けみかけ さんの感想・評価
4.7
Times heals all sorrows_Get over, no worries_Cause nothing is more precious than love_Nobel, faithful, she is as pure as the driven snow_Oh dear heart, so sweet
好きだ好きだと言いながら円盤を買っていませんでした
奇しくも2019年7月18日の木曜日、京アニ第1スタジオで痛ましい事件が発生してしまい、何か僕に出来ることは無いのか?と模索した結果、「やはり僕には何も出来ない」という結論に至り、とりあえず好きだと公言している作品の円盤ぐらいは揃えておこう、とその日のうちに通販で円盤を取り寄せました
2018年冬期に全13話が放送、今観返しても京アニ最高傑作だな!と豪語できる名作中の名作ですが、テレビシリーズについてはそちらの方でレビュを書かせていただいたのでこちらは円盤の最終巻に1本だけ収録されてるOVAについて
第4話でアイリスの付き添いで初めて代筆の出張をこなしたヴァイオレット
第5話ではそれから数ヶ月経って、いくつかの大きな仕事をこなした後、婚約した姫と王子の国際結婚を手助けする大役を務めます
この第5話のラストでヴァイオレットは初めて劇中で笑顔を顔に出すのですが、いくらなんでも4話と5話の仕事の内容に差がありすぎる;
ってことで4話と5話の間にヴァイオレットが急成長、彼女のドールとしての人気も鰻登りするキッカケとなったエピソードが今作というわけです
ドール育成学校の師範、ローダンセ教官の推薦でヴァイオレットに初めて指名の依頼が訪れる
オペラ座の歌姫、イルマ・フェリーチェが恋文の内容を依頼したいという
しかしイルマの依頼は酷く抽象的で、全ての人が共感出来る恋文にする必要がある、と無理難題を押し付けるのだった
度重なる駄目出しに息詰まって弱音を吐いてしまうヴァイオレット
やがてその恋文の内容とは新作オペラのクライマックスを飾る歌曲の歌詞だと知る
愛を知らないヴァイオレットが、愛の歌など書けるはずも無い
愛について書かれた本を読み漁ったり、C・H郵便社の仲間達の協力もあり、ソレらしい言葉を選ぶことを覚えていくヴァイオレット
しかしイルマが本当に納得の出来る歌詞を書くためには、イルマがその新作オペラに強く拘る真意を知る必要があると悟るのだった…
5話で初めて笑う、と先述した通りこの話のヴァイオレットはまだ感情表現が希薄で、依頼主の真意を汲み取る力も拙い
その辺りが前半だいぶコミカルに描かれつつも、イルマがオペラに託す真意というのがあまりにも壮大で情緒的な為、後半では一気に真剣みが溢れだすスケールの大きなお話になっています
とても円盤のオマケというレベルではなく、クライマックスのオペラのシーン等も作画に要求されるクオリティがべらぼうに高い
もはや劇場版に相当する内容です!といっても過言ではないOVAとなっています
また、イルマ役のキャスティングに日笠陽子
イルマが歌う歌曲をわざわざTRUEに歌わせていることからも今作の“本気度”が伝わるかと思います
このエピソードのAパートのコンテ、演出はシリーズ演出も務めた藤田春香さんが行っています
ちょうど明日、藤田春香“監督”の処女作となる『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』を劇場に観に行くので期待が高まっているところであります
今作自体はネトフリでも配信されてるようですが個人的に円盤を揃えて欲しい理由は今作以外にももう1つあります
テレビシリーズ放送中に新宿ピカデリーにて数話分をまとめて再編集し、音声を5.1ch化した劇場公開版が各巻の特典ディスクについてるんです
これが結構テレビシリーズと違ってて、もちろん本編カットの数を増やしたり減らしたりしてるわけでは無いのですが、OPやEDの入りが全然違ったりと一気観するのに特化した繋ぎの良い編集になっているんです
OPが無いところにあったり、EDがあるところに無かったりとかね
一話一話に浸るのも良いのですが、改めて一気観してみても味わい深い作品であることが感じ取れる編集になってますので映画感覚で観るのにはコチラの編集が断然オススメです
ですから買ってくださいw揃えてくださいw円盤をね
今作でイルマがオペラに託した思いは、結果的に後々のヴァイオレットの感情を育んでいく事、すなわち娯楽文化が人の感情を育てるって事に繋がっているんです
京アニがアニメを作り続けているのも同じで、誰かの感情を育んだり、傷ついた人を救う事に繋がっているんだと思います
時間が解決出来ない事もありますが、逆に言えば時間が解決出来る事もあるんですよ
作品は生き続けますからね
今はただ、僕に出来ることを