絶望でシリアスなおすすめアニメランキング 10

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの絶望でシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月26日の時点で一番の絶望でシリアスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

90.9 1 絶望でシリアスなアニメランキング1位
進撃の巨人(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★★ 4.2 (6405)
28970人が棚に入れました
突如現れた多数の巨大生物「巨人」の侵攻により、人類は存亡の危機に瀕する。生き残った人間達は、三重に築かれた巨大な城壁内側に生活圏を確保することで、一時的な安全を得るに至った。 城壁による平和を得てから約100年後。城郭都市の外縁地区「ウォール・マリア」南端より突出したシガンシナ区にて、父・グリシャと母・カルラ、幼馴染のミカサと暮らす少年エレンは、親友アルミンと共に、幼い頃から「壁の外に出て世界を探検すること」を夢見ていた。 エレンが10歳を迎えた年、突如として現れた「超大型巨人」によりシガンシナ区の壁が破られ、多数の巨人が市街地に侵入する。

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、谷山紀章、嶋村侑、小林ゆう、三上枝織、下野紘、逢坂良太、細谷佳正、橋詰知久、藤田咲、藤原啓治、神谷浩史、小野大輔、朴璐美
ネタバレ

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

作画兵団達 お疲れ様~

原作未読、視聴中 
今期すげー注目されてる作品です、
人物の絵柄の線はちょっと太いなー、見慣れば大丈夫です。
第5話観終わった時はエェエェエェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエェエ
何だ、こんな予想外の展開...って思った
あとちょっと、専門用語が出てるね、補充します
奇行種
{netabare}通常の巨人には見られない、特異な行動を取る巨人の総称。劇中では目の前の障害物にかかわらず直進し続ける巨人や、視界内に人間がいても無視し、より遠くの場所にいる多くの人間を優先して襲おうとする巨人などが登場している。{/netabare}
この説明を見ると、
巨人の設定はずるすぎるだろ......
物語はものすごく素敵だと思いますー
このナレーションが印象的です!
{netabare}「その日、人類は思い出した、奴らに支配されていた恐怖を、鳥籠の中に囚われていた屈辱を......」{/netabare}

話が進んでいく、ワクワクしてたまらない...
{netabare}巨人と巨人{/netabare} 戦ってるシーンは十分迫力があるんだなー
{netabare}作画兵団、がんばれー!{/netabare}


作画兵団はがんばった!!
18話{netabare}女型巨人は調査兵団たちの虐殺のシーンはすごく迫力があるんだ!{/netabare}
作画兵団は称賛すべき!


作画兵団達 お疲れ様~
最終話、最後のシーンはビックリした......

投稿 : 2024/11/23
♥ : 174

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

衝撃の巨人

原作を読んでから再度視聴してみました。

人類の天敵、「巨人」が現れてから100年。
生き残った人類は、巨大な「壁」の中で泡沫の平和を実現させる。
しかし、突如とてつもなく巨大な巨人が現れ、壁を破壊し、平和はもろくも崩れ去る。
大パニックになる壁の中に、主人公エレンの姿があった。


話題をかっさらい、アニメを見ない一般層へも露出した作品。

原作再現度が高いです。
オリジナルシーンもありますが、大筋の流れはセリフを含め原作のままでした。

圧倒的迫力、スピード感、演技、演出、作画力、効果的な音楽の使い方。
アニメーション・エンターテインメントとしての質は文句なしです。
立体機動というスパイダーマンさながらの動きがあるのですが、作画が特にやばいです。
かっこいいっすなー。
空中を縦横無尽に駆け回る姿は、カメラワークと相まって、度肝を抜かれました。

また、何が起こってもおかしくない理不尽な展開が多い本作。
人を興奮させることに関しては一級品だと思います。
「選択の結果はだれにもわからない」というのが、コンセプトになっているだけのことはあります。


初期こそパニックモノのような悲壮感が物語全体を支配しています。
しかし、中盤あたりからは少年漫画的な熱さも増えてきます。
少し雰囲気が変わりますが、安易に主人公最強! という道に走っていないのがいいですね。
キャラクターの特性を生かし、役割分担がしっかりされています。

通常のバトルアニメの枠組みにとらわれず、群衆や社会と言った概念を取り入れているのも特徴的。
個対個ではなく、群対群の構図が多いです。

ただ、そのせいか登場人物がかなり多め。
さらに、ほとんどのキャラにフルネームが設定されているため、誰が誰かわからなくなりがちです。
初見では「このキャラが重要」「このキャラはモブ」という見分けが付きません。
死亡退場が多く、一部主要キャラクターを除き、感情移入している暇がないのも残念なところ。
一部のキャラはほんっと魅力的なんですけどね。


物語の根幹部分はよく考えられています。
原作を読んで感心したのですが、日常の何気ない1シーンにも大事な伏線が隠れているんですよね。
アニメでもカットされることなく、しっかりと盛り込んであります。
OPやEDも今後の展開を含め、ネタバレが満載です。

それに比べると、枝葉末節は粗めです。
どこかで見たような表現、展開も目立ちます。
といっても、ストーリー以外の見どころが多い作品です。
細かい不満は巨人に踏みつぶされます。


私としては、謎が明らかになる瞬間が快感なんですよね。
それがしっくりくるかどうかはともかく、「ほーなるほどー、そうだったのかー。次は次は?」となります。
きっと世界観に惹かれているんでしょうね。

ただし、アニメは中途半端なところで終わっているので、伏線は一部しか回収されません。
もやもやすることも多いと思います。
まあ、2期は確実だと思いますので、原作のストックが貯まるまでおとなしく待ちましょう。。
作者も、変な引き延ばしをせず、謎をきっちり明らかにするとの旨を明言していますので、ある程度安心できます。


私は結局3周ほどしましたが、見るのがほとんど苦になりませんでした。
一部のお涙頂戴シーンはうさんくさくて流しましたが、その他のシーンはギャグを含め、出来がすばらしい。


本作は、

・高い再現率
・謎に包まれたストーリー
・映画真っ青のアニメーション
・視聴者を飲み込む雰囲気作り
・強いインパクト

と、魅力がいっぱい。
支持率が高いのは納得ですし、アニメ化は大成功だったと思います。

2期も1期以上のクオリティで作られることを期待しています。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 134
ネタバレ

ゼロスゥ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

作画陣の頑張りが素晴らしかったです

2話までの感想

まだ見始めたばかりですが、こいつはヤバいですね・・・
何と言うか、衝撃でした。
それに「ここからさらにおもしろくなっていく」そんな予感をすごく感じさせてくれました。

さらにはこの超作画!
こいつは期待せざるを得ない作品です!

3話感想
{netabare}
主人公の使っている道具だけおかしい・・・
ベタな展開だったけど仕方ないよね(;゚∀゚)
これによってエレンは他の人たちよりもすごい才能があるってこともわかったわけだし結果オーライってことでw

ちょっとギャグを織り交ぜてくるようになったところも好印象でした(・∀・)
あのジャガイモ食ってた子おもしろいねw
これからの活躍にも期待です!{/netabare}

4話感想
{netabare}
エレンの演説を聞いてみんなの団結力が高まったかと思いきや、まさかの超巨人の登場で最悪な終わり方に・・・
いや、続きがスゲー気になるっていう点では最高の終わり方なんだけどねw

にしても巨人さんもうちっと空気読もうよ(;゚∀゚){/netabare}

5話感想
{netabare}
・・・は?
まさかエレンが死んだのか?
こんな展開になるとはまったく予想ができなかったです。
一番最初の戦いぐらいはみんな生き残ることができることができるもんだと思っていたんですが、この展開はあまりに残酷すぎる(T_T)
いったいどれだけの人が死んだよ?
しかも思った以上に巨人は俊敏だったし・・・

ただ言っちゃ悪いがマジでおもしろい。
この残酷すぎる展開も含めてホントにおもしろいアニメだと思う。{/netabare}

6話感想
{netabare}
ミカサ強すぎるでしょ( ゚Д゚)
仲間が何人もやられていく中、一人だけ何人もの巨人を狩っていましたね。
主席卒業は伊達ではないということか・・・

後半は過去編ですね。
エレンとミカサの出会いの話でした。
なんでミカサはエレンの家に住んでんだろうとは思っていましたが、かなり悲惨な過去を持っていました・・・
親を殺され、自分も危ういところをエレンが助けに来てくれました。
ミカサがエレンに特別な感情を持った理由はこういうことだったんですね。

しかしエレンは子供のころから凄まじかったんですね(;゚∀゚){/netabare}

7話
{netabare}
衝撃的展開が続きます。
人間の味方をしてくれる巨人なんているのか?( ゚Д゚)
しかも弱点を知ってるだの、近接格闘術を心得ているだの・・・
これはまさか・・・?{/netabare}

最終話までの感想

ほんとに最後まで楽しくに見させてもらった作品でした!
色んな人が言っていますが、ほんとに作画が神がかっていましたね。。
巨人とのバトルシーンなんか特にですよね。
エレンたちが動く動く・・・
臨場感あふれる作品ってのはこういうものを言うんですかね?←国語苦手(゚◇゚;)
作画陣の皆さんおつかれさまです。

このアニメのすごいところは作画だけでなく普段アニメを見ないような人にまで浸食していったってとこもありますよね。
普段アニメの話なんかしないような人たちとアニメの話をすることもできたりして楽しかったですw
進撃の巨人のおかげです、ありがとう!(*゚ー゚)

アニメの内容についての感想
{netabare}
色々言いたいことはありますが、一番はやっぱりアニー対リヴァイ班のとこですかね。

まずアニーが巨人ってとこ絶望しましたねー・・・
訓練兵の中に敵が・・・裏切り者がいるっていうのがね・・・
こういうシーンはいつ見ても心が痛みますよね。
話を面白くしてるのはこういうところだってのはよくわかってはいるんですけども・・・

次々にやられていくリヴァイ班・・・
エレン対アニー・・・
そしてリヴァイ&ミカサの最強タッグ対アニー・・・
何回見ても思うんですけど、これ巨人化したエレンとリヴァイが一緒に戦ったら普通にアニーを倒せてたと思うんですよね。
そしたらリヴァイ班のみんなも犠牲にならずに・・・
まぁそんなこと言っても仕方ないんですけどね。
リヴァイもどんな選択肢を選んで、それがどんな結果を生むのかは誰にもわからないみたいなことも言っていましたしね。

しかし、多大な犠牲をはらったのにもかかわらず大した戦果をあげられなかったってのはやっぱりいたたまれないです。(ノω;`)

この先エレンたちはどうなっていくのだろうか・・・?
期待して待っております!!{/netabare}

今は原作のストックが足りないために若干中途半端なとこで終わってしまいましたが、ぜひ2期をやってほしい作品ですね!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 126

87.5 2 絶望でシリアスなアニメランキング2位
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1297)
6390人が棚に入れました
《人間》は規格外の《獣》に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。《人間》に代わり《獣》を倒しうるのは、《聖剣》(カリヨン)と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、《聖剣》は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく──。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。

声優・キャラクター
新井良平、田所あずさ、Machico、上原あかり、荒浪和沙、水瀬いのり、水間友美、久保ユリカ、石見舞菜香、木野日菜、小日向茜、井上喜久子、千葉繁、小杉十郎太、佐藤聡美、井上ほの花、佐藤利奈、麦人
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

クトリの幸福

極端な話、タイトルは「クトリが可愛い」、
本文は「それだけの作品。以上。」という投稿もありかも知れない。
勿論、駄作などでは毛頭なく、明確な個性をもった質の高い作品である。
感動作としてそれなりに評価が高いのも十分納得できる。いや、だからこそ
実に惜しい作品。そこを説明するのが中々に難しい。

明らかな欠点はヴィレムの過去に関わる部分に厚みがないことだろう。
1クールに詰め込み過ぎた結果の消化不良とも言えるのだろうが、
おそらく原作そのものの問題だと思う。未読だがWikiの情報を見る限り、
根幹と細部設定のアンバランスが著しく、末端肥大のような印象があった。

白状すると本稿は一度書きかけて、途中で断念した経緯がある。
まとめきれなかったのは伏線回収などの問題ではなく、別の困難に直面したためだ。
本作が一種の幸福論を内包していることには容易に気づかされるが、
「終末」という特殊な条件下における幸福の在り方を示しつつ
より普遍的な、幸福とは何かという問題へと展開していく筋道を
手繰っていこうとすると、途中でプッツリと糸が切れてしまうのである。

具体性と抽象性がどうもロジカルに連続していないようだ。
平穏な日常の幸せを象徴するささやかな対象。バターケーキ。いわば「知足」の含意。
クトリに訪れたのは、未来を孕んだ大きな幸福の予感。願うことさえなかった幸せ。
問題はこの対比の文脈に即した場合、クトリのあの「幸福宣言」が、
それが垣間見えただけで十分幸せだった、というようなニュアンスに受け取られかねず、
要するにラッキーだったという結論になって、幸福が幸運に矮小化されてしまうことだ。

つかみかけた幸福を失っても、自分は世界一幸せだと断言するクトリが
いかにも健気で哀れを誘うヒロインという感じになってしまうのはどうも違う気がするし
そんなやわな作品であって欲しくもない。どうにか「終末」の幸福観を抽出するべく
クトリの表象にすべてを賭けて、一点突破を試みたい。


{netabare}我流の切り口を設定してみる。と言っても特段目新しいものではないが、
便宜的に伏線回収ならぬ「動機回収」と呼んでおこう。
キャラクターの内面に焦点を絞って展開を見届ける通常の観方をやや方法的にし、
動機が見出され、行動によって具現化され、成就ないしは挫折によって完結する
一連のプロセスを想定してみただけのものだ。

すると、本作においてこの流れを完結させているのはクトリただ一人だと分かる。
戦いで死ぬ宿命を受け容れていた彼女が、生きていく動機を発見する。
すなわち、ヴィレムという存在をとおして彼女は貪欲に幸福を追求するようになる。
だが、夢みられた幸せに手が届こうとした刹那、それは無残に断ち切られ
明らかに幸福への望みは潰えたかのように見えるのだが、そこに反証のように、
彼女自らのあの絶対的な幸福宣言が高らかに響くのだ。

「いつまでも一緒にいるよと誓った
 誓えたことが幸せだった
 この人のことが好きだなと思った
 思えたことが幸せだった
 幸せにしてやるよと言ってもらえた
 言ってもらえたことが幸せだった
 こんなにもたくさんの幸せをあの人に分けてもらった
 だから、きっと、今のわたしは誰が何と言おうと、世界一幸せな女の子だ」

見落としてはならないのは、この宣言と彼女が臨もうとする最後の戦闘とが
その動機において一続きであり、一体をなしているということだ。
悲壮という言葉そのままの、悲しく壮絶な戦闘シーンでありながら、なぜか
その底に言い知れぬ深い安らぎが流れているような、不思議な感覚をもたらすものだが、
それを解く鍵となるのが物語の冒頭に続いて再び流れる「スカボローフェア」である。

ハプニングでヴィレムと出会い、二人で街の迷路を探検したあの始まりの日。
街角で奏でられる音楽に合わせて自然に体がリズムを刻みはじめ
抑え切れない心の躍動と高揚が迸り出るままに、くるりと旋回したり、
そのまま踊るようにターンをしながら塔の階段を上っていった、あの日のクトリ。
二つのシーンをつなぐ歌によってその記憶が自然に喚びさまされ、印象が重ねられる。

そしてこの二つのシーンは完全にシンクロする。
冒頭場面のクトリの旋回が同じタイミングでフラッシュバックされる。
これは単に回想として挿入されるのではなく、今まさにこの瞬間に、
あの日の幸せなクトリが再臨していることを表現しているのだ。
そして今、苛烈な戦場で壮絶極まる戦いを繰り広げるクトリの姿はさながら、
軽やかにステップを踏み、一心に散華の舞を舞い狂うかのようだ。
あの時と同じように、彼女はいま、確かに幸福の絶頂にあるのだ・・・。
「スカボローフェア」は単に場面の効果を深める伴奏曲ではなく、それ以上に
彼女に慎ましく寄り添い、心に溢れてくる幸福感を淡々と表出してゆく
クトリの心が歌う「心の歌」なのだと思う。

物語の両端でシンメトリカルに向かい合う、渾身の演出と映像で描かれた
二つのシーン。ここに作品のエッセンスは集約されていると言っていいだろう。
さらに本作のテーマもまた、ここに可視化されていると自分は考える。
つまり、幸福というテーマはヴィジュアルな語法によって表現されているのである。

すでに兵士ではない彼女が戦う理由、それはただ無心に
自分が手に入れた幸福を全身で表現するため、行為によって証しするためではなかったか。
死ですらも取るに足らないほどの、至高の幸福がここに確かに存在している、と。
つまり、クトリの動機回収がここで見事に完遂されるわけである。
幸福な瞬間の中に全てを燃焼させる、いわば永遠を凝縮したような一瞬、
そこに刻まれる浄福の姿に、言葉による詮議を超越した幸福の像が鮮やかに結晶する。
これこそが「終末」の幸福の極限のかたちであると見なしてよいのではないだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

実は、この動機回収によって浮かび上がる決定的な問題がある。

クトリの動機は幸福への意志、一方のヴィレムの動機は戦い、守ろうとする意志。
彼女を幸せにしてやる、との彼の決意の根底には本来の動機である
誰かを救いたい、守りたいという、過去への悔恨に起因する衝迫が明らかにある。
クトリの純粋で真っ直ぐな愛に比べるとあらゆる意味で不完全なものだ。

クトリの幸福宣言にヴィレムも唱和しているが、その言葉からは
彼にとってクトリの存在は安らぎや喜びにとどまっているようだ。動機ではないのだ。
つまり、彼らの互いへの想いがすれ違っている事実が最後に露わになるのである。
クトリの幸福は疑いようがないが、それは彼女だけのものであって
二人の幸福が重なり合うことはついになかった。それが実は本作の結末である。
(クトリが可哀そうなので本当は書きたくなかったのだが…。)
クトリの雄々しさと並べると、ヴィレムのヘタレっぷりは歴然とする。
それがクトリを輝かせている面もあるにしても、見ている我々はやはり釈然としない。
・・・愛において女性は、相手の男性を超越した心の高みに達する。
これは文学では広く認知された命題であるが、本作もまたその一例と言えそうだ。{/netabare}


この見えにくい、いわば断層は多分、本作のストーリーにも及んでいる。
ヴィレム側の諸々の事情とクトリ側のそれとが有機的に織り成されずに遊離するのを
よくあるラブロマンスでうわべを取り繕っているような印象を受けてしまうのだ。
ならば並行的に処理するか、せめて前景と背景に描き分けるかして構成すれば
もっと充実した作品になっていたと思う。

以上記述した所感を総括すると、最初に示した冗談投稿のように、
本作がクトリ一強アニメだという結論にどうしても導かれてしまうのである。
とは言え、このヒロインの破壊力は史上最強クラス、作品の価値は揺るぎないが…。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 19
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終末ヒロインの幸せとは何なのかを探し求めた結末…儚さと切なさを感じる作品

このタイトルを見た瞬間、訳がわからない感情がわき、ひかれました。タイトルで視聴を決めてしまいました。

1話…「私のこと忘れてくれると嬉しいな」
{netabare}ある島で出会う青年と少女。島の外れで遠くの島を眺める。少女はこれが最後みたいなことをいう。
青年は知り合いのゴブリンから軍の仕事を斡旋される。武器倉庫の管理だった。倉庫に向かうと、幼女に襲われる。が、そこに現れたのは島で会った少女だった。少女に導かれた先は大きな屋敷で、青年の知り合いのとおぼしき女性(トロル)と会話する。
青年の名前はヴィレム。なにかしら軍に関係した人物のようだ。そして、明るいのに影がある少女の名前はクトリ。青年にひかれているようだった。
この世界はすでに滅んだあとの世界で、青年は最後の戦いを経験した生き残りらしかった。

冒頭でいきなりクライマックスのシーンが出てきて、最後は…とかなり悲しい始まりでした。兵器=人間ということなのでしょうね。この二人がいい感じで、でも最後は辛い別れが待っている…考えただけで切ない。
作画の感じも良いし、展開も笑いあり、グッと来るようなシーンもあるし、これは毎週待ち遠しいです。{/netabare}

2話…幼女たちに信頼されるには
{netabare}武器倉庫とはいったものの、幼い子供たちの施設になっている状況にいまひとつピンと来ないヴィレム。子供たちは大人の男性に慣れていないため、接し方が分からない。そこでヴィレムはプリンを作って子供たちに食べさせる。その結果、ヴィレムはあっという間に人気者に。
ヴィレムが気になるクトリ。アイセア、ネフレンとの会話で「あと10日」というキーワードが嫌な感じ。
ある日、ボール遊びに夢中になっていた子供の一人が崖から転落。大ケガをしているにも拘らず、平然としていることに戸惑うヴィレム。
ナイグラートに武器庫に案内され、真実を知るヴィレム。子供たちは人間の武器が扱える妖精で、世界の驚異となっている獣たちと戦えること。飾られている聖剣は強力で、自らの命と引き換えに大爆発を起こせるということ。つまり、子供たちは命を落とすことが前提で生きていて、死を恐れていないのだった。しかし、ヴィレムには聖剣に見覚えがあった。聖剣は人間族の真の勇者だけが扱えるもので、ヴィレムにも関わりがあったのだった。
クトリとアイセアが数日消えた。獣たちと戦っていたのだった。迎えたヴィレムは疲れ果てていたクトリを介抱する。クトリは心の準備(死への)ができていたが、なにか違う感情が芽生えていた。

2話で「あと5日の命」という展開…。はじめから死しか選択の余地がない子供たちは…切ない。
クトリと同年代のアイセアとネフレンを置いたのは物語的に締まっていいように感じます。性格もバラバラだし、クトリ一人では重すぎだったので。
ヴィレムにも重い過去があって、ちょっとずつ明らかにしていく感じです。{/netabare}

3話…フラグ立てるな
{netabare}ヴィレムはネフレンに手伝ってもらい妖精たちの戦いの記録を調べた。翌朝、クトリが目を覚ますと、ヴィレムがネフレンと寝ていることに嫉妬(ジト目で)。ヴィレムがクトリに朝の運動と称して戦うことに。聖剣の使い方を伝える。クトリは戸惑うばかり。
戦い終え、ヴィレムが倒れる。ナイグラートに処置してもらい、落ち着く。そしてナイグラートは子供たちにヴィレムのことを話す。ヴィレムは人間族の唯一の生き残りだと。子供たちは驚くどころか、ヴィレムに益々興味を持つのだった。一方で、クトリはヴィレムから受けた戦いかたに混乱していた。空を飛び回り、ライムスキンと会話する。そこでクトリは本音を言い、ライムスキンはクトリに自爆せずに生き残ることも選択と伝える。
帰ってきたクトリにヴィレムは聖剣とは何かを話し、クトリは生き残ることもあることを話し、帰ってきたときの約束をする。そして戦場へ…。

濃い回でした。少しずつ明らかになるヴィレムの過去。そしてクトリの変化する心がなんとも言えません。三人娘が戦場に向かいますが、全員生き残ってほしい…。{/netabare}

4話…待つ者
{netabare}クトリたちが出陣してから半月、その結果は伝わってこない。心配するなか、ティアットが夢を見たという。ナイグラート曰く、一人前の妖精兵になる兆しだという。そこで診療所のある島に向かい、検査を受けるため、ヴィレムに一緒に行ってほしいと頼む。これはヴィレムに気晴らしをさせたいナイグラートの気遣いでもあった。
診療所に向かうヴィレムとティアット。飛行挺の中でヴィレムは夢を見る、それは悲しい夢だった。初めて島を出たティアットは検査を受けるためだと思いながらもウキウキ。ティアットが夢中になっている蜥蜴映画の聖地を巡り、あちこち引っ張り回されて検査に向かう。この検査、実は妖精兵になるための調整だった。これについてはティアットも心得ていて、立派な妖精兵になると言うものの、ヴィレムは「本当に良いのか」と問う。
翌日、雨降るなか、建物の雨漏りを見ていると外が慌ただしい。作戦は失敗したとかなんとか言っている。夢の中の描写と一緒になったヴィレムは焦る。そして情報を聞き出し、本当に失敗だったことを知る。愕然として膝から崩れるヴィレム…。そのとき、聞き覚えのある女の子たちの声が聞こえてきた。振り返るヴィレム、そこには三人娘がいた。ヴィレムは能力で瞬時に三人のもとへ飛び、そしてクトリを抱き締める。

先ずは無事に帰ってきて良かったよ…。ヴィレムがところ構わず抱き締めてしまうシーンはグッときたけど、表情がいまいちな気が…。それと、けっこう大雑把な流れになった気がします。もうちょっと丁寧に、じっくりためてからでも良い気がしました。とはいっても、この流れの話は好きなんですけどね。
今回の作戦が失敗だったということはどうなるんだろう? このあたりは次回明らかになるのかな? あと気になったのは噴水の像。確かOPに出ていたような気がするんだが…。{/netabare}

5話…ヴィレムはなんだかんだで
{netabare}三人娘の戦いの様子が語られる。敵は精神攻撃、予測を超えていた。そのための撤退だった。クトリは調子がいまいちである。
フィラのお願いにライムスキンは応えない。それどころか、ヴィレムに押し付けてしまった。かたくなに断るヴィレムだったが、その考え方は正論だった。フィラといつの間にか観光になっていた。しかし、それを狙う輩が。フィラの父親は市長で、反対派が反乱を起こそうとしていたのだ。そのために娘のフィラを誘拐しようと狙っていた。
ヴィレムはわざと狭い場所へ連れ込み、その一団をのしてしまう。なんだかんだ言いながら優しいのである。
島へ帰る直前、軍の一人に呼び止められる。ヴィレムはその名前を聞いて残らざるを得ないと考え、三人娘とティアットを見送った。

クトリに変化が生じてきた感じです。ヴィレムと離れてしまうことにかなり不安なんですけど…。
ヴィレムが残る理由は次週へ持ち越しですが、ヴィレムの過去が明らかになるのでしょうか。どうも転換点に差し掛かっているようで、目が離せません。{/netabare}

6話…良い最終回…じゃないのね
{netabare}ヴィレムが残った先には大賢者が待っていた。賢者はヴィレムの500年前の知り合い、スウォンだった。スウォンはヴィレムが石化した後も戦い続け、一度死んだが呪いをかけ不老不死になっていた。
ヴィレムはさらに意外な人物と接触する。頭蓋骨姿になっていたヴィレムが倒したイーボンキャンドルだった。スウォンとイーボンキャンドルからヴィレムが空白になっていた500年の話と妖精の話が若干される。二人はさらに核心を隠していた。
一方、クトリは苦しんでいた。何者かに精神が乗っ取られようとしていたのだ。これは生き残った妖精の宿命らしかった。ヴィレムが島へ戻って、クトリの状態を知る。ナイグラートと語らう。そのとき、クトリが目覚ます。クトリは先を考えず、ただただヴィレムに会いたい一心で帰ってきたのだ。

やっととというか、世界観が見えてきたような回でした。淡々と進むけど、もう中盤なんだ…。ヴィレムとスウォンの会話の珍妙なこと…。あの声で少年のような話しぶりは違和感より笑ってしまいましたが。
最後、単純な手法なのに、クトリの一声で涙止まらなくなってしまいました。弱いんだな、こういう展開…。これが最終回でもいいよと思うくらいです。{/netabare}

7話…続くのですね…
{netabare}クトリが目を覚まして数日。クトリには微妙な変化が生まれていた。ナイグラートに調べてもらったところ、反応が変わっているという。聖剣に近づかない方がいいと言われる。
ヴィレムは約束のケーキを作っていた。子供たちも大喜びだが、それはクトリとの約束だったケーキだ。クトリはそれを食べ、帰ってきたことの思いをヴィレムに伝えた。
一方、妖精兵はクトリたちの他にもいたのだ。ラーンとノフト、二人は地上の探索隊に加わっていた。そこに獣が襲ってくるが、ノフトが斬ってしまう。

ラーン、見た目がイカちゃん…。獣は某新マンのツインテールだし、ちょっと気になりました。二人のキャラがどう絡んでいくのでしょうか。ED、あれ?っと思って見比べたら、ちゃんと今回からラーンとノフトが加わっていたのにビックリです。細かい。ということは、一応、この回から後半突入ということになるんでしょうね。
クトリが約束だったケーキを食べることができて本当によかった。此のフラグは折ってほしかっただけに。でも、1話冒頭で赤い髪がクトリであることはバレているし、最後は…なんだろうけど、こういうシーン積み重ねていくと、最後は本当につらそうです。{/netabare}

8話…日常からの
{netabare}上官(とても嫌みな)との会話で地上の偵察隊について話を聞くヴィレム。見せてもらった写真はヴィレムのふるさとで、しかも自分がすんでいた家の跡地だった。
ヴィレムについてきたクトリ。もはやデートである。ヴィレムが地上に降りる話を聞き、クトリも一緒に行くことに言ってきかない。上官はなぜか簡単にOKが。どうやらクトリはヴィレムの愛人と思ったらしい。
夜、流星を見る子供たち。そのうちの一人が転落し、クトリが力を使って助ける。そして、クトリは異常が進行し始めた。

クトリとヴィレムの幸せそうな展開で、そのまま進む…分けがないのがこの作品ですね。最後だけでなく、途中にも先を案じる場面が織り込まれて、不穏でしたし。回数考えると、どんどん鬱展開に入っていきそうです…{/netabare}

9話…終わりの始まり
{netabare}クトリの変化に気づいたアイセア。クトリにアイセアの真実を話す。アイセアから励まされたクトリ、日常を明るく生きる。
ヴィレムはクトリの変化に気づいていた。それでもクトリは前を向くことを決意した。
冬の日の夜、壮行会を兼ねた降雪際パーティー。幸せな時間が過ぎる。そして、ヴィレム、クトリ、ネフレンは地上に向けて出発する。

クトリの一人語りが切なく、重いです。もう戻れないであろう、いるべき場所との別れ。最終回終わって見直すとじわじわ来るような作りなのかもしれません。
時折見せていたアイセアの違和感。その伏線の真実にビックリでした。その発想はなかったです。
とうとう地上に降りました。もう残り話数を考えると地上での話を繋いで1話冒頭の場面に行き着くのでしょうね。{/netabare}

10話…地上の日常
{netabare}地上に降りたヴィレム一向。ラーン、ノフトと出会う。地上の探索隊員から蔑みた目で見られたクトリ。クトリは自分のすべきことを行動で示し、隊員たちから信頼されるようになる。
クトリの脳裏に浮かぶ赤い髪の少女。その少女に立ち向かうこれまた赤い髪の少女。
ヴィレムはクトリのための聖剣を探し出す。そしてノフトの聖剣を手入れしている時に真実にたどり着き、愕然とする。

最後へ向かっての序章という回でした。真実を知ったヴィレム、クトリがクトリでなくなる寸前の状況、二人の着地点はどこにあるのでしょうか…。{/netabare}

11話…クトリの魂
{netabare}ヴィレムの求婚に応えたクトリ。二人は照れあい、普段通りとはいかない。ヴィレムの思い出の家に着いた時、地下から衝撃が。そして落下。
地下は空洞になっていたが、クトリの様子がおかしい。クトリが向かった先には氷付けになっていた子供がいた。セニオリスの呪詛によって閉じ込められたのだった。気を失うクトリ。
そのころ、飛行艇の周りは獣たちに襲われ大ピンチ。ラーンとノフトが抑えているが、二人は覚悟を決めた。気を失っているクトリ。クトリは意識のなかで赤い髪の少女と会話する。その子供は神で、過去に勇者のリーリァの一撃によってこの状態になっていたのだ。そして、クトリの存在が何であるかを知る。
飛行艇を襲いはじめた獣。ネフレンが必死に抑える。そしてヴィレムも戦う。

いよいよラストだな…という感じの回でした。重い、重いなぁ…。
せっかく幸せなろうとしたときに起こるピンチ。まぁ、1話冒頭で分かっていたこととはいえ、あれに繋がるのか…。みんな助かって欲しいけど、どう見ても悲しい感じだもんなぁ…。来週はハンカチ用意しておこう。
いままで謎だったクトリの真相、リーリァのこと、赤い髪の理由、とにかく詰め込んだので一回では掴みきれず、結局三回見てようやく納得。もう少し丁寧に描いてほしかったです。1クールだから仕方ないのかな。{/netabare}

12話…クトリの幸せとは
{netabare}飛行艇が獣たちに襲われる。ラーンもノフトもネフレンも限界に近い。ヴィレムは勇者になりきれなかった勇者。聖剣を使わなくても倒してしまうが、体がもたない。ラーンに自分の過去を話す。
限界を越えようとしていたネフレン。飛行艇から落ちそうになる。ヴィレムは救おうと手を伸ばすが、ネフレンは自ら落ちていく。追って落ちていくヴィレム地上に落ちる瞬間、クトリが救う。クトリはヴィレムを救うために自らを犠牲にしようとしていた。ヴィレムとのこれまでが幸せだったとこを強く思い戦う。そして消えた。
日が経つ。ヴィレムとネフレンの消息は分からない。クトリは消えた。そして青い髪の毛の少女が誕生し、大賢者の探査装置には波紋が二つ広がっていた。

1話冒頭で結末分かってはいたが、辛い結末でした。クトリの「誰がなんと言おうと、世界一幸せな女の子なんだ」はいかん…堪えきれません。その前のネフレン落下シーンですでに堪えきれなかったんですけどね。スカボローフェアはキツいなぁ…無理、堪えるのは無理。アイセアがぼろぼろ泣くシーンは泣き返しです。{/netabare}

今期もっとも期待した作品ではありましたが、一番とはいかなかったかなという感じです。それでも十二分に見ごたえあったと思いますし、良い作品でした。
ラストにきて次々と明らかにされていく真実や世界、頭追い付くのが精一杯で、2、3回見直していました。腑に落ちない点があったので、原作のあらすじを確認しましたが、なるほど、あと3話くらいあっても良い感じだったのですね。
ヴィレムが氷付けになる前の話し、リーリァとの繋がり、そういったものがもうちょっと掘り下げてくれたならもっと面白かったでしょうしょうね。

クトリというヒロイン、本当に良くできたヒロイン像だったと思います。ヴィレムとの出会いから信頼を寄せるまで、好きになっていく過程、自分の真実を知り、それでも前を向いて幸せになろうと進むところも良いです。最後のクトリとヴィレムの掛け合い、さすがにツラかった…。

OPの田所さんの曲、今期一番のお気に入りです。すごく心情に迫る感じがとてもよかったです。EDのTRUEさんはあんていしています。歌詞が書き込まれていたのは今どき珍しい。

二期があるとすると、別のヒロインの物語になるとのこと。クトリの物語が良くできていただけに、どんな話になるんだろう。やっぱり原作は読んだ方が良いのかな。

儚く散ってしまう少女の生きた過程を題材としています。こういった切なくなる話が好きだなという人にお勧めします。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 51

アトランティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

各話タイトルを繋げてみると……

01話 太陽の傾いたこの世界で
02話 空の上の森の中の
03話 この戦いが終わったら
04話 帰らぬ者と、待ち続ける者たち
05話 誰も彼もが、正義の名のもとに
06話 消えない過去、消えていく未来
07話 ただいま帰りました
08話 いづれその日は落ちるとしても
09話 たとえ未来が見えなくても
10話 いまこの時の輝きを
11話 どうか、忘れないで
12話 世界で一番幸せな女の子

と特に8話~最終話はちゃんと文章として読めますね。
タイトルにもちゃんとメッセージが込められています。

クトリという悲しい運命を背負った女の子の一生を1クールで
感動的に描き切った作品でした。
誰も彼もが、正義の名のもとに死んでいく悲しい世界、
設定自体が重いものであるため、キャラは可愛い萌えキャラですが、作品全体にも良い意味で重い空気があります。
戦いがメインというよりはそれぞれのキャラの心の動きを慎重に描くことに
重きを置いていたかなという印象でした。
特に主人公であるヴィルムとクトリには多くの時間が割かれていて
その分最後の感動も大きい。

クトリの運命(未来)が髪の色の変化で分かる、
その髪の色が主人公の過去に関係している所が中々残酷な設定だと思いました。

原作はラノベで5巻で一応完結しているという情報をネットで見たので
この先皆がどうなったのか気になる方は原作を買うのも全然アリだと思います!

一話の挿入歌である「Scarborough Fair」はイギリスの伝統的なバラッドで聴き手に
ー以前の恋人への伝言を頼むー
という形式を取っており、このアニメにマッチしていることと
何よりとてもいい旋律の曲です。
有名な曲ですので知っている方も多いかと。
アニメverアレンジもとてもファンタジーチックで良かったです。

挿入歌は上のものも含め全部良かったです。

あにこれでも多くの方が高評価にあげていた本作、
ぜひ視聴されてみてはいかがでしょうか。(^_^

投稿 : 2024/11/23
♥ : 43

81.9 3 絶望でシリアスなアニメランキング3位
ぼくらの(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1889)
9817人が棚に入れました
政財界の権力者たちは、「子供たちの契約を解く鍵を探す」という建前の元に、ジアースの技術を研究して産業や軍事に利用しようとする。子供の親たちは、子供を救う方向に世論を動かす為に、ジアースの情報公開を目指して協力し合う。しかしその企ても権力者の陰謀によりつぶされ、子供たちはこの地球からも孤立してゆく。

声優・キャラクター
皆川純子、阿澄佳奈、野島健児、三瓶由布子、牧野由依、能登麻美子、浅沼晋太郎、比嘉久美子、宮田幸季、高梁碧、織田圭祐、井口裕香、杉田智和、保志総一朗、阪口大助、東地宏樹、石田彰

IraIra さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アンインストール

鬱アニメ作品で検索すると殆どのQ&Aに名がでる鬱作品。
途中で諦めないで最後まで見て欲しい作品です。
私はこの作品をすべて見終わった後、2,3ヶ月はこの作品が頭から離れませんでした。しかし1話からの戦いが最終的に無かったことになるようなアニメだったら頭からすぐ離れていったでしょう。そこが鬱アニメ好きにはたまらないのですが…
鬱アニメが好きな傾向の方は平気かと…、見る人によっては結構重いかと思いますので、あまりお奨めできないです。
勝手にジャンル付けするならばロボットものですが、ストーリー自体が独特の世界観に重点しているので、バトルものの様なアクション性は少ないです。OPだけ見るのもありかと。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 18
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

解釈することが、できないことのこわさ

■意図的な「雑な死」の表現

 「死」の表現が雑な話には二種類ある。
 単に「人が死ねば悲しいだろう」と思ってあざとい感動エピソードとセットにされて、どかどかと人が死ぬ話と、そもそも「死の瞬間」というのが雑な形でしか到来しないという無意味さを描こうとする話だ。
 「あざとい死」がただの泣かせの安っぽい方法論であるのに対して、「乱暴でちゅうぶらりんな死」というのは死そのものを描くことが話の目的になる。死の表現の雑さ、という点においては両者は同様なのだけれども、「死」に対して物語上の意味が与えられていれば前者のような表現になるし、物語上の意味が意図的に放棄されていれば後者のような表現になる。
 この表現は、決してわかりやすいものではない。
 正確にいうと「わかること」ができない。
 人が死ぬ瞬間、というのは、だいたい、たいした理由はない、というそれ自体を描こうとしているわけだから。

■ちゅうぶらりんな死

 いろいろな思いをかかえていた人間があっけなく、なんの理由もなく、理不尽に、ランダムに死んでしまう。そういうかたちで、多くの場合、死は突然にやってくる。「世界をすくうための崇高な犠牲として死を自覚的に選択できる」などというようなことはまず、ない。「ループする世界のはてから脱出するために死を選択する」とか、そういうことも、およそ幸福で稀な事態であると言ってよいだろう。

 鬼頭 莫宏という漫画家は、そういう、理不尽で偶発的な事件が、突如として悲劇としてあらわれてくるような。そういう事態を繰り返し、繰り返し描いている。そこには、巨大な情熱も、巨大な失望も、抱く間が無い。間抜けな形で到来する。


 鬼頭作品は、そもそもそういうタイプの世界の乱暴さを描く話だった。そういう世界の乱暴さばかりを描いてきた作家の仕事としては、『ぼくらの』はやや丁寧に属する部類の仕事だ。設定がこっていて、「死」を迎えるまでの時間が、ほんの短い時間ではあるけれども、ゆるされている。
 だけれども、やはり、その時間は「ほんの少し」だ。しかも、人生で何かをなしとげた人間の時間ではなくて、まだ何もなしとげていない少年少女たちの時間だ。
 死の前の少しの時間の暮らし方は、やはりどう転んでもぶざまだ。ぶざまで、感情移入をするまでには、時間が足らない。時間が足らない、その時間の足らなさ、こそが不気味な表現になっている。
 彼ら/彼女らのなかにある十分な物語を知る時間もあたえられず、ちゅうぶらりんなまま、人がぼろぼろと死んでいく、そういう乱暴な風景こそが、『ぼくらの』の醸し出す物語の怖さだろう。

 エンターテインメントとしてみてみれば、なるほど、描写は不十分ともいえるかもしれない。映画でいえば、絶対にアカデミー賞はとれないだろう。エンターテインメントとしては、ぎりぎりのバランスで成り立っている。わかりやすくないから。
 だけれども、わかりにくいもの、ばかりが世界にはたくさんごろがっていて、そのわかりにくさの、違和感のようなものを、ごろっと露呈させてみせる、その違和感があらわれる瞬間。そこに何かを感じ取ることが可能かどうか、ということが、鬼頭の書く物語を良いと思うか、悪いと思うかということの評価へと直結するだろう。ある人は、その違和感にたじろぎ、ある人は単に雑なものだと感じるかもしれない。


■セカイの生き死に自体がちゅうぶらりん

 ただ、こうした死の乱暴さそのものは、は実は決して知られていなかったものではない。世界の名作文学でも映画でもいい。あるいは、高名な哲学者の議論でもいい。戦争にいったことがない我々でも、そういう乱暴な死が世界中によこたえていることは知っていた。

{netabare} 『ぼくらの』の特殊性は「個人の死」が乱暴で、いいかげんで、ちゅうぶらりんに訪れるというだけでなく、「セカイの死」自体も、いいかげんで、乱暴で、ちゅうぶらりんな形でしか訪れない、ということだろう。
 この話は、「凡庸なぼくたち」が、セカイを救う物語であると同時に、セカイを滅ぼす話でもある。セカイを滅ぼす理由も、救う理由も、これといって明確な理由はない。サイコロを転がして決めているのといっしょだ。ただ、その過程に、たたかいを挟むから、じゃっかん本人たちの努力が可能なだけで、たたかいをする巨大ロボットが強いかどうか、ということはサイコロを転がすのと何もかわりはない。

 「セカイの成立」自体が乱暴で適当だという想像力は、「生命」自体が乱暴で、適当だという想像力の、さらに先にある、おそろしさをもっている。

■セカイ系作品としての異質性

 いわゆる「セカイ系」作品は、少年少女の憂鬱や、情熱の程度によって世界が救われたり滅びたりする。ハルヒしかり、エヴァしかり、エウレカしかり。
 「ぼくらの」もセカイ系の一種だと考えることはできる。滅びるべき世界/救われるべき世界は、「頑張らなければ世界がほろびる」。だが、そうは言っても、異世界の少年/少女たちもまったく同じ状況におかれているという点で、ロシアンルーレットの弾をこめるような意味においてしか、少年少女の憂鬱や情熱には意味がない。

 「セカイ系」においては、世界の救済や滅亡と、少年少女の情熱が、ダイレクトにつながる、ということが少年少女の「わたしには価値がある」という承認欲求を満たすものとして機能していた。
 しかしながら、『ぼくらの』はそういった構造を完全に逆転している。「わたし」ががんばろうが、がんばるまいが、どこかでセカイは滅び、どこかでセカイは残る。わたしの努力は「このセカイ」に対してこそ、一定の有効性はもつが、努力や情熱はごくむなしいものとしてしか、与えられない。少年少女は、みなロシアンルーレットの弾丸、としてしか役割を与えられていない。

 セカイ系の設定をかりながら、<「わたし」の承認欲求を否定するセカイ系>というごく、無残でみじめな世界を示すことを、あえて提示してみせる。
 鬼頭的な、世界の乱暴さをつきつけるという仕業、セカイ系という少年少女の逃げ場を否定することで、どうしようもなく、成立している。
 おまえらに、逃げ場なんてねぇんだぞ、と。
{/netabare}

■作品比較:『イキガミ』『バトルロワイヤル』

 なお、本作とある程度ちかい設定をもった作品としては、『イキガミ』『バトルロワイヤル』などがあるだろうが、いずれも世界の乱暴さを描くという点においては、『ぼくらの』の足元にも及んでいない。

 たとえば、『イキガミ』は、死にいたるまでの、当人たちの「物語」があまりにもきっちりと完結しすぎており、世界はあまりにも残酷ではなさすぎる。死にはきっちりとした意味があたえられ、物語世界はあまりにも簡単に解釈をゆるしてしまう、安易な「いい話」以上のものにはなりえていない。(そもそも心理描写の水準のだめさや、人間観のバラエティがステレオタイプに満ち満ちていて、論外なあたまのわるさ……ということはあるが、それをさておいても、そうだ。)

 また、『ぼくらの』がもし、失敗しているとすれば、やはりエンターテイメントとして作品をみる、という作法以外に作品を見る方法を知らない読者や視聴者層を大量に相手にするマーケットで作品をリリースしているということだろう。そういう視聴者層には、この表現は単に物足りない表現としてしか届かないケースが多い。つまり、『ぼくらの』は失敗している。作品の内容において、ではなく、売り出し方において失敗している。
 その意味では、エンターテイメントとして暴力表現を前面に押し出した『バトルロワイヤル』のほうが、大勢の人への伝わりやすさという点では、『ぼくらの』よりも世間的なインパクトは獲得できている
 しかし、『ぼくらの』の描く死はどうしようもなく中途半端であるゆえに、『バトルロワイヤル』などよりもはるかに残酷な風景を描いている。我々は、恍惚のうちに死ぬことができない。


■漫画版と比較して

 漫画のほうは、まだ全部はよみおわっていないのだけれども、おおむねアニメ版のほうが、見やすかった印象がある。一話完結である程度、はなしの起伏をつけているので。アニメの方がエンタテインメントとしては優れているだろう。
 エンターテインメントとしてではない、評価としては漫画のほうがすぐれているという人も多いかもしれない。
 わたしは、アニメのほうがやや気に入った。単純に映像もきれいだったのいうのもある。

■関連推奨作品:『パルプ・フィクション』『いのちの食べかた』

 なお、アニメでも漫画でもないが、本作が好きな人にすすめたい作品としては、
 まず映画ではもはや、古典ともいえる地位を獲得しているタランティーノの『パルプ・フィクション』は高い確率でハマるだろう。人が乱暴にしんでいく作品としては、まず多くの人が挙げるものだろうと思う。
 また、私個人のおすすめとしては、ドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』をぜひおすすめしたい。『ぼくらの』に続けて、このドキュメンタリーをみたひとは、確実にゾッとする体験をあじわえるのではないか、と思う。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 32
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

鬱と言うより泣かせメインの作品。昭和の戦争映画的かも。

点数上方修正します。
いい作品だと思ったし不満もそれほどないので、平均4.0では低すぎかなと思いまして。
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観終えましたので追記

 どうも後半のアニメとしてのアレンジが評判悪いみたいですが、私はそれほど気にはならなかったですね。
私が観たのが休日だったのも有りますが、飽きずに一気に観れましたです。
原作未読の私なんぞは、こういうお話なんですと言われれば素直に受け入れられましたです。原作に比べるとかなりソフトにアレンジされてるとの事ですが、充分救いの無い世界ですね(汗)
もう基本シチュエーションだけで残酷な上に、個々の子供たちの身の上まで不幸な訳でちょっとツラい作品なのは間違いないです。
私的には特にダイチの回とマキの回は泣いちゃいましたね。これは私が親だからってのもあるでしょう。赤ん坊・幼児が絡むとオッサンとしては涙腺がユルユルになってしまうもんで(汗)
 確かに重い話ではありますけど僅かながらも光明射す終わり方する作品でもありますので、それほど鬱だ鬱だと臆することなく観てもイイんではないかと。客引きのネタとして子供たちの死を利用した悪趣味な作品とは私は感じなかったですね。
 但し、個人的には女の子持つ男親は観ない方がいいかなと。
チズの件がちと、ね。
うちは息子だからまだ良かったです(汗)

 ただ、やはり契約してしまった子供達の姿には私は若干の違和感感じましたです。
{netabare}
 勝っても負けても死しかないと言う状況下で、あそこまで狼狽しないなんて達観しすぎじゃないかなと(汗)
ワクとコダマは自らの置かれた状況を把握することなく死んでますから別として、どうも皆13歳らしくない腹の括り方に見えるというか・・・。
ここら辺は個々のシーンをどう観たかと言う個人的な差異はあると思いますけども。
個々の心情描写にムラがあるというか、バックボーンは丁寧に見せる割には戦闘前後の姿の見せ方がアッサリ目な気がします。
13歳の子供が我を失って醜い姿を晒すなんてシーンばかりでは、流石にTV的絵面では無いと言う判断だったんでしょうか?
ここ最近はそういう心理面の描写が巧み且つ生臭いアニメも多い気がするので、今コレをアニメ化したら違ったイメージの作品になるのかもですね。
裏を返せば2007年制作のこの作品には、チズのエピソード以降に関しては散り際の潔さと儚さによる美談として概ね纏めようとしてる作り手側の意図が感じられる気がします。
世間で言われるほど鬱な作品では無いとの感想抱く方居るのも納得です。
私も視聴前は、死を前に泣いてわめいて命乞いをして自暴自棄になる子供達の生き地獄を延々と見せられる強烈な作品と思ってました。
完全に勘違いでしたw
まぁそんなドSな世界にカナちゃん放り込まれた姿は見たくないので、アニメ版位で良かったんだと思います。私的には彼女とダイチの妹が成長した姿だけがこの世界の救いのビジュアルでした(汗)
{/netabare}

人物の細かい描写の不満点とか時系列で?なところが僅かに気になりましたが、アニメ版も単独の作品としての話の収め方も悪くは無いと思います。
子供達主体の中盤までとタモツさんが出てくる辺りの終盤ではなんか別作品みたいな印象も受けるけど、チグハグな印象は無いです。
因みにこの作品も主人公たちの物語は完結するけど、世界の謎の全容は明かされないタイプの奴なので、そういうのがお嫌いな方はスルーした方が良いかも。

どうやら死に対するスタンスが随分と違う様子ですので、機会が有れば原作も読んでみたいですね。

//////////////////////////////////////////////////////
 以前から観たいと思いつつも、期待していた故に出来に失望したら嫌だなという事で手を付けず。盆の連休だから鬱々するのもいいかなと観始めてみました。
話の骨子は知っているつもりなので、もうしょっぱなから心が苦しいですね。こんな良く言えば悲しい、悪く言えば悪趣味な作品よくも考えたと思います。うちの子はまだ小学校にも上がってませんが、自分の子が・・・と思うとちと抵抗はあるんですよね。
だったら観なけりゃいいじゃんとも思いますが、残酷でも素晴らしい作品なのか否かは自分で感じたいなと思いまして。

 まだ2話しか見てませんが、確かに感情に纏わる描写に違和感有るかもですね。子供でも判るであろう異常なシチュエーションでも異常な程の感情の昂りが有る訳でも無く、ワクの転落に対する狼狽の無さも然り。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 15

83.8 4 絶望でシリアスなアニメランキング4位
86-エイティシックス-(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (667)
2259人が棚に入れました
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう、表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区"》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)"となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる!

声優・キャラクター
千葉翔也、長谷川育美

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あなたはゲームと戦争の違いを知っていますか?

この物語では、『あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重していますか?』と、問いかけています。
そして物語の中では、人間の強欲さや軍隊の理不尽な振る舞いが多く描かれます。
あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重してられますでしょうか?

この物語の背景では、大国ギアーデ帝国が完全自立無人戦闘機械(レギオン)を用いてサンマグノリア共和国などの諸国へ侵略を行っています。
サンマグノリア共和国も無人戦闘機械を用いて防戦をしているように国民へ公表しますが、その実態は第86区にいる少年少女たちを戦闘機に乗せて戦わせていました。

サンマグノリア共和国では、第86区に住んでいる人たちを人間として認めていません。その理由は『髪の色も瞳の色も違うから』 ただそれだけでした。
だから戦闘が発生しても戦死者はいつもゼロ。たとえ第86区の人たちが何人死んでも、戦死者はゼロと公表されます。

サンマグノリア共和国に住む16歳の少女レーナは、指揮管制官(ハンドラー)として第86区の精鋭部隊・スピアヘッドの指揮を執ることになります。
他の上官や同僚は、『第86区のものは将棋の駒と同じ』と考えているので、どんな犠牲を払おうとも気にしません。
でもレーナは第86区の人たちが人間であることを知っています。髪の色や瞳の色が違っても同じ人間であることを理解しています。

だから彼女は悩みます。
彼女の指令一つで何人もの人間が死ぬことを彼女は理解しています。
彼女は、指揮管制官となるには優しすぎる心の持ち主でした。

レーナは、理不尽な軍のやり方に憤りを感じます。でも、どんなに抗議をしても、軍の冷酷な命令は変わりません。
だから彼女は、隊員たちの命を守るために、あらゆる手段を講じます。
彼らを守るためならば卑怯者と呼ばれても気にしません。軍法違反も覚悟のうえです。

彼女が行ったことは確かに軍人としては問題ですが、人間としては大変立派な行動でした。レーナは部下を人間として尊重していたのです。
そんな彼女を私は尊敬します。


ところで、この物語を見て、ふと思い出したことがあります。
以前、米軍の戦闘機が敵とは無関係の建物を破壊したり、民間の人たちを殺戮したりしている映像をドキュメンタリーで見たときのことです。

数年前から中東やアフガンで戦う戦闘機の操縦者は、実はアメリカの米軍基地で操縦しています。
つまり、リモートで無人機を飛ばして地球の裏側の戦闘をしているわけです。
どんなことがあっても自分の安全が保障されているので、まるでゲームをしているように、「殺せ!、殺せ!」と戦闘員が叫んでいたのが忘れられません。

こうした愚行をする人はほんの一部であり、大部分の人は正常であることがわかっているのですが…
ゲームと戦争の違いが判らない人たちが戦争するのは、困ったものを通り越して恐怖です。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 49

U-yan さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

想像以上の良作でした!

第2クールも込みで評価致します。まず言いたいのはここまで良作だとは思っていませんでした!情報ゼロで観たのも良かったのかな〜。ですので内容には触れずに書きます。ストーリーの描き方や構成もオシャレだし、キャラクターの心情等の描き方もとても良かったです!というかそもそも物語が良かった。早く続きが観たいんだけど、一気観してあっという間に観終わっちゃうのも寂しい・・・。みたいな感じで葛藤するくらいでしたw迫力ある戦闘シーン、キャラデザもいい。声優さんも私の中ではハズレ一切なしでとても良かったです。音楽はOP.EDもBGMもとても良かったかな。良いトコで第2クールが終わりました。というか「ついに!?」ってトコでしたね。泣いたわ〜w原作は続きがあるみたいですね。2023.5現在、続編情報はないですが、絶対制作して欲しい!というか完結までお願いします!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 5

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

名作の部類でしょう。

いやぁ、いいね。
硬派な大人なアニメな感じでした。

他の方の感想を観ると、ネガティブな評価も散見されて残念なのですが、まぁ、合う合わないも含めて個人の感想ですから仕方がないですねぇ。

私が観たところでは、確かに既視感があると言えばあるのですが、あまり気にはなりませんでしたね。
全く立場の違う人物が、お互いの立場、境遇に悩み、共感し、友情に近いものを育むっていうパターンは、ままある話です。
曰く、看守と囚人、敵同士、別の国の友人同士、警察と犯人などなど。

設定もガバガバどと言う批評もあったりしましたが、この辺も特に違和感はなかったです。
いや、ツッコミどころが全くないかっていうと、勿論そうではないのですが、見せ方で「ふーん」と思わせ(錯覚させ)るぐらいの説得力はあったという事です。

この作品、観ていると、イメージが出来ればできるほど、辛く、きつく、悲しみが襲ってきますよね。
この時代に、よくこの手の作品をアニメ化できた(しようとした)ものですね。
差別、命の価値、使命、戦争の是非、様々なテーマが含有されています。
ただ、あにこれでの感想を観てみますと、私と同様、または近い形で、この作品を受け止めておられる方も多く、頼もしく思いました。


昨今の日の本のとある国では、
戦争=悪、いけないもの、許されないもの
命=絶対大事、最優先、地球よりも重い
的な考えが「絶対正義」とされておりますが・・・。

※もちろん、私も「戦争」なんか無い方が望ましい「絶対!」
「命を大事に」=「そりゃ、基本的には「正しい!」人の命も大事にするから俺の命も大事にしてくれ!!と思っていますよ、勿論。

ただね、これもある意味、ある意味ですが「思考停止」っていうね。

政治学を勉強したものからすれば「戦争」は状態であって、外交の一手段であって、当然、想定をしておかなければならない事態な訳で、「考えることもダメ!」「こうなった場合どうするかなんて、考えなくていい!!」なんていうのはお花畑もいいところ。
「ある意味、戦争は起こさなくても、起こるもの、巻き込まれるもの」という考えがノーマルなんですよ、実際は。

ああ、またいらないことを語ってしまった。

ただ、この物語にあるように、どうしても絶対に回避できないような状況になってしまって、何もしなければ、愛する人、友人、知人が巻き込まれて○んじゃう、みたいな時。
それを、回避したり、遅らせたりできる状況にあなた(俺)がおかれたら・・・、戦う決断をした人に「戦争は悪、命が大事」って投げかけてどうなるものか・・・。
とかね、イメージして観たわけですよ(ビョーキですか、そうですかw)

ま、こんなこと書くと、特定の思想に捕らわれているような印象を持たれてしまうかもしれませんが、まぁ、頭の体操っていうヤツは大切ですよってことでwお許しください。

あ~これ以上色々と書くと差しさわりが出そうなので・・・。

私的に、

物語は、硬派でシリアスで良い、ちょっと(ではないが)辛く、苦しく、切なく、哀しい雰囲気もあるが、大人が楽しめるアニメとして高い水準。
(楽しめるというところに、多少の違和感はあるが、この物語をエンタメとして見れている時代と環境に感謝しようか)

作画は、高いレベルと言ってよい。大人の視聴に耐えうると思う。一部の戦闘シーンは印象に残る。暗いシーンでも戦闘状況がわかるので良かった、たまに何やってるのかさえ分からないものもあるしね。

声優は特に悪い点は見受けられなかった。

音楽は、これも大人な感じでよい。差し込まれるポイントも物語の演出としてよく機能していたし、楽曲もいい感じ。
ちなみに、タイトルバックを差し込むポイントも工夫が見えて印象深かった。

キャラクタは個性が見えて、多彩でよかった。
線もシャープだし、クリアで好みだった。
若干、幼顔に振っているキャラもいたし、美形に振っているのはもちろんなんだろうけど、ここはアニメだし、許容できるかな。
美人さんが多いと景色もよろしいし、華やかだしね。(←ヤバいかな、この発言は、アニメ作品の「演出」としてのお話です。茶色にもいい所あるけど、色としては赤の方が華やかですよねーwって程度の話ですよう、いやだなぁw)


さて、最後に・・・。
印象に残るカッコいい名言がありました。

「明日死ぬからって、今日首くくる間抜けがいるかよ。死刑台に上るのは決まってても、上り方は選べるだろってそういう話だ。俺たちは選んで決めた。後はその通り生き延びるだけだ」

いいですねぇ。
ひねくれたツッコミを入れようと思えば、入れれるのですが、そのまま受け止めるのが吉です。
うーん、やっぱりカッコいい。
このマインドは結構大事、リアルでも役立つかもしれません!!


どうやら、2021.10~第2期があるそうで、私的には楽しみです。
この後、どういう展開が待っているのやら。
ものすごく、シンプルに楽しみにしています。

この作品も、合う、合わないの振れ幅が大きい作品かもしれませんが、きっと多くの方の視聴に耐えうる作品だと思いました。
機会がありましたら、是非、ご覧くださいませ。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 24

85.7 5 絶望でシリアスなアニメランキング5位
ゴブリンスレイヤー(TVアニメ動画)

2018年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (1044)
5031人が棚に入れました
「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ。」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。
それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった…。

声優・キャラクター
梅原裕一郎、小倉唯、東山奈央、井口裕香、内田真礼、中村悠一、杉田智和、日笠陽子、松岡禎丞
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

現実の魔物退治ってこういうことだよね・・・

原差悪未読。最終話まで視聴。

【衝撃的な第1話】
すでに多くの方がレビューされているので、詳しくは語りませんが・・・。

{netabare}衝撃的でしたね。
インパクトがありました。
ここで引いちゃう方には、残念ながら向かない作品と言うことになるんでしょうか。
そして、エロさとともに強調されたのがグロさ。

魔物退治って、現実にはこんな感じなんだろうなって思いました。
どこかファンタスティックに描かれることが多い魔物退治ですが、現実ってこうなんだろうな、っていう・・・。{/netabare}

【決して最強とはいえない主人公】
{netabare}かなり苦戦してましたね。
力で圧倒するというよりは、『知恵で勝つ』戦闘。

数で圧倒するゴブリンに苦戦するとか、結構リアル。
ここでも、現実の魔物退治を感じることが出来ました。{/netabare}

【ほのぼのほっこり日常パート】
{netabare}対照的に、日常パートは、ほのぼのほっこり!
平和な日常にホッとします。

ほのぼの日常パートと陰惨な戦闘パート。
このギャップが、この作品の魅力の一つかと・・・。{/netabare}

【物語を盛り上げる豪華声優陣】
小倉唯、井口裕香、内田真礼、東山奈央、中村悠一、杉田智和、松岡禎丞、日笠陽子・・・。
贅沢な声優陣ですよね!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 63
ネタバレ

dbman さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

想像力は武器…それがない奴から死ぬ

原作:ラノベ小説/放送期間:2018年10月-12月/全12話

最下級モンスターであるゴブリンのみを狩る冒険者・ゴブリンスレイヤーを描いた物語。

第6話まで溜まったので視聴しはじめたところ、「1話みたら止まらなくなる」状態で時間を忘れて一気に最新話まで観てしまった。

第1話からいきなり目を背けたくなるような残酷な描写が続くため、合わない方はここで脱落してしまうかもしれない。しかしながらそれ以降に登場するキャラクターたちにより作品全体の毛色が明るくなってくるので、早々に見切ってしまうのは勿体ないと記しておきたい。

{netabare}主人公のゴブリンスレイヤー(声:梅原裕一郎)は、言葉少ない孤高の戦士ゆえにその世間ズレした感性でちょくちょく笑わせてくれる。強い信念を持っているが、ロリっこ女神官とエルフからの指摘に素直に従うなどかわいい一面も。かと思えば、ひとたび戦闘になるとその格好良さが際立つ魅力溢れるキャラクターだ。

ロリっこ神官(声:小倉唯)はこのパーティーにおいて唯一経験未熟な新人冒険者なので今後どう成長していくのか楽しみ。

2000歳というエルフ(声:東山奈央)は、ちょうどいいツンデレさで物語を盛り上げてくれる。100歳のドワーフ(声:中村悠一)との絡みは冒険においてちょっとした束の間の癒しだ。

そしてリザードマンの蜥蜴僧侶(声:杉田智和)はその言い回しや戦闘スタイルがいちいち格好良く、一方で大好物となったチーズを手にした際の歓喜する姿は愛らしい限り。

これらのメイン5人だけでもお腹いっぱいになってしまうほど愛すべきキャラだらけなのだが、ギルドの受付嬢(声:内田真礼)や残念なイケメン槍使い槍使い(声:松岡禎丞)、怪しい雰囲気を纏う魔女(声:日笠陽子)などなどキャラクターだけをとっても飽きさせることがない。

また、もうひとつの冒険ストーリーといっていいのかわからないが、まだまだ未熟な新米戦士と見習聖女、ふたりの今後も気になるところ。{/netabare}

▼第8話
{netabare}前回あのような終わり方だっただけに、どうなってしまったのかとwktkしながら蓋を開けたら…。大した説明もなく復活していたことに少々戸惑ってしまったけれど、リザレクションという名のえっちしたら復活したいうことなのだろうか? そもそも死んだのか重傷だったのか。原作ではその辺りもっと詳しく説明されているのだろうか。ん~ん、ワカラナイネエ。{/netabare}

▼第9話
{netabare}剣の乙女とのシーン、夢の中でもゴブリンを倒しに行くというくだり、中々に痺れました。そんな無責任なこと言って大丈夫かとも思ったけど、ゴブスレならやってくれそうだw そしてシリアスからのゆるゆるシーン。前回登場したアイスが気に入ったのか氷菓子を作りたいだなんて、ゴブリン以外にも興味を持ったようで微笑ましかったw{/netabare}

▼総評
{netabare}序盤はゴブリンスレイヤーさん(以下、ゴブスレ)で幾度も笑わせてもらいましたが、次第に笑えるシーンは薄れていきました。ストーリーがストーリーなので仕方ないけれど、シリアスの中に挟まれる癒しの笑いが好きだったので素直に残念にも思ってしまった。

作中ではなかなか胸に突き刺さるセリフもあり、なかでも第2話でゴブスレが発した「想像力は武器だ…。それがない奴から死ぬ」というセリフには痺れました。この言葉って人生においても当てはまるなあなんて思ったり。

して、皆さんのレビューのなかにはレイプ描写がNGとの声もみられ、その辺り、当たり前に思ってしまうのは漫画や映画、海外ドラマなど観過ぎてしてしまっている弊害なのか…。この作品はあくまで、ゴブリンによって人生が狂ってしまった、あるいは殺されてしまった者たち…。兎角ゴブリンの醜悪さを伝えるためにもああいったレイプ描写が必要不可欠なものだったと思われます。

そういったものだからこそ、作中でも小バカにされているが、そんなことはどうでもいい、「で、ゴブリンはどこだ」とゴブリンしか眼中にないゴブスレの心情も伝わってくるし、大変魅力あるキャラとして目に映るものとなっていたように思います。

物語終盤での、自ら頭を下げてゴブリン退治を願い出るシーンは、予定調和だなあなんて多少穿った目で見てしまいながらも、それでも次々と冒険者たちが立ち上がっていくさまには、結局のところ心温まりながら顔が綻んでしまうものとなっていました。

冒険者たちの力を借りて見事ゴブリンの軍勢を打倒し、大円団とばかりに酒場での宴会を迎えるわけですが、兜を外すも視聴者側には見せないまま終えるラストは良かったと思います。そもそもこの作品、登場する人物の誰一人として名前がないんだものw レビュー書きにくかったわ!

ここで、槍使いが「なんかどっかで見たような…、クソッ! なんか気になる」と意味深なセリフ。そして最終最後ではマーベル映画シリーズを彷彿とさせる「ゴブリンスレイヤーは帰ってくる」の文字。これらから見るに続編は明らかなので、私としてはまだ先が観れるということが最高に嬉しい限り。そのまま、なにもないケースもあるので期待しすぎるのは禁物だけれど。

ちなみに、蜥蜴僧侶を杉田智和さんが演じていたことは分かったけれど、鉱人道士は最後まで中村悠一さんが演じているとは思えなかったw これまで観て来た作品に中村さんが出演しているものも相当数あったけれど、あのような別人にしか思えない声色での演技も出来るのね。中村さんの演技幅に感服させてもらいました。またラスボスとして登場したゴブリンロードは、まさかのにゃんこ先生w スタッフロールなどで知らなかったら井上和彦さんとは気づきませんでしたわ。
{/netabare}

▼キャスト
ゴブリンスレイヤー:梅原裕一郎
女神官:小倉 唯
妖精弓手:東山奈央
牛飼娘:井口裕香
受付嬢:内田真礼
鉱人道士:中村悠一
蜥蜴僧侶:杉田智和
剣の乙女:遠藤綾
魔女:日笠陽子
槍使い:松岡禎丞
ナレーション:悠木碧

▼作品情報
アニメーション制作:WHITE FOX
原作:蝸牛くも/小説:既刊8巻
監督:尾崎隆晴
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:永吉隆志

▼主題歌
オープニングテーマ「Rightfully」歌:Mili
エンディングテーマ「Within」歌:Mili(第12話)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 58

のか さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

異世界転生無双作品に飽きた人にお薦めですかね^^

原作(コミカライズ版のみ)既読 全12話

あらすじ
最弱のモンスター、ゴブリンのみを狩る冒険者のお話し

では感想を
グロいですね^^;
まあ、原作(コミカライズのみ)を読んでいましたので耐性は出来ましたけどwww

コミカライズの方がもう少しグロかったかな^^

女性への暴行シーンが沢山あります。
耐性がない人は要注意アニメです。

私は大丈夫でした(^_^)v
TL漫画の方がもっと凄い描写もありますのでwww

TL(ティーンズ ラブの略)漫画を知らない人はググってください。
簡単に言えば女性向けのえっち~本です
(〃^∇^)o_彡☆あははははっ

王道ファンタジー、主人公の成長物語です
最近流行りの主人公無双系ではありません

主人公が悩み、傷つき、倒れ、仲間たちと成長する物語
個人的意見ですが、かなり硬派なファンタジーアニメだと思います。


作画は気になる所はありません。
よく動いていたし、崩壊とか無かったです。
ただただグロい!

声優さんですが豪華でした!
めっちゃキャラに合っていると思いました。

音楽は作風に合っていて神秘的って感じですかねwww

キャラは普通です^^
主人公が個性的で後の冒険者さんたちは見た事あるタイプって感じです^^


グロい事さえなければかなり良作アニメだと思います。
でも確かに女性(10代)向けではないですねwww

でも私は視聴しましたwww
大人の女ですから(爆笑)

個人的意見ですが、主人公最強系ではないと思います。
最近、よくある無双状態アニメを期待すると裏切られますよ。

王道ファンタジーですが、視聴者を飽きさせない構成になっています。
最終話などはかなり良い感じです^^

グロ系に耐性があるのであれば、ぜひご覧ください
2期がありそうなアニメなので、私は追っていきたいと思いますwww



では最後に一言
絶望した~!派手さのないアニメに絶望した~!
この手のアニメは感想が非常に書きづらいんですよ!
派手な演出がない分、物語の深さを読み取らないといけないんですよ~!
でも、そこが良いから絶望するんです!
このアニメの良さを伝えられない自分の文章力に絶望した~!

投稿 : 2024/11/23
♥ : 43

94.8 6 絶望でシリアスなアニメランキング6位
鬼滅の刃(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1681)
7026人が棚に入れました
血風剣戟冒険譚、開幕。舞台は、大正日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変した。 唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子を元に戻す為、また家族を殺した鬼を討つ為、2人は旅立つ。鬼才が贈る、血風剣戟冒険譚!

声優・キャラクター
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、櫻井孝宏、大塚芳忠、梶裕貴、加隈亜衣、岡本信彦、森川智之、悠木碧、井澤詩織、浪川大輔、山崎たくみ、緑川光、子安武人、坂本真綾、山下大輝、早見沙織、千葉繁、上田麗奈、日野聡、小西克幸、花澤香菜、河西健吾、杉田智和、鈴村健一、関智一、関俊彦、木村良平、福山潤、小松未可子、諏訪部順一、内山昂輝、小清水亜美、森久保祥太郎、白石涼子、稲田徹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ヒット作を語らう時の心の姿勢

2020.04.12 追記

思うところがあっての大幅加筆。
視聴後に書いた作品レビューは後段に残しときます。
 ※ごく一部のアニヲタ批判も含んでるので気分害されちゃったらごめんね


作品の良し悪しについて各々語るのがレビューサイトの目的の一つですが、この作品は久々に普段アニメを観ない層を巻き込んで社会現象を起こしたということもあって、その観点で一言申し上げたく候。基本雑談です。


{netabare}とあるコーヒー屋にて見かけた風景。
「こんないいものなのになかなか理解されない」

自身が愛好しているものを理解してほしい。誤解を解きたい。なんなら広めたい。趣味人なら自然と沸き上がりそうな感覚です。少なくとも目の前で熱弁をふるってるこの人はそんなタイプの人。そしてその対象はアニメでした。
一緒にいる相手はそれほど興味のない層。よくありそうなシチュエーションです。
時は2016年。大ヒット中の映画『君の名は。』を映画館に出向き鑑賞し感動したと伝える非ヲタさん。話を合わせただけかもしれませんが、そんな会話のきっかけを全力で折りにいくアニヲタさんがいました。曰く、

「あーあれ話の辻褄全然合ってないんだよね」
「話が頭に入ってこないから全く泣けなかったわー」
「それよりも新海監督の前作がなんちゃらかんちゃら…」
「それよりも同時期の『聾の○』『この世界の何某に』のほうが凄かったけどね」
等々

前段でなかなか理解されないというやりとりを耳にしてたからなおさらかもしれません。

 「そりゃあんた理解しろというのが無理だわ」

単に巻き込みに失敗しただけでなく、むしろ遠ざける逆の効果を発揮するコミュニケーションでした。あほらし…
別にあにこれで同種のレビューを投稿するのは一向にかまわないと思います。同じヲタ同士で一定の土台を共有してますし、節度を保って思うところぶちまけてもらったほうがよいしそういう場です。
そのため「『君の名は。』つまんねーのにそう言っちゃだめなのかよ!」とか「思ってもいないこと(面白くないのに面白いと)言うほうが不誠実だと思うが?」という話では全くないので悪しからず。

せっかく興味のなかった人が興味を示してくれたのに。当のヲタさんだって仲間になりたそうにこちらを見ているのに。…全力でへし折りにいってませんか?です。

 「どこらへん面白かったの?」
 「アニメってどんなの想像してた?」

せめてこれくらいのワンクッション置いてから持論を展開してほしかったところ。
非ヲタさんはアニメを観にいちいち映画館に足を運ぶなんて滅多にないでしょうに。ここらへんの想像力がこのコーヒー屋で出会ったアニヲタさんには決定的に欠けてます。
もうなんというかオタクどうこうよりも単なるコミュニケーション下手かどうかの話のような気もしますが、やらかしがちなので自戒も含めて気を付けましょう。


というわけで何を言いたいかはもうお分かりですね。
4年ぶりに似たような局面がきてるわけですよ。クリスマスや誕生日のプレゼントに単行本をせがまれてみたり、芸能人がファンであることを公言して、なかには椿鬼奴さんみたいに番組内でネタにしてたりもする。LiSAさんが紅白に出場してたりもしましたね。

とはいっても、制作会社「ufotable」。声優「花江夏樹」「鬼頭明里」。一般人はまず知らない単語です。紅白出場したからといってアーティスト「LiSA」さん知らない人だって多いでしょう。今回で興味を持って動画を漁ったとしても客席サイリウムが乱舞してる光景を見たらそっ閉じしたくなるのが人情です。
余計なお世話でしょうが、同好の士を増やしたい私としましては非ヲタさんとのやりとりは「お手柔らかに」と願うところであります。

『鬼滅の刃』気に入ったのならこんなのもあるよ(^^)
そんな展開を夢見て以下、


■映像凄かったっす

作画に触れて制作会社「ufotable」を話の枕に『fate』『空の境界』をご紹介。劇伴も同じ梶浦由記さんだったりします。


■声優さん繋がりも

ベテラン・若手・中堅問わず実力のあるCVさんが多く起用されていた本作です。要は年間通して登板回数の多い人たち。
竈門家だけでも父:三木眞一郎、母:桑島法子、子供たち:大地葉、本渡楓、古賀葵、小原好美とかいう水準です。

 「その○○役やってた人だったら、今ちょうど△△ってアニメに出ているよ」

リアタイものだと「じゃあ明後日チェックしてみよう」と敷居が下がったりするものです。

それに各々代表作を持ってそうですから、そちらへの誘導もありですね。
花江夏樹さんなら『四月は君の嘘』。早見沙織さんなら『あのはな』。あたりは非ヲタ向け鉄板でしょう。「いやそれより『俺ガイル』が鉄板だ!」そのへんはどうぞご自由に(笑)

我妻善逸(CV下野紘)からの『ACCA』ジーン・オータス役。
嘴平伊之助(CV松岡禎丞)からの『SAO』キリト役。
本作での役どころとは違う顔を見せている作品も驚きがあっていいですよね。


自分もそうでしたが、声優さん、制作会社、劇伴担当、キャラデザインあたりの繋がりから広がっていったと思います。

まあそんな感じの世迷い言です。お付き合いいただきありがとうございました。
ちなみに私はこの作品を手放しで褒めておりません。{/netabare}




↓以前投稿した作品についての感想
--------------------------------------------------------------
2019.10.04記
旧件名:良いほうの『少年JUMP』

{netabare}
艶やかな街の灯り
静謐な山間の雪景色

とにかく綺麗な作品です。
色使いが独特といいますか鮮やかな色の組み合わせが印象に残ります。
主人公炭治郎の羽織(緑と黒)はサムネでも確認できる組み合わせ。

その一方で、毎話冒頭サブタイトルコールの墨色を用いた水彩風の演出にも味わいがある。全体の色味が和風なんですよね。

そしてこれがぐねぐね動くのを目の当たりにすることになります。
バトルシーン。抜刀時の緊張感。連続した体動作の流麗な運び。対立する“鬼対人”の果てなき抗争の物語のためバトルシーンは多くあり、手を替え品を替えての演出に都度唸ることでしょう。


制作会社『ufotable』は、『劇場版 空の境界』でアニメビギナーだった私の心が鷲掴みにされたこともあって、本作『鬼滅の刃』は事前から楽しみにしていた作品でした。

『空の境界』は、和装のヒロインの殺陣がとにかく流れるようだったのとそれを活かすコマ割りで、これまでバトルを“迫力”という概念でしか見れてなかった自分に”美しさ”というものを教えてくれた忘れられない作品です。



さて『鬼滅の刃』に戻ります。
冒頭作画に触れたのは、この一点だけでも「買い」だと思ったから。なお原作は未読です。
週刊少年ジャンプは『ONE PIECE』が連載される前に卒業した私ですが、いかにもジャンプらしい作品と言えるのではないでしょうか。たしか

 “ 努力 友情 勝利 ”

でしたっけ?
その王道を行くかのような竈門炭治郎(CV花江夏樹)が主役の物語。鬼に親兄弟を惨殺され唯一生き残った妹も鬼と化してしまう。その妹竈門禰豆子(CV鬼頭明里)を人間に戻す手段を探るべく、人外なる鬼を討伐する組織へと身を投じていく流れとなってます。

良いですね。
炭治郎が素直で努力家で妹思いで諦めない強い意志を感じさせるいい奴なんです。私としてはこの主人公と冒頭述べた作画の2点推しです。
・・・以上なんですけど一応5項目整理しておきます。


▼物語

あらすじ読むと暗そうな話ですが、実際展開されたのはシビアな場面とギャグパートとのほどよい緩急。すっと肩の力を抜けるポイントが用意されてそこそこ笑えます。
それにインフレし過ぎない敵キャラ。鬼舞辻無惨(CV 関俊彦)を最終目標と定めてのブレない展開も好感。
炭治郎の鍛錬シーンに尺を取り強くなっていく過程を丁寧に描いたことは戦闘の重みや背負うものの大きさなどに説得力を持たせる効果がありました。また、鬼を一方的な悪として描かないこともお家芸とはいえ好きな設定。


▼声優

弱っちいけど芯のある人物を演じるには花江さんの選択は良かったかと。2018年初頭『グランクレスト戦記』『ラーメン大好き小泉さん』でその名を認知したのち、視聴作品が被ってなかった鬼頭明里さんのフルボイスを久々聞けたのは個人的に◎。
敵方の “ 十二鬼月 ” そして鬼殺隊エリートの “ 柱 ” 両陣営にも豪華声優陣を配置。 一部しか登場してないので今後の発展性の面でも楽しみが残ります。

{netabare}禰豆子を人間に戻すためのキーマン珠世を坂本真綾さんが演じられているのも耳に心地よい。もっと珠世を出しておくれ!{/netabare}


▼キャラ

我妻善逸(CV下野紘) 嘴平伊之助(CV 松岡禎丞)の位置づけが絶妙でした。
濃いっすね。途中からお笑い担当みたいになってましたが…
{netabare}協力プレイで敵を撃破!という印象がないのです。
意図したものなのか、兄と妹の絆に焦点あてていて友情プレイは控えめでした。今後の伸びしろを感じるところです。{/netabare}


▼作画

既述。
追加で、室内戦闘の描写もすさまじかったですね。
{netabare}ジャミロクワイの名曲『Virtual Insanity』のPVイメージで、そこの灯りを暗くして動きをめちゃくちゃ激しくしたような響凱(CV諏訪部順一)との戦闘も目を奪われました。鼓を打つ鬼とのバトルですね。{/netabare}


▼音楽

安定の梶浦案件。
地味に評価したいのが2クールの前後半通してOPEDが変更されなかったことでしょうか。昨今のお作法からみても異例な気もしますが不自然さは感じません。
{netabare}後半で曲を一新して、最終話クライマックスで前半OPどーん!演出って分かっていてもアガるんです。でもそれをしない勇気といいますか、作品の一貫性考えると変えないほうがいい気がします。{/netabare}




整理してみると、個別項目でのマイナスはあまりなかったです。
続きは劇場版でということでしょうが、まだ開けてない引き出しも豊富なので不安はないでしょう。

ただし、2クール後半でやたらキャラ増やしてお披露目パートみたいになってたのをどう見るか?
ちょっとイマイチでした。単に私が消化しきれなかっただけで、これも続きありきということなら仕方のないことなのかもしれません。

それに少年漫画らしいシンプルな面白さを追求した感があって、エンタメとして申し分ないわけですが、天井をぶち抜くような破壊力まではありませんでした。あくまで感覚的なものです。

きっと作画表現に度肝を抜かれたこともあって同等かそれ以上のレベル感で「深み(絶望)のある物語」を期待してしまったのではないかと思われます。


いや充分面白いんですよ。今期(2019年9月終了もの)TOP3に入るのは間違いありません。全方位でおすすめです。{/netabare}



視聴時期:2019年4月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.10.04 初稿
2020.04.12 追記
2021.08.11 修正

投稿 : 2024/11/23
♥ : 105
ネタバレ

sukasuka さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ポエム成分多め?

知人が劇場先行試写会に行ったらしく、絶対面白いから観ろと言われた。
ググると、週刊少年ジャンプの人気漫画が原作らしい。
第1話の掴みとしては上々、なにより作画に力が入っている。
劇伴も作風に合っていて上質。
ただ、主人公のポエム成分多めなのは気になったかな。
なぜか甲鉄城のカバネリを重ねてしまうんだが、あのような惨事にならなければ
最後まで楽しめるかも?
あとは、巷で話題の脱税疑惑が影を落とさないことを願おう。

■4話目まで
もう年齢的に少年漫画原作のアニメは敬遠気味なんだが・・・・・
{netabare}いや~、熱いわこれ(笑){/netabare}

■5話目
体感10分だな。
{netabare}ここ数年でもTOPクラスの面白さ。
主人公のポエムもあまり気にならなくなってきた。
公式サイトを見ると円盤は全11巻らしいので2クール?
このまま崩れずにアニメ化大成功で終わって欲しい。
○○君、勧めてくれてありがとう(仮){/netabare}

■9話目
動く動く(笑)
動きだけじゃなくアングルがまた素晴らしい。
グロさと可愛さも加わって、ここまでは言うことなしだわホント。
評価も上方修正しておこう。

■10・11・12話目
何だか急におかしくなってきたな。
{netabare}クドくてお寒いギャグ連発のせいなのか?
ついでに作画のキレも無い。
新キャラも出てきて話自体はまぁ面白いんだが・・・・・困ったねこりゃ。
とりあえず評価は大きく下方修正。{/netabare}

■13話目
ちょっと間延び気味。
そのせいかテンポが悪い。
{netabare}この先も観続けるかどうか迷っていたが、物語自体は気になっていたので
ネカフェに行って既刊全部読んできた。
・・・うん、これ以降どんどん面白くなるのね(笑)
ということで期待してます。{/netabare}

■14話目
後半突入。
{netabare}いやー、引き出しが少ない松岡禎丞さんだけど、今作でははなかなか頑張って
らっしゃるような?
作中のギャグが絶望的なのは2クール目になっても相変わらず。
アニメ化の時点で何とかならなかったのか・・・。{/netabare}

■18話目
伊之助神回。
この章に入って一気に盛り返した感。
残りラストまで息切れせずに頑張れ。

■19話目
炭治郎神回。
残り話数的に今作のクライマックスかも(全26話)。
{netabare}ヒノカミ神楽の舞はモーションキャプチャー? ロトスコープ?
まぁTVアニメの動きじゃないな。{/netabare}
それにしても前回といい熱いねぇ・・・途中で断念しなくてよかったわ(笑)

■22話目
ここに来て柱の総お披露目。
{netabare}花澤さんの声と演技はやっぱり好きだわ~(笑)
それにしても声優陣が豪華だなぁ。{/netabare}
つーかこのアニメ、もしかして当初から2期決まってんじゃね?

■最終話
当初から決まっていたのは2期じゃなくて劇場版だったのねwww
漫画だとここから右上がりに面白くなっていくので、劇場版の後に2期来るのを
正座して待つことにしよう。
(・・・といっても、原作にそれほどストックがある訳じゃないからなぁ)
何にしろ、甲鉄城のカバネリのような惨状にならずに最後まで楽しませてくれた
傑作TVアニメだったのは間違いない。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 17
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

本当に骨が折れる大正バトルアニメ

原作コミックは未読。

OPの最後、守りたい禰豆子(ねずこ)の手を握る炭治郎の、
マメや傷だらけの掌が象徴するように、
苦行や苦闘を積み重ねて強くなる、
渋い味わいがグッと来る、素晴らしいバトルアニメでした。

他にも戦いはそんなに簡単じゃないと主張する描写が、
本作は徹底していたと思います。

首を落さない限り、部位欠損してもすぐに復活してしまう鬼を相手に、
戦闘で負傷しても、人間側には即時回復する手段等が乏しい所も厳しい。
しかも、回復もそこそこに次の任務を通告しに来る黒いカラスさん。
鬼殺隊……ちょっとブラック過ぎやしませんかねw
で、次の戦いでも、治りきってない骨折が尾を引いたりする。

{netabare} 私も一応、長男坊の端くれですが、
流石に肋骨にヒビが入ったまま、
自らを「頑張れ!」と鼓舞して鬼に対峙する根性はありませんw{/netabare}

大物を相手に大怪我を負い、やっと治療施設に入っても安心できません。
長いリハビリテーション及び再強化の苦難をもじっくり描いて、
成長物語として成立させてしまう。
作者とスタッフの手腕に脱帽です。

ナイチンゲール以来、女性看護師を優しい白衣の天使だのと崇める文化?がありますが、
本作を見ていて思い起こすのは、私の幼い頃のナースに関するトラウマ。
痛い注射や苦い薬を強いる怖いお姉さんと言う思い出が蘇って来ましたよw
鬼より怖い看護婦さん!リハビリこそ地獄!!


{netabare}渡る世間には鬼しかいないのか……!?
苦難の連続に喘ぐ私にとって、
激戦の最中、蝶の羽根を広げて舞い降りた、しのぶさん(CV早見 沙織さん)は、
一瞬、天使と見まごう神々しさでした。

ですが、間もなく、彼女の色々な意味で毒を出す毒キャラ属性が判明w
舞い上げて落されましたw{/netabare}


その他、鬼でありながら、人間の家族愛などを求めて彷徨う哀しき性、
その想いを汲み取り、安らかに逝かせる炭治郎の優しさなど、
簡素なセリフ回しとは裏腹に、
心情描写もなかなか繊細で、それらが丁寧な修行描写等と合わせて裏打ちとなり、
アクション、エフェクトの作画の綺麗さだけでは出せない、
胸を打つ美しさに繋がっていたのだと思います。


個人的には本年のみならず、
2010年代の中でも心に残るバトルアニメの一つとなりました。



評判の19話を観て……。

長いので折りたたみw
{netabare}
最近は動画配信サイトでおよそ一週遅れで追い掛けている本作。
この19話も私が観る前に、原作者が号泣して、20回観ただの、
好評や絶賛の声やAbemaTVの宣伝?やらが次々に耳に入ってきて……。

これは是非とも気合いを入れて観ねば!
と、深夜アニメで久々にハードルを高々と上げての視聴となりました。

ハードルを越えて来るのは作画だろうか?シナリオだろうか?キャラだろうか?
そう高をくくっていましたが、甘かったです。

俗に“神回”と称される話は、映像、音楽、脚本あらゆる要素が、
限界突破して次々にハードルを越えて来るもの。

私は、この夏アニメも視聴遅れ気味だと言うのに、
ビックリして思わず二度見してしまいましたよ♪

2010年代のバトルアニメシーンを語る上で、
挙げねばならない回の一つとなりました。


内容は……{netabare} 典型的な主人公覚醒回。

凡百のバトルアニメの覚醒回では、大体、主人公がプッツン来て、
理屈をぶっ壊して、ついでに作画もプッツン来て、繊細さより、勢い重視。
大音量の音楽や声優さんのシャウトの威も借りて、力押しして……。
というパターンが多い印象。

けれど、本作の場合は、主人公がピンチになるほど冷静になり集中力が高まり、
起死回生の打開策が見出される。今回はそれが極限まで高められた感じ。
作画もこれまでの話のクオリティが上限?と思い始めたこの19話で、
“全集中”して、隠し持っていたギアを一気に入れて来た感じ。


人が死に際に走馬灯を見るのは、
生き残るための手段を無意識に過去の記憶から探し出そうとする現象。
と言う着想がキーになる回でもありました。

これも走馬灯から奇跡の逆転劇だけだったら、
展開が詰まったバトル漫画の苦し紛れと斜に見るところ。

本作の場合は、走馬灯から見出した一縷の望みを、主人公少年が体現できるようになるために、
血反吐を吐くような修行と戦いの日々を繰り返したことを、
視聴者はこれまでの話でしっかりと共有できている。{/netabare}


シナリオ面でも、制作面でも確固たる理由があるから感動できた。
この手応えが、とても嬉しかったです♪

自分は価値ある走馬灯を見るだけの人生を送っているのだろうか?
それを生かすだけの日々の積み重ねをしているのだろうか?
何か生き方も問われたような、印象的な回でした。{/netabare}



【5話迄の感想】地道な修行と業の積み重ねが言動に魂を込める

これも、長いので折りたたみw
{netabare}


今のところ、良い意味で古風な少年バトルアニメとして、私は非常に楽しめています。
最近のチートレベルのキャラが無双する作品も爽快で良いですが、
やっぱり多少時間はかかっても、愚直に修行を積み重ねる。
呼吸法のレベルから、人間が人を喰う鬼と対峙するための強さを
着実に身に付けて行く、本作のような作品も良い物です。

展開も5話費やしてやっと土台となる修行を終えるスローペース。地味と言えば地味です。
さらに初見時は、これも私が最近の小中学生相当の少年少女にすら、
悟りや哲学を語らせるが如き、“名言”量産アニメを見過ぎていたせいでしょうか?
本作のセリフ回しは良く捉えれば素朴、悪く言えば凡庸に感じ、
失礼にも、この作者さん、もしかしてボキャ貧?などと不安に駆られたりもしました。

ところがそんなセリフについても、回を重ね、
積み重ねた修行の成果やら、登場人物が背負って来た業やらを共有する内に、
変哲もない単純な一言が胸に迫って来るから不思議です。

五話で{netabare}鱗滝さんに「よく、生きて戻った……」と言われてもらい泣きしそうになった時は、自分で自分に驚きました。
また、最終選別からの帰路で主人公少年が行き倒れそうになるシーン
をわざわざ描く辺りがグッと来るのですよ。{/netabare}

序盤を終えて、修行や物語だけでなく、作画や劇伴・主題歌も手応え十分なので、
今後も是非、鍛え上げられた足腰から放たれる直言を喰らわせて欲しいと期待しています。{/netabare}

投稿 : 2024/11/23
♥ : 62

89.4 7 絶望でシリアスなアニメランキング7位
進撃の巨人 Season3 Part.2(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★★ 4.1 (713)
3565人が棚に入れました
人類が永きに亘って壁の中に隠してきた、大いなる秘密――。 その真実に一歩近づいた調査兵団だったが、時の王政により反逆者の汚名を着せられてしまう。 しかし、人類はただ飼われるだけの家畜ではなかった。 真実を追い求めるエルヴィン・スミスの執念は兵団のトップを動かし、遂に現体制に対するク ーデターが勃発する。民衆を欺き続けた偽りの王は退き、真の王家の血を引くヒストリア・レ イスが即位。自ら巨人を討ち果たした勇敢な女王のもと、人類は新たな時代を迎えようとして いた。 エレン・イェーガーが得た硬質化の能力と、そこから誕生した対巨人兵器。 着々と反抗の準備を進める人類は、悲願のウォール・マリア奪還作戦を決行する。 人類と巨人、互いの生き残りを賭けた究極の戦い。 その先にエレンは、人類は、はたして何を手にするのだろうか?

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、橋詰知久、朴璐美、小野大輔、神谷浩史、子安武人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

俺たちの進撃よ お帰りなさいませ!

この絶望と高揚

つくづくこの作品は極限下の人間描写が素晴らしい。

進撃の巨人3期Part2は全10話。継続No.ですのでクレジットは#50~#59ということになります。極めて濃厚あっという間の10話でした。今クール(2019年春期)ひいては今年上半期の最優良物件と感じる自分はこうも思ってます。


 “途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


1期#01~#25、2期#26~#37、3期Part1#38~#49、そしてPart2とこれまで間隔を空けながらも足掛け5年は続いている長編物語は未だ道半ばにあります。
Finalと銘打たれたシリーズが2020年放送予定とのことでクール数不明ながらクレジット#70を超える大作として幕を下ろすのでしょう。

本作の良さはこれだけ長く続いているのに物語の整合性が保たれているところにあります。
私は原作組でもありますが、アニオリ入れても本筋から逸れることがない。その本筋は一本の線で筋が通っている。ブレがありません。
1期で提示されたのは未知なる巨人の圧倒的な力に抗う人類の意思でした。2期で巨人は見えない恐怖から見える恐怖に変わり、3期ではPart1&2を通じてこの世界の仕組みに踏み込んでいきます。
2期あたりから、外形的な巨人の恐怖が変わったことを面白くないとみる層が一定数いたのも事実でした。あまりこういうことは言わないのですがもったいないことをしてると思われます。出戻ってここまで辿りつけば報われる3期Part2と言えましょう。

やや説明的な3期Part1を踊り場にして、3期Part2では1期さながらの対巨人バトルが復活。これまでの物語の積み重ねによって闘う意味に極めて重たい理由が課せられた上での死闘が繰り広げられることになります。
さらにこれまでのあの場面に出てきたアレ。この場面でのあのセリフ。綺麗に伏線の回収がなされていきます。そしてFinalに向けての新たな謎撒き。ここまでくると、未回収の謎にもきっと答えを出してくれるのだろうとの信頼をこの作品に寄せることができてます。だからこそあらためて言いたい。


“途中で断念したみんな!戻っておいでよ!”


RevoさんもOPに返り咲きましたし。正直なところ曲単体での魅力は乏しいといいますかあんまりお上手ではない方ですよね。それでも進撃の物語にはしっくり馴染むのです。名曲「紅蓮の弓矢」を転調アレンジした「憧憬と屍の道」って、虎舞竜「ロード第二章」との既視感がハンパありません。
・・・褒めてんだか貶してんだか、こちらの曲は今から加速してくぞ!ついてこいよ!を宣誓する凱歌のように私は捉えておりました。


さて、全く未経験な諸氏向けにはどうか?
59話終わってなお続きが気になる物語です。長丁場は承知の上、Finalシリーズを共に楽しむために予習を済ませておきませんか?と推薦しておきたいところです。



■野球は巨人 対する阪神は新劇いや進撃
こんな危険球は嫌だ!の声が聞こえてきそうです。
※纏められなかったがこのエモさだけは残しておきたい!的な以下。

{netabare}#50~#55までの獣の巨人戦を軸とした戦闘描写は特濃レベルでした。ここまで6話分。辞書に無駄回という語が載っておりません。{/netabare}

観ていて苦しくなります。民族殲滅を目的とした強大な相手に対してどう対処すればよいというのでしょうか?
話せばわかるが通じない相手に非力な側ができることには限りがあり、“家畜の安寧”を甘受しようとも先細っていくのは避けられません。

{netabare}#54と前後の回は本作のピーク。

1.エルヴィン・スミスの諦観
「そして私は真っ先に死ぬ。地下室に何があるのか…知ることもなくな…」
これまで頼れる団長、超絶リアリストだったエルヴィンも事ここに至りて感情のある人間だったという事実に驚く。一呼吸置いてそりゃ人間だもんなの納得感に落ち着く。
「俺は選ぶぞ。夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。獣の巨人は俺が仕留める」
#53はエルヴィンとリヴァイのやりとりだけで通常なら神回相当。

2.リヴァイの誓い
「待てよ…俺はあいつに誓ったんだ…必ずお前を殺すと…」「誓った!」
獣の巨人を仕留めにかかるリヴァイは作画の凄さも相まり冗談抜きで震えがきた。そして何回も観た。
死んでくれ!と自分が言った盟友との約束。死者(この時点では仮だが)との約束は限りなく重い。

3.アルミンの嘘
「エレン…わかってるよね?一緒に海に行くって約束しただろ。僕がエレンに嘘ついたことあった?だから何があっても僕の作戦守ってくれよ!」
「クソ…わかってたハズなのに…」
「わかってた…お前が誰よりも…勇敢なことぐらい…」
大人達から一転エレンサイド。ここまでしないと突破できない絶望的な状況というのがやるせない。エレンも泣き叫ぶでなく静かに咀嚼する。
#54は鋼、超大型、獣と無理ゲー級の負け戦からの大逆転ながらカタルシスはなし。これ凄いことです。

4.そして選択
リヴァイはアルミンを選んだのではなく、エルヴィンを選べなかったのだと思う。
壁の外。地下室に行きたいエルヴィンと海を見たいアルミンとが描く夢は一緒。諦めさせた夢を掘り起しもう一度地獄を見せることは出来なかったのだろう。団長R.I.P(T_T)
何を選ぼうがどれを選ぼうが地獄という世界は残酷この上ない。きっとこの後、“ここに団長がいれば”という展開が予想され、逆でも“ここにアルミンがいれば”となるのは必定な展開が透けて見える。
なにも時間をかけた選択ばかりを指さない。
・獣を足止めして生存者がいないかと逡巡したリヴァイ
・ライナーの取り扱いを巡るジャンとハンジの躊躇
瞬時に最適解が求められる戦場の非情さがものの見事に表現されているのだ。たまらん。

「アルミン、またな…」
リヴァイが団長を選ぶかという時にアルミンを前にしてのコニー。自身の死をも見越した別離の声掛けなんだよね。
#55 気持ち良さがまるでないが目の離せない展開が続きます。{/netabare}

ここまでお涙ちょうだいはないのですが泣けます。



視点を変えて、、、
こんな事態に陥る前に何ができたでしょうか?味方の損失を抑えるために何が必要だったのか? 諸々端折ると、正確な情報(インテリジェンス)が手元にあればということになるんだと思います。

{netabare}ミクロでならライナー達の潜伏位置や作戦内容。いくらこちらが弱くてもこれさえあれば何とかなりますし有能な指揮官なら次善策プランBプランCくらい練るでしょう。
マクロでなら巨人の正体。単に弱点突破の戦術のみならず、そこに係る利害関係者の思惑や力関係までも包括する情報を指します。{/netabare}

極地戦闘だろうが、国防外交だろうが情報をおざなりにして生き残った組織・国家は古今東西あるんでしょうか?答えは否。
戦争を起こさないために、有事に被害を最小限に食い止めるためにインテリジェンスを強化しないといけないのです。ここ無くして交渉もへったくれもありません。
アホが運用したら危険だ。その通りです。ただし仕組みが無ければやられ放題。仕組みを作った上でさっきのリヴァイの1000分の1程度の負担で糞の中からまだマシな者を選ぶ。我々だって当事者なのです。・・・あ、脱線してもうた。


「僕たちは圧倒的に情報が足りない」
アルミンが再三再四指摘していたことは本質を捉えているのです。


本作3期Part.2の後半は、足りない情報が埋められていく話。納得性のある超展開が待ち受けていることでしょう。
そして、来たるFinalシリーズでお会いしましょう。



視聴時期:2019年4月~6月 地上波リアタイ

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2019.07.10 初稿
2020.01.31 修正
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/11/23
♥ : 71
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

壁を超えた先の遥かなる夢

アニメーション制作:WIT STUDIO
総監督:荒木哲郎、監督:肥塚正史、
シリーズ構成:小林靖子、キャラクターデザイン:浅野恭司、
音楽:澤野弘之、原作:諫山創

人類の歴史とともに生まれた壁に囲まれた城郭都市。
エジプト文明や古代ローマの時代から
外敵の侵入を防ぐための「壁」は、建設されていた。
エルサレムの旧市街やクロアチアのドブロヴニクには、
現在でも城郭都市が残っている。
そんな歴史を『巨人』が跋扈する架空の世界に置き換え、
見事なエンターテインメントとして成立させた作品。
いよいよクライマックスを迎え、
多くの謎が明らかになっていくPart.3だ。

シリーズは2010年代を代表する大ヒット作だが、
個人的には評価が乱高下していた。
異質な世界観は面白いのだが、
観ていると、作者の都合の良いように
ストーリーが展開しているように
より強く感じさせられてしまったからだ。
その違和感から冷めた目で見てしまう。
{netabare}特に女型の巨人が生き残る展開から
付いていけなくなり、興味がなくなってしまった。{/netabare}
それは、犠牲者が出るからということではなく、
人間の生きているストーリーとして
リアリティを感じられなくなってしまったからだった。

ところが、Part.3に入って、
様々なことが明らかになるにつれ、
Part.1と2の話が全て伏線としてつながっていく。
死んだ登場人物たちが意味のある存在として
物語のなかで浮かび上がってくるように感じる。
それによって、深く物語に没入することができた。
多くの事象がクライマックスに向けて収斂していく。
リヴァイを筆頭にエルヴィンや主役の3人の
キャラクター造形もいい。原作者が最初から
ほとんどの設定を決めて書いているだけに、
キャラの一人ひとりが、よりくっきりと
リアルな姿形で象られている。
主要人物の過去が語られることで、
それぞれの信念を追体験できるのが、
大きな魅力となっている。

同時にPart.3には、大きな柱がある。
それは全員が巨人たちによって支配された世界からの
脱却を求めているとともに、
各々が叶えたいと思っている夢が表出することだった。

アルミンの夢は、築いた壁の向こう側にある
遥かなる海を見ること。
未知の世界に対する憧れ。
またエルヴィン・スミスは、
世界を覆う未知の謎を知るためだけに、
全てを捨てて本心を隠し続け、偽りの世界に生きていた。
{netabare}そして、遥かなる夢を未来に見る者と、
全てを偽り続けながら真実に近づこうとする者との間で
命の選択が行われる。{/netabare}

本当に大切なものを守るために、
人は自分勝手になってはいけないのか。
戦時中の心情は、単純なものではないだろうが、
それでも利己的な物語のほうが好感を抱く。
大義で動くよりも、もっと個人的なことで
最終的には動いてしまうほうが
人間らしいと思ってしまうのは私だけだろうか。

ふたつの夢が交錯し、一方は潰えてしまう究極の物語。
SEASON3の最大の見せ場だ。

そしてもうひとつファイナルに向けて
示された大きな夢がある。
それは「進撃」を続けなければならない
人の使命とでも言うべきもの。
57話から59話で語られるエレンの父・
グリシャ・イェーガーの物語。
私はこの物語で、アルベールビル・オリンピックの
原田雅彦を思い出した。

スキージャンプ団体戦の決勝で原田は勝利を目前にした
最後のジャンプで大きな失敗をしてしまい、
日本は銀メダルに終わってしまう。
ジャンプが終わった後に頭を抱えて
うずくまる原田の姿は忘れられない。
日本中が落胆した日だった。
しかし、それ以上に脳裏に焼き付いているのは、
帰国した直後のインタビューだった。
そのときに原田は「私はこのことを背負って、
ずっと生きていきます」と覚悟を語ったのだ。
私は子供ながらに、凄い人だと思った。
帰国直後に、彼は全てを受け止めて前に進もうとしていたのだ。
後に長野オリンピックで、その覚悟を改めて示すことになる。

今回のラスト3話でクルーガーが巨人を託す相手として
グリシャを選んだ理由----
{netabare}それは妹を連れて壁外に出たことが原因で、
妹を殺されたからだった。
人は失敗を犯した日の後も生き続けなければならない。
クルーガーが初めて同胞を巨人にして崖から突き落とした日を
絶対に忘れていないことと同じだった。{/netabare}
何かをやり遂げるには、全てを受け止めて、
過ちの日からも進み続けなければいけない。
そんな強い意志が必要なのだ。

歴史は繰り返すと言われる。
しかし、過去を忘れ去ってしまい、
負の歴史を繰り返してはならない。
そのためには「痛み」が継承されるべきなのだ。
ラストに向けて人類の夢は、
どのような形で示されていくのだろうか。
(2020年2月15日初投稿)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 57
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつかの少年

原作、諫山創。

進撃史上、最も濃密な全10話、

悲願であるウォールマリア奪還作戦、
エレンの故郷、亡き家族との思い出の場所。
物語の鍵を握るエレン家、地下室の手記、
壁の外を夢見た勇敢なる少年が帰還する時、
物語は悲劇性を帯び壮大な歴史が開示される。

それぞれの思惑が強度を増し炸裂する。
{netabare}ライナー・ベルトルトとの因縁の対決、
アルミンの知恵、ミサカの葛藤、団長の戦略、
そして兵士長リヴァイと獣の巨人の頂上決戦。{/netabare}
心臓を捧げ、疾走する立体機動装置、
シリーズ屈指のエピソードが数多く描かれる。

多大な犠牲のもと選択を余儀なくされる兵士たち。
それは「正義」の遂行であろうか!?
原作でも物議をかもしたリヴァイの決断。
人類生存のわずかな望みと私情の狭間で、
それぞれが葛藤し、それぞれの「死」を問うこと。
大きな決断が、物語を駆動させていく。

メルヴィルの描く「白鯨」のように、
形而上学的・神話的悪魔であった巨人の存在が、
ここに来て、身近な存在へと移行し、
{netabare}民族・宗教を含む文化圏の闘争が始まる。{/netabare}

世界の一切は、やがて移ろい、
私たち自身も遠からず過ぎ行くことだろう。

美しい海が見たい、泣けてくる。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 71

88.4 8 絶望でシリアスなアニメランキング8位
盾の勇者の成り上がり(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1178)
5542人が棚に入れました
図書館で出会った一冊の本。そこから勇者として異世界に召喚されてしまった主人公・岩谷尚文。盾を使う能力を持った彼は、陰謀と裏切りに会い、異世界ですべてを失ってしまう。どん底からの成り上がりを描いたヒロイック・ファンタジー!

声優・キャラクター
石川界人、瀬戸麻沙美、日高里菜、松岡禎丞、高橋信、山谷祥生
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

タイトルに偽りなし!

原作未読。最終話まで視聴。

主人公がハメられ、酷い目に逢わされる第1話から始まる、他の異世界転生モノとは一線を画す作品。
主人公の尚文たち同様、視聴者も、何度もどん底に突き落とされる。
こういう所が、好き嫌いの分かれ目かも知れない作品。

私も何度も、どん底に突き落とされ、不快な思いをしました。
尚文たちが少しでも上向くと、必ず、突き落とされる。

{netabare}終盤に、女王の帰還をもって初めて、正当な評価を得られる。

しかし、『クズ』と『ビッチ』は逆恨みを増長させるばかり・・・。
剣、槍、弓の勇者もどきは、尚文たちに謝罪の一言もなく、相変わらず、一人前に勇者気取り・・・。
むしろ、ここまでくると笑えてくる。{/netabare}

人間たちの内側に秘めた汚さ・愚かさの表現が秀逸。
逆に、尚文とラフタリア、フィーロ、メルティの絆の美しさが光る作品。

ラフタリアとフィーロの感情表現の豊かな表情が、とても好印象の作品です。

続編を期待して待ちたいと思います。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 63
ネタバレ

フィーロたんlove さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

大人向け名作童話 人間臭い主人公の魅力が光る

総評

バトルシーンを除けば大人向けの童話です。
本編「盾の勇者の成り上がり」、外伝「槍の勇者のやり直し」
を通して読むと、「モモ」、「星の王子様」、「百万回生きた猫」
などに通ずるものがあると感じました。

ただ、大人向けです
この作品は忍耐強さ、誠実さ、気高さ、美しさ、愚かさ、醜さなど
人間の有する善悪両面を真っ向から描いています。

ですのでストレス耐性が少なく、理解力が浅く物事を表層的にしか
捉えられない中学生以下(あくまで一般的基準です)の方にはお勧
めしません。

22話感想
{netabare}
ウェポンコピー、転移スキル、武器の強化方法
あと信じてみる事の必要性
ここに来て重要な情報がようやく一部開示されました
ラルク(でしたっけ?)登場でしたね
たぶん小説版から登場したのでよく知らないキャラです
人気が高いキャラのようなので期待しておきます
{/netabare}

21話感想

綺麗に収まったと思います 
これぞアニメ版というとこでしょうか
特に言うべきことはありません

あと先週の声優さんの特番見ました
ねんどろいど可愛いです
フィーロの出来が良ければ買おうかな

番組を見ていて声優さん、スタッフの方、監督さん、
スポンサーさんなど、この作品がたくさんの大人の
心を動かし、このアニメが出来たことが感じられ
ました




20話感想
雑魚ボス戦での無理やりな盛り上げ方が気になりますね
{netabare}
今回のバトルはアニメ版の最大の盛り上げ場所のつもりだった
のでしょう。

これでもかと味方の攻撃が繰り広げられてましたが
なろう版でもコミック版でもなかっただろう攻撃
アクションが多かったように思います

無理やり全員参加型のバトルにして盛り上げようとしたのも
まるでプリキュアをみているような恥ずかしさが感じられて
ちよっとなーという思いでした

一応最後は原作通りナオフミの捨て身のスキルで締めたので
何とかまとまった感はありました
意図はわかるのでまあやむなしというところでしょうか


主人公の魅力について

①精神的なタフさ

 アニメを見てると3バカ勇者のマヌケぶりが目立ちますが
実際自分に置き換えた時どうでしょうか?果たして彼らより
うまく立ちまわれるでしょうか?ネットでググることもでき
ず、知り合いもいない、誰が嘘をついてるかわからない中で
正しい判断ができるでしょうか?

 ナオフミと自分を置き換えた場合も同じです。状況を判断
する情報が不足する中で、不条理に迫害されても下向かず
頑張れますか?自分の決めた方針を貫けますか?

 彼は周囲の冷たい視線の中、いろいろ思うことはあるにせよ
愚直にやるべきことをやり続けて周囲の評価を覆していきます。
近年稀に見るなんとも男臭い、人間臭いヒーローだと思います。

②懐の深さ

アニメ版では見れないでしょうけど、なろう原作ではだいぶ先に
精神的にポンコツな他の3バカ勇者を見事にまっとうな勇者とし
て再生していきます。

この作品が真っ向から描こうとしているテーマの一つは人間の
愚かさ、醜さでしょう。愚かさも醜さも人間臭さの一つです。

そして愚かで醜い人間も努力や他者の助けで立ち直れることも
この作品は示唆しています。

{/netabare}

 

*********
19話感想
尺を合わせるためか残念な展開に
{netabare}
たぶん2クールでカルミラ島までやって終わるつもりなのでしょうか
尺合わせのため後半が間延びしてる感じが否めませんね
マンガでもなろう版でもこんなに長くなかったと思います
どうせなら亀までやって2クール終了にすればいいと思うんですけど。
三勇教との戦いで3回使うとは思いもよらなかったです。
他の勇者とのぐだぐたも相まってちよっと残念な展開になっています。
教皇なんて雑魚ボスなのに3回もつかうとは。
脚本も割と裁量あるみたいなので、すっとばせるところはすっとばして
もいいと思うんですが。
いままでが良かったので、最近の制作サイドの不作為には少し失望し
評価は下げます(とは言ってもすでに最終話まで作っているでしょうが)。

アニメ版の現在の残念な展開はともかく原作は素晴らしいと思っています
原作の素晴らしさの一つに伏線の巻き方と回収の仕方が秀逸ということが
あります。

たいていの小説には読んでいくと穴ぼこというか伏線があります
情報が欠けている、訳がわからない、意味があるとは思えない情報
などの違和感です。違和感が読者の想像力を刺激するわけです。

本作品で言えば、

「情報が欠けている」は例えば波とはそもそも何か?結論を言えば最後
の最後で明らかにされます。読者は違和感を持ちながら展開される物語
から想像を重ねますが、別の「訳が分からない」ことが出てきたりして
簡単に先読みできません。

「訳が分からないこと」は例えば、マイン(第1王女)は何故そこまで盾の
勇者を貶めようとするのか?他の四聖勇者が仲良くなることを邪魔する
のか?これも結論から言えば最後の方まで明らかにされません。

「意味があるとは思えない情報」は例えば3話でナオフミがラフタリアを
始めて食堂に連れて行った時のお子様ランチの旗です。これは度々ラフタ
リアの初心忘れるべからずの決意表明で引用されるアイテムになります。
旗についてはなろう版では記述が無かったのですが、アニメ版15話ではエクレアの父が自分の領地で亜人が自由に暮らすことを保証する象徴で、白骨化したリファナちゃんが最後まで握っていたという設定になっています。恐らくこれは作者か編集者が後で思いついた伏線の回収でしょう。お話の膨らまし方として上手いと思います。

 作者は穴ぼこ(違和感)はできるだけ大き目に空けて後から埋める、伏線
は多めにばらまいて自由に回収するスタイルをとっていると感じます。なので本編でも回収が進んだとは言えず、外伝の「槍の槍なおし」で回収しまくっています。

 先読みが出来て読む気が無くなるようなことはなく、読み続けるほどに、あーなるほどそういうことかと腑に落ちていきます。厳密に言えば論理破綻しているところもありますが、別に法律文書でもなく娯楽小説なのでおもしろければ問題ありません。なお「槍のやりなおし」ではリファナちゃんが活躍するリープ周もあります。

{/netabare}

************************
18話感想
{netabare}
ようやく黒幕登場。高等集団儀式「裁き」すごすぎるだろう
クレーターできちまったじゃないか。
今回はモトヤスの勇者としての一途さ熱さが垣間見れた回じゃ
ないでしょうか。今は騙されておまぬけお馬鹿キャラですが
実は勇者としての資質をちゃんと持ち合わせているんですね。
{/netabare}
かなりWEB(なろう)版と異なるので、コミックス13巻まで
読んでしまいました。読んでわかりましたが、アニメ版は
コミックス版とも若干異なるのですね。脚本演出の方がセリフ
や話をうまくまとめていることがわかりました。
本作品においてバトルはストーリーをうまく転がしていくため
の手段というかつなぎなので、今のようなあっさり目で丁度
よいと思います。あくまで本作品の魅力はストーリーと登場
人物なので。


************************
17話感想
{netabare}
展開的には停滞・一時停止です
いろいろ伏線を撒く回になりましたね 
この先の難敵には勇者が一人でも欠けてはならないこと
何回目かの波の後多くの命が奪われること
人間を救うことと世界を救うことが違うこと
過去の勇者が人間を救おうとしたこと、それが茨の道であること

物語の展開上核心的な部分なのですが
いまいち理解できてなかった部分です アニメ版だとどういう
説明になるんでしょうか まあ今クールではそこまでいかないと
思うので制作サイドもノーアイデアかもしれませんが

「やるだけやってみるさ 期待はしないでくれ」と言って、
ちゃんとやってしまうのが主人公です。期待しています。

予告で太い熱線みたいな魔術攻撃がレンとイツキ一行に降り
注いでました。例の団体の例の術だと思われますが、たぶん
イツキとレンは死なないと思います。これで決定的に理解し
たのだと思うので説得できるでしょう。それともフィトリア
から聖域から出すときに他の勇者のところに下すって言って
いたけど、まさかナオフミ一行が降ってきたのか?かなり
過激な下し方です。違うと思うけどね。問題は現段階では
一番お馬鹿なモトヤスですが、なんとか2クール内に説得できる
ことを祈ります。

フィトリアは昔のご主人様の事を思い出して幸せそうでした。
人間と寿命が違うので仕方がない事ですが 残されたフィトリア
は不憫ですね でもフィーロがいるから 茶飲み友達にはなれ
そうです
たぶん出てこないと思いますけどフィトリアのご主人様の時の
四聖勇者の外伝も見てみたい気はしています
{/netabare}
いろいろ重要な情報が開示された回でした

*************************
16話感想
{netabare}
WEB版とだいぶ内容が変更されているんですね
フィトリアが想像より遥かに大きかったです
可愛いけどでかすぎる そして強すぎる

流れからすると勇者同士の協力が2クール内で
実現しちゃうのかな だいぶ早い気がするんですが
フィトリアは争うのはダメだけじゃなくて理由とか
どうしたら強くなれるのか教えてあげればいいんだけど
何せ鳥頭だから記憶力悪いのはしょうがないか

ナオフミも1国につき勇者一人で波に対抗できるという
ところから、本来この時点で勇者はもっと強くなっている
はず、何かが足りないんだと気づけば....
そういう展開になるんでしょうか?
勇者が目指すべき最終的強さがフィトリアレベルという
のは理解できたとは思うけどどうなんだろう

もうあれだねフィトリア先輩にレベリングしてもらって
後々出てくる〇〇や△△に負けないぐらいの最強になったら
各国に一人ずつ配置すればいいじゃん それで全部解決
フィトリア先輩「今日から私がお前ら四聖を鍛える」
イツキ(弓)「鳥なんかに教わることはありませんよ」
モトヤス(槍)「フィトリアちゃんがデートしてくれるなら」
レン(剣)「群れるのは嫌いだ」
ナオフミ「お前ら」
全員フィトリア先輩にボコられる
四聖「わかりました先輩」
こんな感じかな

{/netabare}
だいぶロリ色が強くなってきて、胃もたれ気味になってきましたが
最後まで視聴します
*********************************

15話感想
{netabare}
今回は神回でした。
リファナちゃんが不憫でなりません。
もしかしたらヒロイン候補だったリファナちゃんの
白骨まで見せられるとは思いませんでしたが
まあ流れからOKです
旗にはそういう過去があったのですね
「違う」「そうじゃない」「お前は間違ってない」
ナオフミは3回言い換えました 誠実さを感じます
やっぱりいい奴だわ 友達になりたい
他の方のコメントにもありましたが音楽がとてもあっていました
{/netabare}

改めて感じた本作品の美点は
①キャラが立ってる 
②伏線の撒き方と回収の仕方が天才的
③亜人、魔物が可愛い 動物好きには高評価
④OP(新しい方)が素晴らしい
  雨の中の物憂げな表情の登場人物達
  この時期のストーリー展開にぴったりです
  特にモトヤスの悲しげな表情にぐっときます
  ところで鎌をもってた人は誰だろう
  楽しみにしておきます
⑤挿入曲がすごくあっている
⑥作画が丁寧で素晴らしい
⑦ストーリー展開演出に手抜きがなくて嬉しい

全体的にスピーディーな展開や爽快感は少ないですが、じわじわ来る
叙述的展開がたまりません。違うと思うんですけど、作者は女性なの
かな。

まあ中二病主人公、お手軽俺最強主人公、暑苦しいまでの絆押し付け主人公の作品や、ハーレム作品、主人公はまあいいけど展開が単調な作品などゴミ作品が多い昨今では、希少な本格的なアニメだと思います。


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物語設定、テーマ設定、キャラ設定だけで言えば最高傑作
進撃の巨人などのTOP作品よりも群を抜いていると思います

WEB版を通読した限りでは「モモ」とか「星の王子様」とか
「百万回生きた猫」とか童話、寓話に通じるものがあり一貫性を
感じますアニメ版を見ていまいちと感じる方は是非WEB版を通読し
てみることをお薦めします

主人公が逆境を乗り越えて成長していくというスタイルは程度の
差こそあれそこそこあります。しかしこの作品は迫害という程度の
強いものなのでストレス耐性があまり備わっていない若年層には
物語前半は苦痛になるかもしれませんね。そういう意味では大人
向けアニメかもしれません

アニメでもすでに憤怒の盾が出た時点で勇者の中では一番強くなって
しまったのでこれからは比較的楽に視聴できると思います。

ラフタリアとの関係は、「ゼロから始める異世界生活」のレムを
彷彿とさせますね リゼロも秀作だったと思います

槍のやりなおしを読んで、私もフィーロたんloveになってしまい
ましたですぞ

投稿 : 2024/11/23
♥ : 13

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人間の醜い心に嫌気がし、人狼や神鳥の美しい心に癒される物語

この物語はドラゴンクエストのような立派な勇者が登場する素晴らしい物語ではありません。
人間の醜い心が思いっきり表現されています。
このアニメで美しいバトルを期待されている方は、見ない方が良いでしょう。
でも、人間でない人狼のラフタリアや神鳥のフィーロが私たちを癒してくれるので、この物語は何とか見ることができます。


この物語では、顔も見たくないほどの嫌な人間たちが登場します。
その嫌な人間たちから盾の勇者である尚文(なおふみ)は、何度も何度も濡れ衣を着せられて酷い目にあいます。

そんな嫌な奴らからの迫害をバネにして、尚文は少しずつ成長します。しぶとく、たくましく生き抜きます。
そんな尚文の生き方に、思わず感情移入してしまいます。
ドロドロして美しくないけど、大好きです。共感が持てます。

そして、尚文の仲間である人狼のラフタリアや神鳥のフィーロは、この物語では天使のように純粋です。いつも尚文を守ってくれます。

人間の心が醜く、獣や鳥の心が美しい、それが嫌というほどわかってしまう物語です。


この物語は、まさに人生の縮図のようなものです。
嫌な奴に屈服して日陰のような人生を送るか、それとも嫌がらせを跳ね返してしぶとく生き抜くか、その選択を迫られることが人生には割とあります。
私たちも盾の勇者のように、しぶとく生き抜きましょう。

エンディングは 藤川千愛さんの「きみの名前」 と 
               「あたしが隣にいるうちに」
2曲ともこの物語にふさわしく、心の叫びが聞こえてきます。魂の叫びと言っても良いかもしれません。
決して美しくないですが、心に響く名曲です。
       

投稿 : 2024/11/23
♥ : 70

72.3 9 絶望でシリアスなアニメランキング9位
逆境無頼カイジ UltimateSurvivor(TVアニメ動画)

2007年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (804)
3776人が棚に入れました
高校卒業後に上京した後、働きもせずに自堕落な毎日を過ごしていたが、借金の保証人になったがゆえに肩代わりをする羽目となり、その返済のために危険なギャンブルの世界に足を踏み入れていく主人公・カイジ(伊藤開司)。
平穏な環境ではただのダメ人間だが、命がかかった極限の状態に置かれると、人並外れた度胸とギャンブルの才能を発揮する――ある種張り詰めた雰囲気の中…。「ざわ…ざわ…」

ep66 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

実写映画でしかカイジを知らないって人!

ぜひ観て下さい。
そんな人がどれだけいるか分かりませんが、自分がそうでした。
その実写映画だけでカイジを判断して、
「なんかライアーゲームと比べて頭脳戦がイマイチ。
ちょっと騙し合っただけじゃん。」
なんて思ってました。そして間違ってました。

アニメ版を見てみたら、ストーリーが全然違う!頭脳戦も熱い!
カイジの評価がガラリと変わりました。
流石に実写映画だけで評価するのは愚かでしたね。
(と言いつつ原作まだ読んでないんですが)

とにかく映画でのネタバレなんてなんのその。頭脳戦好きなら充分楽しめます。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の心を動かすのは人の心だけ(良い意味でも悪い意味でも)。清濁、賢愚も合わせてこそ人間。

言わずと知られ過ぎて、絵柄や独特の擬音をネタにされたりしがちな原作だが、本作で描かれる限定ジャンケン、鉄骨渡り、Eカードまでの物語の素晴らしさは他に類を見ない。


「人の心を動かすのは人の心だけなのだ(by海原雄山)」。この言葉は、人を感動させるために必要な物を示しているが、人を心底震えあがらせるあてはまる。


本作にはイケメンも美少女も出ない。善人も偉人も出ない。「アウトレイジ」ではないが、全員クズか最低人間である。


しかし、なんと多様で印象的なキャラばかりなのか!。


設定とか、心理の読み合い以上に根本のキャラクター創造力の素晴らしさがあるからこそ、物語が真に生きたものになっている。


本作はその素晴らしい物語とキャラをより魅力的に表現している。流石は老舗のマッドハウス!な良い仕事ぶりである。


特に声優さんのはまり具合、演技の素晴らしさは正に神!。鉄骨渡りの件は本当にこっちまで歯の根が合わなくなるほどの恐怖が伝わってきた。利根川や会長もキャラの強大さにピッタリだ。



原作が持っているポテンシャルを最適な形で表現する。映像も音声も表現手段であって目的ではない。


表現したい物が豊かで、それに手段がピッタリ合えば傑作になる。しかし、肝心の表現したい物が貧相では、いくら手段を頑張っても虚しいものだ。


アニメは小綺麗なイラストの連続でも、長いPVでもない。


本作で描かれる物は、キャラも物語も汚いもんばっかである。しかし、小綺麗なだけで中身のないスカスカな作品よりも、本当には遥かに心震わせる破滅まで含んだキャラクターの生きた姿が確かに描かれている。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 14

癒しフランキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

駄目人間堕落物語

カイジはきっと自分のことを才能が無いと感じたり、自分は駄目な人間だと思ったり、そんなネガティブなものを感じていても、普段て堕落した怠惰な生活を送りながらなかなか変われずにいたんでしょうね。私にもそういう時期があったのでカイジの気持ちが痛いほどよくわかります。ですが、カイジは一番駄目なことを思ってしまったんだと思います。それは『金持ちが羨ましい。』と思ってしまったこと。自分が一生懸命に働いても本当にちっぽけで爪に火を灯すような暮らししか出来ないが故に金を持っている有力な人間をただそう苦労もせず金が入り、豊かな生活をしていると、どこか矛盾を感じてしまったのだろうと思います。まず、彼はそこが失敗だったのです。その失敗の始まりによって彼が凄惨で悲惨な人生を歩むことになります。人間が人間である条件とは何なのか。普通の正常な精神とは何なのか。話を重ねていくにつれ、カイジの心は壊れていく・・・。私はそう受け取りました。心の壊れた人間の歩む末路とは・・・。登場するこの作品のラスボスとも言える人物兵藤(原作はどうか存じ上げませんが)はもはや人間の皮を被った悪魔そのもの。カイジの失敗が吉とでるのか、凶と出るのか・・・。原作に忠実に作られているそうなので、原作ファンの方も見る価値あると思います。その意味で作画5にしておきます。また、ナレーションがマダオ、碇ゲンドウで有名な立木さん。もう話題にもなったのできっとお楽しみいただけるかと思います。

【最後に一言】
やっぱり、お金は人間を醜くしますね^^;この作品を見てもリアルでもものすごく感じます。ギャンブル好きなひとはやっぱ私は苦手ですねー(苦笑)

投稿 : 2024/11/23
♥ : 3

72.2 10 絶望でシリアスなアニメランキング10位
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT(OVA)

2005年12月29日
★★★★☆ 4.0 (323)
1826人が棚に入れました
『蒼穹のファフナー』から一年前、人類軍とフェストゥムの両方から追われ、身を隠してきた竜宮島は、フェストゥムに探知される危機を迎えていた。未だ戦闘準備の整わない竜宮島は、ついに「L計画」という危機回避プランを実行に移す事を決定する。その計画とは、島の一部・アルヴィス左翼部L区画を切り離して囮とし,本島へのフェストゥムによる探知をかわすという作戦だった。将陵僚・生駒裕未ら8人の少年少女達は、対フェストゥム兵器ファフナー「ティターン・モデル」のパイロットとして、過酷な戦いに身を投じる事となる──…

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

尊い犠牲

このアニメは、蒼穹のファフナー一期の前日談
として制作された作品である。
話の流れが、蒼穹のファフナーへ続くように構成されているが、
どちらを先に見るかこだわらなくても特に問題はないだろう。
まあ、時系列を重視したいか、放送順で行きたいかによるので
そこは好みの問題だと思われる。

内容を一行で言い表すと、フェストゥムの探知から逃れるため
の企画、「L計画」という危機回避プランに身を投じた8人の
少年少女たちがパイロットとして最後まで戦った歴史である。

見終わった感想としては、想像以上にクオリティの高い作品であった。
実は、私自身一期からRIGHT OF LEFTという流れで視聴したのだが
序盤はそこまで乗り気ではなかった。中盤に入ったあたりから
徐々に面白みが増していったという印象が強かったので、少し不安
な気持ちで挑んだがそれは杞憂だったようだ。

焦点を当てる主要人物を少なくし、感情移入がしやすい
作りになっている。基本的には、将陵僚と生駒祐未の二人に
徹底的にスポットが当てられている。
彼らの関係性や、ファフナーに乗る動機等を見て自然と
応援したくなる自分がいた。
今作において、一期で活躍するキャラクターも数人いるのだが
必要以上に話に割り込んでこないので過度なストレスを
感じることはなかった。

一期では、結構な数の登場人物に焦点が当てられているのだが
一部のキャラに関しては登場シーンが少ない上、あからさまにフラグが
立っていたことも相まって感情移入がしにくいと感じてしまったのだ。
今作では、そこに気を使ったのだろう。非常に魅力的なキャラクターを
生み出すことに成功している。

また、前日談という設定を上手く活かしている。
この時は敵フェストゥムに関する情報が少ない上、ファフナーに
至ってはほぼ試作段階の状態。それ故に同化と呼ばれる現象が
パイロットたちに恐怖を植え付けてくるのだ。
しかも、一期の時よりも進行速度が速い上に結晶化するという有様。

それを見て全く動じないパイロットは相当強靭な精神力
を持っていると推察される。
私が、実際にその光景を目にしたら泣き叫ぶような気がする。
そこまでの精神力は持ち合わせていないからね。

鬱要素も、一期よりは確実に高い故に慣れていないと
引きずりやすい様に感じる。只、希望も含まれる形で
終わるので、絶対に耐えられないという訳でもない。
まあ、それなりに場数を踏んでいることが前提だが。

蒼穹のファフナーの一期がそこまで好きではない方にも、
この作品には是非とも挑戦していただきたいと感じる。
個人的には間違いなく良作だと思う。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 18

koaki さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

誰かが勝ち取った平和

TVシリーズ(本編)の1年前のお話。
タイトルには去り行く者達(LEFT)の権利(RIGHT)
という意味も含まれているとのことです(by wiki

TVシリーズ→本作→映画の順番で観ることをお勧めします。
本作を観ることによって、本編の印象に更に深みや重みが増します。

過酷な状況であっても生きようとする者の意志
そして、去り行く者達の権利
その思いは伝わる。
島の平和は、誰かが勝ち取った平和であることを

愛犬とのシーンは、本当に泣けました。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 9

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

多分、ベタな感想だけど

シリーズの中でも、絶対に見なければいけない作品と言われている理由がよくわかりました。これを見たら、テレビシリーズを見る目は絶対に変わりますね。

冲方丁先生による繊細なキャラクターの描写が、「覚悟」の重みや深みにドラマ性をさらに加えてくれています。時系列的には後になるテレビシリーズに向けても、です。

キャラクターは、正直いつも通り誰が誰だか非常にわかりにくかったです(笑)。

音楽は相変わらず素晴らしく、挿入歌も感動的でした。

個人的には、犬が絡んだ演出が一番泣けました。あまり多くは語りません。

これは、はっきり言ってOVAでやるべきではなかったかもしれません。なぜなら、OVAでは"蒼穹のファフナーを観ている人間全員が必ず観る"ということになることが少し難しいからです。テレビシリーズの中盤辺りに盛り込むことができていたら、もしかしたら最高だったかもしれませんね。

この前のテレビシリーズの再放送の前に視聴しなかったことを非常に悔やんでいます。しかし、今後テレビシリーズを再視聴する際の楽しみがまだ残っている、と考えればワクワクしてきます。

投稿 : 2024/11/23
♥ : 6
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