漫画アクションで笑いなアニメ映画ランキング 1

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78.0 1 漫画アクションで笑いなアニメランキング1位
東京ゴッドファーザーズ(アニメ映画)

2003年11月8日
★★★★☆ 4.0 (667)
3456人が棚に入れました
自称・元競輪選手のギンちゃん、元ドラァグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキ、三人は新宿の公園でホームレス生活を送っていた。クリスマスの晩、ハナちゃんの提案でゴミ捨て場にクリスマス・プレゼントを探しに出かけた三人は、赤ちゃんを拾ってしまう。赤ちゃんに「清子」と名付け、自分で育てると言い張るハナちゃんを説得し、三人は清子の実の親探しに出かけるが、行く先々で騒動が巻き起こる。

声優・キャラクター
江守徹、梅垣義明、岡本綾、飯塚昭三、加藤精三、石丸博也、槐柳二、屋良有作、寺瀬今日子、大塚明夫、小山力也、こおろぎさとみ、柴田理恵、矢原加奈子、犬山イヌコ、山寺宏一

takarock さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ホームレス3人組のコメディ調冒険活劇in真冬の東京

故・今敏監督のアニメ映画で2003年の作品です。
「パプリカ」や「パーフェクトブルー」は浅はかと言い張る
ちょっと偏屈なアニメというより映画マニアの友人から勧められて視聴しましたw

「あらすじ」(知っている方は飛ばしてください)
酔っぱらいの呑んだくれおやじのギンちゃん、
元ドラァグクイーン(男性が女性の姿で行うパフォーマンスの一種)のオカマのハナちゃん、
そして家出女子高生のミユキ。
新宿でホームレス生活を送っているこの3人がクリスマス・イヴの夜に
ゴミ捨て場に捨てられていた赤ん坊を発見する。
子供を育てることが夢であったハナちゃんは赤ん坊に勝手に「清子」と命名するも、
やはり実の親を探そうとホームレス3人組が真冬の東京を奔走するという物語。

上記の通りこの作品には、格好良い主人公も可愛いヒロインもいません。
いるのは、小汚いおっさんと同じく小汚いおっさんのオカマと
お世辞にも可愛いとは言えないホームレス女子高生の3人です。
そして舞台はファンタジー世界でなく真冬の東京です。

設定からしてすさまじいです。
全然わくわくするような話じゃないって思うかもしれません。
けれども下手な冒険活劇なんかより余程冒険しちゃってますw
すげーわくわくさせられます。もう単純におもしろい。

このホームレス3人組はそれぞれ複雑な事情を抱えており、
ホロリと来る人情話もあれば、ド派手なアクションもあります。
3人のやりとりなんかにクスリと笑ってしまうこともしばしば。
これぞまさにエンターテインメントです。

3人が清子を拾ってから行く先々で様々な奇跡が起こります。
ご都合主義とも言えるかもしれませんが、
それは「これはアニメーションだよ」ということを強調するために
意図的にそうした演出にしたようです(友人談)
真偽の程は定かではないのですが、どっちでもいいでしょう。
まぁクリスマスの奇跡ってことでw

日本のアニメ映画と言えば、ジブリ作品や最近では細田守監督の作品が有名ですが、
それらの作品に決して負けてないクオリティ、そして感動がこの作品にはあります。
いや、それ以上と言っても決して過言ではないでしょう。(但し全盛期のジブリ作品を除く)
辛いことがあって悩んでいたり、落ち込んでいる人には特にお勧めです。
元気をもらえますよ。

この作品を観て僕は今敏監督が亡くなったことは日本アニメ界にとって
あまりに痛すぎる損失だったということを改めて実感しました。
紛れも無く天才、間違いなく本物。
そしてこの作品を始め今敏監督の作品は後世まで語り継がれていくでしょう。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

きよしこの夜

今敏監督作品、制作マッドハウス。

希望を1枚、カードで支払い、
海外から溜息を取り寄せた。
これはなかなかの上物である。
やがて部屋中が憂鬱で一杯になった。

感覚を麻痺させて生きよう。
出来るだけ静かに目立たぬように生きよう。

{netabare}クリスマスに赤ん坊を拾った。
赤ん坊はなぜ力一杯泣くのだろう!?{/netabare}
それはきっと生きる為の放熱だ。
今敏監督が描きたかったのは、
その放熱そのものかも知れない。
誰もが傷を抱えて生きている、
弱さを抱えて震えながらも前へ前へと。

少し換気をしよう、憂鬱で一杯だ。
ストレスを抱えたたくさんの現代人に、
素敵なクリスマスプレゼントなのだろう。

コミカルでハートフルな聖夜の奇跡、
これは雪降る夜の、奇跡の物語なのだ。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

サクッと観れてスカッと終われる、人情味溢れるストーリー。会話が小気味良い!

今敏監督作品。約90分。
同監督にしては非常に分かりやすい話です。

クリスマスの夜。
ホームレスのギン、オカマのハナ、家出娘のミユキ、社会的にはダメダメ3人組が、ゴミ捨て場で赤ちゃんを見つける。
クリスマスに拾ったことから「きよしこの夜」をもじって「キヨコ」と名付け、親の元に届けようとするのだが……。
キヨコを巡ってさまざまな騒動に巻き込まれる物語。


東京のごちゃごちゃした景色、人物の細かく丁寧なしぐさ、この辺はさすが今敏監督。
ミユキが寒くて鼻をすする動きは、とってもリアル。
人間の動きをよく観察してますね。
キャラクターの表情を見ているだけでも飽きません。

そして、なんとも人情味のあふれる話です。
ホームレスのおっちゃん、オカマ、家出娘の会話ですから、冗談のように聞こえますが、それぞれの生い立ちから出てくる、なかなか気の利いたセリフ。
酔っぱらったときの台詞回しも絶妙!

なお、キヨコの声優は、こおろぎさとみさん。
赤ちゃんの演技には定評がある方です。

また、漫才のような笑える会話劇も見所です。
お気に入りなのは、
{netabare}
ギン「クズを捨てたいんだが」
ギン「ちょっと小さいかな」

ハナ「たとえばぁ……日に焼けた肌に角刈りが似合う細身の中年男で、ちょっと困った顔しながら、足りない料金を、"ったくしょうがねぇな"なーんてまけてくれる江戸っ子みたいな男がすてきー」

ハナ「私たちはどう見えるのかしら」
ギン「ホームレスとオカマと家出娘と捨て子」
{/netabare}

テーマは「親子の絆」そして「自分の居場所」でしょうか。
{netabare}
娘に合わせる顔がないギン。
親を知らないハナ。
親を刺して逃げだしてきたミユキ。
{/netabare}
境遇は異なるものの、それぞれ親子関係に特別なしがらみを持っています。


終盤の展開は実に爽快!
キヨコを巡ったハイテンションなドタバタコメディに、アクションシーン。
そして、気持ちの良いオチ。

サクッと観れてスカッとした気分で終われる物語です。
登場人物がとっても人間くさく、このまま実写映画にしてもおかしくない感じ。
アニメ好きじゃなくても十分楽しめます。
{netabare}
冒頭の牧師の言葉
「癒しを求める人間に、心の救いをもたらすためだったのです!」

心の癒しを得るきっかけを作ってくれたのはキヨコ。
でも、本当に癒しを得たのは個々の力なんですよね。
それにしても、ハナさん男前!! ……じゃない女前!!

しかし、宝くじまで当たっちゃった!
やっぱりキヨコは、三人にとって最高のクリスマスプレゼントだったのでした!
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 47
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