兄弟で東京なおすすめアニメランキング 11

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83.4 1 兄弟で東京なアニメランキング1位
輪るピングドラム(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2098)
10602人が棚に入れました
双子の高校生・冠葉と晶馬、そして妹・陽鞠は三人で暮らしている。余命いくばくもない陽鞠を連れて、ある日水族館を訪れた兄弟たち。楽しく過ごす中、倒れた陽鞠はそのまま息絶えてしまう。霊安室で絶望する冠葉と晶馬だったが、死んだはずの陽鞠が、突如ペンギンの帽子を被り起き上がり叫んだ! 「生存戦略!」「妾はこの娘の余命を伸ばすことにした」。だが、被っていた帽子が落ちると、いつもの陽鞠に戻っているのだった――。不思議なペンギン帽子のおかげで、
陽鞠の余命は少し伸びたのだ。ペンギン帽子を被った陽鞠が再び、冠葉と晶馬に命ずる。「ピングドラムを手に入れろ!」ピングドラムとは何か。そのカギを握るのが、女子高生・苹果という人物と解り、探り始める冠葉と晶馬。ある偶然から陽鞠と苹果が仲良くなったことから、苹果が高倉家に出入りするようになり……!?

声優・キャラクター
木村昴、木村良平、荒川美穂、三宅麻理恵、石田彰、能登麻美子、堀江由衣
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

同世代透明存在の独白

2019年3月30日 初稿
2019年(令和元年)5月1日 追記
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リサ「うーん、幸福ってなに?」
マナブ「またすごい質問だなあ」
リサ「なんだと思うの?」
マナブ「そうだなあ、わからないけど、なんとなく、今思ってるものだけどいい?」
リサ「うん、なに?」
マナブ「ガラクタ」
リサ「えー、幸福はガラクタなの?」
マナブ「気に入らなかったら、違うのもある」
リサ「なに」
マナブ「ほら、マンガとかでさあ、馬の頭に釣竿つけて、先っぽにニンジンつるすでしょ。馬はそれを追いかけてずっと走るって」
リサ「うん」
マナブ「あのニンジン」

『CARNIVAL』SINARIO3「TRAUMEREI」より抜粋
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1.同世代透明存在の独白
平成が、終わった。
振り返ってみると、どんな時代だったか……?
そう考えてしまう日も、近頃多かったな。
悪い事ばっかだったと思うけど、良かった事もあった気がする。
現在を生きているから、現在を客観視出来ない。
悲しき現状、生者全てが辿り着く真理

そんなどうにもならない上記踏まえて個人的見解、嫌な事ばかりだった。
辛く苦しい悲しみの時代
アイ(愛、I)を喪失した時代
平成不況、失われた10年、大災害勃発、猟奇事件頻発
そんな中で生を受け成長した俺達は、多くが「きっと何者にもなれない」と言う漠然とした確信を抱えていたと思う。
断定出来ない、自分だけかもしれない、でも俺はそう感じてた。
「頑張れば『生きる意味』が見出せる」社会はもう無くて。
「頑張ったって『生きるだけの意味』は見つからない」のが俺の社会になった。

この『輪るピングドラム』と言うアニメは、そんな呪縛が「自分だけのモノじゃなかった」と実感した作品だ。
無宗教無信仰な人間に齎された「赦しの寓話」
自らの価値観に強く根付かれた「人生の物語」
そんな個人的解釈が、今日になっても生き続けている。

別の言葉で語るなら、本作は俺に「生きるだけの意味」を与えてくれたんだ。
上手く生きられない俺の欲しかったメッセージ
口下手な俺が心中にて思い描いていた理想世界
俺の代わりに伝えてくれた叫び、信念の媒体物
「『輪るピングドラム』は『俺』の想いの『代替物』だ」
視聴時に思ってしまった事は、今でも記憶に新しい。

宗教は自分の人生に「意味」を植え付けるモノだと、何かで読んだ記憶がある。
神様の存在は、自らの実存を肯定してくれる。
神様の存在は、自身の死をも肯定してくれる。
宗教とは、人生を全肯定してくれる概念、人民にとっての「縋り」
でも、神はもういない。
一部の層には未だにいるが、普通の人にはもういない。
それは、人間が考える頭を持ってしまった故の結果
宗教学より哲学こそ隆盛を誇ってしまった故の結末
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冠葉「神様なんて、いないんだろ?」

『輪るピングドラム』第1話
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それはつまり、人生の意味を与えてくれる存在が消失したと言う事
勿論、宗教に依存せず、新たな意味も見つけられるだろう、人間そんなに弱くない。
でも、だったら次はどこに頼ればいい?
社会、仕事、恋愛、趣味、家族、友人、多くある。
でも、俺の生まれた時代から頼りになる概念はどんどん少なくなっていく。
消失の一途、次第に減少していく「意味」
世間的に「まだまだ」の若輩者でさえ、既に多くを失くしている。
これら全てを失くしたら、いよいよどうやって生きていけば良いんだろう。


生きていく「意味」が、分からない。


『輪るピングドラム』はそんな奴等に向けられた物語だ。
「物語」を無くした人に向けられた、新たなる『物語』
宗教、社会、仕事、恋愛、趣味、家族、友人
これらに続く新たなる依存先『輪るピングドラム』
永遠にして不変なる依存対象『輪るピングドラム』
本作は「人生」を無くした人に「意味」を与える『物語』
観終わった今、以上の様に思う。



視聴前、難解だ難解だ難解に次ぐ難解だと、耳にたこが出来る程言われた。
相手の口に酸味成分100%で告げられた故「どんだけこの作品難しいんだよ」
少しばかり身構えて観た事を憶えている。
しかし、個人的見解から語るに、本作はそんな難しい話じゃない。
「ピングドラム 考察」で検索すると、出るわ出るわ数多の解釈
物事を深く考え過ぎているんだろう、THE 日本人
演出それぞれに明確な意図があると思い込む、言わば考察の蟻地獄だ。

この暗喩が○○の事件に関係している。
ここの演出は○○を意図した描写だよ。
ああ、そういう考察も間違いじゃないと思う。
色々解釈を与える為、敢えて本作の如き作風にしているのは、全話観たなら火を見るより明らか
ただ、それはこの作品の理解に必ずしも必要って訳じゃない。
そこはあくまで、メッセージを伝える為の一土台に過ぎない。
大事なのは、この作品が伝えたかった事を「感じられる」かどうかだ。
沢山考えて良い、色々思い浮かべて構わない。
でも、最後のメッセージはどうか「感じて」観て欲しい。
その時こそ「観て良かった」と、明確に思える作品になる筈だ。

「『輪るピングドラム』は賛否両論の評価を生み出した難解作品」
そう捉えられた事に、安堵と恐怖を同時に感じた。
安堵したのは何故か?
この内容を1回観ただけで分かってしまう世界は、悲しすぎるから。
恐怖したのは何故か?
この内容を1回観ただけで理解してしまう人が、一定数いる証明だから。
分からなかった「お前達」が、がっかりする事は無い。
本作が分からないのは、今が幸せな証明だ。

俺は思う。
本作をはっきり「つまらない」と断罪する人
本作を単純に「おもしろい」と断言出来る人
それはなんて幸せな事なんだろうなって。
幸せに生きている事を、自覚していない幸福者
そして、それはとても素晴らしい事だ。
知らない方が良い、分からなくても良い事というのは世の中、確かにある、あってしまう。
出来るのであれば、そういった概念こそ無くなって欲しい。
けど無くならない、それが現実
だからこそ上記のような方には、知らない分からない状態がこれから末永く続く事を祈るんだ。
出来るだけ永く「幸福」であり続ける為に……

その理論で言えば、俺は絶対「幸福」になれないだろう。
俺は2度と本作を忘れる事は無い。
俺は2度と本作から逃れられない。
だから、せめていつか、この作品を真の意味で肯定出来れば良い。
俺はまだ「ピングドラム」を手に入れていないから。
俺はまだ「輪るピングドラム」に辿り着いていないから。
本作を観て、止まらない涙を得ながら強く思えた、それが今現在俺の近況です。
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リサ「ねえ、ニンジンを追いかけちゃだめかな?」
マナブ「あれは、どうやっても届かない仕組みになってるんだよ」
リサ「うん、わかってる。いいんだ、なんか、一生懸命走りたいの。後悔したくない」
マナブ「それなら、しかたないね」
リサ「しかたないなあ」

『CARNIVAL』SINARIO3「TRAUMEREI」より抜粋
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2.『輪るピングドラム』完全理解へと至る個人的解釈
正直、書かなくて良いと思った。
なぜなら『輪るピングドラム』は、自分自身で観て「感じる」作品だから。
本作を1番理解したのは「意味不明だけど涙が出てきた人」
暗喩表現で支配された作品には、視聴者の数だけ答えがある。
そんな概念に確定的解答を植えつける事こそ、正しく傲慢の表れだろう。

初見なら考察サイトは観ない方が良い。
自らの想いのまま、心に響いて、胸が痛くなった箇所だけを大切にすべきだから。
色々な言葉があって、表現があって、どれが耳に残って離れないかは人それぞれだから。
出来るのであれば、それをずっと憶えていて欲しい。
そして、余裕があったのなら、手前の頭で考えるんだ。
それが、本作を観た人間にとって「大切な一部」となる。
観終わった時、貴方が感じていた事、考えていた事
それが、貴方にとっての正解だ。

だから、以降の内容はこの批評を読んでいる読者様の自己判断に任せようと思う。
自分が辿り着いた「感覚」を、喪失させたくないなら絶対に見るな。
どうしても分からない、でも拠所となる何かしらの答えを知りたい。
そんな「生きる」覚悟をどうしても忘れられないなら、持っているなら……
確定事項でない事のみ念頭において、どうか読んで欲しく思う。




①『銀河鉄道の夜』と『輪るピングドラム』
{netabare}
第1話で小学生男子2人が語っていたのは『銀河鉄道の夜』
本作は、著者の宮沢賢治が亡き妹トシの想いを胸に、幾度も推敲を重ねて作った作品
その為、途中のストーリーに形態毎、大幅な加筆・変更が多く発生している。

「『輪るピングドラム』は『銀河鉄道の夜』に関係している!」

これは正しいんだけれど、正しくない。
どのヴァージョンに準えて『輪るピングドラム』は作られたのか。
考察するとしたら、そこまで言及しないと不完全と言えるだろう。
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[『銀河鉄道の夜』の違い]
【第1次稿】(「九、ジョバンニの切符」孔雀のシーン「そしてあの青い橄欖の森が~」から現存)
・「青年」と共に登場している人物は「三人姉妹」と「男の子」(【第2次稿】も同様)
・「琴の宿のお姫様」←カムパネルラがうっとり見ていた(恋慕)
・ブルカニロ博士登場(【第3次稿】まで同様)


【第2次稿】(「九、ジョバンニの切符」冒頭から現存)
・苹果がジョバンニとカムパネルラに渡されない
(長姉が「苹果」を5個所持→2人の妹、男の子、青年に1個ずつ渡す)


【第3次稿】(「四、ケンタウル祭の夜」から始まる)
・父親がラッコ密漁に伴う他人への殺傷→監獄へ収監
・「青年」と共に登場する人物が「女の子」と「男の子」(姉弟)へ変更(【第4次稿】も同様)
・燈台守が初登場
・苹果がジョバンニとカムパネルラに渡される(【第4次稿】も同様)
(燈台守が「苹果」を所持(個数不明)→姉弟、青年、ジョバンニとカムパネルラに渡される)


【第4次稿】(後期形。現在一般的に流布されている『銀河鉄道の夜』)
・午后の授業より始まる
・父親が監獄へ収監されていない
・ブルカニロ博士消失
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と、一部を一覧にしただけでここまで分かれる。
そして『輪るピングドラム』とこれら4つのヴァージョンの適合性を検証してみると、実に面白い事が分かった次第
『輪るピングドラム』は『銀河鉄道の夜』全Verを参考にして作られた作品だった。
しかし、余りにも膨大な情報量故、全て書き上げるのは不可能と判断
参考にしたサイトのURLを貼った上で、纏める形と相成った事、ご了承願いたい。

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[『銀河鉄道の夜』と『輪るピングドラム』]
◎『銀河鉄道の夜』におけるトシのイメージ的存在
○2人の場合(【第1次稿】【第2次稿】)
・「琴の宿のお姫様」……宮沢賢治の妹に対する恋慕表現(カムパネルラがうっとり見ていた)
・「青年」と共に登場する「三人姉妹」の長女
               ↓
冠葉によるお姫様「陽毬」と「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」への愛情描写


○1人の場合(【第3次稿】【第4次稿】)
・「女の子」(「姉」)

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/7077627.html
http://oryzajpn.com/archives/7273171.html
http://oryzajpn.com/archives/7643255.html
http://oryzajpn.com/archives/8224312.html



◎「三人姉妹」【第3次稿】にて統合・分離→トリプルHの原型?



◎ひかり=エネルギー=生命(【第3次稿】)
         ↓
冠葉「晶馬、俺は手に入れたよ、本当の光を」
by 『輪るピングドラム』第24話より

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/3257542.html
http://oryzajpn.com/archives/3430391.html



◎宮沢賢治の父政次郎の二面性(【第3次稿】【第4次稿】)
・家業が質屋→宮沢賢治に「社会的被告」としての側面在り(犠牲を糧に生きる罪人)
・ジョバンニ父とカムパネルラ父が融合した存在=政次郎
・ジョバンニ父=「犯罪者」として収監(【第3次稿】のみ)
 カムパネルラ父=倫理的な威厳のある父
            ↓
高倉剣山の二面性……事件を引き起こした「犯罪者」←世間から見た評価
          威厳のある理想的な父親←家族から見た視点
          冠葉から見た父、晶馬から見た父の違いも示唆?

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/8490780.html


◎プレシオスの鎖を解く=家族間の絆を解く(【第1次稿】~【第3次稿】)
               ↓
『輪るピングドラム』第24話 家族決別=「みんなの幸」へ至る

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/11518358.html

◎ブルカニロ博士の言葉→『輪るピングドラム』第24話へ至る
どんな正しさを選んだとしても、それが自分で選んだモノなら。
どれもが皆「ほんたうのさいはひ」になる。

相手との違い(精神的決別)を実感しても、人間は受け入れる。
受け入れた上で、前に進む事が出来る。
それぞれ進む道は違っても、互いに進む姿は同じだ。

寂しかったり、悲しかったり、辛かったりするだろう。
けれど、自分で選んだ道なら、全部含めて前へ進むんだ。
その姿がいずれ「ほんたうのさいはひ」になる。
世界は繋がり、またいつか、きっと会える日が来るだろう。
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{/netabare}




②「ピングドラム」の意味、「輪るピングドラム」の意味
{netabare}
「ピングドラム」
(1)「愛」って意味だよ。
A.
「ピングドラム」を輪すと言う行為に、付加価値的な「愛」が発生する。
「苹果」を渡すという行為に、付加価値的な「愛」が発生する。
したがって「ピングドラム」(ついでに「苹果」)自体は愛ではない。


(2)「永遠なる生命」って意味だよ。
A.
『銀河鉄道の夜』において「苹果」(ピングォ」は多くを暗喩している。
その中の1つが「永遠なる生命」
「こっちの世界」(現世)と「あっちの世界」(来世)を繋ぐ存在
要するに、1つの世界に捉われず生き続ける「生命」の事
「苹果」=「ピングォ」=「永遠なる生命」
しかし、これだと「ドラム」の意味が入っていない、惜しいけど却下


(3)「永遠なる生命の躍動」って意味だよ。
A.
(2)に「ドラム」の意味を追加した。
「ドラム」とは楽器のドラムが示す如く、動物が鳴き声以外の方法で音を立てる動作を指す。
ゴリラが両腕で胸を叩いたり、キツツキが木の幹を突いたり、他の鳥が翼や尾羽で音を奏でたりもする。
「ドラミング」って聞いた事あるだろう。

ビートを奏でる、それはつまり、自らの存在を証明する行為に他ならない。
自己を主張する鼓動及び躍動の言語化


プリンセス・オブ・クリスタル「荻野目苹果がピングドラムを持っている……多分な」
苹果は多蕗に、自らを覚えてくれるよう行動していた。
苹果は愛に従って生きる、事件と関わりのある人間
以上の点から、プリンセス・オブ・クリスタルが推察

しかし、彼女は多蕗への「ピングドラム」を持っていない。
異常でも妄執でも執念でも、彼女自身の生命の躍動が齎す「愛」なら良かった。
けれど、苹果が多蕗に抱いていた愛?は、桃果が「運命日記」に記載していた内容から解釈して作り上げたもの
桃果と一つになって、家族を元へ戻す為の偽愛
もしこれを「愛」と称するなら、桃果が多蕗に抱いていたものであって、苹果が多蕗に抱いていたものじゃない。

したがって、苹果は多蕗を愛していない。
だから「ピングドラム」も持っていない。
彼女自身の想いが紡いだ「生命の躍動」じゃないから。


要するに。
『ピングドラムを手に入れるのだ!」の意味は。

「永遠なる生命の躍動を手に入れるのだ!」
         ↓
「自分が死んでも生き続ける、命の鼓動を植えつけろ!」
         ↓
  「大スキだよ!! お兄ちゃんより」
改変世界にて、いなくなった自らを「愛」と言う形で主張したメッセージ


第17話某シーンの意味は。
冠葉
「俺じゃ、ダメなんだろ。もう……俺には陽毬を救う事は出来ないんだろ?」

プリンセス・オブ・クリスタル
「お前には出来る」
「わらわには、それがわかる」
「なぜならピングドラムとは、それはお前の……」以下想像文
(陽毬を想って行動する結果だ)

冠葉
「俺には……無理だ」(陽毬を大切に想う「生命の躍動」に、彼女自身が気付かないから)
←前話にて冠葉と陽毬は口論&陽毬は眞悧を好き?と冠葉が勘違い
                 ↓
陽毬が冠葉の「生命の躍動」を真に実感した時、冠葉はピングドラムを手に入れ、輪る。


上記が分かれば「輪るピングドラム」の意味は簡単だろう。
「永遠なる生命」を、植えつける行為が輪っていく。
誰かの存在は他者へと宿り、それが「愛」となって昇華する。
植え付けられた相手もまた誰かに、自身の存在与えて「愛」となる。
世界は、そうして輪っていく。
だからこそ、人は「運命の果実を一緒に食べ合う」
「苹果譲渡」(ピンガァドゥラム)が輪る。
それは、繋がりを保った永遠なる世界
相手が死んでも己の中で生きる、終わる事なき永遠なる世界だ。

「運命の果実を一緒に食べ合う」
連続していけば、彼等にまたいつかきっと会える。
そこに「愛」があるなら……
「愛している」という言葉があるなら……
世界は、永遠に繋がり続ける。
いつか出会える「運命」なんだ。
{/netabare}




③最終話を理解する
本作をきちんと観る上で、唯一躓きそうなのが第24話だと思うので、いくつかの解釈だけ載せておこうと思う。
{netabare}
(1)ペンギンマークの檻に入っていた冠葉・晶馬の意味
千江美「晶馬と冠葉君は、私達が知らない間に仲良しになっていたんだもの」→仲良しになった顛末の暗喩=檻での会話
・企鵝の会(KIGA)の印=両親が幹部=世界の全て(冠葉・晶馬にとって)
 晶馬……父親の演説を余り聞かずに逃避
 冠葉……父親の演説を素直に聞いて順応
               ↓
KIGA(企鵝)の組織(大人の世界)から逃れられない子供の世界=檻(≒卵 by『デミアン』)


・企鵝→飢餓=愛情に飢えている暗喩
 冠葉父→冠葉「お前を選ぶんじゃなかった。私は家族に失敗したよ」
 Q.何故、冠葉に苹果は渡っていたか?
 A.両親に愛されなくとも、真砂子には愛されていたから。
 
 晶馬には両親がいる→KIGA(企鵝)の活動に没頭→愛されている感覚が当時は不足していた……?


そして、飢餓状態から脱する為、冠葉は晶馬に苹果を分け与える→「愛」となる



(2)兄2人消失の解釈
「プレシオスの鎖を解く」「ブルカニロ博士の言葉」参照



(3)冠葉のペンギン型「赤い何か」が出て行く描写
・企鵝(飢餓)が失われていく→愛されていると実感していく冠葉の描写
 冠葉の慟哭は、自らが愛されていなかった事を再度実感した故の叫び
                ↓
だから、ペンギン型の「赤い何か」は「苹果」に変わる=「永遠なる生命」に溢れている=自分を憶えていてくれる→「愛」の充満



(4)「生存戦略」とは……?
生きる為の戦略→「何か」を獲得する為の行為全般を指す
「生存戦略しましょうか!」
第1話
冠葉の「苹果」を「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」が頂く行為

第2話以降
「苹果」→「ピングドラム」を手に入れろと言う言葉にシフト
両者の意味・違いは②にて解説

第24話
冠葉へ苹果(「永遠なる生命」)を分け与える陽毬(「愛」)→「運命の果実(苹果)を一緒に食べる」→運命は乗り換わり、自身も「生きる」を獲得=「生存戦略」達成!



(5)「花婿は誰か?」
第9話
ペンギン帽子=運命の花嫁に捧げる花冠
陽毬「誰の花嫁になるの?」
眞悧「多分、その答えは運命の至る場所にある」


では「花婿」は誰か?
それは、以下に注目すればわかる。
・変身バンクシーンにおける兄弟の違い
・第12話における冠葉の病院道中、病院内での回想
・第17話、多蕗は陽毬を離さない冠葉に何を見たか?
・第20話における陽毬と眞悧の恋愛議論と最終話の対比
・第24話、最後の生存戦略


そもそも、最初の変身バンクから待遇は明らかだった。
晶馬はボッシュートで、冠葉はそのまま。
それは、冠葉の苹果(陽毬を想う「永遠なる生命」)が陽毬に渡った事で、彼の覚悟自体をプリンセス・オブ・クリスタルは理解していたから。


そして第12話以降、プリンセス・オブ・クリスタルの真似をする陽毬の姿が回想や描写でちょくちょく描かれる。
プリンセス・オブ・クリスタルの一面が芽生えていく証明?
また、命を明け渡そうとする冠葉の手を押し戻す所からも、プリンセス・オブ・クリスタルの冠葉に対する優しさ、愛が分かる。
プリンセス・オブ・クリスタル=陽毬の失くしてた意識の側面


第17話で多蕗は高倉家に復讐しようとしたが、冠葉の陽毬を離さない行動に桃果を見出して止める。
これは「今」陽毬を真の意味で救おうとしているのが「冠葉」だと気付いたから。
「昔」は晶馬だった、しかし「今」は冠葉である。
多蕗は、自らが桃果に救われた時と同じ行動を、加害者家族の冠葉から見たんだ。


第20話、陽毬は眞悧と恋愛議論を交わす。
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眞悧
「さて、今日はある恋のお話です」
「追えば逃げ、逃げると追われる」
「あれほどうまくいっていたのに、ある日突然そっけない」
「逃げられた!」
「さあ、キミならどうする?」

陽毬「私だったら追いかけない」

眞悧「なぜ?」

陽毬「疲れちゃうし」

眞悧
「う~ん……確かに」
「そういうタイプの人もいるね」
「つまりキミは“逃げる役目しかやらない”と宣言するわけだ」

陽毬「うん……どういう意味?」

眞悧
「両方が逃げるんだから、それはお互いが“私からは近づきませんよ”と相手に言うのと同じってことさ」

陽毬「つまり……?」

眞悧「その恋は実らない」

陽毬「それでいいよ。私恋なんかしないもん」

(中略)

陽毬「例えばだけど……」

眞悧「うん」

陽毬
「相手が逃げたら、私は追えばいいの?」
「それで恋は実るの?」

眞悧「実る場合もある」

陽毬
「そうかな?」
「そういう相手は逃げ続けて、絶対こっちには実りの果実を与えないんじゃないかな?」

眞悧
「鋭いね。そう、逃げる者は追う者に決して果実を与えない」
「それをすると、楽ちんなゲームが終わるからね」

陽毬「ひどい……」
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上記の会話を踏まえた上で、最終話を観て欲しい。
陽毬は「追いかける」「果実を与える」
「疲れた」って良かった。
そして何より、逃げる者(=冠葉)を「ひどい……」とは思わない。


第12話
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冠葉「帰るって、どこにだよ」

プリンセス・オブ・クリスタル「それは、運命の至る場所」
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「運命の至る場所」……第23話、第24話の電車内
              ↓
第24話の生存戦略=プリンセス・オブ・クリスタルと陽毬が真に合一
そして、冠葉を追いかける。
プリンセス・オブ・クリスタルが気にかけていた存在は誰か?
陽毬が最終話へ至るまでの間に、理解した想いは誰のものか?

それは冠葉、冠葉の陽毬を想う「生命の躍動」
自分の事だけを考えてくれていた「愛の証明」
それを、最後にして彼女は否定する事無く、受け入れる。
              ↓
陽毬が冠葉の「生命の躍動」を真に実感した時、冠葉はピングドラムを手に入れ、輪る。


結婚式ってあるだろ?
参加した事ある人は分かると思うけど、あれって新郎が新婦を待つ構成になってる。
新郎が先に辿り着き、新婦がヴァージンロードを渡って新婦へ追いつく。
そして、2人は愛を誓う。
これってまんま、最終話の冠葉と陽毬なんだ。

では、晶馬の立ち位置は何か。
晶馬は、花嫁と共に道を歩む「父」
選んだのは晶馬、見つけたのは晶馬
だから、晶馬が元々、父親として「家族」を維持するべきだった。
しかし、彼にそれは出来ず、晶馬から冠葉へ父親の役割は代わる。
そんな「父親代わり」は、最後にして晶馬へと戻り、彼は見届ける。
花嫁の進むヴァージンロードの行き先を、ピングドラムの結末を。

簡単に言うなら……
自分を選んでくれた「お父さんと結婚する!」と言っていた少女が、自分が選びたい人を見つけて「花嫁」になるのが「運命の至る場所」での顛末

大切な人=運命の人≠花婿
苹果を貰った事で、陽毬が思い出したのは「愛を貰った」事
晶馬に、愛された事を思い出す。
だから、晶馬=大切な人=運命の人
そして、その「愛」(=「苹果」)を誰かに与えたいと思う=花嫁となった証
それを踏まえて、愛そうと思ったのは冠葉

愛を貰ってばかりだった女の子が、初めて愛を与えた相手
愛を頂いてばかりだった少女が、花嫁として愛を与える。
その相手は、最初に晶馬へ「愛」を分け与えた冠葉
「愛」は、絶対に戻ってくる。
大切な人に与えた分だけ、他の大切な人から戻ってくる。

「愛」の永劫流転

冠葉が最初に愛を与えたのは、晶馬
晶馬が、冠葉との約束を叶える為に愛を与えたのは、陽毬
彼女が最後に愛を与えたのは、冠葉

つまり、花婿=冠葉
{/netabare}










3.同世代透明存在の独白・後記
冠葉に感情移入し過ぎてしょうがなかった。
男だったら、こいつの気持ちにかなり共感するんじゃねえかと思う。
何しているか分からない兄貴の事を、分からないまま馬鹿にしたり、批判したりの弟妹
でも、彼が1番、この「家」を「家族」を、支えていた。
勿論、守ってやってる見返りなんて求めていない。
冠葉は、誰かに褒めてもらいたいから、関係を維持させていたんじゃない。
「俺」が支えたいから、自分の意志で「家族」を守ってる。
それは、父親との約束により生まれた思想

通り過ぎない嵐なんかどこにもない。
でも通り過ぎるのを待っていたら、大切な人は守れない。

そして彼は、父になった。
どのように金を稼いでいるか、生活を維持させているか、決して話さずに、耐え抜いていく。
そういうのって男なら日常茶飯事、俺も耐え忍んで生きている。
心を固く冷たく強くして、少しでも早く大人にならなきゃいけないから。
全てを犠牲にしても、守りたいモノって確かにあるし。
だから、俺の事なんてどうでも良い、二の次だ。

しょうがない。
しょうがない。
しょうがない。

でもさ、やっぱり、辛いんだよ。
しょうがないって思っていても、辛いものは辛いんだよ。
1人だけ蚊帳の外で、矢印の方向が違うから、理解されない。
大っぴらに語れない事ばかりなんだから、愛される訳もない。

途中の展開が、悔しくてしょうがなかった。
なぜなら、冠葉の状態が続くと苹果は獲得出来ないから。
自分の存在を、他者へと委ねられないから。
誰かに植え付ける行為を、行う事すら出来ないから。
死んだらそれっきり、眞悧のように呪って終わり。

だから、普通は変わらないといけないんだと思う。
平成が終わった今、変わらないといけないんだと思う。
多くの事件に事故、事象や事案の余波は未だ健在
正直今も、生きる事すら、ままならない。
でも、だからこそ、変わらないといけないんだと思う。
俺は今、間違いなく眞悧であり、冠葉だから。

まだ、俺は何も手に入れていない。
夢に生きてた頃、想い出せない。
輝いていた頃、記憶にない。
恋に落ちてた頃、そもそもない。
愛し合ってた頃、ある訳ない。

だけど、最期に、ある言葉は伝えたいと思えた。
「運命」って言葉は大嫌いだけど。
本作と巡り会えた『運命』には感謝したい。
最期に言いたい言葉を『輪るピングドラム』は教えてくれたから。

いつか、最後の日に、その言葉を言えたら良い。
それはきっと、俺が人生を「幸福」に終えられた証だから。
本当の光を手に入れたら、絶対笑顔で言ってやるんだ。

「ありがとう、愛してる」って。
-----------------------------------------
小さな頃に見ていたものは、まだ何も知らなかった時代のまぼろしなんかではなくて、いまでも見ることが出来るずっとそこにある変わらないものだった。
辛くなるからって無理に忘れてしまわなくても良かったんだ。
僕は気がつくのが遅すぎた。
必要なものを、自分で隠していたんだ。
でも、こんな僕でもまだ全てを失ったわけではなかった。

世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい。
思えば、そんなこと、僕らは最初から知っていた筈なんだ。

時間が過ぎて、僕のことは忘れてしまっても構わないけれど、僕が今ここに書いている言葉のいくつかをときどき思い出してくれるなら、それより嬉しいことはない。

追伸。
今までありがとう。
出来ることならば、誰も憎まないで生きてください。

『CARNIVAL』小説版 PROLOGUEより抜粋
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{netabare}
☆『輪るピングドラム』を紡いだ物語・出来事
【銀河鉄道の夜】
上記で紹介した通り、宮沢賢治稀代の傑作
著者の妹トシに向けた鎮魂小説もとい、生者(自身)へ手向けた慰めの物語


【かえるくん、東京を救う】
村上春樹の小説『神の子どもたちはみな踊る』にある短編の1つ
第9話において、同作者の小説『スプートニクの恋人』が登場するのは、作中の「理解というものは、つねに誤解の総体に過ぎない」という言葉が、両方の物語に登場するから。
『神の子どもたちはみな踊る』は、1995年を軸に描かれた短編集
95年を境に、生きる意味を失う前の想い、失った後の不満、再生、失敗、絶望、希望を主人公達を通して描いている。
主人公は、大きな事を何も出来ない=きっと何者にもなれないお前達の1人
そんなささやかさの中で、かえるくんは東京を救う。
何者にもなれない人間が背中を押すことで、かえるくんは東京を救うのだ。
「かえるくん、東京を救う」は、掻い摘んで言うとそんな物語

また、同作者の『アンダーグラウンド』と『約束された場所で』は地下鉄サリン事件を紐解いたノンフィクション
因みに私は、村上春樹なら『神の子どもたちはみな踊る』が1番スキ


【地下鉄サリン事件】
作中における「あの事件」
情報量が多い故、詳細はググって調べるべし。
陽毬が学校へ行けなくなったのも、父母が犯罪者であった為、学校にいられなくなった→辞めさせられたんだろう
これを見ると、地下鉄サリン事件の前に起きた「松本サリン事件」で、加害者と疑われていた河野さんの子供に向けた学校の対応は、間違ってなかったんだろうな(=冠葉・晶馬のいる高校がそれか)


【透明な存在】
「神戸連続児童殺傷事件」(酒鬼薔薇聖斗事件)において、犯人である酒鬼薔薇聖斗が残した言葉
事件の詳しい内容はhttps://www.nagaitoshiya.com/ja/1999/sakakibara/#comment-163を参照。

この事件を詳しく紐解くと、本作が「神戸連続児童殺傷事件」とも深い関わりを持っているとわかる。
・透明な存在→愛されなかった子供と、愛されず成長した大人、両方を指す

・「世界でただ一人ぼくと同じ透明な存在である友人」=バモイドオキ神=眞悧
「みじめでなく価値ある復讐をしたいのであれば、君の趣味でもあり存在理由でもありまた目的でもある殺人を交えて復讐をゲームとして楽しみ、君の趣味を殺人から復讐へと変えていけばいいのですよ、そうすればうるものも失うものもなく、それ以上でもなければそれ以下でもない君だけの新しい世界をつくっていけると思いますよ」
                ↓
             冠葉の行動へ至る

・酒鬼薔薇聖斗の描いた絵=光と影の世界
 バモイドオキ神=眞悧は2つの世界を超越
真砂子
「明るい場所と暗い場所は共存しなくてはならないの」
「すべてを明るい光で照らしてしまうと、必ずその反動で、暗い場所が明るい場所を攻撃するのよ」
                ↓
             冠葉の行動へ至る

・かえるくん、酒鬼薔薇を救えない
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初めて勃起したのは小学5年生で、カエルを解剖した時です。
中学一年では人間を解剖し、はらわたを貪り食う自分を想像して、オナニーしました。

一橋文哉:酒鬼薔薇は治っていない!
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酒鬼薔薇聖斗にとって、自分を救ってくれるかえるくんはいなかった(「かえるくん、東京を救う」参照)
かえるくんは死に、不安と不穏に包まれ、彼の世界は透明のまま終わる。


【余談】作品を示唆する予言
『輪るピングドラム』が世に登場する前、某サイトでこのようなコメントがあったので、ここに引用する。
彼か彼女か、いずれにせよこの人もまた、透明な存在だったんだと思う。

以下、引用
28 林檎 投稿:2008年3月31日 @11:19 AM
酒鬼薔薇聖斗様があの時に行った行動を、今現在の大人たちが忘れているとしたら、それは彼の悪行が無駄になったということになると思うんですね。
あんなに残酷なことが出来ますか。
出来ないでしょう。
大人でもためらうほどの残酷な行動を、当時の日本は彼にさせたのではないですか。
子供は誰しも、犯罪を犯すために生まれてきたわけじゃない。
子供の世界は小さい。
だからそれゆえに簡単に壊れる。
大人のように世間をよく知って、それなりに自分のその中での生き方を得ているわけではないから、子供は簡単に途方にくれる。
そのときに救いの手が一つだけでもあったなら、彼は変わっていたかもしれない。
周りの大人たちが、異常だ、理解できないなどと遠巻きにしなければ、彼は犯罪者としてのレッテルを張られなかったのかもしれない。
ま、想像ですけどね。
いつも彼は一人だったと思います。
だからこそ自分の中で想像上の友達を創り上げ、自分が生きる意味を示すバモイドオキ神様を遂行し、殺人を自分が生きる目的だと思った。
そうするしかなかったんじゃないですかね、やっぱり。
今の時代も、酒鬼薔薇聖斗様は子供の心の片隅に棲んでいますよ。
頭角を現さないだけで、ひっそりと息を潜めているんです。
今の世間はどうですか。
子供も簡単に犯罪を犯す。人を殺し、騙し、陥れる。
全ては大人がしていることです。ニュースを見て、報道されている内容をしってアホらしくなります。
今のご時世、大人も犯罪を犯しているのですから、子供が人を殺すのは当然ですね。
私は私で、彼を尊敬し、敬っています。
彼は当時の腐った日本に大きな打撃を与えてくれた方ですから。
でも、今はどうなんでしょう。世の中の人みんな、彼を覚えているでしょうか。
忘れているとしたら、なんと悲しいことでしょう。
彼の悲痛な悲鳴があの事件にはあったはずなのに、ニュースで多くの報道がされるように、事件は新たな事件に押しつぶされ、殺されて行く。
この世界が悲しくてなりません。
でも、私は彼を永遠に忘れないでしょう。私に、希望を与えてくれた人だから。墓場まで持っていくつもりです。
それだけを言いたかったんです。失礼します。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/1999/sakakibara/#comment-163
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

考察

陽毬はリスカ少女に似ている
{netabare}
この物語は、ある家族(冠葉、晶馬、陽毬)の崩壊の話だと思う。

端からみれば、この家族はすでに崩壊していると言えるかもしれない。
この家族には大人がいない。両親は世間を敵にして消えた。
この3人の子供に血縁関係はない。
幼少期にそれぞれに傷を受けて、この世から消えそうになっていた。

それでも3人は、お互いに寄り添うことで何とか生きている。

しかし陽毬は難病を抱え、死の間際にいる。
冠葉と晶馬にとってこれは全く受け入れ難いことだろう。
この3人が寄り添うことで、何とか生きている存在なのだから。
陽毬の不在は、家族の崩壊であり、冠葉と晶馬にとって心の拠り所を失ってしまうことを意味する。
なので、冠葉と晶馬は純粋に陽毬への愛情から陽毬の命を救おうとしているのではなく、実は自分の存在を守るために、陽毬を救おうとしている、という側面がある。
しかし2人は、純粋に陽毬救いたいんだ、と思い込んでいるし、そうありたいと もがいている。
このような綻びが物語を通して大きなテーマになっているように思う。

そして、
この物語は、それらを1つずつ乗り越えていく話かと思いきや、
だんだん崩壊に向かっていく。

終盤で陽毬は、この家族に自分の居場所がないような感覚に囚われる。
物語を通してこの3人は本当に、ありえないくらい、お互いを想いやっている家族のように描かれている。
が、なぜか陽毬はそこで自分が透明になっていくかのような感覚を持ってしまう。
陽毬は、3人のお互いへの愛情が空回りしていて、実はお互いを無視してすれ違っている、という本質的な問題に感づいてしまう。
そこにこの家族を巡るもう一つの破綻の原因を、サネトシの促しによって陽毬は気づいてしまう。
陽毬は晶馬を恋しており、晶馬はそれには答えられない。
冠葉は陽毬を恋しており、陽毬はそれには答えられない。
という、三角関係。

ペンギン帽子をかぶった陽毬は、別の人格に乗っ取られた、というように描かれているが、
見方を変えると、陽毬の秘められたもう一つの人格、家族をつなぎとめるために演じているいい子ちゃんな自分の反動、という風にもみることができる。
ペンギン帽子の陽毬は、2人に無理難題を迫る。
晶馬は早々に不満を漏らし、理不尽を正そうとする。だけどそれでは陽毬は救えない。なので脱落する。
冠葉は陽毬のために何でもしてやろうとする、しかし冠葉は常に「してやろうと」するだけで、冠葉の愛は悪く言えば自分の都合のいい押し付けの愛になってしまう。

陽毬が冠葉に近づくとなぜか裸になる。たぶん冠葉にとっての陽毬は性愛の対象として見てしまう、ということを表していると思う。
このシーンは実に悲劇的である。
裸の陽毬を前にして冠葉はなす術なく膝をつく。
家族としての愛情を求められる陽毬に対してどうしても女として見てしまうこと、
自分の恋心は陽毬に受け入れられないこと。
そして自分の愛の示し方、「なんでも俺がやってやる」というような愛(サソリの炎とは、このような愛の形を言っているのではないかと思う)では、陽毬を救えないこと。
で、やはり俺ではダメなんだ、という絶望的な嘆きになる。
これに対する陽毬は冷たい視線のまま、だけれど抱擁している。
ここに陽毬の悲劇があるように思う。
陽毬の恋は晶馬には受け入れられない。なので冠葉の受け入れられない(自分に対する)恋の辛さが痛いほどわかる。

この三角関係が、
3人のお互いを非常に想いやっているはずの家族の崩壊の大きな要因になっているのだと思う。

そして、お互いの愛がなぜか、お互いを苦しめることになっている。
冠葉は陽毬のために何でする(ただし自分一人を犠牲にして)。
しかし他人を犠牲にするような方法で陽毬を救ったとして、陽毬は幸せにはなれない。陽毬はそういうことを望んでいるわけではなない。冠葉の愛は自分勝手な愛に向かっていく。
陽毬は冠葉を救うために、自分の命を投げ出すと決意する。
しかし陽毬が死ぬ、ということは冠葉にって自身の死より苦しい仕打ちになるだろう。陽毬の献身的な愛もまた、自分勝手な愛情に向かってしまう。
晶馬に関しては、ひたすら受動的である。そして自分によって誰かが傷つくことを非常に恐れている。苹果を避けようとしたり、陽毬をおじさんの家に行かせようとしたり。冠葉と同じように陽毬を想っている(家族愛として)が、人が傷を負うことを恐るために、何も救えない愛でしかない。

つまり、
この家族の崩壊の原因は、
呪いをかけられたから、親が犯罪者だから、冠葉が親と同じ犯罪を犯そうとしているから、サネトシの思惑の犠牲になって、ということは本質的な問題ではなく、
3人のそれぞれの愛が、3人を崩壊させていく、
という愛の残酷な皮肉、なのであり、これが物語の大きなテーマになっているんだと思う。

サネトシという存在は、そのような愛の側面に絶望した人間。
サネトシが3人を破滅させている、というよりは、
このような、愛が破滅に向かう摂理について、モモカに証明しようとし、
モモカは逆の形で、愛が破滅を救えるということを証明しようとして苹果に日記を託した
という風に見えます。

ピングドラムを見つけて運命を変える
というのはこのような愛のための崩壊を救う「何か」を見つけ出せ、ということだと思う。


最終話
晶馬はペンギン帽子に「冠葉と晶馬で運命を変えろ」と言われます。
冠葉を妄信から救え、とか、事件を防げ、ではなく、
これから対峙しないといけないはずの「冠葉と一緒に」です。
晶馬はこの時点でまだ何をすればいいのかわからなかったはずです。

冠葉と対峙して晶馬が言ったことは「陽毬を返せ」であり、
それに冠葉が答えた言葉は「お前には陽毬を救えない」です。
到底2人で何か救えそうにありません。
そして、陽毬は死んだまま(自分を消滅させることで冠葉を救おうとしている)、
これもまた2人を救えそうにありません。

この時点で3人の家族は完全に崩壊に向かっています。
サネトシはモモカに「破滅を見せてあげる」と言います。

そこに苹果が現れます。
苹果はその前に「陽毬の命を救う」というセリフのもと、この3人の元に駆けつけます。
でもたぶん、苹果が救おうとしたのは陽毬の命ではなく、想い合うことで破滅しようとしている3人の運命であり、晶馬の心を救おうとしたのだと思います。
なので、そのために自分が燃えても構わない、という愛を示せたのでしょう。

苹果の愛を示されたことで、晶馬は冠葉と対立ではなく向き合おうとすることができます。
晶馬が冠葉と向き合おうとしたことで、陽毬が単なる自己献身ではなく、冠葉に愛情を示そうと立ち上がることができます。

ここに1話でペンギン帽子が言った「ピングドラムは苹果が持っている」の伏線が回収された、と見ます。
ピングドラムは晶馬の心から出てきたように描かれていますが、それは苹果の愛をもって初めて見出せたもの、なのでしょう。

陽毬は傷だらけになりなが冠葉の元に進みます。
その際に自分が家族でいることで、実は苦しんでいたことを告白します。
してもらってばかりで「そんなことを言う資格はない」と、いい子ちゃんで通していた、自分の殻を破って、本音で向き合おうとして はじめて冠葉の心までたどり着くことができた、んだろうと思います。

ここでもやはり陽毬は裸になります。冠葉はまだ苦しんだままです。
そして晶馬も、やり方の違う冠葉への反発、自分の血縁によって冠葉や陽毬を苦しめたくない、という愛への消極的な姿勢を捨てて、冠葉に歩み寄ります。
そうしてやっとピングドラムが生まれる。

3人はお互いを「自分の都合」という色眼鏡でみることをやめ、本音で寄り添える本当の愛を持てた。
自分の苦しみを相手にも分け与える覚悟ができたため、本当の彼らを直視できるようになった。
というところに運命の乗り換えが起きた。救いが生まれた、ということだと思う。

晶馬がピングドラムを陽毬に渡す時、陽毬はやはり裸だけど、幼児の姿になっています。
これは晶馬にとっての陽毬があくまで「妹」である、
また陽毬は「妹」としての晶馬の愛情を、恋の苦しみを超えて心から受け取れた、ということを示していると思います。

その後晶馬は燃え尽きてしまおうとしていた、苹果に「愛してる」という言うことで苹果を救います。
苹果はまったく見返りを期待しない愛を自ら選びました。
しかし、どんなに純粋に愛を持っても、まったっく見返りがない、ということは自身が燃え尽きてしまう、ということを表していると思います。
これは、冠葉が見返りのない愛を陽毬に注ぎ消耗していくのに似ています。冠葉は見返りがない愛ために、燃え尽き、どんどん自分勝手な愛に変質していったのでしょう。
晶馬の「愛してる」には、もう一つ意味があるように思います。
それは、陽毬の前ではっきり口にすること、陽毬の恋心を傷つける恐れをちゃんと乗り越えた、ということが込められているように思います。

晶馬の愛の過ちというのが少しわかりにくいのですが、
冠葉が押し付けてでも「してあげる」愛が実は相手を傷つける、というところの対照的なものであり、自分の愛が人を傷つけることを恐るあまり、何物も救えない、というところにあるのかな、と思います。

えーっと、
次に、サネトシが冠葉に「お前たちは呪われている、いずれまた破滅するだろう」みたいな捨て台詞を吐きます。
この「呪い」は「愛」のことだと思います。「愛」というものは今は大丈夫でもいずれ破滅をもたらす「呪い」なのだ、とサネトシは言いたいのだろう。

遡りますが、苹果が運命を変えようと電車に乗り込む前に、苹果はいろんな人から想いを託されています(小さなピングドラムとでもいうべきか)
ひとつは、モモカからの日記
ひとつは、ユリから。ユリはタブキに救われました。タブキは陽毬と冠葉に(ゴンドラの出来事で)救われました。それが回り回って苹果に託されています。
またもう一つ、ダブルHから陽毬へのプレゼントという形で託されています。このダブルHにマフラーという形の陽毬の愛を届けたのがサネトシなんですよね。陽毬が想いを届けることを自分で断絶したマフラーをサネトシが拾ったことで、苹果の呪文となって回ってきています。
この辺りが面白いですね。

陽毬が何か見失ってしまいそうになって図書館でリンゴ(晶馬からもらった)を置いていきそうになるのを止めるのもサネトシですね。

最後の最後、

陽毬は命を救われます。これは冠葉と晶馬が共に運命を変えた、真実の愛を見つけたことの恩賞でしょうか。ピングドラムを見つけたら陽毬の命も救われる、のペンギン帽子の予言が果たされている。
しかし陽毬の家で冠葉と晶馬はいなかったことになっている。
冠葉と晶馬は陽毬の命を救った。だけどその代償として冠葉・晶馬から陽毬は失われてしまった、ということしょうかね。
ここが重要だと思います。冠葉と晶馬は、自分に都合の良い愛ではなく、自身から失われてもいいので相手を救いたい、という本当の意味での自己犠牲の愛を成就できた、ということなんだろうと思います。なのでラストシーンでこの3人が一緒にいちゃダメなんです。
そして冠葉晶馬は、子供になっています。なぜか?大人の姿のまま陽毬の家をすれ違うシーンであったら、どうしても冠葉・晶馬がいずれまた陽毬と出会うことを見ている側が想像してしまうから、それを避けたかったんじゃないかな、と、思います。

このラストで、登場人物は皆、一番大切な人を失っています。
晶馬は、陽毬・リンゴ
リンゴは、晶馬
冠葉は、陽毬
マサコは、冠葉
ユリとタブキは、モモカ。

これは、愛の喪失を乗り越える、ということの物語でもあるように思います。
ユリとタブキが象徴的ですが、愛するモモカを失って、
・他人を犠牲にしてもモモカを取り戻す
・モモカの復讐をする
いずれも愛がなせることでしょうが、この愛は破滅をもたらします。
そうではなく、愛する(愛される)ことができたから、喪失を破滅を乗り越えられる、というメッセージ(タブキが語っていますが)が、それぞれの試練として課せられた(乗り越えられた)、ということを意味していると思います。

また、冠葉・晶馬が兄弟のように並んで歩いている、という点について。
冠葉・晶馬が、本当の意味で兄弟(あるいはそのような愛情)になれたことを示していると思います。
物語を通して、冠葉・晶馬は、陽毬がいることで兄弟として成立しているようなところがあります。
2人の仲が悪いように見えませんが、性格が反対なので、別の方向を見ているようなところがあります。
冠葉は兄である俺がダーティなことは全部引き受けるので、お前は陽毬の前で笑っていろ(主に陽毬の気持ちを考えてことだと思う)、というようなスタンスです。
晶馬は終盤までその冠葉のスタンスにただぶら下がっているような状態です。
だけど真実の部分を話し合った結果二人は決別することになります。
つまりお互い真に語り合うことをしないために、家族としての体裁を保てていた、ということだと思います。
(また一人の妹想う2人の同じように強い想いが、意見のすれ違いによって争いになってしまう、という皮肉)
単に冠葉と陽毬、晶馬と陽毬が、寄り添うだけでなく、冠葉と晶馬が寄り添って分かち合うところにピングドラムがあった訳です。そこに内実は崩壊していた3人の家族が、本当に家族として暮らせる 何か を見つけられた、ということでしょう。
なので、陽毬を失ったあとに、この2人が一緒にいれるのだと思います。
だし、陽毬の想い。自分が失われるとした場合に、2人に本当に望むこと。私がいなくても家族でいて欲しい、という願いが叶った形なのかもしれません。

***
こどもブロイラーとキガの会を巡る愛の残酷な皮肉

晶馬は直接的に親に捨てられた、という描写はありませんが、晶馬としては幼少期に親の愛をえられなかった、という思いがあると思います。
キガの会というのは、愛の皮肉の例だと思います。
キガの会は子供ブロイラーがあるような社会を変革する、と、言います。
しかしキガの会が革命のために話をしている、そのすぐ側で一人の女の子が親に捨てられ子供ブロイラーに送られようとしています。キガの会には、このような小さな存在、実際の被害に対して目が向かないのです。
晶馬や冠葉も恐らく、親から目が向けられなかった子供だったのでしょう。
晶馬や冠葉は子供ブロイラーに送られることはなかったですが、それと同等の檻の中で飢えていました。
キガの会は愛のためにこの世を救おうとしているはずですが、目の下の自身の子供への愛も注げないでいるのです。
これも残酷な皮肉だと思います。

***
個人的に、

陽毬がリスカ少女のように見えます。
陽毬の呪いとは身体の病気ではなく精神的な病気だったんじゃないか。
幼少期に陽毬は心に大きな傷を負っています。
そのことが呪いとなって、自分を絶対的に愛してくれている2人の兄を前にしても、
自らを消し去ろうとしてしまう。
絶対的に愛している体(てい)の欺瞞に、あまりに敏感に気づいてしまう。なのでサネトシと近い。

あまりにも愛情に溢れた家族の「体(てい)」の中での自分を演じてしまう。
そのことに綻びがある。
あきらかに自分のために奔走している兄たちに、何をしているのか、問い正すこともできず傍観してしまう。
あきらかに自分のために傷ついている兄たちのために、自分を滅することでの救いをもたらそうとしてしまう。
実際、物語の中で陽毬は脇に置かれたまま。陽毬はただ天使のように置かれた人形のような存在であるようにも見える。
そのように演じてしまう。

そして、陽毬と同じように大きな傷を抱えたままの2人の兄(だけ)では妹を救えなかった。
この3人は、3人では破滅を逃れられなかった。

なぜ苹果が必要だったのか?
苹果は登場人物中、唯一と言っていいほど、親に愛された幼少期を過ごしたから、かな。
苹果も序盤では親の愛を疑い、独善的なやり方でそれを取り戻そうとしますが、
そもそも愛を失っていなかった、ということに気づくのだと思います。
どうしても人は100の愛を得ようとしてしまいますが、100も愛を施せることは通常ありえない。
普通、親から100の愛情を受けることはないと思います。
だけど、100無い、ということは、0ではない。
そこに気づけた。100ではない愛情でもちゃんと愛を感じられた、というところに苹果の成長があったように思う。

だから苹果は、陽毬を、3人の家族を救う鍵になれた。
最後に到るまでの陽毬・冠葉・晶馬3人の愛は、未熟な愛だった、あるいは消耗して磨り減った愛だった、と言えるかもしれません。
気持ちだけではどうにもならない、
本当の意味で成長し、別の誰かから小さくとも愛を受け取ることで、誰かを救えるようになったんじゃないかな、と思います。


{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ウテナから来ました

 第一話視聴後のレビューです。全話完走予定。ウテナが面白かったので監督つながりで視聴を開始しました。このレビューは自分の考えを整理するためにメモ、みたいなものです。完走後に追記するかは未定です(多分しない)。第一話のネタバレがありますのでご注意を。評価点は完走後に付けます。<追記しました>


子供たちの会話と銀河鉄道の夜:{netabare}
 この作品は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜(以下『銀河』)』をベースにしているようです。子供たちの会話を抜粋します。表記は『銀河』準拠。
 <前段>
  「苹果(リンゴ)は宇宙そのものなんだよ。手のひらに乗る宇宙。」
  「この世界とあっちの世界をつなぐもの。」
  「(あっちの世界とは)カムパネルラや他の乗客が向かっている世界だよ。」
  「苹果は愛による死を自ら選択したものへのご褒美でもあるんだよ。」
 <後段>
  「(死んだら全部)お仕舞じゃないよ。むしろそこから始まるって賢治は言いたいんだ。」
  「愛の話なんだよ。」

 『銀河』の概略はこんな感じです。
 「孤独な主人公ジョバンニ。父が行方不明で、母が病床のため、働かなければならず、学業にも身が入らない。学校ではいじめられ、職場ではからかわれ、親友のカムパネルラと話す機会も減った。親友のカンパネルラはみんなの人気者。
 二人は、銀河鉄道に乗り込む。様々な人と触れ合うことで、ジョバンニは、「ほんとうの幸」という生きる目的を得た。気が付くと、車中からカンパネルラの姿が消えてしまっていた。
 ジョバンニは目を覚ました。丘の上で寝てしまっていたのだ。丘から下りると川の近くに人だかりがあった。カンパネルラはいじめっ子のザネリを救うため、川に飛び込み命を落としていた。」

 『銀河』における銀河鉄道とは、この世界と死後の世界をつなぐもので、苹果は、死を象徴するものとして出てきます。子供たちの会話の前段部分は『銀河』を説明したもので、後段部分はその解釈です。
{/netabare}

第一話の構造:
 第一話は、子供たちの会話だけで成立しています。
 第一話の前半が『銀河』の世界を再現する<前段>部分で、後半が『ピンドラ』の世界を描き始める<後段>部分に該当します。これが第一話の構造です。


<前段>とTSM荻窪線:{netabare}
 『ピンドラ』が本当に『銀河』の世界観を引用するのかどうか、という疑念を確信に変えてくれるのが「TSM荻窪線」です。

 「TSM荻窪線」は東京メトロ丸ノ内線がモデルですが、荻窪から池袋に行く際に、丸ノ内線の始発駅から終点駅という行き方はあまり考えられません。少なくとも途中での乗り換えが一般的です。それにも関わらず、三人は「TSM荻窪線」のみで池袋まで到達しています。

 このような経路の選択をしたのはなぜなのか。
 「他の路線がないため選択肢がなかった」のであるなら、それはそういう世界を作った「監督の意向」です。「他の路線があるのに使わなかった」のであるなら、それは「三人の意向」です。
 いずれにしても、誰かの意図で始発から終点まで電車に乗っていた、ということです。

 さらに重要なことは、終点で起こった「ヒマリの死」です。つまり、始発から乗り、終点に到達すると死が訪れる、という『銀河』の世界が露骨に描かれているのです。始発から乗る以上、引き返すか途中下車するか乗り換えるかしない限り、死へと到達してしまう世界です。

 以上のことから、意図的に『銀河』の世界が踏襲されており、事実再現されている、と言えます。主人公の男の子達の名前もショウマとカンバですから、ジョバンニとカムパネルラに同一視されます。ヒマリは、「自ら死を選択」していないからご褒美の苹果がないのです。
 ここまでが第一話の前半で描かれている<前段>部分、『銀河』の世界です。
{/netabare}

<後段>と「輪る」「ピングドラム」:{netabare}
 第一話の後半で描かれているのが<後段>部分、『ピンドラ』の世界です。終点での出来事のあとから第一話のエンディングまでに該当します。
 「(死んだら全部)お仕舞じゃないよ。むしろそこから始まる」「愛の話なんだよ。」
 死んで始まると言いたいのは、賢治ではなくて幾原監督です。『ピンドラ』の物語は、死んで初めて始まるのです。愛の話だからキスシーンで終わるのです。第一話というのは、子供たちの会話を映像化しているだけです。
 『ピンドラ』が「愛の話」だと宣言されているわけですから、「ピングドラム」は十中八九「愛」のことでしょう。

 で、問題は「輪る」の意味するところ。

 最初は輪廻観かと思ったのですが、転生ではなく蘇生ですからちょっとロジックが足りないです。山手線が採用されていないのもダメ押しですね。三人の親や子も登場しそうにないので、世代を超えた円環構造もなさそうです。

 となると、横のつながりが「輪る」ですかね。男女の三角関係ならグルッと「愛」を回せそうな気もします。または、男から女へ、そしてその女から元の男へ、の循環ですかね。
 この辺は第一話だけでは情報不足かもしれません。
{/netabare}

 『銀河』自体は、様々な解釈がされています。これに対して幾原監督の解釈を提示した上で、その土俵の上で描かれたのが『ピンドラ』の世界なんじゃないのかな、と思っています。

 ここからはテーマを探ってみます。『銀河』のテーマに幾原監督の「愛」が乗っかったのが、おそらく『ピンドラ』のテーマになるでしょう。

『銀河』のほんとうの幸:{netabare}
 ジョバンニは蝎(サソリ)のようになりたい、と願います。
 「蝎は虫を殺して食べて生きていた。ある時イタチに見つかって食べられそうになった。一生懸命逃げたけど、いよいよ捕まりそうになってしまった。その時井戸に落ちて、溺れてしまった。蝎はイタチに食べられなかったことを後悔した。どうせ死ぬのなら、イタチに食べられていたら彼を一日生かすことができたのに。神様お願いします。むなしく死ぬくらいなら、まことのみんなの幸のためにこの体を使ってください。すると蝎は真っ赤なうつくしい火となって、闇を照らし続けた。」

 賢治の宗教観は、(たぶん)キリスト教と仏教のハイブリッドです。無意な死である自殺を否定しながらも、自己犠牲は肯定しているのです。ただ、推奨はしていません。蝎が虫を食べていたように、蝎がイタチに食べられるのが「自然だ」と主張しているのです。
 これは食物連鎖に限った事ではなくて、人が一人で生きるのではなくて、みんなと助け合うのが「自然だ」と言っているのです(この助け合いの連鎖が「輪る」?)。

 ジョバンニは「みんなのほんとうの幸」のためなら「自己犠牲」も厭わないと生き方を決めました。ですが、「みんなのほんとうの幸」が何なのかが分かりませんでした。そこで「みんなのほんとうの幸」を探すことを決めたのです。

 これに対する幾原監督の解答が「愛の話なんだよ。」ということです。みんながそれぞれ「愛」を得られるような世界が「みんなのほんとうの幸」につながるのでしょう。
{/netabare}

愛の話:{netabare}
 幾原監督の「愛」は既にウテナで描かれており、その「愛」観は特徴的な二元論から成立しています。特異な主張を持つ作家は、やすやすと自分の意見を変えませんので、今作でも大きくは変わっていないはずです。彼の主張は、男女のそれぞれに二元論を用意して、その組み合わせで「愛」に関する二元論を作り出す、というものです。

 女性には、お姫様と魔女がいます。王子様に選ばれて守ってもらえるのがお姫様で、選ばれなければ必然的に魔女化してしまいます。魔女は王子様をたぶらかそうとします。
 男性には、特定の女性に愛を向ける本物の王子様と、不特定多数の女性に愛を向ける偽りの王子様がいます。
 本物の王子様が、魔女にたぶらかされずに正しくお姫様を選び、それにお姫様が応えること。これが幾原監督の言う「ほんとうの幸」である「真実の愛」です。これ以外の愛の形は「偽りの愛」になります。
(この「選び」「応える」構造が「輪る」?)
{/netabare}

プリンセス・オブ・ザ・クリスタル:{netabare}
 で、プリンセス・オブ・ザ・クリスタルと彼女がやったこと。
 ヒマリは、プリンセス~略~、つまりお姫様に変身していますので、最終的には、王子様に選ばれるお姫様になることは間違いないでしょう。ヒロインポジションだし。

 問題はカンバ。カンバは多数の女の子と関係を持っていることから、「偽りの王子様」に該当します。ですが、最後にはヒマリへの愛に向き合う「本物の王子様」の側になりました。この転換の契機となっているのは、プリンセス~略~がカンバの身体から抜き取ったものが関係していそうです。

 彼女が抜きとったのは、苹果ではない赤いもの、「まっ赤なうつくしい火(=蝎)」なのではないでしょうか。そもそもカムパネルラと蝎は、「自己犠牲」という点では共通しますが、結果は大きく異なるものです。カムパネルラは「一対一」の犠牲であり、蝎は「一対全」の犠牲です。
 「一対一」こそが本物の王子様とお姫様による「真実の愛」の形です。カンバは蝎のもつ不特定多数への愛を奪われたことで「本物の王子様」に立ち返ったと考えるとしっくりきます。「真実の愛」ではないけれど、一応は愛なのでヒマリの「一時的な延命」が可能になるのでしょう。

 ショウマは、何も問題なしです。カンバの女好きを非難していますから、「本物の王子様」の素養があります。または、まだ愛を知らない可能性もあります。どちらにせよ、プリンセス~略~に何もされずにさようなら、というわけです。

 ちなみにですが、「一対全」の愛が「偽りの愛」だと言いたいわけではないですよ。「真実の愛」「偽りの愛」というのはウテナから感じた私の感想であって、重要なのは、「目指す愛」と「目指さない愛」という二元論を用意することです。この二元論を「唯一の愛」と「普遍的な愛」としても、「一対一の愛」と「一対全の愛」としても構いません。
{/netabare}

テーマまとめ:{netabare}
 ショウマとカンバ、つまり、ジョバンニとカムパネルラの別形態による『銀河』ifストーリーが『ピンドラ』である、というのは間違いないでしょう。察するに、カムパネルラ役の男の子の「自己犠牲」を描いた上で、誰かが「真実の愛」に到達する、みたいな構造を持ちそうです。遅かれ早かれザネリの代替キャラも登場するでしょう。

 蝎の話は「死に方」に関するものです。ジョバンニは「死に方」を考えることで「生き方」を獲得しました。「どう死ぬか」は「どう生きるか」に転換できるということです。おそらくこれを端的に述べたのが「生存戦略」というキーワードでしょう。生きることは「真実の愛」を探すことですから、「ピングドラムを探すこと」自体が「生存戦略」でもあります。

 『銀河』をやる上で、唯一足りてないのが苹果です。この「欠けたものを探すこと」が「ピングドラムを探すこと」になります。ピングドラムは絶対に苹果の形をしているはずです。今まで書いてきた事柄を整理するとこうなります。
  苹果=死=どう死ぬか
  どう死ぬか⇔どう生きるか
  どう生きるか=生きる目的=ほんとうの幸=真実の愛=ピングドラム
 結果、苹果=ピングドラムなんですけど、これを繋ぐためには生存戦略が不可欠なわけです。
{/netabare}

 第一話のレビューとしてはこんなところでしょうか。第二話以降を気楽に見るために二回も見ちゃいましたよw それでは第二話以降に行ってきます。

★★完走後の追記★★{netabare}
①愛の二元論(上記の修正込)
 ピングドラムは、「愛による死を自ら選択したものへのご褒美」、つまり、「自己を犠牲にして誰かを生かしたときに生まれる愛」のことでした。
 で、修正したいこと。この作品の世界は、「愛のある世界」と「愛のない世界」で成立していて、この愛の中には「恋<一対一の愛<一対全の愛」という上下関係が成立しているというものでした。愛の中で二元論を作っているわけではありませんでした。プリンセンス~略~が最初にカンバから抜き取ったのは、「恋」でした。

 作品の世界は、「TSM荻窪線」のある「愛のない世界」です。「氷の世界」「美しい棺」と称される「子供ブロイラー」が存在するような世界です。カンバとショウマは、自己を犠牲にすることで、「愛のない世界」を「愛のある世界」へと変換しました。これが「運命の乗り換え」です。これにより、ヒマリと苹果ちゃんは、突如として別世界の電車の中に現れました。「命⇔蝎の炎」の路線です。

②運命の果実を一緒に食べよう
 「一対一の愛」を実現するためには、「選び」「選ばれる」ことが必要です。男女を限定しなくなっていますが、幾原監督の王子様とお姫様理論ですね。この選択と被選択のいずれもが達成されないと、その人は「何者にもなれないお前たち」と呼ばれてしまいます。
 この「選び」「選ばれる」ことが「運命の果実を一緒に食べよう」というセリフに表れています。ピングドラム(苹果)を「分け与え」「受け取ってもらう」ことです。ピングドラムは、カンバ→ショウマ→ヒマリ→カンバとまわりました。これが「輪る」「ピングドラム」ですね。

③取り残されたタブキとユリ
 愛が「輪る」構造は、世代間にもあるのでしょう。タブキとユリは「愛のない世界」に取り残されしまった、愛を知った夫婦です。彼らは子供を産み、「蝎の炎」に頼らずともその子供に愛を与えることが出来るのでしょう。
 登場人物たちは総じて親子間に問題がありましたが、愛を知る親が「愛のない世界」に残された、ということです。カンバとショウマ以外の希望のかたちでしょう。

④サリン事件
 首謀者残党である企鵝の会。彼らは別に悪者ではないような気がします。
 彼らはこの世界を壊したがっていました。彼らの言う「聖なる炎」は「蝎の炎」のことでしょうから、愛のある世界を作りたかったのです。手段についてはさておいて。

 この事件の採用は、社会風刺ありき、ではないと思います。『銀河』の世界を再現するためのものでしょう。『銀河』には、船舶事故の犠牲者が出てきます。この船舶事故とは、タイタニック号の事故であると言われています。これを現代と地下鉄に置き換えたのが「サリン事件」だったのだと思われます。

⑤サネトシ
 この人がザネリです。「空の穴分室」にいましたが、「空の穴」というのは『銀河』に出てくる言葉です。彼の言う「呪い」は、他人を犠牲にして生き残ること、すなわちザネリの生のことでしょう。「罪」も同様の概念でしょう。

⑥苹果ちゃん。
 表記も『銀河』準拠だし、果実の苹果が出てくる前に登場したこともあって、レビューを盛大にやらかしたかと不安にさせてくれました。無事に果実の苹果が出てきて良かったです(笑)。
 彼女はずっと運命に縛られていました。でも、最後は死に至る電車を乗り換える「運命の乗り換え」を実行してくれましたね。ヒマリたちが表の主人公だとしたら、苹果ちゃんは裏の主人公でした。

 エンディングを見る限り、ショウマとカンバは銀河鉄道の旅を続けるんですかね?乗り換えをしながら愛のある世界を作り続けるのでしょうか?「ほんとうの幸」を作る側ではなく、いつか味わう側に成れるのでしょうか??
{/netabare}★★追記ここまで★★

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

70.6 2 兄弟で東京なアニメランキング2位
ラーゼフォン Rahxephon(TVアニメ動画)

2002年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (549)
3228人が棚に入れました
翼ある巨神が歌うとき、世界の調律がはじまる…。
21世紀の初め、日本の首都・東京は外部侵入者の『MU(ムウ)』により、その全体を半球状の物(東京ジュピター)によって外部から隔離されてしまった。
それから数年後、東京に暮らす神名綾人は模試会場へ向かう途中、電車事故に遭う。助けを呼ぼうとした綾人はその途中で神秘的な少女『美嶋玲香』と出会い、彼女に導かれるまま、東京の地下神殿にたどり着く。
その時、突如東京上空に現れた巨大な「何か」が放つ「歌」に共鳴した綾人は神殿内で倒れてしまう。混濁した意識の中、綾人が囁いた言葉、「ラーゼフォン」。そのとき何ものかが覚醒する。綾人こそ、この世界運命を握る鍵である時間調律師…MUとこの世界を変革する能力を持った人間だった。綾人が真の目覚めを果たし、巨大な神像"ラーゼフォン"と一体化したとき、世界は崩壊の淵に立たされる…。

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

こういうアニメが好きな人専用。

2002年1月21日 - 9月10日放送された。全26楽章。
2003年「ラーゼフォン 多元変奏曲」が劇場映画化された。
原作・監督は出渕裕。キャラクターデザインは山田章博。

"神名綾人"が謎の少女の導きで神像型ロボ"ラーゼフォン"
と出会い、人類と侵略者"MU※ムウ"との戦いに巻き込まれ、
徐々に自分の望み・運命・使命に目覚めて世界を調律する
までを描く物語。

監督の出渕は。「勇者ライディーン」のオマージュと公言。

各話は「楽章」。「歌」に感応するロボ。パイロットは「奏者」
と呼ばれ音楽に可也傾倒した内容。

RahxephoneのRahは"太陽神"Phonは"声"Xe"は未知"を繋げて
"神の未知なる声"。
キャッチは「美と神秘に彩られた究極のSFロボットアニメ」


2013年2月全世界は消滅し東京だけが奇跡的に生き残った。
都内に住む人々はそう教えられ疑わずに暮らしていた・・

2015年7月4日の朝、"神名綾人"は地下鉄の脱線事故に遭い、
地上に出ると"防衛軍"と"謎の戦闘機部隊"とが激しい戦闘
を始めていた。其処で遭遇した同級生の"美嶋玲香"の導き
で"ラーゼフォン"と出逢、少年は大きな謎に直面する。

感想・・1クール以上やる意味が解らない作品だった。
纏めるのも引き延ばすのも下手な作品にしか感じない。
人間不信の鬱屈で陰湿・陰険を煽る目的の描写が多い。


1話はジャブ。軽く物語の世界観のズレを描写。
2話目は習った常識の世界と真実の世界の二つがある説明。
"ラーゼフォン"と出逢い。新しい世界との反目。
3話目は撹乱。3分掛からない説明を"肝心な事"は解り難く
逸らかした回り諄い言い方で敵意と不信感を持たせる描写
が多く歪な人格の人間による歪で鬱屈した描写で煽るだけ。

4話は確執を深め敵対心を煽る待遇の描写や主人公の特殊
な存在であるアピール・・理不尽さを必死に煽る描写・・
5話目は誤解を解こうとする協力者等の描写・・2分で済む
説明をせずに・・強引にラブコメモード設定に押し込む・・
中学生向けの内容・・物語の逸らかしの連続構成。

6話は20年程の世界の違いの"ギャップ"を中心に"TERRA"の
現状などの補足。世界観の補足。謎の計画。エゴの煽り・・
設定や演出が子供向けすぎる・・

7話良くある脳天気な切れ者風メディア系人物の介入・・
表裏の有る陰険で鬱屈した人物像の煽りで憂鬱・・
高校生ってこんなにも未成熟で馬鹿だっけ?って疑問が・・

8話水着回。ラブコメ。彩り回。過去の因果の説明。
此処で概ねのネタバレ。恋愛絡みでの終焉路線が明示。

9話また子供じみた陰険煽り・・水着回・・ハーレム。
恋愛絡みの駄目押し伏線。人間関係泥沼予告描写。

下野紘さんの演技に良い時と悪い時の斑がある・・
と思って調べたら・・2001年声優デビュー。 2002年の
ラーゼフォン(神名綾人)テレビアニメデビュー作だった。

以降洗脳?記憶改竄云々の沼っぽい精神の世界。
神名麻弥の声優は音楽担当 - 橋本一子で素人演技。

12話で終わったほうが印象濃く面白かったかも。
退屈で同じ趣旨の描写が諄くて感性を疑われてる感じで、
此処まで愚鈍で感受性が鈍くて未成熟な高校生の視聴者
が多いとは思えない・・小学生に見せたくない内容だし
中学生だと鬱すぎないか・・大人向けには稚拙すぎる。

物語は結構良い様に感じるけど構成や演出が良くないと
感じてしまった・・イデオンのオマージュというより・・
あれとかそれのパクリ作品のパクリを捻じ曲げた感じ・・

ゆっくりと進むが・・同じ様な趣旨の演出を繰り返す・・
正直見飽きて退屈になってくる・・視たいのは結末だけ。

キャラデザやメカデザは結構良い雰囲気で世界観の設定
等も結構好きだけど非常にハマりにくい作品。

16話にして未だ嘘つき云々。TOKYO JUPITERに真実云々。
以降また精神攻撃のような描写・・18話で恋話回帰。
19話もぱく・・衝撃の展開で愈々全てのセット完了。
ラストは良くあるどんでん返し返しの返しで普通過ぎ。
音楽だけは可也の世界観にあった雰囲気で秀逸な感じ。

こういうアニメが好きな人には良い作品なのかな。
世界観は壮大だけど中身は非常に薄い。




神名綾人:下野紘:1998年生まれの17歳の高校生。
ラーゼフォンのパイロット「奏者(オリン)」。
内気で控えめな性格で現実主義者。絵画が趣味。

紫東遙:久川綾:1998年生まれの29歳。
TERRA情報部第二諜報課所属の特務大尉。恵の姉。
綾人を東京ジュピターから外の世界へと連れ出した。

紫東恵:川澄綾子:2013年生まれの14歳。
遙の妹。立派な姉にコンプレックスを抱いている。
素直で活発な性格。姉の働くTERRAでバイトしてる。

美嶋玲香:坂本真綾
陽炎のようにうつろう幻の少女。17歳で綾人の同級生。
全てを見通したかのように、綾人に手を貸し導く存在。

如月久遠:桑島法子
体が弱く伏せりがちで毎日TERRA本部で健診を受けてる。
ベスト型のライフモジュール(生命維持装置)を装備。

TERRA
如月樹:宮本充
TERRAに所属する科学者。如月久遠の兄。普段は柔和。
博士号を持ち、専門はネリヤ遺跡やオーパーツの研究。

キム・ホタル:折笠富美子
TERRAの正規オペレーター。オーストラリア国籍韓国人。
幼い頃に両親をMUのドーレムに殺され、復讐心が強い。

八雲総一:宮田幸季
TERRA副司令で少佐。物腰が柔らく甘いマスクの好青年。
外見に似合わぬ大胆な作戦行動でTERRAを指揮する。

五味勝:田坂秀樹
TERRAのオペレーター。堅物な性格。常に本を読んでいる。
四方田の事を煙たがっているが、共に行動する事が多い。

四方田洋平:原沢勝広:TERRAのオペレーター。

七森小夜子:田中敦子:樹の助手で研究員。遙の友人。

功刀仁:中田譲治:TERRAの司令官。冷静沈着な性格。

亘理士郎:内海賢二:TERRAの長官。

α小隊
エルフィ・ハディヤット:杉本ゆう
α小隊隊長。地球連合パイロット。インドネシア出身。
オーバーロード作戦の戦闘機パイロット唯一の生き残り。

キャシー・マクマホン:荒木香恵
α小隊の隊員。コールサインは「じゃじゃホース」。
階級は少尉。すぐにムキになり易い感情的な性格。

ドニー・ウォン:松本大
α小隊の隊員。コールサインは「東風」。階級は少尉。
風水に通じている。エルフィの呼びかけでTERRAに参加。

ジャン・パトリック・シャプラン:ふみおき
α小隊隊員。コールサインは「マエストロ」階級は大尉。
ベテランの黒人。エルフィの呼びかけでTERRAに参加。

TOKYO JUPITER
朝比奈浩子:かかずゆみ
綾人の高校のクラスメイトで中学も同じ。
鳥飼とは恋人同士であるが、本当は綾人のことが好き。

鳥飼守:野島裕史
綾人がTOKYO JUPITERにいた時の同級生。軽口で軽薄。

神名麻弥・橋本一子:綾人の義母。
実はMUの女王。奏者を育て導くコンダクター。

九鬼正義:大塚芳忠
TOKYO JUPITER内のMU総督府の防衛指揮を執る責任者。
階級は一佐。麻弥には絶対服従の様子。

三輪忍:浅川悠
TOKYO JUPITER内のMU総督府の副司令官で階級は一尉。
状況や戦場に応じてドーレムに指示を出せる存在。

バーベム財団[編集]
一色真:関俊彦 / 幼少:朴璐美
地球連合監察官。バーベム財団から派遣された人間。
エリート意識が強く非常に高圧的で高慢な物言いをする。

ヘレナ・バーベム:兵藤まこ
エルンスト・フォン・バーベムの秘書的な存在。
バーベム卿に狂信的な愛情に近い忠誠心を持っている。

エルンスト・フォン・バーベム:家弓家正
TERRAを財政面、技術面で支援するバーベム財団の当主。
世界を裏から牛耳ってる。吸血鬼の類の不死の噂がある。

六道翔吾:大塚周夫:引退した考古学者。
嘗て亘理と共に発掘調査でネリヤ遺跡を発見。
逆神隠しの祠から現われた2名のムーリアン少女も発見。

弐神譲二/十文字猛:堀勝之祐
天戸通信社の記者としてTERRAを取材するために来島。
作品の狂言廻しの役割を担い、遥に情報を与える。

ブチ:遙がTOKYO JUPITERを脱出した際、拾った二毛猫。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

エヴァもどきの一言で済ますのは惜しい、感情描写が細かい《セカイ系面白作》

アニメ史を紐解くと、1990年代後半の『新世紀エヴァンゲリオン』の大ヒットが刺激となって、ロボットもどきの機体(*)による戦闘シーンをアクセントとしつつ、そのパイロットと周辺の支援要員や指揮官の精神的苦悩や恋愛模様や成長を、世界全体の運命とリンクさせつつ描き出す《セカイ系》作品が幾つも制作された時期があった(らしい)。

(*)エヴァ以前に主流だった『機動戦士ガンダム』のような、人間が一から開発したロボットではなく、何らかの謎生物に改造を施してパイロットが乗り込み操縦できるようにした機体。

そうした「エヴァ・フォロワー」ないし「エヴァもどき」と呼ばれがちな1990年代終わり~2000年代前半のロボット・フォーマットの《セカイ系》作品群の中で、単なるエヴァの劣化品に留まらない独自の魅力を備えた作品として、『交響詩篇エウレカセブン』及び、本作『ラーゼフォン』がしばしば挙げられる(ようである)。

・・・ということで、今でもアニメ批評サイトなどで時々名前が挙がる本作についてTV版(全26話)+劇場版を一括視聴してみました。


◆総評

(1)TV版

・「エヴァもどき」というよりは第1話の{netabare}「蒼い血」のエピソード(※エヴァのBlood Type=Blue){/netabare}や第2話の{netabare}「東京ジュピター」のエピソード(※同じくエヴァの黒き月){/netabare}にみるように明らかに意識的にエヴァの設定を「本家取り」している。
・シナリオの展開が早く一話一話が濃いので、視聴中なかなか気が抜けず、「ながら見」が困難(褒め言葉)。
・《展開の早さ》だけでなく《個々のキャラクターの感情描写も肌理(きめ)細かい》点が好印象(※第5話「ニライカナイ」でそういう作品だということに気づいて好印象を持った)。
・但しロボットもどき同士や軍艦や戦闘機とのバトル・シーンの迫力は殆ど期待できない(そこが本作の見どころではない)
・第1話から終盤の第22話まで満遍なく楽しめ、とくに第19話「ブルーフレンド」が本作屈指の見どころのある回となった。
・しかし第24話からのラスト3話の展開は説明不足にも程があると言いたいほどの支離滅裂さで、ここで大きく評価を落としてしまった(※ここでもエヴァのラスト2話が支離滅裂だったのと似ている)。

(2)劇場版

・TV版の複雑に入り組んだ登場キャラクター達の人間関係をバッサリ整理して見易くなっている。
・とくにTV版では主人公(神名綾人=17歳の高校生)に絡んでいた多数の女性達のエピソードをすっかり削り落として、{netabare}彼と同級生だった2人のヒロインのエピソード{/netabare}だけに絞り、かつ彼女らの新規エピソードを追加して「恋愛アニメ」としてもそれなりに見れる作品に仕上げている。


→ということで、個人的な評価としては、

(1) TV版の方はラスト3話の×(疑問)回連発が祟って ★ 4.0
(2) 劇場版の方はTV版の謎もちゃんと説明しているので ★ 4.3

となりました。
※因みに、私の『交響詩篇エウレカセブン』の個人評価は ☆ 3.7 なので、それに比べるとかなりの高評価ということになります。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


=================== ラーゼフォン (2002年1-9月) =================

{netabare}第1楽章 首都侵攻 - OVER LORD - ★ 東京ジュピター(2015年7月4日)、Blood Type=Brue
第2楽章 神人(しんじん)目覚める - AWAKENING - ☆ 翼を持つ巨人(ラーゼフォン)と奏者(オリン)
第3楽章 二人の街 - Welcome to our town - ★ 三嶋喪失?、外の世界と時間(2027年11月10日)、紫東遥(TERRA特務大尉)
第4楽章 自分の時計 - Watch the year hand - ★ TERRA特務航空母艦リーリャ・リトヴァク、久遠との出遭い、D1の襲撃・ラーゼフォン応戦
第5楽章 ニライカナイ - On Earth As It Is In Heaven - ★★ 九州沖根来(にらい)島・海上実験都市神至(かない) ※恵(遥の妹)との交流発生が初見では分かり辛い点は×
第6楽章 消滅都市 - Lost Songs Forgotten Melodies - ☆ 函館D1ARIA発生、キム・ホタル少尉の復讐心、D1撃破
第7楽章 集まる日 - Phantom In The Cloud - ★ 神名綾人の過去を調べる記者、エルフィ小隊長の突進 
第8楽章 凍る聖夜 - The Dreaming Stone - ★ D1欠片からの復活(七森研究員)・再撃破、遥の手袋
第9楽章 時の祠(ほこら) - SANCTUARY - ★ 一色監察官と如月博士の実験、綾人と久遠の神隠し、「カトゥンのさだめ」
第10楽章 追憶のソナタ - War In The rememberance - ☆ 功刀(くぬぎ)TERRA司令官の娘の誕生日
第11楽章 虚邪回路 - NightMare - ★ D1に取り込まれる綾人(母の呪縛、三嶋の手助け)
第12楽章 黒い卵 - Resonance - ☆ 世界を裏切った人々、久遠脱走・暴走
第13楽章 人間標本第1号 - Sleeping Beauty - ★ 如月久遠の過去、衛星軌道のドーレムに矢を放つ回
第14楽章 鏡の中の少年 - Time After Time - ☆ 新兵器(ヴァーミリオン)、MUフェーズ反応、エルフィ出撃・ドーレム撃破
第15楽章 子供たちの夜 - Child Hood's End - ☆ ヘレナ・如月樹・一色の子供時代(バーベム財団当主の屋敷) 
第16楽章 他人の島 - The Moon Princess - ★ 恵の失恋、久遠の願い、綾人・久遠の出発
第17楽章 迷宮への帰還 - Ground Zero - ★ 東京への帰還、潜入
第18楽章 蒼き血の絆 - The Memory Of A Lost City - ★ 母との決別、脱出
第19楽章 ブルーフレンド - Ticket to Nowhere - ★★ 朝比奈との逃避行、結末
第20楽章 綾なす人の戦い - Interested Parties - ★ TERRA新司令部、鳥飼出現
第21楽章 ゼフォンの刻印 - Good Bye My Friend - ★ 監視者鳥飼
第22楽章 木星消滅作戦 - Down Fall - ★ 絵の完成、イシュトリ、東京ジュピター総攻撃
第23楽章 ここより永遠(とわ)に - Where The Sweet Bird Song - ☆ 世界でジュピター現象多発
第24楽章 調律への扉 - Twin Music - × ※以降3話はシナリオ支離滅裂過ぎてフォロー無理
第25楽章 神の不確かな音 - Deus Ex Machina - ×
最終楽章 遙か久遠の彼方 - Time Enough For Love - ×{/netabare} 
------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)14、☆(並回)7、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.0


OP 「ヘミソフィア」
ED 「夢の卵」


============ 劇場版 ラーゼフォン 多元変奏曲 (2003年4月) ==========

全1話 ★ 4.3 ※TV版の総集編だが、ストーリーおよび設定を一部変更



◆その他(メモ書き)

・第11話に出てくる用語 「IMPROVISATION」 (即興演奏)
・本作をお勧めする人→「エヴァンゲリオン」の女性キャラのうち、綾波レイや惣流アスカ・ラングレイよりも、葛城ミサトや赤木リツ子の方が好きな人?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

キャッチフレーズは「美と神秘に彩られた究極のSFロボットアニメ」

前から気になっていた作品ですが、中々視聴の機会が取れず未視聴のままでした。
今回お盆休みを使って視聴しましたが・・・2002年の作品としては相当綺麗な作品だと思いました^^

物語は、2013年2月に世界は滅びの時を迎えるのですが、その時奇跡的に生き残った人口2,300万人の東京が舞台となっています。
この作品の主人公は、高校生の神名綾人・・・彼はとある朝、友人と学校に向かう途中の地下鉄の中で脱線事故に巻き込まれてしまいます・・・
多くの怪我人が発生した中、綾人の友人も怪我していた事から、助けを呼びに外に出た彼は愕然とします・・・
頭上の空を往来する戦闘機やミサイルの数々・・・一方地上では戦車が必死の攻防を行っている惨状を彼は目にするのです・・・
何が起こっているか分からない状況の中、同級生の美嶋玲香に出逢い避難先を探していたところ、怪し気なスーツの2人組が綾人をどこかに連行しようとするのですが、それを突如現れた紫東遥が阻止して今度は彼女が綾人の身柄を拘束しようとするのです。
綾人と玲香は地下鉄に乗り込み逃げ切る事に成功するのですが、その地下鉄の向かった先は「世音神殿(ぜふぉんしんでん)」という場所でした。
この神殿で玲香は歌い・・・綾人は「目覚めて」という声を聞き・・・卵が割れて・・・ラーゼフォンが登場し、壮大な物語が動き出すのです・・・

導入部分だけ見ても相当な設定が盛り込まれている作品ですが、これは序章のほんの一部に過ぎません。
綾人は「真実を知りたい・・・」という言葉を何度も用いますが、その位状況把握の難しい作品だと思います。
でも、一旦入り込んでしまえば、綺麗な作画と美しい音楽を肴にして思い切り満喫できる作品だと思います。

主人公の神名綾人は、17歳の高校生でラーゼフォンのパイロットです。彼は自ら望んでラーゼフォンに登場した訳ではなく、導かれるように・・・ラーゼフォンに呼ばれるようにパイロットになっていきます・・・
内向的で他人と距離を置く性格は、つい先日視聴したエヴァンゲリオンのシンジを彷彿させましたが、シンジよりはもう少し前向きにラーゼフォンに乗り込みます。
それは、ラーゼフォン自身が綾人以外を受け付けないことも理由の一つになっているのですが、守りたいモノが明確にイメージできる点が、シンジと大きく異なる点だと思って視聴していました。
そして彼は、ラーゼフォンに優しく守られています・・・ロボットと優しさって一見接点が無いように思えますが、この作品では大きく関係しているんです。練に練られた部分の一つだと思いますので、この作品に興味のある方は是非本編をご覧頂ければ、と思います。

そして冒頭で少し触れた紫東遙は本作品のヒロインです。
彼女も残酷な人生を歩まされた一人・・・だったと思います。戦闘時以外は、飲み友達と焼肉に行くか、綾人と一緒の時間を過ごしている彼女ですがとても魅力的な一面を持っています。
とにかく想いが一一途なんです・・・大災害により引き裂かれた想い人を一旦は忘れようとするのですが、想いを捨てきれず最も再会の可能性の高い仕事を生業にしているのですが、普通じゃそこまで出来ないと思います。
でも、その仕事が逆に妨げになった事もありました。努力家なので、仕事でもそれなりの職位に就いています。それなりの職位にはそれなりの情報が集まってきます。
中には当然機密事項も含まれています。なので隠していたんじゃなく、言えなかっただけ・・・
それが上手く伝えられず、冷たい態度に涙した事もありました。
でも、彼女の一番の魅力は「絶対に諦めないこと」だったと思います。
諦めなかったらきっと心が届くと信じ貫く彼女・・・思い切り応援しながら視聴していました。
それだけに、大災害という運命に振り回されなかった未来を期待しましたが・・・

オープニングテーマは、坂本真綾さんの「ヘミソフィア」
エンディングテーマは橋本一子さん、橋本まゆみさんの「夢の卵」
オープニングは特に素晴らしく、毎回欠かさず視聴しました^^

2クール26話の作品です。設定とストーリーが複雑なので、今回のレビューではこの作品の良さを書ききれませんでした^^;
今回レビューに記載した以外にも魅力溢れるキャラがたくさん登場しますし、色々と複雑な面もありますが十分感動できる作品だと思います。
もう一度視聴したら更に理解が深まりそうなので、時間が取れたらもう一巡したいと思いますが、その前に劇場版を視聴します♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 21

74.9 3 兄弟で東京なアニメランキング3位
炎炎ノ消防隊(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (510)
2275人が棚に入れました
全人類は怯えていた──。何の変哲もない人が突如燃え出し、炎の怪物“焔ビト"となって、破壊の限りを尽くす“人体発火現象"。炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、現象の謎を解明し、人類を救うことが使命。とある理由から“悪魔"と呼ばれる、新入隊員の少年・森羅 日下部(シンラ クサカベ)は、“ヒーロー"を目指し、仲間たちと共に、“?ビト"との戦いの日々に身を投じる!!

声優・キャラクター
梶原岳人、小林裕介、中井和哉、鈴村健一、上條沙恵子、M・A・O、楠大典、興津和幸、日野聡、関智一、悠木碧、小西克幸、Lynn、河西健吾、宮野真守、前野智昭、津田健次郎、阪口大助
ネタバレ

RUSHIKA꙳★* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

『この世にヒーローがいねぇから!!俺がヒーローになるって言ってんだよ!!』

ヒーローか悪魔か !!

人が突如燃え出し、怪物“焔ビト"となって、
破壊の限りを尽くす“人体発火現象"。
炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、
現象の謎を解明し、人類を救うことが使命。
とある理由から“悪魔"と呼ばれる
新入隊員・森羅 日下部は、
“ヒーロー"を目指し、仲間たちと共に、
戦いの日々に身を投じる!!

原作__大久保篤 少年週刊マガジン


とにかく、筋肉かっこいい。
あとキャラが魅力的。
服装も消防服のデザインが
青の蛍光色が光って綺麗。
ヒロインたちも髪型や性格、
一人一人異なり、全員が好き!
茉希ちゃんの髪型かわええし、
アイリスはシスターの服が似合う!
あと、紅丸!戦いのとき銀時みたいに
片袖だけ脱いでるのセクシーすぎる。
若の筋肉触りたい。
{netabare} 14話の最後、オーバーヒートで森羅にお姫様抱っこされてるの見て
惚れた。(一応、腐ってませんよw)
ババアの死に光りうめぇとか
素直に言えないとこもかわいいから!
何なんもう →テンション爆上げ
{/netabare}

☆主な登場人物☆
森羅 日下部(CV梶原岳人)
アーサー・ボイル(CV小林裕介)
樽 桜備 大隊長(CV中井和哉)
武久 火縄 中隊長(CV鈴村健一)
茉希 尾瀬(CV上條沙恵子)
アイリス(CVM・A・O)
新門紅丸(CV宮野真守)

☆音楽☆
OP : Mrs. GREEN APPLE 「インフェルノ」
ED : 須田景凪 「veil」

15話~
OP : coldrain 「MAYDAY」
(feat. Ryo from Crystal Lake)
ED : Lenny code fiction 「脳内」

OPもEDもかっこよく心地よい。
特にMrs. GREEN APPLE、かっこいい。
知名度も高くなる。歌詞もイントロも魅力的。



映画館のように耳に重低音が響く。
すごい音量です。
面白いと感じても深く心に響く感銘を
受けるものではないです。
少年漫画らしく、熱血、戦闘、正義という
テーマが主です。(笑いも)
気づいたら応援してしまうような
真っ直ぐなキャラクター達です。
年齢層は若い人かな。。
あ、でも、15話あたりから
物語の本題にせまってきて
面白いのでそこからは誰もが楽しめると思う。
少年漫画が好きで、新しい世界観を
堪能したい方にお勧めです。


たぶんきっと原作に忠実だからだと思うけど
首にある横の線気になる。。
ので、作画は4.0にしました。
{netabare}
あ、レビュー関係ないけど
関智一さん、クズだけどかっこいい!!
どうしようもないクズも似合うよ♡(褒め言葉)
鈴村健一さん、沖田総悟もはまり役だったけど
茶髪役もいい!!夫婦共演おめでとう!
てかな、中井和哉さんと組むと、
土方と沖田の再来で感動するわ 泣
宮野真守さん、一瞬マモさんって
分からないくらい声が別人で
プロ根性感じた(震)
14話の鬼退治、主人公 紅丸だと思ったよ…
酒入ると愉快王とかめっちゃ可愛いじゃん
{/netabare}



『兄の 意地』は神回だった。
そこまでに向けての終盤の8話くらいが
良かった。
最初は優しい少年向けの正義ものかぁ
って感じで見てたけど
弟のために何度も立ち上がる姿は
鈍い涙腺にもきた。
ちょっと最初の数話が、
どんな展開を見せるのかっていう
物語の方向性が消防隊の説明が多く、
見えなくて、入り込めなかった
そんな欠点も多分、誌面で読むと
世界観や設定の説明が
丁寧だという印象になり、
楽しめる作品なんだろうな。。
てか、最初の数話見たとき、
我の中ではここまで評価上がるとは
思わんかったぞ
ちょっと感動しちまったじゃないか。
{netabare}
最終回は結局お母さんが、鬼になってたから何やねん、ここからじゃんけと思ったけど、弟の心が戻りそうな兆しが見えたから良しとしよう。
{/netabare}
それにしても 森羅 万 象って
センスありすぎw
あとさりげなく、キャラクターの苗字と名前が全員逆で呼ばれるのがなぜかきになる。

あとさ、何といっても、消防士と宗教組み合わせたのがすごい。
近代宗教の捉え方で描かれていて
宗教という偶像にすがるのではなく
人の為の宗教という考え方。
あくまで宗教は人の成仏のため。
だけど、特殊消防隊という組織自体が
太陽皇という宗教に基づいて出来ている
ため、そこがどうストーリーに影響してくるのか見所だ。
{netabare} 桜備大隊長がドクター に言ったように伝道者と太陽皇の違いが
人を殺すか人のためか なのか
それとも伝道者の目的は他にあるのか
2期が楽しみ。1期では匂わせぶりなことを語っていたので気になる〜 {netabare}

にしても、梶原岳人さん、
ブラッククローバーのアスタ役から
またまた異例の抜擢。
個人的に嫌いではないけど、
声の表情のレパートリーが
まだまだ少ないと感じてしまう。
Googleでも 炎炎ノ消防隊 声優 下手
が検索キーワードに出てきてしまっていて気の毒だが、定評のある主役声優にした方が無難だった。場面に合わない底抜けの明るい声がたまに聞こえて気になった。口の形が変わったキャラなだけに不気味さが少し足りなく少年ぽい青臭さが響く。2期では気にならないといいなぁ。
新門紅丸が出てくると真守さんの声の色彩に引き込まれて存在感が薄れてしまう。森羅、頑張って‼︎‼︎



週刊少年マガジンに載ってるくらいだし、奥深く設定が練り込まれてる予感がする。2クールで放送したことによりいいところでラストを迎えた。
2期に期待。

ラーモス!!!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人体発火現象「焔(ほむら)ビト」による脅威から一般市民を守り、人体発火現象の原因と解決策を究明する「特殊消防隊」の物語…

この作品の原作は未読ですが、碧ちゃん、M・A・Oさん、Lynnさんが出演されると知り視聴を決めた作品です。
週刊少年マガジンで連載しているのもポイントでしたけれど…


全人類は怯えていた―――。

何の変哲もない人が突如燃え出し、炎を操る怪物“焰ビト”となって、
破壊の限りを尽くす“人体発火現象”。
炎の恐怖に立ち向かう特殊消防隊は、現象の謎を解明し、人類を救うことが使命!
とある理由から“悪魔”と呼ばれる、新入隊員の少年・シンラは、
“ヒーロー”を目指し、仲間たちと共に、“焰ビト”との戦いの日々に身を投じる!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作品が決して悪い訳じゃありません。
ですが、7月18日に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」があまりにも凄惨な事件だったからでしょう。
7月20日に放送予定であった第3話の放送を見送り、当初の編集・演出を一部変更しての放送となりました。
私はこの作品の作り手の皆さまの英断だったと思います。

原作者はソウルイーターを執筆した大久保篤さん
アニメーション制作は、ジョジョの奇妙な冒険シリーズや、はたらく細胞を手掛けたdavid production
惹かれる組み合わせだと思います。
原作1巻の腰帯には、「ソウルイーター」の登場人物であるマカ、ソウルのイラストも描かれているんだそうです。
ソウルイーターは、2008年~2009年にかけて全51話で放送された作品です。
この作品も「ソウルイーター」同様、腰を据えて制作される作品になると嬉しいです。

そういえば、「ソウルイーター」には「ソウルイーターノット」という外伝がありましたよね。
3人の女の子が活躍するお話でしたが、その中の1人「多々音 めめ」のCVも碧ちゃんでしたっけ。
こういう繋がりに気付けると嬉しかったりするんですよね…^^

すっかり脱線してしまいました^^;

まず、物語の設定が独特です。
突然人間が燃え出す人体発火現象…通称「焔(ほむら)ビト」
「自身の体から発火した者は瞬く間に全身が炎に包まれ、自我を失い命が尽きるまで周囲を焼きつくす」という設定をどうしたら考え出せるんでしょう…
そして更に苦しさを助長するのが、「自我を失う」のには個人差があるということです。
自我を失ったらもう誰も止めることはできません。
その人に待つのは「特殊消防隊」による安らかな死だけです。

でも自我を失うまでは、ちゃんと人としての理性を保ち続けるんです。
全身が炎に包まれているんです。いつパニックを起こしてもおかしくありません。
寧ろ炎に包まれた瞬間にパニックに陥るのが当たり前かも…
当たり前ですが、物凄く熱いし苦しいと思うんです。
でも、自分が動けば炎があちこちに燃え移って周りに…家族に迷惑をかけてしまう。
だから微動だにせず「特殊消防隊」の到着を待つんです。
その先にあるのが安らかな死だけだと知っていても…

だからこんな悲しい連鎖は絶対に止めなきゃいけない…
そのためにも早く原因を究明しなきゃいけない…
そのはずなのに、物語がきな臭い方向に逸れていくんです。

特殊消防隊には全部で8つの部隊が存在し、それぞれの管轄を持っています。
主人公の森羅 日下部が入隊した第8特殊消防隊は、新設されたばかりですが焔ビトの秘密について追うことを目的とした全うな組織です。

第1特殊消防隊は、聖陽教会を母体とし特殊消防隊の中でもエリートと称される部隊。
第2特殊消防隊は、東京皇国軍直属の特殊消防隊。
第3特殊消防隊は、特殊消防隊の装備の開発を担っている灰島重工をバックに持つ消防隊。
第4特殊消防隊は、消防庁が管轄する特殊消防隊。
第5特殊消防隊は、第3同様に灰島重工をバックに持つ特殊消防隊。
第6特殊消防隊は、特殊消防隊で唯一の医療部隊。
第7特殊消防隊は、元々は自警団『浅草火消し』で、浅草地区を管轄する特殊消防隊。

この様に、特殊消防隊は生まれも背景も異なっているんです。
当然中には大人の事情を山ほど抱えている部隊だって存在するでしょうし…
あまり多くは言えませんが、特殊消防隊だからといって所期の目的を愚直に遂行しているとは限らないということです。
この辺りは、物語の進展に伴って明らかになっていきます。

今ハッキリしているのは、森羅が本懐を遂げるためには強さが足りないということ…
それは個人としても然り、組織としても然りです。
それに、これまでは各消防隊が独自に活動を行ってきましたが、どうやらそんな事を言っている場合じゃなくなってきた…ということです。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Mrs. GREEN APPLEさんの「インフェルノ」と、coldrainさんの「MAYDAY feat. Ryo from Crystal Lake」
エンディングテーマは、須田景凪さんの「veil」と、Lenny code fictionさんの「脳内」
前半クールの楽曲はオープニング、エンディングともに秀逸です。
特にオープニングアニメとの融合は格好良くて心が震えました。
エンディングのアイリスも魅力的ですけどね。
後半クールはエンディングが印象に残っています。

2クール全24話の物語でした。
そして嬉しいのが続編となる「炎炎ノ消防隊 弐ノ章」の放送が2020年夏に予定されていることです。
やっぱり腰を据えて作って貰える作品だったんだと思うと、喜びもひとしおです。
物語はだいぶ盛り上がってきています。
この熱を切らさず続編に繋いでいきたいと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

次シリーズへ持ち越し

7話までの感想{netabare}
原作どっちが先か知らないけど“ブラッククローバー”に凄く似てるような?
ちょいと調べたところ連載開始時期は大体同じ?
主人公の声が一緒だからってことじゃなく…別に珍しい話じゃないので被るのはありがちなんだろうけど、スタッフ狙って声優同じにしたんじゃないだろうなァ?
ブラクロでは主人公がはみ出し者の集まる黒の暴牛団に入った辺りの序盤「今後は国や他の騎士団の不正を暴く方向に行くのかな?」と予想したことはあって、まぁ実際はそっちの方向へは行かなかったけど、アイデアの根幹・出発点は同じにして別の展開に進んだパラレル作品みたいな、そんな感覚を覚える。
け、決して主人公の声が同じだからってことではない(二回目)。
あれだ、ワンピースに対するフェアリーテイルみたいな感じ、あくまで偶然の類似で責める意図は無い。
とはいえ、シスターに一途で周囲からは(筋肉)バカ呼ばわりされてる魔法騎士のアスタ(梶原岳人)が、こっちではシスターを姫に見立てて騎士王を自称するアーサーをバカ呼ばわりしてるのは、なーんか「ふふっ」と来ちゃいますけどね。

それにしてもこっちは展開はええw
第五がアヤシイと睨んで「じゃあ勘付かれない様に証拠集めするのかな?」と思ったらあからさまに敵対するわ殴り込みするわ。
そもそも主人公は新人なのに即戦力すぎるわ。
1話でチームワークが大事と言ってたのに単独で解決しちゃうわ、6話で「中隊長のシゴキに比べればこんな攻撃大したこと無い」と言うが肝心のキツいシゴキとやらのシーンが無いわ。
あくまで話数の少ない深夜アニメとして話を詰め詰めにした結果(ついでにリアルのあの事件の影響)だろうと好意的に見てるけど、やっぱブラクロと比べると…早い早いw
そして7話でようやくインターバル入ったって感じかな?
前回の第五へのカチコミを大ゴトにしないためのアリバイ作りで食事会&次にアヤシイと睨んだ第一連中の紹介。
ふう、やっとひと息つけた感じ。
ブラクロは間延びが果てしないけど、こっちの詰め詰めもなかなか目まぐるしい。{/netabare}

8話感想{netabare}
ドラゴンボールでビーデルがボコボコにされる回を原作で事前に知ってて、3倍じゃなくて標準でビデオ録画待機してアニメ放送に臨んだ人って結構居るんじゃない?
(その回作画大して良くなくてスゲーガッカリしたってオチ付き)
そんな懐かしい記憶を呼び起こす展開だったけど、自分は炎炎の原作知らんが展開早くて「え、この回でもうそれやるの?」ってことにはなってない?大丈夫?
いやぁ~、犯人探しはもっと話数かけると思ってたので「まさかアイツが犯人だったなんて!」ではなく、展開早くてビックリです。
しっかし空飛べるのはアドバンテージでっかいよなぁ。{/netabare}

最終回までの感想(これだけ読めばいいかも){netabare}
別にパクリだなんだいう訳ではなく、なにか“ブラッククローバー”(以下ブラクロ)とリンクしてるような気がしてならないこの作品。
主人公の声がブラクロの主人公と一緒だったり、その役ドコロがブラクロではシスターに惚れてる騎士志望(本編では騎士になったが)の筋肉馬鹿だったのが、こっちではシスターに惚れてる?騎士志望のキャラをバカ呼ばわりしてたり、な~んか関連というか因縁めいたのおを感じてしまって…。
深なる部分に悪魔的なナニカを飼ってそうなところとか…これはよくあるネタなのでわざわざあげつらう程でもない?

で、内容だけど…結局これ、「他の部隊が敵か味方か探りを入れて、敵の正体分かりましたー」ってだけで…あれ?敵そのものは全然やっつけてなくない?
「やっつける」なんていう子供っぽい表現を敢えてしてるけど、清濁噛み締めるビターな話って訳でもあるまい。
内容的には所詮少年誌で、それにしてはエンタメ性がなーんか一歩足りない感じ。
ってか敵がニヤついた奴らばっかり、やっつけられないにしろせめて冷や汗かかせたりぐぬぬくらいはさせてくれないとホント消化不良、炎扱ってるクセに。
作画は頑張ってるんです、だけどイマイチスカっとしない、高笑いのベルクカッツェを捕り逃すガッチャマンを最後まで見せられたみたい。
…。
ま、まぁいいや、次のシリーズで吠え面かかせたりやっつけてくれるんでしょう。
思い切りブツ切りだったり続きはOVAでだったり、あまつさえ打ち切りなんて作品が同期にあったせいかそこら辺は寛容。
だけど次シリーズへの引きが、ホムラビトになった母を人間に戻すとか言い出して…あれ?これもつい最近似た話を見たぞ?
何だっけー何だっけーと必死に思い出したら“アサシンズプライド”だwあっちもランカンスロープを人間に戻すとか言って話を締めてたっけ。
これもよくあるネタとはいえ「原作が続いてて、アニメはひとまずの決着はつけつつも話の引きは残しとく」の部分が被っちゃった感じ、いやぁこの作品ホントよく被るね、別にパクりだなんだいう訳じゃなくて。

総評としては、悪くはないのだけど飛び抜けて面白いという部分も無い。
せめて痛快に敵をやっつけるシーンがあれば良いのだけどそれは次シリーズへお預け、多分。
これで次シリーズも「敵をやっつける」が無いと困っちゃうんだけど…だ、大丈夫だよね?{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

77.0 4 兄弟で東京なアニメランキング4位
ハイキュー!! TO THE TOP(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (261)
1336人が棚に入れました
春の高校バレー宮城県予選、激闘を制し悲願の全国大会出場を決めた烏野高校排球部。全国大会を控えた彼らのもとに、影山の全日本ユース強化合宿召集の報せが舞い込んだ。さらに月島にも宮城県1年生選抜強化合宿への招集がかかる。同じ1年生との差に焦る日向は、宮城県1年生選抜強化合宿に押しかけるも……!?全国大会本番に向け、日向、影山、そして烏野高校排球部の更なる挑戦が始まる⸺!!

声優・キャラクター
村瀬歩、石川界人、日野聡、入野自由、林勇、細谷佳正、岡本信彦、内山昂輝、斉藤壮馬、増田俊樹、名塚佳織、諸星すみれ、神谷浩史、江川央生、花江夏樹、宮野真守
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

視点が変われば、世界が変わる

制作:Production I.G、
原作:古舘春一、監督:佐藤雅子
副監督:石川真理子、シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:岸田隆宏
総作画監督:小林祐、音楽:林ゆうき、橘麻美
原作:古舘春一

2020年冬クールは良作が多く、ドロヘドロを筆頭に
視聴分だけで十分に満足できるラインナップだった。
そのため、面白そうだが、視聴に至っていない
録画したままの作品がまだ数本残っている。
この作品もそんな1本だった。

3期までの物語から面白い作品であることは
分かっていた。しかし、白鳥沢高校との決戦が終わり、
物語に一区切りついていたことから、
あまり視聴意欲が湧かなかったことが
これまで未視聴だった大きな理由。
ところがHDDの整理に迫られ、
視聴を始めると、やはり抜群に面白いことに
改めて気づかせてくれた。
キャラクターが個性的で魅力的だし、
競技を描くポイントの絞り方が、とても上手い。
Production I.Gが手がけるスポーツものは、
ほぼ外さないと分かっていたのに
ここまで放置していたのは痛恨だった。

ハイキュー!!の魅力は、日向翔陽と影山飛雄を中心にした
強烈なキャラと、爽快で緻密なスポーツ描写の面白さにある。
動きやカメラアングルもよく考えられており、
バレーボールの迫力を感じさせてくれる。
しかし、それだけにとどまらないのがこの作品の奥深さ。
個人的にはバレーボールという競技に
それほど興味はないのだが、この作品を観ていると、
競技そのものへの深い理解に驚くことがある。

今期で言うと、控えメンバーでサーブ特化の山口忠。
これまで何度も深く取り上げられている人物で、
サーブを打つだけのために試合に投入される。
どれだけ落ち着いた心理で試合に入っていけるか。
途中でワンプレーだけを任される選手にとっては、
最重要のポイントといえる。
それは、普段からの練習で意識することが大切。
効果的な方法である「リセットの視点」は、
とても納得できる話だった。

{netabare}つまり、会場内にある標識や
非常口の誘導灯などをリセットの信号として定め、
それを見たときに意識を集中させる訓練を
普段からやっておく。
緊張していてもすぐに試合に入れる心理状態に
持っていく準備をしておくのだ。
とてもリアリティのある話で、選手の心理について
深く考えられたエピソードだった。{/netabare}

また、選手たちをサポートする存在の人々の
想いもきちんと説得力を持たせて描いている。
例えば、今回は清水潔子が、
マネージャーとして最前線に立っているという描写。
自身が中学時代にハードル競技の選手だったことから、
そこに立つ心理を理解しつつ、自分が現在、
立っている場所はどこなのかを明確にする。
スポーツに関わるさまざまな状況を
上手くストーリーに組み込んでいる。
メインである全国大会はさわりだけだったが、
とても面白い4期目だったと思う。

今期のいちばんのポイントは、
全国大会に向けてレベルアップを図る
烏野高校排球部メンバーたちの想いや視点と
いうことになるだろうか。

影山は、全日本ユース強化合宿に招集され、
月島は宮城県1年生選抜強化合宿メンバーに選抜される。
合宿メンバーに選ばれなかった日向は、
呼ばれてもいないのに、宮城県1年生選抜強化合宿に
勝手に参加するという突飛な行動に出る。

{netabare}ただ、ここで偶然によるワンプレーをコーチが目にして、
合宿に飛び入り参加させてもらえるというような、
ありがちな展開にしなかったのは驚きだった。
日向は、部活のバレー部を休んでまで
合宿に参加したのに、
最後まで球拾いしかやらせてもらえないのだ。
しかし、才能ある者たちが揃った
各高校1年生代表たちのプレーを外から見ることで、
チーム全体に必要な動きや
論理的なタイミングについて考えるようになる。
自らの身体的な動きと技術面だけでなく、
プレーの連動性に着目するようになったのだ。{/netabare}
視点が変わることで、世界が変わって見える。
それは、レベルの違いもあるし、
下から見るのと、2階から見ることでも
見え方が変化する。県大会から全国に目を移した
ときの視点の違いを上手く表現していた。

一方、影山は全国トップレベルの選手とともに
プレーすることで、自らの足りない部分を考える。
日向をより効果的に使うことをイメージする。
ふたりは、違う世界のレベルの高さを心に刻み、
それをチームに持ち帰ることによって、
全体に大きな変革をもたらすのだった。

全国大会前の地味な話のはずが、
ここまで面白く見せられるのは、
やはり原作の持つ大きな力だろう。
また、全国大会突入後、天井の高いコートに
なったことで影山がアジャストに戸惑う描写の
リアリティにも感心させられた。
作者がバレーボールという競技を
とても深い部分まで捉えているのがよく分かる。

多くの人々の想いや視点が渾然一体となって、
全国大会に突入した第4期。
良質なドラマと感情の迸りを
今後はどのような形で見せてくれるのだろうか。
(2020年8月22日初投稿)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 43

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

頂の景色へたどり着くために。下を向いている暇はない。

ハイキュー4期。

「観て見ようかなー」ぐらいの軽い気持ちで観始めたシリーズでしたが、今では大好きな作品です。

もし観ていなかったら、
大きな出会いを逃すところでした。

そんな作品も4期です。
4期の続きとなる劇場2部作の製作も発表されています。

4期は全25話です。
前半・後半クールまとめてレビューします。

以下、3期までのネタバレを含みますのでご注意を。


● ストーリー
全国大会出場が決まった烏野(からすの)高校。

影山飛雄(かげやま とびお)には全日本ユース強化合宿への、月島蛍(つきしま けい)には宮城県の有望な1年生を集めた強化合宿への招集がかかる。

どこからも声のかからなかった日向翔陽(ひなた しょうよう)は、強化合宿へ勝手に乗り込む。

ボール拾いの雑用に加わり、何のためにここに来たのか、招集された選手たちのプレーを観察しながら、選手としての感覚を磨いていく。


4期は、
・強化合宿編
・全国大会スタート
の大きく2つにストーリーが分かれています。

ちなみにTVアニメではカットされた、音駒(ねこま)高校など東京都代表をかけた争いは、OADで観れます。
(私は未視聴。これから見る予定。)

ハラハラする試合もいいけれど、
次に向けて力を高めていくパートというのもわくわくします。

ここでつけた力が試合でどのように発揮されるのか、
楽しみになるから^^

また、オールスターとも言える強い人たちの集まりというのは、
学べることがたくさんあって、試合に負けないぐらい面白い♪

そして、いよいよ全国大会。

チーム烏野の雰囲気大好き。
個々が自由で、でもバレーにかける思いは同じ方を向いていて。

どこの学校も各都道府県の代表として勝ち上がってきたチームなわけで、
簡単に勝てる相手ではない。

そんな強い人たちのプレーも面白いし、
相手に影響されて試合の中で覚醒していく烏野メンバーのプレーも面白いし、

とにかく最後まで目の離せる瞬間なんてちっともない、
アツいストーリーでした!!


● キャラクター
男子バレーボールの話なので、
基本的に男の子キャラばかりです。

女性人気が高い作品なのも納得です。

私は3年生トリオが好きです^^

真面目な大地さんの安心感、へらへら菅さん、おっとり旭さん。
そこにマネージャーの清水先輩エピソードが加わって、

3年間で積み上げてきたもの、この大会が高校生活最後のチャンスであることなど、3年生ならではの要素がとてもいい味出してるのよ。

相手チームやライバルチームのキャラもいい。

特に稲荷崎(いなりざき)高校の宮兄弟や北さんは、
とても好きなキャラでした^^


● 作画
ストーリーやキャラなど大満足な一方で、
今回気になってしまったのは作画です。

3期まで、作画もすごかったのです。
カメラワークも凝られていて、すごく見ごたえがありました。
こんなに動いて大丈夫?とこちらが心配になるぐらいに。笑

だけど4期は崩れが気になるところも多くて、
どうした?となりました。

せっかくの見せ場ももったいなかった…。


● 音楽
【 前半OP「PHOENIX」/ BURNOUT SYNDROMES 】
【 後半OP「突破口」/ SUPER BEAVER 】

ハイキューの主題歌はどれもアツくなる曲ばかりで大好きなのですが、
今回も最高です!!

歌詞も作品にぴったりです。


【 前半ED「決戦スピリット」/ CHiCO with HoneyWorks 】
【 後半ED「One Day」/ SPYAIR 】

こちらもいいですね~。
どのアーティストも安定感抜群です。


挿入歌として久々に1期のOP「イマジネーション」が聴けたのもめちゃアツかったです。


● まとめ
この作品は出会えて本当によかった。

アツい試合も、キャラの楽しさも、
とにかく好きです。

4期は作画以外が最高だっただけに、
作画の崩れがもったいなさすぎました。

いろいろ事情はあるのでしょうけど…
むしろこれまでが良すぎたのかもしれませんが…。

劇場版は大丈夫だと思いたい。

劇場アニメ2部作『ハイキュー!! FINAL』を超楽しみにして、
まずはOADを楽しみたいと思います♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

バケモンたちの宴…開幕!!

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ1~3期まで視聴済です。
調べてみると、OVAやコミック限定版に同梱された作品もあるようですが、そちらは未視聴です。


春の高校バレー宮城県予選、
激闘を制し悲願の全国大会出場を決めた烏野高校排球部。

全国大会を控えた彼らのもとに、
影山の全日本ユース強化合宿招集の報せが舞い込んだ。
さらに月島にも宮城県1年生選抜強化合宿への招集がかかる。
同じ1年生との差に焦る日向は、宮城県1年生選抜強化合宿に押しかけるも……!?

全国大会本番に向け、日向、影山、そして烏野高校排球部の更なる挑戦が始まる⸺!!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

白鳥沢学園高校を決勝で破り、その勢いのまま春の高校バレー全国大会に物語が進むと思っていましたが、実際にトーナメントが始まるのは物語のほぼ終盤…

ですが、終盤までの間の取り方は個人的にとても良かったと思います。
何故なら、終盤まで物語を費やしたのは「井の中の蛙大海を知る」ことだったんですから…
INTRODUCTIONにも記載されていますが、全日本ユース強化合宿招集と、宮城県1年生選抜強化合宿への招集の2本の列車が同時に動き出すんです。

2つの共通点は「見れること」と「知れること」
そこには、いつもの練習とは全く異質のステージが彼らを待っていたのですから…
合宿に押しかけた日向は、流石にちょっとやり過ぎとは思いましたが、無理を推して正解だったのではないでしょうか。
正式に呼ばれた訳じゃないからまともな練習はできません。
ですが、日向が「見れること」の大切さに気付いてからの物語は、正に真骨頂だと思います。

そして気付いたのは日向だけじゃありません。
影山も全日本ユースで掴んだ確かなモノがあったと思います。

別々の路線を走っていた列車が交錯し、どの様な相乗効果を生んでいくのか…
今は物語の途中なので全容は分かりません。
ですが、これまでの烏野高校とは見違えた面が見れると思いますよ。

そして、物語の合間にちょいちょい刺さり込んで来るマネージャーたちの言動からも今期は目が離せません。
私のお気に入りの清水さん…彼女がどうしてバレー部のマネージャーになったのか…
どういう思いでマネージャーとしての責務を全うしているのか…
普段は寡黙な女の子ですが、バレー部を思う熱い気持ちは半端じゃありません。
個人的にはこういう熱い物語は大好物です^^
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、BURNOUT SYNDROMESさんの「PHOENIX」
エンディングテーマは、CHiCO with HoneyWorksさんの「決戦スピリット」
ハニワさんはハイキュー!!初参戦だと思いますが、イメージに合ってて良かったと思います。

1クール全13話の物語でした。
4期は全2クールの予定なので、ちょうど折り返し地点に差し掛かったところですね。
これまででも十分熱いですが、その熱量が今後更に増していくんでしょうね。
後半クールは7月放送予定…3ヶ月なんてあっという間なので、楽しみに待っていたいと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19

69.3 5 兄弟で東京なアニメランキング5位
バビロン(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (371)
1137人が棚に入れました
「その啓示は、静かにそっと訪れる―」東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め――?

声優・キャラクター
中村悠一、櫻井孝宏、小野賢章、M・A・O、堀内賢雄、興津和幸、宝亀克寿、置鮎龍太郎
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

萌えと怪事件

【2020/03/12 末尾に追記】


怪事件を巡り、架空の政治的特別区で、生と死や、正義と悪を揺るがす政治的/法的闘争が開始される。

といった展開を予期させる冒頭の数話だが、「重そうな」要素は、サスペンスの設定のために効果的にそう見せかけるための装置に見えるので、あまり本質的ではない「哲学」への拒絶感で視聴を遠ざけるのは筋が違う気がする。

政治特区や検察特捜部などの「道具立て」がリアリズム的な効果を期待されながら、現実の「特区」は首相や有力閣僚のお友達に利権を分配する装置になっているとか、現実のアメリカ大統領は知性や熟慮とは100パーセント無縁の人物であるといった、作中のリアリズムが「現実」に減殺されてしまうような事態は、本作のせいではないので少しばかり気の毒だ。
が、必ずしも作中の「フィクション」性と「現実」が分離しきれていないところが、同情だけしてはいられない視聴感をもたらす。(後述)


なぜ人を殺してはいけないのか、という難問が中二病的な空想の産物に過ぎないように、なぜ自殺はいけないのか、という問いも、現代の視聴者が感じるほどの「深さ」はない。

文明との接触が限定的な狩猟採集の伝統社会においては、嬰児殺し=子殺しが広く観察されていることはよく知られた事実だ。
が、入手可能な食料の総量と人口とのバランス調整の手段は、「子供を減らす」に限ったことではなく、「高齢者の自殺」という形でも行われている。
そうした社会では、老人が自主的に自殺していく、あるいは老人の自殺の幇助は、自然な決断や称賛されるべき名誉ある行為とされているらしい。

伝統社会で観察されるという事は、人類史において、広範な範囲にわたって「名誉ある自殺」(と幇助)が存在していたことが推察できる。
日本の「姥捨て山」のお話にしても、老母を「殺す」というよりも、老人の「自殺の幇助」という習慣であるとも見ることが可能だ。

状況によって評価が変わる行為が「深く」見えるのは、問い自体の「深さ」というよりも、語りの「レトリック」の問題だろう。
相対的に「評価」される行為を、絶対的な「善悪」の価値と結びつける「レトリック」は、もう一方では「絶対的」な価値を「相対的」に引きずり落とすレトリックでもある。



{netabare}世界には、「正義」も「悪」もない。すべては相対的なのだ。
とは、中学二年生が言いそうなセリフだが、いい年した大人でも、どうかすると口走る。

中二であれば、人生でこうした考えに一度は向き合うことも大切だと思えるが、大人で口にする者が、得てしてブラック経営するIT成金だったりするところに、どっちもどっち論の幼さや無根拠性が表れている。


たとえば、虹の7色と言われるが、実際の虹はスペクトルであって、境目のないアナログな連続体であることはよく知られている。

ためしに赤色から橙色へ変化を追うとき、境目を見出すことはできない。
特定の波長を設定して、それより長いものは「赤」、短いものは「橙」と「定義」することはできるし、そうされてもいるが、それは光や色について取り扱う利便のために設定された「方便」であって、境界線のすぐ両側の「色」を見比べても違いを指摘することは困難だ。

「設定」は恣意的なものであり、「赤」と「橙」を区別する絶対的な境界線はない。
が、だからと言って、「赤と橙には違いは無い」、さらには「色の区別は不可能」といったことにはならない。

「境界線」の両側では、確かに違いを識別できない。
しかし、誰でも、「明らかに〈赤〉としか見えない」色や、「どうしても〈橙〉にしか見えない」色があることは「疑えない」。

「これは明らかに〈赤〉だ/〈橙〉だ」という直観(直感、ではない)、両者の区別の根拠はこれだと現象学は主張する。
「赤」を見たときに感じられる「あの感じ」。「橙」とは異なる「あの感じ」が現れることが、「赤」という直観を支える本質だ。
本質洞察されたこの直観によって、「赤」と「橙」の両者は峻別されるし、この区別=違いが直観されて不可擬であるからこそ、事後的に「区別」できない領域という疑惑が生じる。
論理的に、最初に区別が「ある」という確信があるからこそ、区別は「無い」かもしれない=「ある」は誤りかもしれない、という懐疑が生じるのであって、逆はあり得ない。
「境界線」、「定義」、の発想自体が、「ある」の確信の上にしか生まれないのも明らかだろう。

境界線の付近ではどちらの色か決定が困難に、あるいは不可能になるが、それは「ここでは決定できない」という「明確な」判断が下されるのであって、区別の原理的な不可能や、ましてや一切の決定不可能性を意味するものではない。

「正義」と「悪」にも、まったく同じことが言える。上記の「赤」と「橙」に、正義と悪を代入すればいい。
「色」も含め、あらゆる知覚像が人間にはアナログなものとして現れることが、人間にとって世界がアナログとして存在する根拠であり、「正義」と「悪」もアナログなスペクトルとして現れ出る理由だ。
取扱いの「利便」のために「境界線」が引かれるが、境界の設定や曖昧性は、正義や悪という区分の存在の不可擬性を脅かすわけではないし、善と悪の区別が一切不可能であると証明するものでもない。

中二病の患者が主張するように、「正義」も「悪」も存在しないのではない。直観に対する懐疑と再確認が「世界」での人間の振る舞いの実質だが、中学二年生はその経験を重ねる途上にいるだけだ。
中二じみた言動をする大人は、いい年して直観と本質洞察に無自覚なだけか、自覚しているなら意図的に「ウソ」を吐いているという事で、どちらにせよ真に受ける必要がない。


ついでに、作中の「政治」要素についても記しておこう。

哲学や倫理といった根本原理が、物語る設定のために意図的に「法律」という「利便」のための道具に重ねわされているように、政治もまた、本作内では変形している。

「正義」が「法律」という「方便」と二重化されているように、作中では「政治」は「多数決」という「方便」と一体視されている。

作中の「日本」は民主主義の「政治」体制だが、選挙=多数決の「多い意見を集める」ことは、国民が国民自身を支配する民主主義「政治」を具体的に運営する「制度」=「道具」に過ぎない。
何らかの方法で何が「国民の意思」かを可視化しなければならないし、意思が複数存在するならどれかに決めなければならい。
が、それは「利便」の手段、あるいは運用上の「限界」=「制約」であって、本質である「国民による支配」そのものではない。

選挙の投票率が著しく低い、あるいは意見投票がしばしば「どちらでもない」が多数になることがあるように、多数決=選挙が、そもそも投票者=主権者の「意思」=本質を反映できていない事態は当たり前に存在する。
そもそも「選択肢」から選ぶという選挙=多数決は「デジタル」であって、「アナログ」の本質は原理的に再現できない。
少数意見を切り捨てずに議論するというのは、せめて「選択肢」を精緻化して少しでもアナログの再現度を向上させる「実利的」な方法論であって、綺麗事のタテマエ論ではないのだ。

民主「政治」が「多数決」と同一視されるのは、今のところ「本質」を具体化する「道具」がほかに考案されずにいるからに過ぎない。

本作内での「政治」が、「本質」から離れた「多数決」の言い換えなのは、言うまでもなくサスペンスドラマの設定がパワーゲームの要素を必要としているからだ。
本作内の「政治」は、本質的な意味での政治とはかかわりのない、「ゲーム」の「ルール」の一部をなしているだけに過ぎないし、それゆえ作中で「政治」を問うことは見せかけに過ぎない。

作中の「政治」という言葉は、全て「架空の数取りゲーム」と置換して構わない。


作中で主人公が追い求める「正義」が揺らぐように見えるのは、「法律」の本質がまさに「利便」のための「境界線」であって、「正義」の本質とは異なるという食い違いによる。
「正義」が揺らいでいるのは見せかけで、揺らぎは「正義」と「法」の、本質の範疇的な違いが生み出している。

「正義」と「法」の範疇が混淆するのは、主人公の職業意識が反映されているからであり、サスペンス性を主人公視点で演出するからだ。
だが、終幕に至って、所属組織を離れ、職業上の立場を離脱してもなお、主人公の思考と価値基準が変化しないことで、サスペンス性が急速に拡散してしまう。

「サスペンス」は、怪事件が「捜査」され「真相」を追うことで発生していた。
だが、終幕では、「捜査」は放棄され、主人公は「職場」を離れる。

職場=捜査を離れることで、サスペンスを発生させる支点=視点の特権的な「立場」が喪失されているにも拘らず、行動の核である「職業的」信念が変化しない主人公は、中二病の自問自答じみた空虚な詭弁の狂言回しのように迷走し、「サスペンス」は決定的に喪失される。



それにしても、原作は小説のようだが、事件のキーパーソンの曲世という女性の造形は、まるでアニメ化のために創られたかのようだ。

いっさいの作為なく、対面する男の性的な欲動を(強制的に)挑発する、とは所謂「萌え絵」(の概念)をキャラクター設定にしているとも云えるだろう。

「乳袋」に代表されるような、現実からは不自然な衣服の張り付きや、皺の強調。
殊更にまくり上げられたスカート、しかし下着を描かない「はいてない」。
あるいは身体のひねりや指の微妙な曲線、「乳揺れ」、などなどなど。

描かれている(女性)キャラには挑発する作為などないと見せかけるイイワケを担保しつつ、性的な印象を喚起する「萌え絵」の技法。
こうした技法の数々に支えられる「萌え絵」の概念が、そのまま彼女のキャラクター設定に重なる。
と同時に、アニメ化に際して、こうした「萌え絵」の技法をなぞった描写をすることによって、このキーパーソンの特異「能力」を、最小限の説明で視聴者に納得させることが可能になる。

「意図的に」この「異能」で事件を操作する曲世愛というキャラクターは、まさに「萌えキャラ」構造の可視化という事になるかもしれない。
作為は無いという暗黙のイイワケを投げ捨て、「キャラ」「自身」が「自覚的」に「萌え」るビジュアルを誇示してきたならば、男子オタクは能天気に「萌え」つづける事はできるのだろうか。
彼女に「犯された」という同級生男子たちの証言は示唆的だ。

こうしたところが、本作が「アニメらしくない」物語ではなく、アニメならではのものだと思わせる。


バタイユの有名なエロティシズム論では、エロティシズムは、禁止によって規定されている人間存在が、規定された「禁止」線を「侵犯」することで立ち現れるのだという。

正義と悪の境界線=「禁止」の境界線を揺さぶり、混乱させる「犯人」=曲世が、性的イメージを喚起する「萌え絵」の化身のようなキャラクターであるのは必然だろう。

だが、アニメやマンガに投げかけられる「エロい」が「エロティック」のカジュアルな短縮形であるように、「萌え絵」の「エロ」は、バタイユ流の「死にまで至る生の称揚」である「エロティック」に比べれば貧弱で弱々しく、言葉同様に内実もカジュアルに薄弱化しているようだ。

挑発はしていません、という「言い訳」で性的要素がないかのように見せかける「萌え絵」の概念。
大人の目を盗んで「怒られ」無いようコッソリと逸脱を楽しもうとする子供のような態度を思わせる「萌え絵」の「エロ」が、死にまで至る生命の燃焼を求めて「禁止」を正面から「侵犯」するバタイユの「エロティック」に到底及ばないのは当然かもしれない。

何かの拍子にたまたま「萌え絵」が公共の場に出て、批判的な意見に曝されたとき、まるで発狂したような勢いで批判者に罵言が集中して、なんとしても批判者の口を塞ごうとありとあらゆる屁理屈が並べ立てられるのは、どうしてでも「こっそり」侵犯している姑息な「仕掛け」を隠蔽したいからなのだろうか。

禁止線をめぐる「境界線」の問題を、表現や自由などの「絶対性」に結び付けて一切の批判を一挙に無効化させたいという自堕落な欲望は、まさしく正義や悪を持ち出して「境界線」を「絶対」化しようとする曲世=「萌え絵」キャラの欲望と共鳴している。

こうした騒動は主にネット上での「炎上」という形で現れ、様々な「論客」とやらが「議論」をかわしている、とみられているが、ネットの掲示板やSNSには、「議論」など無い。
掲示板の書き込みやSNSのつぶやきは、交互に書き込むことで「対話」や「議論」が行われているように見せかけられてはいるが、実質的には単に自分の「意見」を書きこんでいるだけに過ぎない。

現実に対面しているもの同士の会話では、おのずから「意味」が立ち上がり、交換され、それによって「議論」や「決着」も導かれる。
一方的に、相手の「意見」を無視して「議論」が成立することは、原理的にできない。

言語の「原理」とは、「意味」が発生していると相互に不可擬な間主観的信憑が発生する、という現象学の本質洞察であって、言語哲学者の「言語は定義できない」は転倒した錯誤に過ぎない。
だが、掲示板上では、間主観的な不可擬性の信憑がなくとも、一方的な書き込みで「議論」の形式を見かけ上捏造することができる。
論客とやらの「論破」「オレの勝ち」の勝利宣言は、要するに独り言の書き込みと本質的に変わりはない、端的に無意味だ。


アニメの感想にこんなことが浮かんでくるのは、本作のラスト数話で繰り広げられる「議論」や「思索」が感じさせる空虚感、空想性、空回り感が、まさにこうした「形式上」の形を整えただけの無意味感と同じ感触を感じさせてくるからだ。

日常的な会話では、「よい」は、「良い」「善い」「好い」「正義」「優れている」「悪くない」などなどの多様な意味の中から、その都度使用する人間たちの間主観的信憑において「意味」を相互了解しながら使われている。
「よい」という言葉を使っているという「形式」だけで、善悪という根源的審級における「よい」、法律上「よい」、政治的に「よい」、などなど、本質の異なる諸要素を同一平面において混淆してしまう形式主義の言葉遊びが、本作ラストの空虚さを支え、ネット「議論」を連想させる。

あるいは、意図的な「詐術」として形式化を利用しているのではなく、作者や製作者の中では「本気で」先入観のない幅広い思索を試みていると自覚されているのだろうか。
掲示板で「勝利宣言」する「論客」が、ともすれば自覚的に詭弁を弄しているのではなく、本気で「勝った」気になっているように見受けられるように。
だが、上述したような、正義についての本質洞察の確信を把握する普通の視聴者には、本作の「議論」も、ネット論客の「勝利宣言」のように、独り相撲のつぶやきにしか感じ取れないだろう。


作者や製作者が形式主義を自覚できず、詭弁の空論を「本気」で捉えているのかもしれないと疑ってしまうのは、掲示板やSNSのみならず、形式主義が現実に浸透しているような日常感覚があるからだ。

この数年、首相を始めとする有力政治家が、論理的には明らかに不法行為を行っていると推察されるのに、一向に追及が効力を発揮できない事態は、ネット同様に他者の意見や言葉の意味を一切受け止めることなく、一方的に妄言を並べたてる態度を、「議論」とみなしてしまう「形式主義」の呪縛にある。

「形式」上、議論であるかのような体裁があれば、本質を顧みることなく事実的な「議論」として取り扱ってしまう「形式主義」

昔話では、「王様は裸だ」と言えば下らない欺瞞は霧散した。
が、「奴は嘘つきだ」という単純な真実を言えなくする「形式主義」の呪縛が、際限なく空論を繰り返す下らない「議論」を無限生産する。

こうした「現実」が、ネット同様、本作のようなアニメにも浸透して、サスペンスが空論に落ち込む事態を招いたのかもしれない。
「性的な挑発はしていません」という「形式」主義の産物である「萌え絵」を体現したキャラの姿で幕を閉じるラストは、象徴的だ。



【追記】

萌え絵を愛好することは、別に悪いことではない。
いや、むしろ「萌え絵」の魅力は性的な要素があってこそなのだろうし、それを間接的な仕方で匂わせる処に「萌え絵」の技術性があるのだろうと考えている。

だが、「炎上」で不毛な「論争」が爆発するのは、擁護したい者が、自分は「エロいから」この絵が好きだ、という明らかな「事実」を否認=隠蔽したまま「擁護」しようとするために、「擁護」の立脚点が架空の「論点」の上に築かれざるを得ないからだ。
「架空」の土台上に重ねられる言葉に、間主観的な「意味」の共有が生じないのは当たり前で、再反論もどこまでも空論へ流されていくのは、これまた当然だ。

「萌え絵は性的な挑発をしている(だから好き)」と事実を認めるだけで、不毛な議論の大多数はたちどころに消滅するだろう。
「形式」的な「議論」(の体裁)にこだわって、どう見ても明らかな「事実」を無いことにする歪みが、不毛な言説の氾濫となって「炎上」は繰り返される。

本作では、「曲世愛」が、(作品内の「現実」では)「事実」として他者の思考や情動に影響を与える「能力」があることはどう見ても明らかであるのに、法律上の構成要件に該当するかどうかという「形式」にこだわり、危険な異能という「事実」性を基礎に置かないために実効的な対応が取れない。

終幕の「空論」の空転感を底で支えているのが、「事実」を見ないことにして「形式」上の体裁に縛られる形式主義であり、中心点である曲世愛が「萌え絵」(概念)を象徴するキャラであることは、やはり必然だと思う。

その意味では、時代と現実を反映していると云えるのかもしれないが、触発的に告発しているというよりも、単に時代に「取り込まれ」て呪縛されてしまっているだけという印象しかないのは、作者や製作者の自覚的な内省や能力の問題だろうか。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

生きることは善いこと

この作品の原作は未読です。
ここのところ、ツインエンジンさん制作の作品は面白いのが多いので、視聴を楽しみにしていました。
「甲鉄上のカバネリ」にはじまり、「クズの本懐」「ゴールデンカムイ」「からくりサーカス」「どろろ」など。
直近放送された「ヴィンランド・サガ」もツインエンジンさん制作の作品です。
このラインナップを見たら期待せずにはいられません。

この作品は全部で3章構成になっています。


第1章「一滴の毒」
その啓示は、静かにそっと訪れる―
東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。
そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、
紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。
捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。

時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。
正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め――?


第2章「選ばれた死」
人々に拡散し始める、死への誘惑─
新域域長・齋開化による『自殺法』宣言と、64人の同時飛び降り自殺。
日本を震撼させる事件の真相と、暴走する齋の行方を追うため、正崎は捜査に動き出す。
後任の検察事務官として瀬黒陽麻も加わり、法務省・検察庁・警視庁をまたいだ機密捜査班が組織される。
さらに、事件の鍵を握る女・曲世愛に関する調査も進める正崎だが、その先にはさらなる絶望が待っていた——


第3章「曲がる世界」
絶望の先に辿り着く、「悪とは何か」の答えとは――
公開討論の末に域議選挙が行われ、新域では自殺法の運用が本格的に始まろうとしていた。
齋拉致計画の一件で捜査班全員の死に直面した正崎は、依然として絶望の淵に立っていた。

憎むべき人間はただ一人。“最悪の女”曲世愛を正崎は再び追う。
正義、そして悪とは何かを、己に問い続けながら——


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

レビューのタイトルでも触れていますが、本作品は人間の生死と善悪を結び付けて扱う作品です。
「善いこととは?」「悪いこととは?」「生きるとは?」「死ぬとは?」
キーワードはたったこの4つだけ…
でも、この4つのキーワードは如何様にも組み合わせることができるのが、物語をややこしくすると同時に、心の軋む元凶たり得るんです。

当たり前の様に生活を送っているので、普段こんなことは考えたりしないと思います。
だから真面目に考えてみると、答えを導き出すのが結構難しかったり…

でも完走して振り返ってみると、疑問点が二つばかり…
まず一つが登場人物の死について、こんなにも凄惨に描かなければいけなかったのか、という点です。
人に限らず、生物には必ず死が訪れます。
これは確実で不変的な事象で例外はありません。
そしてその生きている時間を決めるのは決して他の生物ではあってはならないと思います。

私はこれが世の中の一般常識だと思ってきました。
ですが、この作品ではその常識を根底から否定するんです。
しかも想定の範疇を軽々と凌駕する描写で視聴者に襲い掛かってくるのだから堪りません。

個人的には主人公の東京地検特捜部で検察官を務める「正崎 善」の部下として奔走していた彼女の死が一番痛ましく、視聴を続けるのが正直しんどかったかな…
よくもまぁ、そんな事が考えられると思ったと同時に、その愚行に及んだ犯人を心底憎いと思いました。
リアルでもそこまで憎いと思える人なんていないのに…

そしてもう一つが恐らく巷を騒がせているであろう最終回の展開です。
投げっ放しという感覚は無いのですが、あまりにも情報量が少なすぎるという印象です。
サミット会場の屋上では2発の弾丸が発砲されました。
ですが、その顛末が描かれているのがCパートのほんの一瞬で、そこには凡そ存在しないであろう人物が笑っていたのですから…
そしてその展開は最終回に相応しいとはとても思えなかったので、思わずネットをググっちゃいましたよ。
そしたら、原作は小説と漫画があるようですが、どちらも未だ続いていたんですね。
しかし、この消化不良感、何とかならないのかなぁ…
齋開化の件だって中途半端感が拭えませんし…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌は各章ごとに使い分けられていました。
第1章が「Live and let die」
第2章が「イノチ食ム魂」
第3章が「The next new world that no one knows(blood stained ver.)」
あまり気付きませんでしたが、一応歌詞と歌はあったみたいです^^;

1クール全12話の物語でした。
本当に壮絶な戦いが繰り広げられるのは、寧ろこれからなのかもしれません。
でも、人間は勝てるのでしょうか…?
最終話で明かされた「善いこと」を貫くだけでは、きっと彼女には届かないと思います。
今は彼女に勝利するためのピースが欠けているのでしょう。
それが何なのかは分かりませんけれど…
だって、曲世 愛の能力が正崎 善に効いていないのか、或いは曲世は正崎に対して能力を発動させていないのか、それすら私たちは分からないのですから…
続編の制作が待ち遠しいところですが、それには原作のストックが足りないのかもしれません。
寝て待つことしかできないのかな…?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

Fとか‥‥

5話までの感想{netabare}
やっぱりどうしても、“正解するカド”を知ってるとどうしても…ねぇ?
見る前から「この原作者の作品はクソだ」と決めて掛かることはないけど、警戒はしちゃいますw
栗T着た異方少女サラカちゃんが出てきやしないかヒヤヒヤ。
ヤンホモを殺すビデオレターが飛び出すんじゃないかヒヤヒヤ。

と思ってたらその片鱗らしきものが…。
曲瀬愛…一瞬で男を惑わす魔性の女…えええ、超常現象に頼っちゃう?そうしちゃう?
な、なんだろうな、しっかりした展開を望む気持ちとドッチラケで終わるのを期待する気持ちが混在してる自分に気付いた。
ある意味今後の展開に目が離せません、こんな楽しみ方で良いのか?{/netabare}

6話感想{netabare}
討論番組は“ダンスインザヴァンパイアバンド”の1話を彷彿とさせますね、あっちは作者本人がパネラー役やってたっけか。
少年の父親は「行方が分からない」と「誰だか分からない」とでは全然別だよね?
「父親とは連絡が取れておりませんが~」って、本当に存在するかどうかも不明なモノ(名前すら知らなかったんでしょ?)に勇み足が過ぎるなぁ、と。
まぁいいか。
野丸が少年を擁立させて当選を狙うって…元々齋開花を談合で当選させて傀儡にしようとしてたんだよね?
まんまと飼い犬に手を噛まれた形なのに、再び傀儡にしまっせオーラを隠そうともせずにぬけしゃあしゃあと懲りないねぇ…と思ってしまったので、親父の正体明かされても「ああやっぱり」って感じ。
まぁいいか。

「まぁいいか」として流しにくいのが、やっぱり誰にでも選挙権があるのが奇妙で…それこそ高校生総理大臣を笑えない。
とはいえ、それくらい現実離れした世界でないとこの作品のテーマが描けなかった…のかも?規制だなんだで。
但し、そうだったらそうでそれに見合ったリアリティはちと欲しい気が…感情論を語るなら、自分は子供に選挙権あるのはアカンと感情が動くぞw
自殺法の是非で討論番組開くなら、その前に子供の選挙権の是非で討論(※)してくれないとついていけない…前提から覆されて、そもそも論でちゃぶ台返しされた気分。


この作品でそれをやっても「自殺法を回避するために子供に選挙権は与えるべきではない」と循環論法になりそうではあるけどw{/netabare}

最終回までの感想(これだけ読めばいいかも){netabare}
人間の法律で裁けない化け物が超能力を使って人類を混乱させた──なんだい?パニックムービーになるのか?
繰り返し提起された善だー悪だーは、人間の間で考えるから人外は黙ってくれんかってノリで、本題になり切れなかった感じ。
そうさねぇ、マガセを人間だと捉えずに、見た目エイリアンやスピーシーズみたいなのに置き換えて考えれば通じるかな?自分はもうそうとしてしか見てなかった。
「どんな悪魔的な考えを持ってるヤツでも所詮は人間さ」とか「どんなに強力な化け物でも人間と共通の弱い部分を持っててそこを突かれて退治される」とかいった系ではない。
“ヴィンランドサガ”で実際に北欧の神サマが登場したら多分台無しになると思うのだけど、こっちではそれをやっちゃった感じ。
要はまぁ…マガセが万能すぎてそれ以外が茶番になってしまった。

一応まやかしのテーマ(善だー悪だーワオー)に沿って考えると…自殺法の是非より子供の参政権の方がよっぽど危なく感じて絵空事感が最後まで拭えなかった。
そして「よく考える」ってあーた…。
「良い」と「良く」は被ってる部分はあるものの意味としては別モノで、そこら辺混同させて煙に巻いただけ。
この手法、「少年の父親と連絡がとれない」を「行方が分からない」と「誰だか分からない」とで混同(バカには気付かれないようにそっと入れ替え)させたのと一緒で「またかよ」と。
殺人を敗北死だ救済(ポア)だと言い張るどっかのアレと同じで、そういう言葉遊びというか詐欺紛いの誤魔化しは止めてくれんかな。
と思ったら“正解するカド”も交渉官の主人公が最大の活躍をした交渉が性交渉というオチだったのを思い出した…そういうのが持ち味の作家なのん?落語家?
カドでは「ホモ死ね」、バビロンでは「生涯独身死ね」で一貫してるっちゃあしてるのかも知れんが、命を繋ぐを主軸に化け物が人類に干渉する作品なら“BEM”の方が数段上だったような…。
で、斎開花ってナンだったの?大統領夫人ってナンだったの?とかいう投げっ放しも持ち味として看過せにゃならんのかな?

最後のオチも…即座にマガセと対決しろやっつけろとまでは言わんが、正崎がマガセを追い詰めるのに「繋がる」ヒントやカギを何も残してないのってどうなんかね。
結局「続ける=継承する=繋げる」も放り出しちゃってブレッブレにしか思えなかった。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24

76.7 6 兄弟で東京なアニメランキング6位
ハイキュー!! TO THE TOP(第2クール)(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (236)
1075人が棚に入れました
「ハイキュー!!」は、古舘春一さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載している漫画を原作としたTVアニメ。第4期となる「ハイキュー!! TO THE TOP」第1クールは、2020年1月より放送され、第2クール目の放送が2020年10月に放送となる。監督は佐藤雅子さん、副監督は石川真理子さん、アニメーション制作は:Production I.Gが担当する。

声優・キャラクター
村瀬歩、石川界人、日野聡、入野自由、林勇、細谷佳正、岡本信彦、内山昂輝、斉藤壮馬、増田俊樹、名塚佳織、諸星すみれ、神谷浩史、江川央生、宮野真守、株元英彰、野島健児、笠間淳、島﨑信長、山本匠馬、宮園拓夢、松浦義之、花江夏樹、鳥海浩輔、上村祐翔
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ヒーローたち

制作:Production I.G、
監督:佐藤雅子、副監督:石川真理子、
シリーズ構成:岸本卓、
キャラクターデザイン:岸田隆宏、
総作画監督:小林祐、音楽:林ゆうき、橘麻美、
原作:古舘春一

4期を観て改めて感じたのは、
この作品が絶大な人気を誇った『スラムダンク』の
継承作品なのだろうということだった。
スラダンのファンからは怒られるかもしれないが、
団体スポーツにおけるヒーローたちの「凄み」を
少年漫画らしいロジックで表現していく手法は、
共通点があると思うのだ。
しかし、この2作品の違いは『スラムダンク』が
どちらかと言うと、スター選手(もしくはこれからなる選手)に
特化した描き方なのに対し、『ハイキュー!!』は、
もっと幅広い人物にも焦点を当てている点。
例えば、サーブだけを打つ山口忠や木下久志、
指導者・烏養繋心や武田一鉄、
マネージャー・清水潔子と谷地仁花、
そして、田中冴子をはじめとした応援団までもが
試合に直接関わるような物語の中心になる
エピソードがいくつもある。
つまり、団体スポーツとは、そういうものなのだ。
多くの人の助けがあって、初めて成り立ち、
勝つことができることを表現しているのは、
深い理解力を感じさせる。

この作品が脇役にもスポットを当てるのは、
バレーボールという競技、そのものの特性にも関係している。
というのも、バスケットボールやサッカー、
野球とは決定的に違い、1人では試合を
決めることができないからだ。
もちろん、バスケットボールやサッカーなども
1人では試合はできないが、基本ルールが全く違う。
バレーボールは、サービスエース以外は、
仲間の手を借りなければ、絶対に点数を取れない。
さらにサーブが変わるごとにポジションが
強制的に変えられるローテーション。
守備専門のリベロというポジションもある。
つまり控え選手も含めた全員が機能してこそ、
チームが勝利する可能性が広がるスポーツなのだ。
それがこの作品を考える上での最大のポイントといえる。

だから、スター選手以外の選手にスポットを
当てることも多いし、それぞれのキャラクターが
何を考えているのかという描写も多彩だ。
反面、スター選手の描き方は、削られることになるが、
個人的にはそのバランス感覚が素晴らしいと思う。

今回、そういう脇役的な存在のエピソードで
心に沁みたのは16話「失恋」で描かれた田中龍之介だった。
田中が初対面でマネージャーの清水潔子に
プロポーズしたという逸話を紹介しつつ、
シンプルでどこまでも真っ直ぐな性格を映し出す。
攻撃陣の一角である田中のスパイクが相手側の
ブロックに狙われ、何度も止められるピンチに陥る。
強い存在が目の前に現れたとき、どうするのか。
自分の能力と実際にできること。
田中は選択を迫られる。
その思考、態度が抜群にカッコ良い。
本当の強さとは何か?
自分より強い者と対峙したとき、
ピンチになったとき、ひとりの人間としての
本来の姿が浮かび上がってくる。
自分の与えられた能力とは別の次元で、
強さを示せるのは一握りの人間なのだ。

そんな脇役ではあるがヒーローたちのエピソードとともに、
4期全体の構成も完璧にまとめられている。
全国大会の出場が決まってから、
影山飛雄は、全日本ユース強化合宿に招集され、
月島蛍は、宮城県1年生選抜強化合宿に選抜される。
日向翔陽は、呼ばれてもいないのに合宿に参加して、
球拾いの日々を過ごす。
学校で自分たちの練習をしていた選手たちも含め、
それぞれがレベルアップしていく。

2回戦でぶつかった宮侑・治兄弟率いる
全国準優勝の稲荷崎高校と攻防を繰り広げながら、
合宿中に掴んだ成果を試合で表現していく。
抜群の身体能力と対応力で、
日々成長している翔陽が、個々の選手の動きを
観察する視点を身に付け、試合に活かす。
相手のスパイクと味方のブロックを考慮して
レシーブのポジションを的確に判断してプレーする。
そして「翔陽がもう1度、深くバレーボールにはまった日」を
月島が目撃することになる。
スポーツにおいて、選手の最も高揚するシーンを
登山の足掛かりとなる1本の「ハーケン」に例えて、
ドラマチックに描き出した。
{netabare}また、翔陽は全体の流れを見据えながら、
チームメイトを落ち着かせるための
高さのあるレシーブを選択する。{/netabare}
作者のバレーボールに対する知見と
経験に裏打ちされた表現だった。

守備専門のリベロ・西谷が感じる恐怖。
怖さに囚われたとき、どう克服するのか。
ブロックに期待される月島の心情。
ブロックに飛んでも1対1、1対2ではない。
1対6なのだということ。
自分の能力と仲間の存在。
ヒーローは、試合を決めることだけで
得られる称号ではない。

13話分を使って描いた稲荷崎高校戦。
対戦相手の北伸介、宮兄弟、角名倫太郎たちの
背景やプレーの描き方も見事だった。
次戦は今回でも2話分だけ取り上げた
因縁の音駒戦となる。
全国の舞台で繰り広げられる
鴉と猫によるゴミ捨て場の決戦。
今から気持ちが高ぶって仕方がない。
(2021年1月16日初投稿)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 30

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

熱量が溢れ、伝わり、涙を流す。

【First impression】
 スポーツを観て興奮する。スポーツアニメでこれほど興奮させてくれる作品はない。というか経験してこなかった。最近では『あひるの空』も良かったけれど、バスケってアニメ向きではないというか作画カロリー高すぎて原作の良さを出し切れない。これはスラムダンクが漫画を越えられないことが証明していると思う。
 この作品はバレーボールでアニメに向いているといえばそうなんだろうと思う。そして原作からスポーツを描くことに誠実で、熱量が半端ない。その熱量をアニメにした時には倍に膨らませて表現できている。
 1期から数えて4期目になるらしいけれど、どんどん良くなるアニメーションは4期目で思わずレビューを書きたくさせてくれた。この物語のラストまで書くつもりは無かったけれど、この熱量にあてられたかたちだ。
 Production I.Gは本当にレベル高い。

【Story synopsis】
 卓越した身体能力を持つ主人公の日向翔陽はテレビであるバレー選手に憧れバレーを始めたが身長が低いことと、中学校では部に恵まれず、高校生になり、念願のバレー部に入る。
 影山飛雄は天才と呼ばれ中学校の頃から周りに期待されるも、自分の能力と周りの能力差の結果孤立していまう。
 そんな二人が烏野高校で出会い春高バレーを目指す。そして春高バレーまで勝ち進み、強敵と対峙する。

【Staff】
 制作会社   Production I.G
 監督     佐藤雅子
 シリーズ構成 岸本 卓
 作画総監督  小林 祐
 監督の佐藤雅子さんは3期OVAを監督した後そのまま4期で監督をしています。それ以前は満仲 勧さんが監督を行っていました。これによりかなり変化したのが、キャラデザの感じですね。原作に寄ったらしいのですが、原作を読んでいない私からするとどちらでもよいです。しかし、これにより恐らく原作で表現したいスポーツへの熱量みたいなものは断然伝わるようになったと感じます。熱量を“真剣さ”“集中”という表現にかえてみても良いかもしれません。
 作画総監督の小林 祐さんというか、この作品は作画監督とアクション作画監督がいてでその上に作画総監督がいるんですよね。アクションってつまりバレーをするシーンの事なのかな? と勝手に思っていますが、そこだけに集中して作れるセクションがあるからカッコいいバレーのシーンを描けているのかなと推測しています。
 岸本 卓さんはシリーズ通じてシリーズ構成を行っていますね。この方は『銀の匙』でもシリーズ構成をしているようです。複数のキャラを活かすことがとても上手い方のように感じますね。他作品はあまり知らないので詳しくはないのですが、そんな印象を今回と『銀の匙』で持ちました。

【Review】
 スポーツアニメは難しい。
 それは動きが多いこと、アクションものみたいにエフェクトで誤魔化せないこと、実際の競技者が観たときに動きがおかしかったら分かってしまうこと、これらがはっきりとしてしまいます。
 顔が上手く書けているとかどうこうが作画の良さではないということがはっきり分かります。簡略化できるポイントがスポーツのシーンではほとんどないのはキツイ。だから難しいのではないかと考えています。
 この問題をまず競技のルールが解決してくれていますね。絶えず動き続けるバスケやサッカー、テニスと違い止まっているシーンが入ることが多いのがバレーボールの特徴かなと思います。
 しかし、それに甘んじて手を抜くなんてことはこのアニメーター集団はしません。むしろワンカット、ワンシーンに全力を込めるような動きを見せてくれます。これが本当に熱量を感じさせるポイントであり実際にスポーツを観ている以上の興奮と感動を感じられるわけですね。
 このスポーツをしているシーンは特に絵コンテが素晴らしいです。ジャンプをするときの下からのカットやアタックをする時のカットをいくつも組み合わせ相手からの視点、打つ者の視点、仲間からの視点などさまざま。それが臨場感を与え、興奮が増し、ドラマをより大きなものにしていきます。
 そして、キャラの視点を通じて視聴者に訴えかけます。この得点はこのキャラの目線で見て欲しい、感じて欲しいんだと制作者がわの意図が感じられますね。
 この4期で一番感動したカットがやっぱり26話“バケモンたちの宴”で最後のポイントが決まった瞬間の瞳に映るボールとライン。なぜ、彼の目線からこのポイントを見せたのか、それはこの試合で原作者が一番見せたかったポンとと符合するからかもしれません。それを読み取り表現する。
 ここに感動せずにはいれれません。このシーンがすごい!ってなってレビューを書きたくなったほどですからね。

 この作品は本当に純粋にバレーボールの魅力を見せ誠実に語ります。高校生という限られた時間の中で無我夢中になる、楽しみや苦しみ、悲しみを伝えます。だからこそスポーツをしたことない人でも楽しめるし、スポーツをしてきた人にはその苦しみや悲しみも胸に刺さる。共感してしまう。そして羨望してしまう。こんな輝けるあの時間を。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

バケモンたちの宴――開幕!!【後半戦】

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版第1期~第3期、劇場版とOVAは視聴済です。
第4期の後半クールである本作は、春高全国大会の2日目に行われた稲荷崎戦が描かれています。
1試合を1クールの全部を使って描くなんて、どれだけ贅沢な尺の使い方をしているんだろうと思いますが、試合の内容はどこをどう切っても激アツでした。

激アツと思える最大の理由は、試合のテンポが良かったからだと思っています。
試合中に回想シーンがちょいちょい入るのはお約束なので仕方無いとして、攻撃に入ってからの心の声や葛藤らしきモノがやたら長くて間延びしちゃっている作品ではありませんでしたから…

この作品から選手の心の声が聞こえて来なかった訳ではありません。
でも、それは相手がサーブを打つまでの数秒であったり、綺麗なレシーブがセッターに上がった時だったりと、バレーボールで確実にできる「間」を使っているから違和感を感じなかったんだと思います。
そりゃ、そうですよね。
攻撃の最中、考えらえることなんて限られると思いますし、第一、あれもこれも考えていたらそれこそ攻撃の機会を逸してしまいますしね^^;

今回の対戦相手である稲荷崎高校は、インターハイ準優勝で今大会の優勝候補の一角と言われている学校です。
全国トップクラスの選手を擁しているので、一筋縄でどうにかなる相手ではありません。
寧ろ、勢い付いている烏野より強豪と言っても過言ではない学校なんです。

そして稲荷崎高校には、超高校級の双子の兄弟がいるのですが、この双子の兄弟をどう評価するかで作品に対する印象がだいぶ変わるのではないかと思いました。
個人的には、この双子の兄弟があまり好きにはなれなかったんですよね…^^;
何故かは今でも良く分からないんですけど…

一方、烏野の選手はそれぞれ自分の殻を破りましたね。
誰もが崖っぷちに追い込まれていて、落ちるのは時間の問題と思えた瞬間もありました。
でもみんなギリギリのところで踏みとどまって荒波を押し返すんです。

でも1クール通して一番印象に残ったのは、最終話の清水さんの笑顔です。
マネージャーとしてベンチ入りして最前線で烏野の試合を見守り続けた清水さん…
彼女もマネージャーとして最前線で戦っていましたから、興奮も緊張もひとしおだったと思います。
そして迎えた最終話…清水さんのあんな楽しそうな笑顔は初めて見たのではないでしょうか。

ベンチに入れず柱の陰から見守っていた谷地さん…
試合直後の涙にこっちも貰い泣きでしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、SUPER BEAVERさんの「突破口」
エンディングテーマは、SPYAIRさんの「One Day」

1クール全12話の物語でした。
そして試合はいよいよ「ゴミ捨て場の決戦」を迎えることになります。
どんな戦いになるのか、今から楽しみです。
まさか、ここでアニメが途切れるなんてこと、ありませんよね。
続編を楽しみに待っています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

69.1 7 兄弟で東京なアニメランキング7位
赤ちゃんと僕(TVアニメ動画)

1996年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (153)
865人が棚に入れました
交通事故でママを亡くした拓也は、忙しいパパの代わりに幼い弟・実の面倒を見る毎日。おかげで友達と遊ぶ事さえ出来ない。次第に戸惑いとイラだちを募らせていく拓也。そんなある日、パパを駅まで迎えにいく道々、「このまま実がいなくなったら・・・」などと考え事をしていた拓也は、本当に実を何処かに置き去りにしてしまったことに気づく。

声優・キャラクター
山口勝平、坂本千夏、宮本充、渡辺美佐、優希比呂、亀井芳子

あぱぱ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

忘れてほしくない物語

CLANNAD AFTER STORYのレビューする前に書きたい作品。

2018年現在で視聴するならばDVD-BOXを購入するのが手っ取り早い。
しかし私はVHSからパソコンへ動画変換して保管するくらい
この作品が大切な存在になってます。
ノイズが混じっていようが構わない。

物語はショートストーリーの日常ですが、綺麗に話は収まっています。

最初に作品を視聴した時に感じたのは
「家族に関心がなかったり、両親が健在な人には無縁かな?」と。

しかしその頃の私も若かったので、歳を重ねて視聴するたびに
手放せない作品であることに気づきました。

作品で色々なキャラクターが言う台詞が、非常に重みがあるのです。
それも視聴する人の生き方次第で受け止め方が毎回変わってきます。
現実生活を振り返って反省させられたり、想い方が変わってくる台詞です。

もともと私は涙腺が緩みやすいのですが、今回視聴した時は
最初から最期までタオルがないとダメでした。
(泣かずに済む話もあるのですが、ほとんど無理です)

私の勝手な気持ちですが、子供が嫌いな人や相手の痛みが理解
できない人には見て欲しくないです。

正直なところ、この方々の気持ちに響くものがなければ
得られるものがない物語だと感じています。

それでも私は多くの人に何度も視聴してほしい作品の1つです。

(余談)

人が相手を叱る気持ちと相手を大事に想う気持ちは一緒だと感じています。
この感情がお互いに伝わりづらいので、ぶつかり合いながらも
お互いの気持ちをもっと確かめ合うコミュニケーションがたくさん
必要ではないかと思っています。

ニュース報道される残酷なDVなどを耳にすると、いつもこの作品の
台詞が頭をよぎります。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

横浜ゆう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

みのるっ!めっ!

原作も見てます。今頃ながらコメします。

母親が幼い弟と自分を残して先立ってしまう。
父と主人公が幼い弟と共に生きていく。そんな話です。

重すぎる話ではありません。
途中途中、実が笑わしてくれます。
兄弟ってこんな感じだよな~って感じます。

主人公の拓也の母親を亡くした気持ちが伝わってきます。
悲しくて寂しくて、でも、弟がいるから。
僕はお兄ちゃんだから・・・

アニメではあんまり泣きませんでしたが、
兎お兄ちゃんは別です・・・アニメでも泣いた。
兎お兄ちゃんは原作の方が号泣モノ。

原作は号泣してしまい、目の前が涙で溢れ見えなくなり、
全部見るころには涙と嗚咽と鼻ミズと共に
ティッシュがひと箱くらいなくなりますから。

アニメで興味を持った方は、是非とも原作をみてください。
YOUは、もぅ神曲ですね。聞いてるだけで涙が止まりません。
条件反射で涙が出るようになりますから・・・

アニメで原作の最終回をやってほしかったですねぇ。
子供が兄弟で絶対必ずやってしまう事・・・それが・・・

知りたかったら原作も併せて読んでください。
読んで良かったと。永久保存版漫画に必ずなります。

アニメは、結構ほんわか話をメインに持ってきてるような?
そんな感じがしましたが、良い作品です。

素晴らしい作品をありがとう

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

R子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

このアニメの価値はストーリー。

少し前のアニメで、古臭さがあるものの、ストーリーは秀逸。

主人公である拓也と弟の実は母親を亡くし、父親との3人暮らし。
まだ小学生で遊び盛りの拓也は、一人で家事や弟の面倒を見なければならないことに不満をつのらせることもある。

ところで、同じく男兄弟で小さい弟の面倒を見るというアニメに「学園ベビーシッターズ」がある。私は「学園~」の方を先に視聴し、「赤ちゃん~」を見た。
「赤ちゃん~」の方が主人公(兄)が幼いということもあり、弟を時に疎ましく感じ冷たく突き放してしまうことがある。そんな場面は見ていて心が痛いが、現実的に考えれば当然のように思える。
すべてを受け入れスムーズに日々が過ぎていく、というアニメも安心感があるが、「赤ちゃん~」はかわいいだけではなく考えさせられるストーリーが散りばめられている。

とにかく、作画の古臭さで見ないというのはもったいない。
長編アニメではあるが、ダラダラせずに見られる。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 0

62.4 8 兄弟で東京なアニメランキング8位
スタミュ(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (174)
858人が棚に入れました
音楽芸能分野の名門校・綾薙学園に入学した星谷悠太は中学の時に見たミュージカルで素晴らしいパフォーマンスを見せたこの学校の生徒に憧れていた。彼が目指すのは花形コースの「ミュージカル学科」。しかしここに入る為には学園の3年生のうち成績優秀者が所属する「華桜会」の指導を受けられる特別枠に入るのが近道であった。悠太はこの特別枠のオーディションで華桜会メンバー・鳳樹に見出され、同じように彼に選ばれたメンバー4人とともに「チーム鳳」としてミュージカル学科を目指す。素人同然の悠太以外のメンバーは演劇の才はあるがそれぞれが抱えた問題で候補生に残ることすら覚束ない状況で、加えて華桜会のリーダー・柊翼が彼らとは別に5人の候補生を選び「チーム柊」として立ちはだかる。

声優・キャラクター
花江夏樹、小野賢章、ランズベリー・アーサー、細谷佳正、前野智昭、岡本信彦、内田雄馬、興津和幸、KENN、松岡禎丞、諏訪部順一、平川大輔

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

萌え要素はほぼ無し・・・ですがそれなりに楽しめた作品でした^^

この作品はオリジナルアニメだったようです。従って事前情報は殆ど無く、あったのはキャラデザが嫌いではないことくらい・・・取り敢えず1話視聴してみようと視聴を始めた作品でした。

物語の舞台は音楽芸能分野の名門である綾薙学園・・・この学園には入学後に希望した者にのみ受験資格が得られる「ミュージカル学科」が設立されています。このミュージカル学科はこれまで有名なミュージカルスターを輩出してきた生徒にとって憧れの学科なんです。
そしてミュージカル学科への近道は3年生の成績優秀者で構成された「華桜会」メンバーが直接指導してくれる「スター枠」に入る事でした。
勿論スター枠にも限りがあるため、選考でどんどん切り落とされる狭く険しい道のりです。

この物語の主人公である星谷悠太は、雨の日のステージで踊っていたこの学校の生徒の踊りに魅了されてこの学校への入学を決めここまで進んできました。
憧れの人はきっとミュージカル学科にいるはず・・・受かってもう一度会いたい・・・
その思いを胸に選考に臨み・・・物語が動いていきます。

「萌え要素は殆ど無し」は完走後の印象ですが、視聴前にそれが分かっていたら視聴を止めていたか・・・と考えると、きっと視聴していたと思います。
全体的に爽やかなんですが、ここぞという時にしっかり熱くなる・・・メリハリの効いた作品だったからだと思います。

チーム鳳の5人が主要登場人物となって物語が動いていくのですが、このチームのメンバー・・・皆んな我が強く最初はバラバラなのですが、中には凄い人もいるんです。

星谷 悠太(CV:花江夏樹さん):この作品の主人公で中等部からの持ち上がり。憧れの人に出会うまでは歌やダンスは「好き」レベル止まり。

那雪 透(CV:小野賢章さん):星谷と同じく中等部からの持ち上がり。

月皇 海斗(CV:ランズベリー・アーサーさん):父は有名演出家、母は女優、そして兄の遥斗は綾薙学園ミュージカル学科を卒業したスターというサラブレッド。

天花寺 翔(CV:細谷佳正さん):梨園という歌舞伎俳優の社会に生まれ、既に数多くの女性ファンがいるとか・・・

空閑 愁(CV:前野智昭さん):母子家庭で育ち、母の大好きなミュージカルのスターになって喜ばせたい、

これまで歩んできた人生も、今後の向かう先もきっと皆んなバラバラ・・・
最初は全くの不協和音でチームの存続も危ぶまれましたが、一番出来の悪い星谷が笑顔と行動で皆んなを纏めていこうとするんです。
一人・・・そしてまた一人とチームの仲間の事を意識するようになり、5人全員の気持ちが重なった時・・・チーム鳳で羽ばたこうと誰もが思ったと思います。

でも物事はそんな順風満帆には進まず、彼らを待っていたのは「試練」でした。

大切なのことはバラバラな5人が繋がること・・・
でもそれだけじゃ不十分でした。
本当に大切なのは、どんな状況に陥っても5人で最高のパフォーマンスを披露すること・・・
彼らは待ち受ける試練にどう抗うのか・・・そしてその先にあるモノとは・・・
気になる方は是非本編でご確認下さい。

タイトルで「萌え」要素は殆ど無しと書いた様にゼロではありません^^
那雪の双子の妹・・・ゆうき(CV:あすみん)とつむぎ(CV:金元さん)が抜群のタイミングで華を添えてくれています^^

1クール12話の作品でした。作画も綺麗でダンスもしっかり動いていたと思います。
何より「熱さ」の気持ちよかった作品でした^^

投稿 : 2025/02/01
♥ : 15
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

「俺たちは、夢をあきらめる方法なんて知らない!」すてきなセリフ!!

見終わりました。

最終回、あれだけ練習してチーム鳳のみんなと一致団結したのに、 {netabare}華桜会の抵抗と天候悪化でミュージカル演技を断念しなければならない、でも、みんなで工夫して大逆転のストーリーで、
{/netabare}見ててとてもすっきり、感動しました。こういうお話、とっても好き! ストレス解消です♪

2期ぜひ見たいです。それに、花江夏樹さんはじめ、CVの皆さんも歌って踊っているような感じで、とてもスキルの高いCVの皆さんだったと思いました。

 全然お話が違うんですけど、この作品に出られた男性CVの皆さんにはぜひ、現在制作が企画されている銀河英雄伝説に出てほしいなあと、思っています。
(ヤンさんのCVは、諏訪部順一さん希望です♡♡♡)

以前のレビューです。
{netabare}
2015.12.14 22:56 最初は大笑いしたけど、元気になる作品です!

私、あまりミュージカルを見たことがなかったせいもあるんですけど、1話冒頭で華桜会メンバーが出てきて歌と踊りを始めた瞬間、こらえきれなくなっちゃって大笑いしちゃいました。

だって、あまりにもわざとらしいというか、なんか変!と思ったんです。
(大爆笑したけど、あとで隣の部屋まで聞こえたんじゃないかって心配!)

でも、みんな個性的なキャラが多くって、物語も見ているうちに楽しくなりました。それに花江夏樹さんや諏訪部順一さんなど、私の好きな声優さんがたくさん出ているので、目が離せません。それに、花江夏樹さんが演じる星谷君って、ハンデがあってもめげなくて明るくて、キラキラしているので、見ている私自身もなんか。幸せな気分になります。それにしても男子高校生の友情って、いいなあ。

これって、オリジナル作品なのでしょうか。まもなく最終回なのかな。気になります 
♪~(*´∀`*)~~(*´∀`*)~♪ラララ~ {/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 37

future☆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

タイトルなし

.。o○ ○o。.あらすじ.。o○ ○o。.

憧れの高校生を追って、音楽芸能分野の名門・綾薙学園に入学した星谷悠太。学園には、全新入生の目標である花形学科『ミュージカル学科』が存在し、中でも成績トップの3年生で構成される≪華桜会≫なる組織が、学園の頂点に君臨していた。ミュージカル学科に入科するためには、≪華桜会≫のメンバーに見初められ、直々に指導してもらえる特別枠、通称『スター枠』に入ることが最良の近道だが……。秀でた才能はあるものの、それぞれの抱えた問題により、ミュージカル学科の候補生に残ることすら危うくなってしまった那雪、月皇、天花寺、空閑と、素人同然の星谷。そんな5人が≪華桜会≫の変人にして天才・鳳の目に留まり……!?青春ドタバタ・ミュージカルストーリー開幕!


.。o○ ○o。.キャスト.。o○ ○o。.

星谷悠太:花江夏樹
那雪透:小野賢章
月皇海斗:ランズベリー・アーサー
天花寺翔:細谷佳正
空閑愁:前野智昭
辰己琉唯:岡本信彦
申渡栄吾:内田雄馬
戌峰誠士郎:興津和幸
虎石和泉:KENN
卯川晶:松岡禎丞
鳳樹:諏訪部順一
柊翼:平川大輔


.。o○ ○o。.放送日.。o○ ○o。.

TOKYO MX 10/5(月) 24:00~
BS11 10/5(月) 24:30~
AT-X 10/12(月) 23:30~


.。o○ ○o。.OP、ED.。o○ ○o。.

OP「DREAMER」Gero
ED「星瞬COUNTDOWN」team鳳[星谷悠太(CV:花江夏樹)、那雪 透(CV:小野賢章)、月皇海斗(CV:ランズベリー・アーサー)、天花寺翔(CV:細谷佳正)、空閑 愁(CV:前野智昭)]


.。o○ ○o。.お話.。o○ ○o。.

1話「第1幕」

2話「第2幕」

3話「第3幕」

4話「第4幕」

5話「第5幕」

6話「第6幕」

7話「第7幕」

8話「第8幕」

9話「第9幕」

10話「第10幕」

11話「第11幕」

12話「第12幕」(最終回)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

68.4 9 兄弟で東京なアニメランキング9位
天狼 Sirius the Jaeger(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (211)
837人が棚に入れました
昭和初期、帝都 東京府。楽器ケースを抱えた奇妙な一団が、東京駅に降り立った。彼らは、吸血鬼たちを狩るためにやってきた「狩人」――。そのなかに一際静かでただならぬ雰囲気を漂わせる青年がいた。狼と人間との混血で、吸血鬼に故郷を滅ぼされたその男、名をユーリィという。「天狼の匣」と呼ばれる聖櫃を巡り、吸血鬼と死闘を繰り広げるユーリィたち。彼らが戦いの果てに知り得た真実とは……? 悠遠たる恩讐と策謀の螺旋が交錯する、至極のサスペンス・アクション、ここに開幕!

声優・キャラクター
上村祐翔、櫻井孝宏、堀内賢雄、森なな子、小林裕介、武内駿輔、間島淳司、高橋李依、田所陽向、津田健次郎、子安武人、大原さやか、飛田展男
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ユーリィの「孤高」

2018年夏アニメ。全12話。オリジナルです。
奇を衒わないキャラクターとストーリーが個人的には好印象でしたが、物足りないという人もいるかも。
個人的には洒落た雰囲気でキャッチーな印象の2話まではあまりハマらず、3話からは人間関係がかなり重要視されているのがわかり注目度が上がりました。バトルを重視するかドラマ性を優先するかが序盤ではわからず、ターゲットが絞り切れていない感じはするかも。

声優さんはキャラクターにも合っていましたし、主人公のユーリィ以外は割と鉄板な配役だった印象。敵キャラクターはもう少し捻ってくれても良かったかな?
主演の上村祐翔さんとても良かったです。アニメ以外のお仕事も多い方みたいですね。若さと落ち着きを感じる好演でした。

作画と演出は常に安定して高い質を保っています。
OPED、BGM、音楽の使い方はかなり質が高く、幾度か再視聴してもほぼ違和感はありません。


【良かった点】
物語は王道展開で、ユーリィが復讐心から脱却する1~7話と、新しい生き方を実現しようと行動する8話以降でおおまかに2部構成になっています。
結構設定を詰め込んでいるので、ベタな展開が多かったのがかえって観やすく感じました。
{netabare}
ユーリィの成長・変化・描写については特に一貫していて素晴らしかったと思います。
ユーリィ本人がシリウス(人狼)と人間(サチという名前から日本人女性と思われます)のハーフであること、生き別れた兄が復讐すべきヴァンパイアとなっていたことも結論に繋がっていて良かったです。

アレクセイにせよこれまでのシリウス一族にせよ、匣を悪用されないことを第一に考え、誰かを犠牲にしてきたのでしょうね。シリウス一族の「孤高」は、匣を封印するためにシリウスの王族の魂を用いるように、時に孤独を生む。
けれども、シリウスの最後の生き残りであるユーリィは、「種族を越えて繋がる」ために匣を使うことを前提に考えた。それは村の外の世界を知ったから、そして自分が暴走しても仲間が止めてくれると信じているからです。

「血におぼれたら狩人ではなくなる」…ユーリィがウィラードから言われた言葉です。その言葉の通りユーリィは復讐心から脱却しますが、しかし同時に狩人でもなくなります。
ユーリィの凄い所は、組織と種族を超えて行動しながらも、それらの大切さもよく解っていることだと思うのですよね。
全体通してユーリィの視野は大きく広がっていき、人間性が大きくなっていく。結果シリウス、人間、ヴァンパイアが共存する未来を実現するために匣の力を使うという結論に達します。そして最後には実の父からシリウスの匣(古くから伝わる力)を託され、育ての父からその対となる匣(力を制御する理性あるいは技術)を託される。
組織や種族を超え、しかし拒絶もせず、自身の信念に沿って孤高に生きる。まさしく新しい人狼の生き様です。


それに対比されるのがエフグラフですね。
彼は病による滅亡を受け入れてしまった長老たちに失望し、病を根絶するために動いていたはずでした。目的のために他種族を利用していたのに、部下や仲間を犠牲にしても心を痛めることも無くなり、やがては自分のことしか眼中になくなる。エフグラフは匣を手に入れても使い道など無く、力と血に溺れることになります。


ユーリィが出会った者たちは皆、信念のために行動する人達でした。
本部の命令を破りユーリィのために行動するV海運の仲間たち。
陸軍大佐でありながら、匣が本当に日本に必要か自分の目で確かめようとする伊庭大佐、アレクセイへの友情から異国で生きることを選んだ赤坂大尉。
ヴァンパイアにされながら弟のために行動するミハイル、同じく失った仲間のためにユーリィに協力したビショップ。
所属する組織がありながら自分の信念を貫く彼らは、ユーリィと尊重しあうことが出来る。


そして本作のラストで、組織や種族を越える想いを新たに手にした人物が二人います。
涼子とタマーラです。

第1話のユーリィは「ヴァンパイアには独自の世界があって、人間の世界とぶつかることはあっても重なることはない」と言い切っています。それは人間同士でも同じで、ユーリィもV海運の面々も涼子のような一般人とは住む世界が違うと考えている。
しかし涼子は、当初ユーリィが作ってしまっていた世界の壁を積極的に乗り越え、ユーリィやV海運を通して外の世界を知り、普通の人間の日常や父との関係をユーリィに教えました。涼子の父の会社を継いで世界に出るという目標は、つまり自身の所属する場所に対する責任を考え直し、その上で壁を越えてユーリィと志を共にしたいということです。
タマーラは逆に、ユーリィに種族間の壁を乗り越えられる側。ヴァンパイア一族の誇りにこだわることをやめ、けれども自分の血族のために他種族を受け入れようとしている。ラストで電車から姿が消えたのは、ヴァンパイアの長老たちの元に戻りユーリィの来訪を待つつもりなのだと思います(病死なら遺体が残るし、灰になって死んだら殺されたということだけど、ユーリィがそんなことをするはずないですし)。

涼子とタマーラは、ユーリィの意思をそれぞれ人間とヴァンパイアの社会に持ち帰る役割を担っていたのだと思います。この点には特に感心させられました。
{/netabare}


【気になった点】
{netabare}
全体的にキャラクターの人数が多く持て余し気味だったのは気になったかも。敵味方ともに掘り下げられればもっと良かったと思うし、2クール欲しかったですね。
あと最初は涼子の役回りが分からなくて結構困惑しましたw
タマーラのラストが非常に好みなのですが、それだけに伏線としてユーリィとの関係性を作るエピソードがひとつ欲しかったです。たしか赤坂さんの小屋の前で戦った時に殺すのを躊躇したシーンがあるくらい。タマーラとラリーサの差異もそれだけだったので、タマーラだけでも話としては十分だった気がしますし。 {/netabare}

惜しい部分はありますが、アニメーションとしては高いクオリティで安定していて見やすい作品です。
主人公の生き様を見たい人におススメです。(2018.10.25)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

友人に「どんな内容?」と尋ねられ「IGが好きそう」と答えたら通じた

3話までの感想{netabare}
いきなり淵源ネタ{netabare}
1話で作中時代で日本最先端?の花育ててるってシーンがあって、そこで咲いてたのは百日草(敢えてジニアとは言わない)。
現代において昭和の懐かしい風景をイメージしたガーデニングってのもありまして、ヒャクニチソウは鉄板中の鉄板。
品種改良されて現代風の「ジニア」も出回ってるけど、敢えて昔ながらのヒャクニチソウを好む層ってのも居たり。
で、作中時代としては恐らく妥当なんじゃないかな、書いてる人結構詳しい?
更に2話ではトマトと明かされる前から葉っぱが明らかにトマトで──あ、やっぱちゃんと取材してるわコレ、と思ったり。
因みに自分はヒャクニチソウは一年目は上手く行ったけど二年目は芯食い虫にやられて壊滅した経験があります、あれも連作障害に含まれるんだろうか。{/netabare}

と、賛同者あんま居なさそうな変な方面から掴みはバッチリ。
他にも気になる部分あって、OPでシルエット見せてるロボット的なやつ…フランケンか?
シルエット見る限りはスゲーカッコ良さそうで、これの扱い次第ではハマるかも?

そして3話、2話最後に出てきたのがバンパイア化した兄貴で…ってのはよくある話だけど、ユーリがその一件と「兄を殺せるかどうかワカラン」と素直な胸中を上司に語ったのは好印象。
仲間に黙って一人悩み続ける展開になるんじゃね?ってかそれでグダグダと話数費やすんじゃね?と身構えかけてたので痛快ささえ覚えてしまった。
そういう方向(一人でグダグダ悩む)は今飽きられてるっしょ、と作ってる側も判断したのかな。
って、3話最後、マッドサイエンティストが出てーの、その声が…飛田じゃねーかw
マッドサイエンティスト役って何度目だ?
こういう所はお約束守るのね、良いのか悪いのかはちとワカラン。
(おかげでシリウスの箱ってのが零時迷子的なものに思えてきたり来なかったり)

一方でちょっとひっかかったのは、たまたま保護された病院のセンセがバンパイヤの欲しがってるものの研究第一人者ってのはどうなんかな。
もうちょい以前から因縁があった方が良かったような。
でもってシリウスの箱ってのはフランケンの材料として重要だったってことだろうか、動力かどうかまでは不明。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
途中までは良かった。
狩人メンバーは役職上殺伐としてて事あるごとにユーリにつっかかって来るのかと思ったらメッチャ優しい連中で、憎きバンパイアですらユーリの兄貴だと知ったら銃を下ろすくらい。
バンパイアは倒せたけど人間に恨まれるっていう苦い展開も無い。
お嬢様も非力なクセに危険なことに首突っ込んできて邪魔に感じることになるかな?と思ったら剣の達人で。
“なろう”じゃないけどストレスに感じる部分は極力排除した気遣いを感じた、これが今風ってヤツなのかなーと好意的に見てた。
最初の頃期待した人造人間が思ったほどマッチョじゃなくて痩せっぽちで「あれ?」と思うも(当初はアシュギーネ※みたいのを期待してた)、それでも面白かった。


パソゲや神崎将臣の漫画ではなくCMの方、当時はモンスターとメカの融合が妙にカッコ良く思えたモンです
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30038491

が、途中からは「ええ~」って感じで評価が転落。
よくある多段の謎。
なんでバンパイアはシリウスの箱狙ってるの?→シリウスの箱って何なの?→どこに隠してるの?
こういうのって順を追って謎を明かすものだと思うんだけど…明かし方が、雑!!!
いきなり飛田博士がベラベラ喋り出した時は眩暈がした、“Key The MetalIdol”(糞作品、LD全巻持ってる)のイヤ~~~~な記憶が蘇ったぞ。
こういうやり方はちょーっとなぁ…。
更に同じ回で、今度は箱の封印されてる泉?へ飛び込んで「過去の記憶を見る」って形での謎の明かし方…これも、どうなん?
なんで一気に説明しちゃうかなぁ。
こういうのって小出しにしてくのがセオリーだと思うのだが…打ち切りじゃないんだからさ。
同期に放送してたアニメで「シリウス人の最後の生き残りが兄貴の亡霊に導かれる」っていうナンとも非常に被ってる作品がありまして、あっちも失った記憶を夢で思い出すって手法を執ってたけど、ちゃんと「小出し」にしてたぞ?
なによりそっちはヒロイン(メガネの方ね)が物語的に重要な役割を果たしてて…翻ってこっちのお嬢様は居ても居なくてもどうでもいい存在でした。
せめてユーリの決心のキッカケになるとか、できなかったんかなぁ?
欲を言えば太刀回って欲しかったけど…結局剣抜いたのって一回だけじゃね?
ユーリ追ってロンドンへ→実はユーリは樺太へ行きました、からの合流までの経緯も強引だし。
これだったらバンパイアの双子の片割れをヒロインにした方が良かったんじゃないかな。

最後のオチは「オレが箱の力を使って人間やバンパイア、その他いろんな種族が共存できる橋渡しをするぜ」エンド、“ファントムインザトワイライト”のリージャンかな?
それは良い、それは良いんだが…なんでそのタイミングなの?親父は何でそれをしないで封印したの?って考えると、ヴァンパイアが病気にかかって大ピンチ、恩を売るのに丁度良い頃合になるのを待ってたとしか自分には思えない。
やっぱユーリの急な心変わりが引っかかりますね、一族を皆殺しにしたヴァンパイアを“赦す”描写がヌルいというか…バンパイアの病気の件を知って同情を寄せるシーンとかも無いし、兄見てヒヨって勝手に悟っちゃった感が強い。

総評
クライマックスから逆算すると(思い返すと)前半の話が要らない、お嬢様要らない、白虎党要らない。
逆に面白さで言うと後半が要らない、博士要らない、箱って何よ?ってデカい謎はあるんだしバンパイアの病気の件くらいはもっと早くから明かしても良かった予感。
これってシリーズ構成のせいになるのか?
全体を通してバランスが悪いというか、もうアニメの作品数が膨大で、一つ一つ深く考えてる暇が無いって状態なんだろうか?{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 15

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

惨劇を招きし吸血鬼 復讐に生きる人狼

この作品はオリジナルアニメだったようですね。
アニメーション制作がP.A.WORKSだったので視聴を楽しみにしていた作品です。
P.A.WORKSと言えば、春アニメで放送された「ウマ娘 プリティーダービー」が久々の作品…
少し間が空きましたが、2018年は春アニメからこの作品を含め3期連続で放送されるのも、私にとっては朗報でした。
やっぱりP.A.WORKSの作品というと、視聴にも気合いが入りますから…

この物語の舞台は昭和初期の帝都東京…
人間の他に吸血鬼と、吸血鬼を狩る「狩人」である人狼が同じ場所に存在する世界…
人狼が吸血鬼を狩るのには理由がありました。

吸血鬼は人狼の故郷を滅ぼしたから…

ですが、吸血鬼にも人狼の故郷を襲った理由があったんです。
吸血鬼は人狼が持っている言われている「天狼の匣」(シリウスのはこ)を狙うという、単一種族のことしか考えていない身勝手な理由だったんですけどね。

でも、「天狼の匣」を狙っているのは吸血鬼だけでなく、人類も虎視眈々と様子を窺っていたのでした。
所持すると絶大な力が得られると言われている「天狼の匣」を巡り、吸血鬼たちの起こす事件を皮切りに物語が動いていきます。

最初は色々と意外でした。
P.A.WORKSが「復讐」という負の感情を原動力にする作品って、これまで殆ど手掛けてこなかったのではないでしょうか。
「true tears」「Angel Beats!」「花咲くいろは」「凪のあすから」「SHIROBAKO」「Charlotte」「クロムクロ」
これまでP.A.WORKSが制作してきた作品を抜粋で列挙してみましたが、マイナスの感情がゼロという訳ではないにしろ、その感情が血で血を洗う争いに発展するような作品は無い様に思います。

P.A.WORKSの新ジャンル開拓という位置付けなんでしょうか?
いずれにせよ、P.A.WORKSの持つクオリティが発揮されればジャンルは問わないんでしょうけどね。

完走して振り返ってみると、とても繊細な作品だった…というのが率直な理由です。
欲しいモノは力づくでも手に入れる…弱肉強食の生存競争の原理ともいえる言動は、人間社会にとって必ずしも是ではありません。

でも、誰だって自分の種族が一番可愛いんです。
そして問題を抱えていない種族なんかいないんです。
もし「天狼の匣」の存在を知らなかったら、自力で打開したかもしれません。
慎ましく生きる道を選択する手段だってゼロでは無いと思います。

だから「知る」と「知らない」では導かれる結論に天地程の差が生まれるんです。
人狼以外の種族がどうして「天狼の匣」の存在を知ったかは分かりません。
それに人狼が「天狼の匣」を作った理由も…

色々分からないことのある中、「天狼の匣」を手に入れること以外の選択肢が見出せなかったのは少し残念だったかもしれません。
本来ヒトとして…或いは吸血鬼や人狼としてどうあるべきだったのか…という理想像が見えなかったからです。

そして、大きな戦いのあと…汽車で移動するシーンがありましたが、あの場面に至る経緯についてももう少し見たかったと思います。
主人公であるユーリィは一人の少女と一緒でした。
でもほんの少し前までは有り得ない光景だったはずです。
多くの言葉は交わされなかったかもしれない…
けれど、たくさんの葛藤は間違いなくそこに存在したはずだから…

そう考えてみると、物語の展開は綺麗になぞれていましたが、登場人物の心理描写については、もう少し深掘りされていた方がより印象的だったと思います。
尺の長さ…これが最大の障害であるのは認識しています。
でも、尺の長さが言い訳にできる範囲とそうじゃない部分ってあると思うんです。
だから何でも十把一絡げにして言い訳していたら、進化が止まってしまう気がします。

凄く難しいテーマの作品だと思います。
きっと誰もが手掛けられる作品ではなく、P.A.WORKSだからここまで漕ぎ付けることができたんだと思います。
貪欲にあらゆるモノを吸収して次に繋げたいですよね。
それは私たちの仕事も一緒です。

人狼の悲しい復讐の物語…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、岸田教団&THE明星ロケッツさんの「シリウス」
エンディングテーマは、sajou no hanaさんの「星絵」
オープニングの格好よさは相変わらず…
エンディングのグループは今回が初めてだと思いますが、こちらの楽曲も個人的には好きでした。
どちらも通勤途中に聞いています。

1クール全12話の物語でした。
P.A.WORKSならではのクオリティが感じられる一作だったのではないでしょうか。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

71.6 10 兄弟で東京なアニメランキング10位
MIX(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (176)
591人が棚に入れました
舞台は「タッチ」と同じ「明青学園」。「タッチ」の主人公「上杉達也」の伝説から約30年、今、運命の兄弟が物語の扉を開く・・・親の再婚によって、血は繋か?らないが誕生日が同じ、双子?の兄弟となった「立花走一郎」と「立花投馬」は、明青学園・中等部の野球部に所属する 中学2年生。走一郎は捕手、打者として活躍。投馬は「ある理由」から三塁手を務めているが、人並み外れた投手の才能を隠し持っていた。走一郎の実妹て?、投馬とは血の繋か?らない義理の妹「立花音美」も中学に入学し、2人の周囲はなにやら騒か?しい。やか?て高校に進学する2人は、甲子園の土を踏むことが出来るのか・・・

声優・キャラクター
梶裕貴、内田雄馬、内田真礼、花澤香菜、高木渉、井上喜久子

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あの栄光の夏から30年。明青学園野球部が蘇る。

「タッチ」で主人公の上杉達也らが所属していた明青(めいせい)学園野球部。
甲子園優勝から約30年後の明青学園野球部の物語です。

今まであだち充作品はあまり読んだことがなくて、
タッチも読んでいません。あらすじはなんとなく知っていたけど。

主題歌が好きだったので、興味を持って観てみることにしたのですが、
そうでなければこの作品もスルーしていたかも。

きっと「タッチ」を知っている方がもっと楽しめたのかもしれませんが、
「タッチ」を知らない私でも十分楽しめたし、
ストーリー自体は「タッチ」とは関係なかったです。

全24話です。


● ストーリー
かつで一度だけ甲子園優勝を飾った明青学園野球部。
今は低迷が続いていた。

明青学園中等部の野球部に所属する立花投馬(たちばな とうま)と、
立花走一郎(たちばな そういちろう)。

彼らは両親の再婚による義兄弟だったが、
兄弟バッテリーとして活躍することを夢見ていた。

しかし、野球部には監督への圧力により、
今は力のない投手がエースとされていた。


物語は中等部から始まります。
作中で時間は流れ、後に高等部に進学しますが。

投馬たちの家族関係や、野球部に流れる何か訳ありな空気など、
最初は謎だらけです。

それらが徐々に明かされていき、
周りが固められていく。

最初からすべてを語らず、
少しずつ分かるのも面白いなと思いました。


野球部の話がメインですが
前半は試合メインではなく、

妹の音美(おとみ)のことや、野球部での練習などの、
周りの人物との関わりを描くシーンが多いです。

それでも安定して面白かったです。

キャラ同士のやり取りは、
テンポと笑いがいい感じです。

ギャグとまではいかないけど、
微笑ましく笑えるワードセンスがいい^^

後半は試合も増えましたが、
それはそれで展開の読めない戦いを楽しめした。

まだまだチームとしては未完成の明青学園野球部が、
強豪校相手にどこまで、どう戦っていくか、ハラハラドキドキでした。

ラッキーによる部分も多かったですが、
この作品はこれでいい気がしていました。

そんな気楽さが今の明青学園野球部や投馬らしいなと思えたので^^


● キャラクター
メインとなる立花三兄弟が安定しています♪

投馬(cv.梶裕貴)は野球のことしか見えていないマイペースな子。
妹の音美に対する優しさがかっこいい♪妬いちゃうわw

もちろん、投手としての成長からも目が離せません。


走一郎(cv.内田雄馬)はキャッチャーとしてチームを支える大黒柱。
もちろん、投馬を支える妻役も忘れていません。

一番投馬のことを理解している、
キャッチャーとしても兄弟としても完璧なところが魅力的♪

女の子にモテモテで、
デートに忙しいところは投馬とは正反対なところですね。


妹の音美(cv.内田真礼)は学校一の美少女。

本人はそんなことには疎く、
投馬と走一郎の野球に夢中。

兄たちの野球の一番のファンであり、
周りからのやっかみや視線も気にしないマイペースさは、
容姿以上に魅力的でした♪

兄妹として互いを大事に思っているけれど、
音美と投馬にはそれだけで終わらない何かを感じます。

この何とも言えない距離感もまたくすぐったい♪


それぞれの声優さんも役に馴染んでいて、
キャラの魅力が増していたように思います^^

他にも、タッチでのライバルキャラやその息子が登場したりと、
タッチファンなら嬉しい仕掛けもありますよ♪


● 音楽
【 前半OP「イコール」/ sumika 】
【 後半OP「VS」/ ポルノグラフィティ 】

もともとsumikaが大好きで、
主題歌を担当すると聞いたのがこの作品を見ることにしたきっかけでした。

曲はアニメを見る前からずっと聞いていましたが、
アニメと合うとまた違った感じ方ができて、かなりいい感じでした♪

爽やかな曲が、
すごく雰囲気に合っていると思いました^^

しかし後半のOPがまたよくてですねー。

爽やかな前半OPに対して、こちらはかっこよさが加わって、
さらなるMIXの魅力が引き出されている!

同じ作品でも曲を提供する人たちによって、
こう描き方や味が違うというのはおもしろい♪

ポルノグラフィティの曲を久しぶりに聴きましたが、
この曲はかなりのお気に入りとなりました^^


【 前半ED「君に届くまで」/ Little Glee Monster 】
【 後半ED「君に伝えたストーリー」/ Qyoto 】

EDがまた良曲ぞろいで^^

OPも大好きでしたが、
EDもまた大好きなのです。

作品に沿っているかと言われれば、
OPに比べるとそうではないのですが、

曲単体だけでもう魅力的。
幸せです。笑


● まとめ
原作はまだ続いていますが続編を作る気はないようで、
24話できれいに話はまとまりました。

野球部の話だけど、野球の話だけで終わらないところが、
私には合っていたのかもしれません。

途中からは「作中の時はちゃんと流れてますよ~」と示すために野球の試合があるのかと思ったほどでしたからw

タッチを知っている方や、
のんびりと野球ものの作品を楽しみたい方にはおすすめです♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 18

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

笑いと情熱のあいだ

 【First impression ~ review】

 とある配信で公開されていたので、一気に見てしまった。

 あだち充の作品は学生の頃は好きだったが、社会人になって新しい漫画が出ても買わなくなっていたが、このMIXという作品の名前は知っていたし、タッチの舞台であった明青学園でもう一度という懐かしさからワクワクしてしまう設定ではあるが、様式美のそれはあるとしても、もはや新しさを感じることがないので、漫画を読むかとなるとちょっと躊躇われていたところがあった。

 しかし、アニメを観てみると、再放送で小さい頃に見たタッチへのリスペクトがスゴイ感じられる脚本となっていて、あだち充の作品の良い所を引き出したアニメの演出があって、ただ明青が懐かしいわけではなく、アニメ作品としてもマルっと懐かしさがあるんです。

 タッチのアニメを見て、漫画を中古で買い揃えてみゆき、ラフ、H2、KATSU!とあだち充作品に触れてきたが、久しぶりにその頃を思い出してもう一気に見てしまった。

 さて、一気に見てしまったので、第一印象がそのまま今回のレビューになります。

 ズバリ、どこが良いのかって話をします。

 タイトルにもありますが、スポーツ×ラブコメの代名詞にもなっていると言っても過言ではないあだち充ですが、そのバランス感覚の良さと、どうなるか分からない恋の行方が良いです。

 アニメはまだ続編を乞うご期待という感じなので、まだまだ恋愛の行方がこれからどうなっていくのか分かりません。
 ラブコメの中には恋愛対象が矢印で見えてしまうレベルに分かりやすい作品が少なからずあります。こういった作品は表現が重たくなりすぎるように思う(ズバリ鬱陶しい)。
 好きだと分かっていて、それを成就させるために奮闘する姿を見せる自己投影型の恋愛作品って、観ている側に想像力を使わせない作りなので、全然面白さが分からん・・・。となってしまうんですよね。つまり、共感【してもらわなくては】始まらないので、説明的過ぎたり、分かりやすく演出しすぎたりするきらいがあるんです。自分の経験と重ならないと共感できないって人にはこれしか嵌らない。

 『MIX』では、誰がどう思っているのかを想像しなが視聴できるように、セリフの伝え方や間の取り方、表情、音楽などでキャラの心情をみせてくれます。
 恋愛模様の面白さって誰がどう思っているのか、そしてどうやって変化していくのかの余白を常に残していて、それを想像しながらそれぞれのキャラの気持ちを考えることが共感【する】ことに繋がりそこが面白い。
 例え間違えていても良い、人によって解釈が変わるんだから。
 『それは違うよ』とか観た人同士で話合うことができるそんな作品の方が個人的に楽しいと思うし、このあだち充の作品群はそういった面白さがしっかりある。もちろん今回も。
 脚本、と書いたけれど、原作の良さをそのまま出している脚本であって、原作あってこそだとこの作品については思いました。


 視聴者を意識している作り方。
 これはタッチの頃からそうだったけれど、メタ的なセリフがあったりする。原作も作品の中に作者がちょろっと顔を出したりするけれど、話が重くなりはじめると、しっかりと閑話を入れてくる。
 それを邪魔だと感じる人もいるだろうが、あだち充節に調教されている私やなどにはむしろ心地よく感じてしまい、この緩急のテンポだからこそ、一気にみても全然疲れない。
 視聴者を意識した脚本づくりとなっていると感じる次第です。


 タッチへのリスペクト。
 そもそも作者が同じなんだからリスペクトっていうのはなんか違うようにも感じるのですが、まぁ言葉の綾ですね。
 この30年前の舞台装置がまだ生きていて、少し彼らのドラマに影響を与えています。それが不自然でなく、確かにそうなるかもなと感じてしまう都合の良い頭なのですが、大きく絡めてしまうとそれもご都合主義かよと思ってしまう。
 そこは多分、注意して物語を作っているんじゃないかなって感じます。あくまでも主軸はMIXの主人公たちなのですから。


 ナレーターが南ちゃん!
 永遠のヒロイン南ちゃんの声をあてていた日髙のり子さんがナレーターです。これが良いです。そして南ちゃんをしていないところがまた良いですね。ここにも、前述したように、タッチという舞台装置を都合よく使いすぎている感を出さないようにしつつちょうどいいバランスを保っているように感じました。


 総括
 都合よく捉えている部分は多分多くある。
 こういった良い所を挙げていったけれど、それが逆に鼻につくという人もいるだろう。
 ただ、当時のタッチを好きだった人には須らくおススメであることは間違いない。
 タッチを美化しすぎて、汚されたなんて思わずに、今ある明青野球部をどうか一緒に応援してもらいたいですね。

 では、よしなに~

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

伝説、ふたたび。

この作品の原作は未読ですが、このタイトルを見て心の踊らない訳がありません。
物語の舞台が『タッチ』で「上杉達也」「上杉和也」「浅倉南」らが甲子園を目指したあの明青学園なんですから…

思い返せば、幼馴染って良いなぁ…と思ったのはタッチが初めてだったかもしれません。
家が隣でいつでも気軽に行き来できる間柄…
しかも相手が浅倉南の様な女の子だったら、きっと他には何も望まなかったでしょう。

作品を完走して『タッチ』のwikiを見て初めて知ったことがあります。
和也は事故死してしまいましたが、当時の編集部は大反対だったそうです。
だから原稿を受け取った担当者は、隠れて校了を終わらせて編集部から逃亡したんだそうです。
しかも、アニメで和也が亡くなった際には実際に告別式まで執り行われたんだとか…
鉄道橋の下で電車の通る音にかき消されながらも南が大粒の涙を流していたシーンは、今でも鮮明に覚えています。
当時テレビアニメは全部で101話もあったとか…
いかに偉大な作品だったかが窺えます。


舞台は「タッチ」と同じ「明青学園」

「タッチ」の主人公「上杉達也」の伝説から約30年、
今、運命の兄弟が物語の扉を開く…

親の再婚によって、血は繋がらないが誕生日が同じ、
双子?の兄弟となった
「立花投馬」「立花走一郎」は、
明青学園高等部に進学し、野球部に所属する。

走一郎は捕手、打者として活躍。
投馬は人並み外れた投手の才能を隠し持ち、
1年生エースとしてマウンドに立つ。

走一郎の実妹で、
投馬とは血の繋がらない義理の妹立花音美は
中学3年で人気者。

投馬や走一郎との関係が気になる監督の娘、大山春夏や、音美を追いかける西村拓味、
立花3きょうだいの周囲はなにやら騒がしい。

立花兄弟は、
甲子園の土を踏むことができるのか…


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

立花投馬が上杉達也、立花走一郎が上杉和也、そして立花音美が浅倉南と同じような立ち位置と考えて差し支えないと思います。
唯一違いを上げるとするなら、走一郎と音美は実の兄妹なので、音美の二人への当たり方が微妙に違うことくらいでしょうか。

しかも音美役にまややん、春夏役に香菜ちゃんが起用されているんですよ。
こんなの、もう滾るしかないじゃありませんか…
もう期待値MAXで視聴に臨みましたよ。

この作品の魅力は、明青学園が30年振りに甲子園を目指す道筋だけじゃありません。
30年前に上杉達也と同じグラウンドに立っていたメンバーが立花3兄弟の廻りに溢れているんです。
嬉しさ、悔しさ、そして悲しみを共有した当時の仲間の記憶が少しも褪せていないのが、この作品を視聴できる嬉しさを助長します。

私は甲子園には縁遠い存在でしたが、夏の甲子園の優勝校…3,000校の頂点として立つ甲子園のグラウンドの空気はどんななんでしょう。
もちろん、登場する大人が全て甲子園の決勝を経験している訳ではありません。
途中で夢破れて悔しい思いをしたからこそ今がある…そんな人だって当然存在します。

だから戦うのは選手だけじゃないんです。
大人も30年前から蓄積した思いを野球にぶつけ合って戦うんです。
これが燃えないはず…ありませんよね。
あだち充先生の描くキャラは飄々とした人が多いですが、内面は触れる事ができないほど熱く滾っているんです。

強豪ひしめき合う東東京地区…
もちろん、簡単に甲子園に行けるほど甘い地区では無いのは十分分かっているつもりです。
でも、何故か期待しちゃうんですよね。
立花兄弟の外見が上杉兄弟と似ているから…?
音美の言動が南ちゃんを彷彿させるから…?
音美の期待に応えようと二人が全力全開のギアを上げ続けるから…?
実は私にも良く分かっていないんです^^;
でも、いつかみんなの期待に応えられる結果を、二人で導き出して欲しいと思っています。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、sumikaさんの「イコール」と、ポルノグラフィティさんの「VS」
エンディングテーマは、Little Glee Monsterさんの「君に届くまで」と、Qyotoさんの「君に伝えたストーリー」

2クール全24話の物語でした。
これでアニメ化が終わること…ありませんよね。
これまでのあだち充先生の作品同様、最後まで描かれるのを期待しています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

59.3 11 兄弟で東京なアニメランキング11位
プレイタの傷(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★☆☆ 2.9 (55)
180人が棚に入れました
東京―『暁特区』。国が新たに打ち立てた経済特区予定地で、大企業『サキシマ・ホールディングス』に行政権が譲渡された。特区内でのみ適用される課税軽減などの利権を巡り、敵対企業が陰謀を巡らせた結果、大型な暴動・暁抗争が勃発。内政は荒れ果て、『サキシマ・ホールディングス』も解体。暁特区は国の自治も及ばない不管理地域となる。その無法地帯となった街を守る男たちがいた。『ディヴァイン・タトゥー』という、荒ぶる神獣の力を封じ込めたタトゥーを持つ人間、通称『スカード』はそれぞれ固有の特殊能力と、全ての攻撃を無力化するほど―銃弾が身体に届く前に弾け飛び、刀は砕ける―の防御力を有する。タトゥーの能力を生かし、街を守る『ヘリオス』、組織を守る『アルテミス』、秩序を守る『公安特務』たちが新興勢力となり、暁特区に鎮座する。未だ日常的に、微力ではあるが抗争が続く中で、それでもなお彼らは自らの『正義』を貫く。これはそんな激動の中を生きる彼らの、当たり前の日常を描いた物語である。

声優・キャラクター
高坂篤志、千葉翔也、榎木淳弥、ランズベリー・アーサー、益山武明、野上翔、八代拓、畠中祐、福原かつみ、津田健次郎、上田燿司
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

大きな矛盾は無いが特段面白い部分も無い

前情報一切ナシで1話を見た個人的な感想、作品の感想というよりスタジオへの感想
{netabare}まず“K”は見てません。
その一方で“ハンドシェイカー”は見てまして、話が途中で終わってて「なんだよー」と思ったらまさかの“W'z”という続編が始まって一応の完結を迎えてくれました。
気になるのは、なんで“ハンドシェイカー2”ではなく“W'z”って別タイトルだったのか。
そもそも“W'z”の開始前の宣伝がまるっきり女性向けの別作品かのようなもので、実際本編を見るまで続編だったと気付かなかった人は多いんじゃないかな。
そこで思うのは…ひょっとしてアニメスタッフは「今度は女性向けに『新作』作りまーす」とスポンサーに偽企画を言いつつコッソリと続編を作ったのではなかろうか?と。
“ハンドシェイカー”が途中で終わっててモヤモヤするのでどうしても最後までやりたかったとするなら視聴者のこっちとしては「よくやった」と感謝の極みなんだけど、その一方で「そんなことやって業界から干されない?」という心配までしちゃいましてw
今作“プレイタの傷”が放送されたことで干されてなかったみたいでいや~良かった良かった、と胸を撫で下ろすと同時に、これ、ひょっとして…。

“W'z”を作る時に出した偽企画の内容通りに作ったモノなのでは?

なぁ~~んてことを思ってしまったりw
もはや陰謀論ですかね?けどそう考えて見るとなかなかに感慨深い…かも?
まぁ“K”を見てないんでねー、思い切り見当違いなこと言ってるかも…“K”見た方が良いっすかね?しんどいんだよなぁ…。{/netabare}

1話感想
{netabare}背景に対しキャラが浮いてるのは“ボーンフリー”みたいなものだと思ってまだ我慢しよう。
けど…終盤のジッポの炎、なんだアレは!?
他の方も指摘されてるけどキャラの髪がバザバザなびくほどには風が吹いてるのに…あんなんじゃ点かないってw
ついでにその後のタバコの煙もあまり風の影響受けてないし、もの凄い違和感。
髪の毛作画する人とタバコの煙描く人が別で連絡上手く行ってなかったのか?
似た現象は前期“100万の命の上に俺は立っている”でもあったけど、こっちの方が作画頑張ってるせいで余計に目立つ。
“ハンドシェイカー”→“W'z”でクオリティが下がった印象だったけど、こっちはW'zから更に落ちた?大丈夫か??

で内容だけど、前半で逃がした少年の件、匿ってもらうんじゃなくてどこかに姿をくらましてしまったけど、依頼した側はそれでいいのか?
今後もあの少年登場する?
でもっていきなり専門用語(ギリシャ神話由来で造語ではないけど)が多数飛び交って…勢力は3つ?いやそれ以上あるみたい。
覚えるの面倒臭いようだったら脱落しちゃうかも。{/netabare}

3話までの感想{netabare}
2話は公安、3話はアルテミスという勢力の紹介ってところかな。
これでこの世界はどんな力関係なのかの説明が終わって、ようやく次から本格的に話がスタート…と思って良いのだろうか?

3話、「アルテミスの監視の目をかいくぐってダスクが特区にこんな武器を持ち込めることはありえない→アルテミス内に裏切り者が居る?」
ということからの、ヘリオスの溜まり場(エイジの弟のレストラン、まだ本部かどうか分からないので)に「アルテミスに追われてる、特区の外に逃がしてくれ」と少女が駆け込んでくる。
で、その後の「双翼」の態度やダスクの行動からして、少女や両親を追ってた「アルテミスの怖い人」とやらは単なるダスクの成りすましなだけかアルテミス内部の裏切り者か。
エイジを撃った「魔弾」の出所やフェンリルがそれに絡んでる…のか?
──と、いかにもな謎は提示されてるのだけど、いやちょっと待って。

1話の「ただその場から逃がすだけ」でその後の身の安全に無関心だった少年の扱いに疑問だったのだけど、3話で駆け込んできた少女が…特区の中に入れてくれと外に逃がしてくれとの違いはあれど、ある意味では焼き直しで。
逃がした後まんまとダスクに囲まれて~って展開は…な、なんて言えばいいんだ。
「そうそうこれこれ、1話で逃がした少年もその後こういう目に遭ってるんじゃないの?」って思ったワケなんだけど、「ハイそうです」と別のキャラで答えを見せられた感じ。
答え分かってんなら1話の段階でどうにかせーよw
もしくは1話の少年もあの後アルテミスか公安に助けられてたってタネ明かしが今後される…のかなぁ?
ぶっちゃけ1話と3話は混ぜて1話にまとめられた気がする。

まぁそれよりも、エイジが死んだことは世間にバレててパワーバランスが大きく崩れたと思うのだけど、ヤマトが昏睡してた一週間何も大きな動きは無かったのか。
ヤマトもヤマトで公安に置いてきた弟のことを心配しようよw
ハンドシェイカー→W'zと同じノリで「対立することもあったけど実は皆イイ人」ってことになりそうなんだけど、現時点では公安はコワイ人扱いじゃないの?{/netabare}

6話までの感想{netabare}
4話は公安にせっつかれてヤマトがヘリオスに正式加入する話。
ああ、この回までが世界観説明回か。
ここまでに提示された謎は「フェンリルとは?」「ダスクが特区に銃器持ち込みできたのは?」「魔弾の出どころは?」。
ヘリオス、アルテミス、公安、各勢力の持ってる情報がそれぞれ別で、それを集結させて真実に迫る展開なのかな?

と思ってたら5話、3話の続きでダスクの銃器持ち込みにはアルテミス内部(厳密には隠居)に裏切り者が居たということでソイツを始末する話。
おや?これで「ダスクの銃器持ち込み」は解決しちゃった?
ダスクはネームドキャラ不在でスポットを当てた話も無く、無条件でやっつけていい悪モノ扱いなので、もうちょいダスク側の事情に迫ってくれると有難いんだが…。
と思ってたら6話、ダスクのイケメンキターー!
最後の方でちょろっと出ただけなので掘り下げるのは次回か。
これは俄然次回が楽しみに……うーんどうなんだろう?

「これって何?」→「ハイこういうことです」→「これってどうなるんだろう」→「ハイこうなります」。
と、視聴者の興味の持つ方向へリードしてく…視線誘導でいいのかな?それは出来てる気はするんだけど、如何せん肝心の「興味を持つ」の熱量が低い。
私にしたってこうして文章に起こしてるから把握してるだけで、ただダラっと見てただけでは何が起きてるのかサッパリ分からなかった予感。
話が難しくて分からないのではなく、興味が薄くて頭に入らない。

絵面が淡々としてる(BGMも眠い)せいかな?とは思ってるんだけど、それに加えて世界がキレイ過ぎるのが没頭することを妨げてる?
酒瓶持った浮浪者がドラム缶の焚き火で暖取ってる後ろでゴロツキ同士が喧嘩してる、そんな世界観じゃないのん?と。
町には掃除のおばさんが居て子供も一人で通学してそう、みーんな身奇麗で電気ガス水道等のインフラ完備で毎月律儀に光熱費払ってるかのよう、マッポー感では“エクスアーム”に劣る。
他の作品でもこういう現象ってあるけど、手描きアニメだとフィルターがかかるせいかあんまり気にならないハズなんだけどなぁ。
雰囲気が近い作品として“千銃士”を個人的にはちょいちょい思い出すのだけど、あっちはこの件(キレイすぎる問題)に関しては気にならなかった。
ところがゴーハンズはそうならない、CGアニメで起きがちな違和感(※)を手描きで起こすってのは凄いことなのかどうなのか。
意図的なのは分かるけど、どうにも作風が内容に合ってない気ががが…。


手描きアニメだと手描きならではの歪みの部分に「汚れ」を感じるのかな?
比較例として…“モンストアニメ”の3期がフルCGで、ルシファー編は「まぁこいつらみんな天使だからな(宝石の国と同じ感覚)」で脳内処理できたけど、アーサー編に移ったらどいつもこいつも新品卸したての装束を纏ってるような違和感が凄かった。
祝典に参列って設定ならまだしも、数ヶ月間放浪してたランスロットも超身奇麗で、一応マントのスソがビリビリにはなってはいるものの「最初からそういうデザインの新品のマント」にしか見えなかった。
それと同じ現象がこの作品に起こってる感じ、手描きなのにw
こういう画風で作品作るなら、そもそも人間じゃないとか物凄く管理の行き届いた世界とかを舞台にする方が向いてると思うんだけどなぁ…。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
7・8話、アルテミスのトップ(アズサ)の強さのお披露目&攻めてきたダスクを退治する話。
ああ、アズサがこんだけ強いなら公安(政府)もおいそれと手出しできずに特区が特区でいられるワケか、と一定の説得力はあったものの…えっ、これでダスクやっつけたってことでダスク絡みはお終い?
ダスク側が「なんでアルテミスが手出ししてくるんだ」みたいなこと言ってたが、アルテミス幹部を抱きこんで武器密輸してたのがバレたんだから報復はむしろ当たり前のような?
悪巧みがバレたってのを気付いてなかった設定だったのだろうか。
報復を食らう前にヘリオスを制圧して地固めしよう、って展開の方が自然だったんじゃないかな。
ってかよう、エイジが死んでから一週間=ヤマトが昏睡してた間、これといって大局に変動が無かったのが不思議で、その期間にダスクが襲撃しなかったのは何で?の説明は…無し?
追い詰められたホクトの「計画が狂った、どこからだ?」は、エイジが死んだと聞いて即座にヘリオス潰さなかったせいだと思うぞ、その時期ならまだ武器密輸もバレてなかっただろうに…う~ん?
序盤ホクトに余裕ぶっこいた演技させてたせいでひっどくアホキャラに成り下がってしまった。
「ダスクとフェンリルは繋がってなかった」って情報は重要かも知れないが、ホクトはそのためだけの噛ませキャラだった?

そんなことより7話、1話で逃がした例の少年が再登場し、更に今まで画面に映さない様にしてた特区で生活してるらしい一般住民も登場。
…。
なんで「か弱い村民」みたいな描写なんだ?
外ではお尋ね者で生きていけない犯罪者共が特区に居座ってるんじゃないのか。
(公式のB1の項目にも「暁特区で最も荒れた場所。貧しい者、犯罪者、訳ありの者たちが流れつく無法地帯。住人のほとんどが不法居住者。」と書かれてる)
設定的には火炎瓶の一つでも投げそうなモンで、1話の少年もそこらに転がってる死体から耳削いで生活してる(花の慶次ネタ)んじゃないのか。

9話、フェンリルの正体に何か勘付いたカガミがティターンを飛び出し、その頃アルテミス本部ではアズサがフェンリルに襲われたらしい。
「あんなに強いアズサがどうして!?」とビックリして欲しいところなのかな、いや全然。
秘書?から「何かを聞いた」双翼がカズマ達に襲い掛かり、「カガミが倒れてるのでちとタイム」ってところで次回へ続く~。
「フェンリルの正体は一体…?」ってことに興味持って欲しいのかな、いや全然。
秘書?が何を言ったのかは一応気にはなるけど、それよりその…魔弾の件はどうなったんだろう?
まだフェンリルと魔弾は出所が同じとは明言されてないよね?
実はエイジがフェンリルで、魔弾撃ったのはフェンリル倒そうとしてたヤツって可能性は…どうだろ?
そもそも上記の感想にも関係するけど特区のパワーバランスに係わるエイジ死亡情報はどうやって世間にバレたの?という部分には違和感を覚える。
身内のヘリオスですら公安(コウガ)から聞かされたヤマトから聞くまで知らなかったくらいで、英雄の死を悼んだ大々的な葬儀がB1地区で行われたワケでもないみたいだし、なんでアルテミスとダスクは知ってるんだ?と。
ホクトの身柄も公安が預ってるみたいだし、公安ないしその裏がなにか企んでる?
次点でアルテミスの秘書。{/netabare}

10話感想{netabare}
フェンリルの正体はカズマでした、但し「今この瞬間だけ」って可能性は消えてないかな。
ある意味順当ではあるんだけど…何て言えばいいんだろうなぁ、「あれ?これおかしくない?」って部分が意図的(伏線やミスリード)なのかヘボいだけなのか、判定できるのは先まで見ないとどうにもならない。
最後までおかしいままだったら総評の方に書こうと思ってたのだけど…どうやらミスリードを狙ってたっぽい。
で、そのおかしい部分というのは「カズマがフェンリルを目の仇にしてる理由が薄い」。
ちと気になって公式のあらすじを見てみたけど、こっちでもやっぱりそう。
3話あらすじの一部「エイジの死に関わった可能性がある謎の男『フェンリル』のスカードとの関係~」って…可能性なだけじゃねーかw
しかもそんなに高くない、「え、関連あったっけ?」ってレベル。
今一度整理すると──

・エイジにトドメを刺した(まだ疑わしい)のはあくまで魔弾
・魔弾を撃った者とフェンリルが同一だとは語られてない
・なのに、何故かカズマは魔弾はスルーしてフェンリルを「あたかも」エイジの仇とばかりに捜査にご執心

理由が「無い」ではなく「薄い」で、好意的解釈を広げればなんとか理屈が成立するのが厄介なところ。
カズマは、エイジが死んだのはヤマトのせいだと責めたいのだけどそうもいかず、行き場を失った怒りの矛先をフェンリルに向けた?、とか。
そもそも1話がヘンテコで、エイジが撃たれた場所とカズマがフェンリルと遭遇した場所は離れてる。
「ダスクに追い回されて孤立したエイジの援護に向かいたいところをフェンリルに邪魔された→だからフェンリルを恨んでる」と思おうにも、カズマがフェンリルと遭遇したのはエイジが撃たれてケルベロスをヤマトに譲渡した後で、フェンリルに邪魔されずに合流できたとしても手遅れ。
これは視聴者にしか分からないことなのでカズマが思い違いしてるでも構わないのだけど、そうはいっても、じゃあ次に恨むのはフェンリルじゃなくてダスクじゃね?となる。
そこから更に「ダスク如きがエイジを倒せるワケない」→「犯人=TUEE奴」と信じたがってるって描写が一応あるので「そう解釈しろ」ってことなんだろうけど…いやぁまどろっこしいって。
正直深読みしないと「なんでエイジ殺したのがフェンリルみたいなことになってるの?」だし、そんなゴチャゴチャしたことよりも…魔弾を気にしろよと。
魔弾は関わった可能性があるどころじゃなくて「確定」だろ?何故そっちを優先しない?
で、この感想はカズマだけじゃなくて他のキャラにも当てはまることで、フェンリルフェンリルって、そんなん放っておいても向こうからやってきてくれるってw

どこかの感想で「キャラ達が何をやってるのか分からない」ってのを見たけどそりゃそうだ、勘違い(ミスリード)させようとして騙しきれてない。
ミステリー系で、物凄く怪しい容疑者が居るのにそっちには目をくれず、容疑者とも呼べない他人を追い続ける話を(後で繋がるとしても)ダラダラやられても「何やってんだコイツら?」としかならない。
まぁ今後魔弾について掘り下げてくと思うのでその締め方次第かなぁ。
これで魔弾に話が向かわなかったらちとヤバいかも。
ヤマトにわざわざ魔弾の件を教えた公安になにかウラがありそうな気がするが、果たしてどうかのう。

ついでに今回新たな謎が生まれました。
フェンリルはどうして瀕死に追い込むだけでトドメ刺さないの?
これについてもちゃんと理由提示されたらいいなぁ、宿主の良心が寸でのところで阻止したでもいい、単なる作り手側の事情(商品展開的にキャラを殺せない)だけだったらヤダなぁ。{/netabare}

11話感想{netabare}
予想では「1話より前の時期からフェンリルはエイジにとり憑いてて、魔弾に撃たれたことで離れてそこでカズマと遭遇したってことかな?」と思ってたが違った。
ずっと前からカズマに憑いてたんだって、へーえ。
1話で現れたフェンリルはカズマ自身の欲求が見せた幻だって…えええええ。
カズマの「エイジを殺したのは魔弾なのにそっちを追求しないでフェンリルを必死に追う」という異常行動の説明もされたけど、そもそもそれが異常行動だと感じるのはかなり真面目に見てないと分からない(キャラがおかしいのかシナリオがおかしいのか分からない)ワケで、もうちっと分かり易くしても良かったような?
ってか魔弾についても調べてたって、後から言われてもちょっと…。

でもって肝心の魔弾、作ったのも撃ったのもカガミでした。
これは順当…かな?ってかこれ以上新キャラ出されても厳しいのでホっとした。
けど、やっぱり動機がなぁ。
英雄という重しから開放したかったって、寿命縮めてそんなことしたってエイジ的には悔いが増すだけのような…。
…ハッ。
婦女子向けってことでそれ的に考えると、カガミはエイジの心に自分を刻みたかった?
実は先代ケットシーに嫉妬してたとか?
ってかそれくらい病んでるのなら動機としては充分だけど、だったらなんでそう描かないの?って疑問。
婦女子的に妄想の余地を残したってこと?う~んわからんなぁ…。
あと「魔弾を撃つためのライフルも特注品で、それを特区に持ち込むためにダスクとアルテミスの裏取引を利用した」みたいなのを期待してたんだけど、それは無いのか。
先代フレスヴェルグが噛ませ扱い過ぎな気が…ダスクのトップ(ホクト)といい、出したはいいけど扱い切れてない様な?

公安(政府)の“当初の狙い”はエイジが死ぬことでダスクがヘリオスを倒し、次いでアルテミスと直接対決をおっ始めて治安が悪化することだったらしい。
ん?アルテミス(アズサ)の戦力を割く、じゃないの?「つまりはそういうこと」ってこと?
今までの描写を見る限り戦闘力だけならアルテミス以外のスカードはぶっちゃけ機動隊でもなんとかなりそうで、政府が特区に手を出せずにいるのはアズサを警戒してるからって感が強い。
抽象的な言い回ししないでハッキリ言った方が良い気がするんだがなぁ。

公安(コウガ)がまだなにか企んでるみたいなのでそれに期待か、頼んますよ。{/netabare}

13話までの感想{netabare}
前から指摘してる通り「エイジの死亡、なんでみんな知ってんの?」が不思議だったのだけど、案の定公安が嘘の情報を流したってことでした。
あーあ。
魔弾は作るだけでなく撃つ時にも寿命を犠牲にするらしい。
ってことでエイジ生存でカズマに揺さぶりをかけてフェンリルを抑えてたところにエイジが魔弾を撃ってフェンリルを倒して今後カガミと一緒に呪いを解く方法を探そう、でエンド。
いやさ、エイジの死を誰も疑わなかったの?と。
カズマはもとよりカガミなんて、エイジからスカードの能力を奪って英雄という社会的地位から抹殺しようとしてたワケで、本当の本当に目論見は失敗したのかどうか気にするでしょー。
「死体見せろ、それを見るまで信じない」と散々公安に詰め寄るんじゃないの?
ってか視聴者的にも死体見せてないので死んだという実感が無く、「死んだと思ったでしょ?実は生きてたのでしたー」も全然騙せてない。
ニセの死体を用意して葬式を偽装するシーンくらいはあっても良かったんじゃないかな?

ってかよう、物語的にヤマトって居る意味あった?弟とは結局離れ離れのまま終了だし。
意味が無かったといえばイツキもそうだし、更には前任者との思い出なんて物語を分かりにくくする雑音でしかなかった。
物語に直接関係なくても世界観に深みを増すための描写なら良いのだけど、ほかにもっと優先すべきと感じるシーンがおざなりの状態でそれをやられても…。
一番はなんといってもエイジを英雄と称える特区の住人(民衆)が一切出てこないこと、ティターンもいっつも閑古鳥だし。
いくらセリフで英雄だ英雄だ言われても全くピンと来ない。
そしてこれはかなり個人的なことになってしまいそうだけど…ダスクのトップのホクトがど~にも可哀想に思えてしまって。
まんまと公安に踊らされて、アルテミスに裏工作が利かなくなって、フェンリルの噛ませになって、最後は公安に捕まってエイジと同じ様な扱いをされるのだろう。
なんか脚本家にとって都合の良い駒って感じで、何も悪いことしてない(悪いことしたのかも知れないが、それはアルテミスも同様)のにヒッデーなぁ、と。
続編は無いだろうけど、もしあったらホクトを主役とした復習劇をやって欲しい。{/netabare}

総評{netabare}
大きな矛盾は無いが特段面白い部分も無い

あえて言えば「特区」の設定が大嘘過ぎて受け入れられないかも?
こういう特殊な世界設定でありながらそこに住む住人の暮らしぶりが見えないのはキツい。
普通に現実の世界の延長にして、マフィアの抗争──アルテミス組とダスク組が縄張り争いをしてて、地元素人集団のヘリオスが自警する話──ではいけなかったのかな?
いや、そのつもりだったのかも知れない、が、いかんせん皆がみんなピッカピカの小奇麗な格好で、リアリティというか生活感が無い。
ヘリオスのアジトの喫茶店?軽食屋?そこに食事目的の客って来るのかどうかも疑わしい。

が、これもよくよく考えると矛盾ポイント(ツッコミどころ)ではなくなるのが話しにくい部分でしてw
フェンリルにしろ魔弾にしろ、騒動の火元は少人数しか居ないヘリオスばかりで「ヘリオスって問題しか起こさないな」と思う一方で「ま、素人集団だしね」ってことでは筋が一応通る。
サキシマの御曹司が居てソレ?って思わなくもないけど、エイジを救いたくて頭がおかしくなったってことなら、まぁ…。

特区の住人の暮らしぶりもさることながら「描かないことで視聴者の想像に任せる」部分が多く、目一杯好意的解釈をすれば矛盾は無い(面白いかどうかは別)のだけど、そんな好意的な視聴者ばかりじゃないでしょう。
テキトーに流して見る分には「何をやってるか分からない」だし、肝心のミスリード(騙し)をした後で真実を明かして驚かす展開も、そもそも前提の「騙し」で騙せてない。

・フェンリルの正体は、な、なんと味方であるハズのカズマだったのでした!
・エイジを魔弾で撃ったのは、な、なんと味方であるハズのカガミだったのでした!!
・エイジは死んだと思ったでしょ?な、なんと実は生きてたのでした!!!

この作品のビックリポイントは上記3つだけど、「ああ、味方だったんだ」「ああ、死んだ扱いだったんだ」程度しか受け取らないのが大半じゃないかな。
実際あにこれ外で感想を収集してみたところ「この前敵対してたのになんで親しくなってるの?」とか、逆に「この前親しくしてたのになんで戦ってるの?」とか、状況を把握してないことが多い。
…まぁそりゃそうだよ、細部(主に汚い部分)を隠してるせいで世界観そのものに興味沸きづらいんだもの。
また、分かったところで大して面白くないのも…リアリティ(主に汚い部分)が無いので感情移入できない、どれも「へー、そーなんだ」としか心が動かない。
例えば3番目で言えば、匿ったエイジを死んだと偽るために公安は物凄いトリックを仕掛けたのか?というとそんなモノは無い。
「おお、そんなことをして世間を騙したのか、やるねぇ」と思えることが何も無い、スカしてるだけで誰もカッコ良くない。
個人的に一番感情移入できたのは登場頻度の少ないホクトで、こういう現象(登場の少ないキャラが一番マトモに見える)って…その…クソアニメではよくあることで…。

結論、キレイキレイ過ぎて全然その世界に没頭できない。
「キレイキレイ過ぎ=汚い部分を隠してる」で、その隠してる部分まで想像を働かせば色々と納得(矛盾を感じない)はできるけど、そこまで付き合うのはかなり億劫。
そしてそこまでしたところで面白くはない。

そうそう、作画に関しては、ハンドシェイカー→ウィズ→コレ、で確実にクオリティが落ちてる。
アクションシーンとか頑張ってる様に見せかけてカメラをグルグル回してるだけだったり。
どうしたんだ一体?だだだ大丈夫か?{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

実はKの続編だったと言われても、信じる(笑)

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
いや、Kの続編ではないですよ(笑) ただ、制作会社が同じで、作画やキャラデザ、雰囲気がとても近いということです。

GoHandsのキラキラした作画、私はあまり得意ではありませんが、こういう、「この作画や演出はあの制作会社だ」と分かる、個性豊かな制作会社は結構好きです(だからこそ、盗作問題はいただけませんが)。

基本的には、イケメン達のバトルアクションを観るアニメですが、そこにミステリー的要素が入るのが新しかった。ネタバレ厳禁系ですね。

意外と、と言っては失礼かもしれませんが、意外と面白かったです。

レビューでは、本作の複雑なストーリーを、時系列にまとめて整理してみました。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ヘリオス、アルテミス、特務、ダスク。様々な組織が絡み合う展開なのに、複雑になりすぎないのは、各組織の主要人物が2~4人程度に絞られていたから。

この辺、Kっぽい。

あと、登場人物が皆、もったいぶった言い方をするのも、厨2秒丸出しなのに格好つけているのも、

Kっぽい(笑)

いや、悪口じゃなくてね、それが個性だよなと思うんです。

さて、本作の場合、「フェンリルが実はヤマト」「エイジが実は生きていた」という、2つのビックリ箱をどう評価するか、というのがポイントでしょうね。

個人的には、「動機と結末には納得できるが見せ方が不十分」でしょうか。

本作を時系列にまとめると、

①カズマ、フェンリルになるも、ケットシーで封印。
②エイジ、戦いの果てに心が壊れかける。
③カガミ、エイジを救いたいと考える。
④コウガ、カガミに魔弾でのケルベロス破壊を提案。
⑤カガミ、エイジを救うため魔弾を作製。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑥アニメ1話スタート
⑦カガミ、エイジを魔弾で撃つ。
⑧ヤマト、エイジを庇い、魔弾を受ける(計算外)。
⑨エイジ、ケルベロスを譲ることでヤマトを救う。
⑩エイジ、瀕死の重症(死んだと思われる)。
⑪コウガ、エイジ助け、手札とする。
⑫カズマ、エイジの死を受け、暁特区を憎む。
⑬カズマ、強い憎しみにより、フェンリル顕現。
⑭ヤマト、カズマと共にフェンリルを追う。
⑮ダスクやアルテミスになんやかんや(笑)ある。
⑯カガミ、カズマがフェンリルであることを明かす。
⑰エイジ、再登場。
⑱なんやかんやあって、全員が救われる。
⑲終わりよければ、全て良し(笑)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑳今後、エイジはカガミを助ける方法を探し、ヤマトとカズマは暁特区を守る。

ということでしょうか、多分(間違いあったら教えて下さい)。

まあ、どう見てもコウガが悪者ですよね(笑) でもそれは、先輩の死を受け、一般市民や公安に出来るだけ被害を出さず、スカード内の抗争で、物事を納めようとしたからであり、その動機や方策には納得できる。

カガミもまあ、エイジのことが好きだんだねぇ、ということで、ちょっと色々間違えているけど、その後、自分の計画を台無しにした、でも、自分の愛するエイジが守ったヤマトを、複雑な心境の中で支え続けた苦しみで、間違いが帳消しになっている感じ。(ふと思うが、殺気を感じるケルベロスを持つエイジなら、カガミが自分(ケルベロス)に向ける殺気にはとうに気づいていたのではないだろうか。タイミングは別にして、いつかカガミに撃たれることを、望んでいたのかもしれないなと思う。)

ヤマトとカズマに関しては、主要人物なのに蚊帳の外、何も知らないからな~。何も出来ようがない。

ラン、ジン、アズサの3人(アルテミス)は、自衛の為の戦いであり、巻き込まれただけ。本筋には関係ないし。イツキ君もまあ、己の正義に従って、知り得る情報の中で懸命に戦っているだけだしね。

誰が悪いということはなく、少しボタンをかけ違えたことが、大きなドラマを生み出していくというシナリオ構成は、とても良かったように思います。

ただ、「カズマがフェンリル」も「エイジ生存」も、もう少し伏線を視聴者に提示しないと、ただの後出しジャンケンになるから、その「見せ方」が、ミステリーとしてはイマイチだったかもしれない。

最上のミステリーとは、誰もが聞き流したり見過ごしたりする、何気ない発言や行動が、ネタバレ後に見直すと「確かに変だわ。クソ、なんで俺はここで気づけなかったんだよ!」という1本取られた感があるものだが、本作はここが足りなかったと思う。

特に、「エイジ生存」は、「生きてたんか~い」という視聴者の総ツッコミが、聞こえたような気がした(笑)

まあ、多少の問題はありつつも、男でも楽しめたし、女子にはちゃんと素敵なカップリングを魅せられた、良いアニメだと思う。

ただ、「世界から見捨てられた街の、最も危険な街」なのに、ヤマトがやたらオシャレで綺麗な部屋に住んでいるのは、気になりましたが(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
なんか、ゲームのOPみたいだな。Kの制作会社だっけか。世界から見捨てられた街の、最も危険な街なのに、やたらオシャレで綺麗な部屋だな。

2話目 ☆3
う~ん、ケルベロスって、そんなに強いか? まあ、未来予知だけど、定番は、回避不能の広範囲攻撃だよな。

3話目 ☆


4話目 ☆


5話目 ☆3
津田さん、わりと早く退場。アルテミスの内情ね。

6話目 ☆3
いい、パジャマだ(笑)  

7話目 ☆3
返り討ちに。互いを認めてきたか?

8話目 ☆3
何話観るつもりだよ(笑) 少し面白くなってきた。

9話目 ☆


10話目 ☆


11話目 ☆3
ケットシーでフェンリルを封印。カガミが魔弾を? 早送りみたいなバトルだな。

12話目 ☆3
生きてた(笑) それやっちゃうと、な~。まあ、ハッピーエンドは好きだが、これまで全ての話が茶番になるんだよな~。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

んはぁ

序盤 んはぁ

中盤 女性キャラいるんだ

終盤 んはぁ

この話...んはぁ...ん特許区での......やめよ

この話は経済特区にしたせいでなぜか無法地帯となったエリアでの話
ジャンルは戦闘・異能・主人公強

これは腐女子が好きな部類なのでしょうか。男性キャラがメインなのも入るのか、ちょっとわかりませんが。
さて異能ものです。ですので「いやいや無理やろwww」というツッコミはきっと無粋なのです。ええ。はいそこ、無能力者も飛んでるとか言わない。それ触れちゃいけないお約束でしょ?

あと、女性視聴者を意識して作ったのか知りませんが、まぁまぁキモイです。会話中に間を作って語尾に吐息的なナニカを入れたり、変な決めポーズしたり、急に怒鳴ったり、と。いや別に嫌いなわけではありませんよ?キモイだけで。
特に急にキレるのはどうかと思います。「本性は怒鳴る系」が通じるのはもっと違う人だと思います。本作の場合は「年齢を考えずに若者に対抗できると考えてるイタイおじさん」にしか見えません。いやぁ厳しい。

あと(二回目)、特徴的な作画です。Gohands特有のアレです。ハンドシェイカーもそうでしたね。
3DCGの背景に手書きキャラが動いている感じなのでどこかペーパーマリオ感があります。別に作画が悪いわけではないのですが、違和感は最後まで残っていたかなって感じです。

さて内容について語ります。
Kみたいな内容と評判ですがその一言で終わっちゃいます。

序盤はご丁寧に自己紹介してくれます。ただ割と主人公がタフ精神で初対面を名前呼びするような子なので割と覚えられます。ここら辺からもう展開が始まります。
中盤では序盤のつなぎをしていくのですが、中盤はとにかくよくわからない。振り返ってみても中盤なにしてたかって正直そこまで記憶にないです。いやそんなことはないですけど。でもそれくらいには印象は薄いです。強いていうなら女性キャラが存在していたことですね。いやぁあずさちゃんOPの時点から好き。
終盤は展開が読みやすかったです。「どうせ」というのもありましたが、ご丁寧に伏線まで。そして伏線からわかること以上のことはしません。アッと驚かせたかったのか、考えさせたかったのか、今でもよくわかりません。

全体的な評価としては「案外面白かった」です。正直序盤で完璧に諦めてましたが、割とあがいていましたね。でもやはり一番の存在はアルテミスですかね。アルテミスが無かったらおそらく切ってました。双翼と主人が好き。あの心からの忠誠、嫌いじゃない。そしてあずさちゃん。良い味してる。決め台詞も割と好き。中二病全開だけど。

ただ、全体的なキャラが悪い。アルテミス以外のキャラはカフェのバカ3人に特務のナルシスト2人。キツイ。何も考えず行動するバカも嫌いですが、立場と権力を盾にしてとにかくマウントを捕ろうとするナルシストもキツイ。特に終盤のこの五人が一番すごい。友達でこういう子がいたらおそらく助走つけて殴ってる。

まぁそんなこんなです。強く否定はしませんが、よほど暇でないと対価が釣り合いません。

監督・キャラデザは鈴木信吾さん。Kやハンドシェイカーなどを担当された方ですね
脚本は八薙玉造さん。ハンドシェイカーなどを担当された方ですね
劇伴はコーニッシュさんとGOON TRAXさん。
アニメ制作はGOHANDSさん。特殊

作画は上記。
opはAKANEさん作詞、Ryosuke Kojimaさん作曲、男性歌唱の「プレイタの傷」
edもAKANEさん作詞、Ryosuke Kojimaさん作曲、男性歌唱の「BUSTLING SHOW」
声優さんはいまいち。とりあえずイケメン風を捕まえてきたイメージ。

総合評価 これ…んはぁ…見なくて…んいいかなぁ

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6
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