けみかけ さんの感想・評価
4.0
ヲタもお涙も狙っちゃった感が遂に滲み出た白組;しかし真っ向勝負に来た姿勢だけは拍手b
原作とも出崎版とも違う第3の『ガンバ』とも言うべき3DCG映画
『SBMドラ』で一般人にも広く名の知れることとなった白組の制作
と、大きく打って出たは良いが、知る人ぞ知る【ビッグバジェットの駄作を数々生んだ“あの白組”】の作品なので期待半分、不安半分って感じでした
メインスタッフは『SBMドラ』等と比較してどちらかと言えば自社の若手に託したように見えます
若手のOJTによる育成と、学生のインターンと、各地で開かれたワークショップが綿密に絡み合い、ついでに一山当てようってわけ
でもそーゆー取り組みは嫌いじゃない
むしろ、いいぞもっとやれってのが率直な気持ち
ネズミのガンバと仲間達が海を越えて白い悪魔と呼ばれる恐ろしいイタチ、ノロイとの死闘を繰り広げる冒険活劇
序盤は現代の東京の風景が流れ、後半の夢見ヶ島(ノロイ島)はたぶん八丈島がモデル
原作はガンバ+15匹、出崎版はガンバ+6匹(シオジも入れれば7匹か)
でしたが今作では、、、
ガンバ(梶裕貴)
潮路(神田沙也加)
マンプク(高木渉)
忠太(矢島晶子)
ボーボ(高戸靖広)
イカサマ(藤原啓治)
ガクシャ(池田秀一)
ヨイショ(大塚明夫)
といった具合
出崎版を知っているとシジンがいないのはなんとなく寂しい;
だいぶ改変、統合があった出崎版よりも原作のキャラに近いです
その中で潮路がちゃんとヒロインとして機能しているのは出崎版に寄せてみた結果ですかね
キャスティングは話題性優先の為かなり豪華なメンツを揃えてます
けどそれって配役決めてからシナリオ仕上げる実写映画屋がよくやるやつじゃないですか・・・でも素直に見どころの一つとしても受け取れます
ガンバが指噛んで巨人化しそう、とか(結局ネタかよw)
矢島晶子さんは永遠に5歳のままですねw保護者の藤原啓治もちゃっかりいますし
池田秀一の口から出る「白い悪魔」というセリフはどこぞの『ガンダム』かと思いましたw
ガンバ達の心強い味方となってくれるオオミズナギドリのツブリが明らかにメスで、しかも野沢雅子なのは嬉しかった改変の一つ
ノロイは原作では身体は小さいが頭がキレる謀略家、出崎版ではラストで怪獣化した巨体のイメージでしたが、今作ではなぜかベルク・カッツェみたいなオカマキャラで野村萬斎が演じました
中盤、催眠術で手下のイタチ達が宴と称し奇妙に踊りだすパートは笑いどころの一つ
基本的に話の流れは恐ろし過ぎた原作と原作を膨らませまくった出崎版のイイトコ取り
しかも100分強にまとめあげているので長過ぎず、短過ぎずでちょうどいい尺でした
もっとも大きく改変されたのは仲間の死、を克明に描いたところでしょうか
歌あり、踊りあり、笑いあり、涙あり、冒険あり、尺ちょうどいい
とまあ、何もかもが完璧に思える今作なんですが、いかんせんキャラのモデリングが、、、スマートなガンバの体型はともかくとして、もうちょっと毛並みが柔らかそうな感じの方が絶対可愛かったろ!って思わずツッコミを入れずにはいられない;
わかるんですけね!毛並みが工数的に大変だってのは!
でもネズミって基本的に毛嫌いされてる生き物ですし、そこは可愛く仕上げるべきだったのでは・・・;
総評としては、残念ながら悪いところが無かったようで突出して褒めたいところも無い映画でした
なんせ「売りたい」って声が完全に漏れちゃってる、これは制作というよりプロモーションとかマーケティングの方々がアホゥなことが原因だと思います
まあ構想に15年、総製作費20億円と聞かされればそれも致し方無いです
よくもまあそこまで金を掛けたな、と呆れるが(笑)
ちなみに『SBMドラ』と比較するまでも無く、全く持って客入りは悪い様子
お子様と一緒に観る作品としては言うほど怖い映画では無いのでオススメできます
とりまコレを糧にしてもっと面白い次回作を期待してますb