国王で友情なTVアニメ動画ランキング 10

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の国王で友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の国王で友情なTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.8 1 国王で友情なアニメランキング1位
転生したらスライムだった件(第2期)(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (561)
2739人が棚に入れました
「転生したらスライムだった件」は、伏瀬さんによって小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載されたWeb小説を原作としたTVアニメ。異世界で一匹のスライムに転生した主人公が身につけたスキルを駆使し、知恵と度胸で仲間を増やしていく異世界転生エンターテインメントだ。2018年10月から第1期が2クールで放送され、第2期は2021年1月から放送となることが決定している。

声優・キャラクター
岡咲美保、豊口めぐみ、前野智昭、古川慎、千本木彩花、M・A・O、江口拓也、大塚芳忠、山本兼平、泊明日菜、小林親弘、山口太郎、福島潤、田中理恵、日高里菜、春野杏、櫻井孝宏
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

進化の果てに深化する物語

(2021.4.3最終投稿 2021.8.7改定と推敲)

 第2期 第1部:閑話+全12話 (第24.9話, 第25話~第36話)

 なろう版読了。書籍版、コミカライズは継続愛読中。

 原作ファンである自分にとって、2期はちょうどお気に入りの部分のアニメ化ということで評価ポイントはかなり甘め。コミックと比べてしまうとやや物足りない部分はあるものの、アニメで動き話すキャラたちは第1期と変わらず非常に魅力的。また第1部の全話に関して、重要なポイントは外していないし無駄も少なかったと思う。

 原作を十分咀嚼した、よく練られた構成と脚本だと思える。二回放送延期になったことが、脚本の精査をもたらしたのかもしれない。

 とは言うものの、終盤残り2話のあたりから急に詰め込み感が増して若干不安が湧いた。が、最終的には許容範囲内で収まった。

❮放送前投稿❯
{netabare}
<2020.4.4初投稿分>
{netabare}
 2020年3月22日に公式HPにて発表されたスケジュールは、2020年4月からの転スラ一期再放送の後に

2020年10月 二期 第一部
2021年1月 転スラ日記
2021年4月 二期 第二部

とのこと。なんと、9か月に及ぶ転スラ祭り!

 同期ではログホライズン三期と共に転スラシリーズも今から非常に楽しみにしています。ヒナタがいよいよガッツリ物語に絡む二期。転スラの面白さが加速するだろう。

 ディアブロ、テスタロッサ、カレラ、ウルティマ。スーパーカー由来名の原作の中でも個人的に好きなキャラたち。

 ディアブロは、公開されているキービジュアルでもわかるように二期登場確定。でもその他3名は、1クールでは登場は無理。しかし、上記のように本編は分割2クールの尺なので物語の構成次第では彼女らも登場する可能性があるのも密かな楽しみ。

以下2021.2.17追記

 二期始まって1クール目の丁度半ばの30話まで観て、今期のシリーズ構成は多少の前後の入れ替えはあっても原作を丁寧になぞる方針と受け止めた。この調子だと2クールで最低書籍6巻の最後迄、もしくは途中からペース早めて切りの良い7巻の最後迄が限度かも。

 原作での彼女達の登場は第11巻なので、どう考えても彼女達の今期の登場は無理。こうなるとこのシリーズが3期4期と長く続くことを祈りたい。
{/netabare}
<2020.11.28投稿分>
{netabare}
 2020年5月末、放送・配信開始時期が2020年10月から1クールずれる形での延期発表あり。

第2期第1部が2021年1月から、転スラ日記が2021年4月から、
第2期第2部が2021年7月から放送・配信開始とのこと。

 延期は残念だが、2020年3月発売のコミック14巻限定版付属OADから始まったコミック付属OADは、リムル愛豊かなキャラたちの平和な魔国連邦の日常を描いた、

OAD1「外伝:Mの悲劇?」、OAD2「外伝:HEY!尻!」。

 そしてOAD3以降は、リムルとシズの5人の教え子たちの新エピソードでリムルの教師就任時の強力な原作補完となっている。

 原作:伏瀬書き下ろし完全新作エピソード「外伝:リムルの華麗な教師生活」三部作。(2020.11.27発売のコミック16巻付属のOAD5で完結)

 コメディ要素多めで、なおかつ原作の隙間を埋める独創性が好ましい。リムルのみでなく、アニメオリジナルの魅力ある教師キャラたちとの絡みの中、5人の教え子たちの成長と活躍を堪能できる。

 転スラアニメ1期は、シズ関連描写のアニオリ要素が原作補完で感動アップしたが、さらにこのOADでシズの重要性も深まった。リムルにもちゃんと活躍の場があったし、2期の新キャラも巧く登場させてグッド。そして2期の冒頭に繋がり得るタイミングで終了。

 このOAD三部作のおかげで2期に期待が非常に高まった。来年の放送が楽しみだ。
{/netabare}
{/netabare}
❮各話レビュー❯
{netabare}
◎ 2021年1月初回放送分
★#00-03『24.9 閑話:ヒナタ・サカグチ/25 リムルの忙しい日々/26 獣王国との交易/27 楽園、再び』
{netabare}
<あらすじ>

 三上悟はスライムとして転生してあっという間に二年が経った。

 様々な困難を一つ一つ乗り越え、その転生名リムルの名声は増々拡がり、続々と新たな出会いも生まれる。

 成り行きで興した魔物と人類の共生を目指す国も、順風満帆に発展する。

 異世界でリムルと縁があった故人、シズの遺言にあった地球より召喚された5人の教え子たちの命を救うこともできた。

 そして一時の平和が訪れた。

 周辺諸国との新たな国交樹立とそれらとの交易のチャンス。富国の予感でハッピーな日々。

 しかし、この束の間の安らぎはいつまで続くのだろう?

<波乱の序章>

 アニメと原作では教え子の救済と国交樹立のエピソードは時系列としては逆になる。その結果、国交エピソードは1期ではカットされたが2期で復活した。

 伏線の配置は抜かりないが、敵となる存在はまだ表にはあまり出てきていない。この間に登場したキャラたちは、新旧共に今後重要な役者たちとなろう。

 序破急の構成の妙を感じる。その”序”として活きた4回だったと思う。

 かけがえの無い家族、仲間、場所があるのは幸せなことだ。バカで他愛もない平和な日常も貴重で、いつまでも当たり前にあるとは限らない。やがて訪れる”破"そして"急”の展開で起こる悲劇の悲しみを、より引き立てるために時系列を変えてまでもエピソードを復活させることは必然だったのだろう。

 日常が一旦壊されてしまうと、再び平和に戻るにはエネルギーも時間もかかる。笑顔が消え失せ殺伐とする。ならば先をいそがず、平和の有り難みを噛み締めこの笑顔の一時を楽しみたい。しかし、原作やキャラクターに思い入れがないと話のテンポが悪いと思うかもしれない。

 ところで、ここまで毎回のように登場する大浴場シーンだが、サービスと言うよりキャラたちの親睦を深める人間関係発展の場として有意義に活かしてる。和テイスト満載の露天風呂は、リムルの国の心と富の豊かさの象徴。このシーンはほのぼのとして心地よい。そんな原作とは一味違うアニメの独自性が好ましい。
{/netabare}
◎ 2021年2月初回放送分
★#04『28 謀略のファルムス王国』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは盟主としての大切な外交後、一旦イングラシア王国に戻った。そして教え子たちの無事な進級を見届け、安心して学園を去る準備を始めた。

 リムルが懇意にする大商人ミョルマイルとの商取引も順調で、テンペストは表面上は相変わらず平和な日常は続く。

 一方、魔王クレイマンの陰謀の影、魔国連邦(テンペスト)の軍事力や技術力を脅威と感じる外国勢の存在。それらが具体的に浮き彫りになり、きな臭さが増してきた。

<風雲急を告げる>

 1期の第24話から今回迄で、2期第1部の物語の必要な役者が全員揃った。次回いよいよ物語が大きく動きだしそう。

 アニメでは、リムルが安心して生徒を任せられる先生キャラクターを独自に追加した。今回僅かに登場のティス先生のこと。

 ティス先生はOAD3-5のエピソードで、リムルと生徒たちの信頼を獲得している。彼女と5名の生徒たちがひとつの危機を共に乗り越えることで、お互いに深い絆が生まれた。

 おかげでリムルは、彼女に生徒たちを安心して任せ、国事のため一定期間テンペストに戻ることも出来た。さらに、今回の引き継ぎ描写が自然になる効果もあったと思う。
{/netabare}
★#05『29 災厄の前奏曲』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは未だイングラシア王国に赴いたまま。そんなリムル不在の首都リムルで事件は起こった。

 リムルと連絡も取れず訳も分からないまま、魔国連邦(テンペスト)は未曽有の災禍に見舞われた。

 魔王ミリムによる獣王国ユーザラニアへの宣戦布告の速報と難民受け入れの要請が、獣王国幹部アルビスから届くものの、詳細は不明のまま通信は途中で断絶。

 一方、100名ほどのファルムス王国の武装した騎士団の首都への接近の報告がソウエイから届く。

 街中では、冤罪事案を切っ掛けに引き起こされた工作員との戦闘発生で大混乱となった。

 さらに都市内部から、大魔法・魔法不能領域(アンチマジックエリア)と都市外部から、四方印封魔結界(プリズンフィールド)が、ほぼ同時に首都全体に発動される。

 その二重結界は、人間には無害だが魔物には有害なもの。魔法の無効化により外界と完全遮断。魔素が浄化されることにより魔物は弱体化。テンペストにとって非常に不利な状況となった。

 その他様々な要因が絡み合い状況は混沌へと誘われ、その日、平和な日常は一瞬で壊され笑顔が掻き消された…

《躍進のための組曲 その1”混沌”》

<出る杭は打たれる>

 今回のアニメのサブタイトルは、書籍第5巻の第二章のタイトルからそのまま採用され、その章の後半部分を元に構成された脚本だった。(二章前半部の内容は前回で登場) 今回、主人公リムルの出番が全くないのはその影響が大きいと思われる。

 今回、ヨウムとミュウラン、グルーシスのエピソードは今後の物語上必要で、アニメで丁寧に描かれて安心した。

 リムル単独では乗り越えられない大きな試練が待っている。今期、今までは大賢者の出番があまりなかったが、間もなく大賢者とリムルの最強タッグ再び、となろう。

 テンペストの本当の躍進は、打(伐)たれてからが始まり。ずっと平和なままだと国の進歩も緩慢で、場合によっては停滞してしまうかもしれない。物語としても面白くない。逆境をバネに、試練の苦しみあればこそ、その後の達成の喜びは大きい。

 いよいよお待ちかねのキャラクター参加の次回、アニメでどんな作画で動くのかとても楽しみだ。
{/netabare}
★#06『30 動き出す麗人』
{netabare}
<あらすじ>

 テンペストではファルムス王国の手勢により住民被害が拡大。取り返しのつかない事態が起こっていた。

 一方リムルは、生徒たちと名残惜しい別れをしていた。テンペストで起きていることを全く知らぬリムル。

 そしてリムルとランガは、イングラシア王国から少し離れ、空間転移でテンペストに戻ろうとしたが転移出来ない。

 さらに、ソウエイの分身体からの警告があった。そこで初めて危機を覚るが、さらに周りに違和感が拡大すると…いい迷惑な、全くありがたくない出逢い。

 「初めまして、かな? もうすぐサヨウナラだけど」

 問答無用に魔物にとっての天敵との激闘が始まった。

《躍進のための組曲 その2”激突”》

 今回の様々なバトルシーンはキレがあって好い。前回は作画に若干の手抜きを感じたのだが、今回に注力するためだったのかと勝手に納得。第1クール半ば最大の見せ場として申し分ない。

 全く不満がない訳ではないので大甘だが、今回で作画評価を4.5→5.0に上げた。アニメスタッフの健闘を讃えたい。

<聖騎士団筆頭ヒナタ・サカグチ(坂口日向)>

 思えば彼女は1期の第1オープニングから登場しており、ヒナタを本編で描きたかったスタッフの思い入れが今回の作画に反映されてると思う。

 アニメが3期以上続くことが前提ではあるが、この制作スタッフなら彼女は1期のシズ同様、アニメで原作以上に輝く可能性を感じた。

 2期でリムルとの最終決着まで描けるか、尺的に微妙な気がするがどうだろうか。無理やり詰め込まずこのまま丁寧に3期へ繋げて欲しい。

 リムルとヒナタの会話の応酬は、ヒント垂れ流しで視聴者にヒナタをリムルにけしかけた黒幕が誰か、あからさまに暴露していたようなもの。ミスリードできるキャラも存在してないのでバレバレだ。ユウキ・カグラザカ(神楽坂優樹)しかいない。

 ここであえて黒幕をボカす必要はないと思うのでこれでいい。黒幕が誰であるかよりも、黒幕の陰謀を暴き阻止することの方が大切だから。

 今回、冒頭の生徒たちとのお別れシーンで、ようやく第1期本編最終、第23話の最後と連結した。そのためそのシーンは23話の使い回しが多い。

 見比べると見送りにティス先生が遠景でワンカットだけ参加してたり、ユウキの台詞のある部分をカットしたりと23話とは若干の違いがあって面白い。

 次のリムルがランガに跨り駆け去るシーンは完全別もの。23話制作当時、2期制作が決定していなかった可能性が高いと思われる。

 23話ではヒナタは木陰でリムルたちの会話の観察のみ。当時はキャスト未決定ゆえ、台詞は当然無い。リムルたちが走り去った後もその場に留まったままで、襲撃の機会を見逃したかともとれる。

 今回とはまるで平行世界のようになってしまったが、今となってはこれはご愛嬌と言うものだろう。
{/netabare}
★#07『31 絶望』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはヒナタに完敗した。ヒナタはリムルの消滅を目視して討伐完了と判断、その場から立ち去った。

リムルは戦闘途中、自身の分身体と入れ替わることでヒナタを欺くことに成功、実は九死に一生を得ていた。その後ようやく首都に帰還したが、そこは誰もが悲しみに暮れる街と化していて愕然とする。

 しかし大賢者のサポートで冷静な分析と判断はできるのは不幸中の幸い。幹部たちの言動に何かを隠すかのような含みあれど、それはさておき、リムルは慌てず事実確認と情報収集をすることに...。

《躍進のための組曲 その3”悲壮”》

 今回もポイントを絞った手堅い脚本で安心して楽しめた。ここで浮き彫りになるのは、人間の狡猾で強欲な側面と魔物の単純明快な忠誠心の側面の対比。

 王に実力とカリスマさえあれば、配下は忠誠心揺るがず、裏切りの可能性が低い、優秀な人材豊富なら比較的箱庭ゲーム感覚で維持出来るのが魔物国家。対して優秀な人材豊富でも、その強欲性が厄介で、建国と維持の面倒臭さが倍増の人間国家。

 裏切りの心配と苦労ばかりの人間国家だったら、リムルは王の責任を途中で放棄しているかもしれない。

 リムルの為政者としての責任感とやる気の源は、配下のブレない忠誠心。彼はスライムの特性上、子孫は持てない身だがその代わりテンペストの住民全てを家族のように慈しむ。そんな彼が国家安全保障のために何を決断、実行するのかが今後の見所か。

 ところで、魔王クレイマンは毎度必ず回すワイングラスと共に登場。ここまで徹底したテンプレな悪役画は、狙ったギャグか、と思う反面、深読みすると手のひらで踊らされているのは実はクレイマンだ、と暗喩しているともとれる。
{/netabare}
◎ 2021年3月初回放送分
★#08『32 希望』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはかけがえのない仲間が喪われ絶望しそうになる。しかし、冒険者エレンから一縷の希望が...それは死者の蘇生のお伽噺の類い。

 大賢者はそれを聞き、あとひとつ条件を達成してリムルが進化すれば蘇生も決して不可能ではないと言う。さらに現状の多重結界は、魂拡散防止になり蘇生には都合がいいとのこと。

 リムルに迷いは一切無くなった。かつて出逢ったばかりの魔王ミリムから奨められた存在への進化、しかも蘇生伝承自体もミリム由来のよう。元来、野心の希薄なリムルにとってそんな進化は全く興味ない、と一蹴したことだった。しかし今は最優先で、どんな手段を使っても成し遂げようと決意した。

 失いたくないという一点の想いでリムルは動きだす。布石を打ちながら粛々と、着実に。

 その後、2万の軍隊が首都接近中との報せが届く。それはファルムス王国軍17,000と西方聖教会所属の神殿騎士団3,000の連合軍だった。

 それを知ったリムルは、慌てるどころか穏やかに笑みを浮かべていた。

《躍進のための組曲 その4”黎明”》

 今回も意外性はなくとも安定感がある。25-28話の一見他愛なかった日常描写がここで活き、おかげでリムルに深く感情移入できた。

 さて、祭りのお膳立てが整った。災い転じて福と成すリムルの強運は筋金入りだがそこがいい。
{/netabare}
★#09『33 全てを賭けて』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルは自身の前世を皆に打ち明け、人間と共存する理由を述べた。そして人間との今後の具体的なつきあい方を明確に。

 二度と人間に舐められない国家になると、そしてそのために魔王に進化する、と宣言する。

 その第一歩は、犠牲となったテンペスト住民たちの蘇生。そのためには単なる魔王ではなく、真なる魔王(覚醒魔王)への進化が必須であり、それには一万人以上の生け贄(ヨウブン)獲得が不可欠と判明した。

 そこでリムルは作戦を立案。

 都市の結界維持と見張りのため、都市周辺の東西南北四ヵ所に陣取る先遣隊への反撃は、幹部たちに適材適所で任命、三日後に到着する位置で休憩中の二万の軍勢本体には、けじめの意味を込めてリムル単独であたることにした。

《躍進のための組曲 その5”覚悟”》

 出過ぎた杭になって打たれなくなるため、為すべきことは明解。国民の安全保障のため清濁合わせ飲める、薄情でないゆえに非情に徹底できる主人公リムル。しかもその罪と業を自分だけで被ろうとする。

 彼の一切の迷いも力みも無い、明鏡止水の境地は清々しい。原作で転スラがますます好きになった、リムルが真の王となった瞬間のこのエピソード。アニメはこれが含まれたゆえに、個人的に2期の方が1期よりも高評価になった。

 今回は大賢者の出番なし。おかげでリムルは全てを主体的に決断し、その責任は彼一人が被る潔さがある、と伝わる。謙虚だが他への依存がない彼はとても頼もしい。

 嘗てないリムル無双へ...。次回、テンペストの新たな伝説がひとつ生まれる。
{/netabare}
★#10『34 神之怒』
{netabare}
<あらすじ>

 テンペスト幹部たちの怒りは消せない。仲間を大勢殺し、主リムルをコケにした敵。一切の縛りから解き放たれ持てるスキル全開で、因縁の異世界人との雪辱戦を含む大反撃が始まった。

 一方リムルは、ミュウランと同じアンチマジックエリアを発動させ敵側の魔法を無力化した上で、太陽光とレンズを使った、シンプルだが殺傷効果絶大の大魔法·神之怒(メギド)を仕掛けるのだった...

《躍進のための組曲 その6”降臨”》

 今回の一番のお気に入りは、大賢者によるヨウブンのリアルタイムカウント。原作には無いので新鮮だった。アニメならではの臨場感アップと大賢者活躍中アピールに貢献していた。

 次回のサブタイトルは、書籍第5巻の第4章タイトルと同じ。第4章相当エピソードはアニメでは33話から始まっていたが、次回の35話での3話分で第4章を描き切るということだろう。配分として5章にも入りそう。

 つまり次回、アニメ2期のキービジュアル、外伝のTVアニメ第24話とOAD5でお馴染みの悪魔が本編合流確定。リムルとの初対面が楽しみだ。

<転スラは時々奥が深い>

 主人公による敵側の無差別大量殺戮。これは人によっては釈然としないかもしれない。しかし転スラの場合、今後は今回と同じような敵兵の殲滅があっても、リムルによって死者の蘇生が出来るので選択肢は広がり殺人の後味の悪さは多少は軽減されるのが救いだ。

 他者への思いやりを美徳にする平和な日本に住んでると、支配者の駒に使われてる兵士には罪は無い者もいるから慈悲を、などとつい甘く考えてしまう。

 私心無く民の笑顔のため手段を選ばす自らの覇道を守る。リムルは、怒りで我を忘れることもなく、冷静に粛々と為すべきことをしただけ。無益な殺生をしたとは言えない。

 今回のリムルの行動は、老子の言葉「天地に仁なし、万物をもって芻狗(すうく)となす。聖人に仁なし、百姓(ひゃくせい)を以て芻狗となす」を思い出す。

(天地が優勝劣敗弱肉強食にて万物を自然のなりゆきにまかせることは不仁に見えるが、これこそ本当の仁。それと同様、聖人や君子が人々を自然の成り行きにまかせ、ときには、ワラで作った犬を焼き捨てるようなことをするのは一見不仁だが、これこそ本当の仁である、という意味)

 もしアニメ構成上、テンポ重視で前半駆け足で進んでいたら、原作未読の視聴者の多くは敵側へのヘイト不足で、今回の報復内容に納得しきれなかったかもしれない。

 人によっては退屈だったかもしれない構成。テンペスト側の大義名分の確立のために間違いではなかった、と今回新ためて思った。

<今回、皆殺しが外せない既定事項となった理由>

 今後の国家安泰のために、リムルは人類にとって魔王として畏怖されることは好都合だが、その反面、益ある存在としても認識してもらう必要あった。

 しかし今回のように、たった一人で万単位の軍勢をあっという間に殲滅という真実が世に広まると、リムルは全人類共通の極悪非道の悪者として間違いなく確定される。

 故にそうならないよう、真実をねじ曲げ都合良く改竄する必要があった。そのため真実を伝える生き残り、すなわち目撃者を一人たりとも残すわけに行かない。

 結果、進化に必要な定数以外の残り含めた皆殺しが実行され、生き残りは戦後の交渉に必要な戦犯数名のみとなった。

<三者三様の末路>

 今回は、己が力に溺れ増長してしまった末の因果応報とはいえ、異世界人の三名が最大の憐れだったが、彼らの物語からの退場に関して、原作者は非常に巧いと思う。そこには捻りと工夫があった。

 まずキョウヤ・タチバナ(橘 恭弥)。彼は因縁のハクロウの剣技の報復で単純明快に決着。

 次にキララ・ミズタニ(水谷希星)。彼女のスキルは精神干渉に特化しており、体力は普通で戦闘能力は皆無ゆえにテントで待機していた所、ゲルドによって追い込まれたショウゴ・タグチ(田口 省吾)により絞殺。

 最後はショウゴ。彼は人格的にもスキル的にも、三名内で最も危険な存在。彼はキララのスキルを自身に取り込むためだけに彼女を殺害。その時点でクズキャラレベル最大値。そして、ゲルドによる容赦ないフルボッコで瀕死まで追い込まれ、ここで視聴者はある程度溜飲を下げることができた。

 ところが原作者はさらに一捻り。最終的に彼らの上司ラーゼンが、ショウゴの若い肉体を自身が乗っ取り、スキルも吸収するために彼の心を壊して抹消。ショウゴは、キララ殺害の報いが早くも訪れ、最も救いようのない最期を迎える。

 以上の流れから思うこと。

 キララのスキルの殺傷能力は、他者の精神を支配して自害、もしくは他者を煽動して害するもので、自身は一切手を汚さぬもの。しかしシュラによってそれを封印されたので、テンペストでは結果的に住民殺害は未遂だった。ならば、テンペスト側のキャラに害されるより、同胞に裏切られて害される方が納得しやすい。

 彼女だけは、本人の了承なく勝手に召喚され、日本の家族から引き離された被害者としての側面が一瞬滲み出ていた。しかも、彼女の名前の意味とは真逆の絶望の末路。なんと皮肉な運命。しかも仲間に殺されるなんて…。

 故に、悲劇の拉致被害者として同情してもらえる余地が生まれ、救いが少しはあったと思う。過去の彼女のスキル完遂時の具体的な罪は、アニメでは明示されていないのだから。

 彼女の最期には同情を禁じ得ない。18歳の現代風ギャル、カラメル多めのプリン頭という個性で、充分なキャラ立ちの彼女。ここであっさり退場させたのは、もったいなくも残念だったとさえ思えた。

 それに対してキョウヤとショウゴは、質が悪いことにテンペストの民を弄んで害した。故にハクロウやゲルドに容赦なく報復される資格が十分あった。その末路はまさに自業自得と言えよう。

 ショウゴの最期の流れは、28話の王国での御前会議ではまだモブのようなラーゼンが、実は王国で最悪な曲者だった、と知らしめる効果もあった。結果的に彼の最期は新キャラの紹介も兼ねた、一石二鳥の流れだったと言えよう。

 また仮に、ショウゴより圧倒的に強いゲルドによっての止めでは、ゲルドの弱い者いじめ感が発生して、多少の後味悪さがあったかもしれない。
{/netabare}
★#11『35 魔王誕生』
{netabare}
<あらすじ>

 ごく僅かな時間で敵軍二万は全滅。生き残りは僅か三名だった。

 必要なヨウブンは十分に収穫された。そしてリムルは進化のため急激な眠気に襲われる。そこでランガに、動けないリムルを捕虜二名と共に首都に連れ帰るよう指示。残り一名の捕虜の確保は召喚した悪魔に託すのだった。

 リムルは進化の眠りに入り意識不明。そのため首都帰還後、大賢者が進化したユニークスキルがリムルの代行者となって死者蘇生を実行した。それは"反魂(はんごん)の秘術"と呼ばれる。

 首都ではリムルと魂の繋がりある者すべてに進化の恵みが等しく与えられ、住民一同もまた進化の深き眠りに落ちた。ゆえに、その奇跡の秘術成功の瞬間に立ち会えた者は非常に少ない。

《躍進のための組曲 その7”収穫”》

 今回は、原作コミックのファンにとってダイジェスト感が強い。

 個人的には以下の点でポイントが高く十分に面白かった。

▪原作同様に、アニメでも魅力溢れる悪魔キャラ
▪大賢者の進化過程のCG作画
▪大賢者と智慧之王(ラファエル)の、繊細な声の演じ分け
▪ハーベストフェスティバルの見せ方やまとめ方
▪荘厳な儀式感を壊さぬ”反魂の秘術”の演出、作画
▪ラファエルによるリムル代行の演出、作画、声優の演技
▪ファルムス国王のエドマリスと西方聖教会大司教レイヒムの情けない暗愚演出
▪シオン蘇生の瞬間シーンの、コミックを基本にしたと思われる作画

 以上で100点満点なら78点の満足度。

 次回のサブタイトルはラノベ書籍5巻5章、コミック16巻の第71話と同じ。コミックの69話からの3話分の内容をアニメ1回分に収める、と思われるがどうだろう?

 今期の区切りをどうまとめるかに注目したい。

 ついにリムルは新たなステージの第一歩を踏んだ。まもなく、この異世界での知名度も爆発的に上がり、交遊関係、活躍の場も、大きく様変わりするだろう。
{/netabare}
★#12 (第1部終)『36 解き放たれし者』
{netabare}
<あらすじ>

 リムルはシオンの膝の上で目覚めた。目の前には戦争以前と変わらないテンペストの顔ぶれが勢揃い。以前と変わらない穏やかな光景が広がっていた。

 魔王に進化したリムルだが、スライムの外見も内面も全く変わらず。変わったことと言えば、リムルの人型時に身長が伸びたことと、テンペストに頼もしくも愉快な仲間が二名ほど増えたことだった。

《躍進のための組曲 その8 終曲”新星”》

 今回は、分割クールならここしか区切りようがない、と思ったところで締めくくられていて概ね満足だった。

 コミックの第69話から第71話の内容を基に構成されたと思われるエピソード。

 23分ほどのアニメの尺に収めるため、かなりのカットや改変があったがポイントは外してなかったと思う。むしろアニメのテンポ感尊重の観点からみると、これくらいはやむを得ないだろう。逆にコミックとの違いを楽しめるほどだった。

 ヴェルドラ復活シーンもかなり簡略化された。原作では、まず元の竜体で復活して、ひとしきり言葉を交わした後の人型への変身だった。アニメでは再会の余韻が楽しめなくて残念。しかし急展開のインパクトがあり、テンポとしては悪くなかった。

 願わくば、2部の初回でうまく事象の前後を入れ換えてカットされた台詞を復活させ、リムルとヴェルドラの再会の、原作の持つしみじみとした味わいを少しでも復活させて欲しい。

<脱皮、そして飛躍>

 今回遂に、後に”新星(ニュービー)”の二つ名を与えられる魔王誕生。リムルと物語に新登場のディアブロと人型ヴェルドラ、そしてリムルと共に進化した幹部たち。

 最高位の悪魔の一柱ディアブロが配下に、守護神ヴェルドラが仲間になった。それすなわち、テンペストは戦略核兵器を手に入れたようなものだろう。

 2部でレベルアップしたリムルたちの躍進に注目したい。
{/netabare}
{/netabare}
❮全話鑑賞を終えて❯
{netabare}
<今期の脚本について>

 転スラ1期と2期のシリーズ構成と全話脚本は、筆安一幸氏

 近年、氏の名前は異世界ファンタジーもののアニメのエンドクレジットでよく見掛ける。氏が構成と全話の脚本を担当した、私が観たことある作品は、「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」、「魔女の旅々」、「神達に拾われた男」。

 以上鑑賞して、原作の持ち味を壊さないのが氏の長所だと思う。良くも悪くも原作通りで、原作を超えるような魅力をアニメに与えるほどではないが、不快なほどの改変は少なく、一定のクオリティーは約束してくれる安心感のある脚本家、というのが氏に対する個人的イメージ。

 転スラに関して、氏の脚本の割り切り方は自分と相性良かった。取捨選択の上手さはさすがプロの仕事と思えた。

<原作とアニメの構成について>

 転スラ1期は、連続2クール全23話で書籍4巻まで進んだが、4巻は途中のカットが非常に多かった。4巻は序章+全8章だが、シズの5人の教え子に関わる以外の部分はほぼカット。丁寧に描かれたのは5章から7章のみで、そこまでが1期の区切り。

 2期の第1部は、書籍第5巻のタイトル「魔王覚醒編」をメインテーマとして構成された。そのため2期では、話の整合性のため、4巻のエピソードの一部が序盤で蘇った。

 まず4巻の序章を初回の閑話に織り込んだ。

 次に本編1話目の25話から27話迄の3話分で、1期で丸々カットの第1章の獣王国の使節団来訪、2章の武装国家ドワルゴンの外遊エピソードを織り込んだ。4巻8章相当の終章は、今期の30話で描かれた。

 獣王国との交流は、今期ミリムの天災から救援を施すだけの国家間の親密度がある、とアピールするために必要。

 外遊エピソードは、特にリムルのスピーチが重要な伏線。ファルムス王国の為政者達が、リムルは世間知らずで無能な君主と誤解させるイベントだから。つまりテンペスト侵攻は、王とその取り巻きの判断ミスがすべての始まりだったで因果関係上、外せないエピソード。

 上記の3話は他にも、ガゼル王が有力なテンペストの後ろ盾であることを強調した。それは2部の伏線となるだろう。

 また、テンペストは他国が羨むほどの国力があることを示したが、それがファルムス王国に目を付けられるきっかけとなった。

 以上、振り返れば3話分の地味な展開も重要な内容だったと思う。

<第2部の予想をするのが楽しい>

 夏クール予定の第2部。原作をどう料理してどこに着地するか今から興味深々。出来れば3期に繋げるつもりで、ゆっくりと丁寧に描いて欲しいものだ。

 1部の構成から予想すると、書籍6巻最後迄進むのは確実だろう。しかし1クールで1巻分のみというのは考え辛い。7巻にも突入する可能性大だろう。しかも、リムルとヒナタが背中合わせの2期のキービジュアルの存在で、2部は7巻のほぼ最後まで描いて区切りを迎える可能性もあり得る。

 その場合、1クール12話程度でほぼ2巻分のエピソードを収めることに。2部は1部以上の原作の簡略化もあるかもしれない。

<余談:レビュータイトルに込めた祈り>

 レビュータイトルにある”深化”のここでの意味とは何か。

 魔王への進化は物語のターニングポイントでこれ以降、リムルの交遊関係のレベルと他国への影響力は格段に上がっていく。その流れの中で、テンペストはある部分で実際に”深化”することで国庫が非常に豊かになり、魔物だけでなく人も爆発的に流入、国として短期間で大発展する。

 そのあたりはシムシティなどの都市育成ゲーム感覚で楽しめたが、ファンタジーならではの発展の要因が非常に面白かった。”深化”による一石三鳥もの結果にリムルと一緒にワクワクした。また、周りから馬鹿にされていた存在に光を与える流れに感動し、その辺は原作で最も好きなところになった。

 但しそれは書籍第8巻半ば以降からのエピソード。つまりアニメは3期がないと味わえない。そのため3期制作の願いをレビュータイトルに込めた。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

2期は結構わくわくしてた

俺つええでも中々の試練が訪れた今作。
毎週楽しみにしてました。

{netabare}何かと理由をつけて侵攻してきた国があり、村人やシオンまで殺されてしまう。生き返らせるために魔王になることを決意するリムル。{/netabare}

他の魔王たちが動き出し、侵攻してきた国への復讐もしていくであろう次のクールが楽しみでしょうがない。

リムルのさらなる進化も期待。


OP
Storyteller TRUE
ED
STORYSEEKER STEREO DIVE FOUNDATION
挿入歌
黎明 TRUE
今作もTRUEの歌声が響く。
STEREO DIVE FOUNDATIONは久しぶりに名前を見た気がする。
どちらの曲もタイトルはstory...なのは偶然だろうか?


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
主人公リムルと、彼を慕い集った数多の魔物たちが築いた国<ジュラ・テンペスト連邦国>は、近隣国との協定、交易を経ることで、「人間と魔物が共に歩ける国」というやさしい理想を形にしつつあった。リムルの根底にあるのは人間だったスライム故の「人間への好意」……しかしこの世界には明確な「魔物への敵意」が存在していた。その理不尽な現実を突き付けられた時、リムルは選択する。「何を失いたくないのか」を--ファン待望の転生エンターテインメント、暴風の新章に突入!

第24.9話 閑話:ヒナタ・サカグチ
ヒナタは、「ジュラ・テンペスト連邦国」について書かれた親書を受け取り、リムルの存在を知ることになる…。新章への予感とともに、リムルの歩みを振り返る特別編。

第25話 リムルの忙しい日々
魔王カリオンの治める「獣王国ユーラザニア」との国交を結ぶことになったリムル。相手の使節団を迎え、もてなす準備をしていたが、やってきたのは大型魔獣白雷虎(サンダータイガー)が牽引する、物々しい虎車だった。

第26話 獣王国との交易
一悶着あったものの、ユーラザニアとの国交を結ぶことができたリムルは、続いて武装国家ドワルゴンにて行われる友好宣言の式典へ赴くことに。ところが、自分も同行させて欲しいと駄々をこねるシオンが大暴れして…。

第27話 楽園、再び
ガゼル王との会談と、武装国家ドワルゴンとの二国間友好宣言に伴う民衆への演説。ふたつの大仕事を終えたリムルは、シュナとシオンの目を盗んで、かつてゴブタと約束した「あの楽園」に意気揚々と向かうのだった。

第28話 謀略のファルムス王国
リムルの帰還を控え、宴の準備を進めるテンペスト。そこに、ヨウム一行が新メンバーの魔導士(ウィザード)ミュウランを伴い到着。一方、ファルムス王国では不穏な動きが…

第29話 災厄の前奏曲
クレイマンの指示により行動を起こすミュウラン。そしてもう一つの勢力--ファルムス王国が送り込んだ三人の異世界人が、盟主不在のテンペストに牙をむく。

第30話 動き出す麗人
テンペストが攻撃を受ける中、リムルの前にも刺客が現れる。それは、シズのもうひとりの教え子である、最強の聖騎士(ホーリーナイト)--ヒナタ・サカグチであった。

第31話 絶望
ヒナタとの戦闘で絶体絶命の状況に陥り、最後の手段、暴食者(グラトニー)を発動したリムルの運命は--。その頃、テンペストは悲壮な血と煙に包まれていた…。

第32話 希望
クレイマン、そしてファルムス王国の企みを知るリムル。仲間の命と温かな日常を失い、失意の底で目を伏せるリムルの耳に飛び込んだのは、エレンの意外な言葉だった。

第33話 全てを賭けて
「俺は魔王になろうと思う」--自らにケジメを付け、シオンたちを蘇生させるため、決戦を前にリムルは仲間たちに人間だった過去を打ち明ける。

第34話 神之怒
雪辱戦の口火がきられた。ベニマル達は各々の任務を遂行していく。ハクロウたちも再度ショウゴとキョウヤとの戦いに挑む。そしてリムルの怒りが、ファルムス軍を包みこむ。

第35話 魔王誕生
進化に必要な魂を確保したリムルに「魔王への進化(ハーベストフェスティバル)」が訪れる。強烈な睡魔に襲われたリムルは、取り逃した敵を捕らえるため、悪魔を召喚する。

第36話 解き放たれし者
ファルムス軍を退けて、何とか事なきを得たテンペストだが、問題は山積みで……。そんな中、智慧之王(ラファエル)から「無限牢獄の解析に成功した」と吉報が舞い込む。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

さっくりサクサク3期もさあ来い!

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
異世界転生ファンタジーの超有名シリーズの2期。

スピンオフに3期と、1年間も続けて1つの作品が放送され続けるなんて、今日のアニメ界にとっては稀なことですね。

詳しくは1期のレビューにあるのですが、私は本シリーズの「軽さ」が引っ掛かり、そこまで高く評価していませんでした。でも、ここまで「軽さ」が続くと、もはや作風、長所として捉えていこうと気が変わりました。それもあって、特に終盤は1期より楽しめました。

つまり、「灰と幻想のグリムガル」や「無職転生~異世界行ったら本気出す~」などが、「本格異世界転生ファンタジー」の最高峰なら、「オーバーロード」や「転生したらスライムだった件」などは、「なろう系異世界転生ファンタジー」の最高峰なんじゃないかと思うわけです。

気軽にアニメを楽しむ、娯楽系の作品として、オススメできる作品になっています。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
建国モノは大好物のジャンル。(アニメ版は丁寧さが足りませんでしたが)「まおゆう」なんかは、すごく面白かったです。

本作も、人材や物資を集め、他国と交渉し、時には戦争もするという「建国」要素が一番楽しかったです

あとは、3話のキャバクラ回みたいな、ギャグベースの話は、本シリーズによく似合うと思いました。

そんな中、紫音(メインキャラ)やゴブゾウの死、というドシリアスを入れてきましたが、そこは本作らしく、結局「蘇生」というお手軽仕様。

まあ、その後のハーベストフェスティバルでの大虐殺と、その結果としての覚醒魔王への進化。新たなスキルの大量獲得なんかは、「これぞ主人公最強系」という、壮大且つ爽快な展開。人間側のクズっぷりをたくさん描いてきたため、不快感はありませんでした(そもそも、戦場での大虐殺や、兵士に対する攻撃は、個人的には不快さを覚えません)。

いよいよ、最強クラスの魔王になったミリム。ディアブロ、ベルトラという強大な部下も誕生し、ますます3期が楽しみになってきました。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
閑話 ☆3
1期のおさらい。新作カットがあるだけ良いか。

1話目 ☆3
転移魔法。基本基本w 建国モノは大好物ではある。拳で分かり合う流れ。

2話目 ☆3
色々、さっくりサクサク進むな。

3話目 ☆4
解毒の刻印魔法。アルコールを消せるようになったか。魔王たらし(笑) そして、キャバクラを楽しむ(笑) こういうギャグベースの方が楽しめる作品だよな。

4話目 ☆4
ジジイ、強し(笑) 戦争か。

5話目 ☆3
ヨームとの心の交流が、まあ、最低限は描けているけどな。

6話目 ☆4
強いな~ヒナタ、というか人間。グラトニー、「飢えるもの」のリスクを背負ってないのがな。

7話目 ☆3
う~ん、メインキャラは誰も死んでない? よくも悪くも、この作品らしいな。

8話目 ☆3
さて、大戦争。どうなるか。紫音、ゴブゾウ、死んだ? この作者が、ゴブゾウはともかく、紫音殺すかな? いやいや、蘇生はやっちゃいかんだろ~。ミリムか。結界の活用。ただ、3%って、全員復活になるの? 急に気楽だな。

9話目 ☆3
人間との共存。相変わらず綺麗だな。

10話目 ☆4
二万人の大虐殺。本当に殺すかな? オーガ達はガチ殺し。女は殺しにくいから、敵に殺させる。再生するから、ボコす。メギド、静かな大魔法だな。逆に迫力あって、個人的には好き。

11話目 ☆5
いやはや、こうなると主人公最強系として面白い。さて、デーモンがどうなるか、だな。デミウルゴスみたいな。

12話目 ☆3
ディアブロ。配下、最強か? ベルトラ解放。ベルトラも擬人化か。戦力がどんどん増強されるな。ディアブロ、ベルトラで、魔王レベル3人?
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

77.8 2 国王で友情なアニメランキング2位
王様ランキング アニメ(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (468)
1509人が棚に入れました
国の豊かさ、抱えている強者どもの数、そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、それらを総合的にランキングしたもの、それが“王様ランキング"である。主人公のボッジは、王様ランキング7位のボッス王が統治する王国の第一王子として生まれた。ところがボッジは、生まれつき耳が聞こえず、まともに剣すら振れぬほど非力であり、家臣はもちろん民衆からも「とても王の器ではない」と蔑まれていた。そんなボッジにできた初めての友達、カゲ。カゲとの出会い、そして小さな勇気によって、ボッジの人生は大きく動きだす———— 。
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

独特な絵柄による雰囲気だけのアニメ。

1クール目から微妙だったけど2クール目もやっぱり微妙だったかな。

↓1クール目時点感想
{netabare}
障害を抱えた主人公が旅したり色々する話。
正直この時点でもうきついが、主人公が「アウアウ」しか喋らないのがきつさを加速させてる。
で、3話とかそうだけど、その主人公ががんばってる様子を見せて感動させようとしてくる系の作品。
さらに毎回のようにキャラの泣き顔を映してくるのがキャラデザも相まって、感動の押し売り感がしてきつい。
つべにあがってるEDの公式動画のサムネとかもまさにそれ(曲自体はめっちゃいいけど)

感動ポルノだ!とか、感動ポルノだからだめだ!って言いたいんじゃなくて、単純にこういうのが気持ち悪く感じる。
まあ、24時間と何が違うんだとは思ったけど。

あと、耳聞こえないはずの主人公が普通に聞こえてるような行動を取りまくるって言うねw
ちゃんと手話をやってるシーンもあるんだがそうでないシーンの方が多いし、
ボッジ→カゲ以外の他のキャラとかも割と意思疎通ができてるみたいで。
耳聞こえない設定もしゃべれない設定も「かわいそう」感をだして感動させるためだけのものになってる。
11話で障害者を弱者と見ることへの批判をしてたけど、この作品がまさにそれなんだよね。

最近はまだマシだけど最初の方はほんとに見てられなかった。

で、最近になって感動させようとしてる感はなくなって見られるようにはなってきたが...
特段これと言って面白い要素、いい点がない。
作画がいいのとデザインが独特なので面白そうな雰囲気は出てるがそんなことはない。
だらだらと話が進んでいくだけ。
主人公が剣の特訓をして最終的に針のような剣を扱えるようになる、とか展開自体はいいんだが、なぜ過程をちゃんと描かない?ってなった。
丁寧そうに見えてあまり丁寧ではない。
同じような感じのアニメにしても、まだ不滅のあなたへの方が面白かったと思う。
まあとは言え感動させようとして来なければ不快感はまだマシなので(正直主人公はきついが)2クール目でたぶん少しは評価上がるかな。

2話のカゲの話はめっちゃよかったと思います。
あと、11話も序盤のダイダのところは結構良かったかな。
EDは名曲だと思う。

どうでもいいけど、無職信者が複垢でこの作品に☆1評価連投しまくってますね。思ったより評価低いと思ったら。

↓一話毎メモ(1~11)
{netabare}
1話 ☆0
OPなんて? 気の抜けた炭酸みたいな声だな、全く聞こえん。
もっといい歌手を...
障害者主人公かよ...。耳が聞こえないとは。
ああ、こいつとだけ話せるのか。
国民がこんなに王子バカにしてるけど王様は何も反応なしかよ。
何で入れって聞こえてるの?
普通に言葉通じてて草。
障害感強調されたらこれは切り候補かも。
EDはめっちゃいいな。

2話 ☆9
これよく名前聞くKing Gnuなのか。
何でこんな歌手が流行ってるんだか。
過去回引っ張らないスタイルか。
こっちの方が戦い方汚いじゃん。
カゲだけでいいな。主人公いるときつい

3話 ☆1
暗殺されそう。
は?主人公耳聞こえるか聞こえないかどっちだよ。
まあそりゃ王はきついでしょ。
ボッジの力になりたいっていうと第二皇子を暗殺するのが目的ってとらえられそう。
槍使い強い。駄目だ、主人公きつすぎる。
いや死ぬだろw 
神様になった日最終回がボロクソ言われてこのアニメが絶賛されるのはなぜ?w

4話 ☆4
今回は手話ちゃんとやってていい。24時間やん。
旅だったんじゃないの? 回想声聞こえてて草。
カゲってあの手みたいなやつで手話やってたん。
ほんと主人公きっついわ。

5話 ☆7
再会早すぎ。弟のキャラいいじゃん。
ボッジを裏切ったから信頼できないと。
きたない 焼き鳥 洗脳開始w 
けどボッジとの戦闘で不正してたよね。
ボッジが力を奪われた巨人で、カゲが神に姿を変えられた存在?
腕がああああ王の力があああ
ボッジがいなければ面白い

6話 ☆5
だからなんで主人公悲しんでんだよ、言葉通じないんじゃねーの?
アウアウやめて
ダイダのキャラはめっちゃいいと思う。
主人公の期待に沿うよう努力したり。
これほんと話普通だよな、まだ不滅の方が展開凝ってて面白かったと思う

7話 ☆3
見える子 いや草、言葉めっちゃ通じとるやんけ。
紫色料理の昭和ギャグおもんないからやめろ。
主人公がきっつい。
まあ孤独な方が訓練には向いてるわな。

8話 ☆6
腹から声出せ。なんだこいつ
世界一強いのボッジか? 

9話 ☆6
父さんクズ過ぎません?w
母はもっとキレろ

10話 ☆5
刺されそう
お前はもう死んでいるとかいいそう。
キャラの泣き顔毎回写されるのがきつい。

11話 ☆7
ここは障害者を弱者とすることへの批判なのね。
だけどこの作品は障害者を弱者として描いてる気がする。
不滅で見た。戦えるんか?

曲評価(好み)
OP「BOY」☆4
ED「Oz.」☆9
{/netabare}
{/netabare}

↓2クール目視聴後感想
{netabare}
1クール目の時はお涙頂戴感がきつくて酷評したが、2クール目ではそれほどお涙頂戴感はなくて普通に不快感無くみられるようになった。
ただ、それと引き換えにもともと大して面白くなかったストーリーがさらに酷くなって本当に酷い有様になってた。

まず何と言っても尺のさき方が酷い。1クール目の最初の方からやってたミランジョの話がまさか最終話まで引っ張られるとは思わなかった。実際やってる内容もミランジョとボッスが子を犠牲にして生き延びようとしているのをみんなで阻止するという内容だけなのになんでこんなに引っ張られるのか。
特にオウケンVSボッジたちの戦いはほんとに毎回はよ終われと思いながら見てた。あの戦闘のダレ具合は本当に酷い。
かと思えば、途中で主人公が特訓して戦いに参加できる力を身に着けようとするパートはめっちゃ短い。
短いというかちょっと特訓しただけで最強格ぐらいにまで成長してると言うw
なろう系かよって言いたくなるしこういうパートこそ尺割けばいいのにって思う。本当にいきなり強くなりすぎていて面白みがない。

それと「○○が死にそう!」からの回復魔法での復活コンボがマジで面白くない。
最後の方はもうボッジが切られてもその他大勢が大けがをしても「どうせ生き返るんだろうな...」って思えて茶番にしか見えなくなった。
で、案の定誰も死なないし、この作者はキャラを殺せないんだろうなって。
転スラ二期の前半の死者回復展開も酷かったけど、あっちの方がまだ過程がかなりあったぶんこれに比べると数倍はマシだったと思う。なろう系以下。
子供向けアニメみたいな全員集合からの集団戦闘とか、戦いが終わった後の子供向けみたいな大団円も寒い。そういうノリを何回も見せられた気がする。

それで、ボッスとミランジョの話はどうかと言うと、引っ張った割に結局ボッス側に正義は一切なくボッスはただ自分の保身のためにボッジやダイダを利用しただけのただの悪人で、この作品全体を通してやったのはただの勧善懲悪だったっていう。子供向け作品でももっとマシなんじゃないか?
で、ミランジョもなぜか命を取り留めて王のダイダが婚姻を結ぶという。
ミランジョは国に多大な被害も与えてたんだし、処分なしじゃダメでしょって。
で、揚げ句の果てには最終回でまたも不死身のオウケンが復活して...。
これ原作だとこのあともまだgdgdとオウケンと戦ってるんだろうか...。

このアニメ、WIT STUDIOが作っていて作画がすごいのと、絵柄が独特なこともあって名作っぽさがあるから持ち上げられているだけで、これがもしJ.C.STAFFでなろう系っぽい絵柄だったらこんなに評価されてなかったと思いますね。

2クール目のオープニングは本当に良かったと思います。
EDは1クール目が圧倒的だけど。

↓一話毎メモ(12~23)
{netabare}
12話 ☆6
総集編? 嫌いなシーンばかり切り取られてるw
馬の話だけ面白い。こっちのおじさんは許されるのね。

13話 ☆5
最高のOP。ヒリング逃げろやw 
魔法的なのあるのかよ。はよ逃げろ。
ミランジョ何がしたいんだ? 食うの遅くね?
お前らどうせ噛ませだろw 

14話 ☆6
アウアウきっつ。草、なろう系じゃん。
何でその針折れないんだよw
なるほど、言葉はそれで通じてるのか。

15話 ☆3
つまんねえ。え? シリアスにすべきとこでギャグシーンw
なんでこいつら戦ってんの? 

16話 ☆6
泣き顔写すのきつい。まあ許せんわな。
あの変態騎士どう絡んでくるんだ? 

17話 ☆4
ボッジ強すぎんかw
戦闘は面白いんだけど戦う意味ないよねこれ...。
なんかずっとgdgd進行してるイメージがある。

18話 ☆3
は? ポーション、治癒魔法とか言うなろうのご都合主義アイテムが本当に面白くない。アピスは殺しとけよって思う。
どんな国だよ。そうはならんやろ。
ピンチの時に誰かが駆けつけるパターン多すぎない?
ラストは面白かったな。

19話 ☆3
ほんとOPは神なんだよな。進撃の巨人かよw
これまた治癒魔法くる?w 三途の川 テンプレ展開
このだるくなりがちな展開のわりには短くていいな。
これ妄想の世界なんでしょ?感動できないよ。結局助け来るのかよw
やっぱり回復魔法なのね、面白くない。
オウケンが主人公モード入るの草。まあ戦闘は面白いかな。

20話 ☆2
どうやって見せたんだよw
そろそろ死ぬ死ぬ詐欺やめて誰か退場しろよ。
はーつっまんねww なろう系もびっくりだわww
転スラ以下だろこれw 転スラの復活でももっと過程踏んでたぞ。
てかそもそもVSオウケン間延びしすぎでしょ。戦う意味ある? 

21話 ☆4
ボッスゴミすぎやろ。進撃の巨人。
強くなりすぎやろw 略してオウケン なろう主人公
こいつら結局何がしたってん。
子役嫌い。地獄にでも落ちた?

22話 ☆5
また過去回やるんか。落ちる先が手のひらでも死ぬやろw
妻になってくれは唐突すぎる。オウケンいつか助かるんか?
こいつら最終回直前に何する気なんや。

23話 ☆3
ここは決闘のやり直ししろよw そうはならんやろ
ええ、ここでオウケン生き返らせるんかよ。
もう展開が滅茶苦茶。オウケンどこまで引っ張るの
いや結局王位譲るの? ああ、自分で国を作るのね。

曲評価(好み)
OP2「裸の勇者」☆9.5
ED2「Flare」☆5.5
23話挿入曲「」☆6
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ボタンの掛け違い

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
良いアニメだと思います。

基本は、「少年の成長と旅立ち」という、超王道のストーリー。一見すると、NHKやジブリでも通用しそうな、安心安全の世界観。

ただそこに、多くの不幸や悲しみ、残酷な現実なども混ざり合い、単なる児童アニメにはない深みがあります。大人でも楽しめるというか、大人だから楽しめるというか。

本作は考察しがいがあるアニメなので、久々に考察系で真面目に書いてみました。主に、人物描写について思うことを書きました。相変わらずクソ長いので、大変申し訳なくは思います(苦笑)。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
本作の特徴として、登場人物が「全員不幸を背負っている」「全員他者のために動いている」ことと、それが、「どれもこれも上手くいっていない」ことがあると思う。

例えるなら、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」のようなものだろうか。尤も、「賢者の贈り物」に比べれば、清廉でもないし、幸福でもないけれど。

私は、本作の面白いところは、人物描写の巧みさにあるように思っていて、どの人物も実に「人間らしい」のだ。

日頃から、高い教養と倫理性、社会的制限の元に生み出されたキャラクターを見慣れている我々現代人は、ついついキャラクターに整合性を求めてしまう。しかし、本来の人間は「支離滅裂」なことが普通なわけで。近代の純文学などでは、そういう人物描写がよくみられた。

利己的で、情動的で、短絡的な人間。それでも、100%の悪人とは断罪しきれない人間。大宰作品なんかが分かりやすい。

本作のキャラクターが、なぜ、他人のために動いているのに、誰も上手くいってないかというと、「他人のため」がいつの間にか「自分のため(自己救済)」になってしまっているからではないだろうか。多分、本人すら気付かないうちに。

皆さんの身の回りにもいませんか? 人を救うのが趣味や生き甲斐みたいになっていて、それはとても素敵なことなんだけれど、ちょっとウザがられている人。

簡単に言えば、「余計なお世話」。

論語に、「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」という有名な一節がある。幼小中学校の先生は当たり前のように「自分がやられて嫌なことは人にやるな」「もし自分がやられたらどうか考えてみなさい」と言うが、これは間違いとまでは言わないが、正しくはないと思っている。

本来は、「人の欲せざる所は人に施すこと勿れ」だ。「己の~」は、あくまで価値観が自分の側にある。自分が良いか悪いかはさておき、本来は、「その相手」がどう感じるかを見とる洞察力や想像力こそが、正しい意味での優しさなんだと思っている。

本作の登場人物は、正にこの「余計なお世話」が多い。特に、

ミランジョがボッスを子に転生させようとすること。ボッスがミランジョの魂を救おうとすること。

の2つは分かりやすい。どちらも別に、(今となっては)本人は特に望んでいない。そして、ミランジョがボッスを転生させたいのも、「自分がボッスと共に永久に生きたい」からだし、ボッスがミランジョを救おうとするのは、「自責の念」からだ。彼らはそれを死の間際に気付くけれど、それまでは「相手のため」を免罪符に、悪行の限りを尽くす。

なぜこうなったかというと、ボッスもミランジョも、過去に大きな悲しみを背負っており、そうして胸に空いた穴を、「何か」で埋めなければならなかったから。2人にとってそれは、「互いを救う」ことだった。(宗教なんかもそうだけど、本当に怖いのは、ご立派な大義名分の為にどんな手段でも正当化してしまう、どこまでも盲目的で利己的な人間なんだと思った)

これは、本作のヒロインとも言える活躍をした、ヒリングにしても、少しそういう部分が見える(ちなみに、私が本作で一番好きなキャラはヒリングです)。

序盤、ヒリングがボッジに冷たくあたっていたのは、「無能」な「我が息子」が王位につくことで、かえって苦しむのではないかという、親心(愛情)から。実に母親らしい思考。ただ、ボッジは単純に王になることを応援して欲しかった。

一方、ダイダは、母から「王への期待」をかけられているが、それは、「ボッジの代わり」であり、「ボッジを救う手段」だと(ヒリングの深層心理に)気付いていた(だって、ヒリングの性格上、もしボッジが優秀だったら、実子という理由だけではダイダを王には推薦しないだろう)。

正に、「代打」だと自分を卑下していたのである(本当は優秀だから、期待され、手をかけられなかっただけだが)。

だから、必要以上にボッジを見下し、いじめたのだ。あれは、母親の愛を独占したいという寂しさや、母の深い愛を受けるボッジに対する劣等感からの行動なのだろう(基本的にいじめっ子は、親からの愛情が不足している者がなりやすいという研究結果もある)。

ヒリングがあそこまで息子に大きな愛情を抱いたのも、実は、夫であるボッスからの愛情不足があるのだと思う。2人の夫婦間系は破綻までいっておらず、表面上は良いのもしれないが、実は、冷え込んでいる。

だって、旦那は仕事(王様)ばかりに熱心で、自分以上に亡妻を愛していて、更に心のど真ん中には別の女(ミランジョ)がいる。旦那はそれを上手く隠しているつもりだろうが、女性はそういうところに敏感だ。

ヒリングは根が良い人なので、そういう「満たされない思い」を「子に愛情を注ぐ」ことで埋めていたし、ダイダも、「足りない母の愛」を「ミランジョに頼る」ことで埋めていた。こういう歪なバランスの上で安定している関係は、何か1つのキッカケで崩壊するものだ。

だからまあ、最終話でダイダはミランジョを妻とし、ヒリングはドルーシと良い感じになったのだろう。ダイダのような男が、母性的なものを求めて姉さん女房をもらうのも、ヒリングのような女性が、無骨だが一途に自分だけを思う男性に惚れるのも、ままあることだろう。

この辺の背景を絡めないと、最終話の突然の展開に驚き、場合によっては嫌悪を抱くかもしれないが、私は、本作を「弱き、哀しき、不完全な」大宰的なキャラによる話と捉えていたため、そういう「利己的で、情動的で、短絡的な人間」を愛おしいと思った(これは、近代文学好きならではの歪んだ思考ですねw)。

私は、人間らしい人間が好きだ。そして本作のキャラクターは、実に人間らしい。

話は少しずれてしまったが、ドーマスがボッジに寄せる思いと行動も、デスハーやデスパーがオウケンに寄せる思いと行動も、本人の願いとは少しずつズレているように感じ、

「本質的に優しい人間達の、他者を思いやる尊い行動が、悲しみを背負うことで僅かに感覚を狂わせ、まるでボタンを掛け違うように、悲劇を生み出してしまった話」

のように感じた。これが、本作における主たる感想である。

さて、そんな中、主人公のボッジだけは、「他者の理屈」で動いている。アドラー心理学によると、「共感とは、自分の価値観に合うものを見つけるのではなく、他者の価値観で物事を見聞きすること」だそうだ。

ボッジは、耳が聞こえないため、幼少期から周りを見渡す洞察力に長けていた。そして、口がきけないため、自分の思いを表現することが苦手になった。さらに、力が弱くいじめられたため、他者の弱さに寛容になり、共感的に他者を受け入れる素養をもった。

穿った見方をすれば、それが彼なりの「処世術」だったのかもしれない。

そんな彼が歪まなかったのは、彼が多くの愛情に包まれていたから。父、母からの愛情。継母からの愛情。師匠からの愛情。そして唯一足りなかった、友からの愛情。

それらは一部を除き、本質的な意味では「無償の愛」とは言えなかったが、ボッジはそれを最大限好意的に受け入れている。一昔前、「鈍感力」という言葉が流行ったが、その力が強いのだろうか。

確かに、多くの愛情を受けた子供は、他者を受け入れ、自分を見失わない。多くの挑戦と失敗が出来る。

それはそうのだが、如何せん、ボッジの境遇の辛さと、彼の人柄の良さが乖離しすぎていて、ここに「ご都合主義」を感じてしまった方も多いのではないだろうか。私はそうである。

私は本作を「純文学のような人間らしいキャラに魅力がある」と評したが、そういう意味で、一番「人間らしくない」のがボッジである。

たくさんの人物の歪みや悲しみを、まるでスポンジのように一手に引き受け、包んでしまう優しさ。それはもう、「王の器」を飛び越えて、「神の器」とすら思ってしまう。

ボッジが子供だったのもいけなかったのかもしれない。本来、子供なんて自分の理不尽を周りに撒き散らすのが役割で、それを受け入れるのが大人の役目なのに、本作はその逆。そこが、自分的には一番受け入れ難い部分だった(よって☆4)。

それだけに、ボッジがドーマスに見せた、恐怖と怒りの感情は、大変見応えがあったし、ボッジを「人」らしくしてくれた。ああいう場面が、もう少しあっても良かったと思う。

いや、なにも「歪んだ主人公」を見たいわけではない。性急すぎるのだ。ボッジの最終形態は今のボッジで良いとして、「強さ」も「優しさ」も、もっと時間をかけて獲得して欲しかったのである。

私は本作を観始めた頃は、「ジブリに、2時間映画にまとめてほしい」と思ったが、途中から、「世界名作劇場みたく、1年はやってほしい」と思うようになった。

本当は、ボッジとカゲの友情を丁寧に描き、たくさんの街を旅し、幾人もの「善」や「悪」に触れながら、葛藤し、次第に成長するボッジが観たかった。

尤もそれは、「今後」に描かれる部分だろうし、むしろそれかそが作品の主題で「王様ランキング」に関わるのだろう。

そういう意味で、作品のエピソード0(旅立ちの前)だけでここまで描き切れている本作は非常に優秀な作品だし、今後に期待がもてる作品だと思う。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 30
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

以前はネットの漫画広告でよく見た

弱すぎる上に難聴のハンディキャップを抱えた国王の息子ボッジの話。
カゲとの出会いもまた重要。彼もまた苦難の道を歩んできている。

冒険譚だったり、途中裏切りのようなよく分からない展開だったり。
なんだかんだ息子想い・兄想いだったりと登場人物の想いが錯綜しまくりで途中、混乱したが、素直に面白いと感じた。
一応、登場人物の名前が彼らの本質を表しているみたいだ。

{netabare}ボッジが巨人の息子なのに小さくて非力なのは父である国王の望みが原因だったとは。これが物語の引き金になったようなものか。せっかく、息子にも素質があるはずだったのにね。前母の死は辛かった。継母が横暴に見せかけて凄く優しくて息子想いなのは良かったけど。{/netabare}

不老不死マンの問題も解決しといてよね。
結婚の話は予想もしておらず、驚いた。


OP
BOY King Gnu
裸の勇者 Vaundy
ED
Oz. yama
Flare milet
よく見かける歌手を集めた感じ。安定している。
中でもKing Gnuとmiletが良かったと思う。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
国の豊かさ、抱えている強者どもの数、そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、それらを総合的にランキングしたもの、それが〝王様ランキング〟である。主人公のボッジは、王様ランキング7位のボッス王が統治する王国の第一王子として生まれた。ところがボッジは、生まれつき耳が聞こえず、まともに剣すら振れぬほど非力であり、家臣はもちろん民衆からも「とても王の器ではない」と蔑まれていた。そんなボッジにできた初めての友達、カゲ。カゲとの出会い、そして小さな勇気によって、ボッジの人生は大きく動きだす―――― 。


第一話 裸の王子
生まれつき耳が聞こえず、口もきけず、まともに剣すら振れぬほど非力なボッジは、第一王子でありながら、家臣や民衆から「王の器ではない」と蔑まれていた。そんなある日、暗殺集団「影の一族」の生き残りのカゲと出会ったボッジは、着ていた服をだまし取られてしまう。

第二話 王子とカゲ
幼いころから盗みを生業として生きてきたカゲ。金目のものを盗むためにボッジの後をつけ城に忍び込むが、ボッス王国四天王の一人・ベビンに見つかってしまう。一方ボッジは、異母兄弟であるダイダと手合わせをすることに・・・

第三話 新しい国王
ボッス王が亡くなり、遺言で王の跡を継ぐこととなるボッジ。しかし、ヒリングにより遺言は覆され、新国王はダイダと発表されてしまう。そしてカゲもボッジの前から姿を消し、ベビンはカゲを探すボッジに「カゲは旅に出たので二度と会えない」と告げる。失意のボッジはとある行動に出る。

第四話 初めての旅
ドーマス、ホクロと共に道中の自然を満喫しながら旅を楽しむボッジだったが、買い出しに訪れた町でカバンを盗まれてしまう。一方、新国王となったダイダの元には、新たにランクを付けるため王様ランキング協会の審査員が訪れていた。

第五話 からみあう陰謀
ドーマスによって冥府に続く穴に突き落とされたボッジ。ドーマスは罪の意識にさいなまれながら、一人その場を後にする。そしてボッス王国では、魔法の鏡によって、ダイダがボッス王の力を手に入れるための儀式が行われていた・・・

第六話 冥府の王
冥府の王・デスハーのもとに連れていかれるボッジとカゲ。ボッジを強くしてもらうために探していた人物がデスハーだと思ったカゲは、ボッジを鍛えて欲しいと頼み込む。ボッジは、その実力を見せるため冥府騎士団の隊長と手合わせをすることに。

第七話 王子の弟子入り
デスハーの弟・デスパーに弟子入りし、カゲと共に家事をこなしながら住み込みで修行をすることになったボッジ。一方、ボッス王国では、復活の秘薬を無理やり飲まされていたダイダの体に異変が起こっていた・・・

第八話 夢のいけにえ
ボッス王の強さの秘密と、ボッスとシーナの出会いが明かされる。ダイダの体をのっとることで復活を果たしたボッスは、魔法の鏡に「今、世界で一番強い人物」を問う。鏡に映ったその人物とは・・・

第九話 王妃と盾
ダイダの体をのっとったボッスと対面した王妃ヒリングは、ショックのあまり気絶してしまう。倒れたヒリングに襲い掛かる魔獣。ヒリングを守らんと応戦するドルーシは、かつてボッス王から王妃の護衛を命じられた日のことを思い出す・・・

第十話 王子の剣
デスパー奥義免許皆伝を祝うため酒場に出かけたボッジ、カゲ、デスパー。楽しく食事をしていると暴れん坊・アバン三兄弟に絡まれてしまう。相手にせず食事を続ける三人だったが、悪口を言われたデスパーがとうとう相手を殴ってしまい・・・

第十一話 兄と弟
成長するにつれ、兄・ボッジを弱者だと見下すようになっていったダイダ。どことも知れない暗闇の中で助けを待ちながら、過去の自分を思い返し後悔するダイダの前に一人の少女が現れる。

第十二話 戦いの足音
冥府での修行を終え、帰国の途につくボッジたち。一方ヒリングたちは、精鋭を集め、一足先にボッス王国へ差し掛かろうとしていた。その頃ボッス王国では、何者かの手引きにより、凶悪な冥府の罪人たちが城内に引き入れられていたのだった。

第十三話 王国の乱れ
「この国を滅ぼしたい――」明かされたミランジョの望み。それを阻もうと立ち向かうドルーシたちを、冥府の魔物、そして罪人たちが襲う。ヒリングを守るべく奮闘するドルーシだが、強敵たちを前に劣勢を強いられる・・・

第十四話 王子の帰還
魔物たちと壮絶な戦いを繰り広げるドルーシ。しかし健闘もむなしく、瀕死の重傷を負ってしまう。ドルーシを治療するヒリングにギガンが迫る。窮地に陥る一同の前に思いがけない救世主が現れる。

第十五話 冥府騎士団
魔法が解け、正気に戻った冥府の魔物たちを冥府に帰すべく、ボッジたちは城の地下にあるという入り口へと向かう。一方、一足先にその入り口を壊すために地下へと入ったドーマスとホクロを待ち受けていたのは、逃げた罪人を追ってボッス王国に攻め入ってきた最強の冥府騎士団であった。

第十六話 王の威厳
デスハーが明かした黒幕の名は、ミランジョ。その名を聞いたボッジの中に、幼い頃のシーナとの記憶が蘇る。ギガンを捕らえ冥府へと連行しようとする冥府騎士団の前に立ちはだかるボッジたちだが、デスハーはギガンの過去、そして彼の犯した罪を語り始める。

第十七話 不死の呪い
かつて冥府を治めた王、サトゥン。その息子であるデスハー、デスパー、オウケンたち兄弟は、それぞれが超能力をその身に秘めていた。ボッス王の城で罪人たちを探すボッジとカゲの前に、不老不死の力を持つオウケンが立ちはだかる・・・

第十八話 神々との争い
冥府の罪人たちに自ら捕らえられたボッス。牢屋へとやってきたベビンは、ボッスにその真意を問いかける。ボッスが語り始めたのはミランジョとの出会い、そしてホウマ国とギャクザ国という2つの国の悲しい過去だった。

第十九話 最後の砦
オウケンとの戦いで瀕死の重傷を負ったデスパー、ボッジ、カゲ。三人が目を覚ますと、そこは大きな川の流れる不思議な世界だった。一方、残されたミツマタに斬り掛かるオウケン。その窮地に、ボッス王国四天王が駆け付ける——

第二十話 “不死身” 対 ”無敵”
大きな川のほとりでミランジョの悲劇的な過去を知るボッジ。そして、ミランジョの心が揺れ始める。生の世界へと戻ったボッジ、カゲ、デスパーの前に現れたボッスは、瀕死のボッジに向かい、こん棒を振り上げる・・・

第二十一話 王の剣
不死身のオウケンを圧倒的な力で打ち負かすボッス。最強であることを見せつけるボッスに、ボッジはダイダの体を取り戻すため、決死の覚悟で挑み、王としてその剣をふるう。

第二十二話 魔神との約束
ボッジの手によって魔法の鏡は割られ、ボッスの魂は天へと昇っていく。そしてボッスからミランジョを託されたダイダは、現れた魔神にある願いを告げる。

第二十三話 王様と太陽
ミランジョとの結婚を発表し、これまでに犯した過ちを償うことを誓うダイダ。その真摯な姿に四天王たち臣下は驚き、思いに応えようとする。そして、新たな王が誕生する。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

74.9 3 国王で友情なアニメランキング3位
終末のイゼッタ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (797)
3912人が棚に入れました
西暦1939年、帝国主義国家ゲルマニア帝国は突如隣国に侵攻を開始した。その戦火は一気に欧州全域へと拡がり、時代は大戦の渦に巻き込まれていく。そして1940年、ゲルマニアはその矛先を美しい水と緑に恵まれたアルプスの小国エイルシュタット公国に向けようとしていた。

声優・キャラクター
茜屋日海夏、早見沙織、内田彩、東山奈央、花澤香菜、諏訪部順一、高橋広樹、花江夏樹、KENN、細谷佳正、遊佐浩二、置鮎龍太郎、間島淳司、平川大輔、森川智之、山寺宏一
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ、愛の変化である。終末に咲き乱れる美しき死生観にこそ我々は魅了されるはずだった。

■Staff
{netabare}監督:藤森雅也(代表作品:トライブクルクル)
脚本・構成:吉野弘幸(代表作品:マクロスF、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、マギ他)
キャラクターデザイン:BUNBUN(原案)、山下祐
アニメ制作:亜細亜堂{/netabare}

■Cast
{netabare}イゼッタ:茜屋日海夏
フィーネ:早見沙織
ビアンカ:内田彩
ロッテ:東山奈央
エルヴィラ:花澤香菜
ジーク:高橋広樹
ハンス:KENN
トビアス:間島淳司
ヘルマン:置鮎龍太郎
ベルクマン:諏訪部順一
リッケルト:花江夏樹
バスラー:細谷佳正
オットー:山寺宏一
他{/netabare}

グロス請のイメージが強い亜細亜堂制作のWW2を背景とした「魔法+ミリタリー+美少女」のオリジナル作品です。

(設定関係)
軍事関係の設定考証は戦車雑誌で有名な月刊PANZERがクレジットされていましたので、まず間違いないでしょう。
本作の軍事設定詳細は下記の雑誌で特集されています。
興味のある方は御覧になるといいでしょう。
なお、同誌の記事はまとめサイトへも転載されているようです。
『PANZER 2016年11月号/PANZER Nov.2016』

12月22日最終稿
12月22日文字数オーバーの為更に6話、7話メモも削除編集
【総評】
{netabare}美学なき物語は道標を失い、WW2の世界観を使い熟すことなく軽薄なストーリーとなった残念作品。期待倒れでした。
※本作は期待が大きかったばかりに、リアルタイムでの感想で長文が多かったゆえレビュー文字数がとうとうオーバーとなりました。
本来は残したいのですが、遺憾ながら個人的に盛り上がっていた6話までの感想を削除いたします。{/netabare}
(1)作画
{netabare}秀逸な3DCGによる、兵器の精密描写と圧倒的な迫力は認めざるを得ません。
しかし、空母ドラッヘンフェルスを2Dとしたことから、3Dとの繋ぎに違和感を感じてしまったことは少々残念です。
それと、ゲール軍の鉄兜シュタールヘルムの作画はいただけません。
側面の折り込みが分からず、ノペーとした感じとなっていることと、光沢感が表現されていない点が残念です、仕上げがべた塗りではいけません。
8、9話で一部、キャラの崩れもありましたけど、難易度が高い戦闘描写の高クオリティを維持していたことは、評価に値しますし、ミリオタ視点からも十二分に納得がいくものです。{/netabare}
(2)声優
{netabare}声優さんは熱演されていました。概ね満足です。
特に、フィーネ役の早見さん、ゾフィー役の雨宮さんの演技は頭一つ突き抜けていました。
しかし、肝心のイゼッタ役の茜屋さんの感情表現には課題が残りました。
イゼッタは設定そのものにも問題があるので、声優さんが役に成りきるに当たり感情移入へのネックとなっていたのかもしれません。{/netabare}
(3)キャラ
{netabare}ここでは、各キャラの私見を交え物語を振り返ります。
各話でも記述をしている通り、主人公イゼッタの設定が致命的にチープなので、評価は辛めになります。
本作はイゼッタとフィーネに共感が出来ないと、物語として楽しむことは出来ません。
私は10話まで終始イゼッタへはイラつきました。
その理由は各話で述べている通りですので、イゼッタについてはここでは省略します。

次に準主役のフィーネです。
大公の崩御で指導者の地位につきましたが、指導者というものは私情より先に国家、国民がが優先されるものです。
しかし、フィーネの公私混同は国家指導者となっても改るところがなく、私が懸念したようにイゼッタとの友情を超越した愛情関係(以後、百合と表記)が本作のストーリーを歪めてしまったと思います。
百合路線で行くのなら、そう割り切ったキャラ設定や現実を揶揄しないようにファンタジックな世界観の設定が必要です。
いくら国名を架空設定としても、ゲールはドイツ、アトランタは米国、ブリタニアは英国、テルミドールはフランスとWW2の当事国であり実在する国家がモデルとなっているのは一目瞭然。
事実として少なく見積もっても全世界で5千万人以上の死傷者を出したWW2のリアル史実を世界観とした場合、巫山戯た百合とフィーネの愛情ゆえにイゼッタの歪んだ大義との取り合わせは、アニメのみならず文芸作品にも精通し目が肥えている層には当然不評乃至顰蹙を買う取り合わせです。
本作の場合、大義を貫く凛とした君主のフィーネを設定し、その姿に魅せられたイゼッタの成長物語と合わせ、祖母の言い付けを破るだけの信念をイゼッタが自らの意思で構築し、自発的にエイルへの愛国心や忠誠心を抱くに至ったのであれば自然なストーリーでした。
または、大公を崩御をさせず、責任の軽い王女のままの方がよりフィーネらしい役所となり、世間知らずの王女の戯言としてなら、多少の百合展開には目を瞑る事も出来ました。
イゼッタの設定と合わせ、フィーネの設定も稚拙であったことが、本作を救いようがないB級アニメにしてしまったことを、監督の藤森氏、脚本構成の吉野は特に反省をして頂きたいと思います。

ゲール側のキャラを必要以上に邪悪に設定したのもいけません。
設定の都合で、邪悪に描くのはゲールの指導者皇帝オットーだけで十分であり、SSを登場させ、そのキャラでもゲールの邪悪さを強調し、他国のキャラは真っ当に描くことで、相対的にゲールへの敵愾心を煽る手法は、ハリウッド製B級映画と同じ手法で感心いたしません。
戦争というものは、開戦動機の如何に関係なく、ゲールに限らずも交戦国全てを狂気にします。

オットーのモデルは紛れもなくヒトラーですけど、それを皇帝としたことで、特に海外ではヴィルヘルム2世とも解釈できる誤ったメッセージにもなっています。
そも、ゲールを帝政設定にした理由は何だったのでしょう?
帝政であれば、近隣諸国の王家には養子や婚姻で血縁親族が必ずいます。
野望だけで他の王制国家への侵略などは起こせません。
WW1までは欧州王室会議が欧州の安全保障に大きな役割を果たしていた歴史を研究すべきですし、ゲールの隣国であり、同じ言語圏(ドイツ語)であり、かつ、王室があるエイルと王室間の繋がりがないとする方が不自然です。
制作側は欧州王室のことを何も理解をしていないようなので、野望を抱いた軍事大国が小国を侵略する程度の稚拙さで、本作のような設定を考えたのでしょうけれど、その図式を成立させるのであれば、ゲールは11月革命を経た後の共和国として設定し、史実の通りオットーはVerfassung(全権委任法体制)を達成した擬似皇帝"Führer"とすべきです。

さて、ゲール側の人物描写ですが、不足や矛盾はありますけれど、ベルクマン、リッケルト、バスラーを掘り下げていたことは評価いたします。

リッケルトは貴族の家庭でなに不自由なく素直に育てられた国家エリートであり、ウブで女(の恐ろしさ)もよく知らない真面目な人物であり、本来汚れ役の特務に向いている資質ではないでしょう。
貴族の威光に依らず、自らの実力で国家に貢献すべく志願してエールに潜伏した折、あろうことか、エールの近衛指揮官ビアンカに一目惚れをしてしまいました。
この安直な設定を批判する向きもありますけど、私はビアンカとの恋は、無自覚で意図しないハニートラップだったのかとも思い、自分を納得させて、このエピソードを流しました。
総じてサブキャラの掘り下げが少ない中で、リッケルトとビビンカ双方を描きキャラを立てたこのエピソードに一定の評価をします。

最終回でバスラーがベルクマンの言い分に対し怒りに任せてワルサーの引き鉄を引きましたけど、バスラーはベルクマンの自己中心主義をどう思ったのでしょうね。
情けなくなってトドメを刺さなかったというところでしょうか。
戦局が極度に悪化したなか、バスラーがBf109で飛び立つシーンがありますけど、超展開戦史でV1、V2まで登場したのですから、ミリオタサービスも込めてMe262で彼に花を持たせても良かったのではないでしょうか。

ベルクマンに関しては「最終回」メモに記述をいたしましたので省略します。

エイルの近衛兵であるビアンカ、ルイーゼ、アデーレ、クリスタですけど、近衛部隊が全て女性編成というのは非現実的であり、かつ、この中でキャラが立ったのは、リッケルトととの束の間の恋と悲劇的な結末を描いたビアンカ程度で、他のキャラは百合要員にしか思えないような過大設定です。
近衛という大風呂敷よりも、シークレットサービスや、SPのようなフィーネの護衛官程度で設定べきだったでしょう。
それであれば、女性だけの設定でも不自然ではありません。

エルヴィラ・フリードマンですけど、折角花澤さんを起用しながら後半は殆ど空気となっていました。
フィーネが指導者としての自覚が足りない部分をエルヴィラがフォローするなり、フィーネが国政を顧みず百合を満喫できる為の環境要員として、活用すべきだったと思います。

ジークハルト・ミュラー、白き魔女ゾフィーを死に追いやった家系の末裔。
最後はイゼッタの秘密を守る為に射殺した自国の兵士ヨナスと出合い頭のゲール兵が脳裏で重なり、油断した隙に射殺されますけど、ゾフィーに対して責任を取ったとも思えます。
国に殉じた彼の最後と国を裏切りなお生き延びているベルクマンの運命と対照的で、好印象を抱いたキャラの一人です。{/netabare}
(4)音楽
OP曲『cross the line』、ED曲『光ある場所へ』とも良曲です。
私事ですけどDLします。
{netabare}『エイルシュタット国歌』は疑問ですけど、『魔笛』他劇中曲はハイセンスです。
しかし、曲のセンスに物語が追いついていないのが残念です。
でき得れば『ゲール国歌』を原曲『皇帝讃歌』(ハイドン作曲)で聴きたかったものです。{/netabare}
(5)物語
{netabare}「終末」には様々な意味、解釈があるようですけど、本作の舞台ドイツ語圏から考えると、とってつけたようなこじつけかもしれません。
ストーリーから考えて素直にドイツ語タイトルの「最後の魔女イゼッタ」が本作のタイトルとして相応しかったと思います。
内容ですけど、百合と魔法と戦争群像の三兎を追った結果、物語の焦点がばらけて全てが中途半端に終わった感は否めません。
戦略でもそうですけど、焦点の拡散は各個撃破され敗北の道を歩みます。
妙に現実的な設定と百合を含めたファンタジーの接合が悪く、現実とファンタジーの振幅の激しさに多くの視聴者がついて行けなかったという印象です。
視聴者は雑多な福袋よりも一点豪華を求める傾向にありますので、このシナリオの失敗は如何ともしがたいでしょう。
また、1クールの尺であれば、WW2ではなく架空の地域紛争程度のコンパクトな世界観にするべきだったのではと思います。
なお、制作スタッフ(主として監督、脚本、設定制作)は当時の政治や世相の深淵を咀嚼せず、戦史中心でストーリーの時系列を組み立てています。
したがって、本作からは政治的なメッセージは得られません。
本作の詳細な問題点は各話メモに記述をしていますので、ここでは俯瞰的な意見のみとします。

物語本筋だけでしたら「2」が最大限の評価ですけど、本作は本筋以外に圧巻な3DCG戦闘シーンなど傍系の見所がありますので、下記のように項目を細分して評価をしています。
《物語評価の内訳》
・軍事考証4.5(史実に対し、兵器、軍装、軍事付属物のレイアウト設計、描写など主としてハード部分)
・戦史考証3.5(史実に対し、作戦のフローチャート、作戦の時系列的整合性、作戦の背景など主としてソフト部分)
・政治考証1.5(史実に対し、軍事作戦以外の政治、外交、インテリジェンスの設定など)
・物語の基軸2.0(物語独自の設定における脚本・シリーズ構成)
・演出、効果4.0
・Ave.3.1≒3.0{/netabare}
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【考察】「ドイツの核兵器について」
もう、本作のレビューを書く機会はありませんので、各話メモで未稿でした「ドイツの核兵器について」に触れたいと思います。※長文なので畳みます。
{netabare}現在、先端科学の中心地は米国ですけど、戦前、先端科学の中心はドイツでした。
これは、自然科学部門のノーベル賞受賞者を御覧頂いても、お分かりを頂けるかと思います。
ドイツの科学研究は19世紀後半に設立された「帝国物理工学研究所」から「カイザー・ヴィルヘルム研究所」、現在は「マックス・プランク物理学研究所」(現在は研究項目ごとに分立している)と変遷をしていますけど、国家を挙げて科学技術の育成に取り組んできた古い歴史があります。
なお、我が国の「理化学研究所(理研)」と「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の設立はほぼ同時期で、後身の「マックス・プランク研究所」と研究連携協定を結んでいます。
特に、戦前期の「カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所」の所長にはM.スブランク(前期量子論の父)、A.アインシュタイン(相対論)、F.ハーバー(毒ガス化学兵器の父)、W.ハイゼンベルク(量子力学)など全てノーベル賞受賞者である、そうそうたるメンバーが就任しており、量子論を確立したN.ボーアなどドイツ人外の欧米の一流科学者の多くが本研究所で研究に携わるなど、世界最高の研究機関でした。
当時、戦前ドイツの科学技術はナチス時代で突然開花したものではなく、19世紀から国家を挙げて積み上げてきた成果です。

さて、ドイツにおいて核兵器の開発はどういう状況だったのでしょうか。
まず、核兵器には核分裂エネルギーを利用した「原子爆弾」(*1)と、熱核反応エネルギーを利用した「水素爆弾」(*2)があります。
※1核爆発の爆風には「マッハステム衝撃波」という特性があるが、これは原爆の放射熱で周囲の空気がプラズマ化し生じるもの。
『オカルティックナイン』11話でアヴェリーヌ(稜歌)は電磁波を用いたプラズマ爆発によるマッハステムを暗示しているものと思われる。
※2中性子爆弾は水爆に含まれる。
核分裂エネルギーを効率よく取り出す為には「連鎖核分裂反応」を生じさせる技術が必要です。
「連鎖核分裂」は「原発」でも用いられており、ゆっくりと反応させる制御をしているのが「原発」、制御せず一気に連鎖核分裂をさせるのが「原爆」です。
「核分裂」により、膨大なエネルギーが放出されることは「特殊相対論」で既に示されております。
世界初の核分裂実験は「カイザー・ヴィルヘルム研究所」でO.ハーンにより濃縮ウランを用いて成功しました。
(原爆に必要な「連鎖核分裂反応」は後のマンハッタン計画で成功します。)
O.ハーンによる実験成功の事実が、「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の実力を知り尽くしているアインシュタイン他米国亡命科学者の顎を外したのは、理学者の立場では容易に想像できますし、ナチスによる原爆開発の現実的な脅威と危機感から、ルーズベルトへの原爆開発の提言へと繋がります。
実際、アインシュタイン達の懸念通りドイツにおける核兵器開発は1939年「カイザー・ヴィルヘルム研究所」が中心となって開発に着手、プロジェクトのリーダーは戦中の所長であったハイゼンベルクが就任し、ハイゼンベルクはヒトラーの腹心で後の軍需大臣となるシュペーアに条件が整えば2年以内に兵器化可能と回答します。
しかし、種々陰謀論めいた怪しげな話も存在しますけど、技術的な可能性はあったものの、結果的には以下の理由で完成には至っていません。

1.ユダヤ人の大量追放と科学者の戦時召集で原爆開発に必要な科学者が手薄であったことから計画に遅延が生じた。

2.原爆開発方針を巡り、高濃縮ウランか天然ウランかで意見が割れ、結局、膨大なエネルギーを消費するU235の純度を高める高濃縮は取りやめ、ハイゼンベルクの重水炉案に則り天然ウランを用いることとなり、その為にドイツ国内では製造をされていない重水の確保が急務になった。
しかし、当のハイゼンベルクはこの決定で、兵器化にはウラン濃縮が必要で、重水炉は発電施設として考案したものであり、天然ウランでは小型化し、兵器としての原爆の実用化は困難と判断している。
※重水炉と旧共産圏で使用された黒鉛炉の燃料は天然ウランをそのまま用い、現代の原発の主流である軽水炉は高濃縮ウランを用いる。
なお、当時、高濃縮ウランの製造には膨大なコストがかかることを考えれば、天然ウランの使用もあながち非現実的とは言えない。
※天然ウランの成分の殆どは核分裂を起こさないU238で、核分裂を起こす同位体U235は天然ウランの中に僅か0.7%程度しか存在しない。
また、当時、天然ウランから核分裂物質のU235を抽出する最も効率が良い方法はサイクロトロン技術を応用したローレンツ力を利用する「電磁濃縮法(Y12P)」、ついで手間がかかる「ガス拡散法(K25P)」が主流だったがどちらも膨大な電力消費が課題であった。
マンハッタン計画ではウラン濃縮の為に専用発電所まで建設をしており、潤沢な資金に恵まれた米国以外は選択出来ない方式だろう。
我が国では、理研が「ガス拡散法」、京大が「遠心分離法」でウランの濃縮を試みているが成果が出る前に終戦となる。

3.英国でもドイツの核開発を知るところとなり、原爆の研究に着手をしているが、ドイツが重水を求める理由に二通りの解釈を持っていた。
※原爆の性能向上(小型化)と水爆の可能性
どちらも英国にとっては破滅的な脅威であり、重水製造プラントがあったノルウェーの工場を攻撃し、更に重水を積んだ運搬船を攻撃して沈めドイツ核開発の息の根を止めている。
なお、重水プラントの確保はドイツがノルウェーを占領した大きな理由でもある。

4.ヒトラーは原子物理学をユダヤの科学として忌避しており、原爆開発へは予算や人員などの政治的な支援が行われなかったこと。
結局、軍需大臣シュペーアは1944年2月、原爆は本戦争には間に合わないと判断し正式に開発を中止する。

5.ヒトラー、シュペーアの会談録でヒトラーは核開発について、ハイゼンベルクチーム以外にも研究を指示していると述べている。
これは国防軍のE.シューマングチームのことであるが、この詳細はシュペアーやハイゼンベルクにも知らされていなかった。
E.シューマングの研究については現在もなお不明な点が多く、物証もなく陰謀論的な憶測も多いが、特に以下の二点が注目されている。
★広島に投下された原爆と同様「ガンバレル型起爆装置の開発」
(マンハッタン計画では現代の原爆に採用されているプルトニウム爆縮型起爆装置の開発が主軸であり、世界初の原爆実験も爆縮型で、ガンバレル型起爆装置について米国は一切非公表としている。)
★重水素を用いた水爆理論構築。ただし、水爆を起爆する為には原爆級の膨大なエネルギーが必要であり、原爆の開発を断念したドイツでの完成は不可能。
なお、戦争末期、我が国に向かって出航した潜水艦U-234号は、ウラン鉱石の他「ガンバレル型起爆装置」の設計図も搭載されていたとする証言もあるが証拠はない。
なお、U-234号は大西洋上で米海軍に降伏したが、その際乗艦していた日本海軍士官2名は自決している。{/netabare}
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※第1話から第7話までのメモは文字数制限の為削除。

第8話メモ
{netabare}各論
今回は軍事考証の必要はないので物語のみ。
吉野氏はソラノオト気分で脚本を書いているのか、戦時と平日の区別すらついていないようだ。
それにしても、戦時下の防諜対策とはどういうものかがマトモに考証がなされていない酷い回だなコリャ。
古城→重要機密施設の警備体制にしては甘過ぎるし、近衛兵が女性だけという設定も含めて非現実的。
非現実的に加え、ゲールの特務リッケルトをビアンカ達が偶然に拾い、伏線なしで痴情展開を設定してカタルシスを押しつけるご都合主義にはいい加減辟易する。

まぁ現実と非現実のギャップはあってもいいが、その折り合いのつけ方が子供騙しで既に物語のチープ化は避けられない状況と思う。
この物語の課題点は5話、6話でも散々指摘をしたし、改善の意欲も感じられないので言葉を費やすだけ無駄だろう。

アトランタが都度登場しているが、この国が欧州情勢に関与する動機が描かれていないのは致命的なミスだ。
つまり、アトランタがゲールとエイル両国を排除する「国益」は脅威の排除などという上辺なものではないだろうし、また、その程度で軍を動員出来るほど史実の米国事情は単純ではない。

米国の正義は常に攻撃された被害者の事実から始まるのがお約束。
現に史実では被害者になるように我が国だけではなく、ドイツに対しても策謀していただろう。
なぜ、そうまでして欧州情勢に介入したいのか。
史実を追い、アトランタのドロドロとした野心を見せないと視聴者をジンテーゼに誘導出来ないだろう。
ストーリー構成に参加している戦争屋にとって史実の米英同盟関係は空気のように感じているのか、設定そのものすら考えていないかもだな。

ドイツのポーランド侵攻から大西洋憲章締結に至るまでの両国の外交史を全く調べていないのが見え透いているし、戦史には詳しくても背景の歴史に音痴だと本作のように薄っぺらい脚本になる。{/netabare}

第9話、第10話一括メモ
諸般の都合により第9話のレビュー時期を逃したので一括します。
{netabare}しかし、この作品のレビュー少々書き難くなった。
{netabare}理由は余りの物語の陳腐さに我慢しきれず7話視聴後に制作会社ヘメールを入れた訳です。
他にも似たような意見があったのか、誠意のある回答を頂いた。
端的に言えば「まあ観ていて下さい。期待は裏切りません。」とのこと。
なお、今後のネタバレについては一切返信には含まれていない。{/netabare}
いや、確かに9話でマトモな流れになったが、尺も詰まった段階では少々遅きに逸した感もする。

さて、本作を視聴して戦争を感じさせないとの意見もあるようだが、想像力を欠いているのではないか?
本作を好む層は概ね実写戦争映画や実戦記録フィルムを鑑賞している層も多いと思う。
イゼッタやゾフィーのチート能力で多くのゲール兵やロンデリアン(ロンドン)市民が死んでいることを黙殺出来るとは、平和ボケな我が国の一端を窺わせ、とても憂鬱な気分だ。
一度、実戦の記録フィルムでも鑑賞してみたらよかろう。

本作では『魔法少女育成計画』のように生々しく凄惨な殺人描写がされていないだけで、実質的に多くの戦死者が出ているし、実写記録フィルムと重ね合わせれば死者累々の悲惨な状況は想像出来る。
東京空襲やサイパン、硫黄島、沖縄の玉砕戦、ドレスデンやロンドン空襲などの実写記録フィルムをしっかり鑑賞するのがよかろうが、グロいから見たくないとか言いそうだな。
しかし、それが戦争というものの現実なのだ。

戦争に対して背を向けてきた教育の歪みも問題だが、死体が少ない戦争アニメだから見易いなどと宣えているから、今般、尖閣のみならず、九州でも我が国の領海に堂々と浸入してくるシナの脅威など微塵とも感じない有難い感覚なのだろう。
シナ空軍の挑発で沖縄上空のスクランブルも異常事態だし、命を削りながらも国防に勤しみ我が国の平和を守っている自衛官諸氏の苦労を少しは考えてみたことがあるのだろうか。

某フィギュアアニメを無条件で讃えている層にも言えることだが、戦争が身近に来ているかもしれない現実は逃避して、戦争の悲惨さを感じさでないと本作を讃えながら、シナの良いように国土を蹂躙されてから後悔をしても遅いのだがな。

ガルパンオヤジの怒りはこの程度にして、物語はどうなのかに移ろう。
8話でその存在を暗に知らしめる伏線の通り、9話で白き魔女のクローンゾフィーが登場し、イゼッタに対し圧倒的な力量差で打ち負かす。
この種はイゼッタが魔力を地理的条件に依存していることに対し、ゾフィーは魔石を利用して地理的条件に左右されず魔力を発揮出来る設定だ。

この設定は上手く考えたと思うが、ゾフィーの存在を匂わせたり、古城への浸入目的が魔石の取得であったのも今後に向けての伏線で必要な尺だったのだな。

あと、ゾフィーがクローン技術で生まれた設定に対する批判もあるようだが、遺伝子操作によるクローン技術の思想的な始点はナチスの優生学からであり、実際に「レーベンスボルン」という交配で人為的に優れたヒトを作る実験が行われている。
ユダヤ人絶滅収容所ではその為の基地外じみた実験に囚人が利用されてもおり、その意味では可能性の範囲で荒唐無稽な設定ではないと言える。

次に、10話で登場したV1であるが、これは時系列的に無理があるだろう。
寧ろV2の方が現実的だ。
なぜならば、V2の原型であるA型ミサイルは1940年には既に発射実験が行われている。
フォンブラウンで調べてみるといいだろう。
対し、パルスジェット搭載のV1の開発はバトルオブブリテンの終了後であり、今回の設定はどう考えても可笑しいだろうな。

まぁ戦史を完全に無視をしているのなら、大戦初期でタイガーやパンサー、Me262を登場させてもいい訳だが、大戦初期の定石通りに3号、4号戦車、Bf109を登場させているし、また、本作が戦史準拠である事はPANZER誌でも述べられている。

しかし、設定に細かくイチャモンをつけても「魔女」の設定が荒唐無稽なので目を瞑っているのも必要か。
それでも、あまり無茶な設定をすると全てで陳腐になるので、止めた方がいいのだがな。

8話でも記述したが、アトランタ(米国)がたかが一駐ブリタニア大使の一言で軍の動員を図ったとするのはご都合主義もいいところだ。
アトランタは現実に攻撃されないと軍は動員しないし、ゲールのような独裁国家とは違い、この国は動員が正義となる確固たる理由が必要な国だからな。
でも今回ゲールがロンデニオン攻撃に踏み切ったことで、アトランタ軍動員の正当化を図るのだろうな。
史実では、ロンドン空襲時点でも米国は対独戦線布告はしていないのだけど。

10話の作画だが、2Dの爆発シーン、MS406の墜落爆発シーン、MS406vsBf109の3D空戦シーンは圧巻だった。
航空機と戦車、火砲の作画(3D含む)はパーフェクトなのに、空母の作画に課題を残したのは惜しまれる。

また、捕られたイゼッタ救出の為に、エイルの陸軍部隊と近衛が突撃の準備をしているところ、絶対装備数が少ないMS406が地上部隊との連絡もなく唐突に出現したのは、よくあるご都合主義に思える。

シナリオに厚みを加えるなら、突撃→撃退後退→空軍支援→再突撃の尺を取るべきだろう。
特に名機関銃MG34(WW2最高傑作機関銃MG42の前モデル)の連射で、エイル兵がなぎ倒されるシーンが見たかったが。
この、イゼッタ救出は重大局面で見せ場なのだから、もっと救出に苦労をするよう工夫をするべきだった。

陳腐な設定を残したまま、物語は進んだが、もう本作では誰もハッピーエンドは期待していないだろうし、バッドエンドをどのように迎えるのか焦点はそこだろう。
10話でも十二分に分かることだが、ゲールは帝政に置き換えたナチスそのものだ。
皇帝オットーはヒトラーの置き換えと見た方がいいな。

海外評価サイトでは現実の国家にするべきだとの意見もあったが、もろにヒトラーを出すといろいろと面倒臭いことになるし、この設定は仕方がないだろう。
それと、何故か10話では不可侵条約を反故にし史実通りヴォルガ連邦(ソ連)侵攻を目論んでいるが、局面はヴォルガ連邦との戦いで何か変化があるのかな。
ゲールはゾフィーを使いこなせるのか?不安な一面を見せる描写もあったが、史実通りの予定調和やオレタタ終了は避けて欲しい。{/netabare}
もうクールも残り少ないし、11話は相当詰め込んでくるだろうな。

第11話メモ
{netabare}うーん、どこまでも御都合主義で物語を進めるのかな。
しかし、親衛隊(SS)を登場させてゲールの邪悪なイメージを増幅させ、相対的にエイルへの同情を誘う演出は稚拙過ぎる。

10話で伏線が張られたベルクマンの失脚の理由も暗喩を含めて説明不足である。
一般に重大な国家機密を握っている人物を何かの理由でパージするのなら、国内に軟禁して行動の自由を制限するのではなかろうか?
したがって、寝返る必然性を含めて今話の展開は首を傾げたくなる内容だし、更に輪をかけて核兵器もどきとV2のセットか…

ベルクマンが寝返るにしても、これだけの超兵器を取引に使えば、エイルを降伏させる流れの方が自然だろうな。エイルから情報に見合う膨大な金と身の安全の絶対的な保証でも取らぬ限り。
常識で考えれば裏切り者は裏切った国のみならず、国を売った事実だけで保護国でも信用はされない。
場合によっては保護国側が取引の材料に使うだろうけど、安直に信用して行動の自由を許すなどエイルは子供が運営している国なのか?
ベルクマンをゲールに手渡してはならないだろう。

魔石の持つ裏の現実を突きつけてもイゼッタには全く感情移入をしない。
寧ろ、フェーネの危機に都合良く間に合わせる御都合主義には辟易してきた。
本作のキャラの誰にも感情移入が起こらないのは、ゴルゴ13ほどのシビアさは求めないが、現実とファンタジーの接合が悪い上に振幅が激しいことと、間の悪い百合描写と御都合主義の展開が余りにも多いことに尽きるな。
国家の命運を背負った会議に向かうシーンが、フィーネの緊張感ではなく百合なら誰でも呆れるぞ。

もう、子供なら喜びそうな話にまで劣化してしまったな。

イゼッタの出撃シーンは特攻に飛び立つような雰囲気だが、緊張感も悲壮感も中途半端で全く共感しないな。
イゼッタへ感情移入が起こらないのはストーリーの拙劣さもだが、茜屋さんの演技力にも問題がある。

イゼッタのおっぱいアップのカットはサービスとして捉えておこう。{/netabare}

【最終回】
{netabare}結論から述べる。
最終回も残念賞。
粗を探せば多々あるが、しかし、広げた風呂敷の回収はしっかり成就させている点は認める。
そこに至るプロセスや、設定の甘さは除き、イゼッタは平和への対価としての犠牲とさせたが、あくまで救われない形で幕を引くということは、イゼッタの死か消滅であることを意味する。
戦争という苛酷な現実を世界観に設定したのであれば、一つの使命を果たしたイゼッタの殉死こそ世界観に見合った彼女の最後だろう。
ゲールという国家の滅亡とイゼッタの命の取り引きで物語は醍醐味あるバランスは取れるのだけれど、脚本は本質的に履き違えてしまったようだ。
2期を考慮していないのだから、視聴者に平和の使者イゼッタを印象づける意味でもバッドエンドにすべきだった。

幕引きに至るまでについては、以下の各論でこの作品の課題点を指摘する。

(アトランタについての軍事考証)
アトランタにとってはゾフィーもイゼッタも「戦略兵器」として捉えていた脚本は評価するが、派兵(動員)に関してはモデルとした戦前の米国の政治、とりわけモンロー主義をもっと研究するべきだ。
アトランタを物語の正面へ出す場合、ゲールの潜在的脅威のみならず、具体的な脅威がアトランタにあった事実を描写すべきだろう。
史実のWW2では我が国の真珠湾奇襲後にドイツは米国へ宣戦布告をしている。
つまり、民意が国家運営の土台である米国は、仕掛けられない限りは兵を動かせない、厳密に言えば(当時は)海外派兵のような大規模な陸軍の編成は戦時状態が生じた上での戦時動員が必要な国である。
国家の成立上、地方自治が高度に発達している米国における陸軍の平時編成は州知事に統帥権がある現役州兵が主体であり、ベトナム戦争以前までは、平時における州兵の動員は治安維持等法律の緊急限定事項を除き大統領統帥の範囲外にある。
州兵、予備役の動員は戦時状態が必要十分条件であり、大統領統帥権に基づく戦時動員をする為には「攻撃された」という既成事実と大統領判断のみならず、戦時状態(宣戦布告を含め能動であっても受動であっても)の議会承認が不可欠なのだ。
つまり、当時の米国のシステムでは戦時状態を認識し、陸軍の戦時動員を完成するには1年近くかかるはずだし、動員編成に関しては軍事マニアの基本的な常識。
余談だが、太平洋戦争においてガダルカナルから反攻を開始し、太平洋戦線で終始戦闘を繰り広げたのは海兵隊である。
現在は第4軍として独立した地位にある海兵隊だが、当時の海兵隊は海軍の指揮下にあり、海軍は陸軍とは異なり平時から大統領の統帥下にある。
海兵隊は有事発生の際に速やかに編成動員可能なメリットがあるが、戦術使用は可能でも一国家を軍事的に降伏させるのには戦力不足であり、戦争終盤では陸軍の役割となる。
太平洋戦争も終盤の海軍主導の中部太平洋戦線の硫黄島、沖縄では米陸軍も戦闘に参加しており、陸軍のマッカーサーが率いる南太平洋戦線が膠着気味であったのは、動員編成が複雑な陸軍の特殊性によるものだ。

ノルマンディーにしても、あれだけの大部隊を編成する為に宣戦布告から2年半近くの準備期間を要している。
本作では大使の進言から数ヶ月でブリタニアに派兵をしているが、アトランタの政治システムや軍事常識外の陳腐な設定であったことが窺い知れよう。
各国の政治や、陸軍の性質をもっと研究した脚本でなければダメだな。
特に米国は正当な理由に基づく徴兵拒否を認めている国でもあり、戦前の我が国のように赤紙1枚で簡単に頭数を揃えられない複雑な事情もある。
完全志願制の我が国自衛隊の悩みは予備役の不足であるが、いざ戦争となれば現役の員数ではなく、予備役や後備役の動員がどれだけ可能かで、その国の軍事力が決まる。

登場国家こそパロディではあるが、史的事実関係に沿った脚本を評価していた折に、アトランタ参戦プロセスの端折り方は軍事設定において致命的とも言えるミス。
WW1のように、ゲールのUボートがアトランタの民間船舶を攻撃したシーンでも挿入しておけば、アトランタの派兵には現実味が帯びたのだが、残念だ。

(ベルクマンに見る脚本の底の浅さ)
まず、ベルクマン失脚の動機が曖昧なのは前回にも記したが、単に知りすぎた人物というだけではなく、もっと具体的な説明が必要であっただろう。
結局、ベルクマンはゲールへ引導を渡した物語のキーパーソンなのだが、その描写が雑過ぎたのが頂けない。

フィーネとイゼッタの百合百合しい関係の尺を、ベルクマンという人物の掘り下げに当てればまた違った評価となっただろう。
愛国心より個人の命が優先するとした利己的なベルグマンの人物像の描き方は、倫理的な抵抗はあっても、ある意味では真理だ。
しかし、それをゲールの国民の一人として描いたことに、脚本の政治的な意図が感じられなくもない。

脚本が、史実として祖国敗戦後でもゲールのモデルとなったドイツ人気質とはとのようなものであったかは、シベリア抑留記で記述されているドイツ人捕虜だが、ソ連に屈せず最悪の環境を甘受してドイツ人としての誇りを抱きシベリアの土になった事実を知っていればベルクマンのような描き方ができたのであろうかな。
ドイツ人捕虜の高貴な態度に胸を打たれた著者は、自分可愛いさに次々と祖国日本を裏切りソ連へ忠誠を誓っていく周囲の日本軍捕虜の節操のなさを憂いていた内容だった。
これは、15年程前に『丸』が特集していたシベリア抑留記に書かれてあった。
おそらく、ヒムラーやゲーリングのような往生際が悪かったナチス高官や、連合国に脚色されたドイツ人のイメージでベルクマンの人物像を設定したように思う。
ドイツ人であれ、アメリカ人であれ、日本人であれベルクマンのような人物は確率的に存在するのは認めるが、ネガティブな人物であればこそ、人物描写を掘り下げなければベルクマンがドイツ人代表のような間違ったメッセージを与えかねない。
そう考えるとやはり脚本の底の浅さは拭いきれない。

危険人物として暗殺の対象とされたにも関わらず行動の自由を許したゲールの対応や、売国人物と知りつつエイルがベルクマンを利用した浅はかさは「国家」というものを脚本が理解をしているのか甚だ懐疑するお粗末な展開だった。
ベルクマンとミュラーは同じ情報を扱う者として、国家への忠誠に関しては対極的に描かれている。

ミュラーがエイルへ絶対忠誠を誓う背景には彼が貴族であることが挙げられよう。
爵位は国王から授けられるものであり、国家(というより君主)に対し絶対服従を誓う根拠ともなり得る。
ベルクマン部下のリッケルトも貴族家系ではあるが、彼の国家への忠誠心もミュラーと通じるところがあるだろう。
脚本はミュラーをリッケルトの隠喩としても表現し、ベルクマンとの応酬を通してベルグマンの性格を掘り下げたかったかな。
更に、バスラーの愛国心を強調し、ベルクマンという人物像を確立したかってのかもしれないが、これだけ物語のキーパーソンとして活用した以上、ベルグマンの直接的な掘り下げをしなかったことは脚本の怠慢としか評価が出来ない。
最後は生き延びて、アトランタへ魔女の力で得た核兵器を売却したようだが、この人物の生き様は、百合や他のサブキャラの描写を減らしても尺を取るべきだった。

(ゲールがヨーロッパ征服を試みた動機が意味不明)
さて、本作はWW2を背景とした世界観だが、ヒトラーが何故欧州大陸で戦火を拡大させたかを理解しているのかが甚だ疑問なストーリー展開である。
そも、ヒトラーは全欧州の覇権を握る意図があった訳ではない。
ヒトラーの目的はWW1で喪失した旧帝政時代の失地回復であり、ポーランドを占領したのもWW1の結果でポーランドが独立し、飛び地となった東プロイセンとケーニヒスベルクの回廊復活が目的だ。
ヒトラーの政策の第一目的は「ベルサイユ体制」の破壊であり、当時のドイツ国民が支持したのもこの政策を掲げたナチスに対してである。
ヒトラーとて、それ以上のことはドイツの国力を考えても出来ないことは重々承知をしていた。
したがって、ベルサイユ体制の守護者である英仏と本格的な戦争状態となることはヒトラーの本意ではなく、ポーランド侵攻までには相当の外交努力が行われていることは注視をすべき点である。
当時の英仏もWW1の後遺症から抜け出せてはおらず、可能な限り外交交渉で決着を図る姿勢でドイツの要求を呑んでいた。
ヒトラーはポーランド侵攻にあたり、ソ連と不可侵条約を締結し、モロトフ=リッペントロップ秘密議定書に基づき、西からポーランドに侵攻、東からはソ連が侵攻しポーランドは消滅した。

勿論、ソ連との不可侵条約は後に明らかになるようにドイツ側の欺瞞工作である。
東プロイセン回廊の確保でヒトラーの目的は達したが、ポーランドと軍事同盟を締結していた英仏は「集団的自衛権」に基づきドイツに宣戦布告をする。
ヒトラーはポーランドに関する英仏の感触や、ソ連もポーランド侵攻に同意したことで英仏との対立は避け得ると判断したが、英仏はソ連は黙殺しドイツのみに宣戦布告を行う。
ヒトラーとしては不本意な結果を招いている。
実際宣戦布告をした英仏もポーランドを直接助けることはせず、ドイツとの軍事衝突を避けていたのだが、ヒトラーのタイムスケジュールには第二段階としてソ連侵攻があった。

しかし、フランス侵攻をヒトラーが考えたのは、対独英仏宣戦布告が明確な動機であり、隣国であり大国であるフランスが宣戦布告を放棄しない限りは、常に軍事的な脅威に晒せれることとなり、今でいう「先制的自衛権」という考えから軍事侵攻に踏み切ったものだ。
フランス侵攻と同時に英国のチェンバレンが辞職し、対独強硬派のチャーチルが首班となり、これでヨーロッパでの全面戦争が不可避となった。
つまり、ヒトラーのフランス侵攻はドイツにとっては防衛であり、彼が描いていた大ドイツの図版には含まれてはいない。
中央ヨーロッパや東ヨーロッパには傀儡政府を樹立せず、ドイツ直轄の軍政であったが、フランスには傀儡政府(ビシー政府)を樹立した点、南ヨーロッパにはヒトラーの盟友ムッソリーニがおり、イタリアの勢力圏をドイツが奪う意思はなかった。
スペインは中立国だがフランコ体制の同国も、ポルトガルに対しても領有の意思は見せてはいない。
ただ、イタリアがあまりに軍事的に情け無い戦いを続けムッソリーニがヒトラーに泣きついてきたことから、南ヨーロッパやアフリカへも派兵をせざるを得なくなり、イタリアの降伏で南ヨーロッパ戦線の維持をドイツ一国が背負うこととなったのは、ヒトラーの意図以外の不確定要素から生じた出来事である。

ダンケルクでの詰めの甘さは、ヒトラーがなお英国との和平を切望していた証しでもある。
しかし、チャーチルの強硬姿勢に結局、対英問題解決は軍事的な勝利しかないと悟ったのでろう。

ソ連侵攻の目的は『我が闘争』にもあるように、ユダヤ人の抹殺とスラブ人種の奴隷化と天然資源の確保であり、これは政権に就く以前からの思想であるので、ソ連がどのように下手に出ても戦争は不可避であったと思う。
『我が闘争』を読んでも、また、現実のヒトラー政策を考えても、彼の大ドイツ構想は東方拡大であり、全欧州にまで野心があったものではない。
フランスが対独宣戦布告をしなければ、フランスへの迂回路であるベルギー、オランダの軍事占領が行われたかも疑問だし、フランスを含む、南ヨーロッパは元来、彼の図版の外にある。

本作ではゲールがヨーロッパ征服の野望を如何なる動機で抱いたのかが不明瞭であり、かつ当時のドイツを巡る欧州情勢や史実は上記のとおりであり、ゲール(ドイツ)を無条件に悪者とする姿勢は、ハリウッドB級映画のテンプレや、ニュルンベルク裁判史観や侵略者ゲールを設定したのは、安直かつ幼稚に思えてならない。
WW2の設定を用いるのであれば、ゲールの国家戦略も政治的に詰めて設定すべきであろう。

(フィーネ発言の真意)
アトランタの意見では魔女を抱える国は戦略的に絶対的な優位を誇ることとなるが、それはアトランタが述べるようにゲール亡き跡の安全保障に直結する課題だ。
アトランタがこの会議に参加した経緯には大きな疑問があっても、発言趣旨そのものは妥当だろう。
フィーネはここで、イゼッタ個人の死ではなく、レイラインの魔力を吸い上げた結果は魔法そのものがこの世から消え失せるとした発言をした。
しかし、フィーネの最後の涙はイゼッタは死ぬかもしれないとの絶望のメタファーであり、その死を以ってしてアトランタの懸念は取り除けるとした大義と私情の狭間で大義を取った指導者の意見であると私は考える。
反面、フィーネの本音は魔女イゼッタではなくイゼッタとなっても愛情には些かの変化がないことと、自らの力量不足をカバーしてくれたイゼッタへの感謝の涙でもあろう。
私情と大義の狭間に揺れるフィーネは、指導者としては未熟だが、人としては共感を得るものと思う。
このフィーネを描いた脚本は評価できよう。

(イゼッタとゾフィーの対決)
イゼッタとゾフィーの属性については「(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)」で述べるので、ここではラストの対決に的を絞る。
パリ上空を舞台に繰り広げられた、白熱のバトルシーンの描写に関しては、圧倒的な作画で十分に楽しめる内容だ。
イゼッタがエッフェル塔を折るところは凄い迫力だが、迫力においてはゾフィーも負けてはいなかった。
しかし、命が惜しいゾフィーに対し、イゼッタは自らの死を厭わずに最大魔力で応じている。
イゼッタの気迫勝ちだが、イゼッタが死をも辞さない覚悟を抱くプロセスがお粗末である為に、本来は十二分に感動するべきシーンなのだが、私には50掛けとなってしまった。

(オットーの自殺)
史実でヒトラーは自殺をしたが、その状況に合わせたのかな。
しかし、史実のドイツの末期はとても悲惨であり、ヒトラーはソ連兵が闊歩するベルリンの地下壕で自殺を図っている。
本作のノイエベルリンの描写では末期ベルリンの断末魔の悲鳴が伝わらない。
私は実際、壁崩壊直後のベルリンと壁の緩衝地帯にあった空き地のまま放置されていた、総統大本営地下壕跡を訪れているから、余計に陳腐に思えるのかもしれないが。
ノイエベルリン市民が参加している地上戦を描いた方が、追い詰められたゲールの直喩にもなったろうし、オットー自殺にも説得力があっただろう。
オットーにずっと付き添っていた側近エリオットは架空設定だが、自殺を確認したという意味ではボルマンがモデルだな。

(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)
本作で最も問題となるのは、イゼッタの立ち位置だろう。
本作では執拗にイゼッタとフィーネの過去の出会いを描写し、イゼッタはフィーネへ恩義を感じていることを強調している。
また、フィーネは一国の君主の立場を超えてイゼッタを大切にすべき友人から愛の対象として描いている。
本作も多くの視聴中断者を招いたが、その原因の多くは百合展開である。
世界観と百合のミスマッチが視聴者の嫌悪感を招いたと思うが、それには十分同意を出来る。
脚本の吉野氏には戦時と平時の見境がついていない旨の指摘を散々してきたのだが、平時が背景での百合展開ならば、そうとも割り切れる。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は平時における兵士達の日常を描いた内容であるから、百合要素もエピソードの一つとして受け入れることは出来る。

しかし、国が危機に際している状況で百合でイゼッタの忠誠心として描くのは、戦争という無慈悲で凄惨な現実を余りに茶化してはいないかな。
イゼッタはフィーネの存在がなくても、戦争を終わらせる為にはゲールと対決する心構えがあれば、平和の使者としての彼女に大きな共感が生じただろう。

しかし、フィーネという個人に陶酔する余り、彼女の理想を現実化したいという利己的な理由でゲールと対峙させても何も共感は生じない。
戦争というのは一個人の理想ではどうにも出来ない過酷な現実であり、魔法というチート能力の設定を用いるところを錯誤し、現実とは大きく乖離してしまったことは本作最大の失敗であろう。

魔法と兵器の対決はエンタメ的には間違えてはいない。
『ストパン』もそういうファンタジー設定で人気を博したのだから。
しかし、本作は『ストパン』よりも妙にリアルを追求しているが故に、ファンタジー設定をよく練らずに用いると、世界観との齟齬や乖離が生じるリスクと裏腹の関係となることも指摘済みである。
軍事オタが本作を評価しない点はこれに尽きる。

更に、イゼッタの理想は大義に立脚したものではなく、フィーネの理想の具権化であったこともWW2という大きな器に対しては説得力がないものとなった。
海外評価が辛辣なのは、イゼッタの正義はフィーネの借物の正義であり、百合感情で得た極めてストイックに反する俗物的で許容しがたい点にあることだ。
ゲール討伐という大風呂を広げず、フィーネとの愛情物語に路線展開をすれば、また別の評価を得られたであろう。
最後、イゼッタが生き残る点も、殺したくないスッタフの御都合主義だと思うが、殺した方が殉教者となる訳だし、魔女というキリスト社会においては極めてアグレッシブな存在に対する明確なメッセージとなったはずだ。

逆に、エイルで過去に魔女裁判にかけられ、命を落としたゾフィーに私に共感を抱いた。
だってそうだろう。
ゾフィーは本気で愛したかつてのエイルの国王の遺言によって異端審問の上処刑された。
異端審問が吹き荒れ、魔女狩りが横行していた当時の欧州情勢を考えると、この国王の判断こそ、フィーネが見習わなければならない、私情を捨て大義を守る指導者としての矜持だが、大義には犠牲が生じ、多くの私怨を招く。
その意味でも私怨でエイルを滅ぼしたい気持ちは正直で嘘偽りはないだろうし、イゼッタの偽善よりも遥かに自然な感情だ。
更に、感情移入はゾフィー役に雨宮さんの熱演もあったのだが、対しイゼッタ役の茜屋日さんの演技力には課題を残している。

イゼッタが述べた「みんなの命を預かる人はたった一人に拘ったらダメ」はそのままイゼッタへのブーメランとなり、このセリフを吐かせながら生き延びるのは余りに矛盾が過ぎるのではなかろうか。
更に、回想でフィーネが百合私情を振り切り涙ながらにイゼッタへ戦いを命じた描写を感動として活かし、イゼッタがゾフィーに語った大義(私情に揺さぶられた偽善的な大義だが)を衝突させたのであれば、ジンテーゼは視聴者へ判断を委ねる、双方生死不明のメタファーとして結論付けなかった方が良かったのではないかな。
よって、最終回でイゼッタも消えていれば良作ではあったと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 76
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

終末のおとぎ話

【視聴完了して追記と改稿】 *2016/12/19再追記

架空のドイツ(と言ってしまっていいだろう)がヨーロッパ侵攻を開始した、架空の第二次世界大戦初期、侵略にさらされる架空の小公国が魔女の力を借りて抵抗する世界。

近代兵器と戦う魔法の面白さが主眼のようだが、序盤の近代兵器vs.魔法のビジュアルは良く工夫され、臨場感にあふれている。
特に、アンチマテリアル・ライフル(この時代なら対戦車ライフルと呼ぶべきだろうか)に跨った魔女と戦闘機の「空中戦」は、一気に視聴者を世界観に引き込む巧妙な描写に満ちた秀逸なものだ。


作中でも何度も言及されている「20世紀」的な近代戦と「世界」の非情に、時代錯誤的なおとぎ話の魔女が対抗する対比が狙いのようだが、これに相応しく、魔女と手を携えるのが「お姫様」であるのは、物語上の整合性が、一応はある。

国民の生命と安全を守るために一身を投げ出そうという宣言が、選挙で選出された政治家のものではなく、尊い血の宿命から発せられた「お姫様」のセリフである皮肉は、20世紀的非情に「おとぎ話」性がいずれ敗北してしまうであろう悲劇性を予感させるのだが、しかし、それにしては背景の設定が突き詰められた印象が無い。

国民、というより「臣民」を守ろうとする「お姫様」だが、無辜の臣民を守る盾である「兵士」それ自体が、徴兵されて銃を持たされている「無辜の臣民」の一員であるという20世紀的な事態に自覚的ではないようだ。
祖国防衛に「進んで」臨む徴兵兵士は、国家と自分が連続しているという「観念」を教育された民主社会の市民の姿であって、残念ながら「公女」に所有される「臣民」の姿ではない。

同様の無自覚は、全国民を恐怖政治で支配したのが、議会工作で成立させた法律によって「独裁者」となった「選挙で選出された首相」であった現実のドイツを、オカルト的な野望を持つ「至尊の」「皇帝」に統治される架空のドイツに無造作に置き換えた、敵の設定にも表れている。

そんな理屈に興味はない視聴者が殆どで、ただビジュアルを楽しめばよいのかもしれない。

が、そうもいかないのは、この「理屈」が、ビジュアルの眼目である近代兵器や、その運用を生み出している原動力であるからだ。


この「理屈」の根本は、「世界にも等しい無限の内面を内包した、理性的で完結した個人」という人間像が崩壊した、20世紀的な事態にあるようだ。

第三帝国を自称してはいても、法制度上では「帝国」に移行したわけではなく、立憲民主国家のまま「首相」が「法律」によって全体主義独裁国家を支配して「世界制覇」に乗り出したのが現実のドイツだった。
作中では描かれてはいないが、同じく民主革命から生まれた「ボリシェビズム」という全体主義と、アメリカニズムという全体主義が立ちふさがったのが第二次世界大戦だったと言えるだろう。
(アメリカの全体主義は、全国民を「消費者」として組織化したところにある。貧乏人=金銭が支払えない=消費者になれないものを社会の外部に排斥して野垂れ死にさせるのは、「収容所」に収容することと意味的に等しい)

民主制のこのような不調は、民主制を担う自律的で理性的な「人間」の崩壊に関係している。

この、自律性を失った壊れた人間=半ばモノになってしまったような、機械のパーツのような人間観は、政治だけでなく様々な文化芸術に影響し、戦争それ自体に対しても例外ではない。

意味性や精神性と断絶した物質的「科学」の技術性を体現する工業化が、ライン作業に代表される、歯車化した「人間」と生産設備のコンビネーションを実現する。

最新兵器の量産は、こうした「歯車」人間の全てを部品として配置する全体主義国家の「総動員体制」によって推進された。

大戦初期で圧倒的な戦果をもたらした「電撃戦」の要諦もまた、通信機と時計でコントロールされた「機械」と「人間」のシステマティックな連動であり、何よりも「システムの部品」化した人間を前提として実現される。

機甲部隊に代表される〈マン-マシン系〉として統合されたシステムは、「鋼鉄のロマンチシズム」といった美的表現として文化的にも受容されたが、このような機械融合的人間を「美」と感じる感受性は、今日でも多くのミリタリーファンを生み出す一要素でもあるだろう。

近代兵器の戦闘を、アクションとして「カッコよ」く「面白い」と感じる感性は、このように、必ずしも軍国的主張と直結しているものではなく、一つの時代精神の文化的要素の一側面でもあるのだ。

こうした、複雑で巨大な「理屈」である時代精神は、何が原因で何が結果なのか判然としない程に絡み合い、眩暈さえ誘発する。

その「理屈」を十分に見据えることなく、一要素である「カッコよさ」や「面白さ」だけを抽出しようとすると、「作品」という構築物が大きくゆがむことになって、肝心の「カッコよさ」が十分に発揮されなくなる懸念を抱かせる。



あの大ヒットアニメが、戦車から「おぞましさ」や「禍々しさ」を完全脱色し、「楽しさ、面白さ」だけを蒸溜抽出するために、「戦車道」という言語道断の大ウソを土台に「世界」を丸ごと創造したことは、本作と好対照をなしている。

「カッコいい」玩具としての戦車を、可愛らしい少女が「楽しく」操る「大ウソ」の「世界」は、「戦争」映画ではない「戦車」映画という、誰も想像しなかった形で見事に成立した。

通常はミリタリズムとは切り離せないはずの戦車から「楽しさ」だけを取り出そうとする娯楽への徹底した意思が、常軌を逸したディテールの追及によって逆説的にミリタリズムそのものを作品外へ放り出す批評性に突き抜けるまでに至ったのだが、「現実」を引きずる本作の設定は、逆に兵器の「カッコよさ」が危うくなる危険をはらむことになってしまう。

異様に拘泥したディテールの蓄積が、戦車の存在のリアイティを一切の現実的「背景」から切り離して問答無用に成立させていたのに対し、「20世紀」というセリフが作中で頻出するように、本作においては兵器のリアリティを現実の時代性に依存しているからだ。

しかし、上述したように、民主制の不調として現れる全体主義国家の「独裁者」の代わりに、血統によって「所有」する「皇帝」や「お姫様」に単純に置き換えたことによって、総動員された全体主義国家の国民によって生産される「20世紀」の「近代兵器」が、足場を取り払われたような不安定さを呼び込んでしまう。


はたして、近代兵器に対決するものとして持ち込まれた「魔法」は、新しい何かを語ってくれただろうか。



{netabare}冒頭に記したように、現実の歴史性などを描写する意図はなく、単に魔法vs.近代兵器のビジュアルの面白さを描くのが主眼だったという観方もできなくはない。

が、全体としてみると、架空の国家という設定に寄りかかりすぎて、肝心の近代兵器が、全体主義国家同士が、世界をおのれの全体性に組み込もうとして激突した第二次大戦と強固に結びついてしか存在できないという「理屈」を、やはり軽く考えすぎているようだ。

例えば、チャンバラの面白さを描くための時代劇があるとして、登場人物が「身分の差に阻まれて自由に恋愛できないなんて人間の尊厳を傷つけている」と発言すれば、強烈な違和感を感じるだろう。
同じ人物が「殿の無念を晴らすため」クライマックスのチャンバラを引き起こすとなれば、違和感どころか肝心のチャンバラ自体の面白さそのものが「あり得ない」と感じられるに違いない。

全体主義の「首相」を「皇帝」に変え、究極の全体性が争われた世界大戦を「悪い王様」と「健気なお姫様」の戦いに変換する作為は、こんな例え話の陰画と言える。

「理屈」に合っているいるかどうかは、アラ探しの言いがかりではなく、チャンバラ=魔法戦が面白くみられるのかという印象をダイレクトに支配するものだ。
「理屈」っぽい議論が嫌いであっても、「印象」の違和感からは、やはり逃れられそうもない。


現代人が戦争の悲惨として想起する「戦場や都市を埋め尽くす無数の死体の山」は、世界大戦の記憶に由来している。
大量死=悲惨=戦争は悪、の連想は、「お姫様」の忠実な「騎士」が首級を争う戦争とは全く異質な20世紀性=部品化した人間が戦争の資源として総動員される全体性の「理屈」に深く結びついている。

戦場を埋め尽くす「廃棄物のような」兵士の死体は、壊れた兵器の部品が散乱している戦場の光景とパラレルだ。
ミリタリーファンを喜ばせる整列した兵器という「工業製品」が並ぶ光景もまた、部品化して整列させられる「人間(のかけら)」と同根源であって切り離すことができない。

20世紀の戦争の「悪」は、人が死ぬこと自体ではなく、部品化した人間を戦争の「歯車」として「例外なく」強制的に配置する、支配の非情な全体性にある。
全体主義が「悪」を生むのではなく、「悪」の政治的表現として全体主義が現れる。
大量性に埋没する廃棄物のような死もまた、「悪」の原因ではなく、結果だ。

「死」そのものが問題であるのなら、廃棄物としての「死」もまた、「王様」が聖性を保証する忠実な「騎士」の名誉ある固有の「死」と同一視して賞揚してやれば済むだろうし、現実にもそう作為されている。
が、それは歯車化の強制の隠蔽として、欺瞞的に称賛されている「嘘」に過ぎない。
「嘘」はどう言いつくろっても「ウソ」であると直観されているからこそ、現代の「戦死」や「兵隊」を美化する言説は、正しさを強調すればするほど、胡散臭さもどこまでも増す。


このように、登場人物が口にする「20世紀」の戦争という「背景」には、「お姫様」や「皇帝」はどちらも矛盾して、落ち着き場所が無い。

作中では、魔女の秘密を知った徴兵兵士が密殺されたり、ドイツの情報将校が任務中にあっさりと落命するエピソードで、部品として廃棄される20世紀的非情性を意識しているように見せかけてはいる。

が、廃棄物のように量産される匿名の屍者の群れを描きながら、ドイツ情報将校の墓を見せたり、魔女やお姫様の宿命的な苦悩を描くといった形で、特別な「固有の人間性」を無造作に持ち込んで並べてしまう描写は、この「背景」の「理屈」に対して、真剣に考慮したり、そもそも視野に入れているのかと疑わせる程に無頓着だ。
それは、それぞれのエピソードの「唐突感」と「ご都合感」という「印象」として現れる。


別に、現実の歴史性に矛盾しているからよくない、という話ではない。

問題は、「ファシズム」や通俗的な「戦場の惨劇」を「舞台」から排除した安易な「政治性」などではなく、設定した「舞台」と「理屈」の突き合わせを欠いている、という単純なことだ。

置き換えられた「皇帝」では、大量生産される兵器の「美」と「世界大戦」を支える「背景」を持ちこたえられない。
その裏返しとして、「お姫様」も「世界の救済」を持ちこたえられない。

終盤で、戦術行動に組み込まれて発動する「魔法」は、現代の巡航ミサイル技術のような形で描写され、魔法という異質な力ではなく、現代的な「オーバーテクノロジー」が大戦兵器を凌駕しているに過ぎないようなビジュアルに落ち着いてしまうが、「20世紀」と魔法との対立を、真剣に「理屈」にわたって考察することを怠った結果に思える。

さもなければ、原爆に似た「決戦兵器」やミサイル状の攻撃を、「魔法」でひとくくりにはしまい。
近代兵器を支える20世紀性と魔法が対立するものならば、20世紀科学による「原爆」という非情な「大量死」兵器を、「魔法」によるミサイルで精密誘導する方が相応しいだろう。

結局、「架空の国」と「魔法」に寄りかかった「理屈」の軽視が、ビジュアルやストーリーの緊迫を削いで、安易に流れたという印象を拭う事が出来ない。
「善い魔女」と「悪い魔女」の戦いに収斂してゆくストーリーからは、登場人物の語る「20世紀」という「言葉」は意味を失ったただの音声と化して、兵器の存在感と共に霧散してしまった様だ。

戦争を没歴史的に「人の戦い」一般に解消してしまっては、「20世紀」戦争の「悪」に指一本すら触れることはできないだろう。
ラストで、「理屈」を軽視した一般化を語るのが「お姫様」であるのは、本作の必然と言っていいものだろうか。
無内容な「一般論」に「20世紀」が解消されると同時に、視聴者のいる「21世紀」へと繋がる通路もまた霧散した。

「おとぎ話」を駆逐した近代という時代が決定的に揺らいだ「世界大戦」に「おとぎ話」を対決させるトリッキーな構成は、結果的に土俵すら成立できない不発に帰結してしまったようで残念だ。


【追記】

ラストに登場するイゼッタの顔の見えない描写は、生きていたというよりも「半ば廃人化した余生」と読み取れた。

「戦死」よりもなお悲惨な印象を与えるが、時代の「悪」を「魔女」が単身で引き受けて破滅することで「浄化」する、という展開こそが、「理屈」の軽視を示しているように思われる。




とはいえ、この破綻は、いささか興味深い側面がなかったわけではない。

おとぎ話のような「現実的でない」お話を近代が駆逐していくとき、勃興してきたのが「SF」というジャンルだった。
それこそ「非科学的」な戯言と鼻で笑われる「おとぎ話」を、それならば「科学」を土台にして創ってやろうという倒錯した意思が、SFというジャンルを定義している。
「現実」が「おとぎ話」を鼻で笑う事など許さない、という倒錯した意志が。

浮き沈みはあるにせよ、「あり得ない」おとぎ話を「科学」的な土台の上にでっちあげる、サイエンスとフィクションのエッジの上に構築物を築き上げる強固な意志が、今日までSFを継続させている。

が、近年のライトノベルやアニメでは、構築の意思が著しく後退しているようだ。

何らかの異世界や超常能力を描くとき、「科学」の土台を作り上げる〈サイエンス/フィクション〉の構築性は放棄され、「魔法」や、さらに説得的な設定のない「異能」で済ませてしまう作品ばかりが目に付くようだが、「科学」のみならず、土台に何かを構築して「おとぎ話」性を支える「理屈」の必要性までも、ここでは放棄されている。
それは同時に、「現実」から鼻で笑われることへの無感覚でもあるだろう。

本作もまた、20世紀的科学性に対抗するモチーフを持ち込みながら、疑似科学の構築ではなく「魔法」の導入を選んでいる。

リアリティというものが「現実」に対するフィクションの反抗であるとするならば、それはガジェットの導入「だけ」で実現できるようなものではないのだろう。

製作者や作家だけではなく、視聴者や読者も積み上げられる「理屈」に耐性が無くなっているのかもしれないが、「理屈」の軽視がビジュアルやストーリーをどう貧しくするのか、本作が一つの指標となるかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

第二次大戦を下地にした魔女と王女の物語…信じ尽くす大切さを問う物語

この秋、ユーフォ二期とともに期待した作品でした。第二次世界大戦のヨーロッパをモチーフに、小国の皇女が大国に立ち向かう。それに加わる魔女、これは面白そうだし、1話で引き込まれてしまいました。展開しだいではそうとうな作品になる予感がしました。

1話…あっという間に引き込まれてしまいました
{netabare}小国の皇女(モチーフはスイス?…ではなくリヒテンシュタインだったようだ)フィーネが、大国で戦争しかけているゲルマニア(どう見てもドイツ)の脅威から自国を守るために、同盟を求めてイギリスっぽい国にいく話でした。
道中で敵から逃れるために奮闘するフィーネ。従者は倒れ、自国はとうとう戦争に巻き込まれ、自らも囚われとなっても信念を曲げないフィーネがカッコいいです。それからキャラデザインも良いです。最後に主役のイゼッタが登場してフィーネを救う場面で次回へ。箒でなく銃に乗った魔女のイゼッタ、こんな設定もありかと。

1話があっという間に終わった感じです。これは面白そう。最後までこの面白さが持続しますよう祈ります。{/netabare}

2話…二人の絆
{netabare}フィーネのピンチを救ったイゼッタ。国にたどり着いたは良いけど、フィーネは重傷。イゼッタとフィーネの関係が深いものだった事が分かり(1番肝心なところは後回しみたいだが)、イゼッタはフィーネの国を救うことを決意する。

魔女狩りのピンチをフィーネが体を張って救ったのかなと思いますが、イゼッタがどうしてゲルマニアに連れられそうになったのか、興味がありますね。とにかく深そう。まだ2話か、先が楽しみで仕方ないです。{/netabare}

3話…最終兵器魔女
{netabare}大国に攻められる小国、兵士たちのフラグたちまくりのなか、戦闘は圧倒的不利な状況。大国の軍は余裕降りまくり、これフラグだよな?
そこにイゼッタが参戦、なんだこの魔女は?圧倒的ではないか!ランスのファンネル?楯?おいおい、つえぇぇぇぇぇl!
ピンチはたった一人の魔女によって救われた。という展開。それと、フィーネの心の強さと王的資質いったら…惚れます。これは思っていた以上に面白い。つかみはすごく良かったです。でも、鬱な話も有るんだろうな…{/netabare}

4話…魔女の秘密
{netabare}魔法が使えるのは特定の場所のみ。そこから外れると使えないという。
フィーネの父、つまり王が亡くなり、フィーネが王位へ。そこでイゼッタを登場させて白き魔女の再来を告げ、他国への牽制も狙うという。
イゼッタとフィーネの過去が明らかとなり、イゼッタが忠誠を誓う理由が分かりました。それにしてもフィーネがカッコいい。

白き魔女の裏切り、気になります。イゼッタがゲルマニアに捕らえられていたこともあり、再び捕らえられて洗脳させられ…なんてことないよね? あまりにもフィーネとイゼッタの絆が強いから、イヤなフラグに感じます…{/netabare}

5話…探り探られ
{netabare}フィーネの王位継承式でイゼッタを面前に披露。その能力を世界発信して、他国を牽制させる狙いだ。
白き魔女の末裔の存在はやはり影響が大きく、小国を無視できなくなっていた。が、ゲルマニアはその存在を見透かし、イゼッタに弱点が有ることを察知する。
ゲルマニアの侵攻が再びはじまるが、そこは魔法が使えない場所。フィーネ達は策を練り、その侵攻を食い止める。という展開でした。

大国対小国の心理合戦、なかなかの筋書きでした。ただ、ゲルマニアの諜報部員が入り込み、イゼッタの弱点がバレそうな気配、眼鏡君も加わりそうな気配が…眼鏡君、いっぱいフラグ立てているからなぁ…。

ここに来て、ちょっと粗が見えてきた気が…。近衛が全員女子というのはさすがにないかと。しかも、先祖伝来って言うからね。近衛師団の女子団っていうことにしていいのかな? ま、細かいことだけど。{/netabare}

6話…貴重な眼鏡君
{netabare}小休止の日常回…と思ったのは前半だけ。ゲルマニアには何か研究施設があったり、新型戦闘機が製作されていたりと着々と準備始めてます。研究ってまさか核じゃねぇよな?
ブリタニアで会議が行われるためイゼッタ、フィーネが向かうことに。その頃、スパイの報告が入り、ジークが向かい、イゼッタの秘密を知っている眼鏡君を射殺…そうだ、この話は戦争の物語だったね。ジークの決意を聞いたときに、そういう役目を負う人間が必要だよねと思った。

バチバチ戦う以上に緊張感あるストーリーだったように思います。前半の日常も良かったですけどね。フィーネの可愛い部分が見えて。ただ、パイを食べているフィーネがどうしても小鳥ちゃんに重なったのは何故だろうか…。{/netabare}

7話…いっしょにおいで
{netabare}ブリタニアに到着したフィーネとイゼッタ、そこにはゲールに対抗する諸国のお偉いさんが会議をしていた。ゲールは空母を完成させ、さらに強力な力を手にしていたという。フィーネはイゼッタが空母を蹴散らすと告げる。
魚雷を従えて空母に向かうイゼッタ。しかし、空母はすでに出航、敵に動きが読まれていたのだ。待ち構えていた敵兵に狙われるイゼッタ。4発あた魚雷は2発失い、しかも海に墜落。魔法使える地場からずれたのだ。魔力使えるポイントには空母が、そこでイゼッタは空母の隙を狙い、魚雷をぶち込む。見事空母を撃破。しかし、その動きでベルクマンに弱点がばれてしまい、しかも、なぞのカプセル登場で次週。

ゲルマニアはイゼッタのほかにも魔女を捕らえていたようだ。ということは、イゼッタを逃してものうのうとさせていたのは、魔女の力がどんなものか、弱点は何かを探っていたということなのかなと思う。ゲルマニアも実際に魔女の力がどんなものか計りかねていたのではないだろうか。
イゼッタが戦っているシーンは痛快なんだが、服の汚れぐあいとか、一生懸命さとか見ていると、なんか切なくなる。不幸な話にならないでほしいと心から思います。{/netabare}

8話…スパイと近衛の小さな恋物語
{netabare}エイルシュタットに潜入したリッケルト。目指すは旧城、その途中で出会ったのがビアンカとロッテだった。ロッテの実家の宿屋に宿泊し、ビアンカとも仲良くなるが、目的である旧城に潜入。そして発見した白き魔女の秘密。その証拠を持ち帰る途中に近衛に見つかり、ビアンカに撃たれて絶命するリッケルト。ビアンカもまさかの展開に呆然とするしかなかった。リッケルトに証拠を託されたローレンツもまた、近衛に狙撃され死亡する。証拠は謎の住民に引き継がれ…
一方、ブリタニアでは仮面舞踏会が開かれ、フィーネとイゼッタが外で踊ろうとしたところに現れたベルクマン(なぜお前がここにいる?)と謎の少女。謎の少女はイゼッタの唇を奪い、口を切らせて血を吸う。その瞬間、謎の少女は白目を剥き気を失う。
イゼッタの力を知ったアメリカ…アトランタ合衆国ではこの戦争に本格参戦を決定した。それはゲルマニアとともに、脅威となってきたエイルシュタットも撃ち滅ぼすために…

後半の伏線を張った回でした。ゲールの魔女は何なんだろう?人工物?となると、イゼッタを捕まえていたのはイゼッタの魔力を抽出するためだったのか?
アトランタの本悪参戦で戦局ががらりと変わるんだろうな。エイルシュタットはどうなってしまうのか…。
なんだか悲しい結末待っているのではないかとハラハラします。ED物悲しいし…{/netabare}

9話…展開急変、あぁ…ヤバい…
{netabare}ブリタニアの会談から3ヶ月、包囲網が築かれつつあり、ゲールの動きが鈍くなっていました。イゼッタは世界から注目されるようになり、エイルシュタットも束の間の休息感に浸っていました。
そこから一転、ゲールが西を囮に東から攻めてきました。イゼッタは新兵器とともに向かいますが、打ち込んだミサイルが何者かに撃退されてしまいます。なんと、ゲールが送り込んだのは魔女。しかも、伝説の白き魔女(のクローン)なのです。クローン技術使ってきやがった! 伝説の白き魔女はイゼッタに止めよう説得しますが、フィーネのために戦うと言う。イゼッタは白き魔女と戦うけど、魔法使える場所なのに墜落、白き魔女はアンチ魔法の道具使えるものと思われます。敗れたイゼッタは鎖に吊るされ…
イゼッタの敗北により、空ががら空きとなり、ゲールはエイルシュタットに突入。首都がぼろぼろ…

急展開でした。どうなるのか気になって仕方ありません。いちおう、これまでの伏線を回収しつつ、次の展開に入ってきてますが、一気に重い展開になってしまいました。白き魔女の過去に何があったのか、戦争はどうなるのか、イゼッタはどうなってしまうのか…。

これ、一期で終わるのかな? どうせなら丁寧に描いてほしいので、二期までいかないかな? このままだと半端になってしまう気がします。面白いだけに、丁寧にいってほしいです。{/netabare}

10話…絶望か、希望か、どっちに進む?
{netabare}イゼッタが捕らえられ、エイルシュタットは首都が陥落。イゼッタを命がけで救うエイルシュタットの兵士たち。イゼッタはなんとか救われ、首脳陣たちが避難した防空壕兼秘密基地で療養。
そのころ、ゲルマニアはゾフィーの力を使い、ブリタニアに大量のミサイルを撃ち込み、ロンドン…ロンデニアを木っ端微塵に。ゾフィーがゲルマニアの兵器として確立したことにより、ベルクマンがお役ごめん。ほぼ捨てられて状況に。ゾフィーの量産化が図られ、さらにはどう見ても「核爆弾」を開発したゲルマニア。もはや怖いものなしとばかりに各国に講和の条件を突きつけ、さらには東の大国ソ連…ヴォルガ連邦と不可侵条約結んで(当然表面だけ、侵攻する気満々)、最後はアメリカ…アトランタを攻める気でいる。

ジークから白き魔女の秘密が語られ、その力の源になっている魔石の半分を見せられたイゼッタは…で次週。

フィーネがその先をどうするのかを迷い、イゼッタは姫を助ける決意は変わらない。どう転んでも魔石を使うんだろうね…となると、イゼッタの命は…。
ゲルマニアの先も見えてきたようです。二次大戦をトレースしているので、ゲルマニアは連合国から逆襲され、首都陥落、皇帝自殺(もしくは暗殺)という全体の流れなんでしょう。しかし、イゼッタ対ゾフィーの決着はどうなることやら…なんとかイゼッタが生き残れる決着にならないだろうか…イゼッタがあまりにもけなげ過ぎて、見ていると切なくなるんだよね…{/netabare}

11話…そういう展開になるよね…
{netabare}秘密の基地がゲール軍に発見され、急襲される。フィーネは投降を覚悟し、絶体絶命のピンチ。そこに魔法を使って救出するイゼッタ。魔石の片割れを使い、魔法を使えるようになったのだ。それはつまり、命を削ること。フィーネが弱気になっているのを檄するイゼッタ。フィーネも覚悟を決めて最後まで戦うことに。
ゲール軍に付いてきたベルクマン。ベルクマンは自分が生き残るためにゲールの情報を伝えた。その内容は国の終末を意味し、それを阻止する必要があり、フィーネとイゼッタは最後の決戦に向かう。

かなりすっ飛ばしましてつじつま合わせがスゴいのですがが、内容は濃かった回でした。ベルクマンとジークの会話が良かったです。
えっ?もう終わり?…やっぱり一期では短い…イゼッタ、生き残って幸せな結末になってほしい…。{/netabare}

12話(最終回)…「地球のみんな!ちょっとずつ元気を分けてくれ!」
{netabare}ゾフィーとイゼッタの最終決戦はこんな感じでした。
ゲールが主催する会談に向かうフィーネ一行に立ちはだかるバスラー。これを振り切り会場へ向かうが、その途中、ジークが倒れる。彼が最後に観たのは眼鏡君の幻だった…。
一方、ゾフィーとイゼッタの最終決戦は魔石の力を全解放した激しいものとなる。二人は信頼する者のために戦い、一方は裏切られ絶望し、一方は最後まで信じ抜くことで戦った。ゾフィーがイゼッタとの戦いから離れられないことに、ゲールの部隊はミサイルを発射する、クローンの力を使って。
ゲールと諸国の会談に現れたフィーネ。フィーネはイゼッタがゾフィーと戦っていることを伝え、終息させると宣言する。しかし、魔女が残ると同じことになると憂慮する首脳たち。それに対しフィーネは言う、すべての魔力をこの世から無くすと。これはイゼッタからの提案だった。
イゼッタはすべての力を使い、この世にある魔力の全てを吸い上げる。ゾフィーの魔力もゾフィーのクローンの魔力も、ミサイルに搭載された爆弾の魔力も…。
これによってゲールの力は弱まり、大戦の流れも変わり、3年後にはゲールが敗れる。フィーネはとある森にあるコテージを訪ねる。そこには成長したロッテに車イスを押される赤い髪の女性が待っていた。

終わっちゃった…どんな終わり方するかと思ったら、あるあるな感じでした。イゼッタが全てを背負い、最悪をを除去する。よくある。生きていたことを示唆する終わり、あるある。
ゾフィーが救われなかったのは可哀想かな。最後に何かしら笑顔にできるシーンがあってもよかったように感じます。{/netabare}

第二次世界大戦をトレースしたこの物語。キャラは本当に良かったです。イゼッタは最後の最後までブレませんでした。とにかくフィーネのために戦い、やり遂げました。綺麗な衣装着てボロボロになるイゼッタの姿は切なかったです。フィーネは小国ではあるが国王として苦労と悩みを抱えながらも国のために戦いました。エイルシュタットの幹部、ゲールの幹部、それぞれ曲者揃いだけど個性強くてそれが絡んで物語を盛り上げました。

ストーリーは12話でギリギリまとめた感じは否めません。世界観が大きいのに、こじんまりとテンプレのようなまとめ方です。これだけのキャラと内容なら二期とは言いません、せめて5話くらい余裕があったらもっといい作品になったと思います。映像は好きでした。特に戦闘の場面は滑らかで迫力ありました。

魔女と王女の世界を変えるための戦い。戦争をモチーフにしてますが、人間の物語が強くなってます。期待分のものは見れたように思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 53

61.7 4 国王で友情なアニメランキング4位
輪廻のラグランジェ season2(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (394)
2142人が棚に入れました
青い海の広がる千葉県・鴨川市。明るさと行動力が自慢の京乃まどかは、鴨川女子高校・ジャージ部のたったひとりの部員として、今日も人助けに奔走する。しかし、ランと名のる不思議な美少女から「ロボットに乗れる?」と頼まれた日から、彼女の日常は一変する。鴨川の街と人々を守りたい!――その一心から、宇宙から襲来した敵と一生懸命に戦うまどか。最初は戦いを怖れていたラン、そしてランとは別の目的で地球に潜入していたゆるふわな少女・ムギナミも加わり、彼女たちの乗る3体のロボット"ウォクス"は鴨川の海を守る。激しい戦いの一方、ランもムギナミも鴨女ジャージ部に入部。いつしか、まどか達3人は、立場も性格もこえた不思議な友情で結ばれていくのだった。敵がウォクスを狙う理由とは?そして、"輪廻"とは何か? 数々の謎が渦巻く中、まどか達は愛する鴨川のため、ウォクスで大空へ飛び立つ!


声優・キャラクター
石原夏織、瀬戸麻沙美、茅野愛衣、野島健児、吉野裕行、松岡禎丞、中村悠一、小野大輔、金元寿子、興津和幸、能登麻美子、浜田賢二、井口祐一、保村真、田中理恵、藤村歩、川田紳司、中島愛、山口立花子、三森すずこ

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

開始早々、突然の展開にビックリです・・・(゚o゚;;

この作品は、分割2クールで放送された後半分です。前半と後半の間にOVAもあるので未視聴の方はそちらからの視聴をお薦めします。

振り返ってみると、物語の前半は壮大な導入部だったように思います。メインキャラが集結し、ジャージ部の部員が3人になり、ウォクスと呼ばれるロボットの性能が明らかになり・・・一生懸命頑張る人達を応援する鴨川のみんなに感動しながら視聴していて、ストーリーが完全に頭から飛んでいましたが、元々は太古の昔に発見された「ウォクス粒子」をめぐる戦いの物語だったんですよね^^;

そう考えてみると、前半では物語の核心に触れる伏線は全く回収されていなかったようです。その分、後半ではしっかり回収してくれるので、後半も見応えは十分です^^

この後半は、まどか達が高校3年生になったところから始まります。3年にもなると将来の進路を色々考える事があり、まどかも決められずにいました。
そのような矢先、まどかは再びランとムギナミと再会する事になるのですが、そこには、とんでもない展開が待ち受けていたのです。

前半でランがまどかと別れる際、「必ずムギナミを連れて鴨川に帰ってくるから・・・」という感じでエンディングを迎えていただけに、この展開は衝撃的でした。ランもムギナミも兄を慕っていて、そして兄がそれぞれ別の国の国王で国の方針がそれぞれ違っていたら、二人は同じ方向には進めないのも分かるんですけどね・・・^^;
紆余曲折ありましたが、3人がまたジャージ部として復活できた時はホッとしちゃいました^^;

そして、ウォクス粒子をめぐる物語もこの辺りから一気に広がります。色んな出来事が起こります。物語も壮大なのですが、それは見てのお楽しみです♪
もちろん、鴨女ジャージ部の3人も大活躍です^^
前半では「兄を慕っている」・・・この気持ちに対する言動はとても正直だったと思います。
後半はこの言動に深みが増します・・・兄を慕う気持ちはきっと変わらないのだと思います。でも、慕うだけじゃなく、時には状況を俯瞰して正しい方向に導く事の大切さに気付き行動に移します。夢中で背中を追いかけてきた時の慕い方と形は違いますが、慕っているから出来る事もあると思うので、私的には展開が腑に落ちたと共に、すっかり引き込まれた作品になりました^^

こうしてエンディングを迎えるのですが、最後も納得でした^^
まぁ、前半から3人を見てきた方にとっては、想像の範囲内だったかもしれませんが・・・^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

もふもふ♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ようやく…→3話→4話←イマココ

4話目

本来ならものすごく深刻な話になる回のはずなんですけど、さすがゆるい主人公wこのゆる展開がいいですね~。

ただ、話が急展開です。あの人が、あの人達と会っちゃいました。さてさて、これからどうなるんでしょう…?

ドキムネです!


<自分用メモ>
アニメだけでは分からない背景について。
(ここから若干ネタバレ含みます)
{netabare}
ランとムギナミはポリヘドロンという星間連邦国家から来た。
同じ連邦国家内だけど、ランは一番強い国家であるレ・ガリテの王女様。お兄さんが、レ・ガリテの国王、ディセルマイン。
ムギナミはデ・メトリオ(?)の惑星ウ・ゴー出身で、ポリヘドロンのレジスタンス「キッス」のメンバー。
「キッス」の頭領はヴィラジュリオだったけど、season2では、デ・メトリオの王になっている。「キッス」のメンバーもデ・メトリオの正規軍になっている。

つまり、この時点で、ポリヘドロンの中でレ・ガリテ対デ・メトリオという構図になっているらしい。
何故そうなったかというと、「ポリヘドロン千年問題」つまり、ポリヘドロンのレ・ガリテとデ・メトリオの軌道が干渉し合い、将来的に二つの星系が崩壊してしまうという問題。
これに対し、ディセルマインが輪廻の力を使ってデ・メトリオを破壊しようとし、ヴィラジュリオがそれを阻止しようとしている。

この背景が分からないと、ちょっと意味分からないと思うの。
(wikipedia等を参考に)
{/netabare}
(ネタバレここまで)


3話目。

話が大分進んできましたね。

そ、そして、えー?
どうして、ここに{netabare}ユリカノさん{/netabare}が??????

ワクワクです~。

--------------------------------------------

ジャージ部魂~ジャージ部魂~ジャージ部魂~♪

ようやく星間戦争の関係が分かってきましたね。で、政治的な話になるのかと思いきや、さすがまどかwwww

このおとぼけ主人公がどこまで突っ走ってくれるかに今後がかかっているような気がします(褒めてます)。

ロボットモノのセオリー破りなところが○!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

友情パワー炸裂

女子高生のロボットアニメ、第2期であり完結編です。
ロボットものの体でありながら、その実態はキャラアニメであるのは衆知の事。
3人の仲良し女子達の、友情と青春の苦悩の物語。
宇宙規模の戦争の話であっても、明るく問題解決してしまう、ある意味で異端なロボットアニメ。
・・・・というか、ロボットアニメに分類されるのかなぁ?これ^^;


古代技術のこと、遺跡のこと、過去の戦争のこと、などなど。
それっぽい基幹となる設定やお話の筋道はありますが、そこは大した問題ではないと思われます。
地球が滅ぶとか惑星が破壊されるとか、大仰なことを言ってますが、根っこのところまで深刻にならないのが作品カラー。
結局は、「まどか達が頑張ってなんとかしちゃいます!」という行き当たりばったりな展開にしかなりません。
これは、本作美点でもあり欠点でもあります。

SFやロボットアニメとしては陳腐になる。
キャラアニメとしてはいい雰囲気を作ってる。

やはりキャラを見るもの、彼女達の信頼と友情を愛でるアニメなんでしょうね。そういう見方で鑑賞すれば良かったと思える作品です。
(突っ込み所はこの際気にしません^^)
主人公が主人公らしく、前向きに皆を牽引して体当たりで問題を解決し、大団円を迎える。
そういうのが正しい、というか、それ以外だと違和感を感じます。
予定調和といわれようがなんだろうが、3人娘の行く末に幸あれ!で締めくくらないと落ち着かない。
「まるっ!」
「わんっ!」
「かしこまり~」
さもすれば寒いばかりになる決めポーズや決めゼリフでですが、もうそれでパチッと終わらせていいよ、君達は。・・・みたいな心境になるのは、この作品ならではですね。


EDの、ジャージ部魂♪ジャージ部魂♪がやけに頭に残ります。
明るく楽しく前向きに。
そんなのがお似合いのロボットアニメでした。
・・・・やっぱり、ロボットアニメに分類されるのかなぁ?これ^^;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

75.4 5 国王で友情なアニメランキング5位
剣風伝奇ベルセルク-BERSERK-(TVアニメ動画)

1997年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (368)
1676人が棚に入れました
戦災孤児のガッツは、傭兵ガンビーノの気まぐれで拾われて育てられた。ガッツはガンビーノの役に立とうと懸命に剣の稽古をする。そして数年後ガンビーノは戦場で両足を失ってしまう。ガッツは一人前の傭兵になりガンビーノの面倒を見ていたが、当のガンビーノはガッツに養われるのは我慢ならなかった。酒におぼれ、ついには寝ているガッツに切りかかる。反応したガッツは、ついガンビーノを殺してしまう。育て親殺しとして追われる身となったガッツは、各地を転々として傭兵として生きていくのであった。身も心もすさんで行くガッツ。そんな時、連戦連勝の噂を持つ傭兵団「鷹の団」を率いるグリフィスと出会う。

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

どうも、原作ファンです。アニメの方も観てみようかと。

劇場版公開に伴い、その比較を兼ねてまず旧アニメ版の方を視聴しました。

こちらの方も、劇場版3部作と同じく黄金時代篇がメイン。
コミックス(原作)でいうと14巻あたりまでの内容となっております。

気になった内容・作画・声優・音楽について触れていきたいと思います。

内容の方で残念だった点↓

1.主人公「ガッツ」の幼年期のエピソードが軽くしか触れられていない。
なので、ガッツの持つ悲壮感が表現しきれていません。育ての親「ガンビーノ」のガッツに頬を切られてカッとなるシーンや、飼い犬を蹴るシーンが省略されたことで、ガンビーノの持つ複雑な心境も伝わり難くなっています。
肉体派オラオラ系で圧倒的な強さにより敵をなぎ倒してゆくキャラは巷に溢れかえっており、ガッツもその部類ですが、薄っぺらさがなくどこか魅力的に感じてしまうのは、過去に絶望を味わってることがその理由のひとつだと思うのです。
なので、ダークヒーロー・ガッツのキャラ付けとして幼年期の忠実な映像化は欠かせないと思います。
でも‘貫通シーン’はさすがに無理なのかな?w

2.「髑髏の騎士」が登場しなかったということ。
髑髏の騎士は、重要な見せ場である『蝕』のキーパーソンです。
彼が出てこなかったため、『蝕』が締まりのない中途半端な格好になってしまいました。
あの終り方は正直なんのオチにもなっていません。
どうせ伏線回収しきれないから、という理由からかも知れませんが。

その他の省略された部分はそれほど重要なシーンではなく(個人的な判断ですがw)、それで妥当かなといった感じ。むしろ、上の二点を除けば押さえるべきところはちゃんと押さえており、すごく出来は良いと思います。

作画の方について↓

古い作品なので今のアニメと比較するまでもないのですが、物語が進むにつれてどんどんレベルが上がっていきます。終盤には劇場作品(もちろん当時のレベルでw)と比べても遜色ないカットが増えてくるので興奮します。キャラの表情の描写が丁寧。グリフィスの狂気染みたときの表情が原作通り再現されていた。目の書き方とかもうバッチリ。
でも、戦闘シーンの迫力・疾走感は物足りないです。
昔の作品なので贅沢は言えませんが。ボリュームがあり、見応えは十分です。しかし血が飛び散る描写が多々あり、苦手な方は気持ち悪くなるかもしれないです。私も、コミックスだと全然平気だったのですが、映像で観ると案外気持ちの悪いものだなぁと思ってしまいました。
それでもエログロさは原作に比べると控えめ。てか、忠実に再現されると絶対オエッてなるw
映像化する際には、ある程度控えめにした方が観れる気がします。
なので、バランスは良かったと思います。

次に、声優さん↓

これに関しては、とにかくグリフィス役がすごくよかった!!
品のある二枚目なお声。高すぎず、低すぎず、ホント絶妙としか言いようがない。
グリフィスの中性的な美しさ、気高さ、強さ、脆さ、危うさ。その全てが声にしっかりとこもっている。
ここで声優さんに興味が湧きちょっと調べてみました。(一部、黒ペからのソースなので信用しないで見てねw)

グリフィス役の「森川 智之」さん→(出演作:純情ロマンチカ・世界一初恋…などなど)
って、どこかで聞いたことのある作品名だな…嫌な予感w(´・ω・`;)
と思ったらやっぱりBLの人なのねw しかも、アダ名がBL界の『帝王』だなんて、グリフィス顔負けの大物ぷりだなおいww 経歴見ると本気で大物でしたww 福山潤さんのボスなんですね。
恥ずかしながら、私はこのアニメで初めてその存在に気がつきました。
でも、意識してなかっただけでこの人の出演作品を結構観ていた(BLモノじゃない方ね)ことにも気がつきました。ホントいろんな作品に出てらっしゃるんですね!

そして、ガッツ役の「神奈 延年(のぶとし)」さん→(出演作:Fateのランサー役など)
兄貴声がすごく素敵。実はこの方も‘純情ロマンチカ’に出てらっしゃるんですよねwすごいww
(この方はリアルではないそうですが)
なにこれ、中の人面白すぎでしょーwww

ああっと、いけないベルセルクから話題がずれかけてるw
原作の方もガッツとグリフィス、二人の友情がBL臭く見えなくもないことから、
このキャスティングはキャラとの相性バッチリで、だからしっくりきたのだなと納得しちゃいました。
まあ、ベルセルクのアニメの方が古いので実際のところ関係はないと思いますがw

音楽の方は「平沢 進」さんが担当。脳が浸蝕されるような独特のエレクトロサウンドを展開する彼。
今作の劇中歌『BERSERK 〜Forces〜』でも、その片鱗をうかがうことができます。
平沢さんの曲が好きなので、視聴前から曲だけはよく聴いてました。
ベルセルクの世界観と相性バツグンです。
OPとEDは違う音楽グループによるものですが、力の抜けたダークな感じがなかなか良かったです。

長くなっちゃいましたね。スイマセン。
結局、この作品は原作ファンにとっては観て楽しめるものだと思いますが、原作から抜けてる部分が多いので、知らない人だと全然感情移入できず、つまらないのではないかと思います。
なので、ベルセルクに少しでも興味のある方は原作を読むことをおススメします!

劇場版ではどれだけ進化・改善されているのかとても楽しみです^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

りんご さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

原作を知らなければ酷。マジで読んで。

原作既読なので、初めにそこから語らせて頂きたい。

絵が絵だけにまず入口から抵抗感があったけど、
「お願いだから黄金時代編まで読んで!」とゴリ押しされて、
途中「うえー無理だー」とか言いながら頑張って読んだ結果、まんまとハマった私。
今ではかなり好きな作品となったわけだけど、
どこが好きなのか聞かれると答えに困る。

ここまで残酷で過酷な漫画に出会ったのが初めてだった。
ダークファンタジーなんてジャンルにされているけれど、
それだけに収まらない。ダークなんて表現じゃ足らない。
愛しているという言葉じゃ足らないくらい愛してるという表現を借りて、
ダークなんて言葉じゃ足らないくらいダーク。
暗いだけじゃない。もっとこう…心臓をえぐるような痛みがある。
ファンタジーなんてファンシーっぽい言葉で表現しちゃいけない。
主人公もヒーローなんかじゃない。(悪く言っているわけじゃない)
ベルセルクを読んで感じたことを言葉にして表すのはとても難しい。

映画化記念なのかアニマックスで放送したのでアニメを見ることに。
(ベヘリット財布ちょっと欲しいと思ったのは誰にも言うまい)
原作の禍々しさや、表現として良い意味での気持ち悪さ、
単純なエロさとは全く違う性的な描写を、
規制が甘かったころにどう作り上げたのかが楽しみだった。
残念ながら一話から期待は外れた。
アニメでカットされた部分の重要性、大半が性的な箇所だったわけだが、
それによって受けた傷、人間の三大欲と言われる性欲と、
いやらしさから離れたところで向き合っている原作の凄さがとてもよくわかった。

実際アニメを観て、原作にいらない部分などないのだと感じた。
どの戦いでも、絆を深めたり傷や痛みを覚えていっている。
黒い剣士編でのパックが感じたガッツの抱えているものの描写があるからこそ、
黄金時代編は活かされる。
ベルセルクは活字とあの絵があるからこそ成り立っている作品だと思う。
映像化は中途半端なことしちゃいけない。

原作を知らずアニメを観た人にとっては何というトラップアニメだろう。
アニメだけじゃ女の子なんて大半が興味を持てないだろうな。むしろギブしてしまうか。
最後の3話までたどり着けなければ何も面白さが伝わらないただの戦争アニメなのでは……?
原作を読まざるを得ない超展開の最終話。
あれなら8割……いや、9割原作に手を出すでしょう。
それを目的としている作りだったのなら、まぁいいけど。
ともあれ。
原作とは違っていろいろな制限がある中で、
原作を知っているからこその物足りない部分はあるものの、
(最後まで観ることができれば)世界観に引き込めるアニメだった。

ガッツの声はもっと重くて野太くてとにかく低い声を希望だった。
最後には慣れてきたけど。
声に関してはかなり個人的な好みの話だが。

それにしても時々出てくるピンクのインナーはどうにかできなかったのかしら。
キャスカが着ているのも、少々納得できないが、
他の兵士が着ていたのはホント、どうなんだろう。
甲冑だらけでは地味な色味になってしまうかもしれないが、
それにしたってピンクて……。

アニメの重点が黄金時代編なので仕方ないけど、
パックがいないのはマジで残念。
ベルセルクでは、パックこそヒロインだ。

……原作原作うるさかったな。笑
失礼しました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

追悼 三浦建太郎さん

ご訃報に際し、心から哀悼の意を表します。

ベルセルクと出会ったのは、確か、中学1年生の時。当時は、格好よさより、エロさに惹かれていたかもしれない。

というか、あれだな。「青年誌」の空気を感じた、初めての作品だったのだろうな。

エロいというより、エロティック。ファンタジーなのに、リアリティー。グロテスクなのに、どこかに美しさがある。

多分、本作とエヴァンゲリオンは、自分の思春期に大きな影響を与えてくれたと思う。世界はお花畑ではないというか、清濁併せ呑む覚悟というかね。

少年を大人に変える力が、この漫画にはある。

私のなかで、漫画家を「アーティスト」と呼びたくなるのは、片手の指で数えきれるくらいなのだけれども、三浦さんは、間違いなくその1人。

私の好きな小説家も漫画家も(例えば水野良さんや冬目景さんとか三浦建太郎さんとか)、なぜこうも遅筆なんだろうか、なんて思うこともあるのだけれど、それは、商業的な成功を求めるのではなく、一筆一筆に魂を込めるからだろうな。彼らはエンターテイナーではなく、間違いなく、アーティストだ。

ベルセルクはこのまま、未完結で終わるのかもしれない。それについて、あーだこーだと、文句を言うつもりは毛頭無い。

三浦さんは、一筆一筆に魂を込めて描いてくれた。それを、数十年、たかだか500円程度で楽しませてもらった。後半は、新刊が出るのをサプライズというか、数年に一度の風物詩的に楽しませてもらった。

それで充分。それで満足。

余談だが、私は自分が一番好きな作品の最終回を、実は15年以上読んでいない。なぜなら、最終回を迎え、その作品の世界が終わってしまうのが、寂しいのだ。

物語は、正式に終わらない限りは、その人の中で生き続ける。

未完の大作、ベルセルク。その結末が分からないのは、確かに悲しいことなのかしれないが、考え方を変えれば、それぞれの心の中で、いつまでも物語は続き、それぞれが自分の好きな結末を持っても良いということにもなる。少なくも私は、そう思っている。

三浦建太郎さん、お疲れ様でした。素晴らしい作品を、ありがとうございました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

61.7 6 国王で友情なアニメランキング6位
失格紋の最強賢者(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★☆☆ 2.8 (236)
812人が棚に入れました
世界最強の魔法使いと謳われながらも、生まれ持った紋章の性能に限界を感じていた【賢者】ガイアス。 その彼が己の紋章を変えるために取った手段――それは転生によって新たな体を得ること! 彼は遥か未来の世界に転生し、求めていた「魔法戦闘に最適な紋章」と、マティアスという名を手に入れた。 しかし、その紋章はこの時代ではなぜか「失格紋」と呼ばれていた……! 時を経た今世では、魔法が衰退し低レベルな魔法理論が跋扈してしまっていたのだ。 魔法戦闘最強の「失格紋」と、賢者の知恵を併せ持つ少年マティアスは、世界の常識を次々と打ち壊していく! 異世界紋章ファンタジー、ここに開幕!!


声優・キャラクター
玉城仁菜、鈴代紗弓、白石晴香、井澤詩織
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

失格なんて嘘だ紋

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
なろう系です。最弱は最弱じゃないし、劣等生は劣等生じゃないので、当然、失格紋は失格してないです。以上(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
作画はかなり酷く、バトルはヤバいくらい面白くない。下手に「俺の戦術凄くね?」感を出しているのが逆に超ダサい。基本、ただ性能でごり押ししているだけのように思う。

本作の個性と言えば、4種の紋章があることだろう。作品内では説明不足も感じたので、一応wiki見て補足を。

栄光紋【天性前のマティアス&ルリイ】
魔法付与などの補助特化。直接的な戦闘には向かない。

常魔紋【アルマ】
火力特化。反面、連射性に欠け。剣より弓に乗せて放つことが多い。

小魔紋【   】
連射特化。反面、威力に欠ける。掃討戦を得意にする。

失格紋【マティアス】
常魔紋の火力と小魔紋の連射性能を併せ持つ。反面、射程が短く、剣などと併用して近距離で戦う必要がある。

だそうです。

本作でかなり不愉快だったのは、マティアスが栄光紋をバカにし過ぎなこと。なろう系作品で駄作と呼ばれるものに共通しているのが、「その世界の人々の歴史や文化を一瞬で無にする」こと。転生者の常識や考えこそ素晴らしく、転生先の世界は、転生者によって駆逐されるための下劣な世界でしかない。

魔族によって歴史(紋章の価値)をねじ曲げられたのは面白い設定だったが、間違った歴史とはいえ、長い間をかけて真剣に研究してきた栄光紋を、その歴史を、(さくさくっと教えただけの)無詠唱魔法で、一瞬にして駆逐する。

そもそも、マティアスだって栄光紋でも最強にまでなれたんでしょ? 要は使い方の問題で、優劣ではないんでしょ? ちょっとくらい栄光紋(第一学園)の生徒も生かしてあげてほしいし、栄光紋の良さもちゃんと評価してほしいんだよね。

閑話休題。

ということで、生前は栄光紋だったマティアスは、「最強」ではあるものの、更なる強さを求めて転生し、失格紋を手に入れた。

、、、と、ここでいくつかの疑問が。

まず、マティアスの人間性。転生理由から伺えるのは、「利己的で探究的な性格」。言い換えるなら、「ワガママでこだわりが強い」。でも、転生後のマティアスはどうだろう? 他者のために労を惜しまず、細かいことにはこだわらないおおらかな性格。

これが例えば、転生後の人格に引っ張られているなら分かるが、ご丁寧にイリスの存在によって否定されている。どうやら、姿かたち以外はガイアスと変わらないようだ。

もし、ガイアスがマティアスと同じ人間だったら、「強くなりたい」という理由で転生なんてするだろうか? それはある意味、「その時に共に生きていた人々を見殺しにする」行為である。自らが真の最強に成れない葛藤を抱えながら、人々の為に尽くしそうなもんである。

それから、仲間を作る必要性。転生前のガイアスは、「孤高」という感じで、仲間を必要としているように思えない。マティアスは、「力が戻るまで」とか言っているが、はっきり言って足手まといでしかない。イリスは別にして)マティアス一人で戦った方が明らかに効率良い。

もし、「力が戻るまでの場繋ぎ」というなら、いつでも切り捨てるくらいの冷酷さがないといけない。(盾の勇者のように)その冷酷さの中で次第に愛情が芽生えてくるなら分かるが、本作にその深みはない。もしあの2人がピンチになったら、マティアスなら自分の身が危険になっても助けそうな気がする。

2人を育てながら勝てる程度の強さの魔族しか襲ってこなかったのは、結果論に過ぎない(自作自演感)。

他にも、魔法学園に入学する意味ないよなとか、同じ栄光紋ならぺーぺーのルリイが作った剣よりも、昔、自分が作った剣を使った方が絶対に良いだろ。

とまあ、矛盾だらけだが、元々そんなにちゃんと考えて作っていないんだろう。「元々最強が転生して更に最強になった話ってま無くね?」「転生したからには当然、美少女に囲まれながら世界救っちゃうっしょ?」という安易な発想で書いているだけな気がする。まあとにかく、なろうらしいなろうだなと。

それが、本作を観た感想。んで、レビューを書くためにwikiを確認していたら、「ガイアス」の紹介として、次の文があってびっくりした。

(長いからたたみます)
{netabare}
魔法戦闘に不向きな第一紋持ちでありながら、千年以上の時を生き賢者や戦神と称されるほどの圧倒的な力を持つに至った。しかし、本人は現状の強さに満足しておらず、新たな戦術や魔法の開発・魔剣や魔道具の作成・紋章の書き換えなど更なる強さを目指してあらゆる研究を進めたが、以前自身が封印した神滅の巨龍との戦いを経て、自身の成長の限界を悟り、やがて来るであろう宇宙にいる更なる強敵に対して、どう足掻いても力不足になると考えた。それ故に、魔法戦闘に最も不向きな第一紋を捨て、もっと魔法戦闘に適した肉体を手に入れることと、ぼっちで共に戦える仲間がいなかったことも改善できることを願い、独自に編み出していた転生魔法を発動して数千年後にマティアスとして生まれ変わった。現在の世界では、魔術の神として信仰されている他、自身の開発した魔剣や魔道具が遺産として時折各地で出土しているが、どれもガイアスとしては中途半端な出来であったり、何故そんな機能を付けたのか覚えていなかったりするものがほとんど。
{/netabare}

いやこれ、めっちゃ大事な設定じゃないの? だとしたら、私の疑問の半分くらいは解決する。

まあ、私も途中から流して見てたから自信はないけど、アニメの中でこんな説明あったっけ? あったらちゃんと観てない私が悪いんだけど、無かったらそれは、アニメ化する際に削っちゃいけないことだと思う。

もしかしたら途中で明かされるのかもしれないけど、途中で種明かし出来るほど引きが強いアニメじゃないから、数話で切られちゃうのかなと。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
タイトルだけで「なろう」っぽいよな(苦笑) 魔族が人間の弱体化を狙う。人間を滅ぼせるほどの絶対数が少ないのか、人間を滅ぼせない理由があるか。

2話目 ☆2
これ、マティアスが魔族と疑われないといけないよな。つか、だったら王国最強の戦士とパーティー組めや。

3話目 ☆2
とにかく、うっすい展開だな。

4話目 ☆2
作画悪いし、バトルもコメディもストーリーもうっすいな。

5話目 ☆2
マティアスの転生の狙いと行動のズレ。栄光紋に配慮なし。

6話目 ☆1
な、な、な、なんてつまらないバトルなんだろう(苦笑) 

7話目 ☆2
コメディタッチにしたところで、笑えないよな(苦笑) 凄い人が凄いことをやっても凄くない。

8話目 ☆


9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆


12話目 ☆

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

超ハイテンポなおかげでそこそこ面白かった。

{netabare}
いかにもなテンプレなろう系。
前世だと紋章(=生まれつきながらの才能)がダメだったため、成長が限界値に達していたので転生して当たりの紋章を取得し魔族に立ち向かう、と設定自体はここからいくらでも面白くできそうな感じなのだが、なろう系なので結局無双俺TUEEEに落ち着いてしまう。(後半はそれほど俺TUEEEでもなかったが)
基本的にどこかで見た展開でグダグダととくに目的もなく話が進行。
最強で知識もあるはずの主人公がなぜかわざわざ学ぶこともないはずの学校に通う意味不明さ。結局他生徒に「主人公SUGEEEE」って言わせて気持ちよくなりたいがためだけの展開で整合性なんてものは一切ない。
主人公の住んでいる王都以外は悉く魔物の傀儡になっているという同様のオチだったり、本当に何も考えずにダラダラと書いているんだろうなと言うのが見て取れる。

ただ、この作品にはテンポと言う一ついいところがあって見やすかった。
親の顔より見たなろう展開がダイジェスト化されていることで、飽きを感じずにサクサク見られたので純粋に面白かった作品ではある。
もうこれからのこれ系の作品は全部このテンポでいいのでは。
原作レイプと言われていたけど、原作からつまらないしこれぐらいのテンポがむしろちょうどいい。
この作品で唯一真面目に見ても普通に面白かったギルアスVS魔族の戦闘に関してはちゃんと尺を取って端折ってないし、分かってる監督だと思う。
あと、キャラは良かった。ヒロイン全員、特に赤髪の子は可愛かったし、主人公もイキリだけどそこまで冷たいキャラではなかったので会話部分は結構楽しめたのかな。
最終的には主人公が倒して終わりとは言え、あの序盤の適当に出会ったヒロイン二人にもちゃんと見せ場は作れていたし、その点も悪くなかったと思う。
ギルアス含め、キャラに見せ場を作るのは上手かった。

あと、実はこの作品、友人に面白いと言われて、実際に設定も面白そうだったし漫画を少し読んだことがあるんだけど、これの3倍はきつかったし一巻切り余裕だった。
アニメだと転生後はすぐに街から始まってたはずだけど、原作だと家族の暮らす家にたぶん6歳ぐらいで転生するところから始まるんですよ。
それで、父をあっさり倒すところはまだ良いんだけど、兄との戦闘がマジで地獄。
相手が弱いのを手加減と解釈してイキリながら倒すというこの上ないほどのキモいエピソード。また俺なんかやっちゃいました?なんて当然のように挟まれるしね。
それで収納魔法でイキったりしながら虎を倒したりして(これアニメの冒頭)、アニメのスタート地点に着くという感じ。
マジで家族パートは地獄だったからこの部分をカットしたのは英断だと思う。
急に家族との訓練の回想が出てきて意味が分からないとか言われてたけど、見たら本当にああ、カットされててよかったなってなると思う。

批判してるのか褒めてるのかわからないけど、楽しめた作品なのは確か。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 ☆3
おう。主人公の顔がサイコパス。はぁ、もういいってこういうの。
中学生の妄想かよ。この切れ味は危なすぎるw 
賢者の孫以来かも、こんなに痛いの。一週回って笑えるわ。
詠唱魔法の設定と紋章の設定痛すぎだろw
草、こういう試験でイキるな。
展開早すぎない? いや、無詠唱魔法を認めさせる方法が雑すぎるw
失格紋で差別される展開はないんだw 
もう学校意味ないじゃんこれw 待て、展開早すぎだろ。
この辺の設定もう明かすのかよ。草。普通にまぞくばれしてて草。

2話 ☆4
クソアニメ。展開早いから見やすいわ。主人公を撃て。
ほんと中学生の妄想w てかダンジョンってなんだよ。ゆるキャン△
絶対この後何階まで行くか言ってヒロインに驚かれる展開有りそう。
あった。ダンジョンってマジでなんだよ。
階層ボスwwゲームかよw 

3話 ☆3
いきなり強くなりすぎ...。まだこれで半分尺かよw いつもの流れ 

4話 ☆2
思ってること全部読み取られるの怖いだろ。
なんでぼーっと突っ立ってんねんw 草 ギャグアニメかよw
独り言で笑うわw 作画ww 緊迫感のかけらもない。
腕幻影か? ??? なんで切った断面から魔力が分析できるんだよw 
てかもう一話見た気分なんだけどほんとに展開早いなw
主人公イキるな。安定の人化。けどかわいいじゃん。
試験に同行とか不正疑われそうw また俺なんかやっちゃいました?
ガバガバ試験。イリス可愛いからいいや

5話 ☆4
既視感ねえよ。誰だよ。草、魔物来るのに何断っとんねん。
魔物来るのに何お遊びする気やねんこいつらww
ギャグアニメかこれ? 何がしたいねんw
条件も意味わからんだろ強すぎるから出すなってw 
負け認めとるやん。不正しそう。茶番劇やめろw
せっかくかわいいのにイキリやめて。5秒結構長いなw 
主人公そこはやられろよ 上達速すぎるわ
イリスが可愛いことしかいい点がない。

6話 ☆7
リスキルやめろ。ゲート。攻撃したら集中狙いされそう。
結局ヒロインは噛ませw もうちょっとうまく拮抗させられたと思う。
転スラで見た。戦闘良かったな。今回は悪くない。

7話 ☆3
イキリ顔やめろ。ダイジェストどころか戦闘ほぼカットで草。
いつものなろう展開来そう。領主怪しいな。

8話 ☆6
イキリやめろ。誰向けアニメだよこれ。おもんね。
戦闘はまあまあ面白かったかな。
どうせツダケンも瞬殺なんだろうなぁ。
見つけられるかなって、むしろ向こうが何かしてくるんじゃないのかよ。

9話 ☆7
そんなルール無視してしまえ。失礼だぞ。
無意識で魔法使ってるとか強そう。
主人公君いきらないで グラスホッパー?
魔族って何が目的だよw 支配するだけして何もしないんでしょ?

10話 ☆7
奇行種? 草、ドラえもんかよ、なんでもありかよ。こy
産業革命時代かな? インフレしすぎやろ これは罠だ!
鬼滅で見た。思いっきり出てきて殺してたやん。
イキリ顔やめろ。魔法がなんでもありすぎるw
お前なんでここにいるんだよw
ギルアス主人公にしろ。ちゃんばらごっこかな?
マジでギルアス主人公にしろ。

11話 ☆6
てか主人公いなかったら人類絶滅させるのそんなむずくないだろw
案外対処法普通に合って草 タイミング良いまぞくだなw
突っ立ってないではよ剣取りに行け おい強行突破とっととしろ 

12話 ☆7
こいつ何しに来たんやw 殺したぐらいで死ぬと思ったか?
タイトル回収 周りの王国全部操られてるやんけw

OP「Leap of Faith」☆8
ED「Days of Bright Sunshine」☆8
{/netabare}
{/netabare}
4/1 投稿
6/10 訂正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

マティアスのマティアスによるマティアスのための劇場

【感想】
なろう系好きな私でも全然面白くなかった。
不自然な会話や設定が目立ち、敵味方モブの行動や言動、設定などすべてが主人公の凄さを見せるために仕立てられた舞台でした。

主人公マティアスの一人劇場がきつい。
人がしゃべっている間も全然話聞いてなくて他事考えてるのも感じ悪いし
主人公がモノローグであまりにも長々としゃべりすぎ。
長い説明するなら、せめて会話しましょうよ。

相手を持ち上げておいてそれを軽く倒す俺すげーっていう遠まわしな自画自賛ばっかりでうんざり。
仲間の活躍も主人公の活躍のための前座でしかないみたいです。
他のバトルアニメだと敵の攻撃を見切って攻撃しているものをこの主人公は分析・計算してかわしているんですが賢者ってそういうことじゃないと思うんですよね。

【キャラクター】
主人公のいつも不敵な笑みを浮かべて敵味方すべてを見下した態度が好きじゃないです。
声優のしゃべりかたも少年声ですごく偉そうで、しかも淡々としゃべるから不快感2割増し。

「前世で俺が」って何回モノローグで自慢すれば気が済むんでしょうか?

ヒロインは可愛くていい感じなんだけど主人公に盲目すぎて、主人公もヒロイン達を下に見ているのが残念。

初対面でいきなり主人公に一目惚れして、彼氏いないですアピールするヒロイン。チャームの魔法でも使ったの?
大したきっかけもなくまるで付き人のようにマティアスにいつもついていくヒロインズ。
学園から出て旅するときも何故か特例で一緒に出ていくことを許可されます。

ハーレムでもいいけど、好きになる過程は大事だと思う。
それがないままだからマティアスを絶賛するために用意された人形のようです。

魔族も中ボスか?ってくらい薄っぺらいデザインと性格で威厳がないから脅威感がない。

【作画 声優】 あまり良くない
【音楽】fripSideのOPは良かった。

【シナリオ】
展開が早すぎるし説明もない。
会話の間の間とか、戦闘中の間とかが極端に短くてなんか倍速再生みたいにどんどん話が進むんですよね。
なのに主人公が長々と心の声を喋り続けるから主人公の独り言を聞くアニメになってしまっている。
主人公が不遇なわけでもないので下剋上する爽快感もないですし。

話の展開が大きく2パターンしかなくて、主人公の一人舞台か、マティアスチルドレンの発表会のどちらか。

{netabare}
主人公か周りのキャラが困難で難しい状況だということを説明して、こんなこと無理ですよって前振りしてからの
主人公が余裕な感じで敵の攻撃をよけながらモノローグで一つ一つ状況を解説しつつ分析していって
解説が終わったら主人公の分析通りに事が進んで、ちょっとピンチになったりするけど、それも計算通りの展開でこの程度かこれならこれくらいで十分かって手加減してあげる余裕と手加減した攻撃にまで丁寧にモノローグで解説がつくおまけつき。ピンチになることなく一方的に横綱相撲で勝利。
これくらい当然だと自分の強さに酔いしれたあと周りが凄い凄いと絶賛しても照れることもなく他事を考える主人公
難易度高いアピールしてあっさり勝って賞賛されるっていうパターンがずっと繰り返されるだけ。

主人公が賢いわけじゃなくて、周りが主人公の分析通りに動いているだけで賢さを感じない。
頭良くない主人公を天才に見せるには、周りを愚かにするしかなくて、茶番にしか見えなくなります。

マティアスチルドレンは、主人公にちょっと教えてもらっただけで一瞬で強くなって、今回はお前たちでも倒せるからやってみろみたいに主人公に言われて、えー無理無理って言いながらあっさり倒して、私強くなっちゃいましたーとはしゃぐプチマティアス化していきます。
弟子達の活躍を高みの見物してすごいすごいと褒めてからの、満を持してマティアスはもっとすごいってところ見せて、やっぱり主人公最強って言いたいだけ
{/netabare}

最終回も酷い
{netabare}
最終回は軽く魔族倒して王様から褒美もらって宝物庫物色して、まだ魔族の敵は他にもいる!って危機感だけ煽って終わり。

こんな退屈な最終回なかなかないです。
最後の最後まで「前世の俺が」って言ってて本当に自分大好きな主人公ですね
{/netabare}

【設定について】
{netabare}
無詠唱魔法が廃れた理由に説得力がない。
マティアスが教えたら全員すぐ使えるし、禁止されてもこっそり使う人いると思うし、禁止されているわけでもないのに魔法の修行している人がこっそり試さないわけないし、そんなお手軽で便利なものが廃れるわけない。

主人公の舞台を整えるために魔族が何百年もかけておぜん立てしているようにしかみえない。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

65.6 7 国王で友情なアニメランキング7位
07-GHOST[セブンゴースト](TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (346)
2086人が棚に入れました
ラグス戦争終結から十数年後、バルスブルグ帝国の第1区で軍に入隊するためエリート生として過ごしていたテイトは、ある日、失われた記憶の一部を取り戻し、自分がラグス国王の息子であることを思い出す。
記憶を取り戻したテイトは軍を脱走し、第7区のバルスブルグ教会の司教たちに助けられた。しかし、彼の運命はすでに動き始めていた。

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

是非原作を!

アニメ07-GOHST全25話完結です。
キャラクター作画声優さん申し分ないです。
物語もあれはあれでいいのですが
原作を知っている者からすると
アニメはまだまだ物語の始まりで
これからがたのしいところです!
是非是非アニメの続き見ていただきたいです。

原作完結いたしましたが
私的には最初のわくわくから考えると
うーん…と思ってしまう部分もある終わり方でしたが
やはり原作は読んでほしいです。

内容キャラなどから見て
女性向けなアニメだと思います。
ほんのり腐向けなので苦手な人は注意!

内容はダーク?ファンタジーです。
主人公は過去の記憶を持たない少年なのですが
ひょんなことからその記憶を思いだし
幼い自らの前で父を仲間を殺した人物を思い出します。
その人物への復讐を果たそうと行動を起こすが失敗。
以降主人公は追われる身となってしまいます。
そんな主人公を拾ったのは教会の神父たち。
けれど彼らには秘密が有って…
そんな彼らと過ごすうち主人公は過去に起きた世界の危機
それを起こしたフェアローレンという死神、
其れを封じた7人の死神(07-GHOST)を知り
深く関わっていくことになります。

謎も多く次の展開、最後はどんな風に…?と
常にわくわく期待できる内容でした!
ギャグ部分は面白くシリアス部分は感動できて
何より愛情友情に泣かされます。
見て損はないかと!

アニメでも十分感動できますが
原作ではさらに踏み込んで感動できます!
アニメ原作共に泣きました←

余談ですが私の推しメンは
コナツ=ウォーレンです!
声優さんが岸尾さんなのもイメージぴったりですし!
何より容姿性格共に可愛い!
ヒュウガとの絡みは微笑ましいです(笑)
ドラマCDではぶっ飛んだ部分も明かされ
もうホントに可愛いです←

主人公テイトくんの斎賀さんボイスも
素敵に似合っていましたし
フラウの俺様何様諏訪部様具合も
とてもイメージに合っていました!
アヤナミ様の速水さんボイス!!!!!
協会側も帝国軍側も
みんな豪華すぎる声優陣を持て余すことなく
イメージとぴったりで素敵でした。
クロユリ様の声優さんが
私的に少し残念ですが
あれはあれで可愛いかも知れないです。

そして何より私は
アニメでもっとも感謝したのは
ランセのかなりのイケメン度です(笑)
あの特徴的な髪形をあそこまでイケメンに…!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

柚稀 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

俺は、失ってばかりだった…けれど…。

全25話。
キャラ、イケメンわんさか(*゚▽゚)ノ   
描かれる、熱い友情☆
シスターに死神☆司教、カストル様!(ナイスメガネ☆)ラブラドールくん(可愛い♪)
そんでバトル、またバトル!!
これは、きっとおもしろい!!((o(>▽<)o))

…………………………!?!?!?Σ(゚д゚;)

ってあれ??www
こ、こんなはずでは…(´・ω・`)が25話観た感想。。。。。


スクラー(戦闘用奴隷という意味らしい)から、
軍隊へと入隊したテイトには生まれながらに課せられたおっきな運命があって、
紐解かれる記憶と復讐の思い、
そして親友であるミカゲの想い、を胸に戦う。
のですが…

…ですが。
前半というかはじめの数話の展開は、テンポよく、
いい感じにバタバタとしていて、観ていて気分良かったのだけれど、
それ以降のスロー、超スローな展開にはちょっと残念。。。。。

いつ攻め込んでくるんだ?どうなんだ?
と結構楽しみにしていた、テイトを追う軍側、アヤナミが率いる敵さん部隊の登場も少なめで、
5,6人いる敵さん達の名前もいまいち覚えられずw

能力もそれぞれ、使用する武器もそれぞれ、なので、
敵さん達の戦闘シーンも期待していたのですが、
思ったほど、さほど描かれることはなく。

僕の期待とは裏腹に物語は進んでいきましたとさwwwww

そんで25話終了後、気付いたのは…
これは今後の物語へ続く、プロローグにしか過ぎない。
ということでしたwww

…まだ、あるんすか?
あんたけスローだったんだから、何とか25話に収まらなかったのですか…??

モヤモヤとした問いかけだけが残りました(〃゚д゚;A

ただ、声フェチとしての目線wでいいましたら、
イケメンキャラ揃いだけに“いい声”がたくさんしました(*´∇`*)

福山潤・浪川大輔・入野自由・諏訪部順一・宮田幸季・岸尾だいすけ・朴璐美・斎賀みつきなどなど♪

特にテイトの声、斎賀みつきさんは“カナリヤ”という曲を聴いてから、男性ばりにかっこよすぎる歌声に惚れましたd(>_・ )グッ!ww

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

あまりのマンネリ展開に、ちょうど真ん中あたりで断念;

15話目で断念;
だって、あんまりマンネリ過ぎて。。。

出だしはすごく良くって、ワクワクしたのになぁ~3
主人公、テイト・クラインが教会に逃げ込んでからは、もう、超マンネリ展開でつま~んない;;

あまりのマンネリさに疲れ切って、14話目で一休さん。
数週間後、久しぶりに観たら、こりゃもうダメだ~3
ストーリー設定がムダに凝っているから、ついてけないのである。
最初はちょっと影のある、クールな美少年だったテイトも、どんどん惰弱でセンシティブなBL少年と化しているし。。戦争奴隷だった暗い過去はどうなったんだよ??

あともう少しで観終わるから、がんばろーと思ったけど、アニメ大国ニッポンでは、インド映画に勝るほど様々なアニメが量産されているし、過去の良作だって山ほど埋もれているのである。
そんな宝の山をあきらめて、こんなつまらない超マンネリBL指定アニメ(だから観たケド)を、我慢して観続けるなんて、バカバカし過ぎるではないか。。

んなワケで、ちょうど折り返し地点で残念だが、断念;
導入部分では本当にワクワクさせられたし、ストーリー設定も凝っている作品なので、中盤の耐えがたいマンネリ感がムカムカするほど残念だ。
。。どーにかならなかったのか?どーにもならなかったのか??

画はキレイだし、イケメンもいっぱい。
それだけあれば十分な方は、ぜひお試しあれ。。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

68.7 8 国王で友情なアニメランキング8位
天才王子の赤字国家再生術(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (289)
912人が棚に入れました
覇権国家の脅威に晒される弱小国家・ナトラ王国。 若くして国を背負うことになった王子・ウェインは、補佐官のニニムに支えられながら、才能を活かした見事な手腕を発揮し始める。 でも、この国……めちゃくちゃ詰んでる! 内政に手を入れようにも金がない。 よそから奪おうにも軍事力がない。 まともで優秀な人材は他国に流出してしまう。 「早く国売ってトンズラしてえ」 ウェインの願いは、とっとと隠居して悠々自適の生活を送ること。 大国に媚びを売り、国を売れば夢が叶うはず。 しかし、外交も軍事も予想外の方向へ転がってしまい……!? 知恵と機転で世界を揺るがす 天才王子の弱小国家マネジメント、ここに開幕!
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ガバガバというかご都合主義と言うか。

{netabare}
タイトル見たときはなろう系だけどもうしかしたら好みかもと思ったけど、やっぱりなろう感がきついのとガバガバさが目立ってて合わなかった。

だいたい主人公に都合が無駄に良くて、なんでそれを警戒してないんだよ、とかなんでそんなやすやすと相手の目の前に現れられるんだよとかツッコミを入れたくなる。
そもそも急に相手の前に出向いたり、滅茶苦茶な行動を取る割に、その発想に至る経緯とか理由が全然なくて、物語が主人公に合わせて動いてる感があった。
もう内容もあんまり覚えてないけど、一個覚えてるのは面会の場でヒロインが貶されたからという理由だけでその場で即対面相手を暗殺するやつ。あれは無策にもほどがあるし笑った。天才要素とはって感じ。

好みは分かれそうだけど、このアニメのノリは個人的には結構好きだったかもしれない。
それと、たまに戦略がしっかりとしている部分もあって、回によってはいい回もあった。それと、キャラデザはかなり好み。

↓一話毎メモ(意外と結構書いてた)
{netabare}
1話 ☆2
これもゴミそう。キャラデザはかわいい。なろうタウン。
なろうタウンw すでに面白くない。てか入りカットするなって。
わけわからん。
精霊幻想記は割とキャラアニメとして序盤楽しめたんだけど違いってなんなんだろうなぁ。これはその見方も無理だわ。
また俺なんかやっちゃいました? きっつ。
おいそのチェスみたいなやつで作画節約するな。あほくさ。
鵯越の逆落とし?w どうせ行かないんでしょ。
金鉱山に攻めるまでの流れもおもんないわ。こんな雑な展開ある?

2話 ☆7
キャラデザ可愛い。OPやなぎなぎだけで良くない?
いや攻めるところカットかよ。こんなガバガバ政策やるのどこが天才だよw 
てかそんなノリで金鉱攻めるとか全く現実味がないんだよ。
いやなんで本国側も金鉱の枯渇に気づいてないの?
チェスで手抜きするな。鎌倉か?w
いや、何で誰も監視してないんだよ。
丸太を山から転がす作戦は面白かった。
これで勝ったと思うなよー いやどうやって忍び込んだしw
なんで自ら攻め入ってるw 今回普通に面白かったな。

3話 ☆5
その昔の話をちゃんとやってくれ...。
昔話的に語られてもあんまり。君スライム300にいなかった?
王族らしい行動しろ。キャラデザが可愛い。
エミリアみたいな服だな。最後の回想は良かったな。

4話 ☆5
あのセリフの伏線回収いいな。そういうことか。
ことはありません(大嘘) 何やってんだよw ギャグアニメ? 
 
5話 ☆7
心の声いる? 僕の王の力がああああ 意外と戦術がしっかりとしてるのな。これ以外と面白いかも。要するにカプ厨。

6話 ☆8
白髪好きだけどこのキャラは黒の方が似合ってる感あるわ。
草。最初の下りちょっと面白かったわ。
今回内容まともだな。面白いじゃん。

7話 ☆2
ヨーロッパかな
草、いきなり暗殺を決めるとかむ計画にもほどがあるw
ほんと礼儀に反する ダメだこのアニメ最近面白いと思ったけど
知的な主人公と思ってたけど、こんな場で、こんな立場で感情を優先させるのは頭おかしいよな。この様でどこに才覚があるんだよ 

8話 ☆3
政治はお遊びじゃないんだぞ。そんな雑に会議に出席する人を決めるなw
ロアはしっかりと戦略だってるけど何だろうこのお遊び感。
しっかりと見返りを求めるのはいい。フ
ラーニャの成長のために会議出席させるって...。
その程度にしか思われてないってことなのね。
さすがにこの白髪あほすぎやろ。決められるわけないだろw
お前小国に怯え取るやろ。何で来るんだよwwww
キャラの行動言動すべてに違和感。

9話 ☆4
火曜日のアニメ地獄すぎるw 何で来たんだよw 王子なんで見限られてるんだ なんで毒見抜けた? あほくさw
毒で死んでないのかよw よそ者が出しゃばるな。まあ演説自体は良かったけども。主人公どこでもドア持ってる?

10話 ☆6
自殺に持っていくのは無理があるだろw
虚構推理。そんなにうまく偽装できるわけねーだろw
できるならだれかすでにやってるわw
都合がいい。ああ、ゼノとゼノヴィア同一人物なのか。

11話 ☆4
ゼノヴィアもイキリ出した。ばれてるじゃんw OPカットするな。
裏切られそう。食レポアニメ
ソルジェストの王めっちゃクズキャラな見た目なのにいい奴だな。
むしろソルジェストと責める予定の国が組んでるんじゃないかw
いや、おかしいだろw 責める理由が。

12話 ☆5
は? 屁理屈じゃんw そうはならんやろw バックアロウで見た。

OP「LEVEL」☆8
ED「ヒトリとキミと」☆8
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

天才ではないが人間としての大切な点はわきまえている王子かも

この物語は父親が急病のために16歳で急遽、摂政として国政を任されることになったナトラ国の王子、ウェインの物語です。
真面目に見ようとすると呆れますが、気楽に見ると、けっこう楽しめます。


ウェインは国政に興味ありません。国を売却してそのお金で余生を過ごすことのみ考えています。
隣国との戦が起きた際は、ちょこちょこと小競り合いをした後で休戦協定を結ぶ目論見でした。
しかし、予想に反して勝ってしまった。部下たちが予想以上に頑張ったためです。

部下たちの多くは、この勢いに乗り進撃すべきだと主張し続けます。
戦が好きでないウェインは、部下たちに撤収を発言させるため、絶対に勝つ見込みが無い金鉱脈を次の目標とします。
これで部下たちが猛反対して軍を撤収する目論見でした。
しかし、部下たちはこの目標を決めたウェイン王子を『先見性に優れた王子』と尊敬し、この金鉱山を攻略するのです。結果として勝利して自国の領土と資産が拡大します。

こんな感じで、この物語では、楽してどんどん領土が拡大していきます。
『天才王子』とありますが、そんな天才ではありません。仲の良い妹の行動すら予測できない平凡な王子です。

第一話や第二話は、稚拙な戦の話なので笑うことはできますが、頭脳戦を期待されている方は、内容を知ると呆然とするでしょう。

しかし、
ウェインは、人間としての大切な点をわきまえています…多分(^_^;)

一つは5千人もの兵士の顔と名前を憶えている点です。
一兵卒の部下の名前を呼び、気さくに話しかけます。
王子から名前を呼ばれて話しかけられた兵士は、おそらくそれだけで感激するでしょう。
王子のために精一杯頑張ろうと思うはずです。
ナトラ国の兵士が強い理由の一つは、これだと思います。


私達は学校や職場で、どれだけの人の顔と名前を覚えるでしょうか?
おそらく、200人程度? でしょうか?
名前を呼んで相手の顔を見て話しかける。これは基本中の基本ですが、私たちは、つい見落としがちのようですね。

そしてもう一つ、ウェインは友達を大切にしています。
ウェイン王子の側近にニニムというフラム人の女性がいます。ニニムはこの物語のヒロインなのですが…
フラム人は多くの国々で差別を受けており、奴隷としてこき使われたり、娯楽の対象として狩りで殺されたりしています。
しかし、ウェインはフラム人を差別しません。それどころかニニムの頭脳と優秀な剣技を認め、側近として雇っています。

ウェインがカバリヌ王国を訪問していた時、その国の王が「狩りをするためにフラム人を提供してほしい。一緒にフラム人狩りをしよう」とウェインにもちかけます。
このとき、ウェインは{netabare}怒りに任せてその王を殺します。{/netabare}
その話を後で聞いたニニムは、呆れます。
確かにウェインがしたことは、王子としてあるまじき行為でした。
でも、ニニムは心の中では凄く嬉しかったはずです。自分をこんなに大切にしてくれていると感じたはずです。

ウェイン王子とニニム、この二人はお互い愛し合っていますが、身分・血統などのしがらみで決して結ばれることはありません。しかし、ウェインはニニムを誰よりも大切にしています。


また、この物語は後半になると多くの登場人物が個性を発揮します。
その一人がウェインの妹のフラーニャ。
フラーニャは幼くてとても可愛いのですが、すごい頑張り屋さんです。
{netabare}兄のウェインに代わって特使として他国へ趣き帝国の王子たちに挨拶したり、商都ミールタースの市民議会に何度も足を運び、その仕組みを学んだり、戦乱に巻き込まれたミールタース市民を一人の死傷者も出さずに避難させたりと…、{/netabare}
もしかして兄のウェイン王子よりも凄いのでは?と思ってしまいます。

確かにフラーニャには兄のような知識がありません。しかし、覚えようと懸命に努力する姿は、思わず応援したくなります。
それは私達も見習うべきですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

天才王子による弱小国家運営譚、威風堂々(小心翼々?)開幕!

この作品の原作は未読ですが、りえりーと奈央ぼうが出演するのを知り視聴を決めた作品です。
視聴を始めてみると、くぎゅ、能登さん、日笠さんや千本木さんも出演していたので胸が躍りましたよ…^^

最近、国政や外交といったジャンルの作品が盛況なのでしょうか?
22年冬アニメでは「現実主義勇者の王国再建記」の第2期も放送されていましたし…
こちらは主人公が小林裕介さんで、メインヒロイン役をいのりちゃんが演じていたので、まんまリゼロのスバルとレムりんという感じでしたけれど…^^;

ですが、蓋を開けてみると物語のステージこそ似通っていますが、中身はまるで違っていました。
「現実主義勇者の王国再建記」の主人公は実直かつ着実な国政に軸足を置いていますが、こちらの作品の主人公である王子は、一見ちゃらんぽらんに見えますが実は天才肌…
そして内政よりは外交を主体とした物語になっているので、「現実主義勇者の王国再建記」とは似て非なるモノという感じでした。


覇権国家の脅威に晒される弱小国家・ナトラ王国。
若くして国を背負うことになった王子・ウェインは、
補佐官のニニムに支えられながら、才能を活かした見事な手腕を発揮し始める。

でも、この国…めちゃむちゃ詰んでる!

内政に手を入れようにも金がない。
よそから奪おうにも軍事力がない。
まともで優秀な人材は他国に流出してしまう。

「早く国売ってトンズラしてえ」

ウェインのネギは、とっとと隠居して悠々自適の生活を送ること。
大国に媚びを売り、国を売れば夢が叶うはず。
しかし、外交も軍事も予想外の方向へ転がってしまい…!?

知恵と機転で世界を揺るがず
天才王子の弱小国家マネジメント、ここに開幕!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

始めに申し上げておきたいことがあります…
マネジメントってこんな生半可なモノでは無いということです。

国家規模のマネジメントの経験はありませんが、少なくてもマネジメントしている姿は微塵も見られなかったような気がします。

例えば「PDCAサイクル」或いは「SDCAサイクル」といったマネジメントの基本とも言うべき要素の片鱗でも見えていれば、また違った印象を受けたんでしょうけれど…

ですが、国家マネジメントという枠組みを考慮しなければ、純粋に物語を楽しむことのできる作品だと思います。

常に行き当たりばったりの状況に遭遇し四面楚歌の状況もしばしば…
そこを持ち前の機転だけで何とかしてしまうのですから、痛快極まりありません。
この機転こそ天才王子と呼ばれる所以なんだと思います。

この作品のもう一つの見どころは、見方同士の駆け引きにあると思っています。
例えば、奈央ぼう演じる帝国第二皇女のロア…
主人公のウェインとは学友であることも頷けるしたたかさを備えた女性ですが、お互いを騙し煽りあいながらも、ウェインの出方を先読みした言動により状況を好転させ、交渉に有利なカードを引いていくのですから…
そしてこの駆け引きの演出も相まって相当面白い構成に仕上がっていると思いました。

アニメに大切な要素を持っている作品だったのではないでしょうか。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、やなぎなぎさん×THE SIXTH LIEさんによる「LEVEL」
エンディングテーマは、南條愛乃さんによる「ヒトリとキミと」
個人的にはオープニングが好みでした。

1クール全12話の物語でした。
続きを感じさせながらもしっかり物語を着地させる終わり方は良かったと思います。
原作のストックがどの程度残っているか分かりませんが、私にとって続きの楽しみな作品になりました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

63.7 9 国王で友情なアニメランキング9位
ブレイク ブレイド(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (462)
2782人が棚に入れました
化石燃料が採れないクルゾン大陸では、人々は石英に命令を与えることで動力源や熱源にしてて暮らしていた。この力は「魔力」と呼ばれほとんどの人々が持っていたが、ライガット・アローは生まれつき魔力を持っていなかった。そのため、能なしと呼ばれ続けてきたが、あるとき、地中から発掘されたゴゥレム(魔動巨兵)「デルフィング」は魔力を持たないライガットでなければ動かすことができなかった。折しも、ライガットの暮らすクリシュナは隣国アテネスとの戦争に臨んでおり、親友であり国王のホズル、同じく旧友で王妃のシギュンを助けるため、ライガットはデルフィングを駆り、戦いに身を投じることになる。

声優・キャラクター
保志総一朗、斎藤千和、中村悠一、神谷浩史、花澤香菜、井上麻里奈、鳥海浩輔、白石稔、河相智哉、菅原正志、緒方賢一、葛城七穂、柳沢真由美、浅野真澄、中井和哉、寺島拓篤、白石涼子、土師孝也、喜多村英梨、林和良、宝亀克寿、ささきのぞみ、井上喜久子
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

折れたのはストーリー

石英を動かす力で成り立っている世界でその力を持たず
無能の烙印を押された主人公ライガットが
誰一人動かすことの出来なかった古代のゴーレムを駆り
葛藤しつつも戦場で活躍してゆくストーリー。


無能だと思われ続けていた者が友情をキッカケに立ち上がり、
結果として自身を蔑んできた世間や国を助ける事になってゆく
ありがちなストーリーのロボットものですが
己が信じる正義を貫き、人としての優しさも感じさせる姿勢には共感できますし
無骨な戦いながら無双する強さには爽快感と憧れを感じます。
使い回されてはいますがやはり人気の既定路線という感じで
「ロボ格闘モノ」として割り切って観れば楽しめる要素はあります。
ただし途中までは…ですが。(後述)

ロボットものでも良くあるビーム等の近未来的な武器兵器が無く、
単発式のブレスガンや槍・大剣で戦う設定には
いわば「ロボット戦争」ではなく「ロボット合戦」の趣を感じ一目の価値はありそうで
戦術戦略を含めどのような戦いになるのか楽しみにしつつ観ては居たのですが
個人の技量に頼った戦闘の結果が即戦争の優位性に結びついていて
大局的に観ると非常に荒く感じてしまいました。
(小隊や個人の勝利=戦争の勝利な感じになっている。)

細かく注文を付けると、
編成がゴーレムか歩兵それと一応の偵察用バイクというのも極端で違和感があります。
陸戦メインならちゃんと車両兵器や補給車、砦には固定砲台なんかも描いてくれれば
「戦争」としてのリアリティは大分増したと思います。

また背景が描かれていないので作中の情報を頼りに考察すると
ボルキュス隊のクリシュナ進軍は電撃作戦だったのだと思わざる得ないのですが
常勝を計算に入れた進軍は傲慢で相手を過小評価していますし
国境の要塞陥落に時間が掛かった事を鑑みても
首都に兵力を集結させているクリシュナ軍対して取る作戦として無謀に感じ疑問でした。
{netabare}実際敗戦し一時アテネスまで引き返す憂き目にあうのですが
前線基地や補給路があれば一度の侵攻で無理せずとも
数回で落とせたんじゃないかなと思ってしまう訳です。{/netabare}
ついでに言うと迂回して村を襲った行動も謎のまま…。
ボルキュス将軍ってちょっと壊れていそうなのでその表現の一環だったんでしょうか?
ボルキュスが優秀な指揮官だったとは到底思えないんですよね…。
この点も「戦争」ではなく「戦闘」に見えてしまう一因です。

クレオ達が敵国を蛮族だと教育されていたりして、
この作品で描きたい物は「戦争」の筈なのに
結局「戦争や合戦」を描き切れず「戦闘や格闘」を描いたものになって
しまっているのがとても残念です。

更に更にそれにも増して残念なのがブッツリとした終わり方。
最初の方の感想通り期待感は確かにあったのですが…。
ライガットとその友人の運命や現実を知ったクレオのその後の行動、
それにアンダーゴーレム建造の謎など投げっぱなしにも程があります。
TV版ならもう少し描いた形になっている可能性もほんの少しあるかも知れませんが、
観終わってガックリ&モヤモヤしてしまうのはまず間違いないでしょう。
(追記:やはりガックリエンドでした。)
劇場で6度に渡りお金を出してご覧になった方は気の毒だったかも知れません。

とにかく続きをやらない限り二進も三進も行かない作品。
作画は良いのでその場その場の無骨なロボアクションを楽しむ位しか見所はないです。
それなりに熱さは秘めてはいるのですけどね。

※後半にかけて劇場版と違う所があるので追記しておきます。
{netabare}
10話で登場する「ステルタ部隊」はTV版用で
ジルグの活躍を演出する為の新たなカットになっている模様。
ジルグの死に様も劇場版では戦闘中だったものがTV版では捕虜の後射殺となっている。

またTV版ではバデスが戦死しニケは生き残っている様だが
劇場版ではニケが戦死しバデスは存命。
これによりラストの首都攻防戦でバデスVSバルドの堂々たる戦いがTV版では観られなくなる。
ただしニケが生存なら新たなシーンはあるかも。
個人的には「憎しみに捕らわれたままのニケ」と「事実を知り憎しみから解放されたクレオ」
の対比に期待したいところだが時間的に無理かな…。
なんて思ってたけど結局ニケ全く出て来ず。ぇー。(^_^;)
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

劇場版全6章をテレビ用に再編集した作品です^^

原作未読、劇場版も未視聴でこの作品の視聴に臨みました。
この物語の世界は、誰もが魔力を当たり前の様に使い、その魔力を源にして電気や動力を生み出しています。
この物語の主人公は、ライガット・アロー・・・彼は100万人に1人の確率で生まれる「魔力を持たない者」でした。
誰もが持っている能力を持っていない事から、幼い頃より差別を受けて生きてきました。

その後、ライガットは士官学校に入学するのですが、そこでホズル、シギュン、ゼスといったかけがえのない友人と出会う事になるのです。

時は過ぎ、現クリシュナ国王となったホズルとその王妃となったシギュンにライガットは呼び出されます。
そこで、軍事大国であるアテネス連邦が攻めてきたこと・・・そしてアテネス軍の前線部隊の隊長が親友のゼスである事を聞かされるのです。

そして、偶然にもクリシュナ国で発掘された古代人が作った古代ゴーレム・・・これまで誰も動かせなかったロボットを魔力を持たないライガットが起動させてしまったのです。
その古代ゴーレムは、1000年以上前に建造されたもの・・・なのに、最新鋭のゴーレムが足元にも及ばないくらいの運動性能を持っていました・・・

それでも、戦争はライガットの目指す道ではない・・・と誘いを断ろうとするのですが、ホズルが降伏条件・・・ホズルやシギュンら王族に対する処刑を飲もうとする態度を見て、軍隊に入り・・・物語が動いていきます。

前置きがかなり長くなってしまいました^^;
でもこの作品は、物語の設定を理解しないと物語の進行から置いていかれてしまう感じがありました。
正直、私がその状態に陥っています^^;

ロボットが同じような色と形なのでパッと見で敵味方の区別がつけにくい・・・
たくさんの登場人物が出てくるので、誰がどこの所属なのかがひと握りの主要キャラ以外は分からないし、キャラの名前を覚えるようとすると、更に難易度が上がります。
その上、○○部隊とか、○○団とか色々分かれているのも頭を混乱させる要因でした^^;

でも、物語の大きな幹の部分・・・ここは面白いんですよね^^
クリシュナ側からの視点が中心だったので、ライガット、ホズル、シギュンといった旧友や物語の中盤から登場するクレオといった主要メンバーの人となりはしっかり表現されています。

そして、肝心のロボットですが・・・ライガットの搭乗する古代ゴーレムの運動性能が半端ないのは早々に理解できます・・・ライガットの操縦技術が伴っていないのが苦しいところですけれど^^;
バトルシーンも迫力があって良かったと思います。

でも、あとのロボット・・・主要搭乗人物と○○将軍が乗っていたロボットは印象にあるのですが・・・
その他のロボットの多くはマントを被ってるんですよね・・・^^;
機体から運動性能を敵に察知されるのを防ぐため・・・?
手にしている武器を隠すため・・・?
ロボットにマント・・・この組み合わせがアンマッチだったように感じたのは私だけでしょうか・・・^^;?

物語を完走して一番印象に残ったのは・・・シギュンとクレオのやり取りだったかもしれません^^;
この二人のやり取りは好きでしたね・・・最初は仕方ありませんが、時間と空間がお互いの距離を少しずつ縮めていくのがしっかり表現されていたと思います。

一番気になったのは、ライガット、シギュン、ホズルの関係です。
ホズルとシギュンや王と王妃・・・けれど、???という場面がいくつもあったように思います。

そして、一番ビックリしたのが終わり方だったと思います。
まさか、あの場面がエンディングとは想像すらしていませんでした^^;
物語の展開上、あの切り方しかなかったのでしょうか・・・?

1クール12話の作品・・・色々と難しい作品でしたが、気になる点も残っています。
劇場版を視聴したら解消されるのでしょうか・・・?
それとも一部原作の連載が継続されているようなので、それで解消されるのかな・・・?
まずは時間を作って劇場版からトライしてみたいと思います^^

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
ネタバレ

とろろ418 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

魅力半減? いや、それ以上かも

【1話感想】
{netabare}
  私の現在に至るまで。
  ≪劇場版見たいなぁ→でもやっぱり先に原作読もう→中々良い感じ→あれ?アニメやってる→とりあえず1話見ようかな→さてどうしよう?(今ここ)≫
  劇場版未視聴、原作途中まで、アニメ1話だけ、という中途半端な状況にありとても困っています。
  一応『完全新作』らしいので、オリジナルストーリーもあるかもしれないとふんで、とりあえず読んでるところまでは見る予定です。

  内容については、現状はテンプレ展開。
  ただ、面白いことは確かなので、テンプレより王道と呼ぶべきかもしれません。飽くまで現状は。
  ネタバレになるとアレなので多くは触れませんが、実は作品として大分重量感があるんですよね。
  なので割と人を選びます。
  (『戦闘のカッコ良さ』とか『魅力的な女性陣』とかである程度は緩和できるかもしれませんけど、
  やはり『重い話』が苦手な人は駄目かもしれません)
  逆に言うと好きな人は好きになると思うので、上記のワードが気になる方は一度見てみると良いと思います。
{/netabare}
------------------------------------------------------------
【視聴後】
  これは……ダメとしか言いようがないですね。
  と言うのも、ストーリーではなく、あらすじをそのまま映像化した状態に極めて近いです。
  原作厨と言われても構いません。原作読んでください。
  理由は以下に。

  まず驚くべきはシーンカットの嵐。
  普通は2クールでコミック9巻相当の映像化となるのですが、これ1クールで9巻分になってます。
  つまり原作の半分近くはカットされているということです。
  (アクションシーンが多い作品なので、多めに消費されるとしても……ね)
  ではどこがカットされているか。
  主にキャラ周りです。キャラ付け描写とか心理描写とか行動理由の説明とか。
  ここがカットされているわけですから、キャラの魅力は損なわれているし、その上意味不明な行動を起こしているように見えてしまっています。
  
  次にアニメオリジナル展開。
  正直、原作読んでないのでは? と思うほどに色々と崩壊してます。
  こちらも顕著なのはキャラなんですけど、まあこの際置いておくとしましょう。
  私が一番突っ込みたいのは、ED後の台詞。
  「そのまんま、ライガットで」
  これは、あの重要なキャラがあの重要な行動をしてこそ深みを持つ台詞でしょうに。
  何をしたかったのかがわかりませんでした。
  小耳にはさんだ裏話→{netabare}一応原作者さんが監修されているようですが、監修って実は名前貸しだけだったり、
  出来上がったものをチェックするだけだったりと、実際にはほとんど関与しない(できない)らしいです。{/netabare}

  まあ作品の雰囲気を知るにはいいかもしれませんが、ブレイクブレイドをきちんと楽しみたいなら、原作をどうぞ。
  因みに原作基準の評価なら☆4~4.5付けます。
(2014.6.24)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

53.7 10 国王で友情なアニメランキング10位
エンドライド(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★☆☆ 2.8 (151)
666人が棚に入れました
エンドラと呼ばれる地球の裏側の世界を舞台にしたファンタジー。前向きで明るい普通の中学生・浅永瞬が不思議な水晶の力でエンドラへと迷い込み、エンドラの王子・エミリオと出会ったことから物語は動き出す。

声優・キャラクター
小野賢章、増田俊樹、美山加恋、大橋彩香、高橋広樹、鳥海浩輔、伊藤静、内田雄馬

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「思い」の詰まった物語…だったと思います。

この作品はオリジナルアニメだったみたいです。レビューを書くためwikiをチラ見するまで全く知りませんでしたが、初めは何となく視聴を初めて…ヒロインのアリシアの可愛らしさに惹かれて…しばらく視聴していくうちに伊藤静さん、悠木さんも出演されて…振り返ってみると視聴して良かったと思える作品でした。

この物語の主人公は中学3年生の浅永 瞬…両親との3人暮らしで仲の良いごくありふれた家庭で彼は育ってきました。
父親の誕生日を家族で祝うため父親の経営している会社に瞬は迎えにいくのですが、社長室に保管されていた石に触れた途端、全く見覚えのない場所に飛ばされてしまったのです。

そこは暗い洞窟の中の様な場所だったのですが、その中の牢獄に一人の若者が幽閉されていたのです。
その若者の名はエミリオ…この物語のもう一人の主人公でした。
エミリオは投獄されるに値する十分な悪意…現王を憎み復讐するという明確な意志を持っていたのです。
こうして波乱に満ちた幕が上がり…物語が動いていきます。

瞬がエミリオと出会った場所はエンドラという地球の内側に広がる世界でした。
瞬はエンドラで様々な人々と出会います。
エミリオの幼馴染であるヒロインのアリシア…
エミリオの教育係で研究者のパスカル…
革命軍「イグナーツ」を率いるデメトリオとそのメンバーたち…

でも一番びっくりしたのは「ズー族」の存在…
なぜなら彼らにはエンドラの動物の血が混ざっている事が一目で分かる容姿…
確かにパッと見は怖いイメージもあるのですが、実際に話をするとそんな悪いイメージは簡単に払拭できるくらい義と忠に熱い民族でした。

それなのに「ズー族」だからといって蔑められ、過酷な重労働を強いられてきました。
同じエンドラで生きる民なんです…
確かに見た目の違いはありますが、それは彼らに辛く当たる理由にはなりません。
だからこそデメトリオらイグナーツが立ち上がった訳ですが…

でも、地球の裏側に別世界が広がっている…という設定はとても面白いと思います。
昔から「北極には地底に繋がる穴がある」「ナチス・ドイツは地球空洞説を信じていた」
などという話題がありましたから…

中でも個人的に興味を持ったのはアメリカ海軍のリチャード・バード少尉のお話です。
彼は地底の世界で眼下に広がるジャングルを見ただけでなく、写真まで撮ってきていたんです。
その写真には「のどかな田舎の風景」と記されていました。
この世界観…正にこの作品とマッチしているんですよね。

実際に地底に別世界が広がっているかは分かりません。
でも存在の可能性を物語に活かす点が普通のファンタジー作品とは一線を画していて面白いと思いました。

一方で物語の方は結構シビアな展開の連続です。
「復習」「革命」といったキーワードが浮上する時点で決して穏やかではないのですが…
とにかくたくさんの「思い」の溢れている作品でした。
本懐を遂げる事のできた思い…
行き場と一緒に失って…後から想像する事しか出来なかった思い…
本当の事が言えなかった思い…

今は仮初めの状態…でもそれが悪いだけでは無いと思います。
真実を追い求める事だけが幸せじゃない…
だって思いを伝えたら仮初めの状態が終わってしまうかもしれないのだから…
終焉をみんなが望んでいる訳ではないのです…
たくさんの思い…気になる方は是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、LUNA SEAさんの「Limit」
エンディングテーマは、藤巻亮太さんの「go my way」と中村一義さんの「世界は変わる」
クロムクロでGLAYが出てきた時にはビックリでしたが、正直LUNA SEAの方がよりビックリでした。
確か解散したんじゃ…と思って調べてみたら、2010年から活動を再開させていたんですね。

2クール計24話の作品でした。しっかり腰を据えた物語の構成は良かったと思いますし、終わり方も個人的には好きでした。
レビューではもう少しアリシアの可愛らしさについて触れようと思っていましたが、結局殆ど触れず終いになってしまいました。アリシアのCVは美山加恋さん…この作品がアニメ声優初挑戦との事でしたが、「ももへの手紙」の主人公である宮浦ももを演じられていたみたいですね。
「ももへの手紙」は未視聴の作品なので、今後視聴するのが楽しみになりました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今春、俺だけのアニメ候補になりそう。(俺も見ないアニメになりそう

あんまり評判よくないですね。
コメントありのレビューも数件しかないし。

バトルシーンがあっても盛り上がらないし、
動くと絵柄が微妙な感じになるのはなんでだろうか。

話しとしては、まだ2話までしか見てないからわかりませんが、
子供のころに読んだ神話であるとか冒険話に近い雰囲気で、
無理のないストーリーになりそうです(おもしろいとは言っていない)

地上で暮らす人がエンドラと呼ばれる地下の世界に紛れ込んでしまい、
その地下世界こそが神々の住む場所だった~。

神界が天空じゃなくて地下なのは、
今後の何かにつながりそうですね。

神様もそれなりの地位のある神になると、自身の体内から
家宝具とよばれるアイテムを取り出して使えることがあります。
(誰でももっているわけではない)

主人公は人間なのに偶然からでも家宝具を扱えるようになりますが、
生まれからして何か秘密が隠されているのかもしれません。
(実は王家につながる神様の子だったとか)

とまぁ、想像だけで書いていても、なぜかほとんど正解に
なりそうな恐ろしさを感じるのでやめますが
見ようと思えば見られる話しなのは間違いないです。
ただ、年齢対象が限られるっぽいのかな。

個人的な感想としては、よくしゃべるタイプの主人公なんで
そこをもう少し押さえてほしいですね。
ちょっとうるさい。

テイルズオブジアビスのルークもそうですが、一昔前の主人公って
うるさいくらいに怒鳴って会話するのが当たり前なところがあって、
喜怒哀楽がオーバーなキャラが多かった気がするのはなぜだろうか。

以下ネタバレで

4話まで~ 無計画すぎる王子様に付き合わされる主人公が不憫すぎる
{netabare}
王子の身分ながら現国王を襲って切りつけてお尋ね者になってしまってエミリオと、
そのエミリオの脱獄を手伝って以来、逃避行に付き合わされる瞬。
とりあえず幼少のころに勉学を教えてくれた元宮廷博士のもとにいき、そこから
反体制派の救世軍に身を寄せるところまできました。

エミリオの怒りはそれはそれとして、瞬からしたら迷惑なことだらけですよね。
何も知らずに地上からやってきて、質問に答えてくれるのがエミリオだけだった
てのはあるんでしょうけど、それでいろんな敵に追われて戦って、ほめられるどころか
罵られてバカ扱いされてと、これっぽちもいいことがないんですがw
もう別行動でいいんじゃね?という気も~。

ヒロインぽかったアリシアも置いてけぼりくらってるし、このアニメはどう転ぶのかわかりませんね。
来週にでも唐突にエミリオが王様になってても驚きませんw

基本、エミリオは無策。逃亡者の身だから仕方ないのかもだけど、その割りに悲壮感ないし
毒づくだけで建設的な試みがひとつもないし、見ていて盛り上がれるところがないなぁ~。

てか、エミリオと瞬がいつまでたっても仲が悪くてケンカばかりしてますからね。
それもわめく系。
これでは会話もおもしろくならないし、どこが見所なのかな。
夕方放送なので少年向けなのかもですが、うーん。

反乱軍として活躍しはじめるまでの我慢?とは思っても、そろそろ限界かもw
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

ろれ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

序盤で切った人もったいない

内容は王道ファンタジーもので、昔休日の朝にやってたアニメみたいな雰囲気があります。
エロもないし萌えも適度なので普通に朝でも大丈夫な内容だと思います。

で、私はというと剣や魔法で戦うといったファンタジーものはマジで嫌いなんですけど、OPがLUNA SEAだったので見ました。
今の若いオタクはLUNA SEA知らないかな?

2000年末に一度終幕したんですけど、2007年に一夜限りで復活して、2010年ごろに完全復活したバンドで今ではちょいちょいライブやってます。

2000年末の終幕ライブは東京ドーム2daysだったのでµ'sがよく比較されてましたね。(他にも共通点が多々あり、「µ's=LUNA SEA説」も浮上したほど)
07年の一夜限りも東京ドーム。
10年は東京ドーム3daysで3日目はチケ代無料。
そのあとは武道館6daysなんかもやってます。
ここまで書けばいかに化け物バンドかがわかるでしょう。

ちなみに今年はたまアリ2daysです。
本編でもライブの告知がされてましたね。


やっとここから感想やら書きます。
序盤はクソ&クソでLUNA SEAの無駄遣いだったんですけど、話数が進むにつれて面白くなり、後半から終盤、ラストにかけては結構な盛り上がりを魅せます。

なんといっても最終話がよかったです。
個人的にああいう終わり方には弱いです。

このアニメに関しては途中で切った人のレビューはあまり参考にしないほうがいいかもしれない...。

と言っても超絶めちゃくちゃ面白いというわけでもないので単純に「個人的に好き」という意味で評価が高いだけです。

お、「OPの歌が下手」と言ってる人が。
確かにOPの「Limit」はLUNA SEAにしてはキーが高いので張り上げた感じになってるからそう思うのも仕方ないかな。
というかRYUICHIの声、歌い方自体好き嫌いがわかれるのでなんも言えねぇな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7
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