れんげ さんの感想・評価
4.5
『オレの人生はつまらなくなんかない! 家族のいる幸せを、あんた達にも分けてやりたいくらいだぜ!』
劇場版クレヨンしんちゃんの第9作。
2001年公開。
【前置き】
原恵一さん、脚本&監督作品の第5弾。
本サイトのレビュー数を見ても、本作がシリーズの中で如何に多くの方の心に焼きついた作品かが窺えますね。
かくいう私も当時、これまた予告とは全く違った色を見せた後半の感動的な展開に、かなり面食らったものです。
勿論それは、数々の賞という形でも評価され、原恵一監督と劇場版クレヨンしんちゃんを、広く世間に知らしめた作品ともなりました。
本作に限っては、レビューするに辺り見返す必要もない程に内容を覚えていたのですが、やっぱり流れを追って本作も見たくなり視聴しました。
いやはや覚悟はしていましたが、やっぱり涙と鼻水が口に入ってしまう程、やられちゃいましたね。
【あらすじ】
昔懐かしいテレビ番組や映画、暮らし等が再現された『20世紀博』というテーマパークが誕生。
それからというもの、しんちゃん達子供を退け、大人達はこのテーマパークに夢中になっていきました。
しかしこのテーマパークの本質は「ケン」と「チャコ」をリーダーとする秘密結社『イエスタデイ・ワンスモア』による、大人を子供に戻して「古き良き昭和」を再現し、未来を放棄するという、恐るべき『オトナ帝国』計画の始まりだったのです。
【論じてみる】
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【ひろしの回想】
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【21世紀を手に入れろ】
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【総評】
これまでの劇場版と比べ、かなり色の違う作品ではありますが、シリーズ初心者からクレヨンしんちゃん自体に興味が無い人も含めて、心を掴むには十分な出来の作品だったのではないでしょうか。
その雰囲気だけでなく、昔懐かしの「白い色は恋人の色」「ケンとメリー 〜愛と風のように〜」といった曲や、「モーレツ!」「ケレル!」「アッと驚く為五郎」等の台詞も沢山登場しますので、当時に少なからず縁のある世代は、思わず「懐かしい!」と言いたくなるシーンに出会えることでしょう。
ただ、後半の良さと比べてしまうと、やはり前半のコメディーパートは長ったらしく感じてしまう部分も然り。
ですが、それ無くしては本作が「クレヨンしんちゃん」である意味もなくなってしまうと思うので、そこは致し方無いかとも感じましたね。
ちなみに、しんちゃんの声優である矢島晶子さんも、本作が劇場版の中で一番好きと断言しており、次回作の『戦国大合戦』の2作は別格との位置付けをしているそうです。
さて、作中ケンとチャコが、屋内の仮初めの商店街で、こう言い合うシーンがありました。
「昔、外がこの町と同じ姿だった頃、人々は夢や希望に溢れていた。
21世紀があんなに輝いていたのに。
今の日本にあふれているのは、汚い金と燃えないゴミぐらいだ。
これが本当にあの21世紀なのか。」
「外の人達は心がカラッポだから、物で埋め合わせしてるのよ。
だからいらない物ばっかり作って、世界はどんどん醜くなっていく。」
未来を返した彼らは、今もどこかできっと生きていることでしょう。
彼らが、今この2014年を見たら、改めてどう思うのでしょうね……。
それは誰も分かりませんが、私は本作を通し、決して「昔の方が良かった」とは言わず、今を何より楽しむことを忘れずこれからも生きていきたいと強く感じました。
それでは、いつも以上にモーレツ!に長々となっちゃいましたが、読んでいただきありがとうございました。
次回作は、第10作「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」です。
◆一番好きなキャラクター◆
『野原ひろし』声 - 藤原啓治さん
◇一番可愛いキャラクター◇
『チャコ』声 - 小林愛さん
以下、チャコさんについて。
(※例の如く、どーでもいい話なので〆ます。)
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