ピピン林檎 さんの感想・評価
4.3
「Sweet Duet」が流れる2期6話が《超絶神回》という噂は本当か?
◆陸の『ガルパン』、海の『艦これ』、空の『ストパン』というけれど・・・
上記3シリーズは、それぞれ陸・海・空のミリタリーものの代表作・人気作としてよく話題になりますが、このうち『ストパン』(※作中、ウィッチ(魔法少女)達の着用するパンツの描写シーンが非常に目立つので、そういう愛称がついたそうです)と呼ばれる本シリーズについては、私個人は長らく完走できず、評価を決めかねていました。
最初に視聴したのは、第2期『ストライクウィッチーズ2』が放送されてしばらく後の2011年初め頃だと思いますが、第1期の方を最初から見始めて、
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・・・ということで、第7話「スースーするの」(※パンツ回)の途中で、とうとう「これはダメだ!こんな下らないアニメ見てられるか!」と叫んで、視聴を打ち切ってしまったように記憶しています。
しかし、ネットでの作品評価は、当時から私の感想とは真逆で、とくに第2期第6話「空より高く」を、《超絶神回》、《今まで見たアニメの各話の中で一番感動した回》・・・等と絶賛する声が多く、「え?そうなの?」と、訝(いぶか)しく思っていました。
それで、しばらくして、今度は第2期の方を試しに見始めたのですが、相も変わらぬしつこい「パンツ押し」にやはり付いていけず、最初の数話だけみて、あとはスキップし、問題の第6話を前後のシナリオの脈絡もつかめないまま何となく見始めたのですが・・・その時もやはり、そんなに面白い話とは思えませんでした。
こうして本シリーズは、私の中で、世間の評価と私の評価が大きくズレている謎の作品として、長らくモヤモヤした気持ちとともに記憶されることになりました(※同様のケースとして、『超時空要塞マクロス』シリーズがあり、こちらもいずれレビューしたいと思います)。
◆第3期『ブレイブウィッチーズ』(2016年秋)の面白さに驚いて、再視聴を開始
そうこうするうちに、一昨年の秋(2016年9-12月)に、本シリーズの第3期(※作品世界は第1-2期と同一だけど、主人公や彼女の所属する部隊が別の外伝的な作品)が放送されて、今度は以前ほどには評判になっていないようでしたが、それでも円盤売上がコンスタントに5,000枚をキープする安定した人気を誇っている作品になっていることを知りました(※同じ2016年のミリタリーもの作品『はいふり』(※個人評価 ★ 4.1)より少し下のレベルの円盤売上)。
それで、遅ればせながら第3期の方の視聴を開始したところ、今度は・・・
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・・・これはやはり、自分は「本シリーズの真価を見誤っていたのかも知れない」という気持ちが湧き上がってきて、ここで一旦『ブレイブウィッチーズ』の視聴を中断して、本シリーズを第1期から順に確り見直すことに決めました。
◆下らない《パンツアニメ》から《感動作》へ、「Sweet Duet」の流れる瞬間が転機に
前回とは違って「あにこれ」でレビューを書くという目標があった今回は、相変わらずのしつこい「パンツ押し」を我慢しながら視聴を続けて、その結果・・・
(1) 第1期については、やはりそこまで感動しなかったけど(※1周目完走後の個人評価は ☆ 3.8 程度)、
(2) 話を飛ばさず、きちんと順番に見ていったあとの第2期の第6話(※前記の「空より高く」)のラスト数分で、とうとう本シリーズへの個人評価が180度逆転してしまいました。
・・・もっとも、その予兆はあって、この回のひとつ手前の第2期第5話(※ネタバレレビューを読む )、それから第1期の第6話(※ネタバレレビューを読む )、同じく第1期の第8話(※ネタバレレビューを読む )なども、後から考えれば結構グッと来る良内容だったのですが、それらの視聴時はまだ「下らないパンツアニメ」というマイナス評価の方が私の中で優勢だったのです。
♪運命を占うタロットカードは/ まだめくらないでね/秘密のままでいい (※挿入歌「Sweet Duet」の一節)
・・・結局、本シリーズの場合は、「パンツアニメ」という表皮の下で、着々と視聴者に作品世界への理解と登場キャラクターたちへの愛着を刷り込んでいって、第1期から数えて18話目に当たる第2期の第6話に至って、そうして蓄積された感情を一気に誘爆させる仕組みになっていたようです(※少なくとも自分の場合は)。
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遠くに見える父祖の地の山々を愛(いと)しく思う、この感情を patriotism(愛郷心)と呼ばずに何と呼ぼうか。
本シリーズから受ける《感動》の意味合いを、言葉できちんと噛み砕いて説明したレビューを(※本サイトに限らず)、残念ながら私は余り知りませんが、私個人は、ここに、このことを確りと記録しておきたいと思います。
本シリーズの制作者が、私が受けた感動を、どこまで計算して仕組んだのかは分かりませんし、もしかしたら、この第2期第6話は、単に「瓢箪から駒」の偶然が生んだ《奇跡》だったのかも知れません。
だけど、ネットでの本作への評価が、この第2期第6話が圧倒的な《神回》である、ということに放送当時から一貫して一致していること、前述の第3期『ブレイブウィッチーズ』にゲスト出演する第1-2期のキャラが、ネタバレレビューを読む ではなく、この回の主役であるネタバレレビューを読む 、第3期自体が、ロシアを舞台とした作品として制作されていること・・・から見て、やはり、この回が、本シリーズを評価するうえでのキーであることは疑い得ません。
以前の私のように、本シリーズを「下らないパンツアニメ」と切り捨てていた方々にこそ、何とかここまで我慢して視聴し続けて、この稀なアニメ作品評価の大逆転劇を体験して欲しいと思いました。
※なお以下は、2周目以降の作品評価です(第1期の1周目はもう少し低い評価(※個人評価 ☆ 3.8程度)でしたが、2周目に評価が急上昇しました)。
◆作品別評価
(1) ストライクウィッチーズ(第1期) ★ 4.2 (2008年) (12話) ※ブリタニア(英)・ガリア(仏)が舞台
(2) ストライクウィッチーズ2(第2期) ★ 4.3 (2010年) (12話) ※ロマーニャ・ヴェネチア(伊)が舞台
(3) ストライクウィッチーズ劇場版 ☆ 3.8 (2012年) ※ヴェネチア・ガリア・カールスランド(独)が舞台
(4) OVA (Operation Victory Arrow) ★ 4.0 (2014-15年) (3話)
(5) ブレイブウィッチーズ(第3期) ★★ 4.6 (2016年) (12話+特別編1) ※オラーシャ(露)が舞台
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総合 ★ 4.3 (計40話+劇場版1本)
※本シリーズは設定が凝っているので、視聴を始めるに当たって予め登場キャラクターとその属性をある程度把握しておくと便利です(下記)。
◆連合軍第501統合戦闘航空団(ストライクウィッチーズ)メンバーと階級・固有魔法
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※このようにウィッチーズの国籍分布は、独3、日2、米・英・仏・伊・露・芬(フィンランド)1・・・の計11人で、各々お国柄をある程度反映したキャラ設定になっています(キャラ名自体が各国のエースパイロットに由来した命名にないっており、また各々が着用するストライカーユニットも各国の代表機(零戦など)を基にした設計になっています)。
◆視聴メモ(※主に1周目のもの)
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◆制作情報
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◆各話タイトル&評価
★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回
※ネウロイ出現(1939年)から5年後(1944年春)
============= ストライクウィッチーズ (第1期) (2008年7-9月) ===========
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★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)8、☆(並回)1、×(疑問回)1 個人評価 ★ 4.2
OP 「STRIKE WITCHES 〜わたしにできること〜」
ED 「ブックマーク ア・ヘッド」
挿入歌 「リリーマルレーン」(第8話) ※挿入歌はこの1曲だけ
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※ガリア地域解放(1944年9月)から半年後(1945年3月~)
============ ストライクウィッチーズ2 (第2期) (2010年7-9月) ===========
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★★★(神回)1、★★(優秀回)2、★(良回)6、☆(並回)2、×(疑問回)1 個人評価 ★ 4.3
OP 「STRIKE WITCHES 2 〜笑顔の魔法〜」
ED 「Over Sky」
挿入歌 「Sweet Duet」(第6話) ※挿入歌はこの1曲だけ
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※ヴェネチア地域解放(1945年7月)から1ヶ月後(1945年8月~)
============== ストライクウィッチーズ 劇場版 (2012年3月) ============
全1話 ☆ 3.8 ネタバレレビューを読む ※約94分、作画・演出は良くなってるが、シナリオ自体はファン・サービスの域を出ない大味でご都合主義的なもの
主題歌 「約束の空へ 〜私のいた場所〜」
挿入歌 「ラインの護り」
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※旧SWメンバーたちのサイド・ストーリー
== (OVA) ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow (2014-2015年) ==
Vol.1 サン・トロンの雷鳴 (2014年9月) ★ ネタバレレビューを読む ※約29分
Vol.2 エーゲ海の女神 (2015年1月) ★ ネタバレレビューを読む ※約26分
Vol.3 アルンヘムの橋 (2015年5月) ☆ ネタバレレビューを読む ※約31分
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)2、☆(並回)1、×(疑問回)0 個人評価 ★ 4.0
OP 「Connect Link」
ED 「Fly Away」(Vol.1)、「Fly Beyond」(Vol.2)、「Fly Chronicle」(Vol.3)
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※第3期(ブレイブウィッチーズ)は別途、各話評価します。