不老不死でダークファンタジーなおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの不老不死でダークファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月28日の時点で一番の不老不死でダークファンタジーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

68.9 1 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング1位
ヴァニタスの手記(TVアニメ動画)

2021年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (181)
599人が棚に入れました
吸血鬼が存在する19世紀のフランス。吸血鬼の青年ノエは、吸血鬼に呪いを振り撒く魔導書「ヴァニタスの書」を探すためにパリへ向かい、その途中の飛行船の中である事件に遭遇した。その最中、吸血鬼の専門医を自称するヴァニタスと名乗る青年がノエの前に現れるが、ヴァニタスはノエの探す「ヴァニタスの書」を手にしていた。
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

美しいふたり。

主人公の、ヴァニタスとノエ。
とにかく、麗しいです!
(ちなみに私はBLは苦手なんですけどw)

そして、劇伴の壮麗さと、
おでこさんのシリーズ構成の美意識と、
ボンズさん独特の硬軟自在な作画。
すごくいいです。

舞台は19世紀の、フランス。
そんな言葉があるかどうか知らないけど、「フレンチ・スティームパンク」っぽい感じ。

欧州が舞台で、制作がボンズさんで、スティームパンクっぽいダークファンタジー+ポンチ絵って、
まるで{netabare}鋼の錬金術師F.A.ですね(笑)
まず、19世紀のヨーロッパ大陸。
そしてスティームパンクっぽいノリ。
主人公が二人連れの男性で、二人それぞれに魅力的。
しかも目まぐるしくボケとツッコミが入れ替わる。
正体不明の不吉な黒いモヤモヤした化け物。
さらにそこに絡む麗しい女性キャラクター。
地下の迷宮の存在もあるし。
ポンチ絵ギャグも、まるでハガレンのギャグシーンです(笑)
そういえば、ヴァニタスの依頼を受けて、何かしてる探偵っぽい人もマスタング大佐の部下みたいだし、
汽車で雪深い僻地に向かうのも、駅頭での雰囲気も、すごく似てる。
ドクターモローっていうマッドサイエンティストみたいな医者が出て来たときは、金歯医者にしか見えなかったし。
釘宮さんが絡んでいることも含めて、
相似点挙げていったら、まだまだもっとあります。
気になる方は、どうぞご自分の目でお確かめくださいww{/netabare}

第1話冒頭から、「その旅路の果てに、彼を殺すまでの物語」という、
わりと悲劇臭のつよいセリフで、
ノエとヴァニタスの関係性を括るのですけど、
{netabare}この言葉、「あ。最後に致命傷を負ったヴァニタスを、血の眷属として、ノエが自らのヴァンピールとするんだな・・・」って、
そのシーンが、来るか来ないか、これは最後を確かめたい!見届けたい!って思ってしまって{/netabare}
もうBLっぽいとか、全然気にならなくなりましたねwww

お話自体は、ヴァニタスが吸血鬼専門の医者で、ノエはそのヴァニタスを監視するために同行することになる特殊能力ありの吸血鬼で。

適度な謎。

適度なバトル。

華麗なキャラと美術。

そしてジャンヌという絵に描いたような圧倒的ヒロイン。

このヒロインが、メチャメチャつよいのに、{netabare}
弱点も隠しようなく剥き出しで、
しかも吸血衝動に抗えないところとか、
鬼のように(鬼なんですが!)攻めるツンデレなところとか、
ヴァニタスのことを「大嫌い→大好き」、
さらにはその血の甘さの誘引に惹かれてしまって、
吸血に走ってしまう、それも繰り返し、くりかえし。
とか。
そしてとにかくここ、めちゃめちゃエロティックで、
もう凡百のラブシーンなんか全く寄せ付けない、いい場面なんです(#^▽^#)

以前、「亜人ちゃんは語りたい」で、
高橋先生が「吸血行為自体は性交のメタファー」って言ってたと思うんですけど、
本当にそんな感じで、{/netabare}もう、魅入ってしまって目が離せませんでした。

今、第2期が終盤ですが、1話冒頭の場面にまで行き着くか微妙ですけど、
これは、しっかりと観続けていきたい。

そんな作品なんです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 19

しゅん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

美しくエロい吸血鬼ファンタジー!

【物語の評価】
キーワードも主人公のノエがあまり物知りでないから、初見に分かりやすいように自然に説明されていたのも良かった。
終わり方としては、これで終わりとしても、次のクールに続けるとしても、どちらにしてもよい終わらせ方だった。
【作画の評価】
ときにエロい、美しく素晴らしい作画だった。
【声優の評価】
吸血シーンが素晴らしいエロい演技だったのはとても素晴らしかった。
花江夏樹さんの新しい魅力がまた一つ増えたような気がした。
【音楽の評価】
OPも良かった。
EDが感動的に素晴らしかった。
【キャラの評価】
こういう作品にありがちなパターンになると思っていた女性陣も、ときにかわいらしく、ときに美しく、ときにエロくて良かった。
モブに至るまで魅力的なキャラクター達だった。
【感想】
第2クールも楽しみです。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 4
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ヴァンパイアドクター

[文量→小盛り・内容→感想系]

【総括】
パッと見、腐向きに見えますし、そういう要素がないとは言いませんが、男でも充分に楽しめるアニメだと思います。

ジャンルとしては、ダークファンタジー、スチームパンクとありますが、もっと柔らかい印象です。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
シリーズ構成が赤井でこさんらしく、優しさがしっかりと前面に出ている。

とはいえ、ストーリーにはさほど心動かされず、魅力の大半は、キャラクター。

まず、ジャンヌが可愛い(笑) ポンコツだしチョロいし、かなり萌え度が高いキャラクターでは?

あと、ノエも可愛い(笑) ヴァニタスと二人でする売り言葉に買い言葉は、毎回クスッとさせられました。

あと、何気にローランも好き。純粋なる狂気。なんか、炎炎ノ消防隊に出てきそうな(笑)

2期が見たい、というのは、ストーリー展開が気になるというより、彼ら彼女らの物語がどう深まっていくかが気になるという感じです。

あとは、そうですね~。ジャンヌが可愛いですね(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
ヴァニタス役の声優さん、それで良いの? 女性向けかな。具体的な治療の過程がよく分からないってことは、そこはどうでも良いんだろうな。真名を取り戻すと、自我を取り戻す。不吉ではなく、幸福の青い月、人間にとっては。まあ、ヴァニタスの書も、使い方次第だってことね。

2話目 ☆4
生理的に嫌い(笑)  ギャグが良いな。

3話目 ☆3
ジャンヌもルカも可愛いな(笑) また、変なキャラが(笑) 

4話目 ☆3


5話目 ☆3
過去のシリアス。キャラの深まり。

6話目 ☆3
信じ始めたヴァニタスが、トラウマと同じ行動を。イチャイチャしてるな~(笑) 

7話目 ☆4
ラブコメ(笑) 顔芸(笑) 血マニア(笑) ドミニクと急にいちゃつく。

8話目 ☆3
新展開だね。シャスール。

9話目 ☆3
ヴァニタスは、シャスールの神? ガリアンソード、好きな武器だ(笑)

11話目 ☆4
ジャンヌ、チョロイン(笑) お茶会の方も迫力あるな。

12話目 ☆4
とりあえず、ジャンヌが可愛いな(笑) あと、ノエが可愛いな。かなり楽しいアニメになってきた。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 20

72.4 2 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング2位
地獄楽(TVアニメ動画)

2023年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (279)
940人が棚に入れました
時は江戸時代末期。 抜け忍として囚われ死罪人となった元・石隠れ最強の忍“画眉丸”は、極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となれることを告げられる。 画眉丸は最愛の妻と再会するため、打ち首執行人“山田浅ェ門佐切”とともに仙薬があるという島へ向かうことに。 島に上陸した画眉丸と佐切に立ち塞がったのは、同じく仙薬を求める死罪人たち。そして、島に潜む未知の生物、人工的で不気味な石像、島を統べる仙人たち...... 謎多き島で、果たして画眉丸は仙薬を見つけ出し、生きて帰ることが出来るのか——!?

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

地獄の島へようこそ

原作未読 全12話

江戸時代の後期、最強と言われた忍の画眉丸が捕らえられ死罪とされていました。ある島より「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となることを打ち首執行人・山田浅ェ門佐切に告げられる。ある目的のために仙薬を探すことを選びます。他にも無罪放免を求める死罪人たちや1人死罪人に1人ずつ同行する山田一門と、美しく見える島ではあるが化け物たちの住む島で、仙薬を巡る戦いが行われるお話です。

死罪人同士の殺し合い、島の中の化け物との戦いはかなり残酷な表現となっておりますので、苦手な方は観ない方がいいかもしれません。

また、この島の鍵を握るような人や化け物も出てきて、死罪人たちで共闘を組んで化け物たちに対峙したりとだんだん複雑になっていきます。

それぞれ個人個人の思いも描かれていますので、少し感情移入してしまいますね。

そしてこの島のことや化け物たちの謎も少しずつ分かるようになってきたところで終わっています。

仙薬は本当にあるのか、だれがその仙薬を持って帰ることができるのか、そもそも誰が生き残ることができるのか、持って帰った先は本当に無罪放免になるか、色々と謎だらけのお話なので続きが楽しみです。

2期が夏期に放送が決定しましたので、今回の色々な伏線が回収されることを楽しみしています。(2期じゃ終わらない感じですがw)

OPはmillennium parade × 椎名林檎さん、EDはUruさんが歌っています。

最後に、化け物ですがデザインや動きが結構気持ち悪かったですねw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 18
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

自由や人間性と表裏一体の怪物性

“神仙郷”の“不老不死の仙薬”を巡る“執行人”と“死罪人”のペアたちと
島の化け物たちとの戦い等を描いた同名コミック(未読)の連続アニメ化作品の1期目(全13話)


【物語 4.5点】
バトルシーンが続くアニメにストーリー性などない。
この論評、私は必ずしもそうではないと思っていまして。

テーマに根ざしたキャラが、その性をぶつけ合うバトルには、
時にセリフ以上に物語を拡張する効果があると私は思っています。

本作などは物語性があるバトルアニメの最たるもの。


『地獄楽』の作品タイトル、「弱さと強さ」など二項併記する各話タイトルからして、
相反する物を飲み込む度量を感じる本作。

近年、私は、特に欧米から流入してくる自由で多様なら手放して全て良しとするかのような風潮に、無思慮を危惧して警戒してしまいます。

本作の場合も、例えば武士には武士、女には女の生き方がある。
分をわきまえさせる封建社会の息苦しさも描く。
が、一方で、全てがボーダレスな神仙郷の世界観。
動物と植物、男と女、その他様々な宗教観が無秩序に混ざり合い、とっ散らかる異様も描く。

人は何にでもなれるが、何にでもなれちゃう人間って実は怖いよね。
イエ制度で縛って安定させる封建社会にも一理あるかも?
いやそれでも怪物の如き人間の自由意志こそ最高のディナーでしょ?{netabare} 最高の丹(たん)の素材でしょ?{/netabare}

グロで思索のリミッターを外され、キャラやバトルを通じて、
忌憚なく反証を繰り返す心地よさに酔いしれる。

このバトルアニメには哲学があります。
と、同時に、これからは中道や中庸を知る東洋思想の出番だと強く思います。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・MAPPA

極彩色を多様した背景美術で構築された神仙郷のないまぜな生態系。
地獄か?桃源郷か?判然としないまま、
花を咲かせた人間が笑って死ぬ狂気を伝えるのに十二分。

表裏一体のテーマについても、OPアニメーションにて、
雌雄で絡まり合う天仙様の輪郭が歪むカットなどが、気色悪いくらい体現。
相変わらず同スタジオは、キメラじみた門神や竈神(そうしん)、天仙の植物形態?といったグロテスクな物体を躍動させるのが上手いですw

バトルアニメーションについても、特に初回の画眉丸と佐切のファーストコンタクト。
人物配置と、画眉丸の目線の動きの一致から、
やはり、CGによる空間構築と管理においては、信頼できる所だと安心。


ただ、捨てキャラなし、意志のないバトルや背景は許されない、というハードルを乗り越え続けるのは骨が折れたのか、
作画カロリーは初回をピークに徐々に消耗。

心臓破りの8話で息が上がりかけた所で、放送休止を挟んで、
何とか1クール終了のチェックポイントまで辿り着いた感。

初回のクオリティで完走できれば満点まで突き抜けたのですが、高望みでしょうか。


EDで毎回笑ってしまうのが、クレジットの“MAPPA”の字の小ささ。
15年程前にゲームがハイデフ化した頃、テキストが豆粒化し、
32インチ高解像度以上じゃないとプレイが困難になったトラウマを思い出しましたw

これスマホの低解像度モードとかじゃ絶対読めませんよねw
配信で様々な環境、デバイスで視聴するトレンドに反発するかのようなMAPPAの主張?
なるべく大きなモニターで受け止めて差し上げましょう。


【キャラ 4.5点】
氣(タオ)を体得した天仙様が治める神仙郷。
打ち首を家業にしてきた執行人の剣術。凶行を重ねてきた死罪人の技の数々。
盲目の剣士が到達した心で見るという境地は、氣(タオ)の流れをも捉える。

挑戦者は、各々違う道の極め方で、氣(タオ)を扱えるだけの資質を体得済み。
人知を越えると思われた天仙に肉薄する人間の脅威。
この構図もまたキャラ設定を活用したテーマの深化。

制作決定した2期以降では五行説設定も明示されるようなのでそちらも楽しみです。


主人公の忍・画眉丸は“妻帯者”。
“伽藍の画眉丸”と恐れられる程、冷酷無慈悲な強さを極めた男が、
妻に再会するためという目的を持つことで、優しさを知る。
それを画眉丸は弱さだと悩むが、担当執行人の佐切は弱さを知ることも強さだと励ます。

ここまでならノワール物でもよくある暗殺者の葛藤。
ですが本作はさらに、弱さと強さの併存を、
陰陽説を取り込んだ氣(タオ)の理論に結びつける所が非凡。

悟った気になった所で、{netabare} 画眉丸の妻は里長の幻術では?{/netabare} との疑惑。
主人公も作品もまだまだ底を見せず。考察をサボらせてはくれません。


息をするように殺す画眉丸と、打ち首の生業に悩む佐切。
などカップリングによる両論併記も、題材に関する議論を深める好材料に。

サブに至るまで回想劇による掘り下げも深く、基本的にどうでもいいモブキャラはいません。
私は士遠(しおん)と典坐(てんざ)の師弟関係のエピソードが印象的でした。


ただキャラ名は、特に執行人が全員、山田浅ェ門・〇〇なので覚えるのが大変でしたw


【声優 4.0点】
画眉丸役の小林 千晃さんと、山田浅ェ門・佐切役の花守 ゆみりさん。
メイン2人は生真面目な固めのボイス。

そこへ剣豪・巌鉄斎役の稲田 徹さんの大口。
くのいち・杠(ゆずりは)役の高橋 李依さんの奔放な軽口。
ボイスも硬軟織り交ぜて珍道中のバランスを取る感じ。

りえりーの色仕掛けボイスに惑わされて杠の胸の谷間ばかりよそ見してしまう私は、
神仙郷では花を咲かせる間もなく即死でしょうねw


天仙たちは甲斐田 裕子さんと諏訪部 順一さんのダブルキャストで雌雄同体の驚異を表現。
陰陽を司る雌雄がまぐわうことで氣(タオ)を高めてみたり、
両ボイスを合成して怪異感を高めてみたりと素材として重宝。

怪物だらけの島で純朴なロリボイスを提供するのが、
ピンク髪の謎の少女・メイ役の小原 好美さん。
しかしこんな幼気な声色の娘を、
{netabare} 道士が雌雄で氣(タオ)を高める訓練相手{/netabare} にしようと企むなんて。
天仙様は全員打ち首ですな~wまぁ、首切っても死なんけどw


【音楽 4.0点】
劇伴担当は出羽 良彰氏。
謎の島のサバイバル感を演出する太鼓も交えた怪しげな戦闘曲もあり、
心情を美しく彩る綺麗なピアノとストリングスもあり。
清濁併せ呑む覚悟をBGMも後押し。

OP主題歌はmillennium parade×椎名林檎のコラボ曲「W●RK」
蠱毒(こどく)のような世界観に並のアーティストじゃ呑まれてしまう?と懸念しましたが、
初回にこれを聴いて大丈夫だとホッとしましたw
因みに「わーく」と読むが「WORK」ではない。
私みたいに「WORK」と検索して、何で配信されてないの?と右往左往することなどないようw

ED主題歌はUru「紙一重」
惨劇が繰り広げられた末に、ようやく一息付けるラブバラード。
もっともEDアニメは大量出血してますがw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 26
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

色々な要素が混ざり合って一つの味に!

賀来ゆうじによる原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)での連載が2021年1月に終了(全13巻、原作未読)。
アニメ1期は、全13話(2023年)。監督は牧田佳織。制作は、『呪術廻戦』シリーズ、『チェンソーマン』などのMAPPA。2期の制作が決定(以上、Wikipedia参照)。
(2024.3.11 投稿 12.10 推敲)

【あらすじ】
時は江戸時代後期。血も涙もない「がらんどう」の最強忍者として恐れられた画眉丸(CV.小林千晃)は、幕府に囚われ、処刑が執行されることに…

しかし、画眉丸は人間離れした強靭な肉体を持っていたため、ことごとく処刑が失敗。そこで、打ち首執行人を生業とする山田浅ェ門一門に属する佐切(CV.花守ゆみり)は、画眉丸を極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免になると唆す。

愛する妻にもう一度会うため仙薬探しを決意する画眉丸であったが、島では、謎の化け物が徘徊し、仙薬を巡って他の死罪人とそれを監視・同行する山田一門との命を懸けたサバイバルが待っていたのだった…


【色々な要素が混ざり合って一つの味に!】
ざっくりとしたイメージは、島という閉鎖空間で謎の巨大生物に怯えるという点で、『進撃の巨人』、グロテスクなダークファンタジーという点で、『ベルセルク』。それらを足して和風にアレンジした感じ。

もっとも、全員ではないものの、個々のキャラクターの背景描写がきちんとあって、犯罪者や打ち首執行人という世間では忌避される職業に就いた已むにやまれぬ事情が垣間見ることができ、人情ものの時代劇要素もあります。

また、『キングダム』でお馴染み秦の始皇帝が徐福に探させた「蓬莱」や「不老不死の仙薬」がでてきます。本作が原作の途中までなので全ての謎は解き明かされませんが、謎の種まきとしては十分。

あと、戦闘シーンについては、忍術であったり氣(タオ)という本作特有の設定が用いられていますが、安心のMAPPAクオリティ。

こんな感じで、本作の魅力は、色々な要素が混ざり合って『地獄楽』という一つの味になっているところでしょうか(※激辛ラーメンの屋号として実際にありそう(笑))。


【「中道」について(※一武道家の余談(笑))】
本作は色々な要素が混じり合っていますが、タイトルも「地獄」と「極楽」が混ざっています。
他にも、氣の設定の「強い」と「弱い」や、強さの境地としての「感情」と「理性」といった「対立または矛盾する両極端の立場を離れ、両極端のどれにも偏らない中正な立場を貫く」(※「日本大百科全書」引用)という意味の仏教用語である「中道」が1つのテーマになっています。

西洋思想にも「対立または矛盾する両極端の立場」を想定したアリストテレスの「中庸」やヘーゲルの「弁証法」がありますが、ざっくりとした個人的なイメージですが、西洋思想では両極端の立場が「混在」した状態ではない。

この「両極端の立場の混在」というのが「中道」と「西洋思想」との違いだと思っています。

例えば、強さの境地としての「感情」と「理性」を例に挙げると、怒りなど「感情」に任せて戦えば、通常発揮できないような馬鹿力を発揮できますが、冷静に相手の弱点を狙えなくなります。逆に「理性」によって冷静に対処しようとすれば馬鹿力を発揮できなくなるのが普通です。

そこで、「両極端の立場の混在」という考えを戦いで実践するなら、「怒り」に任せた馬鹿力を発揮しながら、同時に「冷静」でいられるのが「最強」ということになる。
(※イメージとして近いのは、「穏やかな心」を持ちながら「激しい怒り」によって目覚める「スーパーサイヤ人」。ちなみに、中庸だと僅かでも「怒り」と「冷静」のどちらかの感情に偏ってしまうし、弁証法だと「スーパーサイヤ人」という元とは別のものに止揚されてしまう。)

実際にできるかどうかは置いておくとして(笑)、そういう状態になるには、自分の中で2つの対立する状態を流転(高速回転)させると解釈できないこともない(※我々一般人は、気持ちの切り替えを早くするくらいが実用レベルでしょうか(笑))。
イメージとしては、作中にも出てきた陰陽を表す太極図(※韓国の国旗の真ん中にある赤と青の丸いやつ)。あれは、対立するものが、どっちも同時に存在して全部ということを表しています。


本作に出てくる島も、恐ろしい化け物と仏像が出てくるので、地獄と極楽が同時に存在していることを表しているのかもしれませんね。


【人のために強くなる覚悟(※感想)】
本作では人がどんどん死んでいきますし残虐表現も多いので、それがもたらすグロテスクさは死を身近に感じさせます。

もっとも、感情をもつ人であれば人を殺すことに躊躇するのが通常であって、そこに躊躇がない者は「殺人鬼」とか「サイコパス」といわれます。

{netabare}画眉丸は、血も涙もない「がらんどう」といわれ、これまで人をただ命じられるまま無感情に殺してきました。
それゆえ、情は人を殺めることに不要だと思ってきましたが、何としても妻の元に帰ろうとしたとき、その感情が自らの強さに繋がることに気づきます。

一方、佐切は、女であるがゆえに武家の跡取りとして周囲から認められず、反骨心から打ち首執行人になりました。しかし、人を斬る覚悟が持てず、そのためらいが剣を鈍らせていました。

人を殺める躊躇いを消すため無感情になるのではなく、感情は持ったまま人を殺める覚悟を決めた者の方がより強くなれる。

本作の魅力は、人のために強くなる覚悟を決めた二人の内面の成長物語にもあると思ってます。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 7

73.2 3 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング3位
バンパイアハンターD(アニメ映画)

2001年4月21日
★★★★☆ 4.0 (169)
1081人が棚に入れました
菊池秀行の人気小説『吸血鬼ハンターD』を天野嘉孝キャラクター原案で映画化した劇場版アニメ。最終戦争後、人類の頭上には貴族“バンパイア”が君臨していた。そのバンパイアに対して戦いを挑むプロフェッショナルは、いつしかハンターと呼ばれるようになっていた。ある日、理想のハンターとして知られるダンピール――Dは、バンパイアに誘拐されたエルバーン家の娘・シャーロットを救出するよう依頼される。バンパイアの馬車を追うDのもとに現れたのは…。

声優・キャラクター
田中秀幸、永井一郎、山寺宏一、林原めぐみ、篠原恵美、屋良有作、大塚芳忠、関俊彦、大友龍三郎、大塚周夫、青野武、清川元夢、辻谷耕史、西凜太朗、沢海陽子、藤原啓治、鈴鹿千春、矢島晶子、小山力也、かないみか、石塚運昇、前田美波里

Anna さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

怪しく神秘的・・・。"バンパイアハンター"D"の世界!

監督は川尻善昭、製作はマッドハウスを中心に、さまざまな会社の技術が取り入れられています!
原作は、菊地秀行による小説"吸血鬼ハンターD"の、シリーズ第3目「D-妖殺行」です。

若い女性シャーロットは、吸血鬼の男爵であるマイエル・リンクによって、誘拐されてしまった。
彼女の父親の依頼により、バンパイアハンターである"D"はシャーロットの救出のため戦う。
ところが、救出の過程で、シャーロットは自らの意思で男爵のもとへ誘拐されたことが判明する。
そんな意思に構いもしないハンター達や、狙い来るミュータントたちを前に、"D"はどう戦うのか!?

OVA作品「吸血鬼ハンター"D"」の、物々しい演出や作画も雰囲気が出ていて好きですが、今作の美しく不気味な映像も素晴らしいです!

なんと言ってもこの作品の魅力は、鮮やかで美しい映像と、壮大で臨場感のある音楽、スピード感のあるバトルアクションと、Dの圧倒的な存在感!!
月の光に照らされながら、堂々と立ち振る舞う"D"の姿、とてもカッコいいです。
人物達は活き活きと動き回り、ハリウッドを思わせる、息もつかせぬほどのバトルアクションが素晴らしいです!
リアルなキャラクターデザインも、物々しい世界観にぴったりです!

太陽の照りつける真っ青な空と鮮やかな砂漠。そこにサンドマンタの群れが飛び交う映像は、本当に圧巻です!
森林の中にそびえる、夕焼けを浴び鮮やかなオレンジに染まる、正方形の屋敷も神秘的。
建築物や泉、山々や馬一つとっても渋くて味が出ており、とても雰囲気が楽しめる作品です!

今作はアメリカで先行上映されており、英語版と日本語吹き替え版が製作されています。
林原めぐみさんや大塚芳忠さん、山寺宏一さん、藤原啓治など、大好きな声優さんが多く吹き替え版に出演されており、すばらしい!

是非、多くの人に見ていただき楽しんでいただきたい一作です!

投稿 : 2024/12/28
♥ : 6

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

壮大なスぺクタルで送るダークゴシックファンタジー

私が中学生の時、面白いアニメは無いかといろいろ漁っていたら、この作品に偶然出くわした。
ついハマってしまいDVDボックスを購入してしまった。

全米で先行上映され、アメリカ人受けを狙ったのか、作画はアメコミ風で好き嫌いがありそう(でもすごく綺麗)。字幕版は台詞も好きじゃない。

日本語版は声優も良くて、ダメな台詞が少し修正されていたりする。やはり日本の声優は世界一やね。

それはいいとして、このアニメの観どころはなんといってもバトルシーン!!今観てもかっこよすぎw
敵も味方もキャラが面白く個性的。グローブ兄さんヤバすw
でも、後半のバトルは物足りなかった。

ストーリーもアクションだからといって侮るべからず。
マイエルとシャーロットの二人の話が切ない。

良くまとめられているイイ作品だと思います。


投稿 : 2024/12/28
♥ : 5

ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

映像・世界観・音楽の3拍子

2年くらい前にAT-Xにて視聴

2001年公開のアニメ映画。
人間とバンパイアのあいだにできた子供である
主人公のバンパイアハンター「D」が、
あるバンパイアにさらわれた娘を、依頼を受けて救出に向かうという
ゴシック調の世界観のバトルファンタジー&少々ラブロマンス


・本作の良い点
それは映像美に尽きる。と思う。

天野善孝氏がキャラクター原案を務めた繊細で美麗なイラストが、
そしてゴシック調で薄暗い、ダークで繊細、美麗な世界観が、
大概の視聴者の抱くイメージどおりそのまま画面に叩きつけられる。


他にも
キャラクターや武器や馬車、飛んでくる コウモリや化け物たち、
それらが迫力をもって奥から手前に、画面の前にいる視聴者に迫りくる。
アニメーションそのものもセル画制作でありながらヌルヌルと動く。
そういった部分も相まってか本作は
繊細さを持ちながらも、非常にダイナミックな印象を視聴者に与えるであろう。


対象物が奥から手前に迫ってくる時の「音、音楽」これも映像の迫力を強くしている一因だろう。

音はそのまま、対象物が奥から手前に迫ってくればどんどん音が大きくなっていく。
作品中の音楽は迫力とともに緊張感も出している。
これも良い。


映像、世界観、音楽
これら3つの持つ繊細さと迫力。
あくまで私個人の意見だが、本作はこれらが全てだと思う。


本作のシナリオは冒頭で書いたとおりである。
バンパイアにさらわれた娘を、主人公が依頼を受けて救出に向かう。
それだけ。

私個人、世界観と映像は素晴らしいと思ったが
このストレートなシナリオは好きになれない。
そのためシナリオは私にとってプラスに出来ない。

もうちょっと複雑なシナリオだったら私はシナリオも高く評価した。

ただ、前述の通り世界観と映像を見せるアニメだとすれば、このストレートなシナリオで十分なのだろう…


主題歌であるDo As infinity「遠くまで」は本作には曲調が明るすぎて、やや合ってないように聞こえる。
しかし歌詞は割と…?
どうだろう?
個人的には結構お気に入りの曲である。



ダイナミックな映像。
ゴシック調でダークで美麗な世界観。

そういったものが見てみたいという方にはオススメする。
映像・世界観・音楽の3つがうまく絡みあった傑作でした。

下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 13

64.3 4 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング4位
ノケモノたちの夜(TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (110)
299人が棚に入れました
傍にいる悪魔が、救い。
傍にある少女が、暇潰し。
19世紀末、大英帝国の片隅での2人の出会いが
居場所を求め彷徨う物語を紡ぎ出す。
孤独を分かつ者たちに囁く
悪魔と少女の常夜奇譚。

62.1 5 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング5位
3×3 EYES-サザンアイズ(OVA)

1991年1月1日
★★★★☆ 3.3 (39)
259人が棚に入れました
普通の高校生・藤井八雲。ある時彼は三只眼吽迦羅という妖怪の少女・パイと出会い、彼女と同様に不老不死となってしまう。だが、不老不死の体は永遠の寿命のためにやがて無気力無関心無感動となってしまうため、2人は人間となるために冒険の旅に出る。

62.7 6 不老不死でダークファンタジーなアニメランキング6位
NOBLESSE ノブレス(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.1 (90)
322人が棚に入れました
820年に及ぶ長い眠りから目を覚ましたカディス・エトラマ・デ・ライジェル。彼は高貴なる血と精神を持つ貴族の守護者、「NOBLESSE」である。忠実な執事であるフランケンシュタインは、ライジェルを守るため、自身が運営する私立芸欄(イェラン)高等学校に入学させた。その後しばらく学校で同じクラスの生徒と交わり、素朴で平穏な日常を過ごしていたライジェルだったが…世界征服をもくろむ謎の組織「ユニオン」は、ある目的の為に改造人間を送り込んで、少しずつライジェル達の身辺を脅かすようになる。守るべき人たちのため、自らの絶対的な力を使わなければならなくなっていくライジェル…その時、世界が、動き始める――。

声優・キャラクター
新垣樽助、平川大輔、大西弘祐、若山晃久、茅野愛衣、中澤まさとも、大塚剛央、岩崎諒太、浜田洋平
ページの先頭へ