Witch さんの感想・評価
3.9
ぶっ飛んだ”非日常”より、少し波風のある変人達の”日常”を描きたかったみたいな?!
【レビューNo.143】(初回登録:2024/9/22)
ラノベ原作で2024年作品。全12話。
最初はタイトル切りしてましたが、他の方のレビューを拝読すると思っていた
モノとは違いよさげだったので、視聴し始めて無事完走。
(ストーリー)
岐阜で探偵業を営む鏑矢惣助は、不倫調査の尾行中に異世界から転移してきた
皇女サラと出会う。
彼女は異世界で祖国が滅ぼされ、こちらの世界に逃げ延びてきたのだった。
こうして2人は成り行きで共同生活を送り始める。
一方サラの従者である女騎士・リヴィアも遅れてこちらの世界に転移。
彼女はホームレスからこちらの世界での生活をスタートさせるのだった。
(評 価)
・ホームコメディとしては◎
原作者は『はがない』の平坂読先生。
『はがない』が(時代の流行りもありますが)
→ 個性豊かなヒロインたちが枠からはみ出すドタバタ学園ハーレムモノ
という感じだったのに対し、本作は趣向を変え
→ 収まりのいいホームコメディをベースにした群像劇
をやりたかったのかなっと。
ベースとなるホームコメディですが、主人公のサラは
・年令は12歳ながらも、皇女という立場や命の危険にさらされる等波乱万丈
な人生を送る
→ そのため精神が早熟しており、妙に達観している面もある
・言動に高貴さがあり、上述の大人っぽさがより引き立つ
・それでいて年相応の子供っぽさも持ち合わせている
・また順応性も高くネットやオタク文化を満喫している
キャラ造形がなかなかに秀逸。
なので、惣助との会話だったり食事等の日常シーンなども
・小学生のそれでなくまた(精神年齢の高い)高校生とのそれでもなく
・当然実の親子ではないが赤の他人という距離感でもない
サラという”特異なキャラ”だからこそ成立する、独自の空気感や面白さが
心地いいんですよね。
「これが平坂先生のやりたかったホームコメディか。なかなかええやん。」
と納得させられるモノはありますね。
あとサラは魔法が使えますが、それに頼って面白展開をガツガツつくること
なく、必要最小限に留めたのも好印象ですね。
・他のキャラの群像劇は小粒感が・・・
上述の通り、「惣助×サラ」の主役コンビは収まりのいいホームコメディと
して機能していた分、他のキャラでもっと引っ掻き回してもよかったかなと
思ったのですが、その辺少々物足りなかったかなあっと。
全体的にソツなく単打が打てるアベレージヒッターはそろっているが、長距
離砲がいないみたいな。
ポジション的には、リヴィアなんかはガンガンバットを振って長打を狙って
欲しいところなんですが
・”どちゃシコボディ”の下ネタではみ出し感はあるが
・基本他のキャラに振り回されて、ようやく持ち味を発揮するという感じな
ので、ちょっと物足りない
という感じですかね。
(エピソード自体はソツなく創られており及第点だったと思いますが、味付
けはもう少し刺激が欲しかったかなっと)
むしろキャラとしては、ヒットや送りバントでリヴィアの支援という役割を
きっちり果たしてたプリケツさんの方が好印象だったかな。
ただこの辺も平坂先生が『はがない』でみせた勢いにまかせたはみ出し感を
封印し、やはり収まりのいいコメディを目指したのかなと感じるところもあ
るんですよね。
(ぶっ飛んだ”非日常”より、少し波風のある変人達の”日常”を描きたかった
みたいな)
唯一の例外が永縄友奈でしょうか。
{netabare}・中学生だがいじめ問題で探偵依頼して惣助とサラに助けられる
→ その経験を活かし今度は他のいじめられっ子を助ける
・そしてサラの初めての親友になったり、探偵業に興味を持ったり{/netabare}
ハートウォーミングな展開で見事に長打をかっ飛ばしてくれました。
上述のように個人的には少し物足りなさがありましたが、サラのキャラ造形が
よかったので結構楽しめたと思います。
さすが平坂先生で、それなりのレベルは担保されていたと思いますし。
作画はコメディなので、そこまでハイレベルなモノを求められないとはいえ、
ちょっとチープだなと感じましたね。
それに女の子はもう少し萌えっぽさがあった方が見映えするだろうと。
あと岐阜アニメらしいが終わってみると
・長良川で勝手に鮎を獲ってはいけません(遊漁証が必要)
・岐阜タンメン食ってみて~
位しか頭に残ってねーなw
OP『ギフにテッド/和ぬか』
ED『今晩の喧嘩/名誉伝説』
・両曲とも面白い感じで、作品にはマッチしてたかな。
・あと作中でサラが歌う『レタスとキャベツ』も「なんじゃこりゃ?!」って
感じがよき。