小学生で心温まるなおすすめアニメランキング 24

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早速見ていきましょう!

84.0 1 小学生で心温まるなアニメランキング1位
小林さんちのメイドラゴンS(第2期)(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (560)
2102人が棚に入れました
あのはちゃめちゃドラゴンメイドが再び!ひょんなことから小林さんちのメイドとして働くことになったドラゴン・トール。大好きな小林さんに時々(嘘。たくさん)迷惑を掛けながらも、なんとか人間社会に溶け込み立派に(嘘。そこそこに)メイド業をこなしていた。同じドラゴンのカンナ、ルコア、ファフニール、エルマたちも、それぞれ自分の居場所を見つけて、人間たちと異種間コミュニケーションを満喫していた。そんなまったり、たまに激動の日々を送っていた頃。小林さんに、新たなドラゴンの脅威が襲いかかる―。

声優・キャラクター
田村睦心、桑原由気、長縄まりあ、高田憂希、髙橋ミナミ、嶺内ともみ、小野大輔、中村悠一、加藤英美里、後藤邑子、石原夏織

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

さすがですわ

あれから4年以上経過しているとは。
なんだか色々忘れていた。

今作からイルルというロリ爆乳が登場。
なかなかがっつりな導入であった。

小林さんの懐の広さは安定。話の内容も安定。
気づけば見終わっていた。
体にすっと入って来る。個人的今期覇権アニメ。
それぞれのキャラクターの心理描写を丁寧にしていて素晴らしい。

ルコアさんの翔太君愛は相変わらずすごい。良い動きしてるわ。

小林さんのデレが可愛かった。浴衣着てくれても良かったかも。
ウエディングドレスは良かった。
オチが凄まじいな。ちょっとそれだけは疑問符。
そのほかはベタ褒めしかできん。


OP
愛のシュプリーム! fhána
ED
めいど・うぃず・どらごんず︎❤︎ スーパーちょろゴンず トール(桑原由気)、カンナ(長縄まりあ)、エルマ(高田憂希)、ルコア(髙橋ミナミ)、イルル(嶺内ともみ)
イシュカン♡リレーションシップ トール(桑原由気)
fhánaはいつも素敵な楽曲を提供してくれる。愛のシュプリーム!は今までのfhána楽曲と一味変わってる。ラップ?みたいな。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
あのはちゃめちゃドラゴンメイドが再び!ひょんなことから小林さんちのメイドとして働くことになったドラゴン・トール。大好きな小林さんに時々(嘘。たくさん)迷惑を掛けながらも、なんとか人間社会に溶け込み立派に(嘘。そこそこに)メイド業をこなしていた。同じドラゴンのカンナ、ルコア、ファフニール、エルマたちも、それぞれ自分の居場所を見つけて、人間たちと異種間コミュニケーションを満喫していた。そんなまったり、たまに激動の日々を送っていた頃。小林さんに、新たなドラゴンの脅威が襲いかかる-。


1. 第1話 新たなるドラゴン、イルル!(またよろしくお願いします)
自称究極のメイドであるトールは、今度オープンする新しいメイド喫茶にライバル心を燃やし殴り込みに行く。しかし戻ってきたトールは「なんか働くことになりました」と言い出した。そんな変わらない毎日を送っていたある日、ニュースで小林さんと出逢った山が何者かに破壊されていることを知る。

2. 第2話 イケメン、小林!(いろんな意味で)
イルルを退けた小林さんだったが、その代償に魔法で「アレ」を股間に付けられてしまう。すると普段は何とも思っていなかったトールやカンナが違って見え始め、次第に小林さんは悶々し始めていく。

3. 第3話 課外活動(もちろん普通じゃありません)
小林さんちに遊びに来た才川。しかし見知らぬ女の子(イルル)が……。一緒に遊ぼうと誘うも、イルルは冷たく避けていく。そこに偶然訪れたルコアは、避けようとするイルルの気持ちに気付き、助け船を出そうと計らう。

4. 第4話 郷に入りては郷に従え(合わせるって大変です)
美しいコード配列に感嘆する小林さんと滝谷。なんとそれを書いたのはエルマだった。ついに一人前の戦力になったと小林さんは大喜び。小林さんは会社の「柱」としてもっとたくさんの仕事を抱えているそうだ。しかしその話を聞いた途端、エルマは急に怒りだす。

5. 第5話 君と一緒に(まあ気が合えばですが)
商店街で会うなりいがみ合うトールとエルマ。いつもの光景に呆れ気味の小林さんだが、出会った当初はそうではなかったと言う。犬猿の仲の二人の出会いは、遡ること遥か昔。あちらの世界でトールが一人旅をしている時のことだった……。

6. 第6話 合縁奇縁(片方はドラゴンです)
毎日ルコアの奔放な接触アプローチに悩まされている翔太。本来なら自分が主人のはずなのに……。一人前の魔法使いを目指す身として、主導権を取り戻さなければ、と一念発起する。そこで翔太は、ルコアの弱点を探り始めるのだった。

7. 第7話 一般常識(みんなずれてます)
夜闇が支配する路地裏に、怪しい人物が2人。不穏な空気を醸し、何やら密談を交わしている。「なんだい?こんなところに呼び出して」--2本角の痴女が言う。「お前の力を貸せ」--執事服の陰鬱男が返す。最凶最悪のタッグが今、動き出す--。

8. 第8話 世界に一つだけの(好きな言葉を続けてください)
何やら部屋に籠り始める翔太。父の日のプレゼントとして魔術道具を制作するため、難しい魔術書を読み漁っていた。その難易度が高いため手伝おうと名乗り出るルコアだったが、自分一人の力でやり遂げたい、と断られてしまう。だがやはり制作は失敗続きで……。

9. 第9話 いろいろワケがありまして(エルマざんまいです)
待遇改善を要求する--!それはエルマの一言から始まった。小林さんたちの勤める会社は、極めて“黒”に近い。そこにエルマがようやくおかしいと気付き、旗を掲げたのだ。改善などどうせ無理だろうと高を括っていた小林さんだったが、ドラゴンのバイタリティは予想を遥か上回っていて……。

10. カンナの夏休み(二か国語放送です!?)
小林さんと喧嘩した勢いで家出をしてしまったカンナ。帰りたくないからと太陽のある明るい方向へと大海原を飛んでいく。その時、たまたま見つけた陸地へと降り立ったカンナだったが、なんとそこは決して眠らない街・ニューヨークだった。

11. プレミアムシート(特別料金はかかりません)
本格的に腰を痛めて来た小林さん。改善しようと健康グッズを買い漁るが、それらはほとんど使われないまま……。業を煮やしたトールがしっぽ肉を食べさせようとするも、あえなく拒絶。トールは、小林さんが求める「一般的な治療法」を探し始める。

12. 生生流転(でも立ち止まるのもありですかね)
いつも通りの朝。いつも通りのドラゴン娘たち。何一つ不満のない、かけがえのない平凡な日常。だが小林さんの中には、終焉帝の話を聞いてから、ほんの少しだけ重い何かが転がっていた。でもそれが何か判然としない。もやもやとする中、待ちに待った夏祭りが始まる--。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

肩の力を抜いて笑って観たい

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
「流石、京アニ」と言えるハイクオリティな日常系アニメ。

レビューでは、本作で好きだった部分と、本作が作られたことの意味を、自分なりに書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本シリーズは、「1つ深い日常系」の、とても素敵な作品である。

1期は☆5(神作)、2期は☆4(高評価)。1期よりやや評価を下げたのは、各キャラの掘り下げの要素が強くなり、深みがあるセリフ(トールと小林さんの関わり)がやや減ったからである。

例えば本作なら、

1話目「違いを楽しみ、楽しみが続けば種を好む、尊敬には信頼が加わり、絆を生み出していく」

7話目「眠りは同調圧力」

なんかが好きで、こういうのがたくさんあった方が、個人的にはより好みだった。

とはいえ、単純に楽しい話はいっぱいあって。

10話目の「カンナNY編」は☆5をつけた。たった1話にかけるほどの熱意や労力じゃないでしょと思えるクオリティに、「これぞ京アニクオリティ」と思った。

本作で最も良かったのは、エルマのキャラが深まったことだと思う。過去話や仕事話、仲直り含めて、実質、エルマが本作の主人公だと思う(カンナも主人公級の活躍でしたね。自由研究の話は可愛かったな~)。

まあ、シリーズ構成の大きな流れとして、2期でサブキャラを深めていくのは王道なので、「少し落ち着いた2期」というだけで、物語の面白さは減衰していないと思いたい。ラストは、もしかしたらアニオリかな?と思わせるような、ドタバタ大団円で、非常に読後感が良い。全話見終わって、楽しかった記憶しかない。

さて。

とはいえ本作を語る時、どうしてもあの痛ましい事件を考えなければなりません。

私も1アニメファンとして、心が痛み、今でも忘れられないし、忘れてはいけないことだと思っていますが、本作を通して、京アニも前に進んでいるのだから、自分自身もいつまでも暗い気持ちで作品を観ては失礼だとも思いました。

本作のOPは、事件の前に決まっていたらしいのですが、あの明るい曲をそのまま使ったことの意味、シリーズ監督のクレジット、又、あの事件後に作られた歌の後半部分の讃美歌からも、京アニの思いは伝わります(この辺はReiさんが思いのある素敵なレビューを書いてくれているので、そちらに)。

レビュータイトルを「肩の力を抜いて笑って観たい」としたのはその辺が理由で、本来はそういう作品を作っているわけだから、忘れちゃいけないけれど、囚われても良くないと思うので、そこは、京アニとファンが、時間をかけてでも一緒に乗り越えていかなければならないことなのかなと思います。

ということで、私としても色々な思いがあるし、頭では分かっていてもまだ簡単には割りきれませんが、レビューの中にあえてあの事件のことを書くのは、(それが正しいのか間違っているのかは分かりませんが)このレビューで終わりにしようかなと、今はそういう気持ちです。

最後に、あの事件でお亡くなりになられた全ての方のご冥福をお祈りし、現在なお戦っているご遺族の方やリハビリ中の方、制作に関わったスタッフ全ての方に対し、心からの応援を込めて、レビューを閉じさせて頂きたいと思います。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
燃え燃え(笑) 途中のCMのクオリティ、高いな~。もはやドラゴン語はスルー(笑) あんなに可愛くされたら(笑) 「違いを楽しみ、楽しみが続けば種を好む、尊敬には信頼が加わり、絆を生み出していく」。

2話目 ☆4
まあ、トールなら、そうくるだろうな(笑) チャンスを生かすトールです(笑) メイド服脱がれて冷める小林(笑) いやCM、やっぱすげえな。小林さんが防犯ブザー持ってる意外さ。私に騙される?って、イケメンか(笑) トールガチ切れ。キモ(笑) 繁殖、したい(笑)

3話目 ☆4
なるほど、コスプレがしたかっただけ。逆に深い気がする。カンナの趣味が可愛すぎる件(笑) ここで特殊ED。 

4話目 ☆4
調和勢、面倒くさい(笑) やたら哲学的な遊園地(笑)

5話目 ☆4
お互いの内面が分かる程近づき、認められない部分ではぶつかる。エルマも消す(笑) 

6話目 ☆3
ルコアとファフニールの話。才川、死んだ(笑) CG(笑)

7話目 ☆4
グラム88円(笑) 眠りは同調圧力。久々の哲学的な会話。本当に、CM良いよな。

8話目 ☆4
まあ、父親だよな、小林さんは(笑) 珍しく、小林さんのサービスシーン(笑) ネコバヤシ(笑)

9話目 ☆4
エルマ、良いキャラだよな。素敵な仲直り。

10話目 ☆5
NY編、間違いなく楽しいな。ただ、楽しいな。驚き方が、外人w 小林さんと同じことを。巻き戻したら、ホントに居たわ(笑) さりげないシーンの作画がめちゃくちゃ良いのが、流石京アニだよな。小さな美しい世界を丁寧に描く。 


11話目 ☆3
トールの過去話。最初は皆、個人の意思。

12話目 ☆4
納豆は、破壊と創造(笑) 小林さんのデレ(笑) 花火の煙までちゃんと表現するのがな、流石だよな。なんとなく、アニオリっぽいラスト? 今は死別することを考えなくて良いんじゃない? と同じ意味だよな。結婚式、、、小林すん、ウェディングドレス、似合わない(笑) ここで一期OP。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

1期と比べると落ちるかな

2017冬放送のメイドラの続編。

{netabare}
率直に言うと、メイドラってこんなにつまらなかったっけ?ってなってしまった。
星3.0を付けている通り、一期と比較しているだけで、一定以上の面白さがあるのは確かなんだが...

たぶん変なシリアスが多かったことが原因かな。
正直シリアス要素に限って言えば全部つまらなかった。
というか、メイドラで良かったシリアスが思い浮かばない、一期の最終話もかなり酷かった覚えがある。
シリアスになると、小林のキャラがきつく感じる。
謎に説教臭いし。
こういうコメディ系アニメに入るシリアス、好きな人もいるんだろうけど自分は嫌いかな。
少しぐらいならまだいいけど、これはあまりに多すぎたし無駄にギスギスだし。

まあ、最初にも書いた通り安定してコメディ要素は安定して面白いので決してつまらない作品ではないんですが。
特に10話のカンナ回は神回だった。ああいうのでいいんだよという感想。
自分は正直メイドラの面白さの7割はカンナだと思っているので。
アメリカのあの金髪の子の登場があれ以降なかったのはちょっと悲しかったけど。
2期要素で言うと、イルルと駄菓子屋の絡みが面白かった。
面白かっただけにあんまりあの駄菓子屋の人が出てこなかったのは残念。

作画も良かった。色々あって作画落ちないか心配だったけど、一期から落ちないどころか上がってるような気もして素晴らしかったと思う。
ただ、正直に言うと、作画はいいけど京アニは嫌い。
押しつけがましいというか、「俺ら作画すごいだろ?」って見せつけてきている感をかなり感じてしまう、例えば9話の戦闘はまさにそれ。

OPとEDは自分が特殊なのかもしれませんが、個人的にはかなり微妙でした。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 7/10
作画わかりやすくなったな。
OP微妙すぎる...。酷い、なんだこれ...
サビが微妙だったらミュートしてたかもしれない。
個性的ってレベルじゃないなw
削り取られたような(直球)
やっぱり一期の最終回のじじい正論だったじゃん
エルマちょろすぎるw
えw 謎展開。
ED一瞬ブレンドSかと思った。
いや、EDもかなり微妙だなぁ。

2話 8/10
謎展開すぎるw ちょっときつい。
いや、ドラゴン相手に何でそう簡単に逃げられる。
シャフト感ある演出。

3話 7/10
メイド服似合ってねえ。 謎に一期OP

4話 6/10
人柱かよ
何か2期シリアスよりになってる気がする
真面目な話とか本当に要らない。
ただ雰囲気壊してるだけで、シリアス展開全然いい話でもないし。
私服あってねえ。
遊園地は1話かけてやってほしかった。 

5話 6/10
トールが人間を見下してるところ見ても面白い風に感じない。
シリアスつまんねえ。
ほんとイキってるトール見ても面白く感じんわ。
コメディアニメなのにここぞとばかりに作画を見せつけてくる京アニの癖嫌い。
カンナが出てくれるだけでめっちゃ面白く感じる。
男との絡み面白い。
駄菓子パートはめっちゃ面白かった。
トールとイルマの過去話いらない。 

6話 5/10
どこから出てきたんだあの謎カメラ。
ほんとにつまらないシリアス多いなぁ。
才川のノリは正直きつい。
それでもカンナパートはやっぱりいい。

7話 8/10
バズるとかいう言葉使う小学生嫌だなw
やっぱメイドラの面白さの7割はカンナだな。

8話 4/10
こんなシリアス方向に走るアニメだったっけこれ。
何で住所もらえるんだよw 前半も後半もコメディ要素がすくないなぁ。
しかもそんないい話だとは思えない。

9話 5/10
今回は面白そう。結局この会社はブラックなのかよw
え、会社の話あれで終わり?
小学生が一人でレンタルってレベル高いなw
翔太君千里眼防げるの強い
いや、翔太君そんな魔法沢山使えるんかよw
???戦闘いらねえよ。
何で今更元の世界に帰るとかそういう話。
普通に仲良くしてるじゃん。
京アニほんと嫌いだわ。
変な描写無理やり挟んで作画見せつけたり「俺らイカしてるだろ??」感出してくるの、OPもそんな感じがしてきつい。
前半めっちゃ面白かったのに後半で冷めたわ。

10話 10/10
日本円分かってくれるのかw
金髪の子また登場してくれないかなぁ。
こういう話でいいんだよ。 

11話 6/10
意味わからん会話だなw
なんで父と仲良くなってるの?
このおっさん何しにきたんだ、ほんといらんわ。
カンナはかわいい。

12話 6/10
イルルと駄菓子屋の人の絡みもっと増やしてほしかったなぁ。
この大団円パート好き。
2期と違って1期のOPはいいな。
{/netabare}

曲20段階評価
OP「愛のシュプリーム!」1.5/10
ED「めいど・うぃず・どらごんず♡」4/10 
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

90.2 2 小学生で心温まるなアニメランキング2位
ばらかもん(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★★ 4.1 (2938)
14413人が棚に入れました
書道家の半田清舟は、ある受賞パーティーで書道展示館の館長を殴ってしまう。見かねた父親は半田に「自分の人間として欠けている部分」を見つけさせるため、彼を自然豊かな五島へ送り込む。

そこで彼は天真爛漫少女・琴石なるをはじめとする個性的な島民達と出会い、親交を深めていく。田舎独特の人間関係に戸惑いながらも、半田は新しい何かを見つけ始めていた。

声優・キャラクター
小野大輔、原涼子、古木のぞみ、大久保瑠美、内山昂輝、遠藤璃菜、木村聖哉、潘めぐみ、徳永悦子、立木文彦、諏訪部順一、梶裕貴
ネタバレ

ポル さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

琴石 なる=元気な子供=ばらかもん

とても素晴らしいアニメです。普段アニメを見ない方でもきっと楽しめると思います。ふと思い出したときにまた見たくなってしまう。
テレビアニメ『ばらかもん』で主要キャラクターである、琴石なる役の声を実際の子供で演じているのも良い。「子どもには方言は無理だと思うのでなるは標準語でしゃべらせてほしい」と原作者であるヨシノサツキ本人が言っていたが、あまりにも原が上手に方言をこなした為、標準語ではなく方言で放送されることとなったという。

大まかなあらすじ↓
{netabare}
書道家の半田清舟は、ある受賞パーティーで自作を酷評した書道展示館の館長を感情に任せて殴りつけてしまう。見かねた父親は彼に「自分の人間として欠けている部分」を見つけさせるため、彼を自然豊かな五島へと送り込む。
半田清舟は、生まれも育ちも都会のため、島での生活や独特の慣習にしばしば戸惑う生活を送っているが、彼自身も幼少時より書道に専念した生活を送っていたため世間知らずで一部常識に欠ける面がある。そんな彼に絡んでくるもう一人の主人公の小学1年生7歳の琴石 なる。この子供との日常が彼に色々な衝撃を与えるきっかけとなる。
{/netabare}

各話ごとの個人的に良いと感じたシーンからの感想↓
1話 ばらかこどん
{netabare}
五島のこれから住む家についた時なるを何回も玄関の外へ投げ転がすシーンは笑えました。最後は借家の管理人のおっさんまでも外へ投げ転がす(笑)

なる「あやまるのってすげえ怖いな でも あやまってよかった」清舟を怒らせてしまったと思い、精一杯の気持ちを込めて反省を伝えたなる。八つ当たりでなるに怒鳴ってしまった半田は「謝るもなにも…」と躊躇いますが、そんな清舟に気付かず心底ホッとしたなるが笑顔で言ったセリフです。これに館長を殴ってしまったことの答えがあるような気がしますが、彼はまだ気づきません。

EDが終わったあとのCパート。家の中で暴れまわって習字作品を書いてる半田を見て管理人のおっさん「怖い」シュールだった(笑)
{/netabare}
2話 やかましか
{netabare}
館長を見返してやるため書に没頭しようとしてる清舟のところへなるが来る。清舟「またお前か、なぜ毎日来る?」なる「なるは先生の通い妻じゃっけーん!」小さい子はえげつない言葉覚えるの早いからどう対処していいか戸惑うことあるよね(笑)そんなところが可愛いけど(笑)なる「あの奥さんは歌舞伎町の女王ぞ!」「元気がよかけん枕営業ばするー!」「こん味噌汁は本気汁ぞー!」そんなことまで言ってるのか・・困ったものですね。

ヒロシは、清舟の隣の部屋の中を見ると、ここ来てから書き溜めた書がびっしりとあった。なる「先生はなぁ、こがんたくさん書いてもまだ良か字書けんち言うと!先生は才能がなかけん、たくさん書いてもまだまだたいなぁ」
ヒロシは衝撃を受け、中途半端な自分を反省する。ヒロシ「努力できるのが一番の才能だな」涙目になるヒロシ。今までの中途半端な自分に対する悔しさの気持ちからもあり、清舟の努力に心うたれての涙でもあるような感じですね。

入院する清舟。点滴であれだけドタバタ騒ぎになるとは(笑)
入院患者のおじいさんとホッとするいいお話。閃きがきた半田は書道の道具を持ってきてくれるよう看護師さんに頼み迫りますが何を勘違いしたのか人妻を強調する看護師さん面白いですね。
体調も戻り退院する清舟ですが、おじいさんの話をすると、まさか幽霊?色々ヒヤッとさせられる場面でしたね。

ED後のCパート
清舟のところへ食事を持っていくヒロシは、指がバンソーコーだらけの清舟を目撃。
なる「先生ー!先生が切った血まみれん玉ねぎどがんすればよか?」持ってきた器の中に入ってるものを見て清舟、ヒロシともにΣ(゚д゚lll)ビクつく。最後笑わせてくれました((´∀`*))ヶラヶラ
{/netabare}
3話 ひとんもち
{netabare}
墨汁を買いに行く清舟は商店で中学生のタマちゃんと会う。濃いキャラでしたね。清舟の前で漫画に対する熱い情熱を語ったことに反省し、弁解に行くタマちゃんであったが、清舟がバランスを崩してヒロシにもたれかかってるだけなのに衝撃を受けてそのまま帰ってしまうタマ(笑)

書の大会で2位で落ち込んでいる清舟。なるに餅拾いに行こうと誘われる。
餅が一つも拾えない清舟は、自分の書の道のことも重ねてさらに落ち込む。そんな時、餅拾いで村一番の名人、通称ヤスバァにコツを教えてもらう。餅の拾い方と書の道と重ねてしまいヤスバァに問いかける清舟「誰かうまいやつがいてそれでも拾えなかったら?」ヤスバァ「そがん時はなぁ、どうぞお先に、譲ってやって、もーっと太か持ち場、狙え。譲っことと拾うことをやめんば、ほーれ、こげんなもんたい!」とたくさんの餅の入った袋を誇らしげに清舟に見せるヤスバァ。清舟の心は少し晴れた様子。おばぁさんのヤスバァ(・∀・)イイコトイッタね!!

ED後Cパート
どうみても教師に見えん教頭先生。ザリガニを釣りの餌にするということになるはΣ(゚∀゚ノ)ノキャーバケツ投げ飛ばす。教頭を見逃せばタイ食えるぞと言われ落ち着いたのだが餌にするやり方ザリガニの腕をちぎりとる、を見てΣ(゚∀゚ノ)ノキャーいちいち面白いですね(笑)
{/netabare}
4話 しまんおんつぁんどん
{netabare}
パソコンも携帯電話も壊れてしまった清舟。電話を借りに出かけるのだが。猫が多く集まる家で癒しを求める清舟。猫アレルギーとは可愛そうですね。

川藤と電話。
川藤「今回は大賞期待できるんだろうな?」清舟「どうかな?今はまだ暗闇の中だがいつか必ず光を見つけ出すさ」中二病を患っていた風に言われ(笑)

帰りにヤクザ風のおっさんに絡まれる。ミワの父だったとは。船に船名を書けと言われますが、度胸がなく失敗を恐れどうしても最初の筆がすすみません。清舟「あ~もうやだぁ怖ぇ怖ぇ!!」なる「いやちた」ひな「うん」嫌って言ったって意味でしょうか?方言わかりずらい。そんなとき、なるたち子供がイタズラで船体に手形をつけまくります。手形をごまかし消すため、思い切りよく筆をすすめた清舟。良い味のある字ができました。それにしても清舟はプレッシャーに弱そうですねぇ。

ED後Cパートザリガニ釣り
毎回Cパート楽しみになってきました。
清舟「ゴミがありますね」
教頭「あ~、釣りに来たやっどが捨てていっとっだ。注意してぇ聞かん。」
ゴミを捨てさせないためうまい言い回しの看板立てたらと。
教頭「あなたの捨てたゴミのせいで地球は終わりです。ゴミを捨てるなお前ゴミ。捨てたら死にます。」テキトーだ(笑)
教頭おもしろいですね。
なる「ゴミを捨てるとザリガニがいなくなります。」一本とられましたね。
{/netabare}
5話 うんにおえぎいっ
{netabare}
なるのお爺さんにもらった「このもん」にハマってしまった半田。
「このもん」は、香の物→このもの→このもん、と訛ったものらしく、その名の通り漬物のようなもの。大根を干して、砂糖多めの独特な漬け汁で漬けた食べ物です。
主人公・清舟がタッパー全て食べきってしまっていたようにクセになる味わいとのこと。(*´ч`*)ジュル作り方は検索するとすぐ出たよ。

元々一緒に行く予定だった教頭がサボったため、代わりに清舟は海水浴、子供達の監視役として行くことに。海ではすぐに気絶する半田さん。情けない。美和ちゃん何を持ってるんだよグロぃ。危険な飛び込みの遊びをしていた美和、ヒロシ、なる。清舟は怒ってっ叱ったあと「この島に来るまでは自分のことだけ考えていればそれで良かったのに、こんなに誰かのことを心配したのは初めてなんだよぉ!!」それを聞いた子供達は心打たれて反省し半田に抱きつき、さらになつくことに。

ED後Cパート
教頭の頭のくせ毛?には笑っちゃいました。なる「てんぐさ頭だぁ」
{/netabare}
6話 よそんもん
{netabare}
なる「へ~い!らっしゃいらっしゃい!貝殻屋ですよ~!らっしゃ~い!ん?」なるはヤクザにビビって逃げたと思ったら刺青(ラクガキ)入れてきた(笑)
なる「待っちょって、ばあちゃんに見せてくっけん。」川藤「待て待て、こっちが先だろ。」なる「やめれ。離せや!」
川藤、道案内をなるに頼んでる時に教頭たちに勘違いされ、
「わがだ、どこんもんか?」「どがんした?教頭?」「不審者ばい!」「子拐いたいな」「刺青ばしちょっぞ」「消防団呼ぼうや」「こっから碁会じゃけーん、ちょっとば話聞かせんもらおうか?」「ほれ」連行されてく川藤たち。初っ端から清舟の友達トラブルまみれだな。かわいそうに。

なる「先生の友達は、なるの友達なので・・・友情の印です。」康介「ん、なにかな?おぉおおお!汚いモンスターボール!」Σ(゚д゚lll)
ガチャポンの玉の中身はカメムシらしき虫がビッシリっと(;Д;)ギャー!よくもあんなたくさん集めたものですね。

村で書いてからの字を否定され東京に帰りましょうと言われたあと、なるの紙飛行機を見て今までの村での生活で経験したことを思い出したって感じでしたね。清舟「どうぞお先に。お前の言う俺の綺麗な字は親父に言われるままに書いた行儀のいい字だ。俺は怒られてもいいから、俺の、半田清舟でなければ書けない字を書きたい。何が正解かわからないけど、お前の言葉に焦らされて東京に戻るのもなんか違う気がする。俺は変わりたいんだよ。ここで。もうしばらく先に行って待ってろ。風に乗ってすぐに追いつくから。」
康介「ボイスレコーダーで録るからもっかい言って今のセリフ!」清舟ファンも行き過ぎたら気持ち悪いものがありますね(笑)
村の生活で少し精神的に大人に成長した半田清舟でした。

ED後Cパート
タマちゃん部屋で騒いでる男♂4人組をみて興奮?色々とヤバイですねこの子。(笑)タマ「ふ!戦闘要員・・・増えちょる゛ううう!」
{/netabare}
7話 ひさんいを
{netabare}
川藤と康介を連れてヒロシ、美和、ヒナ、なる、清舟らは海釣りへ。
清舟、餌付けや釣った魚触れず、なるに任せっきり。ダメな大人だ(笑)
康介「なんて強い引きだ!大物に違いない!僕って書道だけじゃなくて釣りも天才なんだ!見てろ愚民共!格の違いを見せてやる!」
美和「地球ば釣りあぐっち流石ばい。」
なるはちょっと長めの棒を手に入れた。地面叩く、フナムシうじゃうじゃと(;Д;)ギャー!

今回も色々楽しませてくれますね。笑いどころたくさんで面白いです。

川藤「なんでも、かんでも、自分の目線でしか見られねえのか?だからスランプなんかに陥るんだよ!」清舟「スランプって・・・お前書けないのか?」川藤「このまえのお前の字見てからな。半田は下手になってない。下手なら準賞どころか入賞もしない。康介は今までお前の字を意識して書いてた。だからお前の字が変わったことで見本になる人間が居なくて不安になったんだ。」川藤「若いものの役目は失敗することを恐れず、新境地を開くことにあるのだ!」二人(清舟と康介)「館長!」川藤「記録よりも記憶に残れ!試合に負けて勝負に勝て!ナンバーワンよりオンリーワン!賞を取るより売れる物を!」清舟「最後のはお前の願望だろ?」
釣りに来たにもかかわらず結局、習字の話で口論する清舟たち。

なるの作った仕込み針で最後、イシダイ(高級魚=ひさんいを)が釣れるが、釣った瞬間からそのあとの落差が大きすぎて(笑)

空港で郷長が誰を連れて行きたいか尋ねたときに、なるが欲しいと思ったわ。なる「なるもこれば買う!」清舟「買う~!って・・・俺に買わせる気だろ?・・・ん?」なる「頼むよ、先生!後生だからよ~!」清舟「その若さで来世をかけるな。」この二人ショートコントの漫才常にしてるような感じっすね。
ED後Cパート
飛行機機内でコント用小芸の鼻メガネかけてる川藤。動くものがあるんだな。シュール(笑)康介「今度は一人で来ます。」
{/netabare}
8話 オンデ
{netabare}
今日はなるの誕生日。清舟の家でパーティーをやることに。
プレゼント考えてくように言われたもののなるの欲しいもの思いつかず。
ケン「おんは、カブトムシ百匹やって蟲ベッドつくってやっと。」
清舟「罰ゲームだろ・・・それ。」
ヘラクレスを潰すなど色々ドタバタはあったが、子供達によりなつかれる清舟であった。ケン「なるん為にきばったっちゃっけん。先生みたいに本気で遊んでくるっ大人初めてよ。俺今年ン夏はバリ楽しか!」二郎「おんも~!」一郎「おんも!」

美和「まずは、先生からプレゼント!」清舟「え、いやあ、俺はあとで・・・」美和「そがんこ、言わんでさ~!」清舟「やめろって!おい!」一同「取ったあ!」美和「はい、先生から。」なる「わぁ!」美和「っぷ・・・ははは!なんこれ?小学生の母の日!?」タマ「しかも、一枚ってせこい!」清舟「お前らな・・・」美和「なる?怒ってよかっぞ?」なる「ぅぅぅぅぅぅ・・・うぉおおおお!やったあああああ!」清舟「そんなに喜ばれたら怖いんだが・・・」ひな「よかったね。なる。」なる「うぉおおおおおお!」【なんでも言う事きく券1枚】なるのこれからの使い道が気になります。例えば、成長するまでとっておき結婚しろとか(笑)

なる「爺ちゃんが墓参りいくけん、先生ば連れて来いちた。」
祖父「オィが畑に行かばじゃそい、墓ん火の番ばしてもらおうかち思うてな。」なるの両親ってどうしちゃったんだろうな?おじいちゃんしかいないようだけど?墓の番する風習って珍しい。この土地では常識らしいけど。

ヒロシがオンデの踊りやってるの気に入っちゃってついてく清舟(笑)

なる「いつも爺ちゃんが戻ってくっまで退屈じゃったばってん。今日は帰りたなか気分。」清舟「墓に泊まっちまえ!」なる「これ、あれじゃんね、先生がおっきんじゃろね。」そう言うと笑顔で見上げるなる。清舟「(いつも誰かと一緒にいるから気づかなかったけど、人並みに寂しかったりするんだよな・・・どうせ、放っておいても勝手に成長するんだろうけど俺が暇なうちは構ってやるか。)」

今回も色々かわった風習も見れて面白かったです。

ED後Cパート
犬。よいよネタが尽きてきたのかな?夢オチの話らしいけど。メス(笑)
{/netabare}
9話 おけがまくっちした
{netabare}
郷長「そうだ・・・この際だから思い切ってやっちゃう?」
風呂の湯沸かし器が壊れたため、郷長の提案で薪風呂をやることに。
山道に落ちてる乾いた木を拾いに郷長とでかける清舟。道端に落ちていた木を拾ったものから虫がウジャウジャ出てきたとき清舟「キモチ悪っ!」(;Д;)ギャー!怖ぇ。放り投げた木っ端が郷長の頭に当たり郷長の頭にも虫がウジャウッジャ(笑)郷長「きみ・・・」清舟「ひいいいい!すみません、郷長!」
風呂に入ってくつろぐ清舟のもとへタマ、美和乱入。
美和「子供に火の番させて、悠々と入浴かい?」タマ「罰として裸みまーす。」清舟「道理がわからん!」美和「本当は若か女ん子に見られたかっちゃろう?」清舟「人を露出狂みたいに言うな!」美和「そんカメラは?」タマ「マンガの資料にしようと思って・・・」美和「資料っち・・・いくらマンガでも全裸はダメやろ。」タマ「大丈夫だよ!先っちょにモザイクつければ・・・」美和「・・・」おいおいって目線をタマに向ける(笑)

風呂上りヒロシが教える簡単料理。清舟、料理まったくダメですね。食事してるときヒナが来て、なるがいじめられてると聞く。現場へ駆けつけるとなるが振り回されてる状態。なんだ楽しそうじゃないか(笑)おいおい。不良「うっさか!ヘタレもやし!あっちいけ!」バットで殴られた清舟「うっ!痛い。なんだろう、心が痛い・・・」ヘタレですね清舟(笑)運動場をあけわたす気がない不良っこたち。不良「うっさか!おっらの運動場は中学生が占領しちょるもん!」不良「ばり喧嘩ん強か女と、眼鏡ん女が・・・」清舟とヒロシ「(あいつらだ・・・)」タマと美和を連想(笑)

子供達にリアルターザンごっこに誘われる清舟「なぁ・・・オレ、こんなリアルなターザン、初めて見るんだが・・・」なる「かんたんかよぉ!」清舟「簡単じゃねぇよ!それ、天然のツタだろ!」清舟「(ガキどもには悪いが、危険な遊具は撤去せねば・・・)」なる「やる気やん!」清舟「(飛ぶフリをして、引きちぎってしまおう)ふんっ!」子供たち「うわぁぁ!ダメだよ先生!そんなに引っ張ったら!」ひな「うわあああん!みんな、やめてぇぇ!」まさか全員で落ちるとは(笑)

帰り道崖から落ちる清舟。とことんトラブルに巻き込まれるなこの人(笑)そのおかげで書の新しいイメージが湧いてきたんでしょうけど。色々あって楽しい回でした。面白かったです。

ED後Cパート
東京へ帰るようなことを電話で話してる清舟。毎回Cパート楽しみにしてたんだけど今回はナシでしたね。
{/netabare}
10話 だっちいこで
{netabare}
清舟「本当にいい字が書けて良かった。こっちに来てからインスピレーションが刺激されまくってな・・・やっぱ自然エネルギーって凄いよ!そっちにいた時と違って楽しく書けるっていうか・・・」電話の向こうでは館長が来ていて、電話無視して接客の対応に追われる川藤っち。館長「彼の創作は順調かね?」川藤「調子のいい事は言ってますが・・・」館長「人と同じ美しい字を書くより、半田君には彼にしか書けない字を極めてほしい。字を見れば彼の顔が思い浮かぶような・・・」館長「彼は私を殴ったことを反省しているのかな?」川藤「・・・それはなんとも・・・」館長「私が許すことで戻って来られるのであれば・・・そろそろ戻って来てもらおうか・・・」許すから戻ってこいと言ってるんでしょうが何かトラブルの予感がw

なる「先生はなるとイボガエル捕りばすっとぞ!こっば使って!」清舟「(イボガエル!?」祖父「なら、こっば使うて今日一日手伝うて!」清舟「ああ、それなら・・・」【何でも言う事聞く券】じいちゃんに使われるなる。幼女の生涯設計が狂ってしまった瞬間の図。じいちゃんの石垣積みの手伝いをすることになった清舟。なる不満たらたら(笑)

お祭り、花火をみんなで行ったあと。次の日。
なる「先生!遊びんきたよー!あれ?」玄関閉まってたので、床下から潜って部屋の畳から、なる「よいしょ、んにょいよいしょ・・・んん先生ー!あら?先生?」あーなる(´・ω・)カワイソス先生(清舟)はもう東京へ・・・

ED後Cパート
教頭「誰も来んねぇ・・・」寂しさ極まれり。
{/netabare}
11話 東京にいます
{netabare}
館長が座るときゆっくりと辛そうに腰を落とすのを見て、清舟「(館長、腰が悪いのか・・・)」館長の腰を手を添えて支えながら座らせる。館長「おぉ・・・ありがとう半田君。」清舟「いえ・・・(いくら頭に血がのぼってたとはいえ、こんな人を殴ってしまうなんて・・・オレは最低な人間だ!)」
清舟「本当に申し訳ありませんでした!もっと早くに謝るべきでした!殴ってしまったことも、許してもらえると、わかってから出て来たことも!本当に、本当にすみませんでした!」館長「実は、許すつもりはなかった。許すと言っておびき寄せてから長々と人の道徳について説教しようと思ってたんだが、その必要はなかったようだ。もう二度と、衝動で動いてはいけないよ・・・許します。」清舟「良かった。許してもらえなかったらどうしようかと・・・本当にありがとうございました。」
【1話目になるが清舟に謝ったときと同じような感じに涙目になってるよね。これをもっと早くに素直になれてたら、こんなに遠回りせずすんだかもしれないのに。】
館長に成長した字を見せるとき、館長「この字は・・・」清舟「わああああああ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛すみません!すみません!すみません!すみません!」館長「ついさっき衝動で動くなって言ったばっかりなのに・・
・・・」館長いろいろとかわいそうな、前に殴られて、謝罪のあとには茶ぶっかけられる始末(笑)
館長「しかし、楽しみだなぁ・・・これが試作品ならば鳴華ではもっとすばらしい字が見れるのか・・・」
自らハードルを上げてしまった半田青洲さん。川藤影で笑いを押し殺している(笑)

半田清舟の家へ様子を伺いに行く川藤。半田家に着くと若い妙齢の女の人がいた。半田清舟のママだった。美人!!そして半田清舟の部屋へ行くとなるのヘアスタイル真似した清舟がいた。あ~ダメだこりゃ(笑)

ED後Cパート
タマ金賞。美和・・・銀賞(笑)ド☆ン( ゚д゚)マ☆イ
{/netabare}
12話(最終話) かえってきてうりしか
{netabare}
清舟のママ美人だけど、残念美人って感じだないろいろとw

頑張って書に出店した作品が入選できなかったなんて残念すぎるけど、それより大切なものが見つけることができ、賞を取る取らない関係なく、自分の字を書いた第一歩として気分が良かったやりきった感があるんだろうね。
清舟「別にたいした題材じゃないよ。」
美和「もったいつけんで教えてよ!良か結果やろ?そんぐらい教えてくれて
良かじゃんねー!」タマ「ねー!」清舟「強いて言うなら・・・今、オレが一番大切に思ってること。」
清舟の作品「石垣」人の名前の字が折り重なって温かみある字でいい感じですよね。大事に思っている人の名前の字が少し大きくハマってる感じがとても良い。
{/netabare}

ばらかもんこれで終わりなんてさみしいです。
放送から2年経過しましたが、2期とか作って欲しいですよホントに。
スピンオフ作品の「はんだくん」なんてやらず2期制作開始してほしいですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

やかましかぁばらかこどんとだっちいこでぇ!!

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

2014年夏アニメの中で、癒やしと和みのカテゴリーを担ってくれた作品でした。

この手の作品は批判もされにくく、わりかし高評価を得る傾向にあるように感じますね。
それはただ、なんだか批判しにくい内容だから…ということではなく、その魅せ方や演出が丁寧で拘った作品が多いからのような気がします。
本作の拘りっぷりも然り。

監督は、「東京マグニチュード8.0」で第13回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した『橘 正紀(たちばな まさき)さん』。
今作でも徹底した拘りっぷりを見せていただきましたよ。
趣向を凝らした拘りのある作品というのは、それが一般向けであろうがなかろうが、当たろうが当たるまいが、見ていて気持ちの良いものです。

ちなみに、レビュータイトルは「やかましい元気な子供達と皆で遊ぼう」って意味合いで、アニメの各話タイトルを繋ぎ合わせてムリヤリ作りました。
多分、島民には通じなんだろうなぁ……。。。



【あらすじ】

主人公である書道家『半田 清舟(はんだ せいしゅう)』は、ある書道の受賞パーティーで、自作を酷評した書道展示館の館長を殴ってしまいます。
それを見かねた父親は、「人間として欠けている部分」を見つけさせる為、彼を自然豊かな五島へ送り込むのでした。

そこで彼は、天真爛漫な少女『琴石(こといし)なる』をはじめとする個性的な島民達と出会います。
当初は、田舎独特の風習や人間関係に戸惑いながらも、彼は今まで感じたことのない新しい「何か」を見つけ始めるのでした…。



【語ってみる】
{netabare}
半田先生が島流し?にあった舞台は、九州の最西端である長崎港から西に100kmの位置に実在する、五島列島。
こちらは原作者の出身地だそうで、その経験を活かし島の魅力を存分に描いた結果、人気を得た作品だったんですね。
表題の「ばらかもん」という言葉も、五島列島の方言だそうで、『元気者』という意味だとか。
………途中まで本気で『ばっかもん‼︎』と思ってました、波平さんスミマセン。

さて、本作の主人公である半田先生は「書道」の道を歩む青年ですので、シナリオとしても書道を主軸に描かれてはいきます。
ただ、書道の魅力が存分に伝わる作品なのかと言われると…ちょっと違います。
と言うのも本作は、競技作品によくあるような、競技(本作では書道)の知識をふんだんに盛り込んで、視聴者が興味を惹かせる内容では全くありませんので。
(少なくとも本作を見て「久しぶりに習字がしたい‼︎」って思う人は、あまりいないのでは?)
なので、書道はあくまで主人公のキャラ立ちの一環で、何より五島とそこに住むキャラクター達を満喫する作品であると考えると、素直に楽しみやすい気がしますね。


キャラクターデザインはシンプルながら、男は格好良く、女の子は可愛く、子供はもっと分かりやすく可愛く、と一般的にも深夜帯アニメの中では受け入れやすい部類でしたね。
変に目が大きかったりしませんし。
エヴァ等の貞本さんデザインに少し近いかな?
ただ子供のデザインはかなりデフォルメされていて、たまにクレヨンしんちゃんを彷彿させる頬っぺたでしたね。
ふんわりし過ぎて時折、作画崩壊らしからぬ感じを受けなくもなかったですが…。

このメインの子供達は、全て同世代の子供が声を担当しているそうですが、皆この五島の方言の喋り方が上手い上手い。
特に、もう一人の主人公とも言える『琴石なる』の声を務めた『原涼子ちゃん』の演技には、第一話から度肝を抜かされました。
しかも、回を増す毎に上手くなっているように感じました…。
(逆を言うと、最終話を見てから初回を見ると少し違和感がありますが。)

特に印象的だった なるのシーンは、第3話の冒頭にある少し大人になって渋顔で「マンダム」と連呼するトコですね。

『夏休みが終わったから習うハズのカタカナをマスターしたことで、なるは少し大人になった…。

 見るものすべてが美しい、これが成長というものか…。

 新たな自分の誕生を祝福されてる感覚…。

 ムェァンダム(←マンダム)』

この台詞の言い方なんて、まさに名演技と呼ぶに相応しかったですね。
まぁ…あの渋顔は流石にお断りですけど…、何よりあの眉毛がイヤだ…(笑)

私は五島の方言なぞ全く分かりませんし原作も読んでおりませんでしたので、原作のイメージとかは全く分からないですが、やはり原作者や先生役の小野大輔さんも、彼女の演技力には太鼓判を押していたようです。
彼女が、なるを演じていたか否か…。
それだけで、本作の評価は大きく差が出ていたのは間違いないでしょう。
あっ、決して3次でも幼女萌えとかそういうことではないですよ、決して。
と言うか私は、なるを初めて見た時は男の子だとまた勘違いしておりましたよ…。

そういう眼で言えば(←どういう眼だ)、私は先生をしょっちゅうからかう島の元気な中学生『山村 美和(やまむら みわ)』が大っっのお気に入りでした。
ボーイッシュなショートカットに加え、普段着は体操服という活発さや、その日に照らされた故の少し褐色染みた肌…。
私も先生みたく、彼女がフーフーした風呂釜に入りたいものです。
えぇ…茹でられても本望です、と言うか召し上がれ♡
ただ、原作で後に高校生となった彼女の姿には…少々…。。。
時間は本当に残酷です。

そうそう、彼女の声を担当した『古木のぞみさん』も五島出身だそうで、方言指導も担当されていたそうです。
特に原作者からすれば、とても恵まれた環境でのアニメ化となったことが窺えますね。
作品の書体に関しても専門家として、アニメ関連によく携わる書道家の『原雲涯』さんも招いたようですし。
監督の手腕により、エキスパート達がここまで揃ったからこそ、ここまで出来の良い拘った作品が作れたわけですね。
{/netabare}



【半田先生の成長を見届けよう】
{netabare}
物語としては、基本的に田舎の島の日々を描く日常系に分類されますが、根幹として半田先生が自身を見つめ直し成長していく軌跡が描かれています。
それは、人に謝ることの恐さを克服することであったり、人と繋がることの大切さであったり…。
そしてなにより、皆で遊ぶと毎日楽しいよってことですね。

『先生? 今楽しかなぁ?

 楽しかなかなら、遊びに行こやぁっ!!』

こんなことを言ってくれる人達との交流は、先生には初めての経験でしたから。
見た目は良いのに、23歳とは程遠い言動やメンタルの持ち主で社交性にも欠けた人物だった半田先生。
でも、だからこそその成長具合は見てとれるので、話が進むにつれて嬉しい気持ちで一杯になっていくシナリオ構成は見事でした。

先生が以前と大きく変わったと感じたシーンとして印象的だったのが、第5話で海へ飛び込む なる達を過剰に心配した時の一幕。
ここの先生が、私はとても好きなんです。

『初めてだ、こんなこと…。

 この島に来るまでは、自分のことだけ考えてればそれで良かった…。

 こんなに誰かのことを心配したのは初めてなんだよっ!!

 クソッ、もう帰るからなっ!!(←半べそ)』

島の子供からすればなんてことない高さからの飛び込みだったワケですが、先生からすれば心配で泣いちゃうぐらいだったんですね。
でも、それだけ島の皆を大切に思うようになっていたことに、先生も自覚するのでした…。
それを見た子供達が、先生に「もう心配かけんよ~!」と抱きつくところは、もぅニヤついちゃうぐらい温かい気持ちにさせられちゃいましたよ。
……良いなぁ、美和ちゃんに抱きつかれて…。


先生は、最終話で登場した『あの可愛くて個性的なお母さん』の元で過保護に育ったワケですから、あんな性格になってしまうのも…まぁ頷けます。
加えて、良き友人である川藤にも少なからず原因がありましたし…(苦笑)
ただ、そんな人達がこれまで先生を大切に思い支えていたのも、また事実。
島での生活を(過剰に)反対していたお母さんが、それでも最後にポツリと言った

『成長したのは、書道だけじゃなかったんですね…。』

という台詞を聞くと、島での生活が先生にとって代え難いものであることが周囲にも認められたようで嬉しくなりました。


「手本のようで実につまらん字だ」と言われていた、当初の先生の字。
実際、手本のように書けることも素晴らしいことですが、そう言った館長の本心である「彼にしか書けない字を極めてほしい」という意図を、先生は島での生活で無意識の内に体得していったんですね。
第7話で「ひさんいを(高級な魚)」をモチーフにした作品を見た美和が

『よかやん、私は元々先生ん字好きやけど、これは最高よ!』

と言っておりましたが、その作品なんて、まさに島で暮らす先生にしか書けない楽しい字でしたもんね。
言い切ってしまえば只の中学生の評価でしかありませんが、きっとあの作品も書展に出品していたら、高評価に繋がっていた気がします。
勿論コレも、只の素人のアニオタの意見でしかありませんけど。

そして、書展に出品した最後のあの渾身の作品。
皆にはその内容を隠しつつも、照れながら

『しいて言うなら…、今…俺が一番大切に思っているものだ…。』

と言っていた、あの皆の名前が書かれた大きな一枚。
最期を飾るに相応しい、非常に気持ちの良い作品でしたね。
賞は残念ながら逃しましたが、それでも以前と違って全く動じていない先生を見ると、「書道」を周囲の評価だけでしか見てこなかった過去の自分との決別が見て取れました。
書道しかやってこなかった先生は、その評価のみが自分という人間の全てでした。
ですが、それすらも自分自身で評価を付け納得出来るまでに、成長したんですね。

出来の良いアニメだけに、その終わり方に一抹の不安もありましたが…、予想以上にこんな綺麗な締めを見せてくれ嬉しかったです。
(ホッとした…という方が正しいかも。)
文句無く、高評価のまま本作を評価し終えることが出来ましたよ。



そうそう、忘れてはいけない本作の好きな点がもう一つ。
作品が好きになるにつれ、その主題歌も好きになることは皆さん少なからず経験があるかと思いますが、中でも本作は回を重ねるごとに半田先生の成長がオープニングテーマ『らしさ』の歌詞と繋がってきて、特にお気に入りになりました。

中でも好きな歌詞が、下記のメロ部分のところですね。
(ちょいと分かりやすくまとめました↓)

『こどもの頃は気にもせず、気に入らなければ怒って、好きなものを好きだと言っていた…。
 けど、大人になるにつれ、そんな僕らも変わっていく。
 守りたいものが、変わっていくから…。
 理解されない宝物をひた隠しにして、理解されるための建前を探すようになっていく。』

周りの目を気にして、誰もが「自分らしさ」を失って大人になっていきます。
そんな大人は、本当に好きな宝物を周囲の目を気にして大好きだと胸を張って言うことが出来ず…、周囲の賛同を得やすい建前の宝物を作り上げてしまうワケですね…。
ココにズキンときたということは「こんな大人にはなりたくはない」と思いながらも、私も少なからずそういうところがあるのかもしれません…。
半田先生の、周囲の賛同を得やすい個性の薄い字とも繋がりますね。

そこに対するアンサーが、次のサビにつながる歌詞ですね。

『それでも、大人になってから初めて見えるものもある。
 だから、僕は僕らしく、そして君は君らしく。
 始めから探すようなモノではない。
 変えられない…大切があるから。』

そんな「大人な自分」を嫌って、自分を変えようとする必要なんて無いんだ。
だって「自分」は、探すようなものじゃないから。
本当の自分は、変えようがないのだから…。

なんだか、とても元気付けられる歌詞ですね。
そして最後に『変わりゆく生活が正しい』と、自分よりも周囲を変えてゆくことの大切さを語り締められています。
先生が、島に来て周囲を変えて「自分らしさ」を見つけたように…。
なんだか、最終話の半田先生が作った歌詞のように思えちゃいますね。

最近特に多い、なんだか伝わりにくい格好だけの歌詞より、とてもストレートで分かりやすいこんな歌詞が、私は大好きです。
アニメではフルで流れることはありませんでしたが、全体の歌詞もかなり良いので、もしご興味を持った方は是非フルで、歌詞に耳を傾けて聴いてみて下さい。
「自分らしさ」について、ふと振り返って考える機会になるかもしれませんよ。
{/netabare}



【総評】

最初から最後まで、終始安定して物語を楽しむことが出来ました。
その勝因として、原作の良さは勿論のこと、それをアニメとして作る上でのスタッフや演者にも、とても恵まれた作品だったことが大きいかと思います。
どこを見ても、まさに「ばらかもん」を作る上で用意されたように思えちゃいますから。
適材適所がキッチリ出来ている作品の、なんと気持ちの良いことでしょう…ムフフ。
日常系に多い中だるみの心配もあったのですが、一話一話と成長していく先生を見れる楽しさが大いに勝り、全く問題ありませんでしたね。

作品を見終えて、好きになれなかったキャラクターは誰一人いません。
島の皆のことが大好きになれ、皆と一緒にこの田舎の島で遊んでいる気分を味わえる本作。

『色々あっけど、皆とおっと楽しかね。』って言葉が、この作品の全てです。

原作はまだ続いておりますが、続きを匂わせて終わるような演出も一切無く綺麗に締められているので、視聴後の気分も爽快です。
私的には、無難ながらも安定して2014年夏アニメでトップでした。
未視聴の方は、ぜひ一度御賞味あれ。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『琴石 なる』声 - 原涼子ちゃん


◇一番可愛いキャラクター◇
『山村 美和』声 - 古木のぞみさん


以下、とても低俗な文章が続きます。
例の如く〆ますね。
{netabare}

さて、本作の主人公である半田先生……。

私の界隈では、


「もし、この半田先生の苗字の最後に【ち】が付いていたら…?」


という妄想ブームが巻き起こっておりました。

作品は凄まじく低俗に成り果てますが、先生の全てのシーンで、先生が実はそのような状態だったのかと考えて見直すのも、これまた一興ですよ♪

(美和はまぁ仕方ないにしても)なるやひなにまで真面目な顔で実は欲情していた…、そんな先生でも大好きですよ、私は。

それもまた「自分らしさ」なのですから。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 65
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

僕は君ではない。それに君も僕ではないんだよ。もちろんのこと。

お話は、主人公であり、若き書道家である半田清が自分の字をこの上なく批判されたために怒るだけならまだしも、
お偉いじいさんを思いっきり殴ってしまい、父親から縁のある離島へと飛ばされ、ド田舎に移り住むところから始まります。
まるで手本のような、教科書のような字と否定された半田清は島で「自分の字」を追い求める中で苦戦を強いられます。
真面目過ぎる性格の彼にとって、堅実に基本を踏襲してきた彼の字ではない「自分の字」を書くといういささか矛盾じみた試みは様々な葛藤を生じさせました。
しかし島の人々はそんなことは知らず、慈愛と言う名の掘削機で彼の心の壁をガッタガッタとぶっ壊していきます。
中でも琴石なる(七才)は島民の中でも一番に清の心を乱します。
なるはとにかく元気で悪戯好きな子ライオンのような子どもで、可愛くてなにより笑える女の子ですw
その本能のままに、人の迷惑を考えない無鉄砲な行動はカオスそのもので、
大抵は清に笑顔をもたらし、また偏狭な視野の彼にとって彼女が「自分らしさ」を見つける手掛かりになりました。
そうやって、何もない田舎に身を置くことで今までの自分を見つめ直し、
人の温かさに触れることで気がつかなかった大切なものをひとつひとつ拾い上げていく、そんなお話。


話が進むにつれて泡が湧き出てくるように増える方言は本作の大事な要素となっています。
作るに難しい雰囲気を直接生み出し、都会ではない僕らの生活から離れた非現実感を心地良く感じさせてくれます。
これが本当に気持ち良いんですよ。
別に方言などなくとも『のんのんびより』のようにその魅力を十二分に伝えることは可能でした。
けれど、人と人との交流の中で描く本作にとって、特にアニメではそれは作品から剥ぎ取ることのできないアイデンティティのひとつになっています。


個人的に感動した場面が2か所ありました。
1つはお祭りのシーン。なるとひなの「太鼓うっさかー!」「うっさかー!」の後から、
太鼓から発する音だけをバックに、本格的にお祭りを楽しむ様子と2人のとびきりの笑顔が映し出されるところです。
ここの演出がすごく好きです。
押し寄せる波のように太鼓がなる中で楽しそうで印象的な場面が、すでに思い出となったかのように描かれます。
楽しく夢中になっていると、あっという間に過ぎ去ってしまう時間の寂しさをこの場面にひしひしと感じました。
そして花火を待つ海の場面も、夏の夜の海にある独特の静けさと悲しさを清のわだかまりを通してよく表現できていたと思います(そんなつもりで描いたのかどうかは知らないけど)。
もう1つはやはり11話の電話のシーンです。
なるの「じゃっけんさあ、はようかえってきね。」にはその一声に感動しました。
なんて声のやわらかいことでしょう。いつ聞いても涙腺をグッと刺激されます。
キャンキャンと頭の痛くなるような声の高い声優ではなく、子役の起用は大成功でした!It's irony.


「自分らしさ」というのが本作では1つの柱として描かれていました。
これまで言われるままに生き、型にはまることでその身を落ち着けてきた半田清。
それにより少しばかり名を馳し、ひとかどの人物になろうとしていた彼は、
順調に積み上げてきた自分を否定され、今までに考えもしなかったことを求められることとなり酷く困惑しました。
書こうと思っても書けない作品、焦るあまりにしてしまう徹夜による努力も、結果は体調不良を体に残し、すべては大気中に霧散していきました。
唯一インスピレーションに頼ることだけが手掛かりでした。なんと悲しき創作よ。
しかし、そのインスピレーションは島民たちとの関わりの中にありました。
のんびりとした空気こそ流れる島ですが、建前を振る舞わずあっけらかんとした島の人々との交流は
これまでに清に刷り込まれた教育を否定し、名誉に縛られ緊張続きの毎日をすごさなくてもいい、
「こうじゃなくていいんだ!」という彼の身に纏う鎖を引きちぎる"気づき"を与えてくました。

「ごたくはいいよ!結局『自分らしさ』ってなんなのさ?」ということなのですが、
それは、他人を真似することや自分を型にはめたり、新たに作り上げるものではなく、
他人との差異化によってやっと認識できる「自分」のことだと僕は思います。
つまり、すでにそこにある自分です。
太陽は太陽であり、風は風であり、マッキントッシュはマッキントッシュであるように、あなたはあなたなのです。
一見すると堂々巡りのように感じますが、そこに込められたメッセージを理解するにはそのような無駄とも思える回り道をしないことには理解できないこともあるのです。

これはヨシノサツキさんご自身が感じた葛藤なのでしょうか。その様がけっこうリアルに描かれていたので。
天才でも秀才でもない。けれど人よりちょっと上手く描ける自分の生きる道の模索。
感覚的に、好きなように好きなものを描いているだけでは安定して良い反響は得られず、
商業作家としていかに描くべきかというそんな彼女自信の葛藤の投影のように感じました。
これは『みしかか!』という短編集も読んだ個人的な勝手な見解なのであしからず。
でも単行本で連載中に入院されたとも書いていたのであながち間違っていないかもしれません。


初めて観ると強烈な印象を受ける作品です。ほんとに中毒になるかもw
清ママのほっぺぷくーやひなの可愛い姿を見て欲しいです。大好きなのでw

日常とは違った方言のリズム、その場の空気、自己の葛藤、こどもの奔放さ、そしてなるの姿をとくとご覧あれ!
あでゅー。

余談
{netabare}
ちょうどアニメが終わった後の一冊ぐらいまで単行本を読みました。
仕方のないことだけどアニメではカットされていた部分もたくさんありました。
これ切っちゃうのはもったいない!と思うところもたくさんありましたよ。

ここでは本編ではちょっとわかりにくかったところをネタバレしない程度にここに書きたいと思います。
というか、まあ自分が観てて、ん?となったところです。3つほど。馬鹿だなと笑ってくれれば幸いですw

1つめは、6話冒頭でのなるの貝殻屋さんのシーン。
「ばあちゃーん!」となるが言う台詞がありますが、話が進むとなるの祖母は亡くなっていることがわかります。
だとするとおかしくないか?と思いましたが、なるはあのお店の前で貝殻屋さんを開いていたのです。
だからなるは店長のばあちゃんを呼んでいたんですね。

それにしてもこの貝殻屋さんは可愛かった。可愛さで言えばトップ3に入るくらい好きなシーンかもしれないw
この後の刺青をヒロに披露して「マーブルチョコたい」と言うところも好きです。なんでこんなに可愛いんだろうw

2つ目は釣りのときの半田と川藤と神崎のちょっとシリアスな会話。

川藤「こいつの字、お前の字にそっくりなんだ。半田は親父の字にそっくりだし。2人とも基本に忠実なだけなんだよ。」
神崎「それで1位獲ったんだから基本が一番なんじゃ…」
半田「お前、さらっと俺の親父否定してないか?」

という会話。位置も画面左に半田、右に川藤がいて神崎の首を軽くホールドしています。
そのため誰が誰に言っているのかが口頭では非常に分かりにくくて僕は全然理解できませんでしたw
でもこうして文字に起こすとわかりやすいですね。漫画を読んでやっと理解した僕ですw

一応わかりやすいように名前を入れてみると

川藤→半田「こいつの字、お前の字にそっくりなんだ。半田は親父の字にそっくりだし。2人とも基本に忠実なだけなんだよ。」
神崎→川藤「それで1位獲ったんだから基本が一番なんじゃ…」
半田→川藤「お前、さらっと俺の親父否定してないか?」

というような具合です。神崎も半田も川藤に言っていたんですねw


3つ目は、祭りの花火の前の静かな海でのシーン。
これまで、島に残ると考えていたヒロがここで何の前触れもなく急に島を出ることを告白します。
ものすごいびっくりしました。その理由も本編では語られませんでした。これはアニメではカットされていました。
このちょっと前に進路に悩むヒロが先生といろいろ話したりして、この先を真剣に考え出します。
でも自分には何にもなくて。先生はどうして書道家になったの?なんて訊いたりもしました。
そんな折に半田から料理をとても褒められました。
これを機に(とは簡単過ぎるけど省略)、ヒロは自分の将来を決断するという過程があったのです。
それにしてもびっくしたシーンでした。


どうでしょう?同じく悩んだところはあったでしょうか?
僕は自分が何か見落としたかと思って何度も何度も見直したけど見つからず、頭を悩まされました。
漫画を読むと当然のように書いてあってなんだか騙されたような気分にww

あと清が東京に帰った後に、なるたちはみんなで集まり話し合って東京に行くことを決意するのもありましたが、
これもアニメではカットでしたね。実際にはヒロから先生はすぐ帰ってくるということをなんともあっさりと聞いたので行くことはありませんでしたがw

漫画も面白いのでぜひ。2期の方も期待したいですね。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39

83.0 3 小学生で心温まるなアニメランキング3位
パパのいうことを聞きなさい!(TVアニメ動画)

2012年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (2454)
12572人が棚に入れました
主人公『瀬川祐太』は多摩文学院大学文学部国文科に合格し新生活をスタートさせたばかりの大学一年生である。小学生の頃に両親と死に別れ、当時高校生だった姉『祐理』に育てられるも、中学生の時にその姉がバツ2で2人の子持ちの男性『小鳥遊信吾』と結婚。義兄となった信吾への嫉妬と姉の家庭と幸せを壊したくないという思いから姉夫婦の家庭とは距離を置き一人暮らしをしていた。そんなある日、姉がアパートに突然訪ねてきて半日だけ3人の娘達(『空』、『美羽』、『ひな』)と共に留守番を頼まれる。渋々頼みを引き受けるが、そこで幸せそうな姉夫婦と子供たちの様子を垣間見、下らない子供染みた嫉妬心で姉家族と距離を置いてきた事を後悔し、今までの不義理を返し姉家族との関係を修復しようと決心する。そんなある日、姉夫婦の乗った飛行機が行方不明となり、姉夫婦は消息不明のまま政府発表では死亡したことになってしまう。残された3人の娘達は親族会議の末、全員バラバラにされそうだった所を見かねた祐太は全員自分が引き取ると宣言し、6畳一間のアパートで4人暮らしをスタートさせたのだった。

声優・キャラクター
羽多野渉、上坂すみれ、喜多村英梨、五十嵐裕美、堀江由衣、小野大輔、間島淳司、大原さやか
ネタバレ

ともか さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「家族」であり続けるため、必死に頑張る4人を応援したくなります!

原作ノベル未読、「妹系キャラが可愛い」という予備知識で視聴。
作品タイトルの略称は『パパ聞き!』。

観終わってからネタバレを読んだのですが、
「普通の大学生が、いきなり血のつながらない3姉妹を引き取ることに!?
ハイテンション同居系アットホームラブコメ!!6歳差の恋は、実る以前に始まるのか!?」
というのが、この作品のキャッチコピーだそうですw

アニメ版も、見事にキャッチコピーどおりな仕上がりでした^^

「設定に無理がある」という声が聞かれます。
{netabare}3人の娘の両親が事故死してしまい、
まだ大学生の主人公が他の親戚たちの反対を押し切って、
みんなの面倒を看るとか、普通じゃあり得ないでしょ。。{/netabare}
といった具合で、ここを受け入れられるかが、
評価を分ける1つ目のポイントになりそう。


まず物語面、
この手の作品は往々にして物語など皆無でキャラを楽しむだけ、
パパ聞き!も きっとその類だろうと思って視聴しました。

ところが意外、
大学1年生の主人公、瀬川祐太(せがわ ゆうた)を中心として
周りの助けを得ながらも4人で全力を尽くしながら
苦しい生活・困難に立ち向かっていく姿がよく描かれています。
見守りたくなるような気持ちが湧いて、
観ながら いつしか応援していました!

たしかに「キャラ重視」寄りの作品であると思います。
ただ、気に入った作品を庇うつもりではありませんが、
個人的には「ただの萌えアニメではない!」と言いたいです。


次にキャラの面。
中2/14歳の長女、小鳥遊空(たかなし そら)にスポットが偏っている、
と書いている方が居られましたが、
それもそのはず、彼女が本作のメインヒロインです。
デレのほうが多めのツンデレといった感じ。
私にとってまさにストライク!でしたww(///;)

小鳥遊空というキャラを気に入る事ができるかどうか、というのが、
この作品の評価を分ける2つ目のポイントとなりそうです。

{netabare}彼女は祐太のことを異性として意識しており、
祐太のことを3姉妹のうちただ一人「お兄ちゃん」と呼びます*^^*{/netabare}

小5次女の小鳥遊美羽(たかなし みう)、
3歳末っ子の小鳥遊ひな(たかなし ひな)
を合わせて、本作の4人暮らしとなる3姉妹です。
みんな可愛いです♡*´∀`*

つまり「萌えアニメ[でもある]」と言えます、ハイ^^;


主要キャラの人数が少なくて、
紛らわしさが全く無く、とても分かりやすかったです。

同時に、作中の誰かを気に入ることができれば
そのキャラが登場する頻度が高く、見れる機会も多いことになります^^


さらにサブキャラたちまで含めて個性的で面白い。
そして主人公らを応援してくれる良い人たちです。



作画もきれいで、次回予告後に数秒間だけ出る
有名イラストレータ陣による絵まで含めてとても良かったです。


声優の演技力もなかなかのもので、
中でもひなの舌足らずな話し方を演技する五十嵐裕美さんが流石です!
あと、「主人公の声がおじさん過ぎる」というコメントをどこかで見かけましたが、
私個人的には「普通の大学生」だと思いました。


音楽は喜多村英梨によるOP曲『Happy Girl』がとても気に入りました☆
聴く人に「明るくHappyになってもらいたい」という気持ちで作られたんだそうで、
私も連続視聴にもかかわらず毎回飛ばさず、OP映像も併せて聴き入ってましたw


キャラ目当てで視聴したら、それだけでなく物語まで楽しめて、
個人的には最高の結果でした!

まぁ、この手の作品は万人ウケは無理という宿命を背負っているでしょうが(^_^;A
可愛い妹系少女(&幼女)と仲良く楽しく過ごせる点はもちろん、
観ていて応援したくなるような作品をお探しの方にも
オススメできると思います。


もし2期や番外編などが出たら、必ず観たいと思います^^



↑《レビューここまで》↑

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以下、視聴中の自分用メモ。
あのシーンは第何話だった?と思い出すために残しておきます。

{netabare}
1話:第一印象は多くの方が言うように、
  設定や状況が飲み込めない。。
  両親が「都合により」当分帰らないという設定
  「よよよ」の人(オダ ライカさん)…2年
  主人公セガワ ユウタ…1年
  とりあえず妹系キャラたちが可愛いので視聴を続ける。

2話:ひな3歳、
  みう10歳5年生(悪戯好き)、
  そら中2(人見知り・無愛想)
  彼女いないと聞いてほっとするような仕草
  デームに勝ってしまい、ひなを泣かせてしまう
  「都合」=まだだった新婚旅行と判明
  「今からパパって呼びまーす」みう
  宿題・片付け・ゲーム全部、にぎやか
  「幸せ」とは何か→一緒に居られることでは?
  「家族は一緒に居なきゃダメなんだ!」
  という台詞には心打たれるが、
  両親なぜ死んだし??ありえねーだろ。。とか言っちゃダメww
  結局ユウタが親戚たちの反対を押し切り、強引に3人を引き取る

3話:みんなユウタのアパート部屋へ移動
  状況をよく分ってるそら、きわどいみう、ワケが分かっていないひなw
  観ていて微笑ましい、にんまり
  「次回予告(?になってないw)」もGood!

4話:出オチ回w 目覚まし時計止めようとしてるのに体が動かない…
  なぜなら、まだ眠っているそらに抱き着かれてるから^^;
  「いってらっしゃい」言ってくれる子(みう)がいるのも嬉しい
  そらは恥ずかしがりだけど皆の事を思ってくれる良い子

5話:忘れたスマホ(らしきもの)をそらが電車利用してまで届けてくれる
  ツンデレ要素持ってるけど、デレ多めかも
  みう「デリカシー」が口癖のようである
  幼少期のそらが見れる回(おじちゃんは当時中学生)
  そら、わりとドジっ子でもありそうw
  ってか、3人の中でも一応メインヒロイン扱いなのか?
  「呼んでもいいですか?おにいちゃん…」
  「俺もそっちのほうが嬉しいな」
  ほぼ「そら回」であった
  …オレの智花に強力なライバル登場です!w

6話:街中でのひなの人気がすごい!おまけしてもらえる。
大切なものを取りに戻るため、小鳥遊家に一時的に戻る。
川の字で寝る。
最近、おじさんではなく、「お兄ちゃん」
微笑ましすぎる!主人公、俺と入れ替われ!
ED曲、ノリは特徴的だけれど、
ボカロを思わせるような演奏と声で、歌詞がほとんど聞き取れない…

7話:親戚のおばさんに「思ったよりしっかりやってる。
もうしばらく様子見にする」と認めてもらえる。
部活のみんながユウタの部屋に来る
3歳にして大袈裟な芝居が得意
ライカさん、口数少なめで変わってるところも多いけど、
料理をすすんで教えてくれるなど、良い人
4人で暮らす事は契約違反、と言われ立ち退き令が出されたところで次回へ続く

8話:新しい物件探し
サブキャラ(部員)たちみんな変わった個性を持ていながらとても良い人
「緊急地震速報」(リアルに)表示されっぱで1分くらい画面の半分近く見えないorz
厳格な(当然ではあるが)「大家さんの娘」に対し、
運よく大家さんが便宜を図ってくれる。そしてこれまでどおり暮らせることに。

9話:あまりにも微笑ましくて、OP・ED毎回飛ばさずに観てしまうw
  学区?…ってことはそら・みう共に私立なのか?
みうの学校生活
ミムラさんに会う⇒なぜかデート?に
彼なりの気遣いなのかも?
靴をおごる→気持ちだけで充分↓
なんて良い子で気配りできて精神的に大人なんだ!
靴修理で済ませる、これなら気兼ねしないだろ?ミムラ
完全に「みう」回だった
次回予告後のイラストレーターの絵「蒼樹うめver」

10話:前回に対して、今回は「そら」回?
  そらは勉強時間減って成績下がってる
みうは貧血で体育の時間に保健室で休む
歌好きだからこそ、けじめをつけるために退部
生活の両立の難しさに悩んでいる
「好きでやってることを辞める」ことについて
「迷惑をかけあう事は助け合うということ。
家族ってそういうことなんじゃないか?」

11話:ライカさんと そら
苦しい生活を送りながらも、みんなで力を合わせて
学校生活も両立させながら乗り切っていく。

設定だけは無理があるが、この作品にそのツッコミはもはや禁物!
ただ楽しく生活送ってるだけでなく、意外とシリアスな展開も含んでいる
可愛いは正義!byライカ
そらは夢(幻覚)を頻繁に見るようになっている

12話:ひなは強い子 「ひなはもう泣かない!」とぬいぐるみに話しかけてた
血が繋がっていなくても家族!
[/netabare]

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

癒しフランキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

いじらしさの極みを見れる物語。是非ハンカチのご用意を。

【おおまかなあらすじ】
幼少の頃、両親を亡くし、大好きな姉、祐理により育てられた祐太はちょっとシスコンだけれどとっても優しい少年。2人の子連れの男、小鳥遊信吾と結婚した姉、祐理の仕合せを思いやる祐太は、思いやるがために一人暮らしをしていた。祐太は大学入学したて。そんな祐太のもとに突然押しかけてくる祐理に3人の娘(信吾の連れ子である空と美羽、信吾と祐理の子ひな)と留守番を頼まれる。引き受けた祐太は仲良しの3人の娘たちと一緒に1日を過ごす中で、今まで感じたことの無い仕合せを感じ、今まで抱いていた信吾への嫉妬心を抱いていた自分が本当にちっぽけだったと懺悔し、これからはみんなと仲良く過ごしていこうと心を改める。しかし、ある日、信吾と祐理の乗った飛行機が行方不明になるという痛ましい事故が起こる。姉夫婦は消息不明のまま、政府の発表では死亡という発表された。親戚に散り散りに育てられると親族会議で決まったが、三姉妹が離れ離れに孤独に過ごして暮らしていくことになるのかと、3人の未来を心配し忍びなく感じた祐太が4人で生活を共にすると宣言し、六畳一間のアパートでの4人暮らしを始めることになった。

【物語】
まだ成人もしていない18歳のいち大学生がこれほどの覚悟と、家族を大切に思えるものだろうか。なんという心力の持ち主だろうかと感じさせてくれる物語。このアニメ作品を視聴した後原作も読ませていただいたのですが、原作を自宅以外で読むことをお勧めできない作品と言えます。なぜなら、涙がとまらなくなってしまうから。この作品の見所は本当に沢山あると思います。多少オタクが好むロリ要素やシーンが多くあるものの、現実世界にあり得る話であるからこそ、一般受けもされる要素も沢山ある。思春期の空の祐太への感情や2人の姉がまだ小さいひなを一生懸命育てて、家族みんなを護っていく祐太のひたむきな姿がとても心を打つ作品だと思います。この作品は祐太の言動、そして想い、姿で語る姿勢、そこを意識してご覧になって頂きたい作品です。2周目見るときは空の気持ちや想いに意識してご覧になると、さらにこの作品が感動する作品になるのではないかと思わせていただきます。


【声優】
全体を通して、まるでホームドラマを見ているようなそんな錯覚に陥りました。きっと全キャストの方の演技力が物語と融合していたからだと思います。ひな役の五十嵐裕美さんの演技、『~だぉ!』という舌足らずな演技がとても可愛かったと思います。個人的な意見ですが、可愛すぎて恥ずかしくなっちゃうくらいでした!また、織田 莱香役の堀江さんですが、やはり、さすがですね!いつ聞いても迫真の演技力だと思います。とらドラ!みのりん、フェアリーテイルのシャルル、フルバの透、全員まったく違った個性をこれだけ引き出せるなんてすごい声優さんです!

【キャラ】
この作品を通してすべてのキャラにいえる事が『人にとって大切な部分』を持っているということです。特に祐太、空、美羽、ひな、に言えることですが、一人一人に持っている優しさと強さを種類は違えど持っているということです。また共通して持っているものもあるのです。それは4人ともが全員一生懸命であり、ひたむきだということです。ここが、キャラとい着眼点で一番感銘を受けたました。また、祐太の友と打ち解けていく三姉妹の心情の描写がすばらしかったです。

3人のために一生懸命すぎるほど頑張る祐太の強さ。長女として一番確りしなきゃならなくて、でもそれを表に出そうとしない空の健気ないじらしさ。本当ならもっともっと親に甘えていたい年頃なのに、そんな気持ちをひとつも出さない、すごい大人の目線をもつ、美羽の冷静かつ見守る心力。みんなが大好き、自身もみんなを大好きで、大人が忘れてしまいがちな大切な素直さで皆の心を癒す、ひなの一生懸命さ。言葉は少いけれど、人一倍人の心を理解する力をもっている莱香の優しさ。ただの女好きではない、義理人情に厚い、仁村の鼻に付かないさりげない温かさ。この作品は8割以上がこのキャラで出来ているのだと思います。非常な生活環境にも負けないこの4人の物語をそれを支える、路上観察研究会の仲間の温かに触れて、人として大切な『つながり』をご覧になって頂きたく存じます。


【作画】
やはり、桜の花びらが散るシーンで、『綺麗だな』と思い、これは最後まで見てみたいと思ったほどでした。全体を通してホームドラマをみているようでした!

【音楽】
これといってインパクトがあったようには思えませんが、12話立て続けに自然に見れたのは耳からも心地よかったからだと思います。アニメ作品は耳で聞くことも大切な部分ですものね!

【最後に一言】
今第1期だけ放送された作品の中でいぬぼくに並び、この作品の2期が見たいと思っています。これからご覧になる方、ぜひ、祐太を応援してあげてくださいね^^祐太のような友達がいたら、私もぜひ支えになりたいものです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

ローズ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

温泉の効能通り、肩こり・腰痛に効きなさい!(酷評成分、多めですが・・・)

主人公の大学生・瀬川祐太(せがわ ゆうた)の姉夫婦・小鳥遊祐理(たかなし ゆり)と小鳥遊信吾(たかなし しんご)には、長女の小鳥遊空(たかなし そら)・次女の小鳥遊美羽(たかなし みう)・三女の小鳥遊ひな(たかなし ひな)の3人の娘がいる。
小鳥遊夫妻が飛行機事故に遭ってしまい、小鳥遊姉妹がバラバラになるのを防ぐため、祐太が3人を引き取る事となる。


自分の意見としては、現実感のある箇所と現実感が感じられない箇所を都合良く使い分けていると感じました。


※現実感がある箇所

・場所について

小鳥遊家の家がある池袋や祐太が一人暮らしをしていた立川という場所は現実にあります。
立川にあるモノレールを使って通学をすると、ある程度モデルになる大学が特定できます。
立川から池袋方面に行くと満員電車の通学になり、かなり疲れます。痛学ですね。

・金銭面

大学生がバイトをして生活費を稼ぐのは、一人暮らしをするのには必須です。
まして、子供とはいえ家族が増えると、さらに生活費がかかるので、バイトを掛け持ちするのは仕方が無いです。


※現実感が感じられない箇所

・住む場所

ワンルームのアパートと一戸建て・・・
小さい子供だとしても4人いると、ワンルームでは厳しいですね。
子供達の通学面を考えても普通は池袋の一戸建てを選びます。

ワンルームは狭いです。
ベッドを片づけて布団で寝るのは理解ができるのですが、その布団を収納するスペースはどうなっているのかな。
例え布団を収納できたとしても、4人の衣服はどこに収納するのでしょうか。
3人学生だとすると教科書やノートの類もたくさんあると思うのですが、置くスペースがあったかなあ~。

まあ、モデルルームのようなワンルームや一戸建てに現実感が感じられないのは当たり前なのですが・・・。

・金銭面

飛行機事故で両親を亡くしているという設定ですが、その場合は多額の保険金が加わった遺産が残るでしょう。
未成年が相続人なので後見人を立てると思うのですが、大学生が後見人になるのは裁判所が認めないと思います。
親類縁者の反対を押し切って、多額の保険金を受け取る資格のある子供を引き取る・・・
何だか犯罪の香りがするのですが。

バイトで生活費を稼ぐのは分かるのですが、学費がかかります。
奨学金という設定なのかな。

・生活面

両親を亡くしたからといって、いきなり家族をバラバラにするでしょうか。
この点に関しては、話の大前提になるので仕方が無いのかな。

コインランドリーを利用する場面がありますが、アパートの玄関先に洗濯機が置いてあります。
何で洗濯機を使わないのか不思議です。

調理を失敗する場面が多々見られますが、毎回失敗するのかな。
卵焼きにこだわっていますが、ゆでたまごや卵かけご飯にしたほうが調理は簡単だと思います。

アパートからの立ち退きを迫られますが、これも引っかかります。
同じサークルの仁村(にむら)さんが居る時には何も言わないで、3姉妹と同居した時にだけ契約違反というのは、都合が良すぎます。
大家の立場で考えてみても、立ち退きを迫った時期が夏休み明け。
引越しシーズンが3月ごろだという事は分かっているので、アパートから居なくなってしまったら、その分家賃収入が無くなります。
キチンと家賃が支払われているのなら文句は言わないでしょう。

三女・ひなの保育園が、すぐに見つかりますが、この点は微妙です。
首都圏では、待機児童が多く保育園が見つからない、という問題があります。
こんなに簡単にタイミング良く保育園が見つかったら、世の中の親御さん達は仕事か家庭かの選択を迫られることはないですね。


他にもツッコミ所があると思いますが、三女のヒナタンを愛でる作品と考えれば四角い問題もまあるく収まります。

というローズ相談員の意見でした。続いては上沼相談員・・・・・


【補足】
水着回・温泉回のテレビ未放送分・13話目がありますが、深夜アニメのお約束回なのかな。
DVDの最終巻で観る事が出来るので、興味のある方はレンタルか購入で。
(自分はレンタル派です)
三女のひなが莱香(らいか)さんに対する行動は・・・・・グッジョブですw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

93.8 4 小学生で心温まるなアニメランキング4位
小林さんちのメイドラゴン(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1704)
8190人が棚に入れました
朝、会社に出ようとしたらドラゴンがいた。
茫然とする小林さんの目の前で、そのドラゴンは角あり尻尾ありのメイド服を着た美少女へと変身した。
トールと名乗るそのドラゴン娘は「今日からメイドとして働かせてください!」と申し出る。
どういうことか分からず尋ねると、昨夜酔った勢いで小林さんが家に誘っていたようだった。
「人を雇う余裕はない」と断る小林さんだったが、会社に遅刻してしまいそうな時間だと気づき―。

声優・キャラクター
田村睦心、桑原由気、長縄まりあ、高田憂希、高橋未奈美、小野大輔、中村悠一、加藤英美里、後藤邑子、石原夏織
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

鶴の恩返しならぬ竜の恩返し? 萌えあり、神話・伝説ネタあり、ほっこり笑えるホームドラマ

ある日ある夜、お酒に酔った小林さん、前後不覚の千鳥足、足向く先は何と山、そこで会ったはドラゴンさん。つるぎ刺さった巨体見て、絆され助けたその翌日に、メイドラゴンのトールさんがやって来た。

OLでオタクで死んだ魚の目(笑)の小林さんとメイドラゴンのトールさんが織り成すの笑い多めの日常もの。

多忙で笑いのない日々を送っていた小林さんのお家に、ドラゴンだけどメイドで、天真爛漫で元気印のトールさんが住み込んで、賑やかな生活のはじまり、はじまり~というお話。寂しさの立ち込めていた小林さんちに新たな家族?の到来で赤々と火が灯った様です。

トールさんが小林さんの服を口に含んで洗濯?したり、自分のしっぽを切って食卓に出したりとギャグは概ね万人向け(笑)クトゥルー神話ネタで一部視聴者を置き去りにした「※1這いよれニャル子さん」みたいな、分かる人にしか分からない神話・伝説ネタとかも若干ありますが、あまりくどくないので気にせず楽しめると思います。酔っ払った小林さんの持ってた一升瓶に"竜殺し"とかの小ネタも笑えました。鬼殺しより遥かに強烈そう‥。

でもあれこれ知ってると面白い場面も‥。私的には1話の電話越しからトールさんに怖ろしげな支持を出すファフニールさんの声(小野大輔さん)に爆笑。彼の※生い立ちとか末路とか考えると無理もない台詞でした(笑)

大まかな印象はありがちなご主人様とメイドのお話で、トールさんが強大な力を持っている所とか、小林さん好き好き(笑)な所は、上でも引き合いに出した「這いよれニャル子さん」に良く似ていますが、女性同士のお話なのでやらしさが全然無くて、老若男女見やすいアニメになっているのではないでしょうか? 主人公に一目惚れというよりは助けてもらった恩返しという所にも好感が持てました。

ご近所さんや商店街の人たちも一緒になって物語に絡んでくる場面などもトールさんが妙に馴染んでいて何となしに顔がほころんでしまいます。ツノあるのに‥(笑)ツノは出せるけどしっぽは出せないという所はトールさんと小林さん以外の人間達との距離感を表している様でした。ツノは出せるんだ‥(笑)

2~3話
{netabare}
2話ではトールさんを慕う同じくドラゴンの幼女のカンナちゃんことカンナカムイちゃんも登場し、ホームドラマ色やほのぼの色がより強くなった印象。お父さん役の小林さんとお母さん役のトールさん、子供役のカンナちゃんとくれば、まるで仲の良い3人家族ですね(笑)

3話には、電話の声の印象ではかな~り怖そうだったけど、実の所は割と優しいファフニールさんが人間の姿で登場。いつもニコニコ穏やかなケツァルコアトル=ルコアさんも加わり、ますます賑やかな雰囲気に。
{/netabare}
4話
{netabare}
カンナちゃんが小学校に通い始めるというお話。

文房具から体操服から上履きまで、結構色々買い揃えなければなりません。ランドセル38000円もするんだ‥とか小林さんみたいに思いつつも6年間使える上等なものなら安いものですね。小林さんの僅かな動揺を見逃さず、カンナちゃん気にしてましたが、こちらもとてもリアルな描写でした。ちょっとした言葉の端でも子供はお金の話に敏感に反応する事があるものです。小林さんの方もちゃんとそれに気付いてて、言葉じゃなくて行動で「大丈夫だよ」って伝えられた様で‥こういう気遣いは大人として見習いたいものですね。

そして場面変わって小学校。おっとりだけど何でも出来ちゃうかンなちゃんはあっという間にみんなの人気者。小林さんの言いつけで、カンナちゃんの学校生活を監視するトールさんは過保護で文句たらたらなお母さん(お父さん)状態。気持ちは分かりますが、全国のお父さんお母さん真似しちゃいけませんよ? 木の枝の上に横たわったり、草むらの影から頭を出したりしながら人類批評するトールさんの図がちょっとドラゴンっぽくもあり、シュールでもあり何気に笑えました(笑)

後半はいい年した大人(ドラゴンだけど)が子供と一緒になって思いっきり(殺さない程度で)爆風ドッヂ。島本和彦先生の漫画「炎の転校生」とかから脈々と続く、ありがちで伝統的なギャグなんですがフツーに笑えました。ファフニールさんいつになく燃えてるなぁ(笑)地面えぐれたり木とか折れたり色々とメタメタになってましたが、ツノとかしっぽ隠すよりもそっちを心配した方が良いかもとか思ったり‥でもルコアさんが全部元に戻せるそうでヨカッタヨカッタ?

終幕前の子供間のマジやべぇ伝染には‥(汗)でした。子供の前で軽率な言葉は使わない様にしたいものですね。

今回も楽しいお話でした。
{/netabare}
5話
{netabare}
今回は小林さんの事をもっと知りたいトールさんのお話とファフニールさんのお家探しのお話、トールさん、人間の超能力に驚愕というお話の3つ。お約束のカンナちゃんと才川さんの「萌え~(笑)」なオマケもあちこちにありました。盛り沢山ですね。

最初のお話はトールさんが認識阻害(透明人間みたいになる事)を使って小林さんの職場見学するというもの。

人の働く姿をドラゴン視点から見下ろすトールさんでしたが、どことなく興味深げ。

でもパワハラ上司の登場でそんな心持ちも一転、小林さんを罵倒する所長の姿を見て激怒、を通り越して殺意を抱くトールさん。憎き敵を抹殺せんと‥足かけて転ばせただけ(笑)これも小林さんへの愛ゆえですね。

繰り返し同じ言葉で罵倒する人って現実にもいますけど、このアニメで描かれている様に、特に社会的地位のある程度高い年かさの人に多い気がします‥。自分よりも落ち着いていたり、優れていたりする人間に対して攻撃的になるのは、多分自分が見下されていると思い込む心の裏返しなので、怒りの燃料は主に劣等感と被害妄想、ゆえに無尽蔵、なので非常に性質が悪いのです。

所長の2度目の登場シーン、ここでもほぼ同じ問答が繰り返されトールさんのささやかな復讐あり、所長、殺されなかっただけでも幸いでした。小林さんに感謝しなければなりませんね‥パワハラの証拠録られてクビになったけど。リアルでもこういう風に因果応報が上手く機能してくれるといいんですけどね‥(汗)

それはそれとして、人に頼られ、黙々と仕事をこなす小林さんの姿を見て、トールさん、ますます小林さんの事が好きになった様子。恋する人の美点を見つけて歓喜してしまう所など女の子っぽくて可愛らしかったです(笑)

次のお話はファフニールさんのお家探しのこと‥「人類など滅ぼしてくれん」とか突発的に口走るファフニールさんですが、テレビゲームにご興味を持たれた様で(笑)街頭での呆然とした面持ちでのエアプレステ?笑かさせて頂きました。

トールさんの指示に従って人間のやり方で人間界に住む事に決めたファフニールさん、不動産屋さんに「お予算は?」って聞かれて金塊をゴトって‥流石です。いくらでも持ってますものね、この人(笑)

あれこれあって、行き着いた先はオタクモードの「ヤンス」の語尾が面白い滝谷君のアパート。快くファフニールさんを同居人として受け入れてくれました。かな~りいい人。ファフニールさん、ゲーム狂の素質が見え隠れするので滝谷君と仲良く出来そうですね(笑)良きゲーム仲間の誕生?楽しいコンビになる予感がします。

最後はトールさんがテレビで見た人間の超能力に興味を持つというお話。最初のお話の延長上にあるお話ですね。好きな人やものに関する事なら何でも知りたい!と思うのは、人でもドラゴンでも同じな様です(笑)小林さんの事を知りたい、小林さんは人間だから人間の事も知りたいという様に‥よ~く分かります。トールさんの愛と笑いに溢れたお話でした。

今回も充実した内容でした。次回もとても楽しみです。
{/netabare}
6話
{netabare}
新キャラのジョージーさんと翔太君の登場回。

OPで竹とんぼみたいにくるくる回ってるメイド姿の人がジョージーさんなんですが、才川さんのお姉さんで、メイドさんではなく、ただのメイドマニアの人でした(笑)

今回登場したジョージーさんといい、小林さんといい、女性でメイド好きの人って稀だと思いますが、漫画「エマ」の作者の森薫先生とか思い出すと、重度のメイドマニアって案外女性に多いのかもって気になります。(服着れるし)

続いてはお約束の才川さんとカンナちゃんパート。部屋で一緒にゲームとかして遊んでいただけなんですけど、事ある毎にカンナちゃんと密着してしまう才川さん大変でしたね(笑)

性差のはっきり表れる前の子供時代の方が、男女ともに心も体も中性的で、同性や異性の区別無く好きになっちゃう事が多いと思うので、描写は色々とあざとかったんですけど、わたしには割と自然で微笑ましい光景に見えました。

翔太君とルコアさんのお話では、ルコアさん、気まぐれに翔太君の作った魔法陣から現れたものだから最初は悪魔と間違えられ、結局は風貌や態度から淫魔と見なされてしまいました(汗)3話ではトールさんがファフさんの姿に注文付けてたシーンもありましたし、ルコアさん元神だし、外見の融通は利くと思うんですけど‥ルコアさんもトールさんみたいに今の自分の姿を気に入っているのかも知れませんね(笑)

このお話では"魔法使いの家系"という言葉も出てきましたが、メイドラの世界にはハリー・ポッターにあるみたいな魔法界らしき場所がある様子。トールさんの元いた世界との関連は今の所不明。

最後は滝谷君とファフさんの同居生活のお話。2人が仲良くプレイしてた対戦ゲームは「※スパイVSスパイ」(パロディですが)。レトロゲーマーとしてはチョイスが渋くてこういうの見るだけでも嬉しくなります。

でもアニメ内で頻繁に見られる、ゲーマー=ネトゲ廃人=アイドルオタクというテンプレはちょっと控えて欲しい気が‥。3つとも当てはまる人もいるにはいると思いますけど、大抵はどれか一つか二つだと思うので(笑)

ゲームは情報媒体が基板だったり光ディスクだったりするだけで、本や映画と同じで内容は千差万別。誰だって数学の問題集と芸能人のゴシップ本を一緒にしないですよね‥。当然ゲームにも色々あります。ゲーム文化の歴史はまだまだ浅いので、一般的な認知が甘いのは仕方ありませんが、こういった混同は"ゲームはゲームでしょ"という誤解を生む原因になるので、この作品に限らずきっちりと区別して欲しいと思う事はあります。

それはそれとして、ファフさん、イベントのオタ芸?練習とか食事の片付けとか案外人間の世界に馴染む為の努力もしている様で(笑)尊大な口調とは裏腹に結構健気でした。

今回も短編3つ+の構成で飽きずに楽しめました。次回にも期待。

※:VSをアンドと読む。すなわちスパイアンドスパイ。敵を倒すのは目的ではなくあくまでも手段という、アクションながら知恵比べに重点を置いた割と珍しいタイプの対戦ゲーム。罠の仕掛け合いや白兵戦などで相手を出し抜きつつ、フィールド内に隠されたアイテムを集め先に脱出するのが目的。続編とかもある。
{/netabare}
7話
{netabare}
今回は水着回、後半にコミケのお話。

海の家を見て何の気無しに口にした小林さんの言葉の端から、小林さんの家族に興味を持ち始めたトールさん。トールさんに訊かれて小林さん、自分の家族を"普通の家族"という言葉で表現。彼女の社会的立場や温厚な人柄とかを見ると、かなり恵まれた環境で育った人だという事が察せられますので、謙遜した表現というか、事実から大きく外れた表現と感じました。日本人は特に、とかく自分を普通と思いたがる癖がありますよね(汗)

作中で触れられたのは人とドラゴンの常識の違い云々の話でしたが、人同士の家族を比べてみても、それぞれの持つ常識にあれこれと違いはあるものです。国とか地方とか、環境が大きく異なれば尚更の事。どっちが恵まれているとかは一概には言えませんが、小林さんの言う普通の家族ってかな~り貴重なものなんじゃないかと思われます。出来れば"いい家族"と言って欲しかったシーンでした。

次のコミケのお話はその場にしかない一体感、ライブ感を知るトールさんのお話。このあにこれでも新しく参加する人もいれば、去って行く人もいます。代わりになる人など一人も無く、今ここにある巡り合わせはこの時だけのもの。嬉しい事も寂しい事もありますが、この場に身を置く限り、一期一会の気持ちでその時その時を大切にしたいものです‥。

オマケのカンナちゃんパートでは、夏休みの理科の宿題に昆虫採集が含まれている事(選択性ですが)とプリントに"集めた昆虫を貼ろう!"って書いてあるのに唖然。しかもバッタ、チョウ、セミの指定が‥(汗)

虫に防腐剤注射したり、ピンで刺したりするのは知ってますが、"貼る"とはこれ如何に? 昆虫の死骸をボンドとかで紙に貼っつけて提出するんでしょうか? 見るからにおぞましいプリントの束になりそうです(汗)まぁ選ぶ子供(特に女子は)少ないと思いますが‥。

カンナちゃんはと言うと、虫を貼り付ける欄に食感を擬音とかで書いただけでした(笑)貼り付けられるにしても食べられるにしても虫たちの末路は同じですね。合掌‥。

水着回の後にコミケネタと今回は2本立て、単純なギャグになりがちな舞台やテーマを扱ったお話でしたが、家族における親子の関係、人同士の繋がりについてちょっと考えさせられる、メイドラらしい、しみじみとしたお話でした。

他のアニメだと水着回を捨て回みたく思ってるブリキ男としては嬉しい誤算。

次回も楽しみです。
{/netabare}
8話
{netabare}
最初のお話はお弁当対決。

審査員役のファフさんの立ち居振る舞いが堂に入っていて、グルメマンガ張りだったのには笑えました。

お題目はサラダ、肉、デザートの三種、定番からゲテモノ!まであれこれ登場しましたが、弁当作りの経験割とあるやつとしてはトールさんのシーザーサラダは量さえ加減すれば、お弁当箱とは別の密閉容器に入れて有りだとか、小林さんのベーコンエッグは弁当にはおかしいとか思ったり‥。ベーコン使うならアスパラとかにんじんのベーコン巻き、タマゴ使うなら玉子焼きがあたりが妥当なんじゃないでしょーか? 色々と気になってしまいました。最後にヘンテコ生物食べてしまった小林さんがちょっと心配になったお話でもありました(笑)

次のお話では新キャラのエルマさんが登場。いつぞやのシーンのトールさんの台詞の中で彼女と死闘を繰り広げたと言うリヴァイアサン(レヴィアタン)がこの人の様です。中々の純朴(天然)キャラですが、何の冗談か小林さん勤めてる会社にしれっと入社しちゃいました。PC見た事も無いのに入れるSE関係の会社なんて無いと思うので魔法でも使ったんではないでしょ~か?

最後は人に求められるのに慣れていないと、どう応じて良いか分からないという小林さんのお話。愛される事に慣れていない人は愛する事も苦手だったりする事がありますが、小林さんは両親から愛されて育ったはずなのに、何でそんな風になっちゃったんでしょうね? 愛情の匙加減が分からない様です。わたしも多過ぎたり少な過ぎたり、若干そんななので、ちょっと心に痛いお話でした(汗)

最初のお話に"仲良くケンカ"というファフさんの言葉がありましたが、あれも上の話と同じで、ある程度の互いの信頼無くしては出来ない事ですから、小林さんもトールさんに甘えていると見て取れます。愛情表現にも色々とあるのです(笑)

本筋とは関係ありませんが、神と敵対しているはずのトールさんが指で十字架を作ってポーズ決めている図には大きな違和感が。何かの伏線だったりして‥。
{/netabare}
9話
{netabare}
今回は運動会のお話。

前回の小林さんの"求められる事に慣れていない"理由の一端が描かれました。

運動会に両親揃って来てくれると子供はそれは嬉しいものですが(特に低学年の子は)こういうのを見ると家族の人が誰も来てくれなかった子の事も思い出してしまいます。そういう子は大体の場合、友達の家族とかと一緒にちょっと萎縮した面持ちでお弁当を食べるのです。子供にも寄りますけど‥。そう言えばみなみけにもそんなエピソードがありましたね‥。

今回のエピソードを見ても分かる通り、愛情表現の不器用な小林さんもトールさんもカンナちゃんも、欠けたものを互いに補い合って助け合って生活している者同士。これはもう立派な家族と言う印象でした。こういう家族の形もあってもいいんじゃないかとわたしも時たま思います。現実では法律やら何やらで不可能だったり、手続きが面倒だったりするんですけどね(汗)
{/netabare}
10話
{netabare}
今回はほぼ演劇の話一本、老人ホームでボランティア上映と言うお話。

演出担当のファフさんが料理回に続いて例の感じのキャラになっていたのには若干のマンネリ感が‥。でもお約束の笑いは頂けました。ご馳走様でした(笑

上映会の話。結局出来上がったのは、童話にアニメに、老人向けという事で忠臣蔵要素を加味したごたまぜ劇でした。見ていてちょっと恥ずかしい気持ちになるのはルコアさんの衣装のせいではなく(笑)素人の作る劇というのはこのアニメで描かれている様に得てしてオリジナリティが希薄で、どこぞから借用したものの継ぎ合わせである事が多いので、それを見ている気になるからなんでしょうね。わたしも子供の頃そんな劇に参加した事がありました。まぁ劇の内容はともかく、子供が頑張っている姿を見れれば大抵の大人は満ち足りた気持ちになれるんじゃないでしょうか(笑)

オマケはクリスマスのプレゼントのお話。サンタの姿を一目でも見たいという気持ちが子供の眠気を強力に退けると言うのはよくある話ですが、例に漏れずカンナちゃんも頑張ってました(笑)

サンタの存在を疑い始めた頃、わたしも同じ様な事した事ありますが、結局の所、大人の愛と辛抱強さの前には負けてしまってました‥。幼少期を思い返した時、私は大人に関する良い思い出をあまり見つけられないのですが、愚直ながら愛情を注いでくれた人もいたのだと改めて思い出させて頂いた次第。感謝したいですね。

サンタの存在をいつまで子供に隠し通せば良いのか、そもそも隠す必要はあるのか? 疑問に思う方もいるかも知れませんが、私的にはなるだけ隠しておいた方が大人も子供も楽しめるので良いのかと(笑)ネットの普及してしまった現在では秘密を死守するのが困難でしょうけど(園児とかでもサンタ信じてなかったりして?)‥この世には不思議な事が沢山あるのだと夢中でいられる時代というのは、儚くも貴重なものだとも思いますので。
{/netabare}
11~13話
{netabare}
最終話にかけて各話レビューサボっちゃいましたので色々と端折って。

11話は年末年始の小林家の様子を描くごく普通の日常もの、12話はトールさんの過去のお話、最終13話はトールさんとそのお父さんの親子のお話という流れ。

後半にかけて小林さんの態度が若干横柄になり、トールさんの遠慮が薄くなりましたが、これはとても自然な流れで、二人の信頼が強まった事の表れと私は感じました。やはり最初の印象から遠からず、小林さんとトールさん、何となく夫婦関係みたいに見えます(笑)

最終回の中盤、トールさんを失った後の小林さんの心境もよ~く理解出来ました。人との繋がりが深ければ深いほど、その人が去ってしまった時の喪失感は強くなるものです。でもトールさんすぐに戻ってきてくれて良かったですね(笑)

最後はトールさんのお父さんと小林さん&トールさんの対決というお話。

お父様の言う秩序の話ですが、トールさんが人間界に下っても、便乗や混乱は起きないとわたしには思われました。これまでのお話にも異界からいろんな人が来て人間と仲良くやってる描写がありましたし、ドラゴンだって何人か来ていますものね。ファフさんとかルコアさんの方が影響力ありそうですし‥。そんななのでお父様が理屈を盾に無理に説得している様にも見えてしまいました。そとみは厳格で怖そうでしたけど、本当は娘が可愛くってしょうがない優しくて心配性な、割と普通なお父様だったのではないでしょーか?

小林さんがトールさんを"私のメイド"と言うシーンは今回のハイライトですね。好意を素直に受け、与える事が出来る様になった小林さんの成長が伺えました。

その後もあれこれと問答がありましたが、大まかな流れとしては、ドラゴンと人間の立場の違い(人間同士で言うと身分の違いとかに置換出来そう?)はあるものの「娘さんを私にください!」「娘はやらんっ!」な古典的なお芝居に近かった気がします。ただそこに至るまでの過程はちょっと変わったファンタジーで、概ね小林さんとトールさんのラブストーリーという体で上手くまとめた最終回だったのではないでしょうか?
{/netabare}

小林さんの同僚の一見爽やかイケメンの滝谷君も面白い。オタク話になると声の高さもテンションも異常に上がり、出っ歯が生えてメガネ着用、語尾には何故か「ヤンス」が付いてしまいます。もはや変態!もとい変身としか‥それにしてもスゴい変わり様です‥(笑)

スゴい変わり様と言えば、小林さんの酒癖の悪さはかなりのもの(汗)こちらはちょっと不快に感じる人もいるかも知れません。アニメではこういう表現が割と目立ちますが、酒飲み本性違わずという言葉がある様に、しらふでも怒りやすい人は酒を飲んでも怒りやすく、怒らない人は怒らないというのが私が経験上知っている酒飲みの性質です。酒を飲んで人格が豹変する様に見えるタイプの人はしらふの時でもぴりぴりしていて、怒りを抑えている印象を受ける事が多いのです。小林さん、多忙過ぎてストレス相当溜まってるんじゃないかな?とか余計な事考えちゃいました。明るいトールさんとかわいいカンナちゃんとの生活で心癒されて、酒癖の悪さも治るといいですね(笑)

あとちょっとした事ですが、場面が変わる時に表示される格ゲーの必殺技コマンドとか、一見ほぼ無意味なんですけど、シンプルながら気持ちを切り替えるいい演出になっていたと思います。これのおかげでだだ漏れ感が無く、快適に視聴出来る気がしました。

OP「青空のラプソディ」は溌剌としていて動きも多くて見てるだけで楽しくなってしまいますし、ED「イシュカン・コミュニケーション」もちょっぴり邪悪なドラゴン視点の歌詞が印象的。

行き場を失ったドラゴンさんたちが小林さんちに集まって、擬似家族みたいになっていく、笑かされほっこりさせられるアニメです。



最後まで見終えて

原作者のクール教信者さんが重度のおっぱい好きなそうで(笑)趣味全開の描写が毎回の様に有りましたが、男視点からでも目に余るものがありました。女性からはひんしゅく買いそう‥。おっぱいが揺れるのってオタクアニメでは定番の表現だと思いますが、メイドラのはちょっと度が過ぎる‥。よく言えば奔放に作られていると言えるし、悪く言えば節操が無い気がします(汗

全編を通して、日常ギャグ、家族ドラマとして安定した作りだったと思います。キャラ魅力も十分。登場人物の大半をうら若い女性が占めてしまうアニメよりも、このメイドラの様に、滝谷くんやファフさんみたいな男性キャラ、商店街のおじさんとか近所のおばさんみたいなモブキャラ、才川さんや翔太君みたいな子供キャラを、バランス良く登場させているアニメの方が私はずっと落ち着きます。「みなみけ」なんかでも保坂先輩とか藤岡(あえて敬称略)がいなかったら、雰囲気全然違っただろうなぁとか思い出したり(笑)

ちょっとわざとらしい演出が気になるルコアさん関連のお話が苦手でしたが、全編を通してとても楽しく視聴させて頂きました。

2期あれば是非見たいアニメです。

駄文お読み頂きどうもありがとうございました。


※1:人間の真尋君に一目ぼれしたニャル子さんこと邪神"ニャルラトホテプ"とその愉快な仲間たちが繰り広げる、アニメ、特撮、クトゥルー神話ネタ多めのラブコメ&ドタバタギャグアニメ。

※2:財産の為に弟と共謀し父を殺害、後に武力で弟も退け呪われた指輪を含む財宝を独り占め。ファフニールは元々人(もしくはドワーフ)の姿でしたが、洞窟に納めた宝を守るために竜の姿に変身し、その上に横たわりました。宝を奪われる恐れの為、毎日決まった時刻に湖に水を飲みに行き、その時の他は洞窟の外に出なかったという‥。

※:スピンオフ作品(web漫画)「小林さんちのメイドラゴン カンナの日常」も面白いですよ。ニコニコ静画(http://seiga.nicovideo.jp/manga/?track=home)で無料で読めます。(ちょっと重いのでコメントOFF推奨)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 60
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

感情的な場面の積み上げ…という京アニの手法の典型例?

追記 改めて再評価してみました。破壊と悪意、自己保身や欲望があるので日常系ではないと思いますが、だからこそ面白かったと思います。ブラックユーモア的…というとちょっとオチが人情味的すぎますね。

 で、本作を見ていてちょっと思ったのが、京アニのアニメって、面白い、感動的という評価をされてもテーマの深さで評論の対象にならないですよね?ちょっと気が付いたことがあります。京アニのアニメの作成の手法についてです。

 面白そうな「場面」をしつこいくらいに積み重ねているというか…その作品のニーズに対して感情に訴えかける「場面」をこれでもか、と入れてくる感じですね。それを驚異的な作画と感情たっぷりの演技・演出で飾るので、心を強引に揺さぶってきます。

 だから感情は動かされますが、後になにも残らないのでしょう。テーマが無くモチーフと設定しかないからだと思います。逆に言えばだから普通はアニメ化の選択をしない4コマや4コマモドキのマンガ、特に評価が高くない(失礼)原作を、面白いアニメに仕上げられるのだと思います。原作改変が批判されない理由も、この辺にあるのでしょう。

 つまり原作のつまみ食いして良い意味でも悪い意味でエモい場面にどんどん変換して行く感じでしょうか。だから視聴中、視聴後感は感情が高ぶってものすごくレベルが高く感じるんですけど、後になって振り返ると「あれ?」何を得たのだろう?という感じですね。

 京アニの作品が2期になってより感情的になるのは、この動かすべき感情の「ニーズ」がはっきりするからでしょう。ですから私は京アニの2期は、1期の微妙なバランスのチューニングがずれてしまっていてほぼすべて嫌いです。

 特に「らきすた」以降かなあ…「けいおん」はこの手法が上手くいった例でしょうね。ここで、この4コマ的なマンガをアニメにする独特のアニメ制作手法を完成させた感じでしょうか。

 それ以前にフルメタのふもっふの評価が高くてセカンドレイドの人気がない理由もこれが原因でしょう。境界の彼方も深そうでいて内容が無くエモい場面とセリフばっかりですしね。原作をきっちり映像化した「氷菓」と「聲の形」が良かったですね。
 ユーフォの特に2期とヴァイオレットは更にこの感情を強引に揺さぶる手法を進化させた感じですね。


 違う話ですが、本作の小林さんですが、後半に行くにつれ、小林さんが聖女になって行くのは、ドラゴン達がボケで小林さんがツッコミに回ったからだと思います。当初は小林さんも特に対トールではボケてたんですけどね。その比率が下がってゆく気がします。話を回すためにドラゴンの種類を増やしたからこその変化でしょう。

 あとケツァルコアトルが不気味なのは目が見えないから…そして目が見えた時の目の異様さ、でしょうね。



以下 1回目のレビューです。

{netabare} 結論から言って面白いです。といっても日常系やギャグとして面白いというのではなく、価値観がまったく違うドラゴンという種族が、小林を中心とした人間との出会いで考え方に変化が起きる話としてです。また、考え方の変化も必ずしも人間の道徳をそのまま受け入れるのではなく、可能性を感じる程度でとどまることです。

 ファフニールがその意味では一番わかりやすくて、人間の文化と同居人との生活で、人間世界を破壊するデメリットを感じ同居人に対する信頼は得ますが、それでも人間そのものに対しては距離を置きいつかは決別する可能性も理解しています。ですので、ファフニールのパートはギャグにしてもどこかダークな雰囲気が漂います。

 もちろんカンナおよびカンナと才川についてが癒しパートとなります。が、才川の性格や今までの孤独を考えると、あのメイド萌えの姉の存在が少々異質に思えてきます。カンナに対する才川の異常な執着が、才川の両親との関係性の歪みの象徴に見えて少し切なくなります。

 トールそのものも人類をあからさまに信頼していませんし、人命に価値を置いていません。もちろん大量に殺戮を繰り返していたのでしょう。つまり、小林を含めたこの世界の人間は、トールがいる限り死と隣合わせにいるわけです。エルマとの対立もあります。むき出しの悪意に癒しはありません。原作がそうなのか京アニチューニングかわかりませんが、1期を見る限りギャグとして振り切れない裏の設定を強く感じました。

 小林という人物。文句を言いながらもトールやカンナを受け入れて仕方なく同居を始めるというところまではいいのですが、カンナの小学校の道具を用意するところは「こんなにいい人なんだよ」というエピソードが表面にですぎました。このチューニングが以後続いて行きます。

 小林というキャラが謎でした。マイペースで人情的ではあるのですが。我々が漠然と善と見做す価値観を物語に当て嵌めて生まれたような人物像ですね。というより、小林が本当はそうじゃないんだけど「善」とか「道徳」に縛られて、自分の本来の欲望とは違う価値判断をしているというか。だから酒を飲むと性格が変わるのかもしれません。モノローグはたっぷり見せてくれているんですけど内面が見えない人物でした。
 ひょっとしたら現代人の感覚に近いのかもしれません。善悪の判断とか行動の基準が外部の価値判断に縛られているというか。いや、なんか違いますね。そこまで不自然ではありません。カンナによる母性の発露とトールとの出会いによる成長?最終回を見るとそうかもしれません。でも、やっぱり謎でした。この辺りは2期を見終わると言葉になりそうなので追記するかもしれません。

 ケツァルコアトルと少年の部分はなぜか全く面白くありませんでした。エロが過剰というよりも、ケツァルコアトルの少年の扱いが愛情故というより玩具にしか見えないせいかもしれません。このケツァルコアトルというキャラも内面が分からず少々不気味です。いざというときに仲間になる感じもありませんし。
 あと、トールのしっぽを食べるとか舐めて奇麗にするとか、少しリョナというかグロ的な部分もあって、少し気持ちが悪くなったこともありました。

 これらを考え合わせると本作を単純にギャグとみるには「行間」にあるダークな部分や寓話的な何かが表現されすぎています。まして「日常系」にはとてもではないですが、見られませんでした。

 とはいえ、アニメ作品としては面白いです。ドラゴンと人間の価値観の違い的なストーリー部分ですね。ギャグとしてもまあまあですが、笑えたところはあまりなくほっこりもしませんでした。人情もの…でしょうかね。あとはカンナが可愛いくらいでした。どちらかといえば演出とかアニメ表現とかメタ的な視点で、アニメの出来の良さを楽しむという意味で面白かったということかもしれません。

 ただ、京アニのハルヒ、けいおん、氷菓、ユーフォの流れの超一級の作品ではなく、演出と細かいエピソードの積み重ねで何となく話を進めて行く、らきすた、日常の次くらいの流れに属する作品かなあと思いました。ただ、この2作よりはストーリー性がありますので、あるいはまったく違う系統なのかもしれません。 {/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

日常の大切さを知る系アニメ

[文量→大盛り・内容→考察系]

【総括】
祝! 2期放送開始ヽ(´∀`)ノ

一言で言うと、「流石、京アニ」。

この時期は「響けユーフォニアム」など、シリアスで芸術性の高い作品が続いていた(そしてそれが大好きだった)けれど、むしろこういう日常系が、本来の京アニらしいんだよな、と、京アニの守備範囲の広さを再確認。

癒し、萌え、を求めている方は是非! 私は、残業の後に観るようにしてましたw

作画は抜くところは可愛く抜きつつ、魅せるところではガッツリ魅せてくれ、かなり良かったと思います。

あと、OP、EDはどちらも良かったです。OPは私の好きな「fhana」さん(河合荘の主題歌)。EDも可愛らしくて良い感じ。久々に、どちらも飛ばさずに全話観ました♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
このアニメの成功の大きな要因は、小林さんを、中性的ながらも「女性」にしたことだと思います。

話の筋的には、小林さんが男であっても成り立つものばかりです。というか、もし、萌えの方向にもっていきたいなら、「男性」の方が良いくらいです。

この作品は、「日常系」ではありますが、トールの背景には大きなシリアスがありますし、「いつか死が二人を分かつまで」という「期間限定の日常系」です。もし定義するならば、「日常の大切さを知る系」と言っても良いでしょうか(小林さんの社畜感含めw)。

そういう作風の中で求められるのは、「萌え」や「燃え」以上に「癒し」。その「癒し」を演出する上で、小林さんを女性にしたのは、必然性がありますね。

例えば最終回、トールと終焉帝の戦いに小林さんのが割って入るのだけれど、もし小林さんが男だったら、どうしたって打算的な部分が入ると思うんですよ。いわゆる、「男女間に純粋な友情が成り立つか否か」という命題的なアレですよ。

うん、やっぱりなんか違ってくると思う(終焉帝にしたって、娘が現状から逃げて男のところに転がり込んでたら、流石に最後まで許さないでしょうしw)。

トールは小林さんを愛し、小林さんもトールを愛しているけれど、その愛は、「恋愛」に属するものではなく、キリスト教における「隣人愛」に近いものだと感じました(いや、私はキリスト教徒でもなんでもないですが)。だから、この作品は「百合」ではないのかな、と(まあ、トールは怪しいですがw でもあくまで、トールは小林さんを尊敬し、敬愛していると思うのです)。

私はこのへん、「のんのんびより」に近いものを感じました。サンクチュアリ感というか、なんというか。自分的にどストライクでした(音の少なさ、台詞感のたっぷりとした間、というのも共通点ですね)♪

この作品、キャラの良さも光りました。

特に、小林さん。小林さんの良さは、1拍おくところなのかな。

ガーッと感情的になることは少なく、必ず考えてから言葉を発します。その思いやり方が実に微妙で絶妙で、「あぁ、優しい人間ってこうだよな」と思います。小林さんの言葉で、心に残ったものはいくつもありました。

例えば、第2話の「誰かを信じたから友達や恋人になるのではなく、友達や恋人になった後に誰かを信じられる」というのは真理をついていると思うし、第7話の「大体の人って、大人になったんじゃなくて、子供でいれなくなっただけ」とかは色々考えさせられた。第8話の「あの子はメイドだけど、友達でも良いと思ってるよ」は、温かい言葉だし、第11話の(いつも通り尻尾を食べさせられそうになり)「来年も再来年もムリ」という発言は、来年も再来年も一緒にいることが前提ってことで、これ、最終回での終焉帝との問答の伏線になっていたのですね。

などなど、他にもたくさん。これだけ名言が出るアニメも珍しいです。

それだけ思慮深く、ともするとドライな小林さんが最終回に発した、(トールがもう戻らないと聞き)「マジか……」の一言は、胸に突き刺さりました。「マジか」なんて、もしかしたら日本人が一番日常的に使っているかもしれない言葉にここまで実感を込められるのは、逆に新鮮でした。

他にも、トールのドラゴンならではの思考回路や、倫理観、突拍子のない行動も笑えたし、そういう「異種間コミュニケーション」も見所のひとつでした(そこも書くと更に長くなるから割愛します)。
{/netabare}

《以下ネタバレ》

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
衝撃の開幕(笑) かなり良い設定とテンポ。1期にひとつは必要な作風だね。私の尻尾焼き、は笑った(笑) 最後にちょいシリアス。

2話目
カンナカムイ、アイヌの神様だね。「誰かを信じたから友達や恋人になるのではなく、友達や恋人になった後に誰かを信じられる」ってのは、なかなか深いと思う。戦闘シーンの作画は、流石に京アニ!
ふ~ん、なんかやっぱり深みがありそう。

3話目
なんか、いいほんわかさ。「のんのんびより」「甘々と稲妻」以来だな。小林さんの枕元に、寝たまま電気消せるスイッチあった。面倒くさがりの小林さんらしく、細かい作画○。ケツァルコアトルって雄の蛇神じゃなかったっけ? 酒飲んで妹に手だしたはずだし。

4話目
文房具の進化って、計り知れないよね。余談ですが、最近個人的ヒットの文房具は、1位スタンプのり 2位ライフスタイルツール。トールの人間評がいちいち辛辣w 才川さんもなかなかナイスなキャラw

5話目
ルコア、ファフニール、それぞれが人間世界に、それぞれのペースで溶け込んでいるのが良かった。

6話目
ガチのメイドおたく(笑) ホントに刺激的で平和な世界。

7話目
水着回。小林さん、貧乳でgood(笑) 蟹食うなや(笑) 史上最も残酷な西瓜割り(笑) 「大体の人って、大人になったんじゃなくて、子供でいれなくなっただけ」……深いな。コミケを観て、「訓練なしに統率とれてる」って、流石ドラゴン的思考w

8話目
いつもと少し違う作風、小林さんの「あの子はメイドだけど、友達でも良いと思ってるよ」は、温かい言葉。新キャラ登場。OPにいたのに、ホントに「やっと」出てきたね(笑) 百合なんだけど、なんか好きな百合だ。「友達はいたけど、親友はいなかった」……響くな~。

9話目
運動会、相変わらず良い話。余談だけど、最近の学校って、運動会の選手宣誓で、「最後まで戦い抜く」じゃなくて、「最後まで競技する」って言うそうですね。

10話目
婆さんの笠、燃やしたw 爺さん達、大喜びw

11話目
お正月、いつもの尻尾ネタ。でも小林の「来年も再来年もムリ」という発言は、来年も再来年も一緒にいることが前提ってことですね。良い感じ♪

12話目
どんな掃除の歌だw ここで0話に戻るんですねw 酒でグダまいて意気投合かw

13話目
小林さんの動揺。「マジか」の一言が、逆に新鮮。そして、1話目に戻る。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 78

82.1 5 小学生で心温まるなアニメランキング5位
ふらいんぐうぃっち(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (1298)
5980人が棚に入れました
青森の親戚の家で居候をすることになった15歳の魔女・真琴と、彼女を取り巻く少年少女の日常をコミカルに描く物語。

声優・キャラクター
篠田みなみ、鈴木絵理、菅原慎介、葵井歌菜、三上枝織、日野まり、井口裕香、佐倉綾音、茅野愛衣、小澤亜李
ネタバレ

アトランティス さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

日常×魔女アニメ 安定の面白さと、和む、癒される感じ[毎話実況レビュー2作目]

2016年春アニメ
2015年の幸腹グラフィティに引き続き今期の毎話レビュー枠
ということで、更新していきたいと思います。

はいふりか、くまみこか、この作品と、どれ見よう~
って悩んでて、好きな声優のみかしー(三上詩織さん)が出ていたので
それで視聴を決めましたw

日常ものの雰囲気がありますが、主人公の子は魔女なので
何かあるかもしれません。
シュールな笑いが起こるシーンも多く、面白いです。


第一話 6年振りの不思議
{netabare}主人公は魔女の真琴、青森に帰って来たところから話はスタート。
真琴の同級生の圭の声が棒って言われてるけど、何か感じがあっていいと思うけどなぁ。。
顔のデザインは作品にあった優しい感じ(-∀-)

真琴は高校生だったみたいで、学校に通いだします。
始業式、そこで、重大発言。

「東北地方は結構魔女多いんですよ」

何とwww
一話で2個ある見所の一つ目でした。

見所の2つ目はですね、
あの真琴がほうきにまたがって、飛ぶシーン…の、
それを目撃して目が死んでる千夏ちゃん。
1話目イチ笑ったシーンですw
こんなとこで飛んでいると他の人にも
見られてそうですが。。(´・_・

まぁでも
千夏ちゃんのおかげでこの作品が成り立ってると言っても
過言じゃないほど、千夏ちゃんは重要な子です。
冒頭での、真琴を頭イっちゃってるやばい人と勘違いするとこも
笑えますw

とまぁ、20分弱見た感想としては、
静かなようで、賑やかなようで、微妙にジブリ感のする作品でした。

EDはmiwaさんが担当で、アニメでは銀の匙以来の出会いです。

2話以降も期待したいと思います。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第二話 魔女への訪問者
{netabare}またシュールな絵から始まりましたw(何か降りてきた…)
一話でmiwaさんがED担当だと書きましたが、すみません、
OP担当だったみたいです。

マスコットキャラのたか丸くんが登場。

前半は春の訪れの話で、さっき書いた、何か降りてきた人物が
春を運ぶ運び屋さんだったようです。
……(´・_・`)ちょっと見た目が怖いなぁ
千夏ちゃんが怖がるのも分かる。
悪い人に見えるけど、根はすごくいい人でした。
ウチにも春をありがとうございます_(._.)_ 

後半はふきのとう(ばっけ)を道端で採って、家で揚げて食べる話。
作画陣の作り込みの意欲がにじみ出てました笑
ふきのとうの揚がった姿がすごく美味しそうで、
それを真琴がすごく美味しそうに食べるので、
何か食べたくなる衝動に駆られました

でも、実際は結構苦いらしいし。。
千夏たんも顔で嫌がってましたねw

EDもいい感じで今日も平和に鑑賞しました。
ほのぼの枠に入りそう。
20分見て思いましたが、今回の話のタイトルは
「春の訪れ」の方がしっくりくると思うのです。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第三話 畑講座と魔術講座
{netabare}このアニメは前半と後半に話が分かれるのかな。
今回は新キャラ登場回です。(要必見(・ω・!)

前半は魔女としての格を上げるため、真琴が畑仕事に挑戦します。
草ボーボーの状態から肥料をまいて、耕して……。
平和な時間が流れておりました。
……奴が現れるまでは、、

奴はすばしっこく、挑戦的な視線をふっかけてくる奴です。
とんねるずのみなさんの……でたまに使われるネタ
「こいよ~」
が脳裏を過ぎって一人でウケてました笑
前半のまとめは「みんな似たもの同士」、これに尽きます。

後半は千夏ちゃん「未知との遭遇」第二回!!
ということでターバンぐるぐる巻きの謎の女性が倉本家にやってきます!

あの千夏ちゃんの目が点になる表情が好きなんですよね
今後もそういう場面あるのでしょうか。。

ターバンぐるぐる巻き女の正体は、世界を放浪してる真琴の姉、茜でした。
なんでも、魔女界では有名な御方だそうで、
気さくな感じで千夏たんともすぐに打ち解けてました。
サーヴァント…じゃない、お付きの猫たちの会話も聞けますw

茜は真琴に簡単な魔法を一個教えてすぐに帰ってしまいます。
成長確認と、たまには魔法使えよっ!って言いにきたのでしょうね。
やらないと腕がなまってしまうのは僕達人間と同じみたいです。

と、以上ここまで、3話について書きましたが
今回も相変わらず平和で見ていて和んだ、しかしみかしー要素が
足りない一話となりました。
次回はみかしー(が演じてる子)の出番期待してます{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



第四話 桜の中の占い師
毎回レビューの前にタイトルを書いていて、題名からも平和なアニメだな-って感じが最近しています。
{netabare}と、いうことで。 きました4話!

祭りに圭と千夏ちゃんと真琴の三人で行くシーンから話は始まりますが
今回は祭りがメインじゃないです。
祭りの部分では、圭君の以外な弱点を楽しみましょう?
「(ぐぬぬ…) 圭め……。さらっと真琴の肩に手を……羨ましいッ」

さて、ふらいんぐうぃっちは今までではですね、
1話の中で、一応前半後半の区切りがあったのですが、
今回の4話目は全体で話一話として成り立っています。

真琴の姉茜に因縁?を持つ魔女犬飼との出会いですね。

今回は今まで、というか、今年アニメの中で一笑った回でしたww

ー一年前ー
茜と祭りで飲んだ夜、ひょんなことから人間犬化してしまった犬飼。
果たして彼女は無事、人間の姿に戻ることができるのでしょうか!?

これが主題ですね。
今回は千夏ちゃん「未知との遭遇」!!って感じじゃなかったです(^_^;
あのOPで「何だこのキャラ……?」と思わせられていた
謎が解けてちょっとすっきりしたです。

でも、夜には普通の人間の姿に戻れるんですね。
日中はほぼ黒タイツ状態って……それもそれで酷ですが。。

犬飼さんは超絶美人なので最後まで必見ですよ~!

ということで4話の感想は短いですがここまで。

ふらいんぐうぃっち可愛い番付に有力者がエントリーしましたね笑
真琴、千夏ちゃん、茜、そして犬飼(人間ver){/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第五話 使い魔の活用法
{netabare}2クールじゃなければもうすぐ半分になりますね。

というわけで5話です。
使い魔の活用法、とタイトルはなっていますが
今回はタイトル離れというか、内容はものすごく平和でした。

真琴の使い魔の真っ黒ネコの「チト」回です(*^_^*)

前半はチトが散歩しながら街のスポットを探す話、
後半はそれをもとに真琴と散歩する話。

前半はチトのことが気になった千夏ちゃんが
チトを尾行するんですが、どのシーンが後半の伏線になるのか、
見ていただきたいですね。

…………書く事が、、ない。

うん、そんなわけで5話は散歩回でした。
真琴が可愛い回でもありました~{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第六話 おかしなおかし
{netabare}今回の6話は簡単にいうと「千夏ちゃんが魔女の弟子入り」
をする回です。
魔女たちの間で有名な謎のほうきあるあるに始まり
かっこいい、可愛い魔女になりたい!と言い出した千夏。

じゃあ簡単な魔法からやってみようってことで始めたのは
「お菓子に魔法をかけて遊ぶ」って魔法。

これで千夏と真琴が茜の罠にまんまと引っかかるっていう……笑
効果が反対だったら良かったのに。。

と思いつつ見ていた6話でした。
……それにしても圭って魔術に興味ないのかな……
3人が魔法使ってるときも無視してDVD見始めたし。

魔女になってから何をしてもいいってのは平和な設定ですね。{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第七話 喫茶コンクルシオ
{netabare}第七話は喫茶店に行く話がメインかと思ったら
尺的に前半の山菜採りの方がメインっぽいようです。

今回はなお(みかしー)が台詞多くて良かった。
みんなで山菜採り、木々が綺麗で小川のせせらぎが心地よい、
自然を堪能できた回でしたね。

茜昼間からビールと山菜の天ぷらで、もうおっさんですww

喫茶コンクルシオはOPの最後に出てくるアレですね。
もしかしたら現実にもあんな店ありそうなって感じが。
皆さんも廃墟を見つけた際は「二礼二拍一礼」を実戦してみてはどうでしょう。
p.s. 新キャラが登場しました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●○○○



第八話 常連の鳴き声
{netabare}今週は新しい子が登場、
椎名杏子ちゃんとそのお母さんです。
杏子ちゃんお母さんとそっくりで可愛い(*´`)
声優は井口裕香さんかなぁと思って見ていたら最後のEDで
井口裕香と書いてあったので「よしッ!」正解でした(^_^;

8話目は喫茶店のおはなしです。
コンクルシオは200年も続くあちらの世界の皆さんの交流の場なんだと。

そんなわけで人間以外にも、いろいろな人がやってきます。

カップルのてんとう虫とか (お母さん虫と会話できるってすごいw)
夜のとばりさんとか (ハンドルネームみたいで笑ったw)
狐……狐。 (こいつが今回のオチをすべて持っていった笑)

そんないろいろなお方が来店する一見カオスそうな店だけど
流れてる雰囲気はまったり。
彼らから代金は頂かす、周りの害虫駆除等をしてもらってるそうです。

今日は一番満足できた回でした。

ED後のCパートは今回はちょっと長く
茜が魔法の実験で面白いことをやっています。

キーワードは「ベトナム」と「水墨画」。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●●



第九話 明日の明日は今にある
{netabare}始まりはお母さんの絵本から。
お母さんはプロの漫画家で千夏ちゃんはその絵本をチェックしています。

お母さん「きつねさんがコンコン……」

千夏「お母さん、きつねはワンって鳴くんだよ」

…千夏ちゃん先週のあれをひきずって・・笑

(追記)
→コメントを頂きました。
先週のアレは犬ではなく、やっぱり狐であって
狐の鳴き声は犬に似ているんだよ、ということを伝えたかった。
そう考えると、僕は狐の鳴き声は知らないので
こんこんじゃなくてワンに近いのかもしれませんね笑
コメントありがとうございました_(._.)_ 

今回のタイトルはなんでしょうね。
繋がりはよく分かりませんが。

犬飼さんが久しぶりに登場して
みんなで占いをしました。

ストーンが落ちる描写が
リアルで良かった

結局、占いはあっけなく当たったというか、
唐突でしたねw{/netabare}

満足度:●●●●●●○○○○



第十話 料理合わずと蜂合わず
{netabare}いつも1週遅れていましたが、これで最新に追いつきました。

前半は圭と真琴となおとで学校の調理実習。
カレーとハンバーグって、、重い。
昼前だったら最高だけど、昼からだと辛そう。
(僕の学校は午前でした。食べてからまた昼飯w)

前半は、ただただ真琴の作った「魔女の指」が衝撃的でした(゚o゚;;
ネットで画像検索したら実際にもあるんですね…
なぜ血が付いているんだろう。。
気持ち悪っ(笑
理由が分かる方がいたらメッセお願いします~_(._.)_

さて、その翌日、後半は
みんなでりんごの蕾取り「摘花」です!

圭の解説がわかりやすく、自然の描写も良かったですね。
真琴の作った魔女の指の効力がまだ続いていましたw

もうあと2話となると、名残惜しくなってきますね。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●○○



第十一話 くじら、空を飛ぶ

すみません、遅くなったので見所だけ。。

くじらが街にやってくる!
魔女の新聞は特別!(見てみたい)
みんなでホットケーキパーティー、
美味しく食べて歴史も学ぼう!
杏子ちゃんかわいい。

では最終回にて。

満足度:●●●●●●●●○○



第十二話 魔女のローブと日々は十人十色
{netabare}ついに最終回となりました。
始まりから、終わりのムードがひしひしと伝わってきます(;_;)

真琴も箒乗りが上手になっていてチトさんからお褒めの言葉が……笑
今回はチトさんがいつになく喋りまくりでしたw

千夏ちゃんにローブを作ってあげて
犬飼さんは占いをしていて、
茜は今日も昼からかんぱーい!…酔ってる…

いつものふらいんぐうぃっちの姿がそこにはあります。

で青森が舞台ですので
最後の締めはやっぱりねぷた!(作中ではねぶただったかな…忘れました。)
(ねぷたとねぶたの違いはググりました。)

作画気合いが入っていましたね。
祭りですので犬飼さんの占いも繁盛、気合が入っています。
もちろん茜の酔っ払いっぷりも。w

みんな浴衣姿も良かった(^_^

そして真琴たちの元に訪れた
金魚たちの幻想的な風景に包まれる中、
作品は無事、幕を閉じました。

12話通して感想を書いてきましたが
1話1話感想を書いていたので、
他の春期アニメに比べると
思い入れも強く、内容もよく覚えています。

このレビューをまた見返した時に
作品のことを思い出して、くすっとなれるような
文章になっていることを祈ります。

では、僕のふらいんぐうぃっちの書き留めは
以上をもって終わりにさせて頂きます_(._.)_ 
3ヶ月の間、お付き合いいただきありがとうございました。{/netabare}

満足度:●●●●●●●●●○



作品全体:●●●●●●●●●●
オススメ:超


終わり、後の楽しみ。

・2期への期待
・サウンドトラック
・原作コミック
・声優のうぉーきんぐ、さーちんぐうぃっち。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 39
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ゆっくりとした口調や柔和な言葉遣いに安心します。

田舎での落ち着いた日常を描いた作品の様です。

主人公の真琴が魔女なので、少しだけ不思議な事が起こりますが、それらの出来事が自然に日常に溶け込んでいる所に魅力を感じました。同じ様に田舎での日常を描いたアニメ「のんのんびより」と比べて、キャラの年齢が全体的に高めなので、口調や言葉遣いもさらに柔和で、よりゆったりとした空気を醸し出しているのではないかと思います。

登場する人たちの殆どが、他者の行動に自分の行動を合わせたり、気を使ったりせずマイペースに行動している点は、都会を舞台にした日常アニメのキャラたちが、常にお互いの孤独を補い合い、気を使いあう行動に走りがちなのと比べて、自由であり、予測不能であり、それゆえ面白いと感じました。

1~4話
{netabare}
2話で圭君が道端でフキノトウを見つけた時も、なおはあまり興味を示さなかったらしく、さっさと家に帰ってしまいました(笑)。

この作品で今のところ耳障りなものをただ一つ挙げるとすれば、1話で登場したマンドレイクの叫び声で、片耳を塞いで引っこ抜いた真琴は魔女だからってよく無事だったなあと思います。少し離れた所になおもいたので結構危なかったかも知れない。

4話はこれまでの3話と比べてやや賑やかな回になっていた気がします。(ノロイっぽい顔になってた人もいたし)個人的には最初の3話の方がこの作品の魅力を強く感じられました。それでも取り立てて派手と言う訳でも無く許容内でした。やはり毎週楽しみです。桜並木の描写は非常に美しかった。

演出について、使い魔である猫に安易に人間の言葉を喋らせなかったり、3話のお姉さんが去るシーンでも僅かに煙が立ち昇っただけだったりと、控えめな中にも動きや構図などで魅力を出し、作品の雰囲気を壊さぬよう細心の注意を払っている事が伺えました。後者のシーンを見た時、なぜか私は既視感に近いリアリティを感じました。ああいったシーンで、見栄えはするものの雛形に従った表現しか出来ていないアニメと異なり、日常の中の不思議を文字通り空気の様に描いているアニメは、私の知る限りでは殆ど例が無く(※1古いヨーロッパの映画の何かにこんな描写があったかも)素直に感服させられました。畑を開けるために引っこ抜いた雑草の描写や動物たちの動きについても、地味な中にも目を楽しませるものがあり、見ているだけで幸せな気分になってしまいます^^

※1:ジョン・ブアマン監督の「エクスカリバー」ヤロミル・イレシュ監督の「闇のバイブル 聖少女の詩」にそれっぽい描写が確認できました。前者は英・米共同の、後者はチェコの映画。
{/netabare}
5話~最終話
{netabare}
5話はねこ好き必見のねこ主役回であると共に、登場する人物同士が互いに気兼ねする事無く、各々自由に振舞っていた様で、この作品の雰囲気がこれまで以上に強く出ている印象を受けました。

6話では不動の圭くんが珍しくも呆れ気味に漏らした独り言がありましたが、それとは関係なく、かねてから思っていたのですが、ふらいんぐうぃっちの作風は「長くつしたのピッピ」等で有名なリンドグレーン原作の※2「やかまし荘のこどもたち」にちょっと似てると思いました。

むしろそれよりも落ち着いている空気が有ります。上記の作品でも、子供達がぐらぐらして抜けそうな歯を上手に抜く方法を考えたり、草むしりの最中に変な言葉を発明してみんなで遊んだり、ザリガニ釣りに行ったりと、のどかな日常を描くばかりで、取り立てて事件と呼べる様な挿話がありません。

映画版も製作されているのですが、こちらでは出演している子供達の演技も、演技と言って良いものかどうか迷う程に自然で、ハリウッド映画や日本映画に散見される、子供を大人にとっての都合の良い操り人形として扱っている様な、わざとらしい描写の仕方とはまるで違っていて、安心して視聴出来ます。

ふらいんぐうぃっちを気に入った人なら、アニメ一筋の人でも充分に楽しめる映画だと思いますのでおすすめです。

7話は山菜取りとか、山菜をおつまみにしたお姉ちゃんの昼酒とか、廃屋の魔法喫茶や、可愛い幽霊も登場して、物語の展開的にも、美術的にもふらいんぐうぃっちの魅力が凝縮した素敵な回でした。チトさんもいつも以上にニャゴニャゴ喋ってました^^

7話から引き続いて8話も魔法喫茶を舞台に、とっても落ち着いた会話劇が繰り広げられます。椎名さんとそのお母さんの二人の新キャラが物語に加わりましたが、作品の雰囲気は微動だにしませんでした。※3アザミを食べるてんとう虫って見た事有りませんが、葉っぱの部分にアブラ虫がわんさと付いているのを見た事があるので虫にとっても美味しいんでしょうね…。

生長しきったアザミの"がく"や成長し切った葉のイガイガ部分は人間にとっては食用に適しませんが、若芽や若葉、茎、根っこまで、殆どの部分が食用になります。採る時はくれぐれも棘に気を付けましょう。刺さると細菌感染する恐れがあります。

今回も和みました。

最終回は裁縫回、裁縫好きのブリキ男にとっては楽しい回でした。布地選びから採寸、裁断、縫製など、要所要所丁寧に描写されていました。裁縫の手際の良くない私は、裏地付きの見事なマントをぱっぱと作ってしまう真琴の手腕に驚かされました。熟達している人なら出来そうなので、魔法と言う程ではないですが、とても羨ましく思いました。

※2:ピッピにも似ていると思います。リンドグレーン原作のスウェーデン映画(他の国の製作ものはあまりよろしくない。)は他にも色々有りますが、どれも面白いと思います。

※3:概ね鞘翅につやが無いのが草食、あるのが肉食らしいです。作中描写は肉食のナナホシテントウみたいに見えますが、一応テントウムシもアザミを食べる!
{/netabare}
最期まで大きなドラマも中くらいのドラマも無く、小さな小さなドラマを丁寧に一つづつ積み重ねている印象を残す作品でした。こういったアニメは私は今まで見た事がありません。最終話でもその姿勢は揺らがず、いつも通りやさしい時間が過ぎ去りました。


以下はアニメ本編とはあまり関係なく、どこでも採れそうな野草について
{netabare}
ヨモギ:ばばばあちゃんでお馴染み(もしかしたら知ってる人少ないかも)の万能野菜。天ぷらが美味です。それ以外で使うなら湯掻いて水に晒して灰汁を取る。枯れたと思っても地下茎から芽が出てくるので栽培すれば半永久的に葉を収穫出来ます。

ナガミヒナゲシ:近年よく話題に登りますが、特定外来生物などには指定されていない。花が枯れてから花芯を採取します。素手だと黄色い汁が付いて中々取れませんので、袋(新しいのを使うのはもったいないので油っ気の無い空いた菓子袋などで)ごしに取るなどしましょう。炒めても茹でてもおいしい。芥子の実の一種ですが無害です。ナッツの様なこくがあります。

カラスノエンドウ:ソラマメ属。天ぷらが美味ですが、虫が付いている事があるので気になる人は湯掻いて水で何回かすすぐ。おひたしや炒め物など何でも使えます。

タンポポ・ノゲシ・ブタナ:タンポポは全草食べられます。天ぷら、油炒め以外で食すなら湯掻いて灰汁を取る。

スギナ:天日干しか電子レンジで4~5分乾燥させて、すりこぎ等で砕いて粉末状にする。風味がよく青海苔の代わりとして使える。栄養価が非常に高いらしい。

フキ:八百屋でも見かけますが、日当たりのそれほど良くない所に自生している事があります。良くあく抜きすれば葉も食用になり、豚挽きを練ってこれに巻いて、ロールキャベツの様にしてつゆなどで煮ると非常に美味です。同じ場所に関東では1月下旬~2月下旬にかけてフキノトウが出ます。

ミント:近所で見つけたらラッキーです。耐久性が非常に高いので粗悪な環境でも育ちます。一本だけ引っこ抜いて(根が繋がっているので他の株を傷めない様に途中で切断すべき)土に刺して控え目に水やりすれば脅威の成長力で地下茎を張り巡らせます。冬に枯れても復活し、半永久的に葉を収穫出来ます。

ローズマリー:近所で見つけたら超ラッキーです。柑橘系のさわやかな香りが魚、肉料理にとても良く合い重宝します。小枝を一本失敬して挿し木にすれば、根を広げてプランターなどでも成長します。猛暑には弱いのですが、うまくいけばこちらもまた半永久的に葉を収穫出来ます。

セイタカアワダチソウ:香りは春菊に似て華やか。葉はハーブに、花穂は天ぷらに最適。茎が残りますが、極上の味わいです。晩秋~初冬にかけて繁茂します。

ノゲシ:酷暑に計れてしまいますが、寒さには非常に強く、ほぼ一年中収穫できます。背の高いタンポポといういでたち。葉はロゼット状ではなく互生なので区別出来ます。やや苦味が強いので、基本湯掻いてあく抜きしてから料理に使います。ほうれん草の代わりやそばのお供、炒めものなど色々使えます。天ぷらにするなら洗って水を切るだけで大丈夫です。

ブタナ:茎だけががひょろりと長いタンポポの様な野草。タンポポと同じでロゼット状に葉を付けます。葉は大きく食べでがあり、花も美味。全草食用になります。

ヨメナ…花期は7〜10月ですが、ロゼット状に広がった葉を年中見かけます。葉の形は根元がまっすぐで先端に少し刻みのついたきつねの尻尾型。あくや苦味が少ないので下処理は特に必要ありません。春菊に似た風味も良く、さっと湯掻いたものを薬味として利用したり、おひたし、炒め物、天ぷら、お吸い物にヨメナごはん、何でも使えます。キク科の植物は食せるものが非常に多いです。

田舎住まいでなくとも皆さんの身近に食べられる野草は沢山あると思います。是非お試しあれ。

※1採り過ぎはその種がそこで自生出来なくなる原因になるので控えましょう。

※2必ず火を通しましょう。「のんのんびより」のお兄ちゃんみたいな事をやると稀ですが感染症になる場合もあります。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 82

かさい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

J.Cらしさと良さ

なんとも言えない満足度を得られる素敵なアニメ。
ただの癒やしアニメではなかったことは確か。
J.Cらしい丁寧な作品作りがマッチしたアニメになっていたと思う。

※本レビューはブログ『「ふらいんぐうぃっち」の挑戦と生活実感』に多大な影響を受けております。

【注目スタッフ】
〈メインスタッフ〉
監督:桜美さん
音響監督:岩浪さん
撮影監督:大川内さん
制作:J.C.STAFF

〈演出〉
橋本敏一さん
佐山聖子さん
倉川英揚さん
二瓶勇一さん

【良かった点】
〈演出〉
・カット割り
基本的にテンポは遅い。ゆったり気味のカット割りだが、退屈ではない。
スルスルカットが流れていくシーンもある。ギャグ調の時はテンポを少し変えたり。複数人での会話シーンも多かったが、特段被写体が変わるごとにカットを割るのではなく、キャラ自体に芝居をさせて見せるシーンもあれば、上手くタイミングをとって、頻繁にカットを割るシーンもあった。
被写体を映すタイミングと切る(映し替える)タイミングが絶妙だった。
ふらいんぐうぃっちらしい落ち着く画面もここから来ているのかもしれない。

・被写体の映し方、視線誘導
制作陣の意図したチラリズムが見え隠れしていたのもこの作品の魅力。
なんてこと無いカットでキャラはなんてこと無い体制になりあたかも自然に見える腰や太腿、脚などが目についてしまう。これは確実に狙っているアングルであり、視聴者も自然に視線がそちらがわに移ってしまう。
主人公の真琴に関しては肌の露出度が少ないにもかかわらずそのチラリズムは驚異的である。太腿は完全にタイツでガードされているが、撮影処理によって質感のあるタイツに変わり、人が履いているとい実感がより強く強調されている。
お姉さんのだらしないただ寝っ転がっているポージングにも見え隠れしている胸や太腿に必然的に目が言ってしまう。何より罪なのは、このアニメは正真正銘の日常アニメで彼女達は100%健全だということだ。
制作陣、視聴者はそうではない。

・カメラと被写体との距離感
日常を切り取るには近すぎても遠すぎてもダメなんだなと。
キャラ同士の距離感も近すぎず遠すぎず。
日常を切り取る描写としては、かなり引目のロングショットで背景主体や場面説明などに用いられてもいた。

〈作画〉
・そこまで描くか
新たにカットを割らなければならないシチュエーションでも見せてくる。
徹底された日常描写のなかではこの作品だからこその作画シーンが幾つもあり、一つ一つ上げていきたいくらいだ。
日常の芝居は地味でしかもカロリーが高い。
そのため、一般的なアニメは省略できるカットは省略し、次の動作に上手く繋げていく。しかし、この作品の場合は自ら進んでわざわざ入れなくても成り立ちそうな芝居もカットを足して付け足してくる。
[例]
1,トラックの荷台から降りる千夏ちゃんの手を取るお姉さん
なんてことのない一連だが、お姉さんの大人で自然な気遣いが自然と描写されている。他のアニメも場面によってはある一連。

2,コンセントにプラグを差し込む
これは初めて見た。本当になんてことのないカットを手をアップにしてまで見せてくる。圭くんの料理への意気込みや集中力を感じるカットでもあるが、趣味っぽい気もしなくもない。

3,靴を脱ぐ・靴を手に取る・戸を閉める・立ち上がる
日常で必然的に生じる動作。ここも直前でカットを割らずに作画。
ふらいんぐうぃっちの基本スタンスが伺える。

・大人の子供の芝居の差
はっきりと差別化されている。
大人のキャラの芝居には無駄な動作が殆ど無い。言ってしまえばなんの変哲もないごく自然の芝居。
一方子供の千夏ちゃんは無駄な動作しか無い。身体で大きく芝居をする。
表情もコロコロ変わるし一つ一つの動作も可愛らしく仕上げてきている。どこかの小学生を参考にしたかのようなあるあるな仕草。
大人の芝居をさっぱり目にすることによって、より子供の動きがイキイキ見えてくる。そんな差。

・こだわりの猫
黒のシルエットはロングショットだとCGにしても違和感がない。
手描きパートでも猫らしい、動物らしい仕草などに非常に作り手のこだわりを感じた。歩く、尻尾を振る、回る、あくびをする。そんななんてことのない仕草に胸キュンするのだ。

・細かくはない、丁寧な作画
日常の芝居の描写は細かいが、芝居付け自体は細かくはない。やり過ぎだけどやりすぎてない感じ。これ以上行くと作画アニメになってしまう。
そのバランスも良かった。

〈撮影〉
・服の質感、タイツの質感、髪の質感。
監獄学園のイメージ。質感がやはり違うよなぁ。
ただ適当にグラデ処理がされているのではなく、太腿から踝にかけてだったら、より肌の質感を強める影付けになっていたり、服だったら皺に出来る影が意識されていたり。
タイツの処理は印象的。こだわり加減からスタッフに変態がいる気がしますね。今の段階ではJ.C独自のスタイル。

・撮影処理
バスの窓の水滴とか、川の水の表現とか。
窓の透け具合や反射。

・ピント調整
ボケとピン送りのタイミングも絶妙。演出的な撮影処理。

・玉ねぎアップ
J.Cらしさが詰まってる。玉ねぎここまで描かなくてもええんやで?
グラデ加減がほんと絶妙。玉ねぎにも玉ねぎらしさを忘れない。

〈脚本〉
・セリフ
良い。キャラとキャラの間のやりとりに無理がなく嘘もない。
キャラクターがしっかりしているため、セリフに違和感も感じなかったし、らしいセリフと思わせるセリフも多々あり、キャラ設定や構成の上手さも感じたり。

・会話のスピード、バランス
良い。カット割りや場面転換とも密接関係があると思うが、焦らずゆったり、でも遅くもないキャラのスピードで会話が進む心地よさ。

・聞かされていると感じるセリフが一切ない。
キャラ同士で説明的なセリフのやり取りはあるが、視聴者に向けたセリフと感じるセリフは殆ど無く、彼女達の日常を覗く傍観者に徹することが出来た。

・年相応のセリフ
ここでも差別化。子供は子供らしく、大人は大人らしく。
声優さんの演技も噛んでる。

・会話の流れにも無理がない
安心して聞ける。このあたりは原作力も感じたり。

〈音響〉
・環境音、SE
岩浪さんは派手なアクションSEなイメージがあったが、僕街でかなり印象が変わって、器用な方だと理解した。
田舎の自然で自然なSEが自然に耳に入ってくる。
全体的に抑え気味にしている印象。

・子供の演技、大人の演技
子供は子供らしさ全開に。大人は自然に。
演技指示がなかったとは思えない感じがしますね。
大人の女性陣のサバサバっとした自然な演技が個人的にはかなり好み。

・動物陣、可愛い上手い
猫:茅野愛衣さん
猫:佐倉綾音さん
鼠:小澤亜李さん
まず上手い。
しっかり猫してるし可愛らしさとかも備わっていて、これは実力がないと無理だなと。
嫌がったり嬉しがったり、少し威張ったり、あくびしたり、人間と会話したり、結構色々やってるなと。
難易度高いです。

〈音楽〉
・テンポ感
ゆったり目なシーン、少しスピーディーなシーン。お馴染みなシーン。
場面に合った楽曲。癒やし成分かなり放出している。曲だけ聞いてたら寝てしまいそうな。


・フィルスコ的なBGM
偶然?遊び心も感じる楽曲も少なくない。
雰囲気を第一にした劇伴だったように思う。
ふらいんぐうぃっちの為の楽曲。

〈美術〉
・美術の雰囲気
良い感じ。場面描写も丁寧でした。


〈キャラ〉
・ユニーク
可愛らしかったり少しお馬鹿だったり、長所も短所もバランスよく引き出していて、個性も十分あったと思う。
深い余計な設定がなかったのが大きかった。

・お姉さん相変わらず
エロい。

(OP)
・大畑さん
愛すべきは大畑さんOP。
元気が出ます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

81.1 6 小学生で心温まるなアニメランキング6位
カードキャプターさくら さくらカード編(TVアニメ動画)

1999年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (723)
4441人が棚に入れました
木之本桜は友枝小学校5年生の元気だけが取り柄の女の子。そして魔術師クロウ・リードが創ったクロウカードの主である。今日から2学期、さくらのクラスに転校生の少年・エリオルが紹介された。さくらは彼になんとなく懐かしいような印象をもつ。「初めて会った気がしないなぁ」そうつぶやいたとき、「僕もですよ」と言いながらエリオルが現れた。それをイライラしながら見ている小狼と、楽しそうにビデオ撮影している知世。クロウカードが集まって平穏な日常が戻ったかに見えたが・・・。 ある日、友枝町に不思議な雨が降った。さくらはクロウカードでこの雨を静めようとしたが、なぜか封印の鍵が杖に変わらない!
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ぜったい大丈夫だよ、の魔法

ここのところしばらく、少女マンガ原作の長編「変身(魔法)少女」アニメのレビューばかり集中的に上げていましたが、その打ち止めとして、2018年1月から新章-クリアカード編-の放送が始まった本作のレビューを更新しておきます。

・・・って、好きすぎてレビュー書けないな、これ。
仕方ないので、以前書いた「クロウカード編」のレビューを手直しして、各話評価部分だけ更新します。

この機会に、一人でも多くの方が、本作を見始められることを願って。
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◆魔法少女のフォーマットを借りた古典的な初恋ストーリー

プラチナ(第3期OP)を聴くだけで泣けてくる伝説の名作アニメ。
超絶可愛い主人公「木之本桜」の活躍を描くだけではなく、むしろ、さくらとクロウカードを集めるライバルだったはずの「李小狼」君が次第にさくらに惹かれていく過程を細かく描き出している点が、隠れた鑑賞ポイントです。
全3期70話+映画2本(但し李君の実家のある香港に行く映画はストーリーの本筋には関係なし)


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ       CLAMP(『なかよし』1996年6月-2000年8月連載)
監督           浅香守生
シリーズ構成      大川七瀬(CLAMP)
キャラクターデザイン CLAMP(原案)、高橋久美子
音楽           根岸貴幸
アニメーション制作  マッドハウス{/netabare}


◆作品別評価

(1) 第1期(クロウカード編Ⅰ) ★★ 4.6 (全35話) 1998年4-12月     
(2) 第2期(クロウカード編Ⅱ) ★★ 4.6 (全11話) 1999年4-6月      
(3) 劇場版(無印)         ★  4.2        1999年8月
(4) 第3期(さくらカード編)   ★★ 4.8 (全24話)  1999年9月-2000年3月
(5) 劇場版(封印されたカード) ★  4.3        2000年7月
----------------------------------------------------------------
総合                ★★ 4.7 (全70話)+(劇場版2本)

※なお、原作マンガ       ★ 4.4


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回
※各話の右端は登場するカード(「*小狼」表記は小狼がGETしたもの)

※なお、アニメに登場するクロウカード(のち、さくらカード)の総数は、トランプと同じ53枚(劇場版第2作に登場する「NOTHING(無)」のカードも含めて)。但し、WAVE(波)・THROUGH(抜)・LIBRA(秤)の3つは名前が呼ばれるだけで実際に使われるシーンはない。

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  ※小学4年の1学期~2学期の出来事

===== カードキャプターさくら(第1期) クロウカード編Ⅰ (1998年4-12月) =====
{netabare}
第1話 さくらと不思議な魔法の本 ★ 桜の季節、カードキャプター誕生 WINDY(風),FLY(翔)
第2話 さくらのすてきなお友達 ★ 一番の親友(知世) SHADOW(影)
第3話 さくらのドキドキ初デート ★  兄の親友・さくらの憧れの人(雪兎) WATERY(水)
第4話 さくらのくたくた日曜日 ☆ お留守番 WOOD(樹),RAIN(雨)
第5話 さくらとパンダとかわいいお店 ☆ 縫い包み店ツインベル JUMP(跳) ※挿入歌「夜の歌」
第6話 さくらとお母さんの思い出 ★ 母の幻と兄・桃矢の秘密 ILLUSION(幻)
第7話 さくらの怪盗初挑戦!? ☆ 美術館、ラストで小狼初登場 SILENT(黙)
第8話 さくらのライバル登場! ★ 香港からの転校生、李家の魔法 THUNDER(雷) 
第9話 さくらとふしぎなブローチ ★★ 大人っぽい同級生(利佳) SWORD(剣)  ※相手の気持ちを察する描写が◎
第10話 さくらと花の運動会 ★★ 知世の母(園美)とさくらの両親(撫子・藤隆)の縁 FLOWER(花)
第11話 さくらと知世の大きな家 ★ 知世の困り事、さくらのブーケ SHIELD(盾) 
第12話 さくらの終わらない一日 ★ ※珍しいループ回 TIME(時)*小狼 
第13話 さくらとゾウの力比べ ★ 動物園見学 ※小狼の意外な一面が描かれる回 POWER(力)
第14話 さくらと桃矢とシンデレラ ★ 星條高校学園祭 ※同上 MIST(霧)
第15話 さくらとケロの大げんか ★ STORM(嵐)*小狼、FLOAT(浮)
第16話 さくらと思い出の虹 ★★★ 夏休み、高原の別荘地での老人との出遭い ※第1期で一番印象的な回
第17話 さくらのこわーいきもだめし ★ 臨海学校 ERASE(消)
第18話 さくらと雪兎と夏祭り ★ 予知夢、月峰神社の蛍 GLOW(灯)
第19話 さくらと夏休みの宿題 ☆ 図書館、小狼宅へ、ラストに苺鈴登場 MOVE(移)
第20話 さくらと闘う転校生 ★ 2学期開始、苺鈴転入 FIGHT(闘)
第21話 さくらのながーいマラソン大会 ★ ※さくら・小狼・苺鈴が友情を深める回 LOOP(輪)
第22話 さくらとやさしいお父さん ★ 父(藤隆)の大学訪問 SLEEP(眠)
第23話 さくらと知世とすてきな歌 ★ 音楽室の謎の歌声 SONG(歌) ※挿入歌「夜の歌」
第24話 さくらの小さな大冒険 ☆ 『アリス』モチーフ回 LITTLE(小)
第25話 さくらともう一人のさくら ★★ カードの災い、ラスト観月先生登場 MIRROR(鏡)
第26話 さくらと不思議な先生 ☆ 観月先生転任 MAZE(迷)
第27話 さくらと思い出の神社 ★ 桃矢と観月の過去 RETURN(戻)*小狼
第28話 さくらとおまじないカード ★ 危険な攻撃カード SHOT(撃)
第29話 さくらのあまーいクッキング ★ 学校でケーキ作り SWEET(甘)
第30話 さくらとケガをしたカード ★★ 6年生の陸上少女、チアリーディング DASH(駆)*小狼
第31話 さくらと名前のない本 ☆ さくらvs.怪獣 BIG(大)、CREATE(創)
第32話 さくらとケロと小狼と ★ 小狼とケロちゃん入替り回 CHANGE(替)
第33話 さくらのさむーいアイススケート ★ FREEZE(凍)*小狼
第34話 さくらと雪兎と昼の月 ★ 友枝町クイズラリー、満月の夜の災い ※挿入歌「ヒトリジメ」
第35話 さくらのすてきなクリスマス ★★ 遊園地デート FIRERY(火){/netabare}
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★★★(神回)1、★★(優秀回)5、★(良回)22、☆(並回)7、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.6

OP 「Catch You Catch Me」
ED 「Groovy!」


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  ※小学5年の1学期の出来事

===== カードキャプターさくら(第2期) クロウカード編Ⅱ (1999年4-6月) ======
{netabare}
第36話 さくらと雪の新学期 ☆ 進級、新担任(観月先生) SNOW(雪)
第37話 さくらと消えた知世の声 ★★ コーラス部発表会 VOICE(声) ※挿入歌「友へ」「しあわせの魔法」「やさしさの種子」
第38話 さくらの楽しいいちご狩り ★ 遠足回 LOCK(錠) ※挿入歌「プリズム」
第39話 さくらのふらふら熱曜日 ★★ さくらの風邪 ※ミラー再登場回 CLOUD(雲)
第40話 さくらと夢の中のさくら ★★★ 4人の休日デート、東京タワーと予知夢 DREAM(夢)*小狼 ※挿入歌「ヒトリジメ」
第41話 さくらと小狼と砂の海 ★ 学芸会稽古 SAND(砂)*小狼
第42話 さくらのまっくら学芸会 ★★ 学芸会当日、さくらの心の中にいたカード DARK(闇)、LIGHT(光)
第43話 さくらのさよなら苺鈴 ★ 苺鈴と小狼の過去、苺鈴香港帰国 TWIN(双)
第44話 さくらとケロと不思議な先生 ☆ 弓道大会、もう一人の守護者(ユエ)、この世の災い? EARTHY(地)
第45話 さくらと最後のクロウカード ★ 最後のカード封印、選定者ケルベロス&審判者ユエ、最後の審判
第46話 さくらと最後の審判 ★ 続き、この世の災い、月の鈴、星の杖、クロウ・リード ※脚本・演出の古さは残念{/netabare}
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★★★(神回)1、★★(優秀回)3、★(良回)5、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.6

OP 「扉をあけて」
ED 「Honey」


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  ※小学4年の冬休み(第1期と第2期の間)の出来事

============ 劇場版カードキャプターさくら (1999年8月) =========

全1話 ★ 4.2 {netabare}香港渡航編 ARROW(矢){/netabare} ※1時間22分

主題歌「遠いこの街で」


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  ※小学5年の2学期~3学期の出来事

=== カードキャプターさくら(第3期) さくらカード編 (1999年9月-2000年3月) ===
{netabare}
第47話 さくらとふしぎな転校生 ★ エリオル君転入、カードの異変
第48話 さくらとめざめた星の鍵 ☆ 続き、星の力、さくらカード FIRERY(火)
第49話 さくらとキケンなピアノ ★ さくらのお見舞い SONG(歌) ※挿入歌「やさしさの種子」
第50話 さくらと小狼とみえない糸 ☆ 縫いぐるみキット購入、エリオルと仲間達 SWORD(剣)
第51話 さくらと大きなぬいぐるみ ★ 手作りくまさんの渡し先 JUNP(跳)、FLY(翔)
第52話 さくらのひつじ注意報?! ★ 知世の新携帯とアドバイス ERASE(消)、POWER(力)
第53話 さくらとパニック自転車 ★ さくらとカードの絆 DASH(駆)他9枚
第54話 さくらと思い出のカレンダー ★ 母の花のプレゼント、父と曽祖父の和解 FLOWER(花)
第55話 さくらと不思議の国のさくら ★ 『アリス』モチーフ回2 BIG(大)、LITTLE(小)
第56話 さくらとケロのお菓子な出会い?? ☆ 友枝小バザー騒動 SLEEP(眠)
第57話 さくらと小狼とエレベーター ★★ テディ・ベア展(4人デート回) FLOAT(浮) ※挿入歌「気になるアイツ」
第58話 さくらと二人の大ピンチ ☆ 仮の姿に戻れない守護者達 BUBBLE(泡)、SHIELD(盾)
第59話 さくらと知世とボールの罠 ★★ エリオル&知世のアドバイス SHADOW(影) ※挿入歌「夜の歌」
第60話 さくらと大切なお友達 ★★ 小狼と苺鈴の約束 FREEZE(凍)
第61話 さくらとカードとプレゼント ★★ カード達への感謝 ※ミラー再々登場回 MIRROR(鏡)、MIST(霧)他4枚
第62話 さくらと不思議なおみくじ ★ 月峰神社(初詣、予知夢) DREAM(夢)
第63話 さくらとプールと大きな波 ☆ 室内プール騒動 WATERY(水)
第64話 さくらと吹雪のスキー教室 ★★ 雪山合宿、エリオル君の苦手なもの TIME(時)
第65話 さくらと雪兎と消えゆく力 ★ 映画撮影、桃矢の献身(ユエ回復)、さくらの決心
第66話 さくらの一番好きな人 ★★★ 星條高校文化祭、さくらの一番の人 MAZE(迷)、ILLUSION(幻)
第67話 さくらと小狼と月峰神社 ★★ 手作りマフラー、月峰神社の夜祭 WOOD(樹)、THUNDER(雷)、GLOW(灯)
第68話 さくらと過去とクロウ・リード ★ 桜の神木(過去遡行)、クロウとの会話、エリオルの正体 SNOW(雪)、RETURN(戻) ※挿入歌「見えない地図」
第69話 さくらと現れたクロウ・リード ★★ 最後の試練、告白 CLOUD(雲)他7枚
第70話 さくらと本当の想い ★★★ エリオルの意図と予想外の出来事、名前のないカード、空港での別れ{/netabare}
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★★★(神回)2、★★(優秀回)7、★(良回)10、☆(並回)5、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.8

OP 「プラチナ」
ED 「FRUITS CANDY」


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  ※小学6年の夏休みの出来事

=== 劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード (2000年7月) ===

全1話 ★ 4.3 {netabare}友枝町なでしこ祭、さくらの返事 NOTHING(無)のカード+名前のないカード=HOPE(希望){/netabare} ※1時間22分

主題歌「明日へのメロディー」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

突如現れた謎の転校生…めざめた星の鍵…再びさくらがカードキャプターとして出動する!

この物語は「カードキャプターさくら」の2期に位置する作品です。
物語の内容に繋がりがあるので、前期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

クロウカード編では、カード収集の長い道のりと最後の試練を乗り越えて、ようやくカードの主として認められるようになりました。

これまで身の回りで様々な超常現象が起こっていたのはクロウカードが世に放たれてしまっていたから…
だから、カードを全て回収した今、もう身の回りで不思議な事が起こる要因は排除された筈でした。
ところが、超常現象は全て収まっていた訳では無かったんです。
きっかけは友枝町に降り続いた長雨…
隣町では星が見える夜空であるにも関わらず、友枝町だけに雨雲が停滞して雨がやむ気配は一向にありません。
そう、この雨はとある人物によって仕組まれたことだったのです。

桜は、クロウカード収集時と同じようにカードで雨雲を晴らそうとしたのですが、クロウカードは桜に反応しなかったのです。
それはクロウ・リードが作り出したクロウカードだったから…
そう、正式なカードの主となった桜はクロウカードを使い続ける事ができなくなっていたのです。

クロウカード収集時の最後の試練で現れた桜の属性は星…
従って、クロウカードを自分の属性に合致させる必要があったのです。

「クロウの作りしカードよ 古き姿を捨て生まれ変われ 新たな主 さくらの名のもとに」

こうしてクロウカードをサクラカードに変えていく「サクラカード編」の物語が動いていきます。

このサクラカード編を視聴すると、最初に妙な違和感を感じると思います。
別に桜やリ・シャオランが手を抜いている訳ではありませんし、桜の周りの人もこれまで通り一生懸命桜を支えています。

それでも払拭できない違和感…一言でいうと、桜たちが対峙しているのは「理不尽」なんです。
クロウカードをサクラカードに変える…
言うのは簡単ですが、遂行し続けるのはとても難しいことです。
なぜなら、カードを変換するには自身の魔力を注入しなければいけなかったから…

小学校5年に進級したとはいえ、桜はまだまだ子供…
生成できる魔力、蓄積できる魔力は、例えばどんなに素質があったとしても限界があります。
更に悪循環の根源になっているのは、桜自身が自分の限界を知らないこと…

クロウカード編を視聴した人なら、きっとこれだけでピンとくると思います。
桜は頑張り屋さんなんです。
どんなに苦しくても人に笑顔を見せる女の子なんです。
だから誰かの為に自分を追い込むのは、彼女にとって造作もないこと…
誰かがセーブしなかったら、きっと自分の全てを投げ打つのも厭わない女の子なんです。
でもそんなの誰も望んでなんかいません。
だからこそ、もどかしさを感じるんですけどね…

クロウカードをサクラカードに変える…
桜は自分の魔力を代償に、少しずつ使えるカードが増えていくのは目標でもありますし、彼女にとってきっと良いこと…
ですがカードの性質そのものを変えることの代償…これを当事者が見抜くのはとても難しかったと思います。
何故なら、変化が目に見えないから…

AがBになる、或いは大きさが半分になる…
こうして見た目が大きく変わってしまったら絶対に気付いたと思います。
でも世の中の変化って、目に見えるものばかりではありません。

きっと最初に異変に気付いたのは本人…
でも何の確証も無いので、いたずらに人を心配させたくないから口をつぐむ…
そのうち異変に確証が持てても一度つぐんだ口が開くことはありません。
だって、自分の大切な人に自分の事で心配かけたくないじゃありませんか…

敏感な人ならここで異変に気付く人がいてもおかしくありません。
桜の周りに敏感な人が居なかった訳でもありません。
あともう一歩踏み込めば繋がるラインを徹底的に第3者から踏みにじられ続けましたから…
やっぱりここで感じるのも「理不尽」なんですよね。

でもこのサクラカード編はたくさんの理不尽でモヤモヤするだけの作品ではありません。
時間を積み重ねにより、これまで見えなかったモノが見えるようになって…
これまで気付けなかったことに気付けて…
自分の気持ちに嘘をつかず、ありのままを伝える事の大切さと勇気を知って…
この僅かな時間の中で、みんなの心の成長は著しかったのではないでしょうか。

これまでこの作品は圧倒的なまでに「桜推し」で視聴していました。
でも、このサクラーカード編を視聴して、私の中で桜の次点はリ・メイリンになりました。
彼女の真っ直ぐさはとても気持ちが良いです。
彼女が真っ直ぐでいられるのは自信があるから…
そしてその自信を持つための鍛錬を決して怠らないから…
何に対しても絶対に逃げない彼女…
自分の信念と信条と笑顔を貫き通して…それ故に溢れた涙が止められなかった知世の家での1シーンは私も思わず貰い泣きでした。

失ったモノはゼロではありません。
以前のカード収集時より崖っぷちに立たされた桜たち…
どんなに傷付いても、どれだけ痛みを伴っても…所期の目的を完遂させようと必死にもがく桜たち…
彼女たちの雄姿が気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

2クール全24話の物語でした。
1期より物語自体はコンパクトになりましたが、全般的にとても丁寧に制作されていたと思います。
桜は1期以上に魅力を感じましたし、リ・シャオランだって随分格好良くなったと思います。
クリアカード編に突入する前に劇場版2作を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

さくらと魔法と大切な人たち。

「カードキャプターさくら」は、
1期と2期にあたるのが「クロウカード編」、
3期にあたるのがこの「さくらカード編」になるようです。

なので「さくらカード編」を見る前に
「クロウカード編」の視聴は必須です。

子どもの頃に原作も「さくらカード編」までは読んでいました。
大好きな作品。

久しぶりにアニメで見返してみて、
作品としての完成度の高さに感服です。

少女漫画の名作だから全人類観て。笑

「さくらカード編」は全24話です。

※以下、「クロウカード編」のネタバレが少し含まれているので注意です。


● ストーリー
魔術師クロウ・リードが作った魔法のカードである“クロウ・カード”。

封印が解かれたことでバラバラになってしまったクロウ・カードもすべて集まり、新たな主として認められた小学生の木之本桜(きのもと さくら)。

平和な日常が続く中、
転校生・柊沢エリオル(ひいらぎざわ エリオル)がやってくる。

それと同時にさくらの周りで再び不思議なことが起こり始める。
しかし、なぜかクロウ・カードが使えない。

自分の魔力を使って新たな“さくらカード”に変えることでカードが使えるようになり、次々と起こる不思議な出来事を解決していく。


「クロウカード編」はクロウ・カードを集めることが目的でした。

そして「さくらカード編」は、クロウ・カードをさくらカードに変えながら不思議な出来事に立ち向かっていくお話となっています。

全体に大きな伏線や謎が張られていて、1話完結型のストーリーの中で伏線を回収していくストーリーの描き方がお見事。

カードを使う魔法少女。
とにかく今回もさくらの可愛さ爆発です。

「さくらカード編」の特徴のひとつとして、
恋のお話が動き出すところが見どころですかね。

さくらも、カード集めのときにはライバルだった李小狼(り しゃおらん)も、高校生の月城雪兎(つきしろ ゆきと)に恋していました。

さくらは変わらず雪兎に恋していて、
でも小狼は自分の雪兎への気持ちは恋とは違うと気づき、
そして気持ちはさくらへ…

という胸キュン爆発展開。笑

アニメオリジナルキャラの苺鈴(メイリン)は、
「クロウ・カード編」ではいまひとつ好きになれなかったのですが、

今回はものすごく好きなキャラになりました。
本当に小狼のことが大好きで、一途な気持ちに涙(´;ω;`)


最終話の展開は原作と少し違うなと感じたのですが、
どうも原作よりアニメの方が早く最終回を迎えてしまったためのようですね。

原作のラスト、大好きな名シーンだっただけに少し残念。


● キャラクター
ストーリーも面白いのですが、
やはりこの作品はキャラが完璧だなと思います。

主人公のさくらは、
いろんな影響を与えた文句なしの完璧主人公キャラ。

友だちも家族もカードたちも大好きな素直で優しい女の子、
めげそうになるけれど、周りに励まされてピンチを乗り越えていく心の強さ、
そして天才的な可愛さ。

もうひとつの特徴として、
さくらの衣装へのこだわりが挙げられます。

不思議な出来事に立ち向かう時には、
親友の知世(ともよ)ちゃん作成の衣装を着るのですが、
毎回デザインが違うんですよね。

しかも全部可愛いし、
どれもめちゃくちゃ似合ってる。

私服も毎回違っていて、
それもどれも可愛い。

何でも似合うさくらの可愛さは本当に天才的。

ふりふり衣装でもなんでも可愛く着こなせるのは、
小学生という設定の強みでもあると思います。


李小狼。

カード集めでも恋でもライバルであり、
時には助けてくれる心強い友だちでした。

「さくらカード編」ではさくらへの恋心を自覚し、
なんでもお見通しの知世ちゃんに背中を押されながら、
告白しようと頑張る小狼が可愛い(*´Д`)

さくらがピンチの時にはいつも支えて、
本気で心配してくれ、優しくてかっこよくてヒーローです。

一番好きなキャラを聞かれると、
私は小狼と答えるかなあ。


今回いろんな事件を引き起こす張本人であるエリオルも、
別に悪い人というわけではないし、

とにかくキャラ配置が完璧なのよね。
どのキャラも魅力的すぎる。


● 音楽
【 OP「プラチナ」/ 坂本真綾 】

名曲です。大好きです。

それ以上に言うことがありません。笑


【 ED「FRUITS CANDY」/ こじまめぐみ 】

曲も可愛くて好きなのですが、
何よりも映像が可愛くてセンスのかたまりすぎて大好き。


● まとめ
放送は1999年からなのでおよそ25年前の作品なのですが、
今見てもものすごく面白かったし、

キャラの言動が完璧で、少女漫画としての完成度も高くて、
あらゆる場面で原作者のCLAMPの天才っぷりを感じずにはいられませんでした。

何度も言うよ、本当に名作です。

私の中では「カードキャプターさくら」はここで完結なんだけど、
今は続編である「クリアカード編」があるんですよね。

さくらが中学生…うーん、小学生だからこその可愛さだと思ってしまっているところがあるから、そんな自分に受け入れられるかどうか…。

でも気になっているので、
そのうち続編も見てみたいと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14

87.3 7 小学生で心温まるなアニメランキング7位
ハイスコアガール(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (798)
3327人が棚に入れました
「ポリゴン」って何?食えんの?そんな2D全盛期だった古き良き格ゲーブーム到来の1991年。
ヤンキーとオタクとリーマンが蔓延る場末のゲーセンに、彼女は凛として座していた──。
主人公ハルオを通して描かれる’90年代アーケードラブコメディー!

声優・キャラクター
天﨑滉平、広瀬ゆうき、興津和幸、山下大輝、御堂ダリア、新井里美、伊藤静、チョー、赤﨑千夏、杉田智和、植田佳奈、武虎、大塚芳忠
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

1話だけ観て勘違いしないでね!

1話だけ観れば、90年代の懐かしのゲーム画面がリアルに再現され、当時、数々の登場ゲームにハマった中高年が主に楽しめる作品?と思うかもしれません。
確かにそこも楽しめますが、この作品の真の見どころは、コメディタッチではあるものの結構本格的な恋物語にあります。
ゲームで繋がる登場人物たちですが、恋愛ドラマのポイントであるキャラの魅力と好きになっていく過程や理由がしっかりと描かれ、恋愛物がお好きなら年配者から若い方までしっかりと見応えを感じれると思います。

既読の原作で一番秀逸なのは、まるで無声映画に出てくるような言葉を発さないサイレントヒロイン「大野アキラ」の描写。
アニメ1話では暴力的で高慢チキな天才ゲーマーに見えるお嬢様ですが実は・・・
しゃべれない訳ではなさそうな彼女の心の声は、主人公「矢口ハルオ」の字幕がわりの代弁と彼女の表情仕草で読者に伝えるんですが、それが何ともいじらしく映るんです。このユニークなヒロイン描写だけでも一見の価値があります。

また主人公ハルオも、最初はただのゲームバカの小学生に見えますが、自分自身とヒロイン達と向き合う事で着実に成長していく姿が描かれ好感が持てます。

あとから登場のもう1人のヒロイン「日高コハル」。アキラとは対照的な庶民派の娘ですが、これまた一途でいじらしい!

この3人で繰り広げるゲームより熱く切ない恋のバトルが見ものです!

灰汁の強い絵柄で受け付けられないのは仕方ないですが、暴力的なところはこの作品のギャグテイストなので軽く受け流してくださいね。観てるうちにハルオへの愛情表現に見えてきますから♪(毎度のじいやの車轢きもね♪)

既に4年以上前にアニメ化発表までされた原作漫画ですが、発表直後のゲーム会社からの著作権侵害訴訟により一時は原作の出版差し止め、連載再開の目処もたたない状況が続き、和解まで2年ほどかかりました。
この件は出版社だけでなく作者の押切蓮介氏も著作権に関する認識の甘さがあったのかもしれませんが、氏の心のダメージはハンパなく相当落ち込まれたようです(同氏の単刊「HaHa」参照)。
氏の執筆意欲喪失を危ぶみましたが、よくぞ奮起し続きを再描してくれたものです。
原作のファンである自分はそれだけでも嬉しかったのですがアニメ化まで叶いました。
アニメ1話を観て、原作の持つ独特な絵柄とレトロな世界観の再現率の高さに驚きつつ期待大になりました。
おそらくアニメの制作スタッフも、過去の不幸を払拭すべく並々ならぬ意欲を注いでるものと感じた次第です。
原作漫画、アニメ共に最後まで完成度の高さを願っています。
以上2018/7/17記

《最終話視聴後の感想》

うわ~、えらいところで終わりましたね~(汗)
原作既読者としては、アニメのペース配分からこのクールの閉め方は途中である程度予想出来ましたが、アニメしかご覧になってない方には、物凄い寸止め感でストレスが溜まるかも・・・
しかしながら今クールのアニメとしての出来映えは素晴らしかった!!
アニメ制作スタッフの原作への愛情を感じ、原作ファンとして大満足です。
原作continue版(休載前の初版漫画を僅かだけ改変しオマケエピソードが付録追加されてます)のシナリオに忠実に沿いながらも、各話の構成や演出が見事で、先のストーリーを知ってても毎週続きが楽しみで仕方ありませんでした。

《ストーリー》
{netabare}
原作漫画全10巻(最終巻は来年3月刊行予定)のうち4巻までのエピソードを丁寧に再現しており、アニメの脚本は手を加える必要がなかったのではと思えるほどです。
ゲーム好きの原作者押切先生の妄執と呼べるような「ゲーム好きの可愛い女の子」との交流は、多くのゲーム好き少年の憧れのシチュエーション。
懐かしいゲームを巧妙に絡めながら登場人物達の出会いから恋への進展をコミカルかつドラマチックにテンポよく見せてくれました。

《作画》

ゲームセンター内のゲーム機とゲーム画面を再現するために採用した全編3D映像。
技術的な事は詳しくありませんがメイキング動画を見ると、かなり手間が掛かっているそうで作画の効率化にはなっていないとの事。
人物は、動きこそ3D特有のぎこちなさを感じますが、原作よりマイルドなキャラ画は初見の方も受け入れやすく、細やかな表情や仕草はしっかりと感情表現ができていて、特に大野アキラの心情は原作より分かりやすく伝えてくれました。
(でも原作のヒロイン画は繊細な目元のタッチと肉感のあるラインが独特で魅力的です!)

背景は、ゲームセンターや駄菓子屋内の実写と変わらないリアルでレトロな雰囲気を再現し、ドット画のゲームキャラが登場人物に寄り添うさまはアニメならではの親和性で違和感無く馴染み、淡い夕景や夜景も情感たっぷりで登場人物と視聴者双方をヒートアップしてくれました。

視聴者の体感した現実とアニメという虚構を絶妙に融合させる事でレトロなノスタルジーに浸れる見事な映像化だったと思います。

《キャラ》

二人のヒロインを全く違う手法で描く事で魅力を引き出し合う相乗効果は原作者の妙案ですが、アニメではそれが際立っていました。

「矢口ハルオ」

ゲームバカなのに二人のヒロインから想いを寄せられる羨ましさですが、ママの育て方がイイのか優しい気配りができて納得の好感度。
アニメでは細かな気の利く所作を加え、さらにイケメンに見えました。
(2話のメンチカツや7話のミルクティのシーンなど。)
そう言ったヒロイン達の前でさりげなく見せる優しさは、好かれようと意識してやってないのがいいんですよね。
しかしイケメンぶりを自ら発揮するのはアキラに対してだけです。
原作者がファンブックの中で「アキラがいるから(コハルと)無意識に距離を置いている。ハルオは女たらしではないから。コハルの事はどこか突き放している。」と述べられてるとおり、基本、アキラにゾッコンでまったくブレない。
同級生女子のゲームプレイに魅せられた以上に、学校での劣等感を忘れさせて欲しい自分と家庭で抑圧され逃げ場を求めているアキラが、互いにゲームだけを心の拠り所としている共通点に強烈なシンパシーを感じてしまう。
だから、アキラの為だけに自ら行動を起こし、アキラの為だけに自分を変える努力をする。
この優柔不断のなさがハーレム主人公とは違う魅力を出してるんです。

「大野アキラ」

天才ゲーマー、才色兼備、財閥御令嬢とフィクションならではファンタジー設定は少年漫画らしいヒロイン 。

親から才能を嘱望され過密な英才教育を受けるアキラは寡黙ゆえにストレスを溜め込みやすい。
そんな中、見つけた唯一の息抜きがゲームセンターのアーケードゲーム。
帰宅前のわずかな時間だけが、周囲からの押し付けられた自分を壊して、望む自分になれる彼女にとっての放課後ディストラクション。
その時間さえも危うくなり増える重圧に押し潰されそうになってしまう。
そんな時に逃げ場所になってやると言ってくれたのがハルオ。
その時から彼女にとってゲーム以上にハルオが救いの王子様になります。
ペロペロキャンディをよくほおばるのは彼から初めてもらったお菓子だからであり、初めてもらったプレゼントのオモチャの指輪を肌身離さず持つ事でつらさを我慢します。
この一連のリアクションはアキラのハルオへの一途さをよく表し、川原でのケンカ時やベッドの中で指輪を握りしめるアニメのオリジナル描写は小粋な演出でした!

また、しゃべらない彼女からの意思表示をゲームプレイで表現させるのは作品ならではの面白さで、ハルオとのファイナルファイトでは嬉しさや苛立ちが、コハルと初対面時のバスケやガンシューティングでは動揺と熱意がコミカルに伝わります。
そして無口な分、直接感情を露出した時のインパクトが凄い。
1話からの普段の暴力チックな感情表現はコメディタッチにする事でアキラを重く見せないようにしてるんですが、3話の空港でのハルオの見送りに号泣するアキラの感情爆発は、原作でも最初に心を掴まれる屈指の名シーン。
アニメで初めて聞く彼女のハッキリとした声は原作以上に痛切に私の心に響きました!
また9話で、自分と同じ高校を目指してくれると知った時のハルオの手を握りしめるシーンも、押さえきれない嬉しさがしみじみと伝わり、しとやかな情緒を醸す見事な描写でした!

「日高コハル」

話しかけもモノローグも多く、
「それでもこの気持ちは曲げたくない。」
「勝ち続ける事で私に関心を持ってくれるのであれば、私は絶対に負けない!」
ハルオへの募る想いが痛いほど伝わる描き方はまさに少女漫画の主人公。

狭い視野で漫然と生きてきた自分に、殻から飛び出し自由な空気を感じる醍醐味を伝えてくれるハルオにたちまち虜になってしまう。
受動的だった女の子が恋をすることで能動的になり見た目も垢抜けていく。
アキラと違い明らかな成長が見えるのもコハルの魅力です。
ハルオとアキラが惹かれ合っている事に気付いても、二人のはっきりしない態度に諦めきれないのは仕方ない。
そんな二人への遠慮がちな接し方もいじらしく、アキラを貶めるような事をせず自分を磨く事でハルオを振り向かせようとする真っ直ぐなひた向きさは、嫌味を全く感じさせない誠実なイイ娘です。
でもハルオは微塵もブレず全くコハルに見向きもしてくれない・・・
コハルにとってハルオを落とすのは、攻略ルート皆無の無理ゲーなんですよね。
そんな勝ち目のない恋のゲームに果敢に挑む姿が健気で、観てるコッチは不憫で不憫で仕方ない~( ´△`)
こんな設定にした原作者は何て罪作りなんだ~~(`Δ´)
私は、アキラの笑顔も見たいけど最後までコハルも応援しちゃいます!

《声優さん》

主演の3人の方は私、存じ上げない方ばかりでしたがそつなく演じられてたと思います。
中でも広瀬ゆうきさんの声は原作のコハルの魅力を数倍増しにしてたのでは?
ラストの涙まじりの告白は熱かった!
(ひきかえ、アキラ役の鈴代紗弓さんは折角射止めたメインヒロイン役なのに演技をあまり披露できないのがコハルより不憫~)

サブではハルオのママ役の新井里見さんが個性の光る名演技でした!

《音楽》

8ビット音でしょうか?ゲームらしい音を取り入れたOP曲は作品にマッチしてました。
(でも曲より背景画が毎度気になってました~コハルが不憫で・・)

やくしまるえつこさんのEDは毎話の引きとの合わせ方が絶妙で切ない余韻が堪りません。
(特に11話は上手い!)

劇判曲もバッチリで非の打ち所はありません。

《最後に》

先日、最終話が掲載された原作漫画ですが、コハルの告白以降テンポはやや減速感を感じるものの、切ないシーンはまだまだ訪れます。
アニメの続きは配信とOVAってのは個人的にビミョーですが、制作してくれるのは嬉しい限り。
このクオリティならお布施も厭いません~(^^;{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 42
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

そんな私はロースコアボーイ

2018.10.06記

原作未読

当初ノーマークだったが、同僚の薦めで視聴決定。
どうやら、昔懐かしのゲームを扱った回顧ものくらいの前情報で視聴スタートです。

さっそく結論。

 懐かしくて涙出るわ~

これはオモテ。並行して、

 なんじゃこのラブコメ泣けるわ~

一作で二度美味しい作品になってます。懐かしのゲーム見たろ、ぐらいでかまえて思わぬカウンターパンチを食らっちゃいました、といったところでしょうか。

主人公の矢口春雄が1979年生まれ。本作の時代設定が1991年(小学六年生)から1995年(高校一年生)までとなります。
これはリサーチの勝利と言って構わないと思いますが、誇張されることない等身大の90年代が描かれているため、おおむね1970年~1985年生まれの方は取り扱っているゲームや時代の空気感の再現具合に感嘆するんじゃないでしょうか。

{netabare}・緑の電話ボックスにピンクチラシが貼ってる
・当たり前のように灰皿が置いてあるゲーム台
・パネルでめくられる新幹線ホームの発着案内板(現在は電光掲示板)
・溝の口(川崎)駅降りたとこ南武線沿い小道の汚い飲み屋街の古本屋 ※住んでた私が保証しよう
・取り扱うアーケードゲームと家庭用ゲーム機のラインナップ
といった見た目のあるあると

・対戦でのお作法(ハメ技かけると喧嘩になる等)
・教室でソニックブームを繰り出すこの解放感
・もういいわよ。録画してた「家なき子」観るから♪
・ミスチルを聴きなさい!ミスチルを!
・取り扱うアーケードゲームと家庭用ゲーム機にその当時みんなが感じてたこと
といった空気感{/netabare}

単なるゲーム回顧録ではない、時代の空気の見事な切り取りっぷりに切なさを感じるほどです。ワクワクするつもりがきゅんきゅんしてしまうのです。

若い皆さんにとっては、このピンポイントで切り取られた時代の追体験が可能ですので、ぜひ面白がって観てほしいですね。
ついでに、だいたいアラフォーの男性が大なり小なり通ってきてる道でもありますから、雑談のネタとしてビジネスにも活用できるかもしれません。

自分はハルオよりちょい上くらいのドストライク世代にあたります。回顧トークしたくなるところですが、脱線が止まらなさそうなのでここでは泣く泣くあきらめますよ。ただ一点、同年代非オタの知人にハイスコアガールを勧めたら、ちゃっかり視聴してました。その後酒の席でのあるあるトークに華を咲かせましたよ、ということは申し添えておきます。



そして、ゲームと並行しての恋愛の世界。
ゲームで繋がる恋愛ってなんのこっちゃ? そもそもこのキャラデザインは、恋愛仕様のそれではないような。。。
{netabare}とナメてたら3話で不意打ちを食らうことになります。{/netabare}

2話からラブコメの波動が感じられ、12話終わる頃にはきゅんきゅんしてることでしょう、たぶん。

大野晶と日高小春のダブルヒロインというのは、ぱっと見で王道の配置です。

大野晶:ゲームは社会との接点を持つためのもの/純粋にゲーム好き/{netabare}ハルオが好きそう{/netabare}
日高小春:ゲームはハルオとの接点を持つためのもの/ゲーム好きは二次的なもの/{netabare}ハルオが好き{/netabare}
ハルオ:馬鹿で優しくてあったかいやつ。すがすがしいほどにゲームのことで頭の中がいっぱい。

そんなベクトルは物語の進行に合わせてゆっくりと変化していき、最終12話{netabare}(小春の告白という大きな転換点を迎えること){/netabare}で本作の恋愛の波動がピークに達します。
きゅんきゅんする理由、、、二人ともホントいい子だから(語彙力)。
そしてハルオもなんだかんだいいやつだから(もっと語彙力)。
二人ともきっかけは違えど、徐々にハルオに惹かれていく様子がもどかしくも純な感じがして擦れた大人にはまぶしく映りました。
ヒロインにとってはゲームバカが恋愛対象のため、コミュニケーションがゲームを通じてということも多いです。対戦プレイや協力プレイのシーンに潜む恋のやり取りを見過ごしてはいけません。{netabare}晶と小春ですらゲーム機を通しての会話と、わりと徹底してます。{/netabare}なんかもう「拳で語り合う」世界観ですね。

これほど無口なヒロインで物語が成立するんだ、と面白がって観てたわけですが、結局セリフがゼロでしたね。大野晶役の鈴代紗弓さん、「あ」「う」「ぐふぅ」に感情を込める難役お疲れ様でした。
小春の鼻腔を抜ける呼気の音すら聴こえそうなささやき声は役に合ってたかどうかを超えて心地よかったですね。広瀬ゆうきさんですか?また別の作品でお会いしましょう。

{netabare}晶にとって、もともとは大野家とは違う世界への扉であり、さらにその世界を広げてくれたハルオへの好意。ハルオは激つよの晶を目標と捉えてました。
小春にとって、唯一自分に目を向けてくれる瞬間がゲームで対峙する時だったというハルオへの好意。ハルオはフルボッコ負けを機に小春をライバルみたいに捉え始めました。
後半は、

 “目標を降りたかった晶と目標になり替わりたかった小春”

ミスマッチがなんとも切ない物語でした。{/netabare}



ノスタルジーにあてられて不器用な恋の行方にせつなさを感じたのか、
良質なラブコメにほだされて在りし日の思い出がきれいに見えたのか、

恐らく両方。きゅんきゅん×きゅんきゅんは単に2倍ではなく、2乗と感じる稀有な経験なのでした。
続き3話はOVAで!と商売臭わかりやすいラストに賛否両論出そうですが、そこはご愛敬(;^ω^)
薦めてくれた同僚よ、ありがとう!



以下、その他の四方山話。


■作画
まずは、権利処理に奔走してくれた裏方さんには賛辞を送りたいと思います。感謝!
3DCGということでしたがかなり普通のアニメっぽい自然にみられる処理をしてました。私の目利きが甘いかもですがあまりCGっぽさを感じません。そして核となるゲーム画面の再限度が極めて高い印象です。元画像をはめ込めばよかろう、というものではけっしてなく、ブラウン管と現在のデジタル規格との突合作業、コマ数の調整、エフェクトの修正、その他視聴者からみれば『そのまんまゲーム画面』に見えた本作の絵は相当の処理を施して再現されたものだそうです。
私が普段は気にしない技術的な面にも良い意味で関心を起こさせる製作陣の仕事でした。


■華を添える愛すべきイカレキャラ達
わりと主人公たち以外は行動・言動が変なのが多いのですが、第一話で矢継ぎ早3枚のカードを切ってきて視聴者の引き込みに成功しました。
・癇癪カップル:声は松岡&日笠と無駄に豪華
・小学担任:「卑劣」と書いてお前のことだ、と主人公に容赦ないが悪意もない。
・じいや:黒塗り高級車で主人公を轢いても歯牙にもかけず。
目立たぬファインプレーだったように思えます。


■10カウントで消えるはずだった世界が色づく
OPEDともに作品に寄り添った良曲。ED「放課後ディストラクション」はお気に入りでDLしてます。
{netabare}プレステとサターンの発売により自分はアーケードから距離を置きました。当時は鉄拳派(プレステ)とヴァーチャファイター派(サターン)と棲み分けがされてた気がします。
それはさておき、10話Aパートでサターンにうつつを抜かしアーケードから遠ざかってたハルオが小春にフルボッコされたのを機にゲーセンに戻ってくる描写があります。
逡巡しているハルオのバックにはストⅡゲームオーバー時のコンティニュー画面。ガイルさん(CV安元洋貴ww)がハルオを焚きつける中無情に10カウント刻まれていってました。
アーケードゲームが家庭でできるインパクトは強く、この時期から徐々にゲーセンから足が遠のいていったのは私だけではないでしょう。対照的にコンティニューして戻っていったハルオには個人的に感動しました。(えっ!そこ?)

どれくらいのインパクトか? JUDY AND MARYの楽曲に「まるでヴァーチャファイターのゾーン2」という歌詞が出てくるくらい。男ならともかくあまりゲームをしない女の子でも家にプレステとか普通に置いてありましたよ。{/netabare}


■余談
我が家では作中登場したニューファミコンが現役です。タイトルは70本以上。スーマリ、ドラクエシリーズ(要ふっかつのじゅもん)、じゃじゃ丸くんといった有名どころから、シティコネ、影伝、燃えプロその他家族でたまにゲーム大会を開催。
スターフォースでラリオスを撃破したり、ボンバーマンでリモコン無し状態からのリカバーをしたり、グラディウスで↑↑↓↓←→←→BAを披歴したりと父親の威厳を保つのに一役買ってたりします。
この前、ウチの子供たちが伝家の宝刀『カセットに息をフー』してるの見て爆笑しました。曰く「つば飛んじゃダメなんだよ」と。
なんかしらんが、受け継がれる伝承みたいなもんでしょうか。25年前も今も楽しいものを前にした子供の気持ちってそうそう変わるものではないんです。



視聴時期:2018年7月~9月 リアタイ視聴 ※EXTRA3話は2019年3月視聴

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2019.04.03追記 ★EXTRA STAGE(ROUND13~15)追加視聴★


Netflixの配信にて。TV放送(ROUND1~12)の続きの3話分が解禁です。

{netabare}変わらぬOPとEDにふいにキュンとしてしまった。なんだこの破壊力。
内容には触れません。本編にも増して、ハルオ母が素敵で、晶と小春に身悶えし、ハルオはしっかり男の子してました。{/netabare}

ファンの皆様におかれましては、視聴は義務と言って差し支えない出来映えです。

※視聴日:2019.03.30



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2019.10.23追記


2019年秋期に2期放送。先だって、EXTRA3話を地上波で放送しました。
濃厚な3話だったのでこれを放送する決断をしてくれたスタッフの皆さまには感謝です。

{netabare}さて、そのEXTRAのクライマックスといえる花火シーンは二子玉川河川敷の花火大会です。ハルオたちが乗ってる電車は田園都市線。

こたびの台風でまさに氾濫したピンポイントの場所でした。{/netabare}

春先には普通に感動しただけでしたが、あらためて半年後に再視聴して別の思いが生じます。迅速な復旧をお祈り申し上げます。



2018.10.06 初稿
2019.04.03 EXTRA視聴後追記
2019.10.23 追記
2020.07.28 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 100
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分で生き方を選ばなければ、自分が想像できないところに行き着くことができる。 byマツコ・デラックス

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
遅ればせながら視聴。当時はスルーしたんだけど、あにこれで高評価の嵐。いつか観たいと思っていたが、

あー、これ、当時を知るおっさん(40代)にはたまらんわな、高評価には頷ける。

本作の魅力は、90年代の小学生の雰囲気を忠実に再現しつつも、ラブコメの波動をきちんと感じさせること。懐ゲーのネタに共感し、挟み込まれるギャグに笑い、可愛らしい恋愛にニヤリとする良作。

古くも新しい作品。

私はこのアニメの世界より、やや下の世代なので、懐かしいような、少し、憧れのような。

レビューでは、実体験を踏まえながら、本作で感じた、今の若者に伝えたいことを。やや懐古レビューですが。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
実は私は、スト2にはそこまでハマっていない。一応、スーファミとソフトは家にあってやってはいたが。

私がまずハマったのは、「餓狼伝説」だ。テリーとアンディ、ジョーを使っていた。一番得意なのはジョーだったかな。

次いで、「龍虎の拳」。最初はキングを使っていたのだが、例の「ブラジャー見せ」で女と分かり、使うのをやめた。なんか、小学生当時の私は、男が女性キャラを使うのを恥ずかしいと思ってたんだよね(笑)

ただ、龍虎にはそんなに長期間ハマらなかった。すぐに「サムライスピリッツ」にハマったからだ。当時、剣道に一生懸命だったこともあり、サムスピはかなりやった。特に千両狂死郎。後先忘れたが、幽々白書の飛影とか、ああいうキャラ好きなんだよね(笑)

そして、その後永きに渡ってハマり続ける、「ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)」が登場。あれは衝撃だったな~。だって、これまで自分が好きで使ってたキャラクター達が、ゲームの枠を超えて対戦、共闘できるなんて、胸熱でしかなかった。

使っていたキャラは「キム・カッファン」「ラルフ・ジョーンズ」「レオナ」「八神庵」「草薙京」等、他にも多数。当時、KOFはノベライズ版がよく出ていて、私の場合「小説好き」「設定好き」なので、「強い、弱い」以上に、キャラの背景から「好き」なキャラを選んでいた気がする。特に、ブラジルチームが好きで、ハイデルンがたまに見せる親バカっぽさと、レオナの塩対応、ラルフとクラークのフォローが絶妙で。投げキャラ苦手だから使いこなせなかったけど、技やキャラの格好よさなら、七枷社が好きだった。

さて、ここまでの感想で、多少ゲームを知っていれば、私が、「カプコン」ではなく「ネオジオ(SNK)」のゲームばかりやっていることにお気づきと思います。それはなぜか?

うちの(クソ田舎)町の、近所に1台(1対)だけあったアーケードゲーム機が、ネオジオだっただけのこと(笑)

さて、本作で感じたことの1つが「制限下で楽しめない奴は、自由下では本質的に楽しめていない」ということだ。

私がKOFにハマったのは、内的動機付けがあったからではなく、外的要因が大きい。もし、カプコンのゲームを、もっといえば、ゲーム以外のありとあらゆることを楽しめる環境にあったら、きっとKOFをこんなに好きになれなかっただろうと思うと、「不自由」に感謝したい気持ちにもなる。

先日、「マツコ会議」で、マツコ・デラックスさんが、若くして成功したYouTuberさん達に、こんなことを言っていた。

「皆さんは、自分の意思で、自分のやりたいことをきちんと突き詰めて成功されていて、とっても素晴らしいと思うの。でも、私はどちらかというと、自分のやりたいことが出来ないで、周りに流されてきた弱い人間だからね、また別のことを感じていて。それは、周りに流されて、興味も全然ないようなことをやっていると、当たり前に生きていては絶対に見られない景色を見られるということもあるということ。だって、自分が好きなことばかりやっていると、自分が好きな世界しか見られないじゃない。だからね、今の若い子にはね、自分がやりたいことをできなかったら、自分らしい人生を生きられなかった、それで人生終わりとか全部ダメなんだとは思ってほしくないのね。逆側にはね、それはそれでちゃんと面白い世界もあると思うのね。」

今回、レビュータイトルに使わせてもらった言葉だ。なるほど、良い言葉だと思った。

以下、オジサンによる懐古的な呟きです(笑)

私達の世代は、ゲームにしても音楽にしてもアニメにしても、選べるパイが少なかった故に、わりと共通言語として同じものにハマっていた。また、変化が少なく、1つのゲームを長期間遊ぶ習慣もあった。

今の子を観ていると、まず、経済的な制限がない(と思い込んでいる)。スマホゲームの大半は、無課金でそこそこ遊べる仕様になっている(とはいえ、スマホの基本料金やWi-Fiの料金含めれば、自分達が小中学生の時の小遣いを軽く超えているけどね)。

それに、新しいゲームはいくらでもあり、飽きたら違うゲームをやれば良い。

自分達の時(スーファミとか)は、ゲームソフトを買ってもらえるのは、誕生日とクリスマスの年2回。あとは、小遣いを貯めて、数ヵ月に1つ。当然、何を買うかは吟味するし、買った以上は遊び尽くす。たまに、「早くクリアしたくないから、あえて1日1時間」とかにしてたしね(笑) 

それに、当時はネットなんてなかったから、どんなゲームが面白いかという情報は圧倒的に不足していた。立ち読みでファミ通読んで必死に覚えたけど、それでもクソゲーをつかむことはあって、大事な小遣いを失った悲しみと言ったら(でも、買ったからには一応最後までやって、なんだかんだ、クソゲーなりに愛着わいちゃたりねw)

このような煩わしさのない、現在のスマホゲームの環境下において、じゃあどんなゲームを選ぶかと言われれば、そりゃ、「好きなゲーム」「良いゲーム」ばかりになるだろう。自分に合わなければ、即座にアンインストールだ。

でも、それじゃあ、いつまでも自分は、自分のままで、自分以上、あるいは、自分以外にはなれない。

以前、林先生が、高学歴ニートに説教する番組があった。その中で、早稲田卒業のあるニートが、「好きなこと以外仕事にしたくない」と言うのに対し、「まず、好きというのは、外的要因が大きい。もし君は、ゲームが開発されてない世界に生きていたら、ゲームが好きになれたかな? 結局人間は、自分が出会ったモノから好きなものを選んでいるに過ぎない。だから、今はまだ出会っていないモノも、突き詰めることで好きになれるかもしれない」と言っていた(この人は個人的に好きになれないが、たまに良いことは言う)。

マツコさんと林先生が言っているのはつまり、「自分の可能性に蓋をするな」ということだろう。

私達の世代は、選択肢が少ないからこそ、新しいものにだったら何でも飛び付く習性、つまり、「餓え」があった。現在は、自分の好きなものだけ味わっても食べきれないほど、選択肢に溢れている時代。人はバイキングでは好きなものしか手に取らない。YouTubeを観れば勝手にオススメ動画をあげてきやがる。

60、70になっても好きなモノは増えるのに、「個性」という聞こえの良い言葉に惑わされ、「私はこういう人間だ」と決め付けてほしくない。特に若い人には。

本作のノスタルジーに当てられ、若者から嫌われそうなことばかり書いてしまったが、昔だって、昔なりに良い時代だったんだよという、負け惜しみです(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ゲーセンの情景描写、少年の心情描写、よく出来ている。待ちガイル、懐かしい(笑)

2話目 ☆4
FF4(笑) 氷枕(笑) お母さんの隙間覗き、久々に声だして笑ったわw ホラーだろ(笑) PCエンジン、桃太郎RPGやったな~。あと、ビーボールとか(笑) ジャーマンからコブラ(笑) 都市伝説。ノスタルジーで、ラブコメ。

3話目 ☆4
デート。ラブコメの波動。パチンコ中毒(笑) そうそう、ゲーム知らない女子はキャラの見た目に突っ込むんだよね(笑)

4話目 ☆3
ラブコメ全振りはなんか違うと思うが、まあ、負けヒロインだろうね(笑)

5話目 ☆4
分かる(笑) 私もソニックブームは、「カニプーン」に聞こえていた(笑) サムスピ、懐かしいな~。陰険(笑)

6話目 ☆4
ガイルに必殺技追加なし(笑) ただだだ性格が悪い(笑) ネットがない世界だからな。大野さんの嫉妬心(笑) 

7話目 ☆4
貸してくれ(笑) ファイターズヒストリーダイナマイト、ワールドヒーローズ、懐かしいな(笑) 目の上のたんこぶ(笑) 

8話目 ☆5
ここでテストに結びつけるのはよい。マウント取られながら、ボコられる男子(笑) ラブコメとして、かなり優秀だし、お風呂セットからペアルックの伏線回収が素晴らしい。

9話目 ☆4
サターン派、、、負け組確定じゃないか(笑) ヴァンパイアは確かに、衝撃だったよな。まあ、この作品なら不合格はありえるよな。

10話目 ☆4
にしても、ユルいわりに展開早いよな。そして、KOFは、ユリがリョウを倒すだけか。まあ、「出藍の誉れ」の比喩かな。

11話目 ☆4
ロードの長さ(笑)  そこでサラッと負け、サラッと飯に誘うのが、イケメンだな~(笑)

12話目 ☆4
ちょっと新婚(笑) 二期は、三角関係かな。初代PSのスタート画面、懐かしいな。キング、俺も使っていたな~。サターンでフルスイングは、効くよな(笑) 
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

62.6 8 小学生で心温まるなアニメランキング8位
まじもじるるも(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (509)
2430人が棚に入れました
可愛くて切なくて、ちょっぴり”死”が身近なマジカル・スラプスティック・コメディ。
学校一のスケベ男として女子から総スカンを食らってる柴木のもとに送られてきた魔法のチケット。
それは、魔女から修業魔に格下げされたるるもの人間界での修行のためのものだった。
るるもの修業(と自分の欲望)のために魔法のチケットをじゃんじゃん使うと宣言した柴木だったが、
実はチケットは彼の寿命そのものだったのである。

声優・キャラクター
三森すずこ、高橋信、福圓美里、遠藤ゆりか、櫻井浩美、長妻樹里、石上静香、白石真梨、高橋未奈美、間島淳司、下野紘、石谷春貴、小林裕介
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

『あの「弱虫ペダル」の渡部航先生が描いた、魔女っ子漫画やて!?』

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

放送の合間に流れていた、レビュータイトルの台詞が流れる本作CMが印象的でした。
実際、意外でしたしね。
ただ、連載開始は「弱虫ペダル」よりも本作の方が先だそうで…。
確かに言われてみれば、キャラデザイン的にはむしろ、こういう作風の方が合っているようにも思いました。

渡部航先生の来歴を見ると、中々人気に恵まれない中で初めてヒットしたのが、本作「まじもじるるも」だったそうです。
先生的には、もしかしたら「弱虫ペダル」以上に、本作のアニメを見た時は感動したのかもしれませんね。



【あらすじ】

『柴木 耕太(しばき こうた)』は、学内で女生徒達から「エロ大王」の称号をつけられている程の高校生。

FHK(不思議発見クラブ)に属する彼は、ある日図書館で偶然見つけた『魔女召還教本』に従い魔女を呼び出します。
願い事は「女の子のパンツ」。
しかし彼は、その願いと引き換えに自分の命を差し出すことを、知る由もありませんでした…。

数日後、パンツを手に入れた耕太の前に、美少女の魔女『るるも』が現れます。
パンツの持ち主が彼女だと聞いた耕太は、その命が尽きる前に一体どうするのでしょうか……。



【語ってみる】
{netabare}
ハッキリ申し上げまして、私はこの手の魔法少女アニメの雰囲気に、知識が疎いのも勿論あるからなのですが…苦手意識がありました。
……そりゃ「カードキャプターさくら」に骨抜きにされた世代ではありますけどね。

テーマとしても、今現在で言う斬新な設定とは全く言えませんし、メインキャラクターにしても個性が際立っていたようにはあまり思えません。
(唯一、主人公のお母さんだけは異様なキャラ立ちをしていて新鮮でしたが。)
加えて、原作漫画のデザインを忠実に再現した結果ではあるのですが、キャラクターの骨格が少年誌らしい角張り方をしていて、アニメで見るには違和感があり、当初は馴染み辛かったです。

………なのに、何故か結果的に、最後まで気楽に楽しめちゃったんですよね、この「るるも」は。
王道もお約束も苦にならない、まるで幼少期とにかくアニメが好きでロクな前知識も無く、なんでもかんでも身漁っていた頃を思い出すかのような感じで…。
当初は受け付けなかったキャラクターデザインも、いつの間にか小学生の頃コロコロコミックを見ていた時のような懐かしさを憶えてしまい、結果的にアリになっていましたね。
全体の作画に関しても、他作品に比べ決して綺麗とは言えませんが、作品を彩るには十分なレベルで終始安定しておりました。

そうそう、あと忘れてはいけないのが、少年誌らしい微エロ要素。
これが、少年の頃に見ていたら興奮していただろうなぁ…っていう中々に絶妙なレベルのえっちぃさで、作風的にも調度良かったのです。
毎話しっかり、それでも変にソレだけを過剰にアピールすることもなく。
私としては、ココも視聴を継続させられた大きなポイントでしたよ。
(特に、青年誌のエロより少年誌のエロの方が希少価値だと思える、私のような偏屈な拘りのある人間には。)


物語としては、終わってみれば節々でしっくりこない点があります。
中でも、物語の核となる主人公の耕太が命を削る代償として使ってきた魔法のチケットの行方が、アニメでは大きな葛藤を描くこともなく曖昧なままで終わってしまった点は残念でしたね。
他にも、耕太が「FHK(不思議発見クラブ)」なぞに身を寄せている理由や、その部長からの信頼に足っている理由もどこか不明瞭。
その部長が、耕太のことを「しばらく」(柴木なので)と呼んでいる点も、ネーミングセンスも含めて、なんだかしっくりこない。
あと、メインキャラであろう るるもの友達「ハルリリ」の登場の少なさ。
オープニングにある、るるも満面の笑顔が作中では描かれなかった…などなど。

ただ、逆を言えば基本的に物語を動かしてヒキを大いに使用することもなく、日常回のみで各話完結を貫いた点は評価して良いのではないでしょうか。
中でも第6話では、こういう作品の定番とも言える「命は魔法で取り繕うことは出来ない」という話を挟むことで、しっかりノリだけでは終わらせない印象値を与えてきましたし。
(でも、動物モノにトコトン弱い私ですがアレは何故か泣けなかったですね…、なんだかあざとく感じて…。)

一昔前にアニメ化が決まっていたら、こんなノリで朝方に1年枠で放送していたのかもしれませんね。
(タルるートくん とかみたいに。)
変に期待するとすぐにハードルを超えてしまうことにもなりかねませんが、しっかり何を見せるかの軸を見失わず完成された良作だと私は思いました。
{/netabare}



【るるもとチロの魅力を共有しましょう(*´Д`)ハァハァ】
{netabare}
本作最大の魅力は、何においても「るるも」と、そのお付きの黒猫「チロ」でしょう。
この2人?にハマることが無ければ、本作はただただ退屈でしかないお話だと思います。

「弱虫ペダル」の時もそう感じたのですが、この作者の描くヒロインは、決して女の子の描き方が上手いとは言えないのですが、少年誌らしい絶妙な可愛さがあるんですよね。
初期の単行本を読んだりすると、流石にオイオイってなったりもしましたが。

この、るるも。
個人的に、このネーミングも妙にしっくりこないのは、まぁ置いておいて…。
無口、無表情、運動音痴のドジっ子、恥ずかしがり屋、素直なので騙されやすい、総じて不器用。
まさに、この手の可愛いを全て網羅した万能キャラクターでしたね。
魔女故に人間世界では世間知らずな為、色んな事に驚く様も見ていて非常に可愛かったです。
私も耕太のように、優しくいろりろと教えてあげたい…。
失礼噛みました…グヘヘ。

見た目は、まるでハルヒの『俺の嫁(長門)』の魔女ルックを彷彿させるデザインで、これまた可愛いかったですね。
(作品の発表で言えばハルヒの方が先ではありますが、オマージュしたかどうかは不明。)
オープニングにある、この服装でチョコチョコ走るシーンは最高でしたね。
そうそう、あのワンピースの短さもまた絶妙でしたし。


性格の可愛さで言えば、なにより恥ずかしがる様は堪らないシーンの目白押しでした。
特に、えっちぃコトに関して恥ずかしがるところが素晴らしい。キリッ
第1話での、羞恥心の薄い無表情キャラと思いきや、あわや牢獄130年の刑になるかもしれない危機的状況でも

「人前でパンツを穿くことは、恥ずかしい………もん。」

と言い赤面したシーンや、第9話でブラが切れてノーブラでいた際、耕太の手が近付くと

「近い…近いぞ…、胸に近い…。

 見えないだろうな…、バレていないだろうな、気づかれていないだろうな…、

 私の胸当てが無いことに……。」

と赤面していたシーンなどなど…。
いやはや、私(わたくし)の大好物でございました。

成長の乏しい体型を気にするところや、その体型に似合った色気のない下着も、最早その手のキャラのデフォルトと言えますが、もしその定まった軸をあえて外してしまっていたなら、るるもの魅力はきっと半減していたことでしょう。
キャラの王道とは、やはり視聴者の欲を具現化して出来た、外してはならないアスペクト比なのだと改めて思いましたね。


そして、そのお付きの黒猫「チロ」の魅力も少し。
パッと見で言えば、NHKの某マスコットキャラクターみたく
「野良猫が、ガリガリじゃねぇか。」
とか言ってしまいそうな風貌で、少々見栄えは悪いのですが…。
(↑とてもマニアックなネタでスミマセン。)
その実、中々に猫らしい仕草をしっかり見せてくれていて、猫の行動のツボを心得たシーンが幾つもありホッコリしました。
柄の悪い目そのままに流暢な関西弁で喋るのも、らしくて良いですしね。

ただ、やはりチロ最大の魅力は、人間に変身した時の、あの『褐色ナイスバディ』からの無邪気な笑顔でしょう。
あの武田久美子を彷彿させる貝殻水着で飛び回る姿なんてホント最高でしたよ。
あぁ…、無邪気ってコワイ…。(にんまり)


…んん?
なんか魅力について話すつもりが、えっちぃことばかり話しちゃってますね。
話を戻します。


……いや、話したいことは以上だったようです。
本当にありがとうございました。
少年誌的エロス万歳。
{/netabare}



【総評】

斬新な設定のアニメとは言えません。
むしろ、古い漫画をそのまま2014年にアニメ化してみたっていう印象がとても強いです。

ただ、だから面白くないとか、そんなことは全く無く…。
むしろ、どこか懐かしさを感じる作風と何よりるるもの可愛さに、毎週存分にホッコリ…、ニヤニヤ…ニンマリ…(*´Д`)ハァハァ………。
とにかく、楽しませてもらいました。
(まぁ、古いと言っても7年前ですしね。)


ただ、もう一度すぐ見返したいかと言われると、もういいかなぁと思います。
一気見に向いた作品でもないので、今度見る機会がある時も、色んなアニメの合間にちょっとずつ見返したいですね。

原作は章毎に休載を入れタイトルを変えつつ、今現在も連載中のようです。
今度ゆっくり読んでいこうと思います。


アニメを制作するに辺り、昨今の人気作を捕まえるにも数の限界がある為、こう昔に発表された作品がクローズアップされアニメ化される傾向が今現在特に強くなっていますね。
個人的には、この流れは非常に嬉しいです。
ただ本作のように、その昔ながらの原作の良さをしっかり理解した上で、アニメを制作してほしいですね。
でないと、新作の不人気さでかつての名作に陰りを与えてしまうことにもなりかねませんので…。
さぁ…、昔の名作漫画「寄生獣」はどうなるのかな…。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『マジ=モジルカ・ルルモ』声 - 三森すずこさん


◇一番可愛いキャラクター◇
『マジ=モジルカ・ルルモ』声 - 三森すずこさん



ちなみに、もし私がパンツの願いをもとに、るるもを呼び出したとしたら…。
(※閲覧注意※)
{netabare}

紳士な私は、耕太と同じく彼女の為に、そのパンツを返すことでしょう。

ただ、一つ問題点がありますね…。


『今穿いているこのパンツを、彼女の前で脱いで渡すのは、恥ずかしい………もん♡』


御想像された方、本当に申し訳ありませんでした。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 37
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

パンツへの想いが熱かった

「弱虫ペダル」の渡辺航原作「まじもじるるも」

言葉数が少なめなるるも役で三森すずこが活躍しておる。色んな役できるね。

{netabare}いきなり死ぬとか言われてシリアス展開な予感だったけど、基本的にはおバカなギャグ。最終話でるるもの記憶がみんなから消されていたけど、用事があって一日人間界にいなかったから一時的にそうなっただけで、戻ってきたら、記憶復活。めでたし。嫌味なキャラクター登場と思いきや、実は心配しているだとか、平和。{/netabare}

印象に残るのはパンツについて耕太が熱く語ることかな。パンツに関してはとにかく熱い。母親はエロに厳しいんだけど、{netabare}魔法で燃やされるのを回避するために飛ばした先が自宅だったのは良いオチ。{/netabare}
風紀の人はエロに興味あるけど、無理して封じた反動で厳しくなった感じがする。
FHKの部長はせっかく可愛い娘に好かれているのに行動が勿体ないにもほどがある。

OPは三森すずこでせいいっぱい、つたえたい!EDは遠藤ゆりかでふたりのクロノスタシス。

1. その1「あなたののぞみかなえます」
高校生・柴木耕太は、小学生時代はスカートめくりの名手として、中学時代は充実のエロ本ライブラリを持つことで名を馳せ、そして今、本人にとっては実に不本意であるが、女生徒たちから「エロ大王」の称号までをつけられてしまっていた。FHK(不思議発見クラブ)に属する彼は、ある日図書館で偶然見つけた『魔女召還教本』に従って魔女を呼び出す。願い事は「女の子のパンツ」。しかし、彼は知らなかった。願いを叶えてもらうということは、魔女と契約し引き換えに自分の命を差し出すことを意味していたとは・・・。翌日、パンツを手に入れた耕太の前に、魔女・るるもが現れる。るるもは彼に「お前は2日後死ぬ」と宣言され、衝撃を受けるが、受け取ったパンツが彼女の履いていたものだと知った耕太は・・・。

2. その2「夢の同棲生活」
再び現れたるるもから、彼女の魔法が自由に使える「魔法のチケット」をもらった耕太。チケットを人間に使い切らせることが、格下げされた彼女にとっての修行だった。だが、チケットを使い果たしたとき持ち主が死んでしまうことを、るるもは知らない。そのことをるるものチロから聞かされた耕太は、二度とチケットを使うまいと誓う。ある日、「MJ(未確認人物)の正体を暴く」ために公園に向かった耕太とFHKのメンバーは、テント生活をしていたるるもを発見。彼女の着替え姿を撮影しようとする部員たちを止めるため、耕太は魔法を使ってしまう。修行が終わるまでるるもが魔界に帰れないことを知った耕太は、彼女を自宅に連れ帰ることにしたのだがーーー。

3. その3「魔法少女対決」
記憶改ざん魔法の力により、るるもは耕太の妹として柴木家で暮らすことになった。ひとつ屋根の下で暮らしながらも、「妹」であるため何もできないと悶々とする耕太。一方のるるもは、「浮かれている自分を戒めるため」に耕太たちの高校の学食で働き始めるものの、慣れない仕事に失敗ばかりを繰り返していた。自分の命を失うことに繋がるため、チケットを使うことでるるもの修行に協力するわけにはいかない耕太は、せめてそんな彼女の力になろうとする。その頃、FHKに初の女子入部希望者・鯨井棚子が現れる。棚子は1年生の中でもとくにカワイイと耕太たちが目をつけていた女子だったが、自らを魔法少女だと宣言するのだったが・・・。

4. その4「風紀委員の井上さん」
校内を厳しく取り締まり、違反者には鉄拳制裁をも辞さない西高生徒会直属、風紀委員。その一員である井上澄子は耕太の小学生のときからの幼なじみで、彼のことを「ヘンタイシバキ」と目の敵にしていた。そんな彼女に、全校男子の家に置けないお宝を一括管理し、共有財産として貸し出しするスーパーコレクション「シバライブラリー」が目をつけられる。次々と没収されていくコレクション、迫り来る持ちもの検査。お宝を守るために、耕太は立ち上がる。同じ頃、元気のないるるもの様子を心配したチロが、人間の姿になって学校に潜り込み、騒動を巻き起こす。果たして耕太は、澄子からお宝を守ることができるのだろうか。

5. その5「はじめてのおつかい」
とある夏の日曜日。家の掃除をしようとするもののまたしても失敗ばかりのるるもだったが、祖母の家で農作業を手伝う耕太の忘れ物を届けることになった。耕太の高校の友人・知人に目撃されたり、出くわしたりしながら、電車に乗るための「切手」を買いに郵便局に向かうるるも。道に迷ったり、魔女服のおかげで不審者扱いされたり、切手で改札を抜けようとして駅員とひと悶着があったり、また道に迷ったりと、なかなか耕太の元に辿りつけない。チロともはぐれ、危機に陥ってしまったるるもを助けるため、耕太は・・・。

6. その6「雨の日のジケン」
落ちていたグラビア雑誌を拾おうとしているところを下級生に目撃された耕太。それをごまかそうとしたことがきっかけで、三匹の捨て猫を家に連れて帰ることに。しかし動物嫌いの母親に見つかってしまい、里親が見つかるまでの間、学校で飼うことにする。動物を飼うことに憧れていたという耕太が仔猫たちを可愛がる様子を見て、耕太の優しさに感心するるるも。チロも憎まれ口をたたきながらも、母猫のように甲斐甲斐しく三匹の面倒を見る。チロもまた、捨てられていたところをるるもに拾われた過去があったのだ。夜になり、雨が激しくなり、子猫たちを心配した耕太は、学校から三匹を連れて家に帰るのだが・・・。

7. その7「伝説の水着」
先輩の発案で、海にやってきた耕太たち。そこには風紀委員の3人や巨乳の同級生・真綾、婦警の飯田などの姿もあった。耕太がいくら勧めても、魔女服から水着に着替えようとしないるるもだったが、実は水着を買ってきていないことが判明。耕太はあわてて水着を調達しようとするものの、なかなか見つからない。そんな耕太に、先輩が「水着ならある」と告げる先輩。今回の海水浴の目的は、着ると性格が豹変するという「伝説の水着」を探すためのものだったのだ。そんな水着をるるもが着るハメにならないよう、先回りをして見つけ出そうとする耕太だったが、そこに水着を身に着けたるるもが現れてーーー。

8. その8「第一級魔女ハルリリ降臨」
登校中の耕太の頭上から、傘を差したツインテールの可愛い女の子が舞い降りてきた。第一級魔女のワルラ・ハルリリと名乗る彼女は、耕太に「あなたと契約を結ぶために降りてきた」と告げる。命を取られてはたまらないと逃げる耕太に「特別に、代償は要求しない」と言うハルリリ。彼女は、るるもの魔法学校時代の同級生で、耕太がるるもの契約者だと知って接触してきたのだった。魔女と二重に契約した場合、新規契約が優先される。ハルリリがるるもに嫌がらせをするためにやってきたと思ったチロは、彼女にくってかかるものの、当のるるもは「それは耕太が決めること」と表情を崩さない。ハルリリのこの世界に来た本当の目的は

9. その9「誰にも言えない秘密」
風紀委員長でマジメ女子と呼ばれる下村雅子には、アニメ好きで、コスプレ衣装を自作しているという秘密があった。学校にコスプレアイテムを持ってきた雅子は、それを落としてしまう。それを目撃したのはるるもだった。元々るるもの魔女服をコスプレと勘違いして親近感を持っていた雅子は、自分の趣味をバカにしないるるもに感動し、るるもをコスプレイベントに誘う。るるもは彼女のおススメのアニメを観たり、一緒にコスプレ衣裳を作ったりするようになる。そして、るるもは、その相手が雅子だということを耕太に話してしまう。雅子がそのことを秘密にしていたことも知らずに・・・。

10. その10「混浴旅行in尾々神村」
古くから日本オオカミにまつわる数多くの伝説が残る、山深い尾々神村。FHKのメンバーや耕太とるるも、同級生西野、菅原、桜井、真綾、風紀委員の3人は、電車で尾々神村に向かっていた。さらに人間の姿に変身したチロも、るるもの妹として参加していた。今回の旅行はFHK主宰で、その目的は、狼伝説を暴くことだったが、耕太にとってはそんなことよりもはるかに重要なことがあった。宿泊先の旅館には、混浴露天風呂があるのだ。女子たちとの混浴に浮かれる耕太。しかし、先輩から渡された水を何の気なしに飲んだ彼の体に、思わぬ変化が現れる。一方、旅館内では幻の狼が現れたとの騒ぎが起きていて・・・。

11. その11「結成★ガールズバンド」
文化祭の展示にほとんどお客がこなかったFHK。このままでは部へ昇格することができない。FHKの知名度を上げるため、棚子の発案で「高校生バンド天国」に参加しようということになる。しかし、いざ練習を始めてみるものの、柴木たち、男性部員たちのレベルではお話にならない・・・。そこで棚子がメンバーを集めることに。自らはキーボードを担当するという棚子が連れてきたのは、ギターの真綾、ベースの澄子、ドラムの強子。そしてなんとボーカルはるるもだった。バンドが何かも分からないるるもだったが、とまどいながらも自分の知っている歌をくちずさむと・・・。

12. その12(最終話)「るるものいない日」
季節は冬。もう年末である。男同士の侘しいクリスマスパーティを終えた耕太は、友人の西野、菅原らと一緒に初詣の計画を立てていた。西野のリクエストで、初詣にるるもも誘うことに。そんな中、耕太とるるもは買い物に出掛け、呉服屋のショーウィンドーで振り袖を見かける。釘付けになっていたるるもに、初詣で着物を着せてやりたいと思った耕太は、必死でアルバイトに励む。足りない分は母親から借りて、なんとか着物を調達することに成功した耕太。るるもを驚かそうと大晦日の朝まで秘密にしていたのだが、いざその大晦日の朝。目覚めた耕太は、何か大切なことを思い出すことができなかった--。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

女子のパンツは空より優しいんだぜ・・・

「コスプレ魔女ガール」のお話・・・

ではなく
「魔女」のお話です

あらすじは・・・
あにこれのものを読んでいただければよろしいかと思います

余談ですが
Wikiのほうではかなり詳しく書かれていますが
ネタバレを嫌う方にはオススメしません
ちなみに
私は作品を観終わってから
Wikiのあらすじを読んで思わず“涙”してしまいました^^;


原作は漫画作品
読んでいません

失礼ながら
存在自体もまったく知りませんでした

原作者は「弱虫ペダル」の渡辺航さんです
これも
視聴後にWikiで知ったのですが
確かにキャラデザはそのまんまですね


実は私
弱虫ペダルって途中までしか観てないんです

理由は単純
イケメンくんが出てないから^^

なんか男の子がみんな○ク○屋さんっぽい顔つきでイマイチ好感が持てないし
なによりキャラが顔のイメージそのまんまで怖いんです

まあ
このレビューでくどくど書くのもあれなんでこの程度にしておきますが

この「まじもじるるも」についてもやっぱりイケメンくんが出てこないですね~

一応
主人公の「柴木耕太(しばきこうた)」くんのクラスメイトの
「さくらい」くんが唯一イケメンという設定みたいですが(というよりカワイイ系)

私の少々高めに設定されたイケメン基準は残念ながらクリア出来ませんでした

ただ
そんなイケメン不作状態を補完してもなお余りあるくらい
女の子達がかわいかったので
キャラデザについてはとりあえず及第点って感じです


お話の感想の前に・・・

キャラデザについて酷なことを書いてしまいましたが
この作品を最後まで視聴して一番に思ったのが
キャラの掘り下げが実に巧みなこと

るるもちゃんの無口キャラや
こうたくんの変態キャラは最初から全開モードですが

周りの人物
とくに女の子のキャラクターなんかは
お話が進めば進むほど印象深くなっていくって感じです

かわいい系のキャラデザ
特徴的な大きな目
多種多様なオッパイ(巨乳からちっぱいまでいろいろ)

それらの特徴を生かした数々のエピソード

一番に目を引いたのは
風紀委員の3人ですね

普段はメガネや髪の毛で目が隠れていて
完全にモブキャラ状態なのに
たまに目がみえるシーンがあり
そんなときは一気に注目してしまう存在になります

なかでも
コスプレっ子の「下村雅子(しもむらまさこ)」ちゃんが衝撃的でした

普段の制服メガネ女子姿と
魔法少女コス姿のギャップに
あっけなく撃沈してしまって

思わずるるもちゃんとのツーショットシーンをサムネにしてしまいました^^


さらには
各々のお話がとても秀逸

ギャグ
下ネタ
エロネタ
変態ネタ
おパンツネタ
オッパイネタ
(全体的にHぃお話が多い)
さらに
号泣ネタまで

お話のメインである
るるもちゃんの魔女としてのストーリー

そして
人間界での生活を通して
ほんのわずかながらも
るるもちゃんの表情や心境が変化していくところが見ものです^^


さて
お話についてですが・・・

この作品
「イケメン」くんが出てこないなんて先に書いてしまいましたが

じっくり見てたら
こうたくんって意外とイケメン(?)って思えてくるから不思議

これもキャラ掘り下げの妙なのでしょう

面倒見のいいところや
友達思いのところ
自分の命を危険に晒してまでるるもちゃんを助けようとするところ

H属性にもどことなく気品や哲学が感じられ
エロにまつわる謎の名言もちらほら

{netabare}「女子のパンツは空より優しいんだぜ・・・w」{/netabare}

{netabare}「俺は大きかろうが小さかろうが女子のオッパイの前にひれ伏すぜ・・・
 詰まってる夢は同じ大きさだからな・・・
 違いがあるとすれば
 それは大事にされているかどうか・・・だぜw」{/netabare}

迂闊にも心を動かされてしまいました^^;


そんなこうたくんの隠れた善人属性が如実にあらわれたのが
第6話の子猫ちゃんが出てくるお話なのですが

この子猫ちゃんのお話にはチョー泣かされました

{netabare}道端に落ちていたエロ本を拾おうとしたところ
女の子の視線が気になり
咄嗟に捨てられていた子猫を拾ってしまったのが運のつき・・・{/netabare}

普段の変態男子とは違ったこうたくんの人柄に魅せられます

{netabare}さらにはお話の間に語られる
るるもとるるもの使い魔
黒猫チロとの出会いのエピソード・・・{/netabare}

{netabare}本当はとても優しいヤンデレママさん・・・{/netabare}

等々

あんまり書くと長くなるので
詳しくは本作をご覧ください^^

とにかく
号泣モノです

ギャグやエロネタなんかの軽いノリのお話の中に
突然の涙の回

このお話の結末はとても意外なものでした

みんなで「よかったね~(笑」・・・なんて定石じみた展開は微塵もなく

思いっきり悲しみのどん底に叩き落されての
バッドエンド・・・

わが目を疑ってしまうほどのあっけない幕引きです

でもこれはこれで
最近のギャグ漫画原作アニメ作品の王道というものでしょうか

次のお話ではすぐにいつものノリに戻っている

こういったすっきりした展開が
各話完結エピソードのいいところなんですね


そして最後は

ファンタジー・・・
ラブ・・・
涙・・・
(残念ながらエロはない)

これまでの小気味よい展開をまとめたかのような最終回でした

とりあえず
Wikiのあらすじを読んで流した“涙”は
2期までの(仮)としておきましょう^^


2期に期待してます

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

81.2 9 小学生で心温まるなアニメランキング9位
劇場版 のんのんびより ばけーしょん(アニメ映画)

2018年8月25日
★★★★☆ 4.0 (400)
1800人が棚に入れました
旭丘分校」の生徒はたった5人。学年も性格も違うけれど、いつも一緒に春夏秋冬の変わりゆく田舎生活を楽しんでいます。ある日、デパートの福引で特賞の沖縄への旅行券を当てた「旭丘分校」の面々。夏休みを利用して、皆で沖縄に行く事になるのですが……。

声優・キャラクター
小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈、名塚佳織、佐藤利奈、福圓美里、新谷良子
ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

残暑お見舞いなのん~

テレビアニメ「のんのんびより」のファンムービーとしては期待を遥かに上回る出来映え!
美しい自然と可愛く楽しい女子キャラたちによる極上の和みと癒し。
ストーリー性も充分あり、70分という、映画としては短めの尺ながら満腹度は100分以上の長編並みに感じる密度の濃さがありました。
作品の魅力が存分に表され、テレビ版を未視聴の方でも、日常癒し系アニメの人気作たる所以に納得し楽しめるのではないでしょうか。

《ストーリー》

旭丘分校の生徒たちをはじめとする田舎の村民9人の沖縄旅行顛末記。
ユーモラスなキャラたちの個性に沿った小ネタ満載の展開にニヤニヤと和むことしきり♪
そんな中にしっかり描かれる、脚本・吉田玲子さんお得意の、ちょっぴり切なくも心温まるハートウォーミングなエピソード。
のんのんらしい優しさもたっぷり伝わり大満足です!

《作画&演出》

テレビ版と同じく手書きの自然風景は美しく、キャラ画との親和性も高くて目の保養になります。(特に夜のワンシーンにうっとり!)

本作のシリーズを通して川面真也監督の演出面でつくづく感服するのは、シーン毎の間尺の取り方。
今回の映画でも、静止したキャラを見せられる度に笑い声や涙をこらえるのに必死になり、長回しで映る自然風景や建物などの器物を見てるだけでうっとりと癒されたり感慨に襲われてしまう。
しっかり情感を汲み取れる時間を充分とりながらも、決して間延びを感じさせないのは卓越した手腕ですね。

《音楽》

テレビドラマと同じくnano.RIPEさんによるOP。
nanoさんは作品に合わせた曲作りが上手く、海をイメージさせるサウンドでバカンスへの出発気分を盛り上げてくれました。
そしてこれまた同じくキャラ4人によるEDは、バックで場面を振り返りながら名残惜しい余韻に浸れました。

また、劇場ならではの音響システムで、水しぶきや波の音、無数の虫の音に包まれながら美しい景色を眺めてると、マイナスイオンのシャワーを浴びながらキャラ達と共に大自然の中に居るような幸せな気分になれました。

《キャラ》

今作では、なっつんこと夏海が一番活躍?
メンバーそれぞれの個性で笑わせてくれる中、いつもはからかい上手の彼女にキュンとさせられます!

あと個人的に一番楽しめたのは宮内三姉妹。
末っ子れんちょんの才能と感受性の豊かさは要所に描かれ、ホント、将来が楽しみな小学1年生。
長女かず姉には、意外な一面に驚きつつ楽しめました。
そして、キャラたちのお笑いの中でも突出してたのが次女ひかげ。
可愛い一面も見せ、今作のR-1グランプリ受賞でしょう♪

《声優さんの舞台挨拶初見学記》

今回、映画上映後にれんちょん役の小岩井ことりさんとほたるん役の村川梨衣さんの舞台挨拶を見る事が出来ました。

幅広い年代の250人程度の観客のほとんどは男性で平均年齢35歳といったところ。
小岩井さんの生「にゃんぱす~!」で始まるおふたりのトークは、村川さんの盛り上げ方も上手で、アニメ関連イベント初参加で変に緊張してた私も和やかな気分で楽しめました。

村川さんの地声は、ほたるんより「ヒナまつり」のアンズっぽく聞こえ、個人的に好きなキャラ声を生で聞けるのはテンション上がる~!
作品の架空の田舎の事をキャストみんなで「(仮)のんのん村」と呼んでるそうで、制作現場の楽しい雰囲気が伝わりました♪

小岩井さんのトークで、 {netabare} れんちょんがスケッチをプレゼントした夏海への気遣いについて、「テレビ版のひらたいらさんのエピソードで、夏海が機転を利かせてれんちょんを元気づけた事に繋がってる」と言われ、 {/netabare}私の感想も深まると共に、小岩井さんの作品への思い入れを強く感じました。


観光地の旅行先がメイン舞台なので、田舎の「のんびりさ」だけが成分不足ですが、それを補う「強壮バカンス成分」がてんこ盛り。
この夏の暑さを和らげるくつろぎと癒しの清涼剤をぜひご一服どうぞ~♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

上映館が倍以上に増えるようです!

初日の舞台挨拶は抽選漏れしたため
翌日にあにこれ面子と一回目
今週の舞台挨拶には当選したので
舞台挨拶付きで2回目を観てきました

そんなかんじで初めて観た日は
アニサマ全通の3日目に
会場に行く前に新宿まで寄り道して観たのもあって
かなり疲弊した状況での鑑賞となりました

しかし、この最上級の癒しアニメのおかげで
だいぶ活力を取り戻して3日目へと向かえたように思います

ふだんののどかな田園風景とは舞台は違えど
やっていることはいつも通りの
ゆったり日常アニメ
ゲストキャラクターのあおいちゃんとの
ハートフルな交流もあったりと
とにかく沖縄の情景がとてもきれいに描かれていて
なんだかキャラクター達と一緒に
沖縄旅行を楽しんでいるような気分になりました

あとはサブキャラクターのくせに
{netabare}ジャンピング土下座にはじまり
難聴ネタ
ふとん
リバース
天然記念物
泣いてねーし!{/netabare}
と要所要所でギャグ要員として出動し
美味しいところを全部持っていくひかげに
今回はかなりやられましたw
ほんといいキャラしてる

そしてあまり間を置かずに2回目を見に行ったわけですが
舞台挨拶は置いておいても
2度目の鑑賞でも1回目と変わらず癒されたし
楽しく見れました

そして今は久々にTVシリーズを見返したい思いに駆られています
1期2期ともにdアニメにあるので
今期のアニメをいくつか切れば見れるけどどうしよう?

閑話休題

この映画かなり見れる劇場が少なく
基本的に都会の映画館でしかやっていない感じでした

隣の芝は青いと言いますか
田舎の人は都会にあこがれ
都会の人は田舎にあこがれるものです

のどかな田園風景とゆったりしたスローライフに
まるで異世界ファンタジーでも見るような感覚で
憧憬の念を抱くのは基本的に都会の生活に摩耗しきった層なので
都会に絞っての公開は戦略的に正しかったと思います

この戦略が吉と出たのかどうかは定かではありませんが
館数からするとかなり好調な収益を上げているようで
今回の舞台挨拶にて上映館が27scrから71scrへと
大幅拡大されることが発表されました

特に東北と九州は仙台と福岡で1館づつの上映だったものが
各県で1~2か所みられるようになり
だいぶ見やすくはなってるんじゃないでしょうか?

もし今まで観たいけど近くでやってないからと敬遠していた方がいれば
ぜひもう一度上映館情報を確認しなおすことをお勧めします

この後全国でさらにヒットすれば
劇場版をもう一作
あるいは3期の制作なんて話になるかもしれません
応援のためにもみんなでぜひ観に行きましょうw

おまけ(舞台挨拶内容・ネタバレ含)

{netabare}今回はれんちょん役の小岩井ことりと
なっつん役の佐倉綾音が登壇
映画に関してのちょっとした裏話などをしてくれました

あやねるの話で面白かったのは
夏海とあおいの関係について

あのど田舎の生活では
同い年の子供がまったくいなかったので
夏海にとってあおいは初めての同い年の友達
そして初めて仲良くなった同い年の子と
出会って数日で別れなくちゃいけない
「ほんと切ないよねー」
と、こっこちゃんと頷き合ってました

こっこちゃんは演じる際に考えていたことを
いくつか話してくれましたが
中でもハッとさせられたのは

TV版ではひらたいらさんとの別れを悲しむれんげを
夏海がなかなかにニクい形で元気づけていました
今回の映画であおいとの別れを悲しむ夏海を
れんげが慰めるシーンは
れんげが夏海に教わったことを
夏海にお返しするシーンだと思っているというお話
言われてみるとなるほどという感じで目からうろこでした

りえしょんみたいに難しいことは何も考えてなくて
それでいて感覚的に何でも器用に演じれてしまう人もいれば
こっこちゃんみたいに一つ一つのセリフの意味を
自分なりにあれこれ考え抜いた上で演じてる人もいる
っていうのが面白いですねw{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

みんなでもっと遊ぶのん!

テレビで2期が放送されてからもう3年…
この作品の大好きな方は、この劇場版を待ちわびていたのではないでしょうか。
かくいう私もその一人です。

テレビアニメ本編は基本的に1話完結型…
そのため劇場版から視聴しても話は通ると思います。
でも作り手の愛情が目一杯注がれたこの作品を隅々まで堪能するなら、是非前期からの視聴をお勧めします。

続編の放送をテレビにするか、それとも劇場にするかは議論の分かれるところだと思います。
個人的にはその作品に合っているなら、どちらでも良いと思っています。
劇場版には尺に限りがあるので、内容を詰め込み過ぎては物語が発散してしまいますし、テレビで放送する場合も尺が合わず中だるみした作品だって無い訳ではありません。

それではこの「のんのんびより」はどうだったか…
個人的には劇場版で正解だったと思います。
物語の構成から劇場版を選択しても尺の長さに違和感が無いこと…
そして繊細かつ緻密な背景のクオリティが半端無く、作り手の徹底的なこだわりが窺えること…
何よりそこまで手がかけられるのが劇場版の醍醐味だと思うんです。

鮮やかな空の青…
新緑に彩られた森の木々…
普段なら何気なく過ぎてしまう背景の一場面にも細やかな配慮が散りばめられているんです。
作り手の皆さんがこの作品を愛してやまない何よりの証拠なのではないでしょうか。
だから視聴にも気合いが入りますし、作り手の頑張りが感じられる作品は見ているだけで幸せな気持ちになれる気がします。

物語は夏休みもあと少しの時期…
いつもの4人組は今日も一緒に遊んでいました。
いつもと少しだけ違ったのは、駄菓子屋とかず姉が車で出掛ける姿を4人に目撃されたこと…
この僅かな差が、このあとの超展開へと発展する訳ですが…
その立役者は、存在は認識されているものの、殆ど出番がなく空気みたいな人…
と言えば、もしかしたらピンと来る方がいらっしゃるかもしれませんね。
こうして「いつもの日常」を大きく逸脱しながら物語が動いていきます。

途中まで視聴して気付いたこと…
それは物語の「間」をとても大切にしている点です。
思考が巡り、次の展開を思わず期待してしまうような「間」だったり、掌を帰すようにツッコミは秒殺だったり…

それもこれも、この作品に登場するキャラが愛されているからだと思います。
しっかりキャラの特徴が定着しているので見ていて安心感が半端ないんですよね。
でもそれだけじゃありません…
4人は多感な時期であると共に、成長期でもあるんです。
そんな彼女たちが時折見せるギャップがグッと胸に響くんですよね。

誰かのために何かをしてあげたいという純粋な気持ち…
そんな気持ちと優しさは伝染する…
この作品の優しさは心底温かいんですよね。
そして、いつもと違う日常をみんなは満喫していくのですが…
緻密で繊細な作画がキャラの躍動感と魅力に拍車をかけてくれているのが分かります。
この作品のキャラと背景…最強の組み合わせだったのではないでしょうか。

どうして楽しい時間ってあっという間に過ぎてしまうのでしょうね。
勿論時間は有限だから一秒たりとも無駄になんてできないし、決してしなかった…
だからこそ…なんでしょうね。
終盤の夏海の言動…私の涙腺は耐えられませんでした。
だって、私も夏海と同じこと考えていましたから…
こうして物語は「いつもの日常」に戻っていきます。

オープニングテーマは、nano.RIPEさんの「あおのらくがき」
エンディングテーマは、4人による「おもいで」
nano.RIPEさんのオープニングは鉄板ですね。
今回も抜群の楽曲を提供してくれています。
エンディングは「4人らしさ」が感じられる曲でした。

上映時間1時間強の作品です。
相変わらず笑いと癒しのバランスが秀逸な作品ですね。
万人にお勧めできる作品だと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26

74.2 10 小学生で心温まるなアニメランキング10位
劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード(アニメ映画)

2000年7月15日
★★★★☆ 4.0 (225)
1678人が棚に入れました
小学6年生になったさくらは、まだ小狼の告白への返事をできずにいた。そんな時、エリオルの家の跡地に建てられた友枝遊園地で、ばったり小狼と苺鈴に遭遇。喜ぶさくらたちだが、町では町の中にあるものが次々に消えていくという奇妙な現象が起こっていた。そしてその現象はさくらたちの下にも及び、さくらの持つさくらカードが次々に消え始める。それは、名前のないクロウカード=無のカードの仕業だった。異変を止めようとするさくらだったが、相談したエリオルから無のカードを封印するには「大切な人への想い」を代価にしなければならないと聞かされる。動揺するさくらだが、無のカードは刻々と威力を発揮し始めていた。果たしてさくらはカードを封印し、小狼への本当の想いを伝えることができるのか。

声優・キャラクター
丹下桜、くまいもとこ、久川綾、小野坂昌也、緒方恵美、岩男潤子

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本当の想いを胸に、さくら最後の封印解除!

この作品は、サクラカード編の後日譚を描いた物語です。
物語の内容に繋がりがあるので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

小学4年生だった桜たちは、小学6年生に進級していました。
振り返ってみると、これまで色々ありました。
桜はみんなの力を借りながら、やっとの思いで全てのカードをサクラカードにすることに成功しました。

一連の騒動が収束して…リ・シャオランは香港に帰っていきました。
シャオランは、きっと山ほど後ろ髪を引かれたと思います。
でも自分が日本に留まる理由が無くなったのもまた事実です。
きっと自分で自分の首を絞めた…或いは自らの手で居場所を無くした…
そう考えてもおかしくはありません。
でも、そんな自分の気持ちより優先したい事がシャオランにはあったから…
残していったクマのヌイグルミが何よりもその気持ちの証…

そういえば故郷に帰ったのはシャオランだけではありませんでしたね。
柊沢エリオルもかつてクロウ・リードが住んでいた頂きの洋館を離れてイギリスに帰っていきましたっけ…

シャオランが香港に帰って4か月…友枝町は街ぐるみで行う「なでしこ祭り」の開催を控えてみんな大忙し…
桜たち6年2組のメンバーは劇をすることになり、連日練習に励んでいました。
そんな中、エリオルが昔住んでいた洋館が取り壊されて遊園地が建てられたのですが、その完成とほぼ時を同じくして友枝町にまた摩訶不思議な出来事が起こり始めるのです。

クロウカードは全てサクラカードに変換して超常現象が起こる元凶は無くなった筈なのに…
たまたま訪れた遊園地でバッタリ再開したシャオラン、メイリンと一緒に原因の究明と対処にあたろうとした矢先、桜の耳に事態を収束させられる唯一の方法が届くのですが、それは桜が絶対選択できない方法だったんです。

何故なら、その選択をするとどんな結末を迎えるかを知っているから…
かつて経験した闇より深く暗い世界が、この先無限に広がっていくなんて…
でも、桜の今度の相手は微塵の猶予も与える事無く襲い続けてくるんです。

桜の大切が両手から次々と零れ落ちていきます。
理由が分からないのに相手を攻撃するなんてできないよ…
桜の悲痛な叫びが胸に突き刺さります。

それでも相手の攻撃は激しさを増すばかり…
そして変化の矛先は、いよいよ桜の周りの人々に向き始めるのです。
大切な友達や家族を優先するか…
それとも絶対選択したくない方法を選ばなきゃいけないのか…

荒れ狂う嵐に舞う木の葉の様に桜の気持ちは揺れ動きます。
本当に他に選択肢は無いの…?
視聴している私も本気でそう思いました。

でも運命の神様は本当に残酷です。
願いも思いも半分も言っていないのに勝手に歯車を回してしまうのですから…
たくさんの思いがかき消されていく中で何が起きるのか…?
桜の大粒の涙と悲痛な叫びの行方は…?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

約1時間40分の作品でしたが、この作品を視聴してサクラカード編だけでは物語が完遂していない事を実感しました。
サクラカード編とこの劇場版を視聴して、初めて大切なモノが繋がった気がします。
事の顛末が気になる方も多いと思います。
劇場版なので尺の関係上、若干速足のところもありましたが、きっと一番綺麗な形で桜の思いが届いたのではないでしょうか。

これからクリアカード編が始まります。
監督やスタッフ、そして当時のキャストがほぼ再結集して制作されるのだそうです。
ここまでこの作品を愛した人たちがぞ続編を紡いでくれる…これほど嬉しい事はありません。
今は放送の始まる前までに何とか過去作が完走できて良かったと思っています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

桜ちゃんの想いは、届かなければならない!小狼くんもこれでいいのだ!です

 今になって、またもや劇場で見ることになるとは、思わなかったです。「劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード」リバイバル上映、懐かしく見てきたです。
 このレビュから約15年前だったか?あっ17年前になるか、学校に行っていた頃、まだ上映回ごと完全入れ変え制の劇場が少なく、ある劇場で2回友達と続けて見たのを覚えているです(その劇場は今はもうないです)。劇場版エスカフローネもこの頃、上映されてたでしたです。

 当時NHK衛星第二放送と呼ばれたころ放送された、さくらカード編の続きのお話なのは、知られているですよねです。


 エリオルくんが引っ越していったあと、取り壊し中の家に謎のカードが出てきてと始まるのだが・・・・です。
 いきなりの桜ちゃんの活躍は、新たな敵の出現{netabare}??と思いきや、知世ちゃんのいつもの趣味だったのは、このアニメらしいと思うし、{/netabare}ファンにはたまらないシーンだったのでは!だったです。

 小狼くんの告白から、意識するようになる桜ちゃん、恋する女の子という感じで良い感じです。
 一番最初のシーンを通して、小狼くん、苺鈴ちゃんの登場は、わざとらしい気もしないでもないけど、運命みたいな気がしたです。いろいろ気を使う苺鈴ちゃんも何かいいです。
 ケロちゃん、桃矢くん、雪兎さんの面々も相変わらずです。

 このアニメの見どころは、やはり桜ちゃんの想いだったと思うです。{netabare}そこに最初に出てきた謎のカード、無のカードが大きく関わりを持つという訳です。
 それ以外も、桜ちゃんと小狼くんのケロちゃん、桃矢くん絡む面白エピソードも必見です。

 身の回りの変化(ジョジョ第4部に例えると虹村億泰のザ・ハンド能力みたいな形跡)に気づく桜ちゃん、その真相を知ったときに取らなければならない行動と末路に苦悩する桜ちゃん。大変な事態になったとき、無のカードと向き合い{/netabare}最後の決断するです。思わぬ奇跡が起きた時、感動だったです。「これでいいのだ!」です。{netabare}あの最後の桜ちゃんの行動、大胆だったけど、大丈夫かなぁだったです。


 リバイバル上映よりも先に、初めてこのアニメを見たときに気づいたこと!。もしかしたら、もうとっくに知られていることかもしれないけどです。
 無のカードを桜ちゃんが追うとき、知世ちゃんがいつの間にか、どこからか??桜ちゃんの衣装を持っていたところです。小狼くんのまでもあるです。そのシーンの直前には、どこにも持っている形跡がないのに突如出てきた衣装??。知世ちゃんスカートの中にでも隠していたのか?なぁです。


 つい最近までこの劇場版が、アニメにおける「カードキャプターさくら 」の最終回だと思っていたです。十数年後に続きが、あるとは!です。{/netabare}

                    
                    2017.12.30 +

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

夢の続きへジャンプ♪

劇場版2作品目。アニメ版70話の後の最後の作品。

小狼は自分の精一杯の気持ちをさくらに告げるが・・
さくらはまだ小狼への返事を言葉に出来ずにいた・・
全てのカードが揃った事で小狼は香港に帰国する。

その後のさくら達が6年生の夏休みを迎えた時の物語。


友枝町の「なでしこ祭」でクラスは劇を行う事になり、
劇の練習をしていたさくらは、エリオルの家の跡地
で小狼と苺鈴に遭遇するが・・やはり・・なかなか
小狼に上手く返事ができない・・

そんな時・・街では色々なものが次々に消えていく
という奇妙な現象が起こっていた。

全52枚のクロウカードの他にまだ1枚・・封印されて
いたカード・・無のカードの封印が解けてしまった。

異変を止めようとするさくらだったが・・相談した
エリオルからカードを封印するには代価が必要だと
聞かされる・・その代価とは・・「大切な人への想い」

動揺するさくら・・そして知世、苺鈴、ケルベロス・・
ユエも次々と姿を消し・・小狼も見失ってしまう・・

はたしてさくらはカードを封印し無事解決できるのか・・
それとも「大切な人への想い」を代価に皆を救うのか・・

流石に70話終了後のお話なので、とても明るい雰囲気
かな? 所謂アフターストーリーみたいな感じ?
序盤なんか本当にラブコメしちゃって可愛いです♪
ラスボスは兄?という程狙いすました登場結構笑えた♪

それだけに中盤以降や終盤は良い感じだった。

ラストは出来過ぎな感じだけど視聴層を考えると最高♪



木之本桜(丹下桜)
李小狼(くまいもとこ)
ケロちゃん/ケルベロス(久川綾/小野坂昌也)

大道寺知世(岩男潤子)
李苺鈴(ゆかな)
木之本桃矢(関智一)
月城雪兎(緒方恵美)
木之本藤隆(田中秀幸)

無のカード(坂本真綾)
柊沢エリオル(佐々木望)
スピネル(冬馬由美)

大道寺園美(伊藤美紀)
観月歌帆(篠原恵美)
佐々木利佳(川上とも子)
柳沢奈緒子(本井えみ)
三原千春(松本美和)
山崎貴史(宮崎一成)
寺田良平(小西克幸)

62話以上に真赤な小狼が見れるのか?

同時上映は「劇場版 ケロちゃんにおまかせ!」約10分。
※ケルベロス(ケロちゃん)とスピネル(スッピー)を
主役とした上映時間約10分の短編ギャグストーリー。

すてきですわ、さくらちゃん!
知世のカードキャプターさくら活躍ビデオ日記!(OVA)
※DVD等の購入特典として収録されている短編アニメ。
1・2・スペシャルの3作品がある。1作品5分程度。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

65.0 11 小学生で心温まるなアニメランキング11位
少年メイド(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (310)
1571人が棚に入れました
お嫁さんにしたい男子(!?)、NO.1!!

ちょっぴり掃除好きな小学生・小宮千尋は、ある日突然母を亡くしてしまった。
身寄りのない千尋に手をさしのべたのは、叔父である鷹取円だった。
そのまま円の豪邸に連れていかれた千尋だったが、
あまりのゴミ屋敷っぷりに耐えられず、大掃除を開始!!
その姿を見ていた円は、鷹取家の世話になることに反発していた千尋に、ある提案をする。
それは、千尋はメイド役を、円は生活環境を提供するというギブアンドテイク案だった!! 
円の提案に納得した千尋だったが、
渡された制服はフリフリで、お屋敷の汚れは果てしなくて…。
どーなる千尋!?

声優・キャラクター
藤原夏海、島﨑信長、前野智昭、花江夏樹、八代拓、山本和臣、田村ゆかり、榊原良子
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

タイトルで損。ショタではあるけどBL要素は薄い

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
レビュータイトルにもありますが、BLメインではなく、癒し系のホームドラマ路線なので、BL苦手な方でも大丈夫だとは思います。

癒し系ホームドラマとしては、地味に丁寧に作られていた印象です。大きな波はないけれど、基本的にAパートとBパートで異なる内容をやるので、飽きずに視聴できました。

音楽は、OPは爽やかで前向きで好きだったけど、EDは、ナンだあれ(笑)

まあ、「2期楽しみにしてます!」とまではいきませんが、「2期があったらなんとな~く視聴しちゃうな♪」って感じです。そのぐらいのユルい態度で視聴することをオススメします♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1話目感想より。

5年生で母親を亡くした少年、のワリにノリが軽すぎるのが気になった。こういう作風(ギャグ・ホームコメディ)にしていきたいなら、アニメ定番の「母親がなんか海外に変な研究しに行った」とかで良かったんじゃない? まあ、母を失った悲しみを今後丁寧に扱っていくなら良いです。でも、サラッと流すつもりなら嫌です。アニメとはいえ、人の死は重い。そこに注目して観ていきたいですね。

、、、その「母親の死」ですが、毎話のように回想シーンがあり、とても丁寧に扱っていた印象。千尋と円の覚悟というか、腹のくくりかたとしても、「海外で研究」よりも「死」の方が適切だと思える作風でした。私の心配は、杞憂でしたね(死を扱う作品は、このぐらい大切に扱ってほしいものです)。

ホントに、悪い人物のいない、平和な世界。あったかい雰囲気の中で進んでいく日常系です。序盤は、少しずつ近づいていく円と千尋の距離感を主軸にし、中盤はサブキャラを生かしながら、日常系をガッツリやる。終盤は、円と祖母の問題、本当の家族になってきた円と千尋を描いているので、ストーリーとしてもわずかながら流れている感じがします(千尋と祖母の問題がなにも解決してないのは、原作ストックあるから?)。

個人的には圭一郎が好きでした。しっかりものでユルくて、厳しくて甘くて、なかなか良いお兄さんキャラでした。空振りばかりしてもめげない健気で素直な女の子、美耶子も良かったです。いつか圭一郎に思いが届けば良いですね♪

難点としては、EDを歌う「有頂天ボーイズ」の存在が不要だったことかな。

印象に残ったのは、最終話での母親の幽霊との会話シーンです。まずは、この1年を箇条書き風に振り返る部分。シンプルなんだけど、だからこそ、心に染みる部分がありました(1クールで1年もの時間経過があるのも珍しい)。それから、千尋が、鷹取一砂のことを、「円のお母さん」と紹介した部分。「おばあさん(祖母)」ではなく、「母さんのお母さん」でもなく、「本家の……円のお母さん」と言った千尋。千尋の生活の軸が、すっかり円と共にあるという印象を受けました。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
千尋はなんだろう? 「とらドラ」の高須的な性質なのかな(笑) やはりBL要素はあるんだろうけど、どう考えても「SUPER LOVERl」よりかは軽いだろうから多分完走できるなw

2話目
ちゃんと女子出てきたねw 美耶子は普通に良い子だね。円も良い奴だし、BLというより家族愛がメインになっていくのかな? …なんだ、玉子焼きと弁当のクダリ? 良い話じゃないか、ちょっと泣けた(笑)

3話目
千尋と円の仲がぐっと深まる、良回。犬も猫も変わらんと思うがw 桂一郎のネクタイガジガジは可愛かった(笑)ちょっとBL要素が強くなってきた。

4話目
「ヤツ」の話。髭男爵からの「ルネッサ~ンス♪」はまんま過ぎて笑ったw 円との初めての喧嘩。円の静かな怒り方が良かった。包装紙のクダリも良い話だった。Bパート含め、桂一郎、マジでイケメン(笑)

5話目
千尋の怪我。千尋、面倒くさい、というか潔癖な性格してるな(笑)

6話目
おっ、EDの人だ。円のプロ意識も見られた。Bパートも良い。ティッシュの空箱でも喜ぶであろう円って、すげぇ目に浮かぶw

7話目
所々出てくる母親がいい人過ぎる。参観日回。今回も心温まる良い話でした。

8話目
千尋が、休んでる方が疲れるネタは、前に1度やらなかった? 5話と似てる?

8.5話目
千尋の学校での話。なんか、普通にラブコメw 普通に微笑ましいw

9話目
花ちゃん役の矢島晶子さん(野原しんのすけ・リリーナピースクラフト)、演技の幅がスゲェなあと感心しつつ、それでも幼女はムリがあるかな、というか、上手すぎて、凄い利発な幼女に感じるw 川辺の作画、良いな~。おっ、新展開? 最後は円を選ぶんでしょうが。

10話目
漬け物を噛む音、やけにリアル(笑) ちなみに剣道部も、ネコ好きですがネコアレルギーですw 懐かしいな~、都電荒川線。沿線に住んでいたからね。都電、やたらリアルだけど、どうした(笑)? 庚申塚か、懐かしい。一時期、新庚申塚に住んでたからな~。あの辺、良いところだよ♪ お寺ばっかりだけどw お墓は雑司ヶ谷(池袋の奥のあたり)かな? さあいよいよ、ストーリーが動くね。

11話目
ここにきて、円の家族を見せて、現在の幸せな生活をこれ見よがしにアピールする、か。

12話目
なかなか変わった最終回。賛否あるだろうな。個人的には、賛。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

はたらかざるもの食うべからず!・・・だそうです^^

この作品の原作は未読です。ですが、キャラデザが好みだったこと、ゆかりんや牧野さんが出演されること・・・もありましたが、視聴の決め手は「少年メイド」という2つの単語が織り成すアンマッチさに惹かれたから・・・
BLだったらどうしよう・・・との思いもチラツキましたが、まずは1話目を視聴してみました。

「苦労は若いうちにすれば大人になってから楽できる」母さんのいつもの口癖だ・・・
という下りで始まった第1話・・・ゆかりんの耳触りの良い声質も相まって、序盤から目頭が熱くなってしまいました(//∇//)

この物語の主人公は、小学生の小宮 千尋・・・これまで母親と二人の母子家庭で育ってきましたが、ある日突然母も亡くして天涯孤独の身になってしまいます。
そこに千尋の叔父にあたる鷹取 円に引き取られる事となりました。
円の家は正に豪邸そのもの・・・しかし中はゴミ屋敷の如く散らかし放題という実態を知ってしまった千尋は、母親の手紙に記されていた「働かざる者食うべからず」を愚直に遂行するため、屋敷の家事全般を引き受ける事で・・・物語が動いていきます。

円は洋裁を生業にしている事から、千尋の仕事着も円が作ってくれた訳ですが、渡された制服はまるでメイド服を彷彿させる様なフリフリの服だったんです。
メイド服とはスカートとハーフパンツの違いだけ・・・あとはどこから見ても正真正銘のメイドさん・・・
これでタイトルの意味がようやく理解できました。
最初は着るのを抵抗していた千尋ですが、着てみると・・・これが結構似合うんです^^
こんな少年メイドなら悪くない・・・と思ってしまいました。
勿論アニメの世界だから成立する事だと思っていますけれど・・・

ここからメイドとしての生活が始まった千尋ですが、メイドというより「主夫」と言った方が適切だと思いました。
普段の口は決して良くありません・・・けれど、食事の量から他人の体調を気にしたり、好みを知ろうとしたり・・・千尋は根が真面目だからなのでしょう。
散らかし放題のお屋敷は整然とされ、昔ゴミ屋敷だった面影は微塵も無くなりましたし・・・

鷹取家の胃袋を預かる身となった訳ですが、学校や出された宿題をおろそかにしないのは千尋の偉いところです・・・
そういえば、円と千尋は血縁通し・・・ですが、外見も中身も全然似ていませんでした。
千尋は母親そっくりの黒髪ですが、円は金髪・・・
そして千尋は綺麗好きですが円は・・・
これは血の成せる業ではなく得手不得手も関係ありそうですね。

この物語は円と千尋のお屋敷での日常を主体に描かれていますが、どんなに千尋の少年メイド姿が可愛くても、1クールそれだけだったら流石に胸焼けしてしまいます。
そのため、この作品にはちゃんと華が設定されていたんです。

一番の華は何といっても牧野さん演じる凰 美耶子・・・
ちょっと世間知らずな一面もありますが、一途で真面目な女の子です。
何より「大切」な事に対して労を惜しまないのが好印象です。

でも・・・この作品には華のダークホースが存在するんです。
そのダークホースとは年長の花ちゃん・・・
お兄ちゃんと喧嘩して家を飛び出し千尋のところにやってきた花ちゃん・・・
ここまでは単に微笑ましい止まりなのですが、花ちゃんの可愛さに円が彩りを加えるんです。
これは流石に予想外・・・でも進化した花ちゃんは間違いなく最強系・・・
花ちゃんの進化っぷりは、是非本編でご確認頂きたいと思います。

千尋と円の日常生活・・・物語の終盤に差し掛かったところで思いがけないサプライズが用意されていました。
そのサプライズ・・・とってもあったかいんです。^^

思いが詰まっているから・・・大切だから・・・
そんな1年を過ごした千尋へのご褒美・・・だったのかもしれません。

オープニングテーマは、TRUSTRICKさんの「innocent promise」
エンディングテーマは、有頂天BOYSの「ずっとOnly You」
躍動感あるアニメとマッチしているオープニングに軍配です。
今度この曲もカラオケでチャレンジしてみたいと思います^^

1クール全12話の作品でした。肩肘を張らずに気軽に楽しめる作品だったと思います。
個人的にはお祖母ちゃんとの関係の行方まで描いて欲しかったのが本音ですが、こちらは続編に期待・・・して良いんでしょうかね^^?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19
ネタバレ

❣ユリア❣ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

働かざるもの食うべからず!

☆原作未読☆

~あらすじ~
僕のお母さんは突然天国に行ってしまった
しかし僕には他に家族や親戚もいない
この先どうやって過ごしていったらいいのだろう…
するとある日、知らない人が犬を怖がっていたので
助けてあげたら……

君の叔父です

いきなり言われたその言葉
それが僕、千尋のメイドの生活の始まりだったーーー

ほんわかコメディーです!

主人公は掃除が超超超大好きな男の子、なんと小学5年生です( ̄□ ̄;)!!
しかも家事万能!
小5で家事万能ってすごいですね!
超完璧にやってるし!

ツンデレですね(笑)超大人な男子!
でもかわいい♡
ってか女の子として見ちゃうくらいです(笑)
{netabare}
第3話、犬の飼い主……まさかの美耶子になったんですか(笑)
命名、餡太郎って(笑)おもしろかったです(笑)

1人でお留守番寂しそう…と思ったら、大掃除できるから嬉しい!って、すごいですね…
さすが家事大好き!(笑)

いきなりまどかが来て‥(*´∀`)なんですかあれ!?きゅんとしました♡
男の子同士‥‥ですがね…( ̄▽ ̄;)

女の子のお部屋かわいいですね☆

美耶子の家ってすごい豪邸ですね!庭が迷路っぽかったです(笑)
誕生日に家をもらったとか…もう桁違いですね(笑)

あと、ちーちゃんの猫耳かわいかったです!
OP歌ってる人、MVでメイドの服来てるみたいです
アニメのタイトルと合ってますね!

EDのキャラクター謎でしたが6話で分かりましたね☆竜児確かに短パンでした(笑)


11話すごい最終回っぽくて見てて少し悲しくなりました(>_<)でもすごくいい話でした♪先が読めない感じでした!

そして最終回!
なんかすごい!カッコいい(笑)おばあさんのことがビミョーでしたが…あとあのお母さんのは夢?幻覚??少し謎でした(>_<)
まあでも最後はちひろのお友だちも出来てたことですし、
終わり良ければ全て良し!また第1話の働かざるもの食うべからず!この言葉を忘れずにしていきたいです!
{/netabare}

ちひろが今後どうなっていくか、気になるので
ぜひぜひ原作も読みたいなと思います!

お掃除好き、ぜひご覧あれ♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

64.3 12 小学生で心温まるなアニメランキング12位
貧乏姉妹物語(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (249)
1456人が棚に入れました
「月刊サンデーGX」にて連載、かずといずみの癒し系コミック『貧乏姉妹物語』のテレビアニメシリーズ。父はギャンブルで借金を作って蒸発、母とは死別。そんな困難の中、まだ中学生と小学生のふたりっきりの姉妹“きょう”と“あす”が織り成す様々な出来事や日常を、季節を追って描いたハートフル・ストーリー。第1話「浴衣と花火とりんご飴の日」、

声優・キャラクター
坂本真綾、金田朋子、進藤尚美、小桜エツコ、麦人、平松晶子

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

お金では得られない幸せってありますよね。それって何処にあって、どんな事なんでしょうね?

2006年の作品です。”かずといずみ”さんの漫画作品が原作になります。


私、この作品で初めての体験をしました。だってオープニング始まって直ぐのナレーション時点で・・・・既に泣いてしまったのですから(笑)。これはあの泣きアニメの代表格みたいな”クラナド”でさえ体験しなかった初めての体験。あちゃ~、やってしまったか・・・って感じですね。


最初はね、なんだよ泣かせる気マンマンのお涙頂戴アニメかよ~って思いましたよ。だってベタベタに泣かせ所満載の設定なんですもの!でもね、全部を観終わって、あぁそう言う事じゃないんだな。そんな意図で作られた作品じゃないんだなって凄く強く感じました。なのでレビューを書いて、この思いを伝えたいなって思いました。

そんな訳で、以下例によって長~いレビューとなりますが、お付き合いをいただけますと幸いです^^


お話は10話で完結。割とお手軽にご覧いただけると思います。貴方のお時間が空いた時、ちょっとした隙間にご覧になってみてはいかがですか? きっと優しい気持ちになれると思いますヨ。


物語の主人公はお姉さんの”山田 きょう”さん15才(中学3年生)と、妹で9才(小学3年生)の”山田 あす”さんの仲良し姉妹。この2人の姉妹、可愛そう(本当は上から目線なので使いたくない言葉;)な事にとっても貧乏なんです。だって父さんはギャンブルで借金を作り、2人を置いて失踪。お母さんは病気で亡くなってしまっているんです・・・。だから2人の姉妹には両親が居ないの。
中学生のお姉ちゃんの”きょう”ちゃんが新聞配達や家庭教師のアルバイトを一生懸命こなし、節約に節約を重ねて、なんとか2人の姉妹は生活しています。2人でね、アパートを借りて暮らしているんです。ちょっと信じられない事ですよね。


2人は貧乏だから、ご飯にしたって普通のお肉がものすごいごちそうなの。100gで88円の特売品のお肉が高級品なんだって! 1本10円の大根、特売のほうれんそう。そういうものを一生懸命探して、時には雨の中、隣の町のスーパーまでだって走ってお買い物をして、お金を節約しています。

お姉ちゃんの”きょう”さんはとってもがんばり屋さん。おかあさんが亡くなる時、妹の”あす”さんを守ってね”ってお願いされたの。”きょう”さんは毎朝学校に行く前には早起きをして新聞配達、学校が終わってからも夕刊の配達と家庭教師のアルバイト。一生懸命働いて、けなげに家庭を支えます。そして未だ小さい妹の”あす”さんのお母さんになってあげたいって思っているの。自分だってまだ中学生だよ?だけど妹の為に精一杯背伸びして、強がって生きているの。
”あす”さんはそんなお姉ちゃんが大好き。まだ9才でアルバイトは出来ないから、ご飯の支度やお洗濯、お買い物をして家庭を助けます。9才の遊びたい盛りの女の子が、毎朝早くに起きてご飯を作るんだよ。学校の帰りも遊びに行く訳じゃなく、いつも一生懸命働いてくれているお姉ちゃんの為に急いで家に帰って夕飯を作ります。
こうして2人の姉妹は助け合って、2人で力を合わせて生活しているの。


私ね、貧乏って、お金が無い事って、とっても不幸せな事なのかなって思っています。だって欲しいものも買えないし、おいしいものも食べられないんだから・・・。

でもね、この物語の姉妹は貧乏を恨んでいません。お金がないからって決して惨めな気持ちで落ち込んだり、人を羨んだりはしないの。
だって彼女達はお金では買えない幸せをもっているんですもの! 

それは”姉妹の絆”。とっても堅い姉妹の絆であり、姉妹の愛。お互いがお互いを必要とし、信じ合って助け合って生きているの。お互いが元気で生きていける。2人がいつでも一緒に居られる・・・。それだけで2人は幸せなの。だから、それ以上に大切な物や、欲しいものなんか無いって思っているの。どんなに貧乏でも、決して不幸せじゃないんだよね、彼女達は・・・。


この物語は、姉妹の日常を通して”お金じゃ買えない幸せ”を教えてくれます。お金が有る事も確かに幸せ・・・。どんなに綺麗事を言ってみたところで、やっぱりお金が無くちゃどうにもならない事も(悲しいけど)事実。

でもね、お金じゃ買えない幸せがあるのもやっぱり事実。どんなお金持ちがどれだけお金を積んでも、決して買えない幸せは存在する。その幸せが、この物語の姉妹にとっては”姉妹愛”でした。


物語のラストでね、またしても私は号泣しちゃいましたヨ(笑) オープニングで泣いた時は”ベタベタの展開に引っ掛かって泣かされちゃった”って思ったのだけど、ラストでは素直に泣いちゃったかな。だって2人の姉妹がとっても愛おしく思えたんですもの。もう”泣かされてる”って感じはしませんでした。


幸いな事?に私はお金ではあんまり不自由はした事がありません。でも、毎日が満たされているかって言うと、自信をもってそうだとは断言出来ません。やっぱり何かが欠けてるっていうのかな・・・。いつも満たされない気持ちを抱えている・・・。

私にとって、お金じゃ買えない幸せってなんだろうな・・・。そして、それは何処にあるんだろうな。この作品を観て、そんな事を改めて考えてしまいました。











投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

渡る世間に鬼はなし

[文量→小盛り・内容→感想系]

【総括】
バイトで家計を支える、おっちょこちょいな女子中学生(姉)と、家事全般をこなす、しっかり者な女子小学生(妹)を中心に、二人の暮らすアパートの面々や、クラスメイトのお金持ち姉妹が織り成す、あったか貧乏生活。そんな日常系アニメです。

タイトルから受ける印象は、やや暗いものかもしれませんが、貧乏を苦にするような作品ではありません。むしろ、貧乏を楽しんでいる節すらあります。

「貧乏姉妹物語♨」「貧乏姉妹物語♪」のように、タイトルに温泉マークや音符でも付けると、ちょうどイメージに合って良いかもですw

飛び抜けた良さはないけれど、多くの人に勧められる日常系アニメです♪

(ちなみに、レビュタイですが、某ドラマのパロではなく、ちゃんとしたことわざです。意味は、「世間には無慈悲な人ばかりじゃない」。某ドラマがメジャーになりすぎて勘違いしている方もいるけど、むしろ、あっちがパロなんですよね)

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「世の中そんなに甘くねぇよ」と思ってしまえば、面白さなんてなくなる作品です。

良いじゃない、アニメでくらい夢みたって。貧乏だとしても、親がいなかったとしても、こんな素敵な姉妹や大家さん、ご近所さんがいたって良いじゃない。フィクションなんだから。

個人的には、大家さん(恐怖の大魔王)にガタガタ震える姉妹と、ホントは姉妹を孫のように思っている大さん(源三)との関係性が好きでした♪ ちょっとだけ、「アリスと蔵六」に似ていたかもしれません。

姉妹の百合ネタや微エロは不要だったかな、本作の場合。そこだけちょっとマイナスです。
{/netabare}

【余談 ~ 作中の貧乏川柳まとめ~】
{netabare}
作中にある、貧乏川柳が好き。ほっこりする。ネットには画像つきで転がってるんで、興味が出たらそっち見て下さい。絵がついてると、1発で作品の雰囲気が伝わると思います♪

「空腹が 世界一の 調味料」
「植物事典 丸暗記してある 食用の項」
「となり街 お肉のためなら 遠くない」
「山田家の ちょっとぜいたく タンポポコーヒー」
「グラム単位で 暗算練習 成績アップ」
「朝もやし ああ昼もやし 夜もやし」
「ちびた石鹸 集めて大きな 背中洗う」
「二駅歩いて ういたお金で お肉買う」

などなど。いずれも「貧乏を楽しむ」気持ちが伝わってきます。

「ホームレス中学生」を書いた麒麟の田村さんが、「幸福になるコツは、幸せのハードルを下げること」と言っていました。その通りだな~と。「楽しい顔で食べれば、皿一つでも宴会だ」と、スペインの詩人、ブルデンチウス(誰?)wも言っています。

「何」を食べる(する)かじゃない。「誰」と「どうやって」食べる(生きる)か、それが大切ということですね。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

とってなむ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本気で応援したくなる姉妹

その名の通り、貧乏な姉妹の物語です。
父は借金を抱え失踪、母とは死別…。
そんな過酷な状況下でも明るく元気に暮らす、
きょう(姉) と あす(妹) の姿に感動です。


貧乏を楽しむような姿勢を貫いているため、
ほのぼのとした癒し系作品に仕上がっています。
私も多大に癒されました。

そう、本作の魅力はここにあると思ってます。
厳しい貧乏生活であることに変わりはないのですが、
この日常を二人は楽しんで送っているので、
重い雰囲気にはならずに笑って観ることができました。


そして二人とも可愛らしい。
間違いなく、楽しく観れた要因の1つですね。
ドジだけど頑張り屋さんのきょう。
しっかり者で家事が得意なあす。
二人が合わされば怖いものなんて何もない!
と言わんばかりのたくましく生きる姿に感服です。


お互いがお互いを大切に想った姉妹間の絆のエピソードが多く、
この点が作品の主題なのだと、強く認識することができます。
そしてこれがとてつもなく良いものでした。

でも想いすぎには注意ですね。
きょうの妹溺愛っぷりには呆れるかも。
これがまた可愛いんですけどね。



OP「深呼吸」 歌ーSplash Candy
ED「そよかぜらいふ」 歌ー酒井香奈子

OPは風を感じる素敵な曲でした。
そして爽やかなOPに対してEDは可愛い曲。
『ぎゅっとぎゅっと手と手を繋いだら~ 明日もぜったい楽しいね♪』
のフレーズが作品にぴったしで印象的です。
頭に流れやすいメロディでもありますし。

酒井さんと聞くと何となく『REC』を思い出しましたが、
そういえばあの主題歌も可愛らしい曲でしたね。



総じて満足度の高い作品でした。
良エピソードが多かったように思えます。
やっぱ"絆"や"友情"をテーマにされると弱いです、私。

それとここではあまり触れませんでしたが、
金子、銀子姉妹の物語も楽しかったです。
2組の姉妹の交わりも見所かもしれません。


温かい気持ちにさせてくれること間違いなし。
笑顔が魅力の素敵な作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34

67.0 13 小学生で心温まるなアニメランキング13位
だれかのまなざし(アニメ映画)

2013年2月1日
★★★★☆ 3.9 (304)
1386人が棚に入れました
就職を機に一人暮らしを始めた社会人2年生の岡村アヤ、通称「あーちゃん」と、お父さん、お母さん、猫のミーさんが織りなすストーリー。野村不動産グループ「プラウドボックス感謝祭(2013年2月)」のオープニングフィルム。

声優・キャラクター
平野文、花村怜美、小川真司、遠藤璃菜、下崎紘史、石嶋久仁子、藤原由林
ネタバレ

はなび@虹色 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

忘れてしまっていた気持ちを思い出させてくれる作品です。

私なりに考えてみた、「だれかのまなざし」を楽しむための見どころ

・「生活感を醸し出す、日常の場面描写の細やかさ、巧みさ」
・「成長するにしたがって離れていく娘と父」
・「忘れてしまっていた気持ちを思い出す」

総評としての感想です。

劇場公開された「言の葉の庭」と同時上映された、
新海誠監督が制作した、7分44秒の短編アニメです。

現在は、新海誠さんのHPで無料公開されています。
http://shinkaimakoto.jp/manazashi

私はどうやら新海誠監督の作品に弱いみたいです^^;
優しい映像と語りと音楽、そして思い出補正にやられて、
たった7分の映画なのに涙がぼろぼろ。

この作品は大人向けの作品という感じがします。
とくに、社会人として一人暮らしをしたことがある方向け。
それ以外の人が楽しめないということはないですけど、
一人暮らしの経験がある人とない人とでは、
こみ上げてくる思いの深さがやはり違うんじゃないかなと思います

父と娘の愛情を描いた、
とっても、やさしい作品です。大好きです。

{netabare}
・「生活感を醸し出す、日常の場面の描写の細やかさ、巧みさ」

新海誠監督の作品ということで、
日常の描写がほんとうに細やかで繊細です。

一人暮らしの部屋の場面では、
脱ぎ捨てられた服、干しっぱなしの洗濯物、
積み重ねられたダンボール、ぬいぐるみ、
一つ一つを丁寧に描いて、
見事に一人暮らしの女性の生活感を演出しています。

もう一つ、私が唸ったのは成長の見せ方。
幼少期を描く際に、周りにつみ木や絵本を描き、
思春期に成長した次のカットでは、
iPodやヘアスプレー、ファッション雑誌などを描くことで、
生活の変化と同時に成長をも実感させる描写がうまいです!

日常の描写の細やかさ、巧みさはやはり非凡です。


・「成長するにしたがって離れていく娘と父」

成長していく過程で、
あーちゃんはお父さんからじょじょに離れていき、
お父さんはあーちゃんが自分から離れていくこと自体が、、
娘の成長だと喜びつつも寂しさを感じている・・。

ミーさん(語り)
親友として、ときには、母親代わりとして、
あーちゃんの成長を見守り続けて、
あーちゃんが成長してからは、お父さんのそばにいて、
家族を見守り続けていてくれた存在なんですよね。
平野文さんの語りがとにかくやさしいです。

あーちゃん
本当はお父さんのことが大好きなのに、
素直になれずにつれない態度をとってしまったり。
本当にいつからなんだろう。
子供の頃は確かに「私がお父さんを守る」って思っていたのに、
いつしか距離を置くようになってしまうのは。
本当はお父さんのことが大好きなのにね。

お父さん
あーちゃんに絶え間ない愛情を注ぐお父さん。
でも、父親からすると、思春期を過ぎた娘と接する時って、
どこか気軽に入っていけない壁のようなものが見えて、
距離を感じてしまうものなのかな。
家族なのに、愛しているのに、心の距離を感じてしまった時、
やっぱり、ものすごい寂しさを感じてしまうんじゃないかな。
お父さんって、辛いよね・・。お父さん。


・「忘れてしまっていた気持ちを思い出す」

でも、そんな2人をずっと見守ってくれていた存在がいたんです。
ひっそりと。でも、しっかりと。

それがミーさんだったんですね。

ミーさんは最後に、離れてしまっていた娘と父の気持ちを、
近づけて繋いでくれたんじゃないかと思います。

お父さんのために料理を作っていたあの瞬間、
あーちゃんは確かに思い出していたんです。

以前、学生の頃にお父さんに料理を作ってあげた時のことを。
お父さんのことが本当は大好きだということを。

それを思い出すきっかけをくれたのは、
他の誰でもなく、ミーさんだったんですよね。
そのことに、あーちゃんもお父さんも気づいていたんですね。

私、もうこの場面で号泣です。泣きまくりです!
{/netabare}

この作品は「大人向け」と先ほど申しましたが、
「忘れてしまったもの」がある大人の方が見てこそ、
この作品は「思い出させてくれる」んじゃないかと思うんです。

だから、社会人の方に見て欲しいなって。
あと、今まさに一人暮らしをしている方、
あるいは、これからしようとしている方に見ていただけると、
感動できる、深い思いがこみ上げてくる作品じゃないかなって思います!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あなたを支える…まなざしがそこにある|д・)ジー

◆新海誠監督作品 映画「言の葉の庭」と同時上映公開された
上映時間約6分半のショートフィルム作品…〆⊱*•ω•*⊰


どこか近未来的な色合いを含んだ街並み…
その先に映る淡く儚げな夕映えのコントラスト

この街の灯り一つ一つにも…きっとどこかでまた
今日も人々の暖かい営み、そして優しい時間で溢れていることでしょう☆*―



よし! あらすじはこんなとこで(o´Д`)Фフゥw
毎度毎度w 全くあらすじになってなくてかたじけねぇ(*;ω人)ゴメンネ…

えー、まず今作も
”あにこれ”に登録したがゆえ出会うことのできた作品でして
ご紹介頂いたたくさんのあにこれユーザーの皆さまには
あらためてお礼の意を申させて頂きます(人´∀`)


本作はたった6分強の短いショートフィルム作品ですが、
人情溢れた暖かい想いがいっぱい詰まっている作品でして
何分この手の作風に弱い私ですが、物の見事に、物の数分で…
思わず涙の垂れ流し状態に…。゚(゚´Д`゚)゚。”ヾ(・ω・`)ハナミズフイテネw

それくらいあっという間ににスゥーーっと気づけばそこに映る人々の
心情、気持ちにすぐに感情移入してしまいました(´Д⊂


人って成長して大きくなって大人になっていく上で…
いいえ…大人になった今も尚
色んな”大切なこと”…たくさん忘れていってしまうものなんですネ…

“絶対守ると心に決めたあの約束”も、”必ず叶えてみせると誓ったあの願い”も…

移りゆく季節、日々の暮らしの中ですっかり忘れてきてしまうもの―
そんな”大切なこと”をあらためて思い出させてもらった作品でした♪

本作が近未来風な描写で描かれているのは、きっと…
現代の私たちにそんな大切な気持ちをいつまでも忘れないでいて欲しい
という想いが込められているからなのでしょうネ:*:・(*´ω`pq゛


時に、現代を生き抜く私たちって…
ついつい慌ただしい毎日に追われては
頑張らなきゃって(p`・ω・´q) そーやって一人自分を奮い立たせては
自分なりに精一杯の日々を過ごしてみたりするのだけれども…

でもそんなくたびれた時には
ちょっと目線を変えてみるのもいいかもです(´―`*)ウンウン

あなたが過ごしてきたその後ろ姿は
きっと喜びや悲しみや寂しさやたくさんの思いで溢れていて…

でもちょっと振り返ってみれば、きっと
気づくことができるでしょう!! そこにある…優しいまなざしに♡

あなたの頑張ってるその姿も、寂しさに堪えきれず思わず涙してしまったことも

全部私知ってますから(*´ω`) 大丈夫ですよヾ(・∀・`)

あなたを支える、…まなざしがきっとそこにはあるのですから―



ちょ、そこーーヾ(`Д´*)ノ!!!! w

これ”ストーカー”の話しじゃないんだからネッヾ(・ω・`) n[◎]コω<`)パシャ☆
書いてて何だか妙に感じてたんですけど…w
絶対違うんだからネฅ`・ω・´)っ=
今回は割と真面目なレビュver.のつもりなんですからッ(`・ω・´)キリッw

まー本作未視聴の方からすれば、
相変わらず今日もkazuyanラリってるなぁヽ(((`∀´≡`∀´≡`∀´))ノ✰ฺ。・゚・
と思われることと存じますが…w


とにかく私は本作を視聴しながら
私の膝の上でぬくぬくとくつろいでいる愛猫の温もりが
いつも以上に暖かく、そして何よりも愛おしく思えてきて
こんな時間をこれかも、もっともっと大切にしていきたいな~ッて
そんな風に思えた瞬間でした―

見る人の心が暖かくなれる♪
そんな暖かい気持ちで包まれた素敵なひと時でした(*˘︶˘*).。.:*♡


カプ麺食べ終える暇もないほどの時間で
あっという間に手軽に観れてしまう作品ですので、
まだ未視聴のそこのあなたもよろしければぜひ☆・゚:*(人´ω`*)


もしかしたらあなたの心にも忘れかけていた大切な何かを…
思い起こせてくれるかもしれませんネ꒰✩'ω`ૢ✩꒱

投稿 : 2024/11/02
♥ : 50

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

共感するということ

新海誠監督作品。ショートアニメ。
娘の自立と子離れを経験する父親を題材にした作品。

感動した!何度観ても泣いちゃう!っていう意見の多い作品です。
普段自分たちが表に出せない感情が生のままに表現されているところに共感するのでしょう。
誰もが通る道であり、普遍性を持ったテーマを扱った点においては新海さんの目の付け所は良かったのではないでしょうか。
でもね、まあ例によって僕は欠片も面白くなかったのです。ということで批判します。ごめんなさい。
でもまあ感情的に批判したりしないので大丈夫です。

上でも言ったように扱ったテーマはアニメの題材としてちょうど良いサイズのものだったと思います。
それが長編であれ、短編であれ。
じゃあ何がってその描き方に問題があると思いました。
一番の理由はそれに使われる言葉です。
この作品では、まったく肉の付いていない言葉の数々が鳴り響いているだけで、
それは一体誰の何を語っているのかまったく掴めませんでした。隣の家から漏れ聞こえてくるテレビの音のよう。
登場人物たちの言葉もそれは同じです。岡村綾って、岡村浩司って誰なんでしょう。顔も思い出せません。
そこにいるのは誰でも良いように、誰もがその主人公になれるように作ったのかもしれませんが、そんな当たり障りのない空っぽな作品は観る価値がありませんし、まず訴えかけてくるものもないから観ていても何も感じません。
テーマに関して共感はしてもそうだよなあと頷いてもその作品自体は死んでしまっています。なにも広がりはありません。

テーマ=作品ではないですね。テーマそれ自体は現実世界にごく普通に転がっているものです。
アニメーション作品ならば監督が、それをどう作品の中で、物語の中で扱うかということを最も考えなければならないと僕は思います。
ではそれを本作ではどのように見せたか?
テーマに関してはありきたりな世間一般が使う言葉で、逆に言えば誰にでも分かる言葉で、
変に作り手の顔を出さず仮面を被った言葉で終始語っていきます。
あとは新海監督持ち前の「綺麗な絵」と「だれかのまなざし」という題目で猫目線にするという、言ってしまえば小細工でそんな風に見せていただけなのです。
うーん。「これで感動して下さい、どうぞ」と差し出されても困ります。おもわず手で頭の後ろを掻いてしまうかも。

もうひとつは人を取り巻く環境です。
なんであんなにハイテクな時代で描いたのだろうと僕は不思議に思います。
中高生の若い視聴者の目を引くのかもしれないけれど。
電話や綾の乗る車なんかももっと僕らの身近にあるものを使ってこそ共感ってものがあるのではないでしょうか。
あの生活に実感がわかないから全然わかんないです。
いったい何のどこを描いているんだろうって不思議に思ってしまいます。
電話は携帯や子機、それか受話器にぐるぐるがついていて、車はトヨタのカローラで、
父のマンションも最近の「モダンな」均質化されたようなデザインではなく、
手垢の付いた、あるいはどこか住みにくそうなところがあってこそ実感があるんじゃないかなーって思うのですが。

こうした空疎な映像作品であるからこそ、誰もがそこに入っていけるからこそ新海作品の味なのでしょうか。
それともテーマを差し出して観た人がこれをきっかけにだったり、触発材としてここから想像させるのが目的なのでしょうか。

まあ僕がこんなところでねちねち何を言おうが一番惨めなのは僕ですからね。
支持があって人気があるのだから人によっては素晴らしいものなのでしょう。
それならそれで良いと思います。僕も誰もが嫌うものを好きであることは珍しくないから。
失礼があったらすみません。あでゅー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

75.7 14 小学生で心温まるなアニメランキング14位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (266)
1227人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この小四男子が大人になるのが楽しみでなりません

原作SF小説は劇場鑑賞後に購読。

ボクは大人になったら保母さんと結婚するんだ。
或いは先生と、或いは看護婦さんとか……。

幼少期の園児、児童の中には、時折、
こうした未来を語るナマイキな小僧がおりますがw
あれは果たしてどういった心情なのでしょうか?

年上の女性に甘えているようで母性依存とは少し違う。
だからと言って恋愛のいろはを知っているわけでもない。
大人になってから初恋の相手は先生だったなどと吹かす人もいますが、
あれは恐らく初恋の域には達していなかったと見るのが妥当でしょう。

そして、思春期を経て、恋を知っていく中で
母性依存以上、初恋未満の経験は、いつの間にか霧散してしまう。
その時、少年の心や周囲に何が起こったのか?
についてはあまり語られることもありません。


本作はそんな幼少期から思春期に差し掛かる少年と年上お姉さんの青春を
生命進化史や宇宙観に絡めたジュブナイルSF作品。

歯科医院に勤務するお姉さんを結婚相手に決めている主人公少年。
彼がまた只者ではありません。

“人類代表”就任を企てる少年の野望は、
夢物語にとどまらず、形にすべく既に計画的に動き出している。

ノートに自身の課題と研究テーマを列記。
(しかもジャポニカ学習帳などのお子様向け文具ではない。
論理的思考やスケジューリングに最適な大人向けの外国製方眼ノート)
解決のためのPDCAサイクルを回して、
日々、着実に“エラく”なっている自負を得ているのです。

けれど、宇宙物理学の知見に触れたり、
一流のビジネスマン、研究者に匹敵する
メソッドを体現した天才児をもってしても、
ようやく知りつつある恋の甘酸っぱさについては、認識しきれない。

知識だけでは感じ切れない。
成長や性徴を経ねば分らない感情が確かにある。
少年の知的生活を強調することで
浮かび上がって来る青春という構図が誠にこそばゆいです。


鑑賞された方の中には、というより多くの方が、
こんなすました主人公少年なんているわけないだろうw
と思われたのではないでしょうか。

ただ、私の場合は、自分も幼少期、ろくに方程式も解けないクセに、
舌で乳歯をグラつかせつつ、
NHKでアインシュタインの業績を優しく解説する番組などを見て、
宇宙の真理を知った気になっていたナマイキなガキだったのでw
本作の主人公少年の言動には共感できる点も多々ありました。
(但し私も流石に、{netabare} 怒りの感情を和らげるために、おっぱいを妄想して幸せになる{/netabare}
などということはなかったと弁明はしておきますw)

SF展開も私好みで思索も捗り、久々に幼少期に戻った気分になりました。
嬉しさの余り……また、劇場版の説明だけでは納得できないこともあって、
鑑賞後、原作購入して延々と考察に耽っている内に、
この夏も終ろうとしていますがw後悔などは全くありません。
脳に清々しい汗をかくこともできた素敵な夏でした。


それにしても、この主人公少年は
これからまさに恋を知り、青春を知ることになるのでしょうが、
別次元とも言える思春期の純情を経た時、さらに大人になった時、
この夏の思い出はどう自己解釈されるでしょうか?
未熟だった自分にのたうちまわったりもするのでしょうか?
今から反応が楽しみでなりませんw


その他、主人公少年だけでなく、同級生の男子一名と女子一名もまた、
初めて知ってしまった恋の感覚に戸惑いながらも成長していく。
三者三様の青春も実にくすぐったかった。良作青春SF映画でした。


以下、ネタバレかつ超絶ロングな考察。

一応ノート形式を気取ってはいます。
眺めていても大した「エウレカ!」も来ない半端な代物ですがw
鑑賞後の思索等にお役立て頂ければ幸いです。

{netabare}
□ブラックホールとワームホール仮説と“世界の果て”

劇場版では、“世界の果て”は遠い宇宙の外ではなく、内側にあるかもしれない。
と示唆された程度でしたが、原作では、かなり多岐に亘る思索があります。

例えば、恒星が死を迎える際に重力で自壊するなどして
空間に穿たれるブラックホール。
光も音も時間や空間さえも飲み込まれ押し潰されると言うこの穴については、
その出口が別の宇宙へ通じているという仮説が提唱されています。

この場合“世界の果て”は外側の辺境ではなく、
内側のブラックホールに存在することになるのです。


□始まりと終わりを繰り返す万物

無から生じた宇宙の膨張と収縮。
混沌と秩序、生と死、進化と絶滅、眩しい朝昼と静寂とした夜、
輝かしい夏も四季が巡れば秋を経て、命が眠る寂れた冬を迎える。

全ては始まり、やがて終わり、また混沌とした始まりへと回帰していく。
本作では盛衰を繰り返す森羅万象という宇宙観が、
少年が知覚する周囲のあらゆる事物、体験にあてはめられます。


□宇宙と海の共通点

原作では海の神秘についても、さらなる言及があります。
深海に至っては並の探査船は圧壊する程の高水圧。まるでブラックホール。
そこにすら棲息する生命体は、宇宙のエイリアンを思わせるグロテクスクな外観。

光や音が地上と異なる性質を見せる水中においては、
さながら宇宙空間を想起させる不思議な非日常的な環境を与えてくれます。
宇宙飛行士も水中で訓練に励むのです。

劇場版では、さらりと流されたプールのシーン。
あのカットだけだと全裸で女子の前に浮上する
少年の奇行を強調するだけのネタシーンと化していますがw
原作だと、あの場面に宇宙と海をつなぎ合わせる感覚を読者と共有する、
貴重な水中体験の描写があります。

後で原作を読んでいて、一番これは映像化して欲しかったなと思ったシーンです。


□コーラと多元宇宙論

お姉さんが投じたコーラからペンギンが発生する。これも含蓄に富んだ表現です。

原始の海から発生した生命が鳥類まで到達する生命進化史の早回しとも解釈できますし、
私の場合は幼少の頃見た多次元宇宙論の泡宇宙のイメージ映像を思い浮かべました。

宇宙は単一ではなく、無数に存在していて、炭酸の泡の如く生まれては消えている……。
コーラの漆黒の液体に泡立つそれらがペンギンへと到達し、また元のコーラ缶に回帰していく……。
一連の描写は宇宙の性質も示唆しているように感じました。

いずれにせよ、ペンギンの発生と消滅もまた、万物の盛衰を暗示しているものと思われます。


□<海>とは何か?

ハマモトさんが発見した膨張と収縮を繰り返す不思議な浮遊球体<海>
この世界に開いた塞ぐべき“穴”との指摘からも、
また上記の考察からも、ブラックホール?と推測したい所ですが、
重力による星の潰滅に由来しないためか、万物を吸い込み圧壊する性質はない模様。

一方でワームホールの如き異次元空間への転移機能は有していて、
<海>の中では物理法則や時空も混沌としています。
劇場版でも“世界の果て”と形容された<海>
原作では加えて「カンブリア紀」の海とも再三強調されています。
多種多様な海洋生物が爆発的進化を遂げては消えていった……。
地球生命史でもっとも多くの可能性が繚乱した時期。

<海>はかの時代の如き混沌への回帰をもたらすのです。


□ペンギンの役割

ペンギンと言う鳥類はまさに生命進化史の天邪鬼。
海の生命が数億年かけて上陸を果たし、翼を獲得し、大空に羽ばたいた……。
その進化に逆行するようにペンギンは、空を飛ぶことをやめ、
翼をフリッパーに変え、生命の故郷である海に舞い戻り、生き生きと泳ぎ回る。
そのクセ、かつての陸棲から海の主と化したシロナガスクジラと異なり、
ペンギンは完全に海棲生物にはならない。
「ペンギン・ハイウェイ」と呼ばれるルートを通って
彼らは海から陸の浜辺へ帰って行くのです。

お姉さんが出すペンギンたちもまた、混沌たる<海>と呼応しながら、
完全に混沌に回帰することはない。
それどころか混沌を振りまく<海>を、
残された鳥類としてのアイデンティティたるくちばしで突いて消してしまうのです。

混沌に最接近しながら、秩序へ舞い戻って来る。
「ペンギン・ハイウェイ」は混沌に背を向ける者たちの進路でもあるのです。


□ジャバウォックの役割

……これには参りました。なにぶん『鏡の国のアリス』の記憶がないものでして……。
こんなキメラみたいな怪物いましたっけ?

で、結局、ウィキペディアなどを当てにする羽目になったわけですがw

その中で使えそうかな?と思ったのはジャバウォック退治が、
「言語の存立」を脅かす混沌を両断する比喩であるとの解釈。

陸に出張って来たクジラの如き風貌のそれは、
混沌から秩序を構築する営みを妨害する<海>からの使者。
混沌の穴を塞ぐペンギンにとっては
やはり天敵となる存在だと思われます。


□少年の成長に待ったをかける、混沌回帰の誘惑

少年はお姉さんを未来の結婚相手と決めている。
けれどそれは恋慕の感情を理解できていない、
母性依存以上、初恋未満の幼少期の未熟である。
少年が幼少期を脱し恋とは何かを知れば、
お姉さんとの関係は成立し得ない幼少期の夢想として霧散する運命にある。

生まれて成長していっても、人はやがては死に絶える。
万物はどーせ原始の混沌に戻っていくと言うのに、
遠くの海辺の街など目指す必要はあるのだろうか?

このまま成長もせず、恋も知らず、
将来お姉さんと結婚すると無邪気に思えていた頃の
甘い夢に溺れていても良いのではないか?

混沌への退行という誘惑は、
成長し恋を認識しつつある少年を惑わせ続けます。


□新興住宅街と子供のセカイとお姉さん&ペンギンの行動可能範囲

原作では、主人公たちが暮らす新興住宅地についても多くの言及があります。
少年が引っ越して来た時は、誕生直後の宇宙や原始の地球の如き静けさだった街が、
人口増加と共に活気を得ていく……。

星や銀河が繁栄した宇宙史や、多様な進化が花開いた生命史と重ね合わされた、
ビッグバンのようなエネルギーで膨張を続けるこの街には
お姉さんが出すペンギンの素材ともなり得る特別な力が宿っているのです。

さらに“世界の果て”は内側にあるかもしれないという論理は、
子供たちが行動し、探検できる範囲内に
“世界の果て”はあるという幼少期にありがちな夢想とリンクします。

海辺の街を目指すためにはこの住宅街を、子供のセカイを出て、
外に踏み出さねばならない。

そして奇しくも子供のセカイはお姉さんやペンギンたちが存在できるエリア。
ペンギン・エネルギーが届く範囲ともリンクするのです。



□それでも少年は海辺の街を目指す

混沌への退行という誘惑を振り切って、
少年は秩序を阻害する<海>を終らせる決断をします。

それは恋と知ってしまったお姉さんとの関係。
でも現状では叶わない子供と大人の関係。
それらを一度精算する辛い判断でもあります。

例え、万物がやがて無に帰すものであっても、
少年は進化を続ける存在として、成長を選択し、
内側の“世界の果て”に籠もるより、遠く外側にある“世界の果て”を目指すのです。
子供のセカイを出て、海辺の街へ……。

幼少期を脱して思春期へと、街の安泰と共に、
少年の成長は健全性を取り戻すのです。


□お姉さんの体調と<海>の膨張・収縮とハマモトさん

<海>の拡大と相関関係にあるお姉さんの体調。

加えて私には少年と同級の少女ハマモトさんとの関係も
関連しているように思えます。

ハマモトさんは少年に思春期の健全な恋を体験させるキーになる登場人物。
ハマモトさんと<海>の研究を開始する前は拡大期にあったと言う<海>。
お姉さんも割と元気でした。

この辺りにの関連性についてもデータを整理すれば面白いのでは?と感じています。


□お姉さんの正体と役割

結局、私にとっては、これが一番の謎として残りました。

物体からペンギンを生成する人知を越えた存在であったお姉さん。

世界が混沌に飲み込まれるのを防ぐため生まれた異次元人か?
はたまた、主人公少年がお姉さんと結婚するという夢想が、
夏の終わりに彼女の引っ越しにより霧散する……。
という現実がまずあって、
そこからSFファンタジー方面へ派生した幻想がペンギンを出すお姉さんだったのか?
なかなか明確な答えが見出せません。

ただ、一つ思うのは、お姉さんは素敵な女性であったということ。
幼児、児童の結婚願望を向けられて、
軽くあしらうでもなく、中途半端に悪ノリするわけでもなく、
論理的に思考し研究する少年の可能性にかけて、
自身の謎を課題として提示するという形で、
少年が自力で思春期への成長へ踏み出す契機を与えた。

私は彼女の言動を好意的に受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 36
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』

アニメ化もされた『夜は短し歩けよ乙女』、『四畳半神話大系』などの森見登美彦による原作小説は、角川文庫(角川書店)で書籍化(原作未読)。第31回日本SF大賞受賞。
アニメ映画は、119分(2018年)。監督は、『陽なたのアオシグレ』、『雨を告げる漂流団地』などの石田祐康。制作は、同監督の作品の他に『泣きたい私は猫をかぶる』、『BURN THE WITCH』などのスタジオコロリド。
(2024.3.29初投稿、3.31一部推敲、「考察を踏まえた感想」を追記)

以前から気にはなっていたものの、感想が人によって結構違うし抽象的。こういう作品は、経験上、刺さる人にだけ刺さるものが多く、自分に刺さるかまで観る前にわからないので躊躇していた作品。が、某レビュアーさんの勧めもあって観始める。

観終わった直後の感想としては、確かに、これは感想が人によって結構違ってきそう。なぜなら、本作には、大きく分けると「現実の話」と「夢のような話」という柱が2つあると感じたからです。
(これを補強する劇中の要素としては、本作に登場する「ジャバウォック」がルイス・キャロル作『鏡の国のアリス』の中で語られる怪物であるということ。なので、本作は、意識的に『鏡の国のアリス』の「(アリスの)夢のような話」と「現実の話」がごちゃまぜになった感じを描いていると思われます。例えば、冒頭のシーンである近くに海のない閑静な住宅街に南極周辺にしか生息しないはずの愛らしいペンギンが群れているという景色も、そういう感じですよね。)

その柱の1つ目である「現実の話」の中心は、本作の主人公であるアオヤマ君の「ぐらつく乳歯」、「にがいブラックコーヒーを我慢して飲む」、「セクシーな年上のお姉さんに憧れる」といったアイコンが示す「大人になりかけの少年のちょっと背伸びした恋」。
おそらく、ここに関する感想が人によって大きく異なることはないでしょう。なぜなら、誰しもが多かれ少なかれ大人への通過儀礼として「現実」に通った「道」(一本道としての「ペンギン・ハイウェイ」)でしょうから。

問題は、もう1つのSF要素のある「夢のような話」の方。
「アオヤマ君は、“お姉さん”がふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。『この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?』」(公式のSTORYから引用)という問いが、アオヤマ君と同時に我々にも投げかけられている。

そして、その謎については、劇中で明確な答えらしきものが提示されておらず抽象的な表現にとどまっている。
したがって、その解釈についての具体的なイメージや、そのイメージをどう具体的に説明するかは、その人の個人的な経験などが色濃く反映されることになるため、人によって大きく異なってくる。また、抽象的なだけに色々な解釈の余地があるとも思いました。


とはいえ、考察好きとしては、綺麗なお姉さんに挑発されたんじゃ黙っていられないということで(笑)、これから「ネタバレ全開で考察」していこうと思います(以下、興味のある方のみ、お付き合いいだだければ幸いです。)。


【「お姉さん」とは?】
{netabare}そもそも「お姉さん」には名前がないので、抽象的な存在であることが匂わされています(※マンションの表札も見えない)。
したがって、それだけでも「お姉さんは具体的な存在を持った人間ではない」といえそうです。

これを「現実の話」の文脈で考えるなら、特定されていないので、男の子の憧れの存在として、みんなが想像する「お姉さん」のアイコンという意味も含まれているのでしょう。

そうなると、問題は、やはり「夢のような話」の文脈における「お姉さん」の存在理由(正体)でしょう。


【「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係】
これを考えるには、まず「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」と「お姉さん」との関係を解明する必要がある。

結論からいえば、これらはすべて「海」から生まれた存在(もしくは、結局のところ「海」と同じもの)だと考えます。

「お姉さん」は、「ペンギン」と「ジャバウォック」を生み出すことができる。そして、「お姉さん」は「ペンギン」をたくさん生み出すと疲れることから、「ペンギン」は、「お姉さん」自身がエネルギーを消費して生み出したことになります。また、「ジャバウォック」は、「お姉さん」が「この世界に未練があった」ことから無意識に生み出された存在でした。

さらに、「海」から離れると、「ペンギン」も「お姉さん」も存在できなくなるという描写、「海」の膨張と収縮に「お姉さん」の元気が連動しているという描写から、「お姉さん」は、「お姉さん」が「ペンギン」を生み出したのと同じように、「海」から生み出されたものだという推測ができます(もしくは、結局のところ、目的に合わせて形を変えて生み出されただけであって、本質的にはすべて同じものなので連動しているとも考えられます。)。

加えて、2002年にスティーヴン・ソダーバーグ監督によって映画化された、ポーランドのスタニスワフ・レムによるSF小説『ソラリス』に「海」が出てくる(ここで『ソラリス』がいきなり出てきますが、劇中でアオヤマ君がスズキ君をからかうためについた嘘が「スタニスワフ症」でした。)。

この『ソラリス』、簡単にいうと、惑星ソラリスの衛星軌道上にあるソラリス・ステーションで、そこにいないはずの人間が現れるという奇妙な現象が起こり、その謎を主人公が解明していくというお話。そして、その謎の人間は、{netabare}そこにいた研究員の記憶をもとに「海」が生み出した人間のコピーでした{/netabare}。

という本作の元ネタから考えても、「お姉さん」は、「海」が生み出した存在だといえそうです。{/netabare}


【「海」ってなに?】
{netabare}じゃあ、「海」ってなに?って話になると思うわけですが、結論からいえば、元ネタの『ソラリス』から考えても、「海」とは、我々では完全に知覚・認識できない「未知の存在」(高次元の存在、地球の意志、ライフストリーム(FF7)、神、宇宙人、オーバーロードなど)なのだと思います。


もっとも、「未知の存在」では説明になっていないので、もう少し考察を進めるなら、劇中で、アオヤマ君は、「海」について、時空を歪めるので、この世界に存在してはいけない「穴」みたいなものだと言っています。

また、物語の終盤に、お姉さんとアオヤマ君が「海」の中に入ると、そこには我々の世界と似てはいるものの違っているようにも見える異世界が広がっていました。

そうすると、この「穴」は、SFでは定番設定ともいえる「ワームホール」ということになりそうです(そんなものをアオヤマ君が生身で通過できるのかについては、真面目に考察しない方向で(笑))。


【「穴」の存在理由】
では、そんな「穴」がなんであるのかという話になってくる。

「穴」を修復するために「お姉さん」によって生み出された存在が「ペンギン」でした。だから、「ペンギン」は「海」を破壊しようとする。

もっとも、「お姉さん」が生み出した「ジャバウォック」は、「ペンギン」を食べる。これは、「お姉さん」がペンギンを生み出す理由と矛盾するのですが、「お姉さん」がこの世界に未練があり、修復が完了すると目的を果たして消えてしまうため、無意識に生み出されてしまった存在のようです。
(また、「お姉さん」が「ペンギン」や「ジャバウォック」を生み出せることは、「海」と同じ存在としての「生命の母」のメタファーということになりそうです。そうすると、いやらしい意味ではなく、母性のアイコンとして「お姉さんのおっぱい」を強調することにも意味が出てきます。)

じゃあ、「ペンギン」・「ジャバウォック」と「穴」はどういう関係なのか。

ヒントは「ジャバウォック」にありそうです。なぜなら、こいつは怪物なんですが、実は『鏡の国のアリス』では存在が語られるだけで実際に出てこない。だから、形が決まっていない。そこで、本作のジャバウォックをみると、異形ではあるものの、その原型は「クジラ」だと思われます(実際、一部の歯クジラはペンギンを捕食します。)。

そして、先程の「ペンギン」。実は、クジラとペンギン、この2種には共通点がある。

それは、進化の過程で、海から陸に上がって、再び海に戻ったというところ(劇中でも、終盤でそういった内容がイメージされるシーンがある)。また、ペンギンは海から餌をとり、クジラはペンギンを食べるという食物連鎖がある。
さらに、「海」のあった森は、円循環するように空間が歪められていました。あと、「海」にあたると人工物が自然に戻されるような描写がある。

そこで、これらは、あえていうなら「全ての生命はその母である海に戻る」、「円循環」、「万物の流転」のアイコンといえるでしょうか。

そうすると、上で書いたように、結局のところ、「海」と「ペンギン」と「ジャバウォック」は本質的に全部同じものだと考えられるので、これらは、「海」という1つの意志に従っていると考えられる。
そして、上で導いた「全ての生命はその母である海に戻る」が「海」の普遍的な意志なのだと推測できます(「海」に意志がないとみるなら、「相対性理論」のような普遍的な法則でしょうか。)。

したがって、「未知の存在」である「海」は、人類が円循環から外れそうなので、「穴」によって人類を「海」の普遍的な意志である「全ての生命はその母である海に戻る」を強制実行(人類にとっての、終末思想、地獄、最後の審判、終わり、死、世界の果てなど)しようとしていたと考えられます。


【「穴」と「お姉さん」との関係】
その強制実行に際して、「お姉さん」は、その「海」の意志を地球で実現するための「代行者」、「天使」、もしくは、その判断の正しさを担保するための「審判者」として「海」に用意された存在だったといえそうです(なぜなら、「海」を消滅させる能力、すなわち、強制実行を中止する能力を持っていた。)。

そうすると、「お姉さん」は、人類代表の賢いアオヤマ君が円循環の「道」(「ペンギン・ハイウェイ」)から外れることなく、破滅の道を選ばないと判断したことになりそうです。

もっとも、今後、アオヤマ君が努力を怠れば、再び「穴」があくかもしれないですし、ペンギン・ハイウェイの先にいるはずの「お姉さん」をどう解釈するかは、「海」を具体的にどう解釈するかによっても変わってきそうです(例えば、「海」を神と考えるのか、宇宙人と考えるのかなど)。

このあたりは、個人の宗教観なども関わってきそうですし、これが正しいなどと言うつもりもないので、参考までに見ていだければ幸いです。{/netabare}


【「お姉さん」の記憶は本物か?】
{netabare}あと触れておきたい謎としては、「お姉さん」がもっていた記憶の謎でしょうか。

まあ、「お姉さん」自体が人間ではないので、彼女自身が経験した本物の記憶ではないでしょうね。

もっとも、元ネタである『ソラリス』で「海」が他人の記憶をコピーして人もどきの存在を生み出していたことから考えると、別の誰かの実際の記憶のコピーである可能性が高い。例えば、かつて海に飲み込まれてしまった人の記憶などでしょうか。{/netabare}


【考察を踏まえた感想】
{netabare}劇中で、唐突にアオヤマ君の妹がお母さんが死んでしまうと泣いていたり、お父さんが「世界の果ては意外と近くにあるかもしれない」(つまり、「海」の存在の暗示)といっていたりするので、何か意味があるんだろうとは思ったんです。

しかし、抽象的な話なのでそもそも難しいとは思うのですが、他の劇中の要素をあわせても「穴」の存在理由を導くには、「未知の存在」に対する興味といった正の要素が強く恐怖といった負の要素が弱いと感じたので、ちょっと遠いかなあというのが率直な感想です。文字では気にならなかったであろう部分も、映像として解像度があがると、その分の情報量を足す必要が出てくる。

出しすぎるのも論争のもとになるのですが…、もう少し映画監督として色(自己流の解釈)を出しても良かったのかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界は研究すべき”不思議”で満ちている!

原作:「ペンギン・ハイウェイ」既読
 著:森見登美彦
  (代表作「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」等々)

『他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことである。一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりもえらくなる。…今日計算してみたら、ぼくが二十歳になるまで、三千と八百八十八日かかることがわかった。そうするとぼくは三千と八百八十八日分えらくなるわけだ。…えらくなりすぎてタイヘンである。…結婚してほしいと言ってくる女の人もたくさんいるかもしれない。けれどもぼくはもう相手を決めてしまったので、結婚してあげるわけにはいかないのである。
 もうしわけないと思うけれども、こればかりはしょうがない。』(原作抜粋)

毎日学ぶことをモットーに、日々ノートを片手に世界に対する研究を重ねている優秀だけどちょっとスケベな愛すべき阿呆小学生の主人公と、謎多きお姉さんを中心に据えた、不思議なファンタジーSF作品。

森見作品にあるまじき優秀な小学生が主人公であるが、内在する阿呆さは”らしい”主人公でもある。美しい「お姉さん」の不思議な力に関する研究を進めていく中で生まれた謎が謎を呼ぶ作品であり、青春を感じさせる爽やかな作品でもあった。

途中冗長気味で、退屈に感じられる部分もあったが、総じて森見さんの描き難いオリジナリティーあふれる不思議な世界観を、精一杯うまく映像化していることに大変満足できた作品であり、面白さ、熱さ、美しさ、そして切なさが見事に融合された良作であったと思われる。
(ちなみに自分は泣きました。アオヤマくんは泣かないことにしているのに…。)

森見ファンはもちろん、ちょっと変わったアニメ映画が観たいなら、ぜひともチャレンジしてみてほしい作品である!

以下項目別ネタバレ付き感想
{netabare}
物語:4.5
 森見×上田誠は心配の必要なし。
 謎が謎のまま残ったことを残念に思う意見が散見されるし、その意見には大いに共感できるが、この不思議な世界を説明するのに十分な言葉はこの世に存在しないと思うし、誰もが納得する答えはきっとない。
 世界に空いた穴である<海>”広がる世界の果て”を埋めるためのペンギンであり、そのペンギンを生むお姉さんはきっと人間ではなかった。<海>がなくなれば<海>エネルギーで存在しているペンギンやお姉さんは消えてしまう…。主人公が立てた仮説はこんなところであろう。そして、主人公以上にお姉さんの真理に近づいた人間もまたこの世にはいない、とどまるところ現状人知では手には負えない問題なのである。
 これらは原作において”素敵な”父の言う「解決しないほうがいい問題」であり「理不尽なこと」であった。

 ただし、ぼくは決してあきらめていない。

『ぼくは世界の果てまでたいへん速く走るだろう。みんなびっくりして、とても追いつけないぐらいの速さで走るつもりだ。世界の果てに通じている道はペンギン・ハイウェイである。その道をたどっていけば、もう一度お姉さんに会うことができるとぼくは信じるものだ。これは仮説ではない。個人的な信念である。』

声優:3.5
主人公「アオヤマくん」を演じたのが北香那。演技がぶれずに想像以上にフィットしたキャスティングであった。
お姉さんは蒼井優。こちらは評価が分かれるかもしれない。演技力は流石であったが、アニメ声に毒された自分には、もう少し綺麗な声であててほしかった気がする…。
ウチダくんは釘宮であったこともあり、可愛すぎかよ!もしかしてヒロインよりも…なんて思ってしまったり。
その他お父さんを演じたのが西島秀俊…!棒演技ではあったものの、暖かい声はやはり素敵であった。

キャラ:4.0
アオヤマくんとお姉さんは安定として、脇を固めるキャラ達も素敵であった。ハマモトさんなんて可愛いじゃないか!
個人的には原作からお父さんがお気に入りだったりする。
いじめっ子のスズキくんと一緒に遊べるようになったのも良かった。

作画:4.5
素晴らしい。難しい世界観を見事に映像化しているし、演出も申し分なし。

音楽:4.5
主題歌は宇多田ヒカルの「Good Night」。最高にマッチしていて、エンディング中に席を立つ人が極端に少なかったように感じた。

最後にぼくとお姉さんに明るい未来があることを祈って、原作の最後の素敵すぎる文を引用したい。

『ぼくらは今度こそ電車に乗って海辺の街に行くだろう。
 電車の中でぼくはお姉さんにいろいろなことを教えてあげるつもりである。ぼくはどのようにしてペンギン・ハイウェイを走ったか。ぼくがこれからの人生で冒険する場所や、ぼくが出会う人たちのこと、ぼくがこの目で見るすべてのこと、ぼくが自分で考えるすべてのこと。つまりぼくがふたたびお姉さんに会うまでに、どれぐらい大人になったかということ。
 そして、ぼくがどれだけお姉さんを大好きだったかということ。
 どれだけ、もう一度会いたかったかということ。』

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

65.9 15 小学生で心温まるなアニメランキング15位
ピアノの森(アニメ映画)

2007年7月21日
★★★★☆ 3.8 (189)
1221人が棚に入れました
町外れの「ピアノの森」で育った少年カイの物語。はじめは楽譜すら読めないカイが周囲を取り巻く人々によりピアニストとしての才能を開花させていく過程を描いている。
主な登場人物 [編集]

声優・キャラクター
上戸彩、神木隆之介、池脇千鶴、福田麻由子、宮迫博之、田中敦子、松本梨香、田中真弓、天野ひろゆき、ウド鈴木、黒沢かずこ、高田純次
ネタバレ

♡Sallie♡☆彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

行こう,森へ。

こちらは漫画が原作のアニメで,原作の方は読んだことがないものの,存在は知っていました。
―というのも,昔天才ピアニストと称された牛田智大くん(だったと思うんだよなぁ。まだ子どもだった)がインタビューでテレビを観ないとか言ってて,有名な芸能人とかも知らないものだからインタビュアーの男性(スタッフ)が漫画は読まないのか聞いていたんですね。
で,そこで唯一だったかうろ覚えですが,あまり漫画を読まない彼が何を読むのか気になったスタッフが「何を読むんですか?」って聞いたときに答えていたのがこちらの原作で,スタッフは漫画さえもピアノ関係のものなのかって感じで絶句していたのが印象的で覚えていました。
アニメ化していたのを知らなかったのですが,テレビでやっていたのでこの機会に古い方(映画の方)から観てみることにしました。

結論からいうととても良かったです★
正直森の中にピアノがあるっていうことしか知らない状態で観始めたので,その幻想的な設定から勝手にファンタジーだと思っていたんですよね。
主人公が小学生というのも知りませんでした。
きっと森の中にあるというピアノに出会えるのはピアノが好きだとか,楽しもうとか,うまくなりたいとかそういうポジティブな気持ちをもっている時だけで,スランプに陥ったり,誰かと自分を比べて妬んだりするようなネガティブな感情のときに森に行ってもピアノには出会えないんだろうなって…。
そういうファンタジックな設定なのかと思っていました。
特に,初め雨宮くんがピアノを弾こうとしても音が出なくて,でも海くんはあっさりと音が出せたから,彼はこの森のピアノと仲良しなんだなって。
でも違いましたね。
{netabare}あのピアノは森に捨てられたもので元は阿字野先生のものだったとは!!
登場人物がストリップがどうとか言っていたのが,(本当の意味での)シュールでした。{/netabare}
ただ,あの森のピアノは雨ざらしだし調律もされてないのになんで壊れてないのはもちろんメロディーを奏でられるの!?ってとこはやっぱファンタジー要素もあるのかな。。
{netabare}ファンタジー要素としてはカイくんにモーツァルトが見えるってとこかな(笑)。
しかも日に日に増えていくんですよね。どこか見覚えのあるモーツァルトが。
あの描写は可愛くて好きでした。
コンサートの最後キンピラバージョンのモーツァルトの靴が学校の上履きになっているのが化けの皮がはがれている感じがして細かいなって(笑)。{/netabare}
ファンタジー好きとしてはちょっと拍子抜けではありましたが,それを差し引いてもとても素敵な物語だと思いました。

キャラクターが良いんですよね。
わたしのお気に入りはやっぱりカイくんです。
ただこの物語の主人公は雨宮くんだと思って観ていたので,エンドクレジットで海くんの名前が1番上だったのに驚きました。
この映画だけが雨宮くんが主人公っぽい描き方をされているだけで原作はそんなことないんでしょうか??
わたしは雨宮くんが主人公の方が良い気がするけどなぁ。。
雨宮くんは小学生らしくない雰囲気を持った子で「(当時の)牛田智大くんっぽいなぁ」と思いました。
髪型オールバックとかおじさんかよ(^-^;
けど,カイくんと雨宮くん,性格も家庭環境も真逆と言っていい2人がピアノという繋がりをもって友達になっていく様が凄く良いなって感じました。
雨宮くんはきっと裕福な家で育ってピアノに関しても英才教育を受けているような子。
対して海くんは森でピアノに出会ってただピアノが好きで弾いているだけの子です。
なのに才能っていうのは時に残酷ですよね。
雨宮くんが弾けない森のピアノを難なく弾いてみせたときの海くんはファンタジーではないのに凄く幻想的に描かれていて見入ってしまいました。
あのとき弾いていたメロディーも神秘的な感じがして,いつもケンカばかりしている粗暴な小学生男子が弾くものとは思えないなと(^▽^;)
雨宮くんも海くんのピアノの才能を知ってか知らずかピアノをきちんと習うことを勧めるところは,「彼も根っこの部分ではピアノがとても好きなんだな」と感じました。
ピアニストとしては将来自分のライバルになってしまうかもしれないって打算的に考えてしまうかもだけど,ピアノを愛する者として,森でピアノを弾く彼の姿を見てしまったらカイくんにもピアノをきちんと習ってほしいって思うのは自然な感情だと思いましたし,そういうところが真面目で良い子だなって思いました。
カイくんは悪ガキって感じではあるんだけど,貧しい家庭環境にありながら,根はとても優しい子なんだなって見ていると分かります。
お母さんがまだ若くてきれいな人だから,彼のこともきっと若くして産んだのだろうなと推察しましたが,シングルマザーで生活も苦しくともカイくんを愛情いっぱいに育てているんだなとも思いました。
あとは阿字野先生ですね。
初め阿字野先生が登場したときはただの小学校の先生だと思っていたので「この先生,小学校の先生向いてないよ。何で先生になったんだ??」って思いました。
けど観ていくうちにこの先生も良いキャラクターだなと。
{netabare}彼の過去はとてもつらいものなのでここで言及するのはやめておきますが,カイくんの扱いをみていると「この人子どもの扱い分かってるなぁ」って(笑)。
ピアノから完全に離れても良かっただろうに,彼が小学校の先生をやっているのが分かった気がしました。{/netabare}

キャラクターデザインはけっこう好きです。
でも如何せん2007年のアニメなので全体的な絵というのか画質というのか―が古い感じはしましたね。
こちらは原作漫画の他にTVアニメも作られているそうで,そちらのキャラデザもちらっと見たのですがわたしはこっちの方が好きだなぁ。

そしてボイスキャストですね。
メインキャラクターは俳優さんたちが演じてますね。
少し前のアニメ映画って俳優さんをメイン起用するのが多かった印象です。
カイくんは上戸彩がやってるんですが,わたしは微妙だと思っちゃいました。
―というのも,思いっきり女性の声なのでわたしは初め彼のことをボーイッシュな女の子だと思っちゃったんですよね。
原作をきちんと読んでいれば…あるいは前情報だけでも入れて観始めれば良かったんですが,彼が女の子だと思っちゃったのでカイくんがクラスメイトに馬乗りになられて殴られているのにはびっくりしてしまいました。
いや。男の子だから良いってものでもないんだけどさ。
少年っぽい声が出せる俳優さんか子役,もしくは本業の女性声優さんは少年の声がデフォルトで出せるみたいなので(笑),そっちの方が良かったんじゃないかな~。
神木隆之介くんはとても良かった♪
某動画共有サービスのコメント欄でアニメは声優さんが演じた方が良いけど,彼だけは例外―みたいなニュアンスのコメントを読んだことがあって「ふむふむ。そうなのか」ってその時は思っただけだったけど,今回確かにそうだなぁと思いました。
阿字野先生は最初棒だなぁと思ったけど,そういうキャラだと思えば気にならなくなりました。
でもエンドクレジット見て「え。そうだったの!?」って驚きました。
こちらはお笑い芸人の方たちがけっこう出ていますね。
ダメじゃないけどさ~。
このアニメに限ったことではないけど,やっぱり基本的にはアニメは声優を本業でやられてる方をメインにした方が良いと思いますね。
アニオタ的な感覚なのかもだけど,主役やメインキャラクターは俳優さんで脇役が声優さん…とかはもやっとする。
職業に貴賤なしっていうじゃん!?!?
ある俳優さんがとある声優さんの演技を「立体感のある演技」って言ってたのが印象的で,俳優さんはやっぱ表情とか身体の動きありきなんですよね。
まぁそこが凄いところでもあるのだけど,アニメとなるとちょっと物足りなくなっちゃう。
TVアニメ版は声優さんが演じているみたいなのでそっちも観てみるつもりです。
ただキャラデザがこっちの方が好きだから,全体的な良さはこちらを超えられない気がしています(;^ω^)

音楽の評価は森でカイくんが弾いたメロディーがとても良かったから★4にしてますが主題歌はピンときませんでした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ピアノの神様に選ばれた10歳の少年の物語

この作品が初公開されて10年以上の歳月を経て
2018年の春クールにNHKでテレビアニメ化されるということで
嬉しくて3年ぶりにレビュー追記します。

この作品がきっかけで原作を読み始めました。

原作は全26巻ですが、完結するまで1998年-2015年の18年間という
長い年月を経て熟成されたヴィンテージワインやギターのような
深い味わいに感動の涙が...。

途中、長期休載、連載誌移籍、不定期連載など波乱万丈な作品でしたが
有終の美できれいにまとめた原作者のプロ根性に頭が下がります。

この映画はそんな物語の序章のようなもの。
しかしその序章だけでも心の琴線に触れるものが多かったのです。
詳しくは以下に。

2015.04.28 16:02に投稿したもの(加筆修正あり)
{netabare}
<大好きな作品のひとつ>

初めて観たのは2008年頃、レンタルDVDで。
某映画ランキングサイトで高評価だったので視聴。

原作未読で内容に関する知識は白紙の状態で観始めました。
天才的なピアノの才能を持つ主人公、一ノ瀬海(いちのせ かい)の魅力で
上映時間100分などあっという間。
物語のテンポが良く、予想外に笑える場面もありすごく面白かった。

ジブリ作品のように役者やタレントさんを多数起用していますが、
不満や違和感のあるキャストは一人もいなく、
エンドロールで初めてキャストを知ってびっくりしたほど。

レビュー書きたくなったのは、
2014年10月-2015年3月放送の「四月は君の嘘」を視聴して、
いろいろ被るものがあるこの作品を思い出し、
また観たくなって再鑑賞したため。

今回は原作既読済みでしたので、
とっても上手く原作の贅肉を削ぎ落としていて、
主人公と生涯のライバルであり親友との出会いと成長が
しっかり描かれた秀作になってるとあらためて実感しました。

<原作は青年漫画『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』>

第12回(平成20年度)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。
代表作『花田少年史』で知られる一色まこと女史の作品。
掲載誌は当初『ヤングマガジンアッパーズ』(講談社)にて連載。
途中、同誌廃刊のため『モーニング』(講談社)に移籍。

1998年から連載開始。以後、長期休載、不定期連載などもあり
連載スタートから17年後の2015年4月現在、既刊は25巻。
なので、1巻と25巻を見比べると作画の進化を如実に感じられます。

25巻では主人公は17歳。
滞在2か月のポーランド、ショパン・コンクール編に決着がついて一段落。

<この映画は2007年制作>

TVアニメ版『花田少年史』も担当した小島正幸氏が監督。
(2014年4月~7月には『ブラック・ブレット』を監督)
カイの小学校編の途中まで、原作1巻から6巻冒頭の回までを描いています。

<カイと雨宮修平>

生涯の親友でありライバルとの初めての出会い、
修平転校までの3か月間の交流が描かれ、
カイがピアニストとして覚醒し、後に世界を目指すところを暗示して終了。

シンプルな王道サクセスストーリーに引き込まれます。

<阿字野壮介(あじのそうすけ)>

カイの初めてのピアノの師匠になる元天才ピアニストの描き方が
原作よりもスマートにかっこよく描かれています。

阿字野は、交通事故により婚約者を亡くし、
自身もピアニスト人生を奪う生涯治せぬ傷害を
左手に負ってしまい魂の抜け殻状態だった。

しかし彼とカイは、森に捨てられたピアノを介すことで絆が結ばれ、
お互いの人生を変えていくことに。

カイを掃き溜めから救い、ピアニストの才能を伸ばすことで
阿字野自身も魂の抜け殻状態から救われる。

映画ではその序章といったところ。

<日に日に増えるモーツァルト>

弾けないなら楽譜返せと、カイに迫りくる幻影。これには爆笑!!
彼の脱皮と成長と共に消えていく様が何度観返してもいいです。

<ウェンディと便所姫>

カイとコンクール会場で出会う出場者の一人の女の子とのひと時の交流。
ここもかなり笑えます。この映画で一番好きなシーンです。

原作の性描写や児童虐待とかのシーンはかなり省かれているので
子供から大人まで安心して楽しめるのでかなりオススメします。

完結こそしてませんが、2007年時より原作ストックもかなり溜まったので
ぜひテレビシリーズ化を検討して欲しい作品ですね。


と書いた後、2015年12月末に最終第26巻が出版され大団円、大感動で完結。
さらに2018年4月よりNHKでテレビアニメ化されました。
そちらのレビューも投稿する予定です。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

. さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ピアノに選ばれた少年の物語

全編に美しいピアノの音色が響き渡る、とても素敵な作品です。音楽好きの方ならピアノの音色に心奪われ、そしてそうで無い方もこの音色にはきっと癒される事と思います。


原作は漫画です。本作では主人公である海(カイ)君の小学生時代のエピソードを書いたものになります。この作品をご覧になり、もし気に入っていただけたのでしたら、是非とも原作の漫画も読んでいただく事をお勧めいたします。とても面白い作品ですので^^


自由奔放でやんちゃな性格である主人公の”一ノ瀬 海”君。彼は幼い頃より、近くの森にうち捨てられたピアノに触れて育ちます。毎日ピアノに触り、時にはピアノの上で寝泊まりし、彼の生活にピアノは溶け込んで行きます。そして彼は誰に習うわけでなく、いつしか我流でピアノを弾きこなす。天才・・・。彼は天才。そしてピアノに選ばれた人間。

そんな彼に友達が出来ます。東京から転校してきた”雨宮 修平”君。彼はピアニストの家系に育ち、そして自身もピアニストになる事を目指し、日々厳しい練習に明け暮れる毎日。”雨宮 修平”君は森にうち捨てられたピアノを弾く”一ノ瀬 海”君の演奏を聴き、衝撃を受けます。なるべくしてピアニストを目指す自分に持っていない物を持つ”一ノ瀬 海”君の演奏。聴く物を引きつけ、感動させる演奏・・・。2人はこの日から生涯のライバルとなる事を運命づけられます。


本作品では”一ノ瀬 海”君と”雨宮 修平”君がピアノコンクールで競う場面までが描かれます。ピアニストの家系に生まれ、サラブレッドとして育った”雨宮 修平”君。彼はその環境に満足する事無く、日々厳しい練習でピアニストになると言う夢を掴もうとするいわば”秀才”。
そして全てが我流であるが、ピアノに選ばれた天性の才能を持つ”天才”である”一ノ瀬 海”君。コンクールでは、お互いが全力を出し合い、そしてお互いを認め合いながら静かな戦いがきって落とされます。

本作品の最高の見せ場がこのコンクールのシーン。
自分の本当の演奏を見つけられず、コンクール本番中までも悩み続ける”一ノ瀬 海”君。彼は果たして本当の自分の演奏を見つけ出し、そしてそれを演奏する事が出来るのか?答えは彼のピアノの音色が教えてくれます。


主人公の”一ノ瀬 海”君役には上戸彩さん。ライバルの”雨宮 修平”君役には神木隆之介さん。その他にも池脇千鶴さん、福田麻由子さん等々有名人が声優として出演しています。製作はマッドハウスさんが担当。相当力の入った作品です。これで良い作品が作れない訳がない?

肝心のピアノ演奏及びミュージックアドバイザーには世界の巨匠である”ウラディーミル・アシュケナージ”さんが参加。ピアニストとしてはショパンの演奏で有名な彼ですが、彼の演奏はとにかくテクニックが凄い!音色が凄い!そしてその音色は怖いまでに美しい。彼が演奏するメインテーマである”Forest of the Piano”はクラッシックファンの方にはとにかくお勧め。彼の演奏は天才”一ノ瀬 海”を表現するのにぴったりと言えます。

エンディングテーマは女優であり、そしてピアニストでもある松下奈緒さんが歌う”Moonshine ~月あかり~”。なんとも美しく、切なく優しい、本作にピッタリとマッチした神曲です。

画像も綺麗ですね。特に森の中で佇むピアノの描写が素晴らしい。パッケージ絵となっている、森の中で木々の間からの日差しに照らされるピアノ。とても幻想的で癒されます。


素敵なピアノの音色に包まれ、そして観る物を引きつけるストーリーを持つ本作。疲れた心を癒す清涼剤になってくれる事と思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

73.6 16 小学生で心温まるなアニメランキング16位
花田少年史(TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (196)
960人が棚に入れました
近所でも有名な腕白小僧、花田一路は悪戯を叱る母親から逃げようと道路に飛び出し、車にはねられてしまう。頭を9針縫いながらも、奇跡的に助かった一路であったが、これ以降なぜか幽霊が見え会話出来るようになってしまう。そして様々なオバケ達が生前の未練や願いを果たすためにと、自分たちと会話可能な一路の元にやって来て無理難題を押し付けられる事となった。

声優・キャラクター
くまいもとこ、桑島法子、矢尾一樹、田中真弓、野沢那智、竹内順子、久川綾、伊倉一恵、永井一郎、ゆきのさつき、井上倫宏、真殿光昭、松本梨香、山口勝平、小林沙苗、堀勝之祐、大原さやか、金月真美、高山みなみ、田中秀幸、かないみか、たてかべ和也

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

笑って泣けるハートフルコメディの名作

☆物語&感想☆

カラーテレビが普及しだした頃の昭和の田舎が舞台で、
ある日車にはねられた事をきっかけにおばけ(霊、生霊)が見えるようになった主人公一路のもとに、
あの世へ行けない霊や生霊が助けを求めてやってくる、という内容の物語。
基本1話~3話完結のエピソードで全25話。

成仏できない幽霊を助ける…となると「あの花」のようなあからさまに泣かせる系の話か、
と構えてしまうところではありますが、
基本的に主人公の一路は非協力的で、とんでもない悪ガキ(糞ガキ)なのが他作品とは異なるところ。
どのエピソードも中途半端なギャグアニメ以上に笑えるコメディでもあるので、
あざとい感じはそれほど受けません。

まぁ幽霊のお願いもシリアスなものもあれば、結構ライト!?なものまであって、
泣かせるエピソード一辺倒というわけじゃないところも飽きさせなくて良いですね。
後半は特にどれも感涙必至な珠玉のエピソード中心ですが、
前半8話の童貞のまま死んでしまった織田の話は異色で、かなり笑えるもので自分は好きですね。

一路の悪ガキぶりだったり、母ちゃんのお仕置きなど、
今ならちょっと放送コードに引っかかりそうな描写も結構ありますが、
当時は今ほど規制とかうるさくなかったんでしょう。
結果的に昭和の時代感がとてもよく描かれていてノスタルジーを感じる所でもあります。

この作品が幅広い年齢層に高く評価されているのは、
笑って泣ける物語で、昭和のノスタルジーを感じる作風だということは明らかですが、
一貫しているのが、親子だったり恋人同士だったりの愛に溢れた普遍性を描いていること。
花田家の面々を観ていても、家族の温かみを感じない人は居ないでしょう。

☆声優☆

主人公一路を演じた、くまいもとこの好演が何と言っても見事ですね。
これほどこの役に嵌るキャスティングはなかなか見つからないでしょう。
また、一路以外にも花田家の面々の演技も素晴らしい。
母寿枝役はどっかで聴いたこと有るなぁと調べてみると、ドラゴンボールでクリリン、
今はワンピースのルフィを演じているんですねぇ~感慨深い。

徳次郎役の野沢那智さん、数々の名優の吹き替えをされてた方ですが、
アニメで思い出すのはあのスペース・コブラ。
もうずいぶん前に亡くなられてたんですね。。

その他各エピソードのゲスト声優も今となってはベテラン揃いの実力派ばかり。

☆キャラ☆

主人公一路の最初の印象が悪すぎてかなりイラッと来ましたが、
観ているうちに慣れ、家族や友達、幽霊との関わりを通じて、
回を追うごとにちょっとづつ成長していく様が見て取れたのが良かったですね。

花田家の面々は個性豊かで演技の良さも相まってかなり笑わせてもらいましたね。
いつも一路を叱っている母寿枝の一路を思う気持ちに涙。
一路にアプローチしてくる霊たちも、バラエティに富んでいて飽きさせませんでした。

☆作画☆

クレジットを見てみると回によってはかなり少数精鋭で制作されたことが判りますが、
キャラデザインが今風の絵柄じゃなく、アクション的にもそこまで派手な場面も多くないので出来たんでしょうね。
ただ表情の描き方なんかはしっかりしていて、手抜き感は感じられません。

高く評価したいのは何より背景&美術の方。
これがとても淡くノスタルジックで素晴らしい出来。
2002、3年の作品ですが、デジタル環境が整った現在のものと比べてもかなり質が高い。
もしこれから観てみよう、という人が居たら背景、美術に注目して観ると良いと思いますよ。

☆音楽☆

OP,EDがバックストリート・ボーイズの楽曲が用いられているのが意外ではありますが、
曲自体は作品に合ったもので違和感はありません。
まぁこれだけ素晴らしい作品なので、やはりこの作品のために歌詞から作って欲しいなぁとは思いますが、
作中BGMの方は絶品。
アコースティックな楽器、生音に拘った温かみや懐かしさを感じるもので、
曲数はそこまで多くないながらも素晴らしい出来、しっとりと染みますねぇ。


内容に難しさはないものの、
昭和のノスタルジーを感じるという意味では、
ある程度大人の方がより感慨深いのではないかと思います。
作画、声優、音楽、クオリティはマッドハウスの本領が発揮された素晴らしいもので、
今時のアニメファン以外の一般層にもオススメして間違いない、名作なのは言うまでもありません。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

絵柄で敬遠しないで。隠れた名作ですよ。

<2020/10/26 初投稿>
原作は一色まことさんの1990年代の漫画。
原作好きでした。
アニメの本放送は2002年だそうですが、アニメ化されてることすら気づかず、数年前の再放送で初めて視聴しました。


時は昭和30〜40年頃。
舞台は日本のとある田舎町。
主人公は悪ガキの小学生「花田一路(いちろ)」

ある日、いつものようにイタズラがばれた一路は、追いかける母ちゃんから自転車で逃げ回り、挙げ句に三輪自動車と出会い頭に激突!
するとどうしたことでしょう。
一路はなぜか幽霊が見えて話せるようになってしまいました。

本作はここから始まる「一路とお化けと生きてる人たちが織りなす、笑えて泣ける物語」です。

そうなんです。
本当に心の底から笑えて、
心の底から泣けたんですよ。

一色まことさんの漫画はかなりクセのある個性的な絵柄。
でもめちゃくちゃ「上手」。
コマ割りも台詞回しも読者に十分伝わりながらも余分が何もない。

そしてキャラクター。
表情も仕草も、まるで漫画のコマの中で生きているよう。
一路はもちろん。
各エピソードのゲストキャラやゲストお化け。
レギュラー陣の一路の母ちゃん、父ちゃん、姉ちゃん、爺ちゃんと子犬のジロ、幼馴染みの男の子と女の子。
他にも同級生や近所のババアなど。

みんなみんな、命が吹き込まれ、「生きて」いました。

さらに凄いのは。
本作は1話完結で原作では12エピソードあったのですが、似たようなエピソードが一つとしてないこと。
お化けと人間の話なので似た話が繰り返し出てきそうなところですが、それがない。
そしてどれ一つとってもレベルが高い。

ジロとの出会い、ちんちんジジイ、ハムカツ、ひまわり、瀕死、ゴンパチ、そして倫子などなど。
どのエピソードもハズレがない。
ハズレなく笑ったり、感動したり。

一色まことさんは真のストーリテラーだと思います。

さてアニメの方ですが。
アニメではこの珠玉の原作を高いレベルで再現し、動かしています。
2002年の4:3比率の画面とは思えないハイレベルな高品質。
(ただ、原作の表現力があまりにも高すぎて、原作ファンの私にはそれでも少々物足りなかったり)

声優も花田一路役のくまいもとこさんを始め皆ぴったり。
ちなみに一路の家族は
お母ちゃんは海賊王になる予定の人
お父ちゃんはZZのパイロット
お爺ちゃんはスペースコブラ
お姉ちゃんは七代目火影
と最強一家です。

OPとEDはなぜか洋楽。
それも"あの"Backstreet Boys。
よく許可取れたよな。
でもなぜか少年・一路と麦わら帽子の映像にマッチしてたり。

と、長々と冗長にいろいろ書いてきましたが。
まだ観たことない、というそこのあなた。
本作はオススメですよ。
キャラデザは確かに可愛くないけども、それも3話目ぐらいで慣れます 笑。
もしよかったら一度、ご視聴チャレンジしてみてくださいませ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

Tnguc さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

【お気に入り】 正真正銘、笑って泣ける作品

~
「クソガキ」を絵にかいたような少年・花田一路(はなだ・いちろ)は、可愛げの「か」の字もないようないハナタレ小僧で、どうしようもないトラブルメーカーでした。ある日、事故をきっかけに後頭部に九つの縫い跡を持ってしまった一路は、幽霊が見える特異体質になってしまいました。という話。
この作品は、そんな少年一路を中心とした花田家のドタバタギャグの一面と、様々な幽霊との出会いが生み出す感動ドラマの側面があり、他の作品にはない特殊な二面性を持っています。ギャグの部分については、とにかく一路たちのクソガキらしさが前面に出ているので、やっていることは心底下らない感じです。でも不思議と微笑ましさすら感じる面白さがありました。きっとそれは、どんなに下品なやりとりだとしても、その根底には「家族」という素朴な温もりがあるからだと思います。もう一つの側面である幽霊との物語は、幽霊が見える体質であるばっかりに、色んな幽霊から未練の代役を頼まれてしまうのですが、その中には、しょーもない未練を依頼する者や、大切な人との別れをお願いする者など、様々。とにかく幽霊の依頼内容が多種多様のため、ある時はコメディになったり、ある時はヒューマンドラマになったりと、物語のバリエーションがとても豊富です。最後まで飽きることはありません。
この作品は「浦安鉄筋家族」と「夏目友人帳」を合体させたような作品で、登場人物や作風自体は「浦安鉄筋家族」、設定や物語は「夏目友人帳」を彷彿させます。普通に考えると、この二つの作品は噛み合いそうにありませんが、実はその通りだったりします。幽霊メインのドラマが始まると、一路が蚊帳の外になったりして、主人公にも関わらず舞台装置のような扱いになったりしていました。それでも、時には笑い、時には胸が温かくなるような、一粒で二度おいしい作品であることに変わりはありません。

物語:★★★★☆
・本文参照。個人的にメロンとクリスマスプレゼントの回がお気に入り。
作画:★★★★★
・水彩画のような背景が素朴な雰囲気を演出しています。
声優:★★★★★
・有名な声優が多いけど、普段とは違った演技が見れるので新鮮。
音楽:★★★★☆
・バックストリートボーイズは今だからこそノスタルジックに聴こえてしまう不思議。
人物:★★★★★
・子供がみんな生き生きとしています。桂ちゃんが可愛い。

個人的評価:★★★★☆ (4.0点)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

65.5 17 小学生で心温まるなアニメランキング17位
未来のミライ(アニメ映画)

2018年7月20日
★★★★☆ 3.2 (230)
868人が棚に入れました
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんが出会ったのは、未来からやってきた妹、ミライちゃんでした。このちょっと変わったきょうだいが織りなす物語。それは、誰も観たことのない、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした―

声優・キャラクター
上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ちょっとした奇跡がつながってつながって、今の私達がいる。

『バケモノの子』に続く、
細田守監督の長編作品。

細田監督の作品の中では、
『時をかける少女』が一番好きです。

8月ごろに劇場で見てきました。
(レビューは書いていたのに、投稿が遅くなりました^^;)

大きくない会場でしたが、満員でした。

少し遅めの時間帯だったからかもしれませんが、
大人しかいませんでした。(年齢層はバラバラ。)

もっと子どもが多いかと予想していましたけれど。
でも内容は確かに子ども向けではないかな。笑

100分ほどの作品です。


● ストーリー
4歳のくんちゃん(♂)に妹ができた。

妹・未来(みらい)の世話に追われる両親に対し、
くんちゃんは寂しさを感じる。

むしゃくしゃする気持ちから、
わがままを言ったり、未来に意地悪をしたり。

そんな気持ちで中庭を通ると、
不思議な世界と不思議な人たちに出会った。


細田監督の作品には
現実世界に溶け込んだファンタジー設定が多い気がします。

今回もそうですね。

くんちゃんは中庭を通して、
家族の未来や過去に触れます。

そんなこと、
現実世界ではありえないファンタジーですが、

出会った人たちから教わったことを自分の行動に活かしていく様子は、
ただの4歳児にも見えます。成長だねえ。

ただ、これまでの作品で感じた
“どうなるかわからないドキドキ”という点からは
遠かったように思います。

むしろ、刺激を期待せず、
日常系作品だと捉えたほうがいいぐらいですw

育児に奔走する両親と、
両親の愛が欲しいくんちゃんの、

ちょっと慌ただしいけれど、
振り返ってみると、幸せと奇跡が詰まった日常。

そんな中に、少しのファンタジーを織り交ぜて…
という物語でした。


≪ 脚本ではなく、絵で魅せようとしていた? ≫

だけどごめんなさい、
私には物足りませんでした。

それはドキドキな冒険を期待していたから、
というのもあると思うのですが…。

くんちゃんは不思議な体験を、
日を置いて何度も体験するので、
短編集のようにも受け取れる作品です。

ひな人形のエピソードは、
嫌いではないのですが、
やたらと時間がかけられていたような。

飽きてきたなーと思い始めたところに、
{netabare} 無駄に緊張感を持たせた、だるまさんが転んだのような、スローモーション。 {/netabare}

それほど重要でも見せ場となるシーンでもないのに、

「私達は大きなスクリーンで何を見せられているの?」と
なんだかあきれてしまいました^^;


しかし、作画はきれいだったしこだわりも感じられたし、
全体的に力が入れられているのが、よく伝わってきました。

キャラの表情も豊かというか、顔芸というかw

今回の作品では、脚本よりも、
こうした絵で魅せようとしていたのかな?

描きたかったシーンやキャラの表情を、
楽しんで描く。

それがこの作品の源なのだとして、
こちらもそれをわかった上での鑑賞であれば、
もうちょっと楽しめたかも。笑


● キャラクター
甘えん坊の4歳児、くんちゃん。
いやーこの年頃の男の子はかわいいですね(*´Д`)ハァハァ

だけど、わがまま全開、駄々っ子全開。笑

愛するには、
難しいキャラですw

お母さんもお父さんもたくさん出番がありますが、
よくある両親キャラだし…。

未来ちゃんはかわいかったですが、
かわいいというだけで、特別なインパクトもないし…。

キャラで評価できるのは、
ひいじいちゃんぐらいかしら?

馬もバイクも乗りこなすひいじいちゃん、かっこよかったわー!
彼の起こした奇跡も素敵♪

cv.福山雅治なのは、気付きませんでした。
エンドロールで驚いたw


● 音楽
【 OP「ミライのテーマ」/ 山下達郎 】
【 主題歌「うたのきしゃ」/ 山下達郎 】

どちらも、なんだか懐かしさを感じるメロディ。

穏やかな2曲で、
この作品にも合っていたと思います♪

私は主題歌の方が好みかな^^


● まとめ
つまらなさや怒りを感じるほどではないですが、
全体的に平和なストーリーでした。

少なくとも、
「よし、観るぞ!」と意気込んで見るタイプの作品ではありません。

この作品を観終わった頃には、
子どもの成長を大らかに受け止められる気がする…そんな作品でした^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

不愉快です。クズ夫婦にイライラします。ネグレクトは虐待です。

 マイナス100点。最悪の映画です。

 子育てに大事なのは願いではありません。子供は勝手に育ちます。親の願いで育つことはありません。親ができることは危機回避と背中を見せることだけです。親が子供に願いだすと、それが暗黙でも言葉や表情、行動に現れます。絶対にやってはいけません。元気で健康に育ちますようにですら、病気が見つかったら、障碍者になったら失敗になります。子供のすべてを受け入れなければいけません。
 それで子供が逃げ出したり歪んだりする小説やアニメなんて沢山見てきたでしょう。このアニメは何を考えているのでしょうか。

 子育てに大事なのはスキンシップです。クリエーターで子育てものを作るなら心理学くらい確認しろ、と言いたいです。4歳くらいの男児ならネグレクト(放置)も虐待です。ましてあそこまできつく当たるのって何なんでしょう。陰でいくら愛してるといっても、子供に伝わらなければ意味がありません。何よりスキンシップ、特に母親との肌のふれあいが無い子供は不安定になります。

 母としてなぜあそこまで子供に冷淡になれたのでしょう。嫉妬で新生児に電車を振り上げても自制できる子供が、あそこまで傷ついているのです。我が子を追い込んだ自分を省みることができない、ということは仕事のレベルも推して知るべしです。しかも外に飛び出した子を追いかけもしないで。

 平等に愛情を注ぐように気を付けていてもどうしても妹に手がかかってしまう、という感じが全くありません。完全邪魔者扱いです。何かに気がついたり心配するそぶりも見せません。1場面くらい反省らしきことを言っていますが事の重大さも認識していないし、真剣に悩んでいる風にも見えません。
 入れ替わりで産休に入る人がいたって、子供が大切ならそんなのは会社の責任で何とかすればいいし、在宅だってできるでしょう。自分が全部正解みたいなツラで仕切るな、と言いたいです。

 今の時代ですから、仕事に出るなとはいいません。いや、推奨すべきなのでしょう。が、仕事をやっている奴がそんなに偉いのか?夫の批判をしているけど、お互い様という考え方はできないのか?と思います。
 本当に子育てに優先することが、仕事にはあるんでしょうか。食わなければいけないのはわかりますが、折り合いがつけられないのでしょうか。
 
 夫は夫で、自転車で補助輪を外して頑張っている我が子を放っておいて、あれはないでしょう。母親もフォローもしないし。犬に対しても同じだったということは、そういう性格なのでしょう。生活を考えない使い辛い家を作ったり。

 これって、庭の木が見るに見かねて助けてくれたってことでしょう。父親らしさも母親らしさも皆無です。若夫婦の奮闘記にしても、レベルが低すぎます。そもそも若くなさそうだし。35歳、精神年齢10歳にしか見えません。設定は良く知りませんが。

 まったく感動も感情移入もできませんでした。というか不愉快でした。



22年8月 評価見直し中。極端な評価や感情的な部分を補正。初回見たときの印象と改めて旧作と比較したときの点数の補正など。

 冷静に考えるとあのバイクの爺さんだけはキャラが良かったのでキャラとストーリーにちょっとずつ点数入れます…が、やっぱり良い感情がもてない映画なことに変わりありません。

 なぜかと言えば、夫婦が変わらないで、子供が木の力を借りて自分自身の旅で救済を得たからです。夫婦側でも旅があり何かを悟って間違いに気が付くならいいんですけど。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

くんちゃん、すきくないの

主人公は4歳の男の子「くんちゃん」。
くん付けで呼ぶと"くんくん"になってしまう危うい名前をつけられた彼の元に、ある日、妹「ミライちゃん」が現れる。
新しく家に来た赤ちゃんに両親はかかりきになってしまい、嫉妬感でイライラが募ってしまったくんちゃんは、妹に癇癪を起こしてしまいこっぴどく叱られる。
誰にも相手してもらえず、わかってもらえない状況に疎外感を感じたくんちゃんは、一人庭に出たところ、自分を飼い犬の「ゆっこ」だと名乗る男が現れる。

幼稚園生の男の子からの目線である一般家庭の情景描写をしながら、新しい家族のあり方と子供の世界の広がりを描いたアニメーション作品。
幼き日の妄想のような異世界が登場し、そこで犬のゆっこや、成長したミライちゃんを名乗る女性と冒険をするストーリーとなっています。
監督は『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』でおなじみの細田守氏で、カンヌ国際映画祭での受賞作品ですね。

ただ、内容は海外においても賛否があります。
子供の目線で家族のあり方を描写し、不思議な冒険に、と書くとシンプルに映るのですが、その実は結構な意欲作となっています。
構成は複雑で、結局言いたかったことは何かがファジーで分かりづらく、かなり哲学的な内容と言わざるを得ないです。
ストーリーが進むとくんちゃんは、両親の子供の頃や自分のルーツ、曽祖父の決意を目の当たりにして子供ながらに"お兄ちゃん"としての自覚を持ってきます。
ただ、過去の辛い時代を知って今は恵まれていると知るというシンプルな話ではなく、やはり最終的には、私にはよくわからない話でした。
興行収入は奮ったものの、世間の評価も今ひとつのようです。

また、その年令の男の子という設定なのでかくあるべきという話ではあるのですが、とにかく、くんちゃんがわがままです。
それは狙いだったのかもしれないのですが、主人公に魅力がなく、多分、多くの人は見ていてイラつくと思います。
一方で、赤ん坊のはずのミライちゃんは、なぜか超絶大人しく、こっちはとてもファンタジーを感じました。
赤ん坊なんて在宅で仕事しているお父さん一人でなんとかなる存在じゃないだろうに、なぜか泣くシーンが殆ど無いです。
ミライちゃん以上にくんちゃんがわがままを言い、仕事中の父の邪魔をして、癇癪を起こして部屋を散らかすので、終始、くんちゃんへのフラストが溜まる作品だったと思います。
反面教材として親が子供に見せるといいのかもしれないですが、やっぱり子供が見てもドン引きするんじゃないかなあと思います。

ラストも結局どうなったのかよくわからない終わり方でした。
一方で、過去作と比較して良かった点として、やっぱり声優で芸能人を起因しているのですが、今回はそれほど違和感を感じなかったですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

69.1 18 小学生で心温まるなアニメランキング18位
赤ちゃんと僕(TVアニメ動画)

1996年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (153)
865人が棚に入れました
交通事故でママを亡くした拓也は、忙しいパパの代わりに幼い弟・実の面倒を見る毎日。おかげで友達と遊ぶ事さえ出来ない。次第に戸惑いとイラだちを募らせていく拓也。そんなある日、パパを駅まで迎えにいく道々、「このまま実がいなくなったら・・・」などと考え事をしていた拓也は、本当に実を何処かに置き去りにしてしまったことに気づく。

声優・キャラクター
山口勝平、坂本千夏、宮本充、渡辺美佐、優希比呂、亀井芳子

あぱぱ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

忘れてほしくない物語

CLANNAD AFTER STORYのレビューする前に書きたい作品。

2018年現在で視聴するならばDVD-BOXを購入するのが手っ取り早い。
しかし私はVHSからパソコンへ動画変換して保管するくらい
この作品が大切な存在になってます。
ノイズが混じっていようが構わない。

物語はショートストーリーの日常ですが、綺麗に話は収まっています。

最初に作品を視聴した時に感じたのは
「家族に関心がなかったり、両親が健在な人には無縁かな?」と。

しかしその頃の私も若かったので、歳を重ねて視聴するたびに
手放せない作品であることに気づきました。

作品で色々なキャラクターが言う台詞が、非常に重みがあるのです。
それも視聴する人の生き方次第で受け止め方が毎回変わってきます。
現実生活を振り返って反省させられたり、想い方が変わってくる台詞です。

もともと私は涙腺が緩みやすいのですが、今回視聴した時は
最初から最期までタオルがないとダメでした。
(泣かずに済む話もあるのですが、ほとんど無理です)

私の勝手な気持ちですが、子供が嫌いな人や相手の痛みが理解
できない人には見て欲しくないです。

正直なところ、この方々の気持ちに響くものがなければ
得られるものがない物語だと感じています。

それでも私は多くの人に何度も視聴してほしい作品の1つです。

(余談)

人が相手を叱る気持ちと相手を大事に想う気持ちは一緒だと感じています。
この感情がお互いに伝わりづらいので、ぶつかり合いながらも
お互いの気持ちをもっと確かめ合うコミュニケーションがたくさん
必要ではないかと思っています。

ニュース報道される残酷なDVなどを耳にすると、いつもこの作品の
台詞が頭をよぎります。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

横浜ゆう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

みのるっ!めっ!

原作も見てます。今頃ながらコメします。

母親が幼い弟と自分を残して先立ってしまう。
父と主人公が幼い弟と共に生きていく。そんな話です。

重すぎる話ではありません。
途中途中、実が笑わしてくれます。
兄弟ってこんな感じだよな~って感じます。

主人公の拓也の母親を亡くした気持ちが伝わってきます。
悲しくて寂しくて、でも、弟がいるから。
僕はお兄ちゃんだから・・・

アニメではあんまり泣きませんでしたが、
兎お兄ちゃんは別です・・・アニメでも泣いた。
兎お兄ちゃんは原作の方が号泣モノ。

原作は号泣してしまい、目の前が涙で溢れ見えなくなり、
全部見るころには涙と嗚咽と鼻ミズと共に
ティッシュがひと箱くらいなくなりますから。

アニメで興味を持った方は、是非とも原作をみてください。
YOUは、もぅ神曲ですね。聞いてるだけで涙が止まりません。
条件反射で涙が出るようになりますから・・・

アニメで原作の最終回をやってほしかったですねぇ。
子供が兄弟で絶対必ずやってしまう事・・・それが・・・

知りたかったら原作も併せて読んでください。
読んで良かったと。永久保存版漫画に必ずなります。

アニメは、結構ほんわか話をメインに持ってきてるような?
そんな感じがしましたが、良い作品です。

素晴らしい作品をありがとう

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

R子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

このアニメの価値はストーリー。

少し前のアニメで、古臭さがあるものの、ストーリーは秀逸。

主人公である拓也と弟の実は母親を亡くし、父親との3人暮らし。
まだ小学生で遊び盛りの拓也は、一人で家事や弟の面倒を見なければならないことに不満をつのらせることもある。

ところで、同じく男兄弟で小さい弟の面倒を見るというアニメに「学園ベビーシッターズ」がある。私は「学園~」の方を先に視聴し、「赤ちゃん~」を見た。
「赤ちゃん~」の方が主人公(兄)が幼いということもあり、弟を時に疎ましく感じ冷たく突き放してしまうことがある。そんな場面は見ていて心が痛いが、現実的に考えれば当然のように思える。
すべてを受け入れスムーズに日々が過ぎていく、というアニメも安心感があるが、「赤ちゃん~」はかわいいだけではなく考えさせられるストーリーが散りばめられている。

とにかく、作画の古臭さで見ないというのはもったいない。
長編アニメではあるが、ダラダラせずに見られる。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

77.7 19 小学生で心温まるなアニメランキング19位
若おかみは小学生!(アニメ映画)

2018年9月21日
★★★★☆ 4.0 (161)
737人が棚に入れました
小学校6年生のおっこ(関 織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する旅館<春の屋>に引き取られることになった。

旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、小鬼の鈴鬼、ライバル旅館の跡取り・真月らと知り合ったおっこは、ひょんなことから春の屋の若おかみ修行を始めることになった。

慣れない若おかみ修行に、毎日失敗の連続…。

「あたしって、全然しっかりしてないじゃん。」

落ち込むおっこだったが、不思議な仲間たちに助けられ、一生懸命に接客していくうちに、少しずつ成長していくのだった!

声優・キャラクター
小林星蘭、松田颯水、水樹奈々、一龍斎春水、一龍斎貞友、てらそままさき、小桜エツコ
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

【酷評注意】是々非々 貶してから褒めてみる

☆制作スタッフ
▼原作:青い鳥文庫(講談社)
▼原作者:令丈ヒロ子
▼アニメーション制作:DLE、マッドハウス
▼話数:劇場版94分{netabare}
▼監督:高坂希太郎
・実績
(監督)
『CLOVER』『茄子 アンダルシアの夏』『茄子 スーツケースの渡り鳥』
▼脚本:吉田玲子
・実績
(シリーズ構成/脚本)
『カスミンシリーズ』『マリア様がみてる 』『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』『のんのんびよりシリーズ』他多数
▼音楽関係
主題歌:「また明日」
▼CAST(略)
テレビ版に掲載{/netabare}

☆エピローグ
冗談抜きに酷評します。
劇場版のみの方、テレビ版と劇場版、原作既読と劇場版と様々な立場があると思いますが、私はテレビ版視聴済みの立場でレビューをします。
なお、閲覧の際、本レビューでは、本作ファンの方々の気分を害する可能性があることを特記します。

原作未読
テレビ版視聴済

【本文】{netabare}
辛辣なレビューになるから、本作の劇場公開が終了したタイミングで書くことにした。
先にテレビ版をレビューするか迷ったが、圧倒的に出来が良いテレビ版のレビューより、問題の多い劇場版からレビューすることとする。
タイトルの意味はそういう事である。
テレビ版を視聴した者の立場として素朴に「これ、劇場版《製作》する必要があったのか?」である。

テレビ版の後半クールのEDは劇場版のカットシーンで、劇場版鑑賞に来て下さいアピールが見え見えだったことからも、本作はテレビ版既視聴者をメインターゲットにしているのだろう。
ま、それでも内容が伴えばそれで良しだが、あっさりと言えば劇場版はテレビ版のダイジェストで横手さんの脚本を吉田さんが書き直したようなものだ。
それでも宣伝効果で前評判が高く、連休中の公開初日から数日は確かに休みも続き客入りも良かったそうである。
しかし、その後は失速し、興行成績向上のために有名監督や評論家を動員しての鑑賞批評をネット媒体やマスメディアでキャンペーンを張ったのも、一般鑑賞レビューが増えるに従いテレビ版と差異がないことが世間に周知されるとともに、テレビ版と変わらないなら劇場版の鑑賞は別にしなくてもいいな、となりつつある傾向に製作側が危機感を抱いたからだろう。
それを裏付けるかのように、他のサイトではステマ的なレビューすら散見された。
一部の劇場では公開延長があるようだが、マスコミが宣伝するように人気が高いのが理由ではないだろう。
私が鑑賞したシネマで本作は一番小さい劇場割り当てであり、かつ、公開最終日前日にも関わらず、客入りは良く見積もっても6割程度。
子供客で確認したのは1人だけ。
後は私のようなオヤジばかりの『ガルパン』と似たような客層だw
つまり、フェイクニュースを垂れ流してまで興行実績を残すことに必死なのが本作の現実ではなかろうか。

劇場版とテレビ版の大きな相違は、①交通事故のシーンとテレビ版第1話「おっこ」が旅立つカットシーンの追加②「ウリ坊」登場シーンの変更③美陽登場シーンの変更④「おっこ」の両親を殺した加害者運転手家族が「春の屋」へ宿泊したハプニングエピソードの追加⑤神楽の舞子をきっかけに「ウリ坊」「美陽」「鈴鬼」との別れを示唆するシーンの追加⑥両親との回想シーンの追加⑦「ウリ坊」と「みねこ」(祖母)のエピソード追加拡大といったところだ。

【各論】
<物語の批判点>
(1)前述のとおり、テレビ版視聴前提であれば②を除き「美陽」や「鈴鬼」の登場シーンを焼き直して尺を浪費する必要はなかった。そのまま「春の屋」の幽霊として登場させればいいし、テレビ版未視聴者でもさして不思議とは思わないだろう。
(2)②の「ウリ坊」の登場シーン変更だが、おっこが事故にあった瞬間ウリ坊が救出した設定としている。
その後の物語の展開を考えると「ウリ坊」が「おっこ」の両親を殺して、おっこを春の屋へおびき寄せた「悪霊」ようにも見えてしまう、かなり、疑問を抱いた設定変更だった。
なお、⑦は「ウリ坊」が「春の屋」の地縛霊となった経緯のエピソードであるが、さして尺も浪費しておらず「みねこ」のCVに花澤さんを起用し、ファン層の拡大という意味からも設定すること自体はストーリーの大局上、毒にはならない。
(3)③だが、妹を庇う姉としての登場が劇場版、「秋好旅館」に居場所が無くて「春の屋」に悪戯しに来ていたのがテレビ版、劇場版は「おっこ」と「真月」の出会いと合わせて登場シーンを設定し直しているが、前述のとおり物語に大きな影響を与える準主役の「ウリ坊」と立場が違う「美陽」の登場シーン変更ため態々尺を取る必要はないし「美陽」の境遇を考えるとテレビ版の方が共感する。
寧ろ、劇場版でイメージまで変更する必要はないキャラなのだ。
(4)⑥の演出にも関わらず、両親を失った「おっこ」の子供らしい感情発露の心理描写はテレビ版の方が遥かに丁寧であり上手だった。
劇場版では回想シーンを増やしたにも関わらず、テレビ版より劣ったのは、回想シーンのカット映像と他のエピソードとのジョイントの意味付けが希薄であり、結果、共感に至らなかったこと。
テレビ版のように「おっこ」の心理描写は派手な事故アクションや両親との思い出カット挿入ではなく、独立した尺を取り丁寧に描写をするべきだった。
(5)①の事故シーンだが、作画に関しては迫力があった。
しかし、このシーンの挿入は微妙であり、子供が鑑賞する想定ならショックが強すぎる。
もう少し和らげるか、子供には理解し難くても、続く電車内でハシャグ親子を窓の反射で間接的に眺め、悲しみを堪える「おっこ」の心理描写のメタファーと事故を繋げるメタファー演出と後の④のエピソードとオーバーラップするように繋げた方が作品の「品」が断然向上する。
(6)「真月」のキャラを立て過ぎている。
テレビ版でもやり過ぎではないかと思っていたが、劇場版ではよいよ…?(苦笑)である。
テレビ版では小学生らしい描写があったから救いもあったが、劇場版では彼女の部屋の描写を含め小学生が「哲学」に達観するなど、ほとんどギャグに等しい設定だ。
このため同じクラスメートの「おっこ」とのギャップが更に激しくなり興醒めした。
更にキャラデザがテレビ版以上にデフォルメされたプリキュア状態で見るに耐えなかった。
(7)「真月」もだが「美陽」のデフォルメも激しかった。ただでさえ本作の子供キャラは子供の視聴を前提としたデフォルメ系である。
確かに劇場版では背景美術に拘っただけあって素晴らしい出来だ。
しかし、逆に子供キャラがデフォルメされ過ぎていて、折角の素晴らしい背景に対し著しく浮いてしまうのだ。
『ゆるキャン△』のレビューでも述べたが、作品とは総合的な観点で評価されるものである。
キャラデザの性質を考慮せずに、背景に力を入れても徒労ではないのか。
自動車の精密描写も含めて作品の基軸ではなく傍系に拘っても、単に演出の自己満足にしか見えないのだ。
(8)テレビ版と同じエピソードを劇場版でやる必要性を感じない。
特に「あかね」と「おっこ」のやり取りはテレビ版第2話横手脚本、劇場版吉田脚本と明確に分かれるシーン。
だが「あかね」に説教する「おっこ」に説得力があるのは断然テレビ版である。
何故かというと、テレビ版では「あかね」への説教の以前に両親を亡くした「おっこ」の子供らしい素直な悲しみの感情表現が伏線として丁寧に描写されていたが、劇場版ではこの部分が圧縮され「おっこ」は両親を亡くしたという事実のみで、父親が健在で母親を亡くした「あかね」に説教を垂れただけの説得力の片鱗もない描写になってしまっている。
演出や脚本が「(4)」で述べたような「おっこ」の心理描写は既に済んでいるとしたのか、はたまた、テレビ版を視聴したのであれば深い説明が要らないと判断したのか定かではないが、その程度の描写なら「あかね」のエピソードの意味はなく不要であったし、尺の無駄遣いだ。
(9)これは批判というよりも疑問に近い。
⑤のシーンは本作の「完」を連想させるのだが、劇場版では曖昧な形「暗喩」で表現されている。
テレビ版の最終回を視聴した限りでは2期もあり得る終わり方であり、ネタバレになりかねない⑤のシーンは本当に必要だったのか?
テレビ版の2期はありません!劇場版でシメます!という製作ポリシーがない限り、やってはいけないシーンであったのではなかろうか。
喉にモノがつかえたような後味の悪さである。
(10)「グローリー」とのエピソードも焼き直しでありほとんど必要がない。これも「グローリー」の紹介程度にして、既に「おっこ」とは信頼関係が構築されている前提で劇場版のストーリーを立てれば良かったのだ。
このエピソードを冗長化させたのは、背景に拘った動機と同様に「ポルシェ911タルガ4」の3Dモデリングを観客に自慢したかった演出の自己満足にしか見えないし、本当にポルシェのステマ?wかと思うほどこれだけは良く出来ていた。(ステマをしなくても売れる有名なスポーツカーだけどねw)
本エピソードは物語がもうダメだと考えていた頃なので、ポルシェばかり見入っていた。
欲しくても買えないからねw
それにしても、本作のスタッフは相当カーマニアなのだろう。
現代では非現実的なT型フォードや初代クラウンが現役で花の湯温泉街を走り回っている。
「おっこ」の学校も木造校舎で現代では非現実的なのだが、クラッシックカーも遊び心のあるファンタジーとして許容は出来る。
しかし、ポルシェをあれだけ精密なモデリングとするなら、フォードやクラウンもポルシェと同等の精密モデリングとするべきであり、中途半端である。

以下はどうでもいいことだが、和の風景に合わせたオープンカーなら、マツダロードスターや絶版ではあるがホンダS2000など、国産の名車をプロップとして採用するのもアリではないかな。
「グローリー」のブルジョア生活を強調するのなら、ホンダNSX(23,700,000円)レクサスLFA(37,500,000円)という手もあるし、本作は子供が対象なのだから、我が国の工業技術の結晶である国産高級スポーツカーを採用し、将来の日本を担う子供達にモノ作りの夢を託す配慮があっても良かったと思う。
因みに、本作に登場するポルシェ911タルガ4だが、外観で分かる範囲で推測してみると、LEDヘッドライトが標準装備であるからグレードはGTSで21,540,000円。
ブレーキキャリパーがイエローであるから、オプションのセラミックコンポジットブレーキ(1,545,000円)がプラスされる。

<物語で評価される点>
残念ながら本当に少ない。
(1)ポルシェに乗って買い物に出かけた「おっこ」が事故の記憶を思い出しPTSD症状を起こした点。
これが、批判点(5)で述べた事故のメタファーだが、折角こういう名演出があるのに作品全体の軸として繋げきれていないのである。
(2)④はテレビ版にはないエピソード。
加害者一家が春の屋に泊まったシンクロニシティと、両親を殺した加害者を知った「おっこ」が両親との死別を乗り越えて花の湯での新たなスタートを誓い、明るく前向きに生きようとしていた矢先の実に残酷なシーンだ。
「おっこ」の複雑に絡み合った、いたたまれない心理描写は見事であった。
劇場版では実質吉田オリジナル脚本はここだけだが、流石、吉田脚本だと感じたシーンである。

(★は一個0.5点)
物語
★★★★★☆☆☆☆☆2.5
(各論のとおり。)
キャラ
★★★★★★☆☆☆☆3.0
(デフォルメ減点有り。)
音楽
★★★★★★☆☆☆☆3.0
(劇伴はまあまあだが、劇場のサウンドシステムを活かしているとは言い難い。主題歌は記憶に残らなかった。)
作画
★★★★★★☆☆☆☆3.5
(各論のとおり。)
声優
★★★★★★★★☆☆4.0
(テレビ版と一部キャスト変更があるが、大局には影響を与えていない。)

【雑感】
本作は原作も素晴らしく、また、テレビ版は良い出来で一定の評価ができるのに何故こうなったのか不思議でたまらない。
問題の核心はテレビ版を焼き直したプロットにあるのだろうか。
その責任が何処に起因するかと推測するとき、DLEやマッドハウスをはじめ製作委員会が制作に相当関与したと思われる。
おそらく、製作委員会で企画したプロットありきで、コンテと脚本を仕上げた結果が本作ではなかろうか。
つまり、監督も脚本もほとんど関与出来ない次元でプロットが決定している可能性が高いのだ。
原作ではテレビ版以外のエピソードもあるはずだが、テレビ版のエピソードを多用したところをみると、芸術的判断よりも政治的判断が濃い印象を受ける。
国内のファン向けであれば、テレビ版のエピソードよりも劇場版オリジナルの④のエピソードを軸に、テレビ版では触れられていない「おっこ」と両親の平和で心温まる日常、つまり前日譚にも尺をしっかり取り、天国と地獄の如く不幸のどん底に落ちた「おっこ」をより強調することと、若おかみ修業を通して悲嘆から立ち直り成長していく「おっこ」の成長物語とすることが出来たし、脚本吉田さんの起用はこのようなオリジナル性があってこそ生きるのだ。
純粋に芸術的視点で作品を作り込むのなら、テレビ版に左右されず、一からプロットを考えるはずであるが、本作はそういう構成にはなってはおらず、国内のファン向けではなく「アヌシー国際アニメーション映画祭出品」審査員向け作品と考えるのが妥当かもしれない。
審査員は恐らくテレビ版を観てはいないだろうから、相応の評価は受けるだろう。
本作ファンの一人として、可能であれば、マッドハウスのエースいしづか監督を起用し、吉田さんとコンビで作品を作り直してもらいたい気持ちだ。

高坂監督はマッドハウスで活躍し、ジブリ作品も参加経験が多く『風立ちぬ』の作監も務めた有名なアニメーターではあるが、業界キャリアに対して監督経験はそう多くないし、テレビ版のマッドハウス増原監督やDLEの谷東監督とは違いフリーだ。
この状況で劇場版の監督を依頼された経緯を考えてみると、公開されている事情の他、本作はアヌシー祭出品に向けて、カンヌ経験があり、ジブリ作品を手がけていることから国際的に名の通る監督の起用が政治的に必要であったのだろう。

なお、公式の高坂監督コメントに、本作はマルクスの世界観【下部構造が上部構造を規定する】で表現したとのコメントがあるが、本作を鑑賞した限り、テレビ版のシーン流用で独自性発揮の制約もあるし、また、演説でもない限り94分程度の映像では弁証法的唯物論のフル展開は厳しいだろう。
穿った見方をすれば小学生が労働する様は『蟹工船』的とも言えるが、本作はプロレタリアの悲惨さを強調し階級闘争を求めたものではないことは皆様御承知のとおり。
また、実際、本作はそのような組み立てにもなっていない。
ゆえに、誰かが本作を高く評価したといっても、それはコミュニズムへの感化とは無縁の出来事であると、あえて釘を刺しておく。
ま、あのコメントは当然好ましくはないが、監督本人の思想がマルキシズムに立脚しているという程度の意味だろうから。{/netabare}

率直に本音を述べれば、本作を鑑賞した後の気分は詐欺にあったときと似たような感覚だった。
テレビ版を視聴済みなら、あえて1,500円を支払い鑑賞に行く必要は感じられないし、いずれ「Amazonプライム・ビデオ」にエントリーされるだろうから、それを待って視聴しても良いと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 43
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

明日、親が死んだらどうする?

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
このアニメ映画は、物凄く評価が難しい作品だった。多分、これまで観てきたアニメの中でもトップレベルに、☆を迷った。

子供向けの作画ではあるけれど、「家族の死」という、とにかく重いテーマを、かなりライトな雰囲気で描いている。

物凄く不安定で微妙な綱渡りを、ギリギリのところで渡り続けるようなアニメ。

このアニメのクオリティは、間違いなく高い。あとは、好みの問題。

ギリギリまで☆4と迷ったけれど、う~ん。やっぱり☆3とします。レビューは、その辺りの理由と、じゃあ自分ならどうしたいかを書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
作品のテーマは、「両親の死を受け止め、どう前進するか」で、これは色々な媒体でやられてきたと思う。

それを、「児童向けアニメ映画」の中でやったのは、スゴいチャレンジだと思う。

両親が、自分の目の前で事故死する。

多分それは、子供にとって、世界でこれ以上ないレベルの苦しみだろう。

序盤はそんな悲劇を感じさせないように、明るい、むしろ明る過ぎる、軽すぎる雰囲気の中でストーリーが進む。が、「流石に最後までこのノリなわけはなく、どっかでシリアスくるよな」と思うので、あまり不謹慎な感じは受けなかった。

中盤の、「あかね&幸水」の話は、子供らしく親の死を悲しむあかねと、まだ死を受け入れられていないオッコとの対比を魅せ、「水領」の話は、オッコにあるトラウマを魅せ、オッコの深い悲しみを魅せる、上手い展開になっていたと思う。

問題は、「木瀬文太」だ。オッコの両親の死の原因になった劇場版オリジナルキャラ。ここのエピソードで、おそらく評価が分かれるのだろう。

私は、やや否定的。

オッコの「春の屋旅館の若女将ですから」というのは、確かに感動したけど、当然、「小6でそれは聖人君子過ぎないか?」と思う人もいる。

私はやっぱり、「無理」だ。今、私は30半ばで、親も健在だけど、(仮に相手の過失が小さくても)もし事故の加害者と会ったら、あんな風にはできない。ましてや、オッコは小6。いくらアニメだとしても、ちょっと理解できない。

また、お客さん(加害者)の立場でも、「絶対に泊まりたくない」。そこで、「自分がツラい」と加害者に言わせた、脚本の吉田さんは流石だとは思ったけど、あそこはそのまま春の屋に泊めなければ、私は☆4にしたかな。

もし私なら、①オッコが宿泊を勧める→②木瀬家は、「ありがとう。でも、自分達がツラいんだ」と言って、春の屋を後にする→③祖母から、「頑張ったね」的な励まし→④オッコ、号泣しながら笑って、「春の屋旅館の若女将ですから」→⑤大人達も皆泣いてフェードアウト→⑥神楽のシーンに移行。に、するかな。

勿論、そういう展開にすれば評価を下げる人もたくさんいるだろうし。この辺は、好みの問題ですね。

あと、個人的な好みを言えば、「成長して幽霊が見えなくなる」と「親の死を乗り越えて前に進む」は、どちらか1つに絞って、そのぶん丁寧に描いてほしかったかな、映画の尺なら。まあ、要素が2つあることが詰め込みすぎなのか感動の倍増なのかも、好みの問題でしょう。

いずれにせよ、制作はそういう「良し悪し」を全て分かった上で、このようなストーリー、演出にしている、「意図」は感じたので、これはこれで良いアニメだと思った。

あと1つ。

レビュータイトルにもしたけど、それが何歳であっても、「明日、親が死んだらどうする?」ということは、常に思わなければいけないことなんだと思っている。

今年はコロナが怖くて実家には帰っていないが、親が60を過ぎたあたりからは、できるだけ実家に顔を出してきた。それはやっぱり、「親の死」を明確に意識するようになって、今のまま(あんまり親に顔を見せないまま)では自分自身が絶対に後悔するし、親自身を喜ばしてやりたいという気持ちもある。実際は、自分も仕事が忙しいし、休日は自分自身に時間を使いたい気持ちもあるけど、やっぱり、親は大切にしたい。

でも、いくら何をどうやったとて、もし親が死んだら、その時は絶対に後悔するんだと思う。仮に親が120まで生きようが、何をどう努力し、覚悟しようが、やっぱり後悔はするんだと思う。寂しくなるのだと思う。

まして、そこに努力や覚悟がないのだとしたら、どれだけ後悔するのだろうか。寂しくなるのだろうか。

私は今、道場で小中学生に剣道を教えているが、彼ら彼女らの中にも、親に対してひどい態度をとる者はいる。試合に応援に来たときとか特にそうだ。

まあ、年頃だし、分からなくはない。余計なお世話だとも思う。それでもそんな時、親御さんがいなくなったあとに、彼らには言う。

「もし、明日親が死んだらどうする? それでも、後悔ないか?」

彼ら彼女らの心には響かないかもしれない。でも、1人でも2人でも、考えてくれたら嬉しい。そう思って、たまに言っている。

このアニメ、是非とも子供に観てほしいな。

私のような深夜アニメ好きのオッサンが、演出が~とか作画が~とかストーリーが~とか言ってする評価なんて、本当はどうでも良い。

子供が、子供の目線からこのアニメを観て、100人中1人でも2人でも、自分の生き方や親との関係について考えるきっかけになってくれればそれで良い。

そんなアニメでした。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

今期イチの注目株と聞いたので観てみました

テレビ版と原作は触ってません。


以下ネタバレ内に推測上のテレビ版との比較を入れています。
(こんな状態で語るのはおこがましいと思いますが、あにこれに劇場版の感想書いてる人が少ないので一応記載させていただきます。勘違いしている部分があったらその都度指摘してください。詳細を書いてくれる人が現れたら消しますので参考程度で)

{netabare}1スタッフが違う
脚本もキャラデザも監督も違います。つまりはTV版のつぎはぎ総集編ではないということが言えます。

2原作は同じ
オリジナルエピソードではなさそうなので、エピソードの被りはあるかもしれません。

3視点を変えている
これでしょうね。テレビ版は織子が若女将として仕事をする中で、様々な困難に挑み、失敗しながら少しずつ成長していくお話がメインなのかな?{/netabare}
映画版は両親を亡くした織子のトラウマを少しずつ克服して行くところを中心に描いています。

これよりネタバレを含む感想{netabare}
家族との幸せな時間…両親との別れは突然に訪れます。
反対車線に飛び出したトラックに突っ込まれた乗用車。数分前まで会話をしていた両親が亡くなるのを目撃した織子はいったいどれほどのショックを味わったでしょう。
しかし、描かれたのは落ち込んだ様子の無い織子。
おそらくいつもやっているように誰も居ない我が家に挨拶をして離れ、引き取り先の祖母のもとへ向かいます。
移動中は特に両親の話題に触れず夏休みの間だけ親戚の家にお泊りに行くただの女の子のよう。

勿論徐々に両親について話題が出てきますが、
最初は「お父さんとお母さんは生きてる気がする」と言っていました。
幽霊がみれたことも一因なのでしょうか。
現実に目を向けられていない織子。仲居さんが気の毒そうな表情を浮かべますが、織子は気にする様子がありません。
そんな中、母を失ったばかりだという親子が旅館に泊まることとなり、時にお客さんと言い争いになりながらも、親身になってもてなしてゆく織子。
最初はやり場のない怒りを織子にぶつけていた同じくらいの年の子は、織子のやさしさにふれ、たまらず泣いてしまいます。

このあかねという子が布団に潜り込んで泣いてたところは印象深いシーンの一つです。
おそらくあかねさんは同い年の織子が両親を亡くしながらも強く正しく生きているのをみて、恥ずかしさ少々、自分に尽くしてくれたことで愛情を感じ安心して堰をきったのでしょう。
ひとしきり泣いて気持ちに整理をつけたあかねさんは、登場直後のひねくれた感じではなく素直で優しそうな子に変わりました。

続いて登場したのは恋人と別れた直後のお姉さんなお客さん。
織子と意気投合し、織子をドライブに誘いますが、事故のトラウマで震えが出て呼吸も大きく乱してしまいます。
最初は大丈夫でもちょっとした拍子でトラウマが呼び出されてしまう様子は、震災の体験談などで聞いたことがあります。
物語に関わりのないちょっとした仕草ですが、これによって物語のディティールがより細かくなったように感じます。

そして、心の支えにしていた幽霊が徐々に見えなくなっている織子。両親が死んだことも理解できるようになり急に孤独を感じるようになります。
織子役の小林星蘭さんの「置いていかないで!」と泣き崩れる演技、真に迫っていて織子が気の毒に思えて非常に胸が苦しくなりました。
一時自暴自棄になり飛び出す織子にハラハラ。
しかし、これまでの若女将の経験でいつの間にか大人になっていた織子、
事故で正面衝突をした張本人を前に、「私は関織子ではなく春の屋の若女将おっこです(どうぞくつろいでいってください)」と伝えます。
この時の織子がもう、どうしてこの娘はこんなにも逞しいのだろうか。まだまだ小学生だというのに…こんな良い子が…と、我が子の成長を見守る親の気持ちといいますか、そのような感じで胸がいっぱいです。
冷静になれば、菩薩か!と突っ込みを入れたくなるところかもしれませんが、そんな気分にはとてもなれませんでした。{/netabare}

物語の展開はほんとファンタジーです。しかし映像や見せ方のディティールがリアルなのでドキュメンタリーのように錯覚してしまう節があります。
また、両親の死を使った感動ストーリーに一瞬思えますが、最後まで見るとこの作品が織子の成長を描いたものであることがわかります。
この作品は一言で表すことが非常に難しいです。
変なレッテル貼りになっていないかとドキドキしています。

やはり、実際に見ていただくのが良いでしょう。
そして、それぞれ心に感じたことを自分の中で消化していただくのが良いと思います。
私は私の感想を大切にして、さらに読み込んていきたいです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

61.0 20 小学生で心温まるなアニメランキング20位
あさっての方向。(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (138)
627人が棚に入れました
小学6年生の少女五百川からだは、両親が他界してからは兄の尋と二人暮らしをしている。からだは尋を楽にしてあげたいと早く大人になることを夢見ていた。ところがある日突然、からだは尋の元恋人・野上椒子と年齢が入れ替わる形で大人になる。それは、からだが願いをかけた願い石の魔力なのか…?

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本当に良い作品

~あらすじ~

静かな町、叶町が舞台。大人の姿になってしまった少女「からだ」と、子供の姿になってしまった女性「椒子(しょうこ)」
それぞれの想いを口にできないまま戸惑う二人だったが、共に暮らす内に徐々に心を通わせていく。
二人のヒロインと、彼女たちをとりまく人々を描くひと夏のファンタジー。




【感想】

タイトルも地味で、絵柄もピンと来ず、最初は全然期待してなかった。
けど、結果的に大当たり。予想と反してこれほど良かった作品も自分の中では珍しい。
実際、最近見たアニメの中では一番良かった。点数に反映されないけど、お気に入り度で言えば満点。
本来眠くなるはずのこたつ環境下で、目が覚めるような面白さだったのだから多分相当良い作品ですよ、これは・・・。
レビューがつい長くなってしまいました^^;

この作品の良いところを言いますと、いろいろあるのですが、主に「雰囲気が良い」ということ。

その雰囲気とはどこからやってくるものなのか、というと「細かさ」です。
漫画でも、旅館でも、なんでも、何となく雰囲気がいいものってあるじゃないですか。
ああいうのってやっぱり、嫌味が無い、程良い細かさ、というのにとても気を使ってますよね。
このアニメで言うと、人物の反応が細かいんです。欲しいところに欲しい表情を入れてくる。
リアクションが至って自然。そのキャラの心情になりきって考えられている。
なんだか書いていて当たり前のように感じるけれど、それが新鮮に感じたということは、それがちゃんとできているアニメって実は少ないんじゃないかと、経験的に感じるわけです。ストーリーのシンプルさゆえなのか、制作進行が上手いからそう見えるのか、たぶんどっちもだと思うんですけど、急いでる感じが全然せず、ゆとりを感じさせます。からといって、退屈かと言うとそんなこともない。

すんなりドラマに入り込める工夫が徹底していて、分かりやすい萌えや、顔芸、あざとさを極力排除している。
萌え要素、萌え絵、そういうのがあるとどうしても許容(スルー)しなくちゃいけない部分があるよな、と思ってしまう。例えば、演劇部的な言葉の掛け合いの不自然さだったり、足場の悪い所にわざわざ立っていたり、すれ違い当たり前の恋愛脳展開だったり・・・まあいろいろ。批判してるわけじゃなく、そういうのも好きで、全然OKなのですが、許容する部分を広くしているせいかハードルも低く、並なお笑い番組に対して抱くような期待度しか抱かなくなって、繊細さを諦めてしまっている部分がどこかあるんですよね。もちろんその期待を良い意味で裏切るものもあります、が、やっぱり基本大味なわけでして、二郎系じゃなくて中華そばの薄味で繊細なのが食べたいよーって、欲求不満な感じになっていく。萌え要素って、あざとさを売りにする代わりに犠牲にしてる部分も大きいよなって思う。この作品の素朴さは、じんわりとくる優しさで、荒れた胃を整えるのにうってつけ。最高の癒しになります。

結局のところ、人物の反応に目が行ってしまうのは、演出が細かいからというのもあると思うけれど、他に目立つところを意識的に無くしているから、という気もしてくる。何もかも平凡だけど、それが全て収まるところに収まっている。都合良く考え過ぎな気もするけど・・・。まあ、どちらにせよ徹底している。特殊なことは恐らく何一つやってないんですけど、恐ろしく正確なんですよね。当時、どのような制作現場だったのか興味が湧いてきます。


・人物の反応が良く見えると、ストーリーも良く見えてくる。

この物語のテーマとなる、大人っぽさと、子供っぽさ。
うわべじゃない本当の、っぽさ。それを作品は、ちゃんと理解しているように感じた。
ヒロインの一人、からだちゃんは12歳の少女。体格が幼いので実際はそれ以上に幼く見える。
けれど、彼女は目上の人に敬語を使うし、家事もテキパキこなす。大変気のきく良い子だ。
その中身と容姿とのギャップに、第一話では驚かされるはずだ。ヘタすると「大人っぽい」なんて思うかもしれない。
けれど、それは錯覚で、まだまだ子供だということが大人の姿になってからはっきり見えてくる。

子供と大人の差はなにか?
いろいろ尺度はあると思うけれど、一つ明確なのが「問題解決に対する対応力、柔軟性」だと思う。
家事・礼儀なんてものは背伸びしたら身につくことかもしれないけど、こればかりは人生経験を積み重ねないと身に付かない。からだちゃんは、何かトラブルがあると、どうして良いか分からず戸惑ってしまう。そのとき相談役になるのが、幼児姿になってしまった椒子さんだ。彼女は、からだちゃんに気を使い、適切にアドバイスを与える。その冷静な振る舞いはまさしく大人の女性で、子供を見守る保護者のしぐさもしたりする。大人が大人っぽいこと、子供が子供っぽいことを言っても当たり前で、何も感じない。しかし、それを内面と外面のコントラストよって、「っぽさ」の違いを強調するあたりに面白さを感じる。椒子さんは家事がてんでダメ、という設定も評価したい。

それぞれ、大人子供の姿になったからこそ自分を見つめ直し、内面の成長を見せたエピソードもあり、「姿が逆転する」という一つの仕掛けを、物語を動かす上で十二分に有効活用している。「盛り上がりどころがない」なんて意見もあるけど、個人的にはそう思わない。物語は、ご都合主義が目立つ部分も多少あるが、それは必要最低限のフィクションといった感じで、人物の心の動きに忠実な流れなので、そこに注目していれば盛り上がりどころもあるし、必ず面白く感じるのでは、と思う。最終話に関しては、何度最高だ、と口にしたか分からないほど連呼した。本当に最高だった。


まだ見たこと無い人にはもちろん、以前見たけどそんなに感じ入れ無かったよって人にも、もう一度見てもらいたい。
まさしく「もっと評価されるべき」だと感じてやまない、大好きな作品だ。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

めじな さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

感想

全12話。日常・伝奇・感動もの。

あらすじ
大人になりたい子供(五百川 からだ)と子供になりたい大人(野上 椒子)。
ある日、からだが「願い石」にお願いします。それは願い石の力なのかお互いの身体が入れ替わる。
願いが叶った二人は過去の自分と向き合っていく物語。

キャラなんですが、からだちゃんが可愛い。
まだ小学生なのにしっかりしてる。
次に子供になった椒子さんは頭脳は大人、身体は子供でコナンみたいw
メガネかけた生意気なカンジで笑えますw

前半から話はゆったりと進みます。でも、テンポは悪いとは思わない。
早く大人になって尋から独立したいと思っているからだと、
過去をやり直したいと思っていた椒子が入れ替わるが、
身体は大人になっても心が大人じゃなく苦悩するからだ、
周囲の子供達の感情に触れて周りとの接触を恐れなくなっていく椒子、
二人の感情や行動を描いているのが非常にうまく描けていました。

途中微妙な三角関係の様な展開もあり、昼ドラの様にも思えます。
その間周囲の混乱や恋愛感情の変化もあって、
また、ヤキモキさせられるところがあり、ストーリーに入っていけた。

メイン3人の心情描写も丁寧に描かれていてとても良かった。
それに、心のすれ違いと心の成長も描かれています。
主人公のからだですが、子供から大人へという単なる成長の物語ではなく、
しっかりと自分に合ったカンジで成長していくことも観て取れました。

この作品は情緒的で心に響く作品です。ということで、テーマは「心」。
早く大人になりたいと思う心、子供の頃に戻りたいと思う心、
お互いを思いやる心、現実と向き合うことを恐れる心。

次に尺が足りないように思えます。
その為かラストが何の伏線もなかったのはいただけなかった。
でも、最後は心が温まりました。

演出・音楽がとても良かった。
OP曲、ED曲、途中の挿入歌。どれも良い曲ばかり。
私が好きなのは、途中の挿入歌の「傘」これを聴くと心にジーンと来ます。
そのシーンと合っていてホントに良い場面です。

途中、都合の良すぎるような展開もありましたが、
全体的に柔らかいカンジでドラマティックな内容の作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22
ネタバレ

ざんば さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人間は自分が持っていないものに強く憧れる。

良く面倒をみてくれている年の離れた兄の尋のため
早く大人になりたいと願う小学6年生の五百川(いおかわ)からだ。
失恋をし、人生を後ろ向きに考えていた24歳の野上椒子。
ある日2人は、からだは大人の、椒子は子供の体になってしまう・・・

この2人を軸に様々な気持ちが
明後日の方向へすれ違う、ひと夏の思い出のお話。


とても素敵なお話でかなり楽しめた作品でした。

特に序盤から中盤にかけては
登場するどのキャラも心情の描写がとても丁寧で
彼らが今、何を考えているのか、どういった気持ちなのかが
表情や仕草が細かに表現されていました。

おかげでからだは表情豊かで特に可愛かったなあ。

どのキャラもしっかりとキャラ立ちしていたので
スルスルと物語に入り込めましたし
何でそうなるの!?と理解できない行動も少なく
自然な流れで共感できたことも楽しめた要因でした。

そのため、少し暗めな話でしたが清涼感を感じることができ
暗い話が苦手な私でも清々しい気持ちで視聴できましたね。

ただ、終盤は少し駆け足だったり、都合が良すぎたりしていたのが
ちょっと残念でした。
もしかしたら、尺が足りなかったのかもしれませんね。

それでも全体的に丁寧な作りなのは変わらないので
起伏は少ないものの最後まで飽きることは全くありませんでした。
最後まで清々しい気持ちで余韻に浸れましたし言うことなしですね♪
{netabare}何よりハッピーエンドだったことが1番嬉しいことでした! {/netabare}


作画も安定していましたし
夏の雰囲気が画面から溢れ出てくるようでした。
見た時期がちょうど夏だったことも良かったのかもしれませんw

そして何より音楽が素晴らしかったです。
爽やかで気持ちのいいOPや夕暮れ時のような切ないEDもさることながら
BGM、さらには挿入歌までどれもアニメにピッタリな
素敵なものばかりでした。


こういったすっきりした雰囲気のアニメは最近見ていなかったので
色々と新鮮でしたし、小さい頃を思い出して懐かしくもなりました。
久し振りにいい掘り出し物を見つけることが出来ました。
隠れた名作大発見。もっと評価されてほしいと思う作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 22

62.2 21 小学生で心温まるなアニメランキング21位
STAND BY ME ドラえもん(アニメ映画)

2014年8月8日
★★★★☆ 3.6 (129)
584人が棚に入れました
少し昔の東京郊外、10歳ほどのドジな少年のび太が暮らしていた。そこに22世紀からタイムマシンで4世代後の子孫セワシくんと、ポケットからひみつ道具を出して助けてくれる22世紀の世話係ネコ型ロボット・ドラえもんがやってくる。セワシくんは自分の世代までのび太がつくった借金に苦しんでいるといい、その悲惨な未来を変えるために、のび太を幸せにするためドラえもんをお世話係として連れてきたのだが、ドラえもんは乗り気じゃない。そこで、ドラえもんに成し遂げプログラムをセットして、強制的にのび太のお世話係をすることになる。のび太を幸せにしない限り、ドラえもんは22世紀に帰れなくなってしまう。こうして、のび太を幸せにするべく、ドラえもんとのび太の共同生活が始まる。果たして、のび太は幸せになり、ドラえもんは22世紀に戻れるのか。
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

別に死体探しの旅には行かない

2014年8月8日 公開 上映時間 95分
シリーズ初の3DCG作品 藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品

アニメーション監督に白組の八木竜一さん
脚本に『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』の山崎貴さん
特に永遠の0とSTAND BY ME ドラえもんは2014年度邦画興行成績ランキングで1、2位独占と
まぁぶっちぎりで流行っていたんですがっ・・・
STAND BY MEなんてあからさまなタイトルと「ドラ泣き」なんていう如何にもなコピー
ドラえもんが目に涙を浮かべているキービジュアルっていう
もうコレでもか!って盛り込みまくって節操の無い感じが鼻に付いてリアルタイムでは観に行かず。
ただ『えとたま』で白組のCG描写がかなり気に入ったので観てみることに。

本作は観た人がどの程度ドラえもんに思い入れがあるか、
どのくらいの距離感で付き合ってきたかで評価が変わりそう。
私自身は子供の頃からクレヨンしんちゃんのついでの存在で
夏休みやお正月SP、長編映画がTVでやってたら見るくらい。
原作漫画も中途半端にしか読んでないし、声優変更の時もあ、ふーんって感じ。
そのくらいの距離感。でも、2112年 ドラえもん誕生とか怪盗ドラパンの映画は大好きで何度も見てました。
ドラえもんズとか未来の話のほうが好きかもしれません。


グダグダと雑感
{netabare}
本作は『さようなら ドラえもん』『のび太の結婚前夜』等、
6つ7つほどの有名なエピソードの点と点を繋げて1本のストーリーに構成しなおした感じ。
個人的には個々のエピソードはぼんやりとしか覚えてないし、全体的には無難にまとめ上げた印象だけど
細かなキャラ描写の不足のせいで物語にイマイチ乗れなかった…。
のび太とドラえもんの出会いと別れと再会。のび太とドラえもんの関係性。
悲惨な未来を回避するためにしずかちゃんとの結婚を目指す。のび太としずかちゃんの関係性。
この2つの関係性を同時並行で進めたせいでどっち付かず感が否めない。
のび太とドラえもんの関係を進めれば一方の関係は進まずといった感じで…


のび太とドラえもんに関しては、そもそもドラえもんがのび太の面倒を見るのに乗り気じゃないっていうのと
成し遂げプログラムって設定がどうしても「早く未来に帰りたいためにのび太に協力してる」感でちゃってる。
中盤、しずかちゃんに嫌われるために虫スカンって道具を出した際に
「しずかちゃんと結婚してもらわないと僕も困る」的な発言も少し違和感だし。
雪山遭難の時にのび太に手出し無用と言われた時も、あ~ハイハイなリアクションで
公園で居眠りしちゃうのもなんか希薄だなぁと思っちゃったし。
「さようならドラえもん」の話に入ってドラえもんが「本当に大丈夫?」
と心配した時に無言で部屋を出て行ってしまうのび太にも違和感が。
そこは強がりでも大丈夫って言っとけよ!それがのび太の根底にある優しさの描写に繋がるし
言葉と行動による結果が初めて結びついて、のび太自身の成長も描けるじゃん。
昔のアニメはちゃんと言ってた記憶があるし、前夜に一緒の布団で寝るけど寝付けなくて夜中までお喋りしちゃう描写なんかも好きだった。


のび太としずかちゃんに関しては単純に、しずかちゃんがのび太を好きになる説得力が薄い。
のび太の人間的な成長の部分と根底に流れてる優しさの描写が不足しているために
しずかちゃんはダメ男を支えてあげなくちゃと考えている庇護欲溢れる女性にしか映らなかったのは不満点。
雪山~結婚前夜のエピソードの繋がりに唐突感があったのも気になった点。
未来しずかちゃんはプロポーズの返事を未来のび太に直接言わないで場面変わってそれでいいのか?って思っちゃったし
未来のび太と未来しずかのやり取りが少なすぎると感じた。


あと細かいことだけどEDのディズニーやピクサーがやってるようなNG集の演出
くっそいらねぇ…余韻台無し。本作が冒険活劇で、明確な悪役がいて、そういうキャラがNGを出すなら面白いのかもしれないが
ラストでドラえもんと再会出来て、これからの関係性を想像させるような終わり方をしておいて
これ撮影でーっす。カメラ回ってまーっす。キャラは台本を読んでただけでーっす。な演出は、あまりにも野暮というものだろう。
祝 さつえい終り! じゃねーんだよ!!


不満点ばかり言ってきたけど最も期待していた映像面は見事な出来だった。
デフォルメの効いた表情豊かなキャラCGのコミカルな演技は楽しいし
実写ミニチュアを用いたらしい背景は不思議な温かみを感じる。
未来道具を使った映像表現も、タケコプターで実際飛んだら怖いよねぇとか、どこでもドアってめっちゃ分厚いやんとか
2Dアニメでは気付かなかった面白さを発見できるのも魅力的。
CGの強みを最大限活かした演出も目立ってたので劇場の3D上映で観たら映像から受けた感動はまた違っていたかもしれない。
またCGドラえもんの映画があるのならアクション満載の冒険スペクタクルを観てみたい。
あるいはドラえもんズの映画のリメイク希望。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

君のために出来ることが 僕にあるかな。

3DCGの作画に魅力を感じず、
観るのが遅くなりました。

泣ける作品、思ったよりもよかった作品として
ちらほらと噂は耳にしていたので、気にはなっていたのですけれどね。

ドラえもんが好きな人にとっては
よく知ったストーリーだと思いますので、

総集編感覚で楽しむことになるのかな。

ちなみに私はきちんとドラえもんを見てこなかった人間なので、
(調子に乗ったのび太が最後には痛い目を見る、
 という展開が小さいころから苦手だったので^^;)

「ドラえもんって…すごい作品!!」と魅力に気づきました(笑)


● ストーリー
ドジでのろまで、勉強も苦手で運動も苦手。
何をやってもダメな、のび太という少年。

彼の前にドラえもんというロボットが未来からやってくる。

のび太が幸せになるよう、
傍で支えてくれるドラえもんとの日々。


ドラえもんとの出会い、
のび太としずかちゃんの関係、
そしてドラえもんとの別れを描いた本作品。

ストーリーは間違いないですね。

目新しさはないけれど、
きれいにまとめられていました。

涙腺へのダメージは特大でした。

後半はもう涙が止まらなくて、
視聴中に何度一時停止したことかwww

いつも傍で見守ってくれる、
大切な人の姿がふっと思い浮かびました。


≪ 子どもたちって、ドラえもん大好き ≫

ドラえもんって小さい子が好きかと思いきや、
大人でも好きな人が多い。

「アンパンマンとかだっせーよ!」と背伸びするガキんちょも、
ドラえもんは好きだと素直に言う。

その理由が、
この作品を観ていてなんとなくわかったかも。


のび太は、
ドジでのろまで勉強が嫌いで気が弱くて運動もまるでダメで臆病で…

悪口を挙げたらキリがない、何をやってもダメな男の子。
(ちなみにこの悪口、全部ドラえもんが言ったものです。笑)

だけど、
心の優しさと、たまに発揮する瞬発力には、
目を見張るものがあります。

のび太みたいな極端な子は少ないと思いますが、
どの子も自分の嫌なところを持っていて。

それと同時に自分を好きになりたいと思っていて、
人に受け入れられたいと思っている。

のび太と同じように、どんな子どもでも、
その子だけの魅力を絶対に持っている。

のび太のことを傍で見守るドラえもん。
時にはのび太の成長を大きく喜ぶ。

なぜ子どもたちがいつまでもドラえもんを好きなのかって、

悪いところもひっくるめて
ありのままの全部を受け入れてもらえるような、

そんな安心感を無意識のうちに持てるんじゃないかな。
「ダメなところがある?それでもいいんだよ。」って。


アンパンマンが正義や道徳心を語る存在なのだとしたら、
(だから成長すると「だせーw」と突っぱねる。笑)

ドラえもんはただ傍にいて、包み込んでくれる。
(優しい存在を突っぱねる理由はありませんからね。)

ここに、ドラえもんが
世代を問わず愛され続ける秘密があるように思います。

…まあ、ただ単にひみつ道具や、
あの丸っこいフォルムが魅力的なだけかもしれませんけどねw


● 作画
3DCGには違和感感じるだろうなーと覚悟していましたが、
身構えていたほどには苦痛に思いませんでした。

まるで遊園地のアトラクションを体験しているかのよう。笑
のび太目線のタケコプターフライトはものすごく楽しかった♪

3DCGになると
動きが細かくて、表情も豊か!

ドラえもんの表情がいいの…!
可愛い!泣ける!

気持ちがストレートにわかりやすく伝わるところはよかったです。


● まとめ
ドラえもんとのび太の絆を感じられる良作でした。

主人公はドラえもんだけど、
のび太もすごく魅力的なキャラクターだよなあ。

まだまだ子どもで、駄々だってこねるけれど、
なんだかんだで現実を受け止めて、

真に相手を思いやる行動のとれる少年。

のび太というキャラがいることもまた、
「ドラえもん」という作品を魅力的なものに仕上げていますね。


『STAND BY ME ドラえもん』

ドラえもんが傍にいる。
作品の中身が素直に表れた良いタイトルだと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【泣かせるドラえもん】の完成形 いま改めてドラヲタは試されている どう受け止めるかはアナタ次第

実に33年ぶりの『夏ドラ』です
そして初の全編フルCG
さらには3D上映にも対応ということで一つの記念碑的になった作品だと思います


スタッフはまんま『friends もののけ島のナキ』の面々が再集結
初の3DCG、しかもこれまでドラえもんには携わったことのないスタッフと侮るなかれ
顎が落ちるように大開になる口や踊るような瞳の動きなどのコミカルな表情作り
吹き飛ぶように後退りしたり壁や天井に足を張り付かせて駆けずり回るオーバーなリアクション
まさに漫画、アニメシリーズに慣れ親しんだ人(もちろん子供がメイン)へ向けてのキャラ描写
よく研究されてます
完璧の一言ですねb


3DCGならではの見どころとして、一人称視点で街をアクロバティックに飛行するタケコプターのシーン、ムシスカンを丸呑みしてしまったのび太から漂うふゆかい放射能など、文字通り画面から飛び出す面白さが堪能出来ます


お話は『原作1話』、『雪山のロマンス』、『のび太の結婚前夜』、『さようならドラえもん』を軸に再構成したものです
まっさらな気持ちで見れるお子様や【泣きドラ】に触れたことのない方には率直に楽しめ、そして泣かせてくれる良い1作になったと思います
しかしまあドラヲタにとっては正直「またそれか」と呆れてしまうところです


これまでのテレビシリーズや『感動中編シリーズ』と呼ばれる2000年前後に公開された映画との接点は無く、意表を突くのがセワシが嫌がるドラえもんを強制的にのび太のところに仕向ける、という新設定です
これはドラヲタにとって賛否の分かれそうな部分ですね


映画全体としては序盤のコミカルな流れから中盤以降の感動シークエンスへと徐々にシフトしていき、終盤では佐藤直紀の劇伴に合わせて名シーン、名台詞のオンパレードとなりオイラも思わず【ドラ泣き】ですよ;;


素晴らしく完成度の高い作品になったと思います
近年の『春ドラ』は完全にドラヲタ向けのマニアックなネタの挟みとスペクタクル要素が中心ですが、今作は純粋に原作漫画に潜在していたドラマ要素を突き詰めていった結果でしょう
改めて藤子・F・不二雄先生の偉大さを感じると共に、ドラえもんを知り過ぎないスタッフだからこそこーゆー作品が生まれたのだと思います


これまでも作品毎に様々な要素や表情を許容してきた『ドラえもん』というシリーズはまさに“大きな器”なんですよね
今作をどう受け止めるか?で、今度はオイラ達ドラヲタが試されているのではないでしょうか


あからさまな【泣かせ】の雰囲気が嫌いだというドラヲタはあえて「見ない」という選択肢も大いにアリでしょう
実際そういう作品です
ですが間違っても3Dだから、とか
水田わさびだから、だとか
TOYOTAだから、とかいう下らん理由では倦厭して頂きたくないですね
【泣きドラ】というジャンル分けが存在するならば、今作はその完成形でしょう

投稿 : 2024/11/02
♥ : 33

61.6 22 小学生で心温まるなアニメランキング22位
吉永さん家のガーゴイル(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (108)
559人が棚に入れました
御色町(ごしきちょう)という平和な街に、一風変わった個性派揃いの家族・吉永家が住んでいる。

ある日のこと、吉永家の長女・双葉が商店街の福引で三等賞を引き当てた。その賞品は、喋る犬の石像。その日を境に、吉永家と周囲の生活は一変する。

声優・キャラクター
若本規夫、斎藤千和、宮田幸季、桑島法子、千葉進歩、中國卓郎、浅野るり、菊池正美、水樹奈々、稲村優奈
ネタバレ

セレナーデ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

コメディの設定と世界で真面目にバトルをさせたアニメ。

なんてこった・・・。

頭空っぽにして観れるコメディと思ってたが、これはシリアスなバトルと群像劇のアニメだった。

登場人物や世界観の設定だけみれば思いっきりコメディ。
主役は目からビーム出せて動物や像と会話できてCV若本様で融通の利かない門番の石像。
人情味溢れる商店街もあるし、錬金術が絡んでるんでロボや擬人化植物、超能力となんでもござれ。
それとは別に義賊的な怪盗キャラも出てくるし、石像(ガーゴイル)も
高原イヨの実験と称してその都度オプションの能力をつけることができたりと、
ドタバタコメディやらせるにはこれ以上のものがあるかというほど最高の地盤なんですよ。

ところがわいわい楽しいのはせいぜい2話までで、
3話以降はコメディ基調ではあるが思いのほかシリアス。
真剣にバトル物や人間ドラマをやろうとしている姿勢が伺える。
まぁこのエピソードだけだろ、と高を括っていたが、なんと終盤までそのシリアス調を貫いており、
しかも時折2話完結だったりとかなりストーリーも練りこんである。
しかし所詮コメディ基盤で展開されたシナリオなんで、突っ込みどころが多々ある。
内容的にはコメディととれる回もあるにはあるが、演出やBGMがコメディに徹底させる気がない。

最終回も{netabare}これまでの登場人物全員集合!で、かなりドンチャン騒ぎ。
ラストも無理やり〆ました!って感じで、典型的な低予算アニメだったなと。
結局商店街とデパートの抗争はどうなったのよ{/netabare}。

そしてこの作品の最大の鬼門はやはり作画とキャラデだろう。
キャラデはまぁ個人的には気にしない性質なんでいいんですが、
MUSASHIGUN道を観た直後ならいざ知らず、お世辞にも作画は良いとは言えない。

あと展開詰め込みすぎ。展開が足早なこともありそのせいでカット割りが忙しい。
テンポが良いってレベルじゃない。ちょっと落ち着いて茶でも飲めよって言いたくなる。

ガーゴイルの設定も面白そうなのに、それをはじめとした設定を活かしきれてない実情が否めない。
双葉と美森と梨々の3人娘の絡みがほとんどないのも寂しい。
梨々なんて{netabare}社会から隔離され錬金術の実験体にされていた{/netabare}という、
いろいろ課題というか、人間関係を築き上げる過程などの描くべき問題というか、
コメディのネタとなる潜在要素がたくさんありそうなキャラなのに、
特に触れられることなくすんなり町に馴染んじゃってる。
こういう面白くなりそうなところを弄らないところが、すごいもったいないなーって思う。

あまり深く考えず頭を空にして観る内容には違いないが、純粋なコメディを期待するのはNG。
コメディとして観るにしても、双葉のやかましい蹴りツッコミが人を選びそう。
ストーリーは結構練られてるので、退屈はしなかったし
ぼーっと見る分にはそこそこ良かったと思うのだが、カット割りの忙しさや作画、
(コメディとして)活かしきれてないキャラクターや設定などを考慮すると、
クオリティの高い作品とは言いにくい。最終回なんていろいろと詰め込みすぎて白けちゃうよね。

コメディとして観れば設定を活かしきれておらず、
シリアスとして観ればコメディの設定が尾を引いてツッコミどころが生じる。
"ご町内ハートフルコメディ"というキャッチコピーは、
大声で間違ってるとは言えないけど語弊を生みそう。

あとなんで最終回のアイキャッチだけセリフとSEつけたのか謎。
オシリスちょっと可愛い。OPはキャッチーで聴きやすくてよろしい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

zemin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

みんなの愛する御色町(ごしきちょう)

作品のキャッチコピーは、「ご町内ハートフルコメディ」。
続きものではありますが、1つの話が1話~3話で完結します。

日常系なのにうるっとさせるエピソードが多いんですよねー。
ガーゴイルが御色町の個性的な住人たちに受け入れられていく流れが丁寧に描かれています。

登場人物が一緒に住む家族だとか自分の住む場所を
大切にしているアニメっていいですよね。

{netabare}
ガーゴイルは、はじめは融通の利かない性格なのですが
少しずつ柔軟に、人間らしくなっていく様子が好きです。
それに伴って、吉永さん家のガーゴイルから
御色町のガーゴイルになっていく過程も好きです。
{/netabare}

そこまで無名だとは思いませんが、作品の質が高いわりにあまり評価されていないように感じます。
タイトルで損をしているような気も・・・

個人的に視聴する前は、タイトルから中身の薄いお気楽コメディっぽいのを想像しましたが、
実際はかなり味わい深いストーリーです。
そして、OPもすごくいい。聞いているとなんだか元気になります。

My Favorite Character
ガーゴイル。頼りになる御色町の番犬です。
若本規夫が声をあてたキャラクターで2番目に好きです(アニメのキャラでは1番!)。
蛇足ですが、若本ボイスで一番好きなキャラは高屋敷寛(たかやしき ひろし)です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

らめええええええええ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

下町ハートフルコメディーの名作

この世の中、馬鹿な真似ほど… 狂気の沙汰ほど面白い…!作品の一番の見どころは、このアニメ独特の世界感…基本も基本…大原則だっ…!うか
最近描かれなくなった、商店街の風景そこで生活する様々な人間模様をしっかり描写していたのだっ・・・・・!
また、人間味あふれるキャラが魅力的…!!
ストーリーは基本シリアス寄りです
がっ...ダメっ...!ヒロインの双葉の明るさや...!町の下町ノリな雰囲気でよい調和がとれていますっ・・・!
双葉は男勝りですが内面はすごくやさしくて愛が深いという古い番長タイプな少女です。
実際こんな子はいない…基本も基本…大原則だっ…!うが見ていて爽快ですねっ・・・・!
ハートフルコメディとして安心して見れる作品です。大きな感動はありませーんが
安定した面白さがあるのでぜひご視聴くれっ・・・!...!
双葉とガーゴイルの掛け合いも見所のひとつっ・・・・・!ね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

62.7 23 小学生で心温まるなアニメランキング23位
マイマイ新子と千年の魔法(アニメ映画)

2009年11月21日
★★★★☆ 3.6 (136)
391人が棚に入れました
小学3年生の新子は、山口県の片田舎に住む普通の女の子。友だちや家族に囲まれ、この町にあった平安時代の地方の国の都「国衙」について空想することが好きだった。そんなある日、東京から貴伊子という生徒が転校してくる。貴伊子が気になった新子は、次第に親しくなっていくが……。

声優・キャラクター
福田麻由子、水沢奈子、森迫永依、本上まなみ
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

大満足!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。95分ほどの作品です。非常に満足しました。どれくらい満足したかをうまく説明することができませんが、最近見たアニメ映画の中では随一の満足度です。ジブリの初期作品が好きだけど、見尽くしてしまったという方は、これにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。主人公である二人の女の子もとてもかわいく、好感が持てました。

 全年齢向け映画に必要なのは、ややこしい象徴物に気付かなくても楽しめることと、大人も楽しめる普遍性だと思います。この作品はどちらも充足されていました。
 悪かった点は二つ。一つ目は、方言に慣れるまでに少しだけ時間が掛かってしまったことです。私自身が方言にあまり免疫がないため仕方のないことですが、もう少しマイルドな方が見やすかったです。二つ目は、これを子供のころに見れなかったことですね。


対象年齢等:
 「となりのトトロ」以上「魔女の宅急便」以下から視聴できる、全年齢向け作品です。
 主人公は小学3年生ですが、トトロやネコバスのようなマスコットが出てくるわけではないので、マスコットに頼らなくても見れる小学生以上でないと厳しいでしょう。
 この作品ではテーマに関連して様々な「別れ」や「死」が描かれます。子供向けですので強烈な描き方はされていませんが、「トトロ」で匂わせるだけだった死に切り込んだことは評価されるべきだと思いました。考えすぎかもしれませんが、迷子になった妹があっさり見つかるなど、「トトロじゃないよ」というメッセージを少し感じました。何がどう死を迎えるかは、実際に視聴して確認してください。


テーマ:
 テーマはバトンタッチです。千年前から現代へ、祖父から孫へ、親から子へ、先輩から後輩へ、そして同年代の生徒間で。さまざまなバトンタッチが描かれます。必ずしも具体的な物が承継されるわけではないですが、確かに「何か」が伝わっていったのだと自然と思える作品でした。「別れ」や「死」に重要性があるのではなくて、そこで何かを伝わえることができたのか、というテーマです。

 舞台はおそらく昭和30年代の山口県だと思われます。こういう舞台設定の場合、感想としてノスタルジーが強調される傾向がありますが、あまりそこを気にしない方がいいと思います。およそ私たちに共感できる時代ではないですし、時代劇や「となりのトトロ」と同様に「そういう時代があったんだ」程度に考えれば良いでしょう。


考察ポイント:
 考察自体不要な作品だとは思うのですが、象徴物が多い作品ですので、私が注目した部分に限定して簡単に考察していきます。
{netabare}
①鏡・水面・ガラス
 この作品は、鏡に映ったシンコから始まります。鏡というのは、人間の中にある二面性や背反性を象徴するものとして使われますので、「夢と現実」「大人と子供」など定番のものは想定しながら見ると良いでしょう。水面やガラスなど顔が映るものも同様の効果を持ちます。映ったタイミングで「現状はこうですよ」または「これから変わりますよ」というメッセージが込められることが多いので、注目しましょう。

②足
 前半は足の描写がかなり多いです。これはキイコが裸足になるまで、つまり、心を開くまでの推移を表したものだと思います。後半はあまり意識していなかったので分かりません。

③色鉛筆・香水
 キイコは、転校2日目にトラブルを起こしてしまったわけですが、初日が描かれていません。おそらくですが、初日に馴染めなかったため、母親の象徴である色鉛筆と香水をお守りとして持参したんだと思います。香水はもう一度使われますが、使用動機は見守っていてほしいという純粋なものでした。

④木刀・タツヨシ
 木刀は英雄譚や父性の象徴です。タツヨシは父から暴力を受けていたことが災いして、あのような性格となっていましたが、父の死に際して、人間としての父に触れることになりました。彼は、父からバトンタッチを受けていなかったことを嘆きますが、キイコの(千年前の)鬼払いの儀を経て、バトンタッチをする側になることを誓い、シンコに木刀を譲ります。

⑤ヒヅルちゃん(金魚)
 ヒヅルちゃんは、かなり重たいものを背負っていました。
 ナギコからは、友達が欲しいという願い(色紙)を託されています。これはキイコにおいて成就され、キイコは友達を得ることができました。シンコのおかげと言っていたと思いますが、直接にはナギコの願いです。
 男の子からは処女性を、キイコからは母性を託されています。処女性と母性は併せて聖母マリアにつながるもので、理想像となります。聖母マリアは、処女受胎です。したがって、何かを生み出すという未来への希望を担います。
 シンコは、明日への希望を託しています。上記と関連しますが、これをシンコに代弁させたのだとも思われます。

⑥キイコ
 ストーリーの重要性からは、こちらが主人公だと思います。空想と現実という観点からは、シンコと真逆の存在として描かれています。
 シンコがナギコに友達を願い、ナギコの願いはキイコに届きます。記憶に遠い母の死が、ヒヅルちゃんの死によって鮮度を増し、落ち込むことになります。シンコが現実に触れて空想の力を失っている間に、キイコは一人反省をし、空想の力を増していきます。母親の子供のころの写真を見つけ、理想の母親から現実の母親へと意識を転換することで一気に空想の力が開花します。タツヨシが父親の子供のころの映像を見るのはこのタイミングだと思われます(キイコが子供のころの母の写真を見たとき)。
 シンコに代わってキイコがナギコのストーリーを描き、ナギコの鬼払いの儀が子供たちを病から笑顔へと変えます。これが現代へと届き、死という現実に塞ぐシンコとタツヨシを救うことになりました。彼らよりも早くに現実を見ていたキイコにしかできないことでした。
 テーマに挙げたバトンタッチとは、再生(?)したヒヅルちゃんを見るために、キイコがシンコを追い抜くリレーのようなシーンから着想を得たものです。

⑦おじいちゃんの死・シンコの転校
 おじいちゃんの死はあっさり描かれていますが、シンコ・キイコという二人の子供にバトンタッチが済んでいたために、悲劇ではなかったということです。シンコの転校も同様です。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

マジでゲスな言い方を許していただけるのなら『ALWAYS 三丁目の夕日』+『耳をすませば』or『今敏監督作品』≒『おもひでぽろぽろ』

昭和30年代の山口県防府を舞台に、芥川賞作家の髙樹のぶ子が自らの子供時代をモデルにした自伝的小説が原作


当時の防府は1000年前の平安時代の遺跡が出土することが話題となっていたため、主人公の新子は平安時代の人々がこの地でどんな生活をしていたのか?
そんな空想に耽る日々を過ごしていた


新子の通う小学校にやってくる東京からの転校生、貴伊子や男子生徒達のリーダー格、タツヨシらとの忙しない子供時代が語られます


ひょんなことから揺らいだり、また元通りに結ばれたりする友情の話だったり
大人の都合に振り回され、子供だけでは如何ともし難い状況に立たされる無力感の話だったり
いくつものジュブナイルストーリーに時折“新子の空想の平安時代”がオーバーラップしつつ美しい映像で紡がれていきます
作画面はホント凄い


この作品が持ってる価値の半分はコレが2009年制作だってことでしょう
現代においてこんな作品が生まれるってのがなんとも希有なことです
セル時代のジブリ作品を髣髴とさせる温かみと懐かしさを感じる映像が、かつてジブリ作品にも関った片淵須直監督を中心としたスタッフの技術力で見事に作り出されていることに感銘
良い意味で既視感のある映像とお話


既にこのことをご指摘のレビューも多数見受けられるようですが、昭和30年代のノスタルジーにすんなり浸れる方に一番オススメ


正直にお話自体はそれほど後味の良いものではありませんw
良くも悪くも気恥ずかしくなるような話や、エグい内容のクライマックスがリアリティをかきたてる


『おもひでぽろぽろ』のように“あえて今、過去を振り返っているんだ”という自覚的な演出は特別ないです
完全に昭和30年代へのタイムトリップ状態
ノスタルジー以外に昭和への【浪漫】みたいのを求めてご覧になるのであれば『コクリコ坂から』の方が全然良い作品ですよ(キリッ


興味深いのがこの作品、公開当時は興行的にあまりにも振るわなかったため、片渕須直監督が「このままだとDVD化も難しいかも・・・」と苦言を発する状態にまで追い込まれたものの、「この作品を子供と見たい!」というお母さん層を中心とした口コミで一気に火が付いて、公開劇場を増やそうと署名活動まで起こる騒ぎになり、結果的に1年以上のロングラン公開となった逸話があること



こんなにもアニメファン、一般層の両面から愛された映画も昨今珍しいです
逆に子供と一緒に見ることを強要するのはちょっと微妙な気がしますがw
先述の映像面や村井秀清さんの軽快な音楽とか、何気見所もイッパイなんで「ハッピーエンドじゃなきゃやーよー」ってお方以外は率直にオススメします
いやまあwハッピーの定義なんて知りませんけどねwww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

昭和30年 山口県防府市の農村を舞台にした、千年の時を超える少女達の物語

片渕須直さんが"この世界の片隅に"の前に監督した劇場用アニメーション作品。
昭和30年の山口県防府市を舞台にした作品で、防府市出身の小説家"髙樹のぶ子"さんの自伝的小説が原作です。
戦後復興中の山口を舞台に、想像力が盛んな女の子を中心とした、少年少女の物語となっています。

主役は防府市国衙で生まれ育った3年生の女の子「青木新子」。
彼女は祖父から、防府市の街は千年前から存在していて、四角く区切られた土地や清流はその名残であることを聞かされます。
新子は祖父の話から、千年前の防府市を想像し、文献に存在する、そこに渡ってきた女の子「諾子」のことを夢想します。
以降は、物語は新子と諾子のそれぞれが流れます。
そんな折、東京から「島津貴伊子」という女の子が越してきて、二人は仲良くなります。
「シゲル」や「タツヨシ」ら友人たちと仲良くなり、平和な日々を暮らすのですが、ある事件が発生し、場面は急転します。

絵柄は素朴で、アニメ好き受けするようなデザインではないと思います。
ジブリや細田守的であるといえばそうなのですが、とにかく地味で、またストーリー展開も正直目新しいものではなく、特筆すべきセールスポイントに乏しい作品であったはずでした。
劇場用作品ですが公開劇場も少なく、観客動員数も低迷していたのですが、劇場で視聴した人の称賛の声から評判になり、上映期間が伸びるなど話題になったという経緯があります。
視聴してもやっぱり地味な作品なのですが、美術はキレイで、なにより、戦後の農村という広くて自由な世界で、走り回って、泥にまみれながらダムを作り、探検をして、ウシガエルのなくあぜ道を歩く風景は、プロットの練られた物語や美しい美術以上にワクワクさせるものを感じさせてくれます。
見てよかったと思わせてくれる作品だと思いました。

舞台は防府市ということで、防府市の名所がいくつか紹介されます。
周防国衙跡や建物の建造跡などの描写があり、新子の想像した諾子も、父の国司赴任により周防国にやってきた幼年期の清少納言であり、そういった山口県の歴史を知る意味でも興味深い作品と思いました。
ただ、この諾子が、マイマイ(つむじ)を通して新子と通じ合うような描写があるのですが、ラスト近辺で貴伊子が関わってくるシーンは、なぜそうなるのかよくわからなかったです。

楽しい映画でした。
ただ、田舎の子供の遊びや古い家電にノスタルジーを感じられない場合、面白さは半減だと思います。
ビジュアルの割には子供向けではないのかなと思いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

68.4 24 小学生で心温まるなアニメランキング24位
じゃりン子チエ(TVアニメ動画)

1981年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (78)
347人が棚に入れました
浪花の小学生・竹本チエは生活能力のない父テツ、別居中の母ヨシ江に代わり、稼業のホルモン焼き屋を営む。そんな鉄を見守るのは、チエが小鉄と名付けた、額に三日月キズのあるオス猫だ。だがその小鉄の元にある日、若き猫アントニオJrが現れた。Jrにとって小鉄は、今は亡き父の仇だったのだ。

声優・キャラクター
中山千夏、西川のりお、上方よしお、鮎川十糸子、伝法三平雄、永井一郎、太田淑子、山口朱美、三輪勝恵、入江雅則
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

‐哀悼‐ 大阪の下町を舞台にした、人情話の名作を、名匠がアニメ化

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
「ちびまる子ちゃん」と「寅さん」(もしくは両津勘吉)を親子にして、この二人をコテコテの関西人にしたような作品。私は原作漫画が好きで、そこから興味を持ちました。

「じゃり」とは、「子供」を意味する俗語です。主人公の「チエ」は、バイタリティーに溢れる小学校5年生。全く働かないダメ親父の「テツ」に代わり、お好み焼き屋をきりもりしています。そんな「チエ」や「テツ」、母の「ヨシ江」、祖父母の「菊」と「おじぃ」、飼い猫の「小鉄」を中心に、大阪の下町の人情味溢れるキャラクター達の掛け合いが楽しく、心温まる作品です。正に、「吉本新喜劇」の世界観って感じです(笑)

監督は、あの「高畑勲」さん。流石は高畑勲さんだけあり、原作の空気感をよく生かし、なおかつ「格」も生み出している。声優さんも、永井一郎さんなど実力派の方や、芸人の西川のりおさんやタレント議員だった中山千夏さんなど、かなり個性豊か。でも、しっかり役にハマってるんですよね。この辺の上手さは、本当に宮崎駿さんにも見習ってほしかったですね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
アニメの感想は、「総括」に結構書きましたので、そちらに。とにかく、大阪の下町を舞台にした日常系アニメとしては、原作、アニメ共に、間違いなく名作の部類に入ると思います。私は特に、「小鉄」をはじめとした、猫達のからみが好きでしたね。

さて、高畑勲監督です。先日、お亡くなりになったとの訃報を聞き、本作を思い出しました。

高畑勲監督は、どのアニメにしても、「アニメらしさ」を失わない範囲での「本当の意味での、人々の日常の営み」を、物凄く丁寧に描写される監督だったと思います。原作つきの作品も多くアニメ化されていますが、原作の理解度の高さと原作への愛、敬意を感じます。ただただ表面だけを切り取って「動く漫画(小説)」にするのではなく、原作者が伝えたいことをしっかり汲み取り、アニメならではの表現のなかで、しっかり再構成できる、稀有な才能をお持ちだったと思います。勿論、本作もそういう高畑勲監督らしさを随所に感じることができます。

武骨な見た目に反し、繊細で、知的で、こだわり(美学)が強くて。優しいのに、心の内側に燃えたぎるような「何か」がある人だと、勝手に思っていました。そういう意味で、私が大好きな作家、「梶井基次郎」と、印象がダブっている部分もあります。

高畑勲監督の代表作としては、「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョとなりの山田くん」「かぐや姫の物語」などが知られています。勿論、全て視聴済みです。しかし、今回気づかされたのは、いずれにもレビューを書けていなかったということです(別に意図的に避けていたわけではないのですが)。

高畑勲監督の作品に、私は、良くも悪くも敷居の高さを感じます。「昔観た記憶でぼんやりとレビューを書いたり」「雑談でちゃかしたり」できない、しちゃいけない作品ばかりなんですよね。

一見、平易で、でもその背景には、莫大なメッセージが隠れていて。哲学的というか、文学的というか、高尚なんですよね。戦争体験も大きいと思いました。

どうせレビュー書くなら、もう一度しっかりと視聴して、ちゃんとレビューを書きたい。そう思わせてくれる、尊い作品ばかり。だから今回は、原作が好きで何度も読み返している、本作のレビューを書かせてもらいました。

「かぐや姫の物語」を、映画館で観た時の感動は、今でも忘れられません(また映画館でやらないかなぁ、、、)。私たち世代の多くは、「火垂るの墓」で、初めて戦争に触れ、2度とあの悲劇を繰り返してはいけないと痛感しました。本当に素敵で、いつまでも色褪せない作品をたくさん遺して下さいました。ありがとうございました。

御冥福をお祈り申し上げます。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

che さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

虎の褌♪羆のパッチ♪百足の歯ブラシぶら下げて~♫茶臼山で鈍甲釣り♪エテ公が真似して赤っ恥~♫

久しぶりに、一話だけ見ました。
懐かしすぎた!ってかOPが懐かしすぎたww
てか歌詞が凄いwどやって思いついたんやって感じの歌詞ですw

内容は、
まあ、大阪の西成周辺での昭和の日常って感じでしょうかw

あと、声優を結構芸人がしてます、テツは西川のりおだし。
テツは役はマジでハマってますw
マサルはシンスケじゃなかったかな?

あと、猫がよく出てくるんだけど、世の中の世知辛さを知ってて、その辺りが笑えますw
小鉄(コテツ)とアントニオJrが大好きです好きですw

物語
ユニークすぎるwwオムニバス形式だし見やすと思います。

声優
芸人使っててこれまたユニークw

キャラ
これだけリアルなダメ人間が出てくるアニメはじゃりん子チエぐらいじゃないでしょうかw
リアルだしユニークですw

作画
当時にしては綺麗な方だと思います。

音楽
OPの歌ヤバすぎるwどうやって思いついたんやって感じですw

この下のネタバレ部分は西成に関する説明なんで、
アニメにあんま関係ないで、見ないでいいと思いますw
長くなったので、ネタバレにしただけです。
{netabare}
大阪の南の方の人間ぐらいしか、分からない場所かもしれませんが、まあカオスな場所ですよw日本唯一のスラムですw
平成になっても暴動とか起きてますからwもみ消されてニュースとかには上がりませんがねw
僕は自転車でも一時間以内に行ける範囲にあるのでそれなりに知ってるんですが、普通の日本の尺度で物事を考えないほうがいい場所ですねww
今はもう全然まっしになってるんで、(新世界とかもう観光地です)昼間なら歩ける場所になってるから、大阪にきたら行ってみたらいいんじゃないでしょうか?飛田新地とかも近いし面白いかも?
車でいくのはおすすめしません、当たり屋多いんでw
知ってる人間はあの辺ではスピードだしませんw
あと、西成の辺りは夜は未だに治安悪い、、、ていうか薬中多いんで、ほんとに危険ですよ
あと場所によってはスッゲー臭いですよw歩いてるだけで服についた臭い洗濯しないとれないでです。
そんな場所から数キロのところ(天王寺)に日本一高いビル建てようってんだから大阪ってカオスだよな~ww

まあ、そんなカオスな土地が舞台ですw
{/netabare}
でも、このアニメはすごくユーモラスに作られてて、面白いですよ!出てくる人間はテツを筆頭にダメ人間多い所もリアルだし、チエちゃんの店にくる客もリアルww
なにより、脚本が最高!!

「ヤクザ脅して金巻き上げたろかな~」テツ

「アホウ!ヤクザ怖ぁてこの辺で生きていけるかい!」テツ

「(客に対して)もう止めとき、それ以上呑んだら頭オカシなる」チエ

「それよりオッサン、もう五杯目やど、(心配するな金やったらあるわ)金のことやない、あんまり悪い酒ばっか飲んでたらアホになるど。」チエ

「おバアはんのブレーンバスターが出そうや!」チエ

このセリフが面白いと感じたら見てもいいんじゃないでしょうか?w
かなり笑えますw

タイトルはOPの歌詞です読めるかな?ww
まあ読めないと思いますw僕自身、羆、鈍甲は調べるまで知りませんでしたw

褌(フンドシ)羆(ヒグマ)百足(ムカデ)茶臼山(チャブス山)鈍甲(ドンコ、淡水のハゼの一種)

こんな人におすすめ

花札の人
下町の人
昭和の人
大阪の人
ホルモンの人
虎の褌で羆のパッチの人

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

ace さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

素晴らしいドタバタコメディアニメ

昭和50年代の大阪を舞台とした、
頭のおかしいクズテツと、娘のチエを中心としたドタバタコメディアニメです

テツは現在では放送できないでしょうね
まさにクズ!!ドクズ!!!
だが・・・憎めないクズ!!

テツの憎めないところ、すごいところは
どんなくだらないことにも全力を尽くし日々生きているパワーを感じられる
というところ

そして喧嘩っ早いクズとはいえ、
困っている者がいれば急いでいるときでも助けるところ
何事にも一生懸命なところなど
なんというか、「喧嘩と祭が好きな昭和大阪のお祭り男」という風情
ヤクザや警察など誰の前であっても態度ややりたいことを変えたりしない
(テツが苦手としている人物はいるがw)
一本筋が通っている
PS4ゲーム「龍が如く」の新主人公、春日一番みたいな性格
わからない人はすまん・・・
おそらく現在では絶滅したんじゃなかろうか、この手の昭和漢は
個性の塊

一応実家が定食屋なので、無職・・・ではないんかな
でも店は娘と奥さんに任せて昼間からブラブラ・・・しているわけではなく
いたずら1つにしても全力を尽くす
非常に濃密な1日を過ごす

「体がでっかくケンカが強く、奥さんと小5の娘がいる小学1年生」
がテツです

そしてじゃりン子チエ!
しっかり者でまさに大阪下町の昭和っ子という感じ
このチエとテツが主人公として日々バカな騒動を巻き起こし、
または巻き込まれストーリーが進行していく

チエの親友のヒラメちゃんがまたいいキャラで、
おかっぱ、ヒラメ顔、鼻と眉毛がなく口が「3」という
凄まじい個性のキャラクター
一度見てみるといいwwww

びっくりしたのはテツの声優はあの西川のりお
西川のりおはNHK教育テレビでもなんか鬼?の役をやっていたり
けっこう昔からお笑い以外の界隈でも出てたんだなぁ・・・

で、この西川のりおがテツの声優として完全にマッチしていて
ドラえもん、バカボンパパの声優と同じで「このキャラの声優は
この人しかいない!」感が強い
例えば、ドラえもんの大山のぶ代ね
ドラえもんの声優が交代してからもうずいぶん経ちました・・
現在ドラえもんも昔のドラえもんも自分はドラえもんマニアなので
両方よく見ますが、いまだに現在ドラの声には違和感がある・・・
「なんか違うんだよなぁ」とか「ドラはそんなこと言わない」
みたいな違和感がある
アニメなどのキャラには「この人しかいない!」というような声優が
必ずいて、西川のりおはまさにこのテツにとって
「この人しかいない!」という声優
棒読みっぽい部分も多々あるが、変に演技臭さを感じないので
とても自然で良い

小鉄やヒラメちゃんやマサル、ヤクザなど個性的で楽しいキャラも多く、
浦安鉄筋家族などの現在のギャグ漫画の基礎となったと思われる
傑作コメディアニメ!!

テツは相当頭おかしいが
それでも同じ時代を背景に持つバカボンのパパと比べると
一般人に見えてしまう・・・
バカボンパパ・・・すごすぎる

そうえいばバカボンパパも意外にも喧嘩が強かったな
なんとなーく行動が似てるわwww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2
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