用心棒TVアニメ動画ランキング 12

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の用心棒成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の用心棒TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.9 1 用心棒アニメランキング1位
HUNTER×HUNTER -ハンターハンター(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (1236)
7594人が棚に入れました
主人公のゴンは幼少期、森の中で凶暴なキツネグマに襲われそうになったところをカイトというハンターに助けてもらう。そして、カイトは父親・ジンの弟子であるハンターで、ゴンは父親の人間的な魅力・偉大さ、ハンターの素晴らしさを聞かされ、ハンターという職業について憧れを持つようになる。
ハンター試験をを受験することになったゴンは、クラピカ・レオリオ・キルアら仲間達と共に様々な難題を乗り越えて見事ハンター試験に合格するのだった。ゴンは悲願である父親との再会を果たすことができるのか、また行く手に待ち受けるものは何なのか…!?ゴンのハンターとしての試練まだ始まったばかりだった。

声優・キャラクター
竹内順子、甲斐田ゆき、郷田ほづみ、三橋加奈子、高橋広樹、木村亜希子、上別府仁資、日比野朱里、高乃麗、並木のり子、TARAKO、永野善一

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

富樫仕事しろ、富樫の世界、富樫の才能についてⅡ

流れはレベルEのレビューから、ちょっと思いついたんで続きを。

■お料理で比喩

1、普通の天才作家
新しい素材から新しい料理レシピを作ってしまう人達。食材は、本人の好み
基本的には一部しか食べれない高級料理か、一部が熱狂するゲテモノになる
不味ければ食うな、作りたいように作る系

2、超秀才系の(作家が書く)作品
その時代の客の好みを分析し、今まで存在した料理レシピ、素材を組み合わせ
美味しい料理、完成度の高い料理を作り上げる。ファミレス~高級料理まで様々。
料理のランクに関わらず「美味しさ」「完成度」「グルメの満足度」が全て。

3、媚びてる系作品
CMしまくって、主に舌の肥えてない人間程に美味しく食べれる物をを売る。
カップラーメン系。商業的、売れれば良いし、カップラーメンの研究も捨てた
ものではない。世の中にはカップラーメンこそ美味しいと思っている人が多い。
(オタ以外には単純な話、単純な美少女、感動、エロの方が売れるって意味)
が、舌が肥えているグルメではやはり美味しくはいただけない。

4、富樫の異常な才能
カップラーメン系~ファミレスクラスの素材を使い、
この世のどこにも存在しなかった「あれ美味ぇwwこんなの食べた事ねぇww」
なゲテモノかつ、一般受けし、グルメすらも満足させる新料理を作る。

■富樫の扱い方について

独創性、異常な発想力、やりたい事やったら天才的だったって面と、一般的な
読者、時代、どういうものが好まれるかよく見える秀才さが同居してしまった。
上に書いたように「誰でも食べれる素材を使って、一般人~グルメの両方を満足
させる新料理を作る」って行為が、いかに無謀か。

普通は「一般人」か「オタ」のどちらかを切らないといけない、どちらかの
属性を持っていて普通。「天才」か「秀才」かも普通はどちらかの属性になるし、
その片方があるだけでも十分に評価される、十分異常で、それは仕方が無い事

のはずなのに、一般人かつ、オタかつ、天才かつ秀才、それが富樫。


パクって来た資料だけど

「週刊誌のマンガ家のほとんどは、その週その週で物語を考えているものですが、
 富樫先生は連載開始の時点で、だいたいのプロットを作っているんです。
 それに、アシスタントを使うと、自分は中途半端な仕事しかしていないように思う
 らしく、なるべく全部自分でやろうとするタイプ。だからこそ、連載中は肉体的
 にも精神的にも苦しみやすいようです」(マンガ関係者)

まとめますと、
「最初から最終地点、展開を決めている」「全部自分でやろうとする」
出来る人間、ド有能な人間の典型的な傾向。あとは、

検索 冨樫仕事しろとは (トガシシゴトシロとは)

と異常な程に凝る癖に、大衆性を維持しようってのが無謀、膨大な時間の浪費。


しかも富樫さん好奇心旺盛、遊び心満載で、多分これを読んでる人や俺みたいに
アニメも漫画他も色々な遊びが大好きなダメ大人だから、そーゆーのも沢山やりたい
金も大量にある。無いのは時間だけ。なのに書いてくれてる。俺なら絶対書かないね
このレビューみたいに気の抜けた話なら書くだろうけど。

そんなド天才を上手く扱うには、上から押しても絶対に駄目なので、
ジャンプ編集の対応は適切だと思いますね。マイペースにやりたいようにやらせる。
凡人と同列に扱っちゃダメ、天才の中でも一握りの天才だもの。

やりたいようにやらせる、やりたい事をやらせるのが一番、仕事が遅延しようと
凡人作家が100年必死にやっても絶対に作れない、素晴らしい作品を作ってしまう。
集中力、発想力、ストイックさ、こだわり方が凡人のそれではない。

銀英の田中さんも同類ですけど、ド天才はそーゆー生き物なんですよ。
それを凡人のものさしで「プロが~」とか「読者が~」とか「怠けてる~」とか
「仕事しろ~」とか言う人間は天才を知らない人生を送って来たんだと思う。


■結論
冨樫仕事しろ、し続けろ
お前は才能があり過ぎるから、もう才能を生かすしかない、犠牲になれ
お前の状況とか知った事じゃない、灰になるまで働け、代わりに遊んでやる

検索 幽遊白書 総集編 ~あぁん?冨樫、最近だらしねぇな~(完全版)

懐かしーなー。このH×Hもだけど、富樫がそれを書いた時「何をして遊んでいたか、
何にハマっていたか」がよく分かる。人生楽しまなきゃダメだね、・・富樫以外は。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16

ウィラード さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

旧ハンターハンターには魅力がある

演出や描写がとにかく凝っています
特に幻影旅団やイルミの怖さとかが上手いです

軍艦島での話なんかはアニオリなのにしっかりとしていて
ハンターハンターのキャラ達が束の間の団結をしていて面白いです
そしてその後に試験での殺し合い そのバランスが堪らなかったですかね

幻影旅団編は旧ハンターハンターの魅力がかなり描画されています
緊迫感が伝わってくるので、アニメの世界にどっぷりはまってました

旧ハンターハンターで見れるエピソードは旧ハンターハンターで見ておいて
見れないエピソードは新ハンターハンターで視聴推奨かなと思います

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

熱視線 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

op「おはよう」は名曲

ハンターハンター、実は原作もアニメの方も大人になってから見たんです。
一応昔から知ってたんですけど、絵や雰囲気からして熱い友情や感動を押し付けてくる有りがちな少年漫画作品だと勝手に思って避けてました。
でも、実際に読んで(見て)みると面白かったです。

少年漫画らしさも有りながら、難しいテーマや容赦無い予想外の展開をブチ込んで来る。
大人こそハマる作品じゃないかと思います。

このアニメは大体原作通りだけど、原作にはないアニメオリジナルの展開もあり。オリジナルの展開も作品の雰囲気を壊さず、上手く馴染んでいたと思います。
古い作画も味があって良いです。

あと、ヒソカとイルミの声がピッタリすぎる。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

76.0 2 用心棒アニメランキング2位
サムライチャンプルー 2ndシーズン(TVアニメ動画)

2005年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (614)
3608人が棚に入れました
安芸へやってきた三人組。『昔、世話になった』という道場へ向かったジンだったが、昔日の面影今いずこ。そこは剣術ではなく、タギングに夢中になっている恩師の息子達のたまり場になっていた。一方ムゲンは、字が読めないことをフウに指摘され、一念発起!? 文字を習い始めるのだが……。

声優・キャラクター
中井和哉、川澄綾子、佐藤銀平
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ひまわりはオランダが日本に持ち込んだ花

全26話のうち17話までを1期、
18話から26話を2期としている為
この2ndシーズンは18話からのお話。

音楽はHIPHOP中心。
監督は渡辺信一郎氏で、制作はスタジオマングローブ。
綿密に計算されたスタイリッシュなアクションが
テンポよく繰り広げられ、観ていてとても心地良い。

舞台は江戸末期で服装も和服ベースだけど、主人公たちは現代風な着こなし。
「ひまわりの匂いのする侍」を捜し求めている天涯孤独なフウと、
喧嘩早くてめっぽう強いが女には弱いらしいピアス男、ムゲン。
寡黙で冷静沈着、繊細そうな細身のメガネ侍、ジン。
この3人が、ひょんなことで知り合い、フウの人探し旅の用心棒として
旅をしてきて、ようやく壱岐へ辿り着いた。

相変わらず、見事なアクションは健在。
三人の時間を共にした分の絆も感じられ、
何かにつけ言い合いしていた初期が懐かしく感じられたりして。
こちらの2期は全体的にシリアスモードな展開が多かったように思う。

三人それぞれの秘密を打ち明ける焚き火のシーン以降、
24話から26話は映画を2本見たくらいの見応えがあった。
特にカメラワークが秀逸。
緊迫感漂う決闘シーンでの静と動。
水面に映る雲の流れや季節を過ぎてしまった一面のひまわり畑。
目を伏せたくなるような残酷さと、哀しみの中、
フウがようやく逢うことのできた「ひまわりの匂いのする侍」の正体とは・・

やがてすべてが片付いたあとの、メリハリの利いた真夏の空のような、
それぞれの選択が清々しい。いや、清々しすぎるでしょ。
{netabare}
あれだけ命を懸けて守ったフウに対しても、あっけなく、
良き相棒となるかもしれない仲間に、さらりと背を向ける。
まるで、さんざん遊んで満足した子どもが、「じゃあ、また明日な」
とでも言わんばかりの別れ方。
{/netabare}

でも、それがなんともカッコいい。カッコよすぎる。
ベタつくことなく、馴れ合うことなく、だけど確実に
出逢ったばかりの頃よりずっと信じ合えてる。
それがわかるから、納得できた。

なにげないセリフの中に、唸るような教えがあったり、
いろいろ感じ、気づかされ、想うことの多かった作品だった。
こんな素敵な作品に出逢えた事に、感謝です。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 50

ジョニー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

後半に入っても、面白さは健在!

ただ、刺客(サラ)の登場回後半の(作画ではなく)キャラデザが変わって前回からそのまま見るととても違和感を感じます。
それ以外は相変わらずの面々が笑いを交えつつも熱いバトルを見せてくれます。
最終回は、物語のメインのである、人探しが完結する話なので、3話構成になり、最強の刺客の登場、どんどん不利になっていく状況、人探しの結末、そしてその中で現れる、旅をする中で気付かぬ内に芽生えていた彼ら3人の絆
最終回に相応しい内容となっています。
ぜひ、1話から視聴してみてください。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

nani-kore さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

心に残る、珠玉のアニメでした(><);

ギャグを織り交ぜつつ、怒涛の結末へと向かう三人の旅。
。。くぅ、感動以外のナニモノも無いよ~;;
2004年度最高のアニメはエルフェンリートか岩窟王かと思ってましたが、このサムライチャンプルーかもしれません。。当たり年だったのかなぁ~?

自分的にスゲェと思ったのは、
1)13~14話「暗夜行路」。ラストがうおぉっ~!て感じ。
11話ではジンに惚れましたが、ココではムゲンに惚れます。
2)21~22話「悲歌慷慨」。ラストがうおぉっ~;て感じ。
母性愛がせつねぇ。。

もちろん、
3)最終話「生死流転」も素晴らしい締めくくりでした。
バラバラだった三人の気持ち、強く強く結びつきます。
安っぽい恋愛とか友情とかじゃなくて、家族に近い仲間として。。そういや、三人とも孤児なんですよね。

ずっと三人で旅を続けられたら良いのに。。
そう思うのはフゥちゃんのみならず、ムゲンとジンも一緒。
そして、最後までサムライチャンプルーを観た私達も、同じ気持ちを抱くんじゃないかなぁ~3

最後まで心に残る、珠玉のアニメでした(><);

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

76.9 3 用心棒アニメランキング3位
夏目友人帳 伍(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (667)
3557人が棚に入れました
小さい頃から妖怪を見ることができた少年・夏目貴志。彼は、祖母レイコが妖怪を子分とする証にその名を書かせた契約書の束である「友人帳」を
継いで以来、自称用心棒の妖怪・ニャンコ先生と共に、妖怪たちに名を返す日々。
夏目は、さまざまな妖怪や心優しい人たちと出会い、あたたかな場所を築いていく中で、人と妖、大切なものの守り方について想いを巡らせていく……。

声優・キャラクター
神谷浩史、井上和彦、小林沙苗、石田彰、堀江一眞、沢城みゆき、佐藤利奈、木村良平、菅沼久義、伊藤美紀、伊藤栄次、諏訪部順一
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「人と妖。もともと触れ合わなければ、思いを残すことなんかなかったのに。」

人気シリーズ・夏目友人帳5期。

1話完結のお話が多いので
シリーズの途中からの視聴でも問題はありませんが、

1期から観ないのはもったいないと、
個人的には思います。笑

私は夏目友人帳シリーズが大好きなので、
アニメ制作が長く続いてとても嬉しいです♪

5期は全11話+特別編「一夜盃」「遊戯の宴」です。


● ストーリー
霊力が強く、
妖の類が見える高校生・夏目貴志(なつめ たかし)。

祖母・夏目レイコの遺品にあった「友人帳(ゆうじんちょう)」には、
妖の名が束ねられていた。

強い力を持つ友人帳。

それを他の妖から守るにゃんこ先生と共に過ごしながら、
夏目は妖たちに名を返すことを決意する。


この作品はとにかく「優しくて温かい」。

それは、

主人公の夏目自身の、

誰かを想う気持ちを持った妖たちの、

夏目の周りにいる人たちの、

みんなの優しい気持ちが
至る所で痛いほど伝わってくるから。

相変わらず1話完結のクオリティの高さが半端ない。
心の涙腺崩壊しまくりです(´;ω;`)

登場人物たちの誰かを想う優しさに、
心が強く揺さぶられる。

“感動”という言葉では弱いの。
この気持ちを言葉にできないもどかしさ…!

心の奥底で求め続けながらも、
滅多に満たされる事のない気持ち。

それを、この作品では満たし続けてくれます。

各話のエピソードや名言を振り返っていると、
それだけでまた泣けてくるよ…(´;ω;`)


≪ 妖と人 ≫

夏目のように
妖が見える人は少ない。

だけど時に偶然が、
人と妖を引き合わせてしまうことがある。

しかしそれは本当に気まぐれな出来事で、
何度も起きることはなく…。

一度つながってしまった絆は、
自分ではどうしようもなく妖たちの身を絡めとる。

自分には見えているのに、語り続けているのに、
届かない声と気持ち。

そんな妖の切ない気持ちと、
見えないけれど想いに答えようとする人の優しさに、

何度うるっときたか(´;ω;`)

特に2話の、
雨の日のバス停のタオルの話が好きでした。


≪ 人と人 ≫

幼い頃から妖が見えることで、
いろいろと苦労をしてきた夏目。

今は優しい藤原夫妻に引き取られ、
友人にも恵まれ、幸せな日々。

夏目と、夏目の周りの優しい人たちとの関係にもまた涙(´;ω;`)

特に10話が神回。

夏目と出会う前の藤原夫妻のお話も、
日々の中で感じる気持ちを丁寧に拾っていく塔子(とうこ)さんの魅力も、
もう全部素敵だった!!

この作品の主人公は夏目ですが、
変わらない温かさと安心感の源は塔子さんな気がします。

夏目も十分優しくて魅力的な主人公なのだけど、
塔子さんが強すぎるのよ。笑


● 音楽
【 OP「タカラバコ」/ ササノマリイ 】

またぴったりなアーティストを見つけてきましたね。笑

優しい歌声がこの作品の雰囲気とよく合っています♪
EDと比べると明るめな曲。

いい感じです♪


【 ED「茜さす」/ Aimer 】

このEDが、やばい。
夏目友人帳の本気を感じました。笑

感動的なストーリーと余韻
 ↓
イントロ

の連携プレーが強すぎて、
イントロによってより感動が増幅されていました。

特に、切ない話の後には
壊滅的に心に沁みる曲でした(´;ω;`)

映像は秋でした。


● まとめ
これまでと比べると威力が弱まったと感じるエピソードもありましたが、
全体としては、やはりこの作品が持つ力はすごいです。

優しさとは何か、
人が人を想う気持ちとは何か、
“愛”とは何か…。

その答えが、
この作品には詰まっている気がします。

辛い経験をした人は、
誰かに優しくなれる人でもある。

優しさに気付き、
心から感謝できる人である。

普通の毎日にささやかな幸せを感じられる人である。

夏目は、
きっとそんな人。



「阿呆なのは我らか。
 いつか散るとわかっていても性懲りもなく、見入ってしまうのだから。」

{netabare} 人の命は儚く、あっけない。

だから美しいなんて、残された者には思えない。
ただただ、受け入れたくなくて、寂しくて。

厳しい言葉にも見守る笑顔にも、たくさん支えられていました。
これまでと変わらない笑顔で、どうかお幸せに。 {/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 26
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人とは・・・<追記;一夜盃><追記;遊戯の宴>

帰ってきた夏目友人帳。
久しぶりの続編再開です。
私の場合、初めてのリアルタイム視聴となりました。

良きにつけ悪きにつけ、等身大の夏目友人帳。
物語の進展はほぼ無く、これまでの期よりは感動要素が少なめです。
話数も11話と控え目、中途でニャンコ先生特別編が入っています。

妖怪に息の根を止められそうになっても夏目は飄々ですね。
そして用心棒ニャンコ先生がマイペースに大活躍。
正義のヒーローニャンコ先生なのです。

いつもの癒しのBGMがまた素晴らしい。
風景描写も水彩画の如し。
ノスタルジックとはまさにこのことです。

最終話「儚き者へ」
{netabare}悠久の自然の摂理の中で人はなんて弱くて小さい存在。
ちょっと風が吹けば折れる、ちょっと地が揺れれば壊れる。
それでも、与えられた生の中で懸命に生きる。
それが、人に課せられた使命なんでしょう。
夏目友人帳の底流を流れる優しい思想。
いつも感銘を受けます。{/netabare}

<追記;一夜盃>
{netabare}あれ、こんな未放送版があったとは。
ここにもまた夏目友人帳の風景が。

儚きものを紡ぎ出す妖夫婦のお話。
悠久の時を生きる妖にも終わりは静かに訪れるもの。
一夜盃の儚さも手伝って感傷的な気持ちになります。

人間界もズームアウト的に俯瞰すると真実が見えてくる。
そんな気がします。{/netabare}

<追記;遊戯の宴>
{netabare}廃屋に紛れ込んだ夏目。
かくれんぼに巻き込まれ眠れない。
そこでとった手段は・・・
おまけらしく他愛もない話でした。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 48
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人に頼る事で繋がる絆を知りつつある夏目の姿があった

4年ぶりに復活のテレビシリーズ「夏目友人帳」の第5期に当たる作品です。

今回のシリーズでは4期に続き、人と妖怪の関わりもさる事ながら、人と人との心の距離を描く事に重きを置いている印象を受けました。シリーズお馴染みの妖怪に名前を返すシーンが描かれるお話も今期ではただ1話のみとなっています。

1期から続く夏目と田沼君の、不器用さありありの距離感は相変らずままですが、今期1話の夏目の台詞、「いや、聞いてくれ」には彼の大きな成長の片鱗が見て取れました。

優しい人は大切に思っている人への思いやりから、その人に頼るという事を嫌煙しがちで、悩みを自分の内にのみ溜め込む傾向がありますが、頼られる立場の人間はそれを迷惑に思うどころか、喜びと思う事の方が多いのではないでしょうか? 私見ですが。異性からでも同性からでも、人から頼られるという事以上の喜びはそうそうあるものではないと私は思います。

愛の力は偉大(笑)なもので、自分の為だけなら大した事が出来なくとも、人の為と思えば普段の自分には出来ない事が出来てしまうという事は往々にしてあるものです。そんな覚えのある人なれば尚更の事、たまには逆の立場に立って、人を信じて頼ってみる事も必要なのでは無いでしょうか? それは相手にこちらの友愛を示すと同時に弱点を晒す行為でもあります。それ故に照れくさかったり、怖かったりで踏み切るのがなかなか難しいのですが‥創作物で描かれがちな完璧過ぎる思いやりや、理想的な反応が返って来るとは限りませんが、あなたの信じるその人ならば、きっと何らかの助け舟を出してくれる事でしょう。

実の両親では無いという理由から生じる遠慮も手伝って、夏目は未だに塔子さんと滋さんに自身の抱えている妖怪に関する悩みを話す事が出来ませんが、私は今後少しずつでも、それらの悩みを夏目が2人に打ち明けていく展開があればいいなと思います。見える者と見えない者、決して埋める事の出来ない視野の隔たりがあるゆえ、直接手を差し伸べる事は出来ないとしても、両者間の心のわだかまりがいくらかでも減り、少しは心が軽くなると思うので‥。

夏目の危惧している様に、それは自身の抱えている問題に他者を巻き込む行為に他なりませんが、大切な人たちにだからこそ、自らの持つ信頼を伝えて置く事は大事なのではないかと私は思います。まぁ、家族ならともかく、むやみやたらと人に頼るのは利己心の表れなのでダメなんですけど‥(汗)

大人は子供よりかはいくらかずる賢いので、打算的になったり、体裁を気にしたり、卑屈に振舞う事が多い生き物ですが、生来ヒトの持ち得る利他的精神を強く成長させている大人も少なからずいます。そんな大人達は年若い人達が頼ってくれる事を心待ちにしているものです。(と思います。)

甘ちゃんな考えかもしれませんが、そうして人と人とが互いの悩みや秘密をちょっとずつでも打ち明け合い、支え合って生きていければ、大抵の困難は乗り越えられるのでは?‥とか思う事はあります。心優しい人たちが手を取り合って支え合う関係を築いてゆく‥奇麗事でも素晴らしい事だと思います。人は一人では生きてはいけないとは言いませんが、結構しんどいものでしょうから‥。

現実の話、田沼君みたいな同性の友人に優しくされ過ぎたら私だったら困ってしまいますが、それでも自分の事を気遣ってくれる人が一人でもいるっていう事は嬉しい事ですよね? もし異性だったら? 多分惚れちゃうのでしょう(笑)
{netabare}
3、4話は祓い屋関連の話、8話では的場さんと名取さんの過去の話も描かれます。4期の七瀬さんのお話の時にも感じましたが、事情が複雑に絡み合い、その結果見える、ただ一面だけが、七瀬さんや的場さんの、一見すると冷酷にも思える表層であるのだとしたら、彼女等もまた悩み傷付き選択している、自分を繕いながらも必死に生きている不器用な大人たちの一人と言えるのではないかと思われました。

私は出来ていない人間なので、他人の事情を良く知らずに、その人の行為や言動を持って、悩んだり疑ったりする事が度々ありますが、もしかしたらそんな事の多くは邪推で根っからの悪人というのはこの世にはいないのかも知れません。(だといいな‥)どんなに酷い行いにも何かしら原因があるものです。

10話は滋さんと塔子さんのお話。この二人の、奥ゆかしさの中からもしみじみと感じられる深い愛情と信頼を目にすると、結婚願望の薄い私ですら、ひと時の気の迷いの様な、羨望に似た感情が芽生えてしまいます。年を重ねても変わらずお互いを思いやれるお二方、とても素敵ですね。ひとりぼっちに見えたカラスに優しく話しかける塔子さんの姿も可愛らしかったです。うちの母も野良ねこさんに「ねこさん、ねこさん」って話しかける事ありますが、これについては微笑ましくもありますが、自分の母親なだけにちょっぴり恥ずかしくなる光景だったりして‥(笑)
{/netabare}
自ずと穏やかな気持ちで綴りたくなる、夏目とそのかたわらにいる人や妖怪、友人たちの優しさに満ちた、いつもと変わらぬ夏目友人帳なのでした。

蛇足に、特別編「ニャンコ先生とはじめてのおつかい」を含めれば、これまでのシリーズよりも1話少ないだけですが、あっという間に終わってしまったという印象の第5期でした。もっと見たいな‥と思っていたら今年6期が公開される予定だそうですね。嬉しいお知らせでした。


※:5話でやっとタキさん登場ですよ。OPムービーには映像あったけれど、本編にはずっと登場せず、いつ姿を見せてくれるのか少しだけ心配だっただけにとても嬉しかったです。夏目の頼もしき理解者の一人ですからね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 35

67.6 4 用心棒アニメランキング4位
さらい屋五葉(TVアニメ動画)

2010年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (379)
2001人が棚に入れました
『さらい屋 五葉』(さらいや ごよう)は、オノ・ナツメによる日本の漫画。『月刊IKKI』(小学館)において2006年より連載。

田舎から江戸に出てきた侍である秋津政之助は、ひょんなことから誘拐組織「五葉」の頭目である弥一の用心棒をしてしまう。弥一に剣の腕を見込まれ、自らの意向とは逆に五葉の一味にされてしまう政之助だったが…。


声優・キャラクター
浪川大輔、櫻井孝宏、緒乃冬華、高塚正也、内田夕夜、木下浩之、高梁碧、宝亀克寿

もちすい さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

キャラが色っぽい

観る前は必殺仕事人みたいなものをイメージしていましたが、ものすごく落ち着いた雰囲気の人情劇でした。

会話の間、カット割りやアングルなど、かなり実写映像の手法で作られていて、これにアニメーションという媒体の利点である色彩の自由度がよく活かされているので、ものすごく雰囲気のある作品になってます。

ただ、特にこれといって話が盛り上がるわけでもなく、アニメーション的にも派手な動きが無いので、そういうものを求めている人には向かないです。

あと、雰囲気だけの作品ではないけれど、この雰囲気が大きな魅力であることには違いないので、これが合わないなら、あえて観る作品でもないです。

それにしてもOPとEDの曲は、あまりにも雰囲気と合ってなく、観ていると笑いがこみ上げてくるほど。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

color さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

風情たっぷりの時代劇

江戸の華やかさから離れひっそりした雰囲気がたまりません。

江戸に出てきて知り合いもいない弱気な侍・政之助(まさのすけ)。
剣の腕は立つけど人の視線が苦手だったり、空気の読めない発言で失笑を買ったりするダメ侍。
そんな彼が"かどわかし"を生業にする五葉(ごよう)の裏稼業に巻き込まれていきます。

五葉の頭目である弥一(やいち)と新参者の政之助を中心にした人間関係が物語の軸。
酸いも甘いも噛み分けた人間達がなぜ裏稼業に手を出してしまったのか。
じわじわ明かされる五葉の面々の過去がすごく魅力的で、
派手な斬り合いもない人間ドラマにグイグイ引き込まれました。

物語はテンポよく進みますが行間を読むような構成が素晴らしい。
江戸時代の潔さや身分違いの悲しさを考えてより深く楽しめる作品になっています。

独特なキャラデザも好みでした。
顔はカエルっぽいんですが逐一繊細に変わる表情が素晴らしく、
女性キャラはびっくりするくらい色気があり笑顔に隠れた憂いも見てとれるほどです。

マングローブの時代劇アニメは安心安定。
次回作も期待しています。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 20

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

趣深い大人向け人情時代劇でござる

原作は漫画らしいが、実にマングローブ臭がするアニメでござるw
暗く落ち着いた雰囲気でしっとりと・・・・
荒んだ世の中だが・・・ちょっぴり人情を感じる

ストーリー展開はかなりスローテンポかつ地味で起伏に欠けるが
徐々に登場人物の人物像が見えてくる展開を、じっくり楽しむアニメです
人さらいを生業としてるので、微妙にサスペンスな展開も含みつつ進む

雰囲気を醸し出す演出とキャラクターの魅力が良いです
アクションシーンはほとんどなく、人情劇を重視しています
完全に大人向けのアニメですが、独特な人情時代劇ですね
好きな人は凄く好きだと思います

超弱気な侍である主人公が良い感じにアクセントになっている
ござるござる連発しやがるのが、妙に愛らしく感じるのでござる
正しく、ござる萌えアニメあろうw

万人受けを狙わないマングローブらしさが光る良作。
それがしのおすすめのアニメでござる

投稿 : 2024/12/21
♥ : 22

69.9 5 用心棒アニメランキング5位
荒野のコトブキ飛行隊(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.3 (322)
1053人が棚に入れました
一面に広がる荒れ果てた大地で、人々は物流・交易を行い、助け合いながら生きていた。雇われ用心棒の“コトブキ飛行隊"は、厳しいが美しい女社長、頼りない現場の指揮官、職人気質の整備班長など個性的な仲間とともに、空賊相手に大立ち回り!今日も“コトブキ飛行隊"は隼のエンジン音を響かせて、大空へと翔けてゆく――。

声優・キャラクター
鈴代紗弓、幸村恵理、仲谷明香、瀬戸麻沙美、山村響、富田美憂、矢島晶子、藤原啓治、吉岡美咲、岡咲美保、島袋美由利、古賀葵、川井田夏海
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

キャラ分布にみられるドーナツ化現象

ゲームちょっと興味出てきた


「競馬の騎手とレイバー乗りは、ちっこい奴に限るってね」
そんな後藤隊長の至言から早30年余。戦闘機乗りにも女性進出でびっくらこいた私。他のは知らん。

視聴理由はレシプロ機(プロペラ機)の響きに惹かれて。
プロペラ機は零戦が有名ですが作中の隼、紫電改も心躍る機体名です。第二次大戦時の主力で、ソ連がジェット機を開発するまで戦闘機の主役でした。
つくづく硫黄島陥落前に橘花が実戦投入されていれば・・・と脱線が止まりませんのでこれくらいで。。。はい。


女性ばかりのコトブキ飛行隊6名がいわゆる主役級。全員が“隼一型 一式戦闘機”に搭乗してます。EDクレジットには“隼”の継承会社であろう立飛ホールディングス㈱の文字。本格的ですね。
砂漠を背景に口笛から始まるOP。これでウェスタンハットでも被って馬に跨れば立派な西部劇の出来上がりですがそうならないのは上記の通り。
海もないし、隼は陸軍機でもあるし、発艦するのは空母からではなく飛行船からという斬新さ。既視感はあまりございません。
もう一つ、水島努監督が手掛ける空戦ものということですが、ガルパン未視聴の私にとってはそのへんの事情は不案内なので語らず。いつか観よう!ガルパン!


全12話。フルCGで毎話空戦が繰り広げられます。
物語らしきものもありますが本格化するのは少し先で、基本的には各話のイベントをこなしていくスタイル。
この空戦、ドッグファイトってやつですね。音なり回旋具合なりカメラワークなり雰囲気が良いのです。本作でなにか挙げろと言われれば外すことは出来ない見どころでしょう。

毎度繰り広げられる空戦もそればかりでは賞味期限を早々に迎えてしまいます。
別の魅力。物語なりキャラなりで引っ張ってほしかったところですが、このコトブキ飛行隊の構成メンバー6人の魅力ってほぼ皆無?顔と名前が一致しない。
一番印象に残ったのがキリエ役のCV鈴代紗弓さんが「おー喋ってるー!」という ww
 ※声優さんが声出してるのに驚くとはこれ如何に?(『ハイスコアガール』参照)

ますます空戦を面白く感じないと厳しい作品であるとの思いを強くします。
むしろお姉さま方、コトブキの元締めマダム・ルゥルゥとその幼馴染みの議員ユーリアのほうがインパクトありました。
逃げられジョニーや雇われ副船長サネアツはもとよりイサオ市長も強烈な個性を発揮。キャラ分布図で言えば中心部、主役たちよりも周辺のキャラがとてつもなく魅力的というドーナツ化現象が起きてます。
これ作品としてどうなんでしょうね?好意的に捉えると “主役を食う勢いの脇役が勢ぞろい” ってとこでしょうか。


物語はわりと早め{netabare}(第6話のキリエ回想回){/netabare}に、ん?と感じるところから徐々に動き出し、{netabare}私たちの現実世界との相関も匂わせながら、{/netabare}綺麗に収めてくれました。
空戦に気を取られながら軸の物語も陰で進行し集約させる着地のさせ方が好感の佳作です。空戦もラストバウトは{netabare}これまでの味気ない砂漠ではなく舞台を市街に移して{/netabare}見ための迫力もスケールアップしてました。ぜひここは観ていただきたいところです。



■エンマ様かっけーっす
{netabare}イサオのラスボス感が堪らない本作において、エンマ(CV幸村恵理)のイサオらに向けた一言がシビれました。

{netabare}「世界のためにみんなのために自由のために って言葉わたくし信用しませんの!」{/netabare}
よくぞ言った!もう充分です(*´▽`*){/netabare}


■声優矢島晶子のお仕事
昨年(2018年)惜しまれつつも27年間演じられてきた“のはらしんのすけ”の役を降板されたのは一般ニュースになるくらい大きな出来事でした。
降板にあたってのメッセージの一部 ↓

 「しんのすけ」というキャラクターとは離れますが、声の仕事には関わっていきます。
  また別の機会に他のキャラクターでの私の演技を受け取って頂けましたら幸いです。」

本作で久々の再会です。
マダム・ルゥルゥ(CV矢島晶子)とやり手の女社長役での出演でした。ダメダメな羽衣丸の雇われ副船長サネアツ(CV藤原啓治)との掛け合いも笑わせてもらいました。

 ん? 藤原さん?

そうです。奇しくもかつての野原家面々の軽妙なやりとりを見てニヤッとできるのもポイントです(^^)



リアタイとしては同クールの『ガーリーエアフォース』と同カテゴリーの比較対象がありましたね。
ハイレベルのライバル対決とは言い切れず、どんぐりの背比べという印象ではあるものの、アプローチの仕方が両作品とも違っていてわりと楽しめましたよ。


{netabare}サブジーって坂井三郎爺さん? 技術者って触れ込みだけど・・・{/netabare}



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2019.09.10追記
《配点を修正》 -0.1


視聴時期:2018年1月~3月 リアタイ視聴



2019.04.04 初稿
2019.09.10 追記/配点修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 57

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

西部劇+戦闘機+少女+[?]=!?(第11話: うお~、震電!)

== [下記は第1話視聴時レビュー: 以下、追記あり。] ==
第1話を観たら、面白かった(少数意見)……ではなくて(笑)。

オリジナルTVアニメ作品ですね。放送前から西部劇・戦闘機・少女の要素についてはPVや各種メディアなどでも明らかでしたが、第1話終了時点でもまだ明確でない[?]な要素がありそうです。

作中世界は現代の我々の知る歴史とは過去的にも未来的にも何かしらの断絶がありそうです。

そういう意味での「世界観」は謎なのですが、とりあえずアメリカ西部開拓時代みたいな空気感で、でも飛行船やレシプロ機はあって、空賊=無法者・味方の飛行隊=用心棒といった役割でいわゆる「西部劇」的な筋立てのストーリーが進んでいくようです。

飛行機に関しては第二次世界大戦当時の実在機体がベースであるらしく、味方の飛行隊に関しては日本の陸軍機体である隼、紫電などに搭乗していました。

本作のウリの一つであろうドッグファイト(空戦)の描写に関しては、空中カメラ視点の他パイロット視点の映像がなかなかダイナミックな感じで良かったです。

[?]要素はさておき他の3つは水島監督他、制作スタッフの趣味が色濃く反映されているような気がします。特に問題になりそうなのが西部劇要素で、これは現在の主な深夜アニメ視聴者層には馴染みがないしウケないんじゃないでしょうか?

まあ、戦争映画要素が上手く活きたガルパンの例もあるので断言はできませんが、明らかに不安要素ですよね…(笑)。

余談: 撃墜数ですが、気になって『大空のサムライ』の著作で知られる坂井三郎氏について調べてみたところ敵方のアメリカ側での公式認定が28機だそうです。本作とは直接比較は難しいですし本作では自己申告や僚機の認定なので数は大目になっているでしょうが、それでも40機台は相当な数だろうと思われます。
== [第1話視聴時レビュー、ここまで。] ==

2019.2.18追記:
第6話を視聴終了。ほぼ、クロエ回想回。第1話に出てた墓碑っぽい石の主が判明。…何、「ユーハング」だと!?

きっと我々の良く知る場所のことですよね。我々の現実世界との繋がりを仄めかし、ようやく作品世界の核心が少しずつ見えてきました…。

2019.2.25追記:
第7話まで視聴終了。陰謀の臭いとスパイの影が見えてきましたね。キリエとケイトのコンビでの活躍は見ものでした!

2019.3.25追記:
第10話の富嶽に続いて、第11話で震電キター(笑)!
さすがにジェットエンジン搭載モデルではなかったけど…。

そしてサブじいが何者かが、ついに語られましたね。

2019.4.1追記:
第12話(最終回)まで視聴終了。全体を通して、とても面白かったです。この最終回だと続編は作れなくもないですが、とりあえずは4月からアプリおよびYouTubeでの公開がアナウンスされたスピンオフ作品が気になっています。

第12話個別の話では、F-86Dセイバードッグ(F-86セイバーの改良機体)が出てきてビックリしました。機銃はなく、ロケット弾しか武装がないトンデモ機体(笑)。レシプロ機同士での機銃でのドッグファイトしか想定していない中で、ジェット機で近接信管付きロケット弾を撃ってくるのはかなりのチートですよね。

出撃前にコトブキ飛行隊の面々がいろいろなものを食べていましたが、キリエが食べていたミニパンケーキの缶詰みたいなのはキリエのパンケーキ好きのブレなさを感じさせて良かったです。

ところで「死の間際に記憶が走馬灯のようによぎる」というのが良く出てきますが、あれは生存の危機にあるときに、過去の経験の中から生き残りへのヒントをさがしているのだという説があるそうです。今回キリエが見聞きしたのはそういう物だったのかもしれませんね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 47
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

パリ、テキサス

水島努監督×構成横手美智子。

荒野を舞台にレシプロ戦闘機を駆る、
用心棒集団「コトブキ飛行隊」女子の活躍。

20世紀初頭の時代設定でしょう。
街は空路による交易で賑わっている。
そこに現れる空賊との戦闘の数々、
空戦の近景は臨場感があり合格点でしょうが、
空戦の遠景はどこかぎこちない印象です。
音楽と音響効果はさすがの素晴らしさです。

少し気になる点としては、
{netabare}ここまで物語が同じ構造になっていること。
納品依頼→空襲・戦闘→撃退(敗北)です。{/netabare}
ここから先、どれぐらい物語を、
この構造から上手く逸脱できるのか期待しています。

7話視聴追記。
世界設定は砂漠の交易都市のようで、
パルミラやシバーム城塞都市のような雰囲気。
{netabare}物語のグランドデザインが語られ、
少しづつ目的が、見え始め楽しくなる。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}うーん…あまり強く印象に残らない物語でした。
この制作チームを考慮すれば、
大きな企画前の助走なのかと勘ぐったり。{/netabare}
世界観は秀逸だと思います。

お時間ある方はぜひ挑戦して下さい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 63

72.1 6 用心棒アニメランキング6位
BRIGADOON[ブリガドーン] まりんとメラン(TVアニメ動画)

2000年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (161)
819人が棚に入れました
時は1970年。大阪万博の開催まで一年をきったある日、東京下町の長屋に住む平凡な少女浅葱まりんは突如空に現われた異世界「ブリガドーン」からやってきた謎の生体兵器(モノマキア)に襲われる。その時、根津神社に御神体として祭られていたアンプルの中から別のモノマキアが現れ、まりんを救う。彼の名はメラン・ブルー。まりんを守るのが任務だという。二つの世界の運命をかけた戦いが始まる。

duke さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

最近のアニメにはない傑作です!!!!

まず、言えることはこの作品は最後まで見ないとなかなかこの作品の良さが分からないと思います。
なので、是非ちょっとでも観ようかなと思った方は26話まで全部見て欲しいです!!!

そしてこのアニメの最大のポイントは、生体兵器メランとみなしごのまりんの絆と真っすぐ透き通った愛だと思います^^
もちろん、その2人だけでなく、この2人に関わる色々な人や生物兵器も注目ポイントです。

涙あり、笑いありとにかく現在のアニメではなかなか見られないものがこの作品にはあると思います。

作画は、時代を感じますが、戦闘シーンや音楽は最高です!!!

付け加えると、生体兵器であるメランがちょっとずつ変わっていく様子は、心和みます^^

私がこの作品に出会えたきっかけは、ロボットと少女の組み合わせが好きということでしたが、別にそういうのが好きでない方もたくさんのことを考えさせられる作品です。

知名度はあまりなく10年以上前の作品ですが、私は胸を張ってこの作品をお勧めします^^!!!

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夢の中の熱き純情。9話から観ちゃイカン。

原作監督・米たにヨシトモ、構成脚本・倉田英之

オープニングのフォルクローレな民族調歌声、すごく物語にあっていて伝承性が増して気持ちが惹きつけられますね。何度も飽きずに聴けてしまった。

ある日空からの謎の落下物とともに、頭上にはブリガドーンなる空中都市が浮かぶようになっていた。地上の下町に住むまりんは、神社の祠でロボットのような生き物を目覚めさせる。「生体兵器メランブルー」と名乗る彼が付き従うようになり、まりんは二つの世界のひずみに巻き込まれてゆく…。

ぐりんぐりんの目玉、13才には見えない眼鏡っ娘まりんのあんまりありがたくないパンチラネタ、設定の1960年代風味な駄洒落、アハーン?って口癖に閉口しつつも、何だか気になる勢いで始まりました。
メランブルーは全身タイツ姿の肢体の端々にメカがくっついたようなデザインで、ハイヒールのような脚の耽美さに反してストイックな堅い奴です。(´・_・`)お腹と尻は出しといていいのか。

まりんを囲む長屋の憎めない面々のキャラクターも、芸が細かく和ませられます。その手厚さに、てっきりまりんはこの世界における愛されキャラなのかと思いきや、次第に「みなしご+謎の武器用心棒持ちの貧乏少女」として学校で迫害を受け始める。
しかし登校拒否になったまりんに、まっすぐな優しい言葉を向ける長屋の婆さんのセリフ、ちょい百合入ってそうだったモエちゃんとの熱い友情、かっこいい先輩のセリフ…4話にて、これは善いアニメだ!!と断定しました。なんていうか…それぞれのキャラクター、脇役に底力を感じます。


しかし、9話のヤーラシサってばどう〜なんですか。
この回から見たら絶対、違う目的のアニメだと思われるでしょう…~_~;
{netabare}
( 銭湯でまっ裸 + 泡と縛りの攻撃 + 味方メカ「ポイクン」の運転方法…。
乗り物になる亀型生体兵器ポイ君、内部に生えてる
弾力のありそうな有機的突起ブツをギュッて握って運転するんすよ。子供が考えそうなデザインでしょ?って見た目で、ああいうことする…。意味わかる方がやらしいとでも言いたいんかーオイッ!){/netabare}


そして10話以降の不幸の連鎖には、すべての中心点にまりんがいるのは物語だから仕方ないのか?、虚構が時に冗談のように束になって襲ってくる、ユメウツツ。

それでも先が気になるのは、主人公たちの主張や心情が吐露される時の、本気の純情さにグッとさせられるからです。ここは冗談にしないで頂きたい、と見守るしかない。もっとも、一話ごとに展開が早いのでひとつの苦しみが解決されるのも手早く、次への引きも上手いのですが。宵越しの銭はもたねェぜ( ´Д`)y━・~~的な感じで、話をまたぐ鬱はもたねェぜ(T ^ T)という甲斐性(解消)ありです。

{netabare} そして16話での、メランの理性的な説得の中に想いが滲んでいる様子にはジワジワ泣かされましたよ…。またメラン、いい声なんす。定められたと思われた絆を一旦不確定なものとして揺さぶるところがシビアなドラマでした。

そんでもって17話以降のさらに怒涛の、世界の崩壊の連鎖と逆恨みにあてこすられるまりん。やりすぎなような、ここまでやらないとみなしご様式美として意味ないのか。
救っては落とし救っては落とし救っては落としの夜店の金魚状態。生き抜くのに必死な昭和の時代の苦労ドラマ成分を目一杯盛り込んであるのか?、避難した人達の生活や群像心理など、いやに生々しく執拗な描写もあるし。
けれど、まりんを助けた先輩はカッコ良く善い人だったし、逆恨みしたり差別した人の後の扱いもきちんと考えてあったと納得。あと、崩壊後の世界だからこそ自分のあり方に立ち返ったキャラもチラホラいて、悪くなるばかりじゃないな、とも。
先に書いたように、苦難にぶつかってもまりんは脱出する糸口に恵まれていたと思います。だからやっぱり夢のあるお話。{/netabare}

面白いのがトリックスターのように現れる、猫のようなブリガドーンの奴ら。全てを知って誘導しているかのようで、翻弄されつつ、どこか憎めない。こいつらのおかしみで、重い展開もどこか安心して観られました。


20話を越えると、まりんは顔身体つきは変わってないちんちくりんなのに、妙に女性っぽく見えるのが不思議です。苦労は女を磨くんでしょうか。
メランの同期で女性型のエリュンにも「あの女のために強くなったのか」って、あのオンナ呼ばわりされてましたが。全体的に飛ぶ戦闘の切れ味がよく、とくにエリュンとメランの戦闘シーンがカッコ良かったです。

最終話まで行って特別意外な結末でもなかったのですか、壮大のちに全てを大事にして終わった、熱く優しい話でした。
まりんとメランのラブストーリーがロマンチックに締められるなか、私が感動していたのは、登場人物たちのその後を描く中で、子供を失って逆恨みした人を最後まで忘れずに一瞬ですが描いていたところ…。(;_;)こういうところがとても響きます。



物語の舞台となっている1969年(昭和44年)はどんな年か
{netabare} テレビでは「サインはV」「8時だョ!全員集合」「ひみつのアッコちゃん」「サザエさん」放映開始、リストに「海底少年マリン」なんてタイトルもありましたがまりんとマリン?
漫画はドラえもん連載開始。
学生運動で安田講堂でブイブイ、アポロ11号で初月面着陸、高度経済成長の盛りで地方の過疎化と公害問題がいろいろ。そろそろカラーテレビが一般に出回る時代、作中に出てきたテレビはまだ白黒でしたね。
原作者の方は、人情味溢れるまりんたちの暮らしの時代から先を分岐点と表現したのでしょうか。 {/netabare}


この作品を知り観てみたいと思っていたきっかけは、 {netabare} ちょっと古いアニメ好きな人なら結構名作扱いしていることと、以前「ノエイン」感想サイトさんで地味に推されていたからなのです。

そう言われれば、異世界から来た訓練された大人型の守護者と、世界の鍵を握る子供の組み合わせってところ、共通ですね。守護者が感情表現が下手なところも。エリュンとコサギ姐さん似てるし。あと真面目な顔で全身タイツなところも。


端々のデザインの冗談みたいなぬくぬくした垢抜けない感じや、まりんの目玉のデカさのおかげで、オススメされていなかったら観なかったと思います。観て良かったよ、もちろん。観返すと思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 25

さと さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

心温まるお話!

最初は絵が好みではなく、日曜日朝一に放送している
アニメと同じなんだろうと勝手に思い込んで
見てなかったのですが。

たまたまやってた時に見てみたら
想像と全然違う!
家族愛、友情、…感動と鬱と、ちょっとしたエロ

見事にはまりました!

監督が人気がなければ打ち切りというど根性で作った作品

その心意気がこんな素晴らしい作品を生み出してくれました。

本当に神作ですo(^▽^)o

追記
朗報です!!
スカパー、csチャンネルの映画チャンネルNECOで2015年8月7日から放送されます
録画保存されたい方必見!
私も録画保存します。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 6

72.0 7 用心棒アニメランキング7位
無限の住人 IMMORTAL(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (140)
609人が棚に入れました
武士というものがまだ存在していた江戸の世——。百人斬りと呼ばれた【不死身】の男がいた。その男の名は「万次」。万次は、父母を殺され復讐を誓う少女「凜」と出会う。凜は万次に、復讐の旅の用心棒になってくれないかと言う。初めは断る万次だが、凜に亡くした妹の面影を見た。一人では危うい凜の姿に、仕方なく手を貸すことに決める。しかし凜の仇は、剣の道を極めんとする集団——逸刀流。それは、不死身の万次すら追いつめる凄絶な死闘の始まりを意味していた。

声優・キャラクター
津田健次郎、佐倉綾音、佐々木望、鈴木達央、花輪英司、咲野俊介、桑島法子、ふくまつ進紗、秋元羊介、小原雅人、中田譲治、林真里花、白熊寛嗣、奈良徹、小林親弘、関智一、真山亜子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

MUGE・ん…異能っぽい

原作未読 Netflixもの

なんですけどなんとなく

 なんかタイトル知ってる~

三池崇史監督でキムタクの実写版が遠くない過去にやってましたね。それでみたいです。マンガそのものは1993年から20年ほど連載し完結。これはきっとブックオフで見かけてますね。実物に触れるのはこのアニメが初です。


 限り無き世界の住まい人


のお話。八百比丘尼より不死を授かったおっさんを主役に据えた時代劇全24話。ちなみに終始物騒なアニメ作品ですよ。痛快さとはほど遠く『カムイ伝(白戸三平)』『どろろ(手塚治虫)』の世界観に寄せたような感じがします。自分は無条件で好きなタイプな作品なので抵抗はなくそのまま完走。おそらく第1話からして雰囲気はばんばん伝わってくることでしょう。

まあけっこう身も蓋もないのがいいんですよね。生命は限りなく重くそして軽い。

 {netabare}『この奥方は好きにしていい。ただし娘の方には構うな』

平気でこんなこと言っちゃってる世界だったりします。{/netabare}

エロ・グロ注意表現がテロップで流れますので推して知るべし。主役のおっさんを津田健次郎さんが演じられてるわけですが、朝ドラでツダケンを知って「あら、アニメもやられてるのね?」とうっかり迷い込んだ奥さまが卒倒するグロレベルではあると思います。
声優さんに触れておくともちろん名の知れた方もいるわけですが、そんなこと以上に、セリフの多い主要どころに無名な声優さんがけっこう配置されてるのが特筆すべき点でしょうか。“代表作無し:主役級無し”な声優さんがわんさかいます。それがいいです。人知れず生まれ人知れず死んでいく儚さをキャストから感じたのは私だけでしょうか。

そして理不尽な理由で生命を落とすなんてことはザラな物語です。それを具現する尸良(CV奈良徹)みたいなキャラもおりますが、その点でなによりウケたのはOP曲by清春ですかね。傍若無人なエピソードに事欠かないアーティストさん。その頃SNSがあったら日々炎上しまくってただろう方のお声を冒頭に聴けるのは幸せでした。あれ!?よくわかんないですか!?僕だけに響いてる感じでしょうか。 くすんだ色調のアニメの中で鮮やかにここだけ色づいてましたね。
なおEDはものすごく好きです。毎度変わるというのも良いのですが、作品世界を見事に表現してるといっていいでしょう。贔屓の引き倒しみたいになってきた(・_・;)


少しだけ具体的なところも。
ヒロインは浅野凜(CV佐倉綾音)。町道場の師範の娘だった彼女は目の前で父を惨殺され、母を凌辱された末に行方不明という憂き目にあう。犯人は勢力拡大中の一門“逸刀流(いっとうりゅう)”で面も割れてるところでヒロインが仇討ちを誓いスタート。道中「用心棒が必要じゃろうて」との婆(八百比丘尼)の助言から、万次(CV津田健次郎)と接触し助けを乞うみたいな導入です。そこに万次の不老不死という設定が絡んでくるわけです。
だいたいこういうのも暗黙の境界線みたいなのがあって、

【仇討ちもの】
 並:仕留めたぞ!ヒャッハー
 上:憎しみを超えたなにか
 下:{netabare}憎しみを超えたなにかに挑戦した似非ヒューマニズム{/netabare}

【不老不死もの】
 並:ゲットしてハッピー
 上:そう良いことばかりではない。むしろ…
 下: …

シンプルに夢見てウヒャウヒャする“並”は場合によっては清々しさが際立つ良作だったりします。そんな物事は単純じゃないのよってのを巧みに見せてくれると“上”。さらに「そうきたか!」と驚きのようなものがあると“特上”になるんだと思います。“下”は書くつもりありませんでしたが、“上”に挑戦したもののツメが甘くてうすら寒い作品の山が横たわってる現状を憂い一応書いときました。本作でもヒロインが正義感溢れる一本気気質だったので一歩間違ったらドン引きする展開が待ってたと思いますよ。でもまあそうはなりませんでした。ちなみに不老不死ものはあまりハズレを引いたことがない気がするので“下”相当は該当なしとしてます。

 ・死ねないことの苦しみ哀しみ
 ・寿命差で生じる死に別れの悲哀

あたりがお約束でしょうか。本作は“上”を狙って“上”を獲得した作品だったといえます。雰囲気や見た目もしっかりと世界観に合わせながら、変化していく仇討ちの意義を見つけようと凛が迷い悩み答えを出していく過程は納得感を得られます。不死である万次の諦観みたいなものには“もののあはれ”すら感じた私です。
難点は少しばかり雰囲気勝負だったところ。けっこうな登場人物数を回しきれたかも微妙なところ。おそらく詰め込んだ部分もあるのだろうと思われます。それでも破綻したとはならないのは、物語のエッセンスをきちんと抽出し省略せずに我々に提示してたからだと思います。しっかりと堪能しました。



※ネタバレ所感

■万次さんのここが良い

強くないところです。万次さんいつも殺されてるのに自信満々なんですよね。それが強がりだとわかってくると深みとコクが増してきます。

{netabare}どこだったかで「こんな(身体)になる前に100人斬ってんだぞ」と言ってたような。不死身の肉体なんて妖(あやかし)ないし化け物扱いです。だから無敵なんだよという目を向けられたのに反して出た万次の一言。人間の頃から強かったんだぞ!と叫んだわけです。
正しくは不死身ではなく死ぬこともある万次さんの肉体に本人はとうに嫌気がさしている。でもどうしようもない。自嘲気味ながら自分の体を呪う手前みたいなスタンスで己に向き合ってたかと思います。そんな諦観めいたある種の達観した境地までいったおっさんのように見えて実はそうでなくて「人間の頃の良かった自分」への憧憬めいた感覚が残っているところが面白い。{/netabare}

{netabare}剣術も最強ではない。おそらく“町(村)レベルで強い!”くらいなもんだったんでしょう。
手練れがわんさか登場する時代劇です。熟練の剣客同士の手に汗握る熱戦を主人公を主語にして展開されればわかりやすかったのかもしれません。
同時に流れるような達人の剣技を作画で魅せてくれれば拍手喝采だったでしょう。

だがそうではありません。最初私はそこが不満でした。気持ちよくない。
しかしながら、そこらへんにいる腕自慢のおっさんがひょんなことから不死を得てしまった悲哀を表わすにはベストな選択だったような気がします。最強剣士が不死になる設定なら不老不死の意義や意味なり目的がわりとはっきり見えやすいとなるはずのところをそうではなくしてるわけです。
死んだと油断させといて不意打ちするみたいなとこあるので、バトルとして見たら消化不良もいいとこですがこれはこれで良し。流麗な剣技は他の人に任せてるところあるのでそっちで満たしましょう。{/netabare}


■日本の風景

欧州を舞台にした作品だと100年前200年前と遡っても街の景色がそう変わらないことは多々あります。橋だったり教会だったり平気で築400年とかあって、この前観たルネサンス期を描いた作品では舞台のフィレンツェの観光名所ともなってる有名な橋がそのまま描かれてたりもしました。

 石造と木造の違い

日本とヨーロッパの違いです。日本は戦争で主要都市が焼け野原になったこともあり、文明開化や大正浪漫はたまた戦時を描いた作品での街の風景は今と異なり当時の建造物はほぼ残ってません。またそのことを特に違和感なく当たり前のことと受け止めてきました。

 切り取った時間軸で風景は変わる

{netabare}それが何話だったかの“白川郷”。江戸を抜けて金沢へ向かう道中ということで道程も合致する。作品で描かれた白川郷がそれこそ観光で訪れた景色そのまんまでいたく感動しました。なにせ時代劇において今現在見てる景色そのまんまという経験がなかったもので。歴史の縦の糸が繋がったかのような稀有な体験でした。{/netabare}


■いっとうりゅう

最終話でサラッと…

{netabare}時が流れてましたね。

「土佐で魚釣ってたらアメリカ船に連れてかれ」
「萩で牢に入れられ」
「京都で久々にいっとうりゅうの名を聞く」

ってそのまんま竜馬さんじゃないですか(笑) 投獄されたかは知らんけど萩行ってますしね。吉田松陰に会ったり新撰組連中と親交があったことを伺わせる最終回です。なんか歴史の影に万次あり!みたいな。これ個人的には微妙でした。歴史の本流にはかすりもしないところで徒花のように生きた人達の物語だと思ってたところがあったのでなんとなく腑に落ちなかったです。
※注)ジョン万次郎説もあるとのご指摘あり{/netabare}



万次と凛の仲の描き方もあれで良かった。
ごちゃごちゃ言わんでも目と目で通じ合うくらいの信頼関係はできてたんだと思います。実写版でキムタクを起用したのはそういうメタファーなんですよ(嘘)。



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

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2020.09.16 初稿
2020.10.30 修正
2021.06.11 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 40
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

忘れ雪ほどろに

ライデンフィルム制作。

己の大義を掲げ全国に覇を轟かす、
影久率いる剣客集団逸刀流の精鋭たち。
彼らに両親を殺害された少女凜は、
不死の肉体を持つ万次に用心棒を依頼する。
復讐を誓う少女と男の旅路を描く時代活劇。

歴史の表には記されない壮絶な記録だ。
剣客たちの息吹までこちらに伝わる。
私の知る沙村広明はここにあって、
彼のサディスティックな画集は、
常軌の際で書かれたものに違いないだろう。

それぞれが悲しい宿命を背負い、
人の業と血脈に縛られ死闘に明け暮れる。
無念への慟哭が刃を研ぎ澄ませる。
華やかな江戸の文化の影で、
こういった怨恨の世界があったに違いない。

素晴らしいのは長期連載に関わらず、
剣客の力量が僅差であることだ。
ゆえに剣技を極めたもの同士の死闘に、
勝敗の行方が分からず緊迫感が生まれる。

{netabare}罪を償うと決めた万次の決心、
すべてを見届ける凜の胸中、
滅びゆく逸刀流と剣の高みを目指した影久、
そして槇絵と百琳、凶戴人、
そうだ、純粋なものから滅びていくのだ。
泣けてくるよ。{/netabare}

時代に取り残されたものたちの宴は、
ほんのわずかでも何かを変えたのだろうか。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 40
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

滅びゆくものたち

アニメーション制作:ライデンフィルム、
監督:浜崎博嗣、シリーズ構成:深見真
キャラクターデザイン:小木曽伸吾
音楽:石橋英子、原作:沙村広明

単行本が発売されて間もない頃から
20年ほど追いかけてきた。
初めて読んだときは、常識を覆す
大胆なストーリー、仇討ちと剣術に対する
哲学的思考、そして筆を用いたことによる
血なまぐささを感じさせるような
独特なタッチの絵柄に夢中になった。

『波よ聞いてくれ』を観た人なら分かると思うが、
沙村広明の作品は、キャラクターの魅力が秀でている。
主人公の万次はもちろん、天津影久や黒衣鯖人、
凶戴斗、乙橘槇絵、川上新夜、百琳など、
序盤に登場する面子と出会うだけでも気持ちが高ぶる。
カッコ良いし、奥深さを湛えているのだ。
それに加え、尸良や山田浅右衛門吉寛のような
狂気の人物が、読者を心の底から嫌な気持ちにさせる。
それも、また作者の特徴のひとつだ。

作品でいちばん惹かれたのは仇討ちに対して
主人公の浅野凜が何度もその正しさと
どうしようもない恨みの感情によって苦悩するところだった。
映画ファンだった私にとって、
仇討ちは西部劇やカンフーものの影響で常識的な思考。
ところが凜は、その正しさについてずっと自問自答する。
仇討ちを目指すのが万次ではなく、
女性である凛であるからこそ行き着いた
とてもよく分かるストーリー展開だった。
それが明確に表れているのが6幕の川上新夜の話。
敵討ちの連鎖を断ち切るために凜が苦悩するさまは
とても心に残り、普通にはない時代劇を感じさせてくれた。
この頃の物語の繊細さは、藤沢周平が思い浮かぶ。

凜が仇討ちをしようとする相手は逸刀流のメンバー。
彼らにも大義といえる理屈がある。
個人の想いと武術に対する志。
敵も人間であって、自らの信じる道を歩んでいるのだ。

型にこだわらず、本質にのみにこだわる。
それが逸刀流の美学。
武術の重要性が薄れつつある江戸時代において
真の力を追い求める者たちの究極の考え方。
それは人の命よりも重い。
「強さ」以外の理由で後継ぎになれなかった
父を見てきた影久の無念と恨みが滲み出てくる。

信じた道を突き進む天津影久は逸刀流を結成し、
江戸における道場破りを繰り返し、力を誇示していく。
しかし、それによって恨みが連鎖する。
所詮は烏合の衆である者たちゆえに起こる
下衆の行動と蹂躙によって、
被害を受けた者たちは怒りに燃える。
そのひとりが凜なのだが、
自分の追っている逸刀流の危機を目にするたび、
そして党主の天津影久という男を知っていくたび、
凜の心は揺れ動き、自分のやるべきことに
ためらいを感じるのだった。
また凜と話をすることで天津の心にも変化が生じる。

凜に手を貸すのが不死の運命を背負った万次。
旗本の不正を許せなかったことが原因で
100人斬りとして知られるようになった男は、
1000人の悪党を葬ることで罪滅ぼしを目指す。
その思考はとてもシンプルなものだった。

アニメのストーリー展開としては、
{netabare}1~12幕…凜の仇討ち、天津影久との2度目の出会いまで
13~19幕…万次捕縛&不死虐殺実験&救出まで
20~終幕…逸刀流vs. 吐鉤群の六鬼団と
分けることができる。{/netabare}

単行本のことを思い返して、改めてアニメを観た感想としては、
個人的には1~12幕が断然好きだ。
剣士としての矜持や生き様を感じさせてくれる。
しかし、それ以降はただの殺し合いになっていく。
好みの問題なので、そこが好きな人も多いと思うが、
私としては引き延ばしの感があった。

特にいちばんうんざりしたのが、
途中から作者が尸良に思い入れすぎて、
誰のための物語か、焦点がぶれてしまっていること。
また尸良の凄惨な過去がほとんど語られないため、
ただの殺人鬼が好き放題に暴れまわる
展開になっているのが少し残念。
これをやるのなら、尸良の過去をもっと
深く掘り下げ、しっかりと描かなければならない。
また、それは吐鉤群についても同様で、
幕臣である彼が剣士を排して、
平和を求めていたようには感じられない。
何を考えていたのかは、ほとんど見えてこない。

作画については崩れることもあり、
特に瞳阿の絵は安定していなかった印象。
この作品のなかではあまり重視されていなかった。
また最も重要と思われる斬り合いのシーンに
迫力がなかったのもマイナスポイント。
漫画のほうは、かなりこだわっていた部分なので、
そこも物足りなく思えた。
ただ、物語の構成は30巻分もある原作を
2クールでとても上手くまとめていた。
全体のバランス感覚が素晴らしかった。

ほとんどの侍が死滅した世界。
{netabare}万次だけは、江戸時代が終わっても生き永らえている。
滅びゆくものたちを間近で見ていた万次。{/netabare}
その目に映る世界は美しかっただろうか。
(2020年10月24日初投稿)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36

62.1 8 用心棒アニメランキング8位
無限の住人(TVアニメ動画)

2008年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (95)
530人が棚に入れました
「剣道とは勝つことへの道」を標榜する剣客集団・逸刀流。彼らに両親を殺された少女・凛は仇討ちを遂げるため、不死の肉体を持つ男・万次に用心棒を依頼する。

声優・キャラクター
関智一、佐藤利奈、野島裕史、中井和哉、江原正士、小西克幸、浪川大輔、能登麻美子、豊口めぐみ、森川智之、三木眞一郎、坂本真綾、菅生隆之、関俊彦

tinzei さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

『テクノライズ』に似てると思ったんだけど・・・・・

ストーリーは、不死身の力を手に入れた主人公が家族の仇討ちをする少女に力を貸す、というもの。

話は中途半端で終わっていて、オリジナル展開ですらない。復讐相手を一話or二話で一人ずつ倒していく。

中途半端な時点で物語の評価はできないけど、この作品の一番悪いところは作画。明るい時はいいんだけど、夜の戦闘シーンはものすごく見づらい。ただ元々作画が精巧な作品ではないから戦闘シーン自体も見どころと言う程ではない。個人的には『テクノライズ』に似ていたから誰か作画に関係者がいるのかと思ったけどそんなことなかった。


実写映画もやっていてキムタクが主役の万次を演じてるけど、「無限の住人」で検索したとき「大コケ」って出たからそんなに評判良くないのかな?


【追記】
アマプラでやったリメイクアニメを観るために、この作品も一話から観直したけど、観る必要無かったな(笑)
向こうの声優も豪華だけど槇絵に関してだけは能登さんが良かった。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

そうなんだ。。新作が好きなら観てもいいかも

 
原作は未読。
新作『無限の住人 IMMORTAL』 は視聴済み。

だもんで・・
 ↑
 ちなみにこれって静岡なまりらしいですね・・
 自分は静岡出身じゃないですけど

どうしても比較して観てしまうのは必定・・
ってことで・・

OPがちょいエロw

■エピソード
一話目、万次の妹のエピソードは新作にはなかったですね。
新作で万次が「死んだ妹に似てるよお前」と言っていた背景が初めてわかって良かったです。
~{netabare}
ニ話からは新作と同じようなエピソードでした。
中身のエロさは新作の方がずっとすごいけどw
{/netabare}~

エピソードそのものは、原作が同じなので惹かれる部分はありますね。

■作画や演出
絵のインパクトは、まあ比べるべくもないかな。
演出は映像に頼らずとも心情描写ができていて悪くないような気がします。
まあ古い作品なのでそこは加味しないとですが。

■キャラ/キャスト
ヒロインの燐は声が良かった。
要所でのカットはやはりカワイイ。
これは視聴モチベとしては充分でした。
~{netabare}
万次:関智一
 はじめ細谷さんかと思った。
 関さんは・・
 エヴァンゲリオン(鈴原トウジ)
 フルメタル・パニック(相良宗介)
 Fate/stay night(ギルガメッシュ)
 Fate/Zero(アーチャー)
 PSYCHO-PASS サイコパス(狡噛慎也)
 鬼滅の刃(風柱:不死川実弥)
 呪術廻戦(パンダ)
 めちゃくちゃお世話になってましたw

浅野凜:佐藤利奈
 佐倉さんと声似てる・・
 新作であやねるが選ばれたのは必然かな。
 利奈さんは・・
 ネギま!?(ネギ)
 とある科学の超電磁砲(御坂美琴)
 アマガミSS(棚町薫)
 咲-Saki- 全国編(臼沢塞)
 シドニアの騎士(田寛ヌミ)
 すのはら荘の管理人さん(春原彩花)
 エガオノダイカ(レイラ・エトワール)
 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(リュカ)
 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(産屋敷あまね)
 ARIA The CREPUSCOLO(アテナ)

 え・・ARIAで川上さんを引き継いだ方だったんですね・・
 今こうして知ることになったのも必然かな。

乙橘槇絵:能登麻美子
 頭巾を取ると美しい・・
 能登さんのお色気シーンが貴重。
 ま、最近はゴールデンカムイなんかも
 やってますが、CLANNADやってた頃を
 知るものとしては・・ねw
 ちょいとおさらいしてみましょうかね・・
 CLANNAD(一ノ瀬ことみ)
 大正野球娘。(宗谷雪)
 花咲くいろは(輪島巴)
 地獄少女(閻魔あい)
 宝石の国(ユークレース)
 はたらく細胞(ナレーション)
 ゴールデンカムイ(インカㇻマッ)
 かくしごと(姫の母)
 君に届け(黒沼爽子)
 リゼロ(エルザ)
 うん。

百琳:豊口めぐみ
 今作ではキャラは無事なままでした ^^
 豊口さんは・・
 咲-Saki- 阿知賀編(渋谷尭深)
 転生したらスライムだった件(大賢者)
 エグゼロス(ギタイ蟲)
 魔女の旅々(ローズマリー)
 ふむ。

町:坂本真綾
 万次の妹?
 即死キャラにマーヤさんとは・・
 出演紹介はありすぎて断念w
{/netabare}~

てか、尺があるとはいえ、ソコで終わったら・・
消化不良でしょやw

たしかインタビュー映像で、原作者は再アニメ化の話があった時、前例があって迷ったとか言っていたような。まーこういう作り方、終わり方されたんじゃ分かる気もしますね。

新作、二期としてではなく作り直してくれてありがたいです。

でも自分は、これはこれでなかなか楽しめました。
新作を観たからこそかも知れませんが。

 原作:沙村広明(講談社「アフタヌーン」連載)
 監督:真下耕一
 キャラデザ:山下喜光
 制作:BeeTrain
 制作協力:Production I.G
 放送:2008年8月
   (新作は2019年10月)
 視聴:2020年11月 dアニメストア

実写版はなんか観る気がしないなぁ・・w
 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

刮目せよ! 凶気の宴、ここに開幕!

この作品の原作は未読ですが、2019年の秋アニメで「無限の住人-IMMORTAL-」が放送されることを知り、是非先に視聴しておきたいと思い、この作品を手に取りました。
本当はもう少し早めに見終えたかったのですが、リアタイ作品の視聴に追われ今まで時間を要してしまいました。


「勝つ事こそ剣の道」と断ずる逸刀流統主・天津影久に両親を惨殺された
少女・凜は、身に血仙蟲を埋め込み不死身となった100人斬りの男・卍を
助っ人とし、仇討ちの旅に出る…!

1993年、アフタヌーン誌上に登場するや、その圧倒的な画力・大胆な演出、
斬新な殺陣…等々により「時代劇」というジャンルを一躍エンターテインメントの
主流へと蘇らせた[ネオ時代劇] 遂にアニメ化…!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作が放送されたのが2008年なので今から10年以上前になります。
確かに若干の古さは感じましたが、キャラデザなんかは今でも十分通用するほど綺麗だったと思います。

少し気になったのが放送期間です。
全13話であるにも関わらず、7月から12月までの2クール分を使って放送されていたんです。
これも大人の事情が関連しているのでしょうか。

それと起用されている声優さんは、今でもバリバリ活躍されているベテランの方々です。
主人公の卍が関智一さん、ヒロインの浅野凜がサトリナ、これに能登麻美子さんまで出てくるのですからテンションは上がりまくりです。

そして一番気になったのは何故全13話だったか、ということです。
それは、全13話で物語が完結していないからです。
アニメの放送期間が2008年の7月~12月で、漫画の連載が2012年の12月まで続いたようなので、アニメが連載に追い付いてしまったからでしょうか。
妙なアニオリエンドにしてしまうと作品のイメージを崩しかねないから、途中で終わらせたのかもしれません。
それなら何故続編が制作されなかったのでしょう。

親の仇打ちの旅…
それは仇討ちが決して楽な旅じゃないことを思い知る旅でもありました。
何度も心が折れそうになりました。
確かに凜は無天一流当統主の一人娘です。
ですが、統主の子供が必ず強いという訳ではありませんし、ましてや凜は非力女の子なんです。

そし相手は仮にも統主…力の差は歴然としています。
だから卍の力を借りたんです。
自分の使えるものは全て使って倒す相手が親の仇…
ようやくそう前を向くことができたというのに…
ここで終わってしまったら、ただの販促作品になってしまいます。

だから、10年もの時を経て今回アニメが制作されたのかもしれませんね。
「無限の住人-IMMORTAL-」は未だ視聴していないので、物語がどこからはじまるかが物凄く気になります。
本作の続きでも構いませんし、10年間に進化した技術を駆使して物語の初めからでも良いと思います。
でもせっかくなら個人的には後者であると嬉しいですけど。

そういえば、AパートとBパートのアイキャッチ画像がやたら現代風でした。
本作は時代劇であるにも関わらず、アイキャッチ画像には高層ビル群が描かれていましたから…
両者がどの様な関係があるのか…最後まで視聴しても分からなかったのが少し残念です。

オープニングテーマは、枕草子さんの「赤いウサギ」
エンディングテーマは、GRAPEVINEさんの「wants」

1クール全13話の物語でした。
思いのほか堪能できた作品でした。
そしていよいよ「無限の住人-IMMORTAL-」を視聴したいと思います。
今度は物語が完結するまで描かれることを期待しています。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 11

74.0 9 用心棒アニメランキング9位
ヴィンランド・サガ SEASON2(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (226)
526人が棚に入れました
新たな千年紀を迎えたデンマーク・ユトランド半島南部。仇敵・アシェラッド亡き後、生きる目的を失ったトルフィンは、「奴隷」として地主・ケティルに買われ、彼が所有する農場で開墾作業に従事していた。そこで、同じく奴隷の身分へと堕ちた青年・エイナルとの出会いをきっかけに自らが犯した罪と向き合い、生きる意味を見出していく。一方、イングランド王に即位したクヌートは「楽土」の建設に向けて、さらなる版図の拡大を目論んでいた。これは“本当の戦士の物語”プロローグのその先にある“償いと救済の物語”。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

心に刻まれる壮大なサーガ

引き続き原作未読で視聴。

【物語 5.0点】
超スローペースの2クール全24話。
概要など、トルフィンは平和な日常のかけがえの無さを知る。
トルフィンは自らの進む道を決意する。
以上で説明できてしまう程。
だが私の心に爪痕を残すのはこういう作品。

戦場で狂気に囚われた戦士の末路。
帰還兵が抱えた心身の傷と再生。
各々テーマとして語り尽くされ傑出した物語も多数あります。

ですが1シーズン目で前者を、2シーズン目で後者を。
双方の題材を紡ぎ合わせた大作となると希少かつ貴重。

戦いに明け暮れ復讐の虚しさを思い知ったトルフィン。
戦いから逃げ腰だったが戦場を経験する中で、楽土建設を標榜する大王として覚醒していくクヌート。
異なる道へ進んだ両者。交わるはずがないと思われた二人の道がやがて交錯。
様々な価値観を抱えた人生がぶつかり合うことにより、テーマを重層化させる人間ドラマが圧巻。

前シーズンでは、トルフィンの父トールズの言動に、正直、平和主義や反差別主義といったヒューマニズムに過剰なのでは?との違和感も抱えていました。
ですが終わってみれば正気の沙汰じゃないと思っていた{netabare} 羊8頭と瀕死の奴隷の交換{/netabare} などのトールズの酔狂にすら懐古して感じ入ってしまう不思議。

争いの無い土地を目指して“ヴィンランド”に行きたいとか後ろ向きの夢想が物語になり得るのか?
という疑問も、今ではすっかり前向きな進路だと好感できている。

同時に、ここまで語り尽くされないと戦争や奴隷の恐ろしさ理不尽さが理解できない、
私の心の鈍感さに愕然とします。

1シーズン目観ていないと分からない以上に、
1シーズン目を“経験”として血肉とした上で、心を研ぎ澄ませて噛み砕いて行かないと、
2シーズン目では感性が反応できず、描写が淡々とし過ぎて退屈だとなりかねない。
ギャグも{netabare} “熊殺しのドロット”の100発の拳より強烈だった姉御のワンパンw{/netabare} など少な目ですし。
お前ちゃんと定期的に里帰りしとけよと諭されますw

人も条件も選ぶ続編ではありますが、私は満点を付けざるを得ません。


【作画 4.5点】
アニメーション制作はWIT STUDIOからMAPPAにスタジオ変更。
監督、シリーズ構成等スタッフ陣の中核は継承。

ヴァイキング世界の雄大な自然を描き切る背景美術のクオリティも堅持。
天候変化による心情描写の拡張、鳥による自由意志の暗喩など、演出面もハイレベル。

例えば、一見、美人な奴隷のアルネイズさん。掌は手荒れでボロボロ。
肉体に刻み込まれた傷痕で、苦労を重ねた人生の年輪を語る人物作画にもグッと来ます。

トルフィンを責め立てる死者の群れなど悪夢のトラウマ描写も迫力あり。
クヌート王に至っては、{netabare} リアルで見える死んだ父王スヴェンの生首に、お前も孤独な君主の道を進むのだと嗤われる{/netabare} 白昼夢が続く。
これで狂わないなんて、本当にあのひ弱だったクヌート殿下なのか?と戦慄します。
というより、あの顔面、気持ち悪くて夢に出てきそうですw


余談ですが、スタジオがMAPPAに変わっても、放送局がNHKじゃなくなっても、
冒頭バイクツーリング映像でスタジオロゴを打ち出すスタイルは変わらないのですねw
世界観に合わせてヴァイキング船になったりはしないのでしょうかw


【キャラ 4.5点】
トルフィンがケティル農場で同じ奴隷の相棒となる男・エイナル。
情の厚さから復讐心に駆られそうになるエイナルの血気をなだめるトルフィン。
その他、1シーズン目で辿った自身の道を繰り返しそうになる周囲。
農場で出会う人々を通じてトルフィンが何を思うのか?
合わせ鏡を覗くような構図も交えて、トルフィンの経験と成長を噛み締める濃厚な人物相関。

農場主のドラ息子・オルマル。
心身共に貧弱なクセに、俺は農場は継がずに戦士になるんだ!と息巻く分かりやすいグレっぷり。
彼もまた、あの頃トルフィンもそうだったかなと懐古する上でも有用な人物。
終盤には、{netabare} 挑発に乗り、農場接収の口実を与えてしまう失態を演じますが、
最後は、戦うばかりが能じゃないというトルフィンが15年かかった境地に僅かな期間でたどり着く。{/netabare}
男が一皮むけるためには、早目に荒れて、やらかすことも必要なのかもしれません。
にしてもオルマルはやらかし過ぎですがw

オルマル&ケティル親子を始め、弱さ故に女を侍らせ、富と暴力に執着する。
地獄の中世ヨーロッパの底流に男の性ありとの示唆が繰り返されテーマを補強。

ケティルは欲張って土地を広げ過ぎ。やがて争いの火種となる。
先代当主・スヴェルケルのご指摘はごもっとも。
が、ケティルの旺盛な農場経営があったからこそ、
トルフィンらは自由民復帰に挑戦する機会を得たとも言える。

トルフィンとは別の覇道を進むクヌート王らと合わせて、
キャラによる反証が、ヴィンランドへの道を鍛え上げる。


【声優 4.5点】
主人公トルフィン役の上村 祐翔さん。クヌート王役の小野 賢章さん。
壮絶な半生を経た人格の変化、徐々に氷解していく心。
この辺りを演じさせたら、お二人は本当に上手いです。

脇では洋画、海外ドラマ吹替経験も重ねたベテラン勢が起用され、
ヴァイキング世界の洋風ムードを演出。
その中でも特にアルネイズ役の佐古 真弓さんや、大旦那スヴェルケル役の麦人さん辺りは、
人生の年輪が滲み出た、簡単に養成できないような妙演で魅せてくれました。


【音楽 4.0点】
劇伴は、やまだ 豊氏が続投。
感情が極まった人物に心を打たれるのは、一体となった背景美術だけではなく、
繊細なピアノと雄大なストリングスで盛り上げていくBGMとの合わせ技による所が大きいです。


主題歌
前期OP・Anonymous「River」/前期ED・LMYK「Without Love」
後期OP・Survive Said The Prophet「Paradox」/後期ED・haju:harmonics「Ember」

歴史物にサバプロのようなロックを起用すると好みが分かれて、“酷い”の検索候補が必ずついて回りますがw
グチャグチャした葛藤を叫びたいロック魂のような感情は古今東西不変という観点から私は嫌いではありません。

主題歌群で相変わらずなのは英語歌詞の多さ。
TVsizeだと、後期EDのサビでようやく美しい日本語バラードを耳にして里帰りできた感w

続編があれば、思い切って本場“ヴィンランド”のラウドロックやR&Bシンガーを一曲挟んでみても面白いかもしれません。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

逃走論

アニメーション制作:MAPPA 、
監督:籔田修平、シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン・総作画監督:阿比留隆彦
音楽:やまだ豊、
原作:幸村誠(講談社『アフタヌーン』連載)

どうして幸村誠は、こんな題材を選択したのだろう。
連載が始まったことを知ったとき少し落胆した。
作者の前作『プラネテス』は、連載時と単行本化されてからも
何度も読み返したほどのお気に入り。
『宇宙兄弟』よりも先に発表していた画期的な宇宙漫画。
宇宙という広大な世界を描きつつ、
その憧れの結実として「愛」に収斂させる。
お話としては当然のようでありながら、
行き着くまでの主人公たちの真っ直ぐな想いや苦悩、
導き出された選択を鮮やかに描き出した傑作だった。

作者の次回作をとても期待して待っていたのだが、
ヴァイキングの話と知って手に取るのをやめてしまった。
ゲルマン民族の大移動に端を発し、海へと向かったヴァイキング。
それは、まさに長く長く続く殺戮の歴史。
私にとっては高校の選択科目において、
ほぼ選ぶ者もいなかったのに
ずっと好きで受験科目にまでした世界史。
きっかけがこのゲルマン民族の大移動だった。
そんな話を幸村誠が描くということで興味はあったが、
物語の根底に広がる血みどろの展開を目にしたくないという
気持ちのほうが先に立ってしまったのが、
これまで読まなかった大きな理由だった。

しかし、アニメ化されたことで観ないという選択肢は、
ほぼなかった。制作はWIT STUDIO(2期はMAPPA)で、
シリーズ構成・脚本は瀬古浩司。
いくら血なまぐさくても観るべき布陣だし、
面白くないという可能性はゼロに近いと思ったからだ。

ただ、想定していたとはいえ、物語の序盤から苛酷な話が続く。
シーズン1では、戦士トールズの子供であるトルフィンが
隠れて父親の船に乗ったことで悲劇が起こる。
{netabare}それがきっかけでヴァイキングと行動を共にすることになった
トルフィンだったが、仇であるアシェラッドが命を落とし、
生きる目的を失ってしまった挙句、
奴隷になるところで1期は終わった。{/netabare}
2期は、大農場の奴隷として、気の良い領主であるケティルの元で
同僚のエイナルとともに土地を整備し、畑を耕す仕事に
従事するところから始まる。

ケティルの側仕えをしているアルネイズ、
ケティル農場の用心棒である蛇、
ケティルの長男・トールギルと次男・オルマル。
そこに1期で行動をともにしていた
デンマーク王・クヌートが加わり、物語は大きなうねりを見せる。

キャラクター一人ひとりの心の変遷を深く描いている。
過去の経験からつながる現在の生き方、信条。
大切なものは何なのか。
それぞれが重い十字架を背負っている。
何が正しくて、何が間違っているのか。
ひと言では言い表せないほどの
苦悩や争いが綴られていく。

私はこの作品のクライマックスを観ていて、
浅田彰の著作『逃走論 スキゾキッズの冒険』を思い出した。
今でも、この本のことを鮮明に覚えているというのは、
やはり多くの人と同じように、私も自分の価値観を
ひっくり返させられるほどのショックを受けたからだろう。
「常識」が悉く疑わしく感じられるようになり、
本当の意味で自分自身のアタマで考えるようになった
きっかけの書籍だった。

この著書で浅田彰が意識していたのは、全共闘世代の問題、
そして連合赤軍事件についてだったという。
私は全共闘世代とは年が離れているので、
当時の連合赤軍事件のことはほとんど知らなかったのだが、
よく行く飲み屋の知り合いが、
若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』という
映画の制作に深く関わっていたこともあり、
公開当時の2008年に映画を鑑賞し、
いろいろな資料を読む機会があった。
映画を観て、ひとつ感じたのが集団における空気感と
ある意味の真面目さだった。
最初は思想に深く入り込んでいなかった者たちが
次第に国を変えるという壮大な夢と
集団における規律に囚われて
何も見えなくなってしまう心理。
一線を超えた行動によって引き返せなくなってしまう
様子がとてもリアルに描かれていた。

あまりにも簡単にまとめてしまうと、
浅田彰は、そういうある種の真面目さから
身動きの取れない状況に陥ってしまう人々に向けて、
「逃げろ」と訴えた。
最近の風潮、たとえばいじめの例をひとつとっても、
それは当然のことのように思えるが、
終身雇用制が常識だった時代、さまざまな社会の常識と
されるものによって縛られていた、少なくとも私にとって、
その言葉は深く心に刺さったのだった。
行き先が決まっていなかったとしても
負の連鎖が続いていると感じたなら、
逃げて、逃げまくっても良いのだという提言だった。

そして、ヴィンランド・サガ2のクライマックスである。
トルフィンは、奴隷になった地においても
クヌートと対峙し、殺し合い、奪い合いの連鎖にまきこまれる。
クヌートは、元々、信仰心に篤い男だったが、
戦乱の世の中心に自身の身を置かざるを得なかったことから、
「神は何もしない」ことを悟り、
「神の条理に従っていては楽土を築けない」と考える。
神から捨てられたヴァイキングを救い、
「神と戦う」ことで、楽土建築を目指していた。
一方、トルフィンは盟友・エイナルの生き方にふれ、
アルネイズの絶望を目にし、新たな決意をする。

{netabare}それは「戦わない」という選択。
1期において父トールズが語った「本当の戦士」の意味。
「戦士に剣はいらない」と語った
父の境地にようやく辿り着くことができたのだった。{/netabare}

苛酷な運命を辿った人物から導き出された
新しい思考というのは、人を動かすこともある。
もちろん、史実からはかけ離れているだろうが、
クヌートはトルフィンの決断を聞いて、
自身の統治についての方向性を大転換することになる。

1期からずっと続いてきた陰惨な殺し合いの連鎖。
2期の終わりまで観て、とても納得感のある
作者の目指しているものが伝わってくる物語だった。
主人公の「心の旅」という部分では、
ひと区切りついた形となったが、
作品タイトルからは、ここからが本番。
トルフィンは「逃げ続ける旅」のなかで、
どんな選択をしていくのか。

まだまだ興味の尽きない叙事詩的作品として、
私たちを楽しませてくれそうだ。
(2023年7月2日初投稿)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 20
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

比類なき濃厚ドラマ(追記しました)

[2023.6.29追記]
2期見終わった後、クヌートの歴史が知りたくなって調べてみました。
クヌートが{netabare}波を鎮めようとする{/netabare}シーンが23話でありましたが、
あれ、「逸話」としてWikiに書かれててちょっとびっくり。
こういう逸話などもちゃんと調べて盛り込んでるところもすごいなぁと改めて感じました。

[初回感想]
ヴァイキングの子トルフィンが自分の生きる道を見つけていく物語の2期になります。
未見の方は1期からの視聴をおすすめします。ここからでも見れますが1期見てると物語の深さの理解度が違うと思います。
全24話。原作未読ですが先が気になるので読もうかちょっと迷ってます。

見てて感じたのが物語の世界観がとてもしっかりしてるのと、とても細かいところまで描きこまれてる綺麗な絵、そして劇中曲もピアノの曲など見てるこちらの心情に寄り添うような素敵なものが多くてよかったです。

それからすごいって感じたのはキャラの描き方がとても深いこと。
これは1期のアシェラッドを見てても感じたことですが、人の一面だけじゃなくて多面的に描かれているというか。
農場主のケティルや大旦那のスヴェルケル、用心棒リーダーの蛇、アルネイズなど、人物造形がみな深いです。
特に印象的だったキャラはケティルの次男のオルマル。
{netabare} 登場時はやんちゃで世間知らずでわがままな坊ちゃんって感じだったのが、自分の愚かさが原因で大変なことになり、とても後悔し悩んだ末に本当の勇気について学んで、トルフィンの行動に感銘と尊敬の念を抱いて・・
最後、汗をかきながら農作業してる彼の顔は本当に素敵だと思いました。{/netabare}

1期のほうが好きって方が多いみたいですが、私はトルフィンが大きく成長した2期がとても気に入りました。
{netabare}確かにガルザルの下りはちょっとくどいかなって思いましたけど、{/netabare}全体的に丁寧に描かれてるところは好感持ちましたし、物語のクライマックスの21話~23話は感動して何回かリピート視聴しちゃいました。。

トルフィンの理想は現代ではなかなか難しいものがあるかもですが、実はそれを実現した社会が大昔の日本にあったみたいなんです。(作品と関係ないので畳みます)
{netabare}その時代って縄文時代。
私もネットで見た知識なので間違ってるかもですけど、縄文時代って1万年も続いてて、実は定住もしてて栗の木とか採取のために近くに植えたり、日本の他の集落とも交易で繋がってて海外からも物が入ってきたりしてたみたいで。
そんな私たちの想像よりも豊かな暮らしをしてた縄文人だけど、一番驚いたのが狩猟具みたいものは出土するんだけど、人を殺す武具は一切見つかっていないみたいなんです。
先日もドイツで3000年前の剣が見つかったって記事見たけど、同時代の世界の他の地域からは武器が出土してるのに、縄文人の遺跡からは出てこない。これって本当ならすごいことだと思う。
だってトルフィンたちが憧れて目指してる社会がそれよりも何千年も昔にあったんだから。{/netabare}

2期は{netabare}やっと故郷に帰れたところで終わりました。(トルフィンのお姉さんのパンチには笑いました。。){/netabare}
最終話見てから1話を見返したんですが、色々と発見があって1話の「刻め」と23話の「刻め」がつながるところなど凝ってたり。
ここまできたらぜひヴィンランドに行くところまでやってほしいですよね。(原作未読だけど・・)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 23

51.5 10 用心棒アニメランキング10位
スパロウズホテル(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★☆☆ 2.9 (137)
487人が棚に入れました
繁華街にあるスパロウズホテル。繁華街にあるため泥酔者、ケンカする者、そう危ないことが日常茶飯事に起こり、主任である佐藤環が困っていた。そんな時、フロント係の面接に来た佐藤小百合の特技が巨乳と暗殺? っと話す。ためしに特殊業務・用心棒として雇ってみるが・・・。最強! 最巨乳!? 新人武闘派フロント係佐藤小百合と、中学生に見えるがしっかり者の佐藤環と、その二人を目当てに来る客などが繰り広げる日常ビタミン系ギャグアニメーション!

声優・キャラクター
茅原実里、長嶋はるか、岸尾だいすけ、小野大輔、結城飛鳥、森嶋秀太

こたろう さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

貴重な資料映像として残すべき作品(皮肉)

4コマ原作。繁華街のビジネスホテルを舞台にしたコメディです。
グリっとした大きい目の描き方等、かなり特徴的なキャラクターデザインですが、原作もあんな感じの絵柄です。
特技は「巨乳と暗殺」という、物騒な肉弾系美人が主人公です。


作画崩壊アニメ。(1話~6話)
発売元が事実上そう認めていますw
ちょっと近年ではなかなかお目にかかれない、清々しいぐらいの崩れっぷり。
難しい原作絵を、そのままアニメにしちゃってたので不安はありましたが予想的中でした。
動画にしてどうなるか何も考えてなく、やっつけ仕事でデザインした産物。
で、その作画ですが、絵柄を扱いきれてないという問題だけでなく、動かない、デッサンが狂う、パーツの配置が異様・・・と、映像としての酷さは見事なもの。
それもさる事ながら、ネタがわかり辛い演出、セリフが聞き取りにくい時間配分、マンガをそのまんまコンテに起こした無策なカット割・・・と、アニメ製作の作業として残念な部分が多すぎます。

ダメな仕事の見本市のような作品。
ここまでいくと何故か腹も立ちません。
哀れみが先行して、ナマ暖かく見守りたくなっちゃいます。
まぁ、がんばってください。金輪際仕事の依頼は来ないかもしれませんがw

たった1クールのショートアニメで、放送途中に製作スタッフが変わるという茶番は結構貴重な体験でした。
(7話から多少マトモになりましたが、前半の印象が強すぎて正常に評価できませんw)
ありがとう、そしてさようなら。
スパロウズホテルの名は忘れないでしょう。悪い意味で。
原作者の山東ユカさん、災難でしたね。本当にご愁傷様です。


クソアニメ量産の前科がいっぱいの竹書房の4コマ原作。
なので、何かやらかすだろうと思ってましたが、いつも想像のさらに下をいってくれます。

のんきに宣伝にノコノコと出てくる、しばいぬ子が厄病神にみえます。
「よろしク~ン」とか言ってる場合じゃないってぇの、ったくw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

いらっしゃいませ、雀のお宿(スパロウズホテル)にようこそ!

原作未読 全12話 5分作品(本編3分、おまけ2分)

今期ショートアニメの1つで、題名の通りのビジネスホテルのフロントで働く主人公 佐藤 小百合がメインのコメディー作品

落ちがほとんど同じなので原作が4コマ漫画ということに納得しまいましたw

なぜか前半と後半でキャラデザイン違います。大人の事情みたいなのですが、特に主人公の佐藤小百合のキャラデザが全然違うので最初は誰?だか分からないくらいでした。

ショートなのでサクサク観れますが、キャラデザに癖があり、私的には特に内容も面白いとは感じませんでしたのでオススメはしません。
茅原実里さんと長嶋はるかさんのファンの方にはいいかもしれませんね。

OP/ED(同じ)佐藤 小百合役の茅原実里さんと同僚塩川 環役の長嶋はるかさん歌ってます。スパロウズホテルを全面に出した曲ですね。

残りの時間は「スパロウズホテル ご利用の前に」と茅原実里さん(出題者)と長嶋はるかさん(回答者)のホテルに関するクイズがありました。正解が多いと豪華ディナー券(長嶋はるかさんに)が当たるそうなのですが、視聴者には全然関係ないのでwお二人のファンの方向けですかね~
{netabare}
DVD版ではキャラデザ一新ということですがどうなんでしょう?あまり興味がありませんね。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 18

Prism_Ace さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

作画崩壊に立ち向かう勇気があればwelcome to sparrow's hotel

特筆することは前半の作画崩壊と監督交代についてでしょうか。
1話~6話は中村哲治監督が担当していますが(ググったらモンスーノで作監やってた)、視聴を躊躇してしまうような、本当に2013年のアニメか?!と思うような作画崩壊とシナリオのぶつ切り感が素人にはオススメできないオーラを放っていました。
7話~12話はタイトルにリニューアルが付いていまざきいつき監督が担当しいつものいまざきアニメになってかなり見やすくなるのですが、前半の狼藉(?)を見てると若干の物足りなさを感じる時もあります。
魅力的なキャラ設定など素材がよかっただけになんでこんなことに…という気持ちになる一本です。
ちなみにOPが良曲。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 3

63.7 11 用心棒アニメランキング11位
旋風の用心棒(TVアニメ動画)

2001年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (46)
275人が棚に入れました
『旋風の用心棒』(かぜのようじんぼう)は、黒澤明監督作品「用心棒」を題材に現代風にアレンジされた、2001-2002年-に日本テレビ系で放送されたテレビアニメ作品。
【ストーリー】東京から北へ数百キロに「鬼無宿」という小さな町がある。ある秋の日に、一人の若者がその町へ訪れる。若者の名前は「谺丈二(こだまじょうじ)」。
ある人物の消息を尋ねるためにやってきたものの、有力な情報が得られない。町の人間はよそ者の丈二に不審を抱き様々な画策を行う。丈二が鬼無宿に来たことで、その運命の歯車はゆっくりと動き始める…。

声優・キャラクター
平田広明、辻親八、小林沙苗、篠原恵美、大塚芳忠、宗矢樹頼、廣田行生、塚田正昭、千田光男、長克巳、横島亘

ぶっかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

悪いな、また付き合ってもらうぜ

作品を包む空気が古臭ぇ!
華やかさは無いし、渋いと言えば聞こえは良いが、悪く言えば超地味
だが、それがいい
誰に向けて制作されたのか、見当が付かない程の潔さは圧巻
主人公がやたらとカッコよく
お決まりのように腕っぷしがあって寡黙。
ラストまで謎を引っ張り続けるストーリーも非常に魅力

途中、作画がコロコロ変わり、作品全体の雰囲気を健全に保てなかったことだけが、只々残念でならない…
とは言え、良作の和風ハードボイルド
是非ご覧あれ

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

黒澤映画×現代風ミステリー(+パチスロ)

ニヒルで腕っ節の立つ主人公のカッコよさを楽しむアニメです。
原案である黒澤映画のキャラクター性を活かしつつ、現代劇らしくミステリー要素が足されています。
このミステリー、結構見ごたえがありました。


前半はキャラクター紹介的に謎を匂わせつつも、何がしたいのかわからずテンポがよくない。
どっち付かずでフラフラとしてるので、飽きて見るのを辞めた人も多いかと思います。
後半に入ってライバルキャラが出てきたあたりから、グッと面白くなります。
終わってみれば、前半で巻いていた伏線回収もできているって感じ。
面白いんですが、1クールに凝縮してもっと丁寧に作ったら名作になったんじゃないかな?という惜しい作品です。


余談になりますが、本作はパチスロになっています。
アニメはドマイナーですが、
「悪ぃな、また付き合ってもらうぜ。シャキーーン!」
こう言えばパチスロファンならわかるかもしれませんw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あの、世界の黒澤明監督の作品をアニメにアレンジした作品

「黒澤明」と聞くと日本映画史のみならず、世界の映画史にまでも多大なる影響を与えた名監督ですよね。「七人の侍」は見たことは無くても名前くらいは聞いたことある人もいるんじゃないでしょうか。自分もその一人なので、偉そうなことは言えないのですが...

そして、今作品はその中でも、「用心棒」という映画を公開から40年後に、現代風にアレンジしたアニメです。ジャンルでいうと、ミステリー&アクションといった所でしょうか。全25話です。

主人公の「谺 丈二(こだま じょうじ)」は鬼無宿(きむじゅく)という町に、「荒鬼 源蔵」という人物を捜しに来たのですが...という感じで始まります。登場する人物全員が重要で、物語としては、自分は比較的複雑に作られていると思いました。それプラス、アクションもなかなかのもので、かっこよかったです。小さな謎が、次第に大きくなっていく様は見ていてとてもおもしろいものでした。謎が謎を呼ぶみたいな?

おそらく原作とは違う内容だとは思いますが、アニメを通しても見入ってしまうほどなので改めて凄いなぁと。まるで1つの映画を観たような感覚のようで不思議でした。それにしても、ミステリーとアクションって意外と合うんですね。他の作品にもあると思いますが。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

60.5 12 用心棒アニメランキング12位
ゾイドワイルド(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★☆☆ 3.0 (18)
79人が棚に入れました
ゾイド!それは金属の肉体と、動物の本能、闘争心を持ち、生態系の頂点に立つ、最強生命体である!
ゾイドと人間が究極の絆を結んだ時、秘められた力が覚醒する!その名は……ワイルドブラスト!(公式HPより)

声優・キャラクター
小野賢章、櫻井孝宏、小桜エツコ、小松未可子、木村昴、石川界人、小清水亜美
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

「いつだって、またなって言える世界ってスゲーよな」

2018年7月から放送開始のTVアニメ。

2006年に終了した『ゾイドジェネシス』以来12年ぶりとなるゾイドプロジェクト。wikiで色々興味深い情報が読めますね。
玩具として従来と違う点は、「ゾイドは地中から発掘される」という設定に合わせて「プラモデルを組み立てる者自身が、ゾイドの化石を発掘して復元する」というコンセプト。
ゾイドを組み上げる一連の作業を古代生物の復元作業に見立てる、ということなのだそうです。
この世界は惑星Ziではなく地球が舞台となり、ゾイドは数万年前に宇宙から飛来した1つのゾイドコアより誕生して生態系の頂点になったメカ生命体。地中から発掘した骨(ボーン)に外装(アーマー)を取り付けて「復元」される生き物です。従来のゾイドが「○○型(ライオン型など)」と呼ばれていたのとは違い、新しいゾイドは「○○種(ライオン種など)」と呼ばれます。(アニメでは地球の普通の動物たちも少数ですが登場します。)


今回のアニメは、主人公のアラシがライオン種のゾイド・ワイルドライガーと出会い、行方不明の父親の影響で「古大秘宝Z」を探すために故郷を離れ、デスメタル帝国と戦い、仲間を集めて成長していく物語。
舞台となるのは、地球のワイルド大陸という架空の大陸。ゾイドを戦闘兵器として運用するデスメタル帝国が普通に暮らす人々にとって大きな脅威となっています。また、ゾイドそのものがゾイドと触れる機会の少ない街では恐れられることも。
一方でゾイドと共に生きる人々もおり、その中でもゾイドに騎乗する者はゾイドハンターと呼ばれています。

音楽良いですね。パーカッションや打楽器が強いBGMは癖があるけどこの世界観に合っています。
OPもEDもどれも良い曲で良い出来。1クールで変わっちゃうのが勿体ないんですが、挿入歌の「WILD BLUE」がずっと使われているおかげでスラゼロの「NO FUTURE」のように作品を代表する曲になりそうかな。


【13話視聴時点での感想】
{netabare}
現在”相棒か、兵器か”の煽り文句に違わぬ展開で、「大人視聴者何それ美味しいの?」とばかりにひと昔もふた昔も前の子ども向けアニメ街道を全力で突っ走ってますw
ストーリーは9話以降安定して面白くなってきていますが、子ども向けが好きではない人には向かない作風。(8話までかなり不安定だったけど何があったんだろう…?)

特に主人公のアラシのキャラクターは今時相当珍しい、やんちゃで向こう見ずで真っ直ぐなんだけど危なっかしくて、痛い目を見て後悔してやっと成長する、昔懐かしい主人公像。仲間を大切にする行動が一貫してきたので、今後の成長でなお良いキャラになると思います。

ライガーのアラシに対する兄貴的なキャラクター、ガノンタスのオニギリに対する信頼と献身は見ていて和みます。スコーピアはどんな性格なんだろう?
ゾイドたちの個性も本作の大きな魅力なので、それもしっかり描いてくれたら嬉しい。

ゾイドのCGも素晴らしい出来で、アニメらしい演出が噛み合っていてバトルシーンは圧巻。
放送開始時には少々物足りなかった動物らしい動きも最近では随分見られるようになり、ゾイドの瞳の表現もかなりこなれてきました。人間とゾイドのバディものとしても充実した内容になってきています。

特に13話で、デスメタル帝国の帝王ギャラガーとベーコンのバトルシーンはカメラワークも含め素晴らしかったですし、ゾイドの行動が動物に近い印象になってきていて、それが作劇に活かされました。
デスレックスに怯えたオニギリとペンネを守ろうとガノンタスとスコーピアが動いた時、デスレックスはファングタイガーからその二体に標的を変える。そして二体を守ろうとしたアラシは無茶な突撃をしてしまい、ベーコン退場の引き金になる。この流れは良く出来ていたと思います。
ゾイドたちをキャラクターとして物語に組み込むことはこの作品では必須ですから、このままの方向性を維持してほしいです。

漫画版も単行本で読んでいますが、漫画の方が方向性は最初からはっきりしていた感じ。絵柄やキャラ付けは古いけど、ゾイドがより生き物らしく表情も解りやすい。これも子ども向けが好きなら…コロコロなのでw{/netabare}
(2018.10.2)


【第33話時点での感想】
33話とても良かったです。
{netabare}
このアニメ、人間関係の掘り下げ方が縦横無尽というかw意外な関係性が出来たり色々深まったりと、全く予測できない。
ゾイドのCGもどんどん滑らかになってきています。

アラシ達は仲間同士が欠点があってそれをはっきり指摘しつつも、成功も失敗も受け入れて協力して旅しているのも良いなと。
今回の33話は意外なキャラクターの組合せで、でも本編を見ると何をしたいかが明確で感心してしまいました。前半の展開は結構大雑把でツッコミ所も多いけど、ギャグからピンチになってハートフルに締めるジェットコースター感は癖になるw

ドレイクが出るとテーマが一気に掘り下げられるので楽しいですね。
ソルトはゾイドに育てられた経験と直感、オニギリは勉学と研究で得た知識とデスメタルに協力していた過去、ドレイクはデスメタルの一員だからこその発掘経験と実践的な知識がある。それぞれのバックボーンを明示してさらに考え方を描き、お互いに対する評価も変えていく。
オニギリは自身の過去があるからドレイクに対して親身になり、ゾイドに対しての距離感が近いソルトはこれまで嫌っていたドレイクへの評価を保留した、と言った所かな。

29話でのソルトのドレイクに対する「本当はもっと強いんじゃないのか」っていうのは、真の絆を結べばもっと強いはず、という意味かなと思います。33話で「本物じゃない奴」って言っているのは、ギルラプターの信頼に応えないことがどうしても気に入らないから?でもオニギリに対する「あいつは本物だ」っていう言葉もわざとドレイクに聞かせている感じなので、もどかしくて腹が立っているのではないかな…と。
実際、口では見捨てるようなことを言ったドレイクにギルラプターがついていっても、ソルトは何も言わないのですよね。
アラシがギルラプターを助けるのに躊躇しないのもとても良かったと思います。

にしても今回はギルラプターが可愛くてw
だいぶ前からゾイドの芝居付けに生物感が増していて楽しいです。ガノンタスとライガーが体を揺する仕草とか、オニギリが声をかけると答えるガノンタスとギルラプターとか、ドレイクに走り寄るギルラプターが嬉しそうだなとかw{/netabare}


【本作と「神バディファイト」について】
私が今とても気に入っている2作品です。
{netabare}

「ゾイドワイルド」と「神バディファイト」はメインスタッフがベテラン揃いの玩具販促子供向けアニメで、さらにバディものという点も共通。ですが、実際に見ていると本当に色々対照的です。
これは前作までのノウハウが継承されているかどうかも含めてですね。

バディものではあってもファイター同士の1対1が関係性の基礎になる神バディファイトと、バディものを根幹にしつつ網の目のようにキャラクターの関係性を構築していくゾイドワイルド。
キャラクター達も全体的な印象が真逆で、あちらはとても繊細でこちらは非常にタフ。それぞれの都会的・野性的な世界観に合った個性付けがされています。
一話の中に楽しい部分を必ず入れつつバトルも入れ込むのがノルマなのは共通だけど、あちらはシナリオ・コンテ演出など全てコントロールされていて誰にでも解りやすいのに対し、こちらは予測できない展開や脱力するようなシーンも多いですが爆発力が凄い。
{/netabare}
子どもキャラが好きならどっちも楽しめると思いますよ。
(2019.2.25)


【42話時点での感想】
今回はドレイクの過去話。重い回ですがいろんな情報が開示されましたね。作品のテーマに対してもとても重要な回だったと思います。
{netabare}

まずテーマ性について。
このアニメのキャッチコピーは”相棒か、兵器か”。「人とゾイドの関係」と言い換えても良いと思います。
シンプルだからこそ、いくらでも掘り下げられるテーマですよね。

私が9話で本作に本格的にハマったのは、シメジが登場したことで人とゾイドの関係がおおまかに出揃ったから。
メカ生命体としてはその意思を尊重するかどうか。野生動物と考えれば、恐怖の対象として拒絶するのか、その生態を理解する努力をし共に生きるのか。
現在、ゾイドを相棒や仲間だと思っているフリーダム団も度重なる戦闘を強いられ、兵器としての側面を無視できなくなっている。対して、ギャラガーもデスレックスに意思があることや自分のギルラプターにも心があるのをわかっている節がある。
ここまでで多様な関係性が描かれてきて、白か黒かでは考えられなくなっています。

これまでにもゾイドの個性・個体差はずっと描写されてきていますが、今回はさらに踏み込んで人間の倫理観だけでは推し量れない彼らの固有の意思が描かれました。
人間の視点だけでは見えないものがあり、ドレイクは個々のゾイドの意思を彼なりに汲んで行動している。それが良いか悪いかは別ですが、アラシたちがゾイドをとにかく救おうとすることが必ずしも正しいとは限らないという見方もできる。
ゾイドに距離が近いソルトの存在がそれを解りやすくしてくれるのも良いですね。


二つ目はデスメタル帝国について。
これまでに、シュプリーム団の3体のゾイドがデスレックスのDNA情報を利用したディメパルサーの能力により洗脳され奪われています。今回もデスレックスに喰われたのと同種のゾイドはデスレックスに恐怖を感じるようになり、洗脳することもできると言われている。
「恐怖と洗脳(意志と心を奪うこと)による支配」はゾイドだけでなく人間に対しても行われていると思うんですよ。しかも意志と心は本作において「本能」に限りなく近い意味合いを持っていると私は感じています。

ドレイクを見ていると、ギャラガーは恐怖で支配下に引き込み自尊心を失うまで汚れ仕事を命じ続けている気がするんですよね。ドレイクの場合、恐怖で決断できなかったことで最悪の状況となってしまい、憎しみが彼の行動を決めた部分もあるのですが。
だから、ドレイクとギャラガー・ギルラプターとデスレックスの関係はよく似ていると思う。ドレイクがそれを耐えてまでデスメタルに残っている理由も気になります。
ペンネもまたフォアグラから同じような仕打ちをされており、しかも離反してもフォアグラはペンネに拘りもしない。今思えば都合よく動かせる駒でしかなく、からかうと面白いオモチャでしかなかったんだろうなあと…

…未就学児から小学校低学年くらいまでがメインターゲットだと思うので、全体的にはギャグも多いしフォローもしっかりしてるけど、このアニメかなりえげつないよねっていうw


手にした者の心次第と言われる「古大秘宝Z」もちゃんと物語に収まりそうな気配ですし、内容は大丈夫だと思うのですが、少し不満なのがギョーザとヨウカンの活躍が少ないことかなあ…。ヨウカンはまあ立ち位置的にもちょうどいいと言えばそうだけど、ギョーザは勿体ない感じがする。
ゾイドに対する考え方もこの二人は明示されていない。今のところ1年予定のようですし話数だけが心配。{/netabare}
(2019.5.6)


【第45話時点での感想】
またテーマに深みが増した感じです。どこまで多角的に掘り下げる気なんだよ、このアニメw
{netabare}
度重なる試練に精神的に追い詰められつつあるアラシが、自由に旅する父親と再会し初心に帰る回。
戦いから一歩引いた角度で旅の目的を問い直し、子どもの自立を描くお話を最終決戦直前に配置するのがゾイドワイルドらしくて凄く好き。
アラシは42話ではドレイクに対して初めて本気で理解しがたいという反応を示しているので、次回のドレイクとの決着前に描いておくべきことでもあります。

アラシは36話で登場したレジスタンスの村の子ども達と同じような精神状態になりつつありました。戦う理由が多くなりすぎて、グラキオサウルスを目にして、真っ先にデスメタルの襲撃を疑う。しかも自分の経験を振り返る余裕もなく、イカヅチにデスメタルを完全否定する発言をする。
そんな我が子にイカヅチは「ちっぽけなことさ」と諭す。親としては無責任な所もあるにせよ、夢のために故郷を旅立ったことをアラシに思い出させ、「お前の人生だ」と言ったおじいちゃんと同じように「自分の思う通りに進め」と言ってくれる。
そして大切な人(息子)を守りゾイドを守るという彼の流儀は、アラシと全く同じ。本当にそっくりな親子。グラキオの脚に背丈の印をつけるシーンめっちゃ和むw


今回描かれたのは「生きる道(夢)か、戦う理由か、第三の道を探すか…自分自身で選ぶ」ということかなと思ったのですが、これは本能開放の条件にも関わってくるのではないかと感じました。
本能開放の条件は色々解釈が出来るし、正解は多分ないと思います。
ただ個人的な考えになりますが、

①相棒と心を通じ合うこと
②同じ目的・誇りを共有すること
③目的・誇りに対して命や人生を懸ける覚悟があること

この3つかな、と。
サンラータンに顕著ですが、彼女の場合「命のやりとりをする」のではなく「自分の仕事に人生を懸けている」のですよね。命のやりとりをする覚悟が条件なら、レジスタンスにはもっと本能開放できるゾイドハンターがいるはずだとも思うんですよ。
シュプリーム団は1話でレジスタンスかと尋ねられて「半分はな」と答えている。だから旅の目的は別にあり、その中でデスメタルと衝突したのではないかと思っています。
13話でベーコンは「俺もヤキが回った」と言っていますが、何に対してだろう?とちょっと思ったことがあって…よくある台詞だから深読みかも知れないけど、今回の話で「夢のために旅に出たのに、戦うことを選んで死ぬなんて自分らしくない」という意味かも、と感じました。もちろんそれはアラシが悪いわけでもベーコンが間違っていたのでもなくて、本人の選択の結果です。

このアニメでは何が正しいかではなく、広い世界と多様な価値観を描き、選択する自由と理不尽に抗う意思を各キャラクターに様々に背負わせている。兵器の側面と生物の側面を持つゾイドとの絆を描くことで、人が生きる上での選択として「夢」と「戦い」を等価に描いている気がしています。相手を殺す戦いは当然否定していますが、夢を追うことも人を守る戦いも否定していない。
子ども向けですし、アラシというキャラクターはその性格に相応しい答えを出すのでしょうが、作品全体としては視聴者に委ねている印象がある。
ラストがどうなるのか、目が離せません。 {/netabare}
(2019.5.30)


【最終話まで視聴完了】
ここには書き切れないくらいに楽しませていただきました。
ずっと我慢していたのに玩具買ってしまいましたし…眺めてニヤニヤしてますw

ゾイドのCGがとても良かったです。
表情の付け方、種ごとの動きの違い、個性・個体差の表現など本当に素晴らしかった。
バトルシーンの躍動感やカメラワークも良かったし、最後の方ではラプトールやディロフォスもめっちゃ格好良かったです。動きが速すぎてスロー再生して見たりとか、嬉しいような勿体ないようなw
残念なことに漫画でのみ2作目が展開することになっていて、アニメの次回作は今の所発表されていません。今作のノウハウが途絶えないようにして欲しいなとちょっと思っています。
{netabare}

ドレイクの話は特に良かったです。
ギルラプターの性格を多面的に描写することでドレイクの内面を描いたのも素晴らしかった。
同じギルラプターという種であっても、赤い個体、白い個体、ギャラガー専用機それぞれの個性・個体差を描き、それぞれドレイクとの関係を作って見せました。その上でドレイクの相棒は赤いギルラプターしかいないと思わせる作劇は本当に好き。
46話はドレイクを主役とした物語でありながら、力で支配する捕食者の頂点デスレックスと、全てのゾイドを守ろうとする百獣の王ライガーとの対比も際立ちました。
白いギルラプターのお陰で生き延びたドレイクと赤いギルラプターが獲得した「強さ」は、復讐のための力ではなく、48話や最終回で描かれたように誰かを守るものであったのも良かったです。特に最終回でアラシを庇ったのは、3年前にはできなかったことを出来るようになったのだと思えました。


デスレックスも自分のキーを欲しがっていて、捕食本能と力を求める本能がある。それらと利害の一致を見たのがギャラガーだったのだと思います。
アラシの説得にデスレックスが迷いを見せたのは、デスレックス自身の意志を尊重する者になかなか出会わないからかも知れないですね。あるいは大昔に相棒になった人以来かも。
イカズチの「ゾイドにも相棒を選ぶ権利がある」という言葉もこの展開に繋がっていたと思います。
ライガーとアラシがゾイドを守ろうとするのは第4話から描かれてきて、最後まで一貫していました。デスレックスを解放しようとしたシーンにはアラシの成長も感じました。
「ゾイドを開放しろ」っていう言葉は46話でドレイクにも言っていて、でもギルラプターは自分の意志でそれを拒否するんですよね。ギルラプターが求めていたのはデスメタルに屈しない強さとドレイクを守ることで、アラシがゾイドを想う気持ちとは噛み合っていなかった。
でもデスレックスに対しては相手を第一に考えての言葉だったと思います。


ギャラガーもラストまで描写がぶれず、人やゾイドの意志を否定し絆を拒絶する悪役として筋の通った最期でした。ギャラガーのアイデンティティがデスレックスの意志を踏みにじり、結果としてアラシに苦い経験を残したラストもビターで良い。

ベーコンの魂の描写も思い切ったなあと思いますが私は好きでした。死してもなお皆の「仲間」でありタイガーの「相棒」で、残された者たちの想いの強さや絆の深さにはぐっと来ました。
他の死んでいった者たち…アンキロックスやキャンディのカブター、バーガー達も掬い上げる描き方だったと思います。
ただ救いを求めるだけなら、最終回でベーコンが実は生きていて…という展開でも良かったはずなのに敢えてそうしなかったのかな、と感じました。


本当言うともう少し尺が欲しかったな。
ギョーザとヨウカンはもう少し見せ場というか、掘り下げる回は欲しかったです。R.A.P.隊(ハッピー・ラッキー・ウッキー)が最後どうなったかも描かれていなくてちょっと悲しい。

デスメタル帝国に突入してからも詰め込み気味とは思いますが、私はそれよりも後日談が良かったのでもう少し見たかったです。
特に良かったのはソルトが実家じゃなくてシメジを頼っていた所。ソルトはウルフと共に自分らしく在ることを選んだのだと感じました。
あとアラシとドレイクが「またな」と言い合って別れる所。「またなと言って別れられる世界にしたい」という言葉が実現したんですよね。
{/netabare}

根本的にはシビアな世界でありながら、子ども向けとして重くなりすぎないよう良く配慮されていました。辛い現実や避けられない困難を逃げずに描写した所に、ゾイドワイルドという作品の独自性が垣間見えますね。

またアニメ作品として出会いたいなって思います。
(2019.7.2)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ワイルドだろう?

酷評注意

ホビー系作品って「アイツ居る意味ないじゃん」とか「とっとと退場させればいいのに」と思う展開であっても、スポンサーはそれに付随して画面に映る玩具を売りたいんだろうなと、ある程度納得しないといいけない側面がありまして。
欲を言えばそう気付かせない話作りをしてくれると有難いんだけど、それは高望みし過ぎでしょう。
ってことで内容に対してあれこれツッコミ入れるのは野暮なのは承知した上で、それでもちょっと今回のシリーズは…う~ん…。

まず最初にこれまでのゾイドシリーズからの改変部分、興味ない人は飛ばしてちょ{netabare}
前作(ゾイドジェネシス)から期間空いてることもあってか、それまでのゾイドとは全く別世界。
惑星Ziではなく地球が舞台。
そしてゾイドのサイズが全体的に小さくなった。
以前はキャノピー付きのコクピットがあったのだけど、今作はそれが無くてパイロットは「搭乗」というよりは「騎乗」って感じに。
でもって火器が殆ど無くて肉弾戦がメインに。
一応ガノンタスが大砲を持ってるけど、世界内での扱いとしては投石器みたいな感じ。
荷電粒子砲どころかガンスナイパーリノン仕様みたいなゾイドが居ないのはちょっと寂しい。
そりゃパイロット剥き出しだから狙撃や爆撃で簡単に死んじゃうようなのは禁止なのは分かるけど、いわゆる「コクピットの中に居る限りゾイドが無事ならパイロットも無事」ってエンタメ手法が取れなくなったのはかなりの制限なんじゃ…。
でもってストームソーダーやグイみたいな空戦ゾイドも居ない、一応飛べるゾイドは居るけど戦力としては使えないレベル。
そりゃパイロットが剥き身で高速・高高度飛行とか出来ないもんなぁ。
または火器を減らして格闘戦メインにしたので地対空戦が描けないってことも影響してるかも?
そしてゾイドを格納できる巨大ゾイドも無し、これは玩具展開の制限をモロに感じる。
けどそれで世界を回って自称帝国と戦うって展開はどうなのかな?
“ザブングル”で例えるとランドシップ無しのウォーカーマシンだけで旅をしてる状態で、「全体的にこじんまりした印象(※)」。
ゾイドでなければよくある設定として気にならないのだけど…。

そして騎乗なので当然コンソールなんてものも無いし、レバーをグイっとしてランプが順番に点灯って演出も、無い。
基本パイロットは「しがみ付いてる」のだけど、作中手元を見せないアングルばかりでグリップがあるのかどうかすら不明。
一応差し込んだ後のキーの握りの部分が掴めそうな気はするけど、作中それにしがみ付く描写は自分が気付いた限りでは、無い。
特に気になるのが女性キャラ陣で、ペンネもサンラータンもヨウカンも、女の子座りでちょこんと乗っかってるだけって姿勢。
ゾイジェネのコトナみたいな搭乗スタイルはエロいとしてNG入った?
これはこれで可愛らしくて結構なんだけど、いざアクションが始まると振り落とされないか見てるこっちが妙にヒヤヒヤする。
ってか実際よく振り落とされます、男性キャラも。
そういうコンセプトなら、ゾイド同士で顔付き合わせてる上でパイロットがポカポカ殴り合うシーンがあって然るべきだと思うのだがそれも無い(富野だったらやってたろうなぁ)。
特に「あれ?」と思ったのがOPが変わってサンラータンがキャタルガに乗ってるシーン。
初代のムンベイ&グスタフ的ポジションなんだけど、シートや背もたれすらない状態でとても何日も移動できるように見えない。
要は移動してる範囲が・世界が狭く感じ、※の印象を強める結果に。

そうそう、女性キャラ陣といえば乗るゾイドが悉くムシ系(しかも3人中2人が毒系)なのは何なんだ、スタッフの趣味?w

そして、これはどう見ても悪手だと思うのだけど、後半パイロット不在のゾイドが活躍するシーンがありまして。
もうこうなってくると「わざわざ危険なマネして騎乗する意味無いじゃん」っていう…。
人間は安全な場所から指示出せば良いってことになってしまって、デジモンの逆を行ってる感じ。
果たしてこれってゾイド?と思わなくもないけどメーカーがそう言ってるんだからそう。

けどここまではまだ良いんだ、ターゲットを既存のゾイドファンだけでなく新たに開拓するため思い切った方針転換も時には必要でしょう。
ただ、その…キャラやストーリーがねぇ…。{/netabare}

感想{netabare}
辛いのがまずキャラクター。
主人公アラシのデザインがキメェ、ルンピカちょん切りたい。
頭にバナナの皮乗せてるのなんて些細に思えるキモさ、この衝撃は“ウェブダイバー”以来かも。
“ヘボット”のネジルは気にならなかったのにアラシはなんでこんなにキモく感じるのだろう?
そして覚醒すると片目に炎が灯ってさながら“ブラックロックシューター”、いやこれも元ネタ他にあるのかも知れんがもうそうとしか見えん。
いっそのことエンディングにブラックロックシューター歌わせれば逆にバカ受けしたのにそこまでの思い切りも無い。
特に片目に灯る炎の作画を頑張ってるのか、コマ数多いのか、キャラの顔に馴染んでなくてこれは最終回まで見続けても慣れることがありませんでした。
更にアラシは覚醒すると性格変わったり見た目が成長するでもないのに声のトーン落とす演技をしててすっごい違和感、ここら辺デジモンの進化を意識したのかなぁ?
というか随所にデジモンっぽさを感じる、それに関しては後述。

で、ストーリーに触れるととにかく1クール目がキツい。
上記のゾイドの変更点や主人公のキモいデザインを乗り越えても、内容が更に篩にかけてくる。
1年放送の長丁場で主人公が成長する内容なので、最初は「成長前」ってことで(精神を)ゴミ虫状態にするのは分かるけど、そうであっても身勝手が過ぎる上にそれが“何故か”(=脚本家に保護されて)上手く行きずぎる。
それに輪をかけて敵のデザインや行動がフザけてて、視聴意欲をゴッソリ削ってくるのはなかなか凄い。
そんなのが1話や2話だけでなく何話も続く。
ガノンタスの献身っぷりだけが救い。

マシになり出すのは1クール目終わってベーコンが死んでから。
「なろう主人公もビックリするレベルで何をやっても結果的に上手く行く」主人公が、ようやくその行いで犠牲者を出してしまう。
とはいえシュプリーム団の誰からも責められることは無い。
一人くらいはアラシをブン殴って欲しかったけどこれが今風ってことなんだろうか。
そしてデジモンでいうところのスカルグレイモンorメギドラモン(間違った進化)キター!!と思ったらあまり引っ張らないのね。
その後ダラダラと話は続いて…ペンネやサンラータンは普通に可愛いと思うけどギョーザはちょっとなぁ…妹居なかったらラップで話の腰を折る邪魔な存在(居ない方が良い)でしかない。
玩具を売るために必要だって?あ、はい。

仙人や親父も人間のクズ。
特に親父に関してはギャラガー以下のネグレクトとしか言い様が無いのだけど、ひょっとしてこれは…放送1年以上やるつもりだったのかも?
この「回収しなかったので“伏線”とはいえない意味ありげな振る舞い(実は無意味、あるいは悪化)」が目立ち始めたのは親父登場辺りからだと思う。
まず四天王が最後の最後まで「倒されない」のがどうにも消化不良、後述の「あの時殺しておけば良かったのに」と思わせるばかり。
こんなんだったら1クールごとに1人脱落させるとかして主人公側に「一歩前進した」感を与えた方が良かった気がするのだが…最終回なんて在庫一掃セール状態だったし。
本当は二年目以降に順次リタイアさせてく予定だったのかなぁ?と。
「やり方は違えど目的は一緒なのでまた会えるだろう」としてチームを一旦離れる展開もデジモンっぽさを感じる、がロクに回収することなく都合よく合流。
そもそも上記※で書いた様になーんか「世界」が狭く感じて、作中「この世界は広いんだ」と言われる度に違和感を覚えた。
最たるものは「デスメタル帝国」で、帝国と名乗ってはいるけどその所在地は不明で国民が生活してる首都らしきものも無い…なんじゃそりゃ?
規模としては「世界」は関東平野くらいで、山賊が帝国を自称して暴れてる程度な印象。
そして主人公達は関東平野の中をグルグル回ってただけ、そりゃ一度別れても簡単に再会できるし仙人の居る遺跡(高尾山なんじゃないかな)にすぐ戻って来れたのも納得。
デタラメ情報流した仙人が悪いんじゃん、っていうのも打ち切りだと思えば納得。
ミミガーがなんであんなに歪んじゃったのかの説明が無いのも納得。
デスメタルキーが実用量産されて大変だ、と思ったら大して大変にならなかったのも納得。
ヨウカン加入が遅すぎるしこれといって親睦深めるエピソードも無いままマブダチになるのも納得。
セカンドギアが他のゾイドに無かったのはどうなんだろ?これも玩具展開の事情?

ってことで、折角辛い1クール目を乗り越えてマシになったと思ったら、今度は「後で回収すると思われる意味ありげな出来事」の散りばめがされ、それの雑な回収を見せられるという展開に…。
ベーコンの霊魂なんて「これどうやって回収しよう?」と困ったスタッフに都合のいいアイテムとして扱われてた気がする。
とはいえ、どの時期に1年で終了と言い渡された(仮定)のかは不明で、ひょっとしたら結構後半だったりして。
そう考えると一概にダメとも言えず、むしろよく纏め上げたというべきなのかも?
…って、視聴者はどこまで事情を汲み取る必要があるんだか自分でも分からなくなってくる。

但し最終回、テメーは駄目だ。
洗脳解くことが出来るならタイガーもっと早くに出ろよ、アンキロ犬死にじゃないか。
ってかパイロット無しのゾイドがそこまで活躍できるならもう無理して人が乗る必要無いじゃん。
それと「一度デスレックスから落ちたギャラガーをそこで踏み殺しておけば被害はもうちょい抑えられた・ひょっとしたらデスレックスが懐いてた」ってのはどうなん?
これは全体に対しても言えることだけど、敵に情けをかけた結果被害が拡大する展開が多い、ってかそのパターンで話を引っ張るのが多い、四天王なんか全部コレ。
「殺してしまったらデスメタルの連中と同じだ」と見逃した結果「あの時殺しておけば良かったのに」と思わせちゃう展開って…どうなのよ?
打ち切り(仮定)でそこら辺ちゃんとケジメつける話が描けなかったのかも知れないけど、かけた情が仇となる話を見させられるのは結構苦痛でした。
最終回はそれが集約された出来と言っても良いかも?
特に最後の最後、他の四天王が服役してる(ってかアラシの親父も服役させとけよ)のに、ドレイクがのうのうと旅に出るってなんやねん!!
そこは頭丸めてお勤めするところじゃないんかーい!
最近“さらざんまい”見た影響ではなく、それが最低限だと思う、欲を言えば孤児のガキに「父ちゃんの仇~」とか言われて刺し殺されるエンドくらいして欲しかった。
48話でミソギを済ませた気分か?
そんなんで償える程度の世界ならやっぱり「あの時殺しておけば良かった」って意思(説?)が強化されてしまう、スタッフはそれがお望みか?

ところで見てた最中、どことなく初代デジモンっぽさを感じてたのだけど、初代デジモンスタッフ(西園悟)はゾイドジェネシスのスタッフでもあったらしい。
で、ゾイドワイルドがゾイドジェネシスを含めた前作までのゾイドシリーズを否定した作り(それ自体は構わないのだけど)になってて…ん?あれ?
自分でも混乱してるんだけど、西園を超えようとしつつ西園の後追い・劣化コピーに勤しんでるような歪な感じに。
ワイルドライガーの最終形態もメギドラモン→デュークモンだし(ってこれテイマーズだった)。
う~ん、やっぱり本来やりたかったことがあって、だけど打ち切りで中途半端になってしまったって考えるのが自然のような?
もし続きが作られるようであれば…今作の不満部分を解消する内容をやってくれると有難い。


話は変わってアニメーション・画面作りについて。
ゾイドがCGなのはいつもの通りだけど、今シリーズはパイロットが騎乗してるためゾイド全身を映す時はキャラも画面に入ってしまう。
結果としてゾイド搭乗中はキャラもCGになるのだけど、それで起きる違和感を抑えようとした苦労っぷりが伺える。
要はロングでキャラの表情を見えないようにしたり、ゾイドとキャラの接触箇所を見せないようにしたり、搭乗中キャラのズームアップ&ズームバックはしない。
とはいえ結局やることは格闘戦だし、派手なアクションをさせると「キャラが落ちないのが変」ってなってしまうため、気にならないようにかそもそも一緒の画面に入らないアングル選びが多い。
逆に言えばそれが制限になってて、挑戦するのは良いけどまだ時代が早すぎた予感。
いや凄い頑張ってるんですけどね。
片や音楽は…途中で切れる演出は悪くないハズなのに、多用しすぎて安っぽいモノに。


総評としては、初代ゾイド見よう、ジェネシス見よう(スラゼロとフューザーズは好みが別れる)。
とはいえホビー系としてメーカーから無茶なオーダーされてアニメ制作側としてはこれが精一杯だったのかも知れない。
あそうそう、脚本に「赤尾でこ」がやってる回があります。
好きでも嫌いでもなく、そもそもノーチェックだった脚本家だけどアニコレで評価高くて「お?」と思ってたのだけど、実際担当した回は悪くない。
(ってか経歴wikiってみたら確かにスゲーや。アデューレジェンドのOP今でも歌えるでよ)
というか…あれ?ペンネ・ヨウカン当番回ばっかりやってるんだけど…そういう担当だったのかな?
脚本でいえばジェネシスで浮いてた「ふでやすかずゆき」も関わってるけど随分大人しくなった印象。
ってか1話1話はそんなに悪くないんだ、全体を通すと「あれ?」って感じで(最終回除く)。
お勧めできる作品じゃないけど女の子の活躍だけ見たいのなら赤尾でこ担当回のみ見るのはアリかも知れない。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ベーコンが~

てか、アラシ以外はほぼ食べ物の名前がキャラ名なのに最初笑ったw

ベーコンとか…櫻井さんだからちょっと見ておこうって思ったら、すっごくカッコ良くて、なのに死んじゃった時には見るの断念しようと思ってた。
”櫻井”おまかせ録画設定しててずっと録画されてたから最終回までずるずる見た。

死んじゃったって信じられなくて、絶対復活するって最後まで信じてたんだけどな~><

ていうか最終回はおまかせにひっかからなくて別に録画してたんだけど、見てたら台詞は無いのにめっちゃ登場してた~^^

やっぱりちょっとうるっときた~。ベーコン一押しだったので、ラストに出たのは嬉しかったけど切なかった。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 0
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