美しいでファンタジーなTVアニメ動画ランキング 4

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87.6 1 美しいでファンタジーなアニメランキング1位
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1299)
6407人が棚に入れました
《人間》は規格外の《獣》に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。《人間》に代わり《獣》を倒しうるのは、《聖剣》(カリヨン)と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、《聖剣》は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく──。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。

声優・キャラクター
新井良平、田所あずさ、Machico、上原あかり、荒浪和沙、水瀬いのり、水間友美、久保ユリカ、石見舞菜香、木野日菜、小日向茜、井上喜久子、千葉繁、小杉十郎太、佐藤聡美、井上ほの花、佐藤利奈、麦人
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終末ヒロインの幸せとは何なのかを探し求めた結末…儚さと切なさを感じる作品

このタイトルを見た瞬間、訳がわからない感情がわき、ひかれました。タイトルで視聴を決めてしまいました。

1話…「私のこと忘れてくれると嬉しいな」
{netabare}ある島で出会う青年と少女。島の外れで遠くの島を眺める。少女はこれが最後みたいなことをいう。
青年は知り合いのゴブリンから軍の仕事を斡旋される。武器倉庫の管理だった。倉庫に向かうと、幼女に襲われる。が、そこに現れたのは島で会った少女だった。少女に導かれた先は大きな屋敷で、青年の知り合いのとおぼしき女性(トロル)と会話する。
青年の名前はヴィレム。なにかしら軍に関係した人物のようだ。そして、明るいのに影がある少女の名前はクトリ。青年にひかれているようだった。
この世界はすでに滅んだあとの世界で、青年は最後の戦いを経験した生き残りらしかった。

冒頭でいきなりクライマックスのシーンが出てきて、最後は…とかなり悲しい始まりでした。兵器=人間ということなのでしょうね。この二人がいい感じで、でも最後は辛い別れが待っている…考えただけで切ない。
作画の感じも良いし、展開も笑いあり、グッと来るようなシーンもあるし、これは毎週待ち遠しいです。{/netabare}

2話…幼女たちに信頼されるには
{netabare}武器倉庫とはいったものの、幼い子供たちの施設になっている状況にいまひとつピンと来ないヴィレム。子供たちは大人の男性に慣れていないため、接し方が分からない。そこでヴィレムはプリンを作って子供たちに食べさせる。その結果、ヴィレムはあっという間に人気者に。
ヴィレムが気になるクトリ。アイセア、ネフレンとの会話で「あと10日」というキーワードが嫌な感じ。
ある日、ボール遊びに夢中になっていた子供の一人が崖から転落。大ケガをしているにも拘らず、平然としていることに戸惑うヴィレム。
ナイグラートに武器庫に案内され、真実を知るヴィレム。子供たちは人間の武器が扱える妖精で、世界の驚異となっている獣たちと戦えること。飾られている聖剣は強力で、自らの命と引き換えに大爆発を起こせるということ。つまり、子供たちは命を落とすことが前提で生きていて、死を恐れていないのだった。しかし、ヴィレムには聖剣に見覚えがあった。聖剣は人間族の真の勇者だけが扱えるもので、ヴィレムにも関わりがあったのだった。
クトリとアイセアが数日消えた。獣たちと戦っていたのだった。迎えたヴィレムは疲れ果てていたクトリを介抱する。クトリは心の準備(死への)ができていたが、なにか違う感情が芽生えていた。

2話で「あと5日の命」という展開…。はじめから死しか選択の余地がない子供たちは…切ない。
クトリと同年代のアイセアとネフレンを置いたのは物語的に締まっていいように感じます。性格もバラバラだし、クトリ一人では重すぎだったので。
ヴィレムにも重い過去があって、ちょっとずつ明らかにしていく感じです。{/netabare}

3話…フラグ立てるな
{netabare}ヴィレムはネフレンに手伝ってもらい妖精たちの戦いの記録を調べた。翌朝、クトリが目を覚ますと、ヴィレムがネフレンと寝ていることに嫉妬(ジト目で)。ヴィレムがクトリに朝の運動と称して戦うことに。聖剣の使い方を伝える。クトリは戸惑うばかり。
戦い終え、ヴィレムが倒れる。ナイグラートに処置してもらい、落ち着く。そしてナイグラートは子供たちにヴィレムのことを話す。ヴィレムは人間族の唯一の生き残りだと。子供たちは驚くどころか、ヴィレムに益々興味を持つのだった。一方で、クトリはヴィレムから受けた戦いかたに混乱していた。空を飛び回り、ライムスキンと会話する。そこでクトリは本音を言い、ライムスキンはクトリに自爆せずに生き残ることも選択と伝える。
帰ってきたクトリにヴィレムは聖剣とは何かを話し、クトリは生き残ることもあることを話し、帰ってきたときの約束をする。そして戦場へ…。

濃い回でした。少しずつ明らかになるヴィレムの過去。そしてクトリの変化する心がなんとも言えません。三人娘が戦場に向かいますが、全員生き残ってほしい…。{/netabare}

4話…待つ者
{netabare}クトリたちが出陣してから半月、その結果は伝わってこない。心配するなか、ティアットが夢を見たという。ナイグラート曰く、一人前の妖精兵になる兆しだという。そこで診療所のある島に向かい、検査を受けるため、ヴィレムに一緒に行ってほしいと頼む。これはヴィレムに気晴らしをさせたいナイグラートの気遣いでもあった。
診療所に向かうヴィレムとティアット。飛行挺の中でヴィレムは夢を見る、それは悲しい夢だった。初めて島を出たティアットは検査を受けるためだと思いながらもウキウキ。ティアットが夢中になっている蜥蜴映画の聖地を巡り、あちこち引っ張り回されて検査に向かう。この検査、実は妖精兵になるための調整だった。これについてはティアットも心得ていて、立派な妖精兵になると言うものの、ヴィレムは「本当に良いのか」と問う。
翌日、雨降るなか、建物の雨漏りを見ていると外が慌ただしい。作戦は失敗したとかなんとか言っている。夢の中の描写と一緒になったヴィレムは焦る。そして情報を聞き出し、本当に失敗だったことを知る。愕然として膝から崩れるヴィレム…。そのとき、聞き覚えのある女の子たちの声が聞こえてきた。振り返るヴィレム、そこには三人娘がいた。ヴィレムは能力で瞬時に三人のもとへ飛び、そしてクトリを抱き締める。

先ずは無事に帰ってきて良かったよ…。ヴィレムがところ構わず抱き締めてしまうシーンはグッときたけど、表情がいまいちな気が…。それと、けっこう大雑把な流れになった気がします。もうちょっと丁寧に、じっくりためてからでも良い気がしました。とはいっても、この流れの話は好きなんですけどね。
今回の作戦が失敗だったということはどうなるんだろう? このあたりは次回明らかになるのかな? あと気になったのは噴水の像。確かOPに出ていたような気がするんだが…。{/netabare}

5話…ヴィレムはなんだかんだで
{netabare}三人娘の戦いの様子が語られる。敵は精神攻撃、予測を超えていた。そのための撤退だった。クトリは調子がいまいちである。
フィラのお願いにライムスキンは応えない。それどころか、ヴィレムに押し付けてしまった。かたくなに断るヴィレムだったが、その考え方は正論だった。フィラといつの間にか観光になっていた。しかし、それを狙う輩が。フィラの父親は市長で、反対派が反乱を起こそうとしていたのだ。そのために娘のフィラを誘拐しようと狙っていた。
ヴィレムはわざと狭い場所へ連れ込み、その一団をのしてしまう。なんだかんだ言いながら優しいのである。
島へ帰る直前、軍の一人に呼び止められる。ヴィレムはその名前を聞いて残らざるを得ないと考え、三人娘とティアットを見送った。

クトリに変化が生じてきた感じです。ヴィレムと離れてしまうことにかなり不安なんですけど…。
ヴィレムが残る理由は次週へ持ち越しですが、ヴィレムの過去が明らかになるのでしょうか。どうも転換点に差し掛かっているようで、目が離せません。{/netabare}

6話…良い最終回…じゃないのね
{netabare}ヴィレムが残った先には大賢者が待っていた。賢者はヴィレムの500年前の知り合い、スウォンだった。スウォンはヴィレムが石化した後も戦い続け、一度死んだが呪いをかけ不老不死になっていた。
ヴィレムはさらに意外な人物と接触する。頭蓋骨姿になっていたヴィレムが倒したイーボンキャンドルだった。スウォンとイーボンキャンドルからヴィレムが空白になっていた500年の話と妖精の話が若干される。二人はさらに核心を隠していた。
一方、クトリは苦しんでいた。何者かに精神が乗っ取られようとしていたのだ。これは生き残った妖精の宿命らしかった。ヴィレムが島へ戻って、クトリの状態を知る。ナイグラートと語らう。そのとき、クトリが目覚ます。クトリは先を考えず、ただただヴィレムに会いたい一心で帰ってきたのだ。

やっととというか、世界観が見えてきたような回でした。淡々と進むけど、もう中盤なんだ…。ヴィレムとスウォンの会話の珍妙なこと…。あの声で少年のような話しぶりは違和感より笑ってしまいましたが。
最後、単純な手法なのに、クトリの一声で涙止まらなくなってしまいました。弱いんだな、こういう展開…。これが最終回でもいいよと思うくらいです。{/netabare}

7話…続くのですね…
{netabare}クトリが目を覚まして数日。クトリには微妙な変化が生まれていた。ナイグラートに調べてもらったところ、反応が変わっているという。聖剣に近づかない方がいいと言われる。
ヴィレムは約束のケーキを作っていた。子供たちも大喜びだが、それはクトリとの約束だったケーキだ。クトリはそれを食べ、帰ってきたことの思いをヴィレムに伝えた。
一方、妖精兵はクトリたちの他にもいたのだ。ラーンとノフト、二人は地上の探索隊に加わっていた。そこに獣が襲ってくるが、ノフトが斬ってしまう。

ラーン、見た目がイカちゃん…。獣は某新マンのツインテールだし、ちょっと気になりました。二人のキャラがどう絡んでいくのでしょうか。ED、あれ?っと思って見比べたら、ちゃんと今回からラーンとノフトが加わっていたのにビックリです。細かい。ということは、一応、この回から後半突入ということになるんでしょうね。
クトリが約束だったケーキを食べることができて本当によかった。此のフラグは折ってほしかっただけに。でも、1話冒頭で赤い髪がクトリであることはバレているし、最後は…なんだろうけど、こういうシーン積み重ねていくと、最後は本当につらそうです。{/netabare}

8話…日常からの
{netabare}上官(とても嫌みな)との会話で地上の偵察隊について話を聞くヴィレム。見せてもらった写真はヴィレムのふるさとで、しかも自分がすんでいた家の跡地だった。
ヴィレムについてきたクトリ。もはやデートである。ヴィレムが地上に降りる話を聞き、クトリも一緒に行くことに言ってきかない。上官はなぜか簡単にOKが。どうやらクトリはヴィレムの愛人と思ったらしい。
夜、流星を見る子供たち。そのうちの一人が転落し、クトリが力を使って助ける。そして、クトリは異常が進行し始めた。

クトリとヴィレムの幸せそうな展開で、そのまま進む…分けがないのがこの作品ですね。最後だけでなく、途中にも先を案じる場面が織り込まれて、不穏でしたし。回数考えると、どんどん鬱展開に入っていきそうです…{/netabare}

9話…終わりの始まり
{netabare}クトリの変化に気づいたアイセア。クトリにアイセアの真実を話す。アイセアから励まされたクトリ、日常を明るく生きる。
ヴィレムはクトリの変化に気づいていた。それでもクトリは前を向くことを決意した。
冬の日の夜、壮行会を兼ねた降雪際パーティー。幸せな時間が過ぎる。そして、ヴィレム、クトリ、ネフレンは地上に向けて出発する。

クトリの一人語りが切なく、重いです。もう戻れないであろう、いるべき場所との別れ。最終回終わって見直すとじわじわ来るような作りなのかもしれません。
時折見せていたアイセアの違和感。その伏線の真実にビックリでした。その発想はなかったです。
とうとう地上に降りました。もう残り話数を考えると地上での話を繋いで1話冒頭の場面に行き着くのでしょうね。{/netabare}

10話…地上の日常
{netabare}地上に降りたヴィレム一向。ラーン、ノフトと出会う。地上の探索隊員から蔑みた目で見られたクトリ。クトリは自分のすべきことを行動で示し、隊員たちから信頼されるようになる。
クトリの脳裏に浮かぶ赤い髪の少女。その少女に立ち向かうこれまた赤い髪の少女。
ヴィレムはクトリのための聖剣を探し出す。そしてノフトの聖剣を手入れしている時に真実にたどり着き、愕然とする。

最後へ向かっての序章という回でした。真実を知ったヴィレム、クトリがクトリでなくなる寸前の状況、二人の着地点はどこにあるのでしょうか…。{/netabare}

11話…クトリの魂
{netabare}ヴィレムの求婚に応えたクトリ。二人は照れあい、普段通りとはいかない。ヴィレムの思い出の家に着いた時、地下から衝撃が。そして落下。
地下は空洞になっていたが、クトリの様子がおかしい。クトリが向かった先には氷付けになっていた子供がいた。セニオリスの呪詛によって閉じ込められたのだった。気を失うクトリ。
そのころ、飛行艇の周りは獣たちに襲われ大ピンチ。ラーンとノフトが抑えているが、二人は覚悟を決めた。気を失っているクトリ。クトリは意識のなかで赤い髪の少女と会話する。その子供は神で、過去に勇者のリーリァの一撃によってこの状態になっていたのだ。そして、クトリの存在が何であるかを知る。
飛行艇を襲いはじめた獣。ネフレンが必死に抑える。そしてヴィレムも戦う。

いよいよラストだな…という感じの回でした。重い、重いなぁ…。
せっかく幸せなろうとしたときに起こるピンチ。まぁ、1話冒頭で分かっていたこととはいえ、あれに繋がるのか…。みんな助かって欲しいけど、どう見ても悲しい感じだもんなぁ…。来週はハンカチ用意しておこう。
いままで謎だったクトリの真相、リーリァのこと、赤い髪の理由、とにかく詰め込んだので一回では掴みきれず、結局三回見てようやく納得。もう少し丁寧に描いてほしかったです。1クールだから仕方ないのかな。{/netabare}

12話…クトリの幸せとは
{netabare}飛行艇が獣たちに襲われる。ラーンもノフトもネフレンも限界に近い。ヴィレムは勇者になりきれなかった勇者。聖剣を使わなくても倒してしまうが、体がもたない。ラーンに自分の過去を話す。
限界を越えようとしていたネフレン。飛行艇から落ちそうになる。ヴィレムは救おうと手を伸ばすが、ネフレンは自ら落ちていく。追って落ちていくヴィレム地上に落ちる瞬間、クトリが救う。クトリはヴィレムを救うために自らを犠牲にしようとしていた。ヴィレムとのこれまでが幸せだったとこを強く思い戦う。そして消えた。
日が経つ。ヴィレムとネフレンの消息は分からない。クトリは消えた。そして青い髪の毛の少女が誕生し、大賢者の探査装置には波紋が二つ広がっていた。

1話冒頭で結末分かってはいたが、辛い結末でした。クトリの「誰がなんと言おうと、世界一幸せな女の子なんだ」はいかん…堪えきれません。その前のネフレン落下シーンですでに堪えきれなかったんですけどね。スカボローフェアはキツいなぁ…無理、堪えるのは無理。アイセアがぼろぼろ泣くシーンは泣き返しです。{/netabare}

今期もっとも期待した作品ではありましたが、一番とはいかなかったかなという感じです。それでも十二分に見ごたえあったと思いますし、良い作品でした。
ラストにきて次々と明らかにされていく真実や世界、頭追い付くのが精一杯で、2、3回見直していました。腑に落ちない点があったので、原作のあらすじを確認しましたが、なるほど、あと3話くらいあっても良い感じだったのですね。
ヴィレムが氷付けになる前の話し、リーリァとの繋がり、そういったものがもうちょっと掘り下げてくれたならもっと面白かったでしょうしょうね。

クトリというヒロイン、本当に良くできたヒロイン像だったと思います。ヴィレムとの出会いから信頼を寄せるまで、好きになっていく過程、自分の真実を知り、それでも前を向いて幸せになろうと進むところも良いです。最後のクトリとヴィレムの掛け合い、さすがにツラかった…。

OPの田所さんの曲、今期一番のお気に入りです。すごく心情に迫る感じがとてもよかったです。EDのTRUEさんはあんていしています。歌詞が書き込まれていたのは今どき珍しい。

二期があるとすると、別のヒロインの物語になるとのこと。クトリの物語が良くできていただけに、どんな話になるんだろう。やっぱり原作は読んだ方が良いのかな。

儚く散ってしまう少女の生きた過程を題材としています。こういった切なくなる話が好きだなという人にお勧めします。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 51
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

HE once was a true love of mine

【2016/06/30 誤記訂正】


原作については何も知らないが、いい加減に、マーケティング会議で凡庸なブレーンストーミングの果てに多数決で決めたようなタイトル付けはやめるわけにはいかないのだろうか。
アニメの第一話を見た限りでは、十分にテーマ性も世界観も詰め込まれた物語に見えるのに、出版する側が創作性より市場を優先して目配りしているようでは作者が浮かばれないだろう。


一話の冒頭から、重苦しい展開を予想させるような描写で幕を開けるが、続く『スカボロー フェアー』でオッサンは完全にやられた。

同世代の視聴者であれば、文句なくサイモン&ガーファンクル版の『スカボロー フェアー』を思い浮かべるだろうが、別離を想像させる切ない歌詞が、「彼女」を想うものから「彼」を想うものへ変えられているのは、歌い手の性別だけではなく、先の物語の流れに合わせたのだろうか。
それに加えて、サイモン&ガーファンクル版の、あの不穏な輪唱の歌詞まで想起させて、より物語の行く末を(勝手に)想像させて来る。

名曲と共に登場した物語は、どのように流れていったのだろうか。


{netabare}ラストで再び流れる『スカボロー フェアー』は、やはり、この曲が物語を象徴していたと思わせる。

彼は私の大切なひと「だった」、と語る歌詞は、過去を「振り返って」あの時が「幸せ」だったのだと告げるものだ。
物語を通じて次第に明らかになる希望の無さは、ヒロインから「記憶」が剥落していく描写と並行して、「未来」から希望が次第に「消えてゆく」事態を表現している。

あの、物語の冒頭こそが「幸せ」の頂点であり、そこから滑落していく過程を象徴するものとして、この曲はある。

だが、「運命」に翻弄される悲劇だと一面化しきれないのは、サイモン&ガーファンクル版の、あの輪唱の記憶のせいだ。

>由来も遥かに忘却された いくさ に

>戦え、殺せ、と

>将軍たちは、兵士を駆り立てる

サイモン&ガーファンクル世代の視聴者としては、この詠唱(私的な意訳)を作品外から幻聴してしまう視聴を止めることが出来ない。
製作者の意図を度外視して、この詠唱を二重化する効果を含めて『スカボロー フェアー』を採用したという視聴を、あえて選びたいと思う。

そうであってこそ、ラストの、主人公とヒロインの「死」と「幸せ」が奇跡的に融合されるあの特権的な瞬間が、誕生するだろう。
与えられる「運命」としての「悲劇」であれば、それを「肯定」する事にも深みは生じない。
二人が「将軍」が「兵士」に死を命じるような「やりきれなさ」を受け入れてしまうことが、ラストの割り切れないやりきれなさを生む。


将軍と兵士の「やりきれなさ」は、「世界」の構造として表現されている。

本作の「世界」は、ひどく「堅い」印象があるのだが、これは設定の各要素が、互いに支え合うように配置されていることによる。

破滅的な超兵器によって半ば地獄と化した地上だが、そこから逃れて人々の生存を可能にする「島」は、「超兵器」と同根の「技術」によって「人工的」に維持されている「大地」だ。
人工的な維持機構なしで「大地」=生存は不可能で、やはり「超兵器」と同根である技術によって「生産」される「妖精」の「使い捨て」も、これもまた維持機構の一部であり、島の「生存」の為には不可欠のものとして構造化されている。
「人工島」を成立させるシステムの一切は、「獣」の支配する地上を生み出した技術と同根で、原理的に「システム」は「地上」の脅威を凌駕して浄化することはできない。
浄化できない限界性によって、「人工島」のシステムの停止=妖精の解放もまた、あり得ない。

こうして、「出口」を塞ぐように互いに絡み合う設定が作り出す窒息しそうな「世界」が、それでも作為性が希薄であるのは、この「世界」を構成するパーツが、視聴者には見慣れたものであるからかもしれない。


人工的な「大地」の維持システムの一部として、それ無しではシステムが崩壊してしまうものとして取り込まれている「妖精兵器」は、資本主義システムが必然化する、それ無しで存続が不可能である「相対的過剰人口」と相即的だ。

不景気には真っ先にクビを切られ、好景気でも最後まで安定雇用はされない、貧困との境界上に押し込められる不安定雇用の「相対的過剰人口」は、十分に好況であれば消滅するものではなく、資本主義システムの必然かつ必須のものとして、システム自体に構造化されて一体化している。
決して安定雇用を得られない「層」は、システム維持の「人柱」として、構成員の入れ替わりはあるにせよ「層」としては排除できない。
まさしく、「人工島」の維持システムとして、逃れられない「死」を押し付けられて何処にも行けない「妖精兵器」との相似を見るのは容易だろう。
どちらも、システム自体の崩壊や変質を伴わずに、脱出することが出来ない。

そしてまた、「地上」の敵を一掃し、環境や生態を一変させて「獣」の徘徊する廃墟に変えた「超兵器」と、「獣」を殺戮するために「妖精」の命を要求する「聖剣」が同じ技術から生じていることも、核兵器=原子力の関係を連想させる。

原子力発電所が、核兵器プラントから廃棄される排熱を発電機に接続しただけの、本質的に同じ設備であるのは周知のことだが、その維持がしばしば非正規労働者である現場作業員の(コントロールされているとはいえ)被曝と引き換えであるように、「超兵器」と本質的に等しい「聖剣」が妖精の生命や人格の喪失と引き換えであるのは、これも相似的だ。

別に「現実」を寓意するために、このような「世界」が構想されたとは思わない。

「世界」を、「堅い」強固なものとして構築しようとする意図が、自然に現実的な要素を引き寄せたのだ、ということだろう。


この「堅い」世界を、決して肯定的に描いているわけではないのに、抵抗や破壊に向けては物語は進まない。
破壊は、ある意味で「未来」を指向する。
しかし物語の視線は、一貫して「過去」に向いているようだ。

通常、若者向けの物語では、「過去」は脊髄反射的に劣位に置かれ、「未来」は無批判に優位におかれる。
だが、優劣を疑わない視点からは、「未来」を輝いたものとして希望する「私」は、「過去」によってしか存在し得ないことを自覚することが無い。

本作で、「記憶」の脱落によって深い絶望と恐怖にさらされるヒロインは、アイデンティティ=自己同一性は、「記憶」の連続性によって担保されているということを的確に表現している。
「私が私である」という自己同一性は、昨日の私がここにいたという記憶、1年前の私がここにいたという記憶、3年前の記憶、10年前の……という「連続性」の確信の上に成立する。

記憶の連続性が疑わしくなるとき、「私」の自己「同一性」は揺らぐ。
記憶が全て消滅すれば、「私」も消滅するだろう。私という自意識の消滅は、「私」の「死」だ。

「私」が消え去る「死」への坂を滑り落ちながら、あの時たしかに幸せ「だった」という特権的な「記憶」に支えられるヒロインを追う物語が、過去へ向けた視線に支配されるのも当然だろう。
無批判に「未来」志向の視線を「前向き」だと捉える能天気な気分は、未来を見つめる筈の「主体」=この私についての思考停止を表明しているに過ぎない。

「私」の不安定性に無自覚で「未来」の優位を漠然と信じる「前向きな」視聴からは、ラストの決戦は捉えにくいかもしれない。

あのとき幸せ「だった」、と「過去」を見つめて「未来」を指向しないラストの主人公とヒロインは、「後ろ向き」であるわけではない。

あのとき幸せ「だった」という記憶を持っている「私」は幸せ「である」のだ、と、この「現在」の「私」の一瞬に生きたのだ。

「この一瞬」にすべてが溶解するような作劇は、「絶望」とも「希望」ともレッテル貼りを拒絶する。
視聴者に向けて、レッテルを貼ってパッケージ化して差し出すことをしない製作者の「語り」は、この「堅い」世界を「生きた」キャラクターへの誠実を感じさせるものだ。


キャラクターへの誠実は、その描き方にも表れているようだ。

主人公とヒロインの恋が終幕に至るまで前景化してこないのは、そこに製作者か作者の自制を見たくなる。

保護者的な大人と未成年の恋は、典型的には「教師と生徒」の恋に象徴化できるだろうが、マンガやアニメではありふれている。

大抵は「二人が好きあっていればよい」と肯定的に描かれるが、普通の大人からは抵抗感を感じられる。
「教師と生徒」の大人と子供の関係には、抜きがたく力の上下関係が存在するからだが、「生徒」に近い読者層からは、「教師」という大人と、ある意味で「対等」になれるという力関係の逆転の満足を得たいという欲望から肯定されるのだろう。

しかし大人にとっては、力関係を背景とした恋愛は、一種のマイルドなパワハラかセクハラであって、未成年との「合意」という言い訳では、正当化するに十分であるとは感じられない。
現実に「教師と生徒」の恋を結んでしまった大人が非難されるのは、こうした大人のバランス感覚の欠如が問題視されるからだが、本作の主人公が、ヒロインの恋心を知っても距離を保っている描写は、アニメ的にやせ我慢をしているというよりも、「大人」を表現しているように受け取れる。(なにしろ主人公は500歳を超えている社会人だ)

トカゲ人間の将軍やサルベージ屋の大将が、「妖精兵器」に対してきわめて「まっとう」な公平性をもって接する描写も、ベテラン声優を配した効果を発揮して、いかにも「大人」であるバランス感を表現し得ているようだ。

こうした描き方が、終幕でヒロインの「死」を目前にして社会的な大人の配慮を捨てる二人の恋の成就を、アニメ的展開のご都合に見せない、「世界」を「生きる」キャラクターへの製作者の誠実を示している。


このような、あちこちで一般的な「受け」に逆らうような表現やストーリーラインは、「泣ける」「笑える」といったタグを掲げる大ヒットの手法を無視しているようだ。

しかし、非情で動かしがたい世界に置かれた実存が世界を肯定しようとするならば、「スカッとさせる」展開があるはずはないだろう。

「縫い目のないシャツを縫う」ような不可能な「奇跡」が、もしも起きるのならば彼は恋人に「なるだろう」という「未来」を歌う『スカボロー フェアー』が象徴しているのは、非情な世界では「未来」は「奇跡」を要求するという困難性であり、肯定しようとする実存の困難だ。

ラストシーンで誕生した新たな「妖精」が、転生による希望という「奇跡」であるのか、煉獄に送り込まれた「兵器」が一人増えたという「繰り返し」の絶望であるのか。
説明のない混沌は、視聴者のそれぞれの実存を問うものとして、レッテルなしで投げ出されている。


最後に、これだけの物語を、マーケ屋のでっち上げたタイトル付けで市場に送り出した出版社の安直は、どれだけ非難されても十分ではないと強調しておきたい。



P.S.
ヒロインの人格が浸蝕される悪夢のようなフラッシュバックの描写で、小文字でlilya(リーリア? リリア?)というキャラ名(?)が断片的に表示される。
一瞬、ilya〈イリヤ〉と錯覚させるかのような表示だが、自分の人格が消えて見知らぬ人格が立ち現われる場面で、存在者が消えてなお立ち現われる存在、は、できすぎた気がする。
作者か製作者がレヴィナスを読んでいたのかは分らないが、偶然としても、世界に投げ出された実存の物語にはふさわしいかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 13
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ごった煮にして薄っぺらくした感じ

4話までの感想
{netabare}まず1話で思い切り興味を引いたのは、町をさ迷うシーンでカメラ固定(背景そのまま)でキャラがパッパッとテレポートする…実際にテレポートしてるんじゃなくて途中の時間をカットする演出があるのだけど、
テレポートするたびに微妙にカメラ(つまり背景)がズレる。
実写だったらそうなりがちではあるけど、アニメだとむしろ手間がかかってるワケで、そんなのをワザワザやってることに驚き。
(気付かないだけでそのようなズレる演出は他のアニメでも普通にやってるのかも知れないけど)
スカボローフェアもさることながら、ひょっとしてアニメってより実写映画を意識してるんじゃなかろうか?と思うように。
そして話が進んでいくと…1話での先入観も手伝ってアレを思い出しました。
怪獣映画と謳っておきながら怪獣を一切映さない映画…「大怪獣東京に現わる」。
怪獣が本当に現れたらどのように報道されて、人々はどう行動するだろうかってのを描いた作品、面白いっすよ。
ひょっとして終末は~ってソレ系?
原作未読なので今後の展開は知らないけど、もし最後まで地底?地上?のバケモノとの戦闘を「描かなかったら」かなりの良作になるんじゃなかろうか。
一方で描いちゃったらよくあるラノベ系で終わってしまいそう。
…しかしそんなことやるのかね?派手なアクションのないアニメって評価下がりそうだし。
クライマックスくらいは戦闘あっても、ま、まぁ大丈夫とは思うけど…。

それにしてもタイトルで損してる気がしないでもない。{/netabare}

5話感想
{netabare}あっれー?なんか変な方向に向かってないか??
序盤戦闘シーンがあったことは↑で書いた期待してたモノとはズレるけどそれは別に構わない、こっちが勝手に期待してた部分だしね。
ってか「こうなったらメガンテを使わざるを得ない」って状況までは追い込まれてないので、↑の示す「戦闘シーン」にはまだ至ってないのでセーフセーフ。
問題はそこじゃない。
新型の敵が現れて、対処方法が見付からず、浮島を一つ放棄した、ってことだよね?
う~ん…そんな状況って軍的には戦々恐々で物凄くピリピリしてるものだと思うのだけど、なーんか妙にノンビリしてない?
別部隊がコト(データ集積や検証)に当たっててヒロイン達は休養したまえってことなのかも知れないが、それにしたってなんか変。
ハドソン夫人がトカゲ男に頼み込むシーンにしても、ヴィレムの居る目の前でこれこれこんな事態なのでどうにかしてくれって言った後で「この話はできればおじさま以外の方には…」って…正気か?
あれれ?
でもって過激派がホイホイと軍にケンカ売るとな?制服で軍って分かってるんだよね?
んでもって内政がどうたら正義がなんたら…う~ん、暢気だなぁ。
なんかトータルイクリプス見てる気分になったのだけど、「お前らそれどころじゃないんじゃないの?」感が果てしない。
マンガなんかでたま~に見る「掲載誌が変わった」ってことで雰囲気が一変することはあるけど、ラノベでもそういうことってあるのかな?
いや、これ原作がどうであれアニメとしても脚本ヒドいと思うんだが…。
内政には不干渉だと軍規で決まってるなら向こうから手を出してくれないことにはどうにもならないワケで、囮に使ったことで怒られたり詐欺師呼ばわりされるのは不愉快(じゃあどうすれば軍規背かずに干渉できるのさ、と)。
ラストもウサギを殴ったんだと思うけどそれも意味フ。

とりあえず今回は捨て回と思った方が良さそう。
次回以降マトモに戻ってくれることを切に願う。{/netabare}

全話見ての感想
{netabare}終わってみれば「ありゃー?」って感じに。
今思えばハドソン夫人が出た回辺りからあれれ?だったかと、ってかそこで気付くべきだったか。
↑でも書いたけど、浮島1個沈んだことでじゃあ残った島はどうリアクションする?ってのは描かれない。
軍の活動も具体的に出てきたけど、同時にアラがやたら浮き出る形に。
活動資金は税金なのか接収なのか有志による募金なのか、とかね。

かつての自分の不甲斐なさを悔いて辛い生活に身を置く→わかる
かつて英雄としてスゲー存在だったけど今は知る者は居ない→わかる
この世界を統治する賢者に存在を知られてもそれまでの生活をそのまま→ん?

剣の調整ができるのはヴィレムだけで、もうこれだけでvip待遇待ったなしだと思うんだが…。
妖精が人扱いされないメガンテ要員だとしてもその立場は決戦兵器なワケで、扱いが雑になることはありえないような?
決戦兵器なれど消耗品な妖精の損耗率を下げられるって、ちょっとした革命クラスだと思うんだがかなぁ。
なんか、戦力増強が見込めるハズなのに放置してたり、妖精以外の対抗策全く考えてないっぽかったり、本気で化け物を倒す気は無さそうというか…危機感がなーんも無い。
これでは化け物の正体どうこうも、ふーんって感じにしかならない。

クトリの前世?侵食?もどうでもいいというか。
対決した化け物が侵食能力を持ってたってことではなく、一定以上HPを削ると侵食が始まるってことでいいのかな?
で、アイセアのケースから鑑みるに、前世の候補に挙がるのはヴィレムに縁のある連中(500年前にやらかした奴ら)ばかりってことではないっぽい?
あれ?じゃあクトリの前世が赤髪の少女だったのはただの偶然?
要は前世とやらは、生まれた時から決まってるのか後天的に植えつけられるのかようワカラン。
前者であるならクトリの前世に赤髪の少女が当たったのが都合よすぎ、後者であるなら最終回のオチが台無し。
じわじわと侵食されてく不気味さの描写もイマイチ、というか落第レベルだし(予算か?予算なのか?)。
…。
原作読めって?やだよお(苦笑い)

ところでここ(あにこれ)ではない何処かでプラメモと類似してるという指摘を目にしたことがあります。
う~ん、それはちょっと違う気がする。
プラメモは後半対応を変えたとはいえ、途中まで「そんなことをしても後で辛くなるだけだ」として主人公とヒロインが親睦を深めることに反対するキャラが居ました。
決して悪意があったってことではなく、「優しさ」由来の行動にバリエーションがあったというか。
対するこちらは二人を祝福するばっかりで、キャラに変化が無い。
ぶっちゃけ世界観を掘り下げる気が無いならラーントルクとノフトは要らんかったような…。
そうそう、ラーントルクで思い出したけど、生物兵器と生体兵器はちゃんと分かって使い分けてたのかな?
誤用してるなら誤用してるで構わないのだけど「バケモノの正体は一体何ぞ?」ってところで出た言葉なので、ハッキリさせてくれないと結局ボケボケにしかならないというか。
(敢えてどっちか分からない素振りで得体の知れない感を演出したのかも知れないが)

というかねぇ、同期に放送してたアニメでグラブルってのがありましてん。
浮島世界を舞台にしたファンタジーって共通点があって、どうしてもそれと比較してしまい安っぽく感じてしまう。
(グラブルの話も大概だが)島ごとに特産品があったりで、世界旅行をしてる気分になれた、多少なりとも。
終末も一応映画村とかあったけど…いやいやそうじゃなくて一次産業どうなってんのさ、ってのが説得力に繋がる部分だと思うのだが。
牧歌的な話を描きたいのなら人が社会生活するうえで最も根幹な部分である一次産業(農林水産業)を描くのが一番手っ取り早いと思うんだがのう。{/netabare}


総評
{netabare}浮島世界を楽しみたいならグラブル見た方が良い。
じわじわと侵食される恐怖を見たいならファフナー見た方が良い。
不幸ヒロインのラブコメが見たいならプラメモ(プラスチックメモリーズ)を見た方が良い。
転生ヲチがどれだけガッカリなのかを知りたいならケイオスドラゴンを見ればいい。
あ、大戦の生き残りネタ?う~んそれならガイアース(の1巻だけ)を見れば良いんじゃないかな、古いけど。
(ってか一時期流行ったんですよね、半ポストアポカリプスを舞台に大戦時の残党がどうこうするって話…ナウシカの影響か?)
それらをごった煮にして薄っぺらくしたのを見たければ…この作品!って感じでしょうか。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

76.5 2 美しいでファンタジーなアニメランキング2位
ハクメイとミコチ(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (404)
1596人が棚に入れました
ハクメイとミコチ。
緑深き森で暮らしている、小さなふたりの女の子。
木の洞(うろ)に家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……
身長9センチメートルなら、そんな事も出来るのです。
そーっと覗いてみませんか?
穏やかで愉快で、とびきり愛らしいその生活を。

声優・キャラクター
松田利冴、下地紫野、悠木碧、安済知佳、松風雅也
ネタバレ

※アニをた獣医師 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これいいなぁ♪ 小人たちの日常。

コロボックルの日常なのかな♪
癒しっぽいですね!(がっこうぐらしとかのたぐいではなさそうじゃ!それはそれでいいが。)
ファンタジーの世界。それがいい。

頭空っぽにしてほのぼのできます。ミコチ~かわいい
この不思議な世界観。グロのないメイドインアビスとびんちょうたんを混ぜた感じ(個人的意見)

1話。美しい夜空だ!なんて綺麗な作画だ!しかも満月が水彩画のような味がある!
自然の中で暮らす二人の小人。それはそれは不思議な生活の始まりです!
それにしても良い話じゃの~♪
おいちゃんだいすき。

緒方さんだ!もう良い声だなぁ~♪色気ある大人の美声。それにさすがの演技。


ウィキに、
一話完結の本作は、回によってストーリーの作り方が異なるが、樫木によると一番多く取られる手法は「言葉にできない『面白いこと』を起点とし、それを掘り下げて面白い理由を突き詰める」ということである。 この方法について樫木は、「『面白いこと』を見つけるまで執筆できない上、面白さの本質を見つけてもそのまま伝えられないため、打ち合わせに時間がかかる。だから、とにかく伝わるよう丁寧に書くよう心掛けている」としている。

と書いてあって、なるほどなぁ~♪と思ってしまったよ♪
たしかに語彙力の低下もあるが、言い表せない面白さや暖かさが作品から伝わってきました!

そして驚いたのがハクメイも女の子なんですね!そう思うと僕っ子かわいいですな♪

あれ?原作だとミコチは歌が下手だって…まあいいか
歌がうまいことに越したことはない!良い曲だ!

一言。これしゅきです。

少女終末旅行の後釜には良いですね! {netabare}
(余談。少女終末旅行、終わりましたね。切ないけど、二人の旅は続いていくでしょう。) {/netabare}

2話。曲、この世界観を表すような優しい曲だ。
悠木碧さんだ。歌姫役ですね。コンジュさん。
二人ともきれいな声です!楽しい歌ですね~♪
心暖まる。そういう作品です!

幽霊に弱いミコチ(笑) 研究者さん。どんな研究?
焦る研究者さんかわいい。ハクメイ、君は面白いな!
研究者の名前はセンさんか、どじっ子枠かな?

マスターの過去話。お!九十九神様!
マスターたちが愛して使ったおかげだろうね。
マスターも新しい、自分の道を。

3話。家は爆発した(完)

なんでだよ!(笑) そしてしばらく野宿です!
テントだテント。ハクメイ、さすがだぜ!
ミコチのテンションも上がってます!お料理上手は良いですなぁ♪ 楽しそう~♪ 嫁にしたい~♪
この星空は点数をつけられない(後ろでポン柑がボカン! なにいってんだろ…)
そして家が進化して帰ってきた!(変性してんな)

ハクメイ、仕事モードだとごみを見る目でした(感謝
さすがの腕前。
親方!優しい親方~♪いたちの親方~♪
ハクメイの反省。ミコチはそんな時も優しい。
優しいお話。

湯煎ってなんだっけ? おおっと(笑) 
適材適所ですな~♪うまそうな石鹸だ(なにいってんだろ)

後半は少しシリアス。だけど、ハクメイの暖かさが伝わるよ。そしてミコチも。

5話。ハクメイちゃん、仕事したいばしょがあるんだな
そんな一所懸命な姿がもう。頑張ってほしいという気持ちが強くなっちゃうよ!
そうやって心を動かしていくんだね♪

6話の髪を切ったハクメイかわゆいなぁ~♪
いわし、なんて着こなしだ!かっこいいぜ!
値切れ!値切るんだ(笑) 

と、頭領!こんなとこでも出てくるとは!

町巡り。こんな日常的な休日も良いものです!

小倉唯のむしちゃんコハルとりえりーのラビットミミ
ぐうかわですね♪癒しですよ~♪

8話は少し物騒かな?それでも根がいいやつしかいないのな~♪ 仲がよろしいものな~♪
やっぱり仲良きことは良いことだ!
宴は皆で楽しくだ!

9話。せんとコンジュ。ぎすぎすしてるけど、ハクメイとミコチのお陰でね♪皆で歌うぜ!
ハクメイ~♪かわいいな!みんなで歌うと楽しい~♪

せんの服作り。どんどん仲良くなるってのが見てて癒される♪
皆もかわいいけど、せんは美人さんだ~♪

10話。温泉だぁ~♪そしてセイソウチュウ…
目が死んでおる。そして露天風呂造り。
そこに竹がある。ならば竹風呂!
ハクメイとミコチって何歳なんだろ?
風呂で茎ワカメか~♪なんかいいな♪

あら、ミコチ姉、アユネ。かっこいい御姉様。
大根。2500円?かな? お高いんですな。
素の御姉様いいね♪
ハクメイとミコチの出逢いも気になるな。
ミコチ、そこはかってるのな(笑) 作家の実力。
サウスポー。姉。典型的な天才型。
ミコチ可愛い。おこなミコチ(笑) ハクメイ、さすがだぜ!男勝りの喧嘩止め!
いい姉妹だなぁ…愛だなぁ。

おおお!御姉様。おめでとう!結婚か!知らせに来たのか!そしてミコチに聞きたかったんだね♪作家をやっていくか!愛されてるね。ミコチも。

11話。汽車にのる。いってら~♪
夜汽車で旅へ。あげ山芋…だと…美味しそう!
ハクメイ、よく食べるねぇ♪こういう屋台は楽しそうですね♪

トンネル抜けて雨。釣りは雨でもできます。雨の方がつれたりするんですね♪(どうもり知識)

釣り話。みこちが何もわからなそう(笑)かわいいな♪

でもミコチはハクメイの嬉しそうな顔見てるだけで楽しいんだろうな♪

最終話。それはハクメイの昔の記憶。ハマーン様(リョクビロウ?)の武勇伝。また会えたらと願うハクメイ。
取り出すは、ダイナマイ~ト(ではない)。
優しいアライグマ(タヌキさん?)。
こんな大きなピーナッツ頬張ってみたい!
ハクメイは、マキナタが全ての者が入れるからと思っていた。リョクビロウと一緒にいたかった。

だけど、別れがあるから出逢いがあった。ミコチと出逢い、今がある。

ミコチのゴンドラ到着の何事!?には笑ったよ(笑)
そして猿のおばちゃんにも笑ったっす~♪
ハクメイは楽しくやってるよ。ミコチと一緒に。


この作品、本当に心が暖まります!皆の関係が深いんだなぁ~♪と思える。人間関係の暖かさよ!
最近暖かいしかいってない。尊いとか(笑)

自分はこんな風にやりたいように暮らしていけるかわからない。こんなに楽しそうに暮らせるかも。だけど、そうやって生きていければと、頑張ろうと思える作品でした。ハクメイやミコチみたいに自然の中で、自由に楽しく。そうやってみたいと思ったよ。

2期があれば見るでしょう。このような自然の重要さがわかるアニメは必要だと思います。



Ova ありがたく見させてもらいました~♪
旅館? 魅かれるものがあった~♪

投稿 : 2025/01/04
♥ : 23
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

森の小人の日常を描いた日常ほのぼの系

原作未読。最終話まで視聴。

【視聴前に】
原作未読の私には、内容については全く白紙状態。
サムネやCMのキャラデザが気に入って、視聴を決めました。
『メイドインアビス』、『魔法陣グルグル』、『少女終末旅行』・・・
最近、この手のキャラデザに、ハズレが無いからです!
(あくまでも個人の見解です)(笑)

【視聴を終えて】
いわゆる日常ほのぼの系とは少し異なる気がするんだけど、視聴していると、まったり・ほっこりする作品。
人間(?)関係の温かさを感じる作品。
不思議な世界観が魅力の作品。

という訳でお気に入りの棚に直行です。
第2期あるかな?
あると良いな!

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
森の小人の日常を描いた日常ほのぼの系の作品。
作画が、物語が、見ているこちらをまったりとした気分にさせてくれます。
作画良し、声優良し、物語良し。
上々の出だしではないでしょうか!

【第2話】
吟遊詩人のコンジュ役の悠木碧さんと、ミコチ役の下地紫野の歌声が良い。
小骨のマスター役の緒方恵美さんの声が素敵すぎる。

後半はセンの回。
骨に音ランプを繋げて動かすんだそうだ。
不思議な世界観の作品だ。

【第3話】
ハクメイが目立った回。
前半は自宅(とうか、ミコチの家)を爆破。
野宿の際にはミコチを上手にリード。

イワシ親方のもとでの仕事ぶりは、興味深く、面白かった。

【第4話】
{netabare}コンジュが新築祝いにハーブティーを持ってきたら・・・、
実はそのハーブティはミコチが作った物で・・・。

ミコチが作っているハチミツワッフル作りを手伝おうとすると・・・、
コンジュはお料理が大の苦手で・・・。

そんなコンジュは、ラッピングが得意で、ミコチのお手伝い。

コンジュは棚に置いてあった白い四角い塊を発見。
ミコチは石鹸の試作品だというが、飾り気も香りも無い・・・。
そこでコンジュは・・・。{/netabare}

この話が、後半の話に絶妙に繋がっていく。
自然な流れで、ハクメイとミコチ、そしてコンジュの持ち味を生かした良い物語でした。

【第5話】
再びハクメイ回。
第3話ととつながりが面白い、良い物語だったと思います。

石貫會(いわぬきかい)の話。

{netabare}1.会長との話。
ハクメイが「仕事をさせて欲しい」とナライ会長に頼むが断られる。
しかし、ハクメイはイワシ親方の刃物砥ぎとして参加。
仕事ぶりを認められたのか、ハクメイは会長からノミの研ぎを頼まれる。
しかし、ハクメイは「怖い」という理由で断ってしまう。
ところがこのことが、逆に会長に気に入られたハクメイは、ようやく仕事を任せて貰えることに・・・。
会長の「怖いもの知らずは信用ならねぇ」は。経験から得た、良い言葉だと感銘を受けました。

2.崩落事故の話。
ハクメイは、第3話で”あわや大惨事”の事故に遭遇した。
その時はイワシ親方に助けて貰ったのだが、かなり落ち込んでいた。
今回は、作業中に異音に気付いて、崩落事故から周辺の作業者をも救った。{/netabare}
第3話からの絶妙なつながりが魅力の良い話だったと思います。

【第6話】
美容師の話。
とことんマイペースな人だ。
ハクメイ、ショートカットになる。

イワシ親方と町へ行く話。
ハクメイとミコチはもとより、イワシ親方の良い人ぶりが心地良い。

この作品は、とにかく良い人ばかり出てくるので、終始、ニヤニヤワクワクが止まらない。
不思議な魅力あふれる作品。

【第7話】
ミコチの家の上の方が、なんだか賑やかで・・・。
上がってみると、そこには見覚えの無い扉や梯子がたくさん!
どうやらセンの仕業らしい。

後半は、カメラマン・ミミの話。
自然な写真しか撮らなかったミミが、ハクメイ・ミコチと3人でカメラ目線で写真を撮ると・・・。

ほのぼの心が温まる物語。

【第8話】
何でも有りが特徴の蜂蜜館で、古参者と新参者が小競り合い。
そこに余所者のハクメイとミコチが加わってさらにドタバタ・・・。
古参者がコンジュをさらったことで、ハクメイに火が点いて・・・。

この作品は、本当に不思議な魅力に溢れている作品だ。
最後のオチはほっこりする。

【第9話】
センの作った潜水艦(サイモン)で水中探検。
ハクメイとミコチ、コンジュが同行。
音ランプの音源は吟遊詩人のコンジュが担当するが・・・。
吟遊詩人のコンジュ役の悠木碧さんと、ミコチ役の下地紫野の歌声が心地良い。

後半はミコチがセンの服を作る話。
センが喜んでいる様子がとても可愛かった。

【第10話】
最近、肩こりがひどいハクメイ。
湯治のために近場に出来たばかりの温泉宿を訪ねたら、猫の団体客の抜け毛のせいで・・・。

後半は、ミコチの家に突然の来客が・・・。
ミコチの様子が何か変なのだが・・・?
{netabare}ミコチの姉・アユネが初登場。
ミコチとは似ても似つかぬ・・・。
何だかんだ言いながら、ミコチはアユネを、アユネはミコチのことを愛していることが伝わってくる。{/netabare}
ほのぼのほっこりするお話でした。

【第11話】
前半は夜越しの汽車の旅。
確かに、『揚げ山芋』は美味しそうだ!
この作品は、地味に「食べテロ」アニメなんだよね。

後半は旅先での釣りの話。
楽しそうなハクメイに対して、ミコチは・・・。

今回も、ほのぼのほっこりするお話でした。

【第12話】
かつてハクメイが一緒に旅をしていた緑尾老のキャラバンが通りかかるので、二人で見に行く話。

最後までほっこりが止まらないお話でした。

{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 48

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

ハクミコにファンタジーを求めるのは間違っているのだろうか

■概要
 2018年冬アニメ。原作は「ハルタ」にて連載中のマンガ。森で暮らす身長9センチの小人、ハクメイとミコチの暮らしを描く日常系作品です。どちらも女性なのだけど、ハクメイは男の子にしか見えないのでたぶん戸惑うんじゃないだろうか。そしてこの2人、夫婦にしか見えません。

 「メイドインアビス」「少女終末旅行」が面白かったので、「キャラデザがまんじゅう顔(海外ではポテト顔というらしい)のアニメは神アニメ!!」という全く根拠のない理由で視聴してみました。もっとファンタジー的なものを求めていましたが、最終的にはボチボチ楽しめたという感じです。いわゆる「癒し系」に属する作品ですね。この類のアニメの中でも特にまったりしていて毒っ気は全くなし。昆虫や小動物たちとも仲良く会話する、いたって平和で優しい世界が広がっています。あと、食べ物とお酒(本作はお酒が毎回登場する)がとてもおいしそうな飯テロアニメでもあります。

■作画
 正直作画は全然詳しくないのだけど、このアニメは絵が一番のウリだと思うのでレビューで書いておかないといけないですね。やわらかいテクスチャーの背景美術と手書き感のある人物作画の調和が取れていて、素晴らしい作画だったと思います。おそらくコンセプトは「フルカラー漫画アニメ」なのでしょうね。コマ割を連想させる画面分割で見せたり、集中線や怒りマークといった記号的表現を使ったり、「さわさわ」「ギュッ」といったオノマトペをそのまま文字で描いたりと漫画的な表現がとても多いのが特徴です。描線もペンのかすれを再現するこだわりぶり。あとカメラワークもあえて立体的に見せないことを意識して、縦横のじわPANが基本になっています。原作も絵の評価がとても高い作品なので、ファンには嬉しいアニメ化だったのではないかと思います。

■世界観
 本作はメルヘンチックで優しい世界が特徴なのですが、一方で設定的な粗が非常に目立つ作品です。正直ガバガバw

 やたらとインフラが整っていて森に住んでいても不便さは全くない。動物に乗って移動している場面を描いておきながら、後半のエピソードではなんと汽車が登場する。昆虫や動物とは仲良しなのに鳥や魚とはしゃべれない、そして魚介類はおいしく食べる。その線引きの考え方は不明で、食材として干し肉が登場するのだけど何の肉なのかは全くの謎。このアニメは果物など周りの大きさとの対比で小人の小ささを表現しているのだけど、日常品は全部小人サイズのものが揃っている。そして自然物も頻繁に小人サイズになってしまう場面が見受けられる。さっきでかかったキノコが急に一口サイズに小さくなったりしますw

 サイズが小さければ当然重力の影響も違うのだけど、そのへんの物理法則はほぼ無視されています。絵には随所にこだわりが感じられるのに世界観はこだわりが全くなくて、「優しい世界」と良く言われる本作ですが、だいぶん「都合のいい世界」寄りになってしまっているような感じもあります。何より、このアニメの世界は僕たちの暮らしとの距離感が近すぎて、小人っぽさに欠けているのが残念な点でしょうか。

 ・・・とここまで批判してきましたがレビュータイトルの疑問に至るわけです。これファンタジーとして見ているから駄目なんじゃないかと。つまり、ハクミコにファンタジーを求めるのは間違っている。たぶんカニカマボコに「カニ入ってねーぞ!」と文句を言うくらい間違っている。「カニカマにマヨネーズつけて食べると美味しいよね」みたいな寛大な精神で見るべきなんでしょう。ファンタジーちゃいまっせ。ただの日常アニメでっせこれ。

■日常
 日常系は雰囲気が合わないとけっこう退屈なジャンルで、僕はファンタジー的な要素を期待していただけに、最初はこのアニメをそんなに楽しめていなかったのですが第10話がとても印象に残ったので軽く紹介しておきます。

 第10話「大根とパイプ」は突然ミコチの姉がやってきて、相変わらずマイペースで世話の焼ける姉に飽きれつつも、懐かしい話に花を咲かせる・・・というよくあるストーリーなのだけど、これがとてもよくできているんですね。日常系アニメに対して使うクリシェとして「日常の愛おしさ」があります。この「日常の愛おしさ」を、私達はいつ感じるのでしょうか。

 このエピソードはその答えを示しているように思います。昔と何ら変わらないと思っていた姉との関係。でも別れ際に「ある大きな変化」を見せられた時、2人は別々の暮らしをしていて、お互い少しずつ変わっていることを実感する。同じことを繰り返す毎日で忘れてしまっている、人生は1回きりで時は有限だということ。それを朧げに意識した時、人は何気ない日々の出来事に「愛おしさ」を感じるのだと思います。

 世間的には普通に優良回という扱いでいわゆる神回という感じではないのですが、2018年冬アニメの個人的なベスト回がこの「大根とパイプ」でした。そんなに毎週楽しみにしていた作品でもなかったのでこれには自分でもびっくりですね。

■総論
 本作にセンス・オブ・ワンダーみたいなものは求めない方がよいと思います。あくまで日常系として見れば、とても丁寧に作られた好感度の高い良作です。まったり・のんびりした雰囲気の日常系、癒し系アニメが好きな方には良いんじゃないでしょうか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 39

79.7 3 美しいでファンタジーなアニメランキング3位
このはな綺譚(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (563)
2428人が棚に入れました
あの世とこの世の間にある宿場町に建つ「此花亭」。
ここは神様に仕える狐っ娘たちが働く温泉宿。
期待と緊張で胸をふくらませ「此花亭」へ奉公にやってきた柚。
個性的な先輩たちに迎えられ、仲居修行が始まりました。
ある日、ちょっと頑張り過ぎてしまった柚は、お客様である薬屋さんを転ばせてしまい、
先輩仲居である皐とともに謝罪へと向かうのですが…。

声優・キャラクター
大野柚布子、秦佐和子、諏訪彩花、久保田梨沙、加隈亜衣、沼倉愛美
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

ギリギリ踏ん張った

1話感想
{netabare}タイトルからしてそうだけど、ひょっとして花ネタをガチでやる?
着物の柄がキャラの名前通りの花になっててビビった。
ってか蓮(=ハス)に至っては名前紹介される前から「あ、ハスだ」と分かってちとフフっとなった。
お陰でキャラの名前は全員一発で覚えられました、これは珍しいことでっせ。
(あ、柚の着物の柄はちょっとう~んって感じ。合ってはいるけど…)
いやね、キャラを花の名前で統一してる作品は過去にもあるけど、それがちゃんと連動してるかどうか疑わしいモノが多くてねぇ…。

で、そうなると気になってくるのが、これ、季節変わるんだろうか?って点。
夏の花もあれば秋の花もあるワケで…ずっと春ってことは無いと思うのだけど、背景ちゃんと描けるのだろうか?
夏の桜なんて毛虫が着いて大変ってイメージしか無いぞ?

ところで他の方も指摘してるけど、とても“うらら”っぽいですよね。
うらら好きだったので良いのだけど、そのうち「占いにハマる」なんてネタが来たら腹抱えて転げ回ると思います。

それとOPのスタッフにもりやまゆうじの名前が…。
ついこの間“ようこそ実力主義~”の11話でも見かけたが…多分その時はアクションシーン担当したと思うのだけど、こっちそんなアクションするような作品じゃないよね?{/netabare}

2話感想
{netabare}え?ムスカリ?
序盤の風呂シーンで背景に咲いてる青紫色の花ね、導入自体は明治頃らしいが流通しだしたのは30年前程度という外来種。
作品の雰囲気的にブチ壊しな花なワケだけど、OPでセーラー服の女子高生らしいのも出てるしなにかの伏線なのか?
そういやけものフレンズでも2話でヤツデが出て伏線になってた(冷奴)っけ…そういうこと?
ああ見えて時代は現代とか。
とりあえず考証を怠ってたってことだけはマジで勘弁して欲しい、現状違和感しかない。
一方OPで巫女装束キャラも出てるので名前はヒイラギかサカキなんじゃなかろうかと思ってたら、当たっちゃった。
(宛てられてたキャラは違うけどね)
ついでに風呂シーンの翌朝、桐が女将に呼ばれるシーンで手前に配置されてたのは多分コデマリ、縮尺がワカランので自信ないけど。

感想は…あの神様の正体を探ろうと占いすると追い出されるとか闇に落ちるとかそういうのに違いない。
まだこれといって親交深めてないのに泣き出すのはちと早急な気が。
ずっと春なんじゃなかろうかと危惧したがどうやら季節は変わるっぽい、夏の花や秋の花期待してもいいんだよ…ね?
とりあえず桜終わったら次はキリ、サツキ辺りか…その後にヤマボウシが来るかどうか見所かな。
いやね、落第騎士~って作品で季節の移り変わりにサクラとアジサイの間の期間にハナミズキを使うという演出してたので。
それを超えるくらいのことはして欲しいので…。{/netabare}

3話感想
{netabare}ちと1話の感想の書き忘れから。
仕事に追われて周囲に目もくれずにいたのを「もうちっとのんびりしましょう、季節の移ろい見よう」と示したのが櫻と柚のやり取りだと思います。
良い話ではあるけど…即ち今後背景にちゃんと季節ごとの花を描いていかないと台無しなワケで「ハードル上げてくなぁ、大丈夫?」という思いを抱いてます。
別に違ってたとしても「ほれ見たことか」と論(あげつら)うつもりは無いけどね、むしろ心配するというか。
と、そんな前提のもと↑の感想は書いてました。
「花ネタうっせーよ」ではなく「花ネタ注目していきましょう」って作品かなぁ、と。

さてそんな中の3話。
期待通り季節に合った花が次々と出て…っていうより出し過ぎじゃね?
サクラは終わったけどまだ水仕事はキツい時期。
前回風呂場の背景ムスカリで「なんで?」と思ったが今回はキンセンカ、庭にはスズラン。
回想シーンでミズバショウ、掛け軸にアサガオ(この2つは季節微妙に違うが問題ない)、そして蓮と柚の会話シーンでサツキ(orツツジ)に見せかけて…んん?この花の付き方はシャクナゲじゃないか。
妙なところで妙なチョイスしますなぁ。
しっかしこんなに使っちゃって今後ネタ続くのかな?まぁ使い回しても構わんけどさ。
ネタに詰まって海外種に頼ることにならなきゃいいけど…(といっても戦後導入種でなけりゃ気にしない)。

内容の方は…。
柚が底抜けにお人好しで蓮が「少しは疑うことを知れ」みたいなことを井戸に叫ぶが、人物ボカしながら悩み打ち明けた時まんまと見抜かれてて…ん?柚って結構目ざとい子なのか?
ボケっとしてるように見せかけて案外食わせ者だったりして。
でもって3話は全部通して蓮の皐スキスキ話だけど…う~ん、個人的に最近百合ネタは食傷気味というか。
とはいえこれはタイミングが悪いってだけで作品が悪いということではない。
それよりも…少年キャラだと?
この手の作品で少年が出るって珍しいような?
まぁショタには興味無いんだけど、ホモじゃなくて普通に女の子に興味あるみたいでなんか斬新に見えてしまう…ちと自分汚れすぎかも。
レギュラーなのかどうかも分からないけどねー。
ってかなによりも気になるのは、こいつらって大人になると犬面になるのか?
そうであるなら…成人してからのほうがタマランって人も居そうな予感、どうなんだいそこら辺。{/netabare}

4話感想
{netabare}冒頭ひなろじ難民救済、またやってくんないかなぁ。
今回ってもしかして本来原作では複数のエピソードだったのを1つにまとめたのかな?
というのもあの世界の設定紹介(生と死の狭間だったのか)と夢がどうたら~って件を同時にやられるとなんか混乱する…回想シーンで回想やられてる感じ。
最初謎の少女は座敷童かと思った。
折角(キャラ名)桐が居るんだし、娘が生まれたーって話なら(木材の)キリと絡めることはできなかったのかな?
(自分は反物といったら桐箪笥とは切っても切れないってイメージがある)
蓮ってカワイイと言われて照れるキャラだったっけ?「そんなの当然よ」とフフンとするタイプだったんじゃ?
最後親子で階段登るシーンは途中振り返ったらアカンやつかな?と思ってしまったのは無粋だろうか。
う~ん、なーんか展開に強引さを感じてしまいます、テンポがおかしいのか?

でもって今回の風呂場の背景の花はアスターかデージーに見えるけど…え、アスター?ちょっと自信ない。
後半に出てた花も違いを強調して描かれてるでなければイラストでボタンかシャクヤクかを見分けるのは無理。
作品の内容的に…アカン、それでもワカラン。
いずれにせよ紅白に絞って黄花を紛れさせなかったのは好印象、やっぱ雰囲気的にね。

今回注目するのはEDが変わったこと。
夏がテーマで、これってつまり3話ごとに春夏秋冬の4パターンのEDが用意してあるのか?
EDの入り、1カット目が今回よく出てたボタンorシャクヤクで、それ含め似たようなカットが3枚続きました。
次回はアジサイでその次はヒガンバナをテーマに計3話やるってことじゃなかろうか、ヒガンバナが一気に季節飛ぶけど。
因みにその3カットの後は主要キャラに即した花が描かれてたけどサクラとナツメはハブられてました、季節じゃないから仕方ないね。
最後はホタルブクロ、それよりもよくまぁキリの花を描いたもんだ、結構無理してて苦労が忍ばれます。

ところでEDに百合の花は出てませんでした、秋に回すには無理がある気が…。
これ系で百合が出ないってのはちと考えにくいのだけど「ユリ?毎回散々出てるじゃないか、女の子同士がイチャイチャすることで」ってトンチ利かせてるワケじゃないよね?
もしそうだったら…評価せざるをえない。{/netabare}

5話感想
{netabare}マツコさんキター!
やっぱりうららの続編作ろうよ。
繰り返しになるけどOPでセーラー服キャラ居たので心構えはできてたが、リボンとか西洋ネタ来たけどそこら辺の塩梅もうららのが上な気がする。
神道だとあの世界に行くって感じなんかね?クリスチャンは無理そう。
後半の機織りの話は…ええいこれでは桑畑が出ないじゃないか。
しかも今回風呂シーン無し、ノルマじゃなかったのか。
乳首見えないなら風呂シーンなんて有っても無くても一緒なのだが、何気に背景にどんな花が植えられてるかをチェックするのを楽しみにしてたのでちと残念。
でもって今回花はアジサイの一点推し。
エンディングでタチアオイが出てたので梅雨ネタに絡めるかと期待したのにスルーとはこれ如何に、桃色パラドックスでは使ってたのにね。
次回出るんかのう?
しっかし、作画頑張ってはいるけどやっぱりもう一杯一杯でギリギリ踏みとどまってる感。
単なる指定ミスかも知れないがアジサイの縮尺がおかしいカットが…ひいい頑張れ。{/netabare}

6話感想
{netabare}EDで6話はヒガンバナをメインにすると予告されてたワケですが、果たして夏にヒガンバナってどういうこと?と思ってたら…なるほど!
夏→怪談→ヒガンバナってことだったのね。
更に現実の季節の花は一切見せず、回想シーンではサザンカでした。
つまりは、夏の回なのに夏の花ナシ、けどちゃんと夏の話というなかなかの変化球。
洒落たことやってくれるねぇ、お約束崩しをして中だるみ回避も狙ってたのかも?
けどこれで秋にヒガンバナ、冬にサザンカを使うストックを減らしてしまったような…重複してもいいけどさ。
ところで4話の母子は天国?への階段を登って行ったのに、今回は三途の川なの?と疑問に思ったが、これって悪霊になって悪さをした罪があるせいかなーと思ったり。
すぐに赦免されるとは思うけど、ここら辺ちゃんと使い分けてるのだとしたら評価したい(ただの気分なだけな気もするが)。{/netabare}

7話感想
{netabare}前回イキな演出をやって、これで調子が上ってくかな?と期待しての第7話。
…。
あびゃああ、ヤベーくらいに作画がギリギリ。
脚本だかコンテだか、早い段階で手間を減らす配慮がされてるせいかキャラクター自体に崩れは無いが、兎に角動かないし、民衆を最低限しか映さない。
キツネがキツネの面を被るのは本来フフっと笑うシーンだったのかも知れないが、これも作画の手間を軽くする方策なのかなーと穿った見方をしてしまう。
前も書いたけどギリギリ踏み留まってる感…ひいい最後まで堪えてくれ、なんか違った意味でヒヤヒヤする。
内容は…前回に引き続き柚が“あっちの世界”へ行きそうになるという…感受性が高くてそういうのに飲まれやすい性質なのかね?
悪霊なのもお構いなしに親切に接した恩により戻ってこられたが、自分の立ち位置をしっかりしないと連れてかれちゃうってことなのかも知れん、お菊も今はそういう目に遭いやすいって言ってたし。
蓮はなんかこじらせちゃってる感、正直コワイ、こっちのが先に闇落ちして“あちら側”へ行ってしまうんじゃなかろうか。
「一見穏やかだが一歩間違ったらヤベー世界に行きかねない、そんな危なっかしい世界が舞台」ってのはうららと共通するが、危なっかしさの表現が物足りないような…これも作画のせいか?
リアルの祭りでしんこ細工って自分見たことないかも…。

でもって花。
冒頭と桐が年齢訊かれた時にツンツンしてたのはワレモコウ、それと後半2カットだけ出たのは…なんだこれ?
自分にはクルクマに見えたが…クルクマ!?
同じ仲間のウコンならギリギリ世界観に合うと思うが、葉が無いのはなんか変。
画面でピンクに見えたのは花でなく葉(ハツユキカズラとか)の可能性もあるけど「このはな~」ってタイトルでそんなの出すかなぁ?
そして予想通りED変わりました。
あんまり花が出てなくて予想立てるには物足りないが…お、アカマンマあるね、オママゴトする話でも来るかな?{/netabare}

8話感想
{netabare}いやぁヒヤっとした。
この世の人がこのはな亭へひょいひょい行けてしまうのは何度も死の淵に立ってるせいなんじゃ?と思ってしまい、少年はああ見えて難病持ちで何度も危篤状態になったり余命幾ばくもなくで、更に当人は知らずに大人達だけ知ってるとかいう切な過ぎる話かと思った。
オチで実は犬でしたって明かされてホっとしたけど、犬が自分は犬だと自覚せず人間だと思い込んでるって話はたまに聞くが、それとは関係ないかな?
そういう犬は「飼い方が悪いと」って例なので、盲導犬はそんなことないでしょう。
…まさか盲導犬の訓練は死と隣り合わせとか、そんなハードじゃないよね?
オヤジについては、意識戻っても失明してるってオチが用意されてるのならその前に美しい光景を目に焼き付けるって話があっても良い気がした、このはな亭ってそういう場所ちゃうのん?と。

冒頭に出た花は季節的にノボタンかと思ったが葉が全然違う。
ひょっとして前半は別の季節?ってことならハナシノブが一番近いかな(それでも葉の着き方はアレだけど)。
だとすると季節は春で海の水はまだ冷たいぞ、ヤベーって、そりゃあ死にかける。
中盤でヒガンバナ出してなんとか秋っぽくしてたけど、他にもいくらでも花あるじゃーん?と思うも、やっぱりそこまで美術拘ってらんねーってことなんだろうか。{/netabare}

最終回まで見ての感想
{netabare}毎回植物当てクイズに挑戦してみようかな~と思ったのだけど…途中で断念。
全っ然出ない回(キンモクセイが止め絵で1カットあるだけ)があって気力萎えちゃいました。
↑でも書いてますが「夏なのに夏の花が出ない回」というなかなか凝った演出の回があるだけに、じゃあ他の回はそれを引き立たせるためにも頑張って季節の花を出さなきゃアカン…となると思うのに、それができてない。
これはスタッフも途中で力尽きたのかなぁ?
作画も崩壊一歩手前でギリギリ踏ん張ってた感じだし、エンディングで蓼(タデ)が出てたのに本編に出てないのもそう思わせる。
それ以前に同期に放送してる作品に魔法使いの嫁ってのがありまして、そっちも毎回植物出るってワケではないのだけど、出す時は驚くくらい拘った描写をしてまして、どうにもそっちに軍配が上がってしまいまして…。
日本庭園vsイングリッシュガーデンって図式を勝手に妄想してましたが…まぁ~勝負にもなってなかった。

1話がサクラ咲く季節からのスタートで、てっきり作中で丸一年を描くのだと思ってたら最終回は正月で〆でした。
2月3月が無い、まさか旧正月だったりする?
放送時期(2017年10月~12月)からして最終回近辺がリアル時期と合致するため、見終わったら「じゃあ実際に外出て何が見れるか散策してみよう」って人も多いんじゃないかな?
そういう意味でも後半…冬の植物は気合いを入れて欲しかったが、もうなんかもう全然でした。
比較ばっかりで恐縮ですが、2クール作品の魔法使いの嫁は放送後ネモフィラ畑(5月の連休が見頃らしい)へファンが行きそうな気がするけど、こっちの作品ではそんなの無い予感。
一応旅館が聖地になるのか?

内容に関しては、柚が不思議空間へ迷い込むネタが多かった印象。
少なくとも3回は迷い込んでるよね?
最終回も「またか」って感じで目新しさを感じなかった。
回想シーンで柚がビクニに拾われる直前、威嚇してたのは意外。
そんな子がビクニの元であんな丸くなって…と思ったら「物足りなさ」の正体が分かった。
ああ、ガチ怒りするシーンが無いんだ。
それやると優しい世界にケチが付くと判断したのかねぇ?
自分のためでなくとも人のために怒るシーンあっても良いと思うんだがなぁ…けもフレで「カバンちゃんを返して」としがみついてたシーンでホロリと来た人も多いと思うんだがのう。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

みゅ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

こういうの大好きです

癒されますね。
やさぐれた心に染み渡ります。

日常萌えアニメというよりは、「ARIA」のようなヒーリングアニメの分類かと思います。
癒されるだけでなく、台詞一つ一つがとても深く、考えさせられます。
現代に擦り込まれた醜い常識というものが覆るような、物事の本質を捉えた作品だと思います。
悪い言い方をすれば、綺麗事の塊です。
でも大好きです、こういうの。ただの綺麗事ではなく、心に響きます。
この作品のタイトル「このはな綺譚」は的を射ていますね。
まぁ、タイトルは1度改定されたようですが。
元々は「此花亭奇譚」だったようです。
ですがその変遷を見ると、「妖しくも、美しい物語」という二つの意味が同居していることが分かる良いタイトルだと思います。

2chなどでは女の子が可愛いだけとか萌え豚御用達とか言われてます…
まぁキャラデザはかなり可愛いですし、視聴の動機にもかなりの割合で影響しています…キャラデザが好みじゃなかったら観ていなかったかもしれませんが…
それよりも注目するべきはシナリオと、それを引き立ててくれる、非常によく練られた演出です。

シナリオはとても心温まる内容で、人誑しな性格をした主人公が登場人物を次々と魅了します。
主人公は育った環境の影響で、非常に澄み渡った考え方を持っています。
見習いたいと思うほどに。
なんだか臭い台詞を吐くヒロインは数多居ますが、ただ物事に鈍感なだけか、発達障害を疑わざるを得ない頭の中身だけ幼稚園児なおバカさんである場合が殆どです。
幼稚な性格=可愛い という安直な方程式が組み込まれてしまってるんですよね。
幼稚=純粋 とか。それが通用するのは子供までだと思うのですが。
まぁそんなヒロインばかりが溢れているので最近はなんとも思わなくなりましたが…

しかしこの作品の主人公は幼稚でも鈍感でもありません。
むしろ達観していると言っていいです。それでも嫌味がない。
上でもチラッと述べたように、人誑しなのです。
他人の感情の変化や心情には機敏に反応し、その人物が最も欲している言葉を捧げてくれます。
作者の技量が伺えますね… どうやったらこんな台詞や考え方が次々浮かんでくるのか…
そんな主人公に登場人物たちは惹かれていきます。
現実にこんな友人がいたら一生ついていきますね(笑)

多くの人が抱えていそうな悩み、時には辛過ぎて逃げ出したくなるような事柄に対して、とても前向きな考え方を提供してくれます。
主人公は日常に潜む小さな幸せを心から慈しみ、どんな後ろ向きな感情にも前向きに向き合って登場人物たちの心を救います。
主人公は、といいましたが、此花亭がそういう場所なのですね。
台詞一つ一つが突き刺さります。


私は「ARIA」も観ているのですが、好きな作品ではあるのですが中々手が進まず、2期の序盤で停滞中です。
というのも、ああいった綺麗な雰囲気に映像がついていけてない感じがして見応えを感じないのです。
これはひとえに現代の優れた技術を用いて作られたアニメに慣れてしまい、私の目が肥えたことが原因かと思われます。
シナリオは好きなのですよ。
その証拠に、同じスタッフが似たコンセプトで作った「たまゆら」という作品はすんなり観終えることができました。
余談ですが、この2作品は、主人公の性格や取り巻く環境が、このはな綺譚と似ている部分があります。


なぜここのレビューに他作品の話をわざわざ書いたかと言いますと、映像の美しさがどれほど作品の良さを引き出すかを伝えたかったからです。
この作品は、非常に安定した作画に、こだわり抜かれた演出が合わさり、とてつもないことになっています。
背景の美しさはこの作品の魅力をかなり引き立ててくれています。
第5話の、「梅雨送りし」での色調を落とした演出は、狙っている効果は見え見えなのに鳥肌が立ちました。
毎話非常に高水準な映像美が繰り広げられますので、ここで語るには長くなり過ぎます。
ご自分で堪能してください。

キャラの表情芝居もとても細かいです。
京アニ程ではありませんが、細かい表情の動きが丁寧に表現されています。
今のご時世、「とりあえす可愛い女の子をキャピキャピさせときゃいいだろ」とか「最強の主人公が敵も女の子も無双しとけば売れる」みたいな政治的思想がダダ漏れの作品が多いですが、そういった作品は得てしてキャラデザ頼りで作画は不安定、表情は乏しく全く魅力がありません。
1無表情2赤面3笑顔4怒り5寝顔
精々この5パターン前後くらいを記号的に使いわましている、俗に言う量産アニメですね。
いや、そういうアニメも無くてはならない物だと思いますし、私自身も観ますので非難したいわけではないのです。
表層的な部分に囚われて一緒くたにして、自ら視野を狭めるようなことをしないでいただきたいのです。
粗探しをするのではなく、良さを見つけた方が、いろんなものが楽しめると思いませんか。
上記のようなアニメを毛嫌いする人は割と大勢居ます。
ですが、キャラデザなどの表層的な部分だけで作品を決めつけ、「萌え豚アニメなんて糞食らえ」とか言わずに中身を観て頂きたいと思います。
私自身最初はその手のアニメだと思い流し見要員で視聴を始めましたので、まさか見入って感動させられるとは思っていなかったのです。
こういった1話完結型のいわゆる萌えアニメで泣いたのは初めてのことでした。
ウルっとは来ても中々泣けない体質(?)なのでいつも涙が引っ込んで残念な気持ちになるのですが、この作品は耐えきれませんでした。


某アニメ作りのアニメに出てくるいろんな意味でプルンプルンしてる監督が、「アニメってテンプレの代名詞か!?違うだろ!!」とかなんとか言ってましたが、まさにその通りで、記号的な表現を貼り付けるだけではこういった作品は仕上がらないと思います。
まぁそうは言っても萌えアニメ感は強いですので、その方面の記号的表現は多々ありますが…(苦笑)
そこだけを抜き出して叩くのは違うと思います。

まぁとにかく映像が綺麗なんです。

映像が綺麗で作画が安定していてキャラデザが可愛くて感動するという事を言いたかっただけです。


割と止め絵も多く使われていて、上手く作画カロリーを抑えているのもこのクオリティーの維持に貢献していそうですね。
基本的にはよく動くんで。


実はまだ最終回までは観ていないのですが、何回か泣かされかけて、いよいよもって泣かされたのでレビューを書かずにはいられませんでした。

ラストの締めで評価が落ち込むようなことも、もしかしたらあるかもしれませんが、今抱いている印象が消えるわけではありません。
素晴らしい作品です。
もっとこういった風に丁寧に作られたアニメが増えるといいですね。


(その後最終回まで観ましたが、最後まで素晴らしい作品でした。
1話もつまらない回がありませんでした。中々無いですよ、そんなアニメ。
原作もまだ続いているようですし、読んでみたいと思います。)

投稿 : 2025/01/04
♥ : 3
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

美しいものを美しいと思う、あなたの心が美しい。 by みつを

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
とても美しい作品でした。

それは、映像だったり、風景だったり、音楽だったり、人の心だったり。

自分が観てきたアニメの中で、(設定はちがいますが)一番近い雰囲気がするのは、「ごちうさ」かな? どこまでもピュアピュアで微百合なところがね。

日常系百合萌えアニメとしては、かなり高いクオリティにあると思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
、、、でも、ピュアピュアハートを直視できない私は、心の汚れた大人です(笑)

別に嫌いじゃあないんだけど、そういえば「日常系百合萌えアニメ」って、どハマりはしないな~と。

「ごちうさ」も、「うらら」も、「ひなこのーと」も「きんモザ」も、嫌いじゃないし楽しめたけど、そこまではハマりませんでした。

どちらかと言えば、「ゆるゆり」とか「ゆゆ式」の方が好きですね。つまり、ややギャグよりの方が好みということです。

とはいえ、自分の好みを度外視すると、やっぱりハイクオリティなアニメだったと思います。お気に入りは、櫻、でしたw 和みましたw

本作の特徴としては、主人公の柚がとにかくピュアだということですね。一点の曇りもない、澄み渡った春の空のような柚の視点で物語が紡がれるため、ドロドロとしたものは描かれません。描かれないというか、ドロドロしたものに、柚のエッセッンスが1滴でも加わると、すっと綺麗な物語に変わるんですよね。他の登場人物達も(ゲストキャラ含め)、柚のピュアピュアハートに触れることで自分の中にある「黒いモノ」が、スッととかされていくようでした。

例えるならば、「油汚れの~J○Y♪」のCMのように(油汚れに1滴垂らすと汚れがパッと散るような感じw)。

多分、柚にはいろんな事が美しく見えている、見ようと努めているのでしょうね。

尤もそれは、柚が生まれつきもっていた資質ではなく、実際、幼いときの柚は、「あの人嫌い」「きっとこういう風に(悪く)考えてるんだ」なんて言っています。でも、八百比丘尼に深く愛され、育ったことで、人を愛せる力を身に付けたのでしょう。実際、子供の時に(親などから)深い愛情を受けて育った人は、大人になってからも、しっかり人を愛せるように育つと言いますしね。

やはり、柚の心が綺麗だから、世界は美しく見えるし、そんな本作を楽しめた皆様は、やっぱり心が綺麗なんだと思いますよ♪ (私と違ってw)

、、、ところで、主人公の柚を、「おおきく振りかぶって」の「三橋 廉」に似ていると思ったのは、私だけでしょうか(笑)? 口の形とか、ピュアピュアでカワイイところとかw
{/netabare}

【余談~ 美しい作品、「美」の語源 ~】
{netabare}
「美」は、やはり「美人」「美声」「美化」など、「外形がりっぱできれい。うつくしい」という意味合いで使われます。

しかし、本来の「美」はもともと、「心の有り様、心の美しさ」を表す言葉でした。

「美」を上下に分解すると「羊」と「大」に分けることができます。大きな羊が美しい? というのは、「大きな羊は皆で分け合って食べることができる。その様が美しい」ということです。

誰かのことを考える優しさ。誰かを救い、共に在ろうとする心。それが本来の「美」であり、「美人」。

そう考えると、やはり柚は「美しい人」なんでしょうね。作風にぴったりの漢字です♪

※勿論、語源には諸説あります。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
萌え&百合系? そこまで好きなジャンルではないかな。絵と音楽はかなり綺麗だね。ロリっぽいキャラデザはあまり好きじゃない。1話で二人のキャラ紹介とか、かなりテンポが早い。主人公の柚は、「おおふり」の「三橋」っぽい(笑)

2話目
例え家が焼けても優雅にw やはり、テンポが早いな~。桜満開から祭の流れは、いくらなんでも早すぎないか? 情緒不安定かw 今のところ、イマイチついていけてない。

3話目
みんな同じことしかできないなら、仲間はいらない。その通り。百合百合してるな~。柚だから気がつかないのもアリだと思ったがw 百合百合してるな~(汗)

4話目
なんかこう、どこまでも素敵なアニメで、逆に、観るのがツラい(苦笑)

5話目
まず、雨粒を機織りするというのがね、なんともこの作品らしいね。

6話目
柚の資質が後天的であることが分かる回だね。

7話目
夏祭り回は鉄板だね~。迷子が逆w ここでこの間の幽霊さんが登場って、素敵♪ 蓮の二面性、深いところのコンプレックスや心の傷は、愛しくなりますね。

8話目
ウソップとカヤみたいだな、ONE PIECEの。ん? なんかこう、人間界の世知辛さと、此花亭の温かさとの対比かな? なるほど~、よく出来た、いや、よく出来すぎた話だな~。劇団ひとりさんの小説、「陰日向に咲く」みたいだな。

9話目
コメディタッチだね。あわなみ? 知らない神様だな。

10話目
柚の成長だね~。ゴシップ好き(笑) お姉ちゃん(笑) なるほど、柊の真実、やっぱり優しい世界だ。

11話目
ハロウィン、ディスってる、イイねw 二人の神様、マツコさんとミッツさんがモデルかな(笑) 人形、女の子の友達ってのは、素敵解釈。お菊、今、初めて遊んでもらってる最中だから、成仏しないんだね。

12話目
自分の為の願いは、自分で叶えるものだから、自分の為以外の願いしか叶えない。なるほど。邪なものの中にある、美しいもの。ウカ様、いなこんw 椿(女将さん)の真実、いいね♪
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 43

82.2 4 美しいでファンタジーなアニメランキング4位
ふらいんぐうぃっち(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (1300)
5993人が棚に入れました
青森の親戚の家で居候をすることになった15歳の魔女・真琴と、彼女を取り巻く少年少女の日常をコミカルに描く物語。

声優・キャラクター
篠田みなみ、鈴木絵理、菅原慎介、葵井歌菜、三上枝織、日野まり、井口裕香、佐倉綾音、茅野愛衣、小澤亜李
ネタバレ

アトランティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

日常×魔女アニメ 安定の面白さと、和む、癒される感じ[毎話実況レビュー2作目]

2016年春アニメ
2015年の幸腹グラフィティに引き続き今期の毎話レビュー枠
ということで、更新していきたいと思います。

はいふりか、くまみこか、この作品と、どれ見よう~
って悩んでて、好きな声優のみかしー(三上詩織さん)が出ていたので
それで視聴を決めましたw

日常ものの雰囲気がありますが、主人公の子は魔女なので
何かあるかもしれません。
シュールな笑いが起こるシーンも多く、面白いです。


第一話 6年振りの不思議
{netabare}主人公は魔女の真琴、青森に帰って来たところから話はスタート。
真琴の同級生の圭の声が棒って言われてるけど、何か感じがあっていいと思うけどなぁ。。
顔のデザインは作品にあった優しい感じ(-∀-)

真琴は高校生だったみたいで、学校に通いだします。
始業式、そこで、重大発言。

「東北地方は結構魔女多いんですよ」

何とwww
一話で2個ある見所の一つ目でした。

見所の2つ目はですね、
あの真琴がほうきにまたがって、飛ぶシーン…の、
それを目撃して目が死んでる千夏ちゃん。
1話目イチ笑ったシーンですw
こんなとこで飛んでいると他の人にも
見られてそうですが。。(´・_・

まぁでも
千夏ちゃんのおかげでこの作品が成り立ってると言っても
過言じゃないほど、千夏ちゃんは重要な子です。
冒頭での、真琴を頭イっちゃってるやばい人と勘違いするとこも
笑えますw

とまぁ、20分弱見た感想としては、
静かなようで、賑やかなようで、微妙にジブリ感のする作品でした。

EDはmiwaさんが担当で、アニメでは銀の匙以来の出会いです。

2話以降も期待したいと思います。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第二話 魔女への訪問者
{netabare}またシュールな絵から始まりましたw(何か降りてきた…)
一話でmiwaさんがED担当だと書きましたが、すみません、
OP担当だったみたいです。

マスコットキャラのたか丸くんが登場。

前半は春の訪れの話で、さっき書いた、何か降りてきた人物が
春を運ぶ運び屋さんだったようです。
……(´・_・`)ちょっと見た目が怖いなぁ
千夏ちゃんが怖がるのも分かる。
悪い人に見えるけど、根はすごくいい人でした。
ウチにも春をありがとうございます_(._.)_ 

後半はふきのとう(ばっけ)を道端で採って、家で揚げて食べる話。
作画陣の作り込みの意欲がにじみ出てました笑
ふきのとうの揚がった姿がすごく美味しそうで、
それを真琴がすごく美味しそうに食べるので、
何か食べたくなる衝動に駆られました

でも、実際は結構苦いらしいし。。
千夏たんも顔で嫌がってましたねw

EDもいい感じで今日も平和に鑑賞しました。
ほのぼの枠に入りそう。
20分見て思いましたが、今回の話のタイトルは
「春の訪れ」の方がしっくりくると思うのです。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第三話 畑講座と魔術講座
{netabare}このアニメは前半と後半に話が分かれるのかな。
今回は新キャラ登場回です。(要必見(・ω・!)

前半は魔女としての格を上げるため、真琴が畑仕事に挑戦します。
草ボーボーの状態から肥料をまいて、耕して……。
平和な時間が流れておりました。
……奴が現れるまでは、、

奴はすばしっこく、挑戦的な視線をふっかけてくる奴です。
とんねるずのみなさんの……でたまに使われるネタ
「こいよ~」
が脳裏を過ぎって一人でウケてました笑
前半のまとめは「みんな似たもの同士」、これに尽きます。

後半は千夏ちゃん「未知との遭遇」第二回!!
ということでターバンぐるぐる巻きの謎の女性が倉本家にやってきます!

あの千夏ちゃんの目が点になる表情が好きなんですよね
今後もそういう場面あるのでしょうか。。

ターバンぐるぐる巻き女の正体は、世界を放浪してる真琴の姉、茜でした。
なんでも、魔女界では有名な御方だそうで、
気さくな感じで千夏たんともすぐに打ち解けてました。
サーヴァント…じゃない、お付きの猫たちの会話も聞けますw

茜は真琴に簡単な魔法を一個教えてすぐに帰ってしまいます。
成長確認と、たまには魔法使えよっ!って言いにきたのでしょうね。
やらないと腕がなまってしまうのは僕達人間と同じみたいです。

と、以上ここまで、3話について書きましたが
今回も相変わらず平和で見ていて和んだ、しかしみかしー要素が
足りない一話となりました。
次回はみかしー(が演じてる子)の出番期待してます{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第四話 桜の中の占い師
毎回レビューの前にタイトルを書いていて、題名からも平和なアニメだな-って感じが最近しています。
{netabare}と、いうことで。 きました4話!

祭りに圭と千夏ちゃんと真琴の三人で行くシーンから話は始まりますが
今回は祭りがメインじゃないです。
祭りの部分では、圭君の以外な弱点を楽しみましょう?
「(ぐぬぬ…) 圭め……。さらっと真琴の肩に手を……羨ましいッ」

さて、ふらいんぐうぃっちは今までではですね、
1話の中で、一応前半後半の区切りがあったのですが、
今回の4話目は全体で話一話として成り立っています。

真琴の姉茜に因縁?を持つ魔女犬飼との出会いですね。

今回は今まで、というか、今年アニメの中で一笑った回でしたww

ー一年前ー
茜と祭りで飲んだ夜、ひょんなことから人間犬化してしまった犬飼。
果たして彼女は無事、人間の姿に戻ることができるのでしょうか!?

これが主題ですね。
今回は千夏ちゃん「未知との遭遇」!!って感じじゃなかったです(^_^;
あのOPで「何だこのキャラ……?」と思わせられていた
謎が解けてちょっとすっきりしたです。

でも、夜には普通の人間の姿に戻れるんですね。
日中はほぼ黒タイツ状態って……それもそれで酷ですが。。

犬飼さんは超絶美人なので最後まで必見ですよ~!

ということで4話の感想は短いですがここまで。

ふらいんぐうぃっち可愛い番付に有力者がエントリーしましたね笑
真琴、千夏ちゃん、茜、そして犬飼(人間ver){/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第五話 使い魔の活用法
{netabare}2クールじゃなければもうすぐ半分になりますね。

というわけで5話です。
使い魔の活用法、とタイトルはなっていますが
今回はタイトル離れというか、内容はものすごく平和でした。

真琴の使い魔の真っ黒ネコの「チト」回です(*^_^*)

前半はチトが散歩しながら街のスポットを探す話、
後半はそれをもとに真琴と散歩する話。

前半はチトのことが気になった千夏ちゃんが
チトを尾行するんですが、どのシーンが後半の伏線になるのか、
見ていただきたいですね。

…………書く事が、、ない。

うん、そんなわけで5話は散歩回でした。
真琴が可愛い回でもありました~{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第六話 おかしなおかし
{netabare}今回の6話は簡単にいうと「千夏ちゃんが魔女の弟子入り」
をする回です。
魔女たちの間で有名な謎のほうきあるあるに始まり
かっこいい、可愛い魔女になりたい!と言い出した千夏。

じゃあ簡単な魔法からやってみようってことで始めたのは
「お菓子に魔法をかけて遊ぶ」って魔法。

これで千夏と真琴が茜の罠にまんまと引っかかるっていう……笑
効果が反対だったら良かったのに。。

と思いつつ見ていた6話でした。
……それにしても圭って魔術に興味ないのかな……
3人が魔法使ってるときも無視してDVD見始めたし。

魔女になってから何をしてもいいってのは平和な設定ですね。{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第七話 喫茶コンクルシオ
{netabare}第七話は喫茶店に行く話がメインかと思ったら
尺的に前半の山菜採りの方がメインっぽいようです。

今回はなお(みかしー)が台詞多くて良かった。
みんなで山菜採り、木々が綺麗で小川のせせらぎが心地よい、
自然を堪能できた回でしたね。

茜昼間からビールと山菜の天ぷらで、もうおっさんですww

喫茶コンクルシオはOPの最後に出てくるアレですね。
もしかしたら現実にもあんな店ありそうなって感じが。
皆さんも廃墟を見つけた際は「二礼二拍一礼」を実戦してみてはどうでしょう。
p.s. 新キャラが登場しました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●○○○



第八話 常連の鳴き声
{netabare}今週は新しい子が登場、
椎名杏子ちゃんとそのお母さんです。
杏子ちゃんお母さんとそっくりで可愛い(*´`)
声優は井口裕香さんかなぁと思って見ていたら最後のEDで
井口裕香と書いてあったので「よしッ!」正解でした(^_^;

8話目は喫茶店のおはなしです。
コンクルシオは200年も続くあちらの世界の皆さんの交流の場なんだと。

そんなわけで人間以外にも、いろいろな人がやってきます。

カップルのてんとう虫とか (お母さん虫と会話できるってすごいw)
夜のとばりさんとか (ハンドルネームみたいで笑ったw)
狐……狐。 (こいつが今回のオチをすべて持っていった笑)

そんないろいろなお方が来店する一見カオスそうな店だけど
流れてる雰囲気はまったり。
彼らから代金は頂かす、周りの害虫駆除等をしてもらってるそうです。

今日は一番満足できた回でした。

ED後のCパートは今回はちょっと長く
茜が魔法の実験で面白いことをやっています。

キーワードは「ベトナム」と「水墨画」。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●●



第九話 明日の明日は今にある
{netabare}始まりはお母さんの絵本から。
お母さんはプロの漫画家で千夏ちゃんはその絵本をチェックしています。

お母さん「きつねさんがコンコン……」

千夏「お母さん、きつねはワンって鳴くんだよ」

…千夏ちゃん先週のあれをひきずって・・笑

(追記)
→コメントを頂きました。
先週のアレは犬ではなく、やっぱり狐であって
狐の鳴き声は犬に似ているんだよ、ということを伝えたかった。
そう考えると、僕は狐の鳴き声は知らないので
こんこんじゃなくてワンに近いのかもしれませんね笑
コメントありがとうございました_(._.)_ 

今回のタイトルはなんでしょうね。
繋がりはよく分かりませんが。

犬飼さんが久しぶりに登場して
みんなで占いをしました。

ストーンが落ちる描写が
リアルで良かった

結局、占いはあっけなく当たったというか、
唐突でしたねw{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第十話 料理合わずと蜂合わず
{netabare}いつも1週遅れていましたが、これで最新に追いつきました。

前半は圭と真琴となおとで学校の調理実習。
カレーとハンバーグって、、重い。
昼前だったら最高だけど、昼からだと辛そう。
(僕の学校は午前でした。食べてからまた昼飯w)

前半は、ただただ真琴の作った「魔女の指」が衝撃的でした(゚o゚;;
ネットで画像検索したら実際にもあるんですね…
なぜ血が付いているんだろう。。
気持ち悪っ(笑
理由が分かる方がいたらメッセお願いします~_(._.)_

さて、その翌日、後半は
みんなでりんごの蕾取り「摘花」です!

圭の解説がわかりやすく、自然の描写も良かったですね。
真琴の作った魔女の指の効力がまだ続いていましたw

もうあと2話となると、名残惜しくなってきますね。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第十一話 くじら、空を飛ぶ

すみません、遅くなったので見所だけ。。

くじらが街にやってくる!
魔女の新聞は特別!(見てみたい)
みんなでホットケーキパーティー、
美味しく食べて歴史も学ぼう!
杏子ちゃんかわいい。

では最終回にて。

満足度:●●●●●●●●○○



第十二話 魔女のローブと日々は十人十色
{netabare}ついに最終回となりました。
始まりから、終わりのムードがひしひしと伝わってきます(;_;)

真琴も箒乗りが上手になっていてチトさんからお褒めの言葉が……笑
今回はチトさんがいつになく喋りまくりでしたw

千夏ちゃんにローブを作ってあげて
犬飼さんは占いをしていて、
茜は今日も昼からかんぱーい!…酔ってる…

いつものふらいんぐうぃっちの姿がそこにはあります。

で青森が舞台ですので
最後の締めはやっぱりねぷた!(作中ではねぶただったかな…忘れました。)
(ねぷたとねぶたの違いはググりました。)

作画気合いが入っていましたね。
祭りですので犬飼さんの占いも繁盛、気合が入っています。
もちろん茜の酔っ払いっぷりも。w

みんな浴衣姿も良かった(^_^

そして真琴たちの元に訪れた
金魚たちの幻想的な風景に包まれる中、
作品は無事、幕を閉じました。

12話通して感想を書いてきましたが
1話1話感想を書いていたので、
他の春期アニメに比べると
思い入れも強く、内容もよく覚えています。

このレビューをまた見返した時に
作品のことを思い出して、くすっとなれるような
文章になっていることを祈ります。

では、僕のふらいんぐうぃっちの書き留めは
以上をもって終わりにさせて頂きます_(._.)_ 
3ヶ月の間、お付き合いいただきありがとうございました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



作品全体:●●●●●●●●●●
オススメ:超


終わり、後の楽しみ。

・2期への期待
・サウンドトラック
・原作コミック
・声優のうぉーきんぐ、さーちんぐうぃっち。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 39
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ゆっくりとした口調や柔和な言葉遣いに安心します。

田舎での落ち着いた日常を描いた作品の様です。

主人公の真琴が魔女なので、少しだけ不思議な事が起こりますが、それらの出来事が自然に日常に溶け込んでいる所に魅力を感じました。同じ様に田舎での日常を描いたアニメ「のんのんびより」と比べて、キャラの年齢が全体的に高めなので、口調や言葉遣いもさらに柔和で、よりゆったりとした空気を醸し出しているのではないかと思います。

登場する人たちの殆どが、他者の行動に自分の行動を合わせたり、気を使ったりせずマイペースに行動している点は、都会を舞台にした日常アニメのキャラたちが、常にお互いの孤独を補い合い、気を使いあう行動に走りがちなのと比べて、自由であり、予測不能であり、それゆえ面白いと感じました。

1~4話
{netabare}
2話で圭君が道端でフキノトウを見つけた時も、なおはあまり興味を示さなかったらしく、さっさと家に帰ってしまいました(笑)。

この作品で今のところ耳障りなものをただ一つ挙げるとすれば、1話で登場したマンドレイクの叫び声で、片耳を塞いで引っこ抜いた真琴は魔女だからってよく無事だったなあと思います。少し離れた所になおもいたので結構危なかったかも知れない。

4話はこれまでの3話と比べてやや賑やかな回になっていた気がします。(ノロイっぽい顔になってた人もいたし)個人的には最初の3話の方がこの作品の魅力を強く感じられました。それでも取り立てて派手と言う訳でも無く許容内でした。やはり毎週楽しみです。桜並木の描写は非常に美しかった。

演出について、使い魔である猫に安易に人間の言葉を喋らせなかったり、3話のお姉さんが去るシーンでも僅かに煙が立ち昇っただけだったりと、控えめな中にも動きや構図などで魅力を出し、作品の雰囲気を壊さぬよう細心の注意を払っている事が伺えました。後者のシーンを見た時、なぜか私は既視感に近いリアリティを感じました。ああいったシーンで、見栄えはするものの雛形に従った表現しか出来ていないアニメと異なり、日常の中の不思議を文字通り空気の様に描いているアニメは、私の知る限りでは殆ど例が無く(※1古いヨーロッパの映画の何かにこんな描写があったかも)素直に感服させられました。畑を開けるために引っこ抜いた雑草の描写や動物たちの動きについても、地味な中にも目を楽しませるものがあり、見ているだけで幸せな気分になってしまいます^^

※1:ジョン・ブアマン監督の「エクスカリバー」ヤロミル・イレシュ監督の「闇のバイブル 聖少女の詩」にそれっぽい描写が確認できました。前者は英・米共同の、後者はチェコの映画。
{/netabare}
5話~最終話
{netabare}
5話はねこ好き必見のねこ主役回であると共に、登場する人物同士が互いに気兼ねする事無く、各々自由に振舞っていた様で、この作品の雰囲気がこれまで以上に強く出ている印象を受けました。

6話では不動の圭くんが珍しくも呆れ気味に漏らした独り言がありましたが、それとは関係なく、かねてから思っていたのですが、ふらいんぐうぃっちの作風は「長くつしたのピッピ」等で有名なリンドグレーン原作の※2「やかまし荘のこどもたち」にちょっと似てると思いました。

むしろそれよりも落ち着いている空気が有ります。上記の作品でも、子供達がぐらぐらして抜けそうな歯を上手に抜く方法を考えたり、草むしりの最中に変な言葉を発明してみんなで遊んだり、ザリガニ釣りに行ったりと、のどかな日常を描くばかりで、取り立てて事件と呼べる様な挿話がありません。

映画版も製作されているのですが、こちらでは出演している子供達の演技も、演技と言って良いものかどうか迷う程に自然で、ハリウッド映画や日本映画に散見される、子供を大人にとっての都合の良い操り人形として扱っている様な、わざとらしい描写の仕方とはまるで違っていて、安心して視聴出来ます。

ふらいんぐうぃっちを気に入った人なら、アニメ一筋の人でも充分に楽しめる映画だと思いますのでおすすめです。

7話は山菜取りとか、山菜をおつまみにしたお姉ちゃんの昼酒とか、廃屋の魔法喫茶や、可愛い幽霊も登場して、物語の展開的にも、美術的にもふらいんぐうぃっちの魅力が凝縮した素敵な回でした。チトさんもいつも以上にニャゴニャゴ喋ってました^^

7話から引き続いて8話も魔法喫茶を舞台に、とっても落ち着いた会話劇が繰り広げられます。椎名さんとそのお母さんの二人の新キャラが物語に加わりましたが、作品の雰囲気は微動だにしませんでした。※3アザミを食べるてんとう虫って見た事有りませんが、葉っぱの部分にアブラ虫がわんさと付いているのを見た事があるので虫にとっても美味しいんでしょうね…。

生長しきったアザミの"がく"や成長し切った葉のイガイガ部分は人間にとっては食用に適しませんが、若芽や若葉、茎、根っこまで、殆どの部分が食用になります。採る時はくれぐれも棘に気を付けましょう。刺さると細菌感染する恐れがあります。

今回も和みました。

最終回は裁縫回、裁縫好きのブリキ男にとっては楽しい回でした。布地選びから採寸、裁断、縫製など、要所要所丁寧に描写されていました。裁縫の手際の良くない私は、裏地付きの見事なマントをぱっぱと作ってしまう真琴の手腕に驚かされました。熟達している人なら出来そうなので、魔法と言う程ではないですが、とても羨ましく思いました。

※2:ピッピにも似ていると思います。リンドグレーン原作のスウェーデン映画(他の国の製作ものはあまりよろしくない。)は他にも色々有りますが、どれも面白いと思います。

※3:概ね鞘翅につやが無いのが草食、あるのが肉食らしいです。作中描写は肉食のナナホシテントウみたいに見えますが、一応テントウムシもアザミを食べる!
{/netabare}
最期まで大きなドラマも中くらいのドラマも無く、小さな小さなドラマを丁寧に一つづつ積み重ねている印象を残す作品でした。こういったアニメは私は今まで見た事がありません。最終話でもその姿勢は揺らがず、いつも通りやさしい時間が過ぎ去りました。


以下はアニメ本編とはあまり関係なく、どこでも採れそうな野草について
{netabare}
ヨモギ:ばばばあちゃんでお馴染み(もしかしたら知ってる人少ないかも)の万能野菜。天ぷらが美味です。それ以外で使うなら湯掻いて水に晒して灰汁を取る。枯れたと思っても地下茎から芽が出てくるので栽培すれば半永久的に葉を収穫出来ます。

ナガミヒナゲシ:近年よく話題に登りますが、特定外来生物などには指定されていない。花が枯れてから花芯を採取します。素手だと黄色い汁が付いて中々取れませんので、袋(新しいのを使うのはもったいないので油っ気の無い空いた菓子袋などで)ごしに取るなどしましょう。炒めても茹でてもおいしい。芥子の実の一種ですが無害です。ナッツの様なこくがあります。

カラスノエンドウ:ソラマメ属。天ぷらが美味ですが、虫が付いている事があるので気になる人は湯掻いて水で何回かすすぐ。おひたしや炒め物など何でも使えます。

タンポポ・ノゲシ・ブタナ:タンポポは全草食べられます。天ぷら、油炒め以外で食すなら湯掻いて灰汁を取る。

スギナ:天日干しか電子レンジで4~5分乾燥させて、すりこぎ等で砕いて粉末状にする。風味がよく青海苔の代わりとして使える。栄養価が非常に高いらしい。

フキ:八百屋でも見かけますが、日当たりのそれほど良くない所に自生している事があります。良くあく抜きすれば葉も食用になり、豚挽きを練ってこれに巻いて、ロールキャベツの様にしてつゆなどで煮ると非常に美味です。同じ場所に関東では1月下旬~2月下旬にかけてフキノトウが出ます。

ミント:近所で見つけたらラッキーです。耐久性が非常に高いので粗悪な環境でも育ちます。一本だけ引っこ抜いて(根が繋がっているので他の株を傷めない様に途中で切断すべき)土に刺して控え目に水やりすれば脅威の成長力で地下茎を張り巡らせます。冬に枯れても復活し、半永久的に葉を収穫出来ます。

ローズマリー:近所で見つけたら超ラッキーです。柑橘系のさわやかな香りが魚、肉料理にとても良く合い重宝します。小枝を一本失敬して挿し木にすれば、根を広げてプランターなどでも成長します。猛暑には弱いのですが、うまくいけばこちらもまた半永久的に葉を収穫出来ます。

セイタカアワダチソウ:香りは春菊に似て華やか。葉はハーブに、花穂は天ぷらに最適。茎が残りますが、極上の味わいです。晩秋~初冬にかけて繁茂します。

ノゲシ:酷暑に計れてしまいますが、寒さには非常に強く、ほぼ一年中収穫できます。背の高いタンポポといういでたち。葉はロゼット状ではなく互生なので区別出来ます。やや苦味が強いので、基本湯掻いてあく抜きしてから料理に使います。ほうれん草の代わりやそばのお供、炒めものなど色々使えます。天ぷらにするなら洗って水を切るだけで大丈夫です。

ブタナ:茎だけががひょろりと長いタンポポの様な野草。タンポポと同じでロゼット状に葉を付けます。葉は大きく食べでがあり、花も美味。全草食用になります。

ヨメナ…花期は7〜10月ですが、ロゼット状に広がった葉を年中見かけます。葉の形は根元がまっすぐで先端に少し刻みのついたきつねの尻尾型。あくや苦味が少ないので下処理は特に必要ありません。春菊に似た風味も良く、さっと湯掻いたものを薬味として利用したり、おひたし、炒め物、天ぷら、お吸い物にヨメナごはん、何でも使えます。キク科の植物は食せるものが非常に多いです。

田舎住まいでなくとも皆さんの身近に食べられる野草は沢山あると思います。是非お試しあれ。

※1採り過ぎはその種がそこで自生出来なくなる原因になるので控えましょう。

※2必ず火を通しましょう。「のんのんびより」のお兄ちゃんみたいな事をやると稀ですが感染症になる場合もあります。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 82

かさい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

J.Cらしさと良さ

なんとも言えない満足度を得られる素敵なアニメ。
ただの癒やしアニメではなかったことは確か。
J.Cらしい丁寧な作品作りがマッチしたアニメになっていたと思う。

※本レビューはブログ『「ふらいんぐうぃっち」の挑戦と生活実感』に多大な影響を受けております。

【注目スタッフ】
〈メインスタッフ〉
監督:桜美さん
音響監督:岩浪さん
撮影監督:大川内さん
制作:J.C.STAFF

〈演出〉
橋本敏一さん
佐山聖子さん
倉川英揚さん
二瓶勇一さん

【良かった点】
〈演出〉
・カット割り
基本的にテンポは遅い。ゆったり気味のカット割りだが、退屈ではない。
スルスルカットが流れていくシーンもある。ギャグ調の時はテンポを少し変えたり。複数人での会話シーンも多かったが、特段被写体が変わるごとにカットを割るのではなく、キャラ自体に芝居をさせて見せるシーンもあれば、上手くタイミングをとって、頻繁にカットを割るシーンもあった。
被写体を映すタイミングと切る(映し替える)タイミングが絶妙だった。
ふらいんぐうぃっちらしい落ち着く画面もここから来ているのかもしれない。

・被写体の映し方、視線誘導
制作陣の意図したチラリズムが見え隠れしていたのもこの作品の魅力。
なんてこと無いカットでキャラはなんてこと無い体制になりあたかも自然に見える腰や太腿、脚などが目についてしまう。これは確実に狙っているアングルであり、視聴者も自然に視線がそちらがわに移ってしまう。
主人公の真琴に関しては肌の露出度が少ないにもかかわらずそのチラリズムは驚異的である。太腿は完全にタイツでガードされているが、撮影処理によって質感のあるタイツに変わり、人が履いているとい実感がより強く強調されている。
お姉さんのだらしないただ寝っ転がっているポージングにも見え隠れしている胸や太腿に必然的に目が言ってしまう。何より罪なのは、このアニメは正真正銘の日常アニメで彼女達は100%健全だということだ。
制作陣、視聴者はそうではない。

・カメラと被写体との距離感
日常を切り取るには近すぎても遠すぎてもダメなんだなと。
キャラ同士の距離感も近すぎず遠すぎず。
日常を切り取る描写としては、かなり引目のロングショットで背景主体や場面説明などに用いられてもいた。

〈作画〉
・そこまで描くか
新たにカットを割らなければならないシチュエーションでも見せてくる。
徹底された日常描写のなかではこの作品だからこその作画シーンが幾つもあり、一つ一つ上げていきたいくらいだ。
日常の芝居は地味でしかもカロリーが高い。
そのため、一般的なアニメは省略できるカットは省略し、次の動作に上手く繋げていく。しかし、この作品の場合は自ら進んでわざわざ入れなくても成り立ちそうな芝居もカットを足して付け足してくる。
[例]
1,トラックの荷台から降りる千夏ちゃんの手を取るお姉さん
なんてことのない一連だが、お姉さんの大人で自然な気遣いが自然と描写されている。他のアニメも場面によってはある一連。

2,コンセントにプラグを差し込む
これは初めて見た。本当になんてことのないカットを手をアップにしてまで見せてくる。圭くんの料理への意気込みや集中力を感じるカットでもあるが、趣味っぽい気もしなくもない。

3,靴を脱ぐ・靴を手に取る・戸を閉める・立ち上がる
日常で必然的に生じる動作。ここも直前でカットを割らずに作画。
ふらいんぐうぃっちの基本スタンスが伺える。

・大人の子供の芝居の差
はっきりと差別化されている。
大人のキャラの芝居には無駄な動作が殆ど無い。言ってしまえばなんの変哲もないごく自然の芝居。
一方子供の千夏ちゃんは無駄な動作しか無い。身体で大きく芝居をする。
表情もコロコロ変わるし一つ一つの動作も可愛らしく仕上げてきている。どこかの小学生を参考にしたかのようなあるあるな仕草。
大人の芝居をさっぱり目にすることによって、より子供の動きがイキイキ見えてくる。そんな差。

・こだわりの猫
黒のシルエットはロングショットだとCGにしても違和感がない。
手描きパートでも猫らしい、動物らしい仕草などに非常に作り手のこだわりを感じた。歩く、尻尾を振る、回る、あくびをする。そんななんてことのない仕草に胸キュンするのだ。

・細かくはない、丁寧な作画
日常の芝居の描写は細かいが、芝居付け自体は細かくはない。やり過ぎだけどやりすぎてない感じ。これ以上行くと作画アニメになってしまう。
そのバランスも良かった。

〈撮影〉
・服の質感、タイツの質感、髪の質感。
監獄学園のイメージ。質感がやはり違うよなぁ。
ただ適当にグラデ処理がされているのではなく、太腿から踝にかけてだったら、より肌の質感を強める影付けになっていたり、服だったら皺に出来る影が意識されていたり。
タイツの処理は印象的。こだわり加減からスタッフに変態がいる気がしますね。今の段階ではJ.C独自のスタイル。

・撮影処理
バスの窓の水滴とか、川の水の表現とか。
窓の透け具合や反射。

・ピント調整
ボケとピン送りのタイミングも絶妙。演出的な撮影処理。

・玉ねぎアップ
J.Cらしさが詰まってる。玉ねぎここまで描かなくてもええんやで?
グラデ加減がほんと絶妙。玉ねぎにも玉ねぎらしさを忘れない。

〈脚本〉
・セリフ
良い。キャラとキャラの間のやりとりに無理がなく嘘もない。
キャラクターがしっかりしているため、セリフに違和感も感じなかったし、らしいセリフと思わせるセリフも多々あり、キャラ設定や構成の上手さも感じたり。

・会話のスピード、バランス
良い。カット割りや場面転換とも密接関係があると思うが、焦らずゆったり、でも遅くもないキャラのスピードで会話が進む心地よさ。

・聞かされていると感じるセリフが一切ない。
キャラ同士で説明的なセリフのやり取りはあるが、視聴者に向けたセリフと感じるセリフは殆ど無く、彼女達の日常を覗く傍観者に徹することが出来た。

・年相応のセリフ
ここでも差別化。子供は子供らしく、大人は大人らしく。
声優さんの演技も噛んでる。

・会話の流れにも無理がない
安心して聞ける。このあたりは原作力も感じたり。

〈音響〉
・環境音、SE
岩浪さんは派手なアクションSEなイメージがあったが、僕街でかなり印象が変わって、器用な方だと理解した。
田舎の自然で自然なSEが自然に耳に入ってくる。
全体的に抑え気味にしている印象。

・子供の演技、大人の演技
子供は子供らしさ全開に。大人は自然に。
演技指示がなかったとは思えない感じがしますね。
大人の女性陣のサバサバっとした自然な演技が個人的にはかなり好み。

・動物陣、可愛い上手い
猫:茅野愛衣さん
猫:佐倉綾音さん
鼠:小澤亜李さん
まず上手い。
しっかり猫してるし可愛らしさとかも備わっていて、これは実力がないと無理だなと。
嫌がったり嬉しがったり、少し威張ったり、あくびしたり、人間と会話したり、結構色々やってるなと。
難易度高いです。

〈音楽〉
・テンポ感
ゆったり目なシーン、少しスピーディーなシーン。お馴染みなシーン。
場面に合った楽曲。癒やし成分かなり放出している。曲だけ聞いてたら寝てしまいそうな。


・フィルスコ的なBGM
偶然?遊び心も感じる楽曲も少なくない。
雰囲気を第一にした劇伴だったように思う。
ふらいんぐうぃっちの為の楽曲。

〈美術〉
・美術の雰囲気
良い感じ。場面描写も丁寧でした。


〈キャラ〉
・ユニーク
可愛らしかったり少しお馬鹿だったり、長所も短所もバランスよく引き出していて、個性も十分あったと思う。
深い余計な設定がなかったのが大きかった。

・お姉さん相変わらず
エロい。

(OP)
・大畑さん
愛すべきは大畑さんOP。
元気が出ます。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
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