てけ さんの感想・評価
4.1
大まかで大掛かり
1988年発売のOVA作品。
宇宙怪獣という脅威にさらされている時代の話。
主人公のタカヤノリコは、故人である宇宙飛行士を父に持ち、宇宙に憧れる女の子。
宇宙に出るための訓練学校に入学するものの、マシンの操作は全然だめで、「全滅娘」と呼ばれる始末。
ところが、学校にやってきたコーチに素質を見出され、パイロット候補に選ばれる。
優秀な生徒たちからの嫉妬に耐えつつも、パイロットになる特訓を始める。
というように導入部はスポ根風味。
ロボットが腕立て伏せやジョギングをしているようなシュールなシーンに、最初はどうなることかと思っていました。
しかし、宇宙に出てからが雰囲気が変わります。
とにかくスケールがでかいですね。
とてつもなくでかい人工物に、圧倒的を通り越した物量。
短いストーリーに対し、数の暴力は効果的です。
「いまさらりととんでもない数字を言ったぞ」
「どうなってるんだこの世界は」
と、世界感に対する興味を否が応でも引き立ててくれます。
やっぱりSFは壮大じゃなきゃ。
また、敵の不気味さや初戦闘シーンのリアリティもお気に入り。
宇宙で戦闘したらこうなるよね、って。
ただ、世界の命運を賭けているプロジェクトにしては軍規が緩く、
敵と戦う時以外にはあまり緊張感がありません。
また、感情をじっくり描いているわけではありません。
ノリコが成長したことは分かりますが、どうして成長したかという部分が分かりにくいです。
そのため、葛藤の解決がわりとあっさりしたものに感じられます。
戦闘描写や熱のこもった演技、最終話の描き方と、
ストーリーより演出を重視しているように見受けられます。
理系としてはおいしいですが、文系としてはちょっと物足りない感じ。
パロディだけではなく、人物描写がもっと繊細であれば良かったです。
しかし、たった6話ということと、時代を考えれば贅沢な話。
さまざまなアニメに影響を与えた作品。
自分でSFを書くとしても影響を受けそうです。