花火で恋愛なアニメ映画ランキング 8

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の花火で恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の花火で恋愛なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.2 1 花火で恋愛なアニメランキング1位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (714)
3114人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の命は何事にも代えられない尊いものであると言い切った映画

この映画を一言で言い表すのは、とても難しいです。
しいていうならば、人の命は何事にも代えられない尊いものであると言いきった映画だと感じました。
ここまで言い切る新海監督は凄いです。尊敬しました。

物語は、
あるきっかけで、雨天を晴れに変える能力を身につけた少女、陽菜(ひな)。
離島から飛び出し、都会へとやって来た少年、帆高(ほだか)。
この二人が、都会で雨の日に出会います。
そして、帆高と陽菜は、雨天を晴天に変えるための仕事を始めます。

世の中には晴天を望む人が沢山いることを、二人は知ります。
そして、晴天を望む理由も、人それぞれで違うことを知ります。
その理由は、それぞれの依頼人にとって、とても大切なことなのです。
だから、空が晴れ渡ると、依頼人の顔が皆、笑顔になる。
二人は、依頼人の笑顔を見るのが好きでした。

仕事は一見、順調に進みますが、無理をして天気を変えると、それなりの『みかえり』があります。
そのみかえりとは・・・


作画はこの上なく美しい。
但し雨のシーンが多いので、美しさを感じる場面が少ないですが、だからこそ、晴れたときの青空は格別に綺麗に見えます。
音楽も大変すばらしい。
そして、帆高が陽菜をとても大切にしているのがわかるので、思わず応援したくなります。

ぜひ、映画館で鑑賞してください。良い思い出となります。

{netabare}
ところで、
陽菜(ひな)は、子供なのに、弟と二人で暮らしています。
都会で、子供だけで生きるのは、とてもつらいことです。
帆高も、都会で暮らし始めて、子供が一人で生きることの厳しさを知りました。

皆さんは、毎日三食を食べていると思います。
でも、子供が都会で一人で生活をすると、仕事にありつけず、食事もまともに食べられません。

おそらく、皆さんの中には、将来都会で暮らすことを計画されている人がいると思います。
都会は、お金を持っている人であれば、快適な生活が送れます。
但し、都会でお金を稼ぐためには、とても厳しい現実があることも、覚えておいてください。
そして、安易にお金を稼げる悪の道に入ることが無いように、切に願います。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 69
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

{netabare}現代版の卑弥呼{/netabare}

僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
{netabare}※自然の怒りを収めるための人身御供という概念のことです。
相方が人身御供となることを良しとするか否とするか?本作での結論は観ての通りでしたがあの結論はアリだと思います。{/netabare}

↓ネタバレ
{netabare}今のこの時代に社会正義を捨ててヒロインを取ったる!とやったのは痛快でした。
公の精神は大切です。ただしポリコレ棒をぶん回しての昨今コロナ禍での自粛警察みたいなのとは似て非なるもの。{/netabare}



■東京

{netabare}「街の風景を自分の手で・・・」
「東京だっていつ消えてしまうかわからないと思うんです」{/netabare}

建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

{netabare}「東京だっていつ新しいものが生まれてくるかわからないと思うんです」にバージョンアップ{/netabare}

自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

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2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 64
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

もう少し器用な賛否の割り方があるのでは?と思ってしまいました……。

主人公に共感できない人もいるかもしれない……。
もっと叱られる作品を目指す……。

事前にこうした新海監督の決意表明も拝見していた私にとっては、
賛否が分かれる内容も評判も想定内。

むしろ、国民的な大ヒットとなった『君の名は。』の次という
王道大衆娯楽作への期待と、
前作から制作スタッフが倍増し、工程がさらに大規模化し、
監督の個性を出し辛い体制が続く中、
よく怯まずに作家性を発揮して下さった。

ウリとなった天候の描写も、
人々の都合など知らずに天の気分でゲリラ豪雨を浴びせる、
監督らしい狂気も戻って来たように感じ、何だか嬉しくなりました。

ですが、それでも鑑賞していて、私は、
にしたって、もう少し一般大衆との折り合いも考えても良いんじゃないか?
などモヤモヤした感情が沸いてきてしまいました。


以下、ストーリーの重大なネタバレを含む辛口コメント
{netabare}
結局、主人公少年は東京や文明社会の安定より、少女を選択した本作。

そもそも新海作品においては大抵、
人間社会とは残酷で、大人たちは頑固で分からず屋で、
こんな人間たちや世界なんて知らない!と登場人物たちが青臭く思ったとしても許される。
こうしたムードが一つの形……と言うより前提であることが多い印象ですが、

今回の人間社会。すなわち東京は、
少女か皆かの天秤にかけるにはリアルで生々しかった印象。
SoftBankに、日清食品に、マクドナルドに、ヤフー知恵袋
とスポンサーの物量が凄まじく、
目に付く物の多くが実名で他人事とは思えませんでした。

だからこそ、東京に対する大した弁護もなく、ほぼ少年少女だけの秘密の内に、
東京を劇的に変えてしまう決断が成された点には、
審理不足の裁判を見せ付けられたような不条理さも感じてしまいました。

加えて、東京があんな風になってしまったら、
例え直接、被災して死ななくても、経済的損失等で、
きっと万単位の死者や自殺者が出てしまうと思うんですよ。
その辺りの描写が飛ばされたのもアンフェアだと感じました。

こうした不公正な刺々しさも新海作品らしいと言えばらしいのですが、
本作における圧倒的な東京の存在感故なのか、
私の嗜好が擦れたオッサン化してきているからなのか……。
今回はスルーしきれませんでした。

それでも、天への感謝も、天と交信する伝統も忘れ、世界の仕組みを知ろうともせず、
ちょっとした気候変動を“異常気象”と大騒ぎするのは
人間たちの身勝手と言えば身勝手と言うことなのでしょうが、
それにしたって世界の理を二人だけの秘密にされちゃ分らないでしょう。
与えられた常識に従って職務を遂行する警官たちが、
分ってない大人の代表格にされているようで少し可哀想に思えました。

一応、主人公少年は晴れ女ビジネス……晴れを願う東京都民への利他などを通じて、
捨てたもんじゃない人間社会の一端も知りはしますが、
家出少年らに審判を委ねたら、そりゃ人間社会の安定より大切なあの娘を取るでしょう。


少女か人間社会か世界か……これほど大きな決断を、
一人の主人公少年に背負わせ自己完結の内に結論を迫る。
このプロット構造にも、そろそろ限界を感じます。

これだと、主人公の拒絶が、作品の否定に直結しかねません。

私は代案として、少女に与する少年主人公に敵対する、
人間社会や“天気の巫女”の伝統を背負った側に
ラスボス役、ライバル役のキャラクターを確立し、
アンチの心情を代弁させ溜飲を下げさせる。
こんなパターンもあっても良いのかなとも思いました。

これなら、例え主人公に反感を覚えたとしても、
対立軸は作品の可否ではなく、主人公派かライバル派かに帰結し、
作品への支持は保たれると思われます。

いやいや、青臭い少年の心に諸々のジレンマを混在させてこそ新海作品。
心の葛藤を他のキャラクターとして外部化させるなど、
それこそ、大衆迎合による新海監督らしさの喪失だろうとお叱りも受けるかもしれませんが、
私は制作が大規模化しても個性を失わなかった新海監督には、
人物相関のパターンを変えても尖った表現ができる引き出しはあると思っています。{/netabare}


プロモーションについて……

スポンサーの物量に比例してコラボCMも盛りだくさんな本作。
これも、作品だけでなく、宣伝も評価も自分が完璧にコントロールしたい!
と言う新海監督の強烈な意志の賜物なのでしょうが、
今回、私は流石にしつこいと感じてしまいました。
私も危うく、みんなが観るゴリ押し作品は観たくないと言う天邪鬼が発症する所でしたよ。

特に本作みたいに賛否を割りに行く尖った作品では、
事前のメディアへの露出を敢えて控えて、
観たい欲求を煽ってみるのも有効な宣伝方法だと思います。

新海監督はもう既に黙って作品出しても観に来て貰える存在でしょうから。


色々と批判的な感想を書き連ねてしまいましたが、
作画、音楽などクオリティは高い本作。
劇場で体感する価値は十分にある映画だと思います。

今回、擦れた大人である私なんかはモヤモヤしてしまいましたが、
大人は分ってくれないとささくれ立っている青少年なんかには、
スッキリと背中を押してくれる勇気を与えてくれる作品になるのかもしれません。

是非、色んな人に体験してもらって、賛否を聞いてみたい一本です。


最後に、そう言えば、昨年の盆、墓参りをサボってしまった私……。
天や、先祖の方々にお叱りを受けないように、
今年は線香を上げて、行き帰りの道を確保して差し上げようと思い直しました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 45

68.1 2 花火で恋愛なアニメランキング2位
劇場版 図書館戦争 革命のつばさ(アニメ映画)

2012年6月16日
★★★★☆ 3.8 (467)
2438人が棚に入れました
日本を揺るがすテロ事件が勃発する中、デートの最中だった笠原郁と堂上篤に緊急招集がかかった。新たな任務は、小説家・当麻蔵人の身辺警護。テロの手口に小説の内容が酷似しているとして、メディア良化委員会は作家狩りを始めたのだ。法廷闘争が始まる中、郁たち図書特殊部隊は判決まで当麻を守りきらなければならない。図書隊と良化隊の衝突が激化する中、重傷を負ってしまう堂上。動揺する郁に、堂上は任務の遂行を託す。郁は、当麻を守り、表現の自由を守ることが出来るのか!? ――そして郁と堂上とのもどかしい恋の結末は!?

声優・キャラクター
井上麻里奈、前野智昭、イッセー尾形、石田彰、鈴木達央、沢城みゆき、鈴森勘司、潘めぐみ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

“今度こそ”スタートラインに立てた図書館戦争

前作のテレビシリーズは2008年の春アニメとしてノイタミナ枠で放送されましたが、肝心の『メディア良化法』と呼ばれる架空の法律から表現の自由を訴えかけるという内容もソコソコに、ラブコメ要素がメインのトレンディドラマ風味の作品になってしまっていました;


仕舞いには原作でも重要視される【中澤毬江にまつわるエピソード】が放送局の自主規制によりオミットされるという自体に陥り、【表現の自由を問う作品が表現規制された】ということに原作者は肩を落とし、多くの原作ファンが憤慨するという賛否両論を巻き起こした問題作になったわけです
(上記のエピソードはちゃんとアニメ化され、セル版DVD3巻、もしくはBD-BOXには収録されております)


今作を鑑賞した劇場で今年のアニメ映画の中では初めての出来事だったのですが、来場者の年齢層がかなり高いことに驚き
有川作品ファンの幅広さとアニメ版図書館戦争の知名度を思い知ることとなりました











さて、今作ではやっとこさ肝心要の『メディア良化法』に対して図書隊が踏み込んでいき、表現の自由を訴えかけるという待望の展開が描かれます!


早速冒頭からテロリストがヘリで原発に自爆テロを図って建屋に穴を開ける・・・
という衝撃ニュースが飛び交い“見慣れたあの光景”がテレビから映し出されるというショッキングな幕開け


そしてこのテロ組織の犯行の手口が、原発テロを題材にしたエンターティメント小説の内容に酷似しているものとみなし、図書隊の宿敵であるメディア良化委員会は小説の著者である当麻蔵人を拘束しようとする


これを許しておけば事態を皮切りに良化委員会は『作家狩り』をはじめるであろう、と判断した図書隊の面々
すぐさま当麻蔵人を保護し、法廷で正々堂々と良化委員会、延いてはメディア良化法の在り方そのものに踏み込んで戦うことを決意し、彼の身辺警護を始める


初めのうちは事件に巻き込まれたことを他人事のように疎ましく思っていた当麻蔵人
良化隊が行う『検閲』にも、上手く逃れながら作家業を続けることがプロの仕事であると考えていた彼を通して、これまで読み手側の都合がメインに描かれていたメディア良化法が、初めて書き手側の目線で語られます


彼もまた稲嶺元司令の過去(通称:日野の悪夢)を語り聞かされ、これまで自分が無視し続けてきた検閲の非道極まりない実態を知ります
さらに図書隊の面々と触れ合っていくうち、自分の本を命懸けで守る若者たちがいた、という事実にもやがて心を動かしていくのでした・・・











当初から破天荒な世界観が物議を醸し出していた作品ではありますが、今作はやたらロケハンに凝っていて、、、
JR立川駅前
都営新宿線市ヶ谷駅
中央道諏訪湖SA
大阪御堂筋
大阪北区
そして新宿三丁目の紀伊国屋書店(新宿本店がそのまま紀伊国屋として登場)
とまあ、この辺の背景描写があまりにも丁寧すぎて映画を観終わって劇場を後にすると、ソコにはさっきまで映画の中に広がっていた景色がある・・・という強烈なデジャヴを感じました(´q`)
最近流行の【ご当地アニメ】もこういった架空の設定が前提の作品ではちょっと考えものですよね・・・


あとアニメ版で柴崎と手塚ってあんなに仲良かったっけ・・・?
いつの間に進展してたの?w
(これについては記憶違いかもしれませんので観直して来ます^^;ようつべで公式にオンエア版全話が配信中ですよー)


あとこれはこまけぇことかもしれませんが、夕食を食べてる当麻蔵人先生
どう見ても小食っぽいインドアタイプなのにご飯を「おかわり」発言ェ・・・
だって“おかずの揚物に手が付いてないよ・・・”
ご飯だけめっさを早く食べたのか?wまさかのおかず2週目なのか?w
真相は闇の中へwww


天ぷら屋でキスが揚がってくる「キスでございます」のくだりもまさかのダジャレかよ!とw
一瞬凍りつくかと思ったぜwww


音楽はテレビシリーズに引き続きオイラの大好きな菅野祐悟さんだったのですが唯一に一点だけ!どうしても気に食わないのがOPアニメーションで流れてくるかなりキャッチーで激しいロック調のインストナンバーが図書館戦争の雰囲気とまるで合っていない・・・;
そこは高橋瞳を連れてくるトコだろぉがーっ!


作画の面はとにかく笠原に注目したいですね(笑)
喜怒哀楽の激しい彼女のコミカルな表情
そして後半では、もはや一介の成人女子とは思えないジャッキー・チェンばりのアクションを繰り広げてくれますw
ホント、名実共に笠原から目が離せない作品となってますよ^q^
オイラの勝手な憶測ですけど、たぶん『わすれなぐも』でロトスコをやってた新人さんが、もしかして来てる???


いやはや、それはさておき
実弾が飛び交う世界なのに相変わらずな【絶対に死人が出なさそうな中途半端な緊張感】がこのシリーズのイチバン残念なところ;
予告編からして『堂上教官がまるで死にそうにない』のが薫り伝ってくるのは流石に問題視すべきw
あと露骨なラブコメ路線から多少シリアスな路線に回帰したことで、ラブコメとの両立が上手くいってないのも解るのがちょっとぉ・・・











んでもまあ日野の悪夢、笠原と堂上の出会いといったテレビシリーズのダイジェスト的な組み込みを説明臭くなく自然に潜り込ませたのには拍手
極めつけは劇中で一瞬ではありますが中澤毬江ちゃんが映るかつてのスタッフの罪滅ぼし的なシークエンスもあるんで多少大目にみてこのぐらいが妥当な評価
何より大事なことは、この作品を観たアナタが【表現の自由】とはどうあるべきなのか?をこの物語から汲み取って、少しでも考えるキッカケになってくれることであるはず・・・なのでは?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 29

ちびもす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

表現の自由を考えさせられる作品。

2008年に放送されたTVシリーズの続編である本作。
原作は「阪急電車」、「フリーター、家を買う」で有名な有川浩先生の小説、図書館シリーズの「図書館革命」にあたるお話です。
ストーリーとしましては、あまり派手な演出は多くなく、終盤までは静かな話運びとなります。ですが、クライマックスではしっかりとタスクフォースらしい働きを存分に発揮してくれますのでご安心を。
今回、重要人物の一人の声優として、俳優のイッセー尾形さんを起用されていましたが、正直違和感がなかったとはいえない出来でした。イッセー尾形さんの演技は素晴らしいものだったと思いますが、演技の雰囲気が合わなかったのか、映画のほうが合わなかったのか…その点が少し残念に感じました。ともあれ、原作ファンの私自身としては満足な出来だったと思います。ただ、TVシリーズも原作も知らない方には少し入りにくいかもしれませんね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

朝霧麻衣 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

表現の自由が守られる日が来るのか

【ストーリー】
あらすじはアニメ本編で書いたので省略します。
この作品ではアニメ本編から続いている表現の自由に関する抗争に進展をもたらす事件が起きます。原発テロを起こしたテロリストの犯行手口が、ある作家が出版した小説の内容に酷似していたのです。これをきっかけに「メディア良化委員会は」書籍の検閲を超え、執筆者の弾圧にまで踏み込むこととなります。遂に「メディア良化委員会」と「図書隊」法廷の場で全面的に対決することなります。そんな中で主人公である「笠原郁」を中心とした図書隊の面々はどのような行動をとっていくのか。

【みどころ】
アニメ本編から続いている教官との関係は進展するのか、日本における表現の自由はどうなっていくのか、そんな所が見所です。

【所感】
アニメ本編のレビューでも書きましたが、非常に政治色の強い作品となっています。権威ある立場にいる者による不当な表現の弾圧、メディアの偏向的報道などが題材となっています。古来より歴史は勝者によって作られるといいますが、時が経過してもずっと残り続ける書物は人類にとって貴重な資料です。今でも昔の書物が見つかることで歴史の教科書などは大きく内容が変化していくほどです。そんな重要な書籍の数々を権力者の都合で弾圧することは決してあってはならないことだと思います。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16

75.7 3 花火で恋愛なアニメランキング3位
君の膵臓をたべたい(アニメ映画)

2018年9月1日
★★★★☆ 3.8 (305)
1469人が棚に入れました
それは「僕」のクラスメイトである山内桜良 (やまうち さくら) が綴っていた、秘密の日記帳であり、彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが記されていた。

「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、身内以外で唯一桜良の病気を知る人物となる。

「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことにより、「僕」、桜良という正反対の性格の2人が、互いに自分の欠けている部分を持っているそれぞれに憧れを持ち、次第に心を通わせていきながら成長していく。そして「僕」は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。桜良は恋人や友人を必要としない僕が初めて関わり合いを持ちたい人に選んでくれたことにより「初めて私自身として必要されている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じていく。

声優・キャラクター
高杉真宙、Lynn、藤井ゆきよ、内田雄馬、福島潤、田中敦子、三木眞一郎、和久井映見

fu+i さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

真実か挑戦

タイトルが気になって、実写は、見る気がしなかったがアニメなら、と思い観てきたんだが、よかった。

遺書のところ、少しもやっとしたが、人生哲学を知る良作だと思う 作中で桜良が言ってた通り、どこかしっくりこなかったところには、きっと、意味なんてないんだろう
あるいは、お互いの人生観の齟齬か、

「僕」に近い人生観だが、
なんか共感できないな… 入ってくる情報過多で、しばらく小説断ちしてたからかな?
いや、周囲に心配させないために空元気に振る舞い死への恐怖を皆無にしようとしてた時期があったので桜良に近い人生観かもしれない しかしまだ、それだけの処世術が身についていないのだが…
いやはや、それにしても、桜良のセリフは軽快だね!
えっと、死ぬときは、自然災害であっけなく死にたいものだね それが一番まわりを悲しませなくて、まわりも納得いくんじゃないかって(汗)

しかして、キミスイの鑑賞者は、「僕」と桜良、どっちにもなれたわけだ

友達でも恋人でもない、というのは、いわゆるソウルメイト的な何かだろう
ここのアニメ成分に「恋愛」入ってるけど、これは恋愛なのか、私には、人生の通過儀礼のようなものに感じたが…

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

青春感動をアウトレットで

原作未読 実写版未視聴


これ小説けっこう有名ですよね。
それに実写もアニメも劇場版が作られるなど肝いりじゃないですか。その割にはイマイチでした。

身体の悪い部位があったらそこと同じ場所食っときゃ直るというお祖母ちゃんの知恵袋ネタはご存知の方多いのではないでしょうか。曰く「肝臓の調子悪いからレバー食っとこ」。
それを地でいく話となるのかどうか、余命短い相方との切ないラブストーリーを想像していた事前の私です。ベタ大好きなのでばっちこーい!と受け入れ態勢完璧でしたがこれまで視聴の優先順位は上がってきませんでした。地上波でやるってのを見つけたのがきっかけとなります。


 ベタだけどベタになりきれてない


長年培われてきた感動のお作法は世の中に存在します。そこをずらしての意外性を演出するにあたり事前の種まきがなされてないので感情を揺さぶるには至りません。そこ説明してくれりゃ感情移入できるのに!ってやつです。
悪目立ちしたのがキャラクターの行動/言動の根っこにある動機。これが良くわからない。取り急ぎダメ出しするよりも先に良きメッセージについて触れます。


■良きメッセージ

・{netabare}近づいたのは対極にいるからだと桜良(CV:Lynn)は言った。桜良逝去後に春樹(CV:高杉真宙)がとった行動は意趣返し。自分とは真逆の桜良に近づくための真逆の行動をする勇気。こうして故人の遺志は受け継がれていく。{/netabare}

・{netabare}心が通じ合えた、必要とされたことを実感してから旅立てたこと。死因よりも死んだ時期がこの物語には重要だったのだと思う。{/netabare}

生きる意味や執着。繋がりで得られるもの。ベタだったり変化球だったりそんなに外してるとは思いませんでした。ただしいかんせん説明不足です。雰囲気で乗りきれればOK!そんな作風でした。



■悪しきエトセトラ

くどいようですが種まきがありません。らしきものは見つかっても「それ理由になるかなぁ?」と首をひねるものが散見されます。ヒロインが主人公に惹かれる理由。主人公の突き放したヒロインへの態度の理由。恭子(CV:藤井ゆきよ)が頑なに春樹を拒む理由などけっこうコアなとこがダメ。
特に桜良と春樹。この主軸が惹かれあう妥当性を見い出せなかったのは致命的かも。「なんで二人一緒にいるの?」。しっくりくるこないで作品評価の別れるポイントになると思います。

{netabare}※春樹がモテ要素皆無なキャラに見えたので、なおさら桜良が彼に近づく理由に強いものが欲しかったのもあります。逆もしかりで、非モテコミュ障がかわいい子に言い寄られて舞い上がりましたとしか見えないのが極めて残念でした。{/netabare}

それと声優にも一言もの申したい。根本的に内罰的な主人公は抑揚のない中で感情を表わす難しい演技を求められます。この難役を演じるには声のお芝居経験に乏しい俳優では荷が重かったでしょう。俳優と声優の組み合わせでしたらむしろ男女を逆にしたほうが実力差が隠れてよかったと思われます。




画は綺麗で劇伴/主題歌は普通。
難病ヒロインと内向男子の別離の話ってそれこそ野球で打線を組めるくらい巷に溢れてるベタな題材で、こちらもいつもどうりに踊りたかったのですがそれができなくて残念です。
なお、著名原作がそれなりに骨子まとまってそうなので大崩れしてるようには感じません。推奨はしない佳作。そんなところです。



※余談

■お里が知れる

膵臓である意味/必要性はそれほどなかったと思います。音感とイメージの薄さで白羽の矢があたった臓器。それ以上でも以下でもない。
どういうことかというと、まずは“(仮題)君の○○をたべたい”というフレーズを思い浮かべてみてください。この○○に入るのが肝臓や心臓だと生々しいというかスプラッター要素マシマシですよね。大腸に至ってはウ○コをイメージしてしまうかも。なんの機能かわからなければわからない方がいい。
それで膵臓(スイゾウ)。脾臓(ヒゾウ)なんかも候補に挙がりますがそれだと音のリズムが悪くなっちゃう。というわけで膵臓。
これでも充分センセーショナルです。カニバリズムかなんかだと勘違いするしそれを狙っているのです。出自を見れば無理はありません。

{netabare}小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿{/netabare}

タイトルで目を引かないと埋もれますからね。「タイトルはアレだけど感動作だよん」話題になってた時耳にしたのはこんな声でした。
そして私あまり好きじゃないんですよねこの商法。作品の中身と乖離するから。WEBニュースの見出し勝負みたいになっちゃいます。今しがた漱石が『こころ』なんてタイトルにしてなろうに投稿したら埋没しちゃうのでしょう。弊害はしっかり出てました。

{netabare}膵臓の病気持ちでアルコール摂取はねーだろ{/netabare}

チュートリアル福田が発症した病気は「急性膵炎」。原因は酒です。入院したらしたで膵液が分泌されるとまずいので食事を経口摂取せず点滴のみ。後がないからってのも理解できなくもないですけど、実際に病名は明かされてなかったけど激痛必至だったんと違いますかね。

少なくともアニメ映画だけでみれば、タイトルのインパクト重視で中身を練られてないように見えました。本末転倒とはこのことです。




■声優Lynnのお仕事

これこそ余談です。私の深夜アニメの入口は『風夏』。ヒロインはLynnさんが演じられてました。今日びの声優さんは綺麗だな~と時の流れを感じた次第です。
そんで風夏のネタバレ込みでふわっと思ったのが以下、

{netabare}自分死んだ時の通夜に彼氏が来てくれないの一緒じゃん、と。{/netabare}

{netabare}アニメ『風夏』はアニオリで別の世界線。原作漫画との対比でした。では♪{/netabare}



視聴時期:2020年5月 地上波

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2020.05.09 初稿
2020.12.10 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 51

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あと少しで神作品だった、おしい作品!

原作、実写ともに既読の私が今作と比較した感想。
初見ではないので、最初から結末は既知の状態です。

■物語
実写板では少しアレンジが加えられており、そこに少し善し悪しが分かれた。
対して、今作は前作に忠実で特にいじったところは見受けられなかった。
実写版でもそうだったが、原作を既読者には物足りないと感じてしまう。
映画という形状仕方がないのだが、情報量がが少なく原作未読者は果たしてこの描写で伝わっているのか?と思うシーンがいくつかあった。
特に、出だしの何分間は読者をかえって混乱させるのではないか?と感じた。
しかし、全体的には概ね良かったと思う。
結末ではラストを知っていたのにも関わらず涙してしまった。
1つ疑問に思ったことは、「君の名は」を少し意識しすぎではということだ。
OPがあったこともそうだが、演出がとても似ていた。
そのせいか、この作品のオリジナル性が欠けたように感じた。

■作画、声優、キャラ
作画はとくに問題なし。
少し輪郭がぼやけたような作画だったが観る分には全く支障はないし、抵抗感も受ける人は少ないんじゃないだろうか。
実写版とは違い、アニメでしかできない描写があったが個人的にはいいと思った。
声優も特に棒読みなどなくキャラにあっていた。
ラストの迫力満点の演技だった。
キャラもよく、ヒロインの桜良はとても可愛かった。
主人公の「僕」も成長過程が見て取れた。

■音楽
先程もあげたが今作が「君の名は」に似ていると感じた音楽。
音楽はsumikaが担当しており、私が好きなアーティストということもあり凄くよかった。
特に、挿入歌の「秘密」が流れたシーンは鳥肌がたった。

■総評
普通に良作だと思う。
だが、原作既読者には物足りないかも。
でも、私みたいに涙もろいかキミスイが好きな人にはおすすめ。
まだ、原作、実写どちらも未読なら普通に楽しめると思う。
sumikaが好き人もいいかな。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 25

70.7 4 花火で恋愛なアニメランキング4位
きみと、波にのれたら(アニメ映画)

2019年6月21日
★★★★☆ 3.6 (102)
386人が棚に入れました
小さな港町へ越してきたひな子は、サーフィンが大好きで、波の上では怖いものなしだが自分の未来については自信を持てずにいた。ある火事騒動をきっかけに、消防士の港(みなと)と偶然出会い、恋に落ちる。お互いがなくてはならない存在となった二人だが、港は溺れた人を助けようとして、海で命を落としてしまう。大好きな海が見られなくなるほど憔悴するひな子。そんなある日、ひな子が二人の思い出の歌を口ずさむと、水の中に港が現れる。「ずっとひな子のこと助けるって約束したろ?」死んだはずの港と再び会えたことを喜ぶひな子だが…。奇跡がもたらした二人の恋の行方は?そして、港が再び姿を見せた本当の目的とは?

声優・キャラクター
片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ひな子が波に乗れるまで

ターゲットは俺たちではない

だが良い!

オリジナルアニメ劇場版


試しに湯浅監督の他のを観て「あまり相性良くないかも」と感じてた頃にご紹介いただいた一本。
相性悪いと見切る前にいくつか観てはおきたいなと思ってみたり、公開当時の記憶で「そういえばラブストーリーだっけ」と愛を求めてみたりという理由での鑑賞です。

それにしてもですよ…

 {netabare}顔小っさ!!{/netabare}

そして…

 {netabare}井戸田連れてこ―い!!{/netabare}


実写映えしそうな8頭身モデル体型の若い男女が紡ぐとことん甘ーいラブストーリー。
自転車にサーフボードキャリアつけてジモティーのフリしながら女の子に声かけたる!私みたいなゲス野郎とはとことん対極にいる好印象波乗りさんのお話とも言えるでしょう。
この爽やかなお付き合いっぷりに嫉妬混じりの感情を抱かずにはいられません。

小さい頃過ごした海のある町に大学進学とともに戻ってきた女の子。
その町で消防士として生きてる男の子。

主要キャラの演者さんは本職の声優さんではありませんがご愛嬌。絶対嫌だという感じはしません。
サーフィンのシーンはエグいアングルの空撮ありました。ダイナミックで良いです。最新だとドローンでなんとかなりそうだなーと思ってみたり。


甘い甘いミルク&ハニーな96分。胸焼けするような甘さとは少し違う。幸せが溢れてきます。
海辺の街という舞台もポイント高め。夏真っ盛り。終わる夏の夕暮れ。冬の静けさ。全部入りでした。
ひとつ前の劇場版『夜明け告げるルーのうた』とは相性の良さを感じたりもしており、湯浅氏の“水”モノは続けて当たりを引いたような気分です。吉田玲子脚本との組み合わせも自分には合うのかも。


キャラクターもテンプレアニメキャラに寄せてないですね。ターゲットが普段アニメを観てない層なんでしょう。というより明確にカップル狙い。うっかり一人で劇場に向うと爆死しそうです。
実写寄りで甘めのラブストーリーに触れてみたい。そんな気分にはぴったりな佳作だと思います。




※ネタバレ所感

■「Brand New Story」

{netabare}二人で口ずさんでるのが仲睦まじくて良かったですね。
港が亡くなってからが本番のこの作品において、短時間で二人のラブラブで幸福なストーリーを凝縮させて見せる効果があったように思います。{/netabare}


■洋子ちゃんこそ向水

{netabare}向こう見ず。ヒロイン向水さんの比ではありません。さすがに通報せずに突っ込むのは違うと思うよ。{/netabare}



海から上がっての淹れ立てコーヒーは美味い!!
夏の海しか知らないとまずは出てこない発想です。これ作った人、海が好きそうだなと勝手に自分の中で好感度上がってました。



視聴時期:2020年3月

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2020.05.11 初稿
2020.08.10 修正
2020.12.06 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

彼女の素直な気持ちが伝わってきます

実写には表せないSF感はアニメの長所です。
そして、アニメに多い中学生、高校生ではなく、大学生と社会人(消防士)の恋愛にある意味新鮮さを感じてしまいました。
一緒に歌うおのろけソングはとても印象に残るシーンです。私的には羨ましく感じました。

幸せなシーン。悲しいシーンが随所にありますが、アニメとしての表現の仕方、アニメによって悲しいシーンも映像によってちょっとだけ優しい感じに。また逆も然りで表現できるのアニメの良さを充分に用いているように感じました。

結論としてはエンターテインメントとして非常に優れた作品です。
もっと宣伝しても良かったのではないでしょうか。

本日レンタルで久しぶり観ましたが、やはり楽しかったです。
パッケージは完全に夏ですが冬のシーンもあるので12月に観ても問題なしですよ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 41
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋愛とオムライスを食べたくなる良作

別の作品を見に劇場に足を運んだら
そっちが完売していて
仕方なく空いてたこちらを見ました。

結論から言うと見て良かったです!
かなり楽しめました~♪

タイトルからも予測がつくように海が舞台のアニメです。
消防士のヒーローと、もう一人のヒーローが出会い
触れ合って、愛し合って、
そして波に乗って旅立つラブストーリーです。

正直な話、序盤は「もうお前ら爆発しろ!」しか思いませんでしたw
まぁ花火は爆発しまくっててなんていうか
{netabare}こんな輩がいるなら花火なんて無くていい{/netabare}
と思った次第っす…なんていうかウェーイ系にしてもあれは酷い…

ただ、二人は{netabare}花火で出会い、花火で別れる{/netabare}ので
二人には必要だったのかも知れません。

絵柄は凄く優しくてストーリーに良く合ってます。すごく好きです。
波の表現も優しいタッチで、海に行きたくなります。
音楽はテーマ曲がしつこいぐらいに繰り返しですw
ただ二人で歌っている時はすごく幸せそうで、
時折、笑いながら歌う感じがとても自然で
ほんとうに素敵なカップルだなと思いました(早く爆発しろって思いましたw)
ミュージカル的な要素なのかな?港はあまり歌うまくない設定なのかも
声優も凄くよかったです。特にひなこ。
(あと妹も{netabare}引き籠り{/netabare}っぽい感じが良く出てて良かったです。)
歌が紡いでた。ずっと前から二人を紡いでた。すごく良い歌と歌声でした。

とにかくx100 オムライスが食べたくて仕方がなくなりました(え?)
コーヒーも飲みたくなったなぁ…久しぶりに旨いコーヒーでも飲みに行こうかなー

ただ、{netabare}フラグ乱立{/netabare}しすぎたんですよね…
物語は急展開を迎えます。いきなりのファンタジー要素追加ですw
(いきなりすてーきなファンタジー要素)
このファンタジー要素、結構好感もって見れました。
色々な苦悩と、逃避と、お互いの想いと…
だけど最後には立ち止まっているヒーローを波に乗せるためそっと背中を押す。
いきなりだったけど素敵なファンタジー要素です♪

確かに、恋しないなんて馬鹿のする事だなって思ったので
皆さん素敵な恋をしようじゃありませんか!



で、こっからはネタバレ全開なので、まだ見てない人はブラウザバック
{netabare}
まぁ序盤はほんとに爆発しろって思ってたんですけど、
港があんな事になって、「爆発しなくて良いから返して」って思いました。
それは港じゃなくて、ひなこを返してって思いました。
陽気でざっくばらんで天真爛漫で明るくてとても魅力的な女の子
それがあんなになっちゃうなんて…泣きそうでしたっす
だって{netabare}便器に向かって話しかけちゃう{/netabare}ようなのって
自分がはたから見てたら「大丈夫かこの子?」って思っちゃいますよ。

皆ひなこの事を心配していて、友達もバカップルとか言ってたのを謝ってた…
友達の異名が気になる所ですがそこは触れないでおいてあげましょうw

しかし、なんであんなにフラグ乱立するかなー
おいら鈍感な方だけど、あそこまで乱立されたら流石に分かるよ。
{netabare}「あ、これこっから急降下して鬱展開なるやつだ…」{/netabare}って

・自分の苗字になったらどうすんだよ
・ヒーローになった動機の説明
・じゃあ同棲でもする?
・おばあさんになってもずっと守るよ

うん。回避不能なぐらい立てまくったね。このフラグを折るのは難しいw
だけど、そっからファンタジー要素入れて
鬱な展開になりすぎないようにした構成は素晴らしかったです。

オムライスは終始うまそうだった。なんか無性に食いたくなった。皆逃げてー飯テロよー
最初の段ボールの所でずっとヒヤヒヤしてたけど、
結局おっぱいの下敷きになって「そうなると思った」って思いましたw
ライフセーバー合格で結局お祝いはオムライス
そして、妹の渾身の掌返しw セリフが逆になったのは本当に良い演出でした♪
でもまぁ、するのもバカだと思いますよーw 妹も立派なバカップルw

そして1年越しのメッセージ…さすがに泣きそうになったっす
狙ってるんだろうからってのと劇場だから必死に堪えました。
ひなこが歌おうとして、さらに追い打ちかけてくるんだもん。正直危なかったw
願わくばひなこに良い出会いと素敵な恋が待ってますように…
{/netabare}
次はきっといい波が来るはずです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

71.2 5 花火で恋愛なアニメランキング5位
夏へのトンネル、さよならの出口(アニメ映画)

2022年9月9日
★★★★☆ 3.6 (97)
356人が棚に入れました
あの日の君に会いに行く。

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

過去ではなく未来へ向かって生きてゆく

これは主人公にとっては、ほんのひと夏のできごと。
でも、現実世界では…

ウラシマトンネル。これは過去で失ったものを手に入れることができる魔法のトンネル。
トンネルに入ると過去へ行くことができるそうです。
但しトンネルの中と外とでは時間の流れが違います。
トンネルの中ではわずか数秒の時間でも、トンネルの外では数時間も時間が経過します。


主人公は塔野カオル(とうの かおる)。彼は過去のできごとにより笑顔を失った高校生。

彼には、とても仲の良い妹がいました。
{netabare}でも、些細なことで喧嘩して、その日に妹は亡くなった。
妹は兄に大好きなカブトムシをあげて仲直りするつもりだった。
そのために木に登り、木から落ちて…

その後、家庭は冷え切ってしまい、母は家を出て行きます。
それから父は、酒に酔うたびにカオルを責め続けるのです。
{/netabare}
こんなことがあったら、誰でも笑顔を失います。
だからカオルは、未来を向いて生きていません。
彼の願いはたった一つだけ。{netabare}「妹が生き返ってほしい」それだけです。

それは無理な願いだと、彼にも十分にわかっています。
でも、それができるのならば、他は全ていらない。自分の命すら… 彼にはその覚悟がありました。{/netabare}


そんな彼が駅で出会った転入生の花城あんず(はなしろあんず)。
彼女も決して笑顔を見せない女の子。
{netabare}
大好きだったおじいさんが売れない漫画家だったため、彼女の両親はおじいさんを嫌っていました。
でも、おじいさんの影響で漫画家を目指そうとするあんず。
両親は、彼女の将来の夢を全く認めようとしません。{/netabare}


その二人が偶然見つけたウラシマトンネル。
このトンネルをめぐって物語は進行します。


トンネルの中で咲き誇る紅葉が幻想的で、とても奇麗でした。
二人とも無口で笑顔を見せませんが、お互いに相手を思いやる気持ちが十分に伝わってきます。
だから、この物語は意外と優しい物語です。

私は、ウラシマトンネルよりも、カオルの心の葛藤にいたく感情移入しました。

亡くなった人は、決して戻って来ません。
喧嘩をした後で後悔して、今度謝ろうと思っても、その人は、そのときまでに生きていないかもしれません。
だから、仲の良い人と喧嘩をしたときには、すぐに謝ったほうが良いですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ウラシマ効果と願いの狭間で浮き彫りになる若気の至り

【あらすじ】
{netabare}欲しいものが何でも手に入る「ウラシマトンネル」
鹿との衝突事故により電車が止まるくらいの田舎を舞台に、
{netabare}亡き妹・カレンと幸福な家庭{/netabare}を取り戻したい高校生男子・カオル。
{netabare}漫画で世界に爪痕を残せる才能{/netabare}が欲しい女子高生・あんず。
二人が願望の代償として世界を捨てるに等しいウラシマ効果をもたらすトンネルを前に、
“共同戦線”を張る内に、距離が縮まる同名ライトノベル(未読)の映画化作品({netabare}83{/netabare}分){/netabare}

【物語 4.0点】
監督・田口 智久氏。

実写「デートムービー」も意識して、主人公の少年少女二人に焦点を絞り原作を再構築。
ヒロイン視点補強を試みて、二人の出会いなどの節目を詳述するため、
三度にわたる駅のシーンをアニメオリジナルで追加し、ボーイ・ミーツ・ガール成分増量。

「ウラシマトンネル」になかなか飛び込めずに事前調査を重ねる二人。
浦島太郎が予め竜宮城に行った後の顛末を知ってしまったら、
亀に乗るのにメッチャ逡巡して物語が停滞するでしょうがw
これが青春を生きる高校生二人なら、人生経験の少なさもあって不安定なアイデンティティや居場所のなさ。
“共同戦線”に下心や恋心はないのか?など整理できない自分の気持ち。
モヤモヤが些細な衝撃で暴発しかねない危なっかしさ。
若さは逡巡すらメインストーリーとして魅力十分な甘ずっぱいドラマに昇華させます。

トンネルの先を描いた終盤も、既視感は覚えるものの見応え十分。
何を言ってもネタバレになりますが敢えて一言だけ叫ぶと、
{netabare}気づくのおせーよ{/netabare}ってことでしょうか。


ガラケーがスマホに駆逐される前の時代が舞台とあって携帯メールが活躍するシナリオ。
連絡事項に改行スペースを重ねてスクロールさせ末尾に{netabare}「塔野くんてちょっとエッチだよね」{/netabare}と本音を仕込む技もベタですがあざといです。
ケータイ共々爆発して下さいw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CLAP

草薙(KUSANAGI)提供の細密な背景に押し負けない映像作りで、夏を始めとした季節感を好表現。
同スタジオの前作『ポンポさん』でも多用した、
色トレス(近景等の色彩に人物の主線の色を合わせる)も駆使して、
世界と登場人物の一体感をアップ。

小物に“演技”をさせる演出も上々で、
特に上記アニオリシーンで“助演俳優賞”級の活躍をしたビニール傘については、
描き込みが面倒な透明色にもめげずに二人の仲を橋渡し。
終盤の{netabare}錆{/netabare}の描写も良い仕事してました。

ただ私としては“助演俳優賞”は笑顔を彩ったヒマワリに授与したい心境です。

ケータイ画面やビニール傘が濡れる心情演出も文学的。
CGで構築された水面もまた波紋で揺れる男女の言動を反映する“役者”ぶり。


【キャラ 4.0点】
主人公の高校生男子・塔野カオル。
携帯プレイヤーは音楽鑑賞じゃなく外界の音を遮断するために使う系。
家庭に安寧の場所はなく、斜に構え、田舎で朽ち果てつつある典型的な疎外感を抱えた主人公少年。
世界から外れかかっている彼のメンタルこそが「ウラシマトンネル」を招き寄せた
という作中での考察、一理あります。

ヒロインの女子高生・花城あんず
東京から田舎に転校して来た、これまた典型的な孤高の黒髪ロングJK。
寄らば斬る(むしろ{netabare}殴り倒すw{/netabare})
そんなテンプレでツンツン、デレデレされたって俺は萌えないぞ。
……と頑なになっていた私ですが、彼女が{netabare}カオルに初めて自作漫画を読まれ論評{/netabare}されるシーンの足芸で、
あっさり萌えて陥落しましたw

それ以上にあんずにグッと来たのは世界に爪痕を刻むと決意する強さ。
特に{netabare}絵で物語る漫画がなくなるはずがない{/netabare}と熱弁する件。
「特別」を目指すヒロインのカッコ良さには異性としてではなく人として惚れ込みます。


【声優 3.5点】
実写とアニメの中間領域を志向し、メインキャストは俳優をオーディションで選出。

主人公・カオル役の鈴鹿 央士さんは声優初挑戦。
スタッフ陣はナチュラルなボイスがハマり役と好評していますが、
私は走って息切れるシーンの演技にしても、自然さより経験不足を感じてシックリ来ませんでした。

声に人生が滲み出る演技だなとも感じはしましたが、
哀しみ故に荒れた生活を送るカオルの父役の小山 力也さんにはまだまだ及ばない印象。

その点、ヒロイン・あんず役の飯豊 まりえさんは、声優経験もありまだ安定感がありました。

それでも、脇に回った畠中 祐さん&小宮 有紗さんじゃ駄目なんでしょうか?
という私の疑問をかき消すほどの演技ではなかったかなと。

ただし、カオルの妹・塔野カレン役の小林 星蘭さんは子役時代のスキルも生かした幼女ボイスで上々。
塔野家の天使に免じて評点は基準点+0.5点で。


【音楽 4.0点】
劇伴は富貴 晴美氏のフィルムスコアリング。
氏のBGMは管弦楽の迫力でねじ伏せるよりも、ピアノを中心に心情にそっと寄り添う方が味わい深いです。
本作でも遅効性の恋に繊細な音色がマッチしていました。

主題歌、挿入歌はeill。
アップテンポな劇伴ソング「プレロマンス」では二人の恋愛未満を的確に射抜き、
主題歌バラード「フィナーレ。」では濡れるリスクが増える相合傘の利点を恋愛面から力説。
一番刺さったのは既存曲のアコースティックアレンジとなった「方っぽ」
世界から外れそうな位の喪失感が痛切で抉って来ます。


【付記】
イケメン俳優&朝ドラヒロインをキャスティングして、
実写恋愛映画の如く、カップル集客も目論んでいるという本作。
ですが初週鑑賞時、まばらな観客は私も含めてアニメ&ラノベファンと思しきソロの男性ばかりで、
デート中のカップルなんて一組も見当たりませんでしたw

プロデュースが滑っている以上、上映期間も長くはないと思われるので、
興味がある方は、夏が消え去る前に、お早めに劇場に行くことをオススメします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 17

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の共同戦線~ビニール傘をかして返してもらうまでの時間~

この作品は私が、ずっと楽しみにしてた作品の1つです。
原作を知ってる訳でもありません。
私はよくアニメ映画を見にくのですが、その中に必ずある映画告知でよく流れていたからです。
その時に、面白そうと感じたのが「夏へのトンネルさよならの出口」です。

2022年10月も凄く気になる作品がありますが、見に行きたいなぁ(*´˘`*)ニコッ
見たらきっとレビュー書いてると思います。




さて、私がこの作品に感じた事を書いていきます。
物語は、ウラシマトンネルと言う外と中では時間の流れが違うトンネルを発見する。
そのトンネルを潜ると欲しい物が何でも手に入る。
その対価として100年歳をとる。

そんな都市伝説的なトンネル発見した主人公とヒロインはお互いの願いの為にトンネルを攻略する共同戦線を張る!


主人公 カオル

彼の願いは「妹を取り戻す事」
妹のカレンは優しい女の子でした。
彼女は人の幸せを心から願える女の子です。
彼女の夢は「人が幸せになる世界にする事」
この幼い年齢でこの願いは凄いw

この歳だと、普通に可愛いぬいぐるみとか、欲しいゲームとか、願いませんか?
自分が恥ずかしくなるww

主人公のカオルの願いは「カブトムシが欲しい」コレコレ!コレが子供の夢よww

ある日、兄妹喧嘩をしてしまいます。
カオルは妹に「大嫌い」と言われて「大嫌い」と返して家を出ます。
妹はすぐに「嘘!大好き!いってらっしゃい!」と返すのですが、兄はそれも無視します。

彼が帰ると妹は木から落ちて事故死してました。
兄と仲直りしようとして兄の欲しいカブトムシを取りに行ったから起きた事故でした。

うん、これって結構キツいよね。
喧嘩なんて当然します……
でも、喧嘩をして永遠に会えなくなるのは……
私も似た経験あって中学生の時の思春期におばあちゃんと喧嘩しました。
その後、数日後におばあちゃんは亡くなってしまいました。

二度と謝る事もなく一緒に暮らしてる訳でも無かったので、それから言葉も交わさずに……
今でも心残りです。
だから、カオルの気持ちって凄く解ります。

彼が妹を生き返らせたいってのも凄く解る。
正直、多分、ずっと心残りになると思う。
いつになっても、「あの時なぁ〜」ってなります。

それに彼は妹が自分と仲直りしようとしての事なら尚更……
何を犠牲にしても叶えたい願いだと思いました。



アンズ

彼女の願いは「特別な才能が欲しい」
彼女のお爺さんは、漫画家でした。
しかし、売れる事もなく借金してまでも漫画を描き続けた。

そんなアンズも漫画を書く楽しさをお爺さんから教えて貰って彼女も漫画家になりたいと願うも踏み出せないでいました。

父に「お爺さんと同じになるつもりか!」と原稿をビリビリに破かれたそうです。
だから、彼女は漫画家になりたかった。
お爺さんを反面教師扱いする両親を見返したかった。

でも、自分の漫画は、どうしても普通にしか見えなかった。
出版社に持ち込んでもダメだと思い込んでしまう。

でも、自分も何か残したいと考えていました。
それが、彼女にとっては漫画でした。

実は私は彼女に凄く共感出来ました。
私も産まれて来たからには「世の中に何かを残したい」と思ってしまいます。
せっかく産まれてきたのですから私が私個人が生きていた証を……

で、私が他にも共感出来たのは自分の作品を自分の線引きで出版社に持ち込めないって点です。
自分の作品は普通だから……勿論書くがわからすれば面白いから書いてるけど、世の中には更に面白い漫画は沢山ある……だからこのレベルではダメだと……

実は、私も物語を書いていました。
今は書いてませんが……当時は、文庫本作家になってみたいなぁ〜とw
電撃大賞とかに出したいなぁ〜と思って書き上げたりしてましたが、結局は私も同じ理由で足踏みしてました。
文才も言葉も拙いのでw

結局、彼女は最後に編集に持ち込むので私なんかとは全然違うのですけどねw
で、アンズと私って多分、そんなに年齢変わらないです。
2005年になってたから1つか2つ先輩かな?
でも、同年代の子だと考えたら凄いなぁーって本当に思いますね。


だから、彼女の気持ちって色々共感出来ちゃいました。


ウラシマトンネル攻略 8月2日

攻略前日……アンズから自分の漫画を出版社に持ち込んだら気に入って貰えたそうなんです。
担当さんが付いて一緒に漫画を作りませんか?と提案されたのだと。

相談されたカオルは攻略の延期を持ちかけます。
それはウラシマトンネルの中と外では時間の流れが違うので数時間で数年経つ……すると多分、この漫画家への道は失われる……

しかし、カオルは1人でウラシマトンネルへ行きます。
アンズが気付いた頃には手遅れでした。

カオルのした事って正しくはあると思います。
共同戦線だからって最後まで付き合う必要はないし、トンネルは願いを叶えるのではなく、失った物を取り戻すトンネルだからです。
つまり彼女の才能は手に入らない。
それなら、尚のこと自分で掴んだ才能とチャンスを手放してまで一緒に来る必要はないのです。


でも、カオルはその反面考えが足りなかった。
アンズが自分の漫画が気に入られた時に相談したのは一緒に考えたかったのだと思います。

2人で共同戦線を辞めて2人で共に過ごす時間と、一緒にウラシマトンネルで妹のカレンを取り戻して3人で過ごす時間

その為なら、全てを投げ出してでも一緒に居たかった。
彼女は恋をしていたのです。

特別な才能が欲しかった彼女は、今はカオル特別な存在になりたかったのでしょうね……

でも、彼の決意は硬かった。
カレンダーを8月2日から破り捨ててました。
それは、それから先の時間は彼にはないからです。
更にはメールも全て消して、携帯も捨てて……
だから、決意の強さが伝わりました。


カオルは妹に再会します。
妹と兄の失われた時間。
カオルも子供になってました。
つまり時間が戻ったのです。

妹は自分が捕まえたカブトムシを兄にプレゼントします。
あの日、兄と仲良くする為に捕まえようとしたカブトムシ。

2人は幸せそうに話をする。
けど、カオルは気づく。鏡に映る自分の姿は高校生である事に……

そこに捨てたはずの携帯がメールの着信音を鳴らします。
そこには消したメールが全て復活してました。

ウラシマトンネルは無くした物を取り戻すトンネルですが、これでは言葉足らずです。

ウラシマトンネルは大切な物を取り戻すトンネルってのが正確だと思います。

過去の時間に戻ったって事は、元の時間の世界の大切な物を失ったと言う意味です。
だから、携帯もメールも戻った……そして自分の気持ちも。

妹も大事だけど妹と同じくらい好きな人……

実はカオルとアンズの2人はトンネルの外から中へのメールは届かないと実験していました。
しかし、今はメールが届いた。
それは、アンズの時間軸から無駄だ……届かない……そう知ってても送らずにないられなかったメール

経過する時間の中、アンズが送り続けたメール。
そのメールは、カオルが失った時間に送られたメールです。
だから、失った物としてトンネルを通じて彼に届いた。

彼は現実世界に戻るために走り出す!
カレンは知っていたのかもしれません。
兄が別の時間軸の兄だと……だから背中を押した。

カレン「大好きだよ!いってらっしゃい!」
自分に囚われてないで、気にしないでって彼女なりの優しさで。
喧嘩した時に本当に言いたかった言葉を添えて。

彼女の願いはなんだったけ?
「人が幸せになる世界にする事」
彼女が生きた時間のアンズは、引きずってる……カオルの事を……夢を叶えて連載を持っても彼女は笑えなかった……カレンの言う、人が幸せってのはアンズも含めてです。
だから、兄の背中を押した。
兄の幸せを考えられる強さを持ってるから。

私は死んだ人に生きてる人が出来る事って多くはないって思います。
でも、カレンにカオルがしてあげられる事がある。

それは現実世界で幸せになる事です。
人の幸せを願える妹の兄に出来るのは自身が幸せになり好きな人を幸せする事だと思います。
何故ならそれがカレンの願いだから……その1歩になる事が彼女に唯一してあげられる事なのかな?と思いました。

そうして、カオルとアンズは十三年ぶりに再会する。
13年……ウラシマトンネルの時間差……
13年間、ずっと待ち続けてくれたアンズ。
彼が戻る確信なんてなかった。
それでも、彼を待ってくれていた。
本物の愛なんでしょうね。
好きな人にそこまで待って貰えるカオルが幸せ過ぎますねw

理由はどうであれカオルは13年間アンズに心配を掛けて悲しませてきました。
これからの時間は、全力でアンズを幸せにしてあげて欲しいですね(*´˘`*)ニコッ

正直、この作品、ウラシマトンネルの調査中に大幅カットされてるような描写もあるけど、私に共感出来る事が多い作品でビックリしました。


因みに、ココに出てくる大人は最低の象徴として描かれています。

酔って暴力を振るうわ、息子が体調を崩すと心配すらしないで暴言暴力を振るう父親。

娘の夢を反対して原稿を破るわ、田舎に転校させ1人で暮らして頭冷やせとか言う両親。


この2人の出会いに……「親なんか居ないわ」「いいねそれ」って言葉があります。
最初は、カオルのいいね発言にビックリしましたが、これは2人が友達ではなく理解者であるんだろうなぁ〜と見ていて感じました。
ウラシマトンネルの共同戦線もお互いの利害が一致してるからでしょうし、お互いに理解者から恋人になるまでが描かれているのかな?とw

さて、この作品のタイトルって、「夏へのトンネル」はカレンの死んだ夏への入口、「さよならの出口」ってカレンへの未練を断ち切る為の、さよならの出口なんですね。
劇場版みた後に気づきました。
ある意味タイトルで盛大なネタバレされてるけど意外と気づけない上手いタイトルですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

67.1 6 花火で恋愛なアニメランキング6位
劇場版 はいからさんが通る 後編ー花の東京大ロマンー(アニメ映画)

2018年10月19日
★★★★☆ 3.5 (49)
179人が棚に入れました
まだ女性が恋も仕事も自由に選べなかった時代。女学校に通っていた花村紅緒は、祖父母の時代から決められていた許婚、伊集院忍少尉と出会う。紅緒は、当初少尉に反発していたが、やがて2人は許婚という関係を超え、心の底から惹かれあっていく。しかし、少尉が戦地で消息不明に――。どこかで少尉が生きているのではと諦め切れないそんな彼女の目の前に、少尉と瓜二つの人物が現れる。ロシアからの亡命貴族、サーシャ・ミハイロフだ。ところが、少尉そっくりなサーシャは紅緒のことをまったく知らない様子。ショックを受けた紅緒を励ましてくれたのは、彼女が働く出版社の編集長、青江冬星だった。愛する人と同じ姿でありながら自分のことを知らない、サーシャ。一方、過去は忘れて新しい道を歩き始めるべきだと語る冬星。2人の間で紅緒の心は激しく揺れ動く――。そんな中次々と衝撃的な事実が明らかとなり、ついには歴史的大事件に巻き込まれることにも… 短くも激動の大正時代。その真っ只中を時には笑い、時には涙し、ひたむきにまっすぐ駆け抜ける「はいからさん」。彼女は、最後に何を選び、誰と結ばれるのか――。

声優・キャラクター
早見沙織、宮野真守、櫻井孝宏、中井和哉、梶裕貴、瀬戸麻沙美、石塚運昇、鈴木れい子、三宅健太、伊藤静
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

こんな展開 冗談はよしこさ~ん

 これは、TV放送でも描かれなかった部分にも触れた前編のさらに先となるお話なので、かなり期待して見に行ったです。

 少尉の消息を知ることもかねて、前作で新聞記者になった紅緒が、手がかりをつかんで満州に!からのになる訳だったです。

 悲しい結末かと思いきや、こんなのありかの急展開。{netabare}UFOの襲来?紅緒も知っているそっくり??誰かさんの登場で、急展開連続のスタートの連続だったです。
 諦めきれない紅緒、果敢に迫るです。{/netabare}急展開が、多すぎる中で複雑な事情、かなり絡むです。
 {netabare}そっくり??誰かさんが、宿泊先を離れて散歩して、何故この場所を歩くのか?出来すぎていたです。{/netabare}この時、真相が明らかになっていくきっかけになるです。
 で分かったけど、後には引けなくなる状況で、紅緒もこの事実に区切りをつけるけど、忘れられないみたいなです。

 さらに続く出来すぎた複雑でかつ、無理やりにも見えあり得ない偶然みたいな急展開が、続くです。

 上映前劇場チラシにもあった画像にもある、紅緒の花嫁姿になるきっかけは、まさかの成り行きに。このままいくと思った{netabare}ら、日本の歴史上有名な災害発生。{/netabare}いくら何でもどうなっているのか?こんなのありか?なぁだったです。

 HAPPY ENDにならなきゃ話にならないけど、いくら何でも出来すぎた駆け足のような、諦めとあるべき結末には驚かされたです。

 今まで知らなかった、「はいからさんが通る」の結末を見れたのはい良かったです。しかし、劇場アニメにおいて限られた時間もあったかもしれないが、「これでいいのか?」なご都合主義に見えなくもない進行には疑問と、期待した知らない展開とかけ離れた進行に、ある意味拍子抜けもしたです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 8
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

大正時代の大災害

出だしから、満州の大草原。
大活劇の始まりだ。
なんて思ってたら、あっさり東京に戻った紅緒さん。
それもそのはずサブタイトルが花の東京大ロマン!

原作が少女漫画だから、ホントベタ。
{netabare}ラストまで一点の曇りもなく見え見えなのです。{/netabare}
その上、感情が超ストレート。
私はほぼノックアウト状態でした。

終盤は大正時代の大災害関東大震災です。
その描き方には、色々つっこみたい。
だけどそこはアニメ。
暖かい眼で見守りましょう。

以下、関東大震災について。
アニメと関係ないので閉じます。

{netabare}大正12年9月1日午前11時58分。
相模トラフを震源域とするM7.9のプレート境界型地震が発生した。
直後、南関東は激しい揺れに見舞われた。
その揺れに誘発された直下地震も加わり、帝都東京は数分間の激震が続いたと言われる。
このため、多数の木造家屋が倒壊。
折からの強風により発生した大火災により、一晩で東京は壊滅した。
死者行方不明者10万人強、日本史上最大の地震災害である。

私が震源域に近い南房総を訪れたのはもうずいぶん前。
神社に建立された石碑にはたくさんの被災者の名前が書かれていた。
こんな田舎でもこんなに被害が、と思ったのを覚えている。
また、海岸を歩いていた時に出会ったおばあさん。
津波がこんなところまでって。
多分、10m程度の津波が襲ったんだろう。

つい先日訪れた東京は美しい花の都だった。
六本木森ビルより見まわした風景は一面のビル群。
私にとって大切な人が暮らす東京。
この地に再び地震があると考えると背筋が寒くなった。

元禄関東地震からも約300年。
大正関東地震を上回る規模の相模トラフ連動地震も懸念されている。
首都直下地震を含め、様々な角度から南関東の防災計画を見直す必要性を感じている。
そして、庶民レベルでは防災意識の向上が必須であろう。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

星ノ海酩夜 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

決して悪くは無いけど印象にあまり残らないかも

前編をアニメサイトで視聴し、後編を映画館で視聴。

なんかパンチ力に欠ける映画だったと思います。
主人公がどちらの男性キャラと結ばれるのか……?
というハラハラを期待していたのですが、無駄にグダグダなコメディを詰め込んでいるせいでテンポが若干早くて感情がついていけない。

前編で主人公と少尉が惹かれあった理由が描かれていなかったので、後編では描かれているのかと思ったのですが…………うーん。

前編でも述べたのですが主題歌は神ですね。竹内まりやさんの曲はこの映画の主題歌にピッタリだと思いました。

なんか惜しい作品だった気がします。嫌いではないです

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

71.3 7 花火で恋愛なアニメランキング7位
サイダーのように言葉が湧き上がる(アニメ映画)

2021年7月22日
★★★★☆ 3.7 (78)
283人が棚に入れました
17回目の夏、地方都市⸺。コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着用している少年・チェリー。彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少女・スマイル。人気動画主の彼女は、“カワイイ"を見つけては動画を配信していた。俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。ある日ふたりは、バイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って⸺。物語のクライマックス、チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは心の奥深くまで届き、あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。

声優・キャラクター
市川染五郎、杉咲花、潘めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ、神谷浩史、坂本真綾、山寺宏一、井上喜久子
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

眩しい泡沫

SIGNAL-MD制作。

郊外のショッピングモールを舞台に、
コミュニケーションが苦手な少年と、
コンプレックスをマスクで隠す少女が、
織りなす、ひと夏の青春グラフィティ。

田園風景とショッピングモール、
俳句とSNS、団地とネット空間、
現代のものと、ひと昔前からあるもの、
時代の移り変わりを題材にしながら、
かつてあったポップカルチャーのように、
前向きな物語設定として構成されている。

過去は乗り越えていくだけのものではなく、
そこに素敵な想い出が溢れていることでしょう。

色鮮やかな風景と老人の記憶、
{netabare}探しもののレコードをきっかけに、
少年と少女は次第に心を通わせていく。
どうやら初々しい恋心は見つけたようだ。{/netabare}

眩しい泡沫、なんか良い感じ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 31

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

言葉にすることで

俳句少年と歯矯正少女の出会いの物語。
舞台はショッピングモール、季節は盛夏。
眩いばかりの風景と色とりどりの構造物。
サイダーのように甘くて爽やかな作品です。

出会いは、突発的。
スマホが吹っ飛ぶ、
口元から矯正器がキラリン。
コミカルな衝撃です。

少年はチェリー、少女はスマイル。
チェリーは静、スマイルは動。
俳句とネット配信と興味は対照的。
NとSが引き合うようなものなのでしょう。

レコードに隠された過去。
50年前のフジヤマさんの思い出がシンクロ。
ヤマザクラにそんな意味があるなんて。
「葉」と「歯」かあ、考えたものです。

終盤に向かって、ちょっとした事件により行き違います。
しかし、「ヤマザクラ」の奇跡に再び二人の気持ちは・・・
まるで、サイダーを振ったかのように・・・
青春期の衝動的な恋心が、夢のように気恥ずかしいです。

全く前情報なしに観た作品です。
テンポが良く、目が離せませんでした。
それに、素直な気持ちを読み込んだ俳句が要所を締めています。
俳句ってホントいいものですね。

夕暮れの フライングめく 夏ともし
「めく」が可愛い。
私も瞬時に思いました。
言葉には不思議な表情があるのです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

沢山の大切なもの

この作品は、自分の言葉を伝える事が苦手なチェリー君と自分の出っ歯にコンプレックスをもつスマイルちゃんのひと夏の物語。

まず、アクションシーン?
ビーバーのデパートでの逃走劇は躍動感が凄く本当に飛んで跳ねてって言葉がまさにその映像に出ていましたね。
動きが面白く楽しく見えましたが、流石にリアルであんな逃走劇すると大問題ですねww

チェリー君の母が腰を痛めて、パート先の施設に休みの間に息子のチェリー君が代打でお手伝いするのですが、その施設に居るお爺さんはレコードの空箱?ケース?を持っているのですが、肝心の中身がないのです。

そのレコードは、お爺さんにとって、特別な忘れたくないけ忘れてしまいそうな物で、そのレコードを探していたのです。

それは、死別した妻の歌った曲だったのです。
これは探しちゃうよね。
だってさ、大切な人が居なくなってしまうと10年、20年、30年、と経つと、その人が存在した事は覚えてるけど、その人の仕草や声や笑顔が少しづつ記憶から失われてく……

でも、その人が残した物があるのなら?
それは、きっとその人の掛け替えないのない宝物になる。
それが今回はレコードだった。

チェリー君もスマイルちゃんも、そんな気持ちが解るから必至にネットで探して、ヒントになりそうな場所を走り回り探し回る。
そして、2人はそのレコードを見つけだす!
でも、そのレコードを聞く前に、レコードが波打っていて直そうとスマイルちゃんが、パリンッ!って割っちゃった‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬

多分、それでも皆は多分許してくれた。
何故なら、スマイルちゃんが、大変な中、探してくれたのを知ってるから……
だから、きっとお爺さんも。

でも、そうじゃないんです。
大切な人の大切な想いを、知ってるスマイルちゃんは、それでもレコードを接着剤で何度も何度も修復しようとしますが、全然くっつかなくて……なんか凄く解る……

やっとの思いで探し出したレコードを自分が割ったとなれば、どれだけ自分を追い込むか、周りが許してくれても自分が自分を許せない……
だから、中々直らないレコードに涙して、お爺さんにも謝るしかなくて……謝っても罪悪は消えないしレコードも戻らなくても謝るしかなくて……
でも、形だけはスマイルちゃんは直します。
凄く頑張ってたんだなぁ〜と凄く感じたシーンでした。

でも、実は、いかにも灯台もと暗しって言葉が似合う場所に2枚目のレコードを発見www
私も、スマイルちゃんが割ったシーンの次の施設の場面でレコードの裏面と同じものを発見!
ある!ある!あるじゃん!ってなりましたw
だれよwレコードをあんな改造した人w
結局、お爺さんは自分が改造した事を忘れてたのねww


さて、スマイルちゃんはコンプレックスを抱えています。
誰でも多分コンプレックスって抱えてるものだと思います。
スマイルちゃんは、そのコンプレックスが嫌いで人前でマスクを付けたり、口元をかくしてご飯を食べたり、時にはダイエットと言って皆と食べなかったり。

でも、チェリー君は、そんな彼女のコンプレックスを好きだと言ってくれます。
コンプレックスって多分簡単に受け入れられないからコンプレックスなんだと思います。
多分、これはチェリー君だから彼女は最後にそれを素直に喜べたのかな?って。

好きな人が、自分の嫌いな物を好きだと言ってくれたら、それは自信に繋がるのかもしれません。
例え、見知らぬ誰かに受け入れられなくても……例え、自分では中々受け入れなくても、きっと好きな人のその一言なら、そんなコンプレックスな自分と向き合える力になる。



チェリー君は言葉の表現が苦手な男の子
そんな彼は、唄?俳句?を書くのが好きでSNSや俳句?唄?の教室みたいな場所で唄を作っています。
それは文字で自分の気持ちが伝えやすいから。
ですが、唄の先生がチェリー君に自分の創った唄を人前で詠ませるシーンがあります。

この唄の先生はこの時だけの登場ですが、結構好きになれたキャラです。
チェリー君からすれば先生は苦手な事をやらせただけに感じるでしょう。

やらされた側からすれば、放っておいてよ、ウザイなぁ、余計なお世話!と思うでしょう。
私も昔は本当にそれ思いました。
苦手な事を押し付けられて、やりたくない事やら習い事なら、やらされてきました。
当時は嫌いな事をするから苦でよくサボったり逃げたりしました。

ですけど、大人になる事に時間が過ぎ去る事に、それは克服しなければならない事でした。
チェリー君もそうです。
自分の気持ちを素直に伝えるのは難しい事です。
でも、伝えなければいけない事は山ほどあります。

チェリー君はどうして文字で伝わる唄をわざわざ声にだして言わなければいけないのかと、先生に文句を言います。
先生は「声に出して伝わる事もあるでしょう」
と言います。
誰かに、伝えて知ってもらうって大切な事で、黙っていても伝わる事なんて中々ないし、伝わっても伝えたい事の半分も伝わらずに終わることもあります。

優しさは一定値を超えると甘さに変わります。
嫌な事を無理矢理させる事はよくありません。
でも、苦手な事を遠ざけるばかりでは、その人の為にはなりません。
その人を想うなら、苦手な事にチャレンジするチャンスってのを与えてあげる事も優しさだと思います。
だから、先生はそのチャンスを作ってくれたのかな?と。

そして、先生は唄の先生です。
先生はチェリー君の唄にチェリー君の感じた気持ちが凄くピュアに表現されている事に感動したのかな?って思いました。
そう言うのは、第三者じゃなくて本人が読む事でより強く綺麗に伝わるから、人前で読ませたのかな?ってww
唄を聞いて皆さんが拍手をくれました。
それは声に出して伝えたからでしょう。

そして、チェリー君は引越しをするのですが、引越しの前日まで、スマイルちゃんに引越しの事を話してなかった…………(*꒪꒫꒪)

あぁ〜……ダメダメだよ‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬
しかも、スマイルちゃんはいきなりの事で、それをチェリー君の母から聞くオチがつく……
確かに、言い出せないのも解るよ。

でも、相手側に立ったらさ、別れの日がわかっていれば、もっと沢山の時間を共有したりさ、思い出作りしたりさ、その別れの時間までの時間をもっと大切に使えたのにって思っちゃう。

お別れパーティしたりさ、行きたいところに一緒に沢山行ったり、自分の気持ちも伝えられたかもしれないのに……

でも、伝えられないのだ。
チェリー君は言葉で伝える事が苦手だから……
お別れ……言葉にしないと伝わらない事の1つ。


そして、引越しの日に彼のスマホにスマイルちゃんのお祭りのライブ配信が流れる。
それは、2人で一緒に花火を見ようと約束していたお祭り。

そして、スマイルちゃんは彼に沢山の気持ちを伝えようと皆に協力してもらう。
チェリー君もそのメッセージを見て車から降りて走り出す!

彼は祭り会場に行くもスマイルちゃんを見つけられない……そこで、ヤグラに登り身体全体に恥ずかしさMaxで真っ赤かで、マイクをとる!


ステージで何かをした事はありますか?
トークでも歌でもいい何かをした事はありますか?
あの瞬間って緊張と恥ずかしさで心と喉が凄く震えて今自分が凄く震えている事を痛感しませんか?
それを、言葉を伝える事が苦手なチェリー君が必至に伝える!
自分の作った唄をひたすら大きな声で伝える。

それは、周りの人には意味不に聞こえるかもしれない……興味なんて示して貰えないかもしれない……花火が始まると皆、チェリー君を無視して花火をみる。
ただ、1人以外は……

それでいい!
チェリー君の愛の告白は……
チェリー君の気持ちは……
勇気を出して伝えたい言葉は……

たった1人だけのもの。
他者になんて理解されなくても、伝えたい人に伝われば、それだけでいい!
それだけで、苦手な事にチャレンジした意味になる!
それ以上のものは必要ない。

この作品を見て感じたのは。
自分のコンプレックスに悩んだとして好きになれなくて、嫌気がしても世の中生きていれば、いつかは、そのコンプレックスを好きになってくれたり理解してくれる人が現れて、いつかは克服出来るかもしれない。

苦手な事に立ち向かうのは嫌だし怖いけど勇気を振り絞った先にあるのは幸せかもしれない。
自分の苦手を逃げる理由にしないで立ち向かう事で、チャレンジして良かった、頑張って良かったって思えるかもしれない。

そんなメッセージがあった気がします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

63.7 8 花火で恋愛なアニメランキング8位
ぼくらの七日間戦争(アニメ映画)

2019年12月13日
★★★★☆ 3.3 (59)
239人が棚に入れました
いつもひとりで本ばかり読んでいる、鈴原守。話し相手といえば、同じ歴史マニアが集うチャットのメンバー。「青春時代は、人生の解放区よ」。平均年齢還暦越えと思われるその場所で、今日もメンバーの一人が、恋に悩む守にからかい半分のエールをくれた。片思いの相手は、お隣に住む幼馴染の千代野綾。しかし綾は、議員である父親の都合で東京へ引っ越すことを迫られていた。しかも、いきなり一週間後。それは守が密かにプレゼントを用意していた彼女の誕生日の目前だった。「せめて、17歳の誕生日は、この街で迎えたかったな」。やり場のない綾の本音を聞き、守は思い切って告げる。「逃げましょう……っ!」。綾の親友・山咲香織をはじめ、明るく人気者の緒形壮馬、ノリのいい阿久津紗希、秀才の本庄博人までもがこの逃避行に加わり、駆け落ちを夢見ていた守は拍子抜けするが、特別な夏の始まりには違いなかった。もはや観光施設にも使われていない古い石炭工場を秘密基地に、ただ7日間、大人から隠れるだけのバースデー・キャンプ。それは、少年たちの精一杯の反抗だった。立坑櫓たてこうやぐらがそびえ立つ屋上へと登れば、どこまでも高く広がる空が、彼らを迎えた。だが、その夜、工場に潜んでいたタイ人の子供・マレットと出会ったことで、事態は想像もしなかった方向へ向かう。不法滞在で入国管理局に捕らわれかけていた所を間一髪助けると、はぐれた家族を探しているのだと、守たちに打ち明けた――2日目の朝、今度は武装した入国管理局の職員が、マレットを連れ去りにハンマーを振りかぶり工場へ突入してきた。守は、仲間たちの協力のもと、敵の撃退作戦を決行する!

声優・キャラクター
北村匠海、芳根京子、潘めぐみ、鈴木達央、大塚剛央、道井悠、小市眞琴、櫻井孝宏
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

はぁひっど

視聴理由 人気小説

視聴前 宮沢りえさん出るの!?

視聴後 え?

このレビューは視聴後怒りに任せ書きなぐったため、「いやこれは日が経てばきっと違う意見も出るのだろう」と蓄えた結果何も変わらなかったレビューです。批判多めの頭の悪いレビューですが許して

この話はかつて廃墟に7日間立てこもり、解放区に愛をこめた年から30年後の話
ジャンルは学園・恋愛
はぁ最近は罪を犯さないとダメなんですかね
いや、わかりますよ。高校生のあの独特な青春の感覚を表現したかったんでしょうね。ただそれを罪を犯してまでも、っていうのがどうも気に入らない
内容です。一応設定としてはあの立てこもりから30年後らしいです。なのでわざわざ私は友人から本を借りたんですよ。そしたらほとんど要素なしですよ?w最後五分に宮沢りえさんが演じる中山ひとみが出てきて終わり…w
そして素晴らしいのが主人公のうざさですね。これクラスメートにいたら目立たないレベルじゃなくていじめられてますよ(少なくとも私のクラスにいたらいじめられてた)。展開の上で仕方ないのかもしれませんが、主人公がアホにしか見えません。どういうこっちゃ。
私がこの作品を見終わったときに抱いた感情はおそらく、キャラに対する哀れみです。主人公たちは全国の学生が我慢した「大人の理不尽」を「そんなのはおかしい!」と言いながら反抗しています。いや「周りが我慢しているからあなたも我慢しなさい!」という至極アホな意見をしたいのではありません。なんかこの後を考えれるとものすごく可哀想なんですよね。なんか怒りよりそっちのほうが大きいですw
あと中山ひとみが「私の経験則」と言っていましたが、1つ言わせてもらいます。「アナタ7日観戦の時あまり関係なかったでしょ!」(視聴する際友人から「ぼくらの七日間戦争」1冊だけ借りたので続編などで中山ひとみがとんでもないことをするなら別ですが)と。中山ひとみは戦争に協力という形で参加そして大した活躍もせずただただスパイ(外の見回りや保護者会の報告)活動をしていただけ。久美子ちゃんとか勇ましく、優しいにも関わらずなんですかあの女の子。正直あの作品の中で一番嫌いな女の子です。そんな子(しかも関わってたことがバレてない)が事件の風評を受けるはずがない。なんの説得にもなってませんよね

最近のアニメの少年主人公は犯罪を犯さないとダメなんですかね。怖い怖い。書籍(七日間戦争)では警察を出させて終わりですが、今回は{netabare}公務執行妨害(これは微妙)、住居不法侵入、不法滞在etc{/netabare}ひどいね
そして一番のお笑いポイントはあんだけ「中山ひとみ役であの宮沢りえが!」とほざいていたようですが(別に宮沢さんが嫌いではないです)、{netabare}残り5分で3言喋って終わり {/netabare}ってw
しかもそれでエンドロールにて3番目に「特別出演」として名前が出てるんですよ?宮沢さんよりずっとセリフがあったキャラクターがそれ以降って…どうも解せないねw
まぁ良かった点は「ここからがスタートラインだった」というキャッチコピーですね。人はスタートやゴールを自分で設定できます。そのスタートラインはいくつも引いてあっていくつもゴールが存在していることを認めなければなりません。今回主人公たちは新たなスタートラインを引きましたが、決してゴールを設けたのではないのでしょう。今までの自分を背負いながらも未来へ歩き出したのでしょう。その姿勢は素晴らしいし、そのテーマも悪くはありません。
しかし(何回使うんだ)、ラストが正直吐き気がするようなラストでした。{netabare}いじめられっ子が陽キャになってイキってる?別に良くないですか!?正直「いじめられてたんですよ」とかTwitterで言ってる奴の方がヘドが出る。ま、壮馬君に関しては周りがクソです。しかし(はたまた登場)他の被害者キャラはサイテーのクズ(約2名)じゃん。香は救いがない。あんだけ「コッチが嫌になる」とか友達に「私実は我慢してるんですよ。偉いでしょ?」アピールしてる時点でも気持ち悪いが、その理由も自分の父親(家)のために自分から近づくのは本当に吐き気がする。それにあの言い訳「最初はそうだったけど!今は違うの!」誰が信じるんだクズ。最初はそうだったけど、と自白することで自分の非を認めその後の言葉に信憑性を持たしてるつもりなんだろうが、アホすぎる。本当に死ねばいいのに。
さらにあのクソメガネ。自分のことを縛ってる家を憎み、その家から解放させてくれようとする腐れ縁(恐らく幼なじみ)を憎み、は?アナタ何したいの?全てのことにあーだこーだ言って結局何も行動を起こせず、縛られたまま。そして縛られたまま「俺は実はこう思っていたのを我慢してたんだ!」死ね。こういうのマジで一番嫌い。自分を正解だと信じてやまないし、その「正解」とやらを視聴するだけして「間違い」を正そうとしない。本当に嫌い。否定から入る厄介ヲタクでもこんなクソみたいな行動はしないよ。挙句にはなに?本当は嬉しかったんだ?誰が信じるんだよ。もう写真を撮って「コイツウザイ死ねばいいのに」と言ったやつがそんな善意を言えるわけが無いでしょ{/netabare}
更にさらにその後の展開にも苛立ち{netabare}ええ。別に私はLGBTについてとやかく言うつもりもないですし、なんならそれで困っている人がいるなら助けてあげたいです。しかし、今回は話が別です。現在注目されているLGBTについてラストの「友達としてじゃなくて好きなの!」という綾ちゃんの告白を受けて動きなし。はぁ?これで困惑したら炎上ですが、何も関わらず結局有耶無耶になるのはどうしても制作側が「今LGBTについて注目されてるし、関係性を維持するならテキトーに女の子に告っとくか」みたいな安直な愚行をするのは本当に吐き気がする。まぁ正直このシーンだけだったら別にいいんですよ。そのあとの「え!?女の子!?」が来た瞬間にもうね。いやきっと深い意味はないんですよ(だから吐き気がするのだが)。ただ単純にコメディで終わらせたかったんですよ。途中から一人称が変わったのだってきっと制作側に撮っては些細なことなのでしょう。しかし私も差別をあまり好まない人間です。この作品のラストには制作側に対する苛立ちしか覚えませんでした{/netabare}
ともかくラストに関してはキャラにも制作側にも怒りを感じました

ふぅ落ち着こう

監督は村野佑太さん。異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術の監督ですね。( ´ ▽ ` )ナルホド
脚本は大河内一楼さん。コードギアスやカバネリのシリーズ構成を担当した方ですが…なんでこんな大物がクソ脚本を…
キャラデザは清水洋さん。ドラえもん映画のキャラデザを務めたこともあるそう
劇伴は市川淳さん。未確認で進行形の劇伴を担当した方ですね。確かに臨場感があったのは認めます
制作は亜細亜堂さん。異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術を制作したところです。

作画はちょっと手抜きを感じました。キャラデザが安定しなかったり。特に目立ったのが遠くの人物の作画です。遠方に写った主人公やモブ達が酷かったです。しかもカクカク(なめらかではない)でした。もう少し頑張って欲しいと思っちゃいました
主題歌はSano ibukiさんの「決戦前夜」素晴らしい歌なのは間違いないのですが、BUMP OF CHICKENさんに似てるかなぁという感じが
声優さんは普通でしたが宮沢りえさんを3番目が解せないです

総合評価 哀れみと怒りを集めた作品

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

ねるる さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

【酷評】話の展開の雑さと設定の甘さが酷い。最近見た中で最も残念作品。

原作小説未読。実写映画未視聴。
原作小説から約30年後の2020年の北海道が舞台。

~あらすじ~
本好きで控えめな性格の主人公"鈴原守"は、隣の家に住む幼馴染"千代野綾"に片思いをしている。ある日、急な親の都合で綾の引っ越しが決まる中、少年少女は大人たちへの反抗として7日間の家出を決行する。


"大人たちへの反抗"、"子供の主張"がテーマと思いますが、物語の展開が強引すぎました。ツッコミどころがありすぎる。
ツッコミ①
子供たちは家出先として、廃れた炭鉱を選びますが、その炭鉱、電気はつくし、綺麗そうなトイレ完備。有り得ん。
ツッコミ②
連れ戻そうとする大人たちとの戦いで、炭鉱の機械設備を当たり前のように使いますが、なぜ使える。危険すぎる。いつ死人が出てもおかしくないような場面ばかり。有り得ん。
ツッコミ③
そもそも子供たちが大人たちと戦う理由が薄い。ある人物を庇うために戦うが、庇う理由がない。有り得ん。
ツッコミ④
炭鉱を「あまり壊さないでね」って言ってたおじいさんの意見はどうした。ズタボロに壊されてて可哀想。有り得ん。
ツッコミ⑤
ラストの展開の強引さが酷い。
子供たちがそれぞれの本心を告白するシーン。爆弾発言があるし、LGBTとかいじめとかSNS事情とか、現代の少年少女が抱える問題を取り入れるにしても、ただ詰め込んでて展開と発言が強引すぎ。有り得ん。

この他にもツッコミ要素ありあり。有り得ん。

キャラクターについて、綾の父親はパワハラの権化でしかないし、少年少女も反抗してる理由が弱いし、人任せ過ぎて全く理解できない。
大人でも子供でもなんでもいいから、人間としてまともな奴が一人もいなくてキツかった。

オープニング音楽はRADのパクリにしか聞こえないし、いい雰囲気出そうとしてるんだろうけどイマイチ刺さらない。

ラスト、あれだけの問題を起こしといて丸く収まりました☆っていう展開にもただただ呆れる。なんだそれ。

見終わって凄ーーく不快感が残る、非常に残念な作品でした。
原作人気の作品だと思って、期待してたのに...大ハズレ引いた気持ちです。(ふて寝)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

リメイクではなく続編。無意味な結末の意味を感じたい作品です。

 意外なことにリメイクではなく続編でした。作品として、アニメの水準は決して高くありません。そこはあまり評価できませんが、この映画を見たときに重要なのは「気分」だと思います。

「打ち上げ花火…」と似たようなプロットで、ヒロインの親との関係は「君の名は」の設定に近い感じです。16歳という自意識は大人だけど大人のしがらみに翻弄される大人になり切れない年代の話でした。友人関係や恋愛感情なども絡んできます。

 7日間の抵抗の結末は誰でも予想はつきます。結果は変えられないけど、戦った事実が意味になるというテーマだったと思います。その抵抗があったからこそ告白も出来たし、親とのコミュニケーションも取れたということでしょう。

 ヒロイン父の政治家設定とか、警察の動きとか、細かく言えば不自然な部分は沢山あります。ただ、それでこの作品の本当に描きたい事を見失うのはどうかと思います。

「玉すだれ」の名前は最後に明らかになります。{netabare}「菊池ひとみ」みたいですね。実写版も原作も見てないですが、もちろん戦車の写真で引っ掛かります。そうなれば、BGMとあいまって、前作の登場人物に関係あるんだろうなあ、と読み取れます。で、前作の登場人物の名前を調べてみるとどうやら前作のヒロインが結婚して名前が変わっているという事みたいです。 {/netabare}つまり、続編ということです。

 確か原作と映画は中学生の物語。色濃く学生運動の気分が乗っかった話だったみたいです。
 今は高校生の物語。年齢と行動のバランスでは本作のほうがリアリティはある気がしますが、どうでしょう?ただし、学生の造形が2020年の学生ではない気がします。

 タイ人は、それがないとストーリーにならなかったから、というのが正解な気がします。少年としての大儀も生まれないし。

 スクールカーストとか毒親とかそういう感じのゼロ年代前半くらいのイメージに感じました。クリエータのアップデートがそこで止まっている感じはあります。いちおうSNSとか出して今っぽいですけどね。
 あと2年すれば18歳でそうなれば自由に会えるじゃん、という感想も一瞬持ちましたが、しかし、16歳のこの時期の2年はかなり長いですよね。いま、この場でやることが重要だという感覚は忘れたくないものです。

 本作のみんなで叫びながら本音を言い合う部分など、非常に古い学生のイメージです。でも、あの場面がある人生と何も語らないで大人になる人生で、何かが違う気がします。「本音」を言葉にだして伝えることで、大人になれたのでしょう。形式上の結末は変えられませんが、意思は伝わり多分その後に影響するでしょう。


 総評です。確かに作画は安っぽい部分はあるし、ストーリーや設定にも無理がある部分はあります。しかし、そんなことを言えばSFや異世界、ファンタジーだって、みんな無理はあります。そこを外して批判をするには惜しい作品です。ひと夏の冒険の「無意味さ」がもたらす意味を味わいたい作品です。

 なお、原作は宗田理さんですが、この人のぼくらシリーズは正直なところジュブナイルの中でも小学生向けと呼べる文体で、挑戦はしましたが数ページで断念したことがあります。もともとそういう性質の話のリメイクなので、話の不整合・不自然・出来の悪さは、あまり気にならなかったという感じもあります。
 一方で宮沢りえさんを今更引っ張って来て、ぼくらの7日間戦争を冠するのは、ちょっと広告代理店の匂いもするのはよろしく無かったです。

 けなす一方ですが、それでも不思議な面白さはありました。プロットが悪くても脚本とか演出が良かったのかもしれません。

 あまり高い評価はつけられませんが、主観的には悪くない感動がありました。70点くらいはある気がします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 6
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