任務で戦闘なアニメ映画ランキング 8

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の任務で戦闘な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月05日の時点で一番の任務で戦闘なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

86.0 1 任務で戦闘なアニメランキング1位
劇場版「幼女戦記」(アニメ映画)

2019年2月8日
★★★★★ 4.1 (478)
2505人が棚に入れました
統一暦1926年。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二〇三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。凱旋休暇を期待していた彼らだが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦果を拡大してゆく……時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准尉。父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。

声優・キャラクター
悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章、大塚芳忠、飛田展男、濱野大輝、笠間淳、林大地、小林裕介、土師孝也、小柳良寛、高岡瓶々、森川智之、福島潤、田村睦心、戸松遥、チョー、稲垣隆史

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

メアリー・スーがメアリー・スーを名乗る限りメアリー・スーたるのであれば改めてメアリー・スーとは何なのか模索してみた

Arcadia投稿の小説が原作のラノベアニメとして2017年冬にテレビシリーズが全12話放映されたのも記憶に新しい異世界転生ファンタジー×架空戦記モノの直接的な続編


狡猾な性格のサラリーマンが逆恨みが原因で死亡
不神信者が故に神=存在Xの怒りを買い、魔法が実在し世界大戦を控えたヨーロッパに似た異世界に金髪碧眼の幼女「ターニャ・デグレチャフ」として転生させられる
ターニャは不可避の大戦を前に無力な幼女のまま死ぬわけにもいかず、自ら志願兵として戦線へ打って出る
ターニャの思惑は溢れ出る魔力と機知に富んだ頭脳と平滑流暢な弁舌で部下達の士気と戦果を上げ、出世してから安全な後方任務に就くことだった
ターニャの活躍で属する“帝国”は“協商連合”や“共和国”との戦いには順調に勝利を収めていく
が、そんな矢先に帝国へ牙を向いたのは徹底した共産主義を掲げる大国の“連邦”であり、ターニャと部下達もその戦線へ送られることとなる
理不尽さを感じていたターニャだったが、徹底的に嫌悪していた共産主義者への憤りをぶつけるべく、連邦の政治的面子を徹底的に破壊する【連邦首都襲撃】を立案する
そんな前代未聞の作戦を目撃したのが、ターニャ達を苦しめたあのアンソン・スーの愛娘にして、アンソンの死をきっかけに義勇兵に志願した「メアリー・スー」だった…


と、いうわけで今作が題材にしてるのは人類史上もっとも悲惨な戦争として著名な“独ソ戦”であることは明らか
さらに原作ではどうなのかよく存じませんがテレビアニメ版では極力オミットされていた政治や思想や宗教感の対立が物語の構造上、強く押し出された一作にもなっており、架空戦記モノでありながら立派な戦争映画に仕上がっています


そもそも戦争という非生産的な行いに対して否定的な立場であるターニャでしたが、今作中では共産主義者=コミーを徹底的に批判、罵っており、その感情的な動機で作戦を進めた結果、皮肉にも戦争が泥沼化するキッカケを自ら作ってしまうことになります
映画の冒頭でシューゲルは戦争を加速させるのは“感情”だと言っていますが、ターニャはコミュニストアレルギーという個人的な“感情”で連邦首都を破壊します
さらにこの後のクライマックス“感情”を爆発させて戦う敵に対して冷静さを取り戻したターニャが“感情”を廃して戦えば勝てることに気付くのが面白い
まずココが一番目の観どころとなるでしょう


そして今作、遂にターニャにとって最大の障壁となる“この世界で最強の魔導師=メアリー・スー”がとうとう戦線に登場することとなるのです


テレビシリーズでは群像劇を彩る、戦線とは別の国に生きるサブヒロインの一人…ぐらいにしか思ってませんでしたが全く持って迂闊でした;
そもそもメアリー・スーという名前の時点で気付くべきでしたが、この娘は【実質的にこの世界における真の主人公】と言ってもいいかもしれません


実はメアリー・スーという呼称そのものが英語文学圏、特に二次創作界隈において本家本元のキャラクターを食ってしまいかねない、<THE 厨二病設定なチートキャラ>を揶揄する隠語として機能しています
そして同時にメアリー・スーとは作者の願望の自己投影である、と常に批判に晒される、言うなれば“痛いキャラ”のことを指すのです
具体的には極端に若く、劇中のどのキャラよりも秀でており、孤軍奮闘の大活躍の後に、その死に皆が涙する…というのがテンプレートです


今作のメアリー・スーは父を愛し、祖国を愛し、慈愛に溢れ、何より信心深く神を愛したことで神=存在Xから愛された者なのです
で、あるがゆえ今作世界中では桁外れの魔力と加護を行使することが出来るのです
観る前は『ガルパン』ぐらいのアクションシーケンスを期待してたのですが、メアリー・スーが戦線に登場してから『ガンダム』か『魔法科高校の劣等生』が始まったのかとすら思いました
その圧倒的パワーで亡き父の仇であるターニャを執拗に追い詰め、彼女が思うところの【正義】の名の下にターニャを討ち取らんとし鬼気迫る表情と戸松遥渾身の芝居で襲いくるシーケンスは背筋凍る圧巻の迫力です


王道で行けば残忍で冷酷なターニャこそがヒールで、父の仇を取ろうとするメアリー・スーがヒーローなのでしょう
だからメアリー・スーは“実質的に主人公”なのです


とwこwろwがw


このメアリー・スーはやっぱり主人公のなりそこないかもしれないのですw
ターニャに固執する身勝手さ、歳相応の思慮の浅はかさ、政治や戦略への無配慮、直情的な独断専攻などが目立って描かれ、ターニャと相対的に全く持って知性を感じない【劇中最大最強最低最悪のバカ】であることは明白


『オーバーロード』や『ゴブリンスレイヤー』といった昨今のラノベ原作アニメを見渡すと、このようなメアリー・スー的なポジションのキャラをあえて登場させ、イキって出て来たは良いがバカをみたあげく散々酷い目にあってから死ぬ、という展開がトレンドなのは間違いないでしょう


たぶんこーゆーのを流行らせてしまったのは『ガンダムSEED DESTINY』が一因だと思います


逆に『サイコパスSS1』では明らかにこのシリーズのメアリー・スーとして登場した霜月美佳を、これが上手く成長する姿を描いたことでヒロイックな作品に軌道修正したのが印象的でした
メアリー・スーはぶっ殺すのがトレンドかもしれないが、あえてコレを一段階上にレベルアップさせてやるのも選択肢というわけです


さて今作のメアリー・スーそのものですが、こうもあからさまにメアリー・スーを名乗る以上、今後はその有り余る力で散々ターニャを追い掛け回した挙句、最後の最後でターニャに勝利を収めるか、一矢報いてから盛大な死を遂げてもらうと大変個人的には望む展開であります(笑)


正直とても面白い映画ではあったものの、当初あまりレビュ執筆には乗り気ではなかったのです
が、三日三晩メアリー・スーのことが頭から離れず、なんとかしてオイラのこのバカ野郎愛を記したい
と、こうしてキーボードの前に座った次第であります


まあクライマックス、数で勝る連邦があの戦線から手を引いた理由がほとんど描かれてなかったのが不満なのですが、それに付けてもメアリー・スーの装備する演算宝珠がまさかのスキー板で“アニメ史上初じゃないか?と思うほど丁寧にスキーのエアトリックで戦う姿が描かれた”のには思わず感無量でした
この時期の楽しみはFISの中継観戦か雪山アクティビティと相場が決まってますから(お
ですからその辺はもはやプラマイゼロといったところですよ
是非このシリーズの続きを、というかメアリー・スーの行く末をオイラはゆっくり眺めたいと願っております


1回目は新宿のEJアニメシアター(旧角川シネマ新宿)で観たのですが、2回目は立川シネマシティのシネマツーcスタジオの「幼女の皮を被った極上(化け物)音響上映」で鑑賞
岩浪音響監督も絶賛の太鼓判を押すほどの仕上がりで、それもそのはず
魔導士が飛ぶ度に強烈に歪んだ低音がサラウンドでうねりを効かせて飛び交いまくるし、貫通術式が放たれる度にそれはそれは凄まじい破裂音を浴びせられます
これまでの爆音上映の類の中でも1,2を争うのではないかという、ちょっと他の映画では体感出来ない音でしたね


3回目観ました
立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上爆音上映「限定魔導爆音上映」です
これで確信しましたが間違いなくオイラが今まで観てきた全ての映画の中で最も音圧が強く、尚且つそれがずっと続く映画が今作ですね
ティゲンホーフ戦線での大砲の炸裂音の連続、ターニャとメアリーの空中戦での歪んでうねる低音、そして戦闘機の地響きのようなエンジン音
このようなデカくて歪んだ音がずっと続く映画ってのは今作以外には無いでしょう
少なくてもアニメとしては世界的に見ても唯一無二だと思います
是非とも劇場で、可能であれば岩浪音響監督がオススメする劇場でご覧になって欲しい


4回目の鑑賞はイオンシネマ幕張新都心の8番スクリーン
幼女の皮を被った ULTIRA(化け物)9.1ch
ULTIRAとはイオンシネマの独自規格でIMAX程でないものの、他のスクリーンに比べ非常に大きいシルバースクリーンとDolbyATMOSにも対応した高品質な音響設備を持ったイオンシネマとしては最高峰のスクリーンです
これに近いのがTOHOシネマズの独自規格のTCXですね
まず画面なんですがこれは3D上映に対応する為のシルバースクリーンってことで若干色合いがくすんで見えます
正直これに関しては致し方ない
で、音響面ですがウーファーがスクリーン下で剥き出しになっているせいか、やや低音が強めに感じます
そして9.1ch仕様の恩恵を最も強く感じる(通常は5.1ch)のは背面スピーカーから台詞が聴こえてくるような場面です
具体的には第二〇三航空魔導大隊のモブ兵士達がざわめくようなカットや、モスコー襲撃の際にヴィーシャが公共放送をジャックした時など、後ろから聴こえてくるセリフがハッキリと聴こえました
細かいセリフを聴き取り方には最もオススメ出来るスクリーンですね


5回目の鑑賞はユナイテッドシネマ豊洲の4DX
劇中、空中を漂っているシークエンスが多いので結構な割合で座席モーションがフワフワと揺れていることが多いのと風がずっと靡いてるのも多かったです
冒頭のメインタイトルバックで泡による降雪の表現があったのには笑いましたw
宝珠が発動するたびにストロボによる眩い光が入るのもカッコよかったです
爆炎に呼応するスモークの演出はやたら濃い目でしたね
ユナイテッド豊洲は特にアナウンスしてませんでしたがこれはシネマサンシャイン平和島が言うところの所謂「効果マシマシ上映」に相当すると思いました
ロリヤが唾を飛ばすシークエンスで水飛沫を期待してたのですがソレは無かったです(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今さらタイトルで敬遠もなかろうて

原作未読 TV版視聴済み


“存在X”とか説明なしに語られてるためTV版を視聴済みであることはお作法といってよいでしょう。
あいかわらず主人公が幼女である意味がわからない『幼女戦記』の劇場版となります。

たいしたこと書いてないけどミリタリ的見解はTV版のレビューに載せとります。
俺たたENDなTV版の最後覚えてます?※一応隠しときます。

{netabare}砂漠みたいな南方戦線に飛ばされて「どうしてこうなったー!?」ENDでした。
存在Xに対峙するには、信仰にすがるのではなくあくまで合理性で勝負する路線を突き進むのかどうなのか?と続編の注目ポイントをわたくしレビューで書いてますね。このモノの見方はブレてないです。{/netabare}

続きが気になる終わり方だったのでおおむね劇場版に期待するのはこんなところ↓
Q
1.答え出るん?
2.戦闘は派手になる? ※そこはホラ、、、映画だし(^^)

ざっくり回答は↓
A
1.出ません。
2.派手になります。市街戦闘ではぬるぬる変態的な動きをしてます。

スタッフや声優を引き継いで制作してるので大外しはありえません。安定して面白かったです。
ついでに、“信仰心と合理性”なのか“感情と理性”なのか?
“存在X”とターニャが対峙しての二項対立のような図式に見えてたけっこう重要な部分。
ターニャの対立軸として、この“信仰心”ないし“感情”を体現する存在が登場したこともファインプレー。もちろん{netabare}ターニャとの死闘の末戦死したアンソニーの娘。メアリー・スー(CV戸松遥){/netabare}のことです。

これで見やすくなりました。神VS人間よりも対立する両極端な人間同士のほうが物語が破綻しにくい。
己が正義とのぶつかり合いになって譲れない争いになりますし、元はといえば存在Xという同じ親から生まれた相反する二つの概念であるという深みとコクも出てきます。

【作品テーマ】

 存在Xとの落とし前をどうつけるのか?

⇒これは道半ばです。

【劇場版の面白いとこ】

 ◎ ターニャ VS メアリー・スー
 ○ 市街戦闘

きわめて劇場版らしい。劇場版に期待するところを満たした『劇場版幼女戦記』でありました。



※ネタバレ(もある)雑感

■世界観の意図

既視感のある国・人・軍事パーツを素直に楽しめる一方で、WWⅠとⅡをごっちゃにして~の史実との乖離や魔導部隊なる設定。純歴ヲタだとアレルギー出そうなのもわからなくもない。なんせ空飛ぶ人間が銃剣で戦闘機の翼をたたっ斬ることができちゃう世界ですから。これには一家言あって、


 これ外国でも流すんですよね?


アニメ大好きフランス・イタリアやアメリカ。ドイツも例外ではありません。それらの国を配慮して…なんてアホなことは言いませんよ。

 {netabare}ガチ史実ベースの世界作ってアナザーストーリー{/netabare} 

それに欧米人が耐えられるか?って無理だからちょっと外した世界観なのだと劇場版観て思いました。

選挙で選び渦中は熱狂した事実に蓋をして全部ナチスに罪を被せて、ニュルンベルク裁判の前と後とで分断を図り逃げ切ったドイツ。
反省したドイツを見倣え!って彼ら反省なんて微塵もしてませんけどね。「我々とは別のナチスなるもの」を作っておっかぶせただけです。もちろん賠償には応じてません。

次にアメリカ。原爆投下を正当化するストーリーは皆さん耳タコでしょう。自らの罪に向き合ってない点ではドイツと一緒。

イデオロギーにしちゃうのはどうぞご自由に!彼らの意見に乗ろうがかまいませんが、少なくとも私は日本国籍を有する者なら「違うだろ」と指摘し続けることがお作法であるとの考えです。

何が言いたいかっていうと、彼らのン百倍は反省している、なんなら反省しなくてもいいことまで、それにおかわりで“俺たちの反省はこれからだ”の勢いで反省している我々からすれば、

 {netabare}正当化だらけのお前らの豆腐メンタルじゃ受け止めるのは無理!{/netabare}

と思っちゃうんですよね。世界広しといえどもドイツ第三帝国を茶化せるくらいの表現の自由が認められてるのは我が国くらいなもんです。
ぶっちゃけ仮想ナ○スが活躍する作品なんてリアルに寄せすぎると×。これくらいのファンタジーっぷりでちょうどよいと思えるのです。そのうえでやや無理筋な作品設定については流れてる哲学が荒唐無稽でなければ無問題と考えます。


其の一:{netabare}「コミー(commie)」と共産主義者を忌避/軽蔑する単語をターニャ筆頭にガンガン発してます。

「なんでお前らソ連と組んでんねん?」みたいな。
日本に視点移せば、大日本帝国が必死でソ連食い止めてんのに何してくれてんだ?の心境です。レイトカマーのアメリカがアジア利権にちょっかい出すために日本を外そうとして失敗。中華人民共和国成立など共産国家の台頭を許し、朝鮮戦争からのベトナム戦争と余計な結果になったよな、と。
やや盛ってこれくらい言ったうえで、「でも今は仲いいよな」とするくらいでちょうどよいのです。{/netabare}


其の二:{netabare}義勇軍?メアリー・スーも狂気を帯びたちょっと危ない人設定です。

「正義を振りかざしてどんだけ無茶してきてん?」みたいな。
仮想連合国の象徴みたいな存在にメアリーを持ってきた意図。合わせ鏡と思いなさい!{/netabare}



■ドキッとくる至言

トンデモ設定もあるにはあるけど底流がしゃんとしてると私は思います。
たまにグサリとくる高速ストレートありませんでしたか?

・{netabare}「無能な働き者か…やっかいだな」

序盤。メアリー・スーの上官がメアリーを指しての一言。

 1.有能でやる気のある
 2.有能でやる気のない
 3.無能でやる気のある
 4.無能でやる気のない

リアルの現場でも3.が最も厄介であり、組織を破綻に導く存在として心にとどめて置かねばなりません。覚醒するまではひどかったですからね、彼女。{/netabare}


・{netabare}「まずもって勝つことが大事 正しく勝たねばなりません」
 「でなければいずれ歴史に笑われます」

参謀本部にて後方勤務の希望を伝えた時のターニャ。
勝ったほうが歴史を作るのはまさにまざまざと見せつけられているのが我々現代日本人でしょう。つまり転生前のおっさんターニャの知ってる歴史。賢者は歴史に学ぶ。よって、次は勝たねばなりません。
「思考放棄した俺の勝ちね」くらいの程度の低さを露わにしてるのが我が国です。軍事研究なぞしませんとドヤ顔で発表してる横で北朝鮮の核開発のために亡命する教授を輩出した某帝国大学とかなんのブラックジョークでしょう。「勝つために考えること」と「行使すること」は違います。

ガラスを拳で叩き息巻くお偉いさんに戦の収め方のプランはあるか?と問うたターニャさん。正しく勝たねばなりません。先述、日本を叩き潰したことでソ連の増長や朝鮮戦争ベトナム戦争へと発展した結果を見るにアメリカにとって正しい勝利だったのでしょうか?

リアルではこれがなかったのが大日本帝国の最大のやらかしです。正確には正しい勝利ならぬ正しい敗北のプランニング。戦闘で敗北しても戦争目的を果たす困難な作業をです。ぎりぎりで國體が守れたものの結果オーライ。次は結果オーライにならないように真剣に考えましょう。

でなければいずれ歴史に笑われます。
令和初頭の日本人が未来の日本史の教科書でどう書かれているかみものですね。{/netabare}



■(オマケ)主題歌について

{netabare}TV版の主題歌をアレンジ加えてもってくる演出にしびれます。
ターニャ役悠木さんが歌う「Los! Los! Los!」。このへん「トラ!トラ!トラ!」をなんかしら意識したのだろうと、“LOS”を調べてみましたが、スタジアムの名前だったりタイ王国の愛称だったりビンゴそうなのはなく、そのまま“LOST(喪失)”くらいの意味合いで受け取りました。

注)他のレビュアーさんからの指摘でLOSはドイツ語で別の意味があるらしいです。{/netabare}



これ2期ないと詐欺ですよ。待ってます!



視聴時期:2020年2月 

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2020.02.26 初稿
2020.09.21 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 59
ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

超贅沢な一品(一部ネタバレタグで隠してます)

 語り出し。

 映画の中でも戦争映画は好まれて題材にされる.
 なんでかって今を生きる全ての人にとって、かつて戦争があった。その土台の上で私たちが生きているという事を大小はあれど認識を共有しているからに他ならない。まぁ現在でも内戦やテロとの戦いで命を落としている人もいるだろう。そんな誰しもに共有される戦争と私達は無関係ではありえない。

 アニメ化から劇場版までの感想(ざっくり)。

 この作品は原作は小説、それからアニメ化して映画化されたという流れではあります。
 アニメでしか知らないのでそちらからの視点で語ります。
 この物語の時代背景はおそらくリアルの世界でいう、第二次世界大戦をモチーフにしてもし、魔法という技術が発達していたらといったある意味SFではありますが、その魔法という設定においては神秘性があり神の力という形で表現されているのでファンタジーの枠を出れていない。
 ただ、この物語の良かった部分というのは、魔法でなんでも解決できるねよかったね。という所ではなく、むしろ魔法が使えない者たちの描き方が良くできている。これはリアルをなぞった形ではあるので、ファンタジーだけれどどこかリアルとの結びつきを感じる。戦争というものを詳しく知らない人(私)でさえどこかリアルに感じられる空気感が作品全体にあります。これはひとえに小説の著者の世界観の構築の上手さでもあると思うし、それをしっかりと映像化している製作者の人達の力も大きい。そんな恵まれた作品だと私は思う。

 ここまでは実際にテレビシリーズから劇場版までを見たざっくりした感想です。アニメ版の方のレビューはしてないしするつもりも今のところないので。まとめてやってみました。
 
 劇場版としての出来はどうなんだ。
 最高級ですね。
 
 映画としての構成が良い。
 映画は時間が限られるので、変に登場人物を増やして、感情移入を誘うことに時間を取られていると作品全体のスピードが損なわれてしまうので、なかなか見るに堪えないものになりやすい。
 新キャラはいるし、スポットライトを当てているけれど、アニメ版を見ている人にとってはどういう動機で行動しているのかというのがはっきりわかるようになっているし、久しぶりに視聴した私でも、あの時と関係あるんだなと分かるようにフラッシュバックを上手に使っている。これは演出が良く機能しているのでストーリーのスピードを落とさずに楽しめる工夫がしっかりある。
 映像作品としての掴みが素晴らしく最初から全開です。
 個人的に映画で最高の構成をしてるなと思っているのがクリストファー・ノーランの「ダークナイト」です。みんな好きだと思います。シーンに次ぐシーンの連続で息もつかせぬ展開力は素晴らしい作品なんですが、この劇場版幼女戦記も同じように良い構成と展開力を持っている。

 キャラの評価と物語の評価それと演出について。
 ここからは少しネタバレが激しいのでチョキチョキします。
 {netabare}キャラと物語の評価が低くなっている点についてです。これまでの物語ならば文句なく☆4か5くらいはつけているのですが、今回はちょっと映画という事で戦闘シーンが凄いんですが、もの凄いんですが…やりすぎたよねw
 デグレチャフを親の仇とするメアリさんはキャラとしてちょっと強すぎます。魔力の高さだけで、デグレチャフの練度を凌ぐというやり方をしなければならなかったのは分かるんですが、街中にビームどーんを連発しまくってさらに、近距離での被弾でも生き残る強さについてびっちゃけやりすぎて物語の根幹を揺るがしている。
 何で揺るがされるかって、最初に書いたように、この物語は基本的にデグレチャフの魔法無双なんですが、その他の要素をリアルにする事で見れるものにしてうるというバランス感覚が実は非常に難しいのではないかと感じております。
 魔法が技術や戦略の枠内のハマっている段階までは良いと思いますが、それをはみ出ると一気にただの無双ものに成り下がる。デグレチャフの対抗馬として、ライバルとして出すにしても今後脅かされる脅威位が妥当なのではないかと思いました。残念ながら単純な力ではすでに圧倒しているわけで、今後メアリさんが兵士として成長するという余白がもう無いよなーってなりました(あっても描くのが難しい)。そういう意味で、キャラの描き方と物語の評価が下がりました。んでもって演出も過剰になっていると思われます。
{/netabare}

 背景がメチャクチャすごい!!パーツの作りがスゴイ細かい!!
 もうね、見てほしいです!マジですごい。
 しかもね、戦闘中のカットでちゃんと背景をカメラ(便宜上)動かして映像から伝わるスピード感を演出している。めちゃカッコいい。進撃の巨人越えたなってなってます。街中の戦闘の素晴らしさは見なければ損です。
 さらにこれまで以上に飛行機や大砲の書き込みが素晴らしいんです。さらに大規模空中戦をしているシーンなんかはもう圧巻です。
 第1次世界大戦でおなじみ塹壕戦での戦い方など、しっかりと書き込まれていて映画見てるなーってなります。アニメならではの絶望的な物量で攻められている感の出し方が上手いなと感じた次第です。

 脚本に関して
 タバコや酒の話をしっかり描いて良かった。個人的には戦争映画(アニメとは違う)に特にタバコは欠かせないものだと思っている(私は吸わないけれど)。
 セリフも良いんだけれど、細く入る感嘆語、感動詞ともいうのが良くて、こういうのが入るだけで、キャラクターの肉付きが良くなる。
 デグレチャフ演じる悠木碧さんの小さく鼻で笑ったような声が面白いし可愛い。他のキャラも同じことが言えますね。セレブリャコーフ演じる早見さんのため息とかも最高です。はい。

 かなり自分の趣味に寄ったレビューですが、まぁそういうもんですよねw
 個人的にすごく楽しめた映画でした。
 作画や背景、各パーツの書き込み。ネタバレのところでも書きましたが、市街戦の作画は本当に凄くて、それだけでなく、大規模空中戦も凄い。
 ストーリーが…とかそんな事はどうでもよくなる位には圧巻です。
 見ないと損です。ぜひ見てみてほしい。ストーリーも追いかけたくなったらアニメ版も見てみると良いかもしれません。そっちはそこまで保証はできないですけれどね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12

85.0 2 任務で戦闘なアニメランキング2位
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(アニメ映画)

2020年10月16日
★★★★★ 4.1 (580)
2484人が棚に入れました
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった。

声優・キャラクター
花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

列車と流行は乗るものです

長いものには自ら巻かれにいきます。プライドはありません。


全23巻で完結するだろう原作漫画の7巻ぐらいまでを2クール26話でアニメ化。この劇場版は8巻の内容に相当、TV本編からの続編を意味します。

2期やるならゴールデンタイム放送も荒唐無稽な話ではなく。
しっかりバンダイさんが日輪刀を発売してますし、物販で円盤以外の武器があることは強み。原作が完結しているとはいえ暫く商売にはなりそうです。
そしてこの劇場版。老若男女巻き込んで記録的ヒット中なわけですがなんか様子がおかしい。初見の方が楽しんでるのです。「続編だからTV版観といてね」というわけでもなさそう。整理します。

1.原作を読んでいる。読んでない。
2.アニメを観ている。観てない。
3.観た人はリアタイの頃?それとも最近?

一見さんお断りというわけではないのでそれぞれ立ち位置だけ確認。
自分は原作未読でアニメ視聴済み。かつ公開直前の部分一挙放送でおさらい済み。もしも準備したいなら第21話以降最後までをおさえておくとよいかもしれません。
{netabare}※劇場版メインキャラ:煉獄杏寿郎(CV日野聡)と魘夢(CV平川大輔)が顔出しするのと、無限列車編に向けた先出し情報がけっこう含まれてます。{/netabare}


【社会現象】
様々な角度から分析されてるでしょうから細かくやらんけど、もたらされた興収で一服つけた映画館が数多くあったと聞きます。上映作品の弾数少なくスクリーンに空きができたコロナ禍の特殊事情なんてのを数年後に思い返すことでしょうね。流行り病を鬼の仕業とみなす伝承になぞらえ、経済循環の一翼を担うことで現実世界でも鬼退治してるようなもんに思えました。


そして本編。
冒頭の1カット。え!?実写ですか?というところから始まります。TV版の第1話は、え!?劇場版ですか?という入りだったのでなんとなく既視感みたいなのを感じますね。
美術はTV放映での神回と呼ばれる第19話の気合が最初から最後まで続くと思っていただいてよし。
117分の上映時間のうち一部を除いて列車の中での出来事です。殺陣や空間を使った演出など狭い列車空間ではスケールダウンするかもという不安は杞憂となってます。梶浦由記さんの劇伴も物語を盛り上げ、作画/音楽の良さは太鼓判を押せましょう。まさに劇場で鑑賞すべき作品ですね。

ストーリーはいかんせん途上なのでなんとも言えじ。全体でどうこうはひとまず置いといて1エピソードとしてみるなら申し分なしではないでしょうか。家族愛との結びつきで“強くなれる理由”を知った本編なら、その強さを何のために使うのか志(こころざし)の領域、メインキャラ煉獄さんを通して“闘う理由”が劇場版でははっきりしてきます。感動するとしたらここ。個人的にはむしろ家族愛に囚われちゃうと見落としかねないとすら思ってます。

キャラはもちろん炎柱の煉獄さんがごっそり持ってくんですけどTV本編からの進展もある。炭治郎の同期、特に伊之助との絡みにそれは顕著でした。TV本編では兄と妹の絆に焦点あてていて友情プレイは控えめ。「努力」「友情」「勝利」の「友情」部分が希薄だったと言えましょう。そのため「友情」の中核たる善逸や伊之助についてキャラ立ちの良さを認めつつも別角度から見れば三人いることの相乗効果は感じられず、またギャグテイストな二人は一歩間違うとガヤ扱いでうるさい。炭治郎の“やさしさ”で繋ぎとめている関係に見えなくもなく、このへんが子供向けと断じてしまう要因だったように思えます。それが劇場版では幾分緩和されてました。段階が一段上がったとも言えるかも。
そして余力あるか2回目でもいいですけど“煉獄さん”“炭治郎”“善逸”“伊之助”“禰豆子”誰が欠けてもラストステージには届かないという細い糸を手繰り寄せるような作業を各々がしていたことを見逃さないでほしいです。

公開中なら映画館の迫力映像&音響を楽しめるのはもちろんのこと、例え機を逸して自宅鑑賞となったとしても、ストーリーやキャラの関係性がTV本編に上乗せされてるので見応えはあります。
それに事ここに至ってはなんだかんだ鑑賞のきっかけをはかるレビューの意義をあまり感じないのが本音。これだけメディアの露出がある作品ですのでお祭りに参加する感覚でよろしいのでは? 

ちなみに泣こう泣こうと思ってもそうはならないと思います。感動したーのインタビュー映像は一切無視。期待値のコントロールは各自しっかりして、無駄にハードルを上げ過ぎないようにしましょう。





※ネタバレ所感

■これはデカい!共通言語を獲得

「それにしても素人使うのはちょっと…」
劇場版が公開される度につぶやかれてきた常套句ですね。プロモ兼ねて世間認知度の高い俳優さんを起用するいつものアレ。ふとしたことで気づきます。このメガヒット作にその不満が一切ないことを。
このことはアニメファンにとって二重の意味で幸せなことだと思います。一つは文字通り棒演技を我慢することからの開放。二つめは共通言語の獲得。

 普段アニメを観ない人と声優さんの話ができる!{netabare}…かもしれない{/netabare}

「あー○○さんね。鬼滅で△△の役やってた人だよ」というテンプレがこの度誕生した衝撃はもの凄いものがあります。

「あー○○さんね。××で△△の役やってた人だよ」の××の選択肢がほぼジブリ/ディズニー/他夕方ご長寿アニメ独占状態だったところに近年『君の名は。』がやっと追加された今日この頃。
鬼滅はキャストが脇役含めて深夜アニメオールスターと言ってよく、TV本編を視聴してる層も一定数いることも考慮すると△△に入る人たちがめっちゃ多い。
竈門家だけでも父:三木眞一郎、母:桑島法子、子供たち:大地葉、本渡楓、古賀葵、小原好美とかいう水準。皆なにかしら代表作持ってる方々なのに一般の人からみれば誰も知られてない。
それが此度の一件で「鬼滅の煉獄さん役の人が主役はってるオーバーロードってのが…」みたいな発展が容易にできちゃう世界になってしまいました。
応用パターンも。スラダン世代だったら鱗瀧さん役の芳忠さんは仙道やってて、炭治郎が初めて遭遇するお堂の鬼役緑川光さんは流川楓だぜー!みたいなツカミもできるわけです。


実力のある制作会社。本職がもたらす声の演技の凄み。作品に寄り添って製作された主題歌の余韻。
よくよく考えると深夜アニメ王道を行くタイプの作品としてこれだけのメガヒットは史上初では?
訓練されたアニオタには常識でも一般人には未知なるフロンティア。今回初めて“深夜アニメ”に触れた多くの方々が泣いたり笑ったり楽しんでいるこの状況が喜ばしいのです。
あらためて思います。日本のアニメは素晴らしい。


■「家族愛」と言うけれど…

“覚悟”と“責任”のお話ですね。だから人々の琴線に触れるのだと思います。
“家族愛”があまりにもプッシュされてるんですけど少しばかり疑義が有る。行動や考え方の根っこに家族の存在は根付いてるけれども登場人物たちはその想いを大切にしながらそれより先。志を持ち責任を全うする覚悟を携えている。いわば未来を見据えております。むしろ鬼側の諸事情が家族止まりという対比にもなってますね。
愛郷心とでも言うべきでしょうか。家族より広範囲な+αの共同体を守らんとする物語となってます。

{netabare}TVの第2話で鱗瀧さんが炭治郎に覚悟を迫り禰豆子が人を襲った時に自害すると即答できなかったことを詰問するところから始まり、柱門会議の御前において禰豆子が人を襲えば腹を斬る主旨の書面をしたためていた鱗瀧さんと富岡義勇の凄みがまさにそれかと。三人とも実際の家族ではないのです。{/netabare}

{netabare}煉獄さんが守ったのは200名の乗客の生命。それと己の生き様でした。

劇中で炭治郎が叫んだ「勝利」の定義を受け入れられるかどうかは作品の評価に直結します。
野暮と承知しつつ、引き換えにしたものと天秤にかけて敢えて損得勘定したとしても、後進(炭治郎、善逸、伊之助)の心に炎を灯したことでお釣りが充分とれたよねと私は思ってます。
これが唯物論的に捉えるとまったく景色が変わってくると思います。物理的な勝利ではなく「え!?これでなんで感動するの?犬死じゃん」となっちゃうかも。{/netabare}








※マジで無駄話…しかも長くてゴメン

■つまりこういうことね

鑑賞済みの方向け。そのわりには全く踏み込んでないただの妄想のため閉じとく。

{netabare}国際関係に少しばかり踏み込むネタなため不快にさせちゃうかもしれません。たいした話ではありませんが念のための注意喚起。ブラウザバック推奨です。
ちなみに弊社は彼の当該国に事業所があり取引先も存在し、同僚もそこそこ多国籍でわりと喧々諤々楽しくやってます。そのため実地をそれなりに把握してると自負しつつ放言しますのでご容赦を。{/netabare}

{netabare}鬼 「鬼にならんか?14億の市場で儲けさせてやる!」
人 「一度鬼になれば利益の再投資は鬼界に限定され人間界には戻ってこれない」
鬼 「人口減少や低水準待遇の人間界に未来はない。鬼はいいぞ!バスに乗り遅れるな!」
人 「弱い鬼たちを浄化してふんぞり返るなんて俺とは考え方が違うということだ。断る!」

という既視感。{/netabare}

{netabare}代々蓄積されてきた肌感覚なんですよ。
菅原道真公がなんで大宰府に流されたかって遣唐使廃止で利権をごっそり潰したことへの報復でしょう。左遷先の大宰府で客死しそのあと都で人死にが続く。祟り扱いされたのは飛ばした連中に後ろめたさがあったからでしょうね。

となるとそんなリスク背負ってまで遣唐使廃止する必要なかったのになんで?となるのが普通の感覚です。そこで出てくるのがマルコ・ポーロの『東方見聞録』、玄奘三蔵の『大唐西域記』と並ぶ世界三大旅行記とされながら現代日本人にとってはドがつくマイナー書『入唐求法巡礼行記』(円仁)。刊行年は遣唐使廃止の50年くらい前。大陸の人肉食習慣その他悪習がこれでもかと書かれていて国内の東洋史学会ではウケない内容っすね。なお書店で販売されてるのは肝心な唐での体験部分がごっそり抜けたもの。

そもそも遣唐使は行って戻ればアホみたいに儲かる。交易あらば交流あり。文化は良し悪し関係なく流入してくるのは当たり前ですよね。巷では悪習が入り込んですこぶる庶民には評判が悪かったという土台があって、それを唐が滅亡する13年前に鎖国を断行。悪習の流入阻止ばかりではなく大国滅亡の混乱に巻き込まれることをも防ぐファインプレー。

そんなこんなで道真公は神社of神社ともいえる『天満宮』の御祭神であらせられますからね。亰で頻発する祟りを鎮めるために大宰府の庶民が詣でますかって話です。神童でならし出世が早かったなんて人は他にもたくさんいるでしょう。

 きっぱり関係を絶ったからです

そして別にこの時も後の江戸時代だって彼の国と敵対してたわけじゃないんですよ。付く時期と離れる時期の見極めは歴史に学んで良いと思います。隣り近所なんてそんなもんなんですから。
そもそも人食ってるところに利益ぶら下げられたからってホイホイついていくか?ってのが問われているのです。ズブズブになって「生殺与奪の権を他人に握らせる」前に道真公は撤退したのですよ。おそらく自分の身にふりかかる災難を見越した上でです。
そんな菅原道真公を祀って顕彰し続け御社に足を運ぶ1000年前の日本人の感覚と“煉獄さん拝みに劇場に足を運ぶ”僕らの感覚とでそんなには変わらんのだろうよと勝手に妄想している私です。大ヒット神社と大ヒット映画!うーん…このへんで止めとかないと罰が当たりそうなのでお終い。

{netabare}そういえばいつのまにか聖地化してた竈門神社も大宰府でしたね…{/netabare}


作品に戻って“正しく生きること”を考えさせられます。煉獄さんの母はこう言いました。

 「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です」

これはお侍さんの基本的な考え方だったかと思います。
思えば伊之助が乗客省みず猪突猛進しかけた時も乗客の安全を確保してからだったし、
火の呼吸は知らんので話はお仕舞だとぶった切ったと思いきや、煉獄家のヒントを指し示したり、
後輩の話を聞き流してんじゃなくて留めて心を砕いてくれてたんだなということがわかります。

そして正しいことをやるためには強くならないとね。子供に見せたいという声があるのも分かる気がします。子供に見せる名目で大人が見るのももちろんご随意に(笑)

{netabare}大事小事関係なく、私たちは常に「鬼にならないか」と誘われる日々を過ごしているといえます。人と鬼双方に事情があることは作中で示されており巷でも作品の魅力によく挙げられてますよね。そんなんで鬼にも同情すべき点があるなぁと呑気に構えていたら、この劇場版で煉獄さんに「鬼の倫理」と「人の倫理」は明確に違うことを突きつけられたわけです。{/netabare}

映像と音楽が突出して良くて、あとは良くも悪くも少年JUMP的作品。これはTV本編の私の評価です。その基本的な考えは変わってないのだけれどもちょっとだけTV本編よりも評価高めどす。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 劇場にて 

-------
2020.11.15 追記

別に予言でもなかったのだがさっそくの教訓。

「お前も鬼にならないか?」 ⇒ 「はあいよろこんで~」

を地でいくNEWSが飛び込んできた。炭治郎の耳飾りのデザインを変更して某半島で配給するとのこと。長くなるので止めとく。



2020.11.01 初稿
2020.11.15 追記
2021.08.11 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 65

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これは劇場版のレビューではなく、鬼滅の刃のヒットの要因を考えるレビューであり、劇場版のネタバレは一切含みません!

[文量→特盛り・内容→考察系]

じゃあ、テレビアニメの方に書けやという話なのですが、元々のテレビアニメのレビューに追記したら「字数オーバー」で消えてしまったので、こちらに失礼します(笑)

以前、ZIPで特集されてて、なるほどと思った。

まず、街頭インタビューに出てくる人がほとんど女性。やはり、女性にウケないと、真のヒット作品(社会現象)にはならないんだなと。

んで、ある女性が「心理描写がしっかりしている」ことを本作の魅力に挙げた。これは、正直意外だった。

というのは、本作の心理描写は悪いという意味ではなく、そもそも、「自分(男)としては、バトルアニメにそれ(心理描写)を求めてない」。

私は、バトルアニメ(漫画)が好きで、子供の頃からたくさん観てきたが、結局、バトルそのものが好きなんだと思う。

つまりは、「ドラゴンボール」に見る、「強さへの単純な憧れ」か「HUNTER×HUNTER」に見る、「高い戦術性への感嘆」かだ。

「ドラゴンボール」に、細かな心理描写なんてないし、いらない。むしろ邪魔(これは、ONE PIECEやFAIRY TAIL、TOUGHなんかもそう)。

「HUNTER×HUNTER」には細かな心理描写があるけれど、それは「心」というよりは「思考」であり、あくまで戦術を魅せるための前提条件に過ぎない(これは、NARUTOや喧嘩稼業、ワールドトリガーなんかに近い)。

私はテレビシリーズを☆4と高評価しているが、それは作画に対する評価が大半であり、物語やキャラクターに対する評価は(低くはないけど)高くない。

本作の「魅力」である(らしい)心理描写に関しては、「バトルのテンポを悪くしている」と酷評していたくらいだ(この辺はテレビシリーズのレビューに)。

だから正直、「つまんないアニメではないけど、ここまでヒットするのはなぜだろう?」という疑問を持っていた。原作も読んだけれど、バトル漫画としては中の上。正直、これより面白い漫画は、過去現在数多ある。

これは、批判をしているのではなく、不思議だっただけ。

そもそも、(私以外の)多くの人に受け入れられているということは、私に見る目がないか、私の好みに合わないかのどちらかだから。

心理描写、というキーワードにも関係するのだけれど、「鬼滅」にあるのが、「キャラの可愛さ」と「愛を打ち出す設定」。

「鬼滅」のキャラクター(炭治郎、善逸、伊之助)には、少し、「隙」がある。「脆さ」とか「弱さ」と表現しても良い。

多分それが、女性目線で観たときの「愛されポイント」であり、「可愛さ」に繋がる。男性目線で見るなら、「女々しさにイラッとするところ」だ(実際、悟空とか全然可愛くないじゃん。べジータとかクリリンはちょっと可愛いけどw)。

ちなみに、余談の余談だけど、「可愛い」の語源は、「かわゆし」という古語で、「不憫だ」「気の毒だ」といった意味を表す。つまり、今の「可哀想」と「可愛い」は元々同じ言葉から分岐したものである。よって、「可愛い」には、「守ってあげたい」という「庇護欲」が含まれるのだ。赤ちゃんや動物を「可愛い」と感じるのはこの点だし、ゆるキャラやお爺ちゃんを「可愛い」と表現する理由でもある。強い者は不憫ではないから可愛くない。炭治郎やべジータが可愛いのは、「不憫だ」というのがあると思う。

閑話休題。

と、これだけ可愛いキャラなのに、「決めるところは決める」「格好良さ」を持ち併せていて、しかもそれを神作画によって何倍にも増やしているので、人気が出る(この辺は特に、子供ウケするところかなと思う)。

しかも、その動機が、「愛」に起因している。

同じくZIPで、前述とは違う女性が、炭治郎の「家族(妹)愛」に触れていた。

男はきっと、「禰󠄀豆子、可愛い」になるけど、女性は多分、「禰󠄀豆子を必死に守る炭治郎、可愛い」になるんじゃないかと。つまり、炭治郎の「家族(兄妹)愛」に、女性は萌えるのだ。

話は変わるが、「劇場版コナン」には多くの大人の女性が足を運ぶことは知られている。この「劇場版コナン」にも、「キャラの可愛さ」「コナン×ランや、服部×和葉の恋愛」「神作画によるアクション」がある。個人的には、推理モノにはトリックや推理の質を求めたいのだけど、世の中(女性)的には、そこのクオリティはそこまで求めてないのかな。

ここまで、「女性」に絞って論じてきたが、「子供」について考えた時、「鬼 対 人」という設定が生きてくる。鬼も、実質人間のような側面があるから、葛藤や深みを描けるが、あくまで「鬼」であるので、子供が好きな(そして親が子供に見せるのが好きな)「勧善懲悪」の要素が入る。つまり、「おいしいどこ取り」。これが「人 対 人」なら、もっと生々しくなるし、グロいシーンも、教育の観点で大人から忌避されるかもしれない。

てかまあ、子供なんて子供騙しで騙せるから。それが子供。あのエキセントリックな容姿や特徴的で分かりやすい服装は、子供にウケると思う(子供が見分けやすいの大事)。

あと、メディアへの露出で考えると、でかかったのが、LiSAさんの「紅蓮華」。

個人的に好きなアニソンランキングを作れば、多分、ベスト50にも入れないと思う(他にもっと好きな曲はある)けど、これ以上、メディア向きの曲は、パッとは思いつかない。

「どうしたって~ありがとう悲しみよ」までで約15秒。サビの長さやパワフルさ、キャッチーなメロディは、情報番組で、アニメの映像を10~15秒程度引用する時に流す曲として、バッチリなんだよね。紅白で、全世代的に、耳馴染みになっただろうし。

紅蓮華がなければ、ここまでメディアは取り上げなかったかもしれない。

以上、本作は、「ヒットすべくしてヒットした」作品=秀作、だと思う。

重ねていうが、私たちのような、「腐るほど少年漫画や深夜アニメを観てきたオッサンオタク」にハマったところで、社会現象にはならない。

アニメや漫画に疎い「にわか」をどれだけ熱狂さそられるかが、「ヒット」の要因になるのだ。それは否定できない。

あと、これは狙ったわけじゃないだろうけど、映画に関しては公開時期が絶妙。コロナで外出自粛が続き、色々フラストレーションが溜まった時期。しかも、ややコロナが小康状態で、外出もなんとなくOKな雰囲気に。しかも、映画館が「客半数を止めた」直後というタイミング。まだ旅行とかは控えても、映画くらいだったらみたいな気持ちになるのも、理解は出来る。

そりゃ、ヒットするわな(勿論、映画自体の単純なクオリティの高さは大前提として)。

と、やや「バクマン」の「秀人」のような視点になってしまったが、ヒットの要因を自分的に考えてみた。

劇場版は、観たいけど、コロナ流行ってるから悩む。もし観たら、短めに感想を追記したい。

ところで、アニメ二期楽しみなのだが、こんだけ映画がヒットしたら、テレビアニメ二期を作るメリットあるのかな? ここからずっと映画展開にしていく方が、収益でかいのでは? と思ってしまう。

あとどうでも良いけど、最近、節操のないコラボ商品多すぎて、やや辟易。悪い印象&飽きがあり、長い目でみた時、このコラボ多可は失敗だと思う。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 47
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

辛くても惨めでも、託された未来へ向かって生き続けるしかない。心に炎を灯して…。

鬼滅の刃、劇場版。

TVシリーズからの続きとなっていますので、
TVシリーズを見てからの視聴をおすすめします。

これまでのあらすじなどの説明や振り返りは一切ありません。
TVシリーズのラストシーンから物語はスタートです。

映画、ものすごい人気ですね。

自分が観る前に煉獄さんの大事なところをネタバレされちゃったので、
(職場で大声で話してるのが聞えてしまった(´;ω;`))

これ以上ネタバレを喰らったらやだなーと
びくびくしながら過ごすのが嫌になったので、私も映画館で見てきました。笑

職場から近い映画館が私にはどうも合わなくて、
あまり作品に入り込めなかったのですが…。
(最近忙しくて、別の映画館まで出かける余裕もなく^^;)

たくさんの時間帯で上映されてて、
私は平日の夜7時台の上映を見たのですが、
席は6~7割ほど埋まってました。

時間帯的に大人が多かったです。
年齢層は幅広かったなあ。

120分ほどの作品です。


● ストーリー
鬼殺隊(きさつたい)に所属する竈門炭治郎(かまど たんじろう)達は、
次なる任務のために無限列車(むげんれっしゃ)に乗り込んだ。

そこにいた炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)と共に、
無限列車に関わる鬼を倒すことが次の任務だった。

無限列車で事件を起こしていたのは、
下弦の壱・魘夢(えんむ)。

彼は、ターゲットを眠らせて夢を見せるという術の使い手。

魘夢の術にかかって眠ってしまい、
夢を見る炭治郎たち。

迫りくる魘夢の魔の手から、
乗客を守り抜くことができるのか…?


TVシリーズの続編として制作するには尺が足りないからと、
劇場版で制作されることになった無限列車編。

劇場版で一気にストーリーを楽しむことができたのは、
よかったです^^

泣けるぞ泣けるぞと言われて、
いつ来るのかいつ来るのか、タオルを握りしめながら観てましたが(笑)、

どかんと派手な一発が来るわけではなく、
流れを追っているうちに気が付けば涙がこぼれていたという感じ。

静かに流れる涙でした。(タオル未使用)

{netabare} 死に際の笑顔は無条件で泣ける説。 {/netabare}

観終わった後は、
世間で騒がれるほどの満足度は私にはないかな…と思ってたけど、

こうしてレビューを書きながら振り返ってみると、
見てよかったなと思います。

ネタバレされてなければもっと楽しめたかなー。

結末を知っていたからか、
「こうなるんでしょ?」とどこか冷めてしまってたところがありました。

憎しネタバレ(´;ω;`)


● キャラクター
炭治郎たち主要キャラは今回も安定。

善逸(ぜんいつ)は変わらずギャーギャーうるさいし、
伊之助(いのすけ)は我が道行き過ぎだし。笑

でもやっぱり頼りになるやつらで、
いると心強いし、雰囲気も明るくなりますね。

今回はシリアスな展開が多い中、
二人は笑わせるパートを多く担ってくれていました^^

禰󠄀豆子(ねずこ)の出番は少なかったですが、
炭治郎との絡みが可愛かったです(*´ω`*)


そして、この映画の主役と言ってもいいほどの活躍を見せたのが、
炎柱の煉獄さん。

いやー、煉獄さんマジかっこよい。
この映画を見て惚れる人が続出するのも納得です。

cv.日野聡さんというのが、
またよかったです^^

炭治郎たちの技はTVシリーズであらかた観ましたので、
煉獄さんの技が新鮮でかっこよくて…!

煉獄さんちょっと変なところが面白くて、
優しくて強くて。

煉獄さんの戦うシーンの作画や演出は、
何度でも繰り返し見たくなるかっこよさでした。

この作品、
水の表現もよいけど、炎もかっこよかった。


今回の敵の魘夢(cv.平川大輔)。

ネットで魘夢のタスクを視覚化した考察が話題になっていて、
笑っちゃいましたw

これだけの計画と仕事をしたのに、炭治郎たちに邪魔されて、
魘夢目線で見ると、確かに悪夢だなと同情しますw

1人ひとりに合わせて、その人が見たい夢を見せてくれるなんて、
どれだけ力注いでるんだ…サービスすごい。

まあ、目的はそこから絶望に叩き落して殺すのを楽しむためだから、
いい人とは言えないけれど。笑

炭治郎と煉獄さんの見た夢は、
願いが込められててジーンと来るんだけど、

伊之助と善逸の夢は己の欲望丸出しで、
なんて幸せなやつらなんだと笑っちゃったよ。笑


もう一人の鬼・猗窩座(あかざ)(cv.石田彰)は、
声が石田彰さんというだけで興奮してましたw

なんで石田さんが演じるだけで、
強敵感隠せなくなるんだろう…。笑

登場して石田さんの声聞いた瞬間に
「絶対強い奴やん。」って確信したw

この鬼の存在は公開が始まってしばらくしてから告知されるようになりましたが、
私も知らない状態で見たかったなー。

予告編では一切触れなかったの、
正解だったと思います。

知らなかったら絶対驚いて興奮してたと思う。
魘夢の他にも強いやつがいるのか!って。


● 音楽
【 主題歌「炎」/ LiSA 】

映画を観る前から耳にしていた曲。

だけどやっぱり映画を観る前と見た後では、
この歌を聴いて感じることが全然違いますね。

これは映画を見ないと真の魅力は伝わって来ない曲。
曲を聴くだけで映画のクライマックスでの感情が蘇ってくる。

梶浦由記さん、
作品に合わせた曲を作る天才です。

もちろん、それを歌い上げるのが
LiSAさんだからという魅力もあります^^


BGMもここぞというところでより盛り上げてくれて、
よかったです♪


● まとめ
絶対続編のある終わり方だったので、
炭治郎たちの次なる任務や成長を楽しみにします。

私は鬼滅ファンというわけではありませんが、
作画や演出はやっぱりすごいなと感じました。

劇場で見たからか、効果音(列車の音、切符を切る音、刀の音など)が、
ものすごく丁寧に感じました。

キャラも安定していて、
やっぱりいいですね^^

他の柱たちの活躍も楽しみになりました。

アニメとしての鬼滅の刃、
続編も楽しみに待ちます♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25

70.9 3 任務で戦闘なアニメランキング3位
ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN(アニメ映画)

2020年2月1日
★★★★☆ 3.6 (181)
833人が棚に入れました
ゴブリン退治に出向いて消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい。剣の乙女からの依頼を受け、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。襲撃される寒村、謎の礼拝堂と、今回のゴブリンの群れの行動に違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。「取り戻す…、失った物、全てを! 」囚われの令嬢剣士を救うため、雪に囲まれた古代の砦を舞台に、圧倒的な強さを誇る“何者"かに統率されたゴブリンたちとゴブリンスレイヤーたちが激突する! !

声優・キャラクター
梅原裕一郎、小倉唯、東山奈央、井口裕香、内田真礼、中村悠一、杉田智和、日笠陽子、松岡禎丞

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

失った誇りを取り戻せ

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版第1期は視聴済です。
TVアニメ版の内容は鮮明に記憶に残っています。
放送が2018年と比較的最近だったこともありますが、ゴブリンの執拗さや残忍狡猾なやり口は簡単に忘れられるモノではありません。
唯ちゃんと奈央ぼうがパーティーに加わっていたのも大きかったかな^^


“ゴブリン退治に出向いて消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい。”
剣の乙女からの依頼を受け、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーとその一行。
だが、襲撃される寒村、謎の礼拝堂と訪れるにつれ、今回のゴブリンの群れの行動に違和感を覚えていく。

囚われの令嬢剣士を救うため、雪に囲まれた古代の砦を舞台に、
圧倒的な強さを誇る“何者”かに統率されたゴブリンたちと、ゴブリンスレイヤー一行が激突する。


KINENOTEのあらすじを引用させて頂きました。

物語は見たことないパーティーがゴブリン狩をしているところから始まります。
いきなりゴブリンスレイヤーや神官・弓使いが颯爽と登場するとばかり思っていたので一瞬あれっと思いましたが、その心配も杞憂ですぐ「いつものメンバー」が集結してくれました。

その見たことのないパーティーを率いていたのが、捜索依頼の出ている令嬢剣士だったんです。
令嬢剣士率いるパーティーは、万全の準備をしてゴブリンの巣穴に向かい、凡そ万全と思える方法でゴブリンの首を絞めあげていきます。

彼らもこれまでそれなりのゴブリンを相手にしてきたんでしょう。
決してゴブリンを侮ってなどいませんでした。
だから、今回の狩りも戦歴が一つ増えて終わる筈だった…

ですが、ゴブリンってそんな生易しい相手じゃなかったんです。
きっと彼らの取った戦法は間違いじゃなかった…
但し、途中まで…でしたけれど。
今日首尾良く出来たから、明日も同じ方法でうまくいくとは限らないんです。
きっとゴブリンスレイヤーですら目の当たりにしたのは初めてだったのではないでしょうか。
そんな相手と対峙したパーティーの末路なんて…一つしかありませんよね。

そしてそんな惨状を見てゴブリンスレイヤーが黙っている訳…ありませんよね。
ゴブリンスレイヤー一行と小鬼聖騎士(ゴブリンパラディン)率いる大量のゴブリンとの全面戦争に発展するのに、そう時間は掛かりませんでした。

ゴブリンスレイヤー一行の個々の個々のスキルにも圧倒されますが、それより驚かされるのはゴブリンたちがしっかり統率されていることです。
しかも群れを率いていた小鬼聖騎士は更なる目論見を企んでいたようですし…
改めてゴブリンって怖い存在だと思いました。
その分見応えは半端ありませんでしたけどね^^

主題歌は、Miliさんの「Static」
幻想的な序盤から一気に激しさを増す中盤以降の曲調が本作品の作風ピッタリだったと思います。

上映時間が約60分の作品でした。
相変わらずの殺伐とした世界観はしっかり堪能できたと思います。
TVアニメ版は原作の第1巻~第2巻の内容が映像化されたんだそうです。
そして現時点での既刊発刊数は12巻…
続編を制作するのに十分過ぎるくらいのストックが溜まっているのではないでしょうか。
続編…制作が決定するのを楽しみに待っていますね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ゴブスレのコスプレ

称号は

{netabare}“慎重勇者”でよくね?{/netabare}

60分一本勝負。劇場版と言いつつTV版の延長でワンエピソード追加したくらいのボリューム。COCO壱のちょいがけソースかラーメン屋の替玉みたいなもんと思えばいいかもしれません。というわけでしてご新規の皆さまは元ネタのTV版を視聴後にぜひまたお越しくださいませ。

やや短めの尺。OVA1話分に合わせたかのような軽めの脚本。映画館に足を運ぶ必要性は感じません。今(2020年11月)からですとレンタルor配信ですので、そうなれば敷居自体は低いですから元ネタのファンなら気軽に手に取ってよいでしょう。私は映画やってるのすら知りませんでしたので内容の如何を問わずなんかラッキー!って感じ。

だから基本的には文句はないのだけどごめんなさいね。違和感が少しばかりある。

{netabare}・令嬢剣士の帯同はプラスにはなってませんでした
・以前だったら帯同させるにももっとメリデメを冷徹に計算してたと思う
・妖精弓手の矢じり摘出の時に周囲の警戒怠ってたよね{/netabare}

肝心の慎重さ足りなくなってません?
ゴブリン相手に慢心せず愚直にPDCAを回す偏屈者。主人公ゴブスレさんの従前の人物評です。
敵さんを先回りした策がハマった時も、知恵の蓄積だったり可能性を一つ一つ潰していった形跡など“らしさ”を感じたものでしたが今回はそんな職人気質のゴブスレさんに“ご都合”の匂いがしてました。
{netabare}※酸素摂取できる指輪を配布したり稲妻魔法の使用制限を要請するなど伏線として利いてるとの見方もできましょうがなんか違うんだよなぁ。{/netabare}


ゴブスレっぽいものという結論になりますでしょうか。
それでややネガティブ評にはなりますが評価気にしないでくださいね。
所詮60分ですからまずはご自身の目で確かめていただいてという作品でしょう。



※ネタバレ所感

■策士策に溺れる?

{netabare}雪上決戦。事前戦闘でボスに発信器(剣回収用)みたいなのをつけて下準備。追撃戦でゴブリン達が門から出てきたら誰かが囮になるかもしくはデコイみたいなのを魔法で出して敵に追わせる。それで門から出きったら上から雪崩起こすので良かったんじゃね?とどうしても思ってしまう。雪崩を戦略に組み込むなら後面が崖と敵さんより下り斜面(谷側)に陣取るのがどうも腑に落ちませんでした。{/netabare}

{netabare}だから雪崩にわんさか巻き込まれるクライマックスは不謹慎ながら大規模コントのオチみたいな見え方をしてました。
ドリフのオチのテーマ(『盆回り』というらしい…)を脳内で流すとしっくりきましたね。{/netabare}



視聴時期:2020年10月 

-----

2020.10.23 初稿
2021.08.20 修正

投稿 : 2024/11/02
♥ : 38
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

うん。。期待を裏切らない緊迫感は健在

 
本編第一話の効果が大きいのでしょうね。

■エピソード

~{netabare}
ゴブリンによるパーティー敗北・・・
男性はその場で首を落とされ、女性は連れ去られたりその場で・・
そんなことは日常茶飯事と、一期第一話で言ってましたが・・
いやホントにナゼ女性がゴブリン退治に行きますかねw

まー底辺の冒険家や一部の村民レベルの被害に手が回らないほど、魔王を倒す方が大変・・と思うことにしましょう。

雪崩に巻き込まれて無事って・・
雪国の人間にとっては、ちょっと雪崩を舐めすぎのような。
窒息をケアして正解ですが、圧死も対策しないと。
あ、ゴブスレさんは鎧だからOKかな?でも他の人は・・・

でも今回、凌辱系の表現は抑えられていましたね。
やはり内外からの何かがあったのかな・・
あ、R12の劇場版だから・・とかかな。
{/netabare}~

きっちり冒険、してました。
やはり緊迫感ハンパない・・・
面白かったです。

今思えばなんであんなに一話目を否定したのか思い出せない部分もありますが・・
きっと昔の知り合いの体験談を思い出したんでしょう・・ご容赦を。

 制作:WHITE FOX
  刀語、シュタゲ、ご注文はうさぎですか?、
  うたわれるもの2期、リゼロ、少女終末旅行、
  慎重勇者
 公開:2020年2月
 視聴:2020年10月

■キャスト
今さらですが、個人用メモとしてキャストもおさらい・・

~{netabare}
ゴブリンスレイヤー:梅原裕一郎
 慎重勇者の聖哉でした(なるほどw)
剣の乙女:遠藤綾
 らき☆すた(高良みゆき)
 凪のあすから(潮留みをり)
 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(カトレア・ボードレール)!

以下の方はキリがないので出演作は省略w

女神官 :小倉唯
受付嬢 :内田真礼
妖精弓手:東山奈央
鉱人道士:中村悠一
蜥蜴僧侶:杉田智和

牛飼娘 :井口裕香
槍使い :松岡禎丞
魔女  :日笠陽子

本作のヒロイン?的なキャラは・・
令嬢剣士:上坂すみれ

最後酒場で、これでもか的にキャラを出してきましたね。
{/netabare}~

藤井ゆきよさんは今回出ていなかったようで残念・・
ゆかちの声が聴けたのは良かったw
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21

74.2 4 任務で戦闘なアニメランキング4位
虐殺器官(アニメ映画)

2017年2月3日
★★★★☆ 3.8 (253)
1856人が棚に入れました
世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?

声優・キャラクター
中村悠一、三上哲、石川界人、梶裕貴、小林沙苗、大塚明夫、櫻井孝宏

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

いち伊藤計劃ファンの視点

 非常に思い入れのある作品です。私をSFの世界へさらなる一歩を踏み込ませた作品であり、人物です。
 この作品以前からジョージ・オーウェル小説の『1984』であったり、ディックの『アンドロイドは電気羊は夢を見るか』くらいはたしなんでおりました。
 映画でもSFというジャンルは好きでよく観ているわけですが、SFとファンタジーの違いとかあんまり考えずに『ブレラン』や『エイリアン』などを楽しんできたわけです。
 それでも十分に良いんですけれど、SFのジャンルに対して特別な意識を持ったのはこの伊藤計劃さんの作品に触れてからという事になるかと思います。
 この伊藤計劃さんの作品には今に繋がる未来だったり過去だったりを感じる事ができる。そこにSFとファンタジーの違いがあることを見せつけてくるんですよね。
 特にこの虐殺器官という作品に関しては特に今に繋がっているように感じられますし、この物語の問題っていうのは明日にでも核爆弾でテロが行われてしまい、この作品と同じ流れを世界が作ってしまう可能性があるのではないかという恐怖をもつことができます。
 シミュレーションになっているという点がこの作品の魅力であり、SFのひとつの楽しみかたなのではないでしょうか。
 本作品の中には色々な未来のデバイスが登場します。まだ開発されていないかもしれないが、ナノテクノロジーにしたって実用化レベルに至っていないだけで、実際にあると聞く。まずは軍用化からされて、民間レベルまで落ちてくるのにどれくらいの時間を要するかは分からないけれど、そう遠くない未来がかんじられます。
 人工筋肉も義手や義足のレベルは驚くほど進化しているので、不可能と断定することもないでしょう。
 また、デバイスもさることながら、国際情勢もポリティカルフィクションの要素も含んでいるため、設定が作りこまれています。
 原作読んでる前提になってしまうので、アニメのレビューをするこの場にはもしかしたら相応しくないのだろうが、いちファンの戯言と吐き捨てここは許してもらおう。
 この作品においてなぜ、サラエボが核爆弾テロの標的となったかという話は過去、現在、未来へと繋がっているのです。
 『戦争広告代理店』という本があるのをご存知でしょうか(暇と興味があればぜひ手に取ってもらいたい)。ボスニア紛争をドキュメントで書き下ろした一冊なのですが、ボスニアヘルツェゴビナの首都サラエボは今でこそ美しい街並みであり、多人種、多民族が入り混じっている平和な国となっているが、1990年代にセルビアとボスニアの間に紛争が起こりました。ボスニアの取った行動が今の美しい景観をしたサラエボという町を作り出した。ただし、当然ながら犠牲もあり、敗者もある。
 敗者がいれば、憎しみも生まれるだろう。それにアメリカが絡んでいる事は想像がつくと思います。なんなら最近の戦争でアメリカが絡んでないものなんてあるのかという位ですね。さかのぼれば第二次世界大戦なども絡んできますね。例えば、ユダヤ人虐殺の話にまでまでも触れています。フランツ・カフカが現在はチェコのプラハが出世地でユダヤ人であることが文脈のなかで語られ、ユダヤ人虐殺が物語のなかに必要不可欠な要素として組み込まれているなど、造詣は細かく深い。
 こういった過去から現在(書かれた当時)の国際情勢や歴史を話に盛り込ませることができている作品です。

 他にも大人の子供に対する扱い。平和な暮らしを安定して供給されている裏側にあるものはなにか。など様々なテーマが散りばめられていて、どれを掬い取り、目を向けることができるのか。それは見ている個人に委ねられているのではないでしょうか。

 日本で描かれる戦争もの映画ってなぜか日本人、可哀想とかやられちゃう系が多いんですよね。被害者であるように描かれているように思えるんですが、戦争って被害者とか加害者とかじゃないと思う。
 伊藤計劃って人の凄いところは日本人でありながら外国の戦争を描けていることで、しっかりと加害者であるし、それによって生まれる兵士の苦悩というのが描かれています。いわゆる「PTSD」というやつで、これはイラク戦争での実在した兵士による伝記をもとに映画制作された『アメリカンスナイパー』ではないでしょうか。
 こちら側を描ける、描けている作家は日本にはそうはいないと感じます。

 ここまでは小説の話になってしまっていましたが、この前段階を踏んで語りたかったんです。
 アニメとして映像化されるにあたり、何やら紆余曲折あったようですね。当初制作していた制作会社が破産してしまい、新しい制作会社に引き継がれるなどして完成をむかえたそうです(wiki)。

 さて、アニメを制作のスタッフです。
 監督には『Ergo Proxy』でも監督をした、村瀬修功さん。もともと原画畑だった人のようで、やはりその動きや見せ方はカッコいい。最近では『GANGSTA』でも監督をしており、どう語らせるかよりもどう見せるかを意識している監督のように思っています。今作もその良さはしっかりと出ていました。
 また、キャラクターデザインもやっているようで、懐かしの『機動戦記ガンダムW』のキャラクターデザインもやっていたそうです。
 今回は脚本も兼任している。個人的にこういった内容のものを原画畑の人が脚本をすることには懐疑的でした。というのも、リドリー・スコットのようにカッコいい映像や音の感じで内容を決めてしまうのではないかという点が付いて回るためです。(リドリーは他にもちゃんと良いところたくさんあります。……多分)
 しかし、そんなのも杞憂でした。原作で描いている内容がしっかりと読み解かれて映像化されているように感じました。むしろ、このアニメを見て原作をまた一段上で楽しめるようになったのは村瀬さんの能力の高さだと感じます。

 音楽は池 頼広さん。『Ergo Proxy』でも音楽を担当していたので村瀬さんが推薦したのかどうなのか定かではないですが、再びこのタッグが実現するわけですね。個人的には『神撃のバハムート』での音楽が好きでした。
 表現している音楽の幅が広いなーすごいなーくらいでしたが記憶に残っていました。

 美術監督は田村せいきさん。レビューを書くにあたりもう一度見直してみたところ発見したのですが、廊下を進む描写で歩いている足を見せるカットがあるんですが、そこで木製の廊下から、石造りの廊下に変わる。これはおそらく、バロック様式で石造りだった部分とその後イギリスの植民地となりアメリカ的な木造建築に切り替わったため増築や改修などのさいに混在したことでこうなったのではないか。それを再現している、もしくは表現しているのはこだわりを感じました。他にも調度品や、未来的なデバイスの表現も良いです。

 声優さんには中村悠一さん、櫻井孝宏さんはイメージにピッタリという感じで、大塚明夫さんに関してもこういう役本当にハマっているし、『メタルギア』ファンの伊藤計劃さん的にも嬉しかったのではないでしょうか。
 個人的には小林沙苗さんが嬉しかった。長いセリフのなかにある、澱ませたり、間を取る感じが良いんですよね。

 この物語はあくまでも戦争や紛争を描いています。それは過去、現在、未来とつながりがあります。一つの物語でつながるのではなく、リアルな視聴者のとのつながりでもあります。
 楽しむという表現とは少し違いますが、前述しているようにシュミレーションであり、それはそのまま未来への危惧でもあります。映画『ターミネータ』のように未来では人工知能をもった機械に人間が殺されてしまうという未来を見せることでこんな危険も存在するという恐怖をシュミレーションするのと同じことです。
 ここを楽しめるかどうかがこの作品にハマることができるかどうかの境界線になるのではないでしょうか。
 個人的には素晴らしい作品でしたので、多くの人の目に留まり、楽しんでもらえたらと思います。

 この伊藤計劃という作家の作品に触れて感じたのは自分の教養や知識によって芸術(ここでは広義な意味で)は楽しめる幅が広がったり、見方がかわったりするのだという事です。
 これってすっごく当たり前で私がこうして書くまでもなく、誰しもが感じたことがあるはずで、小さい頃に観た漫画や映画、アニメを大人になって観返すと「違う面白さに気づく」みたいなことなんですよね。「言われるまでもねーやい!」ってなったかたは申し訳ありませんでした。
 恥ずかしながら私が気づいたのは最近でして『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』なる本でも買うかと迷っているほどです。

 とりあえず、この作品に対してのレビューはおしまい。ここはら超絶蛇足になります。
 レビューを書くまでにだいぶ時間がかかりました。好きな作品はしっかりと書きたいし、読んでもらう事に対してその時の感情だけで書くのは避けたいという気持ちから躊躇われたわけです。
 そんなレビューがあと3作品ほど溜まっていたりもして、いつかは……と思っているのです。
 今回は他のかたが書いている虐殺器官のレビューを読んで触発されたというか勇気をもらったというかモチベーションが上がったというか……。
 そしてちゃんとアニメのレビューになっているのか怪しい。
 今回はイレギュラー的に原作とアニメの両方で語ってみたのですが、上手く分けられていないようにも感じてきて消してしまおうかとか消極的なことも考えていますが、ちゃんと投稿します。
 長くなりましたが、勇気を与えてくれたレビューを書いている皆さまありがとうございます。そしてよもやここまで長ったらしいモノを読んでくれる人がいたらその人にもありがとうございます。
 『人は見たいものだけしか見えないようにできているんだ』
 ではおつかれさまでした。
  

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

虐殺器官 レビュー

端的に言えば、アメリカの特殊部隊に所属するシェパードが、世界各地で虐殺を扇動するジョンという男を捕まえようとする話です。
{netabare}
シェパード達特殊部隊の隊員は、マスキングと呼ばれる、ナノマシンによる痛覚遮断技術、および感情調整における何事にも動じない兵士という、近未来的兵士を描いています。

このマスキング、感情調整という、フラットを生み出す設定が、心身の痛みに鈍感になった人間達を暗に示しており、鈍感な人間社会に住む一人のシェパードが、鈍感さを失っていく話になります。

私のように後追いで見た者の見方としては、「どれどれ、本当に何事にも動じない兵士なのかじっくり観察しようかな」なんて思うのですが、シェパードに関しては、ジョンの虐殺文法と呼ばれる手法に引っかかった敵や、ジョン本人に対しても、感情を揺り動かされ、ルツィアに関しては特別な思い入れまで入っていたように思えます。
まあですから、この作品は、特殊部隊が大事な仲間を失いながらも仕事を全うするようなアダルトなものではなく、社会に支配された(ここはジョンとシェパードの最初の会話、国家への隷属の部分)個人が、支配から逃れるまでに変化する物語だと思います。

シェパードとルツイアの関係は、最初こそ、情報軍のスパイと、チェコ語教師(ジョンの元恋人)という関係に過ぎませんでした。ところが、ルツイアがここで死ななくてもよかったとか、個人軽視の社会の個人感情を消した兵士(少年兵であろうが躊躇なく殺せる兵士)であるシェパードが個人の価値というものを見出しています。
どこで変化したか、ジョンとの会話の中でか、楽し気なルツイアとの会話の中か。(後者であるなら、調査対象に情が入るなんともお粗末なスパイなので、前者を押したいですね)もしも前者を押すなら、土壇場で言語学を専門とするジョンの巧みな会話による精神誘導に引っかかったともとれるので、やはり兵士としてはお粗末、なのですが、この作品のそもそもが兵士としての優秀さを描くものではないことは上の方で述べた通りです。
そのため感情に揺り動かされて無能な兵士であっても、兵士を感情のない兵器であるとするなら、そこからの脱却を描いたのが今作品だと思います。

ここで無感情の脱却という点で、いくつかのセリフとシーンが繋がります。
遠い場所で起きている虐殺で、アメリカに住んでいる人たちに届く話はほんの僅か。この意味と、ピザを食べながらテレビでラグビー(アメフト?)を見ているシェパードと、ウィリアムズのシーンは共通するものがあります。
世界のどこかで起きている虐殺、それを感情的に深入りしようとする人はほとんどいません。ニュースとして聞き流し、そんなことがあったのかと日常に戻る。感情的に起伏がない(フラット)のです。それが悪いかどうか、悪くはないでしょう。ただ、あまりにも世界の遠くで起きている虐殺に、痛みを感じなさすぎなのではないかと、そういうことを感じるのです。
一方でラグビーを見るシェパード達は、日常の中での痛みへの無感情を描いています。彼らが見ているラグビーの試合では毎回けが人が出ます。その怪我に対して驚くわけでも、悲しむわけでもない、フラットな感情なままです。ウイリアムズに至っては、バカなルールだと何気なく言う始末。同情ではなく、なんでこんなバカなスポーツやってるんだという、嘲笑(それを見ている彼らの鈍感さ)。
彼ら兵士にとって、ラグビーはどこか遠いようで近い、怪我をしてでも任務を遂行する所が似ているように感じてからの、仕事に対しての皮肉でしょうか。
しかし、2回目に映し出されたそのラグビー鑑賞シーンで、けが人が回復したときに、少しの安堵のようなものがその場に広がった時、彼らは鈍感な社会、鈍感な職業にいながらも、どこかで感情を持っているという、人間臭さを出しているのが伺えます。

さて、色々書きたいことはまだありますが、今回はこれで。
ありがとうございました。

【再視聴~雑多なシーンとテーマについて】
ストリーミング期間があるので、再視聴までそんなに期間を置かずに視聴しました。
まずは、ストーリーとはあまり関係のない、いくつかのシーンにおいて、気付いた事をメモ程度に示そうと思います
まず、赤髪の敵女兵士について。
印象的なシーンは、シェパードが路面電車に何気なく乗り込んで来ようとする赤髪の女を見て、ルツイアに「仲間か!?」と聞いた所。
なぜシェパードが赤髪の女を、敵兵士として認識できたか。
それは、赤髪の女の初登場シーンがその前にあるからです。ルツイアとチェコ語のレッスンを受ける契約をしたその日の帰り道、シェパードは何者かに付け狙われます。その時、シェパードの乗った地下鉄の電車に入ってくる怪しい者たちの中に、赤髪の女がいた。それをシェパードは記憶していたからです。

次に、序盤の仲間の死体置き去りと、ルツイアの死体置き去りの比較について。
まあ、これはシェパード自身が語っていますが、ルツイアの死体を置いてきてしまった、大切な人の死体は物に見えない。
つまり序盤で死んだ仲間の死体については、シェパードは物としてみていました。
その差異について何故発生したか、というのは、シェパードが特別な感情をルツイアに持ち、その感情を持つまでにシェパードが変化したから。
ここで差異の理由を述べるよりも、映像で見たときのシェパードの変化を見たほうが、ありありと彼の変化や感情を受け取れると思います。

民間軍事会社がなぜジョンを取り戻そうとしたか。
これは邪推に過ぎませんが、内戦が起きることによって軍需があり、軍需が発生し続ける限り、ジョンを生かすメリットがあったのではないでしょうか。


ここから、一つのテーマの話になります。世界の選択の責任
ここでいう選択は、世界の真実を知るべきか知らざるべきか。情報の隠蔽と選択。
知らなくてもいいことは知らず、安穏とした堕落した生活を守りたいと思う人、ジョンやウイリアムスがそれに当たります。(彼らにはそれを提供したい恋人や家族がいました)
世界で虐殺が起きている事を知らせるべきと思うのが、最終的なシェパードやルツイア。人々に今の生活がある理由を知らせ、その中で選択すべきという考え。
ルーシャスのセリフ、高度な自由であったり、人は見たいものしか見えない、人工筋肉の悲惨な生産現場など、便利や安全を得る自由を何気なく選択しているが、その自由を得るために使われている犠牲を人々は知るべきか知らざるべきか。

そういったテーマがある中で、ルツイアの願い「突然大切な人が奪われることがないような世界」をかなえるためにジョンが遠い世界の人間の命を天秤に掛けて選択します。結局、ルツイアはジョンの作り出そうとした願いの世界を否定するという、未だにジョンを好きだったはずのルツイアの選択、ジョンの間違いを描いた恋人の関係を描かれています。精神的依存がルツイアにあると視聴者に思わせていた状態から、実はジョンがルツイアの願いをかなえたいという、ジョンの依存精神を描いている、人物の精神的強弱の逆転、もしくは入れ変わりが面白かったですね。







メモ {netabare}
重要な言葉をいくつか挙げてみたいと思います。

虐殺、器官、言葉、痛み、マスキング、少年兵、サラエボ、フラット、ピザ、ラグビー、個人、国家、世界、心、感情調整、PTSD、遠い場所で起きている、伝わってくる話はごくわずか、潜在的意識、存在の消えた傭兵、人工筋肉、イルカ、クジラ、
二回目
民間軍事会社 情報の隠蔽 頭の中の地獄 仲間殺し 究極の兵士 ウィリアムズ 仲間意識 生得的文生成機能 赤い髪の女(電車) 指紋 網膜認証 俺は誰でもない 情報社会とのバランス(ルツイヤ)
自由の選択 プライバシーの自由と、テロの抑圧からの自由 指紋認証の銃 諜報機関 それほどの隷属(国家と兵士) ルーシャス ナノマシン 人は見たいものしかみえないようにできている 犯人は軍事会社 僕は知らない オルタナ(ナノマシン) 仕事と鈍感 心に覆いをする(ジョン) 中国製ヘリ マスキングされた敵兵士 計数されざる者たち 軍事企業がなぜジョンを助けるのか 内戦の勃発による軍需 自分が生まれた世界を守る 選んだ世界への責任 嘘っぱち 死体を置き去り(冒頭の置き去りとの比較)大切な人の死体はものに見えない 大切な誰かを突然失ったりしない世界 人の命の天秤  罪を背負う 
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 24
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ジェノサイドの正当化

または
虐殺をジャスティファ~イ

いつもながら原作は未読。本編もレビューも不穏なタイトルですね。文字通り不穏なやつです。
少し前に遇々『バビロン』という迷作に触れ、その作品談義で頻出してたタイトルがこれでした。

・34歳の若さで早逝した原作者伊藤計劃
・原作『虐殺器官』その評価の高さ
・ノイタミナムービーなるブランド

これまで知らなかったことを知ることができました。これだけでもお得感あるかしら。
早逝したこともあり数少ない輩出作品をアニメ化する試み「Project Itoh」三部作の締めを飾った作品。2017年2月公開のR15+指定。115分です。

あらすじ:サラエボで起きた各爆弾テロを機に世界各国でテロが激化。アメリカを筆頭にテロに対抗する中で先進国では沈静化の方向。後進国では内戦や虐殺が頻発。といったIFストーリー。
後進国で指導層に接触し対立を煽り、内戦や民族対立による虐殺などを引き起こす黒幕として暗躍すると見做されたとある人物を暗殺せよ!
その実行役である特殊部隊員クラヴィス・シェパード大尉が主役の物語です。


戦闘行為にまつわるグロ表現っぷりでR15+指定となってます。
詳細に触れると、タイトル“虐殺”から想像しそうなスプラッター的おどろおどろしさが主成分のグロではありません。あくまで銃撃戦で斃れる敵兵の描写がそれらしいだけ。想像と違ってライト風味かもよってことは指摘しておきます。程度や具合は18禁ではなくR15指定ということでお察しくだされ。
年齢制限が入るのはクリエイターがやりたい表現をできていることの裏返しな部分もあって、本作のミリタリ描写はアニメの中でも超一級の部類に入ると思われます。オペレーションの合理性や演出の迫力などモノが違う感じがします。
『劇場版PSYCHO-PASS』のミリタリ描写との既視感を覚えましたが、プロデューサーがご一緒ということで納得。ノイタミナで辣腕をふるった山本幸治さんです。それでノイタミナムービーということもあるのね。いろいろ繋がってきました。


 世界観 ◎ ※後述
 軍描写 ◎


軍事作戦がベースにあるお話なので根っこが変だと台無しになっちゃいますがその心配はありません。
あとは通しでの物語の面白みであったり、黒幕ジョン・ポールの目的が腑に落ちるものかだったり、やはりというか作品から受け取るメッセージへの共感の有無が気になります。


 物語 △と○の間


タイトル回収を済ませ、大国のエゴも匂わせる国家の繋がりや人間の持つ原罪のようなものへの言及。おそらくこうだろうと想像できる結末もアリといえばアリ。ただしいかんせんよくわからない。

 {netabare}雰囲気だけかっこいい?{/netabare}

劇場版なので視聴者に想像させる手法を否定しないけど軽い匂わせ止まり。肉を焼く匂いで白飯を食べるような感覚。もう少し踏み込んで欲しかったです。
ところがふとしたとこで原作のネタバレを聞き、

 物語・改 ○と◎の間

となりました。

※原作ネタバレ
{netabare}ジョン・ポールの遺志を継いだクラヴィス・シェパードがアメリカに戻り、“虐殺の文法”を駆使してアメリカを内戦に導いていく。{/netabare}

{netabare}小国の犠牲の上にある大国の繁栄について自問自答が描かれてたとのことです。南北問題ですね。{/netabare}


“人工筋肉”なるガジェットが途上国の子供たちによる搾取的な労働に支えられている、とフェアトレード運動に通底するネタが挟まれてましたが、そんなネタが最終的に繋がっていくところまで提示しないのはもったいなかったですね。
とは言っても雰囲気や見た目を馬鹿にするなかれ、です。映画を観てる時間だけその世界に浸れる幸せを実感できる劇場版作品でしょう。その点で買い!優秀な娯楽作品です。




※後述…の世界観◎について

■United Nations

“国際連合”とは意図的な誤訳です。“連合国”が正しくその国連憲章には日本を敵国と見做した条項が残存していることをご存知でしょうか。たかが条文、実態は違うとも言われますが、この敵国条項を除こうと日本が働きかけてもしっかりChinaは潰しにきてくれたりするのが現実です。
永らく“平和のための国際組織”と喧伝され教科書でもそう習ってきた私たちですが、非常に矛盾を孕んでいるのです。直近の事例だと国連の専門機関WHOの武漢肺炎をめぐるグダグダっぷりでしょうか。

 金だけ出して口は出さないでね

日本に求められてる役割がこれ。よって個人的にはあまりこの組織をよく思ってません。そんなとこへ作品の冒頭↓


{netabare}「寛容と多文化主義がこの国の美徳だったのに」と今は民族浄化に勤しむ途上国の指導者がベートーベンの『月光』をバックにシェパード大尉に独白します。
何故自国民に手をかけたのかわからない。黒幕ジョン・ポールの存在を匂わせる一幕です。その前段。

シェパード:
「その国民を殺して回る。あんたの言う政府とやらはどの国連加盟国からも承認されていない」
えらい人:
「国連?我々の文化を土足で踏みにじり、自決権を鼻で笑う最悪の帝国主義者どもが…」{/netabare}


主人公へのシンパシーはもちろんのこと小国の哀しみなんかをこの指導者に見ることができます。きちんと序盤から下地を作っているのです。



■1974年と1975年

原作者伊藤計劃氏とプロデューサー山本幸治氏の生年です。けっこう作品に影響しているような感じ。
だいたいにして小学生時代のバイブル。ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』が原題『A計劃』。これホント漢字なの?と伊藤少年の脳裏に焼き付いてたことは想像に難くありません。
多感な中高生時代で起こった世の中の出来事と暇な大学生時代に触れたであろう作品群。この年代特有の感覚が作品に反映されているとふんでます。

15歳前後で「ベルリンの壁崩壊」「ソ連崩壊」を経験。なんとなく大きなうねりが起こっていることを感じつつ、チャウシェスクの銃殺遺体のインパクトだけ覚えていた思春期。
中学の社会科では、“コルホーズ”“ソフホーズ”などを例にとり計画経済を好意的に捉えていた教科書で学んでました。なんせまだ崩壊前だったので。

その後の東欧民主化で泡を食ったのが欧州の火薬庫バルカン半島。ユーゴ紛争が停戦合意したのが彼らが社会に出る頃合い2000年頃でした。
思索に励むことが可能な大学生時代には小林よしのりの『戦争論』が大ヒット。United Nations(連合国)が構築したWWⅡ後の枠組みに疑義を呈した意欲作と言えましょう。

ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品『MONSTER』(浦沢直樹)
ユーゴ紛争で故郷を破壊した者への復讐の物語『PEACE MAKER』

90年代後半に発表された東欧を舞台にした名作群もきっと学生時代に目にしてるんでしょうね。
思えば「ソ連崩壊」とはもの凄く大きな出来事で共産主義の敗北に象徴される第二次世界大戦後の枠組みが崩れたことを意味してました。余波は覇権国アメリカにもおよび歪みの極地が“9.11”にと。

そういえば『MONSTER』のヨハンもニナも1975年生まれの設定です。
朝日・岩波的な言説がインテリの条件だった時代から潮目が変わったのはこのへんの年代からかしら。


国際紛争やミリタリ要素の強い作品を描く時にチェコやユーゴの東欧を舞台にしたくなる気持ちがわからんでもない世代。
お話にしやすい国際情勢の煽りを若かりし頃に浴びちゃったこともあるし、中東やジャングルでの紛争よりも身近に感じることのできるエリアでした。今は情勢も落ち着いてますので実際訪れてみるのをおすすめしますよ。異世界ものにありそうな古き良きヨーロッパの風景は中欧・東欧に残ってます。



視聴時期:2020年3月

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2020.12.09追記

5月が初稿の本レビュー。半年経過して“武漢肺炎”の呼称は聞かなくなりましたね。“新型コロナ”で定着した感があります。こうして振り返って気づくことはままあります。
定点観測することで変化に気づく。現在の断面だけ見て踊らされることのなんと多いことか…


2020.05.18 初稿
2020.12.09 追記

投稿 : 2024/11/02
♥ : 35

72.6 5 任務で戦闘なアニメランキング5位
劇場版 ハイスクール・フリート(アニメ映画)

2020年1月18日
★★★★☆ 3.9 (86)
419人が棚に入れました
今からおよそ100年前、プレートのずれにより、多くの国土を水没によって失った日本。国土保全のため、次々と築かれた水上都市はいつしか海上都市となり、それらを結ぶ航路の増大に伴い、海の安全を守る職業「ブルーマーメイド」が女生徒たちの憧れとなっていた。そんな「ブルーマーメイド」に憧れ、横須賀女子海洋学校に入学した岬明乃は航洋艦「晴風」の艦長に任命され、クラスのメンバーと共に海洋実習に参加する。艦を動かし、目的地へと向かうだけの安全な航海のはずが、彼女たちを待ち受けていたのは、数々の危機ピンチ。教員艦からの突然の発砲、暴走する他学生艦との戦闘、救難船の救護活動など、数々の困難を辛くも乗り越え、無事に陸に帰還したことで、メンバー同士の間に固い絆が結ばれた。その騒動から1ヶ月後、テスト休みを満喫する晴風メンバーに新たな危機ピンチが訪れる。それは晴風クラスが解体されるというもの。晴風メンバーは、動揺しながらも再び一丸となり、クラスの解体を阻止したことで、絆をより深めていくのだった。こうして数々の困難を乗り越え成長した晴風メンバーたち。そんな彼女たちに訪れる、新たな"危機ピンチ"とは―――?

声優・キャラクター
夏川椎菜、Lynn、古木のぞみ、種﨑敦美、黒瀬ゆうこ、久保ユリカ、澤田美晴、菊地瞳、田中美海、丸山有香、田辺留依、中村桜、彩月ちさと、大地葉、宮島えみ、山下七海、藤田茜、小林ゆう、高森奈津美、相川奈都姫、清水彩香、福沙奈恵、小澤亜李、金子彩花、新田ひより、大橋歩夕、麻倉もも、伊藤かな恵、大津愛理、阿澄佳奈、雨宮天、鶴岡聡、五十嵐裕美、森永千才、清水彩香、福沙奈恵

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

守るべき艦(いえ)、進むべき航路(みらい)

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版とOVA前後編は視聴済です。
物語はTVアニメ版とOVAの続きが描かれているので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。
因みにdアニメストアでは早速劇場版が視聴できるほか、「劇場版お疲れさま会でハッピー!」というdアニメストア特番まで用意されていました。

陽炎型駆逐艦である晴風の唯一誇れるのは速力のみ…
他の全ては比叡や武蔵などの大型艦より圧倒的劣位という状況の中、満身創痍になりながらも「越えられない嵐は無いんだよっ!」と砲撃に耐え、そして戦火をくぐり抜ける展開が繰り広げられたTVアニメ版は、正に激アツそのものでした。
そして満を持して公開された劇場版…
これが気にならない筈、ありませんよね。

アニメーション制作がProduction imsさんから、A-1 Picturesさんに変わったのも加点要素と捉え視聴に臨みました。


海に生き、海を守り、海を往く――
それがブルーマーメイド!

そして、晴風クラス解体危機から3ヶ月──

横須賀では、呉・舞鶴・佐世保を含めた全女子海洋学校の生徒が
一堂に会し文化祭と体育祭を行う「競闘遊戯会」が開催され、
明乃たち晴風クラスのメンバーも歓迎祭の準備に追われていた。

大和・信濃・紀伊など超大型艦のクラスも集い、
様々な演し物や競技で賑わう中、
彼女たちに新たな“危機(ピンチ)”が迫っていた……!


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

TVアニメ本編でも凄いと思いましたが、劇場版のクオリティは総じて半端無いレベルだったのではないでしょうか。
大和級の戦艦が続々登場する様は圧巻です。
少し「蒼き鋼のアルペジオ」の「霧の艦隊」に似ている雰囲気もありましたが、気にするレベルではない些細な話…
それに、鬼懸かった晴風の躍動感というか、晴風の活躍っぷりが些細なことなど吹き飛ばしてくれましたから…
小さい船体が波に煽られ、それと同時に訪れるピンチをかいくぐる様は、まるで晴風がドリフトしているみたい…
実際に船にそんな動きが出来るのかは分かりません。
でも、状況のギリギリ感と、晴風の必死さはビンビンに伝わってくるんです。

晴風に課せられたミッション…
これまでの海洋実習も十分危険でしたが、今回は桁が違います。
だって、相手は本気の殺し合いを仕掛けてくるのですから…

彼女たちはブルーマーメイドの卵…
だから海を守るために、自分たちにしかできないことを見極め進言する…
例えそれが最も危険な役回りだったとしても進んで自分たちの本分を全うする…
そんな海の仲間を守るために、ブルーマーメイドが一丸となって作戦を実行する様は鳥肌モノです。

確か晴風って、ブルーマーメイドの試験の成績が芳しくない人の集まりだった筈ですが、今の彼女たちに落ちこぼれの様なレッテルは微塵も感じません。
寧ろ、幾度となくピンチを乗り越えてきた経験が彼女たちを高みに押し上げたのでしょう。
きっと今ではトップクラスのメンバーになっていると確信しています。
現にそれを感じられる場面が本作にもありましたから…

大和級だから凄いんじゃない…
先輩だから凄いんじゃない…
そんな晴風のクルーを含めた真骨頂を余すことなく堪能できる作品です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

上映時間100分強の作品でした。
主題歌は、TrySailさんの「Free Turn」

想像の遥か斜め上を行く面白さでした。
そして晴風の雄姿…もう中毒になりそうなくらい見惚れてしまいました。
続編の可能性は低いかもしれませんが、これだけの作品を見せられると期待したくなっちゃいますよ…
思いきり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

4Dでピンチ!

【物語 3.0点】
相変わらず、清々しいくらい強引な“萌えミリタリー”

軍艦を戦場の主役に持っていくための日本水没、
航空機排除などの基本設定はそのままに、
今回も危険な任務に当たらせてはいけない学生に、
その中でも小型で装備も貧弱な教育艦・晴風(はれかぜ)に、
命運を託さなければならない。サイコロで1が連続するが如きレアなピンチが襲ってくる。


学生たちを危険に曝すのは不本意だけど云々……
と大人たちが言い訳?する流れ。
私にはそろそろ邪魔に感じます。


ピンチなのは養成校の女生徒たちであり、“ブルーマーメイド”の女性隊員たちなのですが、
彼女たちのハイスペックぶりに、見ていて段々、
この国にちょっかいを出して来た賊の方が、ピンチに思えて来ました(苦笑)

それよりも、岬と、ましろの関係の方がピンチに見えました。

私のツボ:{netabare}「べんてん」から送り込まれた“ブルマー”強制執行課・隊員たちの、
精鋭特殊部隊級の盤石の潜入、鎮圧ぶり。海賊たちは襲う国、間違えてますよ。{/netabare}


【作画 4.0点】
晴風を始めとした軍艦やボートが“空中含めて”良く動き、火を噴くCG作画が眼福。
{netabare} 軍艦に脱出劇の王道を走らせる無茶振りもアクロバットに表現。{/netabare}

その他、日常シーンの作画はカロリーを抑える所は抑える、劇場版としては標準レベル。


但し、今回、4D上映企画に合わせて、作画もブラッシュアップされたとのこと。
私は改良前のバージョンは観ていないので、どこが良くなったのかは分りませんが……。


【声優 3.5点】
新規も含めた女性声優陣が一部英語、ドイツ語、
広島弁、船乗り“専門用語”等にも対応し、萌えと燃えを提供。
すっかり任侠に目覚めてしまった
ドイツ人、ヴィルヘルミーナ役・五十嵐 裕美さんの守備範囲の広さ。


ミリオタでもない私としては、できれば英独だけじゃなくて、
“専門用語”にも字幕が欲しいです(苦笑)

それでも、萌えボイスでしっかり燃える状況報告で、
事態の緊迫感と、報告を咀嚼してジワジワと理解できる
彼女たちエリートのしでかした戦果のヤバさは十分に伝わり戦慄。


【音楽 4.0点】
ED主題歌「Free Turn」はTV版に引き続きTrySailが担当。
ましろの転機を見守る岬の心情を斟酌。

劇中、美味しいところはやはり「High Free Spirits」が持って行く。

劇伴は適度にミリタリー調。
それをバックに放たれる“大和級”大型艦四隻の咆哮が本作の聴き所。


【キャラ 3.5点】
萌えキャラ搭載過多。

TVアニメ版を観ていれば晴風乗組員とその周辺くらいなら把握可能だが、
それ以外も含めてとなると、余程意識しない限り顔と名前の一致は困難。

序盤は“競闘遊戯会”にて主要キャラのネタを一巡するが、
大所帯のため、それだけでも盛りだくさんに。


宗谷家は核に匹敵する日本の抑止力だと再認識。


私のツボ:{netabare} 岬&ましろ。TVアニメ版ではリーダー像の相違から衝突したこともあったのに、
いつの間にかシンクロ率抜群になっていた艦長・副長コンビ。
(彼女たちなら賊どころか使徒が襲来しても迎撃できそうですw){/netabare}


【4D】
4DXにて鑑賞。海上がメインとあって、ウインドやミストの機能が活躍。
座席のムーヴは後付け4Dとしては及第点。
それでもついに晴風に搭乗できた!という満足感は得られたまずまずの4Dでした。
{netabare}晴風が水柱めがけて突撃した時は飛沫も含めて激しかったですw{/netabare}


尚、ムーヴに長がある4DXに対しMX4Dの方は香りに力が入っているとの評もあるとか。
お風呂とか色々匂いを嗅いでみたい方はご検討下さいw

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

緩い最悪

視聴前 どんな感じなんだろ

視聴後 青春やなぁ

この話は競闘遊戯会での話
ジャンルは戦艦・お祭り・学園・青春
まぁ深く考えちゃいけないのだと本編で悟りました
内容は無いわけではなかったのですが、(おそらく)キャラから成り立った作品なおで今回もこうだろうなぁと考えていました。結果はまぁ同じですね。TVアニメを延長した感がものすごく伝わります。なんとなくこれ以上同じ轍を踏まないようなストーリーを制作側が考えた結果「想定できる最悪の事態」なんていうなんとも頭の悪そうな言葉がでてくるわけです。予想ではこれからでる続編(出るのか分からないが)はこういう系だと思っています。「最悪だ!」ろか「これはまずい!」とか。まぁそうしないとただの船乗りの学園生活映してるだけですからねwそれだったら舟要素無くてもいいって話になって固定ファンも離れちゃいますしね
話をもどしますが、キャラからできた本編を無理やり伸ばした劇場版。突っ込みどころは多多ございますが、もう「はいふりだから」で通じます(?)はいふりだからこそ許されるものでありこれが全く知らない作品だったら批判の嵐ですよ。いや嵐ではないかな。
圧倒的に効率の悪い行動(演出上仕方のないことなのだろうが)、圧倒的に不自然な行動に気づかない異常な純粋さ(鈍感さといってもいい)、かなりのご都合主義。これらが許されるのは(二回目)はいふり特有の緩さのおかげです。
しかし大きな問題点があります。それはこの作品で「最悪」を歌っているからです。pvでも言ってましたが最悪が起こるのです。「最悪」なことが「ほぼなんでも許される緩い」アニメで起きるのです。まぁなんてかみ合わないんでしょう!(うっとり)そして結果はなんととても緩い最悪、実感のない最悪に仕上がりました!
しかし、見てて飽きずになおかつ緩くキャラの魅力が伝わる日常系アニメとして総合評価が高いです

総監督は信田ユウさん。ハイフリの監督を担当した方ですね
監督は中川淳さん。
脚本は鈴木貴昭さん、岡田邦彦さん。
キャラクターデザイン・総作画監督は中村直人さん。本編のキャラデザを担当した方ですね
劇伴は小森茂生さん。本編の劇伴をした方ですね
制作はA-1 Picturesさん。

作画は良く、戦艦同士の戦闘シーンも丁寧でした
主題歌はTrySailさんの「Free Turn」
声優さんは素晴らしくキャラの魅力が存分に伝わる演技でした

総合評価 緩さはなんでもあり(??)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

75.8 6 任務で戦闘なアニメランキング6位
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章(アニメ映画)

2021年2月11日
★★★★★ 4.1 (102)
584人が棚に入れました
舞台は19世紀末。共和革命によりアルビオン王国は分離。巨大な壁で分断された首都ロンドンは、東側を王国、西側を共和国が統べ、各国スパイが暗躍する影の戦争の最前線となった。革命から10年、王国の名門クイーンズ・メイフェア校には女子高生を隠れ蓑に共和国スパイとして活動する5人の少女がいた。女王暗殺未遂事件を阻止し、カサブランカでの休養を終えた彼女たちにコントロールから新たな指令が下された。この任務をきっかけに5人の少女、チーム白鳩は国を揺るがす大きな渦に巻き込まれていくことになる——。

声優・キャラクター
古賀葵、関根明良、大地葉、影山灯、古木のぞみ、菅生隆之、沢城みゆき、山崎たくみ、土師孝也、飯田友子、飛田展男、本田裕之
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

全🦎黒蜥蜴星人★待望!本格スパイ映画シリーズ開幕!!

【物語 4.0点】
全6章の新作劇場版シリーズ開幕戦。本作の構成は一話完結。

TVアニメ版の後日談なので、事前視聴は必須。
{netabare}チェンジリング、“革命”の動揺が残るロンドン、{/netabare}黒蜥蜴星人ネタ、
などは物語と心情理解の前提条件。


スパイ物としての内容はさらにハードに。

ブラフ、モグラ、二重スパイ、暗号および
{netabare}新聞記事&広告による連絡、
ブック・サイファ(書籍をコードブックとして活用した換字式暗号による情報伝達術。足が付かない){/netabare}
チェスを通じた心理戦……。

これからより本格的にスパイやるんだから、
これ位は基礎教養と言わんばかりに、
老獪なスパイ“ビショップ”を通じて、
アンジェや“チーム白鳩”だけでなく、
鑑賞者にも確認テストでレベルアップを求めるスパルタぶり。


その先に、重厚なスパイシナリオの大風呂敷が示唆される。

王国の王位継承という政情不安も懸念される中、
何処ぞの“ネズミ”のロンドン暗躍は間違いないが、
共和国・コントロールも王国・ノルマンディー公も正体は掴めておらず、
炙り出そうと釣り糸を垂れる段階。

そんな静かな前哨戦の最中にもスパイには各々人生があり、
嘘つきが幸福を掴む難しさが改めて提示される。


【作画 4.0点】
冒頭、煙るロンドンの夜を舞台に、{netabare}二階建てバスも交えたカーチェイス{/netabare}で、
スチームパンク・アクションでも魅せる所信を表明し、先制に成功♪

一方、スパイ活動も彩る小道具にも
引き続き、時代考証のレベルから注力。

公然と語れない秘密という首根っこを掴むか掴まれているのか?
心理戦もシビれる本作。
ならば公の駆け引きはチェス等を通じて暗喩して行わねばなるまい。

鉄壁の守り、動揺して年甲斐もなく大胆に攻める?
チェスの作画も、盤面の資料を元に心理を反映した局面を選択したとのこと。
この辺は、私にはサッパリ分らなかったので、プレイヤーの解説を求めますw


背景美術では離宮の入れ込み具合が際立つ。
真のスパイの仕事場は戦場ではなく、宮廷内での駆け引き等であることが、
ここでも示される。


【キャラ 4.5点】
“チーム白鳩”他、王国&共和国のスパイ関係者ら、
TVアニメ版の主要人物が揃い、人物相関の現状を再確認。

中でもアンジェ&プリンセスに関しては、
追加キャラ(まぁ{netabare}“ビショップ”{/netabare}のことだが)を通じて、
秘密を抱えて、時局に直面するリスクの増大が課題として突き付けられる。

ドロシー、ちせ、ベアトリスは掘り下げられなかったものの見せ場はあり。
ちせさん、{netabare}運転習得まで、{/netabare}もう少し頑張りましょうw


【声優 4.5点】
ヒロイン・アンジェ役。

今村 彩夏さんの引退に伴い、新たに古賀 葵さんが起用。

気だるげな感じがやや後退し、若干の色気が出た彼女なりのアンジェが演じられる。
変化はあるが違和感はなく、むしろこの女子高生スパイも少し大人になった?
だから少しは周りに頼れるようになったのかなと納得できる好演。
特に終盤、{netabare}「……寂しいわ」{/netabare}と感情がこぼれた演技にはグッと来ました。


ビショップ役の飛田 展男さんもいぶし銀で先輩スパイの矜持を後進に示す。
「そんな大人、修正してやる!」の中の人と同一人物とはとても思えませんw

そんな渋いボイスで、ノルマンディー公(CV.土師 孝也さん)と、
相手の弱味を知った上で煽っているのか?
知ったかぶって動揺を誘うブラフで探り合っているのか?
含みが多い濃密なボイスでベテランスパイの対局を展開。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は梶浦 由記氏の続投。
華麗にスウィングするサウンドと“梶浦語”コーラスがスクリーンに広がるゴージャスさ。

OP主題歌「LIES&TIES」も引き続きアーティストプロジェクトのVoid_Chordsが担当。
今回ボーカルに迎えた麦野 優衣さんは
『パワプロ』テーマ曲の歌唱経験もあるシンガーソングライターで
中~高音の爽やかなパワフルボイスが特徴。
彼女もまた米国での生活、留学経験があり、
ビッグバンドの全編英語曲も歌いこなす。

ED主題歌もまた“チーム白鳩”5人の合唱。
適宜、挿入される手拍子も心地良い、
相変わらず一聴すると平和なメロディだが、何処か狂気も覗く全編英語曲。

ポイント・ピクチャーズの妙にメルヘンチックなED映像もグレードアップ♪
固い絆で結ばれたアンジェ&プリンセスのご尊顔に悶えましょう♪


【感想】
二次元、三次元関係なく、本格的なスパイ映画を劇場で堪能できて嬉しいです♪
スパイをエンタメ化するのに大量の爆薬は必須ではない。
手応えを感じつつ、今秋予定の2章以降も続く全6章の長丁場に挑みたいです♪

投稿 : 2024/11/02
♥ : 20

横横道路 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

映画を今さらレビューしてもですが

MXでやってる頃からテレビシリーズから見てました
テレビシリーズは制作にMXが入ってるので一昨年再放送してましたね
またどこかでやるかもですが、シリーズは円盤も出てるので映画を観る前にアニメ版を観てください

映画は公開がコロナの影響で何度も延期になり、1回目を見るのにかなり待たされました
池袋のダッシュストアも公開ありきでオープンしてましたが、結局閉めちゃうとかこの時期の公開予定だった作品はホントに不憫でしたよね
どこのシアターも特別観賞料金設定されてるのは意味がわかりませんでしたが、何ででしょう?
キャラものとかあまり買わないんですが、今回は買ってしまいました
結構早めに観に行ったのにブルク13は売り切れも多くて、一番欲しいのは買えませんでしたが
ストーリーはアニメ版を見ないとストーリーがいきなりトップスピードで進行して、いまいちわからないと思うので、初見の人はまずテレビシリーズを見てください
ワンクールしかないのと内容もすぐ引き込まれるので一気に見れます

映画の内容については、アニメ版が時系列バラバラなこともあり、何書いてもネタバレなので、映画版も書きません
アニメ版の時系列バラバラなのも大きな意味があるので、アニメの方も1回完走した後にもう一度観ると、よくわかる仕組みになってます
初見だと?のまま進行するシーンも多いんですよね

この作品の素晴らしいのは美しい映像だけでなく音楽が特に凝ってます
映画版は更にアップグレードされてるので、何で続編を映画で?と思う人も多いでしょうが、映画館で観ることで映像と音楽の良さが改めてよくわかるので、今年の秋公開予定の第2章から観る人は是非映画館に行ってください

最初に見に行ったのが普通のシネコンのブルク13なので音響は映画館の標準で、それでも十分良かったのですが、2回目は音響の凝ったとこで観たくなりチネチッタのCボールサウンドで観ました
音響の良い映画館で観るとさらに良くなるので円盤で観る人はその辺こだわって観てほしいです
主要キャラも感情移入しやすいし、アクションもカッコいい。時代はこういうカッコいい女の子を求めてるんだなって改めて思います

気になるのはWeb舞台挨拶で主要キャラの誰かに死亡フラグが出てることで、監督さんも特定してなかったけど、ドロシーだけは殺さないで欲しいな
でも、ドロシーじゃないなら誰?と言われても選べません、それくらい全員が魅力的なんですよね
次の公開が楽しみです

*主人公アンジェ役が今村さんの引退により、古賀さんに変更になってますが、全く気になりません
プロの声優さんの凄さに改めて感心しました

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

嘘つきは疲れる

視聴前 一応キャラの名前だけ確認しとこ

視聴後 そういう感じね

この話は黒トカゲ星人が嘘を付き続ける話
ジャンルはスパイ・戦争
2017年のアニメがなぜ急に映画化したのか、はたまた最初からあったのか、正直そこまで気になってなく調べてないのでわかりませんが、2021年に公開、ということで視聴。
3,4年も前のコトなんぞほとんど覚えていないでしょうから、一応本作を見る前に主人公たちの名前を確認しました。が、案外覚えているものですね。
流石に細かいシーンなどは覚えてませんでしたが、本作を楽しむのには十分な感じでした。
そして本作は一応6章から構成されるそうです。同時期に殺っているガルパンもそうですが、なぜ新作TVアニメではなくOVA先行上映という形で放送するんでしょう。よくわからないです。

さて本作の内容です。6章と言ってるくせにとか言うと怒られそうですが、一話(章)完結型です。ある程度本作内で完結しています。ただ、謎の部分や伏線が残された状況なのでこれから徐々に処理していくのでしょう。要はTVアニメと同じパターンですね。まぁガルパンみたいに中途半端で終わって「これからどうなる!?」とかやられても困るので正直助かるっちゃ助かるのですが。

前半から説明やダイジェストなし、いきなり展開が始まるので、キャラの顔や名前を見てもピンと来ないかたは見直したほうが良さげです。
後半から展開が続きますが、やはり限られた時間での物語なので割と雑に終わります。この終わり方が次作にどう響くのかが気になりますが、気長に待つとしましょう。

監督は橘正紀さん。
シリーズ構成・脚本は木村暢さん。ニャル子やビルドダイバーズなどを担当された方ですね
キャラデザは秋谷有紀恵さんと西尾公伯さん。
劇伴は梶浦由記さん。
アニメ制作はアクタスさん。単独ですね。という今更ですが、ガルパンもここ担当でしたよね。六部構成は縛りなんでしょうか

作画は良かったです。戦闘を含めた動きが細かく丁寧さを感じました。
主題歌はKonnie Aokiさん作詞、高橋諒さん作編曲、Void_Chords feat. Yui Muginoさん歌唱の「LIES & TIES」
声優さんはとても良かったです。

総合評価 まだ一部なので判断尽きませんが、期待はしている

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

68.6 7 任務で戦闘なアニメランキング7位
グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION(アニメ映画)

2019年3月15日
★★★★☆ 3.5 (114)
568人が棚に入れました
“国の組織CIRS(サーズ)"によって新たに作られた、特殊技能訓練校「美浜学園」… 様々な理由で行き場を失くした少女たちに与えられたのは、銃と実弾。 拳銃を使用するレナ、狙撃を得意とするトーカ、爆弾と情報処理のクリス、諜報活動担当の忍者ムラサキ。 彼女たちは、日々、SORD(ソード)のメンバーとして、警察や自衛隊には解決できない事件にあたり、危険な活動を繰り返す。K県U港――。入国予定だった要人が突如として姿を消した。 SORDのメンバーは失踪事件の捜索を開始するが、消えた“荷物"を捉えようとする度に、もう少しの所で逃げていく。 姉妹校『京船桜が丘』のSORDメンバーである、双子姉妹との協力、および確執。 そして――夜の街を疾走する謎の女ライダー「ソウルスピード」・マキの噂――。 追跡はやがて壮絶な死闘となり、心身ともに引き裂かれてゆく。…しかしそれは、レナたちの出逢いにまで遡る過去への旅でもあった。

声優・キャラクター
内田真礼、佐倉綾音、名塚佳織、種﨑敦美、南條愛乃、代永翼、井澤美香子、行成とあ、近江知永、北垣内春香、ブリドカットセーラ恵美、須藤翔

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

過去を打ち抜くたび、少女は大人になる―。

この作品の前進である「グリザイアの果実」「グリザイアの迷宮&グリザイアの楽園」は視聴済です。
主人公だった「風見雄二」は確かに格好良かったですけど、印象強く残っているのは彼と一緒に美浜学園で学ぶ5人の少女たち…
中でも物語後半で見せてくれた入巣蒔菜と小嶺幸の雄姿は今でも脳裏に焼き付いています。


日米合同対テロ組織「防衛省中央調査部諜報2課分室」通称CIRS、会場油田爆発事故が引き金となりその存在は公のものとなった。
秘匿組織としてのCIRSは刷新されて以降、極秘活動を引き継ぐ形で新組織SORDが発足された。
将来的に国防を担う人材の育成を目的として設立されたSORDは、全国各地の学園組織に間借りする形で展開していった。
廃校後、私設の解体費用もままならぬまま放置されていた「美浜学園」は個人に買い取られ、新たに「特殊技能訓練校」としての役目を得た。
そんな学園で、様々な理由で行き場を失くした少女達に与えられたのは銃と実弾。
国防の名目のもとに、彼女たちは命すらも顧みることのない危険な超放棄的活動を繰り返す。

どうせ磨り潰される命なら、銃を手にして戦うことを選んだ少女達の未来は…?


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

前作のヒース・オスロと風見雄二との確執、そして5人の少女たちによる大奪還劇は記憶に新しいです。
そう、グリザイアといえばこの6人という図式が出来上がっていたのですが、この作品では登場人物が総入れ替えになっていました。

そういえば前作で風見雄二と5人の少女たちは無人島に移住していましたからね…
思い返してみるとその島にも美浜学園が出来たと記憶しているのですが、きっと分校だったのかもしれませんね。
きっと今頃みんなで悠々自適な生活を送ってるんだろうなぁ…
でも一人だけ今作でも登場するキャラがいますけどね^^

そんな皆さんの生活っぷりも気になるところですが、
本作は序盤からそんな懐かしい思い出など一瞬で打ち消す展開から物語が始まります。
しかも声優さんの配役もバッチリ決まっているので、迫力と見応えは抜群です。

主要登場人物と声優さんを紹介させて貰います。

深見玲奈(CV:まややん)
獅子ヶ谷 桐花(CV:あやねる)
鯨瀬・クリスティナ・桜子(CV:名塚佳織さん)
狗駒 邑沙季(CV:種崎さん)

作り手の皆さんは、誰に誰を演じて貰うのが一番良いかをちゃんとご存知でした。
どうです、この非の打ちどころの無い布陣は…?
彼女たちが役どころをキッチリ把握した上、完璧なまでの演技でキャラに命を吹き込んでいるんです。
そんなキャラが画面一杯所狭しとぬるぬる動くのだから堪りません。

視聴を進めていくうちに少しずつ明らかになるのは彼女たちの生い立ち…
ここまでで分かるのはごく僅かなことだけ…
生まれ育った環境はお世辞にも良いとは言えず、物心のつく頃には人生の選択肢を迫られる…
選択肢といっても2択しかないんですけどね。

久しぶりに見た美浜学園…そして彼女たちの宿舎は前作のまま登場するので
懐かしさを感じるところですが、彼女たちは前作より相当追い込まれた窮地で生きている…
その窮地こそ自分たちの居場所だと思っている節を感じました。

それを決定付けたのがこの台詞…

「―私達は、この世界に生かしてもらっているんですよ…。
でも、生かしてもらっているだけではダメなんです、
それじゃあ生きている意味がない。
だから、生かされるだけではなく、自分の力で生きるんです、
戦い抜いて、生き残るんです。
そして生き残った子だけが、生きることを許されるんです―」

彼女たちは花の女子高生なんです…
年相応の女の子が追い求めているのは、保護者の庇護のもとで恋に化粧やファッションetc…
自分を着飾ることで目一杯なお年頃の女の子の口から出る台詞とは到底思えないんですが、これが彼女達の抱える現実なんですよね。

私も年相応の生き方しかしてこなかったので偉そうなことは言えません。
だからこそ自分で歩めなかった道を一歩一歩進んでいく彼女たちが輝いて見えるのかもしれません。
彼女たちが自分の存在意義をどの様に認識しているのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、黒崎真音さんの「幻想の輪舞」
エンディングテーマは、南條愛乃さんの「サヨナラの惑星」
この作品における2人のコンビも鉄板になりつつありますね。

OVA全2話の物語でした。
物語は全然完結していませんが、「#03 スターゲイザー」のアニメ化プロジェクトが始動しているのは嬉しいお知らせです。
どの様な形でお目見えできるかは未だ分かりませんが、視聴できるのを楽しみにしています。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

Gun&Girlsの1つの到達点!ぽよよんろっく美少女が!!ぽよよんろっく美少女を!!!ブッ飛ばす!!!!

PCアドベンチャーゲームを原作とした『グリザイア』シリーズの第4作…
なのですが正直に申しますとオイラ自身が『グリザイア』シリーズにはあまり明るくない;
ですので今作に関しては“エロゲではない(全年齢対象)”ことに加え“エピソード毎にパッケージを小分けにして発売しており原作は未だ継続中”ということ以外よく知らない、というのを前以って断っておきます
それを踏まえても今作は大変素晴らしい作品だと評価しているのは、前作までの世界観を踏襲しつつも登場人物を一新、尚且つ全年齢対象ということで作風も多少変えてきていることにあります
もうとにかくこの手のジャンルが好きな人には堪らない一作に仕上がっていると思いますね


国家の諜報組織CIRS(サーズ)の諜報部員養成機関として再建された美浜学園
そんな殺し屋養成学園で学生ながらに実際に汚れ仕事の現場に立つ、SORD(ソード)と呼ばれる5人の学生
伝習員(ハンドラー)のハルト、拳銃使い(シューター)のレナ、狙撃手(マークスマン)のトーカ、情報処理と爆発物のスペシャリストのクリス、ロシアン忍者のムラサキ
そんな非常識な学園に新任教師として赴任してきた有坂秋桜里(アリサカシオリ)
あくまで庶民な有坂先生だが一般教科と生徒達の精神衛生管理を任される
あまりに非日常的な生徒達の生活に距離感を計れずにいた有坂先生だったが、そんな矢先に不運にも彼女は暴力団に拉致されるという事件に巻き込まれる
有坂先生救出に実戦投入されるSORD達
SORD達の戦いを間近に観てしまった有坂先生は苦悩の末、SORD達に優しい大人として向き合う覚悟を決める
SORD達も殺し屋としてしか自分達を観ない大人がほとんどの中で気心許せる存在になった有坂先生を受け入れる…
そしてSORD達に下された次なる指令は行方不明になった要人の捜索
その事件の影には、幼き日のレナと姉妹の契りを交わした、レナと同じ孤児出身の殺し屋であるマキの姿があったのだが…


北米圏のヲタクの間では今作の様に美少女キャラがガンアクションを行う作品のジャンルを「Gun&Girls」と呼ぶのですが、そんなGun&Girlsとしては1つの到達点を築き上げたと呼べるほどハイクオリティな作品に仕上がっています


アニメ化に際してCAMPFIREとKICKSTARTERでクラウドファンディングを募り、国内外から多くの援助を受けて潤沢な資金を確保
天衝監督と過去の『グリザイア』シリーズのメインスタッフで立ち上げた新興制作会社のバイブリーアニメーションが制作を担当
原作ゲームの原画も担当しているぽよよんろっく先生こと渡辺明夫が自らキャラデザ&総作監
これが特に凄くて、渡辺さんが自身のキャラをここまで長尺に渡って丁寧に描いたのは、恐らく初めてじゃないか?と思う作画クオリティなのです
アクション作品ということもあって戦闘シークエンスも動く動くw
特にクライマックスでのレナとマキの一騎打ちは、アクション作画が好きな人なら一見の価値があります
それに加えて何気ない日常シークエンスですらも良く動くことのなんのw
こういう露骨な萌えキャラデザでこれほどの作画クオリティを放った作品はかなり貴重だと思います


内田真礼、佐倉綾音、名塚香織、種崎敦美、南條愛乃…
といった豪華なキャスティングも良い意味で期待を裏切ると思います
なぜかと言うと、どのキャラも可愛らしい女学生という面と殺し屋という面の二面性を持ち合わせており、その表裏のギャップをこの一流キャストが渾身のお芝居で表現しているんですね
特に南條愛乃の演じるマキの豹変っぷりは怪演を通り越して気持ち良さすら感じます


今作は原作のvol1とvol2をテレビ放送なども全く考慮していない1エピソード約45分というたっぷりの尺で描いておりますが、どうやら今後登場するキャラやまだまだ掘り下げられていないキャラもいる模様


このクオリティ、このゆったりとしたテンポ感で作ってもらえるのなら是非とも続編を作って頂きたい!
と、渇望してやまないです


内容はホント厨二病の極みwと、いうかGun&Girlsというジャンルは全部そうなので受け入れ難い人は少なからずいると思います
んだけんども、オイラはそんなのどうでもいいんですわw
好きなんですわw
Gun&Girlsってw
けみかけは『グリザイア:ファントムトリガー』を応援しています!


個人的なお気に入りはムラサキちゃんですかねw
口を開くたび妖しい声を出す怪演声優こと種崎敦美のお芝居も相まって不気味さと可愛さとが絶妙に混在してるのが堪らないw
ニンニン

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

こういう学園は、あくまでここだけのお話で!

 上映劇場も限られているせいか?、平日昼間なのに見に来る人も多かったし、上映4日目でパンフ完売状況だったです。

 いきなり任務で、敵を追い詰めることから始まったです。女の子が殺し屋要請学園??にいて、危険な人たちを倒していくことが、目立つお話だったです。3話形式です。

 この世界観だからなんだろうけど、簡単に人を殺すことにためらいもなく普通としている女の子たちの感覚が、ある意味マヒしているようにも見えたです。

 日常生活において、ごくどこににでもいるような学園生活を送っている女の子たちだけれども、指令がくだると任務とはいえ態度が、豹変するように見えたし、またゲーム感覚のような感じに見えたです。{netabare}敵を倒すというより、殺すという言葉になるような、当たり前にしているところなど、倒された敵の無残な姿などもR12指定だったのかなぁ?です。
 また、学園長がふざけて大胆な格好をしたり、出てくる女の子の一人の過去に出てくる娼婦がでてくるところもそうなのか?と思ったです。{/netabare}

 特殊任務ということはわかるのだけれども、私には過激にみえたのが印象的です。戦闘シーンが、女の子にしては凄かったです。
{netabare} 盛り上がっていたと思われるシーンは、3話目の昔の姉妹の再開から、戦闘、仲間になるその辺のいきさつだったと思うです。{/netabare}この出てくるキャラ独特の価値観の違いがある、キャラ達にしかわからない通じ合い、友情、つながりがあったと思うです。 


 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4

63.4 8 任務で戦闘なアニメランキング8位
とある飛空士への追憶(アニメ映画)

2011年11月1日
★★★★☆ 3.5 (331)
1536人が棚に入れました
たった二つの戦争中の大国しかない世界―――。『空の上では身分は関係ない』という自論を持つ「シャルル」だが、彼はまさに社会の底辺層であった。両国のハーフであるためにひどい差別を受ける彼は、飛空士としての腕の自信と、ある思い出だけを頼りに生きてきている。そんな彼に対して「ファナ」はシャルルが属する空軍を擁する大国の次期皇妃。天と地ほどの身分の差がある二人が主人公である。物語はシャルルがある作戦を告げられることから回り始める。それは「順調に進んでも五日はかかる広い中央海を、ファナを連れて二人で敵中翔破せよ」というものだった。接点がなかった二人に、つながりが生まれる。

声優・キャラクター
神木隆之介、竹富聖花、小野大輔、富澤たけし

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

端的に子供向け

オイラはよく言うのです、「厨二病」という言葉を使う以前に「子供向け」なラノベってかなり多いです
【良くも悪くも】です
これなら児童文学の方が良く出来てるよなー、何をもってしていい歳の大人にオススメしてるんだろう?
この出版社や書店は???って


誤解の無いように言っておきましょう
今作、『子供と一緒に見る映画としてはなかなかです』
今年のアニメ映画は子供向けに関してドラえもんとプリキュアを除けば正直に不作です
特にプリキュアの方は対象年齢が低めなのでより『子供と観る映画』の範囲が狭い
(余談ですがトランスフォーマーは完全に大人向け、SUPER8はスリラー好き向け、ハリポは・・・観てませぬ><)
そんな中ではこの作品が子供向けとしていい機能を果たしております
小学校高学年前後のお子様をお連れの方には是非にオススメしておいきたい


ちなみに“なぜか”PG12指定をくらってますので保護者同伴での視聴をオススメします
決していかがわしいシーンがあったりや残酷な描写が多いわけではないです
なぜレーティングの対象になったのかオイラには理解不能です┐(ーωー;)┌


お話は貧民街育ちで敵国とのハーフとして虐げられてきた生い立ちを持つ主人公が、いつしかエースパイロットに上り詰め、自国の命運を握る作戦を任せられるというものです
作戦の内容は敵の包囲網を潜り抜け、皇国の次期王妃となる令嬢を婚約者の皇子の下まで送り届けるというものであった
ただしそれをたった一人、たった一機の偵察機で行うのだ・・・


王道を感じる半面に脆弱な部分が目立ちまして、大きな体に細々とした足腰というアンバランスのようなものを感じる作品となってしまいました
オイラが感じた問題点は3つ


まず1つ目にキャラクターの弱さが目に付きます
次期王妃ファナは世間知らずで儚げで弱々しく、戦乱と権力者に振り回されるステレオタイプなお嬢様
実際の史実の上では、男社会が招いた戦乱に女性が巻き込まれてきたのは曲げようの無い事実であり、その反発としてせめてもの思いでフィクションの中の女性は強くあってほしいと願うことは、人類の歴史上当然のことなのです
強いヒロインというのは人々の願望と希望を叶える存在であり、ファナの様なキャラクターの魅力は特に王道フィクションにおいてはそこそこに留まる
(宮崎駿監督作品のヒロインが強くて凛々しいのはまさに具体例)
ですから人々がフィクションの中に強いヒロインを求めることはごく自然であります
恐らく原作者やスタッフは、このお嬢様なファナが旅路の末に成長する様を一番に見せたかったのでしょうが、それには少し演出が力不足という印象を拭い切れず、物語は終わりを迎えます
強いて言うなら「酔っ払う」シーンのところだけはファナが可愛く見えて良かったのですが、その後の二人がどうなるわけでもなしに、そんなところが「端的に子供向け」たる証拠でもあります


2つ目にファンタジーを史実っぽく描くのにはちょっと無理があるという点
公開前のプロモーション等でも『史実から隠匿された恋物語』という部分を押し出していましたが、そもそもに日本をモチーフにしたであろう敵国と連合国を髣髴とさせる自国の設定もやはり安っぽくしか見えず、ファンタジーなのか史実なのか・・・どっちつかずで中途半端な印象しか受けない
エピローグをあとがいちゃうところなんかモロです
宍戸監督の代表作といえばやはり彩雲国物語が挙げられますが、あれもハイファタジーをさも史実の様に描く演出をとっていました
どちらの作品にも【いかにも】な雰囲気しか漂っておらず、リアリティという面では物足りなさを感じてしまいます
(無論ですがドラマ性自体はまた別の話ですよ)


3つ目はチラホラと話題に挙がってはいますが、声優さんの点
まずオイラは神木隆之介くんの大ファンでして、特に彼が声優として主演したサマーウォーズや借りぐらしのアリエッティでの彼の演技は大変素晴らしいものだったと応援しています
しかし今作での彼の役どころはおしとやかなお嬢様のファナとは対比的で、よく喋ります
前2作の主演作とも比べてかなりの量の長ゼリフがあり、単純に演技力自体が進化した彼の実力とは反比例して『喋り疲れ』のような声の出し方が気になります
長旅で疲れ果てる主人公と同じく、(たぶん)喋り疲れているであろう神木くんのかすれていく声
もし演出の範囲内だというなれば、もっとしっかりとメリハリをつけるべきだったでしょう
後半はちょっと聞き取りにくいです
ちなみによく言われる『棒読み』とは全く違うのであしからず
注目していただきたいのはファナ役の竹富聖花さんでして、今作で本格的な演技初挑戦とは思えませぬ
素晴らしい


とまあ散々に言っては来ましたが、ラストシーンに関しては清々しくスッキリとした終わり方で大好きですね
そうそう子供向けなんだからひねりとかいらんのです
美しいラストこそが一番
ちゃんと「ダンス」の伏線も張ってましたし
チョコチョコと「オチがない」というご感想をお持ちの方もいらっしゃってはいるようですが、オイラとしてはあのラスト以外は考えられませんね
あの後、二人は逃避行の旅に、、、、なんてトンデモエンディングだったらオイラは納得しません^q^









ちなみに『空戦』が見所の作品でもありますが、CGによるドッグファイトシーンは割かし地味で、スペックで主人公達を圧倒する敵側の戦闘機のデザインも(やはり旧日本海軍の震電がモチーフなのでしょうが)航空力学などツマラネェ話をすれば「ちゃんと飛びそうにない」です(笑)
同じことが押井監督のスカイクロラでも散々言われましたが、戦闘自体はミニチュアっぽい等の批判に納得しつつも迫力を出さんとする演出であちらの方が圧倒しています;


空戦そのものよりも、むしろ架空の世界観であるが故に美しく切り取られて描かれる情景の数々の方が魅力的に感じましたね


さらに余談中の余談ですが、既存のスチームパンクとは一線を画する・・・内燃機関や外燃機関よりも先に燃料電池が発明されているという独特な世界観には、高校時代に燃料電池を研究していたオイラとしては燃えるポイントでした^q^









「ファナー!」って2回繰り返す必要ないですよね(回想はいらない)
あーゆー余分なことしちゃうのが宍戸監督の良いところというか悪いところというか・・・(´ω`;)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 23
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひとりぼっちの追憶

小さい頃から人に目をつけられやすかった狩乃シャルル。
貧乏で気弱で何もできなかった彼は自由を求め「飛空士」になった。その技術だけは他の者を圧倒するほど抜群だった。
傭兵の身分であり、自分を目の敵にする奴も絶えなかったが、そこでは良い仲間もでき彼にとっては心地良い場所だった。
自分にぴったりの場所だった。(これってね、言葉にできるほど簡単に見つけられるものじゃないんだ。)
そんな彼の腕を見込んで上からある任務が言い渡された。
ある王国で次期皇妃となられるお姫様ファナ・デル・モラルをその王子の国へ引き渡したいとのことだった。
だが、傭兵の分際が運んだと知られればこれは末代の恥である。けれど戦争中であることもあり腕の立つ者が必要だった。
そこで狩乃の腕を借り強靭な警戒網を突破し安全な所で上の連中に引き渡す(引き渡すことで手柄はお偉いさんのもの)といった作戦だった。
狩乃はこれを引き受けた。これから始まります。”お姫様護送任務”


本作では、激しいドッグファイトがあれば、かたや静かな海の描写がある。
また、いますぐ駆け出したい恋を目の前にそれがどうしてもできないことで涙を呑む人間の繊細な描写もある。
人にとって一体何が「大事なもの」なのでしょう。忠義か、自分の意志か、愛するものなのか。
なんでもかんでも従えば良いことではない。かといって全部まとめて海に捨てることもできない。
それはあらゆる意味において危険でnaiveな行為だからだ。
揺れ動く自我に空も海も呆れるほどに綺麗で、人の間に起きていることなんて無関心に見える。
狩乃はどうすることもできず何重にも板挟みにされていく。最新型飛行機は好調に飛行を続けるのだ。

本作は日常的にTV放映されているアニメとは、一部そういう要素を含みながらも一味違ったテイストを持つ作品です。
目的は”お姫様の護送”、テーマはマクロな意味では”身分差の恋”。
大勢の敵と戦うところや、一度負けて一騎打ちでのリベンジなどかっこよく燃える「アニメ」的要素は確かにありました。
それは映像としても群を抜く出来でした。敵と遭遇する恐怖や死と隣り合わせにいることの閉塞感には身が縮むような思いをしました。
空中戦でのGもこちらにそのまま伝わってきます。まさに生死の境を縫うような緊張感です。

このように意図して作られた「バトル」もありましたが、もっとそれ以外のところこそがこの映画の醍醐味です。
たとえば、狩乃とファナの距離を詰めていく過程や、飛行機での長距離移動の描写、そして狩乃シャルルの視点での物語の推移は普通の「アニメ」とはいささか違ったものを感じさせます。
まだよそよそしい2人が海の真ん中で停泊したり、戦線をくぐり抜けたりする中で親密になっていく描き方は明示的過ぎなくて僕の好みでもありました。
それにストーリーの内容にも言えることですが偶然性の描き方も良かったです。
彼らはただ踊らされているわけではなく、物語の中でちゃんと生きていました。ひとつひとつの出来事が常に新鮮でした。
それらの中でも特筆すべきは狩乃シャルルの人生背景を含めた上での本作での描写が何よりも素晴らしいこと。
“上司たちからは最初から最後までドブネズミ扱いされ、不遇な運命の中でやっと見つけた幸せにも手を伸ばすことは許されない。
物語の中で目的達成に向けてひたすら真面目に取り組む姿は凛々しくもあるが、その背中からはわずかに悲しみが漂う。
達成したところで名前の残らない仕事。たくさんの犠牲を払っても自分らには一切目を向けない上の人間たち。
これが終わって自分に残るものはなんだろう。ああ、金だ。それもたくさんの金だ。”
この反動もあってかラストシーンは最高です。もの凄い感動がありました。


どうもあにこれ内での評判は良くありませんが、シャルルの背景やファナとの距離の絶妙な描写は心を震わせてくれます。
この作品にしかないものをそれぞれに見つけられるかどうかはその人のコミットの深さ次第です。
どこまでシャルルという人間を捉え辛い経験やその立場を理解しこちらから共感していくか、彼とファナとの関係にどれだけの想いの温かさとまたその儚さをみることができるか。
これは好みの問題でもあるけれど、少なくとも声優の良しあしや漠然としたファクターを繋げて鳥瞰する以前の問題です。
王道であるとか、無難であるとか、そういうところに留まらない、まぶしいくらいの輝きを秘めた作品です。
一見の価値は十分にあります。
とても良い作品なので観る際にはどうか斜に構えず、まっさらな気持ちで観て頂きたいです。ぜひ一度。そしてもう一度。

{netabare}


レビューのタイトルは原作のこの作品の漫画化を担当したのが小川麻衣子さん。
ただいま『ひとりぼっちの地球侵略』進行中の方です。
そんで、この漫画が大好きなのでタイトルを合体させたというどーでもいい話ですw

閑話休題

ラストは見事でした!
ファナを引き渡した後の金がホントにごみのように見えました。あのシーンはなかなかのインパクトがあります。
そしてなにより最後の飛行です。かっこよかったー!ホントかっこよかった!
最高の愛の表現です。素晴らしい!

物語としては愛の逃避行をしなかったことにより、共同体が阻む苦しみがひしひしと伝わってくる結果になりました。
でも悔しいですねー。んー、歯がゆい!脚本にしてやられましたな。

まあそんなわけでとっても好きなんですよ、この映画。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 18

シス子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ひ・く・う・し・・・ひくうし(-_-(合掌)

      ↑
滝○クリ○テルさんをイメージしてね^^!


某トロピカル系サイトを筆頭に
書籍通信販売系のサイトで「とあるシリーズ」を探そうと
“とある”というキーワードで検索すると
上から5~6番目くらいに必ずといっていいほど候補に出てきたのがこの作品

気にはなっていたのですが
まさかアニメ作品になっていたなんて想像すらしてませんでした

原作はラノベ
ジャンルは恋愛、戦争、ファンタジー

「飛空士シリーズ」というシリーズモノの一作品で
「とある~恋歌」や「とある~誓約」などの作品があります

ちなみに「~恋歌」は2014年1月よりアニメ作品が放送予定だそうです


お話は・・・
タイトルのとおり
とある飛空士さんのお話^^
そのまんまです

ここで注意して欲しいのはタイトルが
「~飛空士~」であるということ・・・

分かりますか?

“ひこうし”じゃありませんよ”ひくうし”ですよ”ひ・く・う・し”

分かりにくいのでもう一度書きます

ひ・く・う・し・・・

ちなみに
わたしのパソコンで”ひくうし”を変換したら
最初”引く牛”って出てきて
その後どう頑張っても正しい表記にならないので
「飛行」→一文字消して→「空」→「士」っていう順番に入力
あとはコピペで対応・・・って
どうでもいいことを無駄に書いてしまいました

とりあえず
「飛空士」という肩書きを持つ人がいる
どこか”別の世界”のお話ということです^^

その主人公で”引く牛”・・・じゃなかった^^
“飛空士”の「狩乃シャルル」(かりのしゃるる)くんと
どこかの国のお姫様(になる予定)の「ファナ・デル・モラル」ちゃんの
淡い・・・
だけど
とても熱い恋のお話

観終わって
なんだかよく分からなかったので
とりあえずWikiでリサーチしてみると
“「ローマの休日」と「天空の城ラピュタ」の
切なさと爽やかさを意識しながら執筆された”と
記述されていました

えーと
とりあえず
ラピュタは分かりました
飛行船みたいなものが飛んでいたので・・・

でも
“ローマ”はないでしょ
っていうか
この手のお話ならモチーフになる作品って他にもたくさんあると思うのに
なんで”ローマ”?

ソフトクリーム出てこないじゃん
飛空機(“ひこうき”じゃないよ”ひ・く・う・き”^^)がバイクの代わり?
真実の口は?
グレゴリー・ペックみたいな優男は?(シャルルくん?マジで?ありえない~)

でも原作の先生様がそう仰るのならそうなのでしょう^^


さて
率直な感想を一つ(といいながらダラダラと)書かせていただくと

あの終わり方はない

ストーリー自体が
なんか煮え切らない感じで終わっていて
“もうどうでもいいや^^”
っていうような幕引き

さらに
最後は
二人のその後を
字幕カットで説明ってどういうこと?

二人の行く末がこんな軽いものだなんて・・・

せっかくアニメ作品にしたのに
これじゃあ全く意味がない

なんか・・・
こう・・・
なんというか・・・
もっとドラマチックな演出もあるでしょう?

たとえばエンドロールのとき
その後の二人の姿を
ダイジェストで流すとか・・・(NG集じゃないよ^^)


さらに
憤慨(半分キレた)してしまったのは
ファナちゃんの声

これはもう
小学生が国語の教科書を読んでるか
私がやる気のない上司に啖呵切っているみたいな(知らんわ!)

セリフの棒読みですよ~

そして
今にも舌を噛みそうなくらいの滑舌の悪さ

いっそ噛んじゃって
「かみまみた(>_<)」って言ってくれたほうが
いくらか可愛げがあるのに
(まあどう転んでも私はブチキレます^^)

くわえて完全にキレてしまったのが(もうキレまくってる^^)

ファナちゃんのしつこいくらいの「引く牛さん!」の連呼

セリフの半分くらい「牛さん」引いてるんじゃないの!?

「引く牛さん!」
「引く牛さん!」
「引く牛さん!」
「牛さん・・・引く?(笑」って

あまりにもテンポ良く叫ぶもんだから
「よっ!」
「はっ!」って
思わず
拍子つけてしまったじゃないの!

ファナちゃんの声の人のスキルを考慮して
あえて
「牛さん」のセリフを多くしたのか

原作から既に「牛さん」というセリフが多かったから
ファナちゃんの声の人が決められたのか

って
あれれ
なんか話題が「牛さん」に飛んじゃってますね^^


とにかく
世界観やストーリー
空中戦などのアクションシーンは良かったのですが
細かいところに不満のある作品でした~

あっさり締めてゴメンナサイ~

投稿 : 2024/11/02
♥ : 25
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