成長で女子高生なおすすめアニメランキング 11

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93.8 1 成長で女子高生なアニメランキング1位
宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2800)
9749人が棚に入れました
いつだってボクらの一歩は好奇心から始まった。
見たことのない風景を、
聞いたことのない音を、
嗅いだことのない香りを、
触れたことのない質感を、
味わったことのない食物を、
そして感じたことのない胸の高鳴りを、
いつの間にか忘れてしまった欠片を、
置き去りにしてきた感動を拾い集める旅。
そこにたどり着いたとき、
ボクたちは何を思うのだろう。
吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度、
荒れる海原を超えた先にある原生地域。
地球の天辺にある文明を遠く離れた遥か南の果て。
これは《南極》[宇宙よりも遠い場所]に向かう
4人の女の子たちの旅の物語。
ボクらは彼女たちを通して、
明日を生きるキラメキを思い出す。

声優・キャラクター
水瀬いのり、花澤香菜、井口裕香、早見沙織、能登麻美子、日笠陽子、Lynn、金元寿子、本渡楓、大原さやか
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

見たことのない風景を見るために…

この物語は、4人の女の子が「宇宙よりも遠い場所」に行く物語。

彼女たちは旅に出る。見たことのない風景を見るために…
怖いけど、やめちゃいたいけど、意味のないことかもしれないけど、
でも…この旅が終わるころには、彼女たちはきっと成長しているでしょう。

この物語の特徴として、主人公の玉木まり(キマリ)のたくさんの心の声が、あたかもナレーターのような話し方で、ゆっくりと力強く表現されています。
その言葉が心に響きます。その響きが感動を呼びます。

そして、挿入歌の『ハルカトオク』が心地よく物語を彩ります。
主張しすぎず、控えめな音量で「あくまでも主役は物語だよ」と、示唆するように…

だから、まるで心地よい音楽を聴いているように、多くの人がこの物語に引き寄せられたのではないでしょうか?
{netabare}
第一話 青春しゃくまんえん
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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キマリは、ごく普通の高校二年生。
やりたいことがあるのに、ぎりぎりになるといつも怖くなり、結局何もできない。
そんな情けない自分を変えたいとキマリは願っていました。
でも、自分の性格を変えることは、なかなかできません。

ある日、偶然キマリは小淵沢報瀬(こぶちざわ しらせ)が落とした百万円を拾います。
その百万円はしらせが南極に行くためにアルバイトをして貯めたお金でした。
百万円をしらせに返す際、しらせから南極の素晴らしさを知らされます。

しらせの母が書いた南極の本には、水平線を転がる太陽、夜空に花のように美しく咲き誇るオーロラなど、キマリがまだ見たことのない風景が写っていました。

「しらせと一緒に南極に行きたい。」キマリの思いは膨らみます。
「でも、怖い。すごーく怖い。」それも事実です。キマリは悩みます。
でも、このままだと、今までと同じで何も変わらない。それは嫌だ。
「今度こそ情けない自分を変えよう。」そう決意して、キマリはしらせと一緒に、砕氷艦しらせの下見に広島まで行きます。

彼女は勇気を振り絞り、今、一歩を踏み出しました。 
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感想
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キマリの友達の高橋めぐみちゃんがすごく良い感じ。
彼女はいつも、どんなことがあってもキマリを応援する。背中を押してくれる。そして情けないキマリを叱ってくれる。
こんな友達がいるキマリは幸せだと思う。

そしてしらせの母親は、どんな思いで子供に報瀬(しらせ)と名付けたのでしょうか。
南極観測隊が乗船する砕氷艦と同じ名前。
きっとしらせの母親は、娘も南極を好きになるよう願っていたのでしょうね。(^_^)
   {/netabare}

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第二話 歌舞伎町フリーマントル
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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フリーマントルはオーストラリアにある港町の名前。
砕氷艦しらせへ観測隊が乗船する場所です。
そこに行く旅費を稼ぐために、キマリはコンビニでバイトします。
そのバイト先で働いていた三宅 日向(みやけ ひなた)と意気投合し、ひなたも南極に行く仲間に加わります。
しらせとキマリとひなたは、砕氷艦に乗り込むための行動を新宿の歌舞伎町で起こしますが、あまりにもずさんな作戦のために、もろくも失敗します。
しかも、以前も観測隊員の人から南極行きをしらせが断られていた経緯を、キマリやひなたは知ります。
   {/netabare}
感想
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ひなたはとっても明るい女の子。だけどその明るさは、何か無理をして明るくふるまっているような気がします。

学校に行かずバイトをしている16歳の女の子。
きっと何かの事情があるのでしょう。
同じ年頃の人たちが高校へ通うのを仕事場で見ながら、彼女はどんな思いをしているのでしょうか?
苦しいことや悔しいことが、きっとあるに違いありません。
私にはそう思えます。

だから、ひなたはキマリと出会えて良かった。そう思いたいです。
   {/netabare}
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第三話 フォローバックが止まらない
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あらすじ(私の思いが含まれています)
  {netabare}
しらせたちのもとへ白石結月(しらいしゆづき)がやってきます。
結月は南極行きが決まっている女性芸能人でした。
そして、「私の代わりに南極へ行ってほしい」と、しらせへ頼みます。
結月が南極に行きたくない理由は、友達がいないためでした。

結月の母親から結月を説得するようにキマリ達は頼まれます。
だが、結月の行きたくない理由を知ったキマリたちは、
結月の意思を尊重して、決して無理強いをしません。
それどころか、結月が寂しくならないように気を使います。

その優しさに結月は大泣きしてしまい、キマリたち3人と一緒ならば南極へ行くと決断します。
   {/netabare}
感想
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今回はとても笑い、とても暖かい気持ちになりました。
孤高の少女しらせのおバカなところが十分に味わえただけでなく、
結月の心の叫び、ひなたの社会人としての立派さ、キマリの優しさが心に染み入ります。

結月は芸能活動が忙しく、今まで友達ができなかった女の子。
多くの人は芸能人に憧れ、芸能人をうらやましがるでしょう。
でも、芸能人である結月は、人気よりも友達をつくりたいと願ってました。

どんな人にでも悩みはあるのです。
目に映る情報だけで人をうらやましがるのは、やめた方が良いですね。


結月は、友達ってどんなものかがわからない女の子。
だけど、キマリたちを見ていると、結月の心が和みます。
そして、キマリたちと一緒の時間を過ごしたいと思うようになります。

友達や恋人って、そんなものだと思います。
一緒の時間を過ごしたい。単純なことですが、それが最も大切なことです。

顔が綺麗とかカッコいいとかは、最初のうちだけです。
付き合っていれば、そんなのは、どうでもよくなりますよ。
   {/netabare}
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第四話 四匹のイモムシ
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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キマリたちが夏季訓練のため、山で合宿します。

学校のみんなは、まだキマリたちが南極に行くのを知らないので、キマリたちの行動をあざ笑います。
多くの人たちは、相変わらずしらせやキマリの行動を『無駄なこと』だと感じています。

「笑いたい人には笑わせとけばいい。その代わり、南極に着いてから言うの。
『ざまーみろ、ざまーみろ、ざまーみろ』って…」
それがしらせの考えでした。

四人は真面目に訓練します。
それは、学校では決して教わらない、南極で生き抜くための訓練でした。
速さを競うわけでもなく、時間を競うわけでもない。
自分たちがいる位置を正確に導き出す訓練でした。
   {/netabare}
感想
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自分のいる場所を正確に把握することは、人生においてとても大切なことです。
例えば、勉強の際、どの分野のどのレベルの問題で自分が躓いているのか。
仕事の際は、自分の立ち位置がどこで、どの問題に直面しているのか。
を正確に把握しないと、対応方法が違ってきます。

ゴールは見えているのだけど、自分の居場所がわからない…。
そうならないように頑張りましょう。

四人の実施訓練は山でのテント生活です。
まわりには灯が全くないため、夜空が綺麗です。
満点の星空に天の川。都会では決して見ることのできない光景です。
そして、山での日の出の瞬間、それは最も美しい光景でした。
   {/netabare}
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第五話 Dear my friend
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あらすじ(私の思いが含まれています)
  {netabare}
キマリたちが南極に行くのを、全校の生徒が知ることになります。
しらせやキマリを見る皆の目が変わってきます。
その中で唯一、キマリの親友の高橋めぐみは、複雑な心境でした。

キマリと一緒にいると、めぐみはお姉ちゃんになったような気がして嬉しかった。
だけど、キマリは一人で前に進みだした。
今までのおどおどした態度も、今のキマリには見られない。
それが寂しかった。それが悔しかった。無性に腹が立った。

やっかみだった。
自分で自分を情けなく感じていた。
だからめぐみは、自分の愚かな行為を正直に告白して謝り、キマリに絶交宣言をします。

そんなめぐみに対して、キマリは温かい言葉をかけます。
   {/netabare}
感想
  {netabare}
今回はめぐみの気持ちが心に響きました。

キマリがいつも頼りにしている大親友のめぐみ。
どこから見ても欠点など見当たらないめぐみでしたが、
そんなめぐみも、普通の少女でした。

めぐみが涙を流しながら告白した内容は、忘れられません。
     {netabare}
最初キマリが南極に行くって言った時、なんでこんなに腹が立つんだと思った。
昔からキマリが何かするときは、私に絶対相談してたのにって…
昨日、キマリに言われて、やっと気づいた。
くっついて歩いているのはキマリじゃなくて私なんだって…
キマリに頼られて、相談されて、あきれて面倒見るようなふりして、偉そうな態度とって…
そうしていないと、何もなかったんだよ。私には…
自分に何もなかったから、キマリにも何にも持たせたくなかったんだ。

だめなのはキマリじゃない。私なんだ
ここじゃないところに向かわなければならないのは、私なんだよ。
     {/netabare}
こんなにも悩んだめぐみは、これからもキマリの大切な友達でい続けるでしょう。

そして、このシーンで使用された挿入歌が sayaが歌う「またね」
陰気で寂しい歌です。
通常であれば、こんな寂しい歌は多くの人が敬遠します。
でも、この歌があるからこそ、このシーンが感動を呼ぶのです。
多数の方が、このシーンで涙を流されたのではないでしょうか。
私は、このシーンだけで既に6回も見ました。

   {/netabare}
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第六話 ようこそドリアンショーへ
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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キマリたちは日本を出ます。
最初の宿泊地はシンガポール。アジアにおける海の交差点です。
シンガポールはいつの間にか、アジアにおける空の交差点にもなっています。

結月はいつの間にかひなたから「ゆず」と呼ばれるようになりました。
愛称で呼ぶのは友達だから。結月はそう呼ばれるのがとても嬉しそうです。

ところが、ここでひなたがパスポートを失くします。
外国でパスポートを失くしたら、旅行どころではありません。
何をしても楽しめません。おそらくひなたもそうだったはずです。

みんなは、パスポートを失くしたひなたに気を使い、優しくします。
でも、パスポートが再発行されるまで滞在すると、航空券が使えなくなる。
それは、南極へ行く船に乗れなくなることを意味しています。

みんなに迷惑をかけたくないので、3人で先に行くようにとひなたが告げます。
ひなたは南極に行くのを諦めます。

そんなひなたに対して、しらせは意地を貫き、ある行動に出ます。
今まで苦労して貯めた百万円を使って航空券を買います。
それは、しらせの信念でした。
   {/netabare}
感想
  {netabare}
ここではしらせの成長を見ることができます。
孤高の少女しらせが、いつの間にか仲間を大切にし、それが最も大切なことだと言い切るようになりました。

しらせがひなたに言い切った言葉が痛快です。
     {netabare}
意地になって何が悪いの。
私はそうやって生きてきた。
意地張ってバカにされて、嫌な思いして、それでも意地張ってきた。
間違ってないから。

気を使うなって言うならはっきり言う。
気にするなって言われて、気にしないバカにはなりたくない。
先に行けって言われて、先に行く白状にはなりたくない。
四人で行くって言ったのに、あっさり諦める根性無しにはなりたくない。
四人で行くの。この四人で。それが最優先だから。
      {/netabare}
ここまで大切に思われたひなたは、とても幸せを感じたことでしょう。
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第七話 宇宙を見る船
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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今回はしらせのお母さんの話が、いたるところに出てきます。

キマリたちは乗船します。
船の中はあわただしく、人員が不足しているようです。
しらせのお母さんが亡くなったのが原因で、3年間南極への観測は延期され、スポンサーも少なくなった。
予算削減のため、みんなが作業を多くこなしているようです。

しらせが船室のベッドで横になったとき、天井には蓄光塗料で星々が描かれていました。
これはきっとしらせのお母さんが描いたのだろう。みんながそう言います。そしてしらせもそう信じます。
かつて母が寝泊まりしていた場所で寝る。これはしらせにとって感無量でした。

そして、観測隊の南極での最終目的をしらせたちは知ります。
民間として南極に天文台をつくる。
10年かかろうが20年かかろうが構わない 南極でまだ知られていない星を見つける。
それが隊長の藤堂吟(とうどうぎん)、副隊長の前川かなえ、そしてしらせのお母さんである小淵沢貴子の目標でした。
   {/netabare}
感想
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結月はプロのリポーターです。それに対してしらせはポンコツリポーター。
でも、ひなたのファインプレーで、しらせは度胸をつけます。
「皆さん一緒に南極に行きましょう!」と叫び、拳を高々と振り上げます。
たったそれだけのことですが、赤面症のしらせにとっては大きな一歩でした。
それはとても素晴らしいことです。
授業では決して教わらないことでした。

これからもしらせは仲間に助けられて成長してゆくでしょう。


そして観測隊の最終目的、「南極で誰も知らない星を見つける」
とてもステキです。
こうやって地道に頑張っている人たちのおかげで、今の科学技術が出来上がっているのですね(^_^)
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第八話 吠えて、狂って、絶叫して
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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キマリたちの乗った船が出港します。
キマリたちは元気いっぱいで乗組員のリポートをします。
しらせは少しづつリポートの仕事に慣れてきました。

でも、南極に近づくにつれて、波は荒くなり船の揺れも大きくなります。
寝ている最中に体が宙を浮くこともあります。
それほど激しい揺れなのです。
キマリたちは船酔いしてグロッキーになります。

食べる元気もない。運動する元気もない。
このままだと、南極に着いても役に立つ自信が全くない。

でも、自分たちが選んだ旅だから。
ここに来ると決めたのは自分だから。
だから頑張れる。

キマリたちは体力をつけるために、何度吐き気がしてゲロを吐こうが、
頑張って食事します。頑張って運動して少しずつ体力をつけます。

そして、久しぶりに晴れた日。甲板から遥か彼方の水平線を見ると、流氷が浮かんでいました。

キマリたちは南極の入り口に到着したのです。
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感想
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今回は何か大きな出来事があるわけでもないのに、不思議と感動します。
キマリの声が、静かに、力強く、胸に響きます。

結月が船酔いで寝込んで落ち込んだとき、
しらせは、「頑張るしかないでしょう。ほかに選択肢なんてないから」と言い、結月を励まします。

それに対してキマリは、「そうじゃないよ。選択肢はずっとあったよ。でも選んだんだよ。ここを。選んだんだよ、自分で」と言います。
このときのキマリの言葉は、結月やひなたやしらせ、そしてキマリ自身をも、力強く励ましたようです。

さらに船の揺れでみんなが一斉に転んだときでも、キマリは「楽しい」と言い放ちます。
このときのキマリは未来を見すえていました。
この旅が終わったとき、今日の苦しかった出来事は、きっと楽しい思い出に変わっているはず…。そうキマリは確信しています。

実に素晴らしい考え方です。
こんなキマリの考え方ならば、どんな困難にでも打ち勝つことができるでしょう。


そして、キマリの心の声が語る南氷洋の景色が感動します。
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雲もなく、鳥の姿もなく、視界全てが一面の青。
どんなに目をこらしても、見渡す限りの水平線。

確かに船の音は聞こえているはずなのに…
その圧倒的な景色が、音を消していた。
そこにあるのは、宇宙を思わせる無音の世界

そのとき、確信した。
この向こうに、本当にあるんだ。南極が…
       {/netabare}
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第九話 南極恋物語
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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今回は、隊長である藤堂吟としらせとの過去を垣間見ることができます。

吟としらせとは10年前からの知り合いです。
そして、不思議と二人は、お互い口下手で、性格が似ています。

そして吟は、しらせが自分を憎んでいると思っている。母親の捜索を打ち切った自分を許していないと思っていました。
でも、それは誤解でした。しらせは吟を憎んではいません。
南極観測には危険があることを、しらせは母から何度も聞かされていました。


やがてキマリたちの乗った砕氷船が、南極大陸の間近までやって来ます。
氷にぶつかり、氷を砕き、少しずつ進んでゆきます。
何度も何度も挑戦して、ほんのわずかずつ前進します。

そしてキマリたちは、ついに南極大陸に上陸しました。
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感想
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母親が亡くなった後も、しらせは母親が生きているときと同じ生活をしています。
しらせは今でも母親へメールを送っています。
決して届くはずのないメールだとわかっていながら、送り続けています。

そんな自分を変えなければ…と、しらせは感じていました。
だからしらせは、南極に行って自分を変えたかったのです。


南極大陸に初めて上陸する際、キマリたちはしらせを最初に上陸させようと気配りします。
それに対してしらせは、四人で手をつなぎ、同時に上陸するように提案しました。

その出来事だけでも、しらせが少しずつ変わってきている、少しずつ成長しているのがわかります。
この旅は、四人を確実に成長させています。


ただ、最後が良くなかった。
南極大陸上陸してのしらせの第一声が「ざまーみろ!」。これは正直冷めました。
どうしても言いたかったら心の中で言えばいい。口に出した途端、人間が小さく見えてしまいます。

しらせがどんなに口下手でも、ここは三人に「ありがとう。キマリとひなたと結月がいてくれたから南極に来ることができた。」と言ってほしかった。
せっかく四人で手をつないで上陸したのに、感動が覚めてしまいました。

そして、船のみんなが吟の掛け声で「ざまーみろ」と一斉にいうシーン。
これはあり得ません。こんなことを言ったらスポンサーは皆、降りてしまいます。
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第十話 パーシャル友情
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あらすじ(私の思いが含まれています)
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キマリたちは昭和基地に着きました。

結月は南極から帰った後のことを心配し始めます。
そのときは今までどおり皆と会えないことに不安を感じます。
だから友達契約書をつくり、キマリたちにサインしてほしいと頼みます。

こんな契約書には意味がないというしらせ。 
そのとき、キマリが泣きながら、
「ごめんね。ごめん。わかんないんだよね。わかないんだもんね。」
と言って、結月を抱きしめます。

なぜキマリが泣いているのか…。
結月には、それがわかりません。逆に怒っていると勘違いします。

後で結月に対して三人が、友達ってどんなものかをそれぞれ説明します。
そして結月は、ようやく友達の意味を理解します。

そして結月は三人からバースディケーキをプレゼントされて、誕生日を祝ってもらいます。
結月にとって友達から誕生日を祝ってもらうのは、生まれて初めてのことです。
嬉しくて、嬉しくて…。結月は、またしても大泣きしてしまいます。
 {/netabare}
感想
  {netabare}
友達ってどんなものかを説明するのは、簡単なようで難しいですよね。
三人の説明は、それぞれの個性を感じます。

ひなたの説明:{netabare}
ゆずがキマリのこと好きだとする。
そのときキマリが「言葉じゃわからないので書いてくれ」といわれたら嫌だろう? {/netabare}

ひなたの説明を聞き、確かにそうだと結月は納得しますが、まだキマリが泣いた理由がわかりません。

しらせの説明:{netabare}
友達とは言葉じゃない。形も言葉も何もない。
いつ消えても誰も責任を負ったりしない。
だから自由で、だから一緒にいられると思う。 {/netabare}

しらせの説明は正論です。確かにそうだと結月は理解しますが、心はまだモヤモヤしています。

キマリの説明:{netabare}
キマリはめぐみとのラインのやり取りを見せながら説明します。

既読サインのタイミングで、今寝てたんだなーとか、今学校なんだなーとか、返事しようかと迷ったのかなーとか…。
わかるんだよー。そのときどんな顔してるかも…。変だよね?
でも、私にとって友達って、多分そんな感じ。
全然はっきりしていないけど、多分そんな感じ。 {/netabare}

キマリの説明はとりとめもないことですが、不思議と今の結月にはしっくり来たようです。

結月はキマリが泣いた理由がわかったようです。自分のために泣いてくれたことがわかったようです。
キマリは友達思いのとても優しい女の子です。

そして、生まれて初めて誕生日を祝ってもらったこと。
誕生日を祝ってもらうのは誰にとっても嬉しいことです。

今日は結月にとって感慨深い一日でした。そして嬉しい一日でした。
だって三人が結月のために多くの時間を使ってくれたのです。

結月は今日のこの日を一生忘れないでしょう。
 {/netabare}
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第十一話 ドラム缶でぶっ飛ばせ!
{netabare}
あらすじ(私の思いが含まれています)
  {netabare}
三宅ひなたが高校の頃に所属していた陸上部の友達が、南極との中継に参加していました。
だが、三宅ひなたには苦い思い出しかありません。
テスト中継のとき、ひなたは足がつったふりをして彼女らとの会話を避けます。
そして外に飛び出して、雪山にパンチやキックを浴びせます。ストレスを発散します。
過去によほど嫌なことがあったのでしょう。

そんなひなたの様子を見たしらせは、ひなたを心配します。
何も話してくれないひなたの力になりたいと思います。


高校の頃、ひなたは陸上部に所属しており、先輩よりも良い記録を出して代表選手に選ばれました。
同級生の友達は、力を出しきらないとかえって先輩に失礼だと言って、ひなたを褒めたのですが…、
いざ、先輩の前では自分の主張を述べることなく、ひなたを裏切ります。
それを知ったひなたは、部で孤立します。
そして、何もかもが嫌になり、陸上部を退部して高校も中退しました。


高校のときの友達は、あのときひなたを守ってあげることができなかったことを悔いていました。
だから、ひなたにお詫びのメールを送り、テスト中継に参加したのです。

だけど、ひなたは過去を思い出したくなかった。もうかかわりたくなかった。

しらせは考えます。
自分がひなたと同じ立場だったらどうだろう? もう取り返しつかないのに平気で謝ってきて…と…。

そんなしらせにひなたは感謝します。
「心配してくれてありがとう。南極に連れてきてくれてありがとう。」と、自分の気持ちを素直に述べます。


中継の本番直前に、「許したら楽になるかな?」と、ひなたはしらせに相談します。
「だけど許して、ホッとするあいつらの顔を見ると腹が立つ」とも、ひなたは言います。
本心は「ふざけるな! いまさら」と、言いたいのです。

人間が小さいと自分自身恥じています。でも、まだどうすることもできません。
そんなひなたの心を知ったしらせは、ある行動に出ます。
   {/netabare}
感想
   {netabare}
人間誰でも思い出したくない嫌なことの一つや二つはあります。
心に思った正しい解決方法と、自分のふるまいとにギャップを感じることが、やはりあります。
人間は弱い生き物です。

今回は、感動したことと嫌だったことがありました。

■感動したこと
しらせは、いつも友達を大切にするようになりました。
以前の孤立したしらせの姿はどこにもありません。
しらせは、いつもひなたを守っています。
そんなしらせを、ひなたは全面的に信頼しています。

■嫌だったこと
しらせがひなたの心を代弁して、陸上部の人たちに語ったこと
      {netabare}
三宅ひなたにかかわらないでいただけますか。
あなたたちはひなたが学校をやめて、辛くて、苦しくて、貴方たちのことを恨んでいると思ったかもしれない。
毎日、部活のことを思い出して泣いていると思ってたかもしれない。
けど、けど…、
(けど、そんなことないから。
ひなたちゃんは今、私たちと最高に楽しくて超充実した、そこにいたら絶対にできないような旅をしているの。)
ひなたは、もうとっくに前を向いて、とっくに歩き出しているから。私たちと一緒に踏み出しているから。

あなたたちは、そのままモヤモヤした気持ちをひきずって生きていきなよ。
人を傷つけて苦しめたんだよ。そのくらい抱えて生きていきなよ。
それが人を傷つけた代償だよ。私の友達を傷つけた代償だよ。

いまさら何よ、ざけんなよ。
       {/netabare}
確かに、今のひなたは、まだ当時の仲間を許していません。
でも、それは時が解決してくれることを、しらせもひなたも知りません。
あんな厳しい言い方でなく、
「もうしばらく、ひなたをそっとしてあげてほしい。もうしばらく会わないでほしい。いつかきっとあなたたちの気持ちが伝わるから…」
と、言ってほしかった。

人間は、誰しも過ちを犯すものです。
しかも、怖い先輩たちに逆らって自分の意見をはっきり述べきれる勇気ある下級生など、ほんのわずかしかいません。
彼女らは、その場の体裁を整えるために言ったにすぎず、ひなたの前で酷いことを言ったわけではないのです。
しかも、ひなたを孤立させたことを彼女らは悔いており、謝っています。

許すという行為は、非常に大切なものです。
それができないと、友達はどんどん少なくなっていきます。


会社勤めをすると、上司や取引先のお客様から理不尽なことをいろいろと言われます。
殴ってやりたいと思うことも、たまにはあります。
でも、そのたびに怒っていたのでは、家族を養えません。
聞き流すという技術や、謝っている人を許すという技術は、生きていくうえで大切なものです。

ついでにもう一つ。
しらせが言った「いまさら何よ、ざけんなよ。」はNGワードです。
普通だったら即、担当業務から外される行為です。

なぜならば、これはしらせと陸上部の女の子たちとの会話ではなく、
日本へのテレビ放送をするための作業です。重要な仕事です。
何も知らない人がしらせの言葉を聞き、嫌な思いをしたと苦情を述べたら、スポンサーは間違いなく減り、南極観測ができなくなります。

仕事で南極に来たのだから、個人の意見と仕事での話し方とは区別しなければなりません。
 {/netabare}
{/netabare}

第十二話 宇宙よりも遠い場所
{netabare}
あらすじ(私の思いが含まれています)
  {netabare}
観測所へ一緒に行かないかと、しらせ達は誘われます。
観測所は、しらせのお母さんが亡くなった場所。
キマリたちは喜びますが、しらせは迷います。ためらいます。

南極まで来た目的を、しらせはわかっています。
それは、母が亡くなったことを胸に刻むため。
未だに母へメールを送り続けている自分を変えるために、ここに来ました。

でも、そこへ行って、もし何も変わらなかったら…。
そう思うと、しらせは、ためらいます。

でも、キマリたちから励まされて、隊長から励まされて、勇気を出して行くことを決意します。

基地から遠く離れた山の上にある観測所。
そこへ行く途中で、ブリザードが吹き荒れます。
ロープを手放すと瞬く間に遭難する自然の非情さ。
「母が亡くなったときも、こんなブリザードが吹き荒れていたのか…」と、しらせは思います。

その夜、母が間近にいるような気がして、しらせは寝付けません。
そんなときに、キマリが「連れて来てくれて、ありがとう」と、しらせに感謝します。

それを聞いて、しらせは母に最後のメールを送ります。

そして、ついに、雪上車は観測所に着きます。
この観測所は、やがて『小淵沢天文台』になります。
しらせの母の苗字がついた天文台になるのです。

ここでキマリたちは、しらせの母の遺品を探します。しらせのために思い出になるものを懸命に探すのです。

そんなみんなの行動に申し訳なさを感じたしらせは、ここに来れただけで十分だと言います。
しかし、キマリは「そんなの良くない!」と言い放ち、探し続けます。
ひなたも結月も、懸命に探し続けます。

そして、ついに、しらせの母が使用していたノートパソコンを見つけました。
   {/netabare}
感想
   {netabare}
この回は、間違いなくしらせが主人公でした。
とても感動する内容です。
何度も何度も見直したくなる、そんな話でした。

しらせが母へ送った最後のメール。
それは、しらせの成長を表していました。
そして、母への思いの深さを表していました。
     {netabare}
Dear お母さん
友達ができました。
ずっと一人で良いと思っていた私に、友達ができました。
ちょっぴり変で、ちょっぴり面倒で、ちょっぴりダメな人たちだけど…
一緒に南極まで旅してくれる友達が…
ケンカしたり、泣いたり、困ったりして 
それでもお母さんのいたこの場所に、こんな遠くまで一緒に旅してくれました。
私は、みんなが一緒だったから、ここまで来れました。

おかあさん。
そこから何が見えますか?
お母さんが見たのと同じ景色が、私にも見えますか?
もうすぐ着きます。
お母さんがいる その場所に。
     {/netabare}

そして、しらせの母親が使っていたノートパソコン。
ログインパスワードは、しらせの誕生日。11月01日でした。
それだけでしらせは母から愛されていることを感じたはずです。

ログインすると、しらせからのメールが次々と受信されます。
その数は、やがて1000通を超えました。
こんなにたくさん、こんなに長い期間、しらせは母にメールを送り続けていたのです。
おそらく、毎日メールを送り続けていたようです。
しらせは、母が大好きで大好きで、母が亡くなったことなんて信じたくなかったのかもしれません。

でも、このときしらせは、母が亡くなったことをはっきりと認識し、声を上げて泣きだします。
「お母さん、お母さん…」
もう二度と会えない最愛の人を呼び続けて泣くのです。
母の葬式のときにも泣かなかったしらせが、今、ここで初めて泣くのです。

部屋の外では、キマリたちが声を出すのを必死にこらえて泣いていました。
しらせは、本当に良い友達ができました。
 {/netabare}
{/netabare}

第十三話 きっとまた旅に出る
{netabare}
あらすじ(私の思いが含まれています)
  {netabare}
キマリたちは、南極での仕事に慣れてきたようです。
帰るまであと3日となったとき、まだオーロラを見ていないことに気づきます。
でも今は白夜、夜が来ないのでオーロラは見ることができません。
夜が来る季節までいたら高校を留年することになります。

そこでキマリは、また四人で旅をしようと呼びかけます。
結月はもちろん大賛成です。ひなたも賛成してくれました。
しらせは、もう一度南極へ来たいと思っていたので、もちろん賛成です。
キマリはいつの間にか、しらせに全く遠慮なく、対等に話せる仲になっていました。

南極を離れる日、しらせは母のノートパソコンを隊長の吟に渡します。
いつの間にか、しらせと吟は仲が良くなっていました。

南極を離れたその夜、久しぶりに見た夜空に、なんとオーロラが姿を見せます。
皆で船の甲板にあおむけになり、手をつなぎながらオーロラを見上げます。

そのとき南極では隊長の吟が、ノートパソコンに未送信のメールがあることに気づきます。貴子から娘のしらせへ送ろうとしていたメールでした。

しらせは母親からの最後のメールを受け取るのです。
   {/netabare}
感想
   {netabare}
この旅で一番成長したのは、しらせでしょう。
第一話でのしらせと今のしらせとでは、雲泥の差です。
友達なんていらないと言い切っていたあの頃のしらせが嘘のようです。

しらせは、キマリたちに出会えて本当に良かったと思います。

それとは逆に、ひなたはみんなの中で一番成長が感じられませんでした。
もちろん、ひなたが最初から最も良識ある行動をしていたため、そう感じる部分も多いのですが…、
日本に帰ったら、陸上部の友達と仲直りしてほしい。そう願わずにはいられません。

結月は、キマリたちと出会えて本当に良かったと感じています。
彼女がこれからも芸能活動を続けていくのであれば、この数ヶ月間の出来事は、一生の宝物として心の中に残るでしょう。
その宝物は、決して奪われることも無くなることもありません。
いつまでも素敵な思い出として、心の本棚に大切に保管されるでしょう。

そしてキマリ。
キマリはしらせの両頬を引っ張ることができるほど強くなりました。
そして三人は、キマリのことが大好きで大好きでしかたありません。
だってキマリは誰よりも優しく、友達のために泣くことができるお人よしです。

キマリがみんなに言った言葉
「一緒にいられなくても一緒にいられる。だってもう、私たちは私たちだもん。」
キマリを知らない人だと、全くの意味不明な言葉にしか聞こえません。
でも、キマリと親しい人が聞くと、とても感動を呼ぶ言葉に聞こえてしまいます。

キマリは説明が上手なわけでも洞察力が鋭いわけでもないのに、不思議と、相手を説得するのに長けています。
それは、キマリの心がとても美しいから、そうさせているのでしょうね。
 {/netabare}
{/netabare}

実生活で必ず役に立つお話
{netabare}
第一話:
・現金は持ち歩かず、預金しましょう。(^_^)
・新幹線に乗る10分前にはコンビニで弁当とお茶を買っておきましょう。
 安く旅をするための基本です。ヾ(・ω・*)
・新幹線の中で富士山の写真を撮る際は、窓際の人に素直にお願いしましょう。(。>人<。)

第二話:
・16歳の女の子が歌舞伎町を夜歩くのはやめた方が良いです。
 特に地方から初めて来た人は、目の動きや歩き方や挙動で、すぐに初めてだとわかります。だから絶好の標的にされます。
 アニメの中では楽しそうですが、現実はアニメとは違います。

第三話:
・人を説得する際は、まずは相手の話を十分に聞いてあげましょう。
 口は一つしかないけど、耳は二つあります。
 自分が話す2倍の量を聞けるように、神様が人間をつくったようです。

第四話:
・北極星のように有名ではありませんが、南極星もあります。
 南極星は北極星ほど明るくはありません。
 それに地球の歳差運動により天の南極が移動するため、
 南極星の役割を果たす星は変わっていき、約25,800年で一巡します。

第五話:
・言葉は力です。人を感動させることもできれば、
 人を怒らせることもできますし、人を悲しませることもできます。
 言葉で人を喜ばせ、感動させることができたら…世界が変わるでしょう。

第六話:
・パスポートは必ずセイフティボックスに預けましょう。
 パスポートを失くしたら、楽しいはずの旅が辛い旅に急変しますよ。
・ドリアンは美味しいですよ。
 風土や慣習の違いで食べ物が口に合わないことは確かにあります。
 例えば納豆は、一部の西洋人には腐った食べ物のように感じられます。
 だから自分の口に合わないものを悪く言うのはやめた方が良いです。

第七話:
・蓄光塗料とは、光を蓄えて発光する塗料のことです。
 蓄えた光のエネルギーが切れると光らなくなります。
 昔の夜光塗料には放射性物質が使用されていました。
 それだと危険ということで、今ではほとんど蓄光塗料に変わっています。

第八話:
・船が激しく揺れる夜は甲板に出てはいけません。アニメなので無事でしたが、
 これが現実ならば、四人とも波に攫われて水死していたでしょう。

第九話:
・南極には2020年時点で65の観測基地がありますが、うち17は南半球の国の基地です。
 南半球の国々は早くから観測基地を建てていました。
 その後、第二次世界大戦で勝利した国々が基地を建て始めました。
 そして日本が基地を立てたのは1957年です。
 その後、各国が基地を立てるようになりました。
 温暖化の影響で基地を建て易くなったので、今後は争いの火種になるかもしれません。

第十話:
・南極観測隊は一年分のゴミを焼却して持って帰ってるそうです。
 自然保護活動のために陰で随分と努力されているのですね!

第十一話:
・南極にも人工衛星の目印を設置する箇所はたくさんあります。
 ここでの作業は宇宙開発にもつながっているのですね。
 宇宙と南極。全く関係ない場所のようですが、密接な関係のようです。

第十二話:
・オゾン層の観測は、ああやってやるのですね。
 日本から14,000Kmも離れた場所で頑張っている人達がいるからこそ、
 今の文明社会が成り立っています。とても立派な仕事だと思います。
・太陽柱(サンピラー)とは、大気光学現象の一種で、日の出または
 日没時に地平線に対して垂直方向へ、太陽から炎のような形の光芒が
 見られる現象です。

第十三話:
・成長しようと思ったら旅に出てください。そして思いっきり恥ずかしいことをしたり、
 恥をかいたりしてください。ことわざでも『旅の恥はかき捨て』といっています。
 モーツアルトは、人生の約1/3の時間を旅していました。
 あなたも長い長い人生旅行の旅の途中です。思いっきり恥をかいてください。
 そうすれば、きっと強くなります。きっと成長しますよ。
 
ひなたの名言集:
  {netabare}
・引き返せるうちは旅ではない。引き返せなくなったときに、初めてそれは旅になる。
・思いの強さと我儘とは紙一重である。
・空にある星がすべてと思うなかれ。
・悪意に悪意で向き合うな。胸を張れ。
・時計の針を一番進めるものは忙しさである。
・友達って多分ひらがな一文字だ(これはキマリの迷言 なんとなくわかります)
・何かをするのが思いやりではない。何もしないのも思いやりである。
 {/netabare}
{/netabare} 
{/netabare}

さらに、エンディングへの入り方が絶妙でした。
楽しい終了のときには「ここから、ここから」が物語の続きのように優しく響きます。
そして、第十二話の感慨深い終了のときは、「またね」が余韻を残すように静かに歌われました。 


行動力のしらせ、優しさのキマリ、思慮分別のあるひなた、大人を動かす力のある結月、これら四人が一人でも欠けていたら、この旅は実現できなかったでしょう。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 127
ネタバレ

sinnsi さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

老若男女に勧めたい、誠実な友情アニメ

【無料第1話(公式チャンネル)】
https://www.nicovideo.jp/watch/1514789907
(未視聴者はこんな拙レビューなんて読まず、取りあえず第1話だけでも真剣に観てほしい。)
(何かを感じ取ったら、ぜひ全話を観ていただきたい。)

【(非ネタバレ)老若男女に勧めたい、誠実な友情アニメ】
これまでに「友情」をサブテーマの一要素に加えていた作品はいくつもあったが、
下記のような疑問点が、どれかは付いて回っていたように思える。
・記号的で絶対的な絆が、根底にあるのみ。
・命を賭した戦いだとかが付いて回り、現実感が薄い。
・距離感が近すぎたり、けんかをしても痴話げんか的だったりして、同性愛的な観点でも見られる作りになっている。

しかし筆者としては、本作に上記のような疑問点はなく、
全13話で非常に生き生きとした、「友情」をメインテーマに据え、非常に完成度の高い作品となっている。
「友情」というのは人生の一因であるので、登場人物の人生を見つめるつもりで、真剣に視聴していただきたい。
登場人物が感じる喜怒哀楽は、視聴者も感じられ、涙するだろう。

物語・登場人物(キャラ)が素晴らしいのは無論、登場人物もメイン4人組からサブキャラも個性的で、掘り下げて描かれており、
作画においても空気感のある人物の表情や、背景の描写も素晴らしく、
声優の演技においても中堅声優の地力があり、あふれんばかりの感情がむき出しになっている。
音楽においては、BGMがシーンの要所々々の空気感に非常にマッチしている他、物語がピークとなるシーンでは、ほぼ毎話挿入歌が流れるのだが、
女性アーティストの優しくも繊細な歌声やメロディーが、繊細な感情が揺れ動くシーンに非常にマッチしている。
以上の事から、全評価において5.0を文句なしに付けられる。

ながら見等で見た事はあるけれど、ピンとこなかったという方がいれば、第1話だけでも真剣に観直していただきたい。

【(非ネタバレ)どういう話なのか】
本作は南極(日本からの距離14000km)に向かう女子高校生4人組の話であり、(宇宙は上空100km)
「宇宙よりも遠い場所」というタイトルは、そこから由来している。

女子高校生が南極という熾烈な環境に向かうのは、ファンタジーであるのだが、丁寧にその過程を描いている。
4人組は元々縁もゆかりもなく、ほとんどが孤立して負け組の人生を歩んでいたのだが、そこで4人にしかない友情を育み始めるのである。

あらゆる物語において、ある人物が存在しなければ、物語が成立していなかったという作品は山ほどあるが、
超人的な能力・技能が前提となっている場合が多く、物語において絶対的な象徴の大道具となっているケースが多い。
そうでない等身大の日常を送る物語においても、その場に集まった人間らの物語という気がして、そこに集まらなくとも幸せに過ごしているんだろうな、という人物は存外多かったりする。
本作においては、この4人全員がそろわなければ、南極へ臨むという物語自体が成り立たず、4人はその後の人生において、それ以上の偉業に臨もうとする事が決してないであろう事は、想像に難くない。
それぐらい、4人全員が互いを強く支え合い、信頼し合っているんだという事が感じ取れるのだ。
またそれは押しつけがましい物ではなく、しっかりと距離を保ち、価値観を尊重するという部分も大きい。

この作品は、4人全員が主人公であり、それぞれが人生を生きる青春群像劇である。

【(ネタバレ)「友達って○○だ!」というセリフの説得力の強さ】
(第{netabare}10{/netabare}話のセリフ)
{netabare}友達とは何なのか、そんな問いに対する普遍的な答えは絶対に出せない。
方程式のような厳密さがある訳でも、友達誓約書のような取り決めがある事はありえない。
しかし、キマリの「友達って多分ひらがな1文字だ!」という、半ば感覚的なこのセリフがスッと入ってきて、非常に共感できるのは、偉人の言葉のように「重なるかもしれない」という部分があるだけでなく、
4人組がそれだけで思いをくみ取り、意思疎通が可能である間柄である事に、非常に説得力があるからだ。この第10話まで(それ以降も)の積み重ねは、非常に説得力があるのだ。
これは本作を一番象徴するセリフであると私は思うし、友達という定義への一つの答えでもある気がしてならない。{/netabare}

【(ネタバレ)全13話を振り返って】
(従来は総括してのレビューにとどめているが、全話が神回であり、大切な友情の軌跡なので、あえて書いた。)
{netabare}
キマリは女子高校生2年生になっても、何も成し遂げて来なかったと自負していた上、
変えたいと思っても変えられない自分に、自己嫌悪まで覚え、第1話の序盤ではそんな挫折・甘えをまざまざと見せつけてくる。
「昨日言ったよね? 部屋片づけるって」

そんな中、見知らぬ同学年女性の報瀬が、目の前で現金100万円の茶封筒を落としたのを拾い、校内で探して届けるところから、物語は大きく動く。
聞けば、南極観測で失踪したお母さんを探すため、バイトで貯めた金だと言う。(校内社会を犠牲にし、孤立までしていると旧友であるめぐみから知る。)
「私は行く。絶対に行って、無理だって言った全員にざまあみろって言ってやる。受験終わって高校入った時に、そう決めたの」

何も成し遂げてこなかったキマリと、堅固な意志を持って成し遂げようとする報瀬。
そんな報瀬に強く感銘を受けたキマリは、数度にわたってやり取りを行う。その内に南極行きに誘われ、キマリは葛藤を重ねる。

後日早朝、キマリは家から駆け出す。
家族がキマリの部屋に訪れると、そこはきれいに整っていた。もう彼女は、甘えていた少女ではない。
一方的に決めた待ち合わせ場所(の道のり)で、キマリを目にした報瀬は、満面の笑みを持ってキマリを迎え入れる。南極への同行者、そして未来の親友を得た瞬間だ。
冒頭からここまでのキマリの葛藤・「来る訳がない」という報瀬の諦めが、アニメ上の全演出(物語・作画・声優・音楽・キャラ)でよく描かれていて、
報瀬が笑顔で迎え入れた瞬間、全てのカタルシスが解放され、第1話なのに最終話のような感動がやってくる。

第2話では、同い年女性の日向が加わり、3人組となる。
高校中退者(志望大学A判定)で、同様に何かを成し遂げたいと思っていたようだ。

その後、民間南極観測隊員になるため、 報瀬がポンコツ計画を立案し、男性隊員への人心掌握(色仕掛け)を行おうとするのだが、
実行以前で、残念でもなく当然に計画は失敗し、お母さん関係でつながりのあった女性隊員から追いかけられ、逃走する。
その際、夜の歌舞伎町という暗澹たるネオンの海を走っているのに、走りが非常に疾走感・躍動感があり、ネオンの光が煌々と青春を照らし付けているようで、非常にエネルギッシュだ。

程なくして、女性隊員に捕まる。
改めて直談判を行い、100万円の茶封筒を突きつけるが、何も進展はせず、ただただ報瀬のポンコツぶりが露呈しただけだった。
帰りの電車、当初からの流れで暗黙のリーダーとなっていた報瀬は、数秒のやり取りだけでリーダーを解任される。(明るい雰囲気で半ばふざけた感じで)
ただのギャグシーンのようだが、これは失敗をとがめる訳でもなく、全員の関係性を対等な物にしているのだ。

そこから第3話になり、タレントという立場で南極行きが内定していた、女子高校生1年の結月が、報瀬ら3人の事を耳にして、その地元を訪ねる。
興味がないので権利をお譲りします、とは言うがマネージャー兼母親に間もなくバレ、当然認められる由もなく連れ戻されるのだが、
結月が軟化する事はなかったため、母は一人で報瀬まで出向き、結月本人が行くように説得をすれば、観測隊への推薦を持ちかけると告げる。

後日、3人組はファミレスで勉強する結月に対し、比較的落ち着いた空気の中で理由を尋ねる。
重い口を開き、始まったばかりの校内社会・同級生を優先したい、タレントの仕事で今まで友達がいなかったという旨の事情を話す。報瀬とは完全に対照的であるが、孤立していたのは同じだ。
その不安に対し、キマリは強い共感を覚えて結月を抱きしめるが、「分からないですよ!」「だってみなさん、親友同士じゃないですか!」と、結月は強く拒絶する。
だが3人組はあっけらかんとした物で、まだ出会って1ヵ月未満な上、遊びに行った事もない。ただ南極に向かおうとしているだけ、今のところは。ね? ね。 ねー。 と口ぶりが一致していた。しかし親友未満であっても、大きな関係性になっていた事は相違ないだろう。
このやり取りをもって、結月はまた帰路に着く。結局は説得以前に、ただ会話を重ねただけであった。

その夜、結月は滞在先のホテルで不思議な体験をする。
抱きしめられるというボディコミュニケーションを初めて受けた事に対し、気持ちの整理が付かない中、
窓に異音を感じて開けると、高層階まではしごを掛けた3人組がいて、キマリが「南極に行こう!」と結月に手を伸ばしていた。
返事もできずに戸惑う中、何かインスピレーションを感じた結月が手を伸ばすと、そのままはしごが倒れ、窓の外へ転倒する……が、実際に転倒したのはベッドの上からで、異音からのくだりは夢であったのだ。
広すぎる個室で一人取り残された結月は、スマホでトークアプリを開く。優先したかったはずの同級生二人は、仕事が落ち着かない結月にしびれを切らし、 グループチャットから退室していた。
朝の静寂と、鳥のさえずりがこだまする。ベッドに腰掛ける結月は、広すぎる個室で、ただ一人だった。

その時、部屋の扉のノックが鳴る。
今度は現実世界で、キマリら3人組が結月の仕事に際して一緒に行こうと、わざわざ迎えにきたのだ。
結月は、無償の好意を受ける。そして結月は、一人ではなかった。感極まり、号泣する始末だった。
突然泣き出す結月に3人組は戸惑うが、一方的に世界で一番不幸な自分でいて、一方的に心が解される描写を、ここまで丁寧に描いたのは見事だ。過剰なところがなく、ニュートラルに描かれている。
(この時に流れる挿入歌の「ハルカトオク」が、良い意味で非常にズルい)

「だから、3人と一緒なら行くって言ってるの! 一緒じゃなかったら行かないから!」
電話でお母さんにそう告げる。南極行きが現実の物となり、3人組は4人組となったのだった。

第4話・第5話では、南極行きのための訓練・準備を、大人たちを交えて行い続け、南極に向かう意義を確認し合う日々を4人組は重ねる。
しかし、第1話から登場していた旧友のめぐみは、4人組で南極へ向けてがんばるキマリや報瀬を見て、嫉妬心のような物を抱くようになり、
これまでのあらゆる出来事について、あることないことのうわさをずっと吹聴し、実害が被るように仕向けていた。しかし直接的な描写は一切なく、4人組(+視聴者)は、誰がうわさを流したのかは気がつかない。
無論キマリも、これまでと同様に旧友として、出発前日の壮行会でめぐみに対して懇意に接し続ける。そして帰り道、キマリと別れためぐみの後ろ姿は、どこか物悲しげだった。

「絶交しに来た」
出発日早朝のキマリ宅前、めぐみはキマリにそう告げ、自分がうわさを流した張本人だと告白した。キマリはどうしてそんな事をしたのかと、困惑する。
南極に向けて突き進むキマリらに対し、自分は醜い感情しか湧かない、醜い心の持ち主だとも告白する。

「ダメなのはキマリじゃない……私だ! ここじゃないところに向かわなきゃいけないのは……私なんだよ!」
二人は、ただただ泣きじゃくっていた。めぐみの行いには何一つとして褒める事はできない。
めぐみは、背を向けて離れようとする。キマリは呼び止めるが、決して、顔を合わせてはくれない。

「絶交無効」
背後からめぐみを抱きしめ、耳元で優しくそうささやくと、キマリは返事も聞かずに空港へと駆け出した。
どうするのが正解か、と言う事はない。
キマリがめぐみだからこそ、友達として向き合い、無償の愛をもってめぐみを許したのだ。

(よどんだ水がたまっている。それが一気に流れていくのが好きだった。)
(決壊し、解放され、走りだす。)
(よどみの中で蓄えた力が爆発して、全てが、動き出す!)
(全てが動き出す!)
第1話冒頭でも流れた、キマリのナレーションが再び流れ、同様に幼少期のめぐみとの、砂場水遊び回想シーンも流れる。
二人の関係性は、雨降って地固まる。この物語は、めぐみの物語でもあるのだ。

第6話からは、いよいよ渡航が始まる。
Aパートでは乗り換え地のシンガポールでただただ観光しているだけなのだが、
背景美術が見事で、シンガポールの空気を感じられる他、4人組が楽しい時間を過ごしているのが、ありありと感じられる。
言葉で確かめずとも、4人はもう相当親しくなっていたという事を、背景美術も相まってリアルに感じ取れるのだ。

その夜、どこか心ここにあらずの日向に対し、「何か隠してますよね?」と結月が詰め寄ると、パスポートを紛失していた事実が判明する。ベッドの上に日向の全荷物を並べても、見つからない。
日向は3人だけで先に行け、間に合ったら追いかけると、ホテルで相部屋の報瀬に告げる。人間関係で割を食い、高校を中退した経験もあって、気を遣わせたくないのだ。
更に、私が計画に乗るよりも前からやりたいと思っていた事なんだから、何よりも優先しろ、そっちの方が気持ちがいいとまで言う。

翌日、しびれを切らした報瀬は、第1話・第2話でも活躍(?)した、現金100万円の茶封筒を空港窓口で叩きつけ、後日便への振替を強く要望する。
何を意地になる、日向がそう言い切るよりも前に、報瀬は私はここまで意地で生きてきたと言う。
続けて、目的は南極に行く事ではない、4人で南極に行く事が一番の目的なんだと告げる。二人は向かい合い、互いに涙をこぼしていた。
報瀬の中で南極に対する向き合い方は、既に大きく変わっていたのだろう。それ程までに、この4人組が大きくなっていたのだ。

割高のビジネスクラスのチケットを手にした4人組。
犠牲はあったが、それより大切な物を守れた……と、報瀬が貴重品ポーチにしまおうとした時、日向のパスポートがそこにはあった。
そして報瀬は思い出す、前日に日向の不適切なパスポートの扱い方を見て、一方的に貴重品ポーチにしまっていた事を。
報瀬は慌てふためき、明らかに挙動不審となるが、「何か隠してますよね?」とまた結月に悟られる。

かくして二転三転の末、無事にビジネスクラスをキャンセルし、通常日程で行く事になったのだが、
報瀬と日向は報いの罰ゲームとして、シンガポールの名産品、ドリアン(腐敗臭がひどい)を食べるショーが、屋外イートインスペース開かれ、絶叫したのだった。(Aパートでも、キマリらがうっかり食べてしまう伏線がある。)
構造としては上げて下げて上げてのギャグ回なのだが、互いの絆を強く確かめる回でもあり、雨降って地固まるのは第5話と同じだ。
友人同士のトラブルを、ここまで後腐れなくスッキリ上手に描写するのは、実に見事である。

第7話ではついに砕氷船に乗り込み、大人の観測隊員もレギュラーとなって、隊員・南極・想いが掘り下げられ、
第8話ではいよいよ出港し、本格的に南極へ向かうが、訓練・海流(船揺れ)は激しく、この回で4人組はひたすら疲労困憊・船酔いで打ちのめされ、寝込み続ける。
船揺れも心労もピークに達した就寝時間中、結月は大人たちに着いていけるのかとぼやいてしまう。
だがキマリは、選択肢はずっとあったけど、選んだのは自分! と勇気づけると、結月は何か感銘を受ける。
またしばらくして、この旅が終わった時にはきっと楽しいと思ってる、とのキマリの発言を受け、結月は突拍子もなく甲板に出てみたいと言い、日向も賛同する。
夜の甲板は真っ暗な上、現在は海流が激しい場所なので非常に危険なのだが、ハンドレールに捕まりながら波を一身に浴び、4人組は陸上では決して体験できないアトラクションに、笑い合ったのだった。
(非常に賛否両論のあるシーンだが、子供は危険認識や危険認知力が弱い上、集団心理も働いていただろうし、このあと大人たちにメチャクチャに怒られたんだと解釈する事も可能だが、前後を描くには全13話という尺には限りがある。またこれを描かなければ、第8話が非常に地味な回であったと思うし、全言動が理路整然としていなければならないとするのは、キャラクター性を求めすぎているように思う。)

第9話は報瀬のお母さん、懇意だった吟隊長、報瀬との間柄について、過去回想も交えて主に掘り下げられ、
過去から現在への、それぞれの南極観測への想いを再確認し合う中、ラストシーンでは、とうとう南極へ到着する。
4人組がタラップを降り、上陸まで数歩になった時、3人は報瀬が先に上陸するように促すが、報瀬は手を取り合い、4人とともに上陸したのだった。

「ざまあみろ……ざまあみろ! ざまあみろ! ざまあみろ! アンタたちがバカにして鼻で笑っても私は信じた! 絶対無理だって裏切られても私は諦めなかった! その結果がこれよ!」
報瀬は感情を爆発させる。ようやく、夢を実現させたのだ。
「ざまあみろ!」のコールは4人組にも伝播し、4人組と同等かそれ以上に苦労した大人たちにも伝播すると、「ざまあみろ!」の大合唱が起こる。
ざまあみろ! でここまで感動的なシーンが描ける作品を、私は知らない。
(母への想いが行動原理にあった上での「ざまあみろ!」ではあるが、直接的に母への想いを吐露しなかった理由は、第12話で明かされる。)

第10話となり、いよいよ本格的に南極観測が始まり、あらゆる場所に駆り出される4人組。この話以降でも南極の背景美術は見事で、透明感が見受けられ、リアリティに重みが増す。
そんな中、結月が日本へ帰還後、大きな仕事(朝ドラ)が入る事が分かるのだが、当人は一緒にいられる時間が減るのが嫌だと言う。

「いいじゃん、もうみんな親友なんだし」
「え? 親友……? 親友なんですか?」
キマリは直接会わなくても心が通じ合っている旨を伝えるが、結月はそれに対して疑問を投げかける。
ここまでずっと濃密な時間を共有してきた仲間は、もはや「親友」と言い表す以外ないのだが、
本当に友達がいなかった結月は、どこからが親友なのか、まるで分からないようだ。
(筆者も「本当の友達って何?」と10代の頃に思った事があるので、半ば共感できる部分はある。)

観測隊員の手伝いを重ねる内、結月は隠れ(?)ファンに気がつき、仕事を受ける事を決意したのだが、その際、結月は斜め上の行動を起こす。
細かい文字を並べた、仰々しい手作りの「友達誓約書」を取り出し、これにサインしてほしいと言う。
あきれ返る報瀬と日向、そしてキマリは「分かんないんだもんね……」と感極まって泣き出し、結月に抱きつく始末だった。

食事時間になり、どうしたら友達なのかと、飲み込めずにいる結月に対し、報瀬はご飯粒を顔に付けたまま、持論を展開する。
「多分、形も言葉も、何もない。友達なんて、親子とも夫婦とも違う、ぼんやりした物だし、いつ消えても誰も責任を負ったりしない。少なくとも私はそう。でも、だから自由で、だから一緒にいられる気がする」

結月は釈然としないまま、個室で一人になる。
キマリにトークアプリで謝罪を行っても返事が来ないので、怒っているんじゃないかと気も滅入ってしまう。
そんな中、個室にキマリが訪ねる。キマリはめぐみから絶交宣言を受けてもなお、トークアプリで会話を続けている事を明かす。
既読マークの付くタイミングが不定であるだけの事で、相手の事をなんとなく想像できる。そんな関係性が私にとっての友達であると告げる。
間もなく、個室に報瀬と日向がサプライズでやってきた。過去に船酔いで祝いそびれた誕生日を、手作りのホールケーキで改めて祝うのだと言う。
友達から祝われるのは初めてだと、結月は泣き出す。普段はクールな結月も、第3話から分かるように、感情の落差には非常に弱いのだろう。

翌日、結月はお礼のメッセージを、改めてトークアプリでキマリに送ろうとする。
かしこまったメッセージを打っては消し、打っては消しを繰り返すが、結月はメッセージを2回に分けて送り、茶目っ気を出す。

<ありがと
<ね

「分かった! 友達って多分ひらがな1文字だ!」
キマリはそのメッセージを見て、端的に友達について言い表す。

ね>

<ね

再び1文字のメッセージを送り合い、思いを交わし、この話は終わる。

そして再度になってしまうが、先の記載を再引用する。
> 【(ネタバレ)「友達って○○だ!」というセリフの説得力の強さ】
> 友達とは何なのか、そんな問いに対する普遍的な答えは絶対に出せない。
> 方程式のような厳密さがある訳でも、友達誓約書のような取り決めがある事はありえない。
> しかし、キマリの「友達って多分ひらがな1文字だ!」という、半ば感覚的なこのセリフがスッと入ってきて、非常に共感できるのは、偉人の言葉のように「重なるかもしれない」という部分があるだけでなく、
> 4人組がそれだけで思いをくみ取り、意思疎通が可能である間柄である事に、非常に説得力があるからだ。この第10話まで(それ以降も)の積み重ねは、非常に説得力があるのだ。
> これは本作を一番象徴するセリフであると私は思うし、友達という定義への一つの答えでもある気がしてならない。

第11話では、南極と日本の中継をするリハーサルで、日向は高校を中退する原因となった、在学中の頃の友達3人を目にしてしまう。
後に日向は一人で激高するも、みんなの前では平静を装って抱え込もうとしたが、報瀬がずっと気にかけるのに根負けし、南極の親友らに対して理由を明かす。
その溝は深く、日向は高校をやめてしまっているので、割り切って許せる物でもない。

中継本番前、日向は許してしまえば気が楽になるんじゃないかと、思い始めるものの、
報瀬はそれを認めようとせず、日本に向け、もう日向に関わるなと言い放つが、続く言葉は詰まって、たどたどしい。
そこでキマリが、「そこにいたら絶対できないような旅をしてるの!」と助け船を出すと、報瀬は勢いを得て、相手に反論の余裕すらも与えずにまくし立てる。
「今更何よ、ざけんなよ!」

日向は憑き物が落ちたように、ただただ泣き倒れたのだった。

第5話の許されためぐみとは対照的な第11話だが、めぐみは日本を発たれて手遅れになる前に懺悔を行い、責任を取って一度は絶交を選ぼうとしたが、
今回のテレビ中継に訪れた3人は、問題を一向に解決しようとする事はなく、時間が日向を傷つけ続けた上、
3人組あろう事か、時間が解決してくれたとでも思ったのか、中継に出演したのだ。厚顔無恥にも程があるだろう。

第12話。
事実上の最終回であり、報瀬とお母さんの物語が終わる。
報瀬は、南極に着けば夢から覚め、お母さんの死に初めて向き合えると思っていたのだが、そうではなかった。
だからこそ出た言葉が「ざまあみろ!」だったのだ。ある意味で、虚勢も入り交じっていたのだと分かる。
「私ね、南極来たら泣くんじゃないかってずっと思ってた。これがお母さんが見た景色なんだ。(中略)。何見ても写真と一緒だ、くらいで……」
「確かに、到着したとき最初に言ったのはざまあみろだったもんな」
「え? そうだっけ?」
「忘れてるんですか?」

また報瀬は、隊員から誘われてもなお、お母さんが行方不明となった地に向かうべきか、ずっと悩み続けるのだった。
「でも、そこに着いたらもう先はない。終わりなの。もし行って、何も変わらなかったら、私はきっと、一生今の気持ちのままなんだって……」

それでも吟隊長の想いを聞き、報瀬は現金100万円を1枚ずつ、個室の床一面に並べながら、これまでの苦労の道のりを振り返る。
翌日、決意は固まり、雪上車に乗り込んだのだった。3週間の旅が、始まる。

あくる夜、報瀬はキマリに対して南極が好きか尋ねる。もちろんキマリは好きだと言う。
当初、報瀬以外は南極観測に絶対的な動機があった訳でもない。だけど、既にそれはもう絶対的な絆で根付いていた。
「でもね、一人だったら好きだったか分からなかったかも」
「そうなの?」
「みんなと一緒だから。みんなと一緒だったら、北極でも同じだったかも。……ねぇ報瀬ちゃん? 連れてきてくれてありがとう。報瀬ちゃんのおかげで私、青春できた」

雪上車での長い道のりに耐え、お母さんが行方不明となった地へたどり着いた4人組ら。
そこで涙をこぼす吟隊長を見てもなお、報瀬は「思い出してるんだろうね。お母さんと見た時の事」と、どこか冷め切っていた。
ようやくたどり着いた地であるはずなのに、それでも報瀬の中で何かが変わる事はなかった。

親友は、奔走する。
お母さんが南極にいた証を見つけるため、付近の施設内を奔走する。
そんな親友らを目にしてもなお、報瀬は立ち尽くすばかりか、「見つからないよ」と否定的な言葉を投げかけるだけだった。
もしそれがあったとして、実際に目にし、何にも向き合えなかったらどうなるのだろうか。南極への軌跡、何もかもが否定されるようで、この上ない恐怖でしかない。

だけど親友は、お母さんのノートパソコンを見つける。
以降、報瀬は一人個室でノートパソコンを操り、映像上では挿入歌「またね」だけが流れ、呼吸音・ノートパソコンの打音だけが流れる。

ログインのパスワード入力画面で、試しにお母さんの誕生日「0417」を打つが、失敗する。
ふと、自身の誕生日である「1101」を打てば、今度は成功する。

メーラーを開くと、未読メールが0件の中、新たにメールの受信が始まる。
差出人は「小淵沢報瀬」で、件名は「Dear お母さん」だ。
これはお母さんの失踪を告げられた3年前のその日にも送信され、第1話からも合間のシーンで、セリフはなくとも何度も送信されていた。

未読メールの件数は、あっという間に2桁になり、程なくして3桁となって、やがて4桁になった。

宇宙よりも遠い場所で、一人娘のメールを開かない母親なんて、いるだろうか。
絶対に、いない。もう、いないのだ。
(というような事を言葉を交えず、映像だけで語るのがすごい高度であり、何度見ても涙を禁じ得ない。)

「お母さん! お母さん!!」
報瀬は初めて死に向き合い、むき出しの慟哭がほとばしる。
親友らも、個室の前でともに泣いていたのだった。
(アフレコ前の練習時に、報瀬の声優自身(花澤香菜)も、泣いてセリフが言えなかった程(ラジオ12回目 12分36秒~)に受け止めたからこその、純粋な慟哭だ。)
(他の声優も、そういった場面がよくあったようである。)

挿入歌とともに、EDへとつながる。
その最中、白夜だった南極が夜になり、報瀬の止まっていた時間が動き出す。
同時に、夏隊(4人組)の旅も、終わりを迎えようとしていたのだった。


第13話は、まるごとエピローグである。
4人組は南極生活にも順応し、あっちこっち駆け巡る中、キマリは帰るのが惜しくなるが、無論ありえない話である。だからキマリは、「また来てくれる?」と確認を取る。
親友らは誰もためらう事なく了承するが、キマリは軽いと思ったのか、報瀬と向かい合って再確認をした。
「本気で聞いてる」
「本気で答えてる」
「ならよし!」

後日、報瀬は「なんか切りたくなった」と言いだし、ロングヘアから一転、ショートヘアにする。
自身の中で、向き合い方に変化が生じたのだろう。吟隊長は「やっぱり親子ね、笑ったところがそっくり」と感無量だ。
報瀬が、お母さんの死を乗り越えた象徴でもある。

そして夏隊の帰還式典で報瀬は代表として、南極についてのスピーチをする。
南極と仲間の意義を力説し、また上陸する事を誓ったのだった。
「(前略)。ここは全てがむき出しの場所です。(中略)。母がここを愛したのは、この景色と、この空と、この風と、同じくらいに、仲間と一緒に乗り越えられる、その時間を愛したのだと。何にも邪魔されず、仲間だけで乗り越えていくしかないこの空間が大好きだったんだと。私はここが大好きです。越冬がんばってください、必ずまた来ます。ここに」

越冬隊から見送りを受ける中、副隊長から南極観測が中止になりそうであった事実が明かされる。
第9話の上陸時に、大人たちも言った「ざまあみろ!」に、様々な想いが内包されていて、重みが増す。
そして4人組の想いが、大人たちに届き、南極観測を実現させたのだ。

ヘリコプターに乗り込む前、報瀬は吟隊長にお母さんのノートパソコンを預ける。
「私はもう、なくても平気ですから」
もう報瀬は、未来に向かって歩き出している。

帰りの道中、これまでの話で何度も見たいと言っていた、オーロラを目にする4人組。
感嘆する中、報瀬のスマホにメールが届いた。差出人は「お母さん」で、件名は「本物はこの一万倍綺麗だよ」だ。
吟隊長は、ノートパソコンの送信トレイの中に残っていた、メールを送信していた。

メールを開くと、一面にオーロラの写真が広がる。
報瀬は「ふふっ、知ってる」と満面の笑みで、お母さんからの想いをまっすぐ受け止めていた。

空港に帰国した4人組。
キマリは「ここで別れよ」「一緒にいられなくても、一緒にいられる。だって、もう私たちは私たちだもん」と告げる。
強くつながった心は、決してもう離れない。今は本来の暮らし(復学・仕事)に向けての準備や、帰国を待ち望んでいる家族・仲間の元へ駆けつけようという事だ。

4人は、再び4人で旅に出る事を誓い合う。そんな中、報瀬は告白する。
「あれ(100万円)はもうない」「置いてきたの! 宇宙よりも遠い場所に!」
一同は驚く。第13話序盤の「本気で答えてる」は口だけで言ったつもりではない、スピーチだって、優等生ぶって言った訳でもない。
お母さんの死を乗り越えてもなお、本気で報瀬は南極の地を再び踏む事を決意していた。

ラストシーン。
キマリはトークアプリでめぐみに「帰ったよー」と送るものの、返ってきたのは「残念だったな」と要領を得ない返事だった。
すると続けて、自身の写真とともに「私は今、北極だ」と送ってきたのだった。
よく見れば、写真のめぐみの髪は切りそろえられてある。彼女もまた、何かを決意して北極へと向かったのだろう。
彼女もまた、キマリと本当の親友になれるに違いない。
(めぐみの北極行きを暗示する伏線自体は、第10話の18分後半の映像で出ている。)

そして本当のラスト数秒で、第13話サブタイトルの「きっとまた旅に出る」が全面出て、本作はこの上なく心地良い余韻の中、終わりを迎える。{/netabare}

本作に携わった全ての関係者に、心より称賛と感謝の意を表したい。
このアニメに出会うため、私はアニメと対峙し続けていたのだろう。

{netabare}「きっとまた旅に出る」{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

浮き沈みはあったが高クオリティな感動+笑い!

【あらすじ】
何かを求める少女たちが、補い合って南極を目指すお話。

【成分表】
笑い★★★☆☆ ゆる★★★☆☆
恋愛☆☆☆☆☆ 感動★★★★☆
頭脳☆☆☆☆☆ 深い★★☆☆☆

【ジャンル】
感動、笑い、勝利、友情、包み隠さない

【こういう人におすすめ】
踏み出す元気が欲しい人とか。YouTuberを目指す中高生とか好きそう。

【あにこれ評価(おおよそ)】
67.6点。おそらく上昇途中。

【個人的評価】
全体的にクオリティが高く、感動系なのに笑いも多いのでおすすめ。個人的に評価がガクンと落ちる回があり、手放しでは褒められない。しかし今期一番注目し続けたアニメだったのは間違いない。
『おすすめしたい作品』

【他なんか書きたかったこと】
{netabare}
 すごいよかった!すごい良かったんだけど……

 5,6,11話が個人的にピンとこなかった。詳しくは下に。
 ただ最終話が終わってみると「やっぱいいなあ」、と思うし、評価が難しい作品でした。多分今後リピートして観るときは5,6,11、あと12話を抜いて観ます(笑)

 やっぱ私は感動系より笑い重視です!血も涙もないのです!
 ……citrusのレビューで血涙を流しましたが、混じってたらセーフなのです。

 1~4話のスタートダッシュが最高すぎて今期圧倒的覇権かなあと思いましたが、最終的には他作品と接戦でした。褒める点はだいたい↓で言いつくしましたが、あと、「南極あるあるネタ」みたいなのが割と少なくて、そこが個人的には良かった!取材が足りなかったとかかもしれないけど、結果オーライです!アレ系、あんまり要りません!

 あと、これの放送と同時期にイッテQのイモトさんも南極行ってて、ものすごいタイムリーな感じでした(笑)


1話
{netabare}  とりあえず100万円を持ち歩くな(笑)

 感動系は苦手なので切るはずだったが「涙の100万頭突きトイレ事件」(頭とは限らないだろ)でちょっと笑ったのと、1話ラスト付近の「前にも何人かそういうこと言ってくれる人がいた」発言で継続を決意。

 そうだよね!

 「私、応援するよ」「何か手伝えることある?」なんて。さも自分だけがこの子の味方のように。それだけでこの子が泣き出して「ありがとう。わたしずっと一人で心細くて……」とでも言うと思ったか!
 南極に行きたいという少女。そのために100万ためた少女。誰に後ろ指刺されても胸を張って前を見る少女。しかし襲い来る幾多の困難(たとえば100万落とす)。見てしまった涙。
 そんな子の味方が自分だけなわけあるか!
 「前にも何人か」、否、何人もいるに決まってる!
 その何人もいた「君と同じような」味方が消えていくほどに、彼女の夢は望み薄なのだと!それに気づいてからが彼女に寄り添えるスタートラインなのだと!

 と、勝手にアツくなる意外とちょろい私。

 課題を突き付けられて多分「自分を変えたい」というのとは別に「なめんなよ!私は行くぞ!」っていう意地が主人公の女の子に出てきたと思う。その辺の気持ちがすごいわかった。

 南極いけるのか。行けたとしてどうなるのか。そして最重要、私が再び笑えるコメディパートはあるのか。その辺注目です。
{/netabare}

5話後
{netabare}
 5話目で結構ぴょんっと話飛びましたね。南極出発前夜の感じでした。もうちょっと資金とかで揉めるかと思ったんですが。ということは行ってからが大変なのかな。「お母さん探し」とか「南極生活あるある」とか「大自然の危険」とか別に入れてもいいけど、コメディパート減らないでくれ頼む!
 親友メガネちゃんの話はいつか来るだろう、来たら嫌な感じになるだろうとは思いましたが、割と早めに来ましたねー。でもついていかないという決断をしたメガネちゃんはえらい。……とはいえ主人公たちも視聴者も後ろを振り返っている場合ではないのです!アディオスめがね!最終話で会おう!

 さて、このアニメ、メインキャラクター4人が魅力的ですね。
 デザイン的にも設定的にも無駄がなくてイイ。あと声優のチカラというのを目の当たりにしました。私が今期トップクラスに笑えてるのは多分声優さんのおかげ!私が気になった声はだいたい花澤さんがやってるので花澤さんは知ってましたが、今後は他の三人も注目したい!

 そして「全員が中心」って感じもいい。
 全員が中心って矛盾してますが、一人一人がほかの3人をまとめている一面があって、だから4人がギュッと集まってる感じというか。
 まず「南極にいく」っていうのは結局のところシラセの夢で、他の3人は「それについていきたい」というのが行動原理です。シラセが「北極に行きたい」としたら3人は北極についていくでしょう。だからシラセがこのアニメの「原動力」です。
 次にキマリ。一番「使えない」やつですが、私が一番必要としている人材でもあり、つまりはこのアニメ全体に流れる「あたたかい笑い」の発信基地になっているのが彼女です。他の3人だけだったらものすごく冷静な単なる「南極隊」になってたか、そもそも集まらなかったと思います。
 次にヒナタ。一番「便乗してる」のが彼女で、個人的にはメンバー入ってきたとき「ん?不安材料?」と思いましたが、全く違いました。彼女がこのチームのブレイン。頭がいい上にびっくりするほど大人なので、他の3人の引率者的存在になってます。他の3人の誰にでも合わせることができ、キマリの生み出す「あたたかい笑い」を増幅させるのも、冷静さを取り戻させるのも彼女です。
 そしてユヅキ。言うまでもなく彼女がいないと南極に行けないので人材としては最重要で、替えがききません。精神面では一人だけ高校1年ということもあり若干浮いていますが、他の3人のあたたかさに支えられてだんだんと馴染んできてます。

 ドライブに例えると、シラセが「車」、ヒナタが「運転手」、ユヅキが「免許証」で、キマリが「ラジオから流れる陽気な音楽」って感じ。ぽつんとあった車のラジオが突然ついて陽気な音楽が流れだし、それに誘われて運転手が乗り込んで……おっと免許証忘れてた、みたいな(笑) そら走り出しますわ。
{/netabare}

6話後
{netabare} 5話目以降失速ぎみ。2、3話が良すぎたのか。
特に今回のエピソードは練られてなさすぎ。はよ言えよ、探せよ、気づけよ、謝れよ、「なんだよぉ」じゃねえよ。セリフ思い付かんかったんならエピソードごと消せ。一番本心偽ってんのはおめぇだよ!
「ヒナタとシラセを仲良くするエピソードはさんどかね?」「おkおk。この辺で適当に入れとくわ」臭がパネぇ!2、3話はまぐれか!?次はキマリユヅキか!?それともシラセユヅキか!?そのあとヒナタユヅキか!!小手先でこちゃこちゃやんねーと12話持たねえのか!?
このエピソードの主体がキマリならわかるよ?なんでよりによってここまで行動決断パーフェクトだったヒナタを6話だけアホアホに描いたんだよ!「なるほどー、自分が一つミスっちゃうと連鎖的にダメになる人かー。いるいる」というとでも思ったか!あのタイミングで問題放置をするキャラじゃないだろ!

あれ、やんわり軌道修正を求めようと思って書き始めたはずが、やけにエクスクラメーションマークが多い文章に。失礼しました。とりあえず6話ストーリーがダメダメすぎてコメディも白けてしまったので巻き返し期待です。ヒナタの過去を小出しにしたところで感動はしないのではやめにさらっと出してコメディパートに戻ってくださいあなかしこ。 {/netabare}

10話後
{netabare}
 やっぱキマリユヅキきたな(笑)

 でもそんな些細なことで勝ち誇りたくてレビュー更新したわけではないのです!そんな小さな人間に見えますか私が!
 ……見えますか。あれですよ、遠近法ですよそれ。

 そうじゃなくて、むしろ6話の失敗を7話以降少しずつ回復していき、私が再び心を乱されることなく楽しめる4話らへんの状態に戻ってきてくれたって話なのです!ありがと!ね!

 脚本家さんは知らない人でした。登場人物のセリフを文章としてみたときに分かるように、そこまで「卓越したセンス」とか「文章構成力」とか「言葉にできない感情を描出する表現力」とかを持ってるわけではないんですが、それでも出来る範囲で丁寧に誠実にストーリーを紡いでいる感じ。
 その「小さいけど形のいい素材」を元に優秀な周りの作画、音楽、声優などのスタッフが世界観を広げていく。結果として、芯があってふわふわしたスポンジボールみたいな作品になって私が心地いい、と。

 逆に6話の急落は何だったんですかねー。私が「忘れ物に強いぼっち」だったから共感できなかったのか?ユヅキの葛藤は「めんどくせっ」って思いつつも割とあたたかい目で見ていられるんですが、あの時のヒナタわっけ分かんなかったんだよなあ。
 むしろ平常時のヒナタに共感しまくっていたから、自分ならしないミスを彼女が犯すストーリー展開にプッチン来ちゃったのかもしれません。器ちっせ私。


 唐突にどうでもいい、忘れ物対策コーナー!ドンドンパフパフー{netabare}
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 私が意識してること。早めに気づいて自分の行動を逆再生する。それでもないなら周囲の人を巻き込んで逆再生する。これで失せものは大体見つかります。「なくして1か月後に気づく」とかだとこの方法は無理ですが、その場合は忘れ物うんぬんの問題ではなく、普段の「使わない物品の管理」の問題ですのでそちらを見直しましょう。

 6話のヒナタちゃんの場合。まず気づいた瞬間に行動に移しましょう。ヒナタちゃんが隠蔽したあのタイミングなら「パスポートないいいいい!!」の叫びで全てが好転します。

 そして同じ道をたどって空港に戻ります。空港を出られたということは、間違いなくそのタイミングまでは所持していたということで、何者かの悪意が働かない限り、空港までの道中に必ずあります。
 そして、歩いてる途中にポトリ、というのは失せものではレアケース。手に持ったりポケットに入れているものならありえなくはないですが、今回のように鞄に入れていたものだと道に落ちることはないと思っていい。

 だから立ち寄った場所、さらにいえば鞄を開けた場所のどこかにある可能性が高い。今回のケースなら途中のクレープ屋だかアイスクリーム屋だかが怪しいです。もしくは空港内が怪しい。

 しかしない。

 ここで他人と行動を照らし合わせます。「あたしあの時何してた?」とか「諸君、初めから事件を整理してみよう」とか。こういう会話の中で「そういえばあの時一瞬渡したような……?」みたいな話が出れば、今回の場合みつかります。

 あ、気づいてすぐ「誰かもってない?」という話題が出ればすぐ発見ですが、最初から他人を疑うのもねぇ。確信があるなら「なくした」なんて言わずとも「あ、そういえばパスポート渡してたよね」で済みますし。

 という風に、失せもの探しってなんか謎解きみたいで楽しくないですか?私は心の中で「神様からの挑戦状」って呼んでたり呼ばなかったりそんな余裕なかったり。私の神様はしょっちゅうスマホをお隠し遊ばれますが、いままで見つけられなかったことないです(笑)
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{/netabare}
{/netabare}

11話後
{netabare}
 うーん、やっぱりヒナタ関連のエピソードは個人的に「うーん……」って感じになりますね。

 南極来た時の「ざまーみろ」の大合唱でもそうだったんですが、なんか器ちっさいというか。自分たちが軽蔑している人々にリベンジして吠え面かかせたいという思いが、逆に自分たちを同じ土俵に立たせちゃってるような。

 ああいう、半沢直樹の感じ?(あのドラマ観てないけど)

 2件とも直接的にはシラセの行動ですが、作中の人物全員もれなく同調しちゃってるんで、それが脚本家のメッセージだと思われます。しかし「私に(私の友達に)仇なしたものなんて、一生苦しめ!私たちは清々しいけど、お前らは苦しめ!ざまーみろ!」っていうメッセージに対して「おお!良いこと言うぜ!」と思う人間になりたくない。個人的に。

 頑張って頑張って後ろ指刺されても負けないでたどり着いた憧れの地、南極。そこで1番に思うことが「綺麗」でも「お母さんの場所」でもなく、「後ろ指刺されたことあったなあ!あいつらめ!ざまーみろ!」って。

 3番目くらいにしようよ。

 むしろ「ざまーみろって言ってやるんじゃなかったっけ?」「うーん、なんかどうでもよくなっちゃった」みたいな会話のほうが好きだし、そういう人間のほうが好き。で、最後に布団の中で、誰にも聞こえないようにボソッと「あ、そういえば。……ざまーみろ。あはは」くらいのほうが。

 チームメイトの件に関しても、面と向かって「お前らのことなんてなんとも思ってないんだよ!」みたいなこと言ってましたけど、それを面と向かって言うことが「なんとも思って無くない」ことの証明なんですよね。それを聞いて泣き出すのも、「良いこと言うぜ」みたいな感じで見てるのも。

 モヤモヤしていたとしても「あ、来たんだ。でももうあたしはあんたらの友達じゃないからな。言いふらすなよ。まあでもせっかく来たんだし、見てったら?」みたいな感じであとは南極を楽しめば、主人公たち4人の仲の良さをみた陸上部たちが、(ああ、あの子はもう歩き出してて、私たちは自分たちが許されたいためだけにここに来てたんだな)って自分たちで気づく。そういう展開のほうが好き。
 ついでに陸上部たちが帰り道で「私たち、なんかかっこ悪いね」「……うん。ほんとうに馬鹿なことしたって思う」「……」「……あー、いいなあ、南極」みたいな会話してたらもっと好きだし、そのほうが清々しいし、その時こそ、やさしく「ざまーみろ」って言えるタイミングだと思う。

 南極に来ている時点で主人公たちは完全勝利しているのに、そのうえで自分たちが打ち負かしたものに対して「やーい、負けてやんの、バーカバーカ」みたいな感じで追撃するのが「清々しいこと」とは思わない。お前たちが脇目も振らず目指していたのはそういう場所なのか?そこに到達したときに後ろを振り返って「ざまーみろ」と言って届くほど低い地点なのか?振り返ったところで、豆粒のように見えるその他大勢に、「今更言い返すのも馬鹿らしい」と思えるほどの高みを目指していたんじゃないのか。

 少なくとも私はそういう場所に行ってほしかった。
 主人公たちも、脚本家も。

 あと、「敵役」のキャラ作りが浅い。記号としてイイ感じにボコボコにできる「標的」を用意しただけのように感じる。例えば「陸上部の子たちはなぜ先輩とヒナタに別のことを言ったのか。なにか理由があったんじゃないか」などということは全く触れない。「なぜ仲間を売ったのか」「ヒナタがいなくなった後どう過ごしたのか」「何を思ってあそこに来たのか」みたいなことはすべて「想像にお任せします。まあとにかく一番いやな感じです。こいつらは本当に最悪なんです。でも大丈夫。今からボコボコにしますから見ててください。一緒に清々しい気分になりましょう」と言われたように感じた。

 まあ、まとめると、私はああいう加害者にも、かといって復讐者にもなりたくない。「ホントあいつ最悪だったよー。まあでも話したらスッキリした!今日は飲もう!明日は頑張ろう!」みたいな人が好きだし、自分もそうなりたい。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 60

81.1 2 成長で女子高生なアニメランキング2位
花咲くいろは HOME SWEET HOME(アニメ映画)

2013年3月30日
★★★★★ 4.1 (1285)
7253人が棚に入れました
美しい北陸の四季を背景に、祖母の経営する温泉旅館に住み込みで働くことになった東京生まれの女子高生の成長を描いたTVアニメ「花咲くいろは」(2011年4~9月放送)の劇場版。温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」での住み込み生活にも慣れた松前緒花は、次第に変化していく自分に気づきはじめていた。そんなある日、緒花のクラスメイトでライバル旅館「福屋」のひとり娘・和倉結名が、女将修行のため喜翆荘にやってくる。自由奔放な結名に振り回されながらも、面倒をみていた緒花だったが、物置の中であるものを見つけて……。監督の安藤真裕、脚本の岡田麿里、アニメーション制作を担うP.A.WORKSほか、TVシリーズのスタッフが再結集。

声優・キャラクター
伊藤かな恵、小見川千明、豊崎愛生、戸松遥、能登麻美子、梶裕貴、本田貴子、久保田民絵、浜田賢二、間島淳司、山口太郎、恒松あゆみ、諏訪部順一、チョー
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

おはなのオハナのおはなし

テレビ版を視聴してから観ました


{netabare}先ず最初に
「劇場版」というより
テレビ版を含めて
この「花咲くいろは」という作品の
私の主観的な感想を述べさせていただきます

この作品を観た
{netabare}ほとんどの石川県民が・・・{/netabare}

いいえ
{netabare}石川県出身の女性の多くが・・・{/netabare}

っていうか
{netabare}石川県出身の"ある年齢層"の女性の大半が・・・{/netabare}

もとい
{netabare}石川県出身のある年齢層の"独身女性"の一部が・・・{/netabare}

じゃなくて
{netabare}ごく一部の女性が・・・{/netabare}

もしかしたら
{netabare}私だけが?・・・{/netabare}

{netabare}「輪島巴」(わじまともえ)という人物に
極めて強い共感を覚えたのではないでしょうか{/netabare}

{netabare}輪島巴ちゃん・・・


喜翆荘の仲居頭
28歳
独身・・・

(以下Wikiの巴データ){/netabare}

{netabare}キャラクターカラーはピンク
部屋着は黒いタンクトップだったりと大人の女でもある
左眼の下に泣きぼくろ

さらには・・・{/netabare}

{netabare}噂好きかつ覗き見好きなのが玉に瑕・・・云々
学生時代の友人が次々に結婚してゆく・・・云々
多忙ゆえに・・・云々
三十路を前に・・・云々
嫉妬心を隠せない・・・云々

・・・云々かんぬん{/netabare}

{netabare}なんか笑いながら涙出てきた~(ToT{/netabare}


{netabare}そして
なんといっても
その声の主{/netabare}

そう
あの・・・

{netabare}「能登麻美子」さんです!!! キャァァ~!!!{/netabare}

{netabare}石川県金沢市出身ですよ~ キャァァ~!!!{/netabare}

{netabare}どうでもいいけど私と同じ石川県出身なんですよ~ キャァァ~!!!{/netabare}

{netabare}金沢弁がとてもハマってて迫真の演技~ キャ{netabare}・・・あ

実は私
出身が金沢市じゃないからよく分かりませんでした~^^!
(金沢以外の"地方"はビミョーに違う){/netabare}{/netabare}

{netabare}っていうか・・・
「バカタレどもが~」って迫真のアドリブ・・・("ぼんぼり祭り"での本人コメント)

これ
金沢弁じゃないよね・・・(冷{/netabare}

{netabare}おうちが金沢なのに
なんで名前が「能登」?・・・(冷{/netabare}

{netabare}まあ
とりあえず・・・{/netabare}

{netabare}麻美子ちゃん最高だよ~ キャァァ~!!!{/netabare} 

{netabare}能登かわいいよ能登~ キャァァ~!!!{/netabare}

{netabare}キャァァ~!!!・・ゲホッゲホッ・・オエェェェ~

叫びすぎた^^{/netabare}











気を取り直して^^{/netabare}
    ↑
(どうしようもないことなので興味のない方スルーしてね)

この作品
個人的に
とても印象に残っているのは
たまに出てくる金沢の風景です(ほんと・・・たまにですよ)

あえて
城下町金沢をイメージさせる観光名所など
いかにも"不自然な"描写を控えめにして

普通の街中や田舎の風景が多いのは
地元の人間にとって
とても興味のあるところです

でも
観ていると
いつも思うんです

なんか違う・・・
って


「湯涌温泉」(作中では湯乃鷺温泉)に
「のと鉄道」乗り入れ?
あの"3セク赤字企業"が事業拡張?(失礼^^

便利になったもんだ~^^
のと鉄道さん太っ腹~^^

っていうか
そもそも
湯涌に鉄道敷けるほどの広くて平らな地面あったかな?

多分
実際に電車を走らせるとなると
箱○登山鉄道みたいになっちゃいますね

金沢市街の建物などの位置関係もなんか変・・・

なこちゃんの妹のまなちゃんを
おはなちゃんとなこちゃんが探すシーンでは

(多分)金沢駅から
(多分)安江町の商店街を抜けて
いきなり
(多分)香林坊ってどういうこと!?

しかも
二人が来たのは
駅と反対の方向から^^
(あきらかに香林坊アトリオに向かって片町方面の"横に変な走るオブジェがあるミスド"の方向から来ている)

どー考えてもおかしい・・・
こりゃいったいどこなの?

・・・超ローカルな話題で申し訳ございません!

気になる方は
一度
金沢に遊びにきまっし~^^
実際の町並みと比べてみるのも面白いかも


さて
お話は
テレビ版での「ぼんぼり祭り」の少し前のお話だそうで

「喜翆荘」と
おはなちゃんたち仲良し女の子4人のエピソード
さらに
おはなちゃんのお母さん
「松前皐月」(まつまえさつき)さんのお話

キャッチコピーの「私、もっと輝きたいんです……!」のとおり
みんな輝いてました!
みんなぼんぼってました!
ホビロン・・・叫んでました!

そして
おはなちゃんはというと
いつものごとく
元気に走りまくってました!

いつでも
走る!走る!走る!

どこでも
走る!走る!走る!

廊下の雑巾がけで
走る!走る!走る!

さつきさんも
走る!走る!走る!

そして
{netabare}泳ぐ!泳ぐ!泳ぐ!・・・{/netabare}

{netabare}泳ぐ???{/netabare}

そう
冒頭の{netabare}「クソババァ」(失礼^^){/netabare}のシーン

これ
どこかの{netabare}競泳BLアニメ{/netabare}を
パクったんじゃね?
って思うくらいの
{netabare}みごとな
夜間の飛び込みシーンでした^^
(※製作はこっちのほうが先です){/netabare}



最後に
もう一つ
とても気になったのは
おはなちゃんのお父さんのお話です

さつきさんとお父さんの出会いから
おはなちゃんの誕生(ここで"オハナ"の秘密が明らかに・・・)
そして
お父さんが・・・

ここでもまた涙が・・・(ToT

って
あれ・・・
よく考えたら
おはなちゃんって
{netabare}病弱なジャズシンガーのお母さんと
港にやってきた米兵さんの間に生まれたんじゃなかったっけ?(テレビ版第1話より){/netabare}


とにかく
いっぺん石川に遊びに来てみんけ~^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「私、もっと輝きたいんです……!」

2011年に放送されたこの作品のTVアニメ版は「P.A.WORKS 10周年記念アニメーション作品」として制作されました。
P.A.WORKSにとって、単独製作した初の完全オリジナル作品であり、P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」の第一弾に相当する作品です。

あにこれでの評価も高く、TVアニメ版は2020年11月時点で総合得点90.1点、感想・評価6058件、棚に入れた25866人という驚異的な数字を叩き出しているにも関わらず、ランキングは50位なんですよね。
トップクラスの層の厚さを物語っている証拠だと思います。

一方、この劇場版のあにこれでの評価は、総合得点79.3点、感想・評価1212件、棚に入れた6887人でランキングは399位と、TVアニメ版の1/4~1/5人しかこの作品に触れていないようです。
かくいう私もその一人でしたけれど…
ですが、この劇場版はTVアニメ版を視聴したなら見ないのは勿体ない、と思える作品でした。

私がTVアニメ版を視聴したのは2013年の5月なので、もう7年以上前になりますが、私にとって「お気に入りの棚序列51位」の作品は、今でも色褪せることなく輝いています。
その劇場版なんです…思わず視聴にも気合が入りましたよ。


祖母の経営する温泉旅館"喜翠荘"(きっすいそう)での住み込み生活にもすっかり慣れた
東京生まれの女子高生・松前緒花は、
板前見習いの鶴来民子や、仲居見習いの押水菜子らと過ごす毎日の中で、
少しずつ変わっていく自分に気が付きはじめていた。

秋も深まってきたある日、クラスメイトでライバル旅館"福屋"の一人娘である和倉結名が、
喜翠荘に女将修行にやってくる。

奔放な結名に翻弄されながらも面倒を見ていた緒花は、掃除をしていた物置の中で、あるものを見つける。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

改めて視聴して気付いたこと…
作画が緻密で綺麗だと言うのは認識していましたが、声優陣がこんなにも凄かったのは気付いていませんでした。

喜翠荘で働く女子高生3人組がコチラ↓
松前 緒花(CV:伊藤かな恵さん)
鶴来 民子(CV:小見川千明さん)
押水 菜子(CV:あきちゃん)

喜翆荘の仲居頭がコチラ↓
輪島 巴(CV:能登麻美子さん)

喜翆荘のライバル旅館である福屋の一人娘がコチラ↓
和倉 結名(CV:ハルカス)

これだけの面子が揃っているんですもん…
当時この作品にハマった自分の行動原理にも納得です。
それに「P.A.WORKS 10周年記念アニメーション作品」と銘打っているだけあって、作り手の気概がヒシヒシと伝わってきますから…

私が感じたこの作品のテーマは「家族の在り方」です。
例え働いている場所が一緒でも、たとえ境遇が似通っていたとしても、一つとして同じ在り方はありません。
だから、きっと正解は無いんだと思います。

夢を叶えるために目標を定め、最短コースを全力で走り抜ける…
夢は十人十色でコースの長さや起伏も人それぞれ…
だけど、時には家族のために立ち止まったり振り返る余裕は残しておきたいと思いました。

何も言われないからって、それで良い訳じゃない。
周りには言いたいことを必死で堪えている人だって居るんだ。
だから臨界点を突破して破裂しちゃう前に気付きたい、そう思えました。
それが家族なら猶更ですよね…

それとこの劇場版で明らかになるのは、緒花の名前の由来です。
緒花はハワイ語で「家族」を意味する「ohana」から取ったそうです。
この命名の方法は今まで発想にありませんでした。

命名するとき、「その子が将来どんな風になって欲しい」という子供を主体とした発想だったり親の気持ちだったり…
各家庭のしきたり、という場合も考えられると思います。
そう考えると「家族」を意味する名前って、奥が深いと思いました。

上映時間66分の作品でした。
いやぁ、しっかり満喫させて貰えましたし、しっかり涙で前が見えなくなる展開も用意されていて大満足でした。
ここ最近、TVアニメ版は視聴済ですが劇場版を視聴していないという作品が
結構あることに気付きました。
少しずつ記憶を辿りながら、昔の作品にも思いを馳せていけたらなぁ…と思っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

さっぱりとした良作です

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。65分くらい。
 テレビシリーズはチラッと見たことがある程度で、内容はすっかり忘れていました。ストーリーもキャラの名前すらもあやふやな状態での視聴となってしまいました。
 ただ、見始めてすぐにキャラクターの名前や性格、抱えているエピソードなどが伝わってきました。ここまでしっかりとキャラクターが描かれいるのならば、テレビシリーズもきっと良作なんでしょうね。

 で、この映画版なんですけど、記憶があいまいだったせいもあって、楽しめないかもなと覚悟していました。ただ、そんな心配は無用なもので、想像以上に面白かったです。一番の見どころは生き生きとした登場人物たちですかね。モブもきちんと演技をしてましたし、作画関連に突っ込みどころは感じませんでした。

 軽くストーリーで描かれていた要素をまとめてみます。


客観視:{netabare}
 物語の大半は「客観視」をすることに費やされていました。
 「自分が見ている自分」「自分が見ている親」「自分が見ている家族」というのを、「第三者の視点」を通すことで理解しよう、というのがストーリーの中心です。

 例えば、学生時代のオハナママが見ている「自分が見ている自分」というのは、「写真に写った自分」を介して再評価がされることになります。
 同じように「オハナが見ているオハナママ」は「豆じいの業務日誌」を介して、「オハナが見ているオハナファミリー」は「ナコのファミリー」を介して、客観視されていきます。

 これは他の登場人物にも表れていました。例えば、ミンコは宿泊客の視点で、板長のレンジですらトモエの視点で、それぞれの思惑に対しての再評価がなされていました。
 描かれているのは「客観視」というたった一つの要素なんですけど、マンネリにならないように非常に上手くストーリーが組まれていました。一貫して描き続けよう姿勢というはすごく伝わってきましたね。
{/netabare}

オハナとオハナママ:{netabare}
 一番面白かったのは、オハナとオハナママのエピソードの書き分けですね。

 まずはオハナから。
 「オハナが見ているオハナ」を第三者の視点から見るエピソードはありません。思春期における自己の客観視は、オハナママのエピソードで足りているからかもしれませんし、テレビシリーズの話なのかもしれません。
 で、オハナは、「オハナママ」と「自分のファミリー」の両段階を、他人の目に頼っています。上で述べた「豆じいの業務日誌」と「ナコのファミリー」のことです。

 一方でオハナママ。
 学生時代の自分を客観視するためには「写真」に頼っているんですが、「オハナママの親(女将のスイ)」と「自分のファミリー」を客観視するためには、他人の目を必要としていないんですね。いずれも子供のオハナを抱えた状態で、自分の目で客観的に見れています。

 この構造的な違いというのは、そのまま年代や境遇の違いになるんだと思います。学生という未熟な視点と、子を持つ親の成熟した視点ということなのでしょう。このオハナとオハナママの似ているようで全く違う描き方が絡み合いながら、エンディングを迎えます。

 「私、輝きたいんです!」の源泉は、自分をきちんと見つめることにある。そして、親や家族に対してもその視点を適用することで、映画版のサブタイトルである「HOME SWEET HOME」につながる。これがテーマでした。
{/netabare}

対象年齢等:
 予備知識はそこそこあれば問題ないと思います。もちろん、あった方が楽しめるのは否定しませんけどね。私程度の予備知識でも楽しめましたから、コアなファン向けってわけではないと思います。
 家族ものですから、思春期以上なら視聴年齢は特に気にしなくても大丈夫です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

80.9 3 成長で女子高生なアニメランキング3位
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (779)
3232人が棚に入れました
ステータスポイントをVITのみに捧げた少女メイプル。その結果得たのは、物理・魔法攻撃・状態異常無効に強豪プレイヤーも一撃死のカウンタースキル!? 自らの異常さに気づくことなく、今日も楽しく冒険に挑む!

声優・キャラクター
本渡楓、野口瑠璃子、早見沙織、新井里美、加隈亜衣、諏訪ななか、杉山紀彰、佐藤聡美、小野賢章、山崎たくみ、竹達彩奈、神奈延年、佐藤利奈、山口勝平、石田彰、皆口裕子、丹下桜
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

メイプル超合金w

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルは、ゲーム世界、バトル、主人公最強系。

という分かりやすい、ありがちな設定。

でも、実はこのアニメはかなり面白く、中盤までは個人的覇権にしようかと思っていたほど。

ストレスフリーにストレスを感じる人以外には、オススメできますね♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
勿論、超ご都合主義とか、ゲームバランス悪いとか、まあ、色々マイナスはあるでしょう。

でも、このアニメで抜群に素晴らしいのは、「ゲームをゲームとして楽しむ」という姿勢が徹底されていること。

例えば、釣りや水遊びを楽しんでみたり、星空を眺めたりするだけじゃなく、朧やシロップが仲間になったとき、イベント中に関わらず無駄にレベルを上げてみたりとか。

「その時、メイプルが楽しいと思うこと」をやるというのが基本線にあるので、観ているこちらまで楽しくなる。

ゲーム世界に飛び込む系は、「SAO」に代表される、リアルとのリンク(実際に死ぬとか)があって、だからこそ、ゲーム世界でも真剣に戦うものが多いが、「防振り」は、「所詮はゲーム」ということが徹底されていた。

例えば、ゲーム世界で無双するメイプルが、学校に戻れば相変わらず鈍臭く、ドッヂボールも避けられない。ゲームにハマりすぎて危機を感じ、3日間ゲームを離れる。最終話でも、勉強の大切さに触れる。

ゲームで相手を倒すことにも一切躊躇なし。だって、所詮はゲームだから。

なんか久々に、「ゲームをやりたくなる」アニメだった。

それに、様々なスキル習得が、あくまでゲームの範囲内に留めているところが素晴らしい。

特に、序盤。

スキルの習得条件が、「普通はやらないけど、絶対にあり得なくはない」という良いラインをついていて、まずまず納得できた。ゲーム素人&天然のメイプルならではの手段でスキルを獲得していく過程が面白く、「ただのチート」ではなく、「正しいチート」だからこそ、応援できる。

あと、作画ね。こんなにふざけたアニメなのに、作画が良いから、格好良さまで得ている。

本当に、良いバランスだった。こんな手垢がつきまくった世界観でここまで面白く出来るのかと脱帽。

してたんだけどね、途中までは。

きっかけは、メイプルがガンダム(フリーダム)になった辺りから。

「盾の勇者の成り上がり」でもそうだけど、盾役が攻撃手段を手に入れてしまうと、途端に魅力が半減する。

本作で上手かったのは、攻撃手段をヒドラ(毒による状態異常)に止めていた点だったのに、攻撃力まで最強クラスにしちゃだめでしょ。もっと、スキルの組み合わせとか、仲間との連携とかで敵を撃破してほしかった。

それから、第4回イベントも、少し長かったかな。この作品の良さである、「ゲームを楽しむ姿勢」がやや弱り、皆が真剣すぎて、ちょっと引いた。SAOなら、いくら熱くても良いんだけどね。

てなことで、後半にやや失速はしたものの、十分に面白く、2期が楽しみな作品ですね♪
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆5
変な行動で、使えないスキルゲットしてる(笑) たったこれだけで、こんなに耐性スキルゲットできるの? ありそうなレアアイテムゲット(笑) 大物食いのスキルは、攻撃力とかに全振りしてれば、結構ゲットできてる人多いかもね。壁役のスキルを大量にゲット(笑) このユニーク装備の達成条件は結構キツいけど、情報さえあれば、やってやれないことはないよね。

2話目 ☆4
運営の会話入れるなや(笑) あれ? スキルの取得条件開示しなくしたの? アレが良かったのに。麻痺と毒と防御力。さらに、盾での攻撃(悪食スキル+シールドアタック)。回避盾、、、スパロボなら、オーラバトラー(笑) 歩く要塞(笑) ゲームを楽しむ姿勢は、気分が良い。作画も悪くないね。初戦闘&単独でボス撃破。んでレアアイテムかな。

3話目 ☆3
悪食スキル回数に、防御貫通。運営の露骨な修正はヒドイ(苦笑) ネトゲの凄い人、、、リアルの金持ちか、廃人か(笑)? バトルに星空。何気に作画良いのが、ズルいアニメだよな(笑)

4話目 ☆4
朧とシロップ、可愛いし、イベント中にこの子達を鍛える辺りが、この作品の良いところ♪

5話目 ☆4
集められなかったら、それはそれで良い。う~ん、歌と止め絵でガッツリとばしたな(苦笑) 綺麗な海を、毒の海に~♪(笑) サリーのPK能力の高さよ(笑) 最後は暇つぶしで終了(笑) このまま楽しくゲームをプレイしてくれたら、個人的には、覇権かも。

6話目 ☆3
お、珍しく現実世界。現実の楓の残念さ(笑) また音楽流しか。あんまり多用しちゃだよだよな。今度は攻撃極振り×2ね。

7話目 ☆4
味方がどんどん強くなる(笑) 台詞の辻褄(笑) たまにあるね、イベント前にアイテム持っている時(笑) もはや、ショートコントやん(笑) 見捧ぐ天使、やべぇな(笑)

8話目 ☆3
だから、食うなや(笑) グロいグロい(笑) エヴァかい(笑) デンドロビウム、いや、フリーダムか。ここまでやると、ちょっとやり過ぎな。

9話目 ☆4
ホントに要塞になってきたな(苦笑) これ、ザコギルドを刈りまくった小規模ギルドが一番稼ぐな。最後は、直接対決で相手のマイナスを狙いにいくか。炎帝、可愛いな(笑) これ、スキル使う相手か?

10話目 ☆4
笑えるくらい、メイプル強ぇな(笑)

11話目 ☆3
段々と、メイプル攻略方法が成立してきたな。

12話目 ☆4
暴虐で、お茶を飲むなや(笑) もはや、パニック映画(笑) 勉強、大事(笑) 全ステータス5%upって、トッププレイヤーにはでかいよな。そろそろ5桁(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 32
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

メイプルちゃんを好きになれるか、見守りたいか。

僕は。。。。。

原作知らず。第9話までを見た段階での感想です。

近未来の超没入型・感覚没入VRゲーム内での主人公たちの活躍をのほほんと描いていく、おきらくごくらくファンタジー。本作の主人公、メイプルちゃんは通常のゲームプレイヤーがとらない行動、ゲーム運営が想定しないような行動をとり続けるがゆえに、バグめいた形で常軌を逸した強さを身につけ続けることになるわけですが。。。「俺TUEE」転じて「わたし超TUEE」な世界が展開されます。ストレスフリー。ゲーム内イベントという起伏はあるものの、基本的に平坦。深く追ってはいけない、気楽に、そこにあるまま流しておく。僕にとってはそんな感じの作品。

音楽にEasy Listeningというカテゴリがあるが、それの動画版という感じ。劇中歌の「Good Night」という曲が、けっこうよい雰囲気を醸しています({netabare}歌詞すべて英語。。。それっぽく歌おうとしているのだけど、口先発音なのがかえって気になる。LRぐちゃぐちゃだし、Aboveを思いっきりアボブとか発音しているし・・・{/netabare})。ふと、Yashiki Gotaとかゴンチチなんかを思い出す、そんな感じの曲です。なんかもっとダイレクトに「近い」のがあった気もするんですが。

アニメーションとしての作画は及第点と思います。エフェクトガリガリではありますが、近未来ゲームという世界観からすればちょうどよい。キャラデザインはよいほうなのではないかと思う。少なくとも女性陣は可愛らしい。ゲーム内アイテム、装備品が少々簡素に思えるところもあるが、それはご愛敬か。

主人公をはじめとする可愛らしい女の子たち、なんかカッコいいおっさん(?)のゲーム内の活躍を、のほほ~んと眺めていられるなら、特に損はしないのではないでしょうか。

さてメイプルちゃん。
僕自身は、もう・・・いいかな。っていうか嫌いだし。Easy Watchingとして流すことはあるかもしれないが、鑑賞という形にはならなさそう。なぜならこの作品、本質的に「賢者の孫」と同じなんだもん。


― 多くの方が指摘される「そも、ゲームとしてこれダメだろ」
{netabare}いやほんと(笑)。主人公たちにとってのEasy-Peasyな世界を演出するという点では、これでもいいのかなと思う。でも、オンラインゲームとして長くはもたないでしょうね。こういうゲームって、Money・Time・Player Skill(賢さ、要領の良さ含む)の総和・総乗に対して平等公平というのが原則。ガチャ運だって最終的には投入資金によって収束していくわけです。システムとしてそれを崩してしまっていては、プレイヤーはたまったもんじゃないですね。

さも「バグ挙動」のように言われていますけど、結果としてそのままにしている&プログラムとして挙動が安定しているのなら、それは仕様です。{/netabare}

― ファンタジーとはいえ、あの没入型ゲーム機すげえな。
{netabare}どんな仕組みで「味覚」「嗅覚」「触覚」を再現しているのか。いやすげえな。狂四郎2030(徳弘正也)を思い出します。むしろそっちのコンテンツが先だろう。きっとそっちのコンテンツはひと段落してしまった後の世界なのだろう。{/netabare}

― 形を変えた「主人公礼賛之図」
{netabare}すでに3話だったか4話だったかのあたりでその片鱗が見え始めています。大意としては「メイプルがどんな変なことをしでかし、結果として強くなったとしても、もう驚かない、諦める」旨の発言が出始めます。これって、主人公を異質な存在として棚上げし、そのままそれを諦観とともに受け入れるということに他ならないと思います(そう感じてしまいました)。なんだかよくわからないけど主人公スゲー、主人公サスガーの礼賛と何ら変わらない扱いです。

いや、もう、いいよそういうの。おなか一杯。{/netabare}

― たちの悪い「やっちゃいました?」
{netabare}作者としては、主人公・メイプルを「永遠の初心者(最強)」として描きたいように思えるのですが、まともな女の子としてそれを成立させるのは無理があるでしょう。結果として「天然ちゃん」というキャラ付けをしているのだと思いますが。。。。いい加減、鼻につきます。

{netabare}最序盤における、ゲーム世界の常識からかけ離れた行為・行動は許せます。一緒に遊ぶはずのサリーが現れず、あまりよくわからないゲーム世界で一人行動をしていたので。

冒頭に述べた通り、メイプルは「通常のゲームプレイヤーがとらない行動、ゲーム運営が想定しないような行動をとり続ける」が故にどしどし強化していくわけですが。。。。問題は、いつまでそれが自然に成り立つかだと思います。僕としては、その後のメイプルの行動、物言いがおかしく感じられます。

あんなにギルドメンバーや他ギルドのプレイヤーと交流をしていながら「その社会」に入れないのでしょうか。空気読むではありませんが、他者を見、共に行動していれば、次第に理解していくもので、そういう社会性を持っているのが人だと思います。それが獲得できないということは・・・と、思ってしまうのです。

その一方で、「ゲームのことをしっかり理解し、ゲーマーになっている」描写も見受けられます。双子のプレイヤーを引き連れて階層ボスと対峙するシーンでの発言は完全に「わかっている」ものの口ぶりです。

結果としてメイプルが、Theバカ(あるいは、コミュニケーションに結構ガチめな問題があるタイプの子)か、あるいは、極めて性悪な子かのどちらかに見えてきました。
{/netabare}

これ、、、賢者のお孫さんと同じに思えるのです。ただ、見た目かわいい女の子というだけで。男女関係なく、こういう人物が物語の中心にいるのは好きになれない性分でして、見ていて辛くなってきました。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゲームは遊ばれてナンボ(笑)

VR-MMORPGを舞台に、とある女子高生ゲーム初心者とその仲間たちの
楽しいゲームライフを描いた同名小説(web版、ラノベ版共に未読)のアニメ化作品。

【物語 3.5点】
テンポ良好。見やすい。

1クール内でイベントや新エリア実装などの新要素を切れ目なく打ち出して来るゲーム運営。

局地的には主人公メイプルの予想外の奇行によりグダグダな印象ですがw
トータルで見たら、優秀な運営なのかもしれません。

その土台の上で、メイプルが
トントン拍子でヘンテコスキルや装備や仲間を獲得していく様。
ノンストレスな展開にスルスルと誘い込まれる。


いわゆる異世界転生物でもデスゲーム物でもないため、
ゲームからログアウトすれば普通の高校生活が待っている。

ゲームでクセになった言動が、
リアルで飛び出してしまう描写は微笑ましいです。

リアルに影響が出ると懸念したら、ちゃんとゲームはお休みする。
人間やめたネトゲ廃人たちのアンダーワールドではないので安心です。
(もっともメイプルはネトゲ廃人とは別の意味で人間やめていきますがw)


【作画 3.5点】
ゲームならではのスキルが飛び交う戦闘描写など人物作画はまずまず。

こだわりを感じるのは、ゲーム内の背景描写。
例えば、{netabare}星空が広がる絶景を眺めながら、
飲むと瞳の色が変化するドリンクで浪漫に浸る{/netabare}
など、戦闘だけではなく、
ここでしか味わえない景色やグルメを演出し、VRゲームを美化。


【キャラ 4.0点】
話題の“超大型初心者”メイプル。
防御特化を軸に多彩なトンデモスキルを乱発するが、
その基本プレイスタイルは
{netabare}絶対的な防御力によりダメージをシャットアウトして、
後は、麻痺→毒のコンボで、息絶えるのを待つ{/netabare}
などという鬼畜の所業w

それでも彼女が仲間と人気を集めるのは、
その愛嬌、ひとえに可愛いは正義の濫用と言う他ありませんw


周りの仲間もライバルも、
みなチョットずつ変ですがw心はピュアな良い人たちばかり。
PKして死体蹴りするような人格破綻者に遭う心配もなく、
視聴者もノーダメージで完走可能です。


【声優 4.0点】
主人公メイプル役は本渡 楓さん。
天然成分配合のポジティブモンスターを演じさせたら破壊力抜群ですw

メイプルをゲーム沼に引きずり込んだサリー役は野口 瑠璃子さん。
名のあるキャスト陣の中でも臆せず経験豊富なゲームプレイヤー役を好演。
今後、エンカウント率が上がりそうな若手声優さんです。

「がお~」と告知してくるドラぞう(CV.丹下 桜さん)や
CV.玄田 哲章さん等で編成された管理者たちなど、運営陣も鉄壁。


【音楽 4.5点】
OPは純情のアフィリア「究極アンバランス!」

如何にもMMOのCMなんかで流れてきそうな明るい曲調。

“胸騒ぎ次元転送 可能にするVR ゴーグルの向こうは
光に包まれ 飛び込んでくるアナザーワールド”

などと売り文句も決まる。
(こうして、また廃人が生まれていくのですねw)


EDは佐々木 李子さんの「Play the world」
こちらも明るいリズムで、一生懸命前に向かって歩いていくポジティブソング♪


劇伴は増田 太郎氏。
古き良きゲームミュージック風だけでなく、多彩な作風で愉快なゲームライフを演出。

運動会徒競走風の?ほのぼのBGM「あたふた突撃」をメイプル無双シーンに起用するなど、
音響でも、腹筋を攻撃してくるw

白眉は佐々木 李子さん歌唱の挿入歌「Good Night」
ボサノバ調の軽快なリズムに乗って、
経験値やポイントを積み上げる苦行をポジティブに転換する。
コツコツ行きたい時にチョイスしたい応援歌です♪


【感想】
ゲームクリエイターのインタビューなどを読むと、
狙い通りのプレイをしてくれるのも良いのですが、
制作者も思いも寄らなかったプレイをされて遊びの幅が広がった時こそ、
クリエイター冥利に尽きるんだ。
という主張をしばしば目にします。

実際のゲームでも、こんなん絶対誰もやらないだろうw
という隠し要素が必ずと言って良い程、仕込まれている物。

マニアがセオリーと決めたゲームプレイだけに硬直化したらジャンルは縮小するばかり。
クリエイターは常にプレイヤーの奇想天外なプレイによる
破壊と創造を待ちわびている。


だから、本作にてゲーム運営をもひっくり返すメイプルを
“大魔王”などと愚痴っている管理者たちも、
内心ではきっと、ゲームの新たな遊び方を開拓してくれて
嬉しくて堪らないんですよ。きっと!(←暴論w)


このVR-MMOが今後メイプルにどう玩具にされていくのか?
制作が決まった続編でも、しっかりと見届けたいと思います♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40

62.8 4 成長で女子高生なアニメランキング4位
メルヘン・メドヘン(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★☆☆ 3.0 (264)
1012人が棚に入れました
「きみのためだけの、
物語を。」

物語が叶える、少女たちの願い。
世界に散らばった物語の原書。

少女たちは「原書」(=メルヘン)と出逢い、
選ばれ、魔法を得てやがて「原書使い」となる。

これは、そんな「原書使い」を目指す
「原書使い見習い」(=メドヘン)の少女たちが、
「原書」と共に自らの物語を紡いでいく

夢と魔法と青春の物語―

松智洋&StoryWorks
× カントクが贈る
魔法少女ファンタジー開幕!

声優・キャラクター
楠木ともり、末柄里恵、Lynn、日高里菜、大津愛理、加隈亜衣、上田麗奈、本渡楓、岡村明美
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

口移しにメドヘンください、本当のこと教えてください

3話までの感想{netabare}
「妙に引っ張るねぇ」ってのが3話まで見ての感想。
主人公が実力を発揮できずに後まで引っ張るのはよくあるけど、他のキャラの変身姿や、それで何が出来るかの能力をロクに見せぬまま3話まで終わるってあんまり無いんじゃ?
お陰で画面に派手さが無い。
最近の深夜アニメの作りとして大丈夫なんかね?展開の遅いブラッククローバーですら3話ではもうアスタは大剣振り回してた気が…。

と、ここで自分語り、自分語り過ぎるので畳んどきます。
{netabare}その昔ジャンアントゴーグってアニメがありまして、裏番組で“らんぽう”がやってまして。
わたくし兄が居まして、チャンネル権は兄が持ってまして、こっちはらんぽう見たかったのにゴーグ見させられまして。
じゃあゴーグで我慢しようかと思えば、あれってロボアニメのクセに4話までロボ出ないんですよね。
当時の自分としては不愉快で不愉快で…。
ついでに言うとマノンタイプのプラモデルの素の色が下半身ゴーグカラー(青)のまんまで…もう、怒りを通り越して虚無感を覚えましたね、あれは。
で、ドリスを心の支えにゴーグを見てたワケですが(あの太腿はズルい)、メドヘンはそれを全裸やブルマで賄ってるって感じなのかな?
今の時代それで引っ張れるのか?私は別に…ってかドリスのミニスカのほうがよっぽどゲフンゲフン{/netabare}

また、妙に引っ張ってるなぁって感想を加速させるのがOPの出来。
現状未完成なワケだけど、これも各キャラの変身姿を見せないために完成版を伏せてる?と思ってしまいまして。
ってかすっごい出来が悪い気がする、いくらあり合わせでもどうなんかなー?っていう…Gレコかよと。
キャラのアップになってモノクロ調になるカット、普通余白の部分にテロップ入れると思うのだけどそんなのお構いなしに中心に配置して絵に被せまくり、またはテロップ無し。
(その後放送されるゆるキャンのOPがテロップの手前に絵が被さってて余計に完成度が目立ってしまうのかも)

内容的には7校の交流戦、それをすることで発生する魔法パワーが原書図書館に巣食うシミを浄化するんだとか。
な、7校かぁ、それぞれの代表全員に活躍の見せ場あるのかな?
設定的にどうしても“永久アリス輪舞曲”が頭を過ってしまうのですが、あっちは「エンディングで登場するゲストキャラ、本編で全員は出しきれなかった」という笑える内容だったけど、それでも「登場するゲストキャラをポイポイ使い捨て」しまくって…つまりは一応の努力は見せての結果だったので不快感はありませんでした。
果たしてこっちはどうかなぁ…ギガンティックフォーミュラみたいになりさえしなければ大丈夫だとは思うけど…。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
「まで」といいつつ6話の感想…これは書かざるを得ない。
…。
辛い。
内容がつまらなくて辛いんじゃなくて、スタッフの現場が辛いという思いがこっちにも伝わってきて辛い。
他の方も指摘してる通り、絵がショボい。
厳密には絵っていうか、脚本?演出?コンテ?レイアウト?何が該当するのかよく分からないけど恐らく全部がショボい。
(アームスの作品によくある「カット同士の繋がりがおかしい」ってのとは若干違う気がする)
絵はヒドいけど話は面白いっていうのではなく、構成からして奇妙で…冒頭の「前回の15分前」って…苦肉の策を通り越して自暴自棄さを感じる。
元々これまでも意図的にアクションシーンを避けてた印象があったんだけど、そのしわ寄せが遂に来てしまったというか…。
もしかして…アクションシーンお願いしてた担当のアニメーターが逃げた?逃げただけならまだマシで、身に不幸が訪れたとかそんなんじゃなかろうか。
それの対策として脚本の変更ってどれくらい融通利くのか知らないけど、不自然な出来はそうやって生まれたのかなぁ、と。

ハーメルンのネズミ焼きや攻城戦どうしたとか長靴猫優勢不利アベコベだったりリンが観客席のどこに居るか分かりづらかったり静の墜落がギャグだったり連合チーム回想で乞食が身綺麗だったり。
各キャラのデザインまちまちだったり…簡略化がどうこうって問題ではなく明らかに間違ってる部分も多く目につき、個人的にはこれが致命的。
シンデレラのアレンジバージョンの新タイトル「シンデレラは振り向かない」だけど、これ聞いてパっと思い浮かんだのは「ポニーテールはふり向かない」ってドラマ。
エヴァガでスチュワーデス物語、豚骨ラーメンズでザ・ハングマンを彷彿とさせ、最近頭が古いドラマとリンクしやすくなってるせいもあるのかも知れんが、思い出してしまったワケですよ。
内容は全然覚えてないけどタイトルからしてポニーテールには注目が向くワケで、そこで主人公の変身後のデザイン見てみると…。

最初キディグレイドのリュミエール(序盤)みたいに片側に髪を寄せてると思ったんだけど、カットによって真後ろになってるシーン多数。
あれ、どっちなんだ?
6話まで引っ張っての、満を持しての変身回でコレってどうなんだ。
キャラ表すら渡されない中無理して描いた感が…。
ってか現場ヤバいんだったらヤバいで非シンメトリなデザインは避けると思うんだ…事故しか起こさんって。
(カザンなんて左右間違えるだろーと注意しながら見たら、左右どころか腕巻きが無いカットがあって吹いた)
和服ベースのキャラが居るので純粋なシンメトリは無理だとしても…って、静の足元のアレは蓮華座(別パーツ)ではなくスソがめくれ上がってるってデザインだったのね。
それって描きにくくね?下っ端の原画マンには辛いデザインじゃね?

と考えると、デザインした時には現場は余裕があったんじゃなかろうか?なにかトラブルが発生したんじゃ?と思ってしまってのう。
急遽ヘルプをお願いして…絵心無い人も狩り出した予感。
ネタじゃなくてガチでポプテミミッミ起こしてて…車のホイールとか、楕円は軸に対して垂直ってのは基本中の基本だと思うのだが…。


話の方では、これまた運が悪いとしか言いようがないのだけど、「デスマーチから始まる~」で、舞台の内容(創作ではなく史実ではあるけど)が権力者によって歪められてるってネタを扱ってまして。
まぁそんなのよくある話よね~って感じで、同様に童話にろ何にしろ元は結構残酷な内容だったのが時代によって変化してるってのはよくある話で(シンデレラにしろ姉は足を切り落とすんじゃなかったっけ?)。
それを踏まえた上で、では作中の“原書”が原書たる価値あるモノとして存在する理由は何ぞ?と考えると、全く改竄のされてない初版やそれこそ作者直筆レベルの原典に当たるモノなんかな~、と思ってまして。
けどそれ否定されちゃいまして、「オレだったらこうする」の二次創作バンザイになってしまいまして。
これまた「ハーメルンの笛吹き」が出たせいで余計に思ってしまうんだけど、「問題児たちが異世界から~」って作品がかつてありまして、そっちでは「広く伝えられてる内容は○○だけど実際は××なんだ」「ナ、ナンダッテー」って運びで敵の正体や目的を割り当てる話だったけど、それとは真逆なのね。
どっちが面白いかは知らんし別に構わんけど、その場合は“原書”ではなく新たな呼称を当てた方が良い気がする、今後そうなるのかね?

とりあえず、今回がトラブルによる出来の悪さであるなら今後復調する目処は立ってるのかな?ってのが気になるトコロ。
ずっとダメージ引きずったまま最後まで今回のようなクオリティだったら…それはそれで面白いかも?(下卑た笑み){/netabare}

7話感想{netabare}
自分が感想書く際度々名前を挙げてしまうのですが、脚本家に富田祐弘って方が居ます。
批判の意味でも賞賛の意味でも使うことがあるので、どうにも汎用性が高くてねぇ…。
これの説明ってどこかでしとかないとアカンのかなぁ?
ちゃんとこっちの意図が伝わってるかどうか不安に思うトコロもあったり。

で、7話、非常に富田祐弘チックでした。
要は出来が良かった(作画は置いといて)のだけど、それはあくまで7話だけなんじゃないかなー、と今後の展開に対しては期待が持てるモノではないというか。
“ゲンジ通信あげだま”が確変した時の雰囲気と非常に似てると言いますか…詰まるところはキャラ崩壊ネタってことなんですけどね。
1話からこのノリ、もしくは4クール作品だったら良かったのだけど、作画グダグダで、内部で色々問題起きてるんじゃね?と思われてる中でのコレですんで…。{/netabare}

10話までの感想{netabare}
こ、これは「観終わった」でいいのか?
残り2話、ちゃんとやってくれるのか?

↑で「アクションシーンお願いしてた担当が逃げたんじゃ?」「身に不幸が起きたんじゃ?」と書きましたが…半分当たっちゃってたらしい。
原作者が死去してたのは知ってたけど、てっきり出版されてる範囲でのアニメ化ってことで影響は無いだろうと思ってたら、実はアニメ制作(シリ構)にも係わってたらしくて…。
それが途中で居なくなってしまってこんな出来に…どこまで影響ある段階だったのかまでは分かりませんが、影響あったっぽい。
…。
さすがに人死にが絡んで来るとなると、その、批評しにくいッス。
参ったねこれは。
カントクついてないなぁって思ってたら、それ以上に原作者浮かばれんわ。
ってかね、穴が開いたら開いたで業界挙げてフォローしようってことにはならんかった、のか?
もし4月に放送ズレ込むなら6HP(シックスハートプリンセス)の枠潰して手伝ってもらえば…とか思ったもんですが、そういうわけにも行かんのか。
(村上も業界に恩売れて良いと思うんだが…6HPの新作を楽しみに待ってる人なんてそう居ないだろうし)
4月中もなんか無理っぽいよね。

話自体がゴタゴタのグチャグチャで、あと2話でどう畳むんだろう?ってのは純粋に気になるんだが…。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
もう何日も前になるけどギャオで11・12話が配信されてたので視聴。
ってか全話公開されてたんだけど、改めて1話から全部見る気力は無かった…。
本当に11・12話作ってたんだねぇ、永遠に未完成だと思ってたよ。
あれかな、これからの時代は配信なんかも視野に入ってるだろうし何があっても未完(打ち切り)ってのは避ける方向になってくのかな?
それはそれで良いことだとは思うが…。

とはいえ、放送されてた時の10話までの内容って殆ど忘れちゃってて…11・12話見ても「ああ、ちゃんと完結させたんですね」ってだけで面白いともつまらないとも思わない無味乾燥なモノに。
う~ん、一生懸命思い返しても、結局原書書き換えを行ったのは主人公だけなのか。
原書の中身によって持ち主の生き様が制限されてるような感じだったので、そこからの脱却として「シンデレラは振り向かない」に感化されて他の原書持ちも続々とオリ改変することを期待してた…んじゃなかったっけかな。
一応リンは開放されたことになるのか?あと団長アーサーもか…って、中の人“グリムノーツ”のレイナと一緒なのか、あーもう紛らわしい!
オチも「実は母親が~」からの「母親の残留思念に導かれて~」って感じになるのかな?
最後の最後まで葉月の義姉が友達のことをカレシだと勘違いしてたのが一番クスっとした部分だったような?本筋とはあまり関係ないなぁ…。

総評としては、10話までの内容忘れた状態で11・12話見てもしょうがないわ、これは私が悪い。
またどこかで配信がされたら…しかもその時に時間空いてたら1話から再挑戦したいところだけど、思うだけで実行しない予感。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

【11~12話完走分の追記】「きみのためだけの、物語を。」

2018年に冬アニメとして放送された本作でしたが、10話で一旦打ち切られました。
その後、作画の大幅な改善が図られ円盤では見違えるほどの仕上がりになったとか…
そして2019年4月に残されていた11~12話が放送されました。

まず、作り手の皆さまに申し上げたいのは…
「この1年間、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました」、これに尽きます。
きっと色々あったと思います。

カントクさんのキャラデザを引っさげて故人との約束を遂行する…
きっと最初は万全の布陣で臨んだことと思います。
でも、どこでボタンを掛け違えたのか…
蓋を開けたら待っていたのは全然望んでいない結果だったんですから…
様々な風評も飛び交っていたことと思います。
それでも全部巻き返して物語を完結させたことにプロ根性の神髄を見せて貰った気がします。

今回の視聴にあたり、いきなり11話から見ても展開についていけなくなるのが嫌だったので、
最初から視聴し直しました。

物語は、年に一度世界中の魔法学校からメドヘンが集い、魔法の力で戦う「ヘクセンナハト」の真っ最中…
優勝校には「どんな願いも叶える魔法」が与えられるので、参加校の気合は半端ありません。
それに、ただ戦うだけじゃない…自分の優先すべき大切なことや、戦う意義も模索しながらの戦いが繰り広げられていたのが10話までの展開…

物語は次の段階に進む…筈だったのですが、ヘクセンナハトに対する執着が展開を膠着させてしまうんです。
きっと起こっている事態は最悪…
過去にも同様の事態は発生したみたいですが、対処するのに相当の犠牲を強いられたようなので…

解決の仕方は全く無かった訳ではありません。
でも、それを選択するという事は、何を諦めることと同義なのか…
それが分からないメドヘン達ではありません。
でも踏み出さないとメドヘンの最重要事項への背信行為に値する…
まさに四面楚歌の状況…

そんな中、メドヘンたちが何を信じ、何を選択するのか…
物語の展開は全く予想外の変化球でしたが、綺麗に着地していたと思います。
特に後日談…個人的にあの纏め方は大好物でした。

物語が途中で終わっていたので気になっていましたが、
完結を迎えることができて本当に良かったと思います。



↓こちらが2018年の冬アニメを視聴して記載したレビューです。
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この物語の原作は未読です。
この作品の原作者は松智洋さん…代表作は「迷い猫オーバーラン!」や「パパのいうことを聞きなさい!」を執筆された方と聞けばピンとくる方もいらっしゃると思います。
私は、「パパ聞き!」でピンときました。
「パパ聞き!」ではアニメ化されたその後も小説化されて発売になりましたが、時をほぼ同じくして原作者がお亡くなりになっている…からです。

この作品の視聴にあたり調べてみたら、色々知る事ができました。
・松さんのシナリオとカントクさんのイラストを組み合わせたオリジナルテレビアニメとして、2014年にメディアミックス企画が始動していたこと。
・松さんが2016年5月に急逝され、その意志を松さんが代表を務めていたStoryWorksが引き継いだこと。
・企画の第1弾として小説が2017年2月に発刊されたこと。
・上記3点が今回放送されたアニメ化に繋がっていること。

故人との約束を遂行する…
生きていれば、当事者としてこういう場面に遭遇することもあると思います。
その時、残された当事者はその約束を全力で遂行させようと頑張ると思います。
この業界でいうと「ゼロ魔」の原作も一緒です。
原作者であるヤマグチノボルさんが完結までのプロットを残して死去されましたが、残されたプロットを基に続巻が刊行され、最終巻まで繋がりました。
これは、関係する人たちの思いのベクトルが合致したから出来たことであり、ベクトルを合わせるという点においては、日常の業務と同じで決して特別な事ではありません。

だから松さんの意志を継いで、アニメ化したこの作品を世の中に発信する…
当事者なら何としても成し遂げたい…使命感を持ってもおかしくないと思います。
だから満を持して世の中に発信されるべき作品だったんだと思います。

この物語の主人公は、物語が大好きな女子高生の鍵村葉月…
彼女は家族を含む周りの人とのコミュニケーションを取るのが苦手で、いつも本の世界に逃げ込むのが癖になっていました。

そしてとある日、いつもの様に本屋回りをしていたら、買った覚えの無い本が紛れ込んでいたのです。
それは「原書(メルヘン)」と呼ばれる物語から生まれた魔法の本だったんです。
そしてその原書は葉月を選んだ…
葉月が契約した原書は、長い間行方不明になっていた「シンデレラ」
その本は強力な力を持っているという…
こうして葉月は「原書使い見習い(メドヘン)」として自らの物語を紡いでいくのです。

物語としては、一寸の澱みの無い完璧な導入だったと思います。
でも原書とは契約したものの、それが「使いこなす」に直結するとは限りません。
それは葉月も例外ではありませんでした。
強力な原書ほど、強い意志と覚悟がなければ使えない…
でも強い意志と覚悟って…物凄く曖昧なので具体的にどうすれば良いか、その答えは自分で導き出さなければなりません。

それ以外にも張り巡らされた複数の伏線が、物語の展開を否が応でも期待してしまう…
これはその類の作品だったと思います。

原作は大人気の作品で、アニメ化を待ちわびていた声もたくさんあったとか…
そんな大きな期待を一身に背負ってこの作品は登場してきた訳ですが…どうしちゃったんでしょう、と思ったのが素直な完走です。

現時点で10話で一旦打ち切り…
その後の物語については「決定次第発表」との発表がありました。

この作品の歩んできた道は、成り行き上「特別ではない特別」だったと思います。
だから、この作品に臨むスタッフも並々ならぬ気合いが入っていたと思います。

物語の後半で「作画崩壊」の話題が上がりました。
でも、それ自体はこの作品に限った事ではなく、どの作品にも起こり得る事だと思います。
円盤では修正して…という記事を目にしたことがありますから程度の問題はあるにせよ、それ自体で私はその作品の評価を変えることはありません。

でも打ち切りという選択は尋常じゃないと思います。
だって、この結末は誰も望んでいなかった筈だから…
作り手の皆さんや声優の皆さん…など実際にこの作品の制作に携わった方が絶対一番悔しい思いをしていると思います。

今回のアニメーション制作会社はフッズエンタテインメント…
最近では「彼女がフラグをおられたら」「大図書館の羊飼い」「DRIFTERS」などを手掛けられているようですが、何の違和感もなく完走した作品ばかりです。

それが今回ばかりどうしてこうなってしまったのか…
きっと様々な事情が絡み合っていることは推察できますし、私たち視聴者がその原因を知る事もないんだと思います。
だから作り手の皆さんにお願いできるのは一つだけ…「初志貫徹」です。

オープニングテーマは、fhánaさんの「わたしのための物語 〜My Uncompleted Story〜」
エンディングテーマは、上田麗奈さんの「sleepland」
今回のfhánaさんの曲も格好いです。
もうfhánaさんの歌を毎期1曲は聞かないと駄目な自分になっている気がしてなりません。

当初想定していないからトラブルなんです。
だからといって決して諦めて欲しく無いのが本音です。
今後については待つことしかできませんが、個人的にはこの作品は嫌いじゃなかったので待つのは苦じゃありません。
現状を打破し、再びこの作品と出会えることを切に願っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

兎にも角にも完結しました~。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
いや、このアニメ、普通に、、、いや、普通より少しだけ上のレベルで、ちゃんと面白いと思います。

本好きの剣道部としては、本のタイトルをモチーフにした能力バトル(魔法少女)ものとして、普通に楽しんでいました。

しかし、これは「ヤシガニ」や「キャベツ」に並ぶレベルの(とまでは流石に言えないが、近年では1、2番と言えるほどの)作画崩壊を起こしたアニメとして、ある意味歴史に残るかもしれません。だから、あにこれの評価としては、苦しいでしょう。制作のバタバタもあり、12話が完結するまで、1年?を要しました。

もちろんそれは、マイナスでしかないんだけれど、これだけ時間を使っても完結させてくれたことには、素直に感謝ですね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
作画に関しては総括で触れたので、中身として良いところを。

ロシアですよ、ロ~シア(7~8話)♪

こういう、「実在の国をモチーフにした争い」系では、とかく、悪者にされやすいロシアチーム。しかし、なんとも明るく、可愛らしく、おバカで素敵なロシアチームだったと思います♪

ウラーーー!。

Wi-Fi通じる(笑)

空手でフルボッコ(笑)

いずれも笑えたし、萌えました♪

ロシアチームを主役にして、スピンオフ作ってもらいたいな~と思うくらい、楽しかったです!

→延期放送の11話以降

まず、11話冒頭の台詞が、「分からない、覚えていない」って、いきなり自虐かよ(笑) 確かに、10話までの内容はあんまり覚えていないけれどもw

12話、「物語に準じろ」「いや、新しい物語は私たちが作るんだ」の問答。

ハッピーエンドの魔法。

この作品らしい台詞に、展開に、好印象。

う~ん、やっぱり、悪くない。

この作品をちゃんとした作画と制作スケジュールで作っていれば、63点くらいには達したのでは?

あ~、ロシアチーム、好き~(笑)

EDの百合、いらねぇな~。超蛇足。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
読書好きが、コミュ障の記号みたいになっているのは、まあしょうがないが、本当はそうじゃないこともあるんだよなと。ちょうど、「本好きヒロインベスト10」を作っている最中なんだけど、ランクインできるかな? 異世界モノになるのかな? 魔法少女?

2話目
物語のストーリーが、能力に関係するのかな? 主人公はシンデレラ。蹴りとか強いのかな(笑) 現実でも時間が進行してるんだね。んじゃ、学校サボりまくりか? 退学するよw 土御門さんはかぐや姫。竹取物語じゃなくていいのか? メタネタw シンデレラって、凄いんだ。基準が分からんが、認知度? じゃあ、不思議の国のアリスが最強か? 聖書の次に翻訳されてるし。あとは、ドンキホーテとか、ハリポタ、指輪物語なんかかな? 学園対抗戦とか(笑) お母さんも原書使いだったパターンだね、多分。

3話目
どんな願いでもって、破格だな。あ、放課後だけ行ってるのね。原書原理主義者? シンデレラがなぜそんなに強い原書なのか、教えてほしいな。

4話目
一寸法師ね。和の物語は分かりやすい。桃太郎もいてほしいな。ゼーレかよ(笑) 微妙にリアルの政治的だな(苦笑) 諸国連合、イスラエルとかがモデルなの? それともカザフスタンとかかな。ニュータイプかな(笑)

5話目
3Pして終わんない? より、それを即座に理解している葉月が(笑) 服を買いに行く服がないって、スロウスタートでもやってたね。鶴の恩返しね。チーム戦で世界的なエース(かぐや姫)がいるなら、むしろ補助回復系がいた方が良いんでない? ほ~、バトルの種類も様々あるのですね。学園長、ニクい演出。なぜ、ナルト走り(笑)

6話目
このタイミングで新OP? ここからが、新たな、本当の(葉月の)物語って比喩かな。上手いと言えば上手い。なるほど、鶴の恩返しらしいリスクだ。長靴を履いた猫にハーメルンの笛吹き男。なかなか能力に幅があって面白い。バトル作画がクソショボい(汗) へ~、原書にリスクもあるんだね。ハッピーエンドなら良いんだね、じゃあ。シンデレラ改変とかって、大事件やん(笑)

7話目○
タチアナ、可愛いな(笑) ウラー! 毒じゃないんかい(笑) ロシア校、可愛いな、人が良すぎる(笑) Wi-Fi、メール送信、確かに(笑) イワンのバカ、敵だけの魔法封じ込めとか、チートクラスに強くねぇ?

8話目○
風邪をひく(笑) サムい小話(笑) つまりは影真似の術ですね。空手でボコボコw ロシアチーム、良いね(笑) ほとんどのアニメでロシアチームは悪者だったりやられ役だったりするけど、こういうロシアチームも新鮮で良いね♪

9話目
やばい、バトル作画酷すぎて笑える(笑) 作画酷いのはわかるけど、準備体操前に画面がガタついたのはなに? いや、むしろ、偉いな、(残った)スタッフ。こんなんなってるのに、ちゃんと放送しようと頑張っていて。なんか、泣けるわ。

10話目
作画、やや回復したかな? まさかのメテオ(笑) 範囲魔法最強系かな? 原書の新章ってのは、面白い発想だと思う。原作者の出身地によって、ある程度、国ごとの戦力が決まるのも悪くないし。うちきりは、残念。。。
{/netabare}

「11話以降」
{netabare}
11話目
一番最初の台詞が、「分からない、覚えていない」って、いきなり自虐かよ(笑) 確かに、10話までの内容は覚えていないけれどもw

12話目
この作品の個性をちゃん生かした最終回に好印象。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40

70.3 5 成長で女子高生なアニメランキング5位
バケモノの子(アニメ映画)

2015年7月11日
★★★★☆ 3.8 (639)
4223人が棚に入れました
原作・脚本 細田守監督。


舞台となるのは、人間界のほか、動物のようなバケモノが住む「渋天街」が存在する世界。

人間界「渋谷」から「渋天街」に迷い込んだ一人ぼっちの少年が、強いけれど身勝手なために孤独だったクマのようなバケモノの剣士・熊徹と出会うことで物語が展開する。

少年は熊徹の弟子になり、九太という名前を与えられ、彼と共に修行や冒険の日々を送ることになる。


声優・キャラクター
役所広司、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず、山路和弘、宮野真守、山口勝平、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、諸星すみれ、大野百花、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【ネタバレ無し】熊徹と共に吠えろ!!

2015年7月より劇場公開
本編119分


【前置き】

細田守監督の長編映画第4弾。
(ONE PIECEの映画を除くと。)
「時をかける少女」の頃は、原作を上手くアレンジし名作に仕上げた監督の手腕が高く評価されておりましたが、「サマーウォーズ」以降、その評判は一般層をも巻き込むカタチで大きくなり、今やポスト宮崎駿とすら呼ばれるまでとなり、その観客動員数も他のオリジナルアニメとは一線を画すレベルとなりました。
それに従い、批評する側の目線も高くなったり、偏った意見も多くなっていった印象を受けました。

私的には、監督の作品はどれも大好きです。
大手を振って褒められるかどうかはともかくとして。
なので、評判が上がるのは勿論嬉しいのですが、批評の中には闇雲な感情論による悪態でなくしっかり的を得ている意見も多くあり、色んな意見から新たな視点を得る機会に恵まれたことに楽しさも覚えました。


前置きが長くなりましたが、そんな監督の第4作目。
普段はあまり映画館へは足を運ばないのですが、知名度の高い細田監督の作品だけは評判が出尽くす前に見ておきたいと思い、前作品らと同様に出向いて来ました。



【あらすじ】

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街(じゅうてんがい)」という、通常交わることのない二つの世界。
ある日、とある事情から渋谷で途方にくれていた少年「蓮(れん)」は、渋天街の熊のような風貌のバケモノ「熊徹(くまてつ)」と出会います。

蓮は、熊徹から強くなるため弟子になるよう説得され、渋天街で「九太(きゅうた)」という名を貰い、日々修行に明け暮れるのでした。

8年後、成長した九太は偶然渋谷へ戻ってしまうのですが、そこで高校生の「楓(かえで)」から新しい世界や価値観を吸収することで、自身の生きるべき世界を模索するようになります。

そんな中、両世界を巻き込む事件が起こるのです…………。



【(劇場公開中なのでネタバレ無しで)語ってみる】

監督の他作品と比べて、本作はどこが優れていたか。
それは、この少年漫画的なシナリオからくる『熱さ』にあると、私は思いました。
サマーウォーズでもあった、「キングカズマVS人工知能ラブマシーン」の徒手空拳の格闘シーンが好きな人なら、本作でもまず燃えられるでしょう。
徒手空拳の格闘技だけでなく、本作はバケモノ達(と言っても怪獣ではなく熊男や猪男のような人型)による格闘技で、非常に力任せであり泥臭いところもあるのですが、迫力は満点でした。
作画は前作同様、映画であることを差し引いてもしっかり描ききれており、そこから上記のような魅せるシーンの更なる力の入れようは視聴者を大いに湧かせてくれます。
約2時間とアニメ映画としては少々長い部類ですが、私は一度も退屈させられるようなことはありませんでした。


ただ、映画のテーマとしては少々監督の引き出しが少ないと感じてしまったのも正直な話。
本作は、異種間を含めた「親子の絆」を描いた作品。
それこそ、前作「おおかみこどもの雨と雪」でもそうでしたし、広く家族と捉えれば「サマーウォーズ」でもそうでした。
細かく分ければ「おおかみこども」は完全に親の視点である為、本作とはまた少しテイストも対象となる年齢層も違うのですが、端から見れば一緒である時点で、多くの視聴者に既視感を与えてしまう点は残念です。
加えて、「熊男」「狼男」というのもまた、ニアミスしてると言わざるをえません。
舞台設定こそ監督の作品の中では新しい「渋天街」も、それこそ他作品で言えば見慣れた世界観であり、新鮮味には欠けてしまいましたね。


キャラクターに関しても、主人公の「九太」は、幼少時代は横着な熊徹のもとで子供なりに必死に学ぼうとする(加えてコミカルな)様に心打たれ愛着を持てたのですが、8年後のスマートになった青年「九太」は少々魅力に欠けました。
なんと言うか、見た目も含めて格好良過ぎたんですよね。
これは、前作でも主演声優を務めた「宮崎あおいさん(幼少期の九太)」と「染谷将太さん(青年期の九太)」とのキャリアの差も大きかったのかもしれませんが。
彼の見せ場のシーンも、そこに至るまでの過程や肝心の敵が少々腑に落ちなくて、首を傾げながらということもありましたしね。

何より、九太の師匠である『熊徹』が非常にキャラ立ちしている為、主人公の九太の活躍が、どうしても霞んでしまうんですよね。
私的には、青年九太が頑張るどのシーンよりも、熊徹が無骨に挑みかかる格闘シーンのほうに目を奪われてしまいました。

まず「役所広司さん」の演技が抜群に良いんです。
声をヘンに作っているわけではなく、でも役所広司さんの地声とも少し違う、まさに「熊徹」というキャラクターを自身で作り上げて演じ切った感じでした。
横柄で、人の話を聞かず、短気で、ぶっきらぼう。
そして、たった一人で自身を鍛え抜いて、自分の力で強くなった…、…強くなってしまった熊徹。
そんな男が、世界の違う人間の子供に目をかけ、なんだかんだで必死に育て上げていく様。
泣くには至りませんでしたが、やっぱり心に訴えるものがありましたよ。

この作品の評価は、この熊徹が好きになれるかどうかが大きな分かれ目となると思いますね。
私は、こういう男臭くて人情的なヤツ大好きなんです。
弟子になりたいかと言われれば、それはまた別の話なんですけどね……(笑)

勿論、魅力的なバケモノは熊徹だけでありません。
やはり見た目もインパクトのあるバケモノ達が中心となるのですが、中でもその熊徹の元で九太に目をかける豚顔の僧侶『百秋坊(ひゃくしゅうぼう)』は魅力的でした。
度々の彼の諭しがあってこそ、九太も…そして熊徹も、道を違えず成長出来たんでしょうね。
視聴後に声優さんが「リリー・フランキーさん」だと知りましたが、とても落ち着いて演じられていて、あの声だからこそここまで好感を持てるキャラになったんだと感じました。


主題歌であるMr.Childrenの『Starting Over』も非常に作品に合っている名曲でした。
いつぞや、ONE PIECEの主題歌を担当された時の曲は個人的に好きではなかったのですが、今回は自分にとっても大当たりでした。
このレビューも、この曲を何度もリピートしながら作りました。
聴くと自然と作品の良いシーンがフラッシュバックする、そんな1曲でしたね。



【総評】

映画館で見る価値があったかと言われれば、私的には十分ありました。
ただ、やはり初見且つ映画館というインパクトも含めて、評価が上乗せされた感はあるので、そういう意味では少し抑え気味な評価となるかもしれません。
まだ前評判の無かった「サマーウォーズ」を公開初日に映画館で見た時のインパクトと比べると、視聴後のテンションはかなり違いましたし。

ですが、やはりシナリオからも分かる通り王道ながらしっかり見せ場のある熱い作品なので、ファミリー層を中心にまた興行収入としては成功の作品となるでしょう。
勿論、変に偏り過ぎでなければ大人も十分楽しめる内容ですので。
私は同じ作品を映画館で二度見ることはまずないので、また足を運ぶことはないでしょうけど、早くBlu-rayでもう一度見直したいです。


ただ、やはり次回作以降の引き出しには不安を感じさせるものであったことは確かです。
アニオタ界隈では「ショタ好き」「ケモナー」等の名誉?なレッテルを貼られている細田監督。
そこが真実かどうかはさておき…この監督は、しっかりと面白いところが分かっていて且つ視聴者の目線にも立てる、そして「ショタ」等の偏った需要を上手く一般層向けに紛れさせ商業作品へと仕上げるセンスを持つ、数少ない実力のある監督だと私は思っています。

と言うわけで、次回作は
『ブッキラボウな男+そんな彼を慕うロリ少女』
という私の大好きな設定を是非、一般層にも受けるような作品へと昇華させ仕上げていただきたい。

……最後の一文は忘れて下さい。

読んでいただきありがとうございました。

◆一番好きなキャラクター◆
『熊徹(くまてつ)』声 - 役所広司さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『チコ』声 - 諸星すみれさん



以下、声優を務めた「広瀬すずさん」について。
(低俗な文章を含みますので、〆ます。)
{netabare}
本作のヒロイン「楓」を務めたのは、女子高校生ながら話題の女優『広瀬すずさん』。

とある番組での、悪質に切り取られたかのような彼女の言動が世間の反感を買い、謝罪騒ぎにまで発展したのをご存じの方もいるでしょう。

そう言えば以前にも彼女は、「明星一平ちゃん夜店の焼きそば」のCMで、一部言動が誤解を招くとして差し替えとなる騒ぎも起こりましたね。
これも謝罪騒動同様、私的には少々解せなかったんですよね。

全く………、


『ぶっちゅ~~~~~~~~~~、全部出たと?』


という言動の、一体どこに誤解を招く要素があったと言うのでしょうか。

しっかり口をすぼめ(ソースを)絞り出す様の、一体どこに何の誤解が生じていたのでしょうか。

広瀬すずさんには、これからも逆境に負けず作中の「楓」と同様に、自身の信ずる道を邁進していって欲しいものです。




………………………………ふぅ。

シュッシュ、フキフキ
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

“新冒険活劇”の意味は分からずじまいでしたが・・・

2018.08.11記


「時をかける少女」に続き「未来のミライ」公開記念で地上波で放送していたのを鑑賞。
細田監督作品は「おおかみこどもの雨と雪」「時をかける少女」に続き3作目の鑑賞となります。


今日も渋谷駅周辺は外国人で溢れ、きょろきょろしながら歩いたり、めいめい写真を撮ったりして楽しんでますね。これだけ多くの作品で取り扱われる街ですからなんの聖地巡礼かはさっぱりわかりません。ハチ公前交差点は都会の雰囲気を描写できる上、空間を広めにとれるため引きのカットをいろんなアングルから撮れることが作り手にとって魅力なんじゃないかと勝手に思ってます。

で、その渋谷の街とその渋谷に隣接する異世界「渋天街」が舞台のお話です。
お約束のハチ公交差点前もしっかり出てきますので、渋谷ファンは要チェックです。


家族関係で闇落ちしている少年“蓮”の視点から物語は始まります。夜の渋谷を走り回ったりするのですが、この時の背景しかり通行人の描写、防犯カメラを使った数枚のカットなどの工夫はさすが劇場版といえる作画です。ひょうんなことから迷い込んだ渋天街もプチ千と○尋の幻想的な作りだったりと導入はバッチリでした。ただプチ神隠し感が出たことで、否が応でもポスト宮○駿を無駄に意識させちゃったかもしれないのは余計だったかも。

物語は、作品タイトルやポスターの絵柄からバケモノ(熊徹)と蓮(または九太)の親子関係または師弟関係を軸とした展開が予想され、実質その通り進んでいきます。ただそこに焦点を絞り過ぎると中盤以降の追加要素に混乱してしまうかもしれません。《詰め込み過ぎだよん》という評はしかりで、父子愛というメインテーマを補足するための追加要素がわかりづらいです。父子関係に加え蓮の成長も描こうとしてますので尺を考えればギリギリ、劇場版の宿命とはいえ、多くを観客の解釈に委ねてます。


じゃあ自分はどうだったかというと、、、普通におもしろかったです。
ただもうちょい脚本はわかりやすく出来なかったかと注文はあります。
テーマは普遍的なものを扱ってますので、その一点突破で感動するかもしれない佳作と良作の中間と言っていいでしょう。


熊徹はいい味出してました。大正生まれか昭和一桁世代の佇まいです。イメージは星一徹(大正)か銭形のとっつぁん(昭和一桁)あたりでしょうか。頑固親父かと思いきや猪王山から子供のようと指摘されてる通り、がきんちょのようでもあります。このへんのイメージはLEONっぽい気もします。子供(っぽい大人)と子供の組み合わせもなんとなくLEON。


なにかと評判の悪いリアル俳優が声優を務める劇場作品の例に漏れず、本作もそうなのですが、全く違和感のない方がお一人いたと思います。
うさぎの宗師さま役津川雅彦さんです。 
{netabare}「お前という奴は迷いなど微塵もない眼をしおってぇ」{/netabare}
合掌…


細田作品のおおかみこどもの雨と雪では母子の愛を、本作では父子の愛ということになるんでしょうが、なかなか難しいのかもしれませんね。母と子の組み合わせが物語を作りやすいのかもしれません。であれば父と子の関係を扱った本作は意欲作ということでいいんだと思います。

{netabare}「君は俺と同じだよ。バケモノに育てられたバケモノの子だ」{/netabare}
蓮が初めて言葉にして父親と認めた瞬間、親父冥利に尽きるなと感じた瞬間でした。目の前で言われるかいなくなってから言われるか、男にとってはどうでもいいことかも。
多少のご都合展開は目を瞑って親父の自分が自己投影できたので評価が甘くなったことは認めよう(笑)


ちょっと気になったところはネタバレで隠します。

■白鯨の処理
{netabare}蓮と楓を繋いだメルヴィル著の『白鯨』。たしか船長さんが船もろとも鯨と運命を共にした話だったことは覚えていて、本編では一郎太が鯨に化けたあたりから嫌な予感しかしなかったのですが。。。
{/netabare}

以下ほぼ私見かつ妄想です。

■楓の役割って
{netabare}主人公と同年代の女の子だからといってヒロインではありません。九太が蓮に、彼が人間界に戻るための触媒と思えばたぶんすっきりします。
序盤、多々良と百秋坊が触媒となって蓮と熊徹を結びます。楓はもともと蓮が持っていた好奇心を現実世界に落とし込む存在として役割を果たします。
途中から出てきたのもあって恋愛要素を前面に出すと話がぼやけるため、あのくらいの按配で良かったことでしょう。{/netabare}

■女よ、GOMEN
{netabare}虎徹への弟子入り直後、剣士としての成長きっかけとなったのは母の幻影「なりきる。なったつもりで」の一言。宗師さま巡りを経て『大事なことは自分で見つける』と気づきがありました。これまで他人のせい、自分の殻に閉じこもっていた蓮が一皮むけるために母は必要でした。
楓もそう。8年ぶりに人間界に戻ってきた蓮は楓がいなければ路頭に迷って野垂れ死にしてたかもしれません。一郎太とのバトルでも早まって差し違えて終わってたかも。
父子愛がテーマの作品で、といいつつも結局女がいなければ何もできないのが男だったりするような。こうゆうこと言うのは女性に言わせれば男の甘えだそうです。{/netabare}



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2019.01.19追記
《配点を修正》


「おおかみこどもの雨と雪」で母子の愛、本作は父子の愛。
私は昭和の人間なので、父と子ってペラペラ話し合う印象が薄く、その延長線上、エンタメとして成立しづらいのでは?と邪推。
「クレイマークレイマー」のようなのも良いが、頑固一徹親父とその息子の物語をこの時代にこそ観たいとぞ思う。そういう意味で本作は及第点です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40
ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ぼくはケモノもオッサンもすきなので熊鉄のこと可愛いとおもいました(まる)

月曜メンズデーの夜に行きましたが客の少なさにビビりました。
3週連続細田作品地上波放送で、宣伝にも力入ってるのに……。
先が不安になりましたが、平日の夜だし、単に山形がアニメ過疎地ということ、なんですかね。

ケモナー細田の真骨頂!!
バケモノの造形が可愛らしく、現代的です。
どっちかというと人間に近い。もののけ姫のそれとは大違いです。
まさしくケモナーが好む、ケモナーのための映画といっていいでしょう。

本作を見て一番に感じることは、広い意味で男の子が好きそうな映画だな、ということ。
(話と関係ないのですが、「おとこのこ」を変換したら普通に「男の娘」というワードが真っ先に出てきたw 打ったの初めてなのに。なんという時代……)

主人公の男の子が、熊鉄というバケモノに出会うところからはじまり、ともに成長していくお話で、子供の目線、子を育てる男親の目線、どちらからも楽しめるんじゃないかと思います。
今までの細田作品では珍しいくらい激しいアクションシーンが多いのもポイントです。
個人的には、どっちの目線にも共感できたなと思います。
熊鉄の乱暴でぶっきらぼうな接し方が、自分の父親と似ているせいかもしれません。
だんだん、顔まで父親に似て見えるもんだから不思議。バケモノにもかかわらず、です。
でも、それくらいリアリティのあるキャラクターだったと思います。
熊鉄を演じた役所公司さんの演技が素晴らしかった、というのも大きいですね。
違和感なさ過ぎてエンドロールまで気が付きませんでした。
「ああ、俺の父親もこんな感じだったよな……」なんて、少し懐かし気持ちに。

先週「おおかみこども」が放送していましたが、それと比較するのも面白いですね。
熊鉄と花のキャラクター性の違いは、父親と母親の子どもへの接し方のスタンスの違い、とも言えそうです。
本作パンフレットの細田監督インタビューでは、
「最近、うちに男の子が生まれまして。父親として何ができるかなって、考えたんです。」
と、綴られており、作品には男親としての理想がやはり込められているんだな、と感じました。
確かに、父親だったら男の子が生まれたら、一緒に体を鍛えたり男としての強さを教えてあげたいって気持ちになるかもw

前作に比べると、キャラクターのセリフでメッセージ性となる部分をはっきり伝えるから分かりやすい。
その分かりやすさに徹しているぶん、想像の余地が少なく、物足りなさを若干感じるところが欠点。
なので、ふわふわした映画の余韻を好む人には不満があるかもしれません。説明不足の部分もあります。
が、それでも完成度は高く、この作品の評価はほぼ好みの問題になるんじゃないかと感じています。
お涙頂戴なくカラッとしていて、後味爽やかで笑いがある作品は個人的には大好きです。

見ているだけで高揚感を得られる、しっかりと作られた王道ファンタジー映画は本当に久しぶりです。
宮崎駿が引退したらしたで次世代の監督が良い作品を作ってくれる……。素晴らしいですね。
会社は違えどバトンは受け渡されていくものなのかな、と感慨深くさえあります。
この幸福な循環がずっと続くといいですね。


P.S. バケモノの子展行きたいです。一郎彦の帽子欲しいです(大人サイズ)。2015/7/17

【追記】
{netabare}
ひとつ気になったのは、ケモノらしさについてです。
作中、「ニオイ」に触れられませんでした。ケモノ臭いだとか、人間臭いだとか。バケモノとは言っても、獣人なんできっとケモノ臭がすると思うんです。

バケモノの子を見て後、もののけ姫が無性に見たくなって見てみると、その部分において明らかに違います。
バケモノの子に出てくるケモノたちは臭いも無ければ、見た目以外ほとんど人間と違いが無い。
文明も発達しており、異国風と思わせといて玉かけご飯を普通に食うくらい、生活にも違いが無い。
もしかしたら、生活型が日本人と同じで無臭になってしまった・・・という裏設定が(!)
なんて妄想したりw
熊とか、体臭すごいですし、ニオイの演出も加わるとより面白くなってたんじゃないかと感じました。
九太が人間界に戻ったときに、九太に染みついたケモノ臭さに楓が鼻をつまむシーンとか見たかったんですけどね(笑)
でもニオイに突っ込むと、一郎彦の正体がすぐばれてしまい話がややこしくなるから、なんて事情が見え隠れするのであえて入れなかったのかなー、なんて勘ぐったりしてw

仮に、ニオイがあったら熊鉄のオヤジらしさに、より一層リアルさがあったのかもしれない。
一方で、ニオイなど生臭い要素をなくしたことが、マスコット的な愛らしいオヤジキャラの演出に一役買っているんだろうなとも思うので、結局この作品には「無臭」のバケモノが正解だったんでしょうね。
熊鉄のことを「可愛い」と感じる背景に、実はニオイも深く関係してるんじゃないかと、一人納得しましたw
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

84.1 6 成長で女子高生なアニメランキング6位
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (803)
3097人が棚に入れました
公爵令嬢、カタリナ・クラエスは、頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻す。ここが前世で夢中になっていた乙女ゲーム『 FORTUNE LOVER 』の世界であり、自分がゲームの主人公の恋路を邪魔する悪役令嬢であることを!ゲームでカタリナに用意されている結末は、良くて国外追放…最悪、殺されてしまう…そんな破滅フラグはなんとしても回避して、幸せな未来を掴み取ってみせる!!勘違い?人たらしラブコメディの幕が上がる。

声優・キャラクター
内田真礼、蒼井翔太、瀬戸麻沙美、柿原徹也、雨宮天、鈴木達央、田村睦心、松岡禎丞、M・A・O、早見沙織、岡咲美保
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

麗しき7人の魔法使いと勢女カタリナ

略称「はめふら」。原作なろうweb小説は完結済。
小説書籍版で2巻まで、コミカライズは4巻までがweb版の本編相当。
3巻以降は書籍用の書き下ろしで2020年4月現在9巻まで刊行済。
コミカライズ5巻以降もこれからまだまだ続く予定。

アニメは全12話でweb版本編の結末までを描いて
ちょうどの区切りで綺麗に締め括ってすっきり。

当方原作ファンである。

転生ものというよりも、ラブコメディとしてかなりオススメの作品。
多くの視聴者は、主人公カタリナを愛さずにはいられないだろう。
なぜかは観てのお楽しみ。

声優の実力、マッチング共に申し分ない。

キャラデザは作風にぴったり。
鮮やか、優しさ、癒しなど場面に応じて絶妙に変化する色調の背景。
絵画的でとても気に入った。

OP&ED、そして劇伴のセンスがとても良く
アコースティカルな魅力が素晴らしい。
カタリナ子供時代の宮廷音楽風の音楽、
そして学園編からは、穏やかで癒しのある
素朴で繊細な魅力ある楽曲も加わる。

コメディ要素も劇伴と作画で程よく演出していた。

<あらすじ>
{netabare}
主人公の女子は、木登りの得意な野生児で
小学生までは野猿と呼ばれていた。
そして、中学入学後に出会った親友の影響で
アニメ、ゲームなどのオタクになった。
その無二の親友と一緒の高校に進学。
高校生になっても現実の恋愛にはまるで縁が無く、
成績もぱっとしない残念な子。
学校では、親友とオタクトークで盛り上がる日々。

そんな高二の17歳のある日、
親友推しの乙女ゲーム『FORTUNE・LOVER』にド嵌りして
夜更かしで大寝坊。あわてて自転車で学校に向かう。
しかし制御不能の暴走の結果、交通事故で死亡。

なんと生まれ変わりは、とても裕福な公爵令嬢だった。
両親の愛情にも恵まれ、何不自由なく育った8歳のある日、
初めて前世の記憶が蘇った。

すると間もなく、衝撃の事実に気付く…。
このまま無為に過ごすと8年後に殺されるか、
国外追放されるかの二択の未来が待っている。
人生破滅して詰んでしまう…。

超絶鈍感な頓珍漢だが、
まっすぐで裏表のない明るい性格が取り柄の彼女。
長生きして膝に猫をのせて日向ぼっこして暮らすような
優雅な老後ライフが目標の彼女。

そんな彼女は果たしてその危機を乗り越えられるのか?
{/netabare}

★ 第1話「前世の記憶を思い出してしまった…」
{netabare}
<おでこの×はダメな子の印か?>

アバンで状況説明完了。
そして、ジオルド第三王子と義弟キースの攻略完了。
カタリナ、天然タラシの実力発揮。
それを無自覚なのもカタリナの魅力だ。
打算など出来ないのだ。

カタリナ役の内田真礼は実に巧いしキャラによく合っている。
カタリナ脳内会議の5役の演じ分けは実に見事。
もうこれだけでも声優評価5.0確定
{/netabare}
★ 第2話「王子に勝負を挑まれてしまった…」
{netabare}
<笑顔で会話しているといって仲良しとは限らない>

ジオルドとキースは恋のライバルになった。
カタリナは恋の対象が自分とは思わず、
二人の牽制の会話を意気投合してると勘違い。

カタリナ、前世の記憶覚醒後、
日本人の庶民的行動で母親ミリディアナの悩みの種になる。
成長したキースはそんな予測不能なカタリナのお目付け役となる。

今回は、侯爵家令嬢四女メアリ、アラン第四王子の攻略完了。
メアリとアランは婚約中なのに…だ。
もはや男女問わず今回も恋泥棒としてハートを射抜き絶好調。

アランだけは、自分がカタリナに恋したことに無自覚なのはご愛嬌。

本能とノリで突っ走るカタリナは、重要な攻略台詞を無意識ながら
絶妙なタイミングで真心こめて使っちゃうから攻略できて当然なのだが、
誰も傷付けないから結果オーライなのだ。
しかも、二人の根深いコンプレックスまでも解消しまうとは
もはや恋の達人と言えよう。

今回は、アランの最後の吹っ切れた笑顔がとても良かった。

ところで今回初登場のメアリ役は岡咲美保。
エンドロールで確認するまで「転スラ」リムルのイメージが強過ぎて
彼女とは全くわからなかった。
{/netabare}
★ 第3話「麗しの美形兄妹と出会ってしまった…」
{netabare}
<一体どれだけたらし込めば気が済むんだ...>

伯爵家長男ニコルとその妹ソフィア攻略完了。
カタリナは今回で合計6名の美男美女に愛されるようになった。

カタリナはゲームでの体験から、
友人たちそれぞれの恋の相手を予測するのだが、
実際はそれは妄想。
その対象が自分だけに集中してるとは全く気付かない。
全く罪な女だが、根が善良なので誰も憎めないのだ。

次回はいよいよ学園編。
ゲーム内で主人公の(はずの)早見沙織演じるマリア登場か?
{/netabare}
★ 第4話「魔法学園に入学してしまった…」
{netabare}
<イベント乗っ取り魔はゲーム本編突入後も勘違い>

いよいよ魔法学園に入学。二年間の学園生活のスタート。
一年後の上級生の卒業パーティーが、
カタリナの人生総決算、生死の分かれ目だ。

魔法学園は、少しでも魔法の才能を持つものは
義務教育で必ず入学しなければならない。
カタリナのようにしょぼい魔力でも入学を拒否できない以上、
破滅回避に情熱を傾けるは道理ではあるが...。

周りを傍観してても自身を客観視できないと
カタリナの恋の犠牲者は増えるばかり。

カタリナよ、自身の破滅フラグを折ることに執着するのはもう止めよう。
前世の記憶覚醒後の彼女は、
破滅フラグに恋愛フラグを上書きし続ける日々だった。
彼女の破滅フラグは今やとうに存在してないのだ。
とは言え、視聴者のそんな声が聞こえるわけもない。
だから話はどんどん面白くなってるのだ。

<カタリナ、食い意地の権化が吉と出る>

当面のカタリナの心配は、ゲーム主人公マリアの存在。
マリア攻略を成し遂げるのは誰か、を心配するのはいいのだが
やはり決め台詞はカタリナが使ってしまう。
最終的に、身分差を全く気にしない姉御気質のカタリナの魅力で
マリアを順調以上に攻略し、カタリナへの好感度はうなぎ上りになった。
{/netabare}
★ 第5話「主人公の実家にお邪魔してしまった…」
{netabare}
<カタリナと仲良くなると笑顔の輪が広がる>

前回で仲良くなったはずのマリアだが、
どこかまだ心の距離を感じていたカタリナ。
さらなる蛮勇?でマリアのハートを射抜く。

告白イベント「友達になって下さい」大成功!
マリア、ソフィア、メアリは皆、
カタリナを中心とする親友になった。

カタリナは、友達として大事にするマリアだったが
カタリナの傍では、なぜかマリアの頬に赤みが増す。

そしてカタリナは友人として
マリアの恋をサポートしようと決心するのであった。
マリアにグイグイいく異性がいないのは
実はカタリナのせいなのだが...

<カタリナ、畑好き転じて福となす>

ゲーム主人公マリア攻略はさらに続く。
カタリナとキースの二人は、休日に田舎の畑を初めてお忍び見学。
そしてたまたまマリアが帰省中の村の傍を取り掛かったので
マリア宅を訪問することに。

結果としてマリアとその母親の
ぎくしゃくの原因となっていたわだかまりまでも解消。
マリアの真の笑顔を蘇らせ絆が深まる。

今回は、マリアとその母視点の丁寧な心理描写があったが
そのおかげでキャラの深みが増し感情移入しやすくとても好かった。

また田園風景も実に絵画的で落ち着きと人の温もりがあって癒された。
{/netabare}
★ 第6話「夏休みだから楽しく遊んでしまった…」
{netabare}
カタリナの魔法学園1年生の夏休みはギャグに満ちていた。

「カタリナ・クラエスの華麗なる夏休み」とお題の小ネタ集。
絵日記風の題字背景がとってものどかでグッド!
原作にあるネタも多いけど、ほとんどのオチはアニメオリジナル。

Web版原作結末までストレートに描くためだけなら
アニメではおそらく10話以内で十分と思われる。
今回はそのゆとりを上手く生かし、
前回までの7人の攻略完了のタイミングに相応しい回だった。

しかも、アニメ後半の大筋に向けての伏線も散りばめ、
カタリナと7人のキャラの関係性を丁寧に描いていた。
単なるコメディに収まらない意外と重要な回だったと思う。

<その1 やっこらせいのっ。。。どっこいせい!>
カタリナは努力の方向性はいつもズレてる。
しかしクラエス家の使用人に
すごく愛されていると分かるのがちょっといい感じなエピソード。

カタリナの、中身おばあちゃん的な本質と
母親の顔の皺を増やしてしまう、お約束となりつつあるやり取りを
軽妙に演出していて冒頭から掴みオッケーだった。

<その2 スイカもいいけどトコロテンもね♡>
キースとカタリナの姉弟の絆が本物だと何気に分かる小ネタ。

<その3 カタリナと7人の仲間たち>
湖までの道中、キースの邪魔が入るまでは原作にもあった。
しかし、カタリナ含め8人全員集合の
湖畔ピクニック以降は完全アニメオリジナル。
おそらく、アニメ後半では平和な日常は滅多に見られないので貴重かも。

<その4 カタリナたちのお買い物>
原作では味わえない脳内カタリナズが可笑しい。
魔性のニコルを若干クローズアップ。
たぶんアニメオリジナル。

<その5 アニメ後半の伏線はパーティ会場の中に>
アラン王子が相変わらず自分の想い人が
カタリナだと気付かないのがよくわかる。
また、メアリが意外と腹黒なのも…

<その6 夏休みあるある>
ありきたりなネタではあるものの
カタリナの見た懐かしい夢が意外と重要なエピソード。
{/netabare}
★ 第7話「危険なダンジョンに入ってしまった…」
{netabare}
その大筋はアニメオリジナル。
ダンジョン攻略というミッションでファンタジー感を演出。
学校の課題なのに命がけなのはコメディとしての愛嬌。

カタリナを取り巻く7人が優秀な魔法使いだということを
このタイミングで伝えるのも次回以降の展開のためにも重要と思えた。

今回、原作の「きのこ」ネタを無理やり入れた感あり。
また今回の作画はちょっと微妙だったのは残念。

<当たり前に続くと思っていた日々…終わりは突然やってきた>
何はともあれ、今回の肝はソフィアの見た夢だろう。
宿縁をさりげなく織り込み人間関係に深みを与えている。
個人的に原作が好きな点だ。
{/netabare}
★ 第8話「欲望にまみれてしまった…」
{netabare}
今回もアニメオリジナル。
閑話としてなかなかのエピソード。
前回のアニオリ回よりもよく出来てたと思う。

<台風カタリナの被災者たちはいい迷惑>

またもやカタリナは、ポチっと自爆してトラブルの渦中に。
そして相変わらずカタリナに金魚の○○状態の7人は振り回され、
一緒に魔法書のトラップに嵌ってしまった。
確かにカタリナの傍にいると飽きることのない楽しさがあると妙に納得。
カタリナの食欲は魔法書のトラップをも凌駕するというオチが「カタリナらしくて」いい。

<今回の原作では味わえない、微笑ましかった点>

カタリナの食い意地をギャグとして上手くアレンジ出来ていた。
また、特にCパートでアラン、カタリナ、メアリの
三者の関係性がよく描けていたのが好かった。
未だ自分の恋心に気づいてないアランが純情で好ましい。
青春だ。

次回、カタリナの直属メイドのアンにスポットが当たるフラグあり。
{/netabare}
★ 第9話「パジャマパーティーで盛り上がってしまった…」
{netabare}
またもやアニメオリジナル。
但し、今回のアン絡みのエピソードは原作にもあり。

サブタイトルに騙されそうになるが、
今回はアンとカタリナの関係の方がメインテーマだろう。

<カタリナ様は私を、アン・シェリーと言う一人の人間にしてくれた>

カタリナを取り巻く7人のキャラの心情を
唯一、正確に客観的に俯瞰できるメイドのアン。

令嬢としてはダメダメなカタリナにとって、
アンは自分らしく貴族界で生きていく上でかけがえのない存在。
アンにとっても、
自分の存在意義を与えてくれたカタリナはかけがえのない存在。
そんなエピソードは、個人的に原作の中でも好きな部分で、
アニメでも描いてくれてうれしい。

今回その他、パジャマパーティー他でのギャグ要素は
目新しさが無い分まあまあ。
ただ、全体的に各キャラの持ち味を上手く掴んだ上での
人間模様が描けていた点はよかったと思う。

Cパートで、次回でようやく本筋に復帰しそうでちょっとホッとした。
{/netabare}
★ 第10話「破滅の時が訪れてしまった…前編」
{netabare}
6話から9話迄、閑話要素多めで
破滅フラグ回避の本筋から離れ気味で若干テンポが悪く感じたのだが...

<閑話休題。いよいよお待ちかねの断罪イベント到来なのだ>
8,9話は、カタリナファイブの出番がなかったが、
久しぶりにカタリナファイブ脳内会議復活。
ヒゲ議長を気に入っていたのでちょっとうれしい。

ここで新登場!闇の魔法。
本作のシリアスな負の要素を一手に担う。

カタリナファイブ登場後は、あっという間に
今までのほのぼのコメディ路線から完全脱却。
マリア失踪で動き出す物語。
カタリナもピンチに陥ったのだが…

とは言え、
今回もカタリナの食い意地が無双だったのが最も印象的だった。
{/netabare}
★ 第11話「破滅の時が訪れてしまった…後編」
{netabare}
本作を視聴初期から物語評価5にしたのは、
実は今回の描かれた原作エピソードを非常に気に入っていたからだ。

<Sleeping Beauty 夢で逢いましょう>

失われた過去に戻る夢。
家族と親友との再会。
当たり前だと思っていたあの頃。
あの頃は幸せだった。
カタリナの前世の女子高生の目は
今回、初めて描かれ顔の全体像が分かる。
(名前は相変わらず不明のまま)
原作では、本人曰く母親譲りの狸顔とのことだが、
アニメで可愛く描かれていてよかった。

<学校は楽しい?>

失うなんて絶対に嫌!その想いは皆に伝播し絶望から希望に。
今までのエピソードと細やかなキャラの回想シーンで
伝わる7人のカタリナへの深い想い。
それがカタリナ復活の鍵となる。

<今度はソフィアとしてずっと傍にいるから>

あっちゃんとの本当の別れは切ないがそれでいいのだ。
{/netabare}
★ 最終話「最終イベントが来てしまった…」
{netabare}
<勢女なだけでなく、聖女でもあったカタリナはやっぱり無双>

あなたが苦しんでいるのを救ってあげることは出来ないけど、
傍にいることは出来るから。……だから一人で泣かないで。

カタリナのまっすぐな優しさは、
隠しキャラの亡き母親の愛情と同質で
荒んだ彼の心を完全に解きほぐし、
彼は人生のやり直しが出来るようになった。
すべてのヘイトは、彼に取り憑いていた
怨嗟の塊の怨霊とも呼ぶべき存在が全て被り、
誰も悲しむことなく大団円で隠しキャラ攻略完了。

<これからもずっと、あなたの傍にいさせてください。>

後半、最終メインイベント、2年生の卒業パーティーへ。
カタリナファイブ脳内会議も19,800回目で一応終了のようだ。
結果的にエピローグの状況と化したラストイベントなのに、
カタリナは相変わらずピント外れなのはお約束。
また一人、無自覚にたらし込むカタリナは流石なのであった。

<ゲームのシナリオにはなかった新しい季節がやってくる>
祝アニメ二期製作決定!
学生から学園卒業後の社会人へ。
闇の魔法をめぐる新たな攻防。
新たな人間関係も生まれる。
カタリナの人たらし道はまだまだ続く。

小説版で原作の描かれる範囲にもよるが、
外国も登場し、スケールも広がる可能性ある二期。
どう描かれるか楽しみだ。

新物語へごきげんよう!!

余談だが、エンドロール直前、
ラファエルが就職先で
事務仕事でこき使われてるっぽい一瞬の画に
二期登場の新キャラの一人がいた。
原作の流れでは、まだそこにはいないはず。
時系列がおかしい。
単なる二期フラグのために登場させたのか?
それとも原作カットして登場させるつもりなのか?
ちょっとだけ気になった。
{/netabare}

◎「はめふら」で見つけた新鮮な主人公像
{netabare}
<ダメな子ほど可愛い>

この作品、見事なまでの逆ハーレムなのは明白だが、
カタリナは想われる一方で決して両想いにならない。
それはドロドロな愛憎劇を回避させ、
誰一人傷つくことなく
どこまでも笑えるコメディとして成立させる必要条件なのだろう。

カタリナは、前世からリアルな恋愛には全くの無縁であり
異性に免疫がないから、リアルな求愛アプローチが自分に向かうと
キャパオーバーで対処不可能になり現実逃避になりがち。
理解不能なこと、不都合なことはあっという間に忘れる。

恋愛は、ロマンス小説での疑似恋愛だけでも満足なのだろう。
前世も、ラノベやアニメ、乙女ゲームで満足していたオタク女子。
ゆえに耳年増な恋愛スキルはそれなりで
それがゲーム内の今世では逆ハーレムを作ってしまう。
しかし彼女自身はその現状を全く認識できない可笑しさが本作の肝だ。

カタリナに1ミリでも計算高い狡猾さがあり
この現状を意図的に導いていたとしたら
一気につまらない作品になるだろう。

カタリナの性格は裏表なく真っ直ぐ打算などできない。
一応破滅フラグ回避の打算が働く行動は多々あるのだが
それはズレてて、相手を思いやる気持ちで一杯で微笑ましい。

カタリナの本質は善良、友愛の塊だから
その頼りなさ、単細胞さは周りの父性母性的な保護欲を刺激する。
悪気なく恋愛に鈍感な彼女を恨むことなど誰も出来ない。
結果、カタリナへの恋の犠牲者は死屍累々でも悲惨さは皆無。

<そしてカタリナの老後プランには配偶者や子孫のビジョンがない>

彼女は例え貴族階級からパージされても
農業で自活さえ出来れば構わないという執着心無く剛毅なお方。

出世欲は皆無。
美味しいものを沢山食べ、
ロマンス小説を愛好し、農業という趣味と実益を兼ねたもので
只今を明るく楽しく逞しく生きれればそれでいい。
孤独は嫌だが、多くは望まず最低ペットさえいてくれればいい。
それが彼女の生きる道。

普通、主人公が健全な若い男女なら、
自身が異性にモテることに興味があるのが当たり前なところを
あえて外し、自身の色恋には無頓着にして、
他作と差別化した主人公キャラ。
その徹底したブレなく、かつ脳天気で裏表のない性格。
本作の魅力的な個性で新鮮に思う。
作者のセンスの良さを感じる。

<主人公カタリナ、実は最強説>

異世界転生&召喚系の主人公最強設定のアニメは非常に多い。

ではカタリナはと言えば、
魔法、武術、芸術、学力、知略すべてポンコツ。
一見能無しで残念な主人公。

しかし原作小説を9巻まで読んで感じたことがある。

転生時に、彼女が天より与えられた
世渡りの武器となるギフトと言えば
「強運」じゃないだろうか?
特に、
「出逢い運」「人から愛される運」「問題解決運」
に関しては最強かと。
(まあ意地悪な見方なら、作者のご都合主義の結果、
すべてがたまたま上手くいってる、と言えなくもないが)

ともかく彼女は出会う人すべてに愛される。
しかも、その多くは身分が高かったり、能力が非常に高いのだ。
彼女に接する多くの人は、
権謀術数渦巻く封建階級社会に在って
野心乏しく裏表のない善良さは希少価値で新鮮。
結局、彼女の足りない能力は周りが常にフォロー。
常に多様な実力者から多大な援助が得られ
ピンチもスルリと潜り抜けられる。
彼女は常に向上の努力は欠かさないから怠け者ではない。
的確な努力の方向性を見極めるセンスが無いだけ。

彼女の本質は、自らを卑下することない根明な楽天家。
自分自身にはからっきしだが、他者に対しては
時に人間理解の鋭い正鵠を射た慈愛豊かな直感が発現する。
さらに出会う人を健やかで豊かの人生の流れに変える力がある。

以上から彼女には「無垢なる導師」という称号を与えたい。

今は志が低いけど、
人生いずれ志が高くなるようなことがあれば
「俺TUEE」な主人公より労せずに
よっぽどすごいができる可能性を
秘めているんじゃないないか。

自分が強いことも大切だが、
人は一人では生きていけないのだから、
自分で何でも出来るより
他者に活躍の場を与え、
生き甲斐を与えられる方向に特化したような
そんな彼女の才能もいいもんだと思う。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

観終わった

8話までの感想{netabare}
おっ、キャラデザ大島美和じゃーん。
“仙狐さん”は2話くらいで断念しちゃったんだけど、今回は最後まで見れるかな?
作品によってまちまちだろうけど、衣装デザインってキャラデザの人がやるのかね?
私は大島美和といったら“彩雲国物語”や“恋姫無双”のイメージが強くて、東洋系の衣装はイケるけど果たして西洋系の今作はどうかなー?というのも見所、かも。

それと乙女ゲーはよく知らんのだけど舞台のゲーム世界は“アンジェリーク”だか“金色のコルダ”だか…どっちがどっちだったか記憶曖昧だけどそれっぽい?
とはいえそれらはゲーム主人公に嫌がらせする女キャラは確か居なくて、そういうのが居るとなると名作劇場のセーラだかなんだかを思い浮かべてしまう。
と思ったら木登りが得意って…赤毛のアンかな?まぁ乙女ゲー自体がそういう辺りを踏襲してるんだろうね。
とりあえず私はイケメンが多数出ようがホモホモしくなければ案外平気。

で内容の方だけど、うん面白い。
イラっとくる鈍感主人公モノは数あれど、こっちは「破滅フラグを回避することに頭が一杯でそこまで考えてられない」という納得できる理由があるのがデカいのかな?
妙に主人公に恋心が集中してしまうのも、元々そういうのを目的とした恋愛ゲームが舞台だと考えると不自然には感じない。
というか恋愛フラグを先取りして強引に恋心を自分に向かせてしまった辺りは結構笑える。
それとやっぱり「前世の知識と照らし合わせる」シーンが多いのはありがたい、いわゆる脳内会議シーンね。
異世界転生モノの中には「転生した意味ある?」「前世の知識ホントに覚えてる?」と思うのもちょいちょいあるので、そこら辺はキッチリ意味あるものとして描かれてるのはそれだけで好印象(普通それが当然だと思うのだが)。
一方で恋心を先取りされてしまったアンジェリーク…じゃなくてマリアはちょっと不憫かもw

ところでこれは原作未読ならではの感想になるけど、ひょっとしてこの世界にはカタリナ以外にも転生者が潜んでる?
な~んか生徒会長が怪しい気が…と思ったら7話でソフィアがソレっぽい感じ(但しハッキリとは自覚してない)、えっそっち!?
と思ったら8話で図書室を勧めたのが会長で、やっぱり会長はアヤシイ?
というか8話はそれまでの流れからするとやや異質ですよね、ゲーム世界内ゲームでそれを観測したりリアルと言ったり。
まさか実は全員前世持ち…なんてことは、ある??
最後は恋敵同士の修羅場になって結局破滅してしまう、なんてオチになってもそれはそれで面白いかも。
あーそれと、本来だったらカタリナは悪役グループとして徒党を組んでたハズで、そっちはそっちで交友あったんじゃないかな?
今回の周回ではそっちをおざなりにしてるワケで、それ絡みで破滅って可能性もあったりする?

と、ここまで書いて気付いた、この作品は修正力みたいなのが存在するかどうかが関心を寄せさせてるのかも。
選択誤ったらそこで破滅してたかも?、上手くコトが進んでるように見えるけど破滅フラグは回避できてないのかも?みたいなところをそこはかとなく匂わせてるというか…。
ってことでそれっぽく伏線を張ってるのか、単なる勘違い・考えすぎなだけなのか今後も目が離せない状態。
これはスタッフ狙ってやってるんじゃないかなー、まんまと乗せられてます。{/netabare}

10話までの感想{netabare}
やっぱり面白い。
マリアが「この世界の本来の主人公」としてのスペックや振る舞いをしっかりと描いてるところも評価したい。
それまで謎の影に唯一気付いたり、10話なんて光魔法の使い手として対峙したり、もうホント主人公w
いわばこの世界はマリアのために作られた世界で、カタリナはそれをお膳立てする踏み台にしか過ぎなかったところを、ゲーム(設定)には無い異常行動をしたせいで世界が云々~って視点で見てもしっかり作られてるんじゃないかな?
って、そういう内容の作品って以前も見たような…と思ったら、思い出した、“エクスパーゼノン”だ、他にもあった気がするけど(※)。
そっか、それが心のどこかにあってオーバーラップして見てる部分が私にはあるのかも。
あっちでは主人公になるハズだったキャラが「なんなんだお前は、お前さえ居なければ」と主人公を責め立てたけど、こっちではそうはならないよね、まさかね。

でもって本来の主人公が闇使いに捕らわれてしまった時点で、これはもうバッドエンドが始動し始めてるって認識でいいのかな?
ゲームのシナリオ通りの隠しキャラ攻略エンド(つまりはマリアが中心)ではなく、カタリナによって改変されたグッドエンドで終わって欲しいところだけど、あれ?そもそも「ゲームのシナリオ通りの隠しキャラ攻略エンド」自体がよく分かんないやw
「本来だったらこうなるハズなんだけど~」と脳内会議で見せることも難しいよね。
それと10話冒頭、カタリナの悪事を書いた書類、実際どんなことが書かれてたのか具体的には明かされませんでした、ちょっと見たかったんだけどなぁ。
その例からして「ゲームのシナリオ通りの隠しキャラ攻略エンド」がどんなものなのかも伏せたままな可能性は…高い?
いやぁ最後どうなるんだろうねぇ。


他の例としては、世界が想定してた主人公がとっくに死んじゃってて、代替キャラが「主人公」でなくては達成できない設定のミッションに臨むって話(偽者が本物を上回る話)もあった気がするんだけど具体的に思い出せない。
アニメだったか映画だったかも不明、異世界転生モノだったかなぁ?
ひょっとしてこれじゃね?と思い当たる作品ありましたら教えてくれると嬉しい。{/netabare}

総評(重複あるのでこれだけ読めばいいかも){netabare}
コロナ騒動で放送が延期になった作品が多いので正確ではないけど、今期一番面白かったんじゃないかな。

転生モノってことにはなってるけど、実際のトコこれは時間遡行・ループモノの側面の方が強い気がする。
だって未来の展開を知ってるんだから、悲惨な未来をどう回避するかって話なんだから。
これを異世界転生のカテゴリに入れるのは私にはちょっと抵抗がある。
一方で、実は怖くて一度も覗いたことがないのだけど「なろう」という場所が異世界転生タグが付かないと閲覧数が稼げないのなら、作者は上手い所を突いたなぁと思う。
物語の世界へ飛び込んだり過去の偉人の生まれ変わりだったりする作品はいくらでもあるけど、それを流行りの異世界転生モノに上手くミックス?いや擬態させたなぁ、と。
また、転生先の舞台がゲーム世界なので、主人公以外のキャラクターが普通の人間だったらあり得ない様な思考や言動をしても気にならない。
「だってそうなるように作られた世界じゃん」と許せてしまう、良い悪いは置いといて「作り物の世界」である前提で私は見てて「そりゃないだろー」という突っ込みは沸きようが無かった、これも上手いと思う。
酷いこと言っちゃえば私は途中まで主人公以外のキャラは血の通ってないAIだとしか見ておらず、そこへ「実は他にも転生者が紛れてるかも?」というネタを入れてきたのはさすがとしか言い様が無い。
かなりしっかり練られてるんじゃない?原作者なのかアニメスタッフなのかは知らないけど。

ただ惜しむらくは──これは作品の評価に直接は関係しないけど──私が乙女ゲーをよく知らないので、乙女ゲーあるあるとかあったとしても理解できないのが…悔しい。
こんなんだったら“アンジェリーク”だか“金色のコルダ”をもっとちゃんと見ておけば良かったなぁ、最近なら“ナイトブラッド”はしっかり見たけど、あれは乙女ゲー?
正直7話の遺跡探索なんて「え、そんなことする世界だったの?」と面食らったものの「乙女ゲーじゃこういうのがあるのが普通」と言われたら納得するしかない。
最後の友情エンドも「あーそっか、そういうエンドもあるか」と、乙女ゲーに限らず恋愛シミュレーションゲーだったらよくありそうなことまで考えが及ばなかったり。
なんか色々と…私自身に対して悔しい。

で、そんな視点から見てた身としては、妙に主人公に恋心が集中してしまうのは元々そういうのを目的とした恋愛ゲームが舞台だし当たり前。
よくあるこれといった理由も無い鈍感系主人公はイラっと来るけど、こっちは「破滅フラグを回避することに頭が一杯でそこまで考えてられない」という納得できる理由があるのもデカい。
というか恋愛フラグを先取りして強引に恋心を自分に 向かせてしまった辺りは結構笑える。
それとやっぱり「前世の知識と照らし合わせる」(ループモノと捉えるなら「前の周の記憶と照らし合わせる」)シーンが多いのはありがたい、いわゆる脳内会議シーンね。
個人的にはこれが一番評価高いかな?
異世界転生モノの中には「転生した意味ある?」「前世の知識ホントに覚えてる?」と思うのもちょいちょいあるので、そこら辺キッチリ意味のあるものとして描かれてるのはそれだけでも好印象なのだけど。
先にも書いた「物語の世界へ飛び込む作品」、比較に挙げて申し訳ないけど“グリムノーツ”だと「元の童話のストーリーは説明しなくても知ってるでしょ?」って体で進んで、分からんモンは分からん。
(発展系?と思われる“レクリエイターズ”でも、元の作品の説明ってロクにされてなくて察しろって扱い)
あるいは影絵っぽい表現なんかで一応説明されることもグリムノーツに限らずあることもあるけど、今思えばそれも苦肉の策だったのかな?
そこに当たる部分を面白く見せる工夫として「脳内会議」はよく出来てる、もうこれからは「実在・創作に係わらずその作品内で既存の物語」の内容を説明する時は全部脳内会議方式を採用しよう、とさえ思ったりw
むしろそこが面白かったからこそ、ベースとなる乙女ゲーに興味が沸いてるのかも?

そんなことを思うと恋心を先取りされてしまったアンジェリーク…じゃなくてマリアはちょっと不憫かもw
本当は主人公としてバッドエンドでもなければ誰かと結ばれて幸せになれたハズなのに…。
といいつつ、マリアはマリアで本来の主人公として扱うことをスタッフは忘れてない所がまたニクい。
上記の遺跡探索の7話、そこで闇の魔法に唯一勘付くワケだけど、本来のゲームだったらここで隠しキャラルートの分岐が発生してた?
また11話で監禁されてた所を救われるワケけど、光の魔法使いには眠り続ける呪いが効かないから監禁されたのね。
主人公としての特別感というか、本当はカタリナは脇役でしかないということを再認識させるのにも一役買ってるかと。

そうそう、あと細かい部分としては通常エンディング。
万華鏡的なエフェクトで色んな表情のカタリナを映し、最後のカットの一つ前で後ろ姿を見せ、「さてここではどんな表情をしてるでしょう?」「本当の顔はどれでしょう?」と興味を引かせたところで最後あのアホ面w
個人的には毎回その回の内容に合わせた表情に差し替えるんじゃないか?と予想したけどそうではなかった。
けど手抜きで雑に描いたんじゃなく狙いがあってそうしたと分かるし、これで「あ、スタッフ細かいところまで考えてる?」「期待していいかも?」と予感できる。
まぁその…比較に挙げてホント申し訳ないけど意味もなくタピオカを持たせるのとはワケが違うよ、と。
あ、それと農作業シーン。
特に変なところもなくむしろよく描けてる位でとやかく言う程でもなかったのだけど、マリアの実家に苗を植えた件、そこだけはどうなんだ?と思ったら、最終回でカブだと明かされました。
ああ、カブならOK、もしあれがナス科だったらどうしようかと…ここら辺もちゃんと考えてた・取材したんじゃないかな(5話の植え付け直後の映像ではカブに見えないけど…まぁご愛嬌)。
原作者が詳しい?「緑の指」は普通に使われます。


と、思い切りベタ褒めしたところで、えええ、二期決定だって?
綺麗に終わったなーと思ってたのに大丈夫?蛇足にならない?
一応未解決な部分は…あるにはある。
原作未読なので妄想語りになるけど、闇の魔法で人格入れ替えができるようなことは描かれてた、実際は術が未完成だったのか記憶を移植しただけに留まったけど。
そこを掘り下げてカタリナ転生の謎に迫ったりするのかな?
またはあの世界(ゲーム世界)ではあり得ない選択ばかりしたせいで世界が歪んでデバッグルームが開いて封印してた管理者が現れたり?(“ユリシーズ”ネタ)
そっち方向へ進むなら個人的には面白そうだけど…それ以外でも構わないけど面白くあって欲しいねぇ。
不安と期待が半々じゃなくて「どっちもデカい」。
あ、OPはアンジェラでお願いね。{/netabare}

余談{netabare}
私は全然気付かなかったけど、友人曰くOPの木登りシーンはデータイーストの「のぼらんか」(1986)ではないか?とのこと。
大技林ネタもあるしそうかも知れないねぇと一定の説得力はあるけど、だとしたら本編も乙女ゲーパロを仕込んであるのかも知れない。
ぐぎぎ…気付けない・判定できないのが悔しいです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 31
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

かけがえのない、1人。

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジャンルは、異世界転生(なろう)・コメディ。

これは、「どちらかといえば」良い方のなろうです(笑)

いつもの「なろう」とはひと味違うので楽しめた反面、「やっぱり、なろうだな」と思う部分もあり、そのへんの、「良くも悪くも、なろう」という部分をレビューに書ければと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
序盤の3話、つまりカタリナの子供時代の話は文句なく抜群に面白かった。

テンポの良いギャグと、魅力あるキャラクター。ハチャメチャなストーリー。

まず、「ゲーム世界のNPC(悪役)に転生」という設定が面白く、このワンアイディアによって支えられた序盤だった。

ところが、本作は中盤以降、失速する。

理由は明らかで、「キレイすぎる」のだ。

あまりにもカタリナが清廉潔白で、展開的にも「悩んでいる人に優しくして攻略」の一転突破なので、そりゃ飽きる。設定は斬新でも、ストーリー展開や対応力が、そこに追い付いていない(ソフィアがあっちゃんってのは良かった)。

話は変わるが、俳優?(笑)の、大泉洋さんのぼやき芸は、「苦境に追い詰められてこそ、真価を発揮する」。それは、彼に強いバイタリティがあるから。いくら追い詰められても、可哀想な感じがしないし、この状況をどう皮肉ってくれるかを、我々、客は楽しみに待つわけですよ。

それはカタリナも同じ。

彼女のもつバイタリティは、苦境でこそ真価を発揮する。だから、序盤3話は面白かった。しかし、それ(苦しい展開)を継続させられないところに、なろう系の作者の特徴があると思う。

「小説家になろう」というサイトは、アマチュアやセミプロの集まりだ。その特徴は、「質より量」。玉石混淆の中の、一握りの作品が、アニメなどで日の目を見るのだろう。

私は、物書きにおけるプロとアマチュアの違いは、アベレージの高さだと思っている。日本人の識字率の高さは世界トップ水準であり、国民のほぼ全てが、義務教育(や高等教育)で、それなりに「物語」に触れている。だから、それなりに全国民には、「物語を紡ぐ素養」が最低限は備わっていて。だから、後は「アイディア」と「やる気」と「時間」さえあれば、それなりに面白い文章は書ける。

でも、その「面白い文章」を、何回でも書けるのがプロだ。野球をかじった人なら、金属バットをフルスイングすれば、もしかしたらホームランの1発は打てるかもしれないけれど、アベレージで3割以上のヒットを打ち続けるのは、偶然ではできない。

実は私自身、昔、ちょっとだけ物語を作ったことがある。大学の同期で(アマチュアだが)演劇やってる奴がいて、そいつのところの脚本家が逃げたから、練習用に1本書いてみないかと頼まれた。私自身、演劇は好きで結構観てて、脚本にも興味はあったから、頑張って何とか1本書き上げた。

それは(自分で言うのもなんだが)なかなか良くできてたし、友人にも誉められ、「このまま脚本やってみないか?」と誘われたが、それは丁重に断った。

体育会の剣道部にいたからサークルの掛け持ちが禁止ってのもあったけど、何より、「もうこれ以上は書けない」と思ったからだ。

自分が20数年生きてきて、感じたことや得てきた経験なんかを、その作品にぶつけた。それはそれで上手くいくけど、「じゃあ次、新作で」と言われると、「もう俺の中には何にも残ってねぇよ」となる。なるほど、こうして自分の中にある「何か」を切り売りしていくから、小説家ってのはある日突然書けなくなったり、それに絶望して死んだり、新たな「何か」を生み出すため旅に出たり、破滅的な生活を送ったりするのだなと。

なるほど、自分は物書きのプロにはなれないな。

そんなことを思った学生時代だった。

閑話休題。

なろう系作者の話である。なろう系の作者にも、こういう人は多いのではないだろうか?

なろう系の作品にも個性的で面白いものはいくつもあるけど、ストーリーが進むにつれ、次第に画一化されてくるのはやはり、「そこ(本物のプロになれる)までの器ではなかった」ということだと思う。

ただ、私と違うのは、作品が商業化され、自分の都合だけで止めたり辞めたりできない点だ。

だから、そういう苦しい状況で、矮小な自分の才能と戦いながら、それでも前進しようとしている人は、人間としては愛しくもあるし、離脱者としては尊敬もする(まあなろう系の悪い方には、そんな自分の才能の無さにも気づかず、なんかのパクリでしかない作品を堂々と発表できる、ある意味での才能の持ち主もいるだろうけど)。

また、そういう苦しみの中で抗い続けた結果、「本物のプロになれる」人も出てくる。

そういう意味では、この作品の、作者の真価は、2期で試されると思う。

もはや、ワンアイディアの面白さは通りすぎた。この作品がこのまま失速していくのか、それても、また違う視点からの面白さを創り出せるのか。制作決定した2期を楽しみに待ちたいと思う。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
子供カタリナ、顔がでかくないか? 男が女に転生するギャグアニメかとおもったけど、女子が女子なんだね。なるほど、主人公に転生じゃなく、NPCの一人に転生するのね。

これ、カタリナがめっちゃモテるか、全部裏目るか。

2話目 ☆4
制作陣、カタリナに生まれ変われ(笑) キャラクターに魅力がある。なかなか楽しい。笑顔が悪い(笑)

3話目 ☆4
結局、オタクと園芸部と文芸部という、文化系で仲良くなるのは、イイね♪ ここで大人に。額の傷は無くすのね。その方が良いだろうね。いや~、良い最終回だった(笑)

4話目 ☆3
カタリナ、全方位にモテモテだよな(笑) マリアまで(笑) 本当に人たらしだよな(笑)

5話目 ☆4
確かに、貴族の隠し子だと思われるよな。

6話目 ☆3
カタリナ、鈍感ハーレム主人公やな(笑) BLじゃねぇか(笑) あの容姿で、王子で、あのピアノなら、そりゃモテるよな(笑) メアリの表情(笑)

7話目 ☆4
カタリナって、乙女ゲーム好きな引きこもり体質だよね? コミュ力あるじゃん、普通に。あっちゃん目線。そうだよな、残された方が辛いよな~って、ソフィアも転生者、しかも無自覚か。確かに、行き止まりから行くのがRPGの定番(笑)

8話目 ☆3
メアリは確かに、ちょっとキャラが弱いんだよな。

9話目 ☆3
序盤は、やや退屈。アンのはなし。まあ、微妙。

10話目 ☆4
なるほど、隠しキャラ攻略。でも、それってマリアが攻略しなければならないんじゃないの?

11話目 ☆3
カタリナ、本当に好かれてるな。あっちゃんとの友情による奇跡も悪くないけど、もう少し何とか、こう友情パワー以外の納得のいく目覚め方はなかったかな?

12話目 ☆3
やはり、綺麗に決まったな。お、2期決定か。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 41

75.4 7 成長で女子高生なアニメランキング7位
citrus(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (529)
2135人が棚に入れました
ギャルだけど初恋も未経験なjk・柚子は、親が再婚した都合で女子高に編入することに。彼氏ができない!と不満爆発の転校初日、黒髪美人の生徒会長・芽衣と最悪の出会い方をする。さらに、義理の姉妹になった芽衣と同室で生活することに・・・!?

声優・キャラクター
竹達彩奈、津田美波、藤井ゆきよ、久保ユリカ、井澤詩織、葉山いくみ

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

純情ギャル×黒髪生徒会長=×××

この作品の原作は未読です。
原作の掲載誌は「コミック百合姫」で、これまで「ゆるゆり」「犬神さんと猫山さん」「捏造トラップ-NTR-」などを輩出してきた雑誌です。
2018年春アニメで放送が予定されている「立花館To Lieあんぐる」もこの雑誌からの作品になります。

そしてこの物語の主役を演じるお二人…あやちと津田美波さんの組み合わせは今回が初めてではありません。
二人が主役若しくは準主役で活躍する作品…私の知る限り「モモキュンソード」「おくさまが生徒会長!」に続き、これが3作目になると思います。

あくまで個人的な私見ですが、この作品の様に女性同士が対峙する…というシチュエーションにお二人の声質が合っているから、集まるべくして集まったんだと思います。
コロコロ転がるようなあやちの声質と、津田さん演じるキャラの声質は水と油の様に共通点が見出せません。
だからこそ、この作品の様にキャラの心情を重視される作品には欠かせないんだと思います。
スタート地点はバラバラ…向かっている方向すら根本から異なる二人…
天と地ほどの差を表現するのに、声質は欠かせないと思うんです。

この物語の主人公は高校1年生の藍原柚子…母親が再婚して藍原性を名乗るようになった今どきのギャル風な容姿が特徴の女の子です。
母親の再婚に伴い、住むところも学校も変わった柚子でしたが、気合いを入れて身なりを整えて登校した彼女に待っていたのは、全身校則違反という洗礼…その学校は校則の厳しいお嬢様学校だったんです。

そんな彼女の前に現れたのが1年生なのに生徒会長を務めている藍原芽衣…
黒髪ロングの美人さんで清楚な出で立ちは柚子とまるで真逆…
何もかもが違う二人…ですが、親同士が再婚して義理の姉妹になった二人だったんです。

お互い「その他大勢」から身内としての「ただ一人の存在」に昇華した二人…
柚子のお節介なまでの優しさと、芽衣の凜とした言動を慕う存在を巻き込みながら柚子と芽衣の物語が動き出すのです。

言葉にするだけで良いのに…
一人の視聴者の立場というだけなら、きっとこの思いは払拭できないと思います。
きっと「その他大勢」同士の立場だったら、悩むことも苦しむことも無かったと思います。

でも、お互いの距離が近すぎると逆に言えない事もあるんですよね…
まぁ、二人の場合は各々を構成する人格が凝り固まっていたので、余計に事がややこしくなった点も否めませんけれど…。

だから二人を見ていると駆け引き…にすら行き着いていない事に気付きます。
自分と相手の立ち位置を理解して、次の一手を模索するのが駆け引きとするなら、二人ともお互い自分の事だけで精一杯なんですもん…

でも、そんなになってしまうのも理解できます。
これまで自分が経験したことの無い感情のコントロール…決して易しくはありませんから…
それに自分の領域の境界が曖昧だから境界線上でのせめぎ合いもできない…
人は知らない事に対して臆病になる…当然の事だと思います。

この堂々巡り…
これではいつまで経ってもお互いが噛み合う事はありません。
でも、お互いがもう少し歩み寄りながら理解し合う選択肢は絶対あったと思うのですが、これはだいぶお預けを食った気がします。

だから井澤さんや金元さんといった外乱には正直ちょっと期待しちゃいました。
何故なら直ぐに展開が膠着状態になるからです。
その原因は芽衣の言動だった訳ですが、振り返ってみると彼女の鉄壁の防御こそが彼女自身の最大の魅力だったのかもしれません。

だって、何人たりとも侵入することのできない彼女の絶対領域を守っているのですから…
逆に考えると、彼女の鉄壁の防御は彼女が心を許した人しか掻い潜る事が出来ない類のモノなんです。
それって特別以外のナニモノでもありませんよね。
彼女の燃え上がるような情熱…それに触れられるのは本当に特別な人だけ…
柚子と芽衣の気持ちはどこに向かっていくのか…届ける事ができるのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、nano.RIPEさんの「アザレア」
エンディングテーマは、Mia REGINAさんの「Dear Teardrop」
nano.RIPEさんの曲は相変わらず痺れる曲ですね…
格好良過ぎて鳥肌モノでしたよ。
もちろん、カラオケでもチャレンジ済です。

1クール12話に物語でした。
感想して振り返ってみると、やはり私はあやちと津田さんの組み合わせが根本的に好きみたいです。
これからもお二人の共演を楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

一言 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ストーリー展開とキャラの描写がダメ

一言で言えば、キャラクターの考えてることが理解できないアニメ。


タイトル通り、ストーリー展開とキャラ描写のことは後程記載するとして。
きらら系の女の子が仲良くしてるゆるい百合が好き…くらいなライトな百合好きオタクには濃厚すぎるかもしれない。
百合というよりガチレズ、そんなアニメです。


しかしレズ依然に展開が無理やり過ぎてギャグアニメと化してたり、ただ単にエロ描写を描きたいだけのストーリー展開がめちゃくちゃなアニメだった。


※ここからはこの作品に対する愚痴のようなもので、オタク特有の早口な作品に対する批判()なのであまり推奨しません。
{netabare}
例えばゆず。
メイにキスしたいだの、告白したいだの、レズ漫画買うだの、女のメイが好きなことを自覚したうえでの行動だったくせに、いきなり最終話間近で「やっぱり姉妹のスキンシップとしてはやりすぎだと思うんだ…」とか今更すぎて…。

もっと早い段階でぶつかる問題では…?
もはやこのタイミングでこんなこと言うの意味がわからなさすぎる……。自分からいろいろとメイに積極的に関わろうとしてたくせにここでそれ言うか?

女同士はおかしいからやめようという葛藤を描くなら、もっと序盤ですべき。
{/netabare}

話の持って行き方が唐突で、キャラクターの考えてることが意味不明になっている…。

{netabare}
メイも、ビッチ生徒会長を描きたかったんだろうけど、初っ端からゆずにキスしまくったり、ことあるごとにちょっかいかけている理由がほしい…。
最後の最後までゆずをいつ好きになったのか理由がなかった…。
{/netabare}

描写がたりてないと思う。感情移入できないどころか何考えてどうしてそんな行動を取るのか理解できないからもやもやしてしまう。

{netabare}
あと双子姉妹も登場した意味なかったな…。
修学旅行回は特に謎。
双子姉はただふりまわされただけだった。
メイはなぜクリスマスに拒否られただけで、ゆずをあそこまで完全拒絶したのか、しかもすんなり双子姉と付き合うことを承諾したのか謎すぎる。

クリスマス回といえば、そもそもゆずがメイを受け入れなかったのも意味がわからなかった…。あそこまでメイを求めていたのになぜ今更拒否する?理由がほしい。(序盤なら拒否するのもわかるけど…)

ビッチ中学生もあんなに執着してたのにあっさり改心するからつまらなかったな。
双子の新キャラをいれて意味不明な展開をやるより、ビッチ中学生と人悶着やるのをていねいに描いたほうがよかったのでは。


クリスマスの夜以降、メイがなんであんなに塩対応で、もう話すこともないとか、関わるなとかいってたくせに、最後の最後でころっとゆずの返事をオーケーしたのか、理由付けがないし、まじで意味がわからない。

それに、ほんの一時的に付き合った双子姉と別れることになったとき、あなたを失いたくない…とか言ってたところは本当に意味がわからん。
出逢って間もなさすぎるのにいつそんな重い感情生まれたんだよ…てかゆずにすらそんなこと言わなかったのに……。
{/netabare}


感情移入どころかキャラクターの行動原理が謎だから話としておかしすぎる。
それが気になって仕方がなかった。


ただ、レズなら何でもいいと言う人や、ストーリーの粗探しも含めて楽しめる人ならいいと思う。一話を見て判断してみてはどうでしょう。

ツッコミどころあってニヤニヤするというよりは、鼻で笑う感じ。


ボロクソに書いたんですが、どんなことをやらかしてくれるのかという意味では楽しめたし、ここまで頭のぶっ飛んだレズアニメを見たことがなかったので新感覚な感じで楽しめました。

二期があれば見るとは思う。
やらないと思うけど。
{netabare}
個人的には、はるみんとゆずが絡んでそれをビッチ中学生が掻き回す感じのストーリーのが面白かったんじゃないかなぁと思う。
まあ要するに、ストーリーの展開+メイメイの考えてることが見えにくすぎてもやっとしたんですよね!
{/netabare}


opとED最高に好きです。
あと、竹達のギャル演技、とても良かった。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今観てる

2話までの感想
{netabare}マリみてっぽい作品なのかなーと思ってたら、島津由乃似のキャラが出て、それが隠れギャルで…って、そこまではいい。
けどそこから更に、その由乃似キャラが巨乳って設定で…。
くっそwwwww由乃が巨乳ってだけで爆笑してしまった。
その後ユズが由乃の真似をしてスマフォ胸に挟もうとしてストンと落とすのも笑えたけど、巨乳由乃のほうでずっと笑いっぱなしでした。
我ながら自分自身の笑いのツボがようワカラン。

内容の方だけど、良かれと思ってやったことが迷惑になるってネタは好きです(正確にはそれに纏わる葛藤ね)。
ってよりも祥子もといメイが妙に男っぽい気が。
「そのうるさい口をキス塞いでやる」って感じよね。
どこまで本気なんだか現時点では分からないけど…むしろそれでユズが本気になり始めてしまった、って話なんだろうか。

学園長とのゴタゴタの件で一番悪いのは放ったらかしにしてる親父な気がする。
2話で飛行機出てたのでそのうち登場するのかな?
ユズは自分の出来る範囲でよく頑張ってると思うが、いかんせんアウェーが過ぎる。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
↑で懸念してた親父、やっと登場してくれました。
兎に角とっとと登場させて「立ち位置」をしっかりさせてくれないと…理事長とのゴタゴタの件とかの時が顕著だったけど、作家に便利なデウスエクススマキナに使われそうで気が気でなかった。
理事長が都合良く倒れてくれる時点でデウス~もヘッタクレも無いけどね。

そしてやっぱりキャラの思想の根底が妙に男っぽい。
親父は学園を継ぐつもりが無くて、そんな中祖父が倒れて「自分が継がなきゃ」となって業務をこなすとか…男女差別と言われそうだけど、どうにも男っぽい。
それよりも家を継げる優秀な男を婿に迎え入れようとする方のが「らしい」気がして、そう考えると序盤出てた元許嫁って性格はどうあれ経営だかは優秀だったんじゃないの?となり、簡単に婚約解消してしまったのはなんか勿体ないような?
学園存続をとるかアイツ許せねぇをとるか、葛藤するエピが欲しかった…っていうか必要だったんじゃないかな。

前々から思ってたんだけど、これって少女マンガのホモホモしたやつの性別をまるっと入れ替えたものなんじゃないか?っていう印象。
といって自分詳しくないんだけど、風と木の詩とかそんな系…ってかそれ読んだ時は「これ全員中身女性じゃん」と思ったもんですが。
…って、あれ?そうだとすると逆輸入ってよりも元に戻ったってことか?
あれれ、なんか混乱してきた。

で、話戻って親父の件ですが、それまで旅客機がちょくちょく映るシーンがあったのだけど、「実際よく戻ってきてたけど顔合わせ辛いので様子見て帰ってた」ってことの伏線だったと判明。
これは気付かんかったわー。
そしてもう一つ、母親一体何者?どこで知り合った?ってのも謎だったんだけど…6話後半に建設現場の現場監督みたいなことをしてまして。
え、そんな仕事?と一瞬ビビったけど、ああ、母親はかつて海外の学校建築に携わってたってことかな?そこで親父と出会った、みたいな。
合ってるかどうか知らんけどねー。
ちゃんとそういう設定っていうか伏線貼るのであれば、理事長が倒れる時も数話前から最近体調が良くないとか描けなかったのか?と不思議でならない。
見落としでもあるのかのう。


余談
副会長がなにかと蚊帳の外扱いで不憫。
声優は清水愛か?と思ったら久保ユリカでした、全然違うじゃーん!
魔法少女くるみで「バカっぽい演技上手いなー」とチェックしてたつもりだったんだが…こ、これはストパニの影響を引きずってたんだ、そうに違いない。
と思ってたらくるみ並にきゃろ~んとした声の新キャラ登場で「久保ユリカにやらせりゃいいじゃん」と思ったらそっちはヘボット…っていうかナナチの井澤詩織でした。
恥ずかしながら、少女終末旅行でユーリ(久保ユリカ)をナナチの人か?と勘違いしたことがありまして…やっべ、頭混乱してきた。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

75.6 8 成長で女子高生なアニメランキング8位
ランウェイで笑って(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (386)
1485人が棚に入れました
身長158cmの藤戸千雪の夢は、パリコレモデル。モデルとして致命的な低身長を理由に、周囲は「諦めろ」と言うが、それでも折れない。そんなとき、家族を養うためにファッションデザイナーの夢を諦めようとする都村育人に出会う。――これは一途に夢を追って走り続ける、2人の物語。

声優・キャラクター
花守ゆみり、花江夏樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

やれることもやれないことも何でもやる

原作けっこう既読


「これだけの個性、誰が持ってる?」

一人の野球解説者がその年大注目のドラフト1位の選手について意見を求められこう答えた。
実はこの発言には少し驚いた。リアリズムに徹し、日本シリーズで完全試合目前の投手を9回交替。鉄板のストッパーを投入し勝利をもぎ取った采配。リップサービスとは無縁の人物と思ってたからである。
それまでにこの類まれな個性を持った高校生には「プロはそんなに甘くない」「一つに絞ったほうがいい」一流の元選手、元監督。解説者の多くがそんな言葉を投げかけていた。世間の盛り上がりをよそに“その世界に身を置いた者”だからこその説得力を武器に若者の挑戦を否定的に捉えていた。せいぜい「いいんじゃないんですか。頑張ってほしいですね(棒)」とマイクを向けられた現役選手が当たり障りなく言うくらい。

 {netabare}その道のプロが無理と言ったらそういうもんかと思う{/netabare}

本職の多くが否定的に言うもんで、徐々に投手と野手どっちがいいか?みたいな論へと流れていったのを覚えてる。ドラ1高校生の名は大谷翔平。大谷の挑戦に支持を表明した解説者は落合博満である。落合は続ける。

「あの年のピッチャーNO1ね。バッターNO1。大谷に勝る選手は1人もいなかったの。これは、誰が何を言おうが、これは事実だと思うの」
「じゃあ、どうするんだろうって考えた時に、どっちもトップクラスなんだったら、やりたいならやらせてみなければ。皆が言ってるのは、現場で何をやってるかじゃなくって、考えて、それは無理だろうとか、無茶やるなよって話なんであってね。本人がやるってものを止める必要もないだろうと」

と日本ハム・栗山監督の決断に賛同を示し、自分が監督でも二刀流に挑戦させるとした。リップサービスをする人物でないことは野球ファンなら誰でもおわかりになるだろう。
そして物語の主役大谷は当初の目標でもあったメジャーリーグに舞台を移し、“二刀流”に挑戦中。比較対象がベーブ・ルースだったりする凄さを我々は現在進行形で味わえているのです。


前置き長くなりましたが、この一連をファッションの世界に置き換えた話が本作『ランウェイで笑って』で展開されております。たぶん。

マガジン案件全12話。もの珍しいW主人公スタイル。
パリコレを目指す本作のヒロイン藤戸千雪(CV花守ゆみり)。彼女の身長は158cm。要件と言われる175cm以上を満たしておらず絶望的。救いは夢に向かって腹は据わっていること。「覚悟はいいか?オレはできてる」を地でいく娘。
デザイナー志望(だった)本作の主人公都村育人(CV花江夏樹)。大卒専門卒が要件の業界に於いて進学することを彼の家庭環境が許してくれません。超貧乏で妹たちの学費を稼ぐ使命があるのです。

下手に知ってると無茶なことにしか見えない二人の挑戦。
人事やリーダー経験のある方。才気溢れる都村くんを雇えるでしょうか?
現場で実際に働くとなるといろいろ知識が必要で、そこらへん空っぽです。知識ないから基本的な指示しても「できません」って言うだけだし、何よりこの手の子って繊細な子が多すぎ。となると手間かけて教育しても、勝手に自信喪失してフェードアウトしていったり。丁稚経験ないので理想と現実のギャップとか、学校で専攻してきた人の手際のよさとか見て心が折れちゃう。そんな新人を腐るほどみてきたことでしょう。
千雪の状況はもっと絶望的です。
タッパが要ることには理由があって、その常識は業界あまねく共有されているディシプリンのようなものです。つまり“身長が足りてない”ことでノーチャンス。落とされようが文句は言えません。読者モデルなど雑誌を主戦場にする手はありましょうが、彼女の目標はパリコレをゴールとするショーモデルというのでワンチャンないところからスタートです。

「喝っ!」と張○さんに秒殺されることは確実。まぁハリさんだけなら信憑性怪しくても、ノムさん、原辰徳の優勝経験監督。古田、仁志、谷繁らの理論派。総出で「お前はプロには向かん」と突きつけられる感じです。


という事情も考慮すれば、このお話は“藤戸千雪がパリコレモデルになるまでの物語”“都村育人がトップデザイナーになる物語”である以上に、

 {netabare}“二人の挑戦をご都合主義に見せない物語”{/netabare}

である必要が出てきます。そしてそのことはおおむね達成されています。いちいち気にしてられませんが、ジャイアントキリング要素のある作品は詳細設定をミスると目が当てられなくなりますもんね。
ここのサイトを見てる方でももしかすると甲子園出場経験者おるやもしれませんが、いちいち作品内の野球回ある度に噛みついてられないでしょう。その握り方であの飛距離はありえないみたいな(笑)


さて、原作組からみればアニメは相当端折ってました。アニメ組の方気づきましたか?
決定的な説明不足には陥らなかったまるで都村くんのパッチワークばりの職人技に拍手送りたいです。
そんな駆け足とはみせない駆け足の影響なのか、サブタイトルでの作品タイトル回収が早々{netabare}(第3話){/netabare}にやってきます。
そこで何の疑問も湧かなかったタイトルの意味を理解します。“禁忌”“ダメなもの”“無理なもの”二人が夢を叶えるには常識を覆す覚悟が必要で、それを一言で言い表したタイトルになっとるのです。
そのタイトル回収回はまさにモデルの常識をぶっ壊しながら二人にワンチャンあるかもと光さす前半の勝負回でした。たぶんこのへんまで観て合わないようでしたら撤退でいいんじゃないかと思います。
メインキャラにはあと二人。モデルの才にものすごく恵まれながらデザイナー志望の長谷川心(CV茅野愛衣)。日本のトップブランドのファウンダーでありデザイナーの孫でこれまたものすごく才能あるというか圧倒的な実力の持ち主綾野遠(CV木村良平)。がずっぷりと物語に関わってきます。


そもそもマガジン案件は個人的にいつも楽しんでますのでそれこそ「いつもお世話になっております」的な仕上がりでした。
駆け足だったことの功績で最終話を一区切りとしては最高の断面で幕を閉じられたと思います。中途半端な終わり方をさせずきっちり纏め続編も期待させる理想の“1期”という感じでした。続編を期待したい良作です。



※ネタバレ所感

■セイラさんに始まりセイラさんで終わる

人気モデルのセイラ(CV牧野由依)さん。
{netabare}芸華祭で「これからも頑張ってね。デザイナーとして」と心にトロフィーを渡したトップモデルのセイラさん。他の審査員が綾野にトップ票を入れる中で心に票を入れてます。いやー怖いですね~。とはいえセイラさんの何気ない“いいね”が千雪と育人の運命を変えたのでした。今後もキーパーソンです。

☆原作ネタバレ(重度):セイラさんその後
{netabare}「やっぱり…あの時、心ちゃんじゃなくてアンタを潰しておけばよかった…!!」
セイラさんが誰に向けて言ったかは内緒。{/netabare}{/netabare}



■オーラ

なにげに好きな回{netabare}(第7話){/netabare}
{netabare}雫さん曰くモデルのオーラは体型から放たれるものと心の姿勢(自信)から滲み出る二種類があるらしい。
千雪は後者で立ち向かおうとしたけど、モデルをやめたい心のオーラのほうが遥かに上でその場にいる全員を圧倒してしまったという現実が残酷でよい。手袋用意してたり準備万端で備えているのはチビのほうなのにね。
だいたい負の感情がオーラを遠ざけるなんて迷信みたいなもので、撮影後に千雪は心に悔しさをぶつけてしまったけれど「泣いてない」と必死の抵抗を見せるあたり、ただ可愛いってのではなくて、やれることは何でも実践しようというのが見て取れます。
そういえば、運を集めるとの趣旨でゴミ拾いを率先垂範する大谷選手と同じものを感じますね。小さい粒を一つずつ拾い上げる作業をストイックに実践していくことが夢への道なんでしょう。
そういえばのそういえばで大谷と同じ年のドラ1で4球団の指名を受けて某六甲おろし球団に入団したドラゴンじゃないふじ○み選手とよい比較になります。内容は省略。察しておくれ。

そんな千雪に寄りそう雫さんも良い。
「慰めるよ。ずっと。ずっと」
優しいだけじゃないんですよね。雫さんの覚悟です。

☆原作ネタバレ(中度):雫さんと五十嵐(心のマネージャー)の因縁
{netabare}二人はかつて先輩(五十嵐)後輩(雫)の間柄。当時の雫はバラエティ志望でモデルにやる気はなし。レッスン適当、減量無視で大メシ喰らい。それでも素質はあったので事務所のエースに成りかけていた。
それなのにいきなり雫が最大手の現事務所から無名の新興事務所(ミルネージュ)に移ると言い出す。五十嵐は当然キレて罵詈雑言吐き捨てる。
数年後、五十嵐は身長の伸び悩み(167cm)と共にモデルとしても伸び悩んでいた。そんな頃、雫のパリコレデビューの報。しかも五十嵐が夢見ていたブランド『ラーレフォン』での出演。
そして闇落ち。自分は夢を叶える為に手段など選べるような立場ではないと。それからの彼女は有力者に枕営業の末、憧れだった『ラーレフォン』のランウェイに立つ事に成功。
本番直前、彼女は自分に言い聞かせる。自分は夢を叶えた、自分は幸せなんだと。そう思わないとやってられないから。しかし実際に舞台に立って湧き上がった感情は「何だ、こんなものか」だった。五十嵐はこれを機にモデルを辞めマネージャーとなる。

手段を選ばず夢を叶えたが幸せになれなかった五十嵐。
こっから以降はアニメでも描かれてること。向いてない人間に出来る事は諦めて妥協すること、正面からぶつかって挫折すること、手段を選ばず夢を叶えることの3種類しかないと彼女は信じてる。
千雪は「正面からぶつかって夢を叶える」の4つめの選択肢の只中にいる。かつての自分がダブる五十嵐は雫に引導を渡すよう言うが、雫はすでに千雪と共に歩む覚悟を決めていた。
「慰めるよ。ずっと。ずっと。」にはそんな想いが込められている。{/netabare}{/netabare}



■綾野遠くんのノルマ

デザイナーとパタンナー両方できるのに分業へのプライドで優秀なパタンナー募集中だった綾野くん。
{netabare}目標の名刺53枚越えならずの52枚でした。これトランプでいうジョーカー1枚足りないだけみたいな。
53分の1とはいえそのジョーカー1枚が都村育人という強力なカードであり、ジョーカーを手に入れた綾野くんが今後どう羽ばたいてくかも楽しみな今後でしたね。

育人が11位というのもその理由も納得。才能だけでなんとかなっちゃう物語にしないことで千雪と育人とのバランスが取れ、まるで戦友のような二人の関係に説得力が出てきますもん。{/netabare}




※ここからオマケ

■ViVi

そのまんま名前出てたので協賛か協力してるんすね、きっと。
『ViVi』は女子大か短大っぽいイメージですけど合ってます?あと『CanCan』とかありましたね。そこで大学行った方。周りの女子何読んでました?ウチは『JJ』が圧倒的でしたね。私も買ってました。下手な男性誌買うより女の子と話を合わせやすいし、女の子が家に遊びに来ると雑誌をネタにいろんな駆け引きを楽しめるかも。現役の方はどうぞ!

それはそうとアニメのほうはもうチョイ被服に作画カロリーというかデザインカロリー割いてもよかったかもしれませんね。



■長男

花江さんってそういう運命なんでしょうか。
{netabare}「ああ~…泣きそう。頑張れ長男。負けるな長男」
この鬼滅臭。病弱な育人ママは桑島法子さんが声をあてられてました。{/netabare}

{netabare}別件。『ピアノの森』ではモノローグマシマシでショパンのバラ1を演奏してました。
言わずと知れた『四月は君の嘘』の最終回です。{/netabare}



■主題歌

わたくしややもすると姿勢が隣国に厳しいことを自覚してますが、是々非々でとは思っているのです。
以前ネットコミュニティで東○神起のファンに絡まれたのも嫌な思い出だったり。それは置いといてもEDはちょっといただけない感じでしたね。
ネイティブじゃないアーティストの日本語バラードって発音の違いが目立つもので違和感が残るものです。これは国籍問わず。そのうえ特にお隣の国のアーティストの印象を端的に表すと、

 オーディエンスをうっとりさせるのではなく、本人がうっとりしてる

なんだろう。好きな人ごめんね。あ、それとなんかこの方エイプリルフールでやらかしてたけど、無事ラナウェイ(run away)できてたらいいっすね。



それと最後に一個だけ。
心ちゃんはおそらくモデルとして売れる可能性高しなので、そっちの実績作って知名度上げてから30歳くらいでデザイナーに転身という世界線に身を投じたほうが稼げてると思います。
それに向けたお勉強ということにすれば五十嵐マネの説得材料にはなりそうですがどうでしょう?



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.04 初稿
2020.10.14 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 59
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

オシャレが分からない人生でした(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルでいうなら、むしろスポ根ですね。

ファッション、モデルを題材にしています。

私自身、オシャレとかファッションなんて「クダラナイ」と思う人ですが、

オシャレとかファッションとかに真剣な人を「クダラナイ」とは思いません。

自分とは違う道を行く人なのだろうけれど、それはそれでリスペクトし、応援したいと思います。思わせてくれます。

そういう力を持ったアニメです。

ランウェイを歩くショーモデルと、ファッションデザイナーのダブル主人公という、一風変わったアニメ。でも、とにかく、しっかり面白いです。熱いです。

一番近いアニメは、「ボールルームへようこそ」かな。あのアニメが好きなら、きっと楽しめると思います♪


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
こういうダブル主人公、良いなと。

デザイナーを目指す都村育人と、モデルを目指す藤戸千雪は、同志であり、ライバルであり、仲間であり、きっと恋仲になる。

二人とも、「貧乏」「身長」という、自分にはどうしようもない事情により、夢を諦めそうになる。それを、諦めないド根性で乗り越えていく、王道のスポ根アニメ。

王道ながらここまで面白くなったのは、「ファッション界」という題材が目新しく、しかも、モデルとデザイナーという二本立てだから、ますます飽きがこない。それから、育人の家族達の感動要素があり、千雪の(怒り方の)可愛さや笑いが良い緩衝材になってて、バランス最高でした。

「ランウェイで笑って」てのも、最初は「成功して」「夢を叶えて」という意味だけかと思っていましたが、「不可能(タブー)に挑戦して」という意味も含まれると知り、上手いタイトルだなと。

う~ん、あまりに王道過ぎて、これ以上書くことないな(笑)

まあとにかく、千雪可愛かったです(笑) 弱くて強い、負けず嫌いで不器用で。リアルにいたら好みのタイプですね。

本作はダブル主人公ながら、このアニメ1期ではやや育人寄りの展開だったので、2期は千雪メインで観たいな~。
{/netabare}

【余談~ オシャレが分からない人生でしたw ~】
{netabare}
以下、ファッションのファの字も分からぬ武道家の戯言と、小バカにしながら読んで頂けたら幸いです(笑)

ファッション雑誌って、ほぼ買ったことないです。自分自身、好きな服装とか格好良い(可愛い)と感じる服はあるけれど、「オシャレ」「流行」とは違い、「好み」ってだけだと思います。

昔、初めて海外(アメリカ)に行ったときに思いました。

外人、白Tとジーパンだけなのに、格好良い。

てか、そもそも、欧米の人って、お洒落か? いや、お洒落な人もいるだろうけど、シンプルな服装している人が圧倒的に多かったけど。全国民のオシャレさ、というより、「オシャレを気にしてる度」「オシャレになろうと頑張ってる度」では、日本人がぶっちぎりで勝ってる(ある意味負けてる)と思うんだけど。

まあ、良いや(笑) 初海外で感じたのは、

「カッコイイ、人が着てれば、何着ても、格好良いと いう残酷さ」

なんて、大現実(笑) そして、逆もまた然り。一般的な日本人のおっさんが白Tジーパン着ても、絶対に格好良くはならないもん。

悔しかったら、ファッション雑誌のモデルを、イケメンでも美女でもない、一般的な日本人にしてみやがれってんだ。それでも「格好良い」と思うなら、それは本当にオシャレなんだと認めたい。が、大抵、「オシャレ」って、「頑張っている」か「誤魔化している」だけなんじゃないかな~と思ってる。

同じことは、申し訳ないけど、モデルさんにも感じること。

昔、アパートの目と鼻の先にレッスンスタジオがあって、(名前を知っている人は来なかったが)、明らかにモデルさんだと思う人がよく出入りしていた。

初めて見たとき、ビックリしたな~。足なっがいし、ほっそいし。背筋シュッとしてるし。

でも正直、「違和感」しか感じなかった。

いや、モデルさんが、物凄い努力をして、あの体型を作っていることはわかるし、それを否定するのは失礼だとも思うんですよ。

でも、なんか「自分のデータベースにはない」体型で。街に溶け込まないというか、宇宙人ぽいっていうか、足折れそうというか、、、。健康面を気にしてしまいました。

主観ではありますが、はっきり言って、可愛い、魅力的だと思いません。テレビ画面越しならともかく、リアルに会って、皆は魅力的に感じるのかな? コンビニにいる、普通に可愛い娘の方が、可愛いな~と感じるんですよね、私は。中肉中背が、一番です(笑)

ということから分かるように、モデルさんって多分、女性向け、プロ向けなんですよね。一般の男に向けていない。だから、身近な感じより、浮世離れしている方が格好良いんでしょうね。

あと、ランウェイを歩く服も、ようは「プロ向き」であり、そのブランドのコンセプトを極端に打ち出した物と聞きます。プロのバイヤーはそこから、一般向けの服のイメージを膨らませることができる。綾野のショーは、それを分かりやすいカタチにしていましたね。

てな感じで、私はこのアニメの「ファッション」の部分には、一切共感できませんでした。なんなら、日本人の平均身長の千雪が似合う服が、一番良いんじゃないかと思うから、千雪が否定されまくるのに、イラっとするくらいでした(笑)

でも逆に、「そんな私ですら十分に楽しめた」というのは、凄いアニメなんだろうと思います。ファッションが好きな方なら、更に楽しめたのかな?
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
雑誌とかのモデルではなく、ショーモデル、パリコレ目指すってのは良いと思う。身長が低いってのもあって、スポ根要素もあるのかな? ファッションデザイナー男子との恋愛も? ダブル主人公ね。1話目でかなりスッキリまとめたな。好評価っすね。なるほど、「ランウェイで笑う」は、「常識をぶち壊す」みたいな意味もあるのか。上手いな。

2話目 ☆4
男の子なんだな(笑) ハジメヤナギダ、強いキャラだな。生き馬の目を抜く、って感じだな。これ、「前の日に一緒に徹夜で作業してる」のが、地味に大きいな。実力を認めてるってことだし。

3話目 ☆4
熱い展開だな。てか、これは昔から思っていたことだけど、日本の平均身長に近いモデルが着て、一番似合う服が良い服なんでないの? っていうのが、自分なりの感覚なんだけど、多分、「こうなりたい、なれる」というのがあるのかな?

4話目 ☆5
お仕置き?って、メチャ可愛らしいな(笑) ダメだ、メッチャ応援したい(笑) 天才ライバルって感じ?

5話目 ☆3
恋のライバル? カワイイけどねw モデルとデザイナーのどちらが上とかじゃなくて、フラットな視点を大切にしてる作品だね。服を作れる現役モデルって、ある意味商業価値高いというか、事務所的にもメリットあるんでない? ローラw テレビだけ観てれば、、、確かに(笑)

6話目 ☆4
捨てる覚悟、捨てない覚悟。でも、勝たないと証明できない。。。真理だな~。

7話目 ☆4
貶めからは自信は生まれない。どうしようもなく、悔しい。「泣いてない!」(笑)

8話目 ☆4
何ヵ所も転移、、、。かなり厳しいよな。デザイナーとパタンナーね。悪魔の囁き。お金がない、切実。大事なものと大事なものを天秤にかける。また、悪魔の囁き。そして、救う神ありだな。200万、すげぇな、ペーペーでもそんなもらえるのか。

9話目 ☆4
ビンタ(笑) 本気で、やらなきゃ。泣ける。

10話目 ☆4
服の良し悪しは分からないけど、お母さんの涙にはもらい泣きしそうになった(笑)

11話目 ☆4
1話まるごと、ランウェイか。熱いな。最後、涙が重く、素敵だった。

12話目 ☆4
綾野、時間が短いな。しゃがめ、しゃがめ(笑) なるほど、モデルとして潰すために、セイラが推したか。11位は意外だな。リアルクローズ。この負けが「学びの意欲」に繋がり、んで、大学編? 綾野が辞退ね。頑張れ長男、負けるな長男(笑) んだよな、17歳だもんな。悔しがってほしい(笑) やる気がでない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

何かに一生懸命っていいな。それがハンデがあったとしても。

身長が足りなくて、パリコレモデルの夢の実現が困難な千雪。
進学ができなくて、ファッションデザイナーの夢の実現が困難な育人。
この二人を中心に、困難を乗り越えて夢を実現していく姿が描かれていきます。
原作未読ですが、原作も14巻まで刊行されてて人気あるみたいです。

特に家庭事情から才能があるのに進学できず夢をあきらめようとしていた育人を応援したくなります。
もうこれ育人くん物語でいいじゃん、って思ってたら、主人公はどうやら育人みたいですね。
うじうじしがちな育人ですが、ヒロインの千雪のグイグイ引っ張っていく性格に背中を押されながら千雪と共に夢に向かって進みます。
何かに一生懸命な人ってステキで、元気をもらえます!

8話見ました。好きなことで頑張りたいけど、その人の環境によって大きく影響されるのは現実でもよくあることですよね。
各話のレビューは以下のとおりです。

1話「これは君の物語」
{netabare}千雪と育人が出会うお話。
身長が低くてパリコレモデルは無理だと言われて反発してきた千雪。
でも高卒でデザイナーになりたいと言う育人に無理じゃない?と言ってしまい自己嫌悪に。
千雪は育人に自分に合う服を作って欲しいとお願いする。
出来上がった服は評判になって、千雪の親が経営するミルネージュが買い取ってくれることに!{/netabare}
2話「プロの世界」
{netabare}作って欲しい人がいて、着てくれる人がいればそれだけで幸せだと語る育人。
モノづくりの基本だと思うけど、忙しさやしがらみなどで忘れがちな気持ちだよね。
千雪に背中を押されて、再びミルネージュに行きデザイナーとして雇って欲しいとお願いに行く。
そこで紹介されたデザイナーの柳田のところに行くけど・・
きちんと技術を習っていない育人に対して帰れと言う柳田。でも夢をあきらめない育人は必死にお願いしてなんとか残れることに。
東京コレクションが始まり、モデルが1人来ないというトラブルが起こって千雪が代理で来るけど、低身長のために服が合わなくて・・さらに服を縫えるスタッフも疲労で倒れてしまって(゜o゜)
次回が気になる終わり方は良いですね。{/netabare}
3話「ランウェイで笑って」
{netabare}ここでいきなりタイトル話きたのでちょっとびっくり!
倒れたスタッフの代わりに千雪に合うように服を作り直す育人。
残りあと15分・・私だったら頭真っ白になっちゃいますよこれ(>_<)
悩む育人の顏をぴしゃりと叩いて励ます千雪。でもその千雪の手もプレッシャーで震えてて。
そしてなんとか完成した服を着てランウェイを歩く千雪。
ランウェイでは服を目立たせるためにモデルは笑ってはいけない。
でも、ヒールが折れて転んだ時に育人の「仕掛け」に気づいてランウェイで微笑む千雪。
それを見ていた編集者の子の心の声が私の気持ちと重なって、ちょっとうるっとしちゃいました。{/netabare}
4話「若き才能たち」
{netabare}好きだけじゃ続かない、好きの先に何かを見つけないと挫折する。お前の野望は何だ、と柳田に問われて、着た人が笑顔になる、そんな服を作りたいと答える育人。
その想いが続いたら、届いたらいいね・・
柳田のスタッフが急に辞めてしまい、代わりの子を服飾芸華大学に探しにいくことに。
そこで出会った有名デザイナーの孫の綾野遠と、モデルだけどデザイナー志望の長谷川心が手伝ってくれることになって。
綾野は見ただけで服のラインの変化に気づいた育人に驚き、その才能に興味を持つ。
パタンナーとしての育人の才能が欲しい綾野は、自分のブランドに引き入れようとするけど・・{/netabare}
5話「それぞれの流儀」
{netabare} 芸華大のコンテスト「芸華祭」。そのグランプリ商品は、ブランド立ち上げ援助とパリ留学!
それを聞いて胸を躍らせる育人。
学校の前で絡まれてる心を助ける育人。でも絡んでた相手は心のマネージャーで。
モデルをやりたくないから、デザイナーに憧れてるふりをしてる、本気で目指している人に失礼だとまで言われて・・
でも、心が落としたノートを見た育人は、心のデザイナーに本気でなりたい気持ちが分かって。
育人は芸華祭に一緒に出ようと心を誘う。
そして予選。お題はモデルのセーラがおしゃれに着れる服を作ること。
ヒントが欲しくて千雪のとこに。家の中でもヒール履いてるってすごいな。足が痛くなりそう(>_<)
でも、なりたいものになりたくて、頑張ってる人ってそういうものかも。{/netabare}
6話「優越感と劣等感」
{netabare}育人を尊敬してるってクラスメイトにはっきりと言える千雪ってカッコイイな。
芸華大コンテスト予選が始まる。育人が作ったのはセーラのパジャマ。
批評で綾野にダサいと言われて落ち込むけど、3位になって本戦に進めることに!
一方、千雪もモデルとして自分を売り込むために、ポートフィリオを作成するけど、育人が作った服を着てくれたのと、育人のことを友達ですって言ったとこは良かったです♪
でもなかなか売り込みがうまくいかないところに、東京コレクションに来ていた雑誌編集の新沼さんが拾ってくれてなんとか欠員が出たことで撮影の仕事がもらえることに!
前回の部屋ヒールもだけど、千雪の必死に頑張る姿を見てちょっとうるっときちゃいました。
仕事先で、モデルとして来た心に出会い、その存在感に圧倒される千雪。{/netabare}
7話「オーラ(存在感)」
{netabare}モデルに一番必要なのはオーラ。それは自信を持つこと。
昔そう言われたことを思い出し、気を引き締める千雪。
でも・・心との差を見せつけられ、さらに構図が悪い、と撮影から外される。よくあることかもだけどつらいなぁ。
メインの心の手は裁縫でキズだらけで・・それを見た千雪はもっと本気でやってよ!と心に気持ちをぶつける。
仕事の帰り、心がマネージャーに私のせいでつらい思いをする人がいるからモデルを辞めたいと言ってるのを聞いてしまう千雪。そして自分の本気の気持ちを心にぶつける。
本気と覚悟。そして努力。それでも届かないこともあるけど、そういう人ってとても素敵だなって思います。{/netabare}
8話「デザイナーの器」
{netabare}お母さんの入院費をまとめて払わなければならなくなり、デザイナーの手伝いを辞めてバイトをしようとする育人。
好きなことがしたいだけなのに、お金がないことに振り回されて・・
そんな時、思わぬところから幸運が舞い込んで!
都合よく進んだ感じもあるけど、ちゃんと伏線を回収した感じなので良かったと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

65.5 9 成長で女子高生なアニメランキング9位
未来のミライ(アニメ映画)

2018年7月20日
★★★★☆ 3.2 (230)
868人が棚に入れました
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんが出会ったのは、未来からやってきた妹、ミライちゃんでした。このちょっと変わったきょうだいが織りなす物語。それは、誰も観たことのない、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした―

声優・キャラクター
上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ちょっとした奇跡がつながってつながって、今の私達がいる。

『バケモノの子』に続く、
細田守監督の長編作品。

細田監督の作品の中では、
『時をかける少女』が一番好きです。

8月ごろに劇場で見てきました。
(レビューは書いていたのに、投稿が遅くなりました^^;)

大きくない会場でしたが、満員でした。

少し遅めの時間帯だったからかもしれませんが、
大人しかいませんでした。(年齢層はバラバラ。)

もっと子どもが多いかと予想していましたけれど。
でも内容は確かに子ども向けではないかな。笑

100分ほどの作品です。


● ストーリー
4歳のくんちゃん(♂)に妹ができた。

妹・未来(みらい)の世話に追われる両親に対し、
くんちゃんは寂しさを感じる。

むしゃくしゃする気持ちから、
わがままを言ったり、未来に意地悪をしたり。

そんな気持ちで中庭を通ると、
不思議な世界と不思議な人たちに出会った。


細田監督の作品には
現実世界に溶け込んだファンタジー設定が多い気がします。

今回もそうですね。

くんちゃんは中庭を通して、
家族の未来や過去に触れます。

そんなこと、
現実世界ではありえないファンタジーですが、

出会った人たちから教わったことを自分の行動に活かしていく様子は、
ただの4歳児にも見えます。成長だねえ。

ただ、これまでの作品で感じた
“どうなるかわからないドキドキ”という点からは
遠かったように思います。

むしろ、刺激を期待せず、
日常系作品だと捉えたほうがいいぐらいですw

育児に奔走する両親と、
両親の愛が欲しいくんちゃんの、

ちょっと慌ただしいけれど、
振り返ってみると、幸せと奇跡が詰まった日常。

そんな中に、少しのファンタジーを織り交ぜて…
という物語でした。


≪ 脚本ではなく、絵で魅せようとしていた? ≫

だけどごめんなさい、
私には物足りませんでした。

それはドキドキな冒険を期待していたから、
というのもあると思うのですが…。

くんちゃんは不思議な体験を、
日を置いて何度も体験するので、
短編集のようにも受け取れる作品です。

ひな人形のエピソードは、
嫌いではないのですが、
やたらと時間がかけられていたような。

飽きてきたなーと思い始めたところに、
{netabare} 無駄に緊張感を持たせた、だるまさんが転んだのような、スローモーション。 {/netabare}

それほど重要でも見せ場となるシーンでもないのに、

「私達は大きなスクリーンで何を見せられているの?」と
なんだかあきれてしまいました^^;


しかし、作画はきれいだったしこだわりも感じられたし、
全体的に力が入れられているのが、よく伝わってきました。

キャラの表情も豊かというか、顔芸というかw

今回の作品では、脚本よりも、
こうした絵で魅せようとしていたのかな?

描きたかったシーンやキャラの表情を、
楽しんで描く。

それがこの作品の源なのだとして、
こちらもそれをわかった上での鑑賞であれば、
もうちょっと楽しめたかも。笑


● キャラクター
甘えん坊の4歳児、くんちゃん。
いやーこの年頃の男の子はかわいいですね(*´Д`)ハァハァ

だけど、わがまま全開、駄々っ子全開。笑

愛するには、
難しいキャラですw

お母さんもお父さんもたくさん出番がありますが、
よくある両親キャラだし…。

未来ちゃんはかわいかったですが、
かわいいというだけで、特別なインパクトもないし…。

キャラで評価できるのは、
ひいじいちゃんぐらいかしら?

馬もバイクも乗りこなすひいじいちゃん、かっこよかったわー!
彼の起こした奇跡も素敵♪

cv.福山雅治なのは、気付きませんでした。
エンドロールで驚いたw


● 音楽
【 OP「ミライのテーマ」/ 山下達郎 】
【 主題歌「うたのきしゃ」/ 山下達郎 】

どちらも、なんだか懐かしさを感じるメロディ。

穏やかな2曲で、
この作品にも合っていたと思います♪

私は主題歌の方が好みかな^^


● まとめ
つまらなさや怒りを感じるほどではないですが、
全体的に平和なストーリーでした。

少なくとも、
「よし、観るぞ!」と意気込んで見るタイプの作品ではありません。

この作品を観終わった頃には、
子どもの成長を大らかに受け止められる気がする…そんな作品でした^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

不愉快です。クズ夫婦にイライラします。ネグレクトは虐待です。

 マイナス100点。最悪の映画です。

 子育てに大事なのは願いではありません。子供は勝手に育ちます。親の願いで育つことはありません。親ができることは危機回避と背中を見せることだけです。親が子供に願いだすと、それが暗黙でも言葉や表情、行動に現れます。絶対にやってはいけません。元気で健康に育ちますようにですら、病気が見つかったら、障碍者になったら失敗になります。子供のすべてを受け入れなければいけません。
 それで子供が逃げ出したり歪んだりする小説やアニメなんて沢山見てきたでしょう。このアニメは何を考えているのでしょうか。

 子育てに大事なのはスキンシップです。クリエーターで子育てものを作るなら心理学くらい確認しろ、と言いたいです。4歳くらいの男児ならネグレクト(放置)も虐待です。ましてあそこまできつく当たるのって何なんでしょう。陰でいくら愛してるといっても、子供に伝わらなければ意味がありません。何よりスキンシップ、特に母親との肌のふれあいが無い子供は不安定になります。

 母としてなぜあそこまで子供に冷淡になれたのでしょう。嫉妬で新生児に電車を振り上げても自制できる子供が、あそこまで傷ついているのです。我が子を追い込んだ自分を省みることができない、ということは仕事のレベルも推して知るべしです。しかも外に飛び出した子を追いかけもしないで。

 平等に愛情を注ぐように気を付けていてもどうしても妹に手がかかってしまう、という感じが全くありません。完全邪魔者扱いです。何かに気がついたり心配するそぶりも見せません。1場面くらい反省らしきことを言っていますが事の重大さも認識していないし、真剣に悩んでいる風にも見えません。
 入れ替わりで産休に入る人がいたって、子供が大切ならそんなのは会社の責任で何とかすればいいし、在宅だってできるでしょう。自分が全部正解みたいなツラで仕切るな、と言いたいです。

 今の時代ですから、仕事に出るなとはいいません。いや、推奨すべきなのでしょう。が、仕事をやっている奴がそんなに偉いのか?夫の批判をしているけど、お互い様という考え方はできないのか?と思います。
 本当に子育てに優先することが、仕事にはあるんでしょうか。食わなければいけないのはわかりますが、折り合いがつけられないのでしょうか。
 
 夫は夫で、自転車で補助輪を外して頑張っている我が子を放っておいて、あれはないでしょう。母親もフォローもしないし。犬に対しても同じだったということは、そういう性格なのでしょう。生活を考えない使い辛い家を作ったり。

 これって、庭の木が見るに見かねて助けてくれたってことでしょう。父親らしさも母親らしさも皆無です。若夫婦の奮闘記にしても、レベルが低すぎます。そもそも若くなさそうだし。35歳、精神年齢10歳にしか見えません。設定は良く知りませんが。

 まったく感動も感情移入もできませんでした。というか不愉快でした。



22年8月 評価見直し中。極端な評価や感情的な部分を補正。初回見たときの印象と改めて旧作と比較したときの点数の補正など。

 冷静に考えるとあのバイクの爺さんだけはキャラが良かったのでキャラとストーリーにちょっとずつ点数入れます…が、やっぱり良い感情がもてない映画なことに変わりありません。

 なぜかと言えば、夫婦が変わらないで、子供が木の力を借りて自分自身の旅で救済を得たからです。夫婦側でも旅があり何かを悟って間違いに気が付くならいいんですけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

くんちゃん、すきくないの

主人公は4歳の男の子「くんちゃん」。
くん付けで呼ぶと"くんくん"になってしまう危うい名前をつけられた彼の元に、ある日、妹「ミライちゃん」が現れる。
新しく家に来た赤ちゃんに両親はかかりきになってしまい、嫉妬感でイライラが募ってしまったくんちゃんは、妹に癇癪を起こしてしまいこっぴどく叱られる。
誰にも相手してもらえず、わかってもらえない状況に疎外感を感じたくんちゃんは、一人庭に出たところ、自分を飼い犬の「ゆっこ」だと名乗る男が現れる。

幼稚園生の男の子からの目線である一般家庭の情景描写をしながら、新しい家族のあり方と子供の世界の広がりを描いたアニメーション作品。
幼き日の妄想のような異世界が登場し、そこで犬のゆっこや、成長したミライちゃんを名乗る女性と冒険をするストーリーとなっています。
監督は『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』でおなじみの細田守氏で、カンヌ国際映画祭での受賞作品ですね。

ただ、内容は海外においても賛否があります。
子供の目線で家族のあり方を描写し、不思議な冒険に、と書くとシンプルに映るのですが、その実は結構な意欲作となっています。
構成は複雑で、結局言いたかったことは何かがファジーで分かりづらく、かなり哲学的な内容と言わざるを得ないです。
ストーリーが進むとくんちゃんは、両親の子供の頃や自分のルーツ、曽祖父の決意を目の当たりにして子供ながらに"お兄ちゃん"としての自覚を持ってきます。
ただ、過去の辛い時代を知って今は恵まれていると知るというシンプルな話ではなく、やはり最終的には、私にはよくわからない話でした。
興行収入は奮ったものの、世間の評価も今ひとつのようです。

また、その年令の男の子という設定なのでかくあるべきという話ではあるのですが、とにかく、くんちゃんがわがままです。
それは狙いだったのかもしれないのですが、主人公に魅力がなく、多分、多くの人は見ていてイラつくと思います。
一方で、赤ん坊のはずのミライちゃんは、なぜか超絶大人しく、こっちはとてもファンタジーを感じました。
赤ん坊なんて在宅で仕事しているお父さん一人でなんとかなる存在じゃないだろうに、なぜか泣くシーンが殆ど無いです。
ミライちゃん以上にくんちゃんがわがままを言い、仕事中の父の邪魔をして、癇癪を起こして部屋を散らかすので、終始、くんちゃんへのフラストが溜まる作品だったと思います。
反面教材として親が子供に見せるといいのかもしれないですが、やっぱり子供が見てもドン引きするんじゃないかなあと思います。

ラストも結局どうなったのかよくわからない終わり方でした。
一方で、過去作と比較して良かった点として、やっぱり声優で芸能人を起因しているのですが、今回はそれほど違和感を感じなかったですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

72.1 10 成長で女子高生なアニメランキング10位
フルーツバスケット 2nd season(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (183)
762人が棚に入れました
親を亡くした女子高生の本田透が、縁あってクラスメイトの草摩由希やその親戚のたちと暮らすことに。しかし、"十二支の物の怪憑き"である草摩家には、「異性に抱き着かれると、憑かれた物の怪に変身してしまう」という秘密があった。その秘密ゆえの、家族からの極度な愛情や拒絶、学校でのいじめなど、草摩家の人々を、透は目の当たりにすることになる――。

声優・キャラクター
石見舞菜香、島﨑信長、内田雄馬、中村悠一、釘宮理恵、潘めぐみ、興津和幸、古川慎、櫻井孝宏、上田麗奈、大地葉、河西健吾、豊崎愛生、坂本真綾、森川智之、種﨑敦美、佐藤聡美、沢城みゆき、江口拓也、加隈亜衣
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

イロイロナコイノカタチ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
1期は、各キャラクターの紹介&透を起点にした主要キャラクターとの交流を描き、美しく哲学的な話になっていた。

2期は、透との関係性というより、各キャラクター同士の関係性を深めたり、それぞれの背景にある謎に迫っていく流れ。

レビュータイトルを「イロイロナコイノカタチ」にしたのは、この作品に出てくる皆の恋愛が、本当に一筋縄ではいかないものばかりで、それぞれにそれぞれの「好き」や「愛」の形があるんだな~と感じたから。そしてそれが、非常に繊細で脆く眩しいガラス細工のような印象なので、カタカナ表記にした。

正直言って、1期に比べるとスローテンポでやや退屈な展開だと思った。丁寧な描写に努めたとも言えるけど。

全体として「繋ぎの2期」という印象なので、完結編を観ての評価ということになりそうかな。


《以下ネタバレ》


【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
サブキャラ達の恋愛で良いな~と思ったのは、白木繭子と草摩はとり。草摩紫呉のちょっかいも最高だし、あそこでワンワン泣き出す白木繭子は素敵だな~と思った。

あとはまあ、草摩由希の成長が素敵だった。色々なことを決められ、与えられてきた由希が、初めて(2回目)自分の力で作れた仲間。個人的に深いな~と思ったのは、17話だったかで、由希が喧嘩した真鍋翔に、「罰として絶交」と言ったところ。絶交が罰になると思うのは、自分が好かれている自覚がある証拠だからね。ああいうセリフをサッと言わせて、行間で登場人物の心情の変化を見せるのは、この作者の最も優れているところだと思う。

意外だったのは、ラストギリギリまで透と夾と由希の三角関係を維持する(透の心の揺らぎを描くの)かと思っていたけど、こんなに早々と透ー夾のルートで固定し、
由希ー倉伎真知のフラグを出していくとはね。

それはつまり、作者がこの作品を、この作品の登場人物を愛しているからなのかな?と思った。

つまり、「刺激的な展開で読者を楽しませる」よりも、「各キャラクターみんなに幸せになってほしい」という思いを優先させたということ。

あるいは、「刺激的な展開」はある種の「ストレス」であり、本作の読者は、「平和な展開」=「癒し」を求めていると判断したのかもしれない。まあ、草摩慊人の件でストレスは充分だしね(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
世間に認定されている休みとは違う、確かに。思いっきりの嫉妬。ここまで真っ直ぐな嫉妬だと、逆に不快にならないというね。

2話目 ☆4
透は、なんだろう、これが天然なら男はやられる(笑) 師匠、格好良いな~。当然、透にも弱さはあるわけで。時雨(笑) んで、イケメンだな(笑) 

3話目 ☆


4話目 ☆


5話目 ☆
修学旅行。透、最初に気にするのそれか(笑)

6話目 ☆


7話目 ☆3
ドタバタからのホラーやな、アキト。

8話目 ☆3
ユキ、強くなったな。トオル、小学生かな?(笑) 海には勝てないし、トオルにも勝てない(笑)

9話目 ☆3
アキト、どこまでの力があるのか。まどろっこしいな。口だけでどこまでいく? ここに至っては、言葉は無力だと思うけどな。

10話目 ☆4
少し痛いやも、は、可愛い(笑) かぐや、切ないよな~。つじつま合わせの恋が、本物に。

11話目 ☆4
ガン泣き。この二人、付き合えよ。時雨(笑) 行くけども(笑) 羽鳥も、良いよな。

12話目 ☆3
冒頭チョップ(笑) あれが恋をする女の背中、なにか痛々しい(笑) ゆんゆん、定着(笑) ユキ、ネガティブだからな。なにしくさってるんですか(笑)

13話目☆3
おじいちゃん、久しぶり、好き(笑) 腹の底から嫌そうな顔をするマユを観たいシグレ(笑) 俺、もう死んだって良いよ、からの強引なキス。いや~、少女漫画(笑) 

14話目☆4
楽しそうだな、おい(笑) 菖蒲、良いよな。一番好きかも。人の為になら本気で怒れる。「お金や地位が好きという、一風変わった感性の持ち主」って、スゴい好きなワードだな。

15話目☆3
トオル、嘘、下手(笑)

17話目☆3
猫の嫉妬(笑) 絶交が、罰になると思うのは、好かれている自覚がある証拠。

18話目☆3

19話目☆3

21話目☆3

22話目☆4
僕は、嫌なんだ。シンプルで良いね。ユキが自分だけの人間関係を作っていく。好きな娘に意地悪する小学生(笑) 幸せになってほしい。幸せにしたい。完全にフラグが。

第23話目☆4
コントだな(笑) さらっと「親には見られたくない」って言うところ良いね。じっちゃんはいつも1人、は笑った(笑) そこで姫(笑)

24話目☆3

25話目☆3
女か~。なるほど~。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君を、想う。

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ2001年版と、2019年版の1st seasonは視聴済です。
2001年版は原作が完結していなかったので、全2クール26話で最終話はアニオリとなりました。
ですが、今回は本編の最後までアニメ化される…
2019年版の1st seasonを視聴した時、これがムッチャ嬉しかったのを未だ覚えています。
しかも、1st seasonからいきなり2クールなんですから…
そして2nd seasonも2クールという骨太の作品になりました。


透が紫呉の家に住み始めてから一年が経とうとしていた。

由希と夾だけでなく草摩家の皆とも交流を深めてきたが、
今も気になるのは忌まわしき『呪い』の正体。

進むべき道、決められた宿命、
終わりなき――十二支の――宴を前にして
由希は、夾は、そして透は何を想い、何を決意するのだろうか……。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

透を取り巻く世界の日常を描いた作品…
だけど、2nd seasonも色々なことがありました。

出来事の多くは十二支の呪い…物の怪に纏わる悲しい物語。
異性に抱きつかれると憑かれた獣に変身してしまうという体質の設定は、2nd seasonではすっかり影を潜めています。

それは物語の軸足が「草摩一族の秘密」という十把一絡げの状況から、十二支の個々人の在り方に変わったから…
一本調子だった物語が、登場人物の数だけ分岐し、それぞれの道を歩み始めたんです。

枝分かれした道は細く、脆弱で、行き先が分からず彷徨っているみたい…
時に道同士が交錯したり離れたり、歩みの速度もバラバラ…
心は「真っ直ぐ進め」と叫んでいるのに、右に行ったり左に行ったり…

でも、これらは私たちが「生きている」証なんだと思います。
心の弱い部分、知られたくない秘密、抑えきれない衝動、耐え難い畏怖…
そして誰かを愛する気持ち、大きく包み込む優しさ、温かさ…

ヒトは色んなモノを抱えて生きています。
それは十二支だって一緒…
そう、例え十二支の呪いがあったとしても、皆さん私たちと一緒なんです。
そういう十二支の人間臭さがひしひしと感じられる展開だったと思います。

そして、透の友人の魚ちゃんと花ちゃん…
2nd seasonも「透愛」が変わらず凄まじかったですが、今回は魚ちゃんに一波乱ありましたね。
コンビニ、蕎麦屋とたった2度の出会いでしたが、物凄いインパクトがあったと思います。
思いのたくさん詰まったDVD…両手を振りかざして叫ぶ言葉に、私の涙腺は全く抵抗できませんでした。

2nd seasonの中盤からこのクールじゃ絶対物語が完結しないと予感していました。
どの様に物語を纏めるんだろう…と思っていたら、物語の途中でスパッと切られて終幕となりました。
でも、いいんです…
だって、2021年に「フルーツバスケット The Final」の放送が決定したんですから…
それにしても、2nd seasonの最終話は凄かったですね。
私は原作未読なので、明るみに出た衝撃の事実にビックリすることしかできませんでした。
これで透の野望が一歩前進するかもしれないのは、きっと喜ばしいことなんだと思います。
でも、紅野の口から零れ落ちる台詞を聞いたら、素直に喜べないと思ったのも事実です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、AmPm feat. みゆなさんの「プリズム」と、土岐麻子さんの「HOME」
エンディングテーマは、THE CHARM PARKさんの「ad meliora」と、MONKEY MAJIKさんの「Eden」

2クール全25話の物語でした。
2nd seasonもしっかり堪能させて頂きました。
ですが、最終話の衝撃から波乱万丈が予想される最終章が気になって仕方ありません。
この状況で一年待ちかぁ…
完成するまで待ちますので、本当のラストまで描き切って貰えるのを期待しています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

今のところ眠れる獅子です

相変わらず原作は未読


全63話予定。現在位置は↓

 1st season 25話
 2nd season 25話←今ここ
 Final (仮) 13話

踊り場の2nd seasonなので軽めにいきます。

正直しんどい。
まず2つの道があると思うんです。リアタイ追うのと終わってからまとめてドン。一応ここは前者の意見ということであらかじめご承知おきをば。言うても2nd最後まで観たところで結論には至らない。立ち上がりだった1stはうろ覚え。そして共に2クール分とボリューミー。まとめての視聴をお奨めします。

しんどい理由はそれだけではない。
いわゆる“障害”と思しきものが特殊過ぎるのです。現時点で“障害”とは“草摩の家に生まれついた宿命によって縛られてる何か”しか分かってません。なにを根っこに苦しんでいるのか掴めないのでキャラの感情を拾えないのです。よもや表層なぞってあははうふふしてるだけじゃ名作とは言われまいて。なにかしら“障害”を乗り越えるなり打ち克つのだろうと想像できるのですが現時点では私が絶賛迷子中。きっと終盤にネタ明かしがあるのでしょう。

{netabare}草摩家当主の慊人(あきと)が嫌キャラとして描かれてはいるが絶対事情あるよね?{/netabare}
{netabare}なんで高校卒業したら夾(きょう)は幽閉されるのか他の道いくらでもありそうなのに?{/netabare}
{netabare}親に愛されてない子が多いね。変身しちゃうだけが理由だったらひどくない?{/netabare}

目の前でめっちゃ苦悩してるんですけど、十二支を苦しめてるものの正体がうっすらとしか分からず、なんか良く分かんない理由でイラついたり絶望したりする物の怪憑きの皆さんに菩薩モード全開で寄り添うヒロインという構図。


 理由の如何によらず苦悩している人にただ寄り添えるか?


みたいなところを感じて下さい、といった雰囲気はあります。こういうのってキャラには知らせずとも視聴者にはわかるようにするもんですけどね。面白い試みですがエンタメ感は薄いかなぁ。
置かれた境遇の厳しさに理解と同情の念はあります。だからこそ背景と理由を下さいってことですね。
そういうのが無ければ別の切り口。呪いというだけで縛られるしかないというあくまで思い込みとか。これだと理由はいらないんだけどそれはなんかやだなぁ。

1期は当初苦手だった透くんのキャラが終盤になって素敵に見えた後半追い上げ型。
2期は十二支の呪いに翻弄される皆さんを追いかけながら苦悩に寄り添う現状維持型。

全部終わってからあの時この時こうだったが見えてくるのだと思います。
もしくは原作既読で顛末をすでに知ってるファンが答え合わせをする場所。

いざ完走して全貌が明らかになった時、これが1クール2クールだったら覚えてるんでしょうが、差し詰め5クール分となるとよっぽど強烈な印象を残したとこじゃないと覚えてない確固たる自信があります。
全般的にもやっとしており初見でここまで50話は正直つらい気がします。


いいところもあるよ。OPEDが軒並み作品の世界観に合っていて良かった。そこだけは胸張って言える中継ぎの2nd seasonでした。
ここまで来たら付き合うけどね。頼むぜ名作!


※メモ
{netabare}あきとが女!?そして紅野は呪いが解けてました…と。
この淋しかりやの神様に救いは訪れるのか?十二支連中も救われてほしいね。{/netabare}



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

-------

2020.09.22 初稿
2021.07.23 修正
2022.06.04 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 40

71.3 11 成長で女子高生なアニメランキング11位
夏へのトンネル、さよならの出口(アニメ映画)

2022年9月9日
★★★★☆ 3.7 (93)
346人が棚に入れました
あの日の君に会いに行く。

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の共同戦線~ビニール傘をかして返してもらうまでの時間~

この作品は私が、ずっと楽しみにしてた作品の1つです。
原作を知ってる訳でもありません。
私はよくアニメ映画を見にくのですが、その中に必ずある映画告知でよく流れていたからです。
その時に、面白そうと感じたのが「夏へのトンネルさよならの出口」です。

2022年10月も凄く気になる作品がありますが、見に行きたいなぁ(*´˘`*)ニコッ
見たらきっとレビュー書いてると思います。




さて、私がこの作品に感じた事を書いていきます。
物語は、ウラシマトンネルと言う外と中では時間の流れが違うトンネルを発見する。
そのトンネルを潜ると欲しい物が何でも手に入る。
その対価として100年歳をとる。

そんな都市伝説的なトンネル発見した主人公とヒロインはお互いの願いの為にトンネルを攻略する共同戦線を張る!


主人公 カオル

彼の願いは「妹を取り戻す事」
妹のカレンは優しい女の子でした。
彼女は人の幸せを心から願える女の子です。
彼女の夢は「人が幸せになる世界にする事」
この幼い年齢でこの願いは凄いw

この歳だと、普通に可愛いぬいぐるみとか、欲しいゲームとか、願いませんか?
自分が恥ずかしくなるww

主人公のカオルの願いは「カブトムシが欲しい」コレコレ!コレが子供の夢よww

ある日、兄妹喧嘩をしてしまいます。
カオルは妹に「大嫌い」と言われて「大嫌い」と返して家を出ます。
妹はすぐに「嘘!大好き!いってらっしゃい!」と返すのですが、兄はそれも無視します。

彼が帰ると妹は木から落ちて事故死してました。
兄と仲直りしようとして兄の欲しいカブトムシを取りに行ったから起きた事故でした。

うん、これって結構キツいよね。
喧嘩なんて当然します……
でも、喧嘩をして永遠に会えなくなるのは……
私も似た経験あって中学生の時の思春期におばあちゃんと喧嘩しました。
その後、数日後におばあちゃんは亡くなってしまいました。

二度と謝る事もなく一緒に暮らしてる訳でも無かったので、それから言葉も交わさずに……
今でも心残りです。
だから、カオルの気持ちって凄く解ります。

彼が妹を生き返らせたいってのも凄く解る。
正直、多分、ずっと心残りになると思う。
いつになっても、「あの時なぁ〜」ってなります。

それに彼は妹が自分と仲直りしようとしての事なら尚更……
何を犠牲にしても叶えたい願いだと思いました。



アンズ

彼女の願いは「特別な才能が欲しい」
彼女のお爺さんは、漫画家でした。
しかし、売れる事もなく借金してまでも漫画を描き続けた。

そんなアンズも漫画を書く楽しさをお爺さんから教えて貰って彼女も漫画家になりたいと願うも踏み出せないでいました。

父に「お爺さんと同じになるつもりか!」と原稿をビリビリに破かれたそうです。
だから、彼女は漫画家になりたかった。
お爺さんを反面教師扱いする両親を見返したかった。

でも、自分の漫画は、どうしても普通にしか見えなかった。
出版社に持ち込んでもダメだと思い込んでしまう。

でも、自分も何か残したいと考えていました。
それが、彼女にとっては漫画でした。

実は私は彼女に凄く共感出来ました。
私も産まれて来たからには「世の中に何かを残したい」と思ってしまいます。
せっかく産まれてきたのですから私が私個人が生きていた証を……

で、私が他にも共感出来たのは自分の作品を自分の線引きで出版社に持ち込めないって点です。
自分の作品は普通だから……勿論書くがわからすれば面白いから書いてるけど、世の中には更に面白い漫画は沢山ある……だからこのレベルではダメだと……

実は、私も物語を書いていました。
今は書いてませんが……当時は、文庫本作家になってみたいなぁ〜とw
電撃大賞とかに出したいなぁ〜と思って書き上げたりしてましたが、結局は私も同じ理由で足踏みしてました。
文才も言葉も拙いのでw

結局、彼女は最後に編集に持ち込むので私なんかとは全然違うのですけどねw
で、アンズと私って多分、そんなに年齢変わらないです。
2005年になってたから1つか2つ先輩かな?
でも、同年代の子だと考えたら凄いなぁーって本当に思いますね。


だから、彼女の気持ちって色々共感出来ちゃいました。


ウラシマトンネル攻略 8月2日

攻略前日……アンズから自分の漫画を出版社に持ち込んだら気に入って貰えたそうなんです。
担当さんが付いて一緒に漫画を作りませんか?と提案されたのだと。

相談されたカオルは攻略の延期を持ちかけます。
それはウラシマトンネルの中と外では時間の流れが違うので数時間で数年経つ……すると多分、この漫画家への道は失われる……

しかし、カオルは1人でウラシマトンネルへ行きます。
アンズが気付いた頃には手遅れでした。

カオルのした事って正しくはあると思います。
共同戦線だからって最後まで付き合う必要はないし、トンネルは願いを叶えるのではなく、失った物を取り戻すトンネルだからです。
つまり彼女の才能は手に入らない。
それなら、尚のこと自分で掴んだ才能とチャンスを手放してまで一緒に来る必要はないのです。


でも、カオルはその反面考えが足りなかった。
アンズが自分の漫画が気に入られた時に相談したのは一緒に考えたかったのだと思います。

2人で共同戦線を辞めて2人で共に過ごす時間と、一緒にウラシマトンネルで妹のカレンを取り戻して3人で過ごす時間

その為なら、全てを投げ出してでも一緒に居たかった。
彼女は恋をしていたのです。

特別な才能が欲しかった彼女は、今はカオル特別な存在になりたかったのでしょうね……

でも、彼の決意は硬かった。
カレンダーを8月2日から破り捨ててました。
それは、それから先の時間は彼にはないからです。
更にはメールも全て消して、携帯も捨てて……
だから、決意の強さが伝わりました。


カオルは妹に再会します。
妹と兄の失われた時間。
カオルも子供になってました。
つまり時間が戻ったのです。

妹は自分が捕まえたカブトムシを兄にプレゼントします。
あの日、兄と仲良くする為に捕まえようとしたカブトムシ。

2人は幸せそうに話をする。
けど、カオルは気づく。鏡に映る自分の姿は高校生である事に……

そこに捨てたはずの携帯がメールの着信音を鳴らします。
そこには消したメールが全て復活してました。

ウラシマトンネルは無くした物を取り戻すトンネルですが、これでは言葉足らずです。

ウラシマトンネルは大切な物を取り戻すトンネルってのが正確だと思います。

過去の時間に戻ったって事は、元の時間の世界の大切な物を失ったと言う意味です。
だから、携帯もメールも戻った……そして自分の気持ちも。

妹も大事だけど妹と同じくらい好きな人……

実はカオルとアンズの2人はトンネルの外から中へのメールは届かないと実験していました。
しかし、今はメールが届いた。
それは、アンズの時間軸から無駄だ……届かない……そう知ってても送らずにないられなかったメール

経過する時間の中、アンズが送り続けたメール。
そのメールは、カオルが失った時間に送られたメールです。
だから、失った物としてトンネルを通じて彼に届いた。

彼は現実世界に戻るために走り出す!
カレンは知っていたのかもしれません。
兄が別の時間軸の兄だと……だから背中を押した。

カレン「大好きだよ!いってらっしゃい!」
自分に囚われてないで、気にしないでって彼女なりの優しさで。
喧嘩した時に本当に言いたかった言葉を添えて。

彼女の願いはなんだったけ?
「人が幸せになる世界にする事」
彼女が生きた時間のアンズは、引きずってる……カオルの事を……夢を叶えて連載を持っても彼女は笑えなかった……カレンの言う、人が幸せってのはアンズも含めてです。
だから、兄の背中を押した。
兄の幸せを考えられる強さを持ってるから。

私は死んだ人に生きてる人が出来る事って多くはないって思います。
でも、カレンにカオルがしてあげられる事がある。

それは現実世界で幸せになる事です。
人の幸せを願える妹の兄に出来るのは自身が幸せになり好きな人を幸せする事だと思います。
何故ならそれがカレンの願いだから……その1歩になる事が彼女に唯一してあげられる事なのかな?と思いました。

そうして、カオルとアンズは十三年ぶりに再会する。
13年……ウラシマトンネルの時間差……
13年間、ずっと待ち続けてくれたアンズ。
彼が戻る確信なんてなかった。
それでも、彼を待ってくれていた。
本物の愛なんでしょうね。
好きな人にそこまで待って貰えるカオルが幸せ過ぎますねw

理由はどうであれカオルは13年間アンズに心配を掛けて悲しませてきました。
これからの時間は、全力でアンズを幸せにしてあげて欲しいですね(*´˘`*)ニコッ

正直、この作品、ウラシマトンネルの調査中に大幅カットされてるような描写もあるけど、私に共感出来る事が多い作品でビックリしました。


因みに、ココに出てくる大人は最低の象徴として描かれています。

酔って暴力を振るうわ、息子が体調を崩すと心配すらしないで暴言暴力を振るう父親。

娘の夢を反対して原稿を破るわ、田舎に転校させ1人で暮らして頭冷やせとか言う両親。


この2人の出会いに……「親なんか居ないわ」「いいねそれ」って言葉があります。
最初は、カオルのいいね発言にビックリしましたが、これは2人が友達ではなく理解者であるんだろうなぁ〜と見ていて感じました。
ウラシマトンネルの共同戦線もお互いの利害が一致してるからでしょうし、お互いに理解者から恋人になるまでが描かれているのかな?とw

さて、この作品のタイトルって、「夏へのトンネル」はカレンの死んだ夏への入口、「さよならの出口」ってカレンへの未練を断ち切る為の、さよならの出口なんですね。
劇場版みた後に気づきました。
ある意味タイトルで盛大なネタバレされてるけど意外と気づけない上手いタイトルですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ウラシマ効果と願いの狭間で浮き彫りになる若気の至り

【あらすじ】
{netabare}欲しいものが何でも手に入る「ウラシマトンネル」
鹿との衝突事故により電車が止まるくらいの田舎を舞台に、
{netabare}亡き妹・カレンと幸福な家庭{/netabare}を取り戻したい高校生男子・カオル。
{netabare}漫画で世界に爪痕を残せる才能{/netabare}が欲しい女子高生・あんず。
二人が願望の代償として世界を捨てるに等しいウラシマ効果をもたらすトンネルを前に、
“共同戦線”を張る内に、距離が縮まる同名ライトノベル(未読)の映画化作品({netabare}83{/netabare}分){/netabare}

【物語 4.0点】
監督・田口 智久氏。

実写「デートムービー」も意識して、主人公の少年少女二人に焦点を絞り原作を再構築。
ヒロイン視点補強を試みて、二人の出会いなどの節目を詳述するため、
三度にわたる駅のシーンをアニメオリジナルで追加し、ボーイ・ミーツ・ガール成分増量。

「ウラシマトンネル」になかなか飛び込めずに事前調査を重ねる二人。
浦島太郎が予め竜宮城に行った後の顛末を知ってしまったら、
亀に乗るのにメッチャ逡巡して物語が停滞するでしょうがw
これが青春を生きる高校生二人なら、人生経験の少なさもあって不安定なアイデンティティや居場所のなさ。
“共同戦線”に下心や恋心はないのか?など整理できない自分の気持ち。
モヤモヤが些細な衝撃で暴発しかねない危なっかしさ。
若さは逡巡すらメインストーリーとして魅力十分な甘ずっぱいドラマに昇華させます。

トンネルの先を描いた終盤も、既視感は覚えるものの見応え十分。
何を言ってもネタバレになりますが敢えて一言だけ叫ぶと、
{netabare}気づくのおせーよ{/netabare}ってことでしょうか。


ガラケーがスマホに駆逐される前の時代が舞台とあって携帯メールが活躍するシナリオ。
連絡事項に改行スペースを重ねてスクロールさせ末尾に{netabare}「塔野くんてちょっとエッチだよね」{/netabare}と本音を仕込む技もベタですがあざといです。
ケータイ共々爆発して下さいw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CLAP

草薙(KUSANAGI)提供の細密な背景に押し負けない映像作りで、夏を始めとした季節感を好表現。
同スタジオの前作『ポンポさん』でも多用した、
色トレス(近景等の色彩に人物の主線の色を合わせる)も駆使して、
世界と登場人物の一体感をアップ。

小物に“演技”をさせる演出も上々で、
特に上記アニオリシーンで“助演俳優賞”級の活躍をしたビニール傘については、
描き込みが面倒な透明色にもめげずに二人の仲を橋渡し。
終盤の{netabare}錆{/netabare}の描写も良い仕事してました。

ただ私としては“助演俳優賞”は笑顔を彩ったヒマワリに授与したい心境です。

ケータイ画面やビニール傘が濡れる心情演出も文学的。
CGで構築された水面もまた波紋で揺れる男女の言動を反映する“役者”ぶり。


【キャラ 4.0点】
主人公の高校生男子・塔野カオル。
携帯プレイヤーは音楽鑑賞じゃなく外界の音を遮断するために使う系。
家庭に安寧の場所はなく、斜に構え、田舎で朽ち果てつつある典型的な疎外感を抱えた主人公少年。
世界から外れかかっている彼のメンタルこそが「ウラシマトンネル」を招き寄せた
という作中での考察、一理あります。

ヒロインの女子高生・花城あんず
東京から田舎に転校して来た、これまた典型的な孤高の黒髪ロングJK。
寄らば斬る(むしろ{netabare}殴り倒すw{/netabare})
そんなテンプレでツンツン、デレデレされたって俺は萌えないぞ。
……と頑なになっていた私ですが、彼女が{netabare}カオルに初めて自作漫画を読まれ論評{/netabare}されるシーンの足芸で、
あっさり萌えて陥落しましたw

それ以上にあんずにグッと来たのは世界に爪痕を刻むと決意する強さ。
特に{netabare}絵で物語る漫画がなくなるはずがない{/netabare}と熱弁する件。
「特別」を目指すヒロインのカッコ良さには異性としてではなく人として惚れ込みます。


【声優 3.5点】
実写とアニメの中間領域を志向し、メインキャストは俳優をオーディションで選出。

主人公・カオル役の鈴鹿 央士さんは声優初挑戦。
スタッフ陣はナチュラルなボイスがハマり役と好評していますが、
私は走って息切れるシーンの演技にしても、自然さより経験不足を感じてシックリ来ませんでした。

声に人生が滲み出る演技だなとも感じはしましたが、
哀しみ故に荒れた生活を送るカオルの父役の小山 力也さんにはまだまだ及ばない印象。

その点、ヒロイン・あんず役の飯豊 まりえさんは、声優経験もありまだ安定感がありました。

それでも、脇に回った畠中 祐さん&小宮 有紗さんじゃ駄目なんでしょうか?
という私の疑問をかき消すほどの演技ではなかったかなと。

ただし、カオルの妹・塔野カレン役の小林 星蘭さんは子役時代のスキルも生かした幼女ボイスで上々。
塔野家の天使に免じて評点は基準点+0.5点で。


【音楽 4.0点】
劇伴は富貴 晴美氏のフィルムスコアリング。
氏のBGMは管弦楽の迫力でねじ伏せるよりも、ピアノを中心に心情にそっと寄り添う方が味わい深いです。
本作でも遅効性の恋に繊細な音色がマッチしていました。

主題歌、挿入歌はeill。
アップテンポな劇伴ソング「プレロマンス」では二人の恋愛未満を的確に射抜き、
主題歌バラード「フィナーレ。」では濡れるリスクが増える相合傘の利点を恋愛面から力説。
一番刺さったのは既存曲のアコースティックアレンジとなった「方っぽ」
世界から外れそうな位の喪失感が痛切で抉って来ます。


【付記】
イケメン俳優&朝ドラヒロインをキャスティングして、
実写恋愛映画の如く、カップル集客も目論んでいるという本作。
ですが初週鑑賞時、まばらな観客は私も含めてアニメ&ラノベファンと思しきソロの男性ばかりで、
デート中のカップルなんて一組も見当たりませんでしたw

プロデュースが滑っている以上、上映期間も長くはないと思われるので、
興味がある方は、夏が消え去る前に、お早めに劇場に行くことをオススメします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンの出来損ない?

24年9月再視聴+原作を読みました。本作よりは川崎さんについてかなり描かれており、殴打問題のその後もありました。その点はいいんですけど、原作を読んで気が付いたのは、構造は新海誠氏の「ほしのこえ」そのままです。オマージュかなあとは思ってましたが、結構そのままです。つまり30分でいいよね、という気がしました。

 本作はウラシマトンネルありきなんですよね。時間の経過に引き裂かれた2人の世界が中心にあってそれ以外はあまり内容がない気がします。その印象は原作でも変わりません。
 で、原作にはないケータイメッセージのアニオリを入れたので余計に「ほしのこえ」でした。ケータイのメッセージは設定上からいっても矛盾だらけな気がしますので、やりたいことはわかりますがこれはSFとしては出来損ないです。(追記 いや、ここは濡れ衣かも。双方向で通信が可能…かも?少なくとも外→内の一方通行は行ける気がしてきました)

 2人の家族からの孤立も孤立していれば理由は何でもいいし、孤立すら物語のテーマ性に関係がありません。マンガ家の設定もヒロインの側に残る理由が生じることしかありません。

 主人公がなぜ妹に執着するのかは、幸せな家族像がそこにしかないからともいえますが、ヒロインはなぜ特別になりたいのか?なぜ、そこまで強いのかが、正直ありません。というか、ヒロインの人物像はインパクトがあるしはっきりしてますが、そのバックボーンがボヤーっとしています。親への反発がスタートですが、その反抗心の核が見えません。それは原作も同じでした。

 結論から言えば、本作アニメ映画版よりも原作の方が丁寧だし納得感はなくはないですが、それでもフーンというレベルでした。で、何度もいいますが「ほしのこえ」の引き延ばしバージョンだという結論です。





23年6月レビュー

キャラが描けてない。SF・恋愛・家族・成長の何も描けず。

{netabare} ウラシマ効果のような時間遅延と願いをかなえると不幸になる話を組み合わせた感じです。要するに「トップをねらえ」「ほしのこえ」のようななSFと、「猿の手」「地獄少女」「笑うセールスマン」のような因果応報ものを組み合わせたような設定は良いと思います。
 そうそう、死者との再会という点では「オルフェウス」「イザナミイザナギ」とも重なってきます。

 そこまではいいんですけどね。肝心のキャラに全く深みがなく、SF的なセンスオブワンダーがあるわけでもなく、テーマ性も感動性も見いだせず。正直言ってずっと???のハテナマーク状態でした。

 結局最後の30分、ヒロインとの再会ストーリー以外に何を描きたいのかわかりません。家族の問題がいろいろ出ていますが、キャラの厚みにもならないし、家族とはなにかという部分も全く描けていません。あるいは家族の再構築のような感動すらありません。

 初めのイジメに対抗するヒロインのキャラ付けも効果的だったか…むしろあんな言動をしていればいじめられて当然。で、キレるわけですけど、キレた結果どうなるかもありません。
 ヒロインの夢をかなえる的な話もキャラ造形がまったく役に立っておらず、キレキャラがどういう理由でそうなったのかが本気でわかりませんでした。毒親がいたので防衛的に…という感じだとしても、だからどうした?としか言えません。
 そして、2人の関係性が変な見方かもしれませんが、コミュ障の共依存に見えなくはないです。つまり、ヒロインが病的すぎな気がします。

 駅のシーンと花火のシーンがまあ感動シーンなんでしょうけどね。こういう薄っぺらいストーリーだと「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の劣化版でしかないです。こういうのが見たいんだろ?感で非常にシラケます。

 ウラシマ効果そのものに、意味性が付与できていません。主人公とヒロインでいろいろ調べる過程はいいんですけど、そこで何の発見も気付きもないです。

 そしてラストの方の {netabare}妹との再会 {/netabare}ですけど、妹のキャラも主人公にとってどれだけ大切かと口では言ってますが、エピソードが描けていないので、まったく乗れません。妹がいてどれだけ主人公が助かっていたか…不幸な家庭の中の関係性が描き切れていませんでした。要するにカタルシスがないです。{netabare} 妹との再会{/netabare}の時に、主人公が何に気がついたのか全く不明な映画でした。感動ポルノとしてすら成立していません。
 あと、インコも原稿も実物がよみがえったのに…なんで?と思わなくはないです。
 プロットありきで話は破綻してませんが、映画として成立していない気がします。

 無料でも時間の無駄と評価したいくらいです。アマプラで有料で見ましたので映画としての評価をすると、かなり低い点数をつけざるを得ません。

 客観点だと2.1ですが、主観的には15点/100点くらいです。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
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