モノローグでコミュ障なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのモノローグでコミュ障な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月27日の時点で一番のモノローグでコミュ障なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.3 1 モノローグでコミュ障なアニメランキング1位
3月のライオン(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (984)
4888人が棚に入れました
主人公は、東京の下町に1人で暮らす17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。深い孤独を抱える彼が、あかり・ひなた・モモの川本3姉妹と過ごす時間や、さまざまな棋士との対戦を経て、失ったものを少しずつ取り戻していく様が描かれる。

声優・キャラクター
河西健吾、茅野愛衣、花澤香菜、久野美咲、岡本信彦、井上麻里奈、細谷佳正、三木眞一郎、杉田智和、木村昴、千葉繁、大川透、櫻井孝宏

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

シャフトらしくないかも(主に作画が)。ちなみに良作です。

ヤングアニマル掲載マンガが原作で、まだ終わっていない作品のアニメ化。既刊分の原作単行本は全部持っています。

第1回目を視聴しましたが、けっこう原作の画の感じが残っていました。背景もシャフトらしくない柔らかい感じの原作に近いタッチの画で、どこが制作かなんて気にしてない原作ファンは安心したかもしれないです(笑)。

通して最終回まで観る予定なので、レビューはそのあとになる予定。あと、評価の星は暫定ですが良い意味で作画に裏切られたので、あえて5をつけておきました(笑)。

2017.4.25追記:
視聴を終わって更新しそびれていました。原作準拠で穏当なアニメ化でした。原作者の羽海野チカ先生も原作既読のファンも満足できたアニメ化だったのではないでしょうか。

「ぼっちスパイラル」に嵌る零くんを見ていると切なくなりますが、それ以上に川本家の人たちや林田先生の暖かさ、そして対局解説中なのに「桐山~!」と叫びだす二海堂くんの熱さなどが心地良い作品です。

二海堂くん開発「ニャー将棋」のネタは原作マンガにもあったのですが、歌まで作ってしまったのはさすがのNHKでした。最終話の最期に2017年10月からの2期目の放送もアナウンスされ、まずは順風満帆といったところ。

あー、写真加工した静止画での次回予告とかドラマ『傷だらけの天使』へのオマージュっぽいスミスの朝食シーンとかはシャフトっぽいです(笑)。
(でも、あれも一応原作にそれっぽいシーンはある…。)

2017.10.4追記:
原作最新巻(13巻)が出たのでさっそく読んだのですが、OP主題歌「ファイター」のメーキングというページがありました。そこに書いてあったのですが、あのOPアニメーションのコンテ切ったの羽海野先生ご本人だったんですね!

そして間もなく2期目が開始になります。楽しみです。

2017.11.5追記:
2期目が始まってだいぶん経っています。原作通りだと、2期目中盤はしばらく「高校生らしい」零くんが観られるはず。
(以後、レビュー更新は2期目の方でする予定。)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 70
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いた作品、作者と制作会社とTV局が一体となった良作

これほど原作が読みたくなった作品は久しぶりのような気がします。終わるまでまとうか、読んでしまおうか、葛藤中です。

シャフトっぽさを消しているようで、ところどころやっぱりシャフトだと思わせるような描写がチョコチョコ見られるのが良いです。特に場面転換で不要じゃね?と思わせるようなカットを入れてきて、それがまた綺麗だったり、インパクトがあったりとするところなんか、シャフトだなと感じてしまいます。ただ、「シャフ度」と言われる首の角度が抑え気味なのはやっぱり寂しいかも(?)

NHKが、しかも総合で流すのですから、力入れているのはよく分かります。まだ前半も途中ですが、引き込まれっぱなしになっています。主人公である零の歩んできた人生の重さ、その重さを少しずつ解放する三姉妹と二海堂との掛け合いの面白い事。

二海堂のモデルは将棋好きの人なら知らない人はいないくらい有名な村山聖なんでしょうね。となると、太っているのは病気のせいであり、あかりが「むっちり」で喜んでいるのはどう解釈したらよいか戸惑いました。このあと二海堂は病気が重くなっていく展開になるんだろうけど、つらいな…

三姉妹は本当にキャラがいい。声も完璧だし、流石としか言いようがありません。話の展開も良く、たぶん、最後まで面白く見ていくことができる作品だろうと思います。すでにお気に入りに入れてもいいように思っています。

【前半を終えて】
結局終わるまで待てず、原作を読んでしまいました…。面白い、何故にこれまでスルーしていたのだろうと思います。前半は零の置かれた状況を表現していた感じです。零が何故に将棋をしているのか、零がどうして三姉妹と関わりを持ったのか、二海堂と零のライバル関係、零と香子の関係等々をシャフト独特の表現でうまく繋いでいた感じです。
とあるコラムニストがシャフトっぽくないのが良いと書いていたのですが、どこを見ているのかと。零の気持ちを表現するときや香子とのシーンはシャフトそのものでしょう。シャフト特有のズルいイメージ(個人的な感想)ふんだんに盛り込んでます。原作のイメージがそのままシャフトっぽいですし、シャフトなら良いと言ったらしい作者の感覚がすばらしいと思います。
三姉妹は癒しそのもの。に対して香子の危うさと言ったら…。香子の声も良いです。老倉育を見て井上さんに決めたらしいのですが、本当にぴったり。

後半はもっと将棋に突っ込んでいくのではないかと思います。また、三姉妹の関わり、零を囲む周りの人々の動きなど、楽しみです。

【後半の中盤】
後半に入り、零の気持ちがどんどん重くなっていきました。そこを救うのが三姉妹であり、先生であり、二海堂であり、島田八段であり…とにかく零は人に恵まれました。回を追うごとにその事が分かります。
将棋に関する話も濃くなってきたのも後半の面白いところです。鍵となる島田八段は飄々としているのに、プロの厳しさを零に伝えてくれます。そしてとうとう出てきた宗谷名人。まさに怪物に相応しい佇まい。アニメになると、その事がいっそう強調された感じです。
零と香子の微妙な関係も相変わらず。が、三姉妹と香子の絡みとか、実は可愛らしい一面もあるところとか見れて良いです。
それから、今の季節に合わせたような進行具合も非常に良いです。これからラストに向けて零がどう成長していくのか楽しみです。

【一期終了】
零のちょっとずつだけど、成長していく感じが見てとれました。
「11年もボッチだったんだ」いう台詞の重みから解放されていく過程を描いたのが一期だったと思います。ゆえに、展開は重く、零の台詞もなにかぱっとしません。耐えられない人はそれでこのアニメはお仕舞です。
零は周りに恵まれました。それは零が成長するための起点になっていきます。二海堂であり、三姉妹であり、林田先生であり、島田八段であり、科学部の面々であり、そういった人々と交わることによって、重く押しかかっていた零の心が開かれて、次のステップへと進んでいきました。見直すと、中盤までの零とは明らかに違う人間になっているのがよくわかります。

この作者は人と人とのつながり、心の葛藤や解放へ向かうまでの描き方が上手だと思います。重くなり過ぎそうなときはわざとデフォルメさせたり、ちゃちゃを入れるような場面を入れてほぐします。これが嫌味に感じないところがまた良いのです。せっかくなので、ハチクロも見てみたのですが、作品は違っても、描き方は同じでした。
それと、ハチクロを見て思ったのが、シャフトで良かったということです。ハチクロも悪いわけではないのですが、ライオンを見た後だと何か足りません。零や香子みたいな人物が多く出演する、心の葛藤を中心とするような作品を作らせたらシャフトは上手です。ちょうど同じ時間帯にAT-Xではefを放送しており、ライオン始まるまでの10分間は視聴していましたが、シャフトの右に出るものはないなとさえ思いました。

二期が決定したので万歳です。二期は{netabare}宗谷とひなが大きくかかわってくる話になると思いますが、この話がどう描かれるのか{/netabare}楽しみでしょうがありません。

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いたこの作品、2クールゆっくりと描かれているので、ドラマ性を求めている人にお勧めです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 53

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

緩急が凄い!

原作未読。最終話まで視聴。

人とのコミュニケーションが苦手で、ちょっぴり根暗な少年が主人公の物語。

1クール目は、主人公が川本家の3姉妹との出会い・交流を通して『人の温もり』を知る物語。
2クール目は、主人公が将棋を通して知り合った頼もしい仲間やライバルとの物語。
ざっくりというとこんな感じかな?

1話冒頭から、主人公があまりにも暗いし、物語のスピード感は無いし『どうしたものか・・・』と思っていましたが、川本家を訪ねたあたりから急にハイテンション!
物語の緩急って本当に大事だなぁ、と改めて痛感させられた作品です。

ハイテンションな表現があるから主人公の心の闇の深さがより強調される。
上手い演出だと思います。

あと『しゃべるネコ』と『ニャン将棋』には心が和みます。

2クール目については、将棋に詳しい人ならもう少し楽しめたかも・・・って感じでした。
駒の動かし方を辛うじて知っている程度の知識では、プロ棋士の凄さが伝わらない。

あと、主人公は嫌がるかも知れないけど、二階堂は本当に良い奴だ。主人公は嫌がるかも知れないけど・・・。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 83

91.6 2 モノローグでコミュ障なアニメランキング2位
ぼっち・ざ・ろっく!(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (910)
3745人が棚に入れました
“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりは 会話の頭に必ず「あっ」って付けてしまう極度の人見知りで陰キャな少女。 そんな自分でも輝けそうなバンド活動に憧れギターを始めるも 友達がいないため、 一人で毎日6時間ギターを弾く中学生時代を過ごすことに。 上手くなったギターの演奏動画を“ギターヒーロー”としてネットに投稿したり文化祭ライブで活躍したりする妄想なんかをしていると、 気づいたときにはバンドメンバーを見つけるどころか友達が一人も出来ないまま高校生になっていた……! ひきこもり一歩手前の彼女だったが ある日“結束バンド”でドラムをやっている伊地知虹夏に声をかけられたことで、 そんな日常がほんの少しずつ変わっていく――

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「ぼっち」の「成長」という共感できる核。最後に「きらら」なことが足を引っ張ったかな…。

 シンプルなキャラデザこそ本当は動かすのが難しいものだが、ぬるぬる(超絶作画な意味じゃなく)と溶けたりバグったりと自由自在に表現できていて楽しく、ちゃんと引き算の上手い演出もできて見る価値充分。作画もこれみよがしな良作画じゃなくて細部が非常によく出来ているからキャラの魅力を増しているし、特に5話のライブシーンは作画が感情をちゃんと表現できているから心動かされる。作画は見えない感情を見えるように表現できてこそ。


 それにしても、ぼっちやコミュ障を描くならマイルドでもこれくらいはやってくれないとアカンね。全然イケてない負け犬こそロックが相応しい。あと、ゲロインが出るアニメは名作!。「働きたくない!。社会が怖い!。」、「承認欲求モンスターが。」などなど早くも名言多数。


凡百の日常系以降の音楽作品との違いは、やはりぼっちの共感性羞恥、もとい見ている陰キャボーイたちも共感できるぼっちの駄目さからの成長がしっかりドラマを作れているからだろう。全て要素はその強固な核があるからこそ輝いている。それがあるとないじゃ大違い。


 5話までかなりスムーズな流れできたけど、6〜7話でなんか話が停滞してきちゃったような…。すぐライブ準備への流れで良かったような。8話で下手な演奏と上手い演奏を、説得力ある台詞に頼らない表現でできてるのがパない!。そしてなんという最終回感、或いは映画の終わり感。ピングドラムの最後の台詞をタイトルでブツっと切る鮮やかな演出だったらより良かった。まだまだ期待してます。最終回が「明日ちゃんのセーラー服」みたいだったら泣くかも。


 ん〜「明日ちゃん」みたいにはならなかったかぁ。総評すると、ギャグ良し、作画良し、演出良しな良作だったけど傑作にはなれなかったかな。5話まではかなりスムーズに物語が盛り上がっていったけど、そっから「きらら」な日常系ノリで停滞気味になってもうた。やはり熱い成長譚と日常系は相性が微妙。2クール以上やれるような話やないし。「明日ちゃん」は尻上がり、本作は先行から失速気味だった。


 やはり本気でやるからこそ悔しいことや辛いことから逃げられない。でも、それを乗り越えてこそ成長を実感できる。2期あるとしたらそういうのが見たいかな。「きらら」でそんな無理!と思われるかもだが、「キラプリ」のアオちゃんだってやってるんだから出来ないことはない!。どんどん低反発でソフトコーティングな傾向が強くなってる日本アニメだが、「ウマ娘2期」を見ればわかるように困難を乗り越えずに真の感動はそう描けない。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 30
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

異世界ものときらら系のハイブリット。承認欲求の話ですね。

 なんとなく、最近作画が凄いアニメが増えたなあと思い、本作も何となく眺めていて気が付きました。そうか、この作品は、異世界転生ものなんですね。

 つまり現代でぼっちだったヒロインが、転生してもパーティーに上手くは入れないのでコツコツスライムを倒してレベル上げをしていた。武器はなぜかはじめから最強武器を持っていた。仮面をかぶっているので正体はわからないけど、強い冒険者がいると噂にはなっていた。
 ある日素顔で武器を持って街をウロウロしてたら、パーティーに誘われた。そして、自分も周りからもたいしたことないかと思っていたら、実はレベル99でした。そして俺TUEEE開始。「あの仮面の冒険者はお前だったのか」となり、お金も稼げて、皆から承認されて最高です…という話でしたね。

 だから、努力する姿とか、強くなるためのきっかけとか描けなかったんですね。それを描いてしまうと「転生もの」ではなくなってしまいます。レベル上げの部分は見せないのがマナーです。そして、なぜ強くなるかと問うてはいけないわけです。設定で解決するしかないですね。

 ロック・音楽ものでもないし、ぼっちをテーマにした作品ではなく、承認欲求の話だと。

 ひょっとしたら自分は特殊なんじゃないかという「ある日突然ガンダムに載ることになった」「コンパクトを貰って魔法少女になった」の変形としての異世界転生ものと同じマインドでこの作品は見たいわけです。
 才能と努力の先に「努力をした人だけが到達できる高み」に見えてはいけないということですね。逆にいえば「ひょっとしたら自分もそうなれるかもしれない」という魂の救済にならないといけないのでしょう。

 ぼっちちゃんの結束バンド加盟もリアリティを求めてはいけないわけです。異世界ものでパーティーに加入するのに理屈もプロセスも要りません。「お前はいらないか?」で済ませるから、いいのでしょう。それにギルドの上納金(チケット)で困ったりもしてましたね。

 そう考えると、本作の見方が「ロック・音楽ものとしてどうなのよ?」という意見と「いや、そういうアニメじゃないから」という意見が対立するのもわかります。「けいおん」がきらら系で日常まったりゆるふわに対して、本作は承認欲求=異世界そのうちでも追放ものでしょうね。そのマインドと重なる気がします。

 というかキャラはきらら系日常もの、ストーリーは異世界転生もののハイブリットといえると思います。人気の理由がわかった気がしました。なるほどなあ。音楽関係者が批判したら的外れになりますね。
 




以下 初回レビュー時の総評です。

「ぼっち」を嗤うのは卑しい。「音楽」作品ではない。キャラ消費作品。作画はすごい。

 面白い部類だとは思います。作画のレベルも高くライブのシーンは良く動いていました。

 ただ、テーマとして「ぼっち」を笑うのままに終わってしまったのが、残念です。作中ではぼっちちゃんは認められて行きましたが、メタ的には1話同様、ぼっちであるヒロインの滑稽な姿を見て、ちょっとブラックなマインドを刺激するようなギャグが続いたのがやはり気に入りませんでした。その笑いはちょっと卑しいかなあ。

 ぼっちの自己認識と周囲からの見た目のギャップがほのぼのと言えばほのぼのなんでしょうけど…これをぼっちは自分で思ってるほどじゃないから、気にしないでがんばろうとも取れますけど…うーん。

 ぼっちちゃんは、社会不安障害(昔でいう対人恐怖症)ですよね?自分はコミニュケーションしたいと思っても自己肯定感が低くて恐怖を感じているわけで…つまり、他人からの見たぼっちちゃんがどうこうではなく、病気で苦しんでいる状態なので、その滑稽さを笑うのは障碍者を笑うようなものだからなあ。「笑う」ではなく「嗤う」ですね。
 これが孤高の人で、一人上等、友達不要、バンドは仲間じゃなくて集団だ、なら全然いいんですけど。


 後は、ぼっちちゃんのギターに対する情熱が見えてきません。ぼっち脱出のモチベーションでしかないとしたら、音楽である必要もないし。1話でテレビを見て音楽に目覚め、ギターやりたいというシーンは確かにありましたけど、その後、ぼっちちゃんが音楽表現に熱くなっている描写ってありました?ギター演奏をこなす描写はありましたけど。

 最終回の後半はなんか「けいおん」の楽器店に行くところの焼き直しだしなあ。自力でお金を稼げるという一つのカタルシスにはなるのかなあ。
 やっぱりライブで締めるべきだったと思います。肝心のライブも作画に力が入っていたのはわかりますけど、壊れたギターで何とか演奏する…という技術と対応力の凄さはわかりますが、やはりぼっちちゃんの「ギター演奏」に対するこだわりではなく、音楽マインド、表現の情熱に肉薄できてないと思いました。

 つまり「バンドもの」「ギターもの」ではあっても、「音楽」を扱った作品に見えません。ロックの名を冠するからには「ロック魂」も見せてほしかったなあ。「ぼっち」と「ロック魂」の親和性は良いと思うんですけど。

 そう、全体的に内面が薄いですね。キャラ達の。感情移入の相手先が結局みつかりませんでした。

 癒し成分も萌え成分も少ないので、きらら系作品としては普通?ギャグはまあありますけどちょっと卑しい笑いだしなあ。脚本や演出それぞれのレベルが高いのはわかりますが、焦点がわかりません。

 作画はちょっと過小評価されている気もしますが。このちょっと崩れた感じのマンガ絵を立体的に動かすのは大したものだと思います。それと演奏シーンは実演奏をモーションキャプチャーして3DCGでモデリングした後、2Dのエフェクトかけて、手で修正している感じ?専門ではないので細かいことはわかりませんが、演奏シーンの動きとか見ると多分それに近いことをしている気がします。

 その点で力が入っているのはわかります。スタッフのクレジットがキャストの上に来ているエンドロールって久々に見た気がしますが、それだけアニメ作りに力を入れたのでしょう。
 このアニメ動画としての秀逸さは素晴らしかったと思います。

 本作の真価が問われるのは、これから半年後にどれくらい話題になっているか…といいたいところですけど、この考え方もちょっと古そうですね。瞬間でバズって「期」の3ヶ月の盛り上がりで楽しむ、というのがアニメの消費の仕方になったんでしょう。ということは深みよりも、キャラと雰囲気、エピソードありきに寄って行くんでしょうね。





以下 視聴時です。

1話 「ひとりぼっちを笑うな」じゃ、ないんですね。

{netabare} あー、そもそもぼっちをネガティブにとらえている段階で、視点が相当古いですね。ぼっちを止めるためのバンド活動のモチベーションで音楽って…ちょっとなあ、ですね。単なるルサンチマンですからね。エネルギーがクリエイティブに向かうのはいいですけど、アウフヘーベンできてないですね。

 そもそもボッチ設定がちょっと不自然だし。「私なんかが入ってもいいだろうか?」と思う子は少なくともいないんじゃないかなあ。幼稚園くらいなら「なんであいつら群れてんだろう」「子供すぎてついていけない」か「仲間にはいりたいけどはいり方がわからない」「拒否されるのが怖い」とかでしょうねえ。
 つまり、ボッチじゃない人が作ったボッチ作品の気がします。

 蛭子能収氏の「ひとりぼっちを笑うな」的な話かと思ったら、ヒロインは一人だから寂しいというマインドです。なれ合いを否定して1人で成り上がって行くのもたまにはみたいなあ。ボカロPで、一人で超メジャーになった人もいっぱいいますので…うーん。
 中学校時代6時間毎日演奏できる才能があるなら、その一人で出来る才能がクローズアップされるのもいいのでは?

 固い事いわずに、日常系ギャグとしてみるならいいでしょうけど、友情とか仲間とかなれ合いに行くなら、なるほど「けいおん」で、あずにゃんに逆戻りですね。そのあずにゃんですら、ギターありきでしたし、自分で積極的に活動してましたからね。ユーフォの麗奈の完全な逆ですね。アイドルアニメのバンドバージョンかなあ。

 ワタモテのマイルド日常版って感じですね。ワタモテはあまりに生々しすぎてみるのが辛いくらい、ボッチの精神性が描けていたので非常にいい作品でしたけど。

 テーマ的には興味あるのでチェックすると思いますが、思いっきり拒否反応が発生する可能性もあるかなあ。{/netabare}


3話 音楽に対する情熱も、ぼっち設定もコメディーの舞台設定

{netabare}  全部がゆるーいなんちゃって設定かなあ。きらら系用のギミックですね。4人目の子もなんだかわからないキャラだったし。

 ストーリーではなくて、キャラとかエピソード重視ならいいかもしれませんが、テーマ性は感じられませんでした。背景が薄いので登場人物のキャラ設定が不自然で行動に納得感がないです
 特にヒロインのキャラ造形は、世界を広げたいわけでもないし。音楽に情熱があって音楽をやる手段としてぼっちを克服するという背景もないし。溺れるもののワラで依存状態に陥っているんでしょうけど、依存状態としての描写も不自然です。ですので面白さが拾えませんでした。

 また、「ぼっち」という苦痛を抱えているキャラを弄んでギャグにしている感じが、私には合わないので撤退です。
 ギャグだったらボッチ設定でもいいから、ボッチの行動の滑稽さを笑うようなのはやめて、人を見下さないギャグにしてほしいなあ、と思います。ボッチの滑稽を笑うなら、むしろテーマ性がある場合に許される展開な気がします。

 この段階の断念はデフォルト3にする方針だったんですけど、本作はあまりにひどいので物語とキャラは落としておきます。 {/netabare}



6話 ひとりぼっちの性格を自己肯定して、バンド活動を仲間ごっこにしないなら面白いかも。

{netabare}  新キャラと出会う、ご都合主義展開ではありますが、ひとりぼっちの性格を否定しないで前に進んでくれるなら、それはありかなあ。

 その点でこの6話はちょっと良かったと思います。結束バンドに頼らないで、自分で何とかするところがいいので、この6話みたいのが続けば面白いかも。

 ひとりぼっちでもバンド活動で活躍できるとか、観客は自分の人間性を査定しにくるわけじゃなくて、音楽を聴いてくれているとかそういう方向なら面白いかも。結束バンドありきで、仲間になる話ならありきたりだけど。

 断念したにしてましたけど、チェックすると思います。{/netabare}


8話 「ぼっち」=劣等感パワー覚醒。仲間ごっこが出来るかが大事じゃなくてやり続けたギターがアイデンティティになって行く。

{netabare} 「ぼっち」とは裏を返せば劣等感です。これは非常に現代的なテーマで、金銭を稼ぐ、話題が上手い、友達が多い、そしてモテる。そんなのが大事だと、市場原理によって洗脳されて、自己評価が低い人間ばかりになっている気がします。

 スクールカースト等でクラス内のキャラ付けみたいなロールプレイが支配的な感じがありました。演技でキャラ付けしてみんな疲れ果てていた気がします。そして、今やSNSの中で自分を飾ることが価値になっています。それが国民総劣等感、国民総不幸になっている気がします。

 物語は、ぼっちちゃんの周辺の人間の何かも見えてきました。必ずしも心に何か抱えているのはぼっちちゃんだけではありません。

 そして、ぼっちちゃんは強烈な劣等感に苦しみながらも、技術を極め、そして、自身の価値を自分の手でつかみ取りつつあるように見えます。

 8話のぼっちちゃんは、劣等感をエネルギーに変えて技術に変えたその結果が出ました。突出した技能や好きなことを完遂できる力こそ最強なんだぞ、というふうに見えてとても良かったです。

 7話の両親のデリカシーの無さにイライラしましたけど、8話と対比することで家族ですらぼっちちゃんの価値に気が付いていないと取れます。が、あるいは既にぼっちちゃんの価値を理解しているから無神経に見えるだけかもしれません。

 バンドメンバーや周囲の音楽関係の人間はぼっちちゃんの価値というか、すごい存在だということに気付き始めました。分かる人には分かる、ですね。8話のぼっちちゃんの自己肯定感はまだまだですが、覚醒はとてもよかったです。

 早くぼっちちゃんには自分の価値に気が付いて欲しいです。仲間ごっこ、群れるのが大事なんじゃないと言う含意も見えてきました。初めの方の内容がヌルくて不快な展開な気がしましたが、どんどんいい方向になっていると思います。7、8話は明確にこの辺が出てきました。

 ただ、この作品は、この「ぼっち」のままの「自己肯定」こそが、大事だと思います。1クールで結論を出してその先は描かない方が良いと思います。{/netabare}


10話 どうせきらら系だからこれでいいんだ、という評価で終わるのでしょうか?

{netabare} きらら系ということで、ギャグ要素としてある程度ぼっちいじりはやむを得ないのかもしれません。原作は見てないですが4コマだとしたら、まとまりがない話があってもしょうがないでしょう。

 ですが、アニメ化にあたってはそれは7話以前で済ませておいてほしかった気がします。9話でまた逆戻り、10話は以前やった話の繰り返しみたいなものでした。

 逆説的な言い方をすれば「きらら系になにを期待してるんだ?」とか「こんなきらら原作のアニメに何言ってるんだ?」というレベルで終わらせるには惜しい部分があったと思ったのですどうでしょう?

 友情ごっこはではなく、孤独だからこそギターがアイデンティティとなって、音楽で広がる世界が見たかった気がします。文化祭で喝采を浴びて終了なら、原作がどうか知りませんが、少なくともアニメに関していけば肩透かしかなあ。
 エンタメとして楽しむと割り切るにはギャグとしては単調だし、暗い話題だし…うーん。

 中途半端にキャラ萌えだけで終わってしまうのでしょうか?9話とか必要ない話がもったいなかったなあ。{/netabare}


11話 サブタイトルのセンスがいい。学園祭で終わる雰囲気ですけど…

「一二進法の夕景」というサブタイトルは詩か?今までの時間の経過に区切りがつく直前のイメージ、あるいは明日のライブまでのカウントダウンの意味でしょうか。またはぼっちが一人でギターをやり続けてきた時間のことか。このサブタイトルを誰が付けたか分かりませんが、センスを感じます。

 本作は「けいおん」との比較論がありますが、あれはアニメ史的には女子だけ部活ものとしてほぼオリジナルという点と、昔の京アニの面白い演出で秀作ではありますが、今この時代に新作としてもってくれば、多少出来がいいキャラ萌えゆるふわアニメでしかありません。脳みそ停止系のアニメです。音楽は良かったですけど。

 本作のぼっちは「映画大好きポンポさん」のジーン君の学生時代を描いているような印象を受けます。設定も人間の病理である対人恐怖とギターと言うアイデンティティの問題。音楽という才能と技術追及の厳しい世界の話です。

 設定だけみれば「けいおん」とはまったく違う方向性の話で、同じカテゴリーには見えません。

 ただ、文化祭ライブで活躍して「仲間になった」「みんなから認められた」レベルなら「けいおん」の方向に収束していってしまうかもしれません。
 
 私としては最終回が、ぼっちちゃんのあまりのレベルの違ううまさに、バンドメンバーを置いてけぼりにして失敗するような展開なら、これからもっともっと面白くなる気がします。
 
 そもそも、ぼっちの一番の不明点は音楽を愛しているのか?ですね。これが描けていない気がします。ひとりぼっちを脱出するツールになっています。
 これからでもいいので、音楽愛に目覚める。自分がこんな狭い世界でいいのか、で、広い世界へ。でも、性格は相変わらずぼっち、みたいな展開になるかですね。

 6話、8話のぼっちがバンドの他の誰よりもうまいという部分。動画の伏線。青春のすべてをギターにかけていたという部分を切り取ると、名作になる要素はあると思います。

 最終回どうなるでしょうか。単に仲間を見つけた、みんなに承認されたなら、凡百のアニメ、普通にまあまあのアニメになるでしょう。どうなるでしょうか?

投稿 : 2024/12/21
♥ : 37

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

思いの外良かった

コミュ症の女の子ひとりちゃんが
バンド組んて
成長していくお話しです

マガ姐がモデルになってると
聞いて気になって
見始めたのですけど
思いの外良かった

マガ姐さん、もう最近髭はやして
姐さんじゃなくなってるぽいけど
エピソードがああって
笑ってしまった

個人的にはコミュ症の
ひとりちゃんに思考と奇行が
感情移入してしまったけど
どうだろうな
バンドやってた30代とかに
刺さるんじゃないかな

曲もしっかり作ってあって
結束バンドいいやんって
EDが好みだった

コミュ症でもなにか1つ
打ち込めるものがあれば
全然違うよね

タイトルが
承認欲求モンスターか
Tropicalloveか悩んだくらいで

色んな人におすすめできる
良いアニメです

10代のこれ読んだ方
素敵な10代送ってね

投稿 : 2024/12/21
♥ : 26

75.4 3 モノローグでコミュ障なアニメランキング3位
スーパーカブ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (484)
1395人が棚に入れました
山梨の高校に通う女の子、小熊。両親も友達も趣味もない、何もない日々を送る彼女は、ある日中古のスーパーカブを手に入れる。初めてのバイク通学。ガス欠。寄り道。それだけのことが新鮮で、ちょっと冒険した気分。仄かな変化に満足する小熊に、バイクは人とのつながりも生み出していく。小熊と同じ、バイク乗りの少女・礼子や、バイクに乗って変わっていく小熊に憧れる少女・椎。小熊の世界は少しずつ、広がっていく。友達と一緒の昼ご飯。当てもなく寄り道する放課後。バイクでしかできないアルバイト。そして、これからもバイクと生きていくために少女が選ぶ進路。

声優・キャラクター
夜道雪、七瀬彩夏、日岡なつみ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

本作が第6話を機に炎上?している理由を細かく解説します

山梨県北杜市を舞台に、両親も友達もお金も趣味もない高校2年の少女、小熊ちゃんが1台の【ホンダ スーパーカブ】と出会ったことをキッカケに彼女の世界が少しずつ開けていく様を描く全12話の青春ドラマ
原作はカクヨムを発端とするトネ・コーケン先生の同名の小説
本作の第6話がプチ炎上騒ぎとなってしまった件について、細かく解説させて頂きます


修学旅行を楽しみにしていた小熊ちゃんですが急な発熱で欠席せざるを得なくなるも、すぐに体調は回復
バスで先に出発した学校側には相談せず、愛車のカブで追走
そして宿泊先の鎌倉に乗り付けてしまいます
当然先生からは厳重注意を受けるも、小熊ちゃんとカブをキッカケに友人となった礼子は用意周到にもヘルメットとタンデムステップを取り出し、憧れていた鎌倉湘南の海岸線沿いを通る国道134号線を小熊ちゃんのカブに2人乗りして走る、というちょっと不良染みた行いを提案するのです


修学旅行に原付バイクで乗り付けたり、そこからさらに抜け出して2人だけの自由行動を取る、というだけで十分常識からは逸脱した行動なのですが、問題は小熊ちゃんが運転して2人乗りをした、という事実です


この話の冒頭で本来のエンジン排気量が49㏄である小熊ちゃんの愛車は、52㏄へと改造が施され、原付一種から原付二種に登録変更をした、という旨が語られています
ナンバープレートも白から黄色に変わっている等、細かい点も再現されています
原付二種になった事のメリットの1つとして、2人乗りも可能になります
ですので車両の点では問題は無い様に見受けられます


ですが2人乗りをする為には“免許取得後1年以上”という条件が実はあるのです
免許取得の為のテストにも出ますし、教習所でも教えてくれます
小熊ちゃんが普通自動二輪の免許を取得したのはこの改造の直前、という事でかなり甘く推察してもせいぜい数ヶ月しか経過していなく
「これは道路交通法違反だ」
と指摘する視聴者も少なからずいたわけです


この案件に関して
「フィクションの中で描かれている事なので騒ぎ立てる必要はない」
と作品側を擁護する意見もあれば
「非日常や異世界を舞台にしたものならともかく、現代劇で堂々と法を無視するのは如何なものか?」
と否定的な意見もあり、正に賛否両論です
ネットニュースで取り上げられたり、便乗する形でワイドショーでも紹介される等、作品側にしてみれば不本意な広まり方で話題になってしまいました


正直、白昼堂々と黄色ナンバーで2人乗りをしている女子高生をわざわざ呼び止めて免許を確認する警察官などいないでしょう
ですから“捕まりはしない”という確証は小熊ちゃんと礼子にはあったと思います


肯定派も否定派も各々の言い分にちゃんと正当性があると思いますが、ちょっと別目線で何故これほどまでに本作が波紋を生んでしまっているのか?
について3つほど持論があるのでそれをご説明します


①【アニメ側の説明不足】
実は原作小説では小熊ちゃんが2人乗りに関して道交法違反になる事を認識していて、2人乗りを渋る一節があります
この時の礼子はこの1話手前のお話で愛車を失ってしまっており、そんな礼子を慰める為に違反を承知で2人乗りをしよう、と決意する小熊ちゃんの葛藤が描写されるのです
ところがアニメではそんな小熊ちゃんの迷いは特に描かれませんでした
主観で描かれる原作小説に対して、アニメ版ではモノローグを各話の冒頭と末尾に絞り、空気感やテンポ感を大切する構成を強調しています
この第6話のクライマックスとなるシークエンスにおいてテンポが大事と取るか、安牌として野暮でも説明台詞を入れるか、と考えて前者を取ったのが本作というわけです
あえてあそこで説明を入れておけば・・・100歩譲って9話のノンアルコールカクテルのくだりの様にテロップで注釈を入れていれば・・・批判意見の態度もまた違っていたと思います


②【本作をほんわか美少女日常系アニメと認識している視聴者が多過ぎる】
正直、本作は流行の日常系アニメとは違います
確かに表面上だけなぞればそーゆー類の作品にも観えなくもないですが、物語を深く読み込めば読み込むほど本作の登場人物は所謂“アウトロー”であることが理解できます
小熊ちゃんはそもそも友達が全くいませんでしたし、礼子はコミュ力があるだけでその実は自分とカブ以外に興味が無いというかなりの変人です
そんな2人の変わり者の非常識な青春が描かれるのが本作なのです
もしこの物語が女子高生2人組ではなく『特攻の拓』とか『あいつとララバイ』だったら誰もが笑って許した事でしょう
実はトネ先生の原作小説に限らず、片岡義男作品にしろ山田深夜作品にしろ、バイクに乗っている若者というのは“多少のハミ出し者”として描かれる傾向にあります
トネ先生もそんな伝統的な“不良の青春”を描きたかったのだと思います
そう考えると小熊ちゃんや礼子がいくらエキセントリックな行動を取ったとしても納得がいくでしょう
彼女達は法を破る事への後ろめたさは感じていても、周りの目などは気にしていないのです
ですがその点が多くの視聴者には伝わっていない、誤解を受けているというのが現状だと思います


③【原作者トネ先生の執拗なコダワリに違和感を覚える人も多い】
どんな作品でもアンチとは出てくるものですが尖っている作品であれば尚更の事です
正直に言って本作、物語そのものの魅力は別にして、トネ先生のコダワリが強過ぎて一部でアンチ化してしまった視聴者もいると感じてます
例えば第1話でバイク屋のお爺さん(シノさん)から曰く付きのカブを1万円で購入する小熊ちゃん
ですが、ヘルメットとグローブを持っていない事を見兼ねたシノさんがキャンペーンの品だとアライヘルメットのクラシックヘルメットとグリップスワニーの本革グローブをプレゼントしてくれます
本来は新車を購入した人を対象にしたキャンペーン・・・であるのにシノさんの過剰なサービス心が施した事であるのは言うまでもないです
ですが2つ合わせて新品で3~4万円もするハッキリ言って高価な品です
1万円のカブに乗る貧乏学生にはどう考えてもオーバースペック
これはトネ先生が登場人物の扱うプロップ(小物、アイテム)には自身が認める一流品を使ってもらい、作品を通してその逸品の素晴らしさを伝えたいとお考えだからです
先述のヘルメットとグローブの様に原作で細かく描写される品はもちろん、アニメ化に当たってかなり細かく実在の品がプロップとしてトネ先生から直接の指定されてるようです
アニメ化に全く口を挟まない原作者もいる一方で、トネ先生はとにかく自身で細かく設定したがる方という事なんですね
問題は貧乏学生の話なのか高級品の性能をアピールしたい作品なのかブレてしまっているという事です
例えば『ゆるキャン』という作品ならば女子高生なのでお金が無い、お金が無いなら無いなりに何か工夫をしてみよう、という話になったりするのですが本作はそういう方向へは話を広げません
トンデモナイ高級品がひょっこり出てきてなんやかんやで手に入ってしまいます
コダワリもここまで来ると考え方に隔たりを覚えてしまい、作品への没入感を阻害されてしまって結果的に、ではありますがアンチ化してしまった人もいると思います
特にバイク界隈に詳しい人ほど本作への評価は分かれているようです
オイラもシノさんが「100km走ったらオイル交換に来い」と言ったのには耳を疑いましたね
本来は最初のエンジンオイル交換って1000kmまでしなくて良いんです
メンテナンスサイクルってプロでも意見が分かれるところなんですが、本作はカブの産みの親である本田技研の監修もちゃんと入っています
それにも関わらず本田技研がやらなくて良い、と言ってる過剰なメンテをしているわけです
少し話が逸れましたがこういったトネ先生自身のコダワリで没入感を削がれてしまった人ほどアンチ化して否定的な意見を飛ばしてるようにも感じます


とまあ以上の3つの点から解るのは本作がとても“尖った作品”だという事です
先鋭化した作品であればあるほど賛否が別れるのは致し方ない事ですが、そこに火種となる第6話の2人乗りの案件が投下されてしまったというわけで、プチ炎上は起こるべくして起こった、とオイラには受け取れるんですね


ちなみにそんな騒ぎなど些細な事だとも言うように第10話では(私有地の中とはいえ)ノーヘル走行をしたり、第11話では(救命措置とはいえ)前カゴに人を乗せて走ったり、どんどん小熊ちゃん達の行動は過激になっていきます


つまり“付いて来れる人だけ付いて来い”というのが本作の最もたるところなのでしょう
本作の終盤では人畜無害を形にしたような少女、椎ちゃんが“不良に憧れる少女”のポジションとして登場し、アウトローな小熊ちゃんと礼子に少しずつ惹かれていきます
果たして椎ちゃんはこの無茶な2人に付いて行くのか否か?
そんなところに着地するのが面白いのです

投稿 : 2024/12/21
♥ : 35

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「この味は、引き出し昆布の技法を知らなくては出せん味だ!」。引き算の手本の1話以降はまぁまぁぁな。

 最後まで見たが、途中の段階で思ってた通り、驚異的な1話以降のそれほどの喜びはなかった…という印象。要素が増えることが必ずしもプラスになるとは限らないという貴重な教訓を得られた。椎ちゃんは嫌いじゃないが、礼子のような存在感を感じられなかった。日常系ではあるが、小熊ちゃんも礼子も男前というか全く動じずに自分の道を征く姿が実にええ。


 炎上した件については、書くのもアホらしいのであんまり書きたくもないが、「うるせぇ、バカ!」なメル・ギブソン方式でいいと思う。さらに、「クズ=法の奴隷、言葉の自動機械、損得マシーン」が急増しているという宮台さんの見解の証拠としては意味があるかな。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 52
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

この空気感、好き・・でした

[2021.6.24]
最終話見終わりました。(簡単な感想は一番下に・・)
5話以降の展開については、原作どおりみたいなので仕方ないのかも。
初盤のあの空気感はアニメならではの演出の成果だと思うので、アニメの出来は悪くないと思います。
結果論になっちゃいますけど、4話までの話を再構成して、親の話や免許取得の話などアニメで語られなかった部分を追加したりして映画化したほうが良い作品になった気がします。
・・あ、でもそれだと椎ちゃんの出番が。。

[2021.6.11]
4話までの感じが凄く好きだったんですが、最近のお話はあまりそれが感じられなくなってきたのがちょっと残念です。
突飛なのはいらなくて、もっと地味なお話でいいから小熊さんの小さな冒険を描いてくれると良かったんだけど。。

[2021.4.8初投稿]
ラノベが原作のようですが、未読です。
PV見たときも感じたけど、絵と音がすごくいい!

バイクのアニメなのに、とても静かでひんやりした空気感を感じます。
この空気感、好きだな。

劇中曲にクラシックを使ってるところも、雰囲気にあってると思いました。
ドビュッシーやリストなどいいですね。
ほかのピアノなどの劇伴も良かったです。

主人公の小熊さんは、かわいいけどおとなしくて地味な感じ。
両親も友達もお金も将来の夢もない女の子みたいだけど・・

彼女がスーパーカブと出会って物語がどう動き始めるのか、バイクというものに一度も乗ったことのない私も一緒にドキドキしながら見ていきたいと思います。

以下、各話の感想です♪

【1話 ないないの女の子】
{netabare} 中古のバイクが1万円!?・・と思ったらいわく付きのバイクみたい。。
バイク屋のご主人、いい人すぎ。
・・いきなり原付免許とったシーンに飛んでたけど、この辺はもう少し丁寧に描いて欲しかったかな。
バイクのエンジンを初めてかけた気持ち。
自分のバイクを見てニヤニヤする気持ち。
エンジンがかからなくて焦る気持ち。
バイクに乗ったことないけど、小熊さんの気持ち、わかる気がする。
夜のドライブにドビュッシーの「月の光」。ひんやりした夜の空気が伝わってきます。
うん。これいいわ。この空気感のまま最後まで突っ走ってほしいな。{/netabare}

【2話 礼子】
{netabare} アニメっぽくない作品だなって2話見ててあらためて思いました。
みんな黒髪だし、テンション高い話し方じゃないし、友達同士の会話もそっけないし・・
でもなぜかそういうところが好きだったりしてます。
すごーく地味な展開なのに、なぜか飽きないし面白いです。
礼子のバイク、改造バイクとかお金かかってそうだけどお嬢様なのかな?
どこまでも遠くに行けるよ、と礼子に言われて、ちょっとした「冒険」に出かける小熊さん。
ラストのニヤ顔が楽しそうで良かった♪
相変わらず、絵や音関係は丁寧ですね。バイクの音とかリアルっぽい。
EDもいい感じでした。{/netabare}

【3話 もらったもの】
{netabare}だいぶカブに慣れてきた小熊さん。
色々とパーツが欲しくなって礼子の助けももらいながら揃えていきます。
無口な子だけどきちんとお礼の挨拶できるのね。えらいな。
相変わらずのにやけ顔がいいね。
リストの愛の夢が流れながら今までの出来事が流れるラスト。
いい最終回でした!←ちがいますw
次回あたりで何か面白いことが起こればいいな・・って贅沢すぎ?{/netabare}

【4話 アルバイト】
{netabare}夏休み。礼子とどこかに出かけるのかなって思ったけど、別々なんだね。
でも確かにお金がないとどこにも出かけられないし、バイトは正解かも。
バイト代でレインコートを買って、雨の中 にやけながらの運転。
そして雨に向かってぼそっとつぶやく「ざまあみろ」。
よりもいとはまた違うざまあみろだけど、これも良かった♡
自分でバイクのオイル交換が出来て、鏡の前でヨシッのポーズを取ったり。
小熊さん、最初の頃に比べて表情が豊かになってきましたね♪
バイクのイスをぽんぽんするしぐさもいいな。
どんどん出来ることが増えていって、とても楽しそうで、見てる私もにやけちゃいます(#^.^#)
特別な何かがあるわけじゃないけど、丁寧に描かれていて不思議な魅力のある作品です。{/netabare}

【5話 礼子の夏】
{netabare}礼子が夏休みにある「挑戦」をした話。
なんか今回の雰囲気がいつもと違うような・・
小熊さんが「小さな冒険」をしながら、少しずつ世界が広がっていくところが好きだったので
番外編を見てる感じでした。
この作品にはこういうアクロバット的なお話は合わない気がします。{/netabare}

【6話 私のカブ】
{netabare}だんだん小熊さんの性格が分かってきた気がする。
色々と自分に素直な子ですねw
「このくらいで勘弁してあげる」の表情が楽しそうで良かった。
バスと同時にカブで着いたりとかwタイミング良過ぎて笑ったw
あれ絶対カブで来たいから仮病使ったと思われそう。
先生に怒られたのに、普通に礼子と二人乗りして出かけたり。
以外とメンタル強い子かも。鎌倉まで追っかけてくるくらいだしね。
次回は3人目の子が登場しそう。。{/netabare}

【7話 夏空の色、水色の少女】
{netabare}{netabare}季節は秋になり文化祭の準備が始まる。
小熊さんと礼子はバイク以外のことにはあまり関心ないみたい。
でも原付じゃムリだって言葉が許せなくて文化祭で使う備品の運搬を”手伝ってあげる”ことにした小熊さん。
小熊さん、すっかりベテランカブ乗りみたいな感じになっちゃいましたね。
初々しかった頃の小熊さんが懐かしい。。
「思わず巻き込まれてしまった文化祭」ってどゆことw{/netabare}
↑最初に感じたまま書いた感想です。
他のレビュアーさんの感想を読んでなるほどーって思いました。
カブと出会うまでの小熊さんってないないの女の子で、どこか諦めの気持ちがあって日々をただ無意味に過ごしてて、だから他人との関わりも関係ないって達観したような感じでずっと生きてきたんだろうなってあらためて1~2話を見直して感じました。
2話で礼子に話しかけられて、久しくこんなことは無かったからどうしていいかわからなくて逃げてしまったし。
そう考えるとちょっと上から目線のような話し方も、巻き込まれた発言もなんとなく理解できます。
カブをきっかけに他のみんなと不器用な感じだけど自分から話しかけて関われるようになったのは小熊さんの成長なのでしょうね。{/netabare}

【8話 椎の場所】
{netabare}前回顔なじみになった椎ちゃんにお礼にと自宅のカフェ「ブール」に誘われる二人。
椎ちゃん家ってお店と自宅いっしょだとしても、すごく大きい家なのね。
モールトンを娘に買い与えるとか、趣味でやってるようなカフェとか、結構裕福なのかなー。
コナコーヒーって最初粉コーヒーだと思って、カフェでインスタント!?って思ったらハワイでしか採れない希少コーヒーなんですね(-.-)
私は濃いめのコーヒーって苦手で、もっぱらアメリカンで飲んでます。。
寒さ対策に購入した大きい手袋みたいなの、おしゃれではないけど、すごくあったかそう(#^.^#)
周りを気にせず自分たちのスタイルを追求する小熊さんたち、いいと思います♡{/netabare}

【9話 氷の中】
{netabare}アブラッシブウールって貴重品らしいけどお値段ってどのくらいなんだろ?って思って調べてみたら、いいお値段してました。。
椎ちゃんこんないいものをあげるなんていい子すぎ。
小熊さん、ぶっきらぼうなのはいいんだけど、もらっておいて、椎ちゃんに「さっそく作って」はないでしょw
あと、椎ちゃんが小熊さんたちにカフェに誘ったりするんだけど、そっけなくされるのもちょっとかわいそうかも。{/netabare}

【10話 雪】
{netabare}雪の中、礼子に誘われてバイクで遊ぶ小熊さんたち。
青春してるなぁ~って思うけど、私が4話あたりまで「これ好きだわぁ」って感じていたものが最近のお話ではあまりなくなっちゃったのがちょっと残念かな。。
他のレビュアーさんが言ってた、バイクとJKが好きなおじさんが描いた理想のお話ってのも分かる気がするw
終盤、椎ちゃんが大変なことになっちゃったけど大丈夫かちょっと心配ですね。{/netabare}

【11話 遠い春】
{netabare}警察に連絡しないで小熊さん1人で助けに行ったのは二次災害になるし危ないなーと思ってみてたけど・・
とりあえず、椎ちゃんが無事でよかった・・
小熊さんが料理するの初めてみたかも。カレーうどん美味しそう♡
でも、モールトンのフレームがぐちゃくちゃになってしまって、もう乗ることはできないみたい。
そっか。モールトンに追い抜かれたことがカブへのきっかけだったんだ。
椎ちゃんもカブに乗ってる小熊さんたちにあこがれみたいなものを感じてたのかな。
次回、桜前線に逢いに鹿児島に行くのでしょうか?
普通は原付でムリって思うけど、この作品は何でも出来ちゃう気がしてます。。{/netabare}

【12話 スーパーカブ】
{netabare}桜前線に逢いに鹿児島あたりまでカブの旅をする小熊さんたち。
椎ちゃんは礼子のカブに同乗。
経験ないので想像だけど、原付ってスピード出ないしあんな長い距離走ったらかなり疲れそう(・A・)
特に椎ちゃんはずっとしがみついてるからかなり大変じゃないのかな?
小熊さんのぼそっとしたぶっきらぼうなしゃべり方って、小熊さんをバイク好きなおじさんに置き換えるとしっくりくるかも。
旅が終わり、椎ちゃんもついにカブ仲間に!椎ちゃんカブ、色とかかわいい♡
なんとなく2期はないような気がしますけど、これ見てバイクに興味をもった方もいたかもしれないですね。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 58

74.2 4 モノローグでコミュ障なアニメランキング4位
安達としまむら(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (377)
1353人が棚に入れました
私と安達は体育館の2階で偶然知り合ったサボり仲間だ。一緒に卓球をしたりしなかったり程度の関係で、人付き合いは基本的に面倒だと思っている私にはちょうど良い距離だった。のだが、最近どうも私に対する安達の様子がどうにもおかしい。前はまるで人に興味のない猫みたいだったのに犬になってきている気がする。安達に何かしたっけなあ……。――そんな2人の関係が少しだけ動いていくお話。

声優・キャラクター
鬼頭明里、伊藤美来、沼倉愛美、上田麗奈、佐伯伊織
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

月を抱く太陽

サボりの女子高生・安達&しまむらが、まったりと友情を育む中で、
特別な感情が芽生え、人生が色付き始める、
同名小説(未読)のアニメ化作品。

【物語 4.0点】
人の心情に容易に名前など付けられないことを、
根気良く炙り出していく。

安達としまむらは授業をサボっているという点では不良であり、
自転車二人乗りは違反行為だが、
ステレオタイプな不良とは一線を画し、
正面からグレたと批判するにはユル過ぎるムードが漂う。

安達のしまむらに対する想いは恋慕であり百合であろうが、
そこには友情の他にも、欠落した家族愛の代替も含まれる。

一言では表せない、考察に値する心や状況を、
安達としまむら双方のモノローグも多用して観察、分析する一時が、
見つけてもらえない気持ちへの救済という共感も相まって、
妙な心地よさを醸し出す。


マイベストシーンは、安達は{netabare}喜び爆発し過ぎなクラス替え発表。{/netabare}
しまむらは{netabare}安達母とのサウナ対決。{/netabare}
共に双方向ではないが、お互いを想い合う気持ちの大きさが伝わって来ました。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・手塚プロダクション

作画量などは平凡。人物作画も主要キャラ以外は、置物同然のことも多い。
むしろ、どうでもよいクラスメイトなどは、最初から黒マネキンにすることで、
二人の世界を浮き彫りにする。

その他、夕暮れに染まるJKなどの色彩、
水たまり等、逆光、鏡面を際立たせる撮影、
手描きが不得手とする自転車車輪のCG処理、
画面比率の変動など、
二人の演出に関してはソースを全集中。


惑星や衛星は太陽の光を反射して初めて輝き、
物体は強い光に照らされて初めて色彩を放つ。
人は心が通じる他者に眼差されてこそ色付き変わって行ける。
「しまむらは私の太陽だ」

こうした表現の志向性が背景美術や瞳の描き込み等から意識付けられるのは大きい。

この観点から好きな演出はOPの四季折々の色彩に染まる
安達としまむら。二人のJK制服のミニスカート。


【キャラ 4.0点】
「しゅこー、しゅこー」

何故か乱入してくる自称“宇宙人”の社(やしろ)w

原作・入間人間さんの他作品とのクロスオーバー?など正体考察についてや、
そもそも必要なの?という疑問に対して、
私は答えるだけの予備知識もありませんが、

無自覚に、安達のしまむら独占欲を煽る噛ませ犬役になったり、
百合と“宇宙人”の共存により、
乙女同士の特別な感情に対する未知との遭遇感を意識さえたり、
こじれて煮詰まりそうな想いをニュートラルにしたり、
結構、使える“宇宙人”だったと思いますw


対比の材料という意味では、日野&永藤。
百合としては、こちらの方がスキンシップが直球で、
安達はまだ一線を越えていないと間接的に言い聞かせることも可能w
欠落した愛情の埋め合わせという点では日野は安達と共通点もあり。


あと、エキシャーマンさん。
俺も1000円払うんで、是非、発破をかけて下さいw
「逃げないぞー!」(←何からよw)


【声優 4.5点】
うさぎねずこ、近江彼方だよね~、トニカクカワイイお嫁さん……。
クセになる低音で2020年秋を席巻した鬼頭 明里さん。
中毒症状にのたうち回った私が、最後に手を出したのが、
一番ヤバそうだなと禁断していた、本作の安達桜でしたw

序盤、お馴染みの低音で魅せられ、
後半になるにつれ、気持ちが昂ぶり高音、裏返り……。
堪能致しましたw

加えて、島村抱月(ほうげつ)役の伊藤 美来さん。
「~なのかね」などと、文学作品の紳士みたいな気だるげな口調で、
対人関係のストレスをいなし、
想いを向けて来る安達の挙動不審を冷静に解説する。

どうやら私は、あかりん中毒に加えて、みっく中毒も併発しつつあるようですw

お二人とも、気持ちを込める台詞と、感情を整理するモノローグの演じ分けも良好で、
私も終始、気持ち良く、心情世界にナビゲートされました♪


物語を大きく転換する時こそ、脇役に実力者が必要だとの方針を体現した
樽見役の茅野 愛衣さんも後半の盛り上がりに貢献。

極め付けは、{netabare}一回だけの登場で、安達の体育館二階への再逃避を翻意させた、
図書少女役への花澤 香菜さんの起用。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴は田渕 夏海、中村 巴奈重、櫻井 美希、三氏の共同制作。
サティをイメージしたと言うピアノサウンドが作品を牽引。
(どうりで、化粧品メーカーや保険会社のCMを想起する訳だw)

OPは安達としまむらによる「君に会えた日」
アンニュイなデュエットが暫時前進する二人の関係にマッチ。
特に“離れないで~”のユニゾンがユルユルで病み付きにw
二人は他に挿入歌もあり。

EDは鬼頭 明里さんの「キミのとなりで」
アップテンポで、あの娘の傍で、平常心を保てない、
安達のドギマギがダダ漏れになる、胸キュンソング♪
安達さん。いけません。これ、完全に落ちちゃってますw
もう、恋でも、愛でも、お好きな名前を付けちゃえば良いかと。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 28
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ユリアニメではなかったです。何故なら、

これは、高校生にもなって感性は幼いままの安達の、
高校版の「ひとりぼっちの〇〇生活」なんだからだと思います。
ユリアニメが大嫌いな私が、
不思議なほど、何の抵抗もなく、
すんなり最後まで観れたから間違いありません!(笑)
安達にもしまむらにも、本質的には、ユリ属性、無いです(^^♪


なぜ、ユリアニメ嫌いの私が、
ユリまがいな感じのこの作品は楽しく視聴できたのか?

第一は、主人公二人の心理描写が、すごく丁寧で、
しかも性的な意味での同性のあいだでの葛藤が無かったから。
人付き合いが苦手な安達は、
いろいろと変に性的な妄想に浸ったり、
身体接触や会話の端々に変に過敏に反応してしまったりするけど、
これは、安達が幼な過ぎて、
likeとloveの違いを理解できていなくて、
その線の引き方がまだ分からないから。
一方で、人付き合いが無難にできるしまむらは、
安達の存在を特別に感じていながら、
それで二人ぼっちになったりしないで、
周囲の様子や他人との距離感をうかがって、
けっこう上手に周りの好感度をキープ出来るから、
他の女子たちから「友達になりたい」って感じにモテモテ。
だけど、それもしまむら特有の上手なお付き合いで、
のめり込んだりはしてなくて、どこかで人との関係に線を引いている。

こういう描写の、静かな積み重ねが、すごく効いているって思うんです。


それで、第二が、作画が作品のテイストとカラーに合っていて、
とてもいい感じだったから。
可愛いけどかわいくし過ぎない。
ホワンとした感じでリアルになり過ぎない。
作画に不満な方のレビューを割と見かけますけど、
これだけの品質の作画で不満となってしまうと、
テレビアニメは、ほとんど視聴不可じゃないかなって思います。
たしかに、安達が性的な妄想を膨らませてしまうシーンなどは、
「これ、要るの?」って思いましたけど、
これは作画の問題ではなく演出の問題で、
性的感情と友情や羨望が未分化な安達の、
人間としての幼さを表現しているからなんで、
愉快な絵じゃないけど、しょうがないって思いますし。

あと、自称宇宙人の不思議な小さい子が出て来てますけど、
これは原作のキャラクターなんで、敢えてそのまま、
作品のアクセントとして残したんだと思います。


この作品を視聴し終えたあと、{netabare}レオン博士さんの、{/netabare}私の気持ちを見事にコトバにしてくれた、
素敵なレビューの表現が、あったので、失礼を承知で、そのまま引用させていただきます。

{netabare}「私はこのアニメは一人になるのが怖いから誰かに依存したいあだちと、一人になるのが怖いから誰にも依存したくないしまむらの対比がテーマなんじゃないかと思っています。
二人とも、一人になりたくないという気持ちは一緒だと思うんですよ。」
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 37
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

依存したい子と依存したくない子の恋愛模様?

人付き合いが苦手で不登校気味の美少女2人が、学校をサボって会っているうちに意気投合して仲良くなった後の日常の話

あだち視点だと他人から見たらどうでもいいことで延々とうじうじ悩んでいて退屈に感じる人は多そうですが
しまむらの心情を考察してみると、実は結構複雑な感情が渦巻いている話なんじゃないかな?って思ったんです

私はこのアニメは一人になるのが怖いから誰かに依存したいあだちと、一人になるのが怖いから誰にも依存したくないしまむらの対比がテーマなんじゃないかと思っています
二人とも、一人になりたくないという気持ちは一緒だと思うんですよ

その理由は、2人の絆の強さを感じさせるモノローグでした

【しまむらのモノローグから見た本当の気持ち】
{netabare}
しまむらは鈍感でドライだけど、あだちに対してだけは特別な意識を向けています
だけどその特別な意識が一体何なのかはほとんど描写されることはなくて心情がわかりづらいキャラでした

でも途中の話で「あだちとの付き合いはいつまで続くのだろうか、卒業までか、もしかしたらクラスが変われば終わってしまうかも」と思いふけっていたことと、
最終回の最後「目を瞑っている間に1月がたってしまった。高校生の4月はあと一度しかない、5月だって6月だってのんきに毎日を過ごしていられる時間も決して無限じゃないのだ。いつか避けられない将来、春休みなんてない世界、もしかすると隣に誰もいない未来、わたしにも望まなくとも満開の桜を見上げながら春の道を行く日がやってくる、それまでは目の前に咲く桜に満足するのも悪くない、悪くないと確信するのだ。4月末、もうサクラはどこにも咲いていない、だから私はあだちに桜を求める、その横顔には、きっと」という自分語りがありました。

ここを「どうせ安達ともいつか必ず離れ離れになるけど、今はそばにいるあだちで満足しておくか」と解釈するのなら本当にただの一方通行だけど、言葉の使い方の印象からすると、高校生活があっという間に過ぎ去っていくことを寂しく感じているように見えるんですよ

この2つの自分語りから感じたことは、しまむらは誰かに依存するのが怖いんだと思います
誰かと仲良くなって、あだちのようにこの人がいないと生きていけないくらい依存してしまったとしても、来年の4月に一緒にいられるかどうかはわからない
少なくとも、どれだけ高校生活が幸せいっぱいでも、高校生活は確実にいつか終わりを迎える
つまり大切な、幸せな時間を失うことが怖くて、あえて大切なものを作らないようにしているのではないか、と私は思いました
「あだちに桜を求める」と言うのはストレートに「卒業までで終わりでもいいからそばにいてほしい」と解釈すれば良いとおもう

「その横顔にはきっと」きっとの後に何が続くかはわからないけど、横顔が見えるということは、すぐ隣に一緒にいるということですよね
楽しい時間が永遠に続かないことを分かっているが故の漠然とした不安が根底にあって、あだちに依存してしまうことは怖くてできないけれども、少なくとも一緒にいられる間は、一緒にいることが幸せだと、それでいいとしまむらの中で結論を出したのではないでしょうか?

タイプは違うけど、確かにお互いに対して強い気持ちがあったと私は思う
百合と一括りにするのは勿体ない、複雑な心情を描いた作品だと感じました

2期が制作されるのであれば、続きを見たいです
{/netabare}

【聖地は岐阜】
見たことのある景色が何度か登場すると思ったら、聖地が岐阜なんですねー
作者は岐阜出身だそうです
岐阜が舞台のアニメ多いですね、山と世界遺産以外何もない県なのに

【なんで苗字呼び?】
あだちとしまむらだけでなくサブキャラも何故か苗字呼び
中高生の女子同士って、あだ名か名前呼びがほとんどで苗字呼びはあんまりしないから、ずいぶん距離感のある高校だなーって思った

投稿 : 2024/12/21
♥ : 36
ページの先頭へ