも総勢26人と『NS3』の25人を1人上回って記録更新
「ピンクカルテット(ピーチ、ブロッサム、メロディ、ハッピーの4人で即興に作られたチーム)」など掛け合いも比較的多めに感じましたし、やっぱりブロッサムとマリンは【皆勤賞】だったのは守られる伝統に安心すらしましたw


この作品を特に評価したいのは物語の鍵を握る魔女ソルシエールがプリキュアと対峙してまで秘薬を完成させなければいけない切実な理由にあります
彼女が再会したがっていた師匠の真意とメッセージに気付くシークエンスと、師匠が託した「究極の魔法」を使うシークエンスは涙で顔を腫らしてしまいました;;
ソルシエールを演じた新妻聖子、トラウーマを演じた山本耕史の二人もミュージカル経験豊富ということで演技に遜色なく、寧ろ2人の歌は聴き所です


クライマックスでは『春のカーニバル』で中断したミラクルライトを用いた演出も絡めており、やっぱりミラクルライト(と、一生懸命にプリキュアを応援する劇場の女児先輩方の姿)があった方が『プリキュア』の映画らしいなと思いました


『春のカーニバル』以降、歌とかメンドクサイことに手を出してしまったなぁ・・・っていう残念な気持ちが大きかった『映画プリキュア』でしたが、今作で遂にその難題を昇華してみせたという気持ち良い一作に仕上がっておりましたb
ディズニーにも負けず劣らず、これが【ジャパニメーション流のミュージカル映画】と胸を張れる作品ではないでしょうか!?
強くオススメです!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ロシュフォールのプリキュアたち

今作視聴前のプリキュアシリーズ視聴状況

Yes!プリキュア5    :ほぼ完
スイートプリキュア♪  :完
スマイルプリキュア!  :完
ドキドキ!プリキュア  :7割ほど
Go!プリンセスプリキュア:序盤

他は未視聴(魔法つかいプリキュア!以降は除く)

公開時は、魔法つかいプリキュア!が始まったばかりの頃のようです。





何故かミュージカル。しかし、アニメでミュージカルって意外と少ないですよね。
ライブなどでの歌唱シーン以上に、動きに意味を持たせる必要がある→作画が大変、といったところでしょうか。

プリキュアの映画を見るのは初めてでしたが、やっぱりプリキュアがたくさん出てくるのは幸せですね。
台詞のないプリキュアも多かったですが、程よく見せ場が与えられていて良かったと思います。

プリキュアの映画と言えば、お客さんである子供たちが、ミラクルライトを振って応援する場面がハイライトです。
おじさんである僕はミラクルライトを振ることができません。
しかし、モフルンたちがミラクルライトを必死に振っている姿を見るだけでも泣きそうになりました(笑)

テレビアニメシリーズの劇場版は、タレントによる声の出演がクオリティを左右します。
もちろん僕も否定的ですが、悪目立ちしなければ上出来だろう、とは考えています。
しかし、今回の山本耕史さんはめっちゃ上手いですね!一瞬、プロの声優かと思いましたよ。
彼は、もっと色々なアニメに出演しても面白いかもしれないなと思いました。ギャラ高&多忙でしょうけど。

クライマックスが、なぜかソルシエールのオンステージだったことに若干の不満はありますが、
プリキュア映画の楽しさを発見することができた一本でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

正直駄目オールスターだが….。

ハッキリ言って微妙な作品で、作画悪し、敵がショボイ、歴代のボスを再生怪人みたいに雑に使う、歌を強調するが音楽印象に残らないしエモーショナルな効果を発揮してもいない。なにより能登さんこと、キュアエコーを無駄うちすんな!と言いたい。


正直オススメできないが、唯一良かったのがEDのオールスターダンスシーン。ここは曲も良いし、CGモデルも後ほどじゃないがグッド!。なんでこの良さを本編で活かせなかったのか…。


まぁ、曲が良いと言っても丁度直前に聞いてスタプリのサントラの神っぷりに比べちゃあねぇ。「スタートゥインクルイマジネーション」と「この胸に星は輝く」の煌めきは神々しさすら感じる。キラプリからスタプリまで担当された林ゆうきさんマジ尊敬です。


それにしても、キュアエコーは映画オリジナルプリキュアだから出番少ないのは仕方ないが、SSの満と薫はなんらかしらの救済があってほしい。SS自体が不遇な作品だと思いますし。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 1

69.5 14 魔女アニメランキング14位
KUBO/クボ 二本の弦の秘密(アニメ映画)

2017年11月18日
★★★★☆ 3.8 (28)
111人が棚に入れました
 三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。 追手である闇の魔力から逃れながら、父母の仇を討つ準備を進めるクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知る―。

声優・キャラクター
アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

日本へのリスペクトは物凄く伝わる

この作品は、トラヴィス・ナイトが
初監督を務めたストップモーション・アニメ映画である。
封建時代の日本が舞台になっている。

おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。
主人公のクボは、三味線で折り紙に命を宿し、思いのままに
扱うことが出来る特殊能力を持っていた。幼い頃、闇に
取りつかれた祖父に襲われたことがあり、父は彼を守るために
命を落としてしまう。その時に片目になったクボは、母と遠い
場所で暮らしていたのだが、祖父からの刺客に目を付けられ
母さえも亡くしてしまう。両親の仇を取るため、仲間になった
サルとクワガタと共に旅をするのだが…。

良いと思ったのは、ストップモーションアニメとCGによる映像美。
これは、ストップモーションなのかと一瞬疑ったほど。細部にまで
徹底した滑らかな動きに見とれてしまう人もかなり多かったのでは。

アクションシーンもかなり気合が入っており、緊張感を生み出す
ことに成功している。
個人的には、巨大な骸骨との戦闘がお気に入り。でも、
倒し方は結構呆気なかったような。
まあ、敵キャラの中では一番好きだったので、そこが
強く記憶に残っているだけなのだが。

だが、ストーリー構成は卓越したものではない。普通なのだ。
よく言えば王道だが、悪く言えば捻りがない。
後半に進むにつれて、尺が足りなくなってくる点は否めない。

特に終盤。主人公が黒幕と対峙するシーンは、かなり急展開だと感じた。
その際、主人公は「瞬きすら、してはならぬ」と言っていた
ような気がするが、あの結末では瞬きする人が出ても
不思議ではない。むしろ、瞬きしていない人を探す方が難しい気がする。
その上、全体的にテンポよく進まないので、退屈だと感じる可能性が高い。

劇中において、魅力的なキャラクターがいなかったのもきつい。
主人公は良くも悪くも普通な少年。要は、大衆にはない特殊能力を
持っているだけに過ぎない。
終盤においては、主人公の折り紙と三味線を組み合わせた
特殊能力が強すぎて、剣の存在が掠れてしまうほど。恐らく、
あの剣はサルとクワガタが、クボを守るための武器として配慮
されたのではないかと推察される。

サルとクワガタの正体も、勘がいい人ならすぐに気づきそうだ。
クワガタに関しては、一瞬「あれ?」と思ったがよくよく
考えれば拍子抜けするほどでもない。サルに至っては、丁寧
な前振りがついてくる有様。
気づていない人がいたら、それこそ瞬きしてしまいそうな
心境に陥るだろう。

黒幕の存在が、予想していたよりも薄っぺらいものに見えてしまった。
なぜ、悪の道に進んできたのかの説明が不十分なので、特に
記憶に残らないのだ。
異形の化け物に変身する場面が、一番の見所だという印象が強い。
道中で出てきた、巨大な骸骨や一つ目の化け物の方が感情が
見えない分、身震いしそうになる程怖い。彼らと比較しても
全てにおいて完璧に負けている。
彼に関してはもう少し描写すべきだった。本当に勿体ない。

映像に関しては、文句なしと言えるレベルで素晴らしかったのだが、
それにストーリーが追い付いていない作品だと感じた。
内容重視の方は、無視してみる必要はないだろう。
個人的には良作だと思う。

※2019年3月下旬に公開されたバンブルビーを
劇場で視聴したので、それに関する追記を。
トランスフォーマーシリーズの一つであり、ベイ・ハムでお馴染みの
マイケル・ベイが監督を務めたトランスフォーマーのスピンオフに
当たる。
バンブルビーを視聴済みの方なら、既にお気づきであろうが
バンブルビーの監督は、このアニメ「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
と同じトラヴィス・ナイトなのだ。

意外とハートフルな作風になっており、伏線回収もされていた
良作であった。迫力溢れる爆発やカーチェイスの描写に定評がある
破壊大帝ベイトロンとは違い、トラヴィス・ナイトは
キャラクターの心情に焦点を当てていたように思う。
他のアニメ映画に例えるとアイアンジャイアントが一番近いと思われる。
アイアンジャイアントを視聴済みの方なら、ピンと来るかも?

ベイトロン版トランスフォーマーだと、終始、トランスフォーマー
が満員電車レベルの終結具合になり、ぐっちゃぐちゃな戦闘シーン
が多いのだが、トラヴィス版トランスフォーマーでは、中盤以降
無闇に主要ではないトランスフォーマーのキャラは出ておらず、
凄い見やすかった印象がある。

デザインがアニメに忠実だったのも大きなポイントだ。
物心ついた時に、80年代のトランスフォーマをよく見ていた方なら
直に引き込まれるであろう。私も見ていてオオッとなったのは事実だし。
只、ベイトロン版トランスフォーマーのデザインが嫌いという訳ではない。
かなり、ディティールに凝ったデザインではあるが、それはそれで
味があるという考えだ。

メガトロンや、ショックウェーブ、サウンドウェーブといった
ディセプティコンのデザインは今でもお気に入りだ。定期的に
見直したくなる程である。(但し、ベイトロン版の映画そのものを
支持しているという訳ではないので、そこは勘違いしないように)

雰囲気が80年代の映画に近いという意見を見て納得した。
実際、劇中でよく80年代の音楽流れるし。まあ、これに関しては、
自分が好む映画に80年代の作品が多いからというのも一つの理由だが。

少なくとも、今までのトランスフォーマー映画の中では一番出来のいい
良作であることに変わりない。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密が好きな方は勿論の事
従来のトランスフォーマーファンなら見る価値はある。
機会があれば是非。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

世界最高峰のコマ撮りアニメスタジオが制作、日本を舞台にした長編アニメ映画

という触れ込みに興味が出たので、東京国際映画祭で一足先に観てきました。

制作会社はLAIKA
アメリカのコマ撮りアニメーションスタジオで、コープスブライドの制作にも関わったそうです。

観るにあたって、アメリカの会社が何故日本を舞台にしたのか、どのようなイメージ感を持たせているのか、アカデミー賞にノミネートされるに値する、魅力はどこか等、気になっていましたが、上映終了後のスタッフトークショーを含めておおむね納得できました。

注目点①
何故日本を舞台にしたのだろう。
スタッフのトークショーより、企画者の友人にクボという相性の日本人がいるそうです。直接の要因は語られていませんでしたが、そのご友人のおかげで親近感を抱いてくれたのだとしたら、嬉しいですね。
商業的には2014年のベイマックスのヒットも要因となっているのかも。
2015年に公開されたリトルプリンスでは、和紙を使ったコマ撮りアニメが話題になっていましたし、意外と人形劇と和モノって合うのかもしれませんね。

注目点②
日本に対してのイメージは如何様なものだろう。
例えばベイマックスは、架空の町のようで、端の方に日本らしさを感じる侘寂のような趣がありました。日本らしさを前面に出している訳ではないけれど、日本人スタッフ総動員で行うリサーチの徹底ぶりで流石ディズニー、コレジャナイ感を全く感じることはありませんでしたが、やはりアメリカ映画では、未だに?(其方の方が面白いから?)日本に対するプロトタイプな見方が主流ですよね。
別にそれが嫌という訳ではありません。制作体制に日本人がいなかったのかなとか、日本に対しどのようなイメージ感を持っているのか、いろいろ推測するのも楽しいです。
それでは、この作品は何方なのでしょうか。
小物系は日本っぽいのですが、建物の配置がどうもファンタジーっぽい感じがしました。
クボのおじいちゃんが豊臣秀吉風だったり、灯篭流しがあったり、かなりリサーチをしている雰囲気はありましたが、微妙にニュアンスが違うのが違和感であり、面白いなと思いました。

注目点③
アカデミー賞にノミネートされるほどの魅力はどこ?
けれはもう、映像の凄さでしょう。
このコマ撮りアニメ、バトルシーンが沢山あるんですよ。
アクションシーンは黒澤明監督作品を参考にしたという話が、トークショーの最中にありましたが、迫力ある映像でした。(恥ずかしながら黒澤明監督作品観たこと無いので比較しようがありませんが)これを一コマ一コマ撮っているのかと思うとこちらまで気が遠くなりそうです!


娯楽と言うより芸術作品なのかなと思います。
楽しいかどうかは、感性次第でしょう。話はシンプルで分かりやすいです。感動的なシーンもあります。しかし、私は泣いたり、笑ったりという気分にはなれませんでした。
ただ、上でも申した通り、コマ撮りの技術を観るという点において申し分ない完成度だと思いました。コマ撮りでここまでのアクションは観たこと無いので、良い物を観れたな、と視聴後の満足度は高いです。充分おススメ出来る作品だと思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人形、細工に魂を宿す

吹き替え版を配信レンタル視聴。

海外制作会社がストップモーションで構築した
封建時代の和風ファンタジー世界を舞台にした冒険活劇。


西洋人が好奇の目で日本を面白おかしく取り上げた
軽薄な諸作品とは一線を画した良品だと感心しました。

万物には魂が宿っている。意志を込めれば物に命を吹き込むこともできる。
日本という対象を咀嚼し、その精神性の深い所まで掘り下げて行く。
それらを、人形やセットを多角的に、丹念に一コマ一コマ撮影して映像化することで、
キャラクターや世界観を躍動させる撮影技術の根幹と共鳴させる。

こうして始まった折り紙に三味線の音色で紙細工としての命を与える少年の冒険譚。
結果、実現した映像美には目を見張る物がありました。
人形劇の弱点である表情描写も多彩なパーツで見事に表現されていて驚かされました。
あまりにも緻密で、時々、最近の海外CGアニメは綺麗だなぁ~といった感じで、
本作がストップモーション・アニメであることを忘れてしまう程ですw


永遠は完璧で不変だが冷淡。命は不完全で有限だけど温かい。
命は尽きても、他者の思い出となって継承されていく。
物語はいつか終る。けれどキチンと締めくくることで新たな物語が始まる。

物にも命を宿すことで、去りゆく存在の形見となり得る。
灯籠に願いを込めれば、刹那、死者との再開の夢も垣間見えるだろう。
ただ、それすらも永遠ではない。形ある物はいつかは壊れる。
だが、そこからまた新しい物が生まれ、魂が宿り、想いは連綿と続いていく。
かの地では魂を持った有限の万物が語り出すことで、物語が動き始めるのだ。

本作の撮影もまた、被写体となった多数の人形、道具が、
各々受け継いだ役割を完遂し、次にバトンタッチしていく
果てしない物語のリレーにより成立しています。
こうした部分でもストップモーションと日本が
共有する精神性が伝わり、感嘆の溜息が出ました。
特にEDアニメーションにて、一つの物が次々と変化し物語を紡いで行く演出に、
その真髄が表現されていたと思います。

決してネタに困窮して、奇をてらって日本に手を出したのではない。
ストップモーションの心技を極めた先に
万物に神が宿る日本の精神性と鉢合わせた。
日本である必然性を終始感じた有意義な鑑賞でした。


私も精神を疎外し、能率を優先する現代物質文明に毒され、
墓参りとかネット墓地でいいんじゃないか?
などと自堕落な戯言をのたまう今日この頃ですがw
本作を観ていると、やっぱり命ある物は大事にしないといけないな。
祖先には感謝しなければならないな。
と日本人として正気に戻った気分になります。

1週間の平均制作尺3.31秒。制作期間94週。途方もない時間を費やしたことで、
人形やセットに取り憑いた魂が、日本人の心の琴線にも触れる逸品です。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
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