兄弟おすすめアニメランキング 156

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの兄弟成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年02月02日の時点で一番の兄弟おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.8 1 兄弟アニメランキング1位
鋼の錬金術師 シャンバラを征く者[ハガレン](アニメ映画)

2005年7月23日
★★★★☆ 3.9 (578)
3797人が棚に入れました
舞台は1923年のドイツ(ワイマール共和国)にあるミュンヘン。この頃のドイツでは、第一次世界大戦敗戦後の、インフレに伴う貧困に喘ぎながら、それでも人々は懸命に生きていた。

アニメ最終話で錬金術世界から現実世界へと飛ばされたエドワードは18歳になり、元の世界に戻る為にロケット工学を研究していたが、先の見えない現実に焦燥していた。その頃、エドの同居人で「自らの手でロケットを作りたい」と夢見るアルフォンス・ハイデリヒは、パトロンを得て念願のロケット製作に着手する。しかしその裏には謎の組織・トゥーレ協会の陰謀が隠されていた。

声優・キャラクター
朴璐美、釘宮理恵、豊口めぐみ、大川透、内海賢二、根谷美智子、麻生美代子、津嘉山正種、小栗旬、小栗了、沢井美優、かとうかずこ
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

TVシリーズから劇場版へ1期の完結編!!

鋼の錬金術師のオリジナルストーリー(テレビ版1期)の完結編を映画化

・劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者
・鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星

劇場版は2作ありますが、こちらは1作目の作品です。

ストーリーは1期TVシリーズから繋がる設定で、荒川 弘原作の『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』や漫画を網羅している鋼ファンであっても1期視聴(全51話)は必須となっています。
1期で完結した鋼のキャラの「その後」に会えるハガレンファンのための作品です。
{netabare}
TVシリーズ1期のおさらいですが、エドはアルを助けるため命を懸けた人体錬成を成功させます。しかし代償として錬金術の世界から現実側の世界(ドイツ)へと飛ばされてしまいます。

お互いの生存すら確認できずバラバラになってしまいます。この劇場版は兄弟が再び出会うための冒険ストーリーなんです。

あの人体錬成から時は経過し、それぞれが背負った境遇で自らを奮い立たせています。

エドワード・エルリック
現実世界に飛ばされてしまったエドも18歳になり背も伸びて大人の雰囲気に。過ぎた年月が内面の成長と外見に現れています。残念なことに1期の頃の無邪気な表情は影を潜めています。帰還する手段が見つからず諦めの境地にいるようで、どこか冷めています。

アルフォンス・エルリック
エドと旅をした期間の記憶を失っています。再会を夢見ていて強い意志が感じられます。兄と同じ赤いマントで金髪を結んでいて1期のエドを彷彿とさせています。

ロイ・マスタング
1期で大総統の戦いに勝利するも、左目を失っています。彼もまた様々なものを背負い辺境の地で地位を捨て警備の任務に就いていました。暗い表情で強気な態度は影を潜めています。

ウィンリィ・ロックベル
18歳になり顔の造りや表情も少女から大人の女性へと成長しています。エドの無事を信じ彼の体に合う新しいオートメイルを製作し帰りを待っています。

ノーア
映画オリジナルキャラ。現実世界の住人で千里眼を持つ少女、相手の気持ちを読みとる不思議な能力を持っています。彼女はエドと同様この世界に居場所がないと思っています。他人に無関心だったエドも共通点があるノーアとの出逢いをきっかけとして自分を取り戻していきます。

現実世界と錬金術世界は同一時間軸になっています。平行世界の存在を示すために登場しているヒューズ、グレイシア、キングブラッドレイはお馴染みの面々です。しかし外見は同じですが違うキャラクターとして登場しています。
{/netabare}
映像は「鋼」のカラーやヨーロッパ調の世界観が1期同様うまく表現されていました。1923年のドイツを再現しているようで製作スタッフが実際のミュンヘンの地図を見て勉強したようです。ストーリーの表現する舞台のデザインが素晴らしく表れています。

現実世界と錬金術世界の双方を描いた壮大なスケールで展開するストーリー。エルリック兄弟の絆を感じさせられたり仲間との絆や親子の愛情、皆の心の動きも繊細に描かれています。
盛り沢山でこの枠では足りない位です。
原作とは違う結末を迎えるエドとアル2人の兄弟を最後まで見届けて下さい。観る価値がある劇場版でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 55
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

消化不良に終わってしまった

世界観:7
ストーリー:5
リアリティ:6
キャラクター:5
情感:4
合計:27

ふたつの世界に引き裂かれたエルリック兄弟は、それぞれ再会を願ってその手段を探し求めていた。兄、エドワード・エルリックが飛ばされてしまった先は、西暦1923年……やがて世界大戦につながる動乱の予感をはらんだドイツ・ミュンヘンであった。得意の錬金術を封じられてしまったエドは、弟の面影をもつ若者アルフォンス・ハイデリヒの力を借りて、科学技術の粋・ロケット工学の力で故郷へ帰ろうと試みていた。だが、なかなか手がかりは得られず、エドは焦燥をつのらせる。
(公式HPより)

初期TV版の鋼の錬金術師が面白かったことから視聴しました。

賛否両論あるようですが、私は残念ながら否のほうでした。TV版の、兄弟が兄弟のことを想い、自己犠牲をした結果、兄弟が異世界で離れ離れになって、それぞれ自立した道を歩むという終わり方が綺麗だったので、{netabare}兄弟愛を引き続き描いて、また一緒に旅ができるという終わり方は退行的に感じてしまったのがひとつ。{/netabare}

一番気になってしまったのは{netabare}残されることになるウィンディのこと。ウィンディはエドをずっと想っていたことが(成長を考えたオートメイルを作っていたということで)描かれているのですから、まだエドがいなくなtた世界を受け入れられていないのです。この状況でエドに加えアルもいなくなったら…。{/netabare}蛇足であり、バッドエンドとなる作品だと思ってしまいました。

リアリティ面でも、現実世界が舞台になれば、この世界の物理法則に従っていない部分があればどんどんツッコミが入りますし{netabare}(あの鎧の集団は、高所から落ちてなぜ潰れないのかとか、過剰なアクションとか){/netabare}、そもそもここで描かれた大事件が現実世界の歴史に残っていないのことも。パラレルワールドですと言われるのかもしれませんが、何でもアリで節操がないでしょう。

この作品自体の難しさがあり、私も拾えていない部分は多いかと思いますので、見直したら評価が変わるかもしれませんが、好きな方には恐縮ながら現状はこの評価で。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

原作を愛していた私には好きになれなかった…。

ハガレンの原作は完結まで全て既読。

アニメは見ていない。

「原作知ってるんだから,劇場版だけ見ても楽しめるはず~。」

なんて気軽な気持ちでいたら,ちょっと痛い目見ました(笑)

この劇場版は,2003年のアニメの続編になっていました。

原作とは違った展開でアニメを終了していたため,序盤の話の展開がまったくわかりませんでした(泣)

「え,エド何言ってるの?」「アルどうしたの!?」と混乱におちいりましたww

後から,「あーアニメ版の続きなのか。」と気付きましたが^^;

なので,ハガレンの原作ファンの人は注意です!


●ストーリー
アニメ版最終回から2年後。

エドは元の世界(錬金術世界)に戻るための方法を探していた。

ある街へ向かう途中で出会った女性・ノーア。

彼女には触れた人の心を読む力があった。

エド,ノーア,そしてこちらの世界(現実世界)でのアル,錬金術世界でのアル。

いろいろな人物の想いが混ざり…。


●感想
正直おもしろいとは思わなかったかなー…。

途中で飽きていた^^;

エドとアル(鎧)の絡みが,この劇場版には非常に少なかったのが,おもしろくないと感じた原因かなー。

エドとアル(鎧)の絡みが1番好きなのに。

何なの,あのアルww エドの真似?www

バトルもいまひとつ盛り上がらないし。

最初のハスキソンとのバトルはよかったのになあ。

逆に1番笑わせてもらったのは,アームストロング少佐ww

顔の横でキラキラしている星に爆笑wwあれはナイス演出!

そしてマスタング大佐。

なんだろうなー,彼は。

好きになりたくないキャラなんだけど,嫌いにさせてくれないんだよww

今回もかっこよかったしなー。

エドは文句なしにかっこよい。

ただ,オープニングのアニメーションで,妙にムキムキだったのが気に食わなかった。ドラゴンボールかと思ったww


●まとめ
結論。

原作を愛していた私には,このアニメ版は合わなかったようだ(汗)

文句ばっかり言ってごめんなさい(笑)

原作が完結していない時(リアルタイム)に見ていれば,感想はまた違ったと思うんだけど^^;

原作読みなおそー。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

91.3 2 兄弟アニメランキング2位
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★★ 4.4 (582)
2774人が棚に入れました
――あいしてるってなんですか?かつて自分に愛を教え、与えようとしてくれた、大切な人。会いたくても会えない。永遠に。手を離してしまった、大切な大切なあの人。代筆業に従事する彼女の名は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。人々に深い、深い傷を負わせた戦争が終結して数年が経った。世界が少しずつ平穏を取り戻し、新しい技術の開発によって生活は変わり、人々が前を向いて進んでいこうとしているとき。ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、大切な人への想いを抱えながら、その人がいない、この世界で生きていこうとしていた。そんなある日、一通の手紙が見つかる……。

声優・キャラクター
石川由依、浪川大輔
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

年賀状でも書こっかなぁ

sincerely 
①副詞 心から 本当に
②アニメOPに使用されたTRUEの楽曲
③{netabare}劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン 冒頭の一語{/netabare}

TV本編を想起させる仕掛けが冒頭からてんこ盛りでより楽しむためには本編必須。ただし厳密ではなく可能であればレベル。一見さんいらっしゃい指数でなら『外伝』>『劇場版』になります。


「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」


作品を紐解くキーワードにして二つの軸。
前者は人の想いは届いて初めてかたちになるという大切な概念。ドールや携わった人たちとの物語。
後者は兵器として育てられた少女が人間性を獲得していく過程。少佐とヴァイオレットの私的な物語。

ギルベルト少佐の残した「心から…あいしてる」の言葉。復員後のC.H郵便社にてカトレアが発したシンプルな一言に反応して自動手記人形の仕事をすると申し出たことが全ての始まりです。道具として利用価値がないなら自分を捨ててくれとまで言った少女が申し出たのです。
それだけ強い執着を持っていた言葉「あいしてる」。かくして愛を知るために始めた仕事を通じてもう一つの軸である人の想いを届ける素晴らしさを学んでいく過程がTV本編でした。

「届かなくていい手紙なんてない」裏を返せば「人の想いは必ず届けなければならない」です。

ターニングポイント{netabare}(己のやってきた重大さに気づいた第9話){/netabare}以降どう物語は進行していくかが肝でした。それでターニングポイントの次回話で選択したのは{netabare}(思いっきり手紙を届ける話。かつ神回と言われる10話と){/netabare}少佐との話は遠ざかる方向へ。

「届かなくていい手紙なんてないのです」

「私は…愛を知りたいのです」

前者はひととおり形をつけ後者はおあずけ。あくまで彼女の周囲の人たち“が”想いを伝えることが出来たのでした。TV本編を通して自分の想いをまがりなりにも形作れるように成長してきたヴァイオレットがどうにかして“自分の想いを届けられるのか”。残された宿題でした。

なお「届かなくていい手紙なんてないのです」を磨き上げたものが外伝です。さあ残るは↓


「私は…愛を知りたいのです」


前置きが長くなりました。この残された宿題への回答がなされ物語が完結するのがこの劇場版です。

TV本編でスッキリしなかったかもしれないそこのあなた! 諸悪の根源が消えていくことでしょう。
TV本編を称賛して止まないそこのあなた!是非もなし、、、まずは試されよです。

自分はスッキリしなかった側でした。結果は申し上げた通り。圧巻の140分です。




鑑賞前の方これ以降はやめときましょう↓

※ネタバレ 備忘録的なもの(長い)


■切っても切れぬTV本編 ネタバレ度:軽

{netabare}冒頭画面に浮かぶ“sincerely"の文字。間髪入れずに見覚えのあるあのお屋敷と意外なあの子。涙腺を蛇口に例えるならこの時点で開栓して戻れなくなった方もいらっしゃるのでは?
そんな一つの文字だったりあのエピソードを彷彿させる冒頭もTV本編へと意識を持ってく仕掛け。アン孫が手放した手紙が風で飛ばされて野山や街を駆け抜ける演出は第1話ヴァイオレットが手放した手紙が飛ばされていくのと同じです。

あの時と違うのは携わるメンバーです。エンドロールでは原画と美術監督に物故者を確認。サポーティングスタッフは言わずもがな。原画すら焼けてほぼほぼゼロスタートだったこの映画の冒頭を飾ったのが2018年TV本編を意識した演出だったことについて制作会社のプライドと矜持を感じます。{/netabare}


■あん時の主題歌の位置付け ネタバレ度:軽

{netabare}『sincerely』+○○○○○
○○○○○+『みちしるべ』

○に入るのは“あいしてる”。「心からあいしてる」少佐の言葉がなければ少女は生きる支えを失ってたでしょう。全てはここから始まりヴァイオレットの手紙の一文「あいしてるはみちしるべになりました」に繋がります。映画観てTVのOPとEDあらためて聴いたら鳥肌もんでした。{/netabare}


■3つの疑問 ネタバレ度:重

もやっとしかけて咀嚼して納得したものもいくつかありますよ。

1.{netabare}少佐はなんで拒否るの?会ってやれよ!{/netabare}

{netabare}そりゃ私たちはヴァイオレットの気持ちを知ってるから少佐がヘタレてるようにしか見えないアレ。
恐らく半々。何かっていうと、ギルベルトは生き別れた後のヴァイオレットの歩みを知らない。上官と兵器の間柄の他を知らず「自由になりなさい」「普通の少女としてその名に合う女性になってほしい」と言った手前、自分が障害となるわけにはいかないという考え方には理があるように思えます。
それと、ここは彼にとってやっと見つけた安住の地。自己都合と侮るなかれ、全てを失って自分には何もないとすら思ってる男の弱さよ。仕事も順調そうな前途洋々の娘を自分の我が儘で留めるきっかけを作ってはいけないと思ってもこれまた不思議ではないかと。{/netabare}

2.{netabare}なんで拒否られて帰ろうとするんだろう?{/netabare}

{netabare}だってそのためだけに生きてきたぐらいの娘さんですよ。そんな簡単に諦められるものかしら?
これ根深いかもしれません。「あいしてる」の意味をまだ自分が理解できてないと思ってそう。少佐の拒否は自分がうまく想いを伝えられてないからと自分の所為にしてたのなら哀しいこと。まるで虐待を受けた幼子のようなメンタリティ。ただこれは帰還兵のPTSDのようなものというか、感情を知らないところからスタートした彼女の出自を考えれば納得できる心の動きだったように思えます。{/netabare}

3.{netabare}なんで少佐は翻意して駆けだしたんだろう?{/netabare}

{netabare}兄と手紙。家は兄が継ぐから「自分の人生を生きろ」と。まんま少佐がヴァイオレットに言ったことと同じでしたね。ここで少女があの頃と違う彼女であることを察したのかもしれない。家の縛りから開放されたのもあるでしょう。こうみると自ら人生を切り開く選択肢を奪われてた者同士という意味でどこか通じ合う二人だったのかもしれませんね。
そしてホッジンスやヴァイオレットの直接交渉にも勝る手紙の威力。この作品だからこそです。{/netabare}


■ピリオドとして代筆業 ネタバレ度:重

{netabare}昔々あるところに…の昔語り。こんな時代がありましたよね、のピリオドの捉え方が秀逸。電話の登場によって我々が辿った史実をなぞるかのような展開に、あたかもヴァイオレットの時代が現実にあったような気にさせられます。

A:手紙
B:電話

ユリスがリュカに想いを伝えるには手紙では間に合わなかったでしょう。アイリスの言葉を借りてBがAに取って代わる時代の転換点を明示してました。
具体的には代筆業の衰退です。そのことで失われるもの。想いを汲み取って言葉に変換する担い手がいなくなること。誰しもが言語化の術に長けているわけではありませんので需要がゼロになることはありません。それでも即時性のメリットが勝り、より便利な方に流れるのは仕方のないこと。
そうやってオワコン化していく自動手記人形の横で手紙というツールだけが残ります。とある場所で手紙の文化が残ったのは即時性以上に一呼吸置いて言葉を紡ぐ必要のある手紙の本質みたいなのを島民が共有してたからでしょうね。
こういう栄枯盛衰や無常感を「もののあはれ」と言うのでしょう。我々の情感に直接訴えてきます。{/netabare}


■「私は…愛を知りたいのです」 ネタバレ度:重

{netabare}そもそも“あいしてる”の意味を知るための代筆業。それを知ってさらに自分が届けたい相手に届いた以上仕事を続ける必要はないですよね。

 言葉はいつでも 語るでもなくて
 そこにあるばかり つのるばかり

自暴自棄な兄に向けた妹の手紙代筆から始まり、王女の恋文、歌姫の曲の作詞、残される娘への手紙ほかあらゆる人のあらゆる場面の、言葉にならない言葉を拾い上げてきた逸材。カトレアさん風に言えば“行間を読み取ってきた”手練手管に秀でたヴァイオレットちゃんです。
そんな子がギルベルトを前にして何も言えなくなるクライマックスが一番グッときました。あー…だからこの物語は手紙だったんだという説得力があったのです。{/netabare}

{netabare}そしてあえて過去を振り返ってみる。人間兵器として人の感情を知らずに育った少女の人間性を取り戻す物語として。またはTV本編ですっきりしなかった帰還兵の心の再生について。

結論は出たと思います。罪の意識を自覚したあの第9話から繋がるであろう悔恨と贖罪意識の落としどころ。そしてぶっ壊れていた己自身の精神の構築。戦後にヴァイオレットが重ねてきた年月は意味をなすものだったのだろうか?

彼女は人間性を獲得してきました。これはTV本編でもさんざんぱら描かれてきたこと。
そして劇場版で彼女は人を残すこととなりました。個別で直接救われた者も多いが、ヴァイオレットのまいた種が人々の想いを繋げ多くの人たちの心を豊かにしていっただろうことは想像に難くありません。繋がりに繋がってあのアンの孫娘が登場したことが象徴的だったかと。
たしかに彼女は数多くの兵士を殺めてきました。その悔恨と贖罪は心に留めながら、それ以上に人を救ったであろう事実が垣間見えただけで充分なのかなと思いました。

そして時代は流れドールも絶えて久しい頃合い。
『外伝』にてほどけない三つ編みに例えられた三者(①送り手②受け手③繋ぎ手であるドール&配達人)の繋ぎ手を見守るかのように、これからも切手となって想いを届け続けることになるのでしょう。{/netabare}






■だがしかしですよ ネタバレ度:軽

そもそもでこればっかりはどうしようもないのだけど…
{netabare}ギルベルトって兄の泥を被らざるを得ない家庭事情で鬱屈していて、本来はやりたかった仕事(たぶん教師!?)を諦めて軍に進んだ、で合ってます?
それで軍属ながら引き取った少女に読み書きそろばんを教えていたわけですよ。擬似的であれ教師と生徒の構図です。生活指導/道徳の授業も当然のようにしてました。
その結果、教え子に愛情を覚え死に際に「愛してる」と涙流してしまうやつですよ。別に愛に歳の差なんてと思いますから推定14~15歳に惚れてもかまわないんですが、熱血指導の情熱が愛情に転換してしまったヤバめな事案という思いが此度の“教師になりたかったかもしれない設定”で強くなりました。

けれども全力で見て見ぬふりをすることにしよう。

{netabare}ギルベルトってヴァイオレットちゃんが惚れるほどのタマか? …うーん、、悩むなぁ…{/netabare}

多分に嫉妬含みの引っ掛かりを理由に『外伝』のほうに自分は軍配が上がりそうです。例によって二つの軸の片っ方のお話つまり“少佐色が薄い”物語ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年9月 

-------

2020.09.30 初稿
2021.08.09 修正

投稿 : 2025/02/01
♥ : 69
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

最後の手紙(2回目感想を追記)

下手な言葉を使うとネタバレしそうなので、ポスターのキャッチコピーを一部引用しました^^;

 TV版本編の初放送は2018年で初視聴も同時期でした。。

===劇場版:初見での感想===
 2020年9月19日(土)、劇場版本編を観覧。
 (★舞台挨拶ライブビューイング付き)

全国の劇場で舞台挨拶が見られるとのことで、
予定を繰り上げて、あわてて劇場に行きました。

でも、TV版本編を少しでも復習してから、行くべきでした。。
2年の月日は自分にはちょっと長かった。。
ヴァイオレットへの愛情は忘れようがない。
そんな変な自信を持っていましたが、いかんせん物語の詳細をとどめておけるほどの記憶力は、現在の自分には持ち合わせていない事を突き付けられました。。トホホ

いよいよ物語の主人公、ヴァイオレット本人のストーリーが幕を開けます・・

■{netabare}
 ヴァイオレットには幸せになってもらわないと・・
 ひょっとして、社長とくっつくのかなぁ・・

なんて思ってたら、

 まさかと思うけど、少佐の兄?

と思ってしまうような展開でした。。

でもその上を行く、まさか・・・
少佐が生きていたとは、ね。
TV版完走時は死んだと思ってたから、
外伝も感動したんだけど。。

途中辺りから、

 え。ひょっとして生きてる?

てな展開。
ぶっちゃけ、ダマされた、という思いもw

いや・・・でも・・
これで、よかった。

思えばTV版を観ている時、実は少佐は生きていたというストーリーを妄想していたんでした。ちょっと忘れてました。
ヴァイオレットが幸せになる道は、それしかないですよね。

でもでも・・
少佐の生存がわかるシーンの感動が薄いせいか、
その分、ラストに至るまで延ばす延ばすw

 なんだよ、少佐・・
 ナニ自虐的になってんだ、そういうキャラ?
 てめ、ヴァイオレットを泣かすんじゃねーw
 身元を引き受けた責任と、
 何より「愛してる」と言った責任、
 男ならキッチリとりやがれw

てな展開は、個人的にはストレス展開でした。
いやわかりますよ。
その後の感動のための前フリだろうってことは。

でも、それならそれなりの想いの爆発に共感したかった。。
少佐が走り出した時って、なんか自分的には動機づけが弱かったんですよね。。
ドア越しにしゃべった時以上の動機が感じられなかったというか。。
だから、ラストの感動シーンも、ちょっとモヤモヤして感情移入しきれなかった。

さすがに、ラストシーンは感動的でした。
ただ、あんな遠い岸からのあんな掠れたような声が聞こえるのか、とか
ヴァイオレットは義手重いはずなのに泳げるの、とか
細かいところが気になって、これまた感動ボルテージ上昇の阻害要因となってしまいました。。トホホ

躊躇なく海に飛び込んだヴァイオレット、男っぽい。
惚れ直しそうw

そんな彼女も、ようやく・・本当にようやく、たどり着いた少佐の胸では・・ただただ・・泣き崩れるしかなく・・


さて・・
ここで触れずにはおけませんね。
ツイッターにも出ています。
舞台挨拶での石立監督の言葉。

 ~{netabare}
  ヴァイオレットが書いた手紙には、
  セリフに出なかった一文がある。
  これが、少佐をヴァイオレットの元に
  駈け出させた。。

  というもの。

  なんでしょうね。。
  気になる。。
  「あいしてる」かな。
  でもそれはドア越しに言ってたような。

  てかこれ、セリフにしてくれれば
  もっともっと感動できただろうに。。
 {/netabare}~

にしても、ポスター、いい絵ですね♪
ネタバレしそうですがw

でも・・

ああ・・完結してしまった><
(ホントはこれをタイトルに書きたかった)

もっと引き延ばして何作か出してくれてから、こういう結末になるんだと思ってました・・
原作はどうなんでしょう・・

未来からヴァイオレットを過去の人物として振り返る作りは、個人的にはあまり好きとは言えず、どうせなら子孫も見せて欲しかったけど・・

エンドロール後の1ショットは、救われました。
これで、よしとしましょう。

過去だからお幸せに、と言えないのはもどかしい。

ならば・・

良かったね、ヴァイオレット。

{/netabare}■

そう、エンドロールは最後まで、観ないとですね♪

ちなみに劇場で配布された、入場者プレゼントは
~{netabare}「ヴァイオレット・エヴァーガーデン if」{/netabare}~でした。

あ、3種類の短編小説ランダム配布って公式に書いてた。。
急いては事を仕損じる。
ゆっくり読もう。。


===劇場版:二回目の感想===

京アニはご存知のとおり寄付金を受け取ってくれません。
感謝の心、支援の心を込めて、再度劇場へ行きました。
TV版を観直した後、今度は目線を変えて。

その目線とは、ヴァイオレットであり、ギルベルト。
初見ではどうしてもホッジンズ社長というか保護者目線になってしまいましたが、この物語は、二人の物語であり、その目線で観るのは必定かと。

~{netabare}
まずは、1期を再視聴したことで1期を思い出させるシーンがとても胸に響きました。手紙が空を舞うシーンとか主要エピソードとか。
特にアンのエピソードは一番涙を堪えるのが大変だったかも。

感激は初見ほどではありませんでしたが、ギルベルトの気持ちが何となく理解できました。
愛するが故、自分はヴァイオレットにふさわしくない、と。
これは初見でもわかってはいましたが、わかって1期を観なおすと、彼はヴァイオレットを預かり戦場に送ったことをとても後悔していて、結果ヴァイオレットの両腕を失わせ、たとえ自分が生き永らえたとしても、自分の愛を貫くことは資格がないと考えても仕方がないかもしれない、と思えました。
彼がヴァイオレットに会えないと言ったのも、会ってしまえばその信念も揺らぎかねないからで、つまりそれだけヴァイオレットを愛しているからに他なりません。

ヴァイオレット目線で観ると・・・
心からの願いが叶えられないと知り、本当に切なくつらい日々を過ごして。
それが会えるかも知れないとわかり、本当にうれしくて。
でもやはり会えないことになり、とても悲しくて。
それでも生きていてくれたことが、やはりうれしくて。
最後に追いかけてきてくれたことが、最高にうれしくて。
この目線で観るのはとても切ない・・・

むしろ、ラブコメ風に・・・
「このまま会えないまま、どっちか結婚して、その後に会うことになってたらどうするのよ!ギルベルトおおおー!!」
と罵ってあげても良かったのにww

でも、やはりこれは二人の愛のストーリー。
これで、良かった・・

最後に、手紙の一文の考察を。
~{netabare}
映画の冒頭では、sincerelyの文字が出ます。
意味は「心から」かと。

また本シリーズは物語の最後にタイトルが出ます。
本劇場版では「あいしてる」。
つまり・・・
『心から 愛しています』
これが、ヴァイオレットからの、愛する人への最後の手紙の、最後の一文だったのではないでしょうか。

振り返ってみると、ヴァイオレットはドア越しでは「愛してる」は言っていません。彼はその事実を知らず、ただ父親のように慕っているものと勘違いしていたのかも知れません。
だから、この一言が、彼をヴァイオレットの元へ駆け出させたのだと、私は思っています。
{/netabare}~

いつか、ネタ明かしがされる事を期待します。


蛇足ではありますが・・
病院で亡くなる男の子のシーン・・
音がデカ過ぎて感情移入の邪魔になる思いでした。
もっと静かな曲か、むしろセリフのみでも良かったかと。
{/netabare}~

はぁ・・切なくて息が詰まりそう。
この劇場版と、1期・Extra・外伝で無限ループに陥りそうです・・

 制作:京都アニメーション
 監督:石立太一
 脚本:吉田玲子

 2020/09/19 閉館直前のMOVIX利府にて初視聴。
 2020/10/05 同じ映画館にて二回目視聴。


■余談
劇場内で完全新作ARIAの予告編が流れてました・・脚本が同じく吉田さんかな?と思ったら・・

 総監督・脚本:佐藤順一
 監督:名取孝浩
 アニメーション制作:J.C.STAFF

ほへ・・
ストレスフリーの世界でホッとしたい・・
違う作品の話ですみません^^;

投稿 : 2025/02/01
♥ : 57
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

みちしるべのその先が描かれた完結編

世界観:8
ストーリー:8
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:7
合計:35

<あらすじ>
代筆業に従事する彼女の名は、〈ヴァイオレット・エヴァーガーデン〉。
幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、
大切な上官〈ギルベルト・ブーゲンビリア〉が残した言葉が理解できなかった。
──心から、愛してる。
人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。
新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。
しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。
──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。
ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。
(公式サイトより抜粋)


TV版は最後までヴァイオレットの戦闘能力に馴染めなかった作品でしたが、5話や10話等、お気に入りの回もありました。本劇場版については予告PVを見て、10話に関するストーリーもあることがわかったため、やはり劇場で見なければと思い、隙間時間を作って何とか見ることができました。
休日ながら朝の早い時間帯にもかかわらず結構人が入っていて、時間帯のせいかもしれませんが、私よりも年配の方が多い印象でした。

さて、世界観ですが、現実世界とは別の世界ですが、電話がまだ普及する前の、現実世界でいう19世紀末~20世紀初頭くらいが舞台となっています(技術的な点ではヴァイオレットの義手はその精巧すぎるが)。
今回は、TV版10話の少女アンの孫デイジーを中心に物語が始まります(PVでアンと思った人物はその孫で、アンの葬式が終わった時点)。予想外であり、その視点で、ヴァイオレットたちの働いていた郵便社が歴史を残すものとして博物館となっていたり、世界観をより俯瞰して見せる手法で、とても良かったと思います。
作画や背景も流石は京アニと思わせられました。音楽は、挿入歌の「みちしるべ」、TV放映時は微妙な使われ方もありましたが、今回は一番のタイミングでハマっていたと思います。改めて良い曲と思えました。

ストーリーは{netabare}ヴァイオレット軸で、消息不明であったギルベルト少佐と再会すること(ギルベルトの母親の墓参り、病気の子供(ユリス)の手紙を代筆、その子の危篤等を挟みつつ、郵便社を辞めたあと消息不明のヴァイオレットの結末)が中心となっています。ギルベルトが再会を望まなかった理由も私は納得できましたし(なぜ武器として使ったのかはわからないが)、デイジー視点の物語も構成のメリハリに繋がっていました。そして最後に本作のキーワードである「あいしてる。」で締める。完結作として美しい仕上がりでした。{/netabare}

さて、世界観とストーリーは高評価となるところ、大きく足を引っ張ったのがリアリティで、一言で言えば「過剰演出」です。TV版の7話だったかで、水面を歩いたりしているので、今更指摘するまでもなく、この作品の色と整理されているのかもしれませんが、私はやはり気になってしまいました。
細かい点もありますがそれは省略して、下記3点だけ指摘しておきます。

{netabare}・構図重視の会話
市長と会った時の会話、大雨の中でのジルベール先生宅(前と中)での会話、ブドウ?畑でのディートフリート(兄)とギルベルトの会話、船と陸での会話(?)などで、その距離でこの声量では会話が成立しないだろうと思われて、気になってしまいました。
アニメは絵に声をあてるので、画になる美しい構図が優先されることが往々にしてあるのでしょうし、今まで気にならなかった他の作品でも同様な事例が多々あるのでしょうが、本作では若干気になりました。

・ユリス君危篤時の対応
人が亡くなる時、部外者の同席は憚られるのが普通ではないでしょうか(別の世界なのでそのあたりの慣習も感覚も違うのかもしれませんが)。ユリス君は話せる状態だったので危篤ではないのではないか、とも思われたのがひとつ。また、苦痛を感じている状況の中で、郵便社が突然押しかけていって「親友への手紙書きます」というのは流石におかしいのでは。ヴァイオレット自身が行ったのなら、ユリス君との関係や、まだ人の心が理解しきれていない部分があるのかな?で済みますが、ユリス君に面識のないメンバーでですよ。相当苦しい状態のユリス君に、手紙代筆するから喋ってと言うのは、家族が怒りますって。リュカ君が、ユリス君にとってそこまで大事な友人であるか、というのも説明不足で、違和感ありまくりでした。
自分が死んだ日に渡してほしい、と本人から依頼があったのでその約束を律儀に守ろうとしての行動は理解できなくはないですが、待ってましたとばかりの対応になるので、TPO的にも不安な対応です。さらに、手紙を渡して失礼するならまだしも、居座って一緒に内容を聞いて親の泣く姿を見るってどういう神経なんだろうと思ってしまいました。。
本作一番の感動シーンだったように思いますが、素直に感動できずモヤモヤしてしまいました。

・ギルベルトとの邂逅
ギルベルトとヴァイオレットの邂逅は美しかったですが、これは過剰演出の極みでしたね。まず、船を出航させすぎていて、陸から相当の距離となったところからスタートさせたので、ギルベルトの必死の走りや声が届くのか?というところでの違和感があり、ヴァイオレットが船をダッシュして、そのまま海に飛び込むまではよいかもしれないけど、泳ぐシーンを入れずに浅瀬みたいな場所で再会することになるのですが、背景からのバランスではまだ相当陸から離れた場所なんですよね。
始まりの距離感からして、会うところまでは少なくとも15分以上はかかると思いますし、お互いぼろぼろに疲弊してハーハーゼーゼーですよ(笑)
それを完全に排除した制作者側はある意味割り切ってるよな、と感心した次第です。{/netabare}

キャラクターは{netabare}本編から特段変化はありませんでした。2人がカップルとなって終わりましたが、王子とお姫様(人形)というキャラ造形で、過去に2人はずっと一緒に行動していたのなら、もう少し打ち解けた人間関係も描いてくれればよかったかも。
そういえば、TV版のレビューで書きましたが、やはりギルベルトは生きていました。生きていないと、この物語は終わらせられないのです。{/netabare}

情感については、{netabare}そんなわけで感動しそうな要所の構図に違和感等あったため、期待されたほどには涙が出ませんでした。また、人の亡くなるシーンで泣かせるのも一歩引いて見るタイプなので、押し付けられ感もあり、高評価できませんが、言語外の表現も丁寧でこれ以上は下げられません。{/netabare}

色々書かせていただきましたが、時代を流して見せることによって、変わるものと変わらないものを表現できていたのが特に魅力的でした。
手紙は普段伝えられない心を伝えるものとして有効であるのに、現代ではメールが普及しすぎて若干味気なくなってしまっているように思います。紙ならではの味はあるし、大事に保管すればずっと残るものですね。また、普段なかなか言えない感謝等は伝えられる時に伝えておこうと思わされます。
TV版をそれなりに楽しめた方、心を清めたい方に、おすすめできます。

(参考評価:4.0→修正4.2)
(劇場観賞2020.11)

<2022.5追記>
最近、レンタルで再視聴しまして、改めて良い作品だと思いました。
ブーゲンビリアも含めて、あからさまに悪意を持つキャラクターがおらず、心が重たくなることもありませんし、過剰演出はTV版からブレていない本作の表現と思い、少々ツッコミすぎたかなと反省。
時代が変わり、手段が変わっても、今、伝えるべきこと(気持ち)を伝えることの大事さという普遍的なメッセージ性は強力です。
以上を踏まえて、評価を上方修正しました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 37

83.8 3 兄弟アニメランキング3位
86-エイティシックス-(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (670)
2299人が棚に入れました
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう、表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区"》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)"となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる!

声優・キャラクター
千葉翔也、長谷川育美
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

外側で戦う少年少女と内側で戦う少女

この作品は内容が結構重いです。
何から書けば良いか上手く纏まりませんが、順番に。

作中に出てくる、サンマグノリア共和国……この国……控えめに言って腐ってます……

まず1つ。
この国では差別があります。
壁の中に住む者達と外に住む者達。

壁の中は平和です。
毎日好きな場所へ出掛けて、好きな物を食べて、好きな事をしている。

壁の外は戦う以外の選択肢はない……1秒後に……1分後に……明日、明後日、自分が仲間が死ぬかもしれない。
それでも戦い続ける86と呼ばれる者達。

壁の中はそんな人達の努力と犠牲の中で成り立っている平和……サンマグノリアは、その為に差別で86と呼ばれる人を追い出して、戦わせている。

壁の中では、今日の戦いの犠牲者は0でしたなんて幻想で真実を隠して、真実を知る者は人が命を落とした事に、無関心であったり、ゲームの様な楽しみ方、命を失うのを見て笑う人まで居ます。

これを見た時、私は、この人達は本当に人間なんだろうか?と思いました。
自分が守られてる事にすら気づけないお花畑の頭な上に、人が死んでいるのに、何も感じないの?と思いました。
その犠牲の上にある平和が続いているのは彼らのお陰なのよ?って…………

でも、こんな腐った人達の中に救いがありました。
レーナ……彼女はサンノマグリアの軍人。
彼女は86の真実を知り、それをどうにかしようと考えて動いている人です。

{netabare} でも、周りの人達は変わろうとはしません。
レーナの話を真面目に受け取ろうとしません。
1番ショックだったのは86を人間とすら思っていないこと…… {/netabare}

戦死者0は無人機が戦っている設定。
{netabare} 国の人達は、戦死者はいないと言う……何故なら……壁の中にいる人は人間で壁の外にいるのは人間じゃないと本気で思っている。
だから、戦死者0なのです。
86は無人機が搭載する補充の効くパーツと変わらないと考えられています。{/netabare}

正直、凄くムカムカしますね!
更に、レーナは軍人達の間で戦死者0の裏にある残酷な真実を告げますが、それを聞いた彼ら彼女らの言葉にはショックでした……レーナの言葉は何一つ伝わらない……

でも、レーナは負けません!
{netabare} 彼女は86の理解者で味方です!
彼女は、戦場の恐ろしさを知っている。
命の尊さを知っている。
86が自分と変わらない人間だと知っている。 {/netabare}


では、同じ国で育ったレーナと他の国民との違いはなんだろうか?
{netabare} 私の第一印象では、この国の人は腐ってる。
でも、考えて見たら悪いのは人より国の方にあるのかもしれません。

レーナに関して言えば戦場の残酷さや86に助けられた過去もありますし、それも影響があると思います。

ただ、それ以外の理由も考えて見ました。

産まれた時から、86は人間ではない、差別するものだと、社会が学校が……親が先生が大人が教えているのです……彼らの中で差別は当たり前で、おかしな事ではなく当たり前の環境がそこにあったのかもしれません。 {/netabare}

だからと言って許される問題ではありません。
{netabare} それを知った上で一人一人が考える事が出来たはずなんです。
考えることを放棄し、おかしい事を疑問にすら思わない人達が、この国の人達。{/netabare}

でも、一方で、おかしい事に気づける人達がいる。
{netabare} レーナを始めレーナパパやセオトの昔の部隊の隊長などです。
彼らはサンマグノリアの人間でアルバです。 {/netabare}

勿論、彼らはアルバですが86の人を人間だと知っています。
同じ命の重みを解っていて決して見下さない。
誠心誠意で接して居ます。

でも、それが本心で偽りなくても!
{netabare} その誠意が……86には中々伝わないのです……
彼らは対等に接して居ても、86の人間から見れば簡単に信用出来ないのです!
それだけ、サンマグノリアと言う国は彼らを傷付けてきたのです…………

それが、解るから……アルバの人間は自分の想を伝え続けるしかない……86に何を言われようと受け入れるしかない……

サンマグノリアのアルバが86にしている事を考えたら、受け入れて貰えないのも解って居ても……その人達は何もしていないのに……悪くないのに……寧ろ味方なのに……こんな辛い事が悲しい事がありますか…………

でも、アルバの人間には代わりありません。
だから、受け入れるしかない……アルバの人間として…… {/netabare}

さて、スペアヘッドとレーナについて。
1個団体と1人を繋ぐのは無線です。
無線しかありません。
映像もデータ上の地形や配置マップくらいで……声しか届かない。

声しか届かない上にアルバと86は基本的には犬猿の仲みたいなものです。
だから、そのイメージが邪魔をして、スピアヘッド部隊にはレーナの気持ちが中々伝わりません。

彼女はスペアヘッドを気遣い。
戦闘の話や何気ない話をしてコミニケーションを図ろうとします。
視聴者側から見ればレーナって凄く優しくて、思いやりがあり他のアルバと比べても凄くいい子だと解ります。

でも、スピアヘッドの皆から見たらどうでしょう?
{netabare} 声しか聞こえない……無線機を切った後には悪口を言ってるかもしれない、バカにしてるだろうと思うと思います。
それだけに、信頼関係を結ぶのは大変な事です。

私が印象に残るエピソードが、スピアヘッド部隊のカイエが戦死する話。
レーナは彼女の死を「残念でした」と言います。
でも、この言葉にセオトが、ぶちギレる。

仲間の死をアルバ(レーナ)が「残念」だと言う……彼女は決して簡単に口にした訳じゃない……お互いの顔が見えていたら、もしかしたら拗らせなかったかもしれない言葉のズレ……

きっと、スピアヘッドの面々は……言われて来たのでしょう……心がない偽善の言葉を。
だから、レーナの言葉も信用出来なかった。
上辺で言ってるようにしか聞こえないのです。

スピアヘッドからすれば当然です。
偽善にしか聞こえない……私なら、そんな言葉を並べるくらいなら、本当に少しでも苦しみが解るなら、この状況を何とかしてって思いますもの………… {/netabare}
でも、レーナに当たっても何も変わらない。

レーナの思いやりが伝わるのが、和解のエピソード。
セオトも自分が言い過ぎたと反省する。
このシーンって凄く救いのシーンなんです。
きっと、心無いアルバの人が相手なら反省しなかったと思います。

反省したって事は、少し……それは本当の本当に少しだけかもしれない……それでもレーナの本心が間違えなく伝わっていたんだって私は本当にそれを感じる事が出来ました。

ライデンは謝罪します。
{netabare} レーナの事を裏で偽善者のブタだとバカにしていた事を……それは少なくともレーナは、これまでのアルバの人とは違うと、解ったから……これは本当に大きな進歩です!

仲間にも友達にも、まだなれなくても……それが解って貰えた、それだけで心は救われる。
信頼関係ってそうして積み重ねていく。
世界一小さな信頼は世界一大きな一歩。{/netabare}

そして、「黒羊」がやってくる。
レーナは死者の声を聞いてしまう。
そして、黒羊の残酷な真実。

実はレーナがスピアヘッドを担当する時にハンドラーを壊すと言う話を聞かされて居ました。
担当したハンドラーは退役申請、担当変更、自殺をする者がいる。

私は、死霊の声を聞いた人を情けないと思いました…………
{netabare} 退役?担当変更?自殺?
何……それ?……だって……気づいたんでしょう?

86と呼ばれる人達の苦しみを!
辛さを悲しみを!聞こえるのが何なの?
戦場で無念に死んでく辛さが、死霊の声が聞こえる戦場の人達が1番怖いし苦しいのが……分かったのでしょう

なのに……真実に目を背けて、自分達は逃げるの?背を向けずに戦う86の人々が戦ってくれてるから実現してる平和に縋りついておきながら、自分が恐怖を感じたからって、怖い事に目を背けて誰かに恐怖と苦しみを押しつけて、退役して部隊変更して逃げられないから、最後は自殺……

動いてよ……それなら……1人の人間に出来ることなんて、限られてるけどさ……それでも動いているよ……間違えなく現状がおかしいと気づいてる人もいるのに……1人でも多くの人が声をあげれば変えられる事もある……小さな力でもあつまれば何かを変えることも出来るかもしれないのに…………逃げ出すなんて卑怯よ……情けない…… {/netabare}

この世界では2年ほどでレギオンとの戦争が終わり勝利すると言われていたようですが……

{netabare} スピアヘッドの隊長のシンは、それは間違えで86を含めたアルバ達も敗北すると言います。

そして、86が全滅したら次はアルバの全滅ですが、シンが言うにはアルバだけになると戦いを放棄したアルバは戦えないといいます。

当たり前です……当たり前なんです……武器を取らずに生きて来た人達が明日いきなり戦えと言われて戦えるほど甘くは無い……

正直、それくらいしないとサンノマグリアの人間は国は解らないと思うのです……
だから、そうなれば少しはこの救えない国は学ぶと思う……それくらいの事が起きないと変えられない……私なら少なくともそう考えちゃう。{/netabare}

でも、シンとレーナは必ず勝とうと約束する。
この2人は本当に強い。

そして、86の優しさを感じるエピソードがあります。
{netabare} レーナはスピアヘッドの人員補給が必要だと各部署に資料を送るも返答はない。
でも、レーナの要求する人員補給が準備されていると聞き彼女は喜ぶ。
私も、やっとレーナの気持ちを少し解って貰らえたと思ったのに人員補給の真実は酷かった。{/netabare}

でも、86は知っている。
{netabare} 人員補給は来ない。
スペアヘッドが処刑場である事をレーナに伝える……
でも、86はレーナを傷つけたくなくて、期待しているフリをする。
そこにレーナを思いやる優しさを感じます。

それでも最後は真実を明かす。
そして、それでも復讐しようとはしない。
何故なら、86はアルバの人が全員が悪ではない事を知っている。
彼らの戦う理由と意味がしっかりある。
戦いを放棄するのは、今まで守ってきた人達の犠牲が無駄になってしまう。

86は、アルバ事を含め自分達の事もよく考えています。
だからこそ復讐じゃなく戦う茨の道を行く。
そこには、彼らの優しさと強さを感じました。
本当に素敵です。 {/netabare}

レーナは真実を知って怒りと絶望を感じる。
そこで、救いを求めたのは親友のアネット。
でも、彼女の言葉は酷いものでした……

{netabare} アネットは実はシン兄弟と知り合いで、友達だったから虐めにあった……それが辛くてシン達を拒絶した……
そうして、レーナの事も同罪と言い放つ。

そうしてアネットは「アンタが余計な事をして長生きさせたからソイツらは死ねって命令されたんでしょう」と言います。

このセリフは本当に頭にきます。
レーナは何一つ間違えてはいません。
それだと、死ぬしかないじゃないですか!
誰かに死なないで欲しい、死なないで欲しいから行動をしようとするのは余計な事でしょうか?{/netabare}

でも、結局、アネットは怖かったのだと思います。
{netabare} 自分は拒絶して86を見捨てて、彼ら兄弟だけでも助けようとした父に反対する選択肢しか出来なかった。{/netabare}

逆にレーナは見捨てない。
{netabare} ずっと、1人で立ち向かい諦めずに戦い続けて上層部に掛け合い意見し、犠牲を出しながらも全滅回避に成功した。

アネットからすれば同年代の同じ1人の女の子が、ここまでの事をしているのです。
自分には何一つ出来ずに見捨てると言う選択肢しか出来なかったアネットからすれば、自分が情けなく感じたのかもしれません。 {/netabare}

だからこそ、レーナの言葉や行動に心は締め付けられてゆくのかもしれません。
{netabare} 酷い言葉を浴びせて必至にレーナも私と同じなんだよって自分に言い聞かせて、レーナに言い聞かせてる……

それでも、気持ちの変わらないレーナから逃げ出して「もぅ、会いにこないで」の逃げの一言……現実から逃げ出したのだと思います。{/netabare}

一方、最終司令でシンは兄の亡霊と対峙します。
シンは亡霊になったお兄さんを救いたかった。
でも、兄もシンを救いたかった。

{netabare} お兄さんの救いは明確に解りませんでしたが、守りたい気持ちは伝わりました。
戦いの中でシンが他の機体からトドメを刺されそうになった時、攻撃から守るシーンがあります。

シンは、それを「殺すなら自分の手で……か……」と解釈をしましたが、私は単純に守りたかっただけに感じました。
殺し合いをしているのですが、兄はシンに殺すとは一度も発言していなかったからです。

亡霊の兄の表情が殺意と苦しみに歪むシーンが有りますが目を見てると、本当は殺したくないのかな?と思える目をしていたように感じる部分があったからです。

兄の回想にもシンに酷い言葉と暴力を振るうとは裏腹に心の声は自分の言葉の全てを否定して心はシンを守ろうとして居たってのも理由の1つです。 {/netabare}

この戦いでレーナは視覚共有を使います。
{netabare}視覚共有はハンドラーに失明の可能性があるらしいのですが躊躇なく使います。

更に許可のない命令違反覚悟の迎撃砲

それに対してレーナは86が気にしないように言葉を伝える。
私は、これはレーナの覚悟だと思います。
言葉や地図でのナビゲーションならハンドラーなら当たり前に出来る。 {/netabare}

でも、そうじゃない。
{netabare} それ以上に皆と一緒に戦ってるんだよって覚悟の現れ。
彼女は補給を要求する時に「私達の部隊」と言っていました。
「スピアヘッド部隊」ではなく「彼らの部隊」でもなく「私達の部隊」

自分も仲間の一員である覚悟を感じます。
そして、この行動こそが、その証明。 {/netabare}

で、レーナがシンの兄に不発弾を撃ち込むシーンで、小さい頃のレーナがビンタをするシーンがありました。
{netabare} このシーンは、過去に助けられたレーナが、次はレーナからの救いのビンタ……弟を殺したくないのに殺そうとする兄への救いの一撃。
本当に助けられ保護して生かしてくれたから……感謝してるから打ち込める優しい一撃だと感じました。 {/netabare}

実はレーナは親友であるアネットに協力させていました。
{netabare}それは脅しですが……これには優しい理由がある気がします。

1つは今まで見捨て続けたアネットへのチャンス……見捨てた幼なじみは生きている。
アネットは、見捨てた事を少なからず後悔していました。
なら、その幼なじみを救うチャンスを与える……見捨てたまま気に病んで生きるか……救って貴女だって救えるんだよって伝えて、少しの償いと勇気を与える……

2つ目は脅し。
2人で協力すれば2人は命令違反で罰を受ける……でも、レーナが脅してアネットを従わされたのなら……罪はレーナだけが被れる……アネットは罰を免れるか軽くなる。 {/netabare}

それがレーナの言葉と行動に隠された優しさだと思います。
否定されても罵られても、やっぱり大切な親友なのかな?って。

そして、戦いの後……
{netabare} 沢山の罰を受けようと失明を覚悟してでも生きて欲しかった仲間達……
自分の命令違反よりも失明なんかよりも優先したかった仲間の橘……

彼らは勝利の後にレーナと言葉を交わして楽しそうに旅に出る……彼らの言う自由になるの本当の意味……
レーナの「待って……待ってください……置いて行かないで!」

凄く切ない……勝利で喜びを分かちあって居たのに……その先の……彼らの選択……凄く楽しそうな会話には未来への希望…… {/netabare}

シンの最後のセリフ「少佐、先に行き(逝き)ます」
レーナは間に合うはずもないのに走り出す。
そうして、外へ出た彼らはレーダーから消え去ったる……レーナだけを残して。

外へ出た彼らは凄く楽しそうに生きていました。
{netabare} 伸び伸びしてるように感じました。
生活は裕福ではなく不便で大変なことの方が多いと思いますが心は清々しいと言いますか。{/netabare}


そして、ファイドの記憶(メモリー)
この子は、見ていたら凄く可愛くて心があるのかな?って思います。
仲間想いで優しくてシン達の必要なものを探してくれたり。

ファイドの記憶を見ているとファイドは皆の人気者の様な子かもしれませんね。
皆と喜びを分ちあって。
沢山の人が人の様に接してくれて、楽しい事や嬉しい事、悲しい事やら沢山の言葉と笑顔を記録して……ファイドの記憶を見るとファイドは本当に皆が好きだったんだって解る。
そして、シンが大好きなんだって。

ファイドの視覚レンズから液体が流れているシーンがあります。
{netabare}涙を流してる様に見えるだけなのか涙を流しているのか……私には、泣いてる気がします。
最後の焼け野原の大地でファイドが見たメモリーはファイドの幸せで楽しくて大切な記憶。

でも、泣いたのは壊れるのが嫌とかじゃなくて……あんなに楽しい時間を共に過ごした仲間が減ってしまった事に涙したのかな……って思いました。
それとも、シン達を残して壊れちゃう事が心残りなのか…… {/netabare}

さて、シン達は廃校に辿り着きます。
これは、少し切なかった。
{netabare} 廃校で学生の様に振る舞うけど……この子らも普通に生活してたら学生生活を楽しんでいたんだろうなぁ〜って。
そんな普通が当たり前にあったはずなんだよなぁ〜って。{/netabare}

道中……シンは敵を発見します。
{netabare} 機体は1機しかなくて当番制で乗っている人が戦う約束でしたがシンが優しい嘘で戦いに出ます。

それは仲間を守るため。
シンの立場ならそうすると思う。
生きて欲しいと思うから……でも、それは仲間も同じでシンに戦わせて逃げるなんて出来るわけもなくて……

結局、皆が来ちゃう……
機体はないから銃1つで……それで勝てるハズがなくても……
シンは「馬鹿だなぁ〜そんな武器でレギオンに勝てるわけない」って言う。
馬鹿だ馬鹿だと言うけど……

多分、私はシンの立場だと、そんな馬鹿が嬉しいかもしれない……死んで欲しくはないけど……それでも一緒に最後まで居て駆けつけてくれるのは幸せだと思います。{/netabare}

一方、レーナは最前線に視察に来ます。
前回の命令違反は謹慎処分で、時間が出来たので訪れた。
彼女は見てみたいと思ったのでしょう。
スピアヘッド部隊が過ごし生きたその場所を……

そこでレーナは彼らのメッセージを受け取ります。
{netabare} で、ファイドが記念撮影で撮った写真が同封されていてレーナはそこで初めて彼らの顔を知る。
レーナの口元が移されて涙を流すシーンがあるけどそれだけで泣けちゃう。{/netabare}


「いつか俺達が行き着いた場所まで来たら花でも備えてくれませんか」
シン達のメッセージを受け取ったレーナもまた。

{netabare} 「私もまた歩んで行ける。彼らはそう信じてくれた。
戦おうこの身の命運尽き果てるその最後の瞬間まで」と決意します。 {/netabare}

シンはどこかで無事でいる事を信じて自分に出来る全力で戦う決意をする!

86は10月に2クール目が放送らしく、これはかなり楽しみですね。

シン達は生きてるのか?死んでるのか?
レーナは、これから救いようのない国を世界を、どう変えて行くのか?
楽しみです!(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

やっぱり冗長で差別問題の掘り下げ不足だと思います。原作読後追記です。

原作の第1巻を読みましたので改めてレビューします。2クール目を見終わった後、冗長すぎて2クールの物語として成立していない気がしましたので確認のためです。

 やっぱり、アニメ版は相当引き延ばしがありますね。まったく1巻にないシーンがあります。ラノベは後から話を補ったり整合性を調整したりするために過去編とか補足を入れることがありますから、それを入れたんでしょうか。あの学園での講演のシーンって原作1巻にはありませんでした。スピアヘッドのシーンもアニメ版はやたらと冗長でした。

 話の構造についてはアニメ同様「差別問題」の不足感はありますね。差別問題はやっぱりセリフだけの説明に終始してしまいました。アニメ版の方がシーンで見させれれている分まだ感情的に動く部分がなくはないです。

 なんといってもSF設定として、社会の人口構成とか食料問題とか86の具体的な歴史とか兵器やITの技術レベル、部隊運用が差別とかの必然性が全く描かれていないので、セリフだけで終わってしまいました。差別はリソースの解消が主な理由ですが、86として有色人種を差別するという、その解決方法をとる必然性にまったく納得感がないと思います。
 また、差別の方法についても、自分の首を絞めているような馬鹿さ加減がリアリティを失わせていました。

 というように差別ありきのストーリ展開になっていますが、差別の結果の悲惨さをシンたちを使って描いた部分はわからなくはないですし、5人が生き残る経緯とレーナちゃんとのやり取り、過去の話は悪くはないです。

 で、原作と比較した印象と、アニメ版を改めて振り返って、アニメ版、本作の2話3話と最後数話の逃避行の部分が顕著ですが、そこの引き延ばしが冗長でしたね。

 原作は、SF小説ではなく「ラノベ」だと割り切って、楽しみ方は別にある。レーナちゃんとシンたちの素性の説明だと思えばまあまあかなあ、という印象でした。ちょっと厨2で熟語使い過ぎですがまあ雰囲気でしょう。
 これは原作が1巻に収まったからそう思えるので、1クールかかってやる話ではないです。一般論ですがラノベ原作なら1クールである程度丁寧にやっても普通3、4巻消化しますからね。
 あの設定過剰と言われる魔法科高校の劣等生ですら2クールで6巻分やってます。

 あのアネットの喧嘩と屋敷の実験の話はアニメ版が良かった気がします。あそこがあるから1クール目は成立した気がします。
 そして、最大の相違ですけど、レーナとスピアヘッド…特にシンとの交流が思ったよりも淡泊ですね。確かにレーナを見直してシンとのコミュニケーションはありましたが、それだけでした。

 つまりアニメ版 {netabare}レーナちゃんとの再会というか邂逅を2クール目のカタルシスに持ってきましたけど、原作ではその意図はもうちょっと違った感じです{/netabare}。その点ではアニメ版の方が上手く行ったかもしれません。それとも2巻3巻ではレーナちゃん、アニメよりも沢山でるんでしょうか。

 私に原作を買わせた点においては、アニメは成功?これから2、3巻チェックします。

 ただ、アニメのクオリティ、そして制作する姿勢は数多ある異世界ものより格段に丁寧だし、2クールの視聴に耐える内容はあると思います。
 私はSFには厳しいので酷評する部分もありますが、根本になるレーナちゃんとシンを中心にしたストーリーの出来は良いと思います。

 




以下 再視聴初回完走時の視聴時のレビューです。

 きっかけあって再評価しました。ちょっと面白いかも。

 かなりひどいレビューを以前しましたが、白い砂のアクアトープを見ていたら1クール目でJK館長の無力さを表現していました。で、その時「あれ、ひょっとして86も同じ構造だった?」と思いついて、断念した3話目の最後から視聴しました。

 なるほど、やっぱりそんな感じでしたね。まずレーナちゃんの挫折と覚醒の物語をやったわけですね。3話までのダラダラした展開と、レーナちゃんのミニスカとあまりに無能で独善的で押しつけがましかったのでムカムカして断念しましたが…その意味では以前の私の批評がそのまま演出意図だったのかもしれません。

 初回、2回目視聴時はレーナちゃんがケーキ喰ってるところ見るだけで「お前が死ね」という感じでイライラしましたが、それは自分事になっていないレーナちゃんの甘さの表現だったと。最後の方でアネットちゃんがちゃんと言ってくれたので、スッキリしました。

 で、あのアネットちゃんの話になるわけですね。これ勿体なさすぎます。1話か2話からもっとはっきり伏線這っておけば、興味が持続したし導入部として謎を上手く作れたのに。さらに兄の件もからめた伏線がはれれば結構分厚いストーリー展開になったと思います。(一応王宮の前云々という伏線はありしたね)

 後付けで説明みたいに見せられる感じがして、なんというか脚本の弱さで評価的に非常に損している可能性があります。本作の最大の欠点は1~3話の視聴者を引き込む力が弱かったことだと思います。原作がどうかしりませんが、ここは脚本と構成でなんとかすべきだったかと。

 4話~9話は結構入り込んでみることができました。10話の最後のあのメモリーの部分を演出に取り込んで、スピアヘッドの過去の皆の半年をもっと早い段階で見せれば2話、3話はもう少しうまくできた気がしました。

 ということでSF設定も落ち着いて考察しましたが、やっぱり本作のSF設定は非常に甘いと思います。社会の人口比問題とか、レギオン側の戦略の問題、AIの発展度合い、貴族無能すぎて社会が維持できないだろう、9年でそこまで豚扱いできるの?とか言いたい事はいっぱいあります。
 また、過去の個人の因縁にみんなつながりがありすぎて、おいおいそれはご都合主義だろうというのもありました。

 あのレギオンと脳波が繋がるような設定は、シンは死にかけたからと言っていました。自覚してませんでしたが昔実験した後遺症なんですかね?
 あと帝国って日本だったってこと?で86は帝国と同じ人種で日本人の子孫だったっていうことになるんでしょうか?これは深読みし過ぎですね。2期で確認しますけど。

 ただ、話として、貴族社会で正義を叫ぶ無力で独りよがりな正義感に浸っている少佐と、自分たちの運命を知っている被差別側のスピアヘッドという関係を作りたかったのはわかりました。
 この関係をあまり深く考えず受け入れれば、それなりに面白い話だったといえるでしょう。という意味で先ほどいった1~3話がもったいなかったですね。


 やっぱりアニメは最後まで見て評価した方がいいかもしれません。特にSFとか作り込んだ話は、今後は(なるべく)切らないで最後まで見るようにします。
 言い訳ですが、最近3話以降の結構遅い回から面白くなる作品が増えてきた気がします。まあ、1話のキャッチ―さばっかり気にするとおかしな話になるからいいのですが、3話または9話くらいまでひどすぎる話が多いきがします。

 ということで、2期に期待できる終わりかっただったし、結構面白かったです。批判しすぎました。ごめんなさいと言っておきたいと思います。評価上げておきます。

(追記 あの混血の子の背中の文字ってわかるんでしょうか。見えてるところがaughなので第一印象では笑うlaughなんですが、ちょっと横棒が見えるのでaughtだとするとcaught(つかまった)、daughter(娘)、naught(ゼロ、無い、無価値)あたりでしょうか)

 あと作画はムラがありますが、アベレージで見ると良かったですね。こちらもごめんなさいと言っておきます。





以下 1回目、2回目の途中断念時の視聴時のレビューです。

{netabare}
 2回目挑戦して結局断念しました。少し冷静にレビューしたいと思います。
 
 断念の理由は、1つは、ヒロインの日常生活時の描写が戦場で戦っている人間を想っているようには見えないこと。人間として扱っていないのはヒロインじゃないか、とも思いました。結局は86という制度を肯定している、といいましょうか。
 もう1つは、本当に戦う人間が必要な状況なら誰かが戦わなければなりません。戦争ですから。誰をチョイスするかで、人種差別があってはいけませんが、死そのものは避けられません。ヒロインはそれを忘れてしまっているように見えました。じゃあ誰が変わりに死ぬんだ?他の貴族に行けって?なら、代わりにお前が死地に赴けよ、と。

 さらに、SFをやるなら「取材」「研究」「教養」「想像力」が不可欠です。なんといってもサイエンスのフィクション、ですから。Fがファンタジーならいいですけどね。
 SFをするなら裏で相当頑張って脳みそを働かせないと、いい物はできません。異世界転生ものや、VRMMO、日常ものなどなら、テンプレ設定でそこそこ面白い話が描けても、このSFの世界はその点は甘くありません。まして、差別とか戦場での死とかをSFで主張するなら、なおさらです。そこの不足感が相当ありました。世界観、兵器、社会制度、AIのテクノロジーの度合い、等々です。

 SFに挑戦しようとする意気込みは買います。が、やはり、取材不足でSF作品、戦争作品として成立していない気がします。
 途中で断念したのでこの辺りの説明があったらすみません。


以下 視聴中のレビューです。

 原作等全く知りません。レビューもあらすじも見てません。それくらい楽しみにしておりました。

 第1話からヒロインの作画の同一性が厳しいですね。場面によって別人に見えます。髪の艶、背景など低予算の感じですね。ディスプレイの映像や光の演出などでがんばって雰囲気はだしていますが。

 女性の制服、いい加減ミニスカにするのやめられませんかね。他の良作アニメの女性の服装のリアリティはどんどん上がっています。安っぽく見えますよね。せめて学校の制服とは区別してよ、と。
 少佐が無能力なティーンですか。貴族特権ですよね。他人の批判する前に自分の能力を磨いたほうがよろしいのでは?

 第1話でヒロインサイドにコミカルな雰囲気は必要なし。そのくせエピソードも演出も陳腐ですし。
 第1話は状況の厳しさ、命の軽さを嘆くヒロインの心情や人柄、または舞台や技術設定などにフォーカスすべきでしょう。やっているつもりなら全然できていません。

 戦闘シーン、兵器のCGはなかなかいいのが救いです。

 「壁の中の貴族」が差別階級に戦わせる。設定は、亡国のアキトとかマージナルオペレーション的ななにかの雰囲気ですね。でもハンドラーの役割の意味がちょっとわかりません。

 科学技術の差が大きすぎます。少数の人間の犠牲で持ちこたえるには不自然でしょう。銀髪軍団たちは、無気力の極みですし。一人優秀な人間がいたから何とかなってたんですか?1国を滅ぼした戦闘機械軍団なのに?なら、それほど脅威じゃないですよね。

 情報の伝達方法をハンドラーがいきなり間違うとかそれは軍隊の最低限のルールでしょう。
 相手がAIに滅ぼされているので、AIは使えないという設定なのですかね。それにしては研究所らしきところではコンピュータ使ってましたが。戦闘記録は人力で作成するレベルらしいですね。

 まあ、どこかでいろいろ説明があるのかもしれませんが、ちょっとこの辺りを考察する気力もなくなってきました。
 何かを主題にして、それを軸に、というのが3話くらいまでに読み取れるなら、ここまで設定とか作画、演出にこだわらなくていいんですが、世界観もヒロインの目的もなにも提示できていません。言葉で「命は大切」って言ってるだけで、お前主体的に何かしたのかよって言いたくなります。演出が上手くて引き込まれるわけでもありません。

 ああ、いい言葉が見つかりました。クリエーターの気持ちが伝わってきません。

 楽しみにしていたのでちょっと辛辣になりました。お好きな方には申し訳ありません。残念ながら第3話の延々とつづく日常シーンで心が折れましたので、視聴は継続しないと思います。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

何もかもがダメ

ラノベ勢からやたら注目されていた作品だが、期待外れにもほどがある。
先に書いておくと個人的に良いと思ったのは9話、作画、声優、ED一曲のみ。

{netabare}
まず、設定からして既視感がありまくり。
自分はこういう批判の仕方は大嫌いだけど、この作品はほんとにアルドノアや亡国のアキト、オルフェンズ...の寄せ集めだった。
まあ既視感があるっていうのはまともな批判にはなってないからこの辺で。

設定が雑なのも良くない。
酷い時で5分おき毎ぐらいに突っ込みたくなる。

まず、差別描写が雑。「戦死0の戦場」や「有人の無人機」という売り文句や舞台設定に頼りすぎで作品内での差別の描写が甘すぎる。
それどころかほぼそんな描写がない。この作品内で「色付き」という単語なんて全然聞かないし、直接的な差別も戦場に送り込まれているという点をのぞいて全然ない。
講義で白銀種に対して「有人の無人機」の真実を平気で話せるのもおかしい。この世界観でこういうことしたら普通お咎めがあるのでは...?
ところで、この作品で最も印象に残る差別表現は「白豚」っていう単語。

あれ...? これを言ってるのって86側...。
ほんとに、86の方がレーナに対して高圧的でむしろ逆に86側が差別しているように感じる。

てか、そろそろ日本人(86)が白人(白銀種)に差別されていて、それに抗うみたいな話は日本人=正義、白人=悪と取っているように思えて気持ち悪く感じるからやめてほしい。コードギアスとかもそうだけど。
勿論そんな設定はないけど、そういう話を作りたいってことが目に見えてしまう。

他に違和感を感じるのは86が反抗しない点。
86は白銀種よりも戦場に詳しいし、新型レギオンの仕組みという重要事項も86だけが握っている状況。そして共和国は武器も枯渇しているし、白銀種は全然戦っていない模様。
そもそも、何でレギオンを鹵獲して研究してないんだよっていう点は突っ込んだら負け。
こんな状況なら簡単に反抗できるのでは?
戦い続けても自分らが死ぬということを理解しているようだし、それならまだたとえ死んだとしても反抗した方がマシ。
作中で一応反抗しない理由が述べられたが、意味不明で全く感情移入できなかった。

レギオンの設定も雑。死んだ敵の脳を使っているというのはいいんだが、後半になると、レギオンが敵意がないのに後をつけてきたり(=意志がある)する。これなら、死んで脳を利用されると、敵対して国を攻めてくる理由が分からない。逆にむしろ脳が利用されたらレギオンとして、レギオンと戦えるのでは?

とまあ短く書いたつもりだったけど色々突っ込んでしまった。
こんなに書いておいてなんだけど、自分は別に既視感があろうとも設定がガバガバであろうとも、話が面白ければ一切マイナス点にはしない。

けど、このアニメは設定とか以前に単純に話が面白くない。
話が面白くないから粗が目立つのかもしれない。
せっかく作画がいいのに戦闘シーンは何やってるかわからないし、そもそも少ない。指令の様子ばかり写される。(2話と9話の戦闘は良かった)
キャラの死に方も雑。もしかしたら戦場のリアルさを表してるのかもしれないが、それなら数話にかけて死人を出さなくてもと思う。
○○が死んだってなっても何も思わないし、そもそも「いやそいつ誰だっけ?」って感想にしかならなかった。
キャラの死と言えばこのアニメは何回死ぬ死ぬ詐欺をするんだ。
そもそも、やってることもワンパが過ぎるんだよね。

あと、設定の解説不足。無線が使えないとか壁でおおわれているとか空中戦はできないとかファイドとか調べないと分からなかった。脚本家もあまり設定理解してないんじゃないか。

キャラも微妙。86側は人数が多すぎてシン意外空気だし、レーナはどうかというと微妙。
キャラデザだけで言えばかなり可愛くてよかったが、あまりに無能でイライラさせられる。
司令官のくせに、人を殺めるところをまともに見られないし、指示も一切役に立っておらず足を引っ張るだけという...。
ある回で86に「綺麗ごと言うな」ってキレられたのに次の回以降ではまた普通に綺麗ごとばかり言ってて笑った。
あと、こういうアニメでところどころ萌えアニメの空気感を持ち込むのは違和感があったかな。

まあそんな中で唯一良かったのは9話。
シンが兄と決着つける回だけど、話も単純に良かったし、戦闘も珍しく滅茶苦茶面白かった。ここまでの戦闘は"強敵"と言えるような相手がいなくて、モブばかり殲滅しているようだったから。そしてそこまでは口だけで綺麗ごとばかり言っていたレーナが実際に行動に写し街を走るという。シンが先に行くといって、レーナに後で来いと暗示するのも良かった。

11話で兄がまだ消えてないという展開になってちょっと興ざめしたけど。
あと、結局まだレーナと合流してないのも残念。

↓一話毎の感想
{netabare}
1話
銀髪好きには最高かもしれない。
髪の色に意味を持たせてるアニメって珍しい。
86ってギアスのイレブンか?
専門用語多くてわかりにくい。
この作風で萌えアニメ見たいなコメディは余計かなぁ。
世界観とか戦争相手わからないけどまあ面白そう。
ただこういうリアリティのない差別表現は好きじゃないな。
誰でも書ける感じの雑な差別表現。
とりあえず設定でだけ迫害しとけみたいな。
あと、服がなんちゃって軍服。戦争ごっこ。
なんだこの自分に酔った奴が歌ってそうなOP。
息入れるの気持ち悪い。最後の尺余りも酷いし。

2話
敵がどんな国なのか描かれないのがわかりにくいな。
完全に相手無人機だし。戦闘がめっちゃかっこいい。この戦闘だけでも見る価値があるアニメ。
戦闘かっこいいけど注視しないとすぐ敵味方がわからなくなるw 
西暦ってことは地球舞台なのか? 
レーナめっちゃ真実ばらしてるけどこれ即捕まえられるだろ。
ええ...国の管理体制ガバガバすぎんか。
お咎め展開展開か、せめて注意喚起ないの?

3話
急にラノベっぽいノリになった。普通に暗い空気感でやった方がいいのに。今回話は何も進まなかったけどレーナと86の人らの仲を深めたいい回だったと思う。
こういう話が丁寧に描写されるのはいい。
誰かがが死んだ、誰だよ。
86が差別されてる感が足りないなあ。
むしろ逆に白銀種のほうが差別されているように感じる。
めっちゃ切れてたけど、こんな世界観なら本来歯向かってはいけない雰囲気になってるはずでは。
これ、戦闘シーンが一切描写されないし、誰が死んだのかも全くわからない。(ちゃんと見たらわかるんだろうけど)
指揮官視点実際の戦闘の情景なんてわからなくて、誰が死んだかなんて対岸の火事だということを暗示してるのか?
そういう意味があっての見せ方ならかなりうまいと思う。

4話
ほんと差別してる側じゃなくてされてる側みたいになってるじゃねーか。
レーナが綺麗ごとばっかだから怒るのはわかるけどさ。
あんな怒ってたくせにもう空気感戻ってるという。
人が死んだ翌日みたいな空気感じゃねーな。
高みの見物というのはその通り。今後一緒に戦うのか?
結局電話越しに謝罪って前と同じじゃないのか?
このアニメありふれた設定で目的もなく無難に進んで言ってる感があるんだよなぁ。

5話
赤髪メガネに助けられるロリの頃のレーナ。
この年齢なのに、差別してるのに何で助けてくれるのってセリフは言わされてる感が。
ギアーデ帝国がレギオンの開発国でこの物語の敵?
ほんとに共和国の人は現場のこと分かっていないんだな。
レギオンの核には人間の脳が使われているっていう重要事項。
鹵獲して研究してないのか?
そもそも黒羊の情報、そんなにいっぱいいるならなんで上に伝わってないんだ?反乱でも起こそうとしてるから伝えてないのか?
結局レーナは指示をするだけで、現場にも出ずに1年でレギオンを殲滅出来たら...と理想論を語ってるで笑った。

6話
ほんとにむしろ逆に白銀種が差別されているようにしか見えないな。
キャラがあっさり死ぬなぁ。
てかレーナいる?全く命令役に立ってないじゃん。
人が撃たれるところすら見たことないのかよレーナ。
なんで司令官なの?見るのが責任ってなんだよ。
なんでレーナが司令官務まってるのかわからん。
話も何も見えてこないのがなぁ。
モブを倒してるのとキャラが死んでるだけで話が何も進んでない。
軍の司令のままに全員が動くだけでなんかなぁ。
迎撃砲とかいう王国の武器があるかと思えばもう動かないらしいし、86もそのことを把握している。
ほんと反乱起こせば勝てるんじゃないの?
何かシリアスから急に萌えアニメの雰囲気になったりもう滅茶苦茶だな...。
こんな状況で死んだ人からもらったチョコレートをもらって笑顔になってるし。
主人公も前に怒られたのに結局理想論ばっかで何もしてないじゃないか。

7話
86に正論を言われるレーナ。またこの展開か。
ほんとレーナ耐性なさすぎだし、情に任せすぎだしなんで司令官なんだ。
これ以上誰も死なせないって、司令官がどうやって。
キャラの死亡シーン雑すぎる...。
これリアリティ重視でわざとやってるのかなぁ。にしても雑だなぁ。
レーナの頭がお花畑すぎる。理想論しか言わない。何もしない。
反逆しない理由も意味わからん。
叛逆した方がこの状況の場合正義だろ。しかもレーナの前で白豚呼びとかほんと逆に差別じゃねえか。

8話
レーナ理想論しか言わんからイラつく。
行動に移さずに他人に頼ろうとするばかり。
いやいや何が86はほろぶべきだよ。滅んだら共和国と戦えなくなるだろ。
しかも負けた後86の存在を完全に隠蔽とか無理もある。
それにレーナは何で平気で毎回国を裏切ってんだ。
もう通信つなぐなってレーナ何のためにいるんだよ。
なんでこんな体制ガバガバなんだよ。

9話
珍しく戦闘が面白い。兄との決着。
兄の掘り下げもうちょっと欲しかった感と、もう回収しちゃうの感はあるけど今回結構面白い?とうとうレーナも行動に写すか?
やっと口だけのキャラじゃなくなった。
シンが先に行くと言って後でレーナも来いって暗示するのもいいな。
ほんとに今回どうしたんだってぐらい面白かった。

10話
いや逃げるんかよ。結局これなら反逆しても良かったじゃないか。
このロボ何者。
てかレギオンに意思があって近づいてきたみたいになってるけどこれなら死んで脳をレギオンに利用されたら自分の意思で操れるんじゃないか?
EDはやいな今回
ファイドってなんだ? これ死ぬ流れか?
この世界北極あるってことは地球なのか
ああ、そういう系の回想か。え、このロボ殺す意味あった?
ファイドの出番ここまでにもっと欲しかった。あったなら感動してた。

11話
日本語!?
結局日本人=正義 白人=悪ってしたかったような作品か。
コードギアスとかもそうだけどこういうの気に入らないな。
シンがせっかく囮になってくれてるのに他の奴がもたもたした後に加勢する。
こういう展開ほんと嫌い。何のために囮になってんだよ。兄まだ生きてたんかよ。
戦闘が唐突すぎて一切盛り上がらないラストバトル。
いや、結局加勢してピンチになるしほんと何のための囮だよ。バカすぎて呆れる。このおじさん誰だ。
ほんとむしろレーナらの方が差別されてるじゃねーか。合流もしないのか。まああの4人はどうせ生きてたオチかな。

{/netabare}

OPはミュートするほど微妙でした。自分がミュートしたアニソンはこれが3曲目です。EDはいつもの澤野音楽といった感じだけど良かった。
澤野氏が曲歌ってるアニメは地雷の法則。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

68.9 4 兄弟アニメランキング4位
転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (194)
624人が棚に入れました
第七王子は“魔術ヲタク” 魔術に大切なものは、“家柄“・”才能“・”努力“……。 魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた“凡人“の魔術師。 死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、強い魔術の血統を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。 過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えながら生まれ変わった彼は、前世では成しえなかった想いを胸に、桁外れの魔力で“気ままに魔術を極める“無双ライフをエンジョイする! ライトノベルを原作とし、マンガアプリ「マガジンポケット」(講談社)で連載を開始したコミカライズはアプリ内セールスランキング1位を記録し、シリーズ累計発行部数は250万部を突破! いま最も注目される“転生異世界ファンタジー“が満を持してアニメ化! 舞台となるのは獣や魔人が巣食う異世界。本作では魔術に通じる者たちが恐れを成すほどの絶大な魔力を持つロイドが、自身の興味の赴くままに魔術を学び、極めようと成長する姿が描かれていく。ちょっぴりお気楽だけど、強大な力で圧倒していく魔術バトルの爽快感と迫力が詰まった、“第七王子“による気ままな転生物語が今はじまる! 「俺は、魔術を楽しみたい、それだけだ。」


声優・キャラクター
ロイド:小市眞琴
グリモ:ファイルーズあい
シルファ:Lynn
タオ:関根明良
レン:高橋李依
グリモワール:大塚明夫
アルベルト:堀江瞬
ディアン:広瀬裕也
アリーゼ:熊田茜音
シロ:松井恵理子

青龍 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

かわいらしいキャラたちがアクションで魅せる作品。

謙虚なサークル(原作)、メル。(イラスト)による原作小説は、「小説家になろう」から「講談社ラノベ文庫」(講談社)で書籍化(既刊7巻、小説未読)。
石沢庸介(作画)によるコミカライズ版は、マンガアプリ「マガジンポケット」(講談社)で連載中(アプリ内セールスランキング1位を記録、既刊15巻、コミカライズ版は途中まで既読)。
アニメは、全12話(2024年)。監督は『明治撃剣-1874-』の玉村仁。制作は、同じく『明治撃剣-1874-』のつむぎ秋田アニメLab(本作が2作目)。放送は、テレビ東京系列など。なお、二期の制作が決定済み。
(2024.4.14投稿、7.15「本作の特殊な制作体制」を末尾に追加)

【あらすじ】
血統による魔法の才能が絶対的な力を持つファンタジー世界が舞台。そこで才能に恵まれなかった魔術師が血統による魔法の才能に恵まれた貴族と決闘して死亡した後、サルーム王国の第七王子ロイド(CV.小市眞琴)として転生。
その後、血統による魔法の才能を得た主人公ロイドは、第7王子という気楽なポジションと前世の知識を武器に魔術を極めて俺TUEEEするという、いかにも「なろう」な作品。

基本的なノリは、コメディなので観やすい作品だと思います。また、キャラが全般的にかわいらしく、その「かわいらしいキャラ」からは想像しがたいほど「よく動くアクションシーン」で魅せる作品にもなってます。

なので、上で「なろう系」とは書いたものの、雰囲気は、世界観や時代設定が異なるものの、軽いノリや見た目かわいらしいキャラたちが、えげつないバトルをするところから『平穏世代の韋駄天達』が近いでしょうか。ただ、エログロ表現の多い『平穏世代』より内容がマイルドなので一般受けはしそう。


【かわいらしいキャラたち】
主人公のロイドは、10歳のショタキャラなのですが、魔術と武術に対して異常なまでの興味を示し周囲をドン引きさせます。

また、王城の地下に封印されていた魔人グリモは、ペット兼マスコット兼解説役として、わざわざ声優を大塚明夫さんからファイルーズあいさんに変更し、姿も可愛らしくなって、ロイドの使い魔となります。

個人的には、ロイドのメイドで教育係のシルファ(CV.Lynn)が推し。
彼女は、「銀の剣姫」という異名を持つ銀髪の剣の達人なんですが、ロイドを溺愛しており、ロイドのことになると暴走気味に…
また、彼女の見せる「ラングリス流剣術」が本作の見処の一つにもなっています。

あと、冒険者で気術使いのタオ(CV.関根明良)は、イケメンに目がなく、シルファと張り合うやりとりが面白い。

さらに、第6話からEDなどで既に登場していた褐色幼女のレン(CV.高橋李依)がようやく出てきて、圧倒的な魔力を持つ魔族とのバトルが始まります。


【よく動くアクションシーン】
さて、本作では、実写のアクション映画などではよく見てもアニメでは見なれない「アクション監督」(『ダンス・ダンス・ダンスール』の主人公・村尾潤平の父親がアクション監督でしたね)の表示が!
本作のアクション監督のアベユーイチさん、Wikipedia調べですが、特撮のウルトラマンシリーズで監督などをしていた方のようです。

私は武道をしていたので、アクションシーンの違いに敏感なのかもしれませんが、本作のアクションシーンは、他のなろう系アニメとは一線を画すレベルだと思いました。

例えば、第1話でいきなり始まった、それまでのコメディタッチな流れとは不釣り合いとも思えるほどの凄まじいロイドとシルファとの剣の稽古シーン。まず、これに驚いてレビューを書こうと(笑)

また、第10話。シルファの「ラングリス流 一虎・顎」の演出がかっこよすぎる。あの微妙な角度をつけた構えからカメラアングル一周は、実際に達人の動きをモーショントレースするか武道やってた人じゃないと、あそこまで細部を表現するのは難しいと思いました。

監督以外に「アクション監督」が別に求められる理由は、監督の頭に全身の具体的な動きのイメージがないと、それを具体的な動画にできないから(アニメの原型である「パラパラ漫画」の要領)。

是非、他のアニメのアクションシーンと比べて欲しいのですが、他の作品では、具体的な動きのイメージを持てないこと以外にも動かすと予算や作業量などが大変なこともあって、剣を持ったままの「止め画」や、動きの過程を省いて最後だけ敵を倒す描写をした「決め画」が多い。

対して本作では、動きの過程に説得力を持たせるだけの一連の描写の流れに裏付けがある。もちろん、アニメなので実際の動きをリアルに再現したわけではなくて、「カンフー映画」みたいに、動きとしては現実にはありえないんだけど、リアリティのあるアクションになっているということ。

特にアクションシーンに興味がある方は、「百聞は一見に如かず」、話のネタに一度ご覧になってみてはいかがでしょうか(※動画のアクションシーンは、静止画の漫画にはできないアニメ独自の魅力だと思うので、作画の評価をあげました。)。


【声優】
『呪術廻戦』で真人役をしていた島﨑信長さんが、本作でも似たような役柄で登場。そもそも声優業界における悪役不足という問題もありますが、仲の良い松岡禎丞さん共々、最近はこの世代の人たちの悪役も多くなってきましたね。


【「本作の特殊な制作体制」(2024.7.15追加)】
(「『第七王子』のEDクレジットを見ると、なぜ日本アニメの未来がわかるのか」(2024.7.13のASCIIの記事)を引用したかったのですが、URAがNGワード扱いされるので、お手数ですが自分で検索してください。)

この記事によれば、本作は、絵コンテ、作画監督、総作画監督が、ほぼ固定という、日本のアニメ制作においては、特殊な作り方がされているようです。ちなみに、他の制作会社は、各担当が話数ごとに違っていて、それが大雑把に数グループある感じ。

話数毎に担当が違う場合にどうなるかについて、わかりやすい例は、同じ『ドラゴンボール』の孫悟空でも、作画監督によって微妙に描かれ方が違うといった比較がネットを検索すると出てきます。こんな感じで、同じ人が継続して担当するというのは、作画の安定につながります。

それで、詳しくは、記事を見てもらうとわかるのですが、要は、新しい技術を使って、従来分業していた工程を同じ人がまたいで関われるようになり、作業工程が合理化されたみたいです。

上で書いた本作におけるアクションシーンのなめらかさは、そういった制作体制の合理化がもたらした産物であったようです。

そうすると、制作工程の合理化によって、なめらかなアクションシーンを描けるようになり、そこにアクション監督を置く必要性が生まれたという風にも言えるのかもしれませんね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

君のチカラ、全部僕にみせて。

この作品の原作は未読です。
主人公のロイドは一見女の子にしか見えない容姿ですが、中身はとんでもないチート能力の持ち主です。
この作品、このギャップが半端ないんですよね~^^、


魔術に大切なものは、“家柄”・“才能”・“努力”……。
魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた“凡人”の魔術師。

死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、
強い魔術の血統を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。

過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えながら生まれ変わった彼は、
前世では成しえなかった想いを胸に、
桁外れの魔力で“気ままに魔術を極める”無双ライフをエンジョイする!

ライトノベルを原作とし、マンガアプリ「マガジンポケット」(講談社)で
連載を開始したコミカライズはアプリ内セールスランキング1位を記録し、
シリーズ累計発行部数は300万部を突破!

いま最も注目される“転生異世界ファンタジー”が満を持してアニメ化!

舞台となるのは獣や魔人が巣食う異世界。
本作では魔術に通じる者たちが恐れを成すほどの絶大な魔力を持つロイドが、
自身の興味の赴くままに魔術を学び、極めようと成長する姿が描かれていく。

ちょっぴりお気楽だけど、強大な力で圧倒していく魔術バトルの爽快感と迫力が詰まった、
“第七王子”による気ままな転生物語が今はじまる!


公式サイトのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

主人公ロイドの破天荒っぷりと、ロイドに注がれる年上の女性からの過度の愛情を愛でる作品、といったところでしょうか。
特にロイドの教育係兼剣術指南役であるシルファと、第六王女のアリーゼ・ディ・サルームから放たれる愛情は、
特に半端ありませんでした。

ロイドが第七王子である設定は殆ど活かされていませんでしたが、強いて言うなら身の丈が小さく可愛らしいところと、末っ子なので兄弟から溺愛されている、という点では活きていたのだと思います。
でも、まぁ、そういう溺愛っぷりって嫌いじゃないので全然ウェルカムですけどね~^^;

寧ろ、仮に時分があんなに幼い頃に、あれほどの溺愛を受けたら…
きっと全く違う人生を生きているでしょうね^^;
あれほどの溺愛を受けている人の方が珍しいと思いますが如何でしょう…
少なくても私の身の回りにはいなかったので、少し羨ましさを感じてしまいましたけれど^^;

あと、見どころと言えば、ロイドの魔術に関する無双っぷりでしょうか。
結構それなりの相手が出来てているようでしたが、相手を「ばったばったと薙ぎ倒す」んですよね。
「変態」という表現が一番しっくりくるように思います。
ここで言う変態とは、魔術に対するのめり込み方と理解度・応用度が尋常じゃないことを指しますので。

物事を徹底的に突き詰める…
きっと社会人はそれぞれの道で誰もが普段から実践していることだと思うのですが、ここまで尖れる人って、きっと努力以外のギフトを貰っているのでしょうね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニンブテーマは、樋口楓さんによる「キュンリアス」
エンディングテーマは、熊田茜音さんによる「ハッピーの秘訣」

1クール全12話の物語でした。
完走してwikiをチラ見して知ったこと…
この作品は第2期の制作が決定していたんですね。
私はこの作品をdアニメストアで視聴していたので全然気付きませんでした^^;

あ、この作品の続編なら見たいかも^^
続報、期待していますね♪

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

もう少し角を落して、整えて欲しい感はあったけど。

久々に転生モノをリレー視聴した気がする。

この前に視聴した「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」 が大分お好みで、琴線に触れるポイント多数、なんなら、うるうるしながら観ていた事もあり、シーズンのランキングでも割と近い順位にいる、こちらの作品も視聴してみようとの思い(勢い)での視聴でした。

視聴開始直後には、若干クセのあり絵柄に戸惑い、あれ?あれ?と言う感じでした。
ヘビーな開始直後の導入部からの、軽いノリ、そしてきらびやかなおねいさん達に囲まれスタートする主人公の転生後の人生。
一瞬、あちゃー、と思いましたw。

まぁ、それでも主人公ロイドのマッドサイエンティストならぬ、マッドウィザード、いやサイコパスウィザードかなw、っぷりを眺めていた訳なのですが・・・。
いや、他のレビュワーさんがショタだショタだとおっしゃっていたので、どんなもんかと思ったのですが、これは狙ってやっていますねぇ。
どんな理由があるのか、どの層を狙ってなのかは知らないですが、狙わないとこうはならないでしょう、私は少し苦手でしたけど。

流れ的にロイドのクレイジーっぷりと、折々に挟まれるデフォルメキャラ、そして各キャラとの掛け合いが面白くはあったのですが、デフォルメキャラの造形は実は私は苦手でした、ギャグ的な場面と通常時のギャップが上手くつながっていない印象を受け、違和感があり、これも少し苦手でした。
少し、子供っぽい作りなように感じたのもこれが影響しているかもしれません。
ああそうそう、アイキャッチ?ショート解説みたいなのが入るポイントは、よくある作品と違っていて、新鮮味がありましたかね。

何人かキャラ立ち、良い感じのキャラがいるのに惜しいな、と思い始めた頃、暗殺団のエピソードが始まりました。
このエピソードは結局、今作のエンディングまで続くエピソードとなるのですが、ここら辺からですかね、尻上がりに面白みが増していったのは。

少し、尺を使ったエピソード展開となりましたが、よく出来ていたのではないかと思います。
バトルシーンも、良いカットが何度かあり「おっ!」と思うところがありました。
また、キャラもさらにいい動き始めていました。
いい決めゼリフ、決めカットもあり、ストーリーも若干深みを増していきました。

個人的には、「どっかの転生したスライムのお話」や「帽子をかぶった海賊」なんかを彷彿とさせるシーンがあり、ニヤリとしました。

最後の落としどころも、個人的には、好きな展開でしたね。
今後の、これらのキャラクタ達との活躍を観てみたいと思いました。

あとは・・・気功?気術をつかうミニチャイナドレスキャラ、賑わしキャラとしてイイ感じだったのですが、あれ?ラストバトルにからんでねぇな・・・と思っていたら、案の定でしたw。


全体的に、キャラやストーリー、エピソードのつくりとして、作品自体の(対象)年齢のふり幅が整っておらず、アラもあり、「整い」が足りていないという印象は持ったのですが、流れを作ってからのラストエピソードで挽回した感じです。
トータルとしては、まずまずでしょうか。

あとは・・・そうですね、途中で出てきた敵役のキャラ造形は、もう少し何とかならんかったかなぁ・・・とは思いました。

今回のペースで他の王子王女が出てくるとすると、もう1シーズンぐらいは必要な感じですね。

機会があれば、見てみようかな、と思うレベルではあったと思います。
またの機会を待ちたいと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 16

69.6 5 兄弟アニメランキング5位
烏は主を選ばない(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (77)
237人が棚に入れました
「山内(やまうち)」と呼ばれる異世界で、烏ながら人の姿に転身できる「八咫烏(やたがらす)」達が織りなす物語。「ぼんくら次男」雪哉は、八咫烏一族の長「金烏(きんう)」である奈月彦の側仕えをすることになり…朝廷の権力争いに巻き込まれる日々が始まった!?圧倒的スケールの世界観と緻密な筆致でおくる異世界ファンタジー!

声優・キャラクター
雪哉:田村睦心
若宮:入野自由
あせび:本泉莉奈
浜木綿:七海ひろき
真赭の薄:福原綾香
白珠:釘宮理恵
澄尾:竹内栄治
長束:日野聡
路近:白熊寛嗣
敦房:河西健吾
藤波:青山吉能
大紫の御前:田中敦子

鬼戦車 t89 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

面白くなりそうな所で終了!前半は何だったのか…。

 最終話(20話)まで観ました。2024.09.22

 何か規模のちっせえ話だなぁ〜と思っていたら、本当に規模の小さいお話でした。八咫烏の世界の謎が明らかになります。大猿とか、烏の生存の脅威になる連中が周りに沢山いるらしいですよ?

 しかし…、前半の嫁選びとか、〇家との関係とか何だったのか…。烏内で争っている暇は無いほど危機的な状況の様です。

 若宮が金烏というのも、王権の称号的なものでは無く、本当に八咫烏を救うための存在を示す様で、宮廷内での争いや兄との関係も、実は茶番だった…。と、言うか若宮死んだら八咫烏やばくね?

 今までの伏線は回収され、これから話が面白くなりそうですが、前半の宮廷死闘編で切った人は、だいぶいるんだろうなぁ〜と感じます。

 原作ストックの問題もあるんでしょうが、前半が丸々必要性の薄い茶番という作りは良かったのかなぁ〜と疑問には感じます。

 若宮がわりと全知全能で、結局全部説明してしまうのですが、後半は面白かったので、観て良かったと思います。最後まではアニメ化しないんだろうなぁ…。

………………………………………………………………………

 13話まで観ました。2024.07.04

 まさか、あの姫が天然性悪鬼畜女だったとは!?一応、今までの謎が明らかになりました!

 おぉ!と言う展開ですが、やはり烏がなぁ…。基本的に登場人物達はバイタリティあふれるクリーチャーです。

 家とか無くても其の辺の木にとまって生きていけるそうです。しかも、警備をくぐり抜けて、割と簡単に宮廷に間男達が侵入してきます。烏ですから…。ケダモノダモノ…。

 若宮様に対する他のキャラ達の言葉遣い(ほぼ敬語なし)も含めて、これでもかとクリーチャー振りを発揮してきます。主君に対してズバズバ失礼なことを言い過ぎです。

 個体としてそもそも頑強なので、惰弱な人間の様に陰湿な貴族社会を作ってグダグダやることに説得力がありません。

 これ、老若男女問わず、自分を武辺者と認識してそうなんですが…。いざとなったら烏に剥けて、どこまでも逃げたら〜!追手は殺す!位に思ってそうです。
 
 アニメ化すると、烏設定がキモいだけで、意味が良くわかりません。特異な設定の小説をアニメ化するのは難しいですね。
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 9話まで観ました。2024.06.02

 多分、原作は面白いんだろうとは感じます。ただ、アニメ化には向かない作品なんでしょうね。

 貴族の暗闘を描いているのですが、こいつら全員烏で飛べるんですよね…。これがアニメ化すると良くない方向に作用しています。

 現代でもそうですが、権威というのは、地位による進入範囲の制限で成立しています。国会には議員しか基本的に入ってはいけません。市民が乱入して議決することは出来ません。

 封建社会や貴族社会はもっと露骨です。貴族でも厳格に昇殿の制限がありました。だから、高貴な姫達は御殿に引きこもって生きていたわけです。

 本作品は、全員烏で飛べるので、割と地下人も御殿に飛んで入ってこれます。姫達もやろうと思えば飛んでどっかに行けるわけです。機動力ゼロの現実の姫達とは異なります。

 アニメは物語の空間的な広がりを可視化するので、飛べる連中がゴチャゴチャ狭い範囲で暗躍しているのに、説得力が無いんですよね。

 多分、鳥人間の世界は機動力の劣る二本足の猿が織り成す様な現実の貴族制とは異なる世界になるでしょう。烏設定がアニメの面白さに全く繋がっておらず、世界が単に矮小に見えるのが、とても残念です。

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 5話まで観ました。2024.05.06

 朝廷の権力闘争を描く壮大なストーリーのはずなんですが…。この手の話で歴史的な事実を背景にせずスケール感を出すのは難しいですね。

 主人公の若宮様が気さくな感じで城下町へフラフラ遊びに行く上に領民ともフランクに接するので、地方領主の若様的な感じです。

 少なくても暴れん坊将軍的で貴族っぽく無いです。貴族の嫌らしい感じをアニメで描くのは難しい様です。

 貴族なんだから、地下人なんて人間扱いしてはいけません。殿上人のみで話を作る気概が欲しいですね。

 とても全国を支配している国家の話しには見えません。国土のスケール感が無いので、小規模感が強いです。官僚組織もある様に見えません。

 話はつまらなくは無いのですが、この小規模感のせいで盛り上がりに欠けているのが残念です。

 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 3
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

世界観が独特なミステリーファンタジーの良作

[2024.9.22見終わって]
このお話は世界観や物語も一見とっつきにくい感じなんだけど、全20話を見終わって見て良かったって思える良作でした。
前半のクライマックスである12~13話も驚きましたが、18話で明かされたこの世界の真実に再び驚かされました。
最終話は {netabare}雪哉が真の金烏の真実を知り忠誠を誓う{/netabare}ところで物語の幕は閉じられましたが、謎はいくつか残されているので、続きもアニメ化してくれると嬉しいです。でもいまいち人気なさそうだから原作読もうかな・・

[2024.6.30初回感想]
人間の世界とは隔絶された山中にある山内(やまうち)と呼ばれる世界に住む、人間の姿で生活する八咫烏(やたがらす)たち。
そこでは4人の姫たちが登殿し、金烏(きんう)である若宮が現れ選ばれるのを心待ちにしていた・・で始まる物語。

原作は「八咫烏シリーズ」というファンタジー小説ですが未読です。
全何話かまだ不明ですが、2クールみたいです。

監督はゆるキャン1期、2期も務めた京極義昭監督。

こういう昔の日本みたいな世界観のファンタジーって見たかったんですよねー。
ファンタジーものってほとんどがヨーロッパ風、たまーに中華風で、和風っぽいのってほぼないんですよね。

だからこういう平安時代っぽい和風な世界観ってだけで観たくなりました。

絵も和の美しさを感じるような綺麗さで、キャラ絵もその雰囲気に合ってると感じました。

最初の数話は姫の登殿の話から、若宮や側近の雪哉の話になったりしてつかみどころがない感じなんですが、張られた伏線が明かされる12話、13話の展開は驚きましたし、ぞくっとするほどの見ごたえのある話で、ここまで見てきて良かったとホントに思いました。

本当は作品が終了してから感想を書く予定でしたが、他の作品たちの中に埋もれているのがもったいない良作だと思ったので、紹介を兼ねて感想を書かせていただきました。

もし興味を持たれた方いましたら12話まで長いですけど見られることをおすすめします。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 20

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

烏は主を“選べない”

『八咫烏シリーズ』、人気の和風ファンタジー小説だそうだ。
NHKの大願であろう。ファンタジー大河をやりたいという本気度がビシビシ伝わってくる。
前半は、きっと何処かで見てきたような、いわゆる既視感に囚われ、危うく視聴を止めてしまうところであった。ただ、抑揚をつけることなく、ひたすら語りかけるレジェンド、山根基世アナのナレーションに引っ張られる形で、衝撃のラストを目撃出来たことが嬉しい。原作をご存知の方なら『烏は主を選ばない』の意味するところ、この微妙な“てにをは”に感ずるところがあるに違いない。
しかし今私は、タイトルに入れさせて頂いたとおり、“選べぬ”烏たちに思いを馳せるのである。

これは紛うことなきハイファンタジー大河ドラマである。
そして上質のミステリーであると。
そう、サイコパスは誰だ!
                (2024/07/10)猿!!!
セカンドクール、継続終了していたのですね^^;

いやいやいやいや…、これはこれは…!
さすが鳥獣人物戯画の血脈と言うべきか、もちろん今期、最後までご覧の諸兄におかれては、あれやこれやの作品群が思い浮かぶことでしょう。
しかしながら、これ程までに深く、主と烏に“人”の心を感じ、この世界の成り立ちを身近に、愛おしく感じられたことに、この上もない嬉しさを覚えるのです。

前半パートの如く、まだまだ何かが待っている?
2期を期待せずにはおれませんね。

「誰からも“取り残さない”社会目指す」某放送局のこと、きっと烏や猿からも?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

82.5 6 兄弟アニメランキング6位
無限のリヴァイアス(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (964)
5823人が棚に入れました
2137年、大規模な太陽フレアによって出現した高密度のプラズマ雲が黄道面を境に太陽系の南半分を覆いつくし、地球も南半球が壊滅、17億もの人命が失われる被害を受ける。このフレアは「ゲドゥルト・フェノメーン」、プラズマ雲は「ゲドゥルトの海」と名付けられた。2225年、地球の衛星軌道にあった航宙士養成所リーベ・デルタは何者かの襲撃によって制御不能になり、ゲドゥルトの海へ突入してしまう。しかしその時、リーベ・デルタ内部に隠されていた外洋型航宙可潜艦「黒のリヴァイアス」が起動した。教官たちは全員殉職し、リヴァイアスに避難できたのは少年少女ばかり487人。彼らはなぜか自分たちを救助してくれるはずの軌道保安庁から攻撃を受け、戸惑い、混乱しつつもこれと戦い、そして更には密閉された極限状態にある艦内では、艦の指揮権や物資の配給を巡り少年少女同士が陰惨な争いを繰り広げながら、火星圏から土星圏、天王星圏へと当てのない逃避行を続けていく。

声優・キャラクター
白鳥哲、保志総一朗、関智一、桑島法子、丹下桜、氷上恭子、檜山修之

アラジン♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

【ネタバレ有】 「100人中1人が“100点”をつける名作!」

 
 100人中90人が、80点以上をつける作品は、間違いなく名作と言っていいだろう。

 しかしこの作品は、100人中1人が“100点”をつける名作である!


 (言いたいことが伝わっていないかもしれないが…)、普通は(自分もそうだが)―、物語がしっかりしていて、作画が綺麗で、声優の声が合っていて、音楽が良くて、キャラクターが魅力的で…、そんな作品を高評価にする、そんな作品を名作だと思うのが普通だろう…。
 
 そういう作品が、“大勢の人”から“高い評価を受ける”タイプの名作だと思う―。


 しかしこの作品は、(1999年制作ということもあって)作画には時代を感じ…、声優も、個性と言ってしまえば聞こえはいいが、実際のところ、最近の声優陣との力の差を感じずにはいられない。
 それでいて、物語やキャラクターからは“鬱要素”ばかり感じるのだから、この作品を高評価にする人はそれほど多くはないだろう…。

 けれどもこの作品は、この作品の“本当の魅力”に気付き、キャラクターの“弱さ”に共感し、声優の
“実力不足からくるリアルさ”を感じた人たち…、
 そんな“少しの人達”から“最高の評価を受ける”タイプの名作である―。



 (この作品を観たことがない人にも分かりやすいように、順を追って説明すると)、まず最初に、この作品には、他の作品とは絶対的に違う魅力が“2つ”ある。


 1つは、(この作品を観たことがない人でも知っているかもしれないが)、ここまでキャラを…、観ている視聴者を追い込むか…、と言わんばかりの、究極的なまでの“鬱展開”である―。


 (以下、簡単なあらすじ) ―主人公・“コウジ”たちは、航宙士(こうちゅうし)の資格を取るために、宇宙空間内の航宙士養成所:“リーベ・デルタ”で訓練に励んでいたわけだが―、目的不明のテロリストの襲撃により、養成所内の教官たち(=大人たち)は全員死亡し、残された訓練兵(=子供たち)487名だけが宇宙空間を(何か月もの間)漂流することになる…、という物語―。


 とまぁ、ここまで書いただけでも、察しの良い人なら分かると思うが―、
 ―大人たちのいない世界で…、救助はいっこうに来ず(というか、救助が来るのかどうかさえも分からず)…、確実に食料は減っていき…、長い集団生活でのストレスや不安…、そして理由もわからないまま敵の攻撃にさらされていく日々―。

 そんな追い詰められていく少年少女たちの精神状態に比例して、乱れていく“リヴァイアス”(=子供たちが乗っている宇宙船)内の秩序―。

 そうしてあらわになる極限状態での“人間の本性”や、ただ生きるために必死で、汚い人間、自分勝手な人間になっていく子供たちの“人間的な生々しさ”が描かれ―、そこに究極的なまでの“鬱要素”を感じるのだろう…。


 とにもかくにも、観ていてこんなに気分が悪くなったことはない。
 (後述もするが)、この作品に登場するキャラクターの中には当然、普通の環境下においては、頼りになる人、観ていて好感が持てる人など、多少の困難なら乗り越えていけそうなメンツがそろっている―。

 それでも、この絶望的なまでの困難な状況下においては、誰一人としてまともではいられない―。
 
 そうして一人一人が、徐々に壊れていく姿は、とにかく生々しくて…、リアルすぎて…、そこに、どうしようもない絶望感が感じられ、途中、観ているこっちもおかしくなりそうな“鬱展開”へと、ただひたすら進んでいくのである…(この気分の悪さは、観てみないと伝わらないと思う…)。



 また2つ目の魅力であり、この作品の一番の魅力が、何といっても主人公たち、キャラクターの“心の成長”である。

 まず何より―、ここまで深く、人々の“心理描写”を掘り下げて描いた作品は他にないだろう…(少なくとも自分が今まで観てきた作品にはない…)


 リヴァイアス内に閉じ込められ、宇宙を何ヵ月もの間漂流する間に、様々な困難に立ち向かいながら、信じられないほど一人一人が成長していく…、わけだが―、
 ―この作品の良いところは(というか、むしろ観ているこっちとしては、それが逆に、メンタル的にきつかった理由なのだが…)、
 全てが終わる(=全ての困難が解決する)のが最終話の一つ前の25話であり、その25話までは(本当は、一人一人が徐々に成長しているのだけれど)、主人公たちが成長しているかどうかが観ていて分からない、ところにある。


 それほどまでに、リヴァイアス内の状態は最悪で、一人一人が壊れる寸前(もはや壊れていたと言っても過言ではないが…)だったということなのだが…、
 最終回を観てみると、いかに一人一人が精神的に成長したのか(特に“コウジ”と“ルクスン”)を痛いほど感じる。


 最後まで観た人は分かると思うが、この作品のキャラクターの中に“正解”はいない。誰一人として“完璧”ではない。
 そこからくる(なんというか)“アニメっぽくなさ”、より現実の人間に近い“リアルさ”が、この作品のキャラクターからは感じ、そこに今までのアニメ作品にないタイプの、キャラクター達の魅力を感じる―。


 主要キャラだけでも20人以上おり、準主要キャラも合わせると、何十人ものキャラクターが物語に関わってくる、“超キャラ重視”の作品なのだが―、

 ―その一人一人が、必ずどこかで観ていてイライラする行動や考え方をする。そして彼らのする試みの、大半が上手くいかない…(観ている途中で、何度好きなキャラが変わったことか…、何度そのキャラに辟易(へきえき)し、見損ない、イライラしたことか…)。

 なのでこの作品を、“作品やキャラのことを好きなまま”観終えるには、とんでもない“労力”というか
“精神力”がいる…(つまり、ほとんどの場合、必ずどこかでこの作品そのものや、登場するキャラが嫌いになる…)。


 それでも最後まで観て、振り返ってみれば―、好きになっているキャラクターが数えきれないほどいることに気付く―。

 この作品もいわゆる、“一人最高のキャラがいる”というタイプのアニメ作品ではなく、その作品内の
“キャラクターそれぞれにファンがいる”というタイプのアニメ作品である。  

 現にこの作品は、他の作品とは比にならないほど、主要なキャラが多い。
 そして最終的には、そのキャラ一人一人が、最高に素晴らしい、“限りなくリアルに近い”アニメキャラだということに気付くだろう。

 例えば、最終回において、「コウジとアオイ」、「コウジとイクミ」、「アオイとイズミ」、「ツヴァイの面々」、「ユウキとブルー」など、リヴァイアス事件のその後を、ほとんど描いていない(ブルーに至っては本人が登場すらしていない)にもかかわらず―、
 ―皆が再会したときの少しのやり取りですら、心にグッとくるものがある…(それくらい、初めは嫌いだったキャラが最終的に好きになってしまっている…)。



 だが、(ここまで書いてきて、急な方向転換だが)、勘違いしないでほしいのは、この作品は決して“鬱作品”ではない(“鬱要素”は感じるのに“鬱作品”ではない…、というのは矛盾していると思うかもしれないが、そうではない(理由後述↓))。

 むしろ、我慢して最後まで観れば、最高に気分が晴れた状態で、この作品を観終わることが出来るのである。


 最終的にそう感じる理由には、“普通のハッピーエンド”が、“今までで最高のハッピーエンド”に感じるほど―、
 ―物語の途中で、(キャラだけでなく、観ている自分の)心理状態が、深すぎる“底辺のメンタル状態”を経験するからだろう…
 (今から振り返れば、あの頃(=20話あたり)は地獄だった…。早く観終わりたいという気持ちと、もう観るのをやめようかという気持ちが入り混じっていた…)。
 
 だからこそ、観終わったとき、その“振り幅”で、“最高のハッピーエンド”だったと感じる―。


 つまりは、(これは自論だが)、この作品は決して、“アニメ鬱作品”ではない(現実に、病気としての
“鬱”で苦しんでいる人がいる以上、あえて“アニメ鬱”と言わせてもらう…)。

 この作品は事実、このサイトの成分としての“鬱アニメ”でも上位に来ている作品であり、作品内のリヴァイアス内の空気感や状況は、物語内の“キャラからすれば”鬱状態、鬱環境であったと言えるだろう。
 
 しかし、それが本当に“アニメ鬱”だと言えるのか…(と疑問を感じずにはいられない)。


 あくまで、(自分の中での)“アニメ鬱状態”とは―、その作品を観終わった後も、その作品が…、キャラが…、そのシーンが…頭から離れない―。観終わった後、他のことがやる気にならないほど、アパシー的なもの(=無気力さ)を感じてしまう―。

 それこそが“アニメ鬱状態”であり、そうなる作品が“鬱作品”だと思う。しかし、この作品にはそんなことはなく、むしろ観終わった後の気持ちとしては、全くの逆である。

 なのでこの作品が“鬱作品”かと言われると、ただ作中内の空気感がそうなだけであって、決して観終わった後、“アニメ鬱状態”にはならない…。つまり自分が思う“アニメ鬱作品”とは違うのである。



 …とまぁ、ここまでかなり高評価をしてきたつもりなのだが…、正直なところ、今まで観てきたアニメ作品とは全く違うタイプの―、自分の中の価値観や世界観を変えてくれた、“名作”だと思う…。

 総括としては―、
 ―1つの“大きな経験”が、一人一人の心を強くする、成長させる―。
 逆に言えば、口で何を言ようと、頭で何を考えようと、“経験”しなくては何も成長しない、強くはならない―。
 
 この作品は、そんなことを痛いほど感じさせてくれる、まさに人の心が成長するための“人生のバイブル”のような作品だと感じた…。

 (終)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

『無限のリヴァイアス』にみる「鬱作品」と「秩序と現実」と「フランス史」についての考察

人間がもし秩序の無い閉鎖的空間に取り残されてしまったらどうのような行動を取るのだろうか。本作ではいつ終わるか分からない旅の中で織り成される人間模様の現実的な恐ろしさと残酷さを毅然と描写している。始めは穏やかだった人々の心境の変動は本作の醍醐味の一つであろう。群衆の狂気ともいえる情緒の移り変わりや主要人物達の葛藤を、二十六話をかけてじっくりと描き出している。艦内の秩序と統治方法の変遷は、まるで歴史の流れを見ているかのようだった。
また、本作は様々な人物が登場し活躍する群集劇である。登場人物の多様さと優柔不断の主人公が理由で、始めは余り感情移入することが出来なかったが、それぞれの人物の特異な背景を顧みると、少し遠くから眺め見る、客観的な鑑賞の楽しさがあった。

このアニメはもっと早くに見るべきだったと感じた。今まで私が敬遠してた理由は「作画の特性」と「子供が活躍するロボットアニメ」の二点なのだが、それらの苦手要素を凌駕する面白さであった。もしも同じような理由でこのアニメの視聴を避けている方がいたら、是非再検討を。「トラウマ」を考慮して、子供ではなく「大人」にオススメのアニメ。

■無限に続く秩序なき闘争状態
タイトルの「無限のリヴァイアス」は、ホッブズの「リヴァイアサン」が由来なのではないだろうか。ホッブズは人間が自然権を行使する自然状態は「万人の万人に対する闘争」の場であると表現し、平和と安全を達成するために人間は社会契約によって自然権を国家に移譲するべきだと説いた。そうしなければ、人々は永続的な危険と恐怖に苛まれると。そして権力の集合体である国家を指して、(怪獣)リヴァイアサンと呼んだ。タイトルの「無限のリヴァイアス」とは、「無限に続く秩序なき闘争状態」を言い表したかったのだろうか。

■「鬱作品」について ―「鬱と希望」と「秩序と現実」―
本作は「鬱作品」として周知されているが、本作には「鬱」に優る「希望」が包含されていると私は思う。それはこの作品の題材の一つでもあろう人々の成長物語に感化され共感を得たからだ。特に最終話の存在は鬱というより希望だと思う。寧ろ本作のモチーフであると言われる小説『蝿の王』の方が、悲惨な結末であったと私は記憶している。

この作品が鬱作品ではないと思う由縁はもう一つあり、私は今の現実の世界も「無限のリヴァイアスのようなもの」だと思う。
例えば日本。確かに日本は秩序ある安全な国だと評判だ。因みに「国」の存続に重要なのは「秩序」と「個人」の平衡だが、「力」がないと秩序は守れない。国内社会においては力は警察や裁判所などが有している。米国のように「個人」が銃を所持して自分の身を守る方法もあるけど、それは時には「秩序」を乱すこともある。そういった意味も踏まえれば、日本は世界の中でも「秩序」と「個人」のバランスが上手くいっている国だと思う。しかし日本でも殺人や暴行事件が全く無い訳ではない。それ故個々の事象に嘱目すれば、本作の人間模様も一概には「非現実的」だとは言えないのではないか。

また、国際社会においても同様なことが言える。殊に世界は「無秩序」だ。ヘドリー・ブルという人物が「主権国家から成る社会」の成立によって世界には一定の秩序が存在すると論じたが、世界には単一の中心的な権威が存在しないことは無視できない点である。それ故国際法を強制する主体は国際社会に存在しないし、国際司法裁判所の法的拘束力は「強制管轄権」を受諾した国にしか適用されない。世界の警察はいない。世界は未だ国家間の「力の体系」である。他国で不合理な出来事があったとしても内政不干渉の原則で我々は何も出来ないし現に何もしていない。国際連合は非民主主義的で、常任理事国は拒否権というあこぎな特権を有している。紛争、貧困、飢餓、テロなど、様々な悲劇もなくなる気配はない。世界は無秩序で暴力的で不条理だ。

所謂「発展途上国」でも同じだ。私は発展途上国で沢山の貧困者を見てきた。開発が原因で土地を追われ、物乞いをしながらも些細なモノを売って生活する人々。親に捨てられ住む家も靴すらもない子供たち、そんな子供たちも生きるために必死でなにか出来ることをして行動している。そんな世界では、鬱は死だ。鬱でゴロリと横になってる間に飢えで死ぬだろう。世界には彼らのような困窮な生活を過ごしている人が大勢いる。世界は不平等で残酷だ。

現実を見れば、世界なんてそんなものだ。世界は暴力と欲望と利己と不平等と言葉では言い表せないほどの卑しさで溢れている。そんな世界の中で、何かしらの「共通性」と「暴力」に拠って秩序は辛うじて保たれている。世界は「リヴァイアス」だ。この作品は鬱かもしれないけど、この作品の中の世界には鬱に優る希望がある。この作品を鬱だと思うことができるのは、相当幸せな生活を営んでいて、相当美しい世界を見ているのだろう。それを否定しないけど、この作品は現実に「当たり前に存在していること」を描いているにすぎない、ということだけは主張したい。

■フランス史との関連性と、統制する側の問題点
自学のために、無理やり「フランス史」を絡ませてもう少し考察
{netabare}
■【ルクスン政権】貴族制
ルクスン政権は貴族制だろう。成績をモニターに公表したのは能力主義、そしてエリートを集め、有能な少数の人たちで統制するのは貴族制。まさに合理的だった。(チャーリーへのハニートラップと、ルクスン政権の隠ぺい行為を口実にしたブルーの反乱が誤算だった)

■【ブルー政権】ルイ16世
ブルー政権は王政だ。ポイント制(貨幣制度)と監視制度は秩序をもたらした素晴らしい制度だと思う。ポイント制が資本主義でないのは、供給側が一元的だから。(社会主義的)
※戦況の悪化。そして、ハイぺリオンへ逃走しようとして失敗したブルーは、フランス革命の際にパリから脱出しようとして失敗したルイ16世さながらだ。

■【ユイリィ政権】フランス革命
民衆の反乱、王政の廃止、ブルー一派への集団暴行。まさにフランス革命だ。
(ブルーが逃げ切れたのは容姿が端麗だったからだろう)
政権については、「皆で決めたんだから」と、ユイリィが否応なしにリーダーにされた。この言葉から恐らく製作者側にとっては民主制(民主的決定)のつもりだったのだろうか。
しかし「無限のリヴァイアス」の元凶はここにあったと思う。
社会では、闇市場が出来、ポイント制は腐敗し、秩序も悪化する。結果は衆愚制(民主制の堕落形態)。民主主義が絶対の体制でないことがうかがえる。というより、民衆(残りの400人以上の大衆)の意見をないがしろにしたのだから、実際は寡頭制(貴族制の堕落形態)。民衆は醜い争いを見せるための脇役でしかなかった。ユイリィは総合的な決断力を求められるリーダーに適さなかったため辞任。リーダーがいない社会は混沌へ。

■【無政府状態】混沌
リーダーの不在により社会はほぼアナーキーとなり、治安は劣悪状態に。
実際のフランスでも革命後は恐怖政治などで、国内情勢は疲弊し不安定に。

■【イクミ政権】ナポレオン・ボナパルト
ここでナポレオンこと、イクミ登場。英雄兼、独裁者。イクミカッコイイ(?)
ナポレオンはフランス革命の理念を各地に「輸出」しようとした。
イクミも暴力によってイクミの思想を「輸出」して、社会に再び秩序が訪れた。
ナポレオンは、日本の旧民法の参考にもなったナポレオン法典を作った。
イクミも秩序のための公言をした。
「過ちを犯すな!もめるな!争うな!なじるな! 傷付けるな! 普通でいろ!」

イクミは頑張ったと思う。

■投降
イクミとリヴァイアスは投降し、リヴァイアス政権とフランス史の関連性は終り。

■【ルクスン・北条政権】
新たな船出のリーダーは、ルクスンに決まったけど、あまりにも適当な統帥の決め方に驚愕した。多分また暴動が起るだろう。でも結局、彼の政権が一番マシだったとも思う。

リヴァイアスを統制する側の権力の移り変わりは、まるで歴史の流れ(フランス史)を見ているかのようだった。そして、それぞれの「政権」がそれぞれの良さを持っていた。しかし、私はこの作品を見て「大衆の愚かさ」よりも「支配する側の愚かさ(統制の大切さと難しさ)」を感じた。支配する側は明らかに大衆を軽視していた。つまり、「リヴァイアス」はなるべくしてなったのだと思う。
とはいえ、私はどの政権も否定したくない。何故ならどの政権も前の政権を乗り越えて、より良い環境を築くために出来たものだからだ。既存の体制も法律も伝統も、そういった先人たちの積み重ねによって出来たものだから、何に対しても、その存在自体を悪だとは思いたくない。過去は捌け口にするためにあるのではなく、糧にして、その先を生きていくためにあるのだから。{/netabare}

{netabare}この作品の最後は、ゲドゥルトの海に覆われてしまった地球から、リヴァイアスが脱出するシーンで終わる。もっと未来の世界だ。その時代はきっと、昂治も祐希もアオイもカレンもブルーも、みんな死んでしまった世界なのだろう。それが何だか悲しいけど、彼らの希望が未来に繋がった事が嬉しかった。
私も、昂治が最後に言ったように、いつか滅びるこの世界と人類の未来のために、微力ながら何か力になって死ねれば本望だと思う。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24
ネタバレ

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

登場人物の中から1人を新入社員として採用するとしたら

途中からずっとそんなことを考えながら観ていました。
リヴァイアス艦内における、各人の行動を前提に、「総合職:採用1名」と仮定した場合、自分だったら誰を採用するだろうか、と。
つくづくイヤな視聴者だと思う。

結果は、ルクスン・北条の一択ですね。
正直スキルは足りないし、プライドだけは高い。それでも、誰かひとりを採用するとしたら、彼が群を抜いて高評価なのです。

足りないスキルは習得させればいいし、高すぎるプライドは打ち砕けばいい。教育でどうにかなる部分なんてどうにでもなる。

彼の長所は、そのずば抜けたストレス耐性です。
あそこまで完膚なきままに打ちのめされ、なお自分というものを見失わず、心が腐らず、折れず、目先のTodoに専心できる、あの鋼のマインド。
これは訓練だけでどうにかなるものではなく、ある種の、長年の環境によって培われた楽天家気質がなければ不可能なことです。
ポテンシャル採用させていただきます。

足を動かせない頭でっかちの参謀クンや、お勉強は出来るけどストレスに弱いユイリィ・バハナさんは採用見送り。生きるか死ぬかの状況で胸キュンを優先させちゃうほとんどの女性陣もアウト。弊社が求める基準には達していません。ましてや相葉ユウキなど論外。旅人でもやっててください。

途中までは、コミュニケーション能力に抜きん出たものをもつ尾瀬イクミも候補に上がってたんだがなあ。結局、セルフコントロールに難があることを露呈してしまいました。
次点は、ツヴァイの女性クルーのランかな。リーダー候補としては厳しいけど、ルクスンが他社に決まってしまったら、彼女を採ります。


という雑談はさておき。
本作は、あまりにも多くの示唆を含んだ歴史的名作といえるでしょう。漂流モノを扱ったアニメの金字塔と呼ぶにふさわしい出来。


●これは『蝿の王』か?

この手の「漂流物」で思い出すのは、なんといっても『ロビンソン漂流記』。日本では子供向けの印象がありますが、もともとは完全な大人向け作品です。そして、馴染みの『十五少年漂流記』。極めつけは、世界的な評価を受けたゴールディングの『蠅の王』でしょう。

では、『無限のリヴァイアス』は『蠅の王』なのか。

違うと思う。
というか、違うからこそ価値があると思ってます。

『蠅の王』における人間の暗部は、「無垢」というキーワードと結びついてはじめてその残酷さに表現力を持ちうる類のもので、本作のように、就職を視野に資格試験を受けるような、一定程度成熟した若者たちによる極限の人間行動とはだいぶ趣が違います。
本作には『蠅の王』におけるサイモンのような、無垢を武器に暗黒と対峙できる人物はでてきません。あえて言うならコウジがそれですが、彼は無能でも無垢でもありません。弟のユウキから無能となじられますが、わかってねーなー、て話です。

大事なのは、皆それぞれ、ある程度「オトナ」であり、人が打算で動く生き物ということを、少なくとも頭では理解しているということです。ポイント制が導入されたあとの乗組員の行動を見れば明らかでしょう。
であるからこそ、本作では、その前提の上での「秩序の立ち上がり方」という、より実践社会学的なアプローチに、その照準を定めることに成功しているのです。
もちろん、社会的動物としての人間の在り方と、それに対する極限状況下での例外、という点では『蠅の王』と共通していますが、その手のテーマはけっこうありふれてるからなあ…。特に新鮮味もないわけで。

どちらかというと、『カイジ』の地下施設のアレが、実はいちばんこの作品との接点が多いのではないかと思っています。
むしろ、キーワードは「囚人のジレンマ」じゃないかなと。それも、いわゆる「無限回繰り返し型」のジレンマ。宇宙空間をまるで囚われ人のように流されいく主人公たちを思うと、なおさらそう思えてくるのです。


●統治の根拠
{netabare}
操船課ツヴァイによる一望監視的官僚支配。
エアーズ・ブルーによる独裁支配。
ユイリィ・バハナによる啓蒙路線の合議制支配。
尾瀬イクミ及びその憲兵による武力統治。

さまざまな体制が立ち現れます。

そのどれもに、長所と短所はあるけれども、前体制の至らなさを克服しようとする意気が感じられ、何よりも、「体制を立て直す」という若者たちの苦難と、工夫を凝らして秩序の運営を試みる描写が、本作品の素晴らしい見せ場となっています。もうこれだけで、このアニメには価値があるといっていいくらい。

正直、権力の分立やデュー・プロセスなんて戯言を、あの状況下で担保するのは物理的に困難だとは思います。主要スタッフに更迭がないのも、人材面での制約があるので仕方がないでしょう。
時間をかけて成熟した社会を作るより、当面の混沌を回避することに重きを置く判断は支持します。秩序が完全に失われてからではすべてが遅いですから。尾瀬イクミのような存在は遅かれ早かれ出てくるものです。

むしろ、この作品でいちばんゾッとしたのは、ユイリィ・バハナによる統治の機序。厳密には艦長就任に至る政権樹立のプロセスです。

ツヴァイの女がこんなこと言うんです。

「ツヴァイのみんなも納得してるし、生徒のほとんどが賛同してるわ」
「もう多数決で決まったことだし…」

これ。
これをさらっと言っちゃう感覚が怖すぎなんです。

・「ほとんど」って何?
・ちゃんと生徒全員が投票したの?
・ていうか、その「多数決」は誰が投票したの?
・ツヴァイだけじゃないの?
・その投票権は誰から付託されたものなの?

「多数決で決まった」で思考停止してるんです。その投票権が乗組員から付託された権利ではないにも関わらず。密室での多数決を、さも民主主義のように語る、あのセリフが一番怖いし、まさに子供だなあと。

どんな統治体制を採るにせよ、決定された事項が万人を満足させるなんてことは不可能なんです。絶対無理。そのときに重要なのは、満足できなかった人を納得させる仕組み、あるいは心理的な擬制があるかどうか、なんです(その仕組みに「武力」を選んじゃったのがイクミです)。

美女コンテストで乗組員の直接投票をやっていたでしょう。てことは、その気になれば、統治に対して直接投票ができるんですよ。でもしなかった。する気配がなかった。
直接投票が危険であれば、各部屋に班長をさだめて、彼らを集めて投票行動をとらせることだって出来た。乗組員の意思の抽出をする手段はいくらでもあったんです。

そこでの投票行動はぶっちゃけ形式的なものでも全然構わないんですよ。それでいいんです。大切なのは「プロセスを踏んで決定しました」ってことを明示すること。そうすることによって、もし決まった事項を遵守しない者が出た場合、「秩序に対する敵」として、乗組員の意思を根拠に糾弾できるのだから。

なんていうか、やれる努力をしないまま、早々に「イクミの変革」に至ってしまったことが残念であり、同時に若さゆえの想像力のなさであり、社会経験の無さなのかな、と。
{/netabare}

などと、いろいろ考えながら興味深く観ておりました。


●総評

自分の居場所の確保とかカインコンプレックスとか、情報管理とか、もろもろヘビーなトピックがたくさんあって、切り取りだしたらきりがないですね。おそろしく濃密な作品です。

とりあえず観る価値のある作品でしょう。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

66.6 7 兄弟アニメランキング7位
王室教師ハイネ(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (213)
1029人が棚に入れました
個性的な4人の王子の教育を任された家庭教師が奮闘する王室コメディアニメ第1巻。王族が住まう王宮にやって来た新しい王室教師・ハイネ。しかし、彼は受け持つ4人の王子から「王室教師とは認めない」と言われてしまう。

声優・キャラクター
植田圭輔、安里勇哉、安達勇人、廣瀬大介、蒼井翔太、浪川大輔、立花慎之介、森川智之、江口拓也

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「教師とは、生徒の心に傷を作るのではなく、希望を作るもの。わたくしは彼らの王室教師です。」

月刊Gファンタジーにて連載中の漫画が原作のアニメ。

現在も原作は連載中ということですが、
伏線をしっかり拾ってきれいに物語は完結しているので、

このアニメだけで十分満足できました^^

全12話です。


● ストーリー
グランツライヒ王国の皇太子(長男)を除いた4人の王子。

第二王子・カイ    :「ジロリ王子」
第三王子・ブルーノ  :「高圧インテリ王子」
第四皇子・レオンハルト:「プライドエベレスト王子」
第五王子・リヒト   :「チャラ王子」

彼らの王室教師として招かれたのは、
ハイネ・ヴィトゲンシュタイン(♂)。

四人の王子たちは一筋縄ではいかない存在で、
これまでの王室教師たちはすぐに辞めてしまったという。

果たしてハイネは王子たちと信頼関係を結び、
彼らを立派な王位継承者に育てることができるのか。


クセが強い王子たちと向き合い、
絆を結ぶところから物語は始まります。

1話完結で王子たちのことを知ったり、
一緒に困難を解決したりします。

イケメンキャラばかりなので、
キャラアニメなのかと思っていましたが、

ストーリーにも入り込めて、
普通に楽しむことができました^^

それぞれの王子たちの特徴や個性に合わせたストーリーで、
しっかりとスポットライトが当てられているところもいいですね♪

大きく盛り上がるような特別な話はないのですが、
飽きてやめたくなるほどつまらなくもなく。

内容も重たくないので、
さくさくっと気楽に見ることができます。

ハイネの過去や国王との関係など、
気になった伏線についてはしっかりと回収され、

特に最終話は今までの話を活かして、
とてもいい話になっていました。

この最終話で、
私はこの作品がより好きになりました^^

教師を感動させるのは、
いつでも教え子の成長した姿なのだ…(´;ω;`)


● キャラクター
四人の王子とハイネ。

やはり王子様がメインということもあってか、
全体的に画面がキラキラしていますw

そんなキラキラ王子たちに負けず、
主人公としての位置を確立しているハイネ。

無表情で淡々とした話し方をしますが、
ボケでもツッコミでも、なんでもこなしちゃうスーパー先生w

見た目は幼く見えますが、
成人男性らしいです。

プチキャラ化することも多く、
とてもかわいい♪

だけど大人の色気を漂わせることもあって…(*´Д`)ハァハァ

かわいくてかっこよくって…
って、最強なキャラだなと思いました。笑


ハイネに比べると四人の王子は少しキャラが弱い気もしますが、
その中で私のお気に入りは第四皇子のレオンハルト♪

勉強が嫌いなので一番ハイネに噛みついていた子ですが、
根は単純で子どもっぽくて、優しい子。

そんな子がハイネに懐くようになると、
あらまあ、なんとツンデレ可愛いww

おバカなところがまた可愛くて、
この作品のギャグの大部分は彼がいるから生まれています。


声優さんは俳優としての活躍が多い方が多く、
初めから舞台化が視野に入れられたキャスティングだったのかしら。


●音楽
【 OP「しょっぱい涙」/ 阪本奨悟 】

アニメでは一番と二番の歌詞がごちゃ混ぜで使われています。

明るい曲調ですが、
歌詞は王子たちの苦悩とぴったり重なります。


【 ED「Prince Night~どこにいたのさ!? MY PRINCESS~」
  / P4 with T(王子4人+ハイネ)】

私はEDの方が好きかな♪

途中の回で声優さん達がダンスしている
リアル映像バージョンが流れた時はびっくりしましたw

初めは「これはダメだわー。」と引いていましたが、
ついつい繰り返し見たくなっている自分もいてw

ダンスはちょっとダサいんだけど、
コスプレだけでなく表情とか動きとか、きちんとキャラに合っていて、
俳優さんってすごいなーと思いました。


● まとめ
最初はどちらかと言うとイケメン要素に期待していて、
ストーリーにはそこまで期待をしていなかったのですが、

最終回がよくて、
いいアニメだったと思いました!

予想以上に楽しめました♪
この作品の評価は尻上がりです^^

キラキラな王子たちにときめくもよし、
ハイネの「教育的指導です。」に背筋をシャンとさせられるもよし、
先生と生徒のコメディに笑うもよし。

女性人気が強そうですが、
男性でも楽しめる作品なのではないかなと思います。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「きちんと教育してみせます。どんな王子様達であろうと」のレビューのつもりが…

この作品の原作は未読です。
タイトルを見た時、どんなジャンルの作品か分からなかったので前情報無しで視聴を始めました。

物語の舞台はグランツライヒ王国…この国には次期国王候補として5人の王子が存在していました。
しかし、次男~5男は親の寵愛が足りなかったからか、はたまた好き勝手できる立場に胡坐をかいていたかは分かりませんが一癖も二癖もある王子に育ってしまったのです。

長男に万が一の事があった場合でも国政を盤石なモノとするため、国王は次男~5男に王室専属の家庭教師…即ち王室教師による王子たちのスキルアップを図ろうとするのですが、何故かどの教師も長くは続かなかったのです。
そんな折、王室教師としてハイネ・ヴィトゲンシュタインが選ばれ…物語が動いて行く事になります。

視聴を初めて気付いた最初の違和感…それは、抑揚のない一本調子に加え、たどたどしさというか、活舌のイマイチさを感じる声優さんが混ざっていた…という事です。

色んな声優さんがいらっしゃいます…
中には踏んだ場数の少なさを感じる事のある声優さんもいたのは事実です。
でも、そんな駆け出しの声優さんの方がはるかにプロ意識が感じられた気がします。
わざとなの…?
そういう役どころなの…?

考えてみても答えが出なかったのでwikiで調べてみてようやく理解しました。
声優が本業では無い方が演じられていたんですね。

改めて日本の声優層の厚さ…質の高さを感じずにはいられません。
2017年現在、日本には約6,300人の声優さんがいるそうです。
アニメの場合、通常は制作会社などから声優の事務所庶務にオーディションのお知らせが通達され、事務所は役柄に合うと判断した所属声優を数人選び、その選ばれた者だけがオーディションを受けられるというのが通例である。
そのため大人数の声優を抱える大手事務所では、まず事務所内での競争を勝ち抜かないとオーディションを受ける機会すらない。
そして、たとえオーディションを受けられたとしても、60本に1本受かればいいというほどの競争率と言われる(wikiより)。

新人・大物の区別も無く、己の声質と演技力だけが武器というガチンコバトルの世界…
役を掴むためにどれほどの努力が必要か…どれほど厳しい世界なのか6,300人という人数を聞いただけでピンときます。
懸命に努力しても世の中に評価されるかは分からず自然淘汰されるのが当たり前の世界…

声優さんの起用については様々な意見が飛び交っていますが、個人的にはこの業界には声優業に縁もゆかりも無い人がいたずらに首を突っ込んではいけない神聖な世界だと思っています。
声優を目指し本気で努力・研鑽を積んできた人が正しく評価・起用される世界であって欲しいと思います。

そして改めて思うのは、私の大好きな声優さんに毎期たくさん登場して貰っていますが、その裏にはたくさんの見えない努力がその声優さんを下支えしていること…
例えどんなに凄いと思える声優さんでも足元は決して盤石なんかでは無いんだということ…
どんなに有名な声優さんでも身体を壊すほど努力しなければいけないほど過酷な世界って、アニメ業界に匹敵するブラック職場なのではないでしょうか。

きっと声優さんてダイヤの原石の埋め込まれた白鳥…なんだと思います。
原石をどう輝かせるかは本人次第…
見た目は優雅でしなやかな白鳥も水面の下では懸命に足を動かし続けている…
そう考えると、可能性や希望に向かって努力している人みんなが白鳥なのかもしれませんね。

レビューの路線が思い切り外れてしまいました。
何だかんだとこの作品が完走できたのは某アニメショップに行った際、階段一面に貼ってあったこのキャラのポスター圧倒されたから…
最後まで華を追い求めて…その望みは叶いませんでしたが、変貌を遂げていく王子は嫌いじゃありません。
声優さんの起用には少々難を感じましたけれど…
でも世の中ではこんなに評価されているんだ…というのを改めて思い知らされた感じがしました。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

1クール12話の物語でした。
声優さんについて色々考える事のできた作品でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 20
ネタバレ

おぼ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ショタ教師とイケメン王子達のほっこり日常になるはずだったが……?/続編の可能性追記(8.2)

原作未読/全12話

序盤のうちは楽しめたものの、後半失速(;´Д`)
そして最後に大きく失望しました。

※レビューにネタバレはほとんど含みません

( 'ω'o[総括レビュー]o
{netabare}
1話で「男でもいけるかも?」と思わせつつ、
2話、3話の丁寧なキャラ紹介で完全に引き込んでいくstyle。

ちょっと笑えて、ほっこりできる話が多く、
6話~8話ぐらいまでは確実に面白かったと思います。

ただ、そこから失速_(:3 ⌒゙)_
なんだろ……、面白さは変わってないんだけど
単純に話に飽きてきてきたかな?といった印象でした。

そして終盤の11話で失望。゚(⊃Д⊂゚)゚。
ハイネの正体に魅力を一切感じなかったです。

終わり方は無難で良かったですが、
[ストーリー]といった目線ではそこまで高い評価はつけられない作品だと感じました。

ただ、腐女子向けにしては男子でも楽しめたし、
及第点はあげたいです。

後ひとつだけ。


7話の実写ED。ダメ、絶対。{/netabare}

( 'ω'o[観点事のレビュー]
{netabare}
[物語]/3.0★★★☆☆
ほっこりできる話が多くて良かったが、
最後のハイネの正体で失望
あれはないでしょ……(;´Д`)

[作画]/3.0★★★☆☆
普通、終始安定してました。
幼女良かったです!

[声優]/1.5★‪✯‬☆☆☆
主要キャラのうち、4人が俳優。
なんで声優を起用しなかったのか……(;´Д`)

[音楽]/4.0★★★★☆
OPのしょっぱい涙が物凄く気に入りました!
それだけなら星5にしていたのですが、
EDの実写が((

[キャラ]4.0★★★★☆
ショタハイネがとても可愛かったです!
いや……_(:3 ⌒゙)_ショタコンじゃないですよ(*`・ω・´)
マスコット的な可愛さがあるんです。。゚(゚⊃Д⊂゚)゚。

[総評]/★3.1{/netabare}

簡易点数【60点】

[続編の可能性]
{netabare}
※上の方が優先度高めです
※あくまでも個人的な意見です
※オリジナルアニメの場合は原作ストックは評価対象に入りません

※総評星評価の基準
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 
★★★★★/80%~100%
★★★★☆/50%~79%
★★★☆☆/30%~49%
★★☆☆☆/15%~29%
★☆☆☆☆/15%未満
---------------- 8×キリトリセン ---------------- 

[円盤売上]/★★★★☆
※1巻6532枚/平均6532枚(暫定)/全巻データ出揃ったら追記

[原作ストック]/評価不能
※アニメは原作改変展開+色々な話を繋げており、2期を作らないのが明白

[終わり方]/★☆☆☆☆
※原作でまだ明かされていないハイネの正体を明かしてしまっている時点で致命傷+原作と設定を色々改変している

[作品評価]/★★☆☆☆
※多数のサイトで微妙評価。
ただ、女性の評判はいい模様。

[制作会社]/★★★☆☆
※『ブリッジ』
みつどもえのみ続編を制作しています。
それ以降はなし。

[総評]/★★★☆☆
※原作改変+勝手な設定変更により、続編は不可能だと考えられます。

と、思っていましたが円盤が予想以上に売れた+普通に日常日常していたら問題なく作れるので、2期が発表される可能性はあると思います。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 47

91.9 8 兄弟アニメランキング8位
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3344)
18143人が棚に入れました
錬金術、それは「等価交換」の原則のもと、物質を理解、分解、そして再構築する、この世界で最先端の学術である。
この錬金術において、最大の“禁忌”とされるもの「人体錬成」。亡き母親を想うがゆえ、禁忌を侵し、全てを失った幼き兄弟。巨大な鎧に魂を定着された弟、アルフォンス・エルリック。機械鎧(オートメイル)をまとい、「鋼の錬金術師」の名を背負った兄、エドワード・エルリック。
二人は失ったものを取り戻すため、「賢者の石」を探す旅に出る。兄弟は「賢者の石」の真実に近づくにつれ、大きな陰謀の渦中へと突き進んでいく…。

声優・キャラクター
朴璐美、釘宮理恵、高本めぐみ、三木眞一郎、折笠富美子、内海賢二、藤原啓治、うえだゆうじ、佐藤美一、柿原徹也、浜田賢二、名塚佳織、柴田秀勝、三宅健太、井上喜久子、白鳥哲、高山みなみ、吉野裕行、沢海陽子、中井和哉、大友龍三郎

スガル72 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

錬金術について考えてみました

【鋼の錬金術師】は魅力的なキャラが多いと思います。
エドワード・エルリック、アルフォンス・エルリック、ロイ・マスタング、マース・ヒューズ、キング・ブラッドレイ、アレックス・ルイ・アームストロング、ヴァン・ホーエンハイム、グリード、リン・ヤオ。
ウィンリィ・ロックベル、イズミ・カーティス、リザ・ホークアイ、オリヴィエ・ミラ・アームストロング。
女性作家だと、男同士の友情を描くのが苦手な作家さんもいますが、荒川弘は男性キャラも女性キャラも、素晴らしく魅力的な描き方ができる作家さんですよね。

エドとアルは目的のために手段を選び、自分が救われるための他者の犠牲を受け入れません。
ロイ・マスタングは目的のために手段を選ばず、全てを救うために軍での出世を求めます。
ウィンリィはエドとアルが帰って来られる場所であろうとし、ホークアイは依存することなくロイ・マスタングの側にいて彼を助けます。
皆、魅力的ですね。

私が特に好きなのは、グリードとリン・ヤオの関係です。
グリードは創造者により造られたホムンクルスであるという支配関係に囚われず、リン・ヤオは数多くの怨嗟の中に居ても自分を失いません。
二人共、何に対して強欲になればよいのか、それに気づいてるんですね。


最後に、荒川弘に敬意を表して、私も錬金術について少だけ語っておきましょう。
賢者の石が赤い色をしている理由など。

錬金術師達は、賢者の石を追い求めていました。
賢者の石は、不老不死と知恵をもたらすものだと信じられていました。
錬金術には西洋の系統のものと東洋の系統のものが存在しますが、その根は同じです。
賢者の石が赤い色をしているのは、その材料が赤い色をした硫化水銀だからです。
硫化水銀は硫黄と水銀の化合物です。
錬金術では、硫黄は火に例えられ、水銀は水に例えられます。
その化合物は賢者の石と呼ばれ、別名を赤い黄金と呼びます。
錬【金】術と呼ばれる所以です。

古代中国では、錬金術は錬丹術と呼ばれました。
丹とは赤い硫化水銀の異称です。
錬丹を行う技術は仙術や方術と呼ばれ、不老不死薬は金丹と呼ばれました。
金丹は赤い黄金という意味です。
これを服用した者が仙人と呼ばれます。

北欧神話においては、赤い黄金はカワウソの賠償と呼ばれる神話に登場します。
あるときオーディンと旅をしていたロキという神が、カワウソを殺してしまいます。
しかしそのカワウソは、オトという者が魔法で変身した姿だったのです。
オトの父はオーディンの身柄を拘束し、ロキにカワウソの賠償を求めました。
そこでロキは、アールヴ(エルフ)の国に住むドヴェルグ(ドワーフ)のアンドヴァリの持つ赤い黄金を奪い、オーディンの身代金に充てました。
この赤い黄金は、竜に化身したオトの兄弟ファーヴニルによって永い時を守られていましたが、英雄ジークフリート(シグルズ)によって奪われてしまいます。
ジークフリートはこの竜を倒してその心臓を食べ、知恵を手に入れます。
そのとき竜の血を浴びて不死も手に入れたそうです。
伝説ではこの後、ジークフリートはその血を唯一浴びなかった箇所を狙われて、死んでしまいます。
その後赤い黄金はジークフリートの妻の兄弟に渡り、フン族(古代中国の漢と敵対した匈奴の一族)の計略(ジークフリートの元妻と結婚し、その兄弟を祝宴に招く)により、ジークフリートの義理の兄弟は囚えられますが、その兄弟の兄が弟の心臓を要求してこれを殺し、自分も自殺して赤い黄金の秘密を守りました。

このフン族は、考古学的にはアジアからヨーロッパに向かった匈奴族のこととされます。
中国と敵対していた匈奴は、冒頓単于(ぼくとつぜんう)の時全蒙古を支配し、漢の劉邦を降しました。
後漢の時、匈奴は南北に分裂し、五胡十六国の乱に活躍した南匈奴は、北魏の華北統一後に漢人と融合同化し、北匈奴は2世紀の中頃カザフスタンに移住します。
4世紀ヨーロッパを荒したフン族が、この北匈奴の子孫だとされます。

司馬遷の史記、匈奴列伝より
『冒頓単于(前209-前174)の時、匈奴の騎兵隊は、西方の軍がすべて白馬、東方の軍がすべて青ぶちの馬、北方の軍がすべて黒馬、南方の軍がすべて赤みがかった栗毛の馬に乗っていた。』

旧約聖書ゼカリヤ書には、天の四方に向かう風と呼ばれる赤・黒・白・まだらの四種類の馬の引く戦車が登場します。

新約聖書ヨハネ黙示録には、赤・黒・白・青白の、世界の四分の一ずつを支配する馬が登場します。

古代インドには、マハーバーラタにも登場する、王者の行う祭式の中でも最高位のものとされる馬祀祭(アシュヴァメーダ)というものがありました。
それは太陽の象徴である神聖な馬を、東西南北の四方位に導く祭式です。
アシュヴァメーダの祭詞
『汝は天界に三個の親縁を有す。三個それは水中に。ゆえにヴァルナと同一』

エジプトはもともと太陽崇拝の国ですが、ピラミットの四辺は正確に東西南北に面しているそうです。
四辺+頂点で、四角錐を作れますよね。
ちなみに、ピラミッドは中南米にもあります。

マヤ族の神話には、チャクと呼ばれる四方位神が登場します。
東のチャク・シブ・チャク(赤い人)、北のサク・シブ・チャク(白い人)、西のエク・シブ・チャク(黒い人)、南のカン・シブ・チャク(黄色い人)。

中国には東海青竜王・南海紅竜王・西海白竜王・北海黒竜王の、四海竜王の伝説があります。
また玄武、青竜、朱雀、白虎の思想は、中国の戦国時代(前403-前221)頃に現われたそうです。
黒い玄武は北を表し、青い青竜は東を表し、赤い朱雀は南を表し、白い白虎は西を表します。
中国の四方位神の一人である白虎は、金星の化身とされ、艮(ウシトラ)方位の鬼門の魔神とされます。
白虎は別名を金神(こんじん)、太白(金星)、白帝、西海白竜王といいます。

アステカの神話では、四方位神の一人、西を守護する白いテスカトリポカ(人類に文明と火を与えた白蛇神ケツァルコアトルの別名)の心臓が、炎の中で焼け残り、天に登って金星になったといいます。
ちなみに東を守護する赤いテスカトリポカ(別名はトナティウで人身御供を司る神)もいます。
アステカ人は、生きた生贄の心臓を太陽神に捧げていました。
伝説では、トピルツィン・ケツァルコアトルという、ケツァルコアトル神の名を持つ首長は、生贄の風習に反対して敗れ、『黒と赤』の国に去ったそうです。

ジークフリートは竜の心臓を食べて知恵を手に入れ、竜神ケツァルコアトルの心臓は天に昇って金星になります。

金星は、古代インドでは知恵を授ける星とされました。
菩提樹の下にいた釈迦も、明けの明星(金星)を見て悟りを開いたそうです。
仏教では金星は虚空蔵菩薩と呼ばれ、知恵の化身とされます。
漢訳された虚空蔵菩薩の『虚空』とは、サンスクリット語ではアーカーシャといいます。
アーカーシャとは古代インドの思想で、過去・現在・未来の全ての知識が収められた空間のことです。
つまり『過去・現在・未来の全ての知識』を蔵した菩薩が、虚空蔵菩薩というわけです。

日本に真言密教を伝えた空海は、この金星の化身である虚空蔵菩薩の修行法(虚空蔵菩薩求聞持法)を行い、金星が口中に飛び込んだ幻を見て、どんな経典でも一語一句違わずに暗記できるようになったそうです。

日本の陰陽道とは中国の仙道(道教)が伝わったものですが、陰陽道では金星の精を金神(こんじん)と呼び、艮(ウシトラ)方位の悪神として、鬼門の神と呼びます。
陰陽道の金神は、別名を白虎といい、黄帝を頂点にした四方位神の一人です。
この黄帝を頂点にした四方位神は、木火土金水(もくかどごんすい)で表され、五行と呼ばれます。
図にすると五芒星(ペンタグラム)になります。
陰陽師の安倍晴明は、この五行印を好んで使用し、家紋にも用いました。
安倍晴明が使用した五芒星は、晴明桔梗と呼ばれます。

この五芒星は古代バビロニアでは、ギルガメッシュ王が不老不死を求めるきっかけとなった、金星の女神イシュタルの象徴でした。
ギルガメッシュ叙事詩の中でギルガメッシュは、不老不死を求めて太陽の通り道を辿ります。

五芒星は黄金比を持ちます。
円に内接する正五角形の構成要素である、二等辺三角形から作られる二種類の菱形。
この細い菱形と太い菱形の比が黄金比ですが、太い菱形の内角は72° と108°で構成され、細い菱形の内角は36°と144° で構成されます。

ヨハネの黙示録には、144000人の信者・42ヶ月・1260日・3日半・獣の数字666という数字が登場します。
42ヶ月は日数に直すと1260日なので、この二つの数字は同じものです。
3日半を年として考えれば3年6ヶ月です。
3年6ヶ月は日数に直すと1260日なので、この三つの数字は同じものです。
3年6ヶ月の36という数に注目して、1~36までの数字を順番に足してみると(1+2+3+・・・36)、答えは獣の数字と同じ666です。
そして144000が36を四倍した数144を表していると考えれば、
12×3=36
36×1=36
36×2=72
36×3=108
36×4=144

ヒンドゥー教の神話では、世界は生滅を繰り返していて、
その1サイクルは四期に分けられ、それぞれの期間はユガと呼ばれます。
第一期のクリタ・ユガは172万8000年続き
第二期のトレーター・ユガは129万6000年続き
第三期のドヴァーパラ・ユガは86万4000年続き
第四期のカリ・ユガは43万2000年続き
世界の消滅の後、また世界は生成され、同じサイクルを歩みます。
現在の人類は四番目のカリ・ユガに生きているとされます。

この数字が何を表しているかというと、

第四期のカリ・ユガの43万2000年を二倍すれば
第三期のドヴァーパラ・ユガ86万4000年になり

第四期のカリ・ユガの43万2000年を三倍すれば
第二期のトレーター・ユガ129万6000年になり

第四期のカリ・ユガの43万2000年を四倍すれば
第一期のクリタ・ユガ172万8000年になりますよね。

そしてこの四期を一年の4季節、春夏秋冬と考えれば、
一年の12分の1、つまりカリ・ユガ43万2000年の三分の一は
144000年になります。

つまり
144000×3=43万2000
43万2000×1=43万2000
43万2000×2=86万4000
43万2000×3=129万6000
43万2000×4=172万8000

太陽は黄道12星座の上を、右回りに巡行して行きますが、基点とされる春分点における太陽の位置は、72年で1°づつ、背景の黄道12星座に対して、左回りに逆行して行きます。
一周は360°ですね。
25920年で一巡し、この春分点における太陽と、太陽の進行方向と逆方向にスライドして行く背景星座との見かけ上の関係を歳差と呼びます。
25920÷12は2160年です。
2160年毎に天の春分点における太陽の背景12星座の位置は、スライドして隣の星座に移り、古代の神秘主義者はその背景星座を時代の星座と呼びました。

漢初までに作られたと言われる易の解説書、繋辞上伝によれば、
天を表す数は1・3・5・7・9
地を表す数は2・4・6・8・10
天数と地数の合計は55(1+2+3+・・・10)で、この55の数が全ての変化を表すとあります。
さらに易の乾(天)の策数は216本、坤(地)の策数は144本、合計360本で一年を表すとあります。

ヨハネ黙示録ではサタンは赤い竜の姿で現れ、イエスは子羊の白い血に染まった白い衣を着て、明けの明星(金星)と呼ばれます。
イザヤ書では、バビロンの王は天から落ちた明けの明星(金星)と呼ばれます。
西洋の伝説では、光の天使だった堕天使ルシファー(明けの明星を表すラテン語)も、天から落ちた明けの明星(金星)と呼ばれます。

リグ・ヴェーダ
『言語は四個の四分の一と測定せられたり。バラモン達は熟慮してこれを知る。三個は、秘密に隠されて運動せしめられず。言語の四分の一を人間は語る。』

『されどプルシャはさらに強大なり。万有は彼の四分の一にして、彼の四分の三は天界における不死なり。プルシャは四分の三をもって高く昇れり。彼の四分の一は、下界にありて新生せり。』

ブラーフマナ
アグニは始め四つに分かれていた。彼らが最初にホートリ祭官の職に選んだアグニは逃れ去った。第二番目に選んだアグニも逃れ去った。第三番目に選んだアグニも逃れ去った。そこでこの現在のアグニは恐怖のために身をかくした。彼は水の中にはいった。彼を神々は発見して、無理に水から連れ戻した。』

チャーンドーグヤ=ウパニシャッド
『心臓には褐色の微細な脈管がある。白色のもの、青色のもの、黄色のもの、赤色のものなどがある。この太陽も褐色であり、白色であり、青色であり、黄色であり、また赤色である。』

旧約聖書の創世記では、知恵の木の実と命の木の実の生えるエデンの園には、四つの川が流れています。

無量寿経より
『さまざまな宝石よりなる青蓮華、紅蓮華、黄蓮華、白蓮華に満ちた、美しい川や池を見たであろうか』

中国の仙界である崑崙は、四階層に分かれていて、この人間の世界はその最下層にあるとされます。
この崑崙の上層には、玄武・青竜・朱雀・白虎に四方位を守護された、黄帝が住むそうです。

玄武・青竜・朱雀・白虎は別名を黒帝・青帝・赤帝・白帝と呼ばれ、中心の黄帝と合わせて天帝と呼ばれます。

中国には易経に載る、四象(ししょう)というのがあります。
太陰(吸気)・少陽・太陽(呼気)・少陰です。
この四象は太極という一点から生じます。

インドのウパニシャッドによれば、白い心臓には四方位と上方を守る五人の門番がいて、上方の道を辿ると太陽に達し、人は不老不死になるそうです。
この五人の門番は、呼気・吸気・腹気・体気・上気と呼ばれます。
四辺+頂点で、四角錐を作れますね。
この四辺を円=球で表現したものは宝珠と呼ばれます。

ユダヤ教神秘主義思想のカバラによれば、世界は四階層に分かれていて、この人間の世界はその最下層(最外層)にあるそうです。
そしてこの四階層世界は、アイン・ソフという一点から生じます。

仏教では第八識である阿羅耶識(あらや識)を最高の境地とします。
第一識~第五識までは五感の対象世界で、この物質世界のことです。
第六識は意識界で第六感の対象世界です。
第七職はより高次の末那識(まな識)界です。
第八識はさらに高次の阿羅耶識界です。
こうして見ると四階層ですよね。
さらに八識である阿羅耶識の清浄な面を九識として捉える考え方があり、その場合の九識を阿摩羅識(あまら識)と呼びます。
これも螺旋として見れば、四角錐を作れますね。

キリスト教の十字架も、四方に伸びています。
エジプト、南米、ケルト、インドにも、十字架が象徴として存在します。

前ニ世紀の漢初に成立した淮南子より
『天の道を円といい、地の道を方という。方は幽をつかさどり、円は明をつかさどる。円は気を吐くもの、そこで火を外景という。幽は気を含むもの、そこで水を内景という。気を吐くものは万物に施し与え、気を含むものは万物を同化する(淮南子・天文訓)』

カバラの聖典セフェールイエツィラーから
『上には竜座が、下には世界が、そして最後に人間の心臓がある。
  その真中に神があり、万物を支配している。
  第一元素とは、風、水、火である。
  火は上に、水は下にあって、風の息が両者の均衡を保っている。』

創世記のエデンの園におけるアダムの創造神話では、『主なる神は、土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた(創世記2.7)』とあります。
創世記のノアの時代には、『その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだ(創世記7.22)』とあります。

詩編
『(神の)御口の火は焼き尽くし、炎となって燃えさかる(詩篇18.9)』
『あなた(神)の怒りの息に世界はその基を示す。主は高い天から御手を遣わしてわたしをとらえ、大水の中から引き上げてくださる(詩篇18.16)』
『御言葉によって天は造られ、主の口の息吹によって天の万象は造られた(詩篇33.6)』
『息吹を取り上げられれば彼らは息絶え、元の塵に返る。あなたはご自分の息を送って彼らを創造し、地の面を新たにされる(詩篇104.29)』
『人間は息にも似たもの(詩篇144.4)』
『御言葉を遣わされれば、それは溶け、息を吹きかけられれば、流れる水となる(147.18)』

エズラ記
『水と火の間には、たった一本の道しかなく、しかもそれは一人の人がやっと通れるくらいの小道である(ラテン・エズラ記7.8)』
『あなた(神)は今、母胎の中に体を形づくってこれに命を与え、器官を与えられると、この被造物は火と水の中で守られます(ラテン・エズラ記8.8)』
『知恵の火をあなたの心にともそう(ラテン・エズラ記14.25)』
『主は人を造って、体の真ん中に心を置き、それに霊と命と知性と全能の神の息吹を送り込まれた(ラテン・エズラ記16.62)』

ヨハネ福音書
『初めに言葉があった。言葉は神と共にあった(ヨハネ福音書1.1)』
『彼らに息を吹きかけて言われた。聖霊を受けなさい(ヨハネ福音書20.22)』
新約聖書の中でイエスはしきりに、『わたしを信じる者には永遠の命を与える』と語っています。

ギリシア語で書かれた新約聖書では、神はアルファでありオメガであるものと表現されます。
そして、神は始めであり終わりであるものと説明されます。
これはギリシア語のアルファベットの最初の文字がアルファで、最後の文字がオメガという所から来ています。
さらにこれは、仏教等のインド哲学で用いられる、阿吽(あ・うん)の思想とよく似ています。
阿吽とはサンスクリット語のアルファベットで、それぞれ最初の文字と最後の文字のことです。
阿吽とはインドの聖音オームを分解した文字で、寺社の門前の狛犬や仁王像が、一方では口を開き、他の一方では口を閉じているのがこれを表しています。
阿吽の阿は真我(アートマン)を表し、吽は梵天(ブラフマン)を表し、個人の真我は世界に遍在する梵天とかわらないという意味で、梵我一如と表現されます。
阿(a音)である真我(アートマン)とは、元々呼気を擬人化したものです。
聖書では、創世記で神の息を吹き込まれて生命を得たアダムや、ヨハネ黙示録で神の息を吹き込まれて復活する二人の証人等があります。

古代中国の思想では、人は魂魄(こんぱく)の融合から生じます。
魂は陽の気で、天に昇るほどに軽くて澄み、魄(はく)は陰の気で、地に下るほどに濁りて重いと説かれます。
呼吸の呼気を火(陽気・魂=こん・円)、吸気を水(陰気・魄=はく・方)として表現する道家の思想です。
東洋思想の『気』とは、ギリシア語での『アウラ』(原義は息や風のそよぎで、人間の身体を包んでいるとされる光彩=オーラ)と同じものを指します。
またギリシアでの魂(プシュケー)は、息という語源を持ちます。

ブラーフマナより(前800年頃成立)
『アグニ(言語と火の神)は始め四つに分かれていた。彼らが最初にホートリ祭官の職に選んだアグニは逃れ去った。第二番目に選んだアグニも逃れ去った。第三番目に選んだアグニも逃れ去った。そこでこの現在のアグニは恐怖のために身をかくした。彼は水の中にはいった。彼を神々は発見して、無理に水から連れ戻した。』
『いかなる人にもあれ、その人が病患なく生存するようにと願うならば、その人に口を開かせて息を吹きかけるべきである。アムリタをもって実に彼に息を吹きかけることとなる。』

ウパニシャッド(前五世紀頃から形成される)

チャーンドーグヤ=ウパニシャッドより
『人はヴァーナ(体気)こそウドギータ(サーマ・ヴェーダの吟誦)と崇むべきである。吸気がプラーナであり、呼気がアパーナであり、そしてプラーナとアパーナの結合がヴャーナである。ヴャーナとは言語である。その故に、人は呼吸することなく、言語を発する。』
『かの(白い)心臓には、神の出口が五つある。
その東の出口とは、プラーナ(吸気)であり、目であり、太陽である。
その南の出口とは、ヴャーナ(体気)であり、耳であり、月である。
その西の出口とは、アパーナ(呼気)であり、言語であり、火である。
その北の出口とは、サマーナ(腹気)であり、意であり、雨である。
その上の出口とは、ウダーナ(上気)であり、風であり、虚空である。
ブラフマンのこれら五人の従者は天国の門番である。』
『かのブラフマンは四足である。
言葉はその一つ足である。
生気はその一つ足である。
眼はその一つ足である。
耳はその一つ足である。』
『(白い)心臓には褐色の微細な脈管がある。白色のもの、青色のもの、黄色のもの、赤色のものなどがある。この太陽も褐色であり、白色であり、青色であり、黄色であり、また赤色である。』
『(白い)心臓には百と一の脈管があり、それらの一つは頭から出ている。
それを通って上昇し、不死に赴く。
他の脈管はあらゆる方向に出口がある。』
『彼(プルシャ)にはヒターと称するそれらの脈管があり、一本の毛髪の千分の一ほどに微細で、白、青、黄、緑、赤色の液で満たされています。』

プラシュナ=ウパニシャッドより
『かのアートマンは実に(白い)心臓の中にある。そこには101本の脈管があり、それらの一本ごとに百本ずつの小脈管があり、この小脈管の一本ごとにそれぞれ72000の毛細管がある。ヴァーナ(体気)はそれらの中を速やかに動きまわるのだ。次に、一本の脈管によってウダーナ(上気)は上昇し、善行によって福徳の世界へ、悪行によって禍悪の世界へ、善悪両行為によって人間の世界に導く。』

リグ・ヴェーダより(もっとも古い部分で、前1200年頃成立とされる)
『十二輻を有する天則の車輪は、天の周囲をたえず回転す、そは老朽におちいることなければ。子らは、アグニよ、対をなしてその上に乗りたり、720。』
『言語は四個の四分の一と測定せられたり。バラモン達は熟慮してこれを知る。三個は、秘密に隠されて運動せしめられず。言語の四分の一を人間は語る。』
『されどプルシャはさらに強大なり。万有は彼の四分の一にして、彼の四分の三は天界における不死なり。プルシャは四分の三をもって高く昇れり。彼の四分の一は、下界にありて新生せり。』

ヘルメスのエメラルドタブレットより
水銀の循環の結果、『黒いねばねばした物質ひき蛙(錬金術用語)が出来るにちがいない。これは完全なる腐敗または化合物の死を意味する。この黒い粘り気のある物質はやがて、必ず白化し、次には赤化するだろう。』

1606年にナポリで作られたヘルメスと錬金術の図より
『彼は、黒そしてその次に赤のために、白い衣服を持つ。』
『この新しく生まれた黒い息子はエリキサーと呼ばれ、純白化されるであろう』
『黒い雲が過ぎ、偉大な白が完成された』
『私を白くするものは私を赤くする』

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

現実(旧作)は厳しいものですが、工夫(本作)すれば、こういう結末もあるんだよ?

結末が素晴らしい....。


http://www.anikore.jp/review/1001599/
の続きみたいなものです。

■少年向けテイストな本作

手塚治虫「子供の夢を無くすことは漫画で絶対にしてはいけないこと」

wikipediaで鋼の錬金術師の項目を調べてみると、旧作と本作でジャンルが違うって知っていましたか?
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」は、ジャンルがファンタジーになっているのですが、旧作の「鋼の錬金術師」はダーク・ファンタジーになっているのですよね。それほど作風が違うということです。

私が、旧作よりもこちらを支持している理由は、手塚治虫の言う通りですね。漫画やアニメの支持層が子供が多かったということもありますがが、「鋼の錬金術師」は少年向けなので、この台詞を引用しても良いはずです。

本作は、少年向けテイストとして作られています。もちろん、あにこれのタグに女性受けが良いと書いているように、様々な層から支持を受けているアニメです。

そのため、旧作に比べると観やすく、様々な年代におすすめできる作品です。

■エンターテイメント性

エンターテイメント性が高く、キャラクターの魅力や驚きの展開を使って、旧作よりも上手くバトルシーンを描いています。ただちょっと冗長なシーンがあったので、そこはマイナスポイントです。
{netabare} 対エンヴィー戦で、エンヴィーがホークアイ中尉に化けてマスタング大佐を襲おうしている風に視聴者に思わせて、実はエンヴィーが化けていたのはマスタング大佐の方で、ホークアイ中尉を襲おうとしていたという展開が上手かったです。トリックが上手で、思わず「あっ」と驚いてしまいました。モブとの戦いは、ただ力を押しの展開が多くて面白くなかったですね。

「マスタング大佐 対 ラスト」が一番面白かった印象があります。マスタング大佐の魅力が存分に発揮されたからという理由もありますが、テンポが良く、まさか手負いのマスタング大佐が、火で体を炙って戻ってくるとは、想像もしませんでした。
ドクターマルコーが、エンヴィーを捕えるために作戦も工夫されていて面白かったです。{/netabare}

ストーリーについては、後半がだらだらとしている印象を受けましたが、ラストの締め方がとても上手かったので、非常に救われた気分になりました。旧作で深く掘り下げていたシーンは、軽く扱われており、あまり違いにびっくりしました。
しかし、中盤にしっかりドラマを描いてくれたので、終盤は心打たれる良い展開が多かったです。{netabare} アルがエドの腕を治そうとするシーンなんて、あまりに胸を打つ展開で、感化されて泣いてしまいました。 {/netabare}

政治的な争いも、少年向けらしくあまりドロドロせずに、エド達の仲間が大円団になって、かつ心理戦が面白い抗争を繰り広げています。誰が大総統になるかという落としどころも良かったです。

サブキャラクターの扱いも凄く良いのですよね。
グリードとリン・{netabare} ヤオの組み合わせは凄く良くて出来ているなと思いました。グリードが最初は仲間のことなんて大切に思っていなかったのに、リン・ヤオの考え方に影響されて、自分は仲間がほしかったことに気づきます。
マスタング大佐が、ひゅーずの仇を打つために必死になっていたのを、エド達が諭したシーン。大総統になる人間が、復讐に染まって道を踏み外してはいけないというエド達の考えに凄く胸が打たれました。
エンヴィーが人間に嫉妬していたというのも、かなり納得がいく展開で、加えて驚きと、感動も得られる良いシーンだと思いました。
序盤のエンヴィーの人間を小ばかにしていたような台詞やシーン。実はそれが嫉妬によるもので、序盤からそういう伏線を張っていたと考えると、遥か先まで見通していて、凄いな、と思います。{/netabare}
そういう所が、旧作よりも優良な作品ということを窺わせます。
{netabare}
ハボックの扱いもそう。
このままリタイアかな、と思いきや、しっかりと最後にフォローされています。

スカーも良く成長したなぁ、と思います。作者は、復讐に対してあまり寛容な考えではないようですね。復讐は新たな復讐を生むだけだ、とか、復讐するのではなくて、内部から変えていく方が、今度のためになるとか、色々と多様的で冷静な意見が好まれています。
スカーはこの国を変えるために、個人的な私怨は捨てて、エド達の計画に協力するわけです。やっぱり、作者は復讐について、私怨は捨てて、目的のために行動するべきだという考えを持っていそうですね。

ウィンリィ・ロックベルとエドの関係についてもしっかり消化。

旧作に比べて、イズミ・カーティスさんの負の部分があまり強く描かれていないな、とは思いました。ホムンクルスのラストもそうですが。
キンブリーもあまり強く描かれていません。旧作よりあっさりご退場してしまいます。グラトリーも然り。

ラースとプライドの過去が強く描かれています。敵キャラクターですが、そういった過去を描くことで、倒される時に深い感情を生み出すことが出来て、さらに鋼の錬金術師を彩ります。あとは、人気稼ぎのために用意したキャラクターや展開をスムーズに進めるために用意されたキャラクターが殆どでした。そこはもうちょっと工夫して欲しかったです。(尺が足りなくなってしまいますか){/netabare}

■結末の巧さ

何と言っても、評価したいのは結末の巧さですね。
本作を最初に観た時に、真理に奪われたアルの体をどうやって取り戻すのだろう、というのをずっと考えていました。賢者の石は、人の命が使われているため、エドとアルは使わないわけですし、そうなると旧作のように、エドとアルのどちらかが犠牲になって、どちらかの幸福を手に入れる結末かな、と思っていました。
{netabare} しかし、良い意味で予想を裏切ってくれましたね。意外なところにあったアルの体と釣り合う通行料。それは自分自身の錬金術の才能でした。本当にそれでいいのか、と真理に問いただされますが、エドは錬金術よりも友情や愛を取ると真理に伝えました。そうすると、真理は笑って、「お前は俺に勝った。持っていけ」というニュアンスのことを言い、アルの体をエドに引き渡します。この問答は、とてもクールで清々しい気分になりました。{/netabare}

「鋼の錬金術師」の伝えたいこと、テーマというのは、ここにあるんじゃないですかね?
{netabare}
エドは、ずっと錬金術で取り戻そうとしていました。そうじゃなくて、錬金術の才能を捧げれば、いつでも手に入れることは出来たんです。何を犠牲にするか、人体錬成をしようとする人間は醜いものです。そのために争って、また不幸になる人間が増える、負の連鎖ですね。何の代償も無しに、何かを得ようとして、本当に人間というのは愚かだと思います。けれど、エドは自分自身の才能を真理に捧げることで、アルを取り戻すことが出来た。それこそが真理。
答えはすぐ傍にありました。{/netabare}

私は、旧作を観て湿っぽくてセンチメンタルなラストに、心を痛めました。
本作を観て、少年向けとして夢も壊さずに、世の中の法則(等価交換の原則)にも逆らわないラストを描いてくれたことに、とても感動しました。現実(旧作)は厳しいものですが、工夫(本作)すれば、こういう結末もあるんだよ、と勝手に解釈しています(笑)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アルフォンスが良い奴すぎて・・・長いけど最後まで見て良かった作品

※旧作(2003年版)の少なくとも前半まで(第25話まで)を事前に視聴しておくと、本作をよりいっそう楽しめるかも。

◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


======= 鋼の錬金術師 FULL METAL ALCHEMIST (2009年4月-2010年7月) =======

{netabare}- - - - - - - OP「Again」、ED「嘘」 - - - - - - -

第1話 鋼の錬金術師 ☆ ※話は派手で面白いが、作画の雑さが気になる
第2話 はじまりの日 ★ ※エドは意外と英雄気質
第3話 邪教の街 ☆  
第4話 錬金術師の苦悩 ★ 綴命(ていめい)の錬金術師ショウ・タッカー ※ダークで意外な展開 
第5話 哀しみの雨 ★ イシュヴァールの民
第6話 希望の道 ☆ 賢者の石の手掛かり、オートメイルの修理
第7話 隠された真実 ☆ 賢者の石の正体
第8話 第五研究所 ★ エドvs.№48、アルvs.№66

<----- 第8話の途中まで旧作第20話までと同様の展開。以降別展開 ---->

第9話 創られた想い ★★ 兄弟の絆
第10話 それぞれの行く先 ★ ヒューズ中佐の死
第11話 ラッシュバレーの奇跡 ☆ 
第12話 一は全、全は一 ★ エリック&アルの師匠
第13話 ダブリスの獣たち ☆ グリード(強欲)&キメラ登場
第14話 地下にひそむ者たち★★ アルの記憶回復、大総統の正体(憤怒=ラース)、黒幕登場

- - - - - - - OP「ホログラム」、ED「LET IT OUT」 - - - - - - -

第15話 東方の使者 ☆ シン国の練丹術師(メイ)・王子登場
第16話 戦友の足跡 ☆
第17話 冷徹な焔 ☆ マリア・ロス少尉逮捕
第18話 小さな人間の傲慢な掌 ☆ クセルクセス遺跡
第19話 死なざる者の死 ★ 大佐vs.ラスト(色欲)、父親との再会
第20話 墓前の父 ☆ 人体練成の謎、兄弟の新たな決意
第21話 愚者の前進 ☆ 
第22話 遠くの背中 ☆ スカーとウィンディの因縁
第23話 戦場の少女 ☆
第24話 腹の中 ★ エンヴィ(嫉妬)・グラトニー(暴食)戦
第25話 闇の扉 ☆
第26話 再会 ☆ 真理の扉の前でアルと再会 ※話の雑さが気になる

- - - - OP「ゴールデンタイムラバー」、ED「つないだ手」 - - - -

第27話 狭間の宴 × エド&アルの父親の話だが、80%はこれまでの総集編
第28話 おとうさま ☆ 黒幕との邂逅、リンのグルード(強欲)化
第29話 愚者の足掻き ☆ 
第30話 イシュヴァール殲滅戦 ☆
第31話 520センズの約束 ☆ キンブリー出獄
第32話 大総統の息子 ☆
第33話 ブリッグズの北壁 ☆ スカーvs.キンブリー、オリヴィエ少将登場
第34話 氷の女王 ☆ スロウス(怠惰)登場
第35話 この国のかたち ★ 建国以来続く陰謀
第36話 家族の肖像 ☆ レイヴン将軍の最期
第37話 始まりの人造人間(ホムンクルス) ☆ セリムの正体=プライド(傲慢)
第38話 バズクールの激闘 ★ スカーvs.キメラ2人、エドvs.キメラ2人、エドvs.スカー

- - - - - - OP「Period」、ED「瞬間センチメンタル」 - - - - - -

第39話 白昼の夢 ★ キンブリーを欺く策略
第40話 フラスコの中の小人(ホムンクルス) ★ ヴァン・ホーエンハイムの過去(クセルクセス壊滅)、イズミ回復
第41話 奈落 ★★ エドvs.キンブリー、自らの命を賢者の石に
第42話 反撃の兆し ☆ 新たな国土練成陣、ホーエンハイムの宣戦布告、ドラクマ軍来襲
第43話 蟻のひと噛み ★ エンヴィーvs.マルコ、メイ帰国へ
第44話 バリンバリンの全開 ☆ 不死の軍団、アルと父の再会、エド回復
第45話 約束の日 ★ ラース(大総統)vs.グリード(リン)、エドとグリード(リン)再会
第46話 迫る影 ☆ 約束の日前日の様々な策動
第47話 闇の使者 ★ エドと父の再会、プライド(セリム)vs.エド&グリード、グラットニー退治(ランファン再登場)
第48話 地下道の誓い ☆ 対プライド戦(続き)、ブラットニーの最期、大総統婦人誘拐
第49話 親子の情 ★ 対プライド戦(続き)、アルの決断、夜明け
第50話 セントラル動乱 ☆ マスタング大佐の作戦始動

- - - - - - - OP「レイン」、ED「RAY OF LIGHT」 - - - - - - -

第51話 不死の軍団 ★ 続き、プライド&エンヴィー復活、賢者の石を使え
第52話 みんなの力 ★ アルvs.プライド&キンブリー、その他いろいろカオス状態
第53話 復讐の炎 ★ エンヴィーvs.マスタング大佐
第54話 烈火の先に ★★★ エンヴィーの最期(※本作屈指の感動)、アームストロング少佐見せ場
第55話 大人たちの生き様 ☆ スロウスの最期、親玉ホムンクルスvs.ホーエンハイム
第56話 大総統の帰還 ★ 続き、ラースvs.グリード
第57話 永遠の暇 ☆ 続き、対金歯医師戦、真理の扉(第一段階)
第58話 ひとばしら ☆ 続き、バッカニア大尉殉職
第59話 失われた光 ★ マスタング大佐を使った人体練成、スカーvs.ラース、アルの体
第60話 天の瞳、地の扉 × 日食、練成陣(第二段階)、※奇を衒っただけの話だったのか(失望)
第61話 神を呑みこみし者 × ホーエンハイムの大仕掛け、ラースの最期、プライドの最期 
第62話 凄絶なる反撃 ★ アル消滅、エドvs.親玉ホムンクルス、※脚本・演出の雑さは気になる
第63話 扉の向こう側 ☆ 親玉ホムンクルスの最期、アル救出、ホーエンハイムの最期、※同上 
第64話 旅路の涯 ★ それぞれの後日譚(アルの旅立ち、エドの告白etc.){/netabare} 
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)3、★(良回)23、☆(並回)34、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.0


============ 鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星 (2011年7月) ==========

{netabare}全1話 ☆ アメストリスとクレタの狭間にある小国ミロスの独立の話 評価3.5{/netabare}


◆総評

原作マンガの第4巻までの内容を、旧作(2003年版)は20話かけて丁寧に描き出していたのに対して、この新作(2009年版)は8話に圧縮して描いているので、そこだけは旧作の方が良いと思いました。

旧作では後半のオリジナル展開で散漫となってしまったストーリーラインや作品テーマが、最後まで原作準拠となっている新作では、さすがに確りしていて、その分評価が高くなりました。

やっぱりその作品ならではの感動ポイントがあるアニメは良いですね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 45

86.0 9 兄弟アニメランキング9位
青の祓魔師[エクソシスト](TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (2987)
16971人が棚に入れました
主人公・奥村燐は修道院で暮らす少年。同じ修道院に住み、有名高校へと進学する燐の双子の弟・雪男とは違い、就職先が見つからずにいた。修道院の神父である藤本に薦められ、料亭の就職面接に向かう途中、燐は奇妙な光景を目の当たりにする。

声優・キャラクター
岡本信彦、福山潤、花澤香菜、中井和哉、遊佐浩二、梶裕貴、喜多村英梨、佐藤利奈、置鮎龍太郎、柿原徹也、神谷浩史、藤原啓治
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

運命なんてくそくらえ(75点)

全25話。
ジャンプスクエア連載中の漫画原作。
原作未読。

個人的満足点:75点
アニメ系統:ファンタジーバトル

ジャンプ物らしく王道といえば王道。
エクソシストになるため仲間と共に成長していく。

ストーリーは単純明快で、ギャグ回あり、シリアス回ありと欲張り。
設定も個人的には好きな部類の設定。

主人公「燐」は王道で剣もってますがw
そして特殊な能力を発揮して強い。
燐の双子の弟「雪男」もなかなかかっこよく強いメガネ男。
まさに少年向けの設定である。
個人的には「勝呂」がいい味だしてると思う。
あの外見とは裏腹の頭脳派キャラがいいw

対して個人的には女性陣がちょっと弱いかと。
どの娘に対してもいまいちな印象がぬぐえない。
「しえみ」はちょっと性格と乳がw
花澤さんファンにはこれはこれでたまらないのかもしれない。
「出雲」はツンデレちゃんだが、あの眉がどうしてもw
と、もう少し魅力的な女性キャラが欲しいところ。

作画は後半キャラが少し変わったかって印象を受けた。
序盤より女性陣が可愛い印象だったかな。

ストーリーはぐだぐだ回をはさみつつも
シリアス回で話を進めている感じか。
原作では完結していないようだが、
まずまずの着地だったのではないかと思う。

音楽は初期OP曲が何故ラップと突っ込みたいところだが、まあ悪くない。
後期OPの方が個人的には好きかな。
EDは前後期ともまずまずだったかな。
作中の音楽もまずまず。

原作ファンには物足りないかもしれないが
原作未読ならそれなりに楽しめるのではと思う。
全体的には無難な作りだったかなと思う。

映画化も決定し、そちらも気になるところ。


と、まあ色々書いてきたが
つまり、何が言いたいかというと

ユリをもっとだせ!


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以下、各話ごとの感想。
ネタバレを含むので
未視聴の方はスルー推奨。

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{netabare}
1話視聴。
これは期待通りの面白さ。
何この浦飯幽助設定(笑)
サタンの子供が悪魔退治?するって展開かな。
おやじもいい味だしてる。
音楽もいい感じ。
次週も楽しみ。

2話視聴。
おやじがなんてこったい。
おやじ渋い。
おやじかっこよすぎだ。

そしてサタンの息子がエクソシストに。
期待通りの展開。
次週も楽しみ。

3話視聴。
弟があああああ
面白い兄弟設定だわ。
原作読んでみたいが我慢我慢。
次週も楽しみ。

4話視聴。
のっけからギャグ風味w
しえみちゃんマジ中の人天使。
なんかいい話だった。
しえみちゃんが今後どう絡んでくるのか楽しみだ。

5話視聴。
なかなか熱い展開だった。
トサカなかなかあいい奴だわ。
髪止めには吹いた。
メフィスト・フェレスはいったい何者なんだ?
来週も目が放せない。

6話視聴。
くそ笑ろたwww
なんかこのアニメの方向性がわからんw
1話の時はシリアス系かと思ったが
なんかギャグ満載なんですがw
ウコバクかわいい。

7話視聴。
エクソシストには種類がある
という設定がなかなかいい。
ドラグーン 重火器で戦う
ドクター  薬品使うのかな?
アリア   呪文で戦うぽい
テイマー  悪魔召還
ナイト   剣で戦う
どれも興味深いね。
しえみちゃんはテイマーのよう。
今回のしえみちゃんがんばった。
ストーリーもなかなか良かった。
次週も楽しみ。

8話視聴。
今回もなかなか良かった。
そして物語が動き出した。
リンは今後どうなるんだろう。
次週も見逃せない。

9話視聴。
リンを取り巻く人たちが動きだした。
メフィストっていったい何者なんだろう。
サタンと関係がありそうだが。
次週も楽しみ。

10話視聴。
今回はちょっといい話だった。
そしてオヤジがすげえ。
ここまで存在感のあるオヤジいいねえ。
最近オヤジキャラにしびれるわw
リンもかっこよかったし。
このアニメ、ギャグ回あり、シリアス回あり
そして、いい話回ありとなかなか欲張りだな。

11話視聴。
出雲ちゃん回。
水着、お風呂w
サービスサービスw
出雲可愛いよ出雲
以上www

12話視聴。
のっけからギャグw
はにはにシスターズに吹いたwwwwwww
りんとしえみが青春して
今回は青春ギャク回かと思いきや
後半はバトルへ。
アマイモン強し。
リンのピンチに新キャラ登場。
なかなか面白かった。
まあ、しいて言うなら今回はおっぱい回でしたw
けしからん!

13話視聴。
じじいの過去が少し語られた。
じじいカッコイイ。
やっぱりじじい最高だわ。
そしてりんもちょっとカッコイイ。
ただ能力が段々強くなってきたのか?
この先色々問題がでてきそうな展開。

そしてシュラまったくもってけしからんチチだw

14話視聴。
森で訓練。
ベタな展開。
そしてベタなオチ。
だがそこがいい。
りんは来週どうするのか。

15話視聴。
勝呂熱い、そしてかっこいい。
マジ惚れそうだわw(そっちの趣味はないよw)
こういう友情ものに弱いんだよね。
そして、リンも良いところ魅せた。
このアニメ熱いから好きだわ。

16話視聴。
最近、勝呂がかなり目立ってる。
やはり名わき役がいるアニメは面白い。
展開もぐっと加速して盛り上がってきた。
来週はアマイモンの逆襲。
どうなるのか来週も楽しみ。

17話視聴。
りんがいよいよ悪魔の力をコントロールするために修行を開始。
今回はギャグもあり、シリアスもありでなかなか良かった。
そして、雪男に・・・・・・
来週への引きもまずまず。
来週も楽しみ。

18話視聴。
子猫丸回。
なかなかいい話だった。
こういうベタだが熱い展開は個人的に好み。
そして雪男はどうなるのか?
来週は誰かさんのおまちかね志摩くん回かなw

19話視聴。
久しぶりにギャク&日常回。
なんかニヤニヤしながら観てしまった。
志摩くんけっこうチャラいキャラだったのねw
パクさん、何かいように可愛く見えるし。
なかなか楽しめる日常回だった。

そして、シリアスな引き。
来週は再びシリアス回のようだ。
とても収集つくような展開ではないが
これは2期とかありそうな気がしてきた。
とにかく残りもわずか。
今後も見逃せない。

20話視聴。
リンついにコントロール。
雪男の体はどうなるのか?
学園長もどうなるのか?
最後でてきたやつもいったい何なんだろうか?
まだまだ色々ありそう。
原作も終わってないし、
後5話程度で収集つきそうにない気がする。

21話視聴。
なかなかいい話だった。
そして、じいさんと雪男が何かやるようだ。
とりあえずは、聖騎士団対新勢力といった構図になるのかな。
そこで、決着つけて終わりって展開ぽいけど。
さてさてどうなるのやら。
雪男の体の謎も残ってるし、まだまだ何かありそう。

22話23話視聴。
いよいよクライマックスか。
ついに直接対決。
リン達はどうするのか?
後2話楽しみだわ。
「私としたことが胸が高鳴るじゃないか」

後、えっと
らんま・・・じゃないし
綾波・・・でもなくて
灰原・・・でもねえしなんだっけ?

ああ、そうそうユリw
なかなかいいんじゃない。
青エクの女性キャラの中で一番いい気がする。
出番が少なすぎるのが残念だわ。

25話視聴。
まあ、なんと言うか、少年向けの無難な閉めだったかな。
青い火の鳥にはおいおいと思ったがw
映画化も決定したようだし、見てみたい気はする。

それよりも原作が気になる。
ちょっと原作読んでみようかな。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 32
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

双子兄弟の《バディ(相棒)もの》として楽しめました。

←ジャンルとしては、悪魔×祓魔師《異能バトルもの》です。

『灼眼のシャナ』は紅蓮の炎を放つ日本刀を携えた長髪の少女の物語でしたが、本作は青い炎を封じ込めた日本刀(=降魔剣・倶梨伽羅)を背負った熱血少年の物語です。
マンガ原作者(加藤和恵氏)が女性ということもあってか、その主人公の少年と双子の弟との感情のやり取りに大きな見どころがあり、その点でエド&アル兄弟のやり取りに見どころがあった『鋼の錬金術師』と共通していると思いました。
(※逆に言うと、女性キャラがやや印象が薄い←男性視聴者向けではない?)
第1話から飽きのこない良シナリオで、最後まで楽しめましたが、{netabare}ラスボス(サタン)の語り口が下種っぽくて余り威厳が感じられない点{/netabare}にガッカリ。。
(※個人評価が余り伸びなかった原因)
それにしても、今放送中の『とある魔術の~』もそうですが、本物のヴァチカンよく怒らないな笑。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1-2話視聴終了時点
展開が早く世界観がよく練り込まれている印象で掴みは◎
・第3話視聴終了時点
昼間の正十字学園に加えて放課後は祓魔師(エクソシスト)養成塾へ。
秀才の弟(講師)とダメ兄貴(ペイジ=祓魔塾生)の対比が巧に描けている点は〇
・第9話視聴終了時点
「祓魔塾生(ペイジ)」→「候補生(エクスワイア)」へ昇格
・第15話視聴終了時点
やっと少し見どころのあるバトル回(ギリギリ初の★★(優秀)回認定)
・第17話視聴終了時点
この回の後半以降、原作マンガからのシナリオの逸脱が加速。
・第20話視聴終了時点
エルンストは原作マンガにない完全オリキャラ。{/netabare}

◆制作情報
{netabare}
原作マンガ       加藤和恵(『ジャンプスクエア』 2009年5月-連載中)
監督          岡村天斎(第1期)、初見浩一(第2期)
シリーズ構成      山口亮太(第1期)、大野敏哉(第2期)
脚本          山口亮太、高橋ナツコ、大西信介、高橋郁子、大野敏哉、渡辺雄介、高木聖子、木戸雄一郎
キャラクターデザイン 佐々木啓悟
音楽          澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO(第2期)
アニメーション制作   A-1 Pictures{/netabare}



◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================= 青の祓魔師 (第1期) (2011年4-10月) ===============

 - - - - - - OP「CORE PRIDE」、ED「Take off」 - - - - - -
{netabare}
第1話 悪魔は人の心に棲む ★ 修道院の兄弟(ダメ兄貴と秀才の弟)、サタンの子・奥村燐、アスタロトの出迎え
第2話 虚無界の門(ゲヘナゲート) ★ 続き、降魔剣、サタン憑依(養父・藤本獅郎)、燐覚醒・養父の死、メフィストフェレスの出迎え、燐の選択
第3話 兄と弟 ★ 正十字学園入学、祓魔塾入塾、講師・奥村雪男(双子の弟)の真意
第4話 天空(アマハラ)の庭 ☆ 祓魔用品店の娘・杜山(もりやま)しえみとの出逢い
第5話 祟り寺の子 ★ 勝呂竜士(すぐろ・りゅうじ)の個人事情(16年前の「青い夜」事件)、「地の王」アマイモン
第6話 まぼろしの料理人 ☆ 使い魔ウコバクvs.燐(料理対決)
第7話 友千鳥(ともちどり) ☆ 強化合宿、使い魔召喚(神木出雲、杜山しえみ)、グール来襲
第8話 此(ここ)に病める者あり ★ 強化合宿(続き)、グール再来襲(ページ達の協力)
第9話 おもひで ★ ネイガウス講師の恨み(青い夜の生き残り)、エスクワィア昇格
第10話 黒猫(ケットシー) ★ 兄弟喧嘩、唯一最強の祓魔師「聖騎士(パラディン)」(養父・獅郎)、使い魔「クロ」凶暴化・説得
第11話 深海の悪魔 ☆ 出雲と海辺の少年、巨大イカ・クラーケン ※人情噺
第12話 鬼事(おにごっこ) ★ 遊園地のゴースト捜し(しえみ活躍)、アマイモンvs.燐、フードの男?の素顔{/netabare}

 - - - - - OP「IN MY WORLD」、ED「Wired Life」 - - - - -
{netabare}
第13話 証明 ★ 霧隠シュラ(ヴァチカン本部上級監察官)の密命、正十字騎士団日本支部、養父の弟子(魔剣使い)の尋問、養父の思い出、霧隠講師着任
第14話 愉しいキャンプ ☆ 夏休み、林間合宿(提灯探し、協力訓練)
第15話 やさしい事 ★★ 続き、八候王の一「地の王」アマイモン来襲、燐の力解放・暴走
第16話 賭 ★ アーサー・オーギュスト・エンジェル(現パラディン)登場、メフィスト・フェレス懲戒尋問、降魔剣「倶梨伽羅」修復(十一代目吉国)、アマイモン再来襲
第17話 誘惑 ★ 燐復活・アマイモン撃退、燐の扱い決定、子猫丸の動揺・悪魔憑き ※雪男に最初の異変兆候
第18話 颶風(グフウ) ☆ 続き、人工生命研究所跡
第19話 なんでもない日 ☆ 神木の誕生日(9/27)、奥村兄弟の誕生日(12/27)のこと、ラストで修道院の異変
第20話 假面(カメン) ☆ 続き、ネイガウスの不審行動、メフィスト・フェレスへの逮捕状、青い炎マスター(燐)、祖父エルンスト・フレデリク・エギンの雪男呼出
第21話 秘密の花園 ★ 母ユリ死亡の真相、反魂(ネイガウスの妻ミシェル)、オーギュスト卿vs.燐、ラストでヴァチカンの政変(三賢者(グリゴリ)解任、エルンスト全権掌握)
第22話 悪魔狩り ★ メフィスト・フェレス理事長解任、雪男日本支部長就任・パラディン昇格、教皇エルンストの“聖戦”宣言、非情な悪魔狩り(雪男)、ゲヘナゲート開通の生き贅(燐)、ラストで雪男変貌
第23話 真実 ★ ゲート開通、メサイア不発、青い夜の真相、兄弟出生の真相、サタン降臨(雪男憑依)
第24話 魔神の落胤(サタンのこ) ☆ サタンの目的(ゲヘナとアッシャーの融合)、雪男意識回復、サタン追い出し成功
第25話 時よ止まれ ☆ 溢れ出す悪魔、奥村兄弟共闘、サタン撃退、一ヶ月後{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)14、☆(並回)10、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.1

投稿 : 2025/02/01
♥ : 22
ネタバレ

なる@甘口評価 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

なにこれ!やばい!

全話見終わりました!!
2話を見て泣いてしまい、
それからというものほとんどの話で泣いてしまいました。
自分の涙腺が弱いということもありますが
普通に泣けると思います。



2話感想です
{netabare}

1話に続き
サタンの手先との戦いが始まりました。

悪魔であることを再認識させられ
親子の間に小さな亀裂が入ります。

そんな中サタンの手先は修道院に攻め込み
大きな戦闘となります。

ようやく
戦闘が終わったものの
ゲヘナの王サタンが燐の父親に憑依します。

ゲヘナゲートが開き燐は取り込まれます。
しかし、エクソシストである父親は自ら自害を決します。

このシーンは号泣でした。
2話で泣いてしまうとは思いませんでしたが
泣いてしまいました。

そして燐は
コウマケンを引き抜きます。
ゲヘナゲートを叩き切りその場は収まりました。


父親の葬儀も終わり
立ち尽くす燐は父親の親友である人に電話します。
するといかにも怪しいエクソシストが・・・

そこで燐は悪魔の子でありながらエクソシストになることを誓います。父親の意志を継いで・・・・



次回は正十字学園での物語りかと思います
楽しみです!
{/netabare}

作画もキレイでいいんですが
これは私にとってすごい泣けるアニメです。
13話まで視聴しましたが
各話で父親の回想シーンが出てくる度に涙してしまいます。
実際2話から泣きっぱなしです・・・。

どれもこれもいい話ですごいいいアニメです!
全部見ます!!




最後見た感想です
{netabare}


このアニメは
父と子
兄と弟

といった家族愛を感じるアニメでした。
バトル系の要素も強いのですが
家族愛をテーマとしているのか
本当に泣けてしまいます。


私にとって悪魔との戦闘シーンは
余興で、その戦闘があったことで
各キャラクターにいろんな変化があって
変わっていく

それがとても気に入りました。



最終話、
まさか弟の雪男である体に
サタンが憑依します。

そうかつて
藤本獅郎に憑依したように。


その時雪男には
サタンと母親のゆりの記憶を見てしまいます。

そこにはエクソシストとしてのゆりが
ゲヘナの王であるサタンを自ら受け入れ
サタンを改心させます。


サタンはそのうち
ゆりと心を酌み交わすうちに
命のありがたみを知ります。

このとき思ったのは
サタンは実はやさしい心の悪魔であると思いました。




ですがゆりは
サタンとの間に子どもができ
産むことを決意。

そのため
魔女と呼ばれ
実父から殺されそうになります。

それに激怒したサタンは
「青い夜」の元凶となり
ゆりを救い出します。

そして
命からがら逃げ
自分の命と引き換えに
双子の燐と雪男を産みます。

その場に立ち会った
藤本獅郎はこの二人を育てることを決意します。

当時の獅郎は「冷徹なエクソシスト」で有名で
その場にいたメフィストも半信半疑でしたが
その場を押し切り育てることにした。


という事実があり
それを知ったらまた涙。

いろいろと食い違ったせいで
サタンも狂ってしまったのかもしれない。



そして雪男に憑依し、
兄を殺そうとしましたが
燐は呼びかけに成功。
雪男を取り戻します。


しかしそのときはすでに遅く
ゲヘナゲートは侵攻し始めます。


その後は
勝呂らの活躍でバチカンから太陽光を導き
悪魔の活動を抑え

燐と雪男はクリカラで覚醒し
炎を見事に操り
ゲヘナゲートを打ち破ります。


1ヵ月後、
メフィスト(ヨハン4世)は学園に復帰。
雪男はパラディンから中一級に降格
燐たちはいまだエクスワイアのままで終わりを迎えます。



最後、
メフィストから渡された鍵で
燐と雪男は実母がいたされるある場所へ向かいます。

そこは雪男がサタンに見せられた
記憶の場所と一致していた場所でした。


そこで
実母ゆりが燐と雪男を産んだとされる
場所へ行くとそこにはお墓が。

そこで雪男が
「僕たちは生まれてくるべきだったのか」
と問いかけますが、
燐は「ジジイや母さんが一生懸命がんばってくれたんだ」
とやさしく説きました。


このシーンで
思わず声を荒げて泣きそうでした。

今こうやってレビューを書いていても
泣きそうです。


{/netabare}


最後に、
このアニメは
「家族愛」「絆」
など、人と人とのつながり
温かみを感じるアニメです。

途中からはこのアニメの世界観に
飲み込まれてしまいました。



「家族愛」「絆」
どれもきれいごとに聞こえるかもしれません。
ですが、これは再認識すべき問題なのです。

あの大きな震災から歳月は流れ
もうすでに過去として処理し始めています。

しかし、
家族愛や絆は途絶えることはない、
なぜ、今自分がここにいるかを考えさせられるアニメでした。

とてもよかったです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

87.7 10 兄弟アニメランキング10位
鋼の錬金術師(TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (1580)
10616人が棚に入れました
舞台は錬金術が科学として発達した世界にある軍事国家「アメストリス」。
幼き日に最愛の母親、トリシャ・エルリックを亡くしたエドワードとアルフォンスのエルリック兄弟は、母親を生き返らせようと、錬金術において最大の禁忌、人体錬成を行ったが、失敗し、兄・エドワード(エド)は左脚、唯一の家族である弟・アルフォンス(アル)は全身を失ってしまう。
エドは自身の右腕を代価として、アルの魂をかろうじて鎧に定着させたが、自分達の愚かさに気づく。その後エドは自ら失った右腕と左脚にオートメイル(機械鎧)を装着し、一時的に手足を取り戻す。
12歳となったエドは、国家錬金術師となり二つ名・「鋼」を授けられ、アルと共に元の体に戻る為、絶大な力をもつ賢者の石を探す旅に出る。しかし、旅には数々の試練がエルリック兄弟を待っていた。人ならざる人・ホムンクルスや、傷の男・スカーなど、迫りくる数多くの敵や苦難を乗り越え、エドとアルは本当の体を取り戻す事が出来るのか…。

声優・キャラクター
朴璐美、釘宮理恵、麻生美代子、豊口めぐみ、置鮎龍太郎、大川透、根谷美智子、内海賢二、藤原啓治、松本保典、志村知幸、白鳥哲、室園丈裕、永井誠、柴田秀勝、佐藤ゆうこ、高戸靖広、山口眞弓、三石琴乃、こおろぎさとみ、鷹森淑乃
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

原作準拠の前半は面白かったのですが、後半オリジナル展開は・・・かなり微妙

2003年、2009年と二度もアニメ化された2000年代を代表する人気作品。

このうち、原作マンガ連載のまだ序盤で制作が始まったために後半からオリジナル展開となった旧作(2003年版)は、TV放送(全51話)のあと、続編となる劇場版『シャンバラを征く者』が2005年に公開され、興行収入12.2億円の大ヒットとなった。

また、原作マンガ終盤に制作が始まり、原作と同時ENDとなった新作(2009年版)は、TV放送(全64話)のあと、やはり劇場版『嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(但し続編ではなくTV放送分の途中でのサイド・ストーリー)が2011年に公開され興行収入6.5億円のヒットとなった。

・・・という事前情報に惹かれて、本サイトでも評判の良い本作について、TV放送分(旧・新)+劇場版2本を一気観してみました。


◆シリーズ別評価

旧作(2003年版)          ☆ 良 3.6 (72点相当)
劇場版『シャンバラを征く者』  ☆ 良 3.8 (76点相当)
新作(2009年版)         ★ 優 4.0 (80点相当)
劇場版『嘆きの丘の聖なる星』  ☆ 良 3.5 (70点相当)
----------------------------------------------
総合              ☆ 良 3.8 (76点相当)


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ 鋼の錬金術師 (2003年10月-2004年10月) ===========

{netabare}- - - - - - OP「メリッサ」、ED「消せない罪」 - - - - - -

第1話 太陽に挑む者 ★ リオールの町(レト神教団)、賢者の石、人体練成の咎(とが)
第2話 禁忌の身体 ★ 続き、7つの大罪(ラスト(色欲)、グラトニー(暴食)、エンヴィー(嫉妬))登場
第3話 おかあさん…… ★ リゼンブール村、母の死・人体練成失敗・修行・旅立ち
第4話 愛の錬成 ☆ マジハールの魂の定着実験
第5話 疾走!機械鎧(オートメイル) ☆ セントラル行き列車ジャック事件
第6話 国家錬金術師資格試験 ☆ 綴命(ていめい)の錬金術師ショウ・タッカー、大総統登場
第7話 合成獣(キメラ)が哭く夜 ★★ タッカー(続き)、スカー登場、※胸糞悪い展開にビックリ
第8話 賢者の石 ☆ 切り裂き魔バリー事件(ウィンリー誘拐)、“鋼の錬金術師”誕生
第9話 軍の狗(いぬ)の銀時計 ☆ ユースウェル炭鉱(東端の町)、ヨキ中尉登場、※話が都合良過ぎで× 
第10話 怪盗サイレーン ☆ 観光地アクロイア(謎の女クララの話)
第11話 砂礫の大地(前編) ☆ 金産地ゼノタイム(偽エド兄弟に遭う話)
第12話 砂礫の大地(後編) ☆ 続き、偽者の賢者の石
第13話 焔 vs 鋼 ☆ 国家錬金術更新査定(マスタング中佐vs.エド)、イシュヴァール殲滅戦の記憶

- - OP「READY STEADY GO」、ED「扉の向こうへ」 - -

第14話 破壊の右手 ★ 結晶の錬金術師(マルコー)、スカー来襲、鉄血の錬金術師バスク・グラン准将敗死
第15話 イシュヴァール虐殺 ★ 13年前のアメストリス軍の蛮行、対スカー戦
第16話 失われたもの ☆ セントラルへの鉄道移動中の挿話
第17話 家族の待つ家 ★ 故郷リゼンブール村への立ち寄り、機械鎧の修理、※日常回
第18話 マルコー・ノート ★ スカーvs.ラスト&ブラットニー、 ※賢者の石の正体が胸糞悪い
第19話 真実の奥の奥 ☆ 第五研究所潜入、エドvs.№48(スライサー)、アルvs.№66(バリー)
第20話 守護者の魂 ★ 続き、バリーの言葉に動揺するアル

<----- 第20話までほぼ原作どおり、第21話以降はオリジナル展開 ---->

第21話 紅い輝き ★★ グリード(強欲)登場、紅蓮の錬金術師(キンブリー)登場、タッカー再登場、※かなり胸糞悪い展開
第22話 造られた人間 ★ ウィンディ来訪、アルのわだかまり 
第23話 鋼のこころ ☆ 
第24話 思い出の定着 ★ 兄弟の絆確認
第25話 別れの儀式 ★ スロウス(怠惰)登場、ヒューズ中佐殉職

- - - - - - - OP「UNDO」、ED「Motherland」 - - - - - -

第26話 彼女の理由 ☆ イズミ(エド&アルの師匠)登場、ラッシュバレー(機械鎧の町)
第27話 せんせい ☆ イズミ師匠との修行
第28話 一は全、全は一 ☆ 続き
第29話 汚れなき子ども ☆ 謎の少年(ラース)
第30話 南方司令部襲撃 ★ イズミ大活躍
第31話 罪 ★ ホムンクルスの真実、※意外な内容で面白いが、ストーリー自体は粗雑×
第32話 深い森のダンテ ☆ イズミの師匠ダンテに会いに行く話 
第33話 囚われたアル ☆ Devil's Nestの戦い 
第34話 強欲の理論 ★ グリード消滅
第35話 愚者の再会 ★ ラストの医師ルジョンとのエピソード ※これまでとかけ離れた回
第36話 我が内なる科人(トガビト) ☆ イシュヴァール人難民の話
第37話 焔の錬金術師/戦う少尉さん/第十三倉庫の怪 ☆ マスタング大佐の部下の話
第38話 川の流れに ☆ ジュリア・ダグラス(スロウス)の正体を探る話
第39話 東方内戦 ☆ リオールの町へ、ロゼ再登場
第40話 傷痕 ☆ スカーの過去
第41話 聖母 ★ 大総統の正体(プライド(傲慢))、スロウス練成の秘密

- - - - - - - - OP「リライト」、ED「I Will」 - - - - - - - -

第42話 彼の名を知らず ☆ キンブリー死亡、アル「賢者の石」化、スカー死亡
第43話 野良犬は逃げ出した ☆ ホーエンハイム登場、エリック兄弟追跡
第44話 光のホーエンハイム ☆ ライラの正体
第45話 心を劣化させるもの ☆ ライラの目的
第46話 人体錬成 ☆ 
第47話 ホムンクルス封印 × ラストの封印、※いろいろと話が唐突過ぎる
第48話 さようなら ☆ スロウスの封印
第49話 扉の向こうへ × セントラルの滅びた町、門の向こう側の世界、※この回も展開が唐突過ぎる
第50話 死 ☆ 
第51話 ミュンヘン1921 × ストーリーの整合性がいろいろとダメ{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)16、☆(並回)30、×(疑問回)3 ※個人評価 ☆ 3.6


========== 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (2005年7月) =========

{netabare}全1話 ☆ 「門」の向こう側の世界の1923年のミュンヘンでの出来事 評価3.8{/netabare}


◆総評

上記のとおり、第20話までは原作に準拠した展開で、その後は次第にオリジナル度が上がっていき、第29話以降は完全にオリジナルな展開になっていきます。

個人的な感想としては、折り返し地点の第25話が面白さのピークで、それ以降はストーリーが散漫になってしまい、作品テーマを確り打ち出せないまま(※ここが2009年版と個人的評価が分かれた理由)、強引に終盤をまとめてしまった印象が強く残りました。

ただ、TV放送分の後日譚となる劇場版({netabare}1923年にミュンヘンで起きたビヤホール一揆を扱っている{/netabare})は、私が西洋史が凄く好きなこともあって、これはこれで観て良かった作品でした。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 33
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

本作はブラックコーヒー。「FULLMETAL ALCHEMIST」はカルピス。

少年ガンガンの看板作品として有名だった「鋼の錬金術師」
語らずとも知っている人も多いはず。
最初にアニメ化した本作は、原作とは違った内容になっています。

原作に忠実な展開の「FULLMETAL ALCHEMIST」と比べて、アニメオリジナルの部分が多々あり、そこが評価の分かれ目ですね。

少年漫画テイストな「FULLMETAL ALCHEMIST」と比べて、こちらはダークチックで、鉛のように重苦しい展開が多いです。まるで、精神まで病んでしまった病人の介護しているようなダークチックなシーンが多く、真剣に観ていると、視聴者の精神までやられてしまうのではないか、というくらい重苦しいです。ブラックコーヒーでも飲んでいるような感覚です。

「鋼の錬金術師」の着想のきっかけは、作者の荒川さんのリハビリセンターの交通整理のアルバイトをしていた時の経験が元になっています。そのため作中には、腕や足を無くしたエドのリアルな心情が描かれています。

アニメオリジナルの部分ですが、気にするほど悪くはない気がしました。ただ、「FULLMETAL ALCHEMIST」とはテイストも雰囲気も違っているので、原作との差異に耐えられない方にはおすすめしません。本作はブラックコーヒー、「FULLMETAL ALCHEMIST」がカルピス、というイメージです。


本作は、等価交換の原則を中心に描いています。
このテーマを描くために、反対意見や賛成意見を持ったキャラクターを登場させて、それを徹底的に掘り下げています。

例えば、「何かを賭けてもそれの努力が報われることはない、等価交換の原則は錬金術の中の法則でしかない」という意見が、{netabare}ダンテ{/netabare}視点から描かれています。

それに対して肯定側の意見も存在して、エドがそれに当てはまります。

↓ネタバレ 「ラストについて」
{netabare} 結局、等価交換の原則は、とても厳しいものなので、報われない場合もあると、ラストで描かれています。正直、あのラストは好きではありません。誰も報われないような苦味を感じるラスト。

現実は思っているほど甘くない、不可能な夢を追い続ける者はこうなるんだ、とでも言いたげそうなラスト。私は、このラストに吐き気がして受けつけませんでした。「FULLMETAL ALCHEMIST」は、ただ追い求めるのではなくて、こういう方法もあるんだよ、と別の方法を示してくれたおかげで、凄く救われた気分になりました。
しかし、本作は理不尽さを突きつけようなラストが、かなり癪に障り、何とも言えない焦燥感に襲われました。アルの体は手に入ったけれど、今までの旅の記憶を全部忘れて、エドは扉の中の世界に閉じ込められたままってなんですか?
等価交換の原則も破っていますよね。明らかに人の命一つと釣り合った結果ではないです。

鋼の錬金術師は、報われないエドとアルが、何を取り戻すために必死に努力している姿を観るのが良いのは分かります。だからといって、最後のシーンをああいう誰も報われないようなラストにするのは、何のカタルシスも感じず、モヤモヤとしたやり切れない感情だけしか残りません。{/netabare}

確かに、等価交換の原則は、報われないことがあるから、あのラストにするしか無かったのかもしれません。あくまで少年向けなのですから、「FULLMETAL ALCHEMIST」のようなスッキリとしたラストにして欲しかったです。

↓ネタバレ マスタング大佐について
{netabare} マスタング大佐が全く報われていない事が、アニメオリジナルのシナリオに穴のある証拠です。「FULLMETAL ALCHEMIST」では、それなりに報われていますが、本作では二度と大総統になれない立場になってしまいました。マスタング大佐は、大総統になる夢も捨てないけれど、仇討ちをするんじゃなかったですか。
「FULLMETAL ALCHEMIST」では、エド達に諭されて、涙を飲んで復讐するのをやめました。殺してしまったら、マスタング大佐が道を踏み外して、スカーのようになるから、止められたのでしょう?
あのラストでは、マスタング大佐は見事に道を踏み外してしまっているじゃないですか。だから、気に入らないですよね。
{/netabare}

↓ネタバレ ダンテの等価交換の原則について
{netabare}作中でダンテさんは、「子供が勉強したって、良い成績が出ることが無いこともある。生まれた子供が、必死に生きようとして、こうやって簡単に殺されることもある。等価交換の原則は存在しないこともある」という意見で、エドの等価交換の原則は存在する考え方を否定していますね。やっぱり、アニメオリジナルの展開は私には合わない部分があるようです。特に、このダンテさんの考え方ですが、ラストがああだったので、この意見が正しいことだと肯定したいのでしょうか。とっても強調されています。おかしいですよね。
だって、子供が勉強して手に入るのは良い成績ではなくて、知識であって、知識があるからテストで良い点数になる理屈にはなりません。テスト問題が、その子の知っていることから出題されないこともありますし、たまたま病気で本調子が出ないこともあります。
さらに、生まれた子供が生きる努力をしているのに、簡単に殺されてしまうのは、ダンテさんがその子を殺すという動作を行ったことによって、生まれた結果であって、それも等価交換の原則ですよね。動作から生み出された結果、つまり動作から結果が交換された、ということです。押し付けがましくて嫌になってしまいます。{/netabare}
やっぱり、本作はこういうところがあるので、「FULLMETAL ALCHEMIST」の方が好きです。少年向けアニメのやることじゃないですね。


仮に少年向けのアニメとして評価するなら、この三つは少し傷になります。
等価交換の原則のテーマ性はとても深いのですが、私とは意見が合わないようなので、あんまり好きじゃないです。「FULLMETAL ALCHEMIST」よりも深いシーンは多いものの、そもそもテーマが明らかに少年向けではなく、若年層に観せるのも、夢を無くしてしまいそうで怖いアニメです。



良いところは、{netabare} エドとグリードがちゃんと正面から対決してくれるところやマスタング大佐と大総統が対決してくれるところですね。「FULLMETAL ALCHEMIST」の組み合わせはあんまり好きじゃないです。

ラストの扱いがとても良かったのは、本作で評価したいところです。ラストがどういう人物だったかを描いた後に、「私は死にたかったんだ」という台詞を呟いて、死んでいきました。この台詞はグッと心に響きましたね。

散々、人を利用したダンテがグラトニーに食われるというところも、利用した者は誰かに食われるという教訓が秘められているような気がして、深いシーンでした。{/netabare}

ただ、エンターテイメントとしては、バトルシーンが本当につまらないところが多いので、あんまりおすすめできません。

バトルの勝ち方は頭を使って捻ったものが多いので、そこそこ面白いのですが、それまでの過程が駄目ですね。迫力がありませんし、だらだらとしすぎています。
あと、前半が冗長だという欠点もあります。この辺は人によって変わると思いますが、私は蛇足だったんじゃないかな、と思いました。


「FULLMETAL ALCHEMIST」よりもダークチックなストーリーを好む方におすすめします。


「FULLMETAL ALCHEMIST」に続く。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

ぽんちぃ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ファン層を飛躍的に拡大させた最初のアニメ化 [改]

★少し補足しました。
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この作品のあらすじや、内容の詳細に関しては、記してしませんので、それらをご覧になりたい方は、別の方のレビューをご覧ください。

放送当時リアルタイムで観て、夕方の少年向けアニメを侮れないと思うようになったきっかけの作品でした。

まったくの予備知識なしだったので、偶然テレビで1話を観たときは、衝撃的でした。
とても子供向けのアニメと思えず、いい意味で驚愕しました。
とても重いテーマを扱っており、キャラクターも魅力的で、ストーリーも引き込まれるものでした。
以後、夢中になって欠かさず観ることになり、完全に嵌っちゃいました。

後で、第2作めのFA(FULLMETAL ALCHEMIST)が放送されると知ったとき、
続編かと思って観始めたら、まったく同じ最初話からで、なんで?と戸惑いました。
話が進むにつれ徐々に、微妙に違ってきて、同じキャラが違う設定で出てきたり、
わけが分からず頭が混乱しました。

もともと、原作の読者だった人にとっては、
原作に忠実な2作目のFA制作は、うれしいことだったと思いますが、
この1作目で始めて鋼錬を知って好きになった私は、
2作目をわざわざ作る事情がわからなくて戸惑いました。
そう思った人は、少なくないはず。
このアニメを観て新たに鋼錬のファンになった人は、相当多いと思うので。

後で、この1作目が作られた当時は、原作漫画がまだ継続中で結末が決まっていなかったと知り納得。

ちなみに原作者の荒川弘は、本作のアニメ化に当たっては、
「根っこの部分さえ取り違えなければ思い切りやっちゃってOK」
「原作と全く同じならアニメという別メディアに乗せる必要は無いと思うので」
と言ったそうです。

勝手な考察:
{netabare}それに、同じ結末で、微妙に違うとかえって気持ち悪いし、先にアニメで結末を見せてしまったら、
原作のネタバレになってしまうため、アニメオリジナルで、
原作の世界観を踏襲しつつも独立して楽しめる内容にする必要があったのだと思います。
だから謎がすべて解明されて、
(原作より気持ちの良い終わり方で)すっきり終わってはいけなかったのだと思います。それで、どうせなら全く違う方向での結末をと考えたのではないかと思います。 {/netabare}

その上で、ここまでのストーリーを組み立てて、まとめ上げたのは見事だと思います。

FAができて、その完成度も高いので、この1作目の影が薄くなりましたが、
それなりにどちらも好きです。

勝手な考察
{netabare}正直、原作に忠実なFAが1作目より出来が悪かったら、最悪で、だれもハッピーじゃないですよね。
だから、FAの評価が高くなるのは当然で、この1作目の目指したのはそこではないのだと思います。
本作の最後が、どこかすっきりしていない分、本作を観た人は絶対FAも観るでしょうし、
より高く評価すると容易に考えられます。
鋼錬のファン層を拡大し、FAにつなげるそんな役割も担っていたのではないかと、
そして十二分にその役目も果たしたのだと思います。 {/netabare}

平成16年度文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 審査委員会推薦作品
第9回アニメーション神戸 作品賞・テレビ部門
2004年東京国際アニメフェア ノミネート部門 テレビ部門 優秀作品賞
だったりもします。

ただ、私にとって、鋼錬との最初の出会いでもあり、強烈な衝撃を与えてくれたこの作品には、特別な思い入れはあります。
より退廃的でダークな感じも個人的に好みです。
キャラクターもFAよりちょっとクールでスマートな感じがします。

でも少年少女に勧めるなら、やはりFAをすすめます。

懐かしくて、余計にこの第1作目が観たくなっていたところ、再放送されてうれしいです。

ただ、FAを先に観てしまうと、別物として楽しめるかどうか、多少なりとも抵抗あるかも知れません。

★ちなみに、劇場版「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」は、本作の続編になっていますので、続けて見られることをオススメします。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 26

83.4 11 兄弟アニメランキング11位
輪るピングドラム(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2098)
10600人が棚に入れました
双子の高校生・冠葉と晶馬、そして妹・陽鞠は三人で暮らしている。余命いくばくもない陽鞠を連れて、ある日水族館を訪れた兄弟たち。楽しく過ごす中、倒れた陽鞠はそのまま息絶えてしまう。霊安室で絶望する冠葉と晶馬だったが、死んだはずの陽鞠が、突如ペンギンの帽子を被り起き上がり叫んだ! 「生存戦略!」「妾はこの娘の余命を伸ばすことにした」。だが、被っていた帽子が落ちると、いつもの陽鞠に戻っているのだった――。不思議なペンギン帽子のおかげで、
陽鞠の余命は少し伸びたのだ。ペンギン帽子を被った陽鞠が再び、冠葉と晶馬に命ずる。「ピングドラムを手に入れろ!」ピングドラムとは何か。そのカギを握るのが、女子高生・苹果という人物と解り、探り始める冠葉と晶馬。ある偶然から陽鞠と苹果が仲良くなったことから、苹果が高倉家に出入りするようになり……!?

声優・キャラクター
木村昴、木村良平、荒川美穂、三宅麻理恵、石田彰、能登麻美子、堀江由衣
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

同世代透明存在の独白

2019年3月30日 初稿
2019年(令和元年)5月1日 追記
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リサ「うーん、幸福ってなに?」
マナブ「またすごい質問だなあ」
リサ「なんだと思うの?」
マナブ「そうだなあ、わからないけど、なんとなく、今思ってるものだけどいい?」
リサ「うん、なに?」
マナブ「ガラクタ」
リサ「えー、幸福はガラクタなの?」
マナブ「気に入らなかったら、違うのもある」
リサ「なに」
マナブ「ほら、マンガとかでさあ、馬の頭に釣竿つけて、先っぽにニンジンつるすでしょ。馬はそれを追いかけてずっと走るって」
リサ「うん」
マナブ「あのニンジン」

『CARNIVAL』SINARIO3「TRAUMEREI」より抜粋
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1.同世代透明存在の独白
平成が、終わった。
振り返ってみると、どんな時代だったか……?
そう考えてしまう日も、近頃多かったな。
悪い事ばっかだったと思うけど、良かった事もあった気がする。
現在を生きているから、現在を客観視出来ない。
悲しき現状、生者全てが辿り着く真理

そんなどうにもならない上記踏まえて個人的見解、嫌な事ばかりだった。
辛く苦しい悲しみの時代
アイ(愛、I)を喪失した時代
平成不況、失われた10年、大災害勃発、猟奇事件頻発
そんな中で生を受け成長した俺達は、多くが「きっと何者にもなれない」と言う漠然とした確信を抱えていたと思う。
断定出来ない、自分だけかもしれない、でも俺はそう感じてた。
「頑張れば『生きる意味』が見出せる」社会はもう無くて。
「頑張ったって『生きるだけの意味』は見つからない」のが俺の社会になった。

この『輪るピングドラム』と言うアニメは、そんな呪縛が「自分だけのモノじゃなかった」と実感した作品だ。
無宗教無信仰な人間に齎された「赦しの寓話」
自らの価値観に強く根付かれた「人生の物語」
そんな個人的解釈が、今日になっても生き続けている。

別の言葉で語るなら、本作は俺に「生きるだけの意味」を与えてくれたんだ。
上手く生きられない俺の欲しかったメッセージ
口下手な俺が心中にて思い描いていた理想世界
俺の代わりに伝えてくれた叫び、信念の媒体物
「『輪るピングドラム』は『俺』の想いの『代替物』だ」
視聴時に思ってしまった事は、今でも記憶に新しい。

宗教は自分の人生に「意味」を植え付けるモノだと、何かで読んだ記憶がある。
神様の存在は、自らの実存を肯定してくれる。
神様の存在は、自身の死をも肯定してくれる。
宗教とは、人生を全肯定してくれる概念、人民にとっての「縋り」
でも、神はもういない。
一部の層には未だにいるが、普通の人にはもういない。
それは、人間が考える頭を持ってしまった故の結果
宗教学より哲学こそ隆盛を誇ってしまった故の結末
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冠葉「神様なんて、いないんだろ?」

『輪るピングドラム』第1話
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それはつまり、人生の意味を与えてくれる存在が消失したと言う事
勿論、宗教に依存せず、新たな意味も見つけられるだろう、人間そんなに弱くない。
でも、だったら次はどこに頼ればいい?
社会、仕事、恋愛、趣味、家族、友人、多くある。
でも、俺の生まれた時代から頼りになる概念はどんどん少なくなっていく。
消失の一途、次第に減少していく「意味」
世間的に「まだまだ」の若輩者でさえ、既に多くを失くしている。
これら全てを失くしたら、いよいよどうやって生きていけば良いんだろう。


生きていく「意味」が、分からない。


『輪るピングドラム』はそんな奴等に向けられた物語だ。
「物語」を無くした人に向けられた、新たなる『物語』
宗教、社会、仕事、恋愛、趣味、家族、友人
これらに続く新たなる依存先『輪るピングドラム』
永遠にして不変なる依存対象『輪るピングドラム』
本作は「人生」を無くした人に「意味」を与える『物語』
観終わった今、以上の様に思う。



視聴前、難解だ難解だ難解に次ぐ難解だと、耳にたこが出来る程言われた。
相手の口に酸味成分100%で告げられた故「どんだけこの作品難しいんだよ」
少しばかり身構えて観た事を憶えている。
しかし、個人的見解から語るに、本作はそんな難しい話じゃない。
「ピングドラム 考察」で検索すると、出るわ出るわ数多の解釈
物事を深く考え過ぎているんだろう、THE 日本人
演出それぞれに明確な意図があると思い込む、言わば考察の蟻地獄だ。

この暗喩が○○の事件に関係している。
ここの演出は○○を意図した描写だよ。
ああ、そういう考察も間違いじゃないと思う。
色々解釈を与える為、敢えて本作の如き作風にしているのは、全話観たなら火を見るより明らか
ただ、それはこの作品の理解に必ずしも必要って訳じゃない。
そこはあくまで、メッセージを伝える為の一土台に過ぎない。
大事なのは、この作品が伝えたかった事を「感じられる」かどうかだ。
沢山考えて良い、色々思い浮かべて構わない。
でも、最後のメッセージはどうか「感じて」観て欲しい。
その時こそ「観て良かった」と、明確に思える作品になる筈だ。

「『輪るピングドラム』は賛否両論の評価を生み出した難解作品」
そう捉えられた事に、安堵と恐怖を同時に感じた。
安堵したのは何故か?
この内容を1回観ただけで分かってしまう世界は、悲しすぎるから。
恐怖したのは何故か?
この内容を1回観ただけで理解してしまう人が、一定数いる証明だから。
分からなかった「お前達」が、がっかりする事は無い。
本作が分からないのは、今が幸せな証明だ。

俺は思う。
本作をはっきり「つまらない」と断罪する人
本作を単純に「おもしろい」と断言出来る人
それはなんて幸せな事なんだろうなって。
幸せに生きている事を、自覚していない幸福者
そして、それはとても素晴らしい事だ。
知らない方が良い、分からなくても良い事というのは世の中、確かにある、あってしまう。
出来るのであれば、そういった概念こそ無くなって欲しい。
けど無くならない、それが現実
だからこそ上記のような方には、知らない分からない状態がこれから末永く続く事を祈るんだ。
出来るだけ永く「幸福」であり続ける為に……

その理論で言えば、俺は絶対「幸福」になれないだろう。
俺は2度と本作を忘れる事は無い。
俺は2度と本作から逃れられない。
だから、せめていつか、この作品を真の意味で肯定出来れば良い。
俺はまだ「ピングドラム」を手に入れていないから。
俺はまだ「輪るピングドラム」に辿り着いていないから。
本作を観て、止まらない涙を得ながら強く思えた、それが今現在俺の近況です。
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リサ「ねえ、ニンジンを追いかけちゃだめかな?」
マナブ「あれは、どうやっても届かない仕組みになってるんだよ」
リサ「うん、わかってる。いいんだ、なんか、一生懸命走りたいの。後悔したくない」
マナブ「それなら、しかたないね」
リサ「しかたないなあ」

『CARNIVAL』SINARIO3「TRAUMEREI」より抜粋
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2.『輪るピングドラム』完全理解へと至る個人的解釈
正直、書かなくて良いと思った。
なぜなら『輪るピングドラム』は、自分自身で観て「感じる」作品だから。
本作を1番理解したのは「意味不明だけど涙が出てきた人」
暗喩表現で支配された作品には、視聴者の数だけ答えがある。
そんな概念に確定的解答を植えつける事こそ、正しく傲慢の表れだろう。

初見なら考察サイトは観ない方が良い。
自らの想いのまま、心に響いて、胸が痛くなった箇所だけを大切にすべきだから。
色々な言葉があって、表現があって、どれが耳に残って離れないかは人それぞれだから。
出来るのであれば、それをずっと憶えていて欲しい。
そして、余裕があったのなら、手前の頭で考えるんだ。
それが、本作を観た人間にとって「大切な一部」となる。
観終わった時、貴方が感じていた事、考えていた事
それが、貴方にとっての正解だ。

だから、以降の内容はこの批評を読んでいる読者様の自己判断に任せようと思う。
自分が辿り着いた「感覚」を、喪失させたくないなら絶対に見るな。
どうしても分からない、でも拠所となる何かしらの答えを知りたい。
そんな「生きる」覚悟をどうしても忘れられないなら、持っているなら……
確定事項でない事のみ念頭において、どうか読んで欲しく思う。




①『銀河鉄道の夜』と『輪るピングドラム』
{netabare}
第1話で小学生男子2人が語っていたのは『銀河鉄道の夜』
本作は、著者の宮沢賢治が亡き妹トシの想いを胸に、幾度も推敲を重ねて作った作品
その為、途中のストーリーに形態毎、大幅な加筆・変更が多く発生している。

「『輪るピングドラム』は『銀河鉄道の夜』に関係している!」

これは正しいんだけれど、正しくない。
どのヴァージョンに準えて『輪るピングドラム』は作られたのか。
考察するとしたら、そこまで言及しないと不完全と言えるだろう。
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[『銀河鉄道の夜』の違い]
【第1次稿】(「九、ジョバンニの切符」孔雀のシーン「そしてあの青い橄欖の森が~」から現存)
・「青年」と共に登場している人物は「三人姉妹」と「男の子」(【第2次稿】も同様)
・「琴の宿のお姫様」←カムパネルラがうっとり見ていた(恋慕)
・ブルカニロ博士登場(【第3次稿】まで同様)


【第2次稿】(「九、ジョバンニの切符」冒頭から現存)
・苹果がジョバンニとカムパネルラに渡されない
(長姉が「苹果」を5個所持→2人の妹、男の子、青年に1個ずつ渡す)


【第3次稿】(「四、ケンタウル祭の夜」から始まる)
・父親がラッコ密漁に伴う他人への殺傷→監獄へ収監
・「青年」と共に登場する人物が「女の子」と「男の子」(姉弟)へ変更(【第4次稿】も同様)
・燈台守が初登場
・苹果がジョバンニとカムパネルラに渡される(【第4次稿】も同様)
(燈台守が「苹果」を所持(個数不明)→姉弟、青年、ジョバンニとカムパネルラに渡される)


【第4次稿】(後期形。現在一般的に流布されている『銀河鉄道の夜』)
・午后の授業より始まる
・父親が監獄へ収監されていない
・ブルカニロ博士消失
-----------------------------------------

と、一部を一覧にしただけでここまで分かれる。
そして『輪るピングドラム』とこれら4つのヴァージョンの適合性を検証してみると、実に面白い事が分かった次第
『輪るピングドラム』は『銀河鉄道の夜』全Verを参考にして作られた作品だった。
しかし、余りにも膨大な情報量故、全て書き上げるのは不可能と判断
参考にしたサイトのURLを貼った上で、纏める形と相成った事、ご了承願いたい。

-----------------------------------------
[『銀河鉄道の夜』と『輪るピングドラム』]
◎『銀河鉄道の夜』におけるトシのイメージ的存在
○2人の場合(【第1次稿】【第2次稿】)
・「琴の宿のお姫様」……宮沢賢治の妹に対する恋慕表現(カムパネルラがうっとり見ていた)
・「青年」と共に登場する「三人姉妹」の長女
               ↓
冠葉によるお姫様「陽毬」と「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」への愛情描写


○1人の場合(【第3次稿】【第4次稿】)
・「女の子」(「姉」)

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/7077627.html
http://oryzajpn.com/archives/7273171.html
http://oryzajpn.com/archives/7643255.html
http://oryzajpn.com/archives/8224312.html



◎「三人姉妹」【第3次稿】にて統合・分離→トリプルHの原型?



◎ひかり=エネルギー=生命(【第3次稿】)
         ↓
冠葉「晶馬、俺は手に入れたよ、本当の光を」
by 『輪るピングドラム』第24話より

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/3257542.html
http://oryzajpn.com/archives/3430391.html



◎宮沢賢治の父政次郎の二面性(【第3次稿】【第4次稿】)
・家業が質屋→宮沢賢治に「社会的被告」としての側面在り(犠牲を糧に生きる罪人)
・ジョバンニ父とカムパネルラ父が融合した存在=政次郎
・ジョバンニ父=「犯罪者」として収監(【第3次稿】のみ)
 カムパネルラ父=倫理的な威厳のある父
            ↓
高倉剣山の二面性……事件を引き起こした「犯罪者」←世間から見た評価
          威厳のある理想的な父親←家族から見た視点
          冠葉から見た父、晶馬から見た父の違いも示唆?

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/8490780.html


◎プレシオスの鎖を解く=家族間の絆を解く(【第1次稿】~【第3次稿】)
               ↓
『輪るピングドラム』第24話 家族決別=「みんなの幸」へ至る

《参照URL》
http://oryzajpn.com/archives/11518358.html

◎ブルカニロ博士の言葉→『輪るピングドラム』第24話へ至る
どんな正しさを選んだとしても、それが自分で選んだモノなら。
どれもが皆「ほんたうのさいはひ」になる。

相手との違い(精神的決別)を実感しても、人間は受け入れる。
受け入れた上で、前に進む事が出来る。
それぞれ進む道は違っても、互いに進む姿は同じだ。

寂しかったり、悲しかったり、辛かったりするだろう。
けれど、自分で選んだ道なら、全部含めて前へ進むんだ。
その姿がいずれ「ほんたうのさいはひ」になる。
世界は繋がり、またいつか、きっと会える日が来るだろう。
-----------------------------------------
{/netabare}




②「ピングドラム」の意味、「輪るピングドラム」の意味
{netabare}
「ピングドラム」
(1)「愛」って意味だよ。
A.
「ピングドラム」を輪すと言う行為に、付加価値的な「愛」が発生する。
「苹果」を渡すという行為に、付加価値的な「愛」が発生する。
したがって「ピングドラム」(ついでに「苹果」)自体は愛ではない。


(2)「永遠なる生命」って意味だよ。
A.
『銀河鉄道の夜』において「苹果」(ピングォ」は多くを暗喩している。
その中の1つが「永遠なる生命」
「こっちの世界」(現世)と「あっちの世界」(来世)を繋ぐ存在
要するに、1つの世界に捉われず生き続ける「生命」の事
「苹果」=「ピングォ」=「永遠なる生命」
しかし、これだと「ドラム」の意味が入っていない、惜しいけど却下


(3)「永遠なる生命の躍動」って意味だよ。
A.
(2)に「ドラム」の意味を追加した。
「ドラム」とは楽器のドラムが示す如く、動物が鳴き声以外の方法で音を立てる動作を指す。
ゴリラが両腕で胸を叩いたり、キツツキが木の幹を突いたり、他の鳥が翼や尾羽で音を奏でたりもする。
「ドラミング」って聞いた事あるだろう。

ビートを奏でる、それはつまり、自らの存在を証明する行為に他ならない。
自己を主張する鼓動及び躍動の言語化


プリンセス・オブ・クリスタル「荻野目苹果がピングドラムを持っている……多分な」
苹果は多蕗に、自らを覚えてくれるよう行動していた。
苹果は愛に従って生きる、事件と関わりのある人間
以上の点から、プリンセス・オブ・クリスタルが推察

しかし、彼女は多蕗への「ピングドラム」を持っていない。
異常でも妄執でも執念でも、彼女自身の生命の躍動が齎す「愛」なら良かった。
けれど、苹果が多蕗に抱いていた愛?は、桃果が「運命日記」に記載していた内容から解釈して作り上げたもの
桃果と一つになって、家族を元へ戻す為の偽愛
もしこれを「愛」と称するなら、桃果が多蕗に抱いていたものであって、苹果が多蕗に抱いていたものじゃない。

したがって、苹果は多蕗を愛していない。
だから「ピングドラム」も持っていない。
彼女自身の想いが紡いだ「生命の躍動」じゃないから。


要するに。
『ピングドラムを手に入れるのだ!」の意味は。

「永遠なる生命の躍動を手に入れるのだ!」
         ↓
「自分が死んでも生き続ける、命の鼓動を植えつけろ!」
         ↓
  「大スキだよ!! お兄ちゃんより」
改変世界にて、いなくなった自らを「愛」と言う形で主張したメッセージ


第17話某シーンの意味は。
冠葉
「俺じゃ、ダメなんだろ。もう……俺には陽毬を救う事は出来ないんだろ?」

プリンセス・オブ・クリスタル
「お前には出来る」
「わらわには、それがわかる」
「なぜならピングドラムとは、それはお前の……」以下想像文
(陽毬を想って行動する結果だ)

冠葉
「俺には……無理だ」(陽毬を大切に想う「生命の躍動」に、彼女自身が気付かないから)
←前話にて冠葉と陽毬は口論&陽毬は眞悧を好き?と冠葉が勘違い
                 ↓
陽毬が冠葉の「生命の躍動」を真に実感した時、冠葉はピングドラムを手に入れ、輪る。


上記が分かれば「輪るピングドラム」の意味は簡単だろう。
「永遠なる生命」を、植えつける行為が輪っていく。
誰かの存在は他者へと宿り、それが「愛」となって昇華する。
植え付けられた相手もまた誰かに、自身の存在与えて「愛」となる。
世界は、そうして輪っていく。
だからこそ、人は「運命の果実を一緒に食べ合う」
「苹果譲渡」(ピンガァドゥラム)が輪る。
それは、繋がりを保った永遠なる世界
相手が死んでも己の中で生きる、終わる事なき永遠なる世界だ。

「運命の果実を一緒に食べ合う」
連続していけば、彼等にまたいつかきっと会える。
そこに「愛」があるなら……
「愛している」という言葉があるなら……
世界は、永遠に繋がり続ける。
いつか出会える「運命」なんだ。
{/netabare}




③最終話を理解する
本作をきちんと観る上で、唯一躓きそうなのが第24話だと思うので、いくつかの解釈だけ載せておこうと思う。
{netabare}
(1)ペンギンマークの檻に入っていた冠葉・晶馬の意味
千江美「晶馬と冠葉君は、私達が知らない間に仲良しになっていたんだもの」→仲良しになった顛末の暗喩=檻での会話
・企鵝の会(KIGA)の印=両親が幹部=世界の全て(冠葉・晶馬にとって)
 晶馬……父親の演説を余り聞かずに逃避
 冠葉……父親の演説を素直に聞いて順応
               ↓
KIGA(企鵝)の組織(大人の世界)から逃れられない子供の世界=檻(≒卵 by『デミアン』)


・企鵝→飢餓=愛情に飢えている暗喩
 冠葉父→冠葉「お前を選ぶんじゃなかった。私は家族に失敗したよ」
 Q.何故、冠葉に苹果は渡っていたか?
 A.両親に愛されなくとも、真砂子には愛されていたから。
 
 晶馬には両親がいる→KIGA(企鵝)の活動に没頭→愛されている感覚が当時は不足していた……?


そして、飢餓状態から脱する為、冠葉は晶馬に苹果を分け与える→「愛」となる



(2)兄2人消失の解釈
「プレシオスの鎖を解く」「ブルカニロ博士の言葉」参照



(3)冠葉のペンギン型「赤い何か」が出て行く描写
・企鵝(飢餓)が失われていく→愛されていると実感していく冠葉の描写
 冠葉の慟哭は、自らが愛されていなかった事を再度実感した故の叫び
                ↓
だから、ペンギン型の「赤い何か」は「苹果」に変わる=「永遠なる生命」に溢れている=自分を憶えていてくれる→「愛」の充満



(4)「生存戦略」とは……?
生きる為の戦略→「何か」を獲得する為の行為全般を指す
「生存戦略しましょうか!」
第1話
冠葉の「苹果」を「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」が頂く行為

第2話以降
「苹果」→「ピングドラム」を手に入れろと言う言葉にシフト
両者の意味・違いは②にて解説

第24話
冠葉へ苹果(「永遠なる生命」)を分け与える陽毬(「愛」)→「運命の果実(苹果)を一緒に食べる」→運命は乗り換わり、自身も「生きる」を獲得=「生存戦略」達成!



(5)「花婿は誰か?」
第9話
ペンギン帽子=運命の花嫁に捧げる花冠
陽毬「誰の花嫁になるの?」
眞悧「多分、その答えは運命の至る場所にある」


では「花婿」は誰か?
それは、以下に注目すればわかる。
・変身バンクシーンにおける兄弟の違い
・第12話における冠葉の病院道中、病院内での回想
・第17話、多蕗は陽毬を離さない冠葉に何を見たか?
・第20話における陽毬と眞悧の恋愛議論と最終話の対比
・第24話、最後の生存戦略


そもそも、最初の変身バンクから待遇は明らかだった。
晶馬はボッシュートで、冠葉はそのまま。
それは、冠葉の苹果(陽毬を想う「永遠なる生命」)が陽毬に渡った事で、彼の覚悟自体をプリンセス・オブ・クリスタルは理解していたから。


そして第12話以降、プリンセス・オブ・クリスタルの真似をする陽毬の姿が回想や描写でちょくちょく描かれる。
プリンセス・オブ・クリスタルの一面が芽生えていく証明?
また、命を明け渡そうとする冠葉の手を押し戻す所からも、プリンセス・オブ・クリスタルの冠葉に対する優しさ、愛が分かる。
プリンセス・オブ・クリスタル=陽毬の失くしてた意識の側面


第17話で多蕗は高倉家に復讐しようとしたが、冠葉の陽毬を離さない行動に桃果を見出して止める。
これは「今」陽毬を真の意味で救おうとしているのが「冠葉」だと気付いたから。
「昔」は晶馬だった、しかし「今」は冠葉である。
多蕗は、自らが桃果に救われた時と同じ行動を、加害者家族の冠葉から見たんだ。


第20話、陽毬は眞悧と恋愛議論を交わす。
-----------------------------------------
眞悧
「さて、今日はある恋のお話です」
「追えば逃げ、逃げると追われる」
「あれほどうまくいっていたのに、ある日突然そっけない」
「逃げられた!」
「さあ、キミならどうする?」

陽毬「私だったら追いかけない」

眞悧「なぜ?」

陽毬「疲れちゃうし」

眞悧
「う~ん……確かに」
「そういうタイプの人もいるね」
「つまりキミは“逃げる役目しかやらない”と宣言するわけだ」

陽毬「うん……どういう意味?」

眞悧
「両方が逃げるんだから、それはお互いが“私からは近づきませんよ”と相手に言うのと同じってことさ」

陽毬「つまり……?」

眞悧「その恋は実らない」

陽毬「それでいいよ。私恋なんかしないもん」

(中略)

陽毬「例えばだけど……」

眞悧「うん」

陽毬
「相手が逃げたら、私は追えばいいの?」
「それで恋は実るの?」

眞悧「実る場合もある」

陽毬
「そうかな?」
「そういう相手は逃げ続けて、絶対こっちには実りの果実を与えないんじゃないかな?」

眞悧
「鋭いね。そう、逃げる者は追う者に決して果実を与えない」
「それをすると、楽ちんなゲームが終わるからね」

陽毬「ひどい……」
-----------------------------------------
上記の会話を踏まえた上で、最終話を観て欲しい。
陽毬は「追いかける」「果実を与える」
「疲れた」って良かった。
そして何より、逃げる者(=冠葉)を「ひどい……」とは思わない。


第12話
-----------------------------------------
冠葉「帰るって、どこにだよ」

プリンセス・オブ・クリスタル「それは、運命の至る場所」
-----------------------------------------
「運命の至る場所」……第23話、第24話の電車内
              ↓
第24話の生存戦略=プリンセス・オブ・クリスタルと陽毬が真に合一
そして、冠葉を追いかける。
プリンセス・オブ・クリスタルが気にかけていた存在は誰か?
陽毬が最終話へ至るまでの間に、理解した想いは誰のものか?

それは冠葉、冠葉の陽毬を想う「生命の躍動」
自分の事だけを考えてくれていた「愛の証明」
それを、最後にして彼女は否定する事無く、受け入れる。
              ↓
陽毬が冠葉の「生命の躍動」を真に実感した時、冠葉はピングドラムを手に入れ、輪る。


結婚式ってあるだろ?
参加した事ある人は分かると思うけど、あれって新郎が新婦を待つ構成になってる。
新郎が先に辿り着き、新婦がヴァージンロードを渡って新婦へ追いつく。
そして、2人は愛を誓う。
これってまんま、最終話の冠葉と陽毬なんだ。

では、晶馬の立ち位置は何か。
晶馬は、花嫁と共に道を歩む「父」
選んだのは晶馬、見つけたのは晶馬
だから、晶馬が元々、父親として「家族」を維持するべきだった。
しかし、彼にそれは出来ず、晶馬から冠葉へ父親の役割は代わる。
そんな「父親代わり」は、最後にして晶馬へと戻り、彼は見届ける。
花嫁の進むヴァージンロードの行き先を、ピングドラムの結末を。

簡単に言うなら……
自分を選んでくれた「お父さんと結婚する!」と言っていた少女が、自分が選びたい人を見つけて「花嫁」になるのが「運命の至る場所」での顛末

大切な人=運命の人≠花婿
苹果を貰った事で、陽毬が思い出したのは「愛を貰った」事
晶馬に、愛された事を思い出す。
だから、晶馬=大切な人=運命の人
そして、その「愛」(=「苹果」)を誰かに与えたいと思う=花嫁となった証
それを踏まえて、愛そうと思ったのは冠葉

愛を貰ってばかりだった女の子が、初めて愛を与えた相手
愛を頂いてばかりだった少女が、花嫁として愛を与える。
その相手は、最初に晶馬へ「愛」を分け与えた冠葉
「愛」は、絶対に戻ってくる。
大切な人に与えた分だけ、他の大切な人から戻ってくる。

「愛」の永劫流転

冠葉が最初に愛を与えたのは、晶馬
晶馬が、冠葉との約束を叶える為に愛を与えたのは、陽毬
彼女が最後に愛を与えたのは、冠葉

つまり、花婿=冠葉
{/netabare}










3.同世代透明存在の独白・後記
冠葉に感情移入し過ぎてしょうがなかった。
男だったら、こいつの気持ちにかなり共感するんじゃねえかと思う。
何しているか分からない兄貴の事を、分からないまま馬鹿にしたり、批判したりの弟妹
でも、彼が1番、この「家」を「家族」を、支えていた。
勿論、守ってやってる見返りなんて求めていない。
冠葉は、誰かに褒めてもらいたいから、関係を維持させていたんじゃない。
「俺」が支えたいから、自分の意志で「家族」を守ってる。
それは、父親との約束により生まれた思想

通り過ぎない嵐なんかどこにもない。
でも通り過ぎるのを待っていたら、大切な人は守れない。

そして彼は、父になった。
どのように金を稼いでいるか、生活を維持させているか、決して話さずに、耐え抜いていく。
そういうのって男なら日常茶飯事、俺も耐え忍んで生きている。
心を固く冷たく強くして、少しでも早く大人にならなきゃいけないから。
全てを犠牲にしても、守りたいモノって確かにあるし。
だから、俺の事なんてどうでも良い、二の次だ。

しょうがない。
しょうがない。
しょうがない。

でもさ、やっぱり、辛いんだよ。
しょうがないって思っていても、辛いものは辛いんだよ。
1人だけ蚊帳の外で、矢印の方向が違うから、理解されない。
大っぴらに語れない事ばかりなんだから、愛される訳もない。

途中の展開が、悔しくてしょうがなかった。
なぜなら、冠葉の状態が続くと苹果は獲得出来ないから。
自分の存在を、他者へと委ねられないから。
誰かに植え付ける行為を、行う事すら出来ないから。
死んだらそれっきり、眞悧のように呪って終わり。

だから、普通は変わらないといけないんだと思う。
平成が終わった今、変わらないといけないんだと思う。
多くの事件に事故、事象や事案の余波は未だ健在
正直今も、生きる事すら、ままならない。
でも、だからこそ、変わらないといけないんだと思う。
俺は今、間違いなく眞悧であり、冠葉だから。

まだ、俺は何も手に入れていない。
夢に生きてた頃、想い出せない。
輝いていた頃、記憶にない。
恋に落ちてた頃、そもそもない。
愛し合ってた頃、ある訳ない。

だけど、最期に、ある言葉は伝えたいと思えた。
「運命」って言葉は大嫌いだけど。
本作と巡り会えた『運命』には感謝したい。
最期に言いたい言葉を『輪るピングドラム』は教えてくれたから。

いつか、最後の日に、その言葉を言えたら良い。
それはきっと、俺が人生を「幸福」に終えられた証だから。
本当の光を手に入れたら、絶対笑顔で言ってやるんだ。

「ありがとう、愛してる」って。
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小さな頃に見ていたものは、まだ何も知らなかった時代のまぼろしなんかではなくて、いまでも見ることが出来るずっとそこにある変わらないものだった。
辛くなるからって無理に忘れてしまわなくても良かったんだ。
僕は気がつくのが遅すぎた。
必要なものを、自分で隠していたんだ。
でも、こんな僕でもまだ全てを失ったわけではなかった。

世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい。
思えば、そんなこと、僕らは最初から知っていた筈なんだ。

時間が過ぎて、僕のことは忘れてしまっても構わないけれど、僕が今ここに書いている言葉のいくつかをときどき思い出してくれるなら、それより嬉しいことはない。

追伸。
今までありがとう。
出来ることならば、誰も憎まないで生きてください。

『CARNIVAL』小説版 PROLOGUEより抜粋
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{netabare}
☆『輪るピングドラム』を紡いだ物語・出来事
【銀河鉄道の夜】
上記で紹介した通り、宮沢賢治稀代の傑作
著者の妹トシに向けた鎮魂小説もとい、生者(自身)へ手向けた慰めの物語


【かえるくん、東京を救う】
村上春樹の小説『神の子どもたちはみな踊る』にある短編の1つ
第9話において、同作者の小説『スプートニクの恋人』が登場するのは、作中の「理解というものは、つねに誤解の総体に過ぎない」という言葉が、両方の物語に登場するから。
『神の子どもたちはみな踊る』は、1995年を軸に描かれた短編集
95年を境に、生きる意味を失う前の想い、失った後の不満、再生、失敗、絶望、希望を主人公達を通して描いている。
主人公は、大きな事を何も出来ない=きっと何者にもなれないお前達の1人
そんなささやかさの中で、かえるくんは東京を救う。
何者にもなれない人間が背中を押すことで、かえるくんは東京を救うのだ。
「かえるくん、東京を救う」は、掻い摘んで言うとそんな物語

また、同作者の『アンダーグラウンド』と『約束された場所で』は地下鉄サリン事件を紐解いたノンフィクション
因みに私は、村上春樹なら『神の子どもたちはみな踊る』が1番スキ


【地下鉄サリン事件】
作中における「あの事件」
情報量が多い故、詳細はググって調べるべし。
陽毬が学校へ行けなくなったのも、父母が犯罪者であった為、学校にいられなくなった→辞めさせられたんだろう
これを見ると、地下鉄サリン事件の前に起きた「松本サリン事件」で、加害者と疑われていた河野さんの子供に向けた学校の対応は、間違ってなかったんだろうな(=冠葉・晶馬のいる高校がそれか)


【透明な存在】
「神戸連続児童殺傷事件」(酒鬼薔薇聖斗事件)において、犯人である酒鬼薔薇聖斗が残した言葉
事件の詳しい内容はhttps://www.nagaitoshiya.com/ja/1999/sakakibara/#comment-163を参照。

この事件を詳しく紐解くと、本作が「神戸連続児童殺傷事件」とも深い関わりを持っているとわかる。
・透明な存在→愛されなかった子供と、愛されず成長した大人、両方を指す

・「世界でただ一人ぼくと同じ透明な存在である友人」=バモイドオキ神=眞悧
「みじめでなく価値ある復讐をしたいのであれば、君の趣味でもあり存在理由でもありまた目的でもある殺人を交えて復讐をゲームとして楽しみ、君の趣味を殺人から復讐へと変えていけばいいのですよ、そうすればうるものも失うものもなく、それ以上でもなければそれ以下でもない君だけの新しい世界をつくっていけると思いますよ」
                ↓
             冠葉の行動へ至る

・酒鬼薔薇聖斗の描いた絵=光と影の世界
 バモイドオキ神=眞悧は2つの世界を超越
真砂子
「明るい場所と暗い場所は共存しなくてはならないの」
「すべてを明るい光で照らしてしまうと、必ずその反動で、暗い場所が明るい場所を攻撃するのよ」
                ↓
             冠葉の行動へ至る

・かえるくん、酒鬼薔薇を救えない
-----------------------------------------
初めて勃起したのは小学5年生で、カエルを解剖した時です。
中学一年では人間を解剖し、はらわたを貪り食う自分を想像して、オナニーしました。

一橋文哉:酒鬼薔薇は治っていない!
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酒鬼薔薇聖斗にとって、自分を救ってくれるかえるくんはいなかった(「かえるくん、東京を救う」参照)
かえるくんは死に、不安と不穏に包まれ、彼の世界は透明のまま終わる。


【余談】作品を示唆する予言
『輪るピングドラム』が世に登場する前、某サイトでこのようなコメントがあったので、ここに引用する。
彼か彼女か、いずれにせよこの人もまた、透明な存在だったんだと思う。

以下、引用
28 林檎 投稿:2008年3月31日 @11:19 AM
酒鬼薔薇聖斗様があの時に行った行動を、今現在の大人たちが忘れているとしたら、それは彼の悪行が無駄になったということになると思うんですね。
あんなに残酷なことが出来ますか。
出来ないでしょう。
大人でもためらうほどの残酷な行動を、当時の日本は彼にさせたのではないですか。
子供は誰しも、犯罪を犯すために生まれてきたわけじゃない。
子供の世界は小さい。
だからそれゆえに簡単に壊れる。
大人のように世間をよく知って、それなりに自分のその中での生き方を得ているわけではないから、子供は簡単に途方にくれる。
そのときに救いの手が一つだけでもあったなら、彼は変わっていたかもしれない。
周りの大人たちが、異常だ、理解できないなどと遠巻きにしなければ、彼は犯罪者としてのレッテルを張られなかったのかもしれない。
ま、想像ですけどね。
いつも彼は一人だったと思います。
だからこそ自分の中で想像上の友達を創り上げ、自分が生きる意味を示すバモイドオキ神様を遂行し、殺人を自分が生きる目的だと思った。
そうするしかなかったんじゃないですかね、やっぱり。
今の時代も、酒鬼薔薇聖斗様は子供の心の片隅に棲んでいますよ。
頭角を現さないだけで、ひっそりと息を潜めているんです。
今の世間はどうですか。
子供も簡単に犯罪を犯す。人を殺し、騙し、陥れる。
全ては大人がしていることです。ニュースを見て、報道されている内容をしってアホらしくなります。
今のご時世、大人も犯罪を犯しているのですから、子供が人を殺すのは当然ですね。
私は私で、彼を尊敬し、敬っています。
彼は当時の腐った日本に大きな打撃を与えてくれた方ですから。
でも、今はどうなんでしょう。世の中の人みんな、彼を覚えているでしょうか。
忘れているとしたら、なんと悲しいことでしょう。
彼の悲痛な悲鳴があの事件にはあったはずなのに、ニュースで多くの報道がされるように、事件は新たな事件に押しつぶされ、殺されて行く。
この世界が悲しくてなりません。
でも、私は彼を永遠に忘れないでしょう。私に、希望を与えてくれた人だから。墓場まで持っていくつもりです。
それだけを言いたかったんです。失礼します。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/1999/sakakibara/#comment-163
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

考察

陽毬はリスカ少女に似ている
{netabare}
この物語は、ある家族(冠葉、晶馬、陽毬)の崩壊の話だと思う。

端からみれば、この家族はすでに崩壊していると言えるかもしれない。
この家族には大人がいない。両親は世間を敵にして消えた。
この3人の子供に血縁関係はない。
幼少期にそれぞれに傷を受けて、この世から消えそうになっていた。

それでも3人は、お互いに寄り添うことで何とか生きている。

しかし陽毬は難病を抱え、死の間際にいる。
冠葉と晶馬にとってこれは全く受け入れ難いことだろう。
この3人が寄り添うことで、何とか生きている存在なのだから。
陽毬の不在は、家族の崩壊であり、冠葉と晶馬にとって心の拠り所を失ってしまうことを意味する。
なので、冠葉と晶馬は純粋に陽毬への愛情から陽毬の命を救おうとしているのではなく、実は自分の存在を守るために、陽毬を救おうとしている、という側面がある。
しかし2人は、純粋に陽毬救いたいんだ、と思い込んでいるし、そうありたいと もがいている。
このような綻びが物語を通して大きなテーマになっているように思う。

そして、
この物語は、それらを1つずつ乗り越えていく話かと思いきや、
だんだん崩壊に向かっていく。

終盤で陽毬は、この家族に自分の居場所がないような感覚に囚われる。
物語を通してこの3人は本当に、ありえないくらい、お互いを想いやっている家族のように描かれている。
が、なぜか陽毬はそこで自分が透明になっていくかのような感覚を持ってしまう。
陽毬は、3人のお互いへの愛情が空回りしていて、実はお互いを無視してすれ違っている、という本質的な問題に感づいてしまう。
そこにこの家族を巡るもう一つの破綻の原因を、サネトシの促しによって陽毬は気づいてしまう。
陽毬は晶馬を恋しており、晶馬はそれには答えられない。
冠葉は陽毬を恋しており、陽毬はそれには答えられない。
という、三角関係。

ペンギン帽子をかぶった陽毬は、別の人格に乗っ取られた、というように描かれているが、
見方を変えると、陽毬の秘められたもう一つの人格、家族をつなぎとめるために演じているいい子ちゃんな自分の反動、という風にもみることができる。
ペンギン帽子の陽毬は、2人に無理難題を迫る。
晶馬は早々に不満を漏らし、理不尽を正そうとする。だけどそれでは陽毬は救えない。なので脱落する。
冠葉は陽毬のために何でもしてやろうとする、しかし冠葉は常に「してやろうと」するだけで、冠葉の愛は悪く言えば自分の都合のいい押し付けの愛になってしまう。

陽毬が冠葉に近づくとなぜか裸になる。たぶん冠葉にとっての陽毬は性愛の対象として見てしまう、ということを表していると思う。
このシーンは実に悲劇的である。
裸の陽毬を前にして冠葉はなす術なく膝をつく。
家族としての愛情を求められる陽毬に対してどうしても女として見てしまうこと、
自分の恋心は陽毬に受け入れられないこと。
そして自分の愛の示し方、「なんでも俺がやってやる」というような愛(サソリの炎とは、このような愛の形を言っているのではないかと思う)では、陽毬を救えないこと。
で、やはり俺ではダメなんだ、という絶望的な嘆きになる。
これに対する陽毬は冷たい視線のまま、だけれど抱擁している。
ここに陽毬の悲劇があるように思う。
陽毬の恋は晶馬には受け入れられない。なので冠葉の受け入れられない(自分に対する)恋の辛さが痛いほどわかる。

この三角関係が、
3人のお互いを非常に想いやっているはずの家族の崩壊の大きな要因になっているのだと思う。

そして、お互いの愛がなぜか、お互いを苦しめることになっている。
冠葉は陽毬のために何でする(ただし自分一人を犠牲にして)。
しかし他人を犠牲にするような方法で陽毬を救ったとして、陽毬は幸せにはなれない。陽毬はそういうことを望んでいるわけではなない。冠葉の愛は自分勝手な愛に向かっていく。
陽毬は冠葉を救うために、自分の命を投げ出すと決意する。
しかし陽毬が死ぬ、ということは冠葉にって自身の死より苦しい仕打ちになるだろう。陽毬の献身的な愛もまた、自分勝手な愛情に向かってしまう。
晶馬に関しては、ひたすら受動的である。そして自分によって誰かが傷つくことを非常に恐れている。苹果を避けようとしたり、陽毬をおじさんの家に行かせようとしたり。冠葉と同じように陽毬を想っている(家族愛として)が、人が傷を負うことを恐るために、何も救えない愛でしかない。

つまり、
この家族の崩壊の原因は、
呪いをかけられたから、親が犯罪者だから、冠葉が親と同じ犯罪を犯そうとしているから、サネトシの思惑の犠牲になって、ということは本質的な問題ではなく、
3人のそれぞれの愛が、3人を崩壊させていく、
という愛の残酷な皮肉、なのであり、これが物語の大きなテーマになっているんだと思う。

サネトシという存在は、そのような愛の側面に絶望した人間。
サネトシが3人を破滅させている、というよりは、
このような、愛が破滅に向かう摂理について、モモカに証明しようとし、
モモカは逆の形で、愛が破滅を救えるということを証明しようとして苹果に日記を託した
という風に見えます。

ピングドラムを見つけて運命を変える
というのはこのような愛のための崩壊を救う「何か」を見つけ出せ、ということだと思う。


最終話
晶馬はペンギン帽子に「冠葉と晶馬で運命を変えろ」と言われます。
冠葉を妄信から救え、とか、事件を防げ、ではなく、
これから対峙しないといけないはずの「冠葉と一緒に」です。
晶馬はこの時点でまだ何をすればいいのかわからなかったはずです。

冠葉と対峙して晶馬が言ったことは「陽毬を返せ」であり、
それに冠葉が答えた言葉は「お前には陽毬を救えない」です。
到底2人で何か救えそうにありません。
そして、陽毬は死んだまま(自分を消滅させることで冠葉を救おうとしている)、
これもまた2人を救えそうにありません。

この時点で3人の家族は完全に崩壊に向かっています。
サネトシはモモカに「破滅を見せてあげる」と言います。

そこに苹果が現れます。
苹果はその前に「陽毬の命を救う」というセリフのもと、この3人の元に駆けつけます。
でもたぶん、苹果が救おうとしたのは陽毬の命ではなく、想い合うことで破滅しようとしている3人の運命であり、晶馬の心を救おうとしたのだと思います。
なので、そのために自分が燃えても構わない、という愛を示せたのでしょう。

苹果の愛を示されたことで、晶馬は冠葉と対立ではなく向き合おうとすることができます。
晶馬が冠葉と向き合おうとしたことで、陽毬が単なる自己献身ではなく、冠葉に愛情を示そうと立ち上がることができます。

ここに1話でペンギン帽子が言った「ピングドラムは苹果が持っている」の伏線が回収された、と見ます。
ピングドラムは晶馬の心から出てきたように描かれていますが、それは苹果の愛をもって初めて見出せたもの、なのでしょう。

陽毬は傷だらけになりなが冠葉の元に進みます。
その際に自分が家族でいることで、実は苦しんでいたことを告白します。
してもらってばかりで「そんなことを言う資格はない」と、いい子ちゃんで通していた、自分の殻を破って、本音で向き合おうとして はじめて冠葉の心までたどり着くことができた、んだろうと思います。

ここでもやはり陽毬は裸になります。冠葉はまだ苦しんだままです。
そして晶馬も、やり方の違う冠葉への反発、自分の血縁によって冠葉や陽毬を苦しめたくない、という愛への消極的な姿勢を捨てて、冠葉に歩み寄ります。
そうしてやっとピングドラムが生まれる。

3人はお互いを「自分の都合」という色眼鏡でみることをやめ、本音で寄り添える本当の愛を持てた。
自分の苦しみを相手にも分け与える覚悟ができたため、本当の彼らを直視できるようになった。
というところに運命の乗り換えが起きた。救いが生まれた、ということだと思う。

晶馬がピングドラムを陽毬に渡す時、陽毬はやはり裸だけど、幼児の姿になっています。
これは晶馬にとっての陽毬があくまで「妹」である、
また陽毬は「妹」としての晶馬の愛情を、恋の苦しみを超えて心から受け取れた、ということを示していると思います。

その後晶馬は燃え尽きてしまおうとしていた、苹果に「愛してる」という言うことで苹果を救います。
苹果はまったく見返りを期待しない愛を自ら選びました。
しかし、どんなに純粋に愛を持っても、まったっく見返りがない、ということは自身が燃え尽きてしまう、ということを表していると思います。
これは、冠葉が見返りのない愛を陽毬に注ぎ消耗していくのに似ています。冠葉は見返りがない愛ために、燃え尽き、どんどん自分勝手な愛に変質していったのでしょう。
晶馬の「愛してる」には、もう一つ意味があるように思います。
それは、陽毬の前ではっきり口にすること、陽毬の恋心を傷つける恐れをちゃんと乗り越えた、ということが込められているように思います。

晶馬の愛の過ちというのが少しわかりにくいのですが、
冠葉が押し付けてでも「してあげる」愛が実は相手を傷つける、というところの対照的なものであり、自分の愛が人を傷つけることを恐るあまり、何物も救えない、というところにあるのかな、と思います。

えーっと、
次に、サネトシが冠葉に「お前たちは呪われている、いずれまた破滅するだろう」みたいな捨て台詞を吐きます。
この「呪い」は「愛」のことだと思います。「愛」というものは今は大丈夫でもいずれ破滅をもたらす「呪い」なのだ、とサネトシは言いたいのだろう。

遡りますが、苹果が運命を変えようと電車に乗り込む前に、苹果はいろんな人から想いを託されています(小さなピングドラムとでもいうべきか)
ひとつは、モモカからの日記
ひとつは、ユリから。ユリはタブキに救われました。タブキは陽毬と冠葉に(ゴンドラの出来事で)救われました。それが回り回って苹果に託されています。
またもう一つ、ダブルHから陽毬へのプレゼントという形で託されています。このダブルHにマフラーという形の陽毬の愛を届けたのがサネトシなんですよね。陽毬が想いを届けることを自分で断絶したマフラーをサネトシが拾ったことで、苹果の呪文となって回ってきています。
この辺りが面白いですね。

陽毬が何か見失ってしまいそうになって図書館でリンゴ(晶馬からもらった)を置いていきそうになるのを止めるのもサネトシですね。

最後の最後、

陽毬は命を救われます。これは冠葉と晶馬が共に運命を変えた、真実の愛を見つけたことの恩賞でしょうか。ピングドラムを見つけたら陽毬の命も救われる、のペンギン帽子の予言が果たされている。
しかし陽毬の家で冠葉と晶馬はいなかったことになっている。
冠葉と晶馬は陽毬の命を救った。だけどその代償として冠葉・晶馬から陽毬は失われてしまった、ということしょうかね。
ここが重要だと思います。冠葉と晶馬は、自分に都合の良い愛ではなく、自身から失われてもいいので相手を救いたい、という本当の意味での自己犠牲の愛を成就できた、ということなんだろうと思います。なのでラストシーンでこの3人が一緒にいちゃダメなんです。
そして冠葉晶馬は、子供になっています。なぜか?大人の姿のまま陽毬の家をすれ違うシーンであったら、どうしても冠葉・晶馬がいずれまた陽毬と出会うことを見ている側が想像してしまうから、それを避けたかったんじゃないかな、と、思います。

このラストで、登場人物は皆、一番大切な人を失っています。
晶馬は、陽毬・リンゴ
リンゴは、晶馬
冠葉は、陽毬
マサコは、冠葉
ユリとタブキは、モモカ。

これは、愛の喪失を乗り越える、ということの物語でもあるように思います。
ユリとタブキが象徴的ですが、愛するモモカを失って、
・他人を犠牲にしてもモモカを取り戻す
・モモカの復讐をする
いずれも愛がなせることでしょうが、この愛は破滅をもたらします。
そうではなく、愛する(愛される)ことができたから、喪失を破滅を乗り越えられる、というメッセージ(タブキが語っていますが)が、それぞれの試練として課せられた(乗り越えられた)、ということを意味していると思います。

また、冠葉・晶馬が兄弟のように並んで歩いている、という点について。
冠葉・晶馬が、本当の意味で兄弟(あるいはそのような愛情)になれたことを示していると思います。
物語を通して、冠葉・晶馬は、陽毬がいることで兄弟として成立しているようなところがあります。
2人の仲が悪いように見えませんが、性格が反対なので、別の方向を見ているようなところがあります。
冠葉は兄である俺がダーティなことは全部引き受けるので、お前は陽毬の前で笑っていろ(主に陽毬の気持ちを考えてことだと思う)、というようなスタンスです。
晶馬は終盤までその冠葉のスタンスにただぶら下がっているような状態です。
だけど真実の部分を話し合った結果二人は決別することになります。
つまりお互い真に語り合うことをしないために、家族としての体裁を保てていた、ということだと思います。
(また一人の妹想う2人の同じように強い想いが、意見のすれ違いによって争いになってしまう、という皮肉)
単に冠葉と陽毬、晶馬と陽毬が、寄り添うだけでなく、冠葉と晶馬が寄り添って分かち合うところにピングドラムがあった訳です。そこに内実は崩壊していた3人の家族が、本当に家族として暮らせる 何か を見つけられた、ということでしょう。
なので、陽毬を失ったあとに、この2人が一緒にいれるのだと思います。
だし、陽毬の想い。自分が失われるとした場合に、2人に本当に望むこと。私がいなくても家族でいて欲しい、という願いが叶った形なのかもしれません。

***
こどもブロイラーとキガの会を巡る愛の残酷な皮肉

晶馬は直接的に親に捨てられた、という描写はありませんが、晶馬としては幼少期に親の愛をえられなかった、という思いがあると思います。
キガの会というのは、愛の皮肉の例だと思います。
キガの会は子供ブロイラーがあるような社会を変革する、と、言います。
しかしキガの会が革命のために話をしている、そのすぐ側で一人の女の子が親に捨てられ子供ブロイラーに送られようとしています。キガの会には、このような小さな存在、実際の被害に対して目が向かないのです。
晶馬や冠葉も恐らく、親から目が向けられなかった子供だったのでしょう。
晶馬や冠葉は子供ブロイラーに送られることはなかったですが、それと同等の檻の中で飢えていました。
キガの会は愛のためにこの世を救おうとしているはずですが、目の下の自身の子供への愛も注げないでいるのです。
これも残酷な皮肉だと思います。

***
個人的に、

陽毬がリスカ少女のように見えます。
陽毬の呪いとは身体の病気ではなく精神的な病気だったんじゃないか。
幼少期に陽毬は心に大きな傷を負っています。
そのことが呪いとなって、自分を絶対的に愛してくれている2人の兄を前にしても、
自らを消し去ろうとしてしまう。
絶対的に愛している体(てい)の欺瞞に、あまりに敏感に気づいてしまう。なのでサネトシと近い。

あまりにも愛情に溢れた家族の「体(てい)」の中での自分を演じてしまう。
そのことに綻びがある。
あきらかに自分のために奔走している兄たちに、何をしているのか、問い正すこともできず傍観してしまう。
あきらかに自分のために傷ついている兄たちのために、自分を滅することでの救いをもたらそうとしてしまう。
実際、物語の中で陽毬は脇に置かれたまま。陽毬はただ天使のように置かれた人形のような存在であるようにも見える。
そのように演じてしまう。

そして、陽毬と同じように大きな傷を抱えたままの2人の兄(だけ)では妹を救えなかった。
この3人は、3人では破滅を逃れられなかった。

なぜ苹果が必要だったのか?
苹果は登場人物中、唯一と言っていいほど、親に愛された幼少期を過ごしたから、かな。
苹果も序盤では親の愛を疑い、独善的なやり方でそれを取り戻そうとしますが、
そもそも愛を失っていなかった、ということに気づくのだと思います。
どうしても人は100の愛を得ようとしてしまいますが、100も愛を施せることは通常ありえない。
普通、親から100の愛情を受けることはないと思います。
だけど、100無い、ということは、0ではない。
そこに気づけた。100ではない愛情でもちゃんと愛を感じられた、というところに苹果の成長があったように思う。

だから苹果は、陽毬を、3人の家族を救う鍵になれた。
最後に到るまでの陽毬・冠葉・晶馬3人の愛は、未熟な愛だった、あるいは消耗して磨り減った愛だった、と言えるかもしれません。
気持ちだけではどうにもならない、
本当の意味で成長し、別の誰かから小さくとも愛を受け取ることで、誰かを救えるようになったんじゃないかな、と思います。


{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ウテナから来ました

 第一話視聴後のレビューです。全話完走予定。ウテナが面白かったので監督つながりで視聴を開始しました。このレビューは自分の考えを整理するためにメモ、みたいなものです。完走後に追記するかは未定です(多分しない)。第一話のネタバレがありますのでご注意を。評価点は完走後に付けます。<追記しました>


子供たちの会話と銀河鉄道の夜:{netabare}
 この作品は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜(以下『銀河』)』をベースにしているようです。子供たちの会話を抜粋します。表記は『銀河』準拠。
 <前段>
  「苹果(リンゴ)は宇宙そのものなんだよ。手のひらに乗る宇宙。」
  「この世界とあっちの世界をつなぐもの。」
  「(あっちの世界とは)カムパネルラや他の乗客が向かっている世界だよ。」
  「苹果は愛による死を自ら選択したものへのご褒美でもあるんだよ。」
 <後段>
  「(死んだら全部)お仕舞じゃないよ。むしろそこから始まるって賢治は言いたいんだ。」
  「愛の話なんだよ。」

 『銀河』の概略はこんな感じです。
 「孤独な主人公ジョバンニ。父が行方不明で、母が病床のため、働かなければならず、学業にも身が入らない。学校ではいじめられ、職場ではからかわれ、親友のカムパネルラと話す機会も減った。親友のカンパネルラはみんなの人気者。
 二人は、銀河鉄道に乗り込む。様々な人と触れ合うことで、ジョバンニは、「ほんとうの幸」という生きる目的を得た。気が付くと、車中からカンパネルラの姿が消えてしまっていた。
 ジョバンニは目を覚ました。丘の上で寝てしまっていたのだ。丘から下りると川の近くに人だかりがあった。カンパネルラはいじめっ子のザネリを救うため、川に飛び込み命を落としていた。」

 『銀河』における銀河鉄道とは、この世界と死後の世界をつなぐもので、苹果は、死を象徴するものとして出てきます。子供たちの会話の前段部分は『銀河』を説明したもので、後段部分はその解釈です。
{/netabare}

第一話の構造:
 第一話は、子供たちの会話だけで成立しています。
 第一話の前半が『銀河』の世界を再現する<前段>部分で、後半が『ピンドラ』の世界を描き始める<後段>部分に該当します。これが第一話の構造です。


<前段>とTSM荻窪線:{netabare}
 『ピンドラ』が本当に『銀河』の世界観を引用するのかどうか、という疑念を確信に変えてくれるのが「TSM荻窪線」です。

 「TSM荻窪線」は東京メトロ丸ノ内線がモデルですが、荻窪から池袋に行く際に、丸ノ内線の始発駅から終点駅という行き方はあまり考えられません。少なくとも途中での乗り換えが一般的です。それにも関わらず、三人は「TSM荻窪線」のみで池袋まで到達しています。

 このような経路の選択をしたのはなぜなのか。
 「他の路線がないため選択肢がなかった」のであるなら、それはそういう世界を作った「監督の意向」です。「他の路線があるのに使わなかった」のであるなら、それは「三人の意向」です。
 いずれにしても、誰かの意図で始発から終点まで電車に乗っていた、ということです。

 さらに重要なことは、終点で起こった「ヒマリの死」です。つまり、始発から乗り、終点に到達すると死が訪れる、という『銀河』の世界が露骨に描かれているのです。始発から乗る以上、引き返すか途中下車するか乗り換えるかしない限り、死へと到達してしまう世界です。

 以上のことから、意図的に『銀河』の世界が踏襲されており、事実再現されている、と言えます。主人公の男の子達の名前もショウマとカンバですから、ジョバンニとカムパネルラに同一視されます。ヒマリは、「自ら死を選択」していないからご褒美の苹果がないのです。
 ここまでが第一話の前半で描かれている<前段>部分、『銀河』の世界です。
{/netabare}

<後段>と「輪る」「ピングドラム」:{netabare}
 第一話の後半で描かれているのが<後段>部分、『ピンドラ』の世界です。終点での出来事のあとから第一話のエンディングまでに該当します。
 「(死んだら全部)お仕舞じゃないよ。むしろそこから始まる」「愛の話なんだよ。」
 死んで始まると言いたいのは、賢治ではなくて幾原監督です。『ピンドラ』の物語は、死んで初めて始まるのです。愛の話だからキスシーンで終わるのです。第一話というのは、子供たちの会話を映像化しているだけです。
 『ピンドラ』が「愛の話」だと宣言されているわけですから、「ピングドラム」は十中八九「愛」のことでしょう。

 で、問題は「輪る」の意味するところ。

 最初は輪廻観かと思ったのですが、転生ではなく蘇生ですからちょっとロジックが足りないです。山手線が採用されていないのもダメ押しですね。三人の親や子も登場しそうにないので、世代を超えた円環構造もなさそうです。

 となると、横のつながりが「輪る」ですかね。男女の三角関係ならグルッと「愛」を回せそうな気もします。または、男から女へ、そしてその女から元の男へ、の循環ですかね。
 この辺は第一話だけでは情報不足かもしれません。
{/netabare}

 『銀河』自体は、様々な解釈がされています。これに対して幾原監督の解釈を提示した上で、その土俵の上で描かれたのが『ピンドラ』の世界なんじゃないのかな、と思っています。

 ここからはテーマを探ってみます。『銀河』のテーマに幾原監督の「愛」が乗っかったのが、おそらく『ピンドラ』のテーマになるでしょう。

『銀河』のほんとうの幸:{netabare}
 ジョバンニは蝎(サソリ)のようになりたい、と願います。
 「蝎は虫を殺して食べて生きていた。ある時イタチに見つかって食べられそうになった。一生懸命逃げたけど、いよいよ捕まりそうになってしまった。その時井戸に落ちて、溺れてしまった。蝎はイタチに食べられなかったことを後悔した。どうせ死ぬのなら、イタチに食べられていたら彼を一日生かすことができたのに。神様お願いします。むなしく死ぬくらいなら、まことのみんなの幸のためにこの体を使ってください。すると蝎は真っ赤なうつくしい火となって、闇を照らし続けた。」

 賢治の宗教観は、(たぶん)キリスト教と仏教のハイブリッドです。無意な死である自殺を否定しながらも、自己犠牲は肯定しているのです。ただ、推奨はしていません。蝎が虫を食べていたように、蝎がイタチに食べられるのが「自然だ」と主張しているのです。
 これは食物連鎖に限った事ではなくて、人が一人で生きるのではなくて、みんなと助け合うのが「自然だ」と言っているのです(この助け合いの連鎖が「輪る」?)。

 ジョバンニは「みんなのほんとうの幸」のためなら「自己犠牲」も厭わないと生き方を決めました。ですが、「みんなのほんとうの幸」が何なのかが分かりませんでした。そこで「みんなのほんとうの幸」を探すことを決めたのです。

 これに対する幾原監督の解答が「愛の話なんだよ。」ということです。みんながそれぞれ「愛」を得られるような世界が「みんなのほんとうの幸」につながるのでしょう。
{/netabare}

愛の話:{netabare}
 幾原監督の「愛」は既にウテナで描かれており、その「愛」観は特徴的な二元論から成立しています。特異な主張を持つ作家は、やすやすと自分の意見を変えませんので、今作でも大きくは変わっていないはずです。彼の主張は、男女のそれぞれに二元論を用意して、その組み合わせで「愛」に関する二元論を作り出す、というものです。

 女性には、お姫様と魔女がいます。王子様に選ばれて守ってもらえるのがお姫様で、選ばれなければ必然的に魔女化してしまいます。魔女は王子様をたぶらかそうとします。
 男性には、特定の女性に愛を向ける本物の王子様と、不特定多数の女性に愛を向ける偽りの王子様がいます。
 本物の王子様が、魔女にたぶらかされずに正しくお姫様を選び、それにお姫様が応えること。これが幾原監督の言う「ほんとうの幸」である「真実の愛」です。これ以外の愛の形は「偽りの愛」になります。
(この「選び」「応える」構造が「輪る」?)
{/netabare}

プリンセス・オブ・ザ・クリスタル:{netabare}
 で、プリンセス・オブ・ザ・クリスタルと彼女がやったこと。
 ヒマリは、プリンセス~略~、つまりお姫様に変身していますので、最終的には、王子様に選ばれるお姫様になることは間違いないでしょう。ヒロインポジションだし。

 問題はカンバ。カンバは多数の女の子と関係を持っていることから、「偽りの王子様」に該当します。ですが、最後にはヒマリへの愛に向き合う「本物の王子様」の側になりました。この転換の契機となっているのは、プリンセス~略~がカンバの身体から抜き取ったものが関係していそうです。

 彼女が抜きとったのは、苹果ではない赤いもの、「まっ赤なうつくしい火(=蝎)」なのではないでしょうか。そもそもカムパネルラと蝎は、「自己犠牲」という点では共通しますが、結果は大きく異なるものです。カムパネルラは「一対一」の犠牲であり、蝎は「一対全」の犠牲です。
 「一対一」こそが本物の王子様とお姫様による「真実の愛」の形です。カンバは蝎のもつ不特定多数への愛を奪われたことで「本物の王子様」に立ち返ったと考えるとしっくりきます。「真実の愛」ではないけれど、一応は愛なのでヒマリの「一時的な延命」が可能になるのでしょう。

 ショウマは、何も問題なしです。カンバの女好きを非難していますから、「本物の王子様」の素養があります。または、まだ愛を知らない可能性もあります。どちらにせよ、プリンセス~略~に何もされずにさようなら、というわけです。

 ちなみにですが、「一対全」の愛が「偽りの愛」だと言いたいわけではないですよ。「真実の愛」「偽りの愛」というのはウテナから感じた私の感想であって、重要なのは、「目指す愛」と「目指さない愛」という二元論を用意することです。この二元論を「唯一の愛」と「普遍的な愛」としても、「一対一の愛」と「一対全の愛」としても構いません。
{/netabare}

テーマまとめ:{netabare}
 ショウマとカンバ、つまり、ジョバンニとカムパネルラの別形態による『銀河』ifストーリーが『ピンドラ』である、というのは間違いないでしょう。察するに、カムパネルラ役の男の子の「自己犠牲」を描いた上で、誰かが「真実の愛」に到達する、みたいな構造を持ちそうです。遅かれ早かれザネリの代替キャラも登場するでしょう。

 蝎の話は「死に方」に関するものです。ジョバンニは「死に方」を考えることで「生き方」を獲得しました。「どう死ぬか」は「どう生きるか」に転換できるということです。おそらくこれを端的に述べたのが「生存戦略」というキーワードでしょう。生きることは「真実の愛」を探すことですから、「ピングドラムを探すこと」自体が「生存戦略」でもあります。

 『銀河』をやる上で、唯一足りてないのが苹果です。この「欠けたものを探すこと」が「ピングドラムを探すこと」になります。ピングドラムは絶対に苹果の形をしているはずです。今まで書いてきた事柄を整理するとこうなります。
  苹果=死=どう死ぬか
  どう死ぬか⇔どう生きるか
  どう生きるか=生きる目的=ほんとうの幸=真実の愛=ピングドラム
 結果、苹果=ピングドラムなんですけど、これを繋ぐためには生存戦略が不可欠なわけです。
{/netabare}

 第一話のレビューとしてはこんなところでしょうか。第二話以降を気楽に見るために二回も見ちゃいましたよw それでは第二話以降に行ってきます。

★★完走後の追記★★{netabare}
①愛の二元論(上記の修正込)
 ピングドラムは、「愛による死を自ら選択したものへのご褒美」、つまり、「自己を犠牲にして誰かを生かしたときに生まれる愛」のことでした。
 で、修正したいこと。この作品の世界は、「愛のある世界」と「愛のない世界」で成立していて、この愛の中には「恋<一対一の愛<一対全の愛」という上下関係が成立しているというものでした。愛の中で二元論を作っているわけではありませんでした。プリンセンス~略~が最初にカンバから抜き取ったのは、「恋」でした。

 作品の世界は、「TSM荻窪線」のある「愛のない世界」です。「氷の世界」「美しい棺」と称される「子供ブロイラー」が存在するような世界です。カンバとショウマは、自己を犠牲にすることで、「愛のない世界」を「愛のある世界」へと変換しました。これが「運命の乗り換え」です。これにより、ヒマリと苹果ちゃんは、突如として別世界の電車の中に現れました。「命⇔蝎の炎」の路線です。

②運命の果実を一緒に食べよう
 「一対一の愛」を実現するためには、「選び」「選ばれる」ことが必要です。男女を限定しなくなっていますが、幾原監督の王子様とお姫様理論ですね。この選択と被選択のいずれもが達成されないと、その人は「何者にもなれないお前たち」と呼ばれてしまいます。
 この「選び」「選ばれる」ことが「運命の果実を一緒に食べよう」というセリフに表れています。ピングドラム(苹果)を「分け与え」「受け取ってもらう」ことです。ピングドラムは、カンバ→ショウマ→ヒマリ→カンバとまわりました。これが「輪る」「ピングドラム」ですね。

③取り残されたタブキとユリ
 愛が「輪る」構造は、世代間にもあるのでしょう。タブキとユリは「愛のない世界」に取り残されしまった、愛を知った夫婦です。彼らは子供を産み、「蝎の炎」に頼らずともその子供に愛を与えることが出来るのでしょう。
 登場人物たちは総じて親子間に問題がありましたが、愛を知る親が「愛のない世界」に残された、ということです。カンバとショウマ以外の希望のかたちでしょう。

④サリン事件
 首謀者残党である企鵝の会。彼らは別に悪者ではないような気がします。
 彼らはこの世界を壊したがっていました。彼らの言う「聖なる炎」は「蝎の炎」のことでしょうから、愛のある世界を作りたかったのです。手段についてはさておいて。

 この事件の採用は、社会風刺ありき、ではないと思います。『銀河』の世界を再現するためのものでしょう。『銀河』には、船舶事故の犠牲者が出てきます。この船舶事故とは、タイタニック号の事故であると言われています。これを現代と地下鉄に置き換えたのが「サリン事件」だったのだと思われます。

⑤サネトシ
 この人がザネリです。「空の穴分室」にいましたが、「空の穴」というのは『銀河』に出てくる言葉です。彼の言う「呪い」は、他人を犠牲にして生き残ること、すなわちザネリの生のことでしょう。「罪」も同様の概念でしょう。

⑥苹果ちゃん。
 表記も『銀河』準拠だし、果実の苹果が出てくる前に登場したこともあって、レビューを盛大にやらかしたかと不安にさせてくれました。無事に果実の苹果が出てきて良かったです(笑)。
 彼女はずっと運命に縛られていました。でも、最後は死に至る電車を乗り換える「運命の乗り換え」を実行してくれましたね。ヒマリたちが表の主人公だとしたら、苹果ちゃんは裏の主人公でした。

 エンディングを見る限り、ショウマとカンバは銀河鉄道の旅を続けるんですかね?乗り換えをしながら愛のある世界を作り続けるのでしょうか?「ほんとうの幸」を作る側ではなく、いつか味わう側に成れるのでしょうか??
{/netabare}★★追記ここまで★★

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

78.7 12 兄弟アニメランキング12位
あかね色に染まる坂(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (1816)
10348人が棚に入れました
私立アミティーエ学園に通う主人公・長瀬準一は高台にある夕陽丘公園から見える綺麗な夕焼けと、夕焼けに染まる街並みを見るのが大好きだった。ある日、準一の目の前に現れた少女・片桐優姫が親同士の決めた許婚と知らされる。突然の知らせに驚愕する準一だが…。
準一の妹・湊も含めた共同生活が始まる。

声優・キャラクター
羽多野渉、釘宮理恵、平野綾、井上麻里奈、加藤英美里、広橋涼、田中理恵、葉月絵理乃、福原香織、石田彰、小山力也、コング桑田、田中敦子
ネタバレ

ジャスティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

制服の可愛さに惹かれた

●視聴したきっかけ
{netabare}
あにこれでなんか恋愛ものないかなと...
探していたときにこの作品に出会いました。

第1印象が凄く制服が可愛らしくて
これは絶対に見るべきかなと思いました。
もしかしてしたら一番可愛い制服かもしれない。

{/netabare}

●評価するポイント
{netabare}
今回素晴らしいのは、キャラへの愛情です。
物語はそこまで特化はしておらず、
原作18禁ゲームの力を生かしており、
特に制服姿のみんながとても魅力的に描かれています。

またこの作品は、
【Toloveるシリーズ】みたいに白い線や白い煙がありません。
(dアニメストアで確認)
何故なのかは分かりませんが、
取り敢えずラッキーと思いながら視聴していました。
この作品の絵柄が凄く【ましろ色シンフォニー】と似ているのは
気のせいかな?
でもましろ色シンフォニーは原作はパレットなので、
違う会社のはずなんだけど...まあ、いっかあ。

先ほどキャラへの愛情と言いましたが、
私は特に妹が可愛いが可愛くて死にそうでした。
久しぶり推しキャラ登場という感じです。
キャラ的に【D.C.~ダ・カーポ~】の音夢ちゃんと性格が似ているし、
もしかして声優さん同じなようにも聞こえる。

この作品のストーリー構成は、
今でも昔でもありそうな展開ばかりで面白いという感じではなく、
単純に可愛いキャラを見るだけのアニメと思ったほうが全然良いと思います。
きらら系みたいな捉え方になるのかな。
{/netabare}

●全体の感想
{netabare}
ストーリー ★ 2.5
{netabare}
ストーリーに関しては本当にテンプレな感じです。
ストーリーは誰でも「次はこういう展開だろうな」
と思えるほどわかりやすい作品です。
そこがいいと思う人もいるかもしれませんが...

少し自分で考えただけで直ぐその展開が起きるというのはいかがなものか。
テンプレの展開だとストーリーに関しては
全く力を入れていないように捉えてしまいがちだと思っています。

原作18禁ゲームのアニメでは後半からが本編なので
前半だけ見ると酷く見えることが多いのが欠点とも言える。
今アニメを放送すると視聴者獲得は難しい。
人それぞれかもしれないが、3話切りなどする人は意外と多い場合が
あるため、後半まで見てね。ということは
ある意味視聴するのが苦痛と感じてしまうことがあるのではないだろうか。

これは現代でいう「異世界なろう系」の象徴的なことと似ている。
特にこの時代では恋愛アニメ = 原作18禁ゲーム という概念が多い。
それはもうなろう系に近く、そのようなジャンルを多く見てきた
視聴者は、「またこういう系か」と思う方が多いのかな。
この頃のアニメに関してはにわか知識なので間違ている可能性はあるかも。
{/netabare}
作画    ★ 3.5
{netabare}
作画面に関しては、当時からすると
わりと安定していたほうだと思います。

当時は、全く深夜アニメを視聴しておらず、
どのくらいのクオリティが凄いのか分かりませんが、
この年代のアニメからすると優秀なように感じます。
意外とキャラの裸シーンでの
全体絵が比較的に上手いように見えるのは気のせいかな?
{/netabare}

{/netabare}

●話数ごとの感想
1話 - 5話 2019/01/15 初視聴
{netabare}
何だろう「こんなにテンプレな展開あるかぁ」
というぐらいテンプレすぎて
ストーリーは面白くないといった方がいいかもしれないが、
キャラデザインと制服がどの作品よりも可愛らしい。

制服のセンスありすぎw
胸の描写ありなんだ。
流石というかこの頃から優秀すぎないかw

{/netabare}
6話 - 7話 2019/01/16 初視聴
{netabare}
ここまでのハーレム状態を作れるのが羨ましいかもしれないです。
そろそろ湊ちゃんと優姫の対立が起こりそうで続きが気になります。

これって【D.C.~ダ・カーポ~】みたいに
後半からシリアス展開とかにならないよね...
{/netabare}
8話 2019/01/16 初視聴
{netabare}
ついに同居がバレかけるようになるんですね。
「流石に気づくだろ」と思ったけど
思うのほか平気なのが気になる。
【おくさまが生徒会長!】みたいな展開かな。
先が結構気になる。
そういえば、優姫の父親の対立はどうしたんだろう?
{/netabare}
9話 2019/01/18 初視聴
{netabare}
兄さんのお誕生日会。
ケーキ作りに励む優姫ちゃん。
ケーキのレシピを試行錯誤して完成させた湊ちゃん。
ケーキに満足する兄さん。

二人の距離が近づいていく優姫と
距離が近づいていくに連れて
妹の存在意義がなくなっていくような感じになった
湊の気持ちが強くなっていく。

10話から少しずつ人間関係が壊れそうで恐ろしい。
これ...絶対に崩壊するパターンだよね?

今だけど、妹のテニスウェアの姿が可愛い。
【俺妹】みたいに妹が勝利するパターンがありそう。
でも、このパターンだとその逆があるかもしれない。
{/netabare}
10話 2019/01/18 初視聴
{netabare}
ついにこのパターンが来てしまったか。
ここから先が見たいようで
見たくないと気持ちになってしまう。

【D.C.~ダ・カーポ~】と同じような展開になりつつあるかな。
どうしてこうなってしまうのか
そろそろ一夫多妻制度入れてもいいじゃないですかね

このような場合って可愛いほうがいつも切ない感じがする

{/netabare}
11話 2019/01/18 初視聴
{netabare}
テンプレってすいませんでした。

絶対に妹ルートの方向に持っていくと予想していました、
私の中で優姫の株がストップ高状態。
優姫は優しすぎる。

テンプレ展開だらけだったので
妹の可愛さと優姫の可愛さが最高でした
ここに来て一番この話が好きになりました

これだから最後まで見て分からないアニメってありますよね。
結局は主人公が一番ダメな人間性だったのか
私自身も人間性がダメなような感じもしてくる

私も優柔不断な人間だったので、主人公の気持ちも
分からなくないけど、こうなるのは結局自分自身に
降りかかってくるものですよね

そしてEDが少し変化していましたね。
今までの準一にアピールしてきた数々が描かれていましたね。

そういえば、結局妹の湊は本当の家族だったのか?
多分合っているようにも思えるが
{/netabare}
12話 2019/01/18 初視聴
{netabare}
主人公の心の心情を表しているいたのは、
ジェノキラーだったんですね。
1-2話ぐらいのときに良く登場していたのは
ここのシーンに繋ぐものだったとは。

素直な感想と言いたいのは
ハッピーエンドで本当に良かったです。

準一がしっかりと「湊のことが好きだ」といったのは
準一の大きな成長に繋がったと思います。

成長出来たのには、二人が一度準一と離れたことで
準一は一人になることが出来ました。
そう、準一は一人になる機会が無かったのです。

一人になるというのは孤独感もありますが、
最大のメリットとしては、
人に干渉されないこと
そして自分自身の気持ちを整理出来ることです。

気持ちを整理出来ることで
今自分はどうしたいのかが良く分かり
これからの自分の行動に移す力があります

だからでこそ、二人が一旦離れたことで
一人だとどのくらい自立していないかが
本当に良く出るので
私も自立するときに
準一みたいになるのだろうか...
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 6

ともか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

気に入った点 vs 貶す点のせめぎ合い。 評価はいかに…!?

原作ゲーム(fengの恋愛アドベンチャー)未プレイです。

主人公と妹、そして
とある事情で主人公を嫌いになるために来た少女(主人公と同級生)
という3人を中心に描いていて、
各キャラの心の変化を描写している作品です。

キャラ面では、作中のキャラのほぼ全員が第1話から登場し、
一度に出すぎたせいで設定の説明不足感を感じました。


映画の画面に映し出されていたメッセージ
「上映中は携帯電話の電源をきらないとダメなんだからね」
やっぱツンデレ推してる作品だなってw

作中では風呂シーンが数回ありましたが、…湯気と泡、仕事しろw

7話頃までは、(良い意味で)突っ込みどころ満載な作品だと思いました。
キャラ自体よりもギャグがウケて、同じネタは繰り返さず、
ギャグのバリエーションも超豊富です。

前半に学園・日常&ギャグが多かった分、
10話頃になってから物語が急激に進展し、
ギャグ面では右肩下がりになった印象を受けました。
最後に詰め込みな感じがしたのが個人的には残念です。

それでも、総じて
話は基本的に一本道で分かりやすく、
ネタも面白くてわりと気楽に観て楽しめました。
この点が、私の中で最大の評価ポイントです。

あと、個性的なキャラたちが繰り広げるコメディも良かったと思います。


音楽面では、OP曲は結構好きです。
ED曲は1話ごとに変わりますが、
この方法を取る場合は「一度聴いたら耳から離れない」ような
インパクトが無い限り個人的には高評価するのは難しく、
せいぜい映像を変化させる程度にしておいてほしい。
そうすれば毎回映像に見入ることができて、
曲も多少は記憶に残るのではないだろうか?

あと、EDの映像面でももう二工夫くらいほしいところです。

OP曲:初恋パラシュート(歌:橋本みゆき)
~ED曲一覧~
第01話: Sweet Gift (歌:片桐優姫[釘宮理恵])
第02話: Sweet Gift (歌:片桐優姫[釘宮理恵])
第03話: Confusion… (歌:白石なごみ[広橋涼])
第04話: 少女テストは難しい (歌:綾小路華恋[加藤英美里])
第05話: 茜色 hometown (歌:片桐優姫[釘宮理恵])
第06話: Cherry pink mystery (歌:綾小路華恋[加藤英美里])
第07話: Make a miracle! (歌:椎名観月[田中理恵])
第08話: ラブダイビング (歌:霧生つかさ[井上麻里奈])
第09話: Chu.chu.ru.の約束 (歌:椎名観月[田中理恵])
第10話: 目覚めない wish… (歌:長瀬湊[平野綾])
第11話: 目覚めない wish… (歌:長瀬湊[平野綾])
第12話: ai・ココカラ (歌:長瀬湊[平野綾])

12話でEDが全10曲!
それで1曲どころか1フレーズも思い出せませんorz
聴いても、そんな曲あった??というレベル。。
音楽評価で★3.5は完全にOP曲のおかげです。


評価を付けるのが難しかったですが、
気に入る要素がとても強かったので、貶す点も「ご愛嬌」と思えました。
個人的には好きな部類で、総合満足度は「上の下」といったところ。

2012年11月17日時点で辛うじて「お気に入り」の棚に食い込んでいるものの、
自分の中での26位以下に脱落するのも時間の問題かも…(´・ω・`)


原作をご存知で比較してみたい方、
ラブコメ、ツンデレヒロインがお好きな方や、
豪華声優陣の演技を聴いてみたい方にオススメします。
コメディの質は良かったと思いますよ(個人的)^^

ただ、終盤で物語が妙に詰め込みで入っているので、
そういうのが許せない方は他の作品を探すほうが無難かと思います。



…ちなみに、私は優姫よりも湊(妹)派ですw
こんなふうに家庭的(しかも可愛くて美人)な妹も良いものですね^^

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2012年06月27日 初期レビュー
2012年11月17日 加筆

投稿 : 2025/02/01
♥ : 36
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

くぎゅう病感染源作品のうちの一つ

 彼女のツンデレ演技を堪能できるラブコメ作品。
いやぁ~釘宮さん、良いですねやはり…

 内容としましては「親が決めた許嫁と同居する」という、うらやまけしからん「あるある王道作品」ですが、終盤は割かしシリアスで、気軽なラブコメ好きには辛いかもしれません。

 気軽というより、がっつりした恋愛もの好き向けかも。
 ストレスのない作品が好みの方には合わない感じがします。
 釘宮さんのツンデレ好きなら必見かと。

 以下ネタバレ付き個人的感想{netabare}

物語:終盤までは可愛い萌え作品です。ただ、主人公に想いを寄せているキャラが多いので、穿った見方をすると、案外最初から切なくて辛い会話のシーンも多いかも…。
 私の中でのヒロインは釘宮さん演じる優姫(ゆうひ)だったので、終盤は辛かったです。スクイズの監督であるからか、ほんの少し主人公に「誠感」が感じられたり、シリアスシーンで胃が痛くなる感じがあります。優姫が凄くいい人だったからこそ、こじれなかったと言えると思います。

声優:釘宮ヒロインの破壊力もさることながら、全体的に非常に豪華です。
 羽多野渉・平野綾・井上麻里奈・広橋涼・田中理恵・加藤英美里・石田彰・小山力也…その他多数。
 とても満足のいく演技でした。

キャラ:主人公は格好いいような、最低なような…って感じですが、心情的に同情できるキャラだと思います。モテるのも分かります。
 ただ、主人公を含め、全体的に自分の心を押し殺しているキャラが多くて、ヒロインたちも、純粋に心配して相談に乗っているのか、チャンスをうかがっているのか判断がつきにくいです。そこが少し気持ち悪い。
 そんな中、あまのじゃくとは言え、結局しっかりと自分の気持ちを伝えているのが優姫だったりします。ツンデレだけど裏がない。そこらへんも魅力的に感じられました。それだけに可哀想だなぁ~。
 その他、綾小路さん(クラスの金髪お嬢様)も作中では珍しく自分の感情をしっかり出すタイプの女性でして、「ライバル宣言」等、気持ちのいいキャラだったと思います。
 なごみ(広橋キャラ)や冬彦(石田キャラ)など、恋愛に関係ないキャラたちも魅力的だったと思います。

作画:怪しいところもありますが、キャラの表情が色々描けていて、普通に可愛いと思いました。

音楽:正直印象的な楽曲がなかったです。

 「みんな可哀想だし、ハーレムで良いじゃん」って感じのアニメ脳に陥りそうな作品ですが、やはり特別なひとりにならないと、結局いつかは傷つき、幸せになれないってもんですよね…。優姫に背中を押された感じですが、主人公が自分の気持ちに正直になれたので、一番いい終わり方なのかも知れません。
 とは言え、優姫ファンの私は、終盤のシリアスの手前の交際段階で視聴をやめていれば、むしろスッキリできた気がします…
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 7

82.4 13 兄弟アニメランキング13位
有頂天家族(TVアニメ動画)

2013年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1685)
8090人が棚に入れました
京都には人間と狸と天狗が住んでいる。下鴨神社・糺(ただす)ノ森に暮らす下鴨家。狸界の頭領であった父・総一郎は、ある日何の前触れもなく狸鍋にされたのだが、その経緯は今も謎に包まれていた。残された四兄弟のなかでも偉大な父の「阿呆の血」を色濃く継いだ三男・矢三郎は「面白きことは良きことなり」をモットーに、生真面目だが土壇場に弱い長兄・矢一郎、蛙の姿で井戸にこもっている次兄・矢二郎、臆病ですぐに尻尾を出してしまう末弟・矢四郎、そしてタカラヅカ命の母に囲まれて暮らしていた。隠居中の大天狗・赤玉先生の世話を焼いたり、神通力を得た人間の美女・弁天に振り回されたり、はたまた五山送り火の夜空で宿敵・夷川家と空中決戦を繰り広げる日々の果てに、突如下鴨家を襲う絶体絶命の危機! 父が鍋にされた真相が明らかになるなか、固い絆で結ばれた一家の運命はいかに!

声優・キャラクター
櫻井孝宏、諏訪部順一、吉野裕行、中原麻衣、能登麻美子、井上喜久子、石原凡、佐倉綾音、梅津秀行、飛田展男、西地修哉、畠山航輔、樋口武彦
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

今期一番まとめが完璧だった!(最終話まで

全13話。原作小説未読。

京都を舞台に、狸と天狗と人間が入り乱れて繰り広げる波瀾万丈のハイセンスコメディドラマ!


●関連URL
・番組公式サイト:http://uchoten-anime.com/
・番組公式Twitter:http://twitter.com/UchotenAnime


※相関図
http://p.twpl.jp/show/orig/wjOMs


最初はたぬき合戦ぽんぽこ的なジブリ風のアニメになるのかなぁと想像していたんですが、まさかの四畳半風味!
なんか主人公のセリフ回しが凄く四畳半っぽい。
四畳半凄い好きだったので期待値8/10。
絶対最後まで見る。


原作未読の人向け、ネタバレ無し補足説明

・主人公・矢三郎はタヌキ
 天下の大ダヌキ・下鴨総一郎の息子四兄弟の三男

・赤玉先生は天狗
 4兄弟のもと先生。赤玉ポートワインが好物。弁天にベタ惚れ。昔は名を馳せていた凄い天狗だった

・弁天(鈴木聡美)
 天狗の赤玉先生にさらわれてきた、もと人間
 修行の末、ほぼ天狗になった
 大人になったのか、もともとの性格なのか、先生をほったらかしで遊び回っている

・金曜倶楽部
 京都の重鎮たちのよりあい。月イチで宴会をする。メンバーを七福神の名で呼び合う
 忘年会で毎年タヌキ鍋を食うのがなわらし


○総評
いやぁ実に良いアニメだった。
弁天キャラが全然好きになれなかったので途中で見るのを放置していたが実に良いアニメだった。
この辺で断念した人もいるのではなかろうか?惚れた理由は結局明かされなかったって言うか最初のあれでって事なのかな。
最後まで魅力は感じなかったが。
しかしこのアニメ弁天の話が中心ではない。人間と天狗と狸の三つ巴の話なのである。
主軸は要するに勢力争い見たいな話。なのでちょっと話がややこしいので一気見とかの方がお勧めかも?
キャラの名前や誰が何処の勢力かとか覚えてないと分かり辛い話かもしれない。
簡単に言うと大人版たぬき合戦ぽんぽこ?ジブリ?みたいな感じw
萌え路線のアニメにうんざりした人やジブリ好きにはお勧めの作品です。
あと化物語っぽい会話劇も特徴かな。じっくり話聞いてないとわからなくなる感じがあるかも。


各話感想
{netabare}2話
ママンの話かな。なんで主人公はいつも女装してるんだろう。
アニキはカエルに化けてるのね。
招き猫はさっきの双子が化けたのかな?
何故口が動かないんだ。手抜きなのか化けてるから動かないのか。
虎でけぇ!なんか妖怪大戦争みたいになってきたw
何処噛んでるんだよw
結局オカッパ双子も狸だったのね。
兄さん絶望先生っぽいなwさすが同じ作者のデザイン。
母上なんで狸になっているんだろう。
母上また人間に化けたか。
父上は弁天に食われたのか?金曜クラブに食われたのか?
うーんそのうち鍋にされて食われちゃいそうな予感がしてきた。
弁天はやっぱ敵なんだな。何故惚れたし。


3話
うーーん弁天が本当に良くわからない。なんで惚れたんだ?
なんか漂うビッチ臭が気に入らない。
しかし相変わらず背景の映像が綺麗だなぁ。良くも悪くもジブリっぽい。
クジラのしっぽが引っ張ってみたいとか意味がわからない。

弁天にイラっとしてから見てなかったが再開。


4話
母上はなんでいつも宝塚の格好なんだろう。
先生入り口で何してんだwなんともへそ曲がりなじいさんだw
弁天キャンセル多いなw
ちらし寿司食べたくなってきた。なんとも便利な茶釜エンジン。
たんぽぽくらいの毛玉って随分ちっちゃいんだな。
蔵馬天狗vsヤクシボウ&父上って事か。偽如意ヶ嶽事件。
なんかホント弁天イラっとするキャラだなぁ。
なんという花火戦争w
風神の扇子かなんかなのかな?
貴重な燃料ワインを飲むなw
風神雷神の扇無くしちゃったのか。
逃げの弥三郎w


5話
金曜クラブのトップは弁天なのかな?
お茶飲んでる相手は誰なんだ。今日も牛丼かw
なんで慌てているのか。ダルマに変身したか。
箪笥の引き出しに入ってるのは金角と銀閣の妹だったのか。
あぁそういやあの空飛ぶ家壊したらって約束してたっけ。
ってか胸が口元と一緒に動いてるw
すき焼きうまそうだ。ホテイさんと肉の取り合いw
この集まりは人間の集まりなのか。
この弁天の上から目線な感じがうざいなぁ。
ホテイさん見とれすぎだろw
狸は雑食なのかな?雷を怖がるってもしかして母上か?
食べちゃいたいほど好きなのだ。なんだこの人もかw
弁天ホント嫌なキャラだなぁ。わがまますぎる。まるでバブル女だな。


6話
連れ去っちゃったのかよw師匠となった赤球を蹴り落としたとか何がどうなってんだw
ホテイさん無理し過ぎだろw
父上が食われた夜にホテイさんは惚れたのか。
ん?弁天泣いてるのか?
葉巻のポイ捨てかよ。まぁフィルター無いから問題無いか。
なんで握り飯と酒持ってんだよw
焼きおにぎりはうまいよなぁ。味噌焼きオニギリが好きだ。
一風変わったと言うより一昔前のバブル女じゃないか。
毒の入ったものでも食うもんなぁ人間は。発酵食品だの腐ったもんでも食うしな。
なんか銀の匙みたいになってきた。
狸に食われるのが良いだと?ホテイさん上級者すぎて付いて行けない。
昔そう言った狸がいたって父上か。やっぱりか。
立派な狸だからおいしいって理論はおかしいだろ。
やっぱり母上を救った人だったのね。
キスしただけで惚れたとかって理由なら実に下らないな。まぁよくある話でもあるけど。
弁天はなぜ泣くのだろう?


7話
酒は飲めるうちに飲んでおくことだ。良い事言ったように見せかけてそうでもない罠。
弟可愛いな。先生天狗風を吹かすって天狗じゃないのかw
香水ってファブリーズ?w先生力が無くなってるww
なんともうまい流れを作ったもんだ。ちゃんと風呂行くきっかけを作ったわけか。まるで秘書とか官僚みたいだ。
それでも先生なかなか入る気無いのかww子供か!w
どうしようもないエロじじいだなぁまったくw
おい股の手ぬぐいで殴るなきったねぇww
今度は風呂に使ったら出ないのかよwwまったくどうしようもない大人の子供はこれだからたちが悪いw
何気に弥三郎を気にかけてるのな。
なんだなんだここは両国の風呂なのか?夷川親衛隊とはなんだ?タダ飲みの愚連隊なのか。
まーた金角と銀閣か。相変わらず弱いこの小物感が実に良いキャラしてるw
誇大広告って四文字熟語じゃねぇw前の樋口一代もあれだったがw鉄のパンツってなんだよw
いやいや兄上おまえが風呂に放り込んだんだろwアッー水風呂はやめたげてw
捕まった日誰かとぐでんぐでんになるまで飲んでいたのか。一体誰と…弁天か?
なんとカエル兄貴と飲んでたのか。
もしかしてカエルから戻らないのも責任を感じてとかかな?
酔っ払った父上をほったらかしにしたのか。やっぱりそれで責任を感じて井戸から出ずにカエルから戻らずにいるのか。
生きている限り必ず別れはやってくるからな。ある程度一線置いて事前に受け入れておかないと辛いものになってしまうんだよね。
あれなんか深い話になってきたかな?


8話
おや兄さんえらくゴキゲンの悪い声だ。
元気そうだね阿良々木君、何かいいことでもあったのかい?を思い出した。
京都で一番やる気のない狸とは誰の事だ?カエルの兄様か。
弥三郎の許嫁に恋しちゃったのか。えびす川カイセイ…
父上になんでも相談してたんだな。人間ならそうそう無いだろうなこういうの。父親と仲良くやっている友人を見た事が無い(男限定だが)。
うーむしかし酔っ払っている風ではなかったよなぁホテイさんの話だと。
勝手に勘違いして責任感じちゃってる感じかな。なる程ねぇ。
しかし間々で入ってくる絶望先生風?のMOBがシュールw
乳ではなく父だろw何がそんなにおっぱいに魅力があるのかわからない。おっぱいよりケツだろ!
父上に最後にあったのは先生だったのか?化けられる身ではないとはいかに?
え?死んだ後の話なのか?それとも先生の妄想なのか?それとも死ぬ事を覚悟しての発言なのか?
母上だったのかこの人。変身するとわけわからんな。
カイセイが好きだった事を言っちゃうのか。なんだ母上は知ってたのか。
弥一郎(´;ω;`)ブワッ
「1つの大きなさよならが残された者達をつなぐこともある」名言(/_;)


9話
なんかややこしくなってきた。カイセイの名は父が考えたのか。
ちょwホテイさんバームクーヘンどんだけ重ねてるんだよw
なんという大食いw一口で飽きるわこんなのw
後三週間で狸狩りが始まるのか。
あぁなるほど双子の妹ちゃんがカイセイだったのか。未だ姿を見せないから覚えられない。
弁天の前だと化けれないってどういう事?魅了されちゃってって事なのかな?
さてどちらが後釜になるのやら。師匠に託しちゃうんかいw
女の子はオシリを冷やすと子宮に影響があるからなっておいお前は男だろw
先生相変わらず動かないのなwきっかけ作るんだろうなまたwなんともツンデレであるw言い換えれば不器用ってとこか。
実にうまく交渉したもんだな。
だからなんでそんなシリを温めたいのよwカイセイの声!?いい加減姿を表したらどうなんだ…
なる程女湯から話してたのかw割りと可愛かったw
妹ちゃん兄貴をバカアニキと言いつつも慕ってるんだな。
生天狗か。まぁ狸の天敵だもんな。
元許嫁だったのかよ。今は違うのか。あれ?そういやどっかでそんな話あったような…
謝罪のコメントはなんだったんだろうか。


10話
偽えもんを決める日がやってきたか。
父上に憧れていたのか兄貴。夷川が何か企んでるのか。
父の死んだ日だったのか。兄貴気をつけろよってなんか死亡フラグな気がしてくる…
弟ちゃんまた騙されてるのかよ。やっぱり閉じ込められたか。
ヤジロウはほっとけばいいって完全にフラグだよな。
フライドチキンを食べるカエルってなんかシュールだな。歯が無いのにw
父上の最後の言葉…
何か大変嫌な事が起こりそうなのか。雷神が来たのか。
風神雷神の扇拾った奴は誰なのか。
恐らく金曜クラブに拐われたか…?
鍋にされるのかやっぱ。おじさまを鍋にしたのは私の父だと!?妹ちゃん姿現すの初めてじゃないか。
なる程妹ちゃん変身したまま話聞いてたのか。弁天…
なんで兄弟を売ったんだ。そしてまたこいつの策略か。


11話
弁天は味方になるのか。弁天うぜぇ…
都合よく天狗だの人間だの言いやがって。ツンデレかよ。
淀川教授なんで変身して店員になったんだ。母上まで捕まってたのかよ。
なる程薬を混ぜるためだったのか…って金閣銀閣だったのかよ。
あーあ皆捕まっちまったか。完全に悪代官w
なんだよその鉄のおむつw
そういやカエルの兄さんだけか捕まってないの。
なんだ妹に弱いのかよw
卑怯極まりないな夷川。まるで天狗や人間のする事…
ドナドナドーナードオナー…
おっ妹ちゃん赤色灯に気付いたか。見つかるの早っ!何故巴投げw力つええw


12話
カエルの兄ちゃんまた変身出来るようになるのかな?電気ブランで燃料投下か!?
キタ━(゚∀゚)━!
なんつう酔っぱらい運転w逆に捕まえたかwなんだこいつらが扇持ってたのか。
「おもしろきことはよきことなりー」
自転車は押して歩きましょう。ってのがシュールw
電車の外の背景が永遠ループしてるんだが…やっぱりか。
なっいつの間に電話をしてたんだ!おいおいET並に空飛んでるなw空飛べるのかよwww
そーっと所じゃねぇwwwぶっ飛んだぞw
檻を開ける作画省きやがった。
母上の事か…潜入捜査かよwなんだ弁天さっきの耳打ちで告げ口したのかと思ったら違うのか?それとも…
選挙のほうがせまってきているのか。先生ナイスタイミングwwしかも泥酔状態w間に合ったか。
うわっ金曜クラブも来たのか同じ所に…何か大変なことになりそうだな。
うおー凄い盛り上がり方が良い!遂に次回最終回!


13話
人間と狸と天狗の三つ巴。さてどう結末が着くのだろうか。
むしろ弁天が何を企んでるんだ…
あっそうだ!ホテイさんそういえば母上助けたんだったっけ…鳥肌立った。
遂に鉢合わせたかw
ん?なんでそこまで夷川が母上に固執するんだっけ?
さすがホテイさん!w待ってました!いいぞもっとやれ!w
まぁ矛盾があるのが人間だよな。さぁて弁天どう動く?
っと思ったら師匠www何してんのww浮気の現場wうまいなw
アッー!全部ふっとんだーw先生激おこプンプン丸w
師匠相変わらずちょろいなww
あれそういやカエルの兄さんもう変身戻れるのにw
ヤジロウ兄さんとお母さんの会話でなんか泣けた(´Д⊂ヽ
ホテイさんと話してる時の後ろで弟の仕草が可愛いw
カイセイちゃんマジヒロイン!
最終的にこのセリフに落ち着くな。「おもしろきことはよきことなり」
いやぁ今期最高にうまいまとめだったのではなかろうか?実に良いアニメだった。
本当に面白かった。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 63
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

一つの大きなサヨナラが、遺された者達を繋ぐこともある。

2013年7月放送。
全13話。


【前置き】

原作者は、メディア芸術祭アニメーション部門大賞のアニメ「四畳半神話大系」も書かれた『森見登美彦さん』。
(本作は、森見作品の中では「毛深い子」という愛称で呼ばれていたりするそうですww)
そして制作は、安定と信頼の作画で定評ある『P.A.WORKS』。

『森見登美彦』に『P.A.WORKS』
どちらも、私にとっては名前を聞くだけで条件反射してしまう単語です。
事実、本作の放送が始める少し前、来期のアニメ一覧を眺めていた中で本作『有頂天家族』を見つけた時も、私の…今思えば「阿呆」の血が無性に騒いだのを覚えています。

『うむ。これは、見ないわけにはいくまい。

 これも、阿呆の血のしからしむるところだ。』

なんて台詞、本作を見る前は出る筈も無かったわけですけどね。



【あらすじ】

千年の都・京都。
ここでは古来より、人に化けた「狸」と「天狗」が、人間に紛れ暮らしておりました。

狸一家『下鴨(しもがも)家』の三男であり、偉大な亡き父から「阿呆」という一点の血を受け継いだ主人公『矢三郎(やさぶろう)』も、その中の一人。
狸界では「名家」であることも顧みず、彼は日々をただ面白可笑しく過ごしていました。

しかし周囲では、その偉大な亡き父の遺志を継ぐ、次期頭領を決める「偽右衛門(にせえもん)選挙」で、躍起立つ者(狸)が出始めておりました…。



【論じてみる】
{netabare}
正直、序盤の数話は
「本当にこれから、四畳半の時のようにドンドンと面白くなるのかな?」
と、半信半疑でした。
理由として、キャラの立ち位置や関係性が分かりにくく、どういう風に話が進んでいくのかも明確でないので、続きが全く気になる感じになれなかったのです。
上記のあらすじにしても、第1話の時点ではよく見えてこなかったですし。

第4話「大文字納涼船合戦」にしても、内が見えないキャラクター達がドンチャン騒ぎをしていても一緒に楽しめるワケもなく、ただただ温度差を感じました。
「四畳半神話大系」の実績が無ければ、まず間違いなく切っていたことでしょう。


ただ、P.A.WORKSの作画は流石の一言。
久米田康治さんが描く、角張った特徴的なキャラクターデザインをアニメ的に上手く表現しながらも、緻密に描き込まれた舞台背景は、見ているだけで心地良かったです。

京都という舞台上どうしても人通りが多いわけですが、そのモブも事細かに動きますので、スタッフの職人魂を感じましたね。
退屈な序盤を視聴継続出来た要因としては、この作画は非常に大きかったと思います。


そして中盤より、やっとこさ

「偉大なる父親狸が、狸鍋にされ人間に食べられてしまった。」

というエピソードを元に、徐々にそこに関わっていたキャラクター達が浮き彫りになっていき、少しずつ物語にも魅入るようになっていきました。

ストーリーとキャラの立ち位置が明確になってくると、序盤とは打って変わりの面白さ。
もぅ毎週、楽しみで仕方無くなっていました。

特に第8話「父の発つ日」にある、次男であり蛙でもある「矢次郎(やじろう)」の回想語りは、胸に響きましたね。


『その当時の俺は、厄介な問題を抱えていた…。

 俺は大いに悩み、その想いを父に打ち明け…判断を仰いでいた。


 俺は…、カタのつけようのない恋をしていた…。』


作中ずぅぅっと引っ張ってきた次男坊の本心。
そして、それを軸に語られる偉大な父の死の真相。

あくまで自分の中でですが、数多あるアニメ作品の中でも間違いなく、私にとって数少ない『神回』と言える一話でした。


ラストに関しても、とんでもないドンデン返しはありませんが、良い意味で予想通り気持ち良く楽しく終わっていたので、本作としては丁度良い塩梅でした。
予想が出来てしまい、そのまま予想通りでも、その絵が見たくて楽しみで仕方無い。
そんな気持ちで、ラスト3話は見ていた気がします。
{/netabare}



【偽右衛門 下鴨総一郎】
{netabare}
さて…「毛深い」だけでなく中々「味のある」キャラクターの多い本作。
その中でも、特に魅力的で味わい深いキャラクター、偉大な父親狸『下鴨 総一郎(しもがも そういちろう)』について、じっくり語りたいと思います。

この父親は、まさに「カッコイイとはこういうことさ」と言わんばかりの立ち振舞いでしたね。


山に化けることが出来る程の、非凡の化け力を持っていた父。
しかし突然、狸を食べる会「金曜倶楽部」に捕まった父親は、その人間達に鍋にされ食べられてしまっていました。

中盤、その父を食べた張本人の一人、大学教授の「淀川 長太郎(よどがわ ちょうたろう)」と矢三郎は奇しくも出会うのですが、そこで語られた父の最期は、想像していたものとは随分と違っていたのです。

その淀川は、人間であるから狸を食うのは当然と言いながらも、「食べることは愛すること」とも言い、狸に対し深い愛情を抱いていました。
そんな淀川に対し父は、狸界のタブーを破り…こう言葉を交わしていたのです。


「俺はコレまでにやりたいことは全てやり、子供達も大きくなった。

 末はまだ小さいけれども、兄たちが居るから…あとは助け合って立派にやっていくであろう。

 俺は種をまき、そこそこ育てた。

 一匹の狸としての役目は全うしたんだ。

 残された日々は天恵である。つまりは儲け物である。

 したがって…、まあ…ここであなた方に食われたところで一向に構わない。

 食いたければ食うが良い。」


狸が喋ったことに驚く淀川にも井を返さず、


「貴方ならば喋っても構わんかな…と、ふと思ったのだ。

 我が生涯最後のイタズラと言うべきか、阿呆の血のしからしむるところだ…。」


と、落ち着きながらも…「狸らしい」個性そのままに、それから食べられるまでの時間を、父は淀川と語り合っていたのでした。

父親の最後となったこのエピソードは、はたから見た残酷さとは裏腹に、まるで長年信頼しきった間柄のような会話を見せており、良い意味での違和感を生む演出がなされていました。
しかしまぁなんと潔い狸(おとこ)でしょうね、惚れ惚れいちゃいましたよ。


そんな父を想い返し、矢三郎は終盤前(第8話の最後)に、こう語っておりましたね。


『この世にサヨナラするにあたり、我らの父は、偉大なるその血を律儀にも四つに分けた。

 長兄は、責任感だけを受け継ぎ、

 次兄は、暢気な性格だけを受け継ぎ、

 弟は、純真さだけを受け継ぎ、

 私は……、阿呆ぶりだけを受け継いだ。

 てんでバラバラの兄弟をつなぎとめているのは、海よりも深い母の愛と、偉大なる父とのサヨラナである。

 一つの大きなサヨナラが、遺された者達をつなぐこともある。』


私はこの2つのシーンが作中でも大のお気に入りで、特にこの矢三郎の台詞の一連シーンでは、演出や音楽の挿入も抜群に良かったのも重なり、不覚にもボロ泣きしてしまいました。
正直、今もこの台詞を読み返すだけで、目頭が熱くなってしまう程です…。


下鴨家を始め、本作を彩るキャラクター達は皆どこかで、この父と繋がっていて、良くも……そして悪くも触発されていました。
それほど、この父親狸『下鴨総一郎』は、大きな存在だったんですね。

今もサントラで、このシーンの曲を聴いています。
曲のタイトルは、『一つの大きなサヨナラ』です。

アカン、泣けてきてしまった……。。。
{/netabare}



【総評】

初見では、序盤で人物設定や世界観が掴み辛く、馴染みづらい点は大きなマイナス。
原作ファンや前知識を持つ人でなければ、ここで切ってしまう人も多かったのではないでしょうか。

ですが後半は、そのマイナスを補って十二分に余りのある、大変面白く心動かされる「馬鹿馬鹿しい狸活劇」となっておりました。

しかし、いやはや序盤の悪印象から、まさかボロ泣きに発展するとは……。
これだから、物語は追ってみないと分かりません。
勿論、数多ある原作の中からアニメ化された作品なので、誰が見ても面白くない内容だなんてことはありえない、と思って一応追ってはおりましたが。
(と言いつつも、やっぱり自分には合わないケースがよくありますので、こういう風に覆るケースは珍しかったです。)


私は、ラノベ作品によくあるような、いわゆる萌え系のアニメも喜んで鑑賞します。
付け加えるなら、本作と同時期に放送されていたアニメを見て、「小学生は最高だぜ!」とも言っていた、本当どうしようもない阿呆の萌え糞豚です。

それでも、このような大人の鑑賞にも十分耐えうる、でもそれでいてカッコ付けて高尚ぶらずに面白いものを描く、こういう作品も大好きです。

この作者が描く「阿呆」に、私はたまらなく魅力を感じてしまうんですよね。
それが面白い出来事に繋がり、それが面白い周囲を呼び込んできてくれるのですから。

そして、まさに『四畳半神話大系』がそうであったように、それが周囲を巻き込んだ「良きこと」にも繋がっていくのですから…☆彡


まさに「面白きことは、良きことなり。」でした。

読んでいただき、ありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『下鴨 総一郎』声 - 石原凡さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『夷川 海星』声 - 佐倉綾音さん



以降、獣に当てた駄文なので〆ておきます。
{netabare}
さて…、これまで美少女にのみ、その欲情を露わにしていた私ですが…。


本作を見てからというもの、私は

『美少女』

ならぬ

『美少狸』

にまで、欲情の目を向けてしまいかねないようになってしまいました。

これに限っては、オスだろうが問答無用で手を出しかねない勢いである。


野生の狸は危険? 気性が荒い? 疫病も持っている?

ノープロブレム。

本能の赴くままに行動している時の私の気性の荒さは、野生の狸を凌ぎます。

爪も使います。

歯も使います。

舌も出します。

何より、私もこの通りの病気持ちです。


以降、私が京都に赴いた際は、町に隠れ住む『美少狸』は、決して私に近づいてはいけないと警告しておきます。


もし私に発情期があるとするならば、狸とだけは同時期でないことを願ってやみません。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 43
ネタバレ

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

たぬき・天狗・人間 さて、どんな話でしょう。

物語:4.3 作画:4.7 声優:4.3 音楽:4.2 キャラ:4.6 【平均:4.4】                           (82.4)

ジャンル        :コメディ、群像劇
話数          :全13話
原作          :森見登美彦(小説)
アニメーション製作 :P.A.WORKS
監督          :吉原正行
シリーズ構成     :菅正太郎
脚本          :菅正太郎、檜垣亮
キャラデザイン    :久米田康治(原案)、川面恒介
音楽          :藤澤慶昌
主人公声優      :櫻井孝宏
OP           :「有頂天人生」作詞・歌 - milktub / 作曲・編曲 - 宮崎京一
ED           :「ケセラセラ」作詞 - 林英樹 / 作曲 - 佐藤純一 / 編曲・歌 - fhana

参照元        :Wikipedia「有頂天家族」

【あらすじ】
 千年の都・京都。ここでは古来より、人に化けた狸と天狗が、人間に紛れて暮らしていた。糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父であり、狸界の頭領「偽右衛門」でもあった総一郎はある年の瀬、人間たちに狸鍋にされ、帰らぬ狸となってしまった。遺された息子たち「下鴨四兄弟」の三男で「面白く生きる」がモットーの矢三郎と、それを取りまく狸と天狗と人間たちの奇妙で多彩なキャラクターが繰り広げる奇想天外なコメディドラマ。 Wikipedia 有頂天家族「物語」より

【特徴】
①独特のセリフ回し
②コメディだけどシリアス
③家族、兄弟
④事件の真相
⑤好事家

【長所】
①謎多きキャラの行動が意味深
②微笑ましい家族模様が描かれている
③狸、天狗、人間の関係が面白い
④独特のセリフ回しが見所

【短所】
①日常会話で使われる事の無い語句を多用するため、煩わしく感じる事もある
②一見すると何について描いた物語か分かり辛い

【理由】
{netabare}[ 長所 ]
①作中にしっかりヒントが隠されていました。この謎は物語の引きの強さに寄与していると感じました。
②物語の温か味を感じられる部分です。また、感動する部分は家族関係の話になります。
③3つの種族が狸界の下鴨家と夷川家の争いに深く関わる物語です。この3種族の事情は各個にあり、物語の構成を面白くしていると思いました。 
④本作の目立つ特徴のうちの一つ。特に主人公である矢三郎のセリフが個性的。

[ 短所 ]
①要するに、人によっては何を言っているのか分からないという事になるかもしれません。よって、独特のセリフ回しは長所にも短所にもなると考えます。
②作品のジャンルがはっきりしません。楽しめる事が出来れば大した問題ではありませんが、結局何を描いた物語だったのかが分かり難く感じる事もあると思います。{/netabare}

【総括】
 様々な要旨を題材とした作品です。どの様な作品かという事をはっきり断言出来ませんが、【特徴】【長所】に挙げたような事を描いた作品でした。そして物語は最終話でしっかり締まります。また、上記には挙げませんでしたが作画、音楽共に綺麗で、キャラに至っては扱いも丁寧です。更に、キャラデザインはクセが少なくとても見易いです。尚、笑いを取るタイプのコメディ作品ではありませんが総じてクセが少なく見易いので、万人にお勧め出来る作品だと思いました。



【思った事・蛇足】

●どんな内容?
群像劇、家族愛、その他諸々描かれていましたが
私が思うに本筋は何かと言うと

『下鴨家、夷川家、両狸一族における頭領の座を掛けた争い』

だと思います。
その争いの中で家族愛だったり、種族ごとの群像劇が描かれていました。



●見所が多いと思ったキャラクター

1.矢三郎
  群像劇というよりこの矢三郎メインで進行する物語でした。
  主人公で下鴨家の三男。

2.矢二郎
  カエルから元に戻れなくなった下鴨家の次男。

3.弁天様(鈴木聡美)
  うーん・・・ ちょっと変わってました。
  天狗の妙技を赤玉様に伝授された人間。
  金曜倶楽部メンバー

4.布袋(淀川長太郎)
  大分変わった人でした。
  大学の農学部教授。
  金曜倶楽部メンバー



●好事家
この表現で正しいのか分かりませんが
人生を面白おかしく生きるキャラクター達が多数登場します。

観終えると
人生を面白おかしく生きる方法を模索したくなる!
…かもしれませんw



●阿呆の血のしからしむるところ

意味:アホの血統がそのような愚行を行わせているのだ。

私「あほうのちからしむところ…??」(汗)


----------------------------------------------------------


視聴前はタイトルやサムネ画像から作品の雰囲気を想像出来ず
積極的に観たいと思える作品ではありませんでした。
それにジャンルはコメディとwikiに書かれており
笑いのツボに入らなかったら楽しめないかもしれないと
そんな風に思ってました。


しかし
いざ観てみると違いました。


コメディはコメディでも
「笑いを取るタイプのコメディ」ではありませんでした!
コレ重要です!
更には話が進むにつれてシリアス度が上がります。


こんな具合に書くと「堅苦しい雰囲気なのか?」と思うかもしれませんが
そういう訳ではありません。


あらすじにも書かれていますが
ある日、主人公を含む狸一家(下鴨家)の父が人間に食べられてしまうのです。
そして物語は
偉大な父が人間に捕まってしまうという経緯に
徐々に隠された真実が明らかになって行くといった構成になります。
(※勿論明らかになった後も物語は続きます。)
なので
真実に迫るにつれてしんみりする場面や
家族の温もりを感じる場面などがあり
笑いとは程遠い内容だと思いました。


ですが!
描かれるキャラクター達は
わがままな天狗のおじいちゃんだったり
おかっぱ頭の四字熟語を使いたがる双子の狸だったり
はたまたやる気のないカエルだったり。
他にも個性的なキャラクターが登場し
これらのキャラクター達のおかげで堅苦しい雰囲気にならず
最後まで気楽に見ることが出来ました。




総括に書きましたが
兎に角クセが無く見易いので
万人にお勧め出来るのではないかと思います。



●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※閲覧注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

投稿 : 2025/02/01
♥ : 14

76.8 14 兄弟アニメランキング14位
デート・ア・ライブII(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (1172)
7770人が棚に入れました
空間震を伴い、世界を滅ぼす力を持った精霊――。
そして、その尋常ならざる精霊の力を封印する能力を持った五河士道。
そんな士道の、平穏で健やかな休日の昼下がりを破る、突然の爆発音。
それは、再び幕があける、精霊たちとの戦争<デート>の前奏曲<プレリュード>だった……。
十香が! 四糸乃が! 琴里が! 折紙が! そして士道が帰ってきた!
セカンドシーズンも合言葉は『デートしてデレさせろ!』

声優・キャラクター
島﨑信長、井上麻里奈、富樫美鈴、竹達彩奈、野水伊織、真田アサミ、内田真礼、ブリドカットセーラ恵美、茅原実里、遠藤綾、子安武人、味里、佐土原かおり、勝杏里、伊藤静、置鮎龍太郎、藏合紗恵子、佐藤奏美、小笠原早紀、中西としはる、甲斐田裕子、中田譲治

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

その人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。

精霊とわ。

この世界とは異なる隣界に存在する謎の生命体。
その存在が地球に現れる理由、存在する理由は謎に包まれていますが、精霊が現れる時に空間震という大爆発を起こすのです。精霊は固体によって違いがありますが、精霊は膨大な防御力と壮大な攻撃力を持ちます。町から精霊を守る方法は手段は武力による倒滅、対話、そして・・

空間震とわ

発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発、振動、消失、その他諸々の広域振動現象の総称であり、空間の地震と称される突発性広域災害。この災害により、空間震が起こったあたりのビルや建物はほぼすべて破壊され、近くにいる生物は消滅してしまうほどの爆発。人類は空間震を回避するために地下に非難所を作り、空間震が起こった時は地下に非難しました。

ストーリー
空間震が世界中で起こり始めて30年、主人公の五河士道は妹の琴里との幸せに二人暮らしをしていましが実は妹の琴里は、精霊との対話による空間災害の平和的な解決をする目的としている機関〈ラタトスク〉の司令官と言うことで士道は精霊の夜刀神 十香、四糸乃、時崎 狂三と出会い鳶一 折紙が陸上自衛隊の対精霊部隊ASTの隊員だと知りました。そして舞台はとある島に修学旅行で行ったら導かれるように巨大な台風が二つ彼等を襲ってきました。

私の感想。

今作は前作とは待ったく違う話の展開が多くて非常に楽しめました。個人的には前作よりもこの作品のほうが好きですね。私が得にこの作品で気に入っている理由は戦闘のシーンに結構工夫を入れている所ですかね。前作では見れなかった以外なキャラクターの一面だったり、役に立ちそうに無かったあの人が大活躍したりと本当に面白かったです。

この作品で私が一番うれしかった所は最近よく続編の作品で見られるそれぞれのキャラクターの良い所を取り出すだけの作品ではなく超面白くストーリーの続きをやってくれた所です。

やはりこの作品を見る時は前作を見る事を強くオススメしますね。まあ、多分前作を見ないでこの作品を見る人は少ないと思いますが、まあ、がんばってこの作品の世界観を理解しようとこの作品を何度か見直しますと、理解できると思います。まあ、ぶっちゃけ前作をみたほうがいいです。

やっぱ双子はいいですよね。うん。双子のキャラクターって何だか双子って聞くだけで何だか卑猥な感じしますよな。そう感じませんか?私はもう双子と言うと何だかそう言う感じの事しか考えられなくなります。私が卑猥な人間だからなのですかね・・ でも、健全な男子は想像力が豊かなので想像しますよね?しますよね?ついでに女性の方も想像しちゃいますよね?するでしょ?


Ssoulのワンポイントピックアップ!!
「このコーナーではこの作品のおもしろい所、注目してほしい所などをピックアップし、説明したいという事です。」

この作品内に出てくる二つの代入曲はかなり良い曲で個人的にも私は気に入っています。是非この曲を聴いてみてください。

オープニング

「Trust in you」
やはりこの作品はシリアスなシーンをいかにもシリアスに見せるような作画にしたほうがよりヒロインたちの可愛さが良くでますね。この作品のヒロインはどのヒロインも独特な特徴を持っていてそんなヒロインたちが一番輝いているのは平和な日常な一面ではなくシリアスなシーンですかね。ですので、このドシリアスなシーンが多いので本当に神オープニングだと思います。

エンディング

「Day to Story」
この作品として毎回思うのですが、このエンディングの曲は正直この作品に合っていとは思えないと思うのですよ。個人的にはもっと可愛い萌えが充実しているエンディングが良いと思います。まあ、このエンディングも悪くないのですがね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 20
ネタバレ

プクミン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

本当に1期の続き??

1期と大幅に本質が変わってしまった!!

具体的にどこが変わったかと言うと、
・デートが無くなった
・パンチラのような微エロシーンが激減
・3択も微妙
・主人公の性格{netabare}1期では人殺しをした狂三をも優しく助けようとしたのに、女装をした自分に好感を持った美九には、やけに冷たく風当たりも強い上、否定的な発言が多い{/netabare}
・全体的に1期のような明るい雰囲気が無くなった

1期の良さは、建物が壊れようと、バトルが起きようと、雰囲気は悪化する事なく、デートをして精霊を救っていって「ああ、良かったね」的な謎の明るい雰囲気があったが、2期は違う!!

最初から訳の分からんバトルが繰り広げられ、1期での謎は謎のまま。
以下ネタバレ含む内容と感想。

{netabare}
最初の精霊は2体(元は一人だったらしいから双子的な感じ)の耶倶矢&夕弦。
デートは無く、良く分からないまま精霊が主人公を惚れさせれば勝ち的な内容。
結局デートは無く、二人を助ける。
こういうのもありかなとは思った。

次は、声で人を操る精霊で男嫌いの美九。
その為、主人公が女装して接近するも、美九は男口調の女装主人公に個性的な魅力を感じ、自分のものにしたいと感じるが、人間を軽視した発言に主人公が憤怒!!
今までの精霊もかなり色々あるのに、好感を持たれた余裕からか、喧嘩腰の主人公。
君は一体何をしたいのかね??
そんな中、十香がさらわれ助けに行きたいからと、力を貸して欲しいと都合のいい事を抜かす。

美九は美九で、最後の方で攻撃を受けそうになったところ主人公が1回だけかばってくれただけでメロメロ。
あれだけ人嫌い(特に男嫌い)だった君は一体どうしたんだ?
他のチョロインも酷いけど、君もたいがいだぞ?

と、精霊を助けるのとは別に、謎の戦いがずっと続いている状況。
1期では、精霊が起こす空間振を止めるべくASTという組織が精霊と戦い、主人公達は精霊を助ける為に動く。
ここまでは分かる。
ただ2期になると、ASTは精霊と敵対しているかどうか不明。
代わりにDEMという謎の組織(ウィザードとか言っていた)がASTの折紙や主人公の実の妹?の真那と交戦。

というか真那は、どういう立ち位置か不明過ぎる。
折紙と協力してるようにも見えるけど、精霊の狂三の事は敵視している。
そんな感じで、勢力関係、敵対関係がとても不明。

更に1期で一番の問題だった、義妹の琴里が未解決のまま。
琴里が未解決というか琴里に乗り移った精霊イフリートが不明のまま、まさかの放置である。
{/netabare}

という感じで、1期との繋がり、本質の変化、不明点の多さでかなり不満が出てきました。
取り合えず3期で問題が解決するといいな~と思っています。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 8

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

今期も主人公の五河 士道は大活躍でした^^

物語に繋がりがあるので、1期を未視聴の方はそちらからの視聴をお薦めします。

この物語の主人公は、高校2年生の五河 士道(いつか しどう)。彼には、空間震を引き起こす精霊と交渉して精霊の力を封印することで、精霊と世界のどちらも救う力がありました。
その方法はデートして自分にデレさせること・・・
そして1期では、夜刀神 十香(やとがみ とおか)と四糸乃(よしの)の力を封印することに成功するのですが・・・
2期の物語は、ここから始まります。

十香の士道に対する好意は更にエスカレートしていて・・・
そして、それはクラスメイトの鳶一 折紙(とびいち おりがみ)も一緒です^^;
実は、この展開だけでも結構お腹一杯になれるのですが・・・
やはり、この作品・・・これだけではありませんでした^^

次から次へと、たくさんの精霊が登場するのです^^
これ以上増えたら、正直名前が覚えられなかったと思います^^;

精霊がたくさん登場するということは・・・たくさんの精霊の力を封印する必要が出てきます。
ということは、それらの精霊みんなとデートするの・・・?
これまで力を封印してきた精霊だって、ないがしろにできないし・・・
それに、十香や折紙の目もあるし・・・
デートでデレさせるのって、物語として成立するのかな・・・?

そんなことを思いながら視聴しましたが・・・
デレさせるバリエーションが広がっていましたね^^

デートの時の登場人物の可愛らしい一面を見るのも悪くありませんが、毎回同じ展開では飽きが来てしまいますし、そもそもデートだけでは破綻してしまうと思います。
なので、私的には結果オーライだったと思います^^
どの様なバリエーションが増えたかは、是非本編をご覧下さい♪

精霊も人間も・・・誰かに存在を認めて貰いたかったり、信じて欲しかったり、
必要として貰いたかったり・・・根本の部分は一緒なんですね^^

そして、士道に対する精霊達の思い・・・感情・・・そして約束・・・
カドカワ枠なので10話しかなく、説明不足感の否めない部分もありましたが、登場人物の気持ちは短いながらもしっかり表現されていたと思います^^

そして気になるのは、次への繋ぎ方です・・・
物語として完結していないので、続編自体は楽しみなのですが劇場版ときましたか・・・^^;
この前上映された「そらおと」の、まるでワープ的な構成にビックリしたことが、どうしても脳裏を過ぎってしまいます^^;

今度は大丈夫ですよね・・・?
期待していますよ^^

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28

77.0 15 兄弟アニメランキング15位
グリザイアの迷宮 & グリザイアの楽園(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1230)
7516人が棚に入れました
美浜学園5人の少女たちの心を救った風見雄二。しかし、彼自信の心の闇は、いまだに晴れぬまま重く立ち込めていた。雄二は自らの生い立ちを振り返る。自らを育み、形作っているものが何なのか。そして、それらとの邂逅の中で何を得、何を失ったのか――。忌まわしいくも、かけがえない時間をたどる旅路の果てに、雄二は自ら心の奥底にしまいこんだ闇の正体と対峙する。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、田中涼子、田口宏子、水橋かおり、たみやすともえ、清水愛、鳴海エリカ、友永朱音、瑞沢渓
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

いざ!グリザイアを彩る楽園へ

2015年春より放送。
「グリザイアの迷宮」は、1時間放送の全1話。
「グリザイアの楽園」は、通常放送で全10話となります。
(※2014年秋に放送された「グリザイアの果実」の続編であり完結編となります。)


【前置き】

原作であるPCゲームは未プレイですが、秋に放送された「グリザイアの果実」は(多少の不満はあれど)最期は楽しんで視聴出来たので、本作も楽しみにしておりました。
ただ、原作ファンからはシナリオの描き方への不安の声もあったようですね、あの長い原作をどうまとめるのか…と。

私的には初っ端の「迷宮」で一気に惹き込ま…と言うより、文字通り迷い込まされちゃいました。
えぇもう、ホント参っちゃうぐらいに…。

さてさて、このレビューではその作品に登場する魅力的なキャラクターを中心に語っていきたいと思います。



【あらすじ】

「周防 天音(すおう あまね)」を狙った美浜学園の立てこもり事件以降。
「CIRS(サーズ)」の二課情報室長である「春寺 由梨亜(はるでら ゆりあ)」は、部下である主人公『風見 雄二(かざみ ゆうじ)』の調査報告書を作成し始める。

風見雄二という男について。
そして、その姉との関係について。

彼女は「貴方の姉の死については、幾つかの不審点があるわ。」と口火を切る。
彼女の部屋に呼び出された雄二は、気だるそうに溜息をつきながらも、改めて自身の過去を振り返り語り始めのだった…。



【語ってみる】
{netabare}
前作である「果実」は、それぞれ一癖ある(どころじゃないか?)ヒロイン達に焦点を当てられたストーリーが、連鎖的に続くシナリオ構成でした。
本作のような作品は、アニメ版を制作するにあたり各ヒロインパート毎に時系列をリセットする、いわゆるパラレルワールド的な構成も多用されています。
しかし本作は、各シナリオが全て過去として物語が繋がっておりましたね。
本作でも、その上からシナリオが展開していきます。


まず「迷宮」に関してですが、1クール空けての続編として、満を持して1時間の特別放送となりましたね。
本作は、世間を巻き込むような圧倒的な知名度を持つ作品とは決して言えませんが、このインパクトは中々効いたのではないでしょうか。
その内容としても、やはり前作である「果実」を知っていてこそ楽しめる内容ではありましたが、とにかく過激で濃いので非常に楽しめましたから。
流石は18禁のPCゲームのシナリオと言えるでしょう。

18禁ゲームは、えっちぃアダルトシーンにより18禁とカテゴライズされるケースもあれば、内容の過激さにより18禁となるケースもありますよね。
本作は、この2ケースを上手に合成し出来たシナリオですが、ちょぃと過激さの部分が優っていたのではないでしょうか。


この「迷宮」では、主人公である『風見 雄二』の過去が語られていきます。
そう、前作を視聴した方なら誰もが「一体何者なんだコイツ!」と思った、その彼です。
ヒロイン攻略系の主人公は、プレイヤーの分身として無色透明なキャラであることも多いと思うのですが、本作の彼はかなりのキャラ立ちをしていましたもんね。


天才と呼ばれた姉『風見 一姫(かざみ かずき)』と比べられた辛い幼少期。
その姉との、姉弟以上の関係。(ドキッ!!)
しかし一姫が、前作でも語られた壮絶なバス事故により、帰らぬ人となってから起こる家庭崩壊。
そして何より、両親がいなくなってから引き取られた謎の人物「ヒース・オスロ」からの、異常な寵愛とテロリストとして育て上げる為の非人道的な訓練の数々。
普通なら小学校へ通っていたであろう年頃に、彼はその生活により廃人同然の状態だったことが、作品を追うことで垣間見えてきましたね。

この出口の見えない雄二の「迷宮」は、オスロ邸を襲撃した「CIRS」の部隊に所属する『日下部 麻子(くさかべ あさこ)』と出会うことで終わりを迎えます。
彼女こそ、前作で雄二が幾度となく「師匠」と言って皆に語って聞かせた人物であり、雄二の育ての親となってくれたのでした。
この師匠が、また格好良い女性なんですよね。
雄二が慕うのも分かります。
以降は、アニメ版では「楽園」の第1話へと続き、引き続き雄二の過去が語られていく構成となっておりました。


雄二は麻子と暮らしながら、これまで経験出来なかった人として生きる上での物事や、世界の理を学びます。
(あっそうそう、初体験もね。)
しかし麻子さえも雄二は、その彼女の死によって失ってしまうのでした。
ただ彼女自身は、雄二を救ったことで自分も救われ「死を許された」と言い安らかに逝きました。
自身と同じく、日の当たらない仕事をしこむ育て方しか出来なかったとも彼女は言いましたが、その時の雄二の涙を見る限り、そんなことは決して無かったでしょうね。
雄二が人になれたのは、間違いなく彼女のおかげでした。

そんな彼女の最もシビれたシーンと言えば、雄二に教えた言葉『一人十衛(いちにんじゅうえい)』の台詞のところですね。

「貴様は国民十人の命を救うことと引き換えに、初めて死を許される。

 と言いたいところだがオマエは半人前だ、五人にまけてやる。」

この言葉を聞いた時は、その格好良さもさることながら、後に出会うことになるであろう五人のヒロイン達を思い出して、なんだかニヤけちゃいましたね。
ただこれは後々、雄二は「だから俺はもう死んで良いんだ」って考えるんじゃ……って伏線にもなっちゃいましたけど。


しかし本作グリザイアシリーズの最後として満を持して語られたのが、どのヒロインよりも壮絶な過去を持つ男主人公とは…。
可愛い各ヒロインよりも、何より男を魅せる作品だったワケです。
いやはや、「果実」を視聴し始める前は思いもしませんでしたよ。
これは良い意味で、裏切られました。
{/netabare}


【脇役であるからこそ引き立つ、癖のあるヒロイン達】
{netabare}
最終章で、敵の手に落ちた主人公を救う為に立ち上がった、5人のヒロイン達。
雄二の過去を知った彼女らは、
「それでも雄二と一緒にいたい、彼が好きだから…。」
と意思疎通し、一致団結して雄二奪還作戦を開始するのです。

本作のヒロイン達は、決してただの可愛い女の子達ではありません。
ただの女の子でないから、あの美浜学園にいたのです。
前作「果実」では、各キャラ毎に壮絶な物語のヒロインを務めた彼女達。
その物語で現れていた癖を、本作では存分に【活かして】くれました。
(まぁ一部そうでない娘もいたような…、でもないような……チルチル…。。。)


この5人の中で個人的に好きだったのが、この2人。
高スペックな『入巣 蒔菜(いりす まきな)』と『小嶺 幸(こみね さち)』でした。

蒔菜と言えば、ヒロインの中でも一際小さな体格です。
…でありながら、雄二直伝のスナイパー技術。
アニメではあまり披露されるシーンが無くて残念でしたが、一姫同様の圧縮記憶法による丸暗記能力など。
5人のヒロインの中でも、実は抜きん出たスペックだったのではないでしょうか。
時に幼く…時に反社会的で、そして時にキメてくれる台詞の数々も印象的でしたしね。
色んな意味で、私の「ストライイィィクンバッタァナッッ!!」でした。
そうそう、「果実」のDVD第5巻の特典映像は眼福の限りでしたね。(やべぇよ登り棒…。)

キャラ立ちでは、常にメイド姿で視聴者サービス旺盛な幸も良かったですね。
過剰なまでに礼儀正しく、常に優等生であろうとする彼女。
……の、たまに笑顔で吐く毒がたまりません。
とあるシーンでの「殺すぞ^^」発言の連発は、かなりセンセーショナルでしたよね。
あんな可愛い「殺すぞ」聞いたことがありません。
まさに『よく気の利く糞メイド』でした。
そう言えば、彼女の戦闘シーンでの「メイド姿+ガスマスク+ナイフ」ってのも、またインパクトがありましたね。
「シャチではありません、幸です、そしてサメです。サメは獲物で遊びません。」
ってトコは、かなり痺れましたよ。

してこの2人、深い信頼関係にあるところも好きなんですよね。
同学年でもある蒔菜にだけは唯一、幸も敬語を使いません。
その幸が、蒔菜が自分の側からいなくなることを恐れ不安を口にするシーンがありましたが、その時の蒔菜が

「心配なら、ずっと私を追いかけてくれば良いのよ、私がパパ(雄二)を追いかけるみたいにね。」

って返してくれるんですよね。
ここで幸が、「だね。うん…そうだよね、私そうする!」と言って笑顔を見せるシーンは、こっちまで微笑んでしまいましたよ。
ただ…、言葉通り地の果てまで追いかけるんだろうなぁ…、…ハハ……。

そんな微笑ましい彼女らが、いざ好きな人を救う時となると、シナリオとしてあぁも活躍するとは…。
前作と今の彼女達を知っているからこそ、ワクワクさせてくれる構成でした。


ただ、その各ヒロイン達が持ち前の能力を駆使出来た背景に存在する、『タナトスさん=風見一姫』を忘れてはいけないでしょう。
はい、先に2人のヒロインが好きと述べましたが、作品を通して一番好きなキャラはと問われれば、間違いなく彼女ですね。
実際、原作での人気投票でも一位なのだとか…。
5人のメインヒロインを押しのけての実姉トップとは…、ホントなんて作品だ。(褒め言葉)
私は趣向的に、どちらかと言えば全く逆を突き進むタイプの人間であり、この姉属性には嫌悪感すら抱く方ですが、この一姫は珍しく大アリでした。
何故でしょうね。(ニッコリ)

でも実際、先のように高スペックで例えても、このお姉ちゃんは紛うこと無き「天才」と呼ばれる人間であり、記憶力、知識量、判断力、絵画の才能、小柄で貧乳、小柄で貧乳などなど…、もぅ快挙に暇がありませんからね。
色素欠乏症による銀髪で赤い目も魅力的ですし。
アルビノって、なんでこう厨二臭くて格好良いかなぁ…。

前作の最終章でも、存分に彼女の魅力が描かれていましたが、本作の最終章はそれ以上でしたね。
タナトスシステムとしての再登場。
そして、各ヒロイン達を誘導し、世界を股にかけての作戦遂行。
あの計画は、一姫ナシで進めることは間違い無く不可能だったでしょう。

物語的に、事故の後に脳だけ摘出されて的な「マモーなパターン」を連想していましたが、まさかの本体ありだったのは嬉しかったですね。
そのタナトスが一姫として、浮き上がってきた潜水艇から参上し、

「こんばんは、タナトスです。ンフ♡」(ウィンウィン)←義手の音

と言い、ヒロイン達と対面する場面は、作品を通して一番テンションが上がったシーンでした。
あのなんともアナログな義手も、あれはあれで魅力的でしたし。
……と思っていたら、最終話のCパートでしてやられました……。
もぅ最後の最後まで、一姫は一姫でしたね。
最っ高に魅力的なキャラクターでした。
{/netabare}


【総評】

私的には、前作「果実」以上に見応えのある作品として仕上がっておりました。

ただ、かなり端折っていた箇所もあるようで、実際に原作未プレイの側からしても展開早いなって部分もありました。
特に「迷宮」や「楽園」の最終話は顕著です。
しかし、それでも説明不足で話についていけなかったり、内容が大味で薄っぺらくなるようなことは無いように感じました。

作画に関しても、前作同様の「シネスコサイズ」に多少の不満はありましたが、前作同様こういうものだと思ってしまえば特には…。
ただスタッフさんは大変だったようで…、本当にお疲れ様でした。
私のような素人からすれば、黒で上下塗り潰してるから作画減らせてラクじゃん!などと言ってしまいそうなものです…、オソロシヤ…。


本作を見始める前のこと。
原作を耳にしたことがある程度だった私の視聴のキッカケはと言えば、「なんかエロいんじゃねコレ…ムフフ」という不純な動機であったことを正直に告白します。
ただ作品を全て視聴し終えた上で振り返ると、思いの外愛着あるキャラクターが出来てピュアに楽しむことが出来ていました。

現実世界に擬えて設定の矛盾を考えてしまったり、必要以上に厨二的な要素や萌え要素に嫌悪感を抱く方にはオススメ出来ません。
本作は、可愛いだけではない癖のある5人のヒロインと、実姉やその周りのサブにするには惜しいキャラクター達。
そして何より、主人公補正を抜きにしても格好良い「風見雄二」を存分に楽しむ作品なのですから。
万人にはオススメ出来ませんが、ご興味がある方は是非。

ではでは、波瀾万丈の先に辿り着いた雄二の楽園が、幸せであり続けることを祈りつつ。
読んでいただき、ありがとうございました。

………いやまぁ、あの楽園が幸せじゃないワケがないか……ハハハ…ハァ…ウラヤマシイ…。。。


◆一番好きなキャラクター◆
『風見 一姫』声 - 友永朱音さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『入巣 蒔菜』声 - たみやすともえさん



以下、どーでもいい駄文なので〆ます。
{netabare}
前文で、一番テンションが上がったシーンとして私は、「こんばんは、タナトスです。ンフ♡」(ウィンウィン)を上げました。

ですが実は、そのレベルでテンションの上がったシーンがもう一つ。

どのシーンかは…あえて口にしませんが、幸が笑顔で


『シャブ落ちしたOLが、チンピラのアレにしゃぶりつくような勢いですね。』


『一本の羊羹を奪い合っての【ダブル☓ェ☓状態】です、エロいですね。』


と言い放ったワンシーンです。

余りにも唐突で目が点になった私は、思わず手が滑って巻き戻しをしてしまいました。
全く、ホント勘弁して欲しい。

すうぅぅぅ…………。


ありがとうございました!!!!!!
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 42
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

エロスの身体性

【2015/06/22視聴完了して改稿。少し長くなりました】


アダルトゲーム原作のアニメは、世界が独特に歪んでいる印象がある。

ゲームの性的なシチュエーションのための(一般的には)不自然で人工的に「造り上げた」感を隠さない設定がそのまま全世界に拡大されたようで、自生的に「生成した」物として描出しようと努めることが多いアニメの物語世界を予期した視聴態度の前では、世界の基準となる座標軸が目盛の不均等な曲線で出来上がっているかのような、すわりの悪い落ち着かなさを感じさせる。
良し悪しではなく両者の「文法」の違いなのだろうが、違いに十分に自覚的でないままアニメ化することが、「歪み」という違和感を生むようだ。

アダルトに限らずゲームというものをやらないのでなおのこと、前作の『果実』でも、この「歪み」の感覚に馴染めないものを感じていたのだが、本作で、やや唐突に、あからさまな形で挿入されている性愛の描写が、印象を変えた。



{netabare}『迷宮』を含めた前半部を通じて、廃人寸前であった主人公の再生が描かれるが、世界から「承認」が得られず自己を肯定できない主人公は、当初、「軍隊」(と保護者による軍隊的教育)に、救いの糸口を見出すことになる。


アニメに限らず、軍隊に「承認」の調達先を求めてアイデンティティを得ようとする設定はありふれたものと言えるが、かなり安直な作劇手法だと日頃から感じている。

単に「承認」の調達先としての「組織」を求めるのであれば、別に軍隊でなくとも会社であってもいい。
「軍隊」という全生活的に支配する性格がより効果的に作用するのだと言い訳しても、それならば会社と過剰に一体化する「社畜」でも同じことだ。
承認の調達において、「軍隊」に殊更に疑似家族性を見出して特権化するのは、マッチョ・コンプレックスを裏返した観念的倒錯だろう。
徹底して現実的である「軍隊」の、本質的に使い捨ての歯車である「兵隊」に一体化して、空想的に全能感や肯定感を感受するところまでいけば、妄想の領域と言っていい。
「社会の歯車」というごく普通の生き方よりも「軍隊の歯車」を上に置くのは、脳内の抽象的な価値観による恣意的な序列だ。
このような妄想的な価値観への迎合として、安易な作劇は生み出され続けている。


そんな作品群の中、本作を特異に感じさせたのは、保護者の女性(たち)との性交渉の描写だ。

いささか唐突に挿入されるこの性愛の描写は、奇妙な、としか言えない肉体性を作品内に持ち込んでくるのだ。

指導教官=保護者の女性との具体的な性行為の性愛描写が、何故か不思議に、倫理という「観念」の束縛を受け付けない身体性を強く想起させて、「軍隊=疑似家族」に象徴されるいかにも人工的な「脳内」妄想性を、批判的に相対化して見せる作用を生じさせる。
この批判性がなければ、主人公が保護者の死に取り乱したり、敵を射殺するたびに嘔吐したりする描写において、「創られた」進行台本が透けて見える人工感が気分を白けさせることを、押しとどめることはできなかっただろう。

どれほどの計算があっての性愛描写であったか定かではないが、性的な興味の「くすぐり」としてのエロを超えて、奇跡的に(性的、に収まりきらない)「エロス」として昇華した奇妙な身体性が、本作の位置を独特なものとしている。

性行為を描写すれば自動的に身体性が生まれる、というほど単純なものではないだろう。
他作品を引き合いに出すのは不適切かもしれないが、例えば『School Days』にそのような身体性は生じていないように感じられる。
本作の「何か」が、いわゆるエロ描写を超えて、「エロス」としての身体性への化学反応を生じさせていると思うのだが、(文字通りの意味で他意はないのだが)性体験のない視聴者であれば同じように感受するのかどうか、ちょっと確信が持てない。

が、こうしてみると、『果実』でも具体的な性愛描写を挿入した方が「TVアニメとして」説得力が高まっていたのではないか、という気さえしてくる。(後述)


その『果実』で、それぞれに「世界」から排除されかけ、主人公によって「世界」に引き戻された少女たちが、本作の後半では、主人公を「世界」へ取り戻すために行動する。


これも偏見じみた印象だが、「世界」から排除されようとする「悲劇」的な運命への抵抗を主題としたアニメ作品の中には、その「運命」性に疑問符が付く作品は少なくない。
現象としての「悲劇」をもたらすものが「不運なめぐり合わせ」等である場合はさておき、「特定の人間」の行為へと還元することができる「人為」までも抗えない「運命」として了解しようとするそれらの作品の世界観は、やはり「歪み」の感覚をもたらす。

例え「悲劇」の担い手が大きな「組織」や「集団」の場合であっても、原理的には構成している個々の人間達の行為に還元できる。
にも関わらず、時には「神」を持ち出してまで「運命」として曲解し、原因を問うまなざしが欠如した世界把握は、精神病理学的な「認知の歪み」を思わせて、同調しない視聴者には全く意味不明に映ってしまう。


だが、本作の主人公のまなざしは、これとは真逆に見える。

少女たちを「世界」から排除する「もの」を問い詰めてゆく主人公のまなざしは、「不運なめぐり合わせ」でさえも、関わる人間たちの中に特異点として特定の個人を見出そうとする。
「もの」が組織であれば、「意思決定者」や「実行者」といった個々人を「敵」として選別し、個人への攻撃、排除を行うことで、少女の「世界」における「無力化」を完遂することになる。

奇矯なキャラ設定や状況に対して、この問題解決の「理路」や「方法論」は、ひどく平明な常識性を感じさせて、あたかも曲線座標軸の世界の中で、この部分だけ座標軸が直線で構成されているかのようだ。

この「落差」が、エロスとしての身体性を生じさせる「何か」と、深く関わり合っている気がしてならない。

エロスが喚起する身体性による批判性が、人工的に座標軸が歪んだ「世界」に、錘か或いは足場の様な物として説明しがたいある種のバランスを与えて、「歪んだ」なりに簡単には転倒しない安定感を生み出す事に、本当に不思議なのだが、結果的に成功しているように見える。

主人公を「世界」に取り戻すために「敵」への「攻撃」を敢行するエキセントリックな少女たちのアンリアルな行動を支える主人公への強い執着は、反対側にこの身体性と常識性とを引きずり、いかにも人工的な「あり得なさ」が物語世界を転覆させることを免れている。


終幕で、主人公たちが最終的にたどり着く「楽園」は、世界から承認を与えてもらって所有を許された私有地ではなく、「敵」を排除することによって「世界」から切り取った自分たちだけの「領土」だ。


新人類世代が、全共闘世代に対する過剰な反発からプロパガンダした価値相対主義は、すべての対立を、互いに等価な「価値観の違い」に過ぎないという。
対立を裁く絶対的基準はなく、互いに承認し合うことで解消することが「正しい」と宣伝されるが、クレーマーやバカッターの登場、さらには反知性主義の台頭は、「価値観が違う」ですべてをやり過ごしてきた価値相対主義に限界を突きつけているようだ。


終幕に至って、「承認」を「与えてもらう」ことを放棄して、「敵」を「絶対的」に排除して得た楽園に立てこもる主人公たちの行動は、空想的な逃避や撤退ではなく、このような限界性の暴露と突破を目指した闘争であると鮮やかに示している。

第三者からの赦し=承認と正当化を放棄して、「自分自身のための」殺人を決行する主人公は、最終的に「歯車」性からの脱却を果たし、「絶対性」へ向けて跳躍したといえるだろう。

この飛躍がご都合性を感じさせないのは、絶対性を呼び込む個々人の「かけがえのなさ」が、やはり「身体性」の錘を引き摺っているからこそだと、最後に改めて気付かされる。

歪んだ世界軸を透かして、全く新しいリアルが立ち上がってくるようだ。



本作を視聴することで、『果実』への評価も変わったように思う。

シリーズとして全体を振り返ると、食人や臓器移植、肉親の生死、と身体性を窺わせるモチーフがちりばめられている。
その「身体性」が強く前景化して立ち上がってくるのは、やはり性行為という、互いの身体を全面的に受け入れ合う営みの描写を契機とした、本作における奇跡的な「エロス」の発生においてだろう。

この描写によって、『果実』単体で視聴したとき、少女たちの「身体性と不可分な」悲劇に深くコミットする主人公の行動から人工的なアンバランス感が抜けきらないのは、『果実』内では性行為が欠けているからではないか、という印象が逆側から照射されてくる。{/netabare}


『果実』 『迷宮』 『楽園』の3つからなるシリーズは、単一のまとまった作品として、通して視聴した方が良いのかもしれない。


最後に一つトリビアを。

狙撃手にとって「眼」は生命線であり、主人公が頻繁に目薬を使用したり、師匠が視力の衰えから現役狙撃手の引退を決断する描写が本作にもあるのだが、昔むかし、実際の射撃手の間では、射撃前に射精すると照準の際に視力にいい影響がある、という迷信があったそうだ。
初期の『ゴルゴ13』で狙撃の前にベッドシーンの描写が多かったのは、この迷信を踏まえての演出だった、という説を聞いたことがある。

本作の「師匠」と主人公の性行為にそのような理由があるとは思わないが、そんな事を念頭に置くと、性愛描写を敬遠して視聴をためらっていた人も、ちょっと違う観方ができるのではないだろうか。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Pay it forwardの精神なのよさー

2015年4月~ AT-X、TOKYO MX他にて放送
全11話(迷宮1話、楽園10話)

前作のグリザイアの果実を見てたから一応見るかくらいの気分で視聴。
果実の方は正直やたらパンティラしてたなっていうのと
一番すけべボディの子が何か非道い目にあってるっていう印象しかなく
明らかな尺不足も手伝って個人的にかなり微妙な評価。
今作もはじめはかなり期待薄な状態からスタートしましたが
中々どうして、最初からすげー面白かったです。
相変わらずなんじゃこりゃ設定に超圧縮の脚本なんだけど
主人公の凄惨な過去とバックボーンをしっかりと描き
それを元に前作のヒロインたちを絡めながら1本軸のあるストーリーを展開させていました。
面白くねーなと感じても前作「果実」はしっかり視聴することを推奨します。
私はかなりいい加減に見てたので途中で分からなくなることもしばしば。
それでもすごく楽しめたんですけどね。


【グダグダと雑感】
{netabare}タイトルのPay it forwardは日本語で「恩送り」
誰かから受けた恩は、直接その人に返すのではなく、別の誰かに送ること
そうして「恩」はぐるぐると世の中を回っていき、善意の連鎖は世界を良くするよね。みたいな感じ
雄二の姉、風見一姫は恩を返すことを種を蒔くと表現し、種は果実になり再び種を蒔く。
その繰り返しこそが雄二が渇望しながらも諦めていた未来=楽園だと語っています。

歪ながらも表面的な平和があった家庭が姉の事故から崩壊し、醜い大人に利用され心が壊れるような体験をする
そんな状況から救い出してくれた日下部麻子。麻子に多大な恩を感じ、それを返そうとする雄二。
そんな折、麻子が亡くなってしまい彼女の残した「死を許されたかったら5人救え」という言葉で生きる意味を見出す。
それが「果実」でやたらめったらヒロインを救っていた伏線だったのも面白かったし
死を許されるためにやった行動の全てが結果として雄二への生の肯定に帰結してしまうっていう矛盾なんだか皮肉なんだかも面白かった。

本来、生きるだの死ぬだのを決めるのに神如きの許しを請うんじゃねえよ。
そんくらい自分で決めろや、ふにゃチン野郎が!っていうメッセージを感じました。
そういうテーマだったらいいなっていう妄想みたいなものです。

もっとシンプルに物語を捉えるなら
雄二「俺の大切な女の仇をぶっ飛ばすぜ!」
ヒロインズ「あたいの惚れた男がピンチなら命懸けで助けるぜ!」
っていう直球で熱い展開にスピード感のある進行がすごく痛快でした。

ヤブイヌ小隊の面々や敵であるヒース・オスロまで
極限まで無駄を省いた脚本であってもキャラの個性は抜群で
無駄に消費される登場人物がほとんどいないのも印象的。

一番好きなキャラはJB。ほとんどボンド・ガール的な立ち回りしてた人でしたけど。
金髪ロングにタイトスカートのスーツスタイル、オマケに爆乳っていう
まるで全身ポルノ女のくせにウブな性格がツボでうひょーって感じでした。


終盤から締めまでの場面
タナトスシステムとかいう唐突なチートお姉ちゃんから始まり
デザインソルジャープロジェクトだのキュポーン計画だの固有名詞が多くなり
怒涛すぎる展開も重なり、やはり詰め込みすぎた感は否めないけど
日下部麻子との描写は必要十分にやったおかげで最後の麻子の「生きろ」というメッセージに強いカタルシスを感じたし。
強引な力技でもハッピーエンドな展開はやっぱり好きです。
これで雄二が命は取り留めたものの視力を完全に失い、足の負傷で車椅子生活を余儀なくされ
「これが俺の罪か。まだ許されなかったよ、麻子。。」とか言ってたら後味悪いってレベルじゃなかったゾ。


最後のお姉ちゃんの義手のオチもナイスでした。
これってアレですよね。コブラに出てくるクリスタル・ボーイ 意識しちゃった感じですよね。
お姉ちゃんは人知れずクリボーごっこで遊んでたんでしょうね。かわいい
よっしゃ!今日は一姫でオ○ニーだッ!!
{/netabare}

【総評】

アダルトゲームに限らずテキストベースのゲームに往々にして起こる「尺不足」に対して
製作陣が見せたい物を取捨選択し、きっちりと脚本を叩き上げてやれば
多少、無理のある展開であってもアクションや演出の魅せ方で十分面白くなるじゃんっていう好例。
その「尺不足」に悩まされた前作の話が土台としてしっかりあるおかげでギリギリ破綻しなかった感じですが。
「果実」のほうを見てキャラが気に入ったなら、まず間違いなく面白く見れる作品。

あと歩く名言発生機である日下部麻子の人生訓はどんな立場、状況の人でも思わずハッとしてしまうような
そんな力のあるセリフばかりで原作のテキストの魅力の片鱗を垣間見ましたね。

セリフといえばB級アクション映画のようなダートな言い回しが妙にハマってたのも印象的でした。

特にクソメイドの
{netabare}「シャブ落ちしたOLが、チンピラのアレにしゃぶりつくような勢いですね。」ってセリフには吹きました。まるでシャブ落ちしたOLを知ってるかのような言い方でしたけど実際に会ったことあるんですかね。シャブ落ちのOLなんてすごいレアケースだと思うんですけど。きっと日々の仕事のストレスを抱え、代わり映えしない鬱屈した毎日に嫌気が差していた。そんな日常に一時の刺激を求めたOLの良子は縁もゆかりも無かったCLUBという所に行ってみた。そこで出会ったここのCLUB常連のシゲル。最初は少し怖かったけど話してみたら意外と話は弾んでしまって。お酒の力も手伝ってすっかり楽しい気分になった良子に急に強烈な眠気が襲い・・・




よく分かんなくなってきたので終わりまーす{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 31

74.2 16 兄弟アニメランキング16位
アオハライド(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1208)
6584人が棚に入れました
中学生時代のとき、男子が苦手な双葉だったが「田中くん」だけ特別で大丈夫だった。夏休み中に田中くんは転校してしまい、自分の気持ちを伝えることができなかった。その後、男子にモテる双葉は女子からハブられてしまい、辛い中学生時代を過ごした。高校では女子に嫌われないようにと、わざとがさつに振舞う双葉は、想いを伝えることさえできなかった中学時代の淡い初恋の相手「田中くん」と高校で再会する。しかし、田中くんは中学生の時の性格と変わっていた。

声優・キャラクター
内田真礼、梶裕貴、茅野愛衣、小松未可子、KENN、平川大輔、松岡禎丞
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

胸の中を駆け抜ける、嵐みたいな青春の風

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

少女漫画原作のアニメは、他と比べても俄然キャラクターの心理描写が上手い作品が多く、個人的には内容に没入しやすい傾向にありました。
本作「アオハライド」も、まさにその類でしたね。

正直なところ当初はあまり期待をしていなかったのですが、数ある少女漫画原作の名作アニメ「ハチミツとクローバー」「君に届け」「ちはやふる」「夏目友人帳」等にも決して引けを取らない良さが、本作にもあったように私は思います。

…なんか遠回しな言い方ですね……、ストレートに申し上げます。
私は本作が大好きになりました。

ちなみに、タイトルの『アオハライド』とは、「アオハル(青春)+ライド(ride)」からくる作者の造語だそうで、「青春に一生懸命乗っていく」という意味合いだとか。
……ごめんなさい、説明を聞いてもあまりピンと来ませんでした。
ただ、作品を見終わった今となっては、作品を総括したピッタリなタイトルだと思っています。



【あらすじ】

見た目は良いけどそれ故に女子から反感を買わないようにと、わざとガサツに振舞う女子高生『吉岡 双葉(よしおか ふたば)』。

彼女は高校1年生の終わり、運命の再会を果たします。
その相手は、中学時代に転校し忽然と姿を消してしまっていた初恋の人『田中 洸(たなか こう)』。
しかし、洸の苗字は「馬渕」に変わり、昔見せた無邪気な笑顔も一切見せない…冷淡な人柄になっていたのです。

徐々に明らかになっていく、双葉の知らない洸の空白の3年間。
止まっていた2人の恋は、関係性が変わりつつも…再び動き始めるのでした…。



【語ってみる】
{netabare}
さてさて、本作の主人公は女子高生です。
私はナウでヤングな男の子なので、終始女の子のリアルな目線で話が進む点に関しては、少々共感し辛いことは否めません。

加えて現段階までのシナリオを総括すると、ハッキリ言って斬新な発想や展開にはあまり感じられませんでした。
実際、本作を試聴する前にあらすじを見た時は、全くピンと来ず見ようか迷ってしまいました。
(決して、辻褄のつかない話とかでないですが。)

しかし、それでも実際に見てグイグイのめり込めたのは、個々のキャラクターの人間味のある描かれ方や、思わずドキリとさせられた台詞の一つ一つ、そしてそんな各シーンをアニメとして魅せる手法も、とても秀逸だったからのように思いましたね。
日常系等のコメディ作品を除き、どんな作品もシナリオの出来は評価に大きく影響すると思うのですが、本作を見るとちょっと考えを改めちゃいましたね。


初めて本作に魅力を感じたシーンは、第2話。
後に親友となる『槙田 悠里(まきた ゆうり)』と双葉との初交流での一幕でしたね。

双葉が、異性の目を引くことで同性から嫌われないように、あえてガサツに振る舞っていた反面、同じく可愛いが故に同性から煙たがられながらも自分の素を貫いていた悠里。
このような件に限らずとも、学校というコミュニティーで何年も過ごすことを想定した時に、友人を作る為に双葉のように打算的な考えを持って過ごしていた方って、結構多かったんじゃないでしょうか。
(まぁ…双葉は極端ですけどね。)

悠里は、異性に好かれることに嫉妬したクラスメイトから、「ズルイ!」と陰口をたたかれていたわけですが、双葉は一人でお弁当を食べる悠里と話したことをキッカケに、彼女が昔の自分と重なり…ふいに「友達ごっこ」の殻を破って胆を発してしまうのです。

「ズルイっていうことは…、自分達も本当は男子に可愛いって思われたいってことじゃん。

 だったら、ブチブチ言ってないで自分達もブリッ子すりゃいいじゃん。」

そんなコトをしてまで男子に好かれたいと思っていない…、ただああいう女は嫌いなだけ…、と反論されても、

「じゃあ、ほっとけばいいのに!! ほっとけないぐらい嫉妬してるんだよ。

 相手のことを悪く言えば、自分が高みに立ってる気分になるのかもしれないけど、それ全然違うからっ!!」

と、まさにドストレートな言い返しをしてしまうのです。
思っていても、中々口に出すのは躊躇ってしまうような台詞ですね…、相手のプライドの逆撫で加減も半端ではありませんし。
実際に双葉も、言い終わった後に「しまった~~!!」ってなってましたね…。

ただ、それを聞いていた悠里は、その彼女の一言から勇気を貰い、陰口を叩く彼女らに


『私のこと嫌いってことはさ、貴方達の関心の内側に私がいるってことだよね。

 ざまあみろ♪』(←超笑顔)


なんて台詞をブツケちゃうのでした。
いやぁ、ここはとても気持ちが良かったですね。

これを機に、当たり障りなく過ごす為の手段であった双葉の「友達ごっこ」は、このクラスでは終わってしまいました。
ですが、それで得た友達は、「ごっこ」なぞでは終わらない関係を築けたのでしたね。

後の2人は共に同じ人を好きになるのですが、それでも2人は

「なんでウチら、同じ人なんか好きになっちゃったんだろうね。

 もうヤダ!!! でも悠里、大好きだからね!!」

なんて言って、お互い抱き合える清々しい友情関係でした。
正々堂々と勝負しようと言い合った、この2人の恋模様。
アニメ内でその結末が描かれることはありませんでしたが、同じく本当の友達になった『村尾さん』の言うように

「結果、どっちもフラれるかもしれないし。」

って結末でないことを祈りたいですね。
作品としては想定しにくいですが、現実なら大いにありえる展開ですしね。
2人と同様に思わず「ごもっとも…。」と思っちゃいました。


本作はフィクションではあるのですが全体を通して、こう現実的にありえそうなシーンが数多く出てきましたね。
現実でなら、二の足を踏んでしまうような状況も沢山ありました。
それでも、勇気の一歩を踏み出していく…双葉を始めとしたキャラクター達。
そんなところに共感と魅力が集まり、人気を得た作品のように思いましたね。
恋愛模様もそうですが、何より『いかにも実際にいそう』『実際にいたらいいな』っていうキャラクターを描くのが、上手いんでしょうね。


ただ、ヒロイン達が恋を抱く『馬渕 洸』だけは少々イケメンぶりが過剰に光ってはおりましたけど。
ですが、それでも好感が湧いてしまうのは、彼の人間味とバックボーンをキッチリ描かれていたからでしょうね。
たまにデザインがデフォルメされ、しっかり潰れた顔もこなしてくれる辺り、そのツンケンした性格にも良い意味で少々隙があって、昔の『田中 洸』を思い出させてくれますしね。
同じく人気の少女漫画「君に届け」の風早君よりは、まだ現実にいそうだと思いましたよ。

彼は、双葉の言う空白の3年間で、母親を亡くした境遇により、今のような冷めた性格を変わってしまっていました。
いや…変わったというよりは、以前の自分に戻れなくなったという方が正しいかな…。

同高校の先生でもある洸の兄『田中先生』は、当時は新任教師になったばかりで仕事に追われ、長崎にいる母親の看病も満足に出来ず…洸のフォローもままならなかった自分を責めておりました。

「会う度痩せてく母親を見るのは、本当に辛くて…病室に入るのがいつも怖かった。

 あんな思いを…、アイツは毎日たった一人で…。」

双葉との帰り道でそう言った田中先生は、洸について…こう続けました。


「洸は本当は優しくいい子なんだ、だから…『『『 知ってます!!! 』』』」


涙を流しながら言葉を重ねた、この時の双葉が最高でしたね。

「そうでしょ…、アイツ……いい子なんだ…。

 ありがとう……。」

同じく涙ぐみながら続けた田中先生とのこの一連のシーンは、涙腺をちょっぴり崩壊させられちゃいました。
決して斬新で虚をつかれたシナリオではないのですが、台詞と演出にしてやられましたね…。

この後、そんな洸の今現在の殻を、ムリヤリに…そして勢い良くブチ壊した双葉。
それを機に、久しぶりに兄とお父さんとで夕食を食べる洸の姿は、お兄ちゃんと同じくまた泣けてきちゃいました…。
お兄ちゃんも良いけど、お父さんの台詞もまた意外と良かったので…もぅね…。。。

これまでも、いくら適当ぶったりぶっきら棒に振る舞っても、最後には絶対優しかった洸。
彼が、昔の素直な『田中 洸』に戻るのは、そんなに先の話じゃないのかな?
今のツンケンも、それはそれで魅力的な気もするのですけど。
{/netabare}



【とても魅力的な、3曲の主題歌】
{netabare}
さて、本作を語る上で外せない魅力だったのが、こちらの3曲。

オープニングテーマ「世界は恋に落ちている」歌 - CHiCO with HoneyWorks

エンディングテーマ「ブルー」歌 - フジファブリック

挿入歌「I will」 歌 - Chelsy

深夜帯のアニソンと呼ぶには少々爽やか過ぎる節もあるのですが、曲のクオリティは勿論のこと作品ともマッチしていて、作品が好きになればなるほど曲も好きになっていきました。


当初は、爽やかで映像ともマッチしたオープニング曲にハマりました。
「聞・か・せ・て♪」って歌詞に、口を合わせて双葉が洸に耳打ちするシーンが魅力的ですね。
あと、冒頭のビュンビュンと突風がなびく中で、双葉の髪や服装が揺れ動くシーンの作画も綺麗でしたし。
何故かスカートは終始鉄壁を保っておりましたが、「まぁ良し!」としてしまう魅力がありましたよ。
そうそう、これはなんの風?と思っていたら、劇中最後の双葉の「青春…青い春…。その胸の中を駆け抜ける、嵐みたいな風に乗って。」という独白に、この風の意味が凝縮されていた気がしましたね。


中盤前辺り、作品が好きになるにつれて、エンディング曲もドンドン好きになっていきました。
ヒキを強くした作品ではないのですが、その分終わった後はスッキリした気分に浸れることが多かったので、優しいピアノから入る伴奏がまた聴き心地が良くて良くて…。
仲良し5人組で、トコトコと歩く絵も微笑ましかったですし。
映像の静止画の中では、後頭部を手で抑え少しバツが悪そうに笑う『小湊君』のシーンが一番好きでしたね。
彼は作中では今現在、まだあまり恵まれたシーンには巡りあえていなかった気がしますね。
最終話では、そんな彼のあるシーンから絶妙な具合でエンディングがフルで流れ始めるのですが、活躍すれば絶対一番好きになりそうなキャラクターなだけに、早く続きが見たいですね。


さて、そんな曲の中でも作中で流れる挿入歌「I will」は、劇中を盛り上げる演出として「ここぞ!」という時に思いっきり使ってくるので、最終的に一番記憶に残って好きになりましたね。
特にこの曲が、演出として最高の盛り上げを果たしてくれたと思ったのは第6話、双葉と洸が電車に乗ろうとする時のワンシーン。
双葉は洸が電車に乗った時、咄嗟に忘れ物をしたと嘘をつき、洸が電車を降りるかどうか内心でカケをしたんですね。

「もしこのまま洸が降りなかったら…、好きをやめる。」

悠里と同じ人を好きなってはいけないという葛藤からでしたね。
目をつぶり、「降りたら…やめる……、降りなかったらやめない…」と頭の中でグルグルと同じ台詞を繰り返す双葉。
ただ、電車の扉が閉まる瞬間、双葉は本音で「降りて!!」と願うのでした。

そんな中でこの挿入歌は、まさに電車が過ぎ去ったところで歌詞を絶妙にマッチさせて

「この恋を遮るように、電車は過ぎ去った。」

って流してくるんですよね。
歌詞の全てが作中のこのシーンを表現したものではないですが、憎い演出でしたね。
思わずドキッしちゃいましたよ。

そしてまた、しっかり電車を降りて目の前に立ってくれていた洸が

「何? 忘れもんって学校? じゃあ戻るか…。」

と言う場面で、綺麗にサビを持って最高にシーンを盛り上げてくれるのです。
(余談ですが、ここで双葉から「ごめん、忘れ物無かったよ」って言われた時の、洸の「ガボーン!」って感じの顔は面白かったですね。ドンマイ!)

そして、シーン最後の台詞


『悩んでるフリして、本当はどうしたいか決まってたんじゃん。

 それに…こういう時、洸なら降りるって思ってた…。

 悠里…ゴメン…、私も…私も…、洸が好き。』


という場面で、綺麗にこの曲も終わります。
まさに劇中歌に合わせて、シーンを繋ぎ合わせたことが窺える一幕でしたね。
それまでは、良い曲だなぁというぐらいでしかこの挿入歌を聴いてなかったのですが、このシーン以降は流れ始めた時には、もぅ「キタキタキタ!」って気持ちで聴いてましたね。
毎話ペースで流れるので少し希少価値感は薄れちゃってますが、それでも作品の盛り上がりには絶対に欠かせない一曲だと思いましたよ。

こちらの挿入歌とオープニングを歌うアーティストさんは、本作がデビュー曲だそうで。
次回も期待したいですね、出来ればまたアニソンを歌って作品を大いに盛り上げてほしいです。
{/netabare}



【総評】

恋愛作品ではあるですが、それ以上にリアリティのある高校生の人間模様を描いた作品だと感じました。
ストーリーにしても、あらすじだけでは伝わらない魅力に満ちておりましたし。
ストーリーやキャラクターの骨組みが上手く整っており、それを表現する台詞や演出も抜群に光り、結果的に全体を通して非常に出来の良い作品へと仕上がっていた印象を持ちましたよ。

キャラクターをベースに、恋愛模様を描くのか。
それとも恋愛模様をベースに、キャラクターを描くのか。
本作は多分、後者のような気がしましすね。
ただただ恋愛模様を描くことに重視した作品ではなく、キャラクターそれぞれの青春を描いた物語。
この「アオハライド」というタイトルも、そんな本作にピッタリだったワケですね。

このキャラクター達を好きになれるかによって評価は大きく分かれそうですが、私は皆好きでした。
まぁ今のところ実際メインは良い奴ばっかりでしたしね、恋愛作品としては面白味が無いとも言えるかもしれませんが。
キャラに関し唯一難点を上げるとすれば、主人公である双葉の声が「内田真礼さん」なので、どーしても中二病の六花ちゃんが頭から抜けなかったことや、声色が可愛過ぎて少々シリアスには不向きに感じ、違和感が生じる場面がしばしば見られたところですね。


さて、本作の2期の予定は今のところありませんが、後にメインで活躍するであろう新キャラクターがチラリと登場してたりもするので、是非期待したいです。
その時は、イマイチ2枚目半的な役割だった小湊君の活躍するシーンも見たいですね。
そうそう、OP後の提供映像での、話数ごとにドンドン増えていくニャンコの演出も地味に楽しみでしたので、次作ではどんなニャンコの魅せ方…そしてオチになるかも期待しています。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『田中 陽一(田中先生)』声 - 平川大輔さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『槙田 悠里』声 - 茅野愛衣さん

投稿 : 2025/02/01
♥ : 56
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

LET'S アオハライディング!

原作未読


 AO(青)-HARU(春)-RIDE


企画構想段階でこのタイトルと決まれば、思いっきり青春of青春の物語にしたろ、と思います。
そんな事情があったかは露知らず、少女漫画原作らしさが色濃いこれでもかの青春+恋愛+友情ものでした。加入ケーブルテレビの再放送で見つけたのがきっかけ。
原作漫画が評判で2014年夏期に1クールアニメ化。その年の年末には実写劇場版が公開。観客の7割が10代の女性だったらしく(wiki)、今の20代女性には認知度の高い作品だったりするのかもしれません。

ターゲットである10代女性の夢が詰まったお話と仮定すれば、
・頑張るあたし!なヒロイン
・頭のてっぺんから足のつま先までイケメンなあいつ
・親友の好きな人をあたしも好きになっちゃった
組み合わせは外せません。そして本作ならではの味付けを少々。
私はヒロイン吉岡双葉(CV内田真礼)のめんどくさい感じけっこう好きです。


看板に偽りなし、の絵に描いたような“青春”の光部分をルーペで拡大した焼けこげそうなくらいまぶしいお話です。


観終わった方はどんな感想を持たれたでしょうか?


青春の光にあてられるとどう転んでも自分の青春ここまでじゃねーなーと思っちゃいます。


ここで吉岡双葉について閑話休題

「イケメンすぎてつらい…」
「キラキラで溶けそう…」
「俺の青春とは別物の並行世界…」

青春ものに触れコンプレックスを感じ悶えとく。ヲタコミュニケーションでの最適解といえましょう(適当)。
そんな中でですよ。

「女の子と楽しくやってたよ」
「学校行事も積極参加して楽しかったな」
「強豪野球部で白球追いかけ充実した青春」

でも満足はしていない。恋は上手くいかなかったし甲子園の夢だって叶わなかった。リア充高校生だなんてとてもとても。もっとやれることがあったんじゃないか?
青春に未練が無いとは言えないさ(遠い目)。

・・・なんてうっかり口走って敵認定されるのはご免こうむる。
そもそも田舎か時代か、陽キャ陰キャの概念もなく帰宅部連中ともワリと仲良くやってたので、“俺の青春灰色だよん”から生じるルサンチマンを肌感覚で理解できなかったり。

「知るかバーカ!しょぼいのは自業自得だボケ」

なーんていい大人になった今となっては言葉に出さないのがマナーです。

そんなビビリヲタ♂の境遇を女子に置き換えてみます。そして同調圧力に屈してたこれまでの日々にさようなら、と
“事実なんだろうけどそれ言っちゃうと角が立つよね”
“スカッとするかもしれないけど言い方ってあるよね”
を難なくやってのけちゃうしびあこJKがヒロイン双葉だったりしました。



心情描写の繊細さやリアリティが良いことは前提。1クールと短めなのにその点は丁寧に拾ってます。
そこに、ホントはこんなの出来たらいいのにな、の実現を織り交ぜているのが優れものだと私が思うところだったりします。
また、これくらいの年代女子の面倒くさいところ、そして心の揺れそしてかわいいところがヒロイン以外の女性陣、槙田悠里(CV茅野愛衣)、村尾修子(CV小松未可子)にも表れていたりとなかなか面白い作品でした。


■面倒くさいところ!?
だって、双葉は馬渕洸(CV梶裕貴)を見てるようで見てないじゃないですか。
・自分がどうキュンと感じたかが大事
・相手が今どう思ってるか?は「わからないよ、でも」で自分がどう思ったかが最優先
・マイルール?{netabare}“電車降りたら好きのままでいる”“言えなかったら丸刈り”{/netabare}は相手の事情お構いなし
脳内どんだけ恋愛で占められてるんだの視野狭窄っぷりだと思いません?
この青春真っ盛り感を懐かしく思います。

一方で、馬淵か田中かの洸くんはといえば、ヒロインが望む適切なタイミングでヒロインにとって適切な言動をしてくれる王子様です。これやれって言われても無理だから。
リアルではこの男女間における不公平を嘆くのではなく、適切なタイミングで適切な言動をできるように日々自分を磨いておきたいところです。


■願望の実現!?
良くも悪くも毎日顔を合わせる学校で、思春期女子には絶対できない、でもできたらカッコイイことをやって好転するシーンがいくつか。

1.{netabare}明日美(CV井上麻里奈)、チエ(白石涼子)に一言物申す
ハブられた反動で同調圧力の権化と化した経験を持つヒロインです。そんな彼女が次の居場所が確定してない中で関係を切るって基本できないことだと思ってます。
腐れ縁を切ってほどなく仲良し五人組ができるなんて結果オーライでしょう。{/netabare}

2.{netabare}悠里に自分も洸が好きだと伝える
奇しくも悠里が「あたし不利だ」と言った通り、先行している双葉だったら水面下で動いて付き合ってからごめんね、になると思ってます。
友情も愛情も壊さないなんてこれも結果オーライでしょう。そして100%もめる案件だと断言してもよい。{/netabare}
{netabare}そもそもまずは悠里からのメールで勘ぐった上、「あの子先手を打ってこっちの動きを封じようとしてきた」「こっちが好きなのわかってんのにありえなくね?」って展開が目に浮かびます。{/netabare}


この1.2.のような感じでリアルでも物事が上手くいけばいいのに、が描写されてるので「えぇなあ」となるのだと思います。
性格にもよりますが、実際できちゃう女性は男前ですね。惚れます。


それともう一点、“素直な自分”への肯定がこれでもかと。
仲良し五人組(男2:女3)の女子三人とも素直でいい娘さんです。しかし考え方捉え方に各々差異があるのも良いですね。

 素直になりたい子
 そのまんま素直な子
 素直を知らない子

その他、喧嘩別れしたような明日美もそこまで険悪なキャラとして処理しませんでした。悪い人が出てきません。本作の優しさの部分です。


以上が私の思う女性視点ならたぶんこんな感じでは?の私見です。女性ではないのでホントのところはよくわかりませんがね。
それほどキラキラした少女漫画っぷりにあてられたってことなんでしょう。
数多くの男性向けアニメに隠れて、女性視点でのこうした物語は貴重。新鮮な気持ちで堪能いたしました。


最終話がなんとも中途半端なのと目に見えて作画が怪しいところもあって、総じて評点高めにつけられないのですが、たまにはこういったTHE少女漫画の風にあたってみるのはいかがでしょうか?
思春期女子の現実と理想を垣間見せてくれる佳作です。甘酸っぱいやりとりにうっかりキュンキュンできたらもうけものなのです。


OP「世界は恋に落ちている」。映像含めキラキラし過ぎていて軽く死ねます。『色づく世界の明日から』みたいに走っている画も好きですが、風に吹かれて髪がぐちゃぐちゃになるのも激動の青春時代を表わしているようで素敵でした。チコハニは『恋は雨上がりのように』で知りましたが青春ものに合いますね。
フジファブリック担当のED「ブルー」。そして挿入歌の「I will」も良曲でした。



■(オマケ)聖地!?
双葉と洸ら最寄り駅のロケハンは東急田園都市線市が尾駅。繁華街は小田急線/横浜線町田駅らしいです。
どちらもわりと所縁のある駅だったりして、ちょっとお得な気分でした。



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視聴時期:2019年4月~6月 地上波再放送 



2019.06.16初稿
2019.07.14修正

投稿 : 2025/02/01
♥ : 47
ネタバレ

青陽 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

囚われた自分を変えていく、あの青春に乗って

野崎くんが描いてると思って観るとまた違う面白さが!
マミコたちの世界は夏休みスキップしてたけど、こっちは夏休み入る前に終わっちゃったよ
でも、そんな短い期間でもそれぞれに変化があって…

コウとふたば
お互いの存在のおかげで価値観が大きく変わった

ゆうりとしゅうちゃん
友達ができて居場所ができた。

小湊くん
…えっと、学力が上がったかな。

こういうおちゃらけた感じのキャラは少女漫画だと鉄板みたいだ。さしずめ日常アニメにおける金持ちお嬢様キャラのような。作品に必要不可欠なポジションなのだろう。しかし、その活躍は今後のお楽しみ!って感じ

いつの日かの2期も待ってます。夏休みスキップすんなよ?


以下、視聴時の感想もろもろ

{netabare}
ああ、あの日々よ
性別は違っても吉岡さんに共感した。
学生時代はどうしても狭い教室内、40人にも満たない中で友だち作ってそれなりに生活しなきゃいけないわけで。
もし、そこで変な風に注目されると出る杭は打たれる的な感じで周りから変な圧力かかって…。
騒がれても嬉しくないし、迷惑だってのはよくわかる。
自分も目立たないように眼鏡かけて髪はなるだけ短髪にして過ごしてたっけ。カバンをぐちゃぐちゃにしたりはしなかったけど。
吉岡さんも、がさつキャラ作る前に見た目を地味に変えればよかったんじゃないかな
いや、どう足掻いても可愛さ隠せなそうだけど



リーダーズ研修とかあるなら、そりゃ普通の学校以上に学級委員やりたくないだろうな〜
この御時世にテスト結果を掲示板で貼り出してるし、いろいろ変わった学校なのかも

しかし
あんな風に助けてもらったらね、そりゃ惚れるよ!
しかもあのイケボで耳もとで囁かれたらね
ゆうりに刺激を受けて
ようやく自分もコウを好きだと自覚した主人公なわけだけど
なんか三角関係が新鮮に感じる!純粋な三角関係だなー、この先どうなるのかなー
ただOP映像的にも今までの話的にもゆうりの勝利が見えないよね…

難点を挙げるとしたら 間淵くんは
風早くんと違ってクール系イケメンだからボソボソ喋りで何て言ってるか聞き辛いとこがあった。
イヤホンしてたのに。難聴じゃないのに!
駅での台詞
「シャンプーか、何それ。萌えるな」
なんてググってやっとセリフ解ったくらいで。
萌えのイントネーションって燃えと一緒?なのか?
だからわかりづらかったんだな
「シャンプーか。何それ、燃えるの?」
って聞こえたし
何で急にシャンプーの引火性について問うんだ?しかも、なぜそれ言われて照れる?なんで変態??
って疑問だらけで戻して何度も聞き直して。でもわからなくて結局ググった。
リアルタイムで観てたら
んん?って混乱してその後アニメに集中できなかっただろうなぁ

他のアニメでもこれくらい聞き取りづらければ
えっ、何だって?と主人公に返されても
まあ仕方ないわなと思えるんだけど。
女の子の場合、ボソボソ言っても声が高いから聞き取りやすいんですよね、聞こえてるはずなんですよね自称平凡な高校生男子の聴力なr

……そんなことより印象的だったのは単にラブコメばかりでなく、家族の問題も描かれていたこと。
コウが心を閉ざしていたのは
両親が離婚
母と二人暮らしに
別れるとき兄ちゃんに母さんを任せた言われる
その後母が末期ガンだと発覚
将来母に楽させるために必死で勉強してた
いっしょに過ごす時間を減らして
もう戻らないかけがえのない時間を減らして…
間違えたとコウは思う、間違っていた、でももうどうしようもない
母のことを頼まれたのに…

母が亡くなり勉強する目的が、将来の目標が無くなってしまった
でも、だから
新しく目的ができるのは過去に対する裏切りのようで辛く、楽しむことも許されないと思っていた
でも本当はずっと許されたかった
その欲しかった言葉をどんぴしゃで掛けてあげられた吉岡はすごい!コウにとって前よりさらに特別な存在になっただろう。

…うん、やっぱ男だったら泣き顔は見られたくないよな。完全に心許してたとしてもそこは変わんないはず!



田中家族の仲が修復された食事シーンは良かった
父ちゃんセリフ少なかったけど全部名言だった。すごい良い人そうだったなあ、なんで離婚になったんだっけ…?

そんな感動的なシーンで気になったのは…
兄ちゃん、豆腐めんたるってどんな自虐Tシャツだよ!どこで、なぜ買った?それとも友達にネタでプレゼントされたのか?
あの場面で泣いちゃったのは全然おかしくないよ?豆腐めんたるじゃないよ?
OPのときの服も変だし、兄弟間でこの服のセンス差は…
料理センスはいいのにね

{/netabare}

『世界は恋に落ちている』
OPいいですね!今期はOP曲が良作ぞろいです!!
少女漫画らしい明るく爽やかな曲調で、歌詞の内容も
コウのこと知りたいっていうふたばの心を表していてよかった。
ひと昔前と違い、作品を大事にした曲が多くて嬉しいです。いや、そばかすもいい曲ではあるんですけどね。
「お、し、え、て♪」や「聞、か、せ、て♪」のトコ、歌詞とキャラの口の動きが一致している映像表現かなり好きです!
今期だと他にはハナヤマタの「つぶやいてみた♫」とか。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 17

79.4 17 兄弟アニメランキング17位
宇宙兄弟(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1084)
5957人が棚に入れました
2006年7月9日、月に飛翔するUFOに遭遇し「2人で宇宙飛行士になろう」と約束した南波六太(なんば むった)、日々人(ひびと)兄弟。時は流れ2025年、その時に交わした約束通り日々人はNASAの宇宙飛行士となって月に向かおうとしていた。その一方、弟の悪口を言った上司に頭突きして自動車開発会社を退職(リストラ)し無職となった六太。再就職もうまく行かず、意気消沈していた六太の元に、事情を聞いた日々人からメールが届く。「あの日のテープを聴け。」メールに書かれているまま、幼い日に録音したテープを聴く六太。するとそこには、六太が置き去りにしていた「約束」が鮮明に刻まれていた。

声優・キャラクター
平田広明、沢城みゆき、池田昌子、KENN
ネタバレ

ポロム さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

やっぱり・・大好きなアニメ (やっと観終わったので追記)

スカパーアニマックスで視聴
平日に毎日一話ずつ観ていたので全99話観るのに半年程掛かった。

観終わるまで長く楽しめたことと、
一人一人掘り下げられた実際本当に居そうなキャラクターと濃いストーリーが心に響いた。
展開やテンポは若干ゆっくりだけど丁寧な印象。
話の中でも細かい伏線があったりして、後になって「そうだったんだ」と、何回か驚かされることがあった。

<キャラクター性>
まず、全話観て嫌いなキャラクターが居なかった。
回想シーンやキャラの成長を描くのが上手くて
どのキャラも生きてる!って感じで人間らしい。
思わず共感し自分のように感じさせるのがさすがだと思った。

好きなキャラ一人一人名前を挙げてたらキリがないので
主なキャラの南波兄弟を例に挙げたい。

「兄とは常に弟の先に行かねばならない」と長男ゆえのプライドで
生き方も不器用で割と繊細。弟の日々人がバカにされたり何かあると
仕事の上司にさえ頭突きをして会社をクビになるほどの熱きハートの持ち主の「南波六太」と
対照的な弟の「南波日々人」は才能に恵まれ人望も熱く
生き方も器用だが肝心の何かが抜けていると言われるほど大雑把だけど兄思い。
見た目も性格も生き方もこんなに違う兄弟がとても仲良しで
お互いを思いやり、お互いを知り尽くし信頼関係が出来てる。
家族だけど、時に友達みたいで助け合ったりするのが素敵
この物語の魅力の殆どはこの兄弟からきている気がする。

<感想>
あまりにも印象的なエピソードが多く
正直文字制限に引っかかりそうで書ききれない。
兄弟が宇宙を目指すキッカケとなったエピソードや
アメリカヒューストン生活や、六太の宇宙飛行士選抜試験、
どれも大好きだけど、今回はつい今日観た「日々人の月面着陸エピソード」の感想を残したい。

<ここから44話までの超絶ネタバレ>
{netabare}月面をバギーで走行する日々人とダミアン。
誤って深い谷底へ落ちてしまう。
朦朧とする意識の中で誰よりも尊敬するブライアンJから言われた言葉を思い出す
「自分が死んだらどうなるか・・天国と地獄はあると思うか?」
その問いに日々人は「ない」と答える。
「天国も地獄も生きているうちに見るものだ」と。この言葉に痺れました。

一緒に落ちたダミアンの宇宙服は音声機能と体温調節機能が故障していた。
ダミアンを抱え谷を登ろうとした時に日々人は落下してしまう。
その際に酸素タンクを破損してしまう。
         のこり・・・80分の命。
救助が来るまでの時間を想定しても助からないかもしれないと不安が頭を過る。
じっとしていられない日々人はダミアンを連れ
太陽光が当たる安全な場所へ移動した。

その時点で残り酸素残量10分。
日々人は重く受け止めて一人で月面を歩くことを選ぶ。
満天の星空を眺めながら死ぬのも良いかと谷底を眺めると
月に着陸した時に見た不思議な光を見つけた
(これが伏線だったと気づいた)
どうせ死ぬなら謎の光の正体を知りたいと光の方へ歩く。

そこにいたのは・・ブライアンだった。
正確に言うと置き土産の「小さなブライアン」だったけど
「兄弟で宇宙へ行く」と南波兄弟と同じ夢を持ってたブライアンJの想いだった。
私はこのシーンでお鼻が痛くなって思わず涙が出た。
だけど、左手を見て口にくわえてるものを見ると
夢中で観てたせいか「柿の種 わさび味」が気づいたら大量に消費してた。
・・これじゃあ涙も出るな・・と・・・!!
実際、胸がいっぱいになった。(わさびのせいで頭も痛かった)

宇宙で「ブライアン」ともう一度出会い
酸素が切れ、死を覚悟した日々人の前に偶然にもブライアンと同じ名の
酸素生成ローバー「BRIANー03」が現れる。
そして、その回の44話の題名が「3人の宇宙飛行士」の理由を視聴者は知る。
一人目は、誰より尊敬する宇宙飛行士で月面に人形を置いてくれたブライアンJ。
二人目は指揮をとって「BRIANー03」を届けてくれた吾妻。
三人目は日々人の兄で一番の理解者でブライアンの行き先を示した六太。
結果、題名の「3人の宇宙飛行士」が日々人を救った。
だけどそれまでに希望を見失わなかった日々人は凄い。

自分自身の不器用な生き方が六太と似ていたので
つい六太にばかり共感していたが、
今回で日々人の人生観や考え方にふれて更に好きになった。
こうして、「兄弟で月面に立つ」という夢がまた一歩近くなり
再度約束を交わすシーンが爽やかだった。{/netabare}

<追記>{netabare}
一度44話まで観て感極まって感想を書いたけれども
44話以降は六太にしっかりとした目標が出来たことと、
宇宙飛行士という役割が出来たからか、話の進みが少し穏やかになった。

後半が原作ストックに追いついたせいか、あらすじやミスターヒビットで本編が短くなったのが少し残念だったけれど、
話の展開も宇宙飛行士になるまでの選抜試験のようなドキドキから変わって
日々人が月面の事故からPDになり、克服するため周りの人達に支えられたり
仲間達との絆をとても感じて後半も良いストーリーだった。 {/netabare}

<まとめ>
このアニメを観るまで私は宇宙に興味がありませんでした。
全く無いと言ったら嘘になりますが、何より「知らなかったから」だと思います。
作中でも野口聡一さんが説いた「3次元蟻」の話がありますが、
一般常識や固定観念にとらわれていては解決策が見つからないのと一緒です。

「宇宙に人間が行くということも、単に遠くの星に行くだけではなく、
今、私たちが地上で抱えている問題を新しい視点で解くことができる」
この言葉に私は今まで固定観念に囚われた「2次元蟻」だったと知りました。
これは私のひとつの考えですが、宇宙に興味がある人も、ない人も
「好奇心がくすぐられる、視野が広がるアニメ」だと思います。

このアニメを観てから、宇宙飛行士の大変さや宇宙の神秘さ不思議さに惹かれ
飛行機に乗ると「宇宙チャンネル」で宇宙飛行士の宇宙生活を楽しんで観るようになりました。

人生、落ち込むことも楽しいこともいっぱいあるからこそ
諦めずに未知へのチャレンジ精神を忘れないようにしたい、と
南波兄弟を見るとまだ知らない宇宙に想いを馳せながらそう思いました。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 71
ネタバレ

とろろ418 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

宇宙への航路

視聴中→{netabare}ストーリーやキャラも面白いですし、感心する話も結構ありました。
中でも三次元アリの話は見事でした。
宇宙開発には莫大な費用が掛かるのは勿論のこと、今はそうありませんが事故も付き物ですし、
何より意義があることなのか、疑問も持つ方も多いはずです。
私も反対はしていませんが、疑問は持っていました。

雑記→{netabare}そこへ三次元アリの話です。
『私たちは地球上で暮らしています。そのため、地球を外から見ることはできないのです。
 宇宙開発はそれを可能にします』
といった内容でした。
確かに視点を増やすという観点で見れば、計り知れない価値がありますよね。
疑問が消えたわけではありませんが、納得です。

ただ、これには問題もあるんですよね。
三次元からは二次元の世界が見えないのです。
つまり、宇宙開発が進み、宇宙に済むことが当たり前になった人々には、
地球上で暮らしていたことの本当の価値がわからないのです。
現在で言うと、若者には戦争の重さがわからない、に等しいかと思います。
歴史で紡ぐことはできるのですが、それにも限度があります。
大事なのは、想いを紡ぐこと。そして、前だけを見ず過去を振り返る勇気を持つことではないかと思います。
それを忘れて宇宙へ乗り出すというなら、私は反対しますね。

長々と私見を述べてしまい、申し訳ありません。話を戻しますね。{/netabare}

推進力が強く、宇宙飛行士になりたいと思わせてくれる作品です。
純粋に楽しめますので、宇宙開発に興味のない方や反対派の人も見れると思います。お勧めです。
--------------------------------------------------------------
『19話 感想』
  ただウドンを作りながら駄弁る回。
  ただ自分の話したいことを話せるだけ。でも、それってとても凄いことですよね。幸せなことですよね。
  私も同じ経験があるので、心を動かされました。
  それにしても”あるある”をさり気なく、散りばめてるのが憎いです。
  つい、『これやってた』とか『こんなやつ居た』とか、心の中で相槌を打ってしまいます。
  宇宙飛行士試験だけで、終わってしまうのでしょうか?
(2012.8.6 追記)
--------------------------------------------------------------
『第37話 感想』
  とうとうムッタが宇宙飛行士に。いや、合格発表ってこんなに嬉しいものなんですね。
  流されるがままに生きてきた私には味わえなかった感覚。純粋に凄く羨ましかったです。
  「おめでとう! ムッタ」(* ̄∇ ̄)/゚・:*【祝】*:・゚\( ̄∇ ̄*)
  溝口くんも良かった。『人を頼ること』私もこれ苦手なんですよ。これだけはホントに難しい。
  手を抜くって言ったらアレですけど、そういうのも必要なんですよね。やっぱり頼られると嬉しいもんね。
  これからはより一層気をつけます。そしてただのぐうたら野郎に。ヾ(・ε・。)オイ

  さっそく少し愚痴ります。
  自分で出来ることを平気で他人に押しつけてくる人の気持ちが解りません。自分で解決する方が面白いじゃん。(*・ε・*)
  (勿論、他人のことまで処理するのは疲れますよ)
(2012.12.17 追記)
--------------------------------------------------------------
{/netabare}
【視聴後】
  率直な感想。「え、これで終わりなの? なんで?」
  まだまだ続くものだと思っていたので、呆気に取られましたね。
  しかも、99話ってものすごくヤラシイじゃないですか。一種の暗喩のようで悲しくなりました。{netabare}100には届かない。劇場場入れてってことなんでしょうかね?{/netabare}

  作品としての評価は上々というところ。
  正直、宇宙飛行士試験が一番面白かったと思うのですが、その後のいい話路線も嫌いじゃないです。
  ただ、その分終わり方が残念でならないですね。
  {netabare}ムッタが宇宙行くまでやって欲しかったです。せめてヒビト復帰だけでも見たかったなぁ。{/netabare}

  劇場版の公開が決まっているようなので、その辺りを期待しています。
(2014.3.30)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

ちょっきん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

素晴らしい作品です!続編希望☆(=´∀`)人(´∀`=)

全99話
※長編作品ですが観てない方はぜひ!!!

タイトル見ただけじゃ面白くなさそうで後回しにしてましたが、皆さんのレビューが良かったことと、家族が原作を読んでいて面白いと教えてくれたので観ることにしました。
※原作愛読者にとっては、アニメは展開が遅く観ていられないのだそうです。なので、原作未読の方にオススメです!



掲載雑誌:モーニング
設定:2025〜28年の日本とNASA
主人公:32歳のもじゃもじゃ頭。声が良い♪タイバニのこてつと同じ声優さんです。

日本人の宇宙飛行士さんの実名が出ます。←最初の頃。
全てがフィクションでなく、実際におこった出来事もおりまぜて作られてます。
今より、数年後のお話で現代と変わらない。

普通に笑えます。(*´∇`*)
そして、泣けます。
観ていると宇宙飛行士のことがなんだか分かった気がするのです。
元気ももらえます。

うん。
かなり面白いです。(*≧∀≦*)
続きが気になる系のアニメです!!

あ、キャラデザは青年誌って感じ。大人向け?です。



★最終話★ なんか、夢もらった感じです。私もイロイロ挑戦して諦めず、困難をも乗り越えられるパワーを身につけたいと思いました!
続編希望☆観たいですね、その後の六太と日々人!!!
★98話★ ( ´ △ ` )しょぼーーん。
★97話★ ∑(゚Д゚)えええええええ!!!
★96話★ ケンジ編。
★95話★ なるほど!繋がった!ベティ編。
★94話★ 個性イロイロ〜
★93話★ ブライアンとエディ。涙出る(・ω・`)
★92話★ 六太の訓練開始!新しいメンバーとの顔合わせ。。。だが?
★90〜91話☆ 日々人の戦い。宇宙服は味方だ!涙出る☆
★89話★ 六太の行く先が決まりました!そして、日々人をガンバレーっと応援したくなる回でした!
★88話★ OP、EDが変わりました。
やっぱ、六太はいい奴だなぁ♪
*************************
☆86〜87話☆ 六太結果待ち。日々人編。なんか、ウルっとくるな。
☆83〜85話☆ 六太海底訓練終了。84話で良い感じに!!!
☆82話☆ 六太海底訓練、ケンジ編。
☆81話☆ 六太、日々人それぞれの訓練。
☆80話☆ 日々人NASAへ戻る&六太の新プログラム開始。
☆76〜79話☆ 日々人ロシア編。
☆75話☆ 前半のバトラー室長ネタ笑った!!だけどシャロンで涙目になった!!忙しいアニメだw
☆74話☆ バトラー室長編。秘密の裏ワザ。
☆73話☆ 六太のプレゼン。
☆71〜72話☆ 日々人。。。トラウマですか?
☆70話☆ Newミッション。さて、ムッタの行く末は??
☆66〜69話☆ 飛行訓練。やんじいの話もシャロンの話も涙出るわ。祝!宇宙飛行士
☆65話☆ OP、EDが新しくなりました。
*************************
★64話★ じんわり涙たまる。
★62話★ 新たな展開。。。来そう。。(/´△`\)
★55話〜★ 本編スタートです!安定した面白さです。
★52、53、54話★ 総集編。日々人の場面では息が詰まる。
★50、51話★ 新田ストーリー。(T_T) 涙が出る。

★38話★ 新メンバー宇宙飛行士揃う! 感動で涙出る! 合格発表までの長い道のり34話分の思い出がよみがえり、感情移入している私は自分のことのようにドキドキして…(T_T) そして、涙ぐむ。いい話だわー。

★37話★ 合否発表 溝口くん編…そして‼ ムッタ編‼ ドキドキ。

★36話★合否発表 伊東せりか編‼ お父さんとのストーリー、涙出るわ。(T_T)

★35話★合否発表 ケンジ編!!(*≧∀≦*) ドキドキ。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 26

82.8 18 兄弟アニメランキング18位
フルーツバスケット [スタジオディーン版](TVアニメ動画)

2001年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (886)
4976人が棚に入れました
わけあってテントで一人暮らしをしていた元気な女子高生・主人公「本田透」は、ひょんな事から同級生にして、全女子生徒のアイドル、草摩由希の家に住み込むことになる。
由希と保護者役の草摩紫呉が暮らす、一見なんの変哲も無い普通の家庭の草摩家。実はこの草摩家には隠された重大な秘密があった…。異性に抱きつかれると動物に変身してしまうという十二支の呪いにかかっているという秘密が!?由希は鼠に、紫呉は犬に、転がり込んできた、いとこの夾は猫に…。
一癖も二癖もある草摩の一族の人々に囲まれながら、透のちょっと不思議で刺激的な生活が始まる。次々と現れる十二支の物の怪に取り付かれた個性あふれる草摩家メンバーたちと、透とのふれあい、透のあるがままを受け入れる前向きな性格と、不器用だけど優しい眼差しは固く閉ざされた草摩家の人々の心を少しずつ変えていくのだった…。

声優・キャラクター
堀江由衣、久川綾、関智一、置鮎龍太郎、今井由香、安原麗子、三石琴乃、齋藤彩夏、井上和彦
ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

大切な何かを思い出させてくれる。

学園モノ&感動&動物萌え系?アニメ。全26話

心清き少女「本田 透(とおる)」が作中の登場人物のみならず視聴者まで癒してくれる素敵なお話。


いきなりどうでもいいことなんですが、
最近ストレスの溜まるようなことが多く、心が荒んでおりました。

そんなとき、「癒されるよっ!」と評判のこのアニメを棚から取り出し観てみることに。

OPの曲から早速癒しオーラ全開。すごく温かい気持ちになれる良い曲です。
これからはじまる物語の、悲しみや切なさを漂わせるOPの雰囲気に期待で胸が高まりました。

最初、普通のラブコメなのかな?と思ってましたが、次第に可笑しな雰囲気に…
草摩家の秘密が明かされる頃には、その面白い設定に完全に引き込まれてしまいました。
というか、登場人物の男キャラ達の予想外の可愛さに胸キュンでした。

特に、夾(きょう)が可愛いですね。
ネコ系男子は初めての経験だったのですが、メチャ可愛いです。
腐じゃありませんよー?おそらくもっと普遍的な気持ちです!w
ネコ系女子が「ネコを被ってる」イメージ(私の中で)なのに対して、
夾は『素がネコ』なのを必死に隠しているんです!
この差は大きかったです。くぅ、可愛いよ~。
変身するタイミングが良過ぎますよね。
透が熱出して倒れるシーンのやつがかなりお気に入りですw

もちろん他のキャラも皆可愛くて愛着が湧きました^^

物語の方は特に15話が好きです。
紅葉くんの辛い過去について掘り下げる後半部。
「忘れていい思い出なんて一つも無いって思いたいから…」
このシーンの紅葉くんの台詞が何とも泣かせてくれます。
しかもここでパパパパーパパ―パパー♪です。これでもかっ!というくらい泣かせてきます。
そして透の素敵な台詞で締めくくられEDへ。EDの曲もOP同様、温かい良い曲。
始終優しさで包み込んでくれる、ホント大好きなパートです。

あと、17話の杞紗ちゃんのエピソードはグッと来るものがありとても共感出来ました。
それに透のことを想ってくれる友人が登場するパートや、親衛隊の登場するパートなども好きです。
…まあ、全部良い話だったということですw
各々のキャラをしっかりと掘り下げ、上手く話をもっていくので、
良い話にうわべ感が漂わず、深さを感じしっかりと感情移入出来ちゃいました。

またギャグの入れ加減も絶妙ですね。しんみりする話が多い中で、上手くバランスをとってきます。
透のことが好きで堪らないがゆえに出しゃばる由希と夾の二人の絡みが自然な笑いを誘ってくれます。
こういうキャラの魅力を活かした、感情に訴えかけてくる笑いの取り方はとても好印象でした。

出会えて良かったと思えるアニメがまた一つ増えました。

これを観た後は、泣き疲れと、笑い疲れと、一日分の疲れとがどっと押し寄せそのままTVの前で寝落ちするという…
メニュー画面で流れるOP曲に癒されながらとても良い睡眠を取ることが出来ました^^

読んで頂きありがとうございます。




以下、夾くんへ贈る…妄想☆暴走日記

{netabare}やっぱこのアニメ一番の収穫は夾くんですね!
いや、ホント可愛いんですって!
本人には失礼ですが、たぶんネコ的な可愛さなんだと思います。
将来猫を飼うとしたら間違えなくキョウと名付けますよ!w
だって、素敵なチャームポイントがたっくさんあるんです!

つい感情的に行動しちゃうとことか
向う見ずに突っ走ってヤケドしちゃうとことか
頑固そうで、ときに見せる素直な一面とか
実は押しに弱いとことか
ツンデレなとことか(ときにデレデレ)
ニラ嫌いなとことか(てか猫ってニラ苦手なんですかね?w)

もう、夾くんなんて…
夾くんなんて…
夾くんなんて…

(」゜Д゜)」<大好きだ━━━━━━━━━━━━━━━っっ!!!!



(´・ω・`)自重したほうがいいのは重々承知してますが…
自重は…

…しませんっ!(キッパリ


それはそうと、このアニメ夾くんにスポット当て過ぎてません?
絶対好きですよね?
スタッフさんも夾くんのこと絶対好きですよねー!?
うはーっ!
みんなの夾くんってことですよねっ!!
一人なんかじゃないよっ!夾くん!

というわけで、【プリンス・キョウ】を勝手に設立したいと思いますw

■活動内容
「皆で王子(夾くん)を讃え 愛し 守ろう」

■規則
一、王子の私物を盗まない
二、王子に勝手に抱きつかない・寝込みを襲わない
三、ニラの話題は本人の前で話さない
四、呼称は下の通りに
        軽度=夾くん
        重症=夾たん
        末期=キョンたん
五、etc…

(これに反した者は手痛いお仕置きを受けるとか受けないとか!!)

サーセンw満足です…ハア、ハア
もちろん半分冗談ですよ。半分(・∀・)

ということで、夾くんと透が幸せになることを期待して原作のセット即ポチ余裕でしたとさ。
続きを読むのがとても楽しみです!

ここまでお付き合い頂きホント感謝ですmm{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 23
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

我レ精神攻撃ヲ受ク 本作ハ物語作画共拙劣ニシテ支離滅裂ナレドモ一見ノ価値アリト認ム

2001年に制作・放送されたアニメということを割り引いても、これだけストーリーや設定がご都合主義的で説得力が全くなく、作画も演出も駄目駄目な作品を視聴するのは、私には正直言って、終盤までずっとシンドかったです。

だけど・・・唯一の美点というか、その・・・独特の哀愁を帯びたOPが、まるで海のセイレン、河のローレライのように、私の心に密やかに囁(ささや)きかけてくるのですよ。
「ココには、何かがあるのです。だから、最後まで留(とどま)ってラストを見届けなさい。」
と。

本作のOP/ED、どこかで聴いたことのある曲調だな、と思って調べたら、以前視聴した『プリンセス・チュチュ』と作詞・作曲・歌唱が同じ岡崎律子という方だったんですね。
このシンガソングライターは、2004年に死去されたそうで、本作の原作者高屋奈月氏が原作マンガの雑誌連載途中で長期療養に入られたことと併せて知ると、本作に漂う何ともいえない独特の雰囲気の理由が少しだけ分かるような気持ちになりました。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得のいかなかった疑問回

======== フルーツバスケット (2001年7-12月放送) ==========

{netabare}第1話 ☆
第2話 ☆ 由希-子(鼠)、紫呉-戌(犬)、夾-猫
第3話 ★
第4話 × 楽羅-亥(猪)
第5話 ★ フルーツバスケット初出、お爺ちゃんGJ
第6話 ×
第7話 ☆ はとり-辰(龍)、紅葉-卯(兎)
第8話 ★★ 「雪が解けたら、春になる」 、ラスト近くに慊人(あきと)登場
第9話 ★ 年越し
第10話 ☆ 潑春-丑(牛)
第11話 ☆ バレンタイン・ディー~ホワイト・ディー
第12話 ☆ 温泉旅行回
--------------------- 高校2年進級 ------------------------
第13話 × 紅葉入学、慊人転入
第14話 ☆ 綾女-巳(蛇)
第15話 ☆ 透の墓参り、紅葉の母・妹、「忘れていい思い出なんて一つもない」
第16話 ☆ 由希・夾・透の小旅行、はとりの元恋人の結婚
第17話 ★ 杞紗-寅(虎)
第18話 ☆ 由希ファンクラブ、花島咲・恵姉妹回
第19話 ☆ 透の風邪
第20話 ☆ 由希・綾女兄弟回、倉前美音
第21話 ☆ 燈路-未(羊)
第22話 ☆ 由希ファンクラブ会長回
第23話 ☆ 利津-申(猿)
第24話 ★ 籍真、夾の秘密
第25話 ★★ 慊人との対峙
第26話 ★★ 続き{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)5、☆(並回)15、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.0


◆総評

エヴァ弐号機よりNERV本部に入電

「我レ精神攻撃ヲ受ク 本作ハ物語作画共拙劣ニシテ支離滅裂ナレドモ一見ノ価値アリト認ム」

本作は、ストーリー・作画・演出すべてに亘って色々と駄目な作品、という評価は変えようがないと思います。
しかし、ラストまで視聴した後には、それでも本作をあまり否定したくない・・・という気持ちも強く残りました。
そういう意味で、通常のアニメにはない、異例の凄みのある作品と思いました。

もう少し詳しく考察すべき作品とも思いますが、とりあえずここまで。


◆(参考)OP歌詞

Forフルーツバスケット

作詞・作曲・歌唱 岡崎律子

{netabare}<1番>
とてもうれしかったよ/君が笑いかけてた/すべてを溶かす微笑みで
春はまだ遠くて/つめたい土の中で/芽吹く瞬間(とき)を待ってたんだ
たとえば苦しい今日だとしても/昨日の傷を残していても/信じたい/心ほどいてゆけると
生まれ変わることはできないよ/だけど変わってはいけるから/Let's stay together/いつも

<2番>
僕だけに笑って/その指で/ねぇ触って/望みばかりが果てしなく
やさしくしたいよ/もう悔やまぬように/嘆きの海も越えていこう
たとえ苦しい今日だとしても/いつかあたたかな想い出になる/心ごとすべてなげだせたなら
ここに生きている意味がわかるよ/生まれおちた歓(よろこ)びを知る/Let's stay together/いつも

ta ta ta ta ta ta ta ta .........
ta ta ta ta ta ta ta ta .........

たとえば苦しい今日だとしても/いつかあたたかな想い出になる/心ごとすべてなげだせたなら
ここに生きてる意味がわかるよ/生まれおちた歓(よろこ)びを知る/Let's stay together いつも{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 25

らめええええええええ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

圧倒的ヒューマンドラマ

母と死別した主人公の本田透が...!ひょんなことから草摩シェルターの人々の「呪い」の圧倒的・・・!圧倒的秘密を知ってしまい...!彼らとナイス交流していく姿を描いた作品…!!っ・・・・!
良かった点はっ......!まずOPっ・・・・・!っ・・・・!
圧倒的・・・!圧倒的作品その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…ものを曲にしたような歌詞は秀逸ではありませーんっ...!ゼロゼロゼロっ...!っ・・・・!儚げなナイス旋律も...個人的にはグッときませーん・・・っ!ゼロゼロゼロ・・・っ!っ・・・・!
そして何気に潰滅的BGMも素晴らしいではありませーんっ...!ゼロゼロゼロっ...!っ・・・・!
それをねじ曲げたら…なにがなにやらわからない…からっ...っ・・・!主人公の本田透を始めとしたキャラクターのっ...描写っ・・・・・!...!
主人公については美心が美心(坂崎の娘)たる描写に...まだわかんねえのかよっ・・・!て欠けている潰滅的部分が潰滅的少しも...ありませーんでしたっ・・・・!
草摩シェルターの人々の心情描写も上手くっ・・・!全くエロハンドっ...を抜いている印象はありませーんでしたっ・・・・!
コミカルなナイスシーンとシリアスなシーンの...バランスも絶妙ですっ・・・!っ・・・・!
潰滅的前半はっ...コミカルなシーンがっ...多い感じ…!!が...!そこまで出すぎているわけがっ...ダメっ...!ありませーんし...!後半の圧倒的シリアスがよく戦った…彼らは勝った、ゆえに人格まで肯定されている…!映えていましたっ・・・・!
悪かった点ではありませーんっ...!ゼロゼロゼロっ...!がっ...っ・・・!原作よりもナイス少しテンポが悪い(バッド)と感じたことですっ・・・!っ・・・・!圧倒的・・・!圧倒的前半のギャグシーンで特に顕著に表れていたのだっ・・・・・!っ・・・・!
それをねじ曲げたら…なにがなにやらわからない…と......!強いて挙げる利根川…オレが蛇に見えたか…?ならおまえが蛇なんだっ……!ラストっ・・・・・!っ・・・・!
潰滅的少し強引に終わらせた感じがしますっ・・・!しっ・・・!もう少しその定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…後の...彼の描写がしてほしかったという不満はありませーん・・・っ!ゼロゼロゼロ・・・っ!...!
評価は「圧倒的堪らない」っ・・・・・!っ・・・・!
コミカルなやりとりが多いですっ・・・!がっ・・・!決してコメディ作品ではありませーん...!
芯の通ったキャラクターたちをっ...軸に...!「優しさ」がいろいろなコンプレックスや圧倒的・・・!圧倒的感情と潰滅的対峙していく圧倒的・・・!圧倒的姿...!そしてっ・・・!他者や自分と向き合うことっ・・・!向き合っていくことを描いた...!ナイスヒューマンドラマですっ・・・!...!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2

78.2 19 兄弟アニメランキング19位
ハイキュー!! セカンドシーズン(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (800)
4867人が棚に入れました
すべては、“進化”する―!!「週刊少年ジャンプ」で絶賛連載中・コミックス累計1,600万部突破の次世代王道スポーツ漫画、『ハイキュー!!』。2014年4月~9月に放送されたTVアニメの好評を受け、2015年10月から、TVアニメ セカンドシーズンが待望の放送スタート!監督には『おおきく振りかぶって』でアクション作画監督を務めた満仲勧を迎え、キャラクターデザインには『デュラララ!!』、『魔法少女まどか☆マギカ』の岸田隆宏。そして制作は常に最高のアニメーションを送り出し続けるProduction I.Gと、ファーストシーズンから引き続き、ヒットメーカーによる最高のチーム体制!
日向・影山を演じるフレッシュな若手を、実力派キャストが力強くサポート!セカンドシーズンでは、新たなライバルを演じるキャストも続々と参戦します!
3度のボレーで攻撃へと“繋ぐ”バレーボールに青春を燃やす少年たちの、チームメイトへの熱い思いと、ライバルとの死力を尽くす真剣勝負。本格バレーボール作品の魅力を、さらに“進化”したアニメーション表現でお届けします!

声優・キャラクター
村瀬歩、石川界人、日野聡、入野自由、林勇、細谷佳正、岡本信彦、内山昂輝、斉藤壮馬、増田俊樹、名塚佳織、諸星すみれ、神谷浩史、田中一成、中村悠一、梶裕貴、立花慎之介、石井マーク、木村良平、逢坂良太、浪川大輔、吉野裕行、竹内良太
ネタバレ

moaimoai さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

雛鳥がかえる

追記
最初のコメントが長文で失礼…

画も素晴らしいし、内容もアツかった。登場人物それぞれの物語に1期ではなかった深みが出てきたことが高評価。

ただ、運動部経験者(サッカー部)として

また、烏野高校のように下剋上を目指しある程度まで経験したものとしては

まだまだまだまだ葛藤が物足りないのである…笑

こればっかりはリアル(自分の体験)と比べてしまってる限り超えられない壁になるのだろう…

元も子もないのだけど、2クールと尺が決まっているため展開が"予定調和"になってしまう…

視聴者の予想を超える驚きがあったかといえば、

青春の良いところ"だけ"
綺麗なところ"だけ"

切り取ってるように感じてしまった…

この点が時折女性ウケを狙ってるとも観れる節々の演出に影響が出ているかと。

個人的には男性ウケ(萌え・ロリ・微エロetc)とか女性ウケとか気にせず、シンプルに面白ればいいという考え。

今作については、綺麗なところだけではない、他人には見せたくないダサいところ・弱いところなど、もっともっと人間臭いリアルな部分が見たかった・感じたかった。笑

例えば相手を、たとえどんな手段を使っても、蹴落としてでも勝利を掴もうとする人物。その行動原理となる背景

実際、自分の経験でもチーム内のレギュラーとベンチ(もっといえば登録外)の選手とで問題が生じたことは幾度もある。

以前レギュラーだった先輩と、新しくレギュラーになった後輩が大会直前の紅白戦中に接触し、レギュラーの後輩が大怪我をしてしまった。結果、本番にはその先輩が出ることになったのだけれど
人によってはその先輩が「故意に怪我をさせた」と憤ったり…(真意は未だに不明)

あまり心地よい話ではない。のだけれど、そういった観る角度によっては「負の側面」にもなる人間臭さが現実にはたくさんある。

そこまで求めるのは果たしてエンタテインメントなのか?と別のテーマでクエッションマークが浮かびつつ、それでも私は「深さ」を求めてしまう…笑

長くなるのでここら辺で。笑

高評価には変わりないし3期に期待!!

-----------------------------元コメント 2015.11.25-----------------------------

一期のざっくり評価は「安定した面白さがある良作。ただ、、安心するけどドキドキしない」

と、まるで失恋フラグかの如き厳しい評価をした記憶があります(笑)

今期はその点ドキドキする展開に。笑
また、シリアス要素も入りスポ根一辺倒でなくなった分、メリハリ効果でギャグが映えてる点も高評価。
作画も流石(NOT駄洒落)攻殻機動隊を制作してるだけあって動きに強い。

{netabare}合宿の猫又監督の心境よろしく、雛鳥かえっちゃう予感。笑{/netabare}


--

以下、【ロングロングローングポエム】※閲覧注意←本当に長いから



偏見なんですが、自分が運動部出身ということもあり

どうもスポーツ系のジャンルは
・エンターテイメント(アニメ作品としての評価)の部分

・リアル(実体験からの乖離具合)の部分
とのジレンマが常にあります。笑

エンターテイメントに偏り過ぎると、もはやスポーツというよりギャグ・ファンタジー!?と勝手にスポーツ系の枠から外してしまう…笑 違う視点から見ればイケるでこれ的なやつですね

とはいえリアルの部分は、バランスが難しい。だって単純な基礎練習の反復シーンなんて絶対つまらんwww(せいぜい1エピソード・1カット程度の要素としてでお腹一杯)

それでもギャグ・ファンタジー系(主人公最強・格闘漫画ばりに必殺技の応酬etc)ではなく、真っ直ぐスポーツ・青春を描いていく作品にはリアルの部分は無くてはならない要素ですよね。

作者さん・制作さんのそうした強い思いにまず敬意を込めて、だからこそこちらもかなり厳しい見方をしてしまう(ただの単細胞)


そういうわけで、一期に関しては個々のエピソードはありましたが正直「スタートラインに立った段階」だなと(三年生には悪いが)

実体験として成り上りのように、強くなる過程でまず最初に「敵の強さを知る・自分達との差を知る」という基本にして非常に重要な【自分達の強さを肌で感じ・知る】段階を通過しなくてはいけない。

部内のエースだろうが、競合と同レベル・強豪の基準でみれば並なんてことはザラ。もっと言えば全国で自分達の地方のレベルがどの程度か

他人との比較を好む好まない関係なく分析、それも文字や映像ではなく実践(実戦)を通してすること。数字やデータもその上で生きてきます。

結果に拘らず楽しくやるなら別ですが、上を目指すのであればこうした経験から目標と課題を明確にしなければ強くなりません(PDCAですね。ってもしドラかよ←古)。

{netabare}前回の月島君の率直な疑問は、ものすごーーーく大切な問いです。笑 そしてその答えもものすごーーーく共感。笑

練習をどれだけやっても結果を出せる保証は得られないし、時として結果が運に左右される部分も確かにあります。それでも高みを目指し挑んでいかなければ成長はできない。{/netabare}

この辺りの葛藤は万人に支持されるかはともかくとして、個人的にグッとくる要素。笑


あと、これも偏見というか趣向の問題なんですが指導・成長に関して

チーム・選手が成長する為、目標は示す必要はあります。けれどもその過程(方法)は相手を信じて任せる。
選手一人一人の過程はバラバラでも結果としてチームで目標に到達する。その為に灯台を照らして全員が同じ方向を向いて進めるようにできるかが肝です。


前ラグビー日本代表監督のエディ・ジョーンズさんもインタビューで(以下抜粋)

〜練習方法などについては細かいところまで指示は出しません。ある程度の責任はもたせて任せるようにしています。けれども、ゲームの中で、選手にどのようなプレーをさせるのか、という点については、私と細かく共通認識を持つようにしています。ゴールは共有しておいて、手段は任せる。〜


また、サッカー女子日本代表(なでしこJAPAN)監督の佐々木則夫さんの指導に

「プロミスは不変、プロセスは可変」

目標達成のために不要ならば、男女の壁、あるいは上下関係の壁は破ってしまえばいいという考え方があるそうです。


色々な指導法があり、また選手も十人十色でこれはあくまで一つの方法に過ぎません。

けれども、個人的には「主役はあくまで選手」だと思っているのでこうした考え方は共感してしまいます。笑


戦術で選手をコントロールしてある程度の結果を出すチームは現実にもあります。

今作にはそうしたチームが今後出てこないかなと期待したり…笑 物語的にも反面教師というか成長のキッカケ美談(悪口じゃないよん)として王道だし


少し脱線しましたが、強豪の場合、明確な目標(全国出場が伝統・ノルマetc)があるので
そもそも入学してくる選手にゼロベースで方向性を示す必要がないことが多いです。

対して現在の烏野のように成り上りする場合、どこを向くかから考えなくてはいけない。これ非常に難しい…
なんせ、本気で全国行くなんて1人が思っても周りは内心「ベスト16いければ」と思いつつ流行り文句のごとく「全国!!」と口にすることが往々にあります。

ただ、外的要因(強豪の選手だから自分は全国を目指す)でなく、内的要因(誰に何を言われようと1番になりたい)で「全国」を本気でチームが目指し挑んでいく成長や変化は

本当にゾクゾクするほど興奮します…笑

勿論、強豪にも伝統(結果だけでなく、OBやチームを応援・金銭面も含めサポートしてくれる地域・関係者の方々etc多方面)、
期待・重圧(全国に行くまでは負けは許されない)と向き合う精神的強さなどなど

プライドをプレー・結果にぶつける熱さも興奮します


まだまだ語りたいことは沢山ありますが、いい加減やめます(笑)


たいそうなことを書きましたが、強くなるには地味で他人からみたら面白みのない日々の基礎的な練習の積み重ねしかないです。

このリアルな部分とエンターテイメントの部分をどう描いていくか、今後期待して楽しみたいと思います!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 5

かさい さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

これがI.Gクオリティか。

2期の2クール。
文句のつけようがない。
とにかく毎話のクオリティが高い。
バレーボールというスポーツをここまでしっかり描写できる制作会社は相当限られてくると思う。
何より、原作ファンの自分にとっては、ものすごく原作リスペクトを感じる作品になっている気がする。
売れ行きも好調で、3期も決定したので、またこのシリーズが見れると思うと高ぶる。

I.Gのスポーツアニメ。1期に続き監督は満仲さん。キャラデザは岸田さん。

【総合】
4.81/5

【物語】4.8
【構成】4.9
原作準拠なシナリオ。下手な改変などは一切無い。とにかく忠実。
原作の面白さを理解し、それを軸に構成している。
何より、人気の作品でなければ実現しない構成だとは思うが。

A、B構成、1話構成、2クール構成。構成面ではほぼ完璧。
1話構成の切り方、引き方が非常に上手いし2クールとしてのまとめ方も理想的。
毎話のクオリティにもこの構成が繋がっているのかもしれない。

物語的にも、キャラの成長、チームとしての成長を存分に描写し、苦悩や困難といった青春的エピソードも十分に存在する。
敵とのやり取りや、負けたチームの描写なども怠らずに最後まで追いかける姿勢は素晴らしい。
ドラマ的構成があれば、アニメ的でスポ根展開もある。
女性も男性も楽しめる内容になっていると思う。
とにかく面白いです。

【作画】4.85
I.Gだからこそ成り立つ2クールのスポーツアニメだったと思う。
バレー作画に関しては、勢いのあるアクションから、丁寧なアクションまで幅広い使い分けをしていたし、キャラの動きや身体、体重移動などもしっかりしている。ボールはCGだがその組み合わせも上手くいっている。サーブやスパイクと言った見せ場では、異色な作画も存在する。

気合が入っているのはバレー作画だけではない。
人物描写も丁寧なので、気迫の演技や芝居も存在する(主に末冨さん)。
キャラ達の葛藤や敗北による悔しい感情などを鮮明にアニメーション化している。感情移入せざるを得ない..。

【美術】4.7


【声優】4.8
キャスティングが凄い。
どのキャラも違和感が無いし、人気のキャラにはしっかり人気の声優さんをキャスティングしている印象。
感情的なセリフも沢山あるので、キャラへの入れ込み度が垣間見える。

吉野さんカッコ良かったですね。

【音楽】4.8
劇伴クオリティも高い。凄く高い。
とにかくシーンにあった劇伴を入れてくるんだけど、レパートリーもすごく豊富。シーンと展開と感情に合わせるのが滅茶苦茶上手かった印象。
林さんは今後も注目したい。

【演出】4.85
・原作の持つ雰囲気をアニメーションに
原作では、作者が以前にホラー漫画を連載していたこともあって、一枚の絵として凄く魅力的なコマがたくさんある。キャラが時折見せる本気と集中力を静かで迫力のある絵で表現しているのは特徴的。
その特徴をしっかり活かす形で、キャラの影付けやハイライト、アップ等を利用して表現している。ここでもしっかり原作リスペクトを感じてしまう。

・丁寧なキャラ描写
キャラの表情の捉え方がとにかく的確で丁寧。
見せ場では感情的な作画を持ってくる。
キャラのフォルムもかなりシンプルだが、表情で筋肉が動いた時や、派手な影をつけた時の迫力もかなりのもの。
岸田さんのキャラデザ力が光る。

・キャラ描写についてくる回想
敵サイドにも味方サイドにもそれぞれの努力と経緯があり、その過程を程よい長さでドンピシャなタイミングで出してくる。展開に更に深みを与える演出になっている。

・ギャグが単純に面白い
です

・アクションが少ない回こそ
構図やカット割りに気を配った演出になっていた気がする。
芝居や声優さんの演技も素晴らしい。モノローグのセリフなどもキマってる。

・リアルタイム演出
24話では満を持して満仲監督回。
実質最終回という表現をとってもおかしくないこの回はとにかく凄かった。
ただでさえカロリーの高いバレー作画を惜しみなくしてる。
動かし方もサボり方も尋常ではない。
サボり方といっても、試合は映していないが進んでいるという演出を凄く上手く使っている。
試合の一連は、途切れないテンポとリズムのカット割りで、常に試合が動いている状態にする。目まぐるしく動くカメラワークなども凄い。
観客、ギャラリーの声や、試合中の選手の声などの音響面でもしっかりリアルタイム感を演出。コートが映っていなくても状況が伝わるようになっている。
細かいカット割りの一連も、非常にリズムが良い。どのシーンもしっかり繋がっていて、視聴者に画面の唐突な変化を感じさせない

この回の演出は、漫画では出来ない、アニメーションの特徴を活かした演出だと思う。


【op&ed】4.8
1クール目は少し控えめ。
opもedも本編とはしっかりシンクロしている。
op絵コンテ演出、満仲監督。edは塩谷さん絵コンテ演出。
edのキャラが全員走っている作画は一人一人の走り方が違くて、キャラの特徴をとらえたフォームになっている。

2クール目のopは甲斐さん、edは西尾さん絵コンテ演出、一人原画。
opはカメラワークも激しいし、アクションも凄い。相手コートもしっかり今後の敵になっている。
edはシネスコサイズの試合前シーン。本編には残念ながら参加されていないようだが、やはりスペシャルだ。

【キャラ】4.8
・烏野も他校も魅力的。
これが強みでもある。
勿論視聴者的には主人公が所属している高校を応援したくなるのが自然だが、他の相手校も負けてほしくないと思えてしまうのがこの作品の魅力でもある。そのくらいしっかりキャラを描いていた。

・味方のセリフも敵のセリフも凄く良い。
スポ根、青春を感じる素晴らしいセリフの数々。
キャラによってはシンプルだったり、哲学的だったり、深かったりもする。

・スポットライトを主人公サイドに絞らない。
スポットライトを主人公やその周辺に絞るアニメもあるし、それは全然悪いことでは無いけれど、このアニメはしっかり、満遍なくバランス良く、色んなキャラに焦点を向けていた。とにかくサブキャラ描写も敵キャラ描写も惜しみない。
そのおかげで、他校との絡みにも深みが出てきたり、リアクションや会話に納得がいったり、展開が更に熱く感じたりなど。


及川さん好きですね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

最高のチームで、最高の瞬間を共に味わうために。

ハイキュー!!2期です。
まずは1期から観てください^^

1期もアツくて大好きでしたが、
2期はさらにヒートアップしている…!

もはや、コートという戦場で戦っている戦士たちですよ。
みんなかっこよすぎる(*´ω`*)

個人的にスポーツものは
途中で飽きてしまうことが多いのですが、

この作品は飽きるどころか、
もっと見たい!と続きが気になってたまりません。

2期は全25話です。


● ストーリー
宮城県立烏野(からすの)高校、男子バレーボール部。

春高に出場することを目標に練習に励むも、
このままでは強豪校に勝てないことを実感するチーム。

東京遠征合宿で練習と対戦を重ね、
それぞれが戦う武器を磨き、いよいよ春高予選が始まった。


ストーリーは大きく、
・東京遠征
・春高予選
の2つです。

この構成がよくてですね、

東京遠征編では
個人やチームが己の技を必死に鍛える努力が描かれ、

春高予選編では
身につけた技を駆使しながら戦っていく。

合宿での努力を散々見てきたから、
その成果が試合で発揮されると気持ちがいいし、感動もする(´;ω;`)

ハプニングもピンチも、
とにかく目が離せない展開ばかり!

いろんな技や作戦が組み合わさった多彩な試合運び。

選手の技や特徴1つで試合の流れが変わったり、おもしろいの!

作者はいろんな戦術を考えながら、
構成を考えているのかな。

アツい試合を意図的に作る作者は
すごいなあと思いました。

こんなにのめり込んでスポーツを応援したのって、
久しぶりな気がするw

試合の行方に緊張して心臓に悪かった…。笑


≪ どんなチームにも敬意を ≫

キャラの個性も大好きなのですが、
今回は“チーム”に注目していました。

1期もそうでしたが、
この作品は主役の烏野高校だけにスポットライトを当てることはしません。

大して強くもないし、
目立つ選手がいないチームが相手だったとしても。

そんなありふれたチームにも、
ドラマはある。通り過ぎてきた気持ちがある。

1つ1つのチームにしっかりと焦点を当てることで、
見ている側は自然と感情移入をしていて、知らぬ間に励まされてもいる。

そして試合の最後には選手やチームが抱えてきた思いや、
負けて悔しい気持ちに共感している(´;ω;`)

そういう作品だからなのか、
烏野のメンバーは「楽勝だった」「相手弱かった」などのような、
相手を見下すような発言を絶対にしませんね。

どんなチームや選手に対しても全力でぶつかり、
自分たちが上を目指すことだけを考えているアツいチームです。

だから大好きなのですけど^^


≪ 烏野高校バレー部 ≫

作中ではいろんな選手やチームがありますが、
やはり主役のチームが好きです。

烏野高校の、チーム感が好きです。

レギュラーでもそうでなくても、全員がチーム。

立ち止まりそうになったときに、
アドバイスをくれたり、叱咤激励してくれたり、
一緒に悩んでくれたり、そばにいてくれたり、
一緒にがんばったり、認めてくれたり…。

そういう存在が彼らの成長には欠かせなかったと思うんだ。

あまり大きくアピールはされてないけれど、
こんな仲間やライバルがいたからこそ、

烏野のみんなは思いっきり前を向ける。
迷わずがむしゃらにバレーに向き合える。

仲間を、自分を、チームを信じているから。

みんなまっすぐすぎるほどまっすぐだよ!


● キャラクター
個性が豊かで、しかも魅力的なキャラばかりです♪
普段のテンションは笑えて、コートでの真剣な姿はかっこいい!

1期ではノヤっさん推しでしたが、
2期では部長の大地さん推しだったな♪

一番まともな人なようで、
実は一番内側が燃えているアツい人。まさに部長!

というか、
東京合宿での他校のキャプテンみんな面倒見よすぎw

普段はおちゃらけているけれど、
バレーに対しては真面目な気迫を出すの好きだった(*´ω`)


● 作画
1期もすごかったですが、
そのクオリティは2期でも変わらず♪

ほんと、よく動くし迫力あるし、
試合を飽きずに観られたのは、作画の力が大きいと思います。

このカメラワークはあっぱれです!


● 音楽
【 前半OP「アイム・ア・ビリーバー」/ SPYAIR 】
【 後半OP「FLY HIGH!!」/ BURNOUT SYNDROMES 】

【 前半ED「クライマー」/ Galileo Galilei 】
【 後半ED「発熱」/ tacica 】

1期も音楽よかったけれど、
2期も良曲がそろっています!

OPは試合中のような直球なアツさ、
EDは心の内にあるような静かなアツさ。

私の一番のお気に入りは「FLY HIGH!!」ですね♪

OPは映像にも力が入っていて、
本編に劣らないよく動く試合シーンも見どころですよ^^

この映像だけで何杯もいけちゃいますね…
お腹いっぱいになれます(*´ω`)


● まとめ
期待していた2期ですが、
期待以上に楽しめました!

最後の試合はすべてを出し尽くして、
もう決勝戦だと思った!笑
(1期のレビューでも同じこと言ってたような。笑)

ハイキュー、やっぱり大好きです!
見ているこっちもアツくなってくるよー!!

3期も楽しみだ!^^

投稿 : 2025/02/01
♥ : 25

80.6 20 兄弟アニメランキング20位
モブサイコ100(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (930)
4704人が棚に入れました
自己表現がヘタな超能力少年・影山茂夫、通称・モブ。
普通の生き方にこだわり、超能力を封印しているモブだが、感情が昂り、その数値が100になったとき、彼の身に何かが起こる!
インチキ霊能力者、悪霊、謎の組織……モブを取り巻く様々な人に囲まれて、彼はいったい何を思い、何を選ぶのか?
WEBコミック界のカリスマ=ONE(「ワンパンマン」)の原作を、アニメーションスタジオの最高峰=ボンズがテレビアニメ化!
TOKYO MX他にてテレビアニメ放送中! 2つのONEによる期待値100%超の青春超能力アクション!


声優・キャラクター
伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、細谷佳正、藤村歩、種﨑敦美、佐武宇綺
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

モブ君と霊幻さんの掛け合いが面白い、超能力アクション&心霊ギャグ

モブこと影山茂夫君と、その師匠であり、自称霊能力者、もとい詐欺師?の霊幻新隆(れいげんあらたかと読む)さんの師弟コンビが主役のアニメの様です。

1話冒頭から遺憾なく発揮される、モブ君による色彩豊かな花火の様な超能力表現が取り分け目を引きました。それにしてもお強い。殆ど無敵キャラですね(笑)。

純朴で静かなモブ君と、大口叩きでありながら常にテンパリ気味の霊幻さんの掛け合いは、古典的なギャグと言い切ってしまってもなんら語弊は無いと思われますが、絵柄の面白さも相まってかなり笑かされました。

奇抜なキャラデザなので、背景からキャラが浮いている様に見えてしまう場面もいくつかありましたが、ちらっとだけ心霊スポット探索でもしている様な気分にもなれましたので、この作品の持ち味として概ね受け止められました。(1話トンネル入り口付近の背景が特に。2話以降はキャラが背景に馴染んでました。)

それにしてもモブ君と霊幻さんの関係は謎です。自称霊能力者として、依頼があれば片っ端から危険な場所に足を運ぶであろう霊幻さんが、本物の霊感のあるモブ君と出会うという事も、無きしも有らずと思われますが、なぜに師弟関係? 今後の展開で明らかになるのかも知れません。

あとちょっと心配なのは、霊幻さんの嘘がいずれバレてしまうかも知れないと言う事。(1話から結構際どかったので、あるいはモブ君はもう知ってるかも)それでもモブ君なら涼しい顔で許してくれる気がします。そんなオーラをまとっておられる底知れぬお人です。

以下は各話の感想

~3話~
{netabare}
怪しげな宗教団体「(笑)=かっこわらい」とその教祖エクボ現る。正義感溢れる新聞部女子、米里イチさんも登場。そしてついにモブ君が100%に!?

(笑)の教義とは無理にでも笑い顔を作る事で、形から入って本当に笑える様になるというもの‥。悩みの原因を究明しないで表層だけ取り繕っても何も変わらない事は明白です。お仲間達に守られている間は笑っていられるかも知れませんが、独りぼっちになった時、付け焼刃の幻想はぽっきりと折れてしまう事でしょう。

ジョークの様な話ですが、こんな事を真面目に演説している政治活動家が現実にいたりします。もしかしたら新興宗教団体の中にもこんなのがあるかも知れません。似た感じのはいっぱいあります。何というか‥現実の方がヒド過ぎる‥。モブサイコ作中でもれいによっていんちきでした。

2話、3話と続いて、利己的な思惑があるにせよ、霊幻さんの言う事に説得力が加わってきており、モブ君の事を心から心配しているような節も見受けられました。前回のマッサージの腕前といい、かなりの勉強家の様ですし‥(笑)。これなら超能力が使えない事がモブ君にばれてしまったとしても変わらず師匠って言ってもらえる気がします。
{/netabare}
4話、5話
{netabare}
肉体改造部に入部し、新たな自分を見出そうとするモブ君ですが、塩中と黒酢中の不良同士のケンカに巻き込まれてしまいます。初登場となるモブ君以外の超能力者、花沢輝気(テル)も現れ、ギャグ色が大幅に減り(絵柄とかで笑える所あるけど‥)若干バトル物の様相を呈してきました。

初登場時では画で笑わせる印象の強かった肉体改造部の人たちですが、今回では部員思いの優しくも熱い面を爆発させます。もはや肉体改造というレベルじゃない? まるで暴風雨が吹き荒れた様に、瞬く間に不良たちを平らげてしまいました。

続くクライマックスのモブ君とテルの戦い。能力の優劣を付けんとモブ君に戦いを強要するテルに対して、超能力で人を傷つける事を自身に許さないモブ君は身を守る事にのみ徹します。窮地に立たされながらも、あくまでもテルに対して超能力を行使しないモブ君の姿に私は彼の本物の強さを見ました。相手の土俵には決して上がらず、あくまでも自分の信念を通すモブ君、何者にも屈しない確固たる個性があったのではないでしょうか? 超能力が無くともモブ君は空っぽの人間ではないのです。

競争社会の中で自身の価値を、他者との比較、上下、優劣と言った一方的な価値観でしか見出せずに苦しんでいる全ての人達に観てもらいたいお話と思いました。

より強い力を求む者、力が無ければ何かを守れない? その何かとは何でしょうか? 守っているのは本当は国とか家族とかじゃなくて、本能とか呼び習わされている生物の遺伝的特質、あるいは犬も食わぬ様な卑屈なプライドの塊とか何かではないでしょうか? 私はどちらかと言うと後者だと思います。バトル展開は好きではないですが、物語、キャラの台詞に魅力を見出せる良い回でした。(回想シーンの霊玄さんも‥)

前回から暗い影が差すモブ君の弟の律君の事も気になりますが、次回からはまた初期仕様に戻るとの事、このままバトルものにならないでほっと安堵。霊幻さんの出番が戻ってくる事に期待したいと思います。
{/netabare}
6~8話
{netabare}
前回の次回予告では初期仕様になるとの事でしたが、6、7、8話とかなり違っていました。ギャグ少な目で、あってもビジュアル面とか申し訳程度、霊玄さんの依頼引き受けパート(多分マッサージパートともいう)も取って付けた感じで、同じネタの使い回しもあり、私的にあまり楽しめず、ちょっと残念でした。

お話全体も暗さと暴力性を帯び始め、律君の迷走、不良同士の抗争、悪の組織の登場など、どちらかというとバトルものにありそうな展開が続きます。ゆる~い心霊ものとしての初回の雰囲気からどんどんと離れていってしまいました。

バトルといえば5話のテル回ですが、この時はまだ、モブ君の力の放棄とテルの孤独感が絡み合い感動的なドラマを作り出していましたが、8話はもう、不良漫画とかドラゴンボールみたいな完全なバトルものになってしまっていて、殴ったり蹴ったりの応酬が殆ど。不良を"ガキ"呼ばわりする大人も子供。大人の私にはただただ痛々しい印象が残るだけで、ドラマとしての魅力が全く感じられませんでした。モブ君の超能力で人を傷付けまいとする信念はどこに‥という疑問も‥。律君の為だから仕様が無い気もしますが‥。

8話終幕、モブ君とテルが同盟を結ぶ展開は良かったのですが、これもバトルものではお約束の展開‥‥。それにしてもテルのあの頭、面白いのは分かったから、もう初期仕様に戻しても良いのではなかろうか‥?

次回もバトルが続くようです。
{/netabare}
9話
{netabare}
律君救出のお話。ますますバトルものの様相を帯びてきている気がしてなりません。悪人の性格もみんな似たり寄ったり、暴力で脅して言う事を聞かせるタイプ‥。序盤はギャグとか会話劇が多めのアニメだったのに、一旦バトルものの色に染まってしまうと物語の描き方の安易さからそこから抜け出せないものなのでしょうか?

古くからあるジャンプ漫画のパターンそのままなので、あまりにも進歩が無いなぁと今回も残念な内容でした。
{/netabare}
10話
{netabare}
今回もまたバトル回。特徴的な画風を除けば、古典的なバトルものの展開を辿っている様にしか見えませんでした。戦いのけりが短時間でつくのは、見ていてストレスを感じなくて良いけれど、バトル前には期待させて、"あっさり敗北(もちろん敵が)"のパターンは前回から繰り返しでした。視聴者に爽快感を与えたい為なのか、無意味に敵の数が多い様な気がします。

終幕には長らく出番の無かった霊玄さんの姿が! まさか、ウソでしょ?

続けて視聴してみようと思います。
{/netabare}
11話
{netabare}
颯爽と現れた霊玄さん。自信あり気な態度とお得意の口車で「爪」の構成員たちを懐柔、大いなる張りぼてのカリスマをかざし、アジトの奥へと進みます。

「爪」幹部を目前にしても一歩も引かぬ姿勢、非超能力者でありながら、こすい大人の言動と姑息極まりない戦法で相手との力量の違いをものともせず善戦? 爪の超能力者達を"大人になれなかった子供"と断じ、モブ君を連れ帰ろうとする霊玄さん、堂々たる迫力がありました。6話から脈々と続く、幼稚なバトル過多のエピソード全てを布石と錯覚させる程のインパクトがある展開でした。

‥でも、いくらなんでもご都合過ぎる? 冷静に見たら古典的なギャグ描写満載の陳腐な展開と言わざるを得なかったのかも‥。まぁ、今回の主役は霊玄さんだし仕方ないのかも‥(笑)

そして後半パート、「爪」アジトから脱出を試みるモブ君と律君、テル、霊玄さんの4人。人を傷付ける罪をモブ君に負わせたくない霊玄さん、その決死な行動がモブ君の"何か"を再び目覚めさせてしまいます。

ギャグ、シリアス、存分に入り混じった、久々の充実のお話でした。
{/netabare}
12話
{netabare}
最後は結局モブ君が?と思っていたら意外や意外、今回も霊玄さんのターン!

モブの信頼を経て力を得た霊玄さんの無双振り、非常に痛快でした。「没収」と桜威の武器を奪ったり、「人と話す時はマスクを外しなさい」とばかりに遺志黒のガスマスクを引っぺがしたり、あらゆる超能力を無力化しつつ、最後は説教で止め。これが師匠の実力なのか!?

霊玄さんは自らを"庶民"と称し(ほんとは詐欺師だけど)その庶民の力に及ばない幹部達をも庶民と断定。圧倒的な力の差を持って説き伏せるやり方は強引この上ありませんが、結果的には彼らを無力化してしまいました。口車の上手さはやはり大人?もとい詐欺師? まぁ、それで言い負かされてしまうというのが「爪」という組織のへぼさとか薄っぺらさなのですが‥。

とは言っても、「爪」幹部達の持つそれぞれの個性とか力はやっぱり特別なものなので、そこら辺は認めてやって欲しかった気もします。力の強さがどうのとか、上下の話ではなくて‥。でもそれは彼らが後で冷静に見つめていくべき所なのでしょう。

ボスの遺志黒については自己愛の塊の様な人で、人を見下し認めず、その癖自分は認められたいという、力の上下でしか人を評価する事の出来ない、最も幼稚な思考の持ち主であったという印象を残しました。正体が‥‥であったという事も殊更その印象を際立たせています。人をサルと蔑む一方で、人から認められたいというのは矛盾する考えで、この遺志黒という人、実は自分がつまらない人間であると言う事を内心知っていて、それを認めたくないだけなのかも知れません。最後まで抵抗し続けた悪霊使いの人についても多分同じ様な思考の持ち主なのでしょう。

エピローグ、鬼瓦と生徒会長、律君の問題についてのお話があります。リコーダー事件を経て精神的に成長した鬼瓦の、"自業自得の部分もあった"と事件当時を振り返るさわやかな台詞と共に、かなり非道な事をした生徒会長と律君は快く許されました。人の罪を責めない態度、度量、立派でした。いいやつです。

最後の最後、オマケのツチノコ捜索はかな~り久し振りの日常ギャグ回。1話から先、特に成長していない移り気でイイ加減な霊玄さんと、大きく成長したものの、いつもと変わらぬ穏やかさをもつモブ君の姿が見られました。

ここで終わってしまってもいいかなと思える物語でしたが、バトルものというのは後に控える敵を常に用意しておくもの。まだまだお話は続く様です。

もし2期があったら、初回近くのお話とか上記のオマケみたいな日常パートとかギャグを大目にして欲しいけど、どうなるのでしょうか? 漫画未読なので分かりませんが期待したい所です。
{/netabare}

押切蓮介先生の漫画とかに見られる様な、※幽霊+ギャグという意外(むしろ今や定番?)な組み合わせに面白さを見出せる作品でしたが、途中からバトルものに? 初期仕様に戻って欲しいけど無理なのだろうなぁ‥。

最後まで観終えて。紆余曲折ありましたが、最後は初回の雰囲気に元通り。全編を通してみると、とても楽しい作品でした。

※:でろでろ、プピポーなど、面白おかしな妖怪、幽霊もの。幽霊ものじゃないけれど、押切蓮介先生は時代設定を90年代に据えたゲーム漫画「ハイスコアガール」の作者としても結構有名。諸事情で連載停止状態でしたが再開された様で良かったです。

※作画の過大評価は1話冒頭のモブ君のスゴ過ぎるESP描写によるものです。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

再評価。能力と劣等感、生きづらさを描いた秀作。作画も印象以上にすごい。

22年5月に1回目のレビューを描きましたが「お兄ちゃんはおしまい」「チェンソーマン」の他、いろいろ現代の生きづらさを描いたアニメ等に触れて、本シリーズを本腰いれて見ようと再視聴中で1期を見終りました。23年12月に再評価です。

 本作の原作開始は2012年です。超能力の強さの兄へのコンプレックスによる弟の悩みが中心テーマになっています。その一方で主人公の兄の価値観がモテる、モテないの問題になっています。青春への憧れです。兄が身体性を求め身体を鍛え始めるのが面白いところでしょう。身に覚えがある人も多い行動ではないでしょうか。2009年の「ワンパンマン」よりも「強さだけ」の役に立たなささが深刻になっています。

 超能力=勉強と捉えるのが自然でしょうけど、その力でバトルしますので勉強だけだと狭い気はします。人を傷つけることは駄目だ、人に力を向けるなと言われてきたのに、社会・世間は皆人を傷つけ、力を人に向けて使っている矛盾を描いています。
 
 主人公は大人に騙され搾取されています。傍から見れば霊幻は悪い存在ですが、彼の居場所でもあります。そして、人を騙し搾取する資本主義の象徴でもありますが、彼によって救われる人がいるのは確かだし、一般常識的な大人でもあるような気がします。

 もう一つの視点としてエクボを置いたのが面白いところです。彼により能力の有無や強弱の解説が話にうまく溶け込んでいます。霊幻が資本主義の大人の常識なら、エクボは力あるものの論理です。

 笑顔を強要する宗教もまた「面白い人」がモテる、空気を読むなどの時代の気持ち悪さを象徴していました。

 そして怪しげな「能力開発セミナー」です。「能力さえあれば何とかなる」ということを皮肉っている様にも見えます。本当に能力がある人は開発セミナーなんていかない…これは塾と捉えてもいいですが、資格取得の予備校とかアニメ専門学校とか肩書と学歴、あるいは「学ぶことそのものに付加価値をつけている」社会にも見えてきます。その中低レベルの中で強い弱いと競っていても本当に実力ある人はそんなものに頼らない。

 そういう時代の問題を拾って、作品に仕立てた本作は面白いというより興味深いです。1回目のレビューは絵柄でその辺の読み取り方が中途半端だった気もします。

 ただ、2012年(アニメは16年)のこの頃は、まだ、彼の悩みは心の持ち方で何か救済があるような描き方でした。それが2019年の「おにまい」「チェンソー」の原作だと、女になるしかない、悪魔になるしかない状況になっています。
 そして今は「アンテッドアンラック」「はめつのおうこく」などもう滅びるしかないという状況なんでしょうか?


 アニメとしてもう1点着目したいのが作画です。本作キャラデザが原作に寄せているので、作画が良いように見えませんが、作画のいいアニメを求めて研究していたら本シリーズは外せなさそうです。2期・3期と良くなってゆきますが、1期の段階でもかなりのレベルだと思います。

 人を回り込む様に見せる・回転させる、表情・感情表現で顔だけでなく身体を動かす、構図が単純じゃない、背景が丁寧で独自性があります。そういったところが非常に丁寧に描かれています。

 オール4の評価にしていましが、ストーリーキャラは4.5。作画を5に変更します。続きものということで極端に高くはしませんが、初回の時は見る目がなかったと反省です。
 ただ、時代が10年で変わっています。劣等感や資本主義と大人の汚さ、社会における承認などは永遠のテーマではありますが、若干古い感じがし始めているのは事実でしょう。2期・3期でどう変化して行くのか楽しみです。





以下 一回目22年5月ののレビューです。



主人公の劣等感の話が、サブキャラ、ゲストキャラに視点がうつってゆく?

{netabare}  3期が来るそうで、そんなにすごいんだ、と思い視聴しました。1期を見たばかりで2期も見てないです。前半はかなり面白い、後半はまあまあでした。

 非常にわかりやすくコンプレックスの話なんでしょう。中2であることはまあお約束ですね。思春期の悩み、とくに自己肯定感とか女性からの目とかそういう部分を主人公を初めとした悩んでいる側の主観で描いている感じです。

 痛さをあまり感じないようにギャグ…というほど面白いギャグでもないですが、ギャグで相対化している感じといえばいいんでしょうか。笑うほど面白くないですが、マンガやアニメのキャラを茶化したような構造が、感情移入しないで客観視しているような視点で描く効果がある気がします。
 そのくせ、主人公の悩みにはライドできる感じなので新しい表現手法なのかもしれません。

 テーマ的には力がイコール生きやすさでもないし、モテる要素ではない。兄弟間のコンプレックス。大人の責任と力の使いかた、学校内での役割と実際の力…肉体と超能力みたいな感じで、描いていたと思います。

 それぞれのエピソードもどんなキャラのどんな劣等感や欲望の話なのかが明確でテーマの割には見やすく理解しやすい話で面白かったと思います。

 ただ、主人公の不自然なところって、新聞部の娘とか電波なんとか部の部長とか女の子が近くにいるのに、惚れないところがオタクじゃない感じですね。
 それだけでなく段々と不自然になってゆく気がします。彼のキャラの造形って劣等感と力のアンバランスに共感できて、初めはいいんですけど、爪の辺りですでに物語を語るためにどんどん歪んでいって、モブくんはどんどんキャラのためのキャラになっている気がします。

 つまり本作は出落ちとまで言わなくても、超能力で無敵な主人公が、モテナイコンプレックスや、やりがいとか中学生らしいバラ色な時間みたいな一般的な幸せがないと感じている、という設定が彼のアイデンティティの表現です。ここはすでに爪の話のところまでである程度描けてしまっていました。

 つまりワンパンマン的な方向性、つまりサブキャラ、ゲストキャラが今後は主人公を中心に騒ぐ構造の話にならざるを得ない、主人公が空気になってしまわないでしょうか。

 気になるのは、師匠の正体です。昔読んだSFで能力を持たないことが能力という存在がいましたけど、そんな感じ?あるいは禁書の上条?よくわかりません。完全に能力がない、それを口八丁で丸め込むというコミュ力でしょうか。


 総評は、テーマをうまくストーリーにしたてて、かなり面白かった前半の目新しさに比べ「爪」以降興味が減じて行きました。
 それは主人公から周辺のキャラに視点がうつっていったからで、現在のワンパンマンのつまらなさと同じ方向性なのでちょっと気になりました。

 原作は絵でアウトで読みもしませんでしたが、アニメではキャラデザ含めてかなり見やすいです。

 前半と設定だけなら90点以上つけられますが、後半の展開が60点、平均すると75点という感じでした。ですが、本作だけなら結構面白いアニメだったといえると思います。

 2期以降どうなるかですね。ゲストキャラ頼りにならなければいいんですけど。 {/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

裏バンの白ティーポイズン

霊幻新隆の圧倒的胡散臭さと文句をそこまで言わずにいいように利用されている感ある茂夫。
茂夫がインチキに気付いているのかどうかはよく分からんが、とりあえず小学生の頃に気持ちが救われた恩返しも兼ねてお手伝い。
でも、嘘から出た実もあるってことで。

裏番長になっているのは草。ニックネームのセンスよ。
肉体改造に励むのも良いことです。

圧倒的な強さとモブな感じの組み合わせが面白くて続きが気になる作品。


OP
99 MOB CHOIR
ED
リフレインボーイ ALL OFF


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
自己表現がヘタな超能力少年・影山茂夫、通称・モブ。普通の生き方にこだわり、超能力を封印しているモブだが、感情が昂り、その数値が100になったとき、彼の身に何かが起こる!インチキ霊能力者、悪霊、謎の組織……モブを取り巻く様々な人に囲まれて、彼はいったい何を思い、何を選ぶのか?

1. 自称霊能力者・霊幻新隆~とモブ~
科学では解明できない怪奇現象と戦う「霊能力者」たち。「霊とか相談所」を営む霊幻新隆もまたそのひとり――を自称する、ニセ霊能力者。彼の頼みの綱は、相談所でアルバイトするスーパー地味な中学2年生・影山茂夫、通称「モブ」にほかならなかった……。モブ爆発まで――27%。

2. 青い春の疑問~脳感電波部登場~
部員不足が原因で、生徒会から廃部の通告を突きつけられた脳感電波部。そのメンバーである犬川が目をつけたのは、クラスメイトのモブだった。彼らの執拗な勧誘を一旦、保留するモブだが、そんなとき「霊とか相談所」に聖ハイソ女学園からの依頼が舞い込む。私物の紛失やポルターガイストなど、怪奇現象に悩んでいると話す依頼人たち。さっそく探索を開始したモブは、体育館に悪霊・匂い嗅ぎを追い込むが……。モブ爆発まで――42%。

3. 集いへの誘い~簡単に言うとモテたい~
肉体改造部に入部したはいいものの、川原をランニングしただけで倒れてしまうモブ。彼の願いは筋肉を鍛えて、憧れの幼なじみ・ツボミちゃんと仲良くなることだった……。思い悩むモブにある日、声をかけてきたのは奇妙なマスクをつけた女。彼女に誘われビルの一室を訪ねたモブの前に、満面の笑みを浮かべた男が現れる。彼こそは、笑顔の維持が幸せを維持する条件だと説く怪しい宗教団体「(笑)」の教祖・エクボ様だった。モブ爆発まで――20%。

4. 馬鹿オンリーイベント~同類~
宗教団体「(笑)」騒動のあと、モブはエクボなる悪霊につきまとわれるように。さらには、騒動でモブの力に感づいた新聞部の米里イチが、モブの周囲を嗅ぎまわり始める。そんなある日、肉体改造部をひとりの生徒が訪れる。その生徒とは、塩中で番長を張る鬼瓦天牙。彼は先日、黒酢中に乗り込み、その裏番長・花沢輝気、通称「テル」にコテンパンにされていた。なぜならテルもまた超能力の持ち主だったから……。モブ爆発まで――45%。

5. OCHIMUSHA~超能力と僕~
黒酢中の裏番長である「テル」こと花沢輝気にタイマン勝負を挑まれたモブ。まったく超能力を使おうとしないモブに対し、テルは苛立ちを募らせる。テルによって一瞬にして消し飛ばされるエクボ、破壊される校舎、乱れ飛ぶ包丁と沸き立つ黒雲……。圧倒的な力を振るうテルの姿を前に、モブはかつて、自分と弟の律の身に起きた悲劇を思い出す。「超能力を封印しよう」と思った、あの日のことを……。あとに残された悲しみは――100%。

6. 不調和~成るために~
テルとのタイマン対決もひと段落し、戻ってきた平穏な日常。相も変わらず霊幻は、インチキ降霊術で依頼人を騙くらかし、脳感電派部の暗田トメは、モブを引き連れて超能力者を探しに出掛ける……。そんなある日、モブの弟・律はある男に声をかけられる。男の名は密裏賢治。律を、すっかりモブと勘違いしている密裏は、彼を私設の超能力研究施設・覚醒ラボへと招待するのだった。そして、その施設内には超能力を持つ子供の姿が!?

7. 昂揚~喪失を手に入れた~
塩中の生徒会長・神室が主導する「非行生徒への声かけ運動」により、次々と駆逐される不良たち。一方、黒酢中の裏番・テルを蹴散らしたモブの噂は「白Tポイズン」なる呼び名とともに、ひとり歩きをし始める。我こそは「白Tポイズン」を倒さんと、集まってくる他校の番長たち……。さらには、秘められた超能力を覚醒させた律は、エクボから「兄を越えたいなら、俺と組め」とそそのかされ、自在に力を振るう万能感に酔いしれるが……。

8. 兄ペコ~破壊意思~
他校の番長たちを叩きのめし、万能感に酔いしれる律。そこに現れたのは、ほかでもない兄のモブだった。昔から律が超能力を欲しがっていたことを知り、力の覚醒に「おめでとう」と声をかけるモブ。しかし律は、そんな兄を撥ねつける。さらにそんな兄弟の姿を、遠くから見つめる謎の男・誇山。彼は圧倒的な強さで律の身柄を奪い、どこかへ連れ去ろうとするのだった。弟を救い出そうと、モブは自らの超能力を発動させるのだが……。

9. "爪"~第7支部~
謎の男・誇山によって拉致された律たち。彼らが連行された先は、人類を正しい未来へと導くため、世界征服を目論む秘密組織「爪」の第7支部だった。教育係により洗脳させられそうになるも、一瞬の隙をついて脱出する律たち。一方、モブとテルたちもまた、刺客として彼らの前に現れた「爪」の幹部・寺蛇を捕え、組織の秘密を聞き出す。律を助けるため、第7支部へ向かうモブたちだが、そこには「爪」の幹部たちが待ち構えていて!?

10. 巨悪のオーラ~黒幕~
律を助けるため「爪」の第7支部に潜入したモブとテル。一方の律もまた、脱出の手立てを探していた。行く手に待ち構えるのは、魔津尾、宮蛾輪、無飼、槌屋、嶽内、霧藤ら、「爪」の幹部たちと支部長・遺志黒。壮絶なバトルが繰り広げられるなか、テルは囚われの身となり、エクボも敵の術中に。さらにショウと名乗る不思議な少年が現れ、モブも敵と合い討ちになってしまう……。絶望的な状況下、ついに「爪」の黒幕が姿を見せる!?

11. 師匠~leader~
超能力が一切効かない、通称「封印部屋」に閉じ込められたモブと律、テル。そのとき彼らの前に、思いも寄らぬ人物が現れる。その人物とは、モブの師匠である自称・霊能力者、霊幻。なぜか「爪」のボスと勘違いされた霊幻は、いとも簡単に支部の中心部に足を踏み入れ、モブたちの救出に成功する。しかしそんな彼らの行動を、遺志黒が見逃すはずもない。支部から逃げ出そうとする一同の前に、「爪」の幹部たちが立ちふさがる。

12. モブと霊幻
「爪」の第7支部の幹部たち――桜威・邑機・魔津尾・遺志黒の圧倒的な力を前に、ついに追い詰められてしまうモブ。しかしそのとき、彼が下したのは意外な決断だった。モブはなんと、自分の持つすべてのエネルギーを、霊幻に丸投げしたのだ。モブのエネルギーを借り、さらには得意の口八丁で、霊幻は幹部と支部長の遺志黒をなぎ倒していく……。そうして、ようやく取り戻した平穏な日常。霊幻に電話で呼び出されたモブが向かった先とは……?

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9

69.1 21 兄弟アニメランキング21位
俺たちに翼はない(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (806)
4617人が棚に入れました
大都市「柳木原」(やなぎはら 略称ギバラ)では、今日も誰かのありふれた物語が生まれていた。季節は冬。寒さが厳しい白い空。心に悩みを持つ若者たちが繰り広げる群衆劇。そんな若者たちが傷つき、笑いあう。どこにでもあるような恋物語が今語られる。

声優・キャラクター
吉田真弓、小野涼子、後藤邑子、又吉愛、浅井清己、たかはし智秋、下野紘、三浦祥朗、諏訪部順一、日野聡、荻原秀樹、石川英郎、杉田智和
ネタバレ

wkr さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

余計な要素は多いのはマイナス、でもストーリーは間違いなく面白い

最初の印象は最悪でしたけど見終えてみればよく練られたストーリーだなと感心してしまう出来でした。とりあえず4話のラストまでは観て欲しい、そこから大きく話が動いて{netabare}いい意味で話が二転三転するストーリーが面白かったです。私は3回騙されました。{/netabare}ストーリーの出来はピカイチですごく面白かったですが、個人的にはそれ以外は褒められる要素は少なく、キャラの濃さと曲くらいしか思い当たりません。作画も止め絵が多く動きも絵のクオリティもあまり良くないです。キャラも良くも悪くも濃く、何となく纏まってはいるものの多すぎて主人公3人とそれぞれのヒロイン+小鳩ちゃんくらいしか上手く描ききれてないように感じます。関係性がよく分からないのもちらほら。作風も基本的には軽く、そしてエロ(というか下品な)要素を前面に強く押し出したような掛け合いやギャグは、下ネタ系作品は割と好きな私もちょっと気持ち悪いなと感じてしまいました。あんまり面白くもないし終始繰り返されるのでその辺りは大きく好みが別れそうです。おまけに序盤の1〜3話は本当につまらない。伏線はありますが話の本筋が全く見えてこず掴みどころのない薄い内容、下ネタもキツいのでそこら辺で離脱した人もいるとは思いますが、それを抜け出してからは面白かったです。あまり万人にはお勧め出来ないですが、気になった人は観て欲しいです


感想&ネタバレ
{netabare}1話
キャラ紹介?で終わり、主人公?が異世界からきたらしい。本当につまらなかった。掛け合いもつまらない、バーの男キャラの会話が生々しくてあんまり好きになれないし、話の筋が殆ど見えない。キャラもなんかやってんなくらいの虚無描写。キャラデザがちょっと古いかつあんまり好みじゃないので萌えもあまり見出せず。1話切りしそうなレベルです。この1話が無駄にならないことを信じます。エロゲ原作だからかど下ネタをぶち込んできます。それはまあまあ悪くないけど全体的にはつまらない。そしてソシャゲ原作並にキャラが出てくる...1クール4〜5人でも覚えるか怪しい自分にとっては厳しい。ここまでつまらなく感じた1話は珍しいです

2話
話は今回も掴みどころがない。強いて言うならテレビの演出?と最後のセリフ「世界が平和でありますように」が伏線っぽいだけ。アバンはあれ?キャラデザ悪くないかも、と思いました。なんせ1話観た時から5日ほどたってるので、考えも少しは変わるよね。15年前くらい前のエロゲ原作なんでこんなもんか。でも男キャラがでるとなぜか気持ち悪さが増す。それとぶっ殺すって言うキャラがあんまり好きじゃない。作画も2話目にしては微妙。

3話
RWing(ヤバいグループ)の主催するイベントがあるらしい→YFBが正義の鉄槌を下すとか何とかで激突。
今回も薄味でよく分からないですが、銃打つシーンは印象的でした。もうキャラが多すぎて覚えるのは無理そうです。op映像と黒髪の子がキュンってなったシーン、街が野蛮なのは伏線っぽい。それと、キャラデザ可愛いかもと思えました。

4話
やっと話が動いた!そして地味に伏線回収。
前半は相変わらずナニコレって感じで、意味深なラジオが出てきたくらい(1話も出てたかも)でしたが、中盤からやっと話が見えてきたかもです。RWingが関係するかな、追ってが翼人?。3人は同一人物で日中は1話の最初に出てきた人、夕方はチャラ男、深夜は自転車探しの人ということで上手いなあ。

5話
異世界モノ!
今回濃い。今までの虚無内容はなんだったのか...
初っ端からモブのセリフが字幕だけでコスト削減してて笑いましたw

6話
関係性とかがよくわからんなあ。最後ガルーダって人に変わっちゃったけど、3人=1人=ガルーダってことでいいのかな。でも明らかに面白くなりそう。でもエロ要素が明らかに邪魔でほぼ関係なさそうなキャラも名前出すのはややこしいからやめてほしい。
鳴ちゃん可愛いですね。こういうデレデレしてるキャラ好きですよ(一途だとなお良し)。でも見た目が羽田ちゃんと似すぎていて混乱する...意味でもあるのか?

7話
中々の超展開&上手な伏線回収
1人に二つの名前があるのがややこしいなあ、とか思っていたら意外な真実が!でもキャラの掘り下げは薄いかな

8話
小鳩ちゃんの本兄が奈落にいる。2人は鷹志のために頑張ってたらしい。「僕たちには翼がないんだ」はどういう意味なのか。タカシ彼女は知っている?→本物だ...のセリフが意味深
衝撃の展開続きですね。かなり面白くなりそうです。でもエロ要素は要らんなあ、それに異世界で現実世界の会話が挟まれるのがよく分からないです。バーのシーンつまらないし伏線にもなりそうにないから要らない。キャラデザが似てるのもややこしい

9話
タカシは自分の中に2人がいることは知らない。タカシ彼女も似た境遇らしい(プリンセスだからかな)。今はもう居ない私(タカシ彼女)の弟→奈落にいる小鳩ちゃんの兄?鳴ちゃんは家庭の事情で母と別居
序盤の3話等は2人が恋愛感情を抱くまでの過程ということで、一応は無駄になってはなかったっぽいです。いい最終回だった

10話
鷲介切ないなあ...

11話
タカシ彼女の弟はイマジナリーフレンドらしい。
異世界でもたまに挟まる現実世界の会話はそういうことだったのか。でもどういうこと?何となくでしか分からん。タカシが精神異常者っていうことかな。

12話
うわーー!やられた!!全部一人だったのか。。というか1話の最初モロにネタバレだったのかw
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 2
ネタバレ

Ssoul30 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ある意味結構危ない作品でした。けれどそれが刺激的で超面白かったです。ラブコメシーンは青春ではない所がとても刺激的でした。私、この作品かなり好きです。

ストーリー

この作品には主人公が3人います。 羽田鷹志、千歳鷲介と、成田隼人の3人です。それぞれまったく違う性格をしていて見た目のまったく違いました。

まず、羽田鷹志は柳木原駅西口にある進学校、私立美空学園に通う3年A組に所属していました。かれは仮の彼女として、渡来明日香が彼女になる生活をしていましたが、鷹志にはある秘密がありました。それはストレスがたまるとある異世界に飛ばされそこか昔あった用な世界の勇者になる事です。この主人公はある意味ユニークで面白いです。

千歳鷲介は陽気で気ままなフリーターでした。けれど彼には行きつけであるあるレストランがありました。そのレストランは柳木原駅東口から10分ほどのところにある「アレキサンダー」っと言う面白い店長のいるレストランです。けれどある日、名物店長軽部狩男の合コンをしたいという欲望からはるばるアレキサンダーのウェイトレスになりました。

最後に成田隼人は自称ハードボイルドな男です。彼は「便利屋」っと言う仕事をしていました。その仕事は名前どうり金さえもらえればその以来を受けるという奇妙な仕事です。そんな隼人の前に現れたのは鳳鳴っと言う少女でした。けれど話を聞けば鳳鳴の兄は柳木原の不良少年軍団を束ねた「私設自警団・柳木原フレイムバーズ」(YFB)のトップでした。そのせいで隼人はYFBとカリスマドラマーハリュー・クロードを信奉する「R-ウィング」の戦争に巻き込まれていました。

私の感想

結構あれでしたがかなり楽しめました。この作品の話の内容を完璧に理解するのに3回ほどこの作品を私はみました。それくらい充実して、すこし分かりにくい話ですが、かなり楽しめます。そして、この作品はかなり登場するキャラクターの量が多いいため、いろいろキャラクター同士の世界観が分かりにくいですが、ご安心を。2回以上みれば簡単にわかります。

なによりこの作品を一番楽しめた理由は結構やばい下ネタジョークや、少し考えたら超やばいジョークです。{netabare} たとえば隼人が良く行くクレープ屋の「パルクレープ」やによくいるハーフの少女のアリスが口にした、「私は帯びている。とても優雅、そして刺激的な下着をつねに」といい、隼人の前でスカートをめくり、下着をみせました。アリスはその後もかなりやばい冗談や下ネタば面白いです。{/netabare}

{netabare} そして、エイジっと言うなぞの人からもらう仕事・・・ あれはやばすぎです。たとえば 廃墟なビルに一週間ねっころがり、時給2万円、 硬くてずっしりしたもの(画像からみて絶対に拳銃とおもわれる物)を駅前のコインロッカーに入れる、 山奥ででかい穴(人が埋まるくらいな穴  ・・・) 見たいな仕事を依頼しています。{/netabare}

あとこの作品はかなり隠し言葉そ使う回数が多かったです。良く銃が発砲した音がでます。(バキューン ってww)

この作品で一番私が好きなキャラクターはLR2001です。なぜなら、彼はロスからきたといいますが、あまりその事は話しませんし、そして話すときはいつもリズムが超良くてなんだかそのせりふだけ何度も聞きたくなりような感じだからです。

オープニング

「Spread Wings.」
カラオケで私が必ず歌う曲です。超気に入っています。なぜなら女性ボーカルでその声が超高音で超かっこいいからです。キャラクターが無駄に多いい作品なのにキャラクターの説明、そして、その関係がなんとなくですが、伝わってきました。けれどこの作品を2回ほど見ればこの作品のキャラクターの魅力が出てきます。

エンディング

「NEVERLAND」
かわいい曲です。この作品のメインヒロインたちが可愛くでています。曲にはあっていますが、キャラクターの色を変えるアフェクトが少しキャラクターの可愛さに違和感を与えましたが、それでも十分良かったです。

私がこの作品で一番好きな所

それは第7話の代入曲の

「身長140cmの世界」です。

歌詞が最悪です。ひどいです。人間としてひどいです。けれど私が大好きです。思わず3時間もかけてフルバージョンを探しましたが、見つけられませんでした。ですが、これがシングルバージョンの歌詞です。是非読んでみてください。


「芝生の上で笑いころげた
泥を被って走りまわった
バスもメトロも無賃で乗れた
ミニチュアカーなら百台集めた
空想一つで月まで行けた
人力二輪は音速だった
下品な言葉も平気で叫んだ
○んこ ○んこ ○んこ ○んこ
朝から晩まで
○んこ ○んこ
西へ東へ
○んこ ○んこ
老いも若きも
○んこ ○んこ
みんな 大好き
○んこ ○んこ
腐った社会に
○んこ ○んこ ○んこ ○んこ ○んこ!」


途中から、ひどいことになっています。
あまりにひどいと思いますww
もしこの曲が日本の国家になれば日本は最高の国になるでしょう・・・

投稿 : 2025/02/01
♥ : 9
ネタバレ

ゅず さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

自分の中の自分を問いかける作品

【一言紹介】
原作がエロゲ、一部分だけど結構エロいシーンもあるので注意。

わかりずらいシナリオ(少し変わったストーリー)なので
長い目で見ること、最後まで見ることをオススメ。


【自分が思ったこと】
最終は正直すごくツマラナイというか、なんだこれ?って感じでした。

話が進むにつれ、考える必要があるけど段々とわかっていって。
ストーリー構成には感動した。

ヒロインの鳳鳴ちゃんがとってもかわいいです♡

自分も人ごとではないし
こんな作品の作り方も出来るんだと
感心したアニメになりました。

エロい部分なければもっと自分もこのアニメを好きになれたと思うし
ほかの人にオススメしずらさもなくなるのに。。


【このアニメの題材(アニメを楽しむうえで↓は見ない方がいいネタバレです)】
{netabare}解離性障害で主人公が入れ替わりストーリーが進んでいく。本当の自分はテレビをみている。客観的に自分のことをみている。
{/netabare}

【ゅずワールド】
{netabare}
私はいろんなことあったけど
自分で変えて、立ち向かってきた
そうゆう自分に誇りをもっていて、

自分の個性が好きだと思い込んで過ごしてきた。

でもそれは
誰かから与えてもらったもので
それは自分自身が本当に好きなの?

自分にもう一度聞いてみた。

本当にそれは自分なの?
問いかけてみた。

何かが違う。
与えてもらったもので形成はされてきたけれど、
それは自分が本当に好きなものではない。

問いかけによって。
本当の自分とは?と考えたら

今までのが消えて真っ白になった。
大好きだった
言葉たちの色や形や温度、匂いが
わからなくなって。

感情が停止したような
感覚。

自分がいなくなったような
感覚。

そして
大きな勘違いしていたことに
気付かされた。


自分が前に描いた
九分割統合絵画法
の絵の一部を思い出した。

真ん中に黒猫
上には王冠
左右に白い羽と黒い羽
下には荊

↑はいつも頭の中に浮かぶ自分像

あとは絵本、音楽、あと2つは思い出せない。

猫っていうのは自由になりたいとか甘えたいっていう自分


左右の羽は自分の裏表な感情

荊は自分を取り巻く柵(この間はこれが鎖になって重みが増した)

王冠はこの状態の自分を一番好きだと思う心

絵本はこの絵自体が客観的な物語になっていて、それを自分が見ているってことを表してる。


私は自分を例えたこの絵が
大好きだった。
この絵の自分が大好きで
このままでいたいと
ずっと思っている。

だけどそれは客観的なもので
本質の自分ではない

ってのが今の私の答え。


そういえば
何かの中の中のもの
なんとなく好きなことも思い出した。(テレビの中にテレビが映ってたり、マンガの中でマンガ描いてる主人公とか)
↑この感覚、たぶんあんまり他の人にはわからない気がするw

自分のことは自分が一番知ってるという私の名言も


どれも本質の自分がいて、
そうゆうことを感覚として
もっていたんだなと
今では思う。


やっと繋がった。
私の本質的な自分ってこんなとこにいたんだね。

自分のこともっとよくわかったけど、
この自分をどう取り込んでいくか
全部自分なんだけど、そこまで見えてなかったのは反省。

全部受け入れて、進もう。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 33

72.1 22 兄弟アニメランキング22位
君と僕。(TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (813)
4402人が棚に入れました
熱血からは程遠い、でもこれが青春ってやつですか!? 双子の兄弟、悠太&祐希と要、春は幼稚園からの幼なじみ。仲がいいのか悪いのかいまいち微妙なところだが、高校生になった今もつるんでいる。最近は転校生の千鶴が仲間に加わり、5人になった彼らのスクールライフもちょっと賑やかに!? 目立った事件や熱血もない毎日だけど、笑ったり、驚いたり、恋をしたり…。たくさんの日常の中で、少しずつ成長する彼らが送る、ほのぼの青春グラフィティ!

声優・キャラクター
内山昂輝、木村良平、小野友樹、豊永利行、入野自由、佐藤美由希、鳥海浩輔、梶裕貴、中島沙樹

(ΦωΦ)華菜* さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

甘酸っぱい青春アニメ*

※あらすじはあにこれのをご覧下さい※

▼▼主な登場人物▼▼


♥塚原 要(つかはら かなめ)♥

穂稀高校に通う2年生でツッコミが主な担当。
家は裕福で学年トップの秀才。
クラスの委員長や生徒会役員もこなす頑張り屋。
中学1年生から眼鏡をかけるようになる。
本当は不器用なのに、周りに頼られると断れず、
自分の力以上のことをしようとする。
双子や千鶴によくいじられているが、
何だかんだ相手する面倒見の良い、優しい一面を持つ。


♡浅羽 悠太(あさば ゆうた)♡

双子の兄で同じく穂稀高校に通う2年生。
前髪がセンター分けで判別可能。
整った顔をしている為、弟と共に女子からモテる。
無表情で表情を崩す事がなく、冷静で大人しい性格。
双子の兄という事から、しっかりしている部分があり、
家事や掃除なども、サボらずしっかりするタイプで、
弟の他にも、要たちの面倒をも見る事もある。
中学時代には剣道部に所属し、高校では茶道部に所属。
周りへの観察力は鋭く、時には人を救ったりする。


♥浅羽 祐希(あさば ゆうき)♥

双子の弟で同じく穂稀高校に通う2年生。
前髪を下ろしている事で判別出来る。
兄の悠太とテンションや感性も似ているが、
オタク趣味だったり、人に面倒をかけるなどの性格は違う。
ブラコン気質で、悠太に面倒を見てもらっている事が多い。
アニメや漫画が好きで、本屋で立ち読みする事も。
兄と同じく女子には人気あるものの、女性は苦手。
半帰宅部状態になっている漫画研究部に所属している。


♡松岡 春(まつおか しゅん)♡

穂稀高校に通う2年生で、お花畑精神を持つ男の子。
よく女の子と間違えられるが、趣味も女の子らしい。
運動が苦手で、勉強だと英語も苦手。
男子高校生にしては珍しく初な心を持つ子で、
そういう話題に出ると、すぐに顔を赤らめる。
天然パーマを気にしており、長髪ではいた。
誰にでも丁寧語を使い、いつもホワホワしている。
ボケやツッコミはほとんどせずに見守っているタイプ。
兄弟が多く、2人の姉と中学生の弟がいる。


♥橘 千鶴(たちばな ちづる)♥

2年生の春に穂稀高校に転校してきた男子生徒。
ドイツと日本のハーフで、金髪が特徴的。
身長が低く、本人もそれをコンプレックスにしている。
右の頬に泣きぼくろがあり、前髪は触覚っぽいヘアー。
日本行事や伝統については中途半端な事しか知らず、
何かと参加したがるが、よく祐希に騙される。
常にパーカーを着用しており、よく注意されている。
髪の毛を下ろすと、イケメンなのに本人は気付いていない。
可愛い女子にモテたい願望が強く、象徴的な男子高校生。


♡佐藤 茉咲(さとう まさき)♡

穂稀高校に通う女子生徒で要たちの後輩。
身長がとても低く、人から親切にされる事を嫌う。
転んで怪我をした所に春から絆創膏をもらい、
興味を抱き、そこから恋愛感情に発展する。
千鶴には「羊っぽい」という事から「メリー」と呼ばれる。
ぶっきらぼうで感情表現が苦手なため、
誤解されやすい性格をしているが可愛らしい女の子。


♥東 晃一(あずま こういち)♥

穂稀高校の教師で、要たちの先生。
面倒見がよく、大人な意見を言う為生徒からの人気も高い。
また要からはライバル視されるが本人は知らない。
よく春や他の生徒たちの相談を受ける。


♡あきら♡

天然ボケで無邪気で永遠のピーターパン。
晃一と幼馴染で晃一を何かと困らせるが、
晃一に面倒をよく見てもらっている。
職業は不明だが、よく穂稀高校に侵入しており、
職員とは顔なじみである。
千鶴からはよく敵視されている。


♥塚原 容子(つかはら ようこ)♥

要の母親で、一人息子を溺愛する可愛らしい母親。
周りに流されやすく、感情の起伏も激しく、
要にベタベタしたい気持ちを全面に出し、
よく要に鬱陶しがられるが、要も結局は優しくする。


♡松岡 冬樹(まつおか ふゆき)♡

春の弟で中学生男子。乱暴で口が悪く、春と真逆。
超健全な中学生で、思春期ならではの描写も描かれる。
同じ学年の彼女がいて、それをネタによく千鶴たちに
意地悪な質問をして、困らせる。


♥松下 隆之介(まつした りゅうのすけ)♥

祐希の後輩で漫画研究部に所属している。
気が弱く、運動が苦手。
祐希をモデルに漫画を描くなど、
祐希に憧れを持っている様子。


♡佐倉 花代(さくら かよ)♡

穂稀高校の食堂・購買で働く女性で、
千鶴曰く「食堂のシンデレラ」。
強気で勝気な性格をしているが、同じ職場で働く母親を
気遣う優しい一面を持っている。
美容師という職業に1度就いていたが、
自身の後ろ髪は常にハネている。
パンなどについているお皿と交換出来るシールを集めており
同じく集めている祐希と仲良くなる。



-------------------------------

★★総合感想★★


2011年10月から12月まで放送された作品。

全13話。


ポワポワしている男子高校生の日常を描き、

尚且つ、

甘酸っぱい青春を感じられる作品。


現実でもありがちな男子高校生を描いている事、

恋愛も甘酸っぱく描かれている事で、

見ている方も思わずニヤニヤしてしまいます/////



日常もとても良いのですが、


やはり、それぞれの恋愛模様が描かれている所は、


じれったくて、

初々しくて、

キュンキュンしてしまうのです(*ノェノ)キャー


アニメを見た事から、

原作を読んだのですが、

原作も同様、キュンキュンしてしまいました(*ノェノ)キャー



作中には、


ポエムのようなセリフもあり、


それもまた物語と合っていて、


とても心に伝わるセリフでした(*´Д`)


高校生に戻りたいと思わず、
ため息をついてしまう作品ではありますが、


キュンキュンが足りない方は是非視聴をオススメします!!


作画もとても綺麗で、

登場する猫も可愛く、


ほのぼの、ほっこり温かい作品です( ´∀`)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 13

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

予想以上の出来で2期がとっても楽しみです(#^^#)

■キミ (;⌒▽⌒)σとσ(⌒▽⌒;) ボクってどんな関係・・・改め・・・君と僕。ってどんなアニメなの♪
ゆるーい感じの仲良し男子の高校生活の日常を描いた作品なのです!
エルフェンリートでお馴染みの神戸守監督と、ARIAやたまゆらでお馴染みの吉田玲子さんがシナリオ構成を手掛けるので、どんな作風に仕上がるのかとっても楽しみな組み合わせですね♪
物語の中心に、双子の浅羽兄弟が登場するのですけど、兄の悠太はISでキャストを努めた内山昂輝(うっちー)で弟の祐希ははがないで小鷹訳役のキャストを努める木村良平さんなのです(^ー^* )フフ♪
知る人ぞ知る「僕は友達が少ない on AIR RADIO」で盛り上がってる大富豪コンビなのですw
わからない人はごめんなさいね♪
σ(・・*)アタシはそれだけで楽しみでしたね(*^-^)
女の子ばかりの日常系作品が多い中、男の子が中心の日常系作品はとっても斬新な設定で、ちょっと今までに見たことのない作風が味わえる作品なのですよ♪
 
 
■君と僕。に出逢った日の日記φ(^∇^ )
どうやらこのアニメは分割2クールで放送させるみたいですね!
最近だと「神のみぞ知るセカイ」もこの形でしたね♪
果たして2クール目に無事辿り着けのかちょっと不安な第一印象でした(>o<")
BLが苦手な私にとってこれは試練なのでしょうねw
作画自体は淡い色彩を使ったほんわかした雰囲気を表現していて日常系らしい描写は良かったと思います♪
ただ脱力系と謳っているだけにキャラに覇気がないのがどうも気になります。。。o(゚^ ゚)ウーン
春くんに至っては、女の子ですね・・・
それでも時折みせる(。・w・。 ) ププッと笑ってしまうギャグパートが今後もパワーアップしてくるようなら意外と2クールも楽しく見れるのかなぁーとも思ってます♪
 
1話ではなんとも判断つかない内容だけに、今後に期待をしつつ完走を目指したいと思います♪
 
 
■総評
1話見た段階では「君と僕。」って完走できるかなぁって思ってたのですけど・・・杞憂でしたね(* v v)。
毎話観るたびに感じるこの心地よい感覚・・・そうなんです!σ(・・*)アタシの大好きな時の流れを感じたのです!
こういうアニメを楽しむには、贅沢な時間の使われ方を理解できないとダメかもしれませんね(*^_^*)
日常系以外のアニメではカットされてしまいそうな、何か起こるわけでもないシーンや何気ない会話が絶妙な空気感を演出しているのですよね♪

花を見つめる、空を見上げる、生徒が行き来する廊下のシーン・・・
登下校中、休み時間、昼食中の何気ない会話・・・

カットしても物語が成立すると思われるシーンの数々が大切にされているのがこの作品からも伝わって来ました♪
そんな点からも間の取り方に定評のある監督の神戸守さんと、キャラの何気ない仕草から後々のキャラの性格や行動を自然に見せたり深みを与えることに秀でているシリーズ構成を手がけた吉田玲子さんの感性はこの作品と相性がよかったんじゃないかなぁって思えました(#^^#)

また演出としてはBGMのセンスが抜群に良いのです♪
アコギの音色が「君と僕。」のほんわか温かい雰囲気にベストマッチでした♪
もちろん、OP/EDや挿入歌もいい曲揃いで作品としての魅力に一役買っていた印象でした(*^^)v

キャラとしては千鶴くんが登場してきた頃からグイグイ「君と僕。」の世界に惹かれていった感じでした!
春ちゃんのオカマっぽい言動にも次第に慣れてきて、好感すら覚えるようになってましたねw
1・2話はキャラの性格をまだ把握しきれてない為になかなか面白みを感じられなかったのですけど、全話見終わってからもう一度観ると伏線だったシーン等々、見えていなかった部分が見えて来たりして何だか得した気分になりますよ('-'*)フフ
心に響くジーンとするような場面もあったり、思わず(。・w・。 ) ププッって笑ってしまう面白さもあって日常系としてはとってもバランスが良い作品って印象ですね♪

2012年春に2期放送が決定しているので、春が来るのがとっても待ち遠しいです♪


■MUSIC♫
OP曲『バイバイ』
 【作詞・作曲・歌】7!!(セブンウップス)
 沖縄出身のロックバンドでバンド名の由来はVo.NANAEの「NANA=7」+「E=えっ=!!(Oops)」
 (。・w・。 )
 情景が浮かんでくるようなストーリー性の高い歌詞が青春の1ページを思い出させてくれますね♪
 あどけなさが残ったキュートな歌声はとっても伸びやかでポップなサウンドにぴったりですね♫
 
ED曲『なきむし。』
 【作詞・作曲・歌】沢井美空
 ストレートな歌詞が特徴のシンガーソングライターの沢井さんの2ndシングルなんですね♪
 細かいビブラートが特徴的で、丁寧に歌ったしっとりと聞かせるナンバーです♫


2011.10.08・第一の手記
2011.12.29・第二の手記(追記:■総評)
2012.01.10・第三の手記(追記:■MUSIC)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 51

やまだ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゆるふわ男子のマジェスティ

何これ尊い。男子きららかよ。
ゆるふわ男子高校生の青春日常系。

刺激的なシリアス作品が好きな方はボロカスにこき下ろす程につまらないでしょう。キービジュアルと"君と僕"というタイトルを素直に捉えれば興味がそもそも沸かないでしょうが、これらのイメージまんまのゆるい雰囲気。

きららと違って一応異性との絡みもあるが恋愛要素はスパイス程度。男子高校生のお互いにギャーギャーブツブツ文句言いながらもなんだかんだで仲睦まじい様子に胸が熱くならずとも暖かくなる和やかな空気に包まれる視聴感は見る者を選ぶ作風ではあるが興味を持った視聴者の殆どはありふれた作品とは違った満足感を得られることでしょう。

きらら同様ファンタジーとして楽しみましょう。男子高校生特有のギラついたパッションは一切表現されません。岡田麿里が延々書かされてるようなお互いの激情を時に激しく時には陰湿にぶつけ合う希望と絶望が入り乱れる衝突と裏切りの青春サバイバル劇場でもありません。まあこの雰囲気でそれをやれたら逆張り王子虚淵玄も完敗ですね。流石に剣も魔法も使えないし無理だわな、そもそも殺せないし。劇的などんでん返しに怯える事無く素直に安心して楽しめる作品。

原作となる漫画は青春ギャグということらしいのですが、"このすば"なんかのギャグ強めのアニメを見慣れた方にはギャグ要素の存在に全く気づかないくらいにギャグ要素は弱い、薄いです。原作チラ見しましたが、そちらはちゃんとギャグ作品として成立してました。セリフは全く同じなんですがね。"オタ恋"なんかもそうでしたが、掛け合いの間やタイミングなどでクスッとした笑いをとるタイプのギャグ作品はアニメとは相性が悪いのでしょう。というか割に合わないのか。書いた絵は1秒でも長く使いたいでしょうからね。


先に見たということもあるのでしょうがアニメの方が良かったのは2話で春(しゅん)が茉咲(みさき)を捕まえた場面。

怪我した茉咲を追いかけてまで絆創膏を渡した春。
不慣れな親切に困惑した茉咲は春に対して反発し
憐憫の目を向けられたと逆恨みに似た感情を抱く。
茉咲は春を意識してしまうが交流の方法を知らず、
悪戯や嫌がらせ等の一方的な干渉になってしまう。
他生徒や先生までも巻き込んだ騒ぎは連日に渡り、
とうとう不意に流血沙汰にまでも発展してしまう。
友達を文字通り傷つけられた事で怒りに震える春。
故意でないとはいえ、怪我をさせてしまった茉咲。
捕まえた茉咲の肩を掴み、正面から睨みつける春。

見慣れた作品ならここで激昂罵倒叱責殴打斬撃など

しかしとてもそうするとは思えないこの作風。
春は一体何と言うのか?固唾をのんで見守る私。
そしてそれを待つ"間"がきちんと用意されてます。




「君が怒ってるのは誰ですか」

え?

「ボクでしょう?」

まって

「だったら無関係の人を傷つけてはダメです!
 ボクが許しません!」

え、なにこのひとカッコいいんですけど

フラグ立つのはお約束。鈍感なのもお約束。

漫画だと素直に進行するのですが、この"タメ"の演出はアニメならでは。ここだけは個人的にはこっちが好きですね。


OP:バイバイ/7!!
いいですね。悪くない。

ED:なきむし。/沢井 美空
そもそもこの曲聴きたさに視聴したようなもの。
初期作ですがこの頃から表現力素晴らしいです。
実力でタイアップ取れるのも深夜帯の良さですね。
一見ただの切なさ全開バラードのような歌い出しと曲調ですが視点は真っ直ぐ相手を向いた奮起の歌。ステキ。

そして蒼井翔太デビュー作らしい。
劇中歌って女性が歌ってるじゃんと思ってた。
しかも数曲聴けます。この人もバケモンだな。

なにげに劇伴もいいんですよ。

日常系なので1話で判断可能。お試しあれ。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 11

70.1 23 兄弟アニメランキング23位
おそ松さん(TVアニメ動画)

2015年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (941)
4269人が棚に入れました
一世を風靡した伝説の6つ子が、今よみがえる!

古き良き昭和の時代―。
日本中を沸かせた名作ギャグ漫画「おそ松くん」。
そしてその昭和の最後を華々しく飾った前作アニメ。

それから時は流れ、現代。
街並みも、ライフスタイルも変わった今、あの6つ子たちも、
ひそかに成長を遂げて帰ってきた!

あの頃と同じ家に住み、大人になってもマイペースに生きる、おそ松達。
はたして、イヤミやチビ太、トト子にハタ坊、ダヨーン、デカパンなど
個性豊かなキャラクター達の現在の姿は…!?

声優・キャラクター
櫻井孝宏、中村悠一、神谷浩史、福山潤、小野大輔、入野自由、遠藤綾、鈴村健一、國立幸、上田燿司、飛田展男、斎藤桃子
ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

おそ松考

【5話を見て を追加】

【1話を見て メタとパロと】
{netabare}私も結構なおっさんなわけだが、赤塚不二夫作品直撃世代ではない。
実際に漫画を読んだこともあんまりないし、
平日夕方に再放送されていた「バカボン」を見ていた程度。
メガドライブで「おそ松くん」を買ったのも
「横スクロールアクションだから」
という理由だけで、別段、思い入れがあるわけではない。

何かで読んだか聞いたかしたんだが、赤塚不二夫作品の功績は、
 ギャグ漫画というジャンルの確立
 少年漫画にメタを持ち込んだこと
だそうな。
漫画のキャラに
「死んでも大丈夫。何故ならこれは漫画だから」
と言わせちゃったり、
読者や作者に語りかけたり。


さて感想。
「おそ松さん」はラストの数分だけ。
本編の殆どは「おそ松くん」。
白黒昭和テイストなおそ松兄弟が、
 赤塚不二夫生誕80周年記念でアニメ化するにあたって、
 今のアニメ界でウケルにはどんな内容にすれば良いか、
という企画検討会議をする
というものだ。

で、その内容が、徹底的にパロ。
おそ松くん達が美男子になり、マジLOVEな花男F6。
ハイキューに、黒子に、ペダル。
ラブライブをはさんで、ゴチャゴチャ色々。
で、ラストは進撃。
まー、見事に腐女子が食いついたコンテンツ。

 色んなタイプの美少女をワラワラ出しとけばオタが勝手に食いついた。
 そんな、時代は終わったんだよ。
 二昔前なら、おそ松兄弟が美少女化して、トト子がトト夫になってハーレムネタ。
 一昔前なら、おそ松兄弟が美少女化して、バンドを組んでまったり日常。
 ちょっと前なら、おそ松兄弟が魔法処女になって、トトべぇに騙され過酷な目に。
 いやいや、今、そっちやっても流行らねぇし売れねぇよ。
 男オタクに向けて作ってもしょうがない。
 今の世の中、アニメでウケルには腐女子に媚びる内容じゃないと。
 人気声優揃えて、美男子並べて、サービスカットで上半身裸。
 そうすりゃ、勝手に妄想を掻き立ててくれる。
 なぁ、そうだろ、ヤングブラックジャック。

アニメのキャラに自分達のアニメの方向性を話合わせさせる
というメタをやりながら、
制作側が視聴者に向けて
「見ている諸君!
 我々アニメ企画制作は、こういう風にして企画会議を重ねてアニメを作ってるんだよ」
と、今のアニメ制作現場の企画会議で話されてる内容を話す
というメタをやる。
もう、構造がややこしいわっ!
っていう。

実に見事な1話でした・・・・
販売予定のメディア未収録でお蔵入りらしいけどねっ!{/netabare}

【2話見て 勢いはないが仕方がないか】
{netabare}1話で「おそ松くん」としてやりたい放題だったので、実質「おそ松さん」
のスタートとなる2話。
おそ松6人兄弟のキャラ付けを丁寧にやっているが、そのせいか勢いはない。

まず、アバンからAパートにかけて
・釣り堀
・仕事
・酒
という非子供の象徴を立て続けに描いていく。
「くん」から「さん」になったことへの視聴者に対する意識づけだ。
釣り堀の阿修羅像☓2は何だろうねぇ。
顔6、腕12本で6人兄弟は分かるけど、何故に鋼とゼリー。

で、仕事面で、現代の社会問題風刺。
若者の職無し。ハロワ通い。
ブラック企業は福本パロにて。ざわ・・・ざわ・・・
アニメ製作という現代社会の中でもブラックな業種が、敢えてブラック企業問題を取り扱う
という自己矛盾。
しかも、製作してるのが大量のダヨーンのコピー。
まるでコピーのような似たり寄ったりな内容のラノベアニメばっか作ってる業界自己批判。
もしくは、同じような絵を書いて微妙な違いで動かしていく動画作業そのもの。
その一方で、「仕事をしお金を稼ぐこと=大人」とする考えを宗教チックに描くことで、
その一義的観点に対するカウンターもちゃんと入れつつ。

Bパートは兄弟のキャラ付け。
おそ松視点で各兄弟を描いていくんだが、ギャグとしてはイマイチ。
街にだよーんがいまくり=Aパート回収。
聖澤庄之助が長男に=アバン回収。
と、丁寧な仕事だが、面白いかと言われると・・・
チビ太登場で、チビ太とおそ松の会話は嫌いじゃないけどね。

キャラ付け回は冗長になりがちなんだが、おそ松さんも逃れられなかったか。{/netabare}

【3話見て 敢えて、無理矢理解釈してみよう】
{netabare}ショートショートな3話。
ギャグなこの内容。
それぞれを無理矢理に解釈して遊んでみよう。
・宇宙空間
 我が儘勝手、自由にやっているようだが、酸素がないと死ぬし、
 帰れる母船がなくても死ぬ。
 ちゃんと地に足着けてやっていこう、という自戒。
 ちょっと違うが、以前、細田監督が『プロフェショナル』で言っていた
 「アニメって自由に思われるかもしれないけど、正解は一つしかない」
 って言葉を何となく思い出す。意味は全然違うんだけどね。
・OAW
 『アニメで、同じことを、ちょっとだけ変えて、何度も繰り返す』
 で思い出すのはエンドレスエイト。
 エンドレスエイト超えの9回目で十四松殺害。
・デカパンマン1
 元ネタアンパンマン。
 日本人にとって身近なアンパンを使い、日本人が好きな自己犠牲で人を救う。
 この物語って日本人とってはすんなり受け入れれるのだが、外国の人がこれを
 見ると「カニバリズム(人肉食)」を想起してしまうので、受け入れがたいもの
なんだそうな。
 さて、問題です。
 お腹が空いてます。なにか食べないと死にそうです。
 『カニバリズム』と『スカトロ』
 さぁ、DOTCH!
・デカパンマン2
 アニメ自主規制刑務所にて。
 自分の身を削って、他の人への娯楽を提供しようとするデカパンマン。
 作品制作の心意気。
・デカパンマン3
 アニメ自主規制刑務所を出所したデカパンマン。
 やっちゃいけないやっちゃいけない、という規制を超え、よりやっちゃいけないことを
 やって射殺される。
 メタパロシュールを重ねる本作への自虐ネタ。
・警察24時
 パロディと同時に、正義と悪を逆転させることで、正義を謳う側の利己を描く。
・ハロウィン
 (一応)常識人のイヤミを仮装した六つ子が強襲。
 「ハロウィンだから仮装すればなにやってもいい」と勘違いするバカへの辛辣なイヤミ。

全体的に死亡オチが多いね。
1話感想にも書いたが、
「死んでも大丈夫。これはアニメだから。
 次の話には普通に出てくるよ」
というメタをギャグにしている。

BSでは修正版の放送だったようで。
テレ東社長が「オリジナルに失礼な行為だった」とか言ってるそうだが、
「パロディやる以上は徹底的に失礼にやらないと余計に失礼」
だと思う。その為の深夜枠放送なんだし。
中途半端なヌルいパロならやらんほうがマシだっ!
でも、まぁ、そもそも、テレ東の社長ってテレ東深夜枠から新作アニメを無くしたような
人だしなぁ・・・{/netabare}

【4話見て 糧を得る前段階】
{netabare}丸っと4話は、糧を得る前段階を風刺ギャグとしている。
採用面接、ドラフト、そしてアイドルデビューだ。

まずは採用面接。
短時間で、訳の分からないアピールの末に、訳の分からない採用基準で
合否が決まるシステム。
そしてドラフト。
本人の希望もクソもなく、その人を欲しい組織が指名し、重複した時は
クジという時の運で決まるシステム。
そしてアイドルデビュー。
本人魅力に乏しい時は「親が・・・家が・・・」と周りを巻き込むプロ
フィール。いきなりライブチケットなど売れるはずもなく、半分身内の
ご近所さんが支えるのみのローカルぶり。

「大人になり生きていくこと=仕事をし金を稼ぐこと」の前段階で、
こんなものに曝されなきゃいけないという事実。
非常に厳しい大人になるということ。

ここでの注目は『チョロ松』関係だ。
6人兄弟の中ではまだ常識的で、全方向へのツッコミ役となっている彼。
彼が被扶養を勝ち得る為に、親へこう切り出す。
「孫を見せてあげる」
この一言で、絶対的不利な状況の採用面接を有耶無耶状態にし、
ドラフト会議では、父母両親から1位重複指名を受けることになる。
ところが、トト子のアイドルデビューでマネージャー役になった彼に
ある弱点が発覚する。
「女の子が絡むと、ホント、ポンコツになるよねー」
1回トト子に背中をポンポンしてもらう、という程度の見返りで暴利な
トト子ファーストコンサートに手を貸すチョロ松が、女性と結婚して
子供をもうけるって何時の話になるんだよ、と。
親である父母も、子のその性格を見抜けずに、言葉だけ信用して、面接
経過を有耶無耶にし、ドラフトでは1位重複指名してしまう。
採用する方もされる方もメチャクチャである。
親ですら見抜けてない本人の本質。
赤の他人の採用担当は、本当に、その本質を見抜いていますか?
強烈な風刺である。

さて。
六つ子の脛かじりニートっぷりに、この様子ではトト子も家に養われて
いるっぽい。
こんなアニメの中で、努力の人がいる。
イヤミだ。
ウンコの大きさを見極め、その大きさで持ちギャグの
「シェーッ!」
を瞬時で使い分ける特訓。
いつ何時でもこのギャグをやれる努力の人である彼が、最後に
「シェーッ!」
で物語を締める。
良い締めである。

・・・遺伝の話はED後だし、ただのオマケ。{/netabare}

【5話見て ガツンとしたオチが欲しかった】
{netabare}Aパートはカラ松回。
おそ松兄弟の、カラ松に対する冷たさのみで描かれる。
Aパートすべてを使って、Bパートオチへの前フリ。

Bパートは一松回。
エスパーニャンコとの交流を人情噺として描いていく。

黄色赤鼻淡黄色腹なネコが、
色んな物が出てくるデカパンのパンツの中から取り出された、
ひみつ道具”きもちぐすり”を注射されたことにより、
相手の本音を読めるようになると同時に、
副作用で人間の言葉を話せるようになる
って、どんだけややこしいドラえもんパロディだよ!
耳有りドラカラーリングかっ!
青メガネは含みかっ!

※注
エスパーニャンコは赤塚不二夫原作漫画に出てくるキャラだそう
なのでキャラデザにはパロはありません

フツーのギャグに、フツーの良い話をやった上でのオチ。
うーん・・・オチが弱い・・・
「扱いが全然ちがーうっ!」って・・・
変な効果音とか無しで
「クソ兄弟共っ!ころ(ピー)」
とか、一発過激なこと言わせないと、引っ張りまくった挙句
だからダレちゃってるよ。
トカゲのおっさんみたいな、見た目と内容のギャップを描く
って内容でもないBパートなんだし、ラストくらい一発ガツンと
したオチが欲しかった。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 4

キャン´ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

一部の心無いファンの方の影響で風評被害を受けてしまった作品

アニメ好きの方なら一度は名前を聞いたことがあると思います。
今作は赤塚不二夫先生の漫画「おそ松くん」を原作としたテレビアニメ
第三作目となります。

そして、社会現象を起こしたアニメでもあります。

※過度な下ネタやパロディネタが多いので苦手な方はご注意下さい。

ちなみに前作となる「おそ松くん」は未視聴の上で視聴しました。

◆あらすじ ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
松野家の六つ子、おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松は20歳を過ぎても定職につかず、親の脛をかじるいわゆるニート。仕事にも女性にも縁がない個性的な6人は、時に足の引っ張り合いをしながらも、ひとつ屋根の下で暮らし、それぞれの趣味にいそしむ日々。そんな彼らに、うさんくさい男イヤミ、おでん屋のチビ太、六つ子のアイドル的存在トト子にデカパン、ダヨーンなどの面々が加わり毎回騒動が巻き起こる。

◆簡単なキャラ説明 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

★松野おそ松 
cv 櫻井孝宏(さくらいたかひろ)

イメージカラーは赤で松野家の長男。
小学6年生の頃の心を持ったまま成長してしまった「奇跡のバカ」と呼ばれている。いい加減でずぼらな性格。

★松野カラ松
cv 中村悠一(なかむらゆういち)

イメージカラーは青で松野家の次男。
太く凛々しい眉毛が特徴的でよくサングラスをかけている。
極度のナルシストで周囲からは”痛い人”扱いされている。
根は熱い性格。

★松野チョロ松
cv 神谷浩史(かみやひろし)

イメージカラーは緑で松野家の三男。兄弟の中では比較的真面目で常識もある。
基本的にはツッコミ役に徹しているが本人もたまにボケたりする。
アイドルオタクで女性が絡むと途端にポンコツになる傾向にある。

★松野一松
cv 福山潤(ふくやまじゅん)

イメージカラーは紫で松野家の四男。
常に半目で生気がなく笑顔も冷めており、髪の毛はボサボサで猫背。
猫が好きでマイペースで皮肉屋。
排他的な性格。

★松野十四松
cv 小野大輔(おのだいすけ)

イメージカラーは黄色で松野家の五男。
口を開けて笑っているような表情が多く、目の焦点が合っていない。
常にハイテンションで天然系バカ。
野球が好きで何を考えているか分からず予測不能で兄弟たちからも恐れられている。

★松野トド松
cv 入野自由(いりのみゆ)

イメージカラーはピンクで松野家の末っ子。
コミュニケーション能力が高く、甘え上手だがあざとく、腹黒い一面もある。
愛称は「トッティ」

★弱井トト子
cv 遠藤綾(えんどうあや)

一応本作のメインヒロインで男勝りな性格をしている。
得意技は「ボディブロー」
実家の魚屋の宣伝も兼ねてアイドルデビューするが売り上げは芳しくない。

★イヤミ
cv 鈴村健一(すずむらけんいち)

頭身が高くスリムな体型。胡散臭い性格。ツッコミに回ることが多い。
持ちネタは「シェー」

◆感想 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

とにかく先の読めない、そんなアニメでした。
ギャグパートは基本的に下ネタが多かったです。
シリアスパートはあまり好みではありませんでしたが楽しめました。

一時社会現象まで起こした本作ですがその人気の要因は言わずともわかる通り「声優さんの力」ですね。
本作はとにかく声優さんあっての作品だったと私は感じます。

◆最後に ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

タイトルにもある通り、一部の心無いファンの方の影響で風評被害を受けてしまった作品だと私は思っています。
一度、偏見の目を無くして視聴して頂きたいと私は思います。

今回の経験から私が学んだことは
「声優さんの力」と「偏見の目を無くすこと」です。

ここまで拙いながらなるべく分かりやすいようにレビューを書きました。
視聴の参考になれば幸いです。(不備がありましたらご連絡下さい)

最後まで読んで頂きありがとうございました。



 

投稿 : 2025/02/01
♥ : 10
ネタバレ

血風連あにこれ支部 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

最終回を見て逆に安心した

い、いくらなんでも懐かしすぎでしょ…
白黒画面見てそういえばこんなのいたなぁ…と思い出してしまった。
テレビでいつ見たのかすらも忘れましたが、記憶にあった事は確かな気がします。

1話は良かったです。
{netabare}腐女子用のネタからパロディ総ぶっこみ、赤塚不二夫っぽさは微塵もありませんが、
死人に口なしでやりたい放題やってる所が逆に面白かったです。{/netabare}

しかし何というか、これは次以降の話が持たないような(汗
パロディをひたすらやっても白けるだけですしね…。とりあえず様子見です。

んー…2話の路線は正直面白くないですね。落ちるなとは思ってたけどここまでとは。
昔のバカボンにたまにあった黒いエピソードなんかを思い出しましたけど、それにしてもまとまりがないし、ギャグもクスリとも来ない。
六ツ子のキャラも子供の時はよくても、大人になったら普通にクズキャラになってしまったなという感じですし。(パチンコの仕草とか車に悪戯とか利根川ネタとか、カイジを意識しているのかは知りませんが、クズ方面での笑いはもっと突き抜けないと難しいと思う)
1話~2話の流れ見ると他作品のネタ借りて猛烈にぶん回さないと受け狙えないコンテンツだと思えてちょっと微妙かもしれません。
1話でキャラが言っていた通り、時代が作風にあってないのかもしれません。
この赤塚路線が通常運営なら、これでウケ狙うのは難しいものがあるなと思いました。

3話。
{netabare}パチンコ警察ネタって何のつもりやねんって思った。
スポンサー様からパチンコ=儲かるイメージを視聴者に刷り込むんだって指令が下ったんですかねぇ?
それにしても球を現金に換金することはできないはずですけど、どうして店から出る時点ですでに現金を持ってるんですかね?
店内で換金でもしてたって事でしょうか。あらあら。
松野兄弟がクズキャラって事を差し引いても、ここまでパチ推しをされると笑いよりも不快感の方が勝ってしまいます。流石にこの辺はどうにかして欲しいと思いましたね。{/netabare}

断念したと言いつつたまに見ていたりもするのですが…。
やたらとしつこいホモネタに辟易しながらも、ふと見た18話の出来は正直言ってかなり良かったと思いますね。
昔のギャグアニメにあったような主役争奪戦バカレースww
うん、これはいいですね。とにかく内容がぶっ飛びまくっている。
{netabare}壮絶な死にネタラッシュにサイボーグイヤミ、原子分解光線。そしてあのオチ…! 終始イカレてますね。完璧です。
あと、デカパンクラスタとか言う意味不明な言葉にも笑ってしまいました。{/netabare}
今までは苦笑いしながらも、コメディアニメとして突出したものは感じられない本作でしたが、ちと評価を見直します。
何だかんだ言って円盤売れてるみたいだしね(勝ってるのが腐ってる人達ばかりみたいですが)。

それで、見終わりました。
24話で想定外のシリアスモード……!
一体どうなってるんだ? と戸惑いましたが、まさか先週の引きから……{netabare} 予定していた航路に向かうかと思いきや、フル回転バーストロケット噴射で大気圏突入、空中原子分解とはね。ある意味爽快でした。
人によっては何だこのクソ展開!と怒る方もいるかもしれませんが、おそ松さん的にはこれで正解でしょう。
Aパートは正直言うと何これ?状態でしたが、銀河系宇宙決勝戦はぶっ飛びすぎてて面白かったです。{/netabare}

回ごとに当たり外れも大きく正直言ってギャグは安定感に欠けると思いました。指摘されているように、腐女子寄りの話になっている回もありますしね。そういう所が脱臭しきれていないのは欠点だと思います。
ですが、ギャグアニメとしての内に秘めるパワーは計り知れないものを持つと感じました。
特に24話から25話の流れには、ある種の畏敬の念って奴を感じざるを得ませんでしたね。
腐女子さんがどんな感想を持つかはわかりませんが、私はスッキリできました。敬意をもって脚本は1とします。(ギャグアニメにおける私の脚本1は逆に褒めているとも言えます)

投稿 : 2025/02/01
♥ : 24

73.3 24 兄弟アニメランキング24位
ディメンションW(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (764)
4056人が棚に入れました
西暦2072年。第四の次元「W」から無限のエネルギーを取り出せる「コイル」により、人類は繁栄の極致にあった。しかしその裏では、正規外のルートから入手した「不正コイル」を使った犯罪が横行し、回収に懸賞金がかけられるようになった。腕利きの"回収屋"マブチ・キョーマは、ある依頼の中で謎の少女・ミラと出会う。かつてコイル事故ですべてを失ったキョーマと自分の出生の秘密を探るミラは、共に「コイル」の真実を追うことになるが……。

声優・キャラクター
小野大輔、上田麗奈、石田彰、中村悠一、鈴木絵理、斉藤貴美子、松岡禎丞、鳥海浩輔、山下大輝、土師孝也

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

全ての不幸は未来という可能性の踏み台に過ぎない

生きていく上で決断しなければいけない瞬間というのは誰しもが訪れる事象です。
ありえたかもしれない未来、こうなっていたかもしれない結末を空想、夢想しながらも、人間は時に分岐点にぶち当たり、自分の意思でもって未来を「選択」し、進んでいく。
有象無象の中から唯一の「可能性」を見つけだし、「選択」し、「決定」していくのが人生という1つの道であり、続く先に「未来」となります。
そのような、観測した時点で結果となり収束する未来は私達にとっても至極限定的な代物であり、逃れられない結果だらけの産物です。
しかし、たとえどれか1つを「選択」したとしても、いつまでも振り返ったままでいないだけの誇りは持って生きていきたいと…
そんな事を考えている最中にも人類の前には天高く聳えているのです。
「未来」という大きな、しかし「可能性」のある壁が…

それではこれから『Dimension W』のレビューを書いていきたいと思います。
まずはあらすじから簡単に説明しましょう。

西暦2072年
X,Y,Zに続く第4の次元軸「W」の存在が証明された未来
百合崎士堂博士はそこからエネルギーを供給する事が出来る次元間電磁誘導装置、通称「コイル」の開発に成功した。
また、彼は同時に世界中へ「コイル」によって得られたエネルギーを供給していく社会システム、通称「世界システム」を構築
その結果、この世界は表向きには繁栄の極致を築いていく事になる…
そんな科学技術の発達した場所で生きている生粋の「コイル」嫌いの主人公、マブチ・キョーマ
彼は正規ルートを通さない、裏で取引されるエネルギー制御のきかない「コイル」、通称「不正コイル」を回収している裏社会の働き屋である。
変わらない日々、平坦な現実、色のない世界…
過去に生き、過去に死んでいたはずだった男はある依頼の最中に不思議なアンドロイド少女と出会う。
それが自らの結末と向き合う序章であったとも知らずに…
これは、未来都市セントラル47を舞台にした不正コイルの「回収屋」キョーマと、奇妙な相棒ミラの物語である。


さて、現時点で気付いている方がいるかどうかわかりませんが、私、今かなり興奮しながらキーボードを打っています(笑)
それもこれも一気にこの作品を観終わった事に起因しているのは言うまでもないでしょう。
この作品、他の枚挙に暇がない1クールアニメと同じようにして考えると、かなり痛い目をみます。
全体的に高水準のクオリティで持って作られたこの作品には、作中でも描かれていた「可能性」という存在を随所に感じられました。
まず、原作者による高度なストーリー展開と設定を併せ持ったSF作品として生まれてきた可能性
私自身、アニメを観終わってからマンガを大人買いして一気に読みふけり、夢中になりました。
金欠生活で苦労している自分に簡単に購入させるほどの「エネルギー」をこの作品からは感じられます。
そんな漫画を1クールアニメ量産体制の昨今、要所要所を上手く抜粋しながらも綺麗にまとめた可能性
全12話で10巻の内容をこのようにまとめたのは神業に等しいかもしれないと、マンガを読んでからは改めて思いました。
順番を変えたり、別の表現に変更させたり、圧縮させて尚且つわかりやすくさせたりと、アニメ制作人の苦労が自然と想像出来てしまいます。
このアニメを作ったスタッフは非常に高い力量を持っているのではないかと強く感じてしまった次第です。
いや~、とても良い仕事をしてくれまして、私、非常に感無量ですわ…
そして、そんな傑作を毎週リアルタイムに観る事が出来たという可能性
ホントに、とても、良い時代に、なったものですよ…
『Dimension W』という無限の「可能性」を秘めた作品をこの度知れた事、とても嬉しく思います。

さて、そんな数多の「可能性」の上に成り立ったであろう本作
ここからはその見所を存分に書いていきたいと思います。
まず、第1の見所としましてはとにかくキョーマがかっこいい!! ミラが可愛い!!
個人的には2016年冬アニメの中で1番と言える主人公ヒロインだと思います。
重い過去を抱えていながらも自らの信念を胸に前へと進むハードボイルド回収屋キョーマと、なじられながらも彼を真に支え続け、傍に居続けたアンドロイド少女ミラ
2人の関係は一見アンバランスに見えながらも、根っこにはとても純粋な想いを感じさせるつながりがあり、思わずこれから先ありえるかもしれない、ある種夢想化した現実を想像してしまいます。
また、彼らだけでなく、今作に出てくる登場人物たちはとにかく性格や立ち振る舞い、特徴がはっきりしていてとても名前の覚えやすい仕様となっているので、キャラの覚えられない方も安心の出来
個人的にはルーザーやシーマイヤー、コオロギなどがかなりいい性格をしていると感じましたね。
しかし、やはりキョーマとミラ、主人公とヒロインの2人は別格
彼らが中心になってこの物語は始まっていくのです…


あ、エリーとイーストリヴァー兄妹もすっごく可愛いよ!!

さあ、気を取り直して、第2の見所としましてはとにかく設定が凄い!!
第4の次元、「W」、エネルギー供給の根幹を担う「コイル」、エネルギー供給体制を確立させた「世界システム」、次元エネルギーの暴走によって引き起こされる「Wの具象化」など専門用語満載
原作者の岩原先生は恐らく稀代の天才科学者、ニコラ=テスラが提唱した理論や実験、そして彼が経験した不思議な現象を参考にしたんでしょう。
第4の次元、「W」は彼が実験室で感電した事により未知の領域である5次元へ入ったという記録から、「コイル」は「テスラコイル」、「世界システム」は彼の理論のまま、「Wの具象化」は恐らく「フィラデルフィア計画」ですね。
良く調べられているな…と第1話を観てすぐに感じました。
まあ、こう言っては何ですが、SF作品においてこういった設定というのはいわゆる「よくある」代物なのです。
しかし、今作の凄い所はそのありきたりな設定を実に面白い形で膨らませているという事
「コイル」という摩訶不思議装置の多様性や随所に出てくるSF技術の多種にわたった活用法の数々には思わず舌を巻きましたね…
なんか聞いたことあるな…という既視感溢れる最初から、まさかこう持っていくとは…と逆に驚かされてしまう形になってしまいました。
単純でありきたりな設定でもやり方次第で上手く話を展開させる事が出来るんだな…と観終わってから自らの偏見をきつく自省した次第です。
改めてSFという1ジャンルの「可能性」を垣間見る事の出来た作品でした。
もしかしたらSF作品に詳しい人程、この作品には騙されてしまうかもしれません。
勿論、全く知らない方にもおススメですよ!!

最後の見所としてはやはり、とにかくストーリーが面白い!!
もう、この一言に尽きるでしょうね…
このアニメ、第1話~第3話をミラとの出会い、回収騒動、日常と続き、第4話~第5話を八十神湖編、第6話~第12話をイースター島編という構成にしていますが、それとは別に全体的な話として、マブチ・キョーマが過去にけじめをつけるまでの過程を描いた作品となっております。
それぞれ単体として観てもかなり面白いのですが、第1話~第5話までの話が最後のイースター島編の伏線回収に至っていくという一本道の構図になっているので、とてもじゃないですが流し見は出来ません(笑)
特に八十神湖編は結末に至るまでの展開には端的に言って衝撃を受けましたし、オチも古典的でこそありながらも上手く話に作用した構成で尚且つこの話がイースター島編でも密接にかかわっているので、とても重要な回です。
まさに必見!!
そして全ての回の帰結となり、収束を迎えるイースター島編
隠蔽された過去、「コイル」の真実、キョーマの想い
様々な思惑がぶつかり合いながらも重なり合い、結果として1つの起こってしまった結末と解決策を導き出していきます。
また、何故、彼は病的なまでに「コイル」という存在を憎んでいるのか?
何故、彼は自らを慕ってくれるミラに対してきつくあたるのか?
物語序盤で視聴者共々感じた疑問も上手く解消され、一視聴者としましては気が付けば、よくまとめてるよなあ…と感心するしかない内容になっていました。
そして迎える最終回の辿りついた未来
原作が続刊中でありながらも1つの物語が終わったんだ…と満足した充足感を感じた作品は恐らく初めてではないでしょうか?
観ている最中、不覚にも鳥肌が止まらなくなり、終わってからは自然と拍手をしていました。
ここまで深く染み込んだのは久しぶりで、本当に、最高のアニメをありがとう…

2クールあればもう少し詳しく描かれたのでは?という意見もよく見ました。
私自身もアニメ視聴時にそれは少しだけ思いましたが、原作を読んでからはそこまで多いと地味にだれてしまう可能性の方が大きいのではないかと感じてしまいます…
ほんの少しだけ、1話、いや、0.5話だけでもあれば実に良かった…と思うのは流石に我儘でしょう(笑)
いいんです、1クールできちんと目を通して観ればちゃんと話の分かる程度にはまとめてくれましたから!!
それだけで私は至極満足です!!

さて、こういった作品が正当に評価される日の来るのを願いつつ、以上でレビューを終了したいと思います。
「可能性」の果てに行き着いた純粋な愛と再生の物語、興味を持った方は是非…

PS.
先にも述べた通り、今作はまだビッグガンガンで連載中のSF漫画です。
そのためアニメで明かされなかった謎はマンガで随時解明されていくのかと思います(主に最終話)。
先が気になる方はどうぞ、原作を読みましょう!!

投稿 : 2025/02/01
♥ : 19
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

過去に生き、過去に死ぬ

これは初回からかなり惹きこまれました。

アニメでは希少な大人の主人公もの。
これは最後まで観届けたい。

1話が非常に気に入ったので原作を読み始めました。

3話まではアニメ観た後に原作でおさらい。
4話のホラー話からは、原作が先でアニメが後。

原作は、設定が緻密に練られているため
独自性が確立できていて新鮮で素晴らしい。

アニメは、尺を考えれば当然ですが、カットや改変たっぷりです。
でも非常に上手く話が整理され、まとめられていると思います
アニメも十分面白い。

このまま最後まで突っ走って欲しいものです。

------以下は、原作コミック第1巻、wiki参照-------

西暦2070年代の日本が舞台。

2036年に存在が証明された、
X,Y,Zに続く第四の次元軸『W』。
そこからは無尽蔵のエネルギーを引き出すことが可能。

●「世界システム」…エネルギー問題を解決する夢の技術

全世界60か所に建造された巨大タワーが
『W』のエネルギーを充実させ、
コイルによる電力の取得を保障。
世界中どこにいても電力を得られるようになり
旧来の発電送電システムは過去のものとなる。
ここでの「コイル」とは、次元電磁誘導装置のこと。
コンパクトで携帯できて、個人でどこでも使える。

2072年、「世界システム」が稼働開始してから
間もなく10年を迎えようとしている。
ガソリンへの課税率は400%を超え2800円/ℓになった。
3年後にはガソリン車は全面廃止の予定。

そんな時代の、時代に取り残された男と、人間と見紛うアンドロイドの物語…

-------------------------------------------------

<各話レビュー>
★File.01「回収屋」{netabare}

主人公マブチ・キョーマ(CV:小野大輔)は
冷血なようで、実は情に厚いオッサン。
電子制御のものは、携帯電話以外は一切使わず
一人頑なに、昭和に生きてるような男。
コイルも大嫌いで、自宅の電気は発電機でまかなう程。

1967年から1970年の3年間で
試作車を含め337台が生産されたTOYOTA 2000GT。
言わずと知れた日本が生んだ伝説の名車。

コンピューター制御の車は論外なのだろう。
そんな時代の流れの中にあって、
希少、かつ100歳以上の2000GTを
自分でメンテや改造を施して、
道具として日常の足にしてるキョーマ。

串焼きで使う鉄串を投げる武器とし、
さらに体術による戦闘力により
回収屋と呼ばれる、犯罪者相手に不正コイルを回収する
物騒な仕事を生業とする。

一匹狼だった彼は、ひょんなことから、
人間と変わらぬ精神性を持つ
訳ありアンドロイドのヒロイン、
ミラ(CV:上田麗奈)と出会い、
仕事上の相棒として一緒に生活することになった…

主人公が、鉄串を手の指に挟んで構えた姿は、
マーベル・コミック「X-MEN」のウルヴァリンそっくり。
映画版で演じたヒュー・ジャックマンをモデルにしたキャラかもしれません。
もみあげと笑わぬキャラが渋くてカッコいい。
小野さんの声も決まってる。

ミラは、本編開始後10分までは人間の少女と見紛うようミスリード。
そして、アンドロイドと判ってすぐにキョーマを平手打ちでゴキッ。
常人とは違うパワーを音だけで表現、シンプルで効果的です。

その後、ニューテスラの精鋭調査部隊「Qi」の調査主任
アルベルト・シューマン(CV:石田彰)初登場。
石田さんが演じてるだけに存在感あって非常に興味が持てるキャラですね。

その他の声優といえば、
天才的な技術者兼ハッカーのコオロギ役の松岡禎丞さんもいい味出してる。

さらに百合崎教授の謎の言動…掴みがバッチリです。
{/netabare}
★File.02「ルーザー」{netabare}
<次元が崩れる…>
『W』の具象化という、世間には一切知らされていない
コイルの恐ろしさをキョーマは熟知していた。

今作の最大悪は、コイルを管理してる会社ニューテスラなのか?
コイルのおぞましい弊害をひた隠しにする会社。
秘密を知る者は抹殺されるという…。
『STEINS;GATE』のSERN社と同類の空恐ろしい存在に思えました。

現代に生きる我々も、近年、
原子力の功罪をあらためて思い知らされました。

「世界システム」が夢の技術といっても、
その恩恵の大きさに比例して闇の部分も大きなものがありそうです。

<コイルの犠牲者、ルーザー(CV:中村悠一)初登場>
初回から登場の、石田彰さん演じるキャラと言い、
脇を固めるいい役者とキャラが揃ってますね。

<十四松とカラ松>
小野さんと中村さんの共演と言えば、同クールでも放映中の「おそ松さん」。
二人の絡みのシーンで、ふとそのこと思い出してしまいキャラのギャップにww


今回、ミラとコイルの生みの親の、
百合崎教授の妻役に本田貴子さんとは…
意外なキャスティングがちょっとうれしい。
ほんのちょっとのシーンでも存在感ありました。

余談ですが、本田さんはアニメより、
どちかというと映画やドラマの吹き替えでご活躍。
洋画も大好きでよく観る私としては、
ヒラリー・スワンク、サンドラ・ブロック、ミラ・ジョヴォヴィッチなど、
男前系の主演女優の本田さんの専属吹き替えが大好き。
役柄によっては、朴璐美さんの声に酷似して聞こえて
区別がつかないことも多いんですけど…。

<かっ・いっ・しゅーぅ・やっ(。◠‿◠。)>
初回は、なんのこれしき、
アニメのキャラではありきたりと抵抗を試みるも、
60%くらいはやられてたけど…。
ヤバいです。
2話のこのセリフで、ミラの魅力に100%攻略されました。

<人間の魂を持ってるアンドロイド>
合理的できれい好きな人格者?ミラ。

ヘアピンアンテナ?とシッポ…実にいい仕事してる♪

彼女は、喜怒哀楽の表情、どれもが可愛い♡
あわてたり、涙流したり、頬赤らめたり…表情がとても豊か。
でも感情は上手くコントロールされてるようで
暴走することは滅多にないように見える。

アンドロイドとはとうてい思えぬ善良な人柄が伝わります。

ミラ役の上田さんの演技は知的で清楚。
色気はあっても肉感的な方向のエロさがあまりない。
ヒロインとして新鮮な魅力があります。
これははまり役と言えそう。
{/netabare}
★File.03「ナンバーズを追え」{netabare}
<ナンバーズ>
ルーザーによってその存在を知ることとなったキョーマ。
独自にその情報収集を始める。

開発初期の試作コイルはナンバリングされており
それらは通称、ナンバーズと呼ばれる。
普及しているコイルとは別格で極秘扱いとされる。

W次元界の未知の領域のエネルギーを引き出せるが
コントロールできなくなると甚大な被害を及ぼすという。
ニューテスラが、ひたすら隠ぺいする不正コイルの事故のうち、
大規模なものは、このコイルによるものらしい。

<こころ、ウッキウッキ~♪きれいがいっちばんでっすぅ~♪>
一方、前回捕獲した鳩型アニマロイドのコイルにより、
現ナマ紙幣で600万円の報酬を得てホクホクのミラ。
一人前の回収屋としても認めてもらう。

2072年の紙幣価値は今と比べてどうなのか不明ながら
キョーマがふて寝するほどうらやましい額のようだ。

それにしても60年先の未来でも福沢諭吉殿が現役とはwww
電子マネーが主流で紙幣の進歩は止まったままのよう。

その報酬でレトロなキャンピングトレーラーを購入。
キョーマの住む、廃ガソリンスタンドの敷地の一画に置かせてもらい
自身の部屋として清掃、家具も買い揃え心ウキウキ。

しかし、そこに思わぬアクシデントが…。
そのことでキョーマは、意外な権力者と対面することになる。


クレアとその孫シオラ、そしてシオラの悪ガキ仲間。
これからどう描かれるのか。

物語にさらなる広がりを見せた今回。
次回も楽しみです。
{/netabare}
★File.04「八十神湖に潜む謎」{netabare}

原作の中でもボリュームたっぷりな話です。
原作を整理整頓の上の圧縮ぶりが絶妙だと思います。

<ロボットが幽霊とかふざけんな>

信州の八十神湖(やそがみこ)、ダム建設により生まれた人造湖。
21年前、ダム反対派の若者たちが洪水により不幸な死を遂げて以来
超常現象、多数勃発。幽霊も出るオカルトスポットとして有名。

湖上の小島にあるホテルで起きた謎の密室殺人。
事件の調査のため、キョーマとミラは現場に向かう。
依頼主はニューテスラ(NT)。

相変わらず無表情で何事にもクールなキョーマと
アンドロイドなのに幽霊に怯えるミラ。

キョーマは現場で、21年前から因縁のナンバーズの存在と
その回収が真の目的であると知ることとなる。

そして精神だけ、
時空間を超越した世界に取り込まれたミラ。
目前に広がる21年前の風景と人物。
当時、災害で亡くなった若者たちが
ゾンビのように襲い掛かりまるで悪夢のよう。
彼女は囚われ絶体絶命の危機が迫る。

被害者の妹、謎の女エリザベス、
NTのシューマンや他の回収屋など
物語を彩る登場人物多数。
さらには第二の殺人も発生。
状況は混迷を帯び始めました。
次回も非常に楽しみです。

それにしても、キョーマに、
ポンコツ、そしてついにはガラクタ呼ばわりのミラ。
ガラクタと呼ばれ凹む彼女のいじらしさ。
アンドロイドが、無理してアンドロイドのふりってのもユニーク。
ミラは毎回、実に可愛いくて目が離せませんね。
{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 30

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ミラちゃん・・・なんでこんなに可愛いんでしょ(//∇//)

この作品の原作は未読で、知っていたのはヒロインを上田麗奈さんが演じられる事くらい・・・
最近、上田さんの名前を結構目にしている様に思います。
ハナヤマタのなるちゃん、対魔導学園35試験小隊の鳳桜花など・・・でも私の中で上田さんといえば「てさぐれ!部活もの」の園田萌舞子ちゃんのイメージが強いです。
何せ3年連続六つ子の設定なので高校1年生から3年生まで総勢18人姉妹・・・その18人分の役をたった一人で演じられていたのがとても印象的だったので・・・^^

そんな上田さんがヒロインを演じられるなら視聴してみようか・・・と思い取り敢えず1話を視聴して見る事にしてすっかりハマッてしまいました^^;

いきなり度肝を抜かれたのが・・・オープニングです。何故か分かりませんが今期の作品はやたらとオープニングがツボに入っています。それが1作ならまだしも複数作にも及ぶなんて・・・
まさか、「今期はオープニングに度肝抜き設定を盛りましょうか」などと制作陣が横で繋がっている事も無いでしょうし・・・^^;

この作品の主人公はマブチ・キョーマという和装っぽい服を纏った髭面のオッサンなのですが、オープニングでいきなり踊りだすんですよね〜^^;
しかもステップがメッチャ軽やか・・・キョーマとダンスのあまりのアンマッチさが逆にツボに入ってしまいました(//∇//)
でもこのダンス・・・決して真似はできないでしょうけれど^^;

この物語は、X・Y・Xに続くW軸と呼ばれる第4の次元軸から無尽蔵のエネルギーを取り出す事に成功した世界・・・
人々はそのエネルギーを個人形態用の「コイル」と呼ばれる装置で享受する事で昨今のエネルギー枯渇問題が解決し人々は平和な暮らしを・・・と事はそんな簡単には進みませんでした。

コイルは「正規コイル」と呼ばれるコイルを使用する決まりになっているのですが、光の対に影があるように「コイル」にも「正規」の対極に位置する「不正コイル」が影で出回るようになってしまったんです。
不正コイルは正規のルートを通ったコイルでは無いため、内部構造は無法地帯・・・そのため不正コイルを用いた犯罪が発生するなど、エネルギー問題は解決しても犯罪の撲滅には繋がらなかった、という事になります。
ここで問題となるのが不正コイルの中でも正規コイルを遥かに凌ぐ強大な力を持ったコイルが出現し悪用される事です。
それは不正コイルの回収を生業にする組織が生まれるきっかけにもなりました。
そして、主人公のキョーマが回収屋として不正コイルの回収に向かった先でヒロインのミラと出会い・・・物語が動いていきます。

そんなWのエネルギーを万人が享受している中でキョーヤを見ると・・・まるで生きた化石のようです。
例え正規品であっても誰もが普通に使用しているコイルの使用を頑なに拒絶し続ける彼・・・
その徹底ぶりは車にも及んでいます。
キョーマの愛車はトヨタ2000GT・・・確かに格好良い車ですし、車好きならきっと一度は憧れる一台なのではないでしょうか。
それに物語で登場する2000GTも緻密に描かれているので格好良さは2割増し以上だと思いますが、この作中でのガソリンのリッター単価は2800円もするのだそうです^^;

因みに2000GTのガソリンタンクは60Lで燃費は55km/h定速で15.0km/L(カタログ値)
これはガソリンを満タンにすると168,000円ものお金が必要で、燃費はカタログ値では15.0kmとありますが、街中やキョーヤの様な乗り方で15.0kmまで届くとは到底思えないので、燃費を5.0km/Lと仮定すると60Lで300kmしか走行できない、という事になります。
1km走行するのに必要なガソリン代・・・と見方を変えてみると1785円/kmとなります。
しかもハイオク仕様・・・^^;
私はどんなに格好良い車でも、こんな大金を撒き散らす車には絶対乗れません。

でも、キョーヤがそれを是としていたか・・・と考えると必ずしもそうではないと思います。
もし彼がコイルを拒まなかったら2000GTに乗り続ける事も無かったのかもしれません・・・
それでも彼は2000GTのハンドルを握っている・・・それはそうせざるを得ない理由があったから・・・
事の真相は物語の進展に伴い明らかになりますが・・・私は涙無しには見れませんでした^^;

キョーヤの印象・・・最初は突然踊りだす謎のオジサン・・・という感じでしたが、色んな物語を経て彼に対する見方は良い方向に変わりました。
wikiには「義侠心の強い熱血漢」と書いてありましたが、正にその通りだと思います。

そしてヒロインのミラ・・・アンドロイドなのですが、これまで私が視聴した作品で登場したアンドロイドの中でも可愛らしさはトップクラスだと思います。
そんな彼女の最大の魅力は「頑張り屋さん」なところ・・・時には無理する事もありますが、彼女が無理をするのは決して自分のためじゃありません。
そして大切を守る事にかけては何をも厭わない彼女・・・
自分の優先順位が一番じゃない彼女・・・
そんな危うさが彼女の魅力であり、一緒にいると守りたくなる原動力になるんだと思います。
そんな彼女の魅力を余すことなく表現しているのがエンディグのアニメだと思います。

ピカピカに磨き上げたトレーラーハウスは彼女のお城・・・
風になびくキョーヤとミラの大小二つのタオルが、彼女の居場所の証・・・
色んな表情の彼女を見る事が出来ますが、笑顔が彼女には一番似合っていると思います。
様々な舞台での彼女が描かれていますが、家事をしている時の彼女の表情が一番好きでした^^

キョーマとミラが紡いでいく回収屋として物語・・・どんな着地点が待っているかは是非本編を視聴してご確認頂きたいと思います。
登場人物の魅力に溢れた作品だったと思います。

オープニングテーマは、STEREO DIVE FOUNDATIONさんの「Genesis」
エンディングテーマは、Fo'xTailsさんの「Contrast」
どちらもアニメが大好きだったので毎回ちゃんと視聴しました^^
曲調的にはオープニングの方が好みなのですが、歌詞が途中で聞き取りにくい部分があるので、カラオケで歌うには難易度の高い曲だと思いました^^;

1クール12話の作品でした。ミラの屈託の無い笑顔が見たくて序盤は視聴していましたが、中盤以降は物語も本格化して面白くなってきたので、結果的にドップリハマりながら視聴していました^^
物語の纏め方も綺麗だったので言う事なしです^^
しっかり堪能させて頂きました^^

投稿 : 2025/02/01
♥ : 28

81.8 25 兄弟アニメランキング25位
りゅうおうのおしごと!(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (850)
3824人が棚に入れました
玄関を開けるとJSがいた―

「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」

16歳にして将棋界の最強タイトル保持者『竜王』となった九頭竜八一の自宅に押しかけてきたのは、小学三年生の雛鶴あい。九歳

「え?、・・・弟子?え?」

「・・・おぼえてません?」

覚えてなかったが始まってしまったJSとの同居生活。
ストレートなあいの情熱に、八一も失いかけていたモノを取り戻していくのだった。

声優・キャラクター
内田雄馬、日高里菜、佐倉綾音、金元寿子、茅野愛衣、久保ユリカ、橋本ちなみ、小倉唯
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

放射熱

熱い


のだが、どこか物足りない。

それはこのアニメ作品では登場人物の勝ち負けまでは映しても、
彼ら彼女らの人物像を結ぶために必要な描写が欠けているからだ。

どうして闘っているのか、
どう闘っているのか、
なぜそうしているのか、
なぜそう思うのか、
何が苦しいのか、
何が嬉しいのか、

何故、なぜが極めて不足している。


この感覚って私がサッカーのワールドカップやフィギュアスケートを楽しんでいるときのそれに近い。

熱いし、すごいと思うのだが、どこか物足りない。
ルールを何となく知ってはいるが、
選手のことはよく分からん。
どんな選手で、どんなアスリート生活を送ってきて、
どう輝いてきて、どう苦しんできたのか、
を知らない。

ルールや技術についても、
どこら辺がすごくて、どこらへんが難しくて、
当人と他者ではどう違うのか、
そこら辺が分からないのだ。

プロ野球のヤクルトスワローズを応援しているときだけは、
他のスポーツ観戦と一線を画す。
もう、今の選手たちを深くは知らないが、
既にファンになってしまっている自分がいる。

正直、ルールや技術について詳しいとか理解が深いとは思わないが、
心の中にある家族の様な繋がりが、錯覚がファンにさせているのだろう。
本物の家族よりずっと小さな繋がりかも知れないが、
それよりもずっと太く短い感じがする。



このアニメでは限られた時間の中で目標が定まっていたので、
そこら辺を描き切れていない感じがありありと感じられた。

熱い、この作品は熱いのだが、よー分からん。
けどなんか気になる、
もっと知りたい、見てみたい

というわけで原作のラノベを最新刊の6巻まで買ってしまいました☆
確か、7話ぐらいまで放送されたときだったかな。
ちなみにアニメの方の作品は、7話まではかなり楽しんでおりました♪

ここから先はラノベの方もちょいちょい交えて話します。
読み進めるにつれネタバレが多くなるので注意。

{netabare}

この原作はそもそも、5巻で終わる予定の作品だった。
その5巻では名人が挑戦者で八一の竜王防衛線が描かている。
最高潮をこの巻で迎え、終わっても大丈夫なようにまとまっている。

やはり、ラスボスとの闘いは避けられない。
闘わずして終わると、
「俺(たち)の戦いは続く」という最高に後味の悪い投げっぱなしになってしまう。
その点では出版社も著者も素晴らしいと評価できる。

この著者って「のうりん」の原作者なんだって。
どうりで変態的な描写が好きなわけだ。


さて、アニメの作品は原作の
1巻 1-3話
2巻 4,5話
3巻 6,7話
4巻 8,9話
5巻 10-12話
にあたり、小説やラノベを読んだことある人なら分かるけど、
これはものすごい早さで原作を消化している。

2クールやせめて5巻のためにOVAを出してでも5話分用意してもいい内容量だ。

省かれた内容として、サイドストーリーや脇役の掘り下げもあるのだが、
主要人物たちの掘り下げや盛り上がり所に至るまでの心情や経緯が細かに描かれている。
前者は省略してもやむを得ないのだが、
後者はアニメ作品のフィナーレを描くときにスパイスどころか、
寿司のわさびや、トンカツの醤油派のためのからしや、餃子のお酢やラー油や醤油ぐらい重要な存在だ。
全部スパイスだな!
いや、多分、カレーライスのルーの具ぐらい重要だと思う…(以下省略)。

2巻では八一が天衣の師匠になるため会長と勝負する。

4巻では桂香さんが知人と勝負する。

5巻では八一が負けるだけではなく、盤外で精神をけちょんけちょんにされる、
敗者を渦潮に突き落とすような場面があったのだが、
あれは削って欲しくなかった。30秒で足りたのに。

これらはあくまでも削られた場面の一つ、二つ、三つなのだが、そんな大事なところがたくさんあった。
本当にたくさんあった。

削られた描写の脇役代表では、ろくろばさんって巨乳女流棋士がいるのだけど、
このキャラ、分かるとメッチャよかったわ。


何だかんだ述べておりますが、
一つの区切りの最後まで描き切ったことは非常に好感を持てますし、
きっと私の様にもっとこの作品を知りたい、と思った視聴者がたくさんいるだろう。

本当、アニメになった作品しかラノベ買ってなくて、本当にすみません。
一話から支えているファンの方に感謝、
そして著者とアニメスタッフに感謝です。





{netabare}ここで感想が終わると思ったら大間違いだ!
まだ、ハーの変態っぷりや女性キャラについて語っていない。

だが、先に述べておく。
ハーはまだ、普通なら高校2年生の少年であり青年なんや。
そんな彼が竜王になれたんのは、人生のほぼ全てを将棋につぎ込んだからや。
女に疎いんや、へたれなんや、鈍感のアホたれなんや。
だから、ほんまに堪忍や。あいつのチャラヘタレ鈍感ハーレム気質をどうか大目に見たってくれ。

あと、今まで、
フルメタ、狼と香辛料、はたらく魔王さま、俺ガイル、ログホラ、狼と羊皮紙
などのラノベ読んできたけど、
内容が一般小説っぽくないのと、自分語りやネタがひどいことを除いたら、
小説とラノベの違いって挿絵だけだと思っていた。

けど、今回「りゅうおうのおしごと!」の原作を手に取って、
初めて挿絵を物語に組み込んだ文章を読んだ。(ログホラも少しだけそういう手法を使っている)
それだけではなくフォントサイズ大小の使い分けやハートマークなどの記号も多用されていた。

なるほど、こりゃ漫画みたいなもんで、小説と全く異なるものになるな、と腑に落ちた。
けど、ただ異なると思っただけで、その表現がなしかは別と思った。
個人的には言葉にならない状況を言葉にしてくれるのが文章をつくる人間の凄さと思っている。
自分には到底できっこないことだからね。
棋譜を載せたりするのはこの原作を読む前の許容範囲だけど、
決して悪いことではないなと思えた。



本題に戻ろう、女性キャラについてだ。
一人一人を(私の主観ではあるが)説明するのはあまりにも莫大な文字数と時間を要するので、
とあるランキング形式で名前とイメージを述べよう。



{netabare}夜叉神天衣 正室 だが一番は形式上では譲っている
空銀子   正室 だがツンが過ぎるため離婚⇔再婚という危機の渦中
雛鶴あい  正室 自他共に認められている正室、押しかけ同棲により既成事実建築済み

桂香 愛人 憧れの人妻

==絆の壁==

くぐいさん 西の追っかけ妻
つきよみざか東の通い妻
イカちゃん ストーカー

--愛の壁--

みおちゃん 側室 成長する棋力と愛
シャルちゃん 正室 婚約者

あやのちゃん 研究生 可能性は無限大

あすかちゃん 側室希望 胸に潜む破壊力

~~情の璧~~ ※親愛の壁

ろくろばさん 巨乳
晶さん 天衣の嫁 熱烈な将棋ファンとして将来有望な将棋ファン
なたぎりじん あいじんじん

しゃかんどさん 銀子応援団、若手棋士応援団
あゆむきゅん 宿敵と書いてライバル

~そして生まれる愛~



多分、男鹿さんとあいの母ちゃんを除いて準レギュラーの女性脇役全員載せれたと思う。
女性以外も何名かおりますが。


ここで私が述べたいことの一つは、
ハーが若くてそこそこイケメンで割とイイヤツがために、
輝く実績と実力と血の滲むような努力と殺し文句で複数の女をメロメロの虜にしてきた。

彼には今から高校に入ってもらいステキなSchool Daysを送ってもらいたいところです。


もう一つは誰が正室に相応しいかです。
熟考し私的な好みと私的な好みで厳選に厳選をちょこっと重ねた結果、

正室 天衣
側室 くぐいさん

でお願いします。

正室の3人なのだが、
あい-刷り込み、銀子-血のつながらない姉弟、天衣-失った両親と募る想い
と全部変化球なので、これを愛と言っていいのかが分からない。

ただし、ハーへの接し方が、
あい-独占欲、銀子-依存、天衣-自我と自制心
であることからして、
ハーとその妻の幸せな明るい家族計画のため、
天衣とさせていただきました。

ちなみに嫁が
あい:銀子→引きこもり→ハーとあいを倒すため強くなる、天衣→枕を噛みしめて泣く
銀子:あい→ハーと銀子を倒すために鬼となる、天衣→枕を噛みしめて泣く
天衣:あい・銀子→あいと銀子がライバルとして仲良くなる
ことからも天衣が嫁が一番幸せかと思います。

ちなみに桂香さんだとみんながそれなりに幸せになる。


そして側室についてですが、
愛の深さからくぐいさんで決定。
くぐいさんがくぐいさんとくぐいさんとは5巻の途中まで気付かなかったよ。
なんで振り仮名振ってないのか分かったよ。ひどいよ著者さん。
そんなこと知ってしまったら、全ての行動がかわいく見えてしまうじゃないか。
と術にはまり、応援している所であります。



まったく、私にこんなこと書かせるなんて、
ラノベってお下劣よね!

あと、6巻、マジドン引きなシーンが2つもありました。
私はロリコンでもある紳士として述べさせていただきます。

嫌いじゃないが、それでページ割かれるのは得意ではないので、
自重していただきたい。

けど、それでも、きっとそういう描写がまた続くんだろうなぁ。



なんかまとまりがなくなってきたので最後に一言。
{netabare}ネット将棋でもやってみようかな、将棋やってくれるような友だちいないし。
{/netabare}{/netabare}{/netabare}{/netabare}








二話までの感想
{netabare}

2018.01.19 01:29 ★★★★☆ 4.1
物語 : 4.0  作画 : 4.0  声優 : 4.0  音楽 : 4.0  キャラ : 4.5

『将棋と異常な登場人物の物語だけ (二話までの感想)』

将棋の作品ってちゃんと読んだことがあるのは
月下の騎士
3月のライオン
だけ。

ハチワンダイバーはチラ見したぐらいかな。
似たような作品で、ヒカルの碁は読破した。

共通しているのは、
将棋をすることと、異常な登場人物、
それだけ。
将棋は要所の棋譜と雰囲気を伝える、
登場人物の内面に重点を置いて物語を描く。

正直、ラノベ?で将棋と聞いて、
萌えハーレムをメインに置いていると思ったのだが、
過去二つに見た作品と大事にしていることはさほど変わらない。

将棋と物語、その割合は作品によって異なる。

この作品では、
萌えと子供とハーレムはありそうだが、
やろうとしていることは至って真面目そう。
※他の作品でも中二病は大なり小なり含まれる

普通にワクワクさせられて、
今後も気になります。

高いところでの戦いと、0からの戦いが観られるのは二度おいしい。{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 12

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

石川県の方言・文化の描写がかなり問題あります。

* 正直、ほとんど作品レビューとかけ離れた駄文考察ですが失礼・・・

第一にヒロインの小学生が七尾市和倉町出身だそうですが、盛んに「金沢弁」をしゃべってます。
七尾なら「能登弁」の筈ですので、微妙に違います。
まあ、金沢弁でも能登弁でもいいのですが、石川県方言としてはいろいろ間違いが多いうえ、
「あらへん」とか「せやから」とか石川県では絶対に使わないような関西弁が随分、混じっています。

それと、アニメでは端折られてますが、原作ではヒロインが金沢カレーを作る描写がありますが。
金沢カレーはとてもとても小学生どころか一般人が作れるような家庭料理ではありません。
地元金沢でも、金沢カレーは家庭で作られるものではなく、金沢カレー専門店でのみ作られて食べられるものです。
他には「金沢カレー」と商品名を付けたカレー弁当がスーパーで売られているくらいですね。
くどいようですが、今「金沢カレー」と呼ばれているカレーライスの歴史は30年程度、名称として「金沢カレー」が使われだしたのは2006年頃からご当地カレーの「よこすか海軍カレー」や「札幌スープカレー」の対比として「金沢カレー」という言葉が徐々に使われ始めたそうです。
原作者は「金沢カレー」なんていう名称から、かなり昔から金沢の家庭で金沢カレーが当たり前に作られ食べられている石川県定番料理とでも思ったのでしょうか?
金沢の一般家庭で家庭料理として食べられているカレーライスはバーモントカレーとかジャワカレーとか日本全国で普通に売られているカレー粉を使ったものや一般的なレトルトカレーばかりです。

かろうじて解釈するとヒロインはよっぽどの料理の天才で自分で金沢カレーに必要なスパイスを入手・ミックスして自己流金沢カレーを作ったのでしょうか?
そんな天才的料理技量があるなら将棋作品より料理作品にでもした方が良いです。

なんでも原作者は岐阜県出身で金沢大学(金大)出だそうですが、金大には関西人が多いそうなので、
金大のコミュニュティに属していた作者ゆえに、石川県方言や金沢カレーの誤解が生じた気がします。

石川県を舞台にしたアニメとして有名なのは「花咲くいろは」。
それと石川県に類似した方言を使う富山県を舞台とした「クロムクロ」のように
あんまり変に方言や地方文化を絡めすぎずに作った方が良いと思います。
岐阜県飛騨地方を舞台とした作品に「氷菓」や「ひぐらしのなく頃に」がありますが、あんなふうな作りで良いと思いますね。

追加
金沢カレーの件ですが、金沢カレー専門店から「計り売り」を購入してくる手がありました。
調べてみると作品の舞台の大阪にも金沢カレー専門店がありました。
それと「ヤフーショッピング」を調べると「ゴーゴーカレー」「チャンピオンカレー」などがレトルト形式で通販しているようです。
あいちゃんの作った絶品金沢カレーは計り売りや通販などで入手した金沢カレーに具を加えるなどの自分なりの工夫を加えて作ったと思われます。
ただし石川県内でも家で金沢カレーを食べる時に四話で描かれていたように、わざわざフォークを使ったりはしませんけどね。勿論、金属製の皿も使いませんし、キャベツを微塵切りにして乗せたりもしません。
普通の皿で普通にスプーンで食べます。

そもそも、金沢カレーはあくまでB級グルメであって伝統的郷土料理ではなく、金沢でも知らない人、食べた事の無い人の方が多いと思います。
ただ、大学生の間では非常に人気があるようです。大学生の間では昼も夜も金沢カレーという人もいるようで、金沢カレー専門店の混雑時間は大学生くらいの年代の若い人たちでびっしりです。
要するにこの作品のあいちゃんの言葉は「金沢弁」ならぬ関西からやってきた学生たちによる金沢弁と関西弁がミックスされた「金沢大学弁」であり、
金沢カレーの誤解は「金沢の大学生の食生活」から着ているようです。

* 金沢カレーの話しばかりしてしまいましたが、作品についても少し考察しまが、
三話で将棋初めて三か月の小学生女子が二枚落ちで七段のプロに勝つというのはちょっと無理があります。
続いて最強の女流棋士の銀子にも飛香落ち対局で優勢にすすめます。むしろこっちのほうはある程度、納得がいきます。
この時の八一の「優勢ですよ」という発言はあくまで駒落ちのハンディを加味してのものでしょう。
確かに大きな駒落ち将棋の場合は理論的には正しく指せば必ず勝てるものですから。
それから銀子が逆転したという事でしょうね。
銀子との対局はいろいろ言われてますが「もしや、勝つのでは?」くらいならありでしょう。

*2 「竜王は本当に最高の位か?」
今でも本音としては「名人」が最高の位と考えている人は多いですね。
昔、こんな話しがあります。王位戦だったかで、まだ六大タイトル制だった時期に羽生と米長にこんなインタビューがされました。
「もしも名人位か他の五冠かどちらが与えられるとしたら、どちらを貰いますか?」
羽生は「そりゃ、他の五冠でしょう」と軽い口調で微笑みを浮かべながら答えましたが、
米長は「言うまでもない事、名人」と重々しく答えたそうです。
それだけ、名人は重いタイトルなわけです。
名人位の歴史はなんと西暦にして1612年まで遡りますが、1935年の「実力制名人」が始まる以前までは江戸時代は世襲制、明治以降は名誉称号でした。
それに1948年の「全日本選手権戦(九段戦のちの十段戦の母体、広義では竜王戦の起源と言えなくもない)」、
1950年の「王将戦」などの諸タイトルが続いたわけです。

ちなみに竜王位が最高のタイトルという取り決めになったいきさつは、
読売新聞社が「十段戦を廃止し新たに最高賞金を設定した新タイトル竜王戦を始めるので、最高賞金なのだから、最大権威という扱いにして欲しい」と日本将棋連盟に訴えたので、
将棋人口の減少などから収入獲得の点でスポンサーが大切だった、日本将棋連盟がOKしたわけです。

なお、現代の位置付けでは事実上、「竜王と名人は同格」と言われています。
また名人戦に関しては「最も歴史が長く格式がある」とか言われています。

wikiからの引用ですが・・・
>竜王戦は棋戦として序列1位であるが、竜王在位者と名人在位者の序列はタイトル保持数が多い棋士が上位となり、同じ保持数の場合は棋士番号が小さい方(プロ入りが早い方)を上位とすることになっている[注 3]。なお、1名が竜王と名人を独占した場合は、「竜王・名人」と呼ばれる。これは、竜王戦は賞金が最も高額だが、名人位は他のタイトルと比べ圧倒的に歴史が長く権威があり、竜王と名人の序列をつけにくいためと考えられる。(中略)
なお、竜王および名人は将棋界の代表として、アマチュア段位の免状への署名等、対局以外の多くの業務を課せられる。

という事です。
しかし、作品的に言えば、名人は獲得するのにC2→C1→B2→B1→Aと順位戦を駆け上がりA級順位戦で最高成績をおさめると名人に挑戦できるシステムなので、獲得するまでプロ入りしてから最低、五年はかかるわけです。
それに対して竜王戦は竜王戦の予選は1組から6組までに分かれたリーグ(ただし下位リーグからの進出者には不利な構成だが)の優秀成績者のトーナメント戦で始まるので、最も低いリーグの6組の棋士でも
トーナメントに勝ちあがって竜王タイトル戦に挑戦でき竜王に勝てば竜王のタイトルを得られるシステムになっています。
つまり「17歳の名人」は事実上、無理ですが「17歳の竜王」はありえるわけです。

*3 「地獄の三段リーグ」について
このシステムについても説明しておきます(でも、今のアニメではあまり関係ない話しですがのちの銀子などの関門になります)、
女流棋士ではなくプロ将棋棋士になるには奨励会を抜けて四段にならなくてはいけません。
しかし、その最大の関門として立ち塞がるのが「三段リーグ」です。
奨励会三段にもなり、もうプロ棋士も同然の棋力を身に着けた棋士たちがここに数十人在籍していて、
彼らが半年に一度行われるリーグ戦を行い一位と二位の成績をおさめた者のみが四段になれるシステムで、まさに地獄です。
しかも25歳になったら退会しなくてはいけないという厳しい規定もあります。
一位と二位の棋士だけがプロ棋士になれるというのはあまりにキツいシステムで、多くの才能ある棋士たちがここで涙を呑んで退会していきます。
あんまり厳しいので「次点(三位)を二回取った三段棋士はフリークラスに編入できる」という救済措置もできましたが、やはり厳しいのには変わりはありません。

なぜ、こんなきついシステムになっているのかというと、「将棋プロ棋士があまりに増えると食っていけなくなるから人数制限している」に、他なりません。
医者とか弁護士のように「その職にふさわしい技能」を身に付ければ人数無制限でなれるというわけではないのです。
ちなみに奨励会三段の女性は二人居ます。一人は里見女流五冠(残念ながら一度も三段リーグで勝ち越す事も出来ず年齢制限で退会しました)、もう一人は女流棋士ではなく奨励会に専念している西山朋佳三段という女性の将棋棋士です。
西山三段は三段になった当時、三段リーグで六位だったかを取り騒がれ、その後も何度か勝ち越したりしましたが、
今はちょっと負け越しが続き、厳しいようですが、年齢制限いっぱいまではあきらめないそうです。

*作品と関係が薄い、いろいろ話しの長文を書き連ねてごめんなさいです。作品鑑賞の参考にしてください。

駄文 金沢では今は死ぬほどの大雪です。
綺麗に除雪した状態からでも、たった一晩で車の窓ガラスの半分に達する程の雪が降り、まず除雪しないと、ドアすら開けられない状態です。
しかも、そんな積雪が夜も昼も続いていて天気予報によると、だいぶ先まで続くのだから、ウンザリです。
「断続的な大雪」ならぬ「連続的な大雪」です・
仕事に行けない人やあちこちで車が雪にハマって動けなくなっている状態です。
融雪装置のない脇道は除雪用の雪上車やキャタピラの重機以外はほとんど動けない状態です。

*最後まで見ました。お話しとしては面白かったです。
最後の方は方言も出なくなってましたね。

投稿 : 2025/02/01
♥ : 49
ネタバレ

すがさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ろりろりん♪

あいくるしい女子小学生が出てくる将棋アニメ。

将棋部分はガチだが、将棋の知識が無い人でも気軽に楽しめるような作りになっていた。
ちょっと違うけど、イメージとしては『ロウきゅーぶ!』に近いかも。


\小 学 生 は 最 高 だ ぜ !/


さらに、登場人物に、実在する棋士の要素を入れていたり、
シナリオに、将棋界で実際にあったエピソードを織り混ぜていたり、
対局では、プロの実戦で現れたことのある展開が使われていたりと、
将棋ファンに向けた楽しみもきちんと用意されているので私もニッコリ。

私は以前、新潟から東京の将棋会館へ足を運んでいたほどには将棋バカで、
自宅の本棚にも、何十冊もの戦術本が並んでいる。

オタク特有の自分語りになるが、私の語彙は、それらの将棋本による影響をかなり受けていると思われ、
友人や先生から「可笑しい表現」を指摘されることもしばしば。
自分ではよくわからないけれど、あにこれでレビューを書く際にも、もしかしたらその癖が若干入っているかもしれない。



以下、知っているとドヤ顔できる(かもしれない)将棋界の小話など
↓↓↓
{netabare}
【「詰め将棋」について】
{netabare}
作中でも説明されているように、「詰め将棋」とは、将棋の基礎的な特訓である。
多くの「詰め将棋」を解いて暗記することで、
放っておくと王様が確実に詰まされてしまう状態["詰めろ"]にいち早く気付くことができるようになる。

勝てそうな場面なのに、詰まし切れずに逆転されてしまったり、相手のヤバイ攻めをうっかり放置してしまったせいで"頓死"したり…なんてことが減って、
逆に負けそうな場面では、相手をワンチャン"頓死"させるバリエーションが増える。
要するに、勝利の可能性が格段に広がるわけだ。

おそらくほとんどの日本人が知っているであろう有名な若きプロ棋士、藤井聡太さんは、
普通にプロ棋士も参加しているような大規模な「詰め将棋大会」で、なんと小学6年生の時に優勝している。

その藤井さんが、今なお快進撃を続けていることからもわかるように、
「詰め将棋」能力とは、定められた時間制限の中で闘う将棋対局において、とても大切な力なのである。


竜王タイトル所持者である「八一」に匹敵するほどの「詰め将棋」能力を持った「あい」ちゃんが、具体的にどうヤバイのか、

…おわかりいただけただろうか。{/netabare}



【人間の棋力と「将棋ソフト」について】
{netabare}
私が言うまでもなく、"物事を吸収する力"というのは、年齢が若いときほど大きく、
大人よりも高校生が、高校生よりも小学生が、小学生よりも幼稚園児の方が、成長スピードは速い。

高校3年生から将棋を学び始めたという「桂香」が、棋力に伸び悩んでいたのも至極当然のことで、
強い棋士というのは、幼少の頃から将棋に浸かっていた人が大半を締めているのだ。

八一闇落ち回で、八一が銀子に「奨励会員ごときが~」みたいな暴言を吐いてしまうシーンがあったが、
「奨励会員」というだけで、一般人とは次元が違うレベルの強さだし、
「奨励会」の下部組織に相当する「研修会」に入るだけでも、人生を懸けるだけの覚悟が必要となる。

そんな人たちの中で、最終的に結果を出すことのできた桂香のエピソードは、その努力量を想像すると感動せざるを得なかった。
これ、原作ラノベで読んだら号泣しそう。


話は変わるが、藤井聡太さんの強さの根幹は、幼い頃からの、将棋の学習方法にあると云われている。

それは、「将棋ソフト」を使った戦術研究である。

《人類と最強CPU、どっちが強い?》
なんてテーマの企画は、誰もが一度は聞いたことのあるものだと思うが、
CPUの性能は年々着実に成長していき、
数年前、「将棋ソフト」の棋力は、プロ棋士のそれを遥かに上回っていることが結論付けられた。

「最強CPU」は、腕自慢棋士の挑戦相手なんかではなく、今や現代将棋を塗り替えていくもの、
"人類が学ばせていただくためのコンテンツ"となったのだ。

人類が長年の研究により築き上げてきた戦術を無情にも覆していく「将棋ソフト」。
一手一手が好手なのか悪手なのか、ある場面での最善手は何だったのか、敗着はどの手だったのか、
これまで将棋の研究をしていく中で、いくら人間が考えてもはっきりとしなかった場面の形勢を、数値として親切に教えてくれる「将棋ソフト」。

もう、神様、仏様、ソフト様って感じ。

そして、そんなに頭の良い「将棋ソフト」が台頭し始めたのは、ほんの数年前のことである。
もちろん、それは、パソコンさえあれば誰でも自由に利用できるものなのだが、
現役のプロ棋士の幼少期には、そんな便利システムは存在しなかった。

それに対して藤井さんは、十代前半のフレッシュな脳で、「将棋ソフト」を使った濃密で非常に効率的な学習法によって、将棋の知識を取り込んできたというわけだ。

「大のベテランたちが、新人にやられ続けて情けない。」
とかいっても仕方がないのである。

だからといって、
「環境とタイミングに恵まれた藤井さんはズルい!強くて当たり前じゃん!」
というのも理不尽な話だが、
実際のところ、藤井さんの快進撃はこれからも続くだろうし、
そんな藤井さんを越えうる棋士が現れるとしたら、それは藤井さんよりも若い世代でしかありえないだろうな、というのが、私の考えである。

まあ、藤井さんがズルいっていうよりかは、ソフトがチートすぎる。こんなんチーターや!


チートすぎる「将棋ソフト」だが、それゆえに問題も抱えている。
レーティング性のネット将棋アプリなどで、ソフトに最善手を教えてもらいながら対局をするという《ソフト指し問題》だ。

リアルで向かい合って対局をする棋士には関係無いことなのだが、
私のように、スマホやタブレット、PCなどでネット将棋を楽しんでいるアマチュアの間で、そんなしょうもない行為が横行している。
(とはいえ、大体は指し手の時間間隔と手順のキモさで簡単にバレるから、即刻通報されて垢BANされる。)

「ソフト指し」、やられるとマジで勝てないから止めてほしい…。{/netabare}



【将棋対局における「棋譜」について】
{netabare}
この作品の対局は、元となる対局が存在しているのにも関わらず、盤上がほんの一部しか映らないなあと感じた人もいると思う。放送当時は、
「にわか作者」
「手抜き」
「もっと具体的な手順を見て戦術を勉強したかった!」
といった、辛辣な意見もあった。

これについて触れていこう。

「作者がにわかだから対局を鮮明に再現できない」ってのに関しては、この作品創作に日本将棋連盟の協力があることから的外れ。

あとの2つに関しては、そもそも、
「この作品の本質はソコじゃない。」
といってしまえばそれまでなのだが、もうひとつ大きな理由が考えられる。

それは、近年の将棋界で問題とされている、
《棋譜の著作権問題》だ。
これには、将棋連盟も頭を抱えているようである。


事の始まりは、とある将棋系人気YouTuberが、
とある棋戦(公式大会)で行われている対局の棋譜を、リアルタイムで並べて検討する、
という内容の配信をしていた時のこと。

その大会を運営?する会社がその配信者に、
「権利侵害」と、Twitterで警告をした。

ネットニュースになるくらいには大事になったが、実際に事件にはなっておらず、
配信者がその配信を止め、無難に謝罪するような形で、その出来事は解決した。
しかし、ここで大きな疑問が生まれる。

《何の権利が侵害されている?》

映像の二次配信をしていたのであれば明確な著作権違反であるが、本件では、放送番組そのものの映像や音声は流れていない。
ただ配信者が自らのPCを使って、駒を並べていたにすぎないのである。(※ただし、視聴者が吸いとられるので公式に"迷惑"はかかる。)

しかし、某社は配信者に、「権利侵害」と伝えた。

これまで、
《ボードゲームの棋譜に著作権は無い》
というのが通説であったのだが、
判例が無い以上、誰かが裁判を起こして確認するか、日本将棋連盟からの太鼓判を待つしかない。

どこまでが大丈夫で、どこからがアウトなのか、結局誰も回答を出せなかったから、
その出来事をきっかけとして、多くの配信者(やその視聴者)は、
公式戦の解説動画や、検証動画などで用いる棋譜について、非常にセンシティブに取り扱うようになった。


だから、本当にあった対局が用いられている『りゅうおうのおしごと』でも、
盤上を長時間映し続けることは、敏感な視聴者から批判の声を浴びるリスクがあるのだ。{/netabare}{/netabare}



最後に、この言葉を残してレビューを締め括りたいと思う。

{netabare}
姉 弟 子 L O V E ♥️{/netabare}

投稿 : 2025/02/01
♥ : 40
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