2024年度の切ないおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2024年度の切ない成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月06日の時点で一番の2024年度の切ないおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.1 1 2024年度の切ないアニメランキング1位
負けヒロインが多すぎる!(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (264)
698人が棚に入れました
第15回 小学館ライトノベル大賞《ガガガ賞》受賞作、待望のTVアニメ化!想い人の恋人の座を勝ち取れなかった女の子——「負けヒロイン」。食いしん坊な幼なじみ系ヒロイン・八奈見杏菜。元気いっぱいのスポーツ系ヒロイン・焼塩檸檬。人見知りの小動物系ヒロイン・小鞠知花。ちょっと残念な負けヒロイン——マケインたちに絡まれる、新感覚・はちゃめちゃ敗走系青春ストーリーがここに幕を開ける!負けて輝け、マケインたち!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

11話 小鞠をいじめる話が不快。温水に全く感情移入できず

1話 作画や背景がかなりハイレベル。ハーレムの様でハーレムでない感じ?

{netabare} まず、面白いのはとても面白いと思います。ラブコメのコメディ要素が60~70%くらいありそうなハーレムもの…なんでしょうか?他の男に未練があるなら、そこがハーレムの様でハーレムではないということにもなりそうです。

 この調整ですよね。あまり他の男に未練がありすぎると結構つらい立場になるし、あまり女子がチョロいのも面白くないと思います。ある程度NTR感を残しつつも、可能性を感じるくらい?

 メインヒロインが他の男が好きって「とらドラ」とかありますが見ている方はやきもきした記憶があるので、緊張感とコメディのバランスが上手く取れれば面白くなりそうです。NTRとかあるとストレスでしょうけど、雰囲気的にはかなりマイルドなのでしょう。

 ちょっと発想を変えると女子が見たらどう感じるのだろう?という気はします。リアリティがあって身につまされるのか「そんな女子いねーよ」となるのか。その辺の人間模様の描写が見どころなんでしょう。

 キービジュアルで3人の少女が出てますが、この3人が負けヒロインで妹を含むののかどうか、くらいでしょうか。そうそうあのドジっ娘?先生はどうなるの?先生含めばちょっと大人な感じのエピソードも入れられて面白くなりそうですけど。

 しかし、作画がいいですね。キャラの作画がハイレベルだし、なにより背景美術がすごくいいです。一時期、気が抜けたような背景の作品が結構増えてましたけど、今季は背景が良い作品が増えました。その中でもかなりいい方だと思います。

 構図も小物ももちろんレベルが高いです。弁当のシーンなど気が抜けた画面作りだと退屈なシーンになりそうですけど、絵だけで結構見れるレベルだし演出もテンポも良かったです。

 なお作品名が出ると検索する癖があるのですが「君は無邪気な闇の女王」という作品は実在しませんでした。「君は淫らな僕の女王(横槍メンゴ氏)」と「君は無邪気な夜の希望(ブルアカ?)」というのはあるようですけど。オリジナルはもちろん「月は無邪気な夜の女王(ハインライン)」ですね。{/netabare}



2話 1クール完走は楽勝でしょうね。メチャメチャなコメディですけど、結構心が痛い。

{netabare} 随分印象的なOPですが、クレジットで「スタッフ名(A1picture)」という表示になっていましたけど、普通そうでしたっけ?品質保証?差別化?

 内容です。体育倉庫に鍵をかける前に中確認しますよね?だって、掃除当番だったんでしょ?そして冷却スプレープレイとは…熱中症のときに冷やす場所を間違えているし、万が一ああいう場面になったらマリモ入りでも飲むべきでしょう。けど、何でマリモがいるの?そもそも熱中症の症状ってあんな感じでしたっけ?(一応、せん妄も熱中症の症状らしいですけど…)

 あんこサンデー×2プラスハンバーグで、1000円くらいだった?サイゼとかだとそれで行けるのかな?
 あと、駅でつないできた妹の手ですけど、ちょっと大きすぎな気が…だまされたと思いましたが、意図的な誤誘導というよりCGの関係?

 保健の先生のひそかな楽しみを含めて、そういうノリの作品だということですね。突っ込みどころが満載のドタバタですけど面白いのは確かです。1クール楽勝で楽しめそうですね。

 かなりコメディ要素強めですが、ちょっとだけシリアスシーンがありますが…ちょっと心が痛いです。そのシリアスの要素が1クールのシリーズ構成でラストにあるのかどうか…真面目にやりすぎるときついなあ、とは思います。{/netabare}


3話 日焼け表現が素晴らしい。小鞠ちゃんの結論は痛すぎて見たくないなあ。

{netabare} 部活のユニフォームとは違う形の水着を着て、白い日焼けしていない肌を見せつけるキャラと言えば「長瀞さん」が印象的でしたが、結構それに肉薄する素晴らしい作画とキャラデザでした。作画大変そうですけど衣装の模様と考えればそうでもないのでしょうか。その割にこの表現使っているアニメは結構少ない気がします。

 一方今回初めて違和感を覚えたのが制服のリボンなんですけど、何で四連装なんでしたっけ?小鞠ちゃん回で、彼女のリボンのカラーリングがカラフルなので非常に目立ちました。謎制服NO1かもしれません。

 もう1つ、どこがおいしい水道かの談義は何かの伏線なんでしょうか?真面目に追ってないとダメ?なお、朝の水道管にたまった塩素は蒸発せずかえって濃度が高まりカルキ臭がきつくなります。健康のためにも水が冷たくなるまで出し切ってから飲みましょう、と昔何かで読んだ記憶があります。

 で、今回のメインの小鞠ちゃんですが、まあ、性格的にはデフォルメされていますが、見覚えがある性格の子ですよね。もちろん自分自身のことですが多かれ少なかれ非モテ時代があれば、ああいうひねくれた感じにはなるものです。それだけに感情も乗っかりやすく、今回のラストは来週見たくねー、と思う程度には感情に来ました。

 そして赤飯は伏線?妹が文芸部と絡みだすのでしょうか?

 冷静に考えると、話としてはテンプレなんですけどね。演出なのかエピソードなのかキャラなのか。その総合力なんでしょうけど、妙に面白い作品ですよね。昔のラノベを素直にアップデートさせた感じがいいのでしょうか?{/netabare}


4話 忘れていた痛みの感情を思い出す話でした。

{netabare} 恋愛は辛くて痛いのはわかっていても、ティーンのころの恋愛中心主義の時代に振られる痛みを思い出すのは嫌なものです。ただ、このころの辛い経験があると人生が楽になるので頑張りましょう。

 という感想が出るくらい痛い回でしたね。しかし、です。ここで騙されてはいけません。この主人公は負け組でしょうか?原作者がサディストで徹底的にこの主人公を痛めつけたいなら別ですけど、今の時点で3人の女性の友達ができたわけです。彼には無限の可能性があります。

 この感じゼロ年代初期のラノベでは良く見られた展開だと思いますが、最近とんと見なくなった痛みです。「俺ガイル」なんかは確かに痛みはありましたが、結局は比企谷は誰からも振られてませんからね。

 その意味で非常に珍しい展開で、面白いというより自分の昔どこかに忘れた感情がよみがえってくるような痛みが新鮮でした。{/netabare}


5話 ドタバタ劇で終わるのかな?面白いですが、何かの視点が欲しい気もします。

{netabare} 相変わらず面白いです。登場人物が多すぎる気もしますが、まだ消化できていると思います。
 そうめんは笑いますけどね。ただ、給料の現物支給は違法です。賞与ならいいですけど。勝ち組にも心配はある、ということで、その視点は面白かったと思います。

 で、この作品こういう面白ポイントを上げてゆくこともできるし、4話の痛みはかなり良かったと思います。思いますが、キャラが多すぎて焦点が絞れていない気もします。
 中心にいる温水がいろんな娘のガス抜きというかよりどころになる感じになるのかな、と思ったらそうでもないですし。杏菜1本に絞られるのでしょうか。

 ちょっとその辺、視点をどこにもっていけばいいのかそろそろ提示してほしい気もします。こういうドタバタも悪くないですけど、それだと見終わって「ああ、面白かった」で終わってしまう気もします。{/netabare}


6話 話が強引すぎる気がします。レモンの「負けヒロイン」の辛さが弱いかも。

{netabare} 単なる中だるみならいいのですが、もうネタ切れなのか引き延ばしに入ったのかわかりませんけど、結構面白さが弱くなった気がします。キャラの奇異な言動は面白いとは思いますし、特に杏菜の面白さはわかりますがもう6話です。少し工夫が欲しいなあ。

 それとさすがにちょっと「レモンと一緒にいる理由」が「恋愛相談」なのは強引だし、理由が弱すぎる気がします。その時の「レモンの辛さ」が見えてこないので「負けヒロイン」感が弱いし、5話6話全体がちょっと茶番というか無駄に見えてしまいました。これで7話も引っ張るんですよね?4話までちゃんとそれぞれのキャラにあった「痛み」が全然伝わってきません。

 出落ちとは言いません。4話まではかなり面白かったですし、5・6話もそれなりには面白いです。ですが、何かパワーダウン感を感じました。{/netabare}


7話 普通過ぎるくらい普通の話で、負けヒロインを笑えない。

{netabare} うーん、こんなに普通の話を延々と3話見せられても…という気がしなくはないです。正直、内容そのものは陳腐すぎるくらい陳腐です。しかもキャラで魅せる話だっただけに、この真面目路線にはいるとキャラの独自の魅力が薄まるんですよね。

 失恋というその時の当事者にとっては最高の痛みであっても、振り返ってみれば滑稽だし、何も見えていなかったことに気づく、みたいなものを4話までは視点として楽しんでいたんですけど、これじゃあ、普通の…普通過ぎるラブコメです。そしてこの話で笑えないと意味がない気がします。ラストの八奈見のセリフが唯一の救いだったかな。

 恐らくこれを続けていると、皆善人になってセリフで心情を語って話が立ち行かなくなるでしょう。結果として無理な事件とか新キャラだよりになりそうです。ラノベの1巻の出来だけ良くて…のパターンの気がします。

 右肩下がりが急角度です。8話で判断ですかね。{/netabare}


8話 八奈見が上手く使えてないかも。7話からは持ち直したかな。

{netabare} シリアスにするのは正直言えば簡単です。人を泣かせる技法は確立しているので、それをテンプレでやるのは本当にやめてほしい。3話も使って。

 今回のようにコメディをキチンとやって、その中に痛みをどう入れてゆくかが大事だと思います。その意味で今回は持ち直した気がします。
 ただし、妹や八奈見が上手く使えていない、少しハーレム展開の匂いがしなくはない、負けヒロインの意味が希薄になった、という気がしました。そういうところで1~4話のレベルは維持できていないかな。

 ただ、3人の負けヒロインにこだわりすぎてしまうと、作劇が難しいなら新キャラだよりでもいいでしょう。生徒会VSがテンプレにならないことを祈ります。平凡なドタバタラノベ感が出てきているので、持ち直してほしい。{/netabare}


9話 普通のいい話など期待していません。新キャラがどうなるかですけど…

{netabare} 普通のいい話などこの作品に期待してません。痛くて恥ずかしくて本音で、それでいて面白いストーリーかなと思っていたんですけど。そしてコマリの物語はあまりにありきたりで、主人公の対応はいい人すぎます。痛みのリアリティからどんどん乖離している気がします。

 うーん…どうしましょうね?9話まで見ましたが結構評価は低くなっています。いったん切りましょうかね?ただ、新キャラがいるからなあ…ただ、さや当て的な何かで終わる気もするので、やっぱり最後まで確認しようかなあ。

 ボーダーギリギリではあります。{/netabare}


10話 心の痛みに泣きながらも笑い飛ばすようなものを期待したのですが…

{netabare} コマリの話って4話で終わったんじゃなかったんだ…コマリを文化祭でまた使っているので何かと思いましたが…うーん…まあ、人気作なので私一人くらい低評価にしてもいいでしょう。4話までだったらかなりの秀作だったと思います。

 そうそう、演出の面白さとコミカルな部分の出来は良かったと思います。それがあるから痛みが相対化されて、泣きながらも笑い飛ばせる話かなと思っていたんですけど、そこが分離しちゃった感じですね。今は感動ものとコメディが並行しているだけです。
 1話のヤナミのストローのシーンからの流れが傑作だっただけに、そこが頂点でしたね。普通の感動ものを見たいわけじゃないし、その点で言えば単純すぎます。

 低評価というほど低評価はつかないですけど、4話までなら78点。5~7話が35点、8~9話が60点、10話が40点という感じです。一応最後まで見ますが、暫定ではトータルで60点を切るくらいかなと思います。終わったら総評を書くかもしれません。{/netabare}


11話 小鞠をいじめて話を作っている感じが不快。中断にします。

 さすがに最後まで見るかなと思ってたら、今回の話はちょっとひどいですね。もし、小鞠が極端な人見知りというなら頑張って部長をしようとしている小鞠に対して温水はひどすぎます。動物園のセリフも部長会も。高校生なら失敗を引き受ける覚悟も必要ですし、その覚悟を聞いた以上は余計なお世話というか人間としてどうよという気がしました。それに症状的には吃音ですし…

 なんか、8話以降小鞠をいじめて話を作っている姿勢が負けヒロインというよりは、精神的に苦しんでいる子を弄んでいるだけに見えてきました。興味があったテーマとはかけ離れた感じです。

 それと負けヒロイン達の心理状態にあるのは「心の隙間あるいは傷」です。作品の構造上結果的にそこに付け込まざるを得ない、温水=原作者はそれを自覚しているかどうかだと思うのですが、そこが無自覚なのがちょっとなあという気がします。負けヒロインとの恋愛は偽の恋愛にならざるを得ないということですね。

 で、挙句の果てに非常階段のシーンですか。うーん…音楽とエモいモノローグ盛り上げてますけど…そのまとめ方はメチャクチャじゃない?一番重要なのは小鞠は感情的にそうなる?その心の動きは自然なの?温水の行動はそれだけで許せるの?

 これ以上、文句を言いながら見ても仕方ないので中断扱いにします。温水にまったく感情移入も出来ないので、キャラの評価をかなり落とします。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

マケインで 光輝け 豊橋市

恋愛ラブコメでメインヒロインに敗北する“負けヒロイン(マケイン)”を題材にした、
同名ライトノベル(未読)の連続アニメ化作品(全12話)

【物語 4.0点】
原作者の雨森 たきび氏は中々、異色の経歴のラノベ作家。
大学時代、ラノベ新人賞に数回応募するも1次選考敗退……。
その後、事務職に就職し、執筆活動からは離れていたが、
40代前半に入り、仕事にも余裕が出てきて。
体力や頭の回転があるうちに「今できることをやりたい」と、
応募再挑戦した内の一作である本原作で受賞してデビュー。
そして今回のアニメ化に至る(※1)

しばしば“ロスジェネ”と揶揄されたりもするこの世代。
敗北、喪失の経験と取り扱いならお手の物。
何者にもなれなかったと自嘲する声が多いのも同世代の特徴ですが。
この原作者エピソードを見ると、40代から大谷翔平選手を目指すのは流石に無理にしても、
敗北も含めた、これまでの人生を伏線にして、挑戦や再起を志せば、
何某かにはなれるのだなと考えさせられます。

本作は作者が数年前アニメで見かけた青髪の“負けヒロイン”が、
恋愛に負け続けながらも、自分の気持ちに向き合いながら、もがく姿に感動したことから着想を得ているとのことで(※2)

本作には青髪の八奈見さんを始め三人のメイン“マケイン”が登場しますが、
それぞれ三者三様の身の処し方、想いの伝え方で玉砕する見事な負けっぷりで、
心を揺さぶって来ます。

この“マケイン”たち、心残りがないように自分の想いを吐き出しているからか、
恋愛に負けても、経験をいかに糧にできるかという人生においては、
むしろ勝ってるのではと感じます。
逆に恋愛の勝者であるはずの一部“勝ちヒロイン”の方が、
刹那の恋愛勝ちポジションを失う不安を抱えて、思い詰めている感すらあります。

人生では負けより価値がない不戦敗ばかりの自分が言うのもおこがましいですが(苦笑)
原作者の来歴含めて、瞬間負けて強くなった人間こそが人生では勝つという教訓を意識させられたラブコメ作品でした。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

舞台となった作者出身地の愛知県・豊橋市。
現在私が暮らす名古屋から日帰り出来るということで、
この夏、聖地巡礼に行って参りました。
(近いと言っても片道80キロはあります。
返す返す尾張と三河を同県にしたのって、まぁまぁ酔狂な廃藩置県です)

尾張・名古屋城、西三河・岡崎城などに比べて、
インバウンドまで見込める観光資源には乏しい印象だった東三河・豊橋市。
一応、豊橋にも吉田城の櫓くらいは残っていますが、観光地としては正直……。

それだけに路面を走るヤマサちくわのラッピング電車や、パン生菓子のボン.千賀など、
日常風景から魅力的な舞台を切り取って来るロケハンと、
それらを再現する背景美術の仕事には感銘を受け、
気が付けば、この夏もクソ暑かったのに自然と豊橋に足が向いていました。

作中でも巡礼でも特に心に残ったのは、主人公たち高校生の登下校シーンの舞台。
リアルでは愛知大学前駅のホーム。
キャンパスの森をバックにした通学シーンは最高に絵になります。


これらの舞台で躍動するキャラクターの作画も、
通常ワンパターンの影の付け方しかない所、場面に合わせて複数パターン使い分けて心情表現。

さらには、プロップデザイン担当者に「料理作監」を特命し描き込み、食いしん坊の八奈見さんの演出をサポート。

そして第九話。サブの勝ちヒロインのために特設された“姫宮華恋バストコーディネーター”による狂気のプルプル感w

作画コスト度返しで、クオリティを追求するこだわりが半端なかったです。


主人公たちが通う“県立時習館高校”の女子制服。
襟から縦に4つ連なったリボンも、キャラ個性出しに寄与していました。
メインの“マケイン”たちばかりでなく、
バックのモブの女生徒に至るまで一人ひとりちゃんとリボンカラーが異なっている辺りが、本作の妥協なき所。
この作品“マケイン”だけでなくモブキャラも輝いていました。

本作が初監督だという北村 翔太郎氏。今後の活動に注目です。


【キャラ 4.5点】
青髪の“プロ”幼馴染・八奈見杏菜。
褐色ショートヘアの陸上部・焼塩檸檬。
片目が隠れた小心文芸部の小鞠知花。

ビジュアルからして既に「戦う前から負けている」w“マケイン”たち。
焼塩檸檬に至っては名前からして、
平安貴族が藻塩焼いて袖を濡らす失恋歌でも詠みそうな凄まじい“マケイン”名。
私も思わずレビュタイ五七五にしちゃいましたがw


この夏アニメはラブコメが渋滞気味で、
本作も実は初回視聴は後回しになっていた私。

目が覚めたのが、初回放送後ネット界隈で出回った、
校舎屋上にて、やまさチクワをくわえる“マケイン” 八奈見さんの衝撃カット。

令和時代に獅志丸(『忍者ハットリくん』の伊賀忍犬。古くてスイマセンw)以来のちくわキャラ爆誕か!?
と色めき立ち視聴しだした次第。
(実際には、八奈見さん、ちくわ喰ってたの初回だけでしたが)

食いしん坊の八奈見さんが、お弁当などを持参して、
主人公男子の温水くんへの借りを返済していくネタも、
視聴動機を持続させる“連載ネタ”として有効でしたね。


“連載ネタ”と言えば、小鞠と温水の水道水談義。
私も小学生の頃、あの洗面台は端っこの上向き蛇口が一番冷えていて旨いと蛇口による味の違いを知る人間であった栄華?を思い出し懐かしくなりましたがw
流石に、時間帯や階層まで計算に入れて水分補給はしていませんでしたw

公式HPも“八奈見杏奈カロリーメーター”や“マケイン水道探索”を随時更新するなど、ノリノリでしたねw


温水くんと“マケイン”たちの今後については、
“正妻感”は圧倒的に八奈見さんで、肉体的に濃厚接触していたのは{netabare} 用具室の汗だく{/netabare} 檸檬ですが。
掛け合いに将来の夫婦感出ていたのは小鞠だった印象。
小鞠ちゃんの温水に対してだけ毒舌が先鋭化する姿はある意味アットホームでしたし。

ですが、これは結婚相手ではなく、1年以内に7割破局するという高校生カップル(なんて世知辛い初回冒頭ナレだw)
に至るかどうかの論点なんですよね。

やっぱり八奈見さん?と思い直しつつ、
もういっそ妹の佳樹に甘えて、お友だちいないんですねと憐れまれるモラトリアムに逃げ込みたい心境もw


【声優 4.0点】
八奈見杏菜役の遠野 ひかるさん、焼塩檸檬役の若山 詩音さん、
小鞠知花役の寺澤 百花さん。

“マケイン”たちの三者三様のボイスは目を瞑っていても判別できるレベルでキャラ立ち良好。

その中でも特に寺澤さんの陰キャ演技に感心させられました。
アニメ観ていると、相当、声を張り上げる元気キャラでも、セリフが聞き取れないシーンがあったりしますが、
小鞠の声に関しては、ボソボソ濁声でありながら、つぶやき一つに至るまで明瞭に聞き取れたのが凄いと思いました。

これは音響の調整による所も大きいのかもしれませんが。
寺澤 百花さん。昨年初レギュラーの新人ながら、中々侮れない声優さんです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は、うたたね 歌菜氏。
基本は多彩な音で会話劇を下支えするミニマル・ミュージックに徹する。
が、ピアノやストリングスのアレンジが盛られた際は、
宮廷ファンタジーBGM並みに優雅かつ繊細で、
いつの間にかキャラ心情を視聴者のハートに注入されている油断ならないお仕事ぶり。

が、“BGM”として何より優秀だと感じたのが蝉の声などのSE。
夏は前半で終わってしまう本作ですが、
私の中では巡礼も相まって、青空が眩しい夏アニメとして記憶されるのだと思います。

OP主題歌は、ぼっちぼろまる「つよがるガール feat. もっさ(ネクライトーキー)」
冒頭から“負け”を連発し、遊んでいると思わせておいて、
歌詞世界では負けて強くなる“マケイン”の本懐を捉える良作アニソン♪

ED主題歌。
八奈見杏菜「LOVE2000」(hitomi)
焼塩檸檬「CRAZY FOR YOU」(Kylee)
小鞠知花「feel my soul」(YUI)
“マケイン”たちによる平成懐メロリサイタル。

その中でも八奈見さんの「LOVE2000」のカバー。
実写の豊橋市の背景に、セルアニメ制作でキャラを重ねて、8mmフィルムで撮影処理したというED映像。
「2013年9月29日のサザエさん以来、10年9か月ぶり」だという新作セルアニメがいっそう平成ノスタルジーを醸す。


【参考文献】(※1、※2)東愛知新聞「東三河のサブカルチャー③ 豊橋出身のラノベ作家 雨森たきびさん」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

黙っていれば勝ちヒロイン!

雨森たきびによる原作小説は、『ガガガ文庫』(小学館)から刊行中(既刊8巻、原作未読)。
アニメは全12話(2024年)。監督は北村翔太郎。制作は、『冴えない彼女の育てかた』シリーズ、『ヲタクに恋は難しい』などのA-1 Pictures。
(2024.10.29 投稿)

本作は第15回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞を受賞。受賞時のタイトルは、『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』。
最終話である第12話のタイトルが受賞時のタイトルと同じなので、無事タイトル回収に成功しているものの、そんなことより『負けヒロインが多すぎる!』にタイトル変更して大成功でしたね。タイトルって大事。


【生き生きとしたキャラクター】
本作に登場する「負けヒロイン」は全部で3人(八奈見杏菜(CV.遠野ひかる)、焼塩檸檬(CV.若山詩音)、小鞠知花(CV.寺澤百花))。そして、「負けヒロイン」なので、それぞれに「勝ちヒロイン」と「好きな相手」がいて(3×2=6人)、他の主要人物は、主人公(温水和彦(CV.梅田修一朗))とその妹(温水佳樹(CV.田中美海))、担任と養護教諭。したがって、本作に登場する主要なキャラクターは計13人。

各キャラクターの性格は、誇張のあるデフォルメされたものではあるものの、これらすべてに肉付けしてキャラ立てすることは簡単なようで難しい。

なぜなら、キャラの源泉は、詰まるところ原作者という「一人の人間」だから。キャラを描き分けられるということは、それだけ自分の中に様々なキャラクターのストックがあるということ。
他人を参考にするとしても、原作者のこれまでの様々な年代、地域、職種の人たちとのコミュニケーションの経験値といえるからです。

本作の原作者は、大学時代に新人賞へ応募するも一次選考落ち。一旦は才能がないと小説家を諦め就職していたものの、40代前半に一念発起して執筆活動を再開したそう(Wikipedia「雨森たきび」参照)。

なるほど、本作に登場する生き生きとしたキャラクターたちは、原作者のこれまでの人生経験と人間観察の賜物という感じを受けました。

本作は、この主要13人の濃いキャラクターたちが織りなす基本学園恋愛コメディです(ただ、主人公とヒロインたちの恋愛・ハーレム要素がほとんどないので、今後の展開次第なところもあり(※後述))。


【黙っていれば勝ちヒロイン!】
そのキャラクターの中でも一番は、やはり八奈見杏菜でしょうか。「負けヒロイン」は、一応負けでも「ヒロイン」なので魅力はあるのだけれど、「負け」なので正ヒロインに勝てない、何か残念なところが…

「幼馴染」や「青い髪」の負けヒロイン率は高いといわれていますが、杏菜は、間違いなく「黙っていれば勝ちヒロイン!」(いわゆる「残念美人」)

クラスや学校で注目されるほどの美貌を持ち、視聴者が心配するような食いしん坊ではあるものの、一応男である温水が着れるTシャツが入らない程度には出るところが出た「1年ぶり15回目のナイスバディ」(※その言葉のセンスがさあ(笑)。そういうとこだよ、八奈見さん(笑))。

一方、第1話で「勝ちヒロイン」の放つ圧倒的な輝きに負け、好きな人を譲ってしまうほどの「お人好し」でありながら、どうしても諦めきれず、ファミレスで好きな人の恋愛相談に乗った後、その人が残していった飲みさしのストローに口をつける残念っぷり(笑)

また、口を開けば、温水に一方的に愚痴を言っては、それをまともに相手にしない温水に対して、「そういうとこだよ、温水くん」と言い放つ理不尽さ(笑)
杏菜には、利き手のスナップを利かせながら「ちょっと私の愚痴くらい聞きなさいよ。あなた、どうせ暇なんでしょう。何なら私はモテないあなたの今後の参考のために言ってるの。」、「いや、僕、君の夫でも恋人でもないし…」という両者の心の声が聞こえてきそうな「オバサン気質」を感じます(笑)

作者曰く、杏菜は「男性から見て、女性の分かりにくいところを盛り込んだキャラクター」というコンセプト通りに、作者のこれまでの人生経験が活かされたキャラだと感じました。

さらに、杏菜の声優には、『ウマ娘』で、鼻血を出してG1レースに出走できなかったという稀代の天然エピソードを持つマチカネタンホイザ役をしている遠野ひかるさん。
「実力を持ちながら上手くそれを発揮できない。でも、そこにどこか憎めない愛嬌を感じる」演技が見事にマッチ。これは本当に配役の妙。


まあ、残念な部分は人間的な魅力ともいえるので、本作は、この杏菜と気の利かない主人公である温水のやり取りが、特に人間味を感じる面白い作品だったと思いました。
また、他の二人の「負けヒロイン」の豪快な負けっぷりも「青春の1ページ」として、しっかりと描かれているので、これも見所になっています。


【温水はモブキャラから主人公キャラになれるのか?(※感想)】
{netabare}全12話を観て思ったことは、主人公である温水と、杏菜以外の負けヒロインである檸檬と知花との関係は、今後の関係の発展を感じさせたけれど…
杏奈は、「負けヒロイン」として残念な性格に設定されてしまったがゆえに人間味あふれるものの、「本作の正ヒロイン」として冷静に見たとき、恋愛対象として見れるかは結構ハードル高いのではないかということ(※温水は既に杏菜の中身を深く知ってしまったので外見からはいれない(笑))。

私が本作を観た後にちょっとひっかかっていたことがコレ。杏菜は、設定として残念な「負けヒロイン」なんだけど、本作においては「正ヒロイン」(多分)だというところ。

友達がいなかった「モブキャラ」温水くんも、負けヒロインたちと交流するうちに、他人と積極的にコミュニケーションをとったり文芸部の部長になったりと、友達も増え自分に自信を持ち始めてきたという成長を感じました。

また、杏菜も少しずつですが、そんな温水を意識し始めているようにも見えます。

でも、特に杏菜と温水については、今の「いい相棒」という関係性を大転換するような大きなイベント(※多分、ここが本作全体の評価を左右する大きな山場になりそう)でもない限り、個人的には恋愛関係に発展する未来が見えない(※無理に恋愛ものにする必要もないんですが、いずれにせよオチをどうするのか)。


さて、どうやって今までさんざん作ってきた「負けヒロイン」という杏菜のイメージを払拭して、本作の「正ヒロイン」に据えるのか。そして、温水は、ラノベの「恋愛・ハーレムもの」のモブキャラから主人公キャラになれるのか。

本作は、アニメ放送後に原作小説が重版しまくってるらしいので、おそらく2期も制作されることでしょう。なので、2期以降では、特に杏菜と温水の関係性の発展を楽しみにしたいと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

65.4 2 2024年度の切ないアニメランキング2位
道産子ギャルはなまらめんこい(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (165)
450人が棚に入れました
東京から北海道北見市の高校へ転校した四季翼は、真冬の氷点下でも生足&ミニスカな“道産子ギャル”の冬木美波に、道に迷っていたところを助けられる。 同じ高校へ通うことがわかると、美波は翼と一気にトモダチに! 距離感近めで、天真爛漫な美波に、翼のココロはドキドキしっぱなし。 でも、何も知らなかった北海道のことが、美波との毎日で、翼はどんどん好きになっていく。 やがてその気持ちは、ふたりの関係も変えていき……? なまらめんこい<とってもかわいい> ハイテンション道産子ロマンチックラブコメ開幕
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

見た目はギャルで軽そうなんだけど実は純朴

北海道北見市出身の伊科田海による原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)にて連載中(既刊12巻、原作未読)。
アニメは全12話(2024年)。『最近雇ったメイドが怪しい』と同じ監督と制作会社の組み合わせで、SILVER LINK.とBLADEの共同制作。放送はテレビ東京系列。
ちなみに、SILVER LINK.は、同時期に『佐々木とピーちゃん』も手がけており、この作品の湊未來監督が『道産子ギャル』の総監督も務めている。
非道産子の知人が「道産子」繋がりで私に勧めてくるので観始める。
(2024.3.26まとめ、3.27大石さんが頑張っていると思ったので音楽の評価を上げました(笑))

あらすじは、北見を舞台とした、東京から引っ越してきた男子高校生・四季翼(しき つばさ:CV.島崎信長)と、「道産子ギャル」の女子高校生・冬木美波(ふゆき みなみ:CV.佐倉綾音)、3話から登場するゲーム好きの清楚系美少女・秋野沙友理(あきの さゆり:CV.花守ゆみり)、6話から登場する翼の家の隣に住む和服好き優等生で高校の先輩・夏川怜奈(なつかわ れな:CV.上田麗奈)とのラブコメ。

本作のメインヒロインである美波は、ギャルだからなのか純朴だからなのか母親の影響なのか、とにかく翼に対してグイグイ行く。他のヒロインも押しが強め。

美波の魅力は、見た目はギャルで軽そうなんだけど実は純朴というギャップ萌えなところだと思う(オーイシさんもOPでそう歌ってたし…)。


本作は、タイトルに「道産子」と入っているものの、ネイティブ的には、後述するように北海道弁の再現度のクオリティは微妙。

もっとも、観光地として海外でも大人気の北海道。本作は、そのご当地紹介も兼ねていて、「誇張はある」ものの「北海道あるある」ではあるので、方言などに違和感のない非道産子にとっては、観光案内としていいかも。


【音楽】
OPのオーイシマサヨシによる「なまらめんこいギャル」(作詞・作曲・編曲:大石昌良)がキャッチー。


【本作の北海道弁に関する「一」道産子の見解】
明確な方言指導の表示はなし。一応、美波役の佐倉綾音さんと元同じ事務所の同期でクラスメイトの松尾役で出演している松岡禎丞さんが北海道帯広市出身なのですが、ほぼ出番なし…

細かいイントネーションなど全体的に北海道弁に寄せるというより、「なまら」、「したっけ」、「そだねー」(2022年冬季オリンピック・カーリング日本代表で一時期話題になったように意外と道民気づいてません(笑))、「ゴミを投げる」、「語尾の~しょ」、「よっかかる」、「見ささる(自然と見る)」といった単語のみ方言を使う感じ。
(道産子あるあるとしては、道産子は標準語を普段話している(あまり訛っていない)と思っているので、微妙な標準語と異なるイントネーションやアクセントの違い(例えば、「幼稚園」や「椅子」のアクセント)や、ふとした方言を道外でそれなに?と指摘されて気づくことがよくあります。私も思わず「そのゴミ投げて」(※「捨てて」という意味)と言ってしまい、言った相手にぽかんとされたことがあります(笑))

台本や制作側の指示通りのはずなので、声優だけのせいではないですが、ネイティブ的には、他の方も触れられている通り、方言のイントネーションや間の取り方、方言の使い方に違和感がありました。

特に「なんもなんも」は、イントネーションが違うと不自然なので、セリフとして言わされてる感が出てきてしまう(回を重ねるごとに方言が少しずつ上手くなってきたとは思いますが、初回の北海道弁を聞いて断念したという他の道産子もいたので、道民の支持は得られなさそう…。)。

もっとも、違和感があるのは日本の全人口の1割にも満たないので、方言のリアリティを追求するより人気声優の配役を重視したのかもしれません(海外の人も方言はわからないですからね)。

ただ、配役重視だとしても、本作の売りの1つは「道産子」だと思うわけです。
そうだとすると、他と差別化するためにも、ふとした瞬間の感情の吐露として方言を用いると、シチュエーション的にも素がでやすいし効果的なので、もっと方言をあざとく使うくらいで良かったんじゃないでしょうか。
確かに、そんな「なまら」連呼しない、なんならバカにしてんのかっていう話は、私も道産子なのでよくわかるのですが、どうせリアルの方言に寄せる気がないなら、そういう方向で振り切るのもわかりやすい1つの表現としてアリだと個人的には思います。
(リアリティは犠牲になりますが、あくまで創作物(フィクション)であって現実世界の切り抜き(ドキュメンタリー)ではない。例えば、8話で焼肉を食べた美波が「なまらうまいっしょ」って言ってましたが、実際にあまりいわないとしても、非道産子が求めてる方言の使い方って、おそらくこういう感じなのでしょうし。)


原作未読なので違うのかもしれませんが、原作通りのセリフなのだとしても、アニメでは漫画と違って音声が付く。
「声」という漫画にはないアニメの強みを活かすためにも、もう少し「方言」にこだわった方が良かったのではないかと思いました。


【ネタバレ有りの感想】
{netabare}全体的に登場人物の心理描写などが薄いので、どうしてその行動をしているのかについて深みが感じられず、単線的に感じました(例えば、 翼がピアノを弾けることを隠していたとか、美波がその曲が好きだったといった伏線が張られていないので、落ち込んだ美波を励ますために翼がピアノを弾くというシーン自体は素敵なのだけれど、それ以上の感動はないみたいな感じ。)

ハーレムものとはいえ、メインを張るヒロインを視聴者が好きになれるかが結構重要だったりするわけですが、上で書いたように心理描写が薄いので、翼たちが「何かに頑張っていてかっこいい」と思っていたと言われても、美波が翼を好きになっていく過程(その逆の翼が美波を好きになる過程も)がちょっと説得力足りなかった印象。

個人的には、3人のヒロインの中だと秋野沙友理が一番共感できたかなあ。


漫画原作者が同じ道産子ということで応援したい作品だったし、道産子+ギャルというキャラクター、ご当地紹介といった他の作品との差別化を図れる強み自体はあったので、もったいないなあと思いました。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

3話 ご当地ラブコメなのにキャラと映像表現の両方で駄目でした。

1話 お隣の美少女系?ご当地もの?ラブコメなら美少女作画はがんばりましょう。

{netabare} お隣の美少女系なんでしょうか?それとも街おこし?北海道あるある?主人公あるいはヒロインになにか成長課題があるのか、ないのか。

 題名がキャッチーなのでちょっと面白そうだなと思って見始めましたが、現状エロいギャルにドキドキする感じで終わっちゃうんでしょうか?

 うーん、お隣の美少女系はあまり好きじゃないカテゴリーだし、地域紹介にしては北海道の広大さとか言葉だけなんですよね。最近ラブコメのレベルが高い作品が増えてきたのでちょっと期待したんですけど。

 そして美少女ものはせめて人物の作画はがんばってほしい…女の子だけでいいから。ラブコメは主人公に感情移入するためには、視聴者もヒロインに惚れなければなりませんのでそこは重要です。
 制作はSILVER LINKかあ…異世界ものなら必要十分なレベルなんですけど、現代劇でご当地ものだとどうなんでしょう?佐々木とピーちゃんと並行で大丈夫なんでしょうか?

 数話見るかもしれません…いい方に期待はずれでありますように。{/netabare}
 

2話 ギャルであるヒロインの友達が描写されない不自然さは何かあるの?

{netabare}  話数の表示が「だい2わ」なのに気が付いて、ギャルの…というよりヒロインの知能をどう考えているのかわかります。EDの音楽も昔のギャル文化が好みそうな感じでした。その辺はステレオタイプかなという気がします。

 芋もちが出てきたときにはちょっとゲンナリしましたが、カツゲンがやたらリアルなので、ちょっと笑いました(なお1話にも出てますが気が付きませんでした)。それと焼きそば弁当ですね。EDを確認したら東洋水産、ポッカ、雪印メグミルクが協力してたので、あれ?もう1個なにがあった?と思って探したら、OPで「RIBBON NAPOLIN」という飲料がありました。どうやら北海道限定みたいですね。リボンといえばシトロンですが、こちらも現在北海道限定だそうです。

 ラブコメって、お隣の美少女系はうんざり…と思ってましたが、「高木さん」とか「グイグイ」とか「僕ヤバ」とか「インソムニア」とか、今期で言えば「ゆびさき」もそうですけど、スタートは結構、ご都合主義でスーッとやってしまう感じなんですね。もちろんそこにちゃんと説得力を持たせている作品もありますけど。
 その点では「スキップとローファー」は丁寧に描いていると思います。あと何期か前の義兄妹のやつとか学校の実験で疑似夫婦になるやつとかはかなり強引な設定で、そこから好意を持つプロセスでした。

 ですので最近流行の作劇法として、冒頭のご都合主義だけ保留して見ればいいのかなと。と、したときに本作が気になる点です。

 1つはなぜヒロインのギャルは一人でいるのか?ですね。いきなり主人公と弁当を食べはじめてビックリしました。この子は孤独なのか?と。ただ、その割にはスマホをずっといじっているので、そこは単なる描写不足?
 友達を大事にするギャルの生態としては2話時点で友人が描かれていないのは理由があるのでしょうか?友達がいないから距離感近いけど、実は友達としか思っていないということ?

 初めはヒロインの好意は東京から来た主人公への憧れで、話が聞きたいとか都会を感じたいからかと思ってましたが、その辺りの描写はないですね。

 それと主人公が引っ越してきた理由って説明ありましたっけ?イジメとか?両親が海外転勤とかいろいろあるかもしれませんけど…説明ありましたっけ?{/netabare}


3話 ご当地ラブコメなのにキャラと映像表現の両方で駄目でした。

 ヒロインは誰とも仲がいい描写はありませんでしたが、誰とでも仲がいいらしいですね。会話で言ってました。そして黒髪の美人キャラは何もがんばらないで何もできなくてコンプレックスって…それはストーリー上で説明しましょう。だって2話あったじゃないですか。
 1,2話で30秒ずつ使えば表現できたでしょう。そこはシリーズ構成で改変しましょうよ。

 それと冬の北海道のスキー場って行ったことがある人ならわかると思いますが、想像を絶する雪質です。初心者でも初級レベル、初級なら中級レベルの滑りができるくらいの凄さです。それは北海道の雪が寒すぎてほとんどくっつかない粉雪だからです。その雪の降らし方の映像表現が本土と同じな気がしました。スキー場の格好もそうですけど、北海道を本気で描く気がないのでは?と思います。

 人物の描き方と北海道の映像表現どちらも中途半端です。ご当地ラブコメとしての出来としては厳しいかな、と。これはどちらかといえばアニメ制作の問題な気がします。

 ここでやめておきます。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

東京から北海道、北見市へ 偶然出会ったギャルは同じクラスで隣の席!? 

この作品の原作は未読です。
元々、あやねるが主演を演じると知って視聴を決めた作品でしたが、ゆみりん、麗奈ちゃんボイスも堪能できるという、声優さんの起用にメッチャ美味しさを感じてしまいました^^;

北海道には旅行や出張でしか行ったことがありませんし、行ったのも道南の方だけなので、更に北の方はもっと寒さが厳しいんだろうなぁ、と思います。


東京から北海道北見市の高校へ転校した四季 翼は、
真冬の氷点下でも生足&ミニスカな“道産子ギャル”の冬木美波に、
道に迷っていたところを助けられる。
同じ高校へ通うことがわかると、美波は翼と一気にトモダチに!

距離感近めで、天真爛漫な美波に、
翼のココロはドキドキしっぱなし。
でも、何も知らなかった北海道のことが、
美波との毎日で、翼はどんどん好きになっていく。
やがてその気持ちは、ふたりの関係も変えていき……?

なまらめんこい<とってもかわいい>
ハイテンション道産子ロマンチックラブコメ開幕


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

2024年冬アニメは、兎に角あやねるボイスを聴く機会が満載だった様な気がします。
wikiをチラ見したところ、主要登場人物を演じているのは3作品なんですけどね。

さて、この作品は東京から初めて北海道に移住して来た主人公である四季 翼が、クラスメイトやご近所の方と親交を深め、キャッキャウフフな日常生活を描いた作品、と言っても過言では無いと思います。

そう…言い換えると、この作品は3人のヒロインのうち、誰を推して視聴するかで受ける印象の変わる作品と言えると思います。

3人のヒロインを公式サイトのキャラ紹介欄を踏まえて以下に記載します。

冬木美波(CV:あやねる)
翼が引っ越し初日に、道に迷っていたときに出会う道産子ギャル。16歳の高校1年生で、翼と同じ学校に通っている。
誰にも距離感近めの明るい性格だが、実は心の奥底にピュアさも秘めており、ホメられるとすぐ照れる。
ちなみに氷点下でも生足&ミニスカートがデフォ。

秋野沙友理(CV:ゆみりん)
翼や美波のクラスメイトで、南は黒髪清楚系ギャル(!?)と呼ぶ。
クールでとっつきにくいと思いきや、実はゲームが大好きな恥ずかしがり屋。
自分を変えて友達を作りたいとも思っている。
北海道育ちだが、両親が使っていないのもあって方言では話さない。

夏川怜奈(CV:麗奈ちゃん)
翼が住む家のお隣さんで、2年連続ミスコン優勝、入学してからずっと学内テスト1位という才色兼備なセンパイ。
和柄のカチューシャに扇子を持つのもトレードマーク。
歴史全般が好きで、特に和服を見ると理性が保てなくなるフェチがある。

という感じです。
3人とも可愛らしいし、彼女たちの長所が前面に押し出されているので、それぞれ違った魅力が感じられると思います。
まぁ、王道ならあやねる演じる美波ちゃんを推すべきなんでしょうけれど、ゆみりんの演じるキャラも相当にカワイイです。
序盤はそんな感じで視聴していたのですが…
中盤に登場してきた麗奈ちゃん演じる怜奈先輩は反則級の可愛らしさで、何かも色々と持っていかれてしまいました(〃ノωノ)

本来先輩の持つ奥ゆかしさと麗奈ちゃんボイスが融合するんですよ。
しかも和服姿がヤバいくらい似合っているんです。

でも、3人は可愛いだけじゃなく、自分の弱さや脆さなどをちゃんと自覚していて、それらから決して逃げずに向き合っている点…
或いは、刺激を受けて自分自身をより成長させようとする姿が見えるのも高ポイントだったと思います。

という訳で、完走して振り返ってみると、私は怜奈先輩推しだったんでしょうね。
和服フェチの発動場面だてちょいちょい見ましたが、マイナス要素が微塵も無かっただお思いますし…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニンブテーマは、オーイシマサヨシさんによる「なまらめんこいギャル」
エンディングテーマは、亜咲花さんによる「わやわやわー!」
本作品で唯一気になったと言えば、オープニングテーマに合わせたバックダンスでしょうか。
あのキレッキレのダンスには、この作品との違和感を感じずにはいられませんでしたけれど…^^;

1クール全12話の物語でした。
因みに最終回のサブタイトルは「君がいないとなまらいずい」でしたが、「いずい」は北海道ではありませんが私の地元でも使っていた方言だったので、少し懐かしさを感じました^^
総じて楽しませて貰った作品でした。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 17

67.3 3 2024年度の切ないアニメランキング3位
義妹生活(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (139)
388人が棚に入れました
高校生・浅村悠太は父・太一の再婚をきっかけに、同い年の少女・綾瀬沙季とその母・亜季子と一つ屋根の下で暮らしていくこととなる。 互いに両親の不仲と離婚を経験しているがゆえに、男女関係に慎重な価値観の二人は、義理の兄妹として適切な距離感を保とうと約束する。 「私はあなたに何も期待しないから、あなたも私に何も期待しないでほしいの」 考えを述べあい、すり合わせを重ねることで、互いを理解していく悠太と沙季。 新たな生活に居心地の良さを感じはじめた時、二人の関係はゆっくりと、しかし確実に、変化をはじめて………… これは、いつか恋に至るかもしれない物語。 “他人”が“家族”へ、そしてその先へ。 少しずつ変わりゆく日々を映す、恋愛生活物語。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

キャラ全員が同じ人みたいな印象。終わってみれば演出が不快です。

 最後まで見られたのでその点は評価してもいいかなと思います。で、評価ですが本作で気になったのは2点。演出に内容(心理)が伴っていない気がしたのと、1人の独白をずっと聞いているような印象です。特に演出については作品を正確に読み取らせようという姿勢ではなく、ミステリアスなイメージ作りでしかなく正直これはどうよ?と思います。

 あのサイコロの目というか点字みたいなサインが何だったのかも私は読みとれていませんでした。沙季は音楽を聴いている=心を閉ざしている、現国が分からない=人の心が読めないという自閉症的な感じはしたものの、それがストーリーとリンクしているだろうか、突然悠太と同じアルバイトに面接に行ったり髪を切る衝動と結びつくだろうか、完璧主義と行動は言行不一致ではないだろうかなどと考えてしまいました。
 また、ジェンダー云々の発言も彼女の何を意図していれたセリフなのかはわかりますが、彼女を形作っている情報とか知識とはそぐわない気もしました。まして母親の水商売を旧父に対して論理的に擁護する立場ですからね。

 で、最後にギブアンドテイクかあ…人に聞くのが正しい勉強法でもないし、この辺はまだ沙季が幼く何もわかっていないと言いたいのか、物語としての主張なのかもよくわかりませんでした。

 最後の悠太の語りで結末はまとまった気もしますが、悠太と沙季がなぜ惹かれあったのかがやっぱり読み取れませんでした。同じ時間同じ空間を過ごしたからというには短すぎる気もするし、同類の親近感なのか、ルッキズムなのか、相手の弱さが愛おしいのか、家族という障壁が燃え上がらせたのか。その辺がよくわからない…というか、沙季も悠太も口で説明しかしてない気がしました。言葉と内面の不一致があってこそのラブストーリーだと思うのですが。そこがこの後、破局する物語ならわかるんですけど現状では保留という感じですね。

 一番気になったのが、この作品ってキャラの価値観の相対化ができていない気がします。やっぱり1人の人間が考えた道徳や恋愛観、社会、家族、男女などの一つの視点で見た世界観の中で、男女を配置して原作者の代弁あるいはコマとしてキャラが説明しているだけに見えました。大人の意見が大人に聞こえない、変わった人間設定の人間が変わっていない。准教授のところが顕著でしたが、やっぱり全部1人の口から出たセリフをキャラだけ変えて説明されているような印象が、特に後半では感じました。

 恋愛ものとしては「隣の〇〇」的なものの一種かな、という印象です。これは「都合の良く美少女と突然同居したら?」という作品です。原作をある程度読んだのでその印象は間違っていないと思います。演出の妙で心理劇のような印象を作ったのは、制作陣の上手さでしょうね。この作品をよくここまでもったいぶって作ったと思います。ただ、それは視聴者を裏切ったことにもなる気がします。

 テーマとして家族とは何か?も全く描けておらず、障害と義務としてしか機能していませんでした。そして障害としても低すぎるでしょう。それは父母を全く描けていないからだと思います。演出で重い感じを出していますが、雰囲気だけの演出はストーリーの邪魔にしかなりませんので、その点は一番頭にきています。

 なお、最終回の作画って結構崩れてました?別の作品かなと思うようなところがありましたが。

 点数はストーリーとキャラは2.0。演出はだましに近い気がするので作画に入れて1.5…ですが前半の作画は良かったので2.5にします。無音を使ったのはよかったので音楽は3.5にします。





11話までと原作4巻まで読んでのレビュー

 この原作の評価は、1人が考えた想像上の会話を聞かされている…という感じでした。「ゆっくり動画」の魔理沙と霊夢と言えばいいんでしょうか。情報や主義主張を語るだけでなく、一応プレゼンテーションとして会話劇にするという感じです。スマホでアフェリエイト狙いの冗長なブログとかとも共通しています。

 つまり、キャラが活き活きしていない気がします…というと情緒的すぎますかね。キャラが「ゆっくり」と同じように作者1人の言いたいことを代弁している様子が透けて見えるといえばいいんでしょうか。
 その印象の証拠として准教授が分かりやすかったですね。准教授と女子高生の会話への流れ、出会いすべて不自然です。なにか説明の場面を無理無理つくるために、ぽっと登場させたキャラであることが見え見えというべきでしょうか。
 で、准教授との会話が特に顕著なんですけど、知識人である大人と高校生の会話に見えないんですよね。「ちょっと勉強したんですけど聞いてもらえますか?」という説明を会話風にされている気分です。驚きも感動もない一般人の主義主張です。
 それを単に問答形式に2つの人間に分けただけで、会話にキャラ造形が透けてきません。言葉にバックグラウンドが感じられません。つまり作品のキャラがキャラ化できていないといえばいいんでしょうか。

 で、アニメなんですけど、恐らく監督か演出かわかりませんが、そこはちゃんと見抜いたんでしょう。軽くなりすぎる。キャラが活きない。だから、悠太の方の1人称を3人称の視点にして、意味深長な演出で心情がある風な演出にしたんだと思います。そうすると「深いかも?」という錯覚になるんだと思います。私もそうでした。

 義理の妹、兄を好きになる。それだけならアダルトコミックと変わりません。どんなテーマが入れられるか?ですが、うーん…ちょっと父母の言動といい、准教授といい「私の考えた主義主張」的な浅さがあるかなあ…やっぱり家族を解体させて、改めて付き合うとか何かが無いとなあという気がしました。原作評に近くなってしまいましたが、こんな感じでしょうか。

 一応もう1話でしょうから、12話を見て修正点があれば追記します。









1話 見てると息苦しくなりますが、それが2人の気分なんでしょう。

{netabare}  見てるだけで息苦しくなりますね。それが2人の気分を表していて、つまり演出意図だと思いますので、その点ではうまく描けていると思います。ちょっと主人公・ヒロインの言動が理に走りすぎかも、と思わなくはないです。今のところまだまだ原作者がキャラに乗り切れてないかな、という部分でしょう。

 ヒロインの目の中が賑やかすぎるのがちょっと違和感を感じますし、キャラデザは可愛いし作画もいいですが、正直「最近のラブコメヒロイン」のバリエーションでしかありません。その点で言っても記号的です。
 ここから感情が表現されて、作者の描きたいことが見えてきて、キャラの裏がみえてくるかどうかですね。そう…思いっきりドロドロして欲しいです。

 この時間競合する作品がないので、ちょっと見てみようかなと思います。作品がどう展開するか気になるので、3話までは確認して継続するかどうかでしょう。{/netabare}


2話 え、これは考察しろって言ってる?最後の方のあのシーンは何?

{netabare} あれ、何か超能力的なものがあるの?最後の方は何?雨が降るのが分かるというのと何か意味がかかっている?という感じでの最後でしたね。

 正直言えば全部セリフで説明してくれるので、せっかくいい雰囲気なのにちょっともったいないかなと思います。2人の距離がいきなり近すぎるのも若干不自然です。

 まあ、売りがどうのこうのというのは作品を重くする常套手段なので、うまく描かないとチープになるなあ、とは思います。見た目の問題も完璧に綺麗にするというのは、女性心理としては創作の中では意外性はありません。独立志向、家庭が嫌で独り立ちを急ぐ少女に普通にありそうです。

 が、何か仕掛けがあるならそこは作品の本質じゃないのでしょうか。あの壊れたイヤホンについて何か考察しろ?ということでOK?まあ、気になりますね。これは見ちゃう奴かな?{/netabare}


3話 面白いし雰囲気いいですが、全部セリフで説明しちゃった?それはどうなの?

{netabare} 2話の最後のトラックのシーンの意味がつかみかねていますが、タイムリープ的なものでなく、心ここにあらずだったのか、周囲が見えていないというアナロジーなのか。完璧であろうとしても実は隙があるとも読み取れます。

 通常、日付が丁寧に表示される作品は、推理ものかタイムリープものが多いので、その線で見てみましたが、3話の後半だと追想のためのタイムスタンプでしかないということみたいですね?

 会話のとき音声にエコーがかかったときは、ちょっとSF的なものを妄想しましたが、道路橋の下のシーンということだけでしょうか。印象的にはなりました。
 
 そして、その後半の追想の内容なんですけど、私は全く反対にとらえていたので意外でした。息苦しい家族生活とわかりすぎるほど自分のことがわかる義理の兄。拒絶のためのいい子だと思ってしまいました。それがジェンダー論と完璧な行動と容姿を保つ沙季のハリネズミのトゲ(つまりATイールド)だと思っていましたので。

 ですが、逆でした。想像よりも浅い方に行ったかなと思わなくはないです。ただ、ジェンダー論とかミソジニーとかその辺をどう使ってくるかです。ステレオタイプ的な見方で申し訳ないんですけど、この性格造形って、元父となんかあった?と思わなくはないです。そこまで鎧をまとうための完璧主義になるって…何かあったんじゃない?ということです。

 一方で、ジェンダーで男女の決めつけを嫌がるのに、母親の水商売を職業として受け入れるし、容姿を「女として」完璧にするところに矛盾は感じますけど。

 結構面白いし、雰囲気も独特のものを作っているし、方向性が分かるようでわからないのもなかなか良いですが、ヒロインの内面をあの形で見せるのはあまりよくないなあ…いわゆる「創作物」で一番大事なのはそこ…内面や感情の動きを説明しないで感じ取らせることではないかな、と。

 もうちょっとストーリーと演出で見せてほしいかも…ただ、ちょっとズルイですけど、沙季の叙述トリックかも…ちょっといくらなんでも説明しすぎですよね?もう1段奥に何かあることを期待して視聴継続ですね。

 そうそう、悠太の性格の裏にあるものがもっとドロドロしてそうですけどね。でも、やっぱり男にはあんまり興味がないかな。実はゲイでしたとか?むしろ女でした…もあり得そうですけど小説じゃないからそれはズルイか。 {/netabare}


4話 気になるのは音とイヤホン。なぜ、沙季のシーンだとBGMが消える?

{netabare} ヒロインのアウトラインが見えてこないです。思ったことを言うという性格でしたっけ?他人の気持ちが分からないということでアスペルガーなんでしょうか。イヤホンは音に過敏なのでしょうか?だから、トラックに気が付かないほどイヤホンから音楽を鳴らしていた?

 にしては悠太に対する距離の詰め方が急だなあというのと、新生活への適応力が高いなあということです。友人を連れてきたり、自分から裸で押し倒しかけるようなのってキャラがぶれている気がします。

 2重人格…ということではないと思いますが、結構不自然な感覚が強いです。沙季のシーンだとBGMが消えるので聴覚障害なのかな?とも思いましたが、横を向いて会話しているシーンがあるのでちょっと違います。先輩からもらった曲は多分意味が違うのでしょう。ここを見ると共感覚とかサヴァン症候群とかの可能性も考えてしまいますが、まあ、答えはわかりませんがやっぱり気になるのは音とイヤホンですよね。

 それと悠太が高額バイトを探しているという状況がイマイチ納得がいきません。自分でも探さないのはなぜでしたっけ?1か月も放置していたの?

 なお、現国のテストの点の取り方は気持ちが分かるかどうかじゃあありません。気持ちが分からないという状況に対して、あくまで読解力だしテスト上の技術だという指導が必要な気がします。沙季は人の気持ちがわからない、とエピソードで説明したいのはわかりますけどね。

 演出で気になったのが、冒頭に近い部分でソファに座っていた沙季が立ち上が手ふらふらと悠太に近づいてゼロ距離で「現代文を教えて」という行動がちょっと性格造形的にも良くわかりません。そういう娘でしたっけ?また、完璧主義なのに事前に対策をとっていない理由もわかりませんでした。

 一見、深い内面を描いているように見えますが、どうも全体…というよりヒロイン沙季の性格造形がチグハグしている気がします。やっぱりここが2重人格とか、何か別のものがあると「おお」となるのですが。

 文句ばっかりいってますが、沙季をどう描きたいのか?という点に興味があります。OPなどを見ると「子供のころ」というのも何かのキーになってそうですし。一体どんな物語にしたいのかが気になりますし、ちょっと楽しみです。{/netabare}


5話 なんか変なフラグが立ちました?あまり方向性が見えませんねえ…

{netabare} 先輩の告白については、偶然映画と自分の置かれた状況が一致したととる取り方と、どこかに連れて行ってほしいというおねだりの両方が考えられます。演出から判断すると不穏な方な気もしますが、この作品は辛気臭い演出が多いのでわかりません。そこは保留しますがいずれにせよなんらかのフラグが立ちましたね。

 それから悠太って、父親と同じように女性恐怖症だった…というか父親は克服したから結婚したんでしょうけど。わざわざ3話のあのシーンを入れたってことは彼は女性嫌悪か少なくとも女性が苦手という意味でとっていました。

 それなのに女性の先輩とレイトショー=デートに行くんだ…というのが意外でした。矛盾にも見えますが、どう理解すればいいのでしょうか?

 話の方向性が見えないですね。どうなって行くのでしょう?

 それと追試の対策には新しい参考書もましてや本も必要ありません。学校の教科書と参考書と小テスト・配布物を見直しましょう。{/netabare}


6話 最後の点字みたいなの何?もともと沙季は正常な人に見えませんが…

{netabare} 距離を近づけるだけだとイマイチかなという気はします。やはり沙季にもう1段何かの秘密がないと話としては成立しません。

 兄悠太の心の移りとか変化が少々急で不自然なように見えるのは、沙季の描写が少々作りすぎな気がするからかな、とも思います。

 幼少のころの思い出らしきものの心象風景と音・イヤホンの使い方から何か読み解けないかとは思ったりしますが、別にこのまま見てればいいかなとも思います。
 と、思ったら、最後の瞬間の点字のようなのは何?一応点字表をみると「め」が六個の点で「っ」が左中央に1個の点(付け焼刃で調べました)なので、「めっ」に読めますが本当でしょうか?

 目が見えない、耳が聞こえない…どちらも描写から判断するとちょっと不自然なんですけど、沙季がどうも視聴覚あるいは心理的に何かの異常がないとちょっと不自然な描写なんですよね。その辺どうなんでしょう。

 もうここまできたら、このままダラダライメージだけで終わらせても作品になるような気がしますけどね。文学的に作りすぎましたね。文学ということは、正直この作品は恋愛が成就するとお話にならないと思います。義理の兄妹故に悲恋で終わらないと正直今までの積み上げが無駄になると思います。折り返しにきましたので今後ですね。{/netabare}


7話 一番いやな予感がする話の展開になってきました。だとしたら馬鹿にされた気分。

{netabare} 前半の沙季のモノローグは全カットでいいです。本屋のバイトの面接のシーンその他でそんなのは読み取れます。それと最後の一言も。

 正直、義妹と結ばれるだけの話なら、もういいかなと思ってきました。なぜ、高額バイトを欲したのか?人の心がなぜ読み取れないのか?意味深な演出や記号はなんなのか。そういうのが、単なる「雰囲気づくり」の可能性がでてきました。

 だとしたら、こんなに馬鹿にした話はありません。思わせぶりな心象風景やらエピソードやら入れておいて、意味がないというのはあってはいけません。それは視聴者に対する裏切りです。
 さらに、全部説明してしかも「嫉妬」まで単語にするってなんなんでしょう?本屋の先輩の話はどうするの?

 うーん、あと1話チェックします。もし、義妹と結ばれてチャンチャンならこんなバカにした話はありません。最後「妹」をとるならドラマですけど。{/netabare}


8話 悠太の気持ちが見えないのが結論に活かされるかですけど…なんかなあ…

{netabare} うーん…1話の「相手に期待しない」を今更持ち出しますか。なんていうんでしょう雰囲気は作っているんですけど…
 すでに沙季は2回にわたり心情を日記で吐露する場面があったので、視聴者視点としては、悠太の戸惑いというか四苦八苦に乗れないんですけど、その辺物語としてどうなんでしょう?

 沙季が頑張りすぎている…ように見えないのもちょっと何が描きたいのかわかりづらいポイントです。視聴者からは悠太が頑張りすぎているようにしか見えないと思うのですが。

 沙季がヤキモチを隠すために反発しているだけなら、こんなダラダラ場面を見せることはないです。ビーフシチュー=悠太ってことを言いたいために1話かけたということ?
 演出や言動で内面を推し量る描きかたを沙季についてはしていないので8話は本当に茶番に見えてしまいます。
 一方で、言葉ではなく、過去の沙季から今の沙季につながる心情の変化が読み取れないんですよね。

 考えられるのは、悠太が沙季をどう見ているかだけは視聴者に隠しているポイントです。沙季の気持ちに反して悠太にとってはやっぱり家族だ、という物語なら今描いているのが目くらましとして機能するのでわからなくはないですけど。

 どうする気なんでしょう?本屋の先輩はどうするの?栞を拾ってくれた女の子は何?物語ならそういうところを放置してはいけません。それが悠太を描くのに役立たなければ物語になりません。

 結末をどう描くかは気になりますが、最後がっかりさせないでほしい。沙季の気持ちに反して悲恋なら成立すると思います。お願いですから安っぽいハッピーエンドだけは勘弁してください。

 そうそう、白河三兎氏の『私を知らないで』が……以下この小説のネタバレなのでを気を付けを。結構ストーリーの根幹です…{netabare}義理の姉弟になる悲恋です。恋愛感情がなかった幼さで、不幸だった女の子を救うために義理の姉弟になる話です。あとから恋愛感情に気が付きますがその女の子は主人公の友人と結婚します。 {/netabare}この結末が素晴らしかったのでどうしても比較してしまいます。{/netabare}


9話 居心地の悪い家族ゲームと恋愛に似た醜悪な何かを見せられている気分。

{netabare} 沙季が悠太に恋愛感情を抱いているという風に見えますが、私には理解できません。作品を通じてその描写をしている感じがまったくありません。あるとすれば、日記ポエムです。もちろん説明的な表現はありますけどね。それは心情の変化の描写ではありません。昔の家族から今の家族に移って、沙季は何が変化したのか?何故変化したのかさっぱりわかりません。

 それが悠太の行動とかやさしさだとしたら、笑ってしまいます。悠太は家族を演じているにすぎないように表現しているからです。偽物の悠太に惚れた気持ちが本物であっては恋愛物語にはなりません。

 まあ、何となく途中から演出と雰囲気は凝っている風ですけどありきたりな話になるのかな、と思っていたらやっぱりそうなんでしょうか。だとすれば昭和の少女漫画でしかありません。演出や場面が、心情の変化とリンクしていないならそれは不要な尺のばしでしかありません。高額バイトはなんだったの?

 居心地の悪い家族ゲームも何のために描いたのか。人間関係が崩壊する場面を描かなくていいのか。義理の母親に裏の顔はないのか。このままではキャラが全員、記号どころかコマに見えます。

 悠太からみた義理の母の気持ち悪さが感じられるので形だけの家族ゲームの総括をするか、父親のせいで男を信じられない沙季の恋愛感情が偽物であるとか、そういうものを期待しているのですが、どうもそういう感じじゃない感じです。

 正直このままくっつくなら「俺ガイル」で陽乃が言っていた醜悪な何かでしかない気がします。徹底的な破壊がどこかにないと、偽物の恋愛感情になるというところまで行きつかなければ、男女の性欲を否定した冒頭の話が単に純愛風味にするための言い訳になってしまいます。だったら、あそこで1回やってしまった方がまだ自然なストーリーでした。

 性的なものも描かない、家族ゲームも総括しない、悠太の裏も見せない、沙季の依存というか幼さ故の完璧主義の果ての身近ですませる恋愛で終わるのでしょうか?

 うーん、なんというか…だらだらずっと日記ポエムで恋愛感情を描写しているつもりなら、もういいかなという気がしてきました。9話ですから微妙ですけど、あと3、4話ですよね?うーん…思っていた100分の1くらい浅いなあ…

 まあ、すこし1話から振り返ってみて私の考え違いがないかチェックすべきかもしれませんが…あのかったるい演出に似たものが単なる雰囲気づくりなら時間の無駄ですからね。何とも… {/netabare}



9話まで中断時レビュー
「意味深長っぽい演出に騙された気分です。「義妹がいることとは?」の心情描写が薄すぎ」

原作1巻を読みました。本作を見ていて感じた違和感、主人公の視点はどう考えればいいのかがわからない理由がわかりました。1人称の小説を(神の視点ではなく悠太カメラの)3人称にしたんですね。そこが謎めいた演出につながって独特の雰囲気になったと。

 原作を読んだ印象は、キャラに実在感がなく、理屈をずっとしゃべっているだけに見えました。1巻が短くて夜這い的なところまででした。その先も入手してしまっているので読むかもしれませんが、今のところどうしようかなという感じです。

「お互い期待しない」のに「高額バイトを探して」と沙季が依頼する部分が代表ですが、いきなりお互いが干渉しあうんですよね。「期待しない」と「金で済ませる」をつなげれば、ドライな関係でいようということかもしれませんけど。

 ただ、完璧主義な人間がこういう言動をするのかなという違和感がやっぱり特に沙季側にあります。身体を売るなら売るで割り切って一人でさっさとやるでしょう。母がバーテンダーとはいえ夜職に理解があるなら「期待しない」義理兄に相談はしないし、まして身内に身体を売るなどという発想にはならないでしょう。
 ジェンダー論を勉強してそこにも完璧であろうとするなら、家父長制に反対すると思います。そして、母の再婚に抵抗しないところでジェンダー・フェミニズムの勉強も中途半端なんだと思います。英語の勉強=自立の準備という思考が安易です。悠太の身売り反対の理屈なんて正直言えばガキのたわごとで、童貞の妄想でしかないです。

 結果、自立というのが甘えにしか見えないです。単純に考えればあとわずかで18歳です。そこから独立するのに高額バイトで準備とか必要ないです。その沙季の甘えが描きたい部分かもしれませんが、それは読み手の妄想で表現されている部分からは読み取れません。沙季がどうやって変化していくのかが日記だけです。3人称にするならそこを丁寧に描いてほしいし、原作の弱いところなので補強しても良かったと思います。

 そして、じゃあ、本作が悠太のことが描けているかといえば、やっぱり聖人というか「僕の考えた理想のすごいキャラを形にしました」的な存在な気がします。この点は原作の方が義妹がいる戸惑いは描けていると思います。そう、義妹がいる戸惑い…どうやってふるまうかの思考ですね。これは1人称ならではです。
 これがあるので原作はまあまあ読めます。会話は説明くさいですけどね。本作は「義妹生活」のテーマであるだろう肝心な「義妹がいることとは?」がぽかっと欠落している気がします。ですので、原作勢は楽しめてもアニメ勢だと何が描きたいのかわからなくなっています。

 また、両親も本作よりかなりライトなノリでこの2人については家族問題の視点はほぼないといっていいでしょう。あとででるかもしれませんけど。

 いずれにせよ、本作に興味をもった演出のやり方ですけどそこに意味性はなく、意味深長に描いていますが単なる雰囲気だと判断しました。沙季の心情を丁寧にすくって音楽や場面が考えられているかと言えば、私はそうなっていないと思います。

 後付けで原作を読んだので余計頭にくるんだと思います。逆なら評価は変わるかもしれませんけど。
 たぶん買ってしまった原作を読んでしまいますのでレビューはこれくらいにして、結末後に追記するかもしれませんが、9話までですと正直期待外れもいいところでした。全部説明してしまっているラノベ故に、文学っぽい演出で心情を表現したいという意図はわからなくはないですが、演出意図に込められているものがほとんど読み取れません。その薄さ故に終わったときに1クールのアニメ作品として成立するかは微妙な気がします。結末は確認します。

 ただ、これは私の印象ですが、悪くとれば原作の1巻1巻の短さをカバーするために演出で引き延ばしたようにも見えました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「幸せな家族のやり直し」と「兄弟姉妹の恋愛」

三河ごーすとによる原作小説は、『MF文庫』(KADOKAWA)で刊行中(既刊11巻、原作未読)。
アニメは全12話(2024年)。監督は上野壮大。制作は、『ログ・ホライズン』シリーズ、『この素晴らしい世界に祝福を!(1、2期)』などのスタジオディーン。
(2024.10.23 投稿)

完全にタイトルからスルーしていた作品。どうせ親の再婚で年頃の連れ子同士が突然一つ屋根の下、お決まりのラッキースケベ展開なんでしょう?と思っていた時期が私にもありました(笑)
各レビュアーさんから、そうじゃないらしいとの情報を得て、さっそく視聴を開始することに。

予め確認しておきますが、血のつながりのある兄弟姉妹の結婚は、日本ではできませんが(※片親のみ血のつながりがある場合は、スウェーデンだけOKのよう)、連れ子同士の義理の兄弟姉妹の結婚は、血のつながりがないので、法律上、何の問題もありません(なお、血のつながりがある場合も、法律上の婚姻ができないだけで事実婚や恋愛まで禁止するものではありません)。

なので、個人的には、義理の兄弟姉妹が恋愛関係になるのはインセスト・タブーでも何でもないと思っているので、世間体があるとしても、「禁忌」というほどの忌避感はないんですよね(※本作に登場する奈良坂真綾(CV.鈴木愛唯)も、「3か月前まで他人で、兄弟姉妹だからといっても「義理」なんだから、恋愛関係を避けることもない」と言っていたので、私だけ変ということではないと信じたい(笑))。

もっとも、本作は、インセスト・タブーを理由として、お年頃の男女が自分たちの恋愛感情を押し殺そうとしているというお話でもないと感じたので、私の感想を書いていこうと思います。


【「幸せな家族のやり直し」と「兄弟姉妹の恋愛」(※ネタバレありの感想)】
{netabare}離婚の際、向こうに離婚の主な原因があるにもかかわらず自分勝手に幼い子供の養育を押し付けられても、それを快く引き受けてしまう人の好い親である浅村太一と綾瀬亜季子。
(※「人のいい人畜無害な男性役」(例えば、『イエスタデイをうたって』魚住陸生役)において私の中で定評のある小林親弘さんと、「幸の薄い女性役」(例えば、『わたしの幸せな結婚』斎森美世役)において私の中で「殿堂入り」を果たしている上田麗奈さんは、はまり役でした。)

もっとも、だからこそ、本作の主人公である浅村悠太(CV.天﨑滉平)と綾瀬沙季(CV.中島由貴)は、親という存在一般に絶望し期待しなくなると同時に、人の好い親の方にはついていこう、そして、こっちの親には、これから幸せになって欲しいと心底思ったことでしょう。

そんな親たちが再婚すると言ったとき、前回の結婚であんなにつらい想いをしたのに、また結婚するの?でも、こっちの親には感謝もしているし、幸せになって欲しい、私のせいで幸せになれないのは嫌だから早く家を出ようとは思ってた。それが少し早くなるだけ。と子供たちは思ったことでしょう。

しかし、初対面での太一の思いやりを感じるさりげない行動(※姓を別にした表札の準備、結婚指輪をしていないなど)に父親を期待してしまった沙季。息子も優しそう。諦めていた幸せな理想の家族が手に入るかも…
だけど、期待して裏切られるのは、もう嫌だという予防線から、悠太に「私はあなたに何も期待しないから、あなたも私に何も期待しないでほしいの」と言い放ってしまう沙季。

色々こじらせた結果、とても「面倒くさい女」になってしまった沙季(笑)。自らの美貌を過剰に周囲にアピールしなければ、確実にクラスカースト最底辺。

そして、沙季のさらなる誤算は、全く期待していなかったはずの義理の兄である悠太が「沙季のことを理解しすぎる」というところ…


本作は、一度幸せな家族を作ることに失敗した親子同士が出会って、前回の家族生活では手に入らなかった幸せな理想の家族を今度こそ手に入れられると期待したのだけれど、あろうことか幸せな理想の家族ならあってはならない兄弟姉妹が恋愛関係になってしまった。

そうすると、幸せな理想の家族を手に入れるためには、例え義理であっても兄弟姉妹が恋愛関係になってはいけないということになる。

もっとも、これは、前回の失敗した家族を初めからなかったことにして、今の家族で家族をやり直すのだという「虚構」を「現実」にしようとすることからくる「禁忌」(縛り)なのだとも思うわけです。
(※私がそう考えるのは、オープニングで悠太と沙季が実際に在りえないはずの一緒にバスに乗って、どこかへ行くシーンを描いていたこと。そして、沙季が幼いころの浅村親子の海での会話を録音したテープを聞きながら、自分もそこにいるような妄想をしていたことなどから。)

沙季があんなにこじらせてしまった原因は、前の不幸な「家族」なのですから、年相応の本来の素の彼女を取り戻そうとするなら、幸せな「家族」をやり直す必要がある。そして、それは育ててくれた親が望む幸福でもあります。

したがって、「理屈」で考えるなら、今までの過去を全てありのままに受け入れてしまえるのならば悠太と沙季は恋愛関係になることはできるでしょう。
しかしながら、手に入らなかった理想の家族、そして、本来の自分という虚構をあくまで追い求めるとするなら、二人が恋愛関係になることは許されないということになるでしょうか。

本人の気持ちは本人が一番わかっていると同時に、一番わかっていないのも本人なんてことはよくあること。二人は、これから上手く自分たちの気持ちを整理できるんでしょうか。2期に期待したいと思います。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

タイパ重視のこのご時世に・・・ある意味挑戦的な作品

【レビューNo.148】(初回登録:2024/10/20)
YouTube漫画原作で2024年作品。全12話。
ここのレビューでも散見されますが、タイトルからすると
「コメディ色の強いご都合主義のいつものやつ」
って思いますよね(笑)
リアタイで視聴していた時は「切るほどでもないが・・・」でダラダラ完走
したって感じでしたが、見返すと意外と悪くない作品だったかも。


(ストーリー)
「”義理の兄(妹)”はただの他人だ」
高校2年生・浅村悠太は父親の突然の再婚により、義妹となった派手な見た目
の同学年の綾瀬沙季と出会う。
2人は
・前の両親の不仲を見てきたために共に男女関係に慎重になっている
・今の両親に心配をかけて家庭を壊したくない
という思いから、都度”擦り合わせ”を行い、「適切な距離感」を保つことを
約束しあうのだった。


(評 価)
・タイパ重視のこのご時世に・・・ある意味挑戦的な作品
 同クールに70本程度放映されるのが当たり前となったこのご時世、それこそ
 3話切りどころか1話切りされる恐れもある訳で
 ・序盤からテンポよく畳みかけたり、キャッチーな展開をブチ込む
 ・目を見張る映像美やヌルヌル動く作画など
 最後まで視聴してもらうために各作品も頑張っているようで。
 しかし本作はこのタイパ重視の今の風潮に逆行したような、ある意味挑戦的
 な作品だったのかなっと。

 特徴的なのは作画のカメラアングルですね。
 本作の悠太と沙季の会話劇(擦り合わせ等)なのですが、同じような引きの
 画がメインになっているんですよね。
 イメージ的には家に仕掛けられた隠しカメラで覗き見や観察するみたいな。
 この定点的な視点で、2人のやりとりから距離感等が変わっていく様を淡々
 と積み重ねていくという何とも地味な作品ではあります。
 色調も抑え気味ではありますし。

 その辺りの制作陣の意図に気付けば面白みもでてくるのですが、私もリアタ
 イ時は半分脳死で観てたので微妙な作品だなっと。
 たまたま見返す機会があったので、再視聴したらそういうことかと評価を改
 めたのですが、このご時世になかなか思い切ったことやってるよなっと。


・セリフ回しのセンスがちょっと合わなかった
 個人的に初見で没入できなかったのは、沙季に好印象を抱けなかったのが大
 きいと思います。
 最初の悠太との会話が
 {netabare}「そのユーモア、話し方、表情どれにも強い熱を感じない。~(中略)~
  私はあなたには何も期待しないから~(中略)~この意味あなたなら正確
  に理解できるよね。」{/netabare}
 これがラブコメ感あるツンデレなら可愛げもありますが、初っ端から地雷臭
 のする女だなっと。
 その後も
 {netabare}「こういう”擦り合わせ”ができるの地味に助かる。」{/netabare}
 とか何かと「面倒臭い女」という印象が序盤で定着しちゃったんですよね。
 この辺りは悠太のセリフ回しにも引っ掛かるところがあり、どうも原作者と
 の相性が悪いみたいですね。

 また作品の性格上モノローグが多いのも、「面倒臭い女」と感じる一因の
 ように思いますね。
 あとギャルの恰好をしているのは「社会を渡っていくための武装モード」
 とかいう謎理論も何なんだと。


・義兄妹の恋愛模様は・・・
 こういう題材を扱っていれば当然「義兄妹の恋愛」というのは避けて通れず、
 というかそれがメインだったりするわけで・・・
 本作も上述のように地味な積み重ねから、現時点での2人の”擦り合わせ”を
 描いて終わります。
 作品を通じて感じたのは、「2人の温度感」的なもの描きたかったのではと。
 はじめはぎこちなさがあり低温だったものが、徐々に温度が上がっていき、
 最後は触れ合って2人の体温で終わるみたいな。
 感覚的には「ピュアラブストーリー」というより
 ・「俺は本物が欲しい!」(by比企谷八幡/俺ガイル)
 という人の関係性の根源的なものを描きたかったのかなとも感じましたね。

 ただ総じて理屈っぽさが鼻につき、個人的にはあまり好みな描き方ではなかっ
 たかな。


率直なところ初見ではあまり刺さらなかったものの、腰を据えて見返してみれば
いろいろ気づきのある作品だったかなっと。
ただこれだけアニメが大量に制作される時代ですからね。
序盤からしっかり視聴者の心を掴む工夫がないと、せっかくのよさも伝わらない
のでは?とも思いました。
あと2人の会話劇以外のエピソードとか全体的に弱いのかなあ。


OP『天使たちの歌/fhána』
・OPから作品への期待感を高めるfhánaのこの安定感よ!
ED『水槽のブランコ/Kitri』
・これは作品の余韻をきれいに昇華してくれる良曲

 
(追 記)
これを言っちゃうと身も蓋もないのですが、両親も子供が高2なんだからこんな
微妙な時期に再婚せずに、高校卒業まで待てなかったんかいっと。
コメディ強めの作品ならそのドタバタ劇も笑って許せますが、シリアス度が高い
本作だと、その辺が引っ掛かってきたかな。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

72.9 4 2024年度の切ないアニメランキング4位
かつて魔法少女と悪は敵対していた。(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (101)
325人が棚に入れました
悪の組織――あらゆるものを侵略し、あらゆるものを滅ぼす。 残忍にして狡猾なその組織のブレーンには、王の片腕たる悪の参謀がいた。 地上侵略の危機に立ち上がる、薄幸の魔法少女・白夜。 彼女と対峙した悪の参謀・ミラは、なんと一目ボレしてしまい……。 魔法少女と悪が敵対していたのは、かつての話。 殺し愛(あ)わない、ふたりの行く末は――?

リタ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ふわふわ

なんだこのふわふわしたかわいいアニメはー!
って興奮してほわほわしてサクッと終わった。
12分30秒のショートなアニメ。

でもopとedも普通よりちょっと短くて本編の邪魔をしていない。
しかもかわいくて浮いた気持ちのまま終わらせてくれる良い曲。

参謀さんも魔法少女もお互いのバランスが保たれていて面白い。
ちゃんとお互い真面目だけど仕事してないところも楽しい。

御使いさん達の個性もかなり強いしまわりの皆もやたらとかわいい。
悪の組織はあれで成り立っているのか疑問な感じが可笑しいし
視聴中ずっとゆるみっぱなしにさせてくれる幸せなお話だったと思う。

---追記---
本編放送後改めて声優陣と本編丸ごと一緒に楽しむ
(悶デレ共有会議映像付き)っていうバージョンもあって
小野さんや中原さん、緑川さんや三木さん下野さんなどの中から
二名で初見の本編を楽しみつつ作中で悶絶してデレるポイントをメガネパリーンボタンを押した回数で悶デレシーン賞を決めるっていう
こちらとしては幸せな特典映像があった。
制作小ネタや自他キャラへの率直な感想など、一緒に笑いながら
悶絶しながら楽しめるのがめっちゃ嬉しかった。 ありがたい!

◯作画
魔法少女かわいいが過ぎる。もう皆んなかわいく見える不思議。おっさんも

◯声
わりと細かい所も耳が幸せだったりする。敵も味方も皆んな良い声

◯ストーリー
ストーリーとは?テーマってなに? どうでもよくなる良さがある

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

テンポの良いラブコメです。ちょっと原作が古いかな?

 最終話(12話)まで観ました。2024.09.25

 特に何も言う事無しです。サクッと最終回まで行ってしまいました。この手の話はこねくり回したり、鬱展開にするようなもんでも無いので、コレで良かったと思います。

 最近の奇をてらったラブコメに慣れていると、物足りないかもしれませんが、コレはコレで良いものです。

………………………………………………………………………
 8話まで観ました。2021.08.30

 ボンビーガール魔法少女の白夜さん、薄幸だけど女子力高めの女の子に悪の幹部が惚れるお話…。

 ラブコメの王道ですね。ロミオとジュリエット的な。お互い好きだけど大っぴらに交際出来ないモヤモヤを楽しむ感じです。

 ただ、原作の古さは感じます。白夜に御使いのヌコが、稼ぐためにノーパンシャブシャブへ働きに行け!とか言いますが、いつのネタだよ…。

 不器用でコミ障気味な第二の魔法少女、火花とか、こう言うのが好きなんだろ?的な感じも受けます。新規のアニメファンに刺さるかな?

 イチイチあざとい感じが気にならなければ、テンポも良く、中々楽しいラブコメだと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

リグレット・ジュリエット

イケメンが魔法幼女にムッハーするラブコメ。
異常にデキがいい15分アニメ。

01
pixiv・twitter・同人二次創作的なノリ。てかやっぱpixiv原作だった。

悶えてデレるので悶デレって言うらしい。このノリは現代劇だと薄ら寒く痛々しいのだが、トンデモファンタジー設定によって素直にきちんと笑える塩梅へ。それよりなによりアニメが上手い。いきなりの変身バンクの本気度がすごい。深みのある凝った設定でないにしろ、説明描写もサラッとしてて嫌味がない。天丼ギャグも期待通りのタイミング。原作は4コマで流れもそのまんまだが、補完が抜群に上手くて補完コンテも完璧、構図や演出も全部が全部高品質で世界観の再現が完璧な絵作り。心地いいリズムでサクサクと進み、4コマギャグのテンポ感が死んでないという凄まじいアニメ。しかも健気残念ぼっち幼女とシュッとしたハイスペイケメン残念メガネと男女両対応作品。すごいすごすぎる。

唐突なエンディングにビックリしたが、これくらいの尺がちょうどいい。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

63.6 5 2024年度の切ないアニメランキング5位
村井の恋(TVアニメ動画)

2024年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (12)
78人が棚に入れました
様子のおかしい男子高校生・村井は担任の田中先生に恋をしている。 しかし一方の田中は乙女ゲームの推しキャラクター「春夏秋冬(ヒトトセ)」に恋をしている。 そんなことはつゆ知らず、田中に告白をする村井だったが、「黒髪ロン毛は恋愛対象外」と一蹴されてしまうーーところが翌日、髪型を一新して現れた村井は田中の”推しキャラ”そのものの姿となっていた。 激しく動揺する田中と猛烈にアプローチをし続ける村井、果たしてこのおかしな恋の行方はどうなっていくのか...!? 「次にくるマンガ大賞2019」Webマンガ部門で2位に輝いたエクストリーム胸きゅんラブコメ「村井の恋」が待望のアニメ化!

tomledoru さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

プレミア作品の扱いですが,その価値はあるんでしょうか?

原作とかが大変に評価が高くて、いわゆる「鳴り物入り」でアニメーションになった作品だと思います。

鑑賞できる環境が地上波ではなくて。ほかの動画配信サイトなどでも、プレミア扱いされていることが多くて、課金しないと見れないというサイトもあるようです。

BS日テレかなんかで確か、録画して見てますが,それほど、気合の入った作品とは思えませんでした。

今の高校生や、若い人たちが。どんな恋をするのか、私にはちょっと想像がつきませんが,年上の先生を好きになっても、それはそれで結構なことだと思います。「村井」には、彼なりのアプローチの仕方があって,そこは面白いです。

教師と生徒が恋に落ちて。問題になることがありますが。それは,どちらか片方が?下心があったり、いい加減だったりする場合だと,私はそう思っています。

私が知ってる限りで,周りの大人も公認が前提で,教師と生徒がひそかに付き合っていて,結婚できる年齢になってから籍をちゃんと入れて,真っ当に暮らしてるというカップルを結構知ってます。

歳が上とか下とか、そんなことは恋愛には関係ありません。人を好きになってしまえば。全てが許されるわけです。相手の魅力も。相手の欠点もすべて受け入れる。真剣な覚悟で付き合っていくのが恋です。

いかにも若い人に気に入ってもらえるようなアニメーションに仕上がっていますが,果たしてそれだけの値打ちがあるのかどうか。

かえって視聴率を下げてしまって。円盤も売れずに、半年経ったら忘れ去られるようなアニメになるような気がして。残念な気がします。

もっとオープンに。誰しもが見られるような設定であれば、きっと多くの人が楽しんで見られるアニメーションだと思うのですが。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

たナか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

2.5次元の誘惑(村井)あるいは日笠劇場

実写化もされたLINE漫画原作。
あからさまに低予算ながらしっかり面白い。

OPED・映像楽曲ともに勢いがあって良き。

自身の推しキャラにそっくりな村井に猛アタックされる高校教師田中。彼らを取り巻く愉快な一般人やらオタクやらと紡ぐ妄想純愛ドタバタラブコメ。口パク動画で枚数を減らしたぶんカット数を増やして勢いよく畳み掛けるテンポよいギャグ時空が心地よい。そのうえ日笠氏の怒涛のムッハー芸を畳み掛ける職人技のキレの良さ。エフェクトをピカピカ光らせてたりコマ数増やしてヌルヌル動かしたりCGをグリグリと回転させたりさせずとも面白いアニメは作れることを示してくれる秀作。抜けた作画だからこそのアニメならではの味わいが楽しめる。しかし30分枠だとやや冗長。メイン2人以外の出番が増えないとキツイかも。

02
低予算ながら引き算として成立、安っぽさも嫌味もない。

しかし話の内容的には特に新しさはないのであとはノリと勢いとの相性次第。次回以降周囲のキャラにも存在感が出せないとダレてくる一方だと思う。美少女アニメではないのでキャラの魅力ガー掘り下げガーなのかもしれないが、ぼざろ的な演出の良さは感じられると思う。ラブコメではあるが美少女アニメではない一般向けアニメ。

勢いと演出というかノリが全て。相性次第ではただの低予算アニメでしかないか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0

大重 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

推しキャラそっくりの男子生徒に迫られるオタク女教師。意外と面白かったですね。

男子が村井ですから村井が主人公なのかと思いきや、
高校生男子に好かれてしまった女教師田中が主人公ですね。

推しキャラそっくりの村井に悶える様子が面白くて、なかなか楽しめました。

とはいえまあ…
いや、意外と面白かったのは確かなんですが、アニメをこのまま見るかと言われるとうーんって感じですね。

結局この2人が少しずつ仲良くなっていく様子を見守るだけなんでしょうが…。

まあ作画面は微妙ですしね。いや、基本ギャグ作品なんでこれくらいの作画で良いのでしょうけれど。
別にクオリティが低いってことはなく、原作通りなのでしょう。

ただまあ、本当に可愛くてキュンキュン来るかとか、そういうわけじゃないんですよね。
結局はギャグです。
要するに一発ネタとしてちょっと笑って、ハー満足で、お終いかなぁ、と。

まあ見たい気持ちはあります。多分見ればほどほど楽しいと思うのですが…。
ま、時間と相談ですね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
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